○石破
委員 人間、性善説か性悪説かというのはいろいろな
考え方があると思いますよ。しかし私は、さっきから気になっているのは、
高齢者というお言葉が出てまいりますね。あわせて、
高齢者だけではないんだ、目の見えない方や足の弱い方や耳が聞こえない方、そういう方も含めて、本当にみんなが分け隔てなく自由にできるような、それをあえて私は
権利とは申しませんけれ
ども、
権利というような概念を持ち込むよりも、本当に困った人を見たら知らぬ顔をしては絶対にいけないんだということを教育の現場できちんと教えていただきたい。それがないと、仏つくって魂入れずみたいなことになってしまうだろう。
この
法案の中に、国民の責務というふうにうたいました。それは、運輸、建設、自治、警察、個々の
法案ではあるけれ
ども、ぜひ文部省も、本当にそういうような
社会が来ますようにと。
どなたかおっしゃっていました。既に外国で、お店に入ると、メイ・アイ・ヘルプ・ユー、こういう話になる。それはもう慣用句になっているのかもしれないけれ
ども、何か助けてあげられることはありますか、何か私にできることはありますか、そういう
社会。
日本の場合には本当にそういうのが戦後特になくなってしまったのじゃないかという気がする。
自分の国さえよければいいとか、
自分だけよければいいとか、よその国は困っても知らぬとか、そういうような発想というものがずっと蔓延をしているような気がするのですよ。
弱い人を見たら知らぬ顔をしていないんだ、そういうことを、まさしく二十一世紀に向けて、この
機会に
政府を挙げて取り組んでいただきたい、そういうような思いがしておるわけであります。
川内さんとおっしゃる
参考人の方がこういうような
お話をなさっておられました。これはひょっとしたら私の言ったことかなと思うのですけれ
ども、だれがどのような
負担をするか、つまり、四分の三は国が持つとか、三分の一、三分の一、三分の一だとか、そういう議論を最初のころいたしました。だれがどういうような金銭的な
負担をするかを決めるのが政治の役割といった旨の発言があった。確かにお金は必要だろう。しかし、
負担は金銭だけの問題であろうか。これまで
障害を持つ人間は人間としてのプライドをずたずたにされながら公共
交通を
利用してきた。私
たちの
社会が金銭的
負担を避けてきた分、
障害を持つ人は過度の精神的、肉体的
負担を受けてきた。これは
社会的に公正なのだろうか。金銭的
負担も重要だが、
社会的不公正を正すのも政治の大きな役割だ、こういうような
お話をなさっておられました。私は、そうなんだろうなというふうに思います。
もちろん最大多数の最大幸福ということも我々は
考えていかねばならぬ。それは弱い人を犠牲にするということじゃなくて、どうやったら一人でも多くの人が幸せになるか、どうやったら一人でも多くの
移動制約者の
方々を救うことができるか、そういう
考え方に基づいて申し上げたつもりでございますけれ
ども、そういうことを私
どもは
考えていかねばならないなというふうに思った次第でございます。
権利かどうかということをあえてここで取り上げるつもりはございません。ただ、
玉置提出者、いろいろな質疑の中で、
政府案は
施設整備法である、我々は
権利を守るというような
考え方でつくってきたというふうにおっしゃっておられます。
私は、この
交通権という
権利は憲法のどこに由来をするのだろうか。それは自由権なんだろうか、
社会権なんだろうか。自由権だとすれば、何々からの自由という
考え方であって、
社会権であれば、これは金銭的
負担を伴うことになるのであろう。もし仮に金銭的な
負担を伴う
社会権ということを憲法のもとに認めたとすれば、まさしく広くあまねく全員にということになってくる。
この
交通権という言葉はもともと、
玉置提出者御案内のように、
地方鉄道をどうするかというときに出てきた
お話ですね。和歌山地裁の
平成三年の判決にあるように、仮にそういうふうに
社会権として位置づけ、金銭的な賠償というものを伴うとすれば、それは現実問題として不可能なことではないだろうか、どのような国もそういうようなアクセスを保障するということは、それは
交通権という概念を持ったとしても実際問題実現不可能なことではなかろうか、こういうような判決があったことは
委員御案内のとおりだと思っております。
これは発展途上の
権利で、この
法案が成立をし、だんだん広くなって、国民みんなの理解が得られたときに初めてこれは
権利ということになるのではないか。しかし、これが
社会的な保障とかなんとか、そういうような世界にいくよりは、もっとみんながお互い助け合う、そういうようなことになっていく、昇華していく、これが重要なことではないかなと思いますが、
玉置委員、どのようにお
考えですか。