○西原
政府参考人 お答えさせていただきます。
まず、第一点目でございます。いわゆる都市銀行やなんか、そういうようないわゆる主要行に対する検査、それと信用金庫、信用組合、こういったところに対する検査、これで同じようにやっているのか、それともちゃんと違えてやっているのか、こういう御
質問でございました。
この点につきましては、現在、十二年三月期からは金融検査マニュアルという形でこれが適用されていくわけですが、そこにもうたわれておりますが、その適用に当たっては、「
金融機関の規模や特性を十分踏まえ、機械的・画一的な
運用に陥らないよう配慮する必要がある。」こういうことが多々書かれております。
具体的には、マニュアルにおきまして、各
金融機関においてマニュアルの字義どおりに対応がなされていない場合であっても、業務の健全性、それから適切性の観点から見て、
金融機関の行っている対応が合理的なものであり、
金融機関の規模や特性に応じた十分なものであるというふうに認められるのであれば、それをわざわざ不適切であるというような形で
指摘したりはしないということで、そういった面では、いわゆる
地域において中小零細企業を主な取引先としております信用金庫、信用組合、こういったものに配慮した形の記載がなされておるところでございます。
また、信用リスクの管理に関するものといたしましては、いわゆる引き当ての前提となります債務者区分の検証、いわゆる資産査定を行う際の配慮でございますが、特に、中小零細企業等については、当該企業の財務
状況のみならず、当該企業の技術力、販売力、成長性、それから先ほど申されたように、代表者の資産といいますか、裏にあります資産内容とか保証
状況とか保証能力、そういったものを総合的に勘案して、当該企業の経営実態を踏まえて判断するんだ、こういうようなことで、まさしく中小あるいは零細等に対する
資金供給の円滑化に配慮した形にさせていただいております。そのような形で運営をさせていただくということでございます。
それから、第二点目でございますが、いわゆるリスクマネーといったものがきちっと供給できるような仕組みを信用組合なんかに設けてはどうかというお話でございました。大変興味のある考え方だと思います。
おっしゃられますとおり、金融というのはいわば経済活動の動脈たるものでございます。必要な
資金が安定的に供給されるということが非常に国民経済にとって重要なわけですが、そういう意味で、本来
金融機関たるものは、まさに適切なリスク管理を前提としてではございますが、必要なリスクテークをしていく、こういったことが非常に重要である。すなわち、
資金の仲介者として経済活動に必要な
資金を安定的に供給していく、リスクをとっていく、これは非常に大切なことだというふうに思っております。
ただし、そのリスクテークができるかどうかというそこの問題なんですが、これはやはり適切なリスク管理が自信を持ってなされているかどうか、こういうことにかかってくるということだと思っております。
すなわち、債務者の財務内容や業況、こういったことを的確につかまえていくということがまず大前提にあると思います。そういう意味では、先生おっしゃられましたように、信用組合の場合は、地場に根差して、それから個々人の、一人一人についてよく実態をわかって、その上で判断して融資をされる御決断をされるということは、これは大変立派なことであるというふうに思います。その際も、やはりきめ細かな
審査能力というのが必要になってこようかと思いますが、その上で、どれだけ貸し倒れ率が発生するか、そういった倒産確率的なコスト計算、これもまた踏まえていかなければいけないということになろうかと思います。
その上で対応していくということでございますが、やはり信用組合におかれましても、相手がどれだけ成長性を持っているかとか、あるいは資産的な面でどうか、企業だけではなくて、その代表者の資産内容はどうかということも含めてもちろん総合的に御判断いただくということですが、単なる財産だけを目当てにして保全をする、そういう観点ではなくて、先生おっしゃられますように、総合的ないろいろなことを加味して判断して、その信用リスクに見合った貸し出し条件、すなわちリスクがこれは若干高いなと思えば、それに見合った金利を取っていく、こういうことは判断として大いにやっていただきたいというふうには思います。
しかしながら、一つ言えますのは、個々の
金融機関では、実を言いますと、融資に関するいろいろな
情報というのは限られております。これは、融資
情報あるいは財務
情報といったものが非常に個々の
金融機関では限られておりますので、そこで判断していくというには、かなり思い切った判断をしないといけないというリスクがかなり大きくなってしまう。そういうことがございますので、実際は、
中小企業の信用
情報をできれば共有していくというようなことが工夫されてしかるべきではないかということで、現に、例えば地銀なんかが
中心になって、みんなの信用
情報を集めて、共有したデータベースを持って、いわゆる
審査精度を上げていくというようなことも工夫としては行われております。
また、全国信用金庫連合会、これは信用金庫の集まりであるところの上部団体になるわけですが、そこなんかにおきましても、いわゆる
中小企業の信用格付を行っていくというようなことも、そのシステム開発を今後やっていってサービス提供もしていこう、その
情報が各信用金庫が使えるというようなことにもしていこうということで、いろいろな角度から検討がされて、それがうまく結びついていきますと、先生のおっしゃったような、かなりのリスクテークをしながら、少々金利が高くても貸せるというような
状況に結びついていこうかと思います。