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2000-02-24 第147回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十二年二月二十四日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 仲村 正治君    理事 石破  茂君 理事 実川 幸夫君    理事 菅  義偉君 理事 高木 義明君    理事 玉置 一弥君 理事 赤羽 一嘉君    理事 江崎 鐵磨君       衛藤 晟一君    木村 隆秀君       久野統一郎君    栗原 裕康君       坂本 剛二君    中馬 弘毅君       中野 正志君    望月 義夫君      吉田六左エ門君    渡辺 具能君       奥田  建君    今田 保典君       佐藤 敬夫君    永井 英慈君       前原 誠司君    石田幸四郎君       遠藤 乙彦君    岩浅 嘉仁君       松浪健四郎君    寺前  巖君       平賀 高成君     …………………………………    運輸大臣         二階 俊博君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    政府参考人    (運輸省運輸政策局長)  羽生 次郎君    政府参考人    (運輸省鉄道局長)    安富 正文君    政府参考人    (運輸省自動車交通局長) 縄野 克彦君    政府参考人    (運輸省航空局長)    岩村  敬君    運輸委員会専門員     長尾 正和君     ————————————— 委員の異動 二月二十四日  辞任         補欠選任   岩浅 嘉仁君     松浪健四郎君 同日  辞任         補欠選任   松浪健四郎君     岩浅 嘉仁君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  陸運海運及び航空に関する件等運輸行政基本施策)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 仲村正治

    仲村委員長 これより会議を開きます。  陸運海運及び航空に関する件等について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、政府参考人として運輸省運輸政策局長羽生次郎君、鉄道局長安富正文君、自動車交通局長縄野克彦君及び航空局長岩村敬君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 仲村正治

    仲村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 仲村正治

    仲村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。実川幸夫君。
  5. 実川幸夫

    実川委員 おはようございます。自由民主党実川幸夫でございます。  早速質問に入らせていただきます。  先週の十八日に行われました当委員会で、大臣から所信表明が行われました。最初に、大臣から、安全の確保について述べられております。これは運輸行政にとりましては第一の政策課題ではないかなというふうに思いますし、また国民にとりましても一番大きな関心事ではないかなというふうに思っております。  そういう中、昨年、二度にわたりまして山陽新幹線事故が起きてしまいました。これは長く続きました国民皆さん新幹線に対します安全という信頼、これが何か一度に崩れてしまったような感がいたしております。当委員会でも二度にわたりまして視察をしましたし、この問題を委員会で取り上げてまいりました。また大臣におかれましては、御就任早々現地を視察されております。  その後、このような事態を受けまして、大臣からJR西日本に対しまして、従来にない徹底した安全総点検の指示を初めといたしまして、運輸事業全般にわたります安全意識の再徹底あるいは総点検に至るまで、矢継ぎ早に重要な施策を打ち出されております。その一つ一つ国民の大きな関心事となっておりますけれども、今日に至るまでなお国民鉄道に対します信頼が完全に回復されるとは言いがたい状況にあると危惧さえしております。  そこで、大臣にお伺いいたします。  昨年発生しました山陽新幹線トンネルコンクリート剥落事故を機に、大きく損なわれました新幹線を初めとします鉄道に対する国民信頼の速やかな回復にかける今の大臣の御決意をまずお伺いさせていただきます。
  6. 二階俊博

    ○二階国務大臣 実川委員にお答えをいたします。  私は、運輸大臣就任以来、交通分野においては安全が第一であるということをしばしば内外に申し上げてまいりました。しかし、残念ながら就任の直後、今お話にありましたような山陽新幹線トンネル剥落事故等が発生し、新幹線安全神話ということが、三十五年続いてまいりました無事故の記録にいささか陰りを生じたというふうなことが内外で言われておりまして、大変残念に思っております。  私は直ちに、就任早々でございましたが、運輸安全戦略会議というものを、事務次官を議長にいたしまして、運輸省の三万七千の職員と全運輸関係事業者十三万社による輸送の安全に係る緊急総点検実施することにいたした次第でございます。安全確保に係る施策を戦略的に、積極的に推進しておるところであります。  山陽新幹線におけるトンネルコンクリート剥落事故については、全鉄道事業者に対し、トンネルの安全の総点検を指示し、安全の確保に努めるとともに、特に今実川委員からも御質問にありましたとおり、JR西日本に対しては、山陽新幹線トンネルの従来にない徹底した安全点検を指示したところであります。  これを受けて、JR西日本におきましても、昨年十月二十五日から十二月十五日までの間に、他のJR各社及びグループ、関連企業を総動員しまして、延べ六万九千人の人員を動員して、十一月八日からは、特に広島—博多間の一部列車の運転休止による点検作業時間の確保などを行いながら、JR西日本としては、全力を挙げて安全の総点検実施したところであります。  運輸省では、JR西日本の総点検終了後、JR西日本から、山陽新幹線トンネル安全性確保最善を尽くし万全を期した旨の報告を受けるとともに、トンネル安全問題検討会運輸安全戦略会議を直ちに開催し、山陽新幹線安全性に係るJR西日本の判断を是認するとともに、JR西日本には、厳しい自覚と強い反省の上に立って、将来にわたって適切な保守管理を継続的に行うよう強く要請したところであります。  現在、トンネル安全問題検討会事故原因の究明と今後のトンネル管理あり方の抜本的な検討を行っており、来る二月二十八日でありますが、最終的な御報告をいただく予定にいたしております。  運輸省といたしましては、検討結果を受けて、鉄道事業者に対し、改めてトンネルの安全総点検を求めるなど、厳正な指導を行ってまいりたいと思っております。  こうした措置を通じ、新幹線を初めとする鉄道の安全に対する国民皆さん信頼回復全力を挙げて取り組んでまいりたいと決意をいたしておるところであります。
  7. 実川幸夫

    実川委員 国民にとりましては、運輸に関する最大の関心事、これは安全の問題でございます。今大臣から並々ならぬ御決意伺いましたので、次の質問に入らせていただきます。  新しい時代にふさわしい陸海空の交通体系の早急な整備が必要であるというのが私のかねてからの持論の一つでもございます。そういう意味で、大臣が二十一世紀に向けまして、発展基盤としての交通関係社会資本整備あるいは技術革新、また交通分野におきます一層の構造改革推進を通じて、経済再生への積極的な貢献を果たしていくと所信を述べられています。これは私ども、大いに期待しているところでもございます。  そこで、大臣が新しい二十一世紀に向けました発展基盤として位置づけられました三本の矢ともいうべき交通社会資本整備、また技術革新、そしてまた交通分野におきます構造改革推進、この三点につきまして質問してまいります。  まず第一に、交通社会資本整備についてでございますけれども、去る一月二十七日に運輸政策審議会答申、いわゆる東京圏におきます高速鉄道中心とします交通網整備に関しての基本計画が出されました。  大臣は、通勤通学時の混雑緩和、そして、総合的な渋滞緩和対策のための都市鉄道整備計画的に推進すると述べております。国民生活向上という観点から、都市整備推進を積極的に支持するものでありますけれども、その際、二十一世紀に向けた新しい視点として、いわゆるハード中心量的整備から質的整備への転換、あるいは乗り継ぎ等ソフト面の重視といった問題意識もまた重要であるというふうに考えております。  これらを踏まえました大臣の今後の都市鉄道整備推進に向けた御決意をお伺いいたしたいと思います。
  8. 二階俊博

    ○二階国務大臣 首都圏における鉄道網整備についての決意をということでありますが、私は、首都圏におけるラッシュ時の混雑につきまして、これを何とか政治で解決する方法はないかということを常々考えてまいりました。現在、新線の建設、複々線化等により近年低下傾向は見られるものの、平成十年度で一八三%と依然として相当高い状況混雑率があることは御承知のとおりでございます。なお一層の改善が必要だという認識を持っております。  私自身も、先日、実は労働大臣とともに新宿駅を視察してまいりました。勤労者があるいは学生が、相変わらず通勤混雑通学時の混雑によって大変なエネルギーを浪費している状況を改めて目の当たりにいたしました。通勤通学輸送を担う都市鉄道整備必要性緊急性をさらに痛感したものでございます。  都市圏におきましては、私は、鉄道整備とともに、住宅政策との連携も念頭に入れて通勤通学対策を展開していくことが重要であるという感を改めて強くいたしておるところでございます。既に、このことにつきましては建設省にも協力を申し入れるとともに、今後、国土交通省におきましては重要な政策テーマになってくると考えておるものでございます。  今お尋ねにございましたように、先般運輸政策審議会から、二〇一五年を目標年次とする鉄道整備計画が答申され、さらなる混雑緩和利便性向上等を目的として、既存の鉄道施設の改良や新規路線整備等がうたわれたところであります。都市生活を豊かで快適なものにするために、この計画具体化に向けて今後とも全力を尽くしてまいりたいと思います。  当委員会におきましても、一層の御協力をお願い申し上げる次第であります。
  9. 実川幸夫

    実川委員 次に、技術革新についてお伺いをいたします。  大臣は、我が国が世界に誇れる高度な新技術開発及び実用化重点的に推進していくと述べられております。  大臣就任早々横須賀沖メガフロート視察に始まりまして、来月早々には、平成十一年度第二次補正予算実施といたしまして、超高速船、いわゆるテクノスーパーライナーを初めてアジアへの実験航海に送り出すというふうに聞いております。大臣革新的な運輸技術開発及び実用化にかける意気込みについては、私どもといたしましても大変頼もしく感じているところでもございます。  そこで、大臣お尋ねをいたしたいと思います。  メガフロートまたテクノスーパーライナーが二十一世紀に向けまして海の発展にどのような可能性を開いていくのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 二階俊博

    ○二階国務大臣 メガフロートの件につきましては、今や海に浮かぶ大地というふうなニックネームもついて、横須賀沖に一千メートルの長さの、一応空港念頭に入れたものでございますが、御承知のとおり、今実験を繰り返しているところでございまして、いよいよことしから実機飛行といいますか、一千メートルでも着陸可能な程度の小型の飛行機を着陸させるなどの対応をいたしております。  もし、将来これを空港に活用するとすれば、四つ合わせれば四千メートルの空港になるわけでございますし、これからは海ということに対しまして、新しい分野宇宙開発も極めて重要な分野でありますが、同時に、海を開いていくということもこれまた大きな課題であろうと思います。そうした面で、今日まで関係者の懸命な努力が実って、今や実用可能なところまで参りました。このことを一層舞台にのせて、そして多くの関係者のさらなる御協力をいただきながら、実用として活用できるように対応していきたいと思っております。  なお、テクノスーパーライナーにつきましては、ただいまお話しのとおりでございまして、国内の実験はほぼ完了いたしましたので、いよいよ今度は初めて海外へということで、長崎から中国・上海に向かって初航海に出るわけでございます。私は、このことの成果、やがて中国日本との間で交流する上においても極めて有力な交通手段となるでありましょうし、今は貨物あるいは人を乗せる、両面から検討を加えております。私は、貨物の面では日中間における大きな交流、お互いの貿易の促進にもつながっていくでありましょうし、人的な面におきましては、例えば修学旅行等で両方の国で交流をさらに盛んにしていくという意味におきましては、大変大きな役割を果たすであろうということを期待いたしております。  今、一応実験では時速九十三キロということでございますが、今回の中国に向かってはそれほどのスピードも必要でなかろうということで、約十時間程度かけてまいりますが、速く走ることができる、いわゆる時速九十三キロの最高速度をもってすれば、日本中国との間を六時間半ないし七時間程度で結べるという画期的な、革新的な技術であるというふうに考えてございます。  一層努力をして、期待にこたえたいというふうに考えております。
  11. 実川幸夫

    実川委員 国民皆さんも大いに期待をいたしておると思いますし、さらに運輸技術開発努力していただきたい、このように思っております。  次に、交通分野におきます構造改革推進についてお伺いをいたします。  平成八年に各運輸事業におきます需給調整規制廃止等が決定されました。これを受けまして、この二月に航空運送事業に関します大幅な規制緩和が本格的に実施されております。今回の航空分野規制緩和につきましては、新たに航空市場に参入してくる事業者が出現したり、また、航空運送事業者間におきます運賃の低価格、またサービス多様化といった競争がさらに活発になってまいります。広く国民全般が恩恵を受けることが期待されているところでもあり、この点につきましては、私も大いに評価しているところでございます。しかしながら、航空分野におきます規制緩和のメリットは十分に評価しつつも、規制緩和という名のもとに安全の確保あるいは生活交通維持確保利用者保護観点を見逃すようなことがあってはならないと思うのです。  そこで、乗り合いバスタクシー分野につきましても、今国会に、それぞれの分野におきます需給調整規制廃止等を内容とします法律案を提出することになっております。  そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、この乗り合いバスあるいはタクシーは、国民日常生活を支える身近な足として極めて重要な役割を担っております。これらの分野におきます規制緩和実施するに当たりましては、航空の場合にも増して、生活交通維持あるいは確保利用者保護がより重要となってくると思います。この点につきまして、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  12. 二階俊博

    ○二階国務大臣 お尋ね乗り合いバスタクシー規制緩和についてでございますが、乗り合いバスタクシー、いずれにつきましても、需給調整規制は安定的なサービス提供に一定の役割を果たしてきたわけであります。タクシーにおきましては二十六億人、延べでございますが、年間運んでおるわけでございまして、交通機関として私ども国民にとってはなくてはならない存在であるわけであります。一方で、これらの問題につきまして、事業遂行能力及び意欲のある方々の参入、あるいは事業拡大が制限されてきたということに関しましても、結果として、事業全体の活性化旅客サービス改善という面で十分期待にこたえていないという指摘内外からされてまいりました。  今、実川委員がおっしゃったように、当然こうした問題につきましては、安全の確保利用者保護等重点考えてまいらなくてはなりませんが、同時に、事業者間の競争を促進し、そして利便性の高い輸送サービス提供を図ることを可能にするためには、需給調整規制廃止をすることといたしまして、新しい制度あり方として、運輸政策審議会で、ちょうど平成九年の四月から平成十一年の四月まで、二年間にわたって慎重な御審議をいただいたところであります。  需給調整規制廃止した場合におきましても、バスタクシー事業重要性にかんがみ、輸送の安全及び利用者利便確保のために必要な措置を講ずることは重要であると考えております。また、バスについて、地域における生活交通確保のための施策を充実すること、タクシーにつきましては、事業の特性に応じた円滑な実施のための措置を講ずる必要があると考えておりまして、今国会法案を提出させていただきたいと考えておる次第であります。
  13. 実川幸夫

    実川委員 続きまして、大臣が、安全の確保あるいはまた経済新生への貢献に次ぐ三番目の柱として掲げられております、新世紀におきます時代要請を先取りした人と環境に優しい交通運輸の実現、いわゆるバリアフリー化につきまして、お尋ねをいたしたいと思います。  高齢者また身体障害者等移動負担を軽減するために、公共交通機関バリアフリー化を促進するための法案を今国会において提出されるなど、公共交通機関バリアフリー化推進分野においても大変な御熱意で取り組まれておりますことに、心から敬意を表したいと思います。  もうそこまで来ております高齢化社会に備えまして、運輸におきますバリアフリー化推進が喫緊の課題となっております。今回のいわゆるバリアフリー法の制定によりまして、公共交通機関におきますバリアフリー化がどの程度促進するかについて、大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。  また一方で、高齢者また身体障害者移動負担の軽減に加えまして、より広範囲な利用者を対象にしました鉄道相互乗り継ぎあるいは鉄道バス乗りかえ制度向上など、いわゆるシームレス化が重要であると考えますので、この点につきましても、大臣にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  14. 二階俊博

    ○二階国務大臣 実川委員からお話しのとおり、バリアフリー化はまさに時代要請であろうというふうに考えております。  交通機関バリアフリー化は、国、地方公共団体交通事業者交通事業従事者利用者皆さん等関係者の御協力が必要であり、これらの方々の協調によって初めて促進できるものだと考えております。  あらゆる施設整備義務化するといった規制中心にして進めていくべきものではなくて、その先導的な役割として法律によって義務化をしていくことを一応目指しておるわけでございますが、同時に、関係者皆さんが温かい心を寄せ合って、私は、今御指摘にありました鉄道バス等シームレス化問題等につきましても、関係者が単に法律で何かを規制するとか予算をつけるとかということだけではなくて、国全体でこの交通弱者皆さんあるいは高齢者方々が安心して公共交通機関に接することができるような状況をつくっていくということが極めて重要だと考えております。  今月の十五日に国会に提出させていただきました交通バリアフリー法案では、交通事業者に対して、交通施設を新たに整備、導入する場合はバリアフリー化を義務づけするとともに、地域の実情に応じたバリアフリー化を具体的に実現するため、市町村がイニシアチブをとって、関係者が連携して駅及びその周辺の道路等重点かつ一体的なバリアフリー化を進めてまいる、信号機等の問題もあわせて、そうした考えの中で対応していきたいと考えております。  このために、本法律案は、運輸省建設省、警察庁及び自治省の四省庁の密接な協力のもとに、おのおのが役割を分担しながら、交通バリアフリー化を進めるものであります。  先般、実はアメリカの、このバリアフリーのことに関しましては、あちらは我が国に比べて十年ほど先進国でございますので、その中心的な役割を果たしておられる、車いすの生活者でございますが、マイケル・ウィンターというアメリカ運輸省都市交通政策担当の副局長といいますか、そうした問題の代表的な方でありまして、クリントン大統領のブレーンだとも伺っておりますが、このマイケル・ウィンター氏が来日されました。郵政大臣八代英太氏と二十年にわたる交流を続け、世界的にこの問題に対して取り組んでおる、そのマイケル・ウィンター氏が来日されて私がお目にかかりましたのが、ちょうどこの法案を閣議決定いたしました十五日の日でございました。  日米協力し合ってこうした問題に対応できるということに対して感激をする、こういうお話がございましたが、我々は先進国実例等も見習いながら、また多くの皆さんの御協力、各政党におきましてもこのバリアフリー化の問題についていろいろ御意見をちょうだいしておりますので、それらのことを十分考えながら、最善の枠組みを考えて対応してまいりたいと考えておる次第であります。
  15. 実川幸夫

    実川委員 今大臣からもマイケルさんのお話が出ましたけれども、私も、講演を聞きまして大変感動した一人でございます。  時間が参りましたので、最後に一点だけお聞かせいただきたいと思います。  観光施策の充実、これを述べておりましたけれども、これに関連しまして、成田空港平行滑走路進捗状況について、最後大臣からお答えいただきたいと思います。
  16. 二階俊博

    ○二階国務大臣 成田空港の問題につきましては、地元選出実川代議士を初め、多くの関係皆さんに御協力をいただいておりますことに、まず感謝を申し上げたいと思います。  成田空港は、私といたしましては、引き続き、従来目標としておりましたとおり、二千五百メートルの本来の平行滑走路早期整備目標にしながら、当面はあらゆる困難が想定されるわけでありますから、二〇〇二年の初夏のサッカーワールドカップ開催に間に合うように、残念ではありますが、とりあえずは暫定措置として二千二百メートルの平行滑走路整備すべく、昨年十二月三日に、このことの起工式をさせていただいたわけでございます。現在、おかげをもちまして、順調に工事が進んでおります。  ワールドカップ開催時における国際航空旅客輸送力確保あり方は今後の課題でありますが、この暫定平行滑走路整備されれば、空港全体の年間発着回数は現在の約十二万八千回が二十万回にまで対応可能であり、ワールドカップに伴う膨大な輸送需要に十分対応できるというふうに確信をいたしております。  また、運輸省としましては、二〇〇二年のワールドカップに間に合うようにこの暫定平行滑走路整備を着実に進めることは当然でありますが、今まさにお地元選出実川委員がおっしゃらんとする、地域方々期待を裏切ることのないようにということであろうと思いますが、私ども、本来の二千五百メートルの平行滑走路整備に向けて全力を尽くしてまいることを、改めてここで申し上げておきたいと思います。
  17. 実川幸夫

    実川委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  18. 仲村正治

  19. 中野正志

    中野(正)委員 おはようございます。自由民主党中野正志でございます。  二階大臣は、先日の所信表明演説の中で、交通関係社会資本を二十一世紀に向けての発展基盤と位置づけられました。私は、大臣認識を同じくするものでありまして、そのような立場から、幾つか関連する事項について質問をいたしたいと存じております。ただ、何せ運輸交通関係、大変に幅広くて、しかも奥が深い。きょうは、大きな柱の部分だけ質問いたしたいと思います。  言うまでもなく、衣食住、現代に生きる私たちの、そういう意味では基本的要件でありますけれども、今はこれに移動が加わります。人や物の円滑な移動は、どのような社会にあっても経済発展あるいは私たちの暮らしの向上に大変大きなものであって、欠くことはできない。そんな中で、特に我が国のように高度に発達した経済、そして多くの人口を有する国にとりましては極めて重要な条件であって、それを支える鉄道あるいは空港あるいは港湾、そういった施設は、まさしく発展の基盤として着実に維持整備をしていかなければならないと思っております。  正直、公共事業についていろいろ批判があることも事実であります。首をかしげざるを得ない事業もありました。当然、そういうことは向後ないのだ、そして一層の効率化を図るなど、改めるべきは改めるのだということで進めなければなりません。  ただ、例えば私は仙台国際貿易港を地元に抱えるのでありますけれども、昨年でございましたか、むだな港湾の一つに週刊誌に掲げられまして、知事、市長を初め関係者はもとよりのこととして県民も大層怒っておりますし、残念でありますけれども、一部不適切な批判があることも事実であります。  要は、根本において必要な社会資本整備の着実な推進なくしては将来の我が国発展はあり得ないと二階大臣がおっしゃられておりますけれども、その基本認識をしっかりと堅持をいたしまして、各プロジェクトに取り組んでいかなければならないと考えております。そのことを確認した上で具体の質問に入らせていただきます。  まず、鉄道についてお尋ねいたします。  全国的なネットワークを形成するいわゆる幹線鉄道につきましては、各地で高速化への要望が大変強い。私たちもいろいろ御要請もいただくわけでありますが、そう承知をいたしております。  当然、鉄道は最も基幹的な交通機関であるということで、そのスピードアップは地域活性化や利便の向上に大きく貢献いたしております。例えば、現に新幹線との直通運転が実現をいたしまして、大幅なスピードアップが図られました私どもの東北の山形あるいは秋田では、地域経済に大きな効果がもたらされたことは事実であります。  加えて、環境問題への対応を考えたとき、エネルギー効率にすぐれた鉄道をもっと使いやすい便利なものにするということは、大変重要な政策課題であろうと考えております。  そういう意味で、幹線鉄道高速化の第一の課題、言うまでもなく整備新幹線整備であり、これは国家プロジェクトとしてしっかりと積極的に推進していかなければなりませんけれども、あわせて、やはり在来線につきましても着実に高速化を実現して、全体として質の高い高速鉄道ネットワークを築いていくことが必要だと考えます。  新幹線を含めました幹線鉄道の高速化について、大臣の基本的なお考えをお伺いしておきたいと存じます。
  20. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま中野委員から、公共事業あり方等についていろいろと御意見が開陳されました。私は、基本的に全く同感であります。  国土の均衡ある発展地域活性化、また環境問題への的確な対応を図る上で、整備新幹線整備や在来線鉄道の高速化を進めることにより、幹線鉄道のネットワークの質の高度化を図ることが極めて重要であるという認識を持っております。  このため、整備新幹線については、政府・与党間の合意等に基づきまして、その整備を着実に推進しており、今年度においては、特に公共事業等予備費及び補正予算を含め、過去最高となる一千億円を超える公共事業関係費を確保するとともに、事業費におきましては、これまた過去最高となる約二千七百億円を計上したことは御承知のとおりであります。  また、平成十二年度の予算案におきましても、一一%増となる公共事業関係費約三百五十億円を確保し、事業費においては約一千七百億円を計上するとともに、十二年度予算成立後、政府・与党から成る検討委員会を設けることといたしておりまして、この検討委員会において整備新幹線整備推進について、さらに具体的に進めてまいりたいというふうに考えております。  在来幹線鉄道の高速化について御意見がございましたが、幹線鉄道活性化補助制度等により支援しているところでありますが、この制度を活用して、御承知のとおり、山形新幹線、秋田新幹線、いわゆるミニ新幹線と言われておるこの新幹線と在来線の直通運転化など、地域活性化に大きく寄与したところでありまして、最近のあらゆる業界におきまして不況が言われておるときに、幸いにして山形新幹線と秋田新幹線は昨年以上の売り上げを伸ばしておるところでありますし、最近開通いたしました山形—新庄のミニ新幹線の延長も極めて大きな成果を呼んでおるわけでございまして、地域活性化に大きく寄与しておりますことを大変喜んでおるところでございます。  このような新幹線との直通運転化の効果を踏まえ、今後さらにこれを全国的に広げていくために、在来線をいわゆる改軌することなく新幹線との直通運転が可能となる、私はこれを革命的技術だというふうに呼んでおるわけでございますが、フリーゲージトレーンにつきまして、平成九年度から本格的な技術開発を進めており、できる限り早期に技術の確立が図られるように、今後ともこの開発推進全力を尽くしてまいりたいと考えております。  私は、ちょうど機会がありまして、昨年の夏、自由民主党と自由党から成る当時の新幹線問題検討委員会のメンバーの一人といたしまして、アメリカのコロラド州のいわゆるプエブロというところで、フリーゲージトレーンの実験を行っていただいております。ちょうど大阪の環状線と同じだけの大きさ、長さを持つ軌道でもって、今このフリーゲージトレーンが走っております。ちょうど六十万キロ走るということが、新しい鉄道に課せられた大きな宿題のようなものでございまして、今ようやく二十万キロを超えたところでございますが、この九月ごろまでアメリカ実験を行い、さらに日本に持ち帰ってその残りの分を消化することによって、技術的なことに関して見通しが確立したということが言い得るような状況になるのではないかと思っております。  フリーゲージトレーンの技術開発のための予算として、先ほどから申し上げましたとおり、平成九年度から四年間で約五十億円を確保するとともに、十一年度の補正予算におきまして約二十三億円計上いたしております。  フリーゲージトレーンの技術も活用した新幹線直通運転の将来の事業化の可能性については、今年度より二カ年間で全国七路線におきまして調査を進めておるところでありまして、引き続きこの推進を図ってまいりたいと考えております。
  21. 中野正志

    中野(正)委員 大変心強い御決意でございまして、どうぞ自信を持ってお取り進めをいただきたいと思います。  次に、港湾についてお伺いをいたします。  近年、私たちのアジア、韓国、シンガポールなど、大港湾の整備が急いで進められております。そういう意味では、我が国の港湾の地位が低下しているともうわさされます。日本は、御存じのとおり、外国貿易量の九九・八%が海運に依存をいたしております。ほとんどの輸出品、輸入品は、そういう意味で港湾を通じて流通している。海外との貿易に大きく依存する日本経済の基盤を維持していくためには、さっきちょっと申し上げましたが、私は、やはり時期を失することなく港湾の整備推進するということが大変必要だと考えるわけであります。  とりわけ、今日の主流はコンテナ、国際コンテナ貨物の拠点となるいわゆる中枢・中核港湾については、二十一世紀を迎えるに当たって、国家的なプロジェクトとして整備に邁進していく必要があると思います。これに対する取り組みの方針をお伺いしたいと思います。  同時に、港湾に関しては、施設の整備、ハード面の整備と並んで、施設の利用に関する各種の手続を合理化していくということも重要な課題だと認識をいたしております。とりわけ、先ほどのようなアジア各国の港湾では、入港、出港などの手続の情報化が相当程度進んでいると聞いております。  そういう意味では、大分労使協調をこのごろも図られながら、我が国でも情報化、簡素化に運輸省を含めて積極的に取り組んでおられる。港湾物流の迅速化、あるいはコスト削減を実現するためには何としても必要だという視点で一生懸命お取り組みだと思うのでありますけれども、現実の状況もあわせ踏んまえられながら、今後の展開についての御答弁を中馬総括政務次官にお願いを申し上げます。
  22. 中馬弘毅

    中馬政務次官 中野委員指摘のとおりでございます。四周を海に囲まれた我が国で、この物流の主流は海上でございます。しかし、残念ながら我が国、最近のところ少し港湾整備予算も沈滞ぎみでございましたが、中野委員と皆様方の御理解と御協力によりまして、かなり予算もふやすことができました。  その中で、今御指摘のとおり、海上輸送の主流はコンテナ輸送になってきております。過去十年間でほぼ倍増しているわけでございまして、国際海上輸送コンテナ貨物の九割以上を扱っておりますいわゆる中枢・中核港湾におきましては、これはもう国家的なプロジェクトとして整備をしなければならないと認識をいたしております。しかも、この配置を全国的に適切にすることが必要である、このように考えております。  このため、我が国を代表する国際的なハブ港湾として、基幹航路を初めとする多数の航路が就航してスケールメリットを発揮するいわゆる中枢国際港湾、これを三大湾及び北九州の四地域に配置するとともに、これを補完して、国内輸送の距離の短縮により物流コストの削減を図る中核国際港湾、これはもう東北の玄関でございますから、決してなおざりにできるものではありません。塩釜港を初めとした全国の八地域に配備しまして、拠点整備を行っているところでございます。  御指摘のように、シンガポール、韓国、この情報が大変整備がされております。今後とも、こうした国に負けない、国際競争に立ちおくれないように大水深のコンテナターミナルの整備を図ってまいりたい、このように私たち努力しているところでございます。  また、お話にございました港湾諸手続の情報化、これも積極的に進めております。御承知のとおり、これからはペーパーレス化等がございますが、港湾のいろいろな手続の中では、それぞれ通関や検疫、またその他海上保安の手続等もいろいろとふくそういたしております。そのために、貿易の方では大蔵省や農水省、厚生省、通産省等が一つの海上貨物通関情報処理システム、Sea—NACCS、これを整備いたしております。  我が運輸省関係におきましても、港湾管理者、海上保安庁、これは港長といいますけれども、これらの手続をそれぞれ一本化して港湾EDIシステムというのを今始めているところでございます。これにつきましても、昨年の十月十二日より運用を開始しまして、現在、本システムに参加しているのは、横浜港を初めとして十二港湾管理者、もちろん塩釜等も入っております。そして、十三港長の形でこのEDIシステムが動く形になってきております。  今後とも、対象手続、業務の拡大等、本システムのサービス向上を図るとともに、先ほど言いました各省庁との関係も連携を強化いたしまして、申請者の利便になるような努力をしてまいりたい、このように考えております。
  23. 中野正志

    中野(正)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。  通告とちょっと逆になりますけれども、時間の関係でお許しをいただきたいと存じます。  JRの完全民営化について質問いたしたいと存じます。  行政改革の金字塔ともいうべき国鉄改革によって生まれたのがJRであることはまごう方なき事実でありますけれども、そのJRの経営努力について大臣所信表明演説は、健全な経営を目指して懸命の努力を続けてきたことを高く評価するとのお話がありました。二階大臣は、マスコミで知り得る限りも、御就任以来、JRの完全民営化の実現に高い関心をお持ちだ、その早期の実現に向けて必要な環境整備に御努力されていると承知もいたしております。  私も、当時は県議会議員でございましたけれども、国鉄改革の国会での大論議、すごいものだなということで、あの当時大変大きな興味を持たせていただいておりました。  どうあれ、この国鉄改革そして民営化、その完全遂行というのは政治の使命であると大臣は大変よく御理解だ。私は、大臣の御見識にむしろ敬意を表しております一人でもございます。  国鉄改革の最終目的は完全民営化であったはずでありまして、これなくしては国鉄改革は完遂されたとは言えません。国鉄改革からもう既に十三年であります。今、経営基盤がおおむね確立されたJRについては、いわゆる鉄道会社法の改正、あるいは廃止といった方がいいのでしょうか、あるいはまたJR株の全株放出など、完全民営化を実施していくことが何よりも肝要だと考えておりますけれども、改めて二階大臣の御決意をお伺いいたしておきたいと存じます。
  24. 二階俊博

    ○二階国務大臣 国鉄改革以来、JRの各社がサービス水準の向上等に向けて経営改善に懸命の努力をいたしておりますことを私は常に評価をいたしておるところでございます。一部、先般のような事故等大変残念なこともございましたが、大筋におきまして、本州三社については、昭和六十二年の国鉄改革以降順調に経営が推移しておるものというふうに認識をいたしております。  今、中野委員質問を拝聴しながら、国鉄改革のためにお力をいただいた先輩の政治家の皆様に対し改めて敬意を表したいと思う次第であります。  また、国鉄改革の大きな課題であった二十八兆円に及ぶ長期債務の処理につきましても、平成十年の国会で大議論がございましたが、その処理方策につきまして、当時私は野党の立場でございましたが、このことは極めて重要なことであるということを認識して積極的に御協力申し上げてまいりました。  残された課題であります完全民営化につきましては、鉄道ネットワークの維持鉄道地域社会に及ぼす影響や安全性確保につきましても念頭に置きながら検討すべきであるという意見もございます。  また、JR東日本JR西日本とJR東海との間で完全民営化の道筋について温度差があることも事実であります。私は、ことしの一月早々、三社の社長を別々に運輸省に招きまして御意見を聴取いたしましたが、やはりそれでも、JR東日本JR西日本とJR東海との間でのそうした考え方の差はいまだに埋まっていないという感じが率直なところでございます。  いずれにしましても、本件は、国鉄改革という大問題の取りまとめ、決着をどうするかということでありまして、御質問にもございましたとおり、国民も重大な関心を持ってこれを注目しておるわけでありますから、我々は、そうしたことにつきまして運輸省を挙げて、このことを実現するための環境整備に今懸命の努力をいたしておるところでございます。  できるだけ早期に完全民営化をしてまいりたい、そして早い機会に国会法案を提出して御審議をいただきたいということを考えておるわけでございますが、ただいまのところ、与党三党あるいはJRなどの関係者の意見を積極的に聴取しながら環境整備にお約束のとおり努めておるところでございます。ある時点に参りましたら決断すべきことは決断しなければならない、そう認識をいたしております。
  25. 中野正志

    中野(正)委員 二階大臣の大変力強い御決意で、本当に私たちも誇りに感じるところであります。ぜひ、行政改革、将来に誇るべき成果ということで、このJR完全民営化という問題について、二階大臣のお手によって実現をしていただきたいものだと期待をいたします。  時間がありませんから、最後に、空港へのアクセス問題について一つだけ簡単に御質問を申し上げたいと思います。  航空の高速性を十分に発揮させるためには、やはり空港へのアクセスのための例えば高速鉄道あるいは道路の整備が重要な課題であります。特に鉄道につきましては、申し上げるまでもなく、時間どおりに運行されるのだという点で大変魅力的な好ましいアクセスであります。都心部と空港を結ぶ鉄道整備されるということであれば、まさに一つの完結した高速交通ネットワークが整備をされるということになります。  運輸省でも、アクセス鉄道整備のための補助制度をつくられまして、平成十二年度政府予算案では新たに私どもの仙台空港へのアクセス鉄道がその対象とされたところでもありますけれども、今後の空港アクセス鉄道整備に向けて御決意のほどをお尋ねしておきたいと存じます。
  26. 二階俊博

    ○二階国務大臣 空港アクセス鉄道は、定時性、速達性にすぐれておりますが、私は、先般中国に参りまして、中国日本との間で協議をいたしております新幹線問題等についてお話を申し上げた際に、中国政府の幹部がびっくりしたような顔をして異口同音に、日本鉄道は時間どおりに来る、このことを再三お話をされております。諸外国におきましても、我が国鉄道の定時性ということにつきましては極めて大きな評価をいただいておるわけでございますが、それだけに、利用者の規模の大きい空港におきましても極めて有効なアクセス手段であるということ、今中野委員の御指摘のとおり、私も同じような認識を持っております。  例えば成田に参ります場合でも、車の場合には、よほどゆとりを持って出発をしないことには思ったような飛行機に乗れない事態が発生しないとも限らない、そういうことをお互いにしばしば経験するわけでございますが、それだけに、鉄道のアクセスということについては重要と考えておるわけでございます。  今お尋ねの仙台空港のアクセス鉄道でございますが、これにつきましては、十一年度からその整備に対し新たな助成制度を創設し、十一年度には中部国際空港アクセス鉄道に適用してまいりましたが、平成十二年度の政府予算案におきましては、関係者皆さんの御努力をいただいたおかげで仙台空港アクセス鉄道を盛り込むことができました。ただいま予算の御審議をいただいておることでございますが、予算通過後、直ちにこのことが着手できますように努力をしてまいりたいと思います。  今後とも引き続き、空港利用者の利便を確保する、空港の機能の向上を通じた地域活性化に寄与するために空港アクセス鉄道整備を積極的に支援してまいりますことが運輸省に課せられた重要な責務の一つであるというふうに認識をいたしております。
  27. 中野正志

    中野(正)委員 ありがとうございます。  私どもの東北は、かつて白河以北一山百文と言われまして、開発整備については、残念でありますけれども、まだまだ大変立ちおくれが目立つ地域であります。そういう中で、やはりひとつしっかりと中核の港湾であれあるいは空港であれ持つ、それが東北全体にしっかりといい影響力をもたらす。そのことが均衡ある国土発展のまさに基本だということで、私たち関係者もしっかりと努力をいたしておりますけれども、国、とりわけ運輸省を含めて関係省庁にあられましても、しっかりとこれに呼応しながら、相応の御努力をいただくのでなければならない。  今日までの関係者の御努力は多とするものの、しかし、傾斜配分方については運輸省は一生懸命やられておられるようでありますが、その他はまだまだ不備なところも不足なところもある。私たちも頑張りますけれども、御指導もいただきながら、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。  以上で終わります。
  28. 仲村正治

    仲村委員長 次に、高木義明君。
  29. 高木義明

    ○高木委員 民主党の高木義明です。  大臣所信表明に対しまして、総論、各論を含め、時間の許す限りお尋ねをしてまいりたいと思います。  まず冒頭なんですけれども、最近の出来事の中で、外形標準課税で今世の中を動かしております東京都の石原知事が、いわゆるディーゼル車NO作戦というのを打ち出したのは御承知のとおりであります。東京都のディーゼル車規制考え方は、二〇〇六年までにすべてのディーゼル車にフィルターを義務づける、これを装備するわけですね。そして、乗らない、買わない、売らない、こういうことを打ち上げたのでございます。  このディーゼル車の排ガスにつきましては、言うまでもなく、窒素酸化物、NOx、浮遊粒子状物質、SPM、まさに有害物質と言われておりまして、ぜんそくなどの要因にもなっております。  一月の尼崎公害訴訟の判決でも、一定限度以上のSPMの排出差しとめ命令が出たことを受けまして、行政にも責任はある、このようなことが言われております。もちろん、係争中でございますので、最終的な判断は後に譲るわけでございますが、そういう状況の中で、これは現実問題、まさに環境の世の中ですから、また人間の健康というのは何よりもかえがたいものでありますから、石原知事の決断を私は一定の評価をしたいと思います。  ただしかし、現実問題、物流輸送の中でトラックの競争力というのは抜群なんですね。まさにドア・ツー・ドア。そういう中で、これがそういう状況になりますと、今後、都の公害防止条例を改正して、二〇〇三年から段階的に行っていく。既に、都の環境審議会に諮って、三月末にその結論を出して条例に反映する、こういう段取りまで出ておるわけでありますが、当の運送業界、これは中小企業も含めて、これまでの公害規制に対する努力義務はそれなりに最大限の努力をして果たしてきておるわけであります。これが即そのままこのような方針が実行されますと、大変な混乱になると私は思っております。したがって、石原知事としては国の先手をとった、こういうことでしょうけれども運輸省としてもこれは当面の緊急課題ではないか、私はそのように思っております。  したがって、この際、運送業界、あるいはまた自動車工業会、あるいは環境庁、こういったところとの連携をとりながら、どのように対応していくのか、所信をお伺いしておきたいと思います。
  30. 二階俊博

    ○二階国務大臣 運輸省としましては、大気汚染対策について、これまでも自動車単体対策の強化や自動車NOx法の使用車種の規制、自動車使用合理化の指導、低公害車普及促進あるいはモーダルシフトの推進等に取り組んでまいりましたことは、高木委員も御承知のとおりでございます。  東京都の御提案でございますが、ディーゼル車について、より一層の環境対策を進める必要を指摘しておるわけでございます。  私は、東京都の考え方と私ども運輸省考え方とは決して相対立するものではなくて、ただいま委員指摘のように、ともに環境問題に対応していく、あるいは、もっと言えば、京都議定書の、世界に向かっての公害を削減していくという決意を、この世界公約を実現していくというために、関係者こぞって協力をして目的の達成に努力をしなければならないものと基本的には考えております。  ちょうど昨日、自動車工業会と懇談をする機会がございました。私は、この際、まず運輸省と環境庁と相協力して、この問題にどう対応するかということについて努力をするとともに、自動車工業会の方々に対しましては、技術革新によってこのことをどう乗り越えていくかと。  今、単にディーゼル車に公害防止の機材をくっつけて、これで何とか排出する公害を防除しようということでありますが、それには相当の資金も必要でございますので、今直ちにトラック業界にそれをつけるということを命令することが現実的であるかどうかということも含めて、関係者の意見を聴取しながら、これは法律やいろいろな制度で強圧的に関係者に命令をするということではなくて、関係者皆さんの理解と納得の上で、公害を除去するということに反対をする人はいないわけでありますから、これらの面に総合的に対応を図っていく。  まずは、環境庁と運輸省との間で、積極的にこの問題に対して対応をいたすために検討会を設置することを決めたところでございます。
  31. 高木義明

    ○高木委員 実はこの問題は、確かに、技術開発によって有害物質を極力抑えていくということは、まさに当面する大事な課題でありましょうし、同時に、運輸省がこれまで十年来主張し続けておるモーダルシフト、こういったものもなかなか進まない、こういうことも私は大きな要因ではなかろうかと思います。  特に、都内ナンバーだけでも六十五万台、都外から流入するディーゼル車は一日二十四万台、こういうことでまさにすごい量のトラック、ディーゼル車が、もちろんバスもそうですけれども、通行しておるということになります。  ところで、平成十年の三月三十一日、当時橋本内閣のときに閣議決定をされました二十一世紀の国土のグランドデザイン、いわゆる全国総合開発計画なんですが、この前のいわゆる四全総、四全総ではその大きな政策目的を東京一極集中の是正、こういうことを一つ目標にされまして、多極分散型国土の構築、こういうものをおおむね平成十二年までを目標年次に国を挙げて取り組んでこられた。  そして、新しい四全総の次に来るのが先ほど申し上げました二十一世紀の国土のグランドデザイン、そういうことで、また新しい政策が出ようとしておる。これは多極分散型国土ということと違いまして、多軸型国土の構築、基礎づくり、こういうことになっておるのですが、一体これはどのように違っていくのであろうか。これはいまいち国民皆さん方にも理解ができないところ。そして、このようなディーゼル車問題が惹起をする裏には、やはりまだ東京一極集中是正、そういう四全総の政策が十分に達成できていないのではないか、これを放置していくとまた新たな問題が出てくるのではないか、私はそのように思っております。  今後我々は、そういう四全総とそして新しい全国総合開発、これの総括、フォロー、そしてもう一度新たな見方をしながら、その上で、交通体系整備はどうあるべきか、こういうことをやっていかなければならないのではないか。  とりわけ今少子高齢化社会を迎えまして、今後はやはり投資の効率化あるいは重点化が当然必要になってまいります。そういうことだけに、今こそ大臣のリーダーシップ、これはもう確かに内閣の、総理大臣の話になってくるわけでありますが、そういうことだろうと私は認識をしておるわけです。これについて何かあれば御所見をいただきたい。
  32. 二階俊博

    ○二階国務大臣 高木委員から大変壮大なお話をいただいたわけでございますが、私も基本的に同感の意を持っております。  いわゆる二十一世紀の国土のグランドデザインに示されておりますとおり、交通体系は国内外地域相互を結びつける基盤であり、地域の自立や地域連携を形成する上で重要な役割を果たすものでありますが、このグランドデザインにおいて、片道の移動に要する時間がおおむね三時間以内となる一日交通圏の拡大は重要な政策課題だというふうに位置づけられております。  先ほど御質問にもありましたように、モーダルシフトの問題等の進行が極めて遅いではないかという御指摘であったかと思いますが、私ども、こうした問題について強く反省をするとともに、地域間の連携、交流の促進を図るために高速鉄道、国内空港等国内交通ネットワークの整備に取り組んでまいりました。その結果におきましては、昭和六十年において四九%であった全国一日交流可能人口が、平成八年には五五%、まだ緩やかではありますが着実に増加をしておるわけでございまして、こうした面について今後とも懸命の努力を続けると同時に、東京一極集中によってもたらされた今日の東京のこの交通状況交通地獄とも言われる問題につきまして、我々は、先ほど申し上げましたように、関係者協力しながら対応してまいりたい。  そして、ディーゼル車の問題につきましては、黒煙を噴き上げていくような姿をしばしば都内でもお互いに拝見するわけでありますが、これらの姿について、このままでいいと思っている人はだれもいないわけでありまして、トラック業界等に対しましても、十分業界の意見も聴取しながら、関係者協力を得て、一日も早く快適な東京都民の生活が取り戻せるようにするためにいかにすればいいか努力をしてまいりたいと思っております。
  33. 高木義明

    ○高木委員 ディーゼル車問題については、やはり環境対策、技術開発、そして同時にモーダルシフト、いずれにしてもやはり強力な政策誘導によってやるべきだということを私は主張して、次に移りたいと思います。  次に、所信表明の中でも触れられておりますけれども平成十三年、いわゆる省庁統合というのが出てまいります。まさに運輸省と国土庁が国土交通省ということに再編されるわけでありまして、期待の中で、同時に一方で、本当にこれがその機能を十分果たしていくのであろうか、こういう危惧も持たれております。  我々は、省庁再編に当たりましては、まず何といいましても事務の見直しあるいは中央省庁のスリム化、こういうものがやはり欠落しておってはいけない、単なる数合わせ、権限も財源もそのままにしておくということでは本当の意味の省庁再編ではないのではないか、こういうことを主張いたしております。  また、この国土交通省の問題点というのは、一部にかねてから言われておりましたけれども、公共事業は地方への権限移譲がまだできていないではないか、予算については約七兆円、公共事業予算は巨大利権官庁につながりかねない、あるいはまた、地方整備局というのが今度出てまいりますが、これはあくまでも出先機関であって、むしろ今以上に国会の関与が届きにくい、遠くになる、そういう意味で、むしろ期待の面よりも危惧の面が多いのを私は非常に憂慮しておるわけでございます。  例えば、先ほどの話もありましたけれども、同じ国土交通省の中でも、モーダルシフトについては、運輸省はモーダルシフトを目指す立場、建設省はむしろ道路整備を図る立場。そういう意味においても、強力な調整機能、能力がないと従来の縦割り行政の弊害はなかなか改められないのではないか、そういう思いがしてならないわけであります。  この省庁再編、国土交通省について、この際、私が今申し上げた懸念が払拭できるのかどうか、大臣の御所見を賜っておきたいと思います。
  34. 二階俊博

    ○二階国務大臣 今御指摘のような点につきまして、私たちやがては国土交通省として、運輸省建設省も国土庁、そしてさらに私が今兼任をさせていただいております北海道開発庁も統合をされるわけであります。四省庁が所管している行政を単に引き継ぐことだけではなくて、国土交通省におきましては、交通行政について、今御指摘のモーダルシフトの問題等につきましても、より総合的にまた横断的に、建設省の持つ今までのノウハウと、私たち運輸省が持っておるもの、また国土庁が総合的に今日まで大きなまさにグランドデザインを描いてきたこと、そして、北海道開発庁は一つの局として存在するようになるわけであります。我々は、やがて一緒になってまいります国土交通省の四つの省庁におきまして、今意識的にお互いに交流または意見の交換等を図りながら、スムーズな形で国土交通省のスタートに備えてまいりたいと思っておるところであります。  巨大官庁になるのではないかということでありますが、公共事業全般について、国と地方との適切な役割の分担の確立、私ども運輸省としては、権限を地方支分部局への委譲等見直しを行い、スリム化に努めることが重要であるということで、このことを重点的に進めておるところでございます。  たしか四省庁を合計いたしますと、公共事業としては七兆円を超えるということになりますが、巨大官庁ということは私は認めますが、巨大利権官庁というのはいささか、これから四省庁が一緒になって新しい時代に向かって進んでいこうという意欲に燃えておるわけでありますから、どうぞその利権官庁という部分だけは何とか再考を願いたいと思う次第であります。
  35. 高木義明

    ○高木委員 ぜひそういう懸念がないような御努力をひとつお願いしておきたいと思います。  さて、大臣は、所信の冒頭に、これは今の国政の大きな責務の一つでありますが、景気回復について触れられております。今後、雇用不安を払拭するとともに、我が国経済を本格的な回復軌道に乗せ、未来志向型の経済の新生を実現してまいる必要があります、運輸省としても、経済回復に積極的に貢献をしてまいります、こういう力強い表明もございました。  確かに、今この景気の低迷が交通運輸分野にも大変な影響を私は及ぼしておるという認識をしております。とりわけ地域経済活性化というのが叫ばれておりますけれども、地方に行くと、特に、景気の低迷の中でも何とか頑張っていこうと。とりわけそれぞれの地域には伝統文化やあるいはすばらしい自然等があります。観光を目指す地域がふえております。  例えば、つい先日の新聞でもこのような記事が私の目を引いたわけです。これは、長野県と岐阜県の話でありますが、   長野県と岐阜県を結ぶ「安房トンネル」が一九九七年十二月の開通から三年目に入った。県境の峠を貫く四・三七キロのトンネルは、奥飛騨温泉や北アルプスなど岐阜県の観光地と首都圏をぐっと近づけた。車の通行台数は物珍しさを過ぎた今も健闘しており、年間百万台を超す利用が定着しそうな雰囲気。「トンネル効果」を確かなものにしようと、観光にかかわる人たちは毎日、奮闘中だ。 こういう前書きなんです。  確かに、もう既によく御承知のとおり、旅行産業というのは日本経済に大きく貢献をしておる。GDPの四・八%、二十兆円の産業である。直接効果としては、所得でも九・六兆円、雇用では百九十一万人、波及効果は、所得で二十四・五兆円、雇用で四百十万人、こういう数字も出ておるわけです。国内旅行、観光レクリエーション、九八年の統計でありますけれども、二億五百万人の方々が何らかの形で足を運んだ。  今後どういうことに力点を置いて暮らしをしたいか、そういう総理府の統計においては、やはりレジャー、余暇だ、これが三六%とトップなんです。言われるところのゆとり、豊かさ、私は、まだ熱い熱いニーズがたぎっておると思っております。例えば、温泉であるいは森林浴でみずからの健康保持をしたい、あすへの英気を養いたい、あるいは自然や文化に親しんでもっとみずからを高めたい、こういう気持ちというのは大切なことであろうし、国としても大いに振興しなければならぬと私は思うわけです。  そういう意味で、こういう経済情勢の中で、皆さんが非常に苦しんでおられる観光事業、この現状についていかに認識をされ、そして基本的に今後どういうことをお考えなのか、そういう所信をまずお尋ねしたいと思います。
  36. 二階俊博

    ○二階国務大臣 観光産業の重要性等につきまして、ただいま幾つかの例を引いて御質問がございましたが、私も、基本的に高木委員の御意見と同じような思いを持ってございます。観光産業、ようやく脚光を浴びておるところでございますが、まだまだこれからであるというふうに認識をいたしております。  例えば祝日三連休、これを国会におきまして、皆様の御協力をいただいて、二週祝日三連休が実現することになったわけでありますが、ことしは、カレンダーの関係で、それにプラスすること五週、ですから、ことしは七週祝日三連休になっておるわけでございます。一回目と二回目におきましては大変大きな成果を上げておりまして、国内でも五割アップ、あるいはまた、海外に向けては二割アップというふうないい成績を残しておりますので、旅行、観光に対して、希望しておられる国民皆さんは非常に多い、したがいまして、潜在的なニーズというものはまだまだ十分潜んでおるというふうに認識をするものであります。  また、政府におきましては、日本人の宿泊の平均日数一・六日を二日にしようということを目標にしてあらゆる政策を打ち立てていこうといたしておりますが、私としましては、今大変不況であり、同時にリストラによって多くの失業者が出ておる、こうした際に、観光関係にすばらしい人材を吸収することが大事であるということで、先般、財政当局の御理解もいただいて、七億一千万円の補正予算におきまして、新たに観光産業に二万人雇用しようということで、今各地で研修会等を行っておるわけでございます。  観光は、御案内のように、パートタイマーの労働者を非常に多く必要とするわけでありますが、その際に良質の労働者が大事でありますし、同時に、お勤めに出る場合もある程度の訓練を経て雇用されるということの方が条件的にもいいわけでありますから、今、そうした問題を労働省とも相談しながら対応いたしております。  ただ、私は、基本的にぜひ御理解をいただきたいことは、日本国民皆さんが海外への旅行をされるのは、大体千六百万人を超えてございます。海外から日本においでになるのは四百四十四万人という数字でございまして、訪日観光客の数というのは世界で第三十二位にランクされております。ほかのいろいろな指数で、世界的に見て三十二番目あたりで低迷しているという数字はほとんどないわけでございまして、観光関係におきまして、日本になぜ観光客がおいでにならないのか、この面について我々疑問を持つわけであります。  この問題に対応すべく、先般も河野外務大臣に御相談を申し上げまして、外務省の出先挙げてこの問題にも御協力を願うということでありますし、また、国内におきましても、それぞれの県、市町村を通じて、外国人の観光客の受け入れ等も具体的に進めてまいりたい。  また、中国から日本に多くの観光客が団体でお越しになりたいという希望を持っております。これはビザの問題で今難渋をいたしておりますが、今月末に法務省、外務省、また警察庁等の関係者、もちろん運輸省が主導いたしまして、北京におきまして協議をし、できるだけ早い機会にこれらのことについても実現できるようにいたしてまいりたいと思っております。  なお、大きく基本的に私が考えておりますことは、まず、観光産業は、今高木委員指摘のとおり、大変大きな産業に成長しておるわけでございますが、残念ながら業種ごとに散り散りばらばらになっております。つまり、二十八ぐらいの観光関係の団体がございます。それらの意見を集約して、やはり積極的な、まさに二十一世紀に向けての対応を考えていかなくてはならない。そういう意味で、先般、観光産業振興フォーラムというものを立ち上げることができました。  また、地域におきましては、地域要請等に応じて対応いたしておるところでございますが、北海道、沖縄、四国、あるいは北東北等におきまして、既に地域連携による、先ほどの安房トンネルの例ではありませんが、県境を超えた観光振興について御協力を願うという意味で、それぞれの地域の観光を考える百人委員会というものを設立して、今、県や市町村、地元の観光関係業者の皆さん、同時に、広く、オール日本で、観光のことに意見を持ち、またお力を持っておられる方々の御協力を得たい、そういう対応をいたしております。近くは、九州におきましても、そういうことを今御相談をし、準備をしているところでございます。  いずれにしましても、観光産業の果たす役割はだんだん大きくなってまいりまして、世界的には、十人に一人、観光関係に従事しておるというデータもあるわけでございますので、私どもとしては、今日の経済不況を回復するために、運輸省が観光関係を通じて一翼を担いたい、それぐらいの気持ちを持って今後対応してまいりたいと思っております。
  37. 高木義明

    ○高木委員 先ほどは安房トンネルの例を引き合いに出しました。私は、何といいましても、ソフトとハードもあるのですけれども、当然にして効率的な投資、重点的な投資というのが今からの時代のニーズですけれども、やはりアクセスを大切にしてやるということに尽きるだろうと思っております。  ところで、今、長崎も御多分に漏れず国際観光都市としていろいろな活動をしておるわけですけれども、長崎港に、これは運輸省建設省が共管をいたしまして、女神大橋というのが既に建設着工いたしております。平成十七年度に完成予定でございまして、これはまさに、港湾の活性化とともに、県と長崎市の交通渋滞の解消、あるいは観光の振興等々、長崎県におきましても非常に大きなインパクトがあるというふうなプロジェクトでございます。  まさに、私は、景気対策ということも含めて考えるならば、やはりその辺はめり張りをつけながら、こういうことこそ一カ月でも二カ月でも、あるいは一年でも前倒しをしながらやっていくことが、地域の振興、いろいろな面で効果的になるだろうと思っておりますが、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。
  38. 中馬弘毅

    中馬政務次官 高木委員指摘の女神大橋でございますけれども、これは、長崎市の古くからの都市部として発達した長崎港の東岸と、新たに整備された長崎港の西岸、こちらには埠頭や工業団地がございますが、これを結びつける重要な役割を果たす橋梁だ、このように認識をいたしております。  ただ、建設の仕方といたしまして、下部工、基礎の部分は港湾の予算でやっておりますし、また、上は建設省予算でございます。したがいまして、運輸省といたしましては、この早期供用に向けまして、平成十一年度第二次補正におきまして一九億円を確保いたしましたし、また、工事の前倒しに努めておることも事実でございます。これによりまして、平成十一年度末においては下部工の工事進捗率は五〇%以上を確保できる、このように認識をいたしております。  今後とも、平成十四年度のできるだけ早い時期に橋梁本体の下部工を完成して、平成十七年の完成の予定を待たずに、我が運輸省役割としては少しでも早くしたいと思っておりますが、これも御指摘ありましたように、これからは国土交通省になりますから、また新たな形で建設省の方も督促し、一緒になってこれが早くできるのではないか、私どもはそのような形で努力していることを申し上げさせていただきます。
  39. 高木義明

    ○高木委員 次に、この際、整備新幹線の問題について若干のお尋ねをしておきたいと思います。  一九七〇年、昭和四十五年ですから、もう三十年になりますね、全国新幹線鉄道整備法が施行されました。そして、一九七三年、昭和四十八年十一月に整備計画が決定をされた。そして当時、次の五線については着実に整備を図ろう、こういう決意もされたわけです。すなわち、北海道、東北、北陸、九州鹿児島ルート、九州長崎ルート、この五線でございます。  ところが、その間、今日までいろいろな変遷がございました。紆余曲折もありました。そして一九九七年、長野オリンピックに向けて高崎—長野間が開業いたしまして、今、既に既設の新幹線とともに交通の利便に供しているわけであります。  この整備について、一体どうなんであろうか。我々は政府・与党の検討委員会等々を報道でよく聞きますけれども、いまいちはっきりしない点がございます。  三十年もたつ今、ある意味では地域の夢であり、そして政治というのはそういう夢を果たすために存在すると私は思っております。もちろん、言われておるように収支採算性、あるいは地域間の意見の違い、並行在来線問題、JR貨物問題等を放置したままでこういうものを進めるわけにはまいりません。したがって、少しでもそのことに努力をし、そしてこれがクリアできたならば、将来に向けて、安全で、そして利便性が大きく、しかも環境にもいい、いわゆる新幹線という名前は別にしましても、高速鉄道網というのは今からの時代要請ではないか。  しかし、少子高齢化という時代が訪れ、今言われております財政状況も非常に厳しい、そうして、将来そんなことができるような時代でもなくなると私は危惧をしておるわけです。したがって、今のうちにきちっと精査をした上で、進めるべきものは進める、そういうこと、同時に、建設費をいかにして節約し、効率的にするか、この知恵も私は大切なのではないかと思っております。  私はよく思うのですけれども、明治以来、鉄道建設の歴史がございます。今以上に財政的にもあるいは技術的にも労力的にも乏しかった時代に、よくも全国に鉄道を敷いたものだなと。もちろん、時代の変遷とともにスクラップ・アンド・ビルドがあります。あるいは、交通革命の中で、もう乗客数がなくて廃線のところもあります。それはそれで、私は、時代の流れとしては当然のことだと思っております。しかし、我々今おる人間が、将来の皆さん方に快適で安全で環境豊かな交通手段を残すということは、今の私たちの大事な視点ではないか、私はこのように個人的に思っております。  したがって、この際、ややわかりにくい政府・与党の検討委員会の内容を、改めて大臣の方から、昨年末ですか、この予算編成に向けていかがなって、今からどうするんだという決意をお披瀝いただきたい。
  40. 二階俊博

    ○二階国務大臣 整備新幹線につきましては、全国高速交通体系の中核を形成するという意味では、今、委員指摘のとおりでございまして、整備は、国土の均衡ある発展のために、また地域活性化を図る観点から重要な課題だということで、私どもは、これを国家的プロジェクトという位置づけをして、運輸省として鋭意取り組んでおるところでございます。  三十年の歳月の経過云々というお話がございました。まことにそのとおりでございまして、私としては、こうした問題に対して、財政の状況さえ許せば、もっと短期間にこのことを完成させて、同時に、そのことから得る、地域に及ぼす大きな経済的影響等を考えれば、長くいつまでもこの問題を引っ張っておるのは適当ではないということを基本的に思っております。  したがいまして、与党の連絡会議等におきましても我々は積極的に進めてまいったところでありますが、十二年度の政府予算案を含めた工事の進捗率はちょうど五〇%に達しておるところであります。  したがいまして、今年度の整備新幹線予算、公共事業等予備費及び補正予算を含め、先ほど中野委員にも申し上げましたが、ちょうど一千億を超える公共事業関係費を確保することができました。事業費におきましても、過去最高となる二千七百億円を計上しておるわけでございます。平成十二年度予算において、一一%増しとなる公共事業関係費約三百五十億円を確保し、事業においては一千七百億円を計上しております。したがいまして、政府・与党間の合意等に基づきまして、収支採算性、投資効果、JRの同意等の基本的な条件が確認された区間の整備を着実に推進しているところであります。  また、今御審議をいただいております十二年度の予算成立後、政府・与党から成る新たな検討委員会を設けることにいたしまして、この検討委員会におきまして、整備新幹線整備推進について、財源を含め、さらなる検討を願うことになってございます。  つまり、運輸省としては、できるだけ早期にこれをやりたい、片や公共事業はけしからぬ、こういう御議論の中に挟まれておるわけでありますが、我々は、今高木委員がおっしゃったように、地域発展新幹線にかける期待、私が就任以来今日まで、運輸省にお越しになる各県知事及び県議会の皆さん等、また国会議員の方々もそれぞれ政党政派を超えて、この問題については極めて御熱心でございます。  私は、こうした皆様の御意見を十分尊重しながら、十二年度予算成立後、政府・与党から成る新たな検討委員会、このことに強い期待を持っておるところでございます。一層の御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
  41. 高木義明

    ○高木委員 予算成立後新たな検討委員会を設けて財源を確保する、また新しい区間の着工について検討する、こういうことでございます。  いまいちはっきりしませんけれども、建設費の効率化といいますか、削減という努力も当然大事なんですね。特に、フリーゲージトレーン、これは言うならば在来線と新幹線の相互乗り入れができるという非常にすばらしいもので、JR総研を中心としてその実用化に向けて努力をされておると承知をいたしております。しかし、安全性が実証されていないということをもって、JR各社の一部からまだだという懸念もありますけれども、私は、新しい交通運輸技術開発という意味では、特に我が国には大切な課題ではないかと思っております。  日本の方で開発をしておるのですけれどもアメリカまで行かないと走行耐久テストができないということ自体、私は、ちょっと寂しいような気がするのです。どうですか、この点についてもっと力を入れて、早くこういうものを実用化することによって、建設費もかなり削減もできますし、国民期待にもこたえられる。長い間宙ぶらりんにしておって、やるぞやるぞということだけでは、私は政治不信が募っていくだろうと思うのです。  したがって、やはりこの辺について決断をする時期ではないか、このように思っておりますので、このフリーゲージトレーンについての取り組み方についてお尋ねをしておきたい。
  42. 二階俊博

    ○二階国務大臣 フリーゲージトレーンにつきましてのお尋ねでございますが、これは平成九年度から本格的な技術開発に取り組んだものでございまして、平成十年十月には、高速走行可能な本格的試験車両が完成いたしました。十一年の一月下旬には、山陰線の米子—安来間におきまして、時速百キロメートル程度まで在来線での走行テストに成功いたしました。  今、アメリカのコロラド州のデンバーの近くでございますが、プエブロで実験をいたしておりますのは先ほどもお答えしたとおりでありますが、ちょうど大阪の環状線と同じだけの距離を持っておる実験線でございます。残念ながら、今我が国にあれだけのループの試験場を持つということは、この土地の狭い私たちのこの日本で早く実験を成功させるという意味では極めて困難でございますので、アメリカに渡って今実験をしておるわけです。  今高木委員がおっしゃるように、こうしたことは日本の中でできないか、全くそのとおりでございます。このことを知らない人はアメリカの電車だと思っている人もおりまして、今続々と日本から見学に行っております。私は、現地で乗ってみまして、二百二十五キロまで記録を確かめてまいりました。  ですから、もう試験的には大丈夫だということをかねて聞いておりましたが、その調査団の一行の中に、JR九州の石井会長、JR四国の伊藤会長等が同行されておりました。私は、見学の途中に何回か両者を呼びとめて、大丈夫か、技術的にどうだというふうな御意見も伺いました。一部のJRでいろいろな意見があったことは私も新聞で承知をいたしておりますが、今は全くそういうことを申しておるところはございません。  ですから、九月まで、ここでできるだけ距離を稼いで、実験を成功させるための努力を行い、その後、ことしの秋には日本に持ってきて日本の国内でさらなる実験ができるようにいたしたいと思います。  私は、今高木委員のおっしゃるように、できるだけ早い機会にこの技術開発を成功させ、そのことによって、今新幹線等の計画が進んでおりますが、三十年も四十年もかかるということであるよりも、この方法を用いて、できるだけ安い建設費で同じような新幹線効果をもたらすことが可能であるわけでありますから、そういう面につきましてもできるだけ広く御理解をいただきたいと思っております。  なお、私は心強く思っておりますことは、高木委員のお地元であります長崎県の金子知事がそのメンバーとして同行いたしておりました。私は金子知事とは同期でございますから、心安さの余り、長崎はこれでどうだろうかと言って知事の意見を聞いてみましたが、早くできるというならこれの方が県民の皆さんは喜ばれるかもしれないな、そういう御意見を述べておられました。  私は、関係県の知事がそういう発言をされたということは、私にとりましては大変我が意を得たりというふうな思いでございますし、きょうまた九州を代表する高木委員からこのような御意見をちょうだいして、一層開発努力を傾けてまいりたい、こういう決意を改めて表明する次第であります。
  43. 高木義明

    ○高木委員 まず、今の新幹線トンネルのコンクリートの剥落事故ということはありましたけれども、これはこれとして徹底的な対応をしていただきながら、やはり今既存の新幹線がいささかも運行が滞ってはならぬと私は思っております。そういうことで、ぜひ大きな決意に立って取り組んでいただきたいと思います。  最後に一点、内航タンカーの問題について質問をいたします。  今内航タンカーが非常に窮状にあえいでおります。特に、経済のグローバル化ということが言われて久しいし、いわゆる大きな企業も合併、統合が進んでおりますね。  石油業界は、一九九六年、平成八年に特石法の廃止によるガソリンの規制緩和がございました。こういうことを受けまして、グループの再編が進んでおります。すなわち、日石三菱とコスモ石油のグループ、昭和シェル石油とジャパンエナジーのグループ、エクソンとモービルのグループ、そして出光と、いわゆる四グループに再編をされてまいります。当然、荷主業界のこのような提携、合理化によって、輸送量が激減をいたしております。  例えば、九州から関東地区に持ってくるこれまでの輸送体系、それぞれの各社で送っていたのを、いわゆる西日本と東日本に分担をして輸送するということになりますと、これは半分で済むわけですから、そういう輸送の合理化がやられております。当然にして内航船腹も大幅な過剰、この過剰率は一八%、三十万トンと言われております。昨年十二月の海造審の答申では、この状態は今後の見通しをしても五年ぐらいは続くのじゃないか、そういうことが言われております。昨年、運賃は二割から三割方下がりました。今ガソリン一リットルは大体百円として、運賃は一リットル当たり一円なんです。運賃のそういう低迷がありまして、内航タンカーの関係業界では乗組員対策、もちろん給料もそうでございますから、労働諸条件もそう、そういうものに今大変困っておる。しかし、これはやはり当然の経費として払わざるを得ない。  その一方で、また船の老朽化に対して、そういう状況ですから、修理もなかなかしにくい環境にある。ひょっとすれば第二のナホトカになるのかもわかりません、そういうことをおっしゃられる方もおられます。  そういう意味で、巨大荷主が誕生いたしまして、この過剰船腹の解消が望まれる中、いわゆる御承知の内航船の暫定措置事業ということがあって、これは交付金と納付金との関係でなかなかこの進捗がうまくいかない。したがって代替建造はできない。老朽のものをこの際新しくつくろうと言っても、そういう納付金も払えない。そういう状況の中で、撤退するのも、あるいは金利とか元金の支払いも滞っておりますので、もう撤退もできない。そういう意味で、事業継承もままならない、こういう窮状があるんです。  そういう意味で、過渡期の段階なんですけれども、やはり一定のセーフティーネットというものをぜひ考えてやらなければいけないのではないか、そして政策の推進を図るべきだ。そういう意味で、内航タンカーの支援策について何かお考えがあればお尋ねをしたいと思います。
  44. 中馬弘毅

    中馬政務次官 御心配のことは私たち運輸省としましても懸念しているところでございます。御承知のとおりの景気の低迷ですし、石油業界の合併、再編、そしてまた荷主の物流合理化、こういったようなことで船腹の過剰感、特にタンカーは大変なものでございます。  今お話がありましたように、暫定事業という形で、これをスクラップにする、解撤する、そしてまた新建造につきましては助成をするといった形をとっておりますけれども、これもなかなか進まないことは事実でございます。しかし、私たちは、十一年度の第二次補正で、事業費の総額を五百億から七百億円に上方修正いたしましたし、また、十二年度当初予算におきましても、これが確保されるように、百五十億から二百十億、これを政府の保証限度額として計上させていただいております。  できるだけ早期の成立を願うところでございますが、同時に、これだけではまだ不十分だという御指摘がございます。かといって、自由運賃でございますから、法律上も自由運賃となっておりますから、この運賃をどうしろと政府が介入するわけにもまいりません。  まずは、いかにして輸送需要を喚起するかといったようなこと、それから、本格的な景気回復を待たざるを得ない面もありますが、しかし、業界がもう一段まとまっていただければ、そして具体的な御提言をなされれば、我々運輸省といたしましてももう一段の対策は考える余地がある、このように申し上げさせていただきます。
  45. 高木義明

    ○高木委員 大臣、今の御発言、結構ですね。  時間が来ましたので、この程度で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  46. 仲村正治

    仲村委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  47. 仲村正治

    仲村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。玉置一弥君。
  48. 玉置一弥

    ○玉置委員 久しぶりに通常国会質問させていただきたいと思います。  ことしの国会は、冒頭からちょっと異例でございまして、発言のできる機会がないのではないかと一時は心配したのでございますが、ようやく落ちついたようでございます。選挙前とはいえ、ちゃんとやはり国政についてはみんなで論議して正しい方向を求めていきたい、かように思うわけでございます。  運輸大臣の方で、先般、所信表明という形でことしの運輸省の方針をいろいろと御披露なさっておられます。このことを中心にいろいろお聞きをしてまいりたいというふうに思います。  昨年は、新幹線トンネルのコンクリート剥落事故とかあるいは不審船問題といういろいろな新しい問題が出てまいりました。後でコンクリート問題は若干時間をいただきます。不審船等につきましては、きょうはちょっと時間がないので割愛をさせていただきますけれども、私どもが心配いたしますのは、海上警備行動が、自衛隊とそれから海上保安庁、あるいは上陸をされてしまった後の警察と、どういうふうな分担をされているかということが非常に気になっておりまして、特に、最近、海外から流入されてくる方が非常に多いわけであります。いい人もいるだろうし、悪い人もいるだろうということもありますので、要するにその辺の取り決めをぴしっと明確にしていただいて、正常な日本の国のあり方というものをぜひ確立していただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、全体的に総合交通体系というお話をされますが、国会の中ではみんなそうだそうだと言っているんですけれども、どうも地元に帰りますと、あれも欲しいこれも欲しいというふうにすぐなってしまいます。今、日本の国の財政事情あるいは地方の財政事情等々考えてみますと、あれも欲しいこれも欲しいというふうに言っている場合じゃないし、それから、今までいろいろな長期計画、中期計画がありますが、それをも見直していかなければいけない財政状態であろうというふうに思います。  そういう意味で、二階大臣のときに思い切った英断をしていただいて、要るもの要らないものをはっきり区分けをして、それによって国民が、より片方は利便性確保し、片方ではやはり将来に対する負担というものを軽減していくということでお願いをいたしたいというふうに思います。  それで、ことしの所信表明なり予算の中身をずっと見ておりまして、従来と大変違った特徴が、売り物の交通バリアフリーだと思います。というのは、今までの予算のつけ方を見ておりますと、今本当にやっているのかなというふうな感じの予算でございまして、例えば、十年度の当初約一億、十年度補正が三十五億八千万、十年度の三次補正で初めて五十七億という大変大きな数字がつきました。というふうに、当初予算ではなかなかバリアフリー予算確保できない。しかし、補正で頑張っていただいて、上積みをいつもしていただいているということでございます。今回は、トータルがちょっとわからないんですけれども、百十一億ぐらいだったと思います。そういう数字で、当初から十二年度はこういう大きな数字がついたということでございます。  それと、バリアフリーそのものが、国民の中に言葉が定着をいたしました。私たちの方から見ると、交通バリアフリーという言葉が定着するぐらいに国民の関心が非常に強くなってきたということであります。これはなぜかといいますと、やはりだれもが身近な問題としてとらえているということだと思います。  例えば、六十五歳以上人口が一九九五年には約千六百万人と言われておりました。今、二〇〇〇年を超えるころはほぼ千八百万人から二千万に近い、二〇〇五年には二千万人を超える、こういう予測の数字が出ております。バリアフリーを対象にした六十五歳以上、あるいは身体的障害者は全国で約三百万人おられますけれども、こういう人たちは他人事ではないわけであります。  私ども、今足も丈夫で腰も丈夫でどこでも歩けるという丈夫な体をしておりますけれども、いつ身体的に障害を受けて歩けなくなるか、あるいは、要するに今の交通機関でうまく乗りおりができなくなるかということを考えていきますと、国民の大多数の人がそういう経験をして将来困るだろう。  私も地元に戻りまして、田舎に行きましてお年寄りのお話を聞いておりますと、ほとんどの方が足が痛い、腰が痛い、それから、あそこの階段は長くて大変だとか、駅で平らなところはないのかとかという話をいろいろ聞くわけであります。特に、近鉄という電車がありまして、そこに山田川という駅があるのですが、田舎の人が何でそこへ行くのかというと、そこはフラットで道路から階段なしでホームへ行けるというところがありまして、わざわざ遠くまで、そこまで行って電車に乗られる、こういう方もおられます。  こういうことを考えますと、やはりバリアフリーそのものが身近な問題としてとらえられて、国民皆さん方から大変な注目を浴びているということでございます。  今回、二月の十五日に政府案が出されました。この政府案、私どもも民主党案を来週の半ばぐらいには出そうとしておりますが、基本的に違うところが一つあるのです。主務大臣が国の計画としておおよそ決めて各地方自治体やあるいは事業者に指示をされるというのはわかるのですが、お仕着せでこうやれというような感じがするわけです。  もともと私たちが、諸外国の例を見ていろいろと参考にさせていただきましたのは、いわゆる高齢者や障害者の移動の保障というものをやはり法律の柱にしたい。ですから、ノーマライゼーション、要するに、健常者が普通の状態のときにできることを少なくとも目指した、そこまでの支援というような形でやっていくべきじゃないかということで、逆に高齢者、障害者の方々移動という権利、あるいは交通権といいますか、その辺を中心法律考えていく、あるいは、交通バリアの施策考えていくべきじゃないかというふうに思いますが、基本的な考え方について、まず大臣にお伺いしたいと思います。
  49. 二階俊博

    ○二階国務大臣 玉置委員の、バリアフリーにつきまして、御党におきましてチームリーダーとしてバリアフリー法案の提出に御努力をいただいていることはかねがね承っておりましたが、ただいまバリアフリーの本質、真髄に触れるといいますか、御意見を開陳いただきまして、私も感銘深くお聞きをしておりました。  今回の法律の提案に際しましていろいろな方々の御意見をちょうだいしてまいりましたが、やはり運輸省だけで鉄道だけのバリアフリーあるいはバスだけのバリアフリー考えるのではなくて、もっと広く駅周辺、そして信号も含めた、道路もあわせて、交通弱者と言われる人々、さらに身体が御不自由な方々、まさに今玉置委員指摘のとおり、私たちはあすは我が身であるわけであります。これをだれかの問題として考えるのではなくて、私たち自身の問題として考えていかなくてはならない。そうした皆さんの思いが、全国各地にだんだんほうはいと盛り上がってまいりまして、今、交通バリアフリーというこの言葉自身も一人で歩き始めておるという感じでございます。  私も、時々地方に参りましていろいろな市町村長さんたちの御意見を聞いておりましても、自分たちの駅がバリアフリー化できるのか、五千人という区切りがあるが、私たちは五千人も乗りおりしておりませんが、このことを必要とします、それでは三分の一を地元で御負担を願うということになっておるが、三分の一負担、結構です、やりますから私たちのところもバリアフリー化をやらせていただきたい、こういうことを熱心におっしゃる市町村長さんもあちらこちらに出てまいりました。  そこで、先ほど申し上げましたとおり、このたびの私どもの出させていただきました法案は、運輸省建設省、自治省、警察庁、四省庁が一緒になって取り組もうということでございます。  移動の権利、移動の保障について言及されました。いわゆるこういう言葉がまだ定着しているわけではありませんが、オールバリアフリーということで言われる場合もよくあります。オールバリアフリーを理想とするところは私たちも同じでありますが、また玉置委員の言われる移動の権利や移動の保障につきましても、バリアフリーに対する深い御熱意からほとばしるそうした御意見に対しまして、我々は意見は意見として十分承ってまいりたいと思います。  バリアフリーの進め方としては、国による規制は一定限度にとどめて、社会的な連帯を促進するその枠組みによって地域の実情に即してだんだんとつくっていくことが適切であるというふうに考えております。したがいまして、本法案は、市町村が中心になって、関係者が連携して駅及び周辺道路等重点的かつ一体的にバリアフリー化を進めていく制度を導入することを盛り込んでおるわけであります。  こうした制度実施に当たっては、国及び地方公共団体予算交通事業者の投資余力といいますか投資能力にも当然限りがあることでありますから、利用者が多い駅を中心にしまして、また相当数の高齢者身体障害者が利用されるであろうと言われる施設が周辺にある駅につきまして、重点的にまた一体的にバリアフリー化を進めてまいりたい、このような考えで臨んでおる次第であります。
  50. 玉置一弥

    ○玉置委員 今回は、乗降客五千人以上で段差が五メートル以上の駅を中心にやります、こういう話で、その数は二千ぐらいというふうにお伺いしておりますが、例えば、中小の都市を含めて大都市近辺の主要駅というと大体五千ぐらいあるということなんですね。それで、今の該当のものは二千だと。日本全国で大体一万ちょっとぐらいの駅があるだろう、こういうふうに言われているんですが、大都市ですよね、五千人以上というと。とりあえず大都市に限定をすると、そういう二千という数字が出てくる。  では、残りの八千をどうするのか、いつまでにどうするのか。私がずっといろいろ見ておりまして、確かに人数は都市部の方が多いですけれども、身体的な障害、障害者手帳を持たないで、実際に歩けない、階段の上りおりもできないという方が多いのは田舎だと思うんですね。というのは、やはりいろいろな力仕事をされているとか、農作業をされているとか、結果的にはそういう方が非常に多くなったということでございまして、では、例えば田舎の駅はエレベーターもなく、お金がないから改造もない、それから収益率から見るととても悪い、いわゆる赤字線ですが、そういうところには手がつかないのかどうか。その辺を含めて、では残りの八千と田舎はどうするんだというのをちょっとお答えいただきたいと思います。
  51. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたとおり、国及び地方公共団体予算交通事業者の投資余力に限りがあるものでございますから、とりあえずは利用者が多い主要駅を考えておるわけであります。  今委員指摘のとおり、それぞれの地域の実情に応じ、また、大変御熱心な市町村長、あるいはまた高齢者身体障害者の多くの皆さんから強い御要望のある地域につきましては、順次、今までの基準にこだわることなく対応できるような姿勢で臨んでいきたい。今、さらに詳細を検討いたしているところでございます。
  52. 玉置一弥

    ○玉置委員 私たち日本社会は高齢社会に向かっている、向かっているというかもう入っているそうでございますが、六十五歳以上で仕事ができないわけでもないし、条件さえ整えばまだまだ社会参加もできる。場合によっては、余生を楽しんで、旅行に行ったりあるいは観劇、ゲートボールばかりじゃなくて、いろいろなことができると思うんですよね。それはやはり一つの生きがいでもありますし。参議院できょう年金をやっていますけれども、年金のあり方から見て、六十五歳以上でもやはりできるだけ働いて、働いている間は減額された年金が支給されるとか考えていかないと、年金の制度ももたないんではないかというふうに思います。  そういう意味では、高齢者社会参加という意味で大変大きな要素をこの交通バリアフリーが持つということで、経済的にも大変大きな効果も出てくるだろう、こういうふうに思います。特に大臣が一番得意とされるというか今までずっと熱心にされておりました観光事業、これは、本当に制度そのものがある程度充実してくれば、もう足が動かないからとかといって観光に行けないわけじゃなくて、逆に受け入れさえ整えればそれからでも回れるということにもなるわけであります。  そういう意味でちょっと重ねてお伺いしますけれども、そういう社会参加のための交通バリアフリーという面から見ると、一つは、鉄道だけではなくバス、当初は鉄道だけだったんですね、お話が。ところが、バスもやろうとちょっと変わっていただいた。もう一歩変わって、STSといいますか、スペシャル・トランスポート・サービス、要するにバスから先、駅から先、ドア・ツー・ドアの部分、これは福祉輸送といいますかそういう部分になりますが、その部分について運輸省としてどういうふうに考えておられるか。それから、今のいわゆる観光事業ですね、これらの受け入れ体制の、いわゆる線ではなくて面でのバリアフリーということになりますけれども、その辺についてお伺いしたいと思います。
  53. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま御質問のございました福祉輸送等の問題につきまして、これからタクシー問題等考えましても、新しい大きな分野であるというふうにも考えておるわけでございます。同時に、高齢者皆さんがみんなうちに引っ込んでしまうんではなくて、これからどんどんと高齢者皆さんが一層社会参加をなさることによってより充実した後の人生を楽しむことができるわけでありますから、そういった意味で、観光について今、御提言がございました。  私は、観光地域あるいはホテル、旅館等におきましても、バリアフリーの先行的な投資を進めていくことがこれからの時代に合った、観光客を多く吸収していく、事業発展させていく、観光地であれ観光業者であれ、そうしたことを念頭に対応していく時代がいよいよやってきた、こんな感じを深くしているものでございます。  したがいまして、これからそうした観光関係事業者バリアフリーにどう対処していくか、またどう対処しやすくしていくかという面につきまして、今後融資であるとか税制の面であるとか考えていかなきゃいけない問題がたくさんあろうと思います。  しかし、バリアフリーは今始まったばかりでございます。アメリカ法律等に比べてちょうど十年おくれてスタートでございます。しかし私は、今の勢いからすれば、それぞれの政党におきましてもいろいろな御意見をちょうだいいたしておりますが、バリアフリーの問題についてはしっかりやれという御党を初め、いろいろな御意見をいただいております。そして、先ほども申し上げましたように、既に全国各地におきまして、この交通バリアフリーについて取り組みを真剣に考えていただいておる市町村長さんがおられる。また、これに加えて自治省も参加をしてくれた。そうしたところが私は、大変将来に展望が開けるバリアフリー化であるというふうに思うわけでございます。  同時に、福祉において今後新しい投資がなされる、経済効果があるであろうという意味合いのお話がございましたが、私も全くそのとおりだと思っております。このバリアフリー関係に積極的に投資することが福祉社会を構築していく上において極めて重要なことであるとともに、経済活性化にも大きな役割を果たすであろうと思いますし、将来の観光振興、高齢者時代を迎えたときの観光振興、今議員からお話のございましたように、車いすに乗ってでも観光ができるんだ、観光を楽しむことができるんだ、そこに余生の生きがいを感ずることができるんだということであるとすれば、私どもは、このバリアフリー化の問題につきましてはさらに力を注いでまいらなくてはならないということを、今御質問をちょうだいしながら改めて痛感しているところでございます。
  54. 玉置一弥

    ○玉置委員 今お話がございましたように、やはり諸外国に比べて一番おくれている部分だというふうに思います。早くから手がけてきたヨーロッパで北欧は対応が早かったんですが、結局一番制度が充実されてきましたのは、やはりアメリカやイギリスということになってくるわけであります。  そういうのを見ておりますと、先ほど冒頭に言いましたように、障害者の方の権利保障というのがあくまでも法律の中にうたわれているということで、ほとんどのところが法整備を後からしたというような感じなんですね。アメリカも基本的には、一九六四年の都市大量交通法、一九七〇年に改正されて高齢者、障害者のモビリティー確保ということを明記した、これからのスタートらしいんです。それで御存じのように、一九九〇年のADA法、障害を持つアメリカ人に関する法律、これが根拠法的になっている。  それで、御存じだと思いますが、マイケル・ウィンターさんにいろいろお聞きしますと、やはり補助金をつけないとこれは進まなかったんだということで、あの方も二十年やっておられますけれども、最近五年間は今の政権の中に入ってやっておられるということで、実際に補助率をアップして補助金をつけてやったらかなり進捗度合いが進んできたということであります。  今一番私どもも切実に各事業者方々からお話伺いますのは、少なくとも定期的に助成という形をまずやってほしい、それから助成金、非常に高いものをつくる、あるいは買うことになる場合もありますから、その補助率を、三分の一と言わずに、言ってみれば国、地方合わせて四分の三ぐらいの補助ができれば我々も非常に積極的にできるんですというお話があるんですね。  それで、例えば去年やおととしの公共投資の金額を見てみますと、十七兆円という大変膨大な数字があります。十七兆円の一割で一兆七千億だ。ずっと見てくると要らないのが結構あって、これは要らない、あれは要らないと計算すると、三兆円ぐらいすぐ出てくるんですけれども、実際にことし初めて百億円を超えたバリアフリーのお金ということであります。私たちがやはり財源を定期的につけるということがこれからのバリアフリー推進一つの原動力だ。  それからもう一つは、制度は国がしっかりとつくっていただかなければいけないと思います。しかし、実際にその中身をつくっていくのは、先ほどおっしゃいました地方自治体、各市町村ですね。そして、この各市町村におられる身体障害者高齢者の方ということになると思うんですね。ですから、こういうふうな制度をつくったからどんどんと注文していきなさいということを運輸省がおっしゃって、各自治体がそれに沿った計画をつくる。そして、その計画はだれがつくるかというと、実際に利用される皆さんが寄って、どこをいつやるか、どういう方法でやるかということをつくっていただくことが一番利用されやすい形のものをつくるのではないかと思います。  ところが、今国から出ております法律はそこを規定していないんですね。地方がつくることができるということは書いてありますが、そういう市民参加型というか、関係当事者に参加していただいて、協議会をつくってそこでやれとかいうふうに書いてないんです。ぜひそこを考えていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  55. 二階俊博

    ○二階国務大臣 市町村を中心にいたしまして地域の実情に即したバリアフリー化を進めるということでありますが、これは、旅客施設の利用者状況、あるいは地域における移動円滑化のための施設の整備状況等を十分把握し、そして地元がそれに対して検討を加える。私はその過程において地域における障害者の皆さん高齢者方々の意見が反映されるということは当然のことであると考えておりますので、市町村におきましてこれらの皆さんの意見を総合していただき、方針をお決めいただくということが適切ではないかというふうに考えております。  また、万が一にも高齢者の意見が反映されない場合、あるいは身体に御不自由のあられる方々の御意見が反映されない場合には、これは運輸省としましてもきちっと市町村に対しまして必要な助言を行うということを考えておるわけでございます。  障害者や高齢者の意見を聞く規定は明示的に設けられてはおりませんが、例えば国の基本方針やバリアフリー基準の作成に当たっては、閣議決定に基づくパブリックコメント手続の実施等により、高齢者方々を含め広く国民各層からの意見をお聞きする予定にしており、これらの皆さんの意見は十分反映できるものと期待をしているものでございます。  なお、補助金等につきまして積極的な御意見を承りました。私たちは、これからこの問題がスタートいたしまして、全国各地でバリアフリーの積極的な対応が図られてまいりました場合に、国として財政的にどう考えていくかということも、将来にわたって大きく、また一段と積極的な対応を考えていかなきゃいけない時代が来ようと思います。  今は、御案内のような経済情勢の中にありますし、財政も極めて厳しい中でございます。そうした中におきまして、我々は精いっぱいの努力をさせていただいておると思っておるわけでございますが、多くの国民皆さんの御協力をいただいて、おくれてスタートはしましたが、バリアフリー化、やがてアメリカに追いつくことができるように頑張っていきたい。  また、マイケル・ウィンターさんのお話もございましたが、私が大変感銘を深くしておりますことは、まず、アメリカの政府、例えば、クリントン大統領マイケル・ウィンターさんを障害者のためにバリアフリー化推進する重要なポジションにつけたということ、ここに、アメリカの民主主義といいますか、アメリカ政府の進んだバリアフリーに対する考え方の一端がのぞいておるのではないか。  幸い、今郵政大臣であられます八代英太氏も、かねてよりこの問題につきまして極めて御熱心でございますが、同時に、このマイケル・ウィンターさんとは二十年にわたる交流の中で、日米のみならず世界各国にわたってバリアフリー推進を今日までなさっておられるわけであります。私は八代郵政大臣にも常々このバリアフリーの問題について御指導をいただいておるわけであります。  こうしたいろいろな先達がおられるわけでございますから、そうした皆さんの御意見等も伺いながら、今玉置委員指摘のような、もっともっと広い意味で、もっともっと手厚い対応ができるような時代が早く来ることを願いながら努力をしてまいりたいと思っております。
  56. 玉置一弥

    ○玉置委員 特に、地方自治体における協議会とかいうことにつきましてはぜひ御指導いただいて、できたら明文化した、やはり市民参加という形をいただきたい。  というのは、私どもも、十二月の六日に一応素案をつくりまして、十二月二十日から全国展開で、パブリックコメントという形でいろいろな業界や団体、それから個人の方の意見をずっと賜りました。非常に前向きで積極的ないい意見が出てまいりまして、あれを大体吸収できればかなりいいものができるという感じがします。それだけに、健常者の私どもが見て考えるよりも、やはり実際にいろいろと利用されている方のお話を聞いてやった方が、今すぐ何が必要かということは非常にわかるし、どういう形のものであればいいという、要するに過剰設備にはならないということなんですね。  一番簡単なのは、例えば目の見えない方がおられます。その三分の二ぐらいの方がホームから転落をされている。その防護さくを早くつけろというんですね。大分前から言っていても全然つかないんだ。JRの方は今東京駅なんかでもかなり新しいさくがつき始めましたけれども、地下鉄が結構多いらしくて、この間も札幌へ行きましたら、本当に落ちた人ばかりなんですね、目の悪い方。私も落ちた、落ちた、そういう感じで、札幌市の当局の方がそれを言われて弱っておられましたけれども、それがなかなかつかないというような形になっている。  だから、それは実際にそういう該当される方の、当事者のお話をお聞きになっていないのではないかというふうに思いますので、ぜひ計画の中に入れていただいて、そして、どこからやるかというのは、そういう方々が一番切実に感じておられるわけですから、ぜひそういう計画の中に取り入れていただきたい、こういうふうに思います。そのために、自治体等におきましても、逆に運輸省の方から御指示をいただければ非常にスムーズに展開できるのではないか。  それから、阪急の伊丹駅というのがございまして、この伊丹駅が、御存じのように、五年前の震災で大破をいたしました。つぶれてしまった。そこで、阪急電鉄さんがどういう駅をつくろうかというふうに考えられたときに、今のバリアフリーお話が出てまいりまして、障害者団体とかいろいろな方々の参加を得て計画をされ、それが実施をされたということで大変喜ばれている。まだ最後の仕上げを今やっておられますけれども、主要部分はもう既にできておりまして、あとアクセスだけを改善しようということでやっておられます。そういうふうに非常に喜ばれる駅ができた。  それからもう一つは、例えばバス停があります。目の悪い方は、バス停がどこにあるかわからない。バス停へ行くとわかるんですけれども、そのバス停がどこにあるかわからぬとか、案内表示ですね。もっとひどいのは、エレベーターがついている反対側に車が着くというのがある。では、エレベーターはだれが利用するんだということになるんですね。それはやはり当事者でないとわからない。ただ規則ができたからつけようということじゃなくて、やはり利用客のお話を聞いて、どこにつければいいのかということもぜひ参考にしていただきたい。こういういろいろな問題がございます。  まだ、これから法律が出てきたときにもっと細かい話をいろいろ申し上げたいと思いますし、大臣の方には、御当局もそうですが、コメントを我々いただきましたので、それを後ほど届けさせますので、ぜひ御参考にお願いしたいと思います。  ということで、基本的には、細々した予算ではアメリカにとても追いつくことはできないだろう。アメリカはともかく八〇%まで補助率を上げてきたんだ。そうでないと結局やってくれなかったということでございまして、三分の一ではなかなかつかないんじゃないか。  それから、保利自治大臣にまだ十分説明はしていないんですけれども、本当にこれからバリアフリーを進めていこうとすると、自治体が理解をして、自分たちの町をこうするんだという意気込みが出てこないと進まないんですね。鉄道事業者バス事業者、あるいは福祉輸送タクシー、ボランティア団体、社会福祉協議会とか、いろいろなところに働きかけをするのは各市町村であるわけで、そこがバリアフリーに対する認識を高めない限りなかなか進展をしていかないのではないか、こういうふうに思います。  ですから、まず、自治大臣というよりも、各自治体にどういうふうにバリアフリー推進をする働きかけをするかということについて、大臣か、あるいは担当局長さんのお話をお伺いしたい。
  57. 羽生次郎

    羽生政府参考人 お答えいたします。  先生御指摘のように、自治体のイニシアチブをいかに発揮させるかということが大変重要なことでございまして、まさにそのために自治省にもお入りいただいているわけでございます。私どもといたしましては、自治省と共同して、自治体のそういった部門について、この法案が成立したら直ちに働きかけることを考えております。  また、現に、これは政令指定都市の十市の環境保健担当の局長さんから毎年御陳情いただいておりまして、こういうものをぜひつくってくれという動きがございます。ただ、これは今申し上げたように相当大きな市でございまして、それよりも小さいところでどうやっていくかというのは非常に大きな問題かと思っております。  ただ、先生も御指摘になったように、平成十年の第二次補正で今までの予算を一挙に五十倍にしまして、五十億とりまして、そのときに補助率も三分の一ずつ、六・六倍にいたしました。その折、我々が一月に交付要綱を出しましたら、一月にもう即日完売で自治体に売れたことがございます。それで、その十年度の補正だけで九十駅で整備が進んだことがございます。  ましてや、今度の場合ですと、一定の法律義務化あるいは努力義務がかかっておりますし、また体系も整備されておりますので、これをうまく使っていただけるように国の側、我々、自治省から働きかければ、これは相当進むんだと確信しております。  いずれにいたしましても、これが直ちに実施できるように我々からも、また我々の地方支分部局である運輸局からも強力に働きかけ、あるいはまた、必要とあらば、指導というとおこがましいんですが、中身を教えていくようにしたいと思っております。
  58. 玉置一弥

    ○玉置委員 まだこれから法律が出て、場合によってはいろいろな視察委員会の方でお願いをしたい、こういうふうに思います。  実際に、これはどの党がやったからいいという話ではなくて、おくれている部分をいかに取り戻していくか、逆に、人権そのものが非常に安易に扱われることがちょっと続いてまいりましたので、そういう面で見直して、人権の一つをいかに守るかということではないかというふうに思います。ぜひ当委員会で慎重に審議をして、これはいいことですから、よりいいものができるようにまた皆さんとともに研究をしていきたいというふうに思いますので、委員長にもぜひ積極的にこのバリアフリー関係で取り組みをいただきますように、また慎重にいろいろ関係方面に働きかけをしていいものをつくることが委員会でできますように、お願い申し上げたいというふうに思います。  バリアフリーは一応以上にいたしまして、続きまして自賠責に時間の関係で移りたいと思います。  昨年の九月だったと思いますが、今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会というものがありまして、その中で中間報告といいますか結論というものが出てまいりました。これをもとに、逆に運輸省の方はいろいろと検討をされて、これからの自賠責のあり方というものについてお進めをいただいていると思いますが、この辺の状況についてまずお伺いをしたい。  そのときに、自賠責保険制度の法的性格ということで、加害者の損害賠償責任というよりも、被害者救済を目的にしたものであるということを明確にすべきじゃないかというようなお話がございましたけれども、この法律的な性格といいますか、この辺をどういうふうにお考えになっているのかということをまずお伺いしたいと思います。
  59. 二階俊博

    ○二階国務大臣 自賠責保険は、自動車の保有者等に義務づけられた強制保険でありますが、交通事故被害者の保護を目的とする制度であります。自賠責制度は、このような状況の中、交通事故被害者に対する基本保障を担保する制度として有効に機能していると認識をいたしております。  現在の自賠責制度は、御指摘のように、加害者の損害賠償責任を前提とした制度であり、加害者に責任がない、いわゆる加害者無責の場合には保険金が支払われないこととされております。しかし、被害者救済の観点から、これを見直すべきとの意見もございます。昨年九月の運輸大臣懇談会報告書においては、これまで保険金を全く受け取れなかった被害者に対し、無謀運転等により事故を起こした者を除いて一定の救済を行うべきとの考え方を提示しております。  現在、このような制度の導入の可否につきまして、自賠責審議会で検討が進められており、運輸省も被害者保護観点から検討に参加をいたしておるところでございます。
  60. 玉置一弥

    ○玉置委員 相互相殺というような形で相手に払うものが減額をされているというような形の制度があるんですが、あれもいろいろ問題になったと思うのですよね。それは結局保険屋さんがもうかるだけで、被害者とか加害者とか、ともに何にもメリットがないというようなことも言えるかと思うんですが、それと今大臣がおっしゃったのは似たような話でございまして、逆に、では例えばこの自賠責という強制保険と任意保険、これがどういう関係にあるかということをちょっとお伺いしたいと思います。
  61. 縄野克彦

    縄野政府参考人 御説明申し上げます。  自賠責のいわゆる強制保険は、加害者が自動車事故で損害賠償が必要になった場合に最低限の保障をするための基本的な救済制度ということで、それに対して任意制度は、それを上乗せした救済の充実のための制度だというふうに理解をしておるところでございます。
  62. 玉置一弥

    ○玉置委員 自賠責の方は加入率はほぼ一〇〇%だと思います。ほぼというか一〇〇%ですよね、それでなければ走れないことになっていますから。  任意保険は今どの程度でございますか。
  63. 縄野克彦

    縄野政府参考人 全体として、車種あるいは年齢によって違いますが、八〇%台ではないかというふうに思っております。
  64. 玉置一弥

    ○玉置委員 強制的な保険の方と任意保険と、金額は大分違うわけですね。自賠責の方は年間一万三千八百円だったと思いますが、任意保険の方は、車両保険は別にしまして、そのほかを入れますと、幾らでしたかちょっと覚えていないのですけれども、三万七千円ぐらいかな。
  65. 縄野克彦

    縄野政府参考人 任意保険につきましては、料率は一昨年から基本的には自由化をされまして、いろいろな商品が、給付の内容との見合いで料率設定がされておるというふうに考えております。
  66. 玉置一弥

    ○玉置委員 ちょっと金額を忘れました。たしか五、六万ぐらいするかな。実際は車検のときに払うのが、人によっては十二、三万払っておられますね、任意保険。というのは車両保険があります。  だから、対人、対物、搭乗者だけだとたしか六万前後だと思いますが、強制保険に比べて非常に高いんですね。ところが、実際に支払われている金額を見ますと、自賠責の払い出しの方が多くて、任意保険の方が少ないのですが、これはどういうことなんですか。
  67. 縄野克彦

    縄野政府参考人 先ほど申し上げましたように、基本的な保障は強制保険、自賠責の方で保障するという考え方から、まず自賠責の保険で支払うということから、御指摘のようなことになるのかというふうに思っております。  任意保険の方が保険料に比べて支払われ方が少ないかどうかにつきましては、ちょっと私どもここで御説明しかねると思います。
  68. 玉置一弥

    ○玉置委員 ちょっと数字を覚えていないので、多い、少ないは確実にけたが違うぐらい違うんですけれども。  そこで、例えば自賠責の運用益が今一兆三千億かな、それから任意保険が二千三百億ぐらいだったと思うんですね、剰余金。合計すると一兆六千億ということでございまして、これだけ払い出しが多くありながら、なおかつ運用益が非常に出ている。任意保険の方は二千三百億ということでございますが、これもどういうふうに運営されているか、よくわからないということでございます。  そこで、運用益の活用の使途、それとその使途をどういうふうに確認されて、またどういう手続で行われているか、この中身について、自賠責審議会でもいろいろ報告はありまして、事後報告にしろとか、事前の手続、払い出しのことをいろいろな難しい手続をやりながらやっているということで、結局、保険に対する手間が非常にかかり過ぎじゃないかとか、いろいろな批判があるんですが、それはともかくとしまして、使途をどういうふうに決めて、どういうふうに後でチェックされているかということをまずお聞きしたいと思います。
  69. 二階俊博

    ○二階国務大臣 自賠責特会の積立金は、平成十年度決算ベースで二兆一千九百六億円になってございます。積立金は、累積黒字や累積運用益でありますが、元来、ユーザーに還元するのが基本と認識をいたしております。  このため、平成三年、平成五年、平成九年の三次にわたりまして自賠責保険料の引き下げを行ったところでありますが、現在の保険料は引き下げ前の四分の三の水準。この結果、現在の保険料率は大幅な赤字料率となっております。約二兆円の積立金は、平成二十年ごろまでにはなくなる見込みになってございます。これは当然引き下げた結果でございます。  また現在、自賠責審議会におきまして、運輸省も参画して、保険料の再引き下げについて検討をしておる最中であります。  なお、積立金は目標を決めて積み立てるという性格ではなくて、二兆円以上たまったのは、ここ十年で自賠責保険金支払い額が約二〇%伸びた一方、自動車保有台数は約三二%も伸びたために累積の黒字等がたまったものと認識をいたしております。
  70. 玉置一弥

    ○玉置委員 運用益を一時期一般会計の方に納付、あれは二千億ずつぐらいでしたか。昔大蔵委員会で毎回出てきて、何でこんなに使うんだという話をしたことがあるんですが、それが今どういう状況で、将来返ってくるのかどうか、その辺も重ねてお伺いしたいと思います。
  71. 二階俊博

    ○二階国務大臣 お話しのように、自賠責特会から一般会計への繰り入れについてでありますが、平成六年度における財政運営のための国債整理基金に充てるべき資金の繰り入れ特例等に関する法律、いわゆる財特法に基づきまして、平成六年度及び七年度に一兆一千二百億円を繰り入れております。  これまでに、平成八年度補正予算において千五百四十四億円、平成九年度補正予算におきまして八百八億円が一般会計から自賠責特会に繰り戻されているところであります。  繰り入れ時における大臣覚書においては、自賠責特会への繰り戻しは平成十二年度までの間に完了する予定でありました。しかしながら、厳しい財政状況の中で、平成十二年度の未償還額全額の繰り戻しは不可能な状況であります。そこで、残りの元利をおおむね今後五年間で繰り戻すこととし、初年度である平成十二年度予算案には、先ほど委員指摘のように二千億円を計上したところであります。  今後の毎年度の具体的な繰り戻し額については、一般会計の財政事情、自賠責特会の収支状況等に照らし、大蔵省と協議の上、決定していく所存でございます。
  72. 玉置一弥

    ○玉置委員 私どもは、やはりユーザー還元ということを一番期待しているわけであります。  本来、一般会計繰り入れ分については、少なくとも財投金利ぐらいはつくわけですよね。ということで、運用益は本当はもっとあるんじゃないかというようなことを聞きたいんですが、繰り入れ部分についての運用益の計算はどういうふうにされておりますでしょうか。
  73. 縄野克彦

    縄野政府参考人 お尋ねのように、私どもが一般会計に繰り入れをしないとして運用をした場合に相当する運用利息、運用利子を付してお返しをいただくという約束になっております。
  74. 玉置一弥

    ○玉置委員 こういうのが既に預けてありまして、預けてあるというか、国の一般財源に繰り入れられて、整理基金に入っているわけですね、国債整理基金。そのお金が戻ってくるとして考えていきますと、剰余金、これが今一兆六千億という数字になっておりますが、これは一兆六千億と見ていいわけですか。
  75. 縄野克彦

    縄野政府参考人 自賠責特会の積立金、資産として、先ほど大臣が申し上げました約二兆二千億、二兆一千九百六億円、その中に一般会計に貸している金額も含まれているということでございます。
  76. 玉置一弥

    ○玉置委員 大体毎年一千億ぐらい赤字でございますかね。そういうのでいきますと、まだまだ余裕があるといいますか、今若干まだ状況が、去年はよくなってきた、よくなったというか、黒字にはなっていないとは思いますが、赤字幅が小さくなったという話も聞いております。確かに自賠責保険は昔に比べて安くなりまして、実際に四分の三弱ですね。四分の三より少ないところで、そういう意味では三分の二ぐらいに近い線で今やっていただいているんですが、まだまだ剰余金を出す必要があるのかということなんです。  もう一つ伺いいたしますと、事故対策センターがやっている介護保険つきの病院といいますか、重度障害者の方の診療施設、そういうところに対していろいろとお金を投じておられますけれども、介護保険が今度四月一日から始まりますね。その介護保険が始まりますと、今まで例えば外部の病院に委託をされておりました病床とかそういうようなものがもう要らなくなるんではないかとか、あるいは介護保険で補う部分があるのではないかというふうに考えていきますと、この事故対策センターが、診療といいますか療養といいますか、介護を中心にしてやってこられた業務そのものが余り要らなくなるんではないかというふうに思うんですが、いかがでございましょうか。
  77. 縄野克彦

    縄野政府参考人 先ほども大臣から御説明申し上げましたように、現在の交通事故状況とこの自賠責保険の関係は最低保障として有効に機能しているわけでございますけれども、依然として現実に、例えば重い後遺障害を負った交通事故被害者が二倍になりますとか、その中で脳損傷や脊髄損傷を負った患者の発生が年間一千人に迫る深刻な状況でございます。  この問題はいわば車社会の負、マイナスの部分でございまして、これを私どもとしましては、自動車ユーザー全体の御負担という形で御理解が得られる範囲で支援、救済というものができる範囲でやれないものかという形で、先生今お話しになりました自動車事故対策センターの療護センターというものを運営しておるわけでございます。このようなものについていろいろな御意見がございますけれども、私どもとしましては、自動車ユーザーの御負担、御理解が得られる範囲で救済をしていくべきではないかというふうに考えるところでございます。  それから、介護保険制度あるいは他の労災保険制度、こういうものにつきまして制度の変更、拡充がございますので、そのようなことと矛盾あるいは重複、そういうものが起こらないようには十分配慮して、私どもとして運営してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  78. 玉置一弥

    ○玉置委員 介護保険の始まる前は、事故対策センターが行っておられます重度障害者に対する介護が非常に有効だということで、全国にそういうのをもっとつくろうじゃないかという話だったんですが、突然変わりまして、介護保険で、そちらがやるということになった。そのかかわりはどうなりますか。だから、業務内容の見直しをされるのかどうかです。
  79. 縄野克彦

    縄野政府参考人 例えば若年で交通事故に遭って植物状態になられた方の療護というものにつきましては、実際の療護も介護のための必要な費用の支給というものも、今度の介護保険制度では対象の外でございます。  そういう観点で、もちろん重複する部分について厚生省とも御相談をして調整をしなければならないと考えておりますけれども、依然としてそういう交通事故で若年の被害者がいるというようなことを考えますと、私どもはそういう意義は失われていないのではないかというふうに考えております。
  80. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま玉置委員が御指摘になりました事故対策センター、私も千葉の事故対策センターへ伺ってみました。交通事故に遭われた、今局長から申し上げました若年の方々、そしてまた中にはもう指一本しか神経が残っていない、あるいは、まだ障害を受ける前に例えば英語が好きであったという人は、ただ英語の幾つかの単語をたくさん並べることはできるが、そのほかのことについては大変不自由しておる、したがいまして、高等学校の英語の先生なんかをお願いしてたまに来ていただいて、そのときはその子供が非常に元気になる、こんなお話を聞くにつけまして、やはりこれは車社会全体が対応していかなくてはならない問題ではないか。  もちろん、委員指摘のように、介護保険制度によってカバーされる部分が相当出てきたことはありがたいことだと思っております。同時に、この後遺障害につきまして、先般私は対策の強化のために運輸大臣懇談会に後遺障害部会というものを新たに設置しまして、今、学者あるいはまた障害を持つ父兄たち、みんなお集まりをいただいて御審議をいただいております。御意見が出てまいりましたら、また委員にもお示しして御意見をさらにちょうだいいたしたいと思います。  いずれにしましても、今運輸省考えておりますことは、この車社会の担っていかなくてはならない共通の問題にお互いに心を寄せ合っていこうではないか、このことを関係者に今呼びかけているところでございます。また一層の御指導をいただきたいと思っております。
  81. 玉置一弥

    ○玉置委員 では、自賠責、あと一点だけ。  再保険制度について見直すべきだという意見があります。これは賛否両論ありますけれども、これについて私どもの方は、いわゆる民間でできるものは民間でやろう、そういうことを背景にして、再保険は要らないのじゃないか、再保険で発動されることはまずあり得ないだろうというふうに思いまして、そういう方向をぜひ検討願いたい。  それから、先ほどの運用益につきましての使途、これをできるだけ情報公開といいますか、はっきりとしていただきたい。  この二つについてお答えをいただいて、次のコンクリート問題に移りたいと思います。
  82. 縄野克彦

    縄野政府参考人 まず、再保険の問題につきましては、この自賠責の再保険については二つの機能がございまして、一つは当然リスクヘッジということでございます。もう一点は、この制度の発足当初から、いわゆる過小払いの防止、被害者が救済のために必要な支給が得られるように、その再保険を通じてそれを担保するという機能もございました。  そういう観点から、再保険を廃止する問題につきましては、運輸大臣懇談会報告書におきましても、被害者保護に抜かることがないように、それから、先ほど御指摘がございましたような、被害者救済対策に必要な財源の確保が継続されるように等の五つの条件が示されたところでございます。この条件に具体的にどのように制度を構築するかということにつきまして、私どもが今鋭意検討しておるところでございます。  特に、被害者保護につきましては、適正な保険金を支払わせるための公的監督システムがなければ不安だという被害者代表あるいは学識経験者の御意見もございました。そのような不安にこたえるに足るシステムはどのような形がいいのかということについて、検討が必要であろうというふうに思っております。  この問題も含めまして、現在、自賠責審議会の場で検討中でもございますし、運輸省としてもこれに参加しているところでございます。自賠責審議会の検討も踏まえまして、運輸大臣懇談会を再開しまして、被害者代表を加えて具体的な制度設計を私どもとしてやってまいりたいというふうに思っておるところでございます。  それから、いわゆる運用益の政策支出につきまして、どのような仕組み、情報公開が必要ではないかということでございますが、私どもとしましては、国会にお諮りをして御議論をいただいておるところではございますけれども、さらに支出についての透明性の向上を図るために、例えば、運輸大臣懇談会にこの支出についての議論を行っていただくための部会をつくりまして、早ければ本年四月にもこれを開催して御議論いただきたいというふうに考えておるところでございます。
  83. 玉置一弥

    ○玉置委員 ありがとうございました。では、自賠責は以上で終わります。  それでは、山陽新幹線のコンクリート剥落事故のその後についてということでお聞きをしたいと思います。  昨年六月、十月と二度にわたり山陽新幹線、その他在来線でもいろいろございました。従来コンクリートの寿命というものは、長いもので百年、普通で五十年というふうに言われておりましたけれども、それが三十数年でこういう結果になる、これは将来もっと悪くなる兆しではないかという心配もしております。  そこで、前回は、緊急危機管理体制という形でこういうことを予測して準備しているかというお話を聞いたら、全然事故の想定はしていないというような話があったので本当にびっくりしたのです。それは通告はしていないけれども、一応、どうなりましたか。  というのは、本当に事故が起こらないと思っているのかということですね。実際に、乗り上げそうなものが、大きいのがぼつぼつ落ちてきて、ぼろぎれまで入っていたという話がありましたね。それがどうなるのかということ。  それから、山陽新幹線が保有機構から譲渡されたときに、こういう欠陥がわからなかったわけですね。そういう意味で、今もう既に百億以上かけて西日本がいろいろな補修をしておりますけれども、この補修費が将来ともに継続して出てくるとすれば相当な金額になるわけです。労使間でいろいろ問題になりまして、西日本旅客鉄道労働組合、JR西労組というところと、JR連合、日本鉄道労働組合連合会というのがあるのですが、この両方の方がお見えになりまして、ともかく、こういう費用がかさむから労働条件に異変を来すというのは困るんだということで、責任を明確にしてほしい、こういう話がありました。  委員会の中でも、こういう多額の処理費用が出たときにどうするのですかというふうに聞きましたら、JRの方は、いや、そのときそのときにならないとわからないみたいな返事があったのですけれども、そうじゃなくて、もともとの責任は、実際に製造者責任ということがわかれば、やはり国として、当時の国鉄にかわって、保有機構にかわって対応すべきではないかというふうに思います。この費用の部分がまず問題点。  それから、その後に、施工業者、これは当時の国鉄の監督責任もあるのですが、施工業者がもう大体わかっているはずですけれども、その施工業者に責任を持たせるためにどうしたらいいのか。あるいは、今までの分の責任をどうされるのか。この辺について、お伺いしたいと思います。
  84. 安富正文

    安富政府参考人 ただいまの先生の御質問に対してお答えしたいと思います。  まず、補修費用の件でございますが、御承知のように、今回のコンクリートの剥落を防止するための剥落防止工につきましてJR西日本がかなりの補修を行っているということは事実でございます。これにつきましては、我々としては、もちろん最初につくりました、トンネルの工事をした国鉄の責任というものはございますが、実質的にその国鉄の資産であるトンネルを引き継ぎましたJR西日本、これが、最終的には事業者の責任として保守管理を適切に行っておるという責任を持っておりますので、基本的には事業者における第一義的な責任として補修費を払うべきではないかというふうに考えております。  ただ、ここら辺につきましては、先般も国会等で申しましたように、我々として何らかの財政的な支援措置ができるのであれば、いろいろ考えたい。まずは、やはりJR西日本なり事業者が判断していただいて、その上で、何らかの国としての財政的な支援が欲しいということであれば、我々としてもいろいろ検討してみたいというふうに考えております。  それから、もう一つの施工業者の責任でございますが、これにつきましては、実は、前の国会でも何度か申し上げましたけれども、不法行為責任あるいは売買に伴う瑕疵担保責任、こういうものにつきまして、我々としても法律的に検討いたしましたが、いずれも二十年という時効、もっと短い時効ございますが、そういうことにひっかかって法的責任をとるということは非常に難しい状況でございます。  これに対して、もう少し、JR西日本も、事業者として法的に何らかのほかの手だてはないかどうか、弁護士とか法律関係者も含めて検討しておるようでございますが、第一義的に、我々が考えた範囲ではなかなか難しい面がある。ただ、その際に、では、どういう責任を施工業者として負ってもらうか、社会的責任、道義的責任、あるかと思います。  我々としては、ここら辺については、鉄建協の協会に対しても、やはり協会として、今後コンクリートのこういう剥落が起こらないように、今後の補修の方法なりあるいは保守のあり方なり、こういうことについて、施工業者として、建設業者としてもいろいろ知恵を出していただくべきだということで指導しておりますけれども、そういう形で、何とか施工業者としての社会的な責任というものについて、我々としても今後考えていきたいというふうに考えております。
  85. 玉置一弥

    ○玉置委員 今のお話伺いますと、まだ大変だと言ってこないからいいという話ですよね。そういう話ですよね。だから、早く大変と言ってきた方がいいわけですよね。その辺、どうですか。
  86. 安富正文

    安富政府参考人 大変と言ってこいとか言ってこないという話ではなくて、JR西は、今のところは責任を持って自分たちの力でこの補修をやり遂げたいという意向を持っているというふうに聞いております。もし、それがJR西日本として、やはり国の何らかの支援というものが必要だということであれば、我々としてもまた検討したいということでございます。
  87. 玉置一弥

    ○玉置委員 実は二月の初めに、組合の方が全国の利用者の方にいろいろと、こういう文を示しながら署名活動をされております。というのは、やはり当時の責任を結局は会社全体でかぶるということになっている、それは経営者の責任でもあるけれども関係のない一般の従業員の方が、全部そういうところに影響して、かなりの金額が利益から削られるということになってくるので、将来に対する大変な不安を覚えた、こういうお話でございます。  ですから、物の見方によっては、かなりぼろぼろ出てきて、トンネル全部やりかえるというふうな大きな問題になってくると思うのですね。その前兆だろうし、私たち視察をし、見せていただいたところでも、こんなのがよく通ったなというようなところがいっぱいあるわけですね、えぐれていたりとか。あんなのは普通考えられないのですが、そういう面から見ると、かなりずさんな工事が行われたのではないかなという感じがするのですよ。  その辺で、今鉄道総研のいろいろな結論が出ていると思うのですけれども、その辺を含めて、では今のトンネルはどうだったのだということをちょっとお聞きしたいと思います。
  88. 安富正文

    安富政府参考人 先般のコンクリートの剥落事故のそれぞれの原因究明については、現在、トンネル問題検討会で検討していただいておりますし、二月二十八日、検討会の報告が出ることになっております。その中で原因については明らかになるかと思いますが、委員指摘のように、ある意味で、必ずしも施工上問題がなかったということではないというふうに考えております。  ただ、我々としては、トンネルの問題について、やはりトンネルが何年もつかという議論がございますけれども、やはりちゃんと点検をして、それなりの保守管理、補修をしてやれば、かなり長期にわたってこれは維持できるというふうに考えておりますし、そういう観点からも、JR西日本が先般行いました大々的な総点検、あれによって、山陽新幹線、少なくとも山陽新幹線の前回の総点検の結果によって相当これはちゃんとした補修ができたものというふうに考えております。
  89. 玉置一弥

    ○玉置委員 専門家の方に伺いますと、型枠を早く外して十分な養生ができなかったということが一つあるのではないかと。それから、水抜きの不備というのがありまして、その水抜きをやらないために、洗い流されていくといいますかだんだん風化していくわけですね。それと、中性化。原因はこの三つだ。大体そういうふうになるだろうと。それを、どこがどうなっていると見つけるのは大変だという話がありまして、かなり精密に検討していかないといけないと思うのですね。  だから、そういうふうに、今までにない費用がずっと継続してかかっていくし、場合によっては部分的に大改修というのがあると思うのですね。そういうふうな費用が出てきたようなときに、ぜひ国が面倒を見るという姿勢を示していただきたいというふうに思います。それについて、御答弁をいただきます。
  90. 安富正文

    安富政府参考人 先生おっしゃるように、トンネルの実際の施工の状況によっていろいろな補修の方法が変わってくるかと思います。そういう意味で、今回JR西日本の方で総点検をした結果、その結果に応じてかなりの補修費を出しているかと思います。  また、これからさらには、トンネル以外にも高架橋の問題も含めまして、どういう形でこれを補修していくかということがございますので、そういう際に、それがJR西日本として耐えられないような相当な負担というようなことになりますれば、前回の、我々として阪神大震災の際にも財政的支援をした例がございますので、そういう例を参考にしながらいろいろ検討していきたいというふうに考えております。
  91. 玉置一弥

    ○玉置委員 ありがとうございました。  最後大臣に、観光に絡んだお話をちょっとお願いしたいと思います。  外国から来られる人数がなかなかふえない日本でございますが、これは、一つは受け入れ体制だと思うのですね。外国の人が観光に来て、泊まる場所とか一般的な受け入れとか、こういうのがなかなか整わない。しかし、日本からは年間千五百万人ぐらい出ておられるということで、この収支の差が非常に大きいのですね。  これをどうするかという話と、もう一つは、我々の田舎というと怒られますけれども、観光地はどちらかというと田舎の部分に結構あるわけで、そういうところの非常に重要な地場産業になっているわけですね。ここでやはり雇用開発という形でやっていかなければいけない。そういうふうに、ただ自然に観光客を受け入れて、そこの地元の業者の方だけがそれに対応しているということではなくて、やはり一つの産業開発という形で見ていかなければいけないかと思うのですが、この辺について御意見を伺いたいと思います。
  92. 二階俊博

    ○二階国務大臣 今、外国人の観光客の誘致についてでありますが、委員指摘のとおり、大変幅が広うございます。大体、日本から海外に出ていく人と、海外から日本へお越しになる人、四対一ぐらいでございますから、これを何としても縮小していかなくてはならない。同時に、海外から日本にお越しにならないというのは、単に金額だけの問題だろうか、単に言葉の障壁があるということだけだろうかということも、やはりもっと真剣に考えてみなくてはならない。  しかも、海外、日本の在外公館に対しましても積極的な協力を呼びかけるべきだ、こういう観点から、先般も外務大臣にこのことを申し上げ、外務省としても積極的に協力しようということに相なっておりますので、だんだんとこの問題は改善の方向に進んでいくであろうと思いますが、運輸省としては、とりあえず四百万人を倍増して八百万人にする、そのために国別の対応等を今立案をいたしておるところでございます。  今、地方における観光問題は、単なるいわゆる観光で終わってしまうだけではなくて、地域の産業としてもっとしっかりした立ち上げが必要ではないかという御指摘だと思いますが、先般、観光業界に新たに御参加をいただく方々約二万人を想定しまして七億一千万円の補正予算を計上し、今それぞれの地域でパートタイマーの有能な労働者を確保して観光産業に送り込む、この際観光産業としてもいい人材を吸収する、そうしたことに対応いたしておるところでございます。  また、来年の九月でございますが、これは訪日観光客誘致につきまして極めて重要な催しになろうと思いますが、御案内のように、世界観光機関、WTOの総会、これは世界百三十一カ国が加盟をしておる大きな観光機関でございまして、これがソウルと大阪とで総会が開かれる予定でございます。二千人ぐらいの観光関係の有力な皆さん日本に集うわけでございます。  ここから先、ダボスでの経済会議のように、幾つかの分科会をつくる、あるいはまたそれぞれの地域がこれらの方々を誘導する、それぞれの県にお越しいただくようなことをあらかじめやはり計画をしておくなどを行って、日本のよさをもっと世界に知っていただく。日本というと東京のようなことをずっと感覚的にとらえておられる方々が多くおりまして、今、委員指摘のような、地方に外国の観光客をお連れした場合に、必ず、初めて日本を知ったという感じがすると大変感動を持って語られる場合がしばしばあるわけであります。  私は、観光のテーマパーク等も重要な役割を果たすと思うわけでありますが、同時に、日本全体におきまして外国観光客を受け入れる心の準備といいますか、そういうことを私どもも積極的に呼びかけてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  いずれにしましても、観光は、日本の文化、歴史を海外に紹介するとともに、日本人と外国の皆さんとの心の交流を通じて世界の平和にも通ずるというような重要な役割を担った産業であると思っておりますので、今後とも一層真剣に取り組んでまいりたい、このように思っております。
  93. 玉置一弥

    ○玉置委員 ありがとうございました。終わります。
  94. 仲村正治

    仲村委員長 次に、赤羽一嘉君。
  95. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。  本日は、先日の衆議院運輸委員会における運輸大臣所信表明演説に対しまして、私は大きく二点について御質問をさせていただきたいと思います。一つは、この中にあります地球環境に優しい交通運輸行政の推進について、これが第一点でございます。もう一つは、観光施策の充実について。この二点についてお尋ねをしたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。  まず、地球環境に優しい交通運輸行政の推進についてということで、去年、二階運輸大臣のまさにリーダーシップのもとで、グリーン税制の創設ということを一生懸命やっていただきました。私たちもそれなりに努力をしましたが、残念ながら、結果としては創設をすることはかなわなかった。非常にいろいろなしがらみがある中で、大臣もおっしゃられておりましたが、これはもうまさに京都会議、COP3の国際公約を守ることだと。後ろに何も利権めいたようなことがないことを推進するという意味では、大変まじめな当然の主張だと思いますし、私たち公明党の基本政策にも合致したということで、これは今後も私たちの立場でも推進をしていきたいと思います。  あの中で、非常に嫌らしい反論がありました。それは、二・五トン以上の大型車、トラックとかについては、まさに燃費測定が確立されていないということで今回の対象に入らない、そういう内容になっているところを揚げ足をとるような言い方をして、要するに運輸省は自分のかわいいところには税金をかけないみたいな言い方をしていた。それについて運輸省の反論としては、もらった資料の中にもありますが、二〇〇〇年中に燃費測定方法を定めるべく学識経験者を交え検討を進めているところであって、はなから外しているわけではない、こういうふうに説明をしていたわけでございます。  この二・五トン以上、大型トラックないしバス等々の燃費測定法の今の進捗状況について、これは細かい話ですから局長で結構でございますが、答弁のほどをお願いします。
  96. 縄野克彦

    縄野政府参考人 車両総重量二・五トンを超える自動車につきましては、実情を申し上げますと、車体構造などの仕様が多様であるということと、重量が重いために、台に載せて試験をする装置、シャシーダイナモメーターが非常に少ないということで、燃費を測定するための課題があるわけでございます。  今先生おっしゃられましたように、これらの課題を解決して新しい評価方法というものを作成すべく、二〇〇〇年度に測定方法の策定の結論を得るよう、検討を行っているところでございます。
  97. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 見通しは。
  98. 縄野克彦

    縄野政府参考人 二〇〇〇年度には測定方法についての結論を得たいというふうに考えております。
  99. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 得たいではなくて、得るべく、もう命がけでやってもらいたい。省を挙げて本当に新しい税制を確立しよう、環境問題でということでありますし、他の省庁とか政府税調にもそういう説明をしているわけですから、頑張ったけれどもできませんという話にはならないと思います。  その点も踏まえて、今後のグリーン税制への取り組みについて、大臣からその取り組み方針についてお聞かせをいただきたいと思います。
  100. 二階俊博

    ○二階国務大臣 まず、グリーン税制の問題につきまして、自由民主党、公明党、自由党のそれぞれの政策責任者、つまり交通部会長のようなお立場の方々がこぞってこの問題に御協力をいただきましたことを感謝申し上げておきたいと思います。中でも赤羽委員は、公明党のその筋の専門家でございまして、積極的な御協力をいただいたことをよく記憶いたしております。  そこで、自動車グリーン税制につきまして、自自公合意におきましても一定の記述が得られたわけでありますが、平成十二年度は残念ながら御承知のとおりのような経過をたどって、実現の運びに至りませんでした。しかし、二〇〇二年の京都議定書の発効まではあと幾らも時間は残されていないわけでありまして、温室効果ガス六%削減の国際公約を達成する上での自動車グリーン税制の重要性はいささかも変わっていないというふうに確信をいたしております。  このため、引き続き地球温暖化問題に対する交通運輸部門の最重要課題としてグリーン化の旗を掲げて、平成十三年度税制改正での実現に向かって関係者の御理解を得られるように努力してまいりたいと思っております。  同時に、自動車に関係するあらゆる団体の皆様とも改めてこの問題につきまして率直な意見の交換を行い、京都議定書のとおり、世界に発しております公約でございますから、これに対する我が国の対応につきましてぜひ御理解をいただきたいということで、今後も御相談を申し上げてまいりたいと思います。  昨日も自動車工業会の皆様と懇談の機会がございましたので、ちょうどいい機会だと思いまして、グリーン化の問題につきましては、これからも運輸省として取り組んでまいりたい思うので、十分技術的な面を含めて専門的な意見の交換もいたしたいということを申し上げました。自動車工業会としても、このことについては積極的に取り組んで、その協議に応ずるという意思の表明がございましたので、そのようにしてまいりたいと思います。  なお、私は、閣議後の閣僚懇談会におきましても、グリーン化の旗はおろさない、こういう発言を申し上げると同時に、こういう発言を私自身が運輸大臣として申し上げたことを、ぜひ閣僚の皆様は御記憶にとどめていただきたいということを申し上げております。その後も雑誌その他に記述の際には、グリーン化の旗はおろさないということを改めて申し上げておりますので、積極的に各党の皆様の御協力が得られるようにこれからも努力をしてまいりたい、このように思っております。
  101. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。公明党も、引き続き大臣に呼吸を合わせてしっかり協力をしていきたいというふうに思っております。  このCO2の問題だけではなくて、当然、大臣所信表明の中にもありますが、自動車からの排気ガスのNOxとか、あとは浮遊粒子状物質、SPMの対策についても今後とられなければならないと思います。これは一昨日の新聞で、各紙、東京都のディーゼル車浄化装置義務化云々というこの話の中で、事務次官の御発言が随分記事になっておりました。  いろいろなお話があったのだと思いますが、新聞紙上では、例えばこの新聞では、運輸省反対、コストなど問題、こちらは、運輸次官、ディーゼル車規制案に困惑、一部地域実施には疑問等々、結構そういう話が出ておりまして、とらえられ方によっては、これはCO2は一生懸命やるけれどもディーゼルは後ろ向きだ、これはやはりまたトラックが関係あるのだろうみたいな、こういうひっかけられ方をされて、非常に運輸省としても不快に思われると思いますので、この辺の発言の真意も踏まえて、NOx等SPMの対策についての御発言をお願いしたいと思います。
  102. 二階俊博

    ○二階国務大臣 東京都の石原知事の御提案、この提案と運輸省と決して対立するものではない。同時に、環境庁のお考えに対しましても、私どもは環境庁と常に連携をして京都議定書の実現に向けて取り組んでまいりたいという運輸省の姿勢に対して、常に環境庁から、むしろ一緒に取り組んでいくことに対して強い味方ができた、こういう受け取り方をされておりますが、政府として当然協調して対応していくべきものだと考えております。  今お話しの次官の発言でございますが、これはこれで次官の発言の真意というものを私もただしてみましたが、やはりディーゼル車に対して、それぞれ公害を防除するための装置、いわゆるDPFを設置するにつきまして相当の費用がかかるということ、それを発言したために、何かこのことに消極的のように受け取られたような感がいたしておりますが、次官の発言の真意はそうしたものでは全くありません。  つまり、私としましては、直ちに運輸省と環境庁とで検討委員会、これを設置して、長い時間をかけて検討するのではなくて、できるだけ早く結論が得られるようにしたい。そして同時に、自動車工業会に対しましては、これらの問題についての技術開発について真剣に取り組んでいこうではないかと。運輸省としても、今御審議いただいている予算が通過、成立した後には、技術開発という面で予算をこれに充てるということを今私は考えておるところでありますし、来年度予算の要求に際しましても、これらの面につきましてもっと具体的に速やかに結果がもたらされるように対応していきたいというふうに思っておる次第でございます。  したがいまして、石原知事の発言も、これは環境問題、ともに取り組んでいこうという中で、私は十分理解のできることでございます。ただ、突然早急にこれを実施するということにつきまして、業界等との十分な意見の交換をしていかなくてはならないのはこの時代においては当然のことでありますから、私たちはそうしたことについてはきちっとした対応をしてまいりたいと思いますが、基本的には、石原知事の発言も環境庁の発言も十分理解できるということでございます。
  103. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 ありがとうございます。  環境庁との検討委員会を持たれているということですので、速やかにそれを世に発表して、途中経過でも結構だと思いますが、アクションを起こしていくということが大事ではないかなというふうに思います。
  104. 二階俊博

    ○二階国務大臣 環境庁との検討委員会につきましては、直ちに環境庁に、具体的な人選も含めまして委員会の立ち上げを御相談いたしておりますが、環境庁もこれに対して積極的に応ずるということでございますので、委員指摘のように、速やかに委員会をスタートさせると同時に、できるだけ早く結論を見出して、そして技術的な開発等についても真剣に取り組んでいくと同時に、トラック関係のそうした事業者バス関係事業者等にも御理解が得られるように努力をしてまいりたいと思っております。
  105. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 低公害車、低燃費車の普及促進について、こういうことでちょっと話をしたいと思うのです。  実は、地元タクシー会社を、今回の需給調整の規制緩和の件でいろいろ回っておりました。その中で、今後需給調整の規制緩和の中で競争が行われる、非常に差別化もしていかなければいけない、環境に優しいタクシー会社ということを売り出していきたい、こう思っていらっしゃる近畿タクシーという地場の会社がございました。  そこの社長が、天然ガスと、大臣も乗っている車、ハイブリッドカーをタクシーに導入しまして、言われているのは、やはり高いものですから、運輸省の先駆的低公害車評価事業、こういうのがあるけれども、非常に実験的な側面というのが強くて、もうちょっと何とかならないのかなと。通産省には、クリーンエネルギー自動車普及の補助事業等あって、これはいろいろ財布が大きいと思うので、いろいろあるのでしょうけれどもタクシーは対象になっていない。  タクシーというと二十四時間走る車でして、そういう意味では、天然ガス、ハイブリッドカーなんかの宣伝効果も強いわけですから、こういったことを運輸省の中で新たな補助事業考えていくとか、もしくは、通産省のこういったことに対して働きかけていくとか、そういったことのお考えはどうか、お聞かせいただきたいと思います。
  106. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいまの御発言の趣旨からいたしまして、当然今後私たちは、環境庁とだけではなくて通産省とも積極的に連携を図って対応していきたいというふうに思っておるわけでございます。  低公害車の導入の促進は、運輸部門の環境対策の重要な柱として、今後とも熱心にこの問題に取り組んでまいるつもりでございます。補助制度のほかに、低公害車に関する自動車関係税制の軽減等、普及のための施策を充実してまいりましたが、これからも一層このことのために積極的な対応を図ってまいりたいと思っております。  なお、昨年でございますが、こうした低公害車をそれぞれの自動車メーカーが競い合うようにして最近は製造いたしております、奨励、激励をする意味で、運輸省の前庭を開放しまして、それぞれの企業ごとにおいでをいただいて、運輸省建設省に出入りする皆様にこれを陳列した次第であります。  私どもは、この低公害車の導入、さらには自動車の諸税のグリーン化の問題またバリアフリー問題等運輸省の中だけで考えておって解決する問題ではございませんので、広く多くの国民皆さんの御理解や御協力が必要でありますから、進んでシンポジウム等を行い、いろいろな方々の御意見をちょうだいしてまいりたいと思いますが、委員指摘のような点につきましても、今後十分検討してまいりたいと考えております。
  107. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 もう時間がかなり短くなったので、実は観光政策についても、御専門だと思いますので、しっかり御指導をいただきたいと思ったのです。  要するに、新観光政策としてウェルカムプラン21、これが一九九六年につくられた。このアクションプログラム、書かれているのは各施策とも物すごくよく網羅されていると思いますが、この数字を見ていますと、十年間で倍増していけるのかというと、なかなかその効果が出ていない。これはやはり、非常にいろいろ難しいことが多分あると思うのですよね。実際のプログラムはあるけれども、国の観光の予算、詳しくわかりませんが、三十数億ぐらいだと思います、民間とか地方自治体に任せるというようなことがあると思うのですが、ここは観光の専門家の二階大臣が、今のこの立場にいるときをとらまえて、名刺に観光大臣とするぐらいのことをもって世界じゅうを飛び回る、在外公館に出ている運輸省からの出向者は全部観光部長だ、その評価はその国から日本にどのぐらい来たかで勤務評定するぐらいの勢いを考えなきゃいけないと思います。  実は、有馬の有馬兵衛向陽閣を御存じだと思いますが、そこのおかみさんが兵庫県女将の会ということで、こういう記事もあって後でお見せしたいと思うのですが、この有馬ですら外国人観光客の誘致に力を入れたい、伝統、格式を誇るあの地域でもそういったことに力を入れたいと。  ただ、御存じのように、旅館業というのは装置産業ですし、ある意味では中小企業ですから、いろいろなアイデアはあってもなかなか一軒だけでどうこうできる問題じゃないということで、補助事業的なことはなかなか難しいかと思いますが、国策として、税制の問題とかのところまで踏み込んで手を入れないと、この数字、目標にキャッチアップすることはなかなかできないのではないかというふうに思うのですね。  ですから、観光部は今運政局の局長のもとにあるのでしょうけれども大臣直轄ぐらいに置いて、本当に観光をやりたい人間だけ集めて、女性とか海外駐在経験者とか、いろいろなアイデアをそこから生み出せるぐらい、短期間勝負ぐらいでやっていただきたいなというのが要望でございます。  それともう一点。私は、自分が海外に行くときどうかなと思うと、やはりアジアのリゾート地に行くときに結構アクセスがいいのですよね。当然、アジアは物すごい。今日本は、外国人が来る順位がアジアの中でも七位ですね。近隣まで来ていながら日本に寄ってくれないという話の中で、やはり成田と観光地域のアクセスが悪過ぎると思います。成田から那覇というのは一本か二本、成田から札幌もほとんど一本ぐらいしかない。これはすごく致命的ですし、成田から東京に出るのもすごく費用がかかる。東京のホテルは一泊するのも金がかかる。  本当に、もうちょっと知恵を出せばコストをセーブできるということは幾らでもあると思いますので、そのアクセスの問題も含めて、ちょっと答弁は難しいかもしれませんが、そういった思いがあるということに対して、最後大臣の御決意だけ聞かせてください。
  108. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ただいま赤羽委員から大変適切な御提言をいただきました。意を強くしておるところでございます。  お話しのように、特に海外から日本への観光客、アジアの中における日本の地位、そうしたことを考えますと、本当に暗たんたる思いにならざるを得ない。  日本においでになる四百四十四万人というこの数は、世界で第三十二位にランクされるわけでございますが、他の数字で三十二番目あたりに低迷することはほとんどないわけでございます。そして、観光振興の予算につきましても、今お話がございましたが、シンガポールのような国でさえ、年間百億ぐらいの観光関係予算を計上しておるわけでございます。  今までの観光は何か遊びというふうな感覚でとらえられておりますから、旅館は旅館、ホテルはホテル、みんな勝手に経営しておればいいという程度の扱いであったわけでありますが、私は、これでは日本の観光は伸びないということで、あらゆる観光関係団体の皆様にお集まりをいただきまして、観光産業振興フォーラムというものを昨年の暮れに結成した次第でございます。  今、全国各地で、県知事や市町村、あるいはまた地域の観光関係方々のバックアップをいただくために、そしてまた奮起を願うために、例えば、北海道、沖縄、また四国あるいは北東北等におきまして、既に、観光を考える百人委員会というものを設立しました。近く中部で、中部七県がお集まりになるようでございます。  これは役所が上からおろすというようなやり方ではなくて、地域皆さんの御熱意に基づいて対応していこうというやり方をいたしておりますので、例えば沖縄などは一県でございますし、北海道は一つの道だけでございますが、東北などは北東北という関係で三県が集まって今日まで観光対応をしてきたので、ぜひ、理解をいただくとともに、一緒にやりたい、こういう強い希望でありましたので、運輸省としてそういう対応をいたしております。  今、有馬女将の会のことも引用されましてのお話でございますが、案外外国の観光客は、ホテルもいいわけでございますが、あわせて日本本来の畳の、和式を望む人々も大変多くなったということを我々自身がやはりちゃんと知っておっての対応をすることが大事だと思うのです。青少年等、多くの皆さん日本においでをいただく、そういうことについても配慮をしていく。ですから、安い価格で日本を旅行していただくというようなことに対する配慮も我々は必要だと思っております。  時間がございませんので十分意を尽くせませんが、激励をちょうだいしたこととして、しっかり頑張ってまいりたいと思います。
  109. 赤羽一嘉

    ○赤羽委員 どうもありがとうございます。以上です。
  110. 仲村正治

    仲村委員長 次に、遠藤乙彦君。
  111. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。  大臣所信表明を拝見いたしまして、二十一世紀を展望した非常に意欲的な内容でありますし、また、随所に大臣の従来の御所見、御持論が展開をされておりまして、大臣のリーダーシップを非常に強く感ずるものであり、私も大変高く評価をし、また敬意を表するものであります。ぜひとも、この方針に沿った積極的な運輸行政推進期待したいと思うところでございます。  私は、その中で特に、経済新生への貢献という大きな柱立ての中で、大都市圏拠点空港整備の問題に触れられておりますので、この点に絞って、特に私の地元でもあります羽田空港のケースを一つの参考例としながら、御意見を伺いたいと思っております。  まず最初の大きな視点としまして、こういった大都市圏拠点空港整備は国家的なプロジェクトとも言えるものでございまして、狭い航空行政の視点にとどまらず、ぜひ、幅広い視野に立った地域活性化、また日本経済の再生という大きな視点から、戦略的に、総合的に進めていただきたいというのが私の考えでございます。  特に、なぜそう申し上げるかといいますと、現在日本は深刻な構造不況にあるのですが、その一番の理由は需要が足りないから深刻な不況に悩んでいるわけでございますが、この大都市圏の拠点空港整備については、国際線、国内線ともに航空需要は極めて大きなものがありまして、供給体制を整備すること、また航空行政をいろいろな形で柔軟に緩和していくことによりまして、一気にこれが拡大をし、また大きな波及効果を生ずるわけであります。  そういったことによりまして、この拠点空港整備日本経済活性化への起爆剤になるという認識を私は持っておりますので、ぜひそういう視点に立った施策の展開をお願いしたいと思っております。  また、タイミングが非常に重要でありまして、特にこの二十一世紀初頭、最初の十年ぐらいがその集中的期間であって、この間にさまざまなこういった大規模な交通インフラの整備、特にこの拠点空港整備をやることは、日本の将来の、二十一世紀のいわば国際的地位にもかかわる話でありまして、ぜひこの最初の十年ぐらいの間にめどをつける思いでやられることが政治史的には重要な視点であるかと私は考えております。  そういった中で、羽田に即して言いますと、羽田の問題は三つの要素がありまして、御承知だと思いますが、羽田空港の国際化も含めた大規模な機能強化という点、それから沖合移転によって出た跡地をどう開発していくかという話、そしてまた三つ目に、羽田空港へのアクセスの改善、特に環状方向の鉄道、道路の整備、これが三位一体の問題でありまして、これを緊密に連携をとりながら、早期に優先的に整備をすることで極めて大きな波及効果、活性化効果が生ずると私は考えておりますので、ぜひその視点に立った施策の促進をお願いしたいと思っております。  特に、羽田の国際化、特に夜間の国際化だけでも、シンクタンクの試算によりますと年間で二兆円規模の経済効果、雇用で十四万人規模の拡大効果がある、これは最も控え目な見積もりでありますが、それだけのものがあると言われておりまして、そういった点からもぜひ国際化の問題は早急に検討、実現をお願いしたいと思っております。これは要望として申し上げます。運輸省の立場、よく承知しておりますので答えは求めませんが、要望としてまずこれは申し上げたいと思っております。  それから、二つ目の、これはぜひ大臣の御意見をお聞きしたいのですが、跡地の開発の問題です。  運輸省のお立場は、空港整備全体の計画が決まらないと跡地の問題は手がつかないというのが行政当局のお立場だと承知をしておりますが、これだと地元は非常に不満感を持っておりまして、そうは言ってもやはり跡地として確定できる部分とそうではない部分、当然論理的には分けられるわけであって、跡地として間違いなく確定できる部分については、そこだけでも全体計画の中で前倒しして開発を進めていくことがいろいろな意味地域活性化、また経済活性化に資するという意見が強いわけでございます。  まず、この点につきまして、大臣の御所見を承りたいと思います。
  112. 二階俊博

    ○二階国務大臣 まず、冒頭遠藤委員から御意見の開陳がございましたが、私ども十分理解できるところでありまして、今後とも、特に羽田周辺、遠藤委員のお地元でもございますから、十分御意見を拝聴しながら対策を整えてまいりたいと思っております。  羽田空港の跡地利用計画の策定に先立ちまして、跡地の範囲を決める必要がある、これは役所の考えだろうということでありますが、当然のことであります。現在、羽田空港として将来を見据えた空港計画の見直しを行っておりまして、これによって空港用地の範囲をできるだけ早い機会に定めて、当然跡地の範囲も限定して対応を考えていかなくてはならないと思っております。  今遠藤委員の御質問を拝聴しながら、跡地の範囲が定まった後にこの跡地の計画を立てていくということでは少し遅過ぎるのではないかということでありますが、当然できるだけ早い機会に跡地利用計画地元の意向も踏まえて段階的に立てていくということを考えていかなくてはならない。したがいまして、前倒しに対処せよということでございますが、できるだけ前倒しに積極的な対応を図ってまいりたい、このように考えております。
  113. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 前倒しに積極的に対応する、大変ありがたいお言葉で、感謝を申し上げたいと思います。  続いて、空港アクセスの問題。これは中馬総括政務次官にお伺いしたいと思いますが、一月二十七日付の運輸政策審議会の答申の中に、通称蒲蒲線と言っておりますけれども、京浜急行の蒲田駅と東急蒲田駅、実はこれは七百五十メートルなんですが、長いギャップがありまして、これがために羽田から環状方向への交通が実は非常に不利な状況に置かれております。これにつきまして、A2ランクでこれが載りました。ということは、二〇一五年までに着工ということでこれが載りました。この点は私は非常にうれしく思っております。  また、いわゆるエイトライナー、羽田空港から環状八号線に沿って赤羽まで地下鉄で行く、さらには湾岸にまで行くといういわゆるエイトライナーもBランクで載ったわけでございまして、載ったこと自体はうれしいのですが、余りにも悠長な計画だということで、今の日本再生の緊急な状況から見て、タイミングからいって、もっと早くしてほしいというのが希望でございます。  特に、地元の方からは、我々の目が黒いうちにやってほしい、そういった強い要望が寄せられておるところでございますが、そういった地元の要望にとどまらず、日本経済全体の再生という点から見ても、特にこの蒲蒲線の場合、わずか七百五十メートルの距離でございますので、これがつながれば、既に運輸省からも発表されています都市交通のネットワーク化ということで、東武東上線、西武池袋線まで含めて池袋、それから地下鉄十三号線が今計画中で、それが渋谷まで行く、さらに東横線に入って田園調布からさらにまた東急蒲田まで、全部羽田空港まで直通でつながるわけでありまして、この交通のネットワーク化が持つ価値ははかり知れないものがあると思っております。  そういった意味で、二〇一五年と言わずもっと条件を早く整えて、早期着工、早期完成に向けてぜひとも御努力いただきたいと思いますが、これにつきまして、政務次官の御所見を承りたいと思います。
  114. 中馬弘毅

    中馬政務次官 このたび羽田の沖合展開で、また非常に容量が大きくなる。と同時に、それはアクセスの問題にもつながってまいりますし、またどんどん入ってこられるので、そこにお住まいの方々に対してのいろいろな問題点もまた出てこようかと思います。  しかし、今のお話はアクセスの問題でございまして、この間お話がありました運政審の答申としての東京圏における鉄道整備計画、これにおきまして、今の蒲蒲線、これが決定されました。二〇一五年までに整備着手することが適当である路線、このように位置づけられておりますから、私どもとしましても、それに沿いまして、しっかりと地域の要望を担いながらの対応をしてまいりたいと思っております。  ただ、地下に潜ったり上がったりということがありますので、技術的に若干問題がありますので、そのことの調整を私たちもやっていきたいと思っております。  それから、もう一つのエイトライナーの方の話も同じく出ておりますけれども、これは二〇一五年までに一つの対象とするというようなことでございまして、着工することはちょっと後になりますけれども、ともかくアクセスにつきましては私どももしっかりと対応してまいりたいと存じます。
  115. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ぜひ、少しでも期間を短縮して、実現方よろしくお願いをしたいと思っております。  続いて、次の大きな視点なんですが、そういった大都市の拠点空港が今後運用していく場合に、やはり地域との共生ということは大変重要なテーマでありまして、ぜひこれを実現していくことが必要かと思います。  特に、空港運営上騒音や交通等々のさまざまな問題が発生をしてまいりますので、そういったことにしっかりと対処をし、地域住民から理解、支持、協力を取りつけていけるような状況を常につくるということが大事ではないかと思います。  そういった意味で、私は三つの角度を考えておりますが、交通量の増大や騒音問題等空港の発する負の、マイナスの要素に対して直ちに適切に対処するということが一つ。それからもう一つは、そういった空港の機能強化に伴う利益が地域にもしっかりと目に見える形で及んでいくということが大事、そういった意味地域との共存共栄といったことだと思います。それから三つ目に、いろいろな航空政策、運用について、地域との対話のあり方、これも非常に大事だと思っておりまして、やはりきめ細かい、幅広い地域住民との対話を常に行ってアカウンタビリティーを高めておくということが、空港地域との共生の基本にある話だと思っておりまして、この三つのテーマをしっかり追求すべきだと思っております。  その点、まず第一点に、また中馬政務次官にお願いをしたいのですが、今の羽田空港国内便の増便の問題を、地域と協議を始めております。当然その中で交通量の増大が危惧され、また、今後左旋回ですね、北に向かって離陸し左旋回、住宅地の上を飛ぶ可能性も出てまいりますので、騒音問題について非常に強い地元の危惧がございます。  そういった中で、まず交通量増大。これは特に、羽田空港からおりて産業道路あるいは環状八号線という幹線道に出るまでの間、どうしてもタクシーなどが生活道路をいわば抜け道として通るものですから、大変この生活道路に交通事故の問題とか混雑等の問題が発生をしておりまして、地域から大きな苦情が出ているところでございます。こういった交通量の増大、また騒音問題に対してどう対処されるのか。これにつきまして、まず政務次官の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  116. 中馬弘毅

    中馬政務次官 御指摘のように、羽田空港への需要は今後ますます増大してまいることが予想されます。本年三月の新B滑走路の供用開始に合わせまして空港処理容量が大きく膨れること、これはもう御承知のとおりでございます。  自動車交通による市街地への影響につきましては、沖合展開事業によりまして主要アクセス道路が湾岸道路に移りました。また、京浜急行が開通したことによってかなり改善が図られていることは御承知かと思います。また、今後増便によって増加する自動車交通につきましては、東京都、区、それから建設省、こういった道路管理者等との調整を図りつつ、運輸省としてできるだけのことにつきましての適切な対応をしてまいりたいと存じております。  また、航空機騒音につきましては、市街地において環境基準を満たすことを確認しておりますけれども、運用に当たっては、環境に十分配慮してまいりたいと考えております。
  117. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ぜひ適切な調査と対応をお願いしたいと思います。  続いて、もう一点、これも政務次官にお願いしますが、空港の機能強化のメリットが地域に目に見えて及ぶということをどうつくっていくのかということなんでございます。  これは、私、地元の意見などを聞いて考えるのですが、やはり羽田周辺の町づくりに積極的に支援策をしていくということが一つの姿なのかなというふうに考えておる次第でございます。  特に、従来、羽田の場合には、戦後、四十八時間以内に強制退去ということで強制的に退去させられた方々が羽田周辺に住んでおられますが、その部分がまさに陸の孤島のような状況になっておりまして、狭い道路、木造密集地ということで消防車も入れないような非常に厳しい状況になっておりまして、そこだけ取り残されたような状況になっております。そういった方々から見れば大変な、ある意味では怨念も持っておるわけであって、何ら羽田空港から恩恵がないのに、騒音とか負の側面だけ負わされているという気持ちがあるわけであります。  そういったことに対応するためにも、ぜひ目に見えた形での支援策、特に今後の空港と共存する町づくり、また世界に開かれた町づくりという点で、ぜひ支援策を進めていくことが必要かと思いますが、こういった点につきまして、政務次官の御見解をお伺いいたします。
  118. 中馬弘毅

    中馬政務次官 先ほど申しましたように、利用される方々利便性と同時に、その地域方々にいろいろな迷惑をかけることも事実でもございます。  先ほど大臣からもお話がありました跡地利用の問題もありますが、これはまだ確定しておりません。しかし、それにつきましても地域方々としっかりと話し合っていただきたいと思います。  また、周辺道路に車が入り込んだりするといったような地域の問題につきましても、先ほど申しました都と区とそしてまた我々とも一緒になって十分に考えてもらいたいと存じます。
  119. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 ぜひ、地域の要望を最大限に受けて、また協議をしていただきたいと思っております。具体的な話は、また今後行政当局ともお話をしたいと思っております。  それから、もう一つの要素である地域との対話のあり方、これは大臣にお聞きしたいと思いますが、よろしくお願いします。
  120. 二階俊博

    ○二階国務大臣 空港建設に際しまして、また、空港が活発な経済活動を行っていく上におきましても、地域関係自治体と常に意見の調整を行う、私は、町内会に至るまでできるだけ御意見をちょうだいすることが大事だと思っております。  今、現に成田におきましても、あるいは羽田の新しいB滑走路の供用後におきましても、今後、増便等につきましては、できるだけ地元の皆様に丁寧な御説明をして十分御理解を得た上でいわゆる新規の路線を受け入れていくというふうにいたしたい。空港がうまくできて、空港が栄えて、地域が余り元気が出ないということでは、空港は成功したことにならない。  したがいまして、私も今、成田におきましても、成田の周辺市町村の皆さんに時々お目にかかり、いろいろな御意見をお伺いしながら、ともどもに、成田空港も成功させていただく、地域住民の皆さんにもよかったと言われるような空港にしたい、そうしなければ空港が十分地域皆さんに役立ったとは言えない。同じ思いで、羽田につきましても、今後、十分地域皆さんの御意見を承って対応したいと思っております。
  121. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大臣の大変ありがたいお言葉、ぜひそういった政治的な気配りを事務当局もしっかりしていただくことが大事かと思っております。よろしくひとつお願いしたいと思います。  時間もありませんので、最後一つだけ。  ワールドカップ二〇〇二年の問題は、大臣所信でも触れておられますが、特にやはり輸送面がこれは心配であります。初めての二国間開催ということであり、日本と韓国という離れた国の間での共同開催でございますので、輸送面の支援が大きなテーマであり、やはり運輸省役割は非常に大きなものがあるかと思っております。  そんな中で、成田の第二滑走路もそれまでには完成して供用するものと聞いておりますが、羽田についても、この際、羽田—ソウル間のシャトル便やチャーター便などを運用することも考えたらどうかという私の提案でございます。国際化などにつきましては立場はよくわかっておりますけれどもワールドカップという特別な行事でもありますので、ぜひ成田とともに羽田についてもチャーター便やシャトル便を運用したらどうかという提案でございますが、これにつきましてはいかがでございましょうか。
  122. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ワールドカップ期間中の旅客運送を含め首都圏の国際航空需要にこたえるために、現在、成田空港の暫定滑走路を二〇〇二年初夏の供用を目指して懸命に頑張っておるところであります。  国内の拠点空港として極めて重要な役割を果たしておりますお尋ねの羽田空港についても、現在なお全国からの路線の新設、増便への極めて強い要請が出ておるわけでございます。したがいまして、新たに外国からここに乗り入れるということはほとんど不可能に近い状況にあるわけでございます。したがいまして、先般の日韓閣僚会議におきましても、韓国からの直接羽田への乗り入れということは極めて難しいということを全体会議の席でも改めてお断りを申し上げておるわけでございます。  先ほど、夜間のチャーター便等についてどうかというお尋ねがございました。我々は、これからあらゆる角度から成田を活用する、あるいは羽田の役割等を十分念頭に入れて、今お尋ねのような趣旨を生かしながら、どう対応できるか真剣に考えてまいりたいと思います。  よく皆さんは、羽田の国際化をすればみんな便利になるからというふうなことをしょっちゅうあちこちで言われるわけでございますが、それは現状を踏まえてお考えいただければ回答は明らかであるわけでございます。しかし、それでもなお、成田の進捗、そして千葉県の御意向等も十分念頭に入れながら、先ほど遠藤委員からもお話がありました、国際化社会における国際的地位、それにふさわしい首都圏あり方等を考えますと、私どもは、この連立方程式をいかに解いていくかということに今頭を悩ませておりますが、できるだけワールドカップの成功のために運輸省役割として十分対応してまいりたいと考えております。  あわせて、首都圏の第三空港につきましても、今は調査を行っておる段階でございますが、これもやがて二十一世紀初頭には、成田空港を仮に二千五百メートルに延長できたといたしましても、また羽田空港をできるだけ広く活用することができたといたしましても、当然新たに第三空港の必要なことはもう火を見るよりも明らかでございます。これらについての対応を、今後、地元、東京及び千葉の国会議員の皆様の御意見等も十分参考にさせていただきながら対応していきたいというふうに考えております。
  123. 遠藤乙彦

    ○遠藤(乙)委員 大臣の御回答、大変含蓄に富んだ内容であると承りましたので、私もよく勉強させていただきたいと思っております。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
  124. 仲村正治

    仲村委員長 次に、松浪健四郎君。
  125. 松浪健四郎

    ○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。  大臣並びに総括次官におかれましては、朝からお疲れのことと思われますけれども、いましばらく時間を賜りたい、こういうふうに思います。  私は、大阪第十九区選出の代議士でございますけれども、その中に関西国際空港がございます。私の生まれ故郷であります。かつてはあの海で泳いだり、魚釣りをして子供時代を過ごしたわけでありますけれども、今立派に空港ができ上がり、既に供用を開始して五年になります。  地域の人々の生活も変わってまいりました。そして、関空と共存共栄させるんだという思いが対岸の都市にありまして、いろいろな面で大きな変化が見られるわけであります。そして、何よりも、経済に与えてくれたあの波及効果の大きさに我々はひたすら感謝するわけでございますけれども、いろいろな障害がありました。そして、それらを乗り越えて、昨年の七月十四日から二期工事が現地着工ということになりました。陸上ルートの問題、漁業補償の問題等運輸省皆さんや関空会社の皆さん方が大変汗を流してくださいまして、やっと現地着工にまでこぎつけたわけであります。これらに携わりました皆さんに心から敬意を表したい、こういうふうに思います。  しかし、現地着工したとはいえ、順調に工事が進んでいるのだろうか、二〇〇七年の年度内の供用開始に果たして間に合うのだろうか。申すまでもなく、大阪市は二〇〇八年にオリンピックを招致しようとしておりますけれども、できるならばきちんと間に合わせて供用開始できるように工事を進めていただきたい、こういうふうに願っております。あの海域の地盤は極めて特殊なものでありまして、実際工事を進めていくプロセスの中で、当初調査研究をした状況からかなり違っていて、スケジュールどおりいかないのではないのか、このような危惧も私にはございます。  そこで、まず、関空二期工事の進捗状況についてお尋ねをしたいと思います。     〔委員長退席、石破委員長代理着席〕
  126. 中馬弘毅

    中馬政務次官 関西新空港は、松浪先生の御地元だけではなくて、大臣の和歌山も近うございますし、また奈良や私たち大阪の、そしてまた関西の大きな期待でもございます。この完成の度合いによりましては、大阪の、関西の経済がどう左右されるかといった問題にもつながってまいります。  二期工事に対する期待も非常に大きゅうございましたが、ようやく皆様方の御同意を得まして去年の七月十四日に現地着工したことは御指摘のとおりでございます。これにつきましても、漁業の補償だとか、あるいは土砂をどこからとってくるだとか、あるいは地盤がどうだとかいったようなことは、一期工事のときにかなりもう調査もしておりますし、またいろいろな経験も持っております。それを踏まえてやっておりますから、非常に今のところ私は順調に進んでいる、このように認識をいたしている次第でございます。  そして、十二年度末までに護岸を大体なし遂げることができます。そして、十三年度より埋立工事を開始して、お話しの二〇〇八年オリンピックの前年までには必ず間に合わすということでやっておりますので、そのように御理解をいただきたいと思います。
  127. 松浪健四郎

    ○松浪委員 この二期工事の予算は一兆五千六百億円ということで、今年度予算の中にもきちんと組み込んでいただいております。そうしますと、順調にこの一兆五千六百億円の範囲で大体おさまるということでありましょうか。
  128. 中馬弘毅

    中馬政務次官 今のところ大きく物価変動しているわけじゃありません。しかし、そういった問題もありますから、今予定の金額どおりとあえてここで断言はいたしませんけれども、しかし、今のところ、先ほど申しましたような諸条件がかなり順調に進んでおりますから、予定した金額、そのときの物価水準とかそれは一応別にしますならば、問題なくいけるのではないか、このように認識いたしております。
  129. 松浪健四郎

    ○松浪委員 私は、毎週工事の現場に出向いて状況を見ておるわけでございます。たくさんの船が出てきて、本当に工事が行われているんだなというふうに実感するわけでございます。まだまだ様子が見えてきていませんから、どういうふうな広さになるのか、それを確認することはできませんけれども、とにかく順調に進んでおるということをうれしく思います。  そこで、この二期工事の滑走路は四千メートルの滑走路であります。四千メートルということになりますと、これは超音速機を飛ばすことができる。そして、これがもし飛ぶということになれば、関空が本当のハブ空港としてヨーロッパやあるいはアメリカに日帰りすることができる。大臣がおっしゃっておられます高速交通ネットワークの形成を図る、また、大都市圏における拠点空港整備を図る、また同時に、観光振興という面におきましても、私は、騒音問題が余り大きくならない空港であるがゆえに、この四千メートルの滑走路は私たち国民に大きな夢を与えてくれる滑走路になるのではないのか、こういうふうな期待をするところであります。  そこで、いろいろお聞きしますと、コンコルドは百人しか乗ることができない、そこへもってきて座席が小さい、快適性に欠ける、しかも騒音が大きい。そこで、諸外国においては、三百人ぐらいが乗れる大型の超音速機を開発中であるというふうにお聞きしております。もしこれらができ上がれば、あるいはそれを完成させるために日本技術的な形で参加するのか、そしてこれを飛ばし、四千メートルの滑走路を有意義に使う、それらの拠点空港として使用される考え方が運輸省にあるのかないのか、お尋ねしたいと思います。  とにかく国民は、今経済の低迷から夢を持つことができなくなってきておりますので、前向きな答弁をいただければありがたい、このように思います。
  130. 中馬弘毅

    中馬政務次官 大変夢のあるお話をちょうだいいたしまして、心強く思っております。  コンコルドのお話が出ましたが、日本にも一度飛んできたことは御承知と思います。三千メーターあったら大体いけるのですね。しかし、今お話がありましたような未来型の、三百人を乗せて大陸間をどんどんと飛んでいく、それには場合によって四千メーター要るのかもしれません。ともかくそういったものがどんどんと飛び出す関西新空港でありたい、そのことは私も気持ちは同様でございます。  今欧州の方で始まっていると聞きます次世代の超音速機、スーパーソニック、これにつきまして、日本がここに技術参加するだとか、あるいは資本提携するといった話はまだ具体的にはなっておりませんが、個人的には、国際協調の上で、これは日本だけの問題ではありません、国際的な一つ交流の手段でもございます、そういう中に日本もどんどんと参加すべきだと私は思っている次第でございます。
  131. 松浪健四郎

    ○松浪委員 とにかく日本も積極的にそれらに参加されて、そして国民に夢を与えていただいて、そして本当に二十一世紀は二十世紀と違うんだなというような生活が実感できるようにしていただければありがたい、こういうふうに思います。  委員長のお許しをいただいて資料を配付させていただいておると思いますけれども、これは、東京—大阪便、関空と伊丹でありますけれども、このダイヤを配付させていただきました。  東京—大阪間の航空輸送課題につきましては、先般関空を取り上げまして、関空—羽田間は、早朝、夜間は便数が多い、これは配付させていただきました資料を見ていただければおわかりになると思いますけれども、昼間の時間帯は極端に便数が少なくて決して利便性が高いとは言えません、そこで、この改善について御質問をさせていただきました。  その際、二階大臣から、関空—羽田便の充実は極めて大きな問題と認識しており、地元が運動をやっていただき、その上で、運輸省としても要請を行っていきたいという力強い御答弁をいただきました。  そして、昨日は、大阪府の太田知事並びに関経連の秋山会長さんなどが大臣のところに、たしか陳情させていただいたところだと思いますけれども、同時に、地元の和歌山県、和歌山市、大阪府や地元の自治体で構成する協議会がこぞってエアライン各社に要請を行いました。  全日空の羽田発二十一時五十分の夜間便はおかげさまをもちまして実現いたしましたけれども、残念ながら、昼間の時間帯の増便については、いまだ実現に至ってはおりません。規制緩和を柱とする航空法の一部改正が施行されたが、羽田空港など混雑空港については、発着枠に係る許可制度が設けられたところでありまして、運輸省としても、羽田—関空便の増枠や利便性の高いダイヤ編成の実現に向けて、さらに力強く取り組みを進めていただく必要がございます。  このことについての御答弁を賜りたいと思います。
  132. 二階俊博

    ○二階国務大臣 関空—羽田の運航ダイヤについて、今お示しをいただいておりますとおり、東京—大阪便、この時刻表を一目しましても、今委員指摘のとおり、昼間の時間が極めて少ない、こういう状況はかねてより承知をいたしております。  今後の羽田枠の増便によりまして、こうした問題が解消できることを期待いたしておるわけであります。実は、御指摘のように、昨日、関空—羽田間あるいはまた伊丹—羽田間のシャトル便につきまして、大阪府知事及び地元経済界からも御要望をちょうだいしたところであります。  したがいまして、運輸省といたしましては、今後、地元と十分相談しながら、ダイヤの改善等、どのような方策が可能かということについて、航空会社あるいは関空会社関係者を交えた協議会等の場を通じまして検討をいたしたいと思っておる次第でございます。  なお、シャトル便の問題につきましては、どのような課題があるかということについて、一つ一つ解決を図っていくためには、私は、昨日、知事及び大阪経済界に対しまして、運輸省も参加した上で、大阪府、そしてシャトル便に参加を希望する航空会社、その他関空等関係の皆様の検討会をできるだけ早く開催して、そのことを長い時間をかけて、一年も二年もやっておるというんではなくて、三、四回やれば、おのずから結論が出るのではないか、ならば、新しい羽田枠が設定される、そういう時期までに結論を得るということが大事ではないかというふうに考えておりますと。  昨日申し上げたばかりでございますから、ただいま大阪の太田知事を中心にして、地元の方で御検討なされておると思いますが、運輸省はいつでも対応できる状況をつくっておることを申し上げておきたいと思います。     〔石破委員長代理退席、委員長着席〕
  133. 松浪健四郎

    ○松浪委員 大臣からシャトル便についてお話をいただきました。  アメリカではニューヨーク—ワシントン、あるいはサンフランシスコ—ロサンゼルス間、これらのシャトル便は経済的に大きな効果をもたらしております。これだけ利便性に富んだ方法はないだろう、こういうふうに思うわけであります。  そこで、関西経済圏のことをも視野に入れますと、どうしてもシャトル便、これを何とかしてもらわなければいけない、こう思うわけであります。  そこで、心配しますのは、三社が共同運航をするということになりますと、もしかしたならば独禁法に触れるのではないのか、こういう懸念をいたします。しかしながら、独禁法第一条は、「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発展を促進することを目的とする。」このように述べているわけですから、私は、三社共同で運航しても、こういう目的なんだから独禁法に触れないのではないのかというふうに勝手に思っておるわけであります。そして、三社の共同運航でなければこのシャトル便も私はなかなか難しいのではないのか、こういうふうに思ったりもします。  その辺について、大臣はどのようにお考えであるか、お尋ねしたいと思います。
  134. 二階俊博

    ○二階国務大臣 シャトル便の問題点というのが今後検討の途中に幾つか出てくるであろうと思っております。その問題はその都度関係者の間で解決ができる問題である、また運輸省において積極的に対処していける問題であろうと思いますが、今言われる、公正取引委員会の御意見ということがこれからのシャトル便の問題を実行に移していく上において乗り越えていかなくてはならない大きな課題である、こういう松浪委員の御指摘かと思います。  当然、公取とも御相談をし、公取の御意見等も十分伺っていかなくてはならないと思うわけでありますが、公取もそれぞれの航空会社からいろいろ御意見を伺うというよりも、このことはもともと航空会社よりも地元が御熱心のようでありますから、大阪府を中心とし、関係府県あるいは関係市町村等、公的な団体が中心になって、また関経連等の御意見も十分取り入れた上で、どこが問題なのかということについてよく公取と意見の交換といいますか、できるだけ早い時期にそうした公取の指導を受ける、そういうことが大事であろうというふうに、私は今松浪委員の御指摘伺いながらそう感じておるところであります。  ある一定の方向が出てまいりましたときに、運輸省としても、公取に対しまして御意見を求めることは当然のことだと思っております。
  135. 松浪健四郎

    ○松浪委員 三月二十三日から羽田新B滑走路が供用開始ということになります。  そこで、物理的には関空—羽田のシャトル便を飛ばすということは可能なんですね。
  136. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先ほど申し上げましたように、またきのうも大阪府知事に申し上げておりますとおり、地元においてそうした協議会等を一日も早く立ち上げて、まだまだ日があるわけでありますから、そういうことに熱心に対応する、その結果によって、今からこの先を占うことはできませんが、公取がどう御判断されるか、これは我々としても、十分公取の意向を尊重しながら対処していきたいというふうに思っております。その上で実現できるかどうかという判断になろうと思います。
  137. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ありがとうございました。  次に、先般質問をさせていただき、そして大臣の御尽力で昨年の末に予算をつけていただきました。そして大阪府や和歌山県、和歌山市、そして地元の泉南市、これら運輸省建設省が一緒になって関空連絡橋、いわゆる南ルートの調査がなされることになり、今年度内に準備会が立ち上がるというふうになっております。  地元皆さん方は調査費がついたということで小躍りして喜び、また大臣に感謝をさせていただいておるところでありますけれども大臣が安全な空港をつくらなきゃいけない、安全第一だということからこの話がスタートしておりますし、また私も、治安の面を考えた場合どうしても必要だと。特に、この前雪が降りまして連絡橋が途絶えるということがありました。空港が大事であるのにもかかわらず、連絡橋がとまってしまうというようなことがあったわけであります。  そうしますと、どうしてもこの南ルートというものをつくらなければ、世界に冠たる安全な空港として誇ることはできない。そこで南ルートの一日も早い実現を期待しておるものでありますけれども、大体何年ぐらいを調査研究に当てられて、そしてどういう状況になればゴーというサインが出るのか。また、それは恐らく運輸省が直接やるのではなくて新しい省でやられることになると思うわけでありますけれども、いずれにいたしましても、その辺の青写真が大臣の脳裏にあられて、それがどういうものであるか御開陳いただければと思います。
  138. 二階俊博

    ○二階国務大臣 たしか昨年、松浪委員から、この関西空港連絡架橋、いわゆる南ルートにつきまして特に強い御要望がございました。  この問題につきましては、国において、平成九年、十年の二カ年にわたり、関西国際空港を活用した広域国際交流整備計画調査などを行っております。その中で、災害時の有事に際しても空港機能を安定的に発揮させるため、選択多様性のあるアクセスの確保に努めると。読み方によっては、当然南ルートということにもなろうと思います。また、選択多様性ということでございまして、十分な方向性を指し示したものかどうか、まだまだ大変判断の幅が広い御意見でございます。  私は、当然ルート一本ではなくて、しかも南ルートに関して地元の熱心な御要望、あるいは当委員会、あるいは予算委員会等におきまして、私自身も今の松浪委員と同じような気持ちを持って時の運輸大臣質問を申し上げたことを今思い起こしてございますが、財政当局等極めて厳しい状況の中で、第一期工事が終われば、第二期工事に差しかかるときに考えようではないかというふうな御意見があったことも記憶をいたしております。  今はどのような青写真を描いておるかということでありますが、これは一にも二にも地元が熱心に対応することが第一でございまして、大阪府におきまして、知事の交代等でこの問題等はしばらく横に置かれておったような関係でございますが、これからは、建設省運輸省におきまして既に予算の配慮を行い、具体的な調査、また地元大阪府、和歌山県等の積極的な協力も得られるようでありますから、そうした関係皆さんでまず御協議をいただく、その上で専門的な調査に入る、その調査の結果を財政当局がどう理解するか。そして、委員からも御指摘のありましたように、やがて新しく誕生する国土交通省においてこの問題にどう対応するか。関西空港運輸省中心となってやっていく。南ルート架橋の問題等につきましては、新しく誕生する国土交通省の大きな課題一つとして、私は積極的に対応し得るテーマだというふうに考えておるものでございます。
  139. 松浪健四郎

    ○松浪委員 非常にありがたい御答弁でございましたけれども、実際問題として二期工事が進んでおるわけであります。となりますと、計画が実現するということになりますと、この二期工事のときにどうしても、同時に取りつけ口というようなものを準備しておいた方が二度手間にならないのではないのか。そして、その取りつけ口があるということが、地元皆さん方や、またこの関空を利用される人たちに対して、国として一つの方向をお示しするシンボルになるのではないのか、私はそう思っております。  そこで、この二期工事に絡めて、計画がなされるとして、取りつけ口等を用意するつもりか、まだ若干の設計変更等、これがあり得るのかないのか、また検討されるのか、そのことについてもお伺いしたいと思います。
  140. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先ほども申し上げましたが、この問題につきましては、運輸省が進んでやりたいとか、あるいは国土交通省時代になったらどうするとか、今の建設省が進んでどうするというのではなくて、地元から大変強い御要望もございますので、運輸省建設省協力して調査をしようというところまで決断をいたしておるわけでございます。その後におきましては、地元の強い御要請のとおりの行動といいますか、計画推進がなされなくてはならないと思っております。  したがいまして、その後地元関係者がお集まりになって委員会を何回開いたとか、あるいはその委員会を時には関西でお開きになるのも結構でありますし、また時には東京でお開きになるということも結構でございますが、そうしたことを積極的にお進めいただくことがまず第一でありまして、それから先のことを幾らお尋ねになられても、私の方で積極的な答弁をすればするほど、地元が何かやってくれるのではないかというようなことでは、この第二のいわゆる南ルート架橋というものは——ただ、これはずっと過去から今日までみんなが同じようなことを繰り返してきたわけです。  私は、しかし、調査について若干楽観的な見方をしておりますのは、今日までかなりの部分で調査をした実績があります。その実績に基づいてこのことを運輸省建設省で専門的に整理をすれば方向は出るというふうに思っておりますので、私はそう時間をかける必要はないという判断をいたしておりますが、いずれにしましても、新しい大阪府の体制、周辺府県との連携等を地元でしっかりやっていただくことが一番でありまして、今運輸省あるいは建設省にいつごろできるかということをお尋ねになられても、私の方では適当な答弁をすることはなかなか困難な状況であることには変わりありません。
  141. 松浪健四郎

    ○松浪委員 地元の人間はしっかりせいということで激励をいただいたというふうに受けとめ、そして私も地元で一生懸命やらせていただきたい、こういうふうに思います。  そこで、きのう、石原東京都知事が議会で施政方針演説を行いました。その演説の中に、国はディーゼル車の問題で取り組みがおくれておる、そしてもう一つは、わかりやすくいえばグリーン税の導入、これもおくれておる、国が環境について先に一生懸命やらないなら、東京都が一生懸命やるというような趣旨の内容でありました。私は、大臣が昨年、グリーン税の導入について一生懸命お仕事をされたことを存じ上げておりますけれども、いずれこれは実現しなければならないものだろう、こういうふうに思っております。  きのうの夕刊に、超高速船スーパーライナー「初の実験航海へ 時速八十四キロ 夢の海上輸送へ 日本—上海」、これは道路混雑、そして大気の汚染を解消することができる、このように大きく紙面が割かれておりました。  テクノスーパーライナーにつきましては、二十一世紀の海上輸送を担う画期的な輸送手段と理解しておりますけれども、その事業化に向けて運輸省はどのように取り組まれているのか、このことをお尋ねしたいと思います。
  142. 二階俊博

    ○二階国務大臣 お尋ねテクノスーパーライナー、ニックネームとして海の新幹線と呼んでおるわけでございますが、将来の物流改革の担い手として期待されておるものでありまして、いわゆる公害対策等におきましても大きな成果を生むであろうということを我々は大きく希望しておるところであります。  運輸省としまして、平成十四年度までにTSLの第一船の運航を開始できるように今から準備を整えておりまして、平成十二年度に設立を予定しておりますTSL保有管理会社に対しまして、日本政策投資銀行からの出資、それから最適な運航支援、保守管理システムの開発に対する補助などを事業化支援策として講ずることといたしております。  さらに、TSLの国際航路への展開を推進するため、今年度補正予算により、現在静岡県が保有いたしておりますTSL実験船を改造した希望号でありますが、これをリースいたしまして、上海—長崎間の実験航海及び国際規則の検討等を行うことにいたしております。  今後、TSLの商業運航へ向けた環境整備が進めば、超高速海上輸送ネットワークの構築に向けた機運が一気に高まるであろうということを考えております。  特に、中国におきましては、我が国新幹線に注目をされていることは事実でありますが、同時に、私もことしの一月、中国に参りまして運輸担当の責任者と会談を重ねてまいりましたが、テクノスーパーライナーが上海に入るということに対しまして、中国政府挙げて歓迎をする、こういうことでございまして、今後の日中間の海上輸送、特に日中間の貿易、さらには人的な交流にも大いに役立つであろう。  今言われたキロ数は今度の船が走っていく速さでございますが、実際は時速九十三キロ、これを上回ることが確定いたしておりますので、今後、日中間のみならず、東南アジア諸国と我が国との経済交流、人的交流において大きな役割を果たすであろうということを特に期待しておるところでございます。  石原東京都知事の発言につきましても言及されましたが、かつて私どもの先輩として、特に御自身が環境庁長官をおやりになったわけでございますから、そうした立場からの御発言と考え、我々もできるだけそうした御意向も、いわゆる環境問題、京都議定書の実現に向けて一つの追い風だというふうに考えて、何も対決して物を考えたり、このことに意見を差し挟むわけではありません。ただし、強制的に、強圧的に物事を推進していけるような時代ではありません。したがいまして、我々は関係業界とも十分相談しながら効果的な実行に向けて努力をしていきたいというふうに思っております。
  143. 松浪健四郎

    ○松浪委員 ありがとうございました。  次に、来年の九月下旬から十月の頭、ソウルと大阪でWTO、ワールド・ツーリズム・オーガナイゼーションの総会が開かれる、このようにお聞きをしております。大臣は観光行政にも大変熱心であられまして、ハッピーマンデーの実現等いろいろ熱心に取り組まれておりますけれども、このWTOの総会に向けてどのような思いでおられるのか、そしてこの総会の準備状況、これらについてお伺いしたいと思います。
  144. 二階俊博

    ○二階国務大臣 大阪選出の松浪委員からWTOにつきましての御質問でございます。  私は、改めて、関西地域が国際社会の大きな舞台で開催する今度の二〇〇一年のWTO、この成功のために、関西地域の皆様の絶大なる御協力をお願いしたいという気持ちをまず申し上げておきたいと思います。  WTOにつきましては、世界で初めての出張所、ブランチを、関西空港周辺に設置することができました。世界のWTO百三十一カ国の会議におきまして、大変激しい競争の中で大阪に設置することに成功しましたのは、今から数年前でございました。そして今度の開催は、ちょうどワールドカップと同じように、ソウルで開会式並びに三日間会議を開きまして、その後舞台を大阪に移して三日間、計六日間の会議でございます。  例えばダボスの経済会議等におきましては、三百以上の分科会をつくっていろいろ検討なさるということでございますが、今度の場合、百三十一カ国加盟の中でおいでになるメンバー、約千五百人から二千名というふうに聞き及んでおります。  私はこの二千名の皆さんにお越しいただくとともに、この二千名の皆さん会議終了後直ちに関西空港からどこかへお帰りになるというのではなくて、ここから日本国じゅうあらゆる地域にこれらの皆さんを誘導できるようなことを今から考えていかなくてはならない。したがいまして、旅の途中に何日か延ばしてもらいたいということを言われても先方も困るわけでありますから、今からどなたがお越しになるかということはほぼ見当がつくわけでありますから、それらの皆さんに対してそれぞれの地域が対応していく。  特に今回は大阪で開かれるわけです。韓国の皆さんにとってはワールドカップと全く同じで、開会式は韓国で閉会式は日本ですね、こう言われておるわけですが、このWTOが成功するもしないもやはり開催地の関西地域皆さんが観光、いわゆる国際交流にどのような決意でお臨みになるかということにかかるわけでございます。私どももこの国際観光の一大イベントであるこのWTOの成功のためにあらゆる努力を重ねてまいりたいと考えておるものでございます。  近く、関西地域におきまして、関西の観光を考える百人委員会というものを開催させていただきますが、その場におきまして、全国の観光関係の皆様に対し、大阪大会の成功のために御協力をいただく。しかも、それは二〇〇二年のワールドカップの前年でありますだけに、大きな意義を持っておる。また、大阪で計画をいたしておりますオリンピック等の問題にも関連していくわけでございます。大阪を世界の観光のそれぞれの権威のある方々に見ていただく絶好のチャンス、またとないチャンスと申し上げても差しさわりないと思います。このことに対し、大阪関係皆さんの一層の御協力を、この場を通じてお願いを申し上げる次第であります。
  145. 松浪健四郎

    ○松浪委員 このWTOの総会には大臣、次官クラスが六、七十名もお出ましになるということをお聞きしております。とにかく、恥ずかしくないような立派な総会を大成功のうちになし遂げていただきたい、こういうふうに思いますし、大阪の我々もその協力を惜しむものではございません。  時間がやってまいりましたので、まだ幾つか質問の通知をしておりましたけれども、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  146. 仲村正治

    仲村委員長 次に、寺前巖君。
  147. 寺前巖

    ○寺前委員 時間の都合がありますから、どこまでどういうふうにやれるかわかりませんが、最近の幾つかの話題について聞きたいと思います。  一つは、国鉄分割・民営化に伴う千四十七名問題。採用差別問題がもう十年以上にわたって未解決のままにある。ところが、去年の十一月十八日に、ILO理事会が日本政府に対して中間勧告と言われるものを出した。このことをめぐっての質問一つしたいと思います。  それから、この間、日本航空の長時間連続乗務という問題について裁判所の判決が出ていました。この問題をめぐって一つは聞きたい。  それからもう一つは、先ほどからも話題になっておりましたが、関空の問題で総務庁の行政監察局が報告書を出しています。この報告書をめぐっての質問をやりたい。  以上、三つを考えています。  第一の千四十七名問題です。ILOの理事会が満場一致で出してきた勧告、その一番の中心だと思っている点はこの点です。日本政府に対し、当事者に満足のいく解決に早急に到達するよう、これを中心にしていろいろなことを言っています。大臣は、この問題について異論はありますか。
  148. 二階俊博

    ○二階国務大臣 JR発足時の職員不採用問題につきましては、中央労働委員会の命令を不服として、JR及び国労等の労働組合双方が、東京地裁に対し命令取り消しを求めていた行政訴訟につき、JR全面勝訴の判決が平成十年五月二十八日に言い渡されたところであります。敗訴いたしました中労委及び国労は、判決を不服として控訴をいたしておりまして、いまだ係争中であります。  運輸省としましては、国鉄改革に際し再就職先が未定であった旧国鉄職員については、再就職が可能となるように、昭和六十二年四月以降三年間、清算事業団職員として再就職に万全の措置を講じたところであります。現在、与党など、自社さ政権の当時のいきさつから、特に自由民主党及び社民党などが中心となって、JR各社と組合の話し合い開始に向け、人道的な見地から政治的な努力がなされているものと承知をいたしております。  運輸省としましては、こういった政党間の協議の動向を踏まえながら、問題解決に向けて、なすべきことに積極的に対応していきたいという考えを持っております。
  149. 寺前巖

    ○寺前委員 経過はお聞きしました。私の聞きたいのは端的なんです。  これはだれに対して出している中間勧告なんだ、ILOの。八十七号条約で結社の自由の保障、九十八号条約で団結権、団体交渉権の保障、日本はその批准国なんだ。満場一致で日本政府に対して出してきたんだ、一つは。そしてもう一つは、当事者に満足のいく解決をということを言うておるのだ、満場一致で。当事者に満足のいく解決に。それから三つ目に、早急に到達するようにと。私が一番関心を持ったのはこの三点なんだ。これに異論がありますか。異論なければ異論なしでいいのです。異論あればありでいいです。解説は要りません。
  150. 二階俊博

    ○二階国務大臣 先般、二月十六日でありますが、運輸省としましては、ILOの中間報告を受け、幹部職員をジュネーブに派遣しまして、ILO事務局に対し、国鉄改革の背景や本問題の経緯等について説明を行ったところであります。  委員指摘のJR発足時の職員不採用問題につきましては、先ほど申し上げたような経緯でございます。私どもはILOの中間報告は確かに受けておりますが、それに対して、ILOの理解について、私どもの現状の御報告を先般そうした形でILOに対して説明を行った、こういう状況でございます。
  151. 寺前巖

    ○寺前委員 私は解説を求めたのではないのです。ILOの今言った三つの点について、異論ありという立場に立ちますか、いや、異論は持ちませんというのですか、いずれですかと聞いているのです。
  152. 二階俊博

    ○二階国務大臣 ILOに対しまして、政府として異論を申し上げるという立場ではありませんが、実情に対して理解を深めていただくという努力は当然のことだと思っております。
  153. 寺前巖

    ○寺前委員 異論を差し挟むものではないとおっしゃった。そうだと思うのです。  その次に聞きます。  分割・民営のときに、国会は参議院で附帯決議をつけています。組合所属による差別は行わないということがその中に書かれています。それに対して橋本運輸大臣は、政府として努力するということをおっしゃいました。これが昭和六十一年十一月二十八日です。  また、それを決めたところの国鉄改革特別委員会で中曽根総理は、一人といえども心配をかけない、政府も責任を持って全力を注ぐ、こういうことをおっしゃったことがちゃんと記録の中に残っています。  今もこの立場は異論なく執行しますね、していますね。
  154. 二階俊博

    ○二階国務大臣 政府としては、昭和六十年に、内閣総理大臣を本部長とする雇用対策本部を設け、国の機関、地方自治体、産業界等、各分野に対し採用依頼を強力に推進してまいりました。  さらに、JR発足時に再就職先が未定であった約七千六百名に対しては、いわゆる再就職促進法に基づき、三年間にわたる国鉄清算事業団による再就職対策を実施し、一人当たり平均延べ三十四回にわたる再就職あっせん、延べ二万人に対する専門教育の実施をするとともに、JR各社に対して追加採用の実施要請し、実際に就職を希望する方々についてはだれでもJRに就職できるように措置をしたところであります。  このように、政府としては国鉄改革の前後を通じて万全の雇用対策を講じたものと認識しておりますが、平成二年四月、結果として国鉄清算事業団を解雇された職員が千四十七名いたということについては、事実として承知をいたしております。  これらの方々に対しては、現在、先ほど申し上げましたように、自社さの時代からの名残を受けて、自由民主党及び社民党の幹部におきまして、これらの方々中心となって、人道的な見地から解決に向けた政治的な努力をなされているものと承知をいたしております。  この状況におきまして、我々は、政党間の協議を見守りながら運輸省としての対応を図ってまいりたいと思うものであります。
  155. 寺前巖

    ○寺前委員 聞いていることに対する答弁はないのです。分割・民営のときに国会はこう決めましたね、総理大臣はこう答弁しましたね、この立場は堅持しますねと聞いただけだ。それ以外に聞いていない。経過を教えてくれと言うてない。堅持しますねと言うているだけなんだ。
  156. 二階俊博

    ○二階国務大臣 その当時の総理及び運輸大臣等の御答弁でございますから、これらが継続しておることは当然であります。しかし、その後において政府としても数々の対策を講じておるわけでありますから、その経過、結果として千四十七名の皆さんが今のような状況に立ち至っておるということを申し上げておるわけでございます。
  157. 寺前巖

    ○寺前委員 そんなこと、私は聞いておらへん。日本国会やそして国民に対しては、政府は責任を持って、路頭に迷わすようなことのないようにという立場に立っての決議を上げているし、それをちゃんとやりますということを約束した。世界のILOという機関におけるところの理事会も、満場一致で、政府よ、政府は当事者に満足のいく解決に早うやれよということを言われた。  日本国会のとっている態度、その件に関する問題では、これは世界の人と共通した問題提起になっているんだから、いろいろな人がいろいろな努力をするのはいいでしょう、だれの責任においてやりなさい、政府の責任においてやるということを、私はこの際に改めて、当然のこととは言い条、確認をしたいというだけのことなんです。大臣、それは異論ございませんね。
  158. 二階俊博

    ○二階国務大臣 経過の説明は要らないということをたびたび申されますが、経過を説明しなければ事情を理解いただくことができない。現に、今関係の傍聴者もおられるわけですから。  JR発足時に再就職未定であった七千六百名に対して、再就職促進法に基づいて三年間にわたって国鉄清算事業団による再就職対策を実施して、一人当たり平均延べ三十四回の再就職あっせん、延べ二万人に対する専門教育を実施するとともに、JR各社について追加採用の実施要請し、実際に就職を希望する方々についてはだれでもがJRに就職できるような措置をした。この現実は、ILOといえどもこのことを理解してもらわなくては困るということで、我々は運輸省の幹部をILOに派遣して、この説明を申し上げた次第であります。
  159. 寺前巖

    ○寺前委員 僕は、いろいろな経過があるでしょうと言うねん、努力されているんだから。その努力を否定するものではありません。そんなこと言うておるんじゃないんだ。立場は明確でしょう。政府の責任で処理をしなけりゃならぬ問題です、世界の人も、日本政府は早くそうしてくださいよと。だから僕は、政府の責任でおやりくださいますねということをだめ押ししただけであって、努力を否定したりいろいろなことを否定しているものじゃないのです。それに対して異論がなければ異論なしで、もうそれでそれ以上のことは何も言わないんですよ。それだけのことなんです。
  160. 二階俊博

    ○二階国務大臣 やはり寺前委員の御納得のいくような答弁をすればいいのかもしれませんが、私は、政府の立場として、国鉄改革の前後を通じて万全の雇用対策を講じてきたものと認識をいたしております。  平成二年四月、結果として国鉄清算事業団に解雇された職員が千四十七名おられる、この事実は否定するものではありません、承知をいたしております。これらの方々に関して、人道的な見地から解決に向けた政治的な努力がなされているものでありますから、今後そうした協議の結果によって運輸省としてもどう対応するかということを判断していきたい、こう考えておるわけです。
  161. 寺前巖

    ○寺前委員 政府の責任で対処するという方針を転換させることもある、こうおっしゃるのですかということにならざるを得ないことになるのですな、それじゃ。私の聞き方が間違いなければ。そうじゃない、政府の責任でいろいろなことをやりますけれども協力くださいというんだったら、そうかというだけの話なんだよ。それで間違いがなければそうですなと言うてくれたら、それでもう言うこと何にもあらへんのや。
  162. 二階俊博

    ○二階国務大臣 いや、政府としまして、国鉄改革の前後を通じて万全の雇用対策を講じてきたということを認識しておるがゆえにこのことを重ねて申し上げておるわけでございまして、千四十七名に至ったことについて、私たちは人道的にこの問題をどう解決するかということであります。  したがいまして、年々歳々それぞれお年も召しておられるわけでありますから、我々はそのことに関して何としても一日も早く解決することを期待いたしておりますが、政府は、既に国鉄改革の前後にきちっとした対応をいたしております。今後においては、人道的な見地で政府として対応していきたいと考えております。
  163. 寺前巖

    ○寺前委員 こういう話はすかっとしないとよくないよ。ちゃんと国会で決めたことについてはそのとおり実施しております、世界の人もそうしなさいよと日本政府に言うてきておる、それはそうだ、日本政府としてやっていますしやります、こう言えば済む話なのに、何かああやこうや経過を言うと、やっておらへんのか、やめるということを言うとるのか、何だかいろいろな思惑がそこから出てくるじゃないか。こういうものは、思惑の出さぬようにきちっとした姿勢をとることを要求しておきます。  次、日航の安全問題についてお聞きをしたいと思うのです。  大臣は、所信表明の中で、何よりも安全の確保が大事だとおっしゃった。これは僕は非常に大事な問題だと思う。その安全にかかわる問題として、パイロットの長時間連続乗務ということが問題になってくる。  そこで、その判決文を読んでいると、こういうことが書いてあるのですね。ちょっと前段から言いましょうか。  日本航空は、休憩なしで十一時間に及ぶ長時間飛行が世界的にも突出しているという判決が出ている。日本航空では、機長と副操縦士の二名編成の飛行機について、交代要員なしの連続乗務時間は実質八時間までだった。これを九三年十一月に、当事者であるパイロットの猛反対を押し切って、会社は十一時間に延長した。例えばサンフランシスコから成田まで飛ぶのが十一時間近くかかっている。  そういうことに対して判決文では、この基準は「他の航空会社(外国のものを含む。)」と比較して突出していると述べている。そうなんだろうかということで、私は裁判で争っておられた日航の組合のお方から資料をいただきました。  そうすると、日本航空の運航便は、関西—ロサンゼルスは十時間二十分、サンフランシスコ—成田は十時間四十分、名古屋—ロサンゼルスは十時間二十分、十時間余り飛んでいるというのが毎日一便、一便、三便というふうにあって、週に十七便ある。全日空の場合も、サンフランシスコ—成田が十時間四十分、毎日一便運航で週七便ある。海外のほかのところを見てみると、フィンランド航空はどうなっているだろうか、十時間二十五分が週二便だとか、カナディアン航空がバンクーバー—成田間を十時間九分と週二便運航だ。  そういうふうにずっと調べてみると、日本航空便は、年間運航数は五十七万、今言うた日本航空と全日空を合わすと二十四便飛んでいるのだけれども、それに対して米国は、日本どころじゃない七百九十四万。それから、イギリスは年間七十九万ですよ。フランスが六十七万、ドイツが六十五万というふうになっているけれども、この異常な水準の米国ですらもそんなに飛んでいない。さすがに日本は異常にたくさん飛んでいるなというのは、ちょっと資料を見せてもらったらそうなる。なるほど裁判所の判決で異常に飛んでいるなということを私は感ずるのです。  そうすると、その判決文の中をずっといくと、会社と労働者の間の話かなと思ったら、会社の方から、これは日本政府がそういう基準に変えてよろしいという通達を出しているところから変えてきているのだというのだから、大もとは、日本政府がそういうことをやっているから、会社がこういうことは許されるのだといって飛んでいることになる。だから、異常な姿が日本で行われているということを直そうとしたら、日本政府が直さなければならないということになるじゃないかと私は感じたわけです。  判決を改めて見ます。「通常の予定乗務時間としてはセーフティ・マージンを見込む必要がある。これを見込まなければ、特段フライトイレギュラーが発生せず、平穏に運航できた場合は別として、運航乗務員が疲労のため既に余裕のない状態でフライトイレギュラーに対処しなければならないことになる危険がある。」米国航空宇宙局の提言、すなわちNASAですね。「ドイツ航空医学工科大学による「長大路線の運航 最近の研究のまとめ」と題する研究に照らして考えれば、セーフティ・マージンを控え目に見込むにしても、通常の予定乗務時間としては十時間を超えて予定しないことが相当である。」ということが判決に出てくる。  簡単に言うたら、日本はともかく世界の水準と違うところを大量に飛ばしている。しかもNASAでは、航空界の中における大きな位置、そんなことはやっていない、また、そうするなと提言までしている。EUにおけるところの研究機関としてはドイツの航空医学工科大学による研究を求める、そこでも日本に対するところの批判をやっている。  こうなってきたら、安全第一だ、こうおっしゃるけれども、ちょっと待てよ、労使間の裁判かしらぬけれども、そういう根拠が日本政府に求められた以上は、日本政府としては出したところの通達に対して見直しにかからなかったならばいかぬのと違うか。私みたいに素人だってそういうふうに思うのだけれども、そうおっしゃらないところが私は疑問なんだ、担当の局長さんたちが。  そこで、大臣に聞きたい。これは至急見直しにかかったらどうなんですか。
  164. 二階俊博

    ○二階国務大臣 御承知のように、ただいま係争中の問題であります。その結論を得た上で運輸省として十分対処していきたいと思っておりますが、今見直す考えはありません。
  165. 寺前巖

    ○寺前委員 日本政府と係争しているわけじゃないのです。それは会社が、どういうふうに運航するかという話の問題として係争しておるのです。その一つの大事な根拠になってきているのが日本政府なんだから。それは係争中の問題じゃありません、内容の係争はあるかもしらぬけれども。  とすると、日本政府が見直しをしませんと居直っていることの方が、世界の孤児になっているんじゃないか。安全にかかわる問題について孤児になっておって、私は立派なものなんだなんというようなことは通用しないんじゃないでしょうか。率直に、謙虚に研究に取りかかってこそ国民に対する責務を果たすことができるんじゃないかと私は思うのです。
  166. 二階俊博

    ○二階国務大臣 当然、政府と係争しているわけではありませんが、今、関係者の間で係争中の問題でありますので、その結果を見守っていきたいと思っております。  二人乗務機の乗務時間に係る国の基準は、専門家から成る検討委員会におきまして疲労度についても十分な調査を行い、また、諸外国の基準を考慮して得た結論に基づく妥当なものだと考えておりますので、別に特別居直って申し上げたわけではありませんが、見直しを行うことは当面考えておりません、こういうことでございます。
  167. 寺前巖

    ○寺前委員 諸外国というのは、NASAは違いますよ、それから、EUの運航問題について研究をやっているところはドイツに委嘱している、そのドイツは違いますよ。そのドイツの意見は、日本のその判断は問題だということが判決文の中に出てきますよ。そうすると、世界を倣ってとこう言ったけれども、倣っているところが全部違ったならばこれは見直して当たり前じゃないのかなと私は思いますよ。特に、NASAでは、今全然違うのですよ。そんな長時間の連続乗務をやらせていないんだから。  そうしたら、私は見直さないというような態度は、居直りという以外の何物でもない、不幸を国民にもたらすだけじゃないかというふうに思わざるを得ないので、あえて局長に言わせますけれども、あなたは居直りの代弁者をやるに違いないと思いますよ。それは、今までの事実がそうだから、それでは大臣の世話をやることはできないじゃないか。一言で言うてください。
  168. 岩村敬

    岩村政府参考人 委員の方から、ドイツの航空医学研究所の批判、それとNASAの批判と二つございましたが、それぞれ、ドイツの航空医学研究所の批判というのはその医学研究所の研究者個人の実は研究結果でございます。ちなみに、ドイツ国の航空局が決めております二人乗務機のシングル編成の飛行、勤務時間につきましては、十四時間まで許容しているわけでございまして、そういう意味からも、この研究がドイツ国を代表しているとか、ドイツ国の研究所を代表しているということではないと思います。  また、NASAの研究もこれまた個人の研究でございまして、これも、実はアメリカは二人乗務について八時間を十時間に延ばそうとする提案が数年前にございましたが、今労使のいろいろもめごとでその延長ができないという事情にあるということも承知をしているところでございます。
  169. 寺前巖

    ○寺前委員 判決が一個人のような論文を根拠にしてやるなんというようなことを、あなた、よく言えたものやな。それだけであなたのとっている態度は、検討に値しない態度だと言わざるを得ぬと思うのです。  アメリカでは、九三年に、乗務員の疲労が原因で航空事故が発生して、九四年五月に、米国運輸安全委員会が連邦航空局に対して、乗務勤務時間制限の見直しと改善を急ぐよう勧告を出している。それに基づいて、NASAは、九五年に通常の飛行勤務時間としては安全の余裕度を見込んで十時間を超えないことが望ましいと提言をする。  これが客観的な事実じゃないか。それを一個人の見解ですと。そんなもので裁判所に通用するか。私はあえて、もうそんな居直りの発言なんというものは聞く耳なしということを言って、次に行きます。  関西国際空港問題について。時間の都合がありますので。  総務庁のこの間の発表を見ておりますと、これは異常なことになってきているなということを言わざるを得ないのです。  簡単に言うと、二〇〇〇年度までに航空機の発着回数が十五万程度に達すると計算してきたけれども、開港二年間はその計画どおりに推移して、そして発着回数がずっといくわけなんです。ところが、九六年、九七年度の実績は、横ばいの十一・八万回になってくる。十五万回が十一・八万回、予測を下回ってくるという事態になってきた。  その結果、営業収益は九七年までは伸びていたものの、九八年度には減収に転じている状況にあり、減価償却費や利払い利息の負担により、収益で費用が賄えず、いわゆる創業赤字が続いている。その結果、累積欠損が拡大し、九八年度末現在で千三百三十三億円になってきている、こう書いてある。  これはえらいことだ。まさにこのままでは、長期債務が増加し続けることになる。九四年度の開港時長期債務は、建設費で一兆三百五十九億一千九百万円であったけれども、工事が終わると、九九年度には一兆六百二億九千八百万円にふえてくる。増加し続けて、そして、第一期工事総工事費は一兆円で出発したのが一兆五千億と一・五倍にもなってくる。さあそれを返金していくという上において、これは、飛行台数によって計算しておった飛行機が飛んでくれぬようになってくると、着陸料の問題もあるし、いろいろなことで収益が減ってくるという事態になってきて、今や一千三百三十三億円という累積欠損になってしまった。  そこで、それでは、どんなふうにしてその赤字の克服が考えられるのだろうか。私なりに考えてみると、返済しなければならぬのは、国の返済、自治体の返済、それから飛行機を飛ばす台数、またそれとの関連で発着料、ここで返済、あとは日常経費の中での返済、こういうことが問題になってくる。  国は出すべきものは出している、自治体は出すべきものは出している。運営の費用の方はどうなるかというと、これは大体うまいこといって、そんな赤字になるようなことになっていない。そうすると、便数と着陸台数が問題になる。ああ、これは出発の計画の計算の違い、予測の違い、これが赤字の大きなウエートになるやないか。その大きなウエートが今そこまで来ている。今のままで進めていくならば、どういうことになるだろうか。一兆五千億を投じてつくり上げてきたところのその金額がさらに伸びていくところまで行くのじゃないだろうかということになってくる。  さあ、そうすると、飛行機はふえて飛んでくれるのかななんて思っておったら、在日外国航空会社協議会がこう言っておる。「高騰する日本の民間航空の経費」という声明を発表する中で、関空のジャンボ機一機の着陸料を含めた使用料は一万二百五十六ドルとなり、ソウルの二千七百四十四ドルの三・七倍。関空は一万二百五十六ドルだから三・七倍になる。比較的高いと言われる香港でも五千八百六十六ドルで、一・七倍。だから、内外航空会社が我が国空港に求めるアンケートで、こんな高いものだからというて、引き揚げますということがこの中で書かれていますわ。  そうすると、引き揚げていくというのが主要な方法のときに、台数もふえなかったら、これは赤字の道を一路邁進することになるじゃないか。そこの解決をどうするのや。飛んでくれと言うたって、飛んでくれるわけじゃない。今後着陸料を下げたら飛んでくれるだろうか。その保証も何にもない。  こんな危険な状態にこの会社自身が来ているときに、二期工事で一兆五千億の金を、一期のところよりも二メートルも深いところで事業をやる。これは、一・五兆円で済むのかどうかわからぬことになってくる。飛行機の飛ぶ台数が十五万回と言うておったけれども、今度はもっと、その倍近くの飛行機が飛んでくれることを前提に置いて仕事を始めたら、飛んでくれる可能性がない事態が今でも起こっているのに、どこまでこれはひどいことになるかわからぬやないか。だれだってそういう計画は心配になるのは当たり前じゃないかと私は思う。  きょう新聞を見ておったら、関空会社は、リストラを一割やって何とかしましょうとかなんとか、三項目ほど書いてあった。自治体に金をふやさせるということは、自治体は約束どおりやっているのに、ひどい話をまた持ってきて、その責任を何で持たなければならぬのやということになるでしょう。労働者は、悪いことをしているわけやないのに、何で持たなければならぬのやということになるでしょう。リストラに何で遭わなければならぬのやということになるでしょう。  とんでもない計画をこれ以上進めるということについて、ちょっと待てよ、計画がこれじゃどうにもならぬから、基本的に見直しをやるという姿勢に立たなかったら、政府として無責任だという批判を受けるのは、私は当たり前だと思う。大臣、私の意見、どこが違っていますか。教えてください。
  170. 二階俊博

    ○二階国務大臣 我が国経済的、社会的な発展維持し、我が国の国際社会における地位を確保していく上において、関西圏における国際交流は不可欠な基盤だというふうに承知をいたしております。二十四時間運用できる関西国際空港の果たすべき役割というものは、極めて大きいものだというふうに認識をいたしております。  委員指摘のような経済情勢等は十分承知をいたしておりますが、今後も、後背圏の経済力の大きい関西圏を中心航空需要は着実に伸びていく、二十一世紀初頭には、現状の一本の滑走路の処理能力の限界である年間の着陸回数十六万回に達すると予想されることから、平成十九年の平行滑走路の供用を目標とする二期工事の実施は極めて重要な課題だというふうに考えて、今推進を図っておるところであります。  ただし、二期工事につきまして、供用当初の用地負担を軽減し、これによって二期事業の早期推進を図るという観点から、一期事業とは異なって上下主体分離方式を採用するとともに、用地造成費について無利子資金の比率を三〇%から五五%に引き上げるなど、対応をいたしておるところであります。
  171. 寺前巖

    ○寺前委員 大変な事態になっていますよ。それで、十五万回で予定しておったのが十一万何ぼですよ。発展する見通しもないのに、今度はそれの倍の飛行場をつくって、二十何万台来てもらいますのや、それを根拠にしてやろうと。ちょっと無謀と違うか、どうしたってわからぬなと言うてんのや。わからぬなというのは、あなた同感に思いませんかと聞いただけの話やないか。それが答えられないようやったら、無責任な運営を平気でやるなと。私は、そんなことをやったら、政府のあり方は問われるぞということを言わざるを得ない。  それで、悪いことをしているわけでもないのに、労働者はリストラ、一割減やとか、知れているところの全体の予算との関係で言うたらそんなところでもメスを入れなきゃならぬのですなんて言うのかしらぬけれども、そんなところの人は責任一つもない。自治体も責任ないやないか。責任ないところに問題をかぶせていって、どうして責任ある未来を語ることができるんだろうか。だから、見直しをやることが緊急に必要ですよということを私は言っただけの話だ。私が言っているように、そのことをもう一度検討してみなかったら大変ですねという意見に対して……
  172. 仲村正治

    仲村委員長 寺前君、お約束の時間が経過しています。結論をお急ぎください。
  173. 寺前巖

    ○寺前委員 もう率直に、何で率直に答えてもらえないんだろうかというのが私の心配なんや。
  174. 二階俊博

    ○二階国務大臣 関西空港につきまして大変御意見をちょうだいいたしましたが、今、関西空港が対策を講じたことにつきましては、昨日のことでございますからまだ十分な報告を伺っておりませんが、リストラ問題等につきましても慎重にお伺いをしてみたいと思っております。  ただし、二十四時間空港、そして平行滑走路を二本持った完全空港を目指して今日まで努力をしてきたわけであります。私は、特にアジア経済に対しての関西国際空港とのかかわり合いは大変深いわけでありますが、今後も旺盛な、我が国に対する乗り入れを希望する国が五十カ国を超えておるという状況からいたしまして、これをすべて成田で受け入れるわけにもまいりませんので、関西国際空港の建設の必要性は極めて重要だというふうな認識を持っております。  委員の御指摘のようなことにつきましては十分今後も配慮をしてまいりたい、このように思っております。
  175. 寺前巖

    ○寺前委員 ありがとうございました。時間を若干延ばさせてもらいました。  だけれども、国家が莫大な借金をしているときに無謀なことにならぬだろうか、自治体が泣いているときに無謀にならぬだろうか、真剣にお考えいただきたいことをあえてつけ加えさせていただいて、終わらせていただきます。
  176. 仲村正治

    仲村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会