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西村(眞)
委員 実は、命令を発したのは、停船せしめ臨検せよですね。そして、百五十トンの船にこっちは正真正銘の軍艦を出しておるわけですね。向こうから見たら軍艦ですよ。それが、投降してきたというときに、国際法上処遇する体制が
我が国にないということは、漁業法違反で警察が手錠をかけて引っ張っていかざるを得なかったということになります、現実問題として。
それをやれば国際法上どうなるかといえば、国際法違反です。手錠をかけて引っ張っていった警察官は国際犯罪人になる。国際法は、捕虜は指定された資格のある士官によってのみ尋問されるとあるわけです。そして、捕虜は人道をもって扱い、虐待、略奪、嘲笑されてはならない、捕虜には捕虜の取り扱いに関する現行の条約及び他の有効な国際法の規定に基づく権利を認める。我々は、捕虜に対して国際法上の権利を認め得る体制になく停船せしめ臨検せよという命令を発しておったことになります。
この一事とっても、やはり我々の軍事領域に関する特別刑法がどうしても必要である、そして軍法
会議、軍の
内部でそれを自律的に裁く体制が国際法的にも要求されておると言わざるを得ないわけですね。
長官が先ほどの東中
委員の
質問の最後に、
防衛庁・
自衛隊における問題をこれから鋭意取り組むと言われたのは、私はこの部分に期待したいのです。過去のことを小じゅうとみたいに言っていても仕方がない、この問題から
教訓をいかに引き出すか。
そして、我々は昨年三月、一番危険なことをやったんです。鋭意、命令どおり行った人間が、その命令が実行されて、向こうが手を上げてきて、実はおれは北朝鮮の軍人である、捕虜の待遇を要求すると言った場合に、我々は、
防衛庁長官の命令を果たすべく行った
隊員が国際法違反の犯罪人になるということをやっておるわけです。これこそ
我が国の防衛
行政における最大の欠陥であり、また違法
射撃事件における
教訓もここにあるわけですね。
どだい、五年前のことが
防衛庁内部で再点検によって明確になったのではなくて、どこのだれかか知らぬ外部から、言葉が悪いですけれ
どもチクりのようになって
防衛庁が大騒ぎする、こういうふうなだだ漏れの体制を許しておいては、いざというときに、この
委員会もきょう一日そのことにかかり切っておって、引っ越しを控えた
防衛庁自身が数カ月この問題にかかり切っておるではありませんか。そういうふうな体制を放置しておけば、いつ何どき、どこのだれかはわからぬけれ
どもハッカーのような者が、過去の、五年さきか三年さきかはわからないものを効果的に
マスコミに流して反キャンペーンを張られても、それに対抗できない、
組織防衛できないではありませんか。こういうことが重大な
教訓であると私は申し上げたい。
先ほど
長官が正直にお述べになったことは非常に重いことだと私は思いますね。それを認められた以上、いかにすべきかというのは、政治家であり、かつ二十数万の
部隊の統括者である
長官の今や具体的責務となったと私は思いますので、有為ある人材が多い
防衛庁において鋭意御研究の上、それを具体化していただきたい、このように思います。
私の
質問は
長官の今の御答弁でほぼ
目的を達したわけですが、一昨日、
防衛庁開所式がありまして、これもまた関連するんです、だから聞きますが、開所式における内閣
総理大臣がなぜ来賓なのか。内閣
総理大臣は
自衛隊の
最高指揮官である。
最高指揮官が来賓なのか。例えば、ある会社の新社屋開設式において、代表取締役が来賓としてあいさつする会社がどこにある、こういう違和感を私は持ちました。持ったということを言っておりまして、これは持った方が正しいんです、
最高指揮官ですから。
最高指揮官が来賓だというその
組織がどこにありますか。ということは、結局これが明確になっていない。
防衛庁長官、内閣
総理大臣は、
総理府の長、
総理府の外局の長という
行政の長であると同時に
自衛隊の
最高指揮官という軍事
組織の
指揮官としての地位がある、この二つがあるんだ。一昨日あったのは
行政府の長としての地位だけでした。しかし、二十六万は何のために税金を投入して日々訓練をしているのかといえば、もちろん、いざとなれば国家を守るために、内閣
総理大臣、
最高指揮官のもとに祖国を守る
行為をなさんがためである。したがって、最も重視されるべきは、祖国を守る
行為をなさんとする
部隊の
最高指揮官がだれかということを常に明示しておって、開所式においてその方が来賓ではないということは明示しなければならない。
したがって、その指揮命令系統を進むならば、内閣
総理大臣、
防衛庁長官、統幕議長に来るわけです。したがって、あのときのあいさつも統幕議長にさせねばならないでしょう、制服の最高位ですから。
内局の最高位は
事務次官です、軍事
行政の最高位は。しかし、何のために軍事
行政があるかといえば、
部隊を
維持するためにあるわけです。
内局の最高位の
事務次官があいさつするならば、統幕議長もあいさつしてしかるべきだ、これが
防衛庁という祖国防衛の
自衛隊組織を持った官庁の一つの構造であると私は思うんです。
したがって、
防衛庁の構造というものを押さえていただいた上で聞きますけれ
ども、各国に出している防衛駐在官、駐在武官は、だれの名代として国際法上扱われておりましょうか。