○鈴木(淑)
委員 二つの御
懸念は、私もごもっともなことだと思います。特に最初の、高齢化が進むことに伴う社会保障費の伸びというのは非常に大きな要素であって、私自身は、財政のプライマリーバランスをとり始める二〇〇二年以降には
消費税を上げていく以外にないというふうに
考えております。
しかし、私は、
消費税引き上げを始めない限りどんどん赤字がふえちゃうかというと、必ずしもそうではないだろう、弾性値の話と、それから二つ目の御
懸念の
金利が、上がることは上がりますが、そんな大きな上がり方をしないんじゃないかというふうに思います。
きのう、例の財政の中期展望について申し上げましたが、これはもう大臣はとうに御
承知のように、三つのキーバリアブルでできておりまして、成長率が三・五です、弾性値は一・一です、したがって、税収の伸びは三・八五です。三・五掛ける一・一で三・八五です。ところが、
金利は四・五です。上にいます。四・五で税収の伸びが三・八五では、この差で、それだけで赤字が拡大していくのです。社会保障の話を別にしちゃっても、最初から拡大する仕掛けになっているわけですね。
ところが、こんな予測ぐらい人騒がせな、間違った予測はないと私は思っております。
どこが間違っているかというと、私は、三・五という成長率がそんなに間違っているとは思わないと申し上げました。今三・五と言われるとぎょっとするかもしれませんが、ついこの間、九五年度は御
承知のように三・〇%成長しているのですから。九六年度は実に四・四%成長しているのですから。
設備投資が上を向いた途端に三・五%以上成長したのですね、ついこの間。それを例の九兆円の国民負担増の大デフレ予算でぶっつぶしちゃって、二年連続マイナス成長にしちゃったのですね。
ですから、デフレギャップが相当ある
現状を
考えますと、それは、一たび民需主導型の回復が主導した場合は、三・五になると言い切る自信はありませんが、三・五という数字はそんな途方もない数字じゃありません。ついこの間、百兆円の不良債権を引きずりながら、バランスシートリセッションのさなかにやあっと立ち上がってきて、平均して三・五以上のスピードを二年出しているのですからね。そんな途方もない数字じゃないのです。
ところが、弾性値一・一と
金利四・五というのは途方もない数字だと思います。
弾性値一・一というのは、なるほど過去の十年間の平均をとれば一・一でございますが、大臣よく御存じのように、弾性値は大変な循環変動をしております。
最近の地方税と国税を合わせた税収のピークは、九一年度の九十八兆円でございます。それが補正後の本年度で幾らと予想されているかといえば、八十三兆円と予想されています。十五兆円も落ちたのですね。
これ
一つ考えても、
景気が一たび上に向いたときは相当税収が上がってきそうだなというふうに常識的には理解できると思うのですね。しかも、その間成長率がマイナスだったわけじゃないのですから。九一年度と本年度、九九年度の間にGDPは曲がりなりにも上がっていた。それなのに税収が十五兆円落ちた。若干減税の影響もございます。途中で増税もしていますけれ
どもね。そこを調整しても落ちたということは、弾性値は一・一よりはるか下、それどころかゼロを突っ切ってマイナスに行っちゃっているということです。
ですから、十年間一・一を実現するためには、これから大変な弾性値の上昇が起きなきゃそうならないですよね。私は、今度は十年間一・一じゃないかもしれないな、もう少し低いかもしれないなと思っていますが、来年度以降、弾性値は
景気回復とともに急上昇していくと思います。ですから、この財政の中期展望の一・一というのは、とんでもない、あり得ない、人騒がせな数字を置いていると思いますよ。
それから
金利の四・五、大臣が御心配の点ですね。これも、私はきのうもちょっと申し上げましたが、最近の
物価の超安定から
考えまして、それから、やはりこれからはIT革命がどんどん起きますから、今の
アメリカもそうであるように、
物価がなかなか上がらない。したがって、予想
インフレ率が上がらない。したがって、
長期金利は余り上がらない。言うまでもなく、予想
インフレ率が
長期金利を決める基本的な要素になりますので。
そういたしますと、私は、とても
金利四・五なんというのは、しばらくならないと思いますよ、よっぽど
日本が
景気がよくならない限り。
近くの例を見ましても、きのうも申し上げましたが、三・〇%とした九五年度、四・四%とした九六年度、
国債のクーポンレートは二・九でございますからね。四・五よりはるか下にありました。ですから、御
懸念はごもっともでございますが、私は、今のように
考えるがゆえに、社会保障費はじりじり上がっていくだろうが、それを打ち消すぐらい弾性値は上がるし、
金利はそんなに上がらない。
これは算術の話で、さっき言いましたように、三・五掛ける一・一で三・八五で四・五というから発散するのですが、これは弾性値を一・三と置いたら、ちょっとここでぱっと暗算するとあれですが、一・三と置いたらもう四・五をわずか上回るのです。弾性値一・三というのは簡単に出ますよ、
景気回復期には。大臣、いつか御答弁でおっしゃっていたように、二とか三とかいう数字は出ますからね。
ですから、ましてや
金利は四・五でなくてもう少し低いと思うのですね。そうしたら、弾性値が一・二か三でも、もうそこが逆転しますから、その分赤字発散型じゃなくなるのでございますね。そういう算術を私はしているものですから、昨日はこの人騒がせな、
政策意図の何にも入っていない、しかも予測としてこれは落第点の予測である、こんなものは発表するものではないと申し上げたわけでございます。だからこそ、生意気にも
日本の
国債のレーティングを格下げするなどという会社が
海外にあらわれちゃうというふうに思う次第でございます。
私は、本当はこれを野党の皆さんとディベートしたいのですよ。だけれ
ども、まだ
委員長に向かってディベートしますと言うには早過ぎるかもしれませんから。大臣とディベートするのじゃなくて皆さん方とディベートしたいのです。
財政赤字で
日本が大変なことになるとおっしゃるものですから、そうじゃないよということをディベートしたいのですが、完全ディベート型にまだ
委員会が変わっていないようでございますから、この件は後日、
委員長のお許しをいただいてからディベートすることにいたしますので、もうちょっとお待ちください。
それで、ちょっと脱線して失礼をいたしましたけれ
ども、私は、そういうわけですので、野党にあれだけ言われて防戦一方になる必要はないので、大臣方なら切り返せますので、切り返していただきたいと思うのですね。私はかけをしてもいいなと思うぐらいで、つまり
公債依存度ピークは本年度だ、来年度は少し下がるよ、その先はもっと下がっていくよというふうに思っております。何か御感想ございますでしょうか。