○中桐
委員 民主党の中桐伸五でございます。
この
委員会、非常に私、
質問がなかなかやりにくいなというふうに直観しております。と申しますのは、実は各党の、
選挙と、それから民主主義の結果としての政権の誕生というものをどういうふうに考えておるかということを、政府に対する
質問ということではなくて、むしろ、いろいろ自由な角度から議論をするというふうな
委員会にしてもらうと私の
質問したいことが一番やりやすいのでございますけれども、まあ、従来どおりの
委員会の形式なので、それに従って、ちょっと私非常に不満なところもございますが、質疑を進めていきたいというふうに思います。
〔林(幹)
委員長代理退席、
赤城委員長代理着席〕
質問の項目については既に事前に出しておりますけれども、先ほど堀込
委員の質疑の中で、
大臣が、
選挙制度審議会について当面は考えていないというふうな御答弁をされておりました。それは当面国会でやることではないかということでそういう御答弁をされておりましたけれども、
選挙制度の改革をどういうふうにやっていくかということを議論する現状認識といいますか、一九九六年十月に小
選挙区比例代表並立制の最初の
選挙が行われて、一回しか行われていない、そういう中で、この
選挙制度をどういうふうに評価するかということを前提にしなければ
選挙制度審議会をつくるかどうかということも
結論が出ないだろうと私は思います。
そこで、少し私の考え方を
大臣初めこの
委員会の皆さんに御提示を申し上げて、今後の参考にしていただければと思います。
質問でやるということではなくて、とりあえず前提はそういう形で進めたいというふうに思います。
一九九六年十月に総
選挙が行われて以降、最初の橋本政権、これは
選挙によって誕生した政権というふうにとらえることができると思うんですが、その後、参議院
選挙を経て、小渕自民党政権になり、その次に自自連立政権になり、自自公政権になり、現在の新しい自公保という政権になって今日に至っているわけであります。今、私、この政権が国民の民意をどの程度反映したものとして誕生しているのか、そしてその政権の運営をしているのか、このことは民主主義の基本として大変重要だと思うのです。これだけ政権が、いわば
選挙というものを経ないで変わってくるということ自体、やはり私は大変重大な問題だろうというふうに思っております。
特に、現状を認識しますと、冷戦構造が崩壊をして以降は、それまでのいわゆるイデオロギーを中心とする、あるいは世界観の違いを根本に置くいわば国会対立、政権をめぐる応対、そういったものから大きく変化があったというふうに思うわけですね。そこの中でいわゆる小
選挙区
制度を導入するということは、いわば対立する相手の
政党を絶対に容認しないという、世界観の違いをもとにする対決構造から、いわば切磋琢磨をする
政党政治というものを想定し、しかも小
選挙区
制度を重視するということになっていけば、当然一位の
政党と二位の
政党の選択を、有権者が、世界観のレベルではなくて、今日本の直面している、我が国の直面している
政策を実行するに当たってどちらの
政党の政権を選ぶかという、一位と二位の
政党の選択をえいやっと二者択一でするという
選挙制度を選んだんだというふうに私は考えているわけであります。それは、小
選挙区を三百にし、比例代表議席を二百にしたというところにそういう意図が表現されたと私は考えているわけであります。
しかし、その議席数の案分が妥当なものかどうかということになってくると、今後の
選挙制度の将来展望ということからいえば十分これは議論をしなければいけない問題だろうと思っているわけですね。
そこで、堀込
委員が
質問をしておりました、前回の国会から今回の国会に至る過程での比例代表議席部分をどう扱うか。五十削減から最終的には二十削減というところに落ちついたわけでありますけれども、その議論というのが十分なされないままに処理をされたということについては、私も堀込
委員と同様、非常に残念であるというふうに思っているわけです。
といいますのは、先ほどから言っておりますように、政権を選択する
選挙を導入するというスタートを一九九六年十月から切ったわけですね、我が国の
選挙制度というものの改革を通して。その背景というのが、イデオロギー的な対立から、二者択一を有権者の民意として反映をさせていただくという
制度に変える。
そのさらに重要な根拠として、私は、今我が国が直面している経済のグローバリゼーションというものが一方であって、
政策の決定に対して非常に迅速性が要求される、しかもその
政策をとったことに対する責任の所在も明確にしなければいけない、そういう時代に入っていると思います。特に金融問題なんかはその典型でございまして、明らかに、この間のスピードを持った
政策決定というのが、非常に重要なものとしてもう身近に私どもは体験したと思いますけれども、そういう問題があります。それから、地方分権初め日本の国の形の構造改革をやらなきゃいけない、産業構造の改革も進めていかなきゃいけない、そういった問題がもうメジロ押しで、いわば政治、経済、社会の構造改革というものに直面している。
そういうことから考えまして、
選挙制度を考えるときに、キーワードは、
選挙で安定した政権をどう生み出せるんだろうかということであります。民意を反映した形で安定した政権をどう生み出せるんだろうかということが一つの重要なキーワードではないかというふうに私は思っているわけです。それが同時に、国民の政治不信を解消していくことにつながっていくだろうと私は思っているわけであります。
そういう意味で考えてみますと、この今の
選挙制度、一九九六年十月の
選挙を経て、この間の政権の交代をしてきた、政権というかいわゆる枠組みが変わってきた、これに対する
説明責任をどれだけ果たされたのかということを考えてみましても、与党にしろ野党にしろまだ大混乱している状況が続いていると見なければいけない。一九九六年十月に小
選挙区シフトに変わった
選挙制度を十分活用できる状況にまだ我が
政党政治はなっていない、そのように私は認識をしているわけであります。
そういうことから考えまして、この間の国民世論が連立政権に対して非常に厳しい評価をしていることは、
大臣も御承知のことだと思います。連立政権に対する評価はノーという意見が非常に高いですね。五〇%台か六〇%台か、それは幾分の差はありますけれども、非常に高い。これはやはり、私は、
選挙で安定政権をつくるという、民意の反映をした政権をもって責任を持った政治をしてもらいたいという意思のあらわれだと思っているわけです。
確かに、議院内閣制で国会に安定した政権をつくって運営をするということ、多数決でもって
政策を遂行していくということは非常に重要なことですので、そのこと自体を生み出すための
選挙でなければいけないと私は思うわけであります。ところが、それができていないというのが今の現状でありまして、ここに、国民の不信が見事に表現されているということではないかと思うのです。
そこで、私が今考えているのは、
選挙をどのように行うかということ、次の解散・総
選挙をどういうソフトウエアで行うかということが、
政党に課せられた極めて重大な課題だろうというふうに思っております。
選挙制度そのものは、先ほど堀込
委員もおっしゃっていましたけれども、私
個人の考えも、まず、五十の比例議席をさらに少なくして小
選挙区シフトにさらに変えていくことが、
選挙で安定政権を生み出す、それが今日本が国際、国内の歴史的現時点において問われている課題を解決するために必要なことなんだというふうに認識をしております。
その点においての議論がこの間十分に
政党間で行われてこなかったことが、私は、次の解散・総
選挙でまた
制度を十分に活用できない弊害のもとになるのではないかと非常に心配をしているわけであります。
しかし、それは、これからの
選挙に向かって、ぜひ、小
選挙区の活用の仕方というものを、本来の
制度導入の意図に沿った
選挙戦というものを各
政党は大いに展開する必要があるというふうに、私は各
政党に望んでおきたいと思うのです。
その際、非常に重要になってくるのは、首相候補を
選挙戦の前に明示して、そしてその首相候補だけではなくて、当然、政権
政策というものを明示して
選挙戦を行うべきだ。当然、一位と二位の
政党を中心として選択が問われるだろうと思いますけれども、しかし、それは、各
政党が首相候補を擁立して戦わざるを得ないという、それは、二人に収れんされないで、さらに三人以上の首相候補の間で戦われるということも当然あるんでしょう。そういうことで、最終的には一位と二位の首相候補の間で選択が問われる。そのときに、単なる人気投票ではなくて、きちんと四年間の
政策を明示して、その違いを示しながら
選挙戦を行うということが、まず、私は、意識的に各
政党で取り組まれなければならないんではないかというふうに考えているわけであります。
これは、結果として一位と二位の
政党の党首が首相になるんだという、結果としての解釈ではなくて、より積極的に、党首でなくても、首相候補というのは当然別の
候補者を立てることもあるわけです。
例えば、最近でいえば、ドイツのシュレーダーという現在の首相は、そのとき党首ではなかったわけでありますし、ドイツは、一九六一年、初めて首相候補に名乗りを上げて
選挙をしたブラントという、新しい首相ができましたけれども、そのときに初めて社会民主党は首相候補を名乗って、明示をして
選挙戦を戦ったということを、私は歴史的な話として聞いております。
そういう形の、つまり党首であるかどうかというのは、これまでの各国の経験からいっても、首相候補は必ずしも党首であるということではない。そういう意味で、党首が必ず首相候補として最終的にはなるんだという解釈ではなく、もっと積極的に、次の首相、内閣のリーダー、政権のリーダーはこの候補でいくんだ、そしてその四年間の任期中の政権
政策はこれこれなんだということを示して、有権者に選択を求める。そういう
選挙をすることはすぐできるわけでありますから、首相公選制という
制度を導入しなくても、それは
政党がそういう
選挙を
目的意識的に追求しさえすればいいということとして私は理解をしておるし、そういう形で政権の明示をしっかりと打ち出すことが、今の連立政権に対する国民の批判の声に対して、政治不信に対してこたえることになるというふうに考えているわけです。
そういう意味で、
公職選挙法上、
政党が首相
候補者を明示して
選挙運動を行うことができるかどうか、その点についてまずお伺いをしたいと思います。