○西野
委員 西野陽でございます。自由党として
最後の
質問にならないことも思いながら、
質問をさせていただきたいと思います。
きょうは、密集市街地の問題に絞ってお尋ねをいたしたいというふうに思っております。
戦後は終わったとか、戦後はまだつめ跡が残っているとか、かつては、沖縄が復帰しなければ戦後は終わっていないとかいう有名な言葉もございましたし、領土的には北方領土の問題とか、いろいろな表現で戦後ということが今日まで語り続けられておるわけでありますけれども、やや忘れがちといいますか、取り残されたといいますか、戦後の
状況の中で、文字どおり、密集市街地というものがある
意味で、失礼ですが、戦後の遺物のような感じとして今なお残っておるような気が私はいたしてなりません。きょうは、ちょっとそういう問題についてお尋ねをいたしたいのでございます。
戦後が五十数年経過をいたしております。とりわけ、昭和の二十年代あるいは三十年代、中には四十年代であったかもしれませんけれども建築をされたものが、木造でありますと耐用年数が三十年なんでしょうか、一定の期間で、恐らく三十年前後で耐用年数というものが決められておると思いますが、その耐用年数をはるかにオーバーをして現在まだそのまま残っておるわけでありますから、そのことが大変な老朽化を来して問題が出ておると思います。特に、
首都圏というよりは関西圏、とりわけ
大阪、私は東
大阪というところに住まいをいたしておりますが、実は、密集市街地が残念ながら大変多いわけであります。
考えてみれば、戦後、焦土と化した領土の中で、とりあえず急遽住む場所を求めて需要が
住宅不足ということで、需要に対する対応ということで共同
住宅というようなものがあります。共同
住宅というのは、御
承知のとおり、洗面所といいますかトイレ、こういうものも共同であって、もちろんおふろが共同であったり、そんな、何かある企業、団体の寮的なものがまだそのまま実は残っておるわけであります。特に、私どものところでは
文化住宅という表現で、いわば三戸、四戸が長屋形式で、それが上下建っておりまして、二階建てに並んで建っておるわけであります。
ですから、そういうものに対して国の方もそれぞれ建築の
法律の中で、昭和二十五年には
建築基準法が制定をされて、この基準法とあわせて建築士法というのも制定をされたようであります。
建築士を養成するわけでありますが、当初は、建築士が、二千人から三千人ぐらいの資格を有した方が誕生した。ところが、
住宅不足でありますから、年間に百万戸単位のいわばそういう共同
住宅あるいは
文化住宅的なものも含めて一挙に供給をされる羽目になったわけでありますから、わずか二千人や三千人の建築士がいかに頑張ってみても、何十万、何百万戸の建築を設計するわけにもまいりません。ですから、実質的には、建築士は何名かはおられたようでありますけれども、資格のない方が設計をされて、その後建築士も多少ふえてきておるようでありますけれども、そのふえた人もまだまだ対応ができないということで、むしろ名義貸しといいますか、建築士の名前だけを貸して、実質は別の方が設計をしておる。
こういうことになりますと、往々にして、実際は
建築基準法に基づいて建築確認という
制度があるけれども、実質は建築確認を出さないで、一切そういうものを確認をとらないで施工されているとか、資格のない方がそういう形で不法に現実としては建ててきた。そういうことで、実態としては、密集地域というのは、違法であり、かつまた品質の面でも非常に疑問を持たざるを得ない、そういう
住宅が多く建っておるわけであります。
後ほどまた詳しく言いますが、
委員長の許可をいただいて、恥ずかしいのですが、実は私の東
大阪の密集市街地をちょっと撮りましたのですが、後ほどこれをさらに御説明をいたしたいというふうに思います。
密集市街地に対しては、数々の問題もあるんですけれども、特に民間以外に、いわゆる公営
住宅等々は現在も盛んに建てかえを進めておられますから、こういう公営
住宅はある
意味で一定の
居住水準というものが、役所でございますから認められておるというふうに思っております。
片や、区画整
理事業というのは、比較的更地のところを、例えば地目が農地であるとかあるいは雑種地であるとか、いわゆる
住居地域でない更地のところを区画整理して、そこに建築をする、
住居を建てる。こういう場合は、面的な
整備も進んでおりますけれども、ある程度の
居住水準は保っておられるように思っています。
今、私の手元で、調べました一人当たりの
住宅の床
面積というものを見ますと、我が国では、大体平均して一人当たり三十一
平米、英国では三十八
平米、ドイツでは同じく三十八
平米、フランスでも三十七
平米。といいますと、
欧米の先進諸国と我が国の一人当たりの
住宅面積というのは、数字の上ではまず先進国並みになっているということがこの数字でわかるわけであります。特にこういう数字が出ておるのは、中身を見ますと、持ち家と、先ほど申し上げたいわゆる
文化住宅とか共同
住宅というような借家、賃貸の
住居とあるわけですけれども、持ち家は、確かに
日本の場合は百二十二
平米、今度は一人当たりじゃなくて一戸当たりが百二十二
平米、イギリスでは一戸当たりが百二
平米、フランスでは百十二
平米、アメリカは少し多くて百五十八
平米。こういうことからしますと、持ち家は、確かにこれも先進国並みの一戸当たりの床
面積が、平均的には我が国も追いついてきているなということがわかると思うのですね。
ところが逆に、大
都市圏の借家でありますけれども、この戸当たりの
面積を調べますと、やはり数字の上でも持ち家とは違いまして、そのわずか三分の一ぐらい、四十二
平米という数字が出ています。さらに、その四十二
平米が、借家でありますけれども、先ほど提示をいたしましたこの密集市街地なんかを見ますと、これなんか
文化住宅でありますけれども、上と下が同じようなものが建っておるわけでありますけれども、これなんかで見ますと、おおむね平均で一戸十四から十五
平米。これは、百二十二
平米の持ち家の
面積と、そしてこの
文化住宅に住んでいる方の十四、五
平米ということになりますと、ゼロが
一つ、単位が
一つ違うわけであります。いわば劣悪な
居住水準に現実にあるというふうに思っています。ちょっと見られたら、写真ですからわからないのですけれども、これは私の地域でございます。私がここに住んでいるということではありません。この
住宅と
住宅の間、これは二メートルないのです。いわゆる昔でいう何尺、一・八メートル、体を何とか接触しないで歩けるぐらいの通路であります。いわんや消防車なんて入れるわけがありません。
かつて私は本
委員会で、この密集地、
中心市街地の問題で、
首都圏の新宿の固有名詞を挙げますが、富久町を見に行きまして、これもなるほど密集地だなと思いましたけれども、関東の場合はRC、いわゆる鉄筋であります。密集といっても鉄筋でありますから、あれ、これが密集かな。私、こういうのを見ていますから、関東のこれが密集かな。では、私のところは密集でないな。これは、失礼でございますけれども、本当に、同じ人間が住まいをしていても、
東京と比べてもう雲泥の差があるのです。同じ密集でも密集の中身はもう劣悪な
状況であるということを、あえてこういう
状況があるということを申し上げておきたいというふうに思っておるわけであります。
そこで、そういうことがあるということを御理解いただきながら、国の方では
平成六年に密集
住宅市街地
整備促進
事業制度の要綱というものが設定をされました。そして、三年後の
平成九年に密集市街地における防災街区の
整備の促進に関する
法律、防災街区として
法律が制定をされたわけです。そこで、ちょっとお尋ねをいたしますけれども、まず、密集市街地としてあると
建設省の方が把握をされておりますのは、全国レベルではどの程度の規模があるのか。さらに、
東京ではどれぐらいあるのか。今申し上げました
大阪ではどれぐらいあるのか。その規模、どの程度あるのか、ちょっとお示しをください。