○渡辺(周)
委員 本当に大変な御見識を披瀝いただきまして、まさにそのとおりでございます。
これま
たちょっと、私も振り返りますと、例えば美観地区のような
地域があります。意外と、人工的にこういうものを残すと、これは何か映画のセットみたいになってしまって、楽しみにしていて行ってみた、現地を見てみたら、何かどこかの映画村に来たかのような、人工的なにおいがぷんぷんして、ある
意味では、同じものをそのまま、町並みでも何でもそうですが、保存するということ、なかなか、手を加えるという、今でいえば難しいわけでございますし、やはりそうした中、日本としての
一つの郷愁を覚えるかのような、日本のかつての姿を大事にしたい。そして、今お話ありましたように、その
歴史ですとか、あるいはその町がどんな経過を経て成り立ってきたかというのは、次の世代に伝える、まさに我々義務があるんだろうと思います。
そういうことをまたぜひ個人的にもいろいろな形で意見交換ができればと思いますが、その反面で、こうしたものが今だんだんなくなってくるという中で、
一つには、いろいろな形で法が制定をされて以来、いろいろな形で複雑な法整備がされてきた。それともう
一つ、もちろんそれのみでなくて、例えば私どもの
地元の
地域を
考えますと、例えば不幸にして戦災に遭った、それによって、まさに焼け野原から今でいう
都市計画がスタートをしたというところもあれば、幸いにして戦争の戦禍の犠牲にならなかった、しかし、従来型の町が、旧来のまだ、例えば商業地のど真ん中に、真ん真ん中に蛇行した幹線道路が走ってしまう、そこに、ずっと商業地を初め伝統的な、まさに商業地として栄えてきた、そこに
住民が住みついた。もう今さらこれを、どう
考えても
都市計画をもとに戻せないというような
地域もあるわけでございまして、なかなか
地域によっては、例えば道路が不便だとか、ここはどうしても狭くて通りにくいんだけれども、今さらどうにもならないといったような町も正直各地にあるわけで、見受けられるわけであります。私の
地元でもそうした地区があります。
そんな中で、今回のいろいろな法
改正の中で
一つ言えることは、今回の
法律を見まして、あるいは関連する幾つかの
都市計画にかかわる
法律を見ますと、幾つもの役所にまたがった形でいろいろな
法律の
規制がございまして、ちょっと法体系を申し上げますと、国土
利用計画法、こういう概念がある。そのもとに、
都市計画法あるいは農振法、森林法、自然
公園法、自然
環境保全法と、各個別の
法律が対象
地域を
規制するような形態になっているわけでありまして、ある
意味では皆々整然と区別されているというような思いをするわけですが、例えば、実際にいろいろなデータを見てみますと、これは、きょういらっしゃる各
委員の
地元でもそうでしょうし、いろいろな形で二重になっているところもある。中には全くどちらの
規制にも入らないところもある。そんなふうなことが、まだら模様でまさにあちらこちら起こっているわけであります。例えば、農地に見られるようなものが農振法、この
規制を外してしまうと、ある
意味では何の
規制もない、
開発し放題の
区域が生まれる、ここで乱
開発が起こるというような
状況もあるわけです。
ただ、
地域の
住民にしてみますと、例えばこれは私どもの
地元の話でございますが、ある著名な評論家の方が講演に来られた。そして、その方が、懐かしい町並みをといって歩いてみた。そして、ある風景を見て、この町はいつまでもこうあってほしいとおっしゃった。ところが、
地元に住んでいる人にしてみると、冗談じゃない、そんな、あなたは時々たまにやってきて、いや、すばらしい、美しいと言ってくれるけれども、住んでいる人間にしてみれば、住宅が建てられない、しかし、いろいろな
規制があってなかなか活性化と称されることができない。いろいろなものも誘致したいんだけれども、いろいろな形でできない。農家の方が、例えば一種のペンション村みたいなものをつくって、いろいろな方に来てもらいたい。しかし、バブルの崩壊とともにそういうことができなくなった。しかし、どんどん若者は出ていくし、農業はどんどん後継ぎはいなくなるし、何かやりたいんだけれども、それがいろいろな法
規制のしがらみの中でなかなかできない。しかし、よそからたまに来る人が、いつまでもこの自然よ永遠にと言ってくれる。しかし、それはそれ、これはこれということで、なかなか、第三者から見る目と、そこに住んでいる人の思いというのはまた違う部分があるわけでございます。
ちょっと自分の持論をいろいろ話す時間もございませんけれども、今申し上げたような農振法の
規制、これが例えば万が一外れれば、何の
規制もない、
開発し放題の
区域が生まれて乱
開発が起こる。また、一時期ありましたリゾート法、まだあるわけですが、リゾート法、さらにほかの
法律を活用すると、
開発自由の
地域というものもまた生まれてくる。いろいろな複雑な
法制度がある中で、また、そこに縦割りのいろいろな、何といいましょうか、
制度間の縦割りがまたそこに存在をする。
そうした中で、我々としてこれから本当に
考えていかなければならないことは、まさにその法
規制の
一つの整理の部分というものを
考えていかなければならない、背後にある縦割り行政というものを
考えていかなければならない。しかし、その反面で、国土
利用ということに関しては、第三者がいろいろな思いを持って
考える部分と、その
地域に住んでいる
住民の、まさに思いというものはまた別にあるわけであります。
これはちょっとまた卑近な例ですが、私どもの
地元に、東海大学という大学が沼津校舎というのを持っております。山の中腹に大学があります。そのふもとに、そこには
地元の農家の方々が下宿屋さんを始めるわけですね。ところが、下宿屋さんということになりますと、昔は共同の下宿屋さんでよかった。玄関へ行くと靴があっちこっちに脱ぎ散らかしてあって、みんなで、先輩、後輩が
一つの鍋をつっつき合うような下宿屋さんでよかった。しかし、今になると、ワンルームマンションでなきゃ嫌だ、車が置けなきゃ嫌だ、あるいはシャワーがなきゃ嫌だ。近所にコンビニがある、ビデオ屋がある、いろいろなものがなきゃ、こんな山のふもとのカエルの鳴き声ばかり聞こえるところじゃ、寂しくなってどんどん
中心部に移っていく。しかし、なかなか、それがいろいろな
規制の中でできない部分がある。こうした
規制の中で、
地元の市なんかと話をしながら、自治会の間へ入って、我々もいろいろな時代の変遷とともにニーズをかなえようとするわけであります。
これは身近な、卑近な例でありますけれども、そういう
意味において、国土
利用という、
国土庁長官も兼務されている
大臣として、例えばこれは卑近な例で大変申しわけないわけですが、そうしたある
意味での従来型のものを守る、しかし、そこには時代の変遷とともにいろいろな要求が
住民の中から出てくる、その点についての、国土
利用という点についてどのようなお
考えをお持ちであるのか、その点についてひとつ
お尋ねをしておきたいと思います。