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2000-05-12 第147回国会 衆議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十二日(金曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 中山 成彬君    理事 伊藤 達也君 理事 小林 興起君    理事 河本 三郎君 理事 山本 幸三君    理事 大畠 章宏君 理事 吉田  治君    理事 久保 哲司君 理事 吉井 英勝君       小野 晋也君    奥田 幹生君       奥谷  通君    粕谷  茂君       木村  勉君    小島 敏男君       小林 多門君    古賀 正浩君       桜井 郁三君    実川 幸夫君       田中 和徳君    中野  清君       中山 利生君    萩野 浩基君       古屋 圭司君    細田 博之君       松下 忠洋君    松本  純君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       森田  一君    矢上 雅義君       山口 泰明君    渡辺 博道君       岩國 哲人君    渋谷  修君       島津 尚純君    中山 義活君       半田 善三君    富田 茂之君       並木 正芳君    金子 満広君       青山  丘君    小池百合子君       塩田  晋君    北沢 清功君     …………………………………    通商産業大臣       深谷 隆司君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    経済企画政務次官     小池百合子君    科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君    通商産業政務次官     細田 博之君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    政府参考人    (科学技術庁原子力局長) 興  直孝君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君    商工委員会専門員     酒井 喜隆君     ————————————— 委員の異動 五月十一日  辞任         補欠選任   小島 敏男君     桧田  仁君   新藤 義孝君     戸井田 徹君   田中 和徳君     田村 憲久君   渋谷  修君     松沢 成文君 同日  辞任         補欠選任   田村 憲久君     田中 和徳君   戸井田 徹君     新藤 義孝君   桧田  仁君     小島 敏男君   松沢 成文君     渋谷  修君 同月十二日  辞任         補欠選任   岡部 英男君     中山 利生君   奥谷  通君     木村  勉君   古賀 正浩君     松下 忠洋君   新藤 義孝君     萩野 浩基君   田中 和徳君     松本  純君   竹本 直一君     実川 幸夫君   中山 太郎君     矢上 雅義君   山本 譲司君     岩國 哲人君   赤羽 一嘉君     富田 茂之君   西川 知雄君     並木 正芳君 同日  辞任         補欠選任   木村  勉君     奥谷  通君   実川 幸夫君     小林 多門君   中山 利生君     岡部 英男君   萩野 浩基君     渡辺 博道君   松下 忠洋君     古賀 正浩君   松本  純君     田中 和徳君   矢上 雅義君     中山 太郎君   岩國 哲人君     山本 譲司君   富田 茂之君     赤羽 一嘉君   並木 正芳君     西川 知雄君 同日  辞任         補欠選任   小林 多門君     竹本 直一君   渡辺 博道君     新藤 義孝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案内閣提出第六六号)     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 中山成彬

    中山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として、大畠章宏君の質疑の際に資源エネルギー庁長官河野博文君、また、吉井英勝君、青山丘君及び北沢清功君の質疑の際にそれぞれ資源エネルギー庁長官河野博文君及び科学技術庁原子力局長興直孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 中山成彬

    中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
  5. 大畠章宏

    大畠委員 民主党大畠章宏でございます。  今回の特定放射性廃棄物処分法案については、これまで商工委員会あるいは連合審査等かなり論議をしてまいりましたけれども、各地から私の部屋にもファクスが参っておりまして、この法律案については十分慎重な審議をしてほしいという御意見が参っております。それだけこの法律案に対し国民の皆さんも注目をしていると思います。  しかしながら、現実問題、まだまだいわゆる高レベル放射性廃棄物処分についての国民的な情報というものが十分行き渡っていないのじゃないか。そして、この処分については、第一に情報公開がきちっとされなければならないこと、第二番目には、地元住民理解を得ながら知事並びに市町村長同意というものが大前提になるのではないか、さらには、この法律案実施に当たっては、冒頭に申しましたように、その都度その都度情報公開していく、そういうものがなければならないのじゃないかという御意見があったように思います。  さらには、一昨日、横路委員から御質問がありましたけれども、いずれにしても、原子力政策上、このような機構をつくること、そして準備を始めること、これについては賛成をする、しかし、その他の問題については、なかなか現在の法律案内容については不明なところが多いというような指摘があったように感じます。  いろいろな論議がありましたが、私ども民主党といたしましても、昨日最終的な論議をいたしましたが、いわゆるトイレなきマンションと言われておりました現在の原子力政策上、今回、この最終処分について、おくれにおくれましたけれども法律案を準備し提出したということについては評価をしたいと思います。  そういう状況の中で、情報公開あるいは住民地方自治体との関係安全委員会関与の問題等々について総括的に質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  最初に、何といっても情報公開というのが原子力については第一義になります。  特に、住民の方もそうですが、それから市町村等もそうだと思うのですが、要するに、情報公開といいますか、情報を受け取らない限り判断ができないのですね、いいのか悪いのか、あるいはどうなっているのだろうかと。それはもちろん、これまでの原子力政策上やはり問題だったのは、どうも専門家だけで物事を進めてきてしまった、国民理解を十分得るに至らなかったという反省のもとに、いわゆるPA活動というのが二十年ぐらい前から始まったところでありますが、この反省の上に立って、特定放射性といいますか、高レベル液体廃棄物等々の処分等々を考えましても、情報公開というのが大前提になるわけであります。  そこで、今政府の方は、情報公開、県や市町村にどのような資料をどのような手段で提供しようと考えているのか。あるいは、市町村あるいは県からこういう情報はどうなっているのでしょうかというような問いかけがあった場合にはすべて出すべきじゃないかと私は思うのですね。いや、これは今云々ですから出せませんとかなんかと言わないで、まずはすべてを公開していく、そういう姿勢でこの最終処分には臨むべきだと思いますが、この件についてまずお伺いしたいと思います。
  6. 細田博之

    細田政務次官 原子力発電環境整備機構につきましては、本法案第六十条において、適切な情報公開により業務運営における透明性確保するように努めなければならないことが明記されております。大畠委員がおっしゃいましたように、この法律を実際に実施するということになりますと大変地域住民皆様方の御理解をいただかなければならない、それを必須の前提としておることは言うをまたないわけでございますし、一昨日も横路委員からも御指摘をいただいたわけでございます。また、ほかの委員からも御指摘をいただいておるわけでございます。  本規定六十条によりまして、同機構は、プライバシーとか知的財産権に関する情報等一定のやむを得ない場合、つまりほかの権利を侵してしまうような場合は抑制はしなければなりませんけれども、そうではなくて、住民あるいは地方行政あるいは議会、そういったところにとりまして判断材料として必要な情報はすべて公開するというものであります。  それから、実際の情報公開手段でございますが、従来は官報などに公表すればそれで事足れりというようなこともございましたけれども情報公開を進めるという流れに従いまして、また情報公開手段が極めて充実してまいりましたので、文書の公開説明会実施等に加えまして、インターネット等を利用いたしまして直ちに各人の方が情報を得られるような手段をきちんととっていく、積極的にそういった手段を活用するという方針でございます。
  7. 大畠章宏

    大畠委員 今、必要な情報はすべて提供するというのですが、必要なというところはだれにとって必要なのかということですね。要するに、提供する側の必要を考えたものか、あるいは、例えば知事とか市町村、これは後ほど質問させていただきますが、これを十分尊重しなければならないということなんですが、知事やあるいは市町村長判断する上でこんな情報が欲しいというような、そういう意味の必要な情報という意味かどうか、ちょっとお伺いしたい。
  8. 細田博之

    細田政務次官 むしろ後者でございまして、地元の方あるいは地方知事議会その他の方が必要と思われるものはすべて公開しますし、また、要求があればもちろんさらに公開をする。つまり、これが必要だと考えても、またさらにこういう情報が必要だという場合は必ずありますから、その地方地方関心というものがございますので、そういったものはあわせてあらかじめ公開いたしますし、また、要請があれば公開するということでございます。
  9. 大畠章宏

    大畠委員 この法律案が成立しますと、いわゆる二〇一〇年ぐらいまでかけて、十年間かけていろいろな内容を吟味していきます。そして、二〇一〇年から二〇二〇年にかけていわゆる選定地のプロセスを決めていく、そして二〇二〇年から二〇三五年ぐらいにかけて最終的な候補地選定して、そして施設をつくり始めるというかなりの長丁場であります。  その間、先ほど言いましたように、当該地域住民そして首長知事、こういう方々理解がない限りはこれはできないわけでありまして、今、細田政務次官からお話がありましたけれども、とにかく住民の方の理解を得るため、あるいは市町村長さん、あるいは首長さん、そういう方々がこれはどうなんだろうかというものについては、今お答えがありましたが、すべて情報公開はしていく、そういう姿勢がどうしてもこの法律案の裏になければこの法律案は成り立たないと私は思います。  したがって、今御答弁がありましたが、知事市町村長あるいは議会関係、そういうところが要求したものについてはすべて提供すること、これを実施していただきたいと思います。  その次に、先ほどお話がありましたけれども機構については今回、情報公開法適用除外ということになっておりますけれども事業主体が今度この法律でスタートすることになりますが、事業の進捗に合わせて将来的には公開義務を課すことを私は検討すべきじゃないかと思うのですね。したがって、事業主体公開義務、この事業主体というのが非常に重要になってくると私は思いますし、この事業主体が始まったのだけれども何をやっているかわからないということじゃ困りますので、そういう意味では、この事業主体に将来的には公開義務を課すように私は法律等整備をしていくべきだと思いますが、この件についてお伺いしたいと思います。
  10. 細田博之

    細田政務次官 処分事業を進めてまいります上で、情報公開の必要は十分に認識しておりまして、先ほど御答弁したとおりでございます。本法律案の六十条の、適切な情報公開により業務運営における透明性確保するように努めなければならないという規定を設けたことは、この趣旨に従って書かれているわけでございます。  情報公開法自体は、現状では行政機関を対象としておるということで、まだ、特殊法人とか、またさらにその先にあります認可法人とか、例えば法律により権限を与えられている法人等にも与えるということには法律内容としてはなっていないわけでございますが、むしろ、そういった機関につきましても先取りするような形であえて条文を設けております次第でございます。
  11. 大畠章宏

    大畠委員 今の六十条ですが、おとといも横路さんからも質問がございましたけれども、この六十条の規定で十分なのか。六十条を読みますと、「機構は、第五十六条第一項及び第二項に規定する業務を行うに当たっては、安全の確保を旨としてこれを行うものとし、適切な情報公開により業務運営における透明性確保するとともに、概要調査地区等及び最終処分施設の周辺の地域住民等理解協力を得るよう努めなければならない。」という、この「適切な情報公開」。まさに横路さんがおっしゃったのは、「適切な」というこの三文字は要らないんじゃないかというような指摘がありました。私は、あのやりとりを聞いておりまして、まあそうなんだろうなという感じがするんです。  この六十条で十分だということなんですが、私は、これから十年間、機構が動く、十年間というか、これからスタートするんですが、いずれにしても、ここら辺はとにかく柔軟に対応しないと、法律を決めちゃったからこれでいいんだという話にはならないと思うんですね。したがって、住民理解、どんなに国が進めようとしたって住民理解がなければ、あるいは住民理解がなければ議会でも首長さんでも同意なんかはできるわけありませんから。  そういう意味では、この六十条にこだわらずに、私は、機構運営というものを見ながら、的確な情報公開情報公開法が今度施行されますけれども、いずれにしてもここら辺を、六十条でいいんだとしないで、柔軟に対応しながら情報公開実施計画、特に基本方針とか最終処分計画、第三条、第四条同様私は実施計画等についてもきちっとやるべきだと思うのですが、ここら辺、もう一度ちょっと考えを聞かせていただきたいと思います。
  12. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいまの情報公開の問題でありますが、委員指摘のように、この我々の目的を達成するためには、住民理解協力がなければ何もできないわけでありまして、そのためには情報公開というのは私は大前提になるものと思っております。  御案内のように、基本方針あるいは最終処分計画等は第三条、第四条で公表するということになっておりますけれども実施計画については今申されました六十条で包括的に、「適切な情報公開により業務運営における透明性確保する」というようなことでこれを規定しているわけでございます。したがいまして、本規定に基づいて実施計画等についても同様の情報公開をされるということになります。  いずれにいたしましても、情報公開姿勢を徹底するように私ども機構を監督してまいりたいと考えております。
  13. 大畠章宏

    大畠委員 以前、いろいろと動燃事故が続いたときに、いろいろな、なかなか動燃さんの内部の情報というのが伝わってこない、そこにもやはり問題があるんじゃないかという論議がありました。私は、今回、この六十条の規定がありますけれども実施主体機構も同じような話になっては困りますし、特にここには「適切な情報公開」という、だれにとって適切な情報公開なのかというのが問題なんですね。  機構から見てこれは適切な情報公開だというものと、住民とかあるいは国民にとっての適切な情報公開、この主体がだれかというのがわからないのですが、これを見ると「機構は、」とありますから、機構にとって適切な情報公開ともとれるのですね。私は、今大臣から答弁ございましたけれども、やはりここら辺は、この法律案全体がそうなんですが、柔軟にやっていかないといけないんじゃないかと思うのです。  したがって、今大臣からも御答弁ございましたけれども機構のいろいろな進み方があると思うのですが、そういう段階段階において知事や、知事といいますか、まだこれは始まってからどこになるかわかりませんけれども、いずれにしても、そういう関心がある国民知事市町村議会等々から、ここはどうなんだろうかというものについては、情報公開をしていくということが必要だと思います。  改めて私は、今大臣からも、実施計画についてもできるだけやっていきたいということでありますが、この六十条の規定規定としながらも、必要な情報といいますか、国民から見て必要な情報、これはどうなんだろうかというものについてはやはりできる限り情報公開すべきだと思いますが、もう一度ちょっと御答弁をお願いします。
  14. 深谷隆司

    深谷国務大臣 あらゆる問題において、地方自治体都道府県市町村に及びますけれども、あるいはその住民皆様理解をいただくことが最も大事でございますから、当然、情報公開というのはその方たちのための情報公開であるという認識に立っております。  そして、情報公開の上で知事市町村等意見を極めて重く受けとめていく、そして最終処分計画などについても策定させていただくというふうに考えているわけでございまして、地元の御理解を得るための情報公開を徹底していくようにきちっと監督していきたいと思います。
  15. 大畠章宏

    大畠委員 今大臣からお話ありましたように、基本方針とか最終処分計画については公表というものがきちっとしているんですが、実施計画については明記していないというので申し上げておるんですが、ぜひ、今大臣がおっしゃったように、とにかく国民理解がなければこういう大事業というのは進みませんから、今お話があったような形で実施していただきますように指摘をしておきたいと思います。  それから次に、そういう情報公開環境のもとに、どういうところがいいのかということで選定作業に入った場合に、当該地域知事及び市町村長意見、もちろん、これは後ほど同僚の渋谷委員からも指摘があるかもしれませんけれども議会というものも大変重要でございます。  いずれにしても、そういうものを含めて知事市町村長意見というものが大変重要でありまして、私ども民主党としては同意を必要とするという修正提案をいたしましたけれども各党合意というものを、与党の方の合意を得られずに、十分に尊重するという修正というものの答えが今来ているわけですが、いずれにしても、私は、これまでの成田闘争なんかもそうでありますし、住民同意なしに、あるいは住民の意向に反して事業推進するというのはもうできない時代だと思います。  したがって私は、与党の方からあった十分に尊重するという意味は、すなわち首長意見に反して強行することはないということなのかどうか、大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
  16. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今、修正問題につきましては各党で御論議いただいておりまして、私どももその御論議を注目しているところでございます。  ただいま委員同意ということを言われました。これは各党で御相談していただく結果でありますけれども、恐らく、同意という問題を文言として残さないという意味は、あくまでも行う主体は国である、そういう意味でございます。しかし、それは地方自治体を無視するという意味とは全く違いまして、先ほど申しましたように、知事やあるいは市町村長意見を極めて重く受けとめるということを大前提としているわけであります。  したがいまして、仮定でございますが、例えば、地元理解協力を得るべく最大限努力しておりますが、なお御理解が得られない場合、その場合にどうするかということについて申し上げれば、当該概要調査地区等を管轄する都道府県知事及び市町村長の意に反して概要調査地区等選定を行うことはないものと考えます、こう申し上げるべきでしょうか。
  17. 大畠章宏

    大畠委員 わかりました。  それでは次に、安全委員会関与。  これも私ども民主党として、この安全委員会関与というものを拡大すべきじゃないかということを修正案として以前要求しておりましたけれども、これも法律案修正という意味での与党からの答えはないわけでありますけれども大臣も御存じのとおり、ジェー・シー・オーの事故以来、原子力安全委員会のあり方についてかなり論議がございました。  いわゆる推進規制という、原子力委員会推進原子力安全委員会規制ということですが、この分離が余り明確じゃなかったということで、このたび政府の方でも分離をしようという機構改革を行っていただきましたけれども、私ども民主党としては、原子力安全委員会そのものがまだ不十分じゃないか、したがって、原子力安全規制委員会というものを明確にして、八条委員会から三条委員会にすべきであるということで法律案を提出しているところでありますが、これからの原子力政策上、今の原子力安全委員会も含めて、安全規制というそのもの機構というのは大変私は重要な位置づけだろうと思います。  したがって、今回の法律案につきましても、原子力安全委員会関与の仕方というのが大変重要なポイントではないかと思います。現在、基本方針の、いわゆる第三条の第二項四号、五号のみを原子力安全委員会意見を聞くこととしておりますけれども、一号の基本的方向、あるいは二号の概要調査地区等選定、七号の最終処分に関する重要事項についても、安全と極めて密接な関係がありますので、運用面において安全委員会意見を求めていくべきだろうと考えているんです。  いずれにしても、この事業安全面で最大限の配慮をしていく必要があると思いますが、この安全委員会関与、この法律案で、今申し上げましたように、第二項の四号、五号のみを原子力安全委員会意見を聞くこととしておりますけれども、その他についても、私は、原子力安全委員会役割というものを最大限活用しながらいかないと、せっかく機構改革したという原子力安全委員会、これをこれだけの大事業全体にやはり活用すべきだと思いますが、この件についての基本的な考え方をお伺いしたいと思うんです。
  18. 河野博文

    河野政府参考人 御説明させていただきます。  これまでの御審議におきまして、原子力安全の規制を別の法律で手当てしていること、あるいは、原子力安全委員会法律上安全の確保規制にかかわるものを審議事項としていることなどを御説明しましたけれども、ただ、あえて申し上げますが、従来から、原子力安全委員会に対しましては、実際上、原子力の安全に関係するさまざまな事柄を幅広く私どもとしては御相談させていただいている、そういう実態がございます。  今、先生、運用に当たりよくやれという御指示でございまして、本法案運用に当たりましても、原子力安全委員会に幅広く御相談させていただく心構えでまいる所存でございます。
  19. 大畠章宏

    大畠委員 結局、機構を変えたり、あるいは新しい体制にしても、その体制を活用するという姿勢がなければ意味がありません。  従来の原子力政策上、私自身も原子力に携わる仕事をしてきた者でありますが、原子力安全委員会原子力委員会原子力政策上の混在というもの、あるいは原子力安全委員会役割というものをもっと高めなければ、原子力政策に対する国民理解というものは得られないんじゃないかと思っておりましたけれども、今回の法律案についても、今長官からお話ありましたけれども原子力安全委員会をどう位置づけるか、あるいはどう意見を求めながら安全を確保してやっていくかというのが、どうも私はこの法律案の一つのポイントじゃないかという感じを持ちます。  したがいまして、この法律案、本来私は拡大した形で修正をすべきだとは思っておりますが、いずれにしても、今長官からもお話ありましたとおり、原子力安全委員会を最大限活用して、国民理解を得られるように、あるいは信頼を得られるように、運用面といいますか運営面で対応をしていただきたいと思いますが、この件について大臣安全委員会の問題は非常に重要ですから、大臣の方から御答弁をお願いしたいと思います。
  20. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいま長官からお答えしたとおりでございます。  原子力安全委員会は、原子力利用に関する重要な事項のうちの安全の確保のための規制にかかわるものを法律審議事項としているわけであります。しかし、従来から、原子力安全委員会に対しましては、実質上、原子力の安全にかかわるさまざまな事項については幅広く相談をさせていただいてまいりました。  本法案運用に当たりましても、同様に幅広く御相談をさせていただくということが大変大事なことであると思いますので、委員の意を体して、我が省としてはきちっとそのような配慮の上で行動していきたいと思います。
  21. 大畠章宏

    大畠委員 ぜひそういう姿勢でお願いしたいと思います。  民主党でも、原子力安全規制委員会の設置法案というのを提出しておりますので、大臣におかれましてもこういうものをぜひ御一読いただいて、さらに原子力安全委員会の強化に向けても、通産省としても取り組んでいただきたいということをお願いしておきたいと思います。  それから次に、第三者機関意見を聴取すること。  一昨日の横路委員からの質問のときにも、第三者機関意見を聴取する問題については、大臣の方からも非常に活用していきたいという御答弁をいただいたわけでありますが、やはり当事者同士でやっていきますとどうしても甘くなります。したがって、第三者機関というのは事業体を運営する上で非常に重要なんだろうと私は思います。  横路委員からも何度も出ておりましたが、高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方、平成十年の五月二十九日に原子力委員会の高レベル放射性廃棄物処分懇談会というものが報告書を出しております。この中にも、「透明性確保情報公開」というものの中で、「制度的に外部からチェックできる仕組みを設けておくことが必要な場合がある。」ということでありますが、いずれにしても、私はこのことは非常に重要な指摘事項だろうと思います。  アメリカ等々でも、あるいはその他の国でも、第三者機関というものを設けて、フランスでも、地下研究施設の建設に当たり、政府実施主体、国会議員、地方自治体議員、職業団体、環境保護団体、住民などによって構成される地域情報監視委員会を設置することとされている。この委員会は、実施主体地元住民との間の情報の仲立ちとなり、地域に影響するような問題について討議を行う。また、カナダでは、地下研究所サイトで、事業者と自治体と地域住民などによってコミュニティー対応委員会が構成され、情報の交換と検討を行っている。フランス等々の情報もいろいろあります。  いずれにしても、日本においてもこれだけの大事業を行うときに、事業主体あるいは政府というものがありますが、そういうものだけじゃなくて、どう第三者機関をつくって、そこに住民の方とか関心がある方を入れてやっていくかというのは、私は非常に重要な指摘事項だと思いますので、再度、この第三者機関意見を聴取するということについても政府側の考えを聞いておきたいと思います。
  22. 細田博之

    細田政務次官 大畠委員がおっしゃいましたとおり、高レベル放射性廃棄物処分事業につきましては、幅広くさまざまな方々からの御意見を求めることは極めて重要であると考えておりますので、適切な仕組みを設けてまいりたいと思います。  それでは実際にはどのようにするのかということにおきましては、これまでも、高レベル放射性廃棄物処分につきましての意見取りまとめについては、原子力委員会において高レベル放射性廃棄物処分懇談会という、学者の皆様方やあるいは弁護士さんとか評論家とかさまざまな専門家の方、あるいは一般の方を入れた機関におきまして検討を行ってきたわけでございますけれども、やはり同じような形で、第三者機関を設けながら、その中には専門家も入っていただく。それから、御理解を幅広くいただくために、いろいろな各界各層の方も入っていただくというようなことも考えながら、御理解を深めていただくための機関を設けたいと思っております。
  23. 大畠章宏

    大畠委員 今答弁ありましたけれども、この高レベル放射性廃棄物処分に向けての基本的考え方をまとめた懇談会、これも非常に幅広い人が入っていまして、原子力に非常に懐疑的な方、いわゆる原子力というのはもうこれから頼るべきものじゃないんじゃないかという考えの方もいろいろ入って、こういう非常に立派な内容のものができました。したがって、これまでともすると原子力推進方々による懇談会というのが多かったわけでありますが、これからは、国民のいろいろな考えを持っている方に集まっていただいて、論議をしながら進めていくというのが原子力政策上大変重要なんだろうと思います。  したがって、ここにも、今政務次官からもお話ありましたけれども住民方々ですとか環境保護団体の方々ですとか、いろいろな方が入って論議をする。その何げない質問や何げない意見の中に真実が入っているときもありますので、そういう意味では、いろいろな方にこの機関の中に入っていただいて、論議をして、その中で疑問点を次々と解決しながら問題点を乗り越えていくという基本的な姿勢を裏づけとして持つことが大変重要だと私は思いますので、今政務次官がおっしゃったことを踏まえて実施していただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、選定地の除外条件の明示ということについてお伺いしたいと思います。  火山の影響、活断層、過去の地震の例など、文献調査によっても最終処分に不適切な地域は早期に明らかになるはずであります。政省令にゆだねられた部分を活用し、可及的速やかに選定基準を明確にして、除外地域を明示していく必要があると思います。これもこれからの作業に入ると思いますが、この選定地の除外条件の明示の問題についてはどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。
  24. 茂木敏充

    茂木政務次官 大畠委員のお尋ねは、法案の第六条の概要調査地区の選定の基準に関するものだと考えております。  通産省といたしましては、委員指摘のとおり、選定基準に関しまして、第六条第二項第一号、これが、地震等の地層変動の過去の記録がないこととなっております。それから第二号、これが、将来の地層変動のおそれが少ないこととなっております。こういった第一号、第二号に規定されている基準のみならず、必要とされている事項につきましては、御指摘のとおり、同項の第三号の通産省令の中で定めることとしたいと考えております。
  25. 大畠章宏

    大畠委員 これまでの原子力政策上いろいろ不信を持たれたのは、何か、あるところではごそごそやっているんだけれども、それをなかなか出してくれない。いや、これはまだ発表する段階じゃないとかなんかというので、結局そういうのが募ると、じゃ、何だろうかという不信がだんだん募ってくるんですね。したがって、そこら辺をこれまでの原子力政策というのは反省をしなければならないと私は思います。  もちろん、関係者の皆さんは本当に必死に一生懸命やっているのはわかるんです。一生懸命やっているんですが、どうしても、一定の組織内だけでやっていますと中に甘えも出てきまして、いろいろなことからトラブルも発生しますので、この選定地の除外条件等についても、今茂木政務次官からお話ありましたが、タイムリーに、こんなことをやっています、こんなところはこうですということを、やはり明らかになった段階でオープンにしていくということが国民からの信頼を得る条件になってくると私は思うんですね。  したがって、こういう問題についても、先日もお話がありましたが、例えば最近はインターネットというのがありますから、機構の中に情報公開のホームページでも開いて、先月まではこんな論議をしました、こんなことをやりましたという、タイムリーな情報公開に努めていくべきだと思いますが、この件についてはどういう形で、今茂木さんからお話ありましたけれども、そういう情報をオープンにしていくのか、ちょっとお伺いしたい。
  26. 茂木敏充

    茂木政務次官 情報公開の問題、それからそのスピードの問題につきましては、再三、大臣の方からもこの委員会法案審議の中で答弁もさせていただいておりますが、この法案、御審議いただきまして、成立いただきました暁には、決めるべき事項については速やかに決め、それを例えば、細田次官の方からもお話し申し上げておりますが、旧来の官報等々にとどまらず、いろいろな、インターネットであったりとか、必要なアクセスができるようなものに載せて公表していく、こういうことに努めてまいりたいと思っております。
  27. 大畠章宏

    大畠委員 それはぜひお願いしたいと思うのですね。官報に載せれば国民に一応提示したことになっているのかもしれませんが、私も、国会に来るまで官報なんか一度も見たことないのですね。ほとんど地域には官報というのは行き渡っていないのです。きょうもいろいろな傍聴の方がおられますが、傍聴の方も官報というものは多分見たことないと思うのです。国の方では、官報に載せればオープンにしたという意識になっているかもしれませんが、そこら辺の意識はもう変えていただいて、今茂木さんからお話あったように、例えばホームページですとかそういうふうなもの、見たいというときには見られるという状況をつくっていくことは大変重要だと思いますので、その点をまた実施方をお願いしたいと思います。  それから次に、これも横路委員のときにいろいろなやりとりがありました、多重バリアの基本的考え方、これについてお伺いをしたいと思います。  横路委員政府の方とのやりとりの中で、日本の今回の最終処分に関する基本計画の中では、どうも人工バリアに頼り過ぎているのではないか。アメリカの基本的な考え方は、いわゆる自然バリアを主体とする。自然バリアでほとんど百点の関係のバリアとすること、それに追加させて人工バリアをつくるということが基本的な考え方になっているのだけれども、今回、日本の処分計画の概念の中では人工バリアに依存し過ぎているのではないかという主張が、指摘がございました。  私自身もエンジニアとしてずっと仕事をしてまいりましたけれども、やはり人間がつくるということには限界があって、やはり自然界の力というのは大変大きなものがあると思うのですね。したがって、アメリカの基本的な考え方というのは非常にリーズナブルな発想でありまして、日本においてもベースを、自然バリアを主体として、補助的に人工バリアを活用するという発想に立つべきではないかと私は思いますが、この件について改めてお伺いをしたいと思います。
  28. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 工学的につくります人工バリアと、それから深地層という自然環境が持っております隔離機能、これが自然バリアでございます。この人工バリアと自然バリアを組み合わせて多重バリアとするというのが基本的な考え方でございます。  そして、この人工バリア、自然バリアにどの程度の役割を持たせるかというのは、これはあくまでもその地域地域の自然バリアの条件によって、また人工バリアについても設計をするということでございまして、日本が必ずしも人工バリアに比重を置き過ぎるということはございません。人工、自然を最適な組み合わせで組み合わせて多重バリアとして機能させるというのが基本的な考え方でございます。
  29. 大畠章宏

    大畠委員 斉藤政務次官からも、これは専門分野だと思いますので、そういうお話ございました。  基本的にアメリカの話をいろいろ私も聞いておりますが、一万年後でも、そういうもの、危険物が埋設されているということをわからせるためにどうしたらいいか。一万年後には多分英語というものが通じない社会になっているのではないか。したがって、絵をかいて、例えばどくろのマークをかいたものを表面に表示する、そうすると、文字がわからなくても、言葉がわからなくても危険物だというのがわかる、そのくらい非常に長期的な視点に立って検討を進めているのですね。  そういう点ではまさにアメリカ的な発想だと私は思うのですが、この面においてはやはり日本においても、日本は技術立国でありますから技術的には非常に高いレベルにありますけれども、今斉藤政務次官から話がありましたように、日本においても、人工バリアに過度に依存するのではなくて、ベース的には自然バリア、自然のバリアというものを主体にした上で、人工バリアは付随的に、補助的にやるということの理解でよろしいのですか。もう一度お伺いしたいと思うのです。
  30. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 人工バリアと自然バリアのどちらかに比重を置くということではなくて、最適な組み合わせで最もふさわしい多重バリアを構成するという基本的な考え方でございます。
  31. 大畠章宏

    大畠委員 今の話を聞くと、五十足す五十みたいな話ですが、アメリカの場合には九十九足す一みたいな、九十九が自然バリアで、一は人工バリア。でも、斉藤さんのお話を伺うと、人工バリアと天然バリアと半々くらいという意味かなという感じもするのですが。  いずれにしても、これからいろいろな検討をしてくると思いますが、基本的には、自然バリアというのですかね、天然バリアというものを、せめて日本においても九十とか九十五くらいは置いて、五くらいを人工バリアでカバーするという発想に立たないと、言ってみれば一万年間の安全を確保するという意味では、そういう立場に立つべきではないかなと私は思います。斉藤政務次官も物理学出身でありますし、そういうものについては造詣が深いと聞いておりますが、いずれにしても、実施に当たっては、そういう視点に立った形で行っていただきますようにぜひお願いをしておきたいと思います。  それから次に、原子力の問題についてずっと論議をしてきましたけれども、高レベル放射性廃棄物処分は非常に超長期的にわたるものであり、機構にすべてを負わせるのは無理ではないか。アメリカの場合にも国が責任を持って放射性廃棄物の長期的な管理を行うということになっているのですが、日本の場合には、機構というものをつくってやるということなのです。どうもそこら辺が実際問題どうなのかな、最終的には国が責任を持って行うべきだと私は思いますが、その件について政府の見解を伺っておきたいと思います。
  32. 茂木敏充

    茂木政務次官 大畠委員原子力委員会の高レベル放射性廃棄物処分懇談会の議論等々についてもよく御案内だと思いますが、この中におきましては、処分実施主体のあり方について、発生者責任、この原則にかんがみまして、民間を主体とした事業としております。しかしその一方で、国は、事業に対して法律行政による監督と安全規制が行われることが適当とされたところであります。  こういった役割分担の中でありますが、基本的な考え方に従いまして、安全規制により必要とされる措置については一義的に原子力発電環境整備機構が責任を負いますが、国は、同機構に対しまして監督及び安全規制を行うことにより、その責任を果たすこととしております。  しかしその一方で、経済事情の変動、それから天災等によりまして処分実施主体業務困難に陥った場合、このときは、別に法律で定める必要な措置がとられるまでの間、国がしっかりと最終処分業務を一時的に引き受ける、このような形をとっております。
  33. 大畠章宏

    大畠委員 発生者責任という話が冒頭にありましたが、事業体は事業体でしょうけれども原子力政策というのを私考えますと、やはり国が進めてきたんだと思いますね。実際は電力会社等々が原子力発電所等もやっていますが、基本的にエネルギー政策、火力、水力等々とまた異なりまして、特に原子力というのは一民間事業者がやろうとしたってできない事業だったと思います。  昭和三十五年のころにイギリスからコールダーホール型の原子炉を輸入して始まったのがベースですが、私は、基本的には、一般的にはそうなんでしょうけれども、やはり国が責任を持つ。三百年とか千年とか一万年という話ですから、排出者責任とかなんかという話ではないと私は思うんですね。したがって、これは国が最後まで責任を持つということが必要だと思いますが、そういう点でもう一度答弁をお願いします。
  34. 細田博之

    細田政務次官 おっしゃるとおり、国が最終的に責任を持つという考え方でやっております。それで、そのあかしと言うと変ですけれども、この法律というのは、こうやって国会で議論していただいてしっかりした法律で枠組みを決めてやるということ自体も、国の責任を明確にしたものだと考えております。
  35. 大畠章宏

    大畠委員 それから、住民意見の尊重問題についてお伺いしたいと思います。  概要調査地区等地域住民に対して情報公開をどのようにしていくのか、だれがするのか、すべて公開するのか、また公開できないものがあるとすれば何か、その具体的な考え方をお伺いしたいと思います。  これは、先ほども言いましたように、首長さんあるいは知事議会というのがありますが、私も茨城県の選挙区の近くに東海村がありますが、何といっても住民の方がどれだけ正確な情報を入手するかというのが一番重要なんだと思います。そういう意味では、今申し上げましたように、具体的な住民方々に対する情報提供というものについて、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。  それから、地域住民意見を反映するための方策の一つとして公聴会等の開催などが考えられますが、政府は、地域住民意見を反映させるためのどういうふうな考えを持っているか、いわゆる情報の提供と住民からの意見の吸い上げというものをどういうふうに考えているかということを具体的にお伺いしたいと思います。
  36. 細田博之

    細田政務次官 概要調査地区等の所在する地域住民方々に対しましては、当該地区等の選定を行う原子力発電環境整備機構及びこれを監督する国が中心となりまして、文書の公開説明会実施、そしてインターネットの利用など、情報公開を図る上で有効な方法を最大限活用いたしまして、積極的に行ってまいる考えでございます。  また、その中ですべてを公開するのかという点につきましては、プライバシーとか知的財産権、例えばノウハウに関する情報等の公開、つまり他の権利を侵すような場合は控えなければなりませんが、その他はすべて公開するという考え方は、先ほどの考え方と同じでございます。  それから、その仕組みはどうか、公聴会というお話もございましたが、これは、立地選定の各段階におきまして通産大臣最終処分計画の改定を行い、その際、当該地点を所管する都道府県知事及び市町村長意見を聞くことを義務づけておりますので、地元意見を十分に反映できる制度となっていると考えております。
  37. 大畠章宏

    大畠委員 今答弁ありましたけれども首長さんの意見等々を聞くことによって大まかにはわかりますけれども、じかに住民の方の意見を、まあ先ほど第三者機関というアメリカやフランスの例を申し上げましたけれども、ここには第三者機関の中に住民等も入っておるんですね。したがって、こういう全く顔が知らない人が入っているんじゃなくて、やはり顔が知っている、住民の人が何人か入って議論するというのは大変重要だと思いますから、そういう意味では、住民意見の尊重という意味で具体的にどうするかということをさらに検討して、実施していただきたいと思います。  それから、地区の選定手法とスケジュール等についてお伺いしたいと思いますが、概要調査地区等選定については、文献調査地区、概要調査地区等の段階を経て絞り込むと聞いておりますけれども、具体的にどのようなスケジュール、手段で絞り込んでいくのか、お伺いしたいと思います。
  38. 茂木敏充

    茂木政務次官 最終的に、候補地の調査、選定はどういうスケジュールで、いつぐらいまで、こういうことも含めてのお尋ねだと思います。  平成六年の六月に原子力委員会によりまして策定されました、原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画におきましては、最終処分施設につきまして、処分実施主体による候補地の調査、選定、国による安全審査を経て、二〇三〇年代から遅くとも二〇四〇年代半ばまでの操業開始をめどとするものとされております。また、平成十年五月の原子力委員会レベル放射性廃棄物処分懇談会の報告書では、二〇二〇年ころに処分実施主体による処分地の選定、国による確認を行うことと提言をされております。  これらの検討を踏まえまして、本法律案におきましては、第六条から八条に、概要調査地区、そして精密調査地区、最終処分施設建設地という三段階の立地点の選定手続そのものが定められておりまして、それぞれの段階におきまして必要な調査を行い、絞り込みも行われて、選定基準に合致する地区が最終的に決まっていく、絞り込まれていく、このようなスケジュールでございます。
  39. 大畠章宏

    大畠委員 そういうことについても、できるだけといいますか、国民にわかるように、先ほど言いましたように、ホームページとかさまざまな手段を使って、住民方々国民方々にも情報を提供するということに努めていただきたいと思います。  それから、最後の質問ですが、実は、法律案をずっと読んでいまして、非常に大体大まかな法律案なんですが、一カ所だけ非常に具体的な数値が入っている部分がございます。このところは何かというと、最終処分をする場所として「地下三百メートル以上の政令で定める深さの地層」としていますが、この三百メーターというのはどこから出てきたのか、この根拠についてお伺いしたいと思います。
  40. 茂木敏充

    茂木政務次官 地下三百メートルの定義、根拠ということでありますが、大きく分けまして二つの根拠がございます。一つは、原子力委員会等におきまして、地層処分をする場合に地下数百メートルより深い地層に処分するとしていること。それからもう一つ、委員もよく御案内だと思いますが、アメリカであったりとか諸外国の処分計画におきまして、処分を行う深度、こういうものを見てみますと、おおむね地下三百メートル以下の深さを予定している。これらの二つのことから、本法律案におきまして、地下三百メートルを最低限必要な深さとして定義をしたものであります。  しかし、これは最低限ということでありまして、今後の知見の蓄積であったりとか安全規制の明確化等によりまして、さらに地層の深さを限定する必要が生じた場合には政令で限定をしていきたい、このように考えております。
  41. 大畠章宏

    大畠委員 これで質問を終わりますけれども、以上の質問を通じて、先ほどから大臣からもお話ありましたように、当該地域首長の意に反しては事業というものを実施することはないということ。それから、情報公開についても、先ほどいろいろ論議はありましたけれども、今あるすべての情報国民にオープンにして、その手段もいろいろ工夫しながら、国民の方が安易に入手できるような体制をとる。あるいはまた、安全委員会関与につきましても、法律案で一応規定しておりますが、その法律案規定の枠外でも、安全委員会意見を求めて、事業の安全性あるいは国民の不安を解消するための技術的な裏づけ等々を行いながら行っていくという話がございました。さらに、第三者機関のチェック問題についても、きちっとした機構をつくって実施をしていくという答弁があったものと思います。  いずれにしても、私は、この法律案というのが、長年まさにトイレなきマンションと言われておりました原子力政策上、大変重要な意味を持つ法律案だと思っております。  最後に通産大臣、この法律案というのは、まだまだ技術的にも大変難しい問題がありますから、内容が詰まっていないところがたくさんあるのですね。したがって、要は、柔軟に対応する。そして、技術的にも、これから十年あるいは二十年間にいろいろ進歩してくるでしょう。そういうものを踏まえながら、安全性という意味からの一番最適な手段と最適な方法をもって行うように、柔軟に対応していくことが一番肝要だと思いますが、最後に通産大臣の考えを伺って、質問を終わりたいと思います。
  42. 深谷隆司

    深谷国務大臣 大畠委員のおっしゃるとおり、このたびの法案というのは、まず基本的な形を整備するということでありまして、具体的なこれからの推進に当たりましては、新たな法律をつくっていくとか、あるいは政令、省令にゆだねていく、そういう作業をしていかなければなりません。その過程において、今御指摘されたような内容については十分に体して、その御意見が生かされるように努力をしてまいりたいと思います。
  43. 大畠章宏

    大畠委員 ありがとうございました。
  44. 中山成彬

    中山委員長 渋谷修君。
  45. 渋谷修

    渋谷委員 民主党渋谷修でございます。  大畠委員の熱心な審議がございまして、私の分担は三十分ぐらいという、短くなってしまいました。経企庁長官とのやりとりも期待をしておったのですけれども、大分はしょらなければいけないという状況になってしまいまして、いいことか悪いことか。  それはともかくといたしまして、つい先日、六ケ所の再処理工場を見させていただきました。実感として申し上げれば、巨大な恐竜のつめ先をさわった程度のことでありまして、実は、その姿も、それがどの程度危ないものかもよくわからないというのが実感であります。ですから、この巨大な恐竜を絶対に暴れさせてはならない、野に放してはならないということになるわけでありまして、いろいろな意味で防護策を設けて、それで安全措置を講じていかなければならないというぐあいに思うのです。  しかし、この間も、他の国々におきまして、残念ながら、大変重大な事故を引き起こしてきたという経過がございます。何も原子力だけじゃありませんで、いわゆる大規模なこういう装置、大規模な技術あるいは大規模なシステムの脆弱性というのはどうしてもついて回ります。これは人間がやることですから、一人の人間が誤りを犯さなくても、ほかの人間がやる。幾つかの誤りが重なってしまいまして、何万分の一、億万分の一ということでの可能性でこれがたまたま一致してしまいますと、あかずの扉のかぎがあいてしまう。大変な混乱をもたらすことになるわけです。  その場合に、やはり危機管理ということが非常に重要となります。その危機管理ということに関連をいたしまして、この間、ある意味では大変不幸な出来事ではありますけれども、私ども政治家にとりましては、この危機管理ということをどう考えるのかということで、大変、まさに検証される、あるいは私たち自身が今試されている問題が、ある意味では進行中ということでもあるわけです。これは、国の一番重要な危機に関する問題について、それぞれその任にある人がどう対応してきたかということの中から実は検証されることであります。  と申しますのは、小渕さんが病気で倒れて、その後に、このことについて即対応しなければならない通産大臣を含めそれぞれの国務大臣が、これに対してどう対応したのかということでありますが、このことを長々とやるつもりはありません。  危機管理ということで申し上げれば、深谷通産大臣やほかの大臣、私、逓信委員会も所属をしておりますから八代大臣に対しても質問をいたしましたけれども、それぞれの方々が、小渕さんが倒れて病院に入院をした、そのことを具体的な事実として知ったのは、青木官房長官の緊急の記者会見である。二十数時間たっての話であります。  これが原発の事故だったらどういうことになるか。二十数時間も担当の大臣が知らないなどという話でありましたら、その周辺の方々、かかわる方々、どういう事態が生じることになるだろうということを考えてみましても、この問題についてどう対応したかということは、私は、実はこれは危機管理についてのシステムの問題じゃない、危機管理室をつくったからといって危機管理ができるわけではない。その任のいわば頂点にあるCEO、最高責任者が持っている価値観あるいは危機意識、そういうものが問われることであります。  深谷通産大臣にぜひお伺いいたしますが、この小渕さんの件については、二十数時間、大臣も多分青木官房長官の記者会見で知ったのだろうということなんですが、例えば、その前に知っていたということがありますか。あるいは、その記者会見で知ったのですか。そこのところをまず確認をしておきます。
  46. 深谷隆司

    深谷国務大臣 過般も質問がございましてお答えしたのでありますが、厳密な意味で言いますと、官房長官の記者会見の発表が具体的に聞いたことでございますが、その少し前に、マスコミ等が動いておりまして、そのことで、私が各所に問い合わせた、そういう背景はございました。
  47. 渋谷修

    渋谷委員 その前に各所に問い合わせた。マスコミから聞いた。各所に問い合わせたという御本人のそのときの気持ちというのは、どういう判断で各所に問い合わせたのか。大事なことです。
  48. 深谷隆司

    深谷国務大臣 小渕さんの正確な容体というのを知ったのは記者会見以降でございますから、どういう状態になっているのかということが非常に気がかりだったものでありますから、そのために、知り得る情報は手に入れたいと考えて連絡をしたわけでございます。
  49. 渋谷修

    渋谷委員 私が申し上げているのは、国務大臣という立場にあれば、当然ながら、自分が所管をする行政庁についての最高責任者でありますから、つまり当然その行政の対象となる国民に対する影響、所管しているいろいろな仕事があるわけですから、それぞれについて、例えば、重大な問題が起こったときに直ちに総理の判断を仰がなければならない。そういううわさが出ている、当然のことながら、まず一番頭に来るのは国民の利益、公益ということが一番最初に頭に来なければならない、というぐあいに思いまして、今伺ったわけです。  結局は、二十数時間たってこの重大なことを大臣が知ったということでありますが、このことについてはどのようにお考えですか。
  50. 深谷隆司

    深谷国務大臣 これが、例えば原発にかかわる事故であるとか有珠山といったような天災地変、そういう状態で、仮に情報がおくれておるような状態があったら、これは危機管理として極めて重大であり、私は、国務大臣として、そのような状況に関しては許せないという判断を恐らくしたであろうと思います。  ただ、小渕総理の病状に関しましては、私は、青木官房長官の措置、対応、これに全幅の信頼を置いておりますので、その結果は粛々として受けとめているわけでございます。  ただ、後に、今私ども中山太郎代議士等と相談をしながら、例えば総理大臣といったような国の重要な位置にある人たちに対する健康の管理、これはある種の危機管理でありますから、これに対してはどのように対応すべきか、きちっとすべきであるということで、緊急医療体制その他を含めながら、会合を開いて、その結論を今求めようとしているところであります。  同時に、この緊急医療という意味でいけば、何も総理大臣だけに限ったことではありませんから、広くさまざまな場面において、人命救済ということも含めた緊急医療体制をこの機会にあわせて検討していくべきではないか、そんな議論なども今広げているところであります。
  51. 渋谷修

    渋谷委員 ぜひ深谷大臣、この間の議論の中でそういうやりとりもあっただろうと思うのですが、御認識をいただきたいのは、これからもちろん選挙が想定をされているわけですが、選挙をやりまして、多数派が与党となり、そしてもちろん議会の手続において内閣が構成されます。内閣が構成されますと、内閣は、国会の中の一部の政党、あるいはその政党を支持した一部の国民のためだけの内閣ではないわけですね。当たり前のことであります。内閣が構成されれば、すべての国民の利益を守る、国民の生命財産を守るということで内閣が機能をしていくわけです。  その内閣のトップがこういう事態に遭ったということであれば、まずは一番最初に国民のこと、国民の公益のことが念頭に来まして、そして直ちに、小渕さんがみずから指名をいたしましたそれぞれの国務大臣が集まって、その後の対応をそこで検討するというのは当然の話であります。  ところが、この間の経過を見れば、そうではなく、言ってみれば一部の政党、一部の政党というのは自民党のことを言っているんですよ、しかも一部の政党の中の一部政治集団、小渕派という政治集団の幹部だけがいち早くその情報を占有いたしまして、そこでその後の対応を決めるなどという話でありましたら、これは危機管理などという話になりませんでしょう。そのことも当然のことであった、青木さんのとったことは危機管理のあり方としてこれは認めますということですか。
  52. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私は、青木官房長官がとった対応というのは支持したいと思っております。  ただ、制度の上で、例えば総理大臣に万が一のことがあった場合にどなたを臨時代理に立てるかということなど、不備な点がございました。その後、森内閣が誕生いたしましてからは、臨時代理順位というものを五位まで決めまして、不肖私も第四位に指名されているわけであります。つまり、制度の上で足りないところというものはこれを機会に大いに反省して直していかなければならない、それをただいま直しつつあると御理解いただきたいと思います。
  53. 渋谷修

    渋谷委員 私が申し上げているのは、最初それは申し上げました、制度的な欠陥等は是正をしなければならない、しかし最終的に、危機管理というのは、制度、システムは前提にしましても、実はその一番トップに立つ人間の資質、価値観の問題だということを申し上げているわけです。  この間の経過を見ましたならば、これは私の方から決めつけで申し上げますが、私どもは、国民が主権である、国民が主人公である、こういう国であるというぐあいに、それは学校でも習いまして、そう思っています。私もその立場でここにいます。しかし、この間の経過を見れば、皆さんの頭の中、とりわけ青木さんや野中さんの頭の中には国民主権などという言葉はこれっぽっちもない、指先の先もない、あるのは自民党主権であり、小渕派主権であります。それに乗っかった森政権であります。だからこういう対応になってきているわけです。  こういうような経過をいわば認めているような状況で危機管理などということができるわけがないじゃありませんか、国民のことが前提にないのですから。国民のことが前提にあれば、いち早くそれは情報として明らかにしなければならないし、直ちに臨時閣議を招集しなければならない、当然の話じゃありませんか。いかがですか。
  54. 深谷隆司

    深谷国務大臣 青木官房長官及び野中幹事長が国民のことを全く考えていないとおっしゃることは言い過ぎであります。それを前提にして毎日、日夜彼らは努力していることは間違いがありません。  そして、小渕総理が倒れられたときの状況、医師の判断、これらにつきまして、青木官房長官は責任を持って対応したと私は思っております。
  55. 渋谷修

    渋谷委員 それなりの長い期間、深谷大臣のことは知っている立場でいいましたら、今の御答弁についてはまことに残念な話であります。(発言する者あり)危機管理の問題を言っているわけでありまして、このことが非常に重要なんです。  この法律でも、あるいはこれほどの重大な問題を抱えていることについて、政治家が、危機管理の意識の中に、今言った国民の利益、公益ということがまず前提にないということになりましたならば、それは、どれほどシステムを用意いたしましても危機管理はできないです。  具体的な質問を申し上げますけれども、本当は、これほどの非常に短い時間の中でのやりとりは、とてもじゃないけれどもできません。しかし、それぞれの折衝の中で決まった質問時間でありますから、その一部だけ申し上げておきますが、それだけでも実はこの法律の欠陥ということがわかってくるはずであります。  経企庁長官を呼んでおりましたけれども、まことに申しわけございません、この間のDVDの話、そちらから書類を委員会にいただいておりましたが、その中でもやはり間違っている部分があります。後で長官自身がよく確認していただきまして、やはり平気で議事録を誤って引用するなどということがあってはいけません。いずれ選挙が終わって政権が改まりましたならば、どういうことになるかわかりませんけれども、それはどういう形であれ、継続して、経企庁のそもそもの行政の責任、姿勢というものは改めてただしてまいりますので、貴重な時間を申しわけございません、きょうはそれで結構でございます、どうぞお引き取りください。  それで、大臣、先ほど来、大畠理事も申し上げました情報の問題です。  基本的にはやはり情報公開ということが非常に重要なのですが、やりとりを聞いておりまして、どうしてもやはりもう一つ踏み込めないというところがあります。  堺屋長官、重要な時間を済みません。御足労いただきましてありがとうございます。また再会いたしましょう。  大臣、これは情報公開ということの議論の中に、実は、これまでのほかの問題でもそうなんですが、反対する側に危険だということを証明しろという役所の姿勢、役所の側が、反対する側は悪意があって、それで自分たちの行政の仕事をある意味では妨害するという観点から、そういう反対したり心配している側を見ている嫌いがあるのです。そうではないんですよ。これはもう何十年も前から指摘されていることですが、情報公開ということは、皆さんが、これは安全だということを主張する側が、安全だということについて完全に証明をしなきゃいけないのです。証明責任は行政側にあるのです。執行、遂行する側にあるのです。このことがまず第一の前提。  それから、情報ということについては、先ほど適切なという言葉がありましたが、法制局の作業というのはいいかげんな作業はしません。なぜ適切なという言葉をつけたかといえば、それはそれなりの法律上の考え方、あるいは政策当局の目的があって、適切なとつけているわけです。  先ほど言いました、前段の情報という問題についての一つの考え方。それから、今の、適切なという用語について、これを制限的に解釈するということはないでしょうねというのが一つ。もう一つ、答えていただくのは三つです。  情報については加工してはいけません。いろいろなデータが入りますけれども、基本的に情報というのは生の情報で提供することです。そうすれば、第三者が見たときに、その生の情報を得て、それが果たしてどういう結論に結びつくのかということが判断できるようになります。適切なという言葉が入ることによって、加工された情報を出すというニュアンスに聞こえるわけです。これはどなたが担当されるかわかりませんが、情報国民に提供する際には、加工して出すのではなくて、いろいろな実験データその他がもろもろ出てきます、技術屋の情報も出てきます、それらは生の情報として提供する、このことの確認をしてください。
  56. 茂木敏充

    茂木政務次官 委員の御質問は、法案の第六十条の「適切な情報公開」、これがどういうことかということでありますが、これは、プライバシーや知的財産権に関する情報等一定のやむを得ない除外例を除いて情報公開する、こういう形でございまして、制限的にできる限りその情報を隠したりとかいうことは考えておりません。大臣の方からも再三答弁させていただいておりますように、最大限の公開を図ってまいりたいと考えております。  同時に、生の情報ということであります。基本的に私は委員の御指摘のとおりだと思いますが、今度は、相手の側にとってその情報が利用しやすいかどうか、こういう点もあると思いまして、そのまま生で出すのがいいもの、それからある程度集約した形の方がいいもの、意図的な加工等はいたしませんが、そこのところは、相手側にとってどちらがいいのか、こういう判断も出てまいると思います。
  57. 渋谷修

    渋谷委員 今は民間にも専門家方々がたくさんいるし、こういう時代ですから、それこそ世界をあっという間に駆けめぐるインターネットの時代に、それなりの専門的な情報であってもそれぞれの方々判断できますから、今申し上げたように、今の情報というのは基本的に加工しない、生の情報を提供するんですということを確認してください。
  58. 茂木敏充

    茂木政務次官 基本的にそれで結構だと思います。
  59. 渋谷修

    渋谷委員 大臣、一番大前提の、つまり反対する側、心配する側、そういう方々が危険性を証明するということではなくて、これからの時代は、これは安全ですよというぐあいに主張する側が安全ですということの証明をしなければならないという基本的な考え方については、いかがですか。
  60. 深谷隆司

    深谷国務大臣 全く当然のことです。
  61. 渋谷修

    渋谷委員 それで、情報公開の関連でいいますと、さらに都道府県知事関与の部分があります。これも再々取り上げられてきたところでありますが、第四条五項、実際上都道府県知事同意が得られなければできないということであれば、同意を得るものとするということでいいと思うのですが、どうもやはり国会の場はメンツにこだわりまして、一部修正ども議論されておるようでありますけれども、ほとんど言葉のやりとりみたいなところで終わってしまう嫌いがあるのですね。そこのところはこの間議論されてきましたから少しおいておきます。  私が言いたいのは、なぜこの法律、これだけ重要な法律なのに、都道府県知事あるいは各首長意見をまとめるときに、意見を述べるときに議会関与というのがないのか。  このことは他の法律を調べてもらえばわかります。道路法でありますとか河川法でありますとか、あるいは水面の埋め立ての法律どもあったと思いますが、それらについては、都道府県知事あるいは市町村長意見をまとめるときは、議会の議決を得なければならないということになっているのですね。さらに、なぜそういうのが入っているのかといえば、それはその地域にとって、地域の町づくりにとって、地域環境にとって大変重要な意味を持つ。したがって、地域住民に大きな影響を与えるので、議会の議決を得るということになっているのです。  知事とそれから議会、各市町村議会、これは日本の場合は、国会は代議員制で市町村は大統領制ということになっていますが、明快な意味でのアメリカ的な大統領制ではありません。ある意味では非常に折衷されたような部分もあるのですが、いずれにせよ、この議会というものが一方の法律ではそういう形で入っているのに、しかも地域の町づくりとかあるいは地域のことについて非常に大きな影響があるものについては議会関与ということを入れているのですよ。  ところがこの法律は、例えば道路とかあるいは河川の認定とかいうことよりも軽い法律ですか、今度の法律は。なぜ議会についての関与という、そういう規定が入らなかったのでしょうか。
  62. 細田博之

    細田政務次官 まず第一に、最終処分計画におきましては、都道府県知事及び市町村長の御意見を極めて重く受けとめまして、国が概要調査地区等の決定を行うということであり、地元の意思を十分に反映する制度としておるわけでございます。  ただ、都道府県知事及び市町村長意見を重く受けとめていくということは、当然ながらそこの議会意見が反映されているものと私どもは考えております。現に、原子力発電所の立地等、私どもの島根県、五月七日の日に県の方で意思を決定したわけでございますが、県と原発立地隣接市町村も含めた三つの市と町ですべて議会においてもクリアいたし、首長も意思表明をいたしまして、県がそれを集約して県知事から意見が出てくる、そういう形をとっておりまして、ほかの法律でもございますけれども、エネルギー政策などでも電源開発促進法、石油パイプライン事業法等ございますけれども、これはすべて同じ形をとっておりまして、必ずしもこれが不十分な形になるとは考えておりません。
  63. 渋谷修

    渋谷委員 実態上そうなっている、そう運用されているということと、ここで、議会できちんと議論をいたしまして、そして都道府県知事あるいは市町村長意見をまとめるときには議会の議を得なければならない、あるいは議会の議決を得なければならないと法律の中に明記をすることとは違うのですよ。これは義務づけになるわけですからね。  なぜそのことを言っているかというと、情報公開ということで言っているわけです。今度の法律がかかって、現実の問題、この議会でいろいろな角度から、あらゆる党のそれぞれの方々から、議論をすることで初めてこの法律の疑問点や問題点というのが明らかになりますでしょう。  市町村長あるいは都道府県知事意見をまとめるときに、その意見はどういう経過でまとまってきたのか、何を根拠にしているのかということを、義務的に議会関与することになれば、都道府県あるいは市町村議会でそういう議論が行われるわけです。心配している人たちが国会に来て一々こうやって傍聴して話を聞くというのは大変なことでしょう。身近な議会でそういう議論が行われる場があれば、そこで、これだけの重大な問題、地域の町づくりどころの騒ぎじゃない、地域の将来に、未来にかかわる問題、これをやるわけですから、それについて一番身近な議会のところできちんと議論をするということにならなければいけないじゃないですか。  いわば地域政府機構ということでいえば、地域行政側と議会というのは非常に重要な要素をお互いに担っているわけです。そういう意味でいえば、そもそもこの法律をつくるときに、政策当局が多分議会という観点は頭から入っていなかったでしょう。だからこういう条文になってくるのです。だって、ほかにあるのですから。同じようにこういう法律をつくった経過があって、私自身も議員立法で都市計画法その他いろいろやってきていますから、この問題についての議論は何度もしてきたところです。  そもそも行政当局にそういう議会関与という考え方、発想がなかったということでしょう。それをまず認めてください。
  64. 細田博之

    細田政務次官 おっしゃいますような議会の議決を経なければならないというのは、河川法とか道路法でございます。歴史的経緯もございましょう、それから、河川とか道路というものが地方公共団体を縦断するように流れておったり走っておったりするということとか、あるいは地元の財政負担を非常に多く求めるとか、さまざまな現象といいますか背景もあると思いますけれども地方分権の時代でございます。もう地方分権法も成立いたしておりまして、地方を尊重する。  国が一つ一つ議会の議決を経なきゃならないということでここで法定をしなくても、当然地方におきましてはそのような手続を経て意思を決定するものと考えております。
  65. 渋谷修

    渋谷委員 もっと詰めた議論をやりたいのですが、もう三分か四分しか時間がないのでこれはもうやめますけれども、基本的に、この法律はそういう点でも欠陥であります。地域の人たちがその情報を知る場、しかもきちんと法的に位置づけられてそのことのやりとりをする場がきちんと義務的に保障されていないということは、これは欠陥ですよということをぜひ申し上げておきます。  あと、本当は技術的な問題その他もろもろあるのですが、もう時間がないので、済みません、科学技術庁の政務次官、一言ずつのやりとりで。  そもそも再処理工場、六ケ所のものもそうですが、それから最終処分地もそうですけれども、これは構築物でつくりますね。当然今であればコンクリート以外に材料は考えられないのでありますが、このコンクリートは耐用年数は何年でございますか。
  66. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 コンクリートの耐用年数という御質問でございますが、いわゆる鉄筋を中に埋めるRC構造物、鉄筋コンクリート構造物の耐用年数は、いろいろメンテナンスによっても異なりますけれども、六十年から百年というのが一般的な今の工学的な常識ではないでしょうか。
  67. 渋谷修

    渋谷委員 高レベル放射性廃棄物最終処分いたしまして、一応それを長いことそこに埋めておくわけですね。ところが、その構築物、それを覆う材料が実は最長見積もっても百年しかもたないのですね。したがって、百年たちましたならば、改めてもう一回同じ施設をほかへつくるか、あるいはその中のものをどこかへ移さなくてはいけないでしょう。だって、崩壊する可能性があるじゃないですか。耐用年数がそうなれば、当然劣化していくということになるのですよ。いかがですか。
  68. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 この地層処分施設は地層そのものを利用しているわけでございまして、コンクリート構造物とは根本的に異なると思います。
  69. 渋谷修

    渋谷委員 ということは、もう埋めっ放しにしちゃうということですね。地層処分というのは、そこの中に入れましたらあとはもう坑道をふさいじゃって、中にコンクリートを詰めてだれも入れないようにして完全に隔絶処分にしちゃうということですね。
  70. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 基本的には長期間人間の管理下に置きますけれども、最終的には埋め戻しという考え方だと承知しております。
  71. 渋谷修

    渋谷委員 その中で、自然環境がどうなるかとかというのはなかなか将来的なことまで見通せないというのが、これは今現在でもそれぞれの専門家方々からも指摘されているところなんですね。  それからさらに、今むき出しになっている再処理工場の方、これも六十年から百年で、今申し上げましたように、これは外にむき出しになっているわけですね。それで、耐用年数が来ます。当然、今六ケ所にありますものもそういうことの運命になるわけでありますが、中でもちろん相当危険な作業も一部行われているわけでありますけれども、これも将来的には、当然のことながら、新たな施設をつくらなければならないということになりますね。
  72. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 再処理工場は鉄筋コンクリート構造物でございますので、その耐用年数が来たら新たにつくり直すということだと思います。
  73. 渋谷修

    渋谷委員 今、六ケ所村の再処理工場は二兆六千億、三十数%の進捗率というぐあいに聞いておりますけれども最終処分地は三兆円かかると言っていますね。さらに、将来的に言えば、今の原子力政策を続けていく限りは、高レベルの放射性廃棄物はさらに出てくるということになりますから、六ケ所村の再処理工場はもちろんでありますけれども、新たにまた巨額の費用をかけて、例えばつくり直しをしなければならないという事態にも当然なってくるわけですね。  また、本当は技術的なところをやりたかったのですけれども、六ケ所村を見てきまして、一番心配というか、ここがポイントだなというぐあいに思いましたのが、燃料が、それまでは容器に包まれたり、あるいは水中にあったりということなんですが、剪断をして溶解をする部分で初めて燃料が露出するのですね。実は、それはカッターで押し切りをするという状態になっていまして、粉じんが出る。もちろん、それは密閉してやるということにはなっています。それは大変危険な状態、ジェー・シー・オーの事故どころの騒ぎじゃありませんから、そういうことになっておりますが、あそこを見ただけでも、なぜこういう構造にしているのかなと。  私が見ましても、そんな押し切りの、空中でむき出しの状態でやる作業工程ではなくて、当然そうなれば強力な放射線が、これは充満して出ているという状態になっているわけですから、これを何で水中で作業をするような工程を考えつかなかったのか。あるいは、あんな押し切りの状態にしますから、当然、燃料管がもうちぎれたような状態で切られているわけですね。余計粉じんが出るような状態になるわけですね。今であれば、ああいう裁断の技術などというのは、例えば高水圧で裁断をするとかいろいろな、もちろん裁断技術はほかにもあるわけですね。  できる限り粉じんを飛ばさない、あるいは放射線を外に出さないということでの、そういう意味での工程的な問題というぐあいにもあると思うのですが、例えば今、大臣、もう時間がありません、私の時間は終わりましたから、今指摘したことも含めて、これほどの大規模な技術、大規模なシステムについては、まだまだ多くの疑問点、きちんと我々がやりとりをしながら突き詰めていかなければならないことが山ほどあるのです。それがこんなに、それなりに皆さんの方は長い時間だというぐあいに思うかもしれませんけれども、私がずっとこの間審議につき合ってきてみますと、これほど重大な法律について、余りにも審議時間が少な過ぎるのではないか。我々がきちんと責任を持って議論するにいたしましては、非常に、ある意味では無責任なやりとりにはなっていないかなというぐあいに実は感じております。  今の点の、技術的な問題もひっくるめまして、最後に大臣の所見を伺って、おしまいにいたします。
  74. 深谷隆司

    深谷国務大臣 審議時間につきましては、各党で協議をされて決められたことであります。  この間にさまざまな御意見がありました。我々も、もって瞑すべきという内容質問もございました。御提言もありました。これらを十分に踏まえ、また今後、修正お話もあるようでございますから、それらの皆様方意見を体して、これから、これは基本的な法律でありますが、今後の対応として新たな法律をつくるとか省令をつくっていくということになってまいりますから、その場合に十分にその御意見を受けとめながら、禍根を残さないような体制をきちっとつくっていきたいと考えます。
  75. 渋谷修

    渋谷委員 終わります。
  76. 中山成彬

  77. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。昨日の最後の質問に引き続いて、その後をきょう続けていきたいというふうに思います。  それで、昨日は、私が安定した地層はどの地域にあると見ているのかと言うのに対して、第二次取りまとめの話を出されて、要するにそこでは、専門家の検討により、地震断層や火山の問題はあるが、それらは限られた地域のことであり、今後も基礎的な研究が必要であるが、安定した地層はあるということで、しかしどの地域と個別に指摘はされていない、こういう趣旨の答弁がありました。  そこで、日本で、断層、火山のこともありますが、数十万年間全く変動しなかったという安定した地層はどの地域にあるのか、きょうはそのことを最初に伺っておきたいと思います。     〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
  78. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 日本に数万年、数十万年安定した地層は存在するのかという御質問だと思います。  地層の安定性につきましては、地震・断層活動、それから火山・火成活動、それから隆起、沈降などの天然現象を調査することによりまして、過去数十万年程度の地層の活動を知ることができます。サイクル機構が取りまとめました第二次取りまとめでは、このような過去数十万年の地質情報に基づいて、将来十万年程度の天然現象の及ぼす影響の範囲や幅を推定して、地質環境の長期安定性について検討しております。  そして、具体的に、我が国における地震・断層活動、火山・火成活動、隆起そして沈降などの天然現象は、日本列島周辺におけるプレートの運動などに関連して起こっておりますが、現在の地殻変動の傾向や火山活動の場は、数十万年ないし数百万年間にわたって著しい変化が認められておりません。また、今後プレートシステムに何らかの変化が生じた場合にも、システムの転換には百万年以上の期間を要することから、将来十万年程度であれば、現在の地殻変動、火山活動などの傾向が著しく変化することは考えにくい。このように、これは地質の専門家の方に集まって検討していただいた、その取りまとめによって結論されているものでございます。  これらのことから、少なくとも今後十万年程度は現在の安定な地質環境が維持される、そういう地域が日本にも存在する、このように考えております。
  79. 吉井英勝

    吉井委員 その地域はどういう地域かということを私は聞いたわけでして、一般的な話しかないわけです。  大体、我々人間の単位と違って、四十六億年の地球の中で数万年なんというようなものは、ほんの一瞬に近い単位です。ですから、発想を変えなければいけないと思うのですね。  数万年という単位についても、日本列島で考えてみても、大体一万八千年から一万七千年前に、温暖化によって大陸の南北を結んでいた陸橋が狭まって、海没して、大体今の日本列島に近い形、花綵列島と言われる形に近いものになってきたのはそのころで、一万二千年前に宗谷海峡が開いて北海道島が生まれた。一万年前では大体氷河時代の終了、沖積世の始まりとなりますが、一万年前といえば、身近なところでいえば鹿児島の上野原遺跡ですね。八千年前で大体瀬戸内海が形成され、本州、九州、四国が分離、こういうことですから、本当に動いているわけです。変化しているわけなんです。  この間の大規模な地震の例で、文献調査の話もありましたが、日本書紀が、文献上の一番最古の日本の地震として、四一六年、奈良県の地震を示している。ですから、うんとまだまだ新しいものしか文献上に残っていないのですね。六八四年の南海大地震がマグニチュード八で、四国で大きな被害が出たりとか、八六九年の三陸沖地震もマグニチュード八で、多賀城下で一千人の死者が出たと伝えられたり、一〇九六年の東海地震がやはりマグニチュード八で、駿河で被害が大であった。こういうところは比較的古い大きなものですが、大体、この年代というのは本当にごくごく最近の新しいものなんです。  大規模な火山噴火という例で見ても、身近なところで、我々に非常に近い年代で見て、二万五千年前の姶良カルデラの形成、今のいわゆる鹿児島湾、錦江湾、これはそのときに生まれた。一万三千年前に桜島の最古の噴出物があらわれてくる。そういう状態ですから、十万年単位とかそういうもので安定した地層があるという実証というのは、非常に難しい話だったと私は思うのです。  現実に、既に御紹介もしておりますが、昨日も御紹介しましたが、藤井陽一郎茨城大学名誉教授は、この第二次取りまとめというのは地層処分の新たな安全神話をつくるものだという指摘をしております。大体、日本列島には地層処分のための安全なところはないと考えるのが妥当だと。この分野の専門家の一人です。ICSUの、何度か紹介しておりますカナダのファイフ教授は、世界には最終処分に全く不適な国がある、例えば日本、国土が小さい、プレートの境界にあることだと。  こういう指摘等あるわけですが、安定した地層があるという実証はどのようにされておりますか。
  80. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  ただいま先生の方から御紹介がございました茨城大学の名誉教授でいらっしゃいます藤井陽一郎先生のお話につきましては、ことしの一月、ある機関誌に「あいまいな根拠、論理に飛躍」というふうなことで、今回のサイクル開発機構の第二次レポートについての見解を述べられているところでございます。  実は、我が国におきまして既に、例えば東京大学の名誉教授でございます松田教授は、これまで、最近の地震の事例というふうな形で大地震の場所の予測というのを学会に御発表されてございますけれども、一八九一年の濃尾地震以降のマグニチュード六・八、地殻上部地震十九例についての考察をなさっていらっしゃいます。  このうち、十九例のうち六例についてはマグニチュードが七・二以上という地震でございまして、これが地表で検出できる活断層沿いに発生し、かつ地表に明確な地表地震断層を伴うようなものであるということ。このほか、残りの十三例については、地表にそういうものが明らかになるものなど、いろいろな分類を整理されてございます。  その中でも、地震という問題についての将来的な場所の予測の問題については、これまでの知見をもとに、例えば活動度がCのグレードのようなもの、あるいはCからB級になるようなものについて、その松田先生の論文では、事前にその全容を認知することはかなり困難であったと思われるものであるなどの御報告もされているところではございます。  そこで、そういう状況ではございますが、今回サイクル開発機構が二次レポートでこれについての見解をまとめたものは、我が国の地震の安定性について、地震・断層活動、火山・火成活動、あるいは隆起、沈降などの天然現象を調査することによりまして、過去数十万年程度の地層の活動を知ることができ、サイクル機構の第二次取りまとめでは、このような過去数十万年の地質情報に基づいて、将来十万年程度の天然現象の及ぼす影響の範囲や幅を推定し、地質環境の長期安定性について検討をしたものでございます。  そこで、先ほど総括政務次官の方から御答弁もありましたけれども、過去数十万年程度の活動履歴の情報に基づいて、今後十万年程度の活動の範囲や幅を推定することがこの地震・断層活動について可能と考えているところでございますが、先ほど松田先生、さらにはお話のございました藤井先生の論文なども考慮しますと、今回の第二次レポートにおきましては、そういう、予測してすべていろいろと知見を得るところであるけれども、あわせて、この上で具体的な文献調査を行った上で、さらなる調査をする過程において、例えば概要調査をしようとすると、所要の、ボーリングであるとかそういう形の調査をしてくるわけでございますので、その過程で、地殻の、地表面にあらわれていない、あるいはまたこれまで文献でもなかなか捕捉し得ない、そういう情報については、ボーリング等のさらなる調査をすることによって十分可能となる、またそういう手順を後ほど踏んでいくもの、このように二次レポートでも記載されているところでございます。
  81. 吉井英勝

    吉井委員 長々とおっしゃったのだが、一八九一年以来の十九例の研究というお話ですが、私が先ほど挙げましたのはもっと古い、六八四年とか八六九年とかの例も紹介して、文献調査をというお話だが、一番古いもので日本書紀の四一六年ということで、それ以前のものについては文献はないわけです。  それから、震源断層が地表にあらわれるような地震でも、その三分の一近くは認知されていないC級活断層に起こると予想される問題。首都圏、南関東など厚い堆積層に隠れている活断層もたくさんあって、現実はわからないものが随分多いのだ、これは九七年六月の測地学審議会の地震火山部会報告で示されているものです。また、そのほか、この間も紹介しましたが、石橋克彦神戸大学教授も同様の指摘もしておられます。  私は、そのことを挙げて、安定した地層があるという実証はどのようになされたのかと聞いたのですが、要するに、さらなる調査ということですから、実証はされていないということが明らかになりました。そういう場合は、さらなる調査という言葉じゃなくて、実証はされておりませんとはっきり答えるべきだということを指摘して、次に移りたいと思います。  世界で、数十万年間全く変動しなかったという安定した地層の存在するところは、一応それはあると私は思っているのですが、これはどういうところですか。
  82. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  今、私、途端に手元に、世界全体で安定な地層というのを御説明できるデータを持ち合わせませんが、例えば、アメリカのように広大な国土で褶曲などの影響を受けていないようなところなどは非常に安定的な地層である、このように考えられると思います。
  83. 吉井英勝

    吉井委員 安定した地層の議論をするのだったら、それぐらいのことは多分つかんでいらっしゃったと私は思うのですが。  よく皆さんの方が使われるのは、ガボン共和国のオクロ天然原子炉ですね。ここは、約十七億年前、そこで原子炉と同じようなウランの連鎖的核分裂反応を起こしたと推定されるところですが、こういうところは、七億年以上も活動しないアフリカの盾状地に存在した安定地層ということなんですよ。日本のように地殻活動の激しいところではあり得ない話なんですね。  だから、オクロのような地層が日本でもあるというんだったら示されたらいいと私は思うんですが、さっき、もともと実証できていないわけですから。日本での十万年単位でも安定性の保証できるそういう実証というものはなされていないということだけ指摘して、よくおわかりでないようですから、次の質問に移りたいと思います。  次に私は、九四年の科学技術庁委託調査、ここにありますが、「海外における高レベル廃棄物処分場および地下研究施設の立地方策等調査報告書」、これについて少し伺っておきたいと思うんです。  この中でフランスについて調べられたものがあります。フランスの九一年放射性廃棄物管理研究法では、一つは長寿命核種の分離変換、二つ目に地下研究所による深地層処分の実現可能性、三つ目に廃棄物のコンディショニング、処理と長期地上貯蔵、この三通りの研究について、毎年一回、政府はその進捗状況を議会に報告する、こういうふうにしているのではありませんか。
  84. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  先生の御指摘のとおりでございます。
  85. 吉井英勝

    吉井委員 それで、フランスの場合、地下研究所の建設とあわせて、長寿命放射性元素の分離変換を可能とする解決法の研究を命じております。では、この報告ではその次のところでどういう指摘をしておりますか。
  86. 興直孝

    ○興政府参考人 まことに恐縮でございますが、先生の御指摘、御質問の趣旨をちょっと聞きそびれました。恐縮でございます。
  87. 吉井英勝

    吉井委員 これはわざわざ科学技術庁の方から報告、レクチャーに来ていただいて、もっと早くからこういう資料を出しておいていただきたかったんですが、いただいて、そのときに各国の状況ということで聞いておりますので、その中のフランス編なんですが、それでは、その指摘の部分を確認します。  十五年以内にこれら研究を総括した評価を政府議会に提出し、処分場の建設を行うかどうかを決める、これがこの報告書で示されたフランスの立場ではありませんか。
  88. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  今御質問のございましたフランスの廃棄物法によりますと、報告書を毎年提出すること、この報告書は外国におきます研究成果なども含めて出すということ。さらには、議会がいろいろと審査などを行うに当たって科学技術選択評価局が関係すること、これらを踏まえまして、その次の、いわゆる十五年を超えない期間に、政府議会に対し、これらの研究を総括評価した報告書と、必要があれば、高レベル・長寿命放射性廃棄物処分場の建設の許可及びこの処分場に付随する地役権と拘束の規定を定める法律案を提出する義務を負うこと。こういう形になってございます。
  89. 吉井英勝

    吉井委員 今おおむねおっしゃったわけですが、この科学技術庁の方の報告書で示されておりますが、要するに、十五年以内ということですが、政府は評価を議会に提出し、処分場の建設を行うかどうかを決める、これはフランスの立場です。  日本が二十年おくれたという話もありましたが、世界の水準も、地層研究もまだ完成されたものじゃなくて発展途上、あわせて長寿命放射性元素の分離変換を可能とする解決法も研究途上、これが現在の段階ではありませんか。
  90. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  先生の御質問は大きく二つあろうかと思いますが、一つは、この処分の形態として、例えばフランスで行われておりますような分離あるいは消滅処理でございますとかそういうようなものを含めた対応など、そういう幅のあるようなもの、まだその政策が決まっていないじゃないか、こういうことでございます。  これにつきましては、世界の大宗として、地下深部には長期にわたり火山あるいは断層活動など天然現象の著しい影響を受けない安定的な地質環境が存在し得る見通しが得られつつある、また、かかる地層中に高レベル放射性廃棄物を安定な形態で埋設すれば、極めて長期にわたって人間環境に有意な影響を及ぼさないようにすることが可能であることから、我が国を含めて、地層処分が国際的に共通の方針になっているものと考えてございます。  しかしながら、先ほど先生がお話しになられましたフランスにおける高レベル・長寿命放射性廃棄物の処分に関します法律では、二〇〇六年という形になろうかと思いますが、それぞれの研究をして総括した報告書を議会に提出する形になってございます。先生御案内のとおり、それにもかかわらず、フランスは、地層処分に関しまして、既に設立されている実施主体によって地下研究施設のサイト選定が進められているなど、着実に地層処分についての取り組みも行われているところでございます。  先ほど実証性の問題をお話しになられたわけでございますが、事、実証性の問題については、これまで、原子力委員会の専門部会、あるいはそれを踏まえましたサイクル開発機構の二次報告書の趣旨は、個別具体的にどういう場所があるのかというよりは、むしろ地質環境の長期安定性という観点から、断層活動の影響によりまして処分システムの所期の性能が損なわれるような場所でないこととか、火山活動の影響によって処分システムの所期の性能が損なわれるような場所でないこと、あるいは隆起、侵食によって地下深部に埋設した廃棄物が地表付近に接近するような場所でないこと、あるいは処分場の建設可能性について十分な規模の岩盤が適切な深度に分布していること、さらに人間侵入についての配慮を挙げ、現にこれだけの日本のような世界的に見て地震国と言われるような国にあってもそういう場所が選び得るのだろうかというふうな観点から、そのような場所を日本の国内に探すことは十分可能だという検討を出したところでございます。  二点目の、フランスが今行おうとしております、今まさにフランスもやっております分離変換の関係でございますが、この分離変換に関します取り組みは、実は我が国が昭和六十三年、一九八八年に群分離・消滅処理技術研究開発の計画というものを策定しまして、これについて日本で、サイクル開発機構とか原研などで研究開発を進めているわけでございます。  実は、オメガ計画というふうなものを、フランスを中心としますヨーロッパとか米国にこの計画を進めるようにというふうな形で日本は働きかけた経緯がございます。我が国のオメガ計画がこれまで国際的な分離変換技術の研究開発に先導的な役割を果たしてきたものと考えてございまして、現在、OECDのNEAとかそういう場を使いまして積極的な情報交換をしているものでございます。  しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、この分離変換技術の技術レベルはまだまだ基礎的な研究段階でございまして、その手法をもってこの地層処分主体としてなす段階にはまだ至っていないものと考えてございます。
  91. 吉井英勝

    吉井委員 随分長々答弁されたのだけれども、私もわかっている部分はわかっている部分で言っているのです。  要するに、世界には、約十七億年前にガボン共和国のオクロ天然原子炉の例などがあって、そこでは約七億年ぐらい盾状地で動かなかった安定した地層のあるところもある、そういうところもあるでしょうと、それはわかって聞いているのです。しかし日本には、そういう、数億年単位でということはもとより、もっと短い期間にしても、安定した地層があるなんというようなことは実証されていないということが一つの問題なのです。その上に立って、では、現在の世界の水準は、地層研究も発展途上だし、長寿命放射性元素の分離変換を可能とする解決法も研究途上なのだろうということを質問したわけです。  質問の要点は一番最後のところですから簡単な話なのですが、その部分については、要するに発展途上という趣旨を最後に認められたから、この点はこれだけでとどめて、次の質問に移りたいと思います。  次に私は、なぜかなりの無理をして、発展途上、研究途上であっても無理な方向へ行こうとするのかというその根底を、そこに何があるのかということを少し見ておきたいと思うわけです。  一つ。原発を推進すれば、当然、高レベル廃棄物問題が生まれてきます。この問題を科学的、技術的に、安全技術の確立も含めてそこを解決しないならば、この高レベル放射性廃棄物問題というのは非常に深刻になるばかりなのです。なぜそれがわかっていて進めていくかという中には、原発というのは一基建設すると大体三千億円から五千億円かかるものですが、そこへ進んでいくのは、単にエネルギー需要の問題だけじゃなしに、私は原価と利益の問題があるというふうに思うわけです。  そこで、総括原価方式というもの、総括原価について確認をしておきたいと思います。  電力事業に要する費用に適正利潤を見込んだもの、それは別な表現で言いますと、営業費用と事業報酬から必要なものを控除する、この控除したものを原価として、これをすべて電力料金で賄う。事業報酬は、一定の事業報酬率を、これは資産が中心になりますが、また資産というのは資本費が大きな部分になってきますが、などの合計に掛けたもの。だから、投下する資本が大きくなれば事業報酬が大きくなってくる。今、事業報酬率は四・四%になっていますが、これに比べて調達金利を低くとれば、大きな利益が電力会社には生まれてくる。  総括原価方式というのはこういうメリットがあり、特に右肩上がりの経済の中では設備投資が大きな利益を生み出してきた。もちろん、そういう設備投資というものは銀行の利益にもつながるし、ゼネコンの利益も大きくなるものであったわけです。  総括原価の仕組みというのは基本的には今申し上げたことでいいかと思いますが、まずこれを最初に確認しておきたいと思います。     〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
  92. 河野博文

    河野政府参考人 電気事業法第十九条が、先生御指摘になりました「一般電気事業者の供給約款等」という規定でございまして、その中に料金を定めます供給約款を通産大臣が認可するに当たっての考え方が述べられているわけでございますが、そこには「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」ということがございます。  そこで、これは電気事業法の第十九条を御紹介したわけでございますけれども、適正な利潤は何かということになりますと、供給約款料金算定規則第四条にもうちょっと詳しい規定があるわけでございまして、これはちょっと専門用語から外れて、普通の説明をさせていただきますと、基本的には今先生がおっしゃったことの繰り返しに近いような内容になりますが、電力会社がその供給区域内の需要家に対して電気を供給するために必要な資産の価値に適正な報酬率を乗じて得られる金額というのが基本的な構成でございます。  もうちょっと具体的に申し上げますと、資産の中には、電気事業固定資産から供給区域内の需要家への電気の供給に直接必要のないような、例えば貸し付けられている設備などを除いたものでございまして、その価値は帳簿価額ということで評価されます。  また報酬率でございますけれども、これは自己資本の調達と他人資本の調達によりまして異なる報酬率が適用されます。これは資本コストの計算ということで御理解いただければと思いますけれども、自己資本報酬率につきましては、電気事業を除いた全産業の自己資本利益率、さらには公社債利回りなどから適正に算出された率ということで定めております。それから他人資本報酬率は、いわば借入金の金利ということになりますので、一般電気事業者全体が有利子負債残高に対して負っております平均利子率ということになります。  これによって算出されます事業報酬は、自己資本に対する配当などの報酬と他人資本調達に対する資本コストに充当されるということが基本的な考え方でございます。
  93. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、私が総括原価という問題について質問しましたことを今確認していただいたわけですが、この総括原価でいく場合、電気事業固定資産、建設中のものは建設仮勘定になりますが、核燃料資産などが対象資産項目ですから、仮に報酬率、今四・四%ですが、そうしますと、対象資産がふえればふえるほど事業報酬の方が大きくなってくる。事業報酬が大きくなっても、もちろん単純な議論だけではいきませんが、これに営業費を加え、控除項目を差っ引いたものがいわゆる原価ですから、それがイコール電力料金による総収入ということになるわけです。ですから、この事業報酬の部分が大きくなる、現在はこれが、仮にコストがその結果うんと大きくなってくると電力料金によってきちんと回収されてそれが賄われるようになりますから、ですからそのときは電力料金が上がったりする。  いずれにしても、電気がよく使われる、電力料金が高くなるということは、これは逆に、一定電力量で需要がありますと電力総収入の方がふえるということになりますから、事業報酬部分が大きくなったとしても、結局これは消費者の負担ということで進むのが今の仕組みです。  そこで、問題は、この事業報酬部分が大きくなるということは、電気事業固定資産の部分、これが膨らみますと当然事業報酬の部分は大きくなるわけです。単純に、この部分が大きくなったら電力会社そのものの利益になるというふうにはもちろんつながりません。電力会社の利益というのは、これは営業費の方をさまざまな経営努力によって圧縮することによって、ここからも利益が出ます。あるいは事業報酬の部分で調達金利を低くとることによって、報酬率との関係でいえばそこからも利益が生まれてきます。  そういうものですが、いずれにしても、事業報酬部分が大きくなるということは、これはしかし、電気事業固定資産を膨らませるということはつまり例えば原発なら原発をつくるということですから、そのこと自体はゼネコンにとっては利益になってくるし、そして事業報酬率ともかかわってきますが、銀行などからすると貸し付けによって利益を大きくしていく部分もここになります。仮にそこを報酬率よりも調達金利を安くとれれば、これは電気会社の利益が出てくる、こういう関係にある。  ですから、いずれにしてもゼネコン、銀行、電力会社にとっては事業報酬部分に非常に大きな利益が得られる部分であることは間違いないと思いますが、総括原価のこの仕組みというものは、基本的にはこの点も間違いありませんね。
  94. 河野博文

    河野政府参考人 先ほど御紹介もございました、私も申し上げました、得られました電力収入から営業費用あるいは資本コストを賄って、なお電力会社にいわゆる最終的な未処分利益といいますか、あるいは余裕資金といいますか、そういったものが発生するのはなぜかという御指摘でございますけれども、これは、例えば資本コストの中でも、自己資本の部分の資本コストも賄うという意味では配当を行い、そしてその中の内部留保というものもございます。  しかし、今先生御紹介になりましたように、例えば事業報酬率の算定上のベースになっている各社のといいますか、電力十社平均の実績の社債等の借入金比率に比べて、経営努力で資金調達が安くなったとか、あるいは人件費等について大幅な節減ができたとか、あるいはさらに、実はこれは不確実性といいますか、猛暑ですとか厳冬などの気候要因とか景気の上下動、こういった経済要因が変動して予想以上に販売量が増加して収入があったというような場合に利益が生ずる、そういう仕組みになっております。
  95. 吉井英勝

    吉井委員 自然エネルギーの促進による場合、買い取りをやりますと営業費用に上る自然エネルギー購入という部分がふえるわけですが、自然エネルギーの促進よりも、事業報酬に上ってくる資本費を大きくする原発の方が、銀行やゼネコンや電力会社の利益にとっては大きなものになる。電力会社の場合は、ひょっとして、場合によっては、利益の面ではニュートラルに働く場合もあり得るかもしれません。これは、あり得るかもという表現でとどめておきますが。  だから、最終処分の問題がどうなってこようと原発に進もうとするインセンティブが働いているという、ここに総括原価という問題についても切り込んでおくべき問題が一つあるということを私は指摘して、時間が大分迫ってまいりましたので、将来に備えての法律案上の拠出金について質問しておきたいと思います。  この拠出金の上乗せを企業努力で捻出するかどうかは別として、これからの電気料金負担分で計算すれば、これからの分はたしかキロワットアワー当たり十四銭ですか、という試算をされて、過去の高レベル廃棄物のための負担分は八銭だというふうに聞いておりますが、まず、これは間違いありませんね。確認しておきます。
  96. 河野博文

    河野政府参考人 数字的には、おおむねそのぐらいの金額を私ども見込んでおります。
  97. 吉井英勝

    吉井委員 そこで、過去の分の負担八銭についてですが、いわゆる独立系電気事業者、IPPと大口契約事業所との直接契約の場合、これは託送料だけが電力会社に入るわけですが、その場合、IPPの方はこの八銭の負担はしないというわけですよね。一般の庶民は、これからの分で十四銭の負担、そして過去の分の八銭の負担。IPPと直接契約の企業の方は、IPPがおおむね火力が多いですから、原子力発電の電気は買わないからということで、八銭の負担はない。  そうすると、この八銭の負担はその場合はだれがすることになるのですか。
  98. 河野博文

    河野政府参考人 この法律では、過去分について、附則によりまして、今後約十五年間かけまして今後の電力消費者の皆さんに、これはもちろん企業、産業、個人等々入るわけでございますけれども、時間をかけて御負担をいただくということになります。その際、一般電気事業者が拠出金の徴収対象でございますから、この一般電気事業者から購入される方々に御負担をいただくということになるわけでございます。
  99. 吉井英勝

    吉井委員 大口がIPPと直接契約して買う前に原発の電力を買っていた。しかし、その企業の場合は、過去の原発の高レベル放射性廃棄物の処理にかかる八銭の負担はしなくて済むようになる。ではだれが引き受けるかといったら、今の話で一般消費者ということですから、その大口電力需要者の企業の分まで全部、八銭分はそこの企業が負担しないで個人が負担する、こういうことになってまいります。  最後に、この点で、最近、霞が関の通産省本省ビル調達先入札が話題になってきておりますが、IPPから購入するとすると、鉄鋼や化学企業は火力が中心ですから、仮に通産省が直接契約してここから買うとなると、通産省自身は八銭の負担はしないということになるのですね。そして、これまで通産省も原発の電力を買っておったわけですが、その過去の八銭分は通産省は負担をしない、これは国民に求めるということになりますが、通産大臣、やはりこういうあり方というものはおかしいんじゃありませんか。  時間が迫ってまいりましたので、このことを通産大臣に、これはどうするかということについては、やはり通産大臣に最後に伺っておきたいと思います。
  100. 深谷隆司

    深谷国務大臣 あくまでも今後の新規参入の電気事業者の動向というものを注目していかなければなりません。一般消費者に過度の不公平が生じた場合には、過去分の処分費用の負担のあり方については再度検討していく必要があると考えております。
  101. 吉井英勝

    吉井委員 あと二分というのが来たと思ったら、その二分の予告が来ないでいきなり質疑終了と来ましたので、残念ながら私の質問時間は終わりましたので、これで質問を終わります。
  102. 中山成彬

    中山委員長 塩田晋君。
  103. 塩田晋

    ○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。  我が国は、天然資源の乏しい貿易立国であり、海洋国家であるということは言うまでもありません。エネルギー資源の大部分を海外に依存している状況のもとにおきまして、我が国経済活動の維持、活性化、国民生活の向上を図るためには、他国にも増してエネルギー政策、特にエネルギーの安定供給の確保についての政策が重要であると考えます。  最近は、アラビア石油の問題もありました。したがって、石油についても中東依存度が高まりつつある。そしてまた、せんだって通産大臣にも御質問いたしましたが、世界各地に、石油エネルギー等の供給についての安定性を図るために、例えばパプアニューギニアといった南太平洋、あるいは中南米といったところにも供給源を確保するといったことが必要であろうと思うのでございます。  また、サハリン等で天然ガス等の開発が行われ、日本への供給ということも計画されておりまして、北海道を通して日本海沿岸、そして新潟の基地、そしてまたそれを将来は延ばして本州を横断して九州まで、こういった計画というものが考えられるわけでございます。また、立地が難航しております原子力発電等につきましても、多面的な、そういったエネルギーの安定供給の確保という観点からの分析あるいは検討が必要であると思います。  この我が国のエネルギーの安定供給及び我が国の経済、国防といった安全保障の観点からも、エネルギー対策は重要であると思いますが、通産大臣の基本的なお考え、通産省の基本的な方針についてお伺いいたします。
  104. 深谷隆司

    深谷国務大臣 塩田委員指摘のように、エネルギーは国民生活や経済活動の基盤をなすものでございます。しかし、残念ながら、我が国は、石油を中心としたエネルギーの八〇%は外国に依存しなければならないというような状態にございます。そういう中で安定的にエネルギーの供給を実現するということは本当に困難なことではありますが、確保しなければならない重大な課題でございます。  近年のエネルギー情勢を見ますと、例えば、原子力発電所の立地に関する長期化、あるいは、地元との話し合いの難しさ等々、いろいろございます。一方においては、例えばアラビア石油のサウジにおける採掘権の失効といったような、そういうような各種の情勢の変化もございました。  そこで、私どもといたしましては、これらを総合的に考えまして、改めてエネルギー政策についての検討をここで思い切ってやろうではないかということで、ほぼ一年をかけて全体的な分析等を行いながら、エネルギーの安定供給についての方向性をきちっとさせていこうということを決めさせていただいたのでございます。  具体的に申し上げますと、需要面で申しますと、総合的な省エネルギー、これは、石油ショックのときには省エネということが盛んに言われたのでありますが、以来今日までの状況を見ますと、産業界ではかなりの省エネが実践されておりますけれども、運輸、民生等においては右肩上がりで全く省エネが進んでいないという現状もございます。これらについての省エネの方向性、あるいは供給面でいいますと、国産または準国産ともいうべき原子力であるとか、あるいは新エネルギーというものに対しての取り組み、あるいは、今お話がありましたように、サハリン等も含めた天然ガスその他もろもろのエネルギーの可能性を追い求めていく、そういうことで、真剣に検討していかなければならないと思うのであります。  このような政策全般を通じまして、環境保全とか効率化の要請に対応しながら、安定的なエネルギー供給の一層の確保を図るべく、適切なエネルギー対策を打ち立てていきたいと考えています。
  105. 塩田晋

    ○塩田委員 省エネルギー対策、また新エネルギーの開発、こういったことについても十分に注目をして、通産省としても研究、検討し、その対策を進めていただきたいと希望いたします。  そこで、通産省におきましてエネルギー政策の見直しを行っているということでございますが、我が国の全発電量の三七%を占める原子力発電につきましては、供給の安定性が高いということ、また、原子力エネルギー抜きで我が国のエネルギー政策が成立するとは考えにくい状況でございます。仮に原子力エネルギーの位置づけが今後大きく変わる、立地をすることがなかなか難しくなってきている、今まで計画されていた二十カ所、これを数カ所減ずるといったことになりますと、高レベル放射性廃棄物最終処分につきましても、将来の問題でございますが、かなりの影響が出ると思いますが、この点につきまして通産省のお考え、見通しをお聞きいたします。
  106. 細田博之

    細田政務次官 塩田委員質問のとおり、原子力発電のエネルギー政策における重要性というものは極めて大きいわけでございます。  歴史的に見ましても、二度にわたるオイルショックのときに、産油国の価格決定に振り回されまして、日本でも大幅な物価上昇があり、インフレーションに国民が大変な、経済上の支障を来したということで、これを克服するまでに長期間かかったわけでございます。その後、幸い石油価格が一九八六年を境にして大幅に下落してまいりまして、今日では、なお第一次ショック以前程度の水準にまでGDPに対する影響が下がってきたということは、石油消費国における原子力発電の建設の促進が大きく力があったものだと思っております。  発電別のコスト等を比較いたしましても、現時点では原子力がやはり相当安いということ、それから、昨年以来現象として出てまいりましたように、石油の価格が次第に上昇を始める、増産をしましたけれども上昇を始めるということで、なお全体的に不安定でございます。したがいまして、エネルギー問題といたしましても、この原子力の重要性というものは、今後ともさらに二十一世紀におきましても続くであろうということが第一でございます。  それに加えまして、COP3において決議されましたように、CO2を発生しないという環境特性を有しております原子力発電は、これは何とかして建設していかなければならないということでございまして、九〇年水準に対しまして二〇一〇年度前後の水準、平均でございますけれども、これでエネルギー起源のCO2をほぼ横ばいにする、つまり、五%以上上がったものをさらに五%強下げまして横ばいにするという目標を定めております。  しかし、経済成長がかなり横に寝てマイナス成長がございましたので、需要、供給の面の見直しが必要になっておるということ。それから、今委員が御質問になりましたように、二〇一〇年に二十基が大体できるだろうと言っておりましたのが、厳密に言うと十三基であるということが電力会社からの報告で現在出ております。本来のCOP3の目標は二〇一二年まででございますから、その中にあと何基かは入るわけでございますけれども、供給面でも原子力面は多少下がってきた。そうすると、日本の需要全体、そして原子力発電の比重はどうか。  それから他方、車の方での消費、これは燃料電池の開発とかいろいろございますが、そういうものを総合的に勘案して、COP3の目標、これは国際的な約束でございますから、実現できるかどうかという面も、エネルギー面とともに環境面もレビューしていく必要があるわけでございます。  したがいまして、これは総合的かつ複合的な要素がたくさんございますので、やはり一年ほどかけましてその内容を十分精査し、また、可能な対策をとっていかなければならない。新しい燃料電池等の開発問題等も、あるいは物流の変化とか、さまざまな要因を加味していかなければならないということでございます。  しかし、最後に委員がおっしゃいましたように、そういった若干の変化が、高レベル廃棄物自体の量に本質的な変化をもたらして、この政策に影響を及ぼすほどかというとそうではございません。過去の相当な蓄積もございますし、それから、着実にこれから廃棄物もふえてまいりますので、この法律でお願いしている政策は、基本的に必要性は何ら軽くなるものではないということでございます。  やや包括的な御答弁を申しましたけれども、そういったことを全体的に検討してまいりたいと考えております。
  107. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。  最後に、通産大臣に御質問申し上げます。本法律案第四条の第五項におきまして、概要調査地区の所在地を選定しようとするときに、通商産業大臣都道府県知事市町村長意見を聞かなければならないと規定してございますが、意見を聞くからには、その意見を十分に尊重するということは当然のことに読めるわけでございます。  その点をめぐりまして、修正等の話も出ておるわけでございますが、「意見を聴かなければならない。」というところで、都道府県知事市町村長との賛否が違った場合、どちらを重視されるのか。また、双方ともに反対という場合、これは市町村長都道府県知事が所在地を決める、決めないという決定権を持つことになるのではないか、ほとんど同様になるのではないか。そうなると、決定権者はだれなのか、あるいはまた責任の所在はだれなのか、こういう問題になろうかと思いますが、この点につきまして、深谷通産大臣、いかがお考えでございますか。
  108. 深谷隆司

    深谷国務大臣 概要調査地区の選定に当たりましては、ただいま委員が御指摘のように、地方自治体理解協力がこれは不可欠でございます。したがいまして、地方自治を預かる都道府県知事あるいは市町村長意見を聞かなければなりませんし、その場合に重く受けとめるということでございまして、その意見を重く受けとめた上で最終処分計画を策定していくということに相なります。  このため、我々としましては、地元理解協力を得るために全力を挙げて努力してまいるわけでありますが、それでもなお御理解がいただけないという場合、これは仮定でございますけれども、その場合にどうするかということについてでありますが、知事及び市町村長が反対をしたという場合に、その意に反して概要調査地区等選定を行うということはないものと考えます。  ただ、合意という問題も含めて各党でただいま修正の議論をしていただいているわけでありますが、最終的な責任は国が負う、最終的な決定は国が行うということは大前提でございますが、その際に、何回も繰り返し申し上げるように、地域首長の御意見というものは重く受けとめて、これに反する形というものは、それは当然出せないと私は思います。
  109. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。終わります。
  110. 中山成彬

  111. 北沢清功

    北沢委員 社民党の北沢清功でございます。  高レベル放射性廃棄物最終処分についてはいろいろ、原子力発電を中心として、意見の違いやまた重要な方針の見直し等を含めてあるわけでありますが、これは緊急かつ重要な課題ですから、取り組まなければいけないということだけは先日私は申し上げたわけでございます。しかし、以下述べる総括質問の中で、若干、御期待に沿うべき賛成が得られるかどうかということについても私としては心苦しく感じておりますのですが、しかし、問題だけは総括質問で提起をしておきたいと思います。  今回の一連の委員会審議、また参考人質疑、それから連合審査を通じて感じたことは、余りにも拙速過ぎるのではないかということであります。このことに私以上に厳しかったのは、民主党横路議員の御提案でもうかがい知ることができるわけでありますが、現段階で国民的議論が成熟をしていない問題については、今からでも遅くない、じっくりと議論をすべきではないか。危険の余地が余りにも大き過ぎる、だれからも嫌われる施設をどこかにつくらなければならないのなら、まさに国民的議論を深めて、納得した上でなければ、法案だけできても、状況は従来と変わらず何の実効性もないということになりかねないというふうに感ずるからであります。  国民的な議論がほとんどないままこの法案を成立させていいのかどうかということについて、もう一度お尋ねをいたしたいと思います。
  112. 河野博文

    河野政府参考人 通産省だけですべての御説明ができないかもしれませんが、私どもは、原子力委員会のいわゆる処分懇での議論を踏まえまして、総合エネルギー調査会原子力部会で時間をかけた御議論をいただきました。また、この過程の中では、パブリックコメントをいただく、あるいはさまざまな機会に国民皆様方の御議論をいただく、こういったプロセスを経て、この法案の立案に携わらせていただいたわけでございます。  また、加えまして、原子力委員会の方でも、先ほど御紹介させていただきました処分懇での結論を得るに当たりましては、さまざまな場で国民皆様の御意見をいただき、そうして取りまとめられてきたという、時間をかけた経緯があるということを申し上げさせていただきたいと存じます。
  113. 北沢清功

    北沢委員 この法案は余りにも確実性のないものの上に成り立っているにすぎず、具体的に試算額が出ている処分費用の三兆円だが、高レベル廃棄物の処分場などというのは世界のどの国においてもいまだ実現されていないことであり、今回の審議の過程でも、技術的、資源量、時間的、社会制度的、どれをとっても不確実性の要素ばかりでございます。経験のないまま、気の遠くなるようなほど遠い長期にわたる費用についてどう計算できるのか、根拠は何なのか、将来不足した場合どうするのか、電力会社に請求をするのかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
  114. 河野博文

    河野政府参考人 今回の特定放射性廃棄物処分に要しますさまざまな要素の試算ということでございますけれども、これは総合エネルギー調査会原子力部会におきまして、今私どもが持ちます最新の技術的な知見を踏まえて、設計仕様などの絞り込みを行いまして、そしてこの費用の試算を行ったわけでございます。  試算の前提といたしまして採用いたしましたのは、処分単価のスケールメリットがほとんど影響しなくなってくるという規模でございますガラス固化体を四万本処理するという最終処分施設を前提に置きました。また、岩盤の質には、これまでも幾つか御議論ございましたけれども、軟岩系と硬岩系がございますので、それぞれについてどのような処分費用がかかるものかという試算も行いました。そしてその平均値として、処分費用として約三兆円という試算を御紹介申し上げているわけでございます。  なお、この処分費用の範囲でございますけれども処分地の選定にかかわります調査費、あるいは処分施設の設計とか建設に要します費用、また、処分施設の操業費、それから処分施設の、これは一定期間で処分そのものが終わりますと地上の施設は解体いたしますので、その解体の費用あるいは閉鎖に要します費用、そしてまたその後のモニタリングに要します費用、これらにかかわります技術開発などに要します費用を対照して計算をさせていただきました。
  115. 北沢清功

    北沢委員 原子力が新しい日本のエネルギーの分野なのは二十年前からなのですが、当初、電気料金が非常に安い安いということが強調されて、ある面では、日本の電気産業ないしは電力会社等の負担を軽減するということにおいて、国の予算というものはあらゆる分野で相当支出されておるという認識を持っております。したがって、今の三兆円という問題は、これはだれが見ても今後大変なことだということでありますから、これからの電力料金の規制緩和を含めて、国民の負担が、そのことに負担がよりかかるという意味で、十二分にひとつ負担について明確にしていただきたい、そのことを強く要望しておきたいと思います。  こうした会議や会合は当然、原子力やエネルギー政策についての方向性を示す大事な役割を負っているはずだが、これまでのほとんどの議論の内容なのかどうか、全員が一つの方向で一致しているのかどうか。通産省、科学技術庁、それぞれ議論の内容をなるべく具体的にお伺いをいたしたいと思います。
  116. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  先ほど来お話ございましたとおり、高レベルの廃棄物の処分の問題につきましては、現行の長期計画、平成六年に策定されたものでございますが、二〇〇〇年を目安にその実施主体の設立を図っていくというふうな形になっているものでございます。  また、そのため、いろいろとこの数年間、原子力委員会では高レベル廃棄物の処分の問題に当たって鋭意検討をやってきたところでございまして、高レベル放射性廃棄物処分の懇談会が、二年間にわたります審議の末、しかもその審議には一般の国民方々の御意見もいただき、かつまた、実際に審議の場においでいただき御意見をお互いに交換し合う、そういうふうな形を行った上で、しかも、日本の原子力史上初めてでございますが、原子力政策を決める、廃棄物政策を決める過程で、最終報告書の文案を一般国民の方にお示しを申し上げた上で、それについての御意見をいただき、真摯に検討して、最終処分のこの処分懇談会の報告書を取りまとめたものでございまして、その熱意は盛り上がっているものでございます。  また、現在、今年末を目途に長期計画の策定を行っているわけでございますが、この長期計画の策定に当たって、原子力委員会は、国民、社会と原子力のあり方の中で、エネルギーの安定供給に核燃料サイクルも含めた原子力利用が果たす役割という問題を真摯に検討しているところでございまして、この四月の第九回の長期計画策定会議で、原子力のエネルギー利用についての報告に当たっての策定の方針について議論を進めたところでございます。  このように、まさに原子力委員会の場におきましては、この高レベル廃棄物の処分の問題が社会的にも、その見通しをこういう形で法案を出して御審議をいただきたい、そういう状況になっているものでございます。
  117. 北沢清功

    北沢委員 科学技術庁の方の御意見もお聞きしたいんですが、いわゆる法案の見直しも含めて議論の最中でございますから、ある面では今後多種多様な意見が出てくるわけでございまして、そういう面で未成熟といいますか、未確定といいますか、そうした議論が今後この法案の整合性とどうなのか、問題はないのかということについて、若干お尋ねをしたいと思います。
  118. 河野博文

    河野政府参考人 法案につきましては、先ほど来申し上げておりますように、種々の検討のプロセスを経まして策定をさせていただいたところでございます。  また、今後の政策展開におきましても、処分地の問題を初めさまざまな手順、そしてさまざまな方々の御意見を拝聴しながら進めていくということが、この法案には記載されているところでございます。
  119. 興直孝

    ○興政府参考人 御説明申し上げます。  先ほど申し上げました処分懇談会の報告が、通産省の方で総合エネルギー調査会の原子力部会におきます御審議の上、その懇談会の報告が十分反映されて今回この法案が出されたものと考えてございます。  他方また、科学技術庁はこれまで、例えば青森県の方におきましても、岐阜県においても、また北海道におきましても、高レベルの放射性廃棄物に関係します試験研究、あるいは再処理工場から出てまいりまして処理をしました固化体の中間貯蔵を行ってございますが、そういう関係について、地元知事さんたちとのお約束がこの法案の中にも反映されているものでございまして、ぜひお願いを申し上げたいと思っている次第でございます。
  120. 北沢清功

    北沢委員 今まさにエネルギー政策全体の見直しと将来のビジョンの構築が必要でありまして、そうして、その将来ビジョンに基づいてこの法案も作成されていなければならないはずであります。従来型の原子力政策を推し進めていくことでは本当の将来はないというふうに私は思います。  この法案は、議論を重ねるほどに、危うさを国民説明できない事実を覆い隠したまま、大きな負の遺産を残してしまう強い懸念を感じるわけでございます。より慎重な審議をお願いし、皆さんの御労苦は大変理解できるわけでありますが、私の質問を終わりたいと思います。
  121. 中山成彬

    中山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  122. 中山成彬

    中山委員長 この際、本案に対し、小林興起君外四名から、自由民主党民主党、公明党・改革クラブ、保守党及び自由党の五派共同提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。吉田治君。     —————————————  特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  123. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、自由民主党民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党を代表して、その趣旨を御説明いたします。  御承知のとおり、特定放射性廃棄物最終処分のあり方につきましては、参考人質疑、科学技術委員会との連合審査会及び当委員会における審査を通じてさまざまな論議が交わされたところであります。  このような論議を踏まえ、私どもは、基本的には政府案に対して一定の評価を与えつつも、本事業を円滑に進めていくためには、概要調査地区等関係地方自治体等からの理解協力を得ることが極めて重要であると考えます。  そのため、通商産業大臣は、最終処分計画における概要調査地区等の所在地を定めようとするときは、当該概要調査地区等の所在地を管轄する都道府県知事及び市町村長から聴取した意見を十分に尊重してしなければならないものとする本修正案を提出した次第であります。  以上が、本修正案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、委員各位の御理解の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  124. 中山成彬

    中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  125. 中山成彬

    中山委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。島津尚純君。
  126. 島津尚純

    ○島津委員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案について、修正案に賛成、政府原案にも賛成の立場から討論を行います。  我が国の原子力発電は、およそ電力の四割を賄い、エネルギーの中で重要な地位を占めています。しかし、高レベル廃棄物処分についての法制化は放置され、欧米に比べて二、三十年対応がおくれていると指摘されております。政府が高レベル廃棄物の最終処分の仕組みを確立することは当然であり、むしろ遅きに失したと批判せざるを得ません。  しかし、法案が余りにも唐突に提出され、拙速な議論の中で成立が図られようとしていることは遺憾であります。数百年から数千年にわたって安定して管理する施設の建設にかかわる法案である以上、本来はもっと審議時間を確保すべきだと考えます。  また、法案内容を精査してみますと、多くの問題点があり、原案のままでは反対せざるを得ないとの結論に達しました。民主党として、修正案を取りまとめ、与党に示しました。その一部が受け入れられ、政府原案のままの成立という最悪の事態を回避する見通しが立ったため、政府原案にも賛成することといたしました。  原案では、管轄の都道府県知事市町村長からの意見聴取についての条項がありますが、形式だけのヒアリングに終わる可能性があります。条文を手直しし、首長意見を十分尊重する旨の規定に変えることによって、地方自治体意見が一層反映されることになります。私たちが強く求めた項目が実現することは、大きな前進と受けとめている次第であります。  ただし、政府原案には、賛成はいたしますが、まだまだ問題な点もあります。以下にこれらの諸点について厳しい注文をつけることとし、その上での賛成とさせていただきたいと存じます。  第一に、情報公開が不十分なものとなっていることを危惧しています。原子力発電環境整備機構実施計画について、一層の情報公開を促すべきであると考えます。  第二に、原子力安全委員会役割が軽視されていることは問題であります。安全確保のための規制に関するものについては同委員会意見を聞くための環境整備を図るべきであります。  第三に、法案の中核をなす概要調査地区と精密調査地区の選定についての条件があいまいとなっていることは問題であります。関連地域の人口密度や対象地層の形状などについての条件についても考慮すべきであります。  二人のとうとい命を失うこととなった東海村の臨界事故以来、国民原子力に対する不安あるいは不信が高まっていることにかんがみ、政府において、原子力の平和利用については、安全性を最優先させ、万一に備えた防災体制を確立し、国民理解と信頼を得ながら推進することを求めるものであります。  さらに、法案の附則にある十年後の見直し条項を前倒しするとともに、附帯決議で盛り込まれた全項目についてしっかりした取り組みを行うよう強く申し上げまして、私の討論を終わらせていただく次第であります。ありがとうございました。(拍手)
  127. 中山成彬

  128. 吉井英勝

    吉井委員 私は、日本共産党を代表して、特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案並びに自民、民主、明改、保守、自由各会派共同提出の修正案に対する反対討論を行います。  政府は、使用済み燃料の再処理後に残る高レベル放射性廃棄物をガラス固化して地層処分することを方針としていますが、高レベル廃棄物は数万年も継続する危険性を持つものであり、そのような長期間の処分の安全性については、実証はおろか、学術的にも技術的にも裏づけはありません。  本法案によってこのような処分方針を強行することは、容認できるものではありません。特に日本は、四つのプレートがぶつかり合い、世界の地震の一割が集中する地域であり、数万年にわたって安定な地層の存在は、専門家からも疑問視されているのが実情です。これが第一の反対理由です。  第二に、本法案が前提とする使用済み燃料の再処理技術は、臨界事故を何回も起こした軍事技術の転用であり、安全な確立された技術とはとても言えないからです。また、プルサーマルが実施されれば、使用済みMOX燃料の再処理も想定されますが、MOX燃料の再処理は、ウラン燃料以上に技術的困難が多く、経済的にも成り立つ見込みがありません。こうした現状を無視して、再処理を前提としたガラス固化、地層処分を決めてしまうことは、無責任であり、無謀と言わざるを得ません。  第三に、処分選定に当たって、自治体の意見は聞くだけであり、その同意規定されていないことです。これまで、原発を初め核燃料サイクル施設の立地に当たっては、地元住民の意思を踏みにじり、力によって事実上押しつけることがまれではありませんでした。しかし、三重県の芦浜原発の計画断念に見られるように、地元同意を前提とするのが今日の国民的常識であります。  なお、修正案については、地層処分という原案の内容が変わるものではなく、賛成できません。  以上、原案と修正案に対する反対理由を述べて、討論とします。(拍手)
  129. 中山成彬

    中山委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  130. 中山成彬

    中山委員長 これより採決に入ります。  内閣提出特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、小林興起君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  131. 中山成彬

    中山委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  132. 中山成彬

    中山委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  133. 中山成彬

    中山委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、伊藤達也君外四名から、自由民主党民主党、公明党・改革クラブ、保守党及び自由党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。吉田治君。
  134. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     特定放射性廃棄物最終処分に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 最終処分事業の円滑な遂行を図るためには、概要調査地区等関係地方公共団体の理解協力が必要不可欠となることにかんがみ、関係地方公共団体が適切な判断を行うために必要な事前の情報提供等が的確に実施されるよう万全を期すること。    また、国及び関係する地方公共団体は、原子力発電環境整備機構による概要調査地区等選定に当たり、十分な情報交換を行うとともに円滑な意思疎通を行うよう努めること。  二 最終処分の円滑な実施を図るためには、広範な国民からの同事業に対する十分な理解と支持を得ることが必要不可欠であることにかんがみ、必要かつ十分な情報公開に努めるとともに、その趣旨に沿って、原子力広報を抜本的に強化すること。  三 最終処分に関する安全規制については、原子力安全委員会における検討を十分に踏まえつつ、その基本的な考え方を早急に提示するよう努めるとともに、具体的な規制内容等については今後の技術開発の動向等に応じ、慎重に検討を進めること。  四 原子力安全委員会関与を十分なものとし、安全の確保に万全を期すること。  五 概要調査地区等選定に当たっては、例えば、人口密度等の社会的条件についても十分配慮するとともに、その選定規準が明解でかつ国民の十分な理解を得られるものとなるよう関係省令を早期に策定し公表すること。    また、関係地域住民等との信頼関係の醸成と不安の払拭を図るため、原子力事業における情報公開原則の重要性を認識しつつ、その選定プロセスの透明性・公正性が確保されるよう十全の努力を払うとともに、その見地から原子力発電環境整備機構に対し十分な指導監督を行うこと。  六 原子力発電環境整備機構による最終処分事業については、同事業が高い公益性を有しかつ超長期的に実施されるものであること等にかんがみ、同事業が将来にわたり安全かつ確実に実施されるよう、体制整備を行うとともに、今後の事業の進捗状況に見合った組織づくりとその効率的運営に配意すること。  七 電力自由化に伴い、大口電力ユーザーが既存の原子力発電事業者から原子力発電設備を有しない独立系電気事業者に電気の供給源を切替えた場合の過去の原子力利用見合い分の拠出金について、不当に業務用・家庭用の小口ユーザーに転嫁されることのないよう、公平の確保を図ること。  八 最終処分積立金の超長期的管理業務実施することとなる指定法人の指定に当たっては、適格な経理的・組織的能力を有する法人とするとともに、いやしくも天下り機関等との指摘を受けることがないよう厳正に取り組むこと。    また、資金管理業務の実態等を積極的に明らかにするとともに、外部監査制度を導入するなど透明性確保すること。    なお、巨額の積立金は最終処分実施に充てられるものであり、安全かつ確実に運用されるべきであり、いやしくも、安易に国債等の消化手段などに利用されることのないよう十分に配慮すること。  九 最終処分事業の安全性の向上や処分費用の低減等に資するため、今後とも最終処分事業に関する技術開発に積極的に取り組むこと。    また、核種分離・消滅処理などの特定放射性廃棄物の低減に資する研究開発については、国際協力・国際貢献の視点等も加味しつつ、引き続き着実に推進すること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  135. 中山成彬

    中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 中山成彬

    中山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、深谷通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。深谷通商産業大臣
  137. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、本法律案実施に努めてまいる所存であります。     —————————————
  138. 中山成彬

    中山委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  140. 中山成彬

    中山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時一分散会