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中村(鋭)
委員 おとといの衆議院本
会議で、今席を外しておられますが、
西村眞悟委員が総理
大臣の
答弁中に不規則発言を数回いたしました。その中には、「瓦長官」と、こう呼びかけて、国防省の問題はどうなんだ、国防省昇格をしっかりやらなきゃだめだという不規則発言がありました。もとより、不規則発言というのは余り感心することではないかもわかりませんが、私も積極的に不規則発言をする一人でありますから、おとといも
西村委員のこの発言を聞いていて、私も全く同感だな、こういう意を深くした次第でございます。
そこで、国防省への昇格問題についてお尋ねをさせていただきます。時間を省略する
意味で、私が現在把握しております、なぜ
防衛庁であって国防省でないのか、
防衛庁であるためにこのような不都合が生じておるという点を申し上げさせていただきたい、こう
思います。
まず、法律、政令の制定、改正に当たり、
防衛庁長官名では閣議請議ができない、省令もみずから制定、改正できない。例えば、
周辺事態安全確保法の制定、
防衛庁設置法、
自衛隊法、特措法、
周辺整備法等の改正は、請議ができない。それから、およそ五兆円の予算を有し、二十六万人の職員を擁しておりますこの
防衛庁が、
防衛庁長官名で大蔵
大臣に対し予算を要求、執行することができない。例えば、戦車、護衛艦、航空機等の予算請求ができない。いわばこれは人に頼んで、長官はどなたかに頼んで、済みません、ちょっと五兆円ほど金をとってもらえませんか、これが現実の
防衛庁の姿であります。やはり私は、これは不都合と言わざるを得ない。
それから、
自衛隊の部隊の重要な
活動、派遣に当たって
防衛庁長官名でこれまた閣議請議ができない。カンボジア、モザンビークあるいは東ティモール、こういった国際的な平和協力
業務あるいは在外邦人の輸送等に当たって、また我が国の領海及び内水域で潜没航行する外国潜水艦への対処についての閣議が請議できない。こういった点は、やはり
防衛庁ということのゆえに、しかも今は総理府から枝が出ておりまして、端的に言えば、今度の新しい行革法案におきましても、金融庁と横並びです、宮内庁と横並びですよ。この
防衛庁が金融庁、宮内庁と横並びで
組織図がつくられている、こういったことは全く不都合であると
思います。
それから、何よりも
自衛隊の
皆さんが、まさに長官自身がよく御存じのように、命をかけて国を守ろうとしているときに、何だかやはり
防衛庁では随分気持ちの上で肩身が狭い
思いをしている。また、昨年の六月一日の行革特別
委員会におきまして、私の持ち時間のほとんどすべてを使ってこういった問題を当時の官房長官でありました野中さん、また野呂田
防衛庁長官にお尋ねをしまして、もう
一つ私の納得できる御
答弁がいただけなかった、こう思うのです。その
一つの根本は、これは行革
会議でこのように決まって、今度の設置法もこうなっておりますので、そのように御決定でありますから、気持ちはわかるがなかなか国防省というのは難しい、このような御
答弁であった、こう
思います。
例えば、外国の駐在武官は、パーティー等がありましてお互いに紹介をし合いますが、そのときに外国の武官の
皆さんは、私はミニストリー・オブ・ディフェンスの一員です、ミニストリーと書いてあるわけです。
日本の駐在武官はエージェンシー・オブ・ディフェンス、こう言っているわけです。エージェンシーというのは、何か広告代理店みたいで、もう
一つぴんとこないですね。だから、そういった、小さい点とおっしゃるかもわからぬが、命をかけて国を守るために外国に駐在している人が、外国の武官と名刺交換をするときに肩身の狭い
思いをしながら、エージェンシー、こういうのは私は率直に正していかなければならぬ。
既に自民党は、部会において国防省昇格を何回もたしか決議をしておられると
思いますし、それから昭和三十九年六月の十二日に、
政府は、
防衛庁設置法及び
自衛隊法の一部を改正する
法律案要綱を閣議決定しておられまして、
防衛庁設置法の一部改正、防衛に関する権限と
責任を明確にし、防衛に関する事務の能率化を図るため、
防衛庁を防衛省に昇格することとすると閣議決定しておられるのです。ただ、このときは、それに続く昭和四十年も含めまして非常に盛り上がりがあったのですけれ
ども、例えば国会の会期末であった、あるいは当時三矢研究というのが発覚をいたしまして、今なら
日本の国を守るために
防衛庁の
皆さんがそういうことについて御研究になるのは当たり前ですが、当時はやはりぐあいが悪かったのでしょう。
関係者の
処分もございました。
しかし、少なくとも閣議決定が再度にわたって、昭和三十九年、四十年に行われているのですよ。あれから三十数年たっているのです。周囲の諸情勢というものは全く当時とは変わっている。あれだけ何十年前に閣議決定されたものが今日問題にならない。私がお尋ねすると、去年もそうですけれ
ども、それは行革
会議で決めたことだから、こういうおざなりな
答弁では私はどうも納得できない、こう思うのです。
随分、私がしゃべりました。前置きが長くなりましたけれ
ども、私は、こういった矛盾を解消するために、何よりも我が国を守るために、もし心なきやからが、この美しい
日本列島を侵すものがあれば命をかけて国を守ると二十六万職員が思っているときに、何で
防衛庁が国防省であってはいけないのか。この点について国会は随分盛り上がってきているのですよ、長官。立法府は盛り上がってきているのですよ、議員連盟もできているのです。ですから、今度は行政、特に
防衛庁そのものが、長官以下全職員が燃えるような情熱を持って絶対に国防省にしなければならぬ、車の両輪で、手を携えるべき時期は熟し切っている、こう思うのですが、どうぞひとつ長官、
お答えを
お願い申し上げます。