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2000-04-13 第147回国会 衆議院 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十三日(木曜日)     午前十時四分開議  出席委員    委員長 桜井  新君    理事 赤城 徳彦君 理事 鈴木 宗男君    理事 中谷  元君 理事 林  幹雄君    理事 中桐 伸五君 理事 堀込 征雄君    理事 遠藤 和良君 理事 東中 光雄君    理事 西野  陽君       荒井 広幸君    飯島 忠義君       熊谷 市雄君    小林 多門君       阪上 善秀君    下村 博文君       田中 和徳君    田村 憲久君       滝   実君    橘 康太郎君       葉梨 信行君    蓮実  進君       平林 鴻三君    福田 康夫君       松本  純君    宮腰 光寛君       山口 泰明君    石井  一君       鹿野 道彦君    鍵田 節哉君       近藤 昭一君    島   聡君       松本  龍君    井上 義久君       河合 正智君    平田 米男君       木島日出夫君    井上 喜一君       達増 拓也君    鰐淵 俊之君       中西 績介君     …………………………………    議員           鈴木 宗男君    自治大臣         保利 耕輔君    自治政務次官       平林 鴻三君    自治政務次官       橘 康太郎君    政府参考人    (法務省刑事局長)    古田 佑紀君    政府参考人    (外務大臣官房領事移住部    長)           今井  正君    政府参考人    (自治省行政局選挙部長) 片木  淳君    衆議院調査局第二特別調査    室長           牧之内隆久君     ————————————— 委員の異動 四月五日  辞任   古屋 圭司君 同日             補欠選任              井上 喜一君 四月十三日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     熊谷 市雄君   末松 義規君     近藤 昭一君 同日  辞任         補欠選任   熊谷 市雄君     下村 博文君   近藤 昭一君     末松 義規君 同日  辞任         補欠選任   下村 博文君     中川 秀直君 同日  西野陽君が理事辞任した。 同日  東中光雄君が理事当選した。     ————————————— 四月十日  公職選挙法の一部を改正する法律案鈴木宗男君外七名提出衆法第一二号)  国会法及び公職選挙法の一部を改正する法律案鈴木宗男君外七名提出衆法第一三号) は本委員会に付託された。 三月一日  政治資金規正法等の一部を改正する法律案(第百四十六回国会衆法第一三号)の提出者粕谷茂君外二十四名」は「粕谷茂君外二十三名」に訂正された。 四月五日  政治資金規正法等の一部を改正する法律案(第百四十六回国会衆法第一三号)の提出者粕谷茂君外二十三名」は「粕谷茂君外二十二名」に訂正された。 二月四日  衆議院比例定数削減反対に関する請願(木島日出夫紹介)(第三一号)  同(東中光雄紹介)(第一二四号)  同(金子満広紹介)(第一四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  政府参考人出頭要求に関する件  公職選挙法の一部を改正する法律案鈴木宗男君外七名提出衆法第一二号)  国会法及び公職選挙法の一部を改正する法律案鈴木宗男君外七名提出衆法第一三号)  政治倫理確立及び公職選挙法改正に関する件     午前十時四分開議      ————◇—————
  2. 桜井新

    桜井委員長 これより会議を開きます。  委員の皆さんには、少々予告時間よりおくれたことをおわびを申し上げます。  この際、お諮りいたします。  去る七日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更に伴い、理事辞任及び補欠選任を行います。  まず、理事辞任の件についてお諮りいたします。  理事西野陽君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。  それでは、理事東中光雄君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 桜井新

    桜井委員長 政治倫理確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として法務省刑事局長古田佑紀君、外務省領事移住部長今井正君及び自治省選挙部長片木淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 桜井新

    桜井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  7. 桜井新

    桜井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
  8. 赤城徳彦

    赤城委員 おはようございます。  今、国民の多くがパソコンを持ち、インターネットを利用して情報を収集したりしております。政党政治家にとっても、これからますますインターネットを使った情報のやりとりということが大事になってくるかと思います。一方で、選挙においてどういうふうにインターネットを利用していくかという問題になりますと、いろいろ問題点も多いかと思います。  これは韓国での例ですが、韓国ではコンピューター通信を使った選挙運動が認められております。ところが、インターネット匿名性を利用して対立候補人格攻撃を行うようなケースが後を絶たない、繰り返し相手候補を中傷した出馬予定者が逮捕される、こういうふうな事態も起こっております。  インターネット選挙のあり方というものについて、まず大臣から基本的な考えを伺います。     〔委員長退席鈴木(宗)委員長代理着席
  9. 保利耕輔

    保利国務大臣 パソコン等普及をいたしまして、インターネットもひところでは考えられないような大変な普及をしておるわけでございます。  選挙インターネットとのかかわりについての御質問でございますけれども、公職選挙法で言っております文書図画というのは、文字もしくはこれにかわるべき符号あるいは象形を用いて、物体の上に多少とも永続的に記載された意識の表示をすることでございます。すなわち、およそ人の視覚に訴えるものは文書図画としてとらえておりまして、したがって、インターネットホームページなど、コンピューターでのディスプレーに表示される画面は公職選挙法上の文書図画に当たるものと解しておるところでございます。  コンピューターディスプレーを公衆の面前に据えておくような場合は公職選挙法で言います掲示に相当いたしますし、また、不特定または多数の人の利用を期待してホームページ開設するということは頒布に該当するというふうに解しているところでございまして、現行選挙制度上は、これは使い得ないというふうに解釈をいたしております。
  10. 赤城徳彦

    赤城委員 今、大臣から大変具体的なお答えをいただきました。現行公職選挙法上ではインターネットホームページ選挙運動のために使用することは一切禁止されている、こういうことだと思いますが、各国の例なども見ながら、これから選挙あるいは広く政治活動にとってインターネットとか新しい情報通信手段をどのように活用し、また、それには光の面と影の面とあろうかと思いますから、どのように規制をするなり制御していくといいますか、利用していく、両面ありますが、そういうことを考えていかなければならないかと思っております。  それでは、以下、具体的に聞いてまいりたいと思います。  公職候補者立候補予定者や現職の議員、または第三者が、選挙運動期間以外の通常時においてインターネットホームページ政治活動のために使用することは自由と考えますが、選挙期間中においてホームページを新たに開設したり書きかえたりすることはどうなのか。また、候補者等氏名氏名を類推される事項を表示しているホームページを新たに開設したり書きかえたりすることはどうか。さらに、選挙運動期間中に、候補者等氏名を表示しているホームページを新たに開設したり書きかえたりせずに、通常時に掲載されたものをそのまま加工せず、放置していくということであればどうか。これらの点についてお答えをいただきたいと思います。
  11. 片木淳

    片木政府参考人 お答えをいたします。  公職候補者選挙運動期間中に政治活動のためにホームページ開設いたしましたり書きかえたりいたしますことにつきましては、選挙運動に該当しない限り特段規制はないところでございますが、公職選挙法第百四十六条第一項というのがございまして、この中で、選挙運動期間中は、選挙運動用文書図画頒布禁止を免れる行為として、候補者等氏名政党名称等を表示する文書図画頒布することができないとされていることから、これに該当いたします行為につきましては制限されるものと考えております。  次に、選挙運動にわたらない政治活動のためのホームページ選挙運動期間前に開設いたしましてそのまま選挙運動期間中に掲示するということにつきましては、特段規制はないところでございます。
  12. 赤城徳彦

    赤城委員 ちょっと今の点よくわからなかったのですが、選挙期間の前に開設されたものをそのまま掲示するのは構わない、しかし新たに開設したり、書きかえたりする場合は、公職選挙法の百四十六条第一項、それに当たるかどうかということで判断が分かれるようですが、それがどういう場合に当たるのか、どういう場合に当たらないのかは、これは実態判断というように聞こえましたけれども、そこら辺の基準がなければそれを開設する側としては非常にやりにくいと思います。そこら辺を具体的にどういうふうに判断されるのか伺います。
  13. 片木淳

    片木政府参考人 お答えいたします。  ただいま申し上げました公職選挙法第百四十六条の規定でございますが、「何人も、選挙運動期間中は、著述、演芸等広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第百四十二条」、これは文書図画頒布でございます。「又は第百四十三条」、文書図画掲示規定でございます。「の禁止を免れる行為として、」先ほど申し上げました「公職候補者氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体名称又は公職候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画頒布し又は掲示することができない。」とされているところでございます。  この規定趣旨でございますが、実際は選挙運動のために使用しながら、外形的には、今申し上げましたような、いろいろな名義をもちまして広告を装いまして免れる行為規制するというのが本条の趣旨でございまして、その判定に当たりましては、時期、場所、方法等総合的に判断して、該当するかどうかを判断するということになるわけでございます。  先生指摘のように、具体事案につきまして具体ケースで対応するということにさせていただいておるわけでございます。
  14. 赤城徳彦

    赤城委員 なかなか具体ケース文書図画頒布掲示を免れるかどうか、そこら辺が非常に限界的なものもあると思います。  ところで、同様のことですが、政党政党支部その他政治活動を行う団体が、同じようにホームページを新たに開設、書きかえたりする場合はどうか。または、候補者等氏名氏名を類推される事項を表示しているホームページを新たに開設したり書きかえたりする場合、さらに、選挙運動期間中に候補者氏名等を表示しているホームページを、通常時に掲載したものをそのまま加工せず放置しておく場合、いずれについても、政党政党支部その他政治活動を行う団体がこういうことを行った場合にどうなるかということを重ねて伺います。
  15. 片木淳

    片木政府参考人 政党その他の政治活動を行います団体が、選挙運動期間中に、政治活動のために候補者等氏名または氏名類推事項記載されていないホームページ開設いたしましたり書きかえたりすることは、選挙運動にわたらない限り、差し支えないものとなっております。しかしながら、公職選挙法第二百一条の十三第一項第二号におきましては、政党その他政治活動を行う団体は、選挙期日公示または告示の日から選挙当日までの間は、政治活動のため掲示または頒布する文書図画に、当該選挙区の特定候補者氏名または氏名類推事項記載してはならないとされております。  したがいまして、ホームページ特定候補者氏名または氏名類推事項記載されているものにつきましては、選挙運動期間中に開設いたしましたり書きかえたりすることはできないということでございます。政党その他の政治活動を行う団体が、選挙運動にわたらない政治活動のためのホームページ選挙運動期間前に開設いたしまして、そのまま選挙運動期間中に掲示することにつきましては特段規制はないところでございます。
  16. 赤城徳彦

    赤城委員 選挙運動期間前に選挙運動にわたらないものをそのまま掲示しておくことはよろしいと、また特定候補者を類推されぬようなもの、またはその氏名を明らかにしないものであればまたよろしいということであると思いますが、それではちょっと具体的に、こういう場合はどうか伺います。  選挙期間前に、ある政党が、何々党は党内政策面でばらばらで、共通の結論法案に反対することだけ、それに対して我が党は法案も出し、徹底的な審議も尽くし党内が一致している、こんなふうなホームページを出しました。これを選挙期間中そのまま掲示しておくということは公選法上どうなるでしょうか。
  17. 片木淳

    片木政府参考人 お答えをいたします。  公職選挙法、別の規定になりますが、第二百三十五条で、虚偽事項公表罪というのがございます。行為の時期にかかわりませず、特定候補者等当選を得る目的で他の候補者等の身分、職業もしくは経歴等に関しまして虚偽事項を公にすることを禁止いたしますとともに、特定候補者等当選を得させない目的当該候補者等に関し虚偽事項を公にしまたは事実をゆがめて公にすることを禁止いたしております。  したがいまして、御指摘ホームページがこれに違反するかにつきましては、特定候補者等当選を得る目的、または当選を得させない目的でなされたものであるかどうか、かつその内容が虚偽事項等に当たるかどうかということによるわけでございますが、いずれにいたしましても、個別の事案公職選挙法規定に抵触するかどうかは、行為実態に即して判断されるべき問題というふうに考えております。
  18. 赤城徳彦

    赤城委員 今大変具体的な事案でお聞きしたので、その場合場合の判断であるということであってはちょっと困るのでありまして、それからもう一点は、その特定候補者のことを言っているわけではありませんし、また虚偽のものを言っているわけではない。普通、政党ホームページを出すときに、我が党はいかにしっかりしたすばらしい政策をやっているか、それに対してほかの政党はいかに問題があるか、こういうことをよく掲示することがあり得ると思います。そういう、政党がほかの政党に対して、この政党はこうである、我が党はこうである、こういうものを掲示しているそのホームページはどうか、こういうふうに伺っているので、重ねてお答えください。
  19. 片木淳

    片木政府参考人 御質問ケースにつきましては、あくまで個別の事案に即して判断すべき問題ではございますが、お聞きいたしております限りにおきましては、先生もおっしゃいますとおり、公選法虚偽事項公表罪になかなか当たらないということを前提といたしまして、先ほど申し上げました、政治活動を行う団体政治活動のためのホームページであるということになりますと、先ほど三番目に申し上げました、選挙運動期間前に開設をいたしましてそのまま選挙運動期間中に掲示することについては特段規制はないという結論かと思いますが、ちょっとくどいようでございますが、やはり具体事例等に即して判断すべき問題だと考えております。
  20. 赤城徳彦

    赤城委員 それでは次に、ポスターについて伺いたいと思います。  政治家個人後援団体政治活動用ポスターは、この四月十九日以降掲示することができなくなりますけれども、政党政治活動用ポスターについてはどのような規制がかかるか、まず伺います。
  21. 片木淳

    片木政府参考人 御指摘のように、衆議院議員選挙候補者等または後援団体政治活動用ポスターのうち、当該候補者等氏名もしくは氏名類推事項または後援団体名称が表示されたものにつきましては、公職選挙法第百四十三条第十六項及び第十九項の規定によりまして、来る四月十九日から選挙期日までの間は掲示することができないとされているところでございます。  一方、政党政治活動用ポスターにつきましては、候補者等または後援団体ポスターと同様の規制はございませんけれども、政党政治活動にとどまらず、そのポスター候補者等政治活動にも使用されるというふうに認められますポスターにつきましては、候補者等政治活動用ポスターに係る規制が適用されるものでございます。  なお、御案内のとおり、昨年の公職選挙法改正によりまして、公職選挙法第二百一条の十四第一項におきましては、衆議院議員参議院議員選挙等につきましては、当該選挙期日公示または告示の日の前に個人名記載された政党政治活動用ポスター掲示した者は、当該個人当該選挙において候補者となった場合には、候補者となった日のうちに、選挙区内にあるポスターを撤去しなければならないというふうにされたところでございます。
  22. 赤城徳彦

    赤城委員 政党政治活動用ポスターについてですが、よく、政党演説会告知用政党ポスターというのがあります。これは、ポスター全体が政党のものであるということがわかれば、弁士の数が一人であったとしても問題ないと考えますが、どうか。弁士の数が二人とか三人であることが望ましいとか、弁士の肩書の色は同じ色でないといけないとか、そういうふうな規定はないと思いますけれども、どうでしょうか。
  23. 片木淳

    片木政府参考人 政党名掲示されるポスターでございましても、先ほど申し上げましたとおり、弁士立候補予定者のみであるような場合には、先ほど申し上げましたと申し上げますのは、当該候補者等政治活動のためにも使用されると解釈せざるを得ない場合には候補者政治活動用ポスターとして規制されるという意味でございますが、弁士立候補予定者のみであるような場合には、政党政治活動にとどまらず、当該候補者等政治活動のためにも使用されるものと解釈せざるを得ない場合があるというふうに考えております。  また、当該候補者等に関する記載をする必然性が認められないもの、あるいは、御指摘ありましたとおり、当該候補者に関する記載のみ色を変える場合等、特定候補者等を目立たせているものにつきましても、同様に、当該候補者等政治活動のためにも使用されているというふうに解釈せざるを得ない場合があるものと考えておるところでございます。
  24. 赤城徳彦

    赤城委員 最後に、最近ポスター電柱掲示されているのがよく目につきます。美観の観点からも好ましくないと考えますが、公職選挙法規制はないのでしょうか。
  25. 片木淳

    片木政府参考人 お答えをいたします。  公職選挙法上、選挙運動用ポスター及び確認団体政治活動用ポスターにつきましては、橋梁、電柱公営住宅等を除き、国または地方公共団体が所有、管理するもの及び不在者投票記載場所には掲示することができないとされております。  また、これらのポスター電柱等、他人の工作物掲示しようとするときは、その工作物管理者等の承諾を得なければならないこととされているところでございますが、個人政治活動用ポスター通常時の政党政治活動用ポスター掲示場所についての規制は設けられていないところでございます。  なお、公職選挙法そのものではございませんが、屋外広告物法に基づきます屋外広告物条例による規制を受ける場合があることは御承知のとおりでございます。
  26. 赤城徳彦

    赤城委員 終わります。ありがとうございました。
  27. 鈴木宗男

  28. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 総選挙がいつ行われるのか、これは最大の関心事になっているわけでございますが、ことし五月以降に行われる場合は、初めて在外邦人にも選挙権が与えられることになります。したがいまして、恐らく、今度行われます総選挙は、憲政史上初めて在外邦人方々選挙に参加できる、こういうことになるわけでございますが、何しろ初めて行われることでございますから、その準備は、外務省におきましてもあるいは自治省におきましても大変なものがあっただろうと思いますが、今日までの準備状況について御報告を願いたいと思います。
  29. 保利耕輔

    保利国務大臣 委員指摘のとおり、平成十二年五月一日以降に公示または告示される国政選挙から実施される在外投票を円滑に実施するために、今現在、有権者への制度周知を図り、これはパンフレットなんかをつくっておりますが、在外選挙人名簿への登録の促進を図りますとともに、在外選挙執行体制確立に努めているところでございます。  制度周知及び在外選挙人名簿への登録の推進といたしましては、ポスターやリーフレットの配布、テレビ、ラジオ、新聞等各種メディア活用等によりまして、国内外において啓発を進めているところでございまして、平成十二年三月末、先月末現在までの登録申請者数は五万三千六百六十七人となっておるところでございます。  在外選挙執行体制確立といたしましては、投票用紙など在外選挙において必要な各種物資準備を進めますとともに、各選挙管理委員会及び在外公館などに対しまして、説明会を通じて在外投票事務手続及び管理執行体制についての助言等を現在行っているところでございます。準備を着々と進めております。     〔鈴木(宗)委員長代理退席、林(幹)委員長代理着席
  30. 今井正

    今井政府参考人 外務省の方からもお答え申し上げます。  外務省といたしましても、自治省協力しつつ、在外公館を通ずる登録申請を促進するためにさまざまな努力を行ってきております。  まずは、在外選挙が導入されたということについての広報でございますけれども、具体的には、海外に赴任される方々周知されるよう、派遣関係機関、例えば国際協力事業団等政府機関、あるいは民間の経団連、日本商工会議所等々の団体にも周知方協力をお願いしているところでございます。また、海外におきましても、外務省自治省職員、それから在外公館職員等による現地説明会の開催、あるいは、現地におきます日本語の新聞あるいは日本人会会報等、さまざまな手段を通じまして広報をしております。  さらに、在外選挙人名簿への登録申請は、申請者在外公館に赴いて手続をとっていただくということが原則になっておりますけれども、在留邦人方々の便宜を図るために、在外公館職員が、在留邦人が居住している遠いところの地に出張いたしまして登録申請受け付けを行っております。また、在外公館の近くのところでございましても、在留邦人のよく集まる日本人会会合とか、日本人学校あるいは補習授業校会合とか、あるいは、企業事務所がたくさん集まっているようなところに職員が出向いて登録申請受け付けを行っているところでございます。
  31. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 大変な御努力をいただいているわけですが、ことし三月三十一日現在で、在外邦人申請者総数が五万三千六百六十七人、そのうち登録された方が四万一千六百九十四人と伺っています。これは、当初予定された数よりも少し少ないのではないかと思うんですけれども、どのような見解をお持ちでしょうか。
  32. 今井正

    今井政府参考人 登録申請者の数が今現在の数字の水準にあるということの理由の一つといたしましては、国内と在外における制度の相違によるところがあるものと思っております。  具体的に申し上げますと、在外選挙人名簿登録に当たりましては、国外では在留邦人の動向を正確に把握する方法がございませんので、国内のように職権では行っておりませんで、申請によることになっております。このように、登録手続として、本人がその居住地を管轄している在外公館に直接出向いて申請することとなっているために、遠隔地に居住する人たちなどは在外公館に出向くことが困難な事情があることもございまして、なかなか登録しにくいということがございます。そういう声がございます。そういう中で登録者の数が現在の数字にあると我々は認識しております。  それから第二に、在外選挙制度は開始したばかりでございますので、登録申請が去年の五月から始まったわけでございます。だんだんふえてきておりますけれども、最近、当初よりは、去年の五月に始まったころよりは一カ月ごとの申請者の数もふえております。例えば、最初の六カ月ぐらいの平均は毎月四千人ぐらいでございましたけれども、その後五カ月ぐらいの平均は月六千人ぐらいというふうにだんだん伸びてきておりますので、今後選挙が近くなるにつれて申請者の数もふえていくのではないかと期待しているところでございます。  いずれにいたしましても、外務省としてさらに広報に努めますとともに、在外公館に出頭することが困難な邦人方々のために、在外公館職員が各在留邦人の生活の場に出向きまして、出張サービスを一層積極的に行って登録を促進していきたいと考えております。
  33. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 登録された後、実際の選挙になったときに、選挙する人が郵便投票する場合あるいは在外公館で投票する場合がありますが、どういう手続を本人がしなければいけないのか。  それから、自治省にお伺いしたいんですけれども、自治省として投票用紙を印刷するのを初めてされたと思うんですが、その投票用紙はいつ配付するのか。これは選挙公示になってから配付したんじゃ間に合わないと思うんですね。事前に配付しておかなきゃいけないと思うんですが、いつから配付する予定なのか、あわせてお願いします。
  34. 片木淳

    片木政府参考人 お答えいたします。  在外投票を行う選挙人、この手続の関係でございますが、選挙人はみずから申請し、在外選挙人名簿登録され、在外選挙人証の交付を受けていることが必要でございます。  在外公館投票を行おうとする選挙人の方は、選挙期日公示または告示の日以後、指定された日までに在外投票を行います在外公館に出向きまして、在外選挙人証及び旅券などの身分を証明する文書を提示いたしまして、国内の不在者投票の手続に準じた手続で投票を行うこととなっております。  また、郵便投票を行おうとする選挙人の方は、みずからの登録された在外選挙人名簿の属する市町村の選挙管理委員会委員長在外選挙人証を添えまして郵便投票用の投票用紙等を請求し、その交付を受けまして、現在する場所で投票の記載を行い、その選挙管理委員会委員長に郵送するということになっておるところでございます。  それから、投票用紙の請求の関係でございますが、郵便投票のための投票用紙の請求は、選挙期日公示または告示の日以前でも、御指摘になっていることもございまして、可能になっておりまして、請求を受けた選挙管理委員会委員長は、衆議院議員選挙にありましては、衆議院議員の任期満了の日前六十日に当たる日または衆議院の解散の日のいずれか早い日以後直ちに、それから参議院議員通常選挙にありましては、参議院議員の任期満了の日前六十日に当たる日以後直ちに投票用紙を発送することとしておるところでございます。
  35. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 在外公館でする人は直接在外公館に行く、郵便投票をする人は、衆議院の選挙は衆議院が解散されたその日から投票用紙を請求できる、こういうことですよね。そうすると、自治省が印刷している投票用紙はそれより前に在外公館に届いているということになるわけですが、いつごろから配るんですか。
  36. 片木淳

    片木政府参考人 ただいま御指摘ございましたとおり、間に合うように鋭意準備を進めておりまして、五月一日までに体制を整えたいというふうに考えております。
  37. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それから、今度は当分の間政党名投票だけになるわけですが、政党の外国での選挙活動ですけれども、これは特段の定めがないわけです。これは自由にやってよい、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
  38. 片木淳

    片木政府参考人 国外における政党政治活動選挙運動についてのお尋ねでございます。  国外における選挙運動規制につきましては、理由でございますが、選挙公営を実施できないというところから、厳しく規制した場合には選挙人の方が政党等の選択に必要な情報を得る機会を奪うことになりかねないということや、海外でございますので規制の実効を期しがたいという状況にあるということでございます。このため、買収等の、選挙の自由と公正を確保するために特に国外犯処罰が必要不可欠なものとして法律で国外犯に指定されているものを除きまして、国外におきましては選挙運動規制されないということになっております。  以上は選挙運動規制でございます。  次に、政治活動規制につきましてでございますが、国内におきましては選挙運動期間中における規制や平常時における文書図画掲示についての規制がなされているわけでございますが、これらの政治活動規制は国外においては適用されないということになっております。
  39. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 それからもう一つ、洋上投票の方もこの五月一日以降に公示あるいは告示される国政選挙に適用されるわけですけれども、こちらの方の準備状況はどのようになっておりますか。
  40. 片木淳

    片木政府参考人 洋上投票の準備状況でございますが、本年五月一日以降に公示されます衆議院議員選挙または参議院議員通常選挙から実施されます。この洋上投票を円滑に実施するため、有権者への制度周知を図りますとともに、管理執行体制確立に努めているところでございます。  有権者への周知といたしましては、制度のあらましにつきまして説明いたしました小冊子を作成いたしまして、都道府県選挙管理委員会や海運会社等に配布することなどによりまして啓発を進めております。  管理執行体制の面でございますが、各選挙管理委員会に対しまして、説明会等を通じまして洋上投票の事務手続及び管理執行体制についての助言等を行っているところでございます。  各指定市町村の選挙管理委員会、全国に五十四ございますけれども、この指定市町村の選挙管理委員会におきましては、本年五月一日以降投票送信用紙の請求があれば直ちに交付できますように、投票送信用紙の印刷等の準備に取り組んでおるところでございます。  それから、洋上投票の受信をするために必要なファクシミリ装置がございますが、これにつきましては、投票の秘密の保持等選挙の公正を確保するために、自治大臣の定める技術的基準を満たしたものでなければならないとしているところでございまして、現在、投票の受信を行います先ほど申し上げました指定市町村におきまして、その技術的基準を満たす機器の選定を進めているものと承知しているところでございます。
  41. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 投票送信用紙、要するに、ファクスで船の中から送って、それを、クローズドファクスですかシールドファクスですか、受けて、それを投票箱に入れるわけですけれども、船は例えばマグロだとかをとりに行くわけですけれども、出航する時期がありますね。その時期にちゃんと送っておいてあげないと、わざわざとりに帰ってこれませんから、相当早くこれを渡しておいてあげなきゃいけないんじゃないかと思うんです。  まあ総選挙がいつかよくわからないんですけれども、できるだけ早く送らなきゃいけないんですが、まだ船には直接この投票送信用紙の配付は完了していないんですね。これからのことなんですね。では、いつごろこれは配付できるんですか。
  42. 片木淳

    片木政府参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおり、五月一日以降、投票送信用紙の請求があれば直ちに交付できる体制でなければいけないということでございます。また、できるだけ早く準備を整える必要もあるというのは御指摘のとおりでございます。  ただ、具体的な日時はまだ、今直ちに申し上げられる段階でございませんけれども、そういうことで、今月中には確保したいということで、できるだけ早くやりたいと思っております。
  43. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 せっかく制度をつくったわけですから、実際にそれが準備のおくれでできなかったということのないようにしてほしいと思います。  それから、この対象になる船員さんの数はどのぐらいいるのかとか、あるいは具体的に、実際に公示以降投票する乗組員といいますか、その人たちが特段手続をしなければならない問題かどうか、この辺の確認をしておきたいと思います。
  44. 片木淳

    片木政府参考人 まず、洋上投票の対象となります船員数でございますが、約三万二千人になると見込んでおります。  それから、洋上投票における公示から投票までの具体的な手続でございますが、まず、船員の申し出を受けました船長が指定市町村の選管に請求をいたしまして、指定市町村の選管が投票送信用紙を船長に交付いたします。これが第一段階目でございます。  選挙期日公示後、指定船舶内で船長が、船員の請求に基づきまして、それぞれ船員に投票送信用紙を渡すというのが第二段階でございます。それから、船員がそこで投票送信用紙に投票の記載をいたしまして、ファクシミリ装置を船に積んでおりますので、これを用いて指定市町村の選管に送信するというのが次の段階でございます。  指定市町村の選管は、このファクシミリで送られましたものを受けます。候補者名等を記載された部分が、御指摘ありましたとおり、外部に見えないように覆いをいたしまして投票を受信するわけでございます。  次に、指定市町村の選管は、船員の選挙人名簿登録地の選管に覆いの設けられた投票をそのまま送ります。さらに、選挙人名簿登録地の選管は、これを受けまして、今度は、船員の属する投票区の投票管理者にやはり覆いを設けたまま送致をいたします。  投票管理者は、受理の決定後、他と混同した後、覆いを外して投票箱に投函するという手続になっております。
  45. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 ありがとうございました。  最後に一問だけ、介護保険制度が四月一日からスタートしたんですけれども、いわゆる寝たきりの御老人の方、この方々に郵便投票ができないかというふうなことが前から考えられているわけです。それは、寝たきりの方々の、それを具体的にきちっと示す尺度がないからなかなか難しいという話があったんですけれども、介護保険制度があって認定が五段階で行われるわけですから、例えば一番ハードな五段階目の人、認定度五ですか、この方々、あるいは四ぐらいまで含めていいかわかりませんけれども、これは社会的にきちんと決まった尺度で認定されたわけですから、そういう方々について、投票の機会を与えるために郵便投票制度ということを考えてもいいのではないか。特に在宅の方です。施設の方はその施設ごとにされる場合があるわけですけれども、在宅の方で、介護保険制度による認定が重度の人に対して何か考えられないのか、こういうことを要望したいのですけれども、この辺の検討は済んでおりますか。
  46. 片木淳

    片木政府参考人 介護保険の要介護認定の基準についてでございますが、御指摘ありましたとおり、要介護一から要介護五までの基準が定められておるわけでございますが、障害の程度により等級等が設けられております身体障害者認定基準とは異なりまして、今回のこの介護保険の基準につきましては、介護のために必要な時間数に応じた区分が設けられておるわけでございます。  選挙権行使に関しての寝たきりか否かの判定は、投票所へ出向くことが可能かどうかという観点のものでございます。また、郵便投票制度をめぐります過去の経緯もございまして、そういうことから、このような要介護認定の基準を直ちに活用するということは、時間数で定められておる関係がございまして、直ちには困難ではないかと考えておりますが、いずれにいたしましても、選挙権行使にかかわる重要な課題でもございまして、介護保険制度の施行の状況も見ながら、さらに幅広く検討を進めてまいりたいと考えております。
  47. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 終わります。ありがとうございました。
  48. 林幹雄

    ○林(幹)委員長代理 堀込征雄君。
  49. 堀込征雄

    ○堀込委員 私は、まず、この国会の冒頭に、混乱の中で定数削減法案が強行採決をされたわけであります。この問題について、最初に私どもの考え方を述べ、また与党に反省を求めたいと思うわけであります。  昨年の臨時国会末に、実は混乱の中で強行採決がこの委員会で行われたわけでありますが、結局、議長裁定で預かりになった。この国会では、冒頭処理ということで、総理初め、所信表明演説が行われる前に定数削減の結論を出すことに実はこだわって、現にそれが実行されたわけであります。今日こうしてこの委員会が開かれて、与野党のある種合意のもとにあすは一つの法案が、公職選挙法改正案が提案をされ、真摯な議論が行われようとしている。私は、定数削減法案のこの国会での処理を思うときに、やはり、なぜもっと粘り強くこの問題への対処ができなかったのか、まことに残念でなりませんし、また、与党側に反省を促したいと思うわけであります。  これは過去の例を見ましても、実は細川・河野会談でこの制度ができて、あるいはその会談でいろいろな制度が合意をされた。あるいはこの制度ができたときに、その後、選挙運動に関する細かいことについては、私も当時新進党でありましたが、ここにおります鹿野先生と党を代表して、たしか自民党は今の瓦防衛庁長官がおいでになって、両党の間で、比例のポスターを何枚にするとかビデオの回数はどうするとか、そういう話し合いが実は行われてきた経過があるわけでありまして、事公職選挙法、とりわけ選挙制度の問題につきましては、いろいろ議論はありましたけれども、大方与野党の合意がなされて今日の制度が形づくられてきたのではないか。  そういう意味で、この定数削減法案の経過を考えるときに、どうも与党三党のとった強行採決というのはまことに残念だというふうに言わざるを得ないわけであります。あれが選挙制度選挙運動にかかわることでは初めてのケースではなかったかということで、歴史に汚点を残したものだろうということを指摘しておきたいと思います。政権離脱の問題だとかいろいろあったようでありますけれども、与党側に、今後はこうした事態のないようにぜひ訴えておきたいと思います。  そこで、私どもは、この定数削減法案、もともと賛成であったわけであります。与党三党の実務者協議とかいろいろやってきたわけであります。幹事長会談もやりましたが、例えば、自民党さんは現行制度の維持を中心に考えている、公明党さんは中選挙区制を将来的には考えていくんだ、あるいは当時の自由党さんは小選挙区に近づけていくんだ、こういう実は主張があったわけでありまして、この委員会でも与党三党が出席して論議が行われたわけであります。  そこの論議の経過をたどってみますと、速記録を読ませていただきますと、要するに、公務員の定数削減が行われている、定数を減らすことを一生懸命やっている、あるいは地方議会の議員も減っている、あるいは民間もリストラをやっている、国会だけがひとり定数削減をやらないのは国民に理解が得られない、こういう議論が展開されておるわけであります。  しかし、私は、いかにもそれはもっともらしく見えるわけでありますけれども、基本的にこの国の将来の議会の姿をどうするのか、あるいは政党政治の姿をどうするかという将来的な姿、ビジョンについての議論が欠けているんではないかというふうに指摘せざるを得ないわけであります。  私どもは、そういう意味では、できればこの並立制を、将来日本の国の議会の姿は二大政党制にして、そのためには、仕組みとしては小選挙区にできるだけ近づけていくのが望ましいだろう、こういう考え方を持っておりました。したがって、単に公務員や地方議員や民間のリストラがあるから国会議員の数を減らすという安易な問題ではなくて、この国の統治の基本を、将来像をどうしていくのかという問題を絡めて議論されるべき問題ではなかったか、こういうふうに思うわけであります。私どもはそういう立場から、比例定数削減には賛成するけれども、将来どういう姿にしていくのか、この国の議会の姿をどうするのか、その点について与党の姿が見えない、それを明確にすべきだ、こういう主張をしてきたわけであります。  そういう経過をたどったわけでありますが、本当は、実は与党三党の皆さんにお聞きをしたいわけでありますが、そういう意味で、今、将来二大政党制にしながら、この国の仕組みを政権交代可能な民主主義に近づけていくのか、あるいは多少政権の不安定を覚悟しながらも、多様な民意を反映した多党制を考えていくのかというような問題を含めて、定数削減の経過それから将来について、自治大臣の見解がございましたら、伺っておきたいと思います。ちょっとマクロな話で恐縮ですが。
  50. 保利耕輔

    保利国務大臣 今もろもろの御指摘の点、伺わせていただきました。長いこと選挙制度の問題に取り組んでこられた堀込議員に対して、心から敬意を表したいと存じます。  この二十人削減についてはいろいろな議論があったと承知をいたしておりますけれども、とりわけ、最初五十人削減ということで話が出ておりまして、それを二十名削減というところで落ちつかせた経緯がございます。その際、昨年の十月の四日に自民党と自由党、公明・改革クラブの三党派で申し合わせが行われまして合意書が形成されまして、最後のところ、「政治行政改革」のところで「残余の三〇名の削減については小選挙区定数などを中心に対処することとし、平成十二年の国勢調査の結果により所要の法改正を行う。」と。こういう合意書が存在していることを私も承知をいたしております。  しかし、私の立場からは、そういうものが存在しているということを承知しているという答弁が精いっぱいでございまして、それから先どういうふうな方向づけで物事を考えていくのか、あるいは法改正を考えていくのかというのは、これは議会制度の根幹にかかわる問題でございますので、やはり各党各会派で十分に時間をかけて御議論をいただくべきものと思います。  自治省あるいは自治大臣としてこれがこうあるべきというふうに申し上げられる立場ではないことをひとつ御理解をいただきたいと思います。
  51. 堀込征雄

    ○堀込委員 今大臣からいみじくもございました。与党三党の合意では、本来、定数は五十削減するんだ、しかし、当面比例から二十削減する、残り三十はことしの、十二年の国勢調査の結果を見て判断しよう、こうなっているわけですね。  この考え方は実はよくわからないわけでありまして、国勢調査の結果を見て判断するんだから多分三百の小選挙区を二百七十にするのかなと思うと、どうもそうでもない。その前の、一年前に自自両党の合意というのがありました。あれははっきり比例定数から五十削減するとなっていた。では残る三十も比例から削減するかというと、どうもそうでもない。一体どちらの考え方なのか全然わからない。激変緩和で、そこで二十だ、こう言い出したわけですね。なおさらだんだんわからなくなるわけです、与党の考え方が。  今大臣から答弁ありましたが、そこで、こうした議論は当然政党間、政治家同士でやるのが基本だろうというふうに思うわけであります。しかし、日本の議会制度のあり方、あるいは衆議院がこの制度を立ち上げて、参議院の制度とどういうふうに二院制を分担しながらこの国の議会制度の仕組みをつくっていくのかというような問題もございます。それからさらには、小選挙区論があり、政党によっては中選挙区論があり、今の並立制でいいという議論もあるわけであります。  第八次選挙制度調査会ですか、たしか九〇年に答申をされて十年たったわけですね。あのときに、並立制や政治資金を初め、いろいろな会長報告が行われたわけであります。そういう意味で、十年たっていろいろな根本的な問題も出てきているだろうということで、大臣、いかがでしょうか。第九次の選挙制度調査会なども立ち上げて、政党側の議論と両々相まって新しい仕組みを考えていく、こういうような考え方はございませんか。
  52. 保利耕輔

    保利国務大臣 確かに、十年ほど前に八次の選挙制度審議会がございまして、小林会長を中心に大変精力的に御議論をいただいて、一つの御答申をいただいておるのであります。  しかし、現在当面しておりますいろいろな選挙制度の問題については、やはり国会がイニシアチブをとって物を決めていくというのが正しいのではないか、特に定数の問題、あるいは選挙制度のあり方そのものというようなことは、やはり国民の代表であります国会においての議論というのが第一義的に考えられるものだ、このように私は思います。引き続いて、各党各会派でこうした議論を大いに進めていただきたいと存じます。  現在、選挙制度審議会を、これは前回は総理の諮問機関ということで設定されておりますが、これをつくることについては、私どもの念頭にはございません。
  53. 堀込征雄

    ○堀込委員 そこで、一票の格差の是正の問題について議論をさせていただきたいと思いますが、去年の三月三十一日の住民基本台帳人口で、実は、衆議院小選挙区の最大格差、神奈川十四区、島根三区の差が二・四四六倍ということになったわけであります。それで、二倍を超える選挙区が実は八十三選挙区、三百のうち八十三選挙区に上っている、こういうことになっているわけであります。  この一票の格差、私どもは、避けて通れない、どうしても緊急に解決をしなきゃならぬ課題であり、私ども国会としての責務であろう、こういうふうに思っているわけであります。  選挙の都度、訴訟なども起きているわけでありますが、どうしてもことしの国調を踏まえて二倍以内に、これは政府を含めて私どもの責務としてやらなきゃならぬ、こういうふうに思っておりますが、まず政府の決意のほどを先に聞かせてください。
  54. 保利耕輔

    保利国務大臣 確かに、一票の格差というのは非常に重要な問題であるというふうに認識をいたしておりますし、また憲法上の規定もございます。  ただ、この問題については、御承知のように、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第三条一項で、最大人口格差が二倍にならないようにすることを基本とするという考え方が示されておるわけでございまして、この基本とするというところをどう考えていくかという問題になるのではないか、こういうふうな感じを持っております。  そこで、平成十二年の国調というのが行われますので、この大規模な国勢調査に基づいた結果に基づいてどう考えるかということを考えていくべきではないだろうか、このように私どもとしては考えておるわけでございます。  選挙制度でありますから、しょっちゅう選挙区が変わるとか、いじられるとかということは選挙民にとっても不便な点もございますし、ある程度慎重な対応というのが必要だと思いますし、さらにもう一つ、政治上の非常に重要な概念であります国土の均衡ある発展とか、そういうものをどう選挙制度の中に組み込んでいくかというような観点もございまして、非常に微妙なものだと思っております。  ただ、平成十二年に国調が行われますので、その結果というのはやはり重く受けとめなければならない事項である、このように考えております。
  55. 堀込征雄

    ○堀込委員 今の大臣の答弁で、審議会法にある二倍以内を基本とするというそのことと、私がひっかかったのは、国土の均衡ある発展というところでありまして、私は、そういうものを含めても、やはり二倍以内におさめるのが私どもの責務であり、これは限りなくやはり二倍以内にすべきだ、こういうふうに思うわけであります。  そこで、今議員一人当たり人口、先ほど申し上げましたように、神奈川県が四十八万九千六百六十八人、それから島根県が、議員一人当たり二十五万五千三百二十七人ですか、こうなっております。これは、中選挙区のときの平成二年、東京と島根の差、このときの格差が一・八倍ぐらいですから、それよりも格差が拡大をしている。  先ほど申し上げましたように、小選挙区間の格差が、神奈川十四区と島根三区、二・四四六倍、違憲状態と言われる事態になっているわけでありますが、平成二年の国調では、二倍を超える選挙区の数が二十八だったのですね、二十八選挙区。平成七年では六十選挙区で、去年の、十一年の住民基本台帳では、実に八十三選挙区が実は二倍を超える、こういうことになっているのです。  これをどうやって直すか。つまり、八十三選挙区をいじるとしたら、ほとんど三百選挙区をいじらないと、区割りをやり直さないと二倍以内におさまらないのじゃないか。そういう深刻な事態になっているんだという認識をお互いに持つ必要があるのではないか。  つまり、区割り審議会にこの法律どおり二倍以内に何とかおさめろといって丸投げしても、やはりそれはもうほとんど不可能な状態になっているのではないか。市町村をずたずたにするとか、どう分けてもいいという前提があれば別ですけれども、このまま区割り審議会に投げたらもうなかなかでき得ない仕事になっている現実があるのではないか、こう思いますが、その辺の認識はいかがですか。
  56. 片木淳

    片木政府参考人 現行法におきましては、御案内のとおり、衆議院の小選挙区の選挙区の改定に関しましては、御指摘のありました衆議院議員選挙区画定審議会が調査審議しまして内閣総理大臣に勧告するということになっておるわけでございます。  そういう第三者機関で調査審議して勧告するという現行法の流れの中でございますが、先ほど大臣から申し上げましたとおり、平成十二年の国勢調査の結果を受けて、この審議が始まるということでございます。  その国勢調査の結果が出ておらない、審議もまだ始まっていないということで、現在なかなか具体のお話を申し上げることは難しいのでございますけれども、先ほど大臣から申し上げましたとおり、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第三条第一項におきましては、今御指摘もあったとおりでございますが、最大人口格差が二倍以上とならないことを基本とし、とされておりまして、同調査に基づきます区割りの改定案の作成に当たりましても、審議会としましては、本条の規定に沿って区割りに関する調査審議を行うものと考えているというふうにお答えさせていただきたいと思います。
  57. 堀込征雄

    ○堀込委員 現行法があるからそういう答弁だろうと思うのです。ところが、私は、現行法では今度の格差は是正できないだろうということを申し上げているわけです。  まず第一に、今の法律は、まず各県に一割り振る。つまり、四十七都道府県に一議席割り当てて、残りの二百五十三を一億二千五百万なら五百万で割った数字で各県の選挙区数を決める、こういう法律になっているのですね。  したがって、つまり、一億二千五百万を分母にして、三百マイナス四十七、二百五十三ですか、これで割りますと、非常な矛盾が出てくるのです。  例えば、住民基本台帳、去年の数字でやりますと、北海道、山形、東京、大阪、大分、この五県は一つずつ選挙区を減らさなきゃならぬ、この数式でやると。単純に割ると。それから逆に、埼玉、千葉、神奈川、滋賀、沖縄、この五県は選挙区を一つずつふやさなきゃならぬ、こういうことが出てくるのです。  私は、やはりこの基数一を区割り審議会法を改正して変えないと、大変な矛盾が出てくるのではないか、訴訟が起こされて、もつだろうかと思うのです。  この数式でいけば、十年ごとの国勢調査に基づいて審議会はやるわけですから、例えば、北海道は今の十三選挙区から十二選挙区になる可能性が高いんですね、去年の住民基本台帳とそう変わらないとすれば。ところが、実際に一億二千五百万を一番公平に三百で割ると、北海道は十四選挙区にならなきゃいけない。  それから、もっとひどいのは東京ですね。東京は今二十五選挙区。現行法でやると、東京は二十五選挙区を二十四選挙区に減らさないと、実は数式は成り立ってこない。ところが、去年の住民基本台帳でやると、三百で単純に割ると、東京は何と二十八選挙区にしなきゃならぬ。逆にふやさなきゃいけないという事態が出てくるわけですね。大阪もそうなんです。  こういう矛盾が出てきているわけでありまして、やはり、各県に基数一を配分するというのは大変な矛盾が出て、ここで基数一配分を審議会法の改正に取り組んで廃止する、こういうことが必要ではないか。そうでなければ、十年ごとの国勢調査に基づいて、一票の格差を二倍以内にするんだという法律が成り立っていかないんだろう、こういうふうに思いますが、どうですか。
  58. 保利耕輔

    保利国務大臣 いろいろとお話はよく理解するところでございます。  ただ、政府の立場といたしましては、国会でおつくりをいただきました法律に基づいて、それを執行していくという立場でございますから、この法律そのものについてコメントをすることについては差し控えさせていただきたいのでありますけれども、一人均等配分方式ということを考えたときのいきさつその他もございます。これは国会でお決めをいただいたということでございますけれども、こういう問題こそ、やはり各党各会派におかれまして御論議をしていただいて、この問題をどうするか。そうしないと矛盾が出るよという御主張でございますので、大いにそういう御主張もなさっていただき、あるいはまた別の御主張も出てくるかと思いますが、国会内で御議論をいただくべき事項ではないかな、このように思っております。
  59. 堀込征雄

    ○堀込委員 ちょっと事務方にお聞きをしたいんですが、私が申し上げた、先ほどの、去年の住民基本台帳に基づくとこういう傾向が出ている、これは間違いございませんか。  例えば、東京の選挙区はこのままいくと減らさなきゃいけない、しかし、三百で割ると実は二十八選挙区必要なんだ、にもかかわらず、今の方式でいくと二十四選挙区に減らされる可能性がある、これは間違いございませんか。
  60. 片木淳

    片木政府参考人 昨年三月三十一日現在の住民基本台帳人口をもとにいたしました試算でございます。先生指摘のとおりでございます。  一人均等配分による場合、これは現行の方式でございますけれども、全体といたしまして、五増五減と試算されます。その中で、御指摘ありましたとおり、東京都は、現在二十五が二十四、一減でございます。北海道も、十三から十二に一減でございます。  これを、一人均等配分をやめまして、全部人口比例配分によるといたしました場合には、東京都は二十五から二十八に三増になります。また、北海道は十三から十四に一増になります。  その他、変動のある県が多数ございますが、先生がおっしゃった東京、北海道は、おっしゃったとおりでございます。
  61. 堀込征雄

    ○堀込委員 そういう実態になりつつあるわけですね。大阪も実はそうでございまして、今十九選挙区でございますが、本来、二十一選挙区にしなきゃいけないところを、今の方式でやると十八選挙区に減らされてしまう、こういう矛盾が実は出てくるわけであります。現行法で、十年に一度の国勢調査に基づいて審議会で議論をいただくことになるわけでありますが、そういう実態がある限り、やはり審議会に投げる前に、審議会に審議をお願いする前に、私ども国会でこの問題をどうするのかという結論を出しておく必要があるのではないか。選挙が近いようでありますが、選挙後、私どもはこの問題に大至急取り組んで、各党の合意を得ながら結論を出していく必要があるんだろう、こういうふうに思っています。  つまり、この問題は、八十三いじるとなると三百をほとんどいじらなきゃならない、場合によると自分の住んでいるところが隣の選挙区にいってしまうかもわからないという、十年に一度の実は節目の年を迎えているわけでありますから、政治家にとっても選挙民の皆さんにとっても大変重要な問題なんだろう、こういうふうに思いますし、ことしの国調に基づいて、二〇〇一年に審議会が答申をされる、二〇〇二年に例えばこの法案をつくって、審議会答申に基づいて作成するとなると、次の選挙の解散権の問題まで縛るような話になりますし、そういう意味では、早目にこの問題は処置をして、選挙民の皆さんにも理解をいただく、それから、選挙区が変わるかもしれない先生方にもきちんと対応をいただくというようなことを早目にやはり準備をしておく必要があるのではないか、このことを訴えておきたいと思います。  そこで最後に、投票時間の話をちょっと質問させていただきます。  投票時間が、今延長されて午後八時まで、こういうことになっておりますが、地方分権の推進を図るための関係法律の整備に関する法律で、市町村の選挙管理委員会がかなり裁量を持って投票所の開閉時刻の繰り上げまたは繰り下げができる、こういうことに実はなっておりまして、投票時間延長の趣旨だけではなしに、例えばある新聞では、徳之島なんかは三町全部一遍に投票時間を六時にしてしまったとかいうことがあるわけであります。  地方分権でありますから、ある種、自分たちの問題について地方で判断をいただくことはいいわけでありますが、国政選挙とかそういうものについて、地方選挙管理委員会判断というのは、やはり当然、制限、制約というものがあるんだろう、こういうふうに思っておりますが、この点についてはどういう考え方で地方選管を指導しているか、考え方を伺っておきたいと思います。
  62. 片木淳

    片木政府参考人 お話がありましたとおり、今回の地方分権一括法によりまして、投票所の開閉時間繰り上げ等につきまして、都道府県選挙管理委員会との協議制から届け出制に変わったところでございます。  しかし、要件といたしましては、公職選挙法第四十条第一項に定められておりまして、投票所開閉時刻の繰り上げ等は、市町村選挙管理委員会が、選挙人の投票の便宜のために必要があると認められる特別の事情がある場合または選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情がある場合にできるというふうにされておるところでございまして、この要件自体は今回の改正によっては変更はされておりませんので、各市町村選挙管理委員会におきましてはこの公職選挙法規定に基づきまして引き続き適正に取り扱いがなされるものと考えておりますし、そのように助言等を行ってまいりたいと考えております。
  63. 堀込征雄

    ○堀込委員 ありがとうございます。
  64. 林幹雄

    ○林(幹)委員長代理 次に、中桐伸五君。
  65. 中桐伸五

    ○中桐委員 民主党の中桐伸五でございます。  この委員会、非常に私、質問がなかなかやりにくいなというふうに直観しております。と申しますのは、実は各党の、選挙と、それから民主主義の結果としての政権の誕生というものをどういうふうに考えておるかということを、政府に対する質問ということではなくて、むしろ、いろいろ自由な角度から議論をするというふうな委員会にしてもらうと私の質問したいことが一番やりやすいのでございますけれども、まあ、従来どおりの委員会の形式なので、それに従って、ちょっと私非常に不満なところもございますが、質疑を進めていきたいというふうに思います。     〔林(幹)委員長代理退席赤城委員長代理着席〕  質問の項目については既に事前に出しておりますけれども、先ほど堀込委員の質疑の中で、大臣が、選挙制度審議会について当面は考えていないというふうな御答弁をされておりました。それは当面国会でやることではないかということでそういう御答弁をされておりましたけれども、選挙制度の改革をどういうふうにやっていくかということを議論する現状認識といいますか、一九九六年十月に小選挙区比例代表並立制の最初の選挙が行われて、一回しか行われていない、そういう中で、この選挙制度をどういうふうに評価するかということを前提にしなければ選挙制度審議会をつくるかどうかということも結論が出ないだろうと私は思います。  そこで、少し私の考え方を大臣初めこの委員会の皆さんに御提示を申し上げて、今後の参考にしていただければと思います。質問でやるということではなくて、とりあえず前提はそういう形で進めたいというふうに思います。  一九九六年十月に総選挙が行われて以降、最初の橋本政権、これは選挙によって誕生した政権というふうにとらえることができると思うんですが、その後、参議院選挙を経て、小渕自民党政権になり、その次に自自連立政権になり、自自公政権になり、現在の新しい自公保という政権になって今日に至っているわけであります。今、私、この政権が国民の民意をどの程度反映したものとして誕生しているのか、そしてその政権の運営をしているのか、このことは民主主義の基本として大変重要だと思うのです。これだけ政権が、いわば選挙というものを経ないで変わってくるということ自体、やはり私は大変重大な問題だろうというふうに思っております。  特に、現状を認識しますと、冷戦構造が崩壊をして以降は、それまでのいわゆるイデオロギーを中心とする、あるいは世界観の違いを根本に置くいわば国会対立、政権をめぐる応対、そういったものから大きく変化があったというふうに思うわけですね。そこの中でいわゆる小選挙制度を導入するということは、いわば対立する相手の政党を絶対に容認しないという、世界観の違いをもとにする対決構造から、いわば切磋琢磨をする政党政治というものを想定し、しかも小選挙制度を重視するということになっていけば、当然一位の政党と二位の政党の選択を、有権者が、世界観のレベルではなくて、今日本の直面している、我が国の直面している政策を実行するに当たってどちらの政党の政権を選ぶかという、一位と二位の政党の選択をえいやっと二者択一でするという選挙制度を選んだんだというふうに私は考えているわけであります。それは、小選挙区を三百にし、比例代表議席を二百にしたというところにそういう意図が表現されたと私は考えているわけであります。  しかし、その議席数の案分が妥当なものかどうかということになってくると、今後の選挙制度の将来展望ということからいえば十分これは議論をしなければいけない問題だろうと思っているわけですね。  そこで、堀込委員質問をしておりました、前回の国会から今回の国会に至る過程での比例代表議席部分をどう扱うか。五十削減から最終的には二十削減というところに落ちついたわけでありますけれども、その議論というのが十分なされないままに処理をされたということについては、私も堀込委員と同様、非常に残念であるというふうに思っているわけです。  といいますのは、先ほどから言っておりますように、政権を選択する選挙を導入するというスタートを一九九六年十月から切ったわけですね、我が国の選挙制度というものの改革を通して。その背景というのが、イデオロギー的な対立から、二者択一を有権者の民意として反映をさせていただくという制度に変える。  そのさらに重要な根拠として、私は、今我が国が直面している経済のグローバリゼーションというものが一方であって、政策の決定に対して非常に迅速性が要求される、しかもその政策をとったことに対する責任の所在も明確にしなければいけない、そういう時代に入っていると思います。特に金融問題なんかはその典型でございまして、明らかに、この間のスピードを持った政策決定というのが、非常に重要なものとしてもう身近に私どもは体験したと思いますけれども、そういう問題があります。それから、地方分権初め日本の国の形の構造改革をやらなきゃいけない、産業構造の改革も進めていかなきゃいけない、そういった問題がもうメジロ押しで、いわば政治、経済、社会の構造改革というものに直面している。  そういうことから考えまして、選挙制度を考えるときに、キーワードは、選挙で安定した政権をどう生み出せるんだろうかということであります。民意を反映した形で安定した政権をどう生み出せるんだろうかということが一つの重要なキーワードではないかというふうに私は思っているわけです。それが同時に、国民の政治不信を解消していくことにつながっていくだろうと私は思っているわけであります。  そういう意味で考えてみますと、この今の選挙制度、一九九六年十月の選挙を経て、この間の政権の交代をしてきた、政権というかいわゆる枠組みが変わってきた、これに対する説明責任をどれだけ果たされたのかということを考えてみましても、与党にしろ野党にしろまだ大混乱している状況が続いていると見なければいけない。一九九六年十月に小選挙区シフトに変わった選挙制度を十分活用できる状況にまだ我が政党政治はなっていない、そのように私は認識をしているわけであります。  そういうことから考えまして、この間の国民世論が連立政権に対して非常に厳しい評価をしていることは、大臣も御承知のことだと思います。連立政権に対する評価はノーという意見が非常に高いですね。五〇%台か六〇%台か、それは幾分の差はありますけれども、非常に高い。これはやはり、私は、選挙で安定政権をつくるという、民意の反映をした政権をもって責任を持った政治をしてもらいたいという意思のあらわれだと思っているわけです。  確かに、議院内閣制で国会に安定した政権をつくって運営をするということ、多数決でもって政策を遂行していくということは非常に重要なことですので、そのこと自体を生み出すための選挙でなければいけないと私は思うわけであります。ところが、それができていないというのが今の現状でありまして、ここに、国民の不信が見事に表現されているということではないかと思うのです。  そこで、私が今考えているのは、選挙をどのように行うかということ、次の解散・総選挙をどういうソフトウエアで行うかということが、政党に課せられた極めて重大な課題だろうというふうに思っております。  選挙制度そのものは、先ほど堀込委員もおっしゃっていましたけれども、私個人の考えも、まず、五十の比例議席をさらに少なくして小選挙区シフトにさらに変えていくことが、選挙で安定政権を生み出す、それが今日本が国際、国内の歴史的現時点において問われている課題を解決するために必要なことなんだというふうに認識をしております。  その点においての議論がこの間十分に政党間で行われてこなかったことが、私は、次の解散・総選挙でまた制度を十分に活用できない弊害のもとになるのではないかと非常に心配をしているわけであります。  しかし、それは、これからの選挙に向かって、ぜひ、小選挙区の活用の仕方というものを、本来の制度導入の意図に沿った選挙戦というものを各政党は大いに展開する必要があるというふうに、私は各政党に望んでおきたいと思うのです。  その際、非常に重要になってくるのは、首相候補を選挙戦の前に明示して、そしてその首相候補だけではなくて、当然、政権政策というものを明示して選挙戦を行うべきだ。当然、一位と二位の政党を中心として選択が問われるだろうと思いますけれども、しかし、それは、各政党が首相候補を擁立して戦わざるを得ないという、それは、二人に収れんされないで、さらに三人以上の首相候補の間で戦われるということも当然あるんでしょう。そういうことで、最終的には一位と二位の首相候補の間で選択が問われる。そのときに、単なる人気投票ではなくて、きちんと四年間の政策を明示して、その違いを示しながら選挙戦を行うということが、まず、私は、意識的に各政党で取り組まれなければならないんではないかというふうに考えているわけであります。  これは、結果として一位と二位の政党の党首が首相になるんだという、結果としての解釈ではなくて、より積極的に、党首でなくても、首相候補というのは当然別の候補者を立てることもあるわけです。  例えば、最近でいえば、ドイツのシュレーダーという現在の首相は、そのとき党首ではなかったわけでありますし、ドイツは、一九六一年、初めて首相候補に名乗りを上げて選挙をしたブラントという、新しい首相ができましたけれども、そのときに初めて社会民主党は首相候補を名乗って、明示をして選挙戦を戦ったということを、私は歴史的な話として聞いております。  そういう形の、つまり党首であるかどうかというのは、これまでの各国の経験からいっても、首相候補は必ずしも党首であるということではない。そういう意味で、党首が必ず首相候補として最終的にはなるんだという解釈ではなく、もっと積極的に、次の首相、内閣のリーダー、政権のリーダーはこの候補でいくんだ、そしてその四年間の任期中の政権政策はこれこれなんだということを示して、有権者に選択を求める。そういう選挙をすることはすぐできるわけでありますから、首相公選制という制度を導入しなくても、それは政党がそういう選挙目的意識的に追求しさえすればいいということとして私は理解をしておるし、そういう形で政権の明示をしっかりと打ち出すことが、今の連立政権に対する国民の批判の声に対して、政治不信に対してこたえることになるというふうに考えているわけです。  そういう意味で、公職選挙法上、政党が首相候補者を明示して選挙運動を行うことができるかどうか、その点についてまずお伺いをしたいと思います。
  66. 保利耕輔

    保利国務大臣 細部の点については選挙部長からお答えをさせたいと思いますが、今いろいろお話を承っておりまして、大変いろいろ考えていらっしゃるということで、私も感銘深く話を伺わせていただきました。  いろいろお話があったんでありますけれども、小選挙制度というのは、私どもも学生時代にいろいろ勉強をさせていただいたときに、やはり一つの模範は、イギリスの保守党、労働党によります二大政党対立、その図式によって政権交代が常に行われ、それによって政治に緊張感が与えられるというようなことを教えられておりまして、こういう制度もあるのかなというふうに思っていたことがございます。  そのいいところをとろうとしたのが現在の小選挙区制であろうかと思うわけでありますが、それともう一つは、比例代表を加味することによって少数意見も反映させていこう、それを融合させた形ということになって、一つの考え方かな、私はそう思っておるわけであります。  今いろいろ御指摘がございました中で、私は、この二大政党対立という形の場合のいわゆる対立軸というのがどういうものであろうかというのは、今、冷戦終結後のこの日本の社会あるいは世界を見てみましても、対立軸というのが見えにくくなっている。源氏か平家かという形のはっきりした対立というのが、この政治の世界の中には出てきにくくなっているような状態にあるように思うわけであります。  国民から見れば、どの政党もそう変わりはないじゃないのというような気持ちがおありではなかろうかと、私は勝手にそう推察をいたしておるわけでございますが、そのように対立軸が見えにくいという中にあって、政治形態を一体どういうふうにするのか、それをつくり上げていく選挙制度はどうあるべきかというのは、これは今の現代政治学に与えられた最大の課題の一つではないかという認識を私自身は持っておるわけであります。  それからもう一つ、日本の政治制度の中で考えなければならないのは、二院制をとっているということでありまして、仮に、次の選挙で民主党が過半数を制することによって衆議院で民主党の党首が首相に指名をされたといたしましても、すぐそのまま参議院でそういう状態になるかというと、今の状況からいうとなりにくい。やはり連立を組まないと動きがとれないという形になりますので、現実の問題としてやはり連立という問題は出てくるのではないか。それが国民に対して評判がいい、悪いは別といたしまして、政治の運営ということを考えると、やはり連立というのも現実的な問題ではなかろうかなという感じがいたしております。  なお、もう一つの政治上の非常に大事な要素として、議会制民主主義をとっておりますし、それから議院内閣制をとっておりますので、国会において首相が指名をされるという形がずっと定着をしておりますし、それは憲法上の規定でもあるわけでありますが、そうなってみますと、やはり国会において多数派を占めるところの党首が、通常、首相として指名をされるというのが実態であろうかと思います。  そういう意味で、首相候補を掲げて選挙をやるということがいいかどうかという御質問もございましたが、これは、公職選挙法で認められている選挙運動手段において、政党が政権をとった場合に首相となるべき候補者を明示して選挙運動を行うことは差し支えないものと私どもは解釈をいたしておりまして、これが直接のお答えになるわけであります。  実際、慣例上としては、過般の首相指名選挙をもって見ましてもおわかりのように、各政党の党首が皆それぞれ指名をされているという形でございますので、事実上同じことになるのではないかな、こんなふうに考えておるわけでございます。  少々答弁が長くなって申しわけございませんでしたが、私の所見を交えてお答えをさせていただきました。
  67. 中桐伸五

    ○中桐委員 どうもありがとうございます。なかなか内容に入り込んだ答弁をいただきまして、ありがとうございます。  実は、先ほど大臣お答えいただきましたように、対立軸をどうするかという問題は政党に課された非常に重要な課題、まさに私もそのとおりだというふうに肝に銘じなきゃいけない。しかし、政党はプロフェッショナル集団でありますから、そこはやはりその時代時代に合った対立軸を鮮明にするという努力をしなければこれからの政治は対応していけないだろうというふうに、大臣の答弁を受けた上でお互いに確認をしたいというふうにも思っているわけです。  連立政権というものが当面、現実的な姿になっていく一定の過渡期にあるのではないかというふうに私も思っております。その点については、できる限り選挙の前に連立のテーブルというものをつくっていくのが一番望ましい。しかし、それができない場合も当然あるでしょう。その場合には、例えば、私どもは民主党の中に政権運営委員会というものをつくって、ドイツとイギリスの政権の運営をどのようにやっているかを調べに行ったことがございますが、その中で、特にイギリスは、先ほどお話にもありました小選挙区中心ですので、一挙に安定政権ができる仕組みを採用しております。  ドイツは比例部分を非常に重視をしておりますので、連立政権というものが現実的に生まれやすい選挙制度になっております。しかし、そのドイツでは、やはり単独政権が誕生できないということになりました選挙の結果を受けてすぐ、一カ月間ぐらい政党間の政権協議を行って、大体一冊の本になるような政権政策集がつくられます。その間一カ月政治空白ができるじゃないかということも問題になろうかと思います。  しかし、今の日本の連立政権のつくり方はやはり非常に問題があると私は思いますね。自自連立の政権のときには、たしかA4二枚の紙で何か一致したというふうなことだったと私は記憶しておりますが、その辺に比べると、ドイツは一冊の政権集ができる。それでもいろいろな問題が起こると思いますよ、連立政権で全部一致できて運営されるわけではないから。しかし、少なくとも四年間何をやらなければいけないかということを想定した政権協議というのはしっかりやらなければいけないと思いますね。そういう政党政治が成熟した政党があって連立政権というものが機能するのだろうと思うのです。  日本の場合は、この間の政治改革を経てようやくいろいろな仕組みが政党政治を中心にするシフトに変わってまいりましたよね。今はそれの過渡期だから、いろいろな問題が起こると思います。しかし、そのやり方をもう少し意識的にやらないと、連立政権になるだろうという——議院内閣制なのだから、選ばれた代表が首相あるいは政権をつくるというのは、それはもう仕方がないのだというふうにして運営していたのでは、私は、やはり国民の不信はなくならないというふうに思いますので、その点については、各党首が首相候補になるのだというふうな消極的なものじゃなくて、積極的に、こういう政権でいくのだ、その政策はこれなのだと、選挙戦に至るプロセスをそういうふうに組み立てていくべきではないかと思うのです。  そう考えたときに、今、アメリカでもヨーロッパでもイギリスでも、テレビが非常に有効に活用されております。これは、対立軸が非常にわかりにくいという時代であるがゆえに、わかりやすく対立軸を訴えるという一つのメディアとしてテレビを大いに活用しているということなのですが、政党が首相候補者を明示してテレビにおいて選挙運動を行うということを考えた場合、今の日本の公選法上どういう可能性があるか、その点についてお伺いしたいと思います。
  68. 片木淳

    片木政府参考人 公選法上、政党が首相候補者を明示してテレビにおいて選挙運動を行うことでございますが、政見放送におきましては、例えば、政党が政権についた場合に所属候補者のうちいずれか一人を首相候補と明示して政見等を訴えることについて規制する規定はございません。
  69. 中桐伸五

    ○中桐委員 ということは、首相候補を明示してやってはいけないという規定はないということですから、そういう可能性というのは十分ある、やっていけるというふうに理解をしたいと思います。  さて、そのときに、さらに進んで、各選挙区の候補者同士がディベートをするというよりも前に、政党政治を重視するということで、その政党のリーダー、つまり、次の政権のリーダー、その政党が擁立するリーダーと政策、ここにまず焦点を当てた議論なり場を選挙戦において優先的に設定するというのがいいのではないかと私は思っております。各選挙区でもそういうことをやってもいいと思います。  私は、まず首相候補というものが明示されて、あるいは、その党が首相候補というふうに明示をしないならその党首でもいいですよ、そのリーダーとテレビを通じて議論をする、選挙戦の前あるいは公示後にそういう場をどんどんつくっていくのがいいと思いますが、その点については公選法上どのような可能性があるでしょうか。
  70. 片木淳

    片木政府参考人 お答えいたします。  まず、先ほど申し上げました公職選挙法上の政見放送でございますが、これは政党あるいは候補者ごとに放送時間が定められているところでございまして、幾つかの政党の首相候補者がディベートする、議論するという方法はとれないものでございます。  ただ、政党がテレビを利用して選挙運動にわたらない政治活動を行うことは自由でございまして、政党の首相候補者同士がテレビ番組の中で選挙運動に当たらない内容をもって議論を行われますことは可能でございます。
  71. 中桐伸五

    ○中桐委員 時間が参りましたので、ここで終わりますが、ぜひ安定した政権を選挙でつくるという、今大変与党も悩んでおられる問題だと思いますし、二院制の問題もあります。いろいろな問題ありますが、少なくとも、例えば二院制だったら同時選挙ということを考える方法をとっている国もあります。  したがって、いわば政権を安定させて、しかも民意の反映をきちんと維持する、説明責任も十分果たしていく、そういう目的意識性を持った選挙制度というものの議論と、そしてそれを活用するソフトウエア、ハードウエアとソフトウエアの両方が両立しないと、私は今の国民の政治不信に対する答えを十分出していくことはできないと思いますので、選挙戦を近くに控えて、ぜひ先ほどの議論も各党生かしていただくことをお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  72. 赤城徳彦

    赤城委員長代理 この際、休憩いたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時三十七分開議
  73. 桜井新

    桜井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島聡君。     〔委員長退席鈴木(宗)委員長代理着席
  74. 島聡

    ○島委員 民主党の島聡でございます。  本日十三日は、韓国で総選挙が今開かれているところでございます。この韓国選挙、随分たくさんの方が出ていらっしゃるわけでありますが、千三十八人が出ていらっしゃるそうであります。恐らく非常に大変な選挙戦が展開されていると思いますが、その千三十八人中四百七十人がインターネットホームページを開いておりまして、サイバー選挙が到来したというふうに今言われている状況でございます。  本日の質問は、このインターネット選挙にどう使っていくかということについての質問でございます。     〔鈴木(宗)委員長代理退席、林(幹)委員長代理着席〕  たびたび、私、これを質問しますと、それは各政党間、各会派間で御議論をいただいてというような意見になります。この政党各会派というものになった端緒は、平成八年のときに新党さきがけに対して自治省行政局選挙選挙課名で出した、いわゆるインターネットホームページというのは文書図画に当たる、公職選挙法文書図画に当たるというところから、インターネットホームページ公職選挙法上はなかなか使いづらくなってきているということにあると思います。  私は、きょうは、いわゆる、行政局選挙選挙課が平成八年十月二十八日、当時の新党さきがけ政策調査会長に出したその解釈が、どうも時代に合わなくなってきているんじゃないかという観点から御質問を申し上げます。極めて技術的なこともあると思いましたので、かなり詳細に事前通告を出しておりますので、大臣と議論をさせていただきたいと思っておる次第であります。  解釈の問題ですので、まず、法律の解釈とかそういうことに対して大臣はどうお考えかということをお聞きしたいと思います。といいますのは、例えば、解釈も時代の変化に応じて自由にやり直すべきかどうか、政治家として、大臣としてどう考えるかということであります。  例えば、アメリカ合衆国憲法というのがあります。アメリカ合衆国憲法修正一条から十条。アメリカ合衆国憲法は、御存じだと思いますけれども、例えば大統領順位継承権もアメリカ合衆国憲法で決まっております。そのように、日本の憲法よりもかなり具体的なことが書かれた憲法でありますが、その修正一条から十条。これは一七九一年にできたものでありますが、それが人民の基本的権利を定めたものでした。ところが、一七九一年当時は黒人に白人と同じ権利というものはなかったのです。ところが、時代が流れて、それではおかしいだろう、特に憲法改正というものを行わないで、権利を白人以外にも及ぶようにした、いい方向なら解釈を拡大していった方がいいだろう、そういう考えで。これは私は賛成するわけですが、まず大臣、これについてどう思われますか。
  75. 保利耕輔

    保利国務大臣 今お尋ねのお話は、アメリカの憲法の解釈論の御質問と私は承りますが……(島委員「法律解釈」と呼ぶ)解釈そのものというのは、やはりその法律ができたときの原点に立ち返って、なぜこの法律ができたのかということで、解釈のもとの意味といいますか、第一義を決めていくのが、これは個人の考えですが、趣旨ではないかなと私は思います。
  76. 島聡

    ○島委員 おっしゃるとおりだと思います。もちろん、このアメリカ憲法も基本的人権を守れという意味ですから、それはその方向の解釈ならいいだろうという話だと思います。  文書図画の問題について、公職選挙法百四十二条が文書図画を制限しているのは、不当の競争を招くのではないかということでつくられたものだと思いますが、この文書図画が不当の競争を招く、どんな点が不当の競争を招くというふうに原点ではもともと考えられたというふうに大臣はお思いですか。
  77. 保利耕輔

    保利国務大臣 選挙運動におきまして、文書あるいは図画をどんどん配布していくということになりますと、その配布能力あるいは製造能力を持った者が勝つ、いわゆる紙爆弾とよく世上言われておりますが、そういうものが余り横行してはならぬ、そういう趣旨で、所定のものは許されるわけでございますが、それ以上のものを量産的にどんどんつくられるということについては一定の制限を課すべきだ、こういうふうな考え方でつくられたものと考えます。
  78. 島聡

    ○島委員 いわゆる経済的な問題も含めてということだと解釈してよろしいですね。
  79. 保利耕輔

    保利国務大臣 遠回しに言えばそういうことになるのかもしれませんが、どんどん紙をつくれる者が当選に結びついていくということが果たしていいのだろうかということから、一定の制限を設けられたものと考えます。
  80. 島聡

    ○島委員 今はその前提ですので、今のお話を承った上で、まず事実確認を申し上げます。  電話による選挙運動というのは、現在は法律上制限されていないので自由である、それでよろしいですね。
  81. 保利耕輔

    保利国務大臣 現実の選挙においても、電話作戦というのは随分行われておりますし、また、それは法律上も許されることだと承知しております。
  82. 島聡

    ○島委員 電話による選挙運動は法律上制限されておりません。今大臣おっしゃったとおりで、自由であります。候補者、総括主宰者等重要な地位を占める人たちが計画的に電話による選挙運動を指令した場合には、その費用をきちんと選挙費用として出せばそれで合法であるという話になります。  委員長に事前に御了解を得ておりますが、これは電話であります。この電話でありますが、これはiモードといいまして、ここに画面がありまして、この画面でメールのやりとりを皆さんがします。ここには「あいうえお」と書いてあって、若い方は二本指でぽんぽんぽんと打って、これで電話をしています。メールと電話、これがほとんど一致して使っておられます。ということは、普通の感覚でいけば、これはメールと電話という区別がつかないわけでありますから、これにおけるメールの選挙運動は自由と考えてよろしいですね。
  83. 保利耕輔

    保利国務大臣 随分世の中が進歩したものだなと思います。携帯電話というのは、私が子供の時代は夢のものでありましたけれども、現実のものとなって、今や普通の電話よりも多くなってきた、そういう社会情勢があるということは私もよく認識をいたしております。  ただ、選挙法の問題からいいますと、ディスプレーにあらわれましたものを利用して選挙運動をやるということになりますと、これは文書図画の類に入るというふうに私どもは思っております。
  84. 島聡

    ○島委員 文書図画に入ると私どもは思っていますと。これを見て、本当にまるっきり話すつもりで、とんとんとんと皆さんやられるのですよ。それが文書図画とは私には思えないのです。例えば、今、保利大臣頑張ってくださいというふうに打ってぱっと出る、それがどうして文書図画になるのですか。
  85. 保利耕輔

    保利国務大臣 文字や象形にあらわれたものは文書である、そういう解釈であります。
  86. 島聡

    ○島委員 そういう解釈でありますと。それは、今も申し上げたように、そういう解釈を平成八年にはしたのですよ。そのころ選挙課がそういう文書を出したのだけれども、それを、過ちであった、けしからぬと言うつもりはないのです。つまり、わからなかった、そのころは。今保利大臣おっしゃったように、そこまで発展すると思わなかったのですよ。  それで、アメリカの商務省が出したデジタルエコノミー2というのがありました。五年前に私たちが予測した一番楽観的なものを超えて、質的にもこのデジタルエコノミーの社会は発展している。これはアメリカ商務省だからエコノミー。同じようにデジタル社会というのは発展しているのです。若い人はこれを本当に電話と同じように使っている。これを、文書図画と解釈します、私どもはしていますというのは、どう見ても私は納得できないし、しないと思います。  政治家同士の議論というのはそこだと思います。官僚は、そういうこともあって、平成八年にそういうことも議論した、そういうふうに書いた。だけれども、それはきちんと見て、そしてその上で、おかしかったらちょっと解釈をし直せということを指示するのが政治家たる者の使命であると私は思います。  もう少し、こんなに矛盾があるということをどんどんお聞きいたします。  ホームページというのは、御存じのように、インターネットで見ます。実は、これでもインターネットホームページを見られます。見られるわけでありますが、そのホームページ文書図画——文書図画というのは、例えば封書、はがき、スライド、映画、ネオンサイン、アドバルーン等ということで、スライド、映画、ネオンサインと同じようにホームページを当時は思っていた。違うのですよ、これは。  さらに、ちょっとここをお聞きします。矛盾というのでお聞きしますが、テープレコーダーのテープに政見を吹き込んでこれを頒布しても文書図画頒布したことにならないとあります。今のインターネットホームページは、御存じのように、音声が出ます。だから、私のホームページを真っ黒にして、象形を何も出さずに音だけで、島聡はこういう政策を持っています、頑張ります、よろしくお願いしますと言ったら、これはテープレコーダーとどう違うんですか。
  87. 保利耕輔

    保利国務大臣 人の視覚に訴えるものを文書図画としてとらえておりまして、したがって、御指摘のような音声を録音したテープレコーダーのテープは、これは文書図画には該当しない。  しかし、一方で、御指摘のような音声によるホームページにつきましては、あわせて文字等による記載あるいは人の視覚に訴えかける部分もあるのであれば、公職選挙法上、文書図画と解されるものであります。このようなホームページ選挙運動のために利用することはできないということでございまして、場合によっては文字があらわれるかもしれないというおそれがあるところは、慎重にお構えになった方がよろしいのではないかと思います。
  88. 島聡

    ○島委員 これはぜひインターネットで流している人に聞いてもらいたいんですけれども、要するに、真っ暗にしておいて音だけ出せば大丈夫。これはどう考えてもやはり矛盾していますよ、いろいろな意味で。矛盾していたら——私はこれを矛盾しているからけしからぬと言っているんじゃない、何度も言います。当時は確かにインターネットホームページというと紙芝居と思ったかもしれないです、それは。だけれども、これだったらできる、今のようにどんどん変わってきているんですから。繰り返しますが、ぜひもう一度検討し直していただきたいというふうに思います。  これはちょっとここで切りまして、次の話をします。また同じことを言います。  インターネットホームページにチャットというのがあるのを御存じですか。
  89. 保利耕輔

    保利国務大臣 チャットという言葉は、私も余り詳しくはないんですが、パソコン用語辞典なんかから調べてみると、「パソコン通信サービス上でリアルタイムにメッセージをやり取りし、おしゃべりすること。一対一のもの、多人数でできるものなどがある。手元のキーボードから打ち込んだ文字が相手のディスプレイに表示され、相手のキーボード操作が手元に表示される。次々にメッセージを送り合うことで会話を行う。同時に同じホスト・コンピューターに接続しているパソコン間で行うのが一般的だが、LANなどネットワーク内のパソコン同士を結んでもできる。最近では、インターネット上においてもブラウザーの機能をアップするプラグインというソフトが実現している。」というのがチャットの解釈なのでありまして、実は私も、申しわけない、これは余り詳しく存じておりませんでした。
  90. 島聡

    ○島委員 結構です。  ぜひ一度使っていただくといいんですが、チャットというのは本当にリアルタイムでぽんぽんと、今最初に電話のメールの話をしたと同じように、今の若い人、私も若い方だと思っていますが、ほとんど、自分でリアルタイムに打ち込んで、そこで会話をするんです。会話をして、例えばそこで政策論争もできるんです、具体的に言いますと。政策論争ができて、もちろんそこに文字、形象、あらわれます。インターネットで、公職選挙法はどうかということ等そうやって議論をします。議論をして、それに対してまたすぐ答えます。これが今何度もおっしゃっておられる文字、形象にあらわれたるもの。会話と文字、形象にあらわれたるもの、これは会話なんですね。  例えば、具体的に言うと、どこかのミニ集会で私が話をしているかわりに、そういうインターネットを使ってミニ集会をやっているわけです、そこで。民主主義の最たるものでありますね。たまたまそこにおれない人までやれるわけですよ。それもやはり文字にあらわれるから文書図画なんですか。
  91. 保利耕輔

    保利国務大臣 大変恐縮ですが、多少年代の差を感じる。  私どもの解釈からいきますと、そういうディスプレーの上に文字あるいは象形があらわれれば、それは文書図画であるというふうに判断をいたしております。
  92. 島聡

    ○島委員 このやりとりにつきましては、それこそ私の方できょうじゅうに私の知り合いのインターネットの仲間に流しますので、どういう反応があるかをお届けしますので楽しみにしていただきたいんですが、明らかにそういうことだと思います。  もう一つ。当然、今申し上げたことは、全部、解釈というものが時代おくれになっている。それを責めているわけじゃありません。四年前というのはそういう解釈でも仕方がなかったかもしれないと思います。だけれども、もう進んでいるわけですから、その解釈を変更すべきだということを政治家として御指示いただきたいということで質問をしております。  同じように、今度は、先ほども別の議員がお話をしておられました在外選挙の問題についてもこの問題が、これを大臣が英断されると在外選挙も随分便利になるんじゃないかということから質問を申し上げます。  在外選挙が五月一日から可能になる。私が聞き及ぶところによりますと、政党からの例えば選挙活動は自由だけれども、日本にいれば普通わかるような選挙公報等は送らないと聞いております。それは事実ですか。
  93. 保利耕輔

    保利国務大臣 御承知のように、衆議院選挙の運動期間は十二日間であります。  選挙公報は、届け出の日に、集まった原稿を取りまとめて、そして印刷にかけるという、それでしかも順序とかいろいろな難しい手だてを講じながらやっていくわけでございまして、少し時間がかかるのは御承知のとおりであります。  そういうことから考え、さらにまた海外で投票を行われる方は実際の投票日の五日前には投票をしなければならないというようなことから、両方から攻めてまいりますと、いわゆる選挙公報というのを出すのは難しいというよりも、物理的にできないという状況と判断しております。
  94. 島聡

    ○島委員 それでは、海外の投票される方は、どういう基準、あるいはどういうことを考えて自分の一票を行使される、つまり情報の格差というのが圧倒的にあると思うんですが、それについてはどう思われますか。
  95. 保利耕輔

    保利国務大臣 海外方々の投票は、今回の場合、比例代表の、政党に対する選挙の投票だけでございます。  それにつきましては、NHKの国際放送でありますとか、あるいは新聞等を通じて、どの党が立候補の届け出をしたか、これは比例の届け出でございますが、それを知るという形で、海外の方に知っていただくということが一つ。  それから、公示日以降速やかにというのは公示の日でございますが、届け出の政党名称などを一覧表にしまして、その一覧表を在外公館にファクス送信を行うことなどによりまして、在外公館から一覧表で閲覧ができるような状態にするということで、今外務省とも協議を行っているところであります。
  96. 島聡

    ○島委員 今、五日前に投票をしなくてはいけないから不可能だとかいろいろおっしゃいましたね。十二日間で、五日前ということですね。  それは送ったりするから大変なのでありまして、これもインターネットホームページを使えばあっという間にそれは見られるわけですよ。特に海外におられる方、全員がホームページを持っておられるかどうか、インターネットにアクセスできる環境かどうかということはわかりませんが、例えば中国でも今インターネットカフェというのがかなりはやっています。盛んです。あるいは、在外公館あちこちにあれば、端末があれば、そこに行けばできます。  そうすれば、五日前ですから不可能ですと、これは本当に、さっき年代の差を感じるとおっしゃいましたが、先ほど申し上げたように、きょうの私の議論は、これが終わった瞬間に、私の秘書がすぐに、こういう議論がありましたとぱっと瞬時に出しますから、恐らく二十分以内には全部広がるはずであります。五日前ですからだめですと。今、御存じのように、ドッグイヤーと言われて、IT革命の世界においては、犬が年をとるように、一年が七年と言われていますけれども、五日もあればという感じが私の感覚ではあります、逆に言えば。  具体的に申し上げますが、これは政党選挙ですよね。政党選挙で、それをテレビで見るとか、それからいろいろな新聞で見るだけだったら限られております。在外選挙が初めて行われるわけで、そこにおいて、一体どういう政党がどういう政策を持っていて、そしてそれをどうするかということに関してやるならば、インターネットがきちんと使える、インターネットホームページ文書図画じゃない、つまり、法律において規定されていたものじゃなかったということだけの解釈をすれば、非常に在外選挙選挙人に情報を与えることができて選挙人の優位性を高めると思うんですが、どうですか。
  97. 保利耕輔

    保利国務大臣 選挙公報は所轄の選挙管理委員会が中心になってつくるものでありますから、いわば公的な文書でありまして、個人候補者がやります文書とはちょっと違うだろうと思います。そこは分けて考えなきゃいけないのだろうと思います。  ただ、インターネット選挙公報をつくるという作業そのものが今すぐできるかといいますと、枠のはめ方とかあるいは政党の順序でありますとか結構いろいろな要素がございまして、研究をしていかなければならない要素だとは思いますが、今すぐの実現というのは困難であろうかと私は思います。
  98. 島聡

    ○島委員 一体どなたにお聞きになったかは知りませんが、ホームページをつくることはそれほど難しい問題ではありません。今おっしゃられたように順番の立て方とかそういうことはあるでしょう、それは多分ルールが一つあるでしょうから。  例えばうちの事務所ですと、女性秘書が一人で私のホームページを全部やっています。しかもそれは専門性がある人ではありませんでした。文科系の大学を出られて、私が三カ月ぐらい特訓をしたら全部できるようになりましたから、そんな難しいと思われなくて結構ですから、ぜひともそれを考えていっていただきたいと思う次第でございます。きょうの質問に流れておりますのは、本当にこれだけであります。  最初に解釈の御質問を申し上げて、そのときに、経済的な問題もありますねということがありました。確かに、当時そんなことがあったのです。ホームページをつくると差が出てくる。だから、経済的な問題もあって、いわゆるお金がかからない選挙ということをやっているのに対して、大丈夫なんだろうかという議論もあったわけです。  大臣、お使いになったことがあるかどうかは知りませんが、ちなみに、メールと電話をかけるのとどっちが安いかおわかりになりますか。
  99. 保利耕輔

    保利国務大臣 大変恐縮でございます、私はどちらが安いか存じません。
  100. 島聡

    ○島委員 私が使い回しているこのiモードのメールですと、一メール一円です。ちょっと長くて二円で終わります。選挙運動をやっている政治家ならだれもがすぐ計算ができると思いますが、数が多ければ多いほど極めてコストが安くなるわけであります。ホームページ自身も、今申し上げたように、例えば昔は外注をすると技術がまだ進んでいませんでしたから非常に大変でありましたけれども、ホームページをつくるソフトというのは大体一万円か二万円で買えます。それを使ってやればすぐにでき上がるわけであります。  恐縮でございますが、きょうは大臣インターネットの講義をさせていただいたような、そんなことをやるつもりはなかったわけでありますが、要するに、今時代はすごく流れているんですよ。最初におっしゃったように、公職選挙法の百四十二条、やはりビラをばあっとまくとお金がかかり過ぎるということがあったと思います。それも一つにあったと思います。そうしたら、今どんどんIT革命が進んでいて、自分たちの持っている抱負経綸というものを余りコストをかけずに、IT革命というのは基本的に流通コストを下げることですから、情報も流通コストが下がっていくわけです。  政策本位の選挙、そしてまた政策本位の政治をつくっていくためにも、インターネットというものを十分研究していただく必要があると思うんです。そう言うと、各党各会派の御議論をもとにという話に必ずなりますから、そうではなくて、これは明らかに解釈が、間違っていたとは言いません、当時はこれで正しかったのだと思うんですが、今時代が進んだわけだから、その解釈をもう一度再検討しろ、そういうふうに政治家としていわゆる事務方に御指示をいただけますか、どうですか。
  101. 保利耕輔

    保利国務大臣 時代の流れというのは私も痛切に感じておりますし、私のところの事務所でも若い秘書がインターネットを使っております。ですから、そういうのがこれから先ずっと進んできて、いわゆるIT革命が起こり、そしてそれが極めて一般化する姿になってくる時代が来るのかなという予感はいたしますけれども、まだ全体というほどではないのではないかという感じがいたしておりますので、その点は多少意見が違うかもしれません。  今すぐこれを採用することについて検討しろ、あるいは解釈を変えることを検討しろと言う気は私はございませんが、どうぞひとつ議会の中で、これは選挙運動にかかわることでありますから、各党各会派、お若い方もいっぱいいらっしゃいますので、ぜひ御論議をいただいて一定の結論を出し、議会として決定をされれば、それは自治省としても従っていかなきゃならないということになろうかと思います。
  102. 島聡

    ○島委員 恐らく、先ほど認識が違うとおっしゃった点、今インターネット人口は一千二百万になったと言われています。これから非常に爆発的にふえていくでありましょう。さらに、技術革新もどんどん進んでいくでしょう。それが、民主主義の中において政治を変革していく最も大きなことになっていくと私は思っております。  そのときに、例えば今、若い人は投票率が非常に低いとか、そういうこともありますね。そういうことを実現するためにも、今はすぐにできないとおっしゃったわけでありますが、大変残念であります。ここまできちんと矛盾点を追及したわけですから、政治家政治家同士の議論をしようというふうに国会改革でなったわけですから、できたらこの場で政治家としての御判断を——本当に政治家としての御判断がそれならば、保利大臣ももう少し勉強して新しい時代に適応していただきたいと思うし、これが終わってからでも結構ですから、ぜひとも政治家として御判断いただきまして、また御指示いただけたらいいのではないかと思っております。  終わります。ありがとうございました。
  103. 林幹雄

    ○林(幹)委員長代理 次に、達増拓也君。
  104. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  まず、洋上投票、在外投票準備状況について伺いたいと思います。  さきの台湾の大統領選挙は非常に盛り上がりまして、世界各地に散らばっていた台湾の選挙権を有する人たちが必死になって、必要であれば台湾に戻って投票した。やはりそういうことが期待されて、今回の我が国におけるこういう改正にもなったと思っております。  ただ、国民の権利の行使でありまして、今までそういう権利がなかった、投票できなかった、それが権利を持って投票できるようになるということでありますから、外国で働く、外国に居住する日本人というのはある程度覚悟を持ってそうしているわけでありまして、そういう意味では、余り手とり足とりお世話をするという発想ではなく、一義的には、権利を行使する側がそれなりに自助努力をすべきものだというふうに考えております。  その上で、国内においても不在者投票制度の弾力的な運用などという工夫が行われている、そういう工夫で、権利を行使するぞという在外邦人または洋上の皆さんの権利行使がスムーズにできるような工夫をしていただければと思うんですが、その辺の準備状況、洋上と在外、それぞれについてお願いいたします。     〔林(幹)委員長代理退席委員長着席〕
  105. 保利耕輔

    保利国務大臣 委員海外の御経験がございますし、外務省にずっとお勤めでございますので、海外にいる者が投票したいという気持ちを持っておられるということをよくつかんでおられるだろうと思います。私もまた、二十数年前でありますが、フランスに五年ほどおりまして、父親が政治家であったことからも投票したいものだというふうに思ったことがあります。ようやくここで、ことしの五月一日以降に公示される選挙から、在外選挙人の方が投票するという制度ができまして、実施に移るところでございます。  現在、この制度周知及び在外選挙人名簿への登録などの促進については、ポスターとか、あるいはリーフレットなどの配布をしたり、テレビとかラジオ、新聞などでメディアを活用して、国内外に啓発をしているところでございますけれども、登録申請者数は、三月末の時点で五万三千六百六十七人という数字になっております。申請者でございますから、登録者はもうちょっと減るわけでございまして、四万一千ぐらいの数字になると思います。  こういう状況でございますが、今後また、このところ大体一カ月間六千人ぐらいずつの割合でふえていっておりますので、登録者数はふえていく可能性があると思っております。しかし、まだまだ不十分だと思います。そうしたいろいろな問題について、今後、各選挙管理委員会やあるいは在外公館等にいろいろお世話になりまして、説明会などをやりまして、事務手続及び管理執行体制についていろいろ助言を行ったりいたしておるところでございます。  それから、洋上投票でございますけれども、これもまた五月一日以降公示される衆議院選挙あるいは参議院選挙から実施されるということに相なりました。これは大分昔から御要望がございまして、海洋婦人会でありますとか、海員組合でありますとかからも、船の上から投票できるようにしてくれと。ただ、技術的な問題がかなり難しくて、これはなかなか実現しなかったんですが、ファクス投票、それも秘密が守られる形のファクス投票のやり方が開発をされまして、それで投票用紙等も大体今月いっぱいには用意をしておくというような状態にまで来ております。  そんなことで、小冊子をつくったり、あるいは都道府県の選挙管理委員会や海運会社などにそうしたものを配ったりして、いろいろ準備を進めているところでございます。
  106. 今井正

    今井政府参考人 外務省といたしましても、自治省協力しつつ、在外公館を通ずる登録申請を促進するためにさまざまな努力を行ってきておるところでございます。  まず、在外選挙が導入されたことを特に在留邦人方々周知していただくというための広報を行っておりまして、具体的に申しますと、東京におきましては、国際協力事業団であるとか、国際交流基金であるとかそういう政府機関、それから経団連、日本商工会議所等の民間団体にお願いいたしまして、海外に赴任する人たちに、この選挙の存在と、それから意義を知っていただくための協力をお願いしているというところでございます。また、海外におきましても、外務省自治省職員が出張いたしまして、現地説明会を開くだとか、現地の日本語の新聞、あるいは日本人会会報等、さまざまな手だてを使いまして広報に努めてきております。  さらに、在外選挙人名簿への登録申請は、原則として申請者が各在外公館に赴いて手続をとっていただくということになっておりますので、在留邦人の便宜を図るために、在外公館職員在留邦人が居住している遠隔の地に出張いたしまして、そこで登録申請受け付けを行うというようなこともしておりますし、また在外公館の所在地の周辺におきましても、在留邦人の集まる日本人会会合だとか、あるいは日本人学校、補習校の会合だとか、あるいは企業事務所が多く集まっているような地域等にみんなに集まってもらって、そこへ職員が出向いて登録申請受け付けを行うといったような努力をしているところでございます。
  107. 達増拓也

    達増委員 オーストラリアやシンガポールに在住の日本人の皆さんで、インターネットを利用して情報交換をしながら日本の政治について議論をしているようなグループのメンバーから、手紙、電子メールをもらったことがありまして、非常にそういう関心があちこちに高まってきているんだと思いますので、ぜひそういう思いにこたえる運用をしていただきたいと思います。  さて、インターネットの話であります。きょう、先ほどから議論が続いておりまして、選挙期間中のホームページ利用の可否、要は文書図画に当たるのであればだめだ、簡単に言えばそういうことだと思います。  今のホームページの現状、確かに安く簡単にだれでもつくれるようにはなってきておりますが、一方では、これはもう国会議員の皆さんのところに、十万円でつくるとか、百万円出せばこのくらいのものができるとか、お金さえかければすごいものができる、そういう現象も実際ありますし、特に才能が要求される分野ですので、ホームページデザインの一流の人、カリスマホームページデザイナーなどという人が出てきますと、何千万円よこせとかいう話になってくる危険性もあると考えておりまして、自由党としては、やはりそういう、いわゆる全面解禁といいましょうか、完全自由自在なホームページ利用というものについてはちょっと慎重なわけであります。  公職選挙法というのはいわばゲームのルールでありまして、ポスターの枚数とかはがきの枚数、なぜこの枚数かというのは、やりやすいように、効果的な選挙ができるようにという中で一定の縛りをかけていくものでありますから、自由党は、ふだんの政治活動についてはホームページは全面的に活用して、いわば時代はE政治だと思っております。Eビジネス、Eコマース、Eトレード、政治についてもE政治ということで、インターネットを活用した政治というのは、平時においては全面的に展開しなきゃならないとは思っているのですけれども、選挙期間中においてはそれなりの制約もあり得るのかなと考えているのです。  ただ、一般の方の間でインターネット普及率が非常に高まっている中で、こういう工夫はあり得ると思うのです。それは、サーバー、ホームページを置いておく場所ですね、それを選挙管理委員会が用意して、いわば今まで新聞に折り込んで配る選挙公報のような形で、大きさとかフォーマットを一定のものとして、各候補者につくってもらったものを掲載するとか、あるいは選管の方で写真や履歴をもらって、それを一定の形式で掲載するということがあり得るかもしれません。  先ほど来の議論の中で、特に選挙期間中、外国にいる日本人が情報が乏しくなるのではないか、そういう人たちのためにも、いわばそういう最低限の情報について、公的にインターネットを通じて提供するということはやってもいいんじゃないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  108. 保利耕輔

    保利国務大臣 選管のホームページ選挙公報等を載せるということについては、先ほどもお答えを申し上げたのでありますが、選挙公報は、公職候補者などの政見などを当該公職候補者などが申請した原文のまま掲載するというものでございまして、選挙公報がどのようなものになるかは選挙運動にかかわる問題であるというふうに認識をしております。  選挙運動の方法等については、これまで国会において、いろいろな審議、あるいは各党間の議論の積み重ねの中から、現在のようなルールがつくられてきたところでございまして、選挙公報をインターネットホームページに掲載するか否かということについては、インターネットの利用を選挙運動の中でどう位置づけるかということと密接な関係がございますので、それを含めた議論を国会の中で、各党各会派においてしていただく、それで方向づけを出していただくというのがいいのではないか、このように考えておる次第であります。
  109. 達増拓也

    達増委員 国会の中で電子政府に関する議論もなされております。恐らく、そういう電子政府をつくっていく中の議論として、選挙管理運営する側でそういう電子的な広報もという議論も可能だと思いますし、技術的にはもう非常に現実的なところまで来ておりますから、いずれ、やると決まったときにすぐできるような研究などは行政の中でもやれるのではないかというふうに思います。  さて、次に、電子メールであります。これについても、先ほど他の委員質問に答えて、文書図画に当たれば電子メールによる投票の呼びかけなどは違法になるのではないかということでありました。  先ほど例として出ていたような個人の電子メール、確かに、今物すごい勢いで携帯電話を使った電子メールのやりとりが普及しているのは、それが安いからであります。普通におしゃべりをしていると一分二分かかってしまうものが、電子メールのデータのやりとりは瞬間で行われますから、それで、ここ半年の大きい変化だと思います、若い世代を中心に電子メール利用が物すごい勢いでふえている。  一方、悪い電子メールというのもあるんです。これはやはり、メールアドレスを持っている国会議員の皆さんでいろいろ迷惑をこうむっている方がいるんじゃないかと思いますけれども、いろいろな怪しげなものを売ろうというセールスがどこからともなくたくさん来たりとか、あとは、インターネット上のわいせつ画像を取り締まることが決まったときには、反対する人たちから同じ内容の電子メールが大量に私のところに来て、非常な迷惑をいたしました。  したがいまして、やはり、無制限な電子メールの利用というのは、ファクスによる紙爆弾などと同じでありまして、問題があると思っております。  他方、個人的に、本当におしゃべりの感覚で電子メールのやりとりをする、携帯電話を使って個人間でやりとりをするような話は、運用面で、あるいは取り締まりの面といいますか、そこでかなり実態に照らした対処が求められるんではないかと思います。  政府としてのお答えについては、先ほども質問の中で出ていましたので、さらに質問することはいたしませんけれども、そういう運用あるいは取り締まりの中で、悪いEメールじゃなく、いいEメールについては何らかの工夫ができないかということについてはいかがでしょうか。
  110. 保利耕輔

    保利国務大臣 公職選挙法では、およそ人の視覚に訴えるものはすべて文書図画ととらえております。したがいまして、Eメールのように携帯電話やコンピューターディスプレーに表示される画面は、公職選挙法上の文書図画に当たるものと解されておりまして、音声を伝達する電話とは異なるという解釈をいたしております。  しかし、今委員いろいろお話しのように、Eメールもどんどん出てきておりますし、それから、先々インターネットが全国民的に普及をするという時代も来ないということを言うわけにもいかないというような状況というのにかんがみまして、今後の選挙のあり方というのは、二十一世紀の新しい姿というものを想定しながら、国会の中でいろいろ各党で御論議をいただくのがいいんじゃないかなと思います。  ただ、私ちょっと懸念するのでありますが、これは国家公安委員長としての懸念でもありますが、電子社会というのは裏の部分がございまして、ハッカーあるいはサイバーテロと言われているようなものが随分横行しておる。その実体がなかなかつかみ得ないというようなこともある。アメリカはことし千七百億円、それから来年は二千二百億円ぐらい使ってハッカー対策をやると言われている時代に、日本はちょっとその点が手薄になっておりますので、こうしたものの普及というのが、将来、裏の対策なしに広まったときの恐ろしさというのを何か予感するのでありますが、こういったところもあわせて考えていくべきことかなと思います。  いずれにいたしましても、各党各会派で電子関係については御論議いただくことを期待いたしております。
  111. 達増拓也

    達増委員 大臣おっしゃるとおりだと思います。ハッカーとかサイバーテロ的なことへ、セキュリティー面に対しては非常に気をつけなければならないと思います。ですから、選挙期間ホームページを全面解禁しますと、それを妨害工作なんということもあり得ると思っておりまして、その意味でも、選管がきちっとサーバーを用意してくださればかなりいいんではないかと思っている次第であります。  最後に、電子投票について伺います。  先ごろ、議員会館のロビーで電子投票の実験が行われました。選挙の投票を電子的に行うことであります。また、今、マイクロソフト・ネットワークというところのホームページで、次の総理はだれがふさわしいかというネット投票が行われております。小沢一郎自由党党首が一位でありまして、中坊公平さんとか田中眞紀子さんが二位、三位のあたりに続いておりまして、一万何千のあたりで争っております。ちなみに森総理は二千とか三千のあたりに今いるのでありますけれども、そういうことが技術的にはかなり可能になってきている。  それで、選挙制度を所管する自治省大臣としてどのようにお考えか伺いたいと思います。
  112. 平林鴻三

    平林政務次官 便宜私からお答えを申し上げます。  電子投票、すなわち電子機器を用いた投票方式の導入ということにつきましては、メリットの面もございます。例えば開票時間の短縮というようなことが選挙管理、執行の上で非常に有益だということも考えられるわけでございますが、現行公職選挙法が原則といたしております自書式の投票方式を改めるという、いわば制度改正が必要でございます。  これにつきましては、平成六年の衆議院議員選挙制度の改革に合わせて記号式が採用された後で、議員提案によりまして自書式に戻った、こういういきさつがございます。そのいきさつなどを踏まえますと、国民の間に広い合意が得られる必要があるものと考えられます。  また、費用対効果の検証とか、ハード、ソフト両面での安全対策などの解決をすべき多くの問題もある。これは、委員がおっしゃったようないろいろな問題がございます。確かにあると思います。  さようなことで、自治省としましては、選挙事務に電子機器を導入することによって有権者の利便の向上を図る、投開票事務の迅速化を図るということは重要な課題と考えております。平成十一年の七月に電子機器利用による選挙システム研究会というものを設置いたしておりまして、研究会におきまして、現行の投開票事務における電子機器利用の状況や、諸外国の電子機器を利用した投票制度につきまして現在調査研究を進めておるというところでございます。平成十二年度におきましても、引き続き、電子機器を利用した投開票システムにつきまして調査研究を進めてまいりたい、さようなことを現在やっております。  以上でございます。
  113. 桜井新

    桜井委員長 達増君、時間が来ましたので簡潔に。
  114. 達増拓也

    達増委員 E政治の流れに対応した制度、運用を工夫することを希望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  115. 桜井新

    桜井委員長 続いて、東中光雄君。
  116. 東中光雄

    東中委員 私は、政治資金、とりわけ企業・団体献金の問題についてお伺いしたいんですが、さきの百四十六臨時国会で、本委員会提出法案として、政治家個人の政治資金管理団体に対する企業・団体献金を禁止する立法、これは、全会一致で、委員会として、委員会提案で実現いたしました。  これはもう申すまでもないことでありますが、政治改革法の附則九条で、「法律の施行後五年を経過した場合において、これを禁止する措置を講ずるものとする。」ということが実際にやられて、政党以外に対する企業・団体献金は全部禁止したということになるわけであります。政党に対する企業・団体献金の禁止の問題については、政治改革国会のときには私たちは全面禁止を要求したわけですけれども、その部分は残りまして、政治改革のときの附則第十条で、企業・団体献金の政党へのあり方について、要するに会社、労働組合その他の団体政党に対してする寄附のあり方については見直しを行うものとするということになっております。  これは、国会としてそういう立法をしたわけですから、個人に対するあるいは一般政治団体に対する企業献金は禁止にした、それで政党に対する部分のあり方については見直しをするものとするということになっているんですが、政治資金についての担当の自治省としては、どういう見直しをするものとする、どういうことをやっておられるのか、お伺いをしたい。
  117. 保利耕輔

    保利国務大臣 確かに、平成六年の改正の附則第十条では、前段は略しますけれども、「会社、労働組合その他の団体政党及び政治資金団体に対してする寄附のあり方について見直しを行うものとする。」こう記載をされております。これは、平成五年九月に細川内閣が第百二十八回の国会に提出した政治資金規正法改正法案において、選挙制度の改革に伴い、選挙政治活動政策本位、政党本位となるので、政治資金の調達を政党を中心にするために、また近年においての政治と金をめぐる国民世論の動向等にもかんがみて、企業・団体献金については政党に対するものに限り認めることとされたものと承知をしておるわけでございます。  そこで、十条の解釈でありますけれども、「見直しを行うものとする。」というふうに記載をされていることは、これを廃止するとは直接には読みにくいという解釈が成立するのではないか、こう思います。
  118. 東中光雄

    東中委員 廃止するとは解釈していない、それはそうでしょう、廃止するものとするとは書いていませんから。だから、「あり方について見直しを行うものとする。」というのだから、どういう見直しをあり方についてしているんですかとお伺いしているわけで、廃止するとは書いていない、それはそのとおりです。  これが出てきた経緯は、八次審の答申で、これは第一次審からあるわけですから、企業・団体献金はやめるべきだという方向がずっと出ておったんですが、八次審で出たのは、「選挙制度の改革及び公的助成制度の導入とあいまって、団体の寄附は、政党に対するものに限ることが適当である。」これが八次審の答申です。だからあの法案もちゃんと禁止が出ておったのが、結局、総総会談で五年延ばしたんですね。それはこの部分なんです。  ところが、同じ八次審に、「将来の姿としては、」ということで、「政党がより近代化し、政党への相当規模の公的助成が行われ、政党の基盤が整備されるとともに、国民の政治意識が向上し、政党を中心に国民が政治参加する体制が確立し、政党の政治資金も個人の拠出により支えられるようになることが望ましい。」これは八次審のもう一つの柱ですね。  そこで言うている「公的助成が行われ」、行われたわけでしょう。それから、「政党の基盤が整備される」、されたはずなんです。それで、「国民の政治意識が向上」、政党中心で一回選挙をやったんです、進んできておることになるはずなんです。そうしたら、今度は、「政党の政治資金も個人の拠出により支えられるようになることが望ましい」と言うておった、だからそのあり方を見直そう、書いてあるわけだから。  だから、方向は個人献金に限るような方向に行くべきだ、助成もやることになるから、現に助成をやったんだからということなんですよ。それで、どういう見直しをしているんですかと聞いているわけです。
  119. 保利耕輔

    保利国務大臣 この見直しの問題については、各党間それぞれいろいろお考えもあるだろうと思います。まさに政治のコストをどうあがなうかという極めて政治的な問題でありますから、自治省からここのところをどういうふうに見直していくかということを申し上げますよりは、やはり各党間でお話し合いをいただいて、この見直しということについてどういうふうな見解を各党持っているかということをただしていかれますように私どもとしては期待をしているということでございます。
  120. 東中光雄

    東中委員 「見直しを行うものとする。」というのは各党間で決めたことですよ、この法律で。それで、どういう見直しをするんですか。何にもしない、自治省は何にもしないではこれはちょっと筋が通らな過ぎるんじゃないか。自民党は、この規定は廃止せいという法律を出しているわけです。だから、この八次審の趣旨からいって、いいとこ取りで都合の悪いところだけやめちゃおうというふうなことになっておるんじゃだめですよ、私はそう言いたいわけであります。それはそれとしまして。  それで、個人あるいは資金管理団体に対する献金を禁止したという中で、結局、結論的に言えば、政党以外には企業・団体献金をすることも、企業・団体献金を受けることも、あるいは企業・団体献金をしてほしいと要求することも、勧誘することも禁止する、犯罪になる、一年以下の禁錮または五十万円以下の罰金に処するということになったわけですが、そういうことですよね。選挙部長、どうですか。
  121. 片木淳

    片木政府参考人 お尋ねの附則九条の関係でございます。  平成六年の改正法附則九条の規定趣旨にのっとりまして、ただいまお話しありましたとおり、政治家個人の資金管理団体に対する企業・団体献金を本年一月から禁止しているところでございます。
  122. 東中光雄

    東中委員 禁止しているのはわかっているから、それで、献金を受け取ることも、それから献金してくれということを勧誘したり要求したりすることも犯罪になるんですね、犯罪ですねということを言うているんです。
  123. 片木淳

    片木政府参考人 寄附を受けた者に係る罰則の規定でございますが、御案内のとおり、先ほど申し上げました禁止規定は本年の一月一日でございますが、四月一日以降にされる寄附について罰則の規定が適用されるということになっております。  なお、当該寄附が、改正前の寄附の総額制限、個別制限を超えるものである場合につきましては、今申し上げました四月一日より前でありましても罰則の適用があるわけでございます。
  124. 東中光雄

    東中委員 だから、時間つぶしになるのでやめておきますが。  それで、聞きたいのは、個人では資金団体ということでもらうことができておったのが禁止になったということで、今度は、支部にしたらいいんだということで、どんどん支部にする方向が出てきましたね。  これは毎日新聞の一月八日の記事ですけれども、自民党の政治制度改革本部は、本部長は粕谷さんですが、本年一月七日「政治家個人あての企業・団体献金が禁止されたのに伴う地方議員救済策として、都道府県・政令指定都市議員に限り、従来通り新規で五十人の党員を集めることを条件に政党支部の新設を認めるガイドラインを決めた。」こう報道していますね。例えば都議会議員というたら、資金団体を持っておってそこで献金を受けておった、ところが今度は受けられぬようになった、だからその人たちには支部をつくるようにするガイドラインをつくった、こうなっています。  そうすると、今までの資金団体を支部名義にしたらいいということになるんじゃありませんか。どうでしょう、保利さん。
  125. 保利耕輔

    保利国務大臣 政党支部政党の一部でありまして、本部と一体となって政治活動を行うものでございます。そして、公職候補者の資金管理団体や後援会とはそもそも人格を異にいたすということであります。  それから、政党がその支部をどのように構成し、政党活動をいかなる形で展開するかは政党組織の基本にかかわる問題でございまして、政党の自主的な判断によるべきものだと考えております。  それから、政治資金規正法におきましては、政党等の政治団体の活動が国民の監視と批判のもとに行われるよう、政治資金の収支は公開することとなっております。したがいまして、支部をつくれば当然支部の総会等もございまして、収支決算等も行われる、報告もしなければならないということもございます。  そういうことで、政党支部個人の資金団体とは性格を異にしておるというふうに思っております。
  126. 東中光雄

    東中委員 企業・団体献金を受けることができる支部というのは法律上決められておりますか。
  127. 保利耕輔

    保利国務大臣 法律の詳細にわたりますので、選挙部長からお答えをさせます。
  128. 片木淳

    片木政府参考人 現行政治資金規正法第二十一条第四項の規定によりまして、政党の支部のうち、一以上の市町村の区域または選挙区の区域を単位として設けられるものに限り、会社、労働組合、職員団体その他の団体から寄附を受けることができるとされているところでございます。
  129. 東中光雄

    東中委員 それは数量的に制限がありますか、無限ですか。
  130. 片木淳

    片木政府参考人 ただいま申し上げました政治資金規正法第二十一条第四項の規定に該当する支部につきましては、今申し上げました、会社、労働組合、職員団体その他の団体から寄附を受けることができるというふうにされておるわけでございます。特に数がどうということはないと思います。
  131. 東中光雄

    東中委員 自民党の支部は今何ぼありますか、届け出の。
  132. 片木淳

    片木政府参考人 政治資金規正法に基づき提出があり、官報告示により公表しております自由民主党の支部の数は、平成十一年現在で五千七百二十三となっております。
  133. 東中光雄

    東中委員 五千七百二十三、これは昨年末です。それから後禁止が出てきたので、今言ったような、本部長の粕谷さんが支部をつくる要件なんか進めて、やっているわけです。どんどんふえていっていると思うんですね。  この数については、私、この法律ができたときに質問をしまして、「一以上の市町村の区域」それから「選挙区の区域を単位」としたものということで、何か限定したみたいに言っているけれども、これは合計三千六百八十一支部、自治体、市町村単位それから特別区、そういう組み合わせを全部計算するとそうなるんです。三千六百八十一支部。ところが、二つ以上、三つでも、これまた一つずつ何ぼでもつくれるわけです。制限がないわけですね。ブロックにしてもいいし二県にしてもいいし、二町にしてもいいし三町にしてもいい。これは皆別々でいい。だから、無限にできるというふうになっているんです。しかも今度は、地域を単位にしている。地域を単位にして、例えば町なら町単位にして、そこで婦人支部とか青年支部とかふるさと振興支部とか、同じ地域の中に入っておれば何十でもできる、そうやっているんですね。やっているでしょう、現に。——いや、やっているんですよ。  そうなるじゃないかということをあの制定のときに私が質問したのと、それから、参議院で自民党の関根さんが質問をして、それで、何ぼでもできますということを当時の担当大臣自治大臣も答えているんです。特に町村単位で、何々町第一支部、何々町第二支部、何々町第三支部と、これも制限がないんです。何ぼでもできます。だから、議員の数だけ支部をつくれる。  個人で資金団体をつくってできるというのが今度できなくなったわけでしょう。だから、今度は各市町村で、町会議員あるいは市会議員が十人いると、そうしたら十支部ぐらいつくったらいいわけです、一人ごとに。それがそれぞれ支部長になる。こういうふうになっておるんですよ。答弁からいってもそうなんです。  そうしたら、個人に対する企業献金を禁止するということを今度は発足させて、罰則を四月までおくらせたというようなことなんですよ。だから、もう支部に切りかえてしまうんだと。支部にさえしてしまったら、個人で要求したりしたらいかぬわけですが、支部長として言ったらいいわけですということになるんです。これではもう、全くのしり抜けになっちゃうと思う。  私が今言うたことで、そんなことを言うけれども、そんなことにはなりませんということがあったら言うてください。そうじゃなかったらそういうことになるでしょう。もう事実上しり抜けになるというふうに思うんですか、どうですか。
  134. 片木淳

    片木政府参考人 先ほど大臣お答えにもありましたとおり、政党支部政党の一部でございまして、本部と一体となって政治活動を行うものでございまして、公職候補者の資金管理団体や後援会等とはそもそも人格を異にするものと考えております。  政党がその支部をどのように構成し、政党活動をいかなる形で展開するかは、政党組織の基本にかかわる問題でございまして、政党の自主的な判断によるべきものと考えておるところでございます。  政治資金規正法におきましては、政党等の政治団体の活動が国民の監視と批判のもとに行われるよう、政治資金の収支は公開する等とされているところでございます。
  135. 東中光雄

    東中委員 私の言うたことに、それは間違っていますということは一つも言わなかったですね。政党が、私の言うたように何町第一支部というふうにつくって、それですればそれはもう政党の一部になるので、個人の後援会とは法人格が違うのです。そうだけれども、構成が違うだけであって、実質上のしり抜けになるじゃないかということを言うたことについて、何か違うところがあるなら言いなさいと言うたら、その性格を説明しただけで、私の言うたことを一つも否定しなかった。認めたわけです。  そこで、これは犯罪だというのでしょう、例えば政党以外に企業献金を受け取ることは。では、この間まで後援会だったとすると、後援会は受け取ることができませんね。その後援会の名前で資金管理団体だったのが、もう資金管理団体として受けることができなくなった。だから、今度資金管理団体を名前を変えて、それでその資金管理団体の責任者だった人が今度支部長になる、そういう扱いをするということになった場合に、政党支部として認められさえすればもう犯罪でなくなる、支部手続をとらないでやれば犯罪だとして処罰される、こういうことになるわけですね。  だから、私は、ついでにこれを言うておこう。これは二月十日の朝日新聞ですが、   政治家個人への企業・団体献金が一月から禁止されたことを受け、東京都議会の自民党議員五十人が、企業・団体献金の受け皿とする党支部をそれぞれの選挙区などに作っていたことが明らかになった。党の支部であれば企業・団体から献金を受けられるため、新たに党支部を個別に作ることで都議は事実上、これまで通り、企業・団体からの献金を受けることができる。党本部によると全国に先がけての設立で、今後、地方の支部にも広がることになる。  個人でもう受けられなくなった、だから支部にするんだ、企業献金を受け取るための受け皿として、そういう地方にも、党本部、自民党もそうやっているんだということになりますと、これは支部という、地域を冠しているといいながら、冠した地域に第一支部、第二支部とやってもいいんだ、あるいは婦人部といってもいいし、ふるさと振興といってもいいし、とにかく名前をちょっと変えたら同じ地域で何ぼでもできる。犯罪構成要件というのは、企業・団体献金を政党以外は受けられない、受けたら犯罪だ、一年以下の禁錮だというふうになっておる。だから、それでは困るからというて、名前を支部に変えたらそれで犯罪にならないんだ。  法務省、来てもらっていると思うのですが、企業・団体献金を一般の政治団体個人が要求し、勧誘したり受け取ったりしたら犯罪だ、一年以下の禁錮だという構成要件があるわけですね。今のままでは都議はいかぬから、支部に名前を変えたらいいんだというて、今度は犯罪でなくなる、そういう構成要件というのは一体あり得るんだろうか。何が犯罪であって何が犯罪でないのかわからない。それを決めるのは、支部と認めるか認めぬかによって決まっちゃうのだ。こんなばかなことはないと思うのですが、その罰則を適用する側から見て、こんなもの政党と言えるかい、個人だったじゃないか、普通の政治団体で後援会だったんじゃないか、それを名前を支部とつけただけじゃないかということが争いになった場合にどうなんだということについて、ちょっと法務省。
  136. 古田佑紀

    古田政府参考人 一般論として申し上げますと、政治資金規正法第二十一条第四項等の規定によりまして、政治活動に関する寄附を受領することができる支部ということに該当いたしますと、これは政治資金規正法違反の罪は成立しないということになるわけでございます。  ところで、法律上はいかなる支部がそのような支部であるかということにつきましては、政治資金規正法の解釈の問題でもございますので、法務当局としては答弁を差し控えたいと存じます。  また、どのような支部をどういうふうにつくっていくかについての政治資金規正法上の問題につきましては、これは政治資金規正法の立法政策にわたることでもございますので、やはり答弁を差し控えたいと存じます。
  137. 東中光雄

    東中委員 それは形式的に言えばそういうことなのです。問題は、二十一条の第四項ということで、これを見ると、支部は、「政党の支部で、一以上の市町村の区域」、「指定都市にあつては、その区の区域」「又は公職選挙法第十二条に規定する選挙区の区域を単位として設けられる支部以外のものは、」一般の政治団体とみなされて、だめなんだと言うているのです。「区域」で区切っているみたいなことを言うているけれども、先ほど言いましたように、現に六千近くあるでしょう。ほかの党は皆けたが違います、一けた。また、実際に必要な分だけつくっていますよ。ところが、自民党はそうじゃないのですよ。朝日や毎日で書いているように、都議会議員が受けられるようにと五十人が支部をつくる、こんなことをやっている。  こういう、九条によって個人に対する企業献金、団体献金を禁止したというて、それに対応する処置として、企業献金、団体献金そのものを、あり方を見直すものとすると書いてあるその条項はほっておいて、今度は、支部というものはあいまいだからといってどんどんそういうものをつくっていく。ほんまに脱法行為といいますか、しかもこれは愚弄するものだと言わなければならぬ。罰則までつけておいて、それでほい支部だと言えばそれでいい。私が質問したときは、何重にも重なるじゃないか、三千三百しかないのに随分重なるじゃないかと言うてやったのだけれども、世間様が聞いて、町名なり地域さえ冠しておれば、あとはもう何をつけてもいいんだ、婦人やら第一、第二、第三でもいいんだ、そういう解釈になっているのですよ、あのときの自治省の話が。それで今、九条により禁止になったら、それを大いに活用している。こんなことは許せぬというふうに思うのです。  それは、金の力で政治をゆがめるようなことをやってはいかぬ、企業・団体献金やめろという八次審の答申からいったって、その方が望ましいんだと言うておるときに、これはひとつ自治大臣政治家の良心でどう思われるかをお聞きしたい。  こんなものは、それこそ笑われますよ。今初めて聞いたとおっしゃったけれども、委員長、初めて聞くのじゃないですよ、実際それでやっているのだから。私の質問と関根さんの質問とあわせて、東大の教授が本に書いていますよ、こんなひどいことをやっているんだといって。  そういう状態が今起こっている。それが個人に対する献金を禁止した段階で一層ひどくなってきているということがどうしても許せないと私は思うのですが、ひとつ所見を聞いて質問を終わります。
  138. 保利耕輔

    保利国務大臣 委員のお話は承っておりましたが、何か看板を右から左に移しかえて、今まで資金管理団体だったものを政党の支部に看板をかえればすぐお金が集まってくるというようなお話は、私はちょっと納得できないのであります。  やはり政党支部であります以上、その支部に属します党員がおりますし、その党員が集まって支部を結成し、党のために活動をしていくということが主眼なんであって、そのお金を、政党以外は企業・団体献金が禁止されたということに基づいてそれをそうするというのは逆の見方じゃないかなと。  政党支部というのは、きめ細かい政治活動をやっていくためにそういう展開をすることもあり得るということを考え、また、党員がきちんと、所属をしている党員がはっきりわかるわけでありますから、そういうものを加えていけば、私は、政党の支部としての存在というのは意味がある、そこへ政党であるがゆえをもって団体あるいは企業からお金をいただくということは可能である、こういうふうな見方をすべきではないか、こう思います。
  139. 桜井新

    桜井委員長 東中君、時間になりましたので。
  140. 東中光雄

    東中委員 質問を終わりますけれども、私が言っているのは、これは朝日ですが、見出しで、「都議五十人、個別に党支部」をつくる、「企業献金受け皿に」「法の趣旨「骨抜き」」、これが普通の感覚ですよ。今までつくっていなかったのが、企業献金をもらえるようにするために支部をつくるんだと。こんなことを、今言われたような白々しいことを言っておったのでは政治はよくならぬということを申し上げて、終わります。
  141. 保利耕輔

    保利国務大臣 私は白々しいことを申し上げたわけではありませんで、実際、政党の活動というのはいかにあるべきかということからお話を申し上げたのでありますので、どうぞよろしく御理解を賜りたいと思います。
  142. 桜井新

    桜井委員長 次に、中西績介君。
  143. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、十分な論議もされないまま比例定数二十削減をしたという今国会における大変残念な状況に立ち至り、しかもそのことは、参議院の審議等を考えてまいりますと、むしろ議会そのものを否定するというようなことをみずからがやるという、こういう現象が出たことを大変残念に思っています。  したがって、比例定数二十削減案、このことを通じて多くの問題がございますので、時間が許す限りそうした問題等についてお聞きをし、そして議員の皆さんと一緒に、今後このようなことにならないようにどうするかということを考えていきたいと思いますので、質問させていただきたいと存じます。  私は、こうした暴挙について、民主主義の否定であり、心の底から怒りを持って抗議をする思いでありますけれども、二度とこのような暴挙がなされることのないように、同僚議員にまずお訴えをしたいと思います。  さて、定数削減の理由でございますけれども、なぜ議員定数を削減しなければならないのですか。さきの公選法改正案の提案理由では、行革やリストラを理由にした議員定数削減となっています。しかし、このことは、行政に対して今後強力な指導力が期待される立法府の側の力を弱めることになり、官僚主導の行政を改革していくことに反するのではないかと私は思っております。  選挙制度や国民の代表である議員の定数問題を経済効率性の観点から取り扱うことは、およそ民主主義とは相入れないものであると思わざるを得ないのですが、この点について、どのようにお考えでしょうか。
  144. 保利耕輔

    保利国務大臣 二十議席比例定数削減ということでのお話だと思います。  ただ、これは憲法四十一条ですか、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」その「国の唯一の立法機関」がお決めになったことを実行に移していく、執行していくというのが政府の役割だということを考えますれば、これはまさに議会の中でそういうことを立法していただいたわけでございますから、私どもからこの立法がどうであるかとかいうようなことを行政府の人間としてコメントする立場にはございませんので、この点のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  145. 中西績介

    ○中西(績)委員 その点については、また後で私の方の意見を申し上げたいと思います。  比例削減をするということは、政府は、現行の小選挙区比例代表並立制について、三百の小選挙区が民意の集約、二百の比例代表が民意の反映であり、この民意の集約と民意の反映を両立させる制度であるとして今まで説明されてきましたし、前回の五、六年かかって選挙制度改正したときの論議の中心はそこにあったと思うのであります。  現行並立制の基本的考え方は、小選挙区制を導入するが、死に票が多い欠陥を補うために比例代表を加味するというものであると私も理解をしてきました。それは三百と二百というのがセットであって、三百と百八十というのは、比例区のみ削減することで小選挙区と比例区の割合は三対二から五対三に減り、小選挙区分三百の欠陥を比例区二百で補うという現行制度の根幹を崩すことになると考えます。  今、行政府からこの点についての意見は言えないと言われました。さきの選挙制度改正は、議員立法でなしに、少なくとも行政府から提出をされた案であったと思うのですけれども、そうした点は脈々とまだ生きておると思いますけれども、この点について、どうお考えですか。
  146. 片木淳

    片木政府参考人 小選挙区比例代表並立制の小選挙区と比例代表の割合の問題についてのお尋ねでございます。  国会議員の定数につきましては、その削減が喫緊の課題であるという認識のもとに、小選挙区の削減につきましては、平成十二年の国勢調査をもって改めて議論等を行うこととし、とりあえず今回は比例代表の定数を二十削減することとなったものと承知をいたしております。  いずれにいたしましても、大臣のお考えも先ほどありましたけれども、国会議員の定数のあり方については、議会政治の根幹にかかわる問題でございますので、各党各会派において十分御論議をいただくべき事柄ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  147. 中西績介

    ○中西(績)委員 基本姿勢は、各党各会派が十分な御論議をという、このことがやはり基本になっておる。  ただ、前回のことを考えてまいりますと、国民の皆さんの御意見を聞き、そして専門家を含むいろいろな審議会なりの集約をし、そして、長期にわたって選挙制度については各党全党一致を原則として今までやってきたと思っております。  ただ、そのことがなされずに、前回のような形で処理をされたことに対して、私はやはり、行政府が前回ああいう法案提出したということを考えますと、その点についての御意見があるはずでありますから、それを聞いたわけであります。この点、どうでしょうか。
  148. 保利耕輔

    保利国務大臣 確かに、細川内閣、そして我が党は河野総裁だったと思いますが、お話し合いの上、これは成立をした、いわゆる三百、二百でいったということは、歴史的な経過としてございました。  ただ、今回この根幹のところの修正を行うということについては、議員提案でなされ、議会としての決定をなされました以上、それで私どもとしては選挙に関する事項について執行していかなきゃならぬという立場にあるということでございまして、議員提案をしたことがどうであるか、こうであるかということについて、私はコメントをする立場にはないということを先ほど申し上げたのであります。
  149. 中西績介

    ○中西(績)委員 保利大臣は協議会の主要な役割を果たした人でございますし、そうした点からいたしますと、ちゃんとした御意見をお持ちだったし、私はそれを信頼しておったんですけれども、今のお言葉はお返しをしたいと思います。このことについてはこれでやめますけれども、それくらいの見識を持って、これから大臣として行政府を律していただきたい。そうしないと、言論の府と言われる国会そのものが、今後たびたびこういうことが繰り返されてまいりますと大変な状況になるということを心配するから、私はあえてこのことについて触れさせていただきました。  そこで、代議制の基本認識について、主権者がみんな政治に参加する、意思決定にかかわるというのが民主主義の基本でありますけれども、現実問題としてみんなが集まることは不可能であります。そこで、代表を選んで主権を行使するという代議制が生まれたと思います。選ぶ国民の側からは、自分たちの意見を反映しやすくするには議員の数は多ければ多い方がよく、議員一人当たりの人口が少ない方がよりきめ細かな意見の反映ができるのであるということになります。ただ、議員が多過ぎても会議がうまくいかない。そのバランスをどこでとるかが大切でありますけれども、この代議制の認識についてどのようにお考えか、このことが一つ。  そして、議員定数の考え方は、地域人口との一定比率に基づくのが本来の考え方でありまして、地方自治法によれば、自治体の議会の議員定数も地域内の人口の多寡によって定められております。衆議院の議員定数を定めるに際して、人口との関係は大きな要素ではないかと考えておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。  さらに、諸外国と比較いたしますと、主要国の下院議員の一人当たりの人口と比較してみると、日本の衆議院の定数は多いと言えるのでしょうか。むしろ、他の多くの国々に比べて非常に低い水準にあると思うのでありますけれども、どうでしょうか。  こうした点について、簡単でいいからお答えください。
  150. 保利耕輔

    保利国務大臣 細部につきましては選挙部長からお答えをさせますけれども、代議制についてのお尋ねがございましたが、私は、これは人類が生み出した大変重要な知恵であっただろうと思っております。直接民主主義をやるという考え方もないわけではありませんし、小さいコミュニティー等については、直接民主主義が行われておるところは世界じゅう探せば現在もあると思います。しかし、代議制というのはまさに今の憲法の精神に沿ったことであって、非常に大事な考え方だろうと思います。  それから、国会議員の数そのものはどうかということでありますが、千差万別というか、ばらばらの形になっておりますが、おおむね五百人とか六百人とか、少ないところでは百人台がありますし、二百人台もあるということで、人口から直接数学的に出てくるというような形には、世界じゅう、各国なっておりません。それはやはり議会制度の歴史の中から各国ずっと定着してきたものじゃないだろうか、こういうふうな感じを持っておるところでございます。  あと、選挙部長から補足説明させます。
  151. 片木淳

    片木政府参考人 代議制につきましては大臣からお答えがございましたので、その他の点について事務的な補足をさせていただきます。  まず、議員定数の定め方と人口の関係でございます。  議員定数を定めるに当たりまして、人口も考慮の要素になることは御指摘のとおりと考えますが、人口だけでなく、選挙制度や歴史的経緯、さらにその時々の社会情勢など、諸般の事情を総合的に勘案して決められているものではなかろうかというふうに感じておるところでございます。  G8などの主要国の国会議員一人当たりの人口でございますが、G8諸国の下院議員一人当たりの人口、これは単純に計算しただけでございますけれども、結果といたしましては、アメリカ、ロシアを除きまして、あとは我が国よりも少ないという状況でございます。アメリカが約六十二万人、ロシアは約三十三万人、イギリスは約九万人、ドイツは約十二万人、フランスは約十万人、イタリアは約九万人、カナダは約十万人でございまして、これに対して日本は約二十六万人となっております。
  152. 中西績介

    ○中西(績)委員 今もお答えいただきましたように、人口当たりからいたしますと、アメリカ、ロシアを除けば日本が最も低いということになっておるわけでありますから、この点は、これを決めるに当たってどのようにこれまでやってきたかということを考えますと、少なくとも、それぞれの歴史があるということを大臣言われましたけれども、そのことを私は否定するつもりはありません。  ただ、先ほど申し上げましたように、経済的に不況だから、各企業等はリストラをやっておるのでこれを減らすのは当然じゃないかということと国民の参政権にかかわる問題とを同一視して考えるということ自体がやはり問題があるわけでありますから、こうしたことでなしに、私が諸外国の例を挙げましたのも、このようにばらつきがあり、しかも日本よりも、人口比からいたしますと大変な数を持っている国々が余りにも多いということを考えますと、やはり一人当たりの人口が少ない方が国民の皆さんの御意見を十分集約できるという、こうした原則が貫かれていかなくてはならぬ、このことを考えますときに、こうした措置がよろしいかどうかということを十分これから論議していく必要があろうかと思っております。  そこで、定数六百人を基準にすべきではないかという考え方を私は持っておりますので、東京都より人口が少ないスウェーデンを除きますと、ヨーロッパでは、人口は日本よりかなり少ないのに、先ほど発表がございましたように、日本の衆議院よりかなり多くなっておるし、人口数千万人以上の国の第一院の議員数は六百人前後ではないでしょうか。少なくともこのあたりを基準とするのが至当ではないか、こういう考え方を私は持っておりますから、この点についてはぜひこれから後、これらの問題について御論議いただくときには十分担保していただければと思っています。  そこで、定数本則の根拠についてお聞きしますが、奄美が加わって衆議院定数の本則は四百六十七だった。これが定められたのは、一九二五年の男子普通選挙の際の定数四百六十六にさかのぼることができるわけでありますけれども、この四百六十六の根拠はどこにあったか、この点についてお聞かせください。
  153. 片木淳

    片木政府参考人 当時の衆議院議員選挙法の改正案の提案理由説明によりますと、各府県ごとに人口十二万人で議員一人を配当することとした結果総定数が四百六十六人となった旨、説明されているものと承知しているところでございます。
  154. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、やはりああいう時代であっても、国民の声を集約する代議制でありますから、議員一人当たりどの程度はということをやはり本格的にまじめに論議をして決めていったのではないかと私は思います。したがって、あえてそのことについてお聞きしたわけであります。  そこで、私は自治省に、今言うようなこと等含めまして、今回のこの定数削減につきましては、先般、ちょうど与党によって委員会が強行採決された日に私たちは勉強会を開きまして、いろいろ御意見を聞いた中で、選挙制度の専門家である石川真澄さんの意見などを聞いておりましたけれども、戦前の内務省にも劣るのではないかということを指摘されたんです。大正デモクラシーに敵対していた内務省でさえ、国会議員の定数を定める場合に、一人の代議士は何人の国民を代表するのかという発想を持っていたのに、今回はそうした考えはかけらもないのではないでしょうか。  定数を考えるには、代表とは何か、比例と小選挙区ではどのような性格の違いがあるのか、それぞれ反映すべき人口はどう考えればよいのかという、根本にかかわる議論をしなければならないと思います。内務省の後継たる自治省は、このことについてどのようにお考えなのか、またどのように受けとめられておるのか、この点についてお答えください。
  155. 片木淳

    片木政府参考人 議員定数を定めるに当たりまして、先ほど申し上げましたとおり、人口も考慮の要素になることは御指摘のとおりではございますが、人口だけでなく、選挙制度や歴史的経緯、さらにその時々の社会情勢など、諸般の事情を総合的に勘案の上決められるものと考えておるところでございます。  今回の衆議院議員の定数削減につきましては、国家公務員の定員削減や地方議会の定数削減、また民間における経営の合理化等が進められている中、まず国会議員みずからが改革の先頭に立って範を示すべきとの見地、さらには国民世論等を十分勘案し、各党各会派における議論を経て成立したものと承知させていただいているところでございます。  いずれにいたしましても、国会議員の定数のあり方につきましては、議会政治の根幹にかかわる問題でございます。各党各会派において議論していただきたいと存じております。
  156. 中西績介

    ○中西(績)委員 今、最後に指摘されました、各党各会派によって御論議をということでありますが、少なくとも、やはり閣法をこの前出したという経緯があるわけですね、しかも長い年月をかけて練り上げてきた、こういう経過があるわけでありますから、こうした点を考え合わせていきますと、まさに逃げ一本の答弁でしかないような気がいたしますので、こうしたことでは行政府としての、一番民主主義の根幹にかかわる部分をこれからどうするかということぐらいはやはり基本的に持っておいていただきたいと思います。  そこで、今回、与党及び民主党並びに自由党、現行制度の矛盾点、問題点の是正に関する公職選挙法の一部を改正する法律案提出をされました。  しかし、現行制度の最大の矛盾というのは、得票率と議席率の乖離、死に票の増加、一票の価値の格差の拡大などの欠陥にあると私は考えます。このことは協議会でも随分論議されてきたところであります。おびただしい死に票が発生し、有効投票の五五%にも達していると言われます。先ほどの論議の中におきましても格差二倍以上の選挙区が八十四選挙区にもなり、大変な数に達しております。  自治大臣は、これらの並立制の有する欠陥についてどのように認識しておられるのか、またさきの定数削減でこれらの欠陥は是正されるのかどうか、むしろ拡大すると思うのでありますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  157. 保利耕輔

    保利国務大臣 小選挙区比例代表並立制につきましては、御指摘の点を含めましてさまざまな角度から長期間にわたる論議を重ねました結果、政権の選択についての国民の意思が明確な形で示される小選挙区制と、多様な民意を反映する比例代表制とを並立的に組み合わせたものである、こういうふうに認識をしております。  これでいいのかと言われますと、これはちょっと困りまして、こういう制度で今の日本の選挙制度は行われているという前提に立って私どもとしては選挙法を運用していかなければならない、こういうことでございまして、再三申し上げて大変恐縮でありますが、それも国会の意思としてお決めをいただいたことであるというふうに認識をしているわけであります。  また同時に、二十削減の問題についての御指摘もございますが、それによってどうなるかこうなるかということについて私どもとしてコメントいたしますことは極めて僣越なことであるというふうに承知をいたしますので、コメントは差し控えさせていただきまして、各党各会派でまたいろいろお話し合いをいただきいと思います。
  158. 中西績介

    ○中西(績)委員 また同じような答えになるかと思いますけれども、「衆議院議員の定数については、平成十二年に行われる国勢調査の結果により、速やかにこれを四百五十人とするため、小選挙区選出議員の定数を中心に削減する措置を講ずるものとする」とあります。「小選挙区選出議員の定数を中心に」ということは、その中に比例定数のさらなる削減も含まれるのかわかりませんが、自治省として衆議院選挙制度の将来像についてどういう展望をお持ちなのか、こうした点についてお答えください。
  159. 保利耕輔

    保利国務大臣 これはもう再三同じような御答弁を繰り返して大変恐縮なのでありますが、やはり国の議会政治の根幹をなします選挙制度のあり方というのは国会でお決めをいただく、そしてでき上がった選挙法に基づいてその執行を行います役所がこの法律を取り仕切っていくというのが建前であろうかと思います。したがいまして、国会の議員の構成のあり方について自治省としてコメントを申し上げることは、言葉が重なりますが、大変僣越なことであると思っておりまして、これは議会の中で御論議をいただきたいことであるというふうに承知をしております。
  160. 中西績介

    ○中西(績)委員 さきの二十削減は、結局、国民の政治不信を利用して、政治にかける金を始末するような言い方をして、その実不公平を拡大するものと私たちからすれば言わざるを得ません。もし定数を仮に削るなら、死に票が多い小選挙区から削るべきであって、民意を反映する公正な比例代表から削るということでは、ますます国民を政治から遠ざけかねないのではないかと思います。  憲法の定める国民主権の原理にふさわしい選挙制度は何なのか。民意の反映や公平、公正をどのように考えていくのか。「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」という憲法前文の冒頭の言葉の意味をもう一度一人一人が考えていくことが大事ではないだろうか、こう思います。  そこで、もう一点だけ最後に、あっせん利得行為禁止についてお聞きしたいと思います。  ロッキード事件で田中首相が逮捕され二十数年がたった今日も、政治家が関与する腐敗事件は残念ながら後を絶ちません。国会でもいろいろ論議されておるところであります。最近もいろいろそうした問題等が続出をしておると言っても過言ではありません。これらの背景には、支持者に頼まれ役所に口をきくことは政治家本来の仕事であるという政治的風土、考え方が横たわっておるのではないかと思います。  公務員倫理法を制定し、公務員に対し厳しい規制を設けることにした一方で、今、政治家みずからが襟を正すことができなければ、政治不信の解消どころか、さらなる国民の政治に対する信頼の喪失となることは必定であります。  政治家が役所に口をきき、その見返りに献金を受ける事態を禁止するようにしなければなりません。政治家が政治的地位を利用して、特定個人団体からの陳情などを公務員に働きかけて実現した結果、その見返りに金品等を受け取ることを新たに犯罪として罰しようというもので、今こそ、国会議員のあっせん利得行為禁止するための地位利用収賄罪法案の早期成立が望まれると私は考えますけれども、自治大臣の御所見はいかがですか。
  161. 保利耕輔

    保利国務大臣 政治家といたしまして、政治倫理について厳しく受けとめていくのは当然のことだと思いますし、私自身、そのことは心がけているつもりでございます。  その上に立ちまして、御指摘の点につきましては、現在、国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律案ということで、民主党、公明党、社民党、参議院の会で平成十一年五月二十一日に参議院に提出された法律が、現在継続審査中になっております。これの処理については、参議院の議運を中心に御議論をなさり、その処理等をお決めになることだろう、こういうふうに考えております。  もとより、政治倫理というのは、政治家全員が心がけて守っていかなければならないことだと思っております。
  162. 中西績介

    ○中西(績)委員 最後に、時間が参りましたのでこれで終わりますけれども、こうしたことも含めまして、まだより多くの国民から指摘をされる問題が山積をしておる実情であります。したがって、そうした問題等について、私は、やはり優先してこれからも御論議いただくように、そしてまた委員長もお取り計らいいただきますようにお願いを申し上げて、終わります。
  163. 桜井新

    桜井委員長 中西君の質疑はこれで終わりました。      ————◇—————
  164. 桜井新

    桜井委員長 次に、鈴木宗男君外七名提出公職選挙法の一部を改正する法律案並びに国会法及び公職選挙法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  まず、提出者より趣旨説明を聴取いたします。鈴木宗男君。     —————————————  公職選挙法の一部を改正する法律案  国会法及び公職選挙法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  165. 鈴木宗男

    鈴木(宗)議員 ただいま議題となりました自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党及び民主党の五党共同提案の公職選挙法の一部を改正する法律案及び国会法及び公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず初めに、公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  平成六年の政治改革によりまして、衆議院議員選挙制度は小選挙区比例代表並立制となったのでありますが、平成八年の総選挙以来今日まで、この現行制度につきましてはさまざまな問題点指摘されてきたところであります。このため、五党といたしましては、その改善に向けて鋭意検討してまいりましたが、本案は、次回総選挙までに緊急に是正すべきものとして、次の五点につきまして改正を行おうとするものであります。  第一は、衆議院議員の特別選挙期日の統一についてであります。  現行制度では、衆議院議員の再選挙及び補欠選挙は事由が生じた都度四十日以内に行うことになっておりますが、小選挙制度導入に伴いこれらの選挙の数が増加しておりますことから、これらの選挙に対する国民の関心を喚起する等のため、これらの選挙は、原則として期日を統一して行うこととし、九月十六日から翌年の三月十五日までに選挙を行うべき事由が生じたものについては当該期間の直後の四月の第四日曜日に、三月十六日からその年の九月十五日までに選挙を行うべき事由が生じたものについては当該期間の直後の十月の第四日曜日に行うこととしております。  ただし、衆議院議員の再選挙のうち、選挙の無効による再選挙及び法定得票数に達した候補者がなかったことによる再選挙は、これまでどおり、これを行うべき事由が生じた日から四十日以内に行うこととしております。  なお、参議院議員の任期が満了する年にあっては、期日統一の対象となる再選挙及び補欠選挙でその年の三月十六日から参議院議員の任期満了前五十四日前の日までにこれを行うべき事由が生じたもの等は、通常選挙期日に行うこととしております。  また、期日統一の期間内に衆議院議員の任期満了前六月前の日が属する場合には、当該期間の初日以後事由の生じた統一対象再選挙及び補欠選挙は、行わないこととしております。  第二は、衆議院小選挙区選出議員を辞した者等の立候補制限についてであります。  衆議院小選挙区選出議員を辞し、または辞したものとみなされた者が、当該欠員について行われる補欠選挙候補者となることは、国民の理解が得られないと考えるものでありますが、補欠選挙期日が統一されることにより、補欠選挙を行うべき事由が生じた日から補欠選挙の日までの期間が長くなりますと、このような行動をとることが容易になりますことから、これを禁止しようとするものであります。  第三は、小選挙区選出議員選挙において法定得票数に達していない重複立候補者の比例代表選出議員選挙における当選の排除についてであります。  現行制度においては、小選挙区選出議員選挙と比例代表選出議員選挙の重複立候補者は、小選挙区選出議員選挙の得票いかんにかかわらず比例代表選出議員選挙当選人となることが可能となっておりますが、これは国民感情にそぐわないため、小選挙区選出議員選挙において法定得票数に達していない重複立候補者は、比例代表選出議員選挙の衆議院名簿に記載されていないものとみなすこととしております。  第四は、専ら手話通訳のために使用する者に対する報酬の支給についてであります。  現行制度においては、専ら手話通訳のために使用する者に対し報酬を支給することは認められておりません。本案は、選挙の実情にかんがみまして、参議院比例代表選出議員選挙以外の選挙においては、選挙運動に従事する者のうち、専ら手話通訳のために使用する者について、政令等で定める額の報酬を支給することができることとしております。  第五は、書籍及びパンフレットの普及宣伝のための自動車、拡声機等の使用の規制についてであります。  現行制度においては、衆議院議員選挙等一定の選挙公示または告示の日から選挙の当日までの間は、政党その他の政治活動を行う団体の発行する機関紙、雑誌の普及宣伝のための自動車及び拡声機の使用は一定の場合を除きできないこととされておりますが、書籍、パンフレットの普及宣伝のための自動車及び拡声機の使用が横行し、選挙の公正を害しております。  本案は、これに対処するため、政党その他の政治活動を行う団体は、その政治活動のうち、書籍及びパンフレットの普及宣伝のための自動車、拡声機等の使用については、衆議院議員選挙等一定の選挙公示または告示の日から選挙の当日までの間は、確認団体による一定の制限の範囲内のものを除き、これをすることができないものとしております。  なお、この法律は、原則として公布の日から施行することとし、専ら手話通訳のために使用する者に対する報酬の支給に係る規定並びに書籍及びパンフレットの普及宣伝のための自動車、拡声機等の使用の規制に係る規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行することとしております。  また、衆議院議員の特別選挙期日の統一に係る規定は、この法律の施行の日以後これを行うべき事由が生じた衆議院議員の再選挙及び補欠選挙について、小選挙区選出議員を辞した者等の立候補制限に係る規定は、この法律の施行日以後小選挙区選出議員を辞しまたは辞したものとみなされた者について、小選挙区選出議員選挙において法定得票数に達していない重複立候補者の比例代表選出議員選挙における当選の排除に係る規定は、この法律の施行の日以後初めてその期日公示される衆議院議員の総選挙から、専ら手話通訳のために使用する者に対する報酬の支給に係る規定並びに書籍及びパンフレットの普及宣伝のための自動車、拡声機等の使用の規制に係る規定は、公布の日から起算して二十日を経過した日以後その期日公示されまたは告示される選挙について、適用することとしております。  引き続き、国会法及び公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  現行法においては、衆議院議員及び参議院議員とも、当選後、選挙のときに所属していた政党から他の政党に移動することには何らの制限も加えられておりません。しかしながら、政党への投票をもとに選出された拘束名簿式の比例代表選出議員当選後他の政党に移動することについては、選挙に示された有権者の意思と全国民を代表する議員の地位をめぐって、国会を初め学界、マスコミ等各方面で種々論議のあったところであります。  これらの論議を踏まえ慎重に検討した結果、本案は、衆議院及び参議院の比例代表選出議員当選後、当該選挙で争った他の政党等に移動することは、有権者の意思に明らかに背くものであることから、これを禁止することといたしております。選挙時の所属政党等を離れて無所属になることや、選挙時になかった新たな政党等に所属すること、また、選挙時に所属していた政党等が他の政党等と合併した場合または分割後に他の政党等と合併した場合に当該合併後の政党等に所属することは、禁止いたしておりません。  次に、この法案の内容について御説明申し上げます。  第一に、国会法の一部を改正し、衆議院または参議院の比例代表選出議員議員となった日以後に、選出された選挙における他の名簿届け出政党等に所属する者となったときは、一定の場合を除き、退職者となることとしております。  第二に、公職選挙法の一部を改正し、衆議院または参議院の比例代表選挙当選人は、その選挙期日以後において、当該当選人が登載されていた名簿届け出政党等以外の当該選挙における他の名簿届け出政党等に所属する者となったときは、一定の場合を除き、当選を失うこととしております。  この法律は、公布の日から施行し、改正後の規定は、施行日以後その期日公示される総選挙及び通常選挙並びにこれらの選挙に係る再選挙及び補欠選挙またはこれらの選挙で選出される議員について適用することとしております。  以上が、公職選挙法の一部を改正する法律案及び国会法及び公職選挙法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ、慎重審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  166. 桜井新

    桜井委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  次回は、明十四日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十四分散会