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2000-04-18 第147回国会 衆議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十八日(火曜日)     午前九時四分開議  出席委員    委員長 中山 成彬君    理事 伊藤 達也君 理事 小林 興起君    理事 河本 三郎君 理事 山本 幸三君    理事 大畠 章宏君 理事 吉田  治君    理事 久保 哲司君 理事 吉井 英勝君       小野 晋也君    岡部 英男君       奥田 幹生君    奥谷  通君       小島 敏男君    古賀 正浩君       坂本 剛二君    桜井 郁三君       新藤 義孝君    田中 和徳君       竹本 直一君    中野  清君       中山 太郎君    古屋 圭司君       細田 博之君    村田敬次郎君       茂木 敏充君    森  英介君       森田  一君    山口 泰明君       島津 尚純君    田中  甲君       樽床 伸二君    中山 義活君       藤村  修君    山本 譲司君       赤羽 一嘉君    西川 知雄君       金子 満広君    青山  丘君       小池百合子君    塩田  晋君       北沢 清功君     …………………………………    通商産業大臣       深谷 隆司君    国務大臣    (内閣官房長官)     青木 幹雄君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    経済企画政務次官     小池百合子君    通商産業政務次官     細田 博之君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    政府参考人    (司法制度改革審議会事務    局長)          樋渡 利秋君    政府参考人    (法務大臣官房司法法制調    査部長)         房村 精一君    政府参考人    (国税庁次長)      大武健一郎君    政府参考人    (特許庁長官)      近藤 隆彦君    政府参考人    (中小企業庁長官)    岩田 満泰君    商工委員会専門員     酒井 喜隆君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     森  英介君   古屋 圭司君     坂本 剛二君   渋谷  修君     田中  甲君   樽床 伸二君     藤村  修君 同日  辞任         補欠選任   坂本 剛二君     古屋 圭司君   森  英介君     粕谷  茂君   田中  甲君     渋谷  修君   藤村  修君     樽床 伸二君     ————————————— 四月十七日  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八一号) 同月十八日  愛知万博計画抜本的見直しに関する請願(瀬古由起子紹介)(第一五一五号)  同(中島武敏紹介)(第一五一六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  弁理士法案内閣提出第八七号)(参議院送付)  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八一号)     午前九時四分開議      ————◇—————
  2. 中山成彬

    中山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付弁理士法案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として、吉田治君の質疑の際に司法制度改革審議会事務局長樋渡利秋君、中山義活君の質疑の際に法務省司法法制調査部長房精一君、吉井英勝君の質疑の際に特許庁長官近藤隆彦君及び中小企業庁長官岩田満泰君、赤羽一嘉君の質疑の際に特許庁長官近藤隆彦君、法務省司法法制調査部長房精一君及び国税庁次長大武健一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 中山成彬

    中山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君
  5. 小野晋也

    小野委員 おはようございます。本日は、大正十年に制定されました弁理士法案を全面的に改正する法案についての審議でございます。  現代社会は、皆さん方もう御存じのとおり、知的財産権というものの重要度が年々高まっている時代であります。私も以前に当委員会質問の中で申し上げたことがございましたけれども、これまでの時代の中にあっては、例えば石炭というものが重視される時代であれば、石炭中心にしていろいろな産業が展開されました。それを石炭コンビナートという言い方をしてまいりました。石油というものが国の財の中心をなしているときには、石油コンビナートというような形のものが形成されてきました。同じような話し方をするならば、これからは知的財産権が国の富を生み出す時代であるという観点からまいりますならば、これからは知的財産コンビナートとでも称すべきものがこの日本の国の中に生まれてくる時代ではないでしょうか。  その中核を担う大きな仕事がこの弁理士という職業であるということでございまして、まさに工業所有権を取り扱う専門職としてこの重要性が高まる中で、業務見直し、また人員体制整備の一環としての試験制度改革、また総合的、継続的なサービスを提供できる体制を実現するための法人化問題等々、かなり抜本的な面での改革が織り込まれた法案になっていることを、大きな前進を見るものと高く評価を申し上げたいと思う次第でございます。  しかしながら、同時に私たちが考えなくてはならないのは、先ほど申しましたように、非常に大きなウエートを占めるものとしてこの知的財産権日本の国の政策の中に置かれるものであるということを考えてまいりました場合に、もっと抜本的な面からの検討も求められてくるということなのでございます。  これはどういうことかと申しますと、例えば弁理士が取り扱いますところの工業所有権という問題でございますけれども、印象として申し上げますならば、物をつくるということが主人公であって、その物づくりを行う上で、他の企業から類似品をつくられるということでその利益が損じられてはならないという観点で、みずからの製造物を守るためにこの工業所有権というものが活用されるというような傾向が強いのも否定できないところでございます。  また、同じ知的財産権の大きな柱として、著作権という問題もございますけれども、これも工業所有権とは今のところ別の体系のものとして取り扱われているということも否めないという点がございまして、私は、この知的財産権というものを大きく見てまいりましたときに、まだまだ問題点が残っているという認識を持っているものでございます。  それは、大きく分けると三つの問題がございまして、一つは、先ほども申しましたとおり、法体系として見ました場合に、必ずしも、その知的財産権と言われる知的な創造物を保護しよう、またそれを権利として財産権として認めていこうというようなものが、一つ法体系の中にきちんと整理されたものになり切っていないという印象があるという点が第一点目であります。  それから第二点目には、教育の場において、これからこの分野が非常に重要なものでありますから、これを重視した形で取り上げていかねばならないという指摘がよくなされるわけでありますが、必ずしも教育現場において、では知的財産権教育が的確になされているかというと、やはり附属物的な扱いを受けているというような点も否めない点だろうと思っております。  それから第三点目には、きょうの法案のテーマでもあります弁理士の問題でございますが、弁理士の地位というものも、他の職業と比べてまいりまして必ずしもきちんと確立できたものになり切っていない、つまり代行業としての位置づけという性格がまだまだ強いというところも否定できない点として挙げられるのではないだろうか、こんなふうな気持ちがするわけでございまして、私は、これから日本の国の中においてこの弁理士業というものが極めて大事なものになってくる、また、知的財産権を守る、またはぐくむということが非常に大事になってくるというような点を考えてまいりました場合に、国家戦略の中の一つの大きな柱として取り上げていくべき問題ではないかというような印象を持っているわけであります。  考えてみれば、アメリカという国は、今この知的財産権を非常に高く評価し、また取り上げていきながら経済的な戦略を展開しているようでございますが、十数年以前からこの取り組みに入っていたような印象を受けるわけでございまして、私は、この日本の国においても、資源の乏しい国と言われるだけに、知的財産というものを重視していく取り組みが強く求められるということを考えてまいりました場合に、知的財産権を単なる附属物として認識するのではなくて、むしろ中心に位置するものであるとの認識に立って、その思想ないしは社会システムというものを整備していく必要性を痛感しているわけでございます。  そんなふうに考えてまいりますと、法制度を少しずつ現状に合わせて改良しようとか、中央官庁体制を少しずつ改善していこう、こういうふうな追随主義にとどまるのではなくて、むしろ、この知的財産権中心社会あり方を考えるとこういうビジョンが描けるというものを、堂々とこれを描いて、そのビジョンのもとに改革すべきを時宜を得ながら改革していく、こういう発想もこれから求められてくる点ではないかと思うわけでございます。  そのためには、総合的にまた根本的に、この知的財産権をめぐる国家戦略を研究し立案していくところのシンクタンク機能というものが日本の国の中で必要ではないか、こういう認識を持つ次第でございますけれども、大臣の御所見、いかがでございましょう。
  6. 深谷隆司

    深谷国務大臣 小野委員指摘のように、知恵時代を今迎えるわけでありまして、二十一世紀においての経済社会に占める知的財産位置づけというのは非常に重要になってくるというふうに思います。  通産省としては、こういう観点に立って、さまざまな制度改革しながら今日までやってまいりました。そして、その結果として、特許権を早く、そして広く、強く権利を保障していこう、そういう体制をつくり上げてまいりました。これからも知的財産日本経済社会の大きな発展のために活用していくための環境整備というのは大変必要で、お話の中にありました、例えば教育分野でもきちっと教えていくことなども大事な環境づくりだろうと考えます。  また、これらの企画立案についてシンクタンクを活用せよということはそのとおりでございまして、例えば財団法人知的財産研究所社団法人国際工業所有権保護協会などの外部の団体のノウハウといいましょうか、知恵もおかりするようにしておりますし、海外状況などを十分に踏まえながら、これから日本がどう取り組んでいくかということについても十分な調査研究を進めていきたいというふうに思います。今度の弁理士法改正に当たりましては、知的財産研究所報告書参考資料一つとして使わせていただいているというのもそういう意味でございます。  また、平成十年度からは、大学等に対しましても調査研究をお願いいたしまして、知的財産調査研究を今行っている大学は四大学に及んでおります。  このように、知的財産政策に関する調査研究につきましては十分な体制が図られていくことが必要でありまして、通産省といたしましては、今度の法改正を踏まえながら、さらに一層充実した環境をつくるために努力をしたいと思います。
  7. 小野晋也

    小野委員 ぜひ大臣、今御答弁のとおり、いろいろな機関もあるわけでございますが、それらを総合的に連結いただいて、国家ビジョンの中における知的財産権あり方というような立場からの御検討をお進めいただきますことを要望しておきたいと思います。  続きまして、弁理士事務所につきまして、今回、特許業務法人制度の創設というような形の改革がなされることになっております。  これを考えました場合に、私は、やはりこれからの日本産業においてのベンチャー企業重要性という問題を指摘せざるを得ないと思うのでありますが、ベンチャー企業の場合は、知的財産権でいいものを持ったとしても、そのほかの要素ではぐくむものが必ずしも十分に整えられていないがゆえに、なかなかうまく企業が育ちにくいというような点が指摘されるわけであります。例えば財務の問題、例えば法務の問題、または例えば営業や総務の問題等々問題があるわけでございまして、これらを総合的に取り扱いながら企業をはぐくむというような体制を整えることがこれからの日本の国においてぜひとも必要な点ではないか、こんな認識を持つわけでございます。  このたび弁理士事務所については法人化という方針が打ち出されたのでございますが、他のさまざまな業務と一体になってその企業を育成する総合的、戦略的なコンサルティング事務所が設けられるようにするということを提案申し上げたいと思うのでございますが、この点の御所見を問いたいと思います。     〔委員長退席河本委員長代理着席
  8. 細田博之

    細田政務次官 小野委員のおっしゃいます総合的法律経済関係事務所、いわゆるそういった事務所につきましては、規制緩和推進三カ年計画平成十年三月に閣議決定されまして、これに基づいて関係省庁検討いたしました結果、現行法制のもとにおきましても基本的に可能であるとの結論が平成十一年五月に得られております。すなわち、各種資格者が一定の協力関係のもとで同一の事務所を共用し、顧客のニーズに応じてそれぞれの資格の名においてその専門資格にかかわるサービスを提供することは可能であります。  しかしながら、特許事務法務税務等企業育成に必要となる各種サービスを総合的にできるように各種資格者一つ法人格のもとに多数参集した総合事務所開設にも道を開くべきではないかという御意見があることはよく承知しておりますし、また、もっともな面がある、小野委員の御指摘のとおりであると思いますが、それぞれの士業の経緯、歴史もございまして、これらの総合事務所法人開設の是非を検討するためには、まず弁理士のほかに弁護士とか税理士等他資格制度それぞれが法人制度を導入することが先決でございます。公認会計士は既に法人化できるわけでございますが、このたび弁理士をやりまして、次をまた考えていかなければならないんだろうと思いますけれども、そのことが先決であります。  また、総合事務所法人開設に当たりましては、各種資格者相互間において、雇用が認められるかどうかなど資格法制上の問題点について十分な検討がなされることが必要であります。つまり、今までの考えでありますと、弁理士さんが全体の代表になってその下に弁護士さんがついたり税理士さんがついたり、あるいはその逆であるというようなことについては、それぞれの資格独立性という観点からまだ道が開かれていないということが現実でございます。  通産省といたしましては、今回の弁理士法改正を契機にしまして、弁護士等他資格制度につきましても法人制度が導入され、企業育成を図る総合事務所法人開設へ向けた検討の前提が整うことを期待しております。     〔河本委員長代理退席委員長着席
  9. 小野晋也

    小野委員 以上で質問を終わります。
  10. 中山成彬

  11. 吉田治

    吉田(治)委員 民主党吉田治でございます。  まず最初に、大臣にお聞きしたいんですけれども、弁理士というのは英語に直して何と言うんですか。
  12. 茂木敏充

    茂木政務次官 アメリカの場合、弁理士二つに分かれておりまして、一つパテントアトーニー、もう一つパテントエージェントでございます。パテントアトーニーの方は、単なる特許庁への代理手続業務だけではなくて弁護士的な業務を行う、これに対しましてパテントエージェントは、こちらの方が数は少ないんですが、特許庁への代理手続しかできない、こういうふうな二つに分かれております。
  13. 吉田治

    吉田(治)委員 日本弁理士はどう訳して海外へ出ているわけですか。
  14. 細田博之

    細田政務次官 パテントアトーニーだそうでございます。
  15. 吉田治

    吉田(治)委員 アメリカはそれを認めていないんじゃないですか、日本弁理士というのはパテントエージェントだと言い張っているんじゃないですか。それはどうなんですか。
  16. 茂木敏充

    茂木政務次官 今回の法改正によりまして、日本の場合でも、弁理士業務知的財産にかかわる相談業務契約代理業務等、多様な、主要な法的なサービスが追加される、こういう形でございます。  なお、こちらの、いわゆる国際的に専門サービスをする士業について、今後WTO等各国間の相互認証等々の議論は行われていくものだ、こんなふうに認識をいたしております。
  17. 吉田治

    吉田(治)委員 私がお聞きしたのは、日本海外文書を出すとき、後ほどの質問にありますが、例えばWTO次期サービス交渉等において、日本弁理士というものがパテントアトーニーとして出したときに本当に認められているのかどうか。これはアメリカ中心に、いや、日本のは絶対アトーニーじゃない、エージェントだと随分言われているという、この辺はどういうふうに調整されているんですか。  そして、では、アメリカパテントアトーニーパテントエージェント日本語に直したときに、どういうふうに訳して日本の公文書としては出しているんですか。
  18. 深谷隆司

    深谷国務大臣 現状ではまだそこまでの具体的な話はいっておりませんで、恐らくこれからあなたがおっしゃるような問題はかなり議論なされることと思います。
  19. 吉田治

    吉田(治)委員 現状そこまでいっていないと今大臣は言われました。私は、民主党で以前にこの法案について特許庁から御説明いただいたときに、特許庁担当者に対して、この言語についてはしっかりと、言葉としては日本語英語、たかが言葉かもしれないけれども、それが交渉という形になってきたら全然違うんだよ、しっかりとまとめなさいと言ったら、担当者はまとめてきますと言った。大臣はそれは今調整中だと。  これから、いや、現在もサービス交渉等々のいろいろな話をしている中で、大臣のお言葉をとらえると、まだ省内的に言ったらそんなものをまとめもせずに国際交渉WTOのところへ、今WTOの事前の交渉の始まっている中に入っていっているということになりますけれども、これは通産省としての認識不足、怠慢と私は言えるんじゃないかと思いますけれども、その辺はいかがなんですか。
  20. 深谷隆司

    深谷国務大臣 まだWTO関係でいうと会計士問題等議論がありますが、弁理士についての具体的な呼び名その他もろもろの話が進んでいないという意味です。
  21. 吉田治

    吉田(治)委員 だから、私が申し上げているのは、通産省としてどういう言葉で訳して、どういうことで出しているんですかということをお聞きしているんです。それが海外への国としての基本構えじゃないですか。それはいかがなんですか。
  22. 茂木敏充

    茂木政務次官 先ほど答弁させていただきましたように、日本の場合はパテントアトーニー、こういう言葉で訳としては出させていただいております。そしてまた、そこの中にこれからは法的なサービス業務も加わってくるという形であります。  ただ、今大臣も申し上げましたように、弁理士を含めました自由職業サービス貿易自由化につきましては世界各国でまだ共通の認識ができていない、これは確かな事実でございまして、WTOサービス貿易理事会のもとに設置された作業部会、いわゆる国内規制作業部会において議論されているもの、このように認識しております。  繰り返しになりますが、アメリカにおきましては弁理士二つに分かれている、パテントアトーニーパテントエージェントに。日本一つである。そういった国際調整がこの分野では特に必要だ、こんなふうに考えております。
  23. 深谷隆司

    深谷国務大臣 先ほど私が申しましたように、サービス交渉では会計士の問題をまずやっているという状況にあります。今後弁護士弁理士の話になっていくというのが今日の状態です。  ただ、日本立場としましては、パテントエージェントよりも業務上上に位置する、一部訴訟代理権もありますので、パテントアトーニーで話を進めていこうとしているところでございます。
  24. 吉田治

    吉田(治)委員 では、先ほどから私がもう一つ聞いているのは、アメリカパテントアトーニーパテントエージェントは、日本語に直したときにはどういうふうに役所として使っているのか、どういう言葉で使っているのか。それはどうなんですか。
  25. 深谷隆司

    深谷国務大臣 そのまま横文字で使っております。
  26. 吉田治

    吉田(治)委員 それはおかしいですよ。この間私どもの党に持ってきた資料は、日本語に訳して持ってきていましたよ。特許庁大臣に対してそういうことをするわけですか。私が先ほどから言っているように、我が党に説明に来た文書に対しては日本語を書いておいて、今大臣が言っていることは、そんなのは横文字で書いていますといけしゃあしゃあと言うのが特許庁のやり方なんですか。
  27. 茂木敏充

    茂木政務次官 正確な訳はございませんで、冒頭申し上げましたように、パテントアトーニーそれからパテントエージェント、これをあえて日本語に訳しますと、米国特許弁護士それから特許弁理士、こういう訳になるかと思います。
  28. 吉田治

    吉田(治)委員 二つ目、今政務次官特許弁理士と言われましたよね。特許弁理士ということは日本語弁理士。これは、日米交渉とかでよくあるように、文書言葉じりをとらえたら、やはり日本弁理士というのはエージェントじゃないか。国の文書としてパテントエージェント特許弁理士日本語弁理士、一緒じゃないかという論理が出てきます。だから、私は先ほどから訳もちゃんと大事ですよと申し上げているのはこういうことです。  政務次官、これはこれから変えられるのか、このままいくのか、いかがなんですか。
  29. 茂木敏充

    茂木政務次官 今申し上げましたのは、日本語に訳した場合にどうなるかということでありまして、冒頭、特許弁護士特許弁理士と言う前に、米国特許弁護士米国特許弁理士とつけ加えさせていただいたわけです。米国の場合のパテントアトーニーになりますと、通常、技術系大学を卒業した後、三年間のロースクールを卒業している、こういうことで、法律業務にも精通をしている、このような形から、二つを分けるために米国特許弁護士それから米国特許弁理士、こういう形で呼ばせていただいております。
  30. 吉田治

    吉田(治)委員 茂木政務次官のお言葉とは私はとても信じられない。日本法人アメリカコンサルタント会社に勤められて、地元の足利では神童と言われた、そのお方がそういうふうな役所答弁を丸ごと言うというのは、茂木政務次官仕事をされていて、日本語から英語英語から日本語に直したときにいかにいろいろ言葉じりが変わって、それによってアメリカ側からも随分いろいろと言われた経験を持っているはずです。それが、役所が言うとおりに、いや、米国のという名前がついているからそれでいいんですよと、これはどう考えてもおかしい。しかも茂木さん、あなたがそういうことを言うというのはとんでもない話だ。ちゃんと言葉をしっかりととらえないから、過去、茂木さんもよく御存じのとおり、日米間の交渉というのはずっとその歴史じゃないですか。  つまらないことのように、笑われることかもしれないけれども、アメリカ人にも日本語も漢字も読める人はたくさんいるんですから、アメリカのと書いてあっても、そんなものは消すんですよ。弁理士だ、見てみいエージェントじゃないかと。政務次官、これはどうなんですか。
  31. 茂木敏充

    茂木政務次官 申し上げますと、今、決して役所の方の答弁ではありませんで、急に出た質問ですので、そこの中で私なりに考えながら答弁をさせていただいております。  それから、私は海外交渉する場合は直接英語でやりますので、英語日本語に訳す、日本語英語に訳す、こういう作業は出てまいりません。
  32. 吉田治

    吉田(治)委員 そういうふうに人を小ばかにするような言い方はやめてもらいたい。役所の人が横に座っているじゃないですか、それが言っているじゃないですか。それをそういうふうに言ってごまかすというのはどういうことなんですか。  たかが言葉ですよ。しかしながら、これが言葉によって基本的な概念になっていくんじゃないですか。この後私が質問していく、弁理士というふうなものがこれから国際化の中においていかに重要かということの、役所の基本認識ですよ。あなたの基本認識は、私は英語がしゃべれるから、英語で物事ができるからそれでいい、私の言った言葉政務次官ではなく個人として言った言葉だ。それが全部国会の記録に残っていく。すべて海外から見たら、調べていくと、何だ、日本政務次官というのはこんな人なのかと。  はっきりとこの辺は、これから調整するならば調整する、言葉としてしっかり出すとするなら統一的なものを出す、それぐらいのお答えが出て当然じゃないですか。今のお答えだったら、全部思いつきじゃないですか。私は英語ができます、だから日本語に訳したらこうです、これは役所言葉ですか、いや私の言葉です、私は英語ができますから私は英語でやります。それほど日本人をばかにした発言はないですよ。それについてはどうなんですか。
  33. 茂木敏充

    茂木政務次官 私の個人的な資質について御質問かと思いましたので、そのような答弁をさせていただきました。失礼がありましたら、おわびを申し上げたいと思います。  ただ、吉田委員指摘のように、これからこういった弁理士分野を含めて、自由職業サービス貿易に関しましては国際的な共通認識をつくっていくということが大変重要なことだ、そのような認識も持っておりますし、そこの中で、今後の新しく改正される法案の中での弁理士、これの国際的な位置づけ、これは今後検討していく必要がある、このように考えております。
  34. 吉田治

    吉田(治)委員 もうこれ以上この議論をしていても水かけ論みたいなものですから、統一見解を出していただくということをお願い申し上げておきます。  そして、海外から見た場合になぜ日本弁理士さんが、特にアメリカからアトーニーではなくてエージェントだと言われる理由というのは、やはりいろいろあると思うんです。  例えば一点目は、弁理士さんの研修の状況。  アトーニーというのは法律家という意味になると思います。そうしますと、司法試験を通ると二年間、国がお金を出して司法修習所で、今は和光に移りましたけれども、研修をする。給料ももらえる。そして、その上で法律家として認められていく。だから、弁護士相互認証というものが、ある意味では国際間の問題になってくる。しかしながら、弁理士の場合は、研修の中身、そして弁護士会にあるような自律的な懲戒権等々の中に、諸外国からどう見てもアトーニーとは言えない、やはりエージェントだと言わざるを得ない部分があるのではないか。  その中において、今回の法の趣旨の中にもありますように、弁理士の研修というふうなものに非常に重きを置くというふうなことになってきています。これについて、どういうふうに具体的に政府としては対応をしていくのか。
  35. 深谷隆司

    深谷国務大臣 知的財産戦略的な活用というものが重要視されている中で、弁理士というのは、技術革新、国際化の進展あるいは知的財産制度の改正等に的確に対応していかなければなりません。そのためには、おっしゃるとおり、常に弁理士というのは、最新の知識だとか、あるいは情報を獲得するための継続的な研修というものを行っていく必要があります。その場合、特に自己研さんが大事だというふうに考えます。  そのために、弁理士会とか知的財産協会とか、そういった民間機関における多様な研修というのがあります。また、通産省としては、こうした研修の内容の策定だとか講師の選定だとか、そういうことに対して必要な助言を行ってまいります。民間機関の実施する研修と、特許庁工業所有権研修所等の公的機関が実施する研修との間で密接な連絡を取り合いながら、講師の相互派遣であるとか、そういうような形を通じて、弁理士の自己研さんを支援するような環境整備をつくっていきたいと考えます。
  36. 吉田治

    吉田(治)委員 その場合に、弁理士の研修については、登録をして約二カ月間、弁理士会の方で研修。中身の問題もあるでしょうけれども、余りにも司法試験合格後の研修と格差がある、余りにも現場での研修というふうなものに重きを置き過ぎているのではないかと思います。  今、大臣のお言葉の中にありましたように、講師の派遣であるとか中身の策定であるとかいうことではなくて、今回の法改正を機に一歩踏み込んで、例えば資金面での援助をするとか、また、限りなく司法修習に近いものというのはなかなか費用的には厳しいかもしれないけれども、先ほどから議論をさせていただきましたように国際化というふうな中においては、単に弁理士業務のみならず、例えば法務実務の部分であるとか、例えば極端なことを言ったら英語の部分であるとか、そういうふうな研修を強化していく必要がある。  それについては、国も資金面において援助をしていく必要があるのではないかと思いますけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。
  37. 細田博之

    細田政務次官 おっしゃいますような、これからの研修の充実とか、より質の高い弁理士さんを養成していくことは社会の要請でもございますので、いろいろな意味で、御提言を含め、知恵を出していく必要があると思っております。
  38. 吉田治

    吉田(治)委員 いや、提言して知恵を出すという答弁だったらできるのですよね。具体的にどういうふうにするのか。  ちょっとその前提として、今回、弁理士法が変わりまして、弁理士さんを量的に拡大する、量的に増加をするというふうに聞いておりますけれども、具体的に今後、弁理士試験において毎年大体何人ぐらいが増加をされていくのか。そして、それの研修というものは、どこが責任を持って、どれぐらいの期間で、そして場所はどこで、どういうふうな形で行っていくのか。
  39. 茂木敏充

    茂木政務次官 弁理士試験の合格者数、最近のデータでいいますと、平成九年が百三十五名、平成十年が百四十六名、そして平成十一年が二百十一名、こういう形になっております。  そして、今回の改正によりまして、受験者層の拡大を図るために、例えば弁理士試験の受験資格を廃止して、未成年者であっても弁理士試験を受験できるようにする、もしくは予備試験を廃止して、大学の教養課程を修了していない者も本試験を直接受験できるようにする。さらに、他資格等において同等の知識、能力を担保されている者に対しまして、論文式試験の選択科目を免除する、例えば技術士等を想定しているわけでありますが、こういった形によりまして弁理士の量的な拡大が大幅に図られていく、このように考えております。  しかし、これは一定の資質を持っている者が合格をするという形でありまして、確実に数はふえてきておりますが、これから三年後、五年後にどれだけの数になるか、ここのところは、今の段階では予想できません。
  40. 吉田治

    吉田(治)委員 日本弁理士さんは四千三百人、先ほど議論をぶり返すわけにいきませんけれども、アメリカのアトーニーとエージェントを合わせて大体二万人。先ほどの与党議員の質問にもありましたように、まさにアメリカ国家戦略中心知的財産というものが入っている。後ほど質問を、大臣の御決意もいただきたいと思いますけれども、日本もこれから知的財産というものを中核に置いていこうという中において、政務次官、今の答弁で、三年先、五年先にふえると思いますと。私は、それだけでいいのかなと。  例えば司法制度改革においては、司法試験の合格者を五百から最終的には一千人にするというふうに具体的な数字を述べた。通産からもらったこのペーパーでも、弁理士人口の量的拡大を図るというふうにしか書いていない。そういうふうな、いいかげんなものと言っては語弊があるかもしれない。将来予測もしない、そして将来の需要に対してどれだけ弁理士さんというものが必要なのか。  先ほどから研修のお話を申し上げております。研修というのも、人がふえるとなかなか大変だ。司法試験において合格者をふやすことによって、例えば司法研修所、また修習所、それから各地の弁護士会の負担というのは相当多い。きょうは司法制度改革審議会の事務局長さんもおいでですけれども、まさにそこの研修という、中身を濃いものにするという部分でどうするのかということは、これから先何人ふえるかということがわからない限りはでき得ないということ、これはいかがなんですか。
  41. 茂木敏充

    茂木政務次官 弁護士の場合、司法研修所のキャパ等の問題があって、そのキャパをどれだけふやせるかということである程度の数字が出てくるわけでありますが、考え方によりましては、この弁理士、ふえてくる分には全く問題がない。  それから、委員指摘のように、特に、例えばこれから中心になってまいりますバイオテクノロジー等々の分野、特許戦争が起こってくる、こういうことは確実でございまして、そういった中で、御指摘アメリカ日本を比べた場合に一対五の比率、これは確実に少ない、これを大幅に上げていく、こういう認識を我々も持っております。そのために今回、弁理士法の改正を行わせていただいているわけでありまして、数としましては、確実に何年後に何人になる、こういうことは申せませんが、大幅な拡充が必要である、このように考えております。
  42. 吉田治

    吉田(治)委員 大幅な拡充が必要であるというと、今度は研修する立場、これは法律にも書いてあるように、先ほど質問しましたが、弁理士会が主体的にやるのか、場所は東京でやるのか、その費用はだれが持っているのか、これについてはいかがですか。
  43. 茂木敏充

    茂木政務次官 基本的には、自己研さんでありますので、それぞれの弁理士の方が自分の費用で行う、こういうことになっております。  しかし、先ほど大臣の方から答弁もありましたように、講師の派遣であったりとか、さらに今後カリキュラムを充実していく問題であったりとか、そういったことにつきまして、国としても支援できる分野については今後一層の支援をしていきたい、このように考えております。
  44. 吉田治

    吉田(治)委員 ということは、自己研さんだから、弁理士会がやっておられる研修というものについてはあずかり知らないということでいいですね。
  45. 茂木敏充

    茂木政務次官 決してあずかり知らないということではなくて、今申し上げましたように、再三吉田委員からも御指摘いただいておりますが、日本における弁理士がもっと量的にも拡大していくような環境整備していく、またその質の向上を図る、そういった意味で、国としても支援すべき分野については適切な支援を一層充実してまいりたい、このように考えております。
  46. 細田博之

    細田政務次官 こういう試験の合格者の数をふやすということにつきましては、他方では、ふやすぞというと、ではレベルが下がるのじゃないかという議論とつながるものですから、役所というのはなかなか言いにくいのでございますけれども、今でさえ二十何倍という倍率でございますから、なかなか合格しない方々の中にも実は大変能力のすぐれた方々も多いだろうということ。それから、委員の御指摘になりましたアメリカ等との比較から見ますと、やはり二倍程度を目指してこれからふやしていかなければならないと思いますし、また、ふやしていくと質の低下が起こるじゃないかという御指摘もあると思います。  しかし、弁理士の場合には各分野分野が、いろいろ専門的な分野もございますので、基本的な研修と専門的な研修といろいろあると思いますが、目下のところはこれは民間にお任せしてお願いすることが原則でございますけれども、やはり人数がふえてまいりますと、基本的なものについては、例えば通産省内にも工業所有権の研修所というものが部内だけのためにあるわけでございますが、そういったものを活用しながら合格者にも場を提供していくなど、これは弁理士会ともよく相談していかなきゃなりませんけれども、拡充すべきはすべきであるというふうに考えておりますので、またいろいろ御提言をいただきたいと思います。
  47. 吉田治

    吉田(治)委員 私、さっきから二回か三回、議事録を調べてもらったら出ていると思うのですけれども、自己研さんそれから自己研修だということで、弁理士会の研修状況について何度も質問しているのですけれども、一切答えがないのです。いつどこで、どれぐらいの規模で、だれがやって、お金はどうして、一切そういう答弁をせずして、提言をくださいとかやれ何だとか言って、通産の弁理士研修に対する認識というものは、そこのところを外した認識、そこはもう関係ないよと。  今それぞれの政務次官から、工業所有権のそういうセンターをこれから研修としては使う、講師、カリキュラム等々というふうなお話がございました。それらは、今私が質問をさせていただいている、認識として直してもらいたいのは、弁理士会がやっている研修に一緒にやる、それにプラスアルファしていく、そういうふうな認識、その辺はどういうふうな基本認識を持っているのかというのを先ほどから質問しているのです。それはどうなんですか。
  48. 茂木敏充

    茂木政務次官 もしかしましたら、私の方が質問の趣旨を完全に理解していなかったために答弁が不十分な点もあったかと思うのですが、弁理士会の研修について申し上げますと、まず、新人研修といたしまして、法律、実務知識の包括的な研修が約一カ月半ほど用意されております。それから実務研修といたしまして、最新の判例や法改正等につきまして一日研修を十回程度。それから特別研修といたしまして、訴訟の理論と実務につきまして二日、それから知的財産権契約の実務につきまして二日等の弁理士会の研修が用意されております。  それとあわせまして、日本知的財産協会の研修、それから発明協会の研修。入門プログラムから初級、中級、上級、研究、総合と、いろいろなものが用意されております。  なお、最近の実務研修について申し上げますと、弁理士の集中する地域によりますが、それぞれ東京、大阪、名古屋等々で研修を受けている、こういう形でございます。
  49. 吉田治

    吉田(治)委員 そういう研修にプラスアルファしていくのですけれども、私、昨年予算委員をやっていまして非常に気になったのは、政府の予算が大変厳しい中において、特許の特別会計予算、これをずっとひもといていきますと、例えば平成十二年、歳入予定額が一千七百二億円、このうち前年度剰余金の受入金額が七百四十九億円。非常に健全というか、剰余金まで出している状況。であるならば、私は、まず、この剰余金というものをどういうふうに活用されるかということ。  そして二点目は、ぜひとも剰余金というものをこの弁理士の研修、後ほど質問させていただきますけれども、どっちにしろ特許という知的財産をめぐる一つの流れの中にあるお金であるならば、これは弁理士さんの質の向上、先ほどから何度も言うように、やはり日本弁理士さんはエージェントじゃなくてアトーニーだよと言われるものに使う必要があるのではないかと私は思うのですけれども、この辺は今、通産としていかがお考えなんでしょうか。
  50. 細田博之

    細田政務次官 特許特別会計の剰余金が多少あるということは事実でございますが、このお金は当然ながら政府全体として管理すべきものでございますし、関係の大蔵省との調整も必要でございます。  おっしゃいました、例えば研修のお金を国費でかなり使えというようなことも、予算制度としてこれができればそういうことができるわけでございますが、これから関係方面とも考えながらこれを検討してまいりたいと思っております。
  51. 吉田治

    吉田(治)委員 その前提として、剰余金をどう使うのかというのが一点目の質問なんですけれども、その辺はどうなんですか。
  52. 茂木敏充

    茂木政務次官 特許特別会計は、平成十二年度の決算におきまして、委員指摘のように八百十二億円の余剰金がございますが、平成十年度から平成十二年度にかけまして実施した料金の引き下げ等々によりまして、平成十二年度予算におきましては六百六十一億円に減少する、このように剰余金につきましては見込んでおります。  その一方で、現時点で三十万件強の特許の未処理案件が残っているわけでございまして、さらに平成十三年度になりますと、出願から審査を請求するまでの期間がこれまでの七年間から三年間に短縮をされる。当然これによりまして未処理案件が大幅に、二倍以上に増加する。こういうことが見込まれておりまして、昨今の技術革新の速さに対応するためにも、特許の審査期間の長期化を極力回避する、短期化していく、こういうことが必要だと考えております。  したがいまして、この余剰金でありますが、基本的には、外部人材の積極的な活用やペーパーレスシステムの再構築によりまして、今申し上げました未処理案件の処理促進のために大切に活用してまいりたい、このように考えております。
  53. 吉田治

    吉田(治)委員 大臣、参議院の質疑のときに、この剰余金の研修等への活用については、大臣答弁は、たしか今細田政務次官がおっしゃられたように、各方面ともよく検討して、できるならば、使えるものなら研修に使いたいというふうな答弁をされているのですけれども、今の茂木政務次官答弁だったら、そういうことは一切考えていないよ、これから未処理案件がふえてくるからそれに使うんだよと言っているんですけれども、大臣としてはどういうふうにお考えなんですか。
  54. 深谷隆司

    深谷国務大臣 茂木政務次官が申し上げているのは、余剰金についてどのような使い方をする考えかというので、今の原則をお話ししたわけであります。恐らく委員は、この資金を研修補助金等に活用せよ、こういう御指摘だろうと思うんですが、現在までの私たちの考え方としては、あくまでも研修というのは自己研さんを基本と考える、こういう立場でございます。  ただしかし、これから弁理士法の改正を行い、また弁理士の拡大を図っていく、そして知的財産というものがいよいよ重要になってくるということを考えれば、あなたがおっしゃるような、予算や補助等について検討する十分な課題であるというふうには理解しております。
  55. 吉田治

    吉田(治)委員 時間もあれですので、弁理士のこういう研修については強化する方向でというお話をるる伺ったということでございます。  いろいろ質問を予定しておったんですけれども、ちょっと飛びまして、きょうは司法制度改革審議会の事務局長さんにおいでいただいております。いつもここで事務局長さんの答弁を聞いていると、論点整理をしている途中、論点整理をしている途中という答弁ばかりをいただいておりまして、少々私としてはフラストレーションがたまっております。  特に、今回の弁理士法に関しては、弁理士さんの制度というのは、私が申すまでもなく、司法制度の周辺業務という枠内において、ヒアリングであるとか、さまざまかけられております。特に、司法制度改革審議会の議論はどうも裁判制度中心が行っているような嫌いを受けるのですけれども、知的財産権の訴訟というんですか、ありていに言うと知的財産関係について、特許裁判であるとか侵害訴訟代理権であるとか、また先ほどのアトーニーかエージェントかというところで非常に大きくなる。  これは、司法界では当然の守秘特権というふうなものを含めた弁理士にかかわる議論というのは、やはり周辺という形で今でも置かれているのか、それとも一歩踏み込んで、例えば特許裁判所まで必要じゃないかという議論があるのかどうか、その辺はいかがなんでしょう。
  56. 樋渡利秋

    樋渡政府参考人 司法制度改革審議会の事務局長樋渡利秋でございます。  ただいま委員の御指摘質問に対しまして端的にお答えいたしますれば、実質的な論点に関する審議は五月以降に始まるということでございます。そして、弁理士等の職務につきまして訴訟代理権を認めるか否かというような問題も、当然に、何度も申し上げて申しわけございませんが、論点整理の中で決められております。  本年一月から二月にかけました論点整理に対する確認ということの審議といいますか、確認のための審議をしたわけではありませんけれども、そういうような論点についての審議をしている中におきましても、隣接法律専門職種等に訴訟代理権の付与など一定の法律事務の取り扱いを認めることの当否及び認める場合における要件などについて審議すべきだ、それから、隣接法律専門職種等と弁護士との共同化のあり方についても審議すべきである、それから、先ほどの御質問にありました専門的知見を要する案件につきまして、専門参審制、特別裁判所など、専門家を裁判体に取り込むことなどの要否についても審議をするということになっております。  このように、委員指摘の問題につきましても、当審議会におきましてこれまでに整理、確認された論点の中に包含されていると考えられますことから、今後、今年中の中間報告の公表、さらに来年七月に予定されております最終意見の取りまとめを目指しまして進められる各論点についての調査審議の中で十分に検討されるものというふうに考えられます。  以上でございます。
  57. 吉田治

    吉田(治)委員 余り早口でちょっと追いつかへんかったので、二、三聞きたいんですけれども、特別裁判所ということを一言言われました。これは、巷間言われている特許裁判所、ヨーロッパとかにはございますし、アメリカ、アジアにもございますが、このことは議論の対象になっているのかどうかということ。  それから二点目は、今、弁理士さんの量的拡大というお話がございましたけれども、弁護士さんというのはたしか弁理士さんの資格をお持ちでしたよね、今現在。そういう意味でいったら、弁護士弁理士の相互乗り入れ。特に、量的拡大を追い求める場合には、弁理士さんをふやすという発想と、弁護士さんから弁理士さんに入ってもらうという方法。これは、理系というか、技術的な、知識的なものがなければなかなか難しいと言われていますけれども、この辺の、省庁が分かれていますからなかなか難しいですけれども、弁理士弁護士というふうな、ある意味では相互乗り入れと言っていいのかどうかわかりませんけれども。  それから三点目は、今言われた共同化という中、これは私の質問項目にも入れさせてもらったんですけれども、弁理士弁護士、司法書士、会計士という形の、アメリカ的なパートナーシップ、そういう事務所の設立。今回、弁理士法人化が認められたということですけれども。  その三点については、論点的にはどういうふうに取り上げられているんですか。
  58. 樋渡利秋

    樋渡政府参考人 早口で失礼いたしました。ゆっくりとお答えいたします。  先ほど申しました特別裁判所というものは、御指摘の特許裁判所というものが当然に入ってくる、議論の対象になるだろうと思います。今後、海外の視察等を行いながら、いろいろな国の制度も考究しながら、日本に合った知的財産権に関する訴訟の取り扱いをどうすべきかということを考えていくことになるだろうと思います。  まずもって最初にお断りしておきますのは、委員の御指摘の内容のことはこれから審議会において審議されることでございまして、事務局長として、どういう議論になるか、また、なっているかということを具体的に申し上げかねますこともございますが、弁護士弁理士との関係につきましては、先ほど申し上げましたように、弁護士弁理士とが共同化、要するに、同じ事務所、ワンストップサービスというのでしょうか、ちょっと英語の方は自信がないのでございますけれども、そういうようなサービスができるような体制ということも考えなければなりませんし、相互乗り入れというのではなしに、要するに、弁理士を含む隣接法律専門職種に司法制度におけるどのような役割を果たしてもらうかということが今後の論議の対象となってくるわけであります。  以上でよろしゅうございますか。
  59. 吉田治

    吉田(治)委員 もう時間もあれですけれども、局長、もう二点だけお聞かせくださいよ。  私は事務局長やから余りわからへんのです、これからの議論ですといったら、この国会にはだれをお呼びしたらいいんですか、司法制度改革審議会のことについては。これが一点目。  そして二点目は、さまざまな議論の中で、私たちつい見過ごすんですけれども、守秘特権という言葉、これは弁護士さんに認められていますね。しゃべらなくてもいい、依頼人のことについては黙っておける権利がある、幾ら裁判所に命令されてもそれは言わなくていい。やはりこの守秘特権というのがこれから、単に弁護士の世界だけでなくて、弁理士の世界、それから先ほど申し上げた例えば簡易裁判等々で訴訟代理を求めている司法書士の場合にも出てくると思うんですけれども、例えばこの守秘特権というのは司法制度改革審議会の議論の中であるのかどうか、その辺はいかがなんですか。  この二点。
  60. 樋渡利秋

    樋渡政府参考人 最初の、ここでのお答えをどうするかということでございますが、司法制度審議会設置法が可決されましたときの衆議院法務委員会の附帯決議におきまして、法務委員会ということでございますけれども、法務委員会は、必要に応じ、同審議会事務局を介して報告を求めることができる云々ということになってございます。それ以上私の口からは何とも申し上げようがございません。  それから、守秘特権、特権という言葉が適当かどうか私にもよくわかりませんけれども、そういうようなものを含めまして、要するに隣接法律専門職種等の司法制度の中における役割を審議する中において、当然に議論されることだろうというふうに思います。  なお、委員指摘のことに関しましては、私の方から審議会の方に適切に御報告をして、その内容を理解してもらうようにいたします。
  61. 吉田治

    吉田(治)委員 局長、本当に大変だと思います。呼ばれても絶対いいこと言われませんし、どうなっているんやといって、大阪弁でぼろくそと言うんですけれども、ぼろくそに言われて、何でそんなことを言われなあかんのや、聞きたかったら審議会のメンバーに聞けとぐらい思われているかもしれませんけれども、この議論というのはやはり、司法制度、裁判を中心とした発想だけに行ってはいけないと私は思っております。ありがとうございます。  先ほどWTOの次期サービス交渉についてはあらあら御質問をさせていただきました。  時間の方もなくなってまいりましたので、あと一点。  弁理士という世界において、これは私はいつも思うんですけれども、弁理士さん、それから公認会計士さん、実は昨年の予算委員会で、公認会計士さんの会計法人化がされていって、そこの社員会の会長には大蔵省出身の人が多い。それは何かというと、昔の山陽特殊鋼のときに懲戒権を大蔵省が発したということになってきますと、会の自治というんですか、弁理士さんの自治、弁理士会というものの懲戒権というふうなもの、だれが懲戒するのか。今のまま役所がやっていくということになっていきますと、これはやはりある意味で業界団体としか映らない。自治がある、士集団と先ほど言われていましたけれども、というよりも、どちらかというと通産、特許庁に附属した単なる資格を持った業界団体の集まりというふうにしか映らないという中で、私は懲戒権というふうなものの自律的運用というものが重要になってくると思います。  また、特許事務所が法人化なされていくときに、はたから見て、先ほどの会計関係のように、また役所からの天下りのためにこんな法人化をしたのかと間違っても見られることがないように、私はぜひともしてもらいたいと思うんです。くくった質問ですけれども、この二点の方はいかがなのか。  それから、過日もこの委員会で中小企業関係、ベンチャー関係のいろいろな法律が通ってまいりましたけれども、これからやはり弁理士さんの協力というものを非常に仰いでいかなければいけない。  この辺について、私の質問で申し上げると二点、三点、四点目のことについて、簡単で結構です。最後に知的財産権というものについて大臣のお考えもお聞きしたいと思いますので、今申し上げた三点については、さらっとお答えをちょうだいできればと思います。
  62. 細田博之

    細田政務次官 それでは、前段の方の問題について申し上げます。  弁理士会の自治、懲戒権等の尊重という問題でございますが、今も弁理士会の皆様方は、自治組織として非常にいい運営、主体的な運営をなさっているわけでございます。そして、今回の弁理士法改正においても、かかる観点で、弁理士会の事務に会員の監督に関する事務を加えることといたしまして、国によって最終的な監督というものは維持しつつも、弁理士会による自治、統制機能というものはより明確化することにしております。  また、弁理士会の会則を変更する場合、現在はすべて通産大臣の認可を必要としておりますが、今回の法改正によりまして会則の変更は重要な事項を除いて認可不要となるということで、これからも大いに自由に弁理士会の中で自治的な運用をしていただきたいと思っているわけでございます。  また次に、いわゆる天下り等の問題をおっしゃいました。一般の天下り論と若干違いまして、特許庁の実務に精通した方が弁理士さんになられようというときには、例えば、これからの特許業務法人の目から見ても特別な能力がなきゃ採用しても意味がありませんし、また、それだけの意欲、能力のある人が世の中の役に立つということが大事なことでございますので、おっしゃるような御懸念はないものと考えますが、重々注意してまいりたいと思います。
  63. 茂木敏充

    茂木政務次官 中小企業ベンチャー企業に対する支援につきまして、簡単に答弁させていただきます。  今回の改正におきましては、弁理士業務として、知的財産に係る相談業務契約代理業務等、主要な法務サービスを追加しております。また、弁理士事務所法人化を解禁いたしまして、あわせて会則で今まで禁じておりました支所の設置も認めることによりまして、地域企業に対しても総合的なサービスを提供し得る体制整備しております。  これによりまして、弁理士が研究開発段階から権利化に向けた助言を行うなど、地域の中小企業ベンチャー企業に対して技術開発の積極的な支援が行えるような体制になる、このように考えております。
  64. 吉田治

    吉田(治)委員 最後に大臣にお聞きしたいんですけれども、この法案の第一章第一条の目的のところで、「弁理士制度を定め、その業務の適正を図ることにより、工業所有権の適正な保護及び利用の促進等に寄与し、」というふうになっております。ずっとこの委員会での議論は、工業所有権という言葉はほとんど出ていないんですね。ほとんどすべて、知的財産知的財産という言葉が言われてきた。これは与党の議員さんも質問するとき、今ちょっといられないみたいですけれども、知的財産権知的財産権と言われた。  私は、まずここの目的のところに知的財産権という言葉がそもそも入ってよかったんではないかな、また、かえってこれを入れることによって何らかの問題点が起こったのかなという気もしておりますし、また、現実に知的財産権というふうなことを言いますと、私が申すまでもなく、特許法から意匠、商標、著作権、さまざまに種類が広がっていっているという概念。私は、そういう中において、あえて第一条は知的財産権という言葉を入れるべきではなかったかなと思うんですけれども、まずその辺はいかがお考えなのか。  そして、よく言われておりますように、私は個人的には、今国会において憲法調査会ありますけれども、アメリカの憲法第一条第一項八ですか、修正条項の中には、たしか知的財産というものを国家戦略にするというふうなことが入っている。これが英語で言うプロパテントということになっているというのは、大臣、私が申すまでもなく存じておられる。アメリカという国からすると憲法の問題にまでしている知的財産権というものを、日本においては、この法案の第一条の目的にすら入れることができ得ないということ。  これは歴代の特許庁の長官さんも議論の対象としてなかなか果たせなかったとも聞いておりますけれども、この辺すべて含めて、大臣ができないのであれば、行政としてできないんであれば、これは立法がやるべき案件だと私は思うんですけれども、その辺はいかがですか。
  65. 深谷隆司

    深谷国務大臣 弁理士の本務というのがもともと工業所有権でありましたから、こういう書き方をしておりますけれども、委員が一番おっしゃりたいのは恐らく、八〇年代にアメリカ産業のおくれというものを取り戻すために知的財産権というものを前面に押し出して大きな発展を遂げてきた。そういうことに照らして考えてみると、その分野でおくれていた日本がこれからしっかり前進していくためには、やはり知的財産権を有効に活用して伸ばしていく、そういう前提に立てということだろうと思いますが、そのお考えは、私どもとしては全くそのとおりであります。
  66. 吉田治

    吉田(治)委員 その概念というか言葉をどこかで定義する必要があると思うんですけれども、その辺はいかがですか。
  67. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今申しましたように、もともとがそういう弁理士の主務でございましたから、そう書いたのであります。今ここで急に変えるということはどうかと思いますが、考え方としては、知的財産権というふうに私たちは認識しております。
  68. 吉田治

    吉田(治)委員 もう次の委員の時間になっているんですけれども、弁理士法の法案だけじゃなくて、知的財産権という概念をしっかりと私は整える必要があると思うのですけれども、その辺は大臣、いかがお考えですか。
  69. 深谷隆司

    深谷国務大臣 全くおっしゃるとおりだと思っております。
  70. 吉田治

    吉田(治)委員 これで終わらせていただきますけれども、大臣、私、この国会のマイクを通して言うのは嫌なんですけれども、きょう前段で質問を、いろいろ議論させていただきましたね。実は私は、質問をきのう出した。特許庁さんからは、議員はと言ったから、私、きのうの晩はちょっとあれでしたから、きょうの朝八時半だったらちゃんと打ち合わせできますよというお話をした、事務所から。私は事務所に八時に入った。役所からは一切何の連絡もない。  役所として、そういうふうな話をして約束をつけた役所が、議員に対してこういうふうな態度をして、そういうふうな態度のもとでこの弁理士法案を提出して審議をしろ、審議をしているということを、私は大臣にぜひとも知っていただきたい。役所というものは、議員に対しては時間の約束は守らない、言っても来ない。とんでもない話ですよ。  事実関係、ちょっと調べて、ちゃんと対応するようにしていただけますでしょうか。
  71. 深谷隆司

    深谷国務大臣 弁理士法改正という大事な議論をする前に、質問をされる議員のところにお邪魔していろいろな質問の趣旨あるいは方向性についてしっかり聞くということは、役所の諸君が全力を挙げているところであります。  たまたまただいまお話のありましたことについて私は全く存じ上げませんけども、もしそのような失礼がありましたら、その御無礼はお許しいただきたいと思いますし、一体どんなふうであったかということは、私としては確かめてみたいと思います。
  72. 吉田治

    吉田(治)委員 これで終わります。
  73. 中山成彬

  74. 中山義活

    中山(義)委員 ただいまは森総理大臣よりずっと大きい方が迫力ある質問をしたので、私みたいに気の弱くてやせた者が質問するときはちょっと頼りないと思いますが、せいぜい力強く質問をさせていただきたいと思っております。  今回八十年ぶりの改正ということでありますが、大体、こういう産業に対する危機感というものがすごく満ち満ちて、何とかしよう、こういう意気込みが、どうも私は見えないような気がするわけでございます。産業再生法案とか、または産業技術力強化法案ですね、どんどんいろいろなものがばらばらに出てくるということで、もっと総合的にこういう問題を検討していかなければいけないと私は思うのですね。  そういう面では経済に対する危機感というのが一番大きな問題だと思うのですが、実は、昨日からずっと新聞を見ていますと、株の動きがすごく大きい。こういうものに対しても、日本の経済がどうやって対応しなきゃいけないか、そういう危機管理といいますか、官邸なんかも、いろいろ私ども新聞で見た限りは、どうも森総理にこの危機感が全然ないとか、こんな話も聞かれているわけですね。  もともと我々が産業技術力を、このようにアメリカから来たものを押し返そうとするのは、一九八五年のヤング・レポート、これは相当な資料を集めて、そして結果的には日本をこのように押し返してきたわけですね。ですから、今度の弁理士法が八十年ぶりに改正されるというのは、今ごろ気がついたのかという感が私はするわけですよ。  そういう面でまず堺屋長官に、初めに株価の問題、今回ばっと大暴落をした、これについてまず一言と、それと同時に、今回のパテント、プロパテント、この問題をアメリカが主力の問題として日本にぐっと押し返す、それを押し返すだけのやはり総合的な戦略的な考え方を日本政府が持っているか、この辺をお話しいただきたいと思います。
  75. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 まず、金曜日から昨日にかけて、アメリカ日本で起こりました株の問題でございますけれども、金曜日に六百ドルを超える下落がありました。株の水準が高かったから、比率でいうとそれほどでもありませんが、金額でいうと史上最高というような状態で、土日二日間、我々もいろいろと分析をいたしました。  私は、きのう、月曜日、日本の株がかなり下落いたしましたが、午前十一時ぐらいに記者会見をいたしまして、これは短期に収れんする可能性が高い、こう申し上げておったのでございますけれども、きょうはやや落ちついた。きのうのニューヨークからヨーロッパ、そしてきょうの東京株式は二十円ほど上がっている。一時もうちょっと上がっておりましたが、比較的落ちついた動きになっております。  この株の問題でやはり注目されるところは、委員指摘のように、パテントを持ったような、いわゆるネットビジネスとかハイテクビジネスが非常に値上がりをしている、こういうところにアメリカ経済の知価、知恵の値打ちに対する評価が非常に高まっている、それがある意味では行き過ぎた面もあるのではないかというようなところだろうと思います。日本でも同じような傾向は多少あると思います。  振り返って、産業技術の問題を考えますと、日本の製造業は、明治以来営々と外国の技術を取り入れて発展してまいりましたが、一九八〇年代には、規格大量生産の技術において世界で最も完備した国になりました。これは単に産業技術だけではなしに、産業の構造や教育状況、あるいは日本人の勤労の資質に至るまで、すべて規格大量生産向けにいたしまして、これを完成させたわけでございます。その結果、日本は規格大量生産品では世界一の競争力を誇るようになりまして、輸出も大いに伸びました。  ところが、最近になりまして、規格大量生産品では、低コスト競争という点になりますとアジアの国々から挑戦を受ける、さりとて技術集約的な高付加価値あるいはソフトウエア産業ということになりますと欧米先進国との厳しい競争にさらされる、そういう点で、非常に日本産業構造の転換期を迎えていると思います。  さらに、これから少子高齢化によって人口が減少する、あるいは環境問題、エネルギー問題など、経済成長に対する制約要因も出てくるというようなことを考えますと、これからも日本が世界経済の一流のプレーヤーとして、世界経済の主要なプレーヤーとしてとどまっていくためには、やはりIT革命を中心といたしました産業構造、技術革新を全面的に進めて、新たな経済発展を試みなければならないと考えています。そのためには、高齢化社会に対する対応、環境との調和といったような社会システム全体の問題、一つ一つの技術あるいは特許の問題ではなしに、産業構造全体の問題を課題として解決することが不可欠です。  このために、産業技術力強化策として、昨年来総理大臣が主宰いたします産業競争力会議において官民が協力して総合的な検討をしているところでありまして、その結果は、昨年の通常国会で成立させていただきました産業再生法あるいは今国会審議していただいております産業技術力強化法案というようなものとなって、一つずつ結実してきているところだと思います。  さらに、この産業競争力会議におきましては、産学官がイコールパートナーとして英知を結集する国家産業技術戦略を取りまとめられたところでございます。  今後もこういった総合的、長期的な視野に立って、産業競争力の強化というのは十分に果たしていかなければいけない、これは委員指摘のとおりだと考えております。
  76. 中山義活

    中山(義)委員 とにかく、今まで見ていますと、産業再生法案が出て、それからその前にTLOだとかなんだとかと、いろいろなものがばらばらに出てきているわけですね。総合的にプロパテント、いわゆるパテントをどうやって活用していくか。そしてまた、これを活用してアメリカは経済を立て直してきたわけですね。こういうことから見れば、日本がもっと早く考えていかなければいけないような問題だったと思うのですね。しかも今回は、また最後に弁理士法改正、八十年ぶり。こういうことでは、いつもおくれをとってしまうと思うんですね。  さっき言ったのは、官邸ですら、何か株に対するコメントが、いや、株は自由市場経済に任せておけばいいというような単純な発想ですよ。政調会長の方から何かいろいろ意見があったそうですが、一兆円だとかなんとかと、お金まで出てきて、何とか市場に介入するような話もしましたけれども、やはり経済に対する危機管理、こういうものが足りないんじゃないかと思うんですね。  そういう面では通産大臣、今長官がいろいろ話しましたけれども、通産省としてもうちょっと、今回の弁理士法の改正に伴って、これが最後なのか、これでいよいよプロパテントの政策、これが全部終わって、これからアメリカ産業を押し戻していく、こういう原動力になるのかどうか、その辺はどうでしょうか。
  77. 深谷隆司

    深谷国務大臣 まず第一に申し上げることは、何事もそうでありますが、これが最後ということはあり得ないことであって、今日の時点で最大の条件を満たそうということですから、これからまだ問題が起きればさらに政策的な追加を行うことは当然のことだと思います。  また、危機管理の問題が出ましたけれども、官邸における危機管理、例えば災害その他もろもろあります。あるいは経済的な危機に対してどう対応するかということもありますが、しかし、基本的に、例えば市場の動きに対して、そのたびに危機管理で官邸が動くということは正しくありません。  先週のアメリカの株の下落につきましても、いろいろな見方がありました。ブラックマンデーが再び起こるのではないかという考えもありました。しかし、一方においては、八七年の当時とは全く違うのは、アメリカが財政的に非常にきちんとしているというような、そういう環境が全く違う。したがって、ここはむしろ落ちついて注視していくのが対応のあり方ではないかということでございまして、そういう点では、私は、官邸や通産省がこのことで動いたり、あるいは驚いたりするというのは、むしろ危機管理でいったら逆の立場ではないかと思う。  しかし、そういうときに政党として動くということは十分考えられるわけであって、亀井政調会長を中心とした、どう対応しようかという動きがあって、あれはあれなりの正しさがあるのではないかというふうに理解します。
  78. 中山義活

    中山(義)委員 今の通産大臣の発言ですが、堺屋長官はどうですか。
  79. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 先ほども申し上げましたように、株につきましては、私たちは注意深く観察はしております。  しかし、その判断として、今直ちにどのような行動をすべきか、これは次の、別の問題でございまして、決して日本政府として無関心でいたとか、どこかに情報が入らなかったとかいうことではなくして、情報はきちんとその都度とりまして、その判断をした結果、今は冷静に対応すべきだという結論を出しておりました。
  80. 中山義活

    中山(義)委員 ゼロ金利の問題とか、日本もそれによってまたさらにゼロ金利でしばらくいろとか、いろいろな圧力も逆に加わってきた、こういうふうに見ているんですが、とにかく、経済という問題は毎日のように動いているだけに、有珠山が急に爆発するのと同じで、やはり何かが起こったら大変だという危機管理は、常に持っておく必要があると思うんですね。確かに、言葉の上で一々総理大臣がコメントを挟む必要はないかもしれないけれども、本当に危機感というものを持ちながら経済というものをやっていかなきゃいけないと私は常に思うわけです。  私どもが、今回こういうような論議になる前に、産業再生法案のときから言っているんですが、またあのときも、重厚長大、そういうものに、三つの過剰があって、そういうところを援助していくんだというような趣旨のあれがあって、やはり今の時代は軽薄短小になってきて、だんだん知恵時代になってきているんだ。ヤング・レポートの中で、もうアメリカは謙虚に今までのアメリカの経済、アメリカのやり方を反省して、そしてちゃんとした戦略というものを出してきているわけですね。日本にはどうもそういうようなプロジェクトがないような気がするんですね、本当に日本は何をやるべきか。TLOなんか随分前にできましたけれども、なかなか機能していかない。  だから、今回のTLOに関しても、では、弁理士さんがどういうふうにかかわってくるのかとか、いろいろな総合的な問題をもっと早く出していなきゃおかしいと思うんですね。しかも、弁理士さんの改正は八十年ぶりだ。やはり、特許に関する、またはプロパテントに対する考え方が甘かったと言わざるを得ないんですが、とにかく、相手側にパテントが行った場合には、これは大変脅威になりますね。しかし、自分のところでパテントを取れば経済に大変大きな力を発揮する、これは当然、今の世界経済の中では世界的な認識だというふうに思うんです。  今回、そういう面では、ただこの弁理士さんの数をふやせばいいというような趣旨ではないと思うんですね。当然、どうやって弁理士さんというものを考えるかというところが問題点だと思うんです。それと同時に、弁理士さんはやはり大きな産業技術力を伸ばすための手段だと思うんですね。そういう面では、弁理士さんをどう活用していくかというところが一番大きな論点であるというふうに思います。  先ほど言葉の問題もありました。日本人が本当に弁理士さんというものを意識しているかどうかということも問題だと思うんですよ。一般の方が弁理士さんと弁護士さんを間違っていたり、うちの秘書じゃないけれども、弁理士さんと言ったら、字を書いたら便利の便を書いている。それが今現実かもしれない。だけれども、それじゃ困るんですよ。本当にすべての人たちに弁理士さんの立場とか、何をやっているかというのをもっと認識させなきゃいけないと思うんですね。そういう時代ですよ。本当にプロパテント、パテントを、また世界の経済の中で日本がそれを一番重要なものとして、知恵時代でそれを生かしていくんだとしたら、弁理士さんの職業はどういう職業で、どういうことをやっているのか、そういうことを学校教育の中でもやっていかなきゃいけないと思うんですよ。  今の学校教育の中では民間の方が教育に行ってもいいんですから、たまには小学校なんかに弁理士さんが行って、いかにパテントというものが重要であるか、こんなこともしなきゃいけないと思う。この辺、通産大臣、いかがでしょうか。
  81. 深谷隆司

    深谷国務大臣 前半のお話の中で、遅きに失した、そういう御発言がありました。そういう見方もあるかもしれません。  ただ、日本の経済、産業の歩みを振り返ってみますと、どちらかというと、日本はプロセスイノベーションが得意でございました。つまり、いろいろな他の国の、あるいは他の人たちが考え出したものをどう改良して効率化を図り、値段を安くつくっていくかというこの技術に非常にすぐれていて、これがむしろ中心になっていたのですね。しかし、これからはプロダクトイノベーション、新しいものをつくり出していくという時代に変わってきた。これはやはり日本産業、経済の流れの中の大きな変化だと思います。  そういうプロダクトイノベーションの時代になってまいりますれば、必要なのは弁理士皆さん方の御活躍によっていろいろなアイデアが、単に知的財産としてとどまるのでなくて、それをさらに活用していく、事業化していく、そういう方向まで導いていくような、そんな状況をつくっていかなければならないというのが今日の弁理士法改正につながる私は流れだろうというふうに思います。  中山委員の御指摘のように、弁理士という言葉で聞いた場合に、どこまで大勢の人が理解しているかということについては、私もまだまだ理解が非常に足らないだろうと思っていますね。そういう意味では、学校の教育等において積極的にやはりこれらについての指導をしていくということは、お説のとおりだと思います。  今私たちとしましては、小学生、中学生、高校生、あるいは大学向けのパンフレットを相当数出したり、あるいは研修会その他を開催いたしまして、この弁理士という存在、知的財産というのはいかに大事かというような状況、これらを教育の中できちっとしていくということに全力を挙げるべきだと考えます。
  82. 中山義活

    中山(義)委員 私は、前回の技術力の問題のときにも言ったのですが、とにかく、教育という中に、やはり知的財産権というのはどういうものであるかしっかり把握をしてもらいたいと思うんですね。憲法と教育というのは僕は対峙したものだと思うんですね。また、同等なものだと思うんです、教育法というのは。その下に、刑法があったり民法があったりするんだと思うんです。教育の中で、やはり人に先駆けて新しいものを発明する力、すごく大事だと思うんですね。この辺を教育の中にしっかり取り入れなきゃいけない。同時に、憲法の中にも知的財産権、または特許、こういうものが、やはり人に先駆けてやっていく。  今の日本人に欠けたところは、さっき言ったように、どこかでトランジスタラジオを持ってきて、それを分解して、もっと安くできる方法はないか、大量生産できる方法はないか、そうやって産業を伸ばしてきた、そういう戦後の、ある意味では発展途上の時期があったわけですね。しかし、今は違うんだ、もうトップランナーにならなきゃいけない。そういう観点からいえば、知的財産権とか特許というものは憲法上の問題でもあると思うんですね。そのくらい日本人が、やはり大きな問題としてこれをとらえていかなければいけないと私は思うのです。  それで、教育の中でも、特許を取るということはどれだけすばらしいことか。もっとさかのぼっていけば、我々の教育の本の中には、エジソンであるとかライト兄弟であるとか、新しいものを発明したことがどんなに立派に世界に貢献したかということが書かれているわけですね。  そういう面では、通産大臣堺屋長官に、これは憲法上の問題ぐらいに大きな問題だ、それから日本の目標だ、こんなふうに思うのですが、いかがでしょうか。どちらもお答え願いたいと思います。
  83. 深谷隆司

    深谷国務大臣 前段のお話の中に、誤解を招くといけませんからあえて申し上げますけれども、プロセスイノベーションというのも日本としての大きな特徴であり、力でございますから、これからも全く大事でございます。それに加えて、プロダクトイノベーションというものを考えていくという意味でありまして、時代が変わって、前段を捨てて次の方に走っていくということでは全くないことだけ、あえて申し添えさせていただきたいと思います。  また、憲法に載せるぐらい重要な問題であるという、認識としては私も同感であります。アメリカにおいては、たしかカーターの時代からレーガンの時代に移る、そのころにこの問題が大きくクローズアップされて、むしろアメリカの経済を再起させるためにはこれを先頭に立てるべきだというので、大変な勢いで努力をいたしたわけであります。そういう意味では、我が国のこれからの考え方としても、おっしゃるように憲法に明示するぐらいの重きものかもしれませんが、しかし、憲法論議はこれから十分やろうということでありますから、それは直ちに憲法改正という話ではありませんけれども、重要さという認識においては委員と同感であります。
  84. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 今、通産大臣が御答弁されましたように、アメリカでもこの問題が重大になってきたのは、カーター政権の終わりからレーガン政権の間、つまり、アメリカの規格大量生産社会というのが日本やヨーロッパの追い上げで下降線をたどって、これを知恵の値打ちで持ち返さなければいけない、そういう発想がぐっと広がった時期であります。私は、その時期を観察いたしまして、一九八五年に「知価革命」という本を書いたのですが、まさにアメリカでこの知的所有権の範囲というのは非常に広がってきている。最近では、ビジネス特許なんというものもできているわけですね。そういうような、知的所有権というものに対する概念が変わった時期がありました。  日本は、社会全体が規格大量生産の時代が長く続いたものですから、いささかアメリカよりも危機感も遅かった。この点は委員指摘のとおりだと思うのですが、これからは、日本もこういう知的所有権というものを大事にして、そして、そこから新しい知恵の値打ち、これが経済の成長と企業の利益の源泉になっていく、そんな時代になってこようかと思います。  そういう意味で、遅いとは言われるかもしれませんが、今この時期に弁理士法も改正し、産業競争力というものを、単に製造技術だけではなしに、知的所有権に広げて考えようとしている段階だと御理解いただきたいと思います。
  85. 中山義活

    中山(義)委員 私は、弁理士法のこの改正の中に、やはりある意味では、特許というものの考え方のやはり集大成があると思うのですね、この中に。私は、自民党さんの議員さんはほとんど出席していないけれども、やはりもうちょっと、この特許という問題は、これからの日本の一番生きていく……(発言する者あり)今、急に来ましたね。やはりそういうものだと思いますよ。  特許がどれだけ大事であるかという認識をこの委員会でやはり論議すべきだ、私はそのように思っているのでございまして、とにかくこの特許の問題について、日本アメリカの格差といいますか、その認識の差というのは随分あると思うのですね。  例えば、訴訟の結果として金額なんかも、ある時期は、日本では五千万とかせいぜい四千万とか、そんなものですね。アメリカではもう三十億円。日本の医薬会社が一回三十億円ぐらい最近取られていますけれども、やはり外国と比べると随分、まだ日本の訴訟の結果的な賠償金額というのは、金額が低いのですね。その辺の認識日本アメリカではまだ差があるのじゃないか、こう思うのですが、実際の数字を出していただいて、それについてのコメントをいただきたいと思います。
  86. 茂木敏充

    茂木政務次官 特許の訴訟件数それから賠償額につきまして御質問いただいたわけでありますが、まず訴訟の件数につきまして、第一審という形で比較をしてみますと、米国の連邦地方裁判所における訴訟件数、一九九九年の会計年度の数字でありますが、これが八千二百四十二件に対しまして、我が国の地方裁判所における訴訟件数、平成十一年度でありますが、六百四十二件。こういった形で、十分の一以下であります。また、先ほど堺屋長官の方からもございましたが、ビジネスモデル特許に関しても、最近アメリカの方では訴訟等々も起こっております。  そこの中で、損害の賠償額に関する統計、これはきちっとしたものはないわけでありますが、今委員の方から御指摘いただきました数字、日本の方が四千万から五千万、これは多分、民間の機関の調査によりますと、一九九〇年代の前半で大体日本が四千六百万円等々のデータもございます。これに対しましてアメリカの方は、御指摘のようにそれより圧倒的な高い金額になっておりまして、知的財産関連の高額訴訟、この事件の平均の賠償金額につきまして米国の数字を調べてみますと、大体九千二百万ドル、日本円にしますと百十億円、こういう、随分アメリカの方が高額でございます。  ただし、ここ数年我が国におきましても、特許を重視する政策、こういったものが徐々に浸透してきておりまして、平成十年十月、胃潰瘍の薬の成分に関する製造方法の特許の侵害事件につきましては、約三十億円の賠償額を認めた判決等々も出されておりまして、高額の賠償額を認める判決も日本ではふえてきている、このように認識をいたしております。
  87. 中山義活

    中山(義)委員 今、三十億の賠償金を認めたという話がありましたけれども、これなんかも、ある意味ではびっくりしているわけですよ。しかし、外国との交渉だとかアメリカへ行ったら、びっくりする話ではないのですね。つまり、それだけ、トップランナーじゃなくてセカンドランナーで、人の考えたものを使うということはコストがかかるということが、やはり日本の国民に大分浸透してきたと思うのですね。  それから、アップルコンピュータのiMacなんかでも、この間差しとめがありましたね。やはり、だんだんこういうことが新聞紙上で話題になってくれば少しはわかっていただけると思うのですが、とにかく、外国では百億円、日本ではまだ五、六千万だというようなことですと、やはり認識の差がこれだけあるわけですから、何かやったときに、一遍に百億円取られた、しかもずっと考えてやってきた、すべてのつぎ込んだお金が、結果的には賠償金で全部パアになっちゃった、こんなこともあり得るわけですよ。  そういう面では、これからのパテント、プロパテントのことについては、弁理士さんをふやすということは、単に特許の申請に行くだけじゃなくて、いろいろな活用の仕方があると思うのですね。そういう面では、これからの弁理士さんのあり方と同時に、弁理士さんをふやすというのはどこにやはり一番大きな力点が置かれているのか、この辺の御説明をお願いします。
  88. 茂木敏充

    茂木政務次官 これから弁理士の数をふやしていく、これは、今委員の方から御指摘ございましたように、アメリカがプロパテント政策をとる、そういったことに対抗していく意味でも、大体数字的に一対五ぐらいの比率である、これは埋めていくということがございますし、さらにその根底で申し上げますと、日本としても知的財産に対するよりしっかりとした取り組みをし、しかも弁理士さんだけではなくて、それにかかわる企業であったりとか一般の国民の皆さんにも、この知的財産に対する重要性、こういう認識を普及する意味でも大変重要な意味合いを持っておる、このように考えております。
  89. 中山義活

    中山(義)委員 僕は、弁理士さんの数をふやすというのは、特許庁へ行っていろいろ申請するとかなんとか、これは一つの独占業務としてありますが、私たちが大事にしたいのは、やはり、特許というものがどういうものであるのか、または特許によってどういうものが生まれてくるのか、または、それで訴訟だとかなんとかになったときにどうするのか、いろいろな問題があると思うのですね。  私は、これからやはり起こり得ることというのは、知らないで人のパテントを使ってみたり、いわゆる悪用するとか、それに近いものをつくるとか、いろいろな問題点が出てきて、日本の中でも訴訟が起こると思うんですね。訴訟はいいんですが、そのパテントを持っている側からも、訴えられた側も、すごく長い、弁護士さんや何かをいろいろお願いしてやっていると、大変時間もかかるし、お金もかかるということがある。そうすると、裁判に行く前に、裁判外の調停であるとか、裁判に行かないまでもいろいろな相談ができるとか、または、裁判の前に本当に和解させて、お互いにこの辺で、お互いに商売なんだから手を打ってやっていきなさいよとか、そういうようなことまで可能になると思うんですね。  その辺での活用の仕方と申しますか、弁理士さんがそういうところまでこれから入っていくだろうと思うんですが、その辺の職域拡大について御説明いただきたいと思います。
  90. 茂木敏充

    茂木政務次官 知的財産権専門家としての弁理士でございますが、今回の法改正によりまして主要な法的なサービスまで行える、こういう改正をさせていただくわけでありまして、これによりまして、裁判前の段階で、その特許を持つ企業もしくは利用したいと考えている企業に対するさまざまな事前のサービスも行える、こういう環境が整ってまいる、このように考えております。
  91. 中山義活

    中山(義)委員 なぜこういう質問をしたかといいますと、申請をする仕事や何かは数をふやせば確かにそれで有効に生きるんですが、これから起きてくることというのはやはり紛争だと思うんですよね。その紛争に対して、弁護士さんの数は限られていますし、今度は弁理士さんもそれに一緒にやっていけるということで、私たちは、紛争そのもの、または紛争前、または紛争になりそうなものをうまく調停していく、そういう役目もぜひ担ってもらいたいと思うんですが、役所の方の考え方としては、弁理士さんの数をふやすというただ量的なものでは、今はペーパーレスの時代ですから、直接インターネットによって申請するようなケースも出てくると思うんですよ。そういう面では、申請ということだけ考えてみると、案外、弁理士さんの数はそんなにふやしてもと思うんですね。  しかし、同時に、弁理士さんの仕事というのは別な方向にもっと領域がある、私はこのように考えているんですけれども、いかがでしょうか。
  92. 茂木敏充

    茂木政務次官 委員指摘の点もあると思いますし、ただ、日本でも非常に今特許に関しまして、これが申請してから実際に許可がおりるまでの期間がかかる、こういうところもございまして、実際の申請業務等々でも量的な拡大は必要だと思っております。  しかし、同時に、委員指摘のような形で知的財産権等々に対する普及をする、また、裁判前でのさまざまな意味での企業に対するアドバイスを行っていく、こういう意味でも今後弁理士の役割は大変大きくなってくる、このように考えております。
  93. 中山義活

    中山(義)委員 そうすると、さっきの吉田委員と同じになっちゃうんですが、いろいろな業務拡大をしていきますと、結果的に見ると、やはり弁理士さんの質の問題が問われてくると思うんですね。研さんですね、そしてやはり講習会やいろいろやる。  特に私が危惧しているのは、どっちかというと弁理士さんは理科系が多いと思うんですよ。しかしながら、マネジメントだとか、あるパテントを商品化して、製品化して、それを売ったりなんかするそういうルートであるとか、または、パテントというものを、これはすばらしいものだからということで、例えば政府系の金融機関に持っていって、これでお金をこのくらい出してもらいたい、このパテントはこのくらいのお金を生む可能性があるとかというようなもので、文科系の、文科系と言うとおかしいですが、そういう方にもこれからは道が開けるのかどうか。  やはり今のいろいろな御相談というのは、どっちかというと法律的な相談も多いだろうし、これは弁護士さんと一緒にやるとしても、物を売っていくマネジメント、こういう面についてはどのようにお考えでしょうか。
  94. 細田博之

    細田政務次官 弁理士の試験におきましては、選択の科目には法律系の科目を選択することもできますし、しかし、もちろん技術的な素養もなきゃいけませんのでなかなか難しい面もございますが、文科系の人にも道が開かれていると考えております。
  95. 中山義活

    中山(義)委員 裁判に関しましても弁理士さんが今度出席できるわけですが、そうすると、ちょっと考えてみると、何か弁護士さんと弁理士さんで、言い方は悪いんですけれども、足して一人前みたいな形で考えていられるのか。弁理士さんと弁護士さんの独占業務がありますね、裁判等の。この弁護士さんの独占業務弁理士さんの独占業務、これはちゃんとうまく分けちゃっているんですか、それとも、ある意味では同じようなところがうんとあるんだということなんでしょうか。
  96. 細田博之

    細田政務次官 改正後の問題といたしまして、これまでは弁護士さんの方でやっておられた業務につきましても、工業所有権の問題あるいは半導体チップ著作権問題等々について、あるいは裁判が起こるような紛争処理の問題においても、仲裁代理というような面において特に弁理士さんの活動範囲を広げておるわけでございます。
  97. 中山義活

    中山(義)委員 これはあれですか、今言った弁護士さんの独占業務に対して弁理士さんが入ってきた、そういうことですか。そこに入っているということですか。
  98. 細田博之

    細田政務次官 弁護士会などともよく調整をいたしまして、先ほど申しましたような分野についての弁理士の役割について了解を得ているわけでございます。
  99. 中山義活

    中山(義)委員 さっき言ったパテントアトーニーパテントエージェントと分けますと、弁護士さんと弁理士さんと一緒になるとパテントアトーニーのような活動ができる、こういう判断をしていいんですか。
  100. 細田博之

    細田政務次官 日本では、弁護士弁理士資格を両方取っておりますとパテントアトーニーということになります。
  101. 中山義活

    中山(義)委員 私が言っているのは、弁護士さんと弁理士さんが一緒に裁判に出るとパテントアトーニーみたいな力が発揮できるわけですね、現実は。というと、外国では一人でやっているのに、二人でやっていることになりますね。それか、今の見解としては、パテントエージェント弁護士さんと一緒になるとパテントアトーニー仕事ができる、こういうふうに言っているのか、その辺がよくわからないんですけれども。
  102. 細田博之

    細田政務次官 おっしゃいますように、一緒に相互補完し合いながらやれば同じ役割が果たせるということで、これからできるだけそういう連携関係も深めていただきたいと思っています。
  103. 中山義活

    中山(義)委員 私たちはなぜこういうことを言うかというと、やはり弁理士さんに本当に権限を強化してもらって、パテント、プロパテント、これは本当に、何というんですか、力強くアメリカ経済に打ちかっていくぐらいの迫力のある今回の改正であってほしい、それにはやはり今回ので弁理士さんを活用していくんだ、とにかく権限を与えてやらせていくんだ、こういうような迫力が欲しいんですよ。  大臣、その辺どうでしょうか。少し弁理士さんを、せっかくここで八十年ぶりに改正するんですからね。遅きに失したと思うんですよ。
  104. 深谷隆司

    深谷国務大臣 弁護士法という法律があって弁護士さんの枠というのは決まっているわけですが、今日の状況を踏まえて、弁理士さんがどこまで入れるかということの境界線で随分いろいろな話し合いをしたんです。そして、その結果が、ただいま細田政務次官が言いましたようなそういう分野にまで行ったわけでして、それ以上超えて弁護士と競合するような形になることは必ずしも今日の時点で考えるべきことではないように思います。  しかし、実際問題としましては、いざ紛争のような状況になりました場合には、一体となって協力してやっていかなければなかなか解決できないという実態はあるだろうと思います。
  105. 中山義活

    中山(義)委員 私は今回、さっき言ったように、八十年ぶりで遅きに失したと言っているのは、ここでやったのですから、やはり弁理士さんには十分活動してもらわなければならない。特に、申請する業務だとかそういうものよりも、むしろ弁護士さんと同じぐらいの力を持って、しっかり日本のプロパテント、頑張っていただきたいわけですね。そういう面で私はお話をしているのです。  ですから、逆に言いますと、特許庁に行ったり文化庁に行ったりなんかしてやるそういう申請の仕事に余り重点を置いているのじゃなくて、この辺は少しほかの士業仕事を譲ったっていいと思うのですよ。むしろ弁理士の皆さんは誇りを持って、日本産業はおれたちが支えているんだ、このくらいの気迫でやってもらいたいし、また、そういう面での権限拡大を私たちはお願いしているのです。  例えば行政書士さんなんかは、知的所有権の中で著作権がありますね、こういうものに関しては、これは相手が文化庁ですから、こういうようなことはできる限り、訴訟があれば当然弁護士さんの独占業務ではありますが、行政書士さんなんか日本全国で三万五千人もいるわけですよ、むしろそういう職域を行政書士さんに広げていただく。そういう面で、そっちの方はある程度任せるところは任せていくことが必要だと私は思うのです。むしろ弁理士さんのやる仕事というのは、ある意味では弁護士さんの独占業務の領域まで入って、とにかく特許に関してはおれたちは専門家だ、何でもできるというような研さんとそしてまた気迫を持ってもらいたいと思うのです。  この辺はどうですか。行政書士さんあたりに著作権なんかは任せたっていいのじゃないですかね、あっちの方は。
  106. 細田博之

    細田政務次官 行政書士さんのお仕事、それから弁理士さんのお仕事、若干の調整を要するところもございまして、そしてこのたびは、現在の弁理士の独占業務のうち、例えば特許料の納付手続、特許権等の移転登録の申請手続等の権利の内容が確定した後の形式的な手続については、必ずしも知的財産権に関し高度に専門的な知見を有しない場合であっても行うことができると考えまして、今回の法案におきまして、独占業務から除外するというような措置を講じておるわけでございます。
  107. 中山義活

    中山(義)委員 私はよく、士業の垣根は取り払って、なるべくお互いに融通し合えるところは融通していった方がいいのじゃないかと。特に、弁理士さんの数が少ないからふやそうというわけでしょう。だけれども、ふやすよりも、今ある行政書士さんにある部分の仕事をやってもらって、本来弁理士さんのやる仕事というのは、今回極めて領域が広くて大きくなってきていると思うのですね、職域が広がってますから。特に、企業が他社から警告を受けた場合だとか競合他社の権利取得に対抗する方法だとか、これからは企業間の争いまたは国と国との争い、いろいろなことが出てくると思うのですね。そういう面では弁理士さんの仕事は多忙をきわめるし、研修もやっていかないとこれからの新しいプロパテントに対応できませんよ。  そういう面から見れば、申請や何かの、ある業務についてはむしろ行政書士さんに譲るべきだと僕は思うのですね。それだけ弁理士さんの仕事を我々は重要視しているのですよ。弁護士さんの独占業務と相当共通する部分があって、プロパテントのことに関してはむしろ我々の方が専門家だ、このくらいの自負を持ってもらいたいのです。  再度申し上げますが、ほかの、司法書士さんなんかもあるでしょうが、そういう垣根についてもうちょっとお互いに融通し合えばいいのじゃないかと思うのだけれども、そういうような総合的な調整というのはできないのですか。法務省の方はどうですか。
  108. 房村精一

    ○房村政府参考人 ただいま委員から御指摘のありました行政書士あるいは司法書士のような隣接専門職種の方々にどのような法的サービスを担っていただくかということは、国民に利用しやすい司法制度を実現するという観点から見ますと、非常に大きな課題であろうと思っております。  その点に関しまして、内閣に設置されました司法制度改革審議会においても現在審議をしているところでございますが、昨年の暮れに発表いたしました論点整理、その中にも弁護士と隣接法律専門職種との関係という項目が掲げられております。  この問題につきましては、国民が司法サービスを利用する、どうしたら利用しやすくなるかという観点が非常に大きな観点だろうと思いますが、しかし同時に、法律サービスというものは他人の権利義務に関係していくということになりますので、そういう関係する人の権利、利益を損なうことがあってはならないわけでありますので、その担う方々の能力的担保をどうするかという問題もございます。  そういういろいろな問題を含んでいる大きな課題でありますので、この審議会において、国民的見地に立って今後その審議が続けられると思われます。法務省といたしましても、この審議が充実したものになるように全面的に協力をしてまいる所存でございます。
  109. 中山義活

    中山(義)委員 ですから、弁理士さんだけの領域を拡大していけば、当然、人数が足りないなら量もふやさなければならない、それから研さんもやってくれ、講習会もどんどんやってくれ、それは弁理士会でやってくれ、いろいろな要求をしているけれども、やはり業務を拡大するとともに、弁理士さんの本来の仕事日本産業のためにやってもらう仕事とちょっと違うような部分については、そこの垣根を払って、ほかの行政書士さんにやってもらうとか、同時に法律を改正していくようなことが大事なんじゃないかと思うのです。  弁理士法だけを改正してしまうから、あとのほかの方はそのままにしてしまう。そうすると、弁護士さんの独占業務からちょっと弁理士さんの独占業務が伸びてきて、例えば著作権なんかについてもいろいろある。  最近、著作権なんかについても登録するようになるでしょう。前は著作権というのは、自分がつくった時点でそういう権利がもう発生しているわけですよ。ほかの人が何かやったときに問題が起きるから、訴訟という問題で弁護士さんがやっていた。しかし、今はもうそうじゃないのです。著作権の問題も、一応登録したりして自分の権利確保したりするのですから、そういう業務や何かについては行政書士さんがやったっていいと私は思うのです。  私は、弁理士さんの職域を縮めろとかそんなことを言っているのじゃない。弁理士さんの仕事がこれから極めて重要な仕事になって多忙になるだろうし、勉強もしなければならないだろうし、世界に伍してやっていくために弁理士さんの仕事は大変ですよ、だから、ほかの仕事を行政書士さんや何かにやってもらったらいかがですか、こういう趣旨の質問なんですが、答弁をお願いします。
  110. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今法務省からもお話がありましたように、垣根の問題をどう解決していくかというのは、弁護士会の立場、行政書士会の立場弁理士会の立場、それぞれが長年の経験の中で仕事をしているわけで、大変微妙であります。  今のお話でございますと、例えば弁理士の専権であったものを行政書士に開放しろというのですが、これは、今回は若干の猶予を残してはおりますけれども、それは弁理士会の皆様の納得できる話でもありませんし、弁護士さんの今までやっていた仕事の中に弁理士が仲裁代理ということで、裁判の外だけだったのが今度は中に入ってくる、これも弁護士会から言わせれば大変なことでございました。  そういう調整をしながら、今日の知的財産権を守っていく、あるいはそれを産業の土台にしていくためにはどういう整合性を持たせるかというところで、今日の着地点がようやくできたということでありますので、言われる御趣旨はよくわかりますけれども、今回はこういう状況ですから。これからさらに一層検討していく余地は残っているのではないかと思います。
  111. 中山義活

    中山(義)委員 やはり弁理士さんの理想とするところはパテントアトーニーというところだと思うのですね。そういう面では、しっかりとしたパテントに対する考えと知識と認識と、それから力がなければいけないわけですね。そのためには、今までやった仕事の中でほかにも任せられるものは任せて、もっと重要な仕事をやってもらおうという意味合いで私は言っているのでございます。  これからも弁理士さんがますますパテントアトーニーという、パテントは全部、裁判でも何でもおれたちはできるぐらいの力があるんだという、そういう研さんをやっていただきたい、このように思うわけでございまして、日本産業、経済の発展は弁理士さんにかかっている、このような認識を皆さんにお持ちいただきたい、こんなふうに思っております。  以上です。
  112. 中山成彬

    中山委員長 塩田晋君。
  113. 塩田晋

    ○塩田委員 自由党の塩田晋でございます。  日本は、言うまでもなく資源のない、皆無と言っていいほどの国で、海洋国家でございます。したがって、貿易でもって付加価値を生み出すしかないわけでありまして、いわゆる貿易立国であることは言うまでもありません。資源がないといいましても、我が国には労働力という大きな資源があるわけでございまして、非常に高い資質を持っており、また、技術、技能も高いものがあるわけでございます。  そしてまた、情報や知識が大きな付加価値を生み出す、いわゆる知的財産時代になっておるわけでございまして、我が国産業の国際競争力を強化したり、あるいは中小企業等の活性化を図るためには、創造的な活動、すなわち技術開発の成果である知的財産を大事にしなければならない。この財産をふやしていくということが大きな我が国の当面する課題であると思います。  それにつきましては、今までよりも随分力を入れていただいておるわけでございますが、この知的財産を保護するだけでなくして、これを積極的に活用して、収益を生み出す新たな創造活動の源とする仕組みが必要であるわけでございまして、このために、知的財産の事業化、あるいは取引活動を支援する知的財産専門サービスの重要な担い手であります弁理士につきまして、規制の改革、競争促進、あるいは国民へのサービス等の向上の観点から、この業務を規制する弁理士法が八十年ぶりに全面的に改正されるということは、まことに時宜を得たものであると考えております。  そこで、法律案の内容につきましては、既に御説明があり、また議論がされておりますように、弁理士業務範囲の見直し、ユーザーニーズに対応した知的財産専門サービスの拡大ということが織り込まれておりますし、また、弁理士の独占業務と言われる特許権等の出願代理業務の一部を開放するということでございます。これも業界にとりましては、大変な決断であったと思うのでございます。約百億円の事業を開放するということでございまして、非常にその決断と見識に敬服するものでございます。  このほか、弁理士試験制度改革もありますし、また、総合的なサービス提供体制の実現ということで、弁理士事務所法人化、あるいはまた地方支所の開設等を解禁するとか、あるいは報酬額表の規定を削除するとか、その他弁理士の広告制限の撤廃等も行われるということで、この改正の内容につきましては全面的に賛成をするものでございます。  そこで、先ほど議論になっておりますところの弁理士業務といたしまして、特許侵害訴訟における訴訟代理業務を認めるべきだと考えます。これは現在、司法制度改革審議会におきまして、関係者が熱心に議論をされておるところでございますが、今年中にはその結論が出ることを期待しているものでございます。  この問題はまことに、もちはもち屋でという言葉がありますように、やはり専門的な業務について精通しておられる弁理士さんがやられることが実際的でありますし、また、サービスの向上、ユーザーに対するサービスという点からも、ぜひとも業務の範囲を拡大すべきである、このように考える次第でございまして、関係の各省庁におかれましても、積極的にこれに取り組んでいただきたいと考えます。  そこで、先ほど来申し上げました知的財産権の問題でございますが、我が国の貴重な資源でございますし、この知的財産をどんどんふやしていくということは我が国の国益に沿うものでございます。ただ、知的財産というものは、積まれて多くなればなるほどいいわけでございますけれども、これがやはりどんどん知的財産が新しく創造され、そして、それがまた積もって蓄えられるだけでなくして、これを利用する、活用されるということが大事でございます。  今回の法改正によりまして、契約代理等も弁理士業務となりますけれども、弁理士の活用を含めて、知的財産の未利用の部分をもっともっと産業化し、活用され、日本の経済の活性化に役立つように、弁理士業務でこれを活用することができないかどうか、この点について大臣にお伺いいたします。
  114. 深谷隆司

    深谷国務大臣 特許は、技術開発等の知的財産の活動のいわば結晶でございます。ただ、今委員指摘のように、我が国には、特許は出して特許権は得たけれども利用されていないというのが、九十万件のうちの約四十万件あると言われております。このせっかくの特許を未利用のまま置いておくというのはまことに残念でありますから、積極的に活用していくように努力をするということは、委員指摘のとおりだというふうに考えます。  我々としましては、せっかく知恵を出して特許を取ったわけですから、今度はこれを利用しようとする人とどうつなげていくかということの作業が大変大事になってまいります。通産省としては、特許導入に関する指導、相談を行う特許流通アドバイザーというのを各都道府県に派遣して、こうした引き合わせるという努力を通じて、過去二年半程度の期間に約百七十件の特許導入がまとまっているわけでございます。  今度の法律案に基づきまして、特許に精通している弁理士の皆様方にこのような仕事もあわせてやっていただく。つまり、弁理士さんの活用を図るということが非常に大事でございまして、そのために特許の移転に欠かせない契約代理や相談業務弁理士業務として明確に位置づけることにしたわけでありまして、これからぜひ、この法案を通した後、弁理士の皆様のこの点における活躍を期待したいと考えているところです。
  115. 塩田晋

    ○塩田委員 知的財産はどんどん新しくふえていくということが必要でございますし、また、それが単に蓄積されるだけでなくして大いに活用される、言うならば知的財産の流動化の時代に入っておるのだと思います。その点につきまして、弁理士を大いに活用されまして、それが促進されますように関係者の御支援をお願いいたします。  それから最後に、試験制度改革があるわけでございますが、弁理士の数がふえるということは非常に結構なことでございますが、試験制度改革によりましてこれが容易になる、資格を取るのが容易になるということでございますが、そのために片や質的に落ちてくるという危惧もあるわけでございまして、これを保持するためにはやはり研修を大いに行うべきだと思います。  また、これはちょっと別の話になりますけれども、試験制度につきましても、国が直接やるのではなくして、民間の関係団体に試験を委託するということをどのようにお考えか、お聞きいたしまして、質問を終わります。
  116. 細田博之

    細田政務次官 今回の弁理士法改正を受けて実施いたします弁理士試験制度改革におきましては、受験者層の増大とか、あるいは受験者に課されている過度の負担の軽減、科目数の減少によりまして、弁理士試験合格者の量的拡大を図ることとしております。  同時に、新たに弁理士に追加される業務の的確な遂行を確保するための措置を講じてまいります。  すなわち、第一に、弁理士試験で必要な手当て、著作権法を必須科目に追加するという手当てを行います。  第二に、既存の弁理士に対しましても、新たに追加される業務に必要な研修を義務づけることによりまして、必要な資質の担保を行うこととしておるわけでございます。  今後、塩田委員指摘のように、弁理士業務は技術の進歩によりましてますます多様化、高度化することが見込まれておりますので、単なる試験の問題だけではなくて、研修をどのように充実するかということが非常に重要になってくるわけでございまして、先ほど質問にもあったわけでございます。  弁理士会などの民間機関が実施いたします研修、それから、特許庁工業所有権研修所等の公的機関が実施している研修との間で、さまざまな講師の相互派遣を図るなどの連携を深めたいと思っております。  そのほかに、先ほどもお答え申し上げましたように、弁理士会の方で自主的にかなりの研修を行っておられますけれども、さらにいろいろな対策が必要である、充実が必要であるというようなことにつきましては、よく弁理士会との御相談をしながら、さらに研修を充実させてまいりたいと思っております。  なお、試験実施を民間委託するということにつきましては、中長期課題であるということで、今後検討してまいりたいと思います。
  117. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。
  118. 中山成彬

  119. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私は、弁理士さんのお仕事がどういうものかというのは、実はもう三十年ほど前になりますが、サラリーマンの時代に特許を申請するので弁理士事務所をお訪ねして、そこで、大体、自分が申請しようとしている特許の内容について、まずよく理解してもらわなきゃなりませんから、機械工学の分野から応用物理の分野に至るまで、原理から、どこがどう新しい工夫であるかとか、かなりお話をして、弁理士さんというのはかなり広い範囲をしっかり学び取り習得しなきゃいけないだけに、なかなか大変な仕事だなということを実は理解した次第です。  今回、この弁理士の皆さんの活躍分野を拡充しようという法律でありますから、賛成をするものです。その立場に立って、やはり弁理士の皆さんの活躍を保障していこうとしたときに、国の方としてどういう体制をとって考えていかなきゃいけないか、そこのところが一つ大事な問題になってくるというふうに思っております。  昨年の特許法改正案の審議のときに、政府は、日本知的財産権の保護強化政策、特許重視というプロパテント政策を進めるということを明らかにしました。このときに、早い、強い、広い保護を目指すとするからには、審査能力とそれを保障する体制が必要だということを私は主張しました。先日、参議院の質疑の中でも、通産大臣も、八〇年代のアメリカの貿易赤字解消の取り組みの中でプロパテント政策になったこと、その結果として特許商標庁の体制の強化など改正が行われた、こういうことを紹介をし、答弁をしておられました。  そこで、それでは、昨年の法律改正の後、プロパテント政策推進の立場を明確にしてから、審査はどの程度早くなったのか、まずこのことから伺いたいと思います。
  120. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 審査の期間の点のお尋ねでございます。  私ども、できるだけ早期の権利化にしようということで、早く審査するということを心がけておりまして、実は平成九年から、これは内部的な目標ではございますけれども、第一義的な審査のいわば反応といいましょうか、審査の結果の通知を、平成十二年の末までに十二カ月間とするということを自主的な目標としまして設定しまして、いわば審査期間の短縮に取り組んでまいったわけであります。その結果、意匠とか商標に関しましては、ほぼこの目標を達成できる程度に審査期間が短縮しつつあるというふうに考えております。  問題は特許でございますけれども、これにつきましても現在大変多くの審査案件を抱えておりまして、欧米に比べますと三倍近い一人当たりの年間処理量をこなしております。このように、数字としましては大変多い件数をいろいろな努力をしまして短縮した結果、平成八年には二十二カ月ぐらい一次審査までかかった期間が、平成十年ないしは十一年におきましては、十九カ月という点にまでは短縮したというのが最新の短縮の成果でございます。
  121. 吉井英勝

    吉井委員 特許と実用新案の出願、審査請求から、審査官による審査結果の最初の通知がなされるまでの期間、いわゆるファーストアクションまでの期間を、ことし十二月には十二カ月にするという目標を持ってやっているんだという今のお話ですが、それでは、現在、月々のファーストアクションの目標値が幾らなのか。また、実際の出願から審査開始までの期間は月々どのように推移していっているのか、この点を少し伺っておきたいと思います。
  122. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 月々の審査の件のお尋ねでございます。  平成十二年末に十二カ月という目標を持っておりますけれども、月々はいろいろ振れもございますので、毎月毎月具体的な目標を持って進めているということではなくて、全体としまして平成十二年末には十二カ月という目標を持っているということでございます。毎月毎月、月々の目標を持って管理をしているという状況ではございませんということを御理解いただきたいと思います。
  123. 吉井英勝

    吉井委員 ことしの十二月に十二カ月で、こう下がってくるわけですね、短縮されていく。そうすると、この月々の目標値というのは、仮に、目標を立てられたときから一直線で行ったとして、実際は件数が多いわけですから一直線よりもう少し上の方に膨らみながらおりていくのでしょうが、その場合、昨年の四月では大体目標値としては十八カ月、ことしの四月では十五カ月ぐらいに、一直線で結んだときですよ、それより高いかもしれませんが、これが目標値になってくると思うのですよ。  それに対して実績値の方は、昨年の四月で見れば二十カ月弱、しかし、申請もふえてきて、ことしの二月では二十一・五カ月、これが実績であるようにも皆さんの方から伺っておりますが、とてもことし十二月に十二カ月という目標には達しない、今のペースで行ったら。これはそういう状況なんじゃありませんか。
  124. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 御指摘の点は、率直に申し上げまして、特許、実用新案に関しましては、本年末までに平均的な一次審査期間を十二カ月にするということは大変困難な状況にあるというふうに思っております。  大変多くの未着手案件を抱えているといった点、ないしは最近、御承知のとおり遺伝子関連とかソフトウエア関連とか大変複雑な、もう何百ページという大きな案件もあったりするものでございますので、そういったこともございますので、率直に言いまして、この目標といいますのは現在のところ難しいのではないかというふうに感じております。
  125. 吉井英勝

    吉井委員 今おっしゃったように、出願もふえれば、出願の内容もなかなか複雑あるいは大部のものになってくる。しかし、それを処理するだけの審査官の方がふえていかないことには、目標は立てたんだというお話ですが十二カ月という目標は達成されない、めどは立たないわけですよ。  それから、二〇〇五年ビジョンの方では、リアルタイムオペレーション、すなわち特許出願が滞りなく審査過程に流れ、スムーズに権利付与の判断が行われるようにするというふうにしていらっしゃいますが、審査請求件数がどれぐらいふえるという見込みか。それを処理する、しかもリアルタイムで対応していくには、二〇〇五年にはどれぐらいの審査官の増員が必要とお考えなのか。その計画、見通しというものを聞かせてください。
  126. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 これからの審査件数の増加の見込みでございますけれども、私ども、一番大きな課題は、昨年の法律改正でやっていただきました審査請求期間の短縮というのがございまして、従来七年間だったものを三年間に大幅に短縮いたしております。技術進展の期間が大変短くなってきているといった要請にこたえまして、審査請求期間を短縮したわけでございますけれども、こうしますと一時的にしろかなり大幅に審査請求件数が増加するという問題も予想しておるわけでございます。  こういった点に関しまして、他方、審査官そのものの増加は、大変厳しいこのような定員状態もあるものでございますので、簡単でないということでございます。  そういう中でも最近少しずつは増加しておりますけれども、余り大幅な増加は期待できない状況でございますので、できるだけ外部のいろいろな機関を活用しまして、もちろん秘密保護等に十分意を用いた上でございますけれども、外部の機関の活用でありますとか、あるいは審査官、審判官の、いわば経験者の専門的な経験を生かしていただくといったこととか、さらに一層の機械化を進めるとか、こういったことによりましてできるだけ全体の短縮を図っていこうと思っております。  さらに、特に早期の審査が必要な案件といいますものを選択しまして、早期の審査が必要な案件につきましては、さらに一層そのニーズにこたえるべく、審査の迅速化を進めていこうというふうに思っております。
  127. 吉井英勝

    吉井委員 昨年、特許法の改正で短縮ということを掲げた。それから今回の弁理士法案で、弁理士の皆さんの活躍分野を拡充していく。試験制度も考えていくわけですが、それで技術の面でしっかりやっていこうということで、特許の申請件数もふえてくる。内容も複雑多岐にわたり、物によっては大部のものが出てくる。  しかし、審査官の方がきちんとふえていかなかったならば、実際には今年末の十二カ月というファーストアクションの目標値も達成できないし、それから二〇〇五年ビジョンのリアルタイムオペレーションというのも達成できない。これは法律では一応うたうのだけれども、実態が伴わないということになったら非常に無責任なことじゃないかと私は思うのですね。  アメリカの場合は、プロパテント政策を実施するのに必要な審査官を近い将来五千人にすると言われていますね。日本では、ことし十二月に十二カ月のファーストアクション目標を達成しよう。そうしたら、二〇〇五年はさることながら、せめてこのことし十二月の目標達成時に予想される審査請求件数はどれぐらい、その業務量をこなしていくには審査官の必要人数はどれぐらいになるか、きちっと見積もりを立てて考えないと進んでいかないと思うのですけれども、これはどういうふうになっているのですか。
  128. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 審査請求の件数の見通しでございますけれども、現状でも出願の四十万件に対しまして二十万件前後でございます。十九万件から二十万件でございますけれども、これは若干の増ということで、二十万から二十一万件ぐらいという想定で現在おるところでございます。
  129. 吉井英勝

    吉井委員 その業務量をこなしていく審査官の方は、少なくともどれぐらい必要だというふうにお考えですか。
  130. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 毎年大体二十万前後の審査請求がありまして、現在のところは二十二、三万件審査をしている状態でございまして、現在少しずつ、未着手のもの、つまり滞貨が減っている状況でございます。  今後も審査の複雑化等でさらに一層審査官の質的な充実も必要だと思っておりますけれども、なかなか、審査官の数を大幅にふやして、それですべての審査請求件数をさばくというのは難しいものでございますから、先ほど申しましたように、先行事例調査に関しまして外部の機関の専門的な能力を活用するとかそういったことを通じまして、いろいろな施策を総合しまして、全体としては審査請求のニーズに、しかも一定の質を保った状況で、ちゃんとした審査をするという前提で審査請求件数にも対応していこうというふうに考えております。
  131. 吉井英勝

    吉井委員 私は、もちろん審査官の方、数をふやしたら一遍にすぐ仕事がこなせるというふうに甘くはないと思っているのです。やはり蓄積していくことが非常に大事ですからね。経験、知識、その他の蓄積が大事な分野でもありますから。ただ、いずれにしても、本当にふやすということをやって、仕事をしながら蓄積をしていくということをやらないと、将来的に、二〇〇五年のビジョンと言っているものだって、全然、それは絵にかいたもちに終わるということにならざるを得ないというふうに思います。  昨年の質疑のときに、アメリカの審査官数は、八五年に千四百七十七人、九四年は千九百四十三人ということでしたが、今わかっている九八年には二千六百五十人になって、四年間でさらに七百七人ふえているのですね。三六・四%の増。  欧州特許庁でも、八五年に四百十一人、九四年に九百五十二人だったのが、九八年には千三十九人。ですから、九八年のデータをお聞きしたわけですが、最近の四年間でも九・一%、約一〇%近い伸び。  一方、日本では、八五年の八百六十五人が、九四年で千六十六人。九八年の数字では千七十八人で、四年間でわずかに十二名の増加、一・一%だけ。事実上ふえていないというのと同じだ、これが実態ではありませんか。
  132. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 今先生御指摘のとおりで、アメリカの数字は一九九八年におきまして二千六百五十名とおっしゃいましたが、そうでございます。欧州特許庁が千三十九人という数字でございます。日本はそれに対しまして、同じ年度におきましては千七十八名という数字でございます。  ただ、定員の関係につきましては、全体的に定員増加が大変厳しい中でありますが、おっしゃるとおり十分ではございませんけれども、若干は実は増加しているというところで、定員につきましても増加すべく最大限努力をしているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  133. 吉井英勝

    吉井委員 私は、こういう点では、規制緩和万能論だとか、行革というならば、汚職とか腐敗とかむだをなくして、必要なところはきちっと必要な人をふやすとか、ちゃんと体制をとるのが本来の行革だと思うのですが、とにかく人を削れば行革だ、何かそこに縛られてしまって必要なことが進まない、これは少し異常過ぎると思うんですよ。  審査官一人当たり処理件数で見ても、アメリカは九四年の八十九件が九八年には七十件となっているというふうに昨日も資料をいただきました。日本はまだこれが九八年で二百三十件という数字ですから、アメリカの三倍以上ですね。  そこで通産大臣、やはりプロパテントというからには、そして弁理士さんなんかの活躍の分野を拡充しようというからには、本気で審査官の抜本的な増員を図る。そして、本当にリアルタイムで対応できるような体制をきちんと、アメリカは五千名目標という数値目標も立ててやっているわけですけれども、やはりこういう分野では本当に幾らにするかという目標をきちっと立てて、そして人の養成も図りながらやっていく。これをやらないと進まないわけですが、ここは大臣、きちんとこれを増員してやっていくんだ、そこのところを大臣に伺っておきたいと思います。
  134. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員指摘のように、審査の処理を迅速に行うためには、的確な審査の確保担当者をふやすということが非常に重要なことであることは申すまでもありません。  この認識のもとで、通産省といたしましては、特許庁の定数をふやすために努力をしてまいりました。大変定員事情が厳しいという状態の中でありますが、十一年度の場合には、審査官が十一名、審判官六名の純増、平成十二年度の場合は、審査官七名、審判官二名の純増がそれぞれ認められまして、審判官では三百八十九名、審査官では千二百七十五名という数をただいま確保しております。  我々は、今委員指摘のように、一人でも多くふやすように全力を挙げてやっていかなければならないと思いますが、あわせて、やはり事務の機械化、あるいは先行事例の調査等については民間がある程度確保していただくということも考えていくべきでありますし、個々のクライアントの依頼で弁理士の皆さんが応じていくわけでありますが、その場合も、先行事例等々を勘案してまいりますと、既に出ているもの、出ていないもの、これはかなり整理されると思いますから、そういう意味では、人員確保も全力を挙げますが、総体的な形での改善を目指していかなければならないと思います。
  135. 吉井英勝

    吉井委員 次に、IPCCについてですが、ここは、特許庁の外注を受けて、Fターム付与、分類付与業務、それから先行技術調査などを行っているわけですが、特許庁からそこへ外部委託している金額は、九六年度の五十億が二〇〇〇年度には百十六億円と、五年間で二・三倍に急増しています。  公開前の案件を取り扱うという点で、秘密性を要するものを外部委託に回して、秘密性や公正さが守れるのかということが問題になってまいりますが、ここで仕事に当たるのは、首席部員の方が中心になって仕事をするということになると思いますが、これは間違いありませんね。
  136. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 工業所有権協力センターの件でございますけれども、そのとおりでございます。そういった人たちが中心的になっております。
  137. 吉井英勝

    吉井委員 それで、この首席部員の方は、これはまたいただいた数字では企業からの出向者が四百四十名ということですが、実はIPCCの方のデータを見せていただきますと、首席部員の年齢構成を見ると、定年前の企業の現役の人が四百四十八人、定年後の人や高齢の非常勤職員が百九十五人ですから、現職の企業の社員の出向が圧倒的なんですね。大企業知的財産部と常時コンタクトをとるとか、出向元企業に対して首席部員との定期的コンタクトを依頼しているというふうに、IPCCの事業概要などでも示しております。  これでいくと、出願した企業の秘密や公正さが本当に守られるのか、こういう問題が出てこようかと思いますが、これはきちっと守られるんですか。
  138. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 秘密の点でございますけれども、民間機関に委託する場合には最も秘密の保持が重要でございます。  秘密の確保に関しましては、平成二年に制定されました工業所有権に関する手続等の特例に関する法律、いわゆる特例法と申しておりますけれども、これに基づきまして、工業所有権協力センター、IPCCの役職員、それから役職員であった者に対しまして特許庁職員と同様の守秘義務を課しておりますので、そういう意味では、法律によりまして守秘義務を担保しているという点でございます。
  139. 吉井英勝

    吉井委員 ヨーロッパでは、DG1、DG2、これは国際公務員がやっているわけですね。このIPCCの業務内容などについても、ヨーロッパの場合国際公務員がやっているという分野が非常に多いわけです。  この外部委託料が五年間で六十億円余りもふえているわけですが、本来このお金は人件費に回したってきちんといけるわけですから、私は、やはり審査官の方を抜本的に増員するということでもって考えていくべきである。そして、守秘義務というものについていろいろ問題が出てくる分野について、やはり秘密、公正さがきちっと守られる体制というものを考えていかなきゃならぬと思います。  さて、二年前に日経ビジネス九八年五月十八日号と日経の九八年七月六日付などで、中小企業ベンチャー企業の特許と事業活動が大企業に侵害、圧迫されているということが紹介されました。  例えば、パソコンなど画像処理関連機器メーカーのケイオー電子工業、これは大阪の茨木にあるんですが、顕微鏡で撮影した半導体の微細な回路などをパソコンに表示するための画像処理機器に新しい機能を追加するための特許取得をやったわけです。この機能を搭載した装置をある大手メーカーを通じて販売していたんですが、その大手メーカーが同じ機能を持った装置を自社で開発した。そこでケイオー電子工業は、九六年五月に大手メーカーに特許侵害だと通知し、そうすると大手メーカーは、ケイオー電子工業が特許侵害で提訴するなら、ケイオー電子の特許を無効審判にかけるぞということを示唆しました。  特許無効となると、特許が売り物の製品の優位性は失われることになります。特許は、一たん成立後でも、他社がその技術の新規性などに疑問を呈して特許庁に無効を訴えてくると認められることが珍しくないわけですね。  大企業が資金力に物を言わせて中小企業の特許に挑んできたらこういうことになるわけですよ。だから、早い段階で周辺特許を押さえることなど、弁理士の皆さんを初め関係者の支援で中小企業の特許の防衛が実効性あるものになるようにしていかなきゃいけないと思うんです。この点でどんな中小企業の特許戦略の支援を行っていくのか、このことを伺いたいと思います。
  140. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 中小企業に対します特許の取得とか活用の支援の点のお尋ねでございますけれども、一つは、中小企業が特許出願を準備している段階でできるだけ効率的に出願ができるように、類似の技術が存在するかどうかにつきまして専門家が無料で相談するといったような体制もしいております。  それから、各都道府県の知的所有権センターを中心としまして、先ほどお話もありましたけれども、特許流通アドバイザーというものを派遣しまして、中小企業のいわば特許の活用と取得といったものにつきましても応援をしております。  また、特許の取得を少しでも容易にしようという観点から、平成十一年の特許法改正におきまして、特許を取得する資力の乏しい法人に関しましては特許料等の減免措置といったことも導入いたしまして、できるだけ特許の取得それから活用に関しまして中小企業の方々が利用しやすいような環境整備に努めている状況でございます。
  141. 吉井英勝

    吉井委員 お話を伺っているといろいろあるように聞こえてくるんですが、これも大阪の会社ですけれども、イーディーコントライブ社が電話回線を介してフロッピーディスクのデータを複写する装置を開発して、販売先の大手通信サービス会社が今度はその類似商品を販売する。出願中の特許に触れるとして九二年に抗議をする意見広告を出したんですが、全く無視されてしまった。訴訟を検討したわけですが、中小企業が訴訟にかける場合、資金負担が大きくて、これは経営に影響が出てくると説得されて断念に至ったということがあります。この場合の事件の裁判費用というのは、初期の段階で二百万から三百万円、販売中止などの仮処分をかけようとすると一千万円単位の保証金が必要になってくる。  ですから、せっかく中小企業ベンチャー企業の皆さんが新しいものを発明して、特許を取って頑張っていっている。ところが、大企業が分社化してベンチャーだといったり新規参入だといって、中小企業ベンチャー企業の領域に入ってくる。私は、このやり方は新規参入の名に値しないと思うんですよ。  大企業は力があるんだから、もっと別な分野でどんどん新しいものを考えて新規参入すればいいんですよ。何も中小企業が考え出した分野へ、しかも特許を出願しているところまで新規参入だといって入ってくると、これは、大企業の資金力、資本力あるいは組織力、そういうものをすべて総がかりでやってきたときには、幾ら特許申請中だといったって、今日の中小企業の皆さんやベンチャー企業の皆さんの力ではなかなか対抗できないというのが実態です。  自分で開発して中小企業は頑張っているんだから大変だ。大企業の方は、中小企業の発明その他のいいところ、知恵だけとって、おいしいところだけとって業になす。こういうやり方というのが現に新規参入と言われる中には随分あるんだということが、これは日経ビジネスの九八年五月十八日号に、特許以外の分野でも、いろいろな中小企業の皆さんがノウハウを持って始め出したものが参入大手によって実は敗北していった、ヒット商品が大手の追随、訴訟や妨害によって深刻な事態になったということが紹介されております。  そこで通産大臣、中小企業の開発した分野へ、特許侵害やそれに近いやり方で中小企業を倒産に追い込むなどのことは食いとめるようにやはり方策を考えるべきだと思うんですね。この点では中小企業の事業分野を守る。そして、特許申請の段階で、さっきの特許庁長官の御答弁以上に、どういう形で周辺特許の申請を支援していくか、また、それに要する費用の減免を含む財政的支援をどういうやり方で進めていくのか。この辺のところを、とりあえず現にある制度については中小企業庁長官の方からあれば言ってもらったらいいんですが、大臣には、どういう方策を進めることが必要だとお考えなのか、また大臣としてどういう方向を考えていらっしゃるのか、これを伺いたいと思います。
  142. 深谷隆司

    深谷国務大臣 来るべき二十一世紀に向けて我が国の経済社会の発展を考えていく場合には、中小企業のさまざまなアイデアあるいは努力というものに期待しなければなりませんが、その際に非常に重要なのは、具体的に言えば盗用の防止ということでございます。せっかくのアイデアが盗用されてしまう、大企業に侵害されるということでは、中小企業がさらに技術革新あるいは創意工夫の意欲をそいでしまうわけでありますから、我々としては、どうやってこのアイデア盗用を防いでいくかということに配慮しなければならないというふうに思います。  何よりも特許制度を利用していただくということが一番大事なことでございます。そのためには、特許さえ取れば排他的になるわけでありますから、排他的権利を得るわけですから、どうやって早く特許を取らせるかということで、いろいろな角度の保護の実現が必要ではないだろうかと思います。そういう観点から、現在各種の相談窓口を通産省としてはやっておりまして、中小企業にはそれらの相談の窓口を的確に活用していただきたいというふうに願っております。  また、今御審議いただいている弁理士法の改正でも、知的財産に関する相談業務弁理士業務として明確にするということで、従来以上に弁理士に対しての相談がふえて、そのことが中小企業の盗用防止にもつながっていくというふうに思います。また、紛争が起こった場合には、工業所有権仲裁センターの相談業務等の利用も可能であろうと思います。  いずれにいたしましても、さまざまな施策を講ずることによって中小企業の独自のアイデアが適切に保護されていくように、一層努力をしていきたいと思います。  他の点は長官から補足いたします。
  143. 岩田満泰

    岩田政府参考人 中小企業の特許取得に関連をいたします中小企業政策について、御説明申し上げます。  御指摘のように、中小企業の特許問題として、特許の申請、取得ができないままに進む、あるいは申請をしたとしても適切な特許申請ができないというような形で、いわば得べかりし利益を失っているようなケースが私どものこれまでの実感としてもあるわけでございます。その意味で、私ども、中小企業政策として今回中小企業の支援センター事業を全国的に展開するわけでございますが、とりわけ特許関係の人材というのは大変貴重であるというのが私どものこれまでの調査の結果でございます。  その意味で、ナショナルセンターのレベルで、全国レベルで見ました弁理士さん、あるいは個別企業の特許取得戦略をコンサルティングするような人材が民間におられますが、こういう方々のデータベースを構築して、これを例えば都道府県支援センターなどを通じて中小企業者の方々に御紹介をするというような仕組みを一つ考えたいというふうに思っております。もちろん、法律面の問題につきましても、そうした形での支援を考えておるわけでございます。  それから、特許料等々の減免については、先ほど特許庁長官から御説明があったとおりでございます。
  144. 吉井英勝

    吉井委員 質問を終わります。
  145. 中山成彬

  146. 赤羽一嘉

    赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。  限られた十分間の質問でございますが、最後の質疑でございますので、大臣、どうかよろしくお願いいたします。  今回の八十年ぶりの弁理士法の大改正は、まさに今、日本の特許出願数が世界一でありながら技術貿易の収支では赤字だという現状の中で、また二十一世紀の製造業を取り巻く状況を見るに、知的財産権を武器に激しい国際競争が展開されることが不可避である。こういった状況の中で、世界に通用する知的財産権の基盤を強化すること、特に国際的に通用する法律制度整備することは大変重要なことである。そういった意味で、知的財産権の周辺整備としての今回の弁理士法の改正は大変大きな意義があることだと思いますし、大きな前進であるというふうに評価をしております。  こういったことは、まさに、貿易赤字で苦しんだ一九八〇年代のアメリカの経済が、レーガン政権のもとで、プロパテント政策の中で経済が再生してきたプロセスを見ても明らかなことでございまして、現在、知的財産権を利用する経営戦略を進める企業が大変多い米国企業、この新聞報道では、IBMはライセンス収入が十一億ドル、経常利益の二〇%を占めている、また、知的財産権の資産価値の評価や事業への可能性等をアドバイスするコンサルタント企業アメリカでは六百社、日本では三十社である、こういった状況が今の日米の格差を物語っているというふうに思っております。  そんな中で、今回弁理士法の改正をする。それを前提としながら、今後日本知的財産戦略をどうとっていくのかということがまさに重要であるというふうに思っておりますので、本当に端的に一、二点、質問したいと思います。  平成九年度に未利用の特許六十二万件、これのうち約四十万件は開放意向があるというふうにされておるという状況の中で、知的財産権の流通施策をとられているというふうに伺っておりますが、この二年間でこういった現状はどのような成果が上がっているのか、御報告をお願いしたいと思います。
  147. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 未利用特許等、特許を提供してもいいという側と、特許を導入したい側と、できるだけのマッチングを図ろうと思っておりまして、特許流通アドバイザーの派遣でありますとか、あるいは特許流通フェアの実施でありますとか、あるいはいろいろな情報提供をしております。特に未利用特許の情報も大いに提供しております。  こういったことで、現在、この二年間でございますけれども、二年半程度の期間におきましておおむね百七十件程度、具体的な特許導入、特許移転が実施をされておりまして、ある程度の成果が上がったのではないかというふうに思っておりますので、今後一層こういったことを進めて、特許流通の推進というものを図っていこうと思っております。
  148. 赤羽一嘉

    赤羽委員 まだ立ち上がって間もないということもあり、恐らく成果はこれからだというふうに思っております。  また、今回、弁理士の数が先ほどアメリカに比べると約五分の一だ、こういった状況の中で、弁理士の皆さんの数を拡大しなければいけない、特に若手の弁理士の皆さんの数を拡大するということを図られているようですけれども、一方では弁理士業務を拡大する、そして弁理士の数もふやしたい。今大変難しい弁理士の試験、合格率が四%で、非常に厳選された人たちが弁理士になられている中で、この数がふえるということは、一般論として質が低下するというのは恐らく不可避な現象であるというふうに思いますが、質が低下するような状況の中で業務を拡大することの困難さということはどう克服されようとしているのか、また試験の改正の中で質の低下はないという見通しがあるのか。ぜひ御答弁をいただきたいというふうに思います。
  149. 近藤隆彦

    近藤政府参考人 弁理士の量的な拡大に伴います質の問題でございますけれども、今回も、業務の範囲の拡大に伴いまして、例えば著作権等に関しましては、新しく試験を課すといったことで資質の確保を図りたいと思っております。  さらに、今回におきましても、法律改正をしっかりと実施し実行するために、弁理士会におきます研修に関しまして、新しく追加される業務に関しましては、当然そういったものに関する研修を義務的に行うようにするとかといったことも必要だというふうに考えております。  また、法人化を今度図るようにするわけでございますけれども、法人化に伴いまして、いろいろな専門家を集めて全体としては非常に質が高いサービスを提供できるように、法人化のメリットも大いに活用したらどうかというふうに考えております。
  150. 赤羽一嘉

    赤羽委員 今の御答弁の中にありましたが、私は、個人の質を高めるというような努力は当然やらなければいけないことですけれども、効果が非常にすぐ短期間にはあらわれにくい。そんな中で、今御答弁の中にあったような法人化というのは物すごく大きな前進だというふうに思っております。  士業法人化というのは、今、監査法人の一部で認められているだけでありまして、今回弁理士法人化というのはまさに画期的なことでありまして、これは弁理士だけじゃなくて、弁護士にも法人化を認める、税理士にも法人化を認める。一つのある事務所弁理士さんもいれば、弁護士さんもいる、そういった総合センター的なものができ上がることで、弁理士弁護士もそうですけれども、地域格差、地方に行くとどうしても商売が成り立たないから士業の皆さんが少ない、こういった欠陥も大いに是正されるのではないかというふうに思っております。  そういった意味で、今回の法改正法人化というのは物すごく評価をされると思いますが、一方で、税理士弁護士についても同じような法人化の要望が業界からは出ていると思いますが、なかなか現状では実現に至っていない。今の現状、また今後の見通しについて、それぞれ御答弁をお願いしたいと思います。
  151. 大武健一郎

    ○大武政府参考人 お答えさせていただきます。  税理士業の法人化につきましては、日本税理士会連合会が公表いたしました税理士法改正に関する意見でも取り上げられておりまして、他の検討項目とあわせまして、日本税理士会連合会、国税庁及び主税局の三者による勉強会で検討を行ってきているところでございます。今後も、閣議決定されました規制緩和推進三カ年計画を踏まえまして、日本税理士会連合会の意見も聴取しつつ、鋭意検討を進めていきたいと考えているところでございます。
  152. 房村精一

    ○房村政府参考人 弁護士事務所法人化につきましては、政府がことしの三月三十一日に閣議決定をいたしました規制緩和推進三カ年計画の中で、その具体的なあり方を調査検討して平成十二年度中に所要の措置を講ずる旨の決定がされているところでございます。  私どもとして、これを受けまして、来年の通常国会に法案を提出することを目指しまして、現在、日本弁護士連合会と定期的に意見交換を行うなど、立案のための準備作業を進めているところでございます。
  153. 赤羽一嘉

    赤羽委員 前向きな御答弁をありがとうございました。  最後に、まさに日本の経済、大変厳しい状況の中で、二十一世紀、知恵時代にふさわしく、国が総力を挙げて知恵を出し合って再生をしていくという御決意を大臣からお願い申し上げまして、終わりにしたいと思います。
  154. 深谷隆司

    深谷国務大臣 皆様のおかげで、さきに産業技術力強化法というのを成立させていただきました。産官学が一体となって新しい開拓、アイデアを盛り込んでいく、それにあわせて、今度は知的財産として特許によってこれを守り、さらに事業化を進めていく、そのことが二十一世紀の日本産業経済の発展につながると存じまして、これらの一連の法律を通じまして総体的なエネルギーが大きく爆発できるような状態をつくっていきたい。そのために、微力ではありますが通産省挙げて頑張りたいと考えております。
  155. 赤羽一嘉

    赤羽委員 どうもありがとうございました。終わります。
  156. 中山成彬

    中山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  157. 中山成彬

    中山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  内閣提出参議院送付弁理士法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  158. 中山成彬

    中山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  159. 中山成彬

    中山委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、伊藤達也君外六名から、自由民主党民主党、公明党・改革クラブ、日本共産党、保守党、自由党及び社会民主党・市民連合の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。吉田治君。
  160. 吉田治

    吉田(治)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     弁理士法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 近年の急速な技術革新の進展及び知的財産権に関する制度整備の動向等にかんがみ、日本弁理士会が行う研修事業が実務に即したより効果的なものとなるよう、研修内容等の策定に当たっては十分配慮すること。    また、弁理士の自己研鑽努力等を支援しつつ、弁理士試験における受験者負担の軽減が弁理士の資質の低下を招くことがないよう努めるとともに、法務サービス分野における弁理士業務の拡大を踏まえた研修のあり方等について検討を進めること。  二 弁理士試験制度改革に当たっては、試験制度の簡素化・合理化や透明性の確保等を図り、受験者の負担を極力軽減するよう努めるとともに、受験者の便益に資するよう配慮すること。  三 弁理士に期待される社会的役割と活動範囲の増大化が進む下で、弁理士における倫理の確立と品位の保持及び資質の維持・向上を図るための弁理士会の自治規律を極力尊重し、国の関与は最小限にとどめること。  四 ユーザーニーズに応じて専門的で多様なサービスの提供を可能とする、弁護士公認会計士等の参加による総合事務所の実現に向けて関係省庁において検討を進めること。  五 地域における中小企業ベンチャー企業の技術開発、知的財産権の取得、活用等への一層の支援を図るため弁理士の協力を積極的に求めること。  六 司法制度改革審議会の動向等を参酌しつつ、引き続き弁理士への知的財産権侵害訴訟代理権の付与を含む知的財産権訴訟のあり方等について広範な論議を進めること。  七 知的財産施策の企画立案に当たっては、より適切な法務サービスを提供するため、関係省庁間で十分な連携と意思の疎通を図ること。  八 WTO次期サービス交渉や司法制度改革等の内外における知的財産権を巡る動向に合わせ、本法について適時適切に見直しを行うこと。  九 裁判外紛争処理制度(ADR)の有効活用が図られるよう情報提供に努めつつ、工業所有権仲裁センターの活動の充実強化等に資する支援策について検討すること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  161. 中山成彬

    中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  162. 中山成彬

    中山委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、深谷通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。深谷通商産業大臣
  163. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。     —————————————
  164. 中山成彬

    中山委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  165. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  166. 中山成彬

    中山委員長 次に、内閣提出私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。青木内閣官房長官。     —————————————  私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  167. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 ただいま議題となりました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  政府は、我が国経済社会の抜本的な構造改革を図り、国際的に開かれ、自己責任原則と市場原理に立つ自由で公正な経済社会を実現していくために、規制緩和の推進とともに、公正かつ自由な競争を一層促進することにより、我が国市場をより競争的で開かれたものとするとの観点から、競争政策の積極的展開を図ることといたしております。  その一環として、私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律、いわゆる独占禁止法の適用除外制度について、累次見直しを行ってきているところであります。このたび、電気事業、ガス事業等については、既に自由化が進められておりますことから、これらの事業に固有の行為に対する適用除外規定を廃止するとの結論が得られたところであります。  また、規制緩和推進のための基盤的条件の整備観点から、独占禁止法違反行為による被害者に対する民事的な救済手段を一層充実することが課題となっております。政府は、昨年三月末に閣議決定した改定規制緩和推進三カ年計画において、民事的救済制度について平成十一年度中に結論を得ることを目指して検討を進めることとし、このたび結論が得られたところであります。  今回は、これら独占禁止法の適用除外規定の廃止及び民事的救済制度整備に係る改正を行うため、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、電気事業、ガス事業等に固有の行為に対する適用除外規定を廃止することといたしております。  第二に、消費者、事業者等が、不公正な取引方法によって著しい損害を受け、または受けるおそれがあるときは、みずから裁判所に差しとめ請求訴訟を提起して、不公正な取引方法の停止または予防を求めることができるよう、新たに被害者による差しとめ請求制度を設けることといたしております。  第三に、公正取引委員会の審決が確定した場合において、違反行為者が被害者に対して無過失損害賠償責任を負うという制度がありますが、現行の私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法に加え、事業者団体による競争の実質的制限行為など事業者団体の違反行為等をその対象として追加することといたしております。  なお、これらの改正は、電気事業、ガス事業等に固有な行為に対する適用除外規定の廃止については公布の日から一月を経過した日から、その他の改正については平成十三年一月六日から六月を超えない範囲で政令で定める日から施行することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  168. 中山成彬

    中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時六分散会