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西田(猛)
委員 今おっしゃられたように、
国家行政組織法第八条の三に基づく
組織はいろいろあるんですが、中でもやはり際立っているのがこの検察庁と
警察庁なんですね。この二つの
組織をよく見比べたときに、同じく法律の強制という点に係っているという点は私は共通しているんだと思います。
ただ、検察庁の場合は、きょうも法務省の方もたくさんおいでですけれ
ども、検察庁は、一人一人が
国家である検察官の集まりですから。検察庁法を見るとおもしろいんですね。検察庁法は、私、今持っていませんが、
組織であるとか役所であるとか書いていなくて、検察官がいるところと書いてあるんですね。非常に微妙な言い回しだと思うんです。要するに、検察庁というまとまった
組織があるのかないのかというところも非常に疑問である。というのは、検察官お一人お一人が独立行政官ですから、検察官一人一人がお役所なんですね。そして、それの集まっているところだというのが検察庁だ。
ところが、他方、
警察庁は、間違いなくお一人お一人の
警察官の皆さんは独立行政官ではありません。これは
組織の中に勤務される職員の方でございます。そこらあたりから
考えて
警察組織を事細かに分類していきますと、従来
議論がございますが、大別しておよそ性質の異なる二つの作用が混在しているんじゃないかなというふうに私は従来思っているんです。
それは、端的に申し上げれば、一つは検察と同じように法律強制をする。英語で申し上げて恐縮ですが、その方が非常にわかりやすいですから、ロー・エンフォースメント、法律を強制する作用と、それから
一般の行政機関と同じように、例えば交通規制をする、それから道路の占用許可をするとか、それから例えば自動車交通の許認可を受けるとかいう普通の、
国民の権利義務に係るようなそういう行政行為を行う機関としての性格と、これは大別して二つあるんだと思います。
そして、現在の
日本の
警察組織におけるやはり一番の大きな
問題点は、この法律強制を行うというロー・エンフォースメントの
機能と、そういった
国民の権利義務、要するに普通の、普通のと申し上げると変ですが、許認可を行う、行政作用をする行政機関としての性格が一つどころに混在しているということ。
それとともに、これも自来問題になっておりますが、各都道府県
警察に置かれる警視正以上の方は
国家公務員だというふうな、
国家としての
警察と地方としての
警察がこれまた随所各所で混在しているという、縦横のこの混在が問題なんだと私は思っているんです。
そこで、私のこれは提言なんですけれ
ども、法律強制を行う部門と、それから、今申し上げたように道路の占用許可ですとか交通の規制などを行う、行政作用を行う機関としての
警察とを分けた方がいいと私は思うんです。これはかなり大胆な提言で、自由党を代表しての
意見でもありませんし、
議論の糧ですけれ
ども、私はもう分けた方がいいと思うんです。
なぜならば、他方において、オウム
事件ですとか、それからかつての浅間山荘
事件のような、そういう広域的な犯罪に対しては都道府県
警察それぞれでは対処し得ないという問題があって、広域
捜査が必要だ、各都道府県警の協力が必要だと言われていました。他方においては、道路の占用許可をするにも
警察署に聞かなければいけない。そうすると、
一般国民にとっては、どちらかというと威圧的な制服を着た人に申請書を出さなければいけない。あるいは、司法
警察職員の身分を持った方が、これはその行為が軽いというのではありませんけれ
ども、交通整理をされる、あるいはチョークを引いていかれる、これも大切なお
仕事ではございますけれ
ども、果たして司法
警察職員でなければしてはいけないことなのかというふうなことを、一つ一つタブーなく
議論をしていかないといけないと私は思っております。
ですから、やはり法律を強制するということは国の治安を保つ、あるいは国としての
体制を保っていく上で非常に大切ですから、むしろここはひとつがっちりとしていかなければならない。強めると言うと非常に語弊があるかもしれませんが、きっちりとしていかなければならない。したがって、私は、
警察庁長官を長とする
国家警察的な
組織を置いて、これが犯罪の
捜査、ロー・エンフォースメントを専ら行う国の機関としてあったらいいのではないか。
他方、今申し上げたような行政作用を行う行政機関としての
警察は、これはやはり地域に密着するものですから、都道府県に合議制の
公安委員会があってもいいと私は思うんです。都道府県でやはり地域のボスとか地域の
政治的な親分にそういう
警察作用が左右されないように、
公安委員会という合議制があっていいと思います。
それで、そのもとに、これは都道府県
警察本部というのじゃなくて、都道府県
公安委員会のもとに直接、実際の役所としての
警察署を置いてしまったらいいと思うんですね。それで、
警察署にそういう交通の規制ですとか道路の規制などなどの行政作用は行わしめる、それについて問題があれば都道府県
公安委員会が行政機関として指揮監督するというふうにもう二つきれいに分けてしまう。
今申し上げたように、
国家の
警察は
捜査を行う国の
警察だけ、そしてこちらの都道府県
公安委員会のもとにある
警察署は地方の
警察であって、地域のことを行う
警察組織だというふうに分けてしまったら、私はお互いに有効的に
機能するのではないかなというふうに思います。
もちろん、各都道府県に置かれる都道府県
公安委員会のもとにある
警察署は相互に密接な連携をとるべきですし、各都道府県の連携をとるべきです。しかし、広域的な犯罪、重大な犯罪については
国家の法強制を行う
警察が動くということがこれから
考えられていいのではないかと私は思います。
まとめて御
意見をお伺いする前に、それから、国における
国家公安委員会という合議制の
組織は、独立行政
委員会と申しますか、これはもう重々
皆様方、よく研究されて、認識しておられることだと思いますけれ
ども、第二次世界大戦が終わったときにやはりアメリカ合衆国によってもたらされたものであって、これは、なぜあのような、太平洋戦争のような無謀な戦争を戦前の
日本が遂行したのかということをアメリカが
考えたらば、内務省を
中心とする
警察組織が家父長制的な
日本の
国家を運営して、そしてこの
国民を戦争に遂行せしめたのだという反省からできたものだというふうに、私は物の本で読んで、自分でもそう思います。
ところで、その持ってきたアメリカの国においても確かに独立行政
委員会というのは多数あるんですけれ
ども、アメリカにおける独立行政
委員会が所掌している
事務というのは、ほとんどが経済的な規制なんですね。例えば連邦通信
委員会とか連邦交通
委員会とか、そういう経済的規制を行うレギュレートリー・エージェンシーとしてあります。だけれ
ども、国の治安とか国の公安をつかさどるようなことを合議制の独立行政
委員会に任せている国なんというのは、私、ちょっと知らないですよ、特に近代先進
国家と呼ばれる中で。国の治安だとか国の公安だとか、最もリーダーシップと迅速性を要する機関の指揮監督権がどうして合議制の機関にあるのか。私は、ここでやはりこれは見直していくべきではないかと。
今、専任の
大臣を、要するに
国家公安委員長を専任の
大臣にしようというふうな
意見もございます。結構ですけれ
ども、しかし、それは専任の、そして直接の権限を持った独任の
官庁であるべきですよ。独任の
大臣であるべきですよ。そして、その
一般的な指揮監督権のもとに
警察庁長官を頂点とする
国家の、
捜査を行う
警察組織があっていい。そこは、法務
大臣と検事総長とのような
関係であっていいと私は思うんです。その独任の
大臣は、個々の
事件や個々の
捜査については指揮監督しません。
一般的な指揮監督を行うだけで、そして、もし必要とあらば、
警察庁長官を
一般的に指揮監督すればいい。個々の
捜査、個々の
事件は当然
警察にお任せするということで迅速性を保っていける。
ただ、一朝事があって、必要とあらば、御存じのように、内閣総理
大臣が
警察庁長官を直接指揮するという法
規定も今ございます。これは大規模地震
対策のときとか、そういう緊急
事態には内閣総理
大臣が直接に
警察を指揮することもできるんです。そういうふうな迅速性も、他方、今の法制の中でも保たれているわけですから、これを恒常的に専任の
大臣が行うということは
考えられてしかるべきだというふうに私は思っております。
長々と自説を弄しましたけれ
ども、この点につきまして
保利国務大臣の御
意見をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。