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2000-03-24 第147回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年三月二十四日(金曜日)     午前十時開議  出席委員      委員長 佐々木秀典君    理事 嘉数 知賢君 理事 亀井 善之君    理事 鈴木 宗男君 理事 望月 義夫君    理事 上原 康助君 理事 原口 一博君    理事 丸谷 佳織君 理事 佐々木洋平君       石崎  岳君    佐藤 静雄君       下地 幹郎君    園田 修光君       仲村 正治君    野中 広務君       宮腰 光寛君    森  英介君       吉川 貴盛君    鉢呂 吉雄君       藤田 幸久君    白保 台一君       鰐淵 俊之君    古堅 実吉君       伊藤  茂君     …………………………………    外務大臣         河野 洋平君    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    国務大臣    (沖縄開発庁長官)    青木 幹雄君    総務政務次官       持永 和見君    沖縄開発政務次官     白保 台一君    外務政務次官       東  祥三君    政府参考人    (内閣審議官)      安達 俊雄君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (金融監督庁監督部長)  乾  文男君    政府参考人    (沖縄開発庁総務局長)  玉城 一夫君    政府参考人    (沖縄開発庁振興局長)  襲田 正徳君    政府参考人    (国税庁課税部長)    河上 信彦君    政府参考人    (水産庁長官)      中須 勇雄君    政府参考人    (運輸省自動車交通局長) 縄野 克彦君    政府参考人    (運輸省海上交通局長)  高橋 朋敬君    衆議院調査局第一特別調査    室長           鈴木 明夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  沖縄及び北方問題に関する件     午前十時開議      ————◇—————
  2. 佐々木秀典

    佐々木委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として、内閣内政審議室内閣審議官安達俊雄君、金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁監督部長乾文男君、沖縄開発庁総務局長玉城一夫君、沖縄開発庁振興局長襲田正徳君、国税庁課税部長河上信彦君、水産庁長官中須勇雄君、運輸省自動車交通局長縄野克彦君、運輸省海上交通局長高橋朋敬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐々木秀典

    佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 佐々木秀典

    佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  5. 上原康助

    上原委員 おはようございます。  きょうは、せんだっての青木沖縄開発庁長官所信表明等についてお尋ねをすることになっておりますが、実は、青木長官が、いろいろ閣議等の日程の都合で十分ないし十五分くらいおくれるという当初の話だったので、その間を利用して白保総括政務次官にでもお尋ねしようと思っていましたが、せっかく青木長官が時間をやりくりなさったということでありますので、最初長官お尋ねをさせていただきたいと思います。  御承知のように、今いわゆる沖縄問題は山積をいたしております。きょう、ある程度具体的なことについてもお尋ねをしたいと思うのですが、まず、せんだっての所信表明にもございますが、沖縄の二十一世紀プラン沖縄振興新法、これは仮称なのか既に政府が決めておられるのかわかりませんが、この関連についてまず長官お尋ねをしてみたいと思うのです。  といいますのは、今後のポスト三次振計の内容というか方針というのは、県民期待が非常に大きいだけに、どういう内容が織り込まれるかということで、断定的なことはともかくとして、沖縄県あるいは沖縄のいろいろの団体等意向も踏まえてこの内容というのは策定をしてもらわねばならないと思うのですね。  そういう意味で、一方には、総論というか、総合的計画として恐らく二十一世紀プランというのがあると思うのですが、もう一つは、北部地域振興策というのが既に政府閣議決定を見て、いろいろプロジェクトチームなんかも設置をしてやっているようであります。これは、普天間飛行場移設先及び周辺地域振興策が織り込まれている。また、それとの関連で、駐留軍用地跡地利用の促進及び円滑化などに関する方針案、これは新しい法制度を含めてやるということが言われております。  そういうことになりますと、この二十一世紀プランあるいは沖縄振興新法北部地域振興策というのはそれぞれ独立したものではない、あるいは二十一世紀プランに包含されていくのか、どういうような仕分けというか考え政府は具体的な計画あるいは方針内容をおつくりになろうとしているのか。  これは、小渕首相衆議院会議における代表質問の中でも、沖縄振興新法実現を視野に入れた調査審議を行っておる、それに基づいてポスト三次振計について検討中である、こういう御答弁もあるわけで、今私が指摘をしたようなこと等について、沖縄開発庁長官としてあるいは内閣官房長官としてどういうお考えなのか、また、具体的には、内容というものはどうおつくりになろうとしておられるのか、御答弁を願いたいと存じます。
  6. 青木幹雄

    青木国務大臣 お答えをいたします。  今議員おっしゃいましたように、既に二十一世紀プランについては現在鋭意検討中でございまして、私どもは、でき得ればことしの夏ごろに結論を出したい、そういうふうに考えております。  それからまた、閣議決定を得まして、北部振興につきましては、議員承知のように、先般関係市町村全員に東京に集まっていただきまして、知事出席のもとで、私ども北部振興に関する会議の第一回を開催いたしました。そういたしまして、その後、これは各省庁すべてにかかわる北部振興でございますので、関係十三省庁事務次官全員に集まっていただきまして、各省庁が全力を挙げて北部振興に取り組んでいただくために、一人一回は必ず沖縄に行って、北部に行って町村と話し合いをして、自分の省では何ができるかということをしっかり確かめてもらうような体制もしきました。  それを踏まえまして、現在のところ、十三省庁のうち十二省庁事務次官沖縄に行っておりまして、来週月曜日に通産省が参りますと、すべての事務次官北部に入って、北部の実態を把握し、北部皆さんの声を聞いた、そういうふうな形になるわけでございます。  また、受け入れ地域会議も先般それと同時につくったことは議員承知のとおりでありまして、そういうものを踏まえまして、私どもは今度いわゆる新法つくりまして、そういうものをすべて勘案した中でこれからの対応をしていきたい、そういうふうな基本線で現在取り組んでいるところでございます。
  7. 上原康助

    上原委員 総論的といいますか、大筋においては、これまでもマスコミ等でも報道されておりますし、また官房長官あるいは開発庁長官としてのいろいろな記者会見沖縄訪問のときのことでも触れられておるわけで、わかるわけです。  そうしますと、二十一世紀プランというものは夏ごろまでに成案を出したいと。一方、北部振興策については関係市町村と詰めながら進めている。十三省庁にまたがることなので、各省庁事務次官はぜひ一度沖縄へ行って、いろいろな意見を聞いてやってもらいたいということを指示しておられる。それはほぼ行っておられるようですので、結構なことでもあるんですが。  ただ、この二十一世紀プランには北部振興策も盛り込んでいくのか、あるいは北部振興策北部振興検討本部ポスト三次振計の法制検討はその部門で、部門は分かれているわけですが、内容的にはどうなっていくのですか。
  8. 青木幹雄

    青木国務大臣 当然、北部振興も盛り込んだ体制でやっていきたい、そういうふうに考えております。
  9. 上原康助

    上原委員 では、それを含めて夏ごろまでに全体像がほぼ明らかにされる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  10. 青木幹雄

    青木国務大臣 二十一世紀プランが夏ごろに大体でき上がる、そういうふうに考えておりますので、その時期と考えていただいて結構だと思います。
  11. 上原康助

    上原委員 既に沖縄県も二十一世紀プランに織り込んでもらいたいという提案、提言をしております。その成案を見るに当たっては、ぜひそういう内容等についても十分御参考にしていただいて、取り入れてもらいたいということを強く要望しておきます。  それで、これは後のこととも関連しますが、私は、二十一世紀プランの中、ある程度勉強してみて思うことは、ちょっとやはり物足りない面があるんですよね、正直申し上げて。  例えば、総合交通体系をどうするかというようなこと等については、後ほど触れますけれども、二十一世紀の中後期を考えた場合の沖縄本当振興策、あるいは産学住遊のバランスの県土利用ということを考えた場合に、私は公的機能というものが絶対必要だと思うんです。私は何も新幹線をつくれと言っているんじゃない。これは前官房長官にも要望したら、必要性は認めるけれども経営主体がないとか、お金がかかるとか。お金がかかるからやるものだ。我々民主党としてはそのことを強く求めていますので、ぜひ二十一世紀プランの中に織り込むように御検討願いたいという注文をつけておきたいと思う。これは後ほど、ちょっとバス問題と関連させてお尋ねさせていただきます。  そこで、夏ごろまでに全体像がわかるということでありますので、これとの関連で、北部地域振興策についてちょっと、これは長官でなくても、政府参考人でも結構ですが、お答えいただきたいと思うんです。  まだそこまで具体的には言えないかもしれませんが、要するに、公共事業部門で五十億、非公共部門で五十億、百億の財政措置というか予算措置をして北部振興を図る。だが、これの一つ前提条件があるような気がするんですね。この閣議決定内容においては普天間飛行場移転周辺地域関連地域振興ということもうたってある。そのことは、河野外務大臣もいらっしゃるけれども、仮定のことにはお答えできないと言われるとそれまでかもしらぬが、もし普天間が動かないということになる、あるいは困難性がある、かなり時間がかかるというようなことになった場合には、この北部振興策はどうなるかというのが一つ。  もう一つは、この事業対象メニューはどこでつくるのかということ。  もう一つは、その事業採択基準というのはどうお考えなのか、どこでおつくりになるのか、こういうことについてもう少し明らかにしておいていただきたいと思います。
  12. 青木幹雄

    青木国務大臣 最初議員お尋ねになりました、普天間の問題との関連がどうなるか、リンクしているかどうかという問題であろうと思いますけれども、私どもは、普天間飛行場移設北部地域振興とは、関連は否定することができないと基本的には考えております。  しかしながら、他方において、沖縄県全体の均衡ある発展を図るという視点からは、当然、北部地域振興それ自体が重要な課題であるということも十分認識いたしておりまして、そういう考え方の上に立って、今後北部振興推進してまいりたいと考えております。  また、北部振興策につきましては、議員指摘のとおり、昨年末の閣議決定に際しまして、平成十二年度以降、当面おおむね十年間で一千億円、これは公共、非公共、五十、五十ということになっておりますが、表明したところでございまして、今年度の十二年度予算において百億円を計上させていただいているところでございます。  また、この予算を活用した具体的な振興事業についてはどうするかということでございますけれども、魅力ある雇用機会の創出、人と産業定住条件の整備など、昨年末の閣議決定に盛り込まれた考え方中心にして事業採択に当たっていきたい、そういうふうに考えておりまして、今後地元とも、十分御意見を聞きながら、相談の上で対処をしてまいりたい、そのように基本的には考えております。
  13. 上原康助

    上原委員 ですから、そのメニューをつくる場合の採択基準はどこでおつくりになるんですか。各北部市町村いろいろ要望があると思うんだが、それを見て、政府がやるのか、政府と県と北部市町村代表皆さんの合議でやるのか。そこいらは、透明度が高く、かつ地域意向が十分反映される内容でないと、本当振興策にはならないと思うんです。その点、懸念する向きもありますし、また期待もありますから、もう少しその点は明らかにしていただきたいと存じます。
  14. 青木幹雄

    青木国務大臣 今申し上げましたように、各省庁挙げてこの問題に取り組んでいることは先ほど申し上げたとおりでございまして、先般、事務的に各町村からいろいろな要望をお聞きいたして、既にその要望は、多いところでは一つ町村で十幾つとか二十幾つとか、いろいろな要望が出ております。  それを今後どういうふうにしていくかということが問題でありますが、先生おっしゃりますように、私どもは、当然、県、関係市町村、その意見を十分に反映したものでなければならないという基本線で今回の問題を進めておりまして、国も一緒になって、国、県、市町村、住民の皆さんみんなが一緒になってやはりそういう基準はつくっていかなきゃいかぬ、そういうふうに考えております。
  15. 上原康助

    上原委員 そこは十分御配慮いただきたいということを強く御要望申し上げると同時に、これは沖縄側にも言えることなんだが、余り似通ったものを各市町村が競い合ってつくる必要はないと思うんですよね。広域で特徴のある事業を興すということと、やはり箱物だけじゃなくして、北部特性や自然を活用しながらの、背丈に合ったというか、もう少し地場産業を重視するような産業の育成、事業というものを織り込むようにやった方がいいのじゃないかと思いますので、その点も、これはむしろ沖縄側がやるべきことかもしれませんが、政府としても念頭に置いて進めていただきたいと思います。  それで、きょうはもう一点、具体的というか、作業を進める中で、これは開発庁あるいは内政審議室、それぞれ簡単にお答えいただきたいのですが、要するに、普天間飛行場移設に係る政府方針実現に向けた沖縄開発庁取り組み体制というのが一つあるんですね。北部振興検討本部ポスト三次振計法制検討本部というのがある。ここでやる作業と、もう一つは、沖縄問題担当室体制拡充についてということで、これは沖縄問題担当室の新体制ということで機構が強化されている、総合振興グループ北部振興グループ跡地対策グループ法制グループというふうに。  こういうふうにスタッフグループを設置してやることは結構なんだが、ややもすると縦割りになる、あるいは縄張りになって、十分な横の連携がとれずに、同じことをこっちでもやるあっちでもやる、調整はどうするかということになると手間取ったり、そごな面が出てきはせぬかという懸念を持たざるを得ません、政治立場から考えると。この点はどういうふうに調整をし、どう進めていかれるのか、今後のこともあるのでひとつお考えを聞かせておいていただきたいと思います。
  16. 安達俊雄

    安達政府参考人 お答え申し上げます。  私ども内閣官房立場は、関係する省庁がフルに沖縄振興に取り組んでいただくことをいかに円滑にしていくかという総合調整役割でございまして、今般組織体制を強化していただいたわけでございますけれども、この目的も、昨年末の閣議決定において大変政府として多くの宿題を抱え込んだわけでございまして、これを確実に実現していくという膨大な作業政府全体にかかっているわけでございます。それをいかに円滑にしていくかという観点でお役に立ちたいという気持ちでございます。  沖縄振興につきましては、沖縄開発庁が最も中心となる省庁でございますので、沖縄開発庁と私どもがよく連携協力し合って進めていきたいというふうに思っておりまして、実際にも、先週この北部振興のヒアリング、意見交換等を行いましたけれども、これも一緒になって行っていくということで進めておるところでございます。  以上でございます。
  17. 上原康助

    上原委員 沖縄開発庁もそれでいいですね。
  18. 玉城一夫

    玉城政府参考人 お答え申し上げます。  今、安達審議官からお答え申し上げましたように、私ども、沖振法という法律も所管してございますし、また、昨年の暮れに閣議決定されました沖縄振興新法を目指すというふうな内閣全体として目指すべき指針も出ております。  その関係で、私どものこの法律を今後どうするかという問題も含めまして、従来同様、沖縄振興開発審議会におきましても専門委員会を設けまして検討しておりますし、それらの検討とあわせまして、庁内でもその本部つくりまして、今安達審議官がお話し申し上げましたように、全く、毎週一体となりまして、同じことについて意思疎通を図りながら同じ方向検討しているところでございます。
  19. 上原康助

    上原委員 そこは役所のお仕事ですから、いろいろ担当部署部門があると思うんですが、ぜひ十分な意思疎通調整を図りながらいろいろな計画をおつくりになっていただくことを強く要望しておきたいと思います。  そこで、今のこととも関連するんですが、冒頭申し上げましたように、白保政務次官に、せっかくのあれですから、ちょっとお尋ねをします。  これはまた、政務次官からお答えいただいて、大臣の方からも御見解がいただければありがたいと思うんですが、一つは、ちょっと僣越ですが、私も沖縄開発庁長官を務めさせていただいた経験を持っています。また、国土庁長官も兼任いたしました。やはり、短くて、今の状況と私の時代は、まさに敵陣にパラシュートでおりたような、針のむしろに立たされたような毎日でしたが、それでも、政治家大臣長官事務次官政務次官意欲熱意によって私はかなりのことができると思うんですね、正直申し上げて。また、それなりに協力してくれる立派なスタッフもいます、開発庁にしても。国土庁もそうでしたが、北海道開発庁にしても。  それで、白保総括政務次官に、あなたの在任中にぜひこれだけは実現したい、あるいはめどづけたい、県民期待にこたえたいというのがおありだと思うんですね。ぜひそれを強力に推進してもらいたい、これは要望を兼ねて。  例えば、今度七月にサミットもあり、あしたから総理沖縄を訪問なさるようですが、国連アジア機関沖縄立地とか誘致というもの、国際機関立地というのはかねがね県民の強い期待なんですね。また、公明党さんもそのことを地元でも、中央でも政府にも国会論議の中でも非常にやっておられるような感じがいたします。ですから、沖縄からの平和のメッセージをまずアジアに発信をし、世界に発信するという面で、国連アジア機関というものの沖縄立地ということを、沖縄開発庁なりあるいは与党という中で、政務次官というお立場にあるわけだから積極的にやっていただきたいと思うんですが、これに対する何かお考えなり、また別にこれにこだわる必要はないと思いますので、ぜひ決意を聞かせていただきたいと存じます。
  20. 白保台一

    白保政務次官 お答えいたします。  上原先生、今大変強いお言葉でございましたが、私ども公明党国連アジア本部沖縄誘致するように取り組んでいることは、上原先生承知のとおりでございます。私としましても、我が国が国連を重視してきたことや、国連役割、そしてまた沖縄の持つ歴史的、地理的な特性などを踏まえて、先般私ども代表代表質問でも総理に質問いたしましたし、同時に総理も強い関心を示されましたことから、このことについては私としても、しっかりとした関心を持っておると同時に、取り組んでいく決意であります。
  21. 上原康助

    上原委員 ぜひこれは、一党だけのことでなくして政治家全体、各党が協力し合ってやるべき課題だと思う。だが、その場合だって、やはり核になる推進者というのがおらなければならないわけですから、今強い決意表明がありましたが、強力に推進をして実現をしてもらいたいと思います。  それともう一点、新石垣空港早期実現に向けての決意を。これは開発庁運輸省政府全体の課題と思うんで、もちろん沖縄側ももっと努力をしなければいかないと思う。  もう御承知のように、三月十一日にカラ岳陸上案というものが決定を見ました。もちろん環境保全、特に白保海域サンゴ保全というものは慎重の上にも慎重な配慮をしなければいけませんが、飛行場とか空港を新たにつくるには、陸地につくるか海を埋め立てるか、どっちかしか選択はないんですよ、簡単に言うと。ですから、ある一定のリスクはやむを得ないと思う。しかし、それを最小限に、ミニマムに食いとめて最大公約数をとって、反対するあるいは不満を持つ方々の意向というものも取り入れて、どう合意形成を図って推進をしていくかということだと思うんですね。  そういう意味で、これはもう四度目の候補地決定でありますので、今後の八重山群島、あるいはとりわけ石垣市の産業経済振興、特に観光産業推進ということを考える場合、あるいはその活性化を目指すという意味では、これまでの二十数年のタイムロスを埋めるように、むしろ前倒しで諸計画推進していかなければならないと私は思うのですね。このことについても、せっかく白保政務次官沖縄開発庁総括政務次官としておられるのだから、地元期待も大きいと思うね。  その意味でも、今私が指摘をしたようなことについて、積極的に開発庁の中あるいは運輸省との連携をとって推進して、郡民県民期待、これは何も八重山群島だけのことじゃないですね、沖縄全体の重要な二十一世紀に向けた政策課題でありますので、その点のお考えと、今私が申し上げたことについてどう取り組んでいかれるのか、決意を少し述べていただきたいと思います。
  22. 白保台一

    白保政務次官 お答えいたします。  新石垣空港建設につきましては、先生先ほどからおっしゃられるように、初めに白保海上案がございました。それからカラ岳東海上案がございました。そして宮良牧中案と、三回変わってまいりましたが、昨年稲嶺知事によって新石垣空港建設位置選定委員会を設置し、検討を進めてこられたわけでございますが、先般三月十一日、決定を見ました。これによりまして、県の方として逐次手続を進めて、そして建設方向へと進むことと思いますが、沖縄開発庁としても、また私たちとしても、新石垣空港建設が一日も早く進められるように、関係方面連携をとりつつ、引き続きできるだけ早い支援を、できるだけ多くの支援を行っていけるように取り組んでまいる決意でございます。
  23. 上原康助

    上原委員 先ほどの国連アジア関連機関というか、あるいは国連アジア本部沖縄誘致をするという課題と今の石垣空港の問題について、官房長官開発庁長官としてこれはぜひこういうソフトな面も、もちろん飛行場はソフトだけではないのですが、もう石垣空港建設というのは、これは西銘県政時代からの課題で、ずっと延び延びになって、やっとこさ場所選定が、合意形成ができつつある。もちろん自然保護派不満や反対が起きるかも知らぬが、それはまあ民主主義社会ですからいろいろの御意見はあっていいと思うのですが、今回は私は合意形成が可能だと見ておりますので、運輸省も、航空局に来てもらいましたが、四月にも県は計画策定に入りたいというようですから、これについては、通常のタイムスケジュールでいくのでなくして、少し突貫的にでも、スピードアップするぐらいの熱意意欲があって、そういう姿勢を示せば、私は今回は何とかこぎつけ得るのではないかと思いますので、さっきの件とまとめて、大臣の御所見、決意のほどもお伺いをしておきたいと存じます。
  24. 青木幹雄

    青木国務大臣 沖縄国際機関をということは、議員今おっしゃいましたように、これは一政党とか、政党政派を超えた一つの問題でありまして、国を挙げてこれは取り組むべき一つの大きな問題だ、私はそういうふうに認識をいたしておりまして、先ほど政務次官が申し上げたように、私も一緒になって全力を尽くしていきたいと考えております。  また、石垣島の空港の問題につきましては、議員承知のように、先般やっと県としての結論が出されたわけでございまして、この結論を受けまして、私どもは、できるだけ早い年次にこれを完成するように、県とも緊密な連絡をとりながら一生懸命取り組んでいく覚悟でございます。
  25. 上原康助

    上原委員 そこで前段のことですが、あしたから総理沖縄へ行かれる。もちろん万国津梁館の建設状況あるいは名護市のプレスセンター、そういう現場も御視察なさると思うのですが、普天間飛行場移転問題というのは、実際に実行に移すまでにはまだ幾つも山があり、難題がはだかってるというか、ありますので、これはそう容易ではありませんよね。十五年問題はもうこの間外務委員会でもやったが、なかなかかみ合わないから、しばらく冷却期間を置いて、河野大臣の心境変化を期待しながら、きょうはもう次にしたいと思うのですが、せっかく行かれるし、総理が行かれると十五年問題も必ず出ると私は思うのですね。別にお土産を持って行ってくださいとは言いません、失礼になりますから、これは政府総理の御判断があるはずですから。が、せめて国連機関とか国際機関とかそういうものをサミットのときに沖縄立地をさせるような、二十一世紀プランの中に、ミレニアムの中に入れるというような、新たな構想を総理が例えばおっしゃるとか、あるいは聞かれるかもしれませんので、ただサミット機関の視察に行くということではなくして、何か明るい話題もないといかないと思うのですが、官房長官、今どうお考えになっていますか、あした、あさっての総理沖縄訪問を。(発言する者あり)
  26. 青木幹雄

    青木国務大臣 明日、明後日、総理沖縄へ訪問いたしますのは、議員承知のように、ことしの一月一日からサミットの議長国になったわけでございまして、総理自身が議長を務めるサミットでございますので、まず沖縄サミットの受け入れ態勢がどういうふうになっているかということを主体にした今度の訪問でございますので、議長国として、議長として、恐らく今回の沖縄訪問だけでは済まないと思っておりますので、これからも、恐らくある時期には、最終的に警備状態とか、いろいろな施設の完成状態とか、そういうものを再確認する機会もあろうと思いますので、先生が今おっしゃったようなことが、沖縄へ参りましたときに果たしてお約束できるかどうか、そういうことも含めて十分検討していく問題だ、そういうふうに理解をいたしております。
  27. 上原康助

    上原委員 後ろの方から聞いたような声だなと思ったら、前官房長官が、行く前に言ったら何も意味がないのではないかというようなことをおっしゃっているから、その含みがあるのだなというふうに理解をしておきましょう。  次に、先ほども申し上げましたが、野中前官房長官もぜひお聞きになってお力をかしてもらいたいのだが、私は、沖縄総合交通体系は、モノレールの二〇〇三年供用化後に、鉄軌道問題の検討が絶対不可欠だと思っている一人なのです。また県内にもだんだんそういう声が強くなりつつございます。  そこで、そのことも念頭に置きながら、沖縄における深刻なバス事業の問題ですね。これももう何回か統合寸前まで来て、不発に終わったり、私も長いこと側面的に協力もし、また提言もして、いろいろやってまいりましたが、苦い経験が何度もあります。だが、四社ともますます累積赤字はふえて、もうピンチの状態。失礼な言い方かもしれませんが、瀕死の状態ですね。そういう状況下で、平成十年十二月に、沖縄総合事務局が統合のスキーム案を検討材料として四社に提示をして、乗り合い部門のみを新会社に譲渡する、いわゆる新会社をつくってバス統合を図るということがなされて、これは各社とも受け入れる用意があるという表明をして、検討委員会なども設置をして進めて、本当平成十一年内にめどづけるということだったようですが、なかなかうまくいっていないのですよね。  それで、このバス企業の統合問題あるいは健全化ということは、やはり現在は沖縄県民の足なんですからね。そういう意味で、もう少し政府としてもいろいろ助言をなさるなり政策的な配慮があっていいのではないかと思っておるのですが、バス事業の現状をどう見ておられるのか、あるいはどういう方向で統合をし新たな会社を設置するのか、政府考えはどういうものか、少しお聞かせを願いたいと思います。  これは運輸省でも結構です。
  28. 縄野克彦

    縄野政府参考人 沖縄本島の乗り合いバスの四社の問題につきましては、御承知のように、マイカーの普及でありますとかお互いに競合する路線を運行しているということで、道路混雑の激化によりまして乗客数も減少いたしまして、各社とも厳しい経営状況を強いられておるわけでございます。多額の累積債務も抱えておりますし、今お話しございましたように、平成十五年には、これは喜ばしいことではございますが、モノレールの開業も予定をされております。  そういう中で、四社の統合は、これらの問題を踏まえまして、事業の効率化を図ることによって、不可欠でございますバス事業の維持を継続しなければならない、そういう観点から、私どもも、あるいは県も、一緒になって考え検討をしているものというふうに考えております。  昨年じゅうに具体的な結論をということでございましたけれども、現時点において、四社において引き続き熱心な検討が進められておるというふうに、私どもとして認識をしておるところでございます。
  29. 上原康助

    上原委員 これは私企業ですから、余り政治や行政が干渉がましいことは避けねばならないし、また限度があると思うのですが、やはり今の状況を放置するわけにはまいりませんね。開発庁としても沖縄総合事務局の運輸部でスキームをつくって提示もしているわけですから、政府にも、公共交通という面からは、全く関係がないとは言えない。  私は、前川崎運輸大臣にもお会いをして、二十一世紀に向けた沖縄総合交通体系というものをぜひ政府としても御検討をいただきたい、その中には鉄軌道導入も含めてもらいたいという強い要望を申し上げたことがあります。二階現運輸大臣にも、公式にじゃないのですが、お会いするときにはそういうことをお話ししてございます。バス企業の四社の統合問題についても非常に熱意を持っておると私は理解をし、沖縄側から鉄軌道問題も具体的に提起があれば政府としても検討することはやぶさかでない、こういうことまでおっしゃっているのですよね。  だが、沖縄開発庁が非常に消極的なんですよ、青木さん、失礼ですが。これはやはり二十一世紀プランに入れて、バス企業の統合問題と、沖縄の空も陸も海も健全化していかないと、本当の自立経済どころか、ますます県内企業はしぼんじゃっている。こういうことについてどうお考えなのか。  例えばバス問題。軍バスなんというのは、琉球バスが今までずっと経営しておったものを、本土の大手の自動車会社が、この九月からか、既に一部は経営変更されているのですね。雇用問題が深刻になりつつある。これは後ほどまた取り上げますけれども。  そういう意味で、今の点について大臣どうお考えかということと、もう一つ運輸省、バスの経営状態が非常に深刻だという面では、雇用の問題があるのですね。  モノレールが三年後に発車するならば、当然モノレールについても百何名ぐらいかの運転士の雇用が必要だと思う。総体的にはもっとあるでしょう。そういうものとリンクして、バス運転士の若い方々、意欲のある方々が、モノレールができたときにはそこに転職していいということになった場合、そういう面も含めて、ひとつ今から検討していただきたいと思うのですが、後半については運輸省の方からお答えください。
  30. 青木幹雄

    青木国務大臣 議員が一番、恐らくバス四社の内容については十分御承知だと思いますけれども、まだ具体的に四社の間で何にも決まっていないというのが現状でございまして、私どもは、四社ができるだけ早く四社としての意見をまとめられ、その上に立って、政府としてできることがあるならば一生懸命お手伝いはする気持ちは、何ら変わっておりません。  今担当が申し上げましたように、まだ具体的な問題がきっちり煮詰まっていない段階でございますので、できるだけ早く四社の間で具体的な再建案といいますか、雇用も含めたそういう問題の結論を出されることを、私どもは待っているところでございます。
  31. 縄野克彦

    縄野政府参考人 御指摘ございました今のバス会社の乗務員等の雇用問題でございます。  モノレールの乗務員等への検討ということでございますが、バス会社の四社の統合問題の具体策の進展、それから平成十五年に開業いたしますモノレールの具体的な運営計画、そういうものに対応して検討はされるべき課題一つというふうに今認識しておりますが、具体的な検討の結果を私どもとして見守りたいというふうに思っております。
  32. 上原康助

    上原委員 バス四社あるいは沖縄県、関係者にもその点は要望しますので、ぜひひとつそれを受けとめてやっていただきたいと思います。  もう一点、有村産業の会社更生に関する件について、これも私は、昨年でしたか、倒産になったということを聞いて、早速、前川崎運輸大臣にお会いしていろいろ要望いたしました。国として、政府としては相当努力をしておられるようですが、まだ十分な方向性が出ておりません。  会社更生決定を促進していく意味では、船舶施設整備事業団からの助成等についていろいろ検討すべき点があるようであります。その点を促進してもらって、有村産業が一日も早く会社更生を取りつけて、そして三千名前後に及ぶ家族を含めた雇用の問題と生活権というものを大事にして、この再生ができるように、私は政府としての特段の助成措置をやるべきだと思うのですが、運輸省、今の状況はどうなっているか聞かせていただいて、この点についても大臣からも一言お答えを願いたいと存じます。
  33. 高橋朋敬

    高橋政府参考人 お答えいたします。  有村産業につきましては、先生御指摘のとおり、昨年の六月に、会社更生法に従いまして、那覇地方裁判所に申請が受理されまして以後、保全管理人のもとで更生の可能性について検討が進められているという状況でございます。  保全管理人にも大変御苦労いただいて、いろいろな案を出していただいているというふうに承知していますが、その中で事業団に関するものとしましては、船は有村産業事業団とのいわゆる共有状態にございますが、その共有分につきまして持ち分の大幅な圧縮というものを求めておられるということも承知しているところでございます。  この案につきましては、事業団の所有権に関することでありますので、いろいろと難しい問題があると承知しております。したがって、慎重に検討を行っているわけでございますが、しかし、事業団としてできることはいろいろとあるんじゃないかというような視点で、何かできないかということで、保全管理人やあるいは地元沖縄県など関係機関ともよく相談をしながら、検討を今進めているところでございます。  引き続き、そういう考え方でもって進めてまいりたいと思います。
  34. 上原康助

    上原委員 ぜひ御努力願いたいと思う。  時間ですから、河野外務大臣、これは要望だけを申し上げておきますが、外務省のあれに、沖縄サミットの歴史、文化のところの記述でミスがあるのですよ。一六〇九年、薩摩藩の戦いに敗れた琉球王国という表現がある。薩摩藩の戦いに琉球王国は敗れたんじゃないのですよ。そういう歴史認識だからこそ、変な発言もあって、今大変大きな政治問題になりつつありますので、これは指摘だけしておいて、担当者、後ほど私のところに来ていただいて、これは国際的な問題になりかねませんので、ひとつ御訂正を願うことを要望しておきます。
  35. 佐々木秀典

    佐々木委員長 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、鉢呂吉雄君。
  36. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄でございます。  ロシア関係について御質問をさせていただきたいと思います。  私自身も、大臣、超党派日ロ議連の事務局長、若輩者ですけれども、もう七年ほどさせていただいておりまして、北海道の選挙区ということもございますので、北方領土問題、大変大きな関心を持っておるところでございます。  昨年十二月に、ロシアの国会、下院の選挙も終わりまして、三分の二が入れかわるという状況ですけれども政治的には、いろいろな党派ができておりますけれども、安定化の方向にあるのではないかなというふうに思っております。  東政務次官とも一度モスクワに行きましたし、日ロ議連としては、年に一、二度は必ず向こう側の議会の幹部の皆さんあるいは政府関係者とお会いをしております。今回も四月十六日の週にモスクワを訪問して、できれば新大統領にお会いをしたい、あるいはまた国会の下院、上院の議長さん初め、各政党の代表皆さんにもお会いをしてきたいというふうに思っております。  何よりも二〇〇〇年が、外務大臣所信表明で表明のとおり、日ロの平和条約を締結する、クラスノヤルスク会談の合意事項に基づく二〇〇〇年という区切りでございますので、この関係に絞ってきょうは御質問をさせていただきたいと思います。  まず、エリツィンが突然十二月三十一日に辞職をし、大統領選挙が前倒しのような形でまさに今行われておりまして、三月二十六日に、まさに二、三日後にその投票が行われるという形で、日本のマスコミ、報道関係者もそれぞれ、大変豊富にその状況について報道しておるということであります。投票率が五〇%を超えなければもう一回選挙をやり直すということですから、最低限投票率五〇%を超えて、一回目で得票率五〇%を超えなければ大統領が決まらないということでありますけれども、大方のところ、プーチン大統領代行が独走の気配で、勝利をするだろうというふうに言われておるところでございます。  まず外務大臣に、プーチン大統領代行、この大統領候補がどういった政策を持ってこれから臨んでくるのか、外務大臣としてどのような見方をしているのか、まずお聞きをしたいと思います。
  37. 河野洋平

    河野国務大臣 議員指摘のとおり、ロシアの大統領選挙は、その投票日を目前にしているわけでございます。私どもといたしましても、エリツィン大統領の突然の辞任ということを受けまして、新しい後継者がこの選挙で決まるわけでございますが、新たな後継者が一体どういう考え方を持って今後政権を担当するかということには重大な関心を持つのは当然だと思います。  私どもといたしましては、他国の選挙でございますから、選挙の中に立ち入って、だれが強そうだとか弱そうだとか、だれが勝ちそうだとかということをあれこれ申し上げる立場ではございません。しかし、今、議員がおっしゃいましたように、昨今のロシアの選挙は大変透明度が高くなった、あるいは情報量が大変豊富になりまして、新聞その他が伝えるところを私ども拝見をしますと、今御指摘のプーチン大統領代行が選ばれる確率は非常に高いということを我々も承知をいたしております。  そこで、先般訪日をされましたイワノフ外務大臣との会談におきまして、私は、新たなロシアの後継者になる確率が極めて高いと言われるプーチン氏が一体どういう考え方を持っておられるか、とりわけ、当面我々が最大の関心を持っておりますのは、従来、エリツィン大統領が大変熱意を込めて日ロ関係の問題解決に積極的な対応をしてこられた、このエリツィン前大統領のそうした姿勢というものがプーチン氏によってしっかりと継承されるかどうかということが目下最大の関心事であるということをイワノフ外務大臣に申し上げましたところ、イワノフ外務大臣は、当時の大統領代行プーチン氏は、エリツィン大統領の従来の発言、あるいはこれまで日ロ間で行われた各種の宣言、その他合意、これを完全に継承するということをはっきり述べておられるということを伺っておりまして、この点は、もしプーチン氏が大統領に当選をされるということになれば、従来のエリツィン路線といいましょうか、エリツィン氏が日ロ間に向けて述べてきたもろもろの発言あるいは宣言と申しますか、共同発表、こういったものが継承されるもの、この点については私どもはそう確信をいたしているところでございます。  少し長くなりますが、さらにもう一言だけ申し上げれば、プーチン氏の政策につきましては、御存じの二月二十五日の公開書簡というものが出されまして、その公開書簡の中で、ロシアが今後優先的に取り組むべき課題は、貧困の克服、市場の保護、個人の尊厳と国家の権威の復活、国益に従った外交政策の推進、こういったことが書かれているということを申し上げておきます。
  38. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 今、大臣おっしゃいましたとおり、二月二十五日に選挙綱領という形で、また十二月三十一日には、プーチンの政策をロシア新聞に発表するという形でございまして、新聞報道は、情報機関出身とかいうことで、非常に秘密主義、あるいは国家の意思が非常に強く反映するのではないかというふうなことが言われておりますけれども、中身を詳細に見ますと、これまでのロシアの現状の問題点は、非常に意志が弱かった、国家の決断というものは弱かった。あるいは、規則、法律が欠如しておる。また同時に、国家国民あるいは企業の資産の評価が全くなされないで、どういった方向にあるのかということが掌握されておらないというようなことを問題点として挙げながら、今大臣が言われた四つの優先課題ということでこのプーチンさんが言っておるところでございます。  同時に、単に国家イデオロギーを復活はしたくない、あくまでもこれからの二十一世紀の国家は強制的な市民の合意を必要とするものではない、むしろそういう国民の自由とか改革とか、そういうものを育てる背景を、きちんと秩序をつくっていくことがロシアにとっては必要だという言い方もしていますし、これからの世界の力は、大国としての力は軍事力でない、軍事力よりも先端技術の開発やその利用でリーダーシップをとれるかどうか、この中に日本という姿も出てきまして、コンピューター関係は日本は三〇%のシェアを持って非常に大きな世界的な活動をしておるという言い方をしておりますし、あるいは、国民の高い福祉の確保をしっかりできるかどうかというのが大国としての力なんだ、そういうことを言っておりまして、伝えられるよりも非常にリベラルといいますか、近代的なセンスを持ち合わせた、そういう感じを受け取るわけでございます。  決断とかリーダーシップというのはエリツィンには相当あった。むしろ日本政府は、この間の日ロの平和条約については、エリツィンの個人主義といいますか、個人の決断にかけてきたという点があるわけでありますけれども、そういうものを今後どういうふうにしていくのか、これからいよいよ質問をしていきたいというふうに考えております。  そこで、日ロ平和条約の今日までの交渉の経緯であります。  一昨年、九八年の十一月に、小渕・エリツィン会談、モスクワ宣言、これは公式訪問という形で出されました。これは、東京宣言以来のクラスノヤルスクあるいは川奈、それぞれの合意宣言というものを遵守してそれを加速させるんだということで、平和条約締結問題日ロ合同委員会の枠のもとに国境画定委員会、それから経済の委員会、二つをつくって、これを政府内部で加速させるんだということを合意してきたというふうに思います。  しかしながら、九八年の十一月以来昨年の一年間は、どういう経過にあるのか必ずしも日本の国民は見えないといいますか、それぞれその委員会で作業を進めてきたんだというふうに思いますけれども大臣として、どういう交渉経過にあるのか、日本の国会、この委員会で公式に御答弁をいただきたい、このように考えます。
  39. 河野洋平

    河野国務大臣 これまでの日ロ関係は、橋本、エリツィンという個人的に大変な信頼関係のある双方の首脳の、今議員もお話しになりましたけれども、個人的な信頼関係と申しますか、個人的な話し合いというものを中心にして、あるいはそれをまず先に置いて、後から事務的に詰めていく、こういう状況も一部あったわけでございますが、ここしばらくの間はむしろ事務的な作業が相当に進んできたということを申し上げていいのではないかと思っております。  事務的な作業につきまして、もし説明を……(鉢呂委員「いいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。  御承知だと思いますが、双方が事務的なレベルでの会談を繰り返し行って、そして平和条約につきましても互いに理論的に話し合う、そして理論的な整理も行うという作業を繰り返し進めてきた、こういうことを申し上げてよかろうと思います。
  40. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 事務的な作業あるいは理論的な作業を進めてきたということでございますけれども、その現在的な到達点はかなりプラスでない、必ずしもいい方向に行っておらないのではないかと推測せざるを得ません。  例えば、二月の二十一日に、丹波大使は読売新聞に対してこう発言しております。二つの提案というのは、川奈提案で橋本総理が提案をされた、その中身を我々聞いておりませんけれども、それに対してモスクワ会談でエリツィンがその回答という形でロシアの逆提案をしたというふうに言われておるのですけれども、この二つの提案をめぐる議論は大臣レベル、次官級レベルでは出尽くした、首脳同士でないと出口を見つけることはできない状況になっておる、こういうふうに読売新聞のインタビューに答えておるのですけれども、こういう状態であるかどうか、お聞きをいたしたいと思います。
  41. 河野洋平

    河野国務大臣 今私は、事務的な作業は相当進んできたということを申し上げました。  ちなみに、両国が双方の外務大臣を共同議長にして行った会合が、これまで、モスクワ、モスクワ、東京、モスクワ、東京と五回ございますし、次官級の分科会は既に九回を数えております。さらに、国境画定委員会及び共同経済活動委員会、これも九九年の一月、四月、八月、十二月と昨年だけでも四回行っているわけでございまして、先ほど申し上げました理論的な作業、つまり、双方で問題点を提起し、あるいは問題点を指摘し、疑問点をただす、さらに論点を整理する、こういう作業を相当してきたわけでございまして、私はまだ論点整理が終わったとは思っておりません。まだ、引き続き論点整理の作業をするべきものが残っているというふうに思います。  しかし、丹波大使が申し上げましたのは、恐らく、最終的には両国首脳の決断ということにかかっているということを述べたのだろうと思います。それは私も、最終的には両国首脳の決断、すなわち両国の首脳会談というものが極めて重要であるということはもう疑いのないところだと思います。
  42. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 エリツィンからプーチンにかわるだろうという中で、エリツィンはこの川奈提案についても、大変興味をそそる、真剣な検討に値するという言い方をして、むしろロシア側の政府関係者の先を行くというぐらいのものがあるわけでありますけれども、それから今回かわった段階で、首脳会談レベルで、大きな開きがあるものについて、これを煮詰めていくというのはなかなか至難なところにあるのではないか。  外相レベルではもう出尽くしたというような表現でありますけれども、むしろ政治家レベル、外相レベルでもっと会談を重ねて、その煮詰めというか、そこを果たさなければ、なかなか二〇〇〇年までに平和条約を締結をするということは至難なのではないかというふうに私は思うわけであります。  そこで、大臣、例えばエリツィンも五段階という表現をしたこともあります。二〇〇〇年までに平和友好条約を結んで、領土問題、国境の画定についてはその後の交渉にゆだねるという二段階的な条約という方法、これはいわゆる平和条約を二〇〇〇年までに結ぶということとは異質なものではないか、平和条約というのはやはり国境の画定、領土問題の帰属の確定というものをきちっとすることが平和条約というふうに私は認識をするわけでありますけれども、この点について、こういう二段階論は日本としてとるべきものではないし、また平和条約を二〇〇〇年までに締結をするという中には入るのか入らないのか、明確に答えていただきたいと思います。
  43. 河野洋平

    河野国務大臣 二段階論をとるべきではないと思います。平和条約の締結は、国境を画定する、領土問題を解決するということがあくまで重要なのであって、そのことを先に延ばして平和条約の締結のみを行うということをすべきでないというふうに考えております。  クラスノヤルスク合意等もございまして、二〇〇〇年中に何としても目的を達成したいという気持ちは私も大変強うございます。何としても努力をして、このクラスノヤルスク合意に基づきます双方首脳の合意を実現したいという気持ちを私はかたく持っております。しかし、だからといって、二段階でそれをやるという気持ちは私にはございません。
  44. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 平和条約を締結するという意義についてもう一度再確認をしたい。  平和条約ということですから、戦争に近い状態あるいは戦争をした経過の中で、国家間のそういう戦争状態というものに終止符を打って、長期的に安定した関係をつくるという形だろうと思っております。  例えば、パノフ大使はしばしば日本で講演をしておりまして、領土問題未解決であっても日ロ両国が相互に協力していく数多くの分野や余地がある、したがってまず協力だというような、パノフ大使は相当何でも理解をした上でしゃべっておるというふうに私は思いますけれども、こういう表現が多いわけでありまして、日ロ関係のさまざまな、経済的な、文化的な、教育的な支援というもの、あるいは交流というものがなされてきておるわけでありますけれども、しかし、やはり平和条約を締結するということの大きな意義というのは、私は相当重いものとしてある、このことを抜きにして両国の発展や、あるいはロシアと日本との関係は、二国間だけでなくて、アジア太平洋の重要な大きな国としての役割、この地域に与える大きな良好な影響というものがあると思うわけでありまして、この点について、大臣はどのように考えていらっしゃるか、平和条約について、お答え願いたいと思います。
  45. 河野洋平

    河野国務大臣 私どもが目指しております平和条約は、両国の関係を正常化するということを目指しておるのでございまして、先ほど申し上げましたように、領土問題を先に延ばして云々ということで平和条約ができるというふうには私は考えておりません。
  46. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 先ほど言いましたように、ロシア側には平和条約がなくてもどんどん日本との経済的な関係も広くなっておるというようなたぐいが生まれても、日本としては大変大きな懸念を持つわけであります。先ほど言ったような、協力関係ありきだというようなこと、また同時に、大使の発言でありますけれども、二〇〇〇年に締結ができなくても天が落ちてくるわけではないというふうに丹波大使はインタビューで言っているのですけれども、私は、これもやはり二〇〇〇年という、クラスノヤルスク合意できちんと両国首脳が明言をして合意をしたわけでありますから、そこに向けて全力を尽くしていくというのが今の状態、日本の交渉の態度だというふうに思うわけでありまして、そこのところの決意外務大臣としてもう一度明らかにしていただきたい、このように考えます。  また、締結できない際の日本政府としての政治的な責任というものは、私は極めて大きいものがあるというふうに思いますから、その点も踏まえて決意をおっしゃっていただきたいものだと思います。
  47. 河野洋平

    河野国務大臣 領土問題を含む交渉でございますから、これは双方の合意というものを得るのはそう簡単なことではないということは、だれもがおわかりいただけると思います。だからこそこれだけの長い年月がかかって今日に至っているわけでございます。しかし、とにかく双方の首脳が合意をしたクラスノヤルスク合意というものに基づきまして、二〇〇〇年をめどとして我々は真剣にかつ全力を挙げて取り組んでいるわけでございますから、私はもうこれをしばしば申し上げておりますけれども、何としてもこの目的を達成したいということ以外に申し上げようがございません。ぜひ、委員各位にも御支援をいただきたいというふうに思うわけでございます。  一方、今申し上げましたように、領土問題を含むこの手の話というものは、合意を見るためには少なくとも先方の譲歩がどうしても必要である。譲歩といいますか、これは法的には正しい姿にするということでございますが、少なくとも現在ある姿を変えなければならないわけでございますから、それだけの問題は先方にもあるわけでございまして、これは双方の合意を得るために努力をこれから先も大いにしなければならないというふうに思っているわけでございます。
  48. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 プーチンは、先ほど言った選挙綱領の中でも、対外政策として、先ほど大臣もおっしゃいました、自国の利益に基づいた外交政策、国益、これはどこの国でもそうだと思いますけれども、とりわけロシア外交のよって立つ基盤は自国経済の再建だ、この一点に集中するぐらいの形ですべての選挙綱領の中身を言っております。  例えば、十二月三十一日の政策綱領でも、率直に言って外国資本なしに我が国を発展させるのには極めて大きな時間がかかるということで、我々には再生に時間をかける余裕はないのだということで、要は外国資本が我が国に流入し始めるように全力を尽くさなければならない、このようにも明言をしております。  そこで、領土返還と見返りに経済支援をするというようなものでは全くないということをきちっとロシア側に理解を求めた上で、しかしやはり平和条約締結をすることによって日ロの経済関係もどのぐらい発展をするかということについての理解を、動機づけといいますか、そういうものを政治家としてロシア政府、プーチンなりイワノフ外務大臣にきちっとした形で伝えることが必要ではないでしょうか。領土との見返りだというような誤解をきちんと解かなければなりません。日中関係でも、正常化することによって大変大きな対外資本支援ができたというようなこと、もうこれはロシア側もよくわかっておることでありますけれども、そういう形というものが必要ではないでしょうか。  さまざまな日ロの経済交流をされておりますけれども、平和条約がないということで、もちろんロシアの経済体制の欠陥というもので、日本の経済界の皆さんが積極的な経済的な投資というものに逡巡していることはよくわかるのですけれども、しかし、そこは日本政府がリーダーシップをとってやるという余地は随分生まれてくるのです。しかし、それは領土問題が決着をしなければ、長期的な、安定的な経済交流というのはできないということはきちっとロシア側に理解を求める、このことも私は大変大事ではないか。  この理論的あるいは事務的に進めておるという中身はよくわかりませんけれども、そういう政治的な決着の前提としての、双方に国益となるような、そういうものの話が極めて大事ではないかなというふうに私は思うのですけれども、領土との見返りではないということをきちっと踏まえた上で、大臣、どういうふうにお考えなのか、お答え願いたいと思います。
  49. 河野洋平

    河野国務大臣 例えば、今回沖縄で開かれますサミットにロシアの首脳は参加をされます。ロシアの首脳が沖縄に来られるとどういうことを感ずるか、どういうことを考えるかというのは、いろいろな見方があると思いますけれども、日米間で、話し合いによって、二十七年間にわたる施政権を持っていたアメリカが、沖縄を日本にすべて返還したという状況をロシアの首脳は目の当たりにされるということもあると思います。あるいはまた、東西の対立が終わって、自由主義あるいは自由経済の中に身を入れたロシア、その首脳が自由主義経済というものの実体をだんだんに理解をしてきているという状況の中で、日本だけではなくて自由主義社会の首脳と話し合うことによって、自由主義経済の中で行動していくことが、やはりロシア経済というものを少しでも早く立派な経済にしていくためにプラスなのだということがおわかりになっていただけるんではないかというふうにも思うわけでございます。  私は、今議員がお話しになりましたように、見返りとか、つまり目先の利益とか目先の小さな国益ではなくて、もっと大きな目で見た、あるいは長いスパンで見たロシア自身の国益を考えれば、一日も早く国際社会の中から信頼される、そしてともに経済活動が積極的にし合える、そういうロシアをつくっていこうという気持ちになられるのではないかと思うんです。  私は、民間企業がロシアに対する投資といいますか、進出といいますか、そういうことを考える上では、まだまだ恐らく、ロシアの法律の整備に問題があるとか、インフラに問題があるとか、いろいろなことを言われると思いますけれども、まず基本は、日ロ関係が全く正常な形になるということから始めなければならないと思っているわけです。そういう意味で、日ロ関係を正常化する平和条約の締結というものが何よりも大事だと私は考えているわけです。
  50. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 モスクワを訪問しましたら、ある大学の教授が、日本の世論はこの交渉にたえ得るのかという話をされました。要は、日本は四島一括即時返還ということでありますけれども、交渉事でありますから、どういった最終的な決着になるのか。そういう面では、この間の交渉、先ほど言いました川奈提案についてもモスクワのエリツィン提案にしても、交渉過程ということで一切公式の表明はなされておらないわけでありますけれども、そのことは日本の国民にとっては全く知らない中で、仮に交渉が決裂するにしてもまとまるにしても、明らかになったときに本当に日本の世論がきちっとした統一をできるのか。このことを指摘して、私もロシアばかりを責めておったんですけれども、果たして本当に日本国民は、今のような状態で、一夜にして、こういう結論になりましたというようなことで合意できるのかなと思ったわけであります。  そういう面では、交渉過程というのはやはり透明性に努力する、単にエリツィンの個人的な手腕に寄りかかるということでなくて、もっと外務大臣中心として、あるいは国民に対して開かれた外交交渉というものを望むわけでありますけれども、時間がありませんので、その点について簡単に大臣としての見解をお伺いいたしたいと思います。
  51. 河野洋平

    河野国務大臣 先ほど来私は、この種の問題は両国首脳の決断にかかっているんだということを繰り返し申し上げたわけでございますが、日本もロシアも民主主義、すなわち立法府があって行政府があってということでございますから、それは首脳だけがいいよと言ったって、当然議会の御承認を得なければ最終的な決着はできないわけでございますから、議会の御承認を得るためにも、そして、それはさらに国民の理解を得るためにも、大いに国民に説明をし、理解を得ていくことは重要だというふうに思います。  ただしかし、最前線で双方の交渉事をやっておりますときにはやはり国益を考えなければならない部分もあって、すべて手のうちを向こうにも見せるということで交渉が有利にあるいは正しく進められるかという問題も、議員も御理解いただけると思います。  我々にとりましては、でき得る限り説明を申し上げ、理解を求める努力をしながら、一方でこの交渉は国益を踏まえた交渉をしっかりとやらなければいけないというふうに考えているところでございます。
  52. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 ロシアの下院には国境画定のための委員会というのがあるそうでありまして、その一行も日本に来たことがございます。そういう意味では、秘密会というのはなかなかできないんですけれども、我々も公式的には何もわからないということでは、その後が大変だなというふうに思うわけであります。  最後になりましたけれども、北方四島の元島民の関係について二、三御質問をいたしますので、お答え願いたいと思います。  四島の居住者は、当時、八月十五日現在で三千百二十四世帯、一万七千二百九十一人おりました。これは、そのとき着のみ着のままで北海道に渡り着いた人もいますし、抑留をされてその後数年後に帰ってきたという方もございます。四島に残された財産の利活用、またその保全すら全くできない状態で今日まで続いてきておるわけでありまして、一方、元島民は、四島、北方領土返還に切なる願いを持ってその返還運動に本当皆さん努力をされてきておるところであります。ただ、逐年高齢化あるいは物故者が増加をしておるという状況で、返還の一日も早い実現を願っておるわけであります。  それにしても、まずそのことで、残置不動産があるわけであります。向こうに土地とかそういうのがあるわけでありますけれども、その現況把握、また保全措置というものをどのようにされておるのか。また、領土返還が視野に入ってきつつある今日、残置不動産の処理方策というものをどういったふうにやっていこうとするのか、まずそこをお聞きいたしたいと思います。
  53. 続訓弘

    ○続国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま御質問ございましたように、一万七千有余の関係者が、今議員からお話がございましたように、大変な苦しみを負っておられるということを私自身もよく承知しております。  そのために、一月の中旬でございましたけれども、まず現地の方々のそういう苦しみを直接私の目で、耳で、肌で伺おうと思って、実は札幌、そして根室に行く予定でおりました。たまたま当日雪がございまして根室には行きませんでしたけれども、札幌で関係の方々にお会いしました。今まさに御指摘のような関係者からの陳情を受けてまいりました。それだけに、北方対策を所掌する私としても真剣にこの問題を考えなければならないという意を強くしてまいりました。財産を残し、着のみ着のままで引き揚げざるを得なかった元島民の方々の心情は、先ほど申し上げたような懇談の中でも私はよく理解してまいりました。  北方領土が返還されない現状におきましては、北方領土に所在する不動産の現況把握や保全措置を講ずることが極めて困難であることは御理解を賜りたいと存じます。  また、その返還後の取り扱いにつきましては、ただいま小渕総理河野外務大臣が返還に向けて大変な外交努力をしておられるところでございますので、返還が明確になった段階におきまして、元島民の方々などとよく協議しながら検討していく課題だ、このように認識しております。
  54. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 水産庁の中須長官が来ていらっしゃると思います。  北方領土水域には旧漁業権がございました。この旧漁業権についても、GHQの指令で消滅をしたことになっておるわけでありますけれども、これが日本国領土でずっと継続をしておれば漁業権というものは当然あったわけでありまして、その旧漁業権の補償という観点で水産庁はどのように考えていらっしゃるのか、最後に質問いたしたいと思います。
  55. 中須勇雄

    中須政府参考人 ただいま先生から御指摘ございましたとおり、北方四島の旧漁業権につきましては、昭和二十一年一月二十九日付のGHQの覚書によりまして、いわゆる行政分離措置によって消滅をした、こういうことでございまして、その後、昭和二十五年に現在の漁業法が施行され、それに伴った旧漁業権の補償の対象にはならなかった。これについては、法律上は補償を行うことは困難であるというのが政府としての統一的な考え方でございます。  ただ、そういう経過があり、またこの地域の特別な事情ということを考慮いたしまして、昭和三十六年に、北方地域旧漁業権者等に対する特別措置に関する法律に基づいて、十億円を北方協会、現在では北方領土問題対策協会でございますが、ここに交付をいたしまして、これを基金として旧漁業権者等の事業あるいは生活に必要な資金の低利融資を行っている、これが現状であります。  なお、かなり時間が経過したということがございまして、平成八年にはこの法律の改正を実現していただきまして、融資資格を子や孫の方に生前贈与するという制度改正もなされたところでございます。
  56. 鉢呂吉雄

    鉢呂委員 以上で終わります。ありがとうございました。
  57. 佐々木秀典

    佐々木委員長 これにて鉢呂吉雄君の質疑は終了いたしました。  次に、原口一博君。
  58. 原口一博

    ○原口委員 民主党の原口一博でございます。  大臣の所信に対する質問、特に沖縄県民皆さんの生活に焦点を当ててきょうは御質問をさせていただきたいというふうに思います。  各大臣は、沖縄県と本土との経済の格差、生活の格差、これを埋めるために、政府あるいは国会を挙げて私たちは大変な努力をしておるわけでございますが、この平成大不況の中で県民の生活、特に金融環境、貸し渋り、あるいは失業、そして自己破産、こういったことがどのようになっているのか、その点について御質問を申し上げます。  まず一点目に、これは政府参考人として出席を要求しておりますが、金融監督庁の方にお尋ねをします。  沖縄県に地銀がございます。そして信用金庫がございます。その中で、昨年の暮れに公的資金を投入いたしました。これは一体どういうものであったのか、そしてその理由は何なのか、お尋ねを申し上げます。
  59. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、琉球銀行に対しまして昨年の九月、資本注入したわけでございますが、その経緯といたしましては、琉球銀行は、昨年三月期の決算におきましては自己資本比率が五・七八%でございました。これ自体実はその前の十年三月期と比べますと二%近く落ちております。その後、金融監督庁の検査あるいは日銀の考査が入りまして、不良債権の処理を追加的にさらに三百億円いたすことが適当であるということになりまして、三百億円の不良債権処理をいたしますと自己資本比率が相当下がってしまうということを踏まえまして、自力調達で、第三者割り当て増資で、二百二十七億を調達したわけでございます。その結果、九月末の自己資本比率は五%を少し超えるという見通しが立ちました。  それで、琉球銀行自体、沖縄の主要な銀行として、しっかりした銀行になりたいという強い希望を持っておりまして、五%程度ではということで金融再生委員会の方に資本注入の申請をしてまいったわけでございます。そして厳正に審査した結果、昨年の九月十三日に、先方の申請金額であります四百億円を永久劣後債という形で資本注入することを認めた次第でございます。その結果、自己資本比率は七%以上になっているという次第でございます。
  60. 原口一博

    ○原口委員 大変な不況の中で、その自己資本比率、あるいはバブルのときの不良債権の処理、そういったものが沖縄の経済の上にも、足かせあるいは大きな黒い雲となって大きく覆っている。その中で今お話しのような資本増強をやる。これは、国民の税金を劣後債という形で四百億円入れるという形になったわけでございます。  ここで、沖縄の金融環境の議論を少ししておかなければいけないのは、沖縄開発公庫、今この公庫法の改正を私たちも勉強させていただいていますが、沖縄の金融のマーケットの中で公庫の占める割合というのは一体どうなっているのか。そのことについて、これは数字でお示しいただきたいので、事務方で結構でございますので、お尋ねを申し上げます。
  61. 乾文男

    ○乾政府参考人 沖縄は、先生御案内のように、都市銀行が全くないということもございまして政府関係金融機関でございます沖縄公庫の比重が高く、十一年三月末で約三五%のシェアを持っているというふうに承知しております。
  62. 原口一博

    ○原口委員 一方で公的な資金を地方銀行に入れる、そして一方で開発公庫について、その業務内容や資金調達あるいは債権の引き受けということを今政府部内でも検討されている。私は、この二つの政策が果たして整合するのだろうか。  一方で巨大な、三五%、今数字をお示しになりましたけれども、そういう巨大な、公的な金融機関がある。そして片一方で、バブルの清算やさまざまな問題に非常に苦しむ地方銀行がある。これは見方を変えると、沖縄県民皆さんの生活あるいは中小企業の皆さん、そこに暮らす皆さんの生活がよくなれば、それが公的なものであっても民間であっても、融資態度が緩和をして、そしてやる気のある人たちの支障がないようにすれば、それはそれでいいのだと私は思いますが、一方で、片一方に公的なものが大変大きくある。民業の圧迫になりはしないか。あるいは片一方で、今までの不良債権を引き受けるというようなことを今検討されていて、まだこれは法律の中には入っていませんが、債権を引き受けるということになってしまうと、膨大なモラルハザードを今度公庫の方に移すことになりはしないか。そういう心配をいたしています。  その辺はまた別の機会でしっかりと、これは県民皆さんの生活に直結することでありますし、多くの国民の皆さんの税金を投下する、投入している、そういう問題でありますので、少し時間をかけて御議論をさせていただきたいと思います。  そこで、沖縄開発庁長官外務大臣お尋ねをしますが、このサミットで沖縄県の地位、あるいは沖縄県のことを世界にしっかりと発信していきたいということを所信の中でお述べになっておられますが、沖縄県というのを、あるいは沖縄というのをどのように発信されようとするのか、あるいは今回のサミットの中心課題は何なのか、そして何をもってサミットの成功としようとされているのか、お尋ねを申し上げます。それぞれ一言ずつよろしくお願いします。
  63. 青木幹雄

    青木国務大臣 沖縄サミットの正式な、何を議論するかということは、今のところまだ決まっておりません。今鋭意それを煮詰めているところだ、そういうふうに承知いたしております。  サミット自体は、二〇〇〇年という一つの切れ目の年に開かれる、しかも沖縄で開かれる、東京以外で開かれる初めてのサミットということで、私どもは、沖縄がさきの大戦で本当に焦土と化した、県民挙げて大きな犠牲をこうむられた地域であるということ、それから、二十七年にわたるアメリカの施政権下にあり、それからまた二十七年たっている、そういう現状を踏まえて、新しい二十一世紀に向けての沖縄というものを世界に向けて発信する、それが一番大きな意義のあることだ、そのように考えて、今一生懸命取り組んでいるところでございます。
  64. 河野洋平

    河野国務大臣 本来、先進国の首脳が集まって世界の経済をどういうふうにリードするかということを考えたのがサミットの始まりだったと思います。それが、何年か前から政治的な問題にも関心を持つようになって、今や経済、政治双方に、サミット、つまり先進国の首脳が集まって話し合うということになっていると思うのです。  そのサミットの開催地は各国持ち回りでございまして、今回は八つの国の中で唯一アジアに位置する日本、しかもそれは、初めて東京から離れて地方で開かれる、沖縄の地という、アジアに非常に近い、アジアの懐に近い、そういう場所で開かれるサミットでございますから、今官房長官もお話しになりましたように、二〇〇〇年という節目の年でもあるし、アジアで開かれるということもございますから、アジアの声にも耳を傾ける。  これは少し余計なことを申し上げますが、アジアの声に耳を傾けるということは、これまでも各国で開かれていたサミットが、そう多くはありませんけれども、時折サミットメンバー以外の、例えば国際機関の話を聞こうとか、そういうことがございましたが、さらに昨今では、サミットメンバーが、G8以外の、いわゆる非G8の国々の考え方も時に聞く必要があるのではないか、そういう声もあったりして、アジアで開かれるこの機会にそうした視点も取り入れるかなということなども考えているわけでございますが、これらは今官房長官答弁のとおり、議題の整理もまだその途中でございますし、今申し上げたようなことについても、はっきりとした、確定したものはまだございません。  しかし、いずれにしても、沖縄で開かれるということの意味というものは、私は、やはり沖縄の持つ多様な文化、それから、琉球王朝以来の、例えば、インドとも交流があった、あるいは中国の南部とも交流があった、朝鮮半島とも交流があった、十六世紀前後から相当広い範囲での貿易の交差点といいますか、そうした地点でもあったというようなことを踏まえて、多様な文化、多様な文明というものを多くの首脳にわかっていただくという意味でも非常に有意義ではないかということも考える必要があると思います。そうしたことを世界に知っていただく、世界に発信をするということも一つの大事なポイントだろうというふうに思っております。
  65. 原口一博

    ○原口委員 今お二人からるる述べていただきましたが、私は、沖縄という島は平和の島であるというふうに思います。ぜひ平和のメッセージを世界に向けて発信していただきたい。  私は、特に三つの平和に分けて整理をしています。一つは、心の平和。抑圧やさまざまな心の中のデプレッションと申しますか、不安や人に対する悪意のないそういう平和。二つ目は、社会的な抑圧のない平和。だれかから何かを強制されたり、あるいは暴力を受けたり、あるいは戦争という中で命の危険におびえることのない社会的な平和。それから三番目は、何といっても沖縄は海邦国家、美しい自然の島でありますから、自然環境の平和。この三つの平和をぜひ訴えていただきたいというふうに思います。  ただ、そこで見過ごしてならないことは、今金融のお話をしましたが、四百億円のお金を投入して、では県民皆さんの生活は今どうなんだろうということを、いろいろな角度から、私たちも先日、沖縄に飛びまして、聞き取りの調査をしてきました。  失業率は今一体どうなっているか。十一年、沖縄の完全失業率は八・三%であります。これはとても見過ごせない数字であります。  次に、先ほど金融のお話をいたしましたけれども、そういうお金を入れて金融機関の貸し出し態度は緩んでいるか、あるいは、中小企業や地元で頑張っておられる皆さんは、金融の分野、それこそ経済の血液である分野が少し滞りなく回るようになったと思っておられるか。手元にいただいた日銀の短観の経済指標を見ても、あるいは、沖縄県、政府でまとめておられる数値を見ても、とても楽観できない数値であります。  さらに言うと、沖縄県における自己破産件数、これについても、昨日最高裁判所の司法統計年報というものをいただきましたが、これは毎年毎年沖縄県はふえている。平成十年の資料によると、自己破産は一千四百十八もある。特に沖縄県は、皆さんが一族でお互いを支え合う、そういうすばらしい文化をお持ちであります。日本全体もそうでありますが、特にそういう文化が強い。ですから、一族のだれかが非常に厳しいことになってしまうと、その倒産が連鎖をする、こういったことも見過ごすわけにはいきません。  私は、沖縄県で行われるサミットは、先ほど三つの平和というお話をしましたが、それとあわせて雇用の問題。もちろん基地の問題についても、多くの皆さんに、平和を揺らしてしまうとそのコストがどういうことになっているかというのは沖縄県をごらんになれば一目瞭然だと、沖縄県が抱えておられるその苦しみあるいは私たちが今まで解決できなかった課題を見ると、それはそこに行けばもう一目瞭然であるということをしっかりと皆さんに認識をしてもらう。そして、失業率八・三%の県に多くのサミット主要国の閣僚や代表が見えるんだということ、そこからスタートをすべきであるというふうに思います。  そこで、青木開発庁長官に、これはお願いでありますが、働く人たちの完全失業率八・三という数字についてどのようにお考えなのか。そして、レーバーサミットという形で、働く人たちの権利、これは何も、資本を持っているか持っていないか、それだけではありません。働く人たちの権利についてもこのサミットの中でぜひ議題として取り上げていただきたいと思うんですが、御所見をお伺いいたします。
  66. 青木幹雄

    青木国務大臣 一番最後におっしゃいました議題として取り上げるかどうかということは、ひとつ今後の課題として検討させていただきたいと思います。  今議員おっしゃいましたように、確かに完全失業率が八・三%と全国平均の二倍という大変な状態でございますし、自己破産の件数にしても千四百五十七件と前年に比較して非常にふえております。私どもも、そういう沖縄の現状というものは十分把握をいたしておりまして、そういう問題に真剣に取り組まなきゃいかぬというふうに考えておりまして、開発庁におきましても、そのために三次にわたる振興開発計画に基づきまして、農林水産業の基盤整備を初め、道路、港湾、水資源等の沖縄産業振興の基礎となる基盤の整備や観光開発に今までも全力を挙げて取り組んできたところでございます。そして、先般の閣議で決定いたしました特に沖縄北部振興の問題を初めといたしまして、均衡ある沖縄の発展のために今全力を挙げて取り組んでいるところでございまして、議員指摘の点については十分私ども考えながら、今後全力を挙げて対応してまいりたいと考えております。
  67. 原口一博

    ○原口委員 そこで、特に振興計画考えるときに、やはり私たちは、世の中がもう一変しているんだということを認識した上で、新たな世界の変化、経済環境の変化をしっかり受けて投資をしていかなければならないというふうに思います。  私たち民主党は、知的財産の戦略、ここに焦点を当てて日本の経済を引っ張っていきたい。例えば、今六百四十七兆円の借金を国と地方で抱えていると言われておりますが、ではそれに対して資産が国と地方で幾らあるかというと、九百兆円ある。九百兆円の中の知的財産、では国が幾らお持ちかというと、一年ちょっと前にお伺いした資料で、少し古くなってしまっていますが、八十六億という数字が大蔵省から出てきました。  私たちが持っている知的財産はもっとあるはずです。私たち日本の国民は、科学技術を初めとして世界に冠たる特許、そして教育の水準を誇っています。とすれば、私たちが持っているもの、私たちが持っている資産については、まだそれは寝ていると見なければならないと思います。  また、かつてはアイデアが実現したらそこで生産性が上がる、あるいは大量のものを品質よく生産することができる、こういう工業社会でありましたが、今は、この五年だけをとってみても、アイデアそのものが価値を生む、アイデアがあれば後はコンピューターが解析してくれて、そして新たな価値を生み出す、そういう時代になりました。世の中の一変した流れ、トレンドに沿った投資が必要であるということを御指摘申し上げたいというふうに思います。  さて、外務大臣に。  先日、三月十六日でございますが、日米安保問題についてコーエン国防長官と会談をされております。特に、思いやり予算についてどのような御所見をお持ちなのか、あるいはどういうお話をされたのか。アメリカ側は思いやり予算とは言わない、HNS、ホスト・ネーション・サポートという言葉を使っていますが、来年の三月三十一日には特別協定が切れます。当然この国会の中でしっかりとした議論をしておかなければいけない、政府の基本的な見解についてもお伺いをしておかなければいけない。私は、日米がこの問題について、政治問題化することなく、柔軟な姿勢でもって、日本の経済状況あるいは財政状況を見ながら柔軟に対応していくことが必要であるというふうに考えておりますが、外務大臣はどのような基本的なスタンスをお持ちなのか、そして、コーエン国防長官とはこの問題についてどのように話し合われたのか、お尋ねを申し上げます。
  68. 河野洋平

    河野国務大臣 御指摘の在日米軍駐留経費負担の問題につきましては、コーエン・アメリカ国防長官との間で会談の際に、この話題、当然触れました。来年の三月には、議員指摘のとおり、特別協定の期限が参りますから、これを今後どうするかということは、双方にとって十分考えなければならぬことでございます。  私の方からは、この問題につきましては、まだまだ双方の事務レベルで事務的に話し合いを少ししてほしいということをまず申しました。もちろん最終的には政治的な判断というものが必要だと思いますが、まだもう少しいろいろな面で精査する必要もある、事務レベルで話し合ってほしいと自分は思っているということを申しました。先方も、それは結構だ、これはむしろ事務レベルでしっかりと問題を精査するということでいいだろう、それがいいだろうというお話でございましたから、そういうことにこの問題をした次第でございます。  私自身は、この問題は日米安保条約を効果的に運用するためにやはり非常に重要な問題の一つだと考えておりますので、これを今後どういうふうにするか、私は私なりに、日本側は日本側なりに考えなければならないというふうに思っております。もちろん、当然のことでございますが、この問題は最終的には我が方が自主的な判断によって決めるべきものであるというふうに思います。
  69. 原口一博

    ○原口委員 事務レベルで柔軟な話し合いが行われ、そしてそれをある一定の期限をもって私たちの立法府に対してもきっちりと御説明をいただきたい。  先般から、我が方の上原ネクスト大臣中心に、沖縄県民皆さんの生命財産を守るということで、さまざまな問題を取り上げてこさせていただきました。その中で、嘉手納RAPCONの返還について一定の進展を見た。これは大変多くの感謝と、そしてその御労苦に深甚なる敬意を表したい、このことを申し上げます。  一方で、この思いやり予算については、一体これはそもそも何なんだ。政治が原則を示し、そして国会の中できっちり議論をしていく必要があるということを、ここでしっかりと御指摘させていただきます。  さてそこで、先日の日曜日の朝のあるテレビでは、与党の議員が、総理はこのサミットのことを万博と間違えているんではないかという指摘をしている人がいるというようなことを、全国の国民に向かってお話をされていました。私は、サミットというのは、協力と協調、万博でもなければお祭りでもない、むしろ、多くの課題をG8の皆さんが協力と協調の精神でもって話し合っていく、ともに解決をしていく、あるいはその中には国益がぶつかり合う。予算委員会では昨年のケルン・サミットに対しての評価についても御指摘をさせていただきました。ケルン・イニシアチブという問題については私はまだ納得しかねるものがございます。この沖縄サミットについても、協力と協調の中にも国益のぶつかり合い、そういう大変な、ある意味では修羅の部分というものがあるということを押さえておかなければいけない。  そこでお尋ねをしたいのは、官房長官談話として資料をいただきましたが、何かサミットの歌を高名なアーチストの方にお願いされているということでございますが、これはどういう経緯でお願いをされたのか。さまざまな日本の文化を世界に発信する意味では大変結構なことだと思いますが、経過について簡単に御説明いただければというふうに思います。
  70. 青木幹雄

    青木国務大臣 今回のサミットは、先ほど申し上げましたように、二〇〇〇年という節目の年に我が国が初めて東京以外で開催するサミットでございます。したがって、私どもは、サミットにおいて二十一世紀を見据えたビジョンを提示するとともに、広報及び情報提供を行い、国民の皆さんの理解を得て、サミットに向けた機運を高めることが九州・沖縄サミットの成功にとって非常に重要なことだ、そういう認識の上に立っております。  このような認識に基づきまして、サミットのイメージソングを小室哲哉氏に依頼をいたしたわけでございます。小室哲哉氏は、沖縄県出身のアーチストとの関係も非常に深く、また若者層には非常に影響力のある、海外を拠点とした活動でも知られている人でございまして、私どもは、同氏にサミットのイメージソングの作成を依頼することによりまして、二十一世紀を担う若者の多くに九州・沖縄サミットに対する関心を呼び起こしていきたい、そういうことでお願いをしたような次第でございます。
  71. 原口一博

    ○原口委員 私どもは立法府として、今警察の不祥事やあるいは国税にかかわる脱税コンサルタント事件、予算委員会でも取り上げられましたが、さまざまな行政の失敗、不祥事というものに対してチェックをしっかり入れなければいけないというふうに思っています。特に、税や治安、こういう国の根本にかかわる問題については、それを私たち立法府がしっかりと、国民に説明ができるようなチェックができるということが大事だというふうに思います。  国税の方にも来ていただいているので、脱税のコンサルタント事件、それが一体どういうものなのか。  そして、委員長にお願いをしたいのですが、沖縄県、きのうも大量の覚せい剤の事案が発覚していますが、脱税の一つの舞台という問題について、党内で追いかけていると、さまざまなプロダクションやさまざまな不条理と向き合うわけでございます。この問題について政府部内でしっかりとした調査をしていただくようにお願いをいたしまして、質問を終えたいと思います。
  72. 河上信彦

    河上政府参考人 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のような報道がなされていることは承知しているところでございます。ただ、私ども国税の執行の立場といたしまして、個別にわたる事柄につきましてはコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。  いずれにいたしましても、私どもとしては、適正公平な課税を実現するために今後とも努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  73. 原口一博

    ○原口委員 終わります。ありがとうございました。
  74. 佐々木秀典

    佐々木委員長 これにて原口一博君の質疑は終了いたしました。  この際、暫時休憩いたします。     午後零時三分休憩      ————◇—————     午後一時五十七分開議
  75. 佐々木秀典

    佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古堅実吉君。
  76. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本共産党の古堅です。  きょうは、七月の沖縄サミットと米軍基地とのかかわりの問題をお尋ねしたいと思います。  政府は、七月に迎える沖縄サミットを成功させるために全力を挙げて取り組む、そのことを表明し続けるとともに、沖縄の歴史や特有の文化などを紹介するよい機会だというふうにもしておられます。  それで、サミットに向けて、そのようなことについての政府の企画がどうなっているのか、その点を簡単に最初に伺いたいと思います。
  77. 佐々木秀典

    佐々木委員長 古堅委員、どなたにお答えいただきますか。
  78. 古堅実吉

    ○古堅委員 最初に申し上げておくべきでしたが、きょうの私の質問に対するお答えは、青木官房長官河野外務大臣、お二人にお願いしたいと思います。
  79. 佐々木秀典

    佐々木委員長 では、御両所から。  それでは、先に青木長官
  80. 青木幹雄

    青木国務大臣 お答えをいたします。  先生御承知のように、九州・沖縄サミットは、二〇〇〇年という千年紀の区切りの年に開催されるのみならず、サミットが始まってから二十五年たったという意味においても大きな節目のサミットであると考えております。  我が国は一月にサミットの議長国になりました。九州・沖縄サミットの成功に向け全力を挙げて努力しているところは、先生今おっしゃったとおりでございます。  九州・沖縄サミットでは、二十一世紀にすべての人が一層の繁栄を享受し、心の安泰を得、より安定した世界に生きられるよう、各国そして国際社会は何をなすべきかという大きなテーマがあろうと思っております。  詳しいテーマにつきましては、目下、鋭意詰めているところでございますが、具体的な課題といたしましては、一層の繁栄という観点から、例えば、二十一世紀に向けますます進展すると予想されるグローバル化とその中核となっているIT革命に関する取り組み、世界経済、開発、グローバル化の中での文化の多様性といったようないろいろな課題があろうと考えております。また、先生おっしゃいましたような沖縄の古い文化、芸能、あらゆる面について世界の人々にわかってもらういい機会じゃないか、そういうふうに考えております。
  81. 河野洋平

    河野国務大臣 官房長官が御答弁になられたとおりだと存じますが、補足をすれば、過去三回、いずれも東京で開かれたサミットを今回は沖縄で開くという決断を小渕総理がなさったわけでございます。東京以外の都市で開こう、こういうお考えに対して、全国各地でその誘致についていろいろなお話がございました。  しかし、沖縄におきましては、稲嶺知事を初め県民皆さんの大変熱い熱意が伝わってくるような誘致についてのお話もあったと伺っておりますし、小渕総理御自身、もろもろの思いを込めて沖縄にサミット開催場所を決めたとおっしゃっておられます。もろもろの思いを込めておられるというところにいろいろな問題を総理がお考えになった上でお決めになったというふうに私ども考え沖縄サミットをぜひとも成功させたい、こう考えているところでございます。
  82. 古堅実吉

    ○古堅委員 政府が進めてまいりましたサミットそのものを成功させるという立場を踏まえながら、沖縄で開かれる、その機会に沖縄をどう紹介していくのかということにかかわる、その点を私はこれからもお尋ねしたいというふうに思っているわけです。  御存じのように、沖縄は、戦後五十五年たった今日も米軍専用基地の七五%が集中され、沖縄に基地があるという表現よりも、基地の中に沖縄がある、こう表現した方がぴったしだというふうにも言われる、そういう状況が続いております。これほどに沖縄にとっては米軍基地の存在というものは比重の大きなものでありますけれども、この基地問題を重視して、世界の首脳が沖縄に集まり、世界のマスコミが沖縄に大きく眼を向ける、そういう状況の中で、沖縄の基地問題をどのように首脳や世界の人々に知ってもらうか、それは大変重要なことだというふうに私たちは考えておりますけれども、それについての企画はないのかどうか、この点についてお聞かせください。
  83. 青木幹雄

    青木国務大臣 沖縄の基地の現状は、今議員がおっしゃったとおりで、私も十分その点は承知いたしております。しかし、サミットというものは単にアメリカと日本だけの問題でありませんで、やはり八カ国が参加するという多国間の場でこの問題を取り上げることはどうか、そういうふうに私ども考えておりまして、むしろ、これを機会に、沖縄を訪れられる各国の首脳や報道関係の方々を通じて、先生もさっきおっしゃいましたような沖縄の豊かな文化や歴史、県民の方々の心、そういうふうなものを訴えていくのがやはり一番正しいサミットのあり方じゃないか、私はそういうふうに理解をいたしております。
  84. 河野洋平

    河野国務大臣 G8、すなわち八カ国の首脳が集まって会議を行うわけでございますが、そうした首脳だけではなくて、各国から数千人と言われる報道陣も沖縄に来られることになろうと思います。首脳の方々が沖縄を直接ごらんになる、あるいは肌で感ずる、さらには数千人と言われる報道陣がそれぞれに沖縄を実感するということが沖縄を世界に知らす、そういうことになるだろうと思っております。  私どもといたしましては、こうした報道関係者にできるだけの便宜を図りたいというふうに考えて、プレスセンターを初めとしてその問題についての準備も懸命にいたしているところでございます。
  85. 古堅実吉

    ○古堅委員 沖縄サミットに当たって沖縄県民が何を願っているか、それについて御存じでしょうか。昨年十月、沖縄県が、サミットで世界にアピールしたいことについて県民意向調査を実施して発表しております。それによりますというと、「米軍基地の問題」と答えたのが四四・六%で、圧倒的に第一位でした。第二位が「県民の平和を愛する心」、これが三三・二%。  また、琉球銀行が、サミットの際にマスコミに最も発信してもらいたいことについて、これも昨年十月でありますけれども、行った県民の意識調査の結果によりますというと、「基地問題、平和の希求」、このように答えたのが五七%で、これも圧倒的な多数であるのであります。一位であります。  その二つの調査結果にサミットに当たっての沖縄県民の大きな願いが端的に示されているというふうに考えています。政府としてもそのことを尊重されて、県民の願いにどうこたえていけるようにするか、あらゆる努力を払っていいのではないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
  86. 青木幹雄

    青木国務大臣 議員が今おっしゃいましたように、確かに、調査によりますと、米軍基地の問題を取り上げてくれと言った人が非常に多かったということは私は承知いたしております。  しかしながら、その一方では、やはり沖縄の美しい自然、独特な文化、そういうものを広く世界の代表の方々によく知っていただきたいと答えた人も非常に多い人数に上っておりまして、私どもは、そういうことも大事にしながら、このサミットに対応していかなきゃいかぬ、そのように考えております。
  87. 河野洋平

    河野国務大臣 沖縄県民のお気持ちというものは、私どもは十分理解をしているつもりでございますし、これからも理解するための努力をしていかなければならないと思いますが、サミットにおきます会議それ自体は、先ほど官房長官からも御答弁ございましたように、日米二国でやるわけではございません。八カ国の首脳が二十一世紀を見通して、広く国際社会にとっていかなる問題を克服することが重要かということを話をされる場がサミットでございます。したがいまして、そうしたところもやはり考えなければなりません。  私が先ほど申し上げましたように、とはいうものの、首脳の方々が沖縄に直接見えて、沖縄の地におり立って、肌で感じ、実際に目でごらんになるということもあるわけで、そのことは極めて重要ではないか。と同時に、報道陣の方々あるいは随行してこられる方々は大変多くの数に上るわけでございまして、こうした方々が、何にもメーキャップされたものでない、地の、そのままの沖縄に触れられるわけです、そのままの沖縄をごらんになるわけでございまして、そうしたことは非常に意味のあることだ、こう考えておるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、そうした報道の方々の便宜はできるだけ図りたいと思っておりますし、また、事前の広報におきましても、ホームページを使う、あるいは、各国にそれぞれの沖縄の歴史あるいは沖縄の現状、沖縄の文化、そういったものを知っていただくための広報を今できる限りしつつあるという状況でございます。
  88. 古堅実吉

    ○古堅委員 日本共産党は、このサミットに当たって、県民の願いもそのように強うございますから、それにどうこたえるかという立場で、その対処も考えてまいりました。  去る二月十六日に、二十世紀最後の年のサミットが沖縄で開かれることを機会に、沖縄の抱える基地問題を世界の人々に知っていただくことがぜひとも必要だと考えて、またそのことが沖縄県民の願いにも沿うものであると受けとめて、基地問題についての訴えを発表したのであります。「沖縄の米軍基地問題を世界に訴えます」と題する文書です。お届けしてありますからお読みいただいたかと思います。それを、サミット参加各国首脳を初め、在日各国の大使館、世界各地のマスコミ等にも広くお届けしています。その内容は、沖縄における米軍基地の成り立ち、米軍基地が何をもたらしているか、沖縄県民の願いは何かの三章から成っていまして、書かれている内容そのものは、どなたが読んでもそのとおりだというふうに理解してもらえるようなものとなっていまして、大変好評です。  そこで、その内容を踏まえながらお尋ねしていきたいと思うのですが、先ほど官房長官からありましたが、基地の問題は二国間の問題なのでということで済ますわけにはいかない。これが戦後五十五年たった今日の沖縄の置かれた状況、そこを踏まえて沖縄県民がこのように発信してほしいと切実に願っているわけで、そのことについて理解していただくためにも、沖縄基地の現状について、政府の認識も最初お尋ねしてみたいと思います。  沖縄の膨大な米軍基地の成り立ちのそもそもは、沖縄があの戦争で米軍の占領下に置かれた、それによるものでありました。  一九四五年三月二十三日に沖縄戦が始まりまして、きょうは二十四日ですから、ちょうど五十五年前のきのう、艦載機による空襲が始まって、沖縄戦の開始ということになったのであります。六月二十三日に牛島司令官らが自害したことによって日本軍の組織的戦闘が終わるまで、ちょうど三カ月に及びました。鉄の暴風とも言われておりますように、筆舌に尽くしがたいもので、悲惨をきわめました。住民をも巻き込んで二十数万の命を奪い、県土は文字どおりに破壊し尽くされました。  生き残った県民はどうしたかといいますと、占領軍、米軍によって十数カ所の収容所に入れられて、戦争が終わった後も長い間そこに閉じ込められたままでありました。米軍はその間に、県民が収容所の外のことは何も知ることができない状況下で、全くやりたい放題に、全県至るところにとてつもない膨大な基地をつくり上げ、県民の土地を取り上げてしまったのであります。  収容所の県民は、戦争が終わった年の十月ごろからやっと解放が始まり、翌年、翌々年にかけて徐々に解放されていきまして、それぞれのふるさとに帰されました。ところが、嘉手納、北谷などを初め多くの地域では、ふるさとは既に金網で囲われ、形、姿も変わり果てた米軍基地となり、住民は立ち入ることさえ許されなかったのであります。それが戦後の沖縄米軍基地の成り立ちの始まりです。  官房長官外務大臣も、それらの事情については御存じだったでしょうか。本当にひどいことだったんだなということについての認識があられるかどうか、その点をお聞かせください。
  89. 青木幹雄

    青木国務大臣 私も、「沖縄の米軍基地問題を世界に訴えます」という文書を読ませていただきました。ただ、このことは私どもも、二十七年間の長きにわたって米軍の施政下に置かれ、しかも大戦においては大変な犠牲を払われ、今なお基地の七五%が沖縄にあるという、非常に私ども沖縄皆さんに大きな負担をかけているという気持ちは何ら変わりません。  ただ、この文書にありますような問題をサミットで取り上げていいのか、こういうことをどんどんG8の方々に訴えていいのかという問題とは、私はある意味では別個な問題だと考えておりまして、恐らく沖縄を訪れられる各国の首脳も、沖縄の今までの歴史、過去の状態、現在の状態については十分御理解をいただいていると思っておりますので、直接その目で沖縄を見ていただけば恐らく御理解いただける問題じゃないかなというように考えております。
  90. 河野洋平

    河野国務大臣 戦後と言わず、戦争の末期、一番戦争の最終盤に沖縄県民を巻き込んだ地上戦が行われて、二十万人と言われる多くの方々が亡くなられたという、まことに我々にとってつらい、厳しい歴史が沖縄にあるわけでございます。その点は、私も幾たびか沖縄に参りまして、その都度本当に肌で感じてまいりました。  さらに、戦後の一時期、今議員がおっしゃいましたような時代沖縄にあったということも承知をいたしております。
  91. 古堅実吉

    ○古堅委員 しかも、このようなやりたい放題に取り上げた屋敷や農耕地等広大な土地について、長い間何の補償もしなかったという乱暴なものでした。  ところで、米軍基地の始まりはこのようなものでありますけれども、その後にも大増強があったのであります。  県民は、対日平和条約が締結されるときには、当然のこととして米軍は沖縄からも引き揚げ、沖縄は返還されるんだとみんなそう信じていました。しかし、県民の願いは踏みにじられ、一九五二年四月二十八日に発効したサンフランシスコ平和条約で沖縄は引き続き米軍の支配下に置かれることになり、取り上げられた土地も返ってはきませんでした。それどころか、その翌年の一九五三年ごろから、米軍の発令する布告、布令によって、新たな土地接収のあらしがすさまじく吹き荒れたのであります。  その土地取り上げが、いわゆる銃剣とブルドーザーによる土地強奪と言われているものであります。戦争で荒れ果てた土地を一くわ一くわ耕して、やっと農作物を実らせるようになった農耕地や、木材もなかった時代に大変苦労しながらつくったかけがえのない住家までも、米軍が必要とあれば武装した軍隊を出し、銃剣を突きつけ、力ずくで奪い取るという野蛮なやり方でした。  その典型的なものが、伊江島真謝部落の土地取り上げです。一九五五年三月、土地取り上げに反対している住民に対して、米軍は三百人の武装兵や車両等を上陸させ、住民地域を包囲して襲いかかったのであります。はしかで熱を出し病床にいる子供を案じ、別の日にしてほしいと泣き叫ぶ母親の訴えにも、一顧だにせず、軍靴のままどやどやと家の中に上がり込んで引きずり出す、こういうやり方です。  このように、真謝部落の十三戸の住家はブルドーザーで引き壊され、石油をかけて焼き払われ、その地域の広大な農耕地を含め接収されていきました。  米軍は同様の方法で武装兵を仕向け、銃剣を突きつけて、小禄の具志、宜野湾の伊佐浜、真和志の天久、銘苅、読谷など、数多くの地域で次から次へと土地を奪い取り、広大な基地をさらに拡大していったのであります。  現在の米軍基地というのはこのような残酷な歴史の上に存在しているものであります。官房長官外務大臣、多くのお言葉は必要と思いません。占領下の米軍が本当にむごいことをしたなというふうに思いませんか。思われるのか、思われないのか。質問に対して他のお答えをされるのじゃなしに、今度は直接そのことについてお聞かせください。
  92. 青木幹雄

    青木国務大臣 今先生がお話しなさいましたように、戦後の沖縄皆さんが非常に苦しい環境の中で生きてこられた現状は、私どもも十分承知をいたしております。それがゆえに、政府といたしましても、政府の重要課題一つとして沖縄皆さん本当に安心して暮らせる、繁栄のある沖縄のために今全力を尽くしているところでございます。
  93. 河野洋平

    河野国務大臣 戦後の一時期に、大変沖縄の皆様方が苦労なさったことを、いろいろな方々から口づてにお話を伺っております。その御苦労には心から本当に御苦労さまと申し上げると同時に、その御苦労にどうしてお報いをするかということを考えるばかりでございます。
  94. 古堅実吉

    ○古堅委員 念を押してお尋ねしたつもりなんですが。  そういうことに基づいて、沖縄の人々がどうなったか、どういう苦労があったのかということについては、大変だったなということになります。それをやった占領軍が、かつて本当県民に残虐な、むごいことをしたのだなというふうにあの問題を見ておられるのかどうかの認識をお尋ねしておるのです。  あなた方が直接やったなどということを申しておるのじゃないのです。手の届かなかった米軍、占領軍が当時沖縄であんなひどいことをやったんだなということについての認識がおありなのか、そういうことについては、そういう認識に長官大臣も到達されるのかどうかを今確かめてお尋ねしておるのです。
  95. 青木幹雄

    青木国務大臣 戦後の沖縄皆さんが、言葉に言いあらわせない、本当に苦しい状態の中で今日まで生きてこられたということは、私どもも十分認識をいたしております。
  96. 河野洋平

    河野国務大臣 戦争というものがいかに人間性というものを失ってしまうか、失わせてしまうかということをしみじみ思うわけでございます。日ごろ友好的に話し合うことができる、そういう国と国とでも、時に戦争という事態が起こりますと、そこにはもう本当に信じられないような事柄が次々に起きてしまう。戦争に対する憎しみ、戦争に対する気持ち、強い嫌悪感というものを感じます。
  97. 古堅実吉

    ○古堅委員 直接なかなかお言葉となってあらわれない。残念ですけれども、前に進みます。  私は、基地の島と言われる沖縄米軍基地の成り立ちについて、ごく粗筋だけを申し述べてみました。海兵隊その他沖縄に配置されている部隊とあわせまして、その集中度、規模等において、まさに世界のどこにもないような事態だ、私はそう考えています。  では、その米軍基地が沖縄に何をもたらしたのか。今度は、そのことについて、中身にちょっと触れてお尋ねしたいと思います。  沖縄基地の成り立ちに深く根差す問題でもありますけれども、小さな沖縄島にそれだけの基地が集中され、しかも常時演習場を必要とする実戦部隊の配置であるために、信じがたいほどに住民の安全性が重視されていない基地という基本的な性格を持たされた基地となっております。例えば、金網一つ隔てて向こうは米軍の演習場、こちらは住民の住むところ、こういうぐあい。こういう条件のもとで演習をすれば、事故も避けがたいものとならざるを得ません。  幾つか例を挙げてみますというと、りゅう弾砲の破片が民家のトタン屋根をぶち抜いたり、高速道路の休憩所の庭に数個のりゅう弾砲の破片が飛んできたり、あるいは、これは迫撃砲であったのかなと私は思っておるのですけれども、金網のすぐ近くに落ちて炸裂した砲弾が吹き飛ばした砂じんが、金網のすぐ外の住家の屋根にかなり、行って調査をすればひどいというふうに思われたほどに、吹き上げられた、そういうこともありました。  また、ライフル銃や機関砲の弾が住民地域に撃ち込まれた事例は、文字どおり無数にあります。朝の出勤前、鏡に向かってお化粧している若い女性が太ももをぶち抜かれたり、国道をお客を乗せて走っているタクシーのドアがぶち抜かれたり、住家の屋根をぶち抜いて押し入れの柱に数個の弾が撃ち込まれたり、高速道路の休憩所の便所の壁や給油所の壁に弾が撃ち込まれたり、海岸近くの建築現場で大工さんの腹部の作業服がぶち抜かれたり、金網近くの住宅地域で、庭や畑などのあちこちから、何十個もの撃ち込まれた弾が次から次へと発見されたりなど、数えられないほどのものがあります。  外務大臣沖縄米軍演習場がこのような県民の安全上の重大な問題を抱えた基地だということについての認識がございますか。
  98. 河野洋平

    河野国務大臣 お答えを申し上げるに先立ちまして、今日の在日米軍は、日米安保条約の取り決めによりまして、我が国の安全ということのために日本におるということをまず認識しなければならないと思います。  ではあるけれども、基地周辺にいろいろな問題がある、危険もある、今議員指摘のような問題があるということについては、これは現実に今議員がお挙げになったような事例があるわけですから、再びそういう問題を起こさないように、できる限りその危険を取り除くための努力が必要だと思います。  それは、日米双方で在日米軍の基地の整理、統合、縮小という努力がそのために行われているわけでございます。議員から言われれば、遅きに失しているとおしかりもあるかもしれませんけれども、私どもとしては、最大の努力を払って、今後基地の整理、統合、縮小に向かって、SACOの最終報告の線に沿って努力をしてまいりたいと思います。
  99. 古堅実吉

    ○古堅委員 沖縄の基地の成り立ちを先ほど申し上げましたけれども、今の危険性という問題についても成り立ちに深くかかわっておるのです。  最初から国と国との間で、どこの基地を提供しましょうかということで、対等の立場で、話し合いでやった結果じゃない。占領軍が本当にやりたい放題にやったのを、復帰とか復帰後の措置とかいうことで今日を迎えていることで、ですから、その成り立ちにも深くかかわる問題だということを申し上げたんです。  そういうものを無視して、日米安保条約に基づく今日の取り扱いだからということでそれを合理化するようなことは、これは実際の沖縄の現状に照らしても沖縄県民はだれも納得せぬ。日本政府というのはその程度の認識しかないのかと厳しく言わざるを得ない、そういうお答えの程度だと申さねばなりません。  嘉手納飛行場普天間飛行場の危険性や騒音被害の問題なども大変重大です。墜落事故などによる死傷者は、今日までに幾百人にも上っております。騒音のため学校の授業が一時間で十数回以上も中断されたり、付近住民の健康に重大な影響が出るなど、地域住民にとって我慢のできない日々が続いています。市街地の中心部に飛行場が居座り、地域振興の大きな阻害要因となっておる状況というのも、沖縄の米軍基地ならではの問題だと申せると思います。  その上に、米兵による犯罪です。時間もないので詳しいことは申し上げられませんが、あの少女暴行事件に見られるように、米兵による殺人、強盗、強姦などの凶悪犯罪も後を絶ちません。復帰後、九八年までの米兵刑法犯は約五千件に及び、その一〇%余りが凶悪犯となっています。それによる県民の被害者は、殺人十二人、強盗百七十六人、強姦九十八人、放火十六人です。沖縄県が県議会に提出した資料によると、統計がとられた一九八六年から九八年までの在日米軍関係の凶悪犯の五二%が沖縄で発生したもので、その中で強姦の発生率はまだ高く、五九%です。  こうした事態というのは、軍事基地を置かせれば当然のようにどこの国でも発生するというものではないと考えます。だからこそ、沖縄のひどいこのような状況について、各国首脳にもマスコミにも、直接のサミットの議題にはしなくても、知らせるような努力をせぬといかぬのじゃないかと申し上げておるんです。  沖縄県民は、戦後五十五年の苦難に満ちた歴史と過酷な現実を踏まえて、沖縄サミットに当たっては、先ほど申し上げたように基地問題と平和を愛する心を発信したいと願っています。  日本共産党は、政党として独自にその願いにこたえるために、先ほど申し上げた基地問題の訴えを発表し、その文書を広範な人々に読んでもらい理解してもらうために大きな努力を払っています。一政党といえども、やればかなりのことができます。  この際、政府としても、県民の願いにこたえて、それなりの努力を払ってほしいと考えております。御検討していただけますか。お二人から御所見を伺って、終わりにしたいと思います。
  100. 青木幹雄

    青木国務大臣 先ほども申し上げましたように、サミットは世界の八カ国の首脳が集まる会議でございまして、今の基地の問題は両国間の問題であろうと思っておりますので、先生が今おっしゃった現状、そういうものを私も十分認識しておりますけれども、これは、サミットはサミット、その問題はその問題として私どもは努力を続けていかなきゃいかぬ問題だと考えております。
  101. 河野洋平

    河野国務大臣 私どもも、沖縄の基地の現状というものは十分に理解をし承知をしているつもりでございます。  今官房長官からお話がありましたように、この問題を解決するためには、日米両国の合意によってSACOの最終報告がまとめられ、このSACOの最終報告を着実に実施するということが当面何よりも重要というふうに考えております。
  102. 古堅実吉

    ○古堅委員 全く納得できない御返事が返ってまいりましたけれども、時間ですから、終わります。
  103. 佐々木秀典

    佐々木委員長 これにて古堅実吉君の質疑は終了いたしました。  次に、伊藤茂君。
  104. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 閣僚、政務次官の皆様、朝から御苦労さまでございます。最後の質問と申しましょうか、順番で、いつも締めの質問は社民党ということになっておりますが、若干の質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  一月に外務委員会で、同僚議員からお話がございましたように、沖縄に参りまして、普天間の移転先の問題、それからサミット予定地など、知事、市長を初めさまざまの御意見を伺いました。  サミットがある沖縄沖縄はもちろんですが、我が国にとりましても、日米関係にとりましても、今後の国際関係にとりましても、やはりここをどう成功させるのか。騒ぎなしにうまくいけば成功だというわけではありませんで、中身の問題ですから、皆さんもそうでしょうが、いろいろと思い深いものがございます。  そういう視点から、次なんですが、一つ普天間の移転の問題でございます。この問題につきましての政府の対応、閣議決定の中身などは河野大臣から繰り返し伺っております。  やや端的に、この際、官房長官に伺いたいんですが、サミットがあります。七月です。どういう状態でそのときにサミットが迎えられるんだろうか、そこまで何ができるんだろうか、そして、沖縄のサミットのときに県民に何か明るい将来を語ることができるように、また、北東アジアの将来にも何かやはり明るい展望が提起できるようにというのが私どもの願いになるわけであります。  そういうことなんで、あと何カ月かの期間になるわけでありますけれども普天間の移転という問題について、知事の方からは軍民共用、十五年というのがある。ペンタゴンのレポートではもっとすごいことが書いてあるということは繰り返し言っているわけでありますが。やはり日、米、沖縄県含めて、こういうことでサミットを迎えるんだ、サミットまでに何をしなければならないか、何ができるか、その辺の御判断を忌憚なく伺いたい。
  105. 青木幹雄

    青木国務大臣 サミットまでに何ができるかというお尋ねでございますが、私ども、基地の問題、それまでにいろいろな問題が円満に解決できればいいと思っておりますけれども閣議決定をいたしましてから、私どもも、北部振興の問題、受け入れ地の振興の問題、今までも熱心にやってまいりました。  ただ、十五年の問題につきましては、全くこれは月並みな答弁になって申しわけないと思っておりますけれども、私どもも、稲嶺知事が選挙区の公約でしっかりと十五年ということを言われ、また、近くは、名護の市長が市議会の質問に対して、十五年が守られなければ我々も新しい基地は受けませんよという御発言をなさった、その重みも十分に私ども承知いたしております。  しかしながら、これは相手もあることでございますので、私どもも、今まで繰り返し申し上げておりますように、いろいろな情勢を踏まえながらアメリカとも話をしていかなきゃいかぬ問題だと考えておりまして、先般も、外務大臣、防衛庁長官が閣議の決定に従ってこの問題を取り上げたわけでございまして、私どもも、今後ともこの問題についてはできるだけの努力をしていかなきゃいかぬ、そのように考えております。
  106. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 非常にまじめな、はっきりとしないお話でありますけれども、現状はそうかもしれません。  ただ、私どもは、七月、サミットで世界の首脳が集まる、大変な数の世界のマスコミがみんな集まり注目をする。そういうときに、どういう姿になっているんであろうか。国民的にも県民的にも、何かいらいらした不満の塊という状態では大変なことだろうというふうにも思います。やはり、何か前向きの、打開できることにしなければならないというふうに思うわけでございまして、そういう意味での中身のある設定の展望を、主催国ですから、特段の大きな責任を持った努力をしなければならない。本当、この現実を踏まえるならどうできるかということを、真摯にはっきりと努力され、その姿が見えればまた違うんだろうという気が率直に私はいたしております。  それとも兼ね合うんですが、急に申し上げて恐縮なんですが、先般コーエンさんとお話がございまして、航空管制権の返還の問題ですね、本当によかったなと思いますし、それに伴ういろいろな問題、空域の問題その他いろいろ大変なことだろうと思います。非常に明るいニュースと思って受け取ったんですが、大体どんなゴールか。あるいはサミット前ぐらいでということでコーエンさんとお話しになったんでしょうか。これは外務大臣ですかね。
  107. 河野洋平

    河野国務大臣 この問題は、ワシントンでオルブライト長官との会談で持ち出して、先般コーエン国防長官が東京へ来られましたときに再び持ち出したところ、長官からは、原則的にこれは返還する、ただし米軍の運用の所要というものがある、そこをしっかりやるために専門家同士でひとつこれから先は詰めてほしい、こういうことでございました。したがいまして、私どもも、運輸省を初めとする専門家の方々にこの詰めはしていただかなきゃならないと思っております。  私にいろいろとお話が、外務委員会でもいろいろ議員の方々から御提言があったりいたしまして、もう随分長い時間がたっているじゃないか、当分の間と言いながら、随分長い時間がたっているね、もう日本にも十分その能力はあるぞということを言われて、私もそういう声に励まされながらアメリカと話をしたわけでございまして、私としては、十分その能力は日本にあるというふうに確信のようなものを持っているわけでございますから、これから専門家が詰めるということになれば、それは能力があるということを前提にすればそう問題は、ないと言うと少し言い過ぎかと思いますが、私はこの返還は必ずできるというふうに確信しているわけでございます。  ただ、いかにも問題は、民間航空機の離発着と軍用機の離発着といいますか、時にはスクランブルというのもあるのか、私は余りよくわかりませんが、そういうこともあるかもしれない。つまり緊急発進ということもあるかもしれない。そういうことを日本の管制官がうまくさばけるのかどうなのかとか、いろいろな問題がやはりまだあるんだろうと思います。これらは専門家同士が話し合えばわかることだろうと思います。  今議員お尋ねは、サミット前にできるかどうか、こういうお尋ねで、これは先般も上原議員からしっかりやれと大分ハッパをかけられているわけでございまして、きょうは運輸省がおりませんので、私からできますとかできませんとかというお答えを申し上げるのは少し無責任だと思いますが、恐らく専門家は全力を挙げて取り組むに違いない、そう思っております。
  108. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 非常に明るいニュースなんですが、どう実現をするのか。早く実現してほしい、これは共通の気持ちだと思います。ただ、あの地域の飛行機の状況、軍、民、いろいろ考えますと、今まで経験したことのない大変な何かを引き継がなくちゃならぬということも現実でございまして、それから空域、海域とか関連していろいろな問題も前からあるわけでありまして、早期に、しかもいい方向に進むように心から要望を申し上げたいというふうに思います。当委員会にも運輸大臣経験者が二人おりますから、航空局長などにしっかりやってもらいたいと思います。  それから、官房長官にもう一つ、さっきのつながりで伺いたいんですが、サミットまでに何ができるかということですね。例えば判然と、五月にこうします、六月にはこうしますということでなければならぬでしょう。  私どもの仲間も、沖縄で何をやろうとか、いろいろな相談事をやっているのを伺いますから、それらを見て思うんですが、県民はどういう雰囲気で迎えるのかなと。  何も大きな騒ぎが起きることを期待するわけではもちろんありませんで、やはり何かそこから、沖縄県民にとっても、国民にとっても、アジアにとってもいい方向に向くということを切に私も期待をしているわけであります。  先ほどと同じことになるかもしれませんが、例えば普天間の移転についての具体策の協議をどうするのか、前からの宿題がございます。これにつきましても、代替施設の基本計画を詰める協議機関の設置の問題については、県、名護市の考え方を聞きながら、時期、メンバーを検討したい、現時点ではそこまでというようなことに今なっているわけであります。しかし、こういうものがこれから何カ月かの間、県と市の了解、また県民調査、それから市民の意識調査をしますと、さっき古堅さんからお話がありましたが、また違いますよね。そういう中でどうなさるのかにつきましても、検討したい、現時点では未定というまま、サミット前、サミット後までだらだら延々とやっているわけにはまいらぬじゃないかというふうに思いますが、どうお考えでしょうか。
  109. 青木幹雄

    青木国務大臣 確かに今議員がおっしゃいますように、サミットまでの間に何か沖縄県民皆さん本当にこれはよかったと喜んでいただけるものは、私ども政府の責任において考えていかなきゃいけない一つの大きな課題だと考えております。  明日から、総理も議長国の議長になって初めて沖縄に参ります。それから、施設が非常に進んでおりまして、警備の状態なども一生懸命我々も取り組んでおりまして、いずれそういうものが完成した時点で、恐らく最終的にもう一度総理が行くようになると思っております。そのときまでに、先生おっしゃるような、沖縄県民皆さんに喜んでいただけるものを、政府として責任を持って考えていかなきゃいけないと考えておりますが、今この時点で具体的にこういうことということを申し上げることができないのが非常に残念でありますが、ただ、七月に沖縄の守礼門をあれした二千円札を出しますよというようなことでは済まない問題だ、そういうふうに心得ておりますので、頑張っていこうと思っております。
  110. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 それで、どう展望を示すかとなると、これはぜひ外務大臣決意のほどを伺わなければならないという思いがいたします。  十五年の問題でありますが、米側としましたら、やはり、固定的に期限をいつにするか、いつでオープンかいつでクローズかとかいうような単純なものではない。極東情勢、太平洋、全体を判断しなくちゃならぬというふうなことになっているようでありますし、米側の返事はそういうことだろうと私も想像します。  ではどうしたらいいのかという意味でのやはり新たなイニシアチブが必要になるわけでありまして、そうなりますと、先ほども上原さんや古堅さんから関連してお話もございましたが、日米共同宣言、九六年四月十七日の中の第五項(a)と申しましょうか、ここは、当時は与党の端っこにおりましたので、などについていろいろと意見交換など随分した記憶がございます。ここに述べられている内容、「両国政府は、国際情勢、とりわけアジア太平洋地域についての情報及び意見の交換を一層強化する。同時に、国際的な安全保障情勢において起こりうる変化に対応して、両国政府必要性を最も良く満たすような防衛政策並びに日本における米軍の兵力構成を含む軍事態勢について引き続き緊密に協議する。」このパラグラフは、私どもも、とあるべき方向だという気持ちで実は議論をした記憶がございます。これは、歴史的なといいますか、非常に画期的な時点での日米共同宣言に盛られた内容でございますから、双方にとってもデューティーというのか、権利か義務かですね、大事な存在だろう。それから、国際的に見ても、これは良識か常識かという考え方であろうというふうに思います。  そうなりますと、ここに述べられている日米双方の首脳の合意というものをいい方向にどう展開するのかという外交戦略、判断、見通しなどが問われるということになるわけでございまして、そうなりますと、こういう方向にどうしていくのか。  例えば、そう期限は切るわけにまいりませんけれども、数年なら数年の間にこういうところに持っていきたい、そうすればこうできるとか、そういうことをいろいろと内部的に議論したり検討したり、外務省部内でも政府としても議論したり、それからさまざまの専門家と議論したり。またオープンの議論もあるでしょうし、オープンでない議論も当然あるでありましょう。また議員同士もいろいろな形で議論をするということが、私どもも国民の代表として、また沖縄県民皆さんの将来にとっても真剣な努力をしなくちゃならぬということであろう。  言うならば、そういう方向へ、この共同宣言第五項(a)のこの部分が空文ではなくて将来の一つのガイドの役割になっているという方向の中身を考えなくちゃならぬということでございますが、外務大臣はどうお考えでしょうか。
  111. 河野洋平

    河野国務大臣 まさに伊藤議員がお話しになりましたように、我々は外交努力によって肯定的な国際情勢をつくるということが我々の目的でなければならないと思っております。  我が国周辺には、残念ながらまだまだ不透明な状況がございます。こうした不透明な状況をできるだけ解決して、お互いに相互の信頼関係が十分できるような、そういう国と国との関係あるいは国際環境というものをつくらなければなりません。  先ほど来お話がございますように、ロシアとの関係もまだまだ領土問題という問題を抱えておりますし、朝鮮半島にも御承知のような大変大事な、とにかく戦後ずっと不正常な、国交のない状況をそのままに今日まで来ているというところがございます。また中国につきましても、その軍事的な部分についてはまだまだもっと透明度を高めてほしいというふうに私も考えておるわけでございまして、こうした問題は外交努力によって一つずつ解決をし、相互の信頼を高めていく努力というものは必要ではないかというふうに考えている次第でございます。
  112. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 そこで私は、外務大臣に強い注文がございます。  例えば、朝鮮問題についてペリー報告がございました。繰り返し読んでみまして、いろいろのお考えのもとにまとめられた判断それから展望が述べられております。やはり朝鮮問題についてのペリー報告もペリーさんらしい大変な努力だなという気持ちがいたします。  やはり沖縄の問題、サミットの中で、県民が望んでいるのは展望だと思います。これから五年十年変わりなく今と同じ状態なんだろうか、新しい方向に変わっていくのだろうかということが最大の問題だろうと思います。政治がまた政府が語るべき責任を持っているのは、未来に希望を語るということであることは言うまでもございません。  そうなりますと、さまざまの、例えばカナダの外務大臣とか前のニュージーランド、オーストラリアの外務大臣とか、外国の新聞などを見ますと、非常にいい意見などを出されて、いいなと思いますが、やはりそういう意味での展望を、展望かあるいは展望のシナリオか、一つの戦略かディプロマシーか、論ずるということがまさに日本に求められている。今のままでは、アジアの中でも世界の中でも日本の存在感がだんだん低まっている。いい意味でやはり日本の存在感をちゃんとしてほしいというのがまたアジアの声だというのが今日の状況です。また、いい意味での日本モデルというのですか、アジアが日本モデルぐらい考えて経済をやってくれぬかなという発言も実はあるようでございます。  そうなりますと、大臣が述べられた気持ちは結構なんですが、そういうことからもう一歩進んだものを出していくということが、サミットの成否あるいはサミットにおける主催地の沖縄県民がどう受けとめるかということのかぎではないだろうかというふうな気がするわけであります。  私個人の認識もそうでありますけれども、五五年体制は終わりました。昔でしたら、冷戦時代を背景にして、安保、自衛隊といえば自社相交わらざる対決の構図、永久の二本のレールか平行線というふうな時代がございましたが、今はやはりポスト冷戦の時代ですから、大いに議論をしながら、どうやって共通の土俵の上に、また、いい意味で何か新しい方向へのリアリズムをどう追求するのかということが与野党を含めた責任であろうという気持ちが私はいたしております。  そういう意味での提起をぜひ大胆に出されるというのが今日の事態における日本国外務大臣としての重要な使命ではないだろうか、励ましも含めてそう思うのですが、いかがですか。
  113. 河野洋平

    河野国務大臣 G8サミットの前にG8の外相会議が九州宮崎で開かれるわけでございますが、このG8の外相会議におきますもろもろの議論を踏まえ、これもさまざまな国際情勢によって議論の焦点は移ると思いますけれども、恐らくどんな状況であっても必ずG8の外相会議で議論されるであろうと思うことは紛争予防でございます。  今、先進国の外相が一致して持っております問題意識は、紛争をどうやって未然に防ぐかということが一番の問題でございます。  これはもう言うことは簡単でございまして、紛争を未然に防ぐために一番大事なことは貧困の克服だと思います。もちろん、他方、宗教上の対立とか民族的な対立とかというものはございますけれども、最も根源的なものは貧困の克服でございます。  私は、また貧困の克服というものが人権問題とか民主化問題につながってくる、つまり、貧困が克服されて初めて人権問題というものが顕在化してきたりあるいは民主化への意欲がわいてきたりするというふうに考えているわけでございまして、そして、それぞれの地域、それぞれの国が民主化の道を歩めば、その民主化によって、国民の合意によって政策が決められるということになると、相当に紛争は未然に防がれる可能性が出てくるというふうにも思うわけでございます。  私は、その辺のところをG8の外相仲間と一緒にぜひ論じ、論ずるだけではなくて、それを具体的に進める方法について議論をしてみたいというふうに考えております。
  114. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 最後の質問をさせていただきます。  この間、外務委員会で外務大臣に、三井物産出身の寺島実郎さんの、非常におもしろいことを、おもしろいと言っては悪いですが、ユニークなことをおっしゃるので、この方の文を引用して質問させていただきました。  地位協定の改善、改革の問題でございまして、外務委員会で沖縄へ参りました節も、知事からも名護の市長からも、地位協定の改善及び運用の改善についてのさまざまなお話がございました。これは大田県知事時代からも含みました長い長い県民要望でございます。ドイツのNATOの場合との比較とか、いろいろな論争が何年も前からございましたが、それは省略をいたします。おわかりになっている事実でありますので。  ということでございますが、そのことに関連をして、その寺島さんの論文の一番最後のところに、こういうことが書いてございます。  「過去五十年間、日米安保が日本を守ってくれたことを高く評価するにせよ、この先も四万人余の米兵、一千万坪の米軍基地があってもいいという国民が、はたして国際社会のなかで一人前の存在だと認識されるだろうか。アメリカとの関係をしなやかに再設計していくことが、二十一世紀に課せられた日本の宿題なのである。」と書いてございます。  ですから、地位協定の具体的なことは別にいたしまして、基本姿勢として、何かそういう一つのスプリングボードか分岐点に立っているんだろうというのが、今日あるべき認識ではないだろうか。外務大臣はそういうことを宿題とお考えになりますか。
  115. 河野洋平

    河野国務大臣 そう思います。  私は、今のようなやり方が今後何十年も続いていくかどうかということについては、はっきりと続くと明言をするほど勇気はございません。恐らく、国際情勢も将来は変わっていくでありましょう。そうして、それぞれの国々の考え方にも変化が出てくるに違いないというふうに思います。  もちろん、現在と同じような国際情勢、現在と同じようなそれぞれの国々の考え方が続く以上は、我々はこの今のやり方が一つの賢明なやり方だという判断もあるかもしれません。しかし、必ずしも今の状況が今後ずっと続いていくというふうには思えないからでございます。
  116. 伊藤茂

    ○伊藤(茂)委員 以上で終わります。
  117. 佐々木秀典

    佐々木委員長 これにて伊藤茂君の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二分散会