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2000-04-03 第147回国会 衆議院 決算行政監視委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年四月三日(月曜日)     午後二時十九分開議  出席委員    委員長 中村正三郎君    理事 赤城 徳彦君 理事 岩永 峯一君    理事 古賀 正浩君 理事 田中 和徳君    理事 石井 紘基君 理事 坂上 富男君    理事 谷口 隆義君 理事 佐々木洋平君       相沢 英之君    奥山 茂彦君       河井 克行君    滝   実君       林  義郎君    林田  彪君       原田昇左右君    堀之内久男君       三塚  博君    山本 幸三君       吉川 貴盛君    生方 幸夫君       鹿野 道彦君    菅  直人君       熊谷  弘君    葉山  峻君       青山 二三君    石垣 一夫君       福島  豊君    米津 等史君       辻  第一君    中林よし子君       保坂 展人君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    通商産業大臣       深谷 隆司君    郵政大臣         八代 英太君    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    総理府政務次官      長峯  基君    大蔵政務次官       大野 功統君    通商産業政務次官     細田 博之君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    津野  修君    会計検査院長       金子  晃君    会計検査院事務総局第一局    長            増田 裕夫君    政府参考人    (警察庁長官)      田中 節夫君    政府参考人    (警察庁長官官房長)   石川 重明君    政府参考人    (総務庁行政監察局長)  塚本 壽雄君    政府参考人    (大蔵省主計局次長)   津田 廣喜君    政府参考人    (大蔵省理財局長)    中川 雅治君    政府参考人    (農林水産大臣官房長)  竹中 美晴君    政府参考人    (農林水産省構造改善局長    )            渡辺 好明君    政府参考人    (農林水産省農産園芸局長    )            木下 寛之君    政府参考人    (農林水産省畜産局長)  樋口 久俊君    政府参考人    (林野庁長官)      伴  次雄君    政府参考人    (工業技術院長)     梶村 皓二君    政府参考人    (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君    政府参考人    (郵政省通信政策局長)  有村 正意君    決算行政監視委員会専門員 中谷 俊明君     ————————————— 委員の異動 三月十四日  辞任         補欠選任   村山 富市君     知久馬二三子君 同日  辞任         補欠選任   知久馬二三子君    村山 富市君 四月三日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     河井 克行君   村山 富市君     保坂 展人君 同日  辞任         補欠選任   河井 克行君     綿貫 民輔君   保坂 展人君     村山 富市君     ————————————— 本日の会議に付した案件  分科会設置に関する件  政府参考人出頭要求に関する件  分科会における政府参考人出頭要求に関する件  分科会における参考人出頭要求に関する件  平成八年度一般会計歳入歳出決算  平成八年度特別会計歳入歳出決算  平成八年度国税収納金整理資金受払計算書  平成八年度政府関係機関決算書  平成八年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成八年度国有財産無償貸付状況計算書  平成九年度一般会計歳入歳出決算  平成九年度特別会計歳入歳出決算  平成九年度国税収納金整理資金受払計算書  平成九年度政府関係機関決算書  平成九年度国有財産増減及び現在額総計算書  平成九年度国有財産無償貸付状況計算書     午後二時十九分開議      ————◇—————
  2. 中村正三郎

    中村委員長 これより会議を開きます。  平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外二件を一括して議題といたします。  総括質疑を行います。  この際、お諮りいたします。  各件審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官田中節夫君、警察庁長官官房長石川重明君、総務庁行政監察局長塚本壽雄君、大蔵省主計局次長津田廣喜君、大蔵省理財局長中川雅治君、国税庁課税部長河上信彦君、農林水産大臣官房長竹中美晴君、農林水産省構造改善局長渡辺好明君、農林水産省農産園芸局長木下寛之君、農林水産省畜産局長樋口久俊君、林野庁長官伴次雄君、工業技術院長梶村皓二君、資源エネルギー庁長官河野博文君、郵政省通信政策局長有村正意君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村正三郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。     —————————————
  4. 中村正三郎

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤城徳彦君。
  5. 赤城徳彦

    赤城委員 自由民主党の赤城徳彦でございます。  冒頭、先ごろ小渕総理緊急入院をされました。問題山積の中で、疲労が重なってのことだと思います。一日も早く回復されて、また先頭に立って御活躍をいただきますよう心から願う次第でございます。  きょうは、私は、農林水産省の一連の問題について質問をさせていただきたいと思います。  去る三月二十七日に農林水産省から新たな逮捕者が出まして、私にとりましても大変ショックなことでございました。農林水産省は今、新しい基本法に基づく施策を展開していくという大変大事な時期にございます。こうした中で、国民信頼を失するようなことがあってはならないというふうに感じております。  小渕総理からも、去る三月二十八日に、公務員全体の信頼を失墜せしめたことは残念のきわみである、組織の隅々までその意思を徹底し、信頼回復に努めよと、このように指示をされました。大臣としては、このような事態が生じたことについてどのようにお考えか、まず伺います。
  6. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 去る三月二十七日、農林水産省職員収賄容疑で逮捕されたことにつきましては、公務員倫理が厳しく問われている中で、まことに遺憾であり、不信を招くような事態に至ったことに対しまして、国民皆様に大変申しわけないと考えております。  本件につきましては、現在、捜査当局の手にゆだねられておりますので、その推移を見守り、捜査の結果が明らかになった時点で、処分すべきは処分し、改善すべきところは改善するなど、厳正に対処してまいりたいと考えているところであります。
  7. 赤城徳彦

    赤城委員 これまで、農業構造改善事業について、農林水産省の中で調査委員会を設置して調査してまいりました。この件について、調査委員会の中でどのようなことがわかっていたのか、また、わからなかったのか、あるいはまた逆に、調査委員会構造改善事業中心にしていたものですから、この点について漏れがあったのか、もしそうだとするならば、改めて徹底的な調査を、全省的な調査をすべきではないかと思いますが、この点について大臣考えを伺います。
  8. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 昨年の一月に大臣訓令に基づく調査委員会を設置いたしましたが、これは農業構造改善事業等をめぐる問題等につきましての調査委員会であります。そうした中におきまして、いろいろな制限のある中、幅広く、また自己申告に基づき、かなり調査相当数処分等を行い、厳正に対処したところでありますが、本件につきましては、当該職員が、過去におきまして農業構造改善事業等所管部局には在籍していなかったことから、今回の調査委員会調査対象となっていなかったものであります。  いずれにいたしましても、捜査の結果が明らかになった時点で、事実関係を把握した上、調査委員会あり方を含め、全体の調査体制について検討してまいりたいと考えております。
  9. 赤城徳彦

    赤城委員 これは、調査委員会農業構造改善事業中心にしていたために、また聞き取り調査中心とした強制力のない調査であったということからこういう事案が漏れていたとしたならば、これはもうすぐにも調査対象を広げて調査しなければならないのではないかと思います。  今回の件についても、四国の農協の方を調査する中で、十分そこまで調査が及ばなかったのかなというふうな思いがしないわけではありませんし、これまでの調査かなり本腰を入れて大臣もこの調査をされたと思いますので、調査をしたのだけれども次から次へとまた不祥事が明るみに出るということを繰り返さないためにも、今すぐにも全省的な調査をする、もうこの後はないよ、これ以上はもうありませんという確証を与えていくということが大事だと思いますので、捜査動向を見ながらということではなく、今すぐにも悉皆調査、全省的な調査をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  10. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 御趣旨のお話でございますけれども、現在捜査中の案件でございますので、こうした点は、事実関係がすべて明らかになった上で対処してまいりたいと考えているところでございます。
  11. 赤城徳彦

    赤城委員 その点は、重ねてお願いをいたしたいと思います。本件に限らず、あらゆる部局について調査をしていくことが大事かな、こういうふうに考えております。  それでは、次の質問でありますが、経営構造対策事業について、第三者委員会を設置して、その事業採択等について透明性を持った運営をしていくということを聞いておりますが、今後のこの事業あり方について、どういうふうに改善措置を講じていくのか伺います。
  12. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 本年度から、従来の農業構造改善事業に変えまして、食料・農業農村基本法に基づきまして、我が国農業を担う経営体育成施策を集中させることにいたしまして、経営構造対策を開始することといたしております。  この新たな対策では、従来の農業構造改善事業におきましては、便利な施設整備の点が強く強調される点があったことを踏まえまして、事業内容を担い手となる経営体育成に直結するものに限定した上で、数値目標を掲げまして、進行管理評価を実施するとともに、過剰と見られるような施設整備を防止するため、費用対効果のチェックや施設別上限コスト設定を行うことといたしております。  また、従来の農業構造改善事業におきまして、担当者の裁量の範囲が広かったことを踏まえまして、学識経験者から成る第三者委員会を開催し、採択基準等設定地区別事業計画等情報公開、さらには、公益法人についての業務発注基準作成等を行うこととして、事業の効率的で透明な執行に遺憾なきを期してまいりたいと考えているところであります。
  13. 赤城徳彦

    赤城委員 大臣からも今御答弁いただきましたが、各般にわたる基準を明確化したり事業の中身を改善していく、こういうことでございます。  その中でも、今回、公益法人に係る問題が随分取りざたされてまいりました。特に、公益法人コンサルタント業務を丸投げしているのではないか、そういう問題がありましたが、この点については、この第三者委員会の中で、コンサルタント業務公益法人が行うことはもうやめます、こういうふうに答申が出されておりますので、この点は大きく改善されるのかなというふうに感じております。  さらに、その公益法人に関してですが、今回、問題となった五つ公益法人がございます。この公益法人農水省と、そして民間との癒着構造があるのではないかということが言われてまいりました。その中で、天下りが問題であるということは再三指摘されております。  そこで、特にこの五つ公益法人、問題となっています公益法人に対する天下りを自粛するべきではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。  また、あわせて、公益法人民間業者との関係についてですが、民間企業からの出向をさせて、公益法人がその出向をする職員業務を行わせるということもまた癒着の構図になってくるのではないかと思います。第三者委員会の中では、この公益法人の中に座席を有して、この法人の長の指揮のもとに活動している者については構わないということのようですが、席がどこにあろうとも、指揮系統がどうであろうとも、民間企業職員実態的には行う、公益法人がみずからやっているものではないという点では変わりがないわけでありまして、そういうものも改めていくべきではないかと思います。  公益法人に関するこれらの問題についてどのように対処されるのか伺います。
  14. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 二点御質問がございまして、第一点は、公益法人への天下りの問題でございます。  公益法人は、御案内のとおり、営利を目的としない、積極的に公益事業をするということで設立をされております。国家公務員も、公益法人の要請を受けながら、公務員として培った幅広い高度な知識経験を買われて役員に就任をしているということでございます。  とりわけ、農業構造改善事業等に関連する公益法人でありますけれども、農業農村実態あるいは農業構造改善事業等に関して専門的な知識を有する者を一定の限度の中で採用しているものであります。ただ、そのような公益的な事業を行う法人でございますから、より一層その公益性について厳正な運用が求められるわけでございます。  この第三者委員会の中でも、私たちの検討の中でもございましたけれども、四つほど大きな点がございまして、一つは、経営構造対策の中で、コンサルタントはもう廃止をする。それから同時に、公益法人としての業務内容情報公開していく。  二点目に、御指摘があった出向の問題でありますけれども、これは明確に、その公益法人理事長などの監督下に入ってきちんと指揮命令を受けるということで、座席があるなどの実態を有する場合、こういうもの以外は出向契約を禁止する。  ただ、やはり専門的な分野でありますとどうしてもそういう方たち知識が必要なものですから、外注をするか指揮監督下に入って出向契約の形でやるのかというところは、どちらかを選ばざるを得ないという点がございますので、今回の場合には、理事長などの指揮命令のもとで、きちんと座席を持ってその事業を果たしていくということにしたわけでございます。  それから同時に、この公益法人業務発注する場合には業者選定基準設定する、そしてこの公益法人の中の選定委員会などにかけていく。さらには、業者選定に当たっても、業者の方からアクセスができるように公募等を実施するということで、手続の透明化適正化を図っているところでございます。
  15. 赤城徳彦

    赤城委員 公益法人の問題に関しては、林野庁所管公益法人も先ごろ新聞で報道されております。林野弘済会林業土木コンサルタンツに関して、特に、理事の多数を農水省OBが占めているのではないかというふうな指摘がございます。  公益法人については、指導監督基準に基づいて、理事のうち、所管する官庁出身者天下りが占める割合は、理事現在数の三分の一以下とすることになっておりますが、実態はどのようになっているのか。また農林水産大臣は、このことに関して、国民誤解を招くことのないよう、指導監督基準趣旨をさらに徹底させるべく適切に指導してまいりたい、こういうふうに発言されていると聞きますが、具体的にどのように指導していかれるのか伺います。
  16. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今言われました林野弘済会林業土木コンサルタンツについてでありますけれども、これは、指導監督基準上の所管する官庁出身者、すなわち本省庁課長相当職以上を経験した者、こうなっておるわけでありますが、林野弘済会につきましては、総理事数二十四人のうち六人、林業土木コンサルタンツについては、総理事数二十二人のうち四人でありまして、指導監督基準の三分の一以下そのものには合致していると考えているところであります。  しかしながら、農水省OB理事数につきましては、林野弘済会につきましては二十四人中十八人、林業土木コンサルタンツにつきましては二十二人中十五人と、全理事の過半数を占めております。  指導監督基準趣旨は、公益法人所管官庁と一体となって活動し、実質的な行政機関として機能することを防止するとの観点から理事構成について定められているものでありまして、課長相当職以上の者に当たらないといたしましても、所管官庁OBが多数含まれていることは国民誤解を招きかねないと考えております。  したがいまして、両団体に対しましては、早急に改善を図るため、十二年度中に農水省OB割合が全理事半数以下となるようにするとともに、将来さらにこれを減少する方向で指導してまいりたいと考えているところであります。
  17. 赤城徳彦

    赤城委員 もう一点お尋ねをいたします。それは、公益法人株式保有の問題であります。  これも、報道によりますと、林野弘済会林業土木コンサルタンツ、それから日本林業技術協会は、公益法人指導監督基準にそぐわない株式保有がされている、こういうふうに聞いております。この点について、大臣としてはどのように指導されるのか伺います。
  18. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 公益法人株式保有につきましては、平成八年に閣議決定されました公益法人設立許可及び指導監督基準に基づき、解消すべく努力を行っております。  その結果、財団法人林野弘済会につきましては、平成九年に四十三社の株式を保有していたものが現在三十六社に、財団法人林業土木コンサルタンツについては、平成九年に二社の株式を保有していましたが、現在は一社のみとなっております。また、社団法人日本林業技術協会につきましては、平成九年に二社の株式を保有しており、現在も引き続き保有しております。  しかしながら、林野弘済会がいまだ三十六社にも上る株式を保有しているという事実につきましては、厳しく受けとめているところであります。  したがいまして、市場での売買が困難なこともあり、処分が難航している状況にはありますけれども、林野弘済会に対しましては、十二年度中に半数、十八社をめどに株式保有を縮小する、林業土木コンサルタンツ及び日本林業技術協会に対しましては、十二年度中に処分するようさらに指導してまいりたいと考えているところであります。
  19. 赤城徳彦

    赤城委員 きょうは時間がありませんのでお尋ねはしませんが、農業土木工事発注についても、北海道庁の発注をめぐる談合疑惑がございまして、公正取引委員会から近く排除勧告が出されるというふうな報道もございました。最初に申し上げましたように、農林水産行政、大変大事な時期でございますから、国民信頼を失うことのないようにお願いをしたいと思います。  最後に大臣から、職員倫理事業執行体制の両面にわたるしっかりとした体制をとり、信頼回復に努めていただきますよう、その決意を伺います。
  20. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 私といたしましては、国民の御批判に対し、徹底的に事実関係をただすべきはただし、改善すべきは改善するなど厳正に対処してまいる考えであります。  さらに、去る三月三十一日に、農林水産省全体の仕事のやり方を見直し、事業実施適正化を図るとともに、職員一人一人に公務員としての自覚を促すよう事務次官を通じ指示したところであります。  今後とも、全身全霊を傾けて、国民皆様信頼回復に取り組んでまいりたいと考えております。
  21. 赤城徳彦

    赤城委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  22. 中村正三郎

    中村委員長 次に、石垣一夫君。
  23. 石垣一夫

    石垣委員 最初に、小渕総理が激務の中でお倒れになったことにつきまして、極めて残念に思います。一日も早く病状が回復されて、陣頭指揮をとられることを心からお祈り申し上げたいと思います。  次に、きょう日銀短観発表があったのですけれども、きょうの発表をお聞きになって、大蔵大臣として、我が国景気にどのような判断をお持ちなんですか。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 短観を読みまして、大体今まで感じておりますことがあの中にほぼ出ておるという感じでございますが、すなわち、商況につきましても、雇用につきましても、投資につきましても、いろいろな面でかなり経済に対する好転を期待する空気が強くなっておる。なかんずく、大まかに申しますと、製造業の比較的大企業に早いそのような兆候がありまして、中小企業、非製造というところが一番動きが遅いということのように見ましたが、これも常識的に言えておることであると思います。  したがいまして、概して、いろいろな指数から見ているところとあそこにあらわれるところはほぼ似ておりますようで、注意すべきは、やはり遅行指数でもあります雇用動きということではないかと思って読んだところでございます。
  25. 石垣一夫

    石垣委員 では、政府としては、この景気回復動向についてはほぼ予定どおりだ、さらに景気回復について確信を持てる、こういう判断なんですか。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般、QEの十—十二月分が出ました後、これはかなりのマイナスになったわけでございますが、一—三の統計などを見ておりました感じがほぼ短観に出ておるかと思いますので、政府としましては、この傾向がさらに一段と、この次の短観は三月後でございますか、そういうふうになってくることを期待いたしております。
  27. 石垣一夫

    石垣委員 では、ひとつ誤りのない財政運営経済運営指揮をとられることを願っております。  そこで、きょうは特別会計についてお尋ねをしたいと思うのですけれども、私は、宮澤大蔵大臣に、きょうの質問が三回目であります。平成十一年の二月五日、予算委員会で、いわゆる国営土地改良事業特別会計農業経営基盤強化措置特別会計のずさんな計画について取り上げてきました。きょうはさらに、二月二十八日の予算委員会分科会に引き続き、具体的にお尋ねをしたいと思うのです。  これまで、三十八ある特別会計一つ一つがトータル的にも国民に非常にわかりにくいという問題があります。そのわかりにくい第一の問題としては、例えば三十八ある特別会計をいわゆる統括する官庁がない、所管する三十八特別会計をそれぞれ一つ一つ読んで個別にお尋ねをする、こういう方法しかないということを実感したわけであります。そういうことで、先般の分科会では、大蔵大臣から、総括的な責任者として主計局次長をひとつその任に充てようじゃないか、こういう答弁がありました。  その次の問題は、いわゆる特別会計には、特殊法人などがつくっているところの事業報告書業務報告書がないということに対して、改善していくというような答弁がありました。さらに、貸借対照表のある特別会計、これは、二十三の会計では義務化されておりますからあります。しかしながら十五の特別会計には、義務化されておりませんのでありません。しかし、国有財産特別会計のように、義務化はされておりませんけれども、みずから作成という特会もあります。  このような実態の中で、三十八ある特別会計全体のバランスが国民にわかりにくい、こういう問いに対して、大蔵大臣は、まず一定割り切りの中で試作品をつくってみたい、前回、こういう非常に前向きな答弁があったわけであります。  こういうことを踏まえまして、きょうの質問は、日本の国全体として、公共用財産評価基準がつくられていない、こういうことについて今後どのような手法を用いて評価されていくのか、まずこれが第一点ですね。  それから第二点としては、現段階では、国有財産台帳には、国有財産法の第三十八条で、公共に供する財産で政令で定めるもの、いわゆる河川、道路、港湾、土地改良財産国営公園国定公園などの台帳適用除外されております。しかし、これでは正確な財産評価にならないと私は思うのです。  土地基本台帳に記載されていない、このことによってトータル的なバランスシートが作成できないと思うのですけれども、この第三十八条の適用除外を外すというか、これは考えなければいけないのじゃないか。いわゆる法律改正も含めてそういう何らかの手当てが必要じゃないか、こう思うのですけれども、この二点について。     〔委員長退席、田中(和)委員長代理着席〕
  28. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 後ほど政府説明員から御説明を申し上げることをお許しいただきたいと存じますけれども、一般的に、かねておっしゃっていらっしゃいますこと、現行の公会計制度のもとで、存在する各種の計数を前提にしまして、各省庁の協力を得ながら、どういうバランスシートができるかということを検討いたしておるところでございます。  なお、各省庁でいろいろ検討してもらっておりますが、御指摘の道路、河川等の公共用財産評価について、現在どうするかということを検討いたしております。  御指摘のように、国有財産法第三十八条の規定によりまして、道路、河川等の公共用財産については国有財産台帳整備等の規定が適用されないということでございますから、このような中で、どのような計数をもとに検討を進めるかという問題があるわけでございます。  ちょっと専門的な話になりますので、政府説明員から補足をしてもらいます。
  29. 中川雅治

    中川政府参考人 国有財産法第三十二条に基づきまして、各省各庁は、国有財産の分類及び種類に従って、いわゆる国有財産台帳整備することとされているわけでございます。  一方、道路、河川等の公共用財産につきましては、ただいま大臣が御答弁されましたように、国有財産法第三十八条によりまして、国有財産台帳整備等に関する規定は適用しないこととされているわけでございますが、これら財産につきましては、道路法、河川法等それぞれの公共物の管理法規において台帳作成することとされているところでございます。  このような区分を行っておりますのは、国の行政の物的基礎または処分対象である国有財産においては、国有財産台帳により、取得から処分、滅失に至るまでの履歴とともに、その数量、価格を把握しなければならないという考え方に基づいているわけでございますが、それに対しまして道路、河川等の公共用財産におきましては、処分ということが想定しがたく、公共物としての機能を維持するための管理を行うことに主眼があるためであると考えられるわけでございます。  このような機能管理の考え方に基づき、例えば道路につきましては、道路台帳において、路線の敷地の面積のほか、路線の延長距離、起点、終点等が記載されておりまして、当該台帳により適切な管理が行われているところでございます。  先生御指摘になられました国のバランスシートの作成に当たって、道路や河川等の公共用財産をどのように評価していくかということにつきましては、まさにこの道路や河川等の公共用財産評価の問題として考えていかなければならないと思っておりまして、関係省庁に必要な作業をお願いしながら、どのような評価が適切か、現在幅広く検討しているところでございます。
  30. 石垣一夫

    石垣委員 そこで、大蔵省として、一つ評価基準というものをあらかじめ提示をして、これに準じて各省庁ともひとつそういう作成お願いしたい、こうならなければいかぬと思うのです。  既に自治省は、各地方自治体のバランスシート作成について、ことしの三月にそれぞれの現状を発表いたしておりますね。その中で、各地方自治体では、都道府県レベルでは九つの都道府県、それから市町村レベルでは十九の自治体が既にバランスシートをつくっております。それぞれ中身はいろいろありますけれども、そういう中で地方自治体の方は既に進んできているわけです。  その作成のレベルはいろいろあるのですけれども、国としても、私は、所管の中心になる大蔵省は、一つのガイドラインといいますか、そういうものをやはり早急につくらなければいかぬ、こう思うのですが、いかがですか。
  31. 中川雅治

    中川政府参考人 この問題につきましては、実際に道路や河川等の評価を行う場合には、全国のそういった公共施設に対しまして、統一的な基準をつくって、それで各省各庁にお願いしなければならないと思っておりますので、当然そういった方向で作業を進めさせていただきたいと思っております。
  32. 石垣一夫

    石垣委員 では、いつごろまでにその基準をつくられますか。
  33. 津田廣喜

    津田政府参考人 評価基準作成のめどについては、技術的な問題につきまして、外部の専門家も交えた検討会の中で今いろいろ検討しているところでありまして、大変恐縮ですが、余りはっきりしためどについて申し上げる段階には至っておりません。
  34. 石垣一夫

    石垣委員 しつこいようですけれども、初めてのことですから、いろいろそれは、年月もかかるし、内容も非常に難しい、これは理解できるのですけれども、もう地方自治体は既に先行しているわけですよ。  だから一つのモデル、それはスケールが違いますから、いろいろとまた取り組む中身もかなり変わってきます。それにしても、既にこういうモデル的なものがあるわけですから、やはり大蔵省として、今検討中で、これははっきり言ったらいつになるかわからぬというふうな答弁では、私は困ると思うのですよ。やはり一つのめどをひとつ。
  35. 津田廣喜

    津田政府参考人 地方公共団体でおつくりになっておりますバランスシートも我々拝見をしておりますけれども、かなりところによってばらつきがあるわけでございます。精粗まちまちだと思います。  したがって、最終的な目標は国民にできるだけわかりやすいものを提供するということにあると思いますから、どういう段階、余り細か過ぎても時間がいたずらにかかるという面もございますし、なるべく早くということをきょうの段階では申し上げさせていただきたいということでございますが、鋭意努力をしているところでございます。
  36. 石垣一夫

    石垣委員 そこで端的に、大ざっぱなことで聞きたいと思うのですけれども、では、日本の国家財産の総資産額、それから負債総額、これを引けば正味財産になると思うのですけれども、日本の正味財産は一体どのくらいあるんだということを試算されたことはありますか。
  37. 津田廣喜

    津田政府参考人 バランスシートに使えるようなものとして計算したことは残念ながら今までございません。各方面のいろいろな御要望にこたえて、そのバランスシートの試作品をつくることによりまして提示をしようということで、今作業中だということでございます。
  38. 石垣一夫

    石垣委員 民間のPHP等もいろいろ研究されております。十分それらも参考にされて、一日も早く国民の前に、目に見える形で作成されることを要望しておきます。  次に、特別会計における余剰金の問題であります。  特別会計ごとに見ますと、いわゆる基金、積立金、引当金等が、各省庁にはさまざまなグループの分け方があります。  それで、余剰金の多い特別会計を例にとってちょっとお聞きしたいと思うのですけれども、農業経営基盤強化措置特別会計、これは、平成十年度の決算の積立額は、三百四億九千五百十八万円に対して、一般会計への繰入金額はわずか三千七十八万円にすぎない。いわゆる積立金が多過ぎるということであります。  そこで、この農業経営基盤強化措置特別会計業務は、主として、一つは減反で売り渡す農地の売買、あるいはまた開拓財産買収事業であると思うのですけれども、これの歳入歳出の決算推移を見ますと、平成八年度歳入額千百二十一億、歳出額が二百九十四億円、予算の執行は二六%なんですね。それから、平成九年度歳入額千二百二十四億円に対して、歳出額が三百二十二億、二六%。それから平成十年度を見ますと、歳入額が千三百十二億円に対して、歳出額が三百三十二億円、二五%というふうになる。執行状況が予算に対し四分の一である、こういうことが明らかになります。  さらに、具体的に、農地等買入諸費、この事業実績はどうかといいますと、平成八年度で、予算額八億五千百万に対して決算額は二千七百万円、三%にすぎない。それから平成九年度、予算額六億二千八百万円に対して決算額千五百万円、これは三%にすぎない。それから平成十年度、予算額五億百万円に対して決算額二千六百万円、五%、こういうこの特別会計実態であります。  こういうことについて、どのように農林省としてお考えですか。
  39. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 まず、後段の農地等買入諸費の点でありますけれども、御案内のとおり、農地法違反等が生じました場合には、最終的には国がその農地を買い入れるという突発的な事態、それに対応したやはり資金の懐を持っておかなければならないということでございますし、あるいは、農地問題について係争、訴訟があった場合に賠償金あるいは補償金を払うというふうな事態が生ずるわけでございます。  具体的に申しますと、平成十年度、確かに四億九千万余の剰余を出しておりますけれども、これは、国が当事者となる訴訟事件で賠償金の支払いを予定いたしておりました裁判が、証拠集めという点で延期をされました。それから、貸付農地を売り払う際に要する賃借権消滅のための補償、これも解決がされないまま繰り越されたということでございます。  突発的な事態への柔軟な対応ということでこういった事態になりましたけれども、極力過去の実績や予想額の的確な把握に努めて、突発的な事態にもまた的確に対応できるよう、適切な額を計上するようにいたしたいと思っております。  それからもう一つ、この特別会計では、農地等の関係と同時に資金の関係を担当いたしております。農業改良資金あるいは就農支援資金、担い手農地集積資金、これらは基本的にはリボルビングファンド方式をとっておりまして、返ってきたお金をいずれは貸し付けに充当するという仕組みでございますが、でき上がりましてからまだまだ日が浅いものですから、返ってくるお金が少ないということで、一般会計からの受け入れで資金を増勢する段階にございます。  改良資金につきましても、これからむしろ需要を積極的に推進するといいますか開発をする段階でございますので、この剰余につきまして、例えば一般会計へ繰り入れるといったようなことはなかなか難しい実情にあるわけでございます。     〔田中(和)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 石垣一夫

    石垣委員 いや、そういうことを言っているんじゃないんですよ。  今答弁で、過去の実績を評価して予算を組む、これは当然ですね。ところがこれは、先ほど申し上げましたように、三年間とも執行率は四分の一でしょう、予算の。そうしたら、前年度を参考にしていないのと違いますか。三年間も続いて、私は今挙げましたけれども、平成七年、六年、ずっとさかのぼっていけば、これはもっとひどいことになっていますよ。たまたま私は三年間を挙げましたけれども。  先ほど申し上げたように、平成七年、八年、九年、十年と、それぞれ執行率が四分の一じゃないですか。こういう予算の組み方が、過去の実績を評価しての予算の作成になるのかということをお聞きしているわけです。
  41. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 重ねて申しわけないのですが、二つに分けて私が答弁申し上げましたのは、農地関係のところは非常に、日本の裁判や交渉の実態からしますと、ことしはひょっとしたら膨大な金が要るかもしれない、農地改良しなければいけない、あるいは賠償金を払わなければいけない、補償しなければいけないというふうなことが、たまたまずっとその係争が続いてまいりまして、七年からたしか十年まではそういった関係の補償金、賠償金が執行されなかった、農地の買い入れもなかったということからそういう剰余が生じたわけでございます。  もう一つの資金関係のものは、目下むしろ資金を増勢すべき段階でありまして、したがって、前年度、今先生がおっしゃったような実績でもって繰り入れなどをいたしますと、今度は資金増勢のリボルビングファンドの回転に差しさわりが出てくるという考え方で、目下はまだ資金を増勢している段階であるということをお答えいたした次第でございます。
  42. 石垣一夫

    石垣委員 これ、担当者に聞きますと、新しい事業計画しているんだ、こういう話を聞いたのですよ。これはちょっと異例なのと違いますか。農業経営基盤強化措置特別会計の中で、先ほど申し上げましたように毎年執行率が四分の一だ、こういうことを指摘いたしました。そうすると、この予算を使うために新しい事業を今考えているんだ、今法律を考えているんだ、こういうことを聞いたのですけれども、それはないんですか。
  43. 木下寛之

    木下政府参考人 農業改良資金でございますけれども、最近の経済状況の悪化等々によりまして農業者が借り受けを手控えている、また、近年の市中金利の低下によりまして無利子資金のメリットが十分に発揮し切れないというような点もございまして、貸付実績は計画に対しまして相当下回っているという状況にございます。  私ども、こういうような貸付実績を下回っているという状況にかんがみまして、一つは一般会計の繰り入れを極力圧縮するというほかに、農業者の資金ニーズに即しました、例えば果樹の高品質化なり花卉の生産省力化あるいは大規模水田営農の推進等々に要する資金を拡充してきた。また一方で、十二年度からの措置でございますけれども、貸付実績のない養蚕技術総合改善資金など二資金につきましては廃止をするというふうな措置を講じているところでございます。  また、就農支援資金でございますけれども、新規就農者に対します施設整備等に対する支援拡充を図るべく、現在御審議をいただいているところでございます。  いずれにいたしましても、私ども、これら二つの資金につきまして、農業者の資金需要に即して今後とも不断の見直しを行っていきたいというふうに考えているところでございます。
  44. 石垣一夫

    石垣委員 では、私はたまたまこの三年間の予算の執行状況を申し上げて質問申し上げましたけれども、こういう執行状態について、今まで、これが正しい、こういう判断だったのですか。
  45. 木下寛之

    木下政府参考人 先ほども申し上げましたように、貸付枠に比べまして実績は相当下回っているというのは、先生御指摘のとおりだというふうに思っております。  ただ、農業改良資金なり就農支援資金でございますけれども、これらの資金は、いわゆる償還資金をまた貸付財源として自己回転をしていくという仕組みでございます。したがいまして、例えば十年度の剰余資金につきましては、翌々年度、十二年度の貸付原資として充当するという仕組みでございます。  いずれにいたしましても、実態に即しながら今後とも見直しをしていきたいというふうに思っておりますし、先ほど申しましたように、貸付実績の少ない養蚕技術総合改善資金などは、いわば資金を廃止するというような見直しも実施をしているところでございます。
  46. 石垣一夫

    石垣委員 では、この三年間、毎年一千億近く予算が執行されないという現実を踏まえて、新しいそういう事業を起こして、それに予算を執行しようというような考え方は持っていないでしょうな。
  47. 木下寛之

    木下政府参考人 私ども、貸付枠なりを考える際には、どういうような事業が、あるいは資金種類があるかということがまず最初にあるべきでございまして、先生の御指摘のように、剰余金の額をどうこうするという意味で新しい事業考えるということは今後とも考えておりません。     〔委員長退席、岩永委員長代理着席〕
  48. 石垣一夫

    石垣委員 十分過去の実績に配慮して、これから納得のいく予算の執行、予算の組み方、これを要望しておきます。  時間がありませんので、いろいろと特別会計に関連して御質問申し上げたかったのですけれども、最後に一点だけ聞きたいと思うんですけれども、特別会計を持っている法人、これは独立行政法人に移行後もこれを維持するのか、あるいは維持しないのか。したがって、独立に伴って特会を持っていく法人名は幾つになるのか、あるいはまた持っていかない法人名は幾つになるのか、その理由も含めてお伺いしたいと思うんです。五十九法人八十六事務事業、これが十三年の四月に移行するんですけれども、そこらも踏まえてお尋ねしたいと思うんです。
  49. 津田廣喜

    津田政府参考人 ちょっと、突然のお尋ねでございまして、細かい資料ございませんで恐縮ですが、独立行政法人化をされます事務や事業などに関係いたします特別会計のうち、貿易保険特別会計と自動車検査登録特別会計におきましては、各独立行政法人の設置法の制定の過程におきまして検討がなされまして、例えば貿易保険でございますと貿易再保険特別会計というようにするという措置が行われております。  その他につきましては、移行の対象となる事業の範囲でありますとか、国において区分経理を続ける必要などについて個別の検討が必要でございます。例えば、大蔵省で申しますと印刷とか造幣とかというものがあるわけでございますけれども、それは今後個別に判断をしてまいりたいというふうに考えております。
  50. 石垣一夫

    石垣委員 時間がありませんので、以上で終わります。
  51. 岩永峯一

    ○岩永委員長代理 次に、佐々木洋平君。
  52. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 まず最初に、小渕総理の一日も早い回復を御祈念しながら質問に入らせていただきます。時間の関係上、ちょっと通告の順序を変更いたしまして御質問をいたします。  まず最初に、アラビア石油の原油採掘権の問題と、今後の石油開発政策についてお伺いしたいと思います。  まず最初に、二月二十八日、アラビア石油がサウジアラビアで持っておった原油採掘権が、御案内のとおり、政府間等の交渉で不調になったということでございます。この原因については、御案内のとおり、サウジアラビア側から出した鉱山鉄道建設の条件が整わなかったということなわけでございます。  このアラビア石油はもともと、国策会社といってもこれは民間企業なわけでございまして、私はふとその辺の、民間としての折衝の仕方がもう少しあったんじゃないのか、あるいはまた逆に言えば、交渉の過程において通産省が入り過ぎたんじゃないかという感じも持つわけでございます。  といいますのは、この鉄道事業については、平成九年の末に、当時の堀内通産大臣が、サウジアラビア側から初めて示されたわけですね。その後二年間、我が国の態度ははっきりとせずに、先方にはもしかしたらという期待感を持たせながら今日に至ったのではないのかなという感じがいたします。  まず、その辺の経過、そしてまた、今回このような不調に終わった原因について大臣からお伺いしたいと思います。
  53. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 アラビア石油は一企業でございます。したがって、サウジアラビアとの四十年という長い間の契約の期限が切れる、これも実際には、世間で言う契約期限切れと違いまして、全部そこで事業を終わって撤収されるという非常に極端な約束事になっていたわけであります。しかし、何とか日本の自前の石油会社を存続させたいというのは、アラビア石油のみならず大勢の方々の意向であったというふうに考えます。  しかし、あくまでも一企業でありますから、そこで、通産省としてはどういうかかわりが持てるのか。それは、一日百万バレル供給しているサウジと日本との関係は重要ですから、この日サの環境を整備するということによって結果的にはアラビア石油にもプラスになる、そういう判断、そういう方法で進めざるを得なかったというふうに私は認識しております。  そして、今佐々木委員が御指摘のように、堀内大臣のときに、一九九七年の十二月でございますが、第七回日サ合同委員会に出席するためにサウジアラビアに参りましてナイミ石油大臣と協議していますが、そのときに、サウジアラビアの鉱物鉄道事業についての話があった。その協力要請があったものでありますから、大臣といたしましては、その実現可能性について十分な調査をしたい、そういう回答を行いました。  そして後に、具体的に申し上げますと九八年の三月に、海外鉄道技術協力会、JARTSといいますけれども、そことアラビア石油による合同調査団を訪サさせまして、そして鉄道建設に関する必要な情報、データを収集したわけでありますが、結論から申しますと、その六月には、経済性がない、これは、建設をするということは容易なことではないということを申し上げたわけでございます。  その後、九八年の十月に、今度はアブドラ皇太子殿下が日本においでになりました。これは日サ協力アジェンダ報告書の署名のためでございますが、このときも鉄道についての要請があったというふうに聞いております。  通産省といたしましては、今申し上げましたようなスタンスで、事務方が現地に、環境整備ということでのさまざまな条件をもとにして協議を重ねまして、荒井審議官がたしか七回往来したはずでございます。  したがいまして、我が国といたしましては、鉄道を敷くといったような可能性を示唆したことはただの一度もありませんし、調査の結果は、採算性がないということは重々申し上げて、今度の通産省の交渉の過程でも、もし鉄道をサウジアラビアが敷かれるというならば、融資その他技術的な協力も含めてお手伝いのできる可能性はあるから、その協力はしましょうということで一貫しておりました。  ただ、本年になりまして、私にぜひ来るようにという指示があったものでありますから、私が参りましてそこのところの協議をいたしましたが、先方は、どうしても鉄道を敷いてプレゼントせよ、その金額は恐らく二千六百億円、しかも毎年の維持を考えると百億円ぐらい出費する、そういう状況でありましたので、私は、アラビア石油は一企業であり、日サの環境整備という点から考えた場合でも、それらの巨額な資金を血税から出すことは無理だと思うと、そこで明確にお断りをして帰ってきたというのが今日までの経緯でございます。     〔岩永委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 今大臣のお話で理解をいたしました。いろいろと交渉の経過もお話しいただきました。  そこで、残るクウェートの問題がありますね。クウェートの採掘権は平成十五年一月の期限になっております。産油国クウェートと日本と手を組むメリットがあればもってくるだろうと思うんです。例えば独自の技術供与ももちろんあるでしょうし、今お話のあった環境の問題もあるでしょう。これは外交問題ですから、今ここで、こういう方法で交渉するということは言いにくいかもしれませんけれども、やはりクウェート政府との交渉に臨む決意のほどをお伺いしたいと思います。
  55. 細田博之

    ○細田政務次官 アラビア石油のクウェート分についてのお話でございます。  まず、アラビア石油は、御高承のとおり、サウジとクウェートのいわゆる分割地帯、昔は中立地帯と言っておりましたが、その沖合において採掘をしているものでございまして、全体の能力が四十万BD、実際の今の生産が二十七万BDという非常に大きな油田でございます。  その中身は、このたびのサウジの採掘権失効前は、サウジの採掘権が三割、アラ石本社で四割、クウェート政府三割という振り分けでやってきたわけでございますが、このたびの採掘権失効後におきましては、サウジ政府が五割、アラビア石油二割、クウェート政府三割ということでございます。  このクウェート分採掘権協定の期限は二〇〇三年一月となっておりまして、約三年後となるわけでございます。この採掘権の更新にかかわる交渉につきましては、基本的にアラビア石油株式会社自身が対応すべき問題であるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、もちろん、資源外交というものは大変重要でございますので、通産省といたしましても、産油国との関係強化に向けての方策のあり方も含め、今後幅広く対応を検討していく所存であります。
  56. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 わかりました。  それでは次に、三重県の芦浜原発の白紙撤回問題についてお伺いしたいと思います。  去る二月の二十二日、三重県の北川知事が、この芦浜原子力発電所の白紙撤回を求めたわけでございます。中部電力も計画を断念するということを表明されたわけです。この計画が浮上してから三十六年という長い月日がたっております。その間にも用地の取得も済ませ、原発計画がこういう形で撤回をされる、これはまさに異例のことだろうというふうに思うんです。  そこで、芦浜原発の白紙撤回というこの事態を受けて、今後の国の原子力政策あるいは原発の新規立地の状況について、まずその辺からちょっとお伺いしたいと思います。
  57. 河野博文

    河野政府参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、去る二月の二十二日に北川三重県知事が、現状では、原子力は欠くことができないエネルギー源ではあるがとされつつも、芦浜原子力発電所計画については白紙に戻すべきという判断をお示しになったわけでございます。これを受けまして、中部電力の平成十二年度供給計画からは、この芦浜原子力発電所の計画が削除されたところでございます。  こうしたこともございまして、先週、通産省に各電力会社から提出がございました平成十二年度の供給計画におきましては、二〇一〇年度までに運転開始を予定できる新しい原子力発電所は十三基というふうに下方修正されたところでございます。  ただ、他方、御承知のとおりかと思いますが、現在、東北電力の女川三号、東通一号等々、建設中の原子力発電所は四基ございます。また、電力会社が早期の電源開発調整審議会上程を目指している基地も幾つかございます。  さらに、北川県知事がこの白紙に戻すという決定をされました同じ日でございましたけれども、日本原子力発電の敦賀三号及び四号のように、二月二十二日におきまして、地元の福井県あるいは敦賀市に増設の申し入れをしたというような電源もあるなど、建設に向けてそれなりに着実な進捗があるという地点もあるということを申し添えさせていただきたいと思います。  我が国におきましては、環境保全、効率化の要請に対応しながら、エネルギーの安定供給を確保するためには、安全確保に万全を期しながら原子力政策を円滑に推進することが必要でございますので、各計画地点の状況を踏まえ、地元の御理解を得ながら、一歩一歩着実に原子力立地に向けて計画を進めていくという姿勢で臨みたいと考えているところでございます。
  58. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 こういうように一応の指定になりますと、関連地域、市町村、都道府県に対して交付金あるいは補助金が支給されるわけでございます。そこで、三重県あるいはこの二町、紀勢町と南島町に対してどのような名目で幾らの国費を支給されたか、お伺いしたいと思います。
  59. 河野博文

    河野政府参考人 御指摘のように、この芦浜原子力発電所計画に関しましては、これまで、発電用施設の立地を契機として、地方自治体が実施する地域おこし、そういった支援、あるいは原子力発電施設から排出される温水の有効な利用に関する調査、あるいは地域の住民の皆さんに対する原子力発電に関する知識の普及、こういった事業に対しまして補助金等が交付されてきております。これらの補助金の総額は、平成元年度から平成十年度までの十年間をトータルいたしますと、総額約九億円ということになっております。
  60. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 ちょっと今の答弁平成元年からですか。(河野政府参考人「はい」と呼ぶ)実際は昭和五十九年度から平成十一年度と私は思いますが。  県から市町村に行った分と、直接国から市町村に行ったのと三重県に行ったのと、それぞれあると思うんですが、それをちょっと明確に示してください。ちょっと数字が違うよ。
  61. 河野博文

    河野政府参考人 県と市町村分は、今ちょっと内訳を調べて、後ほどお答えさせていただきたいと思いますが、昭和五十六年度からのものをすべて合計いたしますと、先ほどの九億円に加えまして、二億円ございますので、十一億円という数字になります。
  62. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 これはまだ私と全然数字が違うので、これは後でまたちょっとお聞きしたいと思います。  そこでお伺いしたいのは、これだけの多額の補助金やら交付金が行っているわけですけれども、それが目的どおり使われているのかどうか、この辺は非常に私は疑問があるように思うんです。これは、あくまでも原発が建設されるという前提で多分交付金なり補助金が行ったと思うんですが、こういうように白紙撤回になった、県がそうしたという場合に、この補助金というのはどういう形になるものなんですか、戻すと。  実は中部電力では、海洋調査協力金とか漁業補償金とか等々約十五億円、これは返還を求めておるわけですが、国として、県が白紙撤回したのですから、この辺はどのようにお考えになっているんですか。これは明確に、国民もやはりこれはおかしいなという感じを持っていますので、その辺をお伺いしたいと思います。
  63. 河野博文

    河野政府参考人 御案内のように、原子力発電所が最終的に立地の確認といいますか、地元の最終的な御理解を得るまでには、さまざまな段階があるわけでございます。これまでこの芦浜に関連をいたしまして交付してまいりました補助金、これは地元市町村あるいは県でございますけれども、いずれも電源立地の初期の段階におきまして、地域住民の皆さんの理解を促進する、そういったことを目的として交付してまいりました。毎年度その補助金等の目的に沿って適正に処理されているわけでございますので、これを返していただくという考えは持っておりません。  ただ、去る二月の二十二日に、先ほどのように、北川知事が白紙撤回の判断を示され、また、これを受けて中部電力の太田社長が、従来と異なる計画の検討に言及するということで態度が変化しておりますので、平成十一年度予算については、未執行分の執行は既に停止をいたしております。平成十二年度についても補助金等を交付することは予定していないところでございます。
  64. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 まだまだ聞きたいことがいっぱいあるんですが、時間がもうないので最後にお伺いしたい。  消費税の滞納防止策、これは先般会計検査院も指摘しておりますけれども、滞納が平成十年度で七千二百五十億円、国税全体の滞納の四四%を占める、こういう報告がなされたわけでございます。  消費税というのはそもそも預かり金なわけですね、消費者から預かったものである。こういう考え方でいった場合、私は、非常に消費者が納税意欲を失ったり、あるいはまた、これから福祉財源とかいろいろなものが出てきます、国民信頼を失うのではないかという感じがします。  そこで、今国税庁が実施している消費税の滞納を減らすための防止策、こういうものはどういうものなのか、お示しをいただきたいと思います。
  65. 大野功統

    ○大野(功)政務次官 消費税というのは、先生御指摘のとおり、まさに消費者が負担する、消費者が支払うものを事業者が一時預かっているわけでございますから、滞納というのは絶対あってはならないことでございます。したがいまして、国税庁、税務署を通じまして、まず未然に発生を防止する、それから滞納が出たときには滞納処理に一生懸命頑張っていく、こういう姿勢で取り組んでおります。  まず、未然防止の方でございますけれども、まず、期限内に納付してもらうよう一生懸命お願いしている。電話でお願いすることが多いようでございます。と申しますのは、納期限を忘れていらっしゃる事業者がいらっしゃるということで、これが意外に効くようでございます。  それから、ポスター、チラシなどによりまして、期限の周知を行うとともに、消費税は預かり金的性格を有する税金ですよ、こういうことをわかっていただく、こういう努力をいたしております。  また、国あるいは地方公共団体に対しまして、入札参加資格審査を行う場合に、これまで法人税の納税証明をいただいておりますけれども、これに加えて、消費税の納税証明書をいただく、こういうようなやり方もやっております。  そのほか、納税貯蓄組合等関係民間団体に対しまして、納税資金の備蓄の推進活動をお願いしている。全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  以上のような結果、平成十一年四月から十二月までで見ますと、消費税の新規発生滞納額というのは対前年同期比で減りました。一五・四%減少いたしております。  それから、滞納処理の方でございますが、いろいろな税目がございます。消費税というのは、今申し上げたような預かり金的な性格になりますから、消費税の滞納はもう優先的に処理していこう、こういう姿勢で臨んでおりますし、また、滞納の多発時期における集中整理を実施する、このことによりまして、早期かつ確実な徴収に努めておるところでございます。  最悪の場合ですが、誠意がないときは差し押さえなどもやらせていただいておる、こういう現状でございます。
  66. 佐々木洋平

    ○佐々木(洋)委員 時間が来たので。実際に、まだまだちょっと生ぬるいなという感じがします。  要望ですけれども、だから例えば小売業者に、直近まで消費税を納税しているんだという、消費者がわかるような、店舗にステッカーを張るとか——今の消費税だと大体年に一回とか四回とかというふうになっていますが、これは源泉徴収も同じことだと思うんですね。ですから毎月徴収するとか、そうすれば忘れることだってないんですから。あるいは、これはやはり預かり金、そういう性格ですから、これはもし滞納するとなれば横領罪になりますので、その辺もやはり罰則を厳しくするというようなことを要望して、質問を終わります。
  67. 中村正三郎

    中村委員長 次に、石井紘基君。
  68. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 まず、農水省の問題から伺います。  農水省は汚職事件を起こして調査をされた。二回にわたる調査をして、もう万全かと思われたら、また先日逮捕者が出た。しかもその人は、農水省調査の中では対象になっていない人であった。こうして次々に農水省の疑惑というものが出てくるということは、これはただごとではないというふうに思われるわけであります。  私は、農水予算をめぐるところの大変深く、広い利権の構造というものをかつていろいろ明らかにしてまいりましたけれども、今回のこの事件が起こって、農水大臣はどのようにお考えなのか。厳しい追及があって、さらにその上で出てきた問題でありますから、相当の責任がおありなんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  69. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今回の事案につきましては、農水省が家宅捜査を受ける、こういうことになりまして、国民の皆さんに対しましても大変不信を抱かせたこと、申しわけないと思っている次第でございます。  調査の点におきましては、事実が明らかになった点におきまして、より徹底して調査を行い、しかるべき処分を明確にしていく、そういう点で厳しく処断していくのが私の責任のとり方である、こう考えております。
  70. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 調査が不足しておったとか、その点で農水省の対応が極めて不十分であったということはお考えにならないのですか。
  71. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 調査委員会におきましては、自己申告に基づくものと、また幅広く調査する、こういう観点からやったものでありますが、強制的な権限がない中でやったことでもございまして、十分ではなかったかという点は認めるところであります。
  72. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 そうした限られた権限の中であるので、こうしたことが起こってくる余地があったと。そうすると、今後もやはりそういうことになるわけでありますから、そういたしますと、農水省の内部調査では足りない、これでは不十分だ、問題を解決する手法にはならないということを、逆に言えば、今農水大臣答弁の中には示されていると思うのです。  これは事実が明らかになれば処分をするというのですが、それはいつの段階ですか、起訴の段階ですか。
  73. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、事実が明らかになるといいますことは、起訴をされた時点で、本人がその罪を認める、こういうことになった場合におきまして処分を行う、こういうことになると思います。
  74. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 私は、やはり大臣なり農水省のトップの深刻な反省、あるいは責任の表明というものが必要だろうと思うわけでございます。  農水大臣は大変誠実な方だと伺っておったので、私はあえてそういう責任を追及したくないのでありますけれども、しかし、こうした事態を招いている最高の責任者でございますので、ぜひやはり行政、あるいは政治家もそうでありますが、責任ということを明確に認識していかなくちゃいけないというふうに思うわけであります。  会計検査院においでいただいていますが、農水省調査では不十分である、要するに、内部調査で、しかも権限もないのでだめだというわけですから、会計検査院、ひとつ、農水省のこうした構造的な腐敗というものが明らかになっているわけでありますので、改めて強力な検査をするつもりはありませんか。
  75. 金子晃

    ○金子会計検査院長 会計検査院といたしましては、与えられた権限の範囲内において十分に対応していきたいというふうに考えております。
  76. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 まあ、よくわかりませんが。  具体的に、この事件に直接かかわらない農水省全体の構造的な癒着とか汚職構造というものについて指摘をしたいと思います。  財団法人林業土木コンサルタンツというのと財団法人林野弘済会、それから林業土木技術協会、これは社団法人ですが、こういう三つの団体がございます。  時間の関係で、それぞれについて、まず官公庁からの発注高、これは最初の二団体について発注がされておりますので、その発注高。それから林業技術協会というものについては、補助金額と職員数、役員数、このあたりまでちょっとそれぞればあっと言ってくれませんか。
  77. 伴次雄

    ○伴政府参考人 説明を申し上げます。  林野弘済会でありますが、補助金それから委託金等はありません。国からの発注額でございますが、十四の支部で経理しているため、すべての把握は困難であるわけでございますが、調査測量事業、森林土木事業についてあれしますと、国の発注額につきましては、平成十年度で、当該事業収入の二七%に相当します十二億四千万でございます。  また、林業土木コンサルタンツにつきましては、同様に補助金と委託金はありません。それから、国からの発注の総額でございますが、総収入の二九%に相当します二十八億四千万円でございます。  三の日本林業技術協会でございますが、十年度の補助金が総収入の九%に相当します二億八千万円、それから委託費が総収入の二%に相当します七千万円、国からの事業発注額は総収入の一六%に相当する総額五億円となっておる次第でございます。  それから、役員の数でございますが、林野弘済会では、いわゆる指導基準に相当する方々が六名と承知しております。総数で二十四名の役員ということになっております。  それから、林業土木コンサルタンツでございますが、いわゆる指導基準上の役員は四名でありまして、総数は二十二名ということでございます。  それから林野弘済会でございますが、指導監督基準上が六名で、総数が二十四名中十八名のOBというような状況にございます。
  78. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 大分これは基準を逸脱しておりますし、また、今挙げられた数字も、官庁出身者という意味では随分間違った数字なんですが、これは後で申し上げます。  さらに、これらの公益法人が出資をしている出資会社の数、それから発注企業、これは大体百万円以上ぐらいの基準で結構ですので、発注企業の数を言ってもらいたい。  今の答弁の中で、職員数というのが漏れておりましたので、それもあわせて答弁してください。
  79. 伴次雄

    ○伴政府参考人 まず、出資の関係でございます。  林野弘済会につきましては、三十六社に出資しておる状況にございます。それから林業土木コンサルタンツにつきましては、一社へ出資をしております。それから日本林業技術協会につきましては、二社に出資しておるというふうに承知をしております。  なお、職員全体数は今ちょっと把握しておりませんので、また後ほどお話をさせていただきたいと思っております。
  80. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 では、先ほどの理事等の役員の数について、これはカウントの仕方が非常におかしいわけですが、総理府においでいただいていると思うのですが、総理府でも総務庁でもどっちでもいいですから、公益法人に対する指導監督基準というのが平成八年の九月にできて、三年間でそれに沿って是正せよ、省庁出身者を三分の一以内にとどめよということですが、この省庁出身者というのは、一般的に、常識で考えると、まさに省庁出身者だと思うわけでありますが、どうもあなた方のカウントの仕方は、今の農水省のカウントの仕方は違っていると思うのです。  この指導監督基準について、総理府ですか、御答弁をいただけますか。
  81. 長峯基

    ○長峯政務次官 お答えいたします。  先生御指摘公益法人設立許可及び指導監督基準の運用指針によりますと、所管する官庁出身者というのは、「本省庁課長相当職以上」、それから「いわゆる「親元省庁」が当該法人を所管する官庁」、そういうふうになっておりますので、この林業土木コンサルタンツ理事の場合も、本省庁課長相当職以上を経験というふうな指針になっておりまして、適合している、こういう解釈でございます。  以上でございます。
  82. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 例えば、この林業土木コンサルタンツについていいますと、常務理事理事長を含めた理事の数が二十二名いるわけですね。その中の二名か三名を除くと、すべてこれは省庁の出身者なんですね。ましてや、常勤の理事ということになりますと、一名を除いて全部が省庁の出身者ということでありまして、この監督基準の解釈というものは、抜け穴といいますか、これは非常に問題である。  それからまた、先ほどの出資会社についても、同様に、昨年の九月までに全部整理しなきゃならないというのが指導監督基準であったわけですが、これが、今聞くところによると、林野弘済会などは三十六社、合わせて全部で四十社近くこれらの三団体だけで出資会社を持っておる、自分たちでつくった孫会社を持っておるということなわけであります。これは明らかに指導監督基準の違反であります。  これは先日も、官房長官においでいただいて、私はこのうちの一つの団体について申し上げたわけであります。そうすると、早急にそれは点検をして対処をするという答弁であったわけですが、こうした基準の違反に対して——この基準というのは、農水大臣、これはそれぞれの省庁でもって自分のところの基準として決めている、そういう形になっているんだそうです。そういたしますと、農水省がみずから基準設定して、それを守りますよ、守らせますよ、こう宣言したものについて、全くルーズになっているわけですね。  こういうものについての御所見あるいは責任感というものはどういうふうにお感じになっているんでしょうか。
  83. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 公益法人設立許可及び指導監督基準の運用指針におきましては、理事の構成におきましては「本省庁課長相当職以上」ということになっておるわけでございまして、委員が挙げられました三団体におきましては、その点については、厳密に言えば基準に適合していると思います。しかしながら、公益法人理事農水省OBが多数含まれていることは、国民皆様誤解を招きかねないものと考えております。  したがいまして、指導監督基準には合致しているものの、理事農水省OBが多数いる林野弘済会及び林業土木コンサルタンツにつきましては、早急に改善を図るため、十二年度中に農水省OB割合が全理事半数以下となるようにするとともに、将来さらに減らす方向で指導してまいりたいと考えております。  また、御指摘の三法人が保有しておる株式処分に関しましては、市場での売買が困難なこともあり、処分が難航している状況にはありますけれども、林野弘済会に対しましては、十二年度中に半数をめどに株式保有を縮小する、林業土木コンサルタンツ及び日本林業技術協会に対しましては、十二年度中に処分するようさらに指導してまいりたいと考えております。
  84. 石井紘基

    ○石井(紘)委員 これはやはり非常に無責任でありまして、こうした孫会社を一生懸命つくって、そういうところにこの三団体がそれぞれ大量の、先ほどの、官公庁から受けた予算を使って発注し合っているわけですよ。  例えば日本林業技術協会最初私ちょっと間違えて林業土木技術協会と申し上げましたが、日本林業技術協会ですね、これがつくった、例えばグリーン航業なんという会社に対しては、一億二千万円もの事業発注が行われている。これは林野弘済会から発注されるというふうに、こっちの団体が会社をつくって、こっちの団体が発注する。あるいは、興林コンサルタンツなんという株式会社は、日本林業技術協会とそれから林野弘済会がそれぞれ出資し合って、ここに私はこの会社の企業情報も持っておりますけれども、大株主というのはこの二団体なんですね。この二団体がこういう会社をつくって、そして一方の林野弘済会から二億二千万円もの事業発注をする。  しかも、今挙げた四十社近い子会社、それからまた、最初に申し上げたこれらの財団法人とか社団法人、こういうものから政治家に対する献金が莫大に行われているわけですね。ですから、これは明後日、私は農水委員会でもっと詳しく出しますけれども、国民のお金、税金が予算という形でもって、そうした外郭団体を通したりあるいは直接だったりしながら、回り回って政治家に献金が行っている。このことは私は明後日もっと具体的に明らかにいたしますが、こうした指導基準というものがつくられているにもかかわらず、それが守られない。これは所管は総理府であります。また、それぞれの省庁であるわけですから、こうした点について、やはりきちっとした対応をされるという官房長官の答弁があったわけです。  私は、さらにさまざまな問題がございまして、官房長官をきょうはこの委員会に出席するように要請をしましたところが、官房長官は、四時四十五分から記者会見があるので、何とかひとつ私の質問時間の前半部分でやってくれないかという要請が来ましたので、私も、委員会でありますから本来出られるべきでありますが、それでは事情を酌んで官房長官への質問は冒頭にやりましょうということにしておいたのでありますけれども、きょうになって、総理の臨時代理になったから出られないということであるわけです。  しかし、こうした実態、それから、総理が二日の深夜に急遽体調を悪くされて入院をされた。いろいろな報道によると、大変深刻な事態であるということも言われておる。これは、今日の厳しいさまざまな問題が噴出している状況の中では、私ども国会議員が、あるいは国会が、そうした状況を一刻も早く知らなければならないという事態があるわけですね。  にもかかわらず、きょうも官房長官は出てこない。何をやっているのかということを私は聞きたいと思うわけで、確かにそれはいろいろどたばたしていると思いますけれども、しかし、出てこないということは、国民に対してのこの事態の説明は四分間の記者会見だけだったわけですから、国会に対してはいまだ一言も何の説明もないわけでありますから、こういうことではどこかの独裁国家と同じで、二十二時間以上もこれを伏せておった、総理のそうした重大事態を伏せておったということは、これは大変大きな問題なわけであります。  ですから私は、これは非常に大きな政府の責任であるし、また、重大な深刻な問題を引き起こした、政府が引き起こしておるということを申し上げたいと思うんです。  官房長官がお見えになりませんので、私はこれ以上質問をすることができませんので、残りの時間を残して、ここでもって、きょうの質問はこれ以上できないということで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  85. 中村正三郎

    中村委員長 次に、生方幸夫君。
  86. 生方幸夫

    ○生方委員 今、石井委員のお話にもございましたが、官房長官がここに御出席なさらないのは非常に残念でございますが、冒頭、小渕総理の入院のお見舞いを申し上げまして、一日も早く回復をされることをお祈り申し上げます。  それでは質問をさせていただきたいと思います。  郵政省と通産省が共管している基盤技術研究促進センターという特別認可法人がございますが、まず郵政大臣、ここがどんなことをやっているか御存じでございましょうか。
  87. 八代英太

    ○八代国務大臣 よろしくお願い申し上げます。  基盤技術研究促進センター、通称基盤センターと言っておりますけれども、電気通信とか、それから鉱工業分野における民間の基盤技術に関する試験研究に対しまして出資あるいは融資等を行うため、昭和六十年にこれは設立されておりまして、郵政省、通産省共管の認可法人でございます。通産省のいろいろな政策、また我々郵政省の政策と相まって、情報通信技術等の基盤となる研究開発を行う民間会社に対しまして出資をする、あるいは融資による支援を行ってまいりました。  昭和六十年に創設された新規設立企業出資制度による基盤センターの出資は、平成十一年度末で、採択件数は約百九社ありまして、総額約二千七百億円の実績となっておりますが、そのうち電気通信関係は六十一社、約千三百五十億円の実績がございます。そんな関係でいろいろな研究が行われておりますけれども、うち電気通信案件では十四社、約十八億円の実績を得ております。  一方では、リスクにもなる、ハイリターンはなかなか難しいところもあるわけでございますが、いろいろ特許出願件数もふえてまいりまして、約五千件を超えておりますし、学会発表等の件数が一万七千件を超えるなど、産業界への貢献や研究成果に関する知的ストック形成の面からも実績があると私どもは思っております。  特に、基盤センターが支援している私どもの関係では、ATRは、関西文化学術研究都市におきまして基礎的、独創的研究開発を実施しておりまして、我が国における知的ストックの形成には貢献をしている、こういう私どもの評価をいたしておるところでございます。
  88. 生方幸夫

    ○生方委員 通産大臣にもお伺いしたいのですが、この促進センター、どういうようなことをおやりになっているか御存じでございましょうか。
  89. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 今郵政大臣がお答え申し上げたことでほとんどでありますが、要するに、原資として産業投資特別会計から出融資を受けて、基盤技術の研究開発の促進のために民間に対する出融資等を行っているのが基盤技術研究促進センターでございます。  今までいろいろな研究をやってまいりましたが、例えば世界的にも高い評価を受けているのは、蛋白工学研究所など百九の研究所の設立に対しまして出資を行っております。これらの研究所は、国内外で五千二百件もの特許を出願している。また、平成九年度からは、中堅・中小の研究開発型企業による事業化を目指した試験研究に対する新たな出融資制度等を設けております。  私どもは、このような事業というのは、民間の基礎技術を向上させるために大変大事なことであり、新規事業の創出に資する研究開発を促進してくれるものと考えております。
  90. 生方幸夫

    ○生方委員 これは、どういう基準で出資をするのかしないのか、あるいは幾らぐらいの額を出資するというのは、どこがどのようにお決めになっているのでございましょうか。どちらの大臣だか私わからないのですが、お答えいただければと思います。
  91. 梶村皓二

    ○梶村政府参考人 提案されますテーマに対しまして、外部評価委員会を設けまして、中立、公明、透明性を持ってこれを採択するかどうかを決めております。
  92. 生方幸夫

    ○生方委員 センターが出資をするということでございまして、これは新規設立企業出資制度であるというふうに思いますが、この出資をした資金をどのような形で回収をすることになっておるのでしょうか。通産大臣お願いいたします。
  93. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 研究開発をした結果、特許をとるわけでありますが、その特許から生み出す資金をその収益と考えます。
  94. 生方幸夫

    ○生方委員 これまでの出資額が二千七百億円というふうに伺っておりますが、これでどれぐらいのロイヤルティーフィーが入ったのでございましょうか。
  95. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 現在の時点で、特許料収入は二十億円ぐらいかと思います。
  96. 生方幸夫

    ○生方委員 二千七百億円出資をして二十億円、これは一九八五年からやっておりますから十五年間かかっておりまして、二十億円といいますと、率にすると約〇・六%にしかすぎないわけでございますね。これは幾ら何でも少な過ぎるのだと思うのですが、いかがでございますか。
  97. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 いろいろな見方があるであろうと思います。単なる特許料収入ということでの収益でバランスをとって比較をしますと、委員指摘のとおりだと思います。しかし、民間単独で行いがたい基盤技術というものを育成するために国がどのような対応をするかということは、今日の時点だけの結論ではなくて、将来も含めた全体的な判断というのが必要であろうというふうに思います。私どもといたしましては、将来を含めた有形無形の国民的な技術といいましょうか、力をつけるということも極めて大切なことだと考えています。  しかし、一方で経済性というものも当然評価しなければなりませんので、そういう意味では外部による経済性の評価の実施などの措置を講じておりますけれども、これからも一層この点には力を入れていかなければならないというふうに思っている次第でございます。  いずれにしても、研究開発の成果というものが産業基盤の強化、知的資産の形成に貢献していくということでは大事でありますし、その意味では貢献したものと考えております。
  98. 生方幸夫

    ○生方委員 これはロイヤルティーフィーですから、特許に価値があるのか価値がないのかというのは、まさにそのロイヤルティーフィーが幾らであるのかということで決まると思うのですね。もちろん、基盤技術を整備するのに国がお金を出して私はいいと思いますが、やはりそこには当然、NTTからの配当金という形で本来国庫に入るべきお金が回されているわけですから、したがって、それだけの成果を上げてこなければいけないと思うのですね。  実は私、この問題を三年前の決算行政監視委員会の分科会でも質問したことがございまして、その時点では、二千二百億円投資をしていて十三億円しかロイヤルティーフィーが入っていない、これでは幾ら何でもひどいのではないかと。結局、いい基盤技術が開発をされればそれなりのロイヤルティーフィーがもちろん入ってくるわけでございまして、その額も大きくなってしかるべきだと思うのですが。  郵政省にお伺いしたいのですが、例えばATRというのは非常に高く評価をされているということは私も聞きましたが、では実際、そこでは幾つの特許を申請して、それで幾らのロイヤルティーフィー収入があったのか、それをお伺いしたいと思います。
  99. 有村正意

    有村政府参考人 ATRについてのお尋ねでございますけれども、ATRは昭和六十一年に設立をされまして、関西文化学術研究都市におきます中核的な研究機関の役割を果たしておりますし、また、我が国の基礎技術力の向上に大きく貢献をして、世界的にも評価をされております。  このATRに対しましては、平成十二年三月末現在、基盤センターから総額といたしまして約七百三十億円が出資をされておりまして、お尋ねのロイヤルティー収入は、平成十一年三月現在で約二・六億円ということになっております。  また、大臣も申し上げました知的ストック形成への貢献という趣旨でございますと、学会での発表件数は国内外で約八千六百件、特許の出願件数は、これも国内外で約九百八十件ということになっております。
  100. 生方幸夫

    ○生方委員 このロイヤルティーフィーは、当然、センター側と民間企業の側とが出資をして会社をつくるわけですから、民間企業に入る部分もあるでしょうし、センターに入る部分もあると思うんですが、二十億円のうちセンターに入ったお金は幾らでございますか。
  101. 梶村皓二

    ○梶村政府参考人 センターに入りました分は、三百万円でございます。
  102. 生方幸夫

    ○生方委員 二千七百万円で三百万円というのなら話がわかるんですが、二千七百億円投資をして国に入ったお金が三百万円というのは、これは一体どういうことなんでございましょうか。ほとんど捨てたに等しいんじゃないですか。この二千七百億円は、上げたわけじゃないんでしょう、出資をしたわけでしょう。当然回収をする見通しがあるから出資をしているんじゃないですか。それとも、もうこれは上げちゃうという前提のもとに出しているお金なんですか。いかがでございますか、通産大臣
  103. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 こういう基礎的研究を、民間の力じゃなかなかできないものですから、国がしっかり支援していこうという考え方がそもそものスタートでありました。  私どもは、大胆なことを言わせていただくと、本来、補助金等で進めてもよかった話ではないかなとさえ思うんですが、しかし、昨今の経済の情勢を考えますとそういうことだけではだめでありますから、やはり、このような形でやった以上は、きちっとした、ある程度の経済性というのは確保されなければならない。そういう意味では、どうやって経済性を確保するかということに対しては、本当にもっと積極的な監視と指導が必要であると考えます。
  104. 生方幸夫

    ○生方委員 重ねて御質問いたしたいのですが、二千七百億円もう既に出資をしているわけですよね。それのうち戻ってきたのが三百万円、正確には二百九十三万円ですよね。二百九十三万円しか戻ってきていない。あと大半、二千七百億と言ってもいいと思うんですが、このお金は将来的にはどうやって回収するつもりなんですか。それとも、回収するつもりがないとすれば、どのような扱いでこれを処理していくつもりでございましょうか。
  105. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 基盤技術研究促進センターが支援する対象としている基盤の技術というのは、私は実用化まで時間が相当かかるものだというふうに思います、基本的に。だから、現在のところ十分に収益が上がっていないということは委員指摘のような状態でございますが、将来成果を上げるものも随分あるわけでありまして、私どもは、そういうものをさらに促進していくということは大変大事なことであると考えております。
  106. 生方幸夫

    ○生方委員 それはおっしゃるとおりなんですけれども、一九八五年から始まっているわけですね。既にもう十五年間たっているわけです。十五年間でロイヤルティーフィー全体からいえば二十億です。二十億しか上げられなかったものが、これから後五年間で一千億上げられるというふうにはとても考えられないわけですね。  実際、新規設立企業というのが全体では七十三社ございました。そのうち、もう既に五十社は、研究開発が終わって成果管理会社というものになっているわけですね。だから、七十三社のうち五十は、もうこれから先、新たな特許を生み出したりはしないで管理をしているだけなわけで、今大臣がおっしゃるように、実際にこれから先収益を生み出す可能性が仮にあるとする会社があったとしても、二十三社にすぎないわけですよ。二十三社が二千七百億円を回収するということは、ほとんどこれは考えられないわけですよね。  大臣がおっしゃいました基盤技術に対して政府が、国がお金を出すというのは、それは非常に正しい考え方だと思うんですけれども、そもそもこれは、八五年にNTTが民営化をして、政府が株を保有するわけですからそれの配当金がある、配当金をどうしようかというときに、郵政省と通産省が自分たちの権益を守るために、毎年二百六十億円ずつ使わなきゃいけないという、そもそもは使わなきゃいけないという発想があったんじゃないですか。私はどうしてもそう思うしかないと思うんですね。毎年二百六十億ずつ出していって成果も上げられないのであれば、どこの時点かで切らなきゃいけないと思うんですよ。  私は、三年前の時点でもこれはおかしいんじゃないですかと言って、郵政大臣は確かにそれはおかしいですねと言いながらも、まだ三年間そのまま融資が続けられてきて、私もこの間聞きましたら、平成十二年度からこれはやめたというんですね。今度はこの新規設立企業に対する出資は取りやめましたという決定をなさったということですが、これはどうしてそういう決定をなさったんですか。今までの間違いを認めたということではないのでございましょうか。
  107. 八代英太

    ○八代国務大臣 七割方をこの基盤センターが新規事業者に支援をして、そして三割方は事業者がということになっているわけでございますけれども、今日の経済状況を見ますと、なかなか新規へのそういう御要望も少ないというふうな経緯の中で、若干、そういう意味では、かつてのそういう思いというものが今大きく変わりつつあることは事実でございます。  あわせて、この制度というのは、研究開発を行うためのいろいろな意味での企業の活力を言ってみれば促進する起爆剤にもなっておりますし、確かに出資総額に対してはまだ少額にとどまっておりますけれども、これも毎年度計上されているところでもございます。  それからまた、実用化が円滑に行われることによってやがてロイヤルティーの収入が、十五年という期間が長いという考え方を持つのか、しかし十五年というそういうマグマが、着実にまた芽を出し花を開くという基礎研究というものが日本では非常におくれているところがあるものですから、そういう意味におきましても、アメリカではNSFとかあるいはNIHとか、いろいろな意味で基礎研究には多額な投資をしているわけですね。  そういう意味でも、日本でも、新規技術の創出という点からもこういうものは大切でございます。  今日の経済状況の背景は三割負担さえもできないというような企業が多いものですから、そういう意味では、こういう国家的戦略というものはむしろ一〇〇%国がしっかり出資するぐらいの思いに立って、この基礎研究、知的ストックも含めて、技術開発のためには今後もやはり育てていくという構えは大変必要になるというふうに思っておりますが、言ってみれば、十二年度におきましては、そういう経済状況の背景があって、そういう申請者がないがゆえにその部分が機能していけない、そういうことでございます。
  108. 生方幸夫

    ○生方委員 私は、基礎技術に国がお金を出すのは悪いと言っているわけじゃないんです。二千七百億円も出していて二十億しか成果が上がっていないのはそもそももう事業として成り立っていないんじゃないか。それは二千七百億出して一千億基礎技術ができたとか、あるいはこういう基礎技術を開発した、それについてはロイヤルティーフィーはこれだけだけれども、それに付随した新しい新規産業ができて何兆円稼いでいるじゃないかというのであればいいですよ。ところが、株主はそんなこと全然聞かないわけですよ。毎年毎年二百六十億円ずついわばどぶに捨てる。景気がいいときならそれはいいですよ。こんなに財政が逼迫している折、こんな二千七百億円というむだなお金が使われていたということに対する政治責任というのは極めて大きいと私は思うんですよ。  だから、この二千七百億円をこれから先どうやって回収するつもりなんですか。通産大臣、回収するつもりがないのか、あるいは回収するつもりがあるのであればどういうふうにして回収する計画があるのか、それをお示ししていただきたいと思います。
  109. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 先ほども申し上げたのでありますけれども、将来にわたって我が国のあるいは国民の有形無形の大きな基礎的な研究成果というものが生かされていくということを考えると、単に数字だけで計算するということでは必ずしもないと私は思います。  例えば、ただいま基盤センターで出資してまいりました事業の中でも世界的な評価を集めているのは、蛋白工学研究所、それから大阪の生物分子工学研究所、たんぱく質の構造解析について世界最高水準だ。過去十年間の世界的に著名な科学雑誌における掲載件数も九件に及んで、民間機関としては三番目の大きな評価を与えられている。あるいは、千葉県のヘリックス研究所、生物の全遺伝子から有用な遺伝子を完全な長さで取り出す技術を開発して、ゲノム解析に係る特許を一挙に約六千件出願をするというような非常に注目を集めたものもございますから、そういう意味では、私は、有形無形の評価ということの御判断をいただきませんと、計算上のことでいったらこの議論はなかなか終わらないというふうに思います。  ただ、むだなものに投資するということはなりませんから、そういう意味では、今申し上げましたように、例えば産特から出す出資と、民間企業から出す、そして共同で研究開発会社を起こすというやり方は、今日のような景気が低迷した状態の中で民間からの資金出しがなかなか困難でありますから、それはやめていこうではないか、そして新たなベンチャー、これから伸びていくようなところにだんだんにシフトしていこうではないか、そういう工夫などもしているところであります。  あわせて、経済性を高めるために、例えば第三者機関でのアドバイス、点検、その他もろもろをこの機会にきちっとやっていかなければならない、私はそう考えています。
  110. 生方幸夫

    ○生方委員 いや、私が聞いたのは、この出資金を回収するのはどういうふうにするのかということを聞いたのですが、そこの点だけをお答えいただきたいと思います。
  111. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 ただいま申し上げたように、必ずしもプラス・マイナスの現金で評価するということではいかがかというふうに思いますけれども、しかし、例えば現在、今申し上げましたように、共同開発会社のような場合を考えてみましても、五年から七年という期間、資金を出しているわけでありますから、新たなものはもうこれでやめてしまうということにいたしまして、むだをきちっと省いていく、そして今まで上がってまいりました成果を一体これからどういうふうに具体的にあらわしていくか、それは通産省、郵政省、担当の者たちがしっかり頑張っていくということ以外にはないと思います。
  112. 生方幸夫

    ○生方委員 この七十三社中、既にもう十五社が解散をして、欠損金というのが百九十六億円確定をしているわけですね。さっき申し上げましたように、今もう既に成果管理会社が七十三社中五十社あるわけですね。そうすると、これは五十社も順次解散をしていくということなんですか、それとも成果管理会社というのはそのままずっとこの後も存続をさせていくということなんですか。
  113. 深谷隆司

    ○深谷国務大臣 成果管理会社は、基盤技術研究促進センターからの出資で研究を行った会社が、その研究開発活動の終了後に、特許とかノウハウとかの研究開発の成果を管理していくという性格のものでございます。そして、この研究開発の成果の実用化を促進して、ロイヤルティーを収入として確保していくということのための管理会社であります。  平成九年度からこうした成果管理会社の評価というものを開始いたしまして、保有する特許権等の研究開発成果の、既に可能性のない、陳腐化したといったらいいでしょうか、そういうものに対して、存続の意義を失ったということで、これは解散するということにもいたしたわけでございます。ただいまお話のありましたように、平成十一年度末で十五社が解散して、百九十六億円の欠損金が生じています。  ただ、先ほどから再三再四申し上げておりますように、基礎技術というのは実用化までには相当な時間を要するものでございまして、成果管理会社が保有している特許権等には今後収益を得るものも含まれているわけでございまして、その推移をやはり見守っていく必要は私はあるだろうと思います。  そして、これも繰り返し申し上げておりますけれども、現在、成果管理会社への出資総額は千五百二十五億円でございますけれども、これは管理会社が解散して、同額がすべて欠損金となると考えているわけではありませんで、これからどのように生かすか、まさに担当者としての、通産省にしても郵政省にしても、大きな責任を有するものと思っています。  繰り返し申し上げますけれども、これらのいわゆる知的財産というんでしょうか、有形無形で国家国民に将来ともにプラスになるわけでありまして、私はこういうところに、もちろん一定経済性を考えなければなりませんが、積極的な支援をしていくという国の姿勢というのは、私は間違っていないと考えております。
  114. 生方幸夫

    ○生方委員 すべてが欠損金になるとは限らないというふうなお話ですが、これは研究開発に対して投資をするわけですから、当然研究開発費として消化をされていくわけですね。どこかに、何か物を、工場をつくったり、研究所をつくったりということであれば、そこに資産が残っていくわけですけれども、ほとんど資産はないというふうに考えていいと思うんですが。  今おっしゃったような基礎技術に関して国がお金を出す云々の部分は結構でございますから、私もそれは必要であるということはある程度認めておりますが、このような形で成果があるのかないのか。それは、通産大臣がおっしゃるような成果はあるのかもしれない、それは将来的にあるかもしれないのですけれども、現在、少なくとも確定をしているのは二十億円のロイヤルティーフィーというものだけでございますから、それに対して今、では、見通しで結構なんですけれども、この成果管理会社五十社を仮に解散するとすれば幾らぐらいの損が確定をするという見通しを持っておられますか。
  115. 梶村皓二

    ○梶村政府参考人 将来の見通しについてのお尋ねでございますけれども、収入という点では決して見通しは明るいわけではございませんが、成果を、将来にわたって収入と見込まれる項目が、つまり非常に高い成果を得ているものが幾つもございまして、その点について、将来、収入があるものと見込んでおります。
  116. 生方幸夫

    ○生方委員 この促進センターの人事でございますが、理事長以下はどんなようになっておりますか。
  117. 梶村皓二

    ○梶村政府参考人 通産省二名、郵政省二名、大蔵省一名、民間一名でございます。
  118. 生方幸夫

    ○生方委員 やはり、その人事構成を見ても、NTTからの配当金がある、これは何とかその受け皿をつくらなければいけないと。  ここに天下りをしているものがある。これを見ますと、通産省の生活産業局長とか郵政省の放送行政局長とか大蔵省の印刷局長とか、そういう方たちがやはりきちんと天下って、理事長になったり専務理事になったりしているわけですね。こういうものをつくってしまうから毎年二百六十億円ずつ出ていってしまうというのは、私は非常に問題だと思うんですね。  そこで、大蔵大臣にお伺いをしたいのですが、これだけ財政が逼迫している折、その二千七百億、私は、二十七億で二十億円のロイヤルティーフィーがあるという事業であるならばこれはいいですけれども、二千七百億円という額は半端な額じゃございませんよね。この額は、やはり毎年毎年これから先もNTTの株を保有している限り配当金はあるわけですから、それをこういう事業に充てていいのかどうか、私は極めて疑問だと思うんですね、通産大臣がおっしゃることもわかりますけれども。  けれども、実際に成果が上がらないことに関して、これだけ財政が逼迫しているなら、それはやはり国庫に入れてきちんと借金の返済に充てるべきだと私は考えますが、いかがでございましょうか。
  119. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この機構ができましたのは昭和五十九年の暮れでありまして、実は大変に複雑な経緯がございました。私はたまたま自由民主党の役員をしておりましたので、その最後の、何といいますでしょうか、合意か何かに署名をした覚えがあります。  おっしゃるように、NTTの株の問題があったものですから、それが余計に事柄を複雑にしたように思いますし、大変正直を申しますと、両省ともなかなか立場があって、殊に将来に関する研究なものですから、これはなかなか難しいことだがなというかなりはっきりした記憶を私は持っております。後に総理になられた橋本龍太郎さんが最終的に何か調整をされたのですけれども、大変難しい生い立ちだったと私は思っています。  何も、こういう将来に向かっての研究ですから、すぐもうけろと私は思うものではありませんけれども、いかにも、これだけ時間がたちまして、やはりちょっと発足のときの仕組みから、少しいろいろなことが無理だったのかなと、お尋ねを伺っていると思う節もございますから、それはしかし両大臣、両省と申しておきます、両省、その十五年前のいきさつもありますから、必要ならば財政当局も一緒になりまして、将来に向かってどういうふうな対応をしていったらいいのかということは考える必要があるのかもしれない。  今のことを詳しく存じませんが、発足のことを知っておりますので、やや思い当たる節もあるという点がございます。
  120. 生方幸夫

    ○生方委員 半端な額ではございませんので、ぜひとも検討をしていただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  121. 中村正三郎

    中村委員長 次に、坂上富男君。
  122. 坂上富男

    ○坂上委員 それでは、質問させていただきます。  小渕総理が入院なさったそうでございます。一日も早い御回復をお祈りいたしております。それに伴いまして、青木官房長官が臨時代理に就任になったそうでございます。臨時代理の法律上の性格について、質問をまず内閣法制局長官にさせてもらいます。  内閣法によりますと、「予め指定する国務大臣」、こうあるわけでございますが、「予め指定する国務大臣」というのはどういう意味になるか。  それから、臨時代理は、国務大臣に対する任免権があるのかどうか。  それから解散権、これは内閣にあるわけでございますが、内閣を代表いたしまして総理大臣が解散権を行使するわけでございますが、臨時代理は、いわゆるこの解散権はお持ちなのかどうか。解散権なしとするならば、不信任が成立した場合は内閣総辞職のみでございますが、これはそうなるのでしょうか。  それから、今までの臨時代理の任期の長い例を、どれぐらいの期間あったのか。一括して簡潔に御答弁ください。
  123. 津野修

    ○津野政府特別補佐人 お答えいたします。  最初に、内閣法九条に言う「予め」というのはどういう場合を言うのかというお話でございますが、内閣法九条は、「内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う。」というふうに規定しているわけでございますが、内閣の成立と同時に指定するというようなことがかつては行われていたわけでありますけれども、この解釈といたしましては、内閣の成立と同時に指定すべきであるというような期限までは定めていないというふうに考えております。したがいまして、内閣総理大臣が適当な時期に臨時代理を指定するということにしたとしても、内閣法の規定上問題はないというふうに考えております。  それから第二番目に、内閣総理大臣の臨時代理に国務大臣の任免権はあるのかという御質問がございましたが、この点につきましては、内閣法九条に基づきまして、いわゆる内閣総理大臣の臨時代理が臨時に内閣総理大臣の職務を行う場合には、一般論として言えば、内閣総理大臣の職務はすべて臨時代理が行うこととなるが、国会において指名された内閣総理大臣の地位に基づく一身専属的な職務権限、こういうものについては行うことができないというふうに従来から解してきているところでございます。  国務大臣の任免権につきましては、したがいまして、その一身専属的な職務権限に属する一つの権限でありまして、これは、直接内閣の構成に係るものでありまして、国会において指名を受けた内閣総理大臣に専属するものというふうに考えておりまして、臨時代理に国務大臣の任免権はないというふうに考えております。  次に、第三番目に御質問がございました、内閣総理大臣の臨時代理に国会の解散権はあるのかという御質問でございますが、衆議院の解散は、憲法第七条の規定によりまして、天皇の国事に関する行為とされておりますけれども、実質的には、衆議院の解散を決定するのは、天皇の国事に関する行為についての助言と承認を行う内閣であります。すなわち、衆議院の解散と申しますのは、実質的には内閣に与えられた権能であります。したがいまして、衆議院の解散は、内閣総理大臣個人ではなく、内閣が決定すべきものではあるわけであります。  しかしながら、憲法上、解散後初めて国会が召集されたというようなときには、内閣は総辞職しなければならないというふうにされているわけでございまして、衆議院の解散といいますのは、結局、内閣の存立に係る問題であります。したがいまして、臨時代理が内閣総理大臣の職務を行っている間は、原則としてできないものと考えられるわけであります。  なお、内閣不信任案が仮に成立した場合に、臨時代理がそういった場合に解散ができるのかというような御質問もございましたが、基本的に、内閣は、国会において首班として指名された内閣総理大臣国務大臣を任命して構成するものであります。したがって、内閣を組織する権限は、内閣総理大臣に専属しているものと考えられるわけであります。したがいまして、国会に基礎を持つ内閣総理大臣がみずからの判断と責任において構成した内閣の存立について、その内閣総理大臣の意思にかかわりなく左右されるというようなことはないのではないかと考えております。  ただし、臨時代理が内閣総理大臣の職務を行っている間に、国会において内閣不信任案が成立したような場合におきましては、例外的に、臨時代理が職務を行っている間でも、内閣が解散を行うということが是認される場合があり得るものというふうに考えております。  それから、臨時代理が最も長く置かれていた期間は、例はどうかと御質問がございましたが、現行憲法のもとで、国務大臣が臨時に内閣総理大臣の職務を行った期間で一番長い例と申しますと、これは、第二次大平内閣の際に臨時に内閣総理大臣の職務を行った伊東正義国務大臣の例でございまして、三十六日間であるというふうに承知しております。  以上でございます。
  124. 坂上富男

    ○坂上委員 二点だけ指摘します。  任免権は、指名された内閣総理大臣の一身専属権だ、こうおっしゃった。そうしますと、国務大臣らしからぬ不行跡があってこれを解任する、こういうことができなくなる、こういうことになりますが、そんなのでいいのでしょうかね。  いま一つは、不信任が出た場合は、これは解散権があるけれども、臨時代理が、不信任がなくても解散権行使ができる。できなければいけないのじゃなかろうかとも思っておるわけでございますが、どうも、不信任があった場合は解散できるけれども、みずからが解散を命ずることができないというのは、ちょっと論理の矛盾じゃないのでしょうか。  今おっしゃったことは、憲法の学説上いろいろ論争があることは間違いないのでございますが、私はやはり、不行跡のあるような国務大臣を、首を切れないなんというのはとんでもないことじゃないかとまず一つは思います。  それから、やはり臨時代理も、直接不信任を受けなくても解散権があるのじゃないか。不信任があった場合は解散できるけれども、不信任がなければ解散できないなんというのは、論理上の矛盾じゃないでしょうか。それだけ指摘をしておきます。  一々答弁を求めるとまた時間がかかりますから、これはまた次の課題にさせてもらいたいと思います。どうもありがとうございました。お帰りになっていいです。
  125. 中村正三郎

    中村委員長 答弁しますか。では、法制局長官。
  126. 坂上富男

    ○坂上委員 いや、いいですよ、答弁は。もういいです。今、指摘だけしておきますから、問題点として。  さて、警察関係について、国家公安委員長並びに警察庁長官質問いたします。  私は、もう八回目ぐらいの質問になりますが、新潟県のいわゆる女性長期監禁事件が発生いたしまして、その女性が保護された日に、管区の局長さんと県警本部長らが一杯飲みながら、そしてマージャンしながら捜査指揮をした、こういうとんでもないことが起きたわけでございます。  その結果につきまして、新潟県の監査委員の先生方が誠意の監査をなさいました。そして、いろいろ私たちが傾聴すべき監査結果が発表されておるわけでございますが、まず、国家公安委員長は、これをお読みになってどんな感想をお持ちですか、どんな反省をお持ちですか。それから警察庁長官も同様の質問でございます。
  127. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 今回の、新潟県の監査委員が実施しました随時監査については私も報告を受けております。今回の監査結果につきましては、新潟県警察においてしかるべき対応がなされるものと考えておりますけれども、国家公安委員会としても重大な関心を持っております。  また、その内容等についてもつぶさに論議をさせていただきたいと思いますが、国民信頼回復に向けて、私どもとしても、この監察結果を新潟県警察本部が真摯に受けとめ、適切な対応をしてくれるものと期待をいたしますし、そのように警察庁を督励してまいりたいと考えております。
  128. 田中節夫

    田中政府参考人 今回の新潟県におきます監査は、地方自治法第百九十九条第五項の規定に基づき、前関東管区警察局長が特別監察のために来県したことに伴う県費の執行について行われたものでございますが、県警察において支出した経費のうちに本来県費で負担すべきでないものがあったとの指摘を受けたものでございます。まことに遺憾であるというふうに考えております。  今回の監査結果につきましては、新潟県警察におきましてしかるべき対応がなされるものと考えておりますが、警察庁といたしましても、今後このようなことのないよう指導を徹底してまいりたいと考えております。
  129. 坂上富男

    ○坂上委員 公安委員長、それから長官が大変反省の言葉をおっしゃってはいるのでございますが、この監査報告書を読むと、全く警察の反省がなかったのじゃなかろうかと私は思っているんです。  まず申し上げますが、前本部長、警察局長の事情聴取をしたい、こういうことでございますから、監査委員は本人への取り次ぎを、本部長については警察庁長官官房人事課長、局長については関東管区警察局警務課長に対して協力を求めました。しかし、どういう返事があったかわかりますか。既に退職しているので協力できない、所在不明、こう言って拒否したのであります。  このことについて監査委員はこうおっしゃっている。渡した方の話を聞かないと完全にならない、この拒否をされたことは非常に遺憾であると新潟県民の前でお話しになったんですよ。平山知事も、居所がわからないはずがないと県警を強く批判したのであります。書いてある。それがまず第一点です。  第二点。監査の結果、警察あての受取が六通ありました。これは警察あての受取でございますから、私的に出したものであるか、公費を使ったものであるかということをはっきりさせなきゃなりません。受取が県警あるいは津川警察署あての受取でございますから、あるいは県費の中から出たのじゃなかろうか、捜査費の中から出たのじゃなかろうかと思って、これについて調べを求めたのでございますが、捜査の秘密上見せるわけにはいきません、こう言っている。だけれども、報道も、捜査費等から捻出された可能性も残った、こう言っているんです。  そして、そういうことで監査委員としては調べることができなかったので、確かに県警の方は私費を出しましたと言ってはいるんです。だけれども、私費を出したという証明を言っていないんです。証明がつかないんです。だとするならば、私はやはり公費だろうと。自分は私費を出しましたと証明をするんだったらいいのでございますが、そういう証明はないんだ。ただそう言うているだけなんでございます。こんなようなことは、裁判だったらこれは一発でだめでしょう。主張は通りませんよ。  こんなようなことから見て、公安委員長警察庁長官も、これだけの報告を聞いても、深い、微に入りました反省をしてもらわなければならぬと私は思っていますが、いかがですか、長官と委員長
  130. 田中節夫

    田中政府参考人 まず第一の御指摘でございますけれども、新潟県の監査委員事務局から警察庁及び関東管区警察局あてに封書が送られまして、その中に前新潟県警察本部長及び前関東管区警察局長あての封書が同封されていたのは事実でございます。  警察庁におきましては、新潟県警察におきますところの県費の執行に関する監査にかかわるものでございますので、第一義的には同県警察において監査委員事務局と相談の上適切な対応をなすべきものとの判断をいたしまして、県警察にその旨を伝え、県警察にその封書を回付したものでございます。  監査が十分にできなかったとの御指摘でございますが、この監査を受けました新潟県警察におきましては、警察本部長を中心に県警察を挙げて最大限の協力を行い、必要な書類の精査、関係者からの事情聴取等の監査への調査に対しましても真摯に対応した旨の報告を受けておるところでございます。  それから、警察本部あるいは津川署あての合計六枚の領収書を受け取っていたとの御指摘等も含めましての二点目の問題でございますけれども、今回の問題に関しましては、新潟県警察及び警察庁におきまして事実関係等十分調査しながら、前本部長及び前局長の行動日程を初め、使った費用の内訳、その支払い方法など徹底調査を行ったところでございます。またさらに、三月七日には調査した結果を公表したところでございます。そうした事実確認等の結果、関係者が私費により応分の負担をしたとの報告を受けたと承知しております。  また、先ほど申し上げましたけれども、今回の監査に当たりましても、新潟県警察では警察本部長を中心に、挙げて県監査委員調査に対しまして真摯に対応いたしまして、この経費の支出状況等を明らかにしてきたという報告を受けているところでございます。
  131. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 この監査結果につきましては、私も文書で知らされております。その中の、「措置すべき事項」として御指摘をいただきました幾つかの事項がございますが、こうしたことに対して新潟県警で適正な対応がされるように、私どもも十分監視をしてまいりたいと思っておりますし、さらに、協力拒否という先生からのお話がございましたが、実態がどのようなものであったのか、国家公安委員会としても次の国家公安委員会で警察庁によくただしてみたい、このように思っております。
  132. 坂上富男

    ○坂上委員 国家公安委員長答弁を了といたします。  警察庁長官答弁、私はさっき新聞報道を読んだのですが、これは虚偽の報道ではないと思うんですよ。言ったように、知事さんから監査委員の人たちが、非常に遺憾だ、わからないはずがないとまで言っているんです。長官の話を聞くと、まことに丁寧に報告をしたようなことでありますけれども、全然話が食い違っているんです。  でありまするから、公安委員長はそれを引き取りまして御答弁いただきましたから了とはいたしますけれども、長官の方もやはりこれはもう少しきちっとすべきなんじゃなかろうかと私は思っておりますが、この辺はいかがでございますか、後で一緒に答弁をしていただきたいと思っておるわけであります。  そこで、この調査報告書によりますと、三つに分かれていると私は思うのです。いわゆる旅費二件二千二百円、それから公用車の燃料費等一万九千六十円、それから勤務時間中、私用の用務だ、よって、給料を取っておるけれども、九万九千四百三十三円、これは返還すべきである、こういう措置事項として処置しているわけであります。これが一項目であります。これはひとつ返還してもらわなければいかぬと思いますが、警察庁、どういう指導をされますか。  それから二番目。前本部長それから警務部長、生活安全部長の給与は警察庁の予算で支給されているので、支給用の分は給与から差し引かれるべきでありますけれども、これは県の対象事項ではないものだから、こうおっしゃっておりますから、これはひとつ会計検査院、調査してください、私用の分とそうでない分。これはひとつ答弁を求めます。  それからいま一つ。さっき言ったように、津川警察署、新潟県警あての領収書、六通あるのでございますが、この内容についてもひとつ調べて、一体どこからあれが出たのか、捜査費からか、そういう形の中からもひとつお調べいただきたい、こう会計検査院に要望したいと思いますが、会計検査院、これに対してどんな御見解ですか。
  133. 金子晃

    ○金子会計検査院長 会計検査院といたしましても、新潟県監査委員会の報告は了知しており、前新潟県警本部長等に係る国費支出分について、新潟県警、警察庁から資料の提出あるいは説明を求めるなどして検査をしているところであります。
  134. 坂上富男

    ○坂上委員 ぜひ内容のある検査をひとつ期待したいと思っております。金額、決して大きい金額ではありません。しかし、やはり公と私のけじめをきちっとつけなければならぬと思いますので、強く会計検査院長に要請をしたいと思っております。  いま一つ、これも弁解をして足を出したのではなかろうかと私は思っているのですが、マージャンの景品の図書券は、本部長のポケットマネーで前の総務課次長が購入したことが明らかになっているのですが、監査委員の説明では、本部長は単身赴任のため、秘書役をしている総務課次長に毎月給与から十五万円を渡して身の回りの用品を購入してもらっていたそうでございます。したがって、これは私用じゃないですか。次長のような偉い人にこんなことをさせていたのですか。これは私用なんだから、やはり会計検査院、検査の対象にすべきなんだと思います。  長官、給料のうちから十五万円ずつ毎月渡すといったって、この本部長、何年おられたのかわかりませんけれども、これを次長が私用のために一生懸命にいろいろ使っていたというんだ、十五万円を。こんなことがあるのですか、長官、どうですか。あわせて会計検査院も御答弁を。
  135. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘の、本部長が一定の金額を総務課次長に与えて、その中からいろいろな費用を負担させていたというお話でございますけれども、新潟県警察におきまして総務課次長から聴取したところでは、決して職務として命じられていたものではないけれども、昼食と諸雑費がかかる場合に、前本部長が席を外したりしていて、自分がその金を立てかえたり、支払いがおくれてしまうことがあったので、前本部長から毎月一定額を預かり、支払いをしていたものである。やむを得ない部分があったとは思われますけれども、しかしながら、今回のように、前局長来県に伴う費用の支払いまで総務課次長に取り扱わせていたということは、決して好ましいことではないというふうに考えております。
  136. 増田裕夫

    ○増田会計検査院当局者 ただいまのお尋ねの点につきましても、前県警本部長に係る給与等の検査をしていく過程で、その必要性を検討して対処してまいりたい、このように考えております。
  137. 坂上富男

    ○坂上委員 そこで、今度、百分の二十の本部長に対する減給処分があったのですね。だけれども、実際上はもう全額払われているそうでございますが、百分の二十の返還はどういうふうにされる予定なのか、また、これについて会計検査院としてはどういう対応をされるのか、これもまたお答えをいただきたいと思います。  それからいま一つ、いわゆる公務自動車証明書を利用して、高速道の料金を払わないで高速道路を走り回っていた、こういうことで、外部からのチェックシステムがないために使い放題の状況にあると私は想像しております。この利用実態を明らかにするとともに、どのような利用基準を設けているのか警察側からも明らかにしてもらいたいし、これも監査対象にしていただきたいと思っておりますが、いかがでございますか。
  138. 田中節夫

    田中政府参考人 いわゆる高速道路等の利用につきまして、公務自動車証明書というのが、これは道路公団等の道路管理者との協議でそういうものが決められております。しかしながら、今回のこの使用につきまして、道路管理者との協議の趣旨というものを考えますと必ずしも適正ではないところもございます。今後、適正な使用がなされるよう都道府県警察を指導してまいりたいというふうに思っております。
  139. 増田裕夫

    ○増田会計検査院当局者 ただいまお尋ねの点につきましても、本部長等についての給与について検査していく過程で事実関係を確認して検討してまいりたい、このように考えております。
  140. 坂上富男

    ○坂上委員 そこで、結局、この監査委員はこういう意見を付されております。  一、警察業務に対する信頼の回復をしてください、これは当たり前のことです。二番目、規範意識を確立してください、警察組織の上層部の公私混同に起因したことを強く反省してもらわぬといけません、こう言っております。それから、情報の開示、いわゆる捜査上の秘密保持という理由で最終的な支払い先について明らかにされなかった、捜査上の秘密保持という理由は限定的に適用されるべきものと思われるので、今後は、時代の要請にこたえるため、情報公開法の施行の動向を見極めながら、情報の開示に向けて積極的に取り組まれたい。それから四番目、公務自動車証明書の適正な使用をしてください。  四点が意見としてありまして、これは当然のことでございますが、これに対して、長官、どのような御決意ですか。
  141. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のように、今回の新潟県の監査委による監査結果につきまして、意見として今お話しのように四点記載されております。  一の警察業務に対する信頼の回復、二の規範意識の確立、これはいずれも当然のことでございまして、今回の事案につきまして、このように指摘を受けるような行為があったことにつきましては、まことに残念に思っております。  それから、情報の開示の問題でございますが、これは、情報公開法が施行されますと、それに伴いまして各県におきましても同じような趣旨情報公開条例というものが制定されると思いますけれども、私どもは、この情報公開法の趣旨にのっとり、積極的に情報公開対象として都道府県公安委員会あるいは都道府県警察本部が対象となるよう、都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。  しかし、捜査にかかわる情報ということになりますと、捜査に係る経費の問題も含めまして、そこに一定の限界があるということもこれは御承知おき願いたいと考えておるところでございますけれども、情報公開という社会全体の要請には的確に対応してまいりたいと考えておるところでございます。  四番目の公務自動車証明書の適正使用につきましては、これは業務の必要上、道路管理者との間で協議が調っているところがございますけれども、やはりこの協議の趣旨に合うような使用の仕方がなされますよう都道府県警察を指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  142. 坂上富男

    ○坂上委員 最後でございます。ぜひひとつ、警察庁長官、国家公安委員長、本当に警察の再建のために、全国民信頼を得るように御努力いただきますことを私からも強く要請をしておきたいと思っておるわけであります。  これに関連をいたしまして、私は、三条競馬の場外売場、この保護された女性への犯行が競馬の帰りになされたんじゃなかろうかということを指摘をしました。しかし警察は、どうも違うようでございますという答弁ですが、それはこれからの公判で明らかになることだろうと思っております。  そこで、我が町の越路町というところに場外売り場をつくろう、こういうことになっておりまして、大変な住民の反対が出ておるわけでございます。その中にこう書いてあります。三条競馬へ通って土地カンを得た青年の起こした少女誘拐、九年間もの監禁事件、このことから、私たちはこの場外売り場というものに対して大変な不安を感じておりますと。もちろん警察は否定しておりますが、私は事実と思っているのです。  こういうような問題がありまして、これについてはこの間農水省に、私の紹介によりまして、これは大変反対であると。一つは青少年健全育成の問題から、地域住民の生活環境の問題から、治安の悪化の問題から、交通渋滞の問題から、交通事故の危険増大のことから、地域に多大な悪影響を及ぼす、よって、まだ申請は出ておりませんけれども、これはぜひ許さぬようにしてください、第二の女性長期監禁事件が起こるようでは困ります、こういうふうに言っておるわけでございますが、農水省、こういう申請が出たらぜひとも精査をしていただきまして、これに対する対応は厳正にしていただきますようお願いをしたいと思いますが、一言御答弁いただきたいと思います。
  143. 樋口久俊

    樋口政府参考人 お答えを申し上げます。  場外勝馬投票券発売所、いわゆる場外馬券売り場でございますが、これにつきましては、ファンの利便の向上とか、のみ行為の防止とか、あるいはその設置が地域の活性化につながるというような話がございます一方で、お話がございましたように、交通が混雑するんじゃないかという話とか、未成年者への教育上の観点等々で、地元で設置に対しまして反対をされる事例があることも事実でございます。  このため、農林水産省としましては、競馬の主催者に対して、場外設備の設置を進めるに当たっては、交通問題、未成年者問題等について地域社会との調整を十分図るよう指導を行っているところでございます。  本件に関しましては、お話ございましたように、現在では、主催者である新潟県の競馬組合において地元調整を行っておられる段階であると聞いておりますが、私どもとしましては、新潟県の競馬組合に対して、先ほどお話をしました交通問題や未成年者問題等について、地元の警察署や越路町内に加えて長岡市も含めた地元調整を十分図るようにと、こういう指導をしているところでございます。
  144. 坂上富男

    ○坂上委員 大変いい答弁をいただきました。  そこで、これはきょう地元から送られてきた新聞ですが、「説明会また大荒れ 越路・場外馬券売り場計画 長岡住民ら撤回求める」、こうやって相当、三段抜きぐらいに出ているんですね。ぜひひとつ、申請があったら十分な御検討を賜りますようお願いをいたしたい、こう思っておるわけでございます。  それから、県警にお礼を申し上げますが、御存じのとおり私の隣の町加茂市で、交番の隣、駅前で殺人事件が起きまして、犯人がわかりませんでした。女店主でございますが、まさに惨殺されたわけでございます。この間、四、五日前でございましょうか、犯人が検挙されまして、本当に敬意を表したいと思います。  被害者の方には御冥福をお祈りいたしますけれども、警察の努力も了といたしまして、今後とも一層頑張っていただきますことも期待をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  145. 中村正三郎

    中村委員長 次に、中林よし子君。
  146. 中林よし子

    ○中林委員 本筋の質問に入る前に、有珠山噴火の災害に対しまして、関係の皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。今、内閣挙げて、道や関係市町村とその対策そして日々の対応をしていただいていることに心から敬意を表したいというふうに思います。  農水大臣質問通告をしていないのですけれども、有珠山災害の問題で、一問だけ冒頭にお願いしたいというふうに思います。  私どもは、人命尊重第一だ、こういうことを考えているわけですけれども、同時に、生産の基盤である農林水産業に関しても、移動できるものについては素早く移動すれば助かるものも助かるということで、とりわけ家畜の移動については要請を重ねてきたところです。きょうお聞きすると、避難地域の百三十六頭の牛や馬などが避難をさせていただいたということで、地元の皆様方も大変喜んでいらっしゃいます。  ただ、今の状況からいえば避難地域はさらに拡大するであろうというふうに思います。それだけに、早目早目の手当てが肝心だというふうに思いますので、農水省挙げて、地元の道や関係市町村あるいは農協の声、農業者の声も聞いていただいて、早目の手だてを一層打っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。     〔委員長退席、赤城委員長代理着席〕
  147. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 火山活動による家畜等への被害を最小限に食いとめるために、現地の畜産農家の意向を踏まえまして、移動を希望する畜産農家の家畜の移動を行っているところであります。  四月二日現在で、移動を希望する農家十二戸中十戸の農家の家畜百三十六頭の移動を完了いたしているところであります。なお移動を希望する二戸の養豚農家につきまして、現在その対応について検討をしているところであります。  残された家畜の飼料の給与等につきましては時間を区切って行っておりまして、生乳についても出荷されていると聞いております。  今後とも、被害を最小限に食いとめるため、現地と連絡を密接にとりつつ適切に対応してまいりたいと考えております。
  148. 中林よし子

    ○中林委員 大蔵大臣もいらしていて、答弁は求めませんけれども、財政的な支援もぜひ、検討していただいていると思いますけれども、よろしくお願いしたいというふうに思います。  さて、きょうの私の本題は、中海本庄工区干陸事業の問題です。  この問題は、この干陸事業の行方を検討する、論議をする、そしてその結果、農水省に助言する検討委員会というものが九九年三月に設置をされて、そして十一回の検討を加え、ことし三月二十五日に三論併記の報告案を決定いたしました。私、その一部だけここに持ってきておりますけれども、十一回の報告というのは膨大な資料になるわけですが、その結論が三論併記だったということなんですね。  この事業は、皆さん御存じのように、一九六三年に国営中海干拓淡水化事業ということでスタートして以来、実に三十七年を経過しております。  この間の歴史的経緯を振り返ってみますと、まずスタートしたときは、水田ということで干拓地の利用、そこへ水を送るということで淡水化計画ということがありました。しかし、減反政策がとられて水田はやめになって畑作だということがあり、さらには環境問題などが指摘をされる中で、淡水化事業そのものは見送りということになりました。つまり、一九八八年九月に島根、鳥取両県が淡水化事業を凍結。そのときに、では、本庄工区をどうするのかということで土地利用検討委員会を設けましたけれども、結論が出ませんでした。翌九一年、島根県と農水省が再び干陸を五年間延期をする。  九五年三月に土地利用懇話会というものが島根県にできまして、この結論が、実は今回と同じような三論併記で出てまいりました。この三論併記を受けた島根県知事は、翌九六年三月に、全面干陸、農業利用を決断して農水省に要請をいたしました。しかし、そんなことをすれば環境は破壊されるし、残るのは借金だけだという住民の強い反対の中、当時自社さ政権だったのですけれども、この三党の与党合意に基づいて、農業利用をするのか、あるいは水域として残して水産利用をするのか、二年間調査をするということが決められました。そして、この調査を土台にして検討委員会というものができて今日に至り、そして三論併記ということになったわけです。  この検討委員会、十一回行われましたけれども、毎回、往復六時間かけて地元から漁民の方などを中心に岡山の農政局に出かけてまいりました。今回の結論を得た感想として、地元漁民の皆さんは、疲れたの一言だ、四年前の振り出しに戻ったのだと大変な憤りを語っておられました。  松江商工会議所の会頭は、これは地元の新聞に談話を発表しておりますけれども、優劣をつけない三論併記というのは一体何だったのか、先延ばしして、行政の怠慢で、四十年近く待たされた住民への裏切りだ、凍結するなら中止して善後策を考えるべきだと激しく失望の声をあらわしております。本当に一体何だったのか、私自身もそのように思わずにいられません。  農水大臣にお伺いしますけれども、四年前の振り出しに戻った、この三論併記になぜなったのか、また地元のこうした声にどうこたえるつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  149. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 本庄工区の利用のあり方につきましては、約一年間にわたりまして検討委員会で御検討いただいてきたところでありますけれども、本日、委員長から中国四国農政局長が報告書をいただくこととなっております。  委員会におきましては、本庄工区を、全面的に干陸して農業に利用する案、干陸しないで水産に利用する案、さらに、部分的に干陸する案について、技術的、経済的視点及び環境への影響の視点から詳細かつ真摯な検討が行われ、議論が尽くされたものと考えております。  その結果としまして、客観的な評価の視点からは、三案のいずれかに絞り込むことは困難との結論に達し、三案それぞれについて評価した報告書が取りまとめられたものと理解をしておるところであります。
  150. 中林よし子

    ○中林委員 報告書そのものの中身で、なぜこういう三論併記にならざるを得なかったのかという大臣自身の見解を聞きたかったのですね。  今回、私は非常に重要だと思いましたのは、事業がスタートして四十年近くかかった、島根県でも検討して三論併記が出た、また調査をし、それを土台にしてこの一年間に十一回検討委員会を、専門家を呼んでやったんだけれども結論は出なかった、ここが私は非常に重要なポイントだろうというふうに思うのですね。だから、どれほど議論をやっても、干拓するという方向には結論づけられなかったということ、ここは確認したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  151. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 報告書は、三案並立ではありますけれども、それぞれの案を評価しておりまして、追加投資をすればどのような効果が行われるかということが詳細に書かれておるわけでございます。そうした点をよく見ながら、島根県とともどもに相談をして今後の方向を決定していきたい、こう考えております。
  152. 中林よし子

    ○中林委員 問題は、本来ならば、これだけ専門家が集まって、二年間の調査の結果に基づいてやっているのですから、どちらかに、漁業振興なのか農業利用なのか、ここに集約されるはずだったのです。それが三論併記に、しかも軽重がつけられていないということでは、干拓するという結論には達しなかったのですねと、ここは確認したいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  153. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 確かに、一つの結論には達しておらない。しかしながら、全面干陸案におきましては、例えば、追加費用は五百二十億円で、年間の粗生産額においては約百五億円、こういうふうに見ております。干陸しない案におきましては、追加費用が八十億円で、漁業生産高が年間六億円から九億円としております。部分干陸案におきましては、追加費用が五百十億円で、農業粗生産額が年間約七十四億円、こういうふうにあらあらなっておるわけでございます。  ですから、それをどう評価してやっていくか。これはやはり地域の皆さんともよくお話し合いをしながらやるということが大事ではないか、こう思います。
  154. 中林よし子

    ○中林委員 今三論をそれぞれ言われて、だからこそ私は、なるべく短い答弁で済むように、きょう資料としても三案の比較表をくっつけて出しましたので、よく見ていただければというふうに思っております。  そこで私は、干陸、少なくとも農水省が当初の計画であった、これは干拓していくんだという、その方向づけにはならなかった、それぞれ漁業利用の面も、あるいはもう一つの部分干拓という面もあるよという三論併記になったのだというふうに思うのですが、仮に干陸、農業利用という問題で、根本的な問題がクリアできていないのじゃないかということを指摘したいと思います。  それは、農地が本当にあの中海の本庄工区につくれるのかという技術的な問題なんです。  本庄工区を干陸した場合、大根島の玄武岩でつくられている淡水レンズが壊れて地下水が噴出して、干拓地に水が噴き出し、農地として成り立たないおそれがある、こういうことが検討委員会でも問題になりました。地質学の研究者の間でも、大変問題が出てまいりました。  ここに九九年九月十四日付の朝日新聞があって、「干拓すれば地下水噴出? 大根島めぐり意見対立 農水省と専門家」という記事を持っております。ここの議論は、地下水専門家の熊井久雄大阪市大教授と中四国農政局の資源課長との論争が記事になっております。  今回の最終報告案では、干陸する場合、承水路を設けることによって水位を保ち、地下水の流出を防ぐ計画を採用しています。この記事の中で、承水路をつくっても干拓地側に地下水は噴き出すのではないか、こういう熊井教授の設問に対して、富田資源課長は、干拓地では中海層という水を通しにくい粘土・シルト層が玄武岩の上を覆っている、だから中海層の厚さが十分あれば水が噴き出すことはない、こういうふうに答えております。それに対して熊井教授は、中海層の厚さは調査の中で示されてはいるが、どの程度の厚さなら完全に下からの噴出がとまるのか、このデータは公表されていないので納得できない、こう反論しております。  私も、この委員会の資料を見ました。確かに中海層のそこの部分というのは出てきているのですけれども、私はこれではとても十分とは言えないなというふうに思ったのです。  農水省に、これは局長で結構ですけれども、お聞きします。中海層の厚さがどのくらいだったらば噴出しない、こういうふうにお考えでしょうか。
  155. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 ただいまの点につきましては、先生が経緯をおっしゃられましたけれども、第二回の本庄工区検討委員会に御報告をいただいた上で結論を出しております。  私どもの計画は、二百メートル離れた地点に承水路を設置する、これによって対応したいということでございますが、基本的にその厚さの問題につきましては、三メーターというふうにこの委員会で議論があったことと承知しております。
  156. 中林よし子

    ○中林委員 三メートルの厚さならば大丈夫だ、こういうふうにおっしゃいましたけれども、これが公表されていると言われている中海層の写真というのか分布図といいますか、これを見ると、中海側の方に沿って白い部分というのはたくさんあるのですよ。地質学者はあの中を調べておりまして、玄武岩が頭を出しているところは幾つもあると。あの二百メートルの承水路よりも中にあるということなんですね。そこはどうやって対応するのですか。
  157. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 もちろん私どもも委員会の中で学識経験者の助言を得ながらこの問題を議論しておりまして、仮に干拓地内に玄武岩が露出をしている可能性も否定できないわけでありますが、中海層の層厚分布を調査した結果からは、あったとしてもその範囲は局部的なものと考えられますので、その部分に押さえ盛り土を施工することにより対処することが可能という結論でございます。
  158. 中林よし子

    ○中林委員 そのときの費用は計算していますか。
  159. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 どちらも入っております。
  160. 中林よし子

    ○中林委員 構造改善局長、間違いないですね。  毛布みたいなものをそこへかけるというわけでしょう、押さえ層というのは。ブランケットとかなんとかいうようなことでやるのだろうというふうに思うのですけれども、そうすると、農地として成り立たないだろうというふうに私は思います。ましてや、二百メートルの承水路であって、そのこっちに、四メートル下に農地ができるのです。そうすると水圧がさらにかかって、一層噴き出しの予測というのは大変だろうということを地質学者たちは口々に言っております。  だから、こういう科学的な解明、今局長は三メートルで大丈夫、上から押さえれば大丈夫などと言っているけれども、地質学者は、少なくとも、噴き出しは二百メートル承水路をつくることによって一層水圧がかかって流れ込んでいくであろう、こういうことを指摘しております。  大臣、こういう一番科学的な問題で、まだ地質学者の間では相当疑問を持っているのです。だから本当に農地として、あの中海の本庄工区という膨大な、千四百ヘクタールもあるところです、その農地ができるのかどうかという根本にかかわるところの科学的な解明が十分なされないで進められてはならないと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  161. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 ちょっと済みません、その前に一言。恐縮であります。  先生の御指摘と私の答弁が、同じ工法ではないのです。先生がおっしゃった工法というのは、言ってみると止水壁をつくる工法なんですが……(中林委員「違う、違う。ブランケット工法というのがあるでしょう」と呼ぶ)いや、そういうことではなくて、盛り土をするやり方で十分に防げるということなのでありまして、多分先生がおっしゃっているのは、止水壁をつくる、そういう連続したやり方、例えば地下ダムなどでやる、そのことを意味されているのではないかと思うのでございますが、そうではありません。(中林委員「それではない。まあ、いいです。大臣どうぞ」と呼ぶ)
  162. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 専門家の方々にもかなり長い間御論議をいただきまして、可能である、こういう結論をいただいておるわけでございますので、それを高く評価していきたいと思います。
  163. 中林よし子

    ○中林委員 可能だという結論に無理矢理にしたら後で本当に大変な問題を含んでくるというふうに思いますので、これはきょうだけで解決できないと思いますので、重ねて、科学的な問題の解明については今後の議論に置きたいというふうに思っております。  百歩譲って、では農地ができたといたしますね。そのときに、営農する入植者というものが当然必要だというふうに私は思うのですけれども、この見通しについて、最終報告案では、国営中海土地改良事業について、干拓事業については、弓浜、揖屋、安来工区が平成元年に、彦名工区が平成四年に完成し、これらの干拓地は既に大部分が農家に配分され、優良農地として利用されている、こう述べているわけです。  しかし私は、実際に入植してそこで今やっている人たちの声を聞きました。既に完成した四つの工区の農業者からは、干拓地での営農は赤字続き、本庄工区に入植者が集まるとはとても思えない、こういう声がしきりでございます。  ところが、農水省は、この検討委員会に、中国四国農政局管内における認定農業者の経営改善の意向調査結果というものを提出しております。それからもう一つ、島根県が、認定農業者・IUJターン意向者などに行った意向調査というものを、島根県がやったのと農政局がやった二つの意向調査というものを出しているわけですね。これがあるわけですけれども、これを見ますと、その問いがいずれも、中海のような広大な農地での営農期待を漠然と質問しているにすぎません。本庄工区への入植希望も問うていないし、予定価格がどのぐらいになるかというその配分価格も示さない調査なんですね。  農業利用について地元で需要調査するならば、中海周辺の市町村の中で、本庄工区干拓地への入植についての希望調査というのは当然行う必要があると思うのですけれども、これを行っていますか。
  164. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 確かに、いろいろな前提をもって、農業者の方々はここへの入植といいますか営農の希望を出されたわけでございます。一体いかなる形で農地を農業者に渡すかというふうなことはまだまだこれからの問題でございます。  我々も、たまたま今までの干拓の中で、十アール百七十万円というふうなことで仮計算をいたしましたけれども、例えばリースをして、経営が軌道に乗ってから一定の期間後に例えばそれを売却するとか、県の助成がどうなるか、国としてどういうことが支援できるのかといったことをこれからむしろ詰めていくべきでありまして、まずは意向をお伺いして、そこからその意向に添ったことがどれだけ可能かということが必要であろうというふうに考えた次第でございます。
  165. 中林よし子

    ○中林委員 私は、既にできている四つの干拓地の中で一番うまくいっているであろうと言われている揖屋干拓地の農家の人たちの声も既に直接聞きましたし、島根大学の鹿取先生が、七十七軒の入植あるいは増反の農家の方々に聞き取り調査を行っておられます。これを見ると、七十七軒中、拡大したい、このように答えている農家は三軒にすぎません。そして、縮小したい、放棄をしたい、転用したい、これが合わせて二〇%を占めております。だから、既に中海干拓地でやっているところでもそういう事態になっております。  さらに、なかなか希望が出てこない。中海干拓に希望しますかと、この農政局が示している調査でも、中海干拓に期待できないというのが二四%、一番多いのですね、聞いている中で、期待できないと答えているのが。私は、一方で減反がどんどん進み、農地の荒廃が進み、新たにそこに農地を求めて、やろうという意欲が今わかないような農業情勢があると思います。  しかも現に今、島根県の中に、国営の農地開発をしているところがもう惨たんたる事態になっております。益田、大邑、横田、この三つの国営農地開発事業がありますけれども、低利用だとか作付準備だとか、そういう形でいまだに利用されていない農地というのはそれぞれのところでかなりの数字を示しております。  だから私は、こういう営農の希望がさもあるような、今局長がいろいろな条件はつけなければならないんだ、こういうふうに思っているわけですけれども、少なくとも、私は農地そのものにも不安がございますけれども、百歩譲って農地ができたとしても、こういう国営の農地開発地でも、いまだに採算ベースが上がっていない、放棄をしたい、そういう声があるときに、改めてここへ入植してやっていこうというようなことはないんじゃないか、もう既に破綻をしてしまっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  166. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員がおっしゃられますように、消極的に評価すればそういうような評価もあるかもしれません。しかし、どのような産業であっても困難性の伴わないものはないわけでありまして、農業においてもいろいろな困難性はあると思うわけでございます。  一般的に申し上げますと、我が国は、自給率を向上せしめなければならない、こういう基本計画の目標があるわけでございます。そういう観点からいいますならば、外国から今輸入している農産物をすべて土地に換算すれば、千二百万町歩に相当する農産物を輸入している、そういう中において我が国の自給率を向上せしめようと思ったならば、まず農地を造成する、そして意欲を持った農家が農業を営める、こういうふうにやっていくということが最も大事じゃないかと思います。  したがいまして、いろいろ困難性はあるかとは思いますけれども、そうした困難性をやはり克服してしっかり頑張っていく、こういうことが要請されておると私は考えます。
  167. 中林よし子

    ○中林委員 私も、一般的な農地造成に反対しているわけではありません。非常に問題があるところだからこそこれはやめるべきではないかという提案をしているわけで、そして、本来農水省がやるべきは、既にもう投資をして農地を切り開いているところが今大変困難に直面して、返済金もままならない、こういうところにこそ手を差し伸べるべきではないか、これが自給率そのものを向上させる方向ではないかというふうに思っております。同時に、自給率の面でいえば、私は、本庄工区を水産利用として、水産業の豊かな振興で自給率は向上できる、こういうことも考えるべきだというふうに思います。  そこで、今回の検討のもう一方の選択肢であった漁業利用、この問題についてお伺いしたいと思うんですけれども、検討委員会での調査の枠組みを決めた三党合意、これは、「宍道湖・中海全域における水産振興について行う調査・検討」、こういう項目になっていると思いますけれども、間違いございませんか。
  168. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 そのとおりでございます。これを県と私ども農政局とが分担をしてやるということになろうかと思います。
  169. 中林よし子

    ○中林委員 では、水産利用について非常に深い関係がある環境問題、とりわけ水質問題についてお伺いしたいと思います。  水質問題では、宍道湖、中海全域について、農業利用と水産利用の場合の水質予測データ、これが提出されております。このシミュレーションのデータを見ると、今お配りしている資料がそうですけれども、農業利用とそれから水産利用のケース、この数値に明確な違いがあります。これは間違いありませんか。つまり、水産利用のケースの方が水質はよくなる、燐や窒素やCODなどがすべてマイナスの数値を示している。間違いございませんね。
  170. 渡辺好明

    渡辺政府参考人 顕著な違いという表現ではないと思います。もちろん全面干陸の場合には、貯木場であるとか西部承水路について局所的な水質環境のデータの上昇はあるけれども、その他はほとんど変化をしないというのがこの委員会の結論であったと記憶しております。
  171. 中林よし子

    ○中林委員 それがおかしいんだということで、私はわざわざこの資料を提出したのです。研究者は、この違いというのはかなりの大きな違いがあるというふうに見ております。  農水省が責任を持った本庄工区の中だけの水産利用の予測、この水質の水理工学的な観点からの予測ケースがあるわけですけれども、水産利用の場合、この検討委員会はケース三をとって、森山堤防、大海崎堤防、ともに百五十メートルの開削で海水交通量が現況よりは少なくなるケースをとっておりますけれども、それでも、農業利用の場合よりも水域全体の水質は水産利用の方がよくなっている。  このときに、実は参考という例でケース五ということがシミュレーションされました。これは、全面水産利用で森山堤防と大海崎堤防を開削して中浦水門を操作する、こういうパターンで、唯一これが貧酸素水塊が改善の方向に向かうケースだというふうに科学的な結果としてあらわれております。  私は、三案になって、水産利用の場合の水質予測というものが、先ほど局長が言いましたように、大した違いはないんだという結論を検討委員会は導いたと言うんですけれども、そうじゃないよ、この水質予測もこれだけの違いがはっきり歴然としていると。それから、ケース五の参考としている例は、貧酸素水塊、これが唯一改善されるケースとして資料として歴然と出ているわけですから、それを漁業振興にどうして反映されないのか。また、本庄工区の中では自然の浄化があるんだという研究者の発表があって、実に四万七千人分の下水処理をしているに匹敵するだけの浄化能力がある、こういうこともこの水産利用の方向には加えられておりません。  だから私は、少なくとも、水産利用、宍道湖ではヤマトシジミを中心に年間三十億の水揚げがある、そして生態系というのは本庄工区だけで考えられるんじゃなくて、日本海、中海、大橋川、そして宍道湖という水系全体の生態系で考えられるべきで、とりわけ水産というものは、稚貝が発生し、それが流動していくということですから、農水省としては、この水産振興、私は、極めてこれは恣意的な方向でしか効果のそこは見ていないんじゃないかというふうに思いますので、そこは指摘をしておきたいというふうに思います。  大蔵大臣、今、国の事業質問をしているわけですけれども、これまで中海干拓淡水化事業に九百億近く事業費が投じられました。四十年近くたっております。国の財政というのは大変な破綻状態です。そういう中で、まだまだ科学的に解明しなければならない、今のような農政事情になりました、事業が始まったときとは大きく変化をしているときに、私は、国の財政支出、これが許されるのだろうかというふうに思います。地元の人は、水産利用で大いにやれば、環境も守られる、財政負担も一番少なくて済むんだ、この方向こそが一番だと言っているわけですけれども、大蔵大臣としての見解はいかがでしょうか。     〔赤城委員長代理退席、委員長着席〕
  172. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 余り知識がありませんで、十分な答えができないかもしれませんが、全面干陸、あるいは干陸しない、部分干陸と三案が併記され公表されたと聞いております。  最終報告の後、所管庁であります農林水産省と島根県といろいろ御協議があって、利用の意義、あるいは財政面、環境面、投資の妥当性などを考えながらこの工事の取り扱いについて判断をされて、その上で財政当局に御相談いただけるのではないかと考えておりますので、その御検討の状況を今のところ見守っているところでございます。
  173. 中林よし子

    ○中林委員 この事業、四十年近くたって、もう二十一世紀を迎えようとしているときに、日本の中での宝と言われている汽水域を本当に自然環境として残しながら、水産利用としても、観光地としても大いに生かしてこそ本当の意味で投資が生きていく道で、これ以上の農地利用という開発の方向は破壊以外の何物でもないから、この事業はきっぱりと中止をされるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
  174. 中村正三郎

  175. 保坂展人

    保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  本日、私は、この決算の総括質疑に当たって、警察の問題、とりわけ信頼回復の道筋がなかなか見えてこない今日の状況に即しまして質問を用意しています。  早速質問に入らせていただく前に、小渕総理の一日も早い御回復をお祈りしたいと思います。  さて、国家公安委員長、そして警察庁長官にもおいでいただいていますが、私は、これまでの日本の警察に対する信頼感、これが今重大な危機に瀕しているということはたびたび委員会などで指摘されているとおりだと思います。殺人などの事件解決、検挙率で世界最高のレベルを誇る日本の警察があるわけですけれども、それはひとえに血のにじむような現場での努力をされてこられた警察官の方々の存在、そしてまた、市民並びに国民がその捜査に対して、重大な件については協力をするという、その信頼関係が今崩壊寸前の状況にあるのではないかと思います。命がけで犯罪と対決されている警察官の一人一人が誇りを持ち続けるために、私は、今回、うみは一掃するべきではないか、ふぐあいを生み出してきたうみがあるとするならば、それは全部出すべきではないかと思います。  まず、警察庁長官に端的にお尋ねします。  内部からの告発、正義感に燃える警察官の内部からの告発は歓迎すべきではないか、むしろこの際出してほしい、こういう姿勢をお持ちになられた方がよいと思いますが、いかがでしょうか。
  176. 田中節夫

    田中政府参考人 昨年来の一連の不祥事案の中で、我々は不祥事案再発防止対策のためにいろいろな施策をとってきております。その過程におきまして過去のいろいろな事案が把握できるということがございます。過去にいろいろなことがないことが一番いいわけでございますけれども、いろいろな事案が出て、それを適正に処理するために職員からいろいろな意見が出るということは、これはある意味では、自浄作用という観点からしますと、いいことではないかというふうに思っております。
  177. 保坂展人

    保坂委員 大変前向きな答弁だと思います。  私は、前回、法務委員会におきまして、千葉県警で五年前に起きた、留置所の中の女性の被疑者に対して行われたわいせつ行為、この問題についてお聞きをしましたが、もう一点警察庁長官に伺いたいのです。  刑法百九十五条の二項、特別公務員暴行陵虐罪の構成要件あるいは公訴時効について、簡単にお話しいただきたいと思います。
  178. 田中節夫

    田中政府参考人 刑法第百九十五条の特別公務員暴行陵虐罪でございますけれども、一項が、  裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、七年以下の懲役又は禁錮に処する。 二項で、  法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする。 こういうようになっておりまして、公訴時効は五年でございます。
  179. 保坂展人

    保坂委員 国家公安委員長お尋ねしますが、今の一項並びに二項、これは、国民信頼のもとに立つ警察官がやってはならない行為として、あってはならない行為というふうにはっきり言えることだと思いますが、しかし、あってはならない行為があったときには厳しく対処される決意がおありかどうか、お願いします。
  180. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 当然、そういう非違行為がありましたときには、私ども国家公安委員会としても重大な関心を寄せながら、そして厳しい処分をしてもらうように私どもとしては臨みたいところでございます。  お尋ねの、留置場における非違行為というのは非常にデリケートなところがございまして、警察の留置場という特殊な雰囲気の中で行われる非違行為である。しかも、それが女性の被留置者と申しますか、そういう方に対してどういう形で警察がそれに臨めばいいのかというところでございますが、私は、やはり女性の被留置者に対しては女性の警察官が対応するというのが一番いいんだろうと思いますけれども、現在のところの状況からいいますと、そういう意味での女性の警察官の数がやはり不足をしているという状態だと思います。  その中で、どうしても男性の看守勤務員が対応しなければならないという場合がございまして、そこにもし倫理観の欠如した者がおりますれば、一対一になってしまったときには不都合なことが起こり得る、そういうことがございまして、それで留置場における特殊な雰囲気と申したのでございますが、そういうことのないように、やはり職員一人一人が倫理観をきちんと持たなければいけませんし、女性の被疑者等に対しては、一対一になることをできるだけ避け、そして適切な立会人などを置くようにして取り調べに当たるなり、あるいは対応に当たるなりしていかなければならない、こういう非常にデリケートな問題を含んでいると思います。  いずれにいたしましても、そういう非違行為がありました場合には、私どもとしては、適切に厳しい処分をしていただくように警察庁を指導してまいりたいと思っています。
  181. 保坂展人

    保坂委員 それでは、警察庁長官に、先週法務委員会でお尋ねをして、調査をしていただくという要望をいたしましたが、時間が限られていますので、私がお尋ねする点に関してわかった点をお答えいただきたいと思います。  九五年の十一月に、船橋東署から千葉拘置所に移送される前夜に、房内に元巡査長が、このときは巡査長、現職の警察官ですが、女性の体にさわるなどしてわいせつ行為を働いたと報道されております。このわいせつ行為の内容について先般ただしましたが、この元巡査長は、どういう行為を行ったというふうに答えているのでしょうか。聴取を改めて行ったのかも含めてお答えいただきたいと思います。
  182. 田中節夫

    田中政府参考人 先般の衆議院法務委員会で保坂委員より御指摘を受けました件でございますけれども、これは、平成七年十一月二十六日夜、船橋東警察署で当時看守係をしていた警察官が留置中の女性の体にさわる等の不適切な行為を行ったとの報告を受けていることを御報告申し上げました。その後、千葉県警に対しまして調査を指示しております。  その過程におきますところの具体的事実関係につきまして、被害者である女性の協力というのが実は平成七年の時点では得られませんで、事件にできなかったというところがございます。したがいまして、その具体的な事実につきまして、被害者の協力を得て今進めているところでございますが、今大臣からも申し上げましたけれども、非常に機微に触れるようなことがございましてなかなか得られないという状況もございます。  したがいまして、それに対応するところの警察官の供述につきましても、現段階で具体的にこのようなことがあったと申し上げることにつきましては、さらに調査を進める必要があるというふうに考えているところでございます。
  183. 保坂展人

    保坂委員 長官に追加的に伺いますが、簡単に質問をまとめますと、その元巡査長に、先般の質問以降、再度事情聴取を行われたかどうか、そして、その巡査長が自分は何をしたと証言をしているのかどうか、この点をお答えいただきたいと思います。
  184. 田中節夫

    田中政府参考人 巡査長であります元職員の具体的な行為、供述、あるいは当然に、この場合でありますと、被害者である女性の供述につきまして、必ずしも一致していないところもございます。しかも、具体的にこれが、先ほど御指摘のように、特別公務員暴行陵虐に当たるとすれば捜査にかかわります問題でございます。その辺でいろいろ、私どもといたしましても、さらに調査を進める必要があるというわけでございます。
  185. 保坂展人

    保坂委員 さらに調査を進めていただきたいと思うんですが、女性の方はいわゆる性的暴行を受けた、こういうふうに主張しているのではないかと思いますが、しかしその点、元巡査長がそれを認めているのかどうなのか、これによって事態は大きく変わってくるんだと思います。  もう一点、長官に伺いますが、この事件があった後、拘置所の方に別の警察官の方が訪ねてきて、刑事告訴をしないなどの念書をとったという報道がございます。そしてまた、これを千葉県警でもお認めになったようですが、警察署長にあててこういう念書をとるという真意がどこにあったのか、これは通常行われることなのかどうか。なぜこの念書をとる必要があったのか非常に不審なんですが、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  186. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘の念書の問題でございますが、これはこの前の法務委員会の後調査させた事実でございますけれども、まず、報道におきまして念書と呼ばれているものの存在についてでございますが、当時、看守係をしていた職員による留置中の女性に対するわいせつ行為を認知した、平成七年でございますが、その当時、県警察におきまして、事件化をするために被害届の提出について説得を行いました。しかし、被害親告はなされず、調書も作成できなかった、事件化できなかったわけでございます。そのため、その意思を確認するために、処罰を望まない旨の上申書を書いてもらったという事実はございます。  しかし、その上申書は女性から強制的に徴取したものではない、女性が自由な意思に基づき書いたものであるとの報告を受けておりまして、それ以外に念書とかあるいは誓約書と言われるような内容の書類はないとの報告を受けておるところでございます。
  187. 保坂展人

    保坂委員 この場合、被害者は女性で、加害者は元巡査長で、逆ではありませんよね。とすれば、その女性の方がこのことに対して非常に憤って、別の警察官に被害を訴えたのではないでしょうか。そして二人だけが、今委員長からもお話があった一対一の非常にデリケートな状況を、これは二人しか知り得ないわけで、これは女性の方が別の警察官に対して、被害があったということをやはり告知したから拘置所に会いに行ったんじゃないでしょうか。長官、そのところをちょっと率直にお答えいただきたいと思います。
  188. 田中節夫

    田中政府参考人 今委員指摘の、その被害女性に不適切な行為があったということにつきましては、それは、取り調べを担当した警察官に被害女性から翌日親告があったということは事実でございます。
  189. 保坂展人

    保坂委員 再度これは調査を要求しますけれども、どうでしょう、その女性から取り調べ担当の警察官に被害の告知があって、そして拘置所に行ってみたら、告訴をしないという上申書を女性が望むというのは、ちょっと私は理解できないのです。  もう一点伺います。  神奈川県警の不祥事が明らかになった昨年秋以降、さきの法務委員会でもお聞きしましたが、警察署の副署長、そして元巡査長、取り調べに当たった警察官、そして女性、この四人で会う席があって、その場で三十万円が一切の解決金というただし書きで手渡されたのではないか。これについても調査されるというふうにお約束されたのですが、いかがでしょうか。
  190. 田中節夫

    田中政府参考人 示談金の問題と、副署長が同席したという問題でございますが、示談の関係につきましては、平成十一年九月に、元職員と女性との間で示談が行われております。当時、女性から示談金の要求がございまして、それに応じる形で、示談金として元職員から女性へ三十万円が交付されていることは事実でございます。  一部、口どめ料でありますとか、あるいは警察が現金を捻出したという報道があったことは承知しておりますが、これにつきましては、当該職員個人が女性に謝罪をした上支払ったものでありまして、女性も納得して謝罪を受け入れ、領収書を書いたとの報告を受けております。  また、示談に副署長が同席したという点でございますが、昨年の九月、先ほど申し上げましたとおり、元職員と女性との間で示談が行われておりますが、そこに至る経過におきまして、女性の方から船橋東警察署の副署長に、元職員と連絡をとってほしい、慰謝料が欲しいという連絡がございました。そこで、副署長から元職員に連絡をしたところ、慰謝料の支払いに応じる旨の回答があり、その際、女性の方から、副署長にも立ち会ってほしいという依頼がありましたために同席をしたと報告を受けております。
  191. 保坂展人

    保坂委員 一点だけ確認をいたしますが、この副署長あるいは取り調べに当たった警察官の方が、元巡査長と女性との話し合いに同席したというのは、これは公務でしょうか、それとも私的な行為でしょうか。
  192. 田中節夫

    田中政府参考人 この示談金そのものにつきましては、これは元巡査長とその被害女性との間の話でございますので、それに立ち会うということにつきましては、これは私的な行為だというふうに理解しております。
  193. 保坂展人

    保坂委員 国家公安委員長に伺いますが、警察の留置場内で起こった行為、そして副署長と取り調べ担当の警察官が同席して三十万円の示談金というのはありますかね。三十万円を渡したのは、どうですか、私的な行為と言うのは、私はこれはおかしいと思いますが、委員長、見解を簡潔にお述べいただきたいと思います。
  194. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 この件についてのいろいろな長い間のいきさつがあるようでございまして、私も詳しくは知らないのでありますけれども、そういう中で、当事者間で話がされ、それでいいという形でそういう示談金の受け渡しがあったのではないか、こういうふうに考えますので、あくまでもこれは当事者間の話であったという感じがいたします。警察の、公の機関としてそういうことをするということは、私は考えにくい状態だなというふうに思います。
  195. 保坂展人

    保坂委員 これは週刊宝石に掲載されているやりとりです。あえてこれをちょっとただしたいのですが、この副署長がこの三十万円について、その女性に対して、「警察から受け取ったもんじゃないもんね。」「はい?」と聞き返しているのですね。それで副署長が、警察から受け取ったもんじゃないもん、これは巡査長とあなたの話し合いだもんね、あれはと。それでこの女性は、ここが重大なんですが、監察から出たんじゃないですかと。そして副署長が、違うよ、巡査長だよ、これは巡査長のお金でしょうと。女性の方は、巡査長の今の状況では三十万円は無理というのは、副署長、あなたが言ったことじゃないですかと。こういうやりとり。  これは、まず事実でしょうか。長官に伺います。
  196. 田中節夫

    田中政府参考人 一部週刊誌に報道されていることすべてが事実かということにつきましては、私ども詳細は承知しかねるところでございますけれども、この示談金の三十万円につきましては、今お話しのような公的なお金ではありませんで、この当該職員がみずから出したものという報告を受けております。
  197. 保坂展人

    保坂委員 国家公安委員長に伺いますが、神奈川県警の不祥事以降、いわゆるわいせつ関係でいろいろ不祥事が起きている。ここで列挙できないくらい数限りなくあるんですが、その中で、大別すると二種類に分かれる。というのは、電車の中でいわゆる痴漢行為を行ったなどのケースを省いて、例えば、わいせつの被害者にわいせつという佐賀県警の出来事であるとか、あるいは、いわゆる巡らといいますか、巡回の先で女性にそういう行為に及ぶ、こういう職務の中で起きた事柄に分かれるわけですけれども、こういうことの示談金として、一部報道と言われましたけれども、その三十万円がどこから出たのか、これはやはり巡査長本人も含めてきっちり再調査していただきたい、こう要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  198. 田中節夫

    田中政府参考人 今委員指摘のいわゆるわいせつ事案でございますけれども、これはあってはならない事案でございますが、職務に関連して、職務に絡んでわいせつ行為を行った場合でありますが、職務上に関連する行為とはいえ、これは具体的な個人の行為でございますので、それに絡みまして違法行為があり、あるいは慰謝料を払い、また損害賠償請求ということになりました場合には、基本的にはその当該個人が負担すべきものというふうに考えておりまして、また従来からもそのように取り扱っているところでございます。
  199. 保坂展人

    保坂委員 それでは、長官に伺いますが、この女性、告訴の意思がないというのは、これは恐らく、刑法における強姦が親告罪になっている、こういう事柄かと思いますけれども、一方で、先ほど冒頭に挙げた百九十五条、ここは親告罪ではないわけですね、時効の範囲内である、そういう観点できっちり調査をするかどうか、答弁していただきたいと思います。
  200. 田中節夫

    田中政府参考人 委員指摘のように、特別公務員暴行陵虐罪は告訴を必要といたしません。したがいまして、今回の平成七年の事案につきまして、具体的なその当時の状況、あるいは被害女性の協力ということも不可欠でございますけれども、これはもう一回、原点といいますか、その当時の状況を精査いたしまして、事件として立件できるのかどうか、これは公判ということも考えますと、当然にその被害女性の協力が不可欠でございますので、そういうことも含めて調査するように千葉県警に指導しているところでございます。
  201. 保坂展人

    保坂委員 保利国家公安委員長に、残り時間わずかですけれども、今この議論をしていく中で、保利委員長がいわゆる警察刷新会議の冒頭のごあいさつの中で、これは組織の病理といいますか、組織全体の問題として今この問題があるんだという指摘が国会ないしは世論の中にあるということをおっしゃっています。私は、これは見解が異なるかもしれないですが、指摘をしたいと思います。  私たちはいわゆる盗聴法と呼びましたけれども、政府が言うところの通信傍受法、これで、実は当時与党の中で、社民党も与党でしたから、二十二回厳しい議論をしました。このときに、本当に単純なことがあったんですね。いわゆる緒方宅盗聴事件、これは警察がやったのかどうかということを、私は、はっきりこれはやったというふうに認識をし、また言明していただけるのであれば、この問題というのは全然違う性格に展開をしていったのだろうと思います。  ここは、もう当局はいいです。大臣にお答えいただきたいんです。自民党も当時、与謝野座長見解で、自民党としての見解で、緒方宅事件は警察の組織的な犯罪だという見解をまとめたことも保利大臣御存じだと思いますけれども、今これだけの不信が広がっている。この不信が払拭されるまで、捜査過程の中の情報などが万が一でも外に出ることはないというふうに当時林局長は答弁したんですよ。今、針のむしろに座るような気持ちで私はいますというふうに林刑事局長自身も言っている。こういう状況で、この通信傍受法の施行というのは一たん停止するべきではないか、信頼回復を待つべきではないか、こういうふうに私は思いますが、大臣、御見解いかがでしょうか。
  202. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 通信傍受法につきましては、私どもも、成立をしました以上、執行機関として、十分注意を払いながら執行していかなければならないと思っております。  とりわけ、最近の密輸、特に麻薬関係の密輸、そういったものが非常にふえてきているということにかんがみまして、この法律の運用というのは、注意を払いながらも、やはり運用することによって取り締まりの大きな成果を上げ得る、そういうふうに思っておりますので、御指摘の点は十分に注意を払いながら、国家公安委員会規則を設けるなどして注意を払いつつ運用をしてまいりたい、そういうふうに私どもとしては考えております。
  203. 保坂展人

    保坂委員 保利大臣にはぜひ、私から一点だけ最後に、国民の世論に耳を傾けていただきたい、これは、万が一でもそういうルール違反はしないということが前提に政府側はずっと答弁してきた法案ですから、国民がこれをどう見るかということにきっちり耳を傾けていただきたいということを要望して、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。     —————————————
  204. 中村正三郎

    中村委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。  平成八年度決算外二件及び平成九年度決算外件審査のため、四個の分科会を設置することとし、分科会の区分は  第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(本府、総務庁、沖縄開発庁)、法務省、大蔵省所管のほか、他の分科会所管以外の国の会計  第二分科会は、総理府(防衛庁・防衛施設庁、科学技術庁)、外務省、文部省、厚生省、労働省所管  第三分科会は、総理府(警察庁、経済企画庁、環境庁)、農林水産省、通商産業省、自治省所管  第四分科会は、総理府(北海道開発庁、国土庁)、運輸省、郵政省、建設省所管 以上のとおりといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 中村正三郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次に、分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 中村正三郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  なお、分科員の配置及び主査の選任につきましては、追って公報をもって御通知いたします。  次いで、お諮りいたします。  分科会審査の際、最高裁判所当局から出席説明の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 中村正三郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次に、分科会審査の際、政府参考人出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 中村正三郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  次に、分科会審査の際、日本銀行並びに公団、事業団等、いわゆる特殊法人の役職員から意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人として出席を求めることとし、その人選等諸般の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 中村正三郎

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。  分科会審査は、来る十日月曜日及び十一日火曜日の二日間行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時九分散会