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2000-03-21 第147回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月二十一日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 中山 成彬君    理事 伊藤 達也君 理事 小林 興起君    理事 河本 三郎君 理事 山本 幸三君    理事 大畠 章宏君 理事 吉田  治君    理事 久保 哲司君 理事 塩田  晋君       小野 晋也君    奥田 幹生君       奥谷  通君    粕谷  茂君       小島 敏男君    古賀 正浩君       桜井 郁三君    菅  義偉君       田中 和徳君    竹本 直一君       戸井田 徹君    中野  清君       細田 博之君    松本  純君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       森田  一君    山口 泰明君       渡辺 博道君    渋谷  修君       島津 尚純君    樽床 伸二君       中山 義活君    山本 譲司君       池坊 保子君    西川 知雄君       青山  丘君    小池百合子君       藤井 裕久君    金子 満広君       吉井 英勝君    北沢 清功君     …………………………………    通商産業大臣       深谷 隆司君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    経済企画政務次官     小池百合子君    通商産業政務次官     細田 博之君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    政府参考人    (通商産業大臣官房長)  佐野 忠克君    政府参考人    (通商産業省生活産業局長    )            横川  浩君    政府参考人    (中小企業庁長官)    岩田 満泰君    商工委員会専門員     酒井 喜隆君     ————————————— 委員の異動 三月二十一日  辞任         補欠選任   岡部 英男君     菅  義偉君   新藤 義孝君     戸井田 徹君   中山 太郎君     松本  純君   山口 泰明君     渡辺 博道君   赤羽 一嘉君     池坊 保子君 同日  辞任         補欠選任   菅  義偉君     岡部 英男君   戸井田 徹君     新藤 義孝君   松本  純君     中山 太郎君   渡辺 博道君     山口 泰明君   池坊 保子君     赤羽 一嘉君     ————————————— 三月十三日  産業技術力強化法案内閣提出第二四号) 同月十四日  消費者契約法案内閣提出第五六号) 同月二十一日  アルコール事業法案内閣提出第四一号)(参議院送付) 同月十七日  愛知万博計画抜本的見直しに関する請願瀬古由起子紹介)(第四八八号)  同(瀬古由起子紹介)(第五三一号)  中小企業経営危機打開緊急対策に関する請願松本善明紹介)(第四八九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  中小企業指導法の一部を改正する法律案内閣提出第二五号)  産業技術力強化法案内閣提出第二四号)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 中山成彬

    中山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業指導法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として、田中和徳君の質疑の際に中小企業庁長官岩田満泰君、塩田晋君の質疑の際に通商産業省生活産業局長横川浩君及び中小企業庁長官岩田満泰君、吉井英勝君の質疑の際に通商産業大臣官房長佐野忠克君及び中小企業庁長官岩田満泰君、北沢清功君の質疑の際に通商産業省生活産業局長横川浩君及び中小企業庁長官岩田満泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 中山成彬

    中山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中和徳君。
  5. 田中和徳

    田中(和)委員 皆様、おはようございます。自由民主党の田中和徳でございます。  深谷大臣、そして細田茂木政務次官、早朝より御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。  中小企業指導法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  さて、昨年末のいわゆる中小企業国会で、中小企業基本法改正法案などが審議、可決をされました。今回の法案はそれに引き続くもので、小渕内閣経済新生への取り組み中小企業支援という側面から具体化するものであります。  今回の制度改正は、行政指導するという従来型から、中小企業支援センター設置中小企業診断士制度拡充等により、民間のノウハウを最大限生かしつつ、中小企業経営資源の確保を行政支援するという新しい制度への転換を図るものであります。  新しい制度が有効に機能することにより、中小企業自主性創意工夫を発揮する環境が整い、新しいビジネス展開地域経済活性化が実現するものと私も大いに期待し、法案の趣旨に賛同するものでありますが、新制度を有効に機能させるためには、当然、それを運営する側、また利用する側の意識変革が必要と考えます。すなわち、通産省自治体商工会議所を初めとする関係機関皆さん制度を利用する中小企業皆さんが、指導と保護という従来の中小企業政策のあり方から、自主性の発揮とその支援という新しい理念への転換が求められているからであります。  そこで、本日の最初の質問者として、まず深谷大臣にお伺いをさせていただきますが、さきの国会で枠も広がり、我が国の企業数の九九・七%、雇用者数の七〇・九%を占める中小企業支援に今後どのように取り組まれるのか。特に、通産省の職員に対してはいかにリーダーシップを発揮されるのか、また国民自治体に対して新しい制度中小企業政策理念についてどのようにわかりやすくアピールしていくおつもりか、お聞かせをいただきたいと思います。  さらに、政令指定都市であり、また四万六千近くの事業所が集中する全国有数中小企業集積地である川崎市出身の議員の立場からもお伺いさせていただきます。  今回の改正により、都道府県または政令指定都市単位指定法人として中小企業支援センターを設け、中小企業支援窓口としてワンストップサービス化を図っていくことになっております。現行制度上も、企業情報化推進目的に設けられている指定法人中小企業地域情報センター指定されており、基本的にはその組織を拡充する形で新しい中小企業支援センターに改組するものと想定されているようであります。  しかし、現在、全国四十七都道府県のうち、指定法人を設けているのは三十二都道府県にすぎず、十二の政令指定都市に至っては一カ所もないという状況にあります。法律上、指定法人として設置するかどうかは各自治体の任意であり、国が押しつけることではありませんが、国の補助事業を最大限活用して各地域の特性に応じた施策を推進するためには、また利用者の便宜を考えると、都道府県についてはすべて指定法人という形で中小企業支援センター設置すべきと私は思います。そして、多くの企業が立地している政令指定都市にこそ、すべての自治体指定法人化することが強く求められておると思います。  そこでお伺いしますが、現在、各都道府県政令指定都市、特に川崎市では中小企業支援センター設置を急いでほしいと思っておりますけれども、設置に向けてどのように取り組んでいるのか。また、通産省にも積極的な対応をお願いしたいと思いますが、今後の取り組みについてもお聞かせいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
  6. 深谷隆司

    深谷国務大臣 川崎中小企業問題に取り組んでいる田中委員の御苦労についてはいつも伺っておりまして、その御努力に敬意を表する次第です。  関係答弁については政府参考人からそれぞれ報告させますが、私は前段の問題について申し上げたいと思います。  昨年、皆様の御協力をいただきまして、中小企業基本法を変え、数々の政策を打ち立てたわけであります。それについて、予算の問題とか税制等々、裏打ちをいたすような、そういう形ができ上がったわけでありますが、問題は、それをどうやって国民、とりわけ中小企業皆さんに御理解していただき、そして御協力いただくかということにかかっていくだろうと思います。そういう意味では、政策万般にわたりまして、あらゆる広報を通じてお知らせしていくということが非常に大事であります。  そして、それだけではなくて、この一月から三月の三カ月間を、これらの政策PRを徹底する期間と定めまして、全国フォーラムシンポジウム、その他もろもろの行事を開催中でございます。そこには、私も政務次官もあるいは通産省の幹部も手分けをいたしまして現地に参りまして、そのフォーラム等PRをいたしておるわけであります。  私自身も、富山県あるいは宮城県、熊本県、これから大阪へ参りますけれども、それぞれの地域シンポジウムを開催いたしまして、大変大勢皆さんのお集まりをいただきました。同時に、そういう場所では、地方自治体の長の方及びその地域経済界の代表の方々にも別途お集まりをいただきまして、直截的な御意見も伺うとともに、これらの政策について詳細お伝えを申し上げているわけであります。この三カ月を通じて、六十二カ所でフォーラムシンポジウムを開催いたしまして、延べで十六万人ぐらいの方が直接参加されるという、そんな機会などもつくっております。  通産省を挙げて、これらの政策の実効のために一層頑張っていきたいと思います。  他の問題は、政府参考人がお答えいたします。
  7. 岩田満泰

    岩田政府参考人 指定法人設置の件でございますが、今回の改正法案におきましては都道府県政令指定都市は同様に扱われておりまして、指定法人指定することができるという形にさせていただいております。これまで都道府県につきましては、現段階ではモデル事業でございますけれども、四十七都道府県都道府県等中小企業支援センター設置をされておるところでございます。  御指摘政令指定市につきましては、これまでの適切な機関が少ないというようなことがございまして、体制の準備が若干おくれているという状況、全般としてはそういう状況にあると考えておりますが、川崎市につきましては、既存財団法人でございます川崎産業振興財団指定法人として想定されておる、現在検討が進められておるということで、十二年度中の指定を目指して作業中であるというふうに聞いておるところでございます。  私どもといたしましても、引き続きもろもろの御相談あるいは情報提供を行いまして御協力を申し上げていきたい、このように考えております。
  8. 田中和徳

    田中(和)委員 ただいま大臣より大変力強い御答弁をいただきました。日本の国を支える中小企業振興のために、ぜひお力添えをさらに賜りたいと存じております。また、今指定法人答弁についても、積極的に対応していただけるということでありますので、期待をするとともに、我が川崎市でも一日も早く機能の発揮できる組織ができ上がりますように御指導を願いたいと思っております。  もう一点御質問をさせていただきたいと思います。中小企業支援センター機能については、私より一つ提言をさせていただきたいと思うのでございます。  私は、自民党の都市問題対策協議会で、SOHO型勤労者支援商店街活性化に向け、私の独自の政策として、商店街立地型地域SOHO拠点整備推進事業を発表し、以来、SOHOベンチャー企業支援重要性を繰り返し訴え続けてまいりました。簡単に言えば、商店街空き店舗を活用してSOHO共同利用オフィスを整備するというものでありますけれども、アピールのかいがありまして、昨年暮れの予算編成の際に、平成十二年度からの新規事業として、商店街に限定したものではありませんけれども、テレワークSOHO施設整備促進制度支援策が新たに決定されました。三鷹市や静岡県などの自治体でもSOHO向け業務スペースを設け、日常業務あるいは交流の拠点として活用することにより、着実に新規創業成果を上げているようであります。  そこで、一歩踏み込んで、中小企業支援センターに、ベンチャー企業SOHO型勤労者本格的創業までの試行期間中に短期的に利用できるような業務ブースを併設すべきだと私は思います。私の地元川崎市のような中小企業集積地では特にそうだと思いますけれども、中小企業支援センター仲介機能を生かし、新規創業者既存中小企業の適切なマッチングを図ることにより無限のビジネス展開が期待できると思うのであります。  お尋ねしますが、中小企業支援センターの一機能として、ベンチャー企業向け業務ブースを併設するというアイデアについてどのように評価していただけるか、また、国の取り組み可能性についてもお聞かせをいただきたいと思います。  以上であります。
  9. 岩田満泰

    岩田政府参考人 ベンチャー企業のための業務ブースの併設というアイデアを御提示いただきまして、まことに真摯に受けとめるべき御提案ではないかというふうに考えます。  私ども、これまでの施策の中におきましても、いわゆるインキュベーターというようなものの設置でございますとか、あるいは商店街におきまして、空き店舗なども活用してチャレンジショップを展開するというような事業につきまして支援措置を設けてきたところでございますが、今回の都道府県等中小企業支援センターとの関連で申しますと、既存財団、団体などを活用するということでございますので、物理的な問題という意味でございますけれども、全く同一の場所にそうした業務ブースというようなものをつくることが困難であるというケースもあろうかと存じます、これはケースによると存じます。  しかし、最寄りのインキュベーター施設というようなものを紹介する、あるいは、例えば川崎市にはかながわサイエンスパークというものがございまして、高津区にあると存じますが、この中にインキュベーター施設があるわけでございます。その中には相当数企業入居をされております。その方々に、こうしたハードウエアの面からの支援とあわせまして、この都道府県等支援センターソフト面支援を担当する機構でございますので、そうしたインキュベーター入居企業ソフト面支援をあわせることによりまして、ソフトハード両面から御支援をし、そしてより発展をしていただく機会をつくるというようなこともできるのではないかと私ども考えておりまして、その面での努力もしてまいりたいと考えております。
  10. 田中和徳

    田中(和)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  11. 中山成彬

  12. 山本譲司

    山本(譲)委員 民主党の山本でございます。早速、中小企業指導法の一部を改正する法律案について質疑を行わせていただきたいと思います。  この法律に限らず、そもそも一つ法律改正するということは、社会構造あるいは環境の変化の中で既存法律に不都合が生じたために、国民ニーズにこたえられずに法改正をしなくてはならなくなったということだと思います。深谷通産大臣のこの法案提案理由説明の中で、この間の中小企業指導法評価については触れられておりませんでした。また、中小企業庁が出しております中小企業白書を見ても、やはり指導実績についての記載はございません。  そこで、まず通産大臣伺います。  昭和三十八年に中小企業指導法が成立して以来のこの法律による指導事業成果、果たしてきた役割反省点などを踏まえてどのように今総括をされているのか、まず伺います。
  13. 深谷隆司

    深谷国務大臣 まず第一は、官が民を上から指導するという形、そういうものが今日では適切でないという判断に立ちます。三十年代というのは、まだそのような形で積極的に中小企業支援していくという必要性がある社会情勢でありました。実際の問題として、指導法制定当時の時期から今日に至るまで、中小企業の例えば合理化であるとか技術的な面での向上等々において成果を上げたものだというふうに私は思います。  ただ、たびたび申してまいりましたように、現在は中小企業が非常な多面性を持っている。その一つ一つにきめ細かく対応していくためには、一体今までの指導、官から民へ上から手を差し伸べるようなやり方でいいのかといえば、決してそうではない時代になった。  私は、むしろ、これまで都道府県だとか政令指定都市が原則としてみずから行ってきた指導事業を大幅に指定法人に任せるというようなことで、民間事業者を活用していくということでともども前進できるような状態をつくり出すことが今日的な大事なことではないか、こう判断しました。
  14. 山本譲司

    山本(譲)委員 中小企業全体の技術向上に寄与したというような評価もございましたが、これは果たしてこの法律があったからだったのかどうか、なかなかはっきりとしないわけでございまして、中小企業経営者努力成果が大きかったのか、こう考える人もおられるかと思います。  いずれにしても、この間の指導法という法律が果たしてきた役割をすべて肯定的にとらえるのか、あるいは、デメリットの部分が生じてきて、そこはしっかりと否定的にとらえる、こうした現在の評価の仕方によって、やはり今後改正する法律の運用も違ってくると思います。必ずしもすべてを定量的に数字で把握をして評価するということは難しいかもしれません。しかし、今の予算のシステムを、政策目的ごと予算化をしていくというように見直していけば、施策事後評価というのは可能になってくると思います。  通産大臣、このように、政策事後評価をきちんと行って次の行政施策に生かしていくということについていかがお考えなのか、また、今後のこの点についての方針もございましたらあわせて伺いたいと思います。
  15. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員指摘のように、評価というのはいろいろな角度で違うと思います。中小企業合理化であるとかあるいは技術面向上したということは、中小企業自身の個々の御努力であったということももちろん当然のことでありますが、当時としてまだまだ経済情勢が安定していないときに、官が積極的に協力をする、そして中小企業のこれらの問題について推進してきたということは、紛れもない事実であるというふうに考えます。  予算の面も同様でありますが、特に昨年以降の動きを見ましても、中小企業に対する国の体制というのはだんだん整ってまいりまして、そういう意味ではかなり予算規模もふえてきたというふうに思っております。これからも、中小企業の必要な、つまり中小企業者ニーズにこたえていくような体制をさらに強固につくっていくことが、我々の使命と考えます。
  16. 山本譲司

    山本(譲)委員 今質問したのは、そうしたそれぞれの施策がきちんと生かされているのか、そうした事後評価をしていく体制をこれから通産省としてしっかりと築いていくのかどうか、こういった点について質問したのです。
  17. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今回の法律改正いたしまして、中小企業ニーズにこたえてやっていくわけでありますが、その場合に、さまざまな相談案件とか専門家派遣等を行う際には、用紙をまずお渡しして、その間のサービス状況はどうだ、ちゃんとニーズにこたえているだろうか、そういうようなことを相談を受ける側から的確に提出をしていただいて、それらを参考にしながら評価をし、あるいは変えていくものは変えていく、そういうような不断の努力をこれから行い、必要があれば適宜見直していく、そういう体制をとりたいと思います。
  18. 山本譲司

    山本(譲)委員 ぜひ、政策の効果をしっかりと説明でき、またその評価によって政策見直しも臨機応変にやっていけるような体制を、一刻も早く築いていただきたいと思います。  それでは続きまして、今回の法律で新しく設置をされる各支援センターについて伺います。どうも、新しく設置をされるといっても、既存組織の単なる衣がえに終わってしまうのではないかという危惧も強く持つわけであります。  実は、昨年の中小企業国会と言われた臨時国会の中での質疑でも、私が受け取ったイメージでは、地方分権の流れの中で、全国約三百カ所にできる身近な拠点である地域中小企業支援センター中小企業からの相談窓口を一本化して、そこですべて事が足りるのかと思っておりました。しかし、今回の法律を見てみますと、中小企業庁説明では三層構造ということですが、相変わらず全国単位、そして都道府県単位での支援センター設置をすることになっております。  特に、ナショナルセンターは、既存中小企業総合事業団の中に設置をして、そのほか全国七ブロック、これは各通商産業局の所在地に設置をするということになっております。そして、十二年度の予算案には十三億円の予算が計上されています。一体ここは何をやるところなのか。結局は、都道府県などの支援センター地域支援センターはこのナショナル支援センターにお伺いを立てなくてはならないのではないか。気になるところであります。現在の中小企業事業団がどういう組織なのか、またどういう事業を行ってきたのか、この点が重要になってくると思います。  そこで伺います。中小企業総合事業団のこの間の役割は何だったのか、かいつまんで説明をお願いいたします。
  19. 茂木敏充

    茂木政務次官 中小企業総合事業団でありますが、今支店を持っておりません。それが今後は、今御指摘いただきましたように、全国七カ所に支店を置いて具体的な中小企業支援に当たっていく。  特に今、屋上屋になるとか、お伺いを立てるんではないか、こういうお話があったわけですが、昨年の臨時国会以来議論させていただいておりますのは、中小企業にもさまざまなタイプがある。小規模な企業もあれば、もう一方で株式公開できるような、非常にこれから全国展開が期待できるような企業もある。  そういった中で、このナショナル支援センター一つの大きな役割は、やはり株式公開までも視野に入れた中小企業、それから今後全国展開も期待されるような中小企業に対して、専門的な資金面技術面支援を行っていく。さらには、高度な経営コンサルティング指導を行っていく、支援を行っていく。こういう体制を整備していきたいと考えております。  もう一つ役割は、この後、ナショナル支援センター、それから都道府県支援センター地域の三百カ所の支援センターというのができてくるわけですが、そうするといろいろなデータベースもつくっていかなきゃならない。こういったネットワークの中心的な拠点としてこのナショナル支援センターを位置づけまして、このセンターにおきましては、高度な人材に関する支援ができるような、人材に関する全国ベースデータベースをそろえていく。そして、情報ネットワークを通じて、この情報都道府県支援センター地域中小企業支援センターに提供する、こういった役割も担っていきたいと考えております。
  20. 山本譲司

    山本(譲)委員 ただいま中小企業総合事業団についての説明があったわけでありますが、これまでこの事業団は、都道府県政令指定都市中小企業振興公社などに対する指導というような側面もあったのではないかと思います。さらに、中小企業事業団の現在の役員を見ても、理事長、副理事長はともに元中小企業庁長官でございますし、理事部長クラスを見ましても、中央官庁からの天下りまたは通産省からの出向者も数多く見受けられるわけであります。  果たして、このような体制事業団ナショナルセンターとして存在していった場合、民間の活力を生かしていく、それで的確に迅速に対応することができるのか心配になってまいります。国や都道府県が上からこれまでのように指導をするということではなくて、民間自助努力民間経営者の視点に立って支援をしていくのが各支援センター役割だと思います。それには、やはりナショナル支援センターとなる中小企業総合事業団がまず変わっていかなくてはならないと思います。この体制組織も変わっていかなくてはならないと思います。この辺の認識はいかがでしょうか。
  21. 茂木敏充

    茂木政務次官 御指摘のように、新しいナショナルセンターになっていく、そしてそこの中でできる限り民間の高度な人材を活用していく、こんなことから、ナショナル支援センターにおきましては、今後、東京の本部にはプロジェクトマネジャー一名、サブマネジャー二名、常設のアドバイザー三名、こんな人間も置きたい、このように考えているところでございます。ここのプロジェクトマネジャー、それからサブマネジャーのスペック等につきましては、御必要がありましたらまたお答えをさせていただきます。
  22. 山本譲司

    山本(譲)委員 ぜひ、公務員の天下りの受け皿と言われるような組織にならないように、絶対にさせない、そして有能な専門家を配置して、都道府県地域支援センターからの要請に対して、指導ではなくて、しっかりと協力支援をできる体制にしていただきたいと思います。  続きまして、今回の十二年度予算の中で一番の額であります六十四億円を計上している都道府県等中小企業支援センターについて伺います。  やはりこの支援センターも、既存都道府県の振興公社でありますとか中小企業地域情報センターを取りまとめて、これを都道府県または政令指定都市支援センターにするというものだと思います。冒頭申し上げましたように、私は、この間行ってきた政策がどうだったのか、そのことをきちんと総括した上で次の事業を展開していくということが不可欠だと思います。  そこで伺います。指定法人になるであろう都道府県などの振興公社等、この間のそうした機関評価は一体いかがでしょうか。
  23. 茂木敏充

    茂木政務次官 中小企業振興公社の業務はすべての都道府県で全く同じというわけではありませんので、一概に申せない部分もありますが、各都道府県中小企業振興のために重要な役割をこれまで担ってきたと考えております。  具体的に申し上げますと、さきの臨時国会でも御審議をいただきました中小企業近代化資金等助成法に基づく低利の設備貸与機関、つまり一千億円ぐらいのお金を使って、これからは設備の縛りとか業種の縛りなしに貸していく、こういう御審議をいただいたわけでありますが、こういった機能を果たしてまいりました。中には、中小企業情報化の促進や下請取引に係る事業のあっせんなどを行う機関として、都道府県における産業支援機関の中核的な役割を果たしてきた機関もあります。  ただ、御指摘のとおり、これまではどうしても、例えば経営ノウハウといいましても経営の管理の方に重点が置かれた。これからは、例えば具体的なコンサルティングであったり、もう少し、経営の基盤を強めるためにはどうしたらいいんだ、こういう方向での転換が必要だと考えております。
  24. 山本譲司

    山本(譲)委員 例えば東京都でいいますと、財団法人の東京都中小企業振興公社というところが指定法人になる予定でありますが、この組織を見ると、さっきの国の中小企業総合事業団よりもっとひどいんです。  ひどいというのは、人事体制を見る限り、これはほとんど役所の一セクションといった感じです。理事長、副理事長は現職の東京都庁の労働経済局の局長と部長が都庁の役職と公社の役職を兼務しているわけで、専務理事も事務局長も都庁からの出向者で、監事は東京都労働経済局の総務部長といったぐあいです。さらに、百四十名ぐらい職員がいるそうでありますが、半分ぐらいが都からの出向者、あるいは退職公務員ということであります。結局は、役所の人事に合わせた充て職人事という実態ではないかと思います。東京都に限らず、他の四十六の道府県の指定法人への指定予定機関、この役員名簿を見ても、それぞれ東京都の現状と似たり寄ったりという状況であります。  本来、今回の法改正をすることによって、これまでのような都道府県の職員などを中心とした役所からの直接の指導体制から、指定法人となる都道府県などの中小企業支援センターを中心として、民間機能を活用した支援体制にシフトさせていくということがねらいだと思います。しかし、現状でいいますと、指定法人として、先ほど茂木政務次官からお話のありましたように、中核的な機能になるこのような既存都道府県中小企業関連の機関が、どうも退職公務員の受け皿になっているという実態が多く見られるわけであります。そんな中で、今年度、モデル事業を行うために四十億円ぐらいの予算が既に計上されているわけです、この一月、二月、三月。  大臣都道府県中小企業公社などの現状についてどのようにお考えなのか、さらに、国としても、地方公共団体の自主性は尊重しながらも、今の状況を変えていくための何らかの支援でありますとか誘導ということをしていかなくてはならないと思いますが、この点についていかがお考えでしょうか。
  25. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今委員指摘のように、例えば東京都の場合は全くそのとおりでございます。ただ、それは東京都の方針でございますから、地方自治体のそういう動きに対して、我々の方から格別何かを申し入れるということはなかなかしづらい点もございます。しかし、今の委員の御指摘のような御意見があることは十分都道府県に反映されなければならないというふうに考えています。  振興公社だけではなしに、地域によって、テクノポリス財団とか地域情報センターとかいろいろな形になっているわけですが、いずれにしても、一般的にこれを申し上げますと、中小企業の利便性のためのワンストップサービスをどうやっていくか。それから、税理士だとかコンサルタントといったような民間方々をどうやって活用するか、そのためのデータベースをきちっと図っていく。そして、地域センター、それから都道府県センターナショナルセンターと、相互に密接な連携をとりながら仕事をやっていく。そういう場合の、専門的な方々ニーズがあれば、相互に連絡をとり合いながら専門家紹介していく。これからは、具体的な相談事務等については圧倒的に民間がやっていくことになるだろうと思います。  それから、今政務次官からも答弁いたしましたけれども、指定法人事業を一括してこれから管理していくプロジェクトマネジャーあるいはプロジェクトサブマネジャー、これは原則民間から採用するようにしていこう。そして、指定法人が、事業全体を民間の力に十分ウエートを置いた体制に持っていきたいと考えています。
  26. 山本譲司

    山本(譲)委員 また東京都の例を挙げますが、先ほど言った今年度に計上されている都道府県への、この支援センター指定法人設置に向けての国からの助成ということで四十億ぐらい計上されているわけです。東京都もこのお金でサブマネジャーを設置したということでありますが、二人のメンバーを見てみますと、これまでの行政機関のいろいろな専門員をやっていた人、あるいはこの間東京商工会議所相談員をやっていた方ということで、広く民間に公募をしたという実態とはどうもかけ離れているようでございます。  そこで伺いますが、各支援センター設置をするコーディネーター、プロジェクトマネジャー、サブマネジャー、これは、最終的にはそれぞれの各支援センターで五百名以上になると思われます。どのような選び方をするんでしょうか。さらには、会計、法律専門家を登録して、その派遣費用を負担するという機能地域都道府県等の支援センターは持つようでございます。これらのコーディネーターなどや会計、法律専門家の選定方法とその基準について、あわせてお伺いをいたします。
  27. 細田博之

    細田政務次官 プロジェクトマネジャー等につきましては原則といたしまして公募により選定することといたしまして、都道府県センターとなる中小企業振興公社等に県内の企業経営者などを構成メンバーとする選定委員会を置きまして、都道府県知事等の助言を受けながら、応募者の中から面接等により適任者を選ぶということにいたしております。また、必要に応じましてモデル事業の間に候補者の試用期間を設けるなどして、人材評価が適正に行われるように確認するなど、適切な選定が行われるよう都道府県に働きかけてまいることにいたしたいと思います。  具体的に申しますと、プロジェクトマネジャーの例としては、地元企業の退職役員ですとか中小企業診断士、大学教授、地元企業の役員、コンサルタント会社の経営者、金融機関の退職役員、あるいは地方公共団体のOBもございますけれども、そういった人を選んでおります例が多いわけでございます。サブマネジャーの例としましては、社会保険労務士とか金融機関の管理職、中小企業診断士、地元企業の退職役員、工業試験所所長などの例がございます。
  28. 山本譲司

    山本(譲)委員 やはり、私は、中小企業支援という政策課題に積極的に対応していくには、単に制度組織をいじるというだけではなくて、肝心なのはその運用と人材の確保だと思いますので、今政務次官説明のとおり、幅広く民間から公募をしていく、有能な人材をそれで集めるという方向で、積極的に都道府県に要請をしていただきたいと考えております。  続きまして、先ほどの都道府県指定法人でございますが、これはぜひ積極的に、今お話のあったような有能な人材を集めていただいて、その組織そのものも、都道府県の意向を聞かないと動けないといったような融通のきかない機関にならないように、国としてもしっかり取り組んでいただきたいということもあわせて要望したいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  今回の法改正のいわばうたい文句でありますワンストップサービスという言葉を聞きまして、多くの中小企業団体や中小企業経営者皆さんは大きな期待を寄せられていると思います。長引く不況の中で中小企業経営者皆さんは経営改善に向けて血のにじむような努力をしていて、こうした経営改善に向けての相談から新規事業を行おうとする創業に向けての相談まで、ありとあらゆる相談支援センター窓口に殺到することが予想されます。  今、中小企業経営者方々は、中小企業を取り巻くそうしたさまざまな問題はすべてこの支援センターに行けば対応してくれる、そのことがワンストップサービスだと考えているのではないかと思います。どんな相談をしてもはね返すことはないのか、はね返されないんだ、こう期待をされていると思います。  そこで伺います。相談をする内容によって相談者を選別するということはないのか、こうした支援を受ける対象の企業は一体どういう企業と考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  29. 細田博之

    細田政務次官 私も先般広島に行きまして、大臣中小企業フォーラムを何カ所もやっておられますが、政務次官中小企業支援シンポジウムというのをやって、たくさんの企業に集まっていただきました。  そこで、皆さん手を挙げてみてください、これから新しい事業、ベンチャー、新規分野に進出したいといってきょう集まった方と言ったら、三百数十名集まられた中で百人ぐらいの方がさっと手を挙げられて、ぜひ相談したいと。委員がおっしゃるように、これだけ期待が大きいんだなと思いました。  と同時に、どういう相談をするかということはそれぞれに分かれると思いますね。したがいまして、各支援センターはさまざまな人材をそろえておりますので、御要望に応じて、タイプ別に応じて、お答えする専門家をそれぞれに応じて配置する。あらかじめお伺いしながら、あなた、お越しになる、それじゃどういうところを特に聞きたいかというときに、何人もマネジャー等がおりますから、その中で最も適切な人に会っていただく。ある特定の企業がこれについて聞きたいんですけれどもと言っても、それは余り対応できませんというようなことでお断りしたり、企業の規模や業種やそういったことによって、ここは適当でないのでどこかへ行ってください、こういうようなことがないように、しっかりとした体制をとりなさいということを私も言ってまいりました。  それからもう一つは、店を張っているとたくさん来るだろうとおっしゃいますが、ただそれだけでもいけないんじゃないか。この地域内の企業に、あなたが本当にやりたいことは何ですかということをむしろ積極的に聞いて、それじゃこっちへいらっしゃいと。混雑するかどうかはこれからのことでございますが、大いに利用してくださいということも宣伝をし、いいパンフレットも用意しておりますので、そしていい人材も用意しておりますので、そういう活動をしてくれということを各通産局、県、地域に、商工会議所、商工会等に要望しているところでございます。
  30. 山本譲司

    山本(譲)委員 さらには、中小企業経営者からしてみれば、単に自分の会社のことだけではなくて、地域環境の変化によって経営状況が悪くなってきてしまったというケースもたくさんあるわけです。そこで、中心市街地活性化事業のような十三省庁に及びます支援事業ができたわけでしょう。  こうした商店街地域単位の相談で、かつ省庁横断の支援事業にもこの支援センターは応じるんでしょうか。
  31. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今回の改正法案では、都道府県等中小企業支援センター中小企業支援事業を行うということになっていますが、その対象は特段業種を限定しているものではありませんから、当然ながら経営資源の確保をしようとする小売商業者も支援の対象でありますし、その集積地である商店街も対象になります。
  32. 山本譲司

    山本(譲)委員 どうも支援センターはベンチャーなどの創業者、新規事業の展開をする経営者支援に限られてしまうんじゃないかという危惧もありましたが、今の大臣答弁でしっかりと、さまざまな中小企業皆さんが本当に期待を持って、窓口に行けば応じていただけるんだなという確信を持ったと思います。  中小企業の経営環境は依然としてやはり厳しい状況にあるわけでございますから、資金繰りに悩んだり、あるいは業績不振や後継者不在によって廃業の一歩手前という中小企業もたくさんあります。そうしたそれぞれの企業の置かれている状況というのが、経営改善をしなくてはつぶれてしまうというような後ろ向きの状況であっても、専門的なノウハウを持ったアドバイザーがしっかりとそれを見れば、災い転じて福、ピンチはチャンスということわざのように、前向きの新しい展開ができる可能性はそれぞれの中小企業にあるんではないかと思います。  したがって、中小企業の線引きというのは機械的には決してできないと思っておりますので、ぜひ相談内容によって追い払ったりたらい回しにすることのないように、この点は強く要望しておきたいと思います。  それでは、次の質問に移ります。  中小企業方々が最も期待をしている身近な窓口であります地域支援センターについてでございますが、現在、既に九十一の機関モデル事業を行っているわけであります。この一覧を見てみますと、そのほとんどが商工会議所や商工会といったぐあいになっております。  そこで伺います。国や都道府県などの行政から商工会議所や商工会にはどれぐらいの助成が毎年行われているのか、項目ごとに、大ざっぱでいいですからお示しください。
  33. 細田博之

    細田政務次官 小規模事業者の経営の改善発達を支援するために、全国の商工会、商工会議所が実施します経営改善普及事業等に対しましては、国と都道府県からその事業費等につきまして補助しているところであります。平成十二年度の国の小規模企業対策予算につきましては、従来の経営改善普及事業に加えまして、創業支援策を拡充し、また高齢化社会に対応するための事業を創設することとしておりまして、対前年度比二億円増の総額二百八億円の予算を計上しております。  やや細かく申しますと、個別の団体向けの補助金が百七十三億、それから、限定しない、地域支援センター向けが十八億ですが、小規模企業対策関係委託費が九億円、全国団体向け補助金が八億円というふうになっております。
  34. 山本譲司

    山本(譲)委員 現在の商工業者の商工会議所と商工会への加入率であります組織率をそれぞれ見てみますと、商工会でいうと約六四%ぐらい、商工会議所に至っては三六%ぐらい、決して高い数字ではないと思います。  今の説明の中でちょっと触れられなかったんですが、商工会議所、商工会の経営指導員への人件費や資質の向上のための研修費が、これは多く都道府県から出されているわけであります。今、経営指導員の数は一万人ぐらいと言われております。東京都を調べてみましたが、計五百四名の経営指導員、人件費として今年度でいうと約二十六億以上が支払われているということでありまして、これはかなりの額だと思います。単純に頭割りすると、一人当たり約五百万円以上。  しかし、これだけの税金を支出している経営指導員の評価というのはほとんど行われていないというのが実態ではないかと思います。私が指導員に指導された方からお聞きする評価というのは、これは決してすべてではありませんが、どうも、記帳の指導とマル経融資制度指導だけじゃないかというような声も少なくないわけであります。平成七年度からは、経営指導員の人件費、これはほぼ都道府県が持つようになったわけでありますが、本来は、昭和三十五年以来、国が人件費を支払ってきた経緯があるわけであります。  そこで伺います。国としては、こうした経営指導制度の現状と、また今後についてどのような方針でいらっしゃるんでしょうか、あわせて伺います。
  35. 細田博之

    細田政務次官 経営指導員は、商工会、商工会議所に配置されまして、長年、地域の小規模事業者の経営の改善発達を支援する事業に従事してまいりました。その役割は極めて高いものと評価しておるわけでございます。  特に、最近の大きな事業内容は、やはり金融、経営、マル経資金の推薦ですとか、あるいは税務、記帳指導、これが従来は非常に大きな役割を示している。それから、労務、各種の講習会、例えば雇用調整助成金とか労働能力開発助成金等制度説明、利用の推進、育児休業法等の普及、説明、あるいはその他の村おこし事業等々、幅広く及んでいるわけでございます。  一方、経営指導員が行う経営改善普及事業の一層の効率化を図るためにはおっしゃったような評価が必要だということで、人事管理委員会を各県の商工会連合会等に設置いたしまして、経営指導員の人材確保、資質の向上、人事交流を推進しておるわけでございます。  経営指導員の資質の向上を図るために、総合事業団の開催する研修に参加するための予算措置を講じておりますし、それから、経営環境変化に素早く対応できるようなさまざまな措置を講じております。例えば、東京都商工会連合会の人事管理委員会では、二月に一回それを開催し、商工会長あるいは弁護士とか東京都の課長が入りまして、その適性その他を十分評価するような仕組みにしております。  おっしゃるように、時代とともにだんだん要請される業務も変わってまいりますし、その評価は非常に大事でございます。余り古いことだけやっておってもいけませんので、時代の変化に合ったように次々に改善していくことが必要だと考えております。
  36. 山本譲司

    山本(譲)委員 私、当然、この経営指導員が役に立っていないと言っているわけでは決してありません。中小企業者のこれからの多様な相談ニーズに対応していくには、現状のままでは不十分だという指摘も多くあるわけです。裏を返せば、経営指導員の役割に対する期待も大きいということのあらわれではないかと思います。その点では、確かに、今御説明のように東京の商工会連合会、ここでは経営指導員の評価を行うようなマニュアルをつくっているという話もお聞きしております。ぜひ経営指導員の資質の向上に向けての積極的な取り組みをお願い申し上げまして、次の質問に移ります。  全国約三百カ所に設置をされる予定の地域支援センターでございますが、この三百という数字の根拠は一体何でしょうか。
  37. 深谷隆司

    深谷国務大臣 広域市町村圏というのを数えますと、三百四十ございます。その地域を念頭に入れて小規模事業者等の身近な支援拠点として整備していこう、そう考えまして、平成十二年度においては全国に三百カ所程度を設置しよう、こう考えています。
  38. 山本譲司

    山本(譲)委員 確かに、平成八年度末の広域市町村圏の設置状況都道府県で約三百四十ということでありますが、このエリアに一体これから即してくるのか。どうも、現時点での地域中小企業センターに向けてのモデル事業を行っている機関、この九十一の機関の一覧を見てみますと、地域的に大変ばらつきがあるんじゃないか。まだ地域支援センターを予定している機関のない県もございますし、反面、決して人口が多くない、したがって企業の数が多くないと思われるような県に三機関以上が名乗りを上げていたりということも現実としてあるわけであります。  これでは、需要と供給のバランスがとれない。現時点での各都道府県の受けとめ方がかなり違っていて、その取り組みに温度差があるんではないかと思わざるを得ないわけでありますが、現在審議をされている都道府県の来年度の当初予算を見ても、全くこの地域支援センター設置予算が計上されていないという都道府県もございます。  国は、この三百の地域支援センター設置に向けて、どのような方針で、これはスケジュールもあわせて、どのように取り組んでいくおつもりでしょうか、伺います。
  39. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今年度の補正予算によるモデル事業、これは、各都道府県ごとに実施体制が整っているところを中心に、既にその準備が整っているところからまず始めたということで、おっしゃるようにばらつきがあることはもうそのとおりでございますが、おおむね、県に一カ所から三カ所ぐらいできているというのがこの九十一のモデル地区でございます。  それから、お話がありましたように、いろいろな角度からどこにセンターを置くかということでありますが、人口だけの問題ではなくて、利便性とか、あるいは創業者、中小企業者が行きやすい場所などを考慮しながら、都道府県がどこに設置をするかということを要請するという形になっておりますから、地域にゆだねて選定をしていただく。その場合の、委員指摘のような都道府県に温度差があるということは大変問題でありますから、そこは、通産省からよく御指導や御依頼を申し上げなきゃならぬと思っております。
  40. 山本譲司

    山本(譲)委員 ところで、昨年の九月に出されました中小企業政策審議会の「二十一世紀に向けた新たな中小企業政策の在り方」という報告の答申内容を見てみますと、地域の商工会については「総合的な経済団体として、その自立的基盤と機能の強化に向け、商工会活動の広域化や合併等を円滑に進めるための議論を進めるべき時期にきている。この場合、商工会活動の広域化や合併等を円滑に進める措置を講ずるなど、法的手段も含めて環境整備を図ることについても検討していくことが必要である。」こう書かれているわけであります。  言ってみれば、地域経済団体の統廃合への検討というこの答申と今回の地域支援センター設置ということは連動をしているんでしょうか、また、商工会の合併などに向けた環境整備はどのように行われていくんでしょうか。
  41. 細田博之

    細田政務次官 委員おっしゃられましたように、商工会の広域化、合併問題につきましては、中小企業政策審議会の答申にも指摘されておりますように、広域的な地域ニーズ事業の効率化の観点から、真剣にその議論を進める時期に来ていると考えております。この問題につきましては、まず、地域の当事者が自主的に取り組むことが重要でありまして、当省としては、関係者による検討の状況をよく把握しながら検討を進めてまいりたいと思っております。  市町村も、合併をできるだけ進めたらどうかという基本方針はあるわけでございますが、それらをどういうふうに実現するかはそれぞれの公共団体にゆだねられておりますように、やはり市町村との連携が、これらの団体について関連が深いわけでございますし、他方、行政ニーズとの関係で、例えば介護保険のように広域行政をするということの必要性も大きくなっておる。中小企業の中で特に先進的な部分につきましては、できるだけ広域的に対応しなければならないということも頭に入れてこの中小企業支援センター設置するわけでございますが、在来型の金融、経営、税務、労務、きめ細かな地場のお世話というものも大事でございますから、その辺も見きわめていかなければなりません。  したがって、今回の地域中小企業支援センター設置は直接に合併を促進することを目的とするものではありませんが、これからさらにさまざまな変化に応じた体制をとっていく必要はあると思っております。
  42. 山本譲司

    山本(譲)委員 先ほど、地域都道府県等の支援センターに会計あるいは法律専門家を登録してその派遣を行うという事業、また、この会計、法律専門家についての選定の仕方についての御説明もありました。しかし、この間の国がやっている中小企業政策の中で、エキスパートバンクと称して、商工会議所また商工会が専門家を派遣する場合の派遣費負担を既に行っているわけであります。  これまでのエキスパートバンク事業と今回の会計、法律専門家をこの支援センターに新たに登録する、これは一体どこが違うのですか。違わなかったらこのエキスパートバンク事業はやめてしまうのですか。
  43. 細田博之

    細田政務次官 エキスパートバンク事業は、小規模事業者の必要といたします専門的知識とか技術につきまして深い見識を有する民間専門家を、都道府県の商工会連合会、幹事商工会議所等にエキスパートとして登録し、要請に応じまして直接専門家を派遣し助言等を行うものであります。  平成十年度には全国で四千百二十人の専門家をエキスパートとして登録して、四千九百件、延べ七千八百日の専門家派遣を実施しておるわけでございます。そういったエキスパートバンク事業を利用した小規模事業者からは、さらに長期的な派遣もしてほしいという旨の要望もありまして、平成十二年度予算におきましては長期の派遣もできるようにしておるわけでございます。  エキスパートバンク事業におきましても、地域中小企業支援センター専門家派遣事業においても、事業実施に当たりまして民間の活動を重視しておるわけでございまして、商工会議所等が行う経営改善普及事業において、経営指導員がみずから相談するだけでは十分でない高度かつ専門的な課題について専門家を活用するということでございます。  他方、地域中小企業支援センター専門家派遣事業は、創業や経営革新等を中心とした分野での高度な知識や経営上の問題について、それぞれの問題に応じて専門家を派遣することとしております。
  44. 山本譲司

    山本(譲)委員 どうも二つの違いがよくわからない。片や創業を行うようなケース支援センター、その他の場合はこれまでの商工会、商工会議所のエキスパートバンクと、これでは、先ほどの答弁にあった、窓口は一本化してたらい回しにはしない、これとはまた違ってくるんじゃないかと思うわけであります。  どうもこれまでの国の中小企業政策を見ていますと、制度を見直さないまま新しい制度を次から次につくっていってしまう、既存制度の上に積み重ねてきてしまっているのではないか。したがって、説明をする方にとっても、ましてや制度を利用する中小企業経営者にとっては大変わかりにくい施策になってしまったのではないかと思われます。  今年度の中小企業対策費は、補正予算も含めて、また大蔵省、労働省所管も含めて八千五百億円以上であります。平成十二年度当初予算でも、通産省以外の他の省庁分も合わせて二千億円近くでございます。こうした予算の執行を縦割り行政という役所の都合で考えるのではなくて、利用者を中心に考えていく、これがワンストップサービスだと思います。  今後は、支援事業をわかりやすく説明をし、民間の力を生かしていく有能な人材の確保を行っていくということと同時に、もう一点、やはり支援事業自体をわかりやすくしていくために、制度の整理統合、そして簡素化ということが不可欠だと思います。  その点について最後に大臣に伺って、私の質問を終わります。
  45. 深谷隆司

    深谷国務大臣 指導事業について、これまで施策が細かくなり過ぎて利用者が不便である、そういう苦情も確かにございます。また、余り多岐にわたるものですから利用する方々が選択しにくい、そういう問題点もあります。委員の御指摘のように、できる限り簡素効率化を図っていくということは当然のことでございまして、ぜひひとつ、そういう点にも十分配慮しながら進んでいきたいというふうに思います。  今まででも、例えば、高度化融資事業のメニューの大ぐくり化などをやってまいりまして、中小企業総合事業団などは、いわゆる組合対象の中小企業の融資の制度を整理統合させるとかやってきたのでありますが、そういう努力をもっとしていかなければならぬと思います。
  46. 山本譲司

    山本(譲)委員 終わります。
  47. 中山成彬

    中山委員長 島津尚純君。
  48. 島津尚純

    ○島津委員 民主党の島津尚純でございます。中小企業指導法改正法案につきまして質問させていただくわけでありますが、その質問に入る前に、この支援の対象となっております中小企業状況について、その御認識について若干御質問をさせていただきたいと存じます。  先日発表されました昨年の十月から十二月の四半期の実質GDPの成長率は、二期連続マイナスで、前期比マイナスが一・四%ということであります。 小渕内閣の九九年度の〇・六%成長という公約の達成には一月から三月で二%の成長が必要ということでありますので、公約達成が非常に絶望的になってきたというふうに考えざるを得ないわけであります。  そういう中で、特に中小企業にとって大変厳しい状況が続いておるわけでありますが、昨年十二月の日銀短観を見ますと、製造業では、大企業の業況判断、DIがマイナス一七であるのに対しまして、中小企業がマイナス三二ということであります。一昨年の十二月と比べても中小企業のDIの回復スピードは大企業よりも相当遅いということであります。  また、報道によりますと、二月の倒産件数は前年同月比で五一・九%増というような大変な急増という状態があるわけであります。特に負債が一億円から五億円未満というところ、まさに中小企業であるわけでありますが、この分野は七四%の倒産件数の増というような状況にあるわけであります。  このような二期連続マイナス成長という景気の現状は、明らかに中小企業により重くのしかかってきている、このように思うわけでありまして、まずこの辺の構造的な要因、分析をどうお考えになっていらっしゃるのか、その辺からお尋ねをさせていただきたいと存じます。
  49. 深谷隆司

    深谷国務大臣 二年連続のマイナス経済成長が国民全体に与えた影響はまことに大きなものがあると思いますし、特に中小企業の御苦労を考えますと、私どもは胸が痛むような思いがいたします。  しかし、各般の政策を重ねてきて、国民皆さんの御協力もいただきながら、ようやくほのかな明かりが見えてきたという現状はそのとおりだと私どもは思っております。残念ながら、十—十二のGDPの動きというのはマイナスでございましたが、本年に入りましてから、一—三についてはかなり好転をしているという数字も上がってきております。ですから、全体的には何とか二年連続マイナス経済成長からプラスに転ずるという当初の目的を果たせるのではないかというので、今必死になってやっているところであります。  そういう中で、おっしゃるとおり、日銀の去年の十二月の中小企業の業況判断、DIでございますけれども、全産業でマイナス三〇、大企業と比較すれば回復のペースはおくれているというのはそのとおりであります。ただ、過去の最低を記録いたしました一昨年末から考えてみますと二〇ポイント改善するなど、中小企業の景況は緩やかには回復していると思います。  そういう状況の中でどうやって確かな回復に持っていくのか、そこに、さきの中小企業国会皆様に御協議いただいた各般の政策の樹立が必要となってきたわけでございます。今年は、我々は、これらを現実のものとするために、先ほどから申し上げたような各般のPR等も重ねながら、これらの施策中小企業に活用していただくために全力を尽くしたいというように思います。  どのような構造の問題があるのかということについては、もちろん長引く不況がその背景にあることは当然でありますが、例えば、中小企業は大企業と比べて企業規模が小さいために、情報技術がなかなか導入が難しいとか資金面の調達等の難しさもある、そのために二十兆プラス十兆円の融資関係も広げてきたわけでありますが、あるいは人材難ということもございます。  いろいろありますけれども、そういう構造の問題点を何とかクリアさせていくためのさまざまな相談体制を考えなければならない、それこそセンターに大きな期待を持つ理由でもございます。
  50. 島津尚純

    ○島津委員 私たちだけではなくて各党の委員皆様方も、週末には地元に帰って地元の中小企業皆様方といろいろなお話をされていると思うわけでありますが、そういうときに、明るさが見えてきたという政府の経済見通しについて、全く地元の皆さん方はそういう実感を抱いていなくて、ますます暗くなってきているんじゃないかというようなことを私たちはしばしば訴えられる現状であります。  明るくなっているというのは、リストラによって経営改善をやっていった、そういう大きな企業でありまして、リストラされた人たちは失業して野にほうり出されてしまう、このようなことであろう。そういう中で、やはり個人消費というものが日本経済を支えているわけでありますが、このような伸びというものは本当に期待できないんじゃないか。今回の春闘の結果にしましても、あのようなベアゼロというような回答の中では、全く、景気を刺激することにはならぬのではないかというような気持ちを持っております。  さらには、昨年の中小企業国会におきましていろいろな各専門家皆さん方の参考人の御意見を聞いた中で、一口で言って中小企業問題というものは税制と金融だということを言い切った方があったと思われるわけでありますが、まさに、全国中小企業者皆さん方、零細企業皆さん方のお気持ちをずばり言い当てたことではないかと私たちは思います。  そこに光を当てることが必要であって、今回のような指導から支援に多少切りかえたということが、中小企業基本法理念を変えた、いわゆる格差是正から日本の経済を支える経済的な単位に切りかえていくというような理念の変更があったわけでありますけれども、そういうことになりますと、私は、やはり抜本的に金融や税制の面を当たっていかなければ、このような指導法から支援法というような、もちろん大事だけれども、しかし、こういうことの改正だけで事足りるものでは決してない、それだけ深刻な現状に来ておるということを指摘させていただきたいと存じます。  そういう中で、制定されてから五十年以上続いてまいりました指導法というものがありながら、今申し上げたように、ばたばたと中小企業、小規模企業が倒産を続けていくということを目の当たりにしたときに、今回の指導法から支援法ということでありますけれども、そのような現状とか、反省とか、一部の成果とか、いろいろなものを議論され、そういう中で今回の改正法案というものを提出されてきたのだろう、そのように思うわけであります。その辺の背景について、ぜひ御説明いただきたいと存じます。
  51. 深谷隆司

    深谷国務大臣 これまで行われてきた指導法に基づく指導事業の二つの柱、一つは経営管理の合理化、もう一つ技術向上だというふうに考えます。  経営管理の合理化という柱については、国、都道府県等が中小企業者に対しまして経営とか生産管理、労務管理等の面で診断、指導を行うということで、中小企業の経営の合理化への懸命な取り組み、経済の構造的変化への対応の一定の成果が上がったものと考えます。  また、技術向上にかかわる事業について申し上げると、地域において、技術面での身近な窓口として、都道府県等の公設試験研究所、研究機関を中心に、これらの機関の有する施設などを利用しながら、活用しながら、中小企業に対する技術研修とか技術相談指導等を行ってまいりました。これらの事業で我が国の中小企業技術水準の全般的な向上は図られてまいりましたし、公害防止だとか省エネだとか情報技術など、時代の要請に的確にこたえるための技術向上で一定の成果を上げたものと思います。  ただ、今後は、そのような官が民を指導するという姿勢を変えて、民間事業者協力しながら個々の中小企業者ニーズにこたえていこう、そして、経営資源の確保を支援するという制度を維持していくことによって、一層使い勝手のいい制度としてこれを活用していこう、そういうふうに転換をさせようとしているわけです。
  52. 島津尚純

    ○島津委員 今回の改正法案をつぶさに読ませていただきまして、枠組みとしては前進する内容であることは当然でございます。大事なことは、実際にそこに携わっていただく方々の意識改革といいましょうか、そういうことが大事だろうと思うのです。もう少しはっきり申し上げますと、いわゆるそこで従来から働いてこられた、指導してこられた官の側の意識をどう変えていくのかということだろうと思うわけであります。  はっきり申し上げまして、これまでの指導事業といいますのは、まさに官僚主導型の経済政策の典型であったような気がいたします。  私が、さきの臨時国会商工委員会において深谷通産大臣に、そのようなお役人さんが民間の上に立って指導する、教え導くというようなことがあるべき姿でしょうかというような質問をした中におきまして、大臣は、指導という言葉は適切ではないともともと思っています、上から下を導くような僣越な姿勢がそもそもいけないことではないでしょうかと、このような一つ通産大臣として見識を示していただいた、明言していただいたことに対して、私は大変評価をさせていただいておるわけであります。私は、市場経済を基本とする我が国において、このような支援事業指導事業というものは、あくまでも中小企業を下から支えていくということが本来の姿である、このように思っているわけであります。  今回の指導法改正の趣旨自体は、先ほど申し上げたように、前向きの姿勢であろう、支持できるであろうというように思います。ただ、懸念しておりますのは、指導法支援法に変えても、官の方が相変わらず、今までの体質を変えることなく、何となく上から指導していくというような旧態依然のままにとどまっていたならば、せっかくの前向きの枠組み、内容というものも生かされないことになってしまうわけであります。  まず一つは、やはりこの中小企業政策にかかわります全国の公務員の皆様方の意識をどう変えていくのか、そのような教育といいましょうか、そういうものが大事になってくると思うわけでありますが、そのような問題に対しまして、何か具体的な計画をお持ちであったら聞かせていただきたいと存じます。
  53. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今度の指導法改正で、中小企業に対するさまざまな支援策を、今までは都道府県等が原則として職員で行っていたわけでございますけれども、これを大幅に民間指定法人に行わせるということにしたわけでございます。  そして、この事業の実施に当たりましては、指定法人関係機関・団体や税理士あるいはコンサルタント等の民間事業者を適切に協力させていくという体制、言いかえれば、今まで指導事業というのは官が全面的であったものをぐっと後退させて、そして実際面において民間方々にやっていただくということになるわけでありますから、それだけでも随分変わってまいりますけれども、その民間の後ろにある公務員のありようも、おっしゃるとおり変わっていかなければならぬと思うわけであります。  私どもは、担い手になる担当のそういう人たちの研修などはもっともっと充実させていかなければならないし、資質の向上のためには、いろいろな角度から検討して、具体的な作業をしていかなければならないと思っています。通産省としましては、各都道府県にその旨を十分に伝えて、それぞれしっかりした計画を立てるようにさせていきたいと思っております。
  54. 島津尚純

    ○島津委員 公務員の皆様方の意識の改革ということと同時に、現在、既に中小企業のあらゆる支援政策といいましょうか、そういうものがスタートしておるものもありますし、それから制度として既にスタートしているものもございます。そういうものを、今回の指導法から支援法に切りかえる、そして民間の活力を導入する、そういうことなわけでありますけれども、それとどのように整合性をとっていかれるのかということについて、ちょっとお聞きをしたいと思います。  一つ例を挙げますと、例えば既にスタートをしております中小企業創造活動促進法というのがあるわけでありますが、これは主にベンチャー企業などを支援する法律であるわけであります。この法律では、企業事業計画を審査、認定する、いわゆる目ききをするということでありますが、実際には、各自治体で目ききに当たっている方々はほとんどが市場経済から最も遠いところで生きてきた公務員の皆様であるということであります。  例えば東京都を例にとりますと、この目ききの方のいわゆる審査員が九人おられるわけです。金融関係とかいろいろな人たちですね、この審査員が九人いるわけでありますが、調べましたところ、全員が公務員だ、こういうふうな実態なわけであります。民間の要するに専門家を活用していくということが今回の指導法支援法に変えていく大きな柱の一つになってきているわけでありますが、ちょっと横を見て、先に走っているのを見ますと、このような実態が一つあるわけであります。  指導をやめてこれから支援に改めていくという枠組みをつくるわけでありますが、このようなこれまでの古い発想に基づいた法律制度というものを、その運用など当然切りかえると思うのですけれども、いつからどういうふうな手順で切りかえていかれるのか、教えていただきたいと思います。
  55. 細田博之

    細田政務次官 委員が御指摘になられますように、官がただ民を教え導くというような発想はもはや古いわけでございますし、これだけ技術革新の時代になってまいりますと、官に蓄積されたノウハウではなくて、民に蓄積された技術、経営、その他のノウハウを大いに使っていかなければならないと思います。  官にあるのは何かというと、幅広い情報、それから制度がいろいろ変わっておりますから、中小企業のさまざまな振興策にいたしましても、あるいは商法改正だとかいろいろな技術関係法の改正ですとか特許法ですとか、いろいろな意味環境が変化しておりますから、あるいは情報環境ですとか、教育問題もこういうふうに変わるとか、そういった情報をできるだけ提供するという役割ではないかと思います。  そして、本当に最先端の知恵を欲しい場合には民間の目ききの人を活用しなければならない、これは私どもも、最近はアメリカ等との技術の格差あるいは創業の減少、そういったところで痛いほど感じておるところでございますので、このたびの支援法の基本的な考え方というのは、まさに委員がおっしゃいましたように、民間をより活用していこうというところにあるわけでございますので、御理解を賜りたいと思います。  これまでのいろいろな諸団体のありようについて、問題がなきにしもあらずというところは多々あるわけでございますから、それらについても改善をしていかなければならないと考えております。
  56. 島津尚純

    ○島津委員 ただいまの細田政務次官の御答弁でありますけれども、私が先ほど、東京都の目ききの審査員九人がすべて公務員だ、このように申し上げたわけでありますが、今回の指導法から支援法に切りかえていくというような大きな変化の流れの中で、先ほど申し上げたような、東京都が九人すべて公務員だというようなことは、あるべき姿であるというふうにお考えなんですか。
  57. 細田博之

    細田政務次官 率直に言って、あるべき姿でないと思います。  先般、私が参りました広島での中小企業ベンチャー総合支援センター、いよいよ設置されましてスタートしますけれども、このほぼ全員が民間人でございまして、公認会計士・税理士の方、もう一人も公認会計士・税理士、それからもう一人は公認会計士・税理士・中小企業診断士・指導員・社労士、あるいは弁護士、それから特許のコンサルタント、税理士等々、中小企業診断士もおりますし、あるいは公害防止管理者、あるいは技術士など、すべて資格を持ちました民間企業の方、あるいは研究所、あるいはそういった、士業といいますか、いろいろな士業の代表の方々をメンバーとしておりますが、そういった形でこれからセンターを運用していくのが基本であると考えております。
  58. 島津尚純

    ○島津委員 さきの通産大臣の発言にいたしましても今回の細田通産政務次官の発言にしましても、やはり政治家同士の質疑応答というのが非常に前進をさせていくんだなというような気もしております。ありがとうございました。  それから、またちょっと嫌らしい質問をさせていただくわけでありますが、今回の指導法改正では、相談窓口ワンストップサービス化を図るということが大きな目玉の一つになっておるわけであります。  これは私たちの年来の主張でありましたので、結構なことだと思うわけでありますが、このワンストップサービス窓口の一本化ということは、国では昭和四十一年に中小企業総合指導所の設置構想というようなものが打ち出されまして、これは前回の臨時国会でも私は質問をしたのですが、結局はうまくいかなかったということであります。昨年このことを質問させていただきましたら、ただいまの細田政務次官がるるその経緯について御説明をされたわけでありますが、失敗をした原因というもの自体ははっきりお述べにならなかったということであります。  そこで私は、その後いろいろ調べてみましたら、中小企業総合指導所の設置構想が三十年も四十年もあったけれども、結局平成八年か九年に断念して失敗をしてしまったということの最も真ん中にある理由というもの、原因というものは何かといったら、結局は、専門家がそこにいなかった、育たなかったということだと今は思っております。結局は、短期間でその担当の職員の皆さん方が転勤をしてしまう、かわってしまう、そのために専門家、プロというものが育たなかった、そういうところに一番の問題があったわけであります。  ということになりますと、今回の改正において一つの大きなポイントというものは、では、そういうふうなある意味では民間で実務経験の十分あるような、知識のあるような、実践経験もあるような、そのようなプロというものをいかに登用していくかということが、実効性を上げる大きなポイントの一つではないかというふうに思うわけであります。  先ほどの山本委員質問に対しまして細田政務次官がお答えになっておられたのを聞いておりまして、その中で、今回の制度は、プロジェクトマネジャーであるとかあるいはサブマネジャーをそれぞれのセンター設置していく、要するにこれはどのような募集をするんだというような質問に対して、選考委員会をつくって民間から公募するんだ、このような、御答弁だけ聞けば大変立派なお話をされたのだけれども、それぞれ全国の地元で現在携わっておって、今回の支援法がいざ実施されるときにどうなっていくかという見通しを一生懸命立てようとしておる人たちは、細田政務次官がお答えになったこととはちょっと違うような形になっていくんじゃないかということを、私たちは取材の中で、調査の中でたくさん聞くわけであります。  どういうことかといいますと、今回の支援センターに先ほど申し上げたようにプロジェクトマネジャーとかサブマネジャー、それからそれぞれの地域支援センターにはコーディネーターを配置するということになっているわけですが、その人たちは正社員ではない、正職員ではない。そして、その人たちに対する給料といいましょうか、それはいわゆる謝金という、謝礼みたいなものを払っていくんだ、こういうことになるわけであります。あたかも講演をしたときに講演料を払うような、そういう人たちが各地区のこれからつくっていくセンターの中核的な人たちであるというような話をしております。毎日その人たちが来てくれた場合は、年額で、例えばプロジェクトマネジャーだったら年間一千三百万ぐらいを支払うことになる、こういうことであります。  私たちが考えますのは、正社員ではなくて、このような不安定な形の中で、現役のばりばりの方が公募に応じてくるかどうかということを考えるわけであります。なぜ常勤ではなくて、謝礼というような形で支払っていくような変則的な形にしていくのか、そのことについてぜひお聞きをいたしたいと思います。
  59. 茂木敏充

    茂木政務次官 委員指摘のように、中小企業総合指導所構想、これが結果的にうまくいかなかった、この中の一つの原因として人事政策の問題というのがあったんだと思います。どういうことかと申しますと、これまでのいわゆる支援体制というのは、官が主体に指導を行っていく。これは、いわゆる職員が役職についてから経験を積んでいく、それまでは素人であった人間が役職についてその経験を積んでいく、こういうことで、例えば期間が短くなったりしますと、なかなか人事政策上、本当に身に合った支援ができなかった。  しかし、これからは民を活用した支援ということになって、要するに、ついた段階でプロである人間、プロの人材をその職につける、こういう形になってまいります。民間の人に入っていただくとなりますと、人事的に硬直して、この間は縛りますよ、こういうことになるとかえって有能な人材の採用がしにくくなってくる。そのために、選定に当たりましては、恒常的な職員としないで弾力的な手続をとることの方が望ましいのではないか、このように考えております。
  60. 島津尚純

    ○島津委員 茂木政務次官の今の御答弁なんですけれども、聞いておりますと、それはプロジェクトマネジャーではなくて、何か嘱託顧問みたいなことじゃないでしょうか。そういう人たちで、指導法から支援法に切りかえて、そして中小企業を日本の中核的なものに育てていくというようなことが本当にできるんでしょうか。  三十年、四十年かかっていわゆる失敗をしたその根本にあるのは、先ほど申し上げたように、プロがいなかった。長く、十年も二十年もかかってそこに座って指導してきた、目配りのきく、そのような人たちを、三十代、四十代の人たちを登用していかなければ実効性というのは上がらないんじゃないでしょうか。今のように、何かその人たちの期間を縛るからとか、そうじゃなくて、もうこの仕事に人生をかけてもらうというような人たちを、さっきの選考委員会で公募した方にそのように問うて、そしてそのような人たちを採用するということでなければどうしようもないじゃないですか。いかがでしょう。
  61. 細田博之

    細田政務次官 私もその点が心配でございましたから、先般の広島のセンターでその確認をしますと、先ほど言いました資格のある人はもちろん、公認会計士や税理士やその他やっているわけですから、専業で仕事があるわけですね。それから、それに加えて、やはりニュービジネスというかベンチャーの経験がある人でなければならないし、そういった面の技術、特に情報関係技術がよくわかる人でなければならない。どうしても経営者が多くなります。  先ほどの中で、もう既に成功者、経営者が、後進のためにできるだけ知恵を出してやろうということで、国が頭を下げて、ぜひ中小企業のためにこういう仕事をお願いしますといって、では週のうち何日間はそこへ詰めて大いにその仕事に当たりましょうということで御協力をいただいているという実態がございまして、各地ともそういうものは非常に多くなると思うのですね。  ただ、週に三日ずつ来られる方ばかりがあふれておってもいけないので、常時いて、全体をまた見ていただく方も必要でしょうし、やはり政策的にはミックスをしていかなきゃならないんじゃないかと思います。まして、ただ座って事務所で待っておるというだけではいけないので、むしろ御用聞きをして回るぐらいの、案件としては、ここに来てくださいよ、いろいろ支援をしますからということで呼びかけをすることも非常に大事であるというふうに考えておりますが、実態がそうでございますので、必ずしもすべてを常勤にするとか、大きな所得のある方々もこの中には多いわけでございますから、すべて常勤でお願いするということは可能ではないという感じがいたしました。
  62. 島津尚純

    ○島津委員 私どもは、今回のいろいろな勉強会を通じて、例えば各県に設けられます支援センターというもののイメージを自分なりに描いておったわけであります。そのときに、何々センターというのができる、そうすると、上の方に理事長なんかがおられて、あと理事が何人かいるんだろうな、そしてあとはいわゆる事務局というか実務の世界になってくるわけですが、そこにプロジェクトマネジャーという人がいて、そしてサブマネジャーがいて、そしてあと実務部隊がいる、こういうふうな構成、機構になってくるんだろうなというふうに考えておったわけです。  ところが、今の話を聞くとどうも違って、この頭にあるお二人が週に二日か三日とか、ある意味じゃ一年でもう今度ここはかわるとか。こういうことになった場合、本当にこのセンターというものが、威力を発揮していく、地域の本当にお困りになっている中小企業皆さん方が頼りにして飛んでくる、そのようなセンターに成長していくんでしょうか。いかがでしょう、また政治家の発言をどうぞ。
  63. 細田博之

    細田政務次官 ちょっと誤解がありますが、やはりそこのフロアにどっしりと腰を落ちつけて、全体を見ながら管理監督する人はもちろん必要でございます。あらゆる分野、手足と言ってはむしろ言い過ぎなんで、頭脳になるべき人が何種類もおられるわけです。そして、企業の要請は多種多様でございます、支援すべき内容は多種多様でございますから、そこで人材を活用していくということを申し上げましたので、全員が仮の姿で、事務所に常時いるような人が、ヘッドがいないというような状況を想定しておりません。  むしろ、そういう人は中小企業へ呼びかけたり、全体を効率的にコーディネートしていかなきゃいけませんね。ちゃんと、いついつ幾日に来てくださいというときに、その人の要請する人でない人がコンサルタントとして常駐してもしようがありませんから、どういうことを聞きたい、何が必要だということをすべて即時に判断して、それではこの先生、この先生、この企業の人たちに来てもらいましょうというようなことをするということでございます。  広島に行ったときには、下のフロアには実はニュービジネス協議会という、その地区の新しいベンチャーの集まりの団体がありまして、そこからも常時、ちょっとこういう注文があったんだけれどもどうだろうかということで聞けるような体制をとりたいというような、各地で工夫しておる姿も見られますので、その点も申し添えたいと思います。
  64. 島津尚純

    ○島津委員 わかりました。  そうしたら、プロジェクトマネジャーあるいはサブマネジャー、そういう人たちを支える実際の業務をやられる職員の皆さん方、こういう人たちは、二年や三年に一遍の転勤でころころかわっていくというような、かつての失敗というものはないわけですね。この人たちは、例えばそこでもう人生を託すというような仕事についていただけるわけですね。いかがでしょう。
  65. 細田博之

    細田政務次官 当然、そのように考えていかなければならないのではないかと思っています。
  66. 島津尚純

    ○島津委員 ありがとうございました。  時間が迫っておりますので、次に進ませていただきます。  窓口の一本化、ワンストップサービスということで、指定団体が、それぞれ各県において、あるいは政令指定都市において指定をされていくわけであります。現在、既に全国でこのような中小企業支援団体が統合された例が幾つかあるわけでありまして、まだ数が少ないわけでありますが、ぜひそのように統合を図っていかなければならないと思うわけであります。その中の一つに宮城県、大変先進県であるんでしょうか、この法の施行前に既に県のいろいろな支援団体が統合されたということで、大変いい状況ではないかと思うわけであります。  しかし、ここで私たちが危惧をいたしますのは、これからも、法が施行された後、指定作業というのが行われていって統合が行われていくのでありましょうけれども、そのとき、宮城県のこの統合されたという例をとりましても、例えば宮城県の場合、中小企業振興公社やテクノ財団など三つの組織を統合して支援センターをつくったそうでありまして、既に設立から一年がたっておるわけでありますね。ところが、いい話ばかりではないわけでありまして、三つの組織が統合されたんですが、一年たっても、使っている建物はそれぞれ別々、今までどおりだ。それから、それぞれの組織にいた職員も五十一名、全く変わらないままである。県からの出向者も一向に変わらない。こういうことがあるわけですね。  私は、恐らくこれから全国的にこういうことがあるのではないかな、こういうふうに思うわけでありまして、こうなってきますと、たまたま組織は三つも四つもあるのを一緒にしたけれども、何か窓口一つふえただけだというようなことでとどまってしまうのではないか、このように思います。  そういう中で、必要な中小企業者皆さん方にしっかり顔を向けた形で、こういうものを統合したり、あるいは人員を配置転換したり削減していったり、建物を統合して要らないものは要らないとしてしまったり、そうしていった場合に、恐らく既得権益を守っていくような人たちが相当いろいろな形で抵抗されると思うんですね。それを、強い指導力であるべき姿に改革していくということがやはり通産行政として大変大事なことではないかな、このように思います。  そういう形の中で、このような中小企業のための新しい支援事業を実効性あらしめるために、こういうふうな想定される弊害というものをどのように乗り越えてあるべき姿に形づくっていかれるのか、その辺を聞かせていただきたいと思います。
  67. 深谷隆司

    深谷国務大臣 宮城県の例などを御提示なさいましたが、この間仙台に参りまして、そこいらの事情はよく聞いてまいりました。  いろいろな団体が統合する場合に、例えば理事長等は削減されるわけですね、副理事長とか。そういう点での、いわば経済性といいましょうか効率化というのは図られますが、今回我々がやろうとしている事業というのは統合してリストラするという話じゃありませんで、統合して、さまざまなニーズにこたえて対応するために人手も要るわけでございますから、そこで、例えば支援対象者とのコーディネートの仕事とか、新たな仕事が広がりますから、いかにその職員たちを有効に活用するかという視点で物を考えていくということがとても大事なことではないだろうか、そんなふうに感じます。  いずれにいたしましても、できる限り効率化を図って、そして、要は、御相談に来られる方々ニーズにどうきめ細かく対応できるかが勝負でございまして、そういう意味では、できるだけ窓口を簡素化するとか手続を簡素化するとか、そういう面に深い留意をしていかなければならないと思っております。  いずれにしても、それは地方自治体が積極的に行うことでありますので、通産省としては、そういうような地方自治体に対しての理解あるいは協力を一層深めていただくように声がけをし、お願いをしてまいりたいと思っております。
  68. 島津尚純

    ○島津委員 大臣おっしゃるとおりだろうというふうに思うんですが、せっかくいろいろな機関が統合して、まとまってやっていく中で、私たちは今まで、何もこの問題だけではなくて、行政改革の実態とかいろいろなものを調査する中で、建物は別々で形だけが統合したというような例はたくさん見てきておるわけでありまして、これが例えば全国六十カ所ぐらいで一斉に始まってくるわけですが、恐らくこのような形態というものがそう少数ではないだろうというふうに思いますので、ぜひその辺、しっかりと御指導いただきたいというふうに考えているところであります。  次に、書類の簡素化という問題であります。  先ほども、最初申し上げましたけれども、中小企業皆さん方にいろいろなお話をしていくときに、どういうふうな制度があって、こういう場合どこに行ったらどういうふうな応援がいただけるんだろうかとかをまずよく知っておられないというか、複雑多岐にわたっているということが一つありますよね。  それはこちらに置いておきまして、もう一つは、ああいうところに行けばこういうふうな応援をしてもらえるんだけれども、しかし、行ったら、かばんいっぱいの書類を用意しろと。しかし、私は社長だけれども、もう総務課長も営業課長も務めている一人だけの、あと社員が二、三人の会社で、そんなかばんいっぱいの書類を用意したりするような時間があったら、走り回って物をとった方がいい。こういうふうなお話というのは、恐らく各委員皆さん方もお聞きになっているだろうと思うわけです。  そういう中で、この書類の簡素化というものはできないのか。しかし、皆様方からいいますと、国民の税金を使って支援をするんだから、やはりきっちりと厳しい審査をしなきゃいかぬ、そのためにはあれもこれも出してくれということになるんだよというようなお話になるんだろうかなというふうにも思うんです。  しかし、例えば、既に先発隊で行っております中小企業経営革新支援法というのがあるわけですが、これで大変喜ばれておりますのは、今までのかばんいっぱいの書類をA4判で六枚か七枚ぐらいで結構ですというふうにとどめて、そしてそれを出してくれ、このようなことが既に皆様方の中で始まっているわけですね。でしたら、今回の支援法も、ぜひそのような書類の簡素化を実行いただけないかなということを御質問したいと思います。
  69. 深谷隆司

    深谷国務大臣 島津委員のおっしゃるとおりでございまして、膨大な書類に不必要なものまで書いていただくということは、全く行政の非効率化でございますから、これを改めていくというのは当然のことでございます。  ただ、いみじくも言われましたけれども、例えば融資関係でいきますと、公的な財政資金を借りるわけでございますから、一定の手続が必要であるということはある程度やむを得ないというふうに御理解いただかなければなりません。しかし、そうはいっても、その中でどれだけ簡素化ができるかということが極めて大事な我々の仕事であろうと考えます。  今お話がありましたようなSBIR、これなんかは、申請に当たっては、例えば今ですと五つの省庁にまたがるにしても、書類を共通化するというようなことで簡素化は具体的に始まっておりますし、あるいは小規模企業向けの新たな無利子の貸付制度を、既にリース事業を実施している中小企業振興公社が担当するというふうに統合化も始まっております。これについては十分な配慮をしながら、お借りする方々あるいは利用する方々に、きちんとした、むだを省いた形でおこたえしていくということは肝要だろうと思います。  また、このたびの支援センターというのは、そこに参りますと、今のノウハウのあらゆることがワンストップで知っていただける。そのためにインターネットを活用して、それこそコーディネーターの案内によって、画面であらゆることが、必要なものが流れてくるというようなことなども含めて、やたらと書類でどうこうするようなことを排除する、そういう体制も今努力しているところでございます。
  70. 島津尚純

    ○島津委員 時間が参りましたので、もう質問をやめなければならないわけでありますが、今回の改正案の柱であります、指導から支援という発想の転換とか、あるいは窓口の一本化であるとか、あるいは外部の民間専門家の活用であるとか、いずれも前進した内容であるというふうに考えていいのではないかと思うわけであります。  しかし、ただいま質問をしてまいりましたように、要は中身の充実、実効性をいかに上げていくかということでありますので、どうか今後そのような観点から、深谷通産大臣におきましては強い指導力をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  71. 中山成彬

    中山委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  72. 中山成彬

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中山義活君。
  73. 中山義活

    中山(義)委員 今回の法案とは直接関係がないんですが、三月十日に通産省が出した政府エネルギー政策見直しについて、ちょっと御質問したいんですが、私どももアラビア石油の問題のときにいろいろ質問をしました。  これは、私企業であるアラビア石油が交渉しているのか、または国が交渉しているのか。それから、エネルギー全体としての戦略的な政策はあるのかどうか、またはエネルギー安保という点についてはどうなのか。いろいろ質問したんですが、あのときには見直すという答弁はなかったんですね。中山さん、いろいろなあれがあったけれども今度の件でいずれ見直しますよ、こういうような答弁はなかったんですが、三月十日にこうやって出した。  これは、アラビア石油の自主採掘権、これが延長できなかったので慌ててこういうような会見をしたのか、または、もともとあの質問をする前からエネルギー政策というのはしっかりしたものがあって、それに基づいてアラビア石油の採掘権の延長は要らぬ、こう思ったのか。その辺、ちょっと御答弁いただきたいと思います。
  74. 深谷隆司

    深谷国務大臣 エネルギー政策についての需要と供給の問題で、いろいろな動きが最近特に起こってきております。  例えば、景気の状況がよくないということから、久しぶりに石油需要がマイナスになるとか、しかし一方においては民間とか運輸関係は右肩上がりであるとか、あるいは原子力エネルギーにしましても東海村の事故が起こるとか、あるいは近年特に石油の価格が値上がりしてくるとか、アラビア石油の問題もその幾つかの理由の一つでありますが、いずれにしても需要と供給の面において変化が出てまいりましたから、一年ぐらいかけてこのエネルギーの見通しについて検討を加える必要があるのではないか、そう考えてそのような指示を出したところであります。
  75. 中山義活

    中山(義)委員 私、この間質問していても、随分エネルギーに対する戦略とかそういうものに欠けているような気がいたしました。  特に、最近、原発に関してはこれを見直すという話になってきておる。しかも、この後にいろいろまた法案として出てくるんでしょうし、また放射性物質を最終的にどこへ埋めるかとか、または、最終的に廃炉になったとき、その炉はどうするのかとか、どう分解するのか、またどうやって最終処分するのかとか、いろいろな問題が出てまいりました。  それと同時に、石油の自主開発というのをやめるのかやめないのか。これもやはり、あの時点で私が随分言ったのは、石油公団が一兆八千億円も使ってちっとも開発していないじゃないか、こういうことも指摘したわけですね。一兆八千億も使って新しいものが採掘されないんなら、発見されないんだったら、二千億使ってもアラビア石油を存続した方がよかったじゃないか、こういうようなことを全体のエネルギー政策の中から私はお話ししたつもりなんですが、今回何か、アラビア石油のああいうことがあって、急に三月十日に出した。  つまり、どんどん先送りしていって、後でこういうことを出したというような気がするんですね。アラビア石油の問題だって、何で一年ぐらい前からしっかりした交渉がされていなかったのかというような疑問すら思ったわけで、エネルギー政策をこの三月十日に出すときに、もっとその背景みたいなものもしっかりと説明が欲しいと思うんですね。それと、あのアラビア石油の交渉のときも、国が交渉していたのかアラビア石油という会社が交渉していたのか、これも国民にとってはすごくわかりにくかったと思う。  そういう面では、もう一度このエネルギー政策を今回見直した、これについては日本の将来にとってすごく重大なことですから、どういう経緯でこういうふうになったのか。私は、質問しているときに、エネルギーの戦略はこう考えているという通産大臣のお考えを聞きたかったと思ったんですが、今回三月十日にこういうふうに出た。本当にこれで今回どうやってエネルギー政策を見直すのか。  一つだけまずどうしても聞きたいのは、自主開発はやめるのかどうか、今までのあの何兆円も使ってやった石油公団の開発は間違いだった、こう思ったのかどうか。
  76. 深谷隆司

    深谷国務大臣 石油公団の石油の自主開発をやめるという考え方はありません。それから今、一兆何千億もかけて全部むだではなかったかとおっしゃいますが、決してむだではありませんで、それはリスクは非常に大きいことは、あのような石油を掘るという仕事そのものが大変ですから、そういう意味ではありまして、また、石油公団のありようについての批判等もありましたから、これについては大改革を行ったわけであります。  そして、現状では、一バレルの値段が幾らで為替が幾らの場合には石油公団の黒字が期待できる、また、その数字の値段が違った場合には赤字になるという二通りの状況の数値が出ております。つまり、石油の価格とか為替の価格で石油公団のプラスかマイナスが影響を受けるということの数字が出ているわけでありますから、そういう意味では、ただ今までがむだであったという指摘は当たらないと私は思います。私は、我が国は資源のない国ですから、石油をどこかで自主的に開発したいというその望み、その希望というのはつなげていくべきだ、こう考えます。
  77. 中山義活

    中山(義)委員 この問題が主じゃないんで余り長く質問しませんけれども、やはり、石油の開発よりも、では天然ガスにかえるとか、いろいろな政策見直しは大切だと思うんですね。その中で特に、最近はまたアジアの景気が回復してきた、ここで中東にかかわる、やはり中国なんかも産油国から輸入国になってきた、こういうことで、石油が上がる要素であるとかまたは供給の安定という面も、多分相当不安があることだと思うんですね。  そういう面ではやはり、私が前回質問したときに、通産省はこうやっていますよ、こういう考え方で今回のアラビア石油のものも取り組んでいるんだ、そういう話だったらよくわかるんですが、行き当たりばったりのような気がするんですね。  特に、二千億出したら、鉄道を引けば採掘権が延長できる、こういうこともあったわけですが、いろいろな観点も、国のエネルギー政策の全体から答えが出ているなら安心できるんですが、何か行き当たりばったりにああいうようなことが行われたような気がして非常に私ども不安なんですよ。もう一度エネルギー政策をしっかり立て直して外国との交渉に当たってもらいたいと思うんです。
  78. 深谷隆司

    深谷国務大臣 石油公団の長期損益の見込み、せっかくですから数字を挙げますと、例えば、油価が一バレル二十・七八ドルの場合、為替が百四十八円三十六銭の場合は四千六百八十億円のプラスになると計算上成り立ちます。それから、油価が十一・七五ドルの場合に、為替が九十三・二六円でございますと六千九百六十億円の赤字になる。御案内のように、先ほど申した具体的な数字で、為替、油価の関係で石油公団の損益というのが変化してくるということだけ念のために申し上げます。  それから、今お話がありましたが、石油公団の仕事がだめだからガスに移しかえるという、そんな短絡的なものでなくて、全体像を考えての話であります。同時に、今事務局に命じておりますのは、これから総合エネルギー調査会を開き、また野党の皆さんから、そのときにはメンバーも少しかえたらどうだという御意見もありましたから、それらも踏まえて、一年がかりでこれらの総合的なエネルギー対策を検討しようということでありますから、今直ちにこれをやめてこれをやるのだという、そういうことではないわけで、一年がかりでやる。ちょうど今の長期エネルギーの見通しが立ってから一年数カ月でありますが、これから一年かけてやりますと二年七、八カ月になるのでしょうか。ここいらの長期見通しのサイクルというのはそんなに短いわけでは決してありません。  ですから、需要と供給のさまざまな変化を考えながら、総合的に一体どういうふうに日本のエネルギー政策を立てるかということで、その中には、外国から入ってくる石油の対応、あるいは自主開発の対応、天然ガスの問題、新エネルギー、あるいは省エネ等々、あらゆる角度から一つの方向性を打ち出していきたいと考えているわけです。
  79. 中山義活

    中山(義)委員 アラビア石油の問題は、全体のエネルギー政策があって、鉄道を敷いてやるよりもここは放棄した方がいいという結論に達したというならわかるのですね。ただ行き当たりばったりにああいう形で廃棄するようなことになってくると私は大変心配だということを言っているわけです。  もう一つは、やはり外交という部分で、アラビア石油の社員の人が向こうに二百人ぐらいいたそうですよ。この人たちが帰ってきてしまうということで、サウジアラビアと日本というのはますます遠い国になってしまうのではないか、こういうふうに私どもは考えるわけですね。つまり、石油を産油するその国と日本の関係というのは極めて良好な関係になければいけないと思うのですね。日本の場合は、原子力発電が二〇%ぐらいで、あとの八〇%は石油だとか外に頼っているわけですね。そういう面でも、外交という手段をちゃんとこれからもやっていただきたいと思うので、通産省だけで済むような問題でもないと思うのですね。  サウジアラビアと日本との関係、こういうことをしっかりやっていかないと、通商産業という大きな、国レベル、国と国とのつき合いとか、国と国との交渉とか、こういうことについてはあえてもう一度これからの決意も述べていただいて、安定供給、それから安保、それとエネルギーの戦略という面でしっかりやってもらいたいと思うので、その決意だけ述べてください。
  80. 深谷隆司

    深谷国務大臣 サウジアラビアとアラビア石油の関係は、これは本来、一企業でありますから、アラビア石油とサウジアラビアが協議すべき話です。しかし、我が国の自主的な石油開発というような、いわばナショナリズム的な思いも含め、またサウジアラビアから一日百万バレル日本に輸入しているという深い関係を考えますと、やはり、環境改善というような形で政府間で何らかの前進があれば、それがアラビア石油の交渉にプラスになるかと考えたわけでありまして、そういう意味で、具体的な企業としての継続というのはアラビア石油が考え、我々は日サの協力関係は今後続くということに全力を挙げたわけであります。  そういう意味では、今あなたがおっしゃったことと全く同じだと言っていいかもしれません。  そして、通産省だけがやるべきでないというのはもう当然のことでありまして、御存じでしょうか、今までも橋本総理も一九九七年に行きましたし、その前の小杉文部大臣も行きましたし、あるいは佐藤、堀内、与謝野、私も含めた通産大臣が毎年伺っているわけで、あらゆる立場から、また皇太子殿下も日本に来られて総理との懇談をするとか、いろいろな形での交流をずっと続けてまいりました。  日サの関係でいいますと、いろいろなプロジェクトがありますが、例えば国際協力事業団の研修員の受け入れとか、あるいは人づくり、環境、健康、科学技術、文化、スポーツ、そして投資等々、いろいろな形の交渉が今までございまして、それらの約束事もございます。だから、これらを実施していくということが日サの関係をより友好的に進めていくことだ、そのように思います。  二千億と言いましたが、実際には二、三千億、しかも毎年百億ずつ出さなければならないという、採算性の考えられないような鉄道を敷くことに対して国が税金を払うということは、もともと基本的に私は反対であります。ですから仮に、石油公団のお金を使わずに、二、三千億ならばらまいてもいいとおっしゃるならそれは別でありますが、私はやはり国民の理解が得られないと思った判断でございます。  ただ、繰り返しになりますが、日サの友好関係をつなげていこう、これに全力を挙げて、幸い、ナイミ石油大臣も含め、目下のところ今までと格別の変わりがない状況が続いておりますから、これをしっかり伸ばしていきたいと思います。
  81. 中山義活

    中山(義)委員 最後ですが、要するにこの問題、案外、国民がよくわからないうちに何かずっと論議されていってしまったような気がするのですね。やはりエネルギーという問題、大変大きな問題でございますし、今後とも日本のエネルギーがどうなるのか、しっかりした政策を出していただいて。  要するに、エネルギーという話になると、絶対に外交的な問題が出てくると思うのですね。私は、小池百合子政務次官に、あのとき質問をしたのです。小池百合子政務次官は非常にアラビア語も堪能で、しかもサウジアラビアをよく御存じだということで、私、質問いたしまして、そのときに、やはり日本とサウジアラビアの関係というものはもうちょっと親密にいかないと大変ですよという、警告に近い御発言があったような気がしたのです。そういう面では、スポーツとか、同じアジア大会のところですから。  しかも、その質問をしたときに、サウジアラビアが対外債務を持たないとか、人口の半分が十五歳以下だとか、そういう面では、同じアジアにいながら、サウジアラビアのことをなかなか日本人が知り得ていない、こういうことも問題点だと私は思いますので、今後、外交も含めて、エネルギーの安定供給ということで、どうぞ向こうの方、よく御理解をして、これからも親密な関係を続けてもらいたい、こう要望いたします。  本来の質問に移ります。  景気のことについては先ほどいろいろお話がありまして、提案理由の中に、景気はかなり上昇傾向にあるということをお話しされていますが、実は業種によっては全然だめなところ、またはある地域によっては全然だめなところ、こういうのがあるわけですね。いわゆる今回の、景気がよくなった、よくなりそうだと言っていても、確かによくなったところもあるのですね。勝ち組、負け組がはっきりしているというのが今の景気の現象ではないでしょうかね。  そういう面では、これは私どものと言うとおかしいですけれども、大臣と私の、いわゆる浅草の中で、皮革関連業界、これは靴を扱っているところはもうほとんど中国の安い生産品がどんどん入ってきている、こういうことで、その地域全体が非常に苦しんでいるわけですね。今回のいろいろな企業診断とかそういうものは、地域全体の診断またはその業界全体の先行きとか、こういうものもしっかり判断をしていかないと非常にまずいと思うのですね。  例えば、同じ靴でも、一足二千円くらいのものの、普段皆さんがさっとだれでも履けるようなものから、中にはもうちょっと、三万円とか四万円の靴もあるでしょうが、どの辺をねらったらば一般の日本にはいいのだろうかとか、または今後中国の製品というのがどんどん入ってきて、これではあなたたち、この商売をやっていたらもうやっていけませんよと言うのかどうか、こういう判断とか、こういうものも今回の診断とか、いわゆる相談するところがそういうところまで請け負っているのかどうか。この辺、いかがでしょうか。
  82. 深谷隆司

    深谷国務大臣 景気の状況というのは、少なくとも数字の上で緩やかな回復をいたしていることは間違いがありません。その中で、中小企業はおくれているという実態もあなたの指摘のとおりで、これは私ども言い続けたことです。だけれども、緩やかな回復をしているということは確かでございます。  その場合に、いいところ、悪いところ、勝ち組、負け組、本当に残念ながらばらつきがあります。しかし、それはバブルの時代でも同じことでございます。いろいろな時代でも、一生懸命頑張ってもなかなか頑張り切れないところというのは不幸にしてあって、そういうようなところにきめ細かい政策を打ち立てていくということが大変大事なことだと考えて、そういう意味で、基本法も変え、中小企業の多面的なお手伝いをしようというのが、あなたも含めた皆さんの御協力政策化されたわけであります。これからはそれを実現していくということに全力を挙げていきたいというふうに思います。  それから、今度の支援センターというのは、いろいろな御商売がありまして、そのノウハウをことごとく今直ちに実現し、御指導申し上げることができるかということになりますと大変でありますけれども、今のような、業界の状況とかあるいは海外の貿易関係状況とか、いろいろな角度から、情報等も含めたそういう資料を用意しながら、適切に相談にお答えできるような体制をできる限りつくっていきたいと考えております。
  83. 中山義活

    中山(義)委員 今お話ししたのは、勝ち組、負け組、なぜ負け組になったかというような判断はよくいろいろな方に聞くんです。つまり、中小企業というのは、今、一軒の店が相談をされて、その経営状況がどういうふうにやれば改善されるかとか、こういう問題以上の問題というのがあるわけですね。  それは、町づくり三法、例えば近くにとんでもない巨大なスーパーができるとか、または、さっき言ったように、中国で今度、靴をどんどんつくり出して、しかも二千円内外の靴がどんどんできてくる。そうなってくると、日本はとてもじゃないけれども、我々の地域が疲弊していっちゃう、負けちゃう、こういうことがあるわけですね。やはり業界によっても、規制緩和によって、またはWTOなんかのそういういろいろな外国からの外圧で、違った外国の製品が入ってきて、その地域がそれに押されてしまうとか。ですから、今回の支援センターとかこういうものは、そういう外的な要因に抑えられてきたものについてはどうするのか、やりようがない部分が随分あると思うんですよ。  今お話ししたのは、靴の問題で言いましたね、幾ら経営改善をしても、もう安い靴が入ってきちゃうわけですね。こういう業界についてはどうするんですか。それは、相談を受けたって、経営改善といったって、そのときは、おやめになった方がいいですよという判断をするのか、もうその商売はだめですよという判断をするのか。その辺、どうなんでしょうか。
  84. 深谷隆司

    深谷国務大臣 まことに皮肉に満ちた質問でございまして、個々の問題がどういう形で出されるかわからないで、やめますかとか、やりますかと答えるのかなどと聞かれても、正直言って答えようがありません。  それから、WTOとか、つまり外圧に関しては、外交、貿易関係で国を挙げて頑張っているわけですよ。それは、WTOだって、アンチダンピングやめてくれと、私たちはアメリカと真っ向からぶつかり合って、口角泡飛ばして議論していますよ。しかし、こっちの言うとおり、わかりましたという、そういう世界の情勢でありませんから、その中で精いっぱい頑張っていくというのが、政治や行政のとるべき姿勢だと考えます。
  85. 中山義活

    中山(義)委員 しかし、外圧等いろいろあって、いろいろな状況ができてくるということがあると思うんですね。一つ、例えば今、自民党の方でもお酒屋さんの問題で随分やっていましたね。規制を緩めては困るというような話をしていたじゃないですか、自民党の政調会かどこかわかりませんが。そういう問題がありました。  これはどういうことかというと、中小企業というのは、経営診断とかそういう前に、やはり状況によってどうしようもない部分があるわけですよ。ですから、やはり、個々にそういう部分についていろいろな相談もあると思うんですよ。だけれども、それは、WTOという話の中でそうなっちゃうんですよとかというのは、確かに努力かもしれないけれども、現実に、ああやって自民党の皆さんだって規制を緩和されちゃ困るというようなことがあるわけですから、この前に、中小企業に対する保護政策というか、または、今まで規制がありましたね、こういうものが本当にいいのか悪いのか、やはりこういうところで一回論議しなければいけないと思うんですね。  その論議もしないで、すぐに次の段階に入って、中小企業の経営やなんかを支援しましょう、またはそういうものの相談に乗りましょうといっても、大変厳しい部分があるわけですよ。そういうことについては、いかがなんでしょうか。
  86. 深谷隆司

    深谷国務大臣 当委員会等を通じて、あなたがおっしゃる議論は大いにやっていただきたいと思います。私たち、別にそれを拒んでいるわけでも何でもないわけで、大いに議論をこれからやっていただきたいと思います。  しかし、それはそれとしても、中小企業の基本法を去年打ち立てて、政策を立てて、予算措置もしてきた。皆さん方が賛同してくださったその仕事を今年どうやって生かそうかという段階ですから、その生かそうということに対して、法律改正も含めて今御協議をいただいているわけですから、そういう、国の中小企業に対する思いとかあるいは願いというものをどう具体化するかということで、これから勝負をかけるしかないと私は思っているんですよ。  だから、それをやるからほかの議論はやるなと言っているわけでも何でもありませんから、今の規制緩和の問題について、大いにひとつまた議論をやっていただき、参考になる御意見も寄せていただきたいと思っています。
  87. 中山義活

    中山(義)委員 そうしますと、相談の中には、靴が安く中国から入ってきちゃう、これでどうしようもないんだという相談が当然いくと思うんですよ。業界としては、現実にそういう相談をしたいと言っているんです。もうどうしようもなく中国から入ってきちゃう。これに対してどうするんだと言われても我々もなかなかわからないし、私たちもいろいろ、それは通産大臣に申し上げましょうという話はしました。  それから、やはり、自民党さんが考えるのと同じように民主党だって酒屋さんからいろいろなことを言われているわけですよ。だけれども、規制を緩和しちゃった、それだから、今度は売り上げが落ちたからそれをどうするんですかと聞かれても、この辺が大変難しい問題なんですね。  だから、相談所というのは、どういう相談を受けて、その相談をだんだん上に上げていって、行く行くは規制の問題にまで到達していくのか、そういうところなのか。それとも、法律で決まったことはもうだめなんだ、とにかく経営診断をしましょうというところなのか。その辺はどうなんですか。
  88. 深谷隆司

    深谷国務大臣 何回も申し上げておりますが、それぞれの相談にどう答えるかという、あらゆるノウハウをインプットさせた、インターネットで結んだそういうような装置もし、コーディネーターがそれに対してお答えをしたり、あるいは、必要ならば指導的な立場の専門家をごあっせんするとか、いろいろなことをやります。  それから、今のお尋ねの、例えば外交に関して影響を受けるような問題については、実際に今どんなふうな状態になっているのか、今後どういうことがあり得るのか、そういう情勢分析などはお答えとしては可能だろうと思います。そういう形で、あらゆる相談に応じていこうと思っております。
  89. 中山義活

    中山(義)委員 ですから、今言ったような理論でいくと、やはり、どうしても最終的には負け組が出てくるんですよね。外国との競争に勝てない業種であるとか、または、今言ったような、同じような値段のものでやっていたらば、人件費が安いところが当然強いとか。  そうやって今、うちの方の靴業界なんかは、大分疲れてきちゃっているわけですね。倒産件数もかなり多いんです。私自身が実際、区の方に調べても、倒産件数がかなり多い。そういうのは、やはり、外国との大変大きな競争で負けているわけですね。ところが、地域社会の中で、自分の経営が悪いとかやり方が悪いとかというだけじゃなくて、そういう外的な要因があるということを一応はまず認めてもらいたいんですね。それが一つなんです。  それじゃ、例えば外国から大型店舗が入ってきた、近くに商店街がある、これが大変厳しい。そのときに、この商店街が大店舗と競争するために、それについて、ではお金を出しましょうとかという政策みたいなものが今までありましたよね。そういうものはこれからも可能なのかどうか。つまり、中国との競争のすごく激しい業界に対しては、こういうような予算をつけましょう、こういうようなことは可能なのかどうか。  なぜかといいますと、企業診断をした、結論が出た。よし、おたくの場合は例えば工場にこういう機械を入れなさい、ああいう機械を入れなさい、また、こういう経営体質にしなさいとかいった場合に、先立つものは、やはりお金なわけですよ。そういうところで、相談の結果、金融の問題が出てきたり、または政策的にお金を出す場合、今後の問題としてこういうことは可能なのかどうか。
  90. 深谷隆司

    深谷国務大臣 あなたの今の質問にあえて反論するわけじゃありませんが、靴の自由化等に関して私はどれだけ長い年月、あなたも御存じだと思いますが、靴業界のために働いてきたか。本当にともども、少なくとも頑張ってきたつもりです。だからそういう意味では、これからも靴業界を守るために今までと同じように、あるいはそれ以上に努力するという気概において、あなたに負けるものではありません。  それから、大型店の出店等に関していえば、それは、町づくり三法その他を法律上もつくって、これからは例えば交通とかあるいは環境とかそういう状況を見ながら地方自治体がある程度抑えられるような状況を生み出していこうというようなこともやっているわけで、これらの町づくり三法というものをどうやって生かすかは、これからしっかり考えていかなきゃならないというふうに思います。  また、そういう問題についてのセンターでの対応というのは、例えば、こういう点でアーケードをつくりたいと思うがどういう資金ルートがあるとか、そういうようなさまざまな御相談に応ずることは、もう当然のことだと思っております。
  91. 中山義活

    中山(義)委員 いや、私は、どっちが一生懸命やったとかやらないとかそういう問題を言っているんじゃなくて、客観情勢として、現実に靴屋さんなんかでもかなり追い込まれてきたということなんです。  ですから、例えば、あと十兆円を足した例の安定化資金の問題についてもいろいろあるわけですね、もうすべて大体、いつも言っている月商の三倍を借り切っちゃっているわけですよ。そうするともう、今言ったように、経営診断をしても、経営診断をした結果、こうやりなさい、またはされた方も、ああ、ここを直せばいいのかとわかったときに、それ以上あとのやることが何にもできないというのが現実だと私は思うのですね。ですから、そういう現状をしっかり認識してもらいたいということを私は話しているのです。  今の現状というのは、いつも安定化資金でまだまだこういうお金がありますよと言っても、いつか私が御指摘したように、実は安定化資金が五千万円といったって実際は月商の三倍しか出していないじゃないですか。それじゃ、もう企業は行き詰まっちゃいますよ。ですから、例えば企業診断をした、その診断をしたことがすごくいい結果だった、企業診断士さんもこれならこの次の商売はなかなかうまくいきますよというようなものが、資金を借りるときに何とかして、借りる担保にはなりませんが、何かにつながっていくのか、こういうことを聞きたいのですが。
  92. 深谷隆司

    深谷国務大臣 十兆追加したというのは、まだ貸し渋り対策で少なくとももう一年は頑張ってくれという大勢の皆さん方の御希望にこたえて、通産省として結論を出したわけですね。十兆円、一年間延長。そして、それが本当に成功したと思うのは、二月の末で二十兆は全部貸し終わったのですよ。あれは御案内のとおり三月いっぱいまでの予定でしたから、もし十兆足していなければ、もう資金供給ができなくなっておったのですね。わずか三月に入ってからでありますが、既に二千五百億円を貸し出しておるのです。そういう意味では、私はよかったなと思っている一人です。  それから、三倍というのは一つの目安として例えば東京なんかが設定をしているようでありますが、ここいらの問題についてもっと弾力性を持たせるということを私は盛んに言っているわけです。しかし、返済が可能かということを条件に考えると、地域によって三倍というような枠を一応目安とするということも考え方としてはやむを得ないかな、そういう感じがいたします。  それから、お借りした方々が今本当に積極的にお返しになっておられますからね。お返しになってまいりますれば、またその分は借りられるということに当然なっていくわけです。  それから、経営診断等を行って、非常にいい企業であるということがわかるような企業は、当然貸し出しの対象に十分なると私は思っています。
  93. 中山義活

    中山(義)委員 今言った外的な要因であるとか社会の流れであるとか、今やっている商売をどう変えていかなきゃいけないかとか、いろいろな要素が、やはり自分たちの内から出てくるものだけじゃなくて環境から出てくるものが随分あるわけですね。そういうものを、今までだって区市町村でもいろいろ相談なんかやっているんですよ。ここで通産省が出てきたからには、やはり大きな外敵から受ける要因や何かについても十分考慮をしなきゃいけないんじゃないかと思うのですね。  さっき言ったWTOの話も出ましたよ。こういうような状況になるからやはり国としてはこういう流れに行くので、よし、一生懸命やる人については、これに対抗するんだったらこれだけ出しましょうとか、そういう意味合いのことを言っているのですが、予算そのものから見ると非常に小さな予算でございますから、どういうあれかわからないのです。本当に国がやるんだったら、大きな視点で、これからの規制緩和とかいろいろなものを見据えた上でそういう施策を出してもらいたいと思うのです。  今までの相談だったら区市町村でもやっていますよ。かなりいろいろな相談に乗っているわけですね、個別の相談。しかし、通産省がどういう形で今後大きな、今の商売の流れ、世の中の流れ、こういうものを感じながらやっていくか、ここはすごく大事だと思うのですよ。  さっきのお酒屋さんの問題でも、やはり最終的には規制を強めるのか緩和するのか、またはどういう方向なのか、こんなことも、中途半端にやるとかえって酒屋さんはかわいそうなんですよ。自民党の中で規制はずっとしていくんだという動きがずっとあって、ああ、そうやっていくのか、よかったと思ったら、急に今度やはり規制緩和になる。これだったら酒屋さんだって先の計画が立たないわけですね。  だからこそ、政府の考えていることを早く伝えて、やはり規制というものは緩和される方向であったらば、どうしてもその規制緩和によってとんでもない影響を受けるところにはこれだけ出しましょうとか、そういうことも診断の中に取り入れてくれないと、一般の企業は大変だと思うのです。  本当に、自分たちの努力、ある意味では、企業診断で経営努力なんというのは、これは個人の努力ですよ。自分で何とかなる。だけれども、外国からとんでもない安い商品が入ってきたり、とんでもないスーパーが自分の近くへできるということは、もう中小企業はやりようがないのですよ、現実問題。そういうやりようのない問題について、やはり区市町村じゃなくて国が考えるんだから、もうちょっと何か手当てがありませんか、おもしろいアイデアはありませんかということを言っているのです。どうですか。
  94. 深谷隆司

    深谷国務大臣 外的な要因で一つの業界が非常に困って、通産省が何らかの対応をしたということは、今までも随分あります。  今あなたがおっしゃった靴業界で言えば、自由化になったときに我々は基金をつくったのですね。その基金が随分活用されたということは委員も御承知だと思います。また、突然休日がふえてカレンダー業界がそのために大きな問題になったときも、同じように通産省は基金をつくってそしてお助けをした、そういうケースもあるわけですね。  だから、いろいろなノウハウの相談センターでお受けする場合に、必要な融資だとか今のような基金だとか、多くの問題が出てきた場合には、できる限り通産省としては対応していくというのは当然のことだと思いますね。
  95. 中山義活

    中山(義)委員 実はこういう図になっているのです。これは閣法の、こういう図をつくりましたよね、そちらで。  この図を見たときに、うちの商工部会長なんかは、これはけしからぬ、こういうふうにしてくれと。要するに、図面は中小企業を上にしてこちらを下にすべきだ。やはりあくまでも上から指導するという指導法ですよ、これじゃ。支援なんだから、支えるんだから。そう思うのですね。  だから、私どもは今言ったように、中小企業相談を受けるのは一番左で、これは市町村でもできる。だけれども、本当の意味での中小企業を支えていくという形であれば、やはりこの大きい方が、さっき言ったような外的な要因まで含めて、相談に乗っていかなければいけないと思うのです。  特に、ベンチャーとか言われている元気のいい人たちは、むしろ私たちはこういう相談じゃないと思うのですよ。逆に言えば、自分でマザーズとかなんとか行ってやってくる、このくらいの生きのいい人がうんといますよ。だけれども、一般的に何をやっていいかわからない、何したらいいんだろう、今食っていけない、こういう人たちがやはり相談に行くと思うのですね。そういう場合に、何かこれは、こっち側からこうやっていると、上から下に行くような感じがするのですね。  だから、やはり多様な中小企業がだれでも相談に行けるという相談所が欲しいわけです。ですから、相談所は多様ですよ、外的な要因のことまで来ますよと。中国から靴がどんどん来ちゃうんだけれどもどうしようとか、とんでもないスーパーができたんだけれどもどうしようとかというような質問も当然こっちには来るはずですよ、こういうことを言っているのです。  たまたま、例えば、これはうちの方の文京区で、ポイントカードなんかやっていますね。こういうようなことも、大店舗に勝とうと思ってこういうポイントカードをつくってやっているのですが、こういうものについてはどういうような考え方がありますか。つまり、個人じゃなくて商店街全体が何とかやろうとするときには。
  96. 深谷隆司

    深谷国務大臣 この図面のかき方が、縦がいいか底がいいかわかりませんが、私は横にした方が一番よかったかなと思いますよ。その方がわかりやすい。これは逆さまにした場合にちょっと説明がしづらくなりますね、逆ですから。  だから、これは横にするとか、こういうかき方にもきめ細かい配慮というのは、今の部会長のお考えに、私はそのとおりだなと申し上げていいと思います。  それから、カードについては支援をいたしております。今現在支援しております。
  97. 中山義活

    中山(義)委員 もう一つ、いわゆる相談とかなんとかじゃなくて、京都のやっているような目利き委員会、こういうような種類のものの方が本質は正しいと思うのですよ。通産大臣、どう思いますか。  相談というよりも、いわゆる京都の目利き委員会みたいなものの方が本来は正しいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  98. 深谷隆司

    深谷国務大臣 相談に応ずる担当者が目ききでなければならないということなんですよ。だから、ある意味では、これから相談に応ずる人たちはそういうような経験を持った人、あるいは勉強を積んだ人、そういう人を選ぶべきだと思いますね。
  99. 中山義活

    中山(義)委員 そう言うと思ったのですが、実は、その目ききをする人たちがみんな役人だ。先ほども質問していたじゃないですか。  だから、本当にそうならば、目のきく人をちゃんと相談を受ける側に置いてもらわなければ困る。先ほど言ったように、ほとんど役人だったじゃないですか。前の質問はそうだったのです。だから今言ったような質問をしたのです。  目利き委員会のように本当に目のきく、世の中の将来の、こういう仕事だったら、おたく何とかやっていけますよ、こういうやり方をしたらいいですよと本当に実際わかっている人じゃなきゃ、やはり役所にいて理論だけ磨いたんじゃだめなわけですよ。現実に商売というのは動いていたり、またいろいろなビジネスというのはいろいろな経験がなきゃいけないわけですから。そういう面での目ききについて、もう一度答弁してください。
  100. 深谷隆司

    深谷国務大臣 先ほども答えが出ておりましたけれども、プロジェクトマネジャーとかサブプロジェクトマネジャーというのは一般で公募します。そういうところで、いろいろな経験を積んだ人たちを採用していくようにしたいと思っています。  繰り返しますけれども、今までは役所の官僚の職員が前面にありました。それが後退をして、このセンター民間の人たちを慫慂していこうという方向でありますから、そういう意味では、目ききのできるような方々がこういうようなお立場になっていくようにぜひ進めていきたいし、期待しているところです。
  101. 中山義活

    中山(義)委員 ちょっと具体的にお聞きしたいのですが、そういう方というのは、例えば町の工場の社長さんとか、または本当に中小企業のことがわかっているだれかであるとか、いろいろあると思うのです。今までどおりとにかく役所がやるという考え方であるとか、また心配なのは、企業診断士の試験をうんとやって、うんと企業診断士をつくるという話ですが、その人が本当に目ききができるのかどうか、すごく不安なわけですよ。企業診断士をうんとつくったから、それは資格の問題ですよ。  だから、そうじゃなくて、私たちが考えているのは、学校の校長先生でさえ民間から今登用するという時代でしょう。そういう面では、目利き委員会の、それについてはやはりある一つの基準というものをつくってやっていきたいと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
  102. 深谷隆司

    深谷国務大臣 各都道府県自治体にかなりのそれらの選択は依頼しますけれども、一般の公募で、今あなたが言われたような方々が応募するということも当然できますし、その場合には、それぞれの都道府県において選定委員会が設けられて、適切な人を採用するということになると思います。
  103. 中山義活

    中山(義)委員 時間もありませんので、大体、通産省の考えていることは、要するに上から下へ行くような感じがどうしてもするのですね。国の許認可数なんかでも通産省が一番多いのですよ。常に通産省が上にいて、下が何かやっていくというような図式でやっているような気がする。こういうような相談所も、今、区市町村にもあるし、都道府県にもあるわけですね。今度こうやって六十五億ぐらいの予算でやった場合、その頭出し、横出し、本当は地方自治体だって大変だと思うのです。  今までやっている相談というものがどういうものだとか、実態をしっかり把握して、それにどういうふうに今度のが、もっとこういうふうにしろという指導があるのか、または支援があるのか、この辺について一言最後にお聞きをいたしたいと思います。
  104. 深谷隆司

    深谷国務大臣 あなたがおっしゃるようなさまざまなノウハウというものを受け入れながら、まさに、中小企業皆さんがそこへ行けばワンストップサービスで答えが得られるような、そういう状態をぜひつくりたいと思っております。
  105. 中山義活

    中山(義)委員 一応、私の時間が来ました。  ちょっとお後がよろしいようなのでかわりますが、市町村のそういう窓口を一回幾つか抽出してくださいよ、どんなことをやっているか。よく調べていただいて、それで、やはり経営相談というのはこういうものだ、企業というのはこういうふうに相談されたらこう受けるべきだというようないろいろなやつがあると思うので、幾つか抽出して、ぜひよく調べてもらいたいと思う。  私が調べた中でも、文京区と台東区はやはり違いますし、台東区と中央区も、聞いてみると随分違うのですね。診断士の方も考え方が随分違うのですよ。だから、やはり企業診断士の方だって、試験で受かったから後ですぐそれが役に立つなんてものじゃないし、いろいろな意味相談業務というのは大変な業務だと私は思いますので、ひとつその点、上から下へじゃなくて、下の方から、何を考えているかと一回引っ張り出してもらいたい、こう思います。  以上です。
  106. 中山成彬

    中山委員長 渋谷修君。
  107. 渋谷修

    ○渋谷委員 民主党の渋谷修でございます。  先般の両大臣の所信表明演説に対する質問の際に、京セラの補助金の不正流用の件、税金の不正使用の問題を取り上げながら質疑をさせていただきました。  その中で、両大臣にも、こうした問題、実は京セラの問題は、単純に、企業の中で、ある企業が税金の不正使用をしたというような事件として私も最初は取りかかったのでありますけれども、道端に転がっている邪魔な石があるから、後に通る人のことを考えて取り除いてやろうと思って取り除こうとしたら、意外にこれは大きな石の先っぽでありまして、その下にでかい岩が実は埋まっているという状況がだんだんわかってまいりました。これは先般もお話を申し上げました。  最高責任者である稲盛さんが政府の幾つかの審議会の委員をやっているということ、あるいは通産省のOBが京セラに天下っているということ、さらに、この十年ぐらいの間に十億円に上る税金が京セラには投入されているわけでありますけれども——いや、通産大臣、京セラの件はあしたやりますから、きょうは答弁はいただきませんので、あしたやりますから大丈夫です、おさらいですね。そういうことなどのお話を申し上げ、さらに、これには会計検査院も一部どうもかかわっているということなどがありまして、これは単なる小さな石ころの話ではない。どうもこれは、ある意味では、この国の一番深刻な部分をあらわしているのではないかというぐあいにつくづく思いました。  これらについては、先般の質疑の後、また改めていろいろな方々からの助言もあり、私なりに調べたこともありますので、あしたの委員会において改めて取り上げさせていただきます。  その際に、いろいろ起こっているこの間のスキャンダルについては、ばらばらではない、どうも共通している意図があるというぐあいに考えまして、これは両大臣にも申し上げましたのですが、小信を守って大信を失う、小さな信義を守って大きな信義を失ってしまう。これは日常の私ども庶民の生活であれば、みずからの身を守る、当たり前の話でありまして、そしてまた、いわば家族を守る、身内を守る、一番近くにいる人たちを大事にする、あるいは組織を守るというのは、美徳であります。  ところが、社会の指導的な立場にある人間、あるいは政治家として私どもは一般の方々から見れば途方もない権力を持っているわけでありますから、そうした権力者が自分の懐のことを第一番に考え、あるいは身内を大事にし、そして組織を守ることにきゅうきゅうとするなどということになりましたならば、これが常態化いたしますと、実は、今起こっている国家組織の崩壊ということになっていくわけであります。このことは私どもがきちんと戒めなければならない、そうしたことを行ってはならないというぐあいに私は思います。  この間に起こってまいりましたいろいろなスキャンダル、例えば神奈川県の県警の事件も京都の警察の事件も、あるいは新潟の、これはもう唖然とし、声も出ないほどの警察の失態でありまして、あの九年以上にわたって束縛をされていた少女につきましても、警察がしっかりしていればもっと早く見つかったのではないかというぐあいにも思います。そしてまた、その後始末。いずれ自分も何とか出世をしたい、だから中央から来た偉い人にはいい顔をしなきゃならない、接待もする。上から来た人は、自分の職務を忘れて雪見酒で一杯飲んでしまう、そしてマージャンにうつつを抜かすなどということになりましたならば、これはもう何をか言わんやの話であります。  越智発言についても同じでありまして、自分の身内の議員をヨイショし、そしてその人を通じればいろいろ話は聞いてやるよと。銀行に対しては今ある意味では厳しく姿勢を正さなければならないときであるにもかかわらず、国民の貴重な税金、あとまた四十兆円残っているから、言ってみれば自分の財布の中の札びらを切るように、面倒を見てやるよという発言をする。やめた本人は、何で悪かったかというのは多分わかっていないのかもしれませんね。なぜ自分が責任をとらなきゃいけないのかということはわかっていないのかもしれません。実はそんな発言などもございます。  実は、小渕さんのドコモ株の事件もそうであります。どう考えたって、普通の人が手に入れられない株を小渕さんの周辺の人たちが持っていて、今、時価評価が九十億にも達するなどという話になりましたならば、これは疑惑を持たれるのが当たり前。みずからも疑惑を晴らすと言っているわけでありますから、晴らすためならば、必要な書類、紙切れ何枚かを出せば済む話なのに、それはまさに捜査が行われているからそれに任せるという話になりましたならば、秘書や身内をかばうということが先でありまして、納税者、国民に対する信義というものを優先して考えている姿勢ではない。ここに実は、今の政治の基本的な危機があるわけであります。  小信を守って大信を失ってはならないというのは、政治家としての必ず守らなければならない戒めの言葉だというぐあいに私自身は思っておりますけれども、これは私自身のただ個人の思い込みの話なのか。通産行政、あるいは経済企画庁としての行政のあり方、きょうもたまたま法律案の審議をしておりますけれども、そうした法律についても、以前から言っておりますように、国民協力、理解、信頼がなければ、その法律の実効性を確保するなどということはできません。そういうことでいえば、今申し上げたことはとても重要なことだ、そのことがすべての議論の出発点でなければならないというぐあいに私は考えますが、両大臣の見解をまず先にお伺いをしておきます。
  108. 深谷隆司

    深谷国務大臣 政治家が膨大な権力を持っているとも思っておりませんけれども、少なくとも、国民の代表として、国政を担う一人として、常に倫理観を持って、まず国家国民を先に考える、当然の発想に立って仕事をしていくべきだと思います。それは、官僚の諸君も同様であると思います。  いろいろな不祥事も起こっておりますけれども、これらを十分に他山の石として自戒しながら、私も政治や行政を進めていきたいと考えます。
  109. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員のおっしゃるとおり、信を守ることは大変重要なことであると思います。  特に、私たちが反省しなきゃいけないと思いますのは、歴史の中で何が本当に大事なことであったか。一時の感情、一時の流れに流されて、歴史で重要なことを失った例を日本も経験いたしました。そういう意味からも、私たちは、本当に大切なこと、本当に大事なことを、長い目でしっかりと見きわめていく必要があると考えております。
  110. 渋谷修

    ○渋谷委員 通産大臣の、政治家がそんなに大きな権限を持っているというぐあいにはそう考えてはいないという謙虚なお話でありますが、一般の方々から見ればということを申し上げているわけでありまして、それはもう、国政に立つという意味であれば、まさにその権限を着ておごり高ぶってはいけないというのは私も一緒に考えておりますし、その意味では、そう行動しなければならないのでありますが、普通の方々から見れば、国政に携わる者、あるいはもちろん各級議員もそうであります、選ばれた方々ということでありますから、そういう意味での権限も持たされているということが言えるわけでありまして、今、思いは一緒であるというような理解の中でお話を進めたいと思うのです。  堺屋長官にお伺いしたいのでありますが、本論に入る前に、私の方から質問通告を申し上げまして、三月の十日に参議院の予算委員会で取り上げられた件でありますけれども、DVD版「日本経済は今!」。DVD版といっても一般の方々にはなかなかわかりにくいので、デジタルビデオディスク、こう言ってもわからないかもしれませんね。言ってみれば、ビデオテープをさらに情報を詰めて見やすくしたものというぐあいに理解すればよろしいでしょうか。コンピューターで、最近はプレステなどという商品も売り出されましたけれども、そういったもので見られるものであります。  経済企画庁が毎年出します経済白書、これは文字情報でありますけれども、これを言ってみれば映像の情報にいたしまして、新たに製品をつくるということでありまして、この製品の作成をめぐってのやりとりについて、実は参議院の議事録を私も穴があくほど何度も何度も読んだのであります。何度読んでもよくわからない。何でこういう話になるんだろうかというのが正直なところです。  この間、衆議院の本会議吉井さんがこの問題を取り上げましたら、随分長官が語気を強めて、色をなして怒っておりましたので、ようわからないな、この話はということで、実は私自身が疑問な点が幾つかありましたので、資料をお願いしたいということで、国会の方の窓口を通じて資料のお願いをいたしました。  そうしましたら、資料の提出はできない、口頭で説明したいということがまず最初であります。一体何を言っているんだろうか。私の言ったのは、具体的にファクスで項目を書きまして、ぜひ資料を出してほしいということを申し上げたのです。  御本人が参りましたけれども、資料がなければそれは説明とかいう話になりませんねということを言いましたら、改めて戻りまして、それで私の方からは、資料がなければ平場での長官とのやりとりになりますよということを申し上げました。そうしましたら、改めて参りまして、経企庁の封筒に入った資料を恭しく持ってきましたけれども、参議院の予算委員会でやったことがすべてでありますので参議院の予算委員会の議事録を持ってきた、長官の指示によるという話であります。  これは大したものでありますね。参議院の予算委員会の速報だったら、私だって手に入りますよ。一体何を言っているのかということで追い返したのでありますが、長官の指示によるということですが、そうでありますか。
  111. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私の直接の指示でどうというわけじゃございませんが、恐らく委員の要求された資料が提出するに適当でなかったということだろうと思うのです。  よくわからぬということでございますので、改めてこの話の構造説明させていただきます。
  112. 渋谷修

    ○渋谷委員 いや、資料の問題だけでいいです。それはまだいいです、その後に聞きますから。  大臣がそう言って、それでいいということで参議院の予算委員会の議事録しか持ってこなかったのですよ。確認してください。大臣はかかわっていない、それは官房の判断なのかどうなのか、確認してください。
  113. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 先ほども申し上げましたように、委員から求められた資料がこの場に提出するのに適切でなかった場合には、やはり適切なもの以外持ち出せないと思います。
  114. 渋谷修

    ○渋谷委員 長官は、私の資料を出してほしいという要求については当然伺っているはずですね、答弁しなきゃならないのでありますから。それについては、そういう資料は要るのか要らないのか、そういう明確な判断、指示をされましたか。
  115. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私に相談を受けた範囲では、これとこれとは出すべきでないという指示はいたしました。
  116. 渋谷修

    ○渋谷委員 ということは、長官が最初に指示されて、そういう資料は提出する必要はない、仕方がないから、あとは担当者の判断でありましょう、参議院の予算委員会の議事録速報を私のところへ持ってきた、そういうぐあいに理解していいですか。
  117. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 事務当局の判断も同じでございました。
  118. 渋谷修

    ○渋谷委員 そこで、改めて私は、それであれば仕方がない、資料がないのであれば、質問通告をして、その中身について一々そちらの方にお話を申し上げて、そしてどういうぐあいに判断するかということを聞くわけにはいきませんなということで帰っていただいたのであります。  そうしましたら、実は翌日にまた恐る恐る参りまして、こういうものを用意してきましたということで、紙切れ一枚で、幾つかの項目について答弁資料を持ってきたわけであります。それでは、これはなぜ持ってきたのですか。
  119. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員の要求された資料というのは何でございましょう。委員の疑義にはできるだけ答えようというのでそういうペーパーを事務局がつくりました。私も一読はいたしました。けれども、その委員の要求された資料、私どもの事務当局が持っていかなかったというのは、どういう内容のどんな資料でございましょうか。少しはっきりさせていただければ、もう少しきれいにお答えできると思いますが。
  120. 渋谷修

    ○渋谷委員 私が最初求めたのは、そんな難しい資料ではないのであります。  このことがよくわからないので、九九年版DVD「日本経済は今!」の作成に当たってデジタルアーカイブズ社がかかわってきた経過、それはだれから紹介されてきた会社なのか、経企庁に、これは官公需等のかかわりで必要でありますから、資格登録されているかどうかという事実関係の確認。そして二番目に、昨年三月に幾つかの会社、企業に企画書を提出させているけれども、その提出させた経緯、あるいはそれを選択した基準、その企画書をぜひ出してほしい。三番目に、経企庁関係者でDVDの作成に当たって出演したメンバーの全員の名前、出演した日時、場所、所要時間、出演料、だれの指示で出演することになったかということをお伺いしたのであります。  最初は全くそれは出さずに、出さなくてもいいという判断をされたわけでしょう。今のお話の経過でいえば、そうでしょう。それはこの委員会に出すような内容ではない、したがって出す必要はないということで、私のところには白紙で、手ぶらで来たわけでしょう。
  121. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私が伺いましたのは、「日本経済は今!」というものを作成、企画したのに、電通、東芝、デジタルアーカイブズの三社がどういう格好でかかわったかということをお聞きになりたい。それで、もう一つは、その中のデジタルアーカイブズ社が物品製造等競争に参加しているか。これらについては、資料というよりも、この紙にございますように、文書で回答するということでございます。  それから、企画書は、民間企業と個人の間のものですから、これはこういう場にお出しするのは適切でないだろう。  それから、出演した者の名簿、これはここにもちゃんと名前が出ておりますから、これを控えて出すようにというようなことは申しました。それから、出演の日時なども、ちょっと本人が、いなかった人もおりまして、調べて出す、確認して出すということにいたしました。  委員のところには、遅滞なく、以上の文書は出しておると思います。
  122. 渋谷修

    ○渋谷委員 長官、それは事実関係が違うじゃありませんか。  長官自身が先ほどお答えになったでしょう。最初は、私の方で要求した質問資料については、委員会に出すべきような内容ではないから、したがってそれについては出さなかったということですよ。私の方は、易しく言えば、その後さらに要求をして、それでは平場でのやりとりになりますよということを申し上げたことから、ちゃんとこの間の経過については、もちろん落ちている部分はありますが、回答してきているじゃないですか。  こういう言ってみれば役所の、これは企画庁だけじゃない、ほかの役所も含めて、物事を小出しする姿勢というのがこの間の日本のこのていたらくの事態を招いているのじゃありませんか。堺屋長官ともあろう者が、こういう態度を職員にさせるということ自体がおかしいじゃないですか。官房が勝手にやったんだというのであれば、官房に対する長官としての見解をお伺いします。
  123. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 当初、委員からいただきました質問の中で、企画書の件を除きましては、簡単なことでございますので口頭で説明するということでございました。それで、氏名でありますとか日時でございますとか、資料というほどのものでないと思いまして、議事録を持参して口頭で説明してくるということでございました。  ところが、口頭でいきましたところ、文書でということで、委員のところへ中一日置いて資料を文書でお持ちしたのではないかとたしか記憶しております。
  124. 渋谷修

    ○渋谷委員 口頭での話では無責任な話になるじゃないですか。それこそ、言った言わないという話になりますでしょう。  したがって、幾つかの大事な点、事実関係を確認しなければならないから、私の方からはきちんとファクスを入れて、いつもそうでありますが政府委員室に照会をして、こういう内容でということを担当者にまた改めて私が口頭でその背景を申し上げて出せと言っているのを、先ほど長官は言われましたが、長官の指示でこれは委員会に出す必要がないという判断をされたということでありますから、私はそれは違うでしょうと。  最初からこんな問題を小出しにするのではなくて、今のお話を伺っていると、それは職員の話ではなくて、長官自身が物事を小出しにして対応しようという姿勢じゃないですか。いかがですか。
  125. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私は、別に小出しにしようとか大出しにしようとかいうことはございませんで、これぐらいのことなら、委員お急ぎなら口頭で答えてできるんじゃないかと思ったのでございます。氏名とかは書き取っていただいても間違いがないし、途中で隠したり言わなかったというような話でもございませんから、これぐらいなら口頭で言ってきたらどうだということだったのです。  それで、委員の方から改めて文書でということでございましたので、こういう文書をつくらせていただいてお届けしたのでございまして、それは別に小出しにしたわけでも大出しにしたわけでもございません。
  126. 渋谷修

    ○渋谷委員 限られた委員会での質疑の時間でありますし、また委員会日程が決まるのも、国会の中では非常に限られた時間の中で行われるわけですね。したがってそういう意味では、やはりこれからは、私どもの方から資料の要求をした場合は迅速に誠意を持って対応してもらうということは当然の話じゃありませんか。  きょうはこのことを主論にしてここで議論しようというつもりはないのであります。そこの姿勢だけはもう一度確認しておきます。
  127. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 小出しにはいたしません。十四日にいただいて十六日に返事しておると思います。     〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
  128. 渋谷修

    ○渋谷委員 そこで、参議院でのやりとりでありますけれども、先ほど御説明いただくという話をいたしましたが、もう参議院の方で説明をしている内容でありますから、長官にお話しいただくと多分長くなってしまうので、かいつまんで私が言いますから、違うところだけ指摘してください。  要は、経済企画庁が作成をしている経済白書、これを、視覚的なもので、もう少し情報量の多いもので、多くの方々に理解してもらうような内容でぜひ作成をしたいということで、先ほど来言っているDVD、こういった情報手段を何とか作成したいというのを堺屋長官自身が発想されて、あちこちで、方々で言って歩いた。それに対して、ではそれに協力しましょうという会社が幾つか出てまいりまして、その幾つかの会社の中から、結果としてですよ、結果として、デジタルアーカイブズ社という長官自身が長年のつき合いのある会社と、電通、それから東芝のグループがこのDVDの作成に当たりまして、そしてこれが製品として作成されたという経過であります。その作成に当たって、長官と経企庁の職員がこれに協力をし、そしてDVDの作成に当たっての出演を行った。これだけの話ですよね。
  129. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 短絡して言いますと、それだけの話でございます。  このDVDを製作するというのは私はいいことだとは思っておりましたが、経済企画庁が発注したとか請け負ったとかいうことは一切ございません。一円のお金も流れておりません。  また、この経済白書というのは、著作権法三十二条の二項によりまして、公開の、だれでも自由に無料で使用できることになっておりまして、経済企画庁が認可するとか許可するとか、そういったたぐいのものではございません。  現に、印刷のメディアでは、複数の経済誌が、全文を含むものを臨時増刊号として出しております。どういう種類の印刷物が出ているか詳しく御説明するとよくわかっていただけると思うのですが、まず、経済企画庁と書いただけの白表紙のもの、これは経済企画庁が印刷局に印刷費を払って出しておるもので、作業用のもので途中経過であります。それから、経済企画庁編という白表紙がある、これは印刷費を出して経済企画庁が注文しているもの。それから、経済企画庁編大蔵省発行というのがございまして、これはきれいな表紙がついて売り出されておる。そのほかに、毎日新聞社エコノミスト誌と東洋経済、この二つが臨時増刊号で出しておりますが、これは全く経済企画庁編ともございませんから、自由に出せるわけでございます。  DVDもそれと同様でございまして、自由に出せて、私たちが選別するとか選択するとかいうものではございません。だから、委員のおっしゃるとおり、ただそれだけのことでございます。
  130. 渋谷修

    ○渋谷委員 ところが、そのDVDをつくるには、ほかの関連会社の方々からお話を伺うと、最低でも大体一千万ぐらいの費用がかかる。何社か声を上げてきたところから、実は数社がグループになっている、長官が長年つき合いのあるその会社の入っているところに、参議院の予算委員会での議事録を見れば、最終的には二社残ったけれども、三月末ごろに企画書をいただいて比較検討したところ、東芝、電通、デジタルアーカイブズ社の方がいいなと我々は思っておりましたということで、つまり二社の中から一社がいいなということで、そこに、一番いいというところに、二段目ですよ、「一番すぐれていると思うところに私及び企画庁の当時の担当局長、課長が出演しようということになりました。」これは参議院での答弁ですよ、長官自身答弁のことを申し上げているのです。  そういう形で実は、長年のつき合いの、言ってみれば身内とも言えるような企業の要望に応じて、あなた自身も、そして企画庁の職員がそれに協力をし、出演する。先ほど申し上げた身内主義じゃないですか。小信という話になりませんか。
  131. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私も、作家、評論家として二十年もやっておりますと、いろいろなところに知り合いがおります。ここに出ております中でも、PHPでも日経映像でも、本も出しておりますし出演もしております。特定の会社だけが身内というわけでもございません。  だから、私は非常に公平に、私自身が出演するとき、これはもうどんなテレビでも雑誌でも、まず個人に出演あるいは執筆依頼をするときには、全体はこんなことですよというのを、何回も書きかえてきますけれども、そういう企画書というのが来ます。そういうものを見て自分の時間と能力と趣味の最も合ったものを選ぶ。そのほとんどはやはり、それをおっしゃるなら知り合い、身内といえば身内かもしれませんが、そういう長い知り合いのいるところがたくさんございます。決して一社ではございません。  そういう中から公平にといいますか、私個人の好みでここはいいな、こう言いました。たまたま他の職員も同じような感想を持っていたというので、一緒にそっちに出ようかということにおいおいなったわけでございますけれども、別に身内主義というわけではございません。
  132. 渋谷修

    ○渋谷委員 あなた自身が参議院の予算委員会で答えておりますけれども、そのほかの、あなたが全部知り合いがいるということであればそれはそれでいいのですが、日経映像、PHP研究所、パナソニックデジタルコンテンツ、あるいは東芝、電通、デジタルアーカイブズ社ということで、それぞれもちろん私もよく名前を知っている会社ばかりでありますけれども、この中でこのデジタルアーカイブズ社という会社だけは私も知りませんでした。  いろいろ調べました。従業員五人の小さな会社で、一生懸命頑張っていらっしゃるのでしょう、それはそれで。会社にも行ってまいりました。表参道の裏側の方にあります。なかなかしゃれた建物でありまして、そこは堺屋さんの、堺屋事務所ということになっていますが、ほとんどあなたの株だということですから、実際上は堺屋さんの所有の土地にその建物があって、その中に入っている会社であります。  他の企業とは違うでしょう。他の企業の、例えば電通の社屋は堺屋太一事務所で持っているのですか。
  133. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 それは家主とたな子の関係はございますが、人のつき合いというのはそれだけではございませんで、出版関係もございますれば、いろいろ人の輪は、つながりというのはございましょう。単にその会社が九七年でしたかから私のところの建物に入っているから、それだけが身内だというように言われても、これは私が長官になる前からの単なる賃貸借契約があるだけでございますから、別にそれで云々というわけではございません。  何よりも、この件に関しては経済企画庁の予算も権限も使っておりませんから、そういうことをおっしゃっても、私としてもそれ以上のことは、関係なかったと言う以外にございません。
  134. 渋谷修

    ○渋谷委員 企画庁からお金が出ているかどうかという話は、私は別に触れていないのであります。要は、そういう御関係にある会社でしょうということの確認です。  先ほど来申し上げていることは、それはだれだっていろいろなつき合いがあることは知っていますよ。世間では、そういう意味でのおつき合いを大事にするというのは美徳と言われることもあるでしょう。しかしながら、政治家がそういう特定の関係にある社をあたかも優遇しているような、便宜供与しているような疑いをかけられたら困るでしょう。みずから身を律するということはそのことじゃありませんか。小信を守って大信を失うというのはそのことになるじゃありませんか。そのことを申し上げているのですよ。  世間的な美徳の話を、それはそれまでいかぬという話をしているのではないのであります。堺屋長官という立場にいながら、他の社はそれなりに名前の通ったところ、このデジタルアーカイブズ社は企画庁に特別、資格登録をしているわけでもない、企画庁とのおつき合いがあったというぐあいにもこれは考えられないということです。  もう時間が余りありませんので先へ行きますが、確かに企画庁からはお金が出ていないということですが、出演をして、一方は自分たちの費用で一千万以上の製作費をかけて経済企画庁のためにDVDを作成して販売する。これは私企業ですから私的利益を追求する、当たり前の話でありましょう。それだけ奇特な会社の事業皆さんはいろいろ協力をし、出演をして、出演料をもらったり、報酬を得たりしているでしょう。これは明らかにしてください。
  135. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私自身は、適切な対価と思われるものとして、お手元にございますDVDを百枚いただきまして、これを地方自治体や大使館やジャーナリストの人たちに、ぜひ経済白書をよく見てくれというのでお配りいたしました。これは私の個人の出演料として決して高いものではないと思っております。また、安いものでもないと思っております。余り安くすると特定の会社に有利になりますし、余り高くすると私に有利になり過ぎる、ちょうどそのぐらいというところで、それだけいただいたわけであります。
  136. 渋谷修

    ○渋谷委員 堺屋長官の場合は百枚ということですから、これは市販で九千四百円ということなので、九十四万円相当の商品で現物提供されたということですね。職員の方々が報酬をもらっているということについては、多分四の五の言うのでしょうけれども、私の方で聞いておりましたから、一人当たり二十万円ずつの謝礼をいただいているということでありますね。  これらについては堺屋長官は、参議院の予算委員会での答弁では、これは正式に堺屋長官の言葉をそのままとらえれば、公務員倫理規程に基づいて出演し、またそれ相応の対価もいただいているということなのですが、正式には経済企画庁の職員倫理規程ということだろうと思うのですが、この職員倫理規程の第二条の一項と二項を読んでいただけますか。
  137. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 まずその前に、今九十四万円とおっしゃいましたけれども、卸価格でこういうものは受け取ることになっておりますので、大体六十万円と私は認識しております。これはちょっと訂正させていただきます。  それから、第二条の一項と二項でしょうか、一条と二条でしょうか……(渋谷委員「二条です」と呼ぶ)二条の一項と二項ですか。  「職員は、すべて公務員は国民全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではないことを自覚し、公正な職務の執行に当たるとともに、公共の利益の増進を目指して職務を遂行しなければならない。 二 職員は、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを認識するとともに、日常の行動について常に公私の別を明らかにし、職務やその地位を私的な利益のために用いてはならない。 三 職員は、」……(渋谷委員「三はいいです」と呼ぶ)以上です。
  138. 渋谷修

    ○渋谷委員 これは、長官自身が訓令として、もちろん出された方は前の方でありますけれども、機関としての長官が訓令として発するものであります。これをごらんいただければ明確に、もちろん公務員の倫理というのは当たり前の話でありますが、その二項に、「自らの行動が公務の信用に影響を与えることを認識するとともに、日常の行動について常に公私の別を明らかにし、職務やその地位を私的な利益のために用いてはならない。」明確な規定であります。  このDVDはもちろんお手元にあるでしょうけれども、これには堺屋長官と出演した方々の名前、肩書を入れて明記されているわけです。この中身もそうです。これをつけることで、これを製作した方々企業としての利益を追求する、一方で職員の方々はこのことによって報酬を得る。私的利益の追求じゃありませんか。いかがですか。
  139. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 その点は実に厳格にやっておりまして、これの出演その他、かかわることはすべて休日もしくは夜間、職務時間以外のときにきちんとやっております。そして、そういうものについて、例えばテレビの出演であれ、あるいは雑誌の論文執筆であれ、肩書をつけて出演することは一般的に許されております。私は、おとといもあるテレビに出ましたけれども、肩書はついて出ておりまして、出演料もいただいております。これはすべての官庁でずっと以前から行われていることでございまして、何らその倫理規程に反しておりません。職務専念の時間外に私的にやっていることでございます。
  140. 渋谷修

    ○渋谷委員 申しわけない、この規程では休日ならいいとは書いていないのですよ。「日常の行動について」、日曜日であれ、あるいは夜間であれ、公務に影響を与えるような、そういう疑惑を持たれるような行動をしてはならない。ですから、公私の区別を明確にしなさいということなんですよ。  しかも、それはテレビについて、たくさんの不特定多数の方々に見解を述べるというようなことは、もちろん大臣自身が肩書をつけて行くのは、それはそれで許されることでありましょう。しかし、このことは私企業の利益です、これを作成するというのは。これをただで配るならいいです。皆さんがボランティアで出席した、出演した、出演料ももらわない、この企業も、これを一千万かけてつくったけれども、必要な国民にはただで配る、これは何ら問題は生じません。企業の方はこれを売って利益を追求するのです。当たり前の話でありましょう。  あなた方の方は、それは六十万円か九十万円か、私は小売でしか物を買ったことはありませんから、そういう意味でいえば僕は九十四万円だと思いますが、あなたの方はあなたの方で現物で商品をいただいているということでありますから、「職務やその地位を私的な利益のために用いてはならない」ということについて、明確にこれは問題になるじゃありませんか。  しかも、さらに申し上げますと、この規程に基づいて届け出を行ったというぐあいに聞いています。その届け出は、撮影したのが昨年の七月十七日ですが、届け出はその撮影をした後であります。七月二十八日であります。規程では、「事前に届け出て、その了承を得るものとする」と。やむを得ない場合ということを除いて、必ず事前に申請しなければならない、これは原則であります。  この届け出書類、当然所定の様式が決まっています。この書類を見なければ、先ほど来議論している公私ということのけじめ、これがつきません。この資料要求もしていますが、これは出せないという答弁であります。出すべきじゃありませんか。公務員倫理法、今度四月からできるものでは、除外するものは、ほとんど限られた部分しか除外にならないでしょう。当然のことながらこれは提出すべきだと思いますが、いかがですか。
  141. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 まず第一点でございますが、公務員法の規定で、公務員が、個人として出版業の依頼を受け、相応の対価を得て、当該出版業者の法令集の校正等の作業を行ったとしても、勤務時間外であり、かつ校正等の作業のように継続性のないものであれば、これらの規定に照らし、職務専念義務違反などの問題は生じない、これは明確に書かれております。  この場合、継続的なものでもございませんし、時間外でございますし、個人で、そういう出版その他の業者に依頼を受けて、相応の対価を受けて作業することは全く問題がございません。  次に、その申請がおくれたということでございますが、これはDVDのソフトを製作するのに有志が勤務時間外に協力をいたしまして収録をいたしましたけれども、はっきりとした諸条件、そういったものが明確でございませんので、とりあえず口頭で了解を得て、その後、申請書を出したものでございます。  申請書はなぜ出せないかということでありますが、ここは大変大事なことでございまして、これは個人の記録でございます。個人情報でございますから、一たんこういうものを公の場に出しますと、これが前例になりまして、大変大きな影響を与えます。歴史の中で、初めは善意の人がしたことが、後にいろいろと広がって困った例がたくさんございます。  また、平成十三年四月から施行される情報公開法におきましても、第五条に、個人に関する情報であって、当該情報に含まれている氏名、生年月日その他の記述により特定の個人と識別できるものは非開示情報という旨の規定がございます。したがって、この情報は、ここで提出するわけにはまいらないと考えております。
  142. 渋谷修

    ○渋谷委員 私が問題にしているのは経済企画庁の職員の倫理規程、これは長官自身が訓令されたものであります。このことに基づいて今お尋ねをしているわけであります。  今長官がお話ししたようなことはこの中にはないじゃないですか。そういうものはこの中にはありません。これが一番ある意味では新しいものです。いろいろな役所の不祥事等が、大蔵省やあるいは厚生省等のがありまして、そして平成八年の十二月二十六日の日付になっていますが、経済企画庁の職員倫理規程というのがあって、これに基づいて私は今御質問申し上げているのです。  いずれにせよ、それの申請書、届け出書がなければ、その内容が果たして実際に行われたことと合致しているのかどうなのか、それが問題ないという了承をされて、それが果たして正しいのかどうかという検証ができないじゃありませんか。その資料をお出しください。
  143. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 今ちょっと申し上げた国家公務員法は、これは解釈でございまして、平成十一年の七月に開催された各省庁等文書担当課長会議における資料として配付されたものの文書でございまして、いわば国家公務員法の解釈でございます。  今の資料要求の件でございますが、このことにつきましては、これまでも出しておりませんし、今後も、そういう倫理規程に違反しているわけではございません、したがって、そういう文書をお出しするわけにはいきません。  もし私どもの言うことを信用されないのでございますれば、文書を出しても、その文書もまた疑わしいというだけになります。そういうものは、従来から、また今後も、決してこういう公開の場に出すべきではない。これは個人のプライバシーを守る、人権の上で非常に重要なことだと思いますので、私は決してお出しすることはできないと思います。
  144. 渋谷修

    ○渋谷委員 私は見解を異にします。この内容がわからなければ、このことが果たして公務だったのか私ごとだったのかはわかりません。もう私自身のきょうの質問時間はありませんが、あしたさらに一時間半の質疑時間があるのであります。このことはぜひこの場で了解をいただきたい。
  145. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 ただいまの渋谷修君からの資料要求につきましては、理事会で諮らせていただきたいと思います。
  146. 渋谷修

    ○渋谷委員 質問時間が来ましたので終わりますが、いずれにせよ、一番冒頭で申し上げましたように、私どもが仕事をしていく上でいささかなりとも国民、納税者から疑惑が持たれることがあってはならない。その意味では、指摘はあるいは不本意な点も長官としてはあるのかもしれません。しかし、この経過を見ましてもなかなかこれは腑に落ちない、納得いかない、そういうシナリオ、流れであります。  そのことで私はあえて申し上げているわけでありますけれども、そのことの重大性というのを認識していれば、今程度の資料はわかりましたと出して当たり前だというぐあいに思います。実は、それほど長々書く書式にはなっておりません。せいぜい項目ぐらいしか書いていないはずであります。今、理事会で協議するということでありますから、それをぜひお出しいただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  147. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 この話は非常に、通常余り信憑性の高くない雑誌に出ているだけで、余り疑いを持たれているとは私自身思っておりませんが、特に、今の資料の問題につきましては、プライベート情報、個人情報とか民間企業と個人との間の問題とかいうのをこういう場に一たん持ち出しますと、それが前例になって波及が非常に大きい。過去にもそういう歴史がございました。だから私は、これはやはり個人の人権と言論の自由を守るためにお出しするわけにはいかないと思っております。  私自身、今そういうあいまいなものの、言論の被害者でございますが、たとえ自分が被害者でも言論の自由は守らなきゃいけないと考えております。したがって、この件につきましては委員もよく御理解賜りたいものだと思います。
  148. 渋谷修

    ○渋谷委員 私の方は質問を終わるつもりでいたのでありますが、理事会に私は預けたのであります。当然、理事会の協議の中でこのことは結論を出されるべきであります。  人権云々と言いますが、私ども政治家やあるいは役人が持っている権限ということを考えれば、みずからの身を律する、疑いを持たれないということが優先されるべきでありまして、今のような話は全く納得がいきません。理事会の中で十分な協議をされるようにお願いをいたします。
  149. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 久保哲司君。
  150. 久保哲司

    ○久保委員 公明党・改革クラブの久保哲司でございます。本題の中小企業指導法改正案について、三点ほど質問をさせていただきたいと思います。  今回の中小企業指導法改正案は、昨年の中小企業国会における中小企業基本法の第十五条第二項に、「中小企業者の必要に応じ、情報の提供、助言その他の方法により、中小企業者経営資源を確保することを支援する制度の整備を行うものとする。」このように規定がございますけれども、これを受けて今回の改正につながったものと思っておるところであります。  先ほど来質疑がございましたけれども、いわゆる官が民を指導するという考え方を根本的に入れかえて、いわば民の創造力、そういったものをどんどんと伸ばしていただくための支援をさせていただく、このような考え方。先ほど大臣も、表は横にした方がいいな、このようなことをおっしゃっておられましたけれども、まさにそういう考えそのものは大いに歓迎すべきものだとも思います。と同時に、昨年の中小企業基本法の際の附帯決議の中にも、地方公共団体の自主性の尊重であるとか、あるいは民間能力の活用であるとか、こういったこと等々に大いに留意をして中小企業に接していかなければならないといった旨の書かれ方もしております。  全体として今回の改正の中心というのは、いわゆるワンストップサービスを本当に充実したものにして、それを国レベル、また地方公共団体レベルそれぞれにおいて網羅することによって、いわゆる民間事業者民間企業が、中小企業が大いに元気になっていただこう、このようなことを意図しているものだというふうに思うわけであります。都道府県における支援センター、あるいは地域における、約三百を目標にということで予算も既に通っておりますけれども、こういったものがいかにうまく連携をしていくことができるか。箱はつくったけれども魂が入らなかったということになれば、これはどうしようもないわけで、本当の意味中小企業皆さん方がそこを頼りにし、そこへ行きさえすれば自分たちの望んだ、また希望した形のものを資料として、また知恵として、ノウハウとして得ることができる、このような体制づくりが一番重要だと思うんです。  大臣も、中小企業の町といいますか、そこにお住まい、私もまた大阪でそんなところに住んでおりますけれども、こういった方々の日ごろの声も含めて、国、府県、また地域センター、こういったものの連携体制というのはどうあるべきなのか、またどうすることが本当に望ましい形だというふうに大臣はお考えになっているのか、まず大臣にお伺いをしたいと思います。
  151. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業で一番不足しているのは何かと聞かれますと、一つは融資、資金の問題、二つは人でございます。三つがノウハウ。それで、これらを全体的に考えてどういうふうな中小企業ニーズにおこたえするかということになると、そこへ行けばあらゆることが理解できる、あるいは問題解決のための専門家紹介してくれる、やはりそういうものがきちっとできていなければならないと思うんですね。  今までも、相談事務というのは都道府県単位でももちろんやってきたわけでございますが、もっとシステム化したい。だから、全国三百の支援センターというのは完全なネットワークで結びつけて、そして、都道府県の中間のレベルのセンターナショナルセンター、この三つをきちっと結びつけて、そのために、例えば支援センターに行けばコーディネーターがいて適切な指示ができる。コンピューターで、あるいはインターネットで結ばれておりますから、ノウハウを、例えば洗濯屋さんを始めたいと思うんだがどういう手続が要るのかというと、所定のボタンを押すと画面に全部それが詳細出てくるような、そういうことをずっとインプットさせていきたいと思うんですね。  だから、時間がたてばたつほどあらゆる事柄がずっと網羅されていくようになっていくのではないかな、そんなふうに考えまして、そこのソフト面あるいはハード面、今都道府県の担当者とも相談しながら一層固めていくように努力している最中です。
  152. 久保哲司

    ○久保委員 今まさにおっしゃったように、時とともに内容が充実していくという方向をぜひ目指していただきたいし、私どもも協力をさせていただきたい、こんなふうに思います。  そこで、中小企業支援センター、ここ自体の問題といいますか、よく言われるのは、ちょっとでも専門家を、そして、中小企業の方が相談にお見えになったときにそこの職員が右往左往してしまうようなことではなくて、むしろ、本当に自分自身がさまざまな面で経験を積んで、日本の国が元気になってもらうために後輩にそういうノウハウを提供しようという人を広く公募してそこに配置をしていくということが必要ではなかろうかと思いますし、一方、こういうものがありますよということを、通産省自体が、また中小企業庁が中心になって広く企業方々にお教えするといいますか通知をするというか、こういうことも非常に大事になってくるんだろうと思います。  そういう意味では、どうしても今までの既存のそういう支援センターというのは、大阪にあっても私の知り合いがやっていますけれども、いわゆる役人のOBが理事長であってみたりとか、あるいは何々課長であってみたりとか、こういう形で座っている。確かに、先ほども大臣がおっしゃった、中小企業方々にとって一番大事なその資金、こういう部分というのは、公的資金を借りるその手続、ノウハウというのは役人のOBの方が詳しい場合が多いやもしれませんけれども、したがって役人がすべてペケというのじゃないですが、そこにこそまた本当の意味での官民のベストミックス、これがなければいかぬのだろう、こんなふうに思うわけであります。  いずれにしろ、そういう意味で、この支援センターをいかに人材面ですばらしいものに組み立てていくかというのが非常に大事なことになるのかな、このように思うわけでありますけれども、国としては、この点についてどのようなスタンスで臨もうとされておられるのか、次官にお伺いしたいと思います。
  153. 細田博之

    細田政務次官 久保委員がお尋ねのまず前段で、よく中小企業方々にも、そういう支援センターのあり方、あるいはさまざまな実際の政策の中身がどうなっているかということについては、できる限り私どもも一生懸命それに適する資料もつくっておりまして、ここにも「地域中小企業支援センター」というパンフレット、あるいは「「創業・ベンチャー企業支援策のご案内」というパンフレット、「新時代の中小企業政策」、こういうものをつくりながら、手前みそになりますが、わかりやすい資料で今一生懸命こういう取り組みをしておるところでございますし、フォーラム等を開いておることも先ほど来大臣答弁申し上げているとおりでございます。  また、ただいま御指摘の点につきまして、ワンストップサービス実現のためのさまざまなセンター統廃合の問題、あるいは退職公務員の受け皿になったりして、既存支援機関見直しと絡んでどのように取り組むか。この点につきましては、都道府県支援センターが総合的な支援機関として活動できますように、既存中小企業支援機関の統合を図る点については積極的に支援することとしております。  この観点から、今回の改正法案におきましては、民間企業から出資等を受けている支援機関都道府県センターの統合を促進するために、中小企業振興公社都道府県センターを兼ねる場合には、地方公共団体の出資比率の要件を全額出資から二分の一以上に引き下げる法律上の特例を設けることとしております。その結果、具体的には、都道府県センターとテクノポリス財団が別々となっている六県のうち、三県が統合の予定を発表しております。また都道府県センター中小企業振興公社が別々になっている二県についても、両団体を統合するということでございます。  そして、プロジェクトマネジャー等につきましては原則として公募により選定することといたしており、都道府県センターとなる中小企業振興公社等に、県内の企業経営者などを構成メンバーとする選定委員会を置きまして、知事等の助言を受けつつ、応募者の中から面接により適任者を選定してまいります。できる限り民間能力の活用を積極的に働きかけてまいる所存でございまして、現にアドバイザー等は民間の方、そしてそれぞれさまざまな面での知見を有する人、またはベンチャービジネスとしての、あるいは新規事業開拓の経験のある方々にお願いすることとしております。
  154. 久保哲司

    ○久保委員 時間が来ましたので、一つだけお尋ねしたかったことがあるのですが、ちょっと割愛したいと思います。  この中でもう一点改正されているのは、中小企業診断士、実は私もまるで知りませんでした、もともとその指導に当たる公務員が持つ資格だというのを、他の士法とはまるで違うというのを今回初めて認識したのですけれども、ここらあたりの広い意味での活用というのも中小企業を支える上で大事なことだろうと思いますので、ぜひ御留意をお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。
  155. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 塩田晋君。
  156. 塩田晋

    塩田委員 今、日本経済の最大の課題は景気の回復であります。日本経済の主役は、また活力の源泉は中小企業であります。その中小企業活性化こそ肝要なところでございます。  先般、中小企業基本法改正されました。その趣旨に基づきまして、今回の中小企業指導法が全面的に改正されることとなりました。「指導」という文言がすべて「支援」に変えられる。また、法律名も中小企業支援法となったわけでございまして、本法案は、第一に、中小企業経営資源の確保を効率的に支援するものであります。また第二に、中小企業支援事業民間事業者の活用等を図りつつ推進するものでありますので、これは全面的に賛成をいたします。  具体的な問題について次に御質問申し上げます。  第一は、都道府県支援センターでの相談事業を有効に運営するためには、その担当者の選定が重要であると思います。都道府県等の職員のOBが常にこれに任命されて、その受け皿になっているようなことではないかという向きがございます。また、実務経験のある者を選ぶ必要があると思いますので、民間の有識また経験者を人材登用すべきではないか、このように考えますが、通産大臣いかがでございますか。
  157. 深谷隆司

    深谷国務大臣 都道府県等中小企業支援センターは、中小企業経営資源の確保を支援するための事業でワンストップサービスを行う拠点になっていくわけでございます。  この支援事業の有効性というのをまず第一に考えていくということになれば、委員指摘のように、民間におけるノウハウというものをどう導入するかということでありまして、その意味では、経験等を有する民間人を採用する、配置するというのは大変大事なことであると考えます。そのために、このセンターにおいての事業の実施責任者は原則として民間から公募する。プロジェクトマネジャー、サブマネジャーとしてそういう人を置くということにいたしたいと考えております。なお、この手法については、国の策定する中小企業支援計画において明記してまいります。  また、プロジェクトマネジャー等の選定方法については、都道府県等中小企業支援センターとなるのが中小企業振興公社などでございますが、ここに県内の企業経営者などを構成メンバーにいたしまして選定委員会というのを設けて、公募された方から適切な人を選ぶ、そんなふうにしていきたいと考えます。
  158. 塩田晋

    塩田委員 次に、地域支援センター全国で三百程度ということが計画されているようでございます。この三百カ所程度につきましてはどのように選定をされていくのか、従来各市町にあります商工会議所あるいは商工会等と併置するのか、あるいはどのように連携を保っていくのか、そのあたりのお考えをお聞きしたいと思います。
  159. 茂木敏充

    茂木政務次官 地域中小企業支援センターにつきましては、先ほど大臣の方からも答弁させていただきましたように、今全国に三百四十ぐらいの広域市町村圏がございます、これを一つの目安としまして、全国三百カ所程度に設置することといたしております。  具体的な選定についてでございますが、各都道府県の方で行っていただくということでありまして、例えば地理的な条件であったりとか中小企業の集積等々、地域の実情を踏まえて、地域における最適の機関を選定していただく、こういうことになってまいると思います。
  160. 塩田晋

    塩田委員 その人選につきましても十分に、先ほど大臣から御答弁ありましたような観点に立ちまして、適材適所に配置をしていただきたいと思います。  そこで、次でございますが、中小企業支援を充実するためには中小企業診断士の活用が重要だと考えられます。この中小企業診断士の関係では、中小企業診断協会というのがあるそうでございますが、その入会率等は五〇%ぐらいと聞いております。また、年会費も割合適当な三万三千円と聞いておりますが、受験料がかなり他に比べて高いのではないかと思います。合格率が四%ということで聞いておりますが、診断士の試験内容の充実、改正等はお考えでありましょうか。お伺いいたします。
  161. 岩田満泰

    岩田政府参考人 お答え申し上げます。  現行の中小企業診断士試験と申しますのは、経営の基本管理でございますとか財務管理、生産管理、労務管理といったような現状分析に重きを置きました、いわゆる経営管理的な科目を中心といたしております。しかしながら、新しい中小企業診断士につきましては、民間事業者にとりまして本当に役に立つ経営コンサルテーションが行えるような能力を認定するという点が極めて重要であると考えておりまして、単なる現状分析にとどまらず、助言能力にポイントを置いた試験内容に改革をする必要があると考えております。  基本的考え方だけ申し上げさせていただければ、そのような観点から、企業の経営戦略などにつきましてグループで討議をする、いわゆるケースメソッドという方式がございますが、こうしたようなものを導入するとか、あるいは経営戦略の助言能力にポイントを置くということとの関連におきまして、筆記試験に合格をした人たちに課します企業現場におきます実習というものも、これまでも行ってきておるところでございますが、こういったものの内容を充実するというようなことによりまして、法律改正の中で、現行法が経営の診断のみを担当するのに対しまして、新しい診断士は診断と助言を担当するということになりますので、そうした試験内容についても改革を図りたいと考えております。
  162. 塩田晋

    塩田委員 この中小企業診断士と並びまして経営指導員というのがございますが、中小企業診断士は試験もあってかなりレベルは高く、また三割ぐらいが金融機関に勤めているということも聞いておりますが、経営指導員との関係におきまして、今後経営指導員も充実をしていく、もっとこれを活用することが必要ではないかと思いますが、いかがでございますか。
  163. 岩田満泰

    岩田政府参考人 経営指導員と診断士の関係でございますが、御案内のとおり、経営指導員と申しますのは小規模企業を対象といたします経営改善普及事業に携わる人材でございます。その意味で、経営改善普及事業と申しますのは、金融でございますとか労務でございますとかあるいは記帳といったような極めて基礎的な側面につきまして、基礎的な指導あるいは支援をするという職務でございます。  中小企業診断士は、もちろん一般的なコンサルテーション、かなり幅の広いコンサルテーションを担当するものでございまして、その意味で、ある意味で言葉が適切かどうかあれですが、守備範囲はかなり異なっているというふうに考えております。もちろん、能力として経営指導員の方が中小企業診断士の資格をお取りになるということをちっとも妨げるものではございませんけれども、中小企業診断士は一応民間の能力認定制度として新しく再構築をさせていただきたいと考えておるものでございます。
  164. 塩田晋

    塩田委員 経営指導員につきましても、今後とも引き続き十分配慮していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  次に、前回の商工委員会で取り上げた問題でございますが、靴下の関税での統計上の取り扱いが異なることによって実態的に業界に非常に影響が及んだということを申し上げました。価格が下がったままになって回復しないということがございましたが、この統計をできるだけ早くもとのとおりに直しますということを政務次官から御答弁いただいたわけでございます。来年の一月一日からということでなくして、もっと早く、できるだけ半年ぐらい早めていただけないものか、このように考えておりますが、よろしくお願いいたします。  それから、靴下や手袋等についての原産地表示の問題でございますが、これは公正な企業の競争を行うという観点からも重要でございまして、また消費者の立場から見ましても、物品の購入の際における判断の便宜のためにも、原産地表示を確実につけさせるような配慮をしていただきたいと思うのでございます。  この問題は業界団体が自主的にやるべきだという考えもありますけれども、なかなか業界の中ではいろいろな関係から言いにくいといいますか、これをまとめていくという状況が起こりにくい問題もあるようでございまして、その辺を十分に配慮されまして、政府としてその問題について適切な措置をしていただきたい、このように考えます。また、生鮮食料品等につきましても原産地表示ということが問題になっておるように思いますし、この問題、特に靴下産業、手袋産業等につきましてそういう問題が起こっておりますので、この辺を御配慮いただきたい。お考えをお聞きしたいと思います。
  165. 茂木敏充

    茂木政務次官 御質問いただきました靴下等の原産地表示の問題につきまして、二つ論点があるかと思うのです。  一つは、原産地の虚偽表示の問題がある場合であります。これにつきましては、これを規制するものとして、不当景品類及び不当表示防止法並びに不正競争防止法がありまして、かかる虚偽表示の是正のための法律上の措置がとられておるところであります。  一方また、原産地表示そのものを義務づけることにつきまして、今委員御案内のとおり、ヨーロッパでも大変な議論になっているところでありまして、WTOの協定上、新たな貿易障壁とみなされるおそれがあること、また、国内の問題でいいましても、国内の生産者もすべて表示を義務づけられる、これによりまして新たなコスト負担も生まれてくる、そういった問題も出てまいります。  また、日本の場合でいいますと、海外に進出して生産した製品を国内に輸入している生産業者もおりますので、靴下業界全体としてもコンセンサスが完全に得られるかどうかは今問題もあると思います。  何にいたしましても、通産省といたしましては、委員指摘いただきましたように、関係業界の御要望を十分伺いつつ、慎重に対処をしてまいりたいと考えております。
  166. 塩田晋

    塩田委員 この問題につきましては、よろしく適切な施策をしていただきたいと思います。  最後に、中小企業に対する金融の問題でございますが、信用保証あるいは特別融資等が行われてまいりまして、政府としてもかなり思い切った施策を行ってきたところでございますが、その状況がどうなっているかということ、それから、それにもかかわらずなお企業からは貸し渋りの声が随分聞かれるわけでございますが、そのあたり、最近の状況はどうなっているのか、状況について御説明をいただきたいと思います。  また、まとめてお願いしますが、ベンチャー創業支援の融資につきましても、現在どのような状況にあるか、お尋ねいたします。
  167. 細田博之

    細田政務次官 中小企業に対します金融機関の貸し出し態度、そういった状況につきましては、一昨年十月から保証協会において実施しております特別保証制度の効果などによりまして、ある程度改善してきてはおりますが、依然として厳しい景気状態を反映しながら、厳しい状態が続いていると認識しております。  特別保証制度につきましては、本年三月末を期限に二十兆円の保証枠でスタートしましたけれども、現下の金融経済情勢を踏まえまして期限を一年間延長し、保証枠を十兆円拡大して三十兆円といたしたことは昨年末の補正等の措置で御高承のとおりでございますが、本年三月十日までの特別保証の保証実績は、やはり予想のように二十兆円を超えまして、三月十日現在、二十兆二千五百億円となったわけでございます。  また、政府系金融機関におきましても、貸し渋りを受けている中小企業者に対する特別貸付制度を充実させるなどの対策を講じておりまして、平成十年度から本年二月までの期間の政府系の三機関の融資実績は、合計で十四兆五千億円となっているわけでございます。  今後とも民間金融機関の融資姿勢を注視いたしますとともに、信用保証協会及び政府系金融機関に対しまして、相談窓口における親身な対応や迅速な手続などに努めますよう引き続き徹底してまいりたいと思います。
  168. 塩田晋

    塩田委員 中小企業が経済の主力であるということを申し上げましたが、中小企業活性化こそ、日本経済が、また景気が立ち直る一番のポイントだと思います。金融につきましてはいろいろと施策が行われておりますけれども、まだまだ貸し渋り等問題があるということでございますので、その点十分御配慮いただきまして、中小企業金融対策に十全を期していただきたいと希望を申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  169. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 続いて、吉井英勝君。
  170. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  最初に、今日の中小企業が置かれている経済の状況というところから質問をしていきたいと思います。  昨年の七—九月期、十—十二月期のGDPは、御承知のように連続マイナスで、十—十二月期はマイナス一・四%、年率換算でマイナス五・五%となりましたが、四半期で見た年率換算のGDPの落ち込みというのは、第一次石油ショック、消費税率アップ直後に次ぐ過去三番目の大きな落ち込みという状況です。アメリカの基準でいいますと、二期連続GDPの減少というのは景気後退と判断されるということになっております。  その中で、民間最終消費支出、これがGDPの六割を占めるわけですが、家計消費支出の原資となっている所得の伸びはどうなっているのか、こういうことを考えてみた場合に、今、春闘での賃上げの見通しは非常に厳しいという状況にありますし、企業倒産の状況は、昨年末から一月、二月と連続して悪くて、戦後四番目の企業倒産件数であり、不況型倒産というのは戦後最悪の状況中小企業の経営は極めて厳しい中で、大手スーパーの長崎屋の倒産だとか、あるいは大手百貨店の撤退等も、阪急と大丸だったかな、関西空港からも撤退するということになっていますね。そういう状況も続き、コンビニも縮小ぎみ。  その上、産業活力再生法に基づくリストラの申請などが相次いできて、リストラされる労働者数はふえておりますし、せんだって十八日には新たに東芝が九千人のリストラを発表しておりますが、将来不安が非常に深まっているというのも現状です。そして、リストラで失業した人の再就職はうまくいかない。失業率は四・八%の高率が続いて、パートで就職しても不安定で低賃金。ですから、消費マインドはもう本当に冷え込んでいる。  そこで、経済企画庁長官伺いたいんですが、この一—三月期に個人消費がどれぐらい伸びていくという見通しを持っていらっしゃるか、まずこのことから伺いたいと思います。
  171. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 吉井委員指摘のように、十—十二月期のQEの統計は大変厳しいものでございました。前期を一・四%下回りまして、年率でいうと五・五%というわけでございますが、この下落が、アメリカでいえば二期連続だから景気後退、リセッションじゃないかという御指摘がまずございました。アメリカの場合は、QE、GDPも生産の方から統計をとっておりますので、生産と消費と需要と、統計が一致いたします。日本の場合、この十—十二月を見ますと、鉱工業生産を初めといたしまして、第三次産業活動指数等、生産の統計はふえております。  この生産と需要とが食い違っているのはどこに原因があるのか、どちらが一次的な要因かというのを調べてみますと、やはり需要の方が、何度も申し上げておりますけれども、ボーナスが厳しかった。これは十年度の企業経営の結果を反映して、昨年の春闘のころに決められましたボーナスが非常に厳しかった、それが、夏ではなしに冬にしわ寄せの形で減少した、このために個人所得がかなり大幅に減りまして、その結果、個人消費の実質支出がかなり大幅に減少した、これが一番大きな理由でございます。  そのほかにも、例えば公共事業が、十一年度本予算が早く契約を出され、次の補正予算がまだ出ない端境期になった、これでかなり減少した。それから、輸入が、アメリカからの航空機の輸入がございましたり、またコンピューター二〇〇〇年問題で輸入在庫の積み増しがございましたし、これも多かった。こういったものが、寄与率で見ますと、消費が一・〇%、公共事業が〇・五%、そして輸入輸出の差額、これが〇・五%、そのほかに住宅も少し減りまして、減少のものが合計で寄与率で二・二%になっている。それに対して設備投資が〇・七%上がりまして、結果としては一・四%減少という数字になりました。生産が伸びておりますから、これをもって、景気がリセッションになったと判断するわけにはまいらないだろうと思います。  そして、今期になりまして、一月以後でございますが、消費を見ますと、季節修正済みの前月比で、一月が一・六%増加しております。また、二月はまだ家計調査が出ておりませんけれども、百貨店では、東京地区が一・六%、大阪地区が二・八%、それから乗用車の売れ行きなどを見ますと、前年に比べて四・七%の伸びというような数字が出ておりまして、恐らく一—三月にはかなり消費も伸びてくれるのではないかと期待しているところでございます。  そういうことをあわせまして、一—三月のQEはかなりのプラスが期待できると考えております。
  172. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 速記をとめてください。     〔速記中止〕
  173. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 それでは、速記を起こしてください。再開いたします。  吉井英勝君。
  174. 吉井英勝

    吉井委員 今長官の方から、一—三月期は個人消費がどれぐらい伸びるとお考えかと聞きましたら、伸びる方の期待だけの言葉はあったのですが、要するに期待するしかない、神頼みというところですか。  公共事業の効果などを見ましても、公的固定資本形成はマイナス五・四%とか、いろいろ金は注ぎ込んだのだけれども、政府最終消費支出のマイナス〇・一%に示されるように、景気浮揚効果はあらわれてきていない。  せんだって、建設分野のベンチャーを目指す業者の方の研究会で、一人の建設業者の方から、もうゼネコン向けの公共事業予算は要らぬ、わしらに仕事が回ることをしてくれと一人が言うと、ベンチャー、ゼネコンの関係者までそうだそうだとなって、みんなの本当の消費不況打開を求めている気持ちがどこにあるのかということがよく示されました。  建設分野で見ても、消費税が実際の販売価格を引き上げてしまうために住宅などが非常に売れにくくなっている。仮に五千万円の家ですと、五%で消費税が二百五十万、二%アップ分だけでも百万円ですから、ローンを組んで家を買うという場合に非常にきつい。これは、不況の中で、分譲住宅購入者にとって非常にきつい問題が出ているわけです。  その住宅建設について、年によって違っても大体、例年春先は結構伸びてくるわけですが、全体として、九六年の百六十四万戸から四十万戸以上落ち込んだままの状態がずっと続いております。そこで、長官に伺っておきたいのですが、これは、百六十万戸台へ大幅上昇に転じているということは、今住宅建設について見ることはできないという状況じゃないでしょうか。
  175. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 住宅建設は一時大変伸びましたけれども、その後下落いたしまして、十年度には約百二十万戸、十一年度は百二十一万五千戸という形になっております。十二年に入りまして、一月は年間換算百三十五万戸になりまして、久しぶりといいますか、最近ではかなり高い数字になっております。もっともこれは公庫の貸し出しの時期とかございまして、一時的要因がございます。  したがいまして、私たちも、住宅がかつての百六十万戸に戻るというのは人口構造その他から見てもちょっと難しいだろうと思っております。今、ローン利子の減税を実施しておりまして、これで幾らか回復しております。  委員指摘の消費税の問題でございますけれども、消費税というのはやはりすべてのものにかけませんと、一部に穴をあけますとその分野に傾斜した脱税といいますか節税といいますかそういう行為ができますので、住宅にも同じようにかけて、そしてローン減税の方で住宅振興を図る、こういう政策をとっている次第でございます。
  176. 吉井英勝

    吉井委員 住宅の見通しもそう大幅に伸びるという状況にありません。しかし、それだけじゃなしに、企業倒産の件数だとか失業の状況だとか賃上げの見通しとか、そういったことを見ていったときに、本当に所得が伸びて個人消費がうんと伸びて、GDPの何しろ六割ですから、ここが前進をしていくという状況には今ない、まだそういう状況にないということは、これらのことを見ても明らかだと思うのです。  民間設備投資というのはGDPの一五%、個人消費の六〇%に比べると比率はうんと低いわけですが、しかし、景気二大牽引力の一つであるわけですね。だから、IT関連だけが伸びてもこれはなかなか大きな寄与にはならないわけですが、中小企業の設備投資が、過去においてはそれが先行して景気回復期のパターンというのを見ることができましたが、そこまでいかなくても、少なくとも中小企業の設備投資が進んでこそ景気回復という方向に向かっていくことは明らかだと思います。  その中小企業が今、戦後最悪の企業倒産。都市銀行などの中小企業に対する貸し渋りも依然として厳しいものがあるし、商工ローンなどにも苦しめられている。ですから、大、中、小、零細、さまざまな中小企業がそれぞれに売り上げを伸ばして、新たな設備投資とか店舗の改装とかそういう方向へ進んでいくことができるようにしていく、そういう中小企業対策というものが、大、中、小、零細、すべてを見通して、そこをやはり今考えていかなければいけないと私は思うのです。  その点では、やはり個人消費を伸ばすということで、一体、個人の懐を暖かくする対策、こういうものについては長官は具体的に何をお考えでいらっしゃるか、そこを伺いたいと思います。
  177. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 経済の究極的な目的はやはり個人の生活を豊かにすることでございますから、個人の生活、懐が豊かになるということは一番大事なことだと思っておりますが、それだけになかなか、個人に回ってくるためにはいろいろな条件が必要でございます。  今、個人の所得、これは確かに九七年後半からの不況で冷え込んでおりまして、容易に所得がふえません。所得がふえるためには、まず景気が回復して仕事がふえる。ようやく仕事は、残業手当いわゆる所定外賃金、あるいは求人数、有効求人倍率などで少しよくなってきたかという程度でございまして、まだ厳しい状況が続いているのは委員指摘のとおりでございます。  私たちといたしましては、これを、さらに新しい業種、新しい技術を普及いたしまして、例えば情報技術のようなものに設備投資が進んでまいりまして、そこで職場がふえ、賃金が上がるという過程を経なければならないと考えております。  それになりますには、ようやく設備投資がふえてまいりまして、求人数も少しふえてきた、所定外賃金も少しふえてきた、ことしになってからそういった民需をばねにした自律的な回復の動きが広がっているのじゃないか、そういう見方をしております。
  178. 吉井英勝

    吉井委員 何といっても、個人の懐を暖めるという点一つの面から見れば、消費税の減税というのは、消費を行うたびに減税効果が所得の大小にかかわらず確実に出てくるという点では効果を生み出すものであります。  さて、昨年一月十八日の閣議決定で、九九年度政府経済見通しによる数値目標は、プラスの〇・五%。昨年十一月十一日の閣議決定による、経済新生対策による上方修正した目標値は、年率換算でプラス〇・六%。この〇・六%の政府公約を果たすためには一—三月期の成長率は二%が必要ということになりますが、その成長率を達成できるかどうか、その見通しをひとつ根拠も挙げてお聞かせいただきたいと思います。     〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 お説のように、一昨年暮れに見通しを〇・五%、その後見直しをいたしまして、公共事業、政府固定資本形成というのは思うほど伸びなかったとかいうような修正をいたしまして、〇・六%という数字を出しました。これを達成するためには、一—三月二・〇%上昇しなければなりません。  見通しでございますから、コンマ一けたまで、コンマ一まで確実に当たるかどうかということは大変難しいことでございますが、私は、大体その近傍、プラスマイナス〇・三か、そのぐらいの、その程度の間に入るのではないかと考えております。  といいますのは、この数値を見ますと、〇・六を達成するためには二・〇が必要でございますけれども、この一月の状況を見ますと、先ほども申し上げましたように消費はかなり回復しております。十二月の落ち込みが大きかったということもございまして、水準として高いと言えないまでも、十—十二月に比べれば回復していることは明らかでございます。  また、設備投資、これは十—十二月に伸びたのでございますが、それに引き続きまして、機械受注や建設受注などの先行指標が伸びておりますので、今後とも悪くない数字が出るのじゃないかという気がしております。  また、先ほど申し上げました対外余剰、輸出入の差額でございますが、これも十一月に大きな輸入の急増がございまして、その後、輸出が伸びて輸入は横ばいというような形になっておりますので、ここでも増加が読めるということでございまして、それらを合わせますと、かなりのプラスが予想できるわけでございます。  そういうことを合わせまして、どんぴしゃり、コンマ一まで合うかどうかというのは確言できませんけれども、大体予想の近所になるのではないかと考えております。
  180. 吉井英勝

    吉井委員 上方修正したのはコンマ一なんですが、しかし、その見通しについて、結局のところ、その根拠となれば、期待の言葉は述べられたけれども、実際の企業倒産の状況だとか失業の状況だとか春闘による賃上げの見通しが非常に厳しい状況だとか、それらを見れば、私は、まず個人消費が大幅に伸びて、六割を占める部分ですからここが一番きいてくるわけですが、目標が達成されるということにはなかなかいかないということが、今のお話を聞いておっても感じざるを得ないところです。  それだけ状況が厳しいだけに、だからこそ私は、この九〇年代不況の中で本当に苦しんできた、長期にわたって苦しんできた中小企業皆さんにどういう支援をしていくのかということは非常に大事なところだというふうに考えているわけです。  中小企業支援を考えるときに大事なことは、やはり実際の皆さんの要望に基づいて自治体が取り組んで喜ばれているような施策を、幾つかの自治体施策全国に普及していくこととか、そういう自治体取り組みを国が財政面からバックアップしていく、そういうことが今非常に大事じゃないかというふうに思っているのです。  そこで、通産大臣に幾つかの点でお聞きしておきたいと思うのです。  例えば、墨田区の独自の制度で実施されている商工業アドバイザー派遣制度というのを少し見てみますと、これは、区内の中小企業家、商店主なり商店街の人が、その事業の新たな発展なり商店街活性化なりを目的にして新しい事業に取り組もうというときに、区の方に相談に行かれると、その目的やねらいに応じて、中小企業診断士とかデザイナー、建築士、マーケティングプランナーなど、専門家を無料で派遣してくれて、そして相談に乗ってもらえるという制度です。中にはマレーシアの空港を設計した著名な設計士も含まれていて、約百五十名の協力者が登録されているわけですね。  相談内容に応じて区が適任者を選ぶということも非常に大事なんですが、しかし、不幸にしてうまくマッチングしないことも当然あり得るわけです。そういうときは、一年間に四回までを限度にして、適切に相談員が派遣されていくようになっている。しかし、大体、長年の中小企業対策に取り組んできた実績あるいは経験、ノウハウ、情報や人のつながりなどによって、ほとんど一回の相談成果を上げるというふうになっているのがここに見られる特徴だと思います。  最近の例でいいますと、駅前のせんべい屋さんが、売り上げが落ちてきたので、店舗を改装してお客さんを呼び込みたいんだがお金がないという相談があったんですね。そうすると、アドバイザーの人が、では店舗改装ではなくて、商品の配置がえによって商品の取捨選択を進めるということをアドバイスされて、そのとおりやってうまくいくようになったという実例もあります。  ですから、ここで大臣に伺っておきたいのは、窓口がうんと広域的に一カ所のセンターだけでは、なかなか現場の実情をよくつかまえて対応していくということは難しいわけですね。そういう点では、中小企業や商業の集積したところ、物づくりや商業なんかの集積したところで、身近なところに窓口となる支援センターを設けていく。私は、やはり、今本当に期待にこたえるという点ではこの点が一つ大事な点だと思うんですが、これは通産大臣の方から伺いたいと思います。
  181. 深谷隆司

    深谷国務大臣 墨田区のアドバイザー支援体制というのは、たまたま私ども隣の区でございますのでよく聞いております。墨田区に限らず全国のいろいろな場所で、相当な工夫が練られて、実践活動も行っておるところもございますから、そういうところを大いに参考にしながら今度の支援センターの活動を活発なものにしていかなければならないというふうに思います。  特に、三百の支援センターについては、それぞれの地方自治体中小企業相談窓口として一番適切な場所を要望する、そういう形になっているわけでございます。単なる人口の配置というだけでなくて、交通の利便性とか、そういうような、すぐにそこへ駆け込んでいけるような場所を選定してもらうことになっておりますが、その場合に、ただいまの委員の御指摘のような十分な配慮をしていかなければならないというふうに思います。  また、今の墨田区の例でもそうでありますけれども、アドバイザーがみずからの経験を通して語るということが一番大事でありますから、そういう意味では、先ほども申し上げたように、官はもうずっと後退をさせて、民の経験者が窓口でお答えをしていく、そういうことにやはりきちっと進めていくことがとても大事なことだと思います。さまざまなアドバイザーと言われるような立場の人たちを民間からどう選ぶか、それぞれの地域、それぞれのセンターにおいて十分配慮なされるように指導してまいりたいと思います。
  182. 吉井英勝

    吉井委員 官の方でいいますと、国のお役人の方は大体三年ぐらいとどまっておればかわってしまうので、蓄積がないんですね。自治体の方は、民間の方の働きも大事ですが、同時に自治体の場合は非常に蓄積を持っているんですね。この蓄積が非常に大事だということが中小企業分野における問題だと思うんです。  墨田区でうまくいっているのは、やはり区の製造業者とか卸売業者とかそれから小売業者などの台帳をちゃんと区の方でつくって、そして中小企業センターの職員や相談員が大体年間二千カ所程度訪問しているんですね。四年で一巡するぐらいのペースでよく回っていて、ですから個々の事業所の実情にも明るいし、地域の実情にも通じている。  やはり大事なことは、そうした中小企業施策の蓄積を、もちろん民間協力員として登録されて頑張っていられる方もそうなんですが、自治体の方でも、商工業の分野の本当にプロを育てて蓄積をしていくということがこれは非常に大事であって、その蓄積を国としても支援していく、私はそこのところを考えなきゃいけないと思うんですが、これも大臣に伺っておきたいと思います。
  183. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員の御指摘は適切だと考えます。
  184. 吉井英勝

    吉井委員 次に、中小企業庁の方では、MBA、いわゆる経営管理学修士に匹敵する資格を持ったプロジェクトマネジャーを考えたり、あるいは中小企業診断士の試験制度をMBAを参考にして検討したりする方にはなかなか熱心なお考えをお持ちのようですが、大体、企業規模の大きいところというのは経営コンサルタントなどと直接契約を交わしたりしてやっているんですね。  しかし、町の中小企業皆さんの当面求めていることといったら、これはやはり、先ほど紹介したせんべい屋さんの例のように、非常に小さい、日常的な、泥臭いもののような、そういうところが多いんですよ。しかし、そこを一工夫して、商店街も活気を持てば、これは地域経済にとっても大きな成果となってくる。  だから、そのような中小企業診断や相談事業の充実というものが今非常に大事になってきていると思うんですが、経営課題に応じた助言ということを政府も言うわけですが、多種多様な中小企業のさまざまな相談に対応してきめ細かく解決に取り組んで、要望にこたえていく、そういうことが本当にできるような、そういう対策というものを私は今考えていかなきゃならぬと思うんです。  これも大臣に伺っておきたいと思います。
  185. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員指摘の内容は一々ごもっともであります。  問題は、都道府県でそういう人を選び、そういう人に参加していただくことをどのようにうまく持っていけるかということでありまして、そういう点については、中小企業庁を中心としてしっかり努力をしていきたいと思います。
  186. 吉井英勝

    吉井委員 今のMBAということでいいますと、世界的に通用する能力を持ったMBAとか中小企業診断士もこれは大事だろうと思います。しかし、現場の中小企業の直面している問題をどのように解決していくのか。相談に来るのを待っているだけじゃなしに、出かけていって一緒に取り組んで解決する、そういう現場に通じた診断士や相談員が大事であって、それを自治体が、先進的な自治体の例を全国に普及しながら、そういう自治体取り組みというものを国が支援していく、それを私はやはり中小企業施策の大事な一つに位置づけて、そういう取り組みというものをやっていくんだということを国としても私は考えていくことが今大事だと思うんですが、これも大臣に伺っておきたいと思います。
  187. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今度の支援センターは、中小企業皆さんがそこへ行けばいろいろな角度から答えが出てくるような、そういう体制をつくっていきたい。  特に、先ほども申しましたけれども、インターネット等で結んで、あらゆる質問を、やがて答えとしてインプットできる、それが集積されてきますと、一人一人の、個々の持っている能力よりもはるかに大きな材料になっていくのではないか。そういう意味では、さまざまな質問に答えられる体制を日ごとにふやしていく、そういう努力も必要でございますし、コーディネーターをどのように配置するか、どういう人がコーディネーターになるべきか、それらを含めて、おっしゃるようなきめの細かい対応を図っていくことが重大だと思います、大事だと思います。
  188. 吉井英勝

    吉井委員 私は、インターネットその他を使ってのデータの集積、それも大事な一つだと思います。  ただ、同時に、中小企業というのは本当に千差万別なんですね。地域性もあれば、業種にもよるし、経営者の方のお考えもさまざまですから。だからそういう点では、やはりこの分野を担当する人の経験の蓄積、机の上で物を考えるんじゃなしに現場で育っていく、そういう中小企業施策に当たる職員をどれだけ育てるかということが大きなかなめになってくるだろうと思います。  実は東大阪市の方では、昨年秋から、市内のすべての事業所を市のすべての課長級以上の管理職が直接訪ねていって、事業所実態調査というのをやりました。これは、東の大田、西の東大阪と言われるように基盤的技術の集積地ですから、工場数がうんと多いですから、まだ昨年の秋の取り組みでは半分に満たないわけですが、それでも一万四千四百七十三軒を回っての中間報告が発表されております。  その中では、市内のオンリーワン企業紹介図書の発行とか中小企業都市サミット関連事業など、市としてやっておっても余り知られていないということだけじゃなしに、市の産業技術支援センターで行っている検査機器等の提供サービスとか、企業育成室の提供サービス、それから企業の交流室や研究室の提供サービスなど、物づくりの町らしい取り組みも意外と知られていないということがわかりました。  また、比較的よく知られている無料経営相談とか経営診断事業についても、施策を利用しないのは、相談や手続に行く暇がないとか、内容がわからないとか、利用手続が煩わしいからだという声なんかも結構示されております。  それから、産業振興施策としてどんなことを充実強化してほしいと希望していますかという中での多い声は、公的融資制度や融資相談などとともに、企業の製品開発力の強化とか高付加価値化を促進する技術支援事業、公的貸し工場建設事業、経営情報施策情報提供事業企業の営業活動支援事業など、こういうものが非常に多くて、優良技術者等顕彰制度を強化せよなどという声はほとんどないわけですね。  実は私、やはりこれは東でも西でも非常に共通しているなと思いましたのは、この中間報告書の示していることというのは、例えば、墨田区の産業経済課の資料にある商工相談取扱件数に出ているデータ等を見ても、金融や経営への期待や相談が多いことと一致もしていますし、それから、墨田区で営業活動支援として取り組んでいる内容を示した下請相談・あっせん取り扱い状況の資料を見ておりましても、販路の拡大とか営業支援を含めて、経営基盤に立ち入った支援策が求められているということがよくわかりました。  そこで、墨田区でも東大阪市でも中小企業の生の声に本当にこたえる施策を前進させていこうとしているわけですが、こういう自治体の具体的な取り組み中小企業の声、これに積極的にこたえて支援をする、国としてやはり予算の面でも、金融分野の原資をふやすというだけじゃなしに、そのことに国が本当に力を入れて支援をしていく、財政面からももっと力を入れて支援していくということが、今、中小企業が活気を取り戻していく上でも、全国中小企業対策を考えたときに、私はそのことが非常に大事だと思うんですね。  私は、この点で、そういう自治体取り組みへの国の支援策というもの、財政を含めた抜本的な取り組みの強化というものを大臣に求めたいと思いますが、大臣
  189. 深谷隆司

    深谷国務大臣 人的なもの、それからノウハウ、あるいは資金的なもの、いろいろ中小企業の足らざるところを補っていくということのためにきめ細かい対策を立てていくわけでございます。  さきの国会中小企業基本法改正というのができましたので、それを受けて、行政民間の能力を最大限に活用しながら個々の中小企業ニーズにこたえていこう、そして経営資源の円滑な確保を支援するための体制と内容を充実することでこれらの活用が促される、こう考えて、今回の中小企業指導法改正によって手当てをしていこうということになったわけであります。  また、お話しのように、地方自治体が創業の支援だとかベンチャーの支援とか既存の小規模企業の経営向上努力をしておりますが、そういうような動きに対して我々も一層支援をしていくということは当然でございまして、国としてはあらゆる角度からの協力を図っていきたいと考えます。
  190. 吉井英勝

    吉井委員 そういう取り組みの中の一つ支援センターということで見ると、中小企業の身近に支援するところが欲しいというのが、これが現場の声であるわけです。  ワンストップサービスということで一カ所でいろいろな用件が済ませられる、これはこれで大事なことなんです。ただ、身近にある施設を一カ所に集めてしまうことで、センターが遠くへ行ってしまう。それでワンストップサービスということになると、これはやはり施策の後退ということになってまいります。  私は、この点では、まず、全国それぞれの地域の実態に合わせて、全国三百カ所と限らないで、中小企業商店街の集積のあるところでは支援センターをふやして、もちろんその支援センターの中身は、いろいろなものをそこへ行けば応じてもらえるという点ではワンストップという内容でいいわけですが、そういう支援センターをふやして、その中身という点では墨田区などのように充実をさせていく。支援センターというものについても私はそういう考え方で臨むことが大事だと思うんですが、この点については大臣はどうお考えですか。
  191. 岩田満泰

    岩田政府参考人 地域支援センターにつきましては、これから三百カ所程度ということで来年度以降各都道府県とも御相談をしながら整備を進めていくわけでございますが、確かに地域性、ローカル性のセンターでございますので、置かれました場所柄によりまして、どのようにニーズが発生するかということは当然区々に異なってくるものだというふうに想定をいたしております。  とりわけ、全体の支援センター構想と申しますのは、やや、一言で申し上げまして、センターが持つもろもろ専門家等々のデータベースがどれほど厚く広く整備ができるかということでございまして、その場合にある種の地域性が発生をするということはあり得ると存じます。もしそれで不十分である場合には、県センターでもデータベースを整備いたしますので、そういう意味で、相互に連携をとりながら、特定のローカルセンターで足らない情報人材等の情報につきましては、これを県センターと相補いながらやる。それでも足りない場合にはナショナルセンターというようなところの情報ともつなぐ。  このような形で、ローカルセンターにつきましては、その地域の選び方によりましてある程度その内容が異なってくることは十分あり得るものと想定いたしております。
  192. 吉井英勝

    吉井委員 ローカルなセンターということを考えていきました場合に、本当に身近なところが大事なんですね。身近なところから遠くなればなるほどこれはだんだん役に立たなくなる。そういう点では、私は、それぞれの自治体がこれまで取り組んできた窓口センターですね、それをさらにもっと充実できるように国として財政支援をすることが必要だということを申し上げておきたいと思います。  さて、昨年十一月十二日に中小企業庁全国の各通産局診断指導担当者を集めて会議を持ったときの質疑などの議事録をもとに、関東通産局の方でQアンドAの説明書をつくって、そして各担当者に回して徹底を図っておられるし、関東通産局は管内の自治体関係者を集めて、今回の中小企業支援法案改正に先立つ昨年秋の都道府県支援センターモデル事業のポイントというのを説明しております。  その支援センターの内容というのは、先ほど見てまいりましたような、東京や大阪の例を紹介しましたが、中小企業の集積したところ、身近なところへワンストップサービス相談所を設けて、無料相談や無料診断、技術開発支援や販路開拓の応援など、現に行っている機能の充実とはかなり異なるものではありませんか。この点はどうですか。
  193. 岩田満泰

    岩田政府参考人 御指摘の日の会合につきましては、補正予算の編成途上でございましたが、その途中経過の段階で、モデル事業として実施をいたします都道府県支援センターを中心として、その内容を御説明した会合であったかと存じます。  ここにおきましては、まさに今おっしゃいますような、この支援センターそのものが中小企業経営資源の不足を補う体制を整備しようとするものでございますので、技術があっても販路の開拓に困難を来す者、あるいはもろもろの新製品の開発に困る方、いろいろな形での課題の解決に対応するために必要な人材を確保する、あるいはそういったデータベースを整備するということが目的でございまして、まさに先生先ほど来から御質疑の内容のものとして御説明を申し上げているものと存じます。
  194. 吉井英勝

    吉井委員 一カ所へ集中してしまう、物づくりなり商業の集積地から遠いところへ行ってしまう、これでは対応できない。なるほど、大きな話になるとそれはそれで対応できるかもしれませんが、大事なことはきめ細かな支援ですね。それをやっていくには、やはり地域に密着したところに本当に役に立つものを考えていかなきゃならない。  その点では、私は、都道府県一カ所の、モデルで考えているものは、これは現場の皆さんが求めている方向とは異なるものではないか。むしろ、そのセンターが本当に機能するようになるとすれば、それは、これまでからあったセンター、あるいは新たにもっとセンターを設けて相談その他が充実できるようにするという、このことを追求しなかったならば、実際の中小企業者皆さんの期待とは異なるものになってしまうというふうに思います。  その説明書の三ページのところでは、今回、九九年度の補正で支援センターを一カ所決めれば、そこがすべて中小企業施策をやっていくことになりますので、局に、心して決めるようにと県の方に話してください。これに対して、県でもなかなか決めかねると思いますがという意見が出てくると、なぜ決められないのでしょうか、もう中小企業支援は要らないのか、お金要らないのか、今後全然お金出さないぞと、それでよいのかと脅迫してください。なかなか過激な言葉も使って、支援センターを一カ所に決めさせるようにということなんです。  私は、県の方の悩みというのは、やはり現場の実態に合ったものにするにはどういうふうにするかというところが本当の悩みであって、これは簡単に、脅迫してくださいという表現が少々過激だったということかもしれませんが、そういうこととはそもそも発想のところで違っているのではないかと思うのですが、これはどうですか。
  195. 岩田満泰

    岩田政府参考人 御指摘の会合で、担当の係長が御説明を申し上げる中で大変不適切な発言がありましたことは、大変遺憾に思います。  この御指摘の議事録の中で議論をしておりますのは、都道府県支援センターの話をいたしておるわけでございます。都道府県支援センターとは、ある意味においては、まさに県を単位とするという意味で、そこが一つ拠点、各地域拠点になるわけでありますが、それでは中小企業者の利便性に即さないだろうということで、全国今三百カ所程度と申し上げておりますローカルな支援センターを各県内の複数の地域に設けるというのが、その地域支援センターの考え方から出てきたものでございます。  そのような意味において、恐らく県内の方々が一般には来られるでしょうから、このローカルセンター都道府県支援センターの間が、まさに一つの県の中におられる事業者の方々ニーズに、小まめに、あるいは身近に支援をする窓口となっていただくことを私たちは期待をいたしておるわけでございます。
  196. 吉井英勝

    吉井委員 ただ、議事概要を読んでいくと、地方分権と言いながら、やはり地方の自主的判断による現場の実態に合わせたきめ細かな取り組みはだめよと。事業は全体でパッケージなんだ、こういう考え方が示されたり、あるいは、二〇〇〇年度の診断助言事業では、国から県に三分の一支払って、県が三分の二を支援センターに出すんですよね、間接補助事業ということはないんですよね、県は診断助言事業実施をしないということですよねという質問に対して、そうですと。つまり、考え方の基本というのは、自治体が直接支援事業を行うのをやめさせて支援センターにやらせていく、こういう方向への切りかえ。  それから、創業・ベンチャー・経営革新支援拠点ネットワーク事業についてですが、ローカル支援センターとのネットワーク構築についてはという質問に対して、ローカルセンターと線をつなぐ考えはないということを説明しておられる。都道府県支援センターの周りにある支援組織についてはという質問に対して、中小企業関連機関が多くある中で、公社、情報センター、下請、設備貸与、プラットホームの中核機関、県庁との回線を結ぶということを考えています、その他の関係機関は念頭に置いていないと回答しているわけですね。さらに、国で考えている支援機関以外のところ、例えば公設試験研究機関などにネットワークを構築したいというのであれば、それは県で自前でやれと。  だから、今度の支援センターというのは、自治体が直接支援事業を行うのをやめさせて支援センターにやらせるということとか、現場に密着して中小企業支援を行うというところからは考え方が随分変わってきている、こういう印象を受けるのですが、中小企業庁長官、この点はどうなんですか。
  197. 岩田満泰

    岩田政府参考人 ただいまも御説明いたしましたように、地方における拠点という意味においては、まずは私ども、それを県単位で考え、一つ拠点と考えるわけでございます。  確かに不適切な発言はございましたが、担当官の気持ちをあえて推測いたしますれば、都道府県センターというものは一応地域拠点、地方の一つ拠点でございますので、できる限り幅広い事業に取り組んでもらいたい、そこがパッケージというような言葉にかわって発言をされたのではないかと思います。  しかし、実際問題としては、それぞれ県に御事情がございますので、現在モデル事業の段階でございますが、実態を見ますれば、四十七都道府県それぞれ事業の取り上げ方の内容は変わっておる、県によって御判断が下されているという実態にあることでございます。  それから、地域センター都道府県センターとの間のネットワーク関係でございます。これは、実は補正予算の御説明をいたしておるところでございまして、いわゆるナショナルセンターと県のセンター、あるいは県のセンターと、県の中にいろいろな機関がございます、既存情報センターあるいは下請協会あるいは貸与機関、県によってさまざまでございますが、機関がございます。言ってみれば、この公的な支援機関間、この中には自治体そのものも含むわけでございますが、そこに専用回線を私ども今つくろうといたしております。これは補正予算でつくることができますので、そこにつきましては、基本的にはISDNというようなものを使って専用回線をつくります。  ところが、ここでこれはないと申し上げている意味合いというのは、地域センターというのは一応県のセンターとは別のものでございますので、その意味で専用回線の敷設はないということであります。あえて申し上げれば、その間はインターネットを利用して、県のセンターナショナルセンター地域センターとの間は情報ネットワークが組まれる、そういう方向で現在準備を進めているところでございます。
  198. 吉井英勝

    吉井委員 県は診断、助言など事業実施をしないということですよね、そうですというお考えを示しておられるのですが、やはり私は、国にしても県のセンターにしても、最も身近なところの出先機関としてといいますか、文字どおりある意味ではワンストップサービスでやれるというのは当たり前の話ですし、一つ一つどこへ行かなきゃいけない、あちこち回らぬとわけわからぬ、これは困る話ですから、それは当たり前の話だと思います。しかし、実際にその支援をやる事業そのものを、それはもうセンターの仕事であって自治体はそこから手を引いてしまうとか、これは、今中小企業者皆さん方が求めていらっしゃる方向とはやはり異なるものじゃないか。  私は、墨田の実例を先ほど御紹介しましたが、やはり本来そういう方向へ前進させていくという中でこそこういうセンターというものも意味を持ってくるのであって、センターをつくることによってそっちへ仕事を振っちゃうというふうになると、これはやはり内容的に後退ということにならざるを得ないというふうに思うのです。  ですから、私は、そこで大臣に重ねて伺っておきたいのです。やはり中小企業の中へ、身近なところへ、現場へ、そうして現場の期待にこたえる相談活動その他やりながら、実際やる人たち自身が経験も蓄積する、ノウハウも蓄積する、そうしてこそ発展というものがあるわけで、そういう中でワンストップサービスというものが、あちこち訪ねなくても一カ所へ行ったらわかるようにする、そういう点では意味があるわけですが、それを三百カ所だというふうに決め込んでしまったらこれはまた矛盾が出てきますから、私は、きめ細かな支援センターづくり、そういうものに国もきちんと財政面を含めてバックアップしていくのだ、そういうことをやはり大臣としてはっきりお考えというものを示していかれる必要があると思うのですが、この点、大臣どうですか。
  199. 深谷隆司

    深谷国務大臣 当省の職員の説明の経過の中で、その議事録も私は目を通しましたけれども、不適切な発言があったということは大変遺憾だと私は思っています。  少なくとも、我々が考えております形というのは、国と都道府県は対等の立場に立って中小企業支援を行う、これが原則でありまして、国が高いところから都道府県指導するなどということはそもそも考えてはならないことだと私は思います。  ただ、全国に三百のセンターを設けるということで、中小企業ニーズに合わせた支援体制を確立していくということにおいては、できる限りそこに集中的になってほしいと願うのは、それは当然のことであります。  しかし、それはイコール既存の地方自治体が行っていることを全部やめさせてここに集中せよということでは決してありませんで、むしろ私は、委員のお言葉を伺いながら、これからセンターができていく、あるいは既にできたところもありますが、そういうところは、既存地域の今までやってきたことなどについてよほどしっかり勉強しながら、連携をとって中小企業ニーズにこたえていくという作業を行うことが大変大事なことではないかと思いました。
  200. 吉井英勝

    吉井委員 中小企業指導という言葉を支援と置きかえるだけじゃなしに、やはり本当に中小企業皆さんに目線を合わせた取り組み、そういう方向というものこそ今考えていかないと、この長期にわたる不況の中でさまざまに経営努力したり頑張ってこられた中小企業皆さんの期待にこたえることにはならないというふうに思います。  最後の問題として、通産省、経企庁というのは経済官庁であるわけですから、それだけに姿勢をきちっと持っていくということが大事だと私は思っているんです。業界の接待など、監督姿勢が甘くなったり、その一方で中小企業の現場の苦労や要望がわからないようになってしまう、あるいは三年なら三年で交代してしまってろくに現場もよく知らないままにというのでは、これは中小企業対策ということを考えても大変なことですから。  そこで、まず伺いたいんですが、九〇年代以降だけに限ってみて、通産省幹部の懲戒処分の内容を見てみますと、業者からの接待供応を受けたり、監督や許認可にかかわる事業を兼業する者などの件数が八件で三一%、わいせつや盗撮など女性の人権を侵害する行為が五件で一九%、その他が十三件、五〇%という状況のようです。もちろんこの中には、泉井事件の場合のように、懲戒には至っていないが処分を受けた多数の幹部というのは含まれておりません。  まず、懲戒処分という点では、この内容で間違いありませんか。
  201. 佐野忠克

    佐野政府参考人 お答え申し上げます。  今委員のおっしゃった、平成二年以降ですから一九九〇年代のところについての被懲戒処分者のところは、今委員のおっしゃられるとおりでございますが、いわゆる泉井事件のところにつきましては、監督責任ということで、平成八年の十二月五日に当時の次官が減給処分になっております。
  202. 吉井英勝

    吉井委員 実は、九州通産局のOBの方から手紙をもらいましたので、逮捕等の状況について確認だけ最初にしておきたいと思いますが、黒田氏という方。旧福岡通産局時代の商工部長などを務めて、石炭鉱害事業団幹部など石炭関連分野での長年の三井グループとのかかわりの上に、大牟田市長になった後、八六年十二月に三井建設から受託収賄で逮捕。  真崎氏は、通産局鉱害部長、石炭鉱業合理化事業団、現在NEDOですね、九州責任者を務め、八八年十月に貝島炭鉱管財人として収賄で逮捕。  山下氏。通産省からNEDOへ出向して管理課長代理になっていて、九七年二月にボタ山安定化工事での業者選定資料を改ざんして受託収賄で逮捕。  さらに九八年一月には、九州通産局産業技術課審議官が逮捕。  福田氏。ことし二月に、元福岡通産局長で学校法人福田学園理事長になっていた人ですが、瀬戸内海の無人島に自身も役員に入る化学薬品処理会社をつくろうとして、学校法人の資金を不正に流用して背任で逮捕。  九州通産局管内で現役、OBのこれらの逮捕された事件というのは承知しておられますか。
  203. 佐野忠克

    佐野政府参考人 今委員の御指摘のあった点については承知をいたしております。  二点ほど若干私たちの理解と違うところがございますが、一つは、三つ目におっしゃいました山下の件でございますが、山下は平成三年四月からNEDOのプロパーの職員になった後の事件かと存じます。また、真子につきましては、工業標準審査官の併任でございます。
  204. 吉井英勝

    吉井委員 私、実は少し気になりましたのは、通産局管内、九州通産局の現役、OBでこういうことが相次いでいるものですから、少しこれは公務員としての規律の問題など全体に考えなきゃならないことがあるのかなと思っていたら、やはり私のところへの訴えのあるのは、現役の九州通産局の幹部についても、料亭で酒宴を上げ、その支払いはダミーを通じて九州電力に払わせているという訴えが来ています。私はここでは本人の固有名詞とか役職はおいておきますが、使用している料亭の名前もクラブの名前も示されております。  監督官庁の幹部を直接接待できないために、ある経営者団体の会長が招待した形をとって、その宴会の費用、飲食料費を電力会社が支払う。つまり、幹部が大企業から接待を受けたり、その企業に支払いをさせて酒宴におぼれるということになりますと、これは原発事故などの監督が目こぼしされたりすることになりますし、その一方で中小企業対策や支援をどうするかということはだんだん関心事にも上らなくなってしまう。私は、こういうことでは国民の信頼を失うと思うんですね。  私は、ここでは固有名詞、役職名その他はおいておきますが、こういうことは、大臣、まず徹底して調査をされますね。
  205. 深谷隆司

    深谷国務大臣 公務員が、倫理規程にのっとって、あるいは社会的な常識にのっとって立派な行いをするのは当然のことでありまして、何らの疑惑が生ずるようなことをやってはならぬことはおっしゃるとおりであります。  今の件について私は存じ上げませんが、どのような状態か、早速調査をしてみます。
  206. 吉井英勝

    吉井委員 泉井問題のときには、資源エネルギー庁長官とか近畿通産局長を務めた方たちが泉井石油商会社長の接待を受けたり、ほかにも絵画をもらったりする者が出るなど腐敗が続いたわけですが、この泉井問題があっても現役の幹部が接待を受けるなど、行政を私物化するような感覚の麻痺が進行しておっては、これは本当に大変なことだと思うんです。  私は、まず、大臣は調べるとおっしゃったので、よく調べていただいて、もしこういう訴え等が事実であれば、きちんとしたけじめをつけていただきたい。  それから、きょうは時間がなくなりましたが、堺屋長官には、現職の大臣の時代には、少なくとも大臣の責任を持つ官庁に、自分に近い周辺の者に仕事にかかわり合いを持たせるようなことはしない、私はこれはやはりけじめをきちんとつけるべきだと思うんですね。これは世間では当たり前のけじめだと思いますが、最後に長官に、きちんとけじめをつけて臨む、そういうお考えをお持ちかどうかだけ伺っておきたいと思います。
  207. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 委員のおっしゃるけじめというのはどういうことか、よく私にわかりませんが、経済企画庁からお金を出すとか、あるいは何らかの許認可があるとかいうことでございますれば、身辺というか、私、出版業界に知り合いが皆おりますのでどこまでをいうのかちょっとあれですが、少なくとも、親族とか私が出資しているとか、そういったところにはいささかも出したこともございませんし、今後とも出しません。その点、委員の真摯な御忠告、早手回しの御忠告ありがとうございます。
  208. 深谷隆司

    深谷国務大臣 通産省として、ニュース、話題になったような、そういう残念なことがかつてございました。しかし、昨今は本当に全員が一体となって頑張っておりまして、私は、通産省の職員は倫理規程に基づいて全力を挙げて今日々を過ごしているというふうに思っております。  先ほどの九州の件については調査はいたしますけれども、どうぞ、通産省の職員全体が真剣に頑張っているというこの姿は御理解いただきたいと思います。
  209. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  210. 中山成彬

  211. 北沢清功

    北沢委員 社民党の北沢でございます。質問のしんがりですので若干重なる面もございますので、簡潔に御答弁をいただき、でき得れば私の私見等についても御披露したいと思います。  今回の新たな体制となる中小企業支援事業でありますが、これはある面では、長引く不況、消費低迷、中小企業の今日の危機という中ですが、やはり二十一世紀に向けてはもっともっと大きな、インターネットを中心とした進歩と同時に、逆な面で、中小企業の危機その他いろいろ、産業を制約する環境条件等を含めて大変な時代になるわけであります。しかし、今回の支援事業については、積極的に取り組んでいる皆さんの姿を見て、私どもは基本的には賛成を申し上げてまいりたいというふうに思うわけであります。  それではまず、これまで、公設研究機関、それから中小企業振興公社中小企業団体中央会、その他商工会など従来さまざまな機関があったわけでありますが、政府として、その果たしてきた役割について、またその限界についてどのように分析をされているか。当然そうした上に立った新たな体制を考えておられるというわけでございますが、どういうふうにお考えか、御答弁をいただきたいと思います。
  212. 細田博之

    細田政務次官 おっしゃいました機関のうち、例えば中小企業振興公社につきましては、中小企業近代化資金等助成法に基づく低利の設備貸与機関として、また情報化に関する助言を行う地域情報センターとして、あるいは下請企業事業のあっせん等を行う下請振興協会などとしてこれまで機能してきたところであります。これは、これまでの地域中小企業の振興に少なからず貢献してきたものと承知いたしております。  また、商工会や商工会議所は、従来から経営改善普及事業を行い、地域の小規模企業者の経営の改善発達全般に係る基礎的な事業を行っております。  このような中小企業支援のための民間事業者、諸機関の充実に伴い、中小企業者がその悩みに応じましてどこに行ったらいいのかわかりやすくしてほしい、また、窓口に行ってたらい回しにされないようにしてほしいなど、利便性の確保が課題とされるようになってきておりますので、本法案指定法人である都道府県等中小企業支援センターの考え方につながっているわけでございます。
  213. 北沢清功

    北沢委員 やはり今までの反省というか経緯の中から、新たな時代に向けての体制だろうと思いますが、そのことは即、今までの御質問をお聞きする中では非常に総合的なもので、有機的なものであり、なおかつ、現場の中小企業者を、いかに現場主義も含めて協力されていくかということにあると思います。  これは、改正されたことによって指導型から支援転換をされたものでありますが、時代の要請にこたえて変わってくるのは当然と考えます。この中小企業基本法改正のときも指摘をいたしましたが、従来型の零細企業業者への救いも実は忘れてはならないのではないかというふうに考えますが、その点についてはいかがでしょうか。
  214. 細田博之

    細田政務次官 小規模零細企業、零細ということを最近私どもなるべく使わないようにしておりますけれども、小規模企業の問題につきましてお答え申し上げます。  今回の中小企業指導法改正は、さきの中小企業基本法改正を受けまして、行政民間事業者協力しつつ、多様な中小企業ニーズに応じて経営資源の確保を支援する制度を整備するために行うわけでございます。中でも、小規模企業に対しましては、身近な地域ごとの支援拠点全国三百カ所程度に設置いたしまして、創業や経営革新を目指す小規模企業向けにきめ細やかな対策を行える体制を整備することとしております。  なお、前国会では、基本法を改正した際に、その第八条に小規模企業者への配慮について明確な位置づけを行い、また無利子の設備資金貸付制度の創設などを行うなどの措置を講じたところでございます。今後、小規模企業対策の効率的な実施に努め、その経営の改善の推進に努めてまいりたいと思います。そのほか、マル経融資制度等小規模企業対策を充実しておることは御存じのとおりでございます。
  215. 北沢清功

    北沢委員 零細企業の従前からの施策をさらに充実するという施策については、これは附帯決議の中でも、ベンチャー企業志向も強力に進めるけれども、その面についてもやはり一工夫をして充実すべきだということを実は申し上げたいわけであります。  このたびの改正で、全国レベルのナショナル支援センターが八カ所、都道府県レベルで六十カ所、地域レベルで三百のところを整備されることになっておりますが、中小企業の人たちは、相談したい場合、まずどうしたらよいのか。統一的窓口である都道府県等中小企業支援センター窓口になるのか。または、そうしたことを周知させるための広報活動を徹底すべきではないかというふうに思いますが、広報活動の充実によって、より中小企業者窓口に足を運ぶということについてはどのように考えておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  216. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員指摘のように、せっかくつくった諸施策、それから全国支援センター都道府県センターナショナルセンター、これらが、中小企業皆さんに詳しく、説明として納得いくような、そういう広報を行うことは大変大事であります。いろいろな形でやりました。また、ただいまもやっております。  各支援センター紹介を初め新たな中小企業政策につきまして、中小企業方々に直接説明に赴くためのシンポジウムあるいは講演会、あるいはテレビや新聞のマスコミを活用しての集中的な広報などを続けてまいりました。私自身も、富山、熊本あるいは仙台、今度は大阪でやりますけれども、四カ所回りましたし、両政務次官も各所を手分けしてシンポジウム等の中でお話をし、紹介を続けています。いろいろなプリント等もつくりまして、至るところで、とにかくこれらの施策センターの実態というものを中小企業方々に知っていただくように、いずれにしても全力を挙げていきたいと思います。  全国シンポジウム等は六十二カ所開催することに相なりまして、そこではほぼ十六万人以上の人たちが直接我々の声に耳を傾けていただけるような、そんな状況になりつつございます。これからも、例えばインターネットのホームページなどを利用しました広報の強化にも取り組んでいくということを含めて、あらゆる角度からPRに努めていきたいと思っております。
  217. 北沢清功

    北沢委員 私はやはり今心配になるのは、先ほど中山委員さんの御発言にありましたように、時代の流れの中で、大変な流れに適応できず成立ができないような業種、それから大型店の出店でシャッターをおろさなきゃならないような状況、そういうことを含めて、やはり相談の中身というのは前向きな希望の持てるような、ベンチャー企業等含めて、これらは将来の産業のあり方として基本でございますが、やはりそういうような零細個人企業を、昔はよく前向きの資金というようなことを言われたけれども、後向きの資金というものはなかなか出されなかったわけですが、相談窓口というのは、そういう意味では、新たな業種転換を積極的に相談をすべきであります。  今言ったような情勢の中でも、後向きの中で、中小企業者の救済、これはある面では整理ということにもかかわるわけでありますが、そういうものも含めてひとつ相談業務に取り組んでいただきたいということを特に要望を申し上げたいと思います。答弁を求めます。
  218. 細田博之

    細田政務次官 大分以前の中小企業政策というと、大体は設備投資をどんどん進める、近代化する、合理化する、合併、協業化をするというようなことに前向きの資金を供給し、後ろ向きは、例えば転廃業とか設備の整理とか、そういうところでお金を使うというような形でございました。  最近は、このたびの基本法に基づく考え方は、むしろ新しい分野へ展開するものを創業とかベンチャーとか申しておるわけでございますが、それは後ろ向きのようではあるけれども、これはやはり前向きだ、新しいところへ挑むのであるから、今までの事業から見ると撤退をしたり新展開をするということかもしれませんが、そういう前向きのお金を用意しようということでございます。後ろ向きの方は、御存じのような、債務保証をするとか、あるいは経営に必要な運転資金を、さらに供給の厚みを増すとか金利を安くするというようなことで行っているわけでございます。  また、支援センターのレベルも、これはさまざま分かれておりますが、都道府県等において行います支援センターは創業とか経営革新あるいは経営向上を図ろうとする中小企業、そして地域におきましては地域における事業活動を行う中小企業者ナショナルセンターにおいてはベンチャー企業株式公開までも視野に入れた中小企業ということで、それぞれの役割がございますし、また、経営改善とか金融税制、税金対策とか、経理とか、そういうものについては、従来の経営改善指導事業のあの形をとっていくということで、役割がそれぞれ分担されているというふうにお考えいただきたいと思います。
  219. 北沢清功

    北沢委員 ぜひ皆さん相談業務についてはひとつ積極的に、たらい回しにすることのないような取り組みをしていただきたいというふうに思います。  それで、今回の改正によりまして、中小企業向け経営コンサルタントの資格制度として法律に定められることになっておりますが、中小企業診断士制度についてお伺いをいたしたいと思います。  法文上はまだ、試験手続、指定試験機関等に関する明確化が行われるだけで、詳細な資格要件などについては省令事項となっておりますが、現段階での描いておられる点について、いかがお考えですか。
  220. 岩田満泰

    岩田政府参考人 新しい中小企業診断士制度につきましては、中小企業に対しますコンサルティングを行う民間事業者を含めました中小企業支援者の能力認定制度と位置づけることといたしまして、より充実した実践的な制度に再編することといたしております。  具体的な制度設計に当たりましては、近年の経営管理手法の進展の内容を活用すると同時に、実務研修の課程を充実するといったようなことによりまして、さまざまな中小企業の経営課題に応じた具体的な助言の能力というものに新たに重点を置きまして認定する制度というふうに再編をしたいと考えております。
  221. 北沢清功

    北沢委員 中小企業診断士の資格は、実は長らく単に公務員を対象とした資格制度として機能してきた面があるわけでありますが、中小企業をめぐる状況が高度化、専門化される中では、また求められているものも高度で専門的なものになると考えるわけです。研修制度の充実はもちろん大事なことと考えておるわけですが、どういうものを考えておられるのか。時代の要請に見合ったものになるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  222. 茂木敏充

    茂木政務次官 今後の中小企業診断士の試験、それから研修制度についてのお尋ねでありますが、委員指摘のとおり、現行の制度のもとでの中小企業診断士の試験は、例えば財務管理であったり生産管理、労務管理などの、どちらかといいますと現状分析に重きを置きましたいわゆる経営管理的な科目を中心といたしまして、実践的なノウハウよりは一般的知識に重きを置いておりました。  しかし、これからの中小企業診断士は、民間事業者を中心にしながら経営コンサルテーションの能力が問われる、こういうことでありますから、そういった意味のある経営コンサルテーションを行えるような能力を認定することが重要でありまして、単なる現状の分析ではなくて、経営戦略の助言能力にポイントを置いた試験内容の見直しを図っていきたいと思っておりますし、また実務研修の充実もこの観点から進めていきたいと考えております。
  223. 北沢清功

    北沢委員 ぜひ実務経験の豊富な人を積極的に選んでいただきたいというふうに思います。特に、民間からの人材を確保するということであるならば、これらの雇用の場を保障するということとともに、そのことが重要な課題ではないかと思うわけでありますが、また需要と供給との関係もあるわけであります。  現在の資格ブームの中で、過去の事例を見ても、単に資格を持っているだけで活用の場がないとか、または資格を取るための受験産業だけが繁栄をするということもやはり防がなければならないと思いますが、これらの対策についてはどのようにお考えでしょうか。
  224. 茂木敏充

    茂木政務次官 委員指摘のとおり、例えば平成七年度の中小企業ニーズ調査、これは中小企業庁が実施をしておりますが、これを見てみますと、例えば中小企業が経営上の課題の解決のために用いる外部の助言として一番多いのが、自社で解決する、それから二番目に、民間の経営コンサルタントに依頼する。そして逆に、商工会議所、商工会に相談するが六・八%、そして都道府県等が行う診断を受けるが四・七%であった。  そういう点から、本当にこういう資格制度を新しくしてもたくさん需要が出るのか、こういう御質問かと思いますが、先ほど御答弁申し上げましたように、単なる経営管理ということではニーズがない。しかし、これから伸びていこうとする中小企業、新しいことにチャレンジしようとする中小企業が、民間事業者を中心にした経営コンサルティング能力も持つこういった新しい形の中小企業経営診断士、こういう形になっていきますと、ニーズも出てくるんではないか。つまり、そういう能力を持っている人が出ることによって、逆に中小企業も今まで以上に積極的に相談に来てくれる、こういうことを期待いたしております。
  225. 北沢清功

    北沢委員 それでは、同じく中小企業対策に関連して、下請取引の適正化対策についてお尋ねをいたしたいと思います。  大企業の合併や買収がますます進んでいる中で、下請中小企業の対策は緊急の課題であると考えるわけでありますが、取引適正化、下請いじめ解消に向けて、通産省は具体的に現在をどのようにとらえ、また取り組んでおられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
  226. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業が公正で自由な取引環境のもとで健全な発展を遂げられるように、これまでも、公正取引委員会とも連携をとりながら適切な対応を行ってまいりました。  親企業による不当な代金減額、支払い遅延などの下請代金法に違反する行為に対しては、同法に基づいて厳正に対処するとともに、中小企業で問題となる取引の実態把握に努めてきたところでございます。  具体的に申し上げますと、書面調査というのは全親企業に行っておりまして、下請企業に対しましては、その中から抽出いたしまして検査を行います。そして、その中で、問題があるという場合には直ちに検査を行うわけでありますが、検査実績といたしましては、毎年二千五百から二千七百件ぐらいを対象に行っておりまして、その結果についての改善指導等をいたしてまいりました。  これからも、公正取引委員会と連携を密にいたしまして、下請代金法の厳正な運用を図るとともに、都道府県等中小企業支援センターによる苦情処理体制も整備いたしたり、あるいは、商工会議所等を活用した情報収集体制を図っていくなど、独禁法等諸ルールの遵守に係る広報など取引適正化に向けて施策の強化に努めてまいりたいと思います。
  227. 北沢清功

    北沢委員 私はこのことをなぜ取り上げたかというと、最近テレビを見ておりますと、大手の企業、大手の銀行等の合併が急速に進んでおります。そして、テレビの中で、なぜ進めるかということは、競争力のある企業にしたいということでありますが、そのためには何百何千という皆さんをリストラする、そのことによって二年後には収支とんとんになり、三年後には利益が出るんだというような、もう当然過ぎるほど当然のような実は報道をされております。  私は、これをずっと聞いていて、それは、企業そのものが救われる面では確かに大事でありますが、では実際にリストラされた人たちは一体どうなるんだ、実はそういうことが全然、一般の国民の中の感覚として、報道に見る限りでは出てきておらないですね。だから、そういう意味で、ヨーロッパ、特にドイツ等の企業合併、ヨーロッパの企業合併とは非常に、労働権の若干の尊重ということも含めて、企業をいかに近代化をしていくかという面では案外無感覚だろう、私はそういう思いを実はしております。  具体的には、社民党として、通産省と公正取引委員会には該当の労働組合ともども要請した事例がございます。市場の支配力四〇%を有する太平洋セメントが、需要の落ち込みなどから物流部門も効率的に進めるということで、同社専属の系列下請輸送会社に対して、今月いっぱいで輸送契約を解除する旨、事前説明することなく、ただ一片の書面だけで通告をしたという事例でございます。  実際の当該の会社そのものでさえも先ほど申し上げたような状況ですから、下請の状況というのはもっと非常に深刻であり厳しいわけでありますから、恐らくこうしたことは表面化はしていないだけに数多くあると思われるわけでありますが、通産省はこうした下請いじめをどのように認識しているか、また、太平洋セメントの事例は下請いじめではないかどうかということについても見解をお聞きいたしたいと思います。
  228. 横川浩

    横川政府参考人 太平洋セメントにつきましての具体的な事例につきまして答弁をさせていただきます。  太平洋セメント株式会社が、セメントの取引に関しまして、従来までやってきておりましたユーザー持ち込み取引、すなわち、セメント会社がユーザーでございます生コン会社のサイロに入れるところまで責任を持つシステムでございますけれども、これを廃止いたしまして、出荷場所、セメント会社の工場でありますとかサービスステーションでの引き渡し取引に統一をしていこう、こういったようなことを内容にいたします販売制度の改革を行おうとしていることは私どもも承知をいたしております。  こうした販売制度の改革でございますけれども、セメント関連業界を取り巻きます大変厳しい経営環境を背景にいたしまして、太平洋セメント、同社の経営判断といたしまして決定をされたものと認識をいたしております。  こうした販売制度の改革に伴いまして必要となります、御指摘のようなセメントの運送契約などを含みます個々の契約の取り扱いにつきましては、まさに私企業の間の契約の問題でございまして、政府といたしまして個別には承知していないのが現状でございます。
  229. 北沢清功

    北沢委員 私は、厳しい経営状況と、さらに厳しいのは、やはり、一方的にただ書面だけで通知をされる下請や、そこに働く皆さんである。同じ痛みだと思うんですね。だから、そういう中でどのように解決をしていくかということ、これがやはり、ヨーロッパ型であるのか、または最近出てきた、あらゆる働く皆さん、下請の企業皆さんの権利を奪われるという、常識というか、そういうものに対する問題点が依然として今日あるということを私は申し上げたいわけであります。  こうした一方的な契約解除がまかり通り、行政として何ら有効な対応がとれない原因は、法制上の不備があるのではないか。現行法では契約関係は当事者間の問題となっておるために、事実上、元請と下請の力関係で決定をされてしまうわけで、下請が一方的に不利になる契約解除あるいは締結についてきめ細かな規制をすることの法が必要ではないかというふうに考えるわけでありますが、この点についてはいかがお考えでしょうか。御答弁をいただきたいと思います。
  230. 岩田満泰

    岩田政府参考人 大企業中小企業の間の契約関係のトラブルにかかわる話でございますが、もとより、私の立場からは一般論で申し上げますが、申し上げますように、今、法律関係の理解として、やはり基本は、契約当事者間の契約に基づく対応ということが基本になっているのだと理解をいたしております。  その意味で、こうした問題の解決の基本は両当事者間でということになるわけでございますが、いずれにしても、契約を結ぶ段階あるいはそうしたトラブルが発生した段階におきまして、中小企業施策の観点から申し上げれば、法律的な問題になるわけでございますので、そうした面での支援と申しましょうか、そうした相談に乗ってくれる人というようなところがもろもろ発生をすることがあり得ると思っておりまして、適切な法律面からのアドバイスというような制度と申しましょうか、システムの整備も必要だと私ども思っております。  そういう意味で、法律面での支援といたしましても、今般御審議をいただいておりますこの支援システム、支援センターの中で、そうした重要な仕事として弁護士等の専門家の登録とその派遣、御紹介というような事業を展開いたしていきたいと考えておるところでございます。
  231. 北沢清功

    北沢委員 法律的な面で個別に解決をされるということですが、私は、雇用も含めて、大事なことは、社会的な解決ということが非常に大事なわけですね。  今日の不況も、働く皆さんや庶民の中に、いつ首を切られるかしれない、職を失うかもしれないという思いが、やはり消費を非常に手控えて、それが景気回復につながっていかないという大きな原因があると私は思います。  政治というものもそうですが、個々に法律に任せておけばいいということもさることながら、やはり物事を社会的に考えていかないと、二十一世紀になるともっと深刻になると思うんです。私は、これからの社会は共生の社会、ともに生きる社会だというふうに理念として持っているわけでありますが、そういうことを含めて、ひとつ社会的な観点から雇用、社会的な観点から下請いじめというものをもっと率直に見、そのことにやはり関心を持ち、取り組むべきではないかということを終わりに強く申し上げて、御答弁はいいですが、そのことについての質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  232. 中山成彬

    中山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  233. 中山成彬

    中山委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。
  234. 吉田治

    ○吉田(治)委員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました中小企業指導法の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論を行います。  以下に主な賛成理由を申し上げます。  第一の理由は、原則として都道府県等の職員が行っている中小企業指導事業民間事業者の積極的な活用による体制に改めることであります。多様化、専門化した中小企業ニーズに応じるには、民間専門家の活用は不可欠です。  第二の理由は、似通った制度が多数存在し、利用者に不評である中小企業施策窓口の一本化に向けて、都道府県等中小企業支援センター設置が提示されていることであります。  以上が主な賛成の理由ですが、我が党としては、次の不十分な点もあわせて指摘をしてまいらなければなりません。  まず、中小企業支援事業ワンストップサービス化を図るとしていますが、縦割り行政の弊害から、地域プラットホーム等、同様のサービス提供機関との整理統合が全く行われておりません。これでは、中小企業者の困惑は避けられないと考えます。  また、都道府県等中小企業支援センター民間事業者がその事業を統括することになっています。民間人材の活用であり、評価するものでありますが、事業評価の仕組みがありません。これでは、同センター中小企業者の利便性の向上に効果的に機能しているかを公正にはかることができません。  我が党は、通産省中小企業庁がこの法律に基づく政省令の立案、補助金要綱の作成の中でこれら問題の克服に努力しているか、あわせて中小企業診断士制度法案の趣旨にかなうものとして定着していくのかを監視していくことを表明し、私の討論を終わります。(拍手)
  235. 中山成彬

  236. 吉井英勝

    吉井委員 私は、日本共産党を代表して、中小企業指導法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。  反対理由の第一は、本法案が、十分な財政的裏づけのないまま地方に責任だけを押しつけるとともに、役割分担、民間活力の活用の名のもとに行政責任を後退させるものだからであります。  中小企業支援について、国による上からの押しつけをやめ、都道府県自主性を尊重するというのは当然のことです。しかし、来年度予算中小企業対策費は千九百四十三億円、一般歳出に占める割合は〇・四%と過去最低であり、国の財政支援の裏づけのないまま責任だけを地方に押しつけるものとなっています。しかも、地方行革が押しつけられているもとでは、役割分担、民間活力の活用の名のもとに、中小企業支援のために行政が果たすべき責任を後退させることになります。  第二に、これまで行政が行っていた無料の診断事業指導事業が有料となり、不況で苦しむ中小企業に新たな負担を押しつけるものとなるからです。  従来、行政が行ってきた診断事業指導事業は無料で利用することができました。ところが、本法案の成立を前提として編成された来年度予算では、支援センターでのコンサルティングなど支援事業中小企業の三分の一自己負担が導入されています。不況のもとで苦しむ中小企業支援することが求められているときに、逆に負担を押しつけることは容認できるものではありません。  以上、本法案に反対する理由を述べて、討論を終わります。(拍手)
  237. 中山成彬

    中山委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  238. 中山成彬

    中山委員長 これより採決に入ります。  内閣提出中小企業指導法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  239. 中山成彬

    中山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  240. 中山成彬

    中山委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、伊藤達也君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。吉田治君。
  241. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     中小企業指導法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、中小企業の多様で活力ある成長発展を目指した新しい中小企業基本法の基本理念を踏まえ、民間能力の活用を図りつつ、中小企業者経営資源の確保を支援することの重要性を十分認識するとともに、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 新たな中小企業支援事業の実施に当たり、都道府県等による地域の特性に応じた柔軟かつ主体的な支援施策の実施が可能となるよう、支援計画及び基準の策定に格段の工夫を図ること。    また、都道府県等及び各支援機関に対し、本改正及び本附帯決議の趣旨を周知徹底し、多様化する中小企業者の経営課題に対し迅速・適確に対応できるよう、能力の向上に努めるよう促すこと。  二 都道府県等中小企業支援センターの整備に当たっては、ワンストップ・サービス化を貫徹するとの観点から、都道府県等における既存中小企業支援組織見直し・統合化及び協力・連携の強化を図るとともに、都道府県の退職公務員の受け皿となることのないよう、公募により広く人材を求める等、真に求められる人材の配置やその活用を図ること。    また、全国三百カ所程度に設けられる地域中小企業支援センターの整備に当たっては、地域における中小企業者の身近な支援窓口を確保する見地から、偏在のないようその設置場所の選定に留意すること。  三 中小企業診断士の役割が、本改正により国、都道府県等が行う指導事業において経営診断を担当する者という位置付けから、広く中小企業の経営の診断・助言を行う者へと転換することにかんがみ、同診断士の資格要件を定める省令については、広く民間人材を求めるとの観点に配慮しつつ、中小企業者ニーズを適切に反映したものとするとともに、試験・実習の内容等について間断なくその見直しを行っていくこと。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  242. 中山成彬

    中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  243. 中山成彬

    中山委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、深谷通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。深谷通商産業大臣
  244. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。     —————————————
  245. 中山成彬

    中山委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  246. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  247. 中山成彬

    中山委員長 次に、内閣提出産業技術力強化法案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。深谷通商産業大臣。     —————————————  産業技術力強化法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  248. 深谷隆司

    深谷国務大臣 産業技術力強化法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  経済活動が世界規模で展開され、国際競争がますます激化する中で、我が国産業の国際競争力の低下が懸念されております。特に、我が国の技術水準は革新的な分野を中心として米国に著しくおくれているとの評価が浸透しているなど、我が国の研究開発を行う能力やその成果企業化を行う能力、すなわち産業技術力についてその低下が懸念されるところであります。このため、我が国経済の新生を実現する上で、これまで我が国が得意としてきたコストの低下や品質の改善を進めるための技術についての維持向上を図りつつ、より創造性に富む研究開発を可能とする技術開発体制を構築することが極めて重要となっております。  以上のような認識のもと、産業技術力の強化に関し、各主体の責務や国の施策の基本となる事項を定めるとともに、各般の支援措置を講ずるため、本法律案提案した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、産業技術力が我が国産業の持続的な発展を図るための基盤であり、産学官が一致して産業技術力の強化に取り組むことを基本理念として定めるとともに、産業技術力の強化に関し、国、地方公共団体、大学及び事業者がそれぞれ果たすべき責務を明らかにしております。  第二に、産業技術力の強化に関する施策の基本となる事項を定めております。具体的には、研究者及び技術者の確保や養成及び資質の向上、研究開発施設や設備の整備等、研究開発に係る資金の重点化と効率化、産学官の連携の強化、そして研究成果の移転の促進の五項目について、国が必要な施策を講ずることとしております。  第三に、産業技術力の強化を支援するための措置を規定しております。  まず、民間から国公立大学に対し委託研究、共同研究等のために提供される資金について、国及び地方公共団体が、その受け入れ及び使用を円滑にするための措置を講ずることとしております。  次に、国公立大学や国及び地方公共団体の試験研究機関の研究者について、その研究成果を活用する事業を実施する営利企業の役員を兼ねることが研究成果事業者への移転の促進にとって重要な意義を有することを明確にしております。  さらに、大学の特許部とも位置づけられる技術移転機関が産業技術力の強化に資する事業のために国立大学等の施設を使用するときは、無償で使用させることができることとしております。  加えて、大学における研究成果技術移転を促進するとともに、産業技術力の強化に資する事業者による発明を促すため、大学や大学の研究者、研究開発に積極的に取り組まれている中小規模の事業者に対して特許料の減免等の措置を講ずることとしております。  最後に、産業技術力の強化を図るため、新エネルギー・産業技術総合開発機構の業務として、産業技術に関する研究開発の助成や技術者の養成及び資質の向上のための業務を追加しております。  以上が、本法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  249. 中山成彬

    中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明二十二日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会