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2000-05-11 第147回国会 衆議院 商工委員会科学技術委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十一日(木曜日)     午前九時三分開議  出席委員   商工委員会    委員長 中山 成彬君    理事 伊藤 達也君 理事 小林 興起君    理事 河本 三郎君 理事 山本 幸三君    理事 大畠 章宏君 理事 吉田  治君    理事 久保 哲司君 理事 吉井 英勝君       小野 晋也君    岡部 英男君       奥谷  通君    粕谷  茂君       小島 敏男君    古賀 正浩君       桜井 郁三君    田村 憲久君       竹本 直一君    戸井田 徹君       中野  清君    桧田  仁君       古屋 圭司君    細田 博之君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       森田  一君    山口 泰明君       渋谷  修君    島津 尚純君       中山 義活君    半田 善三君       松沢 成文君    山本 譲司君       金子 満広君    青山  丘君       小池百合子君    塩田  晋君       北沢 清功君   科学技術委員会    委員長 田端 正広君    理事 稲葉 大和君 理事 小野 晋也君    理事 河本 三郎君 理事 山口 俊一君    理事 辻  一彦君 理事 平野 博文君    理事 近江巳記夫君 理事 吉井 英勝君       岩下 栄一君    江渡 聡徳君       岡部 英男君    古屋 圭司君      三ッ林弥太郎君    望月 義夫君       近藤 昭一君    吉田  治君       斉藤 鉄夫君    菅原喜重郎君       辻元 清美君         …………………………………    通商産業大臣       深谷 隆司君    国務大臣    (科学技術庁長官)    中曽根弘文君    経済企画政務次官     小池百合子君    科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君    通商産業政務次官     細田 博之君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    政府参考人    (科学技術庁原子力局長) 興  直孝君    政府参考人    (科学技術庁原子力安全局    長)           今村  努君    政府参考人    (外務省総合外交政策局軍    備管理・科学審議官)   服部 則夫君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君    商工委員会専門員     酒井 喜隆君    科学技術委員会専門員   宮武 太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案内閣提出第六六号)     午前九時三分開議      ————◇—————
  2. 中山成彬

    中山委員長 これより商工委員会科学技術委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして、私が委員長の職務を行います。  内閣提出特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案を議題といたします。  本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
  3. 辻一彦

    ○辻(一)委員 おはようございます。  きょうは連合審査でありますので、科学委員会の方から申し入れをしました結果でありますので、私の方から質問させていただきたいと思います。  私のところは、御承知の方もあると思いますが、福井県の若狭湾、いわゆる世界一というほど原子力発電所が集中しております。十五基、約千二百万キロワットの容量というのは、世界でも最大、日本でももちろんそうであると思っております。  したがって、この原子力発電所立地をした昭和四十年代あるいは五十年の初期、かなり集中的に行われましたが、そのときに立地自治体が一番懸念した問題は、一つは、使用済み燃料がだんだんたまって、そして将来、半永久的に使用済み燃料立地自治体が抱え込むことになるのではないか、こういう懸念一つあります。  それからもう一つは、使用済み燃料最終的にいえば最終廃棄物ハイレベル最終廃棄物ということになりますが、それらがどう処理されるのか、立地最後までそれを抱えることになれば大変なことだ、こういうことの意見、懸念が非常に強くて、政府はこれに対して、全部処理をする、使用済み燃料廃棄物は持ち出すということを確認しております。  トイレなきマンションという言葉で表現されるように、発電所ができましたら、最終の方の、処分の問題が未定のままに随分長い時間がたってまいりました。そういう意味では、立地自治体は大変な関心を本案に対して持っておると思っております。  そこでお尋ねしたいのは、初めからトイレなきマンションというように批判があったわけですから、このハイレベル最終処分処理場の問題は早くからその必要性が痛感されておったにもかかわらず、なぜ今日まで随分とおくれたのか、ここらをひとつまずお答えいただきたいと思います。
  4. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 高レベル放射性廃棄物最終処分に関する政策がなぜおくれたのか、こういう御質問でございます。  欧米におくれてスタートいたしました我が国原子力発電でございますけれども、高レベル放射性廃棄物最終処分に対して、決してこれまで検討を怠ってきたわけではございません。技術的、そして経済社会的側面からも検討一つ一つ重ねてまいりました。そのことにつきまして、少々お時間をいただきまして、ここで御説明をさせていただきたいと思っております。  最初に、昭和五十一年の原子力委員会におきまして、いろいろある処分方法の中で、世界的な状況も見まして、当面地層処分重点を置いて調査研究を進めるということが決定をされました。その原子力委員会決定を踏まえまして、原子力委員会の下に放射性廃棄物対策専門部会を設けて検討を進めてまいったわけでございます。  三つの報告書が出ました。この報告書の中で、多重バリアによる地層処分システム基本とすること、それから岩石の種類を特定することなく広く有効な地層を選定できること、こういうことが可能であるという内容報告書取りまとめられました。これらを受けまして、昭和六十二年の原子力開発利用長期計画におきまして、深地層処分基本的な方針とするということが決定をされました。  この昭和六十二年の長期計画に基づきまして、一つは技術的な検討、それからもう一つは社会的な重要性というふうなことについての検討、ある意味で二本立てで検討が始まったわけでございます。  まず、技術的な側面についてでございますが、地層処分の手順、それから……(辻(一)委員「なるべく簡単にお願いします」と呼ぶ)はい。旧動燃を中核とする研究開発体制などが示されまして、その結果、平成四年に高レベル放射性廃棄物地層処分研究開発技術報告書、いわゆる第一次取りまとめと言われているものですけれども、これを原子力委員会提出をいたしました。この第一次取りまとめにおきまして、我が国における地層処分安全確保技術的可能性が示されたわけでございます。  一方、社会的経済的側面につきましては、平成三年に、国、旧動燃、それから電気事業者が、高レベル放射性廃棄物処分の円滑な推進を図るため、高レベル放射性廃棄物対策推進協議会を設置いたしまして、さらに平成五年、高レベル事業推進準備会、SHPが設立をいたしまして、実施主体あり方、そしてその費用のあり方等について具体的検討が進められてきました。  これらのさまざまな取り組みの結果を受けまして、平成六年の原子力開発利用長期計画において、二〇〇〇年を目安に処分事業実施主体設立することということが決定され、平成七年の原子力委員会決定において、社会的経済的側面を含めた幅広い検討を進める高レベル放射性廃棄物処分懇談会、及び技術的事項検討する原子力バックエンド対策専門部会が設置されまして、精力的な調査審議が行われてまいりました。  社会的経済的側面につきましては、高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方という報告書取りまとめられまして、社会的理解を得るための情報公開、制度の透明性立地地域との共生ということ等についての提言がなされるとともに、事業資金確保実施主体設立、それから研究施設実現、概念、そして安全確保基本的考え方の策定に早急に着手すべきであるとされました。これを踏まえて、その後の総合エネルギー調査会原子力部会での審議を経て、今国会に本法案提出させていただいたものでございます。  また、技術的側面につきましては、平成九年四月に、原子力バックエンド対策専門部会が、旧動燃関係機関と協力して得た研究開発成果を踏まえて、地層処分我が国に適用するための基本となる考え方、そして事例研究を通じ地層処分にとって十分に安定な地質環境我が国に存在し得ることを明らかにする必要がある等の技術的重点課題報告書取りまとめました。  これに基づきまして、昨年十一月、核燃料サイクル開発機構は、これまでの技術的な研究開発成果取りまとめて、我が国にも地層処分にとって好ましい地質環境が広く存在することなどを示した技術報告書、いわゆる第二次取りまとめと呼んでいるものでございますが、この第二次取りまとめを、報告書原子力委員会提出したものでございます。  このように、技術的側面社会的側面から一つずつ研究を積み重ね、また手続を踏み、今回の法案提出に至ったということを御理解いただきたいと思います。
  5. 辻一彦

    ○辻(一)委員 いや、私の聞いたのは、なぜおくれたかという理由であって、そんな経過はもう既にわかっていることですから、結構です。  重ねてお尋ねするにはもう時間が、通産大臣が三十分にここを出られるということなので、ちょっと優先的に通産大臣とそれから科技長官、両大臣にお尋ねをしたい。それで、補足があれば事務当局でひとつ御説明をお願いしたいと思います。  そこで、もう一つお尋ねしたいのは、いろいろな原子力発電所立地、それから中間貯蔵施設等々の難しい問題がずっとありましたが、前進はしておりますが、立地の難しさからいうと今回のハイレベル処分場立地は一番難しさがある。全部最後にここに集中するわけですから、難しさがあると思います。  そこで、きのう、私も院内テレビで聞いておりましたが、北海道知事経験を持つ横路委員が随分長時間にわたって質問されておりましたが、非常に大事な、貴重な経験を述べておられたと私は思います。横路委員等のこういう貴重な経験政府はどう吸収、反映させていく考えがあるのかどうか、簡潔で結構でありますから、通産大臣科技長官にお尋ねしたい。     〔中山委員長退席田端委員長着席
  6. 深谷隆司

    深谷国務大臣 昨日の横路委員質問は、かつての北海道知事として経験したものを踏まえての、御提言も含めた御質問でございました。私も詳細にわたりまして回答をいたしたのでございますが、細かく全部申し上げるわけにまいりませんが、その中の折々に大変貴重な御提言や御意思がありましたから、これは大事に受けとめたい、そのように感じております。
  7. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 昨日の商工委員会、私ずっと出席をしておりまして、横路委員質問のときもお答えをさせていただきました。非常に重要な提言が、また内容のある質問がございましたので、先ほど通産大臣お答えになったと同様、参考にしていきたいと考えております。
  8. 辻一彦

    ○辻(一)委員 端的に質問しますが、私は去年の一月に、アメリカの核、原子力施設を訪ねました。今、アメリカは、最終的に九カ所から一カ所に絞り込んだユッカマウンテン、ネバダの核実験場の中にある千五百メーター溶岩の山ですが、その千三百メーターの中腹をくりぬいて、新幹線ぐらいの、三キロほどの横穴を掘って、そこに今、兵器から、あるいは商用発電所から来る廃棄物をずっと並べて、試験をしている。それをずっと見て、説明もかなり聞きました。  頭には電気をつけて、酸素ボンベを負って、いざというときにはこれを使ってくれという相当な重装備をして中へ入ったんですが、実態を見ましてその中で一番感じたのは、アメリカ最終処分場試験場は、これは地下水の上。だから、千五百メーター溶岩の塊の千三百メーターのところに穴を掘り、六百メーター下地下水があるという、地下水が下の場にあるんですね。  ところが、今我が国は、ほかの国もそうですが、地下水の下あるいは海水の下という深層処分をやろうとするんですが、水という関係からいうと地下水の上の方が安全性があるんですか、そこらの安全上の特徴について、簡潔で結構ですからお伺いいたしたいと思います。
  9. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 辻委員指摘のとおり、ユッカマウンテン試験場地表から三百メートルの深さにございまして、地下水レベルはそれよりまたもう一つ三百メートル下ということでございます。これに対して、日本初め多くの国は、地下水面より下に地層処分することを検討しております。  地下水面より上にある場合は、降った雨が下に落ちていく、そのときに高レベル放射性廃棄物に触れるということになりますけれども、こういう場合は、地表から岩盤中を浸透しておりてくる地下水一般酸化性だそうでございます。したがって、人工バリア地下水に接する場合は、その人工バリア材腐食や、キャニスター等でございますけれども、放射性物質溶解といった反応は比較的早く進むことになりまして、そういう問題点がございます。しかし、ユッカマウンテンの場合は、降水量が非常に少なくて、それは問題にならないとされていると聞いております。  一方、地下水面よりも下に処分する場合は、地下水が常時人工バリアと接することになるわけですが、地下深部に滞留しております地下水一般酸素を含まない還元性であるということが言われておりまして、人工バリア材腐食放射性物質溶解といった反応は非常にゆっくり進んでいくということになります。人工バリア耐久性という面ではかえって好都合、こういうふうに言われているわけでございます。  以上のように、地下水面処分深度の位置、それから処分地気象条件等関係によりまして、人工バリア材腐食放射性物質溶解といった反応速度に違いがありまして、それぞれの地域の特性を踏まえながら検討していかなければならない項目だと考えております。
  10. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私、さっき地下六百メーターというふうに言ったので、三百メーターと直しておきますから。  そこで、ユッカマウンテン等を見ますと、今までは、二〇三〇年に埋め戻し、全部埋設してしまう、こういう計画であったのが、三百年間埋め戻しをせずに取り出すことができるようにするという大きな変化があるのを実感したんですね。これは、一つは、資源としてアメリカ使用済み燃料も突っ込んでいますから、そういうのが将来資源としての可能性があれば次の世代でこれを活用できる、やってもいいという、その考え一つあるように思いますが、これは私は後のプルトニウムの問題で論議をしたいと思います。  もう一つは、はるか峡谷のかなた、砂漠の向こうにある谷合いの方にやはり住居があるんですね、住民が住んでいる。そういう住民に対して、地殻の変動等が起こった場合には、大きな懸念があるときには中から取り出して持ち出すんだ、こういう説明もしている。そういうように、周辺の住民に対する安心感を得るために非常な配慮、努力をしているというふうに一面では感じたわけですね。  そこで、アメリカの場合は横穴を掘って山の中をくりぬいてやっていますから、外に取り出すということの可能性はある、できると私は思うんですね。それからまたもう一つは、高レベル廃棄物処分をされるが、将来科学進歩は、三十年、五十年たったときに、例えば、加速器によって粒子を当てて超ウラン元素を重い重金属に変えてしまうということだってもう既に実験的にはできている。これから三十年、五十年の変化の中には科学進歩が十分考えられる。そのときに対応するためにも持ち出し可能な道を考えている。  このことは、私が七月にIAEAに行ってエルバラダイ事務局長ドマラッキー安全担当局長、次長ともいろいろ懇談したときにも、世界の趨勢は、一遍終えても、長い期間がありますから、取り出すことができる、回収できるような道を開いているのが動きになっている、こういうことをいろいろと論議しました。  我が国はその場合に、深層処分、立て坑で千メーターも下へ下がれば、そこから外へ取り出すというようなことは非常に難しくなると思うんですが、これについての考えはどういうように考えていらっしゃるか、ちょっと大臣に伺いたいです。
  11. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員指摘のように、諸外国では、例えばアメリカとかカナダ等一定期間回収可能性確保している、そういう状況でありますが、一方ドイツなどでは、最初から回収可能性は必要ないというような考え方で進んでいる国もあるわけでございます。各国とも一定期間の後には処分施設を閉鎖するという考え方となっております。  日本の場合には、回収可能性確保するかどうか、これは実はまだ今判断しているわけではありませんで、最終処分施設安全確保に関する事柄でありますので、現在行われております安全規制体系検討の中でこれから議論されるべきものと考えております。
  12. 辻一彦

    ○辻(一)委員 本来ならば安全上の問題は一緒に、包括的に出されるべきものと思いますが、今はそのことは一応別としたいと思います。安全面では、今申し上げた点を十分検討いただきたい、このように思います。  科学進歩というのは、三十年から五十年というのは、湯川博士が鉛筆をなめて方程式を書いてから五、六十年ですね。それで今日の原子力のこれだけの発展があったわけですから、これから三十年、五十年というのは大きな科学進歩があり得ると考えられる。それに対して適応できるだけの考え方を持っていかなくてはならないと思います。  大臣がここにあと四、五分しかいらっしゃらないので、ちょっと質問を飛ばして順序を変えて、一点確認をしたいことがありますのでそれをお尋ねしたいと思うんです。  それは、去年の春、原子炉等規制法改正等の二案を論議しました。その中で中間貯蔵施設についての法案が成立をしたわけです。私たちは、全部再処理をして慌ててプルトニウムを使うよりも、水の中につけて、あるいは乾式でもいいんですが、中間貯蔵によって資源の温存も図ってもいいじゃないか、こういう考えも含めて賛成をしたんですね。  問題は、そのときに、エネ庁長官科技長官が、有馬長官出席されましたが、その中で二〇一〇年までに中間貯蔵設備をつくるということは明言されたわけですね。しかし、私はあえて文書にして二〇一〇年までにつくるということを出すべきだということを強く迫ったんですが、当時の、今も、エネルギー長官は三度、二〇一〇年までに必ずつくります、食言のないようにやります、こういうことを明言されたわけですね。有馬長官もそれを受けて、科技庁エネ庁がこれだけのことを言っているんだから文書以上の重みがあるというように理解してもらって、二〇一〇年までには中間貯蔵設備をつくります、こういう御答弁であったわけですね。  有馬さんから私は伺いましたが、通産大臣、この道の責任者でありますので、大臣からこれについてのひとつ明言をいただきたいと思います。
  13. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員が熱心にこのことを言われたことを私どもは承っております。  中間貯蔵施設を二〇一〇年までに実現するということは大きな方向でありまして、ただいま電力会社が鋭意努力をいたしております。通産省といたしましても、全面的に協力し、これの実現のために取り組んでまいりたいと思います。
  14. 辻一彦

    ○辻(一)委員 新聞の報道するところによると、東電等中心にして中間貯蔵設備の五千トンクラスの候補地をかなり物色しているというように見ておるんですが、この点についてどういうように状況を把握されておるか、お尋ねしたい。
  15. 河野博文

    河野政府参考人 先生御指摘のように、今大臣が御答弁申し上げましたように、電力会社基本的な当事者として候補地の選定に鋭意努力しているのはそのとおりでございます。ただ、まだ具体的な地名を申し上げる段階までなっておりませんので、これ以上の答弁は控えさせていただきたいと思います。
  16. 辻一彦

    ○辻(一)委員 通産大臣の今御答弁もありました、明言もありました。この点はひとつ、科技庁通産省そしてエネ庁になりますが、科技庁は、過去の前回の法案審議の経緯と今日の答弁を踏まえて、必ず二〇一〇年までに建設してもらう、こういうことを全力を挙げて取り組んでいただきたい、このことを再度申し上げておきます。  大臣、時間が来ました。どうぞ。  そこで、私はちょっとさきに返りまして、使用済み燃料全量処理というのが我が国方針になっております。しかし各国には大きく言うと二つの流れがあると思うんですが、ごく大まかに、どういう流れになっているかということをちょっと事務局の方からお尋ねしたい。
  17. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 各国使用済み核燃料の取り扱いの方針がどうなっているかという御質問かと思います。  まず、アメリカでございますが、使用済み燃料の再処理は行わず、直接処分をするという方針でございます。フランスは、自国内で再処理を実施しておりまして、また海外からの商業委託も受けております。英国も同様でございます。ロシアは、自国内で再処理を実施しております。ドイツは、再処理と直接処分の双方を選択可能という形にしております。現実には、再処理は今イギリスフランス委託をしております。スウェーデンは、使用済み燃料の再処理は行わず、直接処分という形でございます。  日本は、御存じのとおりでございますが、民間再処理工場を建設中でございます。  以上が各国状況です。
  18. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私もいろいろ資料をもらって調べてみておりますが、イギリスフランスドイツ、まあ日本も再処理という方向で進んでいるということは、今発言のとおりであると思います。  ところが、実際、再処理全量処理に近い線でやっている国というのは、日本のほかは余り、少ないですね。例えばフランスにおいては、これは確かにやってはおりますが、使用済み燃料という形で保管をしている量が非常に多いと思いますね。それから、イギリスは専ら商業の方、外国使用済み燃料処理はやるけれども、自分の国のは後にしている、こういう形が大体多いのではないかと思うんですよ。だから、再処理路線をとってはいるけれども、実態は、外国の分は優先的にやって、そして自分の国のは、水の中に、それから乾式もあるでしょう、保管をして、いわば中間貯蔵をやっているという形が多いですね。  それらは、考えてみると、将来、使用済み燃料の中に含まれておるプルトニウムが生かせるのかどうなのかということを、やはり様子を見てもいいじゃないか、こういう考え方が多分にあると私は思うんですね。これが一つ動き。  我が国は、そういう点では、再使用、再処理路線をかなり忠実にやっている。これは国内では大して進んでいないが、イギリスフランス委託した分約六千五百トンから六千トン余りの使用済み燃料は、三十トンのプルトニウム抽出の予定が、もう既に二十トンはプルトニウムに、現物になっている。あと何年かすれば残りの十トンもプルトニウム化される、抽出されるとすれば、三十トンのプルトニウム現実使用済み燃料から再処理によって出てくるという状況にあります。国内の方はいろいろな事情でおくれている、これは事実だと私は思うのですね。  ところで、アメリカは確かに、ワンスルー方式、使い捨てをとっている。ところが、この間私も、ロスアラモスの国立研究所、原爆をつくって、今は核削減条約の核弾頭の解体試験中心にやっていますが、そこでもいろいろお話を聞いて、ユッカマウンテン処分場といいますか実験場を見てきました。そのときに、先ほどちょっと御紹介しましたが、今までは、二〇三〇年に、アメリカの核関係廃棄物をこのユッカマウンテン横穴の中に全部入れてふたをしてしまう、こういう考えであったのが、方向がかなり変わって、三百年間、二三一〇年までは埋め戻しをしない、ふたをしない、必要な場合には中から取り出すことができるようにしておく、こういうことを明言しておるんですね。  これは、さっき私が三つの理由を申し上げましたからもう言いませんが、その中の考え一つに、後で触れると言いましたが、資源として次の世代がこれを生かすことができるならば、そういう道をも残しておく、こういうことも説明の中でいろいろ言っておるわけですね。  それを考えると、資源の大国がむしろ資源中間貯蔵あるいはプルトにおけるワンスルー以前の形で中間貯蔵をしている、そこで資源可能性があるのがずっと温存されておるんですね。それは、国際的に言えば、例えばアメリカの場合は二百六十トンに相当するようなプルトニウム使用済み燃料の中に入っておって、それが温存されておるわけですね。我が国の場合は、資源小国、資源がないと言いながら、今、そこから全部再処理によってプルトニウムを取り出して、そのプルトニウムをプルサーマルで使おうとしているのですね、これはいろいろな事情からわかりますが、使う。  しかし、本来のプルトニウムを仮に有効に使えるとしたら、人類がナトリウムとプルトニウムを本当に制御できるというときが来れば、あるとすれば、プルトニウムの有効な利用はやはり高速炉にあると私は思うんですね。しかし、プルサーマルというのは最も能率の悪い、まあ何割かは恐らくそれによって能率が高まるとは思いますが、一番能率の悪いプルトニウムの生かし方である。  資源大国は資源を将来のためにずっと残している。結果としてなっているのですね。資源小国の我が国は、将来、資源になり得るかもわからない資源を早急に分離して、一番能率の悪いところで使ってしまおうとしている。これは一体、資源小国のあり方としていいのかどうか。このことについて、私は、科技それから通産、両省から伺いたいと思う。
  19. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 辻委員が、使用済み核燃料資源としてとらえて、これを将来世代に残しておくべきだ、こういう御持論をお持ちということに対して、我々もそのとおりだと思うところでございまして、また、その一つの手段が使用済み核燃料中間貯蔵施設現実的にはなるのではないか、このように私は思っております。  しかし、将来、その使用済み核燃料を残しておいても、いざ使おうというときにそのままでは使えないわけで、再処理をしてプルトニウムを取り出さなければいけないわけでございまして、そのための技術というのはこれからも開発をしていかなくてはならないわけでございます。  そういう意味で、その再処理ということは意味があると思いますし、それから、我が国の場合、エネルギー資源がないわけでございまして、エネルギーの安定供給という観点、それから、使用済み核燃料もそのままで最終処分いたしますと、やはりプルトニウムや超ウラン元素がそのまま入った形での最終処分になりますので、地球環境に大変大きな負荷を与えてしまうことになります。そういうプルトニウムやウラン等を取り出して高レベル放射性廃棄物にするということも、これも地球環境に負荷を与えない一つの大きな方法でございます。  そういう意味で、現時点で最もウラン資源を有効利用でき、かつ確実なプルトニウムの利用方法でありますプルサーマルに使っていく、再処理も進めていく、そしてプルサーマルで使っていくということも重要ではないかと考えております。
  20. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私も当初は、プルサーマル自体、MOX燃料による消費はかなり問題があるというように今も思っているし、思ってきましたが、ただ、米ロ両国の核弾頭から、もう既に、条約によって解体に手をつけられる、五十トンずつ軍事から外されてプルトニウムが出てくるという事実があり、これを一体どうするかという問題になると、やはりその中で問題を考えていかなくてはならない。こういう点から、単にプルサーマルはいけないと私は言っておるわけではないんです。しかし、全量処理という日本のこの路線を、考え方政策基本をかなり柔軟に修正してもいいのではないか。  だから、必要な量は、最小限、再処理によってプルトニウムを抽出していく。しかし、その他の分はできる限り中間貯蔵に回してやっていく。こういうように、それを全体の中の、柔軟なと見るのか、考え方が変わるというふうに見るのか、いろいろあろうとは思いますが、全面再処理というこの方向を柔軟に考えていくときに来ているのではないか。そういうことが長計等の中にも示されなくてはならないと思いますが、これはちょっと、長官がいらっしゃるので、せっかくだからやはり長官にひとつ伺いましょう。
  21. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 先ほどから総括政務次官からも答弁申し上げておりますけれども、非常に資源の乏しい我が国といたしましては、この核燃料サイクルを原子力政策基本としていることで、これは委員も十分御承知のとおりでございます。  使用済み燃料は再処理をして、回収されるプルトニウムの有効利用をするということでございますが、一方、国内の再処理能力を上回ります使用済み燃料につきましては、平成九年二月の閣議了解に基づきまして、再処理するまでの間適切に貯蔵管理することとし、昨年の六月には、中間貯蔵を可能にする法律の整備をしていただいたところでございます。  この中間貯蔵は、使用済み燃料の発生状況と再処理の方の能力を調整するための措置として位置づけられるものでありまして、これによりまして、我が国の核燃料サイクルをより柔軟に行うことが可能となる、そういうふうに考えているところでございます。
  22. 辻一彦

    ○辻(一)委員 政府としては、そこは多少修正してもいいとはなかなか言いにくいとは思うけれども、中間貯蔵にできる限り分量を回して、再処理の面はできる限り抑えていくというような柔軟さをひとつ持ってもらいたい。そういう柔軟な考え方でいくことについてはいかがですか、長官
  23. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 今申し上げましたような基本的な方針で進めておるわけでございます。  当面のプルトニウムの需給面をちょっと見てみますと、展望といたしましては、海外での再処理によって回収されるプルトニウム、それから二〇〇五年以降の運転が今予定されております六ケ所での再処理工場によって回収されるプルトニウムがあるわけでございますが、一部は「常陽」それから「もんじゅ」等の研究開発用に利用されますけれども、大宗はプルサーマル計画によって利用されることとなっておるわけであります。  私どもといたしましては、今後、このプルサーマルの着実な進展を図ることによりまして、適切なプルトニウムの利用を図っていくことができるもの、そういうふうに考えております。
  24. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、長計の見直しの中にもそういうものを含めた論議がされることを、強く求めておきたいと思います。  そこで、アメリカの場合は、プルトニウムは廃棄処分にするという当初の方針、ガラスの中に、結晶の中に入れてつかまえて廃棄処分にしよう、こういう考えであったのですね。  ロシアの方は、一つは、プルトニウム資源として生かすべきであるという考え方を持っていますね。ところがもう一つ、この間私は七月に行って、ロシアのイワノフという原子力省の第一次官と、専門の人ですから、二、三日おってかなり論議をやりましたが、端的に言ってロシアの見解は、ガラス固化体の中にプルトニウムを閉じ込めて埋設処分をしても、五十年ほどたってそれを掘り返してまた軍事用に使おうと思えば使えないことはない。だから、それだけでは保障にならない。だから、これを軍事転用できないようにするには、原子炉の中で燃やしてプルトニウムの組成を変えなければいけない。今ロシアの技術の段階においてはそういう見解を持っている、こう言っておるのですね。  だから私は、米ロが核弾頭の削減条約で調印をしても、そこから取り出したプルトニウムをどういうようにするかについては、意見といろいろな考えがある、なかなか難しさがあると思うのですね。  だから、アメリカの方は、御承知のように、廃棄処分一本やりであったけれども、ロシアと協調できなければ、この核削減後の核弾頭から取り出したプルトニウム処理は、共通点がなければ効果が出ない。こういうことで、MOX化も一部やって、そういう工場もつくってMOX化をして燃やすことも、やはりロシアと歩調を合わせて考えるというような選択をこの春あたりやったように私は聞いておるのですね。  いずれにしても、アメリカとロシアは、核弾頭から出てくる五十トンずつのプルトニウム、ロシア側は核弾頭には二百トンぐらい詰めた、こう言っていましたから、恐らくそれはまだ一部であろうと思うのですが、これから第二の削減条約、今のがどんどん進んでいくとすれば、より大量のプルトニウムが取り出されることになると思うのですね。  そこで、それは米ロですが、もう一つ日本の場合も、国内処理をしているならば、今の状況ならばそんなに大量のものは出てこないのですが、英仏に預けて、しかもイギリスフランス日本が最大のお客さんになっている。全力を挙げて再処理をしているわけですから、既に二十トン、そして近くは十トンの、三十トンのプルトニウムが、英仏に海外委託した中から現実に抽出されてくることは事実だと思うのですね。  そうなりますと、米ロのいわゆる五十トンずつ、将来もっとふえるでしょうが、それと、日本の当面海外委託した三十トンの出てくるプルトニウム我が国はこれを持って帰ってやろうとしているのですが、一トンのプルトニウムを持って帰るときにはあれだけの数年前の騒ぎがあったし、MOXに加工してもなかなか容易ではない。こういう状況を見ると、米ロと日本の三十トン、こういうようなかなりまとまったプルトニウムは、国際管理によって何かの方法で管理をするという道を考えられないのか。  そこらは、科学技術庁の問題と同時に、外務省、外交の問題でもあると私は思うのですが、両者からそれぞれの見解をお尋ねしたい。
  25. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 まず、科学技術庁の方からお答えをさせていただきます。  辻委員プルトニウムの国際的な管理、監視、こういう構想はどうか、こういう御質問かと思います。  プルトニウムを国際的な監視のもとで貯蔵する構想につきましては、一九七〇年代の終わりごろから八〇年代半ばにかけまして、国際プルトニウム貯蔵構想、IPSという構想がありました。国際原子力機関の場を中心検討されましたけれども、どの国に貯蔵するのか等、そのスキームについて関係国の間でコンセンサスが得られず、最終的には合意に至らなかった経緯がございます。このように、国際的な管理、処分の問題は、各国間の利害調整が非常に困難な問題でございます。  また、国際管理の実施に当たりましては、どこかの国にプルトニウム単体を大量輸送するという核物質防護上のリスク等も考慮しなければならない、また、保管する国の地域的安定性に対する懸念も考慮しなければならないということで、慎重な対応が必要、こういうことでございました。  プルトニウム利用を進める我が国といたしましては、核不拡散と原子力平和利用の両立を図るための国際的な枠組みでございます核不拡散条約、NPT上の義務を遵守する、そして、プルトニウムを含む国内にあるすべての核物質についてIAEAの厳格な保障措置の適用を受けております。また、利用目的のない余剰プルトニウムを持たないとの原則のもと、国内におけるプルトニウムの厳密な管理を行っていくこととしております。  さらに、プルトニウム利用の透明性を向上させるために、毎年分離プルトニウムの管理状況原子力白書で公表しておりますが、これとともに、一九九七年に、プルトニウム利用の透明性向上のための国際的枠組み、国際プルトニウム指針というものを我が国の積極的なイニシアチブでつくりました。我が国を含めて、現在九カ国がこの方針に基づいてプルトニウム保有量をIAEAに報告して、それをIAEAが公表しているところでございます。  このように、透明性を高める、どの量がどこにあるかということをはっきり世界に公表するということで国際的な監視のもとに置くということを実質的に実施している、このようにお考えいただければいいかと思います。  そういう意味で、我が国が保有する平和利用目的のプルトニウムを海外において国際管理、保管することは必要ないのではないかと考えております。
  26. 服部則夫

    ○服部政府参考人 お答え申し上げます。  今斉藤政務次官の方からもお答えになりましたように、国際的な監視の制度につきましては、七〇年代から検討が行われているわけですけれども、各国の利害の調整がつかずに現在までその制度自体はできておらないのは、先生御承知のとおりでございます。  九〇年代に入りまして、冷戦が終了いたし、核軍縮が進展したわけですけれども、核兵器の解体に伴って生じますプルトニウムの管理、処分の問題が大変深刻化しております。したがって、プルトニウム使用等に関する国際的な枠組みの必要性が現在改めて認識されているというふうに我々も考えております。  しかしながら、プルトニウムの国際的な管理の困難さは、既に七〇年代以降の話し合いでいかに困難であるかということは証明されておるわけでございますけれども、これまでIAEAにおきまして、とりあえず透明性の向上が必要であろうということで、各国プルトニウム管理の透明性向上のための取り組みが行われてきているところでございます。  具体的には、参加国が保有する平和利用のプルトニウムの量を毎年公表すること等を内容とする国際プルトニウム指針の採用が九七年に決定をされ、五核兵器国及び我が国ドイツ、ベルギー、スイスの九カ国においてこの指針が運用されております。  米ロの核兵器の解体に由来する余剰プルトニウムの管理、処分につきましては、当事国である米ロ間の協議が現在行われておりまして、ほぼ合意に達しつつあるというふうに我々も理解しておりますけれども、それを踏まえまして、G8による協力の枠組みの議論が現在行われているところでございます。  もとより、プルトニウムの管理、処分の問題は核不拡散の観点から極めて重要でございまして、我が国としては、現実的にとり得る方策を積み重ねていくことが必要と考えております。  具体的には、現在、委員も御承知のように、ニューヨークにおきまして、NPTの運用検討会議が開かれておりますけれども、その場におきまして、余剰兵器用核分裂性物質及び民生用の核分裂性物質を国際的な保障措置のもとに置くことを我が国から提案をしておりまして、また民生用プルトニウムの利用にかかわる透明性の向上への協力、あるいはロシアの核兵器解体に由来する余剰プルトニウムの管理、処分についての協力を今後とも進めていく考えでございます。
  27. 辻一彦

    ○辻(一)委員 IAEAの方でもそれは、その話は私もよくわかっています。要するに、プルトニウムは今、使用済み燃料保管をするか、あるいは廃棄処分にするか、燃やすか、三つがあって、どの道を選ぶかは各国のやり方だと。IAEAは、これに対して保障措置をかけてこの安全を図る、確保する、こういうことで進んでいるわけで、これは私はわかっています。  しかし、米ロから出てくる核弾頭からのプルトニウムというのは相当な量がまとまって出るわけだし、我が国国内で毎年少しずつやっているならば別として、海外に委託してもう既に二十トンからのプルトニウムがあるということですね。それにさらに十トンが追加される。三十トンが現実のものになってくる。こういうことを考えると、国際管理の道が考えられないのか、知恵を日本もひとつ絞ってみる必要があるのではないか、こういう意味で申し上げたので、今すぐになかなか、その難しさは理解した上でのことでありますが、努力をひとつぜひお願いしたいと思います。  それから、ロシアの方で、私もこの間行っていろいろな話を聞いたりしたのですが、BN600という高速炉をロシアは持っておって、かなりな運転経験を持っているわけですが、日本とこれを協力して、そして炉心を改造して、それによってMOX燃料の専焼炉的なものをつくりたい、そのために、ロシアはその意欲があるし、日本の方にもそういう可能性があればぜひ協力を求めたいと。東京電力等が今中心に、具体的にこういう問題が進んでおるようですが、これらについて、私が行ったときには随分熱心にロシア側の声は聞きましたが、政府としてはどう対応しようとしているのか、お尋ねしたい。
  28. 服部則夫

    ○服部政府参考人 お答え申し上げます。  ロシアは今、先生が御指摘のように、プルトニウムをMOX化いたしましていろいろな商業的な利用をしようということで、いろいろなアイデアを練っておりますけれども、その中には、例えば、ドイツフランス等が進めようとしております軽水炉で燃やすこと、あるいはカナダが提案をしようとしておりますCANDU炉で燃やす、あるいは今御指摘のありましたBN600というもので燃やすアイデア、いろいろございます。  これも先ほど御答弁申し上げましたように、G8の枠内で、ロシア側を含めましていろいろ検討しておるわけでございますけれども、我が国としては、今先生御指摘の、BN600でのMOX燃料のハイブリッドの使用可能性につきまして、ロシア側と研究を進めたいというふうに考えております。  現在、フェーズ1を始める前の段階で、いわゆる我々はフェーズゼロと言っておりますけれども、その段階で日ロの協力を現在進めているところでございます。
  29. 辻一彦

    ○辻(一)委員 ロシア側は、日本とはぜひ協力をしたいが、より以上踏み込んで、前向きな、前進的な協力をするには、日ロの二国間の原子力協定を結ぶ必要がある、そういうことを日本政府にも伝えてくれということを私にかなり率直に言っておりましたが、日ロ間の原子力協定の問題はどういう見方をしているのか、お尋ねしたい。
  30. 服部則夫

    ○服部政府参考人 お答え申し上げます。  私もことし三月に別の用件でモスクワへ参りました折に、アダモフ原子力大臣が会いたいというのでお会いをしに行きました際に、今先生御指摘のように、今後の日ロ間の原子力協力を推進するために、ぜひ協定を結びたいということをおっしゃっておりました。  我々としても、今後いろいろ実績を、まだ日ロ間の原子力協力というのはそれほど実績がございませんので、実績を積み重ねながら、その過程で協定の締結についても検討してまいりたいというふうに考えております。
  31. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私も、ようやく現実的には日ロ間の原子力の協力が進み出したばかりだから、今、申し合わせることを具体的に、実効的に積み上げるということがまず第一じゃないか、その上のことでしょう、こういうふうに伝えてはおきましたが、ロシア側は非常に二国間原子力協定の締結について強い要望を持っているということを伝えておきたいので、これからひとつぜひ検討いただきたいと思います。  最後になりますが、イギリスの核燃料会社BNFL、これがデータ捏造をやって、大混乱を日本の中に巻き起こした。特に福井県なんかは非常に大きな影響を受けたわけですね。  そういう中で、電気事業者も、それから政府も、イギリスに対して、捏造データの現実にあった、高浜に置かれたところの八体の原子力燃料は返還を、受け取ってもらいたい、そして持ち帰ってもらいたい、こういうことを強く求めて、その後交渉中であろうと思います。  私は、これは福井県等における信頼の関係からいえば、ああいうのをいつまでも高浜に置いてそのままにしておいたのでは、非常に信頼感を失うと思うのですね。速やかにイギリス政府と交渉して、引き取ってもらうべきであると思いますが、状況はどうなっているか、お尋ねしたい。
  32. 河野博文

    河野政府参考人 御指摘の点につきましては、まず、昨年の十二月にこの問題が、装荷直前というような状況で、さらに十二月十六日にBNFL社から高浜四号に運ばれたものについても捏造の問題があったという通告を受け、御指摘のように、装荷を中止し、今日に至っているわけでございます。直ちにイギリス政府から陳謝がございまして、また、二月には先方からDTIの総局長が参りまして、この問題についての話し合いが始まっております。  その話し合いの結果、まずはイギリス側におきまして、返還問題もオプションの一つとして検討をして、検討結果を再度協議といいますか、政府間で協議するということで今日に至っておりまして、近い将来、協議を行うということになろうかというふうに思っております。
  33. 辻一彦

    ○辻(一)委員 向こうは安全に心配がなければデータ捏造があってもやむを得ぬじゃないかというような考えのようにどうも受け取れるんですが、これは明確にひとつ返還を要求して実現をさすことが大事であると思います。  そこで、重ねてお尋ねしますが、それも選択肢の一つとして検討するというのですが、そういう答えをいつごろ出すつもりなんですか。
  34. 河野博文

    河野政府参考人 この交渉窓口といたしましては、我が方日本国側は、私ども、外務省と協力しながらやっているわけでございますが、現在、正直申し上げまして、この法案を含めて国会でさまざまな御審議をいただいている状況でございますので、こちらの都合でももうちょっと時間をいただきたいというふうに思います。  他方、イギリスの方は、たしか二月の協議の段階でできるだけ速やかにと言っておりまして、中間的な話し合いなどもあるいはしてくるのかもしれませんが、今の段階で具体的にいつという日程は決まっているわけではございません。
  35. 辻一彦

    ○辻(一)委員 総括政務次官お見えですが、大臣にかわって、ちょっとこれは何としても実現さす必要ありと思うので、決意のほどをお伺いいたしたい。
  36. 細田博之

    細田政務次官 私も、内部の会議等においてはそれが基本であると。ただ、もちろん、関係諸国との搬送その他の問題もございます。どこを通ってどう行くのかという調整もございますし、向こうの政府の責任、関係機関の責任の問題もございますので、若干の調整はございますが、おっしゃることは基本的な線であるということは認識しておりますので、今後さらに前向きに検討していきたいと思います。
  37. 辻一彦

    ○辻(一)委員 前向きだけではいかぬので、これはぜひ実現をさせていただきたい、強く求めておきます。  私は、時間があれば長計、原子力長期計画、そしてまたプルトニウムの利用計画等について触れたいと思ったんですが、時間が大体参ったようでありますから、今、長計については、検討はどこまで行っているのか、それからいつどうするのか、ちょっと端的にそれだけをお尋ねしたい。
  38. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 原子力委員会におきましては、二十一世紀の原子力の全体像、それから長期的展望を示す長計の審議を今していただいているところでありますけれども、その審議に当たりましては、昨年、東海村の事故もあり、いろいろなこともございましたので、そういうものを踏まえた議論を行っておるところでございます。  それから、再処理プルトニウムの利用等の核燃料サイクルに関しましても、資源の少ない我が国にとってこの核燃料サイクルを完成させることの重要性というものを認識しながら、さまざまな議論を今積み重ねているところでありまして、本年中には原子力政策の明確化を図って、また、国民の皆さんの理解と信頼が得られるような長期計画を策定しようということで進めております。  もう少し具体的に申し上げますと、この第二分科会におきまして、検討事項の一つとして、放射性廃棄物処分を含む核燃料サイクル政策の明確化というテーマがありまして、再処理プルトニウム利用に係る政策について、これまでにさまざまな観点から議論が行われております。  今までこの第二分科会において実際に議論されました論点といたしましては、エネルギーセキュリティーの観点からの原子力の意義、位置づけ、また、プルサーマル、国内処理事業、濃縮事業等核燃料サイクル関連事業の意義、位置づけ、また、使用済み燃料中間貯蔵の意義、位置づけ、さらに、放射性廃棄物処分あり方、これらのことにつきまして今詳細な議論が行われており、今後議論の取りまとめ作業が行われることとなっております。
  39. 辻一彦

    ○辻(一)委員 御承知のとおり、福井県もたくさんの問題を、課題を抱えております。いずれも、やはりこの際、長計の見直しがきちっと行われる、そうでなければなかなかすべての問題は前に進んでいかない、こういうふうに思います。  福井県の知事も、三県連名ではありましたが、特に福井の知事からは、長計の見直しをしっかりやって多くの課題を正当に位置づけをしてもらいたい、こういう強い要望があるということは御承知のとおりであると思いますが、長計の見直しにはひとつ全力を注いでやっていただきたい、このことを強く要望して、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  40. 田端正広

    田端委員長 松沢成文君。
  41. 松沢成文

    ○松沢委員 民主党の松沢成文でございます。  まず、科技庁長官に、私の住まっている川崎に武蔵工大の原子力研究所というのがありまして、この件が地域でかなり、地域住民が不安を抱えた中で、今後どうなるのかということが大きな問題になっておりまして、まず、ちょっと具体的な話ですが、この問題から伺いたいというふうに思います。  ジェー・シー・オーの事故があって、それを受けて、原子力災害対策特別措置法、いわゆる原子力防災法というのが新たにできました。その新法の特徴は、これまでの原子力事業者というのはいわゆる原子力発電所だけだったわけですが、それに加えて、原子力の燃料の加工施設と原子力関連の研究施設、これも原子力事業者に加えたことであります。  こうした原子力の関連施設に、国の予算で、施設の近くに、例えば放射線の監視システムとか、環境予測システムとか、あるいは防護資機材等を蓄えたいわゆるオフサイトセンターをつくるとか、こういう監視システムや防災システムというんでしょうか、防護システムをきちっと国の予算でつくるということになったわけで、原子力施設の近隣住民にとってはある意味で相当安心できる体制ができたと言って、すごく前進をしたんだというふうに思います。  さてそこで、この武蔵工大の原子力研究所というのが川崎にあるんですが、この施設が六月に施行されるこの新法の中で原子力事業者に位置づけられるかどうかというのが今大変問題になっておりまして、まずその件についてお聞きしたいんです。  この施設は、一九八九年の十二月に、約十年前に冷却水漏れ事故を起こしていまして、それから十年間近く運転を休止しているんですね。この施設には、使用済みの核燃料だとか、あるいは低レベルの放射性廃棄物がそのまま敷地内に保管されている、こういう状況であるというふうに聞いております。  科技庁は、今、この武蔵工大の原子力研究所の状況をどのように把握されているのか、まずお聞きしたいというふうに思います。     〔田端委員長退席、中山委員長着席〕
  42. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 武蔵工大の研究炉、これは研究、教育、そして医学利用のためのRIをつくる研究炉として使われてまいりました。御指摘のとおり、一九八九年に冷却水漏れのトラブルを発生して以来、運転を停止している状況にございます。  核燃料についてはすべて抜き取って、専用の燃料貯蔵容器に乾式保存されております。それから、その冷却水についてもすべて抜き取ってございます。また、低レベル放射性廃棄物につきましては、ドラム缶五本に収納し、固体廃棄物貯蔵庫に安全に保管されております。これらは、昨年の現地調査、保安規定のいわゆる遵守状況調査でございますけれども、これによっても確認をしております。  また、科学技術庁といたしましては、原子炉等規制法に基づいて、武蔵工大より毎年、運転計画の届け出、放射性廃棄物の管理状況、それから放射線業務従事者の線量当量実績の報告等も受けているところでございます。  このように、原子炉等規制法に基づいて現在まで厳正に安全規制を行ってきたところでございます。
  43. 松沢成文

    ○松沢委員 原子炉等規制法に基づいてきちっと調査報告を受けている、こういうことだと思いますけれども、それでは、この新しくできたいわゆる原子力防災法で、原子力事業者にこの武蔵工大の研究所を認定するのかどうか。認定されれば、先ほど申し上げたように、監視とか防護のシステムが設置されて、地域住民にとってはそれなりに安心した体制はできるわけですが、ただ、そこに原子炉がずっと残るという意味で、絶対的な安心は買えないわけですね。住宅地の近くに原子炉があるということが継続するわけです。  もしそれが原子炉に認定されないとすると、こういう監視とか防護システムができない。できないまま、休止状況で、低レベル廃棄物使用済み燃料はそこに保管されたままでずっといくという、どちらをとっても地域住民にとっては不安があって、絶対的な安心、安全が買えないような状況なんですが、ただ、これが原子力事業者に認定されるかということが、今、地域住民にとっては大変大きな心配事になっておりまして、六月に施行であります。もうすぐですね。  科学技術庁としては、この施設を原子力事業者に認定されるのかどうか、その方向についてお伺いしたいと思います。
  44. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 御質問は、昨年、松沢委員にも御審議いただきまして、成立をさせていただいた、原子力災害対策特別措置法における原子力事業者にこの武蔵工大の原子炉が当たるのかどうかということについて、今、科技庁検討状況はどうかということでございます。  ちょっと法律の条文になりますけれども、原子力災害対策特別措置法の対象となる原子力事業者は、この第二条第三号の規定により原子炉等規制法上の許可を受けた者でございますけれども、原子炉の運転等のための施設を長期間にわたって使用する予定がない者であると主務大臣が認めて指定した者については原子力事業者から除く旨、規定されております。除外の指定の要件については、この施行令において、原子炉の運転等のための施設を一年以上使用せず、かつ引き続き三年以上使用する予定がないときなどに定められております。  武蔵工大につきましては、現状は、平成元年のトラブル以降、原子炉の運転を停止しておりまして、また今後についても、原子炉等規制法に基づく運転計画の届け出、これは先ほど申し上げましたように毎年出させておりますけれども、今後三年間の運転再開は予定されておりません。このようなことを踏まえまして、現在、原子力事業者から除かれるものとして検討することの可否について、検討を鋭意進めているところでございます。  今後、除外の指定の要件に該当するか否かについて調査するため、同法の施行令に基づきまして、関連する業務に関する報告を聴取した上で、法施行、六月十六日ですが、までに判断していく所存でございます。
  45. 松沢成文

    ○松沢委員 そうしますと、この法律に基づく原子力事業者、その中で、「長期間にわたって使用する予定がない者」というところに該当する可能性が強いということであります。そうしますと、これから調整をするということですから、まだ正式決定じゃないと思いますが、武蔵工大の研究原子炉は指定されない可能性も強いわけですね。  もし仮に指定されない場合、今後、原子炉等規制法にかかわる科技庁の、例えば立入検査とか調査というのは、原子力事業者に指定されなくてもきちっと継続して行われるのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。
  46. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 災害対策特別措置法の原子力事業者に指定されなくても、いわゆる原子炉等規制法はかかっているわけでございまして、この規制法に基づく規制は、これまでどおりきちっと行ってまいります。
  47. 松沢成文

    ○松沢委員 さて、その武蔵工大の研究炉ですけれども、当面は運転再開の予定はないということだと思うのですが、このままずっと放置しておくというのも、国はある意味原子力の施設を管理していく責務があるわけで、国として、武蔵工大と今後どうするのかということをこれまで話し合ってきたり、あるいはその辺の認識といいますか、どのようにつかんでいるのか、その辺はいかがなんでしょうか。
  48. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 武蔵工大の原子炉につきましては、現在、大学において今後の取り扱いを検討していると聞いております。原子炉を今後どうするのか、廃炉にするか、運転を再開するのかという判断はあくまでも事業者の責任でなされるべきものでございまして、科学技術庁としましては、大学による検討結果を踏まえて厳正に安全規制を行っていく、安全規制はこれまでどおりきちんとやってまいります。しかし、どうするかについては、大学が主体性を持って決めていく問題でございます。
  49. 松沢成文

    ○松沢委員 大学の方で、二年後の理事会で廃炉か継続かを決めるというような方向性を持っているというふうに私の方には伝わっているんですが、その辺は、科学技術庁は大学の方から確認はしていますでしょうか。
  50. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 いろいろな技術的な課題、例えば冷却水漏れ事故にかかわるいろいろな処置のことでありますとか、一つ一つの技術的課題についての問い合わせはございます。しかしながら、廃炉すべきかどうか、そういう大きな方針にかかわることについては、我々、関知をしていないというのが現状でございます。
  51. 松沢成文

    ○松沢委員 運転を再開するにしても、廃炉にするにしても、これは膨大な予算がかかるらしいですね。私も専門家じゃないので、どれぐらいのお金が必要になるかわかりませんが、大学側としては、もはや一大学で負えるような金額ではない、相当大きな予算が必要であるということなんです。したがって、もう今の状況では、お金の問題も考えると、廃炉もあるいは継続もできない、そのままの状況でいることしかできないというような、袋小路に入っちゃっているというふうに私は思います。  そこで、国は原子力政策を管理するという責任を負っているわけでありまして、この研究炉をそのまま放置するわけにはいかないわけですから、これをどうにかするということに対して、私は、国が何らかの、例えば間接的にでも支援が必要ではないかというふうに思っています。  そこで、確かにどうするかは事業者責任でありますけれども、例えば、法律にも書いてあるように、長期間にわたって使用する予定がない者は、これは原子力事業者としては認めないわけですね。認めないのであれば、例えば何年間運転休止の事業者には廃炉を義務づけるとか、それぐらいのある意味で法的措置もとらないと、そしてまた廃炉のときに何らかの資金援助も考えるようなことをしないと、これはそのままの状況が永遠に続いて、地域住民がずっと不安な状況に置かれてしまう、こういうふうになってしまうと思うのですけれども、国の御認識はいかがでしょうか。
  52. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 地域住民の方が大変不安を覚えるということについてはよくわかるところでございますが、科学技術庁といたしましては、その不安を取り除くための安全規制上の調査、そして指導は、原子炉規制法に基づいて厳格に今後も行ってまいりますので、その点については万全を期していきたいと思っております。  廃炉に関して国の補助等いろいろな手だては考えられないのかという御趣旨の質問かと思いますけれども、あくまでもこれは民間で主体性を持って建設された原子炉でございまして、その廃炉について、大きな方向について国が指導していくということはいかがなものかと思っております。
  53. 松沢成文

    ○松沢委員 一大学の資金的なものではもう負えないというような状況になっていると、このままだとずっとそのまま放置される状況が続くという心配を私はしております。また、地域住民もそこを一番心配しているのですね。ですから今後、科学技術庁、各原子力政策推進するという意味でも、こうした状況があるのは好ましくないと思いますので、ぜひとも何らかの検討をお願いしたいと思います。  そこで、研究炉が出す低レベルの放射性廃棄物についてなのですが、この処分の受け皿機関が整備されておりません。きょうかかっている法案は高レベル廃棄物処分の問題ですけれども。原子力発電所から出る低レベル廃棄物は、私も先日見てまいりましたけれども、六ケ所村の方で埋設施設ができて、それを今進めております。  それで、今後高レベル廃棄物をどうするかが問題なんですが、こういう原子力発電所以外の民間の研究炉とかさまざまな原子力施設から出る低レベル廃棄物を今後どのように処理をしていくのか。まず、科技庁として、方向性があったらお伺いしたいと思います。
  54. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 松沢委員おっしゃるとおり、こういう研究炉から出る低レベル放射性廃棄物についての受け皿がないのが現状でございます。放射性同位元素の使用、それから研究用原子炉の運転等研究活動に伴って発生する廃棄物、これをRI・研究所等廃棄物と呼んでおりますけれども、これについて、平成十年五月、原子力委員会において、処分基本的考え方について報告書がまとめられたところでございます。  この報告書によりますと、RI・研究所等廃棄物のほとんどは、その放射能濃度が現在埋設処分が行われている低レベル放射性廃棄物と同等以下のものであって、その処理処分は現在の技術で十分に可能である、そして処分はRI利用者等の排出者の責任で実施することが基本である、こういう方針が示されました。  この方針に基づいて、現在処分事業の具体化に向けて、主な発生者でございます原研、サイクル機構、それからアイソトープ協会が中心になって、RI・研究所等廃棄物事業推進準備会というものを設立いたしました。この準備会におきまして、処分実施体制や実施スケジュール等についての検討が行われておりまして、適切な処分実施体制を構築した後に、事業主体において処分地検討を行っていく見通しでございます。  その安全確保の取り組みにつきましては、平成十年六月より原子力安全委員会において、安全規制の基本的考え方検討されているところでございまして、その結果を踏まえて、今後適切に関係法令の整備をしていきたいと考えております。  なお、六ケ所村ではどうなんだというお話がございましたけれども、六ケ所村においては日本原燃株式会社が低レベル放射性廃棄物処分事業を実施しておりますけれども、これは発電所などより発生する廃棄物を対象としているものでございます。
  55. 松沢成文

    ○松沢委員 それはわかりますけれども、原燃は一応民間会社ですよね。もし民間会社として研究所からの低レベル廃棄物も受け入れるということを原燃がオーケーすれば、それはできるというふうに判断していいのですか。  RI・研究所等廃棄物推進何とか準備会というのはこれから相当時間がかかりますよね。それまでの間、低レベル廃棄物研究施設等からも相当出るわけでありますけれども、六ケ所村の低レベル廃棄物処分場にそれを加えて処分することができないのか。それは民間会社であるから可能じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  56. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 確かに日本原燃は民間会社でございますが、六ケ所村へのいろいろな放射性廃棄物の受け入れについては、地元自治体等とのお約束もございます。現状の段階では、すぐできないということでございます。
  57. 松沢成文

    ○松沢委員 この、研究所の廃棄物の事業推進準備会というのができているということでありますので、ぜひともそれを早く動かして、この研究所等からの低レベル廃棄物についても何らかの処分できる体制を一刻も早くつくっていただきたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移ります。  私は、科学技術委員会あるいは予算委員会で、九月三十日に起きたジェー・シ−・オー事故についての科学技術庁の行政責任というものについて、長官にもさまざま質問し、議論をしてまいりました。この問題について、去る三月の終わりに、長官が記者会見という形で行政責任の問題について発表しました。そんな件もあったので、もう一度この問題についてお聞きしたいと思うのです。  まず初めに、昨年の十二月にこの臨界事故の被曝者である大内さんが亡くなって、そして去る四月には二人目の篠原さんも亡くなりました。長官は、お通夜か告別式か、私はどちらかはっきり知りませんけれども、参列をされたということでありますけれども、日本で初めての臨界事故、多くの被曝者が出ましたが、それで二人目の犠牲者が出たということに対して、長官はどのようにお感じになっているでしょうか。
  58. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 今委員がお話しになりましたけれども、昨年の十二月に大内さんがお亡くなりになりました。また、引き続きまして、先月末、篠原さんがお亡くなりになりまして、大変残念でありますし、極めて厳粛に受けとめております。  篠原さんにつきましては、私自身、科学技術庁長官に就任して間もない十月に東大の医科学研究所の附属病院を訪ねましてお見舞いに行ったところでございますし、そのときは窓越しにインターホンでお話をして、一日も早い回復を願っていることをお伝えし、そのときの様子ではお元気になられるであろうという確信を持って帰ってまいりました。その後、リハビリ等も開始されたということも聞きまして、喜んでいたところでございます。三月九日にまた再び、今度は東大病院の方に移られた後お見舞いに参りましたけれども、そしてただひたすら回復をお祈りしていましたけれども、大変残念ながらお亡くなりになられたわけでございます。  御家族のことを思いますと、本当に言葉もないわけでございますが、かねてより申し上げておりますように、そういう初めての臨界事故によって二人の方がお亡くなりになったということでございます。  私どもとしては、とにかくこのような事故が二度と起きることのないよう、国会にも法案審議をお願いいたしましたし、また地元の住民の皆さんの健康の問題あるいは損害賠償の問題等々、誠意を持って全力で取り組んでまいりましたし、これが私たちの真っ先にやらなければならない仕事であろうということで対応をとってきたところでございますが、今後もまた委員初め委員会の御指導をいただきながら、原子力行政の信頼の回復と安全のために努力をしていきたい、そういうふうに思っております。
  59. 松沢成文

    ○松沢委員 科学技術庁のジェー・シー・オー事故に対する行政責任について、私はもう昨年来、ずっと何度も長官指摘をさせていただきました。  例えば、保安規定の遵守状況調査、七年間も結果として実施していなかった。あるいは運転管理専門官等が調査に入ったときに、転換試験棟の調査、検査も休業中に行っていて、そこは見ていなかった。こういうことの中で、危険な違法作業を見抜くことができなかった。確かにこの調査には法的義務はないけれども、科学技術庁として、監督官庁として安全確保に必要な行政行為であって、それできちっとした対応ができなかったということは、私は責任はないとは言えないんじゃないかとずっと繰り返して訴えてまいりました。  そしてまた、初動態勢のおくれも、結果として被曝者をふやしてしまった。やはり科学技術庁あるいは内閣での初動態勢づくりのおくれが避難要請のおくれにつながって、そしてまた臨界事故は起き得ない、起こるはずがないという先入観によって、この臨界事故、あるいは中性子線の測定がおくれていった、それによって被曝者がふえてしまった。私は、これも初動態勢のおくれ、政府としての行政責任はあると何度も訴えをしてきました。  そんな中で長官は、二月十八日の予算委員会での私のこうした訴えに対して、ジェー・シー・オー事故に対する科技庁の行政責任はない、なかったと明言をされたわけであります。これに対しては、世論各層から、あるいは原子力立地自治体から猛烈な反発が起きて、冗談じゃないということで世論が随分大きく騒いだわけであります。  そうした中で長官は、三月三十一日に大臣発言として、ジェー・シー・オーの加工事業の許可の取り消し処分という行政処分を行ったのと同時に、この際、科学技術庁として、今回の事故を結果として招いたことの責任を痛感するとともにこれを厳しく反省し、さきに岡崎前事務次官の辞任もありましたが、さらに原子力安全確保に関する職務の姿勢を正すため、間宮安全局長に対し、科学技術庁内の内規上最も重い訓告処分を行ったということを発表したわけですね。  ここは国会の場であります。私は、国会の委員会の場で何度も行政責任について長官にただしてきましたが、長官はないと明言されていた。ところが、突如、国会の場でない記者会見という形で、結果としての責任を痛感するとともにこれを厳しく反省し、というふうに責任を認めたわけであります。  私は、国会の場でそれをきちっと言ってほしかったと思いまして、きょう改めて確認をさせていただきますが、科技庁長官としてジェー・シー・オー事故に対する結果としての行政の責任を認めたということですね、この大臣発言というのは。
  60. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 委員とは昨年から何回もこの件について、御質問に対して答弁をさせていただいてまいりました。また、委員からも今お話ございましたように、私が先般、行政責任はないと申し上げましたのは、科学技術庁といたしましては、この施設に対して改正前の原子炉等規制法に基づいて法律上求められる行政行為は実施をしてまいりましたということでございます。そういう趣旨で申し上げてきたわけでございます。  去る三月末の処分につきましては、ジェー・シー・オーの事業許可の取り消し、そして原子力安全・防災関連二法の政令の閣議決定、また原子力安全委員会の新たな体制での出直し、こういうものを機会に、科学技術庁といたしまして、今回の事故を結果として招いたことの責任を痛感し、これを厳しく反省し、そしてさらに原子力安全確保に関する職務の姿勢を正すために、内規上最も重い訓告処分原子力安全局長に対して行ったものでございます。  私どもといたしましては、一貫して昨年からの答弁は変わっていることはございませんけれども、結果としてこういう大きな事故が起きたということは厳粛に受けとめなければなりませんし、委員からも幾つか御指摘ありましたけれども、いろいろな不備な点もあった、そういうことすべてを勘案して今回の処分を行ったわけでございます。
  61. 松沢成文

    ○松沢委員 一貫して姿勢は変わっていないというのですが、国会答弁の中で行政責任はないと言い張って、この発表では「結果として招いたことの責任を痛感するとともに、これを厳しく反省し、」となっていて、ここでは責任を認めているとしか思えないし、新聞各紙の論調も、科技庁長官がようやく責任を認めたということですべて流れております。  ですから、私は、ここには科技庁長官の認識、態度の大きな変化があったというふうにとらえておるのですけれども、科技庁長官、これは一貫して変化はないわけですか。
  62. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 繰り返しになりますけれども、行政責任はあるかないか、イエスかノーか、そういう質問でございましたので、先ほど申し上げました理由によりまして、行政責任はないと。ただし、こういう事故が起きたということは厳しく受けとめ、そして私の三月三十一日でございましたか、談話にもありますように、また委員が今御指摘になりましたように、責任を感じているというふうに申し上げたわけであります。
  63. 松沢成文

    ○松沢委員 では、ちょっともう一回確認させていただきますが、科学技術庁としての行政責任はあるのですか、ないのですか。これだけちゃんと聞かせてください。まだ意味がわからない。
  64. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 行政責任はないと思っております。
  65. 松沢成文

    ○松沢委員 では、結果としての責任を痛感するとともにという、この責任というのは何なのですか。結果としての責任を痛感するとともにというこの結果責任、この責任はどういう責任ですか。痛感しているらしいですけれども。
  66. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 これもたびたび申し上げていることでありますけれども、法律的に科学技術庁として違反があったわけでもないし、非違行為があったわけでもないということから、行政責任はないということを申し上げているわけであります。  ただ、対応等、あるいは法律面等、いろいろな面において今回の事故後のことをいろいろ反省し、また事故前のこともいろいろ勘案して私どもやはり厳しく受けとめる、そういう意味での責任はある、そういうふうに私は思っているところでございます。
  67. 松沢成文

    ○松沢委員 それでは、間宮原子力安全局長に対して、なぜ訓告処分という処分を行ったのですか。これは原子力施設の安全を担当するポストですよね、その局長であります。その局長さんを処分したということは、行政として責任があるから処分をしたのではないのですか。どういう理由なんでしょうか。
  68. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 担当の立場にある者としてのやはりしっかりとしたけじめといいますか、そういうものも必要だろうということでありますし、庁内また一丸となって取り組まなければならない、そういう気持ちを引き締め、また将来のことも考えてこのような処分を行ったわけであります。
  69. 松沢成文

    ○松沢委員 ここだけは本当にはっきりさせなければいけないのですが、私も法的な責任はないと思いますよ。ないというのじゃなくて、法的な責任は、科技庁として一応法律で決められたことはやってきている。ただ、行政を監督する者として、法律以外にもさまざまな責任があるわけですよ。監督する権限があるんだから、権限があるところには責任はあるわけです。  ですから、私は法的責任がないというのはわかりますが、行政としての責任がないと言ってしまったら、この処分された間宮原子力安全局長はどういう気持ちなんでしょうか。行政として責任がないのになぜ処分されなければいけないのでしょうか。その処分した理由も含めて、行政の責任を認めたから処分したのじゃないですか。
  70. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 行政の責任については先ほどから申し上げているとおりでありますけれども、私ども原子力行政を行う庁として、また今回の事故の一連の対応等すべてを考慮して、そして今後の姿勢を正し、新たな出直し、立て直しをするために、原子力局長処分を行い、そして私どもとしての姿勢を国民の皆様にもお示しをしたわけであります。
  71. 松沢成文

    ○松沢委員 本当に全くわかりにくい話でありまして、行政として責任があるから担当者を処分したのじゃないのでしょうか。こういう大臣の発言によって全国の原発立地自治体からは物すごい反発が出ています。私のところにもさまざま届きます。例えば原子力事業所を抱えるある自治体から、科技庁の今の姿勢では国の原子力行政には協力できないと。  そして、意見書が十四自治体で採択されました。科技庁の発言に対する抗議の意見書、それを取り消せという意見書であります。その内容は、多くの被害者を出し、国民に大きな不安を抱かせた事態を考えれば、国と監督官庁の責任は当事者と同様に重大である、中曽根長官の発言については、地域住民にとって許しがたい発言で到底看過できないと厳しく批判をしているのです。  それで、この意見書採択のリーダーシップをとった柏崎市の市議会の副議長さんは、私は原子力推進の立場だが、事故の行政責任を認めない科技庁の姿勢は原子力立地自治体として許せない、長官は発言を撤回して、責任を認めた上で再発防止策などの施策を進めてもらいたい。これが、原子力立地にかかわっている自治体の皆さんの意見であります。  ここでまた行政責任がないと言い張るのであれば、私は、日本の今後の原子力行政の推進に大きな支障を来すと思いますが、それでも行政責任はないと言い張るのですね。
  72. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 前にも申し上げました、行政責任という言葉の定義がどういうものか私は正確には存じ上げておりませんけれども、行政責任にもかなり幅の広いものがあろうかと思います。そして、なぜこういうふうに申し上げたかという理由は先ほども申し上げたとおりであります。マスコミの方々から行政責任はありませんかと聞かれますからありませんと答えておりますが、委員会等では、先ほど答弁申し上げていますように、私どものいろいろ反省すべき点等も申し上げているわけでありまして、私どもが全く問題がなかったと思っているわけではないわけであります。  そういう点、新聞等をお読みになった方が十分に御存じなのかどうかわかりませんが、行政責任はないという、そこだけをもしとらえてそういうような自治体の方の行動であったとすれば大変残念でありまして、私たちも、先ほど申し上げておりますように、責任を感じてこのような対応をとっているわけでございます。ぜひ御理解いただきたいと思います。
  73. 松沢成文

    ○松沢委員 だから、長官の言っていることを判断しますと、行政としての、科学技術庁として責任は認めた、こういうことですね。法的責任はないというのは私もわかります、法律違反はしていませんから。
  74. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 結果として、こういう大きな事故となり、第一の原因はもちろん事業者でありますけれども、そして犠牲者の方が出られた、住民の方々が大変な迷惑と被害をこうむられた等々を考えて、結果として責任はあると思っております。
  75. 松沢成文

    ○松沢委員 結果として科学技術庁の責任はあると認めたというふうに判断をします。  そこで、これまでやはり科学技術庁のとってきた態度というのは私もわかりにくかったし、国民にとってもわかりにくかったと思います。  最初は、斉藤政務次官が、責任はあったというふうに国会で答弁されているのですね。しかし、それは後で撤回をしています。また、昨年十一月には岡崎事務次官がジェー・シー・オー事故とH2ロケットの失敗を理由にみずから辞職をされているのですね。みずからこういう理由で辞職をされている、それを、長官としてあるいは内閣総理大臣としてその辞職願を受け取っていながらも行政としての責任はないと言い張る、ここも国民にとっては非常にわかりづらかったと思います。  また、長官は行政責任はないと国会で明言しながらも、きょうの議論でも、私はわかりにくかったのですが、私の頭が悪いのかもしれませんが、やはり結果としての責任はある、こういうふうに言う。こういうその場しのぎの言い回し、ある意味で責任逃れが、私は国民の意識から相当離れていると思います。  原子力行政を担当する科学技術庁、通産省、今回は科学技術庁が担当の事故でしたけれども、やはりこれに対する国民の不信感というのはかなり増幅しているというふうに思いますけれども、長官、いかがでしょうか。
  76. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 私の発言は、私自身は一貫性がある、そういうふうに思っております。国民の皆さんに大きな不信感を与えたということになれば大変遺憾に思いますし、申しわけなくも思っております。  また、岡崎前事務次官のお話がありましたけれども、当時の岡崎事務次官の場合には、ロケットの事故もあのときありました、一連の事故等を踏まえて、科学技術行政の抜本的な立て直しを図る、そういう必要がある、そういうことから、また、新しい事務体制のもとで当時の事故後のいろいろな対策をとらなければならなかった、庁内を引き締めて再出発をしなければならない、そういうような環境のもとで、この対応をとるということが、対策をとるということが必要だ、適切だという理由で事務次官が辞任されたわけであります。  いろいろ委員おっしゃいますけれども、私自身は、行政責任については先ほどから申し上げているとおりでありますが、全体については、私たちもそういう結果としての責任を痛感しているということでありまして、全く科技庁に責任といいますか不備がなかったということではございません。
  77. 松沢成文

    ○松沢委員 通産大臣に来ていただいたのでお伺いしたいのですが、今と同じ質問であります。  今回のジェー・シー・オー事故の行政の責任について、政務次官が責任はあったと言ったりあるいはそれを撤回したり、あるいは事務次官がその事故を理由に辞職をしながらも行政の責任はないと行政側は言い張る、あるいは長官の行政責任発言、行政責任はないと言いながら結果としての責任はあると認める、そしてお役人さんを、原子力安全局長を訓告処分にしている、にもかかわらず行政責任はないと言い張る。  こういうその場しのぎの対応というか、私にとってみれば責任逃れですけれども、こういう科学技術庁の態度が日本原子力行政全体に対する不信感に広がっているのじゃないかというふうに思いますが、通産省としても原子力行政に深くかかわるわけですけれども、通産大臣はいかがお考えでしょうか。
  78. 深谷隆司

    深谷国務大臣 まず、先般のジェー・シー・オーの事故でお二人も亡くなられたということに対して、心から御冥福をお祈り申し上げ、御家族にお悔やみを申し上げたいというふうに思います。  この事故で国民全体に原子力行政に対する信頼を揺るがすようなそんな影響を与えたということは大変残念であり、遺憾なことでございます。  原子力発電所につきましては、御案内のように、多重防護の考え方に従って厳正な安全基準あるいは安全規制というものを実施しておりますから、先般のジェー・シー・オー事故と同じような事故が原子力発電所で起こるとは全く考えられません。しかし、そのことが一つのテーマとして国民の不信感を招いているわけでありますから、これらの事故の教訓の中から反省すべきものはきちっと反省をして、そして安全確保に全力を尽くしていくというのが私は国の責任であると考えます。こういう立場に立ちまして、昨年の臨時国会で原子炉等規制法の改正及び原子力災害対策特別措置法を成立させたわけでございます。  通産省といたしましては、二〇〇一年の省庁再編に当たりまして、原子力安全・保安院の設立を初め、保安検査官等の人員の倍増あるいは防災訓練の実施など、安全規制体制の一層の強化に努めていきたいというふうに考えます。  私どもは、今後とも、安全確保及び防災対策に全力を挙げて取り組むとともに、情報公開の一層の徹底あるいは広報活動などを通じて、原子力行政に対する国民の信頼回復のために全力を挙げていきたいと考えております。
  79. 松沢成文

    ○松沢委員 通産大臣、ではちょっと角度を変えてお聞きしたいのですけれども、このジェー・シー・オー事故の影響も一つの原因だと思いますが、三重県の北川知事が芦浜原発の計画を白紙に戻すべきだと発言をしまして、それを受けて関西電力は計画を断念したわけですね。  私、北川知事と直接話していませんから詳しくはわかりませんが、このジェー・シー・オー事故、これまで原子力関連施設の事故は幾つもあったわけですが、ある意味でこれが決定打になって、こういう事故が起きて原子力に対する不信感が非常に高まっているような状況で、今この芦浜原発を、地元自治体でも賛否両論あってもめているものを進めることはとてもできないという判断で、知事のこの発言につながっているというふうに私は認識しています。  したがって、通産大臣、このジェー・シー・オー事故だけじゃないと思いますが、こうした相次ぐ原子力関連施設の事故での原子力の不信感が、結局は、日本にとって重要なエネルギー政策である原子力発電、この政策推進に大きな影響を与え始めている、通産省の行政にも大きな影響を与え始めていると思いますけれども、通産大臣はどうお考えになるか。
  80. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私も北川三重県知事とこの件に関して直接話したわけではありませんので、彼がどういうような判断からあのような対応になったかわかりませんが、少なくとも、記事ないしは直接その会見に出た者の報告によれば、二つのことをおっしゃっておったと思います。  一つは、原子力発電というのは日本にとって現状で欠くことのできないエネルギー源である、これをおっしゃっておられた。  一方で、南島町、紀勢町にまたがる芦浜原子力発電所計画、これは昭和三十八年から実に三十七年にわたって議論、激論がずっと続いてきたのであります。しかも、南島町と紀勢町との間には、一方は賛成で一方は反対という非常に特殊な事情があった。いわば三十七年議論を続けても解決できない、それをただ先延ばしするということで一体どうなんだろうか、こういう知事としての御判断が最終的に働いたのではないか、そういう意味でこのようなお話になったのではないだろうかというふうに私どもは理解をしております。  日本においての、環境保全とかあるいは効率化の要請に対応しながらエネルギーの安定供給を確保していくということに関して申しますと、やはり原子力エネルギーというのは欠くことのできないものであることは間違いないわけでありますから、私どもは、東海村の事故その他もろもろの事故を反省材料としてこれからのエネルギー政策をきちんと進めていこうというので、今いろいろな影響を通産省も受けているだろうとおっしゃいましたが、そのとおりでありまして、やはり厳正にエネルギー政策というものをもう一回検討していく必要があるのではないかというので、これから一年かけてさらにその点を十分議論していこうということに相なったわけでございます。
  81. 松沢成文

    ○松沢委員 原子力関連施設が安全にきちっと運営されているかをチェックするシステムとして、原子力の運転管理専門官という人たちがいるわけですね。そこで、原子力運転管理専門官の皆さんは原子力の関連施設にそれぞれ立入検査をしていくわけでありますけれども、この人たちは検査をしたときに、調査報告書、検査報告書というのをきちっと提出しているのでしょうか。
  82. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 運転管理専門官は、まず、平常運転時におきましては、保安規定に定めれられている事項の遵守状況に関しまして、安全の確保に関する指示、指導を行っております。また、運転及び管理の状況について事業者から聴取するとともに、施設内外を巡視して、運転、管理、自主点検、補修等の状況の把握を行っております。また、異常事象が発生したとき、本庁と連絡調整のもと、異常事象の発生状況について把握をしております。  そういう把握したことについて、本庁への連絡や報告は電話、ファクス、テレビ会議等によって行ってきており、現在、報告書という書面による形式では行ってきておりません。  今般、原子炉等規制法が改正され、原子力安全規制の強化のため、運転管理専門官にかわり、原子力保安検査官が主要な原子力施設に配置されることになっております。これを機に、本庁に対する報告も巡視結果報告書提出というふうな形に変えたいと考えております。
  83. 松沢成文

    ○松沢委員 ジェー・シー・オーの事故のときに運転管理専門官が何度か調査に入られていて、私は、運転管理専門官の調査報告書というのがあるはずだから、それを提出してほしいということを科技庁の方にお願いしました。そうしたら、科技庁の担当の方が私のところに来て、そういうものはないのですという答えだったのです。私も一面びっくりしました。というのは、検査に入って報告書を出さないというのでは、検査になるのかなと。その辺適当に見て、あら終わりよということすらあるのじゃないかなと、ちょっと不信感を持ったのです。  それで、この前のジェー・シー・オーの、転換試験棟ですか、あそこが休みだったということで、その後、転換試験棟には何回行ったのか、あるいは転換試験棟でのさまざまな機器についてはどういうふうに把握していたのかとかいうことを、すべて科技庁の方は後からその専門官から意見を聴取して集めたと思うのです。もしここにきちっと調査報告書というのがあれば、それがある意味で、科技庁はここまで調査をしていたんですよという証拠にもなるし、また逆に、それに不備があったら、科技庁はその不備を認めなければいけないし、検査に入るんだから調査報告書というのがあって当たり前だと思っているのですが、これまでなかったわけですね。  そこで今度、法改正になって、保安検査官という形になる。新しいこの保安検査官は今後、原子力関連施設に調査に入ります、あるいは検査に入ります。そこでは、必ず調査報告書、検査報告書というのをきちっと書いて、それを報告するという義務づけになっているのですか。
  84. 斉藤鉄夫

    斉藤政務次官 これまでも、確かに書面ということは義務づけられておりませんでしたけれども、いろいろな形でこれが本庁に報告されてきたことは確かでございます。  この保安検査官が法定をされました。また、その法定されたということにかんがみまして、今後は報告書提出というようなことを考えていきたいと思っております。
  85. 松沢成文

    ○松沢委員 では、今後は報告書提出させるというふうに行政としてやっていただけるということですね。はい、わかりました。  私の質問は以上でございます。ありがとうございました。
  86. 中山成彬

  87. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私は、昨日の質問に続いて、きょうは最初通産大臣にまず伺っておきたいと思いますが、この法律は、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出して、高速炉が未完成ですから通常の軽水炉でMOX燃料として使用するという、いわゆるプルトニウム循環方式を進めるために、厄介な高レベル放射性廃液をガラス固化して、それを深地層に埋め立てることで高レベル廃棄物問題を解決しようという、そこから出発しているものです。  このプルトニウム利用というのは、それ自体の毒性が強い上に、MOX等の使用で一層厄介なダーティープルトニウムなどを生じてしまいます。しかも、その再処理などはさらに技術的に困難であり、一層危険な状況に踏み込むということになります。  そこで通産大臣、私は、プルトニウム循環方式のエネルギー政策からの転換というものをきちんと図るべきだ、この方向考えるべきだというふうに思いますが、この点について、まず通産大臣に伺っておきたいと思います。     〔中山委員長退席田端委員長着席
  88. 深谷隆司

    深谷国務大臣 エネルギー資源の圧倒的多数を輸入に依存している日本にとりまして、エネルギーの長期的な安定供給の観点から、使用済み燃料を再処理して得られたプルトニウム等を再び利用するいわゆる核燃料サイクル政策は、これからも着実に進めていかなければならないものと認識しています。このため、平成九年の一月に原子力委員会決定をいたし、同年二月の閣議了解に従いまして、核燃料サイクル政策推進しているところであります。  今後とも、国民各位の御理解を得ることに最大限努力しながら、我が国核燃料サイクル政策を着実に推進していくというのが私どもの考えであります。
  89. 吉井英勝

    吉井委員 原子力についていろいろな考え方のある中でも、プルトニウム循環方式を進めるという立場を今語っておられるわけですが、私は、エネルギー政策として、プルトニウム循環方式から明確に転換を図るべきだというふうに思います。  そのことを申し上げておいて、次に科学技術庁長官に伺いますが、昨日の科学技術庁の政府参考人答弁の中で明らかになってきたことは、プルトニウム循環方式を進めるという立場に立つからもちろん再処理工程が出てくるわけで、その結果、当然ながら高レベル廃液が処理を迫られるようになります。これを安上がりで安易な方法で処理するために、ガラス固化体にして深地層に捨てようということになってくるわけです。  しかし、ガラス固化体や深地層処分が未完成な多くの問題を抱えたものであり、もちろん実証されたものじゃありません。その点では、使用済み燃料の消滅処理などの技術開発よりも、専らガラス固化体や深地層処分に走るというのは、まともな解決の方法じゃないと思うわけです。  大事なことは、高レベル放射性廃棄物をふやさないということ、これが大原則ですが、現に出てしまっているものをどうするかということについては、やはり消滅処理研究開発の予算をふやすなど、そういう研究開発についてはきちんとした努力を尽くす、このことが必要だと思いますが、この点については科学技術庁長官に伺っておきたいと思います。
  90. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 高レベル放射性廃棄物処分の方法といたしましては、これまで各国それから国際機関におきましてさまざまな方法の検討が行われてきたわけでありますが、その結果、我が国を含めまして、国際的に最も好ましい方策として地層処分が共通の考え方となっているところでございます。  一方、長寿命核種の分離変換技術につきましても、昭和六十三年に策定されました群分離・消滅処理技術開発長期計画に基づいて、原研それから核燃料サイクル開発機構等が精力的に研究開発を進めてきておりまして、ことしの三月に、原子力委員会において、これまでの成果の評価及び今後の進め方に関する報告書取りまとめたところでございます。  この報告書では、現在の研究開発はいずれも基礎的な段階にあり、また、有害廃棄物の発生を極力抑制する観点から、高レベル放射性廃棄物の減容等処分に係る負担軽減、それから資源としての有効利用に資するものとして有用な技術となる可能性がある、したがって引き続き研究開発を着実に進めることが適当であるということ。また一方、この技術が実用化したといたしましても、長寿命核種を一〇〇%分離すること、あるいは分離した核種をすべて変換することが可能となるわけではなく、高レベル放射性廃棄物地層処分必要性を変えるものではない旨、指摘をしているところでございます。  私ども、我が国といたしましては地層処分基本的な方針として、今後とも処分の対策に全力を挙げてまいる所存でありますし、また、長寿命核種の分離変換技術につきましては、これまでの成果等を踏まえまして、着実また効率的な研究開発が行われるよう措置をしてまいりたいと思っております。
  91. 吉井英勝

    吉井委員 消滅技術の問題にしても、それからガラス固化の深地層処分という問題にしても、すべてが基礎的な研究段階であって実証されたものはないということをまずはっきりさせておかなきゃならないと思います。実証されていないものを決めつけて出発していく、それは私は正当な選択ではないということを申し上げておきたいと思います。  今、電力会社が直面している問題は、使用済み核燃料保管、これはもういっぱいになってきている。そこで中間貯蔵へ走ったわけですが、しかし、それにしても使用済みでどんどんたまる、再処理すればするでプルトニウムでどんどんたまるという問題、こういう矛盾を抱えているわけですが、一方、プルトニウムとともに高レベル放射性廃棄物処分の問題、これが行き詰まってしまっている。だからこれにめどをつけないと、原発の新設、増設という皆さんのお考えは、現在の原発のこれからの運転にも支障を来してくる、こういう現実からこの法律を急いでいるということにあると思います。  逆に言えば、問題の本当の解決を先延ばしして原発推進を強行してきたやり方ではだめになってきているのに、この法律によってまた解決を先延ばししながら、二〇一〇年までに原発十数基の増設に道筋を開いていこうとする、ここが私は問題だと思うんです。  高レベル放射性廃棄物の発生者は電力会社であるわけですが、原子力発電環境整備機構に拠出金さえ出せば、使用済み核燃料処分については責任を逃れることとなっていく。原発推進を見直すインセンティブはこのやり方では働かない。今日、さまざまな問題に直面しておりますが、原発依存からの転換、少なくとも、転換するかどうかは、皆さんの立場からすればすぐにはそうならなくても、原発依存からの転換を考えていくという点でもインセンティブが働かないということになってくるんじゃありませんか。
  92. 河野博文

    河野政府参考人 先生の御指摘、この法案、確かに原子力発電を行います電力会社に資金負担を求めております。これは、先ほど来御議論ございますように、原子力委員会レベル放射性廃棄物処分懇談会におきましても、電気事業者の高レベル放射性廃棄物の発生者としての責任を明確に示している、こういうことを受けとめたものでございます。このため、第十一条に基づきまして、電気事業者は、その所有する原子炉の運転に伴いまして生じた高レベル放射性廃棄物最終処分のため、拠出金の納付義務を負うことになります。  さらに、高レベル放射性廃棄物処分懇談会は、電気事業者の役割につきまして、「国と電気事業者は、処分事業を安全かつ確実に実施することができ、国民から信頼される実施主体を早期に設立することが必要である。」あるいは、「廃棄物の発生者として国民の理解を得るための活動を進め、立地についても多くの経験を有する立場から、資金の確保処分地選定という、処分事業でもっとも重要な事項について実施主体と一体となって行うべきである。」という考え方を示しているのでございます。  こうした考え方に基づきまして、先ほど申し上げました資金の拠出に加えまして、当省といたしましては、電気事業者は、まず原子力発電環境整備機構の設立に際して中心的役割を果たしていくことが重要であるというふうに考えております。そして、国及びこの機構と協力いたしまして、概要調査地区等の選定やあるいは最終処分に関する理解の増進に努めることが必要であると考えておりまして、この旨は基本方針においても定めるということで考えているところでございます。
  93. 吉井英勝

    吉井委員 私は、やはりプルトニウム循環方式による核燃料サイクルシステムそのものが、今根本的に検討し直されなければならないときだと思うのです。皆さんの原発を進めていらっしゃるその立場からしても、少なくともプルトニウム依存のエネルギー政策からの転換というものは今考えていかなければいけないと思うのですが、逆に、プルトニウム循環方式を推進するための条件整備としての今回の高レベル放射性廃棄物最終処分法というのを強行するというのは、私は根本的にこれは誤った選択だというふうに思います。  そこで、通産大臣に違った角度から伺っておきたいと思いますが、先日、リサイクル法を審議したときにもライフサイクルアセスメントを問題にしました。  本来、原発に進む前に、高レベル放射性廃棄物最終処分まで考えた技術の完成とか、原子力利用のシステムの完成、安全技術の確立とか、それが必要であり、それがまた可能となるのかどうかということを含めて、原発に進むにしても本来そのアセスメントを踏まえてのことでありますが、それを、すべての段階でこれまでは問題解決を先送り先送りしながらひたすら原発増設の道を進んできた結果、今いろいろな問題に直面している、いろいろなひずみをもたらしているというのが今日の事態だと思います。  これを、数万年、数十万年の単位で、やはり人類社会の将来にかかわる問題を、まだ未完成で実証されていない技術水準なのに新しい安全神話を持ち込んで、ガラス固化体、深地層処分方式で突っ走るということは、これはやはり私は、まずその突っ走ることをやめて、いずれにしても、発生した高レベル放射性廃棄物、どういう形で処理考えるかということ、そのことそのものについての深い検討を、この将来のアセスメントを含めて考えるときに深い検討を重ねる、これが今必要だと思うのですが、この点については通産大臣考えを聞いておきたいと思います。
  94. 河野博文

    河野政府参考人 先ほど来、地層処分の技術的な現状あるいはガラス固化体の技術的な現状、昨日の御審議も通じまして種々御議論をいただいたところでございます。  私どもは、原子力委員会処分懇談会の結論も受け、その中で地層処分を念頭に置き、そして、総合エネルギー調査会原子力部会におきましてこれを前提とした費用の計算あるいは処分主体のあり方等についての検討を進め、確かに、この非常に大きな課題であります高レベル放射性廃棄物処理問題、長い検討の歴史ではございますが、今まさに資金の拠出あるいは実施主体設立、そして地域選定の手順、こういった法的枠組みを定めるべきときに来たということで御審議をお願いしているところでございます。
  95. 吉井英勝

    吉井委員 私は、ガラス固化体、深地層処分方式で突っ走ることは一度まずストップして、深い検討を重ねる、今そのことが大事だと思うのですが、これはやはり大臣の方に聞いておきたいと思います。
  96. 深谷隆司

    深谷国務大臣 使用済み燃料の対応についてのあらゆる科学的な研究というのはこれからもずっと進めていかなければなりませんし、高レベル放射性廃棄物の対策についての科学的な判断で、委員が言われるような研究をしていくということには私も全く同感であります。  しかし、現状を考えた場合、使用済み燃料の貯蔵対策については、昨年の六月に原子力発電所外の使用済み燃料の貯蔵を可能とする原子炉等規制法の改正を行っていただきました。高レベル放射性廃棄物処分対策は、そういう意味でいきますと、我が国原子力政策に残された最大の課題だということが言えます。現在、高レベル放射性廃棄物の貯蔵を受け入れていただいている地方自治体からも、早く処分体制を確立してくれ、こういう求めがあるわけでございます。  したがいまして、私は、科学的なあるいは技術的な開発等々の研究は十分進めていかなければなりませんが、今日の時点においては、これらの状況を勘案いたしまして、この法案を成立させていただいて、処分に係る制度的な枠組みが実現してまいりまして、この当面の課題の一つを解決できるようにしていくことが重要だと考えます。
  97. 吉井英勝

    吉井委員 私は、未完成で実証されていない技術でもって突っ走る方向を決めるということは、これは改めるべきだというふうに思います。  先ほどエネ庁長官から原子力委員会決定の話が出ておりますから、科学技術庁長官に伺っておきますが、原子力長期計画の中で、原発増設計画は立てるけれども、高レベル放射性廃棄物処理問題はこのように処分する、そういう計画はないままに、つまり、原発を進めるときは必ず出てくる廃棄物処理をこういうふうにやります、本来原子力長計の中でそれは考えなければいけない問題なんですよ。そういうのは一切なくて、だから例えば五六年長計では何もありませんし、六一年長計では、今後廃棄物の発生量増加が見込まれ、適切な時期に処理のための機関を新設するほか、原研等で処理研究推進すると。  つまり、本来原発を始めるときには、出てきた処理をどうするかというところまできちんと、ライフサイクルアセスメントに基づいて、それがシステムとして成り立つかどうかを考えた上でやらなければいけないのに、何もないままでやってきた。  七八年の長計になって、処分は当面地層処分重点を置き、調査研究し、処分方法方向づけを行い、昭和六十年代から実証試験を行う。これは一九七八年の長計で決めていることですが、つまり、この間何度も何度も長計を出してきているけれども、問題を先送り先送りしてやってきた。  本来、原発を増設すれば使用済み核燃料がふえるのは当たり前の話であって、それをどうするのか。これは長期計画でセットに扱うべきものなんですよ。だからこそ、トイレなきマンションという状態で原発推進を行って問題を来したわけですから、私は、こういう進め方をしてきた原子力長計の責任者として責任をどのように考えていらっしゃるか、科学技術庁長官に伺いたいと思います。
  98. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 高レベル放射性廃棄物処分につきましては、今までの過去昭和五十一年の原子力委員会決定以来の経緯については、委員はもう十分御承知のことと思いますので、ここで繰り返して申し上げませんが、その決定以来、関係の機関におきまして、研究開発面のみならず、社会的なまた経済的なそういう側面も含めまして、いろいろな取り組みを行って着実な成果を上げてきたと思っております。そして今回の法案提出に至った、私はそういうふうに思っております。  決して、先送りをしてきた、そういうようなことでもありません。この間の関係者の方々の御努力をぜひ御理解いただきたいと思いますし、今後とも、この処分事業実現に向けて私どもとしても努力をしていきたい、そういうふうに思っております。
  99. 吉井英勝

    吉井委員 原発を進めるという計画を立てたわけです。当然、使用済み燃料が出てきます。それをどうするのかということも含めて、きちんとした解決を持ってこそ本来の原子力長計なんですよ。ところが、増設の長計はあったけれども、その他もろもろの長計は何もなかった。今何か順を追ってやったようなお話ですけれども、しかし、ずっと最終処分をどうするかなしに来たわけです。だから、これはトイレなきマンションと言われる事態だったのです。  では、今度この法律でトイレ問題を解決するのかといったら、そうではありませんね。これは言ってみれば、高層マンションの十四階の部屋に、今度はくみ取り式のトイレを設置しようというようなものですよ。すぐにあふれて問題を起こす点では、これまでのトイレなきマンションと何ら変わらない。幾ら何でも、マンションの十四階までエレベーターでバキュームカーを運んで汚物処理というわけにはいきませんから、私はこういう点では、このやり方というのは本来の解決ではないということをやはり見ておかなければいけないと思います。  次に、法律の中で聞いておきたいのは、処分地選定に当たり、住民の同意あるいは自治体の同意を規定していないと思いますが、自治体の意見を聞くだけ。概要調査地区、精密調査地区、最終処分施設建設地という順序で、調査と最終処分地の決定となるわけですが、それぞれの段階で、住民ないし自治体の同意を要すると規定している条文はないと思いますが、あるならこの部分だと示していただきたいと思います。
  100. 河野博文

    河野政府参考人 この法律におきましては、処分地選定の各段階におきまして、第四条の第五項でございますが、通商産業大臣処分計画を改定して所在地を特定するに際しまして、「都道府県知事及び市町村長の意見を聴かなければならない。」という規定を設けていることによりまして、地元の皆様方の御意見を反映するということでございます。
  101. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、意見を聞くだけで、住民の同意あるいは自治体の同意という規定はありませんね。もう一遍確認しておきます。
  102. 河野博文

    河野政府参考人 同意という規定を含んでいるわけではございません。
  103. 吉井英勝

    吉井委員 ここで私は、安定した地層処分場が存在するかどうかをお聞きするつもりでおりますが、順番を少し変えまして、先に住金和歌山の輸入スクラップと神戸製鋼への国内スクラップ中の放射性廃棄物混入問題について伺っておきたいと思います。  住金和歌山の輸入スクラップ、あるいは神戸製鋼への国内スクラップの放射性廃棄物混入問題については、九八年六月一日に、日本核燃料開発に対する放射線障害防止法に基づく行政処分に関して文書を発表して、原子力安全局放射線安全課長名の通知をそのときも出して、廃棄物業者などにそれを周知徹底していたはずです。しかし、今回のような問題が連続して生じたわけです。そうすると、検出されないまま流通しているものもかなりあり得ると思うのですね。放射性物質が入っている容器の標識をわざわざ消して持ち込む業者などは、これはもう本当に論外ですが、現実に横行していたわけです。  核燃料物質にしろ放射性同位元素にしろ、内容物が何かもわからないままこういうものが輸入されてきたりとか、輸出しても問題ですけれども、あるいは、国内でも動く、これは私は本当に問題だと思うのです。国内で流通あるいは輸出入される産業廃棄物について、その放射性物質混入のいかんをすべてチェックして、そのデータをすべて公表するということがまず必要だと思うのです。放射性産業廃棄物のチェック体制と輸送、保管、通報などの体制をどのように進めていくのか、これについて伺っておきたいと思います。
  104. 今村努

    ○今村政府参考人 御説明申し上げます。  まず、和歌山のスクラップ入りコンテナからの放射線の検出の件でございますが、四月二十八日に、三井物産金属原料がフィリピンから輸入いたしましたステンレススクラップ入りコンテナを住友金属工業和歌山製鉄所が購入しようとした。その受け入れようとした際に、コンテナから放射線が検出されたということでございます。  科学技術庁では、住友金属からの報告を得まして、同日、直ちに検査官を現地に派遣いたしまして、現場の安全を確認するとともに、専門家による放射線の計測を実施しております。幸い、放射線の量は法令で決められております輸送容器の表面のレベルよりもはるかに低い、最大約七十五マイクロシーベルト毎時のガンマ線、さらにそれより微量の中性子線が検出されたところでございます。  科学技術庁といたしましては、直ちにその場で縄張り等の措置を指示いたしまして、現場の安全の確保を図ったところでございます。原研の専門家によりまして、コンテナ外から放射性物質の種類の特定等をいたしまして、現在コンテナの中に存在する放射線源の種類、量、あるいはその位置というものはおおむね特定されてきております。  今後は、関係者によりまして、作業要領書の作成、住友金属工業株式会社、現地における放射性物質の取り出し、輸送容器への収納などを、安全を確認しつつ、一歩一歩行うことといたしております。  御質問の、こういう問題の根絶ということでございますが、もちろんこういうことはあってはならないということでございまして、まず根絶、こういう物が混入した経緯等につきまして、現在、関係者からの情報収集をいたしておりますとともに、関係省庁とも連携をとりまして、対応策について大至急検討することといたしておるところでございます。  また、神戸の件につきましては、五月九日、これはスクラップを扱う株式会社であります島文が、神戸製鋼所の加古川製鉄所にスクラップを搬入しようといたしました際に、スクラップから放射線が検出された。島文において確認いたしましたところ、円筒形の鉛容器が発見されたというものでございます。先生御指摘のとおり、表面をテープで覆ったというような形跡もあり、悪質なケースでございます。  科学技術庁といたしましては、直ちに検査官等を派遣いたしまして、専門家による現場の安全を確認いたしました上で、現在、この放射性物質の入った鉛容器につきましては、直ちに専用の容器に収容いたしまして、専門機関でございます日本アイソトープ協会に搬送いたしまして、現在アイソトープ協会にございます。  この点につきましても、和歌山の件とあわせまして、関係機関でございます県警、神戸市等と連携をとりつつ、鉛容器の内容物の確認を行うとともに、このような事態が発生した経緯をまず確認するということを重点的にいたしておりますとともに、この点につきましても、関係省庁と協力をいたしまして対応策を至急立てたい、このように考えております。
  105. 吉井英勝

    吉井委員 個々のケースについては、既にもう事前にいただいておりますからよくわかっている上での話なのですが、今から経緯とか情報収集というお話なのですけれども、これまでから、金属廃材、スクラップなどへの放射性廃棄物混入問題は、海外で問題になっていたわけですね。それで、対応がおくれて、現時点で経緯を調べたり情報収集というのは大分ずれているのではないかと私は思うわけです。  だから、私が聞いておきたいのは、国内で流通するもの、それから輸出入の産業廃棄物などについても、今回たまたまわかった、すべてのこれらのものについて、どう徹底してチェックをし、輸送、保管、通報などの段階でどのようにきちんと掌握して、こういうことが行われないようにする、その体制をどのように進めていくのか、このことを聞いているのです。
  106. 今村努

    ○今村政府参考人 今ほど御説明申し上げましたとおり、科学技術庁といたしましては、安全確保の観点から、今回二例のケースにつきましては、現地に担当官を派遣し、関係機関と連携をとりつつ、放射性同位元素の処理、混入の経緯等についての情報収集に努めてきたところでございます。  こうした事態の再発防止につきましては、今後、関係省庁と連携をとりつつ検討を進めていく必要がございますが、例えば、通関に関する所管庁でございます大蔵省、あるいは、輸出入を管理しております通産省とも今連携をとりまして、検討を進めているところでございます。また、かかる事態が発生した場合、どのような形で安全を確保しつつ適切な対応ができるか、この問題につきましても、速やかに対応の体制について検討してまいりたい、このように考えております。
  107. 吉井英勝

    吉井委員 科学技術庁長官に。  海外でこれまでから問題になっていたことは、うなずいておられましたけれども、科学技術庁としてもよくつかんでいらっしゃったわけです。しかし、二年前は別な件で注意を与えたりとかしているわけですが、廃棄物業者に通知の文書も回しているわけですよ。それで、今回こういう事態を受けて、放射性産業廃棄物などのチェック、そういうことを本当にきちっとやっていく、その体制強化を図っていくという点での科学技術庁長官のきちんとした決意というものを聞いておきたいと私は思います。
  108. 中曽根弘文

    ○中曽根国務大臣 まず、今回の事件といいますか、あのような事態、大変遺憾に思います。  放射性同位元素につきましては、放射線障害防止法によりまして、許可なく所持することも禁じられておりますし、また許可を受けた使用者等に対しましては、所要の規制を実施しているところであります。  それから、今輸入のお話ありましたけれども、この放射性同位元素の輸入につきましても、輸入貿易管理令上の規制対象物質となっているわけで、これも許可が必要なわけでありますが、今回こういう厳正な規制があるにもかかわらず、こういうふうな廃材への放射性同位元素の混入が発見されたということは大変重大な問題だと私どもは受けとめておりまして、今局長から御答弁申し上げましたように、税関を担当しております大蔵省を初め、通産省関係省庁と今後十分連絡をとっていきたい、そういうふうに思っております。  そして、これは和歌山の場合もそうですが、ゲートで、感知器というのでしょうか、で発見されたわけでありますけれども、今後もそういうような監視体制、チェック体制を強化するということが重要、そういうふうに思っておりまして、本日、鉄鋼連盟の皆さん方にもお集まりをいただいて、そういうような点の今後のチェック体制の強化について話し合いを行う予定にしているところでございます。
  109. 吉井英勝

    吉井委員 この問題は、低レベルの放射性廃棄物を含むスクラップの管理さえうまくできていない者に高レベル放射性廃棄物を語る資格はないぞ、こういうことを国民の皆さんから指摘されても抗弁できない、そういう問題なのだということをしっかり銘記して取り組んでいただきたいというふうに思います。  次に、本筋にまた戻りまして、昨日の続きでもありますが、火山や地震や地質、地球物理などさまざまな分野の専門の学者の皆さんから、大事な指摘が幾つもなされております。例えば、藤井陽一郎茨城大学名誉教授は、核燃料開発サイクル機構の第二次取りまとめ地層処分の新たな安全神話をつくるものだと指摘をされて、さらに、日本列島には地層処分のための安全なところはないと考える方が妥当であろうとも指摘しています。  私、昨日は、ICSUのカナダのファイフ教授の、世界には最終処分に全く不適な国がある、例えば日本、国土が小さいこと、プレートの境界にあることという指摘などを紹介しましたが、皆さんの方で、日本で安定した地層があるとお考えになっていらっしゃるとすると、その安定した地層はどの地域にあると考えていらっしゃるか、改めてこれを伺いたいと思います。
  110. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  今般のサイクル開発機構が行いました二次報告書におきましては、個別具体的なサイトを想定してこの報告書をつくったものではございません。  それで、特に我が国地質環境の長期安定性というふうな点に留意をしました上で、例えば、我が国は変動帯に位置しておるけれども、天然現象の中で、地震・断層活動、火山・火成活動などの急激な現象については、これまで長期にわたり限られた地域で起こっており、活動及び活動範囲の移動は規則的に推移しているため、その影響を受けない地域地下深部処分施設を設置することが可能と考えられる。また、隆起、沈降、侵食、気候・海水準変動などの緩慢、広域的な現象については、その変化の規則性が過去の地質学的記録から類推できるため、長期にわたりこれらの影響や範囲を推定することが可能と考えられる。  こういう考え方に基づき、天然現象が地層処分システムへ及ぼす可能性のある影響の性質やその範囲に関する知見を得るための研究の進め方について示したもの、このように言っておりますので、ただいまの先生の御質問に対しましては、個別具体的なサイトを考えているものではございません。
  111. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、この続きはまたあした質問するようにしたいと思いますが、大体、個別具体のところを示すこともできないし、何の実証もないままこれを強行しようというのはとんでもないことだ。このことだけ指摘して、本日の質問は終わりたいと思います。
  112. 田端正広

    田端委員長 辻元清美さん。
  113. 辻元清美

    辻元委員 社会民主党の辻元清美です。本日は、特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案について、確認をさせていただきたいと思います。  名称については、昨日からほかの委員の方も質問されておりますので、私もこれははっきりと高レベル放射性廃棄物というようにした方がいいと思っておりますが、その点については、きのうもかなりの方との質疑がありましたので省略させていただきまして、処分実施主体である機構と高レベル放射性廃棄物の所有者についてまずお聞きしたいと思うのです。  あちこちの名前を見てみますと、処分実施主体の機構は原子力発電環境整備機構、これはどういう根拠でこういう名前にしたのでしょうか。何をする機構なのかさっぱりわからないではないですか。いかがですか。
  114. 茂木敏充

    茂木政務次官 お答え申し上げます。  原子力発電に伴いまして、使用済み燃料は必ず発生するものでございまして、また我が国使用済み燃料を再処理しておりまして、既に三百三十四体の高レベル放射性廃棄物、ガラス固化体を貯蔵しているわけであります。我が国商業原子力発電を開始して以来、一九九八年九月現在で使用済み燃料が約一万七千トン生じておりまして、本使用済み燃料からは約一万二千六百本の高レベル放射性廃棄物が発生することとなります。このため、高レベル放射性廃棄物最終処分実現は、費用負担に係る世代間の公平性確保の観点からも、一刻も早い取り組みが不可欠であります。  こういった現状を踏まえまして、本法案におきましては、高レベル放射性廃棄物最終処分、これが喫緊の課題でございまして、この解決のため、原子力発電の適正な利用のための環境整備が最大課題の一つであることにかんがみまして、機構の名称を原子力発電環境整備機構としたものでございます。
  115. 辻元清美

    辻元委員 私は、高レベル放射性廃棄物処分実施機構とはっきり書かれた方がいいと思うのです。  なぜかといいますと、原子力関係の施設については、はっきりと、どういうことをしているかということが名前を見てわかる、そのような命名をしていかないと、今までにも、事故があったら、あそこでそんなことをしているとは思わなかったと住民の皆さんがおっしゃるわけですね。というように、名前からして非常にあいまい。  もうこの際、原子力はここまで来ているわけですから、どこの施設で何をしているか、一般住民の方が見ても、ああ、ここはそういうものを扱ってはる施設なのだな、では自分たちはその周りで暮らしていて日ごろからどういう心がけでいなければいけないか、はっきりするではないですか。これだと、今政務次官がおっしゃった御答弁を聞いても、その環境を整備するというのは何のことやさっぱりわからないです。  私は、高レベル放射性廃棄物ということをはっきり名前の中に入れるべきだと思うし、法案もそうですし、この機構もそうです。じゃないと、もうこれ、何とか原子力で乗り切りたいと皆さん思っていらっしゃるのならば、私は乗り切りたくないと思っている立場ですけれども、はっきりさせるということを今国民が望んでいるという感覚とずれていると私は思いますけれども、いかがですか、政務次官。     〔田端委員長退席、中山委員長着席〕
  116. 茂木敏充

    茂木政務次官 広報活動については万全を期していきたいと思っておりますし、透明性確保、それから住民の皆さんに対する情報公開、これを徹底して今回進めていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  また、名称に関して、例えば高レベル放射性廃棄物、そこの中で区分しますと、発電用原子炉から出るもの、それから試験研究炉から出るもの。今回の場合は、そこの中で、発電用の原子炉から出るもの。そしてこれが、形でいいますと固形化したもの、液状化したもの。それをきちっと特定するために、今回の場合は、特定放射性廃棄物、こういう言葉を使わせていただきまして、また、機構につきましても、先ほど答弁させていただきましたような名称を使ったわけであります。  ただ、ここで何をするのか、また、今後の地域の特定等におきまして、しっかりと三つのステップを踏みながらやっていく、そのステップごとにきちっとした情報公開をしていく、そういうことにつきましては、御指摘の点も踏まえまして、しっかり対応してまいりたいと考えております。
  117. 辻元清美

    辻元委員 先ほどの御答弁の中に、何回も高レベル放射性廃棄物という言葉を、政務次官みずからが使っていらっしゃるわけですよ。みずから使っていらっしゃるわけですから。ところが、機構の名前や法案の名前になると、すっと変わってしまうということは私は納得できないです。  もう一つ、今、情報公開というお話、おっしゃいましたね。さて、引き続いてお聞きしたいです。  そうしますと、今までこの高レベル放射性廃棄物の問題については、一般住民、近所に住んでいらっしゃる住民だけではなくて、一般の国民の皆さんに、どのように周知徹底してきましたか。原子力発電に頼るとこういうものが出てきますよということを具体的に示してください。パンフレットにお書きになっていたのか。  それから、国民の皆さんが、原子力に頼っていく限り高レベル放射性廃棄物が出てくるよということを認識しているというように考えていらっしゃるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  118. 河野博文

    河野政府参考人 この高レベル放射性廃棄物処分対策につきまして、通産省の方で具体的に、総合エネルギー調査会原子力部会検討してまいりました。この審議一般の皆様にも公開しておりますし、部会で用いたさまざまな資料、これは具体的に、どのような規模の放射性廃棄物が例えばこれぐらいの期間で出るであろうといったようなことも含めまして、公表しております。もちろん、この報告書も公表という形で情報提供させていただいているわけでございます。  また、部会では、中間報告書案、つまり、高レベル放射性廃棄物処分事業の制度化のあり方についてという報告書をつくるに当たりまして、この案を、国民の方々に御意見を求めるということで、全国五カ所において、報告書も含めたバックエンド対策に対する国民の方々の意見交換会を開催するというようなことをさせていただきました。  なお、高レベル放射性廃棄物処分対策について審議を行ってまいりました原子力委員会の高レベル放射性廃棄物処分懇談会、これは私どもが事務局ではございませんけれども、こちらでも報告書取りまとめの際に国民の方々に意見を求めるとともに、意見交換の場を設けたというふうに伺っております。  今後とも、この処分技術の情報を積極的に公開し、また、先ほど政務次官が御答弁申し上げましたように、立地の各段階において必要な情報を幅広く公開をしていくということで、立地地域のみならず、電力の消費地の皆さんにも幅広くわかっていただくように説明をしてまいりたいと思っております。
  119. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  先生御案内のとおり、原子力委員会におきます審議に関しましては、特に平成七年の十二月に高速増殖炉の「もんじゅ」のナトリウム漏えい事故が起こったことがございました。その前に、平成六年の六月に現行長期計画が策定されたわけでございますが、この長期計画をもとに平成七年の九月、原子力委員会は、高レベルの問題については国民的な視点に立って議論をしていく必要がある、こういう決定を下しまして、懇談会を設け、その社会的な重要性等についての議論をしよう、他方また技術的な検討の場を設けよう、こういうふうな形で、懇談会と専門部会を設けたわけでございます。  特に懇談会の方におきましては、平成八年の五月から二年間にわたりまして、この懇談会を十四回にわたって開催したわけでございますけれども、その間五カ月間、国民の方々に関しまして、特に報告書案についての御意見をちょうだいしました。と同時に、それと並行するような形で、六回にわたりまして、一般の方々との意見交換会も設けたところでございます。  これは、実は「もんじゅ」の問題が起こりました後、原子力委員会原子力政策円卓会議が設けられたわけでございますが、その際、原子力政策透明性を図る必要がある、こういう観点から、原子力委員会政策決定事項について国民の方々の参加を求めようというふうな形になりまして、この懇談会の会議がすべて公開のもと、同時に、報告書は御意見をちょうだいする、それに対して真摯にお答えをする、こういう形を経て、この懇談会の報告書ができたものでございます。
  120. 辻元清美

    辻元委員 るる説明をいただいたのですが、例えば、電力会社が出しているパンフレットなどを見ますと、この高レベル放射性廃棄物の問題は非常に大きな問題ですけれども、今まではずっと、原子力はこんなにすばらしいというトーンのことしか書いてこられてなかったんじゃないですか。それで、こういうところで議論しました、ああいうところで国民の意見を求めましたと言いますけれども、さんざんそういうパンフレットを配り倒してきたわけです。  例えば、通産省も、省エネを国民にこれから呼びかけていかなあかんと、ずっとやってきはりました。その際には、私、方針変えなあかんと思うのです。どういうことかといいますと、電気ばかり使いまくって原子力に頼っていたら、将来への核のごみを出すことになりますよとか、それから、火力発電所を頼っていて温暖化はこんなに問題です。そのそれぞれの問題点を国民にアピールする方が、国民は、そうか大変やなというように思って、省エネせなあかん、エネルギー大事にせなあかんというようになるんじゃないでしょうか。私は、方針転換をすべきやと思います。  さてそこで、例えば、これは通産省から出てきた資料だと思います。これは各党の部会などでも使われた資料ですね。ここを見ますと、「諸外国における高レベル放射性廃棄物処分事業の現状」という項目があります。ここに、諸外国に比べて十年ないし二十年余り日本はおくれていると書いてあって、ここに諸外国の事情がこう書いてあります。  ところが、これは抜け落ちていることがあると思うのです。この日本以外の国で、どこが、原子力政策をこれからどんどん推進していこうという国があるでしょうか。核燃料サイクルについて、全部見直そうとしている国々じゃないですか。これらの国々では、今まで出た高レベル放射性廃棄物については処分せざるを得ないけれども、原子力政策そのものも並行してしっかり見直していかざるを得ないという方針をとっている国ばかりじゃないですか。はっきりそういうこともお書きになるべきなんです。  なぜ高レベル放射性廃棄物の問題についてこれだけ取り組んできたかといえば、一方で、エネルギー政策そのもの、原子力に頼ること自体を見直す国ばかりじゃないですか。どこの国が増設していますか。どこの国が核燃料サイクルを推進しているのですか。答えてもらえますか。どこの国ですか。
  121. 河野博文

    河野政府参考人 お手元にございますパンフレットは、いわゆる高レベル放射性廃棄物政策を御説明するために、特にその点に重点を絞って御説明させていただいている資料でございます。  核燃料サイクル政策あるいは原子力立地の問題につきましては、現在、各国さまざま事情が異なっております。それは先生御指摘のとおりの点もございます。ただ同時に、フランスのように電力の八〇%を既に原子力によって賄っている国もあるのでございます。  そういう意味で、日本日本の国土、経済状況に即したエネルギー政策が必要だということでこういった現在のエネルギー情勢を考えておりますし、また、先ほど来、私ども、大臣からも御答弁申し上げておりますが、三月十日に、総合的なエネルギー政策検討を開始するということで、現在、総合エネルギー調査会総合部会での検討が始まっている、そういう状況でございます。
  122. 辻元清美

    辻元委員 今、総合エネルギー調査会の話が出ました。ここでエネルギー政策そのもの、要するに核燃料サイクルや、それから原子力依存の問題も含めて議論していこうというふうに私は総合エネルギー調査会の趣旨は承っております。電力会社も、柔軟な原子力政策をしていかなければあかんというようなことを、これは東京電力の元副社長がインタビューに答えたりしているわけです。  その中で、今回の法案は、再処理ということを前提にしてこの法案が成り立っているのじゃないですか。どうして、そのエネルギー調査会、さまざまな方々がやっと、賛否両論も含めて、エネルギーのことを真剣に考えようとしている最中に、再処理を前提にした法案提出するというのは本末転倒じゃないですか。
  123. 河野博文

    河野政府参考人 これは核燃料サイクル政策全般にわたる御質問でございますから、今、科学技術庁総括政務次官も御答弁の御用意かと思いますが、私ども法案提出させていただいた者として、私どもは、原子力委員会決定、こういったものを受けまして、我が国全体のエネルギー政策として核燃料サイクル政策推進することは重要だというふうに基本的に考えております。  その中の再処理政策は重要な一環でございまして、今回も、再処理後の高レベル放射性廃棄物の固化体を処分することをこの法律のテーマというふうに取り上げたわけでございます。
  124. 辻元清美

    辻元委員 それでは、私が承っているエネルギー全体を議論していこうという調査会、これは茅さんなんかからもこの間話を聞きましたけれども、今おっしゃったような趣旨と違いますよ。推進していくことを前提にというような御理解ではなかったと思います。私は、そこのところをはっきりした方がいいと思います。ここに十年ないし二十年おくれていると書いてありますが、日本が十年たち二十年たったときにやっと追いつくというようではだめだと思います。  さて、その中でもう一点確認したいのですが、使用済み燃料中間貯蔵の議論もいたしました。この中間貯蔵を行っている間の安全確保の責任は貯蔵事業者であるというように前の委員会で確認されているのですが、使用済み燃料の所有権はあくまで電気事業者が有しており、譲渡は制限されているというように私の質問政府お答えになっているのです。とのことでしたが、今回、この最終処分の実施過程及び実施後の高レベル放射性廃棄物の所有者はだれですか。
  125. 河野博文

    河野政府参考人 これは、再処理を経まして最終的に今回の処分機構に廃棄物が引き渡された段階で、いわゆる所有権といいますか、管理責任はこの機構に移るということでございます。
  126. 辻元清美

    辻元委員 管理責任というのはその所有物を管理する責任ですから、この所有物はだれのものかと言っているわけです。例えば、お金を貸し金庫に預けたら、管理責任は銀行にありますけれども、お金はその所有者のものでしょう。これは所有者はだれですか、所有権はだれにあるのですか。
  127. 河野博文

    河野政府参考人 管理責任及び所有権は機構に移転するというふうに理解しております。
  128. 辻元清美

    辻元委員 そうすると、中間貯蔵のときまでは電気事業者の所有権。所有権は変わるということですか、これは。変わるのですか。
  129. 河野博文

    河野政府参考人 この法律で予定しておりますことは、いわゆる高レベル放射性廃棄物、この法律で申します特定放射性廃棄物処分に至る最後のプロセスでございますので、そういう意味で管理責任と所有権が移転するというふうに考えているわけでございます。
  130. 辻元清美

    辻元委員 そうしますと、二四〇〇年、少なくとも約四百年後までこの管理機構が責任をまず持たなければいけないですね。四百年前といったら、一六〇〇年というと霞が関の合戦のときなんですよ、今までの歴史でいえば……(発言する者あり)霞が関じゃない、関ケ原の合戦です。ごめんなさい、関ケ原の戦いのときです。  それで、どうなんでしょうか。いや、霞が関と戦っていると思うから、つい、そういう発言になってしまうのですけれども。この整備機構、四百年間この法人が存続するという根拠は何なんですか。どういう見通しで考えていらっしゃるのですか。そうじゃないと、今この法律を決めてしまう私たちに責任が発生するじゃないですか。どうなんでしょうか。
  131. 河野博文

    河野政府参考人 この法律では、この機構が勝手に解散等できないように、解散については通産大臣の承認が要るという形で存続を確保するための法律的な枠組みを用意してございます。
  132. 辻元清美

    辻元委員 それは、今はそうおっしゃるでしょうね。しかし、私たちが今議論していることは未来に責任を果たすということだと思うのです。私は、前提で最初申し上げました。一方で、原子力政策全体の見直しをどのように進めていくかという中でこの高レベル放射性廃棄物処分の問題も考えていかないと、今慌ててここだけ取り出して処分したらいいじゃないか、全体の流れを変えていかないという中ではなかなか認められないという私は意見を持っています。  時間が来ましたが、これで終わりますけれども、あすまだ審議が続くということですから、しっかりその辺を確認させていただきたいと思います。  以上です。
  133. 中山成彬

    中山委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。  これにて散会いたします。     午前十一時五十七分散会      ————◇—————   〔参照〕  特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案商工委員会議録第十五号に掲載