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2000-04-14 第147回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月十四日(金曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 大口 善徳君    理事 佐田玄一郎君 理事 佐藤 静雄君    理事 原田 義昭君 理事 宮路 和明君    理事 田中 慶秋君 理事 吉田 公一君    理事 井上 義久君 理事 中島 武敏君    理事 青木 宏之君       加藤 卓二君    亀井 久興君       岸田 文雄君    小林 多門君       桜田 義孝君    西川 公也君       野田 聖子君    蓮実  進君       松本 和那君    宮腰 光寛君       末松 義規君    樽床 伸二君       平野 博文君    前原 誠司君       渡辺  周君    上田  勇君       辻  第一君    佐々木洋平君       中西 績介君     …………………………………    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    建設政務次官       加藤 卓二君    建設政務次官       岸田 文雄君    政府参考人    (国土庁土地局長)    小林 新一君    政府参考人    (建設省建設経済局長)  風岡 典之君    政府参考人    (建設省都市局長)    山本 正堯君    政府参考人    (建設省住宅局長)    那珂  正君    政府参考人    (自治省税務局長)    石井 隆一君    建設委員会専門員     福田 秀文君     ————————————— 委員の異動 四月十四日  辞任         補欠選任   樽床 伸二君     末松 義規君 同日  辞任         補欠選任   末松 義規君     樽床 伸二君 同日  青木宏之君が理事辞任した。 同日  中島武敏君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  政府参考人出頭要求に関する件  都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出第七〇号)     午前九時開議      ————◇—————
  2. 大口善徳

    大口委員長 これより会議を開きます。  この際、去る七日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準変更に伴う理事辞任及び補欠選任を行います。  まず、理事辞任についてお諮りいたします。  理事青木宏之君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大口善徳

    大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う理事補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 大口善徳

    大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事中島武敏君を指名いたします。      ————◇—————
  5. 大口善徳

    大口委員長 内閣提出都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として建設省建設経済局長風岡典之君、都市局長山本正堯君住宅局長那珂正君、国土庁土地局長小林新一君及び自治省税務局長石井隆一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 大口善徳

    大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 大口善徳

    大口委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。宮路和明君。
  8. 宮路和明

    宮路委員 自民党の宮路和明であります。このたび都市計画法が三十数年ぶりに改正されるということになりまして、大変意義ある改正である、こう思っておるところでありますが、建設総括政務次官にまずお尋ねをいたしたいと思っております。  一つは、我々国民そして国家にとって最も大切な資源といいますか、それは土地であり、そして水である。この二つがしっかりと管理される、利用されるということが国家国民の存続の最大の基盤である、私はこう思っておるわけでありまして、したがって、そうした土地水資源利用、管理というものの骨格、基本は、これは国がしっかりと行っていくべきである、そういう考えを常々持っておるわけであります。  ところが、さきの地方分権一括法で、都市計画に関する事務は、これまでの機関委任事務から地方公共団体自治事務というふうになりました。そして、今度の都市計画法改正も、この地方分権のいわば流れをさらに促進するという観点からの改正であるというふうに思っておるわけであります。  そこで、地方公共団体にこうした重要な都市計画の仕事を相当といいましょうか、基本的にはもう地方自治体事務ということで任せることによって、果たしてよい土地利用や国全体としてのまちづくり、こういったものがうまくいくのかどうか、その点を若干心配もするところもあるわけでありますが、都市計画における国と地方公共団体役割分担といったものについてどういうふうに政府考えているのか、そのことをまず加藤総括政務次官お尋ねしたいと思います。
  9. 加藤卓二

    加藤政務次官 宮路理事の、今度の都市法案についての御質問、大変よくわかるわけでございまして、国土庁という制度で今私たちは国の全体の構図をつくっておりまして、そこでマスタープランを立てながら、その計画のもとの中で地方分権ができ上がっていくんだ、こんなふうに理解しております。  都市計画における国と地方役割分担についてのお尋ねでございますが、これからのまちづくりについては、地方公共団体、特に住民に身近な基礎的自治体であるところの市町村が中心的な主体となるべきものと認識しております。これは、構図が決まって、それでその中で今度は地方マスタープランを立てていく、こういうことになるので、デッサンするときには地方もそれに参加できるというような制度になると思います。  一方で、都市のあり方は我が国の発展を左右する課題であり、経済社会発展国民生活の質の向上を図る観点から、国においても、まちづくりに関する制度の構築や地方公共団体のさまざまな取り組みに対する支援などに関し、積極的な役割を果たすことが必要であると、理事のおっしゃられるとおり、認識しております。  今後とも、国と地方公共団体の適切なパートナーシップのもと、二十一世紀にふさわしいまちづくりに取り組んでまいる所存でございます。
  10. 宮路和明

    宮路委員 ひとつ、今の総括政務次官の御答弁、その線に沿って、きちっと誤りなきを期してやっていただきたいものだな、私はこう願う次第であります。  次に、今回の改正案最大のポイントとして、私は、いわゆる線引き市街化調整区域そして市街化区域線引きの問題が、原則としてこれは地方公共団体選択に、第七条の改正によってゆだねることになった、こういうことだと思います。それ自体地域実態に本当に即した土地利用調整が行われるという観点から、それはそれで私は評価するわけでありますけれども、一方で、これまでの歴史を振り返ってみますと、従来は、第七条において、線引きを行う地域といいますものが法律できちっと定められ、そして一部は政令で定めるということになっておりまして、二十万以上都市については、これをすべて線引きを行うということで、非常に画一的な、一律的な、そういう線引きがなされてきたということであります。  したがって、その実態を見てみますと、どうも本当に線引きをする必要があったのかどうかという疑問を抱かざるを得ないようなところまで線引きがなされてしまった、それがこれまでの歴史だったんじゃないかな、こう思うわけです。例えば私の地元鹿児島市におきましても線引きをやっておるわけでありますが、非常にいびつな線引きの結果、まちづくりがなされているというのが実態であります。  といいますのは、中心部市街化区域にしたけれども、その周辺部調整区域にしてしまって、ほとんど調整区域になったいわば農村部といいましょうか、そこのところは新しい建物が建てられないということでありますから、もう若い人たちが全然住まなくなってしまう、そしてどんどんと中心部の方へ流出していく。その結果、せっかくの田園都市としての、そういう環境を持った地域が全くの過疎化になってしまって、学校も、それ自体も存立できなくなる、そういうような過疎化がどんどんと進んでいっている。一方で、市街地の方は物すごく過密化が進み、そしてまた調整区域として保持しておった、地域にしておった山林原野あるいは丘といったようなところは、大開発をやれば、そこは調整区域開発許可も可能になるものですから、山林原野といったところで物すごい団地が次から次へと、せっかくの山林原野を切り崩してしまってそして開発してしまう、そこには物すごい今度は投資をする。一方では、これまでの既存の集落、そういったところは、先ほど申し上げたように、せっかく学校などそういう投資をしてつくったものももう意味がなくなる、そういう状況になってしまっているということで、非常にいびつなそういう都市というか地域になってしまったということであります。  それを見直して、調整区域をもっと建物もつくれる、住民がよく住めるというふうなところにしていけばよかったのを、それを抑えてしまって、そして一方では、今申し上げたような自然原野開発して大団地をつくってしまって、自然の破壊と言ってはなんでありますけれども、行き過ぎた開発をしているというようなことになっておるわけであります。線引き見直しもほとんどなされないというような、そんな状況でありまして、全く制度運用が硬直的だ、そういう面もさらけ出したわけであります。  今回は第七条の大改正をやって線引き対象地域を非常に限定的なものにした、したがって、線引きをする必要がもうない、地方自治体選択にゆだねられたそういった地域については、私はむしろ線引きの撤廃も含めて抜本的な見直しを行わせるようにしたらどうかな、そういうふうに思っておるところなんですけれども、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
  11. 加藤卓二

    加藤政務次官 宮路理事線引き見直しについてのお尋ねでございますが、本当に三大都市圏地方とは大分事情が違うので、線引きについてのいろいろな見直しをしなきゃならないところへ来て今度の改正になっているわけでございますが、線引きというのは人口産業動向に合わせて随時機動的に見直すべきものと理事考えているとおり、私もそうだと思いますので、そういう意味で、従来より、線引きの機動的な見直しを推進するために、都道府県に対して運用の改善やそれに基づく積極的な見直しの要請をしてまいったわけでございますから、そういう意味では、今度の改正を機に、ぜひひとつそういう問題を直していけるようにいたしたい、こう思っております。  さらに、今回改正により線引き都道府県選択制にした場合、例えば人口減少等が激しい都市については線引き必要性を見直すことが当然必要だ、こう思っておりますし、人口が急増している地域に対しては地域に合わせたものにすべきだ、こういうふうに思っております。  建設省としては、都道府県に対し、制度改正趣旨を十二分に説明し、適切な運用を要請するとともに、積極的に技術的助言も行ってまいる所存でございます。
  12. 宮路和明

    宮路委員 ぜひ、私は、地方自治体判断にゆだねた、そのことを契機として、従来の国が一方的に線引き対象地域を決めて線引きをやらせた、その結果いろいろな反省があるわけでありますから、その原点に立ち返って、見直しを含めてしっかりとした指導を、今回線引き対象として法律で定められた地域以外の地域についてはそういったことをぜひ指導し、弾力的な、地域実態に本当に即した土地利用というものがなされるように、あるいはまちづくりがなされるように、この際強力にやはり指導してもらいたい、こういうふうに思うところであります。  今線引きが非常に硬直的だということを申し上げましたけれども、都市計画自体が、私、地域実態を見ていますと、非常に都市計画用途地域設定にしてもそれが硬直的だ、硬直的だといいますか、一遍やった後、その後、用途地域設定などいたしましても、その後の大きな情勢変化があったにもかかわらず、それを全く見直しをしない、そのままにずっと線引きやあるいは用途地域設定がなされておって、そして地域皆さんにとって非常にこれが不便になっている、非常に不便であって迷惑になっているというような実態がもう随所に見られるわけですね。  これは都市計画一環として例えば臨港地区設定というようなものをやっていますが、私の地元鹿児島市でもこの臨港地区設定が、その後の港湾事情といいましょうか、あるいは輸送事情というか、そういうものによって全然もう変わってきているにもかかわらず、それがそのままずっとほったらかされている。また、公園区域なんかを都市計画一環として設定して、公園なんかつくる、そういうつくるつもりであったけれども、何十年もたって今やもうつくる可能性というのはほとんど消え去ってしまっているにもかかわらず、それがそのまま公園区域設定されて、そこにおける農業者農業用投資をしてもらって立派な畑にしてもらいたい、現在畑なんですけれども、そこが公園区域設定されて、したがってそのために農業関係投資が全然されない、何とか農業的な利用をもっともっと高めていきたいと地域皆さんが思ってもそれが不可能である。そういったことで、非常に硬直的であるといいますか、その後の情勢変化あるいは事情変化というものを全く考慮しない、そのままその区域設定用途地域設定というものがなされたままであるというふうなことを随所に見るわけです。  そこで、私は、地方自治体にそうした都市計画の権限が移っていくことはいいことでありますけれども、都市計画の手続はいろいろと煩雑であるというふうなこともあって、今申し上げたようなそういう事例が、これは私が知っているだけでも今申し上げたぐらいあるわけでありますから、全国にこれは本当にもう数え上げたら枚挙にいとまがないぐらいあるんだろうというふうに思います。  そして最近では、補助金などもサンセット方式といいますか、そういうことを導入して見直していこうということが言われているように、都市計画そのものも一定の期間を経たらば定期的に見直していくというふうなことを法律上、きちっとそういうものを制度として担保するというようなことをやるというふうなことを考えたらどうかと思うんですが、そのことについて総括政務次官、いかがでございましょうか。
  13. 加藤卓二

    加藤政務次官 都市計画の適切な見直しを担保する手段についてお尋ねがございました。  理事のおっしゃられるとおりで、非常にそういう点で随分地域人たちが迷惑をこうむったり、また不便をしたり、非常に我慢をしなきゃならない立場に立っているものは、今回の改正によってぜひひとつそれが直るようにしていきたいなと思っております。  都市計画は、本来、経済的だとか社会的条件変化に即応して適時適切に見直すべきものであり、こうした考え方に立ち、現行法においても、都市計画に関する基礎調査などの結果、都市計画変更をすることが必要だと明らかになった場合には遅滞なく当該都市計画変更しなければならないという定めにはなっております。  国としては、都市計画変更する必要が生じた場合には、確実に見直しが行われるよう、地方公共団体自主性を損なわない範囲で具体的な制度運用指針を示すなど、積極的に技術的助言を行ってまいる所存でございます。
  14. 宮路和明

    宮路委員 建前は、今おっしゃったようにそういうことで、第二十一条に確かに「都市計画変更」という規定が入っておるわけであります。ところが、この都市計画に関する基礎調査の結果を踏まえて変更する必要が明らかになったときと書いてあるのですが、この基礎調査は県がたしかやることになっておって、市町村はやることにはなっていないですね、そうだと思います。  そうすると、市町村に、先ほどお話があったように、基本的な都市計画役割はおりてしまった、そうなると、県の調査を待って市町村がやるというのじゃなくて、市町村もみずから調査をきちっとやって、そして変更をやらなければならない、そういう責めを負わせなければいかぬというふうに私は思うのですが、そういう意味では、現行法は県が基礎調査をやるということになっておって、市町村には課されていないのですよ。  だから、県が市町村の具体的な都市計画までいろいろと調査をやって、そして指導していく、見直していくということは、そしてそれを踏まえて市町村が今度都市計画変更をやっていくというのはなかなか容易なことじゃない、そこにはギャップがありますから。ですから、私は、従来もこの規定があるけれども、先ほど申し上げたように、実態は全くそういうことがなされていないということじゃないかなというふうに思うのですね。  ですから、この際もっと踏み込んで、そして、この今の変更の条文、二十一条、これがあるからこれで大丈夫なんだということじゃないわけでありますから、私は、しっかりと今後そうした法制度を検討するとか、あるいは国としてしっかりした指針をきちっと示して、そして都市計画変更というものを積極果敢にやっていくように見直しを、そういうふうな指導をぜひ徹底してもらいたいということを要望しておきたいというふうに思います。  それから次に、政府参考人にこれはお聞きしたいと思うのですが、今回、線引き選択制とあわせて、線引きをしないこととした都市計画区域において建築物用途や形態を規制できる措置を導入しておるわけです。これが今回のまた一つの大きな目玉となっておるわけでありますが、この制度趣旨と内容、それを簡潔にひとつ説明を願いたいと思います。
  15. 山本正堯

    山本政府参考人 お答えをさせていただきます。  今回改正では、先生今御指摘のように、線引きをしない都市計画区域のうちの用途地域を定めないいわゆる非線引き白地地域において、地域の良好な環境形成あるいはまた保持観点から、特定用途建築物立地制限できる特定用途制限地域制度といったような制度創設させていただいたところでございます。  線引きがなくなりますと未線引き白地になるわけでございまして、そこにパチンコ屋でありますとか風俗関係でありますとか、そういったような居住環境支障を与える用途建築物、あるいはまた公共施設に著しく大きな負荷を発生させる大規模な店舗、レジャー施設といったような建築物立地する可能性が大変高い、そうなりますと当該区域における良好な環境形成保持支障が生じてくる。こういったようなこともございますので、そういうようなところについて特定用途制限するといったような制度を設けさせていただいたところでございます。  さらにまた、建築物容積率制限建ぺい率制限につきましても、原則四〇〇%、七〇%という比較的緩い制限につきましてもそれぞれ五〇%、三〇%という厳しい制限をメニューとして追加をさせていただいたところでございます。  こういう措置によりまして、線引きを廃止した場合においても、引き続き地域実情に応じた良好な環境を確保することが可能になるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  16. 宮路和明

    宮路委員 今局長説明を聞いてよくわかったわけでありますが、大変結構な制度である、システムであるというふうに私は思います。その趣旨に沿ってこれはきちっと運用されますように、ひとつ先ほどの点とあわせてしっかりしたまた指導、そして制度普及徹底を図ってもらいたい、こう思うわけであります。  この特定用途制限地域についてちょっと懸念されることは、今どこでも全国的に起こっていることとして産業廃棄物処理場といったような、いわゆる迷惑施設、これを県の方で設置しようということでいろいろと立地場、場所を決めてやっていこうということで努力しても、それがすぐさま、そういうものは来てもらっちゃ困るということで、地域住民皆さんの大変な反対運動等によって市町村がそれを排除するという例が非常に目立っておるわけであります。  ところが、今申し上げた産廃施設、この委員会でも建設廃材法律を今度はまた審議をしてもらう、こういうことになっておるわけでありますが、産廃施設などは必ず地域として必要なものであるわけでありますけれども、当該一つ市町村自体考えてみると迷惑なものかもしれないけれども、広域的に考えたらこれは絶対必要不可欠な施設であるわけでありまして、こういったものを、こうした特定用途制限地域制度を悪用して排除するというふうなことになっていきはしないかどうかということをちょっと私は危惧しているのですけれども、その点についてはどうでしょうか。
  17. 山本正堯

    山本政府参考人 産業廃棄物を初めとした廃棄物処理施設都市にあって必ず必要な施設でございまして、その立地は大変重要であるというふうに考えております。  今私どもが創設をさせていただこうということで考えております特定用途制限地域決定に当たりまして、そういう制度を使って仮に市町村廃棄物処理施設立地制限しようとしても、都道府県知事が広域的な観点から規制を不適当だというふうに判断すれば同意を与えないことと、同意が必要でございますので、同意を与えないことによりまして都市計画決定はできないということになっております。都市にとって必要とされる廃棄物処理施設がこの制度によって排除されることはないというふうに考えております。
  18. 宮路和明

    宮路委員 そのとおりだとすれば、これは私の危惧も杞憂だ、こういうことになるわけであります。どうかそれが杞憂になるように、しっかりとこの新しい制度運用に遺憾なきを期してもらいたい、このことをお願い申し上げて、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
  19. 大口善徳

  20. 吉田公一

    吉田(公)委員 まず大臣お尋ねをしたい、こう思っておりますが、今回の改正で、貴重な土地有効利用するため緩和をすべきところは緩和する、その一方で、良好な生活環境を保全するために規制すべきは規制する、地域実情に応じた、めり張りのきいた運用が可能となる制度構成に改める方向で見直すということでございますが、規制すべきは規制して緩和すべきは緩和すべき、文章を読むと、どっちのことを言っているんだ、こういうことなんですが、改正趣旨大臣お尋ねしたい、そう思います。
  21. 中山正暉

    中山国務大臣 今回の改正の基本的な方向お尋ねでございますが、中心市街地については、土地有効利用と活力ある都市核づくりを進める一方で、郊外部については、良好な生活環境を保全し、豊かな田園環境のもとでゆとりのある居住を実現しようとするということが趣旨でございます。  具体的に申し上げますと、現行都市計画法制度の根幹をなしている線引き制度についてでございますが、この制度創設後もう三十年経過しておりまして、先ほどの御質問からありますように、いろいろな社会情勢も変わってまいりました。また、人口とか、それから産業動向等経済社会環境が安定して成熟化しつつあるということを踏まえまして、その要否を原則として都道府県判断にゆだねる。それからまた、特例容積率適用区域制度等の、既成市街地の再整備のための新たな制度を導入すること、これが二番目の趣旨でございまして、それから三番目の趣旨としては、都市計画区域外における必要最小限度土地利用規制の導入や開発許可制度見直しを行うこと。そういう地域ごと課題に的確に対応できるような柔軟な仕組みをとりたい。  地方分権の時代でございますから、先ほどから都道府県市町村の問題、そういう地方の特性で判断をお願いして、それぞれその場に合った雰囲気のものに適合させてまいりたいというような考え方でございます。
  22. 吉田公一

    吉田(公)委員 今度の都市計画法は三十年ぶりの改正ということでございますが、都市計画法に限らず、何十年ぶりの改正というのはよくあるんですね。例えば、先般衆議院を通過いたしました例の借家法だって戦時立法だよ。したがって、あれだって六十年ぐらいたって改正をする。三十年ぶりとか四十年ぶりの改正というのは本来はおかしいので、少なくとも、世の中の進み方からいって、やはり十年に一遍ぐらいは見直してやっていくということが大事ではないか、そう思うんですね。  だから、三十年ぶり、四十年ぶりに改正するということは、しようがないからやっと改正せざるを得ないという、つまりは法律の方が後追いになってしまって、行政が後追いになってくるわけで、したがって、何十年ぶりの改正なんというのは、できるだけ今後は注意していかなければいけない大きな問題点だ、こう思っています。  例えば三十年ぶりに改正したというのが、こんなことまで建設省令で、規則だか政令だかわかりませんが、私が都会議員をやっているときでしたか、児童遊園地に必ず三点セットというのがある。それはどういうことかというと、砂場と滑り台と鉄棒は必ずくっつけろという。建設省の政令だか規則で決まっているものだから、小さな、わずかこの部屋ぐらいの遊園地に滑り台をつけて、鉄棒をつくって、砂場をつくる、必ずやらなきゃいけない。そのうち滑り台も、昔のような、ただ滑る台だけ骨組みを置いてやる滑り台じゃなくて、だんだんいろいろな、キリンだとかカバだとか、しかもピンクのカバを置いたり、それから緑色のウサギが置いてあったり、それはもう全くちぐはぐな、それが工夫だと思っているんだろうな、きっと。  たしか七、八年前だか、やっと何十年ぶりかに改正して、要するに児童遊園等に三点セットを置かなくてもいいという改正をした。私はそれを聞いてびっくりしたことがある。そんなことまで一々国が、ピンクのカバを置くようにしろなんて、ピンクのカバなんて見たことない、本当に。  そういう何だかわけのわからないような政令とか規則とか法律があったら、どんどん外していかなければいけない。何しろ火星へロケットが飛ぶ時代だから、月へロケットが行って月の土をとって帰ってくるときだから、やはり法律だって何十年ぶりなんて。  例えば、きょう自治省の税務局長さんにおいでいただいているんだが、地方公共団体の起債許可なんて、戦後になって初めて内務大臣と、まだ内務大臣がいたときだ、大蔵大臣とか自治大臣というのじゃなくて、内務大臣をしばらく置いて、当分の間、国において起債の許可をする、こうなっている。ところが、それから五十年もたってまだ起債を許可制度にしているわけだな。  だから、そういうように、当分の間というのは役所は必ず四十年とか五十年、それが大体当分の間だ。そういうことのないように、これは一般論だけれども、ぜひひとつ気をつけていかなきゃいけない。特に、国土庁というのは国民生活に最も密接に関係のあるところで、法律一本あるために、家を建てるといったってすぐ困っちゃうわけだから。そういう意味では、ぜひひとつお願いをしたい、そう思っております。  それから、線引き制度見直しをするということでございますが、改正趣旨及び具体的な内容を簡潔に教えていただきたい、そう思います。総括、お願いします。
  23. 加藤卓二

    加藤政務次官 吉田理事の御質問は、線引き制度見直しについてお尋ねがございましたが、線引き制度見直しは、現在、線引きを行うべき都市計画区域を法令により定めているのを改め、線引きを行うか否かの判断は、一部の大都市都市計画区域を除き、都道府県にゆだねるものであります。  本改正は、人口増が鎮静化し、スプロール化対策が全国一律の共通課題でなくなっている今日、線引きという手段により都市計画区域の無秩序な市街化を防止する必要があるか否かは、都市計画区域を指定する主体である都道府県地域実情に応じて判断することが最も適切であるということで行われるものでございます。
  24. 吉田公一

    吉田(公)委員 続いて、今回の改正開発許可制度見直しする、こういうことでございますが、もともとこの開発許可というのは大変な作業を伴って、書類だけでこんなだよ。したがって、許可まで約半年、ちょっと長引けば一年はざら。したがって、ぜひ許可制度についてはできるだけ簡潔にしてやっていただきたいと思うんですが、書類ということよりも、今度、開発許可制度見直しについてどういうところを改正したのか、その開発見直し趣旨というのはどういうことなのかということについてお尋ねをしたい、こう思います。
  25. 加藤卓二

    加藤政務次官 今回の改正における開発許可制度見直し趣旨及び具体的な内容についてお尋ねがありました。  開発許可制度見直し趣旨については、都市をめぐる経済社会環境等の変化に対応し、一定の宅地水準を確保しつつ、地域が主体となって地域ごと課題に的確に対応し得るよう、柔軟性を備えた制度となるよう見直しを行うものであります。  開発許可制度に関する主な改正点は、第一に、道路、公園等の公共空地に関する基準や宅地の安全性に関する基準等のいわゆる技術基準について、条例による強化または緩和を可能にすること、また、最低敷地規模に関する条例による規制の付加を可能とすること。  第二に、市街化調整区域において許容される開発行為を定めるいわゆる立地基準については、市街化区域に隣接する等、一定の地域で周辺の土地利用と調和をする開発行為及び市街化を促進するおそれがないと認められる開発行為として条例で定めるものを追加するとともに、あわせて、いわゆる既存宅地における建築等について許可不要の取り扱いを改め、合理化を行う。  第三に、都市計画区域外において開発許可制度を導入することであります。
  26. 吉田公一

    吉田(公)委員 今般の都市計画法改正の一番大きな趣旨は、俗に言う市街化調整区域、つまり建物も建てられない、できるだけ自然の状態で置いておこうというような調整区域ですね。東京も大阪も調整区域というのがある。二十三区のこんなところにも調整区域があるというんだね、私は東京都に問い合わせて初めてわかったんだけれども。そういう大都市の住宅開発を促進するために、もう一つ懸念されることは、大規模な建物を建設するために、調整区域をできるだけだんだん都市計画区域内にしてしまおうというような趣旨が三十年ぶりの改正で私は見られるんです。  しかし、片方では都市農業を守る。これは、大都市に住む人たちの緑の確保、空地の確保、自然環境の確保という観点から、東京などは都市農業を守ろう、生鮮野菜を都民に新鮮なものを供給しようという趣旨で、東京、大阪、名古屋等大都市では、横浜などもそうなんだけれども、都市農業を守るということは片方であるわけですね。  だから、農業をだんだん追い詰めていくんじゃないか、そういう心配がないわけではないんで、その点はどう調和していくかということが大事だ。したがって、宅地の乱開発ということはあるけれども、農地の乱開発になって、虫食い状態になって農地が残るようなことになりはしないか、そういうことを実は心配をしているんですが、その点についてどうお考えになっているかということでございます。
  27. 風岡典之

    風岡政府参考人 今回の都市計画法改正によりまして、市街化調整区域における開発行為についての立地基準について弾力化を行っているところであります。  大きく二つあるわけでございますけれども、一つは、市街化区域に隣接、近接している、そしてそこでおおむね五十戸以上の建築物が連檐しているような区域、こういったところで条例で定めるところにつきましては、そこに建つ予定建築物用途環境保全上支障がない、こういったものについては立地基準として認めるということにしております。  もう一つは、市街化区域の隣接、近接、そういうところではなくて、一般に周辺の市街化を促進するおそれがないようなものにつきましては、現在は個別に開発審査会の議を経て許可をしておりますけれども、ある程度定型的なものにつきましてはあらかじめ条例で定めておく、そういったものについては立地基準として開発を認めていく、こういう考え方に立っております。  このうち、市街化区域に隣接、近接するというものでございますけれども、これにつきましては既存の公共施設利用可能だということで、新たな公共投資をほとんど要しないようなところだ、こういうような性格であります。それから、あらかじめ定型的なものとして条例で定めるようなものにつきましては、これは周辺の市街化を促進するおそれがない、こういうようなことを法律上の要件として設けておりますので、自治体が、条例によって立地を許容する区域とか建築物用途を定めておりますので、こういうものによって適切な運用が図られる。  御指摘の農地の乱開発につながるんではないかという点でございますけれども、自治体が条例で区域設定する場合におきましては、優良な農地、集団的な農地、こういったものは開発を予定するような区域からは除外をする、そういうような考え方に立っておりますので、調整区域におけるいわゆる農地の乱開発、優良農地の乱開発、こういったことにはならない、このように考えております。
  28. 吉田公一

    吉田(公)委員 優良農地については宅地開発をしないようにということでございますが、できればそのことの歯どめについてもちゃんと、各地方公共団体に通達をするなり、あるいはまた何か規則を定めるなりしておかないと、大体これは見てわかるじゃないですか。東京だって大阪だって、旧市街地、江戸川、練馬、大田、世田谷なんというところは全く農地だったわけだから。いつの間にか一千二百万の人口になってしまった。  古い本を見ると、永田町だとか番町だとかああいうところは、明治の初めは酪農地だったというんだな。とてもそれは今は想像できないんだけれども、しばらくして、巣鴨あたりまで酪農地帯だったというんだ。この永田町などもすぐそば。酪農地帯。だから、そういうようにだんだん広がって、しまいには全部宅地化になっちゃう。  そういうことがありますから、やはり、犠牲を払っても利益追求のためには先行するということは世の中の常だから、そういう意味では、農地で置いておくよりも宅地化して売って収入を上げた方がいいに決まっているから、つい宅地化に進みがちでありますけれども、都市農業ということについてもぜひ歯どめをしておいてもらいたいと思っております。  それから、立地基準が緩和された地区においては、一番問題になっているのは、例えば大型ディベロッパーによる開発あるいは大型企業によるいろいろな開発が行われるということについて、どんどん進捗をしていくんではないかということでございますが、その点についてはどうなんでしょうか。  例えば、関越自動車道に乗ると、右側に物流センターがある。あそこは恐らく調整区域だ。そこへ二十四時間電灯がついて、物すごい建物が建っている。物流センターですからね。調整区域なんというのは普通の住宅を建てようと思ったって建てられないんだから、違法建築だ。だけれども、普通の一般の住宅でさえ建たないのに、あんな物流センターのでかいのを調整区域に建てて、恐らく特別許可したんだと思う。  私は、何であんなものが調整区域に建つんだと運輸委員会で聞いたことがある。六畳、四畳半、トイレがついて一戸建ての木造の一階建てでさえ許可しないものを、何であんなものを許可するんだと。いや、それは公共の利益のためにやっているんです、こう言われた。何で物流センターが公共の利益のためなのかそれはわかりませんけれども、そういうことが行われているので、どうかその点の危惧についてどう思っておられるか伺いたい、そう思っています。
  29. 風岡典之

    風岡政府参考人 今回の改正では、先ほど申し上げましたように、市街化調整区域において新たに立地を認める基準として、市街化区域に隣接する区域、ここでの一定の開発行為を追加しました。  そういったところで、今先生御指摘のように、大規模な店舗が建ったり、あるいはトラックターミナルが建ったりというようなことが問題ではないかということでございますけれども、そういうところにつきましては、地域実情に応じまして、開発許可権者の判断で、開発区域及びその周辺における環境の保全上支障がない用途のもの、こういったものを認めるというような条例を定めるということになりますので、それぞれの地域にふさわしくないような建物というものは、抽象的な言い方でございますけれども、排除されるんではないか。  逆に、周辺地域が住宅系のような地域であればそういったものと調和するような用途のものになっていくということで、それぞれの地域特性に応じましてそれにふさわしいものが立地できるように助言等を行っていきたい、このように思っております。
  30. 吉田公一

    吉田(公)委員 次に、調整区域、農地、農振法の適用地域については、御承知のとおり、固定資産税もなければ相続税もほとんどない。しかし、家が建って道路ができて、そしていろいろなものができますと当然宅地化になるわけでありますが、調整区域そのものは、路線価も提示がなければ、固定資産税をかける評価額の基準もないわけです。そういうところを売買するという場合に、つまり、売買事例がないものだから値段の設定ができない。そういう意味では公示価格ももちろんないわけだ。  だから、調整区域や農地等についての都市化ということについては、一体税制上どうするのか。そこへ家ができて人が住めば、当然その当該地方公共団体は、住民の要請に応じて下水道だとか水道、あるいはいろいろな施設、道路の舗装だとか建設だとか、住民税は払うわけですけれども、当然そういう要請がある。そのときに固定資産税というのを改めてかけるのかどうか。それから、都市計画税というのを我々払っているんだけれども、そういうものも設定するのかどうか。自治省の参考人にお尋ねをしたい、そう思うのです。
  31. 石井隆一

    石井政府参考人 お答えいたします。  固定資産税における土地の評価は、一般的には、まず、売買実例価額方式によりまして適正な時価を求める方法によるということにしております。したがいまして、開発許可制度見直しに伴いまして市街化調整区域内の開発が可能になった土地については、開発等の行為制限の内容の変更によりまして、恐らく価格の変動がある場合が多いのではないかと思いますが、そういう場合には、御承知のように三年に一遍評価がえいたしておりますから、その時点で反映することにしております。  具体的に売買実例価額とか、すぐそばに、近辺に売買事例がないという場合も、不動産鑑定士にお願いしまして、鑑定評価価格等をとりまして、そして標準地等の価格にその変動が反映されます結果、適正な評価から課税が行われるということになると考えております。
  32. 吉田公一

    吉田(公)委員 ただ、不動産鑑定士が鑑定しようにも、大体価格を決めるのに、幾つかの事例を挙げて、最近の取引事例から不動産鑑定士は国土法による土地の上限価格を決めていたわけですね。  今は監視区域をかなり外しましたから、そういうものはなくなってまいりましたが、バブルのときなんかは、一定以上の金額による売買はだめだということになっているから、売買契約書を添えて各都道府県、区市町村に出した。あなたのところの売買契約は高過ぎますからこれは認められませんよというと、再度協議をして、最高取引価格以下で取引をしなければならない。その最高以下の取引をしなければならない価格を設定したのはだれかというと、不動産鑑定士が、最近における売買事例を勘案して、そして上限価格を設けた。それは国土庁がやっていたわけだ。それは国土法だよね、取引。  まだ大面積については国土法の適用があるというような土地もたくさんありますけれども、いずれにしても、そういう事例がないと価格が出てこない。しかも、固定資産税を取る評価額なんか絶対出てこないね、これは。大臣、自治省じゃないけれども、これは大蔵省だというのだけれども、相続税なんかが発生したときに、路線価がわかっていないんだから相続税のかけようがない。  だから、そういう意味で、建設省側としては、縦割り行政のところだから、大蔵省が相続税をどうかけようと、自治省が固定資産税をどうかけようと、ともかくは建設省としては都市計画法を最優先だから、それはそれでいいのだけれども、そういうことを事前にちゃんと協議をしておかなきゃいけないのではないか、そう思っております。  これ以上質問しても答弁は余り出てこないんでしょう。大体事前の打ち合わせでそういうふうになっているみたいだから、これ以上余り聞かないことにします。  今回の改正によって市街化調整区域内で開発が可能となった地域において、既存の民家の庭先によく農地法適用地域なんというのがあるんだよ、農振法なんだ。つまり、普通は一団の宅地になっているんだけれども、その隅っこの方はまだ農地が残されて、三十坪だの五十坪だの六十坪だなんという農地が残っている。だから、そういうようなところは、庭先農地なんだけれども、もうそれは宅地化するというふうにしていかないと、これはまた農林省だよ、縦割り行政だから。  きょうは農林省は呼んでいないし大蔵省も呼んでいないから、これ以上建設と国土に聞くわけにいかないんだけれども、これは農林省によく言っておいてくれなきゃ。面倒くさいからきょうは農林省は呼ばなかったけれども、庭先農地ぐらいで一々局長に来てもらっては悪いと思ったから呼ばなかったんだけれども、今度は大臣に来てもらって説明してもらわなくちゃいけない。  それから、開発指導要綱によって開発許可を行っている自治体がある。ほとんどの自治体がそうなんだ。私は、この指導要綱、裁量行政というのはだめだということを前から、地方議会当時から言っているんだけれども、法律の拡大解釈をしているわけだよ。都市計画法開発行為にはそんなこと載っていないんだけれども、地方公共団体がそれに上乗せをして開発指導要綱というものをつくって、そして条例でもないんだ、法律ではもちろんない。  そういうことが事実上あるんだけれども、こんな裁量行政や上乗せ行政が、幾ら地方分権とはいいながら、要するに裁量行政でやられているということについて、都市計画法という法律をつくった建設省側からいくとどういう見解をとっておられるのか伺いたい、そう思うのですね。
  33. 風岡典之

    風岡政府参考人 宅地開発等の指導要綱、先生御指摘のように、かなりの市町村でそういったものを制定しております。指導要綱自身は、良好な市街地環境形成に一定の役割という面もあるわけでございますけれども、ただ、法令に定める基準に上乗せしたり、あるいは横出しをするというようなケースもあるわけでございまして、その一部に行き過ぎがあるというのも事実だというふうに思っております。  今回、都市計画法改正におきましては、開発許可を行う場合の技術基準につきまして条例で緩和をしたり、あるいは場合によれば強化をするというようなことができるようにしておりますし、また、敷地の最低規模についてもそういった制限もできるような道も開いているわけでございます。  したがいまして、今、自治体の指導要綱はあるわけでございますけれども、そのうち合理的なものは、そういった条例によってやるというような形にする必要があるのではないか。このような条例の方に移すということによって、指導要綱というある意味では不透明な行政指導というものも排除できます。条例によりまして公平性、透明性というものが高まるわけでございますので、私どもとしましては、自治体において指導要綱で定めております技術基準のうち合理的なものは、指導要綱ではなくて、この改正に基づく条例というような形に移行することが望ましいと考えております。そういった形での周知というものに努めてまいりたいと思います。
  34. 吉田公一

    吉田(公)委員 ぜひそういうきちっとした通達なりを出してもらいたい、そう思っているのですね。  それで、もともと開発許可によりますと、三%の空地を出せ、つまり緑地帯を出せ、こういうことになっている。ところが、その三%に加えて、さらに地方公共団体指導要綱によって三%を加えたり五%を加えたりしている。それも地方公共団体の言いなり。ここへ出せと。設計上、そんなところへ出されたらどうしても設計変更しなきゃならない、そして非常に外観が悪くなるということがわかっていながら、一番いいところを六%とってしまう。  それでは一体その管理はだれがやっているのかというと、これがまたあいまいだ。四十坪か五十坪しかないような、ただ緑地帯をつくれというだけの話だから、とにかく木を植えておく。だれが管理しているんだ。地方公共団体は全然金がないものだから、そんなところまで公園管理はしていないんだ。それで放置したきり。  そういういいかげんなことで、この空地を指導要綱という、何だか知らないけれどもただ三%出せとか六%出せとか、何のためにそんなことをしているのか。ちゃんと緑地帯として管理するから三%出してくれよというのならわかるけれども、管理もほったらかしにしておいて、しまいには、犬が年じゅう夕方散歩するとき、ちょうどいいところだなんていってふんをして帰っちゃう、そんな緑地帯みたいになっている。  こういうのもちゃんと、私有地を取るんだから、人の私有地を取るのに、義務的に取得するのに、指導要綱なんかで、中心線からセットバックして、例えば四百平米の敷地については公道の中心から三メーターとれという。だけれども、隣はわずか百平米しかないんだ。そのときには中心線から三メーターセットバックしなくていい、こういうことになっているんだよ。だから、何のための道路の拡幅だかわかんないんだ。四百平米あるところはセットバックさせられて、隣に敷地があるところは、百平米しかないものだから、おまえのところはセットバックしなくていいよ、こういうちぐはぐな行政指導が行われている。  それから、大幅な改正を行うに当たって、さっき申し上げたように、開発許可の申請手続というのは大変なんだ。こんなだよ、書類が。今どき、裁判記録じゃあるまいし、こんなに書類をどんなんて出すなんという行政はないと思うんだ。だからもう少し簡素化して、そして許可も早くする。  それで、建築基準法による建築確認申請の許可は、あれは鶏の卵と同じで、限界が二十一日だよ。だけれども、今度は、開発許可については行政側の責任は全然ないんだよ。速やかになんて言っているだけだ。だから、開発許可申請を受理したときには、例えば三カ月以内におろさなきゃならないということをちゃんと明記をしてもらいたい。そうでしょう。そうしないと、ちょっと判こが一つ足りないからもう一回やり直せ、ここのところが違うからやり直せ、設計図面が少しおかしいからやり直せ、舗装のやり方がおかしいとか隅切りのとり方がおかしいとか、そんなことを言って一カ月ぐらい平気で延びちゃうんだから。だから、そういうことのないように。だって、もう新幹線だって高速道路だって五分を争って、今度はスピードアップいたしましたなんて、十分ですなんていって新聞にまで報道している時代なんだから、半年も一年もかかって、アフリカへ確認申請を出しているんじゃないんだから。これは頼みますよ、本当に。(発言する者あり)  そうだよ、答えさせなきゃだめだよと言っているから、答えをしなくてもいいことになっていたんだけれども、では、もう一回やってもらおうかな。
  35. 風岡典之

    風岡政府参考人 何点か御指摘をいただきました。  まず、開発指導要綱につきましては、具体的な事例を掲げて、行き過ぎというようなもの、お話がありました。確かに、一部にそういった問題があるということは、先ほど申し上げたとおりです。  建設省は、その行き過ぎ是正という観点につきましては、できるだけ抽象的なやり方ではなくて、具体的にこういうものは行き過ぎになるんだという基準を明示をするとか、あるいは、こういうことを求めた場合には行き過ぎなんだというようなことで、そういう適切な見直しの基準というものをつくっておりまして、これを自治体の方にもお示しをしてきているところであります。  その結果、細かくは省略をさせていただきますけれども、いろいろな分野で行き過ぎの是正というものの改善ということは進んできているのではないか、このように考えておりますが、ただいま先生御指摘いただきました点を含めまして、さらに自治体に対しまして必要な助言あるいは個別のお話をしていきたいと思います。  それからまた、手続の迅速化という御指摘もございました。確かに、その点については事業者にとっても非常に関心事であります。私どもも、今まで標準処理期間という考え方を打ち出して、書類を受け取るまでに事前審査というのがありますけれども、事前審査の期間も三カ月以内にしようとか、あるいは、書類を出していただいてからも原則的には一カ月以内で処理をしようとかいうような形で、標準的な処理期間というのを設けるようにやってきております。この点につきましても、自治体等においてもそういったものを採用しているということでありますが、まだまだ長い期間というのをとっているところもありますので、その点につきましては、短縮化について自治体とも十分話し合っていきたい。  それから、書類につきましても非常に分厚い書類があると。自治体の権限でありますけれども、書類を持ってきてもらいまして私も見せてもらいました。もちろん、開発規模によって書類の厚さもいろいろ違うわけでございますけれども、これにつきましては、必要以上に添付書類を義務づけないとか、あるいは、事前審査のときに出した書類はもう本審査では要らないじゃないかとか、そういった問題提起もあります。  国の規制緩和の三カ年計画におきましても、実態を調べる、そしてまた、それに対する対策を講ずるということを十二年度にやるという方針を示しておりますので、御指摘の点も踏まえまして、書類の簡素化につきましても努力をしてまいりたいと思います。
  36. 吉田公一

    吉田(公)委員 それから、これはある公共団体の指導要綱なんだけれども、この指導要綱に、道路の拡幅、こう書いてある。四百平米、わずか四百平米だよ。それに、道路法それから区、市有通路条例という管理している道を拡幅する、区へ無償譲渡、それからその部分は建築敷から除く、道路にはとられるし建築面積からは引かれちまうし、例えば三百平米の土地をやろうと思えば、仮に道路に二十平米をとられちゃう、セットバックしちゃう。そうすると、三百平米じゃなくて二百八十平米の敷地にされちゃうんだよ。先行取得しちゃって、それは道路だから、おまえのところの建ぺい率には入らないぞと。したがって、三百平米自分の敷地を持っているんだけれども、二十平米を道路にとられちゃうと、二百八十平米の敷地で建築設計をしなきゃいけない。こんなことを、道路にはとられちまうわ、建ぺい率は割かれちゃう、これでは追いはぎみたいな話だよ。だから、ぜひこういうことのないようにちゃんとしてくれなきゃ困る、そう思っています。  わずか四百平米で開発指導要綱が行われている。それで、六メーターの道路を抜いて、三メーターの隅切りを抜いて、側溝を入れて、それじゃ売る土地なんかありゃしないじゃないの、四百平米で六メーターもとられちゃったんじゃ。六メーター道路だから、必ず三メーター隅切りをとらなきゃいけないわな。そして今度は、曲がってくるところはまた三メーター隅切りをとらなきゃいけない。そうすると、四百平米の土地のうち百五十平米ぐらいがこの道路と隅切りでとられちゃうんだ。そうすると、残った残地に建物を仮に売るとすれば、買い主にそれらが全部かかってくるわけだから、こういう、優良な宅地の提供のためになんという文言だけでこういうことをするなんということはおかしい、そう思っていますから、ぜひ通達でちゃんと、きちっとやってもらいたい、そう思っています。  それから、この間は十五分早くやめたけれども、今度は時間が足りないので。時と場合によってはそうなるかもしれませんが。  それから、東京のような密集地域、区画整理事地域というのはまだある。これは、戦後は耕地整理というのを先に行ったんだよ。農地が多いから耕地整理をやった。今度は、その耕地整理が終わったら区画整理事業が始まった。それで、区画整理事業が始まったんだから、ちゃんと五年なり十年でやってくれればいいんだけれども、例によって、法律改正と同じで四十年間もほったらかしておいて、今度は鉄道を通そうと思ったら、おまえ、区画整理事区域の中に入っているじゃないか、こういうことになった。その都市計画道路というのは前期と後期に分けたわけだよ。いつになってつくるかわからない、もう何十年間かかってもできない。大正時代に都市計画決定したっていまだに開通していないんだから。だから、それでは私権を制限しているから困るというので、前期と後期に仕分けをした。そうすると、後期に入っている都市計画道路なんていつできるかわからない。二十二世紀になっちゃうかもしれない。そういうことだってあるから分けた。  ところが、区画整理事業の中に都市計画道路が入っているということは、通過道路だよ。その通過道路を近所の人が減歩によって出せ、こういうことになっている。だけど、四十年間も区画整理事業をほったらかしておいて、それで地下鉄を入れようと思ったら、今度は、二重投資になるから都市計画道路の下へ地下鉄を入れろというわけだ。だから、二百三十号線という、そんなこと言ったってしようがないな。都市計画道路を買収して、その後に、その下に地下鉄を入れなさい、だけれども、その都市計画道路は区画整理事業によって減歩をしなさいと。区画整理事業の基本は、御承知のとおり減歩と清算だよ。だけれども、そんなことを、都市計画道路の通過道路を減歩でやらせるなんという話は酷な話なんだ。  だから、そういうように四十年も三十年もほったらかしておいて、地方都市なら、まだ空地があって、区画整理事業をやることによってそれはきちっと町並みも広がる、そして乱開発を防げるということはいいんだけれども、もう密集地帯になっちゃって、そんなところをいまだに区画整理事業をやろうなんて言っていることはもう無理な話。だから、都市計画決定をして通過道路は減歩をしなくてもいいというようにしないと、こんなもの、区画整理事業というのは、御承知のとおり、換地をやったりなんかして、それが終わるまでは売買できないんだ、どこへ移るかわかんないんだから。局長の隅に住んでいた人がこっちに来ちゃうかもしれないんだから。こっちにいた人がそっちに行っちゃうかもしれないんだから、換地が終わるまでは。そういうように、区画整理事区域内の住民にとっては非常に不安要素が多い。  うまくいったって十五年だから。住民の反対があったら、まずそれこそ五十年できないよ、そんなものは。そうすると、都市交通だとか都市道路というのは五十年たたないとできないということになりますから、東京の区画整理事業については再検討してもらわなければ困る。もし結論が出なければ、この次もう一回、十九日、続きをやらせていただきますから、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
  37. 大口善徳

  38. 松本和那

    ○松本(和)委員 今回の都市計画の大改正は、もう先輩諸氏からお話ございましたように、昭和四十三年、平成四年、十一年、そして今回、時代の流れに乗って大きくまちづくりも変わってきましたし、これから成熟した都市社会というものをつくっていくということでの、地方分権ともあわせて、その基本となる改正だというふうに認識しておりますが、そういう中で若干、ちょっとわからぬ面がありますので、御質問申し上げたいと思います。  まず第一点目ですが、特定用途制限地域というのがございますけれども、これは簡単に言えば、都道府県線引きをしないという決定をした場合に、市町村でもって独自に判断をして決めていくということなので、かなり自由裁量があって、大変画期的なことだろうと思います。まさに分権を地でいくような考え方なので、これは大変すばらしいというふうに思います。  しかし、その中で、今まで都道府県に対し、市町村に対し、国が相当いろいろな意味でもって関与して、いろいろ指導をして、関与と言うとあれかもしれませんから、指導をしながら進めてきた都市計画行政ですから、この都道府県市町村の調整で、県においても、市町村に一〇〇%全部任せ切って大丈夫なのかという、ちょっとそういった点が考えられますので、その辺についてひとつお尋ねしたいと思います。
  39. 山本正堯

    山本政府参考人 先生今御指摘の、特定用途制限地域でございますけれども、これも市町村が定める、こういうことになっておりますが、都道府県に協議をして、その同意を得て都市計画用途を定める、こういうことになってございます。  先ほどからお話がございましたように、まちづくり都市計画というのは、基本的には一番住民に密接に近い市町村が定める、主体になる、こういうことでございます。その際、国全体のまちづくりというような点につきましてどうあるべきかということについても、国としても大変関心があり、それについて市町村との関係をどうしていくか、こういうことであろうかと思います。  まちづくりについての基本的な考え方、例えば都道府県マスタープラン等であり方をきちっと書くといったようなことでありますとか、指針をちゃんとするということでありますとか、あるいは市町村に対しまして十分な助言、技術的支援を行うといったような点について、十分市町村都道府県と連携をとりながらまちづくりを進めていく必要があるというふうに考えております。
  40. 松本和那

    ○松本(和)委員 そういった指導がされればよろしいのですけれども。  実は、市街化調整区域ではこの適用はないというふうに聞いておりますけれども、私どもの千葉県で、ちょうど今から十数年前、リゾート法が全国で雨後のタケノコのように大はやりではやった時代がありました。物の見事にバブルで消えてしまったのですが、今でも、そのとき白地地区というのがあるのですよ、計画されていない。千葉県のように、東京から房総の先端までわずか八十キロしかない、そういう中で、交通の便もいい。あの当時、この白地区というのは非常に貴重な民間ディベロッパーのもうけの材料になっていた。隣ではもう市街化区域形成されていますからいろいろな規制をされますけれども、白においては四〇〇%の容積率、ですから、これは都心部の商業地区みたいなものです。そういう中でマンション、リゾートマンションがどんどん建てられて、早い話が乱開発となる。市街化区域設定しているところがうらやましかったのですけれども、そういう事例があった。  そんなことで、これが市街化調整区域へ適用されないということになってくると、この地区でも、今でも地区計画設定とかいろいろあるわけですから、この辺を、一つ要望ですけれども、やはりきちっととらえておいてもらいたいというふうに思います。  同時に、もう一つ、この問題とは違うのですけれども、たまたま用途地域制限がありましたのでお尋ねするのですけれども、工専、工業専用地域都市部の工専の中で、今経済が悪いから工場がどんどんやめたり移転をしたりして、大きな工場用地がどんどん今、再活用されればいいのですが、されようとしていてもやはり工専地区の中にあるものですから、この用途地域の問題上にあって、町の一つのネックになってしまうというような地区がございます。  例えば、私どもの市で、松戸市で例をとって恐縮ですが、北松戸という常磐線のすぐ後ろに競輪場がございまして、競輪場は昭和三十年代に市の収益を確保するためにつくったのですが、その後に駅前に北松戸工業団地という二十ヘクタールぐらいの工業団地ができておる。そして、その後ろに今度昭和三十年、都市計画法ができる前に、耕地整理みたいな形で、区画整理じゃないですよ、二十坪ぐらいの土地に家が連なって、一丁目から九丁目まで三千世帯ぐらい住宅地ができた。やがて二十年もすると、巨大なスプロール市街地になるのじゃないかというふうに思うのですが、そのためにもこの工業団地の中のいろいろな活用、出てきているところもあるのです。ところが、今全く市の計画にのっとらずにいろいろなものが建てられているのですが、こういった地区の工業専用地区、こういったものをもっと土地利用を前向きにつくって、せっかくここまで法律を変えたわけですから用途変更すべきだと思うのですが、この辺の考え方というのはどうなんでしょうか。
  41. 山本正堯

    山本政府参考人 先生の今御指摘のような都心部の工業地帯の土地利用転換を促進するということは、まちづくり観点からも、あるいはまた雇用創出とか、あるいは産業の点からも大変重要な視点であるというふうに思っております。私どもとしても、工場跡地の有効利用、特に工業専用地域についての、今後どうしていくかという点でございますけれども、通達を出したりそういうことで指導をさせていただいているところでございます。  例えば、工業専用地域についても、後の用途、後の計画がはっきりしておるといったようなものにつきましては用途地域変更を促進する、あるいは再開発地区計画でありますとか用途規制の特例許可を活用して、そういう格好で新たな店舗、マンション等々への再活用を図っていくといったような点でありますとか、あるいはまた、再開発地区計画運用を改善することによりまして、開発計画が定まっていないといったような場合でも土地利用を円滑に転換を図っていこうということで、用途変更先導型再開発地区計画というのを、去年そういう制度創設いたしまして、その活用を図っておるところでございます。  国、地方公共団体土地の所有者等が協議をいたしまして、用途地域変更前に用途変更の実質的に宣言をいたしまして事業の推進を図っていこう、用途変更の手続をとる前に特例の許可でやっていこうといったような新たな制度創設いたしましたり、あるいはまた、国、地方公共団体等の協議会を設けて、あるいはまた、各種事業等の活用を図っていくといったようなことについて、そういう制度の活用について都道府県市町村に要請をし、通達をさせていただいたところでございます。  また、今回の改正につきましても、公共団体が条例で定めれば、地権者等が再開発地区計画について、その内容を都市計画決定権者に対して申し出ることができるというようなことにしたわけでございまして、そういうようなことによりまして、地権者の意向を十分に踏まえた土地利用の転換が早期に実現が図られるように、可能になったというふうに考えておるところでございます。こういう制度を活用いたしまして、公共団体と地権者が協力して工場跡地の土地利用転換を早急に進めるといったようなことを、今後とも要請して、指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  42. 松本和那

    ○松本(和)委員 はい、わかりました。  次に、やはり改正の中に、準都市計画区域というのがあるのですが、いろいろ読んでみて理解しているのですが、ちょっとよくわからない。理解力がないのかもしれませんけれども。これを見ますと、都市計画区域外環境にそぐわない開発計画が起きた場合、乱開発のおそれがあるということで、市町村の権限でもって都市計画区域に準ずる土地利用ができるというふうに規定されているのですが、簡単に言いますと、それならば何も都市計画区域を拡大したらいいじゃないかというふうに私は思うのですが、その辺をちょっと、何がポイントでこういったあれが出てきたのか。
  43. 山本正堯

    山本政府参考人 準都市計画区域につきましては、都市計画区域の外でこういう制度を、区域を定めようということでございますが、そもそも都市計画区域というものは、当該その区域を一体的に、一体の都市として総合的に整備、開発、保全するという場合に都市計画区域を定める。その中では、道路、公園等の都市施設でありますとか、区画整理事業でありますとか、そういう事業を行うというような区域でございます。  一方、都市計画区域の外で定めます準都市計画区域といいますのは、無秩序な用途の混乱を防止しようということでございまして、都市計画区域の外で、都市計画区域より随分離れて、例えばインターチェンジ周辺に開発が行われる、あるいは小さな集落があるといったようなところにつきましては、事業を行って、道路とかそういうようなものを積極的に行って開発しようというようなところではないけれども、そういう土地利用を、無秩序な開発をきちっと整序しようというようなところについて準都市計画区域ということで定めて、そういう支障のあるようなものについて、即地的な必要性から土地利用を行おう、整序を行おうというような区域でございます。
  44. 松本和那

    ○松本(和)委員 そういうあれですか。それは結構だと思うのですが、その地域に指定したということによって、市街地から離れている、しかし世の中というのは目のさとい人がいて、やはりその地域を先行投資して、いろいろ投資しておこうというようなことも、過去の調整区域のあり方を見ていても、完全に調整区域じゃなかったわけですから、そんなことも起こり得るのじゃないかという心配も、これは杞憂に終わればいいわけですけれども、考えておりますので、その辺の調整というのは、これからいろいろ進めていかなければわからぬことでありますけれども、一応心配があったものですから、素人考えで、市街化区域の延長や何かでやれば済むのかなと思っていましたけれども、それはそれでいいですわ。  それから、この地域計画と全く関係ないわけじゃありませんけれども、広域で調整をしていくというのが、これからの地方分権、そしてまた小渕内閣でも、地域戦略プランなんというのは、これは広域市町村でとらえているわけですから、そういったいわゆるまちづくりそれから地域調整というのは、非常にこれから大事になってくるわけです。  先ほど宮路議員の質問の中にもごみの焼却場問題が出ておりましたが、ごみの焼却場とか、あるいはこれから始まる立地法による大型店の出店とか、今でもいろいろ問題になっている施設等があるわけですが、こういった広域調整についてやはり、市に全部任せるというのは今回の大筋でのこの法の考え方でありますけれども、やはり当然、これは県がある程度この広域については、いろいろな考え方といいますか、基本的な部分というのはまだ県が持っているのだろうと思いますので、これからはどうしても、そういった広域についていろいろ考えていかなければならぬ問題というのはたくさんあるのですけれども、この辺についてのとらえ方というのは、どういうふうに。
  45. 山本正堯

    山本政府参考人 先生御案内のとおり、都市計画決定役割分担でございますけれども、基本は、まちづくりの主体である市町村が主体でございます。住民に身近な都市計画については市町村、ただ、市町村の範囲を超えるような広域的な、根幹的な都市計画については都道府県がそれぞれ決めるということでございますが、お互いに連携を図りつつ、総合的、一体的に決めていくということが基本でございます。  そういう場合に、先生先ほどもお話がございましたように、いろいろな点で、市町村決定する都市計画につきましても、広域調整が非常に必要な場合が出てまいります。そういう市町村決定する都市計画につきましても、原則として、広域調整等の観点から都道府県と協議をし、その同意を得なければならぬ、こういうふうになっておるわけでございます。こういう観点から、県と市町村とが十分調整を図りながらやっていくということであろうかと思います。  さらに、今回の改正でお願いをしておりますところに、都道府県都市計画マスタープランという制度をお願いしておりますが、そういう都道府県都市計画マスタープランの中に、そういう観点、十分広域的な観点も踏まえて、いろいろ都市計画決定する必要がある。基本方針、そういうようなことも書いて、その活用を図っていきたいというふうに考えておるところでございます。その実効性が高まるように、私ども国としましても、公共団体の自主性が損なわれない範囲内で、必要な技術的助言、要請等を積極的にやっていきたいというふうに考えておるところでございます。
  46. 松本和那

    ○松本(和)委員 今まで都市計画の中には、こういった環境問題とかあるいは健康問題とか、そういうものについてのいわゆる市民の不安に対応できるような形というのは、ほとんどなかったわけですよ。それを中心に据えて都市計画をするということはなかった。  しかし、分権型の、これから成熟した都市社会というものをつくっていくには、やはり、今問題になっている環境とかあるいは雇用、雇用まで含めて住宅政策、こういうものまできちっとして、未来型の住宅政策まで含めて、総合的な計画としてやっていかなければならぬ。  そのために、今、市街地からちょっと外れた地域の準都市計画区域というのは、広域にわたって関与してくるはずなんですね、離れていますから。ですから、そうなると、今言ったそういった問題というのは非常にいろいろ、この扱いというのは非常に大事になってくるので、やはり広域市町村でもこの問題について、かなり県からも指導して考えさせていく、このことが非常に大事だというふうに思いますので、この制度運用について、一つその辺の要望を申し上げておきたいと思います。  次に、やはりこの中でもって、容積率の移転という改正問題があります。商業地区における特例容積率適用区域制度というのが実際にありますけれども、ちょっと見ましたら、これは私も日ごろ考えている容積率、この前も一般質問で行いましたけれども、容積率に随分私はこだわっているんです。実は、先般も申し上げましたけれども、これからの都心部のまちづくりというのは、本当に容積率を十二分に使いこなして、中心部というのは分譲住宅じゃなくて賃貸住宅に移行するような形で、広いスペースの住宅をもってやはり居住生活の質の向上を図っていかなきゃならぬというふうに思っておるんです。  この容積率の移転、一定の地域の中に四〇〇%のものが二つ以上あった場合、片方は一〇〇%しか使っていなかったら、そのうちの三〇〇%をこっちに持ってきて七〇〇%にするという考え方なので、これは大変いいと思うんです。では、その基本になる一〇〇%というのは、これでは建物と書いてありますけれども、何を想定してこういった形にしたのか、そこはいま一つわからぬので、ちょっとこの辺の説明をしてほしい。
  47. 山本正堯

    山本政府参考人 特例容積率適用区域制度でございますけれども、これはもう先生御案内のとおり、道路とか下水道等の基盤施設が十分に整備されている都心部の一定の区域に限って、土地の一層の有効高度利用を推進するために、建築行為の自由度を生かしながらも、未利用の容積を他の敷地で有効に活用できる、全体の地域として、地区として未利用の容積を最大限活用していこうという趣旨制度でございます。  例えば、今先生からお話ありましたように、歴史的な建造物といったようなものが、個別の事情で高度利用を図れないといったような敷地が高度利用を図るべき地域にある、そういったようなときに、かつ、その未利用の容積を活用して地区全体の高度利用を図ることが区域全体の土地利用としても望ましいといったような場合につきましては、そういう要件、あるいはまた用途地域の中で特に商業地域区域内であるといったような点、あるいは道路、公園、下水道の基盤施設が十分に整備されているといったような区域要件もあわせて、そういう要件に該当する場合には、特例容積率適用区域制度ということで容積率の有効活用を図っていこうということでございます。  先生今おっしゃいましたように、例えば、区域全体としては四〇〇%である、ただ、一つの敷地が、先ほど申し上げましたように、歴史的な建造物、あるいはまた高いものが、お寺でありますとか、そういうようなものが将来にわたって余り建つことが見込めない、むしろそれを保存する必要があるといったようなところについては、その容積をその区域の中で適切な敷地について使うことができる、こういう制度でございます。
  48. 松本和那

    ○松本(和)委員 では、歴史的な建造物がないとこの法律は使えないんですか。
  49. 山本正堯

    山本政府参考人 一つの例ということで今申し上げさせていただいたわけでございます。個別のそれぞれの敷地が、今申し上げましたように高度利用を図れない、あるいは図ることがかえって適切ではないというような敷地がその中に一つあるということについて、その未利用の容積を別の敷地として活用しようということでございます。具体的な要件あるいは運用等については、今後さらに詰めていく必要があるというふうに考えております。
  50. 松本和那

    ○松本(和)委員 今後考えていかれるということなんですが、ぜひお願いしたいのは、こういった成熟型の都市社会をつくるということになれば、もう街区を、例えば街区計画になると、公道を挟んで四十メーターか五十メーターぐらいの街区から始まって、コンパクトな形で商業地区のまずまちづくり。その中に、例えば高層にして容積率、今言ったように売買もあるでしょうけれども、計画的にやって、残った地域にコミュニティー、いわゆる歴史的なこともあるでしょうけれども、公共施設などをコンパクトに配置してまちづくりをしていくことが非常に大事じゃないかと思う。たまたま私はそういうふうにこれを解釈したら、今言ったように歴史的な建造物が先に出てきたものですから。将来はそういった形でやはり容積率の移転というのを使っていかないと、中には、やはり頭のいい人がいて、その容積を買ってこっちに、それを加算して七〇〇%使えれば相当おもしろい建築物というよりも収益の上がる建物ができるわけですから。  しかし、そのときに容積率で一番困るのは、自治体が、社会費用がかかり過ぎて、まだ公共施設投資をしなきゃならないという名目があるので、私は、容積率をこういうふうに使用した場合には、これは今インフラがきちっと整備された地区にやるようでありますけれども、将来、街区計画なんかをやった場合にその容積率を負担させればいい、開発負担金みたいな形で。これは十分成り立つわけですよ。今までの高度成長時代にやってきた宅地造成の開発負担金というのはかなり厳しいものであって、ですから、どうしても住宅価格に転嫁して業者はやってきたんですが、こういうことではなくて、まちづくり法律で容積を使って、立派に開発負担金というのは出しても合うんだ、そしていいまちづくりができるという考え方になればいいんだろうと思いますので、ぜひひとつ考えていただきたいと思います。  最後に、建設省がいろいろな形でもってここ二、三年地方に道具をどんどんおろしてきている、地方分権ですから、大変いいことだと思います。しかし、道具をもらった方は、片方で金と人がありません。お金というのは財源、当然、今補助金制度でやっていますから。そしてまた人、大事な人、これを行う人も、今まで全部指導でやっていましたから、自主的に都市計画の総合設計をしてまちづくりをやるなんというところまで気がなかなか回らないわけでありますね。そういう中で、例えば、先般、この六月から大店法が立地法というのに変わりまして、大店法の規制は全部市町村考え方の中で、まちづくりの中でとらえていくということなんです。  ところが、簡単に言いますと、商業地区で大店法をやろうと思うと駐車場は大体二百六十台ぐらいあればたくさんだ、しかし郊外へ出ていきますと千四百五十台ぐらい必要になる、もう実質的に郊外でこういった店づくりをやろうなんということはできないわけです。加えて、まちづくり三法というのがあって、大店法、立地法でもって自動車でいえばアクセルを踏んで、そして建設省改正都市計画法でもって、ナビゲーターじゃありませんけれども方向づけをして、最後に中心市街地活性化法でもってブレーキをかけていく、これを市町村にドライバーとして運転しろということなんですね。ところが、運転したことがないです。運転したことがないので、道具を使ったことがないですよ、車を、だからこういう問題が今後出てくる。  恐らくアメリカはまた通商問題でがんがん言ってくるんでしょうけれども、建設省の非常に頭のいい人なんだか通産省だかわかりませんけれども、この改正都市計画法というのは、残念ながら建設省に関してはアメリカは通商問題として入ってこられないんですよ、通産省には入ってきますけれども。ですから、これはある意味では非常に頭のいい人が考えたなと思って感心しているんです。  事ほどさように、一例を挙げましたけれども、この都市計画改正法というのはいろいろな形でもって道具を入れますけれども、まずそれを使いこなせるのか。地元市町村に、今回質問するのに何か要望はないかと聞きましたら、基本的にこういった要望が来ました。任されたとしてもスムーズに事が運ぶことは今のところ考えられません、このため、国、県において、指導や事例についての全国的な情報を流していただきたいという、これは末端の市町村の要望なんですね。  ですから、今インターネットの時代ですから、いろいろな形でもってこういった情報を集め、流しながらやっていけばいいと思うんですが、この辺について建設省の、市町村に人材育成をするというような形の考え方というのはどういうふうにお考えですか。
  51. 山本正堯

    山本政府参考人 都市計画における市町村役割が大変重要である、あるいはまた、先ほどから申し上げておりますように大変拡大をしてきておる、こういうことでございます。  専門職員の確保でありますとか育成について、執行体制の充実を図っていくということは大変重要であるというふうに思っております。全国の市町村都市計画に携わっておられる方、一人あるいはまた二人といったようなところが過半でございます。そういう執行体制の非常に充実を図っていくということであります。  私ども国としましても、先ほど先生がおっしゃいましたような知識普及に努めていくというようなことも、今回、責務規定で入れさせていただいておりますし、国としても、そういうふうな優良事例でありますとか、都市計画実務に精通した人材に関する情報の提供とか、そういったようなことも十分やっていきたいというふうに思っておるところでございます。  市町村を支援する体制の整備に積極的に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  52. 松本和那

    ○松本(和)委員 ぜひそういう形で支援をお願いしたいと思います。  要するに、これからの時代というのは組織もIQ、知能指数を要求される時代ですから、市町村も、市町村IQみたいな形でもって、かなり知能が要求される時代になってくるというふうに私は思います。かなり市町村によって差がついている、そのトップの考え方や企画力で。  ですから、ぜひ、今おっしゃったように、都市計画の専門家の派遣制度みたいなものを国のレベルで、法令は任せたんだけれども、支援体制としてそういったような制度をもう片方に、地方分権において、今の補助金体制というのを自主財源ができるような形にしなければなりませんけれども、なかなかそっちの方は進みません。ここで申し上げても仕方がないので、ぜひ専門家の派遣制度のようなものを考えて、国の知恵をどんどん地方にひとつ与えていただきたい。このことが、やはり新しい成熟社会の、都市社会の建設に、この改正基本法にのっとった形のまちづくりがスムーズにできていくのではないかという気がしますので、それを最後に御要望申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  53. 大口善徳

    大口委員長 上田勇君。
  54. 上田勇

    ○上田(勇)委員 公明党・改革クラブの上田でございます。  きょうは、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律案につきまして何点か質問させていただきますが、その前に、ちょっと本法案とは直接関係ございませんが、公共事業に関する問題につきまして、公共事業を所管する最大の官庁でもあります建設省に、最近いろいろな話題になっております景気対策としての公共事業の効果をめぐる論議につきまして、若干御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。  近年、多くの専門家が、公共事業の乗数効果、経済波及効果が減少しており、景気対策としての公共事業の有効性が低下しているというようなことを指摘しております。また、公共事業による雇用の創出が今後余り期待できないということから、雇用の拡大の面も考え合わせれば、景気対策としては、公共事業よりも福祉教育部門等への支出の方が効果が大きいというようなことが、新聞等のいろいろなところで専門家の意見が示されているわけでありますが、こうした意見に対しまして建設省としてどのようにお考えなのか、ひとつ政務次官の御見解を伺いたいというふうに思います。
  55. 加藤卓二

    加藤政務次官 景気対策として、公共事業よりも福祉部門への支出の方が効果が大きいのではないかというお尋ねでありますが、社会保障を短期的な景気対策として用いることの疑問もありますが、公共事業は、効果の大きさ、波及の広さ、即効性などにおいてすぐれた経済効果を有するものであり、社会保障よりも経済対策として有効なものと考えております。  次に、具体的には、さまざまな産業部門の生産を誘発する効果の比較では、総務庁の産業連関表によると公共事業は社会保障を大きく上回っておりまして、建設部門以外の産業の分野に広く波及効果が及ぶことがその特徴でございます。  なお、公共事業の経済波及効果が低下しているのではないかという点については、GDPを押し上げるいわゆる乗数効果は、経済企画庁の経済モデルの中では、過去の数値と比較して大きな変化はないとしていると承知しております。就業を誘発する効果は労働集約的な社会保障の方が高くなっていますが、社会保障は誘発する分野が偏っておりますし、しかも福祉の業務への適性が求められるということから、実態的にどれだけ就業者を吸収できるかという懸念もあるわけでございます。  また、公共事業には、社会資本の整備により経済活動の効率性を向上させるストックの効果があります。  いずれも、公共事業は総じて社会保障よりも経済政策として有効なものと考えておりますが、将来は少し変わってくるというような気もいたしますが、今の現状の中では、まだ即効性があり、波及度が高いというふうに認識しております。
  56. 上田勇

    ○上田(勇)委員 ありがとうございます。  私も、いろいろな分析や社会の変化はあるものの、やはり公共事業によるフローの面での経済効果が依然として相当大きいということについては同感でございます。しかし、これから限られた財源をいかに有効に利用していくかということになれば、その中でも最大限の効果を発現させていくということが重要になってくるというふうに思うわけでありまして、公共事業の内容の吟味がこれまで以上に重要になってくるというふうに考えております。  我が国では、公共交通施設、下水道など、都市インフラのストックが依然として相当不足しているのが現状であるというふうに認識しておりますが、これから効果的に公共事業の執行をしていく、それによる経済効果を最大限にしていくためには、これまでよりも都市基盤の整備等に重点をもっと移した内容としていく必要があるというふうに私自身は考えておりますけれども、それについての次官の見解をいただきたいと思います。
  57. 加藤卓二

    加藤政務次官 都市部門への重点投資についてお尋ねがございましたが、公共事業は、国民の豊かさを実感できる社会の実現を目指して、それぞれの地域の社会資本の整備状況等を勘案しつつ、地域のニーズに対応して行っていく必要があります。  特に、都市部においては面的整備事業、渋滞対策、防災対策等を進める必要があります。平成十二年度建設省関係予算においては、例えば都市再生推進事業の創設、踏切道の改良の推進、三大都市圏の環状道路の整備等の推進、防災公園の整備促進と防災機能の強化、密集住宅市街地の整備等に重点的な投資を行うことにしております。
  58. 上田勇

    ○上田(勇)委員 ありがとうございました。  それでは、ちょっと法案の内容の方に移らせていただきますが、若干御通告させていただいたものと順番を変えさせていただきますけれども、ひとつ御了承をいただきたいというふうに思います。  まず最初に、先ほどからほかの委員の方からも御質問がありますけれども、今回の法案の中で設けられております特例容積率適用区域制度につきまして御質問させていただきますが、私は、同制度中心市街地土地有効利用や再開発の促進等のために理解をできるものではありますけれども、改めまして、この制度創設する必要性、また区域指定の基準、また具体的にどのような地域を想定されているのか、そのあたりを御説明いただければというふうに思います。
  59. 山本正堯

    山本政府参考人 特例容積率適用区域制度でございますが、先ほども申し上げましたように、この制度は、道路とか鉄道とか下水道とかといったような基盤施設が十分に整備されておるような都心部等の一定の区域、商業地域等の一定の区域に限りまして、土地の一層の有効高度利用を図ろうというために、建築行為の自由度といいますか、そういうようなものを生かしながら、未利用の容積を他の敷地で有効に活用していく、全体の区域として高度利用を図っていこうという趣旨で設けられたものでございます。  この具体的な指定基準でございますが、一つは、用途地域の中で特に高度利用が想定され、かつ日影規制も適用されない、いわゆる商業地域内の区域ということが要件の一つでございます。  それからもう一つは、先ほども申し上げましたように、道路、公園、下水道等の基盤施設が十分に整備された区域であって、指定された容積率を区域全体で限度いっぱい使用しても交通渋滞といったような問題が生じないといったような、基盤施設が十分に備わった区域であるということが要件の二つ目であります。  それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、個別の敷地の事情によりまして高度利用を図れない、あるいはまた高度利用を図ることが適切とは言えないといったような敷地がその区域の中にある場合に、かつ、その未利用容積を活用して地区全体の高度利用を図ることがその区域全体の土地利用としても望ましいといったようなこと、こういうような基準を設けまして、その基準に該当する地域につきましてこの特例容積率適用区域を指定しよう、こういうことでございます。  この趣旨については、法律規定に加えまして、私ども、技術的助言といったようなことによりまして、制度運用する地方公共団体に積極的に示していきたいというふうに考えておるところでございます。  例えば具体的に、先ほども申し上げましたように、東京とか大阪とかの大変商業地域で、道路が整備されておるといったようなところ、例えば丸の内とか八重洲とかいったようなところで、歴史的な建物とかそういうようなものがあって、そこを建てかえて高い建物にするよりはそれを保存しておいた方がいいといったような例がありますれば、そういうようなところについてはその容積率を同じ区域の中で別の敷地に使える、こういうことでございます。その際には、特定行政庁がそれぞれの敷地の容積率の指定がえをきちっとする、こういうことでございます。  さらに、その新たな容積率を付加するといったようなところにつきましては、交通上、安全上、防火上、衛生上等の配慮もきちっと見た上で、そういうところについて容積率の上乗せをする、こういうことでございます。
  60. 上田勇

    ○上田(勇)委員 この制度が導入されてきますと、容積率が、いわゆる空中権というふうにも言われておりますけれども、売買等により移転されるというようなケースが想定されてくるというふうに思います。  そうすると、例えば、空中権が移転されている土地を売買されて、買った人が、買ってみたら、実は予定していた容積率がもう既にどこかに移転をしていて、思ったとおりの建物が建てられないというような事態が起きる可能性も懸念されるのではないかというふうに思うんです。  こうした容積率が移転している敷地を購入する者に、そうした空中権が売買、売られていたり、移転していたりというようなことを、正確にそういう情報が伝わるようなことが必要不可欠なんだというふうに思うんですけれども、これは本当にそういうような情報が、今回の法案で定められている措置で十分に適用されるのかどうか。  また、地下権や地上権といった設定にかかわる措置はいろいろとあるわけでありますが、そういったことも考慮して、登記等に記載するなどの措置が必要なのではないかというふうに思いますけれども、その辺についての御見解を伺えればというふうに思います。
  61. 加藤卓二

    加藤政務次官 特例容積率の指定にかかわる土地取引の安全性の確保についてお尋ねがございました。  上田先生のおっしゃるとおり、これは本当に大事なことで、気がつかずに買ってみたら、もう容積は移転しているので建物は建てられないんだ、こんなようなことがないようにしなきゃいかぬという御心配はそのとおりです。  本制度においては、特例行政庁が特定容積率やその敷地の位置等を公告し、縦覧に供することを法律上定めており、さらに宅地建物取引業法に基づく重要事項説明の対象に加えていくことを予定しております。こうした措置により、該当敷地を購入しようとする者を含め、だれでも知り得る状態にすることができ、不動産取引の安全は確保されるものと考えております。  なお、本制度と不動産登記制度の連携について解決すべき課題も多いことから、それぞれの制度の相違を踏まえた上で、引き続き十分な検討を加えてまいりたいと考えております。
  62. 上田勇

    ○上田(勇)委員 今、次官の御答弁がありましたけれども、不動産取引に従事する事業者の方々から伺った中では、やはり空中権の移転が、活用が活発になってくると、中心市街地の非常に貴重な土地の取引に混乱が生じるのではないかというような懸念を持っている方も多くおられるわけであります。  そうしたことが、今回の法案の中でもいろいろな措置が講じられておりますし、今、重要事項説明に加えていただくということでありましたので、いろいろな手だてはされているということでありますが、ぜひ、そうした混乱が生じないように、今後、さまざまな形でこの制度趣旨の徹底や広報などに努めていただきたいというふうに御要望を申し上げます。  それで、次に、今回の本法案の改正で、市街化調整区域における開発行為を追加しております。これは、先ほどこの点についても質問に出ておりましたけれども、都市計画法の三十四条八号の三の関係であります。  この要件、先ほどの答弁にもあったんですけれども、そうした要件であるとすれば、なぜここを依然として市街化調整区域として残す必要があるのだろうか。むしろ、こういう要件を課しているのであれば、当該地域市街化区域に編入した上で、用途地域の指定等により計画的な土地利用を図っていくという方が適切な対応なのではないかというふうに思いますが、今回、なぜこういうような内容とされたのか、理由を御説明いただければというふうに思います。
  63. 山本正堯

    山本政府参考人 先生御案内のとおり、市街化区域といいますのは、既に市街地形成している区域と、おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域であります。市街化調整区域というのは市街化を抑制すべき区域、こういうことで分けられておるわけでございます。  地方公共団体当該区域や周辺の状況等を勘案いたしまして、かつ、道路とか下水道等の都市施設整備や市街地開発事業等によって積極的に整備、開発を行おうとする場合には、市街化調整区域土地市街化区域に編入して市街化区域として整備していく、こういうことであろうかと思います。  一方、今私どもが改正部分でやっております、市街化区域に近接、隣接しておるといったような、そういうところで建物が連檐する地域というものにつきましては、あくまでも都市全体から見て、先ほどのような用途を適正に配分する必要性は薄いということで、市街地開発事業等によって積極的な整備、開発を行うまでの必要性は現在のところないといったような地域。ただ、その調整区域の中でも一定の開発はやりたい、やるというような地域であるということでございますので、これらの地域市街化区域に編入するということになりますと、例えば、営農をやりたいというような方についての営農条件の確保でありますとか、あるいは税負担の観点から農業を営む方等、地域住民の理解あるいは合意というのが場合によっては得られにくい面ももちろんございますし、それを市街化調整区域から市街化区域に編入をするといったようなことは現実的でないという場合も大変多いだろうというふうに思っております。  こういう場合には、市街化調整区域であっても、今申し上げましたような一定の条件で、一定の許可を得て一つ一つ開発を行っていくということで、十分な公共施設開発によって整備がされることを確認しながら、それぞれの個別の開発許可で対応していくことが適当ではないかというふうに考えておるところでございます。
  64. 上田勇

    ○上田(勇)委員 済みません、今の答弁で現実の中での気持ちはよく理解できるのですけれども、ちょっと確認をさせていただきたいのですが、そうすると、こういう地域というのはあくまで市街化調整区域なので、ここで行われる開発行為の許可というのは極めて限定的に運用されるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  65. 風岡典之

    風岡政府参考人 市街化区域の隣接、近接地域につきましては、市街化区域と一体的な生活圏を構成している、それからまた、おおむね五十戸以上の建築物が連檐している地域、こういったところを想定しまして、条例で具体的に地域を決めるとかあるいは用途を決めるとかということになりますので、そういった周辺の土地利用に調和するような形というものにつきましては開発可能性はある、こういうように考えております。
  66. 上田勇

    ○上田(勇)委員 何か余計わからなくなったのですけれども、そうすると、では、市街化調整区域というのは市街化を抑制する地域なわけですね。であれば、今の御説明でいうと、やはりそこは市街化区域に編入することの方が適切なやり方ではないかと思うのですけれども、その辺はいかがか。  今の御答弁だと、その地域というのは比較的柔軟に開発行為を許可するという趣旨だったというふうに思うのですけれども、そうであれば、どうも開発を抑制する市街化調整区域に入っているということ自体がちょっと何か矛盾しているような気もするのですけれども、もう一度、ちょっとその辺、確認をしていただけますか。
  67. 風岡典之

    風岡政府参考人 今申し上げましたような隣接、近接地域、これにつきましては、一定の既に五十戸以上の建物が連檐しているというような地域でございます。こういった地域につきましては、例えば市街化区域における公共施設利用可能性というのもあるわけでございます。あるいは、既にそういった施設が建っておりますから、何らかの形で公共的な施設もあるということで、そういう意味で、その辺の周辺の土地利用にふさわしいものについては認めていこうということであります。  市街化区域に入れるということにつきましては、いろいろな判断の問題があるわけでございますが、そこでの決定的な違いは、市街化区域に入れるということは、当該地域について積極的に都市施設あるいは市街地開発事業を実施するということになるわけでございまして、その意味で、調整区域のまま措置を講ずるというのは、既往のものを使いながら周辺のものと調和する範囲で立地を認めていこう、こういったことになるわけでございます。
  68. 上田勇

    ○上田(勇)委員 それはそれで、次にちょっと進ませていただくのですが、先ほども別の委員質問で取り上げられていましたけれども、いわゆる廃棄物処理施設、一般廃棄物産業廃棄物処理施設、これは都市活動にとって、実はないにこしたことはないけれども、どうしても必要な施設であります。その立地が、特に都市部周辺では、市街化調整区域に一見無秩序に立地されていたり、あるいは住民等の反対でその立地自体が困難を来しているケースというのが多く見られるというふうに思います。  そこで、初めに、先ほどちょっと御質問をしました、市街化調整区域内の開発行為の許可対象にこうした廃棄物処理施設というのは該当しているのかどうか、御見解を伺いたいというふうに思います。
  69. 風岡典之

    風岡政府参考人 廃棄物処理施設につきましては、一般廃棄物処理施設というものと産業廃棄物処理施設、こうした二つに大きく分けることができるわけでございますが、一般廃棄物処理施設につきましては、広く一般の用に供する施設、こういうことになっておりますので、都市計画法上は公益上必要な建築物ということになります。したがいまして、開発許可等は不要ということにしております。それによって、市街化調整区域においてそういった一般廃棄物処理施設については立地することが認められている、こういうことになります。  これに対しまして、産業廃棄物処理施設の方でございますけれども、これは都市計画においてその敷地についての位置が決定しているようなケースとか、あるいは建築基準法の五十一条ただし書きによりまして、特定行政庁が都市計画地方審議会の議を経ましてその敷地の位置が都市計画支障がない、こういって認めたものにつきましては、現行都市計画法上の三十四条第十号のロというものの運用に当たりまして開発許可の対象にする、そういう扱いをしているところであります。  それに対しまして、今申し上げましたようなものではない、小規模な産業廃棄物処理施設、これは建築基準法の五十一条ただし書きの対象外の施設、こういうことになるわけでございますが、こういったものにつきましての市街化調整区域立地についてでございますけれども、これは開発許可権者におきまして、特に近年、環境問題等あるいはリサイクルの観点ということで、地域実情に応じてそういった施設が必要かどうかの判断をしていく、個別に都市計画法の三十四条十号ロの対象になるかどうか、これの判断によって場合によると認められる、こういうことになろうかと思います。  なお、今回の改正によりまして、新たに追加をされました市街化調整区域による立地基準におきまして、あらかじめ条例で区域用途とを決める、こういう道も開かれているわけでございまして、開発許可権者が条例で定めるに当たりまして、そういったものの用途を許容するということであれば、産業廃棄物処理施設立地というものも、新しい制度を通じて結果的に立地ができるという可能性も出てくるのではないか、このように思っております。
  70. 上田勇

    ○上田(勇)委員 先ほども申し上げたように、こういう廃棄物処理施設というのは、都市活動にとってはどうしても必要不可欠なものであって、ところがそれをつくるということについては、先ほど迷惑施設というようなお話もありましたけれども、そういうような問題があるわけであります。今、あらかじめそういう施設立地すべき地域あるいは用途を指定しておくというようなことも可能であるということでございましたけれども、やはりそういう廃棄物処理施設というのは都市活動にとりまして不可欠なものであり、そういうような都市計画に当たっては、あらかじめ大体どういうようなところに想定されるのか、そういったこともぜひ検討して指定しておいていただく方が適当なのではないかというふうに考えているところでございます。  ちょっと時間がなくなってきまして、最後にお伺いをしたいのですが、去る四月五日に当委員会では、参考人として学識経験者から意見を聴取いたしました。その中で、ある参考人の方から、都道府県の全体をカバーするマスタープランを策定すべきであるという意見がございました。また、本法案自体には賛成の立場の別の参考人からも、本来の姿としてはそういうマスタープランがあると有用だという御意見が強かったのではないかというふうに思いますが、当面はいろいろと現実の行政の中で、今回の法改正の中ではこうした都道府県マスタープランを位置づけていくことが困難であるという御判断については理解をいたしますけれども、今後、将来的には、国土全体を対象とした土地利用計画的に進めていく、その計画を定める都道府県マスタープランのような土地利用計画の策定が必要だというふうに考えているところでございます。  こうしたマスタープラン的な計画によって初めて、どういう地域開発を進めていくのか、あるいは自然環境を守るべき地域、農林水産業用の土地を確保すべき地域といったものが国土全体として明らかになってくる、それを計画していかなければいけないというのはそのとおりだというふうに思いますけれども、将来的な問題として、このような国土全体を対象としたような計画の策定につきまして御見解を伺いたいというふうに思います。
  71. 加藤卓二

    加藤政務次官 都道府県マスタープラン必要性についてお尋ねでございますが、都道府県全域のマスタープランについては、大部分は都市計画区域外となる県等については、県全域を対象とした都市計画マスタープランを策定することは、現在の土地利用状況に照らせば、その必要性に乏しいこと、県全域が対象ではマスタープラン住民意思を反映させることが難しい等を勘案し、改正案では、現行マスタープランを拡充し、すべての都市計画区域マスタープランを定めることとしたものです。  ただ、マスタープランを策定する際には、都市計画区域外状況を踏まえ、広域的観点から定めるべきであり、その旨をガイダンス等の形で明確にしたいと考えております。
  72. 上田勇

    ○上田(勇)委員 時間ですので、これで終わります。ありがとうございました。
  73. 大口善徳

    大口委員長 渡辺周君。
  74. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 民主党の渡辺周でございます。先ほど吉田先生に引き続きまして、民主党の持ち時間内で質問をさせていただきます。  大臣がお戻りでございますので、まずはお尋ねをしたいと思います。  我が国のまちづくり、これはまちづくりと一概に申し上げまして、いろいろな、それぞれの方の思いがございます。例えば、駅前の風景を一つとってみますと、よく言われるのが、例えば新幹線の駅あるいは主要駅の前へ行くと、大体、駅前の顔というのはどうも似て、どこを切っても金太郎あめじゃないかというような言われ方がよくするわけであります。  一方で、今どんどんスプロール化が進んで、郊外に、郊外にと進んでいく、これは私もかつて商工委員会等でもいろいろ議論をやったときに、やはり中心市街地からだんだん周辺に人が移り住み、そして当然そこには商業施設を初めとしてレジャー施設でありますとかディスカウントショップですとかいろいろなものが郊外に出ていくわけです。ある意味では、こうした郊外に大型店の巨大な駐車場、そして複合型の施設が建ち並んで、あるいはパチンコ屋さんですとかそうしたレジャー施設も含めて、幹線道路なんか特に大変なにぎわいを見せるわけであります。  その反面で、一つには、我が国の田園風景といいましょうか、従来型、従来の日本の牧歌的な、あるいはノスタルジーないわゆる日本の歴史的な町並み、こういうものが例えばだんだん失われていく。各種の規制によって、こうした町並みをもともとのまま生かしたということが、地域一つ活性化を挙げますと、だんだん維持、保存していくということが大変に難しくなってきているわけであります。  これは、後にも申し上げたいと思うわけですが、いろいろな、さまざまな経済活動、人口移動が、こうしたものを情緒的なものだけでいつまでも残せないということは我々も百も承知であります。何が何でも保存していかなければならない。自治体によっては、いろいろな知恵を使ってそうした歴史的な建造物でありますとか、そういったものをできるだけ残そう、あるいは移転をしてでも、移設をしてでも、その町の歴史というものを残していこうといったようなことがいろいろな形で努力をされているわけであります。  最初に、大臣の率直な御意見として、歴史をひもとくことに大変にたけていらっしゃる大臣でございますので、そういう意味では、こうした景観という意味ではなく、今の町のあり方あるいは景観のあり方ということでどんな御認識を持っているのですか、まず質問の最初にお尋ねをしたいと思います。
  75. 中山正暉

    中山国務大臣 私も、若いときに、ハンブルクから、いわゆるワイン街道、ビュルツブルクとかディンケルスビュールとか、ああいうドイツの町を見て、本当にうらやましいなと思ったことがございます。向こうは都市国家として栄えましたから、それぞれお城を中心にして、周りに個性豊かな町ができ上がっていて、そして条例で伝統の衣装まで着させている場所もありまして、あんなものを見ると、本当に、今先生が御指摘になりましたように、何か少し日本では心寒いようなところも見えるような気がいたします。  きのう、夜中にたまたまテレビをつけましたら、美山町という京都の歴史風土の保存地域のテレビを夜中でございましたが見ました。それから、三年坂という京都の清水さんから醍醐寺の方へ歩く、あの辺の歴史風土、ああ、ここはいいところだな、一遍行ってみようかなという感じで見ておりましたのでございます。  先生おっしゃるように、それぞれの、これから、地域には、幕末にお城をつぶしてしまったようなところもございます。私なんか江戸城を復元したらどうかというのを東京都の知事さんにも、吉原を見せてこれが江戸だなんと言っていると恥ずかしい話で、できたら木材業界活性化のため、また集成材で、六十メートルあった江戸城を、これは全部甲良家という、大工の甲良家という家の、国会図書館に全部ありますが、江戸城の中のふすま絵までみんな残っておりますので、文化庁に聞きましても、これは復元に異論はないということでございますが、皇居の中でございます。  私は大阪人でございますから、小さいときから大阪城を見上げて育ってきましたので、大阪城というものを中心にした大阪、名古屋城を中心にした名古屋、そういうものが地域の美しさ、景観というものに、人の心を、地域に住んでいるという誇りとか、それから情緒とか、それから子供の心に歴史考えさせる根底とか、そんなものをつくり上げていくのじゃないかな、こんな気持ちで、そういうものを大切に、景観を復元することにはかなりお金がかかりますけれども、古墳を発掘して我々はいろいろな全く違った歴史の目というのが生まれてきたりしますから、そういうものを考えますと、私は古い歴史にも、発掘をしたりして歴史の探求をする必要があると思いますが、明らかになっている歴史、例えば町にも銅像なんというのは日本はほとんどありません。  外国へ行きますと、ポーランドでも感激したのですが、子供を連れて、町にある銅像が、この人はこの町にどんなふうな働きをした人かということを幼稚園、小学校の生徒に説明を先生が銅像の前でしている姿を見ましたから、そういうことが情緒ある国家、それから歴史観のある国家、我々の先祖は我々のために何をしてくれたかということを示す、そんなまちづくりというのが総合的に必要ではないか、これは文学者でも、科学者でも。ワルシャワへ行きますと、ショパンとか、それからキュリー夫人の生家の前にはキュリー夫人の銅板の顔が出て、そしてキュリー夫人がどんな人であったかということを書いてありますが、そんな歴史上の記念碑とか、そんなものを町とタイアップさせて、そしてその中に、側は古くても中はやはり新しくないと住みにくい町になってしまいます。  きのうの、その美山町の方々のおっしゃるのでも、アルミサッシにかえたら冬は寒くないのだけれども、この景観を保存するために昔のままの格子戸で自分たちは辛抱しているということをおっしゃっていました。やはりその辛抱をするということは歴史に対する誇りであろうと思いますので、そういうものを育てていく、はぐくんでいく。渡辺先生のそのお気持ちに私は本当に共感を覚えております。
  76. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 本当に大変な御見識を披瀝いただきまして、まさにそのとおりでございます。  これまたちょっと、私も振り返りますと、例えば美観地区のような地域があります。意外と、人工的にこういうものを残すと、これは何か映画のセットみたいになってしまって、楽しみにしていて行ってみた、現地を見てみたら、何かどこかの映画村に来たかのような、人工的なにおいがぷんぷんして、ある意味では、同じものをそのまま、町並みでも何でもそうですが、保存するということ、なかなか、手を加えるという、今でいえば難しいわけでございますし、やはりそうした中、日本としての一つの郷愁を覚えるかのような、日本のかつての姿を大事にしたい。そして、今お話ありましたように、その歴史ですとか、あるいはその町がどんな経過を経て成り立ってきたかというのは、次の世代に伝える、まさに我々義務があるんだろうと思います。  そういうことをまたぜひ個人的にもいろいろな形で意見交換ができればと思いますが、その反面で、こうしたものが今だんだんなくなってくるという中で、一つには、いろいろな形で法が制定をされて以来、いろいろな形で複雑な法整備がされてきた。それともう一つ、もちろんそれのみでなくて、例えば私どもの地元地域考えますと、例えば不幸にして戦災に遭った、それによって、まさに焼け野原から今でいう都市計画がスタートをしたというところもあれば、幸いにして戦争の戦禍の犠牲にならなかった、しかし、従来型の町が、旧来のまだ、例えば商業地のど真ん中に、真ん真ん中に蛇行した幹線道路が走ってしまう、そこに、ずっと商業地を初め伝統的な、まさに商業地として栄えてきた、そこに住民が住みついた。もう今さらこれを、どう考えても都市計画をもとに戻せないというような地域もあるわけでございまして、なかなか地域によっては、例えば道路が不便だとか、ここはどうしても狭くて通りにくいんだけれども、今さらどうにもならないといったような町も正直各地にあるわけで、見受けられるわけであります。私の地元でもそうした地区があります。  そんな中で、今回のいろいろな法改正の中で一つ言えることは、今回の法律を見まして、あるいは関連する幾つかの都市計画にかかわる法律を見ますと、幾つもの役所にまたがった形でいろいろな法律規制がございまして、ちょっと法体系を申し上げますと、国土利用計画法、こういう概念がある。そのもとに、都市計画法あるいは農振法、森林法、自然公園法、自然環境保全法と、各個別の法律が対象地域規制するような形態になっているわけでありまして、ある意味では皆々整然と区別されているというような思いをするわけですが、例えば、実際にいろいろなデータを見てみますと、これは、きょういらっしゃる各委員地元でもそうでしょうし、いろいろな形で二重になっているところもある。中には全くどちらの規制にも入らないところもある。そんなふうなことが、まだら模様でまさにあちらこちら起こっているわけであります。例えば、農地に見られるようなものが農振法、この規制を外してしまうと、ある意味では何の規制もない、開発し放題の区域が生まれる、ここで乱開発が起こるというような状況もあるわけです。  ただ、地域住民にしてみますと、例えばこれは私どもの地元の話でございますが、ある著名な評論家の方が講演に来られた。そして、その方が、懐かしい町並みをといって歩いてみた。そして、ある風景を見て、この町はいつまでもこうあってほしいとおっしゃった。ところが、地元に住んでいる人にしてみると、冗談じゃない、そんな、あなたは時々たまにやってきて、いや、すばらしい、美しいと言ってくれるけれども、住んでいる人間にしてみれば、住宅が建てられない、しかし、いろいろな規制があってなかなか活性化と称されることができない。いろいろなものも誘致したいんだけれども、いろいろな形でできない。農家の方が、例えば一種のペンション村みたいなものをつくって、いろいろな方に来てもらいたい。しかし、バブルの崩壊とともにそういうことができなくなった。しかし、どんどん若者は出ていくし、農業はどんどん後継ぎはいなくなるし、何かやりたいんだけれども、それがいろいろな法規制のしがらみの中でなかなかできない。しかし、よそからたまに来る人が、いつまでもこの自然よ永遠にと言ってくれる。しかし、それはそれ、これはこれということで、なかなか、第三者から見る目と、そこに住んでいる人の思いというのはまた違う部分があるわけでございます。  ちょっと自分の持論をいろいろ話す時間もございませんけれども、今申し上げたような農振法の規制、これが例えば万が一外れれば、何の規制もない、開発し放題の区域が生まれて乱開発が起こる。また、一時期ありましたリゾート法、まだあるわけですが、リゾート法、さらにほかの法律を活用すると、開発自由の地域というものもまた生まれてくる。いろいろな複雑な法制度がある中で、また、そこに縦割りのいろいろな、何といいましょうか、制度間の縦割りがまたそこに存在をする。  そうした中で、我々としてこれから本当に考えていかなければならないことは、まさにその法規制一つの整理の部分というものを考えていかなければならない、背後にある縦割り行政というものを考えていかなければならない。しかし、その反面で、国土利用ということに関しては、第三者がいろいろな思いを持って考える部分と、その地域に住んでいる住民の、まさに思いというものはまた別にあるわけであります。  これはちょっとまた卑近な例ですが、私どもの地元に、東海大学という大学が沼津校舎というのを持っております。山の中腹に大学があります。そのふもとに、そこには地元の農家の方々が下宿屋さんを始めるわけですね。ところが、下宿屋さんということになりますと、昔は共同の下宿屋さんでよかった。玄関へ行くと靴があっちこっちに脱ぎ散らかしてあって、みんなで、先輩、後輩が一つの鍋をつっつき合うような下宿屋さんでよかった。しかし、今になると、ワンルームマンションでなきゃ嫌だ、車が置けなきゃ嫌だ、あるいはシャワーがなきゃ嫌だ。近所にコンビニがある、ビデオ屋がある、いろいろなものがなきゃ、こんな山のふもとのカエルの鳴き声ばかり聞こえるところじゃ、寂しくなってどんどん中心部に移っていく。しかし、なかなか、それがいろいろな規制の中でできない部分がある。こうした規制の中で、地元の市なんかと話をしながら、自治会の間へ入って、我々もいろいろな時代の変遷とともにニーズをかなえようとするわけであります。  これは身近な、卑近な例でありますけれども、そういう意味において、国土利用という、国土庁長官も兼務されている大臣として、例えばこれは卑近な例で大変申しわけないわけですが、そうしたある意味での従来型のものを守る、しかし、そこには時代の変遷とともにいろいろな要求が住民の中から出てくる、その点についての、国土利用という点についてどのようなお考えをお持ちであるのか、その点についてひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  77. 中山正暉

    中山国務大臣 全く御指摘のとおりで、先ほどのほかの方からの御質問にも出ておりましたが、いろいろな制度とか法律とかが重なり合って、うまくタイミングが合ってそれが進展していく場合はいいんでしょうけれども、特にこの戦後の五十余年間、食糧のなかったころ、それから、何も考えずにただ土地を価値として運用することによって財産上の資産を築いていくための土地利用とか、いろいろな意識で混乱をした時代があったと思います。それを、もう戦後も五十余年、経済世界第二位の国家としての顔をこれからどうつくるか、姿をどうつくるかというのでみんなの意識がちょっと盛り上がってきたような感じがして、私はこれからに期待をいたしたいと思います。  適正かつ合理的な土地利用を図ることを目的にして、各都道府県において、都市計画法などの土地利用に関する各個別法に基づく計画の上位計画として、国土利用計画法に基づいて土地利用基本計画が現在定められているところでございますが、この土地利用基本計画においては、都市と農地などの各種土地利用の配置について定めているところでございまして、これを受けて各個別法において具体的な土地利用の調整が行われることになっております。  国土庁としては、土地利用基本計画による土地利用調整が的確に行われるように、今後とも、各個別法による制度間の連携を図り、適正な運用の実現をする、そういう各省庁の調整機能を持っておりますのが国土庁でございますので、その意味で、来年から、一月六日から国土交通省になるということでございますが、その使命は、いわゆる世界に恥ずかしくない経済大国、そして歴史と伝統を誇る日本としての国土づくりを基本に、法律間の調整、有効にプラスとプラスに作用していくようなそういう効果を生みたい、かように考えております。
  78. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 まさに、この法体系の整理ということを、省庁再編とともに、これから幾つかの課題として俎上に上るわけであります。まさに最近でも住民参加という言葉が各分野で使われております。建設省としても、まさにこうした都市計画、すなわちまちづくりというのは大変に身近な行政であろう。何よりも、第一義的に、自分たちの住んでいる町あるいはこれから発展をしていく都市ということについて、住民にとっては一番大きな関心事であり、住民参加をすべき点だと思います。  そういう意味では、法体系の整備というのはなかなか難しいと思いますが、不動産鑑定士さんであるとか行政のその分野に通じている人でないとこれはなかなか理解しがたいということでございますので、この都市計画法制の難しさについてぜひとも御認識をいただきまして、所見を伺おうとは思いますけれども、重ねてのお話になってもいけませんので、時間の都合で、ぜひとも法体系の整備というものを今後進めていただきたいなと思うわけです。  今申し上げたように、都市計画というのは地域住民に最も身近な行政の一つであって、近年でも、自治体あるいは建設省としても住民参加ということをいろいろな形で呼びかけ、またそこにかかわらせることによって参加する例がふえているわけです。  その反面で、都市計画ということを一つとらえたときに、実はここにこういう概念が、これはある学者の方の論文にあるわけでありますが、ちょっと披瀝をする時間がございませんけれども、都市計画制度の背景という中に、一つには、さまざまな形で規制をしておりますけれども、あくまで原則は建築の自由ということであります。これは欧米の都市計画制度と比べた場合まさに明らかであって、都市計画の専門家は従来から指摘をしてまいりました。  建築の自由の原則というのが、憲法の「財産権は、これを侵してはならない。」という規定に端を発して、国でしか地権者の土地利用権を制限してはならない、私も初めて聞く言葉ですが、計画高権という概念と密接な関係を有している。これに基づきますと、自治体が独自に土地利用権に制限を課すこと自体が困難である、その結果として地域実情に合った都市計画制限が行えなくなっているということであろうか、こういう指摘が日本不動産学会の会誌に寄せられている東大の大方先生という方の論文の中にもあるわけでございます。  この点について、こうした計画高権という概念がある限りは、せっかく自治体の努力でまちづくりが進み、住民が参加をして市町村のいろいろなマスタープランをつくる、しかし法的な拘束力自体がプランそのものに乏しいということを考えると、せっかく住民まちづくりに関与していっても、まさにこの前提の概念があるということで、ひょっとしたら失望に変わってしまうのではないだろうかということが言われるわけであります。  その点について大臣がどのような御認識を持っていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。     〔委員長退席、宮路委員長代理着席〕
  79. 中山正暉

    中山国務大臣 確かに住民のコンセンサスというものをまとめていくというのは大変なことでございますから、そのまとまったものを生かしていけないということは余計大変な、精神的な損失は大きいと思います。  住民がみずからつくったプランとそれから都市計画のメニューの関係をどうするか。市町村マスタープランについては、まちづくりの基本的な規範として重要な意味を持っておりますので、市町村がこれに即して具体的な都市計画をこれから定めていくということでございます。  市町村地域実情に応じたまちづくりを進めていく上で、必要な都市計画のメニューは準備をされております。今回の改正におきましても、準都市計画区域制度それから特定用途制限地域制度などのメニューをつくりまして、これを追加いたしました。市町村がこれらの都市計画のメニューを的確に活用することによって、マスタープランの内容を実現することは十分に可能だと思いますので、住民の意識とそれから市町村の意識が合体したものを効果的に誘導していくような対応を私どもも心がけたいと思っております。
  80. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 それでは、今質問にお答えをいただきました。まさに地方分権が、先ほど来申し上げているとおり、まちづくり都市計画というのは、地方分権の分野において、ある意味では福祉と並んで大変大きな重要な分野でありまして、今回の改正地方分権の推進の一助となっていると考えられるわけであります。  今いろいろ御答弁いただいたのですが、しかし、都市計画における本来のあり方、国の法律では、都市計画決定の際に、住民参加のあり方や議会の議決などその手続及び複数の地方公共団体間の調整が必要な際の調整方法を定めることにとどめております。都市計画の内容自体は自治体に任せるべきであろうと考えるわけであります。  今おっしゃられた、メニューをふやしたところで全国津々浦々に適合することは不可能であるということを考えますと、今後の都市計画方向性ということについて、こうした方向にならざるを得ないのではないかと思いますが、大臣の所見を改めてお尋ねいたしまして、次の質問からは政務次官へのお尋ねにしたいと思います。     〔宮路委員長代理退席、委員長着席〕
  81. 中山正暉

    中山国務大臣 私も広域行政論者でございまして、これから自治体で、そういう能力を備えてくださっている自治体がいかに力を合わせていくかということがこれからの地域づくりの基本になり、地方分権の基本というのはそういうものじゃないかなと思っております。  都市計画の内容につきましても、すべて地方自治体に任せるべきというのも一つ考え方であると思いますが、都市計画は財産権に対する制約を含みます。財産権の内容はこれを法律において定めるという現行憲法上の考え方からいたしましたら、国において目的と制限内容のバランスのとれた制度のメニューを提示して、そして自治体が地域実情に応じ必要と判断するものを選択する制度というものが適当であると思っております。  都市の健全な発展と秩序ある整備が図られるように、国においても、現行制度の自由度それから柔軟性を高める方向で、地域実情に応じた合理的な都市計画制限を行い得るよう今後とも制度の充実を図ってまいりたい、そんなふうに方向性を持って考えております。
  82. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 この問題は大変奥の深い問題で、議論をしていくと突き詰まっていくのであろうと思いますが、時間もございまして、次の質問者もおりますので、次の質問に移ります。  今度は法の内容自体についてでございまして、いわゆる線引きの裁量化についてお尋ねをしたいと思います。  今回の改正によって、三大都市圏等を除いて、都道府県の裁量によって線引きが行われる。この結果、非線引き都市計画区域がそのまま残るということも当然予想されるわけであります。非線引き都市計画区域というのは現在でも乱開発の対象となっておりまして、これに対応すべく、先ほど大臣が答弁になりました特定用途制限地域制度という制度が盛り込まれるわけであります。  しかし、非線引き法律が認めて、非線引き都市計画区域が永久に存在するということが予想される以上、先ほどのお話にあった特定用途制限地域といった、ある意味では、言葉は悪いかもしれませんが、場当たり的な対応ではなくて、より根本的な開発規制ということも手段として考えておかなければならないだろう、必要ではないだろうかと考えるわけであります。  今の現状を見る限り、区域全体に市街化区域と同様に用途地域指定をかけるべきだというふうに考えますが、その点についていかがお考えか。そしてまた、開発許可についても、市街化調整区域並みと言わないまでも一定の規制が必要ではないだろうかと我々は考えるわけでありますが、その点についてのお考えお尋ねしたいと思います。
  83. 加藤卓二

    加藤政務次官 非線引き都市計画区域内の規制についてお尋ねでありますが、非線引き都市計画区域内は、線引きを行わなくとも、本来ならば無秩序な市街化が促進されるおそれのない地域を指しているはずなんですが、委員のおっしゃられるように、いろいろな問題点はございます。したがって、その区域すべてに用途地域による規制あるいは市街化調整区域並みの開発許可によって規制がかけられる必要はないとは思いますが、これをそのまま放置することも問題がある。もちろん、既成市街地、一定の建築活動が予測される地域については、将来の市街化地域像を示しながら建築物の相隣関係を調整するため、積極的に用途地域を指定すべきだと考えております。  一方、開発行為や建築活動が単発的かつ疎に行われる地域については、環境に悪影響を与える建築物だけ限定的に排除することが適当と考え特定用途制限地域創設することにいたしたわけでございます。
  84. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 今度はちょっと政府委員お尋ねをしたいわけでありますが、今回の改正によって、従来義務づけられていなかった非線引き都市計画区域を含めて、すべての都市計画区域において都道府県マスタープラン策定が行われることとなったわけであります。さらに、記載事項を法定し、都市計画決定が行われる。都道府県マスタープランをすべての都市計画区域で策定することには、我々ももちろん賛成をするわけでありますけれども、若干ここで確認をしておきたいことがあるわけでありまして、それは、最も身近な自治体であります市町村マスタープランとの関係であります。  市町村が策定するマスタープランというのが、今回の改正都道府県マスタープランとの整合性を求められる、ある意味では当然のことではありますけれども、もう一つ市町村の議会では、いわゆる自治体の基本構想に対しての整合性というものも当然求められるわけであります。この両者の整合性を図っていく上で、やはり都道府県マスタープランを作成する段階で、将来的な最も基礎となります市町村の意見というものを当然十分にすり合わせをしながら、意見を聞きながらやっていく必要があるというふうに考えるわけでございますので、その点についてどうなっているのか。  そしてもう一つ都道府県マスタープラン都市計画決定されることとなりますけれども、従来よりある市町村マスタープラン都市計画決定の対象となっていないわけでありまして、都市計画におけるまさに今申し上げた市町村の重要性を考えますと、市町村マスタープラン、これも都市計画決定あるいは議会の議決というものが必要だ。そこに、住民の代表たる議会なりの、あるいは住民の参加した上での民主的な担保というものをやはり確保しておくことは必要ではないだろうかというふうに考えるわけでありますが、その二点につきましてお答えいただきたいと思います。
  85. 山本正堯

    山本政府参考人 今回の改正によりまして、線引きをしない都市計画区域を含めまして、すべての都市計画区域につきまして、都市計画区域を定めた都道府県マスタープランを定めるということにしたものでございますが、先生今御案内のとおり、都道府県は、この都市計画区域マスタープランを定めるに当たりましては、都市計画法の十八条で、必ず市町村の意見を聞くということにされております。そのほか、今回の改正では、市町村からの申し出を可能にするというように必要な措置を講じているところでございます。これまで以上に、市町村マスタープランの内容は、都道府県が定める都市計画区域マスタープランに反映されるように意を用いていきたいというふうに思っているところでございます。  なお、今回の改正で、十八条の二のところで、市町村マスタープランあるいは市町村の基本構想、先生さっきおっしゃいましたように都道府県マスタープランに即して定めるという格好にしておるわけでございます。連携をとってやっていく必要がある、こういうことであろうかと思います。  それからもう一点の、市町村マスタープラン都市計画の対象ではない、こういうところについても都市計画決定あるいは議会の関与、議決をやる必要があるじゃないか、こういう御指摘でございます。  市町村マスタープランは、地域住民都市計画に対する理解と合意形成を促すなど、市町村の定める都市計画の基本方針として大変重要な役割を果たしておりまして、全国一律の制度とするよりは、むしろ地域の特性に応じて、できるだけ市町村住民の意見を反映しながら主体的に定め得るように、自由度の高い枠組みで市町村マスタープランを策定するようにすることが適切ではないか、こういうことで現在のような制度になっておるわけでございます。したがって、この策定手続等につきましては、議会の議決を経るかどうかも含めまして、市町村の主体的な判断にゆだねることとしておるところでございます。  いずれにしましても、内容、手続等につきましては、市町村の主体的判断で、自由に使いやすいようなものとするようなことが必要であるというふうに考えておるところでございます。
  86. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 本当に市町村地方分権推進の一助となる法律でございますので、ぜひともそういう形の整合性を図りながら、また住民関与を担保しながら、ぜひともそれぞれの個性、顔が見える地域づくりというものを、これは各自治体に任せて推進をしていただきたいな。一番最初に申し上げました、どこへ行っても同じような町並みが並んでいる金太郎あめではなく、まさに歴史と伝統を感じられる、そしてまた、自治体の住民あるいは行政も含めていろいろな顔が見える、まさに魅力ある都市になっていくように何とか進めたいものだなと思うわけであります。  次の質問者の都合もございますので、幾つか用意していた質問をちょっとはしょりまして、一つここでお尋ねをしたいのでありますけれども、開発行為の立地基準ということについてちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  今までいろいろ議論しました、市街化区域に隣接しておおむね五十以上の建築物が建つ、いわゆる既存宅地の問題でございます。  既存宅地を開発許可の対象として乱開発を抑制する改正項目というのが入っているわけでありますが、本来なら、市街化区域に隣接をする既存宅地は市街化区域内とすることによって良好なまちづくりを行うべきではないだろうか。  結局、そこからじわじわと、ある意味では、言葉は悪いですが既得権としてどんどん広がっていく。ある意味では、開発許可において一定のコントロールができても、一度許可してしまうと、建物の高さあるいは景観といった規制ができないばかりに望まない建造物が建築されるおそれがあるというふうに考えるわけでありますが、その点において御認識はいかがお持ちかということをお尋ねしておきたいと思います。
  87. 風岡典之

    風岡政府参考人 既存宅地の制度につきましては、現行制度においてはこれについては許可は不要という扱いがされておりますけれども、今回は、そういった地域におきまして許可の制度の合理化を図る、あわせまして、市街化区域に隣接あるいは近接する地域につきましては、条例で定める用途とか、あるいは条例で定める地域でその用途に適合するものについては、既存宅地以外のものについても個別的に審査をする、こういった制度にしたわけでございます。  もちろん、用途とか地域を決めるわけでございますので、当然それにふさわしいものを決めるということでありますし、また、それに合わせまして建ぺい率とか容積率の指定ということもできるわけでございますので、無秩序なことにはならない、また、してはならないというふうに思っておるところであります。
  88. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 ぜひそうした方向でこれからも議論を進めていきたいと思います。  最後の質問にちょっと移らせていただきます。  建設省が、本年度予算からまちづくりの統合補助金というものを創設しました。これと都市計画の関係はどうなるのかなということをお尋ねしたいと思いますし、例えば、地域の貴重な自然を保全するために当該地域を自治体が買い取るといったことには、これまでなかなか予算がつきにくかったわけであります。そうしますと、こうしたまちづくり統合補助金のような制度でこうしたことも当然つけ加えていっていいのではないのかなと思うわけでありますが、その点について御回答いただきまして、ちょっと、幾つか用意しましたが、残念ですが時間の都合で、お答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  89. 山本正堯

    山本政府参考人 先生今御指摘のまちづくり統合補助金でございますが、地域の創意工夫を生かした、地域が主役のまちづくりというスローガンのもとに、それを強力に推進するために、まちづくりに必要なものとして都市計画に定められた事業を中心に、市町村に対しましてパッケージで一括助成する制度でございます。平成十二年度、今年度から予算の大きな目玉の一つとして創設されたものでございます。  すなわち、市町村の一定の計画、構想の中で、例えば公園、下水道、街路といったようなものを、その地域で一体的にワンパッケージで、それぞれの縦割りの補助じゃなくて、統括、一括して、一括助成する、こういう制度でございます。こういう制度創設によりまして、市町村都市計画の実現が総合的、一体的に、より進むというふうに期待をいたしておるところでございます。  なお、先生が今例をお挙げになりました、例えば緑の関係で自治体が買い取るといったようなことについてはこの制度が適用になるのか、こういうことでございますが、こういう公園としてその用地を買うといったようなことでございますと、公園用地として買収するものはもちろん対象になるわけでございます。なおまた、まちづくりの活動支援のための協議会でありますとか、そういったようなソフト事業についても補助の対象になる、こういうことでございます。
  90. 渡辺周

    ○渡辺(周)委員 終わります。
  91. 大口善徳

  92. 末松義規

    末松委員 民主党の末松義規でございます。  きょうは、この法改正の中で都市計画決定システム、そういったこと、及び、私、地元に国立という市がありますが、そこの大学通りのマンションの建設問題というものがありまして、それをこの前、大臣の方には予算委員会の分科会で質問させていただきましたが、その続きをさせていただきたいと思っております。  まずお伺いしたいのは、今回の法改正で、都市計画決定システム、これを変えたという話でございますが、その趣旨をまず御説明いただきたいと思います。
  93. 中山正暉

    中山国務大臣 今回の改正案では、行政の説明責任の向上と、それから都市計画決定手続の透明性の確保、それから住民の意向の反映と参加の拡大の要請にこたえるために、都市計画決定手続を拡充するというのが基本的な考え方でございまして、第一に、都市計画決定手続につきましては、手続の透明性を高めまして、決定権者の住民等に対する説明責任を徹底するために、都市計画の案の縦覧に際しまして、当該都市計画を定める理由を記載した書面を必ず添付すること、必要に応じて条例により手続を付加できることといたしております。  それから第二でございますが、都道府県都市計画案の作成に関する関係市町村役割を明確にしたい。案の作成過程を透明化するために、都道府県決定に係る都市計画の案について、市町村から案の申し出ができることとする一方、都道府県からも関係市町村に対しまして資料の提出を求めることができることといたしました。  それから第三でございますが、第三には、住民の意見を反映して、地区レベルできめ細かなまちづくりを進めるために、住民に身近な都市計画である地区計画について、住民側の発意により地区計画の案となるべき事項を申し出ることができることといたしたということでございまして、一番地域に隣接した方々の御意向が反映できるようにしたいという、きめ細かな対応を心がけております。
  94. 末松義規

    末松委員 アカウンタビリティーの向上とか、地域住民がよりその意向を反映できるといった意味で、私もそれは趣旨は非常に賛成するわけでありますが、大臣が最初に言われました都市計画を定める理由というのですか、これはどの程度書くことになりますか。別に大臣じゃなくても結構です、政府参考人の方でも結構ですけれども、どのくらいの理由、単に一、二行さらっと書いて、これが理由なんだという話になるのか。かなり詳細にこの理由というものは、特にイメージ的にどんなものなのか、ちょっと御説明賜ればと思います。
  95. 山本正堯

    山本政府参考人 今現在やっておりますのは都市計画に関する図面と図書だけでございますけれども、今回、それでは住民の方々が縦覧されるときに不十分だということもございまして、都市計画を定める理由を記載した書面をあわせて縦覧をしようということでございます。  その都市計画を定める理由をどの程度どういう格好で書いていくかということについては、これからまた詰めていきたいと思いますが、今先生御指摘のように、その利害関係人の方あるいは住民の方々が、どうしてこの都市計画が定まったのか、経緯はどういうことだといったようなことも十分わかるような記載の内容にしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  96. 末松義規

    末松委員 そうしますと、一行とか二行でさっと終わらせるのじゃなくて、かなりそこは詳細にわたる理由書みたいなものも提示できる、そういうふうに理解してよろしいですね。  それと、今まで図面と図書しか提示はしなかったということなんですけれども、口頭とかなんとかで、そういった理由などは一切説明しなかったと思うのもやや考えにくいところなんですが、従来はそういった理由なんかは本当に全然説明をしなかったのですか、口頭でも。
  97. 山本正堯

    山本政府参考人 今の法律では、都市計画を定めた理由を付記する、こういう格好になっておったわけでございます。実際上は、縦覧のときに、縦覧をするに当たりまして、住民に対する説明会とかそういったようなこともやっておったわけでございます。法律上の要件ではございませんけれども、そういうような説明会等もやっておったわけでございますし、また今、理由の付記ということについてはやっておったわけでございますけれども、さらに詳細、かつ住民皆さん方あるいは関係人の皆さん方により情報を知っていただくという意味で、理由書をきちっとつける、こういう格好にしたわけでございます。
  98. 末松義規

    末松委員 説明責任というからには、その理由がおかしい、そんなものはとんでもないという方もおられるんだろうと思うのですけれども、そういった場合には、そういった方の議論が出てきて、しかもそれがいろいろな形で議論される場というのはあるのでしょうか。
  99. 山本正堯

    山本政府参考人 縦覧をいたしまして、住民の方々の御意見が出てくるということになりますと、その御意見を都市計画審議会に報告をいたしまして、そこで都市計画審議会として御議論をいただく、こういうことになろうかと思います。
  100. 末松義規

    末松委員 先ほど渡辺議員も言われておりましたけれども、市町村都市計画マスタープラン、それから都道府県マスタープラン、これは都道府県マスタープランに集約されるという話でございますけれども、市町村都市計画審議会ありますよね、それと、これから、都道府県都市計画審議会ですか、そことの調整、もし意見なんかが食い違ったらどういう形になるのでしょうか。
  101. 山本正堯

    山本政府参考人 今先生のおっしゃる趣旨がちょっと私どもあれでございますけれども、都道府県都市計画審議会と市町村都市計画審議会がございます。それで、市町村都市計画審議会につきましては、非常に身近な、小さい公園でありますとか、そういうような市町村決定する都市計画について審議をする、それから、都道府県につきましては、非常に広域的、根幹的な、都道府県決定する都市計画について都道府県都市計画審議会で審議する、こういう役割分担になってございます。
  102. 末松義規

    末松委員 そうしますと、ディマーケーションといいますか、この役割が、明確化はいいのですけれども、市民の側から見たら、その辺が、どういうふうなことがどっちなんだとよくわからない。それもある程度総合的に見なければわからないといった場合は、では市の都市計画審議会は、やはり都道府県都市計画審議会の審議することを審議してはいけないということになりますか。
  103. 山本正堯

    山本政府参考人 今申し上げましたように、都道府県都市計画審議会、市町村都市計画審議会、それぞれが、独立の権限と独立の審議の中身について審議をするということでございます。
  104. 末松義規

    末松委員 やはり渡辺議員も言われておりましたけれども、市町村マスタープランというのは、非常にこれは、法的な権限がやや薄い。特に、この前の国立の問題もそうでしたけれども、財産権の制約を伴うというものは非常に厳しい計画になるということなんでしょうけれども、こういった場合、実際に幾らマスタープランをつくっても、私権の制約までつながらないという話になれば余り意味がないのじゃないか、こういった意見もあるのですが、その点についてはどうお考えですか。
  105. 山本正堯

    山本政府参考人 先ほど申し上げましたように、市町村マスタープランにつきましては都市計画に定めるといったようなことにはなってございませんけれども、先ほども申し上げましたように、市町村マスタープランというのは、市町村自主性を持って、市町村が非常に柔軟性を持って、市町村の将来の都市計画の姿、それから自分たちが決める都市計画についての方針といったようなものを、そこでみずからが決める。それに基づいて、都市計画決定をそれに従ってやっていくというようなために今定めておる、こういうことで非常に柔軟に決められる、こういうことであろうかと思います。  先生先ほどおっしゃいましたように、都道府県マスタープランといいますのは、今回の、例えば線引きをするかどうかといったようなことも含めまして、都道府県マスタープランについては都市計画決定をしてやっていく、こういうことであろうかと思います。
  106. 末松義規

    末松委員 やや紋切り型の答弁になっているのかもしれません。先ほど大臣が言われたように、要するに、みんなで決めることも大変だ、そして決めたことが実施されないのももっと大変だ。私は、大臣の問題意識は非常に深いのだろうと思うのですね。それで、みんなで決めたけれども、これは強制もできないし、何かシンボルだけだよという話になると、やった人もやる気がなくなるし、ただ、そこでばっとやろうとしたら、いや財産権を侵害されるから、訴訟が起こって、何らできないよという話になりますと、市町村マスタープランは本当に策定する意味がないのじゃないか。  先ほど大臣が、それをできるだけ生かすように心得てまいりますという私はたしか答弁を伺ったような気がするのですが、その辺について、大臣、ちょっとそこのところをどういうふうな、もうちょっと具体的に何かお知恵はございますか。
  107. 中山正暉

    中山国務大臣 日本のような、私有財産制をどういうふうに尊重していくかということが基本理念になるものと、それから公共の福祉との関係をどう調整するか。そして、前に国立のお話を伺ったことがいつも私の頭の中に残っておるのでございますが、ああいう場合、もしそれを阻止するようなことになりますと損害賠償訴訟が起こりましたりして、前後の計画を立てたときの事情みたいなものが、また市長さんも何か途中でおかわりになったようでございますし、そういう事情を勘案しながら、話し合いをどんなふうに続けていくか。しかし、片一方の建設事業というのはどんどん進んでいく。どういうふうにこういうものを調整したらいいのかなと。  これはもう港を離れた船みたいな感じがして、いささかじくじたる気持ちがするのでございますが、こういうことを前提にしながら、これからのいい参考にして、情報公開とか透明性とか、それからもっと周知徹底とかそんなことに、こういうことが再三起こらないような対応を心がけることが、こういう法律改正趣旨に私は合致していくもので、今のところ、ああいう問題自体にはなかなか手がつけにくいなというのが実感でございます。
  108. 末松義規

    末松委員 非常に率直な御意見を賜りました。  せっかくの、国立市の大学通りのあのマンション問題、これについて大臣に御指摘をいただきましたものですから、そこについてちょっと触れさせていただきますが、景観条例というのを国立市は持ちまして、それが同じような問題なんですね。これがやはり一つ一つ制限を設けていくという話になれば、財産権の侵害ということで、この前御答弁いただきましたように、これはやはり実施はできない、実際上は。  では、何のための景観条例ですか。やはり、何か住民がそろってシンボルを上げて、それで満足して終わるのですかという話になると、何ら地方自治という意味がない。となりますと、用途地域の指定をまたさらに景観問題で一つ一つやっていくか、あるいは、地区計画というところまですべてに落とし込んでいく。ただ、地区計画となると、非常にハードなものですから、合意そのものがなかなかできにくいところもあるだろう。  この前大臣が答弁されたように、都市の、あるいは国立市なら国立市の、表看板のこういうふうなところについてはそれをやっていくということなのかなという気もするのですが、一度政府参考人からこの前御答弁もいただきましたけれども、この景観条例、これはやはり、どうなんですか、地区計画とかそういうところまで全部持っていかないと結局実効的な実施ができない、そういうふうにとらえてよろしいのでしょうか。
  109. 那珂正

    那珂政府参考人 まず、ただいまお尋ねの、景観条例をそのとおり建築規制の対象にできるかどうかという点についてお答え申し上げますが、これについては、せんだってもお答えを申し上げましたけれども、建築規制というのは財産権の制限を伴うものでありまして、建築確認対象とする基準とするには、こういう建築物についての、建築基準法その他の法令で明確な基準を定めているものに限定しているわけでございます。いわゆる景観条例は、法律に基づいて明確な基準を定めているものではないということで、建築確認の対象とすることは困難ということでございます。  それで、では、その景観条例でいろいろ考えたこと、あるいは市町村マスタープランでいろいろと新しいこと、いろいろなことを考えたことをどうやって実現するのだということだと思いますが、先ほどお尋ねに対する補足になると思いますけれども、今回の都市計画法、基準法の改正でも、要するに都市計画の手続、具体的に言えば、国立の場合で言えば、地区計画とかあるいは美観地区、そういうような現在の都市計画法体系の中にあるそういうメニューを有効に使うことによって、その景観条例で意図をされていたような一定の規制というものは十分に実効性を発揮できたであろう、こういうふうに思料されます。やろうと思えばできたはずだ、こういうふうに私は思います。  それで、今回の改正におきましても、そういう都市計画のいろいろな制度について、あえて都市住民の方に対して、国及び地方公共団体の責務として、情報の提供という形で、もっといろいろなことを提供するよう努めなければならないという責務規定都市計画法三条三項に追加したところでございまして、そういう点、確かに都市計画法体系の複雑さというのは現実問題としてございますけれども、なるべくそれを事前にわかりやすく地域住民の方々にも理解してもらうという努力が必要だろうとは思います。
  110. 末松義規

    末松委員 景観条例ということを話題としてまいりましたけれども、この大学通りのマンション問題についてもうちょっと触れさせていただきたいんですが、私が一番問題視しておりますのは、これは本当を言えば、景観条例を強制するということではなくて、地区計画をつくろうという行政の意思、つまり国立市の、まあ市町村ですね、市の行政意思が全く無視されたことが問題だろうと思うんです。  景観条例のように、いわゆるまだふわっとしている感じで主観的で、客観的あるいは基準としてはなかなかやりにくいということは、一つは確かに理解できるところでありますけれども、地区計画という話になった場合には、これは非常に拘束力があるルールなんですね。今回、国立市がそれをつくろうとした。そして、高層マンションをつくろうとした業者の人と、お互いに駆け込みのような状況になってきたわけなんです。  それで、業者さんの方が急いでくれという話はわかりますし、また東京都の建築主事さんがこれをチェックする項目に従って一つ一つ、それは項目としてチェックしたということはあります。それはわかっていますけれども、ただ、そのときに国立市の上原市長が、その確認作業を待ってくれ、もう少しで地区計画ができるというところまで行政のトップが申し入れを正式に行っているんですよ。そのときに、建築主事の方が結局要請をはねつけて、建築確認が行われることになるんです。  これは去年の年末からことしの年初にかけてなんですが、一月五日に建築の確認がおりたんですね。それで、国立市で地区計画が条例化されました。これが一月の三十一日なんですね。このわずか二十六日間の差だけでもって、それで国立市の意思がはっきりしたし、もう公告縦覧の手続をとっていましたから、地区計画はできる蓋然性もかなりあったわけです。でも、あったのですが、東京都の建築主事さんは、国立市の意向を、市町村の行政意思を、実際の意思を全く無視して、ここに建築確認をおろすわけなんです。  こういったことは、今回の法の改正もそうなんですけれども、より住民の意思、これは住民の意思じゃないのです、自治体の意思なんですね。自治体の意思を吹っ飛ばして東京都の方で、当然この建築主事さんもみずからの判断だけでやったわけではなくて、東京都に、上の方にもお伺いして決めたことでしょうから、そういったことがやられているということ自体がこれはおかしいじゃないかと。  どうしてこのマニュアルの中に、行政の意思が入ってきたときに、これをけっ飛ばしてしまうのか。悪く言えばそういう言い方になるかと思うんですけれども、その辺についていかがですか。
  111. 那珂正

    那珂政府参考人 繰り返しになると思いますが、建築確認は、申請された時点でその計画建築基準法令に照らして適合しているということで判断しているわけでございます。  先ほども申し上げましたけれども、やはり住民の方々のお考えとか行政のお考えというのが、もし自治体の考えというものをお示しになるとすれば、なぜもっと早く都市計画の手続にのっとって地区計画決定の準備をするとかそういうことをしなかったのかなと、正直そういうふうに思うわけでございます。
  112. 末松義規

    末松委員 いや、要は、そういった地区計画ができる蓋然性が高いことをも全部判断として無視していることが、私はそれが問題だと言っているのですよ。要は、そこで早くしなければいけなかった。  大体、マンションとかいろいろなビルを建てる場合は、大体すべてが、手続が内々に進められるところまで進めて、ぱっと表に出てきたときは、今から審議する時間もそれほど残されていないし、いわばまたそれから地区計画を一生懸命につくっていくなんというのは、局長さん、あなたはやったことがあるかどうか知りませんけれども、できますか、実際に。なかなかできないのですよ。早くやればよかったじゃないかと、それは結果的には言えますよ。大臣、そうお思いになりませんか。やはり、ここは十分な時間があるかどうか。  それから、地区計画まで全部自治体が持っていくということは、本当に至難のわざですよ。それでも例外的に早くやったんですよ、市は。それで実際に間に合わなかったということなんです。  ただ、間に合わなかったら、これは不遡及の原則、これは私も法律を勉強してわかっていますよ。ただ、そこの建築主事が確認するマニュアルに、自治体のそういった意向が、そのマニュアルの中にあるのですか、ないのですか。それをちょっと言ってください。全くないのですか。
  113. 那珂正

    那珂政府参考人 基本的にございません。
  114. 末松義規

    末松委員 大臣にお伺いしたいのですが、そういったことを自治体が幾ら何を言っても、マニュアルの中になければ、その方はロボットのように、あとは何を政治的に言おうが全部無視してしまおうということになるのですが、ここは、私は改良というか、改正をしてもらうように、きちんとした指導とか、そういうことをやはり建設省の方でも考えるべきだと思うのですね。それが、地方分権ということをやる者にとって極めて、自治体の意思そのものは確認してもらわなければいけないと思うのですが、いかがですか。
  115. 中山正暉

    中山国務大臣 景観というものが、コンセンサスを得るのがどうしたらいいのかという、景観というもの自体のイメージみたいなものにそれぞれの意識の違いがありますから、今ある景観をどう守るかというのと将来の景観をどう守るのか。いや、高いビルがあった方がいいと思う人もあるかもわかりませんし、そんな意味で、そういうものをまとめていくことの難しさと、それから、やはり私有財産というのは、使用、収益、処分という三つの条件が整いませんと私有財産の意味になりませんから、そこを自分が建築基準法上、欠格事由のないものを出してきたときには、それは建築基準法に照らし合わせて許可をしなければならないという建設省の委任事務でございますから、二十一日間したらそれが許可を与えてしまうことになる。  私も地方議会から出てきましたものですから、そういういろいろなケースをあちこちで見ておりますので、その辺が大変難しいところだなと。これを将来どういうふうにするのかな、それでは自治体が周辺の方々の意思を統一して、そこに損害を補てんしてあげて、そして景観を守る。そのために、みんなが私有財産というものを認めて、それに対する損害の補てんをしてあげるというふうな形になってこない限りは、これはなかなか成就しがたい。  お気持ちとしては、私も本当に痛いほどわかるのでございますが、さあ、その将来の解決方法は何なのかなと、御質問を伺いながら、私自身も頭の中がぐるぐる回っているような、そんな感じで伺っております。答弁になりません。
  116. 末松義規

    末松委員 テーマが景観条例ということですけれども、今ちょっと申し上げたのは、地区計画という具体的な法的制限ができることですから、そこまで自治体が決意をしてやっていることに対しては、これは、やはり建築確認のときに一項目、特に自治体からそういう地区計画相当のものが提出されているか、あるいは正式な申し入れでやるかどうか、そういったことをやはりある程度一つチェック項目を入れる必要があるんじゃないか、建設省はそれを指導すべきじゃないか、それを言っているんですが、ちょっと政府参考人、お答えいただけますか。
  117. 那珂正

    那珂政府参考人 繰り返しになりますが、財産権の制限を行うに当たっては法令に基づく具体的な規制が必要でありまして、建築確認時点で地区計画条例が現に施行されていなかった以上、このようなケースで建築主事が適法であると判断したことは妥当だ、こういうふうに思います。法の不備という問題もない、こういうふうに思います。  先生御指摘のように、自治体の意思というものがそういう形で、例えば都市計画の手続に入った、説明会に入ったとか案をつくり出したとか、そういうようなことが仮にあったとしても、先ほど、朝の御議論にもありましたように、例えば開発指導要綱というような形で法令に基づかない、あるいは、もっと言えば要綱にもない、いわゆる行政指導でいろいろな事実上の制限がなされてきているということもまた事実でありまして、建築確認行政といいますか建築行政としては、やはりきちっと明確になった基準で白黒判断するということが財産権の制限を実行するための基本的な条件の一つだろう、こういうふうに思うわけでございます。
  118. 末松義規

    末松委員 国立市は、建築主事というものを自分たちで置くということがまだ今言われているかどうか知りませんけれども、東京都の建築主事だから、これはそれでやった。では、国立市が建築主事というものを持って、そしてそこの判断、その後、市の申し入れに従ってこれは延ばした、延期して、若干判断を長くしてから判断をした、こういったことがあった場合には、これは解決法になりますか。今の、国立市の建築主事が判断をしたとしたら、これは違法ですか。
  119. 那珂正

    那珂政府参考人 国立市が建築主事を置けるかどうかという問題だと思いますが、まず、仮に置いてあったとした状態で先生今お尋ねのようなことをしたらどうか、これは建築基準法違法でございます。
  120. 末松義規

    末松委員 では、これからも建設省としてはそういったものを指導する気もないということなのかというふうに判断せざるを得ないと思いますが、時間がありませんので少し次の方に行きます。  例えば、一月五日、業者の方は既に着工に入ったという言い方ですね。建築確認がおりてから既に着工に入ったという話をしているわけですが、建築基準法では、着工についての精緻な規定というのが十分ないんですね。例えば、建築基準法では既に建築中のものというのを既存不適格としていますけれども、建築確認前にも可能な準備工事以外すべてが建築に当たるのか、それとも本体工事と不可分の工程に入っていなければならないのか、そういうふうなことが不明確にされておりますね。  実際の当該マンションについて言えば、三月に入って、土台となる、もとの東京海上の電算センターの地下室内の残土の搬出とコンクリート壁の取り壊しの申請が国立市に出ているんです。これは完全な準備工事に当たるとも考えられるんですけれども、詳しい法解釈というのは、建設省の方はどういうふうに法の解釈を考えておられますか。
  121. 那珂正

    那珂政府参考人 建築基準法では着工を具体的に明文化して定義しておりませんけれども、一般的には根切り工事あるいは基礎ぐい打ち工事に着手している段階をもって着工というふうに理解しておりまして、東京都を初め各地方公共団体もそのような理解のもとに判断をしているというふうに思っております。  お尋ねのように、いろいろな準備工事というものはあると思うんですけれども、建築材料を現場に運び込んだり建設機械を搬入したりというようなことだけの、そういう段階であれば、これは着工したとは言えないというふうに扱われるものと思われます。  具体的に今、従前の建築物の除却工事が新しい建築物の根切り工事に該当するかどうかというようなところは、正直、微妙なところはあるかとも思いますが、通常、除却工事と一緒に根切り工事に入るという場合も結構多いと思いますので、お尋ねのようなケースが着工に該当しないとは言えないと思います。
  122. 末松義規

    末松委員 実際に自治体の方でも、こういった大きなマンションとか、特に市の看板になるような大きなところで急にぱっと工事なんかを決められますと、それを地区計画という強制力のあるものまで持っていくと本当に大変な時間がかかります。そういう時間も踏まえながら、やはり町全体のマスタープランも急がなきゃいけないんでしょうし、それがある意味では実効性のあるような形にならないとまた意味がありませんから、そこのところを建設省の方も大臣もぜひ御勘案の上、本当に取り組んでいただきたいと思います。  時間となりましたので、私の方はこれで終わります。どうもありがとうございました。
  123. 大口善徳

    大口委員長 次回は、来る十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十八分散会