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2000-05-10 第147回国会 衆議院 厚生委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十日(水曜日)     午前九時五分開議  出席委員    委員長 江口 一雄君    理事 安倍 晋三君 理事 衛藤 晟一君    理事 木村 義雄君 理事 田中眞紀子君    理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君    理事 福島  豊君 理事 児玉 健次君       伊吹 文明君    石崎  岳君       江渡 聡徳君    遠藤 利明君       大村 秀章君    鴨下 一郎君       鈴木 俊一君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田村 憲久君       戸井田 徹君    根本  匠君       桧田  仁君    堀之内久男君       松本  純君    宮島 大典君       山下 徳夫君    石毛えい子君       岩國 哲人君    五島 正規君       土肥 隆一君    中桐 伸五君       古川 元久君    松本 惟子君       遠藤 和良君    大野由利子君       旭道山和泰君    瀬古由起子君       岡島 正之君    吉田 幸弘君       武山百合子君    中川 智子君       笹木 竜三君     …………………………………    厚生大臣         丹羽 雄哉君    環境政務次官       柳本 卓治君    大蔵政務次官       大野 功統君    厚生政務次官       大野由利子君    通商産業政務次官     細田 博之君    政府参考人    (防衛施設庁施設部長)  宝槻 吉昭君    政府参考人    (厚生大臣官房障害保健福    祉部長)         今田 寛睦君    政府参考人    (厚生省生活衛生局水道環    境部長)         岡澤 和好君    政府参考人    (厚生省社会援護局長) 炭谷  茂君    厚生委員会専門員     杉谷 正秀君     ————————————— 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   山下 徳夫君     江渡 聡徳君   家西  悟君     岩國 哲人君   中桐 伸五君     松本 惟子君   小沢 辰男君     旭道山和泰君 同日  辞任         補欠選任   江渡 聡徳君     山下 徳夫君   岩國 哲人君     家西  悟君   松本 惟子君     中桐 伸五君   旭道山和泰君     小沢 辰男君     ————————————— 五月八日  廃棄物処理及び清掃に関する法律及び産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八三号) 同月十日  母体保護法の一部を改正する法律案参議院提出参法第一一号)  社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等特例等に関する法律案内閣提出第八六号)(参議院送付) 四月二十八日  腎疾患総合対策早期確立に関する請願今村雅弘紹介)(第一五二六号)  同(小野晋也君紹介)(第一五二九号)  同(小沢辰男紹介)(第一五四三号)  同(加藤紘一紹介)(第一五四四号)  同(児玉健次紹介)(第一五四五号)  同(甘利明紹介)(第一五八五号)  同(高木義明紹介)(第一五九三号)  社会保障拡充に関する請願小野晋也君紹介)(第一五二八号)  同(逢沢一郎紹介)(第一五三六号)  同(羽田孜紹介)(第一五三七号)  同(武村正義紹介)(第一五四一号)  同(吉井英勝紹介)(第一五四二号)  同(岡田克也紹介)(第一五九〇号)  同(高木義明紹介)(第一五九一号)  臓器の移植に関する法律見直しに関する請願中西績介紹介)(第一五三〇号)  同(金田誠一紹介)(第一五六二号)  同(北沢清功紹介)(第一五六三号)  障害者自立と親・家族負担の軽減を目指した介護保険制度改善に関する請願金田誠一紹介)(第一五三四号)  同(古川元久紹介)(第一五三五号)  同(児玉健次紹介)(第一五七四号)  同(瀬古由起子紹介)(第一五七五号)  医療患者負担増撤回に関する請願羽田孜紹介)(第一五三八号)  同(渋谷修紹介)(第一五六四号)  同(神田厚紹介)(第一六四四号)  医療費負担引き上げ反対介護保険緊急改善に関する請願岩田順介紹介)(第一五五六号)  同(北橋健治紹介)(第一五五七号)  同(松本龍紹介)(第一五五八号)  保険によるよい歯科医療実現に関する請願大畠章宏紹介)(第一五五九号)  同(松本龍紹介)(第一五六〇号)  同(中島武敏紹介)(第一五七二号)  同(志位和夫紹介)(第一六一四号)  同(吉井英勝紹介)(第一六一五号)  社会福祉事業法改正に関する請願松本惟子君紹介)(第一五六一号)  高齢者定率一割負担医療費負担限度額引き上げなど患者負担増中止に関する請願佐々木憲昭紹介)(第一五七〇号)  同(松本善明紹介)(第一五七一号)  同(志位和夫紹介)(第一六五六号)  同(吉井英勝紹介)(第一六五七号)  高齢者定率一割負担の導入など医療費負担引き上げ反対に関する請願藤木洋子紹介)(第一五七三号)  同(金子満広紹介)(第一六四五号)  同(木島日出夫紹介)(第一六四六号)  同(児玉健次紹介)(第一六四七号)  同(佐々木陸海紹介)(第一六四八号)  同(志位和夫紹介)(第一六四九号)  同(中林よし子紹介)(第一六五〇号)  同(平賀高成紹介)(第一六五一号)  同(藤木洋子紹介)(第一六五二号)  同(古堅実吉紹介)(第一六五三号)  同(松本善明紹介)(第一六五四号)  同(山原健二郎紹介)(第一六五五号)  国・自治体の責任による福祉拡充に関する請願古川元久紹介)(第一五九二号)  同(金子満広紹介)(第一六一七号)  同(木島日出夫紹介)(第一六一八号)  同(児玉健次紹介)(第一六一九号)  同(辻第一君紹介)(第一六二〇号)  同(中路雅弘紹介)(第一六二一号)  同(中島武敏紹介)(第一六二二号)  同(中林よし子紹介)(第一六二三号)  同(春名直章紹介)(第一六二四号)  同(平賀高成紹介)(第一六二五号)  同(松本善明紹介)(第一六二六号)  同(吉井英勝紹介)(第一六二七号)  患者負担の再引き上げ中止、安心してかかりやすい医療に関する請願木島日出夫紹介)(第一六〇三号)  同(児玉健次紹介)(第一六〇四号)  同(志位和夫紹介)(第一六〇五号)  同(瀬古由起子紹介)(第一六〇六号)  同(中林よし子紹介)(第一六〇七号)  同(東中光雄紹介)(第一六〇八号)  同(不破哲三紹介)(第一六〇九号)  同(古堅実吉紹介)(第一六一〇号)  同(松本善明紹介)(第一六一一号)  同(矢島恒夫紹介)(第一六一二号)  同(山原健二郎紹介)(第一六一三号)  患者負担増額中止医療介護等社会保障充実に関する請願佐々木憲昭紹介)(第一六一六号)  保育学童保育予算大幅増額保育施策拡充に関する請願石井郁子紹介)(第一六二八号)  同(瀬古由起子紹介)(第一六二九号)  同(中林よし子紹介)(第一六三〇号)  同(藤木洋子紹介)(第一六三一号)  同(藤田スミ紹介)(第一六三二号)  介護保険緊急改善と新たな医療費自己負担引き上げ中止に関する請願大森猛紹介)(第一六三三号)  同(木島日出夫紹介)(第一六三四号)  同(児玉健次紹介)(第一六三五号)  同(佐々木陸海紹介)(第一六三六号)  同(寺前巖紹介)(第一六三七号)  同(中林よし子紹介)(第一六三八号)  同(春名直章紹介)(第一六三九号)  同(平賀高成紹介)(第一六四〇号)  同(古堅実吉紹介)(第一六四一号)  同(松本善明紹介)(第一六四二号)  同(矢島恒夫紹介)(第一六四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  社会福祉増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案内閣提出第五〇号)  廃棄物処理及び清掃に関する法律及び産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八三号)  厚生関係基本施策に関する件  浄化槽法の一部を改正する法律案起草の件     午前九時五分開議      ————◇—————
  2. 江口一雄

    江口委員長 これより会議を開きます。  内閣提出社会福祉増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。  お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君及び厚生省社会援護局長炭谷茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 江口一雄

    江口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石毛えい子さん。
  5. 石毛えい子

    石毛委員 おはようございます。民主党の石毛えい子でございます。  早速でございますが、質問に入らせていただきます。  まず、大臣にお伺いさせていただきたいと思いますが、今回の社会福祉事業法等一連法改正趣旨は、措置から利用契約という仕組みへの転換、これによってサービス選択できるようにするということに大きな目的、意義があるというふうにたびたび説明を承っております。私は、この趣旨には賛成するものでございますけれども、本当にこの法改正によって法律実効性を生んでいくためには、まだまだ明らかにすべき課題があるというふうに思っております。  例えば今入所施設にお入りになっていらっしゃる方が、希望される場合には在宅で、地域サービス利用しながら暮らし、働いていくというような選択ができるのかどうか。選択できるということはどんな範囲で可能なのか。あるいは、自己決定を尊重して、基本的に選択できる方向サービス整備していくというふうに考えていっていいのかどうか。そのために、障害者プラン見直しども含めて、現在の障害者プランが終了した段階で改めてまた障害者プランを作成していくというような方向性をお考えになっていらっしゃるのかどうか。選択実効性をどう担保していくかというようなところで、まず大臣の御所見を承りたいと思います。
  6. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の法改正におきましては、委員も御指摘のように、障害者福祉の問題につきまして、障害者自立社会参加が進むことがまず先決でございます。こういった観点に立ちまして、委員が御指摘のようなサービス充実を図っていくことが何よりも大切である、このように認識をいたしておるような次第でございます。  今回の法改正におきましては、利用者本位社会福祉制度を確立するという視点に立ちまして、障害者福祉につきましては、行政が利用者選択とは別に福祉サービスを決めるものでございます現行の措置制度から、いわゆる支援費支給制度という新しい制度へ変更するものでございます。  こういう観点に立ちまして、障害者福祉の分野におきましては、利用者事業者が対等な関係のもとにおきまして、障害者はみずから、例えば障害者福祉サービス種類であるとか、今委員施設在宅といった問題を御提起なさいましたけれども、こういった種類の問題、さらに事業者選択、こういうものが利用者立場に立ってできるようにするということが何よりも大切なことだ、このように認識しております。こういうことによりまして、ひいては障害者のノーマライゼーションと自己決定実現が図られるもの、このように考えているような次第でございます。
  7. 石毛えい子

    石毛委員 ありがとうございます。利用者事業者の方の対等性とか、大変踏み込んで御答弁いただきました。  もう一点、これは必ずしも質問通告できちっとお尋ねしたわけではございませんけれども、現在、障害者プラン計画年次は二〇〇二年で終了となっておりますけれども、これについて大臣は改めてこれから先も新障害者プランというようなものを考えていく必要がおありになるというふうに御認識されていらっしゃいますでしょうかどうか、その点を承れればと存じますが、よろしくお願いいたします。
  8. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 障害者プランに掲げます平成十四年度の目標に向けまして、現在、施設在宅両面にわたりましてサービス基盤整備を着実に進めているところでございます。  身体障害者療護施設のように、平成十年度の予算に対しましてほぼ目標整備された部分もございますし、また必ずしも十分にこの目的を達していないものがございますけれども、いずれにいたしましても、私どもは、現在の障害者プランをまず達成するということが先決でございまして、その後に、当然のことながら、障害者皆さん方がさらなる社会参加、そして、先ほどから申し上げておりますように、今度の法案はある意味においては理念規定、訓示規定的な色彩もなきにしもあらずでございますので、そういったものをより担保していくために、さらに障害者プランというものを充実していく方向でどのようにしていくかということが当然の課題になる、このように考えているような次第でございます。
  9. 石毛えい子

    石毛委員 ありがとうございました。サービス基盤整備されていなければ、あるいは障害者方々がお求めになるニーズに応じた新しいサービス形態が創造されていかなければ、選択というのも画餅に帰すということになりかねないというような危惧もないわけではないと思いますので、ぜひとも大臣が御答弁いただきました御趣旨を生かしていただきますようによろしくお願いいたします。  そこで、次の質問でございますけれども大臣の御答弁にもございましたように、これから新しく支援費支給という仕組み措置費の支弁ということから変わってまいるわけでございますけれども、この支援費をどう決めるかというのも十分なサービス利用できるかどうかということで大変重要だと思っております。支援費決め方が、表現は必ずしも適切ではないかもしれませんけれども、硬直的な決め方をもしされるとすれば、利用者の方が御自分の必要に応じてサービス選択するのもなかなか難しい側面も出てくるかと思います。  まず、この点に関しまして、これまで厚生省からは今までの措置費制度を運用していた時代の公費助成水準は落とさないというふうに説明を受けていますけれども、この点はよろしいのですねということで確認をさせていただきたいと思います。公費水準を落とさないということについて、改めて御確認をいただきたいと思います。
  10. 今田寛睦

    今田政府参考人 支援費支給方式におきますサービス支援費算定方法お尋ねでありますが、これは法律の中にも触れておりますけれども支援種類ごとサービス提供するのに通常要する費用規定されているわけであります。したがいまして、具体的な額の算定に当たりましては、その要する費用を詳細に検討いたしまして定めていきたいと考えているわけでございます。  それから、今公費水準のことを御指摘いただきましたけれども、もちろん措置制度仕組みの状態からこれを落とすようなことがあってはならない、こういう考え方に立ってこれを定めていくつもりでございます。  なお、審議会の方で若干御指摘がございました。公費助成水準を落とすのではないか、現状の水準を守れ、こういう指摘を受けております。これは利用者負担についての御指摘というふうに私どもは理解しておりますが、いずれにしても、利用者負担について、これまでの公費負担水準を維持するということを基本に置いて、今後検討していくことにいたしておる次第でございます。
  11. 石毛えい子

    石毛委員 もう少しお教えいただければありがたいのですけれども、今支援種類ごとにというふうに御説明くださいましたけれども介護保険の場合には、利用者の要介護認定を経て、利用者の方についてどの程度サービスが必要なのかということで、支援費という表現ではございませんけれども給付費が確定されるという仕組みをとっております。  それで、主に社会福祉事業法身障福祉法知的障害者福祉法等々を御利用の方は障害をお持ちの方に大きくは集約されることになると思いますけれども、例えば、今ですと障害認定というようなことがございますし、それから、これからそれぞれの障害者の方が御自分でどういう自立社会参加の暮らし方を求めていくかということによっては、支援種類ごとというところとなじまない部分が、当然そごする部分が出てきてしまう。  そこのあたりが丁寧に仕組まれていきませんと、制度措置から契約に変わったとしても、実態的にはそれしか選択できないような状況にもし追い込まれるとすれば、これは措置制度と実態的には変わらないわけになりますので、例えば障害等級認定関係ですとか、選択するサービス種類によってどのように変わる柔軟性があるのかとか、個人立場をどの程度尊重するか、基本的には自己決定の尊重だと思いますけれども、そこのあたりをもう少し御説明いただきたいと思います。
  12. 今田寛睦

    今田政府参考人 支援費支給算定基準につきましては先ほど申し上げたとおりでありますが、委員指摘のように、個々のケースによってニーズなりが変わるのではないか、それに対応した支援費設定考えられるのではないかという御指摘かとも思います。  サービス種類ごとといいますと、例えばデイサービスを受けるのがいいのかあるいはホームヘルプサービスを受けたらいいのかという意味における種類として種類ごとと申し上げましたけれども、それとは別に、障害程度がその方によって差がある、重度の方もあれば軽度の方もいらっしゃる、そういう意味では障害程度に応じた支援費設定というものも必要ではないか、このように考えています。  したがいまして、いろいろなサービス申請に基づいて提供していくわけでありますし、なおかつ、その申請に当たっても障害程度というものを勘案した形で支援費設定できるような仕組みについて検討していくというふうに考えております。
  13. 石毛えい子

    石毛委員 今までの措置費といいますのは、ある種、施設種ごとにあるいはサービス種ごとにということで、個人というよりは類型化した設定の仕方であったと思いますので、個人ニーズと求めている内容基本にというか、この支援費考え方基本をどこに置くかというのは大変重要なことだと当然御認識されておられると私も思いますけれども、改めてその点を今確認させていただきましたということで承らせてください。  それでは次の質問でございますけれども支援費代理受領についてお伺いしたいと思います。  幾つか質問を細かくしておりますけれども、まず最初に、代理受領できるサービス事業者要件につきまして、大枠どのような中身をお考えになっていらっしゃるか、そこをお教えいただきたいと思います。
  14. 今田寛睦

    今田政府参考人 代理受領ができるサービス事業者要件というよりも、まずサービス提供してもいい施設かどうか、代理受領をするかどうかということの前に適切な施設かどうかという点で申し上げますと、当然、それに対しましては、サービス提供する内容について一定最低基準を設けておりますし、さらに、例えば正当な理由がなくサービス提供を拒んではならないというような規定でありますとか、あるいは利用者負担以外の負担を求めてはいかぬとか、このような上乗せをした事項を設けておきまして、それを守っていただけるということでもって指定事業者として都道府県指定をする、指定を受ければその支援費について代理受領することが可能である、そういう仕組みでありますので、支援費代理受領できる事業者というのは、そもそもその事業者が適切な事業者であることをきちっとチェックするということがまず肝要ではないか、このような考え方で進めていくつもりでございます。
  15. 石毛えい子

    石毛委員 その指定事業者でございますけれども、これまで社会福祉事業は事実上社会福祉法人地方公共団体サービス提供者として認識されていたと思いますけれども、新しい法体系に変わりましたときには、NPO法人ですとか民間営利法人あるいは農協法人生協法人公益法人等々さまざまございますけれども供給主体につきましてはどんなふうに考えたらよろしいのでしょうか。
  16. 今田寛睦

    今田政府参考人 施設につきましては、今までと同様に社会福祉法人としてきちっとした施設でなければこれからもだめでありますし、在宅につきましては、実施主体者民間などのバリエーションを持った形で今後も運営していただく、こういうことでございます。
  17. 石毛えい子

    石毛委員 そうしますと、最低基準等指定事業者としての内容を充足していれば、入所施設であるか在宅サービスであるかの区分けはあるけれども社会福祉事業法の第二種に該当する法人の場合には、多様な法人格を持つ主体の参入は今も法律的にはよろしいと思いますけれども、そこはほとんど広がっていないというのが現実だと思いますが、そういう理解でよろしいわけですね。
  18. 今田寛睦

    今田政府参考人 御指摘のように、運営主体という意味におきましては今と変わらないということでございます。
  19. 石毛えい子

    石毛委員 それでは、指定事業者は原則とすれば都道府県知事の認可になるのだと思いますけれども介護保険の場合には基準該当サービスというような形で、一定の条件がある場合には市町村が認可していくということも認められておりますけれども、こちらの場合にはそこはどうなりますでしょうか。
  20. 今田寛睦

    今田政府参考人 御質問の御趣旨としては、いわゆる基準に該当した施設は当然サービス提供者になれるわけですが、基準には満たないけれども市町村としてどうしても必要だという場合、私ども特例居宅生活支援費と申し上げておりますが、そのことについてのお尋ねということで理解させていただきたいと思います。  これにつきましては、当然市町村がその実情に応じて、地域にそういったサービスがない、あるいはそこでやってもらわなければそもそも確保できないという観点から、この制度を設けて、仮に基準に満たなくともどうしても地域方々サービスが必要な場合には、この特例居宅生活支援費という形で支給対象となる事業者を定めていただくというふうに考えております。
  21. 石毛えい子

    石毛委員 この点は介護保険実施をめぐって随分知られるようになってきていると思いますけれども、ぜひ障害者サービスの方でもよく市町村にお受けとめいただけるように周知方をよろしくお願いいたしたいと思います。  支援費代理受領について、私は、事業者の方が代理受領される場合には契約を結ばれる本人同意が必要というふうに考えますけれども、この点についてはどのように御認識されておられますでしょうか。
  22. 今田寛睦

    今田政府参考人 支援費につきましては、サービス利用したときに支給するということでございますので、代理受領方式をとらなければ、サービス利用したときに本人が一時的にであれ立てかえ払いをする必要が生ずるということで、そういった意味から、支援費について、この立てかえ払い負担をなくして、低所得の障害者方々にもサービスが円滑に利用できるように代理受領方式としたわけでありまして、その場合に本人同意は必要としない仕組みとして構成をさせていただいております。
  23. 石毛えい子

    石毛委員 その御説明には私はちょっと納得しかねるという思いがございます。  確かに、サービス利用する契約を結んだときに、支援費全額自分で払うという行為をとるとすれば、場合によってはそこで数万円ないしは十数万、二十数万というような金額が動くわけですから、それは負担ということからいえば非常に難しい部分があるというのはおっしゃるとおりだと思いますけれども、ただ新しい法律事業者の方と利用者の方が契約を結ばれてサービス利用するということですから、その理念を尊重するならば、考え方の問題として、一応支援費を全部自分が受け取った上で、自己負担分を除いてお支払いしますというふうに、これはペーパーで済むわけですから、そのことについて事業者利用者の方との間で契約を結ぶ際にきちっと説明されて、それに納得されたらサインをされて同意をしましたという、そうした行為がきちっと交わされることが私は契約内容として非常に重要だと思いますし、対等性を担保する手続的な意味でも重要だというふうに考えます。  利用料の負担に関しまして、応能負担か応益負担かということは議論があるわけですし、私はここでそれに踏み込むつもりはありませんけれども、新しい制度のスタートは応能負担でいくということですから、今までの負担と実質は変わらないわけですね、費用徴収という表現をとるか利用料という表現をとるかの違いはありますけれども。そうしますと、新しいサービス利用するというその行為のときに、利用者の方は、御自分がその負担のベースにある金額といいましょうか費用についてなかなか認識し得ない。ですから、実態上今までの制度と何が変わったのということになりかねない。そういう、ダイリューションというか希釈化といいますか、新しい制度意味をきちっと受けとめていただきにくいのではないか、今決められている案は。  ですから、私は、やはり本人同意をきちっといただくということが契約という行為の出発点ではないかというふうに考えるわけですけれども、もう一度お伺いできますでしょうか。
  24. 今田寛睦

    今田政府参考人 障害者がその施設利用する場合には、当然、本人選択という行為がある以上は、まず、少なくともその施設一定利用契約を結んでいただくことになるわけであります。その際に、一つは、その契約内容、つまり、どういうサービスが受けられるのか、あるいはどういった負担になるのかといったことも含めて、一定のやりとりがそこで行われて契約が結ばれるであろうと思います。  その際に、例えば自己負担のない方、低所得者の場合、もちろん応能でございますので、そういう方々は現在もいらっしゃるわけですが、そういう方々にしてみれば、結局費用を払っていないわけですので、心理的な面から見ても対等という認識になかなか立ちづらい、つまり、お願いをするというような形になってしまうということで、利用者が弱い立場に立ってしまうというようなこともあり得るかもしれない。いずれにしても、契約なんですから、対等でなければならないにもかかわらず、負担というところで、自己負担のところだけそこでお支払いするという形だけでは必ずしも十分な対等的な意識は生まれにくいということから、サービスに対しての利用者自立といいますか、一つの対等性というものを守ってさしあげられない部分があるかもしれないという御意見はございました。  それで、今回、利用者施設利用する場合に、単にその方が所得に応じた額として例えば幾らですよということだけじゃなくて、実際に施設利用するためには全体としてどれだけの費用というものがそこで支援費として払われているんですよ、つまり、決して自己負担だけじゃありません、全体の費用は幾らかというふうなことを利用者の方にお知らせする方法なども考えていかなければならないかな、このように思っております。  いずれにしても、支援費支給する際に、コスト意識あるいは対等性という観点から、契約をしているのは、支援費全体、二十万なら二十万で契約していただいているということが利用者にもサービス提供者にも十分わかるような仕組みを今後工夫しなきゃならないと私ども考えておりますし、そういったことが実現できるように工夫をしてみたい、このように考えております。
  25. 石毛えい子

    石毛委員 質問時間が限られておりますので、余りこれで議論を交わすつもりはございませんけれども、今回の一連の法改正に関しまして、やはり所得保障をどう考えるのかという大事なところをおいているのではないか、そういう疑問も多々出されておられますことは御承知のとおりでございますし、それから支援費を、どういう表現をとるかは別にしまして、御自分が必要なサービスに必要な費用を受給することは社会的な権利だという認識を前提にすれば、当然、その費用を御自分が全額受け取って、それをどこにどういうふうに使っていくかというのはまさに自己決定であり選択だということで、非常に根源的なところにかかわる問題だというふうに思います。これは、今御答弁いただきましたように課題として続くことであろうと思いますので、ぜひとも今後とも御検討をよろしくお願いいたします。  次の質問に移らせていただきますけれども、この支援費の決定ともかかわりを持つかと思いますが、少し各論に入りますけれども、通所授産施設の職員配置基準についてお伺いしたいと思います。  職員配置基準は、この施設制度化されて以降改善されていないというふうに思います。ただ、他方でこの間養護学校の義務化というようなこともございまして、地域で暮らしておられる障害者の方の、障害の重さというふうな表現はいかがかとも思いますけれども、大変障害の重い方ですとか、あるいは知的障害と肢体障害の両方をお持ちの方ですとか、制度がスタートした当時の通所授産施設とは随分違ってきている、御利用者の方が違ってきていると思いますし、それから、通所授産施設がさまざまな内容があるというのも、企業的な授産に近いような授産から福祉的就労というようなところまでさまざまにあるのも私が申し上げるまでもないことだと思いますけれども、特に重複障害をお持ちの方が通所されている授産施設につきまして、今の制度では重度加算もございませんし、送迎サービス制度化されておりませんし、定員規模が大きくなると支弁額が減額になるというような、これは生活指導員に関してですけれども減額になるというようなこともあり、実情にそぐわない部分が随分出てきていると思います。  まず、こういう現状についてどのような御認識をお持ちか。それからもう一点、これから支援費に変わっていくわけですから、改善方向についてもどのような方向性をお考えになっていらっしゃるかというところをお伺いしたいと思います。
  26. 今田寛睦

    今田政府参考人 通所授産施設の職員配置基準につきましては、身体障害者あるいは知的障害者、それぞれの障害の種別に応じまして、定員規模に応じた配置を決めているのが現状でございます。  ただ、御指摘のように、最近の重度化あるいは重複化の問題に対応する観点から、身体障害者の通所授産施設においては、一定割合以上そういう重度あるいは重複された方々が通所していらっしゃる場合には重度加算を行うという仕組みでございます。これは、一定以上ということですので、厳密には個人に着目しているわけではないという御指摘にもつながろうかと思います。  今度の制度の移行に際しましては、障害程度に応じて、つまり、個々の程度に応じた支援費の額を設定するということで、その個別性にできるだけ対応できるような配慮はしていかなければならないだろう、このように思っております。  特に、御指摘の知的障害者につきましても、同じように重複あるいは重度化の波をかぶっているわけでありますけれども、その際に、やはり重度な方々に対する対応が今後どうなっていくかということにつきましても、先ほど申し上げましたように、障害程度に応じて個別的に支援費を決めていくという形で、重度加算に相当するといいますか、個別的に重度な状態に配慮した支援費設定というものを考えていかなければならない、このように思っております。  ただ、御指摘の送迎バスの件でありますけれども、通所授産では社会福祉施設整備費におきまして送迎バスの整備については現在でも対象としておるところでございますので、これも引き続き同様の対応をとっていく必要があろう、このように考えております。
  27. 石毛えい子

    石毛委員 最後の御答弁の部分でございますけれども、知的障害の方の通所授産施設につきまして、送迎は施設整備制度化しておりますのでしょうか、確認させてください。
  28. 今田寛睦

    今田政府参考人 送迎バスの整備の対象に係ります社会福祉施設整備費につきましては、知的障害者が通所いたします通所授産施設でもこれを対象といたしております。
  29. 石毛えい子

    石毛委員 それはバスについて対象としているということで、運転する方についてはどうなんでしょうか。
  30. 今田寛睦

    今田政府参考人 バスの運行に際しましては、私ども施設職員によってこれを運営していただくということでお願いをさせていただいている次第でございます。
  31. 石毛えい子

    石毛委員 それでは、その点につきましては、御答弁いただきましたことを踏まえて、私の方でもまた改めて勉強をさせていただきたいと思います。  もう一回、恐縮ですが、この点につきまして御答弁をいただければと思いますが、今職員配置基準を早急に見直していくということはいかがでしょうか。支援費支給時期の話でございますけれども、そのあたりをもう少しお聞かせいただければと思います。
  32. 今田寛睦

    今田政府参考人 支援費支給制度平成十五年から実施をされるということでございます。したがいまして、それまでにさまざまなことを定めていく必要があるわけであります。例えば、重度化の場合の支援費というのはどうするのか。その場合には、重度化というのはそれに係る物、人が異なるということにもつながるという意味で、今の施設基準そのものを原則的に今速やかに見直すつもりはございませんけれども、特に重度な方にどのようにその辺を配慮するかという意味において、今御指摘の問題をできるだけ配慮した形の支援費仕組みというものをつくっていかなければならない、このように認識をいたしております。
  33. 石毛えい子

    石毛委員 ちょっと私がうまく理解させていただけなかったかとも思いますけれども支援費をどのように組み立てていくかということは、当然、この法案が今国会で成立した以降に着手されていって、十五年、二〇〇三年のスタートに間に合わせるんだと思いますけれども、その前段で、例えば私がきょう質問させていただいております知的障害の方の通所授産で、重複、重度化が進んでいる施設に関しましては早急に重度加算の部分だけでも検討していく、考慮していくという、その前段のステップといいましょうか、それについてはいかがでございますか。
  34. 今田寛睦

    今田政府参考人 新しく制度ができます十五年までにはそのあり方については考えを決めていかなければならないと思いますが、こういった知的障害者の通所授産に対する対応というものについては、これから予算案の対応の中で充実考えていかなければならないと思いますが、現在のところ、仕組みとしてこれを今速やかにこうする、こう変えるということを申し上げる段階にはないというふうに私どもは思っております。
  35. 石毛えい子

    石毛委員 大変現場は苦労されているという現実がございますし、それから、場合によっては施設の側がいらしていただく方をやむを得ずお断りせざるを得ないという、逆選択という問題にも通じるわけでございますので、予算で変えられるところは変えていただきたいと思いますし、最低基準は省令の問題ですから、省令でやるのがいいかどうかというのは議論のあるところですけれども、現状の制度ではここは動かせないことではないわけですから、ぜひとも実情をよく御検討いただきたいということをお願いいたします。  それでは、次の質問ですけれども、これは随分この委員会質問されたことでございますけれども社会福祉法人の設立要件の緩和をめぐりまして、この法規定で可能になるのはホームヘルプサービスのほかに小規模授産施設であるというふうに想定されるわけですけれども、小規模授産施設は、現在全国で一生懸命頑張っておられる小規模作業所の皆様にとりまして、要件緩和に伴う移行の施設、事業になるかと思いますけれども、小規模授産施設にとどまるのではないかという危惧が関係者の中におありになります。  社会福祉法人としまして、例えば相談支援事業ですとか、グループホームですとか、そうしたことが一体として運営できるということが地域で暮らし続けられるためのシステムをつくっていくことになるんだと思いますけれども、この点につきましてどのような展望をお持ちでいらっしゃるかということをお伺いしたいと思います。
  36. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 ただいま先生がおっしゃられましたように、今回の社会福祉法人の設立要件の緩和につきましては、小規模作業所、在宅のホームヘルプサービスというようなものを想定いたしております。  今回、新たに小規模作業所が社会福祉法人になった場合に例えばどういうような事業がほかにできるのかという御質問でございますけれども、今回新たに社会福祉事業として追加いたしました、先生も例に出されました例えば障害者相談支援事業などのように、小規模通所授産施設と一体的に行うことが障害者福祉増進に資するような事業もあわせて行えるようにするかについては、その実態を踏まえまして、前向きに検討させていただきたいというふうに考えております。
  37. 石毛えい子

    石毛委員 私は、ぜひともグループホームまで広げる必要があるんだというふうに考えます。グループホームを入れますと、十人から十九人という小規模授産施設での職員配置を考えますと、グループホームは夜間お泊まりになる生活の場でございますから、そこのスタッフとの兼ね合いでいきますと、なかなか難しい面があるのかと思います。そういう意味で、グループホームまで今援護局長は御答弁いただけなかったのかしらと私は思ったわけです。相談支援事業はおっしゃってくださいましたけれども、グループホームについては御答弁の中に触れられていらっしゃらなかったわけですけれども、そこを乗り越えてグループホームまでサービスの種別を広げていきませんと……。今、本当に全国で五千カ所を超える小規模作業所の方々が頑張っておられる。全部の皆さんが社会福祉法人格をお持ちになるかどうかはあるとしましても、全国で幅広く地域福祉の最先端として地域での活動を続けてこられて、そこでは地域で在住されている方がふえているという状況で、その後きちっとフォローをしていくためにはグループホームという施策はぜひ必要だと思いますし、この広範な展開を図っていくためには、ぜひとも相談支援事業のほかにもグループホームができるように御検討いただきたいと私は考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
  38. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 私ども、先生のおっしゃられましたグループホームについて、実を申しまして、大変悩んでいるわけでございます。  と申しますのは、在宅障害者にとってグループホームというのは場合によっては長い間の生活の本拠になるような性格を有するのではないだろうかというようなことになりますと、この基本財産の要件が緩和されるということになりますと、社会福祉法人の経営の安定性とか、利用者の保護についてどうだろうかというような問題もあわせて考えていかなくちゃいけないというようなことで、現在慎重に検討しているところでございます。
  39. 石毛えい子

    石毛委員 現場で一生懸命携わっていらっしゃる皆さん、それから当事者の皆さんのお気持ち、御意見などもぜひともお聞きいただきまして、お聞きいただいているとは思いますけれども、さらに尊重していただきまして、地域福祉としてどういう観点サービスをネットワークしていくか、そのところを大きく受けとめていただければというふうに考えますので、よろしくお願いいたします。  質問を一つ割愛させていただきまして、社会福祉法人の情報開示あるいは情報公開ということをめぐって何点かお尋ねしたいと思います。  まず、今回、社会福祉事業法改正案の中には、社会福祉法人の情報開示に関して財務諸表等の開示は規定されておりますけれども理事や評議員の氏名、あるいはその方のお立場を示すような簡単な経歴なども公開されるべきだというふうに私は考えていますけれども、ここのあたりはどうなるのでしょうか。
  40. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 今回の法改正によりまして、社会福祉法人は、利用者のために、利用者選択に供せられるように情報をできるだけ開示するようにという努力を新たに規定化したわけでございます。  その中には、今先生のおっしゃいましたような法人理事の状況、特に名前などの情報については利用者選択する際に有益な、必要な情報だろうというふうに考えているわけでございまして、このような情報も自主的に、積極的に開示することが必要であろうというふうに考えております。
  41. 石毛えい子

    石毛委員 次に、法の中にサービスに対する評価の条文もございます、自己評価のほかに国による評価についても規定をしておりますけれども、これは今構想中というふうに承っておりますけれども、どんな方向をとろうとされているのか、少しお教えいただきたいと思います。
  42. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 社会福祉サービスの評価につきましては、事業者自身に評価していただくほかに、やはり客観的に第三者にサービスの質について評価していただくことが重要だろうというふうに考えております。  しかし、社会福祉サービスの質の評価ということにつきましては、我が国を含め、大変未開拓なところがございます。そこで、私ども、一昨年度来、厚生省に検討会を設置いたしまして、どのように社会福祉サービスの質を評価したらいいのだろうかというような基本方針とか評価基準、評価の手法、評価機関の要件について検討を重ねてきております。既に昨年の三月にはその基本的な考え方を公表いたしておりますけれども、さらに、現在その内容について検討を進めております。  今年度は、全国数十カ所の社会福祉施設を選びまして第三者評価のモデル事業を実施して、そのサービスの質の評価の本格的な実施に備えたいというふうに考えております。
  43. 石毛えい子

    石毛委員 次に、支援費支給にかわることになるわけですけれども、今まで措置費体系のもとで行われておりました法人監査、施設監査はどのように変化するのでしょうか。それから、その結果は開示をされますでしょうか。
  44. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 これまでの社会福祉施設の監査につきましては、先生多分御案内のことと思いますが、大変細々としたことを監査しております。いわば措置費の適正使用というような観点で大変細かいことまでチェックをしておるわけでございますけれども、これからの監査につきましては、利用者の利益の保護や適正なサービスの確保ということに重点を置きまして、監査の実効が上がるようにいたしたいと思っております。  具体的に申しますと、不正請求など、報酬の不適正な受領の点検とか、施設最低基準がしっかりと守られているかどうか、また苦情解決が適切に行われているかどうかというようなことに重点を置きまして効率的な監査を進めたいと思っております。  監査の内容については公表ということになると思います。
  45. 石毛えい子

    石毛委員 この場でちょっとお教えいただければよろしいと思いますが、監査の内容については公表というふうにお答えいただいたわけですね。最後のところです。ちょっと私がよく聞き取れなかったものですから。
  46. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 監査の内容につきましては、これは福祉サービスの質の向上に資するものでございますから、開示することが望ましいという方針で臨んでいきたいというふうに考えております。
  47. 石毛えい子

    石毛委員 開示が望ましいというのと開示というのは異なるわけですけれども、私は、要請があれば当然開示をすべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  48. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 先生がおっしゃられましたように、例えば利用者から要請があれば当然開示いたします。
  49. 石毛えい子

    石毛委員 ありがとうございました。  大臣お尋ねさせていただきたいと思います。  これからサービス選択する時代に入っていくわけですから、利用者の方あるいは利用者と密接につながりを持っておられる方、成年後見制度もスタートすればそういう方も含まれることになるわけですし、それから、民間のさまざまな市民活動などでも権利擁護の活動が進んでいくと思いますけれどもサービスの質あるいは外形的な理事や評議員等々の構成ですとか、さまざまな中身につきまして情報が開示されているということは、この仕組みがきちっと機能するかどうかということで最も根幹をなす重要な施策の部分になると思います。大臣にぜひともこの点に関しまして力強い御発言、御認識をお伺いさせていただければと存じますけれども、いかがでございましょうか。
  50. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の改正におきましては、御案内のように、利用者本位社会福祉制度を確立しなければならない、こういう観点から、利用者サービスをみずから選択して利用できる制度を設ける。そのためにも、権利擁護の制度であるとか苦情解決制度など、利用者の利益を保護する仕組みということに大変力点を置いておるわけでございます。  そういったことに派生いたしまして、当然のことながら、利用者による選択利用者の保護が十分に担保されているかどうか、こういったことをより一層明確にしていくために、委員指摘のように、社会福祉法人による経営情報の開示であるとか、サービスに関する的確な情報の積極的な提供、こういうことが行われることは大変重要である、このように認識をいたしておるような次第でございます。  具体的には、財務諸表の開示の義務化を挙げておるわけでございます。そのほか、サービス内容費用の情報につきましても、できるだけ開示するように努力義務にいたしておるところでございます。
  51. 石毛えい子

    石毛委員 大臣に申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、できるだけ開示するようにという御答弁で、先ほどの社会・援護局長がしてくださいました御答弁よりニュアンスが少し後退しているのではないかという思いを私はいたしました。  できるだけというよりは原則としてやはり公表を——原則とできるだけがどう違うかというのも水かけ論になりかねない部分もございますけれども、私は、原則として公表していくことが大事ですし、きょう、一連の開示、評価をめぐりまして細かい質問をさせていただきましたけれども、第三者評価をどうしていくかというのは非常に重要な点だと思いますので、もう一度、もう少し積極的な御答弁を大臣に承りたいとお願いをいたします。
  52. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私が申し上げましたことは、まず、財務諸表につきましては開示が義務規定として規定されておる、こういうことでございます。それから、今申し上げましたサービス内容とか費用につきましては、これは施設そのものがみずから積極的にやっていただくということにおきまして努力義務にしておることから、できるだけということを申し上げたわけでございまして、これは、別段、決して先ほどの局長の答弁から後退したわけではございません。  当然のことながら、これまでさまざまな施設の経緯もございますので、そういう点も十分に踏まえながら、積極的に情報を開示していただくという姿勢には変わりはございません。
  53. 石毛えい子

    石毛委員 ぜひともよろしくお願いいたします。  最後の質問でございますけれども大臣にお答えいただきたいと存じます。  地域福祉計画の策定、推進に関してでございますけれども、これも委員会質問でしばしば指摘されているところでございます。義務規定ではないということについては繰り返すつもりはございませんので、これが実効性を持って進められるために、厚生省としてどのような手だてをとっていかれるかという点につきましてお伺いできたらと思います。  それから、介護保険では被保険者の意向の反映というのが条文規定になっておりまして、この地域福祉計画では地域住民の意向の反映ということになっておりますけれども、とりわけ、私は障害をお持ちの当事者の方々の参加ということが大事だと思います。地域住民にもいろいろなお立場、いろいろな方がいらっしゃるわけですから、サービスに関連される事業所の方ももちろんおられますし、サービスに関連される方々がどのような意向をお持ちかという、この点の反映が非常に大事だと思いますので、大臣からぜひそこの点をお伺いさせていただきたいと思います。
  54. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 地域福祉計画についてのお尋ねでございますが、委員からも御指摘がございましたように、それぞれの地方自治体の意向というものを十分に尊重しなければならない、こういう観点から強制的な措置はとっておらないわけでございますが、当然のことながら、市町村がそれぞれの地域の特性というものを十分に踏まえながら策定をしていただけるものと期待をいたしておるような次第でございますし、今後の地域福祉の推進の大きな柱になるものと確信をいたしておるような次第でございます。  厚生省といたしましては、こういうものを設けたわけでございますけれども介護保険事業を当然のことながら参考としながら、モデル計画の提示であるとか計画策定状況の公表を通じて市町村に対しましては積極的に財政支援をしていきたい、このように考えているような次第でございます。  それから、次の点でございますけれども、当然のことながら、地域福祉計画の策定に当たりましては、住民の方々の意見というものを十分に尊重し、踏まえることが必要である、こう考えているような次第でございます。したがいまして、この福祉計画をつくるに当たりましては、あらかじめ地域住民であるとか社会福祉活動を地域において行っている方々の意見を十分に反映させることが必要である、こういう観点から、例えば公聴会などを開催いたしまして、その内容を広く住民の皆さん方に公表していきたい、このように考えているような次第でございます。
  55. 石毛えい子

    石毛委員 御答弁は社会福祉活動を行っている方々というお言葉でしたけれども、今の時代でも、例えば小規模な授産施設を建てようというようなときにも、地域には反対の声が起こってくるということもなくなっているわけではありません。当然、大臣もこの点については十分御認識になっていらっしゃると思います。  私は、やはり障害をお持ちの当事者の方々がどういうお気持ちでどういう暮らし方を求めていらっしゃるかという、その御意見を十分に聞かれることこそが第一義的に大事だというふうに思います。もう質問時間が終了いたしましたので、関係者の方々と言う、その方々の中には障害当事者の方が含まれているというふうに私は認識させていただきますということを申し上げたいと思います。  そしてまた、この法律は、中間まとめの段階とは随分トーンが率直に申し上げまして違ってきている、言ってしまえば後退しているという指摘もたくさん伺うところでございます。早い時期に当事者の方々の権利をきちっと据えた法律が検討され、そういう方向が展望されることを私は望んでおりますということを申し上げさせていただきまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  56. 江口一雄

  57. 金田誠一

    金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。大臣、おはようございます。  まず、基本的な考え方を申し述べまして、感想なり反論があれば承りたいと思います。  この法案には賛成をいたします。そういう立場でございます。しかし、このたびの改正は、極めて不十分である、抜本改革にはなっていない、こう思っております。あえて点数をつけるとすれば、三十点程度かな。その三十点の部分は何の点数かというと、措置から契約へということも含めた法人制度の規制緩和といいますか、法人が今までよりは自主的に活動ができるようになっているだろうと思いますが、このところに三十点差し上げたいと思うわけでございます。  その他さまざまな問題が多いということで、まず、その問題点を指摘させていただきます。  一つは、利用者の権利性といいますか、権利がまずは高らかに全体を貫くものになるべきである、それが非常に弱い、利用者の権利が明確になっていない、こう思います。  二つ目は、給付の基準が明確に示されていない。これを示すことによって権利が具体的に担保されると思うわけでございますが、その辺が非常に不明確であるというのが二点目。  三点目として、負担基準法律的にはきちんと示されておらない。私は、サービスを受ける場合の負担は最低レベルでいいと思っております。モラルハザードにならない程度、多少の負担があればいい。本当に必要なものを利用しようという誘導策になる程度負担でいい、私はそう思うわけでございますが、どの程度までどういう形で負担をしていただくべきなのかということが法律的にはきちんと理念として浮かび上がってきておらないというふうに思います。  四点目は、サービスの量を確保する仕組みが、これもまた不十分だ。障害者プランはございますけれども、これが法的に担保されて義務を負っているというふうなものではないだろう、こう思っております。  さらにまた、サービスの質を確保する仕組みも不十分でございます。  この五点の問題があるだろうと思っているんですが、なぜこうなんだろうといいますと、一つはサービス提供の責任、行政にそれぞれの責任が記載はされているんですが努力規定ということになっておりますし、サービス提供の責任がだれにあるかということが法律上不明確であるということ。それから、参入規制が十分に緩和されておらないところに、質の担保あるいは量の担保ができない問題があるのではないか。それから、ただいま石毛先生が指摘をされた情報公開についても、NPO法人などと比べてもまだ不足しているだろうと思いますし、例えば医療の世界だとカルテ開示など具体的な診察、診療、診断に関する情報も開示の方向になっているんですが、そうした視点が出てきておらないというふうに思います。情報開示、一定規定はされてはいますが、まだ不十分という気がいたします。  こんな状況の中で利用者保護制度をつくられて、つくらざるを得ないからつくってあるわけでございますが、これはなかなかうまく機能しないのではないかというふうに思っております。  これがこの法案に対する全体的な私なりの感想なり評価なんですが、これについて同調していただけるものなのか、あるいは反論されるものなのか、その辺のところをお聞きしたいなと思っております。
  58. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の改正は、先ほどから申し上げておるわけでございますけれども利用者本位社会福祉制度を確立するという観点に立ちまして、社会福祉事業あるいは社会福祉法人など社会福祉の基盤制度につきまして、遅きに失したという声もございますけれども、五十年ぶりに改正を行うものでございます。  具体的には、今委員の方から五つの問題点について物足りないというような御指摘がございましたけれども、まず、私どもは、利用者立場を第一に考えました目的規定を設け、基本理念の規定の改正も行っておるわけでございます。  それと同時に、福祉サービス利用援助であるとか、あるいは苦情解決であるとか利用者保護のための規定整備、これまで触れられていなかった点について法改正の中で思い切った整備をさせていただいているような次第でございます。  それと同時に、先ほどから石毛委員の方からもお話がございましたけれども社会福祉事業の規模要件の緩和を通じまして小規模作業所の社会福祉法人化の促進であるとか、障害者のノーマライゼーション、当然のことながら自己決定実現に向けた措置制度から新しい制度への変更でございまして、よりよい社会福祉実現に向けて画期的な改正内容になっておる、このように考えているような次第でございます。  この改正案が成立をいたしますれば、これはすべて法律で決めるということではありません、当然のことながら、適正な運用でさらによりよい障害者方々に対する環境整備というものをつくり上げていって、新しい制度の中で国民の皆さん方にも幅広く理解をしていただいて、定着をしていって、真の意味でのノーマライゼーションの理念というものを実現していかなければならない、こういうことであります。  三十点ということで、大変落第点のような感じでございますけれども、私どもは、百点満点ということはちょっと手前みそでございますので、しかし、政府として提案をさせていただけるならば、国民の皆さん方から九十点以上の点数はつけていただけるものと確信をいたしているような次第でございます。
  59. 金田誠一

    金田(誠)委員 感想を承りました。三十点というのは、昔、中学校、高校のころ赤点というのがありまして、二十九点で赤点だったと思いますから、三十点だと辛うじて進級できるということで、私どももその点で賛成ということでございます。  総論は総論として承りましたけれども、次に、各論に入って、個々の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず、サービス提供についてでございますが、サービス提供基準がどうなるかということでございます。  介護保険の場合は、要介護度というんでしょうか、これによってサービスがどの程度提供されるかということが決まってくるわけでございます。しかし、障害者児の場合、障害等級がいろいろあるわけでございますが、必ずしもその等級によってサービスの必要量が決まるわけではないわけでございます。今回、措置から契約に移行した場合、どのような基準によってサービス提供がなされるのか、そこを伺いたいと思います。
  60. 今田寛睦

    今田政府参考人 支援費支給方式のもとでのサービスにつきましては、障害者から申請があった場合に、申請のあったサービスにつきまして、その障害種類程度、介護を行う者の状況、それから社会参加のための支援の必要性、こういったことを総合的に勘案いたしまして、支援費支給の要否、支援の期間などを決定することといたしております。  介護保険におきましては、要介護度ごとの支給限度額の範囲内でどういうサービスを組み合わせるかという仕組みになっているわけでありますが、障害者の場合には、そういう総枠を定めるということじゃなくて、障害者ニーズが介護的部分から社会参加部分まで非常に幅広くございますので、個々の申請されたサービスに対して個々にその支給を決定する、こういう仕組みを取り入れている次第でございます。
  61. 金田誠一

    金田(誠)委員 受けとめ方によっては、今の御答弁ですと、必要によって給付されるというふうにも受けとめられると思うんですが、逆に、総合的に勘案するということになりますと、行政の裁量によっていかようにもできるというふうにも受けとめられるわけでございます。その辺の基準が法的にどこにも書いてないということを、私は冒頭に給付の基準が示されていないということで申し上げたつもりでございます。  その辺、それこそ、今の話を総合的に勘案しますと、どっちの方になるんですか。必要に応じて必要な量が給付される、あるいは、それは裁量であるから行政側に裁量権がある、どっちでしょうか。
  62. 今田寛睦

    今田政府参考人 支援費の額の設定におきましては、当然、そこに含まれる度合いといいますか程度を勘案して支援費の額を設定していくわけですが、その支援費をどう適用していくか、つまり、Aさんにはどんなサービスが適切かということにつきまして、一律に基準を定めることはなかなか難しいのではないか。介護保険のような全国一律の枠の中で運用していくということではなくて、従来から市町村の独自性の中で運営している部分も多々あるわけでありまして、それから、個別のニーズが非常にバリエーションが多いということもありまして、一律のものを定めがたいという状況がございます。  ただ、こういったサービスが、市町村においてそれぞれ工夫をしていただいて、より充実した福祉の町が推進されることによって充実していただけるという意味からすれば、市町村における福祉計画等の充実というものがまさに重要になってくるのではないか、このように思っております。
  63. 金田誠一

    金田(誠)委員 すっきりした答弁ではなかったなというふうに受けとめざるを得ないわけでございます。  要請をしておきたいと思うわけでございますが、生存レベルで最低必要なサービスというのがあると思います、それから、生活の質といいますかQOLのレベルでの必要なサービスがある、あるいは、社会参加、さまざまな活動に参加するというレベルでのサービスがあると思います、それぞれどのレベルをどこまで保障するのか、それをやはりこの法律は決めるべきだったろうというふうに思うわけでございます。具体的な運用の中で、ノーマライゼーションの理念に基づいて、それが法定されていないわけでございますけれども、その明確な判断基準、客観基準みたいなものの策定に努力をしていただきたい。関係審議会等もあろうと思いますので、これについては御要請を申し上げておきたいと思うわけでございます。  次に、サービスの量でございます。  措置から契約へということに伴ってサービス選択できる、したがって、新たに必要となるサービスもこれから変化が起こってくる、何を選択していただけるかということになろうかと思います。障害者プランが現在あるわけでございますけれども、これは選択を前提としたものではないというふうに思います。したがって、新たに必要となるサービスの量はこの障害者プランでは十分ではないと私は思うわけで、プランの見直しをしなければならないと思います。その辺の考え方と、現在あるプラン、あるものはあるものとして、この達成の見通しをあわせてお聞きしたいと思います。
  64. 今田寛睦

    今田政府参考人 御指摘のように、平成十四年度を目標といたしまして、現在この障害者プランの達成に努めているところでございますけれども障害者プランの進捗状況そのものについて見ますと、デイサービスでありますとかホームヘルパーさんの確保などの在宅サービスにつきましてはおおむね順調に進捗をしているというふうに思っておりますし、また、施設サービスについても同様の整備が進んでいると考えております。  ただ、相談支援事業など一部につきましては、やはり必ずしも十分ではないというものも確かにございます。この相談支援事業につきましては、広域的にこれをつくる仕組みにしている関係上、市町村間の調整が大変手間取っているというようなことを聞いておりますので、そういったところについては引き続きそういった調整の推進について都道府県にお願いをいたしている次第でございます。  いずれにいたしましても、まずはこの障害者プランそのものを達成することが私どもに課せられた重大な課題だという認識において、このプランの達成に引き続き努力をしていきたい、このように思っております。
  65. 金田誠一

    金田(誠)委員 達成の見通しも聞いたのですが、これは一〇〇%大丈夫という御答弁でもなかったようですが、これは最低のことでございましょうから、ぜひ一〇〇%達成をお願いしたいと思います。利用者選択ということになると、かなり変化が起こってくるだろう、その法改正に対応する見直しということもぜひ念頭に入れて対応していただきたい、御要請を申し上げたいと思います。  次に、参入規制の緩和ということでお尋ねをいたしますが、具体的に、今回の改正でこの部分が緩和されたということがありますでしょうか。  実際問題、施設費が国の予算がついて回るということで病院などは施設整備費等も診療報酬の中に入っている。したがって、かなり参入は容易であって、参入をどうやって規制するかが課題だというような感じでございますが、福祉サービスの場合は施設費が今度の支援費の中にも入ってこない、一部自己負担の償還分を見られるということがあるわけですが、四分の三は公的資金で手当てされる状況でございますから、よほどのことでなければ、量的に市場原理というか競争原理の中で参入してくるという要素は薄いわけです。行政がその根っこのところを押さえているわけですね。予算によって決まってくるということがあるわけでございます。  そこで、本来そこも含めた参入規制緩和というものが必要だと私は思うわけでございますけれども、今回は当初より多少後退したのかなという気もいたしますが、具体的にどのように参入規制が緩和されたのか、そこをお聞かせいただきたい。  それから、介護保険であれば、在宅サービスなどは都道府県指定する業者と市町村指定する事業者とそれぞれあって、NPOなどは市町村指定で参入に道が開けてきていると思うのですけれども、その辺のところは今回の法改正では必ずしも明確ではない。都道府県指定が原則になっていて、あとは特例みたいな格好で、それも特に認めた場合みたいなことで非常にあいまいな規定になっているのですが、なぜこうなっているのか。もっと市町村が明確に指定をして、その事業にNPOあるいは今度規制緩和になる小規模な社会福祉法人あるいは民間企業なども参入できるような道を開くべきだと思うのですが、これをお聞かせいただきたいと思います。
  66. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 社会福祉サービスへの多様な団体、事業者の参加についてでございます。  まず、障害者在宅福祉サービスにつきましては、利用者の幅広いニーズにこたえて多様なサービス提供できるようにする、また、十分なサービス量を確保できるようにするため、これは従来と同様と申しますか、既に現在の社会福祉事業法自身がこのような第二種について参入制限を設けておりませんので従来同様ということになろうかと思いますけれどもサービスの質の確保に留意しながら、公益法人、NPO、民間企業など多様な主体の参入を認めることにいたしております。  また、今回、支援費支給方式をとりましたので、指定事業者指定ということになりますと、このような団体も参加しやすくなるのではないだろうかというふうに思っております。指定事業者指定につきましては、広域的な見地から都道府県知事が行うというふうになっているわけでございます。  先生がおっしゃいました後段の問題でございますけれども法人格を有しないなどの理由により都道府県知事指定を受けることはできませんが、指定基準に該当すると認められる程度の人員や設備、運営体制を備えた事業者が居宅サービス提供した場合には、市町村特例居宅生活支援費支給することができるようになっているわけでございますので、市町村がこのような事業者を事実上選んでいける道も開いているわけでございます。
  67. 金田誠一

    金田(誠)委員 問題は、この支援費支給対象になる指定事業者になれるかどうかです。私は、そういう意味で規制緩和と申し上げているわけでございますけれども、その際、知事の指定、これはこれでいいわけですが、特例という書き方でなければならなかったのか、どうもこの辺の書きぶりに疑問があるわけです。  都道府県指定から漏れても、市町村としてきちんと指定に道を開くということでいいのではないかという立場で、これから実際の運用がされてくる中では、市町村としてもかなり自由にその地域地域に根差したサービス、一番地域で評価できる立場にあるわけでございますから、もっと柔軟に対処できるように、何か奥歯に物の挟まったような書きぶりになっているものですから、その辺のところを運用の中でもすっきりさせていただきたいなということを要請を申し上げておきたいと思います。  次に、利用支援費について。今までは措置制度と言っていたのですが、今度は利用支援費制度と言うのでしょうか、その辺の言い方がちょっとわからないのですけれども利用支援費方式についてお聞きをしたいと思います。  まず利用料が決定される、それに基づいて支援費が決まってくるわけですが、その利用料決定の基準は——今の措置費措置費なりの決め方がある、介護保険の介護報酬の決まり方も、ヘルパーでも、身体介護、家事援助、その中間型とありまして、時間単価の積算で決まってきていたと思うわけでございますが、今度の方式はこの辺の利用料決定の基準がどんなふうにして決まることになるのでしょうか。介護報酬の決まり方と比較して、ここは同じなんです、ここはこう違うんですというような説明の仕方で、簡潔にわかりやすく説明していただけませんでしょうか。
  68. 今田寛睦

    今田政府参考人 御指摘質問にうまく答えられるかどうか自信はございませんが、まず、介護保険におきます介護報酬につきましては、法律的にはサービスに要する平均的な費用の額と規定されております。一方、支援費支給方式におきます支援費水準につきましては、法律サービス提供するのに通常要する費用の額という表現になっております。したがいまして、基本的な考え方そのものには差はないというふうに私どもは認識をしております。  具体的には、時間でありますとか、あるいは総額の中で占めるあるサービスの額を定めないと、その総枠が割り振りできないというような介護保険仕組みを私どもはとっておりませんので、そういった意味では、多少決め方には差が出てくるのは当然ではないかというふうに認識をしております。  いずれにいたしましても、その具体的な額につきましては、費用内容を詳細に検討して、これから定めていくことになろうかと思います。介護保険のあり方も当然横にらみしながら、こういうものは検討すべきではないかというふうにも思っております。
  69. 金田誠一

    金田(誠)委員 次に、今回、利用料の中から施設整備費の償還に充てることができることになるわけでございますけれども、そうなりますと、今までの措置費に比較して施設整備費の償還分というものが上乗せになると思うのが普通だと思うのですけれども、この辺のところはどうなるのか。具体的にどの程度どう上乗せになるかなど、わかればと思いますが。
  70. 今田寛睦

    今田政府参考人 支援費支給方式のもとでは福祉サービス水準が維持されるという大前提があるわけですが、その上で、支援費を含めてその使途の弾力化、自由化を図る観点から、社会福祉施設の減価償却にも十分寄与するのではないか、こんなふうに考えております。  そこで、支援費支給方式に移行した場合、支援費の額の算定のときにどうかという御指摘でありますが、施設整備に係ります寄附の実態でありますとか、あるいは介護保険における介護報酬の算定ども参考にする必要があろうかと思いますが、減価償却も含めて検討していきたい、このように考えております。
  71. 金田誠一

    金田(誠)委員 この償還に充てる分が上乗せされない中で償還が行われたとすると、待遇の切り下げみたいなことにつながらざるを得ないと思うわけでございまして、こういう道を開くのは結構なんですが、これは診療報酬でも介護報酬でも一定程度見られていると思うわけで、その辺のところはぜひきちんとしていただきたい。これも要望しておきたいと思います。  次に、小規模作業所についてお聞きをいたします。  今大変効果を上げていると思います。伺いますと、五千二百二カ所、約七万人の方が通っておられる。地域の親御さんなどが中心に努力をされて、本当に御苦労されながら運営しているわけでございまして、それが効果を上げているということはすばらしいことだと思います。  しかし、現在、それに対する公的補助というのですか、年間百十万円というふうにお聞きをしておりまして、これは一カ所当たりこういう金額ですから、他の施設に比べると余りにも厳しい状況に置かれている、こう思うわけでございます。  今回、法人制度としては規制緩和されるわけでございますが、それに伴って、通常考えれば、法人として認められるのだから小規模作業所についても利用支援費方式の中に組み込まれるだろうと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
  72. 今田寛睦

    今田政府参考人 御指摘のように、小規模作業所は大変ふえておりますし、本当に親の会の方々あるいはボランティアの方々の自主的かつ地域に根差した取り組みということで、創意工夫を凝らした活動を展開されている。そういう意味では、重要な役割を担っていただいているものと私どもは認識をいたしております。  この小規模作業所授産施設施設基準につきましては、この施設基準設定するに当たりましては、一定基準を設けるわけですので、小規模作業所のよさというものが基準をどう設定するかによって変わってくるおそれがございます。しかも、その小規模作業所のよさが、小規模であるがゆえにその機能が維持されたまま法人に移行できるようにということを考えますと、今より緩やかな施設基準にする必要があろうかと思います。  それで、この小規模作業所には自由度の高い利用方式というメリットもあるわけでありますが、この小規模通所授産施設に対する助成についても、個々の利用者が、支給方式になった場合に市町村支給決定を受けるというようなことが別途必要になるわけですが、その必要がない助成方式の方が適切ではないかと考えまして、措置費から支援費支給に移行する場合も従来どおりの助成方式とする、このようにさせていただいた次第であります。
  73. 金田誠一

    金田(誠)委員 規制が緩やかで、それがよさになるのだから、利用支援費方式の適用となると規制せざるを得ないので今までどおりという話も、ちょっとおかしな答弁だなと思うわけでございます。  確かに、今自由に、身体障害の方も知的障害の方も精神障害の方も一緒にいらしたり、障害も、さまざまな障害の方がいらしたり、通う日数もさまざま、場所もさまざま、これはこれでいいと思うのです、それを規制しろとは言っていないのですが、こういうよさを生かすためには、この百十万なりで、五人いても十人いても二十人いても全部同じみたいなことしかできませんという話では全然ないのではないですか。  一定の、この程度のレベルであればこれだけの利用料なり支援費方式で公費を給付しますよという決め方だってできる。施設の実態を認知した上で、ああしろ、こうしろではなくて、現実にやっている状態に着目してそれに対する支援の仕方をさまざま変えることもできる。その支援費設定だっていろいろな設定の仕方ができるわけで、今の答弁は、質問取りのときもそういう話をされていましたけれども、説得力を持たない。もっといろいろ考えられるわけです。  結局、こういうことでしょう、主として予算の問題だ、金さえあればいろいろな支援の仕方ができるよということが根底にあるんだと。では、これをどうするか。いきなり利用支援費方式に全部組みかえていくのは無理にしても、方向としてはそっちに向くんですという答弁はしてもらわないとだめだと思うのですよ。
  74. 今田寛睦

    今田政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたのは、一つは方式としてどうか、つまり、支援費方式と従来どおりのいわゆる補助方式という意味で申し上げたわけです。  御指摘のように、今どんな施設でも、大きくても小さくても百十万という形で運営している。ただ、助成の内容、その充実については、おっしゃったように施設の規模でありますとかそこでのサービスの度合いというものを勘案して、この百十万にとどめ置くということではなくて、一定基準を設けて法人化させるわけでありますので、必ずやそれにふさわしい助成額を私どもは確保しなければならないというつもりではおります。
  75. 金田誠一

    金田(誠)委員 小規模作業所に通っている方が軽度の障害者だとか障害児だとかということは全然ないわけですよ。認可の施設に通って、措置費の方に通っている方が重度だということでも全然ないわけです。どちらにも重度の方もいらっしゃれば軽度の方もいらっしゃる。たまたま認可の施設に通えば、軽度であっても措置費十何万、二十何万というものが月々支給になる場合もあるわけで、非常に重度の方でも、個人選択ですから、小規模作業所に行くと施設として年間百十万という話です。これは不合理だと思うわけですよ。だから、法改正に当たって給付の基準が明確でないということを冒頭申し上げたのは、そういうことにもあるわけでございます。  給付の基準というのは、本来、一定障害レベルに着目して、どういう援助が必要なのかということで給付されるべきだと私は思うのです。その方が在宅にいようが、小規模作業所に行こうが、認可の施設に行こうが、そこに余り格差をあえてつける必要はない。その選択はニュートラルな格好でどういう選択でもできる、しかし、どこに行っても特に不利益をこうむることはない、必要なサービス量は確保されるということで私はいいんだと思うのですね。  そういう観点からすると、今、法人制度の方を改正して法人に乗っける。そうなると、百十万じゃひどいという話は、今されましたけれども、そこに着目してもらうのもいいです。それはとりあえずやっていただくのはいいんですが、百十万がその規模によって三百万になったとかという話では本来ないはずだ。向かうべき方向としては、在宅、小規模作業所、認可の施設にかかわらず、必要なものは対等に扱う。行政としては、障害程度とか必要な援助というものをまず基本に置いて、施設基本に置くのではなくて御本人基本に置いて物事を考える。この辺の基本認識だけ聞かせてください。
  76. 今田寛睦

    今田政府参考人 つまるところは、障害者本人がどういうサービスをみずからのニーズに合わせて選択できるかということを基本的に確保すべきではないか、御指摘のとおりと私どもも思います。  その中で、今回の小規模作業所の扱いについて、一般の法人よりも緩やかな形で法人格を付与する制度をつくった中で、従来どおりの助成方式をとる形になったわけであります。今後は、この法人そのものの、一種の特例的な法人のあり方そのものにも関係をいたしますけれども、御指摘の点につきましては十分に検討させていただきたいと思います。
  77. 金田誠一

    金田(誠)委員 この件については、大臣にもくれぐれもよろしく要請を申し上げておきたいと思います。  そこで、お金の問題というのがついて回るわけでございます。その際、こういうお金の使われ方もされているのではないかということを一点指摘したいと思うのは、教育予算との関係で、文部省所管の予算でございます。  厚生の調査室にお願いをして、養護学校その他の教育に係る予算というのはどうなんだと言って調べていただきました。そうしましたら、盲学校、聾学校、養護学校の在学者の公費負担は、一人当たり年間九百七十万五千円、一千万弱が年間でかかっている。小規模作業所は、施設として年間百十万円、一人当たりに割り返すと十万円になるかどうかみたいな話だと思うのです。それに対して一千万弱という予算が一方ではかかっているということでございます。これを一人当たり月額に割り返しますと、施設費を入れて八十万九千円、運営費だけですと七十万三千円。こういう数字をいただきました。  だから、こっちを下げろと言うつもりで申し上げているわけじゃないのです。国の予算、税金の使い方として本当に合理的か。障害者の教育という名前がつく場合と福祉という名前がつく場合と、かけ方には合理的な根拠があるのかもしれません。しかし、いずれにしても国の予算の使い方が、障害者本人に着目して、御本人立場からいってもどういう使われ方が——義務教育の九年間、高等養護を入れて十二年間の期間と、学校に上がる前の期間と卒業してからの期間全体をトータルして御本人立場から見てどうあるべきなのかというふうな検討が今まで余りされてこなかったのではないか。  これは文部省が自主的にするとはどうも思えません、こういうところに着目して検討しなければならないのはやはり厚生省立場ではないかというふうに思うわけでございます。今、私は教育予算との格差を指摘させていただきましたが、これについてどのようにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。
  78. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 社会福祉施設の入所者、在宅の人に対する経費につきましては、それぞれ利用者の処遇に必要な予算について、これまで毎年度改善を行い、必要な額については計上してきたというふうに考えているわけでございます。  先生がおっしゃいました教育予算との関係になりますと、正直言いまして、相当差があるなと感じますけれども、教育施設とはその目的とか運営に際する費用が相当異なっておりますので、単純な比較はなかなか難しいのではないのかなというふうに考えております。
  79. 金田誠一

    金田(誠)委員 単純に比較してどうこうしろという話を申し上げているわけではない。障害者本人、生まれてからお亡くなりになるまで全体を通してサービスが必要だ、その合理的なサービス、御本人にしてみると享受の仕方としてはどういう享受がされてしかるべきなのかということを、御本人、当事者の方も含めてまず率直に話し合いをする。この辺が一つはやはり全く問題なしとしない。結果的に落ちつくにしても、これは一回検討の俎上に上げてしかるべきだ。  これは障害者団体の方も、私どもがヒアリングをやると、教育と福祉に係る予算の違いということは結構言われます。その都度その都度言われると言ってもいいぐらい指摘は受けます。その辺のところを厚生省サイドから俎上に上げる、そういうお考えはございませんか。
  80. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 先生おっしゃいましたように、教育と福祉との関連、また比較ということは大変重要なポイントだろうというふうに思っております。  私自身も、実は養護学校の仕事をしたことがございます。そういうことで養護学校と福祉施設というのは実際は相当違うなというふうには思っておりますけれども、両者の関連について、これからも私ども勉強させていただきたいというふうに思っております。
  81. 金田誠一

    金田(誠)委員 なかなか省庁の壁というのがあるんだろうと思いますが、大臣、実態がこういう状況なものですから、ぜひ部内で前向きに検討していただきたい、要請を申し上げたいと思います。  時間も残り少なくなりましたので、最後に、自己負担の問題についてお尋ねをいたします。  介護保険においては自己負担額は一割ということで決まっているわけでございますが、現状の措置制度の中で実際自己負担として徴収されているのはどの程度になるのか。あわせて、現行措置制度の中では扶養義務者の負担もあるわけでございますが、自己負担の中で扶養義務者の負担はどの程度を占めるのか、これについてお聞かせをいただきたいと思います。
  82. 今田寛睦

    今田政府参考人 現在の措置制度下におきます障害児者の自己負担の割合でございますが、施設サービス在宅サービスとも、事業費総額のおおむね七から八%程度、このようになっております。  それから、その中で本人負担している割合と扶養義務者が負担している割合はいかがかという御指摘でありますが、措置施設においては、一定の額の範囲内にはなりますけれども障害者本人、扶養義務者のそれぞれの負担能力に応じて費用を徴収することになっておりまして、両者の正確な割合については、私ども承知をしていないというのが現状でございます。
  83. 金田誠一

    金田(誠)委員 今のおっしゃったパーセンテージの自己負担であれば、介護保険よりは負担は少ないレベルに設定されている、トータルで見ると。しかし、応能負担ということなんでしょうか、今は措置費制度ですけれども、所得によってゼロから措置費満額までという負担の幅があるようでございますし、これから利用支援費方式に移行したとしても基本的にその考え方は踏襲される、刻みの幅が多少違ってくるということはあるのでしょうけれども、そのように聞いているわけでございます。  しかし、多少所得がある方が非常にきつい負担になっているということなんだと思います。今まで特養ホームなどもそういう形の負担だったものですから、サラリーマンで共稼ぎをしていて、あるいはちょっと年金があったりしてというような話になると、ほとんど措置費満額のような負担になって、そういう方は今回介護保険で軽減になっている方もあると思うのですが、本当に大金持ちみたいな方であれば全額でもいいのかもしれませんが、今の制度では普通のサラリーマン程度の収入でもかなりの負担になるということで、その辺の見直しができないか。特に高額負担になる方、そこをぜひ要望しておきたいと思います。  扶養義務者の負担について数字が出ていないということは非常に残念でございます。七%から八%、九%ぐらいの負担の中で、身体障害者であれば、知的障害者であれば、あるいは児の方であれば、児は扶養義務者の負担がほとんどなのかもしれません、それぞれ本人負担と扶養義務者の負担がどの程度になっているのか、ぜひ明らかにしていただきたい、後日で結構でございますから。その辺、どうでしょう。
  84. 今田寛睦

    今田政府参考人 どのような調査ができるか、厳密な調査がどの程度できるかは検討させていただきますが、いずれにしても、そのような実態の把握については努力をしたいと思います。
  85. 金田誠一

    金田(誠)委員 お尋ねしているのは、実は障害者の団体の皆さんと話し合いをする都度、成人になっても親の負担がついて回る、本当に心苦しいといいますかいたたまれない、いつまでたっても自分は一人前ではないのか、障害者というのはそういう位置に置かれるのかということを切実に言われるわけでございます。それについて、扶養義務者の負担を緩和すべきだと私は思うわけです。そういう立場から、今、実態はどの程度負担になっているのかということをお願いしたわけでございます。  もう時間がないものですから、基本的な考え方大臣にお聞かせいただきたいと思うのです。  私は、障害児を持った親御さんは、先天的な方もあるでしょうし、事故その他で障害を持たれる方もあるでしょうけれども、経済的負担は非常にきついと思います、普通の健常の方を持った親御さんより。経済的負担は非常にきつい。加えて、精神的にも肉体的にも時間的にも社会的にもさまざまな負担を負う。その御苦労の中で子育てとかその障害と向き合う新たな人間としての発見だとか喜びとかさまざまあろうとは思うのですけれども、しかし、非常に重い負担を負うわけでございます。  その場合、せめて経済的負担ぐらいは国民全体でシェアするという考え立てないものか。その肉体的、精神的、さまざまな負担を我々が引き受けるわけにはまいりません、それは親御さんが引き受けざるを得ないことだと思うのですけれども、経済的負担は国民全体でシェアできる。だれでも、自分の子供が事故に遭うか、そういう障害を持った子供に恵まれるかという可能性はすべての人間にあるわけでございますから。そのとき、その御本人だけに経済的重荷を負わせるのではなくて、今も税金で四分の三ですか、九割ちょっとは公的に見ているわけでございますが、あとの残された部分の七割、八割、また、そのうちの扶養義務者の負担というのはまだ圧縮されるわけです。逆に言うと、金額が小さいからこそ全体でシェアすることも容易だという言い方もできると思うわけでございます。  そして、前段申し上げたように、障害を持った御本人は、もういたたまれない、いつまでたっても、自分は成人しても親に負担をさせる存在なのか、自立するというのは経済的に自立することだという話をよく伺うわけでございます。  したがって、こういう全体的にシェアする扶養義務者の負担というのは——子供を育てるときは、小さいときは保育園を終えるぐらいまでは健常な子供でも保育料を払う、多少そういう負担は払っていただくことになるとしても、せめて第一段階として、成人したあるいは義務教育なりを終えた一定の段階から扶養義務者の負担をなくする、その経済的な負担は全体的に国民的にシェアすることが、親御さんにとっても、あるいは障害者の御本人にとっても私は必要なことだと思うわけです。  今回、法改正に当たってそういうことをぜひ盛り込んでほしかったなと思うわけでございますが、今後の方向として、大臣、いかがでしょうか、そういう扶養義務者の負担を段階的になくしていくという方向に御同意いただけませんでしょうか。
  86. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 利用制度におきます自己負担につきましては、先ほど来答弁を申し上げておるわけでございます。現在の負担水準を変更しない、変更を加えない、こういうような視点から、従来と同様に所得水準に応じた応能負担という考え方に立っているものでございます。応能負担によります場合の負担能力につきましては、これまでと同様に、負担の公平の観点という立場から、本人と同一生計にある一定の扶養義務者を含めまして判断する、こういう立場に立っておるわけでございます。  今、委員が御指摘の扶養義務者の範囲でございますけれども、それを含めまして、例えば二十歳以上の障害者の方につきましては、施設に入った場合には親御さんから負担を求めていない、一方、在宅サービスを受ける場合には、要するに同居しているということもあるわけでございますけれども親の負担を求めている、こういうような現状にありまして、施設在宅の均衡という問題もかねてから指摘されておるわけでございます。こういった問題を含めまして、今後検討をしてまいりたい、こう考えているような次第でございます。
  87. 金田誠一

    金田(誠)委員 ありがとうございます。  時間が来ましたので、終わります。
  88. 江口一雄

  89. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  最初に、小規模作業所について質問をします。  一九七〇年代に全国で始まった小規模作業所は、厚生省が最初にこの小規模作業所について調査なさったのは今から十九年前、一九八一年に六百三十八カ所という数字を皆さんは把握なさった。それが今どうなっているか。一九九五年において三千九百二カ所です。そして、九九年度五千二百二カ所に急増しています。利用者の数は七万五千人を超している。そのように私は承知している。  障害者施設の不足を地域で補う、そのための草の根からの努力として小規模作業所が果たしている役割は極めて大きいと考えます。厚生省は、近年の小規模作業所の急増、さっき言いましたように、平成七年三千九百二、そして九九年度、昨年五千二百二ですから、四年間の間にこれだけ急増している、この急増をどのように受けとめているか、そして、小規模作業所が果たされている役割をどのように見ているか、今田部長にお答えいただきたいと思います。
  90. 今田寛睦

    今田政府参考人 いわゆる小規模作業所につきましては、地域に根差して創意工夫を凝らして幅広い活動を展開していらっしゃる、そのことが障害者自立社会参加促進を図る上で大変大きな役割を果たしている、このように認識をいたしております。  こういった小規模作業所が、御指摘のように大変ふえてきてございます。これの理由についてどう考えるかという御質問かと思いますけれども、もちろん障害者自身のニーズが高まっているという実態もあります。と同時に、法定施設への移行が困難だという点もあろうかと思います。さらに、親の会の皆さん方あるいはボランティアの方々障害者に対するさまざまな活動、支援の熱意、また、これに相まってこういったものの高まりも影響しているのではないか、このように思っております。  したがいまして、そのような中で、今回の法改正で規模要件の緩和などをしながら、少しでも法定施設への移行が円滑に行われるような改正を図ったというふうに私どもも理解をいたしております。
  91. 児玉健次

    児玉委員 厚生大臣に伺いたいのですが、小規模作業所については、国の財政的な支援の問題も含めて、これまで私も何回も議論してきましたが、多くの懸案があります。その懸案を今回の手直しを機会にどのように前進的に解決していくか、その点について厚生省は当然熱意を持っていらっしゃると思うのだけれども、その熱意のほどを大臣から聞かせていただきたい、こう思います。
  92. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 小規模作業所でございますけれども、全国的にそれぞれの地域におきまして、親の会などによりまして自主的に、そして地域に根差しました取り組みといたしまして、それぞれが創意工夫をしながら大変地道な活動を展開いたしておるわけでございますし、障害者自立であるとか社会参加促進を図る上で大変重要な役割を果たしてきた、このように評価をいたしておるような次第でございます。  今回の改正におきましては、とりわけ小規模作業所につきまして運営の安定化を図るために、社会福祉法人になりやすいよう、通所授産施設の規模要件を、これまでは二十人以上でございましたけれども、これを十人以上に緩和をいたしております。これによりまして、社会福祉法人として事業の非課税措置であるとかあるいは寄附金の控除の拡大などの恩典が受けられることになりまして、このような小規模作業所が安定的に運営できるように支援充実に努めていきたい、こういうことでございます。
  93. 児玉健次

    児玉委員 今の点ですが、小規模作業所の安定的な運営に資したいという御意思をお持ちだということはよくわかりました。それはやはり中身が問われるわけです。  そこで、その問題に入ります。小規模作業所に対する国の補助が開始されたのは、たしか一九七七年。そのとき、一カ所の年額は七十万円でした。二十三年が経過した今日、一カ所の年額が百十万円。物価の変化を考えれば、実質的な額は目減りしていると言わざるを得ない。それから、交付対象作業所は二千五百九十五カ所であって、全体の二分の一である。  先ほどからのお話で、関係者の大変な努力、御家族、そして御本人を含めた自治体の努力、こういったものが総合されています。自治体からの補助はどうなっているか。利用者が十五人とした場合に、全国の都道府県で最高は年額千九百万円。自治体の補助の平均は、私の調査によれば、心身障害対象作業所において年額千四十万円、精神障害対象作業所では九百九万円、国の支援との格差が極めて大きい。  そこで、今回、小規模作業所に対する国の財政的支援がどうなっていくか。先ほども同僚議員がこの問題について非常に重要な質問をなさっていて、私はその内容を真剣に聞かせていただいた。厚生省の、小規模作業所を安定的に運営させていく、そしてまた、草の根からの役割を大いに発揮させる、その点がどのように事実で証明されるか、それはこの後の小規模作業所に対する国の財政支援水準によって決まっていくだろう、こう考えます。その点で、どのような努力をなさろうとしているか。  まさか今の年額百十万円の水準が基盤でどうこうというのでは、これはおよそ議論の外ですね。例えば、これは平成九年度、一九九七年ですけれども、精神障害者通所授産施設、精神障害者についてのみ、これは現在措置費でなくて補助金です、一カ月の総額を二十人で割った補助金の額は、知的障害や身体障害者に比べてかなり劣っているけれども、割ってみると一人当たり十万一千三百七十一円になりますね。一方、身体障害の方は十四万七千二百五十九円、知的障害関係は二十一万円を超しています。余りに格差がある。  安定的な運営に資するために、厚生省としてどのような努力をなさろうとしているか。その点、部長からお示しいただきたい。
  94. 今田寛睦

    今田政府参考人 まず、後段の、精神障害者に対する施設と身体障害者あるいは知的障害者に対する施設に係る単価の格差を御指摘いただきました。  もちろん、私ども、そのことは十分承知をいたしております。今年度の予算におきましても、そこに着目をして、十分とは言えないまでも精神障害者社会福祉施設に対して約一・五倍の予算を要求するという形で、この格差につきましても少しずつ是正していかなければならない、このように考えております。  それから、前段の小規模作業所に対します補助の問題でありますが、当然、小規模通所授産施設になりますと、法定施設になるわけでありますから、一定の職員配置とか建物の設備というものを定めなければならないわけであります。  しかし、そうはいっても、非常に施設規模も小さいというような場合もありますし、それでいて小規模作業所のよさというものが発揮されているということを考えますと、現行の通所授産施設に比べますと緩やかな施設基準にする必要があるのではないか。そういう緩やかな施設基準ということに立脚をいたしまして、これから小規模授産施設に対する助成のあり方というものを検討して定めていきたい、このように今考えておるわけであります。
  95. 児玉健次

    児玉委員 小規模作業所の現に果たしている役割の大きさ、そして、それの持っている非常に自由で障害者ニーズに多様に応ずる特徴、それらは今後も生かされなければいけないと思うのです。緩やかな設備基準であるから国の支援も緩やかであっていいとは私は決して思わない。やはり、そこを伸ばすために必要な財政的支援に特段の努力をすべきだと思うのですが、部長、重ねてお答えいただきたい。
  96. 今田寛睦

    今田政府参考人 基本的にはそこにかけられているさまざまな費用が積算になるのだろうと思います。ただ、そうはいっても、これまで担ってこられた意義、それから今後も担っていただかなければならない意義というものに着目をして、私ども予算の確保という点において精いっぱいの努力をさせていただきたいと思います。
  97. 児玉健次

    児玉委員 これは大臣にも要望いたしますが、やはり精いっぱいの努力をする、そうしていただきたいのですが、関係団体ともよく協議をした上で努力を進めていただくように私から要望しておきます。
  98. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど、小規模作業所がこれまで障害者自立であるとか社会参加促進を図る上で大変重要な役割を果たしてきたということについて、私から申し上げさせていただいたわけでございます。  現在、御案内のように、就労の機会が大変得がたい在宅の重度障害者などを対象にいたしまして、小規模な通所に通っていらっしゃいます方の軽作業などの援護事業に対しまして、障害者団体を通じまして国庫補助を行っております。  今委員からも御指摘のような、私も具体的な数字はよくわかりませんが、それぞれの地方自治体の判断で上乗せをしていらっしゃることにつきまして私どもも敬意を表したいと思っておりますけれども、一カ所年間百十万ということでありまして、確かに、今回の法改正の中におきまして、この小規模作業所というものを大変重要な位置づけにいたしておるわけでございますので、来年度の概算要求で思い切った増額を要求していきたい、このように考えております。
  99. 児玉健次

    児玉委員 次の問題に入ります。  民間企業の参入と支援費に関連してです。  冒頭、全体を包括する理念といいますか考え方として、社会福祉事業における公共性と純粋性と永続性、以前にも議論したことがありますが、これを維持し確保していくことは、今後の日本における福祉事業の充実発展のために重要だと考えます。その点、大臣はどのようにお考えでしょうか。
  100. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 社会福祉事業におきます公共性、永続性というのはわかるのですが、純粋性というのはよくわからないので、ちょっと教えていただけますでしょうか。その上で、またお答えいたします。
  101. 児玉健次

    児玉委員 以前児童福祉法の関連、そして保育所の関連でことし議論したときに、皆さんが常にこの三つを連続してこの順でおっしゃるのです。公共性、純粋性、永続性、私はそれを引用しているだけです。
  102. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 失礼いたしました。  まず、社会福祉事業の公共性でございますけれども福祉サービスは、当然のことながら国民すべての方々にとって大変必要となり得るサービスでございます。必要とする方に対しましてはひとしく提供される必要がある、こういうことではないか、このように考えております。  それから、永続性でございますけれども福祉事業が一たん開始されますれば、当然のことながらサービスを必要とする方々利用が中断されないように継続して行われなければならない、こう考えているような次第でございます。  最後に、純粋性でございますけれども、いま一つ私もまだ理解しておりませんけれども社会福祉事業におきましては、あくまでサービス利用者の差し迫ったニーズに対応するもので、基本的には利潤を追求する目的でない、こういうふうなことから考えなければならないわけでございます。  しかし、昨今のさまざまなニーズの中におきまして、介護保険におきましては民間企業の参入というものを認めたわけでございます。これはどういうことかと申しますと、いわゆる施しの給付サービスから、積極的に民間参入を入れた競争原理の中において質の確保を図っていきたい、こういうようなねらいがあるわけでございますけれども、当然のことながら、そういう中においても今委員が御指摘のような点も、私は、民間企業でございますので、営利を追求することをすべて否定するわけではございませんけれども、初めに営利ありきというようなことではこのようなことが実際問題として成り立たない、こう考えておるわけでございますので、関係者の皆さん方にもその点は十分に御理解をいただかなければならない、こう考えているような次第でございます。  いずれにいたしましても、入所施設であるとか在宅福祉事業であるとか、先ほどからお話がございます小規模の通所授産施設、こういったようなさまざまな事業の多様性というものを踏まえながら、それぞれに合った、利用者にとって果たしてどういう面において質が担保されるか、こういう角度から考えるべきものだ、このように考えているような次第でございます。
  103. 児玉健次

    児玉委員 純粋性というのは、辞書を引きますと、まじり気のないということです。福祉としての純粋性、この点は後ほどさらに議論したいと思います。  そこで、今回の法律の改定において、従来福祉事業に対して責任を負っていた国の公的な財政負担、公的な負担がどのように維持され、充実されていくか、そのことに広い関係者から真剣な目が注がれております。厚生省御自身、公的負担を後退させることはないとさまざまな機会に明言されていますので、そのことは当然のこととして、もう一歩踏み込んで聞きたいのです。  例えば、今回の法改定の第十七条の十第二項、身体障害者施設への支援費について。正確に言えば、利用費に対する支援費ですね。「指定施設支援に通常要する費用につき、厚生労働大臣が定める基準を下回らない範囲」で云々と。その後、自治体の問題が出てきますが、ここは主として国の問題ですから、私はそこに絞りたい。  指定施設支援に通常要する費用で厚生労働大臣が定める基準、これはこれまでの措置費を下回ることはないと理解するわけですが、それでいいですか。
  104. 今田寛睦

    今田政府参考人 新しい利用制度におきましては、市町村支援費支給決定を行う、それから、その決定を受けた障害者に対して、サービス提供に通常要する費用基準として定めたところの支援費支給される、このような仕組みでございます。  その場合に、個々のサービスの対象者は基本的に同一とすること、それから、支給決定についても、現行措置制度の決定と同様、障害者障害程度等に応じた適切かつ必要なサービス提供することとしております。そういった観点に立ちまして、サービス水準の低下を来すことがないよう、支援費設定に当たって配慮していかなければならない、このように思っております。
  105. 児玉健次

    児玉委員 そこで重ねて聞きますが、先ほども減価償却を含めて対応したいというお答えがありましたが、そういった要素も含めてこれまでの措置費を下回ることがないと私は理解しているんですが、それでいいですね。
  106. 今田寛睦

    今田政府参考人 措置費に当たりましても、当然、そこに要する費用というものを積み上げて設定をするわけであります。今回も、支援費設定に当たっては、そこに要する費用というものを詳細に検討し、先ほど申し上げましたが、減価償却というものもその検討の対象の中に入れて設定考えていきたい、このように考えています。
  107. 児玉健次

    児玉委員 そこで先ほどの純粋性の問題に戻るわけですが、今度、第二種社会福祉事業においては地方公共団体福祉法人以外の者が参入できることになります。それで、福祉事業は企業の論理ではなく福祉の理念で運用されなければならない、私はそう考えます。  今の議論との関係ですが、福祉事業に支給される支援費指定施設において通常要する費用、厚生労働大臣が定める基準部分から仮に——私はこの場合NPOだとかその他は議論の対象にならないと思うんです、利益を対象としていないというのがNPOの団体の意味ですから。営利団体の場合、この通常要する費用から株式の配当や役員報酬等を引き出そうとすれば、どうしても福祉水準を引き下げることにつながらざるを得ない。  しかも、一種の場合は自治体と社会福祉法人に限定されていますから、この議論のらち外です。主として二種です。主としてというよりも二種です。二種の、通所施設でいえば、端的に言って精神障害者の分野です。そこにおいて、通常要する費用から株式の配当や役員報酬が引き出されると、明らかに新たな困難を生み出さざるを得ない。この点はどうですか。
  108. 今田寛睦

    今田政府参考人 まず、一般論といたしまして、社会福祉事業法におきましては、従来から、営利法人も第二種社会福祉事業実施することができることになっているわけでございます。  こうした第二種の社会福祉事業の開始に当たりましては、通例の手続でいいますと、事業を開始して一カ月以内に届け出なさいという仕組みになっておりまして、事後報告のような形になっております。実は、精神障害者社会復帰施設につきましては、第二種社会福祉事業として位置づけるに当たりまして、昨年度、精神保健福祉法の改正を行ったわけでありますが、法律の中で、事業の開始に先立って、つまり、事後ではなくて事前にこの届け出をさせる仕組みとさせていただきました。さらに、その精神保健福祉法に基づく省令におきまして、先般、設備及び運営に関する基準をも定めました。  これらによりまして、その設置主体のいかんにかかわらず、必要な質の確保が図られるような形での仕組みをつくったところでありますので、今後、御指摘のような問題があるとすれば、そういったものがないように指導していかなければならない、このように思います。
  109. 児玉健次

    児玉委員 この後どうなっていくか、今厚生省はそのようなことにならないように指導するとおっしゃったけれども、その点は厳しく見ていきたいと思います。  最後の問題に入ります。  この法案は半世紀ぶりの手直しです。それだけに歴史的に問われる点が幾つもあります。太平洋戦争が終わって、日本国憲法が制定される。憲法第二十五条、これは世界に誇るべき理念を掲げていると思う、そういうときに社会福祉の諸事業が出発をした。その段階で、社会福祉とそれに伴う措置制度厚生省はどのような立場で理解し、どのような立場で推進したのか。ここを私は最後に若干議論したいと思います。  これは抽象的にやっても仕方がありませんから、多少古証文ですが、当時の厚生省の皆さんの文章を相当読ませていただきました。  例えば、高田正巳氏のお書きになった「児童福祉法の解説と運用」、一九五一年十一月二十日、時事通信社。その第六章、章のタイトル自身が次のようなタイトルです、「福祉措置および保障」。  著者は、児童福祉行政の対象と目的に触れて、アメリカでの歴史的発展をこの中で紹介しています。児童保護、チャイルドプロテクションから、児童福祉、チャイルドウエルフェアに発展したことを紹介して、次のように述べている。私はあえて注意を喚起するけれども、これは敗戦直後の時点ですよ。児童福祉は、「対象において、孤児とか不良少年などの問題児童だけでなく、広くすべての児童をその中にふくむ」ものとする、こう明言されている。  これが高田氏の所論にとどまるものでないという点でいえば、当時厚生事務次官をなさっていた木村忠二郎氏の「社会福祉事業法の解説」、時事通信社。その中で彼はこう言っている。  「社会福祉事業の公共性がしだいに高まり、恩恵的な慈善事業から公共の責任にもとずく社会福祉事業へと進化してきたのであるが、これがこんにちの国の社会福祉にたいする責任を憲法上明確に規定するにいたらしめ、」と、二十五条のことをここで触れていらっしゃる。  これが厚生省のその段階での議論だと思うんです。  このことについて、私はこの委員会厚生省と議論をした。横田吉男児童家庭局長は、当時、次のように答弁されています。「児童福祉法が二十二年に制定されまして以来、五十年にわたってこの措置制度は」「全国一定水準保育サービス等をあまねく普及させる上におきまして、私ども、大きな役割を果たしてきたというふうに考えております。」九七年五月二十八日の委員会答弁です。  厚生省の見解は変わったんですか。伺いましょう。
  110. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 今先生がおっしゃいましたように、戦後、社会福祉をつくる際、我々の先輩は大変御苦労をされてきたわけでございます。私どもも、昭和二十年代の当時の状況をしっかりと勉強させていただきました。  ただ、意気込みとしては、今先生のおっしゃられましたように、アメリカで発展したような社会福祉考え方を導入しようという意気込みはあったようでございますけれども、当時の社会福祉の資源の不足性などからかんがみて、どうしても行政が主導する措置制度をとらざるを得なかったというふうな事情で、現在の社会福祉事業法というのは新しい側面と古い側面の両方を持っているんじゃないのかなというふうに思っております。  ですから、今回、私どもは、その古い面について改めまして、今日の時代に合うような形に社会福祉仕組みを変えたいということで提案させていただいているわけでございます。
  111. 児玉健次

    児玉委員 私は、最後に一言、この点について明確に述べておきたいと思うんです。  先ほど私が引用したのは一九五一年、昭和二十六年の段階ですが、一九四七年、昭和二十二年の段階で、厚生大臣の諮問に応じて中央社会事業委員会は、まさに敗戦直後の時期ですよ、そのとき児童福祉法に関連する議論の中で、「法の対象とする児童は、特殊児童に限定することなく、全児童を対象とし、一般的保護を中心として、法に明朗積極性を与えることが必要である。」と。この意見を受けて児童福祉法という名前ができた。  もちろん、私は、あの敗戦直後の混乱について否定するものじゃありません。そういう混乱、困難の中で多くの努力がされましたが、しかし、例えば、この措置制度を古色蒼然たる恩恵的な福祉制度というふうに決めつけたり、路上にいる浮浪者や浮浪児童を直ちに強制的に収容しなきゃいけないから、当時の特殊性で措置制度ができたんだ、こういうふうに言うとすれば、それは歴史をゆがめるものでありますし、言ってみれば、憲法二十五条の精神に立脚して措置制度を全国的な福祉のナショナルミニマムを支える制度として守り育ててきた厚生省の先人の努力をおとしめることにもなるし、国民の努力を否定するものでもある。この点については厳しく意見を述べて、きょうの質疑を終わります。  ありがとうございました。
  112. 江口一雄

  113. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。  きょうは、大蔵省の大野総括政務次官にお越しいただいておりまして、他の委員会と重なっているということで、一番最初に大蔵省の大野総括政務次官に質問をしたいと思います。  私は、四月二十七日に行われました参考人質疑の際に指摘された問題点について、その原因を探って今後の社会のあり方について議論を深めたいと思います。  社会福祉事業の運営は、公的な助成金のほか、多くの市民や団体からの寄附を得て可能になっているというお話を先日聞きました。また、今回の法律改正で社会福祉事業認定されますと、社会福祉法人への寄附は税制上の所得控除がなされるということも聞いております。  まず、社会福祉に対する寄附に係る税制上の優遇措置について、やはりこれは広報を進めることが大事だと思います。その税制上の優遇措置について、現状の取り組みと今後の取り組みについてお話を伺いたいと思います。
  114. 大野功統

    大野(功)政務次官 社会福祉法人になりますと、特定公益増進法人という税制上の扱いになりますので、これは、個人が寄附をしていただきますと所得控除になることは先生御存じのとおりでございますし、また、法人が寄附をいたしました場合には、一般の寄附の枠以外に、別枠でその寄附された金額は損金算入になるという制度でございます。  これをどのように広報しているかというお尋ねでございますけれども、まず、特定公益増進法人の一覧というのは税務署に備えつけられております。それから、「知っておきたい税情報」という名前でございますが、冊子を出している。それから、「国税のしおり」と呼んでおりますが、パンフレットを出しております。「所得税の確定申告の手引き」、これは一番部数が多いのでございますが、二千三百万部ばかり出しております。  また、最近の例でございますが、国税庁ホームページというものを、全部が全部この特定公益増進法人の問い合わせではございませんけれども、国税庁ホームページもやらせていただいております。それから、自動電話相談ということがございまして、これはタックスアンサーと呼んでおりますが、この利用回数もかなりになっております。  いずれにしましても、一般的には国民から税制というのは大変難しいと思われがちなものですから、この点は平易に、わかりやすくこれからも広報に努めていきたい、このように考えております。
  115. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、また総括政務次官にお聞きしたいと思いますけれども、大蔵省は積極的にこういう寄附行為を進めたいという意思があるんでしょうか。
  116. 大野功統

    大野(功)政務次官 大変難しい基本的な問題だと思います。  なぜ基本的かといいますと、国が税金として、国税として取ったものを議会で議論してどのように配分していくかという問題と、タックスペイヤー個人自分の意思で自分のお金をここへ使ってほしい、そのタックスペイヤーの意思がそのままあらわれるのがいわば今の寄附でございますから、その兼ね合いは非常に難しいと思います。  私個人考えを言わせていただければ、もう少しタックスペイヤーのお金を自分が好むところへ使えるような方向に持っていきたいなと思っておりますけれども、先生のお尋ねに直接お答えすれば、非常にいろいろな問題があって検討しているというところでございます。
  117. 武山百合子

    ○武山委員 これからの日本、二十一世紀は、小さな政府、そして、国民個人の可処分所得がふえて自由に自分で使えるお金がふえる、そういう成熟した社会になっていく過程で、税金で納めるかわりに自分がここに寄附したいという、税金で納めた分ももちろんありますけれども、それとはまた別な窓口で自分で納めたいと選択できると思うんですね。  欧米の社会ですと、地域に根差しているガールスカウト、ボーイスカウト、交響楽団、図書館、老人ホーム、あらゆるところに寄附の行為をいたしますと、所得から控除になるわけですね。恐らく日本も将来そういう社会になると思います。国民が小さな政府を目指していますし、自分の可処分所得をもっとふやしてもらいたいという社会ですので。ですから、今後、そういう整理をしていかなければいけません。  そうなりますと、今のお話を聞いておりますと難しいということですが、正直言って、大蔵省はとても積極的に寄附行為をしてくれと言う段階ではないと思うんですね。いろいろ表をいただいたんですけれども、寄附をする場合、大変複雑で専門家でなきゃわからない。私もこれを見て、とてもわかりやすいとは判断できません。ですから、今後、その辺の整理をしていく必要があると思います。  そして、のろのろと先送りするのではなく早急にそういう社会を目指していく、やはり国民もそれを望んでいる部分がかなりあると思いますので、私も政治の世界で大蔵省と格闘したいと思いますけれども厚生省と連携をして大蔵省は今後やっていっていただきたいと思いますけれども、連携という意味ではいかがでしょうか。
  118. 大野功統

    大野(功)政務次官 まず、大蔵省が寄附行為に対して非常に厳しいという印象をお受けになったようでございますけれども、現状の制度は先ほど御説明したとおりでございます。  それ以上に、どういうものに対して、どういう目的に対して寄附控除を認めていくか。こういう問題については、もしそれが本当に特定公益の増進になるのであれば認められるだろうし、そうでなければ認められない、ここはきちっと検討していかなきゃいけないという問題が一つあることは御存じのとおりでございます。  それともう一つ、先ほど申し上げたのは、国全体としてやらなきゃいけないことがありますから、それに対してはやはり税金をちょうだいしなきゃいけない場合もあるだろうし、そういう意味でも二重の意味でいろいろ検討課題だなと。私個人は、一般のタックスペイヤーが自分の意思を貫くのは大変いいことだというふうには思いますけれども、それはやはり技術的に難しい問題があるということは、先生御理解をいただきたいと思います。  さて、質問でございますけれども、協力という意味では厚生省からいろいろな課題が出てくると思います、あるいは先生方からいろいろな課題が出てくると思います。それを今申し上げたような物差しに照らして、協力していく、連携していく、これは当然のことでございますから、積極的にいろいろなお話を伺って連携を保っていきたい、このように思っております。
  119. 武山百合子

    ○武山委員 このようにやっておりますという広報のいろいろな実態をお聞きしましたけれども、今お話しの広報は、ある程度わかった人がみずから寄附をしたいといってその書類をもらったり、インターネットを開いたり、ところが、それは本当にまだ全国民の間から見ますと数は少ないと思います。そうなる前に、国民がこういうことに寄附できるんだ、自分選択できるんだ、それは税制上控除されるんだという、基本的な、簡素でわかりやすいものはやはり啓蒙という形で、地域でそういう話題が出たり、みんなが一致した共通の認識を持っているということが大事だと思うんですよね。  ですから、今お話しの広報というのは、ある程度わかった人が寄附をしようとみずからその申請に出かけたりしないとまず行動できないようなシステムというか仕組みだと思うんですね。その前に、こういうものに寄附できるんだという意識をやはり持つということ。それが、社会でともに助け合っていくんだという——特に社会福祉というのは、国が面倒を見る、国が財政的支援をするだけでは、質とともに充実していかないと思うんですよね。  そこで、寄附の行為というのは、もちろんお金だけではなく時間の寄附、労働の寄附、いろいろこれから充実していくと思いますけれども、そういう啓蒙という意味もぜひ大蔵省は考えていただきたいと思います。その辺、啓蒙という意味はいかがでしょうか、物を与える、資料を与えるという意味じゃなくて。
  120. 大野功統

    大野(功)政務次官 武山先生おっしゃるとおり、もっともっと平易でわかりやすい形で御理解いただく、そういう啓蒙をやっていかなきゃいけないと思います。  ただし、国民の皆さんが、やはり税金なり税制についてもっともっと関心を持っていただきたいな。と申しますのは、日本は、所得税は源泉徴収でございますから自分で申告をしない、全部かわって申告してもらっていますので、どうしてもその辺で税に対する関心が低くなってしまうんじゃないか。先生におかれましては、どうぞ、国民の皆さんに関心を持っていただくように、よろしくお願い申し上げます。
  121. 武山百合子

    ○武山委員 もちろん、大野総括政務次官のお話はごもっともだと思います。私も本当にそう思う部分があります。しかし、国民の目から見ますと、税制というと複雑多岐にわたるという印象で、私も個人申告しておりますけれども、正直言って大変わかりにくい、複雑である。それが国民のためにできているとはとても思えません。ですから、そういう意味では、簡素化するということが前提にあって国民が理解できるものだと思います。きょうはどうもありがとうございました。  それから、厚生省大野総括政務次官に、今の質問と関連するわけですけれども、これは大蔵省だけではだめだと思うのですね。厚生省も、税制は大蔵省だから大蔵省だと言うのでなく、もちろん現実に縦割りがあるわけですけれども、そこは連携してこの寄附の行為というのは広めていく必要があると思うのですね。これについて厚生省の見解を大野総括政務次官の方からお聞きしたいと思います。
  122. 大野由利子

    大野(由)政務次官 厚生省の見解というより私個人の見解かもしれませんが、委員の御指摘と全く同じ思いでございます。もっともっとみずからの意思でいろいろ寄附をし、そして、それが社会福祉法人等々に大きく貢献できる時代にしていかなければいけない、このように思っております。
  123. 武山百合子

    ○武山委員 残念ながら、個人の見解でしか述べられない日本の政治土壌、政治環境ですね。これは、個人考えイコール省庁の考えでもあり国民の総意だ、そういう一致した意見を述べられるような政治環境にぜひともなっていただきたいと思います。  それでは、その次に移りまして、これも大野総括政務次官にお聞きしたいと思います。  我が自由党は、国民の社会参加ということで、障害者が堂々と活躍できる社会づくりを基本理念に掲げております。こうした社会の実現のためには、健常者が福祉については行政任せ、税金任せにして自分とは無関係のものとする状態は、きちっとした認識ではないと思います。  先日、大臣がマラソンランナーの有森裕子さんのボランティア活動の話を紹介しましたけれども、どうすれば多くの国民にこうした社会参加考え方が広められるか、ぜひ政務次官のお考えをお聞きしたいと思います。
  124. 大野由利子

    大野(由)政務次官 済みません、先ほどはちょっと急な御質問だったので、私個人の見解と申し上げましたが、厚生省の見解も全く同じでございます。  それから、今の御質問につきましては、これはちょっと私個人の見解を述べさせていただきたいと思うのですが、もっともっとボランティアが進むようにしていかなければいけないということで、私は、中学生とか高校生が、もっと障害者施設とか特別養護老人ホームで介護の体験をしたり、保育所で保育の体験をしたり、介護体験、保育体験をしっかりボランティアで体験をする、そして、障害者も高齢者もいたわり合い、支え合って生きていくことの重要性をもっと体験できるようなシステムを確立していくことが必要だろう、このように思っております。  もう一点は、武山委員自身、アメリカでの生活が長くて、本当に市民の間にボランティアが定着していることを痛感されてきたんじゃないかと思うのですが、私自身も、一カ月ほどですが、十年前に生活をして、そのときすごく感じたのは、例えばちょっとスピード違反だとかそういう軽犯罪は、罰金じゃなくてボランティアで十時間とか二十時間とかという形で罰を払う、結構それを通してボランティアの重要性を体験するようになっている人が多いということを見たり聞いたりいたしました。  日本も道路交通法で若干その辺の制度が取り入れられておりますけれども、まだまだ本格的にはなっていないんじゃないかと思いますので、こうした問題についても、もっと積極的にボランティアが市民の生活に根づくようにしっかり努力をしていく必要があるのではなかろうか、このように思っております。
  125. 武山百合子

    ○武山委員 アメリカでは、職業生活のほかに、地域社会で、また、自分の技能を生かせる形で社会に貢献する。ほとんどの国民が、そういう社会貢献に対する考え方が大変強く、特にいわゆるエリートとみなされているような人たちは自分の務めとして生活の中に取り込んでいるわけですね。  それに引きかえ日本社会では、まだまだ、週末になっても会社人間の枠を踏み出すことができない方もおり、また、社会活動への参加を軽視する風潮もあるわけです。これでは、社会全体の協力、連帯感はまず生まれてこないですし、結局、いろいろなハンディキャップのある者が取り残されてしまうような状態がまだかなりあると思うのですね。この辺のことについてぜひ大臣考えをお聞きしたいと思います。
  126. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 アメリカなりヨーロッパなどに比べまして、宗教的な問題であるとか歴史的な問題、生活、風土、こういう点で、ややもすると日本はまだボランティアに対する積極的な取り組み方がやや希薄ではないか、こういうふうに言われておるわけでございますけれども、私は、阪神・淡路大震災のときに大変大勢の皆さん方がボランティアとして参加をなさったことに対しまして大変共鳴をいたしたような次第でございます。特に、最近、福祉活動に対しましてボランティアに参加する方が大変ふえてきておるわけでございます。  卑近な例で恐縮でございますけれども、先日も、私の先輩でございますけれども、旧国鉄の役員までお務めになった方が、要するに自分の残された人生をボランティアに尽くしたいということでございまして、堀田さんのさわやか福祉財団を御紹介申し上げたわけでございますけれども、国民の皆さん方お一人お一人がこういったボランティアを通して生きがいを感じることは大変重要なことではないか、こう考えておるような次第でございます。  最近、退職者や主婦などでボランティア活動に取り組む人たちが増加しているわけでございますけれども、一方におきまして、大都市に勤務するサラリーマンの方にあっても、いわゆるボランティア休暇制度を導入するような企業も大変目立ってきておるわけでございます。ですから、単に意識の改革もさることながら、社会全体でこういったボランティアというものを育成していくことが何よりも必要なことではないか、こう思っておるような次第でございます。そして、今後、地域での社会活動が促進されまして、障害のある方も障害のない方も、連帯感を持った地域社会をつくり出していくことが何よりも大切である、このように考えているような次第でございます。
  127. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、時間ももうなくなってきてしまいまして、福祉サービスの質の向上についてちょっと尋ねたいと思います。  先日の参考人質疑の中で、サービスの質の確保について行政監査で行われているということでしたけれども、行政の行う書類審査では実際のサービスの質の向上はまず担保されないと思いますね。それで、サービス利用者の側からの意見、第三者によるサービスの質の評価がやはり大事だと思いますけれどもサービスの質の向上のために実効性をどう担保するのか。サービスの質の評価というものが大変大事だと思いますけれども、このサービスの質の評価に対して厚生大臣考え方をお聞きしたいと思います。
  128. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まさに委員が御指摘のように、今後、こういったサービスの質の確保というものが大変重要である、このように認識をいたしておるような次第でございます。  まず、介護保険の関連につきましては、私がドイツで介護保険を視察いたしまして、苦情に至る事態を未然に防止することであるとか、利用者のちょっとした不満であるとか疑問に対しまして、いわゆるお年寄りというのはなかなか言い出しにくいわけでございまして、介護相談員というものを設けて問題の提起、解決を図っていく。こういうような事業者利用者の橋渡し的な役割を果たすことが必要ではないかということでございまして、今二十カ所ぐらい手を挙げてきておるわけでございますが、将来はこういった介護相談員というものを千人ぐらいにふやしていきたい、こう考えておるような次第でございます。  それから、今回の社会福祉事業法の改正に当たりましても、利用者からの意見をサービスの質の向上に結びつけるために、施設内や都道府県社会福祉協議会に外部の第三者を交えました苦情解決の仕組みというものを現在検討、準備をいたしておるような次第でございます。  いずれにいたしましても、私は、施設の場合は特に開かれた施設にしていかなければならない、そういう中において質が確保されるのではないかと考えているような次第でございますし、委員が御指摘のような第三者機関によりますサービス評価の事業を含めまして、さまざまな形で質の確保のために最善を尽くしていく決意でございます。
  129. 武山百合子

    ○武山委員 最後になりますけれども、まとめとしまして、自由党は、今回の法案は障害者自立、参加を促進するものでありますので賛成でありますけれども、この基礎構造改革の推進のためには、障害者、健常者、両方の努力によって共生できる社会づくりというものを進めていくことが最も大事なことだと思います。  最後に、厚生大臣に、これからの福祉社会のあり方についての青写真をぜひお示しいただいて、私の最後の質問といたします。
  130. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今後の社会福祉におきまして最も大切なことは、国民全体を対象にいたしまして、社会連帯の考え方に立ちまして、障害のある方もその能力を十分に活用できるような環境づくりというものが大切だ。そのために、障害のない方においても十分にいたわり、思いやりという気持ちを持って、要するに障害のある方が個人としての尊厳を十分に持って家庭や地域の中で安心して生活ができることが何よりも大切なことではないか、このように考えているような次第でございます。  政府といたしましても、住宅であるとか雇用であるとか交通機関など、幅広い分野におきまして障害者方々社会参加促進されるように関係省庁と協力して取り組んでいるところでございますけれども、私ども厚生行政を預かるものといたしまして、真の意味でのノーマライゼーションが実現するように、今後とも最善の努力をしていく決意でございます。
  131. 武山百合子

    ○武山委員 以上です。ありがとうございます。
  132. 江口一雄

    江口委員長 中川智子さん。
  133. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合を代表して、質問をさせていただきます。  今回のこの社会福祉事業法の一部改正は、五十年ぶりの改正、そしてまた、中身が措置から契約にということで、きっちりとした議論と、再度確認をするような中身の質問をしたいと思います。  まず最初に、厚生大臣にお伺いいたします。  措置制度から利用契約制度へと移行する前提として、それに伴ったサービスメニューが充実していることが前提なのですが、まだまだ障害者プランもすべて終えていないという状況があって、幾らよりよいサービスをと、そして、利用者地域の中で生き生きと生きていくためにこういうものが欲しいと思っても、それがなければ——介護保険ではよく皆さん口癖のように、保険料払って介護なし、サービスなしというような言葉がこの委員会でも乱れ飛んだわけなんですが、そんなふうにならないために、現行の障害者プランを前倒しして、サービス量の目標引き上げた形で新障害者プランの作成がぜひとも必要ではないかというふうに考えます。  障害者プランの前倒し、そして、その上にきっちりと充実させるための新障害者プランの策定が必要だというふうに考えますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  134. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 障害者プランの前倒しの件だと思いますけれども、これにつきましては、平成十四年度の目標の達成に向けまして、現在、施設在宅両面にわたりましてサービス基盤整備を着実に進めておるわけでございます。  率直に申し上げて、身体障害者の療護施設のように、平成十年度の予算に対しましてもう既に一〇二%の整備をされているところもございまして、こういったところは関係市町村の御理解によって順調に進んでおるわけでございますけれども、一方で、例えば身体障害者に対する相談支援事業などは、平成十年度の予算におきまして残念ながらまだ六六%程度しか整備されておらないわけでございまして、必ずしも順調に整備されていない、こういうことでございます。  御案内のように、これはすべてそうでございますが、あくまでも市町村が中心となってこういうような事業を行っていただいて、都道府県が御支援をする、こういうような仕組みでございまして、私どもといたしましては、前倒しも結構でございますしあれなんでございますが、平成十四年度の目標に向けてまず基盤整備充実、推進を図っていきたい、このように考えているような次第でございます。
  135. 中川智子

    ○中川(智)委員 まずそこのところをやっていくということですけれども、今私が要望いたしましたのは、それの早期の達成ということと同時に、新障害者プランをもう一度きっちりつくって前に進んでいくべきではないかということに対する御答弁は。
  136. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ですから、先ほどから申し上げておりますように、すべてのこういうような施設におきましては、まず市町村が手を挙げていただかなければならない、住民の皆さん方ニーズに応じて。そういう意味において、私ども市町村に対しまして御理解をいただきますように最善の努力をしていかなければならないわけでございますが、率直に申し上げて、こういった問題について必ずしもすべての市町村が御理解をいただけない面があるわけでございます。  これは、障害者プランだけではなくて、今回の介護保険の導入に伴います地域間の格差の問題もこの場におきましてさまざま申し上げたわけでございますけれども、そういった意味において、私どもは、地域から要望があれば、できるだけその要望に沿うように努力をしていくということがまず何よりも先決ではないか、このように考えているような次第でございます。
  137. 中川智子

    ○中川(智)委員 これは、やはり地域間格差をなくしていって、この日本に住んでいる限り必要なサービスがきっちり受けられることが前提でこの法律改正というのは生きていくと思います。ぜひとも附帯決議の中に障害者福祉サービス拡充、そして、市町村格差をなくしていき、行政がそれを指導し、いろいろな障害を持っている方たちが生活しやすい状況をつくっていくということを盛り込んでいただきたいという要望をあわせてさせていただきます。  次に、炭谷社会・援護局長に伺いたいのですけれども地域福祉権利擁護制度や苦情解決のシステムを確立するために、前の委員会でもこのことについて要望いたしましたけれども、NPOなどの取り組みや活動を積極的に支援して、連帯を強化することが必要だと強く思っております。社協を中心とするのではなくて、地域住民や当事者代表を加えた第三者機関としての性格を明確にすべきだと思うのですが、このNPOなどの取り組みの支援、そして、その連帯が重要だということに対してのお考えを聞かせてください。
  138. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 まず、地域福祉権利擁護事業についてでございます。  社会福祉協議会にお願いいたしておりますのは、全国あまねくこの事業が実施できるようにということでございまして、法律上はこの事業は第二種社会福祉事業として位置づけられておりますので、私どもといたしましては、社協以外に、先生おっしゃいましたNPOとか障害者の家族の会などに幅広くこの事業に参加していただくということを強く期待いたしております。  第二番目に、苦情解決の問題でございます。  苦情解決につきましては、第一義的には事業者段階で解決をしていただくということにしておりますが、この場合におきましても、外部の第三者を交えて、事業者利用者との間での解決が望ましいと考えておりますので、この第三者としては、地域の実情に通じたNPOとか民生委員方々になっていただくことも期待いたしているわけでございます。  また、この事業者段階での解決が困難な苦情につきましては、都道府県社会福祉協議会に設置される運営適正化委員会で相談やあっせんを行うことにいたしておりますが、その委員の選任については、住民や福祉サービス利用者を初め、幅広い関係者の意見を反映するよう定めることにいたしております。  このようなことから、権利擁護制度や苦情解決制度が効果的に運用されるためにも、NPOなど利用者立場に立った方々の積極的な活動が期待されると考えております。
  139. 中川智子

    ○中川(智)委員 局長にちょっと今の点に関連して伺いますが、期待しているという言葉が何度も出てきたわけですけれども、システムとしてきっちり入って、それを支援していく体制は厚生省の方でちゃんと考えているのでしょうか。
  140. 炭谷茂

    炭谷政府参考人 私どもといたしましては、まず地域福祉権利擁護制度につきましては、法律上、今回新たに他の団体、先ほど申しました団体も参加できるように制度の道を開いております。また、今後これについてどのように、例えば具体的に言えば財政的な支援ということもあろうかと思いますけれども、このような問題は今後の検討課題になろうかというふうに思っております。  また、苦情解決につきましての運営適正化委員会につきましても選考委員会を形成することにしておりますけれども、その選考委員会のメンバーを選定する際におきましては、住民の代表、利用者の代表の意見も反映できるように、この意見を聞いて選ぶようにというような規定を定めるというふうにシステム化する予定でございます。
  141. 中川智子

    ○中川(智)委員 わかりました。そこのところは、期待するというような形ではなくて、積極的にそのことを前提としてちゃんと枠組みをつくっていくことをぜひともお願いしたいと思います。  次に、大野総括政務次官に伺いますけれども、今話がございました地域福祉権利擁護制度や苦情解決制度につきましては第三者機関が行うという性格を明確にすべきだと思いますが、そのような性格として位置づけられているでしょうか。
  142. 大野由利子

    大野(由)政務次官 地域福祉権利擁護事業の適切な運営を確保するために、また、事業者段階の解決が困難な場合に苦情を適切に解決する機関として運営適正化委員会を設置する、先ほどの局長の答弁にあったところでございますが。  この運営適正化委員会の業務は中立公正に行われることが必要でございますので、運営適正化委員会は、事務局は都道府県社会福祉協議会に置きますが、社会福祉協議会の指示を受けるのではなくて事務局を置くだけで、社会福祉協議会から独立した運営を行う第三者機関としております。  また、委員の選任につきましても、先ほどの答弁とちょっと重なりますが、幅広い関係者の意見を聴取いたしまして、手続の透明性が確保できるように、選考委員会に関する規定を設けて、その同意を要することを政省令で規定する予定でございます。  もう一度繰り返しますと、選考委員会委員については、当事者を含む関係者の意見を幅広く聞いた上で、福祉サービス利用者を初め多様な分野から選任をする。そしてまた、運営適正化委員会委員の選任に当たっては、この選考委員会同意を必要とする。こういう運営適正化委員会委員の選考には幅広い関係者の意見を反映させまして、適正に、公正に運営をされるようにしてまいりたい、このように思っております。
  143. 中川智子

    ○中川(智)委員 わかりました。  最後に大臣に伺いますけれども、今回の改正は五十年ぶりで、混乱というかこんなはずじゃなかったとか、いろいろ出てくることが十分考えられますが、見直し規定につきましては、十年ごとということではなくて、一定期間経過したら必ず見直すということをできれば法文上明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  144. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の改正におきましては、現場の準備状況などから一定の要望がございまして、障害者福祉サービス措置から契約に変わるということで、いわゆる利用制度化というものが実は平成十五年から施行する、こういうような経緯がございます。施行後十年経過した場合において施行状況に検討を加えるということは、そういうような経過から平成十五年からということでございます。そういうことでこのような措置を講じたいきさつがあるということを、まず御理解いただきたいと思っております。  ただ、御案内のように、十年というのは余りにも長過ぎるではないか、こういうような御意見も私もごもっともな考え方だと思っておるわけでございますし、必要に応じて見直しをするということについてはやぶさかでない、こう考えております。
  145. 中川智子

    ○中川(智)委員 必要に応じてということで、なるべく本当に短い、できれば五年ぐらいというふうな形で必要な検討、見直しを行っていただきたいと思います。よろしくお願いします。  それでは、質問を終わります。
  146. 江口一雄

    江口委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  147. 江口一雄

    江口委員長 この際、本案に対し、安倍晋三君外二名から、自由民主党、公明党・改革クラブ及び保守党の三派共同提案による修正案が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。安倍晋三君。     —————————————  社会福祉増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  148. 安倍晋三

    ○安倍(晋)委員 ただいま議題となりました社会福祉増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、公明党・改革クラブ及び保守党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  趣旨の要旨は、議案において「平成十二年四月一日」となっている施行期日を、「公布の日」に改めることであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  149. 江口一雄

    江口委員長 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  150. 江口一雄

    江口委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。瀬古由起子さん。
  151. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、社会福祉事業法等の一部改正案について反対の討論を行います。  本法案の第一の問題は、憲法二十五条に基づき定められている社会福祉事業法基本理念から実施主体たる国、地方公共団体を削除し、福祉推進の責任を地域住民や福祉事業経営者等に転嫁して、国に課せられた普遍的責務を大幅に後退させていることです。  公的責任と表裏の関係にある措置制度を廃止し、事業経営者と障害者利用契約によって福祉サービス提供するという仕組みを導入することで、国や地方公共団体は、直接に福祉措置に責任を負う立場から、福祉市場の需給調整役ともいうべき立場に変わり、公的社会福祉の根幹を大幅に後退させるもので、到底認められるものではありません。  第二は、施設設備、人材の大幅な不足により、障害者福祉そのものが後退するおそれが大きいことです。  質疑の中でも明らかになったように、全自治体の六割に法定施設は皆無であり、障害者七カ年計画もあと二年という今になっても、プランの策定見込みのない自治体は七百六自治体あります。しかも、数値目標のあるものは八百十五の自治体にすぎません。肢体障害者の更生施設は全くない県が十三県にも及んでいます。施設の著しい不足は介護保険の比ではありません。多数の待機者があるにもかかわらず調査もせず、待機者解消の計画すら策定されていないのが実態です。  しかも、二百五十万人を超える知的・精神障害者福祉の権利を擁護するためには、常時、契約がスムーズに保障される体制が必要です。しかし、支援員に予定されている有資格者は数万人にすぎず、契約すること自体に大きな困難が予想され、多くの障害者にとって支援費そのものが支払われない可能性が大です。これでは、利用者本位制度どころか、事業者利用者である障害者に、対等な関係での契約選択の自由などは期待すべくもありません。  第三は、障害者の居宅支援事業に営利企業の参入を認め、支援費制度導入に伴う社会福祉法人の会計制度の変更などにより、すべての福祉分野に市場原理を貫く総仕上げ法案ともいうべきものになっている問題です。  利益の上がらない障害者や、支援費を超える福祉が必要な障害者、あるいは経済力の低い障害者が逆選別され、福祉から排除されるおそれが大きいことです。また、非営利で築いてきた弱小な福祉法人などが、競争原理に巻き込まれ倒産するおそれや、労働条件の悪化、サービスの質の低下も懸念されます。  第四は、小規模作業所の認可要件を改定しながら、支援費支給対象から外し、差別的に処遇することは容認できません。行政に放置されてきたとも言える、重度障害者らの福祉を守ってきた小規模作業所等に、ふさわしい処遇をするのは当然です。  以上が、本法案に反対する主な理由です。  障害者やその家族が願ってやまない、経済的、社会的、文化的及びあらゆる分野に他の市民と同等に完全参加し、地域で、家庭で必要とする福祉を受ける権利が保障され、人としての尊厳が尊重される社会、他の市民と平等に生きる権利が保障される制度を国の責任において実現することは、余りに当然なことと言わなければなりません。  日本共産党は、国民とともに力を合わせ、障害者の完全参加と平等が達成されるまで全力を尽くす決意を表明し、本法案の撤回を要求して、討論を終わります。
  152. 江口一雄

    江口委員長 以上で討論は終局いたしました。     —————————————
  153. 江口一雄

    江口委員長 これより採決に入ります。  社会福祉増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、安倍晋三君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  154. 江口一雄

    江口委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  155. 江口一雄

    江口委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  156. 江口一雄

    江口委員長 この際、本案に対し、安倍晋三君外六名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党、社会民主党・市民連合の六派及び笹木竜三君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取いたします。土肥隆一君。
  157. 土肥隆一

    ○土肥委員 私は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党、社会民主党・市民連合及び笹木竜三君を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     社会福祉増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について適切に措置すべきである。  一 本法の施行に当たっては、これまでの措置制度の功罪を十分に認識し、改革の理念である自立支援基本において、事業者と対等な関係に立って利用者自らが福祉サービス選択し決定できるよう、利用者社会福祉事業者等の関係者への啓発と周知徹底を図ること。特に、福祉サービス利用援助事業、苦情解決制度、情報の提供及び公開等の利用者サービス利用支援するための仕組みが効果的かつ適切に機能するよう、社会福祉事業者への指導に努めること。また、市町村都道府県利用者に対する斡旋、調整、利用の要請を適切に行えるよう、その環境整備を図ること。  二 障害者福祉サービスにおける支援費支給方式の導入に当たっては、障害者サービス利用に支障をきたさないよう、指定事業者に応諾義務を課すなど必要な措置を講じるとともに、代理受領による方式の運用状況をみた上で、バウチャー方式を含め支給の在り方について検討を行うこと。  三 利用者負担については、介護保険との関係を整理した上で、応益負担を加味した制度への移行も含め、その基本的在り方の検討を行うこと。また当面、在宅福祉サービス利用する二十歳以上の障害者の自己負担算定に際し、扶養義務者を加えることの是非について検討すること。さらに低所得者の負担については現行水準を上回ることのないよう十分配慮すること。  四 都道府県社会福祉協議会が実施する福祉サービス利用援助事業については、権利擁護の充実観点から、NPOやボランティア団体などできる限り多様な主体と提携を図って柔軟な体制で実施されるよう指導するとともに、成年後見制度との連携を図るよう努めること。  五 都道府県社会福祉協議会に設置される運営適正化委員会の業務が公正、中立に行われるよう、苦情解決担当委員の選任に当たり、利用者の代表を委員にするなど、利用者等の意見が反映できるようにすること。  六 福祉サービスの質の向上を図るため、社会福祉士、介護福祉士及び社会福祉主事について、福祉をめぐる諸条件の変化に即応して、それぞれ福祉専門職として期待されている役割を果たすことができるよう、適切な養成・確保に努めるとともに、社会福祉施設職員について、勤労条件等の改善、養成力の強化、潜在マンパワーの就業の促進を図ること。  七 サービスの質の向上のため、利用者の意見を反映した客観的評価基準の策定に努めるとともに、第三者機関や評価システムの構築に努めること。  八 社会福祉法人に対する規制及び助成については、公益法人、住民参加型民間団体、民間企業等他の事業主体との適切な競争が行われる条件の整備に十分配慮しつつ、社会環境の変化に応じた弾力的運営を図っていくこと。  九 小規模作業所の法定施設への移行に当たっては、地域の実情を踏まえ、円滑に移行が行われるよう、運営の安定化に向けた財政的支援に十分配慮すること。  十 さまざまな需要に応える多様な民間サービス提供主体の参入が促進されるよう環境整備に努めること。  十一 幅広い国民の社会福祉に関する活動への参加を促進するため、NPOやボランティア活動等の住民参加型福祉サービスが円滑に行われるよう基盤整備づくりを推進すること。  十二 地域福祉計画の策定に当たっては、各福祉分野における個別計画との整合性に留意することとし、地域におけるサービス提供基盤の整備や保健・医療・介護分野との連携システムを確立するため、数値目標設定も視野に入れ、全市町村が速やかに策定できるよう、地方分権の趣旨を踏まえつつ、財政的、技術的な支援を講じること。  十三 地域福祉を推進するため、社会福祉協議会は、地域住民の意向を的確に反映することができるよう広く住民の参加を求め、組織の強化、運営の適正化を図ることにより、その活動の一層の充実に努めるとともに、他機関・団体との積極的な連携により、必要に応じた福祉サービス利用が容易にできる地域環境づくりを進めていくこと。また、民生委員・児童委員については、地域における住民の多様な要望に応えられるよう、市町村との連携を図りつつ、年齢構成等その任命の在り方について配慮するとともに、委員に対する研修の強化を図ること。  十四 福祉サービス提供体制の確保等に関する国及び地方公共団体の責務が明確化されたことを踏まえ、利用者の多様な選択を可能にするよう、障害者プランの確実な推進を図るとともに、必要に応じてその見直しを行うなど、障害者福祉サービスの一層の拡充に努めること。特に、遅れの目立つ居宅生活支援事業、デイサービス事業及び居宅介護支援事業等の在宅サービス充実を図ること。  十五 障害者自立促進するため、所得保障及び雇用確保の在り方について速やかに検討を進めること。  十六 社会福祉基礎構造改革を踏まえた今後の社会福祉の状況変化や規制緩和、地方分権の進展、介護保険の施行状況等を踏まえつつ、介護保険制度の施行五年後を目途とした同制度全般の見直しの際に、介護保険サービスを行う社会福祉事業や養護老人ホーム等今回法改正の対象とならなかった社会福祉事業の在り方、障害者に対するサービスの在り方及び生活保護の在り方について、十分検討を行うこと。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  158. 江口一雄

    江口委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 江口一雄

    江口委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣
  160. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重いたしまして、努力いたします。     —————————————
  161. 江口一雄

    江口委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  163. 江口一雄

    江口委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後零時五十三分開議
  164. 江口一雄

    江口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  浄化槽法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来各会派間において御協議いただき、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしてございます。  その起草案の趣旨及び内容について、委員長から簡単に御説明申し上げます。  本案は、多量の雑排水が処理されないまま放流されている現状にかんがみ、生活環境の保全及び公衆衛生の向上の観点から、今後設置される浄化槽をすべて合併処理浄化槽とし、合併処理浄化槽で処理した後でなければ雑排水の放流をしてはならないものとするために必要な措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、浄化槽の定義からし尿のみを処理する浄化槽を除外すること。  第二に、何人も、し尿を処理して終末処理下水道以外に放流するための設備等として、浄化槽以外のものを設置してはならないものとすること。ただし、下水道の予定処理区域内については、この限りでないものとすること。  第三に、この法律は、平成十三年四月一日から施行すること。  なお、既存の単独処理浄化槽について所要の措置を設けるとともに、既存の単独処理浄化槽を使用する者は、合併処理浄化槽の設置等に努めなければならないものとすること。  以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。     —————————————  浄化槽法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  165. 江口一雄

    江口委員長 この際、お諮りいたします。  本起草案について、本日、政府参考人として厚生省生活衛生局水道環境部長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  167. 江口一雄

    江口委員長 本起草案について発言を求められておりますので、順次これを許します。五島正規君。
  168. 五島正規

    ○五島委員 今回のこの浄化槽法の改正案は、これまでございました単独浄化槽という形を改めまして合併浄化槽にしていくという、その趣旨については賛成でございます。  ただ、問題は、この法律の中におきまして、現在の単独処理浄化槽は法施行後においてもこの法律に基づく浄化槽として認めるというふうになっているわけでございます。  現在、単独処理浄化槽というのは全国で約七百三十六万ある。それに対して合併浄化槽は約百万である。すなわち、圧倒的多数が単独浄化槽として現在存在している。この単独浄化槽を速やかに合併浄化槽にかえていくということがされない限り、今日問題になっております環境の問題あるいは河川の水質の改善の問題といったような問題が解決つかない。  そういう意味において、現在の合併浄化槽の約七倍を持っている単独浄化槽を今後できるだけ速やかに合併浄化槽にかえていく努力は必要と思われるわけでございますが、政府は、この法案が通った後、そうしたことについて具体的に一定の期限を持って計画的に処理されるお考えがあるかどうか、そのことを一つお伺いしておきたいと思います。  あわせまして、時間も余りないわけでございますが、もう一点お伺いしておきたい点がございます。  現在、下水処理の問題につきましては、あのばかげた流域下水道の問題は別にいたしましても、建設省が主管しております都市下水道、あるいは農水省が主管しておりますところのいわゆる農村集落排水事業、そして厚生省が主管しているところのコミュニティープラントあるいはこの合併浄化槽というものが、それぞれ省庁の縦割りによってばらばらに存在しています。  しかし、合併浄化槽の問題を考えるとき、再度考えてみた方がいいと思う点が幾つかございます。よくあるわけでございますが、農村集落排水事業で、非常に配置距離の遠いところをこうした農村集落排水事業という形でやっていくのはコストパフォーマンスの面からいっても非常に問題がある。むしろ、そういうところは合併浄化槽で処理をしていくことが必要でしょう。  そういう意味において、これまでのこういうさまざまな浄化槽の処理の問題をもう少し具体的に、その範囲とする面積と人口、家の数によって、あるいは何によって処理していくことがより効率的であるかということを各省庁はもう一度突き合わせて検討すべき時期に来ているのではないかというふうに思うわけでございます。  また、都市におきましても、都市下水道については供用開始までの時間が非常にかかってしまって、そのために、現実には下水道処理がおくれている地域においては合併浄化槽を次々とつけていかなければいけないという話が枚挙にいとまがありません。そういうふうな地域においては、むしろ人口一万から五万ぐらい、とりわけ地方都市においては人口一万から三万ぐらいの単位でもってコミュニティープラント方式で処理をしていくことの方が先行されるべきであって、何か都市下水の計画はあるけれどもそれが供用開始まで非常に時間がかかるために合併浄化槽をせざるを得ないというふうな問題点についてどうお考えになるか、この二点についてお伺いしたいと思います。
  169. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 まず、単独浄化槽の転換の問題でございますけれども、今回の改正案が成立すれば、合併処理浄化槽の原則新設義務化が達成され、今後は、既に設置されている単独処理浄化槽の合併処理浄化槽への転換が大きな問題となるというのは御指摘のとおりだというふうに認識しております。そのため、今回の改正案におきましても、単独処理浄化槽の転換についての努力規定を盛り込んでいただいているものでございます。  既設の単独処理浄化槽の転換につきましては、これは個人負担が大きくて進みにくいという問題があることから、私ども、今現在持っております補助事業であります特定地域生活排水処理事業の枠組みを一層活用するなどによりまして、計画的な転換が進むように努めてまいりたいと考えております。  また、二点目の生活排水処理施設の効率的な整備という点でございますけれども、合併処理浄化槽等の生活排水処理施設整備に当たりましては、それぞれの事業の特性がございますので、この特性を踏まえまして市町村において生活排水処理計画を策定し、効率的、計画的な整備を図るとともに、国のレベルでは建設省、農水省とも連携の上、都道府県におきまして汚水処理施設整備に係る都道府県構想の策定を求めているところでございます。  今後とも、関係機関と十分な連絡をとりながら、効率的、計画的な整備促進に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  170. 五島正規

    ○五島委員 まだ若干時間がありますので申し上げておきたいと思いますが、現在の単独浄化槽は、この法律においては努力義務としてありながらも、この法律で定めるところの浄化槽として認めていくわけでございます。これをかえていくについては、やはり新規の合併浄化槽の整備と同じような形での補助事業としていかない限りは、これはとても進まない。しかも、その場合も、現在既に一対七ぐらいの割合で単独浄化槽が多いわけでございますから、その予算措置というものはかなりきちっとやっていかないと進まない。そのことについて努力をお願いしておきたいというふうに思います。  また、各省庁がそれぞれの特性に応じて協議してとおっしゃいますが、現実問題、これまでこうした問題がほとんど協議されないままに来ているのは事実で、御承知のとおりでございます。そういう意味におきまして、農村地域であろうとも、合併浄化槽で処理する方が圧倒的にコストパフォーマンスがいいところはそれをやっていくし、場合によっては都市下水道、コミュニティープラント、あるいは農村集落排水事業、そういうふうなものの最終端末プラントが一体としてつなぐことすら可能であるような形態としてこれが運用されていかないと、何をやっているのかわからない、一向に進まない状況になるというふうに思うわけですが、その点について再度お伺いして、私の質問を終わります。
  171. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 現在は、新設の合併処理浄化槽につきましては国庫補助制度がございますが、転換につきましては、新設に相当する部分だけが補助の対象になっておりまして、いわゆる撤去分について補助対象になっていないという問題がございます。それが単独から合併への切りかえが進まない一つの理由だと思いますが、その辺のところの財政措置につきましてはどういうことがあり得るのか、検討させていただきたいと思います。  それからまた、他の事業との調整の問題ですが、建設省、農水省と厚生省との間で既に連携の枠組みができております。今先生の御指摘のような点も十分頭に入れまして、さらに連携を深めていきたいと考えております。
  172. 五島正規

    ○五島委員 これで私の質疑を終わります。
  173. 江口一雄

  174. 児玉健次

    児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  委員長の提案に対して発言の機会を得たことを感謝します。  私は北海道ですから、山間ないしは海浜にごく小規模な部落、時には数戸の部落がある、そういう地域であるだけにこの問題は非常に重要です。  最初に、岡澤部長にお尋ねしたいのは、浄化槽の新設基数を見ますと、その比率ですが、平成六年、九四年度、六九・五対三〇・五、最初に言っているのは単独浄化槽です、約七対三ですね。それが、平成十年度、九八年度、一昨年ですが、五一・三対四八・七%と、依然として単独処理浄化槽の方が幾らか過半数を上回っている。昨年はどうだったか、その点をお示しいただきたいと思います。
  175. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 合併処理浄化槽の新設率でございますけれども平成十年度は、今御指摘のとおり、四八・七%でございました。平成十一年度につきましては、四半期ごとに統計をとっておりますが、そのうちの第一・四半期では五五・七%、第二・四半期では六五・七%、第三・四半期では七〇・九%という数字になっております。現在、十一年度の第四・四半期につきましては、集計作業を行っている最中でございまして、まだ確定した数字が出ておりませんけれども、第四・四半期につきましてはさらに大きな比率になっているものと思いますし、十一年度全体で見ても、十年度の約五〇%というものをかなり上回っているのではないかというふうに考えております。
  176. 児玉健次

    児玉委員 合併浄化槽の方が環境を維持するという点ではるかにすぐれているというのは、はっきりしています。  そこで、合併処理浄化槽に対する補助が設置費用の四割、そして、その四割の中で国の補助は三分の一、設置費用全体の一三・三%でしかありません。公共下水道の建設についていえば、二分の一を国が補助しているわけですから、この差が大きい。その点を埋めていく必要があるんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  177. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 厚生省では、合併処理浄化槽に対する国庫補助制度を昭和六十二年に創設しているわけでございますけれども、ただいま御指摘のとおり、全体の設置費用のうち四割ぐらいを補助対象にしている。これは、合併処理浄化槽を新設する際に、大体百万円ぐらいかかります。一方で、単独処理浄化槽を設置する場合には六十万ぐらいかかる。その差額が四割ぐらいに相当しますので、その差額を補てんするという考え方で補助をしているわけでございます。  これは、その差額相当分につきまして市町村が補助する場合に、その市町村負担分に対して国が補助するということになっておりますので、需要者の負担としては、合併処理浄化槽を設置する場合であっても、単独処理浄化槽を設置するのと変わらない負担で設置できるということでございます。  私ども、この制度を創設した後も、市町村が設置主体となる場合には、補助対象額を合併処理浄化槽設置費用の全体とするような特定地域生活排水処理事業というような仕組みを設けておりますし、また、高度処理型の浄化槽についても補助を行うなど、国庫補助事業の拡充に努めてまいったところでございます。  また、今後、現在ありますこうした国庫補助制度の一層の活用、拡充を図りまして、計画的に単独処理浄化槽の合併処理浄化槽への転換というものを促していきたいというふうに考えております。
  178. 児玉健次

    児玉委員 その転換の問題なんですが、既存の単独処理浄化槽は耐用年数が約三十年程度、それを過ぎた部分がかなり出てきている。撤去に十数万円の費用がかかる。今回の改正で既存の単独処理浄化槽設置者に対しては合併処理浄化槽設置を努力義務として求める以上、これまでの単独処理浄化槽の撤去費用についても何らかの国の補助が必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  179. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 先ほども申し上げましたように、現在の補助制度では撤去費用についての補助が行われていないわけでございまして、そのことが単独処理浄化槽の合併処理浄化槽への転換をおくらせているというふうな御指摘もあろうかと思います。  私どもも、単独処理浄化槽を合併処理浄化槽に切りかえていくための行政的な措置あるいは財政的な措置について、どういうことがあるかあるいは望ましいかということについて十分検討させていただきまして、適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  180. 児玉健次

    児玉委員 最後ですが、その適切な措置をぜひ実現していただかなければいけないのだけれども、全体の財政の仕組み考えてみますときに、この事業に対する国の補助は、平成十年、九八年で百五十七億円、昨年の段階で百六十五億円、ことしの予算で百六十七億円、ほとんど動いていませんね。この法律が成立することを契機に、やはり国の補助についても引き上げについて積極的な努力をしていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  181. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 私どもとしては、先生がおっしゃることはよく理解できますし、できるだけそういう方向で、少しでも実現するように頑張ってまいりたいと思います。
  182. 児玉健次

    児玉委員 ありがとうございました。発言を終わります。
  183. 江口一雄

    江口委員長 以上で発言は終わりました。  この際、お諮りいたします。  お手元に配付いたしております草案を浄化槽法の一部を改正する法律案の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  184. 江口一雄

    江口委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  186. 江口一雄

    江口委員長 次に、内閣提出廃棄物処理及び清掃に関する法律及び産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。丹羽厚生大臣。     —————————————  廃棄物処理及び清掃に関する法律及び産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  187. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいま議題となりました廃棄物処理及び清掃に関する法律及び産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国においては、いわゆる循環型社会を実現するため、廃棄物の減量化を促進し、安全で適正に廃棄物処理することができるような体制を整備することが大きな課題となっております。他方、廃棄物を適正に処理するために必要な施設の設置が進まないことや、悪質な不法投棄など不適正処分が増大するなど、深刻な状況にあります。こうした状況を踏まえ、この法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。  第一に、都道府県知事は、廃棄物の減量その他その適正な処理に関する計画を定めなければならないものとし、国及び都道府県はその達成に必要な措置を講ずるよう努めるものとしております。  第二に、都道府県を中心に実施されている廃棄物処理センターについて、国または地方公共団体の出資に係る法人などを指定の対象とすることなどにしております。  第三に、主として民間の優良な産業廃棄物処理施設整備促進するため、一定規模以上の焼却施設、最終処分場などと共同利用施設などから構成される一群の施設について支援措置を講ずることとしております。  第四に、廃棄物処理業及び廃棄物処理施設の許可などについて、暴力団員であることなどを産業廃棄物処理業などの欠格要件に加えることとするなどとともに、廃棄物処理施設の譲り受けに許可制を設けることにいたしております。  第五に、産業廃棄物の発生から最終処分が終了するまでの処理が適正に行われるよう、産業廃棄物管理票制度見直しを行うこととし、これに違反した者、不法投棄などを要求した者などを原状回復などの措置命令の対象とするとともに、排出事業者などが適正な対価を負担していないときなどの場合には、措置命令の対象とすることにしております。  このほか、虚偽の産業廃棄物管理票の交付の禁止、廃棄物の焼却の禁止などの規定を設けるとともに、罰則の規定整備することにいたしております。  最後に、この法律の施行期日は、一部の事項を除き、平成十二年十月一日としております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     〔委員長退席、田中(眞)委員長代理着席〕
  188. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 以上で趣旨説明は終わりました。     —————————————
  189. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として防衛施設庁施設部長宝槻吉昭君及び厚生省生活衛生局水道環境部長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  191. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鴨下一郎さん。
  192. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 自由民主党の鴨下一郎でございます。  大臣、政務次官、大変お疲れさまでございます。  産業廃棄物処理に関しまして、いよいよこれから審議に入るわけであります。  今までは産業廃棄物というと、どうも非常にネガティブな印象ばかりで、例えば不法投棄、野焼きのようなもの、さらに焼却炉から出るダイオキシンの問題等を含めて、言ってみれば非常に迷惑施設の代表的なものというような印象だけでありました。  廃棄物内容を見ますと、産業廃棄物というのは、一番多いのは汚泥、動物のふん尿、例えば建築廃材のような瓦れき、鉱滓というような順番でありまして、ある意味では我々が生活や経済活動をしていく上で、言ってみれば必ず出てくるようなものでありまして、これを積極的にどう処理していくのか、このことが問われていたはずでありました。  残念ながら、今まで、年次的なことを追ってみますと、不法投棄の件数及び量は非常にふえてきている、さらに、その廃棄物処理施設の例えば新規の許可件数は減ってきているとか、最終処分場の残存容量等も非常に限られてきている。こういう中での法案審議でありますから、今回はより積極的にその廃棄物処理していくということなんだろうというふうに考えて、私は、非常に今回の法案を評価するところであります。  まず、この改正について、政務次官、どのようなお考えで立案されたのか、このことについてお答えをいただきたいと思います。
  193. 大野由利子

    大野(由)政務次官 我が国におきましては、いわゆる循環型社会を実現しまして、廃棄物の減量化を行う、また、ごみを資源に変えたりして安全で適正に廃棄物処理することができるような体制を整備するということが大きな課題であろうと思っております。  廃棄物を取り巻く現在の情勢は、今委員の御指摘にありましたように、不法投棄とかさまざまな問題があるわけでございますが、また、廃棄物を適正に処理するために必要な施設の設置が進まないことも問題の一つであろうかと思っております。  このような問題に積極的に対応するために、循環型社会を形成していくための基盤を盤石にし、地域づくりや環境づくりにも前向きに積極的に貢献できるようなシステムにしていく必要があるだろう、このように思っております。  このため、今般、廃棄物について適正な処理体制を整備し、不適正な処分を防止するため、必要な制度改正を行うことにしたところでございます。  具体的には、国、都道府県の役割を明確化したり、公共関与によって廃棄物処理施設整備を推進するようにしたり、施設許可等の規制を強化したり、また排出事業者の責任を強化して、現在の廃棄物問題の解決に向けた取り組みを着実にしてまいりたい、このように思っております。
  194. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今、工場なんかでもゼロエミッションの工場だとか、何かいろいろと工夫をされておりまして、私は、産業廃棄物の問題も今の先端的な科学技術があれば解決可能なのかなというふうにも考えております。特に、例えばさまざまな産業廃棄物を、それぞれの地域、県だとかある市では自分の出したものは自分処理していこうじゃないか、こういうような方向にだんだんなるべきでありますが、ある意味で今までは迷惑施設でありましたから住民の理解もなかなか得られない、さらに、そういう施設をつくろうと思えば、行政が仲介に入ってもなかなかうまく解決できない、こういうようなことがあったのだろうと思います。  ただ、私は、いろいろなところの施設を拝見していますと、例えば外国の優秀なプラントを入れて、ほとんどというか全くに近い形でダイオキシンだとか何かを出さない焼却システムというものがあったり、熱をその地域の人たちに還元したり、こういうようなことも含めて地域のためにもなるような形での処理施設というのが何か工夫できるのじゃないか、こういうふうに思っております。  例えば廃棄物処理でも、ただ燃やしてしまうというようなこととか、それを熱分解のガス化溶融方式みたいなものを使っていって、その中でもサーモセレクト方式というようなものもあるようでありまして、こうなるとほとんど煙も出ない施設が建設可能だということなんですけれども、残念ながらコストはある程度かかる。ですから、そのことを含めて、私は、今までのような焼却炉とは名ばかりのところでただ燃せばいいということじゃなくて、物すごく近代的な施設を積極的につくったらどうか、こういうふうに思っているのです。  これは、外国なんかにもいい例があると思いますし、日本でもそういうようなことを推進している市町村もあると思いますが、厚生省はその辺のところをどういうふうに把握して、そういうことに対して例えば財政的な補助だとかというようなことも含めてどんなお考えを持っているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  195. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 廃棄物の技術というのは非常に日進月歩で進んでまいっておるわけですけれども、特に最近注目されておりますような再資源化技術といたしましては、廃棄物の焼却灰等を溶融して路盤材等として再生利用する技術だとか、焼却灰等をセメント原料として再生利用する技術だとか、あるいは廃棄物を直接ガス化溶融する技術などが開発されて実用化されております。  さらに、今お話がありましたように、ドイツにおきましては、ごみを熱分解してガスや資源を回収する新しいシステムが開発されておりまして、我が国のメーカーでもこの技術を導入いたしまして、既に実証試験のレベルを終了した段階になっております。今春より産業廃棄物処理施設として本格的に稼働しているというふうに聞いております。  このような新しい処理技術によるごみの処理につきましても、私どもの持っております国庫補助の基準に照らして適合しておりますので、今後、市町村がそういうものを採択したいという要望があれば積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。  また、厚生省では、平成十一年度から次世代廃棄物処理技術基盤整備事業というものを創設いたしまして、民間企業等が行う先進的な廃棄物処理技術の実用化に向けた技術開発に対して助成を行っているところでございます。  今後とも、ダイオキシン類の排出の少ないごみの焼却技術だとか廃棄物処理のための先端的な技術の開発の促進に向けまして、この制度を活用して技術開発に努めるとともに、新たな技術情報の市町村への提供に努めてまいりたいと考えております。
  196. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 今のお答えの中にもありましたように、これからは、廃棄物処理というと、何かいろいろな有毒物質が出てくるというようなイメージではなくて、自分たちの出したものを、自分たちの経済活動の中で出てきたいろいろな廃棄物を、その中でむしろ積極的に処理しながらなおかつ有毒物質を出さないようなイメージ、そして、そういうような施設をどうつくっていくかというのがこの法律に問われていることなんだろうというふうに思いますので、ぜひ先端的な技術を積極的に取り入れて、しかも、そこに予算をしっかりつけていただきたい、このように思う次第であります。  それからもう一つは、ちょっと話は違いますけれども、例えばゴールデンウイークの行楽地なんかを見ていますと、若者たちがPETボトルを持って歩いていて、ポイ捨てする人は余りいませんけれども、残念ながら、植え込みの中だとか高速道路の中央分離帯なんかに空き缶だとか空き瓶だとかPETボトルがたくさん捨ててあります。こういうことを見ますと、単純にワンウエーボトルがいいのかどうかというようなことについて非常に疑問を感じています。  たまたまきのう新聞を見ていましたら、埼玉県の県庁で、空き缶のデポジットを仕組んだ自動販売機をつくって、それが稼働し始めたということで、なるほどなと思った。例えば私たちが子どものころは、ビール瓶を一本酒屋さんに持っていけば十円もらえたとか、世の中に転がっているごみを拾って届ければそれなりのインセンティブが働くというようなことがあって、皆さんが拾ってくれる。こういうようなシステムをもう一度つくったらどうかなというふうに思っています。  例えば諸外国なんかでも、PETボトルも少し強度を増せばリターナブルも可能だというようなこともあります。私は、そういうようなことでいうと、みんながごみを拾うような教育的な意味もあるし、環境を汚さないというようなこともありますし、資源を大事に使うというようなこともあって、メーカーだとか何かの多少の負担は仕方がないこととして、リターナブルな瓶もしくは容器を使いながらのデポジットに変えていったらどうかなというふうに思っているのです。  大野政務次官はずっと環境分野でいろいろとお仕事をなさってきて非常に専門家でいらっしゃいますから、厚生省の見解と大野政務次官御自身のお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
  197. 大野由利子

    大野(由)政務次官 先ほど委員が御指摘になりましたように、循環型社会に転換をしていくということは、最新技術の導入等も含めまして日本の産業構造を大きく転換をする大変なことであろう、このように思っております。  ただ、これが大量生産、大量消費、大量廃棄であったのではいささか問題があるのじゃなかろうか。そういう意味では、もっとリユースとかリデュースとかリサイクルとか、ごみそのものも減量化して限りなくゼロに近づけていく、そして資源に活用していく、こういう観点が必要であろうと思います。  また、今御指摘のPETボトルの問題ですが、確かに、PETボトルも缶とか古新聞などと同じように、今、缶や古新聞は全国的に資源として回収され再利用されてリサイクルシステムをつくり上げているわけですけれども、容器包装リサイクル法の円滑な実施に向けて最大限努力をしていかなきゃいけない。今、PETボトルにつきましては、まだまだ回収量よりもリサイクル能力が追いついていないという意味で、まだこのリサイクルシステムは問題がいろいろあるのじゃなかろうか、このように思っております。  そういう意味では、デポジット制を導入することも考えてはどうかという委員の御提案でございます。本当に、私は、社会の合意を得てそういう方向に行くのが望ましいし、そうしていくべきだ、こういうふうには思うわけですけれども、これはまず社会の合意を得ることが大前提でございますので、業者の皆さんの中には確保しておく場所がどうとか、また、消費者の側からも飲料容器として安全性はどうなのかとかいうふうな問題とか、回収のコストはどうなのかとか、さまざまな御意見があってその合意を得ることがなかなか容易じゃないなというのが現状でございます。  しかし、これも、今後さらに積極的に検討課題として取り組んでいくべき課題であろうと思います。国民の皆さんの中にも大きな関心を持っていただいて、この問題は今後積極的に重要課題として取り組んでまいりたい、このように思っております。
  198. 鴨下一郎

    ○鴨下委員 私は、アルミ缶だとか何かはリサイクルは非常にいいですけれども、PETボトルについてはぜひリターナブルにしてデポジットをやるべきだ、このことを強調して、質問を終わります。よろしくお願いいたします。
  199. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 福島豊さん。
  200. 福島豊

    ○福島委員 大臣、政務次官、大変に御苦労さまでございます。  まず初めに、大臣お尋ねをいたします。  昨日、循環型社会形成推進基本法が衆議院を通過いたしました。二十一世紀に向かって循環型社会を構築していくということは不可欠な課題だというふうに私は思います。そしてまた、その循環型社会形成のための一翼を担うのが厚生省であるというふうに考えております。  さまざまな観点からの取り組みが必要であるというふうに思いますが、今後、厚生省として、循環型社会形成のためにどのように取り組んでいかれるのか、大臣の御決意、またお考えをお聞きしたいと思います。
  201. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、本年を循環型社会元年と位置づけまして、大量生産、大量消費、大量廃棄というこれまでの我が国の社会のあり方を見直しまして、廃棄物の排出抑制とリサイクルの促進を図る循環型社会の構築につきましては、廃棄物行政を担当する立場からも大変重要な課題である、このように認識をいたしておるような次第でございます。  厚生省といたしましては、今回の法案におきまして、廃棄物についての責任ある処理体制というものを整備し、不法投棄などの不適正な処分を防止するため、排出事業者処理責任などを含めた規制の強化を図るとともに、国や地方公共団体などの公共関与による産業廃棄物処理体制の整備内容として盛り込んでおるわけでございます。  さらに、容器包装リサイクル法などの円滑な施行を図るとともに、建設資材などのリサイクルにつきましても、関係省庁とも十分に連絡を密にしながら推進していく次第でございます。  いずれにいたしましても、これによりまして循環型社会の構築を一層推進していく、こういう決意でございます。
  202. 福島豊

    ○福島委員 ただいま大臣から御説明ございましたように、本改正案におきまして廃棄物処理に関して規制が強化をされる。不法投棄や野焼きの問題等がしばしばマスコミで指摘をされるわけでございますが、その点を踏まえての今回の改正案であるというふうに思います。  政務次官にお尋ねをしたいと思いますが、本改正により、こうした不法投棄の問題、また野焼きの問題といった不適切な廃棄物処理についてどのように改められていくのか、その見通しにつきましてお考えをお聞きしたいと思います。
  203. 大野由利子

    大野(由)政務次官 廃棄物の不法投棄が依然として後を絶たない、また、不法投棄をあっせんするブローカーが介在したり、複数の行為者が関与して組織的に行われるとか、大変巧妙に脱法行為が行われている現状でございます。  今回の廃棄物処理法改正案によって、一つにはマニフェスト制度を強化いたしまして、最終処分されるまで排出事業者確認をさせる義務を追加いたします。マニフェストの不交付または保管義務違反に対して罰則をしっかり追加いたします。そしてまた、確認義務違反をした排出事業者も原状回復の措置命令の対象者に追加したわけでございます。また、罰則も懲役を三年から五年というふうに強化いたします。  御指摘のいわゆる野焼きにつきましては、改正案では、一定の例外を除き野外の焼却を禁止して、直罰の対象とすることにいたしました。  こうした規制の強化によって不法投棄や野外焼却に対する厳正な対処が可能になるものと思っております。
  204. 福島豊

    ○福島委員 この改正案が早期に成立しました後、ぜひとも適切な運用をもってその管理の体制を強化していただきたいというふうに思います。  次に、循環型社会の形成ともつながることでございますが、廃棄物の減量を図っていく、平成十一年の九月に廃棄物の減量化の目標量というものを政府としても定められたわけでございますが、この法案の中では都道府県におきましても廃棄物処理計画をつくることが盛り込まれているわけでございます。国全体というよりも、都道府県レベルでの処理計画についてきちっと実効性のあるものをつくっていくことが非常に大切な課題であるというふうに私は思っております。この計画につきまして、どういう内容を具体的に盛り込んで都道府県に計画を策定してもらうのか、厚生省のお考えをお聞きしたいと思います。
  205. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今回の改正におきまして、一般廃棄物産業廃棄物を通じた廃棄物の適正な処理を確保する観点から、国は基本方針を定めることにしておりまして、その中で廃棄物の減量その他適正な処理に関する基本的な方向とか目標設定に関する事項を定めているわけでございます。  この基本方針にのっとって、都道府県都道府県廃棄物処理計画を定めることにしております。その内容につきましては、廃棄物の発生量及び処理量の見込み、廃棄物の減量その他適正な処理に関する基本的な事項、一般廃棄物の適正な処理を確保するために必要な体制に関する事項、産廃の処理施設整備に関する事項、こういうふうなことを定めることにしております。  また、国及び都道府県は、都道府県廃棄物処理計画の達成に必要な措置を講ずることとしており、計画の達成を通じて廃棄物の減量、適正処理を推進するものでございます。具体的には、都道府県においては、都道府県廃棄物処理計画に基づき、廃棄物処理センター制度等を活用した公共関与による産業廃棄物処理施設整備廃棄物処理施設への技術的、財政的支援市町村に対する技術的助言、民間事業者に対する助言、監督が行われるものと考えております。
  206. 福島豊

    ○福島委員 次に、廃棄物処理センターにつきましてお尋ねをしたいと思います。  本法案の中では、今までなかなかこのセンターの整備が進まなかったという観点から、指定要件を緩和することが盛り込まれたわけでございます。全国各地におきまして、最終処分場というのはいわゆる迷惑施設、そしてまた、環境に対しての影響が懸念されるという観点から、なかなか立地が進まない現状でございます。  したがって、現在の廃棄物の排出量が続く限りにおいては、短時間のうちに処理場が不足をすることが容易に予想されるわけでございますが、今回の指定要件の緩和によりまして最終処分場の確保がどの程度進むのか、その見通しについてお尋ねをしたいと思います。そしてまた、見通しといいましても、やってみなければなかなかわからぬという部分もございますけれども厚生省としてどのような努力をされるおつもりなのか、お考えをお聞きしたいと思います。
  207. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 今回の改正法案におきましては、ただいま御指摘のとおり、最終処分場等の産業廃棄物処理施設の設置が困難となっているというような状況を踏まえまして、公共関与による処理施設の設置促進を図ることとしたわけでございます。  具体的には、廃棄物処理センターの事業主体や取り扱う廃棄物内容等の指定要件を緩和いたしますとともに、財政上、税制上の支援を行っております産業廃棄物処理特定施設整備法の認定要件もあわせて緩和いたしまして、こうした施設の設置を促すこととしております。  また、平成十二年度より、廃棄物処理センターが行うモデル的な産業廃棄物処理施設整備に対しましては、新たに国庫補助制度を創設したところでもございます。  こうした措置によりまして、公共関与による安全かつ適正な最終処分場等の整備促進されまして、産業廃棄物処理に対する住民の不信感が払拭され、民間の優良な産業廃棄物処理施設整備促進にも寄与できるのではないかと考えております。  なお、現下の喫緊の課題でございます最終処分場の確保等に関する方策につきましては、内閣官房内政審議室長を議長といたします最終処分場確保等の廃棄物対策に関する関係省庁連絡会議というものをことしの四月に発足させたところでございまして、年内を目途に具体策の取りまとめを図ることとしております。
  208. 福島豊

    ○福島委員 また、処分場が迷惑施設であるというような観点から、周辺を一体的に整備をするということが盛り込まれておりますけれども、具体的にどのような対応がなされるのか、お示しいただきたいと思います。
  209. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 優良な産業廃棄物処理施設整備支援する仕組みとしては、産業廃棄物処理特定施設整備法という枠組みがございまして、その特定施設認定要件につきましては、先ほど申し上げましたように緩和をする。  具体的には、これまで二種類以上の産業廃棄物処理施設が一体的に整備されることを求めていた現行の制度がございますけれども、これを緩和いたしまして、産業廃棄物の効率的かつ適正な処理に資する大規模な最終処分場等につきましては、一施設であっても特定施設として認定いたしまして、融資、税制上の優遇措置等の支援措置の対象としていきたいというふうに考えております。  また、特定施設の周辺地域における公共施設整備と連携いたしまして、産業廃棄物処理施設の立地を促進する仕組みにつきましても、周辺の公共施設整備促進する地区として指定いたします特定周辺整備地区というものがございますが、その要件も緩和いたしまして、生活環境の保全の観点で必要と認められる地区については前広に指定できるというふうにしております。  産業廃棄物処理特定施設整備法におきましては、産業廃棄物処理施設と一体的に設置されます緑化施設とかレクリエーション施設というものを特定施設に含めまして、その整備につきましても支援することとしておりますほか、生活環境保全に資する公共事業の優先実施を行う特定周辺整備地区の制度につきましても、積極的な活用が担保されているところでございます。  こういう仕組みがございますので、この仕組みを活用いたしまして、産業廃棄物処理施設整備に当たりましては、周辺の公共施設整備と連携して、例えば、廃棄物の焼却熱を利用したレクリエーション施設をあわせて整備するとか、あるいは処理水を利用した噴水のある広場をつくるとか、そうした廃棄物処理施設整備の推進に資するものへの配慮に努めてまいりたいというふうに考えております。
  210. 福島豊

    ○福島委員 最後に、政務次官にお尋ねをしますが、政務次官はPCBの処理の問題について長年取り組んでまいられました。現在でも大量のPCBが国内には存在するわけでございまして、一日も早く本格的な処理を進めるべきであるというふうに私は考えております。厚生省並びに政務次官のお考えをお聞きしたいと思います。
  211. 大野由利子

    大野(由)政務次官 委員が御指摘のようにPCBの処理が従来より遅々として進んでいない、これが現状であろうかと思っております。化学処理、超臨界処理といった新たな技術によって、これまで三件許可されたところでございますが、無害化処理技術の確立をいたしまして本格的な処理に取りかからなければいけない、こういう時期であろうと思っております。  今年度事業として予定されておりますミレニアムプロジェクトの一事業として、ゼロPCB支援プロジェクトを行うことになっております。これは、主として中小事業者が保管を続けているPCBを含有した高圧トランス、コンデンサーを安全かつ早期に処理することを目的としておりまして、これらのPCB廃棄物処理を先駆的に行う民間事業者等のモデル的な事業に対して、国が一定の財政的、技術的支援を行うものでございます。  今まだコストが大変高いという難点も若干あるんですが、幾らかこのコストの削減に努力をしながら、本格的なPCBの処理に取りかからなければいけない。  このゼロPCB支援プロジェクトの実施によって、PCB廃棄物処理が技術的にも安全でかつ信頼できることを国民の皆さんに見ていただいて、その後、国民の皆さんから信頼されてきちっとこの処理が進む、コストとあわせて国民の皆さんの理解を得る、そうした努力をしながら、我が国のまさに負の遺産でありますPCB廃棄物の一掃に努力をしてまいりたいと思います。
  212. 福島豊

    ○福島委員 質問時間が終わりましたので、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  213. 田中眞紀子

    田中(眞)委員長代理 中桐伸五さん。     〔田中(眞)委員長代理退席、安倍(晋)委員長代理着席〕
  214. 中桐伸五

    中桐委員 民主党の中桐でございます。  冒頭、産業廃棄物処理体制の整備の実態について議論をいたしたいというふうに思います。  まず、最終処分場の新規許可件数が平成十一年度になりまして非常に急激に減っておりまして、平成十年度までは百二十九件ですが、平成十一年度は九件。同じく焼却施設についても、かなり減ってきておりますが、平成十年度は百二十六件、平成十一年度は十三件。それに対応いたしまして、最終処分場の残余年数は、平成十一年度の段階で一・六年というふうになっているということであります。  こういった状況に対して、私の認識は、公共関与というのが今回強調されておりますけれども、この公共関与というものよりも、こういった事態が起こっているさらに重大な背景として、廃棄物、特に産業廃棄物処理の行政に対する非常に大きな住民の不信があって、それが非常に強くなってきている。もちろん、一方では環境問題に対する認識、関心が非常に高まったこともあろうかと思いますが、その最大の原因は住民の不信の増大ではないか、このように考えているんです。そういうものに対して公共関与というのも一定程度貢献をするかもしれませんが、しかし、もっと決定的な問題は、この住民不信の増大に対する現状をどう解決していくか、解消していくかという問題が非常に重要だというふうに私は思います。  そういうことから考えまして、循環型社会をつくるという方向確認して、循環型社会元年という意気込みでやるんだということなんですが、当然それは大変重要なことでございますが、しかし、その循環型社会へ転換をするために、まず排出を抑制することを強力にやらなきゃいけない。しかしながら、それを強力に進めながら、廃棄物をゼロにするということは、すぐには難しいという現状があるわけであります。  そういう意味でいいますと、私はリスク管理という考え方を非常に重要視するものでありまして、そのリスク管理の中には、住民不信を解消するための情報の公開と説明責任を果たすことが当然決定的に重要なものとしてあるし、また、当事者が参加をしてチェックする。我が国の行政の仕組みの中で最もおくれている部分は、第三者チェックシステムというのがおくれているわけであります。その中には、当然その地域の住民も含む、利害関係のある住民参加という形でのチェックの仕組みという要素は欠くことはできない、そのように考えるわけであります。  こういった基本的な認識について、政務次官は産業廃棄物の問題について大変関心が深いというふうにお聞きしておりますので、政務次官にその見解を伺いたいと思います。
  215. 大野由利子

    大野(由)政務次官 委員の御指摘に私も全く同感でございます。御指摘のとおり、廃棄物処理施設に対する信頼性を確保するためには、まず適正な情報公開、そして周辺住民の理解を得ることが最重要であろう、このように思っております。  厚生省といたしましても、平成九年の廃棄物処理法の改正で、施設の設置に係る住民の意見聴取手続の明確化、それから施設の維持管理データの関係住民への閲覧義務等の措置を講じてまいりました。また、同じく平成九年の改正では、すべての廃棄物処理施設の設置の際に、生活環境影響調査、アセスですが、実施することを義務づけることによって施設設置に伴うリスクについても一定の管理ができるようにしたわけでございます。さらに、最終処分場や焼却施設につきましては、生活環境影響調査の結果を公告縦覧することによって情報開示をすることにしております。  廃棄物処理に伴うリスク管理という観点からも、周辺住民の理解を得ることは大変重要である、このように思いますので、住民の意見聴取の手続に加えて、説明責任を果たす、適正な情報開示をすることが大変重要であろう、このように思っております。  今後とも、地方公共団体への指導というものを力を入れて頑張ってまいりたい、このように思っております。
  216. 中桐伸五

    中桐委員 私と同じ見解をお示しいただきまして、大変ありがとうございます。  今回の法律の一部改正で公共関与というものが非常に強調をされているわけでありますけれども、この公共関与というのは、住民不信の解消を図るために公的主体が関与すれば情報公開が進んでいく、あるいは説明責任が十分果たせていくということと必ずしもイコールではないと私は思うのであります。  その点について、悪質な経営の事業者が参入して廃棄物行政の信頼を非常に落とすものになっているということと、公共が関与したらそれが解決できるかというと、私は、先ほど政務次官がお答えになられましたように、基本的にきちんとやるべきことをやらないと住民不信は解決しない、これは公共的なものが関与すれば即解決するというふうには思わないんですが、政務次官、いかがですか。
  217. 大野由利子

    大野(由)政務次官 おっしゃるとおりで、公共が関与した上で、設置者と住民との間で協定を結び、施設の運営に係る協議を設けていくことが大事であろう、このように思っております。
  218. 中桐伸五

    中桐委員 具体的に環境対策ということでいいますと、住民の参加手続の一つとして、環境保全協定を結ぶというふうなケースもありますし、実際に運営に関して運営協議会というふうな形で住民が参加をしていく方法をとっているところもそういう経験もあるということでございますから、先ほど政務次官の御答弁のように、そういう方法を十分に、モデル的な意味も含めて、サクセスストーリーといいますかうまくいったケースをどんどん積み重ねていかないと、今の状況は大変暗たんたる状況になっているというふうに理解をしなければいけないと思います。  そこで、公共の関与ということでもう一つお伺いしたいんですが、一九九一年に廃棄物処理センターというものが創設をされました。その後、今回の法改正で、その廃棄物処理センターを創設した趣旨が何か変わるところがあるのかどうか。また、公共性、公平性ということを確保するためにどういうふうな補強を考えているのかということについて、政務次官にお伺いしたいと思います。
  219. 大野由利子

    大野(由)政務次官 廃棄物処理センター制度でございますが、これは、広域的に処理をする必要が出てきたこととか、公共の信用力を活用して安全性、信頼性の確保を図ることが必要であるとか、また民間の資本、人材を活用して廃棄物処理施設整備を図る必要があるというようなことから、平成三年の法改正によって創設された制度でございます。  今回の改正案では、都道府県が関与して行う公共性の高い廃棄物処理センターの整備促進するために、センターの指定要件の緩和の措置を講ずることとしておりますが、廃棄物処理センターの趣旨そのものについては従来と同様でございます。廃棄物処理センターの指定に当たっては、その公共性、公平性が十分担保されるよう留意するとともに、適正な運営がなされるよう指導してまいりたいと思います。
  220. 中桐伸五

    中桐委員 基本的な趣旨は変わってはいない、ただ、条件の緩和をしたというふうに理解をしたいと思います。  次に移りますが、今回の改正では、最も急がれるべきものが欠落をしているというふうに私は思っているのです。それは、循環型社会という大きな目標のもとで、産業廃棄物あるいは一般の廃棄物を含めて、言うならば廃棄物の定義の問題が十分解決をされないままに一部の改正にとどまったというふうに私は理解をしているわけであります。  この廃棄物の定義の問題につきましては、いろいろな議論がございますが、一つは有価物と無価物に分けた上で廃棄物の定義をするという考え方、あるいは、廃棄物の所有者、占有者の意思によって廃棄物の分類が変わるというふうな問題として今日まで指摘をされてきたというふうに思います。また、リサイクルと廃棄物処理という領域、この境界が十分明確になっていない、そういうふうな問題も指摘をされてきているというふうに理解をしております。  そういうことから、実効性のある廃棄物の定義、つまり、廃棄物処理行政により実効性を持たせる、より効率的な処理を進めることができるようにする、あるいは公正な処理が進むようにするために、処理責任との関係廃棄物の定義を再検討する必要があるのではないか。あるいは、発生の抑制やリサイクルの推進等の観点から、廃棄物の定義と区分を再検討する必要があるというふうに考えているわけであります。  また、廃棄物の定義の中には、処理との関係で、現在の限定列挙方式、特に産業廃棄物については限定列挙方式、リストアップ方式ともいいますが、そういう方式をとっている。  ところが、化学物質などになってまいりますと、日進月歩で、非常に新しい化学物質がこの社会に登場をしてくる。そういう状況がありまして、特に、最近の産業構造から生み出されてくる廃棄物というものについてはリストアップ方式は非常に大きな限界を持っている。リストアップをするにも、法律の体系の中にリストアップをするまでに大変時間がかかるし、そのリストアップをしたものがもう既に新しいものに変わっていることがございまして、この限定列挙方式は非常に問題視されております。  こういった方式から、いわば包括方式というものに変えていく必要があるということなんですが、ただ、ドイツのように両方のいい点を加味してうまくこれを処理する方法をとっている国もありますので、非常に参考になると思うのです。  具体的に申しますと、限定列挙方式でどんどん列挙をするのと同時に、住民がこれは産業廃棄物になるんだということが非常にわかりやすい、あるいは業者も非常にわかりやすいわけで、物質名をリストアップして産業廃棄物を列挙する。と同時に、その他のものもすべてその他として含んでしまうというふうな方法をとっております。  そういうふうに、産業廃棄物の限定列挙方式というものには明らかに限界があるのでそれを見直すけれども、リストアップ方式はそれなりにメリットがあるのでその利点を生かしながら包括方式を取り入れるというドイツ型の方法はなかなか工夫しているなと思うのですが、今後、廃棄物の定義あるいは区分を、事業者が排出するすべての廃棄物事業者の責任で処理する原則という立場から、きちんと再検討して位置づけ直す必要があると思うのですが、政務次官、いかがお考えでしょうか。
  221. 大野由利子

    大野(由)政務次官 委員の御指摘は、大変貴重な御提言であると思いますし、検討に値するといいますか、検討をしていかなければいけない課題であろう、このように思っております。  ただ、今回の改正では、まず、最終処分場が逼迫をいたしまして、悪質な不法投棄が横行している、こういう抜き差しならない状況の中で緊急に解決すべき課題について措置を講ずる、こういうところで今回の改正がなされた次第でございます。  廃棄物の定義につきましては、「汚物又は不要物」として、主として占有者が有償で、有価で売却できるかどうかというようなことを判断になって各種の規制措置が講じられておりまして、これは、あの豊島のようなさまざまな問題が起こっているということは事実でございますし、今、総合的に勘案して、実態に即して判断をしようというふうにはなっております。  一般廃棄物と産廃の区別ですが、今まで、日常生活から排出される廃棄物を一般廃棄物として市町村処理に当たることとし、事業活動から生ずる廃棄物で、その発生量や有害性の観点から市町村では処理が難しいものが産業廃棄物として事業者みずから処理しなければならない、このようになっているわけです。  御存じのように、事業系も一廃として処理されているものもあるわけでございまして、これを産廃と一廃というふうに分けたときに、中身で分けるのが難しいというようなこともございますし、事業規模もどこで線を引くかという難しい要素もございます。今後、廃棄物の有害性に応じて区分をすべきなど、さまざまな御意見もあるところでございます。  これからも廃棄物・リサイクル法制全般にわたる規制のあり方や処理責任のあり方などにかかわる問題でありますし、リサイクルを推進する一方で廃棄物の適正処理の確保も必要であり、こうした観点から、今後、しっかりと検討してまいりたいと思います。     〔安倍(晋)委員長代理退席、委員長着席〕
  222. 中桐伸五

    中桐委員 今後の検討を急いでいただきたいのですが、大体いつぐらいまでをめどにこの廃棄物の定義は整理をされる予定なんですか。何かはっきりしたことがお答えできないという場合もあろうかと思います、これは最初から質問を投げておりませんのでお答えにくいかもしれませんけれども、おおよそどういう状況なんでしょうか。
  223. 大野由利子

    大野(由)政務次官 御存じのように、循環型社会形成推進基本法も今国会で検討をされておりますし、そうしたことも踏まえながら、今後、しっかり検討してまいりたい。いつかということは早急にはちょっと申し上げられない状況でございます。
  224. 中桐伸五

    中桐委員 公正な処理や効率的な処理、あるいは処理責任も明確にすることは大変重要だと思うので、これは余り先送りをすることのできない問題だというふうに私は思います。  特に、一番最初に議論をいたしました住民不信を解消するという点からいっても非常に重要な取り組みですから、この点はぜひ急いでいただきたい、こういうことを御要望したいと思います。  次に移りますが、今回の改正案では、強化が言われてきた排出者責任の問題について一定の対応が行われたというふうに認識をしております。  その中で、一つはマニフェストということがあるのですが、それは後に議論するといたしまして、問題は排出者が委託をする場合、適正な価格で委託をしたということになりますと、排出者の責任が、その後、適正な価格を偽装していただけであって、実際には非常に悪質な形で委託が行われて、その業者が適切な処理をしなかったというふうなケースがあると思うのですね。そういうことから、どうもこういった問題が十分今後も起こると思うので心配なんですが、この点について排出者責任が十分適用できないものが残ってしまうのではないかというふうに思うのです。この点については非常に細かい話になりますので、政府参考人の方で結構ですが、答弁をいただきたいというふうに思います。
  225. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 今回の法改正におきましては、御指摘のように、依然として悪質な不法投棄が後を絶たないという状況のもとで、排出事業者責任の大幅な強化というものを目指しているわけでございます。  具体的には、排出事業者責任の原則を明確にいたしまして、事業者産業廃棄物の発生から最終処分に至るまでの一連の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講じなければならないことといたしまして、また、事業者処理を委託した後に不適正処分が行われた場合であっても、ただいまちょっとお話がありましたように、不適正処分を行った者等に資力がない場合であって、適正な処理料金を負担していないとき、不適正処分が行われることを知りまたは知ることができたときなど、最終処分までの適正な処理を確保すべき注意義務を怠った場合等につきましては、事業者措置命令の対象とすることとしたものでございます。  この命令は、ただいまちょっとお話がありましたけれども処理料金といったような外見上の形式にとらわれることなく、不適正処理の事例が生じたときに、都道府県知事が個別の事案に応じて委託の状況等を実質的に判断して行うということでございまして、適正な価格での委託を偽装するケースなど、実質的な処理料金を負担していない場合を初めといたしまして、事業者が必要な注意義務を果たしていない場合には、排出事業者責任に基づく措置命令を行うことができるというふうに考えておるところでございます。
  226. 中桐伸五

    中桐委員 適正な価格で処理、適正な対価を負担していないときという説明ですが、これをチェックするのは十分できるというふうにお考えになっているんですか。今日までに適正な価格で処理をしていないケースがどのぐらいあって、それをチェックすることは十分できるんだというふうにお考えなんでしょうか。
  227. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 個々に、どれが適正な料金で、どれが不適正な料金というのは、単純に切り離してはなかなかお答えにくいのだと思いますけれども、不法投棄等の不適正事例の事案が生じた場合に、それを生じさせた排出事業者と行為者との間の委託関係が適切に行われているかどうかということはチェックすることになっております。  そのチェックする内容といたしまして、料金だとか契約の方式だとか、そうしたもろもろのことを審査いたしまして、総合的に見て、その排出事業者が排出事業者として当然遵守しなければならない義務を怠っているというふうに認められる場合には措置命令の対象にするということになると思います。
  228. 中桐伸五

    中桐委員 どうも、なかなか難しい説明なんですが、むしろ、もしルール違反があったとき、事後ペナルティーをきちんときつくする方法の方が効果が高い面があるというふうにも思うのですが、その辺はどういうお考えなんでしょうか。
  229. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 今の法律でも平成三年、九年とやっておりますけれども、不法投棄等の不適正処理の事例が生じた場合には、その行為者に対しては罰金が科せられるわけでございます。  ただ、現実には、平成九年にはかなり大幅な罰金の強化をしたわけでございますけれども、残念ながら、不法投棄の件数がそれによって著しく減るということにはなっておらなかった。むしろ、不法投棄をした場合、それを原状回復する際に、現実問題として不法投棄を行った者が資産がなかったりあるいは行方不明になったりして、排出事業者はわかっているんだけれども残念ながら原状回復ができないというふうなケースが生じていたわけでございます。  そうしたケースでは、従来ですとその排出事業者が適切な契約を行っていれば原状回復措置について費用負担するということは求められなかったわけでございますが、今回の法律改正によりまして、排出事業者が一般的な注意を怠っていると認められる場合には原状回復の措置命令の対象に加えようということでございます。  今回の措置によりまして排出事業者にとってはかなり大幅な注意義務が課されて、自分の排出した廃棄物が適切に処分されることを確認しておかなければ、もしかすると不法投棄が生じた場合に排出事業者に原状回復の処理費用負担がかぶってくるかもしれないということを考えさせるわけですので、不法投棄の抑止力としては非常に大きなものがあるというふうに考えております。
  230. 中桐伸五

    中桐委員 委託を受ける人、事業主ですが、この人たちのペナルティーを問題にしてもやはり限界があると私は思うのですね。排出事業者のペナルティーをきつくしなきゃいけない。  ただ、そのペナルティーは平成九年にしたとおっしゃるのですが、それの効果がまだ上がっていないと言うのですが、それは、ペナルティーをきつくしても効果は上がらない、あるいはまだペナルティーをきつくする度合いが足らないというふうに理解するべきなのか、それともまた別の要素としてやらなきゃいけないというふうに考えているのか。そこはもう少しお答えをいただけると思います。
  231. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 罰則の強化につきましては、今回の法改正におきましても一部罰則の強化をいたしております。また、平成九年に大幅な罰則の強化をいたしました。  罰金というのは裁判所が金額を指定して払うということになりますけれども法律上はかなり高いところに上限を設定しているわけでございますけれども、現実問題として、廃棄物の不法投棄事例に対して科された罰金はそれほど高くないというような状況がございます。ですから、ここは裁判所の判断でもあると思いますけれども法律上幾ら以下の罰金というふうに金額を規定したとしても、実際には排出事業者に対してその負担がかかっていないというふうなこともありまして、十分な罰則の強化の効果が今のところあらわれてきていないというふうなことではないかと思います。
  232. 中桐伸五

    中桐委員 ちょっと決定的な議論が詰まらないのでありますけれども、時間の問題もありますので、その次の質問に移りたいと思います。  今回の改正に含まれております、多量な廃棄物を排出する事業者、多量排出事業者が作成する計画というものがございますが、この計画と都道府県がつくる廃棄物処理計画の相互関係、また、そういうものを導入することによってどういう有効な効果を期待しているのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。
  233. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 先ほど来から問題になっております産業廃棄物処理施設の逼迫した状況のもとで、産業廃棄物の減量化を図ることは非常に重要な課題でございます。  その上で、なお最終的に処分せざるを得ない廃棄物につきましては、公共関与による施設整備を含めて、安全で信頼できる適正な廃棄物処理施設整備が必要というふうに考えているところでございます。  一方で、処理施設整備に当たりましては、地域住民の反対が非常に強いというふうなこともございまして、処理施設整備に関して住民の理解を得るためには、排出事業者による産業廃棄物の減量というものを推進していくことが不可欠ではないかというふうに考えているわけでございます。  そのために、今回の改正では、国が基本方針を策定いたしまして、都道府県廃棄物処理計画を策定し、あるいは多量排出事業者には処理計画の策定を義務づけるというふうな措置を講じまして、総合的に減量化を推進することとしているわけでございます。また、県の処理計画に基づきまして、公共関与により必要な施設整備の推進を行っていただくというふうに考えているわけでございます。  この中で、御指摘のように、多量産業廃棄物排出事業者に対しましては、従来は、これは各都道府県知事が個別に処理計画の作成を指示していたということであったわけですけれども、今回は、一定の規模以上の者に対して計画の策定とその達成状況の報告を義務づけるということを行っているわけでございます。その計画とその計画の達成状況につきまして公表いたしまして、世間の目にさらすといいますか、そういうことも考えているわけでございます。  都道府県知事におきましては、事業者処理計画やその達成状況を公表することによりまして、事業者の自主的な減量化の努力というものを促すことができますし、事業者が作成いたしますこれらの処理計画を踏まえて、みずからが作成いたします廃棄物処理計画と十分な整合性をとるような形で策定することができるわけでございまして、こういう仕組みを相互に牽制し合うような形で利用することによりまして、廃棄物の総合的な減量化あるいは適正な処理の推進のために寄与できるのではないかというふうに考えております。
  234. 中桐伸五

    中桐委員 先ほど公表ということをおっしゃいましたが、これは何かエバリュエーションして公表するおつもりなんですか、それともそのまま計画はこうですといって公表するんですか、そこをお聞きしたいと思います。
  235. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 今のところでは、そのまま計画あるいは達成状況そのものを公表したいと思っておりますが、状況によりまして、有識者の意見等、こうした方がいいというようなことがあれば、今後検討してまいりたいと思います。
  236. 中桐伸五

    中桐委員 性悪説に立つか性善説に立つかという議論になるんですが、私は、本当は、自主的に排出事業者から委託事業をする人までみんなが廃棄物処理を適正に行う、廃棄物の排出も少なくする、外部から強制をしてそれをやらせるよりも、そういうふうにいってもらいたいと思っているんですが、しかし、残念ながらなかなかそういうふうにいかないところがある。  その公表というのは、私がちょっとお聞きしたときにすぐ思ったのは、本来のきちんとした目標立てて、その目標がちゃんと達成できないところを公表するのか、あるいは逆に、ポジティブな努力をしたところ、つまり、目標をきちんと達成して、さらにそれ以上に達成をして前向きに進んでいる、そういうポジティブな評価をして公表する、二つあると思うんですね。そういう方法を考えているのかなと思ったんですが。  私は、当事者に計画を立てさせる仕組みというのは非常に重要だと思います。廃棄物の問題、ごみの問題というのは、すべて法律を厳しくし、ペナルティーを厳しくしたらそれで解決するとは思わないので、関係者がみんな参加をする形をとらなきゃいけないというふうに思いますから、その廃棄物処理計画を当事者につくらせる。そのときに改善計画でないといけないと思うんです、例えば年度ごとの。改善計画を、きのうよりもきょうはよくしましょうというふうなものにして、その達成率で、例えば公表する場合にネガティブな公表なのかポジティブな公表なのかということも考えなきゃいけない。できれば達成目標立てることを文書で義務づけて、その達成目標をエバリュエーションして、そして、より達成したところを事業者のイメージアップをする、そういう経営者が経営する事業体が生き残って、環境によくない事業者は将来的には会社のイメージダウンして消滅していく、そういう方向をうまくビルトインするといいと思うんですが、そういうお考えはこの中にあるんでしょうか、ないんでしょうか。
  237. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 事業者の計画、それから達成状況の公表につきましては、これは基本的に事業者の自主的な努力を促すということでやろうとしているわけでございます。規制という手法もありますけれども、ここの場合には事業者がみずから進んでやってもらうということが必要だろう。  その意味で、公表することによりまして、先ほどお話がありましたように、よくやっている事業者はよくやっているということが見えますし、それに比べまして取り組みの非常におくれている事業者については、その取り組みがおくれているということが見えると思います。それはまた県の方もそういうことが見えますので、それによって排出事業者に対する計画策定とかその実施面について指導もできるというふうに考えます。  県が、例えば排出事業者から改善計画が出てきたような場合に、それが妥当なのかどうか、いいのか悪いのかというようなことを判断するのがなかなか難しい点もあると思いますけれども、その辺につきましては、国の方としてもできるだけの情報を都道府県提供いたしまして、できるだけ都道府県事業者の指導に使えるような形で情報提供していきたいというふうに考えております。
  238. 中桐伸五

    中桐委員 もっと議論をしたいところでありますが、きょうのところはその辺にしておきまして、ぜひ環境に前向きなイメージの企業が残っていける方向にビルトインをしていただきたいというふうに思います。  次の議論に移りますが、マニフェストについてです。  今回マニフェストについて一定の前進がございました。しかし、マニフェストについては、廃棄物の規制といいますかコントロールをするという点で非常に重要なファクターになっていると思うんですが、このマニフェストを電子化するという要望は前々からあったと思います。その電子化をきちんと行えるように義務化をして、情報を速やかに把握できるようにすべきではないかという意見が前々から出ているというふうに聞いております。もちろん、マニフェストが悪用されたり偽造を防ぐという具体策も必要だということもあるんですけれども、そういったマニフェストの電子化をするということについてどうかという点。それからまた、さらにこのマニフェストを利用して不適切な廃棄物処理を監視する必要があると思うんですけれども厚生省の見解はいかがでしょうか。
  239. 大野由利子

    大野(由)政務次官 マニフェストの電子化につきましては、事業者によります委託処理確認の手続の効率化を図り、また、負担の軽減が図られるように導入することにいたしました。将来はそちらの方へ全般的に行くと思いますが、現状では、直ちに中小企業を含めたすべての事業者に電子化を義務づけるのは困難であろう、このように思っております。  ただ、電子化されたマニフェストにつきましては、制度導入以来、利用者が徐々にふえてきておりまして、今回の改正でマニフェストの規制が強化をされましたので、事務負担の軽減に資する電子マニフェストが一段と活用され、事業者による速やかな情報の把握が一層促進されることになると考えております。  また、今回の改正におきましては、処理業者によるマニフェストの虚偽の記載、マニフェストの不交付とか不保管などに対して罰則規定とか措置命令をかける規定を設けたことにより、マニフェストの悪用や偽造の防止が図られるものと考えております。  これらの制度の適正な運用を図るよう、国としても都道府県に適切な支援、助言を行ってまいりたいと思います。
  240. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 後段の御質問のマニフェストを利用した不適正処理の監視という点でございますけれども、マニフェスト制度自身は廃棄物の流れを確認することによって適正な委託処理を確保するということを目的としているわけでございますが、これによりまして、都道府県等におきましては、産業廃棄物の流れを把握することが可能になって、不法投棄等の不適正処理の監視の手段として有効ではないかというふうに考えております。  特に、産業廃棄物が広域的に処理されている現状から、例えば、地方ブロック単位で関係都道府県が連携を図りまして、マニフェスト情報というものを活用して全体の廃棄物の流れを把握することで不法投棄を監視し、あるいは早期発見対策を進めることが可能になるというふうに考えております。  現在、近畿圏におきましては、関係の二府四県九市が連携いたしまして、広域的な廃棄物の情報管理体制というものを整備しつつあります。厚生省も、このプログラム開発のための支援を行ってきているところでございます。さらに、昨年度からは同様の仕組みを首都圏においても導入できないかということで検討が開始されているところでございまして、厚生省としても、こうしたマニフェストを利用した廃棄物の監視というふうな仕組みについて都道府県が取り組まれる場合には、それを支援してまいりたいというふうに考えております。
  241. 中桐伸五

    中桐委員 ぜひそういう方向を具体化していただきたいというふうに思います。  時間がありませんので、次に行きます。  私は直接行ったわけではありませんが、私の同僚議員の地元で、最近問題になっております安定型処分場における、酸欠の一種なんですけれども、硫化水素による死亡事故が起こりました。福岡県の筑紫野市というところでの事件でありますが、今非常にクローズアップされているのがこういった安全問題であります。  この安定型処分場の問題は、本来起こるはずのない事態が起こっているということで大変大きな社会問題になっているというふうに思いますが、こういう問題について政府は早急に実態把握をすべきだろうというふうに思います。そしてまた、その実態把握をした上で結果を公表して、同時に適切な対策を講じるという対処をすべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょう。
  242. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 廃プラスチックなどの水に溶けず、腐らない廃棄物を埋め立てるいわゆる安定型処分場につきましては、本来、安全性の問題はないんじゃないかということにされていたわけでございますが、委員が御指摘のように、最近、硫化水素の発生問題が福岡県の筑紫野市などで生じております。  それぞれの地域におきまして、都道府県が中心となって原因の究明が進められておるわけでございますが、厚生省といたしましては、現在、実態を把握するための調査を実施いたしておるわけでございますし、八月の末ごろまでにその結果を踏まえまして適切な対策を検討してまいりたい、このように考えているような次第でございます。
  243. 中桐伸五

    中桐委員 八月末に把握を終わって対策を講ずるということですが、実態把握をした後の公表というのはどういう形でやるつもりか、大臣、答えられますでしょうか。
  244. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 当然のことながら、住民の皆さん方に不安を与えておるわけでございますので、きちんと公表して、その上で対策を講ずるべきもの、このように考えております。
  245. 中桐伸五

    中桐委員 ぜひ急いでいただきたいというふうに思います。  実は、この問題も、私は直接専門家に会ってお聞きしたわけじゃないんですが、専門家の話を聞いた議員から話を聞いたんですけれども、本来発生しないと想定していたメタンだとか硫化水素だとかが発生しているというデータが明らかになった時点で対策が行われていれば、こういう悲劇的な死亡事故が防げたかもしれないという意見があります。つまり、安定型処分場なんだからそういうことは起こらない、あり得ないよという意見を言う一部の学者の方もいらっしゃったようでありまして、警告を発する学者がいる一方、いや、そんなことはないよと言う学者が一人でもいますと、これはジャッジをするのがなかなか難しくなりますね。専門家が別の意見を言うわけですから。それで、残念なことに、そこで出されていた警告が十分アクションにつながらなくて悲劇的な事故になったということをある学者が言っているようでございます。  そういうことを考えますと、実態を把握してそれを公表すると同時に、いろいろな意見が、学問的な論議になりますと結論が出るまでに時間がかかる場合もあります、そういう結論を待っているとアクションがおくれるという問題がございますので、やはりどうもリスキーではないかということがあれば、その対策、アクションというのを何か打ってみる。特に化学物質なんかの場合、化学反応とかそういった問題になってくるとやや議論が長引くおそれが十分ありますので、そういう点は心して対処していただきたい、これは要望なんですけれども、お願いをしておきたいと思います。  そこで、この安定型処分場の問題ですが、安定型処分場の廃棄物の中に広範に占めている成分として、特に安定型処分場における新しい今の問題は、実は有機物が本来混在しない、混入しないという想定であったところが、実際には有機物が入っていて、いろいろな有害物質が発生するということになってしまったということなんです。その安定型処分場の廃棄物の中でかなり多くの部分を占めるプラスチックに付着する有機物質を含めて、有害作用を及ぼすことが心配をされている。こういったプラスチックについては、安定型処分場に安易に持っていくのではなくてリサイクルを強力に進めていく必要があるのではないかという意見がございます。この点についてぜひ厚生省の見解をお聞きしてほしいというふうなことでございましたので、その点についてちょっとお聞きしたいと思います。これは政府参考人の方で結構ですから。
  246. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 安定型処分場におきます硫化水素等の発生事故につきましては、数年前に全国的に幾つかのケースが報告されました。そうしたものを受けまして、平成十年の六月に処分基準を強化いたしまして、有害物質や有機物を含有、付着するおそれのあるプリント基板とか容器包装等につきましては、安定型処分場での処分を禁止するという措置を行っております。  また、このような廃棄物が安定型処分場に混入することを防止する措置といたしまして、搬入廃棄物を展開検査するとか、周辺地下水の定期検査及びこの結果を記録、閲覧させるということを義務づけているところでございまして、これによりまして安定型処分場で有害作用を及ぼす物質の付着混入というものはかなり防止されるのではないかというふうに考えております。  ただ、現在問題になっております幾つかの事例につきましては、平成十年六月の規制強化以前の埋め立てのものでございまして、大臣が先ほども御答弁申し上げましたように、それも含めて調査をしているということでございます。  また、プラスチックの搬入を防止するということにつきましては、プラスチックのリサイクルを促進して処分量を極力抑制することは大変重要なことであるというふうには考えておりまして、再生利用促進のための特例措置であります再生利用認定制度の対象として、廃プラスチックの高炉還元剤としての利用を加える等の措置を講じてきているところでございます。  しかしながら、プラスチックに限らずできるだけリサイクルする方が望ましいわけですが、そのリサイクルの用途が限られているとかリサイクルに適さない素材があるというふうなことで、やむを得ず最終処分をせざるを得ないようなものもあるわけでございまして、そうしたものにつきましては、適正な処分が行われるように規制の厳正な運用というものを図ってまいりたいというふうに思います。
  247. 中桐伸五

    中桐委員 時間がなくなってまいりましたので、今の御答弁で次に行きたいと思いますが、一つだけ、安定型処分場のことで。  アスベストなど、これは御存じのように発がん物質でございますので、建設廃材にかかわってこれまでにも問題になりましたが、アスベストが飛散するという問題が最終処分場で起こるようなことがあってはいけないということについて指摘をしておきたいというふうに思います。  さて、質問を二つほど飛ばしまして、最後の質問に移りたいと思います。  今、特にヨーロッパなどを中心にして、循環型社会への切りかえを強力にやっている先進的な国が幾つかあると思います。この国の取り組みの特徴は、私が知り得る限りでは、循環型社会ということになりますと、環境大臣といいますか環境に関することを取り扱う省庁の大臣がリーダーになるということで、ステアリング委員会、つまり、大蔵とか厚生とか、そういう幾つかの関係ある省庁の大臣でもって委員会を構成する、その委員長は環境大臣というふうな形で強力に進める。  しかし、大臣立場は縦割りでお互いに対等ということになっておりますから、特に環境をつかさどる大臣委員長で推進をするのにも限界があるということであれば、首相が指名をし権限を与える。例えば日本でいえば官房長のところに置いて強力に進めるとか、あるいはアメリカであれば、大統領というのは直接選ばれますので、大統領が環境大臣に権限を付与して、それ以外の関係大臣を集めて委員会をつくって、そこから全省庁に質問表を出す。つまり、循環型社会に移行するには、各省庁全部関係しているんだから、この点について全部チェックをして、どういうふうになっているか、どういうふうにすればいいかということを指示を出す、そういうやり方をやっている。共通認識としては、そういう形で進めないとこれはなかなかできないというふうに私は思っている。  そういう意味でいうと、今回の循環型社会基本法の制定あるいは産業廃棄物処理法の一部改正ということをやっても、私どもの認識では、まだまだ縦割り行政の弊害を克服できるような形のアプローチになっていないという認識をしております。そういう意味で、基本的な循環型社会を推進する推進力になる機構づくりと、同時に法整備をもう少しきちんとやらなければいけないというふうに私は思っています。  そのときに、廃棄物とリサイクルの政策の統合化も必要であります。省資源あるいは循環型社会を推進するという基本方向の中でそういった統合化を行い、縦割り行政の弊害を克服できるような仕組みを法的にも工夫をする必要があると思いますが、厚生大臣並びに環境庁長官にその御意見を伺って、私の質問を終わります。
  248. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 廃棄物処理法と再生資源利用促進法の縦割り状態が解消されないではないか、こういうような御質問、御指摘だと思います。  確かに一つの考え方ではないかと考えておるわけでございますけれども、御案内のように、廃棄物処理法におきましては廃棄物の適正処理を図るための規制措置が主として盛り込まれているのに対しまして、再生資源利用促進法は資源確保というような視点から製造過程での再生資源の利用促進が主として盛り込まれている、こういうような違いがございます。  いずれにいたしましても、大切なことは、関係省庁で政策の整合性をとることによりまして必要な対策が講じられることではないか、こう考えております。  今後とも、関係省庁で十分な連携を図りながら、厚生省としては、廃棄物・リサイクル対策の一層の推進を図ってまいる決意でございます。
  249. 柳本卓治

    ○柳本政務次官 お答えいたします。  循環型社会形成推進基本法案は、廃棄物・リサイクル対策の基本的枠組みとなるものでございまして、廃棄物処理法を初めとする各個別法等によりまして実施される関係施策を総合的かつ計画的に実施するための基盤となるものでございます。  特に、本法案におきましては、廃棄物・リサイクル対策を推進していく上で、発生抑制、再使用、再生利用、熱回収、適正処分という形で対策の優先順位というものを法制化したものでございます。  第二に、廃棄物処理法上の廃棄物と再生資源利用促進法上の再生資源などを廃棄物等として一体的にとらえまして、その発生抑制を図るとともに、廃棄物等のうち有用なものの循環的利用促進する旨を明確化いたしまして、廃棄物・リサイクル対策を国が総合的かつ計画的に実施するための具体的な政策手段として循環型社会形成推進基本計画を策定し、この基本計画は国の他の計画の基本となる旨規定をいたしまして、各個別法により定められる基本方針との一体性を確保することとしており、これらの取り組みを通じまして実質的に廃棄物・リサイクル対策の総合化が図られるものであると考えております。  さらに、今回の行政改革におきまして、来年一月六日から環境庁は環境省に昇格をいたします。廃棄物行政を環境省に一元化した上で、リサイクル行政につきましても共管の形で環境省が所管することとされておりまして、これらを通じまして環境省がリーダーシップをとって廃棄物対策とリサイクル対策を一体のものとして推進することができるものであると考えております。
  250. 中桐伸五

    中桐委員 時間が参りましたので、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  251. 江口一雄

    江口委員長 午後三時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時五十分休憩      ————◇—————     午後四時一分開議
  252. 江口一雄

    江口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山本孝史君。
  253. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 拍手の音は記録に残りませんからね、数だけ言っておかないと。自民党が委員長を入れて四人しかいない。政務次官を入れて与党は五人しかいません。野党の方が数が多いです。  質問します。  前回の廃掃法の改正のときに、私、豊島の問題を取り上げまして、当時の菅厚生大臣は早速豊島に視察に行っていただきました。なかなか前に進まない問題ですけれども、まず厚生大臣にお伺いをします。豊島の産廃問題から得た厚生省の教訓は何であったのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  254. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 豊島の問題につきまして、事前に視察をするようにという御注文はあったわけでございますが、御案内のような法案が殺到いたしておりまして、残念ながら行く機会がなかったわけでございます。  一言で申しますと、不法投棄というものがいかに環境を破壊し、その結果、ざっと三百億円前後と言われておるわけでございますけれども、重い回復費用負担しなければならないか、国民にとって余りにも失うものが大きいものではないか、こういうことを教えてくれたものではないか、こう思っております。不法投棄の未然防止こそが最も重要な廃棄物対策であるということを如実に示したものではないかと思っております。  そして、今回の法改正におきましては、もう今さら委員にお話を申し上げるまでもなく、最終処分まで排出事業者に責任を負わせることにした上で、いわゆるマニフェスト制度により排出事業者が最終処分されたかどうかを確認させるなど、排出事業者処理責任の強化を盛り込んでおるわけでございます。  また、不法投棄を初めといたしました各種罰則の強化など、どちらかというとこれまで廃棄物に関しましては公共の関与というものが比較的弱かったわけでございますけれども、こういったものによりまして積極的に参加をして最終処分場の施設整備促進を図る、こういうことが一つの大きな教訓になっておるわけでございます。  いずれにいたしましても、こうした措置によりまして不法投棄の未然防止を徹底させなければならない、こう思っておるわけでございます。この豊島問題を契機にいたしまして、廃棄物処理施設は迷惑施設だということで片づけられてきたわけでございますけれども、もうそういう段階ではございません、私ども行政として、住民の方々事業者方々にこの増大する廃棄物処理対策のあり方について積極的に考えていただいて、そういう中で国民の皆さん方の理解と合意を得ながら積極的に進めなければならない、私はこのような認識に立つものでございます。
  255. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 今回の改正は、私の受けとめでは、前回の改正で盛り込みが不十分であった排出者責任の強化あるいは罰則の強化をようやく何年かたって盛り込みになったということで受けとめています。ただ、それだけで本当に十分やっていけるのかなと思います。  一つはマニフェストにしても、きっちりとチェックをしませんと、うその報告をされてもなかなかわかりにくい部分がある、そんなふうにも思いますし、もう一つは都道府県等による立入調査なんですけれども、これが実効性を持っていないのではないかと常に言われています。原則無通告とおっしゃっておられますが、立入調査をされるときはそこはきれいに整理されているというお話もたくさん聞きますので、この立入調査は実効性を持たせるために本当に抜き打ちでやっているのかどうか、岡澤部長から御答弁いただきたいと思います。
  256. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 施設等への立入検査は、処理施設等の現場において不適正な処理が行われることに対しまして、都道府県措置命令等を発動する必要があるかどうか判断するために行われるものでありまして、従来から不適正処理の取り締まりあるいは指導改善等に大きな役割を果たしてきたというふうに認識しております。  また、今回の改正法案におきましても事業者責任の強化を図っておりまして、例えば措置命令の対象者について一定の注意義務を怠った排出事業者を加えるというようなことを行っているわけでございますけれども、こうした措置によりまして立入検査の対象とする範囲が広がりまして、より実効性のあるものになるというふうに考えております。  立入検査の方法等についての御質問があったわけですけれども処理施設あるいは処理の状況が的確に把握できるような方法によって行われますように、都道府県に対して十分な助言等をしてまいりたいというふうに考えております。
  257. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 その立入検査は、実際に事前の通告なしにその場で立ち入りをしているのですか。
  258. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 原則として通告なしの立ち入りをしております。ただ、定期的に検査をするというふうな場合もございますので、ある程度知らせてという場合も全くないとは言いませんけれども、原則的には無通告の立入検査ということでございます。
  259. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 これは後で聞こうかと思っていたのですが、厚木の神環保でアメリカ軍がいろいろとデータをとっている。そのデータを神奈川県は使わないわけですね。自分たちが調査をしていないのでそのデータをもらえないと言っているのですけれども。そういうふうに、このケースでいけばアメリカ軍ですが、ほかの人たちから、例えばそこに搬入をしていることをしっかり入り口で監視をしている反対している人たちあるいはさまざま、このデータを提供されて、その提供を受ける、あるいは管理をしている都道府県としてそういったデータも参考にするということなのか、その辺はどうですか。
  260. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 神環保の施設の運転状況に関するモニタリングは、神奈川県の協力を得て、国と米軍の方とで共同実施しているものでございます。当然、神奈川県もそのデータについては承知しているということでございます。  それから、神奈川県が神環保に対して、神環保の運転状況等について把握するために立ち入りを行っておりますが、これについても無通告で現地立ち入りをしております。
  261. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 先般、私も厚木に行ってまいりました。アメリカ軍の皆さんの御説明では、自分たちが、あるいは岡澤部長行かれたことは当然あると思いますけれども、信じられないぐらいに監視モニターのテレビを置いて、衛星も使いながら、その搬入状況を全部チェックしている。搬入されるものと排出されるものの比較をしているわけですね。ところが、神奈川県はそのデータを全然信用しない。つまり、自分たちが立入調査をしたデータでないと使えないんだ、こういう言い方をしているものですから、それはなかなかもったいない話だなと思います。  これはたまさか神環保の例でそうなるわけですけれども、同じような例がほかの地域でもあるのではないかと思うわけです。そういう意味で、せっかく貴重なデータとして出てくるものをしっかりと活用していただきたいと思いますし、調査をするときは抜き打ちの立入検査ということでないと効果がないのではないかと思いますから、ぜひそのように都道府県を指導していただきたいと思います。  先ほど大臣の御答弁の中にもありました豊島の産廃の処理費用の問題ですけれども、三百億ぐらいかかるという推計が出ています。そのうち国費は、施設整備費に係る百五十億円の四分の一、この三百億のうち約四十億円弱しか国は負担しませんので、残りの約二百六十億円は香川県が負担をするということになります。十年間の処理計画だったと思いますが、それにしても二百六十億というのは、これは国が出すわけではなくて香川県民が負担をすることになるんだと思いますが、大変巨額だと思うのです。これは、国はどのようなかかわり方を持っていかれるお考えがあるのか、あるいは国が全くタッチしないのか、どういうお考えなのでしょうか。
  262. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 豊島の不法投棄廃棄物処理に要する費用でございますけれども、御指摘のように約三百億円、これは運転費用も含めてということですが、必要だというふうに試算されております。  中間処理施設整備に要する経費に対しましては、国として四分の一の国庫補助を行う予定でございます。これは、残りは香川県が負担することを前提として、施設整備費に対して四分の一の補助を行うということでございますので、合計では四十億円弱ということでございます。残りの費用は当然香川県が負担するということを前提にしておるわけでございまして、本年度の予算として香川県としては既に四十億円を計上しておりますし、また、次年度以降につきましても必要な予算を確保するというふうに聞いております。
  263. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 自治省にお聞きするお話なんだとは思いますけれども厚生省のお立場としては、これは本来香川県が県費として負担をして処理すべきものであって、日本の国民全体で負担をするものではない、こういう理解でよろしいですか。
  264. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 産業廃棄物処理に関する指導監督の責任権限というのが都道府県知事にございまして、その意味では、都道府県知事が県内で生じます産業廃棄物の適正処理を確保する、不適正処理を取り締まるという責任を持っているわけでございます。今回、不幸にして豊島であのようなことが起きたわけですけれども、香川県内で生じた事例でございますので、一義的には事業者は香川県というふうに考えております。  国が四分の一の補助をすることにいたしましたのは、これは非常に規模が大きい事業で費用も多額を要すること、それから早急に処理をする必要があることから、国が補助をすることとしたわけでございまして、過去において不法投棄があったものについて一般的に国が補助制度を持っているわけではございませんで、豊島に関して特例的に今国庫補助を行っているということでございます。
  265. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 豊島については特例的に国が負担をして、第一義的にやはり都道府県が責任を持って対応すべきだということですから、今の御答弁をそのまま受ければ、処理費用三百億のうちの四十億弱が国の負担であって、残り二百六十億は香川県の負担であるという認識を再びお示しになったわけです。  大臣に一問飛ばしてお聞きをします。  今、平成十年六月以前に不法投棄された産廃の処分にかかわる費用は、一定予算で対応されています。三分の一の補助になっておりますけれども、大変に大きなお金がかかる。今の豊島の例を申し上げるまでもなく、各都道府県とも大変に多額の費用負担しています。今、国の方の予算の対応でいきますと三分の一を補助しておられるわけですけれども、原状回復に取り組む都道府県立場を尊重して、今後ともに都道府県がこういった不法投棄された産廃を処分するときに、たとえ三分の一でも補助をしていくというお考えなのか。今地方の財政状況は大変に厳しいですから、三分の一負担していただいても、残りの三分の二の負担はなかなか難しい、したがって、産廃富士はそのまま放置されるという状態が続いていますが、こうした不法投棄された産業廃棄物にどのように対応していかれるのか、予算的なことでお尋ねをしたいと思います。
  266. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 過去の不法投棄の原状回復措置につきましては、先ほどからお話が出ておりますように、あくまで基本事業者がみずからの責任において原状を回復すべきだ、こういう原則に立っておるわけでございます。ただ、投棄者が不明などの場合に備えまして、平成九年の法改正により基金をつくりまして都道府県に補助をしてまいったわけでございます。  この基金を制度が施行される前、つまり、平成十年の六月以前でございますけれども、不法投棄につきましては、この基金で当然のことながら対応できないものでございますので、特例的に十年度、十一年度の補正におきまして都道府県の要望があったものにつきましては補助を行ってまいりまして、平成十年で二十億円、平成十一年で一・二億円でございますが、今後のことにつきましては御要望を十分に承りたい、このように考えているような次第でございます。
  267. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 平成十年が二十億、十一年一億二千万の補助金の措置になっていますが、十一年は金額が少なかったこともあってほぼ満額消化しておられる。十年度では補助金二十億を措置されて、実際にお使いになった額は十二億三千万というふうに思います。これはやはり都道府県が三分の二を持たなければいけないという壁がかなり厚くて、せっかく国の方で予定をしていただいても処理し切れない。小さな規模の産業廃棄物、不法投棄ではなくて、大変に大きな不法投棄。これは明らかに産廃法の改正がおくれてきたがゆえの不法投棄の山だと思いますけれども、そういった意味では、今御答弁いただいたように、しっかり予算措置をとってあげませんと、環境はますます悪くなりますし、住民の側に今しっかり国が廃棄物に対して対応しているのだという姿勢を見せませんと、新たな施設の設置も大変に難しいと思いますので、予算状況は厳しいと思いますけれども、ぜひ財政措置を今後ともに検討をしていただきたいというふうに思います。  次の質問に移りたいと思います。  従来からの廃棄物はすべて焼却ということでやってきたわけですけれども、今私の頭の中にもそれとは違う二つの方法がありまして、一つはガス化溶融炉という形、燃やすのではなくて溶かすという処理方法、もう一つは、これは厚木にもあるのですけれども、RDFという固形燃料化するという、この二つの方式ですけれども、これについてお尋ねをしていきたいと思います。  このガス化溶融炉の件につきましては、先般、私、川崎製鉄の千葉にございますプラント、サーモセレクト方式とおっしゃっておられますけれども、実験プラントというよりは本格稼働しているプラントですので、見学といいましょうか視察に行かせていただきました。  まず、普通の廃棄物処理工場といいましょうかあるいは市町村が持っている一般のごみの焼却場と違いまして、このガス化溶融炉は、サーモセレクト方式と言っていますけれども、ここのプラントはまず煙突がありません、煙が出ないので煙突がない。施設は小ぶりになっていまして、建設コストも非常に安いと私は思いました。溶けた溶融液の中から有価物を回収することもできますので、先ほど鴨下先生の質問に答える形で、国の基準に合致しているという認識をお示しになったように聞いておりましたけれども、これは例えば、技術評価としては、今どのような認識をしておられるのか、部長にお伺いしたいと思います。
  268. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 お尋ねのありましたガス化溶融炉でございますけれども、残渣として出てまいりますスラグについては路盤材等としてリサイクルできるというようなことがございまして、現在行っておりますような焼却処理にかわる新しい廃棄物処理の技術として近年注目されてきているものでございます。  また、この方式では、ガスはスクリーニングした上で他の用途に利用可能なものでございますし、その場合にはガスの燃焼工程を省略することも可能であって、そうしたときには煙突が不要になる、見た目も随分違うということになると思います。  一般的には、発生したガスをその場で燃焼することによって溶融炉のエネルギー源に利用するのが通例でございますので、その場合には煙突が立つことになりますけれども、そのケースであっても高温焼却が維持されるということがございますので、ダイオキシンの発生等についてはかなり抑制効果が高いということでございます。  そういう意味では、廃棄物の新しい処理技術として一定のかなりいい評価ができるのではないかというふうに考えております。
  269. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 部長、重ねてのお尋ねで恐縮でございます。問題は、今御指摘になったスラグが最後に残ります。有価物は、メタルは回収して次の方に再利用していくことができるのだと思いますけれども、このスラグが、どこもそうだと思うんですけれども利用ができませんとどんどん埋め立てに回っていくということで、最終的に出てまいりますスラグの製品化あるいはそれの利用促進といったようなところで、何か厚生省として対応をお考えいただけるようなものがあるのでしょうか。
  270. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 厚生省といたしましては、ガス化溶融炉から発生するスラグのうちで一定の品質を有するものを公共工事において再生利用することについての指針を作成して、一昨年の三月にこれを都道府県あてに通知したところでございます。  そういうことによりましてスラグの再生利用促進について地方公共団体の指導を行っているところでございますけれども、まだスラグの発生量自体が少ない状態でございまして、これからスラグがどんどん出てまいりますと、その利用ということが問題になる可能性もございます。  今後とも、私どもの方では、販路の調査等に努めて、できるだけスラグの有効利用の方途を探っていきたいというふうに考えております。
  271. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 利用の指針とおっしゃいましたか、こういうふうにして使いなさいみたいなことだと思うんですけれども。例えばコンクリート、セメントに加工していくとかあるいは道路の舗装材に使うとか、今ブロックにして使っていますね、どこの町もそうだと思うんですけれども、ガラス瓶のリサイクルがどんどん進んで、全部ペレット、どんどん小さく割っていって、最後は道路の舗装材に使うみたいな形にしかならないんですね。もっと何か積極的に使うような道を開発していくあるいは研究をする、そういうようなプロジェクトなり取り組みというのは今厚生省の中でないのでしょうか。
  272. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 現在の状況ですと、溶融固化物につきましては、今も御指摘のとおり、路盤材であるとかコンクリート用の骨材だとか、あるいは埋め戻し材とか、コンクリート二次製品の材料というようなものに使うことができるというふうに考えております。  それ以外についてもさらに用途を拡大する余地があるのではないかというふうな御指摘ですが、これにつきましては、民間企業の方でもそういう用途拡大につきましての調査研究を進めているところでございまして、私どもも、必要な連携あるいは支援が可能であれば支援もして、スラグの販路の拡大というものに努めてまいりたいと思います。
  273. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 やはり、使って、処分して、そしてまだその後ずっと考えないと……。先ほどの鴨下先生の御質問にありましたけれども、PETボトルもどんどん回収はして山積みして、最後はコークスのかわりに使っていくという形にしかならないものですから、リサイクルを進めるのはいいんです、いろいろと処理工程を考えるのもいいんですが、やはり最後までぜひ研究をしていただきたいというふうに思います。  それから、焼却以外のもう一つの方法のRDFなんですけれども、杉並病のところでもいろいろ問題になったり、実は、今私の地元でもこういう施設の建設計画があるんですけれども、そもそもRDFというものの評価というんでしょうか、どういう位置づけを廃棄物処理の中でしておられるのか、そこを聞かせていただけますか。
  274. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 RDFに固形化いたしますと輸送が非常に楽になるということがあるのと、それから、燃焼させるときに燃焼管理が容易になりまして、その結果、燃やしたとしてもダイオキシンの発生などを抑制できるという効果がございますので、ただ生ごみをそのまま燃やすのに比べるといろいろな意味で効果があるというふうに考えております。
  275. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 運ぶのに楽、燃やすときにダイオキシンが出にくい、今二つ利点を挙げられたんですが、結局は、そうすると、RDF化しても最後は燃やすという形になるという理解ですね。
  276. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 おっしゃるとおり、RDFというのは固形燃料化するための施設ということでございますので、最終的にはRDFは燃やす、燃焼させるということになります。
  277. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 そうすると、RDF処理工場だけを建ててはだめなんであって、先ほどのスラグの話と同じで、RDFでごみをペレット化して固形燃料化しても、それをどこかで焼却をするその焼却先、あるいは利用法というんでしょうか、使用先がないと、この工程は完結しないというふうに、私は今お伺いをしていて思うんです。  そうしますと、RDF化の処理工場も国費で補助をする制度があると思うんですが、廃棄物施設整備費の中でRDFの処理をすることに国費で補助をするときは、RDF化した先の引き取り先といいましょうかその利用先、あるいは最終的にどうなるのかということが明確でない場合は、そういったRDF化処理工場の申請については承認しないということになっている、そういう認識をしてよろしいでしょうか。
  278. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 RDF施設の国庫補助でございますけれども、これは、国庫補助を行います際に施設整備計画書の提出を求めております。その中で、このRDF施設に対しまして補助金を交付する際の条件ということでありますけれども、有償、無償を問わず製造されたRDFを安定的に利用する利用先が確保されていることというふうな条件をつけておりますので、行き先がないようなRDF施設について国庫補助の対象にしないということでございます。
  279. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 そうしますと、RDF工場をつくる意味合いは何なんですか。結局、どこかで焼却をするわけですから、RDF工場をつくるよりも非常に効率のいいごみの焼却施設をつくった方が、投資が二重にならなくて済むという考え方になるんですか。
  280. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 おっしゃるように、燃焼管理が十分にできる施設であれば、RDFという操作を一工程加えなくても直接燃焼させて十分な管理をすることは可能だと思います。  ただ、ダイオキシンの問題のときにもいろいろな御指摘がありましたけれども、小さな焼却炉ですと燃焼管理もうまくいきませんし、ダイオキシンが発生しやすいという問題がございます。そうすると、小さな規模の市町村がそれぞれの焼却施設をつくるよりは、広域的に処理をして大きな施設で燃焼させた方がダイオキシン対策にも資するわけでございまして、そうなりますと、廃棄物を輸送しなければならないという問題が生じます。  そこで、輸送するに当たって環境汚染を生じさせないような輸送しやすい形態ということでRDFという形態が一つ考えられるわけでございまして、また、同じ燃焼するにしましても、生ごみを燃焼するのに比べますと、RDFを燃焼させた方が燃焼管理がしやすいということからダイオキシンが発生しにくいわけでございますので、そういう意味では一工程追加されるということでございますけれども、環境保全対策上からは大きなメリットがあるというふうに考えております。
  281. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 そうしますと、重ねての質問ですが、今のお答えの中でいきますと、広域で処理をしていると。小さな焼却炉でも今非常に性能が上がってきていて、広域処理をしなくても実は市町村の中で十分処理できるんですね。市町村できっちり廃棄物処理をした方が、住民の皆さんもごみがどこに行ってどうなっているかがわかっていいので、余り広域でどこかに持ち出すことをするよりは、小さな焼却炉でも今できるようになったから、私は個人的にはその方がいいと思っているんです。大きいものをつくった方がもうけが大きいから、大きいもの大きいものと今おっしゃっていますけれども、私はそうは思わない。  ただ、今のRDFの話に戻れば、広域で処理をするから運ぶのに楽だし、そうやって持ってくると。そういうことは、近くで焼却工場がつくれる、あるいはそれが十分にまだ利用できるといったような条件があれば、とりわけRDFはつくらなくてもそういう形で対応ができる、こういう理解をしてよろしいわけですね。
  282. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 そのとおりでございます。
  283. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 よくわかりました。ありがとうございました。  PCBの問題について、大野政務次官にぜひお伺いをさせていただきたいと思います。  先ほど福島先生も御質問をされておられました。PCBの問題で、大野政務次官は随分何回となく御質問されておられて、質問主意書もお出しになっておられますし、その経緯の中で厚生省としてPCBの保管状況の全国調査を実施することになったというふうに私は理解をしています。  ただ、PCBが保管されているはずなのにだんだんとどこかへ消えてしまっているのではないか、流れ出しているあるいは紛失をしているということが常に言われているわけですね。今、平成十年度の調査をしておられて、なかなか最終結果がまとまっていないようですが、前回調査以降、今、平成十年の調査をしておられる過程の中で、紛失をしているというような状況なんでしょうか、あるいはきっちり保管をされているという御認識をされておられるのか。  聞いておりますところでは、四つの県もしくは中核都市が報告書をまだ上げてこないので全国集計ができないというふうに聞いていますけれども、それはそれとして問題なんですが、名前ぐらい公表しろよと言ったら、名前の公表は御勘弁をとおっしゃっておられましたけれども自分たちで調査するわけじゃなくて事業所から報告を受けるだけだから、そんなものは公表せいと言っているんですが。  しかし、今出てきている数字をごらんになっている中で、このPCBはきっちり保管されているという御認識を持たれるか、あるいはやはり消えていっているのか、どこかへ流れ出していっているという受けとめをされておられるか、次官にぜひお伺いをしてみたい。よろしくお願いします。
  284. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今PCB廃棄物の保管状況についてそれぞれ実態調査をしている最中で、間もなく最終的な報告がまとまるのかなと思っておりますが、平成五年の調査結果と同様に今回も一部のPCB廃棄物が紛失しているものと考えられます。大変憂慮すべき状態ではないか、このように思っております。
  285. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 そうしますと、調査をされるたびに紛失をしているということが明らかになる。  ついせんだっても、これはアメリカ軍が保管していたPCBを外国へ持っていって、また日本へ持って帰ってくる、行き場所がないので転々として、今南太平洋のどこかに行くんでしょうか、そんなお話になっているように思います。  先ほどの福島先生の質問への御答弁の中でもありましたけれども、PCBを保管をしているということではなくて本格的に処理に乗り出さないと。どんどんと流れ出ていく、大気中に出ていって、結局はダイオキシンをふやしているのと同じ話になりますので、これは処理がやはり必要なんだと思うのですね。公明党さんとしては中国に残っている毒ガス兵器の処理にも乗り出されていますが、やはりこういう使わないもので毒性のあるものはできるだけこの地球上からどんどん減らしていかなければいけない。  大変にお金のかかることだというのもさっきおっしゃいましたけれども、保管から処理へ移行していくべきだというのは、先ほど御認識を示されたので私も全く同じ思いなんですが、ただし、大変に処理コストが高い。大手は別にしても、とりわけ中小の業者さんにとってはこの処理費というのは大変に高いものだと思うんですね。  そういう意味で、大手には自主的に処理をしなさいということが言えても、中小の業者さんが持っているPCBの処理について国の側で何らかの支援措置はお考えになるのか、あるいは、まだ先の話なので五年、十年たってから考えようということなのか、そういったところはどうお考えでしょうか。
  286. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今委員が御指摘の、保管だけじゃなくてそろそろ処理をすべきじゃないかという御指摘は、ごもっとも、そのとおりであろう。今までは本当に無害化処理の技術が確立していなかったものですから、ただひたすら保管というような状況であったかと思いますが、この技術も確立いたしましたし、昨年の年末には、三社でございますが処理施設の許可を得た、処理を始めた、こういう状況でもございます。  また、今年度、ミレニアムプロジェクトとしてゼロPCB支援プロジェクトが国の予算がつきましてスタートをしております。まず早期かつ安全に処理をすることによって、PCB廃棄物処理を先駆的に行う民間事業者のモデル的な事業に対して、国が一定の財政的、技術的支援を行って、国民の皆さんの信頼をかち得ていく、安心していただく、こういうふうなことでスタートをしております。  こうしたことを通しながら、委員が御指摘のように処理費用の低減化等々も図りつつ、ゼロPCB支援プロジェクトの着実な実施に今後も努めてまいりたい、検討をしていく課題であろう、このように思っております。
  287. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 そこで大臣にお伺いをしたいんです。  今次官から御説明がありましたゼロPCB支援プロジェクト、これはミレニアムプロジェクトということで本年限りの予算になっているのではないかと私は思うんですが、来年度以降もこうした予算措置が期待できるものなのか、厚生省としてどういう御対応をされるのか、お伺いします。
  288. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今政務次官から答弁をさせていただきましたけれども、長年滞っておりましたPCBの処理が、民間でございますけれども、新たな処理技術ということでございまして、三カ所でございますか、ようやく動き出したということでございます。  ミレニアムプロジェクトでは、こうした動きをさらに支援していく観点から、今後五年間で中小企業の保管いたしておりますPCBトランス・コンデンサーを五割処理することを目標にいたしております。今年度のミレニアムプロジェクトでは、中小企業向けに対しまして六億円を計上いたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、私どもは、二十一世紀に向けて負の遺産を残さないための極めて重要な事業であると認識をいたしておるわけでございますし、国民の皆さん方の理解と合意を得ながら無害化処理につきましてきちんと進めていかなければならないと思っておりますし、委員指摘の来年度以降につきましても必要な予算の確保についてできる限り努めていきたい、このように考えているような次第でございます。
  289. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 私は、ミレニアムプロジェクトは華々しい打ち上げ花火で一年限りで余りいい内容のものがないなと思っておりますけれども、この話はちょっと別かなと思いますので、ひとつ本腰を入れてPCBの処理に乗り出していただきたいと思います。  神環保の問題、先ほども少し触れさせていただきました。  今、アメリカ側からの要求等々もあって、高い煙突を立てるということで対応しようとしておられるわけですけれども、お聞きしておりましたら、廃掃法上では高い煙突は必要としない。すなわち、煙の出てくるところでその濃度なりダイオキシン等々をはかって、それが問題なければいいことであって、高い煙突は基本的には必要としないというふうに私は理解をしています。  なぜ高い煙突をここへ立てなきゃいけないのかということになると、私もあの現地に行ってよくわかりますけれども、今、煙が真っすぐ建物に当たる形になっている。したがって、そこに高い煙突を立てて煙を当たらなくするということで対応しようとしておられると思うんですが、防衛施設庁に来ていただいていますが、私のこの認識でよろしいでしょうか。
  290. 宝槻吉昭

    宝槻政府参考人 今先生から御指摘がございましたように、旧神環保、現在エンバイロテック社と申しておりますけれども、厚木基地の近傍にございますこの事業所からのばい煙の問題でございます。  御指摘のとおり、現在、神奈川県が廃掃法に基づきましてバグフィルターの設置について勧告されて、これについて工事が進んでおりまして、今月末までには三基の炉が完成するということになっております。  しかし、今まさに御指摘になったとおり、私もあの現場を見ておりますけれども、そういった措置によってもなお、夏の時期に風向きによってやはりばい煙が直接吹きつけるという事態があり得ることでございますので、そういった問題を取り除くために高煙突化が必要であるというふうに私ども考えておるところでございます。
  291. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 建物に煙が当たるので、高い煙突を立てて煙が当たらないようにするんだ、こういう話ですね。今、たしか国の方としては、これは日本側が建設をして、今エンバイロテックという名前に変わっていますが、この会社に使わせるということになっています。  そこまで話を聞きますと、思いやり予算というんでしょうか米軍への対応だと思うんですけれども、今、住宅をかわりのところも準備しますみたいな話まであって、そこまでやってくれるのになぜ日本の国民にはやってくれないのかという声が出て当然だと思うんですよ。  私、ここに煙突を立てられることを否定しているわけではありません、確かにもろにぶつかりますから。しかし、そこまで一つの施設に、しかもRDFも、民間事業者にいろいろとやらせて、あるいは国費を十二億円出して見事に脱税されてという、非常にうまく対応しておられない状況が続いている。なぜここへこうやって煙突を立てるのか。これは、やはりそれが必要なんだと日本の国民にきっちり説明する。しかし、同様に日本の廃棄物処理施設の周辺で大変に被害をこうむっている、あるいは能勢の例を出すまでもなく、ダイオキシンがばらまかれているという状態はいっぱいあるわけで、そこも同様にやってほしい。  私、政治というのは公平、公正であることが一番大切だと思いますので、これは、日本の施設に対しても同じように、日本人といいましょうかそこの近辺に住んでいる人たちに対してしっかりやるんだということを言っていただかないと、また税金のむだ遣いかい、おかしな話じゃないかと思うので、これは、大臣は同じ認識を持っていただけると思うんですが、大臣、どんな認識を持っておられますか。
  292. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 外交的な問題に発展しておるということでございまして、率直に申し上げて、委員の御指摘の点も国民感情として私は理解をしないわけではないわけでございます。  ただ、神環保につきましてだけ述べさせていただきますならば、これにつきましては、廃棄物処理法の違反によりまして、施設改善によりますバグフィルターは、既に一部ではこれを設置いたしまして運転中でございます。この問題につきましては、基地内の大気環境につきまして、三月より日米の共同モニタリングを行っているような次第でございます。  これは、先ほどから申し上げましたように、日米の政府間の重要な問題としてアメリカ側の強い要望がある、こういうような経緯が率直に言ってあるわけでございますが、私どもは、当然のことながら、今委員が御指摘のような点も十分に踏まえてという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、これは外交上の問題でございますけれども、国内の問題につきましても積極的に取り組んでいく私どもの姿勢には全く変わりはございません。
  293. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 確かに外交上の問題だとは思うんですね。地位協定の問題もあるんでしょう。クリントン大統領が日米首脳会談で直接触れられる、あるいはコーエン国防長官が日本に来られたときに直接触れられる、直接現地も視察に行かれるというようなことがあって、力のある人あるいは声の大きい人が言えば日本の政府はやるけれども、そうでない人が言ったものはなかなか聞いてもらえない。何ぼ外交上の問題だといっても、使っているお金の金額はけた違いに違います。  そういう意味では、やはりこれだけのものは日本国内でもちゃんとやっているんだということで予算措置をほかの方でもしていただく。廃棄物処理というのは二十一世紀の日本社会の大変に大きな問題だと私は思いますので、循環経済だとかなんとか格好いいことを言うのはいいですけれども、そういうえこひいきはやめにしていただきたい。公平、公正な政治をやはり旨としていただきたいというふうに私は思います。  という意味で、ぜひほかのところも力を入れて、今廃棄物処理の被害を受けておられる住民の皆さんの声をよく聞いていただいて、対策を十分にとっていただきたいというふうに思います。要望させていただきたいと思います。  最後に一問だけ。全く話は違うんですが、大野政務次官、今、私がちょっと小耳に挟んだ話で恐縮ですが、食品衛生法の改正に絡んで調理をするお店に調理師を必置にしなければいけないというようなことを与党の中で検討されておられるやにお聞きしているんですけれども、そんなお話があるのかどうか。あるいは、今、調理師免許を持っていないと開業できないというような形になりますと、働いておられる小さな飲食店はなかなか大変だと思いますので、どんなふうな動きになっているのか、心配している向きもあるものですから、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  294. 大野由利子

    大野(由)政務次官 御指摘のような法案の提出を検討しているという事実も聞いておりませんし、法案の内容も全く知らないという状況でございます。また、議員立法云々については、政府の立場でコメントする立場でもございませんし、申しわけありませんが、中身も全く知らないということで、この場では私もコメントできませんので、御了解いただきたいと思います。
  295. 山本孝史

    ○山本(孝)委員 それを聞いて安心しました。  何か解散前になりますと途端に議員立法が続いて、審議なしに次から次から通せというのは国会の権威にかかわる問題だと私は思いますので、保助看法の話もそうですけれども、議員立法だからといって十分な審議なしに物を通すのはやはりやめにしたい。  そういう意味で、そんなお話もあるやに聞きましたし、ちらっと法文めいたものも見たものですからお聞かせをいただいた次第でございます。安心をしました。ありがとうございました。
  296. 江口一雄

  297. 武山百合子

    ○武山委員 武山百合子でございます。  自由党を代表して質問をしたいと思います。  私は、循環型社会を形成することは、今の我が国における最も重要な課題の一つであると考えます。と同時に、循環型社会の形成は、大量生産、大量消費、大量廃棄というライフスタイルを変えるという社会変革を行う大事業であるわけです。この大事業をなし遂げるには、社会が一体となって、そして国民一人一人が十分に意識して、生活の、そして経済活動のあらゆる場面で取り組みを進めることが必要だと思います。  廃棄物処理法は廃棄物に関する重要な法律ですので、今回の改正が、廃棄物の排出抑制と適正な再生利用を進める上でも、循環型の利用や再生利用ができない廃棄物を環境の保全上適正に処理できるシステムをしっかりとつくり上げていく上でも、十分な内容のものでなければならないと思います。  ところで、廃棄物処理法は、平成三年と平成九年に大幅に改正されました。平成三年の改正では、廃棄物の排出の抑制、計画的な処理実施、再生利用促進、不適正処理の解消、有害性がある廃棄物の対策の強化などが行われ、平成九年の改正でも、不法投棄防止や原状回復措置の強化、廃棄物処理施設の規制の強化、再生利用促進のための仕組みの創設などが行われました。  それらの改正が行われてきたにもかかわらず、また今回廃棄物処理法の大幅な改正が提案されております。これは一体どうしてなのか、平成三年及び平成九年の改正では何が足りなかったのか、どうして今回また改正しなければならないのか、それを国民に対して明確に示すことができなければ、改正法の内容が国民各層の取り組みに反映されず、結果として循環型社会の形成には役立たないということにもなりかねないと思います。  そのためには、幾つかの具体的な事項に関する質問を通じて、今回の改正法の意義を明確にしていきたいと思います。  過去の廃棄物処理法改正では、いずれも重要な附帯決議がなされています。それらの附帯決議について政府が正面から取り組んでいれば、今回の法改正を必要とするような深刻な廃棄物問題は生じていなかったかもしれません。  そこで、今回の改正法案の提案理由説明において示された法案の主な内容の項目に照らしつつ、過去の附帯決議への取り組みの状況を伺いながら、今回の改正で何をどう変えていこうとしているのか、明らかにしていきたいと思います。  まず最初に、通産省から政務次官の細田先生においでいただいておりますので、他の委員会と同時進行ということで、一番最初に通産省の細田政務次官に伺いたいと思います。  昨年、環境庁と通産省によってPRTR法がつくられ、有害性がある化学物質やそれを含む製品を取り扱う事業者が、他の事業者にそれらの化学物質やそれを含む製品を譲渡し、または提供する際に、それらの化学物質等の性質や状態、取り扱い等に関する情報を提供する仕組み、いわゆるMSDS制度が設けられました。これについて幾つか質問したいと思います。  まず、このPRTR法に基づくMSDSの対象となる化学物質の数。二点目は、その選定についての通産省の考え方について。それからもう一点、MSDSは廃棄物には適用されないと理解しておりますけれども、通産省はいかがでしょうか。三点になりますけれども、お願いします。
  298. 細田博之

    ○細田政務次官 武山委員の御質問の最初の点でございます。  PRTR法、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善促進に関する法律に基づきまして、いわゆるMSDS、化学物質安全性データシートの対象となる化学物質の数は四百三十五物質であります。これらの化学物質は、人の健康を損なうおそれまたは動植物の生息もしくは生育に支障を及ぼすおそれのある化学物質のうち、環境中に広く存在するかまたは将来的に増大することが見込まれるものとして、中央環境審議会、生活環境審議会及び化学品審議会に諮って選定したものでございます。  第二の、第三と申しますか、御質問はMSDSは廃棄物には適用されないということについて通産省の考え方いかんということでございますが、廃棄物に含まれます化学物質の量や割合は、その時々で変化をいたしまして非常に不安定なものでございますので、廃棄物に対してもMSDSの交付を義務づけるということは非常に大変な負担を強いることになるわけでございます。  逆に、本当にこのものは規制すべきである、マニフェスト制度の対象にすべきであるという場合には、既に二十三物質指定されているわけでございますし、そちらの方で処理することが適当ではないかと思うわけでございます。欧米等におきましても、廃棄物自身にはMSDSをつけていないのが現状であります。  他方、廃棄物の処分等を委託する場合には、廃掃法第十二条で、受託者が適正な処理のために必要な情報を提供すべきことが既に定められております。こういった状況を勘案いたしまして、PRTR法におきまして、廃棄物についてはMSDSの交付義務を課しておりません。  以上でございます。
  299. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、これは厚生省とかかわりがありますので、厚生省の方は大野政務次官にお聞きしたいと思います。  この廃棄物処理法においては、有害性を有する物質を一定以上含む廃棄物が特別管理廃棄物として扱われているわけですね。この有害性を有する物質は幾つあるのでしょうか。
  300. 大野由利子

    大野(由)政務次官 廃棄物処理法上では、有害性を有する物質を一定以上含む廃棄物については、特定管理産業廃棄物の中で特定有害産業廃棄物と定義しておりますが、これは、廃PCBとか水銀を含む汚泥など四十八種類が定められているところでございます。
  301. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、厚生大臣、今お聞きしましたように、MSDSによって事業者間で行われる情報提供の対象化学物質の数ですけれども、これは廃棄物処理法が特別管理廃棄物としている有害性を有する物質の数よりも格段に多いわけですね。しかも、PRTR法のMSDSの対象化学物質は、それがどれだけ環境中に存在しているか、規制を必要としている状況かどうかは別として、有害性がある化学物質であることは間違いないわけです。  それで、通商産業省に伺いますけれども、細田政務次官、PRTR制度では、このPRTR対象化学物質やそれを含む製品を取り扱う事業者には、その化学物質が廃棄物に含まれて事業所の外に移動する量を把握する義務があるわけですから、廃棄物処理処理業者に委託する際に、PRTR対象化学物質を含むとか含まないとか、その量がどのぐらいあると推定しているか、こういう情報を処理業者に提供しようと思えばできる環境が整ったということが言えると思います。これは、環境がこのPRTRの中では整っていると思いますけれども、通産省はどのようにお考えでしょうか。
  302. 細田博之

    ○細田政務次官 環境が整ったのではないかという御質問でございますが、PRTR法に基づきまして、事業者は、第一種指定化学物質に関して、三百五十四物質ございますが、廃棄物に含まれ、事業所外へ移動する量を把握して国に報告することが義務づけられたわけでございます。  ただし、これは一年間の合計値のみについてでございまして、成分が変化いたしますし、日々の状況を把握して報告するということは非常に難しいものでございまして、これまでも義務づけておるものではございません。  したがいまして、本法に基づくPRTR制度では、事業者廃棄物処理業者に廃棄物処理を委託するごとにその量を把握して伝えるということは予定しておりませんし、極めて難しい問題があると存じております。
  303. 武山百合子

    ○武山委員 これは、化学物質が廃棄物に含まれて事業者の外に移動する量を把握する義務があるはずですよね。それで、義務があるにもかかわらず環境が整っていないということなんでしょうか。
  304. 細田博之

    ○細田政務次官 全体の量を把握するということで環境に対する負荷等を把握しておるわけでございます。そして、個別の有害性という面につきましては、このPRTR制度の中におきましても、先ほどちょっと申しましたけれども、廃掃法のマニフェスト制度の中で二十三物質を対象としておるわけでございますから、そちらの方で今後できるだけ把握していただくということが適当ではないかと思っております。
  305. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、PRTR法ができたことによって、排出事業者廃棄物に含まれる有害性がある化学物質についての情報提供を行えるような状況になっているわけですから、今後、この廃棄物処理法の政省令で定められている委託基準、業者は例えば新日鉄ですとか——委託基準やマニフェストの記載事項を見直して、PRTR法によって得られる情報が処理業者に提供されるようにすべきじゃないかと思いますけれども、これは厚生省の管轄なんですよね、厚生大臣、いかがでしょうか。
  306. 大野由利子

    大野(由)政務次官 現在のところ、先ほどお答えいたしました特定有害産業廃棄物としてマニフェストに記載をすることが義務づけられているのは四十八種類でございますが、委員の御指摘も踏まえ、環境基準等の制定状況も踏まえながら、必要に応じて処理業者がそのような化学物質情報の取得が可能となるよう、特定有害産業廃棄物の追加等について積極的に検討をしてまいりたいと思います。
  307. 武山百合子

    ○武山委員 これは新しくできたPRTR法によって得られる情報ですから、それは当然提供されるべきだと思いますので、検討などと言わないで、やはり早く処理していただきたいと思います。通産省にはこれだけでございますので、どうもありがとうございます。  もとに戻ります。まず、法案の主な内容の第一について、都道府県知事廃棄物の減量その他その適正な処理に関する計画を定めなければならないものとするということについて伺いたいと思います。  平成三年改正における衆議院の附帯決議では、「一般廃棄物については、分別収集、減量化・再生利用対策の推進を含め適正な処理が行われるよう、市町村の体制の整備に努めること。」と、リサイクルセンターなど必要な施設整備に努めることを求めています。  ここで厚生大臣に伺いますが、厚生省市町村における一般廃棄物の分別収集、減量化、再生利用対策の推進について、施設整備支援を含めてどのように取り組んでこられたのでしょうか。
  308. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 廃棄物の減量化、再生利用に関しましては、先ほど委員からもこれまでの経緯につきまして御指摘がございましたけれども平成三年の廃棄物処理法改正によりまして、廃棄物の排出抑制、さらに分別、再生を法の目的に新たに追加をいたしたわけでございます。  さらに、平成九年の改正におきまして、例えば廃プラスチックを高炉吹き込みに利用するなど、リサイクルを推進するための厚生大臣によります再生利用認定制度というものを創設するなどのこれまでの対策を講じてきたところでございます。  また、厚生省におきましては、資源ごみの選別を行うリサイクルセンターであるとか、あるいはリサイクルする空き瓶などを一時的に保管するストックヤードなどを国庫補助の対象に加えまして、市町村によりますリサイクル関連施設整備支援いたしてきたところでございます。  ここ数年の一般廃棄物の排出量でございますが、年間五千万トンでございまして、全体的には横ばいとなっておりますけれども、リサイクル率が平成二年度は五・三%でございますが、平成八年度は一〇・三%で、ちょっと古くて恐縮でございますが、六年間でほぼ倍増いたしておるわけでございます。私どもは、一般廃棄物のリサイクルの取り組みは国民の皆さん方の理解を得ながら着実に進展をいたしておる、このように考えているような次第でございます。  厚生省といたしましても、引き続き、今回の法改正によります廃棄物の適正処理の体制整備とあわせまして、市町村のリサイクル関連施設整備を推進いたしまして、廃棄物の減量、再生利用促進に努めていく決意でございます。
  309. 武山百合子

    ○武山委員 それでは、なぜ今回の改正法案では都道府県が一般廃棄物を含めた減量等の計画を定めなければならないこととするのでしょうか、大野政務次官にお聞きしたいと思います。
  310. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今回の改正で、国は廃棄物の減量その他適正な処理のための基本的な方針を定めることにしたところでございます。  国の基本方針というのは、一般廃棄物産業廃棄物を通じた廃棄物処理全般に関する施策の基本的な方向を示すものでございまして、各都道府県においては、これに即した廃棄物の減量その他適正な処理を推進するための計画の策定が必要でございます。  また、一般廃棄物については、特別管理一般廃棄物や適正処理の困難なものもございまして、小さな市町村だけではなかなか処理が困難なものや非効率なものもございます。その再生利用や減量化については広域的に実施することがより効率的でもございますので、一般廃棄物処理の広域的な対応が課題ということで都道府県が計画を定めることにしたところでございます。
  311. 武山百合子

    ○武山委員 今回の改正で、市町村が行う一般廃棄物処理が具体的にどう改善されると考えているのでしょうか。大野政務次官に。
  312. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今回の改正は、基本的には産業廃棄物が対象ではございますが、先ほど申し上げましたように、都道府県廃棄物処理計画の内容を踏まえまして、一般廃棄物の減量等の適正処理のための取り組みとか広域的な廃棄物処理の取り組みが一層進展をいたしまして、市町村廃棄物処理の効率化が図られることが期待をされております。  また、廃棄物処理施設の許可とか野外焼却に関しましては、一般廃棄物についても産廃同様の規制強化を行うわけでございますので、一般廃棄物のより適正な処理が確保されるものと思っております。
  313. 武山百合子

    ○武山委員 次に、都道府県を中心に実施されております廃棄物処理センターについてお聞きしたいと思います。  平成九年改正の衆議院及び参議院の附帯決議で、「指定促進を図ること。」とされております。廃棄物処理施設の設置がなかなか進まないという現実に、今回の改正で廃棄物処理センターの設置が促進されるならば、過去の附帯決議に照らしても大変結構なことだと思います。  この廃棄物処理センターの指定状況について、平成九年の附帯決議を受けて、厚生省はどのように指定促進に取り組んでこられましたか。それから、平成九年改正以前の廃棄物処理センターの数と、それ以後の数をお答えください。これは政務次官に。
  314. 大野由利子

    大野(由)政務次官 廃棄物処理センターの指定につきましては、全国産業廃棄物処理実務担当者会議等の場を通じて、また、直接都道府県をヒアリングするなどして、制度を活用するように厚生省は指導をしてきたところでございますが、平成八年度末においては八施設、現在は九施設というのが実態でございます。  なかなか進んでいないという委員の御指摘はそのとおりでございまして、努力したにもかかわらずなかなか進んでいないというこの反省を踏まえて、今回の法改正につなげたところでございます。
  315. 武山百合子

    ○武山委員 また大野政務次官にお聞きいたします。今回の廃棄物処理センターに関する部分法改正内容を具体的に示してください。
  316. 大野由利子

    大野(由)政務次官 現行の廃棄物処理センター制度につきましては、地方公共団体民間事業者が共同して設立した財団法人厚生大臣が各都道府県に一つに限り指定し、支援する仕組みになっております。  しかし、なかなかこれでは規制が強過ぎて進まないという反省も踏まえまして、今回の法改正では、設置主体としては、国または地方公共団体の出資または拠出のある財団法人、株式会社として、PFI選定事業者も含めるとともに、都道府県に一カ所じゃなくて複数の箇所の指定も認めることとし、また、処理対象についても産業廃棄物のみとか一般廃棄物のみの事業も認めるなどいたしまして、廃棄物処理センターの設置が進むような内容を盛り込んだところでございます。  また、法定事項ではありませんが、平成十二年度より廃棄物処理センターが行うモデル的な産業廃棄物処理施設整備に対しまして、新たに国庫補助を創設したところでございます。
  317. 武山百合子

    ○武山委員 今回は、廃棄物処理法のみならず、産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律を改正して、優良な産業廃棄物処理施設の設置を促進しようということですけれども、この産業廃棄物処理に係る特定施設整備促進に関する法律の改正の内容を具体的に示してください。大野政務次官。
  318. 大野由利子

    大野(由)政務次官 現行の法律に基づく支援制度では、焼却や最終処分といった二種類以上の処理施設整備が予定されている場合に特定施設と位置づけて、その整備計画を厚生大臣認定して、税制上の優遇措置や債務保証、NTTのCタイプの無利子、低利融資の対象としてきたところでございますが、今回の法改正要件緩和といたしまして、産業廃棄物の効率的かつ適正な処理に資する大規模な焼却施設や最終処分場であれば、二種類以上でなくても、一種類施設だけでも特定施設と位置づけることとする内容を盛り込んでいるところでございます。  こうした改正によって、民間の優良な産業廃棄物処理施設整備を図ることをねらいとしているものでございます。
  319. 武山百合子

    ○武山委員 制度を変えれば直ちに結果がついてくるというものではないと思います。せっかく制度をつくっても、それをしっかりと運用できなければ全く意味がありません。特に、廃棄物処理センターの整備は、国と地方公共団体が一体となって取り組まなければならない課題です。制度の改正を提案している厚生大臣には、地方公共団体に対して制度改正の目的を十分に周知して指導していく責任もあると思います。  今回の法改正の効果を十分発揮させるためには、地方公共団体への周知徹底が重要であり、公共団体との連携を強化することが最重要なことだと思います。厚生大臣はこれに対してどのように取り組んでいかれるのか、すなわち、地方公共団体への連携と周知徹底についてお答えいただきたいと思います。
  320. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど来政務次官からも答弁を申し上げております廃棄物処理センターでございますが、御案内のように、平成三年にスタートしたわけでございます。ところが、これは実際問題として、これまではまだ稼働しているところが岩手県など四つに限られておるわけでございます。これを、先ほどから申し上げておりましたように、公益法人に限られていた主体を、都道府県が出資、拠出する株式会社、いわゆるPFIなどに拡大するとともに、これまではどちらかというと困難な廃棄物に限定されていたわけでございますけれども産業廃棄物処理のみを行う場合でも整備することにいたしたわけでございまして、これによりまして、各都道府県がこのセンターについて積極的に取り組んでいただくことを期待するものでございます。  そこで、委員から御指摘のございました地方公共団体への十分な周知徹底でございますけれども、当然のことながら、今回の改正内容説明地方公共団体に十分に御説明を申し上げるとともに、きめの細かな情報提供などを行うことによりまして、地方公共団体との連携の強化に努めてまいりたい、このようなつもりでございます。
  321. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、施設の設置許可制度がかなり厳格に運用されているんじゃないだろうかと思うわけですけれども、ところが一方で、施設が新設できないために不法投棄を増加させるおそれがあるのではないかという懸念が多いわけです。最近は、特に、産業廃棄物の最終処分場、それから焼却施設の設置が大変困難になってきたという状態で、この設置の状況は最近どうなっているのでしょうか。大野政務次官。
  322. 大野由利子

    大野(由)政務次官 産業廃棄物の焼却施設の設置状況でございますが、厚生省の調査によれば、平成八年度においては、焼却施設が四百十一件の新規許可実績があったところですが、平成十一年度においては、十一年九月末現在で十三件となっておりまして、平成九年の廃棄物処理法改正以降、施設設置件数は減少をしている状況でございます。
  323. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、最近の不法投棄の件数はどのくらいでしょうか。
  324. 大野由利子

    大野(由)政務次官 不法投棄の件数は、近年増加の一途でございまして、平成八年度において七百十九件でしたが、平成九年度で八百五十五件、平成十年度で千二百七十三件となっております。  しかし、投棄量そのものは約四十万トンで横ばいで、小口多発化の傾向にあると考えられます。
  325. 武山百合子

    ○武山委員 厚生大臣にお伺いします。不法投棄がどうしてなくならないんでしょうか。原因をどのようにお考えでしょうか。
  326. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 不法投棄がなくならない原因といたしましては、当然のことながら、廃棄物の排出事業者処理業者がその責任を十分に果たしていないことがまず第一に挙げられる。それから、先ほど率直に申し上げたわけでございますけれども、安心のできる廃棄物処理施設というものが十分に整備が進んでいないことが挙げられるのではないか、このように考えているような次第でございます。
  327. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、今回の法改正における不法投棄防止のための規制強化の内容を具体的にぜひお聞かせいただきたいと思います。
  328. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回の法改正におきましては、排出者が廃棄物処理に十分に関心を持ち、処理業者も適切に十分に心がけるようなマニフェスト制度充実、これまではいわゆる中間の処理業者でとまっていたわけでございますが、今回は最終の処理業者まで排出者責任が及ぶということでございますので、当然のことながら、排出事業者の責任の強化、さらに罰則の強化を盛り込むことによりまして、また、公共関与によります——先ほどから申し上げておりますように、どちらかというと産業廃棄物処理につきましては民間にお任せをいたしてきたわけでございますが、私どももいわゆる優良な廃棄物処理センター等につきましては国の補助を含めまして積極的に取り組んでいくというようなことで、政府全体で取り組んでいる減量化の推進と相まって不法投棄対策というものがこの改正によりまして大きく前進するものと期待をいたしておるような次第でございます。
  329. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、今回の改正の中身では、国がつくる基本方針に沿って都道府県廃棄物全体の処理計画をつくって、国もその計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるとされております。国もその計画の達成に必要な措置を講ずるように努めるとされておりますので、国の役割を強化しているわけですね。  それならば、不法投棄防止対策についても、地方公共団体に任せるのではなく、国がみずから不法投棄を防止する対策を講ずるべきではなかろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  330. 大野由利子

    大野(由)政務次官 委員指摘のように、国におきましても、平成十二年度からの事業として、都道府県、保健所設置市がボランティアを活用した不法投棄監視連絡員の設置をしたり、不法投棄一一〇番を保健所等に設置するなどの事業に対しまして国庫補助を行うこととしているところでございます。  また、厚生省としては、環境庁、警察庁など関係省庁との連携も一層強化するなど、国の立場から不法投棄対策の充実にも努めてまいりたいと思います。
  331. 武山百合子

    ○武山委員 私は、不法投棄が大きな社会問題となって、この循環型社会の形成を阻害するという危機感を持っております。不法投棄防止対策について、これまでの、国は直接的には対処せず、地方公共団体に対する支援だけであるというのでは限界があるのではないかと思います。国の役人は霞が関にいて、現場は地方公共団体に任せるということでは、幾ら地方公共団体と緊密に連携して対処すると言っても、言葉だけのことになり、国民の信頼をかち得ることはできないのではないでしょうか。  廃棄物行政を行う国の役人は、地方にも本拠を構え、腰を据えて緊密に地方公共団体を指導するというようなことが必要になっていると思います。ぜひ、そのように取り組める体制をつくり上げていただきたいと思います。その点についてはいかがでしょうか、厚生大臣
  332. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 廃棄物処理施設をめぐりましては、委員御案内のように、全国各地でさまざまなトラブルと申しますか運動が起きておるわけでございます。こうした問題につきまして、どちらかというと私ども行政の立場、国の立場、さらに地方自治体におきましても、必ずしも地域によっては積極的に取り組んでこなかった嫌いがあったのではないか、こう思っておるような次第でございます。  そういう中におきまして、先ほど申し上げましたように、廃棄物処理センターというのは平成三年にスタートしたわけでございますが、なかなか思うように使い勝手がよくないというようなことで十分に機能を果たしておらなかったわけでございますけれども、私どもは、住民の皆様方の御理解をいただきながら、こういった問題について積極的に取り組んでいかなければならない、こう思っておるような次第でございます。  特に、最終処分場というものが大変逼迫をいたしておるわけでございます。古い資料でちょっと恐縮でございますけれども平成八年度におきましては、一般廃棄物が八・八年分、特に首都圏では四・一年分でございますし、産業廃棄物は三・一年分、首都圏では一・〇年分でございますし、最近の推計では全国で一・六年分ということになっておるわけでございまして、大変深刻な状況でございます。  こういった問題につきまして、私どもも積極的に国民の皆様方に御理解をいただきながら、そして住民の皆さん方も、確かにこれは迷惑施設であるということでございますけれども、そういった問題だけで片づけることなく、住民の皆様方の迷惑にならないように十分に配慮しながらこういった問題について取り組んでいく姿勢が何よりも必要ではないか、このように考えているような次第でございます。
  333. 武山百合子

    ○武山委員 これらの制度の中には、平成三年改正で創設されて、その際の附帯決議を受けて検討された結果、平成九年改正で強化されたものや、平成九年に創設されて、その際の附帯決議を受けて検討された結果、今回強化される規制というように、厚生大臣の前向きな取り組みを大いに評価しておりますが、過去の附帯決議に挙げられていて実現したのかどうかよくわからないものもたくさんあります。  それで、時間が来てしまいましたが、このたびの法改正によって何を実現しようとしているのか、その決意を、厚生大臣、ぜひ国民にわかりやすく自分の言葉で語っていただいて、最後の質問といたします。
  334. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど来政務次官等が答弁をしていることの繰り返しになって恐縮でございますが、今回の法改正におきましては、まず、廃棄物の減量化を進めていくということでございますし、さらに、国や都道府県の役割を明確にするということでございます。それから、先ほど来繰り返し申し上げておるわけでございますけれども産業廃棄物に関しましてもいわゆる公共関与、国、地方が積極的に関与をしていくということでございます。  さらに、廃棄物処理業や処理施設の許可の要件などを強化することによりまして、適正な廃棄物処理を確保するとともに、悪質な産業廃棄物処理業者、例えば暴力団と言われている方々については排除することをきちんと明記しておるということでございます。  いずれにいたしましても、この法案を通しまして、現在の抱えておりますさまざまな問題を一歩一歩解決に向かって前進をいたしまして、この基本法でございます循環型社会の一翼を担っていきたい、このように考えているような次第でございます。
  335. 武山百合子

    ○武山委員 どうもありがとうございました。以上でございます。
  336. 江口一雄

    江口委員長 次回は、明後十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会