○遠藤(乙)
委員 公明党の遠藤乙彦でございます。
今審議されております
交通バリアフリー法案、大変画期的で重要な
法案でございまして、私ども、慎重な審議の上に、ぜひ
法律を成立をさせ、今後の
バリアフリー化に向けて、
日本の
社会をぜひとも変えていただきたいと強く期待をしつつ、また、
質疑をさせていただきたいと思っております。
さて、この
バリアフリーの問題につきまして審議を進めるに当たって、調査なくして発言なしというのが私ども公明党のモットーでもありますので、まず実態調査をした上で、それを踏まえていろいろ
意見を言おうということで、私自身も、ことしの二月、私の地元の大田区におきまして集中的に調査を行いました。
皆様のお手元に配付してあります資料がその概要でございますが、
質疑の前に、短時間、このさわりだけでも御報告をさせていただければと思っております。
私ども、この
バリアフリー化を進めるに当たりまして、歩いて暮らせる街づくり推進協議会というものをボランティアとして設置いたしまして、公明党の党員のみならず、幅広くボランティアに呼びかけましたところ、何と二百名を超える方に御参加をいただきまして、大田区内の老人施設を中心に調査を行ったわけでございます。
まず、一枚目の紙でございますが、調査の対象は、大田区にあります老人憩いの家二十一カ所、これプラス区民センター四カ所、合わせて二十五カ所を対象に、最寄りの
鉄道駅または
バス停からその施設までの最も代表的なルートを、実際に車いすに乗り、また私も押して、この調査を行ったわけでございまして、大変詳細な調査になったわけでございます。通常の距離は、
一つのルート当たり五百ないし六百メートルぐらいが大体の標準でございます。
二枚目を見ていただきますと、一番ポイントになる数値でございますけれども、四角で囲ってございますが、それぞれのルート、平均いたしますと、車いすで見た場合、問題箇所、すなわち障害となる
部分が何と七・八四メートルごとに一カ所という、大変な障害の多さが改めて浮き彫りになりました。また、通行不可能箇所、これは、車いすが避けなければ通れない、ほとんど車道に出なければ通れないような障害が何と二十三・五八メートルに一カ所という
状況が浮き彫りになったわけでございます。
もとより、大田区も大変人口密集地で、無秩序に工業化が行われ、町づくりが非常に無秩序に行われたこともありまして、
道路整備が必ずしもよくない
状況でございますけれども、
一つのケーススタディーとして見ていただければと思うわけでございます。
それから、次の三ページを見ていただきます。どういう障害の種類、頻度があるかということでございますが、この三ページの資料で申しますと、まず、一番多い障害が
道路上の設置物、特に電柱、街灯、標識、植え込み、こういったところが
道路上の設置物として最も多い障害となっております。特に電柱は、大変障害として大きいということが改めて浮き彫りになりました。
次いで、第二位が、いわゆる凹凸、でこぼこです。マンホール、あるいは
道路自体の凹凸、あるいはL形側溝による凹凸、これがやはり非常に車いすの場合には大きな障害になっております。
第三位が、
道路上の
移動可能障壁でございまして、これは自転車、看板、自動車、それから商品、
道路上を使って商品が陳列されている、あるいはごみ、こういったものが
移動可能障壁としてあるわけでございます。
第四位が
段差、第五位が傾斜、こういった順になっておりまして、改めて、障害者あるいは
高齢者の
方々の目から見て、非常に町が障害に満ちあふれているということが浮き彫りになったわけでございます。
私自身も実際に車いすに乗り、また押してみて、全く違った世界に見えたという感じを持っておりまして、そういった
意味では、先般、
大臣も先頭に立って車いすの体験をされたと伺っておりますけれども、
政府の
方々も、局長さんや課長さん、あるいは担当の
方々もぜひ一度はこういった
バリアフリーの実際を見て、
自分でも車いすに乗り、押すという体験をされることが大変今後の政策検討の上に有益だろうということをぜひ一言申し上げておきたいと思っております。
それから、四ページ目、写真がついております。ほんの一例でございますけれども、これは電柱。歩道が非常に狭い、白線でしか書いてありませんが、こんな狭い歩道で電柱が立っていますと、車いすは全く歩道を通行できません。電柱が大変大きな障害になっているということが改めてわかるわけでございます。
それから、次の、下の写真はL形側溝。これがやはりいわゆる凹凸の代表でございます。車いすがひっかかりますと、バランスを失い転倒する危険もありまして、意外と気がつきませんけれども、非常に重要な障害として改めて
認識をされた次第でございます。
それから、次のページへ参りまして、放置自転車。これは
移動可能障壁の典型でございますけれども、自転車がこのように置かれておりますと、車いすは大変通行困難を感ずるわけでございます。
それから、その下の写真は橋の
段差。これは健常者から見れば何ということない橋なんですけれども、
段差がこのようにありまして、車いすでは全く通行不可能、車道に出ざるを得ないということでございまして、こういったこともいかに
日本の町づくりが障害者の方、あるいは
高齢者の方に配慮がないかということを典型的に示す例ではないかと思うわけでございます。
続いて、六ページ。これはパネルは用意してありませんが、私どもがこの調査をやって、まとめる段階になったときに、大変痛ましい事故が発生をしました。それは、私の地元の大田区の東糀谷四丁目の公園のところで車いすの方が車にひかれるという痛ましい事故が発生をいたしました。それは、奥さんが車いすを押して、御主人がリハビリを毎朝やっておるわけでございますけれども、緑地公園を出て、歩道がなくて、車道に入ったところで、バックしてきたトラックによってひかれて死亡するという大変痛ましい事故が起こったわけでございます。まさに私ども、こういった痛ましい事故が起こることを予測しつつ、警鐘を鳴らす
意味でこの調査をしたわけでありますが、大変衝撃を受け、また残念に思っている次第でございます。
次のページにその現場の写真がございます。私ども、直ちに、翌日、独自に現場検証をいたしました。結論として、確かに直接の原因はこの運転手の後方不注意ということが最大の要因でございますけれども、やはり構造上の問題があるということを改めて確認をしたわけでございます。この丸印で囲ってある
部分がまさにその事故現場でございますけれども、そもそも道が非常に狭くて、七メートルしか道の幅がありません。そこにほんの申しわけ程度にわずか五十センチの幅で白線が引いてあって、ほとんどこれは歩道を確保されていないという
状況でございます。
そもそも道が大変狭くて歩道が確保されていないということに加えまして、本来、この場所は一方通行に指定してしかるべきところなんですが、その指定もなかったということでございまして、こういった構造上の欠陥がやはり
基本にあってこういった痛ましい事故になったということが私たちの現場検証でも確認をされたわけでございます。こういった痛ましい事故をなくしていくためにも、あらゆる角度からの
バリアフリー化が急務であるということを改めてお訴えさせていただきたいと思うところでございます。
以上、私どもの調査のほんの概要、さわりの
部分をお伝えいたしましたけれども、そういった実態調査を踏まえた上で、本日の質問をさせていただきたいと思うところでございます。
まず最初に、この今回の
バリアフリー法案におきまして、
基本方針や
基本構想をつくっていくことになっているわけですけれども、まず真っ先にお願いしたいことは、身障者の方、
高齢者の方、そういった
方々の
意見をぜひとも反映して、十分に聞いていただきたいということが何よりも重要な点でございます。
法案自体には明記されておりませんけれども、実態的にはやられるというふうに伺っておりまして、ぜひともこの点を確保していただければと思っておりますけれども、この市民参加のプロセス、特に
高齢者、身障者の
方々の
意見をどのように反映していくのかという点につきまして、これはまず
大臣にお聞きしたいと思います。