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2000-04-19 第147回国会 衆議院 厚生委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十九日(水曜日)     午前九時三十三分開議  出席委員    委員長 江口 一雄君    理事 安倍 晋三君 理事 衛藤 晟一君    理事 木村 義雄君 理事 田中眞紀子君    理事 金田 誠一君 理事 山本 孝史君    理事 福島  豊君 理事 児玉 健次君       伊吹 文明君    石崎  岳君       稲葉 大和君    遠藤 利明君       大村 秀章君    鴨下 一郎君       鈴木 俊一君    砂田 圭佑君       田中 和徳君    田村 憲久君       戸井田 徹君    根本  匠君       桧田  仁君    堀之内久男君       松本  純君    宮島 大典君       山下 徳夫君    家西  悟君       石毛えい子君    鍵田 節哉君       五島 正規君    土肥 隆一君       古川 元久君    遠藤 和良君       大野由利子君    並木 正芳君       瀬古由起子君    岡島 正之君       吉田 幸弘君    武山百合子君       中川 智子君    笹木 竜三君     …………………………………    厚生大臣         丹羽 雄哉君    厚生政務次官       大野由利子君    政府参考人    (内閣法制局第四部長)  山本 庸幸君    政府参考人    (法務省民事局長)    細川  清君    政府参考人    (大蔵大臣官房審議官)  福田  進君    政府参考人    (大蔵省主計局次長)   藤井 秀人君    政府参考人    (国税庁課税部長)    河上 信彦君    政府参考人    (文部大臣官房総務審議官    )            本間 政雄君    政府参考人    (厚生省児童家庭局長)  真野  章君    厚生委員会専門員     杉谷 正秀君     ————————————— 委員の異動 四月十九日  辞任         補欠選任   田中 和徳君     稲葉 大和君   中桐 伸五君     鍵田 節哉君   小沢 辰男君     並木 正芳君 同日  辞任         補欠選任   稲葉 大和君     田中 和徳君   鍵田 節哉君     中桐 伸五君   並木 正芳君     小沢 辰男君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  児童手当法の一部を改正する法律案内閣提出第三八号)     午前九時三十三分開議      ————◇—————
  2. 江口一雄

    江口委員長 これより会議を開きます。  内閣提出児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第四部長山本庸幸君、法務省民事局長細川清君、大蔵大臣官房審議官福田進君、大蔵省主計局次長藤井秀人君、国税庁課税部長河上信彦君、文部大臣官房総務審議官本間政雄君及び厚生省児童家庭局長真野章君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 江口一雄

    江口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。五島正規君。
  5. 五島正規

    五島委員 民主党の五島でございます。  この児童手当法改正法案議論をする前に、大臣にお伺いしたいことがございます。  先日、またまた東海大学の附属病院小児科におきまして医療事故が発生いたしました。この間、大学病院を含みます大病院において医療事故が繰り返し発生しているわけでございます。  この医療事故医療過誤というよりも医療事故でございますが、この医療事故特徴というのは幾つかあると思います。一つは、いずれも大病院で起こっている、すなわち、相対的にマンパワーもきちっと配置されている大病院で起こっていること。もう一つは、事故原因がいわゆる単純ミスというものを原因として、その結果非常に重篤な結果を招いていること。三番目に、患者は必ずしも極めて緊迫した重症の状態にあったということではない。この三つでございます。  大臣は、このよう単純ミスによって非常に重大な事故が大病院で繰り返し発生している原因についてどのようにお考えになっているのか、またその再発防止についてどのように指導されるおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。
  6. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 最近相次いでおります医療事故によりまして、国民医療に対する信頼は今大きく揺らいでおり、我々は、この状況というものを謙虚に、そして真摯に受けとめまして、医療安全性確保、向上と、信頼性の回復のために一丸となって取り組んでいくことが求められておると考えています。  医療事故を防止するには、委員からも御指摘がございました、確かに最近の傾向として、大病院職員も大勢いて、そして単純ミスだ、こういうことでございますので、まず、職員の一人一人が、患者のとうとい命を預かっているという意識を常に忘れずに、安全に十分に配慮して医療に従事していただくことが何よりも大切である、こういう考え方に立つものでございます。  そして、昨日も夜ちょっとテレビでやっておりましたけれども、高度に複雑化した現代医療におきまして、このよう職員個人努力に依存した取り組みのみでは限界がある、こういうことでございまして、たとえ個人ミスを犯しましても事故に発展しないような組織的な取り組みを進めていくことが何よりも大切なことだと考えておるような次第でございます。  私といたしましては、医療事故が相次ぐ背景といたしまして、このよう職員意識や組織的な取り組みが欠けているのではないかと考えておりまして、この三月の二十二日でございますが、医療関係団体方々にお集まりをいただきまして、私自身から直接、積極的に取り組んでいただくように働きかけをお願い申し上げました。  さらに、厚生省といたしましては、医薬品容器などにつきまして、医療ミスを起こしにくいものに改めるシステムを構築するとともに、国立病院であるとか療養所向けの具体的な事故防止マニュアルを作成することにいたしております。  いずれにいたしましても、これらの成果を幅広く医療機関に周知徹底してまいりたいと思いますが、繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、すべての病院とは申しませんけれども病院全体でこういう医療事故に対する危機意識といいますか、安全確保に対する認識がやや希薄なのではないか、このよう考えているような次第でございます。
  7. 五島正規

    五島委員 こういう事故が起こるたびに各病院責任者方々ミスの根絶のためにいろいろおっしゃっておられますが、その中身というのは、今後このよう事故が起こらないために、例えば注射針であったり点滴の袋であったり、そういうふうなものを色別で分けていくとかいうふうな、より作業に混乱が起こらないような形で整理していくことによってシステム化をし、それで事故再発を避けようというふうな方向でお話しになっています。私は、こうした医療に対する発想の方向性に実は問題があるのではないかというふうに思っています。  こうした大きな病院でなぜこのよう単純ミスが繰り返されているのかということを考えてみますと、結局、医療の現場が、例えばコンピューター等が入りましてオーダリングシステム等が導入されてくる、そうでなくても、いわゆる伝票化作業の中において医療が進んでいく、個々医療スタッフがその中において一技術者としてしか患者の治療を行わなくなってきている、そこのところに最大の原因があるのではないか。看護婦さんが本当に一人一人の患者さんに対する担当制をきちっと持って全責任を持っていく、主治医がその患者に対して初めから終わりまで責任を持っていくという、医療としての当たり前の機能が失われ、そして個々作業が伝票化され、分断化され、それをオーダリングシステム等々によってつないでいくというやり方医療が行われつつある。それが進んでいる大病院においてこういう事故が起こっているのではないか。  そういう意味においては、今後の医療のありように対して、厚生省も、結局、そういう作業別作業人員分散化ということについて一定指導してこられたわけですが、そのことを見直さなければならない時期に来ているのではないか。きちっとトータル医療看護を与えていく、その当たり前のことが前提となる医療を進めていかない限り、こうした問題は防げないのではないか。横浜市立大学の例なんかにおいては、まさに手術する人と主治医とが完全に分断されるというとんでもないことから起こってきた事故だろうというふうに思います。  そうしたありようについて、厚生省として、看護体制医療体制について内部的に再検討されるお考えはないかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  8. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 医療事故を防止するための方策といたしましては、医薬品容器医療用具、こういうものの形状などを事故を起こしにくいものに改善していく方策という面と、今、五島委員が御指摘ような人間のミス、いわゆるヒューマンファクターに対する方策考えられておりまして、この両面からこの問題に取り組んでいくことが必要ではないか、こう考えているような次第でございます。  御指摘のとおり、いわゆる人的なミスに起因する事故を予防する取り組みということが今まさに求められておるわけでございまして、先ほども申し上げさせていただきましたけれども個人努力に依存した取り組みだけでは限界がございますので、たとえ個人ミスを犯したとしても事故に発展させないような組織的な取り組みをあわせて進めていくことが何よりも大切なことだ、このよう考えております。  組織的な取り組みの例といたしましては、職員に、日常業務の中で冷やりとしたりはっとしたよう事例を自発的に報告してもらったり、それから病院内に潜在する事故発生リスクを把握してもらって、そして安全管理委員会の場において具体的な改善策検討し、その改善策職員研修マニュアルなどの作成によって職員に徹底する、こういった取り組み考えられるのではないかと思います。  先ほども申し上げましたけれども、昨日ニュースを見ておりまして、この問題が取り上げられておりました。大阪の病院リスクマネジャーという方を何人か置いて、こういった事例を逐一報告を受けて、その中でどうやってこういうものを防いでいくかということであって、まさに、冷やりとしたりはっとしたりするのはかなりの回数に上るんだということをきのうのテレビの中で報告いたしておりましたけれども、こういった問題についてやはり真摯に病院側が受けとめていくことが何よりも大切なのではないか。  そういう中で、余りにも患者さんが多いとか、そういうこともあるのかもしれませんけれども、そういった問題だけで片づけられる問題ではございませんので、こういった問題について、要するに初歩的なミスによる事故、あるいは安全確保に対して、病院全体が本腰を入れてさらに取り組んでいただくよう、お願いを申し上げるところでございます。
  9. 五島正規

    五島委員 どうも最近の大病院は、医療といういやしの専門家よりも個々技術家を養成して、作業の連係によって医療を行っていこうということで、本来の看護なり、医療、医師といったそれぞれに付随する専門性というところが非常に軽減されて、技術伝票システムあるいはコンピューターシステムでつないでいけばいいというふうなところに偏り過ぎた結果ではないかというふうに考えております。そうしたことについてぜひ検討を加える必要があるのではないかということを申し上げて、次の質問に移ります。  今回の児童手当の一部改正案でございますが、この改正案につきましては、これは言うまでもなく三つのことが特徴になっております。一つは、この改正少子化対策の一環であるというふうにおっしゃっていること。いま一つは、年少扶養控除廃止して小学校入学まで児童手当支給するということ。そして三つ目には、満三歳までは従来どおり雇用主負担中心とした手当支給を行い、満三歳以上義務教育就学前までは公費給付する。この三つが今回の改正案の中核であるというふうに思います。  そこで、それぞれについて質問をさせていただきたいわけでございます。  まず、なぜ年少扶養控除のみを廃止してわずかの給付小学校入学前まで支給することになったのか。この結果、新たに給付を受けるのは三百万人の子供を持つ家族であるのに対して、千九百万人の子供を持つ世帯では年少扶養控除がなくなり、差し引き約千六百二十万人の子供を持つ世帯では増税となります。三百万人の子供を持つ家庭においては若干給付がふえるということで、増税ではなくて一定の利益が得られるわけですが、しかし一方では、千六百二十万人の子供を持つ世帯においては、そのことによって増税となっていく。なぜ年少扶養控除のみを廃止してこのような形にするようになったのか、まず大臣及び当時の自自公の中でこれを積極的に進められたと言われております公明党出身政務次官にお伺いしたいと思います。
  10. 大野由利子

    大野(由)政務次官 まず、今回、年少扶養控除が、全額じゃなくて割り増し加算のみが廃止になっている、こういうことでございます。扶養控除児童手当は、ともに子育ての経済的な負担の軽減をしよう、こういう観点から見れば共通ではございますが、もともと制度の位置づけから見れば違っておりまして、扶養控除高額所得者にとりましてはより大きい効果がありますが、非課税世帯には効果がありません。一方、児童手当は、定額で低所得者に必ず給付をされるというより大きい効果がある、こういうメリットがございます。  今回の児童手当拡充は、こうした両制度の違いを踏まえまして、財政税制を通じて少子化対策重点化を図ろうとしているものでございます。現下の厳しい経済財政状況の中で児童手当拡充を行うのであれば、将来世代に負担を回すよう特例公債の増発によるのではなくて、具体的な財源確保した上で実施すべきであり、ぜひとも御理解をいただかなければいけないものと考えております。  また、厚生省といたしましては、総合的な少子化対策全体の中で、今回拡充した子育て支援基金活用小中学生対象とした事業拡充など、今回税負担増となる方々に対しましても十分な配慮を行っていくこととしております。
  11. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいま総括政務次官からお答えを申し上げたわけでございますが、今回の児童手当拡充に当たりましては、与党協議の場におきまして、まず扶養控除児童手当というものを財源的には一体的に考えていこうではないか、こういうことからスタートしたわけでございます。そういう中において、先般来御議論が出ておりますよう年少扶養控除割り増し部分、要するに十万円の部分を取り払う、そういう中においてこのような結果になったわけでございます。  なお、総合的な少子化対策の中で、今回拡充いたしました子育て支援基金活用であるとか、あるいは小中学生対象とした事業拡充など、今回税負担増となる方々に対しても十分に配慮を行ってきておるわけでございます。  いろいろな議論があったというふうに聞いておりますけれども、まずそういったよう前提があって、そして、どちらかというと所得のない方に対して手厚くしていこうではないか、こういうような基本的な考え方でこのような結果が出てきたと承っておるような次第でございます。
  12. 五島正規

    五島委員 所得のない人に対して手厚くやっているというわけではなくて、これは、現在までの満三歳未満児童手当と同じように、サラリーマン世帯においては七百十二万円の年収までは、満三歳から就学前の子供を持つところに対して給付するという内容になっています。その結果、年少扶養控除廃止される。もちろん金額的には少ないんですが、年少扶養控除廃止ということによって、それなりに利益を受けていた人たちが千六百二十万人ほど結果的に増税になる。  しかも大きな問題は、扶養控除廃止して現金給付に充てていこうというお考えについては、私ども必ずしも反対いたしません。しかし、年少扶養控除という非常に限られた範囲の枠の中でやっていって、結果的に、五千円、一万円、それを三歳から六歳までというふうな幅の狭いところに集中してしまって、広範なところは増税になっている。この仕組みがなぜそうなったのかということをお伺いしたいわけでございます。  例えば、一般控除全体を廃止して、もっと大きくやるというやり方もあるでしょう。また、きのうの参考人の御意見の中にも、年金制度と一体として運営したらどうだという御意見もありました。私は、我が国の児童手当というものは、諸外国に比べても給付の期間が圧倒的に短いし、金額も圧倒的に少ないという状況考える場合に、これを抜本的に変えていくということについては賛成です。しかしながら、今回の改正というのは、なぜこういう不公平感だけが残って、そして極めて限られたものになったのかということについて疑問に思います。その点について再度御答弁を求めたいと思いますが、時間の関係がございますので、あわせてもう一問お伺いしておきます。  満三歳未満子供を持つ家庭に対して、サラリーマン世帯年収四百八十万円まではその七割を事業主負担する、七百十二万二千円までは全額事業主負担するというこの制度をそのまま残して、今回は、満三歳以上から義務教育就学前まで、七百十二万二千円までのサラリーマン世帯に対しては全額公費負担をする、これはなぜそうなったのか。特に、三歳から六歳の子供のところに事業主負担がなくて全額公費を入れたということの意味はどうなのか。仮に満六歳まで児童手当をこの額の中で導入するにしても、全体として事業主負担公費負担がきちっと案分されるような形になぜならなかったのか。  事業主負担の上に公費負担が三年間上乗せされるというのは、いかにもいびつでございますし、私は、予算委員会で、竹に木を接いだと申し上げました。今でもそのような感じが否めません。なぜ、満三歳までは事業主負担中心であり、三歳から就学前までは税で負担することが必要なのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  13. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、委員の最初の御質問でございます。この問題については、委員が御紹介を申し上げたようなさまざまな御意見があるということも、私は十分に承知をいたしております。  扶養控除かあるいは児童手当か、これは性格は違うものでございますが、扶養控除といった場合には、当然のことながら非課税世帯には効果がないわけでございます。そういう中において、私どもは、それよりも、子供さんがいて非課税世帯の方により手厚く差し上げる方が好ましいのではないか、こういうようなことからこのような選択を行ったと承っておりますし、私どもも、それを受けてこのよう法案を出させていただいたわけでありまして、あくまでも低所得者に対する重点化という観点からこのよう措置をとらせていただいたような次第でございます。  それから、第二点の事業主拠出金制度でございますが、もともと、児童手当制度従業員に対する福利厚生的なものから恐らくスタートしたのではないか、このように私なりに考えておるわけでございます。こういう点から導入されまして、現在の児童手当制度は十一年度千八百億円である、それから、千八百億円のおよそ三分の二が事業主拠出金になっている、こういうことでございます。私といたしましては、少子化対策の重要な柱で、国と地方がもっと責任を負うべきだ、これは常々、私は昨年来申し上げていたわけでございます。  そういう中で、少子化対策の充実というものが大変重要で緊急な課題として持ち上がってきておるわけでございまして、今回の児童手当拡充については、確かに委員が御指摘ような面があることは紛れもない事実でございますけれども、要は、この児童手当拡充を図るためにどうするかということでございまして、非常に厳しい財政状況の中で、率直に申し上げて、これ以上ふやすということについて事業主の御理解がいただけなかった、こういうような経緯もございます。  そこで、いわゆる所要財源確保できる範囲内で措置を講ずるということで、先ほど来申し上げておるような、要するに、扶養控除範囲の中で支給対象年齢の延長に必要な財源全額公費で行ったということで、確かに、先生がおっしゃった三歳までの部分と六歳までの部分ような問題があるわけでございます。当然これは今後の検討課題として残るもの、このよう認識しておりますが、要は、これだけこの問題が大きくクローズアップされている中において、とにかくこれまでは三歳未満だったのを就学前まで延ばすということが先決だろう、こういう認識に立ってこのよう措置をとらせていただいた次第でございます。
  14. 五島正規

    五島委員 先ほどもお話がございましたし、私も申し上げておりますように、控除廃止してこうした社会保障給付に充てていくというのは、一つ考え方であり、私も決して反対ではございません。  ただ、そうであるならば、こうした不公平な結果が出るようやり方よりも、現在、年少扶養控除十万円上乗せされております、もとの控除を含めますと四十八万円、この四十八万円の控除全体を廃止して、それで例えば児童手当を全面的に見直していくということであるならば、もう少し制度上もきちっとしたものができるだろうと思うわけですが、そこのところには手をつけずに、結果的に十万円だけでやっていく。  そして、大臣もお認めになったように、非常に不格好な制度になっている。多くの国民は、この制度を見た場合に、どうも選挙が終わればこの手当も一年ぐらいでなくなるのじゃないか、そうなった場合に、結局扶養控除の十万円だけが減ってしまって、トータルとしては増税にしかならないのではないかというふうな不安を訴えておられる方も少なくございません。  そういうふうな不安があると言われた場合、私もまた確かに、事業主がこういうふうに負担するにしても、なぜ、事業主負担をそれぞれ半分ずつにして、そして六歳までを、現在の七〇%のところを三五%、一〇〇%のところを五〇%にしてでもうまく制度として一貫性をとれなかったのかというふうに当然思うわけですね。そうした、非常に不安を強めるだけの児童手当法改正案になっているというふうに思うわけでございます。  また、財源的に、現在のところ年少扶養控除廃止というこの十万円のところしか財源として捻出することが困難であるという経過の中で、とりあえずこのように決まった。私が言うように四十八万じゃない、三十八万は他のところとの関係もあって残さざるを得ない、だから十万だけでやったのだというふうにおっしゃるのであれば、では、その十万円、すなわち約二千億ですが、二千億の財源をもって、どのような形で子育て支援に使えるのかという検討をされてもしかるべきではなかったのかというふうに思います。  例えば、年少扶養控除廃止だけを前提とするなら、その財源でもって保育料を引き下げていくとか、あるいは子供医療費保険給付を九〇%にするなど、そうした現物給付改善少子化対策としてより効果的なものはないか、そういうふうなものの検討がされるべきだったと思うのですが、そうしたことについての検討はされたのでしょうか。
  15. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほど答弁を申し上げておるわけでございますが、今回の児童手当拡充に当たりましては、年少扶養控除の十万円の加算の問題について、これがまず先に出てきたことは紛れもない事実でございます。そういうよう税制改正の中でこのよう拡充策をとるということでございまして、初めに児童手当拡充ありき。  しかし、これが将来に対して赤字公債を残すようなことは何のための児童手当かということになるんじゃないか、こういうよう議論もございまして、それではそういう枠の中でやろうじゃないか、こういうことでこのよう措置をとらせていただいたような次第でございます。  お尋ねの、例えば今委員が御指摘よう医療費給付率をもっと引き上げたらどうかとか、こういうような問題の方がより効果的ではないかということでありますが、私どもはあくまでも、先ほどから申し上げておりますように、児童手当拡充という観点からこの議論を進めさせていただいているわけでございまして、したがいまして、今委員が御指摘ようなことは議論の過程で言及されておらないような次第でございます。
  16. 五島正規

    五島委員 あくまで児童手当という現金給付控除という形での支援との間の有効性ということで検討されたということであるとすれば、やはりこの控除によって得られるメリットよりも現金給付によって得られるメリットの方が大きなものにしていかなければいけない。  現実問題として、私も、税による所得の再分配という機能を考えるとするならば、控除廃止して児童手当をふやしていくということは、一つの方法であると先ほどから申し上げています。ただ、実際上それをするについて、年少扶養の十万円に限定してしまった結果として、利益を得られる家庭が三百万人、そして不利益に結果的になる家庭が千六百二十万というとんでもない結果になってしまう。しかも、それが子育ての支援であるというふうにおっしゃると、これは本当に子育ての支援なんだろうか。  子育ての支援というふうに考え現金給付をふやしていくとするならば、四十八万全体を廃止してその財源でやった方が、まだ現金給付の問題としても子育て支援になるだろう。あるいは、子育て支援の問題は現金給付だけでない。この扶養控除財源とした範囲の中でしかできないとするならば、子育て支援ということが先行するのであれば、それはもっと現物給付の方にこれを傾斜させた対策もあっただろう。  大臣は否定されたわけでございますが、例えば、小児固有の疾患の多い小学校の四年生まで医療費を保険で九割給付するということにすれば、それに必要な保険給付の増は総額で約千七百数十億円です。この改善によって各自治体が行っている小児医療対策費が軽減できますし、それによって保育料の軽減もできるわけでございまして、こうした形での施策の方がまだ少子化対策の一環として意味があるのではないか。  あるいは、昨日も出ておりましたが、もっと食い込んで、四十八万全体の控除廃止して現金給付に持っていく、あるいは現金給付といわゆる奨学金制度拡充という形に持っていく等々、そういうやり方というのがある。  その辺をきちっと見えるようにされないままに、こうした非常にいびつな形で、不利益をこうむる人が圧倒的に多い制度について、この方が少子化対策の一環として意味があるとおっしゃるのであれば、どういう点において、少子化対策というこの法案の第一義に掲げられている観点に照らし合わせて効果があるとお答えになるのか。大臣あるいはこれを進められた政務次官の御答弁を願いたいと思います。
  17. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員が御指摘ような、いわゆる年少扶養控除を例えばすべて廃止をして、そしてすべて児童手当にしろというよう意見が一部にあるということも、十分に私も承知をいたしております。  しかし、この扶養控除の持つ性格というものをどう見るかということは、これは年少扶養控除だけでなく、一般の扶養控除、それから老人扶養控除、さまざまな扶養控除があると思いますが、これは私見でございますけれども、やはりその辺のところをきちんと十分に議論して整理しなければならないということは当然のことではないかな、こう思っておるような次第でございます。  先ほどから申し上げておりますように、これは私はちょっと見解を異にするものでございますけれども、例えば小児医療につきましては、それぞれの市町村で確かに上乗せはしておるわけでございます。私は、そういうような立場をとるものではございませんけれども、そういうような御意見があるということも十分承知しておりますけれども、そうなると、児童手当の方の財源は、もうこの際やめろというふうになるのかな、こういうふうにさっきからずっと、親愛なる五島委員の御主張でございますが、お聞きしておりまして、それで果たしてその辺のところをどうやって国民の皆さん方に御説明申し上げるのかなということが非常に難しいことかなと思っております。  私どもは、先ほど申し上げましたように、今回は児童手当拡充という観点から、年少扶養控除あるいはそのほかの扶養控除を含めて、どうあるべきかという観点から出発したものでございます。ですから、繰り返して恐縮でございますけれども、私は、いわゆる年少の医療費給付を国がそこまで負担をするという考え方には決してくみするものではございませんけれども、もしそういう議論があるとすれば、別なところで議論をするべき筋のものではないか、このよう考えています。
  18. 大野由利子

    大野(由)政務次官 委員が今、小児医療の問題、そして保育料の問題について御指摘がございました。  その重要性につきましては私も同じく共感を覚えるものでございますが、今既に地方自治体で、県で、小児医療の無料化もしくは軽減化をやっている状況でございます。その財源保育料の軽減に向けるべきだという委員の御指摘かと思いますが、その場合は、働くお母さんで保育園を利用していらっしゃる家庭にとりましては大変恩恵を受けるわけでございますが、保育所を使わない家庭にとっては恩恵を受けることができない。そういう意味で、今回、子育てというものを親任せにするのではなくて大きく社会で支え合っていこうということで、児童手当はその大きな柱の一つとしてスタートした制度である、少子化対策として十分意義があることではないか、このように思っております。
  19. 五島正規

    五島委員 政務次官は、保育料の軽減をしても、保育園を利用する人にとってはメリットがあるが、保育園を使っていない、例えば幼稚園その他に行っている人についてはメリットがないとおっしゃったのですが、そこまでおっしゃるなら、なぜ三百万人の子供に対してだけはメリットがあるが千六百二十万人の子供にメリットのないよう制度をおつくりになるのか、私にはわけがわかりません。  また、大臣のお考えはお考えとして、現在多くの各自治体が何らかの小児医療の軽減の措置をとっておられる、これを保険給付九割にすることによって、各自治体のそうした独自の財源というものは軽減されて、それによって、保育料に限らずに、少子化対策に対する自治体としての財源になるのじゃないかという指摘でございまして、そこのところは、大臣とまた別の機会にでも議論をしたいと思っております。  時間も参りましたし、何となく意見がかみ合わないままで、なぜこんな法案が出てくるのかな、本当に与党の皆さんはこんなものを自信を持っておやりになるのかな。おっしゃっていることを一つずつ聞いてみますと、こうした社会保障給付の問題について、保育園に行っている人とそうでない方の格差まで問題にされるのであれば、なぜこんなに、三百万と千六百二十万という大きな格差があるものをこのような形でやられるのか。  そして、扶養控除全体と言って、老齢扶養控除とか配偶者控除のことを言っておりません。しかし、四十八万のうち外出しの十万だけを対象にするならば、その財源的な大きさからいって、より効果的な方法があるのではないかと言っているわけでございまして、むしろ財源的に言うならば、四十八万全体を使って現金給付をやる方が、おっしゃっておられる趣旨はより明快になるのではないかということで申し上げたわけでございます。  恐らく、御答弁いただいても同じようなことでございますでしょうから御答弁は要りませんが、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
  20. 江口一雄

    江口委員長 古川元久君。
  21. 古川元久

    ○古川委員 民主党の古川でございます。  本日は、児童手当改正案についての御質問をさせていただく前に、きょうの新聞に「介護サービス NPOに課税」、こういう記事が載っておったのですけれども、この点についてひとつ御質問をさせていただきたいと思います。  実は、私のところに、日曜日に、政府がNPOの介護保険事業へ課税を決定した、これに対してNPO団体として抗議の声を上げよう、そんなEメールがやってきました。きょうの新聞にも、近く大蔵省は国税庁を通じて通達を出すということになっておりますけれども、これは事実ですか。
  22. 福田進

    福田政府参考人 お答え申し上げます。  近々、今先生御指摘ような通達を出すというふうに聞いております。
  23. 古川元久

    ○古川委員 今回の介護サービス事業に対して、これを収益事業と判定して課税をするという中で、社会福祉法人などは法人税法上非課税になっているから、これは課税対象とはしない。しかし、同じように介護保険の指定業者としてちゃんと指定を受けたNPO法人であっても、これは課税を受けるということのようなのでありますが、社会福祉法人も指定を受けたNPO法人も、ともに非営利で本来事業としてこうした介護事業を行うという点では同じであって、これを法人税法上の取り扱いで異なるような取り扱いをする合理的な理由はないと思うのですけれども、これはどうしてですか。
  24. 福田進

    福田政府参考人 お答え申し上げます。  介護保険法におきまして、保険給付対象とされております介護サービス事業につきましては、現時点で想定されております事業内容等から見て、法人税法施行令に定められておりますいわゆる医療保健業、物品貸付業、物品販売業または請負業に該当すると考えられること等から、原則といたしましてこういう事業を行います営利法人、それから農協、生協、NPO法人、社会福祉法人につきましては、基本的には課税されることになっております。御指摘のNPO法人を含めまして、公益法人等が営む介護保険のサービス業は、原則として、医療保健業も含めまして収益事業に該当し、法人税が課されることになっております。  なお、御指摘医療保健業につきましては、これは実は昭和三十二年に収益事業とされたものでございますが、その際、社会福祉法人につきましては、社会福祉という一般的に公益性が高いと認識されている事業を営むことを目的として設立される法人であり、適正な運営を確保する観点から、法律上、設立、管理、監督に関し厳格な内容の規定が設けられておりまして、社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならないとされておりますこと、また、生活困難者に対しましては無料または低額な料金での診療事業や老人保健施設を利用させる事業を行うことが法制度上予定されている法人であること等も踏まえまして、社会福祉法人が営む医療保健業につきましては、例外的に収益事業から除外されているということでございます。
  25. 古川元久

    ○古川委員 要は、法律で社会福祉法人だけ除外されているからそこだけ除いたということですね。それ以上法律に書いてないからという、ある、ない、それだけで区別した、それだけですね、理由は。
  26. 福田進

    福田政府参考人 法律上、社会福祉法人につきましては、今申し上げましたような特別な位置づけがなされているということで、その位置づけにのっとって、例外的に収益事業から除外したということでございます。
  27. 古川元久

    ○古川委員 大臣、今の大蔵省の答弁で、これで厚生省はいいんですか。
  28. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 前の委員会でもたしか私申し上げたと思いますが、石毛委員質問に対してだと思います、私どもといたしましては、NPO法人につきましては、介護サービスの重要な担い手であると期待をいたしておるわけでございますし、活動しやすい環境づくりに向けて努力をしていく、こういう基本的な考え方に立つものでございます。  法人税の今後の取り扱いにつきましては、介護保険の事業主体となる、今委員から御指摘がありました社会福祉法人は非課税であって、医療法人であるとか営利法人、それからNPOが課税、こういうことの仕分けが審議官から説明があったわけでございますけれども、それぞれの法人の性格や規制のあり方などを含めてさまざまな観点から検討していかなければならない、こういうことでございますが、私は、これはあくまでも、十分にそういった点を勘案して、今後の検討課題として位置づけて、NPO法人がより活動しやすいような環境づくりを目指していくことが厚生省の立場だ、このよう考えているような次第であります。
  29. 古川元久

    ○古川委員 要は、これは見直しを求める、大蔵省に対してこれを非課税にしてくれというふうに厚生省から働きかけるということと理解してよろしいですね。
  30. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今後の、つまり十三年度以降のことになると思いますけれども、私どもとしては、そういった問題を指摘しながら、まだ正式に決めておるわけではございませんけれども一つの要望事項として当然検討していかなければならない問題だ、こう認識をいたしておるような次第でございます。
  31. 古川元久

    ○古川委員 介護保険見直しというのを、導入を円滑に進めるためにといって去年ずっと与党でも検討されていらっしゃったわけでしょう。その中で、保険料の徴収猶予だとか家族介護に対して慰労金を出すとか、そんなことをやっている場合があったらどうしてこういう問題をもっと早くからちゃんと見直しておかないのですか。これはもうわかっていたことで、さっきの大蔵省の説明からしても、明らかに法律の欠缺ですよ。法整備を怠っていたからこういうことになるわけですね。これは厚生省責任として、そんな悠長な話じゃなくて、今すぐにでも大蔵省とちゃんと協議をする、そのような形で見直しを求めるということを強く最初にお願いしたいというふうに思います。  本題の方の質問に入らせていただきたいと思いますけれども、今回の児童手当の見直し案、一部改正案につきましての前提としまして、ちょっと大臣の御見識をお伺いしたいと思うのですが、そもそも子供というのは私たちの社会にとって、そして国家にとってどのような存在として大臣はお考えになっておられるのか、御見解をお聞かせいただけますか。
  32. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、その前段として申し上げさせていただければ、恐縮でございますが、NPO法人が行う介護サービスに対する法人税の取り扱いでございますが、これは税務当局において現行法令に照らして決められたということでありまして、先ほど福田審議官の方から答弁があったとおりでございますけれども、私どもといたしましては、先ほどから申し上げましたように、いわゆる介護サービスの重要な担い手という立場から、今後、与党内においても十分に協議をしながら一つの要望事項として検討する課題だ、こういう認識を持っておるような次第でございます。  それから、本題でございますが、子供というのはいつの時代にありましても次の世代の社会を担う存在でございます。子供が心身ともに健やかにはぐくまれることは、社会にとって極めて重要なことである、このよう考えているような次第でございます。  こうした考え方に立ちまして、子育てを行う家庭を社会全体で支援するということが何よりも大切なことでございまして、政府といたしましては、福祉のみならず、教育であるとか、そのほか全般につきまして、子供を健やかに産み育てるための施策を推進していきたい、このよう考えているような次第であります。
  33. 古川元久

    ○古川委員 大臣が言われたので一言申し上げますけれども、繰り返しになりますけれども、こういう問題が出てくるという話は前からわかっていたわけですね、NPOの話は。厚生省だって、何も話を聞いていなくて突然大蔵省からぽんと言われたというわけじゃないはずですね。協議していてこういうことになったわけですね。NPOを本当に大事な介護保険の担い手だ、主体だというふうに考えておられるのだったら、口先だけでなくてちゃんと態度で示さなきゃ、やっている方からしたら、厚生省は本当に我々をどう考えているのかというふうに思いますよ。  介護保険をしっかり定着させようというのだったら、そういう問題にきっちり一つ一つ取り組むことが大事なのじゃないですか。その点が欠けていて、目先の保険料の徴収猶予とかそういうことばかりやっているのでは、これでは介護保険制度自体の信頼が失われる、そういう大きな問題だ。これは小さな問題に思われるかもしれませんが、私は、この介護保険制度をどう円滑に定着させるかという意味で極めて大きな問題だ、そのことを指摘させていただきたいと思います。  あと、今大臣が、私が次に質問するようなことまで、答弁書をただ読まれたので読んでしまったのかもしれませんが、児童手当支給する趣旨というのを聞こうと思っていましたけれども、要は、子供を有している家庭を支援する、そういうような趣旨で児童手当を出しているんだという答弁で、次に出てくるんでしょうから、もうそこは省いていただいて結構でございますけれども、そういう趣旨であるとすれば、もうちょっと深く児童手当についてお伺いします。  児童手当は、理念的に一体だれに対して支給されていると考えたらいいのか、法律だけを見るとこれは親に対してという感じに見えますけれども。例えば消費税などでも、納税義務者は事業者ですけれども、理念的に、実際の担税者、税金を負担しているのは最終消費者であるというふうに言われています。  では、児童手当の場合には、これは法律上は親がもらうということになっていますが、理念的には、一体、子供がもらっているというふうに考えておられるのか、あるいは親がもらっているのか、それとも親と子の両方なのか。その支給されている対象というのは、どういう対象なんですか。
  34. 大野由利子

    大野(由)政務次官 まず、児童手当はどのような趣旨で支給されているかというところからお答えしたいと思うのです。  児童手当の趣旨につきましては、まず第一に、家庭における生活の安定に寄与すること、すなわち……(古川委員「もういいよ、そこの部分はいい」と呼ぶ)そこはよろしいですか。  では、児童手当支給対象でございますが、児童の養育は、基本的にはまず親がその責任を担うべきでございますので、児童手当はその養育の負担をしております親に支給をされる、このようなものでございます。
  35. 古川元久

    ○古川委員 ということは、子供対象にはなっていない。先ほどの、子供をどう見ているかということでは、子供は社会にとって極めて大事な存在だというふうに認識をしていながら、この児童手当は、子供に対してではなくて親に対してだということですね。それでいいということですね。
  36. 大野由利子

    大野(由)政務次官 そのとおりでございます。
  37. 古川元久

    ○古川委員 でも、本当に児童手当は親に対してということで、子供対象にしていなくていいんでしょうかね。政務次官、本当にそう思われますか。  大体、最近親の児童虐待だとかあるいは親が子供を放置したりとか、そういう問題がいろいろありますよね。今の社会の中で、信頼をして親に渡せば本当に親がちゃんと子供の面倒を見てくれる、そういうことの担保がちゃんとされているのか。児童手当法だって、第二条で「受給者の責務」ということで、支給を受けた者は、児童手当がその目的を達成するために支給されるものである趣旨にかんがみ、その趣旨に従って用いなければならないというふうに規定がありますけれども、これはただ単に努力規定みたいな形で書いてあるだけで、それをちゃんと法的に担保してあるわけじゃないですよね。  そういった意味では、支給された児童手当が本当に子供に使われたのか、あるいは子供を放置して親はパチンコをやったりとかそういうものに使われてしまったりしたのか。基本的に、このお金は、本来は親じゃなくて子供に使われるものだ、子供に渡されているものだ、そういうことをちゃんとはっきりとしておくことが必要なんじゃないですか。どうですか。
  38. 大野由利子

    大野(由)政務次官 児童手当法の第二条で、今委員が御指摘ように、児童手当支給を受けた者はその目的に従って使わなければいけない、こういう規定があるわけでございます。それが保証されないから子供にという委員の御主張かと思いますが、未成熟な子供児童手当を受けても適切な管理や使用が可能かどうか、こういう技術的な問題がございます。また、名義を子供にして、子供支給をしても、それを親が管理するとしましたら、これまた結局同じことになるのではないか。こういう問題もございまして、結局、児童手当は養育の責任がある親に支給をすべきもの、このように思っております。
  39. 古川元久

    ○古川委員 大野さん、全然私の質問の趣旨をわかっていないのですよ。  私は、実際に出すのは親に行く、それはわかりますよ。私が最初に聞いているのは、理念的にだれに渡しているという意識をちゃんと考えているのかということですよ。  消費税でも、消費者から直接は取れないですね、消費者から預かったものとして事業者が納める、だから法律では納税義務者は事業者になっているのです。それと同じで児童手当も、それはわかりますよ、子供に渡せなんて言ってもそれは無理ですから親に渡すのはわかるのですが、考え方の基本的な部分として、厚生省あるいは政府は、実際にだれに渡すかじゃなくて、児童手当というものの考え方として子供なのかあるいは親なのかということを聞いているわけですよ。  それもさっきの話だと、親だけで子供は一切関係がない、そういうことなんですね。
  40. 大野由利子

    大野(由)政務次官 ちょっと同じ答弁の繰り返しになるかと思いますが、児童の養育というものは親が責任を持たなければいけない、こういうものでございます。ただし、児童手当法の第二条にございますように、手当支給を受けた者は、これをその目的の趣旨に従って用いなければならない、こういうふうな規定がございますので、親は受けた児童手当を勝手に何にでも使っていいというのじゃなくて、児童手当法の第二条の趣旨に従って使う、こういうことでございます。
  41. 古川元久

    ○古川委員 そうであれば、では、どうやってそれを担保するのですか。この二条には何かそれを担保する罰則でもあるのですか。
  42. 大野由利子

    大野(由)政務次官 担保はございません。
  43. 古川元久

    ○古川委員 担保できないのだったら、それはやはり意味がないですよ。親に出すということであれば、本当に親がちゃんとそこへ使っているのかどうか。  私は、この法律だけ見ると、子供に対して出しているが、子供が直接は受取人になれないから親が代理として受け取っているという趣旨であれば、親に対して、それをちゃんと代理人の善管注意義務みたいな形で使うということであればいいですよ、そういう理念的な考え方でそうなればこの責務でいいと思いますよ。しかし、そういうふうに親に渡しているのだったら、これは児童手当じゃないですね。もしそうだったら、子供に対してというよりも、親に対しての養育支援法か何か、そういうふうに名前を変えた方がいいですね。  児童手当については、我々は、まずそこの根幹のところが、これは親に渡しているのかあるいは子供なのか、そこの理念的なところからはっきりさせないと、これからの議論というのは……。これから十三年に向かって抜本改革を行う。大野さんが所属している公明党が主張されておられる所得制限をなくすというようなことは、子供対象にしない限り出てこないはずなのです。親を対象にするのだったら、今の考え方でいいのだったら、どうして所得制限をなくす方向に持っていこうと公明党は提案されておられるのですか。それはおかしいんじゃないのですか。これは大野さんですよ、大臣。だって、公明党の意見のところですから。
  44. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 舌鋒鋭い古川委員から、先ほどから厳しい御指摘を受けておりますが、これはどういうことをもって担保するとかしないとか、そういう次元の話ではなくて、要するに、当然のことながら、少子化対策の中の幾つかの理由の中に、いわゆる経済的な負担というものを挙げる方がおるのです。たしか二番目か三番目にあったと思います、いろいろな調査によりますけれども。そういう中にあって、これですべてが事足りるとは私自身は思っておりませんけれども児童手当というものを少子化対策の中の一つの象徴的なものとして、今までは三歳未満だったのを今度六歳まで引き上げるということであります。  要するに、何に使ったかどうのこうのということではありませんで、親御さんにこれを交付するものでございますけれども、私どもは、それが何に使われるかというと、当然のことながら子供のさまざまな問題についての負担の軽減に使っていただきたい、こういうことに尽きるのではないかと思っています。
  45. 古川元久

    ○古川委員 私が言っているのは、要は、そこの一番基本の理念のところ、考え方部分がどうかということをはっきりさせないと、将来的な抜本改革のときにも議論があいまいになってすれ違いになるから、これを確認させてもらっているんです。だから、親がと言うんだったら、極論をすればそうなるじゃないかと言ったのであって、私は、別段ここの修辞上の話で議論をしようとしているんじゃないんですよ。  しかし、大野さんにちょっとお伺いしますが、公明党としては将来的に所得制限のない方向に進めようというふうに考えているのは、それはそのとおりですよね。
  46. 大野由利子

    大野(由)政務次官 今、党の立場を代弁する立場ではございませんが、党は、どちらかといえば子育て支援は、扶養控除による方法と児童手当による方法と二通りの大きなものが経済的な支援という意味ではあると思うんですが、扶養控除による方法だと所得によって大きな差がある、非課税世帯には何の恩恵もない、そういうことから、扶養控除による方向じゃなくて児童手当による方向が望ましいのではないか、そのときに所得制限を設けるのはいかがなものか、こういう御議論が行われているものと承知をしております。
  47. 古川元久

    ○古川委員 でも、これは親に対して渡すんだったら所得制限は当然つけなきゃおかしいと思うんですよ。公明党さんは、十二月六日の公明党の少子化対策への提案というので、児童手当制度改革については所得制限なしとちゃんと書いてあるんですよ。この考え方のベースにあるのは、基本的に児童手当をだれに出しているか、親か子かといったら、子供に渡していると思っているからなしになるはずだと思うんですよ。親に出すのに所得制限がないというのは、これは根本的な部分で論理矛盾というか理念的な矛盾が起きてくると思うんですが、それはどうですか。
  48. 大野由利子

    大野(由)政務次官 まだ議論の過程でございます、検討課題でございますが、扶養控除というものを減らしていって、手当の方は全くないというのもいかがなものかなというような……(古川委員「いや、だって所得制限はあれでしょう、控除だって、所得がない人は控除なんて受けられないんですから、そうでしょう」と呼ぶ)はい、所得のない人は。
  49. 古川元久

    ○古川委員 だから、こっちだけ所得制限があるのはおかしいじゃないですか。所得制限がないのは、これはだれだって受けられるということになっちゃうでしょう。  公明党は児童手当子育て支援のかなり大きな柱として言っていらっしゃるわけでしょう。そうしたら、その児童手当の性格について、そこが親なのか子供なのか、その辺をはっきりさせていなくて——大野さんも内閣に入っているんだから、もし今の厚生省議論だったら、本来的にこういう所得制限なしというような公明党の議論になっていかないはずなんですよ。ですから、抜本改革をするということであれば、厚生省考え方をそういう一番理念的な部分から変えないとならない。  今やっている今回の改正案なんというのは、そういった意味でいくと一番基本の部分が、児童手当というのは子供に渡しているのかあるいは親に渡しているのか、そこの部分が、公明党さんの考え方とは違う中で継ぎ足しているような形になっているんですよ。そういうことをよく理解しておいてください。  次に行きます。  少子化対策の話で先ほど大臣からお話がありましたけれども、改めて聞くまでもないかと思いますが、今回のこの児童手当については、これは少子化対策の中の柱の一つとして位置づけられているという認識でよろしいですね、大臣
  50. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 少子化をめぐる流れを見ますと、今見ましたら委員はたしか昭和四十年生まれでいらっしゃいますね、ちょうど昭和四十一年が……。要するに、一・五七ショックというような文言が生まれた平成二年以降、少子化に対する社会的な関心が高まっている中でこういった問題に対する政策的な対応が図られてきた、こういう経緯がございます。平成六年にエンゼルプランが策定されました当時におきましても、子育て支援であるとか子育て環境づくりといった形で少子化対策というものを推進してきたところでございます。  しかし、これがさらに大きな社会問題として深刻になってまいりましたのは言うまでもなく近年でございまして、一・三八という問題が大変大きな社会的な現象としてクローズアップされてきたわけでございます。そういう中で、こういう問題に対してどうやって社会全体で取り組むべきか、こういうことで、政府・与党におきます論議を経まして、昨年の末の少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランの策定などとして結実したものでございます。  それから、今回の少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランの策定に当たりましては、総合的な施策の展開という観点から、福祉、教育、雇用、こういったような各般にわたります施策を少子化対策の一環として位置づけるものでございまして、児童手当につきましては、その幾つかの少子化対策の中の柱の一つとして位置づけておる、このように御理解をいただきたいと思います。
  51. 古川元久

    ○古川委員 幾つかの柱というのは、その柱は幾つあるんですか。
  52. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 いろいろな意味で、私は前から申し上げておりますように、これで少子化対策は決まりというものはありません。ですから、総合的にいろいろな形でやっていくものであって、今私がここで数字を挙げて幾つあるとかなんとかという問題ではなくて、委員からこれも少子化対策としていいんじゃないかという御提言があれば、私どもも、これはみんなで考えていく問題だ、こういうふうに考えているような次第であります。
  53. 古川元久

    ○古川委員 私のつたない日本語の知識によれば、柱というのは、三本柱とか五本柱とか、せいぜい一けたでありまして、二十本柱とか三十本柱だなんて、そんなことは言わないですよ。今大臣がおっしゃられたことは、少子化対策のためにいいものであれば何でもそれを柱にするということですか。  そうじゃなくて、政策の中では、財源との関係とか、いろいろな環境の中でやはりめり張りをつけていかなきゃいけないわけでしょう。そうしたら、柱というのは当然限られてきますね。そういった意味では、この児童手当というのは、普通我々日本人が考えて三本柱だ五本柱というような、そういう普通に使われるような用語の幾つかの柱の一つ考えていいということですか。
  54. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 柱という言葉に固執なさっているようでございますが、私が申し上げたいのはそうじゃなくて、要するに総合的に考えていかなければならない。当然のことながら児童手当もその中核をなすものでございますけれども、それだけではないんだ、そのほかの福祉であるとか教育であるとか雇用であるとか、いろいろな面から考えていかなければならない、こういうことを申し上げているような次第でございます。
  55. 古川元久

    ○古川委員 先ほど少子化対策推進基本方針の話が出ましたので、それを見てみますと、「第2 基本的な施策」というのがありますね。その基本的な施策の中に、こういうのを大きな柱と言うんじゃないかと思いますが、「1 固定的な性別役割分業や職場優先の企業風土の是正」、「2 仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備」、「3 安心して子どもを産み、ゆとりをもって健やかに育てるための家庭や地域の環境づくり」、そんな大きな柱が六つあるんですが、その六つの中に児童手当が入っているかというと、そうじゃなくて、今申し上げた「3 安心して子どもを産み、ゆとりをもって健やかに育てるための家庭や地域の環境づくり」、その中に(1)から(8)まであるんですが、一番最後の(8)に児童手当が出てくるわけですよ。  これはお役所言葉で言ったら、普通こういうふうに一番最後に来るのは柱とは言わないんですよ。大臣から、あなたはお役人出身ですからと言われますが、私も役所にしばらくいた経験からいえば、まず大事なものが最初の頭に来ますし、それが大きなものです。  そういった意味では、小柱といいますか、その中でも一番最後の(8)に児童手当が来るということは、政府の中では、少なくともこの十二月十七日の時点では、与党三党の間の「児童手当等に関する合意書」の中で「合意事項」として決められた「自由民主党・自由党・公明党の三党は、児童手当制度少子化対策の柱として位置づけ、」これは一番頭に出てくるのですよ、柱としての位置づけというよう認識はないというふうに普通は読めると思うのですが、いかがですか。
  56. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 最初に書いてあるからどうのこうのとか、後に書いてあるからどうのこうのとかいうことではなくて、私もよくわかりませんが、前座とトリというのがありまして、トリの方が大事だという説もありますから、そういう問題ではなくて、要するに、与党協議の中において大変重要な柱の一つとして考えてこのよう拡充を行った、こういうことでございます。
  57. 古川元久

    ○古川委員 いみじくも大臣が言われたように、これは与党協議になって柱に変わったということですね。  そうすると、例えば今度出てくる平成十二年度の厚生白書の中では、少子化対策の柱の一環として児童手当というのがばんと出てくるわけですね。今までのものをずっと見てみましたが、少子化社会に向けて「少子社会を考える」という厚生白書を見ても、児童手当なんという言葉がどんとどこかで太文字で出てきたかというと、見えないのですね。探してみたけれども、見つからなかったのです。  そういう状況が、これからは、柱として位置づけた、そういう方向へ大きく転換をしたと。今まで補完的なものだと考えていた児童手当が、これからは少子化対策の柱ということで少なくとも太字ぐらいでは出てくる、そういうふうに認識しておいてよろしいですか。
  58. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 政府・与党というのが、一体で取り組まなければならない問題でございます。与党側の意見も十分に聞きながら、そして私ども意見というか考え方も申し上げながら、一つのまとまったものとして提出させていただきたい、このよう考えているような次第であります。
  59. 古川元久

    ○古川委員 これから厚生省がこの児童手当をどういうふうに取り扱われるか、我々は注視していきたいと思っておりますが、今回のこの改正につきましては、児童福祉審議会あるいは財政審などでもかなり効果が疑問視されておるわけでありますね。しかし、それにもかかわらずおやりになられる。  最近、どこの役所も政策評価を行うということが当たり前のようにやられております。今回の児童手当をやることも、当然厚生省として、効果がどうなのか、これは公共事業なんかと違いますから定量的な分析はなかなかできないかもしれませんが、少なくとも児童手当をもらった人に対してアンケートなどを行って、この手当をもらったことによって子供を一人余分につくる気になったかとか、政策が本当に効果があったかどうか、それはちゃんとこれから検証されるのですね。
  60. 大野由利子

    大野(由)政務次官 児童手当に限らず、あらゆる既存の制度事業について、社会経済動向の変化に応じて、常にその目的や意義、また政策の効果について見直しをしていくことは必要なこと、このよう考えております。先般行われることになりました中央省庁改革におきましても、各省において政策評価の実施が義務づけられたところでございます。  少子化対策の推進は、厚生省だけじゃなくて、政府全体の大変重要な課題でございます。総合的な施策として取り組んでいるわけでございますし、その一端を担う児童手当制度についても、政策的な意義や効果について適宜検証をしていくことは大変必要なことだと思っております。
  61. 古川元久

    ○古川委員 大臣、十三年度には抜本改革をやると言っているのに、経過措置として、とにかくことしやるんだということでこういう改正案が出てきたわけですね。ということは、要は、来年までは待っていられないくらいに状況が切迫している、何らかのそういう理由があるからやるわけですね。  そういった意味では、ことしじゅうにちゃんと、今回の児童手当改正によってどういう影響、心理的なものでもいいです、そういったものはしっかりと検証してもらえる、それは約束してもらえますか。
  62. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児童手当につきましては、先ほどから申し上げておりますように、総合的な少子化対策の一環として、与党三党の合意を踏まえて、現段階において実施可能な範囲でその拡充を図る、こういうことでございます。  私どもは、あくまでも与党三党の今後の交渉といいますか議論というものを十分に見守らなければならないと思いますが、私どもとしては、一年で終わりだとかもうこれで終わりだとか、そういう立場ではありません。あくまでも年限を区切ったものではなくて、しかし、十分に与党三党の話し合いといいますか、そういうものを踏まえながら私どもとしての態度を決定したい、こういう立場に立つものでございます。
  63. 古川元久

    ○古川委員 それであれば、来年の抜本改正のとき一緒にやればいいじゃないですか。何でこれを一年早くやる必要があるのですか。これまで審議をしていて、そこの意義がどうしても理解できないのですよ。  そもそも「経過措置」と書いてありますよ。普通、経過措置というのは、先の姿がちゃんと見えていて経過措置というふうになるはずです。先の姿も見えない、これから考えましょうというのに、普通、経過措置なんて言いますか。まあ、これは与党の合意文書ですが。  そこの、抜本改革に先立って今やらなければいけない意義というのは、どういう意義があるのですか。
  64. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 与党の協議の中でいろいろな御議論があったというふうに聞いておりますが、私としては、そういう中において、将来のビジョンが見えるまで何もやらないという先生の識見も一つ考え方だと思いますが、そういうものではなくて、少子化問題というものが国民の間でこれだけ大きな関心を持たれておるわけでございますので、まず第一歩を踏み出すという考え方もあるのではないか。私どもとしては、あくまでも現実的な立場に立つものでございます。
  65. 古川元久

    ○古川委員 大臣、しかし、それが現実的じゃないのですよ。現実的な立場というのは、子供を育てる側からすれば、普通、子供を持てば、学校を出るまでのタームで考えるわけですよ、義務教育を出るまでだけじゃないわけです。そうなると、今回のでどうなるか。  今回ので、ゼロ歳から六歳までは児童手当が出ます。しかし、そのかわり七歳から十五歳までは扶養控除だけで、十万円減ってしまうわけです。また、今回の議論の中でもいろいろ議論が出ている、所得控除というのは所得の高い人に補助が多くて不公平だ不公平だと言っていますが、十六歳から二十二歳までは、今度は特定扶養控除といって六十三万円も控除される。こんな矛盾は、さっきの話からいうと、まずここを直す、そっちの方から考えなければいけないような話ですね。  つまり、子供からしてみれば、ゼロ歳から二十二、三歳まで、そういうタームで考えた中で、ここの一部分だけ、できるところからというので、大臣の方が考えて、ゼロ歳から六歳まであるいは上の方の十六歳から上だけ。しかし、ではその間をどうするのか。その間の人からしてみたら極めて不安なわけですね。しかも、来年は抜本改革でまた変わりますといったら、この一年間、こういう制度になったから子供をつくろうかなんて、私は、普通の親だったらとても思えないと思うのですよ。だから、今回の改正こそ現実的でない。  現実的な改正というのは、こういう改正で、こういう仕組みで、ゼロ歳から二十二、二十三歳まで、子供の養育だとかそういうものはちゃんとこういう形でやりますよ、そういう将来的な長いビジョンが見えて初めて子供をつくろうか、私はこれが少子化対策の決め手になるとは思いませんけれども、そういう気になるのであって、それが、とりあえずの経過措置。できること、それはそちらの見方であって、子供を持っている親から見たら、それは安心して子供が産めるような環境になるというよりもむしろ不満を増すだけだ、そういうふうに申し上げて、時間が来ましたので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  66. 江口一雄

    江口委員長 金田誠一君。
  67. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 私は、今回の児童手当法改正による所得制限、サラリーマンと自営業者によって所得制限が異なる、このことが憲法第十四条に抵触するのではないか、こういう観点からまず質問をいたしたいと思います。  今回の改正に係る財源は、今までの特例給付とは全く異なるわけでございまして、全額公費をもって充てるということになっております。にもかかわらず、サラリーマンと自営業者の所得制限が異なっているわけでございますけれども、この異なる理由は何か、厚生大臣からお伺いをいたします。
  68. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 自営業者などと被用者との間で所得制限が異なっているのはなぜか、こういうような御指摘でございますが、これまでの経緯によりまして、支給される率が七割になるようバランスをとることによって実質的な平等を図っていこうではないか、こういうことで行われたものでございます。  なお、これは被用者と自営業者の間では所得形態であるとか生活実態が異なっていることも十分に考慮しておるわけでございまして、これによって不公平な取り扱いになっているとは考えておりません。
  69. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 サラリーマンと自営業者の所得水準が異なれば、支給を受ける者の割合が異なるのは当然でございます。一定の所得制限の線を引くとすれば、自営業者グループが所得が低いとすればその大部分が適用になる、それが当然ではないか。  なぜ、自営業者も七割、サラリーマンも七割、この七割で合わせなければならないのか。法のもとの平等というのは、それぞれの所得に着目して平等に給付をされたりされなかったりするのが法のもとの平等だ、これは当然だと思うわけであります。なぜ、自営業者とサラリーマンで別々に所得制限を設けて支給率を七割にしなければならないのか。なぜ、所得制限をそれぞれ別にする理由があるのか。こんなことは理由にならないと思うわけでございますが、いま一度御説明をいただきたいと思います。
  70. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児童手当制度の導入につきましては、先ほど来申し上げておるわけでございますが、どちらかというと企業の福利厚生的なものとして昭和四十六年から導入されてきておる、こういうような経緯があるわけでございます。そういう中においていわゆる特例給付というものが設けられたわけでございます。  それによりますと、被用者の方はほとんど給料が児童手当対象にならないということからこういうようなものが設けられた経緯がございまして、そもそも自営業者と被用者との間の所得の問題でこれを議論するということは、これまでの経緯からいって、実際問題として理解を十分に得られにくいものではないかな。あくまでも、基本的にはそういった長い歴史の中で支給率を七割に決めるところからスタートしたものであるということを御理解賜りたいと思います。
  71. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 経緯はわかるのです。百歩譲って、今までの特例給付というものを乗せて、これについては所得制限を上げたということで、自営業者もサラリーマンも七割にした。疑義はあるのですけれども、百歩譲ってここまでは認めてもいいのかな。なぜ認めてもいいのかなというと、特例給付負担事業主が十分の十の負担である、被用者保険のグループの中で完結をしていて、公費が入っていかないのが特例給付でありますから、それは疑義はあるけれどもやむを得ないのかなというふうに認めたとしても、今度はそうはいかない。  なぜなら、今度は国三分の二、地方三分の一ということで、全額公費でこの部分を賄うわけでございます。なぜ、この部分がサラリーマンのみに六百七十万円の所得制限になって給付をされて、自営業者に対しては四百三十二・五万円ということで給付がされないのか。今言った数字は所得制限の額でございますけれども、こういうことがなぜ理屈として通るのか考えられないわけでございます。  七割とかなんとかいろいろおっしゃっていますが、恐らくその背景にあるのは、念頭にあるのは、いわゆるクロヨン問題、自営業者の方々所得を完全に捕捉されていないのだ、したがって、所得制限額を低く抑えても特に問題はないのだというのが本当はあるのではないですか。クロヨン問題というものが実は本当の理由だ。所得制限が異なる本当の理由は、クロヨンということがあるのだということでしょうか。大臣、いかがでしょう。
  72. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員ような、クロヨン問題があるのではないかというような御指摘があることも事実でございますが、この児童手当制度において自営業者などと被用者との間の所得制限限度額が異なっておりますのは、いわゆるクロヨン問題そのものではなくて、先ほどから申し上げたような経緯によるものでございます。  現時点でこれを見ましても、児童手当所得制限額、いわゆる自営業者の限度額を被用者に仮に当てはめてみますと、自営業者などと比較いたしまして著しく支給率が低くなるという実態がございます。今回の改正におきましても、現行の所得制限の仕組みを踏襲する、こういうようなことで臨んでおるわけでございます。  自営業者などの限度額を被用者並みにすることにつきましては、委員指摘ように、三歳未満につきまして全額事業主負担による特例給付を設けているところでございまして、こういうことを勘案いたしますと、児童手当財源構成のあり方についての問題になるということで、私どもとしては、そういう観点から慎重に考えざるを得ない、こう考えているような次第でございます。
  73. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 クロヨンの問題ではないということはわかりましたけれども、それではなぜなのかということについては全く大臣の説明では理解ができません。  念のために大蔵省にお尋ねしておきたいと思いますが、日本政府としては、いわゆるクロヨン問題、解説は必要ないと思いますけれども、いわゆるクロヨン問題というものが存在しているという立場なのかどうなのか、これを簡潔にお答えいただきたいと思います。
  74. 河上信彦

    河上政府参考人 国税の執行の当局の立場からお答えさせていただきたいと存じます。  各種の所得種類間におきます所得捕捉の格差につきまして、ただいま御指摘のクロヨンというようなことが巷間言われておるところでございますし、また、こうした言葉に象徴されますよう所得の種類間におきます所得の把握の差に基づきます不公平感があることは承知しておるところでございます。  事業所得者の申告水準につきまして、私どもから見まして、業種や業態等によりまして所得の把握に難易があるということは事実であると思います。私ども、資料情報等に基づきまして、申告内容に特に問題があると認められる者に対象を絞って税務調査をした結果につきまして見ますと、申告漏れ所得の割合はおおむね二五%程度でございます。したがいまして、私どもが行いました過去の税務調査結果などから見まして、クロヨンと言われるような大きな所得捕捉の格差はないと考えておるわけでございますが、一部に依然といたしまして過少申告を行う不誠実な納税者がいることも事実でございます。  国税当局といたしましては、適正かつ公平な課税を実現するため、従来から限られた人員のもとでできる限りの努力を重ねてきているところでございますが、今後とも、適正、公平な課税の実現を目指しましてさらに努力を続けてまいりたいと考えておるところでございます。
  75. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 としますと、日本政府としては、課税ベースの把握、所得の捕捉に違いがあるのだ、自営業者というのは所得捕捉は十分にされていないのだという立場で行政を行っているということなのか。課税ベースの把握、所得の捕捉は難しい面もあるけれども努力をしている、したがって、申告漏れ等はどこにでもある話ですけれども、そういうものを除いて原則適正に課税をされているという立場で行政をされているのか、どっちの立場でしょうか。
  76. 河上信彦

    河上政府参考人 繰り返しになるようでございますが、所得の種類によりまして、例えば事業所得者の申告水準などにつきまして見ますと、業種や業態によりまして捕捉の難易があるということはやはり事実であろうかと存じます。  私どもは、国税の執行の立場から、適正、公平な課税を実現するために、従前よりも限られた人員の中で努力してまいったわけでございますが、今後とも、引き続き適正、公平な課税の実現に向けて努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  77. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 捕捉に難易があるから捕捉されていないという立場でしょうか、難易があるけれども捕捉しているということですか。
  78. 河上信彦

    河上政府参考人 お答えいたします。  なかなか難しい御指摘でございますが、これは、先生まことに恐縮でございますが、例えば事業所得者につきますと、所得というのは売り上げと経費の差でございます、それらにつきましてはどういうふうに事実関係を把握していくかということが必要になるわけでございまして、このようなことが所得の把握の難しさにつながっている一つの要因であろうかというふうに考えておるところでございます。
  79. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 何回聞きましてもきちんと答えていただけないのが遺憾でございますが、時間がもったいないので、次に進みます。  内閣法制局にお尋ねをいたします。  今までの厚生大臣答弁などを伺っても、なぜ自営業者もサラリーマンも、それぞれ児童手当支給を受ける者を七割にしなければならないという根拠がないわけでございます。全くない。  自営業者のグループが所得が低いとすれば、多くの者が対象になって当たり前、私はそう思うわけでございます。したがって、このような自営業者とサラリーマンの所得制限を別にするということは、特例給付よう事業主負担が十割であればまだしも、全額公費ということになれば理由のない差別である、私はこう思います。したがって、憲法十四条、法のもとの平等に抵触をする、こう思うわけでございます。  「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」当たり前のことでございますが、自営業者であるというゆえをもって、児童手当給付を受ける所得制限が、サラリーマンの六百七十万に対して四百三十二万五千円という低いレベルに置かれているというのは、私はこの憲法十四条に違反すると思うわけですが、法制局、いかがでしょうか。
  80. 山本庸幸

    山本政府参考人 今先生がお読みいただきました憲法第十四条は、法のもとの平等を確保する規定でございます。その法の内容を判断するに当たりまして、それが合理的な理由に基づく区別を否定するものではないというふうに私ども理解しております。  現行の児童手当法は、いわゆるサラリーマン、被用者と自営業者等を御指摘よう所得制限で区別して設定しているわけでございますけれども、これは、いわゆるサラリーマンと自営業者等との間の手当支給率を同程度に保つことを目的としたものでございまして、こうした所得制限の仕組みそのものは実質的に両者の間の平等を図るものというふうに理解しておりますので、サラリーマンと自営業者を問わず、広く子育てを支援するというこの児童手当制度の趣旨に沿ったものだと考えております。  そういう目からいたしますと、今回の児童手当法改正というのは、そういった少子化対策の一環といたしまして、現行制度前提としつつも支給対象児童の年齢延長を図るものでございまして、引き続き所得制限限度額を現行制度に準じて両者の間で区別して設定するということでございまして、そういう意味では合理的な理由がありまして、したがって、憲法第十四条の問題が特に生ずることはないというふうに理解しております。
  81. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 法制局も落ちたものだなという感想を申し上げておきたいと思います。到底納得できる答弁ではございません。いずれこの問題は恐らく裁判が起こるでしょうから、最高裁あたりで結論は出るだろうというふうには思いますけれども、法制局ももっとまじめに、職務に忠実に精励していただきたいと御要望を申し上げておきたいと思います。  次に、先般、十六日の朝日新聞でございますけれども、「厚生年金がもらえない」という記事、特集がございました。「会社が「保険料払えぬ」と脱退 未加入事業所、八十万も」「「強制加入」名ばかり」「厚生年金が消えた」こういうことで厚生年金のいわば空洞化の実態が明らかにされているわけでございます。  このような厚生年金未加入の事業所に勤務をするサラリーマンは、児童手当所得制限はサラリーマンに該当するのか、自営業者に該当するのか、どちらでしょうか。
  82. 大野由利子

    大野(由)政務次官 児童手当制度上では、被用者と被用者でない者、このように区分をされておりまして、公的年金の適用関係に従って定めております。  したがって、厚生年金の適用がない事業所に勤務するサラリーマンは、児童手当制度上は、被用者等でない者、自営業者の部類に区分されることになります。
  83. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 大変おかしな御答弁を伺ったなと思うわけでございます。  厚生年金に掛金を払い切れないような大変深刻な会社の事情で厚生年金から脱退される。これが違法か合法か、いろいろありましょうけれども、実態としては払い切れていない。こういう会社というのは、給与水準も、きちんと厚生年金に入っているところよりは恐らく厳しいのではないかということが容易に推測がつくわけでございますけれども、そうしたところで、厚生年金に入っていようが入っていまいが、その方は給与所得者であり会社に勤めているサラリーマンなわけですね。しかし、児童手当所得制限上では、サラリーマンではなくて自営業者にカウントされる。これは本当でしょうか。耳を疑う答弁でございますが、いま一度お答えいただきたいと思います。
  84. 大野由利子

    大野(由)政務次官 児童手当制度上は、先ほど答弁したとおりでございます。
  85. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 これは、実質サラリーマンですから、源泉徴収の税金は恐らく払っておられるでしょうから、所得の捕捉云々という話も全く関係なくなるわけですね。こういう実質的なサラリーマンが、児童手当所得制限の上では自営業者という形で非常に不利な扱いを受ける。同じサラリーマンですよ。  先ほどは、自営業者グループもサラリーマングループも七割にしますよという、私は、これは全く理屈になっていない、詭弁にもなっていない、お粗末な話だと思っているのですが、そういうお話がございました。  しかし、今度はサラリーマンですよ。厚生年金保険を払い切れない——サラリーマンの中でも余計厳しい方なわけですね。そういう方に対して、なお一層厳しい所得制限をかけるということですね。実質的なサラリーマンが、同じサラリーマンであっても児童手当所得制限が異なる。これは、先ほど憲法十四条違反ということを申し上げましたけれども、なおかつ輪をかけた憲法十四条違反じゃないでしょうか。法制局、いかがですか。聞いてもむだかもしれませんが、とりあえず答えてください。
  86. 山本庸幸

    山本政府参考人 御指摘の点は、制度をいかに構成するかという問題でございますが、この児童手当制度におきましては、当初から、制度の円滑な実施、事務の簡素化という観点から、被用者年金制度の加入者をもって被用者としております。  現行の制度におきましては、厚生年金の適用事業所に使用される六十五歳未満の方は厚生年金保険の強制加入の被保険者とされておりますので、そういうことを前提にして、この児童手当法におきましても被用者年金制度の加入者をもって被用者としておるわけでございまして、そこには一定の合理性がある。したがって、憲法十四条との関係で何か問題が生ずることはないというふうに考えております。
  87. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 大臣、通告していないものを聞いて大変申しわけございません。お聞きのとおりで、厚生年金保険に加入し切れなくなって脱退してしまったという会社にお勤めのサラリーマンは、児童手当上の所得制限の区分では自営業者の方に区分されていく。法制局は憲法違反ではないと言っていますけれども、私は違反だと思います。  しかし、仮に憲法違反でないにしても、これは違反でなければいいという話じゃないと思うのですよ。同じサラリーマンです。何とかしなきゃいけない、このままじゃ問題があると思いませんか。
  88. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私の立場としては、児童手当の前のいわゆる厚生年金の問題について、これは会社の都合によって厚生年金を脱退するということは法的に許されないことでございます。報道されておるような実態があるということならば、私どもの役割は、それを云々するよりも、それを指導していく立場ではないか、こう考えているような次第です。
  89. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 脱退は許されないことになっていますけれども、現実に脱退している。そういう方はサラリーマンの方の適用をすればいいだけの話じゃないですか、児童手当法については。どうでしょうか。社会保険庁は打つ手がなくなってしまっているのですよ、今。戻せといったって、ないそでは振れないという状態になって、厚生年金から離脱している。これは非常に深刻な事態で、お気の毒な事態だと思います。  サラリーマンですよ、離脱したって。そのサラリーマンが、何で自営業者のグループに入るのですか。そのグループ分け自体、僕は憲法違反だと思いますけれどもね。少なくとも、このところに着目すれば、脱退は許されないだけでは済まない。もちろん、許されないですよ。戻してほしいですよ。しかし、戻せなかったらどうするのですか。それは自営業者グループに入りなさいよといったら、それはひどいじゃないですか。サラリーマンなんですから。この辺は何とかしますという答弁をするしかないんじゃないでしょうか。
  90. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、私がなぜこういうことを申し上げるかといいますと、これを認めることによりまして厚生年金の条件そのものを否定することになるわけでございます。これは先生も御理解いただけると思います。  そういう観点から、私どもといたしましては、あくまでも厚生年金の適格条件に沿って強制的に加入をしていただくということでございますが、先生が御指摘になっているように、そうはいってもなかなか払えないんだからということで厚生年金から国民年金にかわるとか、後はそれぞれ自由にやってくださいというようになった場合どうかということでございますけれども、これはあくまでも厚生年金に加入しているということが被用者の条件であるという観点から、先ほど政務次官答弁したことになるのかなという感じでありますけれども、そういうことがあってはならないという観点から、私は、十分に検討しなければならない問題だ、こう考えております。
  91. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 非常にわかりにくい答弁をいただいたなと思っておりますが、後でもう一回この問題は質問させていただきます。  次に移ります。  国保中央会並びに全国市長会、町村会が共同で作成した資料、「医療保険改革問題研究会報告書」というのがございます。これによりますと、市町村国保の職業構成という資料が載ってございまして、最初は、制度発足当時は、約七割近くの方が農林業、自営業という状態であった。それが時代とともに変化をして、平成九年では、自営業は二二%、農林水産業六・六%、自営業、農林水産業合わせても二八・六%が国保の被保険者、こういうことになっております。これに対して、明確に被用者という項目で分類されている方が二三%に上っているわけでございます。そのほか、その他とか無職という方も結構多くて、無職の方は四六%。これは、年金受給者の方とか、あるいは今のリストラの中で職を失った方とか、こういう方が含まれるんだと思います。  いずれにしても、リストラされたサラリーマンなども自営業者のグループに入るのか。本当に自営業をやっていれば別ですけれども、それは非常に私は疑問です。  疑問ですけれども、今絞ってお聞きをするとすれば、国保加入者の中に被用者という明確な分類が二三%あるわけでございます。この国保加入者の被用者は恐らく国民年金とセットです。国保と国民年金がセットになります、厚生年金ではないと思いますが。こういう方々、被用者と明確に分類されている国保の加入者は、児童手当所得制限の上ではサラリーマンに分類されるのか、自営業者に分類されるのか、いかがでしょうか。
  92. 大野由利子

    大野(由)政務次官 先ほどの御答弁と重複いたしますが、児童手当制度上では、被用者と非被用者、このように区分されておりまして、公的年金の適用関係に従いまして、厚生年金や共済年金の被用者年金が適用される場合は被用者、それ以外の人は非被用者、このようになっております。ですから、お尋ねの国民健康保険被保険者は、児童手当制度上では非被用者に区分されることになっております。
  93. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 そのことがおかしくないでしょうか。だって、被用者なんですもの、国保に入っていたって。フリーターだとか個人事業主のところに勤めているとか、あるいは先ほどの、会社が払い切れなくて厚生年金を政府管掌保険と一緒に脱退してしまったのでやむを得ず国保に入った、さまざまな事情の方がいらっしゃると思いますが、被用者は被用者じゃないですか、国保に入っていても。それを一律自営業者グループに分類する——その自営業者というのはクロヨン問題があるとかないとかおっしゃっていまして、大蔵省に言わせると所得の捕捉が難しいんだとかおっしゃっておりますけれども。被用者に分類される国保の被保険者などは自分で御商売をやっているわけじゃないでしょう、被用者に分類されているということは。源泉徴収で恐らく取られている方ですから。その方がなぜサラリーマングループの中に分類されないのですか。  私の基本的な立場は、サラリーマングループ、自営業者グループというふうに分けて、それぞれ七割が給付対象になること自体、そして、そのために制限額に差をつけること自体憲法違反だろうという立場ですけれども、百歩も二百歩も譲ったとしても、国保の被保険者の中で被用者というふうに明確に分類されている方については、自営業者のグループというのはおかしいのじゃないですか。  今の制度はわかります。今の制度はわかりますけれども、おかしいと思いますでしょう、政務次官だって、大臣だって。おかしいと思うときにはやはり改めるべきだ。まず、おかしいと思うかどうか、聞かせてください。
  94. 大野由利子

    大野(由)政務次官 厚生年金は、御存じのように、常時従業員を使用する法人事業所、また常時五人以上の従業員を使用する個人事業所、このようになっております。個人事業所には家族でやっていらっしゃるよう個人事業所もあろうかと思いますが。いずれにいたしましても、現在、厚生年金は事業者が半額負担をしている、児童手当はそれと同時に負担をしていただいている、こういう現行制度がございますので、この現行制度にのっとって今回の児童手当制度が行われているということを御理解いただきたい、このように思います。
  95. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 今の説明は、特例給付分ならわかるわけです。ゼロ歳から三歳未満までの特例給付分は事業主負担でやっているわけですから、負担していないところに勤めてもだめですよというのは、制度として私は変だなと思いますけれども、一応の理屈は通っているというふうに思います。  しかし、今度は、三歳から就学前までは全額公費ですから、何も事業主が半額負担していないわけですから、おかしいのじゃないですかということを申し上げているわけで、これはおかしいでしょう。
  96. 大野由利子

    大野(由)政務次官 児童手当の従来からの経緯がございまして、今回、経過的措置ということもあり、こういう状況でございますので、委員の御指摘の面は今後十分検討をしていく必要がある問題であろうかと思っております。
  97. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 ということは、私どもこの法律には反対をいたしますけれども、仮に成立をして施行されたときには、三歳から就学前までの自営業者あるいはサラリーマンの区分の仕方としては、全額公費支給するものなのだから、今申し上げた国保の中でも被用者というふうに分類されている方々などについてはサラリーマンのグループに適用を変えることを検討していただけるということで理解してよろしいでしょうか。
  98. 大野由利子

    大野(由)政務次官 抜本改革の中で検討をしてまいりたいと思います。
  99. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 抜本改革はいつになるかわかりませんし、どういう方向になるかもわからない、とりあえずこれでやるみたいな先ほど来の御答弁だったわけでございますけれども、今回の改正の中ではなぜ検討できないのでしょうか。抜本改革で検討しなきゃいけないようなことは、今回でも検討しなきゃいけないのじゃないでしょうか。  くどいようで恐縮でございますが、私はそもそもサラリーマングループと自営業者グループに分けて所得制限を設けること自体が憲法違反だという立場をとっているものですから、憲法にかかわる問題でございまして、あだやおろそかにできないと思いまして質問しているのですが、今回の改正に伴ってこのグループ分けのあり方を検討していただく、こうなりませんか。
  100. 大野由利子

    大野(由)政務次官 児童手当が、被用者の方、また非被用者の方、サラリーマンや自営業者の方のおおむね七割程度を支給対象としてきた、こういう従来の経過もございまして、この従来の経過を今年度も踏襲したということでございます。
  101. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 質疑応答の中では、もう問題が明らかだということが判明をしているにもかかわらず、そういう同じことの繰り返しの御答弁をいただくというのは、非常に私は残念でございます。非常に残念だということをまず申し上げておきたいと思います。  そこで、また法制局に、同じ答弁を聞くことになるのはこれまた遺憾でございますけれども、一応聞かせていただきます。  国保の中でも、個人事業主などに雇用されている場合は被用者であっても国保の被保険者になる、被用者として明確に分類をされているわけでございますが、実質的にはサラリーマンでございます、この実質的サラリーマンが児童手当所得制限が異なる、これもまた二つ三つ輪をかけた憲法違反に当たるのではないかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  102. 山本庸幸

    山本政府参考人 その点でございますけれども先ほど申しましたように、やはりこれは制度をどうつくるかという制度の構成の問題でございます。  二十年弱前にこれをつくったときに、制度の円滑な実施、事務の簡素化という観点から、そういった被用者年金制度の加入者をもってこの児童手当法上の被用者としたわけでございまして、そういう経緯から考えますと、これ自体一定の合理性がありまして、特段、憲法第十四条の問題が生ずるとは思っておりません。
  103. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 これもまた、このよう答弁が議事録に残ったというのは内閣法制局の歴史に汚点を残したことになるな、先輩方が何と言うだろう、非常に残念に思うわけでございます。  次に、同じく国保中央会の資料によりますと、国保の被保険者の一世帯当たりの所得は、被用者保険の被保険者に比較して非常に低いという統計が出てございます。国保は百八十六万円、政管健保は二百三十六万円、組合健保は三百七十九万円。国保と組合健保では倍以上の開きがあるわけでございますけれども、国保は自営業者のグループということになるようでございまして、低所得の階層に対して所得制限がよりきついということですね。  低所得のグループに対して所得制限をよりきつくするのはなぜなのか。特例給付であれば事業主負担が十分の十だというのはわかります。特例給付の話はしていただかなくて結構でございますが、今回の改正に係る全額公費負担によるこの給付に対して、低所得階層に対して所得制限がよりきつい。子育て支援という観点であれば、低所得の方の方が厳しいわけですね。なぜ高額所得のグループが上限額が高くて、低所得の国保のグループ、自営業と言われるグループが低い状態に抑えられているか。先ほど来同じ質問ではありますけれども、ちょっと観点を変えてこういう角度から質問させていただきました。  これは、どう考えてもおかしいと思うわけです。これはどういう理由なんでしょうか。やはり、またその七割の繰り返しになるのでしょうか。そういう繰り返しであれば非常に残念だと思います。全国の国保被保険者の方々は、もう耐えられないと思います、そういう答弁の繰り返しでは。改めて、低所得階層に対して所得制限がよりきつい、これはなぜなのかということをお答えいただきたいと思います。
  104. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 所得制限の限度額につきましては、先ほど答弁を申し上げさせていただいておるわけでございますが、被用者と自営業者との間での支給率という問題がこれまでの経緯として上がってきておるわけでございます。所得制限の仕組みは、被用者と自営業者の所得形態が異なっているということでございますし、なぜより厳しいかということでございますが、実態を把握して、自営業者の場合は四百三十二万五千円、サラリーマンは六百七十万、こういうような設定にさせていただいたような次第でございます。  それから、先ほど来お話を聞いておりますと、自営業者とサラリーマンとの間のさまざまな違いについて憲法違反ではないかというような御見解でございますけれども、例えば医療保険にいたしましても、この給付というものが異なるわけでございますが、それぞれの制度の沿革によっておのずと異なっていく、現にこういう中で運営されておるんだということでございます。  ただ、私どもといたしましては、現実問題として、児童手当について申し上げますと、所得を把握して、十分にこれで賄っていけるというふうに考えているような次第でございます。
  105. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 一般的に、自営業者グループと被用者グループで制度に違いがあるものもあるということは承知はしております。  しかし、国保を例にとれば、自営業者には事業主負担分がない。その部分を国が肩がわりという仕組みでしょうし、一方の組合健保などは全額労使折半でやっているわけですね。その給付率が異なるから憲法違反かという議論を私は必ずしもしているわけではないのです。誤解をされているのか、わざと質問の趣旨をねじ曲げてそのようにおっしゃっているのか、私は丹羽大臣に限っては前者の方だろうというふうに思いますけれども、私の質問の趣旨はそういうことを申し上げているわけではない。  今回の児童手当は、給付を三歳から就学前まで延長した、その財源全額公費である、全額公費であればサラリーマングループ、自営業者グループという差をつける理由はないではないか。そして、その自営業者グループの中にも、実態はサラリーマンという方も相当数いらっしゃるではないかということを申し上げているわけであって、そういう観点から、まともに受けとめていただいて、反論するならそういう立場から反論をしていただきたいなというふうに思うわけでございます。  それでは、質問通告していませんでしたが、今そういうお話もあったものですから、改めて一つだけお聞かせいただきます。  全額公費でやっているものに、例えば老齢福祉年金みたいなものがございますね。全額公費でやっているものであって、サラリーマングループと自営業者グループのよう所得制限が分かれている制度というのはほかに何かありますでしょうか。もしかしたら、あるかもしれません。私、不勉強かもしれませんが、この際教えていただければありがたいと思います。
  106. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、この児童手当というのはいわゆる企業の従業員に対する福利厚生的な政策から導入された、こういう観点においてこれまでは事業主負担が七対三の割合で多かったわけでございますが、近年、少子化対策の中において公費負担というものをもっときちんとするべきじゃないかということで、今回三歳から就学前まで延ばす、しかも、すべて公費負担をすることによりましてその割合がほぼ逆転した、こういうことでございます。  こういった問題とそのほかの問題を、今すぐに私も思い当たらないのでございますけれども、比較することはいかがかなと思っております。
  107. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 何かわかりにくい御答弁だったものですから、どう受けとめていいのかなと思って、ちょっと迷っているところでございます。  一つ厚生省の事務方にお願いでございますけれども全額公費で行う各種の給付というものが恐らくあるんだろう、生活保護とか。しかし、生活保護が自営業者とサラリーマンで給付額が違うなんという話も聞いたことはありません。全額公費で行うものであって、自営業グループと称しているのですけれども実際は必ずしも自営業ではないわけなんですが、そういうグループ分けをして所得制限を違えるとか給付水準を違えるとか、そういうものがあれば、後日で結構でございますから、これは厚生省の事務方、答弁者に指名はしてございませんけれども、ぜひひとつ調べて教えていただきたい、お願いを申し上げておきたいと思います。  それと、今までの制度の上にこういう全額公費というものを重ねたことによってこういう矛盾が生じている、余りにも準備不足だと思います。選挙が近いからという話ではないだろうと私は思うのですけれども、もっと腰を据えて制度全体を見回して出すべきものではなかったか。到底承服できる内容ではない。その結果、憲法の法のもとの平等に抵触する。自営業に分類されるかサラリーマンに分類されるか、実質サラリーマンであっても自営業に分類されてしまって所得制限できつく抑えられる、こういう非常に矛盾に満ちた制度になっているわけでございまして、私は、これは問題が起こると思います。問題が起こることを承知しながら、承服するわけにはいかないということを申し上げておきたいと思います。  あと時間が十分ほどございますから、続けて質問をさせていただきます。  年少扶養控除児童手当関係についてでございます。これはもう多くの先生方が質問をしておりますけれども、どうも政府の側の立場がはっきりしていないという気がするものですから、改めて質問させていただきます。  今回の改正は、年少扶養控除の特例分を廃止して、その財源をもって児童手当支給対象年齢就学前までに延ばしたということだと思います。であれば、扶養控除から児童手当へと、控除を減らして手当をふやす、こういう世界的な流れがあるわけでございますけれども、そういう流れに我が国も一歩近づけたのだ、今後そういう方向に行くのだ、こういう理解をしていいのか悪いのか。たまたま財源がそこにあったから使っただけで、それは何も連動したものではない、扶養控除扶養控除で厳然としてあるのだし、児童手当というのはたまたま今回改正しただけで、これは扶養控除を減らして手当を上げたという、連動した一連のものではないのだということなのでしょうか。その辺はどっちなのでしょうか。何回も御答弁を聞いているのですけれども、どうも定かでないので、はっきりしていただきたいと思います。
  108. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 今回のこの問題につきましては、与党協議の中でお決めをいただいたものを私どもとして受け入れさせていただいたわけでございます。今回の改正は、財政税制を通じて少子化対策重点化を図るという観点から、年少扶養控除を見直し、そして児童手当拡充を図ったことでございます。  問題のヨーロッパの国々においては、扶養控除から児童手当という流れがあったということでございますが、今回の改正はそうした流れに沿いつつも、まだまだ、先ほどから申し上げましたけれども扶養控除の問題と児童手当の問題について十分に議論をしていく必要があるのではないか、こう考えています。
  109. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 そういうことであれば、本当は、この児童手当法の一部改正の法律の附則に年少扶養控除の一部削減というのがうたわれてセットになっていればわかりやすいのです。今回全然違いますでしょう。そっちはそっち、こっちはこっち。こっちは厚生省で、こっちは大蔵省という話で、一貫性がないわけですよね。  それで、大蔵省においでいただいたものですから改めて伺いますけれども、今回は、大蔵省所管の扶養控除というものがこれからだんだんなくなっていって、厚生省所管の児童手当がどんどんふえていくという流れの中の一環かということはどうでしょう。すっきり答えていただきたいと思うのです。
  110. 福田進

    福田政府参考人 今回、年齢十六歳未満の扶養親族に係ります扶養控除額の十万円の割り増しの特例を廃止したということでございまして、これは御案内のように、財政税制を通じて少子化対策重点化を図る観点から、こういった特例は廃止して、それによって確保された財源によって児童手当支給対象年齢を拡大されたということでございます。  先生、端的にこれからどうするのかという御質問であろうかと思いますけれども個人所得課税におきましては、納税者本人の所得の多寡にかかわらず、世帯構成に応じて基礎的な人的控除を差し引くということによって担税力に応じた課税所得を算出する、その課税所得に対して累進的に今度は税負担を求めていくというのが基本的な考え方でございまして、納税者に扶養親族がいる場合には、その人数等に応じた扶養控除を適用することによって税負担配慮をしているところでございます。  したがいまして、児童に係る扶養控除を順次縮小して児童手当に切りかえていくということにつきましては、今申し上げましたよう扶養控除の有無等の世帯構成に配慮した税負担の調整機能を損なうことになるのではないか、あるいは、例えば特定扶養控除、老人扶養控除、一般の扶養控除とございますが、そういった他の扶養控除や基礎控除、配偶者控除等の他の基礎的な人的控除とのバランスをどう考えるかといった問題を含んでいるのではないかというふうに私ども考えております。  いずれにいたしましても、この問題につきましては、昨年末の与党合意におきまして、社会保障制度全般にわたる改革の方向との整合性及び扶養控除の見直し等税制のあり方との関連に十分留意するとともに、その財源、費用負担のあり方についても総合的に検討することとされているものと承知しておりまして、今後、与党においてこうした趣旨を踏まえて検討が行われるものと考えておりまして、私どもとしては、その御検討の経緯を注視してまいりたいと考えております。
  111. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 表面的に見て、今回の改正控除から手当へという受けとめをされていた方もきのうの参考人の御意見の中ではあったようでございますけれども、大蔵省のお考えなどは全くそうなっていないということがよくわかりました。  理念なき——これは何と言うのでしょうか、こういう状態であれば、一方では税負担がふえる方も出るわけで、こういう形に持っていく段階であるという将来展望をきちっと説明もできなければ、これは国民的合意を形成するといってもなかなか無理な話だな、先ほどのグループ分けの問題といい、基本的な理念といい、今回の改正は非常に無理があるなということを申し上げておきます。  あと、数字的なことで本当に恐縮なんでございますが、大蔵省、時間がなくなりましたので、一つだけ。  今回の児童手当ということでは、平年度化すれば二千百七十億財源を要する、こういうふうに聞いておりますが、現在の年少扶養控除の十万円下げる分、四十八万から三十八万に下げることによって浮いてくる財源は幾らになるのか、これが一つ。それと、現在年少扶養控除というのは全体で幾らになっているのか、特定扶養控除額は全体で幾らになっているのか、この数字だけ聞いて、終わりたいと思います。
  112. 福田進

    福田政府参考人 先ほど申し上げました、平成十二年度改正におきます年齢十六歳未満の扶養親族に係ります扶養控除額の十万円の割り増しの特例の廃止による所得税の増収見込み額は二千三十億円でございます。  また、年齢十六歳未満の扶養親族に係ります扶養控除、これは一般の扶養控除でございますが、三十八万円による所得税の税収額は約〇・八兆円程度と見込んでいるところでございます。  なお、特定扶養控除でございますが、三十八万円部分につきましては約〇・四兆円、これは二十五万円が加算されて六十三万円でございますが、この加算部分につきましては〇・二兆円、したがって、特定扶養控除による減収額は〇・六兆円程度と見込んでおります。
  113. 金田誠一

    ○金田(誠)委員 この種改正は、とりあえず取り繕うという話ではないだろう。少子高齢化ということは、将来を見据えた展望を国民の皆様に与えるといいますか、控除廃止によって不利益を受ける方も出るわけですね、そうした方々も納得できるような全体の枠組みあるいは将来の展望を仕組んだ上で改正をすべきものというふうに私は思います。  そういう意味では、今回の改正は極めて不十分であり、前段指摘したような憲法に抵触するのではないかというよう部分も含んでいて、極めて問題が多いということを申し上げまして、質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  114. 江口一雄

    江口委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  115. 江口一雄

    江口委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。瀬古由起子さん。
  116. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 瀬古由起子でございます。前回に続く質問をさせていただきます。  昨日の参考人意見陳述でも、諸外国に比べて日本の児童手当制度の貧弱さが指摘されました。児童手当を実施している国は、ほとんどが支給年齢を十六歳ないし十八歳まで支給しており、学生の場合はさらに年齢が引き上げられて支給されております。三歳までしか支給しないで、所得制限までしている国もほとんどありません。  児童手当制度を実施している国で、国内総生産における児童手当給付費の比率は、前回お配りしました資料を見れば一目瞭然なんですけれども、世界でもけた違いに最低クラスだということはお認めになるでしょうか。
  117. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 我が国の児童手当は、確かに、児童手当だけを見れば、御指摘よう給付費のGDP比で見ますと、諸外国に比べまして低い水準にあることは、これは紛れもない事実でございますが、外国の制度と比較をする場合には、児童手当制度のみを単純に比較することは適当ではなく、企業の扶養手当や年功序列型賃金など——欧米では大体能力給ということでありまして、日本に比べまして非常に伸び率が低いわけでございます。例えば、日本の場合、二十歳を一〇〇とする場合、四十、五十歳代は二五〇の賃金でございます。ところが、欧米の場合は、二十歳代を一〇〇とする場合には、四十、五十歳代は一五〇、こういうことでございまして、いわゆる年功序列型賃金のあり方や扶養控除などの税制との関係などを考慮する必要があると考えております。  しかし、現実問題として、私も午前中の審議で申し上げましたが、どちらかというとこれまでは企業の従業員に対する福利厚生的なところから導入されたという嫌いもございまして、公費負担が非常に少なかったということで、今回は三歳から就学前まで引き延ばしたということを御理解を賜りたいと思っております。
  118. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 本当に世界でも大変低い水準だということはお認めいただいたと思うんです。ヨーロッパ各国では、税制上の扶養控除も低所得者効果が大きい児童手当に一本化してきたという歴史的な経過もございます。児童手当などの社会保障と扶養控除などの税制での優遇などを合わせても、児童給付年収に占める割合は、国際的に見ても主要国の中でも最低クラスとなっております。  賃金を見ましても、日本の最低賃金というのは世界の主要国の中では最低クラスなんです。ですから、年功序列型の賃金と言われましても、賃金を加味しても、日本の子育て支援の水準が大変低いというふうに思います。  賃金でいいますと、実際に賃金がどのくらい購買力を持っているかということを見る数値、購買力平価で見ますと、日本を一〇〇とすれば、ドイツは一七一、アメリカが一四〇、フランスが一二六、こういう点から見ても大変賃金水準が低いわけです。そういう点では、総合的に見ましても国際的には子育て支援給付で最低クラスだと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
  119. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 先ほども申し上げましたけれども児童手当のあり方を諸外国と比較する場合には、扶養控除など税制とかあるいは賃金体系の関係を抜きにして論ずるということは現実的ではない、こう考えております。  問題は、子育て世代への経済支援という観点考えなければならないわけでございますけれども、まず第一に申し上げたいことは、我が国では児童手当税制上の扶養控除が併存、つまり両方適用されている、これが現実でございます。  それから、第二番目として申し上げたいことは、我が国の給与体系は、先ほども申し上げましたけれども、生活給型であり年功序列賃金の体系となっておりまして、いわゆる能力給を主体とする欧米とは異なりまして、例えば子供の数に応じた扶養手当支給が一般的に行われております。また、子育て負担の大きい三十代の後半から四十代以降にかけましては、賃金が大きく伸びていく傾向になっていることなどの特色が一般的に見られるわけでございます。  これらの点を総合的に考え合わせますと、児童手当のみを取り出して支給水準を論じて、これは世界の中で最も低い、最も低いと言うことは……(瀬古委員「それだけで論じていませんよ、総合的に見て言っているんですよ」と呼ぶ)ちょっと聞いてください。要するに、必ずしも適当ではない、こう考えているような次第でございます。
  120. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、児童手当の問題だけで言っているわけじゃないんです。先日お配りしましたが、児童手当税制控除と両方やっているところもあるわけで、そういう意味では、両方比較しても日本は最低クラスです。  先ほど年功序列型の賃金の問題を言われたんですが、賃金の水準を見ても、実際に賃金水準は大変低い段階で、年功序列型ですから、そういう点の総合的なことを含めて私は大変低いんじゃないかということを事実に基づいて指摘させていただいております。  時間がございませんので、最後の質問ですけれども、なぜこんな状態になっているのかというと、やはり国がきちんと責任を持っていない。国庫補助は十九年間で三割まで激減している、こういう状態なんですね。何でここまで減らしてきたんだろうかという問題なんです。今回は一定引き上げがあったということは認めますけれども、一貫して削減してきた。こういうことに対してどういう反省をされて今回提案をされたのか、お伺いしたいと思います。
  121. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず、事実経過を申し上げます。  国庫負担につきましては、昭和五十五年度をピークに、今委員が御指摘ように減少の傾向にあることは事実でございますが、これは、児童数そのものが減少していることがまず第一であります。それから、第二番目として考えられますことは、全額事業主負担による特例給付の創設。余りにもサラリーマンが厳しくなるじゃないか、こういう中でこういうことを設けさせていただいたことによるものでございます。  今回、委員も評価をしていただきましたけれども児童手当拡充するに当たりましては、経済財政状況は大変厳しいわけでございますけれども、必要な費用は公費負担することとし、国庫負担は、改正前の平成十一年度の総給付費の二割程度、三百四十億円でございますが、この二割程度から、改正案を実施した場合には満年度で四割強に、千七百二十億円でございますけれども、増大することになっており、地方負担を含めますと、公費負担の割合は今度はいわば逆転をいたしまして七対三になる、こういうことでございます。
  122. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 今の金額を言われても、世界的な水準から見ても大変低いということなんです。少子化対策と言うなら、きちっと国が子育て支援にふさわしく負担をふやして責任を持つことだということを指摘して、発言を終わります。
  123. 江口一雄

    江口委員長 児玉健次君。
  124. 児玉健次

    ○児玉委員 日本共産党の児玉健次です。  スウェーデンのカールソン元首相のアドバイザーをされていたアグネッタ・タムさんが日本においでになったときに、次のように語られた。自分の意思で子を産む社会で出生率が下がることは、人々が未来に希望が持てないことのあらわれです、ですから、私たちは心配して分析チームをつくり、政策を練りました。このお話を聞いた後、私は、デンマークとスウェーデンに行って、高齢者に対する社会的な支援とあわせて、少子化の問題などについてどのよう努力をされているかということを見てきました。  そこで、ヨーロッパ、特に北欧では、女性の社会参画を進めることを軸に家族政策を進めている。これは厚生省が出された出版物にもありますけれども、女性参画、国会における女性議員の比率が三〇%を超した国は出生率が上がっている。社会参加を進めることを軸に家族政策を進めている、その際、保育所の整備充実や児童手当拡充、そして、男女の育児休業期間中の所得保障などさまざまにありますけれども、あれかこれかというのではなくて、それを全体として総合的に進めている。私は、この点は日本としても深く学ばなければいけない、こう考えています。  それで、この分野の政策、家族政策という言い方が北欧だけではなくてヨーロッパに広がっていますけれども、この分野の政策では国民的な合意を得つつ物事を進めることが非常に重要であって、そこのところに最大限の努力を払わなきゃならない、私はそう思います。  この家族政策を進めるとき国民的合意が重要である、この点、厚生大臣、どうお考えでしょうか。
  125. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 委員指摘のとおり、少子化対策、家族政策を含めた問題につきましては、何といっても、国民の皆さん方の理解と合意を得なければならない、こう考えているような次第でございます。  私どもは、少子化対策というのは、午前中の議論でも申し上げましたけれども、これをやれば非常に効果があるとか、これをやればすべて問題が解決できるというものではなくて、基本的には、女性の方が結婚をなさって子供さんを産んでも働きやすい環境をつくっていく、そういう中において経済的な問題もあれば保育所の問題であるとか住宅事情、いろいろな問題を総合的に勘案をしていかなければならない、こういう認識に立つわけでございます。  率直に申し上げて、この委員会においては、大体児童手当というものを基本的な方向としては拡充していくべきではないかというよう議論を拝聴いたしておるわけでございますけれども、なお一部のマスコミ等の中においては児童手当そのものに対する疑義を唱えているところも少なくないわけでございます。  そういう意味において、私どもは、例えば児童手当扶養控除の問題を含めまして、十分に国民的な理解、合意を得ながら進めていかなければならない、こういう認識に立つものでございます。
  126. 児玉健次

    ○児玉委員 総合的に進めなきゃいけない、国民的な合意が必要である、この点では認識が一致しますね。  それで、児童手当就学前まで拡充するということは当然のことであって、ここで問題になっているのは、その手法のことなんですね。どういうやり方でそれをやるか、先日来そこが中心的な議論になっています。  そこで次の質問ですが、昨年一月十二日に、恒久的な減税として年齢十六歳未満の扶養親族に係る扶養控除額の加算が閣議決定されました。このことに厚生省はどのように参画したか、そして、この政策の意図するところは何であったか、児童家庭局長の御説明を求めたいと思います。
  127. 真野章

    真野政府参考人 平成十一年度税制改正に際しまして、厚生省といたしましては、ゼロ歳から七歳未満の乳幼児に係ります特定扶養親族控除の創設というものを要望をいたしておりました。それで、いろいろ御案内のとおりの経過を経まして、結果的には、今先生御指摘所得税の特別減税見直しの議論の中で、年少扶養控除の割り増しの特例が設けられることになったというふうに考えております。
  128. 児玉健次

    ○児玉委員 閣議で決まった直後の参議院本会議、昨年の一月二十二日です、そのとき小渕前首相は次のように答えていらっしゃる。  我が国における少子高齢化の進展という経済社会の構造変化のもとで、現在の景気の状況を踏まえ、子育て世帯への配慮や教育費などもろもろの支出のかさむ所得層への配慮として特定の世帯対象に行うものであり、適切な措置であると考えております。  局長、結局、小渕さんのこの答弁に尽きますね、どうですか。
  129. 真野章

    真野政府参考人 そのとおりだと思います。
  130. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、今回の措置によって、せっかく昨年一月に恒久的減税として実施された年少扶養控除加算がわずか一年で廃止されました。特定扶養親族に係る扶養控除加算の方は維持されています。年齢十六歳以上二十三歳未満、五万円の加算ですね。そちらの方は維持されている。  そうなってくると、この点は厚生大臣に伺いたいけれども年少扶養控除加算は政策として誤ったものであったのか。どうでしょうか。
  131. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 年少扶養控除を四十八万円から三十八万円へ十万円引き下げたということでございますけれども、私どもは、与党協議の中において、近年の少子化対策の重要性にかんがみて児童手当というものを拡充しなければならないんだ、そういう過程において、これはあくまでも新たな赤字国債を発行して後代に負担を残すよりは扶養控除を縮小する中において児童手当財源を見出していくべきだ、こういうよう議論がなされたと聞いておるわけでございます。  この年少扶養控除児童手当は、もともと制度の位置づけというものは異にいたしておるわけでございますけれども子育ての経済的な負担の軽減という観点から見れば、確かに重複した機能を有しておるわけでございます。これも繰り返し申し上げて恐縮でございますが、扶養控除は、高所得者に対してはより大きな効果が得られる、非課税世帯についてはその効果がない。一方、児童手当は定額でございますが、低所得者に必ず給付される。こういうようなことで、極めて財源が限定された中でこういうようなものを生み出した。  こういう過程で、児童手当というものの拡充、三歳未満から就学前までとりあえず延長していくことについて意見の一致を見、私ども政府としてもそれを取り入れた、こういう経過でございます。
  132. 児玉健次

    ○児玉委員 大臣、この間の議論は私は全部聞いていますので、なるべく端的に、重ならないように聞いているので、その点、答弁でもお願いします。  今の問題ですが、年収階級別に見た場合にどうなるか。年収四百万円の世帯の場合は八九%が増税になります。年収五百万円は九九%です。六百万円の場合は九六%です。全体としていえば、平均七六%がこの措置によって増税になる。  中学校、小学校の子供を抱えていて、教育費、養育費が一番かさむ、これは厚生省の資料によっても明らかですね、その部分に対して二千三十億円の増税がまさしく直撃するんですよ。一部がそうなるんじゃなくて、全体として七六%がそうなる。去年行われた年少扶養控除についての措置が、恒久減税として出されたにもかかわらず、こういう形で一年で終わってしまう。そうであれば、去年の措置は政策として間違っていたのかどうか、その点を端的に聞かせてほしい。
  133. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは間違っていたとか間違っていないとかということを私が言う立場にはございません。これは自自公政権の与党協議の中で、そのよう児童手当の問題が浮上してまいりまして、こういうような結果になったわけでございます。  要は、午前中にも申し上げましたけれども、国際的な流れとしては児童手当拡充するというようなこともございますし、私どもといたしましては、決して児童手当拡充という方向において間違った選択は行っていない、こう考えています。
  134. 児玉健次

    ○児玉委員 去年とことしとの間で、日本における少子化の傾向だとか、小渕さんが参議院本会議で述べた経済の状況だとか、いずれも困難であるという、その全般的な状況については変わりがありません。そして、そういう中で恒久的減税の一環として出されたということは、動かすことのできない事実ですよ。  そういうときに、与党協議でそうなったからという理由でそれを一年で改めることがいいのかどうか、そこのところが問題なんですよ。どうですか。
  135. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 これは当然のことながら、連立政権でございますので、各党それぞれの御意見というものを十分に承りながら政府として予算を決定しなければならない、そういうような政治的な背景があったということも紛れもない事実だ、このように受けとめさせていただきたいと思います。
  136. 児玉健次

    ○児玉委員 政党政治にあっては、当然、政党間の協議があるし、与党間の協議もありますよ。しかし、そのとき、やはり一定の節度というものがあるはずですね。  与党で何らかの合意をしたからといって、その直前に国として恒久減税の重要な一環として、しかも、厚生省自身がその決定に参画をし、それを推進もなさっていた、ところが、突如としてこの与党間協議でそこが覆されてしまう。このようやり方をしたら、せっかくの児童手当就学前に引き上げる、これは部分的な前進の一部だと私たちは思っているけれども、そのことについての国民の合意は形成されませんよ。それが一つ。  もう一つは、先日来皆さんがおっしゃっている、扶養控除というのは比較的所得の多い部分とおっしゃるけれども、その点について、先ほど述べた数字、これはこれまでの議論の中で既に展開してきたものですよ。年収四百万でいえば八九%の世帯がこの措置増税になる。五百万でいえば九九%だ。しかも、増税子供の数に比例するんです。一人であれば年額四万、二人であれば年額八万ですよ。  宮澤大蔵大臣も、子供が多いほどそういうふうになるケースがあるだろうと思います、こう答えざるを得ないと。そして、これまでの年少扶養控除との一貫性のことについていえば、宮澤さんは、三月二十三日の参議院の財政・金融委員会で、これは一種の妥協でございますから、ちゃんと説明することはなかなか難しいと率直に言っていますよ。厚生大臣もちゃんと説明することは難しいと僕は思う。  何が問われているか。確かに、税制論をやるとき、扶養控除を全体としてどのよう考えていくかというのは政策的な選択肢の一つではあるでしょう。それを場当たり的にやってはなりませんね、系統性が必要です。そして、大臣がおっしゃった赤字国債によらないというのは当然のことです。その点、私たちと完全に意見が一致しますよ。  では、どこからやるか。一番子育て負担の多い部分、せっかく一年前に行った十万円の扶養控除の引き上げをわずか一年でやめてしまうことに与党協議の結論を見出すのか、それとも、予算の歳出構造の抜本的な見直しの中で必要な財源を見出すのか、そのことが問われているんです。大臣、どうでしょう。
  137. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 与党協議の中には、就学前ではなくて十六歳未満まで拡充すべきだという意見もあったように聞いております。  しかし、これは連立政権でございます。先ほどから申し上げておりますように、後代に借金を残さないという基本的な立場から、この扶養控除を一部廃止することによって特例公債の増発を招かないということがまさに委員が御懸念の歯どめに当たるのではないか、こう考えているような次第でございます。  委員が御指摘ような、これによって、どちらかというと低所得者方々はこれまで以上に恩恵を受けるわけでございますが、高所得者に関しては恩恵を受けない可能性がある、こういうことでございますけれども、そういった問題も十分に私ども認識をいたしておるわけでございますし、この児童手当だけではなくて、例えば今回の問題で、これは利回りのことを考えますとわずかでございますが、拡充をいたしましたいわゆる子育て支援基金千三百億円の活用、それから小中学生対象にいたしました事業拡充、このほかに例えば育英奨学事業によります教育奨学金の拡充であるとか、幼稚園就園奨励事業拡充など、さまざまな形で私どもは経済的負担の軽減に取り組んできておるわけでございますので、あくまでもこの問題だけで御判断をいただくのではなくて、この問題は率直に申し上げて過渡的なことでもありますし、今後十分に議論をしていかなきゃいけないということは、私自身が率直に認めておるわけでございますので、そういう中で御判断をいただければ大変ありがたいかな、こう思っています。
  138. 児玉健次

    ○児玉委員 局長に伺いますけれども、今大臣が言われた子育て支援基金、九百億円に四百億円が加算されて千三百億円になった。運用益は一年間幾らですか。
  139. 真野章

    真野政府参考人 子育て支援基金でございますが、十二年度に四百億の追加を行いました。十二年度におきます運用収入のうち、事務費などを除きまして実際の事業の助成に充てることができる額は、私ども約十四億程度と見込んでおります。
  140. 児玉健次

    ○児玉委員 二千三十億税金をふやしておいて、十四億ですよ。これは全くつり合いがとれませんね。  大臣、時間もないから端的に答えていただきたいんだけれども、総合的に考えてほしいというのは、私もそのことをそのままお返ししたいんですね。この後、児童手当拡充していくことを私は求めますが、まさかその財源として、残っている特定扶養控除に係る扶養控除加算を外すことをあなたは考えていますか。考えているか考えていないか、答えていただきたい。
  141. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まさにこの問題は与党間の今後の検討課題になりつつある、こう考えております。
  142. 児玉健次

    ○児玉委員 それも大変な話で、結局、子育てに一番苦労している部分に対する国を挙げての配慮を別の方に移すやり方は、これは真っ当ではないですね。全体としてどのよう財源を見出していくのか、その点で国民の合意がどうしても必要です。だから、何回も言うけれども特例公債によらないというのは当たり前の話で、では、どういう形でやらなきゃいけないか。  きのうの参考人の御意見の中でも、日本では義務教育を受けている子供児童手当の受給はわずか一一%、他の先進国はすべて一〇〇%、際立った立ちおくれがある。まさにそうでしょう。そこを確実に押し上げていくためには、まさか新たな財源考えるときの選択肢として特定扶養控除五万円の加算のところを取り外す、そんな与党協議が出てきたときに大臣としては賛成しますか。
  143. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 年少扶養控除をどういうふうな方向で縮小していくのかということについては、今後の与党間の協議をまたなければなりませんけれども、前回の十万円の年少扶養控除の割り増しを決定する際において、そういうよう意見があったということは間接的にお聞きをいたしております。
  144. 児玉健次

    ○児玉委員 そのやり方だと、ますます国民意見の食い違いが広がるばかりですね。  前、介護保険のときに、大臣と私は、国民に新たな負担増を求めることなく、そして特例公債に頼ることなく、どのようにして介護に必要な財源を見出していくか、この点で今振り返ってみても非常に印象に残る議論をいたしました。私は、歳出構造全体を抜本的に見直して、その中で財源を見出していく、この分野もそうではないかと思う。厚生大臣として、私はその方向努力していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  145. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 厚生省関係の予算が全体で一般歳出の三五%を超えるということでございまして、ただ、私どもといたしましては、必要な福祉の充実ということは目指すという観点から、貴重な御意見として承っておきます。
  146. 児玉健次

    ○児玉委員 終わります。
  147. 江口一雄

  148. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。きのうに引き続いて質問をしたいと思います。  きのうは三人の参考人の皆さんから大変示唆に富んだお話を聞くことができまして、比較するという意味でよかったなと思っております。  きのう聞いたお話の中で、各国の制度は一九三〇年代から始まりまして、第二次世界大戦前にはヨーロッパの半数近くの国々がこの児童手当制度を導入して、そして、戦後間もなく、第二次世界大戦の後、どんどん児童手当制度が導入されてふえてきました。日本は一九七一年に導入されているわけですけれども、ことしで二十八年もたっているのに、いまだもって非常に貧弱な児童手当制度だということで、なぜ諸外国に比べて日本の児童手当制度というものがはぐくまれなかったのか。その辺大臣から、やはり一党支配の続いてきた自民党の政策責任というものはかなり大きいのじゃないかと思いますけれども、なぜはぐくまれなかったか、お聞きしたいと思います。
  149. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 我が国の社会保障制度の歴史を見ますと、委員御案内のように、戦後は生活保護制度や障害者対策といったより緊急性の高い施策から整備が進められてきた、こういうような経緯がございます。  それから、戦後復興から高度経済成長が実現する中において、国民生活を広く保障する制度の充実に力を注ぐということでございまして、昭和三十六年には国民皆保険、皆年金を実現した、こういうような経緯がございます。  この児童手当制度につきましては、国民皆保険、皆年金の実現をしました後、昭和三十年代後半から制度の創設について本格的な議論が開始され、さまざまな議論を経て、昭和四十六年に創設されるに至ったものでございます。  このように、その時代時代のニーズに応じて的確に充実を図ってきたところでございまして、何か大変鋭い御指摘でございますが、これはあくまでも自民党一党支配だからどうのこうのということではなくて、私がずっと申し上げておりますことは、もともとこの制度そのものに対する国民の関心が比較的低かったんじゃないか。そういう中において、事業主負担が七、公費三でずっとこれをほっておいたわけでございますけれども、ということは、裏を返せば事業主従業員に対する福利厚生的なものからスタートして、近年の少子化対策の中でクローズアップされてきた、このように位置づけておるような次第でございます。
  150. 武山百合子

    ○武山委員 国民の関心が大変低かったというお話でしたけれども国民の関心というものは、イコール政治のレベルだと思うんですね。政治が政策でこのような社会、このような日本をつくっていく、政治というのは国民意識を一歩リードするものじゃないかと私は解釈しておりますけれども国民の関心イコール政治の関心だったということであろうと思います。  私はこの児童手当制度の恩恵にはあずかっていない一人ですけれども、まず親からこういう話を聞いたこともありませんし、ましてや自己責任だとか意見を言うとか関心を持つなんということは、今までの戦後の日本の社会をずっと見てきまして、どちらかというと、先輩の言うこと、年をとった人の言うこと、親の言うこと、先生の言うことは素直にきちっと聞きなさい、そういうふうに言われてきた年代なわけですよね、私も含めて。今ようやく国民が目覚めて、自己責任、すなわち自分で自分のことは責任を持つとか、自分の意見を言うとか、ようやくそういう社会になってきたわけで、今大臣のおっしゃるような理由もないとは言えませんけれども、それがほとんどの理由とは言えないと思います。やはり目先のことで対応してきたというか、今お話ありましたような歴史的な経過から、それは常に目先の対症療法でしかなかったと言えると思います。  抜本的にどうするか。少子化が今のように進んでしまって、あたふたと今慌てふためいている状態だと思うんですよね、これは国民だれしもが周知の事実だと思います。私自身もあたふたしておりますし、今後、日本の社会がどうなっちゃうんだろうということは、だれもが心配しておると思うんですね。  そういう意味で、今回の児童手当制度は、図らずも私は野党になりましたけれども、これは当時議論して決めたものですので一歩前進ということで、私としましては、欧米諸国並みに高校を卒業するぐらいまで、日本の高等教育は義務教育ではありませんので、大体欧米は高等学校ぐらいまで義務教育になっているところが多いですので、これを見ますと十八歳とか十六歳とかなっておりますけれども、将来はやはり、今回拡充した六歳までではなく、現在義務教育を受けている子供たち、小学生、中学生、そのくらいまで拡充していただきたいと思いますけれども、将来を見通して義務教育ぐらいまで今後拡充する気持ちがあるかどうか、厚生大臣としてその辺の気持ちを聞きたいと思います。
  151. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児童手当制度のあり方につきましては、先ほども申し上げましたけれども、当委員会においては大方が拡充方向ということで大体歩みが整いつつあるわけでございますが、一方においてまだまだこの問題についてさまざまな意見があるということで、私ども国民理解と合意を得ながら進めていかなければならない、こう考えているような次第でございます。  委員も御承知のように、今回の問題につきましては、まさに自自公政権の協議の中で決定したわけでございまして、そういう中において、これまで事業主負担に依存していた児童手当少子化対策の柱の一つとして位置づけるならば、私は、公費による負担というものをもっとふやす必要があるんじゃないかということを常々申し上げてきたわけでございます。そういう観点に立ちまして、今回、対象年齢を三歳未満から就学前まで延ばし、そこをすべて公費負担にするわけでございますので、これまでの割合がまさに逆転をしたわけでございます。そういう意味において一歩前進をした、このよう考えております。  私ども、率直に申し上げて、自由党さんは野党に下られたわけでございますが、与党といたしましては引き続きこの問題について十分な検討をして国民理解と合意を得たい、このよう考えているような次第でございます。
  152. 武山百合子

    ○武山委員 国民理解と合意というのは——政治がどういう少子化対策をするのか、児童手当は何歳まで出すのかということをもちろん政治の場で決めて、こういうふうにするんですよということを国民にきちっと周知徹底される、それがまさに政治がすることだと思うんですね。国民の合意というのは、先に国民の合意ができてというよりも、政治が青写真を描いて、これでどうかと。もちろん、それは状況判断してすることですけれども、やはり政治が決断をすることだと思いますので、議論して、少なくとも年齢をどんどん引き上げて、社会保障制度一つとして組み込まれるような社会を国民は期待していると思います。  もらえないよりはもらえるからいいやということを言う人がかなり多いですよ。それに最大限期待しているわけでもなし、でも、もらえないよりはもらえればいいやというような、私が何人かに聞きましたけれども、そういう考えです。それは、社会保障制度税制をどうするかとかという抜本的な議論もきちっとなされていないで、当面の措置としてやっているということで、国民の合意というか、国民はその程度にしか思っていないわけですよね。  ですから、やはり抜本的に議論する。平成十三年ということですので、そのときまで今回の改正は経過措置としての部分改正であるということですので、これは社会保障制度税制との調整が徹底して行われないところに大変問題があると思うんですね。これは言うまでもなく、国民の合意と言いながら、国民にとって非常にわかりにくい改正となっている、本当にその辺が対症療法でしかないということが言えると思います。  大臣は、これが国民にとってわかりやすい改正だとお思いになりますでしょうか。
  153. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 まず申し上げることは、国民意識と政治家のリーダーシップの問題についてお話がございましたようでございます。  私どもは、やはり政治家として常に新たなビジョンを示さなければならないわけでございますが、特に身近な社会保障に関する問題につきまして、国民の皆さん方の理解と合意、これは当然のことながら負担も求めなければならない問題でございますから、要するに、どちらが先かどちらが後かという問題ではなくて、当然のことながら、国民の大方の理解と合意を進めながら、ただひた走りすればよいものではないと思っています。  そういう観点に立って、自自公の連立政権の中においては、赤字国債はふやすべきではないんだ、これは、要するに後代に対してむしろ借金を残すことになれば何のために自分たちが児童手当をもらったか、こういうような御議論もあったように聞いておるわけでございまして、今回、その一歩として対象児童を引き延ばしたわけでございます。  確かに、午前中も御質問がございました、ゼロ歳から三歳までの財源構成の問題だとかさまざまな問題が現存していることは紛れもない事実でございますが、当面の問題として、私は目先とは申しません、当面の問題としてとにかく児童手当そのものを一歩でも前へ進めていく、こういうことが自自公の協議の中で決まったわけでございますので、ぜひとも賢明なる先生の御理解を賜りたいと思っています。
  154. 武山百合子

    ○武山委員 政策的に自自公の中で合意をされたわけですから、私個人の、また我が党だけの意見では通りませんので、もちろんこの制度には前向きな方向で対応いたしますけれども、しかし、これがすべてではありませんし、抜け落ちているところが大変ありますし、それが半歩行くのか、五歩行くのか、十歩行くのかという差で、やはりみんな国民は歯がゆい思いをしているんですね。その歯がゆい思いという部分をぜひ大臣はわかっていただきたいと思います。一歩行くのか、五歩行くのか、十歩行くのかで、この手当自体も本当にちょぼちょぼの、抜本的にわっと出すんだったらありがたみもわきますけれども、本当にこれは一歩だということで、半歩の前進でしかないと思うのですよ。  それで、きのうの参考人のお話を聞きますと、今回の改正はILO百二号条約の最低基準の水準を目指すべきだという意見を述べておりましたけれども、この最低基準との関係ではどのよう大臣自身は評価されておりますでしょうか。
  155. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 原則論に戻って恐縮でございますが、確かに委員の年来の御主張から申しますと歯がゆい思いをしているかもしれませんけれども、しかし、これは当然のことながら、国民の皆さん方の理解と合意を得ながら一歩一歩進めていくのが政治の本来の姿ではないかな。今回、いずれにしても、これまでの公費事業主負担割合が逆転したということは、かなり思い切った児童手当拡充が図られたものと自負をいたしております。  ILOの百二号条約でございますが、これは医療、年金など社会保障の分野につきまして給付内容であるとか給付要件などの最低基準を定めたものでございますが、我が国の児童手当給付総額は、今回の改正による拡充によりましても、率直に申し上げてこの条約の水準に至っておらないわけでございます。  そういうことの中で、児童手当につきましては、税制扶養控除であるとかあるいは企業の家族手当の関連、こういうものを十分に考慮しなければならないと先ほどから繰り返し申し上げているところでございます。単純に児童手当だけを取り上げて議論を行うことは必ずしも現実的な考え方だとは思っておりません。  いずれにいたしましても、私どもが必要なことは、確かに先生から御指摘がございましたし、前の委員の方から先ほど指摘がありましたが、ずっと児童手当そのものの公費負担が減ってきている中で今回大幅にふえたわけでございまして、まず我が国の実情に即した形で制度検討するということが何よりも重要な課題ではないか、このよう考えているような次第でございます。
  156. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、将来像としまして、諸外国と同様に税制扶養控除廃止してあらゆる給付児童手当として支給した方がいいんじゃないかという指摘があるわけですけれども、今後そのよう方向を目指す考えがあるのかどうか、そういう方向であるのかどうか。その辺は大臣として方向性を示すこともおできになるはずだと思いますけれども方向性だけでも示す考えがあるのかどうか。
  157. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 児童手当制度のあり方につきましては、昨年の自自公三党の与党合意におきまして、財源や費用負担のあり方についても総合的に検討する、こういうような合意がなされているところでございます。今後、それを引き継ぎまして、今度は変わりましたけれども、自公保の与党三党においてこうした趣旨を踏まえて検討が行われるものと考えておるような次第でございます。  扶養控除制度の見直しにつきましては、昨年の与党合意におきましても、今後の検討課題一つとされておるわけでございます。扶養控除を縮小するかどうかは所得税のあり方そのものにかかわるものでございますので、単に児童手当との関連という観点からだけで議論できない問題ではないか。これも先ほどから申し上げておりますように、税制を含めまして総合的に考えていかなければならない、こう思っています。  いずれにいたしましても、児童手当のあり方につきましては、少子化対策一つの中核として、ここに来て大変注目されているところでございますし、税制などほかの施策との関連あるいは具体的財源方策についていろいろ議論があるわけでございますけれども厚生省といたしましては、こういった点を踏まえまして、与党におきます協議を踏まえながら十分に検討していきたい、このよう考えているような次第でございます。
  158. 武山百合子

    ○武山委員 大きな社会の曲がり角ですので、平成十三年には、抜本的に期限を区切って、社会保障制度、すなわち将来どうするのかということを、我々政治家の立場で、みんなで原点に立ち返って考えなければいけないと思っております。  きょうはどうもありがとうございました。
  159. 江口一雄

    江口委員長 中川智子さん。
  160. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党・市民連合の中川智子です。  今回出されました児童手当法について御質問いたします。  まず、質問に入る前に、今回の児童手当法というのは、大臣のこの間の御答弁の中で、少子化対策のシンボル的な意味を持っているというお答えが何度かございました。現在子育て中の市民の声をあちこちでたくさん聞いたわけなんですけれども、非常に市民感覚とずれているなという思いを率直に持っております。  この間、景気がこんなふうになっていて、リストラの不安に脅かされている日々の生活の中で、経済的にとても大変だ、少しでも経済的支援をしてもらいたいという声がある。社会が子供を育てていく、社会の宝だ、手当は減るよりもふえる方がいいという認識はありますが、声を聞いていますと、実際、頑張って産んでみた、仕事も持っていたけれども家庭と仕事の両立がとても大変だから仕事をやめた、一生懸命子育てをしようと思ってやめたと。  今地域で子供を育てるというのは結構大変な状況なんですね。公園なんかで遊んでいたら、子供の声がうるさいなんて文句が来るぐらいなんです。私の住んでいる団地は、そこで幼児教室みたいなものをやっていたりしたんですけれども子供の声がうるさいと。地域の中で、子供たちが遊んでいることをみんなで喜んだり、地域で育て合おうということがなくなってきました。そしてまた、核家族化の中で、専業主婦で必死で子育てしている人が追い込まれて、児童虐待が大きな社会問題になっています。  そして、私は、児童手当を抜本的にこれからしっかりと拡充していっていただきたいと思いますが、本当に大切なのは、一人目を子供を産んで、できれば二人、三人欲しいと思ったけれども、余りに子育てがつらいので、もう一人だけで精いっぱい。特に地域では、専業主婦になって子育てと向き合って孤立化して育てている親への援助ということが今とても薄いです。地域の子育て支援ということで、厚生省の方も一歩進みかけてはいますけれども、ほとんどは地域でグループをつくって、みんなで助け合って、ともに苦しみを分け合いながらやっているんですが、そこに対する子育ての援助なんかもほとんどありません。  そこで、孤立化しながら地域で一生懸命子供を育てている、特に母親の中からたくさんの悲鳴が上がっているという状況はどのように御認識か、厚生大臣にお伺いしたいと思います。
  161. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 特に、委員が御指摘ように、最近核家族化が進む中において、母親の孤立感とか、さまざまな問題が起きているということは承知をいたしております。  そういう中で、私どもは、今回の児童手当というのは基本的には子育ての経済的負担を軽減する制度と位置づけておるわけでございますけれども、当然のことながら、保育サービス、その中でも一時保育の問題であるとかいわゆる在宅児の問題、母子問題、さらに母子保健対策など、こういうような我が国の児童福祉政策の一つとして位置づけていかなければならない、このよう考えているわけでございますし、女性が子供を産み働きやすい環境をつくっていかなければならない、その一方においては、委員が御指摘ような母親の孤立感というものをなくして、安心して子育てができるような環境づくりのために努力をしなければならない、このよう認識をいたしておるような次第でございます。
  162. 中川智子

    ○中川(智)委員 今回の児童手当法は、経過措置として平成十三年度中に検討して見直す、抜本的なところまでいくかどうか非常に不安ですけれども、これから検討会を設置してそこで議論されるわけですが、大臣としてのビジョンを簡単で結構ですので御答弁いただきたいのです。児童手当というのは本来こうあるべきだ、こういうところを目標にやっていきたいというところのお答えをちょうだいしたいと思います。
  163. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 恐らく児童手当のあるべき姿に対するお尋ねだと思います。  これは、社会経済の状況であるとか、あるいは児童を取り巻く環境の変化、さらに児童福祉政策全体の状況などに応じて検討するものである、こう考えております。  児童手当だけを取り出して議論するということではなく、先ほども申し上げましたけれども、総合的に考えていかなければならないと思いますけれども、大きな流れとしては、拡充する方向に流れてきておると認識をいたしておりますけれども、そのための財源をどうするのか、それから、扶養控除児童手当の問題、この辺のところを十分に議論して、まだまだ一部にこの問題について御批判があることも委員も御承知のことだと思います、そういった点もクリアし、ハードルを乗り越えていかなければならない問題ではないか、このよう考えているような次第でございます。
  164. 中川智子

    ○中川(智)委員 ぜひとも抜本的な改革の中で……。  また、これもいろいろな人たち意見を聞いてみたのですけれども、やはり所得制限のところの不満が非常に根強くございます。児童、一人一人の子供を育てやすい状況に支援していくというならば、タックスペイヤーとして税金を納めている人に不平等な形がないようにと特に思うのですが、所得制限の撤廃に対しては、厚生省としては、大臣としてはどのようにお考えでしょう。
  165. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 本来、私は、措置制度の場合には所得制限があっても不思議ではない、しかし、長年保険料を積み上げていく社会保険方式の場合においては所得制限というものはいかがかなという気持ちを持っておったわけでございますが、近年の少子高齢化社会というものを考えてみましたときに、例えば年金にいたしましても医療にいたしましても、現実問題として、現在の制度を維持し、さらに堅持し発展させていくためには、ある程度、例えば医療などについて、七十歳以上のお年寄りは今まですべて社会的弱者であり経済的弱者だということで、同じ一回五百三十円、こういうことでお願いしてきたわけでございますが、会社の社長さんであるとか重役さんなんかが五百三十円ということで、若いOLの負担による保険料の拠出によって賄われているという実態が果たして適当なのかどうかということを見直さなければならない時期に差しかかってきているのではないかな、こう思っております。  今申し上げました社会保険方式においてもそうなんですから、児童手当制度よう給付公費なり積み立てることなくやることは、私は率直なところ、現在の財政状況考えますと、基本は、家計の負担が一番問題でございますので、家計の負担を感じないよう所得階層には、その手当効果とか必要性——ざっくばらんなところ、相当の所得のある方に対しては御遠慮いただいて、所得制限を設けることもいたし方ないのではないかな、こう思っております。  一方で、扶養控除の問題でよく議論になりましたことは、扶養控除というのは非課税世帯の場合には対象外になるわけでございますので、そういう中において所得の低い方に対して手厚くしていくということが基本的な考え方としてはあってしかるべきである。  要するに、私は、かなりの所得のある方に対して児童手当給付するということは、現実問題としてこの極めて限られた財源の中では困難である、こういう認識に立つものでありますし、国民理解を得ることができるものと確信をいたしております。
  166. 中川智子

    ○中川(智)委員 私は、小手先のことでは子供なんて産む気にならないのが今の社会情勢だと思いますので、やはり諸外国並みにきっちりと所得制限を撤廃して、もっと手厚い支援をしていく。基本的に、日本も本当に深刻な少子高齢化のときを迎えて、そこに財源をばんとほうり込むぐらいの勢いでなければとても子供を産みたいという状況にはならない、今後ますますそうなるのではないかということを意見として述べさせていただきます。  次に、次官にちょっと伺いたいのです。  きのうの参考人の質疑の中で、都村参考人が私の質問に対してお答えくださった中で、私は、一子目、二子目が五千円、五千円、三子目で一万円となりますが、とても三人まではということで、このごろ三人産む人は割と少なくて、一人産んで、一人っ子が結構多いわけですね。私も二人子供がいますけれども、三人目というのは、そこで大きな山がある。結構二人目と三人目で七つも八つも年が離れていて、ちょっと油断しちゃったらというふうな感じの人が多い。そういうふうなことをよく聞かれると思いますけれども、三人目でふやすというのが非常にこそくだなと思って、一人目からばんと児童手当をと……。どうして一人目、二人目が五千円、五千円で、三人目が一万円になるかというのが幾ら考えてもよくわからないのですが、この根拠を教えてくださいますか。
  167. 大野由利子

    大野(由)政務次官 子供の出生順位によって児童手当の額が違うのはおかしいのではないかという委員の御指摘かと思います。  これは、まず昭和六十年の改正におきまして、それまで第三子以降に支給されていたものを第二子に拡大をいたしましたときに、当時の財政状況とか一家庭支給される合計額などを勘案して第二子と第三子の間で差を設けたものでございます。その後、平成三年の改正においてさらに第一子にまで支給対象を拡大したわけですが、このときにやはり第一子は第二子と同じにして、現在の姿になったという状況でございます。  確かに、出生順位によって差があるのはどうかというのも一つの御見識かとは思いますけれども、三人以上子供がいる家庭というのは、どうしても子供が一人、二人しかいない家庭よりも物心両面で負担が非常に大きいわけで、こうした家庭配慮をしたものでございます。  今後、抜本的な検討の中で、こうしたことも検討していく必要はあるのかなと思っております。
  168. 中川智子

    ○中川(智)委員 やはり少子化対策というのは、発想の切りかえが大事だと思うんですね。児童手当もうまくいかなかったわけですから、出生率はどんどん低下する一方という中で、発想の転換をぜひともお願いしたいと思います。  少子化の最大の要因に晩婚化、未婚化、晩産化というのがございますが、もちろん結婚をしなかったり、結婚しても子供さんを持たない場合がありますけれども、合計特殊出生率は九七年で一・三九ですね。先進諸国を見ても少子化傾向というのはあるわけなんですが、諸外国と単純に比較することはできないわけですけれども一つの参考として、フランス、スウェーデンでは、ここ十年くらいで回復傾向が見えてきているわけですね。  これは法務省に伺いますが、その理由の一つに婚外子がふえているという現実があります。日本では相も変わらず婚外子に対して法的なところで差別的な取り扱いをしているという大きな問題があるんですが、いわゆる選択的夫婦別姓が法律で認められていないということもあって、特に仕事を持つ女性の中に、私の部屋にも結構シングルマザーの会とかいろいろな会の方がいらっしゃるんですが、この法律ができなきゃ結婚なんかしたくないわという声が、結構、うそのようですが、たくさん聞こえます。一方で少子化、少子化対策と言いながら、こっちの方は相も変わらず古い法律のままで日本が推移しているということの不満というのは非常に強くございます。  いわゆる選択的夫婦別姓の問題で、児童手当に関してはこれで差別的な取り扱いをしていないわけなんですが、民法改正をしないという現実が出生率の回復にブレーキをかけているのではないかというふうに私は考えているんですけれども、法務省の考えはいかがでしょう。厚生省と協力してこの辺を早くしないと、ブレーキがかかっているというふうに思うんですが、御答弁をお願いします。
  169. 細川清

    細川政府参考人 御指摘の選択的夫婦別氏制度の導入や嫡出子でない子の法定相続に関する民法改正の問題につきましては、なお国民各層や関係各方面にさまざまな御議論があり、国民意見が分かれている状況にあるものと認識しております。  例えば、平成八年の総理府による世論調査の結果では、選択的夫婦別氏制度の導入に賛成の意見が三二・五%、反対の意見が三九・八%。また、相続分を同等にする改正について、賛成の意見が二五・〇%、反対の意見が三八・七%となっておるわけでございまして、このように、これらの問題に対する国民世論が大きく分かれている状況にあることがうかがわれます。  民法は基本法であり、法務省といたしましては、特に、御指摘の問題のように社会や家族のあり方など国民生活に重大な影響を及ぼす事柄については、国民意見に十分配慮する必要があり、大方の国民理解を得ることができるよう状況で法改正を行うのが相当であると考えております。したがいまして、この問題については、国民議論する上で参考となる情報を提供しつつ、国民各界各層や関係方面で御議論が深まることを期待したいと考えるところでございます。  また、選択的夫婦別氏制度の導入等を内容とする民法改正法案が、既に議員提案で提出されております。したがいまして、国会におきます御論議の動向も、私たちは十分注視しながら適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
  170. 中川智子

    ○中川(智)委員 フランスやスウェーデンが婚外子がふえていて、出生率の回復の一つのプラス要因になっている。議員立法でも出されていますが、法務省としては、法律がちゃんと通れば少子化に対して少しの歯どめぐらいになるんじゃないかという見解はお持ちですか。
  171. 細川清

    細川政府参考人 これは将来の予測にかかわる問題でございまして、私どもは、例えば選択的夫婦別氏制度等を導入したら少子化に歯どめがかかるかどうかということを、確信を持ってお答えできるような状態ではございません。
  172. 中川智子

    ○中川(智)委員 済みません、無理な質問にお答えさせてしまって。  でも、これは諸外国がいい例で、そしてまた、時代の多様化、時代の要求に対応できていないことが、結婚もしたいな、本当に子供も産みたいなという人の大きな阻害要因になっているというふうな認識は持っていますので、ぜひとも、厚生省も法務省の方とその辺の話し合いなどもしていただき、与党の方も、こちらは議員立法を出していますので、民法改正については前向きに頑張ってもらいたいと思います。  質問通告していませんが、次官はどのようにお考えですか。女性の立場として、また、これが阻害要因になっている、フランス、スウェーデンでは婚外子がふえていて、もうちょっと皆さん子供を産んでくださいよというときに、法律が非常にブレーキの役目を果たしているということに対して御意見がございましたら、大野次官にちょっと伺いたいと思います。
  173. 大野由利子

    大野(由)政務次官 婚外子差別という御議論がさまざまあることはよく承知しておりますし、やはりこうした問題は今後の大きな検討課題であろう、このように思っております。
  174. 中川智子

    ○中川(智)委員 この問題は、野中前官房長官がかなり与党の中で、自民党の中でも中心的に動かれて、とてもいい線まで来たのにだめになったという悲しい過去がございますので、ぜひとも与党の中でこれが実現できるように御努力をお願いしたいと思います。  ちょっと私の身近な例になるんですが、結構、結婚して子供は要らないわと言う方が最近ふえていますので、私も、いやいや、そう言わないで頑張って、日本の少子化対策に、まず隗より始めよで頑張って、皆さん、子育ては楽しいよ、子供はおもしろいよと言ったりしているんです。私の事務所の一心同体で頑張っている秘書に聞きますと、結婚しているんですが、子供は要らない、産まないと言うんですね。どうして産まないのと理由を聞くと、仕事を続けられないからと。  特に、先ほど自民党の議員さんと話していたら、衆議院はいつ解散して選挙があるかわからないから子供が一人しか産めないんだよなんて言っていて、本当にかわいそうだなと思ったんですが。子供を産むと仕事を続けられないという、かなり過酷な労働条件の中にいる人は、その決心ができないということがあります。  また、女性の場合は、一たんやめてしまったら、M字形カーブの中で再就職が困難という状況があったり、また、ダイオキシンとかいろいろな環境不安の中で子供を産んでも、その子供が幸せにこの先生きていけるかどうか責任が持てない。むしろ非常に責任感が強い人こそ、子供を産むことに非常にためらいを持っています。  逆に、少子化対策、特に今回の第三子以降手当の月額がふえるよなんということを聞くと、かえって、戦中、戦前の産めよふやせよというような、国策で、さあ、産みなさいと言われているような気がするから、産む産まないは個人の選択だし、その阻害要因を根本的に早く解決してほしいということを強く言っていました。  このような話を聞きますと、今回の児童手当は、ごく一部の、一時期の子育て支援なんだなということを痛感しますので、少子化対策なんという言葉で言われますと、言葉は悪いのですが、ちゃんちゃらおかしいというような今回の法案でございます。やはり抜本的な児童手当のあり方というのを、大臣が先頭になって進めていっていただきたいと思います。  そこで、今回、児童手当少子化対策のシンボルという御説明があったわけなんですが、世論調査によりますと、どのような支援が欲しいか、必要かという中で、一番が子育て中の夫婦がともに働けるような環境整備、二番目に子育て世帯の税負担の軽減、三番目にやっと児童手当など現金給付の充実というのがあるわけなんですね。  大臣が、今回、シンボル的な施策だ、法案だとおっしゃったのですけれども、どこを見て、世論のこのような三番目にやっと出てくるような形でどうしてシンボルなのか、非常にずれていると思うのですけれども大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。
  175. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 私が、この児童手当につきまして、シンボル的な問題として今度拡充させていただきますと申し上げましたことは、児童手当につきましてはさまざまな議論がありまして、午前中の議論の中でもございましたように、公費というのはむしろ減る傾向にあって今回初めてふえてきた、こういうことでございまして、また、これが果たして少子化対策にどれだけ効果的かというような話がございましたものですから、そういう問題ではございません、あくまでもこの少子化対策に総合的に取り組んでいる一つのシンボル的なものとして今度位置づけさせていただきたい、こう申し上げたわけでございます。  要するに、ざっくばらんな話、この拡充によってすぐに出生率が上がるとかというような次元の話ではないのです、この問題について、これまでどちらかというと、繰り返しになって恐縮でございますけれども、企業におきます福利厚生的なものからスタートしたものを、ようやくここに来て政府を挙げて本腰を入れて公費負担が上回った、こういうことを申し上げた次第でございます。
  176. 中川智子

    ○中川(智)委員 わかりました。  連動して、児童扶養手当のことで御質問をしたいのですが、近年、離婚率の増加、リストラとかいろいろ貸し渋りの状況の中で男性の自殺率がとてもふえています。そこで、児童手当だけではなくて、児童扶養手当拡充、充実が非常に望まれているというのを実感として感じております。  受給人員が非常に増加していまして、一九九八年度から所得制限が四百七万円から三百万円に大幅に百万円以上引き下げられたという現実がありまして、単身家庭の親の生活が困窮しております。この百万切り下げられたときに、六万人もの受給者が削減になりました。児童扶養手当がまた減らされるのではないかということで不安の声が増大しているんですが、今年度は昨年度と同額でほっとしているということをあちこちから聞きましたけれども子育て支援という点からは、児童手当も児童扶養手当もともに拡充されてこそ初めて子育て支援ということが言われるのではないかと思います。  次官は、この児童扶養手当の問題に対して、削減というよりもっと拡充すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  177. 大野由利子

    大野(由)政務次官 児童扶養手当につきましては、委員も御指摘ように、手当の受給者のうち離婚世帯制度創設時の四割から九割に増加をいたしまして、給付総額も大変ふえてきた。こういう状況の中で、母子世帯への経済的な支援は、本来なら別れた夫が養育費として支払うべきで、児童扶養手当がその代替機能を果たしているのではないか、こういう疑問もございました。また、子育て支援という観点から見ると、同じ所得水準で母子世帯というだけでその手当支給することは、他の世帯と比較して不公平ではないか、このような御指摘もありました。  平成十年八月の児童扶養手当所得制限の見直しについて、このよう指摘がある中で、中央児童福祉審議会の提言などを踏まえて行ったものと承知をしております。  厚生省といたしましては、委員指摘ように、いろいろな面で支援をしていくということは非常に重要であり、総合的な支援は必要でございますので、母子家庭からの要望も十分承りながら、母子家庭に対する総合的な自立支援施策として、児童扶養手当支給のほか、母子家庭への就労支援とか福祉貸し付けとか専門相談などの多様な施策の推進に努めてまいりたい、このように思っております。
  178. 中川智子

    ○中川(智)委員 多くの家庭では児童扶養手当は命綱のような思いで、決してそれをカットされることのないような施策を望みます。よろしくお願いいたします。  私自身も子育てして一番つらかったのは、経済的に大変だったのは、中学、高校、大学と、やっとことし一人卒業して、これは万歳を三唱したぐらいうれしかったのですが、とても大変です。教育費が物すごい重圧になってのしかかっています。  最後に文部省に伺いたいのですけれども、教育費について、国立大学と私学の差が開いたからといって国立を上げれば差が縮まるというのは、これはまた全然違う話ですね。私学の方の助成をふやして差を少なくする、国立はそのまま安い、そういうふうに考えてくれればいいのに、何でもどんどん上げていく。その負担感というのはすごいのですね。特に、私は被災地で今二重ローンを抱えていて、物すごく教育費が大変、二重ローンで大変、被災の跡を引きずりながら生活の困窮度は深刻なものがございます。  そこで、教育費の面もぜひとも見直してほしいと思います。少子化対策よりも教育費の見直しの方が、絶対少子化への歯どめになると思います。教育費の負担軽減のために何らかの施策が必要だと考えますけれども、文部省としてはこの点で具体的に検討されていらっしゃるか、また、今後の検討課題がございましたらば、伺いたいと思います。
  179. 本間政雄

    本間政府参考人 教育費の負担軽減についてのお尋ねでございますが、文部省といたしましても、教育の機会均等を図る観点から、教育費の負担の軽減を図ることは非常に重要な課題だというふうに考えております。それで、保護者の負担が過大にならないように従来からさまざまな措置を講じております。  まず、予算面でございますけれども、大変厳しい行財政事情の中ではございますが、私学、特に高等学校、それから高等教育の分野で相当の比重を占めているわけでございますが、こうした私学を中心にいたします私学助成につきましても予算の増額を図る。  それから、育英奨学事業でございますが、平成十二年度の予算におきましても、貸与人員の増を図るとともに、最近、経済不況が一段と進んでいる状況の中で家計支持者の失業等によりまして家計が急変をする、そのために緊急に奨学金を必要とするような学生生徒に対応するための緊急採用奨学金制度というようなものを新たに導入したというよう措置をとっているところでございます。  それから、税制面でございますが、特に、今先生御指摘のとおり、教育費等の支出がかさみますのは中学、高校、大学というような段階でございますが、そうした子供たちを持っております中高年層に対する税負担の軽減を図るという趣旨で、十六歳以上二十三歳未満の扶養親族に係ります扶養控除額を割り増しする特定扶養親族控除制度というものを設けておりまして、所得税で申しますと、通常の扶養親族控除よりも二十五万円割り増しの六十三万円が控除、住民税では十二万円割り増しの四十五万円が控除ということになっております。  まだまだ不十分であろうかと思いますけれども、文部省としては、今後とも保護者の教育費の負担軽減を図りたいというふうに考えております。
  180. 中川智子

    ○中川(智)委員 ありがとうございました。  今回の児童手当は、選挙対策にも少子化対策にもならないのじゃないかと、強い不安を持って臨みました。ありがとうございました。
  181. 江口一雄

    江口委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  182. 江口一雄

    江口委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。山本孝史君。
  183. 山本孝史

    山本(孝)委員 民主党を代表して、児童手当法改正案に反対の立場から討論を行います。  反対の理由の第一は、今回の制度改正のための財源年少扶養控除廃止することで捻出していることです。  年少扶養控除は、今年度から教育減税を目的として設けられた恒久減税策です。しかし、わずか一年で廃止とされ、三歳児未満及び教育費の負担に悩む小中学生を抱える家庭のすべてが増税になります。千六百万人の児童が増税対象となる一方、新たに児童手当の恩恵に浴するのはわずか三百万人にすぎません。  朝令暮改だとの我が党の指摘に、大蔵大臣厚生省の選択だと逃げ、厚生大臣与党協議の結果と、これまた責任転嫁をしました。理念のない政策転換の結果とすれば、ばらまきと批判されても仕方ありません。  反対の理由の第二は、厚生省児童手当の将来像を明確にしないままに改正を行おうとしていることです。  その結果、三歳未満児には公費事業主拠出金が充てられる一方で、三歳から就学前の児童は全額公費で賄うという、財源構成の異なる二つの制度が重ね合わせられた奇異な制度となっています。しかも、継ぎ足された制度では、全額公費でありながら、被用者と自営業者で所得制限額が異なるというありさまです。  児童手当は、小さく産んで大きく育てると発足時に言われました。しかし、自民党は、生まれた児童手当に栄養を与えず、その位置づけが極めてあいまいなままに放置してきました。  厚生省は、我が党の要求に応じてようやく実施を約束した児童養育費調査を早急に実施するとともに、厚生大臣が御答弁できなかった、児童手当の妥当と考える金額、家庭教育費の受けとめ方、支給期間、所得制限のあり方、事業主拠出金の妥当性、扶養控除制度との関連、拠出制度等について早急に考えをまとめて、広く国民の審議に付すべきです。  最後に付言すれば、民主党も児童手当拡充すべきと考えますが、社会保障や福祉の財源が極めて限られている現在、真っ先に講ずるべき子育て支援策が児童手当であるのか、疑問なしとしません。保育基盤の整備や学童保育の充実、子育て不安の軽減策、小児医療体制の整備など、なすべき施策は多くあると考えます。この点でも、今回改正は拙速に過ぎると考えます。  以上申し述べて、民主党の反対討論といたします。(拍手)
  184. 江口一雄

  185. 瀬古由起子

    ○瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、児童手当法の一部を改正する法律案について反対討論を行います。  本法案の問題は、改正の経緯について、宮澤大蔵大臣が一種の妥協で説明することはなかなか難しいと答弁されているように、国民に説明のつかない内容であることに象徴されています。審議でも明らかにされたように、今回の児童手当法改正が一体どのような理念に基づいて行われるのか、納得のいく説明もなく、基本的な考え方すら示されませんでした。法制度の見直しに当たって十分な検討が行われた形跡もありません。連立政権維持のために、矛盾を承知で道理のない見直しを行うなど、容認されるものではありません。  義務教育就学前まで児童手当拡充することは当然のことです。しかし、反対する最大の問題は、拡充に伴う必要な財源二千二百億円のうち二千億円を、小学生以上十六歳未満子供のいる家庭に対する増税で捻出することです。  年少扶養控除廃止によって増税対象になる子供は千九百万人に及び、新たに児童手当支給対象となる三百九万人を差し引いても、千六百万人以上に増税だけがのしかかるのです。子育て支援にも全く逆行しています。しかも、この年少扶養控除は、九九年一月十二日の閣議で恒久的な減税として決定されたもので、まさに朝令暮改政治そのものと言わなければなりません。  反対の第二の理由は、小中学生を持つ家庭増税を押しつけながら、児童手当拡充部分について事業主負担が全くなくなる問題です。  現行制度で、サラリーマン家庭の場合は、夫婦二人子供二人の家庭年収額が四百三十二万五千円まではその十分の七を、そして、六百七十万円までの特例給付については一〇〇%事業主負担しています。立法当時の児童家庭局長は、企業負担の導入について、将来の労働力を維持培養していくのが企業自体の大きな課題と説明しているのです。事業主負担を求めるのは当然です。  第三は、児童手当支給対象について、自営業の子を差別的に取り扱っている問題です。  自営業者の場合、年所得額は二百八十四万円が限度とされ、サラリーマン家庭と比較して余りに差別的な取り扱いを受けています。児童の健全な成長に着目し、所得を基準として支給対象を限定する以上、職種で差別的取り扱いをされる道理がありません。  以上が、本法案に賛成できない大きな理由です。  参考人意見陳述でも、諸外国の制度に比較して余りに制度自体が貧弱であることやGDP比較でも児童への還元が少ないこと、厳しい所得制限を課していることなども問題点として指摘されました。都村敦子中京大学教授は、小中学生を育てている家庭の経済状況が厳しくなる中、税負担がふえるなど大変大きな問題を残している、子育て家庭にわかりやすい制度に一日も早くすることが大切だと述べました。  政策理念を明確にした、公正で国民的合意が得られる制度の抜本的な拡充が求められています。日本共産党は、すべての子供たちが健やかに育ち、未来に希望の持てる社会の実現に向けて国民とともに力を尽くすことを表明して、反対の討論を終わります。(拍手)
  186. 江口一雄

    江口委員長 中川智子さん。
  187. 中川智子

    ○中川(智)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、児童手当法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  少子化対策のかなめは、安心して子育て、子育ちできる社会をつくることです。児童手当少子化対策のシンボルなどとおっしゃる大臣の見識をまず疑わざるを得ません。  子どもの権利条約の理念を具体化し、産む産まないは女性の選択とするなど、子供や女性の権利確立を大前提に、働きながら子供を産み育てられる総合的な施策が不可欠だと思います。  反対する第一の理由は、今改正案が選挙目当ての偏ったばらまきにすぎないからです。児童手当については抜本的な見直しが必要であったにもかかわらず、自民党と公明党のなれ合いのもと、場当たり的な改正案になってしまったことに強い怒りを覚えます。  対象年齢を義務教育就学前までの六歳まで引き上げるにとどまる一方で、昨年加算したばかりの年少扶養控除をまさに朝令暮改で引き下げた結果、教育費などの負担が大きい中高校生の子供を持つ世帯は大幅な増税となりました。可処分所得の減少は消費を冷え込ませ、いたずらに今回の長期不況を助長するものであります。  第二の理由は、児童手当支給要件や水準が非常に低いからです。  諸外国では戦後いち早く子供に着目した現金給付制度が創設され、フランスやスウェーデンなどでは出生率の回復傾向が認められています。日本の児童手当は、諸外国に比べ圧倒的に低い水準にあり、大幅に充実する必要があります。  第三の理由は、政府に少子化への総合的な施策に取り組む姿勢が見られないからであります。  現金給付という経済的な支援だけではなく、保育所や学童保育などの拡充や育児休業制度拡充など子育ての環境整備、さらには選択的夫婦別姓のための民法改正など、国全体で取り組むべきトータル的な施策が今必要です。  以上の理由により、社会民主党・市民連合は、児童手当法改正案に反対であることを表明し、討論を終わります。(拍手)
  188. 江口一雄

    江口委員長 以上で討論は終局いたしました。     —————————————
  189. 江口一雄

    江口委員長 これより採決に入ります。  児童手当法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  190. 江口一雄

    江口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  191. 江口一雄

    江口委員長 この際、本案に対し、安倍晋三君外六名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党、社会民主党・市民連合の六派及び笹木竜三君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を聴取いたします。山本孝史君。
  192. 山本孝史

    山本(孝)委員 私は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党、社会民主党・市民連合及び笹木竜三君を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     児童手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずべきである。  一 児童手当制度については、今後、子育てを行う家庭の経済的負担を軽減する観点から、児童養育費の実態を踏まえつつ、雇用・賃金、扶養控除の見直し等税制の在り方、他の子育て支援策との関連に十分留意し、その在り方について可及的速やかに明確な基本方針を示し、国民的合意の形成を図ること。  二 これを踏まえ、速やかに児童手当支給対象児童の範囲支給期間、手当額、所得制限、財源と費用負担等について抜本的に再検討し、制度の充実を図ること。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  193. 江口一雄

    江口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  194. 江口一雄

    江口委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣
  195. 丹羽雄哉

    丹羽国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重して、努力いたします。     —————————————
  196. 江口一雄

    江口委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 江口一雄

    江口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  198. 江口一雄

    江口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十三分散会