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国務大臣(小渕恵三君) 今、松岡
委員から、二十一世紀の
我が国の課題ということで、三つに絞られて
お話がありました。いずれも全くそのとおりだろうと思います。
そういう
意味で、それぞれにつきましても、政府としてもできる限りその将来にわたる方向性、そしてそこに参ります筋道、こういうものを
一つ一つ明らかにしていかなきゃならぬだろうと
考えております。
第一の財政問題につきましては、先ほど来御論議をいただいております。六百兆になんなんとする中央、地方の財政というものの
状況は極めて厳しい、何とかせねばならぬという気持ちは恐らくひとしく政治家たる者は持っておられるわけでございます。
ただ、先ほど諸外国の例もありましたが、いろいろ事情が異なりますのは、
日本におきましては
国民自身が千三百兆になんなんとする資産を持っておられる。そういう
意味では、外国から金を借りてその財政を賄っておるという国に比べますとある
一定の安定感というものはあるのではないかと思っております。
さりながら、
国民の持てる資産を直ちに活用するということは、国が税としてこれをいただくということは直ちにできることではないだろうと思います。そういう
意味で、
国民全体の、さらに
企業も含めまして、生産性を上げることによりまして資産価値を上げていくということがなければならないのではないか、こう
考えております。
そういう
意味で、この内閣になりましてからも、サプライサイドの点から所得税、法人税の税率を引き下げました。恐らくこれで今年度の税収は数兆円減収を見ているんじゃないかと。それなれば、財政再建からいえば、その分だけでも国は厳しかったということなんですが、いずれにしても、御了解を得てタックスを引き下げるということ自体も、そのことによってある
一定の、将来においては必ず
企業も
国民も国際的なスタンダードの税制によって活力を持ち、
日本のお金がタックスが安いタックスヘーブンなどという国々に行かないようにするためにも必要だったということですから、これは時期は申せられませんけれども、将来にわたっての
一つの問題だろうと思います。
少子化の問題も、今国会でもそれぞれ御
指摘をいただいておりますが、政府といたしましても、この問題は極めて大切なことであるという観点から、もちろん懇談会をつくり、いろいろ識者の
考え方も承っております。
先般も実は閣議で
お話をいたしましたところ、平素
一定の時間に終わる閣議も、この問題に関しましては、
国務大臣としての諸
大臣がそれぞれ所管の問題でなくしていろいろ御
意見がありまして、ついにもう一度閣僚懇談会を開かせていただいてこの問題に取り組んでおるわけでございます。
少子化も
日本としても初めての経験で、諸外国の例を参考にしながらいろいろいたしておりますが、なかなかもって決め手というものが見つかりにくい中で、子育てをどうしていったらいいかということ等も含めまして、しかも男女共同参画社会になりまして御婦人が家庭の中で子育てというわけにはいかぬ時代に、これからのいろいろの施策上の問題をまとめて、今月の末ごろまでには、できるものは政府として全力を挙げていきたいというふうに思っております。
第三のグローバルスタンダード、これも先生、アメリカンスタンダードとおっしゃられましたが、確かにアングロサクソンスタンダードの嫌いなきにしもあらずですね。しかし、現実にはそのスタンダードが世界を席巻していることも事実です。端的に言えば、インターネットにつきましても
日本語でこれは通信できないんです。すべて英語でなけりゃならぬということでございます。いささかそういう
意味では経済もひとり勝ちになったアメリカということもありましょうけれども、どうしてもそういうスタンダードに右へ倣えということが世界に伍していくゆえんでないかという風潮もかなりできている。
しかし、雇用の問題も、私が以前申し上げましたけれども、アメリカ的な常にレイオフを冷酷に行って
企業経営の財政をよくするという国というわけにもいきませんし、ヨーロッパ的に
保険制度を非常に高い保険と高い消費税をもってそれを達成していくという国にもない。と同時に、
日本は何といってもどうしても労働慣習のような問題もあります。したがって、
日本としてのよさというものを残しながら、かつ、この世界的な物差しの中でどう生きていくかということについて、これまた重要な課題だというように存じております。
長くなりましたが、いずれにしても松岡
委員の御
指摘のことは十分心得て
一つ一つ着実に手を打っていかなきゃならぬ、ともに
考えていきたいというふうに
考えております。