○
小野委員 おはようございます。本日は、大正十年に制定されました
弁理士法案を全面的に改正する
法案についての
審議でございます。
現代社会は、
皆さん方もう
御存じのとおり、
知的財産権というものの
重要度が年々高まっている
時代であります。私も以前に当
委員会で
質問の中で申し上げたことがございましたけれども、これまでの
時代の中にあっては、例えば
石炭というものが重視される
時代であれば、
石炭を
中心にしていろいろな
産業が展開されました。それを
石炭コンビナートという言い方をしてまいりました。
石油というものが国の財の
中心をなしているときには、
石油コンビナートというような形のものが形成されてきました。同じような話し方をするならば、これからは
知的財産権が国の富を生み出す
時代であるという
観点からまいりますならば、これからは
知的財産コンビナートとでも称すべきものがこの
日本の国の中に生まれてくる
時代ではないでしょうか。
その中核を担う大きな
仕事がこの
弁理士という
職業であるということでございまして、まさに
工業所有権を取り扱う
専門職としてこの
重要性が高まる中で、
業務の
見直し、また
人員体制整備の一環としての
試験制度の
改革、また総合的、継続的な
サービスを提供できる
体制を実現するための
法人化の
問題等々、かなり抜本的な面での
改革が織り込まれた
法案になっていることを、大きな前進を見るものと高く評価を申し上げたいと思う次第でございます。
しかしながら、同時に私たちが考えなくてはならないのは、
先ほど申しましたように、非常に大きなウエートを占めるものとしてこの
知的財産権が
日本の国の
政策の中に置かれるものであるということを考えてまいりました場合に、もっと抜本的な面からの
検討も求められてくるということなのでございます。
これはどういうことかと申しますと、例えば
弁理士が取り扱いますところの
工業所有権という問題でございますけれども、
印象として申し上げますならば、物をつくるということが主人公であって、その
物づくりを行う上で、他の
企業から
類似品をつくられるということでその利益が損じられてはならないという
観点で、みずからの
製造物を守るためにこの
工業所有権というものが活用されるというような傾向が強いのも否定できないところでございます。
また、同じ
知的財産権の大きな柱として、
著作権という問題もございますけれども、これも
工業所有権とは今のところ別の体系のものとして取り扱われているということも否めないという点がございまして、私は、この
知的財産権というものを大きく見てまいりましたときに、まだまだ
問題点が残っているという
認識を持っているものでございます。
それは、大きく分けると三つの問題がございまして、
一つは、
先ほども申しましたとおり、
法体系として見ました場合に、必ずしも、その
知的財産権と言われる知的な
創造物を保護しよう、またそれを
権利として
財産権として認めていこうというようなものが、
一つの
法体系の中にきちんと整理されたものになり切っていないという
印象があるという点が第一点目であります。
それから第二点目には、
教育の場において、これからこの
分野が非常に重要なものでありますから、これを重視した形で取り上げていかねばならないという
指摘がよくなされるわけでありますが、必ずしも
教育現場において、では
知的財産権教育が的確になされているかというと、やはり
附属物的な扱いを受けているというような点も否めない点だろうと思っております。
それから第三点目には、きょうの
法案のテーマでもあります
弁理士の問題でございますが、
弁理士の地位というものも、他の
職業と比べてまいりまして必ずしもきちんと確立できたものになり切っていない、つまり
代行業としての
位置づけという性格がまだまだ強いというところも否定できない点として挙げられるのではないだろうか、こんなふうな気持ちがするわけでございまして、私は、これから
日本の国の中においてこの
弁理士業というものが極めて大事なものになってくる、また、
知的財産権を守る、またはぐくむということが非常に大事になってくるというような点を考えてまいりました場合に、
国家戦略の中の
一つの大きな柱として取り上げていくべき問題ではないかというような
印象を持っているわけであります。
考えてみれば、
アメリカという国は、今この
知的財産権を非常に高く評価し、また取り上げていきながら経済的な
戦略を展開しているようでございますが、十数年以前からこの
取り組みに入っていたような
印象を受けるわけでございまして、私は、この
日本の国においても、資源の乏しい国と言われるだけに、
知的財産というものを重視していく
取り組みが強く求められるということを考えてまいりました場合に、
知的財産権を単なる
附属物として
認識するのではなくて、むしろ
中心に位置するものであるとの
認識に立って、その思想ないしは
社会システムというものを
整備していく
必要性を痛感しているわけでございます。
そんなふうに考えてまいりますと、
法制度を少しずつ
現状に合わせて改良しようとか、
中央官庁の
体制を少しずつ改善していこう、こういうふうな
追随主義にとどまるのではなくて、むしろ、この
知的財産権を
中心に
社会の
あり方を考えるとこういう
ビジョンが描けるというものを、堂々とこれを描いて、その
ビジョンのもとに
改革すべきを時宜を得ながら
改革していく、こういう発想もこれから求められてくる点ではないかと思うわけでございます。
そのためには、総合的にまた根本的に、この
知的財産権をめぐる
国家戦略を研究し立案していくところの
シンクタンク機能というものが
日本の国の中で必要ではないか、こういう
認識を持つ次第でございますけれども、
大臣の御
所見、いかがでございましょう。