○
中村委員長 平成八年度決算及び
平成九年度決算についての議決案は、
理事会の協議に基づき、
委員長において作成し、
委員各位のお手元に配付いたしております。
これより議決案を朗読いたします。
議決案
平成八年度及び九年度の
一般会計歳入歳出決算、
特別会計歳入歳出決算、
国税収納金整理資金受払計算書及び
政府関係機関決算書につき、左のごとく議決すべきものと議決する。
本院は、両年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、次のとおり改善を要するものが認められるのは遺憾である。
一 予算の執行
状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の
努力を要する事項などが見受けられる。
次の事項がその主なものであるが、
政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
1 有珠山の噴火災害により住民の生活や
経済活動に深刻な影響が出ている。今後とも住民の安全確保、被害の拡大防止、災害の長期化などへの
対策に万全を期するとともに、生活基盤や
経済基盤等に対する支援のための施策を積極的に講ずるべきである。
2 産業のサービス化、高齢化等を背景とした労働力需給の構造変化を踏まえ、厳しい
雇用失業情勢を改善し、
国民の
雇用不安を払拭するため、総合的な
雇用対策を講ずることにより、
雇用の安定を図るべきである。
3
平成九年度の国の一般会計において、一兆六千億円余の決算上の不足が生じたことにかんがみ、適切な税収見積りの確立に更に
努力するとともに、国の
財政の実情を把握し、
国民に明らかにするために、企業会計も参考にした貸借対照表の導入など、国の
財政情報の開示の適切な在り方について
検討すべきである。
また、特殊法人等の会計についても、最近の企業会計の動向を踏まえつつ、より一層の透明性の確保に努めるべきである。
4 新潟県警を始めとする都道府県警察での一連の不祥事案や防衛庁による防衛装備品調達に係る不適切な事態の発生にかんがみ、業務の公正性の確保や職員の職業倫理意識の向上等の所要の諸施策に
取り組み、この種事案の再発の防止に努めるべきである。
また、こうした度重なる公務員の不祥事や最近の厳しい
財政状況に対処するため、政策評価制度の円滑な導入に万全を期するとともに、会計検査院の検査機能及び総務庁の行政監察機能について更に充実強化を図るべきである。
5 茨城県東海村の民間核燃料物質加工施設において発生した
我が国初の臨界事故による被害の甚大さ及び原子力の安全性に係る
国民の信頼の失墜を厳しく受け止め、被害者の救済に
全力を尽くすとともに、核燃料を取り扱う施設の安全規制の強化等抜本的な再発防止策の策定と原子力防災
対策の強化に努めるべきである。
二 会計検査院が検査報告で
指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
政府は、これらの
指摘事項について、それぞれ是正の措置を講ずるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
決算のうち、前記以外の事項については
異議がない。
政府は、今後予算の作成並びに執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行
財政改革を強力に推進し、
財政運営の
健全化、行政の
活性化・効率化を図るとともに、決算の審査を通じて行政施策を監督、事後評価し、行
財政執行の適正を期するという決算行政監視
委員会の重要性にかんがみ、本
委員会の審査に一層配慮し、もって
国民の信託にこたえるべきである。
以上が、議決案の内容であります。
—————————————