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2000-05-23 第147回国会 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月二十三日(火曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 桜井  新君    理事 赤城 徳彦君 理事 中谷  元君    理事 林  幹雄君 理事 中桐 伸五君    理事 堀込 征雄君 理事 遠藤 和良君    理事 東中 光雄君       荒井 広幸君    飯島 忠義君       大石 秀政君    小林 多門君       桜井 郁三君    下村 博文君       田村 憲久君    滝   実君       橘 康太郎君    蓮実  進君       平林 鴻三君    松本  純君       御法川英文君    宮腰 光寛君       山口 泰明君    渡辺 博道君       鍵田 節哉君    河村たかし君       島   聡君    田中 慶秋君       松本  龍君    井上 義久君       河合 正智君    倉田 栄喜君       木島日出夫君    井上 喜一君       西野  陽君    達増 拓也君       西村 眞悟君    中西 績介君     …………………………………    議員           中野 寛成君    議員           冬柴 鐵三君    議員           松本 善明君    議員           西野  陽君    自治大臣         保利 耕輔君    自治政務次官       平林 鴻三君    自治政務次官       橘 康太郎君    政府参考人    (法務省民事局第五課長) 大谷 晃大君    政府参考人    (自治省行政局選挙部長) 片木  淳君    衆議院調査局第二特別調査    室長           牧之内隆久君     ————————————— 委員の異動 五月二十三日  辞任         補欠選任   飯島 忠義君     桜井 郁三君   田中 和徳君     渡辺 博道君   田村 憲久君     大石 秀政君   中川 秀直君     御法川英文君   福田 康夫君     下村 博文君   鹿野 道彦君     田中 慶秋君   末松 義規君     河村たかし君   平田 米男君     倉田 栄喜君   鰐淵 俊之君     西村 眞悟君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     田村 憲久君   桜井 郁三君     飯島 忠義君   下村 博文君     福田 康夫君   御法川英文君     中川 秀直君   渡辺 博道君     田中 和徳君   河村たかし君     末松 義規君   田中 慶秋君     鹿野 道彦君   倉田 栄喜君     平田 米男君   西村 眞悟君     鰐淵 俊之君     ————————————— 五月十七日  永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案冬柴鐵三君外四名提出衆法第一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案冬柴鐵三君外十八名提出、第百四十三回国会衆法第一二号)  永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権及び被選挙権付与に関する法律案東中光雄君外二名提出、第百四十四回国会衆法第五号)  永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案冬柴鐵三君外四名提出衆法第一号)     午後一時四十一分開議      ————◇—————
  2. 桜井新

    桜井委員長 これより会議を開きます。  第百四十三回国会冬柴鐵三君外十八名提出永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案、第百四十四回国会東中光雄君外二名提出永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権及び被選挙権付与に関する法律案及び冬柴鐵三君外四名提出永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案の三案を一括して議題といたします。  お諮りいたします。  第百四十三回国会冬柴鐵三君外十八名提出永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案及び第百四十四回国会東中光雄君外二名提出永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権及び被選挙権付与に関する法律案の両案につきましては、第百四十五回国会におきまして既に趣旨説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————  永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案  永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権及び被選挙権付与に関する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  4. 桜井新

    桜井委員長 次に、冬柴鐵三君外四名提出永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案について、提出者より趣旨説明を聴取いたします。冬柴鐵三君。     —————————————  永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  5. 冬柴鐵三

    冬柴議員 ただいま議題となりました永住外国人に対する地方公共団体議会議員及び長の選挙権等付与に関する法律案について、その趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。  外国人のうち、我が国永住権を持つ者は、平成十一年末現在において、一般永住者十一万三千三十八名、特別永住者五十二万二千六百七十七名の計六十三万五千七百十五名に達しますが、この法案は、これら永住外国人に対し地方選挙権付与することを目的として制定しようとするものであります。  その思想的根拠としては、地方のことはその地域に住む住民が自主的、自律的に決定するのが好ましいこと、成熟した民主主義国家としてこの住民には、地域特段に緊密な関係を持つに至ったと認められる外国人たる住民意思を、日常生活に密接な関連を有する地域公共的事務の処理の決定に反映すべきものであること、特に、日本で生まれ、育ち、生計を営み、そして骨をこの国に埋めていこうとしている在日韓国など特別な歴史的背景のある人々に対しては、その人たちが望むならば、限りなく日本国民に近い扱いがされてしかるべきであること等に基づくものであります。  しかし、周知のとおり、現行地方自治法及び公職選挙法は、国政選挙はもとよりでありますが、地方選挙においても、我が国が重い歴史を担うこれら永住外国人たる住民に対し、選挙権すら与えていません。  これに対し、日本社会に深く根差し、既に在日四世が二万人も永住権を持ち、もちろん租税も負担して我が国の発展に寄与し、日本国民とともに地域においてコミュニティーを構成しているいわゆる在日人々について地方参政権付与すべきであるとの意見が、地方自治体議会からほうはいとして起こり、平成十二年二月二十九日現在でその数は一千四百三十九地方自治体に及び、属する住民国民の七三・三%にも達している事実に加え、大韓民国民団地方参政権獲得に向けての長年の地道な運動や、国会議員間の交流である日韓議員連盟総会の数次にわたる共同声明において明確に表明されてきたものであります。  重ねて、一昨年十月、大韓民国金大中大統領公式訪日に当たり行われた我が国国会における演説の中において、「私は六十万在日韓国人の未来を考えないわけにはまいりません。特に、地方参政権獲得早期に実現できれば、在日韓国人だけではなく、韓国国民も大いに喜び、世界もまた、日本のそのような開かれた政策を積極的に歓迎してやまないでしょう。」と切々と述べ、その必要性を強く要請されたことは周知のとおりであります。  私ども法案提出者は、以上のような背景及び思想的根拠をもとに本法案を提案したものでありますが、本法案はその構成上三点について特に配慮して起草した点がありますので、まずそれを説明申し上げます。  第一点は、被選挙権付与の対象から除外したことであります。  これは、被選挙権付与が許されないという理論的結論前提に立案したものではなく、現時点における国民感情等をおもんぱかり、本法早期成立ということを何よりも優先させ、その付与は将来の議論にゆだねようとする政策判断に基づくものであります。  もっとも、地方公共団体の長や議員国家意思の形成、遂行に直接参与することを考慮すれば、永住外国人被選挙権を与えることが憲法上可能であるか相当疑問があるとの学説や、平成七年二月二十八日最高裁判所判決被選挙権付与について何ら言及していないことも、右政策判断影響があったことは明らかにしておきます。  第二点は、選挙権付与申請主義を採用し、永住外国人選挙人名簿への登録取得要件としたことであります。  永住外国人への選挙権付与を強く求める声があることはさきに述べたところでありますが、永住外国人のすべてがそれを望んでいるわけではなく、逆に日本国への取り込みであるとして強く反対する人々もいます。自国民取り込みであるとして反発する国があるとすれば、そのような国の国民は、選挙権取得すると本国において不利益扱いを受けることになるおそれがあります。  そこで、真に選挙権取得を望み、かつ有権者として日本地域社会一定の役割を果たしていく意思のある永住外国人に限りこれを与えることとし、一律に選挙権を与えるのではなく、具体的には、永住外国人選挙人名簿への登録を申請し、これが登録されて初めて選挙権付与されるという形の申請主義を採用したものであります。  第三点は、我が国国交のない国の国籍を持つ永住外国人に対しては、当分の間本法により地方選挙権付与しないものとしたことであります。  このような永住外国人本法に基づき我が国地方選挙権付与を求めるとしても、その国交のない本国がその付与に強く反対している場合にあっては、我が国地方選挙権取得した者に対しその者にとって不利益となる扱いを行うおそれが十分に予測されます。  そこで、国交のない国と我が国との間で、将来何らかの交渉が持たれ、付与を容認する意思が確認されるまでの間、これを付与しないこととする制度を採用したものであります。  次に、法案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、永住外国人に対し地方公共団体議会議員及び長の選挙権付与するため、地方自治法及び公職選挙法特例を定めることを目的とするものであります。  第二に、選挙権付与される者の要件は、一、出入国管理及び難民認定法別表第二の上欄の永住者、または日本国との平和条約に基づき日本国籍を離脱した者等出入国管理に関する特例法に定める特別永住者であること。ただし、当該永住外国人に係る外国人登録原票国籍欄に国名が記載されている者であること。二、永住外国人選挙人名簿登録された年齢満二十年以上の永住外国人で引き続き三カ月以上市町村の区域住所を有する者であることとするものであります。  第三に、選挙権要件とする各種資格取り扱いについては、国政に直接的に影響を及ぼすものでない限り認めることといたしております。  その他、詐偽登録及び所定の届け出義務を行わなかった者に対する罰則を規定する等、所要の規定を定めてあります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げ、趣旨説明を終わります。
  6. 桜井新

    桜井委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 桜井新

    桜井委員長 この際、お諮りいたします。  三案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局第五課長大谷晃大君及び自治省選挙部長片木淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  9. 桜井新

    桜井委員長 これより三案を一括して質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。
  10. 中谷元

    中谷委員 自由民主党中谷でございます。  まず初めに、自由民主党は、この問題につきましては、極めて重要な問題と認識をいたしまして、昨年の十二月から十数回以上にわたってあらゆる視点から真摯な検討を重ねてまいりました。例えば、入国管理政策国籍取り扱い地方自治との関係公務員の任用、憲法との関係などを協議、議論しておりましたが、いまだに結論を得るには至っておりません。  この中で数点御質問をさせていただきます。  まず、憲法参政権関係につきまして、これまで二度最高裁判決が下っておりますが、判決上告棄却でございます。平成七年二月の最高裁判決は、国民主権の原理から憲法十五条一項の規定について、我が国国籍を有する者に選挙権を保障したものであるとした上、地方公共団体の長等の選挙権を保障した憲法九十三条二項についても、国民主権及び、地方公共団体我が国統治機構の不可欠の要素であるという理由で、同項に言う「住民」は、我が国国籍を有し、区域内に住所を有する者で、外国人は含まれないといたしております。  ただし、その傍論では、我が国に在留する外国人のうちでも、永住者等であって、その居住する地域地方公共団体特段に緊密な関係を持つに至ったと認められる者について、法律をもって選挙権付与する措置を講じることは憲法上禁止されているものではないと述べております。  また、本年四月にも最高裁判決が出ました。この判決においては、平成七年の判決が維持されましたが、傍論部分には触れておりません。  判決のうち、判決結論を導く判決理由に当たる部分以外の傍論部分については、事実上の影響はともかく、判決先例としての拘束力を持たないと考えますが、この点についていかがお考えでしょうか。  そして、外国人地方参政権付与することが憲法上容認されるかどうか、これについては憲法とのかかわりについて十分な議論が必要であると考えますが、この点について、公明党民主党のお考えをお伺いさせていただきます。
  11. 冬柴鐵三

    冬柴議員 判例としてどの部分先例となるか、それはお説のとおりでございます。結論を導くに足る部分判例法として拘束力を持つと言われているわけでございまして、傍論部分拘束力を持つものではないというふうに思います。  しかし、この最高裁判所判決の中に五名の裁判官が、小法廷でございますが、全員一致で示された判断というものの重みはあるわけでございまして、私どもはそれを重く受けとめておりますし、その論理の運びも我々が納得できる明快なものでありますから、その意味で、私どもは、重みのある判決である、今までの判決の竿頭一歩を進めた判決である、このように理解をいたしております。
  12. 中野寛成

    中野(寛)議員 お答えいたします。  国の主権を脅かすようなことになりますことは憲法違反になろうかと思いますが、さき最高裁判決は、違憲ではないということを明確にし、そしてまた立法政策上の問題として明記されているわけでありまして、我々は、過去の在日外国人の皆さんの歴史的経緯などを踏まえますと同時に、開かれた日本、そういう国際的な人権感覚というものを内外に示す上からも、憲法で許される最大限の措置を講ずるという前向きの努力が必要であるというふうに認識をいたしておりますので、今回の私どもが提案をいたしております立法措置は、その枠の中でせめてもの措置を講じようとするものだというふうに考えております。
  13. 中谷元

    中谷委員 続きまして、憲法参政権関係についてお伺いいたしますが、これまでの議論の中で、参政権付与する理由として納税をしているからという主張がございます。しかし、制限選挙を行うならともかく、選挙権被選挙権権利は、納税の有無にかかわらずすべての満二十歳以上の国民付与されておりまして、税金を払っている人も払っていない人もこの権利は持っております。  したがいまして、納税選挙権付与根拠とはなり得ない。また、反対に外国に行っても、物を買えば消費税等を我々外国人は払いますけれども選挙権とは何ら関係ないと思いますが、この点につきまして、公明党のお考えをお伺いしたいと思います。
  14. 冬柴鐵三

    冬柴議員 納税義務選挙権付与が直接結びつかないことはお説のとおり、私もそのように思います。  ただ、代表なくして課税なしという法諺があるように、また、議会制度の発祥の沿革、テニスコートの誓いでもわかりますように、納税議会制度というものは非常に結びついてきたことは事実であります。また、本案におきましてこのように申し上げましたのは、タックスペイヤーとしてその使途について意思を反映させることは民主主義社会において非常に好ましいことである、このような私ども考えに基づいているところでありまして、お聞きになられた納税義務選挙権とが直接結びつくかといえば、結びつくものではない、このようにお答え申し上げます。
  15. 中谷元

    中谷委員 もう一点、憲法参政権関係についてお伺いしますが、憲法十五条一項は、参政権について「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有権利である。」と規定をいたしております。この国民固有というのは、国民が当然持っているとされる権利、したがって他人に譲り渡すことのできない権利意味しているのでありまして、どう考えても外国人参政権を予定しているというふうには言えないのではないかというふうに思いますが、参政権国民固有権利とお考えなのでしょうか。また、国民固有権利であるとすると、これを外国人付与することは憲法上許されないという意見がありますけれども、どうお考えでしょうか。公明党民主党のお考えをお伺いします。
  16. 冬柴鐵三

    冬柴議員 十五条に、公務員を選定し及び罷免することは国民固有権利である。その国民固有というのは、まず、参政権というものの存在国家存在前提とし、そして、国家存在前提としますと、その構成員である国民が、当然その構成員でありますから、それがかかわるということになると思います。憲法前文にも、日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、まさにそのように書かれているわけであります。したがいまして、国政選挙につきましては、お説のとおり、日本国民のみが関与することができるわけでありまして、これに外国人を加えることはできない、そのように私は考えております。  しかしながら、この統治機構の中では、一環としてその中にありますけれども地方のことはそこに住む住民が自主的、主体的に決めるべきであるという考え方、そういうものが憲法にも規定されております。憲法九十二条には、地方団体というものの組織、運営につきましては、地方自治の本旨に従って法律でこれを定めるという規定があります。これは、国の機構の中にあって、地方に自主的、自律的にその団体的自治を認めていこうという思想がそこにあるというふうに思われます。  また、九十三条には、地方公共団体の長及び議会議員住民が直接選挙するとも規定されております。したがいまして、ここに言う住民というのは、憲法上は日本国民たる住民を指すというふうに思われますけれども、しかし、法律に基づきまして、一定要件を満たす外国人たる住民をこれに法律上加えることを否定する意味ではない、私はそのように考えております。それは、成熟した民主主義のもとにおきまして、住民自治憲法自身が認めているからであります。  したがいまして、国政レベルにおける参政権、これは日本国民だけであります。しかしながら、地方公共団体における団体自治としての議会議員を選定し、また首長を選挙する、そういうものにつきましては、そういう意味での参政権には、日本国民たる住民と、そして法律によって、立法政策によって求められる外国人たる住民をそこへ加えることは何ら憲法に反するものでない、私はそのような考えにあります。
  17. 中野寛成

    中野(寛)議員 お答えいたします。  国民固有権利という立場から考えますときに、すべての参政権を与えられるのは国民固有権利ということであろうと思いますが、その中の地方選挙権について、さき最高裁判決違憲ではないという判決を下されたということは、ある程度の限定された枠があるであろうというふうに解釈をいたしておりますし、その枠の中において今回の私ども法案も作成をいたしてまいりました。  それ以上の段階に至りますものは、これは国民的な議論を今後重ねながら、国民意識の高まりとともに国会判断をしていくものというふうに解釈をいたしております。
  18. 中谷元

    中谷委員 次に、先ほどの趣旨説明によりますと選挙権被選挙権を区分いたしておりますが、国民参政権は、国、地方を通じての選挙権被選挙権を指して、憲法が一体として国民に保障しているのであって、これを分割して付与するということはできないと考えますが、どのようにお考えでしょうか。  また、参政権の性格をこのように考えるならば、今回の法案のように選挙権のみを付与するということは暫定的なものかどうか。先ほどおっしゃいましたけれども、もし先ほどの御意見のとおりならば、近い将来、選挙権だけではなくて、被選挙権付与考えておられるのかどうか。この点について、公明党の御意見を伺いたいと思います。
  19. 冬柴鐵三

    冬柴議員 まず、参政権という言葉は、講学上はありますが、憲法上は規定されていないと私は思っております。選挙権選挙権被選挙権被選挙権でありまして、それをあわせて講学参政権と言っているわけでありまして、別物であると私は思っております。  したがいまして、選挙権だけを付与するということは理論上可能でありますし、また、立法政策上そういうことは十分可能であり、また、外国立法例にも、選挙権だけを付与被選挙権付与していない例もあります。そういう意味で、私は、今の問いには、全く別物であって区別することは可能である、可能であるというよりも、別のものであるということを申し上げたいと思います。  それから、選挙権だけの付与法案はとどめているけれども、将来、被選挙権付与するつもりかというお尋ねにつきましては、私は、現時点におきましては被選挙権付与することは考えておりません。  それは、今回の法律成立をし、そしてこれによって選挙権行使されるわけでありますが、そういうものが国政にどういう影響を与えたか、いい影響を与えたかどうか、そういうことを注意深く見守りながら、将来の国民がこれに対して議論するであろう、そういうふうには考えますけれども現時点におきましては選挙権付与だけにとどめるのが至当である、このように考えております。
  20. 中谷元

    中谷委員 続きまして、これまでの答弁の中で、地方ならいいのではないかというお答えがございましたが、国と地方関係において、現在、法定受託事務など、国とともに我が国統治機構を形成している部分がございます。単に公共サービスの提供だけではなくて、警察権行使権利義務を規制する事務を初めとする公権力の行使主体としての側面を持っております。  また、地方自治法十四条で、二年以下の懲役もしくは禁錮を含む条例制定権を与えておりますが、地方議会の機能を考えると、地方公共団体には権力作用を含んだ事務存在をするわけであります。私の地元の高知県におきましても、数年前に非核港湾条例というものを提案されましたが、これは我が国安全保障、また日米安全保障体制の根幹にかかわるものでありまして、地方だから、条例だからというのは通用しないと私は思っております。  地方も国の統治機構の一環を果たしているという点を考えますと、国政への影響も与えることにならざるを得ないかと思いますが、この点につきまして、地方公共団体は国から独立した機構だから地方はいいというようなお考えなんでしょうか。
  21. 冬柴鐵三

    冬柴議員 地方公共団体も国の統治機構の一環であります。それは当然のことであります。  先ほども申し上げましたように、憲法上、九十二条には、地方公共団体の組織及び運営は法律によって定められる、すなわち、主権者である国民代表者が定めた法律、その範囲においてその地方公共団体の組織及び運営というものが行われるわけであります。しかしながら、団体自治という観点から、地方のことは地方でということもまたその要請があるわけでございます。  したがいまして、国と地方公共団体関係を見ますと、これは、地方分権推進法が成立するまでの、例えば国家行政組織法十五条に見られるような機関委任事務のような上下関係というものが今までありました。しかしながら、新しい地方分権推進法によりまして、国と地方は対等、平等の関係とし、そして、今質問者がおっしゃいましたように、この関係法定受託事務という形で処理されるわけでありまして、上下の関係ではございません。  また、地方団体は、団体事務とともに住民自治というものがあります。先ほどの団体自治地方分権的要請から来たものでございます。そして、もう一つの住民自治というのは、民主主義の原理から、そこに住む住民がそこに行われる地方公共団体の公共事務についてその意思を反映させようという趣旨から行われているものであります。  したがいまして、これを取りまとめて申し上げれば、地方公共団体も国の統治機構の一環にあるということは当然のことであります。しかしながら、国との関係は対等、平等の関係である。そして、その中のことは住民自治の原則によって決められる。しかし、それは法律の範囲のことである。先ほど挙げられました、罰則を条例で決められるということも、法律によって授権された範囲内においての罰則を決められるという趣旨でありまして、その意味国民主権とのバランスがとられていると私は考えております。
  22. 中谷元

    中谷委員 今の現状におきまして、国と地方関係地方分権は進んでいるものの、機関委任事務等がございますので、明確に線引きをするということは非常に困難だと思います。  仮に、一般的にこの法律によって地方参政権を与えた場合、理屈的には、それでは国政にも関与できるのではないかという理屈も出てきます。すなわち、国政選挙選挙権参政権付与も可能ということになるのではないでしょうか。  この点につきまして、国政付与しようとしているのか、公明党民主党のお考えをお伺いします。
  23. 冬柴鐵三

    冬柴議員 私は、先ほどの答弁の中で明確に否定いたしましたように、憲法十五条及び憲法前文に基づきまして、日本国民は正当に選挙された国会における代表者によって行動し、このような条文に照らしましても、国政レベル選挙権外国人に与えるということは理論上もできませんし、また私どもは、現在はもとより、将来もそのようなことは全く考えておりません。  ただ、地方におきまして、先ほど質問者は機関委任事務もありますしとおっしゃいましたが、それは誤りでありまして、機関委任事務は今回の地方分権推進法によって全廃をされました。そして、それは自治事務法定受託事務の二つに分割をされているわけであって、法定受託事務というのは、今までの機関委任事務とは違って、上下関係ではなく、国と対等、平等の関係におきまして、地方のことは地方で、自主的、自律的にという観点でいくわけであります。  したがいまして、そこの中に、法律によって、そこに住む、コミュニティーをともに形成する永住外国人意思を反映させるということは、地方団体の中の組織としての議会議員を選挙するについて、その人たち意思を反映させるということは至当なものではないかというふうに私は考えているわけでございまして、国政レベルの選挙に、被選挙権はもとより、選挙権も与えるというようなことは理論上も考えておらないことを明確にしておきたいと思います。
  24. 中野寛成

    中野(寛)議員 私どももまず同じ考え方でございまして、国の主権についてはやはりその国民が決するということが憲法上も当然のことであろうというふうに考えております。  若干つけ加えさせていただければ、第二次世界大戦当時、日本の国策によって日本国民とされ、そしてまた、戦後、本人たち意思を確かめることもなくもとの国籍に戻したという、そうされた方々がたくさんいらっしゃるわけであります。そういう方々などに、改めて御本人の意思というものを尊重するという視点から、将来国籍取得権のようなものが考えられるということは、今後論議をすることができるのではないかというふうに思いますけれども、そういうことを除きますと、いずれにいたしましても、国の主権を維持するための国政レベルの選挙について外国人にという発想は私どもも持っておりません。
  25. 中谷元

    中谷委員 続きまして、この法案では、地方選挙権付与しようとするだけではなくて、条例制定権、リコールの直接請求権、また人権擁護委員、民生委員、児童委員などの権利、資格まで付与することとなっております。  この理由についてお伺いをいたしたいと思います。
  26. 冬柴鐵三

    冬柴議員 今挙示されたような資格、地位というものは、その要件として、それぞれ法律で、選挙権を有する者ということが第一の要件に挙げられているものばかりでございます。  今まで、永住外国人につきましてそのようなものを付与するかどうかということは、もちろん選挙権がなかったわけですから、論議はされませんでした。しかし、このたび本法によって地方選挙権付与するということが決まりますと、この一つの要件が満たされるわけでございます。したがいまして、そこに挙げられましたようなもろもろの権利について、これをどうするのかということが立法政策上問題になりました。  そこで、国政選挙権に絡むものにつきましては、それを与えるわけにはまいりません。例えば、検察審査会委員というのは衆議院議員の選挙人名簿の中から無作為に十一人が選出されるものでありますけれども、それは、衆議院議員という国会議員選挙権を有する者がその要件を有する、そのように考えられますので、そういうものを除いたわけであります。  しかしながら、地方選挙権に関するものにつきましては、その性質上与えることが至当と思われるものについては、その永住外国人の生活実態が我々日本人とほとんど異なることがない、その異なるのは一点、国籍がないというだけの話でございます、したがいまして、私どもは、できる限り、あとう限り日本人に近い扱いをすべきである、このような考えのもとにセレクトをしたわけであります。今挙げられたものについては、そういう観点から、この地方選挙権付与するに当たりそのようなものも当然に与えていい、このように考えて起草したものでございます。
  27. 中谷元

    中谷委員 それでは、最後になりますが、国籍とは何だろうかという質問でございます。  国として、国民に対して、外国人に対して、どこまで義務、責任を負い、またサービスをするかという問題でありますが、国籍とは、国際法上では自国民保護の対象となって、国内では国民としての権利義務を持っております。このため、国民固有権利である参政権を得るには国籍取得すればいいのではないかとの意見がありますが、この点についてはどうお考えなんでしょうか。両党の意見を伺います。
  28. 冬柴鐵三

    冬柴議員 国籍というのは、憲法十条におきまして、法律をもってこれを定める、その法律として、これを受けて定められたのが国籍法でありますから、国籍法の要件を満たす者が日本国民であります。  その根拠といたしましては、国家成立するためには、領土と国民と、そして政府が必要であります。その国民要件というのは、国家構成員であります。したがいまして、日本国民を指すことは当然のことであります。そこに外国人が入り込む余地はございません。  日本国には日本国民外国人がいられるわけであります。しかしながら、そんなに截然として分けられるのだろうか。外国人といっても、例えば、大正時代以降、日本国民として日本の国内に居住をされた方があります。先ほど中野議員が答弁されたように、重い歴史を持っております。そういう人たちで、終戦後、日本国との平和条約に基づきましてもとの国籍取得されたという人の一群があるわけでございますけれども、そういう人たちは、日本で生まれ、日本で育ち、日本で教育を受け、日本で働き、そして日本で骨を埋めていっているわけであります。そのような定住外国人、しかもそれは現在四世までいられまして、四世の数がもう二万人を超えているわけでございます。その人たちの帰属意識としては、日本の国というものに帰属していられます。母国へ帰れば、キョッポとして、いわゆる日系の韓国人として扱われていられるわけであります。  私は、このような過去の重い歴史考えたときに、外国人の中でも、永住権取得されるようなこういう一群の人と、そしてまた、日本に観光旅行とかあるいは勉学、就職、そのような一定目的を持って入国し、長くとも三年ないし五年で母国へ帰っていかれるいわば通過外国人扱いは別異にするのが合理的であろう、このように思っております。したがいまして、私は、そのような永住される外国人につきましては、可能な限り、あとう限り日本人と限りなく近い扱いをするのが成熟した日本の国の扱いではないか、このように考えている次第でございますので、御理解を賜りたいと思います。  そしてまた、国連憲章前文に書かれているように、二十世紀は二度までも人類に耐えることのできない悲哀を与えた戦争の世紀でありました。なぜそうなったのか。これは、それぞれの国々が、みずからの国権あるいは国策、国力、国益、こういうことを追求するの余り、そこの構成員たる国民一人一人の幸せをその手段にしてしまったのではないか、私はそのように考えられてならないわけでありまして、二十一世紀はまさに、そうではなく、そこに住む住民お一人お一人の幸せを追求するのが国家目的でなければならないのではないか、このように思うわけであります。  そのような観点から、国というもの、国籍というもの、あるいは国権、国力、国策、そういうものはもっと垣根を低くして、そしてそこに住む人々が幸せを享受する、豊かさとゆとりを実感できる、そういう国をつくっていくのが二十一世紀ではないか、こんな考えでおります。
  29. 中野寛成

    中野(寛)議員 お答えいたします。  私は、かつて、在日韓国人の皆さんの集会でこう申し上げたことがあります。皆さんは、常に、永久にエトランゼであるのかどうか。韓国系日本人という考え方と在日韓国人という考え方がある、その選択を皆さんができるように日本法律をつくったとしたら、どうするだろうか。まだ彼らからそれを求められているわけではありませんから、そのようなことを我々が積極的に今やろうというふうには考えておりませんで、むしろ皆さんに積極的に考えていただきたい、議論していただきたいという気持ちを投げかけたつもりでございました。  パスポートにもありますように、我々は日本人として、日本国籍を有する者が諸外国を旅行するときにも、その生命、財産、安全を保障してくれと行く先々の国々に日本政府が要請をするわけでありますが、国籍というものはまさにそのようなことに象徴されるものなのではないだろうか。しかし、日本に住んでいらっしゃる外国人の皆さんは、それぞれのみずからの国々のそういう保障を受けながら日本に滞在をし、そして日本政府にその安全が要請されている。その主体がどちらにあるかということによって国籍というものが定まっているものだろうというふうに思います。しかし同時に、そのすべての根底には、我々は、人間として、人類として平和と安全を希求する権利を持っているわけでありますから、国籍というものは、ある意味では伝統的な、歴史的な文化などによってそれぞれの人々が構築した一つの共同社会が一つの国をなし、そこの帰属意識を持つものが国籍ということではないかと思っております。
  30. 中谷元

    中谷委員 どうもありがとうございました。これにて終わらせていただきます。
  31. 桜井新

    桜井委員長 次に、田中慶秋君。
  32. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、民主党の立場から、永住外国人地方参政権付与法案について質問をさせていただきます。  政治や行政はその時々の情勢の変化に対応していかなければいけない、これが政治の基本でなければいけないと私は思っております。戦後五十年経過をし、そして今日なおかつ戦後処理の問題が云々されて取りざたされていることも現実であります。日本は経済大国として成長しました。この成長過程の中で日本人だけがこの基礎や貢献をされたということではないと思います。日本に長く住み、私たちとともに社会の発展のために努められてきたさまざまな国の人たちの力なくして日本の今日はあり得ない、私はこのように考えております。  また、これから将来にわたって、少子高齢化の現状を考えたときに、永住外国人の方々の経済的な、あるいはまたそれぞれの技術的な問題も含めて、協力が求められていくんだろうと思います。そういう点では、やはり社会全体の流れとして、福祉やあらゆることにその永住外国人人たちにもそれぞれのきめの細かい政策が求められていかなければいけないんだろうと思います。ともに助け合う時代が二十一世紀ではないか、私はこんなふうに考えているわけであります。  それぞれの社会に貢献した人たち地方参政権付与されないという話は、日本としての国際的な評価というものが落ちるんではないか。今まさしく情報化時代でありますから、世界の隅々までこの問題が報道されるわけであります。そんなときの日本の評価というものが、これから、連邦国家とかあるいはワンワールド・ワンピープルと言われるように、世界じゅうが一つの規模で物を考えなければいけないときに、第百四十三国会以来今日までこの審議が長引いておる、継続されているということ自体、私は、余りにも日本の国として考え方そのものが全体の今の流れに合っていないんじゃないか、こんなふうに思いますので、それぞれの提案者の皆さん方に、まずそのことについてお伺いをいたします。     〔委員長退席、林(幹)委員長代理着席〕
  33. 冬柴鐵三

    冬柴議員 私も田中委員と同じ考えでありまして、この二十世紀で起こった問題は、もうあとわずかでございますけれども、二十世紀に解決をして新しい世紀を迎えたい、そのように思っているところであります。  しかし、党にはそれぞれ党の考え方がありますし、その構成員意見をどのように集約するか、そういうことも重要であります。先ほど中谷委員が質問の冒頭述べられましたように、自由民主党の中におかれましては、昨年末来今日まで、本当に熱心に、この問題についての党内合意を得るために研さんを重ねていられることを私はよく知っておりますし、その都度その進行状態についてもお聞きをいたしておりまして、敬意を表するところでありますが、しかし、もう時間は限られているわけでございます。  その意味で、我々は、きょう委員会を開いていただきまして、この議論を通じて、賛成する方、反対する方の議論が広く国民周知されることにより、この審議が推進され、そして我々の主張が理解をしていただけるように心から願うものでございます。  金大中大統領が、おととしの十月、国会で、世界じゅうの国民日本のこのような政策を高く評価されるでありましょう、このように言われましたけれども、私は、利害関係ある韓国の大統領の言葉ではありますけれども、これは真理を含んだ発言である、このように思いますし、我が国国会も、また提案者である我が公明党もその結論を得るために全力で頑張ってまいりたい、このように思っている次第でございます。
  34. 中野寛成

    中野(寛)議員 この問題を考えますときに、一つは、日本民主主義の成熟度の問題であり国際社会との関係であると思いますし、同時にまたもう一つは、戦後処理といいますか、日本が抱えている歴史的な経緯からくる使命でもあろうというふうに思います。  またあわせて、今田中委員が言われましたように、在日外国人の皆さんが日本の今日までの発展の中で大きく寄与してこられたことも事実でありますし、そういう方々の所属する国々と日本との友好関係がまたこれに大きな寄与をしてきたことも紛れもない事実だというふうに思うわけでありまして、これらの問題は、我々は、あとう限り最大限に実現をする、最大限に憲法解釈も広げてする努力が必要なのではないか、このようにも思っている次第であります。
  35. 西野陽

    西野議員 保守党でございますが、外国人、とりわけ永住外国人地方参政権の問題につきましては、率直なところ、私どもの前の自由党の折も、当初この問題を議論するに当たって大変な温度差のあったことは事実であります。しかし、この問題を党内で検討するについて、例えば憲法とのかかわりはどうだろうかとか、あるいは在日韓国人代表の皆様方の御意見、あるいは学者の学問上どうだとか、各般にわたる方々から御意見も聴取したり、党内での論議に精力的に実は取り組んできたところであります。  殊さら、今は保守党でございますが、提案をいたしましたときは自由党でございまして、自由党の小沢一郎党首が金大中大統領と会見をしたときの結果を私どもも聞かせていただきました。そういう中で、党内が一挙にこの問題について意見を集約する方向に実は努力をさせていただきました。  とりわけ、私は大阪でございまして、私の住まいをいたしております東大阪でございますが、その周辺、大阪市がございますが、実に多くの在日外国人の方がおいでになります。実は、その方々と日常の地域で触れ合う中で、まず言語、言葉というものに、日本人だ、外国人だというアクセントの違いがほとんどありません。  もちろん同じ東洋民族としてのいわば血の一つの流れも感じるようなことでもございますし、しかも、例を挙げますならば、町内会というのがございますが、町内会の一つの活動を見ても、外国人の方と日本人の方が一堂に会してその地域のことについていろいろ取り組みをし、かつまたボランティア活動を通じて地域の発展のためにやっておられる。全くもって、とりわけ永住外国人の皆さんが、いわば言葉で永住外国人でありましても、生活態様等々からしまして日本人と何ら変わるところがない。  ましてや、そういう中にあってこの問題が提起をされてまいりまして、この機会に、国会ということになりますと御案内のとおり憲法に係ります明確な問題がございますので、地方参政権ということについては最高裁でもあのような判決が出てきたところでありまして、立法するかどうかについては一にかかって立法機関の裁量にあるという判決でもあります。こういうものを受けとめながら、私どもは、公明党民主党の皆さんと一緒に、この永住外国人地方参政権について結論を得て、率先をして提案をするに至ったということをこの機会に申し上げさせていただいて、一日も早く、これについての審議を尽くし、採決されんことを希望しておるところでございます。
  36. 松本善明

    松本(善)議員 田中委員にお答えいたします。  日本では六十二万人を超える永住外国人がいる。これは歴史的な経緯があり、日本の侵略や植民地支配との関連で生まれた人も多数ございますので、日本として責任を持ってやはり早く解決をするというのは非常に重要なことであろうと思います。  住民生活に密接な関係を有する地方自治体の運営は、本来、そこに在住するすべての住民意思に基づいて行う、これが民主主義社会の当然の原則であり、憲法が保障する地方自治の根本精神だと思います。  そういう意味で、永住外国人地方自治の担い手として迎えるということは、日本民主主義の発展のためにも非常に重要であろうかと思います。また世界的にも、ヨーロッパ諸国を初めとして外国人への地方参政権付与が広がっておりますし、我が国におきましても、これを求める地方議会意見書の決議が全国三千三百自治体の三分の一以上に上りますし、一昨年の金大中韓国大統領の訪日時の発言などを考えましても、これは早急に実現をしなければならない性質のものである、こう考えております。
  37. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、自民党さんがいないのが大変残念なんですけれども、やはり外交というのはお互いに信頼関係だ、こんなふうに思うんです。金大中韓国大統領が訪日の際に、日韓首脳会談において当時の小渕総理は、在日韓国人に対する地方参政権付与の問題について、韓国側の関心はよく承知している、本件については、国民主権地方自治のあり方、国と地方公共団体関係など、基本的事項に関連する問題でもあるが、全国の地方公共団体議会においても数多く促進している、こういうことであります。  都道府県の中で、もう既に三十四の都道府県が促進方を決議されているわけでありますから、今の地方分権の精神からしても、私は、当然のごとく、この問題について積極的にこの国会としても一日も早い結論を出してやるべきじゃないか、こんなふうに考えております。  そこで、きょう、大変御苦労いただいておりますが、自治大臣に来ていただいておりますので、自治大臣の見解も、今のような形を含めて、小渕総理が述べられているこの考え方、そして地方分権法に基づく問題、そして具体的に地方自治体がもう既にこの促進方の決議をされている、この状態を踏まえて、あなたはその当該の大臣としてどのようにこのことについて考えられるのか、お伺いしたいと思います。
  38. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 小渕総理が、一昨年十月八日、日韓首脳会談の席上で述べられておりますことは、私どもよく承知をいたしております。本件は、国民主権地方自治体のあり方、国と地方公共団体との関係等、基本的な事項とも関連する問題であるが、全国の地方公共団体議会においても数多く促進の議決も行われており、さまざまな角度から幅広く検討されなければならない問題であるという旨を申し上げているわけでありますが、そのことについては、私どもも現在考え方に変わりはございません。  在日韓国人の皆様方に対する地方参政権付与について配慮するように要請を受けて、韓国側の関心の高さというのを非常によく承知をいたしているところでございます。それから、地方議会からも大変多くの意見書等が提出されているということもよく承知をいたしております。そういう中で、この問題については、地方政治の問題ではありますが、政治にかかわる問題として、やはり立法府において各党各会派の中でお話し合いをいただいて一定結論を得るというのが方向性ではないだろうか。  したがいまして、自治省から現在の段階で、こうするべき、ああするべきと申し上げることについては、私どもは差し控えさせていただきたいと思いますが、日韓の関係等も考えて、できるだけ早く立法府において一定結論が出ますように御期待を申し上げているところであります。
  39. 田中慶秋

    田中(慶)委員 政府は、これらの問題で余りにも使い分けをしていると思います。小渕さんもはっきり言って、亡くなられた方でありますけれども、総理大臣としての日韓首脳会談で述べられております。あるいは、在日大韓民国、すなわち民団の陳情については、当時の野中官房長官は、政府の一員でしょう、それぞれの問題について重く受けとめて、いつまでも置いておく問題ではない、与党内でしっかり議論をして一日も早い結論を出すように党に働きかけていきます、こんな話がされております。それからまた、日韓首脳会談、十一年の十一月にマニラでやった際においても、総理はぜひ指導力を発揮して来年度中には妥協を得られるようにということを要請されて、そして総理の見解というものは、自民党内にいろいろな意見がありますけれども党内調整を誠意を持ってやられる、こんな答弁をされている。  しかし、去年の五月ですから、もう一年以上たっているわけですよ。当時の野田大臣は、自治大臣として誠意を持って検討させてもらいたいと述べられております。あなたも、自治大臣なんですから、同じように政府の一員としてこれらの問題を取り扱っていくことが、これからの外交や日本のスタンスということを含めて考えたときに、そのことは明確にするべきであろうと思います。  この問題がこれだけ延び、そして今その結論が出ないというのは、自民党のしっかりとしたポリシーや考え方がない、だからこういう形で延びてきているんでしょう。野党が全部、極端なことを言えば地方議会も含めて、このことについてみんな積極的にやろう、こういうときに、政権政党の一番かなめの自民党がうやむやにしていたのでは、日本の将来の外交などというのは大変大きく影響されてまいりますから、一日も早い結論を出すべきだろう、こんなふうに思っております。  重ねて大臣の答弁をしてください。
  40. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 当時の小渕総理また野中氏、あるいは野田前自治大臣の言葉、いろいろな言葉については私も承知をいたしておるところであります。現在の時点で三つの法案が既に議会提出され、こうしていろいろ御論議をいただいているその中で、自治省としての考えを申し上げるということについては、私はやはり差し控えるべきだ、やはり立法府に主導権をとっていただかなければならない、このように考えております。
  41. 田中慶秋

    田中(慶)委員 政府として見解が述べにくいということであるならば、あなたも政治家ですから、自治大臣という立場ではなくして、あなたの政治家としての考え方をお伺いしたいと思います。
  42. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 大変恐縮でございますが、私は自治大臣としてここに呼ばれておりますものですから、自治省としての立場でしかお答えができない。自分の考えを今ここで申し上げるということについては、適当ではないと考えます。
  43. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、分権法が通り、そして新しい世紀をこれから迎えようとしているとき、私は、この百四十三国会から始まった問題は、やはり今国会でピリオドを、けりをつけるべきだ、こんなふうに思っております。そういう点で、この問題について政府、総理を初め官房長官、自治大臣を含めて、今日まで述べられてきたこと、見解をしたこと、日本の文化で、検討するなどというようなことはあるかもわからないけれども、そういうのはこれから通用する時代じゃありません。  大変恐縮ですけれども、それぞれの提案者の皆さん、今の政府のとっている態度、これについて、皆さん方の、個人的というよりも、それぞれの党の立場で明確にお答えをいただきたいと思います。
  44. 冬柴鐵三

    冬柴議員 公明党としては、この問題につきましては、一貫して、法案の提案のために起草し、そして党内論議を重ね、一致してこれを提案してきたものでございまして、一日も早い成立をこいねがうものでございます。  るるは申しませんけれども、私どもも政権政党の中にあります。三党で連立をいたしました際にも、昨年の十月四日の三党連立政策合意の中にも、この問題につきましては三党で成案を得て成立をさせるということが明確に書かれ、各代表が署名しているわけでございます。したがいまして、何としても一刻も早く成立をさせるために、全力で頑張ってまいりたい、このように思っております。
  45. 中野寛成

    中野(寛)議員 思い起こせば、この問題に私自身が取り組み始めて二十年余りになるかと思いますが、また、その間に、新進党時代ですとここにおります冬柴さんや西野さんと一緒にこの法案づくりにいそしんできた経緯もあります。  また、日韓議員連盟等において、これはまさに超党派でこの問題に前向きに、真剣に取り組んでいこうということを幾たびとなく申し合わせもいたしているところでありまして、これ以上この結論を出すことが延びますことは、外交的にも、日本は余りにも時間がかかり過ぎる、口約束ばかりで信用できないのではないかという不信感を買う。もう既に買っていると言っても過言ではないかもしれません。  そういう意味では、残り期間、短うはありますけれども、今国会で何としても成立をさせるということが望まれる。それでさえ遅きに失する、本当は去年の統一地方選挙に間に合わせるべきだったという考えも持っておりましたが、それはなりませんでしたが、いっときも早い成立のために頑張っていきたいというふうに思う次第でございます。
  46. 西野陽

    西野議員 保守党としてお答えをいたしたいと思います。  ちょうど一年ぐらい前でございましたか、今中野先生からも答弁があったところでございますが、たまたま東京でこの問題についてのいわば意見を開陳する機会がございました。そのときに中野先生がおっしゃったことを私は覚えておるのであります。これだけの皆さんがおそろいでございますから、一日も早く国会での審議を尽くされることが、また審議に入ることが当然ではないでしょうかというようなことで、逆に私の名前も指していただきまして、何か鼓舞されたようなことをきのうのように思っております。  自来、こうして今国会、途中ではありますけれども、本法案が実質審議に入ることができたわけであります。どうぞ、委員の皆さん方ともどもに本法案の審議を鋭意進められまして、万機公論に決することを私ども心から期待をしております。
  47. 松本善明

    松本(善)議員 田中委員にお答え申し上げます。  我が党は、一九九八年十二月八日に、永住外国人選挙権被選挙権をともに付与する現在の法案提出いたしました。しかし、他党との違いについても協議を尽くして、一致点で速やかにこの地方参政権付与の実現を図るべきだ、こういう立場で提案をしたものでありますし、現在もその立場でございます。  おっしゃるとおり、自民党が一年半以上にわたって検討中ということを言っているということは、極めて重大なことであろうと思います。本来、このような法案というのは最優先で審議をしなければならない。特に、九八年十月の金大中大統領がおいでになったときの日韓首脳会談で、地方参政権についての検討を約束しておるわけですね。それから一年半にわたってこのような状態ということは、政権党としての資格が問われる、そういうような性質のものではないかというふうに私は思います。  何としても、やはり二十一世紀までにはつくらなければ、今国会でやはりこの法案が一致点を求めて必ず実現をするようにすべきだ、こういうふうに考えております。
  48. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、各党の皆さん方がこれだけ、今会期中、早急にお互いの信頼関係を大切にしながら成立をさせよう、こういうことであります。自民党だけがその結論が出ないということ自体、一年半も結論が出ないというのは一年半もやっていないということと同じでありますから、私は、いずれにしてもこのことは、次に先行き延ばすようなことをしないためにも、今国会中に結論を出し、あるいは今国会でこの委員会で採決をすべきであろう、このように考えておりますが、冬柴さん、中野さんの考え方をお伺いしたいと思います。
  49. 冬柴鐵三

    冬柴議員 審議に熟すれば採決をすべきであります。
  50. 中野寛成

    中野(寛)議員 既に採決の時期を迎えているものと考えております。
  51. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私は、日本という国が、確かに長い歴史はあるでしょうけれども、しかし、もう二十一世紀というこの時期を迎えるにあって、検討しますとかあいまいなことの結論というのは、これは昔は文化かもわかりませんけれども、これから世界じゅうを相手にするときにはそのことは許されないんだと思います。ですから、一日も早い結論というものは、これだけ、一年半もかけているわけですから、その時期は来ている、こんなふうに思っておりますので、重ねて委員長にこの委員会における採決を求めて、私の質疑を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  52. 林幹雄

    ○林(幹)委員長代理 遠藤和良君。
  53. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 私は、提案者の冬柴さんを中心にいたしまして質問をいたしたいと思います。今、冬柴鐵三さんは公明党の幹事長でございまして、政権与党の大変大切な役職についていらっしゃるわけですけれども、一人の政治家冬柴さんとして私はお聞きしたいと思っています。  私は、冬柴さんが初当選以来、大変熱心にこの問題に取り組まれてきたことをよく承知しております。そして、みずから起草されまして、本当に大変な状況の中でございましたけれども、今日こうして審議をする対象になっているということでございまして、恐らく感慨無量の気持ちを持っていらっしゃるのではないかと思います。  それで、この法案に盛られました思想、哲学と申しますか、提案者の冬柴さん個人が持っていらっしゃいます国家観、国家国民関係、あるいは国家とそこに住んでいる外国人を含めました住民との関係というものについていかなる見識を持っていらっしゃるか、あるいは日本国憲法についてどのような憲法観を持っていらっしゃるか。こういうものがやはりこの法案に盛られた精神というものを理解する上で大変重要な視点ではなかろうかと思いますものですから、ぜひ、その辺を含めまして、この法案提出した心情というものをこの委員会で吐露していただければ大変ありがたい、このように思うわけでございます。
  54. 冬柴鐵三

    冬柴議員 大変大きい問題についてのお尋ねでございますが、私としましては、先ほども触れましたように、今二十世紀が終わらんとしております。あと半年もすれば新しい世紀、二十一世紀が始まります。二十世紀を省みて二十一世紀の発展的展望を考えなければならない、このように考えております。  二十世紀は国家の世紀であったように思われてなりません。国家は、国策、国益を追って他国を植民地とした世紀でもありました。植民地とされた世紀でもありました。私どもはそういうことを省みて、二十一世紀の国家はそうではなく、そこに住むお一人お一人が豊かさとゆとりを実感できるそういう社会をつくっていかなければならない、そのために国家はあるのだ、そう考えてもいいように私は思っております。  二十世紀は、国家の手段として、そこに住む構成員が戦争に駆り出されたときもありました。また、戦後これほど民主国家になりましたけれども国家の、一国の繁栄のために、そこに住む住民外国からウサギ小屋と酷評されるような家に住み、そしてまた、毎日毎日の通勤が旅行をするような、一時間半、二時間をかけて通勤されるような、そこに住む一人一人の幸せ、そういうものがどうも焦点に当てられなかったのではないか。二十一世紀は、そうではなしに、構成員たる国民のお一人お一人が、先ほど申しましたように、貧富にかかわらず、その日その日がゆとりと豊かさが実感できる、そういう成熟した社会をつくっていかなければならない。  そのためには、二十世紀の日本国家は、一つの国家目的、ある場合は富国強兵であり、ある場合は一国繁栄でありました。しかし、そういう国家目的というよりは、そうではなしに、本当にそこに住む人々の幸せというものを第一義とする、すなわち、人の生命、生活、生存を最高に尊重する人間主義、そのようなヒューマニズムの政治が行われなければならないのではないか、私はそのような予感がいたします。  憲法観といたしましては、昭和二十年八月十五日を境として新しい国家に生まれ変わりました。日本国憲法はまさにその象徴であります。この憲法が基本原理とする、恒久平和主義、基本的人権の尊重、そして国民主権主義というものは人類普遍の原理である、私はそのように思っておりますし、そのような憲法観に立ったときに、そこに住む人々の人権というものが最高に尊重される国家づくりを二十一世紀はしていかなければならない、私はこのようにも思っております。  先ほど来の答弁でも申し上げましたけれども地方のことはそこに住む住民が自主的、主体的に決めていくべきだという地方分権の思想。実は、平成六年でございますが、地方分権推進に関する法律案を私は提案代表人として提案いたしました。その中で、従来国と地方というものが、主と従、上下という関係がありましたけれども、これを対等、平等の関係にする、そして、東京一極に過度に集中したものを地方にお任せする、そういうふうに地方分権型行政システムに改める、こういうことを提案いたしました。  それは、そこに住む人ということは、単なる日本人たる住民だけではなしに、コミュニティーを構成する外国人々もその地域づくりに参画をして、そして、その地域地域が最高に伝統、文化を尊重して発展していく、そういうものが日本憲法の、少なくとも地方自治の章の精神であろうというふうに思っております。  私は、憲法三原理とともにこの地方自治の精神も尊重していかなければならない、このような憲法に対する感覚を持っている次第であります。十分ではないけれども、そのような考えを披瀝したいと思います。
  55. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 短い時間でございますから、国家観あるいは宗教観あるいは憲法観を含めまして、人間のあり方、国民国家関係というものを若干お触れになったわけでございますけれども、今のお話を要約すると、国家のための国民ではなくて、国民のための国家あるいは住民のための国家というものを大変大切にしたいという方向性のようにも理解をできるわけです。そのような発想のもとにこの法案が起草されたのではないか、私はこう承知するんです。  この法律議論の中でいろいろな議論があったわけですが、直近の話では、やはり平成七年二月二十八日の最高裁判決の中身が法案を起草する一つの大きなきっかけになったのではないか、このように思うわけですね。すなわち、法律をもって、地方公共団体の長やその議会議員等に対する選挙権付与する措置を講ずることは憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である、しかしながら、このような措置を講ずるか否かは専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、そのような措置を講じないからといって違憲の問題が生ずるものではないと判決しているわけですが、ここで、積極的にこれを講じよう、こういうふうに提案をされているわけですけれども、それはただいまのような趣旨に基づく提案である、このように理解してよろしゅうございますか。
  56. 冬柴鐵三

    冬柴議員 今遠藤委員が要約をしていただきましたように、私の国家観、憲法観はまさにそのようなものでございますし、また、そのようなものに基づいて今回の提案をしているわけでございます。  国籍法上は日本人と外国人しかないわけでございます。しかし、その外国人の中にも、我々自身が重い歴史を担っていると感じなければならない人たちがいられます。例えば、大阪市に生野区という区があります。そこには約十五万人の住民がいらっしゃいますが、そのうち三万七千名以上、すなわち四分の一以上が在日韓国・朝鮮人の方々であります。  なぜそこにお住みになったのかということが考えられますが、大正時代に、この生野区にあります平野川という川、比較的大きい川ですが、これがはんらんにはんらんを重ねたわけでございます。当時は土木用重機もありません。したがって、人力によってこれの治水工事を行わなければならなかったわけであります。そのときに多くのいわゆる朝鮮半島からの移住者がここに集められまして、そして人力による治水工事が行われて、今日の大阪市があるわけでございます。そのときの飯場として提供された場所がまさに生野区であったという歴史的な事実がございます。  それが今日、日本社会の一角にあって人口の四分の一を占める人がそこに住んでいらっしゃる、そういう事情があるわけでありまして、私どもはこういう事実を重く受けとめなければならない、私はそのように思うわけでございます。  この人たちは、そのときは日本人であります。日韓併合条約で日本人になった、そして徴兵にも応じられたわけでございます。そしてその後は、戦後、講和条約によって韓国籍あるいは朝鮮人民共和国籍に戻られましたけれども、私は、ドイツがオーストリーを分割したときにとられたような国籍選択の法律措置日本国家がとらなかったということも想起せざるを得ないわけでございます。その人たち意思を尋ねることもなく、韓国人から日本人に、日本人からまた韓国人にということになっているわけでございます。  しかし、彼らは今もなお、四世でございます、四代でございます、日本で生まれて日本で育ち、日本で学び、日本で生計を立て、そして日本で骨を埋めていられるわけでございまして、我々と生活実態においては全く変わらないわけでございます。そういう人たちをこの憲法上どう扱っているのかということを考えたときに、私は国会議員として、立法政策にゆだねられたこの問題をどうしても解決しなきゃならない、こんな思いに駆られているわけでございます。  最高裁判決は、まさに竿頭一歩を進めまして、傍論ではありますけれども地域住民自治というところに外国人たる住民を入れることは憲法の禁ずるところでないと解するのを相当とするというすばらしい判断を五人の裁判官が一致して表明をされました。私は、これを重く受けとめ、これを理論根拠として今回の法案を起草、提案しているわけでございまして、これは憲法の精神にも、また成熟した日本民主主義を世界に喧伝する意味においても必要な措置であるとかたく信ずるものでございます。
  57. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 提案者の気持ちは大変よくわかりました。  ところで、現在この法案に対して、参政権が欲しければ帰化すればいいんだとか、あるいは、永住外国人に対する地方参政権は亡国の第一歩である、こういう論調が一部にございますけれども、これについてどのような所感を持っておりますか。
  58. 冬柴鐵三

    冬柴議員 帰化をするかどうか、すなわち自分の国籍を離脱するかどうかということは、まさにその人自身が決めるべきことであって、他から介入、容喙を許すものではないというふうに思っております。  日本国憲法の第三章は国民権利及び義務規定するものでございますが、その二十二条二項には「何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。」と明定しているわけであります。この規定は、その性質上、日本人だけではなしにあらゆる人に、外国人たる永住者にも当然に認められる憲法上の権利だと私は思っております。  したがいまして、国籍を離脱して日本国籍取得する、すなわち帰化をするかどうかは全くもって本人の意思に基づくものでなければなりませんし、また、そうしないからといって国法上不利益を課するということは許されない、それが成熟した民主主義社会の大原則であろう、私はこのように思っているわけでございまして、参政権が欲しければ帰化をしたらいい、そういう言葉は非常に荒っぽい言葉だな、私の考え民主主義社会とは相入れない考えだな、私はこのように思っております。
  59. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 もう一つ質問したんですが、亡国の第一歩である、こういうふうな言論についてどうお考えですか。
  60. 冬柴鐵三

    冬柴議員 どうも失礼いたしました。  亡国というのは国が滅ぶということでございまして、まさにそのようなお考えが国が滅びる第一歩ではないか。国と国との間におきましても、誠と誠、心と心が金の橋となるのでありまして、そうでなければならない。私は、亡国の始まりというような荒っぽい言葉は受け入れるわけにはまいりません。
  61. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 申請主義をとっていながら、結果的に朝鮮籍の方を除外しているわけです。法のもとの平等という立場、あるいは今の提案者の国家観あるいは憲法観から導き出しますと、こうした朝鮮籍の方を最初から排除するというのはいかがなものであるのか、当然こういう議論が起こると思いますけれども、今回の法案で排除した理由をもう少し丁寧に説明を願いたいと思います。
  62. 冬柴鐵三

    冬柴議員 私ども公明党民主党で提案したときにはその種の条項は入っておりませんでした。それは、この地方選挙権付与するにしましても、それを熱望される一群の方々と、それを強く反対される一群の方々がございました。在日の方々の団体の中に、強く求める方と強く反対される方がありました。もとより、立法作用というものは主権の最も発揮される部分でありまして、立法作用について、外国からそれに制肘を受けるとか容喙されるとかいうことは許されないことだと思いますけれども、しかしながら、そこの国の方々が永年この日本に住み、そして四世まで生まれている、そういう一群の方々の反対の意見でありますから、我々はこれを尊重しなければなりません。  そういう意味で、これは申請主義というものをとりまして、真に日本地方政治に参画をして、そして地方の町づくりに協力をしたい、自分の意思を反映させたい、そういう意思を持つ方に対してのみこれを申請に基づき付与すればいいのではないか、これに反対する方々は申請しなければいいのではないか、こういう考えのもとに当初は起草したわけでございまして、そして単独法になり、そしてその中で多くの部分外国人選挙人名簿に割かれているということを考えれば、そこにいかに我々が苦慮したかがわかると思うわけでございます。  しかし、そのように細心の注意を払って提出した法案でありますけれども、この法案を出した途端に、それ以上に、従来に増して強い反対をその一群の方々はされますし、そしていろいろなパンフレット等も用意して、こういうものの反対を重ねられました。また、外交関係はありませんけれども本国も、これは民族の分断を図るものだという意思までも表明をされました。  そういうものから考えまして、このままの法律で通して、そしてその反対される国の方々が申請をして与えられたときに、この方々は本国から差別的取り扱いを受けることは必定であろうということを考えまして、それであれば、私は、当分の間、その問題が解決するまで、その国に属する人に対しては申請をされても付与しないという措置を講じた方が妥当ではないのかという考えのもとに、今回、附則三条というものを挿入したわけであります。  私どもは、注意深く、そこには特定の国の名前を指すことは控えておりまして、外国人登録原票国籍欄に国名が記載された者に限るという形で仕分けをしたわけでございまして、今後、そういう国と外交関係が樹立される、あるいは、今強く反対をしていられるが、この日本における在日の団体の方がこれに対して理解を示していただくということが明らかになれば、この条文は要らなくなるものであろうというふうに思っております。
  63. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 最後に一問ですけれども国政に対する参政権憲法上明確に排除されている、こういうふうな答弁があった、それを確認します。  それからもう一点、被選挙権ですけれども、これは、中央政府と地方政府の関係、これが完全な地方分権、地方主権ですか、そういう形になった場合には考える状況が生まれてくる、こういうふうに考えるべきなんでしょうか。ただ、今も法定受託事務がございますものですから、国の統治行為の一環を地方に任せております。したがいまして、国の統治行為の一環を首長あるいは団体がやるわけですから、それぞれ被選挙権外国人にあるということになると、これは国の統治行為の一環をゆだねるという形になる心配がある、こういうことがあるわけです。  国政参政権並びに地方被選挙権、これについての明確な御判断考え方をもう一回言ってください。
  64. 冬柴鐵三

    冬柴議員 国政レベルにおきましては、選挙権被選挙権ともに、憲法上も理論上も付与することはできない、理論上できない、私はそのように考えております。これは、現在、将来にわたってでございます。  地方につきましては、先ほど言いましたように、地方団体自治、これは地方分権の要請に基づく団体自治、そしてもう一つは民主主義の要請に基づく住民自治、この両面から考えられるわけでありますが、現時点における日本国民の総意を考えたときに、選挙権にとどめるべきであるというふうに考えております。  理論的なことを遠藤委員は指摘されましたけれども、私は、もし外国人が、全国でも六十二万人しかいられない外国人が、例えば立候補して当選されるということは、その大部分の票は日本国民がその人に入れなければ当選しないわけでございまして、これはすばらしい外国人であろうと思いますね。私は、そういうものがここの日本の国に出てくればこれはすばらしいでありましょうけれども現時点ではそれは夢でございまして、日本国民はそこまではまだ至っていないと思いますし、これは将来の国民がどう考えるかという問題に留保をしたい。現在の時点、私が提案している時点におきましては、被選挙権を与えるということは考えておらない次第でございます。
  65. 遠藤和良

    ○遠藤(和)委員 どうもありがとうございました。以上で終わります。
  66. 林幹雄

    ○林(幹)委員長代理 東中光雄君。
  67. 東中光雄

    東中委員 永住外国人地方参政権問題について、私たちは、住民生活に密接な地方自治体の運営は、その自治体に住むすべての住民意思に基づき、住民自身の参加によって進められるべきものだと思っております。我が国地方政治、住民自治の担い手として永住外国人を迎えることは、憲法地方自治の精神に合致するものだ、そういう立場で速やかな実現を期したいと、我が党案も提出しております。  今三つの法案が出ておるわけですが、私、提案者の冬柴さんにお聞きしたいのです。  九八年の十月六日に、民主党公明党のいわゆる永住外国人地方参政権法案が出されました。現に今審議の対象になっております。ことしの一月二十一日になって、今度は三党の案が出されたわけですね。だから、冬柴さんが両案のいずれも提案者の筆頭になっているのですが、前の案はある、しかし改めて出された。どこが違っておって、なぜ出されたのかということをまずお伺いしたいのです。
  68. 冬柴鐵三

    冬柴議員 大きくは、前の公明、民主案から、中央省庁の改革案あるいは地方分権推進に関する法律を実行する四百六十五本に上る法律がその間に成立をしたということがあります。したがいまして、省庁の名前が総務省になりますとか、総務大臣になります、そういう整理がありました。それから、住民登録法で、今まで懈怠した場合に五千円以下の過料であったものが五万円以下の過料に改められたというような問題もあります。  したがいまして、それに即応した改正をしたというのが第一点でございまして、我々三党の間で合意したのも、そのような前の法律を提案してから次の法律を提案するまでの間に行われた多くの行政改革の関連法に即応するものをどうするのかということを集約して、三党で改めて成案を得て提出をし、成立をさせる、こう合意したわけでございます。  それ以外に、もう一つは、前の法案を出しましたときに、先ほどもちょっと答弁はしましたけれども、大変反対をしていらっしゃる在日のグループの方々をおもんぱかりまして、そして申請主義というものをとったわけでございます。真に地方自治に参加をして町づくりにも協力し、また地方自治にも自分の意思を反映させたいという熱意を持つ方々に対してのみ与えたらいい、こういうことで考えてきたわけですが、その法案を出した後も、従来にも増して強い反対の運動が起こったわけでございます。  したがいまして、これだけではだめであれば、そういう反対している国々の人については、当分の間、御了解をいただくまでこれは付与をしないものとすると、附則三条というものをそこにつけ加えた、変更を加えたわけでございまして、大きく言えばその二点が違う点でございます。
  69. 東中光雄

    東中委員 前の方に言われたものは、前の法案を変えればいいのです。だから、前の法案は提案したままで置いておいて、民主党との案件は古くなったものをそのまま置いておく、しかしさっさと別のことをやる、これはちょっと理屈が合いませんな。  それは別にしまして、要するに、いわゆる国籍条項を入れたということですわね。それで私はお伺いしたいのですが、附則三条で、当分の間、この法律における永住外国人は、外国人登録原票国籍の記載が国名によりされている者に限るものとすると。今趣旨説明で言われたのとはちょっと違うのですね。趣旨説明では、「我が国国交のない国の国籍を持つ永住外国人に対しては、当分の間本法により地方選挙権付与しないものとしたことであります」と言っていて、ちょっと違うのですけれども、条文の方でいくべきだと思います。  それで、今回の趣旨説明で、前回も言われておるのですが、「平成十一年末現在において、一般永住者十一万三千三十八名、特別永住者五十二万二千六百七十七名の計六十三万五千七百十五名に達しますが、この法案はこれら永住外国人に対し、地方選挙権付与することを目的として制定しようとするものであります」と言われました。ところが、国籍条項が入っていますので、国籍条項が入ることによって、特別永住者五十二万二千六百七十七名のうち、国籍条項で除外される人はどれぐらいになるのですか。
  70. 冬柴鐵三

    冬柴議員 確定数字は今把握はいたしておりません。  前段はこの本則によって与えようとしている人の総数でありまして、附則は当分の間というふうに除外をいたしておりますが、この当分の間が過ぎれば、そういう人たちについても与えることになるわけでございまして、条件が整えば本則に従うわけでございます。そういう意味で六十三万五千七百十五名というものを冒頭掲げているわけでございます。  そのうち除外される者が何名になるのかは、今確定数字を持ち合わせておりませんので、お許しをいただきたいと思います。
  71. 東中光雄

    東中委員 要するに朝鮮籍、韓国という国名の者でない、だから台湾出身者とか、朝鮮というふうに原簿に書かれている人、その人たちが、何百何十何人まで聞いておるわけじゃないのです、大体どれぐらいいるのかということの見当もつかないでこれは出されているのですか。そうじゃないと思いますが、どうですか。
  72. 冬柴鐵三

    冬柴議員 今台湾籍を言われましたが、これは中国と書かれておりますので、国籍名で記載されているということで、除外をされているわけではございません。  そこに書かれている、外国人登録原票国籍欄に国名をもって記載されている者に限るということで、国名によって記載されていない人たちという一群の方々がいらっしゃるわけでございますが、その中には朝鮮とのみ書かれている一群の人があると思います。その人たちは、推定で十数万人の方々だと思います。
  73. 東中光雄

    東中委員 もともと外国人登録法が最初にできた四七年は、在日韓国・朝鮮人の国籍欄はすべて朝鮮と書くように、方針としてそういうふうに扱われました。四八年に大韓民国が樹立されて、それで法務当局が、国籍欄に朝鮮と書いていた分を韓国籍に変える者は申告してくれば変えるという扱いになって韓国籍というのができた。  問題は、六五年に日韓条約ができて、入管特別法で協定永住権を与えるのは韓国籍を持っている者だけだ、だから韓国籍でなければ永住権は与えないという差別をここで引いたわけですね。それが問題になって、そして九一年には入管特例法で、そのいかんにかかわらず、韓国であろうが朝鮮であろうが、あるいは台湾出身者であろうが、その当時は今の中国と違いますから、いろいろ時期によって違うわけですから、そういう問題でそういうものは全部差別しない、一括するということになったのは御承知ですよね。
  74. 冬柴鐵三

    冬柴議員 はい、存じております。
  75. 東中光雄

    東中委員 そこで、当時、法務省は、出身地の違いによる差別は一切行わない、あるいは、「さまざまな在留の資格をもって現在日本に居住しておられる方々につきまして、同じ歴史的な経緯があるということにかんがみまして、それらのさまざまな日本における在留の資格というものを新しい特別永住という形で一本化したという意味において、この法律は、それぞれの今までの違った法的な資格を一つの同様の資格を付与する、そしてその同様の資格に対して同様の処遇をするという法的な規定になっております」と、これは九一年四月十二日の入管局長の答弁です。  だから、もうそれ以後は、朝鮮だろうが韓国だろうが、一切法的資格で差別しないんだということになっているのです。これは当然、日本国憲法十四条を出すまでもなしに、国際人権規約を言うまでもなしに、そういうことで差別すべきものじゃないというふうに思うのです。  ところが、この国籍条項でいきますと、韓国と書いてある者でなければ地方参政権は与えられないんだということになっている。しかも、当分の間というのですから。当分の間といったら、五十年も当分の間と置いてあるのもありますからね。これはどういうことですか、いつまでですか。     〔林(幹)委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 冬柴鐵三

    冬柴議員 立法作用というのは、主権国家における主権作用の最も重要なものでございまして、何物にも覊束されないものでございます。私はそのように認識をいたしております。  したがいまして、我が国においてどのような法律をつくるのかということは、我が国国会が慎重に審議をし、そして判断をし、定立をしていくべきものであって、そこに外国の方々から制肘を受けたり容喙をされたりすべき問題でない、私はそのように思います。  今、東中委員は、ある人に対しては参政権を与え、ある人には与えないという差別をすることは、国際人権規約あるいは憲法十四条を持ち出すまでもなくと、こうおっしゃいましたけれども、私どもは、憲法上、憲法上ですよ、永住外国人にひとしく地方選挙権を与えなければならないということは憲法上の要請ではなく、我々が立法府において、そういう人たちのどの人にどのような要件のもとにこれを与えるのが妥当かということは、国会立法政策として考え、そして審議をして決めていくべきものであると思っております。  したがいまして、現在の日本国内の状況、いろいろな考えの方々の多くの賛成を得て、この法律が一日も早く成立をすること、また成立した法律が、日本国内における特定の一群の人々にとって耐えがたいものであり、そしてあそこまで反対したのにこういうものをつくるのかという反対を受けないために、そういう配慮をしてここまで行き着いているわけでございまして、憲法に違反するとか、そういう問題ではない、私はそのように信じております。  しかし、この国会において審議を重ねられて、そして国会において、こういう措置はこういうふうに改めた方がいい、そういう判断が出れば、我々は自説に固執するものではないということもあわせて申し上げておきたいと思います。
  77. 東中光雄

    東中委員 いや、それはちょっと違うんじゃないですか。  国会において今やっているわけですよ。国会において今提案されたわけです。その提案されていることが、登録原票に朝鮮と書いている人が十数万人いる、その人たちは現にいるわけですからね。それで、地方参政権を持ちたいという人もいるでしょうし、持ちたくない人は申請しなければいいんだから。そうでしょう。そういうシステムになっておるとあなたも説明しているじゃありませんか。  それなのに、わざわざこの条項をつくって、もう初めから除外してしまおうということは、これは、この法律によって、現に日本にいて、特に三六年の、いや応なしに日本人にさせられた人たち国籍選択の自由もないままで、とにかく朝鮮国籍を剥奪された人たち、その人たちは、たまたま、初めは朝鮮だったんだから、全部朝鮮にしておいたわけですからね、それで、韓国に改めて変えるということをしなかったというだけで、二世、三世、四世の人たちも含めて、地方参政権が持てないんだと。これは、そういう立法提案をするべきではないんじゃないかな、私はそう思うのです。  第一、公明党民主党が一緒に出されたときにはそれはないんですから。それがないのに、その案がそのままあるのに、今度は、自由党と、当時は与党ですね、与党として出すということになったらその条項が入った。どうも私は非常に理解に苦しむわけです、何でそんなことになるんだろうと。お互いに法律家だから、ちょっと筋が通らないんじゃないですか。
  78. 冬柴鐵三

    冬柴議員 私としては筋を通しているつもりでございますが、いろいろな、強く求める人、強く反対する人がある中で、どのような法案を提案すべきかと熟慮した結果つくったものが申請主義であります。したがいまして、外国人登録名簿に登録された人に対して与えるということで、これで解決できたと思っていたわけでございます。しかし、提案をし、審議をしてから、従来にも増して強い反対をされたわけでございます。  したがいまして、ここまで手を打ってもまだ反対されるということになれば、どうしたらいいのか。その一群の方々を当分の間除外するということが解決ではないのか、そういう思いで、今回は、その強く反対する人々のことをおもんぱかりまして、そのように起案をしたということでございます。
  79. 東中光雄

    東中委員 強く反対する人とおっしゃったけれども、十数万人が反対したのですか。どこが強く反対したのですか。私は非常に理解しにくいわけであります。  時間がなくなりますので、これははっきりとした、朝鮮籍の人を法律で差別してしまおう、地方参政権を与えないということにしてしまう法律だから、これは許されない。私たちは、不十分だけれどもというんじゃなくて、これはやってはいかぬことをやっているというふうに思いますので、この点はやめるべきだということをまず申し上げておきたい。  それからもう一つは、被選挙権を与えないことにしているということ。これは我が党以外はそうなっているんですけれども選挙権被選挙権というのは、これは本当に一体のものですし、それからほかの立法例を見ましても、七六年ぐらいからヨーロッパなんかでも始まったわけですけれども、いわゆる参政権地方参政権について、いろいろな程度の問題がありますね。丸を打ったり、三角をしたりする程度がありますけれども選挙権を与えて被選挙権を与えていないというのは、私が聞いた範囲ではよくわからない。わかっている範囲でいえば全部、選挙権を与えたら同時に被選挙権を与えている。国立図書館の報告でもそうなっていますね。  ちょっと理屈に合わぬし、それから実際にやっていることからいってもおかしいから、そういう立法をすべきじゃない、こう思うんですが、これは、民主党公明党、両方にお伺いしておきたいと思います。
  80. 桜井新

    桜井委員長 時間になりましたので、簡潔に。
  81. 冬柴鐵三

    冬柴議員 私どもが提案した法文とほとんど同じものを共産党が出されました。そこで違うところは、被選挙権付与するという部分外国人の個人の寄附を認めるという点が違うと思いますが、ほとんどは同じでございます。  私は、共産党案がこの国会で通過する実情にないと思っています。私は、通るとするならば、我々が熟慮をした、選挙権に限って認めるという法律案であれば通る可能性があるのではないか、このように考えておりまして、一日も早く成立させるためにこのようにしたわけでございます。
  82. 中野寛成

    中野(寛)議員 私どもも、被選挙権を与えることが即憲法違反だとは解釈しておりませんで、それらにつきましては前向きに今後検討をしていきたいと思っております。  ただ、一歩でも前進させたい、国会の過半数の皆さんの賛成を得て、在日外国人の皆様方に参政権の一部でも付与されることが日本民主主義を進めていく上においても肝要であろうというふうに考えましたので、そこからスタート、第一歩だという考え方を持ちました。もちろん国政選挙までとは考えておりませんけれども。  そういう意味では、余談になりますが、冬柴さんが、国籍を明記している云々のところで我々と違う法案を改めてお出しになったのも、ある意味では、もう一歩突っ込んだ妥協案を苦心の末にお出しになったのではないかというふうに考えておりまして、強烈に反対する人たちがいるというのは、反対している人たちは韓国籍の人も含めて反対だと言っているように聞いておりますので、ニュアンスの違いはあるのだろうと思いますが、ここは、冒頭申し上げましたように、立法政策上の判断として、どの段階でお互いに協力をしていっときも早く成立させるかという一つの政治判断、苦労のなせるわざだというふうに考えておりまして、よろしく御理解を賜りたいと思います。
  83. 東中光雄

    東中委員 時間ですので終わります。大臣、どうも済みません。
  84. 桜井新

    桜井委員長 次に、達増拓也君。
  85. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  第百四十四回国会衆法第五号について質問をいたします。今、東中委員から被選挙権の問題が出されましたが、まさにそれについて、今度は逆の方向からの質問となります。  この案では、第四条で、「被選挙権に関する地方自治法及び公職選挙法特例」としまして、「第九条の規定による申請により永住外国人選挙人名簿登録された永住外国人」括弧の中を省略いたしまして、「は、次の各号の区分に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。」ということで、都道府県の議会議員、都道府県知事、市町村の議会議員、市町村長、これらについて被選挙権を有すると規定されております。  しかし、地方参政権とは申しますけれども地方自治体の長や議会議員にとって、国政との関係、国防との関係で決断を迫られる場面があり得ると思います。  例えば、日米新ガイドライン関連法案成立いたしました地方自治体の種々の協力の問題、病院の提供でありますとか、そういった有事における自治体の国防との関係、また、平時におきましても、自衛隊の艦船や米軍の軍艦の寄港問題については、自治体の長が判断をしたり、またそれに対して議会議員がチェックをする、そういったことがあるわけでありますけれども、そういう国防との関係で決断を迫られる事項についても永住外国人被選挙権を拡大することについて問題はないのか、伺いたいと思います。
  86. 松本善明

    松本(善)議員 達増委員にお答え申し上げます。  まず、既にこの委員会でも議論になっていますが、選挙権を認めて被選挙権を認めないということは、理論的には私は成り立たないというふうに思いますし、諸外国の例を見ましても、選挙権被選挙権は一体のものというふうに扱われているのが趨勢だと思います。  そして、今の達増委員の御質問にかみ合わせてお答えをいたしますならば、首長、議員はそれぞれ、日本国籍を持っていても外国国籍を持っていても、憲法地方自治法、その他関連法の中で地方自治にかかわるということについては同じでございます。  したがって、米艦の寄港問題について言いますならば、いわゆる非核三原則に沿って非核証明を求める条例、こういうのは既に、先ほども少しお話が出たんですけれども、高知県知事がそういう立場から条例を提案されようということがあった。この点に関して言うならば、これは日本人であろうと外国人であろうと同じでございます、達増委員の御心配ということで言うならば。それについて、また国、政府がどのような対応をするかということもありますけれども。  また、周辺事態法、これが憲法違反だという見解を持っておる日本の政治家というのはたくさんありますし、私もそうでありますし、そのような方が知事や市町村長あるいは地方議員に当選をされるということももちろんあるわけで、そういう場合には、達増委員の御心配になるようなことが、日本人であっても起こるわけでございます。その点で言うならば、これは外国人であろうと日本人であろうと全く同じであって、国籍の問題ではない、こういうふうに考えているのでございます。
  87. 達増拓也

    達増委員 次に、同法案について、外国人による寄附の解禁について質問をいたします。  附則の第六条「政治資金規正法の一部改正」ということで、政治資金規正法「第二十二条の二に次の一項を加える。」ということで、この法律参政権が認められる永住外国人から受ける寄附については、その寄附の禁止ということを適用しないという趣旨の条文になっております。  これはアメリカで話題になった、問題になったことなのでありますけれども、時の政権に対してアジアから政治資金が流れ込みまして、アジア・マネーが政治献金という形でアメリカの政策に大きい影響を及ぼしているということが問題になったことがございます。  アメリカの場合は、移民の国でございまして、かなり他国と事情が違うということがあるのでありますが、日本の場合、いわゆる朝銀問題、その経営のあり方や北朝鮮政権との関係について種々問題点が指摘されており、国会でも審議、議論がなされております。そうした国境を越えたお金の流れ、国際的なお金の流れと政治資金との関係についてはかなり慎重にならなければならないところがあると思うのでありますけれども、附則第六条で寄附の解禁をしている趣旨を伺いたいと思います。
  88. 松本善明

    松本(善)議員 お答え申し上げます。  地方選挙権を有する永住外国人地方自治体議会議員及び長に係る選挙運動や政治活動は当然日本国民と同様に保障することになろう、選挙権被選挙権を与えるということになりますと。そういうふうになると思います。  その観点から、この法案は、地方選挙権を有する永住外国人が個人として行う政治活動に関する寄附、すなわち個人献金のみを解禁することとしたものでございます。選挙権被選挙権を持つ以上、選挙運動、政治活動の平等を図るというのは当然だからであります。地方選挙権を有さない外国人外国法人等の献金禁止規定を変えるものではございません。  ちなみに、我が党の提案したこの法案は、別途に提案をしております企業・団体献金禁止法と連動する法形式になっておりますので、企業・団体献金禁止を前提とするものでございまして、個人としての選挙権を有する方々の献金を認める、こういうことで、当然のことではないかと思います。
  89. 達増拓也

    達増委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  90. 桜井新

    桜井委員長 次に、中西績介君。
  91. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、与えられた時間が十分ですので討論をする余裕がございません。今までずっと討論された内容もお聞きいたしました。したがって、私たちも、外国人住民であるという立場で外国人住民地方参政権に取り組んできたわけでありますけれども、今まで答弁なさったことも含めて、確認の意味で簡単にお聞きをいたしますので、お答えをいただければと思っています。  一つは、参政権反対論についてであります。  地方参政権付与につきましては、在日朝鮮人の多くを組織する朝鮮総連は、同胞の意に反する獲得運動であるとして反対の意をあらわしていますけれども、このことについてそれぞれ提案者はどのように受けとめておられるのか、共産、民主、公明、それぞれの皆さんからお答えいただければと思います。
  92. 松本善明

    松本(善)議員 お答え申し上げます。  本法案申請主義をとっておりますので、本人の申請によって選挙人名簿に登録することとしており、地方参政権を押しつけるというものではございません。この人たち地方政治への参加によってそれぞれの生活要求を実現しようということでありまして、御質問にあるような、他の目的は一切ございません。
  93. 中野寛成

    中野(寛)議員 そのような反対の意向があることは承知をいたしておりますが、これは国際間のいわゆる外交儀礼による相互主義をとっているものでもございませんし、むしろ在日外国人の皆さんの権利を拡大するという法律であります。ただ、それぞれの祖国との関係もおありでありましょうから登録制をとったということでございまして、反対の理由については我々は納得しがたいものを持っているということであります。
  94. 冬柴鐵三

    冬柴議員 早くから、私どもが提案するについて、同胞の意に反する獲得運動であるという趣旨が一貫して主張され、そしてまた我々にも陳情も再三ありました。そういうことをおもんぱかりまして、今回は、そうであればということで附則三条をつけたわけでありまして、私どもは、この同胞の意に反する獲得運動という趣旨は全く含んでおらず、成熟した日本民主主義というものの結論としてこういうものが必要であろうということで提案しているものでございます。
  95. 中西績介

    ○中西(績)委員 極めて機械的にお聞きしますのでお許しいただきたいと思います。  朝鮮籍所有者の除外について先ほどから随分論議されておりますけれども、この点についての再確認の意味で、私はもう意見は全然申し上げませんけれども、公明、民主、それぞれお答えいただければと思います。
  96. 冬柴鐵三

    冬柴議員 先ほども申しましたとおりでございまして、私どもとしては、注意深く申請主義というものをとって出しましたが、納得をしていただき、がえんずるところでなかった。その意味で私どもはこのような条文を用意しているわけであります。  ただし、当分の間でありますから、これが納得をいただければ、それは直ちに当分の間を取り除いたらいい、そのように思っております。
  97. 中野寛成

    中野(寛)議員 我々は、先ほど申し上げましたように、この法案は相互主義に基づいて提出をさせていただいたものではありませんので、あくまでも住民としての権利という形でとらえております。よって、その方がどの国籍であろうと、または国籍名ではなく地域名であろうと関係なく、日本に永住資格を持って居住されている方には登録制によってすべて認めるという視点での法案に我が党が提出した法案はなっているところであります。
  98. 中西績介

    ○中西(績)委員 次に、私は、在日に対する差別解消に向けた取り組みが従前から言われておるわけでありますけれども、そこいらがやはり十分な対策がないままの中でこうした法案提出するというところにまた問題があるのではないか、こう考えるものですから、在日朝鮮人に対する住居、就職、教育等に対する差別が根強く残っている中で、在日の方々の基本的人権の確立と安定した生活環境の保障に各党はどのように取り組むかがむしろ問題であろうと思っていますけれども、この点についてお答えいただければと思っています。それぞれ、民主、公明、共産からお答えいただければと思います。
  99. 中野寛成

    中野(寛)議員 お答えをいたします。  我々民主党といたしましては、結党以来、党の綱領また基本政策等にも、在日外国人の皆さんはもとより被差別部落や障害者などなど、あらゆる差別をなくしていこうということを党の原則にいたしておりますし、そういう意味で、在日外国人の皆様方に対しても、例えば私自身のことで申し上げますと、公的資金の融資の権利や公営住宅の入居資格でありますとか、非常に日常生活に密着した問題からその他の社会保障制度に至りますまで、いわゆる内国人待遇という形が保障されるようにという運動をし、かなりの分野については進歩してきたと思います。指紋押捺の問題などもそうであります。  この投票権については、そういう意味での公的差別の解消の一環でもあるというふうに考えている次第でありまして、今後ともそういう前向きな姿勢で取り組んでまいりたいと思います。
  100. 冬柴鐵三

    冬柴議員 公明党はこの問題については積極的にあらゆる面で取り組んできたと自負をいたしております。これまでも、先ほども申されましたけれども、指紋押捺廃止あるいは外国人登録証常時携帯義務の問題についての取り組み、また、外国人登録原票登録証についての記載事項の簡素化、またその懈怠についての罰則の軽減等々、数限りない取り組みをしてきたつもりですし、就職差別につきましても国籍条項についても取り上げてきました。  また、私自身も、日韓議員連盟の中の在日韓国人の法的地位向上委員長を拝命いたしまして、今数年を経過いたしております。そういう意味でこの取り組みは十分してきたつもりですけれども、その根源にあるものが民主主義社会におきましては選挙権であるという結論に到達をし、この法案の提案に至っていることを申し上げたいと思います。
  101. 松本善明

    松本(善)議員 お答え申し上げます。  在日朝鮮人、在日韓国人についての差別が現存することは明白であります。これが三十六年にわたる植民地支配の歴史にかかわることでもある。我々は、積極的にそういうものをなくしていくというふうな努力は当然のことで、今回の法案は、そのための第一歩、権利や生活向上のために、地方参政権を実現して差別を解消するということに資することになろうかと思いますが、そのほかも、一つ一つの問題について取り組んで差別の解消に努力をしたいと考えています。
  102. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間が来たようですが、もう一つだけお聞かせいただきたい。
  103. 桜井新

    桜井委員長 簡潔に。
  104. 中西績介

    ○中西(績)委員 コンセンサスの形成に向けた取り組みが、やはりこれから後のこの種問題について、在留外国人の皆さんと十分相互の信頼関係を確立できるかどうかについて、これから大きな問題になっていくと思います。在日の中にも、また日本人の中にも、いろいろ意見が分かれておる点がございます。  したがって、永住外国人地方参政権に対するコンセンサスの形成に向けてどのように取り組んでいかれるおつもりか、この点について、民主、公明、共産の方々からお答えいただければと思います。
  105. 中野寛成

    中野(寛)議員 この問題についての地方議会の千数百団体の議会における決議などにもあらわれておりますように、全国で地方自治体そして住民の皆さん、国民の皆さんの理解が深まり、そしてそれが一つの運動となってあらわれているというふうに思います。  また、投票権だけか被選挙権もかという問題を含めてこれから大いになお議論を重ねてまいりたいと思いますが、まずは一歩一歩実現をさせることによって国民の皆さんの意識が高まり、コンセンサスを得る上での大きな役割を果たすのではないかというふうにも思っておりますので、それぞれ国民の皆さんや該当する皆さんとの対話を交わしてまいりたいと思います。その端緒として、まずはこの法律案早期成立をさせていただくのが一番効果的ではないかというふうにも思っております。
  106. 冬柴鐵三

    冬柴議員 この問題を国民の広い範囲における議論とし、そしてまた多くの方々に関心をお持ちいただき、賛否両論の意見で結構でございますが、開陳をされ話題になる、どうしたらいいか。それは、国会にこれを提案し、このような議論をすることで、マスコミもこれを報道してくださるでしょうし、また、マスメディアもこれを端緒として大きく論じていただけるだろう。  私は、そのようなことがこの問題について最も国民のコンセンサスを得られる一番大きな問題解決策であろう、こんなふうにも思いながら提案をしている次第でありまして、この議論が活発になり、そして審議が進められることを心から願うものでございます。
  107. 松本善明

    松本(善)議員 一つは、在日韓国人との関係の問題につきましては、既にかなり進んでいて、金大中大統領の御発言もあるし、全国の三分の一の自治体の決議もあります。北朝鮮との関係で言いますならば、懸案の諸問題を解決して、一日も早く国交の問題にも取り組めるようにするということが一つ大事なんではないか。  また、歴史的経緯にかんがみまして、日本の国の世論の中で、侵略戦争、植民地支配についての根本的な反省ということをもっともっと進めていく、そういう中で地方参政権の問題についてのコンセンサスが得られていくようになっていくんではないか、こう考えております。
  108. 中西績介

    ○中西(績)委員 終わります。  私は、自分の意見も全く申し上げずに質問をしたことを大変非礼に思いますけれども、お許しをいただきたいと存じます。
  109. 桜井新

    桜井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五分散会