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2000-05-12 第147回国会 衆議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年五月十二日(金曜日)     午前九時三十分開議  出席委員    委員長 井奥 貞雄君    理事 伊藤 公介君 理事 河野 太郎君    理事 森山 眞弓君 理事 玄葉光一郎君    理事 藤田 幸久君 理事 赤松 正雄君    理事 松本 善明君       飯島 忠義君    木村  勉君       桜井 郁三君    櫻内 義雄君       鈴木 俊一君    戸井田 徹君       中野 正志君    山口 泰明君       山中あき子君    上原 康助君       坂口  力君    丸谷 佳織君       古堅 実吉君    江崎 鐵磨君       達増 拓也君    藤井 裕久君       伊藤  茂君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    防衛政務次官       依田 智治君    外務政務次官       江崎 鐵磨君    外務政務次官       山本 一太君    政府参考人    (防衛施設庁長官)    大森 敬治君    外務委員会専門員     黒川 祐次君     ————————————— 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   小川  元君     鈴木 俊一君   嘉数 知賢君     中野 正志君   阪上 善秀君     桜井 郁三君 同日  辞任         補欠選任   桜井 郁三君     阪上 善秀君   鈴木 俊一君     小川  元君   中野 正志君     嘉数 知賢君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  国際情勢に関する件     午前九時三十分開議      ————◇—————
  2. 井奥貞雄

    井奥委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として、委員伊藤公介君、上原康助君及び古堅実吉君の質疑に際し、それぞれ防衛施設庁長官大森敬治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 井奥貞雄

    井奥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 井奥貞雄

    井奥委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤公介君。
  5. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 ことしは長い連休がございました。ゴールデンウイークを活用されて総理外務大臣国際外交を展開されまして、大変御苦労さまでした。  私は、先週の質問でちょっとやり残した問題がありますので、冒頭にその問題を質問申し上げて、限られた時間の中で、基本的には二問ぐらいの質問をいたします。  私は、今は予算委員会を中心として活動させていただいていますが、十年近く外務委員会で仕事をさせていただいてきました。今ちょっと振り返ってみますと、歴代の外務大臣、印象に残るいろいろな局面があります。  私がまだ国会に出てきたころ、園田外務大臣質疑をいたしました。私は、外務大臣質問をするたびにニュースになる、つまり、役所の方ではなかなか動かないけれども外務大臣言葉が新しい外交を展開していく。ちょうどそのときは日中国交回復という前夜でございました。福田総理にも私は質問をさせていただきました。  それから、鳩山威一郎外務大臣記憶に残る一人です。鳩山外務大臣記憶に残るというのは、極めて役所言葉に近かった。人柄はとてもいい人だと思いましたけれども、この外務委員会質問をしても、ほとんど、新しいことがなかなか出てこなかったように記憶しているという意味記憶をしています。  それから、渡辺外務大臣。私はたまたまそのとき外務委員長でした。ミッチーの答弁はとても楽しかったし、そして、日本の国の外交をどうするかということが本当にわかりやすく、ああ外務大臣らしいなというふうに思いました。そして、きっとこの人は、いずれ総理になるかもしれないと。  つい最近では小渕外務大臣です。私は予算委員会外務大臣とやりとりをいたしました。クラスノヤルスク、あの日ロ問題でございました。  そういうことを振り返ってみますと、私は、外務大臣ポストというのは大変大事だし、今日、まさに日本外交内政であり、内政はまた外交時代であるということを考えますときに、極めて限られた時間ですから、適切に質問をしたいと思います。  たまたま、私、一九六一年八月十三日にベルリンの壁ができたんですけれども、その翌年、私は学生で、雪の降りしきるベルリンの壁の前に立ちました。その後、二年ほどベルリンで生活したわけですが、正直、私は、自分が生きている間にベルリンの壁が取り除かれるなどとは本当に思いませんでした。  しかし、ベルリンの壁は見事に取り除かれました。当時ベルリン市長でありましたビリー・ブラントさんがやがて首相になって、執拗に東西の交流市民交流を重ねました。そして、そのことが大きな新しい歴史をつくることになった。米ソ冷戦構造がこんな形で形が変わるとは私も思いませんでした。あるいは、アメリカ中国、私が初当選をさせていただいたころの日中国交回復、いずれもそれは時の政治家が新しい歴史を展開してきたと思います。  そういう意味で、森総理本格政権で頑張っていただいて、ポスト森政権に最も近いと言われる河野外務大臣に、歴史一こま一こまを、外務大臣答弁で新しい歴史をぜひつくっていただきたいという気概で、今私はこのマイクの前に立ちました。  そこで、選挙が近いから、余り自分選挙区だというふうに思われると恐縮なんですけれども、実は、前回の質問最後質問しようと思いました多摩弾薬庫の問題であります。  これは、最近、東京都も大変大きな関心を持っておりますが、かつて三木内閣時代からこの問題は、地元では毎年、時の外務大臣防衛庁長官、時には村山総理にも、私も同席をして陳情してきました。もう戦後から五十数年、沖縄基地の問題も後ほど私は質問させていただきますが、見直すべきものは見直す、そしてきちっと守っていかなければならないものは守っていかなければならない、そういう展開をしていくべきだと私は思います。  たまたま数日前の、これは読売新聞だと思いますが、アメリカカリフォルニア大学バークレー校、ここと共催をして外交問題の討議をされた。その中で、アメリカ政治外交は競争と変化を特徴とする、しかし、日本外交はコンセンサスと連続性だ、そして政策の根本的な見直しが日本ではめったに行われない、これが基調講演であります。  だから、変えなければならないもの、そして今は変えられないもの、世界にもそして国内国民にもきちっとアナウンスをしていただきたい、そういう前提で私は質問をするわけであります。  この在日米軍提供施設多摩サービス補助施設も長い間、ここは米軍が今使っているんですけれども、活用しているのはほとんど日本人たちです。これは、アメリカのだれかの名前を使わなければ原則としてできません。そして、百九十八万平米、後楽園球場の四十三倍、しかも、それに隣接をして、国が提供したいわゆる多摩ニュータウン町づくりが広がっています。  実は、この多摩ニュータウンの計画は、かつて河野一郎建設大臣がヘリコプターで東京を飛んで、将来の日本住宅政策が必ず大きな問題になるといって、河野建設大臣のもとで始まったわけでございます。何かの縁だなというふうに思うわけでございます。  私はこの問題を、地元皆さんのいろいろな要望もあります。かつて河野外務大臣にも、たしか村山総理のときだったと思いますが、地元市長さんたちと陳情したこともございました。今どのようにこの施設が活用されているのか、まず防衛施設庁から御答弁をいただきます。
  6. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  米軍多摩サービス補助施設の現状でございますけれども、現在、ゴルフ場施設、またピクニックエリア等レクリエーション施設として使っておりまして、米軍の要員、家族の福利厚生施設になっております。ゴルフ場テニスコートソフトボール場乗馬クラブ及びキャンプ場等に使用されているわけでございまして、米軍側管理基準で運営されております。  具体的にその細部の使用状況は私どもつかんでおりませんけれども、いずれにしましても、米軍管理のもとではございますが、キャンプ場などは、地域の青少年のために、ボーイスカウト活動ですとか子供たちキャンプ、またバードウオッチングなどの社会活動のために開放されて使われているというふうに私ども承知しております。また、ゴルフ場につきましても、やはり米軍管理基準で運営されているわけでございますけれども米軍の方の状況によりましてその地域方々利用もなされているというふうに承知しております。
  7. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 外務大臣お尋ねをいたします。  地元は、多摩市や稲城市もそれから東京都も、これは共同利用し、あるいは返還をいずれはしてもらうということで強い要望がありますが、私は、ぜひ外務大臣に、この東京のど真ん中、しかもニュータウン隣接をしたこの米軍施設を一度直接見ていただきたい。  そして、私は、米軍方々には、返還をしてもそのまま使ってもらっていい。しかし、地元方々もともに使える。隠れて使うんじゃなくて、きちっと使えるようにしたらいい。あそこに広大なキャンプ場もあります。YMCAやYWCAやボーイスカウト、そういう方々があそこを一年に一度とかしか借りられない。もっと地域にある方々と、横田や周辺基地に、日本に住んでいられるアメリカ人たちとが、むしろこのレジャー施設を通じて市民交流あるいは国と国とのいろいろな交流があったらもっといいのではないかというふうに私は思います。  これは、日米合同委員会できちっとそういう話し合いをしなければならないわけでありますが、地元からそういう強い要望がありましたら、合同委員会でもそういうことを話し合いをしていただく用意があるかどうかを外務大臣から伺いたい。  それから、外務大臣現地を一度ぜひごらんをいただきたいというふうに思います。
  8. 河野洋平

    河野国務大臣 日米安保条約が効果的に運用されるためには、日本にある米軍基地あるいはそれに付随するいろいろな施設、そういうものの利用もまたしっかりとできるようになっている必要があると思うのです。  しかし一方で、もう一つ考えなければならないことは、そうした米軍人たち日本人とがよき隣人としておつき合いができるということもまた重要だと思います。よき隣人政策なんということを我々考えて、米軍に対しても、周辺の住民との間の関係をできるだけよく保ってほしい、保つべきであるということを私どもは強く期待をし、そうしたことを時に申し上げているわけでありますが、これは同じように周辺方々にも、米軍人たちとの間の関係はお互いに気持ちのいい関係であってほしいというふうに、これもまた一方で思うわけでございます。  今、伊藤議員からお話がございました幾つかの問題について申し上げれば、この多摩施設については、今施設庁長官からお話がございましたように、米側は、福利厚生施設として非常に重要な施設だという認識を持っておられるようで、全面返還ということを言われても、それはなかなか合意をするところまでいかないと思いますけれども、今議員最後におっしゃったように、地元から個別にいろいろ御要望があれば、その御要望について、まさに日米合同委員会の席上、こちらから話を持ち出すということは十分可能であろうと思います。  これまでも、例えば東京都が道路をつくりたいとか、あるいはこういうことで使用するというようなときには、そういうことは十分可能であったと思いますし、ひとつ個別の問題を御提起いただいて、地元からあるいは地元を代表される方からそういうお話を伺えば、手続として日米合同委員会お話をするという努力はしたいと思います。  それから、現地も、せっかくのお話でございますから、時間を見て、どういう形で行くかということも少し考えなければなりませんが、私なりにこういう状況になっているんだなということを知っておく必要はあると思いますので、現地にいずれかの折を見て行ってみたいというふうに思っております。
  9. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 大変ありがとうございました。  この問題について、日米合同委員会地元要望があれば話し合いをされるというのは、外務大臣が明確に御答弁をいただきました。日本政府としては全く新しい踏み込みをしていただいたということで、大変うれしく思っております。また、外務大臣現地を御視察いただけるというお話もいただきました。そのときは私が同行させていただければと思っておりますが、時間がなくなりましたので、ぜひまたいろいろ要望はさせていただきます。  外務大臣がこの連休利用されて、シンガポール、インドネシア、東ティモール東ティモール日本外相が行かれたのは初めてのことだと思います。アジア皆さんも、来るべき沖縄サミットにはさまざまな要望をされています。また、沖縄サミットが開かれるということに対して、日本の多くの人たちも、当然現地沖縄人たち大変注目をしています。最も注目されているのは、私たちこの外務委員会でことし沖縄を視察させていただきました普天間基地をどうするかという問題であります。  私は、もう時間がありませんから全部まとめて質問をさせていただきますが、十五年間というのは、現地皆さんの声は非常に強いと思います。しかし、冒頭に申し上げましたとおり、十年前には予期しなかった国際情勢が次々と展開されています。ましてこれから十五年後はどのような国際情勢になっているか。あるいは、北東アジア情勢も多分大きく変わっていると思います。また、変えていかなければならないと思います。そういうことを考えれば、私は、今度のこのサミットでは間違いなく、日米首脳外相同士の会合もあると聞いていますから、そこでこの沖縄普天間返還の問題は当然話題にせざるを得ないと思います。そのときにどのような対応をされようとしているのか。  また、この沖縄サミットは、基地の問題を含めて、世界日本が新しい外交を二十一世紀に向かって展開する最もいいサミットだと私は思います。何を世界に向けてこのサミットから発信をするのか。日本を代表する外務大臣として、このサミットでどのようなことを今発信しようとされているのか。そして具体的には、基地の問題についても、どういう時点でテーマとされ、どのような提案をされようとしているのか。  私の個人的な考え方ですから、今申し上げたように十五年間というのはかなり時間があります。だから、十年たったときに、十五年後の、そのときは五年後の基地をどうするかということを日米できちっと話し合いをするというくらいな提案は、このサミット日米首脳会談などではすべきだと私は思いますけれども外務大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  10. 河野洋平

    河野国務大臣 賢明な議員のことですから、御自身の頭の中では整理がついていることだと思いますけれども、G8サミット、八カ国が集まるサミットの場と日米の二国間の会談、これは明らかに性格を異にしているわけでございます。  八カ国、G8サミット日本議長国となって議論をするこの場は、二国間の問題だけを議論するということはなかなか難しい。しかし、他方、このG8にアメリカの大統領がおいでになるわけですから、日米首脳会談も行われるでありましょう。まだ具体的にいつどこでというようなことまで決まっておりませんけれども、しかし、これは行われることは間違いないと思いますので、二国間の問題は二国間の問題として、そうした議論会談の場はあるというふうに思います。  そこは明確に分けておかないと、サミットの中で二国間の問題を論ずるということはなかなか難しいという、そこのところは分けてお考えをいただきたいと思いますが、二国間の問題について、日米首脳がどこで、例えば東京会談があるのか、沖縄会談があるのか、あるいはサミットの前なのか後なのかということはまだ具体的に決まっておりませんので、ここで申し上げられませんけれども、いずれにせよあると思います。  そこでは、相当多岐にわたって日米間にある問題について議論がなされるというふうに思います。普天間の問題も恐らく議題の一つであろうと私は思います。  そこで、それではどういう突っ込んだ話が行えるかということになりますと、きょうの段階ではまだ、例えば首脳会談が一時間と仮に時間がセットされますと、その一時間の中の割り振りでどのくらいの時間をそれに使えるかというような問題も出てまいりますでしょうから、ちょっと詳細はここで、この段階で申し上げるのはどうかと思いますから、御勘弁をいただきたいと思いますが、いずれにしても、話がそれに及ぶであろうということは十分想像できると思います。  その場合には恐らく、これからまだ時間が多少ありますから、どういう整理になるかはわかりませんけれども、現時点で申し上げれば、我々は、昨年の十二月にこの問題についてした閣議決定に従って総理も発言をなさる、あるいは御議論をなさるに違いないというふうに思っているということだけ申し上げたいと思います。
  11. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、私はもちろん、この基地の問題については、一つのやはり日本側からの提案をきちっとすべきだということと、それからサミットにおきましては、このことをぜひ、もう答弁ということにはなりませんが、けさの新聞に、EUでは二〇一〇年までに自然エネルギー利用率を六%から一二%にする。  私は、今回の日本国会では、これほど環境リサイクルの法案が通ったり、今通ろうとしている国会はなかったと思います。原子力の発電の問題や、これから環境の問題は二十一世紀テーマだと思います。日本のODAを、これからは我々はむしろ環境を優先して協力をしていくという明確な国際協力方針を示すべきだということだけ私は提案をしたいと思う。  外務大臣、もし一言だけあればどうぞ。
  12. 河野洋平

    河野国務大臣 伺っておきます。
  13. 伊藤公介

    伊藤(公)委員 ありがとうございました。
  14. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、上原康助君。
  15. 上原康助

    上原委員 民主党の上原です。  まず、委員長を初め与党の皆さんに、外務大臣の御日程の都合で質問順位を変えてもらったことに敬意を表して質問に入りたいと思います。  この間、四月十八日でしたか、安全保障委員会で、外務大臣も御出席のときにPCB問題を取り上げましたので、まずそれからお尋ねをします。  細かいことは申し上げませんが、日本米軍基地内で産出されたPCBをカナダやアメリカ本国、シアトルに運ぼうとしたら拒否されて、また横浜に持ち帰った。こんな理屈の通らぬ話があるかといって、国民は非常にこの件について怒りを持っております。あいた口がふさがらないというのが実態。  そこで、当日、一カ月以内に日本国内から運び出す、しばらく時間をかしてくれということが答弁としてあったわけですが、PCBの搬送問題、その後の経過はどうなっているのかというのが一つ。  それと、日本国内米軍基地から産出されたPCBの量というのは一体どのくらいあるのか。私は、もっと情報開示もすべきだということを厳しく日米間でアメリカ側にも話して、やるべきだ。情報開示は必要があるので、そういう方向で検討させてもらいたい、要点だけ申し上げると大臣の御答弁はそうだったと思うので、この二点についてお答えを願いたいと存じます。
  16. 河野洋平

    河野国務大臣 大変御心配をいただいておりますことを、何とか議員の御指摘にあった作業がなされることを私も期待をしておりまして、今米軍の問題について、最初の御質問でございますから、事実関係をまずひとつ申し上げたいと思います。  五日に、アメリカ国防兵たん支援庁は、現在横浜ノースドックにおいて保管しているPCBを含む廃棄物を、最終的な処理地が決まるまでの措置として、五月十八日までに日本からウェーク島に移送するという発表をいたしました。米側としては、本件廃棄物を近々に上記の方針に従って我が国から再搬出する予定、そういうふうに承知をいたしております。  それから、PCB廃棄物がどのくらいあるかという御質問がその次にございましたが、在日米軍施設・区域に保管されているPCBを含む廃棄物につきましては、現在米側照会しているところでございまして、いまだアメリカ側からの回答に接しておりませんが、在日米軍は、PCBを含む廃棄物管理する場合には、厳格な環境管理基準に基づいて、我が国の一般の保管者と同様に安全かつ適切に保管しているというふうに承知をいたしております。  政府といたしましては、本件につきまして、これまでも鋭意米側照会をしてきたところでありますが、一昨日の午後も、改めて米側に対し、速やかに回答を行うよう申し入れをいたしたところでございます。
  17. 上原康助

    上原委員 どうもまだ釈然としないお答えのようでありますが、マスコミ等報道によりますと、今もお答えがありましたように、PCBを十八日までに太平洋上のウェーク島に移送する、これは間違いないのですか。いつ搬出するのですか。一説にはあしたという話もありますね。  それと、一昨日というから十日ということでしょうね。十日にも米側廃棄物の、有害物質の量がどのくらいあるか照会をしたというわけですが、この照会はどこでやっているのですか。例えば、外務省を通して在日米大使館であるのか、合同委員会とか、どういう機関を通してやっているのか、その点を明確にしてください。
  18. 河野洋平

    河野国務大臣 二つの御指摘がございましたが、最初PCBの搬出の問題でございますが、先ほども答弁申し上げましたように、米側は、五月十八日までに日本からウェーク島に移送する、十八日までにと言っているわけでございます。  確かに、今議員お話しになりましたように、新聞報道等によりますと、幾日か日にちを特定して報道している部分もございますけれども、それは私ども確認をしているわけではございません。しかしながら、確認はいたしておりませんけれども米側は五月十八日までに移送すると言っているわけでございますから、一両日中にそれが行われる可能性もあるというふうに思います。  それからもう一方の、米側に対してどういうふうに申し入れたかという御質問でございますが、先ほど私が申し上げました、一昨日の午後の申し入れは、外務省北米局審議官から在京米大の公使に対して申し入れを行っておりますし、今もちろん、議員からお話し合同委員会を通じて米側情報提供申し入れたという作業もいたしております。さらには、在米日本大使館を通じて、アメリカ国防省に対して情報提供申し入れたという作業もいたしております。
  19. 上原康助

    上原委員 いろいろお尋ねしたいことがありますので、このことに余り時間を割くわけにもまいりませんが、どう考えても、情報開示の問題と外務省なり防衛庁防衛施設庁努力ということに、私はいまいち消極的な面を受けとめざるを得ない。  そこで、情報開示の問題と外務省情報収集、僕は外務省は能力は十分あると見ているんですが、恐らく外務省自体で公表していないんじゃないかと思うんです。  東京アメリカンセンター、九九年の三月に策定されている海外におけるPCBを含む有機物質の量とかそういう議会あるいは国防省が策定している文書はおわかりですか。
  20. 河野洋平

    河野国務大臣 恐らく議員お話しのものは、昨年三月にアメリカ国防省アメリカ議会に対して提出した報告書ではないかと思いますが、これによりますと、日本には約二百二十八トンのPCBを含む廃棄物が保管されている、こういうふうに書かれているということを私ども承知いたしております。  これにつきましても、こうした状況を踏まえまして、私どもアメリカに対して情報提供を求めているわけでございますが、米側からは、現在鋭意調査を行っているところで、調査を終了するまでいましばらくの時間を要する、そういう返事が返ってきております。  議員お話しでございますが、私ども、この問題について、情報開示をためらっているとか情報開示に不熱心であるということは全くございませんので、その点はぜひ御理解をいただきたい。
  21. 上原康助

    上原委員 この米国防総省の議会への報告によりますと、国外製造のPCB廃棄物は一九九九年一月三十日現在で何と二百二十八トン、条約によって移動が禁止されているPCBは、五〇ppm以上の廃棄物が約三十九トン、こうなっていますね。日本、スペイン、韓国、ベルギーなど八カ国にPCB廃棄物が排出されている、しかし量としては在日米軍基地が最も多いと。  こういう明確な国防総省なりアメリカ側報告書があるということは、我々の努力によってさえ、しかも野党という立場ですよ。与党なら情報はじゃかすか入るんじゃないですか。なぜそういうことに対して積極的にアメリカ照会をして、情報も開示をして、国会指摘をされない前に、自主、主体的に外務省としてあるいは防衛庁としてやらないかというのが私たちの疑問なんですよ。  これについてもう一度、決して消極的態度をとっていないという、それは是としましょう。ぜひ努力していただきたい。これについてどうお考えかということ。  もう一つ沖縄の恩納村のPCB廃棄物問題ですね。私は、これは当初から問題視をして、現場も行ってみました。また、今恩納の自衛隊の分屯地に保管されている場所も私もわかります。これは米軍基地内に保管しなさいということを強く言ったんだが、当時、いろいろ跡利用の問題もあるので、あなたが余りそのことを強く言うとなかなか返還跡地ができぬからという横やりもあって、私も途中で、おかしいと思いながら、疑問ながら、今日も持ち越しているんですが、一体これはいつまでに処理するおつもりですか、このPCB問題というのは。本当にこういう状況がいつまで続くのか。もう四年経過していますよ、防衛施設庁。  先ほどの国防省の私が指摘をした報告書指摘についての大臣の見解と、この恩納PCBの問題はいつまで自衛隊基地に暫定措置ということでやるのか、どういうふうに処理するのか、何か環境問題に影響する心配はないのかどうか、その三点についてお答えください。
  22. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  私の方から、恩納通信所の関連のPCBにつきまして御説明をさせていただきます。  平成七年の返還に伴いまして、原状回復の際に出てきましたPCBを含む汚泥の処理の問題でございますけれども、これは先生御案内のように、返還後の原状回復義務は日本政府にございますので、そういう面でそれを受けまして防衛施設庁が実施しているわけでございまして、これは日本政府としてその処理をし、所有者に返還するというふうなことになろうかと思います。  そこで、PCBを含む汚泥の問題でございますけれども、私ども理解するところは、その処理方法といいますか、技術的にまだ確立されていないというふうな状況関係のところから聞いているわけでございます。しかし、その間は関係省庁と連絡をとりまして、環境上問題のないような格好で適切に保管をしている状況でございます。  しかしながら、御指摘のように随分たちますので、これにつきましては、防衛施設庁といたしましても、何とか早く関係省庁と連携をとりまして技術的な問題を解決して早期に処理をしたいというふうに思っておりますけれども、具体的なめどというものは、申しわけありませんけれども、立っておらない状況でございます。
  23. 上原康助

    上原委員 実に、ドラム缶、正確には六百九十四本でしたか、七百本近い。しかも、日本側の予算支出というのが九千万、この土壌汚染の処理、保管等を含めて。  これは、今のような状態では、そのほかにもあるわけで、PCBの処理問題、処理施設というのは、米軍施設内あるいは民間の特定産業等々のものもあり、私は、やはりこのことについては真剣に政府政治的な判断をして政策対応をしていく。もちろん、原因者責任ですから、米軍基地から出るものは米軍に、アメリカに持って帰る。あんな広い国だからね。しかし、それができないという場合は、二次的に、国民環境、健康保全という面から政府の責任は極めて重大なんですよ。こういうことについてどう対処をしていかれるのか、これは大臣の見解を求めたいわけです。  それと、さっき申し上げましたように、約二百三十トンのPCBというもの、こういうことをどう処理するかということについては、日米間でしっかり情報も開示をして実態を把握してやるべきだと思うんですが、この二点について見解をお聞かせください。  それともう一つ、十八日までに、あるいは一両日中にというわけなんだが、必ず近日中に搬出されるということはここで大臣としてお約束できるのかどうか。この三点についてお答えください。
  24. 河野洋平

    河野国務大臣 ちょっと順番が逆になりますが、十八日までに搬出するということは米軍が明らかにいたしておりまして、私どももその点については、約束は必ず履行されるであろうというふうに考えております。先ほど、一両日中もあり得るということを申し上げましたが、一両日中を含めて、十八日までの間に必ず搬出をされるというふうに私どもとしては確信をしているわけでございます。  それから、環境問題についてお尋ねがございましたけれども上原議員はかねてからこの問題についてはいろいろと御指摘をしてこられました。しかし、振り返ってみますと、三十年、四十年以前に比べると、今日の環境問題に対する考え方というものははるかにセンシティブになっておりますし、また、科学的にもいろいろと進んできていると思います。  米側としても、こうした環境の問題は、日本環境基準あるいは米側が持っております環境基準、いずれか厳しい方に準じて行うというふうに今日では決めているわけでございますから、たしか平成七年でございますか、これが決まりました七年以降については、作業はそういうルールに従って行われておるというふうに私は思いますが、それ以前の問題になりますと、今議員お話しになりましたように、問題があるいはあるということも考えられるわけでございます。こうした問題をどういうふうに処理すべきかについては、今議員お話しになりましたように、米側のこの問題処理についての考え方というものを私どもとしてはさらによく聞かなければなりません。  そしてまた、先ほど施設庁長官からもお話がございましたように、地位協定の四条を見れば、我々日本側が処理をしなければならない部分もあるわけでございますから、その点についても、我々も、技術的な解明といいますか、技術的な問題の進み方によって処理の仕方というものが出てくるということでございますから、施設庁にひとつそうした点、特に御努力をいただかなければならないだろうと思っております。  一番最初に戻りまして、大臣としてどう思うかという御指摘がございました。  私は、先ほども申しましたし、これまで何度か委員にも申し上げてきたと思いますが、基地の問題について環境問題というものは、これまでどちらかというと軽視されてきた部分があったのではないか。いや、もちろん騒音でございますとかそうした面はございましたけれども、こうしたPCBを初めとする地質の汚染といいますか、そういう問題については、これまで日米間の考え方のすり合わせといいますか、話し合いといいますか、そういうものが十分行われていなかった部分もございます。私は、こうした問題について、外務大臣としてもこの環境問題にもっとセンシティブでなきゃならぬというふうに思いまして、これは米側ともよく話し合いたいというふうに思っております。そうして、私としての責任を何としても果たしたいというふうに思っておることを申し上げます。
  25. 上原康助

    上原委員 だんだん、重要な問題であるという御認識は政府全体としてもお持ちのようですから、そういう方向で一層御努力を願いたいわけです。  確かに米軍も、EGS、いわゆる環境管理基準というのを設けてやっているんですよね。私はこのこともどこかで、予算委員会だか、かなり米側のリポートを引用しながら取り上げてきた経過がある。しかし、そういうことは我々の能力や頭でもわかるのに、外務省がなぜそういうこともしっかり踏まえてやらないかというところに疑問があるんですよね、大臣。こういうのは本当に官僚任せではだめですよ。政治がリーダーシップを発揮してください。  そこで、大森長官、ではこの恩納の問題は、暫定的な保管というものはどうするのか。これはあくまで仮保管でしょうね。地元の大城英喜恩納村長も、事あるたびに施設局や政府に早期撤去を申し入れているがなかなか聞いてくれぬ、四、五年もたつので住民の不安もだんだん強くなっていると。今後どうなさるのか、これをもう一度お答えください。  それと、これは何回も取り上げた。この間も山火事のキャンプ・ハンセンのものを取り上げたら、今度はまた宜野座村の漁場破壊が出ている。その中間でまた山火事が出ている。皆さんが二度とないように注意しますと言った口が乾かないうちに、もうこういう基地被害が連続している。この宜野座村の漁場破壊の問題については、七年前に防衛施設局が標識をちゃんと設置するという約束をしながらやっていないというところにも一つの原因があるわけで、これは参議院でも議論されたようですから余りたくさんは言いませんが、しっかと対策を講じてしかるべき措置を講じないといかないと思うんですが、この二点について、ぜひ明確な御答弁をください。
  26. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  まず第一点の恩納通信所のPCB関係でございますけれども、これは先ほど御説明申し上げましたように、汚泥を含みますPCBにつきましては、処理の技術的な方法が確立していないというふうなことで処理できませんで、一時的に保管をしているわけでございまして、何とか早く地主の方に返還手続をしなきゃいけないということでこのような暫定的な措置をとったわけでございます。  確かに、七年以降もうかなりたっているわけでございまして、一方、技術的な解決を図らなきゃいけないという点がございます。この点につきましては、防衛施設庁といたしましても、関係省庁とよく連携しまして最大限努力をいたしまして、早くこの処置ができるように努力したいというふうに思っております。  それから、二点目の宜野座村の漁業関係者への被害を与えました先般の海兵隊の訓練、キャンプ・シュワブ水域に関連します訓練でございますけれども、この事故そのものが、視界不良だとはいうものの、米軍による、非常に不注意による水域を逸脱しての漁業資源への被害というふうなことで、私どもといたしましても、非常に遺憾なことであるということで、米軍にも強く申し入れ、その再発防止を強く求めておりますし、今後ともその点は努力してまいりたいと思っております。  また、肝心の漁業組合の方々への話し合いといいますか補償の問題も早急に今進めているところでございますが、御指摘の航路標識につきまして、確かに平成五年に漁業協同組合の方からその御要望がございました。  そこで、施設局、那覇局も当時米軍の方と調整したわけでございますが、そのとき米軍の方からの回答は、安全に十分配慮してやるのでその設置の必要はないというふうな回答があったということで、その漁業組合の方とも話をしたとは思いますけれども、ややそれをそのままといいますか、処置してしまったところがある、この点は非常に私ども反省しなきゃいけない点でございます。  今回の事件が、まさに心配するところが起きちゃったわけでございますので、私ども、その点は深く反省をいたしまして、一刻も早くこの航路標識の設置に努力しなきゃいけないということで今やっておりまして、漁業組合の関係者のお話を聞きますと同時に、米軍にも再発防止の一環として強く申し入れまして、何とか次の概算要求にでも盛り込みまして、早急に航路標識が設置されるように努力したいというふうに思っております。
  27. 上原康助

    上原委員 両方とも緊急にやらにゃいかない案件だと私は思いますので、概算要求といって来年の話にしないで、予備費でも何でもやるぐらいの意欲を示していただきたい。強く要望しておきます。  それと、結果として、外務大臣防衛庁施設庁長官、やはり日米地位協定の見直しをやらなければ、こういうPCB問題とか今の基地被害の問題というのは抜本的な改善策はできないですよ。それは運用の見直しではだめなんだ。そういう点、指摘をしておきます。  我々民主党は、ようやく地位協定の全面改正という案をまとめましたけれども、それもいずれ政府にも提案をして議論をしながら、こういう基地被害問題というものをぜひ最小限に食いとめるように努力をしていきたいと思います。  次に、先ほど伊藤先生からもありましたが、同じコウスケだから伊藤先生を言うわけじゃないのだが、沖縄のことを言っていただいてありがとう。今度の日米会談で、普天間飛行場移設問題は一体どういう話し合いをするのか。G8というのは多国間協議、G8ですから、まさに日米の重要案件であっても、G8としての話題、議題にはならぬということは常識的にわかるわけです。  だが、クリントン大統領がわざわざ沖縄に足を運ぶということになると、沖縄県民の期待とかあるいは注目、関心というものは、いやが応でも普天間飛行場問題をどう解決するかということにあるのは当然でしょう。また、これは常識です。  そこで、私は、森総理が短期間で世界一周をなさったその御労苦は多としながらも、ただ、初顔合わせだったということもあるでしょうが、あえて十五年問題を持ち出して日米の立場の違いが鮮明になってもいけないということで、やはり何か避けたいという気持ちは理解できないわけではないですが、沖縄側の十五年期限というもの、これは名護市長さんにしても稲嶺知事さんにしても、県民は非常に強いものがありますよ。これは避けて通れないのじゃないですか、大臣。確かに、昨年十二月二十八日でしたか、閣議決定があることは私もわかる。しかし、あれは非常にあいまいな抽象論だ。  一体、十五年期限問題は日米の協議案件にするのかしないのか、なるのかならぬのか。今度の沖縄サミットで、森総理とクリントン大統領、あるいは外務大臣と米国務長官との会談の中では、少なくともそういうことは真剣に取り上げられるのかどうか。この二点については、もう少し明確にしておった方が外務大臣のお立場もいいのじゃないでしょうか。いつまでも、あなた、富士山の八合目でとまっておっちゃだめだよ。頂上に登るにはこの問題を解決しなさいよ。
  28. 河野洋平

    河野国務大臣 先般の森総理の訪米の折にワシントンで首脳会談が行われたわけですが、時間的には一時間ちょっとのことでございまして、広範な議論ということでございましたが、この問題についてもお話をされたというふうに聞いております。  今議員お話しになりました十五年問題でございますが、これは、私どもは、沖縄県知事あるいは岸本市長いずれも、特にまず沖縄県知事におかれては、県内移設という、これまでの方針と、大変思い切った決断をなさったわけでございますし、また、岸本市長は、市長としてこれを受け入れるという、これまた大変な決断をなさったわけでございますから、知事、市長のこの決断というものを、大変重いものだ、本当に考え考え抜いた上での御決断というふうに、私どもは正直率直に受けとめているわけでございます。  したがって、私どもは、そのことを重く受けとめる、こう言っているわけでございまして、これらについて、私どもが軽々に考えているというようなことはございません。これはもう重く受けとめるということを閣議決定の中にも盛り込んで、その心を盛り込んでいるわけでございまして、私あるいは瓦防衛庁長官は、米側と話をいたしますときにも、いつもこの問題については重く受けとめておりますよということを盛り込んだ閣議決定について説明をしてきているわけでございます。今回の総理首脳会談におきます御発言も、同じような線に沿って当然お話があったというふうに聞いております。  そこで、七月のサミット前後の話でございますけれども、先ほど伊藤議員にもお答えをいたしましたように、アメリカの大統領が訪日をされる、日米首脳会談が行われることは、これはもう間違いなくあると申し上げていいと思います。それは、最低限度、議長国としてメンバー国の首脳とはバイの会談もおおむね行われるわけでございますから、とりわけ重要な役割を担われるアメリカの大統領と首脳会談が行われないはずはないというふうに私は思います。  その際に、それではどういうふうに、どういう話になるかということについては、まだ議題といいますか、そのときの会談の話しぶり等について総理がいろいろ考えておられるだろうと思います。首脳会談沖縄で行われるのか東京で行われるのか、先ほど申し上げましたように、サミットの前に行われるのか後に行われるのか、それもまだ決まっていない状況でございますから、正直、詳細なことを総理からも私どもに御下問もございませんが、恐らく総理の頭の中にはこの問題は大変重要な問題だとしてあるというふうに私どもは推測をいたしております。
  29. 上原康助

    上原委員 そこで、きょうはできるだけ時間の範囲内でやります。  そうしますと、外務大臣、十五年問題を含めて、私はいろいろ個人的な見解もありますよ、それは安全保障の問題とか考えて。しかし、十五年問題はもう避けて通れない。それは国内問題ではなくして、まさに日米間の問題だという御認識は持っておられるかどうかということが一つ。  もう一つ。クリントン大統領は、森総理とのお話し合いの中で、今ある問題も将来起きる問題も何とか解決していかねばならない、こういう一般論で対応しておるという報道がなされていますね。それともう一つは、沖縄県民との交流も持ちたいと。沖縄県民との交流を持ちたいというのは、私は大事だと思うので非常に注目したい。その機会はどのように外務省はセットしようとしているのか。  この二点について明確にしておいてください。——官僚から聞いたらだめだよ、それは。御自分で答えなさい。
  30. 河野洋平

    河野国務大臣 いや、事実関係確認しようと思いましたが、首脳会談後のブリーフにも今議員がおっしゃったようなことが出ておりませんので、ちょっと確認が正直できません。アメリカ大統領が日本に来られて沖縄に行かれて、沖縄滞在日数がどのくらいになるか、その間にG8の会議もあるわけでございますから、そうした時間を整理して大統領がどういうことができるかということについて、既に具体的なスケジュールがあるかどうか確認をいたしましたが、今まだそのスケジュールは確認できません。  しかし、大統領のお気持ちの中には、恐らく、何らかの形で県民の気持ちを知りたいといいますか、少なくとも県民に直接あるいは間接触れる部分があったらいいというふうに考えておられるのではないかということは、私どもは推測はできると思います。  前段議員お話しになりました、この問題はすぐれて日米間の問題だ、そういう御指摘でございますが、私どもは、日米双方の問題であると同時に、これは国際情勢が大きく影響する問題である、国際情勢がどうなるか、国際情勢をどう読むかという問題だろうと思います。外務省外務大臣としては、できる限りの力を使って、日本を取り巻く環境が肯定的な方向に行くというための努力をするということが必要だというふうに思っております。
  31. 上原康助

    上原委員 それで、ちょっとさっきの御答弁で気になるところがあるんですね。  日米首脳会談東京で持たれるのかあるいは沖縄で持たれるのか。まだ、もちろんそれはいろいろ外交上の双方の御都合もあるからあれだが、しかしメーン会場は沖縄ですね。メーン会場は沖縄でやって、失礼だが、沖縄のごちそうは食べて、日米首脳会談東京でやって、十五年問題も普天間問題も今までどおりしかなかったと。そういうことは私はないと思うんだが、やはり大臣、そこは訂正をしていただいて、首脳会談沖縄でやって、十五年問題も普天間問題も、沖縄米軍基地による過重な負担についてじっくり話して、今後どういう方向に解決していくかということを、県民へのメッセージとして森総理もクリントン大統領ももちろん外務大臣もやるべきだと私は思うんですが、その点はいかがでしょう。
  32. 河野洋平

    河野国務大臣 東京でと申しましたのは取り消しまして、まだわからないというふうに申し上げたいと思います。
  33. 上原康助

    上原委員 どこまで慎重な方か、よくわからないが、期待しておきましょう。  それで、もう一点。いわゆる九州・沖縄サミットの議題が、大臣の御答弁ではまだ決まっていない。もちろんそうかもしれませんね。しかし、一部新聞には、既に議題も固まったという報道もなされておりますね。  そこで、ロシア問題まで聞けないのが残念なんですが、今回の森総理サミット参加国歴訪の九日間で七カ国を回った中で、一番森総理が強調なされたのが、いわゆる情報技術、IT革命をやる。また一方、英国やドイツは、昨年のケルン・サミット関係もあって、最貧国といいますか重債務国問題をぜひ取り上げてもらいたいということのようですね。  そこで、情報革命、IT問題を取り上げるのは結構なことなんですが、日米間で問題になっているNTTの接続料問題というものはそれまでに片づくのかどうか、この点外務大臣はどうお考えかということと、重債務国問題も沖縄サミットの主要議題になるのかどうか。この二点を、御見解を聞かせておいていただきたいと存じます。
  34. 河野洋平

    河野国務大臣 NTTの接続料問題は、目下日米間で協議中でございます。  この問題につきまして、ワシントンで行われました首脳会談におきまして、森総理から、日米双方の努力によって接続料問題を可及的速やかに解決したい、事務的に協議を進めたい、こう述べられまして、クリントン大統領は、森総理がこの問題に関心を払われていることを歓迎する、トップ同士ですから、そういうやりとりがございました。  こういうやりとりをトップがなされば、それを受けて、事務的にはさらに一層、ここで言われるように可及的速やかに解決すべく努力をするわけでございますが、きょう現在、まだ余り明るい報告は聞いていないというのが状況でございます。  それから、重債務貧困国の債務救済の問題について触れられました。これは御承知のとおり、ケルン・サミットでも合意された問題を今回も沖縄サミットでさらに進めよう、こういう話でございますが、議長国である我が国もこの問題を重視しておりまして、とにかくこれは議題にのるであろうというふうに考えております。
  35. 上原康助

    上原委員 時間ですから、ぜひサミット、あるいはさっき申し上げましたPCB基地問題等についてさらなる御努力期待して、終わりたいと思います。
  36. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、松本善明君。
  37. 松本善明

    ○松本(善)委員 国連本部で核拡散防止条約、NPT再検討会議が行われて、この問題に関するさまざまな議論が行われておりますけれども日本は唯一の被爆国として核兵器のない世界をつくる、そういう立場から常に正論を主張するということが日本世界で信頼される道だろう、こういうふうに思います。そういう観点から、きょうは核問題について若干質問をしたいと思います。  アメリカの核問題専門家でありますウィリアム・アーキン氏が、アメリカの核問題専門誌の「ブレティン・オブ・アトミック・サイエンティスツ」三月から四月号で示したデータによりますと、核弾頭の備蓄状況は、アメリカが一万五百、ロシアが二万などとなっております。アメリカの場合は、核兵器の改良、近代化で威力はさらに強化をしておりますが、それは別にしても、NPT発効後もこれだけの核弾頭があるという実情であります。  外務大臣に伺いたいのは、アメリカなどが核軍縮を促進してきたと評価をするのか、努力が明らかに足りないと評価をするのか、弾頭がこれだけ残っているということについてどういう評価をしているか、まずお聞きしたいと思います。
  38. 河野洋平

    河野国務大臣 核保有国間でいろいろな議論をされていると思いますが、今日の国際情勢というものも十分視野に入れた上で、アメリカが、この核不拡散、そしてさらには核軍縮につながる一連の核の議論に一定の役割を果たしておられるというふうに私ども期待をしているわけでございます。
  39. 松本善明

    ○松本(善)委員 アメリカとロシアと合わせて三万発というような状況を、私は到底評価できないと思いますね。やはりもっともっと強く、これについての厳しい批判が必要だろうと思いますよ。  日本政府が目玉にしてきたのがCTBTでありますけれども、ロシア議会は批准をしましたけれどもアメリカ議会は拒否したままであります。アメリカは、CTBTに規制されないといって未臨界実験を十一回も実施して核兵器の改良、強化を図るばかりか、批准を露骨に拒否をした。こういう態度については、やはりアメリカに対して抗議をすべきではないかと私は思いますが、外務大臣はいかがお考えですか。
  40. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど私が申し上げましたのは、米ロは例のSTART交渉、STARTI、STARTII、そしてさらにはSTARTIIIへこれが進んでいくはずでございまして、そういう意味で一定の役割を果たしてきているというふうに、それを素直に受け取ればそういうことでございますから、一定の役割を果たしておられると期待している、こう申し上げたわけでございまして、アメリカが何もしていないというふうに見るのは少し厳し過ぎるというふうに、まず私は思います。  それから、CTBTについて、アメリカ政府は極めて前向きで、国会での批准のために相当懸命な努力をなさったということはだれもが承知していることでございます。しかしながら、最終的に議会は通らなかったわけでございますから、これは努力はしたけれどもだめだったというので、それでいいというわけにはまいりません。  私も、山本政務次官をして急遽アメリカへ向かわせまして、オルブライト国務長官とこの問題について話をさせました。我々は極めて落胆した、アメリカのCTBTに対する態度をこれからどうするつもりなのかということを率直に国務長官にも申し上げました。  国務長官は、アメリカ政府はCTBTの精神というものを評価しているし、これを肯定的に受けとめているので、議会は残念ながら否決されたけれども、CTBTの精神はそのまま、自分たちは、ホワイトハウスは守っていくという御返事でございまして、さらに、政府とすれば、一度だめだったからといってあきらめずに、議会でこれが批准されるようにさらに引き続き努力をするつもりであるというふうにも答えられたという報告を受けております。
  41. 松本善明

    ○松本(善)委員 いろいろな努力ということを言われるわけですが、やはり客観的に見ますと、三万発残っているとか、アメリカは国として批准をしないということになると、世界に対してこれがどうなのか。やはりそこを考えた、アメリカ政府努力をしているとかいうことではなくて、世界全体を考えて厳しい態度をとるべきではないかというふうに私は思うんです。  それで、日本政府がもう一つ目玉的に強調しているのがカットオフ条約でありますが、これは核物質の新規製造を禁止するという以外に、既存の核兵器に使用されている核物質を全廃するということも規定するのでしょうか。どうお考えになっていますか。
  42. 河野洋平

    河野国務大臣 先般のNPTの会合におきまして、山本政務次官を参加させて、日本提案をそこで演説させたわけですけれども、その際に、カットオフ条約というものは非常に重要だ、そして二〇〇三年、それができなければ二〇〇五年までにカットオフ条約についての話し合いを終わるべきだということを我が国方針として提案をしているわけです。  私どもも、二〇〇三年もしくは二〇〇五年という時間を区切って提案するということは今まで余りなかったことでございまして、こうした時間を区切った提案をすることがいいかどうかということについては少し議論をいたしましたけれども、この際、この問題を加速させるためにはそうしたことを言った方がいい、そして、それを支持する国も相当いるという見通しで私どもはこういう提案をしているわけでございまして、これらについても、ぜひ国際世論というものをそういう形でつくり上げられればいいというふうに思っております。
  43. 松本善明

    ○松本(善)委員 私がなぜさっきのような質問をしたかといいますと、アメリカのエネルギー省が古くなった核弾頭の再生を行っている。新しいものはつくらなくても古いのを再生しているということになりますと、これはひとつ問題なんで、このことは御承知ですか。
  44. 河野洋平

    河野国務大臣 カットオフ条約についてのいろいろな議論があるわけでございますが、その主要論点というものは、兵器用核分裂性物質の生産を将来にわたって禁止することだけを目的とするのか、現在保有されている物質を規制することもあわせて目的とするかというのは一つの争点になっている、そういうふうに私どもは認識しております。
  45. 松本善明

    ○松本(善)委員 一つの争点ということでありますが、アメリカのエネルギー省が古くなった核弾頭の再生を行っているということは御承知ですか。
  46. 河野洋平

    河野国務大臣 ちょっと正確な事実を承知しておりません。
  47. 松本善明

    ○松本(善)委員 これは報道はされているんです。トライデント級潜水艦発射弾道ミサイル用の核弾頭W76は二千個以上が再生されて、より強力な弾頭になるということであります。新規製造しなくても、アメリカなどの核兵器国は核物質が大量にあるわけで、このままでは再生してより強力な核兵器を製造し続けるということになる。カットオフ条約が核兵器の既存の核物質再生使用を禁止しなければ、非核兵器国と核兵器国との不平等はさらに広がることになる。  外務大臣は、一つの争点と言われましたけれども、核兵器国が核兵器の改良、強化を禁止されない、こういうことになりますと、非核兵器国との間の矛盾というのは解決をされない。こういう条約では核兵器の廃絶には結びつかないと思うのです。むしろ、アメリカなどの核兵器は強化をされる、それが保障をされるということになるんではありませんか。その辺は、外務大臣は何と考えていますか。
  48. 河野洋平

    河野国務大臣 一般的に申しまして、核軍縮という方向は、とにかく核兵器を減らしていくということがその方向でございます。もちろん、議員がおっしゃるように、その爆発力、威力、そういう問題についても十分議論が行われなければならないと思いますけれども、いずれにせよ、核兵器の数を減らしていく、核弾頭の数を減らしていくという方向が今一番大きな方向性でございますから、私は、いろいろ議論があると思いますけれども、その方向は、これまでの核兵器国と非核兵器国との間の矛盾といいますか、格差といいますか、そういうものが広くなる、より広くなるといいますか、悪くなるといいますか、ということは一概には言えないのではないかというふうに思います。
  49. 松本善明

    ○松本(善)委員 そんなことないですよ。新しいのはつくらない、しかし、アメリカのようにたくさん核物質を持っている、古くなった弾頭はいっぱい持っている、それは再生してよろしいということになれば、格差は広がるのはもう明白じゃないですか。  私は、最初にこの問題について日本が正論を主張する必要があるということを言って、外務大臣もうなずいておられたようでありますけれども、その正論というのは、やはり核兵器はなくなる方向へ進んでいるかどうか。これだと、アメリカは未臨界実験をやってそれを容認する、核物質の問題でもアメリカはそういうことが自由にできる。いっぱいありますから、アメリカの場合は新しくつくらなくたって、再生をするだけで十分なんです。そういうことを認めていくのでは、これはアメリカの核の力による世界支配をむしろ強化する。核兵器を本当に世界からなくしていくというような方向の正論ではないと私は思うのですよ。どう思いますか、外務大臣
  50. 河野洋平

    河野国務大臣 どうも議員と少し違いますのは、私は、仮に再利用をされるとしても、格差が広がるというふうには思えないのです。同じレベルで、格差が縮まらないとおっしゃるなら、それは一つのお考えかもしれませんが、格差が広がるというのは一概には言えないのじゃないかというふうに私は思います。  それはそれとして、核軍縮の方向の中で未臨界の実験というものをどういうふうに見ていくかということは議論のあるところだというふうに私は思います。しかし、現在は未臨界における実験は認めるという合意ができているわけでございますから、これが核軍縮に向かって違反をしている、あるいは違法の行為だということではない。しかし、未臨界の実験は全く別のものだよという議論については、恐らく議論を持つ人はおられるだろうというふうに私も思います。
  51. 松本善明

    ○松本(善)委員 やはり私は、未臨界実験はやる、それから核物質についての再生はやって、それは質的な強化が可能なんですよ。それは量だけの問題ではない。そうすると、アメリカの方は質的な強化が幾らでもできるという体制で、そしてほかは抑えていくという問題が、やはりこの問題では大きないろいろな部分でみんな起こっているということを指摘したいのですよ。  もう一つの問題、非核地帯の問題についてお聞きをしたいと思います。  これは一九九六年、当時の池田外務大臣が、非核地帯の設置について、「核兵器国を含むすべての関係国が同意する等の適切な条件がそろっている地域において非核地域ができていくということは核拡散防止の目的に資するものである、」これは参議院の外務委員会で、十二月十二日ですけれども、そういうふうに述べています。  日本政府の非核地帯についての考えというのは、核拡散防止に役立つ、その地域で新しい核兵器国が出現しないようにするため、そういうことなんですか。これは外務大臣もその立場でいるんですか。その点をまず聞きたいと思います。
  52. 河野洋平

    河野国務大臣 いわゆる非核地帯構想というものは、一般的に言えば、先ほど議員お話しになりましたように、池田大臣がお述べになったと思いますが、核兵器国を含むすべての関係国の同意が得られる、あるいは世界と当該地域の平和と安定に悪影響が及ばない、国際法の諸原則に合致している、こういう条件がそろえば非核地帯というものは設置されるだろう、これが一般的に申し上げて非核地帯構想についての我が方の従来の立場でございます。  やや個人的になるかもわかりませんけれども、私は、核廃絶といいますか、核軍縮の方向を進める上でいろいろなアプローチの仕方がある、その中で非核地帯構想というのは一つの方法だというふうにも思っているわけです。中南米からニュージーランド周辺、非核地帯というものが幾つもできてきて、極端な話、そういうものが世界じゅうを取り囲めば、それはもう核の要らない世界ができるわけでございます。したがって、そういうアプローチの仕方があるよと言われる方、そういう主張も私はあるだろうと思います。  ただ、我が国の立場からいいますと、例えば北東アジアにおける非核地帯構想などは、先ほど述べました三つの条件というものが満たされるということがあれば、こういうことは我が国としてもあり得るなということだと思いますけれども世界全体を見て、核廃絶の方向にこの世界が行くというためにいろいろなやり方がきっとあるだろう。そのいろいろなアプローチの仕方がある中で、それは一つの、それで全部ができるとは私は決して思いませんけれども、そのことはアプローチの一つとして考えられる、あるいはそういう意見を持っている人がいるということはあるだろうと思います。
  53. 松本善明

    ○松本(善)委員 核兵器国が同意する場合ということになりますと、核兵器国の核兵器積載艦船とか航空機の通過は認めるというような条件をつくるとか、そういうことになる。核兵器国の核兵器による脅威を取り除くということが非核地帯設置の決定的な意義だと思うんですよ。核兵器国は自由に艦艇だとか航空機の通過を認める、そういうことは認めておいて新しい核兵器国の出現を防止するということになりますと、さっき言いましたように、今持っている核兵器国はますます強大に核支配をしていく、それにプラスになる場合だけ認めるということになりかねないんですよ。現実にそういう問題が起こっています。  アメリカは、ASEAN非核地帯条約を批判し続けております。反対理由は、例えば九五年十二月八日のアメリカ国務省のプレスブリーフィングでは、七つの理由が挙げられております。非核地帯協定は、参加国がいかなる目的であれ、どのような核装置の開発もその他の所有も禁止すべきであると言う一方、地帯の設置は、国連憲章に保障されている固有の個別的、集団的自衛権を奪う損害を与えて現存する安全保障をかき乱すことがあってはならないとか、地帯設置は、寄港や領空通過を含めて、これは日本に直接かかわる問題ですよ、寄港や領空通過を含めて、核艦船、非締約国の核能力のある艦船や航空機に対して、各国の領土、公海、航空の他国の通航権を許諾する諸国の現在の諸権利に影響を与えることがあってはならない、また、航海、航空に関する公海の自由、領海及び群島水域の無害通航権、国際海峡の通過通航権、群島航路通航権に制約を課すことを模索すべきではない、こういうことを言っております。  アメリカは、非核地帯を設置するなら、アメリカの核積載艦艇や航空機の寄港や通航を認め、核兵器の使用を認めよ、こういうふうに言う。日本政府は、これは正当な主張だということで認める立場ですか。
  54. 河野洋平

    河野国務大臣 これは、国際法との関係考えなければならないと思います。非核地帯構想についていろいろな議論がございますが、やはり現実的な問題についても考えなければならないわけでございまして、例えば、現実的な問題の中には、査察ができるかどうかとか、そういった問題もきっとあると思います。つまり、査察とか検証とかというものもどうやってできるんだということもあるでしょうし、もちろん、今議員も少しお触れになりましたけれども、公海における航行の自由を含む国際法の諸原則というものに合致するということは、これはどうしてもそこまでは考えなければならないというふうに私は思いますね。そうしたことを、先ほどから申し上げている条件をクリアした上で非核地帯構想というものは現実のものになって進んでいくというふうに思うわけで、現実論を無視した非核地帯構想というものは、私は、やはり進まないというふうに考えなければならないと思います。
  55. 松本善明

    ○松本(善)委員 この問題でも、やはり、アメリカの核兵器国としての立場を擁護するということに結果はなるんですよ。やはり、CTBTの問題でも、カットオフ条約の問題でも、非核地帯設置のどの点をとりましても、アメリカの核兵器温存を認めるという立場では世界の信頼は得られないです。それは、党首討論でも言っていますように、もう明白な、日本でも、核持ち込み問題で動かぬ証拠を突きつけられても正論が言えない。これはもう、与党の皆さん方でも何人も何人も、あれはおかしいよと言っていられますよ。名前は言いませんけれどもね。これは、そういう態度ではだめなんだということを強く主張して、そして政府の態度を改めるよう要求して、質問を終わります。
  56. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、丸谷佳織君。
  57. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 大臣がもう退席されるということですので、急いで、前置きをなしに、二点お答えいただきたいと思います。  日ロ関係についての二点なんですけれども、先日、森総理がG8諸国を回られました。初訪問地がロシアだったわけなんですけれども、約二時間近くにわたりましてプーチン大統領との会談がされた。その中で、平和条約締結が両国にとって大きな意義があると。また、八月末に開催予定の日ロ首脳会談についても話し合われたと思うんですけれども、これを受けて日ロ首脳会談への展望、また、クラスノヤルスク合意の期限が近づいておりますけれども、このめどについて、これが一点。  あと、ことしの二月にカフジ油田の採掘権を日本は失ったわけなんですけれども、一方、サハリンの油田、天然ガス開発プロジェクト、こちらの方は行われております。我が国のエネルギー政策上において、これは大変希望の持てるプロジェクトだと思うんですけれども、エネルギーの安全保障上における日ロ関係の必要性について。二点お答えください。
  58. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘のとおり、総理の外遊の最初の地がロシアでございました。これは、いろいろ経緯があってのことでございますけれども、いずれにせよ、森総理と、当時はまだ大統領予定者であられたわけですが、プーチン氏との会談が行われて、私どもとして一番大事なことは、まずは、このお二人が人間的な信頼関係がきちんと構築できるかどうかということを一番のポイントにしておりましたけれども、これは極めてうまくいった。まあ、外務大臣総理大臣のやったことをうまくいったと言うのもどうかと思いますけれども、大変いい会談であったというふうに思っております。たしか七時間近く、二人でいろいろと、いろいろな場面を持って話し合われたわけで、この話し合いの中で人間的な信頼関係は非常によくなっているというふうに聞いております。  そこで、今お話しのように、クラスノヤルスク合意についても、つまり、これまで橋本・エリツィンあるいは小渕・エリツィン会談でつくり上げられました幾つかの宣言でありますとか声明でございますとか、そういうものは全部そのまま継承しようということをお互いが確認し合っておりますから、クラスノヤルスク合意も当然継承される。  ということになりますと、クラスノヤルスク合意は、領土問題を解決して平和条約を締結する作業は二〇〇〇年までにできるよう努力しよう、こう書いてあるわけで、当然この努力は継続されるということでございます。御承知のとおり、今はもう二〇〇〇年の半ばになっているわけでございますが、しかし、この努力最後までこのクラスノヤルスク合意の精神にのっとってやりたいというふうに私どもは思っております。  そういう意味で、八月のプーチン氏の訪日は非常に重要だと思っております。もちろん、七月のサミットにもプーチンさんは日本に来られ、さらに一月置いてまた来られるというわけでございますから、森総理は短期間に三回、かなりしっかりとした会談をされるわけで、この八月の森・プーチン会談というものは非常に重要な会談だというふうに見ております。  それから、エネルギーの問題についてお触れになりました。  確かに、我が国のエネルギー問題は、自国に供給能力がないわけでございますから、安全保障の面から考えても、これは余り偏らずにさまざまなところからエネルギー源が供給されるということが重要なんだというふうに思います。そういう意味でも、サハリンのプロジェクトというものも一つの十分考えなければならないところというふうに思っております。これは、これからの日ロ関係をずっと視野に入れて考えても、こうした問題は極めて重要な問題として考えていく必要があるというふうに思っております。
  59. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 ありがとうございました。  ただいまの御答弁をいただきまして、実際には平和条約締結のめどについてはなかなかお触れいただけなかった、今まだ対話を重ねて努力を重ねている状況だというふうに認識をさせていただきたいんですけれども、北方領土の返還についての認識については、あるいはこの北方領土を今後どのように解決していくのかという方向性については、日ロ間で非常に温度差があるなというふうにも考えているわけなんです。今後、この領土問題を平和条約締結と切り離して考えていくのか、あるいはここを入り口論としてしっかりと固めていくのか、これについても今後大臣出席される委員会で質問をしてまいりたいというふうに思います。  続きまして、総括政務次官に沖縄サミットについてお伺いをさせていただきます。  今回の森総理のG8の首脳訪問は、いよいよ森外交が本格的に始動したなという印象を受けておりますけれども、実際には九州・沖縄サミットに向けての協力態勢の確認ですとか、そういったことがテーマになったのであろうというふうに思います。我が国が今回は議長国ということで、しかも開催地が沖縄ということを考えますと、日本の中でも非常に独自の文化を持ち、またアジアらしい地域で開催することになるんだというふうにも思います。  実際には、今までの報道の中でも、我が国がどのような構想を持ってサミットを行おうとしているのかという点は余り報道されていないように思うわけなんですけれども、実際にG8の首脳訪問を終えて、そういった構想もそろそろ固まってきていらっしゃるのではないかなというふうに思うんです。  今まではアジアの視点を生かしていこうというような主張が聞かれてきたんですけれども、実際にサミットまであと二カ月となった今、またG8首脳訪問を終えた今、サミットアジア色をどのように生かしていこうとお考えになっているのか、またそのためにどのようなテーマサミットで取り上げようとされているのか、お伺いします。
  60. 江崎鐵磨

    江崎政務次官 丸谷議員御案内のように、九州・沖縄サミットは七年ぶりにアジアで開催されるサミットであります。これを踏まえ、アジア諸国と歴史的つながりの深い沖縄で開催されることも非常に意義あり、こうしたことを勘案しながら、グローバルな視点に立ちつつも、今回河野外務大臣が東南アジア諸国を訪問、聴取されたアジア諸国の関心事、これらについても十分議論がなされるものと確信をいたしております。  具体的には、グローバル化とIT革命の進展が急速に進む中で、開発の問題や国際金融システムの問題、そしてITにかかわるさまざまな課題などに対して、アジア各国の関心が非常に高まっておるさなかであります。グローバル化が進展する中で文化の多様性をいかに活力の源としていくかがアジアの共通の課題であると考えております。  そして、九州・沖縄サミットは、こうしたアジア諸国の非常に関心の深いことについてもじっくり議論し、二十一世紀がよりすばらしい時代になるといった希望をすべての人が抱けるように、明るいメッセージを発信しなければならないと考えております。
  61. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 ありがとうございました。  今総括政務次官がおっしゃられましたように、実際にアジア諸国にとって共通の関心事をじっくりと話し合っていただくとともに、日本を含むアジアという地域考えましたときに、やはり今経済的な問題、さまざま諸国によって違いますけれども、あるいは安全保障の問題等、非常に大きな悩みを抱えている地域アジア地域だというふうにも言えると思いますので、本当にこのアジアで、しかも沖縄サミットを成功させることで、アジアからの平和の発信、あるいはアジアからの二十一世紀の希望への発信ができるようなテーマを取り上げて、それをぜひアピールしていただきたいというふうに思います。  また、先ほどの御質問にもあったと思うんですけれども、昨年のケルン・サミットにおきまして重債務貧困国に対します債務の取り消しがテーマに挙げられておりました。日本世界最大の債権を持つわけでありまして、今回のサミットの中でもこの取り消しについて議論されるであろうと先ほど外務大臣答弁されていらっしゃいました。  ケルン・サミットにおいて、例えば国際的なNGOでありますジュビリー二〇〇〇、御存じだと思いますけれどもサミット会場を約三万五千人の人の鎖で包囲しまして、議長国ドイツの首相に一千七百万人分の署名を届けたという行動もとっておりますし、今回日本議長国となりますこのサミットにおいてもまた同様の主張をするような報道もなされております。  私自身としては、日本がこの取り消しについてどのように対応していくかを考えるときに、ODAとの整合性もありますし、すべて取り消しにすることが外交上是とはしないわけなんですけれども、こういった声が上がってきたときに日本としてどのような対応をし、各国に日本は、例えば帳消しするのであればこういう理由だからする、あるいはしないのであればこういう理由だからしないといった意思表明をきちんとしていくことが大切だというふうに思うんです。その用意はできていらっしゃるのかどうか、お伺いします。
  62. 江崎鐵磨

    江崎政務次官 先ほど、特に重債務貧困国の債務問題については外務大臣からもいろいろお話がございました。特に昨年のケルン・サミットで合意された債務救済イニシアチブの迅速な実施が国際的に急務であるといったこと、先生御案内のとおりであります。  特に今回の九州・沖縄サミットに向けてこの点が重要な課題になるだけに、我が国としても、議長国として他のG7諸国や国際機関とともに最大限の努力を払っていくべきであります。  特にこの関連で、御質問にありましたが、先般我が国は、国際的枠組みのもとで、非ODA債権の削減率九〇%から一〇〇%への拡大、そして多国間債務救済のために世界銀行に設けられた信託基金に対し、既拠出分と合わせて合計二億ドルまでの拠出を含む新たな措置を発表いたしました。そして、特に、委員お触れになりましたが、この債務救済が貧困問題解決の万能薬ではないといったことであるとき、そうした見地から、途上国の中長期的な発展の観点から、途上国の開発問題全般への取り組みを強化していくといったことが非常に重要になるのではなかろうか。それに向け、我が国も引き続き積極的に取り組んでまいります。
  63. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 そういったことで日本のお金を使っていくということは、国民に対しても説明をしなければいけないわけですし、また、するならする、しないならしないで各国に対してもきちんと説明をすることによって、特にODAですとか、日本が拠出することは顔が見えないという批判も聞かれてしまうわけですから、今度はこういったことがないような取り組みをぜひしていただきたいと思います。  今申し上げましたように、国際会議とNGOの関係が今非常に深まってきているということもできます。ニューヨークの方で行われましたNPTの再検討会議の方でも、初めてNGOの代表の方が、我が国は、広島と長崎を代表しまして伊藤長崎市長が本会議で発言をされる機会があったというふうにお伺いしております。また、対人地雷禁止条約ですとかあるいは昨年のWTOシアトル会議などでも、NGOの影響力が非常に深まってきておりますし、NGOが会議の成功を左右すると言ってもおかしくない状況になってきております。また、今回の沖縄サミットに向けてもさまざまなNGOの方が動き出しているわけなんですけれども政府とNGOのこの協力体制について我が国はどのように考えていらっしゃるのかという点。  あわせて、ニューヨークのNPT再検討会議の方では山本政務次官が御発言をされたので、きょう来ていただいておりますけれども、例えば核軍縮ですとかそういった問題に関しては、やはり国益を前提に話し合うことが、決着をつけることができないケースがあるわけですね。国益を超えて人類益というところで考えなければ解決しないケースもあるわけで、例えばこういった核軍縮といったようなテーマ議論するときに、NGOが果たす役割というのが非常に大きいというふうに私は思うんです。国際テーマ解決、特に核軍縮という二十世紀に残された世界の最大のテーマであるこの問題の解決の推進にNGOは非常に大きく影響してくる、また、そのNGOと日本協力体制をとることによって解決の早道になるのではないかというふうに思いますが、この点についていかがでしょうか。
  64. 山本一太

    ○山本(一)政務次官 国際会議等においてNGOの重要性がますます大きくなっているという点につきましては、まさに先生のおっしゃるとおりだと思います。  最初の御質問ですけれども政府としては、NGOとの連携という点ではもちろん力を入れておりますし、これまでも、例えば開発援助とか環境とか貿易とか、そういったNGOとの対話を一生懸命進めてまいりましたし、今回の九州・沖縄サミットの成功に向けてもNGOとの対話を非常に重視しているということで、議員記憶かもしれませんが、ことしの三月だったと思いますけれども、小渕前総理が連合あるいはジュビリー二〇〇〇と対話を持ったり、あるいは外務省の経済局の石川審議官が大体二十か三十あるNGOの団体との対話を三月にやったりしまして、非常に重視をしております。  特に沖縄サミットについては、これも多分先生御存じかもしれませんが、NGO担当課長を設けまして、四月からサミット広場というホームページをつくりました。ちょっと資料を持ってきたのですけれども、どのくらいNGOとか市民の方々からのアクセスがあったかなと思ったんですけれども、今のところ十七件なんで、これはまだまだこれからという形なんで、今、少ないという御意見もあったんですけれども、これからさらに宣伝に努めていきたい、広報に努めていきたいと考えております。  それからNPTの方なんですが、この点についても、先生のお考えに私も個人的にも非常に共感を覚えるところもあるんですが、NGOがこういった世界平和とか核軍縮に興味を持って行動するということは非常に意味がございます。  先生おっしゃったように、地雷禁止キャンペーンにおいても大きな力になったわけなんです。今回、NPTの運用再検討会議大臣のかわりに行きまして、その際、ちょっと私の方も強く希望を出して、ミドル・パワー・イニシアチブ、中堅国家構想という核軍縮の世界では非常に著名なNGO、ダグラス・ローチというカナダの上院議員が代表なんですけれども、ここと会いましていろいろな意見交換をしてまいりまして、日本の役割についても、東京フォーラム等については高い評価をしているというような御意見もいただきました。  いずれにせよ、今先生のおっしゃったような話なんですが、今後ともいろいろな機会をとらえて、NGOとの対話、いろいろな連携を通じて、核軍縮とかあるいは核拡散防止に対する日本の立場をいろいろなところに発信していくという努力は続けなければいけないというふうに考えております。
  65. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 引き続きNPTの再検討会議についてお伺いをしたいと思うんですけれども、前回のこの再検討会議が行われた九五年からこの五年間を見てみますときに、例えばインド、パキスタンの核実験ですとか、あるいはアメリカ上院におきますCTBTの批准の否決など、人類が標榜しています核軍縮と不拡散というものに逆行するような流れができているというのも事実ですし、特に、核保有国の核軍縮に向けた積極的な取り組みがなされないことに対します非保有国の不満というのが続出しているというのも当然のことだなというふうに思うわけです。  こうした環境のもと、今回の再検討会議は二十一世紀に向けての核軍縮への試金石であったというふうに思いますが、報道を見る限りにおきましては、ますます深まっていく保有国と非保有国の対立、あるいはアメリカとロシア、中国間の対立が表面化してきたなど、とても希望を見出せるような状況ではないような気がします。  また、実際に今、日本が置かれています状況考えますと、周辺には、軍拡を広げている国がありますし、あるいは核開発疑惑国というものもございます。そして、日本が唯一の被爆国であるということを踏まえて、今回のこのNPTの再検討会議を成功裏に導くために日本が強いリーダーシップをとっていくことが重要だというふうに思うんですけれども、今会議での核軍縮そして不拡散にかかわります追加的目標採決の見通しをお伺いします。
  66. 山本一太

    ○山本(一)政務次官 文字どおり、今先生がおっしゃったように、核軍縮それから核不拡散をめぐる状況は昨今厳しいものがありまして、前回の会議から考えても、今おっしゃったような、インドとパキスタンの核実験があったり、CTBTについてはアメリカの上院の批准否決があったり、そういう厳しい状況であればこそ、まさに委員のおっしゃったように、今回のNPT再検討会議を成功させるということは非常に大切だというふうに考えております。  日本としてはその中で、まさに調整役としての立場で八項目提案というものも出しましたし、この会議の成功に向けて今全力で取り組んでおる。外務省の方からは、軍縮担当の登大使や、あるいはウィーンの代表部の大使の阿部大使やあるいは前池田大使等を今送り込んで議論をぎしぎしとやっているところです。大体来週末ぐらいまでこれが続きますので、そろそろ、かなり正念場といいますか、最終文書等に向けてまたいろいろな話し合いが行われているところで、今先生がおっしゃった見通しなんですけれども、必ずしも予断を許さないところがあると思います。もちろん希望を持って、しかもできるだけの努力をしなければいけないと思いますけれども、これは必ずしも予断を許さない状況だと思います。  簡単に言いますと、大きく問題になっている点が二点あります。それは、まさに先生が御指摘になった、核保有国のこの間の声明が前回の合意を再確認しているにとどまっている、やはりそういう評価が一部あるものですから、ここをどうやって新アジェンダ連合等との間で調整をつけていくか。それともう一つは、中東の問題がございます。イスラエルを名前として入れるかどうか、こういうような議論がありますので、ここら辺を踏まえながら、まさに議員のおっしゃったように、NPTの再検討会議を成功させるという観点から、きちっとした成果が得られるように今努力をしているところです。
  67. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 引き続き本当に全力で取り組んでいただいて、今回は日本のリーダーシップによってここが追加された、採択されたという喜ぶべき結果をぜひ出していただきたいというふうに思います。  最後に、総括政務次官、先月の二十七、二十八日、日本で行われました海賊対策国際会議の方に御出席されたというふうにお伺いしておりますので、この件についてお伺いしたいと思います。  以前、約二年前になるかと思うのですけれども、この外務委員会でシーレーン外交についてお伺いしたことがあるのですけれども、最近特に海賊被害について報道されることが目立つようになってきたというふうにも思っております。運輸省の公益法人であります日本財団の調査によりますと、日本の海運会社のタンカーや貨物船が受けた海賊の被害というのは、昨年で三十四件、総額にしまして被害額が約十三億円と、決して見過ごすことのできない大きな額になっております。  特に昨年の十月、マラッカ海峡の付近で海賊に乗っ取られましたアロンドラ・レインボー号の事件は記憶に新しいところなのですけれども、貿易立国であります我が国にとって安全な航海ルートの確保というのは非常に大きな意味がありますし、また、アジアの経済地域においてもそれは大きな影響力を持ってくるというふうに思います。  今回、日本で開催されました海賊対策国際会議において、アジア海賊対策チャレンジ二〇〇〇というものが採択をされまして、参加国の海上警備機関の連携等の強化を図っていくということが確認されたのは大変大きな一歩だなというふうに思うのです。  ただ、ここで問題となってきますのが、参加各国が自国の沿岸海域において取り締まりを強化しようとするときに、アジア経済危機以来引き続いています経済の困難な面を考えますと、実際にこの警備体制というのが充実できるのだろうかという疑問が出てくるわけなのですね。海賊というのは、東南アジア海域、特にシンガポールとかマラッカ海峡付近で発生しているのがほとんどなわけなのですけれども、実際には沿岸国の領海内で発生をしているということを考えると、実際に取り締まるには沿岸国の警備当局に頼るしかないというのも事実でございます。  そこで、例えばインドネシアなのですけれども、インドネシアに対しますODAの我が国の基本方針というのは、我が国の海上運送にとって重要な位置づけがなされているというふうになっているのですね。これを考えまして、海賊行為の厳重な取り締まりに必要な体制をつくるためにODAを積極的に活用していくということはお考えになっているかどうか、お伺いします。
  68. 江崎鐵磨

    江崎政務次官 丸谷先生御承知のとおり、ここ数年、大変日本船の被害も多くなっております。四月の二十七、二十八と海賊対策国際会議、私も出席させていただきましたが、特に今先生御指摘のODA支援の充実、これについては、海賊問題はそれぞれ各国の取り締まり体制づくりがまず重要な問題でもあります。我が国としても、海賊対策のためにODAを活用して、協力できることについては協力しなければならないといった考えを持っております。  他方、ODAを通じてどのような協力ができるのか。警察等公権力を行使する機関に対する協力が人権抑圧に利用されることなどがあってはなりませんので、これは慎重に対応しなければならない。  いま一つは、ODAの実施に当たって軍事的用途への使用を回避することを求めるODA大綱の原則を踏まえることが何よりも大切であります。何よりもケース・バイ・ケースで今後検討していかなければならない重要な課題であります。  先ほど私も会議出席してといったお話がございましたが、特にこの会では、それぞれ参加国、十七カ国、一つは香港が含まれておりましたが、特に関係各国で合同訓練、専門家の会合について、ODAを活用することも問題になりました。  公権力行使との関係、ODA大綱の原則、それぞれを考慮しつつこれからも対応をする。特に、議員から御指摘のございました点を十分踏まえて、関係各国からの要望もしっかり受け入れながら日本が対応するべきといった強い気持ちを持っております。特に、先般の海賊対策会議では、まず情報ネットワークの徹底、問題が起こったらそれぞれ参加国がいち早く連絡体制がとれるようにといった、この原点から入らせていただいたことを御報告申し上げます。
  69. 丸谷佳織

    ○丸谷委員 ありがとうございます。  また、今後引き続きこういった検討に合わせまして、海賊取り締まりのためのローマ条約、これはアジアでは日本中国しか加盟していないわけですから、こういったアジア諸国がこのローマ条約に加盟していくような日本からの働きかけもあわせてお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。以上、ありがとうございました。
  70. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、河野太郎君。
  71. 河野太郎

    河野(太)委員 自由民主党の河野太郎でございます。  防衛政務次官、参議院の本会議との兼ね合いがございますので、先に質問をさせていただきたいと思います。  まず、今沖縄米軍海兵隊が使っておりますヘリコプターの後継として米軍が位置づけておりますオスプレーにつきまして質問をさせていただきたいと思います。  オスプレーの一つの問題は、これが前任のヘリコプターと比べて騒音と安全性についてどうなのかという疑問がいろいろな方から持たれております。政府の方でオスプレーの騒音につきまして現在お持ちである情報を、どんなものか教えていただきたいと思います。
  72. 依田智治

    ○依田政務次官 ちょっと参議院の本会議関係で、私の方から。  V22オスプレー、これにつきましては米国で開発しているものでございまして、私どもも詳細なデータを持っておりませんが、同盟国の米国が開発しておるということで、公刊資料その他で開発の動向等注目しておるところでございます。  お尋ねのV22の騒音につきましては、これまで収集した断片的かつ暫定的なデータでございますが、V22はCH46シーナイトに比べて低い騒音レベルを示している。私どもが見たデータでも、離着陸時とか巡航時、チルトローターですので、航空機モードのときもCH46より少ない、こういう点がございます。あと、米国の環境評価報告書においても、V22はCH46よりわずかに騒音が少ない、こういう旨の記述があるという点を承知しておる状況でございます。
  73. 河野太郎

    河野(太)委員 ありがとうございます。  今の御答弁ですと、少なくともオスプレーがもし沖縄に導入されることがあっても、騒音はそう問題にはならないだろう、私はそういうように理解をいたします。  さて、もう一つ政務次官に続けて先にお伺いをいたします。少し質問が飛びますが、現在沖縄米軍が使っておりますH46というヘリコプターでございますが、米軍はこれをオスプレーで代替しようとしているようでございます。そうしますと、現在のヘリコプター、これ自身が海兵隊に導入されてから非常に長い年月使われておりまして、プログラム的にいうともうそろそろ耐用年数なのではないかと思いますが、後継機が導入をされることになると、恐らくこのヘリコプターは引退をすることになるだろうと思います。  個別具体的にはなかなか難しいと思いますが、私がお伺いをしたいのは、当然のことながら、米軍の中でオスプレーがこれにかわるのだということになりますと、前任のヘリコプターはどんどんと引退をしていく。そうしますと、引退をしてなくなってくるヘリコプターのスペアパーツをいつまでも生産をして在庫を持っているというわけにもいかなくなってくると思います。どこかの時点でそうしたものが、ここまでですよ、そういうことになるんだろうと思いますが、そういう了解でいてよろしいんでしょうか。
  74. 依田智治

    ○依田政務次官 これも、私どもが運用しているわけではございませんので、詳細は承知しておりませんが、一般論として申し上げますと、航空機を運用する以上、その運航に必要な安全性等を確保するためのパーツ等については運用者が責任を持って措置を講じておる、このように考えております。  参考までに申し上げますと、九八年の公刊資料で申しわけありませんが、CH46はこれまで、一九六一年から七一年までの間で、六百二十五機をボーイング社で生産したものを米海軍並びに海兵隊に納入し、その後、七五年から八四年にかけまして、二百七十二機についてエンジンの能力向上の措置、残存性向上のための改修、こういうのを行っておりますし、また、一九八八年から九〇年にかけましてヘリコプターの動力部の疲労、こういうものに対処するために耐用年数延長計画が策定されまして、これはボーイング社から改善部品を三百十二セット入手して、二〇〇〇年度までにということで取りつけが行われる予定であるということでございます。  さらに、海兵隊が使用するヘリコプターにつきましては、他の海兵隊等で使っている航空機などと同様に、通信妨害の対処能力向上ということで、二〇〇一年までに二百三十一機について搭載通信機材の能力改善ということでやる予定になっておりまして、これはもちろん電子通信の専門メーカーからやるということで、使っている以上、責任を持ってその能力向上なり安全性の維持に努めておる、このように理解しております。
  75. 河野太郎

    河野(太)委員 防衛政務次官、本会議があられるようでございますので、どうぞ。  それでは、残りの質問外務政務次官にお伺いをいたします。  先般、オスプレーの安全性の問題を提起させていただきましたが、その後、米国内でこのオスプレーが墜落をする、乗員の方がお亡くなりになった、そういう事故がございました。米国が事故の調査を行っておるようでございますが、この事故あるいは事故の調査がこのオスプレーのプログラムにどういう影響を与えると政府はお考えなのか、教えていただきたいと思います。
  76. 江崎鐵磨

    江崎政務次官 きょうは特に河野先生には、できればこのオスプレー問題、外務大臣にぜひ率直に質問をしていただきたかったのですが、参議院に出かけられました。  特に河野先生には、ことしの一月十三日、外務委員会普天間飛行場を訪問された折に、ヒューイ准将から、このオスプレーの安全性とか機種の性能についていろいろ説明を伺われたといったことをお聞きいたしました。それだけに、今回の四月八日のオスプレーの墜落事故といったときに、きっと驚きを隠されなかったと思っております。  特に、MV22は、救出作戦の夜間訓練中に米国のアリゾナ州マラナの空港近くで墜落、乗っておられた十九名全員が死亡されたといった報告を受けております。  特に、事故調査が現在も継続中でありますが、ちょうどアメリカでこの九日に行われました米国防省による定例記者会見によりますと、現時点までの本件事故調査では、オスプレーの機械構造上あるいはソフトウエア上も欠陥は発見されていないといったことが言われております。  これからどういう展開か、これは私どもまだ先方に問い合わせをしたわけではございませんので、私からお答えすることはできません。
  77. 河野太郎

    河野(太)委員 政務次官御存じの範囲で、現行のH46ヘリコプターの後継プログラムは米軍内で変わらずにオスプレーのみである、そういう了解でよろしいでしょうか。
  78. 江崎鐵磨

    江崎政務次官 このことは、私もちょうど先生と外務大臣のやりとりを議事録で読ませていただきましたが、現在、なおかつそうしたことまでには触れられていない。特に外務大臣から、米軍の、今後CH46及びCH53にかわってMV22が沖縄へ来るのか来ないのかといったことは、こちら側からは言えないと大臣がおっしゃられたとおりであります。
  79. 河野太郎

    河野(太)委員 H46の後継をどうするかは、まず米軍がプログラムを持っているはずでございますので、安全性については、事故の後も特に問題があるという発言は米軍の方からないわけでございますし、オスプレーの騒音については問題をクリアしたように私は思います。  これは沖縄の飛行場移設の問題にも絡んでくる問題でございますので、現状で米軍がどう考えているのか、H46の後継プログラムはオスプレーのみであったと思いますが、事故の後もそこが変化がないのかどうか、至急政府の方から米国防省に問い合わせをいただいて、文書で結構でございますので、この委員会に御報告をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
  80. 江崎鐵磨

    江崎政務次官 早速こちらで調べられる範囲内といったことで御理解を賜りますようにお願いいたします。
  81. 河野太郎

    河野(太)委員 もう質問を終わりますが、調べられる範囲内というのは、当然のことながら政府から国防省に問い合わせを含むものと私は了解をいたします。よろしくお願いします。
  82. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、古堅実吉君。
  83. 古堅実吉

    古堅委員 日本共産党の古堅です。  私は、沖縄米軍北部訓練場内におけるヘリコプターの移設問題についてお伺いしたいと思います。  この移設予定地一帯は、ヤンバルの貴重な生物相と生態系を保全する立場から、単に国内で貴重であるばかりでなく、人類が守るべき世界的な財産であるというふうに強調されている地域であります。  私は、この問題について、昨年三月二十四日の沖北特別委員会で、移設計画の見直しと撤回を求める立場から質問いたしました。きょうは、その続きとしての質問にさせていただきます。  最初に、移設予定地の工事規模等について伺います。  一九九八年十二月十日に、海兵隊キャンプ・バトラー、そこからのファクス発信による資料によりますと、移設工事は、イ、七つの着陸帯、ロ、着陸帯への進入路、ハ、その他の道路等が予定されております。それらについて、それぞれの面積、道路の幅と長さはどれほどか、また、これらの工事のために森林の伐採などを伴う必要な合計の面積はどれほどか、数字で簡単に示してください。
  84. 大森敬治

    大森政府参考人 お答えいたします。  北部訓練場につきましては、七カ所のヘリコプター着陸帯を残余の部分に移設するということを条件に、先般の合同委員会で合意されているものでございます。  そこで、防衛施設庁といたしましては、今先生御指摘のように、北部訓練場周辺は非常に環境上保全に努めなければいけないというふうなところでございまして、防衛施設庁環境調査環境予測評価を実施して、それを終了し、現在その調査を集計しているところでございますけれども、私どもといたしましては、この調査結果を踏まえまして、さらに関係環境庁ですとか沖縄県ですとかと調整の上、具体的に手続を進めていきたいというふうに思っております。  したがいまして、今御指摘のようなヘリコプター着陸帯、また進入路の具体的な場所ですとか規模、これは今後の調整を経て具体的に決めていくものでございますので、現時点で、面積、規模、また森林の伐採を必要とするような面積につきまして、確たることを申し上げられるような状況ではございません。
  85. 古堅実吉

    古堅委員 それは、特定されているから調査もできるんでしょう。それをわからないというのはとんでもない話じゃないか。答えなさい。
  86. 大森敬治

    大森政府参考人 あくまでも、具体的な工事を進めるに当たりまして、まず必要な環境調査をするというふうなことで今やっているわけでございます。その前提といたしまして、ヘリパッドにつきましては直径七十五メーターのものを一応の基準としてつくっておりまして、そういう面で、七カ所のヘリコプターの着陸帯の現在予定しております候補地、またそれらの周辺地域を、約七百ヘクタールぐらいになるわけでございますけれども、そこにつきまして調査を実施している。これはあくまでも環境調査を行うための前提としての一つの条件としてやっているというものでございます。
  87. 古堅実吉

    古堅委員 キャンプ・バトラーがファクス発信で提供している資料には、ちゃんとこのように移設地帯も進入路もその他の道路も全部明示してあるんですよ。そのことを、質問は、前もって何に答えてほしいということまで私は丁寧にやったつもりなんですが、それを答えないというのは本当に許せぬですね。  今回進んでおります調査というのは、今申しました着陸帯や進入路、その他の道路、それら全部について対象として実施していますか。
  88. 大森敬治

    大森政府参考人 現在行っております調査につきましては、先ほど御説明いたしましたとおりでございまして、移設を予定しております七カ所の候補地域、またこれらの周辺地域を選定いたしまして約七百ヘクタールを対象としておりまして、その点で、今御指摘の移設にかかわる事業すべてをカバーしているというふうな調査を行っております。
  89. 古堅実吉

    古堅委員 今申しました三つの工事箇所についてすべてですね。
  90. 大森敬治

    大森政府参考人 今御説明しましたように、御指摘の点をカバーする範囲の環境調査を実施しております。
  91. 古堅実吉

    古堅委員 次に、訓練場全般の環境調査についてお尋ねします。  北部訓練場内の既存の施設及び運用についての環境影響調査防衛施設庁としてあるいは米軍自身としてやったことがあるかどうか、お答えください。
  92. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  防衛施設庁としまして、過去、北部訓練場の米軍の運用にかかわります環境影響評価を実施したことはございません。また、米軍が北部訓練場の米軍の運用にかかわる環境影響評価を実施したということは、私ども承知していないんですけれども、ちょっと具体的によくわかりません。
  93. 古堅実吉

    古堅委員 アメリカでは、国家環境政策法に基づいて軍隊も環境影響調査を実施しています。米空軍省は、一九九三年八月十七日に、空軍の低空飛行作戦に関する全般的環境影響報告なるものを出しておりますけれども、その報告書の中で、ヘリコプターはしばしば固定翼機よりも強い反応を引き起こすと述べ、また、幾つかの研究は、ヘリコプターが頻繁に飛行もしくは着陸する地域における生息地の野生動物の逃避について報告しているとか、絶滅種もしくは危険種に対する低空飛行活動は、そのような種の個体数の低さからして重大な問題であるとか、連邦危険種法によって保護されている絶滅種や危険種は、その個体数が限られているため、そしてしばしば騒音に対して敏感に反応するため、特別に懸念されているなどと記されています。ヘリコプターが野生動物にどのように大きな影響を与えるかを指摘したものであります。  そのような報告書が出されていることを御存じですか、大臣
  94. 河野洋平

    河野国務大臣 承知をしております。  当該地域には、例えばノグチゲラを初めとして希少鳥類が生息をしているということも、これはその報告書の中ではございませんけれども、私どもはかねてから承知をいたしておりますから、その報告書については私は関心を持っております。
  95. 古堅実吉

    古堅委員 現在、北部訓練場内にあるヘリコプター着陸帯は全部で二十二カ所であります。そのうち、返還されないで引き続き訓練場として残される予定の地域にあるのは、現在十五だと言われています。その地域に新たに七つの着陸帯を増設して十五から二十二にしようというのが今回の移設計画です。それが強行されれば、環境への影響はさらに増大され、深刻な事態を引き起こすことが強く懸念されています。  そこで伺いますが、今回の環境影響調査では、ヘリコプターの騒音がノグチゲラなどの鳥類やその他の生物にどんな影響を与えるかの調査も実施しましたか。
  96. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  今回の自然環境調査また環境影響予測・評価におきまして、先ほど申し上げましたように、ヘリコプターの騒音が移設候補地周辺にどのような影響を及ぼすかというふうなことが非常に大きな要素であるというふうに考えております。そこで、予定地のみならず、既設のヘリコプター着陸地帯周辺における実態調査といいますか、鳥類その他生物の生息状況についても調査を行っております。  そこで、こういう予定地または既存のところの調査を通じまして、ヘリコプター騒音の移設候補地周辺に生息する鳥類その他の生物に対する影響を評価することができているのではないかというふうに思っておりますけれども、この点につきましては、さらにいろいろ分析を進めなければいけないというふうにも思っております。
  97. 古堅実吉

    古堅委員 ヘリコプターを飛ばすなどしての調査、それはしなかったんですか。ただ単に、なされている調査からそういうことが推測できるかもしれないという期待なんですか。
  98. 大森敬治

    大森政府参考人 ちょっと、申しわけございません、説明を補足させていただきたいと思うんでございますけれども、先ほど申し上げましたところは、実態調査として既存のところと予定地の、また、環境影響評価におきましては、これは実際飛んでいるといいますか、訓練のところで調査するのは実際上なかなか難しいところがありますので、シミュレーションを行いましてその影響を評価しているという手法でございます。
  99. 古堅実吉

    古堅委員 実際の調査まで踏み込んでいないということになります。  大臣は、五・一五メモ、その北部訓練場における使用条件の中で、「合衆国政府は、本施設・区域内にある指定された水源涵養林並びに特に保護すべきものとして指定された鳥類及びそれらの自然生息地に対し、いかなる損害も与えないようあらゆる合理的予防措置を講ずる。」というふうなことになっているのを御存じですか。
  100. 河野洋平

    河野国務大臣 ちょっと詳細存じません。
  101. 古堅実吉

    古堅委員 このように、「いかなる損害も与えないようあらゆる合理的予防措置を講ずる。」というふうになっています。それを実効あらしめるためには、実際に既存の施設とかあるいは運用に伴う影響がどんなものであるかということを調査しなければ、それが確保されているかどうかということはわからないはずなんです。  ところで、先ほど聞きましたら、施設庁も調査していない、米軍自身も調査はしていないと、いいかげんなこれまでの対処になってきた。しかも、今回の調査に当たっても、米国本国では、軍隊も飛行機の騒音などの影響調査というものを真剣にいろいろとやられているということがあるにもかかわらず、環境影響調査で単にシミュレーションなどというふうな程度のもので、実際に調査をしていないということになっている。  こういういいかげんな調査では、実際に北部の訓練場が、守らなくちゃいかぬ、そういう状況に照らしてどうなっていくのかということにこたえられる調査の結果というものが得られないことは明らかです。  そこで、簡単にお答えいただきたいんですけれども、今回の委託調査について、調査はどこに委託してやらせたのか、またその結果の報告はいつごろになるのか。その報告は、評価だけではなくて、基礎となる調査結果についてもすべて公表し、公開すべきだと考えますけれども、そのようになされるおつもりがあるかどうか。その二点をお答えください。
  102. 大森敬治

    大森政府参考人 お答え申し上げます。  今回防衛施設庁が行っております自然環境調査及び環境影響予測・評価の委託先でございますけれども沖縄環境保全研究所及び環境アセスメントセンターの二社に委託して調査を実施しております。  調査そのものは三月末で終わっているわけでございまして、現在、防衛施設庁におきましてその調査結果を精査中で、整理しているところでございます。この報告書がまとまりました後、私どもとしては速やかに公表したいというふうに思っておりますけれども、その具体的な時期につきまして、現段階で申し上げられます状況にはございません。  いずれにいたしましても、私どもといたしまして、この北部訓練場の一部返還に伴いましての環境への影響を極力少なくするというふうなことのためには、やはり、単に防衛施設庁の行っている調査のみならず、関係環境庁、沖縄県、また専門家の方々とかいろいろ、これからさらにその調整を進めていかなければいけないものというふうに認識しておりまして、いわば私どもの行いましたのは中間的なものではないかというふうに思っております。  そのような認識を持ちながら、いずれにしましても、報告書を早くまとめまして公表したいというふうに思っております。
  103. 古堅実吉

    古堅委員 琉大教授を中心とする琉球列島動植物分布調査チーム、そういうのが行われまして、かかわっている先生方は、米軍北部訓練場が居座るあの地域を、かけがえのない人類共通の遺産だと強調しておられます。ヘリコプターの騒音影響調査も実施しない、いいかげんな調査で、新たな着陸帯の着工、進入路その他の工事、それを強行するなどという口実は、もう絶対に許すわけにはまいりません。  私は、重ねて移設計画の見直しと撤回を強く要求して、質問を終わります。
  104. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、達増拓也君。
  105. 達増拓也

    達増委員 自由党の達増拓也でございます。  最初質問は、小渕前総理の緊急入院をめぐる空白の二十二時間についてであります。  いまだにこの質問をせざるを得ない状況を非常に遺憾に思うわけでありますけれども、ひとえに、内閣によるきちんとした説明、専門家の検証にもたえられるような医療データも示した上での説明が依然としてなされていないゆえであります。  この連休中にも、新聞、週刊誌、月刊誌等々、徹底検証といった特集記事を掲載し、疑惑が晴れないままでおります。むしろ疑惑は収れんしてきているということも言えると思います。それぞれ、新聞や雑誌、また個々のジャーナリストが、ある特定の病院関係者から聞いた話あるいは独自のルートで入手した投薬の記録などに基づいて、それぞれが部分情報に基づいていろいろ書いたり意見を述べたりしているので、全貌は確かに確実な形にはならないんでありますけれども。  まず一つは、四月二日日曜日の午後七時の時点、青木官房長官が小渕前総理から首相臨時代理になる指示を受けたというその時間には、とても小渕前総理言葉を発する状態にはなかったのではないか。仮に意識があったとしても、それはまばたきをしてくださいと言われてそれにこたえてまばたきをする程度という医者の証言も出てきておりまして、それが第一の疑惑であります。  第二の疑惑としてあるのが、溶解剤、血栓を溶かすための薬を投与するという一か八かの治療法をやってしまったがゆえにこういうことになったのではないか、その一か八かの治療法を施す意思決定に少なくとも青木官房長官は関与しているのではないかというところに疑惑が収れんしてきていると思います。  このままサミットに突入するのは本当に日本の国益に反すると思っております。サミット議長国の議長であります、世界のマスコミ、世界国民が注目いたします、報道もふえるでありましょう、そうした中で総理の就任にまつわる経緯というものがきちんと説明されないままでは、本当に日本の国益に反すると思います。内閣によるきちんとした説明の必要性を改めて訴えたいと思いますが、この点、外務大臣、いかがでしょう。
  106. 河野洋平

    河野国務大臣 どうも議員の御質問の趣旨が私にはよく理解できません。青木官房長官が小渕当時の総理とお二人で話し合われたことについて、あなたが、疑惑がある、あれはおかしかったのではないかと言うことの方がはるかに根拠のないことを言っておられるように私には聞こえまして、官房長官が総理からの指示を受けられたということを、我々は、その後の官房長官の御報告等によって受けているわけでございます。  それはそれとしまして、サミットで不利益があるとか国益に反するということは一体何を意味されるのか、私には全くわからないのでございます。森新総理が、就任後、ロシアを初めとしてG8のメンバー国の首脳にすべてお会いになって、そして話し合われて、先方からは祝福も受け、沖縄サミットの成功のために自分たち協力をしますよということを言われているという現実があるわけでございまして、一体このことについて国益に反するというのはどういう意味なのか、私にはよく理解できませんので、あるいは議員の御質問の趣旨に対してきちっとお答えできるかどうかわかりませんが、私は、森新総理沖縄サミットにおける議長としてのお立場は、もうメンバーの皆さんから十分に認識をされ、承認をされ、森議長のもとでサミットはしっかりと行われることになるというふうに私は思っております。
  107. 達増拓也

    達増委員 今回の森総理サミット参加国首脳歴訪については、それぞれの国では余り大きく報道されず、特にサミット前の選挙が取りざたされていることもあり、とりあえずはそれまでの総理大臣という扱いを受けたというふうに日本新聞報道されております。  したがいまして、六日間でしたか、せっかく世界一周ということで例のない外遊をされた総理のそういう努力、これが今後の展開によっては報われることなく森総理サミットの議長をできなくなるようなことも考えられるわけでありまして、その点を深く懸念する次第であります。  さて、河野外相は、連休中東南アジアを歴訪されまして、四月二十九日にはシンガポールでゴー・チョクトン総理会談、そこで外務大臣から、サミットの主要テーマとして、世界の一層の繁栄、より安定した世界、心の安寧という三つを述べられたということでありますけれども、これでは、西暦二〇〇〇年というこの今、世界で何が一番問題なのか、何に取り組まなければならないのかといったそういう時代性、また、日本で、特に沖縄、九州でサミットをやる、そういう地域性も感じられない、余りに漠然としたテーマだと思います。もう少し時代性、地域性を感じられるようなテーマに絞り込んだ方がいいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  108. 河野洋平

    河野国務大臣 私は、シンガポールでゴー・チョクトン首相、それからインドネシアでワヒド大統領、それぞれ首脳にお目にかかって、沖縄サミットで今私ども考えている議題等について御説明をしたわけでございます。少なくとも現時点における我々の考え方について、そういう説明のために行ったわけですから、今議員がおっしゃるほど乱暴な説明をしたわけではなくて、背景から始まってもう少し詳細な説明をしたわけです。  議員時代性が感じられないとおっしゃいますが、私どもは、この沖縄サミット議論のまず前段では、つまり、二十世紀から二十一世紀へのかわり目、極めて大事な場面に我々は立っている、我々が歩んできた道を振り返り、この二十一世紀を視野に入れて議論をしなければならないという基本的な姿勢についてまず議論をしていただこう、こう考えている。さらに、二十一世紀に起こり得るであろう、あるいは我々の目の前に展開するであろう問題はどういう問題があるか、そしてその問題に我々はどういう役割が果たせるかということについてよく考える。  これは、それぞれその首脳議論をしていただくということをまず前段にうたいまして、本来の議論については、これは今議員がおっしゃいましたように、一層の繁栄、あるいは心の安寧、そして社会の安定、この三つの柱を組み立てて、そして一層の繁栄のために、我々は、IT革命と申しますか、ITによる新しい国際社会の経済的な組み立てというものが考えられる。しかし、そのためには、開発途上国と先進国との間の格差をいかにしていくかということについてもよく考えなければならない。さらに、それから付言をして、開発途上国の社会開発はどういうことが必要かということについても触れてまいります。  それから、心の安寧というのは、二十一世紀、新しい世紀に我々が安心して暮らせるという社会を考えれば、これまでなかった不安というものが我々の前にあらわれてくるだろう。それは、例えば食品の安全というものもあるでしょうし、環境問題というものもあるでしょうし、それ以外にも、我々の目の前に、例えば高齢化でありますとか、さまざまな問題があらわれてくるでしょう。これにどういうふうに対応するかについても議論をしていただく必要がありますねと。  さらに、安定した社会というものを考えれば、これは、例えば軍縮でありますとか軍備管理でございますとか、そういったことまで含めて社会の安定について議論もしていただかなければなりません。  こういったようなことを柱として首脳方々議論をしていただいてはどうかと今考えております、これについてアジア皆さんのお考えについても何か御意見があれば伺って帰りたいと思います、こういう話をしたのであって、私は、極めて時代性、つまり、二十世紀から二十一世紀にわたる大事なところに我々は立っている、そして我々は二十一世紀を視野に入れた議論をするんだよという、極めて時代性の高い沖縄サミットというものを考えているのでございます。  また、沖縄で行われるという意味もあって、文化の多様性というようなことについても触れていただきたいと思っておりますということもこの中に入れて、そして私どもは、これは毎回のことでございますけれどもアジア皆さんの御意見もあらかじめ伺うという作業もできるだけ丁寧にしよう、こう考えているわけで、私は、時代性も地域性も十分その中に加味されることになるだろうというふうに思っております。
  109. 達増拓也

    達増委員 各国のそれぞれの代々のサミット、それぞれ議長国の工夫でそのときそのときの独自性、いろいろ出している例がありますが、今思い出すのは、八九年のパリ・アルシュ・サミット。あれは、フランス革命二百周年にちょうどパリでサミットが行われまして、二百周年を記念したアルシュという新凱旋門で会議をして、ちょうど二百周年で集まってきた旧フランス植民地、アフリカの国々の会議と一緒になって、そういう民主主義の祝典、それに当時非常に問題としてクローズアップされていた地球環境問題というのを、いわば九〇年代のそういう十年続くディケード・アジェンダ・セッティングのようなことを果たした。  うまくやると非常に効果的な独自性の発揮というのが時代性と地域性の組み合わせでできると思うので、沖縄・九州サミットについてもそういう方向で、一部、余り独自色を出さない方がいいんじゃないかという意見が国内にもあるかと思いますが、遠慮せずにどんどんそういう独自性を出すような感じでやっていただく方がいいと思います。  さて、森総理の訪米の際に、クリントン大統領との会談で、IT革命の話が出た。森総理にお聞きする機会が今回なかったわけでありまして、外務大臣に伺いますけれども森総理がこうおっしゃったそうであります。日本の構造改革を進め、サミットでもIT革命の推進を柱にすると。これについて、外相としてのお考えを伺いたいと思います。
  110. 河野洋平

    河野国務大臣 総理のお考えの中に、そうした今お話しのようなことが総理の頭の中にあるというふうに私は思います。  新生という言葉をしばしばお使いになりますが、そうした新生という言葉の中には、IT革命でありますとか構造改革でございますとか、そしてそれに伴って規制緩和に関するさまざまな問題についても、総理の頭の中にはおありになるだろうと思います。
  111. 達増拓也

    達増委員 そこで、アメリカとのNTT接続料交渉の問題なのであります。  基本的には二国間の問題であって、二国間の今までの交渉の経緯、そういうのを踏まえて、決して外圧に屈したというような形にならないように、あくまでそういう二国間交渉としてやればいいとは思うんですけれども、一方、ITサミットとも世間で言われるようになってきている、そういう沖縄・九州サミットの前に、日本がどうもそういうIT革命、構造改革に消極的だという印象を諸外国に与えてしまうと、サミットの成功の方にも暗い影を落とすと思われるのであります。  この点、サミットまでに妥結することが非常に望ましいと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
  112. 河野洋平

    河野国務大臣 これは早く妥結することが望ましいと思います。しかし、国益を踏まえた協議をしなければ、これもまたならぬと思っております。協議に臨む方々は、国益を踏まえて、できるだけ早期の妥結を目指されるというふうに私は思っております。
  113. 達増拓也

    達増委員 NTTの接続料引き下げ問題については、今アメリカとの交渉の中ではそういう国益を代表して二国間の交渉をやって、それはそれでいいと思うのでありますけれどもサミットとの関係で位置づけますと、やはり日本が率先して、ITの分野で劇的な構造改革をまず自分がやって、それでアジアの経済も活性化、世界経済も活性化していく、そういうITの光と影のその光の部分についても、日本が特にサミット議長国として積極的なものを打ち出して、サミット宣言文の中に何かそういう具体的なものが盛り込まれるくらいの努力を行うべきと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  114. 河野洋平

    河野国務大臣 まだ議長宣言の中身にまで入って議論をするという状況ではございません。しかし、今議員がおっしゃいますように、とにかく日本議長国でございますから、議長国としてきちんとした態度、対応をとるということの努力は必要だと思っております。
  115. 達増拓也

    達増委員 IT革命については、光と影ということで、その影の部分への対応ということも強調されておりますけれども、ただ、ITに関しては、やはり光の弱さがまた影につながる。やはり光があまねく強くなって、しかもいろいろな角度から光が照らされれば影も薄くなるんじゃないか。つまり、徹底した自由化や規制緩和が足りなくて、価格が、コストが下がらず、なかなか需要が爆発的にふえずに、それで国の隅々とか世界の隅々までいろいろな機器が行き渡らないとか、そういう側面もあると思いますので、影への対策も大事なんですが、そういう光の推進の部分についても積極的な役割を果たしていただきたいと思います。  さて、これは先ほど丸谷委員からも質問江崎政務次官にあった件なんですけれども、債務帳消しの話であります。  これは大臣にも伺いたいんですけれども、いわゆるミレニアムジュビリーということで、そういうキリスト教的な救済の考えでこの際一気に債務を帳消ししようという、途上国向けのそういう措置なわけであります。  それはそれで気持ちはわかるし、NGOが盛んにそういうのをやっているというのもあるんですけれども日本は、やはりみずからの歴史の中で、明治維新のころですとかあるいは戦後復興のころですとか、とにかく必死で外国に借金を返すという努力の中で、自力で経済成長、社会の発展を遂げたという経験も持ち、また、これは鎌倉時代とか昔の話ですけれども、徳政令というのをやってかえって社会が混乱した、そういう歴史的経験も持っている。  やはり援助の問題を考えても、お金というのは、ただぽんと上げたりぽんと帳消しにしたりするものではなく、一円一円に送る側、受ける側の思いがそれぞれ絡んでいて、それを十把一からげで帳消しというのは非常に乱暴な議論だと思います。本来、貿易の自由化で途上国もどんどん物を輸出し、そして直接投資も受け入れて、それで発展していくのが筋であって、日本としてはあえてそういうあり方を主張していくのが筋ではないかと考えるんですけれども、いかがでありましょうか。
  116. 河野洋平

    河野国務大臣 まず、IT革命について一言だけ私から申し上げたいと思いますけれども、IT革命は、確かに議員がおっしゃるように光と影の部分があると思います。  それは、先進国と途上国との間にも大きな格差が出てくる可能性がありますし、同様に、例えばアメリカ日本でも、年齢によってデジタルデバイドはあるわけですね。若い人たちが自由自在に機械を使いこなすのを、何をやっているのかなと思ってうらやましく眺めるいわば御年配の方もおられるわけでございまして、デジタルデバイドというのは、国と国との間の格差もありますけれども一つの国の中にもあるわけで、その格差をどうやって埋めていくかということは、先進国は先進国なりに、国内の問題も実はあるんだというふうに考えなければならないと思います。もちろん、先進国と途上国との間には、物理的な問題を含めて、この格差を埋めるためのいろいろな努力が必要であるということは当然だと思います。  それから、今の債務帳消しの問題は、確かに議員がおっしゃるように、それはもう何年にもわたって構造的に返済ができずにたまっていってしまったものをいきなり全部帳消しにして、その構造がそのまま残っていれば、その次の年からまたこれまでのように債務がたまっていってしまう可能性がありはしないかという心配がある地域もきっとあるだろうと思います。  したがいまして、恐らく、ちょっと私正確ではありませんけれども、債務の帳消しについては幾つかの条件があって、例えば世銀がかかわって構造調整をさせるとか、それから貧困削減計画といいますか、そういったペーパーをつくってもらうとか、そういうことで、つまり、これからはこれまでの構造とは違いますよという状況というものを、むしろそういう構造をつくるということが非常に重要なことになってくるのだろうというふうに思っております。
  117. 達増拓也

    達増委員 では最後に、国連平和協力活動について伺います。  シエラレオネで国連の平和維持軍が、子供の腕を切り落としたりしながら軍事行動を続けている現地勢力に数百人規模で拘束をされてしまいました。このシエラレオネの国連ミッションは、先進国が参加しておらず、周辺の途上国中心の部隊で、十分な装備もなく、また経験も余りないような部隊だったというふうに聞いております。  グローバルな安全保障を進めていく際に、やはり先進国の責任というものがあるのではないか、シエラレオネの事件はそういう問題提起をしていると思いますが、やはり日本としても、こういう国連のもとでの平和活動に積極的に協力できる体制をつくって、他の先進諸国と連携しながら必要に応じて部隊を派遣することが必要と考えますけれども、いかがでしょうか。
  118. 河野洋平

    河野国務大臣 シエラレオネの問題は、私ども大変懸念をいたしております。この問題の解決方法は一体どういうことがあるかということを含めて、これはそう簡単ではないなという感じも実はしているわけでございまして、大変深く懸念をしながら現在は注視しているという状況でございます。  確かにここ数日間のシエラレオネの状況は、議員が今おっしゃったような傾向もございます。しかし、これにどういうふうに先進国がかかわっていくかということについて、これもまたそう簡単ではないというふうにも言われておるわけでございます。  さて、こういう状況を見て我が国がどういう態度をとることがいいかということについて、議員は積極的に我が国もかかわっていくべきだ、こういうことをおっしゃったわけですけれども我が国の国連平和維持活動への参加については枠があるわけでございまして、憲法あるいは国際平和協力法の枠内で行われるべきことは当然のことで、この枠を超えて何をするということはできません。それからさらに、日本国内の支持を受けるものでなければなりませんし、国際社会からも正しく評価をされるという必要があると思います。  さらに、我々はいつも現地状況というものを注意深く確認しながら活動するわけでございまして、こうしたことが十分できるかどうかということについて、私は、まだそうしたことがしっかりとできる状況にないという判断を実はしているわけであります。  繰り返しになりますが、こうしたアフリカにおきますシエラレオネのケースなどを見ますというと、まだまだいろいろなことを考えなければならない、つまり、国際社会がいろいろなことを考えなければならない場面だというふうに私どもは思っておりまして、これらが国連を初めとしてそうしたしかるべき場所で十分議論されることが必要ではないかというふうに思います。我々としては、これらの議論の推移もよく見たいというふうに思っております。
  119. 達増拓也

    達増委員 以上で終わります。
  120. 井奥貞雄

    井奥委員長 次に、伊藤茂君。
  121. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 本会議の時間も迫っておりますから、短縮して二点ぐらいだけ質問をさせていただきます。  一つは、横浜港からの米軍PCB廃棄物の搬出の問題でございます。  ウェーク島に一カ月以内という話でしたから、日にちは確定していないようですが、遅くともこの四、五日中には搬出をされるということでございます。しかし、問題の処理は、一時しのぎという言葉がいいかどうかわかりませんが、別途のところで、処理できる場所ではないところに一時保管するという米軍の方の取り扱いということになるわけであります。  私は、大臣もよくおわかりだと思いますが、この問題に対する市民の関心、特に地元を見ておりますと、今の日米関係、これからのあるべき日米関係の象徴的な出来事の一つではないかなという気持ちがいたします。  日米関係は極めて重要な二国関係でございます。みんなそう思っているわけであります。そうしてまた、それが、戦争の歴史から戦後の歴史、いろいろございました、まさに世紀を越えようとしている中でどのような二国関係にしていくのかということが問われている。何か、今までの占領時代から長い歴史がございまして、そういうものがしっぽを引っ張ったこともさまざま残っているのが現実であります。しかし、次に向けて何かはっきりさせなければならない、そういう中での一つの出来事ではないだろうかという思いがいたします。  そういうことを考えますと、私は、こういう問題を処理していく上で三つ問題があるだろうという気がします。  一つはルールの問題でございます。日本国内米軍で出たPCB廃棄物がある。それは、日本国内のルールその他も米軍が守って、あるいはそれを大事にしながら運用される、これは当たり前のことであります。ただ、これをどう処理していくのかということを含めましたはっきりしたルールが必要であろうというふうに思います。  ウェーク島に持っていって、それから先どこに行くのか、これはまだわからないことであります。そしてまた、まだ相模原などに百五十トン近いものが残っているというふうなデータをいろいろ私どもも聞くわけでございます。では、そういうものがどういうふうに処理されるのかということについて、やはり重要な信頼関係のある二国関係であるとすれば納得のいくルールがある。先ほども出ましたが、私は、地位協定あるいは地位協定の運用までさかのぼってそういうことを含めたルールがつくられるということが、やはり次の時代日米関係を目指すことであろう。また、そういう気持ちが出るような形でやはりこの問題の処理がなされていくというリーダーシップが非常に必要なんではないだろうかというふうに思います。  二つ目には、お互いの責任の問題があると思います。アメリカの法律によれば、国外でつくられたさまざまな廃棄物アメリカの国に持ち込んではならない、一般論としては当たり前のことですね。日本だって、よその国でつくられた危険なものを持ってきていいとは言えません。ただ、在日米軍、これはオーソリティーがどちらにあるのかということもあるわけですが、軍としてのオーソリティーはもちろんアメリカ側にある。したがって、相当の、全部といっていいかどうかは知りませんが、相当の責任というのはやはりアメリカ自身の国家的な責任というふうにお考えいただくべきものであろうというふうな思いがいたします。そういう責任も含めた処理という考え方がわかるようにしなくちゃいけないんではないだろうか。  それから三つ目には、やはりオープンであることだと思います。県知事からもそうですが、横浜市長からも、再三にわたりまして、情報を早く知らせてほしい、市民にどう説明するのか、あるいは港の管理者としてどうしたらいいのかということが再三ございます。また、非常に歯がゆい思いを地元の自治体ではしているということも事実でございます。これはやはり市民感情を反映したものであろうというふうに思います。  ですから、これらについて、先ほどの御答弁も伺いましたが、非常に私としては、不満というのか、歯がゆい思いがいたします。こういう問題をあるべき次の時代日米関係、二十世紀には大戦争があり、敗戦を経験しましたが、そうでない次の世界に、大きな責任を持つ、高い信頼性を持つ二国関係というものを持っていく認識という中から、ルールと責任とオープンということを申し上げましたが、という姿勢で処理されるべきである、その姿勢が見えることが大事なんだと思いますが、いかがでしょうか。
  122. 河野洋平

    河野国務大臣 そう思います。情報の開示でありますとかきちんとしたルールというものはぜひとも必要だと思いますし、私は、先ほど施設庁の長官から御答弁を申し上げましたが、これらのものをどう処理するか、つまり処理するための技術がまだ確立されていないというような意味の御答弁があったと思いますけれども、そうした技術も一刻も早く確立される必要があるんじゃないかというふうに思うのです。それは、できるだけ早く技術が確立をされて、あっちへ持っていったりこっちへ持っていったりするのではなくて、どこかできちんと処理ができるということが望ましいわけでございますから、そうしたことのための努力もあわせて必要ではないかというふうに思います。
  123. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 気持ちはわかりますけれども、三つの柱を申し上げましたが、次のあるべき日米関係ということへの迫力がやはり国民にわかるような、またアメリカとの関係でも、主張すべきことは毅然として主張する。フランクリースピーキングの国ですから、いろいろ難しいこともありますけれども、やはり主張する中から次のお互いの新しい段階での信頼が生まれるということだと思います。  そういう意味で申しますと、沖縄の恩納村のこともそうですし、例えば地位協定の運用の現実なんかでも、ドイツの、NATOなんかの場合には、何かそこで汚染か砲弾の後始末か不発弾か、いろいろなことが起きたとなれば、米軍の責任でそれはきれいにしますということが行われているわけです。日本の場合には、恩納村の問題も含めてされていないということであります。お互いの責任という観点は毅然として主張する、そういう視点をベースにしながら、地位協定の運用、あるいはお互いに主権国として恥ずかしくないような地位協定の改定という努力が必要だ、私はそう認識しますが、いかがでしょうか。
  124. 河野洋平

    河野国務大臣 同意でございます。
  125. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 もう時間もなんですから、いろいろ議論したいことがあったのですが、一問だけまとめてお伺いをさせていただきます。  それは、先ほど来議論がございました、私も非常に懸念しながら見ているのですが、NPT再検討会議、もう終盤でございますから、その決着へ向けてどうかという問題、それからサミットに向けて十五年問題などの議論がございました。  これは一体どうなるのだろうか。国会の方はもう解散間近ということでございますから、やはりその間に政府の責任が非常に大きいというのが現実でございます。私は、そういうものをどう処理してやっていくのかという意味で、まさにこれからの時代への日本のアイデンティティーをどう鮮明にできるのか、あるいは、世紀を越える節目にまさに立っているわけでありまして、そういう意味での政治のリーダーシップあるいは政府のリーダーシップというのが非常に問われているというのが今日の段階というふうに思います。  親愛なる河野大臣に、私も二十何年間の政治家生活の中で、こういう自由な質問をしたり意見を申し上げるというのは、私の生涯の中で最後の機会と思いますので、そういう気持ちを非常に持つわけでありまして、そういうことをどうしていくのかということが、やはり私ども党派を超えた政治全体の問われるべき課題であろうというふうな思いがいたします。  そういたしますと、NPT再検討会議にいたしましても、ことし一体どうできるのか、もう間もなくの日数の中でどうできるのかということは大変な出来事、崩壊過程に入るとなると大変なことだと思います。さまざまの前向きのこともございます。それから非常に困難な核保有国のいろいろな動きもございます。私は、新アジェンダ連合の動きなどを共感を持って見ております。  大臣は橋渡し役か調整役というふうな、いい役割というふうな表現をしばしばなさいますけれども、橋渡しが常にいいのかというと、場合によっては、大事なときで、また我が日本がどうするのかという意味での重要な節目のときですから、それによって次への扉が開かれることもあり得る。温厚な橋渡しだけではない、決断のときということもあっていいのではないだろうかと申し上げましたが、NPTを見ておりますと、やはり我が日本という国の国是である非核の証明ということが問われるところではないだろうかという思いがいたします。  もう一つ沖縄のことは、もう詳しくは申し上げません。大臣もよく御承知のとおり、ランブイエから始まって二十五周年、二〇〇〇年という歴史の節目、しかもそれが日本で開催をされる。イベントとして事故なく成功するだけということでは、これは全然問題にならぬわけでありまして、まさに世紀を越える戦略、展望を議長国としてどう提起をできるか。しかも、沖縄というアメリカ世界における海外の最大の軍事基地のところで開かれるというわけでございますから、沖縄県民への次の時代へのメッセージが語られる、沖縄から次のアジアへのメッセージが、アジア太平洋といってもいいんですが、語られるということについて、やはり大胆に積極的に提起をされるということが私は評価としてのかぎではないだろうかという思いがいたします。  そういうことが前提にあって、先ほどの議論がございました十五年問題その他についてのやはり姿勢と方向づけが生まれてくるということではないだろうかということ、どんとやらなければならないときではないだろうかということを非常に感じますので、最後にそのことをお伺いしたいと思います。
  126. 河野洋平

    河野国務大臣 NPTの会議は五年に一度の会議でございますから、この会議がどういう終わり方をするかといいますか、どういうふうに総括をされるかということによって、今後五年間の問題に非常に影響がある。というよりは、むしろ、五年目の最初会議でございますから、この会議のできぐあいというものが、これから先、NPTの会議にとって非常に重要だというふうに私ども考えております。  したがいまして、核保有国、P5の国々を初めとして、新アジェンダ連合と言われる国々、さらにはその中間的な主張の国々、いろいろな国々があるわけですけれども、何としてもコンセンサスをつくりたい、コンセンサスをもってこの会議で、議長宣言といいますか、締めくくりの決議なりなんなりを出して、そして次へつなげていくということが重要だと考えて、我が国もそのために懸命の努力をいたしているわけでございます。  議員は、もう随分長く御指導をいただいてまいりましたけれども我が国の立場は非核保有国でございますし、もっと言えば唯一の被爆国でございます。これは、我が国の立場は極めてはっきりしているわけでございまして、そして、そういう立場から、核廃絶、国連総会の場では究極的核廃絶と言っておりますけれども、核廃絶の方向に向かって一歩ずつ一歩ずつでも進めなければならないというのが、広島、長崎で犠牲になられた方々のことを考えれば、我々の大事な役割だというふうに思っているわけでございます。  先ほど達増議員にも申し上げましたけれども、ことしのサミットは、二十世紀から二十一世紀へちょうどかわるかわり目の大事な年に日本がその議長国を引き受ける、日本でその会議が開かれる。少し乱暴なことを申しますけれども日本以外の国はみんなクリスチャンといいますか、キリスト教の信者の方が大変多い国で、日本だけがいわば仏教国と申しますか、少し違う立場の国でございます。つまり、私の言いたいのは、そういう意味で文明、文化の積み重ねが大分違うという状況でもございます。そして、言ってみれば、アジアでただひとりG8に入っているわけでございまして、そうしたことも十分考えて、二十一世紀アジアがどういう役割を担うかということも考えていかなければなりません。  そして、最後に先生がおっしゃった、沖縄皆さんに対する思いというものが、このサミットの会場を沖縄に決められた小渕さんの一番強い思いはそこにあったと思いますので、そうした前総理の思いも恐らく森総理は十分わかっていらっしゃると思いますから、何らかの形で沖縄県民にメッセージが出せる、それは言葉で出せるか姿で出せるか、いろいろな出し方があると思いますけれども、そういうことはあるだろうというふうに私は思っております。  極めて大事な時期に外務大臣をお引き受けいたしておりますが、そういうことを考えますと、これは大変な重い役を今担っているということを改めて感ずる次第でございます。  まだまだ伊藤議員からはいろいろと御指導をいただける時間はあると思いますけれども、今一言お触れになりましたので、私も、随分長い間、同県人としてさまざまな御指導をいただきました。また、時には同じ立場にも立たせていただいたこともございますし、とりわけ、私は少数政党におりましたものですから、そうしたときなどは随分とお励ましをいただいたり御指導をいただいたりしたことを決して忘れることはございません。  温かくいつも御指導いただきました伊藤先生に厚くお礼を申し上げますと同時に、どうぞ、これから先もお元気で、日本政治全般にわたって御指導をいただきますように、もしこれが最後のやりとりになるといけませんので、申し上げておきたいと思います。どうもありがとうございました。
  127. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大事なときですから、頑張ってください。  質問の方は、来週もう一回あるかと思います。どうもありがとうございました。
  128. 井奥貞雄

    井奥委員長 次回は、来る十七日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十六分散会