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2000-02-25 第147回国会 衆議院 環境委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月二十五日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 細川 律夫君    理事 今井  宏君 理事 大野 松茂君    理事 村上誠一郎君 理事 目片  信君    理事 小林  守君 理事 近藤 昭一君    理事 若松 謙維君 理事 武山百合子君       愛知 和男君    大石 秀政君       小杉  隆君    河野 太郎君       桜井 郁三君    砂田 圭佑君       田邉 國男君    平沼 赳夫君       福永 信彦君    柳本 卓治君       佐藤謙一郎君    並木 正芳君       丸谷 佳織君    中村 鋭一君       藤木 洋子君    中川 智子君     …………………………………    国務大臣    (環境庁長官)      清水嘉与子君    環境政務次官       柳本 卓治君    政府参考人    (環境庁企画調整局長)  太田 義武君    政府参考人    (環境庁企画調整局地球環    境部長)         浜中 裕徳君    政府参考人    (環境庁大気保全局長)  廣瀬  省君    政府参考人    (厚生省生活衛生局長)  西本  至君    政府参考人    (厚生省生活衛生局水道環    境部長)         岡澤 和好君    政府参考人    (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君    政府参考人    (建設省住宅局長)    那珂  正君    環境委員会専門員     鳥越 善弘君     ————————————— 委員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   藤井 孝男君     砂田 圭佑君 同日  辞任         補欠選任   砂田 圭佑君     桧田  仁君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  環境保全基本施策に関する件     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 細川律夫

    細川委員長 これより会議を開きます。  環境保全基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として環境庁企画調整局長太田義武君、環境庁企画調整局地球環境部長浜中裕徳君、環境庁大気保全局長廣瀬省君、厚生省生活衛生局長西本至君、厚生省生活衛生局水道環境部長岡澤和好君、労働省労働基準局長野寺康幸君及び建設省住宅局長那珂正君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 細川律夫

    細川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  4. 細川律夫

    細川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。目片信君。
  5. 目片信

    目片委員 おはようございます。自由民主党目片信でございます。  今回の委員会において質問機会を与えていただきました委員長初め委員皆さん方御礼を申し上げたい、このように思っております。私は、三十分の時間でありますから、御答弁いただく大臣初め各局長さんには簡潔にひとつよろしくお願いを申し上げたい、このように思っております。  まず最初に、この四月七日、八日、九日と私ども滋賀大津市において環境大臣会合開催されることになっておりまして、数多い候補地の中から我が滋賀大津市を御選定いただきましたことに、まず心から御礼を申し上げたい、このように思っております。  滋賀県は、もとより環境先進県を標榜いたしておりまして、その取り組みにつきましては、県民挙げて取り組んでいるところでございます。特に富栄養化防止条例あるいはまたヨシ条例、それを初め工場排水規制等環境対策に万全を期して実施をいたしております。  特に、滋賀県といえば琵琶湖であります。琵琶湖滋賀県の面積の六分の一を占めております。太古の時代より琵琶湖のそうした自然、そしてまた水あるいはまた魚介類等々、その恩恵に浴してきたのであります。一方でまた、近畿の千四百万人と言われる皆さん方水資源としても活用をされておるところでございます。  振り返って、昭和四十七年から二十五年、四半世紀にわたりまして、今日までの先輩の諸先生方の御努力によりまして、一兆八千億もの巨費を投じて琵琶湖総合開発が行われました。当然水質保全あるいは水浄化対策あるいは下流の水源確保河川改修、下水道の整備等々、ソフト、ハード両面にわたって整備が進められてまいったわけであります。  平成六年の干ばつがございました。このときに琵琶湖水位が一メーター二十三センチ低下をいたしました。本来、これだけの水位が下がりますと、自然あるいはまた魚介類等々に与える影響が極めて大きいわけであります。そうした中で、総合開発おかげと申しましょうか、その結果、大事に至ることがございませんでした。  そしてまた、平成七年には集中豪雨がございまして、今度は逆にプラス九十三センチというような水位を記録することになりました。九十三センチでありますから田畑に対して冠水があったわけでありますけれども、このこともそうした総合開発おかげで被害が最小限に食いとめられた、こういう実績が残されたわけでありまして、今思えば、その総合開発の果たした役割は極めて大きい、このように思っております。  もちろん、先ほど申し上げましたように、千四百万人の近畿皆さん方に対してもそうした意味で陰に陽に恩恵をこうむっていただいている、このように思っております。  人間と自然が共生できる、またそのために環境は守らなければなりませんし、またそのことについて改めて認識をしていかなければならない。そういうことを考えつつ、今私が申し上げましたように、この時期に滋賀大津市においてサミット開催をいただく機会を与えていただきまして、県民市民ともども心から歓迎して、そして成功に向かって努力をしてまいりたいというふうに思っております。  そこで、お尋ねをいたしたいと思いますが、ただいま申し上げましたように、四月の七、八、九という日程でございますが、開催までにもう一カ月余りとなったわけでありまして、そこで環境庁におかれまして準備状況はどのようになっているのか、まず大臣お尋ねをいたしたい、このように思います。
  6. 清水嘉与子

    清水国務大臣 日本で初めて開かれますG8の環境大臣会議が、先生指摘のように、全国の中でも環境に対して先進的な滋賀県で開かれること、大変うれしく思っております。  滋賀県及び大津市の協力もいただきながら、会合スケジュール等の概要がもう固まりまして、ことしの一月に、私の方からG8の各国環境大臣並びにECの環境担当委員に正式の御招待をさせていただきました。今、県、市ともに連携しながら会場準備等最終的な段階の詰めを行っているところでございます。  討議議題につきましても、G8各国との事務的な意見の交換はもういたしまして、一応、主要議題といたしましては、気候変動及び二十一世紀の持続可能な開発リオプラス10、さらにそれに続きまして環境と健康の問題ということを提案したところでございまして、現在、具体的な討議内容につきまして各国調整中でございます。
  7. 目片信

    目片委員 そこで、出席をいただいた各国大臣に対して御満足というのか、どのように対応をしていただくのか、そしてまたその計画があればお伺いをいたしたい、このように思います。
  8. 浜中裕徳

    浜中政府参考人 御説明申し上げます。  私ども、G8環境大臣会合準備に当たりましては、環境に優しい大臣会合にぜひしていきたい、それから日本らしいホスピタリティーおもてなしをしたい、さらに三点目には市民にも印象に残る大臣会合を目指したいということで、この三点を基本的な考え方といたしまして準備を進めているところでございます。  お尋ねの、各国大臣に対しましては、私ども日本らしいホスピタリティーということで、日本伝統文化に接する機会を効果的にアレンジをしてまいりたい。例えば、エクスカーションを予定しておりますが、比叡山延暦寺根本中堂などを視察いただく、あるいはその際に昼食会も旧竹林院、坂本のところでございますが、そこで精進料理を御用意したいとも思っておりますが、それにあわせまして琴の演奏でございますとか、日本庭園での野だてのサービスでございますとか、そんなようなことを心がけまして、ぜひ日本らしさというものを満喫していただきたい、このように考えているところでございます。
  9. 目片信

    目片委員 今三点の中でお話ございましたホスピタリティーの点で、地元地元と申しますと大津市になるわけでありますが、どのような期待をいただいているのか、その点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  10. 浜中裕徳

    浜中政府参考人 地元に対する期待ということでございますが、御説明申し上げます。  先ほど先生お話にもございましたとおり、琵琶湖に面するところで開催をされる、しかも、環境先進県開催をされるということでございまして、既に滋賀県におかれましては、こうした背景、実績を生かしながら、積極的な盛り上げ行事にも取り組んでいただいているところでございます。  また、特に地元大津市におきましては、温かい気持ちでおもてなしをしたいということをキャッチフレーズにいたしまして、会合当日に、なぎさ夜祭りというようなことで、これは、琵琶湖維持管理のために刈り取ったヨシでたいまつをつくりまして、明かりをともしまして、琵琶湖水質保全を誓い合う、こういったような夜祭りでございます。それから子供パレード、こういったようなことでぜひ各国大臣を心から地元おもてなしをしたいというような企画をされているところでございまして、私ども、こうした取り組み大変感謝をしておるところでございます。  これからも、県、市と連携をとりながら、会合準備に万全を期してまいりたい、このように考えております。
  11. 目片信

    目片委員 私ども滋賀県では、今日まで国際会議というような大きな会議を持ったことがございません。東京でありますとか、隣の京都でありますとか、あるいはまた神戸、大阪が主会場にされる会議が多いわけでありますが、そうした東京でない地方、いわゆる今申し上げた以外の滋賀県で開催をいただくことになったわけでありますが、その意義についてお尋ねをいたしたい、このように思います。
  12. 清水嘉与子

    清水国務大臣 今回の会合につきましては、これまでのG8の各国で開かれた環境大臣会合の例に倣いまして、首都以外のところで開こうというふうにしたわけでございます。  そこで、受け入れ施設あるいは周辺の環境の問題、あるいは、今部長も申しましたけれども日本伝統文化へのアクセス、あるいは開催県の経験とやはり熱意、そういうものを総合的に勘案いたしましたところ、滋賀県が非常に熱心に誘致していただいたということもございまして、滋賀県で開催をすることにしたわけでございます。  先ほど来お話が出ておりますように、滋賀県は、非常に環境問題に先駆的に取り組まれておりますし、ちょうどこのG8の環境大臣会議をするにはふさわしい場所ではないかというふうに思っているわけでございまして、こういった滋賀県の先駆的に取り組む姿そのものをG8の環境大臣に直接見ていただくということで、その地域での取り組み世界に発信される、そして滋賀県における環境保全活動がますます進展する、そういうことに大変な意義があるんじゃないかというふうに思っているところでございます。
  13. 目片信

    目片委員 ただいま大臣から意義についてお話を賜りました。そうした中で、一方では、滋賀県に対してあるいはまた大津市に対してどのようなメリットがあるんだろうか、また地元にどのような期待をされているのかについてお尋ねをいたしたい、このように思います。
  14. 清水嘉与子

    清水国務大臣 G8環境大臣会議開催というのは、今も申し上げましたように、滋賀県の環境保全の先駆的な取り組み世界に発信するというだけでなくて、やはりこういうのを機会にして、県民皆様方があるいは市民皆様方が地球環境問題について理解を深める、そしてまた、その環境保全取り組みをもっと前に進めるといういい機会になるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。  このため、知事から、その先駆的な取り組みをこのG8環境大臣会議におきまして御紹介いただく機会をつくりたいというふうに思っているところでもございます。また、滋賀県とか大津市でも、市民印象に残る大臣会合を目指しておりまして、県、市主催によります関連行事、いろいろございますけれども、そういったものを通じまして、啓発活動等企画実施していただくということで今準備しているところでございます。
  15. 目片信

    目片委員 まだ会議が始まったわけではありませんので、このような質問はいかがかと思いますけれども会合においてどのようなことが議論されるのか、わかる範囲で結構でございますから、お教えいただければと思います。
  16. 浜中裕徳

    浜中政府参考人 御説明申し上げます。  ただいままでのところ、私ども事務レベルにおきまして、G8各国担当者と二回ほど打ち合わせをさせていただいてきております。そういう中からわかる範囲で申し上げますと、本年は、新たな千年紀に向かう節目となる年であるということで、各国の方々の御意見も、ぜひ来世紀は持続可能な発展ということが実現される世紀にならなければいけないのではないかというような御意向が強いわけでございます。また、我が国が議長国を務めて取りまとめました地球温暖化防止京都議定書を発効させる上で必要となる国際合意を得なければならない大切な年でもございます。  こうしたことから、主要な議題として、先ほど大臣から申し上げましたとおり、気候変動、いわゆる温暖化でございます。それからもう一つは、リオで開かれました地球サミットから十年後に当たります二〇〇二年に国連といたしまして非常に大規模な環境会議を開く予定でございます、いわゆるリオプラス10でございます。これに向けまして、二十一世紀の持続可能な開発リオプラス10といったテーマを、それにあわせてもう一つの大きな主要議題ということで議論をすることになるというふうに考えております。また、それに次ぐテーマといたしまして環境と健康というものを提案しておりまして、これらに沿った議論が行われる予定でございます。  なお、滋賀県が長年取り組んでこられました淡水資源といいますか、水の問題でございますが、これについても、二十一世紀の持続可能な開発の実現のために重要な事項であると私ども考えておりまして、ぜひこれを取り上げていただきたいということで議論をさせていただいております。また、これまで得ております感触では、これも議論一つになるものというふうに考えているところでございます。
  17. 目片信

    目片委員 ぜひ会合成功、そしてその成果を見守っていかなければならない、このように思いますが、その会合の出た成果は今後どのように生かしていこうとされているのか、お教えをいただければ、このように思います。
  18. 清水嘉与子

    清水国務大臣 従来のG8の環境大臣会合と同様に、この結果、ここで討議されました内容につきましては、当然総理に御報告を申し上げまして、七月の九州・沖縄サミット環境の面から貢献することといたしたいと思っておりますし、また、ことしは十一月にオランダのハーグにおきましてCOP6の会議がございますけれども、その成功のためにも、ここでの会議、非常に重要なものになるんじゃないかというふうに思っているところでございます。  こうした会合成果世界のやはり環境政策推進に資するものになりますように、私も議長として一生懸命努力したいというふうに思っているところでございます。
  19. 目片信

    目片委員 ありがとうございました。  以上がG8に関する質問でございまして、次は、またちょっと違った角度で質問をいたしたいと思います。ごみ減量化でございます。  人が生活する以上、ごみを避けて通ることができない現状でありますが、そのために、ごみ対策取り組みには、国民、行政、あるいはまた事業者がおのおの分担をしながらごみ減量に御対応いただいているところであります。  容器包装リサイクル法もその一環であるというふうに思っております。来年度から容器包装リサイクル法が完全施行されますが、ペットボトルを含めて一部品目には、回収予測量と再資源化可能量との差異があるように思われます。先日もテレビを見ておりますと、ペットボトル回収してきたけれども、再資源化するのにはどうしてもその能力が足りないゆえに市の方で保管をするというような放映がされておりました。  また、家電リサイクル法の施行は平成十三年四月からでありますけれども家電の処分が有料になることによりまして、不法投棄防止などのために十分な周知が必要というふうに思っております。  さらに、市町村においては、ごみ処理に関する手数料条例を法と整合のとれたものにしなければならないと思うわけであります。しかし、現在では、手数料を定めるための基礎となる各メーカーの処理料金回収拠点が明確になっていない状況で、住民に対して十分な周知ができるのかどうか、疑問に思っているところであります。  このように、実際に廃棄物リサイクル対策を進めていく上においては多くの課題が山積をしているわけでありますけれども、せんだっても報道されておりましたけれども環境庁は、今国会循環型社会基本法を提出する予定と伺っております。この法案によりまして、現実廃棄物リサイクルに関するそうした課題がどのように解決されるのか、大臣お尋ねをいたしたい、このように思います。
  20. 清水嘉与子

    清水国務大臣 ごみの問題でございますけれども先生指摘のように、さまざまな問題が今出されております。  こうした廃棄物リサイクルに関します課題を解決するために、今までのように、ごみを出して、それを処分するのではなくて、大量生産大量消費大量廃棄といったような今までの経済社会あり方そのものをやはり変えていかなきゃいけないんじゃないかということでございまして、何とか、製品から流通、消費廃棄に至るまでの過程で、物質の効率的な利用あるいはリサイクルを進めまして、途切れのない物質循環の輪をつくらなければいけない、それが循環型社会考え方でございます。  そういう意味で、この国会におきまして、環境庁が中心になりまして、廃棄物リサイクル対策についての施策の総合的あるいは計画的な推進をする基盤として、基本的な枠組み法案を出したいというふうに検討しているところでございます。  中身につきましては、循環型社会構築に関する基本理念でありますとか、あるいは国、地方公共団体事業者国民の責務の明確化、あるいは、計画を策定して、そのフォローアップをすること、あるいは国が講じようとする施策等について明らかにしたいというふうに思っているわけでございます。  これはあくまでも枠組み法でございますけれども、さらに、今先生も御指摘のように、各省でもいろいろな廃棄物リサイクル法案もあるわけでございますし、こういった関係法案を一体的に整備することによりまして、循環型社会構築に向けた取り組みをまた実効あるものにしたいというふうに考えているところでございます。
  21. 目片信

    目片委員 次に、フロン回収放出禁止法制化についてお尋ねをいたしたいと思います。  カーエアコン業務用冷凍空調機などの冷却剤として使われているフロンガスは、オゾン層破壊物質温室効果物質として国際的に大気への放出が規制されている物質であります。ところが、回収が法的に規制されている主要先進国の中で、唯一日本だけが法的規制がなく、フロンガス使用機器の修理や廃棄時に大気中に放出されるというのが現状であります。  近年、一部の自治体でフロンガス排出規制が条例化され、また、国にフロンガス対策を求める声がある一方で、昨年十二月に中国・北京開催されたモントリオール議定書締約国会議で、二〇〇一年七月までに国としてのフロンガス回収破壊などの管理戦略を提出することを求める決議がされたところであります。  日本政府は、フロンガス対策について真剣に取り組むべき岐路に現在立っていると思うわけでありますが、去る二月七日、予算委員会で、柳本環境政務次官が、フロンガス回収破壊義務化を検討する、このように御答弁をされたのでありますが、これまで、フロンガス問題については幾つかの環境NGOや個人が取り組んでこられました。フロンガス回収を促進して大気への放出をとめるためには、国としての管理戦略回収の法的義務づけが不可欠と思うのでありますが、その対策をどのようにお考えになっておるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  22. 柳本卓治

    柳本政務次官 目片委員指摘のように、フロン回収破壊は、フロン等オゾン層破壊物質生産規制とともに、オゾン層を保護するための重要な対策認識をいたしております。  このため、平成九年九月に、関係十八省庁から成るオゾン層保護対策推進会議におきまして、フロン回収及び破壊促進方策を取りまとめまして、関係業界に対して所管省庁より、特定フロン回収に関する自主行動計画を策定し、回収に取り組むよう協力要請実施したところでございます。  また、環境庁におきましては、地域における回収から破壊までのシステム構築を促進するためのモデル事業実施地方自治体や関係業界等から成るフロン回収等推進協議会活動支援等を通じまして、地域における取り組み推進してきたところでございます。  このような取り組みによりまして、業界独自のフロン回収システム構築したり、回収協力店を認定し住民等周知を図る制度を導入した地域など、取り組みの進展が見られる関係業界及び地域があるものの、環境庁及び通産省の共同調査によりますと、平成十年度におけるフロン回収実績は、家庭用冷蔵庫からの回収率が約二九%、カーエアコンからの回収率が約一二%、業務用冷凍空調機器からの回収率が約五六%と、全般的に低い水準であると認識をしているところでございます。  家庭用冷蔵庫につきましては、家電リサイクル法において、平成十三年四月からフロン回収が義務づけられますが、カーエアコン業務用冷凍空調機器につきましては、一層の取り組みが必要と考えているところでございます。  環境庁といたしましては、先ほども目片委員お話しされたとおり、昨年十二月に北京で開かれましたモントリオール議定書第十一回の締約国会合で、先進国に対して、二〇〇一年七月までにCFC管理戦略を提出することを求める決定がなされたことを機会にいたしまして、関係省庁協力して、関係業界に対して一層の強い要請を行うこと等により、取り組みを進めていく所存でございます。  これらの対策状況を見詰めまして、回収破壊義務化につきましても積極的に検討していきたいと考えております。
  23. 目片信

    目片委員 若干時間が残っておりますけれども、もう一分ほどでございますから、あとの質問に入るとオーバーいたしますから、これで終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  24. 細川律夫

    細川委員長 次に、小林守君。
  25. 小林守

    小林(守)委員 民主党小林です。  早速質疑に入りたいと思います。  連日のようにマスコミ報道の中で、今日の与党内における循環型社会基本法の制定に向けての取り組み状況が報告されているところでありますけれども、私ども民主党におきましても、プロジェクトの方で法案要綱、基本的な骨子をまとめまして、皆さん方との議論に参加をし、抜本的な循環型社会づくりの骨格をつくっていきたい、このように考えているところでございます。  幾つかの、自民党案あるいは政府案と言っていいでしょうか、それから公明党案というようなものも報道されておりますけれども、その中で、本当に今度の循環型社会基本法案が、現実に抱えている日本環境負荷状況を抜本的に改革する実効性を持った法律になるのかどうか、それが国民全体、また環境NGOなどの最も関心の高いところではないか、このように思っているわけであります。  このような取り組みの報道がある一方では、また連日のように、不法投棄の問題とか環境汚染の問題が深刻の度を増している。なおかつ、一定の国民協力のもとに進められている回収リサイクルの、分別回収などの取り組みが、なかなかリサイクル市場がうまく回らないというような状況の中で、ストックヤードに野積みされているというような状況も見受けられるわけであります。  そういう点で、循環型社会をつくっていく上で、やはりよどみのない循環のサイクルがしっかりと回っていくような仕組みをつくっていくことが肝要なんだろう、このように思いますが、まず、長官並びに政務次官でも結構ですが、日本の資源循環の状況、そして廃棄物等の排出状況における環境汚染の状況、これらについてどう現状認識されておられるのか、そこからお聞きしたいと思います。
  26. 清水嘉与子

    清水国務大臣 先生指摘のように、こうして国会の中で循環社会の問題についてたくさんの機運が盛り上がってまいりましたことは大変うれしく思っております。  今、廃棄物をめぐる現状についての認識はどうかという御質問でございます。  毎年、およそ四億五千万トンの大量の廃棄物が排出される、そしてその一方で、リサイクル率が非常に低い。一般廃棄物で約一〇%、それから産業廃棄物で四二%にとどまるという現状でございまして、その排出抑制が十分いっていない。  また、リサイクルが十分ではないという問題でございます。  そのために、最終処分場の処理能力も非常に逼迫しておりまして、今、これで見ますと、これは平成八年の段階でございますが、一般廃棄物が八・八年、産業廃棄物が三・一年。しかし、もう一回産業廃棄物を十一年の九月で見ますと、もう産業廃棄物が、なかなか最終処分場ができなくなっているということもありまして、一・六年分しかないというような現状になっている。そしてまた、焼却をいたしますと、これに伴いますダイオキシン類、有害物質が発生する。そしてまた、不法投棄の数、これが年々ふえておりまして、平成十年度には、暫定値でございますが、千二百七十三件というふうにどんどんふえているというような問題がございます。  これらの問題は、何とか解決しなければならない喫緊の問題であるというふうに了解しております。
  27. 小林守

    小林(守)委員 現状の問題認識というのはそのとおりだというふうに思うのですけれども、なぜこのように逼迫しているか。例えば、最終処分場の逼迫の問題、リサイクルが進まない、その辺の現状はそういうことなんですが、なぜそういうふうになってしまっているのかということを、きちっとこれは総括をしながら、法案の骨格に、それを抜本的に改革する原理原則、そういうものを確立していかなければならないのだろう、このように考えるわけです。  まず、廃棄物リサイクル対策のここ十年ぐらいの法制度の整備状況も考えながら、ずっと振り返ってみたいと思うのです。  九一年、平成三年のときに二十年ぶりに現行廃掃法が大改正をされたというようなことがございました。私自身も、その時点でこの法案の改正にかかわってきたものですから、今回のこの循環型社会基本法なるものの制定に当たっても、その辺の課題を何とか解決するような方向で取り組んでいきたいと思っているところなんです。  実はその時点でも、不法投棄の原状回復をどうやってきっちりとした仕組みとしてつくっていくかという課題については、やはり排出事業者の責任まできっちりと問えるような、無過失連帯責任みたいなものをつくる必要があるのではないか。  例えば、現状では、排出事業者が処理業者に委託をしてしまえば、法的には責任は問われない状況なんですね。民民同士の契約ですから、そのとおりだとは思うのですが、しかし、そのことによって、不法投棄された現状は、大変な生活環境を汚染するわけでありまして、国民生活に重大な影響を与えるわけですね。  そういうことですから、要は、ほうっておくわけにはいかない。それでは、だれがしっかりと原状回復するのかと言えば、当然のことながら、それは委託処理業者が第一義的な責任はあるのですけれども、その処理業者が倒産してしまったり、または行方不明になってしまったり、いずれにしても、原状回復の能力が経済的に全くないというような状態であるならばどうするのだ、しかも、ほうっておけないということになるならば、現状までの対策では行政機関が代執行という形で、その処理業者に対して、回収できないであろうけれども、求償権だけが残って、ずっとそのままで、結局、国民の税負担で原状回復をするというような状態が続いていたわけであります。  そういうことを考えますならば、今回の法改正の大きなポイントの一つには、排出事業者責任まできっちりと法律に明文化できるのかどうか、するのかどうか、これが大きなポイントだろう、そのように考えます。  当然のことながら、それに関連してマニフェスト制度などの徹底管理、これもいいかげんに運用されている実態があります。その当時も、我々、法改正の議論の中で、排出者責任までやらなければだめだ、マニフェストもすべての産廃にはかけるべきだということを強く主張してきた経過があるのですが、残念ながら、マニフェストも一部、特定管理産業廃棄物の方にかけられる状態。その後、今日の、九七年の改正だったと思うのですが、すべての産廃にマニフェストをかけますよというような状況に変わってきたのは事実なんですけれども、いずれにしても、九一年時点でいろいろな議論がされてきた。  もう一つありました。野焼きの禁止の問題。禁止にはなったのだけれども、罰則がなかったということで、埼玉県のダイオキシンの問題なんというのは、本当にあれは罰則がなかった、行政指導も及ばない、そういうことが大きな問題を残してきてしまった、また、そういうものを生んでしまったというような禍根を、私自身も、野焼きについてはあのときにきちっとした直罰制度を設けておけば、少なくともああいう問題については相当解消できていたのではないか、ああいうのは起こらなかったのではないかというような反省もあります。  マニフェストも、やはりきちっとした情報管理というのでしょうか、一番最初にマニフェストを切った人たちが最後に確認するというところまでのシステムを、きちっと監視する機関までちゃんとつくらなければだめだよというようなことまで議論はしたのですが、残念ながら、本当に試行導入みたいな段階で終わってしまっていたということなんですね。  これらの問題も今度の法改正の中でどう位置づけられるか。非常に技術的な細かい部分、細かいというか大切なんだけれども、要は、原状回復措置や不法投棄防止する、そういう流れの中で、きちっと資源の流れ、排出物の再生利用やリサイクルへの流れをきちっと確保する意味で、排出事業者責任をきちっと位置づけていくということは極めて大事な骨格の部分だろうというふうに思うのですが、そこがどういうふうになるのか、検討されているのか、お聞きしたいと思います。
  28. 柳本卓治

    柳本政務次官 まず、排出者の原状回復義務の点につきまして御答弁させていただきたいと思います。  廃棄物不法投棄の問題につきましては、小林先生指摘のように、不法投棄された廃棄物を除去することなどにより、不法投棄前の状況に戻すこと、いわゆる原状回復などについて対策の強化を図っていく必要があると当然認識をいたしております。このため、循環型社会基本法案では、廃棄物の排出者が適正に処理すべき責務等を法律上明確に規定することを検討しているところでございます。  また、具体的な事案における原状回復につきましては、現在、政府において廃棄物処理法の改正を検討しているところであり、排出者の責任に関しては、本基本法案考え方を踏まえまして適切な結論が得られるものと認識をしているところでございます。
  29. 小林守

    小林(守)委員 法律上明文化することを検討中であるというようなお話でありまして、これがきちっと今回位置づけられないような事態であるならば、もうやらない方がいいと同じですよ。本当に、理念だけで終わってしまうということだけは絶対に避けなきゃならない、そういうことで、これは何としてでも入れてもらわなきゃ困る、このように我々は考えているところです。  九一年の改正のときに、もう一つ、いわゆる排出抑制、それから再生利用というような言葉を、廃棄物処理法の概念の中で、今まで、一九七〇年につくられた法律の中では、出たごみをどう適正に処理するかという法律だったんですよ。ところが、出たごみをどうするかというだけではどうにもならぬという問題をとらえて、やはり発生抑制、いわゆるごみが出てくる上流からきちっとした対策をとらない限りこの問題は解決できないというようなことが議論の中で当然のことながらされてきたわけなんですね。  そういうことで、発生抑制、再利用、再使用そしてリサイクル、こういうような概念が、少なくとも廃棄物をどうするかというだけの法律じゃなくて、やはり廃棄物行政をしっかりとしたものにつくり上げるためには発生抑制をきちっとしない限りだめだというようなことが議論されてきたわけです。  そうなってくると、排出抑制をどうやって実効あらしめるかということも当時議論されました。  ところが、この問題については、廃掃法の改正の中で、厚生省だったんですけれども、非常に熱心に、そのことも含めて目的規定の中に入れたい、入れて一つの何らかの実効性ある措置をとりたいという意向で議論が進んでいたのですが、まさにそこで省庁の縦割りのいろいろな権益、縄張りの争いみたいなものがありまして、資源の問題だ、これは厚生省の所管じゃなかろうという形で、通産省の方が再生資源利用促進法というものを、まさにすいすいというか、あっという間につくり上げてしまった。  国民議論は、廃掃法の問題から、廃棄物の問題からどうするんだという形で議論が盛り上がってきて、やはり発生抑制から考えなきゃだめだなというところまで認識が高まってきた。ところが、うちの所管まで厚生省にいろいろやられちゃうと困るというような、いろいろなことがあったんだと思うのですが、本当にあっという間に再生資源利用促進法ができた。そして、資源の部分については廃掃法とは別のところだから別の法律でやるよ、所管は通産省ですよというような形で、二つの法体系に、このごみの問題、リサイクルの問題が分かれてきちゃったというのが私は実態だろうと思うのです。  九一年にそれが、明確な二つの法案、廃掃法は大改正があった、そして再生資源利用法がぽんとできてきた。そこに私は今日の大きな問題を抱えている、発生させた原因もまたあるのではないかな、このように思いますが、少なくとも、その時点で廃棄物処理法の目的の中には排出抑制と再利用という概念は入ったんですよ、入れたのです。ところが、実態は、言葉だけで、通産省任せという形になったのは事実なんです。  今回、その法改正の中で、発生抑制とリサイクル、それから適正な最終処分、これをどういうふうに枠組みの中で一貫したもの、体系的なものとして整理をされようとしているのか。これが、途中に分断があるからこそ問題があるんだというふうに言わざるを得ません。その辺について、どのように今度の法案は枠組みが一貫性なり体系性を持っていけるのか、そこをお聞きしたいと思います。
  30. 清水嘉与子

    清水国務大臣 今環境庁が中心になってつくろうとしております法律は、全体的なそうした廃棄物リサイクルを進めるための基本的な枠組みでございます。  そういう中で考えておりますのは、先ほども申しましたけれども、まず、先生も御指摘のように、今までのように、たくさんのものをどんどん生産して使って捨てるというサイクルではなくて、それをもっときちんとしたサイクルにしようということでございますものですから、物を捨てないといいますか、ごみをつくらない、発生抑制ということを一番に掲げているわけでございます。  そして、そのために、再使用し、次には再生利用し、熱回収をして、そしてどうしても仕方がないものについては処分をするというリサイクルをするわけでございますけれども、発生抑制の段階では、先ほどの排出者責任のこともございますし、それからまた、生産者の段階で、生産するものについて、使った後まで、使った後それが今は廃棄物になってしまっているわけですけれども、そうではなくて、それを循環させるような製品づくりについても十分配慮してもらうように、生産者の責任ということについても明らかにしていきたいというふうに思っているところでございます。
  31. 小林守

    小林(守)委員 今、重大なお話がございました。生産者責任を明らかにするということでございますけれども、OECDなどでも、生産者責任を明らかにする中で、発生抑制から、要は製造段階から、廃棄物なりが排出された時点でどう再生利用、再利用するかというような視点に立った物づくりを考えるということなわけですけれども、その責任は製造者からあるんですよというような形ですね。  そういう形で、生産者責任というものが本法案の中でこれもまた明確に位置づけられなければ一貫性を欠くであろうということなんですが、これについては相当の覚悟が必要だと思いますよ。いかがですか、その覚悟を聞きたい。
  32. 清水嘉与子

    清水国務大臣 これだけの大きな法律をつくるわけでございますから、当然最初から、申し上げますように、発生抑制の段階できちんとしなければいけないわけでございますから、拡大生産者責任の考え方をぜひ取り入れてまいりたいというふうに思っているところでございます。
  33. 小林守

    小林(守)委員 業界団体などの、当然ながらコストを内部化しなきゃならぬという問題もありますし、これだけの厳しい経済状況の中でどうなんだという議論もあると思うのですけれども、しかし、やはりこれは将来世代への責任の問題でありますし、会社が一つ二つどうのこうのという、経済状況でいろいろあるのは事実だと思いますけれども、しかし、人類なり人間の生存基盤にかかわることですから、もっと絶対的な問題なんですよね。  そういう観点に立って、やはりこの制度は何が何でもきちっと位置づけていかなきゃならない課題だろう、このように考えているところなんですが、実際に、基本法的なものに、そういう概念を言葉としては受けとめて導入される、何らかの表現で入っていく、明確に拡大生産者責任というふうに言えるのかどうか。製造者責任みたいな言い方をしたり、何か別の言い方を何となく入れようなんというような動きもあるような感じもいたしますが、本当に言葉だけではなくて、この拡大生産者責任というものをどこでどういう個別法が受けていくのか。  これを私は心配するのは、その基本法的なものを、政府では、具体的な実定法は個別法で受けるということになると、再生資源利用促進法が受けることになるんじゃないかなというふうに思うんですが、理念法の中には、基本法の中には、拡大生産者責任という発生抑制の段階からの責任があるんですよということが書かれる。しかし、具体的には、それを実効性あらしめる、実効力を持った法律の部分ではどう位置づけるかということになると、どの法律が受けることになるのか、まずお聞きしたいと思います。
  34. 柳本卓治

    柳本政務次官 今、小林委員の御指摘は、実効性の確保のために拡大生産者責任の考え方を導入すべきであるという御指摘であろうと思いますので、その点についてお話しさせていただきます。  言うまでもなく、みずから生産する製品につきまして、生産者が、生産、使用段階だけでなく、使用後、廃棄物となった後まで一定の責任を負うというこの拡大生産者責任の考え方は、循環型社会構築のために重要な視点でございます。  このため、政府において検討中の循環型社会基本法案、仮称でございますけれども、その考え方を排出者責任の明確化とあわせて明確に位置づけることを検討しているところでございます。
  35. 小林守

    小林(守)委員 政務次官、ちょっと申しわけないんですが、それはわかるんですよ。それは基本法に書かれるんですね。ですから、その基本法に書かれる法律を、では具体的にどこの法律の中でそれを位置づけていくことになるのかということなんです。  基本法で書くことはできます。排出抑制というのは、逆に言えば、今の廃棄物処理法だって、既に「目的」の中では排出抑制というのは書いてあるんです。理念の中には書いてあるんですよ、今の廃棄物処理法でさえも。また、環境基本法でも、既にそれはもう言われているんです。これをどうやって具体的に個別法の中で受けとめていくのかということをお聞きしたい。
  36. 柳本卓治

    柳本政務次官 具体的には、実体法は再生資源利用促進法で受けていく方向で検討中でございます。
  37. 小林守

    小林(守)委員 そういうことになると思うんですが、問題は、ではそこに環境庁はどういうふうに関与できるのか。今度は通産省と業界団体とのいろいろな話し合いの中でその実態は詰められていくんだと思うんですよ。そのときに、基本法の所管がどこになるのかわかりませんけれども環境省になるんだというふうに考えていいんだろうと思うんですが、環境省が基本法の理念を、例えば再生資源利用促進法の発生抑制、拡大生産者責任を位置づけるときに、この法律では基本法の理念が入っていない、生かされていないという形で、例えば、そうなりそうだったらばきちっと関与できるのかどうかですよ。それが確保されないと、絵にかいたもち、立派な基本法だけれども、実効力がない、相変わらずの省庁縦割りの法律運営になっている。そして、現実の問題、解決できていないじゃないかという問題が必ず起きるということを私は心配するんですが、そこをどうするかなんです。
  38. 柳本卓治

    柳本政務次官 もちろん、リサイクル法等も有機的に踏まえつつ、検討していきたいと考えております。
  39. 小林守

    小林(守)委員 そうすると、基本法の制定の中で、リサイクル法、再生資源利用促進法の改正も含めて進められるということですか。理念法の基本法をつくりながら、なおかつそれに沿った拡大生産者責任を含めた実定法であるリサイクル法を改正するということですか。  委員長、時間がなくなっちゃ困っちゃうんですけれども、ちょっと時計とめてもらわないと困っちゃうんだな、これは。
  40. 柳本卓治

    柳本政務次官 今の実体法のことにつきましては、再生資源促進法で受けていく方向だということでございますけれども、詳細のことにつきまして、遠藤局長からお答えさせます。
  41. 細川律夫

    細川委員長 許可されていないので、質問をちょっと変えて質問してくれますか。わかりやすく、もう一回、答えやすいような形で。
  42. 小林守

    小林(守)委員 一番私が言いたいのは、これから検討されていく、まだ恐らく詰まっていない問題なのかなという感じもするんですよね。かなり意欲的に政務次官は言っているから、ちょっと足が出ちゃったところがあるんだと思うんですよ。だから、私、ではそれをやってくれますねということで乗ったわけですけれども、答弁が恐らくちょっとできなくなるんだろうと思うんですよ。  ただ、問題は、基本法と実定法である再生資源利用促進法にきちっと拡大生産者責任を位置づけるための法律的な内容を仕込んでもらわなきゃ困るということなんですよ。立派な考え方を基本法に書いた、言葉は残っている、そのとおりなんです。だけれども、実際は、運用するのは通産省の再生資源利用促進法の中で、業界団体と、もちろん通産省の所管の中でやる、そうすると、そこにまた溝ができちゃう、断絶ができちゃうんですよ。  ちょっと質問を変えます。  次の同じような問題として、今度の基本法の制定の中で、ごみと資源の問題を私は整理してもらいたい、このように思います。これをしないと、やはり通産行政と環境行政、厚生行政が溝を持った一貫性のない問題としてまた引きずってしまうのではないか、このように思うのです。  例えば、具体的な問題として、香川県豊島の問題、あの業者は、これは資源回収でやっているんだよと言っていたんです。廃棄物処理施設だということであるならば行政的なきちっとした環境規制がかけられるんだけれども、再生資源なりリサイクルの中間処理施設なんですということになると、なかなか入れないんですよ、規制がかけられない。  それから、例えば廃タイヤの野積み、数十万本、我が県にもありますし、その他の県でも問題を起こしていますよ。この廃タイヤも、業者が、いや、もうこれは資源なんだ、積んでおいて高くなったら売れるんだという形で野積みしておく、何十万本もですよ。これがそのままの状態では生活環境に非常に悪影響を与えたり、火災が起こって大変な黒煙が巻き上がるとか、こういう問題が起こっているのですね。  そうすると、ごみだといえば適正な処理施設でやりなさいということは法でかけられるんだけれども、資源という資源循環型の方の範疇になっちゃうと野放しなんですよ。これは通産行政と厚生行政の溝に業者がうまくかこつけて不法投棄しているのと同じじゃないかということです。  そこで、今度のごみと資源という問題、有価物、無価物の問題、これらについて今度の法案ではどういうふうに整理されるのか。これもまた今度の法改正の大きな骨格になるはずでありますし、廃棄物の定義の問題にかかわるところなんですよ。これがきちっと整理されないと、やはり今日までの環境行政、廃棄物行政、そして資源リサイクル行政の溝は埋まらないで、そのまま残っていきますよということを指摘したいと思います。
  43. 柳本卓治

    柳本政務次官 御指摘のとおり、野積みタイヤのように、リサイクルするための有価物であるとして廃棄物処理法の適用を受けていないものが、結果的にリサイクルされずに放置されたまま環境汚染を引き起こしてしまう問題が生じていると認識をしているところでありますが、こうした問題に適切に対処するために、政府として作成作業を進めている循環型社会構築に関する法律案でございますが、法の対象とするものについて、廃棄物だけに限定せず、有価、無価を問わない定義を導入する方向で検討中でございます。  これにより、このようなものの発生の抑制、リサイクルの促進、適正処分と、優先順位を踏まえつつ、施策を一体的に進めるための共通の考え方を提示することが可能となりまして、廃棄物リサイクル対策が総合的、計画的に推進されることになると考えているところでございます。
  44. 小林守

    小林(守)委員 環境庁の方から私もいろいろな資料を見せていただいて、今度はごみと言わずに何か発生資源というふうに言うんだというようなお話もちょっと聞いているんですが、そういうことなんでしょうか。
  45. 清水嘉与子

    清水国務大臣 何分にもまだ成案になっていないものですから、次回は御審議いただけると思いますけれども、今、定義については、表現については検討中でございますので、よろしくお願いいたします。
  46. 小林守

    小林(守)委員 検討中だというのは、政治的な配慮がある言葉だと思うのですが、公明党さんの方では不要物と言おうとしている、法案として。自民党案なのか政府案なのか環境庁案なのかわかりませんが、自民党案と言おうとしているらしいですけれども、私のいただいた資料では、発生資源と言おうとしているのですよね。  それはそれで私はねらいのある言葉だと思いますし、否定するつもりはありませんが、発生資源と言ったからには、廃棄物処理法は、法制度はなくなっちゃうのかなというように思えるのですよ。あれは廃棄物という概念じゃないのでしょう。私たちは廃棄物処理法はそのまま残して、廃棄物という概念をもっと広いものにしようというような形で考えているんですが、政府の方では、自民党案では、発生資源という方向でいうならば、出たごみも全部資源だと。立派な考え方なんですよ。そうすると、廃掃法の適用対象を除外されちゃうからということなんです。その辺はどのように議論されているのですか。
  47. 清水嘉与子

    清水国務大臣 重ねて恐縮でございますが、発生資源というのもまだ決められたことではございませんで、その辺の議論が十分あると思いますので、これからもう少し検討させていただきまして、成案を得てぜひまた御議論をいただきたいと思います。
  48. 小林守

    小林(守)委員 では、自民党案にはまだなっていないのかな。  では、環境庁の中で議論されてきた経過の話をちょっとお聞きしたいのですが、環境庁の中で、私のいただいた資料には、発生資源にしようという形の考え方が示されているんですよ。環境庁の中で、事務局サイドで検討してきた中で、それは発生資源と言っているんです。ところが、今では、政府案というか、自民党案になる段階だと、その段階ではまだ検討中だということなんだけれども、それはどうなっているんですか。  それは大事なところなんですよ。廃棄物、それから資源、ごみか資源かという問題、これが今日までの行政で大きな問題を抱えてきたというところはさっき指摘しましたけれども、これをきちっとしていかないとだめなんですよ。一貫性がないということになっちゃうし、行政の溝が越えられないということなんですよね。だから、発生資源と言うならば、では廃棄物処理法はどうなんですかということになるのですよ。
  49. 清水嘉与子

    清水国務大臣 まだこれは成案になっていないことをお断りした上で申し上げたいと思うのですけれども廃棄物リサイクルされるようなものを含めて、循環資源という言葉を今考えております。
  50. 小林守

    小林(守)委員 では、循環資源処理法なり、廃棄物処理法はどういうふうに改正をするんですか、名称は変わるんですかということです。
  51. 清水嘉与子

    清水国務大臣 先生今御議論いただいていますのは、あくまでも、循環型社会基本法といって枠組み法でございまして、それぞれまたそこに今の個別法がつくわけでございますから、今の廃棄物の法律については名称が変わることはないというふうに思っております。
  52. 小林守

    小林(守)委員 そうなってくると、立派な基本法で、一つも実効力のない、言葉だけが載っかっているという話にならないかということなんですよ。だって、出てきた、今廃棄物ごみと言っているものについては、全部循環資源という言い方になるのでしょう。循環資源、資源ですから、これは適正処分なんて言って燃やされては困るのですよ。循環資源と言うんだったら、これはすべてごみとして燃やされたら困るのですよ、資源なんだから、リサイクルしなきゃならないんだから。では、廃棄物処理法は変えなくていいんですかということになるんですよ。
  53. 清水嘉与子

    清水国務大臣 まだはっきりしていないもので議論しているのはちょっとあれかもしれませんけれども、一応、循環資源という言葉を今は案として考えているわけでございますけれども、この中には、廃棄物とそれからリサイクルされるようなものも含まれると申しましたけれども、これを、さらにこれから、リサイクルできるものはリサイクルする、再利用できるものは再利用する、今までのように廃棄物だけではないという概念で考えているわけでございまして、この辺はまだ最終的な詰めが終わっていませんけれども先生のおっしゃる趣旨、十分私は理解できるわけでございます。
  54. 小林守

    小林(守)委員 自民党さん、やはりこういう問題があるので、自民党案にする過程でもっときちっと本当にこういうところを詰めていってほしい、こちらで議論してしまって恐縮なんですが。  そういうことになりますと、さっきも言ったように、本当に循環資源という名称は、私は物すごく評価していいと思うのですよ。出たものは、不要になっている状態だけれども、本来リサイクルすべきものなんですよ、循環資源なんですよという位置づけはいいと思うのですよ。そうなってくると、現行の廃棄物処理法に対して、きちっとした、どうするんだという整合性をやはり詰めてもらいたいのですよ。  それなしに、何となく言葉がいいから、発生資源と言うよりも循環資源の方がいいなというような、それだけのことでぽんと入れられて、実定法の廃棄物処理法は厚生省で考えてくださいよというのではだめなんですよ。さっきも言った発生抑制だって、これも通産省で考えてくださいよというのでは、結局、立派な、何となくきれいな環境庁のようなものだ、実際に実力のない、少しも実態に切り込んでいない、そういう姿を私はまた繰り返しているのではないか、このように思えてなりません。  少なくとも、今度は省になるんですから、私は、廃棄物処理法や再生資源利用促進法を、今度の基本法の中で骨組みだけはぎちっと握っている法律にしてもらわなきゃ困るということなんですよ。そこをもう一回確認したいと思います。
  55. 清水嘉与子

    清水国務大臣 御説のとおりだと思いますけれども、今までのような廃棄物考え方がやはりこれで変わるというふうに御理解いただきたいと思うのです。  今までのように、とにかく捨てるときになって全部廃棄物になるのではなくて、これからこの中で、再使用できるもの、再利用できるもの、熱回収できるもの、こういったことについてきちんと仕分けをしなきゃいけないという精神をここでうたっているわけでございますので、当然、廃棄物処理法についても影響を及ぼすというふうに私は考えておりますので、ぜひ御理解いただきたいと思います。
  56. 小林守

    小林(守)委員 大改正にかかわることでありますし、ただいまおっしゃるように、もうごみ考え方、概念が変わるのですよ、そのぐらいの大改正になる、また、そうしなければならない現実にもう我々は追い込まれているんだということを受けとめながら、大改正に臨んでいただきたい、このように思うのです。  さっき、発生抑制から再使用、再利用、リサイクルの問題がありましたね。ちょっと気になったお話がございました。  熱回収が、三Rの原則とよく言われますリデュース、リユース、リサイクルというような、三つのRで、イニシアルであらわされる考え方の優先順位を今回はきちっと決めていこうということになると思うのですが、その優先順位と熱利用の問題についてはどう整理されているのか。これも基本的な骨格にかかわる問題ですから、ただしておきたいと思います。
  57. 清水嘉与子

    清水国務大臣 今の考え方の優先順位につきましては、まず発生抑制、リデュース、それから第二に、使用済み製品の再使用、リユース、そして第三に、回収されたものを原料として、そのリサイクル、そして、それが適切でない場合には熱回収による利用を促進する、それでも最後にどうしても発生する廃棄物については適正に処理する、こういう優先順位を考えております。
  58. 小林守

    小林(守)委員 その順序で私も結構だというふうに思っています。  ただ、問題は、これも相当抵抗のある問題であるということを御認識いただいた上で、覚悟の上で出してもらいたい。  なぜかというと、日本の廃掃法というか清掃行政というのは、燃やしたらきれいになるという認識もあったし、非常に安易な焼却主義、それから埋め立て主義というのが今までの流れだったんですね、社会慣習的にもあるんだと思いますが。これを大転換することになるんですよ。  とにかく、燃やすというのは、再使用、再利用できない状態の中で、しかもマテリアル、物質的なリサイクルができないものについてだけやむを得ず適正処理をする。適正処理の中で、ただ単に適正処理というんじゃなくて、まずは熱利用しなさいということなんですよ。燃やすということは、適正処分の中の概念なんですよね。  ですから、燃やすと何となく、熱利用すればリサイクルしているような考え方があって、リサイクルという言葉が非常にあいまいなんですけれども、いわゆるサーマルリサイクルという熱利用のリサイクルというのは、リサイクルの中でも後ろの概念なんですね。  そこをきちっと押さえていただきたいと思うんですが、廃棄物の適正処理の中で、熱回収のサーマルリサイクルについては、残念ながら、そっちの方が先行しているのが事実なんですよね。  厚生行政の中で、ごみの処理の問題では、一般廃棄物の処理の問題でも、今進められているのは、まさに大規模化、広域化を進めて、安全燃焼という形で、高温で連続運転すればダイオキシンが出ないんだという形で燃やすというようなことをまず行政の先頭に立って進めているんですよ、国は補助を出して。自治体もそういう形で、なかなか施設ができなくて困っていますけれども、少なくとも、大規模化、広域化をすることによって、燃やすという行政を清掃行政の柱にしてやっているんですよ。これを大転換することなんですからね。その覚悟があるかどうかなんですよ。
  59. 清水嘉与子

    清水国務大臣 先生の御指摘、ごもっともだと思います。  やはりそういう覚悟で、このごみ考え方を本当に変えるという覚悟でこの法律をつくりたいというふうに思っておりますので、どうぞ御協力をお願いしたいと思います。
  60. 小林守

    小林(守)委員 そうしますると、先ほどの話に戻りますが、厚生省に対して、この基本法の考え方ではこうなんだよ、こういう順番ですよ、ですから厚生行政の中でも安易な焼却主義は改めてほしいということをやれるのかどうかなんです。だから、廃掃法の改正の中でそれが位置づけられるかどうかなんですよね。そこが問われるんですよ。ただ、それができないと、ただ単に考え方、立派な言葉で終わっちゃうということなんですよ。
  61. 清水嘉与子

    清水国務大臣 ただいまのところ、この法案環境省が所管する法律と考えておりますけれども、当然、これまで政府部内で詰めるときにも厚生省が十分関与して、各省そうでございますけれども、この考え方にのっとって、それぞれの各省の連携のもとにできた素案でございますので、このことは十分に浸透してまいりたいというふうに思っております。
  62. 小林守

    小林(守)委員 質疑時間が終了ということになりましたので終わりますけれども、少なくとも、基本法と実定法との関係を、やはり実定法のポイントの部分はきちっとへその緒を握っておいてほしい。切り離して、それぞれの省庁の所管でやりますよということになると、この問題は、私は引きずることになるだろうというふうに思いますし、今日までの廃棄物リサイクル行政の欠陥を克服することにはならない、このように考えております。  できるならば、個別実定法に対してはすべて環境庁長官は協議の機関に入る、そのくらいのものがなかったら、基本法は生きたものにはならない、少なくとも共管だ、私たちはしゃしゃり出ていくよと。  それに、個別の省庁、別です。これからは、建設省もつくる、農水省もつくる。もちろん、従来からの通産省の家電リサイクル、容器包装リサイクルもある、再生資源リサイクル法もある。この辺の改正についても、その基本法に絡んで環境庁長官も協議の対象になり意見が言えるというようなことが担保されないと、やはり体系的、総合的な廃棄物リサイクル行政にはならない、基本法そのものが飾り物になってしまう、このように危惧をするわけであります。その辺を今後の与党内の議論の中で十分詰めていただきたいということを要請いたしまして、終わります。
  63. 細川律夫

    細川委員長 次に、近藤昭一君。
  64. 近藤昭一

    ○近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。  先般の環境庁長官の所信表明を聞かせていただきまして、それに関連させていただいて、今回は愛知万博、愛知万博というよりも今や日本国際博覧会ということでございますので、日本国際博覧会について質問させていただきたいと思うわけであります。  私は、まさしくその博覧会の地元愛知、名古屋の選出でございます。名古屋は、先般の藤前干潟そして今回の博覧会と、大変に多くの課題といいましょうか、話題を抱えているわけでございます。  ただ、私は、本当に、これは時代の流れの中でいい方向に向いているんだと。当初計画してきたこと、そこに幾つかの間違いといいましょうか、気づかれなかった部分があった、それに対して、時代の変遷とともに多くの方が気づいた、あるいは反省を持った、そういう中で投げかけられた課題、それに対応してこの博覧会の問題も出てきたというふうに考えております。  そしてまた、その中では環境庁が果たされた役割が非常に大きいと私は認識しております。  つまり、今回の国際博覧会につきましても、通産省が主に管轄をされるということであると思います。そしてまた、この博覧会につきましても、世界博覧会協会、BIEでございますが、BIEが、日本でやる、愛知でやる、愛知から手を挙げて、そして日本候補地としてお認めいただいて、そして世界の中でも認めていただいたということであると思います。  そういうことで考えますと、BIEも、この長い時代の流れの中では、産業を振興していくという流れの中で博覧会というものが位置づけられてきたのではないか。そして、それに対応して、日本の中でも、通産省というところが、かつて大阪万博もございましたが、あのころのことを思い返しますと、まさしく博覧会を開いて産業を振興していく、そして産業を振興していくことによって経済を発展させていくという流れの中で博覧会が位置づけられてきた。  ところが、先ほど申し上げましたように時代が変わってきた。もちろん産業振興は大事だけれども、先ほど、先輩であります小林守議員の質問の中、そして長官のお答えの中にもありました、これからは、大量生産をして大量消費をして大量廃棄をしていく、そういった考え方ではなくて、もちろん生活を豊かにしていくために産業の振興は必要だ、しかしながら、そこで非常に、環境、自然というものの持つ重さ、これを大事にしていくという観点、これが必要だということになってきたんだと思います。  そういう意味で、この博覧会が、通産省主導で行われてきたかもしれないけれども環境的な側面が非常に重要視される時代の中で、環境庁が先般の藤前干潟そして今回の博覧会といろいろな観点から意見を言ってきた、それによってこの問題がいい意味で揺れ動いてきたというふうに私は考えておるわけであります。  そういった意味で、ある種揺れ動いているわけでありますが、この一連の動きに対して、長官としてはどのようにお考えであるかということをまずお聞かせをいただきたいと思います。
  65. 清水嘉与子

    清水国務大臣 この愛知の国際博覧会、お地元皆様方の非常に熱い熱意があって、そして政府でも、平成七年に閣議了解のもとにこれを開くということを決めて、そしてみんなで前向きに取り組んでいるわけでございます。しかも、今先生が御指摘のように、そこのテーマが自然の叡智を生かした博覧会にしようというようなことで、これは私は、やはり環境に配慮した、そして新しい博覧会づくりということで皆さんが合意を得たものであるというふうに了解しております。  そういう中で、平成七年の閣議了解のもとにおきましても、実際に予定されていた地域環境保全の立場から、問題のあるところについては少し場所も少なくなったわけでございますし、また、その後、あちらこちらでオオタカが出てくるというようなこともあって、場所も大きく変更されまして、海上の森だけでなくて、会場を愛知青少年公園にも移すというようなことで、かなり環境保全への取り組みを進めてきてくださったというふうに思っております。  そして、昨年の十二月の初めに環境影響評価書に対する環境庁意見を申し上げたわけでございますけれども、なお一層、すばらしい海上の森への環境負荷の低減をするということ、あるいはそういったオオタカの保護の問題についても十分配慮していただきたいということを申し上げたところでございます。  現在、五月のBIE総会での登録が延期されるという状況になって、通産省、愛知県においていろいろな角度から幅広く検討されているわけでございまして、まず、私どもといたしましては、事業者において、私たちが申し上げていた点も十分お酌み取りいただいて、自然の叡智にふさわしい万博の実現に向けて十分検討していただきたいというふうに期待しているところでございます。
  66. 近藤昭一

    ○近藤委員 長官、ありがとうございます。  それで、もう少しお聞きしたいのは、もともと国際博覧会、先ほど申し上げましたように、通産省が主要な所管としてやってきた。ところが時代が変わった。ですから、私は、時代が変わって非常に環境の側面からいろいろな意見が出てきて、この博覧会が見直しを迫られているということだと思うんです。  BIEにしましても、私は、この間ある種の悩みを非常に持っているんではないか。つまり、BIE自体も、この愛知で行われる博覧会についての、先ほど長官もおっしゃられたように、昨年の十二月の指摘日本議長がお見えになったときの指摘については非公式の指摘だった、その指摘の中で新住事業に対する危惧をおっしゃられていたということでございます。そしてそれに対しては、当初、愛知における博覧会協会、あるいは愛知県等も、非公式な発言の場であったし、よく説明をさせていただければ多分わかっていただけるんだというような態度といいましょうか、姿勢でございました。  ところが、本当にここ一、二カ月の間に、もう新住事業もほぼ難しいんではないかというようなことになってきております。これはまさしくBIE自体が、私が思うには、愛知から投げかけられた博覧会、これについて、投げかけられたと申しましょうか、この間ずっと産業振興でやってきた博覧会、ところが、この博覧会のあり方が、自分たちもこのままでいいんだろうかというある種の悩みといいましょうか、疑問があった。これからどうしていくんだというような検討の中にあった。  そういう中で、日本、愛知から、今長官もおっしゃられました自然の叡智をテーマにしたこういう博覧会をやっていこう、まさしく、産業振興をするけれども、その中で自然といかに共生をしていくか、このことが大切なんだということ、つまり、BIEとしても、自分たちのこれからの存続、こういう言い方はよくないかもしれませんが、ある種存続をかけて一緒に、愛知とともにやっていこうというところではなかったかなと思います。  そういう意味で、私は、先ほど申し上げた昨年議長が提出された疑問も、BIEの議長にしても、これはどうなんだろうか、強い抗議、日本に、愛知に対する強い抗議というよりも、自分たちもちょっとこれについてはある種悩みといいましょうか、どうなっていくんだろうという心配みたいな感じだったんではないかなと思うわけです。  つまり、BIE自体も、これからの愛知における博覧会をどういうふうにしていったらいいか、はっきりと決断ができなかったんではないか。先般、BIEにも行きまして話をしました。しかし、BIE自体がなかなかある種決断が出せないような状況、つまり、BIEにいろいろなところから意見がある、WWF等の自然保護団体、こういうところからの声がいっぱい出てきて、BIE自体も非常に揺れ動いているということだと思うんですよね。  少々前置きが長くなりましたが、私が申し上げたいのは、通産省が所管をしてきたけれども、本当に環境の視点が大事になった。つまり、日本においても環境庁がいろいろなことを言った、そういうことによってこの国際博覧会が揺れ動いてきたということだと思うんです。  ですから、もう一度お聞きをしたいわけでありますけれども、この一連の動き、長官もおっしゃられました、たしか私の記憶では、かつての自社さ政権の際、岩垂環境庁長官の時代だったと思いますが、そのときに非常に危惧をされて、新住事業ももう少し規模を縮小すべきではないかという声が当時からあったと思うんです。そのときに、たしか規模も縮小されたと思うんです。つまり、環境庁が物を言ってきたことによっていろいろと動いてきた。そして、いよいよ昨年の十二月、そしてことし、大きく動いた。このことは、まさしく環境行政という視点が非常に重要だということだと思うんですよ。その点をもう少しお聞かせいただけませんでしょうか。
  67. 清水嘉与子

    清水国務大臣 先生指摘のように、今の問題、こんなに動いてきたというのは、通産省が確かに前に立ってやっているわけでありますけれども環境の問題を十分配慮して、しかもそのテーマが自然の叡智という大きなテーマを取り上げたわけでございますから、二十一世紀初めての万博を、国際博覧会をいかに成功させるかという意味で非常にお悩みで、このことを十分配慮しているからこういうふうになってきているんだというふうに私も理解しております。  しかし、今の段階、ここまでまいりまして、かなり問題点が明らかになってきて、そして具体的にどうしようかというようなことについて、通産省、愛知県、そこそこで検討されておられるわけでございますので、跡地利用のことも含めて検討されているというふうに伺っておりますので、ぜひ私も、この跡地の計画のことも踏まえて十分見定めたいというふうに思っているところでございます。
  68. 近藤昭一

    ○近藤委員 この博覧会の成功には、通産省だけではなくて、まさしく環境庁がいかに大きな役割を果たしていかれるか、長官初め環境庁がいかに大いなる決断、覚悟を持ってやっていくか。  これは、今幾つか問題点が明らかになってきた、それについて各関係者の皆さんが協議をされていい方に向けられていらっしゃるんだ、そういう推移があるんだということを今長官も御指摘なされましたけれども、そういう中で本当に環境庁がしっかりやっていただくことが、決してこれはブレーキをかけるとか、ちょっと横から意見を言うとかいうことではなくて、まさしく今度の博覧会は自然の叡智そして自然との共生が大テーマでございまして、私は、環境庁の果たす役割が大きいというふうに考えておりますし、今そういう御認識を長官の方からもいただいたんだというふうに思っております。  それで、長官も博覧会の会場予定地はたしか視察には行かれていると思いますが、特にここ二カ月ほどの大きな動きが出てくる前だった、もちろんいろいろ問題は指摘されておりましたから、その辺は十分に御認識なさって現地を視察なさっていると思いますけれども、この一連の、非常に大きくなってからはまだ現地へ行かれていないと思うんですが、今後また行かれる予定はもちろんあると思うんですが、どのようにその辺は視察することをお考えになっていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  69. 清水嘉与子

    清水国務大臣 就任早々、その海上の森のところだけでございましたけれども、拝見させていただきました。非常に自然環境に恵まれた、周りがずっと開拓されてしまっているものですから、そこだけ残された、非常にすばらしいところだというふうに思いました。  しかも、そこが今度の会場に当たる、どういう形で自然の叡智が生かされたものになるんだろうか、大変、そこでやることの意義も感じましたけれども、その後いろいろと変わってまいりました、先生指摘のようなことでございます。機会がありますれば、ぜひまた、もっとゆっくりと見せていただきたいというふうに思っております。
  70. 近藤昭一

    ○近藤委員 今のお言葉をどういうふうに判断するか、受け取り方もあると思うんですが、先ほど申し上げましたように、今度の博覧会の成否は、環境庁が果たされる役割は非常に大きいということでございますので、機会があればということではなくて、ぜひ早々に、早急にもう一度足をお運びいただきたいのでありますが、いかがでしょうか。
  71. 清水嘉与子

    清水国務大臣 ちょうど今オオタカも営巣が始まるというようなことでもございますし、それこそいろいろな、国会のお許しなどがあれば、またぜひ見せていただく機会があればと思っております。
  72. 近藤昭一

    ○近藤委員 お許し、機会があればということではなくて、ぜひ行っていただきたいというふうに思うわけであります。  ところで、そういう中で、今非常に博覧会の計画自体が揺れ動いているわけでありますが、まさしく自然の叡智、自然との共生をテーマにした博覧会、産みの苦しみというふうに思っております。こういう中で、具体論というか細かいことはなかなか難しいかもしれませんが、どういう博覧会であれば、まさしくそのテーマに即し、そして世界に対して日本環境に対する考え方をアピールすることができるのかというふうに思うわけであります。  たしか、長官の所信の表明の中にも、日本の国内的にもそして国際的にもしっかりとした仕事のできる環境省、まさしく今年度途中から環境省になるわけでありまして、そういった所信の表明がございました。その思いをこの博覧会の中ではどういうふうにおとらえになっているのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  73. 清水嘉与子

    清水国務大臣 具体的にどういう形でというふうに御指摘でございますけれども、私も今具体的にこういう形がいいということは全く申すことはできません。  しかし、あの里山を利用し、そして青少年公園を利用し、愛知県が今、やはり二十一世紀の人々がああいう環境の中で生活をしながら、しかも動植物と一緒に生活をしながら、新しい時代に向かって発信できる、科学技術との並行した形で生活をする姿をまさに日本発で発信できるということはすばらしいことではないかというふうに思っているわけです。  いろいろ、万博協会の方で、こうしたい、ああしたいというスケジュールでありますとか内容については随分御議論されているようでございますので、そういう中で幾つかヒントが得られるのじゃないかというふうに思っておりますけれども、しかし、場所の問題、内容の問題、またこれは恐らく政府も、政府のものなどもお出ししたりして、いろいろアイデアを出していくと思いますので、そういうときにもしっかりとしたアイデアを出していきたいというふうに思っております。
  74. 近藤昭一

    ○近藤委員 もちろん、これからまだまだ具体的な計画を煮詰めていかなくてはなりませんし、別の言い方をすれば、これから煮詰めていく段階のスタートのところで少々大きな課題が出てきて、まずその課題をクリアしてからでないと詳細なことはなかなか詰められないという状況ではあると思うんです。  ただ、今長官も環境重視型の科学技術というようなこともおっしゃられましたけれども、私の中のイメージでも、博覧会、新しい町づくりみたいな、あるいは二十一世紀環境技術、私も大阪万博のときはまだ小学校六年生でございましたけれども、それでも何回か博覧会の会場に行きまして幾つかのパビリオンを見ました。  当時、どこかのパビリオンだったと思いますけれども、本当に小さなテレビがありまして、展示室の中に小さな壁かけ型のテレビがあった。本当に小さな、これぐらいだったでしょうか、小さなテレビでした。画面がある。かけてあるのは本当に小さなあれですけれども、別の部屋には大きな仕組みの画像を発生する装置があった。当時、今でも本当に印象的に覚えているんですけれども、そのテレビをつくるのに、数億円でしょうか、本当に莫大な費用がかかるみたいなことを子供ながらに聞いてびっくりしたのを覚えているんですが、今やそんなテレビがもう数万円。数万円どころか、もしかしたら一万円もしないような価格で売られている。まさしく、これからの技術はこうなっていくのかなということをわくわくとして見た覚えがあるわけであります。  そうしますと、ぜひ長官のお考えをお聞きしたいのですが、二十一世紀に向けての環境技術、その博覧会の中で、子供たちが二十一世紀の技術はこういうふうにあるのかということを感じられるようなことがあるべきではないか。先ほど先輩の小林守議員が随分と廃棄物のことにこだわられて質問をされておられましたけれども、今度あそこに新しい町をつくる、実はこれは新住事業となぜいろいろ絡んできたかと申しますと、道路の整備の問題、あるいは下水道の整備の問題等々がある。博覧会のためだけになかなかそういったものを整備することはできないので、跡地事業として新住事業を考えて、そこで造成をする。その造成をされたところを先行利用して、造成の費用については新住事業で見るのだというような理解だったと思うんですけれども、そういった道路または下水道設備、もちろんこれは必要があるわけでありますけれども環境との関係で考えると、いろいろ考えていかなくてはいけない課題が多いものだと私は思うんです。  そういった技術について、特に下水道、これは博覧会の間に、随分といろいろな人間が、そこで博覧会というイベントをやるわけですから、ごみもたくさん出るでしょうし、人間がそこに行くわけですから下水、そういった問題も出てくると思うんですけれども、こういった技術をいかに、例えばそういう下水道を引かなくてもその博覧会の地域内だけで全部処理してしまえるとか、そういった技術とか、そういったものを期待したりするわけですけれども、どうぞその辺、長官の本当にイメージで結構でございますので、そういったことをどういうふうにお考えになるか、もう一度ちょっとお聞きしたいのであります。
  75. 清水嘉与子

    清水国務大臣 余りいいアイデアもないのですけれども、しかし、そこにたくさん子供たちも行くわけでございますから、そこに行っただけで、日本環境をどういうふうに守る、どういうふうに環境に優しい生活ができるのかということが勉強できるような、環境学習もできるような場になってほしいなというふうに思いますし、また、環境技術、これはまだいろいろあると思いますけれども世界にそれはやはり発信していかなければならないことがたくさんあろうと思います。  例えば、中で食べた飲食物なんというのが、一体それがどうなっていくのか。ただ捨ててしまってはいけないわけでして、やはりそれが資源に回っていくような形のものでありますとか、捨てたごみもそうですね。それから、ソーラーなども必要でございましょうし、パビリオンなども後はごみになるのじゃないようなことも考えなければいけないと思いますし、先生おっしゃった下水道のこともございましたけれども、やはりそれが循環していくような形で、単に汚水を流さないようなことも当然しなければいけませんし、トイレのこともありましょうし、いろいろな点でまだまだたくさんのことがあると思いますけれども、そこに参加した人たちが本当に、来たことによって、環境に優しいというのはこういう姿なのかということが体験できるような、そんな姿になったらいいなというふうに思っております。
  76. 近藤昭一

    ○近藤委員 ぜひ長官が今おっしゃられたようなこと、私も同じような認識でおりまして、そういった本当に二十一世紀型の技術を、うまく博覧会の中で提案、そして具体化する道筋を見せることができればなというふうに思うわけであります。  ただ、一つちょっと、この博覧会の成否をかけるところに、先ほどちょっと長官もおっしゃられたような気がするのですが、オオタカの問題が出てくると思うのです。オオタカはもちろん守るのですが、オオタカだけを守れということじゃなくて、なぜオオタカが出てきたかというと、そこにある自然のピラミッドといいましょうか、オオタカがそこにいる、そうすると、そのオオタカが一羽あるいはつがいでいることを支える自然があるのだ。つまり、オオタカを守ることは、周辺の自然といいましょうか、自然という基盤そのものを守っていくのだということで、オオタカが象徴的に、代表的に扱われているのだと思うのです。そして、この博覧会の問題も、オオタカが象徴的に出てきた。  営巣が当初、調査では確認をされなかった。環境庁がやっていただいたアセスメント、博覧会をやるに当たってアセスメントが行われた。そしてそれを、私はちょっとこれは仕方がないかなと思いつつも、なかなか人員的な、これからぜひとも、環境省になっていって、いい意味で規模を大きくしていって、そしてまた予算も大きくなっていって、その中で、できる限り私は、環境庁環境省が直接そういった、特に今回は愛知万博ということであったわけですが、まさしく今、日本国際博覧会で、これから日本はこういう関係についてこういうふうに考えていくのだということを世界に問う大切な博覧会でありますので、それに関するアセスメントなんかももっと、調査会社に委託をされて随分やられたようでありますけれども、もっと直接スタッフが、もちろん行かれているとは思うのですが、やられるべきではなかったかと思うわけです。  また、これは聞くところによりますと、その調査会社の、幾つかあったようでありますが、その中の一つは、環境庁のOBが会社の社長をされている。それは、環境庁で養われた経験とか知識を生かして、まさしくこれからの環境を重要視していく中での調査会社ということでその仕事を担われていると思うのですが、残念ながらその会社でも、そういった営巣を早くに発見できなかった。これは私は残念に思うわけでありますが、これは時代の流れとともに、そういったものがもっと技術的にもいろいろと発展してくると思うのです。  ちょっと前置きが長くなってしまいましたけれども、つまり、今回はかなり博覧会の見直し等々にオオタカの問題が出てきたと思うのですよ。そうすると、先ほどちょっと私、長官にもお伺いしました、どういう形であれば博覧会は成功と言えるのかということ、これは中身の、これからどういうふうに展示されていくか、そして、今まさしく跡地事業なんかも見直すべきだといろいろ出ていることであるわけですが、これは一つオオタカの問題は大きいと思うのですね。  これは、まさしく自然との共生。ここで博覧会をやる。今、海上の森をどれだけ使うか、もしかしたら海上の森を使わないかもしれないみたいな議論もあるわけですから、一概には言えないかもしれませんが、ただ、ここで博覧会をやって、あるいはその後にオオタカがいなくなっていたら、あるいはオオタカがいなくなっていたらというか、それでかなりの人間が、人々が博覧会会場に押し寄せるわけでありますから、当初二千五百万人の動員目標、あるいは今はもっと下がっているようでありますけれども、一千五百万とか何千万人という方の動員目標、かなり人間が入るわけであります。  そうすると、そこで自然との共生というならば、オオタカがいなくなってしまっていますと、自然との共生と言えるのかなというふうに思うのですが、これはこのままでいくと、オオタカを支える自然というものをこのまま守れるのでしょうか。どうぞ、長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  77. 清水嘉与子

    清水国務大臣 この海上の森を使って事業が始まるということに対しまして、このオオタカの問題は環境庁としても大変に関心を持ち、そして、何とかオオタカを守る姿勢でいろいろ御指摘を申し上げてきたところでございます。  さはさりながら、これは具体的にどこにいて、一体いつごろどうなるのかというようなことについては、やはり御専門の皆様方、その地域皆様方に見ていただかなければできないことでございまして、環境庁の長官の意見の中でもオオタカを守ることを申し上げている。それによって、随分場所が変更になったり縮小したりということが具体的にあるわけです。ですから、そういうことに対して、環境庁だけでなくて現場の方々も大変関心を持って守ってくださっている。この姿は、私はもう十分評価できるものだと思っております。  ところで、今でございますけれども予定地でオオタカの営巣が確認されているということもありまして、愛知県におきましては専門家による検討会をつくられているわけですね。そこで検討をされておりまして、この三月にはある程度の御意見が出てくるというふうに伺っておりますけれども、そういった検討会の結果を十分に反映して保護対策をしてほしいということも申し上げているわけでございまして、その様子、十分配慮されるのじゃないかと期待をしているところでございます。
  78. 近藤昭一

    ○近藤委員 長官、長官の所信表明の中にもありました、人と野生鳥獣との共存を図る。昨年、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律も成立した。こういう中で、まさしく野生鳥獣との共存を図っていくのだということを長官も所信でお述べになっていらっしゃる。オオタカもその鳥獣であります。ぜひ、長官の所信での思想といいますか、考え方をこの博覧会で、オオタカを守ることによって、これは野生生物課の関係になるのだと思うのですが、ぜひ大いなる御指導を発揮していただきたいというふうに思うわけであります。  自然との共生というのは、これは間違いなく、海上の森にきれいな建物をつくった、今までよりもつくる面積を狭くした。だから、一瞬見た感じは、博覧会の会場を見ると緑がたくさんあるのだ、その中に、パビリオン等々は小さい、小ぢんまりしている、こういうことが決して自然との共生ではない。つまり、それは併存といいましょうか、並んで置かれているだけであって、よく見ると、せっかく森はあるけれども、そこにオオタカはいない。あるいは、オオタカが食料としている動物、小動物ですね、虫も食べるんでしょうか、そういったえさとなるものはいない、その小動物が食べる木の実もない、こういうようなことでは、本当の自然との共生とは言えないと思うんですよ。  ですから、私は、そういう意味で、オオタカを守ることが、見てくれだけでなくて本当に質の部分で、自然との共生を図っているということの一つの証左になるんではないか、証明になるんではないかなと考えるわけで、その意味でオオタカのことをちょっと質問させていただきました。ぜひ、オオタカを守ることによって本当の意味での自然との共生をこの博覧会で実施していけるように、長官のリーダーシップを発揮していただきたいと思うわけであります。  そういう中で、昨日も神田愛知県知事が小渕総理をお訪ねになられて、博覧会の成功に向けてぜひ御協力をというお話をされたようであります。新聞報道ではなかなかその中身というものが全部は出てこないわけでありますが、その幾つか出ていた、たしか資金の問題が出ていたと思いますが、資金の話はしなかったけれども、多分そのことについては十分お考えいただいているようだというようなコメントが知事のコメントとして新聞には出ておりました。  私も、その話の中はわかりませんが、ただ、外から見ておりましても、多分資金の問題が非常に大きい問題として出てくる。つまり、もともとは、先ほども触れました、博覧会の会場造成をする、それを新事業で造成をする、土地を先行利用することによって、その造成費用を浮かすというか、予算を縮小させるんだと。これは閣議了解の中でも、それを前提として博覧会をやるんだということでございまして、ただ、逆に言うと、これが今となっては非常に大きなネックとなっていると私は思うんですよ。  つまり、先ほどBIEあるいは自然保護団体との関係を申し上げましたけれども、博覧会の目指す自然との共生というテーマと、住宅というある種全く思想が違うものを結びつけてしまった。それは、資金面ということによって結びつけざるを得なかったのかもしれませんが、もともと考え方が違うもの、博覧会は産業振興、しかしながら、その中で自然との共生をやっていく。住宅事業、これは確かに自然に優しい事業ということ、新しい住宅のあり方かもしれませんけれども、それでも住宅というのは、そこに住む人たちのためにこういう建物を建てる。つまり、ある種思想が全く違うものを一つに結びつけようとした難しさがあったんではないかなと思います。  そういう中で、地元愛知県の知事としては、非常に資金の問題がネックになっている、それで総理にじかにお話をされたと思うんですけれども、ただ、これも私は繰り返しますけれども環境庁がぜひ大きな力を発揮していただかないと、資金的な問題というのは難しいと思うんですよ。  今、ある種難しい言い方になるかもしれませんが、国の方では、まず地元の方で案を出してくれ、地元がまず先行だと、しかしながら、地元の方としては、非常に資金の問題は難しい、そしてまた閣議了解がネックになっている、ですから、もっと国が指導力を発揮してほしいということでございまして、そういう中で、長官はどのようにお考えになられますでしょう、この資金の問題というのは。
  79. 清水嘉与子

    清水国務大臣 大変答えにくい難しい問題をいただきましたけれども、閣議了解をされたときの話、やはり会場建設費の圧縮というのは、事業実施の効果性の観点からこういうふうなことが決まったと思っております。しかし、今現実問題として、計画がどんどん変わり、そしてその中でまた新たな需要も増してきているというようなこともあって、大変現場でもお苦しみであるということはわかります。  今、具体的な御質問なんですけれども、私は、知事さんがどういう御計画でどういうことを困っていらっしゃるのかということについては、まだ直接お話も伺っておりませんで、総理とのお話の中でもどういうことが出てきたのかも承知しておりませんので、私たち環境庁としてできることについては、もちろん御協力するにやぶさかではございませんけれども、今の経費についてのコメントはちょっと差し控えさせていただきたいと存じます。
  80. 近藤昭一

    ○近藤委員 まさしくなかなか答えにくい難しい問題だと思うんですが、ただ、ぜひとも私は、冒頭申し上げましたように、環境庁が頑張るという覚悟を決めていただくことがこの博覧会の成否に非常に大きくかかわってくると思っております。  今いみじくも、知事さんから直接話は聞いていないというお言葉がありましたので申し上げますが、ぜひ早いうちに現地を訪れていただいて、また知事と話をしていただければなと思いますし、その中でぜひ、総理あるいは通産省、また予算も絡んでまいります大蔵省、いろいろなところに、長官から御指導といいましょうか、押していただきたいというふうに思うわけであります。  ところで、ちょっと細かいことになるんですが、これは非常に重要なことかなと思うんですが、今計画自体が揺れ動いているわけですけれども、そういう計画の中で、一つ海上の森が非常にポイントになっています。その海上の森を使うのか使わないのか、あるいは使うとしたらどれぐらいの面積を縮小するのかというようなことが出ておりまして、海上の森の使用面積が当初よりも縮小になった場合は、新たな環境アセスの実施の必要性はあるとお考えでしょうか。それとも、単純に面積が減ったんだからそれはいいんだということでありましょうか。  それと、海上の森の使用面積を減らした場合に、今青少年公園を利用するというような案も出ておりますけれども、青少年公園でやることに対する環境アセスの必要性、これはアセスをやるとなると随分と時間がかかると思うんですけれども、今五月の登録が十二月にまず延期ということになっておりますが、なかなか難しい問題が出てくると思うんですが、このアセスについてはどのようにお考えでしょうか。
  81. 清水嘉与子

    清水国務大臣 今の御質問でございますけれども、今のアセスは通産省の要領に従ってやっているわけでございますけれども、事業が縮小されるあるいは環境負荷が低減される、そういう場合には、環境アセスの手続の再実施は必要ないというふうなことになっておりまして、そういうことだと理解しております。  また、今青少年公園に事業が全部集中した場合にアセスをやるのかという御質問でございますけれども、これは具体的内容についてちょっとまだ何もわかりませんものですから、やはり個別に判断させていただくようなことになるんじゃないかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
  82. 近藤昭一

    ○近藤委員 長官、その個別に判断するというのはどういうことなんですか、青少年公園というのは非常に個別だと思うんですけれども
  83. 清水嘉与子

    清水国務大臣 つまり、どのくらいの規模でどのくらいのものになるのかというようなこともまだ全然承知しておりませんけれども、今のままでいきますと、最初に申し上げたように、海上の森の環境負荷低減のためにああいった青少年公園に移ったということもあって、このたびは環境アセスの対象にならなかったんですが、先生指摘のように、もし仮に全部こっちに移ってしまってここだけでやるということになりますれば、一体どういうことになるのかという問題意識もございますので、そういう場合には個別に判断することができるのかなということを申し上げたところでございます。
  84. 近藤昭一

    ○近藤委員 そうすると、個別に判断するということでありますから、判断をするということは、やる場合もあるし、やらない場合もある。やる場合ですと、先ほど私も申し上げましたように、かなり時間がかかる。つまり、登録について非常に影響を及ぼしてくるということになる。そうしますと、これはやらなくてもいいと私は申し上げているわけじゃないんですが、やるということになった場合、随分と影響が出てくると思うんですね。  そうすると、これは青少年公園で随分と会場面積が、やる部分がふえると、やるということなんでしょうね、個別で判断されるということは。
  85. 清水嘉与子

    清水国務大臣 失礼しました。  いわゆる新しいアセス法に基づいてやるかどうかということになりますと個別に検討しなければいけませんけれども、通産省の要領に従ってアセスは既に行われておりますので、ここでさっき申し上げたように、環境負荷低減のためには特に何もしなくていい、何もしなくてということもないですね、既に再実施は必要ないというふうに申し上げましたけれども、全面的に拡大するというようなことになりますれば、また違った見方があるかなということを申し上げたところでございます。
  86. 近藤昭一

    ○近藤委員 ですから、違った見方があるということはやるということになるのかなと私はお聞きしていて思ってしまうわけであります。つまり、使い方によっては判断しなくちゃいけない、判断する必要があるというのはやるということかなと思ってしまうわけでありますが、いかがなんでしょうか。
  87. 清水嘉与子

    清水国務大臣 済みません。ちょっと誤解を招いたかもしれませんけれども、今でも青少年公園を使うということになっているわけでございますから、今のアセスでもやっているわけでございますけれども先生おっしゃるように、全く新たな事態が出てきたときにそれにどう対応するかというのは、個別に検討させていただきたいということを申し上げたわけでございます。  あくまでもこれは通産省がしているわけでございますから、その御意見もいただきながら、またそれをどうするかということについて検討していきたいというふうに申し上げたところでございます。
  88. 近藤昭一

    ○近藤委員 質疑時間が終了しましたので、また委員会の別の機会をと思うわけでありますが、私は、使い方が変われば、個別に検討するということではなくて、やはり必要になるのではないかなという想像をしますし、それはすべきではないかというふうに思うわけです。  ただ、いろいろなものが揺れ動いている中で、今長官もおっしゃったように、個別的に検討せざるを得ないということなのかもしれませんけれども、繰り返して言いますけれども、この博覧会の成否というのは非常に環境庁の果たされる部分が大きい、そのことだけもう一度申し上げて、質問を終了したいと思います。ありがとうございました。
  89. 細川律夫

    細川委員長 次に、若松謙維君
  90. 若松謙維

    ○若松委員 公明党・改革クラブを代表して、大臣の所信表明に対します質問を行わせていただきます。  ちょうど五年半前に私はこの環境委員会で、当時は持永委員長でしたけれども、初質問をさせていただきました。そしてそのときに、いわゆる今でいうISO14001、環境管理システム、これについて初めて国会で取り上げておりまして、それから環境庁もしくは通産省等がかなり努力をされてキャッチアップした。  実は私どもも、世界の政治家事務所として初めてISO14001を取りまして、これが実は認証書でございます。ぜひ見ていただきたい。これは審査料だけで百八十万円かかります。サンフランシスコで、たしか前々環境庁長官でしょうか、取られるということですけれども、なかなか環境庁が取られないということで、ひとつ気合いを入れて、世界環境庁の代表は日本にあり、そういうことをまず示していただきたい。  ちょうど同じ姓ですけれども、スピードスケートの清水選手が自分を褒めたいと言っておりますけれども、実はきょう私どもの上尾事務所、地元事務所で、第一回目の取得後の外部監査を受けております。ぜひとも環境庁が率先してISO14001を取得されると同時に、あわせて、環境委員会に所属される細川委員長を初め委員の方は取っていただきたい。そうすれば、いかに口では環境環境といいながら、具体的に環境負荷を削減するためにはどれほど難しいかというのがおわかりいただけますので。恐らく、与党の村上筆頭理事はきっぷがいい方ですから、すぐやろう、そんな感じで決意されているのではないかと推察いたします。  それではまず、この前大臣からお話がございました所信表明について、最初に第一の柱としまして循環型社会構築ということで、特に、循環型社会法。  これは、同じく民主党小林議員からも御質問がございましたけれども、ちょうど我が党といたしましては、昨年九月にプロジェクトチームを発足いたしまして、ずっと検討しまして、それで自自公になりまして、実はきょうも九時から約一時間ほど、そしていわゆる自民党案または自由と公明のそれぞれの案という形で、この二案が与党の中で成立のために今作業をしている、こんな状況になっているわけです。そして自自公連立政権の中では、ことし平成十二年度は循環型社会元年、こういう位置づけで、大変重要な法案の位置づけになっているわけでございます。  それで、いよいよ来月の半ばにでもその法案を与党として仕上げる、こういう重要な時期になっておりまして、その作業は今並行中ですので、きょうは具体的な質問をされても困るでしょうから、一点お伺いしたいわけです。  この循環型社会構築に向けた基本的な枠組み法案ということですけれども、大事なのは、環境基本法というのはどちらかというと理念ですから、お題目というか中身がない、行政に対する義務がないということで、これはこれで当時としては一つ成果だったわけですけれども、これからは、やはり具体的にどう循環型社会構築するかということで、計画推進する具体的な担保というのですか、実質的な担保、実効性ある担保、これをどうつくっていくか、これが一番重要になるかと思いますけれども、それについての大臣の見解はいかがでしょうか。
  91. 清水嘉与子

    清水国務大臣 与党PTの中で大変重要な役割をしていらっしゃる先生の御質問でございますので、もう十分中身については御承知でいらっしゃると思いますけれども、まだ、今先生の御指摘法案につきましては、内閣の法制局の審査も終了していないということもありまして、調整中であるということをまずお断り申し上げておいて、具体的な中身については十分御説明できないわけでございますけれども、基本的な考え方を申し上げれば、まず、施策の総合的、計画的な推進を図るために循環型社会構築に関する基本的な計画を策定することとしておりまして、この中で循環型社会づくりのための施策明確化したい。  そしてまた、その計画を策定するに当たりましては、中央環境審議会の意見を聞く、そして審議会を活用してこの計画実施状況をフォローアップするということによりまして問題の状況を把握する、そして必要な対策を臨機応変に実施していくというようなことを担保したいというふうに思っているわけでございます。  さらに、策定された計画は、国のほかの計画の基本となるものと位置づけることとしておりまして、これによりまして、国の広範な施策の分野で計画推進が図られるものというふうに考えております。  さらに、これの年次報告書を国会に提出するということとしておりまして、この計画実施状況の点検が国会においてなされるということでございます。  こういったことによりまして、廃棄物リサイクル関連の個別の施策が総合的、計画的に推進され、廃棄物リサイクル対策実効性が確保されると認識しているところでございます。
  92. 若松謙維

    ○若松委員 特にグリーン調達の、環境庁が主管となって行っております政府の率先計画、あれは閣議了承でしたか、閣議決定、どっちでしたか。まずちょっとそれだけ。
  93. 清水嘉与子

    清水国務大臣 閣議決定でございます。
  94. 若松謙維

    ○若松委員 その閣議決定ですけれども、実際に進捗状況は極めてよくない。今、渋い顔をされましたけれども、そのとおりなんです。  今おっしゃった計画ですか、計画とか審議会というわけですけれども、これは閣議決定で、結果的には進んでいない。大事なのは、この実効性ある担保ということで、各省庁に対して、この循環型社会法、これから具体的なものをつくるわけですけれども、いずれにしても、行政に対しての義務化というのをしっかりと盛り込まなくてはいけないと思いますけれども、それについての大臣のお考え方、いかがですか。
  95. 清水嘉与子

    清水国務大臣 今先生指摘の閣議決定、なかなか進まないじゃないかということもございまして、環境庁では、このグリーン調達についての法案一つ出そうということを考えて、今検討しているところでございます。  こういうことによりまして、国が率先してやらなければならないことを具体的に進める一つの大きなバックボーンになるのではないかということを期待しているところでございます。
  96. 若松謙維

    ○若松委員 ということは、ちょっとくどいようですけれども、確認させていただきますと、これからつくるこの循環型社会法につきましても、仮称ですけれども、今率先実行、これは法案化して義務化させるというわけですから、当然循環型社会法の中にもそういった行政への義務化というのも入ってくる、そういう確認でよろしいわけですね。
  97. 清水嘉与子

    清水国務大臣 国の役割としてそういうことが出てまいると思います。
  98. 若松謙維

    ○若松委員 あと、その中身はこれから三党でまた詰めさせていただきます。  それでは、循環型社会元年のはえある委員会ですので、社会はどうなっているかという具体例をちょっと紹介させていただきます。  これは、ミサワホームの会社が投資をして、木材廃材ですね、七五%その廃材を活用して、二五%樹脂、いわゆるプラスチック、ペットボトルみたいなのです、これは樹脂ですからもともと木なんですよね、それをミックスして圧縮しますと、まさに木ができるのですね。これは環境庁大臣、ちょっと触れてみてください。  これは強度とか色も当然できます。ただ、さわっていただきますと、中身はプラスチックなんです。表を見るとほとんど木の感触でしょう。水につけてもしみるという形、だけれども七五%木材、廃材ですね、二五%はプラスチック、これをそういうふうに加工すると木ができる。  これは、実はそれだけではなくて、ちょっと字が小さいのですけれども、こんな図があるわけですけれども、まず、それは大体百年間もちます。百年間、実は光を強くしたりいろいろな環境をもって百年間使ったのがこれ。百年間使った後のものをさらにもう一回リサイクルしたら新たな百年間どうなるかということで、十回リサイクルしてリサイクル材を千年間使う。これもさわっていただきますと、やはり素材そのものの性質がやや変わってきますのでちょっと粗っぽくなるわけですけれども、いずれにしても、リサイクルで千年使える、こういうことが工場で実は行われております。  これもぜひ見てください。Mウッドというわけですけれども、別に私はこの会社の営業取締役をやっているわけではないのですけれども。  この工場ですけれども、実は土地が千五百坪、建物五百坪、このくらいの小さな規模で年間五千トン処理できる。年間五千トン処理しますけれども、大体設備費が二十億円。  それで、製品価格ですけれども、実はおもしろいことに、廃材ですから産業廃棄物、今、この廃材をこの会社が受けるとお金をもらえるのです。原料を買うのにお金をもらえる。そして、かつ物をつくって製品で売れるということですので、実際に、たしか一立方キューブ、一立方メートルのこの原料が、製品価格が八万円から十万円ということで、ラワンとかああいう熱帯雨林材は二十万から三十万するのですよ、その三分の一ぐらいで実は売れる。こういう非常に経済性もあるものなんですね。  それで、その一カ所につき年間五千トン、では、これを全国に五百カ所つくれば、実は熱帯雨林材の年間の輸入量と同量の生産ができるのです。ということは、五百カ所それができれば、もう南洋材、いわゆる環境破壊とかという南洋材を輸入する必要がない。一度輸入したら、それを、さっきのリサイクルリサイクルで千年使える、こういうことなんですね。  これのためにこの工場で研究が始まって、実際に試行段階として十五年ぐらいかかっているわけなんですけれども、何でふえないのですかと、実際、ふえない理由を聞いたのですけれども、神奈川の厚木にありました。  会社の方はこういう理解をしておりまして、特に、南洋材ですから、よくベランダサイドとかという、どっちかというと、家の柱とかはりとかそういう主要材に比べて、補助材というのですか、それに使われているのですね。ところが、建築基準法で柱とかはりにはそういったリサイクルは使えません、どうもこんな理解をされていたのですけれども、それではちょっと委員会で確認しましょうということで確認したいのですけれども、これがまず一つ目の質問ですけれども、いかがですか。
  99. 那珂正

    那珂政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の、いわゆるMウッドというリサイクル製品につきましては、現在の建築基準法上必要な性能基準を満たしているかどうかのチェックが具体的に行われていないということから、確かに現状では、柱、はりというような構造材に使われておりませんが、建築基準法は、一般論で恐縮でございますが、リサイクル製品も含めて、すべて新しい材料、構造等について開かれておりまして、ただ、やはり一定の安全性を確保するという観点から、一定の性能基準を満たす必要があって、その性能基準を満たすかどうかを具体的にチェックをする必要がございます。  この当該Mウッドというリサイクル製品につきましても、会社側から聞きますと、なお、強度、防火性能あるいは耐久性能等についてデータを集積中だというふうに聞いております。そういうものをきちっとして、一定の試験等で確認できれば、それで基準を満たすということになれば、いわゆる柱、はりという構造材に使うことについて何ら問題ないと思います。
  100. 若松謙維

    ○若松委員 そこで、その会社に聞いたわけですけれども、やはり既にMウッドのアリ予防、防蟻性というのですか、試験結果、これは京都大学木質科学研究所の耐朽性試験結果とか、日本食品分析センター、要はシックハウスとかというのがありますから、そういったところの砒素とかクロムとか、そういう問題がないかとか、いろいろやっております。  ですから、そういったところでしっかりとした従来の基準を満たせば、早急にこういったリサイクル材を柱、はり等に使われる、そういう理解でよろしいわけですね。
  101. 那珂正

    那珂政府参考人 先生おっしゃるとおりでございます。
  102. 若松謙維

    ○若松委員 それで、先ほど言いましたように、要は、年間五千トン、一日に二十トン、この廃材利用で、五百カ所つくれば南洋材の輸入の問題はない、世界から日本は木材消費地球環境破壊国だという非難を受ける必要はない、いわれはないということですね。さらに、五百カ所から今度千カ所にすれば全国の廃材を全部使えるんです。  ですから、一〇〇%、今、年間で廃材というのは約三千七百万トンなんですね、これが全廃棄量。産廃と一般廃棄物、年間四億五千万トンと言われますけれども、その八%、三千七百万トンが利用できる。大変なことなんですね。  要は、千カ所つくれば、別にこの会社だけじゃないと思いますよ、いろいろな技術があると思いますから、全国の廃材をすべてリサイクルできる。そうすると、さっきの森林破壊とかという問題はなくなるということなので、ぜひともこれは、まず建設省としては、こういったリサイクル材、それを積極的にいろいろな、例えば公共事業とかで使っていただきたい。それをまずお聞きしたい。  それと、環境庁長官には、グリーン調達がこれからの、率先計画の中でもあるわけですから、まず行政が率先して使っていただきたい、そうお聞きするわけですけれども、御両人にお答えいただけますか。
  103. 那珂正

    那珂政府参考人 私どもといたしましても、このようなリサイクル製品が建築資材等として使用、普及されることは大変望ましいことだと思っておりまして、先ほど申し上げましたいわゆる規制面において、そういうことがブレーキになるようなことは全くないように措置するとともに、積極的な普及促進という観点から、例えば、住宅金融公庫によるリサイクル製品を活用した場合の割り増し融資等を拡充して、今年度予算でまた拡充いたしますけれども、そういうこと等の措置をとることによって、なるべく一般のマーケットでこういうものがどんどん普及されることを期待しているところでございます。
  104. 清水嘉与子

    清水国務大臣 先生の御指摘は、前向きに検討してみたいと思います。
  105. 若松謙維

    ○若松委員 特にこれは、地方自治体もしくは業者等の協力も必要ですから、さらに、大変御理解をいただいたと思っておりますので、建設省、環境庁一体となってこういったリサイクル材の活用をお願いしたいと思います。ぜひ民主党さんも協力をお願いいたします。  それでは、これは、ちょっと話が難しいというのかな、資料を配ってください。  私も、ちょうど五年半前には、ISO9000、当時の国際品質管理基準、そして環境管理システム、まだ当時は聞きなれない言葉でしたけれども、大変申しわけなかったんですけれども環境庁の局長レベルでもまだ余り知らなかった話。実際、世界に七年間おくれていたわけですから、無理もないといえば無理もないんですけれども。この環境会計という言葉ですけれども、ちょっと会計ということでみんな嫌だなと。  ところで、長官、家計簿はつけられていますか。
  106. 清水嘉与子

    清水国務大臣 はい、つけております。
  107. 若松謙維

    ○若松委員 それでは、私ども環境家計簿をつくりましたので、プレゼントいたしますので、ぜひこれもつけてみてください、なかなか大変なんですけれども。今、つけられているということで、すばらしいです。私は公認会計士なので、ぜひ、清水家の家計簿の監査もさせていただいても結構なんですけれども。  では、会計制度が具体的にどう進化してきたかということですけれども、皆さん御存じのように、単式簿記という、お金の出入りだけ、これはもう一六〇〇年ぐらいのベニス、あそこら辺からのノウハウなんですね。二十一世紀になろうとするのに、まだ日本の行政も相変わらず収支報告書というだけで、いろいろと財産に関する項目はありますけれども、それはばらばらの報告書。これが行政の決算の現状です。  それに対して、複式簿記というノウハウが出てきて、貸借対照表、これは、特殊法人の一部では活用して、かつ、これからできる独立行政法人にはすべてそれが活用されるということですけれども、これももう当たり前といえば当たり前。アメリカでは既にこれはできておりますし、諸外国は、先進国のほとんどは貸借対照表をつくっております。日本はこれからやろうと、大蔵省が一生懸命頑張っているようですけれども、それでも遅いんですね。諸外国と比べてもう十年ぐらいおくれている。  それで、今問題になっております連結会計。時代は、経済的な実態から企業としての活動を把握しよう、それが連結会計で、去年の四月から施行ですから、実際には一番早くてことしの三月期の決算、これでいわゆる上場会社等が適用される。ところが、申しわけないんですけれども、アメリカなんかですと、これは三十年前からやっているんですよね。そんな程度なんです。  それで、一生懸命時価会計とか四〇一Kとか確定拠出型年金とか言われておりますけれども、時価会計も二〇〇〇年四月から施行される、これからです。そうすると、実際に最初に適用されるのは二〇〇一年の三月ということです。  では、この時価会計というのはなぜ必要になってきたかというと、結局市場主義、市場の時代ということで、今、株価による日本の経済の実態の把握とか企業の把握とか、こういった時代になっております。その株価を適正に把握するためには、どうしても連結は当然、さらには時価、いわゆる含み益はどうなのか、含み損はどうなのか、そういったものをデュアルに、リアルに決算に反映しなくちゃいけないということでこの時価会計が必要になってきた。  やっとこれから施行するということですけれども、私も、一九八四年、イギリスに四年間おりました。そして、彼らの会計、実務を見ましたけれども、もうそのときには、時価会計当たり前、連結会計当たり前、日本はこれから。だから、今、日本がいろいろな、今まで大蔵省が一生懸命、本来民間がやることを行政指導で引っ張っちゃったがゆえに、大蔵省がある意味で、世界の百番以内にも評価されない東大の集まりですから、大学で。そういう人たちが一生懸命自分たちの権益集めで、結果的に日本の会計は世界におくれちゃった、バブルの清算もおくれちゃった。  こういうさまざまな問題が積み重なって、会計というところは非常に日本は弱い。だから、日本の政府の、行政の会計情報も含めて、また企業の会計情報も含めて、日本の会計情報は信用ならないというのが世界の常識なんです。実はこういう状況なんですよ。  ですから、今、例えば、東京証券取引所の一部上場とか二部上場とか言われておりますけれども、そこが決算書を幾ら日本基準で出したって、海外の投資家は信用しません。それは、とりもなおさず大蔵省が裏で牛耳っているからだ。こういう構造なわけですよ。  そういう状況に対して、これは大蔵委員会で私は取り上げますけれども、では、今度は、これから何が新しい会計の手法として出てくるかというと、実は環境会計。これが最近、こんな「環境会計」という本が、これは私の後輩、トーマツ環境品質研究所社長の古室さんという、公認会計士ですけれども、こんな本もできてまいりまして、幾つかの本が出てきております。  では、環境会計というのは何なのかなということですけれども、長官、聞いたことはありますか。
  108. 清水嘉与子

    清水国務大臣 よくレクチャーを受けております。
  109. 若松謙維

    ○若松委員 すばらしいですね。清水長官が十年ぐらいここをやっていただければ、もっと日本はすばらしい環境行政があったんじゃないかな。何かちょっと前任者に悪いような言い方になっちゃいますけれども。  それで、やはり先ほど言いましたように、連結会計で、経済の実態を一つの会社の単体で見るんじゃなくて全体で見る、経済実態で見る。時価会計は、あくまでも投資の価値を基準として、時価会計。そして、二十一世紀のサステーナブル、持続可能な企業としての活動、そういった観点からの評価をするための環境会計、こういう形になってきたわけです。  環境庁の方も一生懸命これについて、先ほどのISO14001じゃないんですけれども、これはおくれていましたから、補足説明しますと、ISO14001は取得数では世界で一番、だけれども、人口一人当たりの取得率ですとたしか十五番ぐらいだったですかね、ということで、決して多くないんです。そういう実態があるわけですけれども、いずれにしても、環境会計につきまして、ちょうど環境庁の方が一生懸命やっていらっしゃるわけです。  そこで質問なんですけれども環境会計について、現在どういう社会の動きになっているのか、今後環境庁としてはどうされようとしているのか、お伺いします。
  110. 柳本卓治

    柳本政務次官 若松委員は公認会計士でございますし、専門家でありますが、私も大学で少し会計学を学んだ程度でございまして、十分にお答えできる能力は持っておりませんけれども、私も大臣と同じように環境会計についてレクチャーを受けた一人でもございます。  申し上げるまでもなく、環境会計というのは、環境に配慮した経済社会への転換を促すために重要な役割を果たすものと考えております。近くそのことについてのガイドライン等が発表できるような状況に今持っていこうとしているところでございます。
  111. 若松謙維

    ○若松委員 それで、環境会計についてもうちょっと聞きたいんですけれども、ちょっとかばんの中に入っていた予備の環境家計簿、これは清水さんちの環境家計簿、差し上げます。ちょっと汚いので、後できれいなものをお届けします。  それで、今、三月にガイドライン発表ということですけれども、これは、概要どういったもので、どういう趣旨で発表されるのか、お聞きします。
  112. 柳本卓治

    柳本政務次官 このガイドラインは、例えば環境保全のためのコストに含まれるものは何か、また環境対策によって得られる効果は何かというような、企業にとって参考材料になる基本的な考え方を整理しようとするものでございます。
  113. 若松謙維

    ○若松委員 その基本的な考え方というのは、何をもって基本的な考え方とするんですか。
  114. 柳本卓治

    柳本政務次官 これは、言うまでもなく、環境会計の中身は、個々の企業にとって経営管理に役立つという内部機能と、社会に向けて企業の環境情報を提供するという外部機能の二つの機能を有しておりまして、個々の企業による自主的な導入が進んでいるところでございます。しかし、その枠組み自体まだ固まっておりませんで、企業会計のようにしっかりした基準が成立するためには、まだまだ時間がかかるものと考えております。
  115. 若松謙維

    ○若松委員 そういう状況でガイドラインを出すということは、どういう意味なんでしょうか。とりもなおさず、日本人というのは、どうしてもお上意識が強い、行政が出したものに対してなびくということになるわけです。そのなびいたものが世界のグローバルスタンダードになればいいんでしょうけれども、どうも日本人の情報力というのはまだまだ弱くて、一年後を見たらグローバルスタンダードは全く別の方向に行っていた、こういう可能性も懸念されるので、どうかなと思うんですけれども、いかがですか。
  116. 柳本卓治

    柳本政務次官 環境庁といたしましては、企業の自主的な取り組みを支援するという立場から、企業の取り組みを拘束するものでは決してございませんし、むしろ個々の企業の自由なアイデアや関係者の意見を反映しつつ、徐々にガイドラインの内容というものを高めていきたいというように思っております。  しかるに、若松先生、これからいろいろとアドバイスしていただきまして、充実を図っていきたい、かように思っております。
  117. 若松謙維

    ○若松委員 そうしますと、例えばこれがトヨタの環境報告書です。かなり先進的な環境報告書、従来の有価証券報告書は財務面の情報ですけれども、これはいわゆる環境面の情報。実はトヨタの環境報告書の中身を見ますと、環境庁環境コストとおっしゃっていますけれども、これを重視したものでは実はないんですね。違った動きがある。  今、世の中では、環境会計という概念を内部管理のための資料とするのか、あとはディスクロージャー、情報提供としての場にするのかというような、実は大きく二極あって、恐らく将来それが一体化するかもしれません。  こういう状況にあって、私の理解ですけれども環境庁のガイドラインというのは環境コストというものをかなり重視されるわけです。では、ある企業が環境コストのために五十億円かかった、ところが、ある企業は同じ環境コストとして三十億円かかった。そうすると、委員の方はなかなかわかりにくいと思うんですけれども、今の環境庁のガイドラインは、五十億かかった、これは環境コストで、一生懸命企業がお金をかけているんだからいいんだ、どうもこういう話になりそうなんで、それは違うんじゃないんですかと。同じ目的のために、環境負荷を軽減するために環境コストを、あるところは例えば部局ごとにそれぞれ対応しているから五十億かかるのを、それを一カ所で横断的に機能的に効率的にやっているから三十億かかる、そうすると、三十億と五十億と同じ意味になってくるんですね。ですから、環境コストという形の情報提供だけを持ってきちゃうと、結果的に何のためのガイドラインなのかな、こういう問題意識というのは消えないんです。  ですから、ガイドラインを三月に一生懸命出されるというよりは、どっちかというと、今、世の中の、欧米はこういった形で環境会計の活用例があります、日本国内でもこういうものがありますと、ガイドラインを決めちゃって、これを参考にしなさい、参考にしろとは言っていないわけですけれども、結果的に参考になっちゃって、企業はなびいちゃうわけですよ。  そうじゃなくて、今大事なのは、企業として、この環境コストなり環境会計というものをどう創意工夫して、知恵を出していいものを出していくか、潜在的な能力を引き出す時期なんですね。そこにこのガイドラインを今出すということの危惧を私はどうしても感じる一人なんですけれども大臣お話を聞いていて、ガイドラインを三月にどうしても出されますか。
  118. 清水嘉与子

    清水国務大臣 いろいろ御指摘でございましたけれども現実問題として、かなり環境会計を導入する企業もふえておりますし、またそういう中ではやはり何かよりどころとなる指針をつくってほしいという要望も出ているのも事実でございます。そういうことで、今環境庁では、検討会を設けて検討会で十分審議していただいておりますので、その結果を十分踏まえながら、先生の御注意も十分考慮しながら検討してまいりたいと思います。
  119. 若松謙維

    ○若松委員 ですから、恐らく担当者の方もじれったい、心配でしょうから、聞くんですけれども、一応ガイドラインが出て、日本の企業がガイドラインになびいて世界のグローバルスタンダードが違った方向に行った場合に、当然、政策当事者としてはきちんとした、責任を持った対処をみずからされますね、そういう決意も持ってやっていらっしゃるかということなんですけれども、どうですか。
  120. 柳本卓治

    柳本政務次官 今先生指摘のように、実務者レベル等の考え方と、またこういう企業の自己PRを兼ねたような内容の面も両面含められていると思いますので、そういう意味につきまして、参考にさせていただいて、努力をさせていただきたいと考えております。
  121. 若松謙維

    ○若松委員 環境会計についてはこれでやめますけれども、いずれにしても、時代の先取りの話でもありますし、環境委員会でいつまでもどこどこの環境がだめになったから問題を取り上げるというよりも、やはり問題意識先行型の委員会にしたい、そういう趣旨でやらせていただきましたので、くれぐれも環境会計について、このガイドラインの対応というのを禍根のないようによろしくお願いしたいと思います。  それで、次のダイオキシン類対策について、これも大臣の所信の中で、第二の柱という形で触れたわけです。  それで、かなりダイオキシン対策というのは進んでいると思うのですけれども、私が問題意識を持ったのは、ちょうど去年の十一月ぐらいですか、所沢に行きました。所沢は、まさにテレ朝で随分報道されまして、あそこの議会は、環境対策費だったら数億円でもすぐに補正予算がついちゃうぐらいの、住民の意識というか理解というか、そういう土地柄なんです。  そこでわかったのが、ダイオキシン規制法ができてことしから適用になっています。そうすると、今までの処理能力が低い設備をやめなくちゃいけない。それをさらに前倒しさせるために、所沢市は去年の段階から、まだ産廃の焼却をしているところに対して、では企業の残存価格、まだ減価償却していない部分、これについては市が補助するから焼却をやめてくれ、こういう形で、数億円ぐらいでしたけれども、たしか予算を計上したと思います。これはこれで所沢での産廃の焼却はなくなって、ダイオキシン問題も恐らくかなり軽減される。  私の問題意識は、いずれにしても産廃は減っていないと思うのです。では、この産廃はどうなるのかな。それに対して、環境庁として、もしくは厚生省ですか、関連省庁として、ダイオキシン規制法が施行された後の処理というものをきちんと把握されているのか、それについて伺いますけれども、いかがですか。
  122. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 産業廃棄物の焼却施設の廃棄に関するお尋ねでございますけれども平成十年末に厚生省で行った調査結果によりますと、平成九年十二月一日以降の一年間で千三百九十三の焼却施設が廃止されております。平成十年十二月一日現在では、稼働中の施設が三千八百四十施設ということでございます。  これらの稼働中の施設の処理能力を合計いたしますと、年間で約二千四百万トンとなっておりまして、全国の産業廃棄物の焼却総量は年間千六百五十万トンでございますので、この二つを比較いたしますと、現時点においては、全国的に見れば焼却能力が不足しているという状況にはないというふうに理解しております。  しかし、ことし一月にダイオキシン類対策特別措置法が施行されまして、また平成十四年の十二月には廃棄物処理法に基づく新しい規制の強化が予定されているわけでございまして、そういう状況を見ますと、また今後さらに相当数の焼却施設が減っていくというような状況も予想されるということでございます。
  123. 若松謙維

    ○若松委員 環境庁としては特にございませんか。
  124. 清水嘉与子

    清水国務大臣 ダイオキシン対策特別措置法の施行によりまして、具体的に排出の規制などもかかりまして、今厚生省が申しましたように、非常につくりにくくなる、また廃止に向かうということに対して大変危惧は持っておりますけれども、やはり排出責任については押さえていかなきゃいけないということでございますので、今は環境庁ではなくて厚生省が所管しておりますけれども、これは重要な問題だというふうに認識しております。
  125. 若松謙維

    ○若松委員 それでは、これはどちらに聞けばいいのですか、環境庁ですか、厚生省ですか、マニフェスト、いわゆる産廃ですね、廃掃法の改正になるんですかね。  それで、原状回復、いわゆる不法投棄に対して、その産廃をつくった人が基本的に原状回復する義務がある。こういった形で、これは産廃という場合にそういうマニフェストという名札がずっとつけられて、その廃棄物をつくった業者、メーカーが特定できるわけです。  例えば豊島の問題がありましたよね。豊島というのは、いろいろなごみなんですけれども、あれは産廃と言わないで資源だと。特にタイヤなんかも野積みであるわけですね。あれを、では産廃なのか資源なのか。資源だと在庫みたいな感じで、そうすると、今の廃棄法、これからやるであろうマニフェスト制度も生きないんじゃないかな、そうすると問題の本質的な解決にはならないんじゃないかなと思うのですけれども、それについてはいかがですか。
  126. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 産業廃棄物につきましては、今御指摘のとおり、マニフェストという廃棄物の処理伝票をつけて廃棄物の行方を追っかけていくというふうなことにしているわけでございまして、今回、私どもとしては、この国会廃棄物処理法の改正を用意いたしておりますけれども、その中でマニフェスト制度についても改正をしたいというふうに考えております。  といいますのは、現在の段階ですと、排出事業者が中間処理の段階までしか確認する義務がないというふうな仕組みにしておりますけれども、改正したいと思っております方向としましては、最終処分が完了するまで排出事業者に追っかけさせるというようなことを考えておるわけでございまして、排出事業者が最終的に廃棄物が適正に処分されたことを確認する義務というものをかけたいと思っております。  そういたしますと、その義務を履行する、あるいは注意を怠るというようなことがあれば、不法投棄が仮に起こった場合には、その不法投棄を原状回復する責任というものを排出事業者に求めることができるのではないかというふうに考えているところでございます。
  127. 若松謙維

    ○若松委員 それで、私の問題意識は、それは今、産廃の話ですけれども、産廃じゃない資源というのですか、これから循環型社会法で、自民党案は循環資源、私どもは不用物という言い方をしておりますけれども、そういうふうな認識、いわゆる資源だ、ごみじゃない、そういう逃げの道があると、結局は何ら問題は解決されないんじゃないか、それについてはいかがですか。
  128. 岡澤和好

    岡澤政府参考人 産業廃棄物に限らず、廃棄物か有用物かというのは、結果的に利用されるかどうかということによって、利用されればそれは有用物になるし、結果的に利用されなければ廃棄物になるわけでございまして、途中の段階では非常に判別が難しいものでございます。  私どもとしては、基本的に、不用物として観念されて出てきたものについてはすべて廃棄物としてとらえた上で、その廃棄物を有効利用するという段階で有効利用されたときに処分が終了したというふうに考えておるわけでございますが、最初からそのまま利用できるような状態の有価物そのものとして排出されるということもあるわけでございまして、その場合には、はっきりとそれを購入する意図のある者が一方におれば、それは廃棄物ではないというふうに整理して運用しているところでございます。
  129. 若松謙維

    ○若松委員 これについてはかなり難しい問題で、ちょっと与党の間でも議論させていただいて、また当委員会、また関連委員会質問させていただきたいと思っておりますけれども、ひとつこの問題意識、特に法の抜け穴、いわゆる第二の豊島を起こさない、そういった観点から引き続き厚生省としても検討していただきたいと思っております。  最後の質問になりますけれども、これは環境庁長官にお聞きしたいのです。  いわゆるWTO体制のもと、当然貿易のためのWTOなわけですけれども、貿易と環境というテーマがあるにもかかわらず、なかなかWTOの中でこの貿易と環境という一体したテーマ委員会にしろ、またワークショップにしろ、そういった議論がなされないわけですけれども、ぜひとも大臣にリーダーシップをとっていただいて、具体的にCOP6でも何らかの見える形での成果をつくってもらいたいと思うわけですけれども大臣の決意と御意見を聞きたいと思います。
  130. 浜中裕徳

    浜中政府参考人 COP6で成果をというお尋ねの前に、WTOに言及されましたので、簡単に触れさせていただきたいと思います。  WTOと環境の問題について、昨年のシアトルの会議もございました。大変大きな問題になっておることは承知しておるわけでございます。WTOも、設立協定の前文に、環境保全及びその手段の拡充に努めるということが定められております。また、創設と同時に貿易と環境に関する委員会を設けておりまして、この委員会の設立当初より、環境政策と貿易政策の関係について議論をしてきております。  基本的には、環境保全のためであっても、一方的な貿易の制限は好ましくないのではないかということで、多国間環境協定、いわゆる環境条約、そういうものをつくるということが望ましいという考え方から、一たんは、例えば欧州連合などは、ガット協定を改正いたしまして、自由貿易に対する一般的例外ということで、多国間環境協定に基づいて貿易制限措置を位置づけようという主張もございましたが、途上国の強い反対により合意ができなかったという経緯がございます。  その後、何とか貿易と環境を相互に支持し合うようなものに、そういう関係にしていこうということで、こういった多国間環境協定における貿易制限措置とWTOのもとでの自由貿易体制をいかにして整合あるものにしていくかということについて、そういったことなどの課題を中心に議論をしてきておりますけれども、依然として先進国と途上国の立場の違いが大きゅうございまして、現在のところ、なかなか進展を見ていないという実情にあるわけでございます。  私どもといたしましては、今後、新ラウンド交渉が始まるわけでございますけれども、それぞれの場において環境配慮が十分になされるということ、それからそのためにはやはり貿易と環境に関する委員会が新ラウンド交渉に関与できる体制を整えるということが重要と考えておりまして、そうしたことが実現されるように努めてまいりたい、このように考えております。
  131. 若松謙維

    ○若松委員 時間ですので、これを最後にやめますけれども大臣、恐らく貿易と環境、進んでいない事実も御理解なさっていると思います。当然、政治家ですから、何とかよくしようという決意もおありでしょうから、できましたら、具体的にどういった形で何をしたいのか、何をすべきなのか、ちょっと政治家としての一つの決意を表明していただけますか。
  132. 清水嘉与子

    清水国務大臣 この貿易と環境の問題につきまして、各般にわたって関心が高まっていることも事実でございますし、今部長からお話し申し上げたとおりでございます。  国内におきましても、いろいろ議論もあると思いますので、私といたしましても、非常に関心を持ちながら、十分前向きに検討してまいりたいと思います。
  133. 若松謙維

    ○若松委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  134. 細川律夫

    細川委員長 午後一時二十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後一時二十四分開議
  135. 細川律夫

    細川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武山百合子さん。
  136. 武山百合子

    ○武山委員 自由党の武山百合子でございます。  早速質問したいと思います。  先日、二月七日、予算の一般質問のところで、吉野川河口堰のことをちょっと質問させていただきました。住民投票に関する件、それから建設に関する件ですけれども、あの問題がクローズアップされましたときに、環境庁の顔が全然見えなかったのを、大変寂しいと同時に、こういうとき、やはり環境庁も、すべてを踏まえた上で、何か環境行政の立場から声が欲しかったなと思っておりますけれども、どのようにお考えでしょうか。
  137. 清水嘉与子

    清水国務大臣 吉野川の問題でございますけれども、吉野川というのは非常に水質もいい、そしてまた、河口の部分には渡り鳥が飛来してくる干潟もあるというようなことで、非常に環境のいい場所だというふうに伺っております。  ことしの一月の徳島市の住民投票、これは非常に高い反対の票があったわけでございますけれども、これだけに、やはりこの問題の関心の高さを示されたものだというふうに思っております。しかし、これは一部の流域の方のお話でございますし、また、人々の安全を守るあるいは生命財産を守るという河川行政の立場から、建設省もいろいろと案をつくっておられるわけでございます。  しかし、いずれにいたしましても、それによって恩恵を受けるはずの住民の方々からの御意見でございますから、やはりその方々に御理解を得られるように、建設省におかれましても努力するとおっしゃっているわけでございますので、ぜひ検討を進めていただきたいというふうに思っているわけでございます。  この投票結果が一つの問題提起として受けとめられ、また、この問題が一層具体的に議論が進むのではないかというふうに思っておるところでございます。
  138. 武山百合子

    ○武山委員 今後、いろいろな形で環境とかかわって、みんな共生して経済も発展させ、社会も発展させていくわけですから、環境庁は、ケース・バイ・ケース、その場その場でぜひ顔を見せていただきたいと思います。  それから、先ほど質問にも出ておりましたけれども、愛知万博のことについてもちょっと聞きたいと思います。  この愛知万博については、万博協会が会場計画を策定中とのことですけれども、ことし五月の国際博覧会事務局、BIEと言っておりますが、その登録は延期するという報道がされております。現在環境庁は、この万博の計画状況、どんなふうに進んでいるのかということをきちっと把握しておりますでしょうか。
  139. 清水嘉与子

    清水国務大臣 BIEの御指摘があって、そして五月の登録もしなくなったということはよく存じておりますけれども、今、通産省なり愛知県なりで、環境の英知、自然の叡智を生かした事業がどういうことにできるのかということを具体的に協議していらっしゃるというふうに思いますので、事業者においてその結果を十分検討された、そういう段階ではないかと今受けとめているところでございます。
  140. 武山百合子

    ○武山委員 愛知万博は、自然の叡智というテーマで、たしかカナダのバンクーバーと競ってとったものだと思うのですね、環境を主にした自然との共生という形で。そこでかち取ったわけですから、やはりそれなりの、環境の英知という、とことん、一〇〇%以上環境の英知を尽くしてやるのが、今環境立国で主導権を握ろうとしている日本日本らしさだと思うのです。  テーマに見合うようにするためには、アセスの際に環境庁意見を提出したということは聞いております。それにとどまらず、通産省や愛知県が主になって計画をつくっておりますけれども環境庁がもっと積極的に参加しているのかどうか。もう少し知恵を出さなければいけないのじゃないかなと思いますけれども、積極的に参加しているのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
  141. 清水嘉与子

    清水国務大臣 環境庁といたしましては、やらなければならない環境庁の役割として、きちんと事業が行われるときに注意していただきたいことについて、環境庁長官意見としてお出ししたわけでございまして、できるだけ環境負荷を低減すること、あるいは自然環境の中で、オオタカの営巣等についても十分配慮するようなこと、あるいは、珍しい植物等々ございますから、そういうところにも十分配慮した、自然の叡智というものが十分生かせるような環境のもとで行っていただきたいということを申し上げたわけでございまして、こういったことがまた、今、担当者の方で検討されている中で十分生かされているものだというふうに理解しております。
  142. 武山百合子

    ○武山委員 アセスの際に意見をたくさん出されたと思いますけれども、今のお話ですと、お考えをあちらで十分考慮して、それでやっていただけているものというお答えでしたけれども、それでは、なぜBIEから待ったをかけられたとお考えですか。
  143. 清水嘉与子

    清水国務大臣 今の御指摘でございますけれども、私も具体的なやりとりがよくわかりませんけれども、恐らく、その跡地利用の問題が大きな問題になっているのかなという感じをしております。
  144. 武山百合子

    ○武山委員 やはり環境庁は、一から十までということはないと思いますけれども、かなりの面でかかわるべきだと思いますね。一緒にかかわってやらないと、後から報告を受けるとか、言いっ放しでボールが返ってこないとかあると思うんですよね。  それで、その自然の叡智ということは、ありとあらゆるものを考えて、日本は、環境行政の中で技術的には大変進んでいるというのは世界的に評価されているわけですから、その技術的な面で、やはり生かされているとか、あるいは住宅建設、新住事業と言われております六千人規模の住宅ということですけれども、そういう住宅に対しても、いわゆる環境行政をきちっと土台に据えた、自然の叡智をここまで使って設計からすべてやっていますよということを、環境庁も一緒になって、通産省のやっていることを、やっているものと思っておりますと言う以上は、そこまで答えられるようにすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  145. 清水嘉与子

    清水国務大臣 この万博の環境庁長官意見の前に、新住の建設に対してのアセスメントを行って、そこにも御意見を申し上げました。  その中でも十分、一応別々には参りましたけれども、当然のことながら、関連のある事業としての新住の問題でもございますし、海上の森で行う意味をぜひきちんと御理解いただいて、環境負荷を低減するような形でやっていただきたいということを申し上げたわけでございまして、これはもちろん、先生指摘のように、今後ともずっとフォローしてまいりたいというふうに思っております。
  146. 武山百合子

    ○武山委員 省庁としては、庁だということで、泡沫庁だなんて言う人もおりますけれども、それはもう、各省庁とフィフティー・フィフティーの立場だと思うんですよね。それで、通産省ももちろん、県もきちっと踏まえた上で意見を言うということは、やはりみんなが聞かざるを得ない意見だと思うんですよね。そういうところで、憶せず堂々と、自然の叡智という立場で、日本だけじゃなくて、世界日本環境庁が発信できる、そういう努力をぜひしていただきたいと思います、私たちがついておりますので。  それでは、次に移らせていただきます。  これも、二月七日にちょっと質問した件なんですけれども、ディーゼルの排気ガスの問題で、東京都から今月十八日に、ディーゼルの微粒子除去装置を義務づける条例案が出たんですけれども環境庁長官は、この都の条例案についてどのようお考えですか。
  147. 清水嘉与子

    清水国務大臣 東京都が出されました、この方向でございます。石原知事も御就任以来、ディーゼル車NO作戦等を掲げて、問題を提起されておるわけでございまして、私どもにとっても非常に重要な問題提起だというふうに理解をしております。  環境庁におきましても、従来から、ディーゼル排気微粒子除去装置、DPFの技術開発については進めているわけでございまして、東京都とも一緒になってやっているわけで、一定の効果は確かにあるということは認めているわけでございます。  現時点におきましては、耐久性の問題でありますとか、それから価格の問題等、まだまだ解決されていない問題もございまして、今すぐに義務づけることがなかなか難しいかなと思いますけれども、しかし、一つの大きな問題の解決の方法でもございますので、これからもDPFを実際の車につけた実証試験、これをちょっと進めていきたいと思っていますし、また特に、運輸省と東京都と一緒になってこれを具体的に進めることにしておるところでございます。
  148. 武山百合子

    ○武山委員 今、東京都と連携してという形だと思いますけれども、外形標準課税もそうですけれども、ディーゼルトラックの流入の規制、これは、東京都の提案しているディーゼル対策の多くは、一つ地方自治体で取り組むことは大変困難な課題だと思います。  それで、このディーゼル対策は、東京都だけに任せておくのではなく、環境庁東京都と事前によく相談して、連携して、協調して、実効ある対策、そんなものが打ち出せたらいいなと思っておりますけれども、どうでしょうか。
  149. 清水嘉与子

    清水国務大臣 具体的なディーゼルの問題でございますけれども、おっしゃるように、これは東京都だけでやってもなかなか問題のあるところだと思います。やはり全国的に取り組まなければならない問題でございます。  そんなことで、環境庁が今考えておりますディーゼルの排出ガスの規制を、一応、年次的に計画を持っているわけでございますけれども、今、平成十九年ごろを目途としておりますディーゼル車の排出ガス規制強化をもう少し早くできないだろうかというようなことを、結局、そこがうまくできれば、全国的に影響があるわけでございますから、その点につきまして、つい先日、石油連盟の会長並びに自動車工業会の会長に対しまして、何とかこの技術開発ができないかということ、そして、できるだけ前倒しして、排出ガスの規制を強化するということについて、私ども考え方を示したところでございます。  それからまた、自動車NOxの総量削減計画、これの点検、評価を今やっているところでございまして、こういった意味では、自動車NOx対策を進めていきたいというふうに思っているところでございます。  先生が御指摘のように、東京都とも十分連携しつつ、実効あるディーゼル車対策を進めていきたいというふうに思っております。
  150. 武山百合子

    ○武山委員 二月七日の日に環境庁の方からお答えいただいたこの件に対して、まず、ディーゼル車のガソリン車への代替義務づけ、それからディーゼル乗用車のより実効ある抑制方策、あるいは低公害車の一層の普及を図っていくというような制度的な普及方策、それから交通量の適切な抑制方策、いわゆる自動車NOx対策の充実強化について、検討を今しているところでございますという答えをいただいているわけなんですよね。  それで、ディーゼル排ガス問題を解決するには、低公害車の普及がまずかぎだと言えると思いますけれども、低公害車並びにスタンドの普及の状況は現在どうなっておりますでしょうか。
  151. 柳本卓治

    柳本政務次官 お答えいたします。  電気自動車やハイブリッド自動車などの低公害車は、大気汚染対策地球温暖化防止対策に有効であることは申し上げるまでもございません。  低公害車の普及台数は、平成十一年三月で約二万九千台でございまして、直近の昨年十二月末には三万八千台程度と見込まれております。また、燃料等供給施設は、平成十一年三月で百九十二基という状況になっております。  政府は、低公害車の普及目標といたしまして、自動車NOx法の特定地域において平成十二年度までに三十万台、平成十二年度に政府公用車のおおむね一〇%に導入という目標を設定しておりますが、その達成に向けまして、これまで以上に強力な取り組み推進が必要と考えております。  従来から、低公害車の普及促進のため、平成十一年度には低公害車にかかる自動車取得税の軽減措置を大幅に拡充するなど、さまざまな施策を講じてきたところでございます。  さらに、環境庁大臣車は一昨年から低公害車に切りかえまして、昨年五月には霞が関天然ガス充てん所を整備いたしました。そして、昨年十一月には総括政務次官車も低公害車にするなど、幹部用の公用車への導入を進めておりまして、各省庁に対しても低公害車を積極的に導入するよう要請してきたところでございます。既に、政務次官会議におきましても、各政務次官に低公害車の導入を要請したところでございます。  環境庁といたしましては、低公害車の大量普及につながる施策の実現に向けまして、今後とも最大限努力していく所存でございます。
  152. 武山百合子

    ○武山委員 十倍にふやそうという計画だと思いますけれども、スタンドの方は百九十二基からどのくらいふえるのでしょうか。今三十万台ということは聞きましたけれども、スタンドの方は。
  153. 柳本卓治

    柳本政務次官 今具体的な目標数字は設定しておりませんけれども努力していく所存でございます。
  154. 武山百合子

    ○武山委員 三万八千台今普及しているということで、それに対する百九十二基のスタンドということですので、三十万台の目標にはやはり百九十二基の十倍は必要じゃなかろうかと思いますので、ぜひそれを目標としていただきたいと思います。  それでは、地球環境問題についてちょっとお聞きしたいと思います。  今月の二十六日から二十七日に日中韓の環境大臣会合が、我が国の近隣諸国の環境問題への意識を高める上で重要な会議とされておりますけれども、どのような内容の会談をされるのでしょうか。
  155. 清水嘉与子

    清水国務大臣 あした、あさって、土曜、日曜にかけまして、中国に行かせていただきます。  この会議は、ことしで二回目の会議でございまして、昨年第一回の会合を開きまして、それぞれの国が関心を持っている部分について意見を交換いたしました。今回は、その第一回会合以降、環境協力と国内対策取り組みをレビューする、まず一つそういうことでございます。それだけでなくて、将来の活動について具体的な議論をしたいというふうに思っているわけでございます。  将来の活動については、三カ国、日中韓で具体的に進められるようなプロジェクトを少し立ち上げるようなこともございますし、それから、本会合成果、これはぜひG8環境大臣会合にも、あるいはESCAP環境大臣会合など、こういった重要な国際会議へも反映したいというふうに思っておりますし、また、三カ国というのは、先進国、中進国、また開発途上国の代表のようなものでございますから、そういう中でのCOP6の成功に向けた取り組み、あるいは京都議定書の早期発効などの気候変動枠組み条約への対応、こういったことについて十分お話をしていきたいというふうに思っているところでございます。
  156. 武山百合子

    ○武山委員 COP6の方は日中韓の方でされるわけですね、この近隣の。それともG8の方の話でしょうか。
  157. 清水嘉与子

    清水国務大臣 日中韓におきましても、それぞれの国の対応を協議したいというふうに考えているところでございます。
  158. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、今度は四月にG8が滋賀大津で行われるわけですけれども、これはどのような事項についてどのような会談がなされるのでしょうか、今COP6の話が出ましたけれども
  159. 清水嘉与子

    清水国務大臣 滋賀県で行われますG8の環境大臣会議、これは、今度日本では初めて開かれるわけでございますけれども、国際社会が直面する主要な環境問題について率直な意見を交換しようということで開かれるわけでございまして、この成果、ぜひ七月に開かれます九州・沖縄サミットに反映したいというふうに考えているわけでございます。  本年は、新たな千年紀に向かう節目となる年であるとともに、我が国が議長国を務めたこの地球温暖化防止にかかわる京都議定書を発効させる上で必要な国際的合意を得なければならない非常に重要な時期だというふうに考えるわけでございます。そのため、このG8の会議では、主として気候変動の問題、それから二十一世紀の持続可能な開発リオプラス10、この問題、さらに、それに次ぎますテーマとして環境と健康の問題というようなことを議題として取り上げようとしているところでございます。  当然のことながら、この会合の後につきましては、先ほども申し上げましたように、総理にもこのことを御報告申し上げて、沖縄サミット環境面から貢献したいというふうにしているわけでございまして、何といいましても、G8の国々がそろって強い意思を示さなければ、なかなか環境、地球温暖化問題についても解決のつかないことでございますから、非常にいい機会だというふうに思っているところでございます。
  160. 武山百合子

    ○武山委員 積極的に発言していっていただきたいと思います。それで、ぜひ七月の沖縄サミットにも数限りなく発言して、日本の姿をぜひ沖縄から環境庁が示していただけたら、本当に環境委員会のメンバーの一人としてありがたいと思います。  それで、京都議定書の話もちょっと触れたいと思いますので、この京都議定書の国際ルールの制定ですけれども、これはたしか国内六%削減のシナリオがあるはずですね。これを実現するための具体的なシナリオをちょっと聞かせていただけますでしょうか。
  161. 清水嘉与子

    清水国務大臣 京都でお約束しましたマイナス六%、どうしても二〇〇二年までに京都議定書を発効させようという強い意思をみんなで持っているわけでございまして、何といいましても、この十一月にオランダのハーグでCOP6が開かれますけれども、ぜひここで京都議定書の締結の引き金となります合意を確実に得なければならない、こういうところでございます。  とりわけ、京都メカニズムあるいは遵守の問題、あるいは吸収源等について明確な決定をされなければならないわけでございます。そしてまた、先進国だけではなくて、途上国に対する技術の移転あるいは能力育成の問題についても合意を得なければならない、こういうふうに考えております。  私といたしましては、COP6の成功に向けまして、先ほど申しましたけれども、明日から日中韓の環境大臣を初めG8の環境大臣会議、あるいは非公式閣僚会議、二国間の会合等いろいろ機会がございますので、ぜひ最大限に活用して、先進国並びに途上国と引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。  また、議定書の目標達成に向けては国内的な問題が非常に大きいわけでございまして、国内的には地球温暖化対策推進法に基づきまして、国内対策の一層の充実を図りたいというふうに思っているわけでございます。
  162. 武山百合子

    ○武山委員 そうしますと、国内的には手順を踏んで合意されるという見通しでしょうか。
  163. 清水嘉与子

    清水国務大臣 なかなか難しい点もございますけれども、昨年制定されました地球温暖化対策推進に関する法律、これは京都議定書の締結に備えた今後の対策の土台となる法律でございます。  現在、この法に基づきまして閣議決定されました、先ほども申したと思います地球温暖化対策に関する基本方針に従いまして各種の国内法を進めるわけでございます。  例えば具体的には、家電製品等に対する厳しい省エネ基準を設定する、あるいは税の軽減によります燃費のいい自動車の普及促進、あるいは新エネルギーの普及促進のための技術を導入するというようなことでありますとか、あるいは、これは環境庁が率先してやらなきゃいけないわけですが、政府による省エネ、新エネの導入等の率先実行等の対策を進めているわけでございまして、さらにその充実に努めてまいりたいというふうに思っております。  さらに、この京都議定書の六%削減目的を達成するためには、正直言って、今の対策だけでは十分できるかどうかということも問題があるものでございますので、何が不十分なのか、どういう対策が必要なのかということについても改めて検討してまいりたいというふうに思っているわけでございます。  こういった今の国内的な取り組みに加えまして、先ほど申しました、国際的にCOP6を成功させて、京都メカニズムの具体的なルールをつくって、京都議定書も発効させることに、まず日本みずから努力したいというふうに考えているところでございます。
  164. 武山百合子

    ○武山委員 ことし十一月ですので、もう本当に日がないというか、ぎりぎりのところだと思うのですね。  それで、その議定書の批准を担保するために、先ほど長官が答えられましたように、国内的な法の整備が当然必要ですよね。今もちろん議論されておるものもありますし、実際に法律としてやろうということもありますし、そこをかなりぎりぎりの線で詰めないと、とても十一月には間に合わないと思うのですよ。  そうなりますと、もう絵にかいたもちになるようなものですので、ぜひCOP6の成功に向けて、大いに勇気を持っていろいろな国内法の整備に立ち向かっていただきたいと思います。  その次に入りたいと思います。  フロン回収状況ということで、やはりこれも先日質問したのですけれどもフロン回収が非常に悪いわけなんですね。それで、今いろいろお会いしますと、大変悪いということで、法律の整備をしようという動きもあるようなんですけれども、その辺の動きを聞かせていただきたいと思います。
  165. 柳本卓治

    柳本政務次官 先ほどの答弁でも申させていただいたのでございますが、また、さきの予算委員会の席上でも御報告をさせていただきましたけれどもフロン回収破壊ということは、オゾン層を保護するための重要な対策でございまして、今後この義務づけに向けまして、回収破壊義務化について最大限の努力を図っていきたい、かように考えております。
  166. 武山百合子

    ○武山委員 義務づけということですので、ぜひその義務づけを、どのようなアクションプログラムで、もう相当話が進んでいるのか、ことしいっぱいかかりそうなのか、その辺ももうちょっと突っ込んでお答えいただきたいと思います。
  167. 柳本卓治

    柳本政務次官 今、回収状況というのは非常に厳しゅうございますけれども、最大限の努力取り組みが必要と認識をしておりますので、努力をさせていただきたいと思っております。
  168. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひとも頑張っていただきたいと思います。  それから、環境省の創設に向けて、人数もある程度確保できましたし、各部局も大体出そろったと聞いております。それで、平成十三年、環境庁が省になるわけですけれども、今後、省庁再編までにこの体制強化について今どのようなことをお考えかどうか、今からの状況を聞かせていただけたらと思います。
  169. 清水嘉与子

    清水国務大臣 来年一月の六日から環境省にさせていただきますけれども環境省に課された問題というのは本当にたくさんあります。いろいろ努力いたしました結果、昨年末の予算編成の過程で、一官房四局三部、百十一人の増員が認められまして、それでもう千百三十一人という体制で発足することが決まりました。  しかし、依然といたしまして、廃棄物対策、これも非常に大きな問題でございますし、また地球環境問題、これもまた大きな問題でございます。あるいは環境研究の取り組み等、こういったものも強化していかなければいけないという認識でございますので、来年以降も、また先生方の御理解もいただきまして、引き続き体制強化に努めていきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  170. 武山百合子

    ○武山委員 環境省になることの体制の強化ということで、総理大臣お話し合いなどされておるのでしょうか。
  171. 清水嘉与子

    清水国務大臣 総理は大変このことに関して御理解があるというふうに私も受けとめております。
  172. 武山百合子

    ○武山委員 ぜひもっと押していただきたいと思います。  それから、最後の質問になりますけれども、有害化学物質についてちょっとお聞きしたいと思います。  ダイオキシンで汚染された土壌の浄化やPCBの無害化処理など、有害化学物質の処理の促進のために、まずどのような取り組みを進めているか、お聞きしたいと思います。
  173. 柳本卓治

    柳本政務次官 ダイオキシン類で汚染されました土壌の浄化につきましては、環境基準千ピコグラムを大幅に上回る汚染土壌、例えば大阪の能勢町、これは最大八千五百ピコグラムでございますけれども環境庁では、本年度から、汚染土壌を浄化する技術の実証調査実施等、その技術を確立するための取り組みを進めているところでございます。  また、土壌汚染が判明した際に地方公共団体がダイオキシン類対策特別措置法に基づき行う対策への財政支援措置を、平成十二年度予算案に計上をいたしました。  有害物質でございますPCBは製造が禁止されておりまして、現在、各事業所等で保管されているPCBの無害化処理が重要課題認識をしております。大口保管者等を対象といたしました過去の調査によりますと、PCB濃度の高いトランスコンデンサーが約四十一万台、濃度の低い柱上トランスが約四百万台、使用または保管されているほか、ノーカーボン紙が七百六十八トン保管されている現状でございます。  このため環境庁では、厚生省や通産省と連携しながら、各方面で研究開発が進められている無害化処理技術について専門家による評価を実施し、PCB処理の促進を図ってまいりました。ようやく昨年末から、大手の事業所で無害化処理が開始されたところでございますが、その進展に期待をしているところでございます。  さらに、中小事業者が保管しているPCBの処理が引き続き問題となっておりますので、これらの事業所が対応できる技術や処理方式についても検討していく所存でございます。  環境庁としては、今後とも、有害化学物質の処理について関係省庁地方公共団体と連携をとりつつ適切に対応してまいる所存でございます。
  174. 武山百合子

    ○武山委員 無害化処理、有害化学物質の処理、これはぜひその経過を公表していただきたいと思います。  それから、最後になりますけれども、有害化学物質に関するリスクコミュニケーション、これを進めるために市民団体の育成、地域住民の理解を得るためにまず支援をどのように進めようとしているのか、ちょっとその辺、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  175. 柳本卓治

    柳本政務次官 特に、武山先生はアメリカの生活も長うございますし、NGOや市民団体との交流も深い先生でもございますが、化学物質に関する情報につきましては、国民の理解を増進するためリスクコミュニケーションの円滑な実施は重要であると考えています。  昨年七月に成立いたしましたPRTR法におきまして、国はもちろん地域の事情に詳しい地方公共団体においても、化学物質の性状、環境への排出状況等について国民の理解を深めるよう努めること、そのために必要な人材を育成することなどを規定しております。  このため、今後とも化学物質の科学的な知見の集積やデータベースの整備、パンフレットの作成、講演会の開催等を行いまして、国民への情報提供を図るとともに、人材の育成に努めてまいる所存でございます。
  176. 武山百合子

    ○武山委員 努めてまいる所存ですということは、まだ行っていないのですね。今から行うところなんでしょうか。それとも、将来、こういうふうなアクションプログラムがあってこうしますというのでしょうか。ちょっと意味がわかりません。
  177. 柳本卓治

    柳本政務次官 現状は、継続をして、そして御理解いただけるように頑張る決意でございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
  178. 武山百合子

    ○武山委員 もう既に、パンフレットとか啓蒙活動とか、現実には行われておるのでしょうか。これから始めるところなんでしょうか。その辺がわかりませんので。
  179. 柳本卓治

    柳本政務次官 ダイオキシン類の問題、PRTR法のパンフレット等々は、広く自治体と企業に対しましても情報活動をいたしております。
  180. 武山百合子

    ○武山委員 特にこのPRTRにかかわった市民団体とか関心のある人以外は、ほとんどこれは知らないと思います。本当にどれだけできているのか、どれだけそのパンフレットを配っているのか、それから啓蒙活動が行われているのか、また、本当に人材育成が現実に行われているのか、これから予定としてあるのか、その辺もぜひチェックして、ぜひもう一度見直していただきたいと思います。  それでは、そういうことで、どうもありがとうございました。私の質問を終わりにいたします。
  181. 細川律夫

    細川委員長 次に、藤木洋子さん。
  182. 藤木洋子

    ○藤木委員 日本共産党の藤木洋子でございます。きょうは、私の地元、尼崎の大気汚染公害対策問題についてお伺いをいたします。  先月の三十一日に、神戸地裁は、十一年間続いてまいりました尼崎大気汚染公害訴訟について、国と阪神高速道路公団の長年にわたる共同加害行為を厳しく断罪をいたしまして、原告完全勝訴の判決を言い渡しました。この判決は、西淀川、川崎訴訟判決に続きまして、三たび自動車排ガスによる健康被害を認めただけではございませんで、〇・一五ミリグラムを超える浮遊粒子状物質の排出を差しとめるという画期的な判断を示しております。ところが、遺憾ながら、国は八日、この判決を不服として大阪高裁に控訴いたしました。  私はまず、被害を増大させることにもなる国の控訴に厳しく抗議をしたいと思います。国は、神戸地裁判決に従って、みずからの公害発生の責任をきちんと認めて、直ちに抜本的な自動車排ガス対策と完全な被害者救済をとるべきだ、このように考えておりますが、大臣のお考えはいかがでございますか。
  183. 清水嘉与子

    清水国務大臣 国といたしましては、判決の内容を十分見せていただきまして、これでは不服があるということから控訴したところでございますけれども、しかし、そこで盛られました大気汚染防止対策、これは強化しなければならないという意識は十分ございまして、私は、自動車の環境対策についてぜひ検討すべきであるということを事務方に指示いたしました。  そして実際に、国道四十三号線におきます対策につきましては、二月二十一日に関係省庁の局長会議が開かれまして、そこで当面の具体的な取り組みについて早急に取りまとめることになった次第でございます。  引き続き、環境庁といたしましても、関係省庁との連携をとりながら、自動車の環境対策をしっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。  また、去る二月の二十二日には、ディーゼル車の排ガス規制強化、これを早く実施したいというふうに思いまして、関係業界に技術開発の促進を要請したところでございます。
  184. 藤木洋子

    ○藤木委員 確かに、たとえ国が控訴したとしても、神戸地裁判決が示しております自動車排ガスでの汚染の状況をそのまま放置することは許されませんので、ぜひとも早急にその事業は進めていただきたいと思います。  国は、SPMと健康影響との因果関係が承服できない、こういう理由で控訴したということでございますけれども、そもそも、日本でのSPMの調査研究というのがおくれている、そこに問題があると私は考えております。  欧米の取り組みなんですけれども、十年ほど前から粒子状物質と健康被害との因果関係調査を大規模に行っておりまして、自動車排ガス規制をとってまいりました欧米で、既に厳しい環境基準を設定しております。  例えば、EUですけれども、こちらは九九年に、二〇〇四年末までに日平均値〇・〇五ミリグラム以下の限界値を達成し、二〇〇九年末までにこちらは年平均値〇・〇二ミリグラム以下にするということが決まっております。また、アメリカでは九七年から、微小粒子、PM二・五ですけれども、この基準を新設いたしまして、二十四時間の平均値が〇・〇六五ミリグラム以下などとしております。  日本の場合ですけれども、七三年にSPMの現行基準を設定して以来、三十年近くも基準を強化せず放置してまいりました。このことは、粒子状物質と健康被害との因果関係調査を怠ってきたとしか言えないと思うのですけれども、そういった国の態度を棚に上げて控訴するというのは、全く恥ずかしい限りだと私は考えております。  そこで、SPMの基準をせめて欧米並みに強化すべきだ、このように考えておりますけれども大臣はそのようにはお考えになられませんでしょうか。
  185. 清水嘉与子

    清水国務大臣 環境庁におきましても、一九七二年の環境基準設定以降、二酸化窒素とともにSPMを指標として疫学調査をずっとやってきたわけなんです。そして、いろいろ科学的知見の充実も図ってまいりました。  さらに、最近では、このSPMの中でも特に健康影響が注目されておりますPM二・五、このことに着目いたしまして、さっき先生、アメリカのことをおっしゃいましたけれども、そういった測定手法の確立を目的とした調査を今実施しているほか、疫学調査あるいは動物実験等について、来月になると思いますけれども、検討会を設置いたしまして、早急に検討を進めていきたいというふうに思っているわけでございます。  そして、今後は、これらの調査も踏まえまして、先生指摘のように、PM二・五に関する環境基準の設定等についても十分検討していきたいというふうに思っております。
  186. 藤木洋子

    ○藤木委員 御努力をされているというお返事ではございましたけれども、その中に、リスク評価がきちんとできていないといったことがあるように伺っております。  調査研究が実は、してこられたというふうにおっしゃるんですけれども、おくれていたと思うんですね。だから、日本では因果関係について証明されていないかもしれませんけれども、しかし、欧米では既に因果関係が認められているわけでして、厳しい基準を設定しているわけです。また、東京都の石原知事の場合も、行政の責任を認めて、国の怠慢、鈍感な姿勢、これを指摘しておられます。ですから、控訴するという道理は全くないということを私は重ねてここで申し上げておきたいというふうに思います。  環境庁は、八〇年ごろに、今大臣もおっしゃいましたけれども、ディーゼル排ガスの研究に取り組んでおられました。確かにそのとおりです。それを知った自動車業界が、実は巨額の研究費を投入いたしまして、排ガスと健康影響との関連を否定する、そういう論文をまとめましたために、環境庁の研究が中断されて、排ガス規制は実施されなかったというふうに言われているわけです。この自動車業界の横やりがなければ自動車排ガス対策がもっと進んでいたのではないか、私はこのように考えております。  しかし、先月来、ディーゼル排ガス報告書に環境庁が圧力をかけて、自動車からのダイオキシン発生量であるとか排ガスと健康被害の関係など約百カ所の修正、削除をさせたとしてマスコミにも批判をされております国立環境研究所の嵯峨井研究グループの調査研究でも、動物実験で、DEPが、ぜんそくを起こし、精子数の減少を招いたりするなど生殖障害を起こすということがはっきりしております。  ちょうどこの実験の最中に私も環境研に参りまして、御説明を伺いまして、納得して帰ってきたわけですけれども、また、直近では、同研究所の地域環境グループがございますけれども、この研究でも、DEPが循環器系に影響を及ぼすということが国内で初めて明らかにされております。  粒子状物質と健康被害との因果関係は明確ではないかと私は思うんですけれども大臣、いかがでしょうか。
  187. 清水嘉与子

    清水国務大臣 今先生指摘のように、いろいろ研究が進められてきたことは事実でございます。どちらかといえば、動物実験等に関しまして、国立環境研究所でも進められてきたわけでございますけれども、やはり動物実験だけでなくて、人間の健康にどう影響を及ぼすのかという知見をもっととらなきゃいけないということでございまして、ことしの三月には、DEPのリスク評価に関する研究会を設置する予定でございまして、これまで内外で行われてきました動物実験、その結果についても、十分これを評価いたしまして、早急に、現時点におきますDEPのリスクについても検討したいというふうに考えております。
  188. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、大臣お触れになりませんでしたけれども環境庁意見で国立環境研の報告書が数十カ所にわたって加筆修正されているということは、疑いのない事実でございます。私は、国民の健康と安全を守るための研究というのは、自由が全面的に保障されなければならない、されるべきだ、こう思うわけですね。これによって排ガス対策のおくれが、判決でも示している健康被害を住民に受忍させることになっているのではないか、そんな思いがしてならないのですけれども大臣、その点はいかがでしょうか。
  189. 清水嘉与子

    清水国務大臣 ちょっと誤解がおありなんじゃないかなという感じもいたしますけれども、確かに、国環研の研究者の研究の成果が、環境庁といろいろ調整して直ったということがあったことは新聞にも報道されておりました。  しかし、研究者が研究の成果を変えたというようなことは絶対ございませんで、随分数が多く出されましたけれども、本当にてにをはのようなものまで含めて直した。そこまでする必要もなかったんじゃないかと私も後で話を聞きまして思いましたけれども環境庁もいろいろなデータを持っていますので、そういうことを、あるいは担当のところで特別研究に対していろいろ御意見申し上げたものを、研究者が御了解の上で直されたということでございますので、そこを無理に環境庁がねじ曲げて何かしたというようなことで受けとめられると大変私も遺憾な気がいたしております。
  190. 藤木洋子

    ○藤木委員 その御説明は私も伺ったわけですけれども、しかし、私が思いますのに、環境研が出している報告の結果というのでは因果関係を認めている、動物実験では証明できる、こういうふうに報告されているわけですよね。それを本当に加味するということなしに、それがまだ立証されないという疑いがあるから控訴するということが私は納得いかないという思いでございます。  神戸地裁の判決では、「千葉大調査によって得られた結果は、予想外のものではなく、同一集団を綿密に追跡調査するという手法により、自動車排出ガスと気管支喘息の発症との間の因果関係を明らかにしたものと評価することができる。」としております。  そして、SPM、とりわけDEPでの健康被害を認め、国道四十三号線沿道の少なくとも五十メートル以内では気管支ぜんそくを発症させる危険がある、判決はこのようにしているのではないかというふうに私は読んでいるわけですけれども大臣はそのようにお読みになっていらっしゃらないでしょうか。
  191. 清水嘉与子

    清水国務大臣 神戸地裁の判決によりますれば、尼崎市内の国道四十三号線沿道の少なくとも五十メートルの範囲で自動車排出ガスによって形成された局所的な大気汚染、それと気管支ぜんそくの発症または増悪との因果関係を容認している、先生おっしゃったとおりのことでございます。  環境庁では、この判決についていろいろよく審査させていただきましたけれども、極めて限られた資料、千葉大のとおっしゃいましたけれども、限られた資料に基づき因果関係が認定されているというようなことでございまして、これはやはり科学的な根拠がこれだけでは十分でないという判断をしているわけでございます。
  192. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、千葉大だけではなくて、国立環境研であるとか国際的にも研究は進んでいるわけですよね。  それでは、自動車業界の排ガスと健康影響との関連を否定するような調査がほかにあるのか、そのことを私は疑問に思うわけですね。リスクが評価されるまで規制をしないということではだめだと思うのですよ。そうではなくて、予防の原則に立って、早急な自動車排ガス対策をとるというのがやらなければならない最も迫られている問題ではないかと思います。  判決では、特に、尼崎市の南部測定所の年平均値が非常に高くて、この周辺地域に存在いたしましたSPMによる大気汚染が、児童の呼吸器症状の過剰をもたらした疑いは相当程度存在すると指摘しているわけですね。  八六年当時、環境基準値を超えた日数は、南部測定所で三十七日で、年間で一〇・三%に達しております。私も、地元でございますから、何度となく現場に行って調査もしているのですけれども、四十三号線からぎりぎりやっと五十メートル離れたところに災害公営住宅が建ったのです。その一番最上階に行ってみますと、二階建ての構造というのがどんなものかが非常によくわかるわけですね。この地域の二階建て構造での高濃度汚染地域、ここで、少なくとも川崎だとか西淀川地域に劣らない汚染実態が今も続いているということを私自身も体験しておりますし、ぜひ御認識をいただきたいと思いますね。  こうした汚染状態の侵害というのは、単なる生活妨害というものではなくて、沿道の広い範囲で疾患の発症、増悪をもたらす非常に強い違法性がある、判決はこう断じているわけです。  そこで、国は、このことを真剣に受けとめて、国道四十三号線や阪神高速道路、それから幹線道路を含めた尼崎地域の汚染実態を正確につかむべきだと思うのですけれども大臣、その点はいかがですか。
  193. 清水嘉与子

    清水国務大臣 今、尼崎市内には、国道四十三号線沿いに一カ所、その他の主要幹線沿道五カ所に自動車の排出ガス測定局が既に設置されております。御承知のとおりだと思います。そして、大気汚染状況の測定を実施しているところでございます。  大気汚染状況をより正確に把握するために、現在、環境庁に学識経験者で構成されます自動車排出ガス測定局適正配置検討会というのを設けまして、自動車排出ガス測定局の地域的な配置及び具体的な設置場所の考え方の指針について御論議いただいているところでございます。ぜひ、こういったことで、きちんと計測できますように努力をしたいというふうに思っております。
  194. 藤木洋子

    ○藤木委員 非常に積極的なお取り組みをされようとしていることは私も歓迎いたしますが、その際、現場を見るというのであれば、ぜひ大臣も一度お越しをいただいてごらんいただきたいと思います。ちょっと近年途絶えておりますけれども、歴代大臣が必ずこの四十三号線は視察をする、そういうところでございますので、来ていただきたいと思いますけれども大臣、いかがですか。
  195. 清水嘉与子

    清水国務大臣 機会がありますれば、ぜひお伺いしたいと思います。
  196. 藤木洋子

    ○藤木委員 そのときは歓迎させていただきますので、ぜひお越しください。  しかも、判決では、公益上の必要性を理由に住民の差しとめ請求を棄却すべきではないとしているわけです。SPMが受忍限度を超えるような状態のまま、国や道路公団が何の措置もとらないならば、排出を差しとめる、こういう初めての判断を示しているわけです。  尼崎では、九七年度で、国道四十三号線が六万四千六百六十七台、阪神高速が七万二千九百九台、合計いたしますと十三万七千五百七十六台になっております。しかも、四十三号線の大型車混入率は三〇・三%でございます。阪神高速が一八・五%で、そのほとんどがディーゼル車なんですね。国は、住民の身体権を侵す、そういう権利などありません。侵すべきではないというふうに思います。  判決を受けて、関係省庁が、大臣先ほどおっしゃったように、二十一日に、大気汚染対策の強化を検討するという局長クラスの会議を開いて、ここで、ロードプライシングの導入だとか大型ディーゼル車の交通規制などを、三月末をめどに具体的検討を行っていくというふうにされておりますね。  義務に違反しない状態を維持できなければ、判決でも示されておりますように、粒子状物質の排出量が大きいディーゼル車の混入率を制御するということはぜひ必要だと思いますし、大阪—神戸間の通過交通の迂回、他のルートを通るというようなことへ誘導していただいて、市街地への流入を減少させるロードプライシングを取り入れるというようなことなど、排出を差しとめるための思い切った対策を直ちにとるべきではないか、このように思うのですが、いかがでしょうか。
  197. 廣瀬省

    廣瀬政府参考人 五省庁の局長会議を担当した者としてお答えいたします。  その二十一日の会議は、大臣の指示のもとで、早急に開くようにと、そしてその指示の内容は、大型ディーゼル車の交通量の低減ということを具体的にどのようにできるかということを受けまして、具体的な話をしております。  そして、その時点で関係省庁協力してこの問題についてどのように取り組んでいくかということになるわけでございますので、具体的には建設省それから警察庁、そして環境庁という形の中で仕事を進めるという形になるかと思いますが、具体的な取り組みについては、早急に取りまとめて、可能なことから対策を進めてまいりたいというふうに思っております。ロードプライシングもその中で取り上げるという形になります。  具体的にどのような効果を上げるかというのは、効果と対策というのをどのように議論するかということにもよって変わってくるかと思いますが、今先生のおっしゃられたところも頭に置きながら、具体的にディーゼル車をどう迂回させるか、そして粒子状物質をどう少なくできるかということで検討してまいりたいというふうに思っております。
  198. 藤木洋子

    ○藤木委員 今、道路の迂回も考えの中に入っているというふうにおっしゃったように聞こえたんですが、間違いないでしょうか。
  199. 廣瀬省

    廣瀬政府参考人 そのとおりでございます。
  200. 藤木洋子

    ○藤木委員 確かに、現在でも湾岸線の開通で若干減少しているということは出ているんですけれども、しかし、道意線であるとか尼崎宝塚線であるとか、あるいは大物線であるとか、全体としては、道路交通量そのものが減るどころか増加しているわけですよね。ですから、大型車の交通量の大幅な削減、これがぜひとも必要になってくるわけです。  判決では、SPMが一定基準を超えるような汚染状態をもたらさない何らかの措置を求めているわけで、義務の違反とならない具体的な排出抑制の措置が考えられると思います。  例えば、東京都では、二〇〇六年度に都内を走行するすべてのディーゼル車に対して排気ガス浄化装置、DPFですが、この装置を装着するということを義務づける規制案を発表しております。ことしじゅうに都の公害防止条例を全面改正して、二〇〇一年四月には施行し、二〇〇三年四月から段階的に規制を始める方針になっております。  ところで、環境庁は、二月八日に、九八年の中環審答申の単体対策の事実上の見直しとなる、自動車環境対策についての大臣指示というのをお出しになりました。二十二日に、削減目標の達成時期を前倒しするという方針を明らかにされたわけです。しかし、それを拝見いたしますと、二〇〇七年の長期目標の達成時期を一、二年前倒しするということになっておりますね。しかも、対象になるのは新車だけということになっております。  国としても、ディーゼル車のSPM排出削減の目標をさらに前倒しして、今、一、二年とおっしゃったのをさらに前倒しをして、DPFの装着義務づけであるとか、ディーゼル車の排ガス規制をガソリン車の規制値に統一をして一本化するというようなことをやって、ディーゼル車の排ガス規制を抜本的に強化するということが求められていると思うのですが、いかがでしょうか。
  201. 廣瀬省

    廣瀬政府参考人 平成十九年を目途とするディーゼル車の排出規制強化、少しでも早くということで、大臣が先頭になりまして、自動車工業会と石油連盟にお願いしたというのは、二つのことがそろわないと具体的に規制強化ができない。平成十四年から十六年の規制値のところを半減するというのが十九年ごろということでございますが、そのためには、具体的な二つ、硫黄分の低減ということとエンジンそのものの問題、それからもう一つは、トラップと言いまして、DPFと同じような形で、新しい技術というのをどう導入するかという形になっております。そのための一つの作業がございますということで、そういう意味では、十四年、十五年という形の中で十九年という論理ですが、技術開発のタームを、時間を考えてみますと、今することによってどのくらいまでいけるかということになるかと思っていますが、その辺のことは、大臣の指示のとおり、積極的にこの仕事を進めてまいりたいというふうには思っております。  それから、その間の問題でございますが、その十九年を前倒しにするにしても、なおその前の期間がございますが、DPFは、先ほどから申されていると思いますが、技術開発の中で耐久性と価格の問題がございますが、それについては、先ほど大臣からもお話しされていると思いますが、東京都それから運輸省とを含めて早急に検討して、その性能について考えていかなければいけないというふうに思っています。  ただ、これについても、短期間の研究の中という形がございますが、なお使用していく過程の中で、三年とかという期間が十分とられないと評価ができない部分もあるか。要するに、ばいじんの部分だけを取っていくという技術だけであれば、エンジンとの関係も含めたときに、いろいろ問題が出てきます。そういう意味では、技術評価を行った上で、具体的にどういう対策をとっていくかということを考えてまいりたいというふうに思っております。  それから、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンということで、同一基準をという考え方がございますが、構造的にそれぞれ排出物質の種類とその量が異なるということになります。それから、ディーゼルエンジンは、耐久性があって、力があって、大きい荷物をたくさん運べるということと、ガソリン車の中での乗用車並みの力のつき方ということでは、エンジンのそれぞれ持っている特性が違います。  そういうことを踏まえたときに、排出ガス規制値の設定に当たっては、やはり中央環境審議会でメーカーのヒアリングを実施して技術評価を行うということが必要になります。そして、車種別に技術的に最も厳しい値を定めて実施していくということになるかと思っていますが、そのときの問題として、技術をどのくらい見きわめていくか、それから世界の中でのリーダー的な技術をどのように開発させていくのかということとあわせて、基本的には、大気環境をどう守っていけるのかというところをあわせて考えていかなければならない。その辺のところになりますと、かなり厳しい条件が課せられますが、現在、CRTという技術のことについても、平成十一年の第二次補正でとっておりまして、その辺の技術もあわせて仕事を進めることによって、かなり的確な形で物が見えてくるのではないかというふうに思っております。  そういうことで、環境庁といたしましては、大臣の指示のもとで、しっかりした形で、大気環境を守りながら、自動車の技術開発が進むような形で、それから世界に冠たる自動車ができるような形で、規制値というのを取り決めてまいりたいというふうに思っております。
  202. 藤木洋子

    ○藤木委員 技術開発が進まなければできないように受け取れるんですね。それを待っていていいのかという問題がありますね。例えば、DPFの技術問題があったとしても、まずディーゼル車対策としてのDPFの導入を決めて進めながら、技術的にクリアするための開発というものを一方で急がせていくということを両輪でやらなければならないのじゃないかというふうに思うんです。  大臣にもちょっとお考えを伺っておきたいと思うんですけれども、減らすというのは新車だけではだめだと思うんです。今走っている車の規制をしなければ効果が上がらないのではないかと思うのですけれども、その点はどうでしょうか。
  203. 清水嘉与子

    清水国務大臣 先ほど来DPFを義務づけることに対していろいろ御議論があるわけでございますけれども、今の段階で、これは非常に高価なものでございますね、それを全部に義務づけることが本当にできるかどうかという問題もございます。そしてまた、今本当に、かなり効果は期待できるだろうと言っているけれども、実は欧米ではもう次の技術を進めているわけですね、CRTと申しましたけれども、そういったものを進めているという段階でございますので、まず本当に普及できる、もちろんいいものを確認して普及できる立場をつくらなければいけないと思いますけれども、今すぐ今のままでするということについてはちょっとまだためらいがあります。
  204. 藤木洋子

    ○藤木委員 しかし、私はできることから、それは、アメリカなどの開発が新しいものを生み出していくというのも、今使ったものに対するダメージだとかでデメリットだとか、そういうことから新しい技術が開発されていくわけですから、今の時点で最高だと思うものをまず使う、そしてよりよいものにしていくということは避けて通れないというふうに思います。  また、判決で排出の差しとめを命令されたSPM〇・一五ミリグラムを超えて身体的な侵害をしている地点というのが、九八年度の自動車排ガス測定局でのSPMの日平均値を見ますと、多いところで、埼玉県大宮市の三橋で〇・二〇五ミリグラム、大田区の松原橋で〇・一八八ミリグラム、それから板橋区の中山道大和、ここで〇・一八〇ミリグラムなどとなっておりまして、全国で実に百一カ所に上っていて、これは緊急の対策が求められているというふうに思うわけです。  全国でSPM〇・一五ミリグラムを超える箇所について、汚染実態をきちんと調査をして、車線の制限を行うとか、大型ディーゼル車の通行規制を行うとか、自動車通行量の総量規制を行うというようなことなど、汚染を低減する緊急の対策を図る必要があるというふうに考えますけれども環境庁のお考えはどうでしょうか。参考人にお答えいただきたいと思います。
  205. 廣瀬省

    廣瀬政府参考人 全国の大気汚染状況については、毎年全国の地方自治体が行った大気汚染の常時監視の結果を環境庁で取りまとめております。それで、先生のおっしゃるような状況にあるということで把握をしてございます。  自動車に起因する大気汚染問題に対処するために、具体的に、先ほど申した自動車単体の排出ガスの規制ということ、それから低公害車の普及ということ、それから交通量の抑制という問題、それから交通の流れの分散それから円滑化等を総合的に推進するという気持ちでおりますし、これが重要問題というふうに思っていますが、首都圏、近畿圏の六都府県の特定地域を対象とします自動車NOx法に基づく総量削減計画においても、関係省庁地方公共団体と連携をとりつつ、この施策を総合的に行っているところでございます。これはNOxのみならず、具体的に、交通量とか交通流の全体を考えれば、PMの削減にも効果があるわけでございます。  現在、昨年四月に設置しました自動車NOx総量削減方策検討会において点検と評価を行っていただいております。粒子状物質の低減にも留意して、自動車NOx対策の充実強化ということで検討してまいりたい。そして、この検討は、三月末には具体的に考え方を研究会で出していただきまして、その後、中央環境審議会の中で議論していただきたいというふうに思っております。
  206. 藤木洋子

    ○藤木委員 私もそれを待たせていただきたいとは思います。  今いろいろおっしゃいましたけれども、重ねて申し上げたいと思うんですが、国民の安全と健康にこたえるためにも、SPMの環境基準を欧米並みに強化をするということは急いでやらなければならないことだというふうに思いますね。また、おくれたDEPの調査研究を急ぐことも必要でございますし、早急にPM二・五の環境基準を期限を明らかにして設定していくということが求められていると思います。  ところで、環境庁は二〇〇〇年に首都圏、今おっしゃいました六カ所でPM二・五の詳細連続測定ということを行うというふうに伺っております。そこで、ぜひここも選定していただきたいと思うのですが、尼崎地域四十三号線沿道、阪神高速等の立体交差地点、それから大型車混入率三〇%地点などの高濃度汚染地域をPM二・五の連続測定地域にぜひ選定していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  207. 廣瀬省

    廣瀬政府参考人 環境庁で具体的にPM二・五の連続測定技術が確立してきているということを踏まえまして、今年度五カ所で測定をしたいというふうに考えております。これはあくまでも試験的な考え方でございまして、測定技術の評価、機械の安定度、SPMデータとの比較ということで、PM二・五とSPMデータとの比較、それから粒径、粒の大きさの分布の調査ということを頭に置いております。  そして、そういう調査目的がございますので、具体的に申すと、大都市、中小都市、それからバックグラウンドということでさまざまなタイプでの測定を行う必要があると考えております。  このうちで、大都市の測定場所として、尼崎訴訟の原告団との話し合いがございましたが、その中でも先生と同じように要請がございました。そういう要請を踏まえまして、国設の尼崎大気環境測定所を選定しまして、具体的に手続を進めてまいりたい。そして、データを集めて機械の安定を図ってまいりたい。  その後の問題としての考え方になるかとは思いますが、とりあえず今年度は早急にそういう形での体制固めをし、全国的にこの機械を設置していくような形をとってまいりたいというふうに思います。
  208. 藤木洋子

    ○藤木委員 それをぜひ選定していただきたいというふうに思いますが、私、実際現場ですべての測定地を一つ一つ見てまいりました。そうしましたら、交差点に設置をされた測定所というのはたった一カ所なんですね。しかもその測定場所も不適切な場所になっているというふうに思わなければならないような場面がたくさんございましたし、国や公団の測定体制の不備が原因で、言ってみれば尼崎の汚染実態が正確に把握されていないだけではないか、そういう思いさえしたわけです。環境庁は、平均値で判断をしておられますけれども、実際に私が見たときはもっともっと高い数値を示しておりました。ぜひ選定していただいて、正しい調査が進められるようにお願いしたいというふうに思います。  それから、自動車NOx法での、二〇〇〇年度中におおむね達成、この目標は絶望的になってきておりますね。こういう状況の中で、神戸地裁の判決は、八八年の公健法の指定解除の誤りを改めて浮き彫りにしたというふうに私は思うわけです。今なおそういう汚染状況があるということですね。  九九年の三月二十七日に、第十八回日本環境会議名古屋大会というのがございまして、ここでも決議をされているところでございますけれども、やはり今国民の健康被害の元凶ともなっているSPM、特にDEPやNO2、これを大気汚染指標といたしまして、幹線道路沿道など高濃度汚染地域というのを速やかに公害指定地域に再指定を実施するということが大事ではなかろうかというふうに私は思っているわけです。  それからいま一つは、公害患者が今までの方だけではなくて新しく出ているわけですから、新規認定を再開していただきたいということを考えておりますが、大臣、その点はいかがでしょうか。
  209. 清水嘉与子

    清水国務大臣 先生指摘のように、ぜんそく等の疾患というのは、大気汚染だけでなくてさまざまな原因で発症してくるということがもうわかっているわけでございますけれども、昭和六十一年の中央公害対策審議会の答申におきまして、我が国の大気汚染は、ぜんそく等の疾病の主たる原因をなすものと考えられないという答申が出されているわけでございまして、一部の幹線道路沿道等も含め、現行指定地域のすべてを解除することが相当であるという答申がされたことは、先生も十分御承知のとおりだと思います。  当時、五十年代の後半くらいの大気汚染状況だったわけですけれども、その状況と現在の大気汚染の状況を比べてみまして、決して今基本的に変わりないわけでございまして、第一種地域の再指定が必要とは私は今考えておりません。したがいまして、新規の認定を行う気持ちはございません。
  210. 藤木洋子

    ○藤木委員 時間ではございますけれども、そうじゃないんですね。自治体補助の公害患者というのは減っていないんですよ。まだふえているんですよ。それと、今度の判決でも、とにかくそういうSPMの物質のあるところ、その場所に一年六カ月以上住んでいれば暴露されて発症するという因果関係があるということを言っているわけですし、住んでいなくても、通勤によって一日八時間以上暴露するというようなことが一年半以上続けば発症するという因果関係が認められるというふうに言っているわけですから、私は、ぜひそれは再考していただきたいということを強く要望させていただいて、もう時間が過ぎましたので、これで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  211. 細川律夫

    細川委員長 次に、中川智子さん。
  212. 中川智子

    ○中川(智)委員 社会民主党市民連合の中川智子です。きょうは、長官、次官、環境委員会できっちりと、土井たか子党首のかわりじゃないですけれども、今度委員になりましたので、よろしくお願いいたします。  来年は環境庁も省になりまして、本当に意気込み、並々ならぬものが長官にもおありだと思います。私は厚生委員会にも属しておりますが、少子化問題というのが非常に深刻で、いろいろ友人たちと話しておりますと、やはりその心配事は、単に社会保障とか教育とかいうことに限らず、日本環境そのものに対して不安が募っている。ダイオキシンの問題もそうですが、さまざまなところで、ダイオキシンも色がついていないものですから、どこにどういうふうに不安があるかということじゃなくて、漠然とした不安があるということで、環境庁のお役目というのは重大なものがあると思って、私は非常に期待しております。日ごろから本当に環境庁には物すごい期待をしておりますので、期待を込めた質問をまずさせていただきます。  最初に、私も兵庫県の宝塚に住んでおりまして、大阪府の能勢町が本当に近くにございます。私も能勢のお野菜というのを随分前からいただいていて、能勢のあのダイオキシンの問題があったときに、人ごとではございませんでした。環境庁はことしも予算をたくさんつけていただいて、全国的にダイオキシンの汚染に対して取り組んでいこうということは非常に伝わってくるんですけれども、今回、二、三日前の新聞も、和歌山県の橋本の高濃度のダイオキシンの問題が出ました。  能勢、橋本、ここはなぜこういうふうに社会問題化したかといいますと、地域市民の人たちが、日ごろから、やはり何か体の調子もおかしいし、変なにおいがしてくるし、何だか大変そうだということで、そういう地域運動、市民運動、環境への市民運動というのは物すごい広がりを見せておりますが、そういう運動があって、そして発覚する。それから問題になって、マスコミも取り上げて、そして行政が後追いする。  環境の問題というのは今市民主導で、行政の方が後から追っていくというのが極めて悲しい。こうじゃなくて、やはりあそこに問題があるとかいうことをまず行政が察知して、そして先導して市民の不安を解消していくというふうな姿になるのが、本来健康と環境を守っていく行政の、私どもの立法府でもそうですけれども、しっかりとした仕事なんだと思うんですね。  そこで、まず最初に、このように問題が発覚してくる前にぜひともそのような手を打つためにも、全国の一廃や産廃施設の周辺のいわゆる汚染実態調査というのが必要ではないか、改めてそのような実態調査ということをやっていただきたいという希望があるのですが、長官はどのようにお考えでしょうか。これはもう長官の思いで。
  213. 清水嘉与子

    清水国務大臣 先生本当にお近くに住んでいらしてよくわかっていらっしゃる御質問だというふうに思います。  ダイオキシンの問題、大変国民皆様方に御不安を与えているわけでございますけれども、昨年つくられましたダイオキシン類対策特別措置法、これが一月に施行されました。これに基づきまして、それぞれ大気、水、土壌の環境基準がつくられたわけでございますけれども、土壌のダイオキシン、こういったものを具体的に把握する仕掛けができたわけですね、これによって。都道府県知事が常時監視するということになっております。  そういうことでございますので、この常時監視におきまして、一般廃棄物あるいは産業廃棄物施設、そして焼却施設など、あるいはその発生源の周囲におきましても土壌の調査がきちんとできるようになったということでございまして、環境庁といたしましても、常時監視を都道府県が行うその調査に対しまして、十二年度から財政的な支援を行うということになったわけでございます。
  214. 中川智子

    ○中川(智)委員 都道府県のそのような監視、それに対して国のリーダーシップというのを発揮していただきたいと心からお願いいたします。  これは具体の問題になるのですけれども、能勢で今、土壌の無害化のプラントをつくるということで、環境庁土壌課の課長さんも三度にわたって能勢を訪れていただいて、住民の人たちの合意をしっかりとろうということで御努力いただいております。  しかし、能勢の方は、まあ国への不信、町がつくっている施設組合がデータを隠ぺいしたり、いろいろなことがございました。そのような不信の中で、そのプラントを能勢につくるということに対しては、能勢にあれだけの高濃度の土壌が山積みされているわけですから、それはある程度仕方がないという思いはありますが、やはりそのイメージなりなんなりということに対して住民の全体的な合意がまだ得られていないように聞いています。  しかし、これも地元の方の管理者の方が出したペーパーなんですが、これはほんの一週間ほど前に出されたペーパーの中で、「今年度中に環境庁の実証調査や厚生省の補助事業に一定の目処がつかなければ施設組合の単独事業、」だから町で単独事業にしていかなければいけない、「ひいては能勢・豊能両町の単独事業で取り組まざるを得ず、両町の財政破綻を来すことも否定できません。」と言って、今年度中に結論を出さなければもう国に見放されるんだよというようなペーパーが住民に配られまして、でも今年度中というと本当にもう時間がございません。  住民合意というのがまず基本だということで、環境庁の方もちゃんと認識されていると思うのですけれども、もしも地元の合意が来年度に延びた場合には、これは実証試験はやらないのかどうか。来年度でもやるというふうに私どもは考えていたのですが、そこについての環境庁長官の御認識を伺いたいと思います。
  215. 清水嘉与子

    清水国務大臣 今の御指摘でございますけれども、あれだけの高濃度の土壌を何とかやはり浄化したいというふうな気持ちを私ども持っているわけでございますけれども、なかなか先生指摘のように住民の方々に十分御理解いただけない状況になっているのも事実でございます。  そこで、あのままにしておいたのではやはり困るわけでございますので、何とか御理解いただけるような努力をずっとこれまでもしてまいりましたし、これからもしてまいります。そして、御理解をいただいた段階で、ぜひそのことをやらせていただきたいと思っていまして、これは別に今年度中でなくても、来年度になりましてもそれはいたします。
  216. 中川智子

    ○中川(智)委員 ありがとうございます。また二次的な、能勢の人たちの不安が本当に解消されて、その次の段階へのステップをぜひとも踏んでいただきたいと思います。では、来年度中でもいいということで、ありがとうございました。  続きまして、ダイオキシンに関連するのですけれども、今回ダイオキシン対策措置法ができましたが、その中で、私は何度も質問でも繰り返し述べましたけれども、食品に対しての基準がない、食品のところがすぽっと抜け落ちているというところが一つ不安です。  これは厚生省の管轄になりますので、厚生省の方の参考人の方から伺いたいのですが、食品の問題がとても心配だということはずっと繰り返し述べられているところで、ぜひとも見直しのときには食品を入れていただきたいと思いますし、また母乳などは、すべて食べ物から取り込んだものから母乳というのは出ていきます。食品について、ダイオキシンの今後の厚生省の考えというのをお聞かせいただきたいと思います。
  217. 西本至

    西本政府参考人 食品中のダイオキシンの問題でございますが、私ども厚生省といたしましては、従来から、この実態調査あるいは健康への影響に対する調査研究を進めますとともに、食品中ダイオキシンの検査方法に関する研究、あるいは検査体制の整備等を進めてまいったところでございます。これらにつきましては、今後とも引き続き対策を進めてまいりたいと考えております。  それから、ダイオキシンの問題に関しまして、国民皆様方の不安を解消していくために、最新の研究成果あるいは調査に関する正確な情報を国民皆様方に伝えていくことが極めて重要であるという認識に立っております。私どもといたしましては、今後とも、国民にわかりやすい形での情報提供によりまして不安解消に努めてまいりたいと考えております。
  218. 中川智子

    ○中川(智)委員 特に海、川ですね。魚介類などの心配というのがあるのですけれども、その調査というのが大体どれぐらいのスパンで行われていて、食品の基準というのを将来的にきっちりとこのダイオキシン措置法の中に入れ込んでいくおつもりがあるのかどうかというところを伺いたいと思いますが、いかがでしょう。
  219. 西本至

    西本政府参考人 食品からのダイオキシン類の摂取量の問題でございますが、平成十年度の統計でございますが、一日摂取量調査では、我が国の平均的な数字といたしまして、体重一キログラム当たり一日につき約二・〇ピコグラムと推定されております。これに大気や土壌からの摂取量を含めた場合では約二・一ピコグラムとなるわけでございます。この数値は、生涯とり続けましても健康に影響がないと考えられるダイオキシン類のいわゆる耐容一日摂取量、四ピコグラムでございまして、これを現在は下回っておるということであります。  現状のダイオキシン摂取レベルでは健康影響が生じることは考えにくいということでございますので、個別の食品につきましてダイオキシンの基準を設定していくということは、現在考えておらないということでございます。
  220. 中川智子

    ○中川(智)委員 直ちに健康被害がないというふうな答弁がずっと長いこと続いているのですけれども、やはり最近の環境破壊の中で、食べ物に対してはもう少し積極的に基準を決めて、それに基づいた調査研究をおやりになっていただきたい、これは要望として伝えておきます。  労働省の方にも来ていただいているのですが、今回、能勢の場合もそうでした、そこで働いていらっしゃる方のダイオキシンの被曝の基準というのがございません。例えば放射線の場合ですと、原発で働く労働者の被曝量というのはきっちりとチェックしながら、ここだということが決められていて、先般のジェー・シー・オーの事故の場合でも、高濃度の被曝の方たちにはきっちりとそのような対策が組めるわけですが、ダイオキシンの場合は、今のところ一切その基準がありませんが、また能勢でも高濃度を暴露した人たちについての対策というのがとられておりません。  労働省は、このダイオキシンの暴露量に対して労働者の基準というのをきっちり決めて、そこで働く人たちの健康管理、そして事故に遭った後の対策というのがどのようになっているのか、またどうしていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  221. 野寺康幸

    ○野寺政府参考人 労働者に対する基準がないというお話でございますが、事実は少し違いまして、平成十一年の三月、ダイオキシン対策関係閣僚会議におきまして、先生御案内のとおり、ダイオキシン対策推進基本指針というものが定められております。  これに基づきまして、十一年の十二月にダイオキシン類による健康障害防止のための対策要綱というものを私ども策定いたしまして、関係業者等に、呼吸用保護具あるいは労働衛生教育といったようなことを十分実施するように措置を講じてございます。この対策要綱の中で、作業環境におきますダイオキシン類の濃度基準を一立方当たり二・五ピコグラムというふうに定めておりまして、これに基づきまして指導を開始している状況でございます。  また、その後、健康障害を仮に引き起こされたというような場合には、形としては労災請求という形で上がってくるわけでございますが、作業内容、暴露量等発症の経過等についても十分調査をいたしまして、仮にそれが業務上ということになりますと労災保険が出るということになるわけでございます。
  222. 中川智子

    ○中川(智)委員 そうしたら、労災の問題は能勢の方たちには具体的にどのような形で、そしてお一人お一人の健康被害に対するその後の労働省の見解というのをお聞かせください。
  223. 野寺康幸

    ○野寺政府参考人 能勢のごみ焼却施設におきまして就労されておられました二名の方が、ダイオキシンに被曝したということで健康障害が起こったという趣旨の労災請求がなされております。  この因果関係等々については、非常に専門家の判断が要るということになっておりまして、現在、高度な専門的な知識を持っておられる専門家の検討を遂行中でございます。この検討の結果を尊重いたしまして、そして判断を下すという状況です。
  224. 中川智子

    ○中川(智)委員 能勢の問題は、おととしそのようなことが出ました。お一人の方はもうがんに罹患されていますね。そしてもう一人の方は全身にダイオキシン特有の発疹が出ていらっしゃいまして、日々不安を抱えていらっしゃいます。  おととし被曝したという事実があって、現在的にまだその調査研究というのは余りに時間がかかり過ぎると思いますけれども、いつごろまでにその結果が出、労働省としてはそれに対してどういうふうに取り組んでいこうとしていらっしゃるのか、きっちりしたお答えをお願いいたします。
  225. 野寺康幸

    ○野寺政府参考人 研究というようなことではなくて、具体的に、当該二名の方の申請されました症状とその方の置かれました作業環境の因果関係を調べているという問題でございます。  ただ、その中に医学的な専門知識を要する判断がございますので、そういう意味で専門家の判断を中心にしながら、最終的には業務上の判定をするということでございますが、できるだけ早く結論を出したいというふうに思っております。
  226. 中川智子

    ○中川(智)委員 今因果関係とおっしゃいましたけれども、あそこで働いていて、私、この間も能勢へ行ってきましたけれども、防毒マスクをつけて入らなければいけないから、準備にすごい時間がかかるから入れないぐらいでしたが、その前に行ったときには、このままでぱっぱと入れたのですね。あの方たちはランニングみたいなもので、そして素手で、マスクもしないでしていた状況の中で、あれだけの高濃度というのが後からわかって、因果関係云々というのを今さらおっしゃるというのは、何だか信じられないのですけれども、本当にこれは深刻です。  またいつどこであるかわからないということを抱えていますので、労働省としては、そういうふうに何かの因果関係待ちとか、そのような後ろ向き、言ってみれば本当に後ろ向きで、その人たちの苦悩、苦痛ということを人ごとみたいに思っていらっしゃるようですが、早急に、そしてしっかりと納得できて、もしもほかにあったときに、すぐに能勢のことが教訓になって、働いている方たちの不安が解消されますように、よろしくお願いいたします。うなずいてくださればいいです。
  227. 野寺康幸

    ○野寺政府参考人 お二人の方が申請されておりますのは、例えばがんということを申請されておりますけれども、私どもの労災保険というのは、労災保険を出すかどうかという問題ですから、その作業環境で働いていたことと申請されたがんの間に因果関係があるか、因果関係がなければこれは労災保険の対象になりません、残念ながら。  そういう意味で、できるだけ専門家を動員しながら、早い正確な判断を現在やっているということでございますので、もう少しお時間をいただきたいということでございます。
  228. 中川智子

    ○中川(智)委員 ちょっとその辺で立ちどまって、ちょっと待っていていただきたいのですが、労働省がおっしゃる因果関係とはどういうことですか。ちょっとおっしゃってください。
  229. 野寺康幸

    ○野寺政府参考人 労災保険というのは、これは使用者の責任において、結局使用者が全額負担してその損害に対して払うという保険なわけでございます。したがって、その結果について使用者の責任があるということが前提になります。  したがって、この場合に即して言いますと、この作業環境の中で働いていた、それが原因になって申請されておりますようながんが例えば発生したということが証明できる必要があるわけです。両方が関係なければ労災保険の対象になりませんので、そこを現在検討している、こういうことでございます。
  230. 中川智子

    ○中川(智)委員 これ以上聞いてもちょっと水かけ論だと思いますので、そこのことに関してはまた後ほどきっちりと、私、理解がちょっとできない、当たり前のことを何でそういうふうに言わなきゃいけないのかというふうに思います。  続きまして、和歌山県の橋本のことで、柳本次官、先ほどごあいさつをいただいて、ぜひとも質問をさせていただきたいと急遽お願いしたいのですが、これも私は、去年、おととしになりますか、橋本の方たちがいらして、たくさんの写真を見せていただきました。夜でも産廃の谷全体がめらめらと炎があちこちに見えるほどひどい状態がずっと放置されて、やっと県が撤去命令というか判断を下したわけですが、きのう県からの説明会が住民の方たちに対してあったそうです。  そこで、これは能勢の場合とちょっと事情が違って、能勢の場合は平場のところで汚染されたのですが、一つの谷全体に産廃、廃棄物があって、それをどうにかどけてほしい、これからも調査して云々かんぬんじゃなくて、はっきりそこがすべての元凶だということがわかっているので、早くそれをどけて自分たちの環境を回復してほしいという思いは切々たるものがございます。  でも、県の説明会では、それをこれから調査するということだったらしいのですが、調査したらまたお金もかかりますし、人もかかるし、時間もかかる。住民の人たちは、これをやはり環境庁の主導のもとで早急に撤去してほしいという声が強いのですが、環境庁は、和歌山県の橋本の産廃のあそこの場所に対してどのようにお考えで、どうしていこうとしていらっしゃるのか、お聞かせください。
  231. 柳本卓治

    柳本政務次官 中川先生と私も同じ関西の出身でございまして、先ほどの能勢の問題につきましても、実は私も現地に行かせていただきまして、能勢の町長や議会の方々、住民の方ともお話をさせていただきました。  やはりこういう問題というのは、地域住民の不安を払拭する、安心な気持ちで生活をしてくれる、そういう思いというのは先生のお気持ちと私の気持ちも同じでございますし、そういう方向で努力をしていかなきゃならない。  私は個人的には、能勢の問題は環境庁としては、実証試験で十二分に対応できる能力のある方法で対処したいという気持ちがございますので、何とか地域住民皆様方に御理解をしていただけるような、そういう形で町や府が努力をしていかなければならない問題だと考えております。  さて、橋本の件でございますけれども、この件につきましても、非常に大きな報告があって唖然としたところでございます。県の報告でも、焼却炉内の汚泥から一グラム当たり二十五万ピコグラム、焼却炉周辺の土壌から最高で一グラム当たり十万ピコグラムというダイオキシンが検出された、本当に大変なことでありますが、県としてはこうした事態を受けて、応急措置として、汚染地区への立入禁止や周辺環境調査等の措置をとるとともに、現地で廃棄物の処理を行っていた事業者に対し、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく汚染物の除去等の措置命令を講ずる予定と承知しております。  しかし、環境庁では、これまでも周辺環境調査の方法等について県の相談に応じてきたところですが、今後とも、汚染範囲確定のための詳細調査の方法や汚染土壌の浄化手法等について、必要な技術的支援に努めていきたいと思っております。  それで、技術的助言の内容でございますけれども、例えば、対策範囲を確定するための土壌調査の方法とか、汚染土壌の飛散防止等の応急対策の方法とか、封じ込めや土壌浄化など恒久対策手法の選定等を考えております。  以上でございます。
  232. 中川智子

    ○中川(智)委員 橋本の方は豊島と同じような状況になってしまったと思うんですよね。やはりかなり健康被害ももう出ているわけで、そこにむやみな時間とか、むだなと言ったら語弊がありますけれども、今さら調査したって、どんどんいろいろな、怖い怖い、これは大変だというのが出てくると思うので、一刻も早い撤去というのを県の方にぜひとも指導を、国の方もしていただきたい。今後とも、より深くかかわってともに力を合わせて、不安を取り除いて、あそこの場所を浄化していただきたいと思いますので、よろしく。ではもう一度お願いします。
  233. 柳本卓治

    柳本政務次官 先生の思いと同じでございますので、最大限の善処をさせていただきたいと思います。
  234. 中川智子

    ○中川(智)委員 今、次官のあれで、能勢は町長さんたちとお話ししたとおっしゃいましたが、私、何回行っても町長には逃げられて、やはり与党と野党とは対応が違うんだなと思って、本当にちょっと寂しい限りでございますが、そういうふうな状況があります。でも、本当にどうして西の方ばかりに、所沢は東ですが、西にこういうことが多いので、環境問題はやはりみんなでしっかりと、後手後手に回らないようにしていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。  最後に、もう一点質問させていただきます。  先ほど藤木委員も御質問になりましたが、尼崎も私、隣町でございまして、よく四十三号線を自分も走ったりしていまして、低公害車というのも考えなきゃいけないと思っておりますが、今回の判決の中では、いわゆる浮遊粒子状物質のことが大きく取り上げられまして、地元の方たちの不安の一つは、やはりNOx、二酸化窒素の方には一切今回は触れられていなかった。でも、結局、二酸化窒素がこれでちょっと影が薄くなるのではなくて、しっかりとした取り組みをしていただきたいというのが切なる思いです。  それで、一つ、二つ目は藤木委員のと重複いたしますので、最後のところでもう一歩踏み込んで、地元の人たちがおっしゃるには、測定局の設置場所、これが何か自治体できっちり決まっていない、この辺に置いていて値が低くなるのがわかっているのにどうしてこういうところに設置するのかというところで、設置場所に対する疑問というのが結構出されています。だから、実際の汚染よりも低い値が検出されているんじゃないかということなんですけれども、この設置場所についてどのようにお考えなのかということを伺いたいと思います。
  235. 廣瀬省

    廣瀬政府参考人 お答えいたします。  昨年そのことがありまして、私も行って現場を見てきました。そして、測定の問題についていろいろと御意見をお伺いしてきました。そして、この前の原告団との話し合いのときにもその話が出ました。  そのときに、私の方としては、現在の形でどうかということがあるんですが、先ほどから話がされていますが、現在、学識経験者で構成された自動車排出ガス測定局適正配置検討会という形で議論されて、具体的な設置場所の考え方等の指針を御議論いただいておるわけですが、担当者を現場に派遣して見ていただくということを原告団に約束しておりますので、まず見てから、それを検討会に報告させた上で検討してまいりたいというふうに思っております。
  236. 中川智子

    ○中川(智)委員 時間になりました。  最後にちょっと、能勢でもう一点お願い事がありますが、今回のプラントの予定地というのが、府立の農業高等学校のすぐ横なんですね、隣接して。それは、自治体の方がそこを指定したというふうに国の方ではお思いですし、事実そうなんですけれども、結局、昼間稼働するプラントが、高校生たちが農場で実験したりいろいろ農作業をしたりする場所の本当に十メートルぐらいしか離れていない場所にプラントの建設予定地となっています。ですから、そこの場所も自治体にはもう一度再考してほしいということを地元の人たちは言っているんですけれども、そこのところも動きません。  やはり、高校生たち、非常に大事な時期に、二次汚染がないといっても不安がございまして、学校関係者の方からたくさんの不安の声が上がっております。そこもお含みいただいて、ぜひとも今後プラントに関しては地元住民の同意をしっかり得るような御努力を続けていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  237. 細川律夫

    細川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時十七分散会