○
河野国務大臣 難しい問題ばかり三ついただきましたが、まず、未臨界核実験の問題は、核廃絶を願う人の気持ち、とりわけ
我が国の多くの
方々の気持ちからいえば、未臨界核実験が行われるということについて決してプラスの感情を持たないと思います。未臨界とはいえ核実験が行われる、そして、それは確かに環境への影響はないとか、地下で行うこともしないとか、いろいろなことは言いますけれ
ども、結局、核兵器というものがそのことによって劣化もせずにそのまま温存されていってしまうではないか、どうしてそういうことを認めるのかという気持ちを持たれる方は多いと思いますね。
しかし、ここに来るまでのプロセスを考えますと、包括的な核実験の禁止
条約をつくるという場面で、どうしても、全体的な核実験の禁止をやろうというときには、どこか一歩下がって全体の核実験の禁止をまず第一歩やるということが、一つの知恵といいますか、前進のための妥協といいますか、そういうものであったんだということもまず御理解をいただかなければならないと思います。もしこの未臨界核実験までだめよと言えば、恐らく核実験禁止はできなかったであろう、恐らくというよりはまず絶対にできなかったであろうというふうに思いますが、少なくとも未臨界核実験というものを残したということによって全体的な核実験の禁止はできたという、小さいけれ
ども一歩前進があったんだということをまず考えて、そして、その上で次の
方法は何かということに思いを進めなければいけないというふうに私自身も自分自身に言い聞かせているところでございます。
この問題は、究極的な核廃絶を考える上で必ず知恵をみんなで出していかなければならない問題であろうということだけ、きょうは申し上げておきたいと思います。
それから、非核武装地域
構想というのは、これは
伊藤先生かねてから御
提言でございまして、
国際社会、
世界地図の中にはもう何カ所か非核武装地帯というものはできているわけです。トラテロルコ
条約を初めとして幾つかの部分が非核武装地帯、非核地帯ということになっているわけでございますが、非核地帯をつくるにはつくるだけの条件が整わないとなかなかできないということもこれまた現実でございまして、今、我々が北東アジアに非核地帯をつくろう、あるいはつくりたい、こう考えるときには、それなりに、少なくとも現在核を保有している、あるいは核を保有していると見られる国、そういったものが積極的に賛成をするのでなければこうしたことはできないのだと思います。
しかし、だからといって、私はこれは手をこまねいている手はないと思っておりまして、そうした
提言というものが行えるチャンスといいますか、場面というものをどこかに見出さなければいかぬということを考えておりますことを申し上げます。
それから、中国のWTO
加盟でございますが、これは
我が国もかねてから中国の
加盟について協力をするということを言ってまいりまして、
日本と中国との間の二国間協議は終わっております。アメリカと中国も、非常に難しい協議であったようでございますが、これも終わりました。あとたしか御
指摘のEUを初めとして数カ国が残っている、メキシコでございますか、中南米の幾つかの国が残っているかと記憶をいたしておりますが、そうしたことが全部クリアされれば中国のWTO
加盟ということになると思います。また、なることは我々にとって大変いいことだと思います。
しかし、中国がEUとの交渉も今非常に厳しい交渉をやっておられる。EUの方に聞きますと、いや、アメリカと中国ができたんだから、我々と中国も、大体の部分はアメリカとの合意によって我々との話し合いもカバーされているというふうに言っておられますけれ
ども、やはり厳しいところが何カ所かあるということのようでございます。
例えば、中国でいいますと、中国にとって比較的得意の分野等については、例えば繊維でございますとか軽工業の分野については、これはWTOに
加盟することによってメリットがございます。しかし、そうでない分野、自動車でございますとかその他、そういう
加盟によってデメリットの大きい分野もあるわけでございまして、これらを中国の指導者が指導力を発揮して合意に持っていけるかどうかというところが今一番大事なところと考えております。
願わくば、
先ほども御
議論がございましたけれ
ども、
国際社会すべてをカバーするWTOというルールができることが
世界の自由
貿易体制をしっかりとさせるために重要だと思っておりますので、とりわけ大きなマーケットを持っておる中国でございますから、あるいは経済力を持っている中国でございますから、この中国のWTO
加盟は極めて大きな意味を持つというふうに考えて、この
加盟がスムーズに行われますように期待をしているところでございます。