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佐々木知子君 これで私の通告済みの質問は終わったのでございますけれども、ちょっと三点ほど意見を言わせていただきたいと存じます。
まず、附帯決議にもございましたけれども、この四項に、「
政府は、この
法律による
規制処分を実施した
団体から離脱し又は離脱しようとする
当該団体の
役職員及び
構成員並びに既に離脱した者の社会的な救済につきカウンセラーの充実などこれらの者の社会復帰に資する体制の整備などの施策を講じるよう努めること。」。これは非常に私は重要なことだというふうに考えております。
こういうふうにはっきりと
オウム真理教をターゲットにしたとはどこの
法案にも書いてございませんけれども、これは考えればだれにでもわかることでございまして、追い詰められた信者というのがどのような行動をするであろうかということは、やはりこれまただれにも読めないことでございます。窮鼠猫をはむという言葉もございますけれども、何年間かどこかに潜って、そしてまた出てくるかもわかりません。どういうことになるかもわかりません。
今また
オウム真理教以外に非常に変わった宗教に基づいた事件が出てきているやにマスコミ
情報では聞いておりますが、手をかえ品をかえいろいろな宗教が出てきます。そしてまた、
被害者になってくる人もたくさん出てくる。これはもしかしたら抜本的な
日本の教育というか、そういうふうな問題ではないかというふうに考えると非常に奥深い問題が隠されているように思ってかなり深刻にならざるを得ない点があるわけです。
この
特別法をつくったから、オウムを取り締まってそれで事足れりということでは決してないわけで、そういったところにまで奥深く政治は目配りをしなければいけないということを皆が考えないといけないということをまず第一点、私は
指摘させていただきたいと考えております。
それから第二点ですけれども、当
法案はかなり厳しい罰則
規定まで完備しております。
職権乱用罪は非常に厳しい罰則
規定まで設けられております。一見非常によくできた
法律のように見えますけれども、言うまでもなく、
法律があるということ、
制度があるということ、それをいかに運用するかということはおのずから別問題でございます。
現代、いろんなところで不祥事が出ております。特に
警察の不祥事は、もう本当に社会問題になっている。子供の教育にも非常に悪いんではないか。ただ、
警察だけではございません。いろんなところで不祥事が明らかになっております。
運用はおのずから別物、運用するのは人でございますので、幾らいい器があっても盛る中身がない、運用しない、非常に貧しい運用であるというのでは全く無意味にも等しいということになりかねません。
公安調査庁はもちろんのことでございますけれども、
警察ももちろんでございます、そして
公安審査委員会も、今度こそは
国民の信頼を裏切らずに真摯にその負託にこたえるべく鋭意努力していただきたいと切に願っているものでございます。それが二点目でございます。
三点目でございますが、現在、司法
制度改革というのが二十一世紀を目前にして非常に大きく叫ばれるようになりました。
オウム真理教の首魁は十七の公訴事実で起訴されております。ところが、一カ月に三回も四回も開廷をして、普通は一カ月に一回のペースで
日本の裁判は開いておりますので、これはまれに見るハイペースだというふうに言わざるを得ませんが、それでも遅々として進んでおりません。そして、
法律関係者の間では十年かかるだろうということが別に驚きの声でもなく普通に言われているというような現実は、決して正常な司法のあり方ではございません。
ほとんどの裁判は、これは結構誤解されておりますが、三カ月ないし半年で終わっております。九割以上の裁判は一審の段階で半年あれば終わるだろうというふうに言われておりますけれども、ただ、一部世間の耳目を集めるこのような特異の裁判が非常に、この言葉を言わせていただければ異様に長引いております。これは
日本の精密司法というのが行き過ぎた結果であろうというふうに私自身は考えておりますが、ただこれをとめる手段はどの
法律を見てもございません。
おくれた裁判は裁判の否定であるという昔から有名な法格言がございますけれども、真剣な司法改革に取り組む必要のまず第一といたしまして、こういう異様に長引く、遅延する裁判をどのようにして早目に終わらせるか。鉄は熱いうちに打てという言葉がございますが、十年後にこの首魁に対する判決が出たとして、一体全体
国民にどのような感銘力があるだろうかといえば、もうほとんどないではないかというふうに言えると考えております。
刑事司法改革にも真剣に取り組む必要があるということを最後につけ足しして、五分ほど早目ではございますが、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。