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1999-11-19 第146回国会 参議院 中小企業対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十九日(金曜日)    午前十一時十六分開会     ─────────────    委員異動  十一月十八日     辞任         補欠選任      阿南 一成君     北岡 秀二君      岩瀬 良三君     山崎 正昭君      亀井 郁夫君     小山 孝雄君      世耕 弘成君     斉藤 滋宣君      森田 次夫君     森下 博之君      脇  雅史君     岩崎 純三君      海野 義孝君     山本  保君      西川きよし君     石井 一二君  十一月十九日     辞任         補欠選任      木村  仁君     釜本 邦茂君      石田 美栄君     足立 良平君      江本 孟紀君     今泉  昭君      渡辺 秀央君     入澤  肇君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         陣内 孝雄君     理 事                 岩井 國臣君                 加藤 紀文君                 須藤良太郎君                 野間  赳君                 寺崎 昭久君                 円 より子君                 弘友 和夫君                 池田 幹幸君                 梶原 敬義君     委 員                 岩崎 純三君                 加納 時男君                 釜本 邦茂君                 久世 公堯君                 小山 孝雄君                 斉藤 滋宣君                 仲道 俊哉君                 馳   浩君                 保坂 三蔵君                 森下 博之君                 森山  裕君                 山崎 正昭君                 山下 善彦君                 足立 良平君                 朝日 俊弘君                 今泉  昭君                 川橋 幸子君                 木俣 佳丈君                 高嶋 良充君                 羽田雄一郎君                 福山 哲郎君                 加藤 修一君                 木庭健太郎君                 山下 栄一君                 山本  保君                 緒方 靖夫君                 西山登紀子君                 山下 芳生君                 三重野栄子君                 入澤  肇君                 高橋 令則君                 渡辺 秀央君                 菅川 健二君                 水野 誠一君                 石井 一二君    国務大臣        通商産業大臣   深谷 隆司君    政務次官        大蔵政務次官   林  芳正君        文部政務次官   河村 建夫君        通商産業政務次        官        細田 博之君        通商産業政務次        官        茂木 敏充君        労働政務次官   長勢 甚遠君        金融再生政務次        官        村井  仁君    政府特別補佐人        公正取引委員会        委員長      根來 泰周君    事務局側        常任委員会専門        員        塩入 武三君    政府参考人        公正取引委員会        事務総局経済取        引局取引部長   上杉 秋則君        公正取引委員会        事務総局審査局        長        平林 英勝君        金融監督庁長官  日野 正晴君        通商産業省産業        政策局長     村田 成二君        中小企業庁長官  岩田 満泰君        労働省職業安定        局次長      青木  功君        労働省職業能力        開発局長     日比  徹君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○中小企業基本法等の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから中小企業対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、海野義孝君、西川きよし君、脇雅史君、阿南一成君、亀井郁夫君、森田次夫君、岩瀬良三君及び世耕弘成君が委員辞任され、その補欠として山本保君、石井一二君、岩崎純三君、北岡秀二君、小山孝雄君、森下博之君、山崎正昭君及び斉藤滋宣君が選任されました。  また、本日、石田美栄君、江本孟紀君及び木村仁君が委員辞任され、その補欠として足立良平君、今泉昭君及び釜本邦茂君が選任されました。     ─────────────
  3. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  中小企業基本法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長上杉秋則君、同審査局長平林英勝君、金融監督庁長官日野正晴君、通商産業省産業政策局長村田成二君、中小企業庁長官岩田満泰君、労働省職業安定局次長青木功君及び同職業能力開発局長日比徹君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 中小企業基本法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 馳浩

    馳浩君 おはようございます。自由民主党の馳です。  公正取引委員会不当廉売をちゃんと取り締まっているのかというテーマについて質問をさせていただきます。  平成十年版の中小企業白書によれば、中小企業庁設置法に見られるような独立多数の企業が自由で公平な市場経済において事業活動を営むことの基本的な重要性は、半世紀を経て経済グローバル化が進展し大競争時代を迎えた現在、むしろ一層高まりつつある」と述べて、反独占政策意義を今日的な観点から述べております。  この点について私見を申し上げますと、そもそも中小企業存在意義は、設置法一条の目的にもあるとおり、大企業に対抗する勢力、すなわち反独占勢力であると思います。しかし、単なる反独占勢力ではない。大競争時代を迎えた今日において、保守化した大企業に比べて、イノベーション創出を担えるのが中小企業であると思います。  であるならば、いたずらに中小企業を保護するのではなく、規制緩和と反独占政策、すなわち積極的な競争促進政策イノベーション創出支援政策の一体的な推進の中で中小企業を育成することが反独占政策の今日的な意味と考えますが、深谷通産大臣の御所見を伺いたいと思います。
  7. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) おはようございます。馳先生の元気な声で目が覚めたような気がします。  馳委員の御指摘は、中小企業における反独占政策についてどう考えるかということが第一であると思います。  私は、中小企業基本法が制定された昭和三十八年というのは、例えば中小企業が共同してスケールメリットを追求するとか、あるいは中小企業が団結して大企業との間にその事業活動に関する協約を締結するということで保護していくという、そんな感じがございました。  しかし、今日の時代では、グローバル化が進んでおりますし、情報技術革新等によってもうそういう形ではなくなりつつある。だから、規模の大小よりも技術独創性だとかアイデアの卓越性ということが重要になって、スケールメリットの追求よりも不足した経営資源を相互に補完することの方が重要になってきている。さらに、内外の市場が一体化しつつある中でありますから、保護的な手段というのがそもそも有効性がなくなってきているというふうに考えます。  そのような前提に立って、例えば、昔ありました商工組合特殊契約制度平成九年に廃止されるとか、あるいはアウトサイダー規制等も廃止されましたし、商工組合合理化カルテル安定化カルテルも今般は一括法として廃止をしていくと、そういう方向にあるというふうにまず考えます。  それから、今お話がありましたように、イノベーション創出というのは大変重要でございまして、新基本法でも創業・ベンチャー促進重点政策一つとして第十二条、第十三条、第十四条でそのあたりを示しているわけでございます。そして、市場における競争基本といたしまして、中小企業もその強みを発揮していけるような状態をつくっていくということと、不足がちな人材とか技術だとか情報等経営資源の確保をこれからきちっとできるような体制をつくっていくとか、つまり新しい時代に応じた中小企業のニーズにこたえていくことの方が今日は大事だというふうに考えます。
  8. 馳浩

    馳浩君 積極的な競争促進策には規制緩和は不可欠でありますが、同時に市場の公正な競争秩序確立も不可欠であり、したがって両者は車の両輪と言えます。  政府も、今年の三月三十日の閣議決定において、「規制緩和推進に伴う諸方策」の一つとして「公正かつ自由な競争促進」を掲げ、「規制緩和後の市場の公正な競争秩序を確保するため、中小事業者等に不当な不利益を与えるなどの不公正な取引に対して厳正・迅速に対処する」と述べております。全くそのとおりの決定であり、時宜を得ていると思います。  そこで、この閣議決定を受けて、どう公正取引委員会は対応しているのかお伺いしたいと思います。
  9. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) ただいまの御指摘は当然の御指摘でございまして、閣議でもそういう決定がございますし、この国会でも、私どももう既にそういう問題について問題提起を受けているところでございます。  私どもも精いっぱいその御要請に応じるように努力しているつもりでございますけれども、なお不十分な点もないわけではないと自己反省をしているところでございます。  ただ、平成九年の十月以降、半年ごとに、「規制緩和後の市場における不公正な取引方法に対する取組の状況」というものを私ども委員会の名前で公表いたしまして、私どもの半年の仕事のおさらいといいますか、そういうことで公表して、一般の御批判を仰ぎ、また参考になるように事情を御説明しているところでございます。
  10. 馳浩

    馳浩君 まだ十分な対応ではないということはまず申し上げておきたいと思います。  というのも、我々国会議員に来る不公正な取引方法に関する陳情は後を絶ちません。特に、独禁法で禁止されている不当廉売についての陳情が多く、公取のさらなる厳正運用を望む声が多いからです。また、衆参の委員会不当廉売の問題が取り上げられることが非常に多い。  そこで質問ですが、不当廉売申告件数、さらに、申告の中には同じ事例を申告しているものも多数見受けられると思いますので、実際の受理事件件数はどのくらいで、どのぐらい調査に入るのか。これを踏まえて、不当廉売等の不公正な取引方法に対する公取取り締まりは十分行えていると公取自身は考えているのか。さらに、これを専属に行う審査官を内部の異動でふやすおつもりはないのか、お伺いしたいと思います。
  11. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) ざっと申しますと、申告件数は最近は年間に二千件ぐらいございます。二千件は申告がありましたら調査はしているわけでございますが、何しろ件数が多いものですから、重点的に調査をいたしまして、そのうち六百件ぐらいのものについて注意ということをいたしております。  これは再々申し上げて恐縮でございますが、私ども一つ悩みというのはやはり人数が少ないということでございまして、これを専任に扱っている者が十五人ということでございます。そこで、国会でもこういう御議論が再々ございまして、特に、最近は若干その傾向は薄まっておりますけれども、ガソリンについて不当廉売があって、そしてガソリンスタンドが不公正な競争の結果倒産しておるという実情もございまして、それは国会でも指摘されているところでございますけれども、そういうことが背景にございまして、通産省も大変御理解いただきまして通産省からも応援いただいて事案処理をやっているわけでございます。
  12. 馳浩

    馳浩君 結局は、取り締まり審査官といいますか、員数の問題に収れんされてきております。しかし、行政改革の一環としての公務員削減が叫ばれている中、大幅な増加は非常に困難であります。そして結局この問題は行き詰まっております。  そこで、私は別の観点からこの問題を考えて、結果として不当廉売等行為が防止できるような施策を提案したいと思います。  その一つが、公取が行う行政指導としての注意警告をさらに強化させる手段であります。  そこで、具体的な質問に移る前に、行政処分としての勧告との違いを踏まえて、行政指導としての注意警告目的とは何か、さらにどんな場合にどのくらいの処理期間を経ておのおの出すのかを説明してください。
  13. 平林英勝

    政府参考人平林英勝君) 私ども公正取引委員会といたしましては、もちろん違反事実を証拠で認定できるという場合には勧告などの法的措置をとるわけでございますが、審査をしても、違反疑いはあるけれども証拠がつかめないということでそういう法的措置をとるに至らないケースもあるわけでございます。ただ、それをほうっておいてよいのかということもございますので、そういった違反疑いがあるものにつきましては、警告という措置をとるようにしているところでございます。  また、注意についてでございますけれども違反存在を疑うに足る証拠が得られない、したがって警告はできないけれども違反につながるおそれがあるという場合には、違反行為未然防止を図る観点から、注意という措置をとっているわけでございます。  それから、それぞれの処理期間でございますけれども警告につきましては原則公表というようなことにいたしておりますので、それなりの慎重な調査活動というものが必要かと存じますので、おおむね六カ月から事案によりましては一年程度かかるというのが通例でございます。一方、注意につきましては、例えば小売業における不当廉売事案につきましては、迅速に処理するということを方針としておりますので、おおむね二カ月以内に処理するということで、二カ月以内に処理しているところでございます。
  14. 馳浩

    馳浩君 経済というのは動いております。警告が六カ月から一年、注意に至っては二カ月、法的な拘束力もない中で、これはどのような実効力を日本の経済、とりわけ中小企業皆さん方の日ごろの事業活動に与えるのかということをもっと厳しく私は追求する必要があるのではないかということを指摘させていただきます。  さて、不当廉売行為には三つ成立要件があります。一つは、供給に要する費用を著しく下回る対価での継続的販売、これを価格要件と言います。二つ目が、競争事業者事業活動を困難にさせるおそれがあること、これを影響要件と言います。三つ目が、正当な理由がないこと。以上三つ不当廉売成立要件であります。  問題は、勧告は別として、行政指導である注意警告がこの三要件を満たすと公取が認定してから行っていったのでは注意警告の本来の目的に反するということです。  そこで質問ですが、注意警告のおのおのは、不当廉売行為三つ成立要件のうちどの要件が満たされると認定または確信を得てこれを出すのですか。
  15. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) 御指摘の点も大変難しいことでございます。警告につきましても、この三要件を調べまして、疑いがあるけれども事実を確定できないというときに警告をしているわけでございます。しかし、仰せのように、警告の三要件を調べますとなかなか時間がかかるということはございます。これも、お説のように時間がかかると経済状況が変わってしまうという悩みがあるわけでございますので、そこで私どもは、多少踏み切った姿勢でございますけれども、例えば仕入れ価格を割って販売している場合は、そういう申告がありましたときには、とりあえず現場に参りまして、そういうことは不当廉売につながるよということで注意をして、事前にそれを制止するという方向注意をしているわけでございます。これは若干注意を受ける方とすれば疑問があると思いますけれども、やはり行政指導としてはその辺は許されるのじゃないかというふうに私どもは考えております。
  16. 馳浩

    馳浩君 一言で言うならば甘いと私は思います。  確認ですが、不当廉売価格要件を満たす行為は、明らかに影響要件を満たさない場合、例えば販売数量が数個とかそういう場合を除いて、この段階で注意を出せばよいと思うのですが、そういう結果にちゃんとなっているのか確認したいと思います。  こういうふうに考えますのも、最高裁平成元年十二月十四日の判決が、価格要件を満たす行為原則禁止されると明言し、価格要件を満たす行為の多くは影響要件すなわち競争事業者事業活動を困難にさせるおそれがあると判示しているからです。  そうであるならば、公取注意を出す場合の基準としている違反につながるおそれのある行為が見られた場合に当たると思うからです。そのようになっておりますでしょうか。
  17. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) 先ほど申し上げた三要件、御指摘のありました三要件でございますが、何分その基本は「商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、」というところでございますから、この要件がございますれば注意をする価値のある案件ではないかと思います。  ただ、「他の事業者事業活動を困難にさせる」というところまで踏み込んでいきますと、やはり時間がかかるという悩みがあるわけでございまして、その辺は若干の見通しで行っているところでございます。
  18. 馳浩

    馳浩君 若干の見通しというお言葉がありましたが、この点について一般の国民の皆さん方が十分に理解していないのではないかという点を私は指摘をさせていただきたいと思います。  文献等を読みますと、公取は、勧告運用もさることながら、注意についても厳格に運用している等の意見を目にします。情報公開にもっと努めるべきと思いますが、この点御意見があればお聞かせください。
  19. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) これも何かつぶやきみたいな話でございますけれども、私どももこういう不当廉売は当然公正な自由な競争に反するということで厳正に対処しているところでございますが、一方ではやはり価格に介入するということについては強い反発がございます。  例えば、これも雑談のようなことで恐縮ですけれども、こういう不当廉売の手入れといいますか、そういうことをやりますと、非常に消費者から反対があるわけでございます。そういうこともございますので、私どもの立場を十分に説明するように努めているところでございますが、なかなかそれも隔靴掻痒のところがございまして、私どももこれからどういうふうにしていいかというところは多少思案投げ首のようなところはございます。
  20. 馳浩

    馳浩君 申し上げたいことは多々ありますが、警告について質問いたします。  先ほどの答弁では三要件全部を考慮して出すとのことでありますが、どの程度の確信を得て警告を出すかが問題だと思います。といいますのも、平成八年から現在までの不当廉売に関する警告件数は、平成八年がゼロ件、平成九年がゼロ件、平成十年が一件、ことしが今のところゼロ件。注意に比べると極端に少ない。注意については、平成八年が百五十件、九年が二百十七件、平成十年が五百九十九件、ことしが十月現在で四百一件。これは、消費動向もありますが、経済動向も踏まえるならば、こういった点が大変いわゆる中小事業者に対して、中小事業者不当廉売によって不当な不利益、不公正な中での競争にさらされているということの実態をあらわしている数字であるとも私は思っております。  警告原則公表しますからこの点を考慮してということですが、不当廉売行為を行っている者を擁護し過ぎではないかというのが私の指摘です。特に、不当廉売行為のうち、その他一般不当廉売行為とは区別されている一般指定六項前段行為、現在問題にしている継続的仕入れ価格割れ販売行為に対しては擁護し過ぎであると私は言いたいと思います。  私がこう考えますのも、先ほども言いましたが、最高裁判例がその根拠となっております。  すなわち、最高裁平成元年十二月十四日判決は、この継続的仕入れ価格割れ販売事業者事業活動を困難にさせるおそれが多いと言い、原則としてこれを禁止すると判示しております。つまり、不当廉売価格要件を満たすと認定できた行為は、原則的に独禁法が禁止する不当廉売だと言っているのです。そうであるならば、六項前段価格要件を満たす行為は、後段の行為と区別して、審査官の心証がクロで勧告を目指したが証拠関係上立証できなかった事案についてのみ警告を出している現状は改めるべきと考えます。  すなわち、価格要件を満たす行為については、現状注意案件のうちでも、その販売規模の大きさ、販売商品の特性、現在の政策展開との関係、さらには注意を過去にも出しており、そのときはやめたがまた行った場合等、問題が大きいものについて警告を出すべきではないかと考えるが、いかがでしょうか。
  21. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) この警告というのは、三要件を調べたけれども疑いがあるけれども立証ができないということでございますから、案件によりまして最初からやはり排除命令ということを念頭に置いて調査をするわけでございますが、そこに調査をした結果やはり排除要件を立証するに足らないということで警告をしているわけです。  ですから、注意というのは、要するに案件によりましては早く行ってそれを差しとめた方が早いだろうということで注意ということにとどめているわけでございまして、やはり警告まで持っていくには相当の時間がかかるわけでございますので、その辺の兼ね合いということがあるわけでございます。  確かに最高裁判例の読み方もおっしゃる点があると思いますけれども、我々やはり行政をやる者としては、この三要件は同じような重さで受けとめるべきだというふうに考えております。
  22. 馳浩

    馳浩君 最高裁判決を何か公取は拡大解釈しているような私は印象を受けますが、もっとこの最高裁判決を重く受けとめて、価格要件が満たされた場合に十分に注意もし、警告に対してもやっぱりきちんと対処すべき、そういう仕事をするのが公取ではないのかということを私は申し上げているのでありまして、本当に公取はこの質問テーマであります不当廉売行為をしっかりと取り締まっているのか、対処しているのかという点は、これは継続して私も問題点としていきたいと思います。  大臣質問いたします。  公正な自由競争秩序確立は、何も中小企業対策だけではなく、国際的な重要な課題でもあります。そこで、法的根拠がない行政指導としての注意警告勧告のように法的な行政処分として格上げをして、透明でわかりやすい、それこそルール型行政の見本として独禁法に明文化すべきか否かを真剣に検討すべき時期ではないかと思いますが、この点についての御所見を伺いたいと思います。
  23. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 不当廉売の声は私どもも頻繁に耳にいたしております。厳正な、そして迅速な対応が公取委員会には求められていると私も思います。  先ほど委員長は、ひとり言として、つぶやきとして、消費者の批判もある云々の話がありました。大臣として公取委員会に直接物申すわけにいきませんが、ひとり言で言わせていただくならば、批判を恐れずに厳正に対応すべきであるのではないかなという思いを持ちます。  あなたが今言われた独禁法の改正という点について、注意警告勧告、特に勧告の場合には行政処分でありますが、法改正をしたらいかがかという点については、御意見としては承りますけれども、その改正が適当か否かということについては、これは独占禁止法の全体の体系の中で十分議論すべき問題ではないだろうかというふうに思います。  いずれにいたしましても、通産省といたしましては、公正取引委員会による独占禁止法の厳正、迅速かつ透明な運用を引き続き期待しているところでございます。
  24. 馳浩

    馳浩君 法改正の立場について、この時点でそういう御答弁であろうかなとは思いますし、私の意見は、意見としての意味ですが、この点はむしろ積極的に政府側が取り組まないのであるならば、これは中小事業者皆さん方の声をいただいて、議員立法としてでも私たちは考えていく姿勢を示すのが国会仕事ではないかということを表明して、次の質問に移ります。  ベンチャー企業の育成に関しまして文部省にお伺いをいたします。  具体論として、ベンチャー企業育成の技術面の支援体制、この一つとして技術移転機関、TLOの創設が挙げられます。この制度のおかげでアメリカでは、一九八〇年から九六年までに二千社近くの企業が生まれ、二十二万人の新規雇用が生まれたと聞いております。  文部省にお伺いいたしますが、このTLOの概要と現在までの設立数、どんな優遇制度があるのか、あわせて、国立大の教員が株式会社のTLOの役員として兼務できるかの問題について、近々新たな人事院規則の制定も予定していると聞いておりますが、この点も教えていただきたいと思います。
  25. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) お答えいたします。  馳委員指摘のTLOの概要、それから設立数、支援策のことでございますが、これからのベンチャービジネスを育てていく上でTLOの役割というものが非常に大きくなってくるということで、この技術移転機関、これは法律を昨年つくりまして、いよいよこれが実施されてきたわけでございます。  このTはテクノロジーのTで、ライセンスのL、それからオーガニゼーションのO、これからきているわけでありますが、これは、大学等で研究をいたしておりますが、そういう研究成果を企業へ移していく。その際、特許収入等がございます。そういうものを大学とか発明者に還元をしていく。こういうことでございまして、それをさらに、その成果をどんどん生み出していこう、研究活動を助長していこう、こういうことで知的創造サイクルの創出を目的にする。こういう言われ方をしておりますが、これがTLOの概要でございます。  そして昨年、大学等技術移転促進法と言っておりますが、法律が通りました。それを受けまして、本格的にこの機関の設立が進んでおるわけでございます。  これは文部大臣と通産大臣の承認を受けていくわけでございますが、これまで八機関、東京大学に株式会社先端科学技術インキュベーションというのができております。これを初めとして今八機関承認をされました。さらに、二十以上の大学等で検討し、あるいは申請にひっかかっている、こういう状況でございまして、これはこれからどんどん進んでいくだろうというふうに思っておるわけであります。  また、承認をされたTLOは、これは通産省の方がやっていただくわけでありますが、助成金あるいは債務保証あるいは特許の手数料を軽減してあげる、そういうふうな支援措置でこのTLOがどんどん進むように支援措置が設けられております。文部省といたしましても、この産学連携をこれから経済活動の活性化の中に生かしていくということで、大いに進めていかなきゃなりません。  馳先生の地元の北陸先端科学技術大学院もございますし、金沢大学もございますが、まだ出てきていないようでありますが、ひとつ督励をしていただけたらどうであろうか、このように思います。  それから、あわせてこのTLOで役員兼務の問題、さきに一橋大学の中谷教授の問題もございまして、この問題について役員兼業をどうだということで詰めてきたわけでございますが、これは人事院の承認、文部省との間でこの承認の条件、手続、相談を進めてまいりました。  御案内のように、一般企業の兼務については、憲法第十五条の公務員は全体の奉仕者だ、こういうことがございまして、このことについてはまだ要件が得られておりませんが、このTLOについては、TLOの成果というものが今の憲法との兼ね合いからいっても公共の福祉というようなこともありますので、いろいろ詰めてまいりまして、人事院としても広く意見を聞こうということで、いわゆるパブリックコメントの手続を行いました。インターネットで広く国民の意見を聞く。その中で今後、人事院規則を整備して、ある程度の条件はつきますが、遅くとも来年、平成十二年の四月より人事院規則を改正して、このTLOに大学の先生方が取締役として就任できるようになるというふうに進んでおるというふうに聞いておるわけでございます。  文部省としても、国立大学教員等がTLOへ入っていただくということについては、大変結構なことでありますから、大いに促進をいたしたい、このように考えております。
  26. 馳浩

    馳浩君 TLOの課題について二点質問いたします。  まず第一点目ですが、大学での技術というのは大変基礎研究が多い。これを実用化するときには、さらにほかの技術との組み合わせも必要になってきたりいたします。さらなる研究開発が必要なときもあります。そういう意味で、このTLOの補完機関が大学においてもあるいは大学以外においても必要なのではないかという点が一点目の質問です。  二点目は、TLOを通じて企業に移転した技術というのは特許となります。ところが、その業務を行う弁理士が少ない、そして東京に集中している。調べたところによりますと、九八年で全部で四千十一人の弁理士が登録されていますが、そのうち東京が二千六百六十五人と三分の二を占めております。我が北陸では十四人、石川県では四人、全国を見ますと、ゼロ人が三県、一人から三人までが十六県という惨たんたる状況です。  この状況をどう打開するのか。このままでは、地方大学での技術移転、実際に企業に移転されたときの特許の申請とか事業化に向けての取り組み、これを支援する体制が司法の側からも不十分ではないかと思いますが、この二点についてお伺いいたします。
  27. 細田博之

    政務次官(細田博之君) TLOを育てるための補完機関の必要性とか、それから技術評価も大事でございますから、そういったことも必要でございますので、あわせてお答えをいたします。  中小・ベンチャー企業などに対しまして総合的な支援を提供する機関として、新事業創出促進法に基づきまして地域プラットホームが都道府県等を単位に整備されてきているところであります。通産省といたしましては、地域プラットホームの活動に対する助成やインキュベーター等の整備に対する支援を行ってきております。今後とも、これらとの連携を図ることにより、民間事業者に移転された大学の技術の事業化を促進していく考えでございます。  また、技術の評価につきましても、知的財産権、特許権の評価について、評価手法の確立目的としまして特許評価指標を試案として作成して四月に公表しておりますが、こういった指標の利用によりまして民間の技術評価機関の能力向上が図られる、こういったことが大変TLOの今後の発展に大きな役割を果たすと考えるわけでございます。  弁理士の東京集中あるいは大都市集中という問題については、私どもの選挙区の島根県などは弁理士がゼロという惨たんたる状況でございますが、やはり仕事のチャンスが少ないものですからおのずとゼロになるということで、広島の方に兼務をしてもらったりいろんなことが行われております。  しかし、それらを補完するために地方の個人、中小企業等を対象とした講習会や無料相談の定期的開催、そういったことも行っております。そして、そのような機会に講師、相談指導員として弁理士を派遣すること等によりまして、サービスの提供を図っているということ。  それから、弁理士会においても、弁理士数の少ない県等における出願人の依頼に応じまして近隣の弁理士を紹介したり、弁理士の無料相談サービスを行っておりまして、例えば弁理士会による無料相談の頻度は平成十年度で全国で五千二百四十一回に上っておりますし、特許庁による特許等の講習会、相談会なども全国で年間に二千二百回以上行われておるというふうに、弁理士の偏りを何とか補完するように一生懸命取り組んでいるところでございます。
  28. 馳浩

    馳浩君 私、一点指摘をさせていただきたいのですが、これからの企業活動は、まさしく国内においてはもとより国際的にもその持っておる知的財産、特許といったものをいかに有効に活用していくか、今回のように技術移転の場合にいかに法的に迅速に処理をしていくか。そういう観点からすれば、今大企業等はリストラの中ではありますが企業内の法務部を大変充実しております。  これが大都市中心であったりというふうなことになりますと、まさしく、地方の中小企業がせっかく努力をしても、このTLOの制度を使って技術移転を図っても、本当に事業化をするときに法的な支援が得られなければ全く本来の政策の趣旨が達成できないということになります。  まさしくこれは法務省の司法制度改革の中での一つ観点だとは思いますが、この点の充実といったものも法務省と連携をとりながら支援をして、法的な便益を得られないような中小零細企業皆さん方に対する配慮をしっかりとしていただきたいと私は思っております。  最後の質問になりますが、関連して、御紹介かたがた確認したい質問をします。  それは、神戸市を中心とするTLOの試みでありますが、いわゆる都道府県レベルのベンチャー財団がその機構の中にTLOをつくり、しかも一校の大学ではなく、周辺の大学三校での共同TLOをつくる試みであります。具体的には、神戸市の財団法人新産業創造研究機構がその当事者だが、このTLOは立ち上がったのかどうか確認をしたいと思います。  さらに、この試みはスケールメリットもあり、情報のネットワーク上も有利で非常にすばらしい試みと思いますが、どのように評価をされているのかもあわせてお伺いしたいと思います。
  29. 村田成二

    政府参考人村田成二君) 御説明申し上げます。  先生まさしく御指摘のとおり、現在、新産業創造研究機構、これは兵庫県の認可した財団法人でございますが、それを中心といたしまして作業が進んでおりますが、今年度内にTLOを立ち上げる、こういう目途で検討が進んでいるというふうに伺っております。  この評価でございますけれども基本的に私ども先生のおっしゃるとおりすばらしいことだと評価いたしております。具体的に申し上げれば、一つはやはり地域の複数の大学、これが共同して事業を行う。しかも、産業界とか関係機関と幅広い連携のもとに幅広い技術シーズの提供が可能になっていくというスケールメリットが生かせる、これが第一点でございます。  それから二点目は、情報システムを生かしまして相互連携をしていく、そういうことによりまして、ある意味で一部門の情報提供ではなくて総合的な情報提供が可能だ、この二点において評価いたしている次第でございます。  ただ、いずれにしましても、今後できるだけ早期に具体的な提案、これは資金の点ですとかあるいは大学としてどういうポジションで参加するのかといったようなことがきちっと早く固まっていただきたい、それに基づく提案をしていただきたい、こういうふうに希望している次第でございます。
  30. 馳浩

    馳浩君 これは私の意見でありますが、ベンチャー支援という観点からのTLOの取り組みばかりではなく、既存の中小零細企業も集まって協同組合等をつくって、特に若手の方に多いのですが、新しい材料、繊維業界だったら新しい生地をつくろうか、そういう場合にこういうTLOの取り組みをしていこうと。つまり、既存の中小零細企業もそういう取り組みをしている県が私は全国に多々あると思うんです。  そういう点もぜひ考慮に入れながら、そういった支援体制も組むということが必要であるというふうな認識のもとに今後取り組んでいっていただきたいと思います。  終わります。
  31. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  32. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) ただいまから中小企業対策特別委員会を再開いたします。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、渡辺秀央君が委員辞任され、その補欠として入澤肇君が選任されました。     ─────────────
  33. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 休憩前に引き続き、中小企業基本法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  34. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 朝に続きまして、皆さんどうもこんにちは。元気よく一言言わせていただきながら、民主党・新緑風会、木俣でございます。  昨日に続きまして、大臣閣下そしてまた皆様方に御質問をさせていただきます。  まず、冒頭でございますが、公正取引について、きょう午前も馳同僚議員からもお話ありましたが、まさに中小企業にとってやはり公正取引委員会の方々、本当に命ではないかと思うことさえあるわけでございます。特に中小企業庁設置法にありますような、中小企業が不当な取引制限や不公正な取引方法を受けたときには中小企業庁にその事実を申し出ることができ、中小企業庁公正取引委員会措置請求できるという代弁機能の項目があるわけでございますが、これは、ちょっと委員長の前に、大臣、守られておりますでしょうか。
  35. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 公取の皆様を中心として全力を挙げておられるとは思っております。
  36. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ありがとうございます。  代弁機能というのを持っている中小企業庁の皆さんに本当に敬意を表するわけでございますが、きょうは余りぼやっとした話というよりも、私の大変な友人が今、面している事件というか事故というのかいうものがありまして、具体的に少し事例を挙げさせていただきながら御質問をさせていただきたいと思っておるわけでございます。  この企業というのは名古屋の企業でございまして、活水器、つまり水の浄化の活水器のメーカーでございます。  彼は、高校を卒業してある大会社に入りました。三年ぐらいでその仕事をやめて、自分で自営を始めようということで始めて、現在二十九歳でございます。その若さでもう今や、名前は挙げられませんけれども、大メーカーの方々とも販路をともにするような、そういう今、まさに今から伸びていく岐路にある、そういうメーカーに今やなろうとしておりまして、大変苦労し成長の、まさにこういうところこそ中小企業庁通産省の皆様方に育てていただきたい、そういう企業でございます。  さて、現在、この問題というのは、実は同業他社から要はこの製品につきまして模倣ということで現在裁判中、公判中でございます。この裁判は結審がこの十一月の末ということでございまして、その間だれに任せるともなく彼自身が走り回って公判にも出そしてまた弁護士とも話し合う。こういうのがまさに中小企業悩みでございます。  ただ、これは問題が、ある活水器の同業他社のメーカーから批判されている模倣ということでございますが、そのメーカーが出しておるパンフレットがございまして、これはもう既に公正取引委員会の方にも私もともに付き添いながら出したわけでございます。  そのパンフレットの中に書いてあるような、例えば認可、通産、厚生、農水、建設省の認可を受けているというような誤報がまず載っておったり、そしてまた、国内特許を取得しておるというふうにその製品が書いてあるのでございますが、この特許というのは全く違う番号の特許であるということ。そしてまた、年一回にはこれは建設省の指導でサービスを必ずしなければいけないというふうになっておるわけでございますが、それも全くしていない。こういった意味で全く不当表示に当たるということだと思っておるわけでございますし、その製品が模倣には全く当たらないということは明々白々でございます。  そこで、ここ一年、彼は自分の力で厚生省、建設省、通産省、いろんな出先の機関を歩きながらいろいろ話していくわけでございますが、出先の機関の皆さんはなかなか、案件が多いということもありましょうけれども中小企業、そしてまた若輩の者に対しては、大変つらい思いをしたという感想を述べておるわけでございます。  そして、一年たちましてようやく先ほど、二週間ぐらい前ですか、公正取引委員会の景品表示監視室の方々にも我が部屋に来ていただきながらとうとうと御説明をしたわけでございますが、そのときの態度に私も驚いたわけでございます。  先ほど、午前中も不当廉売ということでこれを判断するには半年から一年かかる、こんなような話がありました。確かに百人のメンバーという中でいろんな案件を片づけるには大変かもしれませんけれども、しかし、最善を尽くすという姿勢であるとか意気込みであるとか思いやりとか思い入れというものがなければ、やはりやる気というものは失ってしまうと私は思いました。  そのときに言われましたのが、これはちょっと難しい案件ですねと。いや、私、素人目に見たらすぐにこれはおかしいじゃないかと思うわけでございますが、時間がかかりますねと。どのぐらいかかりますかと言ったら、いや少なくとも一年間はかかる、こういうことを言われたわけでございまして、じゃ一年間その社長がその業ができなければ完全にこれはつぶれるわけなんです。会社が絶対につぶれるわけなんです。  私、そのときに申し上げたのは、我々特別公務員、こういった者には税金で黙っていてもというか、仕事はしておりますけれども、黙っていても給与が払われて、そして安定した暮らしができる。彼らはまさにハイリスクでローリターンです、今の現状では。そういう中で歯を食いしばってまさにやろうとしている者に対して、これは少なくとも一年はかかりますね、軽くこう言いあしらわれた彼の気持ちは察するに余りあります。  そういった意味で、今回こういった事例を挙げるのはおかしいかなという気持ちもございますが、具体的にこういったものが私の身の回りにもあるものですから取り上げさせていただいたわけでございます。公正取引委員長様、またはどなたか担当の方からも、ぜひこの件について御答弁を賜りたいと思っております。
  37. 根來泰周

    政府特別補佐人根來泰周君) 通産大臣がいつもおっしゃっておられるように、中小企業の元気を阻害するようなことがないように、私どもも全力を挙げて仕事をしているつもりでございますが、御叱正を受けまして、さらに気を引き締めてやるつもりでございます。  ただ、具体的な案件につきましては、法律的にも私ども、事実があるかどうか、あるいは法律の適用はどうかということについては公表できないという建前になっておりますので、何とも申し上げかねるところでございますが、先生が一緒におつきになってそういう申し立てがあったということでございますから、そういう事実は否定するわけではございません。  その具体的案件につきましても、私どもは一年といわずできるだけ早く処理をするつもりでございますので、御了解願いたいと思います。
  38. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ありがとうございます。  本当に元気が出るようなそんな政策をということでございますけれども、我が党が今まとめさせていただいた新しい中小企業、商店街の活性化、ばらまきからやる気が出る支援へということで、政府とは若干というか大幅に違う内容で書かせていただいております。  まさに元気が出るような、そしてまた、特に東京のそういう中小企業、またはベンチャーの方々だけじゃないんです。やはり地方の方々が、つまり元気が中央都市から地方都市へ行って、そしてまた元気が大企業中小企業の間をぐるぐる回るような、それがまさに我々の目指す社会、二十一世紀の社会ではないかということを思いますので、ぜひ前向きな対応をお願いいたします。  これ以上申しますと、また嫌がらせになるといけませんのでやめますけれども、本当に私、がついたからそういうふうに言うのではなくて、もし足りないのであればやはりそこを増強していただくとか、大臣にぜひこういう、所管が違いますけれども御配慮をいただかないと、やはりやっていけないところは多くございますので、そのあたりぜひよろしくお願い申し上げます。  続きまして、昨日も質問をさせていただきましたけれども、税制についてでございます。  先ほど来申しておりますように、私ども民主党がまとめさせていただきました中小企業、商店街振興のこの政策、まさにばらまきの政策ではなくて、ちょっと言葉が悪いかもしれませんが、どうしてもばらまき的ではないのかなと。それよりもやはりやる気が出るような、インセンティブを持っていただく、やる気を持っていただく、こういう政策にならなければいけない。  まさにソビエトがかつて崩壊してしまった様子を私も一担当者として通商の場に立っておりましたけれども、ソ連が崩壊したのは何か。これは一言で言えば、やはり社会主義だからではないと私は思っておるわけでございまして、一言で言えばやる気がなくなったから、国民一人一人がやる気がなくなったからでございます。  ソ連の、当時モスクワの駅の前には貨車が、コンテナが数珠つなぎになっておりまして、その中には穀物やらいろんなものが入ってございました。並べますと約百五十キロになったと言われております。穀物でも、豊富にとれるウクライナのものが小麦でいえば六割、そしてまたジャガイモなんかでいえば四割腐って使えなくなる。それはなぜ起きたかといえば、これはやはりやる気がなくなったからにほかありません。  このままモラルハザード、つまりやる気がいわば危険にさらされるようなことがあれば、この日本もソ連と同じ道を行くのではないか、そんな危惧さえしてならないわけでございます。  そこで、やはり税制についてちょっとお聞きしたいわけでございますけれども、一昨日も代表質問の答えの中で大蔵大臣は、既にバブルももう崩壊しておりますし、ちょっと私おかしいと思ったのは、バブルをつくったのはあなたじゃないかと言いたかったんですが、バブルも崩壊しておりますし、承継税、特に土地については三百三十平米まで、百坪まで八割控除という中でもういいのではないか、こんな発言が繰り返されたわけでございますが、政務次官、いかがでございますか。承継税についてのお考えを述べていただきたいと思います。
  39. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えを申し上げさせていただきます。  木俣先生おっしゃったように、ソ連も共産主義ということもありましたけれども、やる気がなくなったということが大変に大きな原因ではないか、私も大変に共感をするところでございまして、そういった意味で、このやる気を皆様が持っていただくということの一つの条件は、いろんな制度がフェアであるということが大事ではないかと私どもも考えておりまして、そういう意味から税制は公平、中立、簡素という旨をいつも期して頑張っておるところでございます。  そういった中で、今、一昨日の大臣の答弁についてお尋ねがありました。土地については大臣が一昨日申し上げたとおり、数々の改正をしてまいりまして、三百三十までは八割ということでやっておる。  それに加えまして、ちょっとつけ加えさせていただきますと、相続税、そもそもの計算でかなりのもともとの控除がございますので、実質上その控除に加えまして土地の特別の手当てをしておりますので、かなりの部分は済んでおるのではないかというのが私の認識でありまして、その面では大臣の認識と変わるところはございません。
  40. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今、公平、中立、簡素と言われましたけれども、そういうことを言うならば全然違うんじゃないですか。農業と比べてどうですか、公平ですか。ちょっと伺いたいんです。
  41. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。  農地についてはどうかということでございますが、農地につきましては、一般の宅地と書いてありますけれども、これは難しい用語でございまして、農林山地以外の普通の土地という意味で、委員御承知のとおりでございますが、農地につきましては、農地になったら長い間ずっと農地でなければいけないとかいろんな種々の規制がありまして、宅地と同様になかなか扱うわけにはいかないということで、委員御承知のような状況になっておるということで、そこはそういう公平、中立、簡素という意味から農地と全く同じ扱いをするというわけにはなかなかいかないというふうに認識をしております。
  42. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 製造業をちょっと挙げますけれども、それでは、製造業は継承というか、いろいろ技術を習得するのに短い期間で習得できて、農業は例えば長くそれを営農しないと、営業しないとどうにもならない、そういうことですか。これはちょっとおかしくありませんか。なぜ農業はそんなに優遇をされなきゃいけないか。継承してから二十年間やるということであればその税は免れることができる。免れるようなぐらいの税がかかるという言い方の方が正しいかと思いますけれども、これはおかしいと私は思いますよ。  この間、大田区で、深谷大臣が行かれる一週間前に、私は恐らく同じへら絞りのプレスのところに、多分同じ北嶋さんというところに行きまして、へらで要は平板をぐっと押さえつけながら、HⅡロケット、残念ではございますが落ちてしまいましたが、あの先までへら絞りで大きな板でつくっていく、その技術というのは、最低十年でまあまあだな、それぐらいだそうです。それはそうですよね。最先端の技術の、最高部分のその先端をつくっていくというのは、空気抵抗その他もろもろ計算して、だけれども、要するにコンピューター制御ではできないというものを手でまさに、そしてまた腰と手と感覚でつくっていく、これは十年でまあまあかな、二十年でようやく習得できるということを私はそのときに伺ったつもりでございます。  そういった意味で、今言われたように、農業と製造業というものをそんなに簡単に話していただきたくない。そしてまた、私は昨日も申しましたように商家の、小あきんどですね、の出身でございます。これはお客様との信頼、これはそんな簡単にたやすくできるものではないんですよ。政治家だってそうだと思うんですけれども、商い人というのは十年、二十年、三十年、私の祖父の代から築き上げてきたそういう信頼の中で物の売買というのをやるんですよ。  ですから、農業がよくて、そういったもの、ほかのものはそうじゃないんだという言い方はおかしいと思います。もう一度お願いします。
  43. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。  実は木俣先生と一緒でございまして、うちも代々ちっちゃいしょうゆ屋をやっておったものですから、今のお話は非常によくわかるわけでございます。  そういう一方で、十年、二十年、長い信用を得ていかなければならないというのは私もよくわかるところでございますが、一般のそうではない方もいらっしゃる。その中で、やはり農業の場合はすべて所有と経営が不可分であるという農地法上の制約がございますので、この場合は極めて異例な措置として、例外的な措置として認めておりますが、原則としては二十年かかって営々と築き上げる人もおられますし、一年、二年でどんどんとかわっていかれる方もおられるという中での原則がこうなっておるということでございまして、いずれにいたしましても、これはなかなか理屈でどうこうという問題でもございませんから、政府税調や与党税調等、また先生方の御議論をいただきながら検討してまいりたいと思っております。
  44. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 余りこの話をずっとやってもらちが明かないかもしれませんので、質問をもうちょっと承継税に絞ってさせてもらいたいと思いますが、承継税の最高税率が七〇%で、これは非常に高いということがまず一点ありますね。米国が五五%、ヨーロッパなんかは大体四〇%ぐらい。そしてまた、国税の中に占める割合も要は四・一%で、ほかの諸外国が一%弱ぐらいと比べると非常に高いということだと思います。ですから、そういうマクロな数字で見てもこれが非常に、相続税全般ですね、承継税というよりも相続税全般がこれは直さなきゃいけないところに差しかかっている。  大蔵省としては、とにかく取りやすいところから取ってやれ、わかりやすいところから取ってやれ、こういう発想で恐らくはされておるやに見えるわけでございますけれども、そういう中で変えていかなきゃいけないものについては、昨日、深谷大臣が言われたように、例えば株式の評価の仕方についても、これは要するに上場していればいい、公開していればいいわけでございますが、しかしながらそうでない場合、流動性がないわけです。しかし、そこにかかってくる。それも、しかも類似の企業のそれと大体評価額を似せてしてくるわけです。ですから、非常に困っている会社が多いのは、それは政務次官も御案内のとおりだと思っております。  ちょっと一例、二例を、これは通産省の方、中小企業庁の方がとったコメントでございますけれども、例えば自社株評価については、町工場の用地はその事業の性格からして農地と変わらないんではないか。さっき言ったことですね。それから、税について言えば、手元金融資産が少ないので相続があれば自宅、事務所を売却するしかない。親から子へと事業継承し、零細企業を引き継ぐ場合には株式評価の特段の配慮をしてほしい。自社株は相続税資産の対象から外れないか。こういったものがるる集められておるわけでございます。  こういった意味から、または大臣はとにかく絶対にやるんだということで言われておりますものですから、これは大蔵省としても、いや、我が党としても、ぜひこの承継税については、要は公平、簡素、中立と言われましたけれども、そういった意味からも、そしてまたマクロ的な、そういう今までのフロー経済からストック経済へ流れていくわけです、高齢化社会というのは。  ですから、どうやってうまく引き継いだらいいかということも含めてこれは絶対考え直さなきゃいけないポイントだと思いますが、もう一度どうですか、その辺の株式の。
  45. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。  中小企業の事業承継税制の中で、取引の相場のない株式をどう見るかということでございます。  そこで、税の理屈を申し上げて恐縮なのでございますが、時価というのが相続税法第二十二条に出てまいりまして、この時価がないものについては方式を別途定めると、これは委員御承知のとおりでございます。  そこで、時価というものをどういう算定方式でやるかということになるわけでございますが、これは時価というものがいろんな政策目的等によって、この場合はこうだ、この場合はこうだというふうになるのは先ほどの税の理屈からいってもなかなか難しいわけでございまして、これはなるべく時価に近いものをなるべく客観的な方法で算出するということでございまして、そこをいじるというのはなかなか難しいんではないか、こういうふうに考えております。  おっしゃったようにいろんな算式をやって、類似業種比準方式と純資産価額、それからその組み合わせというふうになっておりますけれども、ここは今後政府税調等で議論をやっていかなければならないと考えておりますけれども、このそもそもの税率をどうするかとか、そういう話じゃなくて、そのもとになる時価というものをどう算定するかという部分は客観的にひとつきちっとしていかなければならないと考えておるところでございます。
  46. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 本当に考え続けて二十年という感じですよね。何年たったら本当にらちが明くのかなという感じです。  ですから、本当に自民党政権から我が民主党を中心とした政権に変わらなければ変わらぬのかな、我田引水、自画自賛ではございますけれども、本当にそういう思いさえするのでございます。  深谷大臣があれほど強く言っていらっしゃっても、大蔵省へ戻るとがらがらとまた変わってくる。また、政府税調はもっと、もっとと言ってはいけませんね、厳しいかもしれませんけれども、これだけ求めておって、そしてまたいびつな税収構造になっているということでもまだこういうことを守り続けなきゃいけないのかな。算定方式等々では減額率が例えば五〇%を三〇%にするとかいう直し方もあると思うんですよ。いろいろあると思うんですが、ここはひとつ抜本的な改革を、これは通産大臣でございますが、昨日の答弁に続きましてお願いをしたいと思っております。  それで、特に我が党では今法案準備をしながら、この十二月決算の企業も間々ございます、もちろん三月決算が多いわけでございますが、それに間に合うように、今年度の十二月決算に間に合うように今国会でぜひ中小企業に限った相続税の対策というものの案を出したい、こういう思いではございますが、大臣、昨日に続きましてでございますが、いかがでございましょうか。
  47. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) まず、民主党の案というのをまだお出しになっていないわけですから、それはまた大いに参考にさせていただきたいとは思っています。  それから、この税の問題に関しては、残念ながら今国会、臨時国会と時間的にはずれができてしまう。これは、税制調査会等の動きもあって、十二月に結論を出してくるものだと思いますから。だけれども、この臨時国会の中で一つ方向はきちっと出していきたい、こう考えているわけであります。  その中で、私どもが特に重点を置いておりますのは、承継税制の場合の株価計算の仕方。今も政務次官は時価とおっしゃったが、この時価が一体本当に正しいのか正しくないのか。今までの状態でいけば割高であったことは間違いがない。そういう意味では継承する場合に非常に大きな影響を受けたわけでありますから、私はここは大蔵省と十分な話し合いをしながら答えを出していかなければならないものだと考えて持論を繰り広げているわけでございます。  きのうも宮澤大蔵大臣がお隣でございましたから、目の前で陳情申し上げたと思ってくださいと、こう申し上げたくらいでありますが、しっかり頑張りたいと思っております。
  48. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ただ、大臣、今回の国会中小企業国会と小渕総理が言われておるわけでございますから、今の自民党税調、そしてまた政府税調、こういった答えを待っておりますと十二月末、そしてまた法案提出が来年になりますと、三月の予算が上がってからその以降審議ということになるかと思うんですね。そうすると、三月決算の会社には間に合わないということになりまして、今年度は先送りということになりかねない。  方向づけても、例えば御党のやられることを見ても、船舶検査、ことしですか、ガイドラインの国会がございまして、私も委員で出させていただきました。最終的に民主党としては、若干いびつではございましたが、この船舶検査は最重要と考えながら、もう一回戻していただけるなら賛成ですよと、ここまで申し上げて党内を調整した経緯がございますが、結局いまだかつてこの海上警備行動、その他もろもろ、領域侵犯、あるわけでございますけれども、この一番大事な船舶検査というものが欠落しているんですよね。最も重要ではないかと思うんです、我が国の領海を守っていくという意味においては。  ですから、ちょっとそのあたり、本当にもう超大物大臣でいらっしゃるわけでございますし、今国会中小企業国会ということであれば、政府税調のスピードを上げていただいて今国会にぜひ、我々がもし出すのであればそれは真摯な御討議をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  49. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私としては今、大蔵省と積極的に話し合いをしているところであります。
  50. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 次に、もう一度、承継税でちょっと資料を持ってまいりまして、現職の大臣の方々がどのぐらいの宅地にお住みかという資料を持ってまいりました。  十九人のうち十人が三百三十平米以上、百坪以上の土地に住まわれている。しかも、二つの家を持っていらっしゃるなんて本当にうらやましい方が多いわけでございまして、私なんかは月々八万円の借家でございまして、別にそんなことを言いたいわけではございませんけれども、本当に差があるなと思うわけですね。ですから、大臣たちも住むだけで百坪以上のところにほとんどの方が住まわれているわけですから、この事業を隣でやっているわけですから、百坪に限ってというのでは余りにも少ないということをちょっとつけ加えさせていただきたいと思っております。  次に、留保金課税についてでございますが、こちらはもっと問題が大きいわけでございまして、これについては、では政務次官から。どんなお考えをお持ちですか、留保金課税について。
  51. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。  委員お尋ねの留保金課税というのは、同族会社に対する留保金課税制度についてということだと思いますが、同族会社という言葉も税法上の言葉でございまして、実際には三名の方が合計して五割以上持っている、この三名の間は別に同族でなくてもいいということでございますが、こういう会社にありましては、この三名とか少数の株主の方が意思決定権を現実に握っておるということでございます。  会社から支払える配当が、利益があった場合あるのでございますが、これを個人で配当を受け取ると、これは個人の累進の方に行く。こちらに残しますと、それは回避ができるということも予想されるために、必要以上に会社に所得を留保するという、そういう傾向が出てくるということが予想されるわけでございます。これに対応するために、税負担の公平という言葉を何回も使って恐縮でございますが、公平を確保するという観点から設けられておるというふうに考えております。  そして、この課税があるということで、今申し上げましたように、間接的には配当をきちっとやるという配当支出の誘因として機能を果たしておるということが一つでございますが、もう一つは、法人と個人の負担の差をこれによって調整していこうということでありますから、現行の法人税と所得税の基本的な枠組みを前提に考えますと、これは当然必要なものだというふうに考えております。
  52. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 今の定義は恐らく昭和三十六年からほとんど変わっていない言い方でございまして、私、昭和四十年生まれですから、生まれる前で、もう卵にもなっていないようなものがこんな大きくなるまで同じ答えを言っているんですよ。やめませんか、そういうの、お互いに年が余り変わらないわけですから。思いませんか。私、そう思います。我々生まれる前の定義を使っているわけなんですね。おかしな話だと思いますね。  つまり、今言われたような法人形態、個人形態のこの差、その当時は七五%が個人の所得に対しては税がかかりました。法人は四〇%でございました。この差が三五%あったということが一つ。  それから、やはり不当に蓄財するということで、法人税を抜いた後の留保金に対して一〇から二〇%かけていくということですが、これ、欧米ではありますか。私が調べたところでは、アメリカにはございます。しかし、不当に蓄財したときのみでございまして、例えば昨年の税額のトータルが日本では千六百六十七億でございましたけれども、アメリカの場合は十七億円、円換算しまして百二十円ぐらいですね、十七億円という差があるわけですね。ですから、こういった制度はないと思いますし、今言われたような正当な理由が、もう差が縮まりまして、法人税、所得税、変わってきていると思うんですよ。だから、そういった意味でも、これは廃止と通産省の方々が言っているのは私、本当にそうだと思うんです。  もう一つ決定的な理由を言いますと、五年間の損益通算のものがありますね、課税に対して。例えば創業一年目、創業じゃなくてもいいですね、ことし一年目が一千万円損をしました、赤字が出ました。五年間一千万円出ますと五千万円赤字が出ました。六年後に例えば三千万円益がようやく出たときに、損益通算して、要するにまだマイナス二千万あるから課税はしませんよという制度が片やあるんですが、この三千万円に対しても留保金をした場合には課税がかかるんですよ。だから、どうやって資本を蓄積するんですか、小さな企業が。先ほど公取委の方にも聞いたような、そういう小さな企業をまさに助けるというのにこういういびつな税法を、本当に前近代的な、まさに取りやすいところから取って、中小いじめのような法を、さもありなんというようなことで昭和三十六年からずっと言い続けている大蔵省の気持ちがわかりません。  だから、今回はぜひこれは廃止をしていただかなければ私はちょっと納得いきませんが、いかがでございますか、御意見が何かありますか。
  53. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。  何かありますかということでございますが、私も昭和三十六年生まれでございまして、ちょうどこの制度と今同じ年になったな、余り成長していないのでこの留保金課税と一緒ぐらいかな、こう思っておりましたが、お尋ねの最初の部分で外国の例がございました。アメリカはおっしゃるような留保金課税をしております。イギリスとフランスは留保金課税という制度はないようでございまして、ドイツが配当される所得に対しては三〇%の税率を適用、そして配当しない所得について四〇%、だからこれは類似の、同じような目的の税率かなというふうに考えておるところでございます。  そこで、何年もずっと同じことということでございましたけれども、累次、これも全く生まれてから一センチも身長が伸びなかったというわけではなくて、昭和三十六年四月一日、生まれる前も積立金課税、それから超過留保課税ということでございまして、先生がおっしゃっていたように卵のときがあったわけでございます。その後、留保金課税ということで三十六年四月一日から適用が始まりまして、その後、三十八年、三十九年とずっと五十年までいろんな条件の見直しをやってきたところでございまして、そこで成長がとまってしまったのではないかと言われればそうかもしれませんけれども、そういうような種々の改革を経て今の状況があるということだけ申し添えさせていただきたいと思います。
  54. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それで、要はリーズナブルであるから、理論的であるからこれは残さなければいけないと考えるわけでしょうか。では、ちょっとそれを。
  55. 林芳正

    政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。  そこは大通産大臣が後ろにおられるので大変申し上げにくいところでございますが、現時点で我が省といたしましては、これはきちっとした目的のもとにあるので、最初に申し上げたように、必要に思っているという答弁になるわけでございます。
  56. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それでは、通産大臣に伺いますが、いかがお考えでございましょうか。
  57. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 中小企業に力をつけるためには、私たちは留保金課税は廃止と主張しておりまして、これも今大蔵省と真っ向からやり合っている最中でございます。
  58. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 それで、勝ちそうでございましょうか。
  59. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) あなたを初めとする議会側の力が重要なポイントだと思います。
  60. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これもやはり、我々民主党も先立って留保金課税廃止の法案を出したいと思っておりますので、ぜひ通産大臣を中心に自民党の皆様方も取りまとめていただきまして、御賛成を賜りますようにお願いしたいんですが、よろしゅうございますか。
  61. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私としては全力を尽くしたいと思っています。
  62. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 大変力強い本当にお言葉をいただきましてありがたく思っておる次第でございます。  次に、人材関連の御質問をしたいと思っておるわけでございます。  中小企業、そしてまた創業してわずかな企業というのは、廃業、つぶれてしまうまでの期間というのは非常に早いわけでございまして、三年未満で七〇%、五年未満だと大体八五%が消えてなくなるというのが統計であります。こういうのを見ますと、やはり自分の親が廃業した口でございますので、ああ、そういうものかなということを非常に痛切に感じるわけでございます。  やはり、失敗の原因というものをどう生かしていくか。「失敗の本質」なんという本があったかに記憶しておりますけれども、こういった失敗の原因をやはり熟読玩味、熟読というか、要は本当に熟考しながら成功につなげていくというのがまさにこの中小企業の、または次の世代の役割ではないかと思うわけでございます。  そこで、失敗の原因というので、これは白書にある数字でございますので正確だと思いますけれども、一番多いのが四七・二%で「経営ノウハウが未熟だった」、そして四二・九%が「マーケティングが不十分だった」、次が二四・一%で「他企業との競争が激化した」、そして次が二〇・九%で「人の育成を怠った」ということでございます。金融については、実は意外と少なくて八・九%で、第七位でございます。「金融機関の十分な理解が得られなかった」というのは、実は少ない数字で載っておるわけでございます。  これというのは本当に当を得ているんじゃないかな、的を射ているんじゃないかな、こういう気持ちで読ませていただくわけでございまして、経営ノウハウが未熟であった、つまり、要は番頭さんがいなかった、自分ができなきゃ番頭さんもいなかった、こういうような読みかえもできますし、マーケティングが不十分であった、自分は経営者としてもちろんマーケティングもしますけれども、先ほども申しましたように、経営者というのはトップでございますから、マーケティングのノウハウももちろん身につけていながらも、やはり作業的にはだれかにやってもらうとか、そしてまた四番目の、人の育成を怠ったというのは、まさに勤労者の教育面で怠ったということでありまして、一位、二位、四位というのが人の面である。これは実は非常に大きなポイントではないか。  ですから、我々、先ほどから申しますように、民主党として元気の循環を出すためには、やはり大企業中小企業の間、そしてまた地方と中央の間で人の行き来もかなりつけなきゃいけないんだ、そしてまた特に地方のサポートの体制、また必要な人が必要なところへ行けるようなマッチングのシステムというもの、つまりは、一言で言えば、ソフト重視の政策でなければ元気は出ないんだということを結論づけさせていただいておるわけでございます。  そこで、幾つか施策的にも現在政府がされておるものがあるわけでございますが、これは労働政務次官はあと十分ぐらいで出ていかなければいけないということでございました。  伺いたいんですが、いい人材を採ることについてどんなことをされておるわけでございますか、勤労者を雇い入れるという立場から。
  63. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 中小企業の育成というか振興にとって人材の確保ということが極めて重要な問題であるということはお説のとおりであると思っております。  なかなか人材を集めにくいというのもいろんな問題がございますが、現在やっておりますのは、中小企業の人材確保のために中小企業労働力確保法という法律がございます、これに基づいて、人材を確保するための雇用管理の改善計画を立てていただいておる企業に対しまして、そこで人を雇っていただければ賃金助成を行うとか、あるいは採用活動、適性検査等に要する費用の援助、あるいは労働環境整備等に対する助成等の措置を講じております。これは大変評判がよくて、今一万二千件程度の改善計画の申請件数も出ておるところでございます。  また、こういう時代でございますから、いろんな人材が大企業等から出てきておりますが、この方々とベンチャー企業を中心とする中小企業の方々と直接結合いたしますように、そういうベンチャー出会いの場といったようなものを全都道府県で開催する。  さらに、今度の新しい経済新生政策におきまして、今補正予算を要求しておりますけれども中小企業で特に成長分野や地場産業でこれから先導的な役割を果たしていただける、こういう企業に対して教育訓練等に対する助成を強化するというようなことを今やっておるわけでございまして、こういうことで地域に対する波及効果も期待をいたしたい、このように思っております。
  64. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 私は、だからばらまきだと言うんです、これ。例えば、今、労働力確保法ありますよね。昨年度が四百十億、来年度は八百二十億。すごく評判がいいというのは何かといえば、出せば絶対にもらえるからです、六人までは、賃金の半分を。四百十億円ですよ。SBIRに出したお金が百十億ですよ。  もちろんそれは、雇用が悪化している、そしてまた中小企業の方々が人材を求めているということなんですが、私、実例を幾つも幾つも当たっております。これは本当にありがたいよという声があります。それは何でかといえば、だれでもかれでもとにかくぱっと出せばすぐもらえるから。だから、こういったものがまさに僕はばらまきだというふうに言わざるを得ないと思うんです。  そしてまた、まさにベンチャー出会いの場みたいなものは、十六都道府県で開催して一・五万人参加されている。それはそれで役に立っているかと思うんですが、最後に言われた地域の雇用創出特別奨励金につきまして予算要求を今されている。もう実施しているんじゃないですか。(「第二次補正」と呼ぶ者あり)ということですが、私が伺ったときに、全国に四千程度の企業をピックアップして、そこに対して実施し、十五万人ぐらいの雇用を生み出すんだという、題目はすばらしいんですが、では、どうやって十五万人というのを選定していくのか。聞いたら、都道府県に任せるという非常に安易な言葉が返ってまいりました。だから、都道府県の商工部がこんなことできますか、目ききですか。四千の企業をどうやってピックアップするつもりですか、ちょっと伺いたいんですが。
  65. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 四千の企業は、先ほど申しました労確法に基づく改善計画の認定企業の中から地域的に先導的な役割を果たせるものという感覚で認定をいたしますので、地場の事情がわかっておられるところで御理解いただけるものと思っております。  ただ、先生先ほどから、優秀な人材を確保するという焦点を絞った政策になっているかと言われると、今大変雇用状況が厳しい中での対策の部分も含めてこの政策をとっておりますので、若干、先生の御期待と違う部分が入っているかなという思いを先ほど来いたしました。
  66. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ちょっと私、それは本当に問題発言だと思いますよ。優秀な人材と優秀じゃない人材とは私一言も言っていませんし、人間というのは皆やっぱり優秀なところもあるし優秀じゃないところもあるんじゃないですか。そういう考え自体が本当におかしいと思います。適材適所でしょう。そういう考え方はちょっとやめてほしいと思うんです。  とにかく、そういう考え方はやめていただきたいんですが、人材の育成について、そこで、適材適所ということで教育訓練給付ということで八千の機関に対しまして昨年度でいえば二百七十三億円、四万人ぐらい申し込みがあるということでございますが、しかし、例えばいろいろ訓練を受けたいと思う人も大学とかそういう、アメリカの場合、コミュニティー大学というのは御案内のとおりで発達しています。ちょっと勉強しようというとそこへ行って勉強をするわけですけれども、日本はなかなかそういった意味でコミュニティー大学というのはないものですから、もちろんこの政策の中に通信大学や夜間大学といったものは入っておりますけれども、昼間の大学に対してはこれは支給されないわけですよね。なぜそういう使い勝手が悪いことに、二百七十三億もこれに使うのかわからないのですが、ちょっとお答えいただけますか。
  67. 長勢甚遠

    政務次官(長勢甚遠君) 幅広くいろんな教育訓練機関で訓練を受けるというか、能力の向上を図っていただくことが大事だと思っております。  大学については、現在はそのとおりでございますが、さらに検討してまいりたいと思います。
  68. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 アメリカ、イギリスという欧米のことばかり言ってはいけないかもしれませんけれども、やはり大学というのは一つの町の中心であって、知識の集積地というのか、そしてまた人の交流の場所というのか、または高齢化を迎えるに当たって、再教育の場という意味でも大学の充実というのは非常に大事だと思います。  政務次官、恐らくもううちの議員が待っておりますので、もう御退席いただいて結構でございますので、ぜひ厚生委員会の方へどうぞお行きください。  文部政務次官にもちょっと伺いたいんですが、今の給付金がやっぱり夜間大学しか使われないという現状をどう見ますか。これから拡充できますか。
  69. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 夜間大学を認めて、さらに昼夜開講制の大学についてはこれを認めるという方向で、これは新たに給付金の指定を受けておりますので、大学についてはそれを認めるという方向……
  70. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 昼間。
  71. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 昼夜ずっと続けてやっているところですね、そういう方向でありますから、今御指摘の点はさらに拡充する必要が私はあるというふうに感じております。
  72. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 これは二十万上限ということで、文部省と共管でやっていらっしゃるのかわかりませんが、二十万上限ということで、本当は私も再教育を受けたいぐらいだと思っておるわけでございますが、もう少し、まさに登録を、申し込んだら即それが二十万来るという方法から、もうちょっと何というんですか、ハードルを高くしながら、頑張ってやろうという人にお金が出るような方式というのは考えていらっしゃらないんですか、ちょっと伺いたいんです。
  73. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 今度は奨学金制度も非常に拡充をいたしまして、そういうことで希望される方、これは有利子ではございますが、奨学金についてはそういうことで、希望される方には原則として差し上げたいという方向で今進めておりますので、奨学金の方で対応を当面するということになると思います。
  74. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 だけれども、これは働いている人に出るんですか、奨学金。働いている人で、もう一回そういう再教育を受けたい人に。
  75. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) お答えします。  社会人でも再入学されて勉強なさるという方には奨学金は差し上げております。
  76. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 働いていながら。
  77. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 働きながらでも学校にお入りになるわけですね。
  78. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 出るんですか。
  79. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 出します。
  80. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 わかりました。  そしてまた、先ほどから申しますように、日本は例えば商売ということで区切りますと、大学の中にそういった講座を設けているところが、昨日、私、文部省の方に伺ったら四十三、そういう企業を助けるような講座を持っている大学があるというふうに伺っております。もちろん企業を助ける講座が四十三といっても、私も経営学科の出身でございますし、各大学、ほかの経営学またはマーケティングとかそういうことを含めて教えるところはあるわけでございますけれども、アメリカが大体五百とか六百とかあるのと比べますと、まだまだそういった実業、実利に携わる実学の場所というのが非常に少ないんですよ。だから、そういう受け皿がなければ、結局どんなに何を出したって、それが要は砂漠にまく水。だから、何度も言いますように、やはり今の政権のやっていることはまさにばらまきにすぎないんじゃないかなというふうに思うんですね。そこがうまく整合性がないんではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか、そういった拡充について。
  81. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 御指摘のとおり、アメリカの五百に比べて日本は今五十とおっしゃいましたが、こういうベンチャービジネス論等々のまさに経営者を養成するような講座はもう今八十二大学に進んでおります。これはもっともっと進む方向に今私はあると思っておりますが、その拡充は私は非常に大事なことだというふうに思っております。  そういうことから、文部省としても今後ともそれを進めていかなきゃいかぬということで、さらに大学院設置基準を改正いたしまして、いわゆるビジネススクール、アメリカなんかのプロフェッショナルスクールでありますが、それに対応するような高度な能力を養うことを目的としたいわゆる専門大学院といいますか、大学の修士課程をそういうふうに特化させる、こういう制度を設けまして、今年度では一橋大学が、あなたの母校でいらっしゃいますが、今予算を要求しております。それから、慶応大学も今それを申請しようといたしておりますので、これは今から拡充を進め、文部省としても大いに督励をしていきたい、このように考えます。
  82. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 私の母校であります一橋のためにもぜひよろしくお願いしたいと思いますと同時に、我が大学、実は国立大学をやめたいと思っているんですよと僕が言うと怒られちゃうんですが、実際そのぐらいな気持ちなんですね。いろいろな枠組みがありまして面倒くさ過ぎる、だったらOBがもう抱えてやったらどうだと、深谷大臣の後援会長もそうでございますが、そんなことを言っておるわけでございますね。ちょっと余談でございます。  もうちょっとばらまきの例を挙げます。  昨年の暮れに緊急地域雇用特別交付金二千億円というのが出て、労働省の方いらっしゃいますよね、これで私聞きました。愛知県に約九十億円ぐらい来たのかな。それで、県議が、いや三日で決めろと言われてもそんなの三日間で何をやったらいいかわからないよと。そんなものをばらまかれてもしようがないんだ、ばらまきの最たるものだということを言ってきた県会議員の方がありました。まあいいです、それは。  だけれども、この間大阪に行きました。リタイアした人たちが、特に経営者、そしてまた大きな企業、中堅企業、いろんな方々、零細企業の方々がつくっているビジネスライブの会というのがありまして、この方々と私も意見交換させていただく中で、この交付金を使ってぜひ経営指導をさせてくれないかと申し出をされたらしいんですよ、申し出を。ところが、出先の機関、名前はちょっと言いませんが、出先の機関は、いや、結構でございますとお断りされたんです。この方々はほとんどボランティアで、時給八百円とか九百円で、いや喜んで、要は自分たちの能力を社会に還元したい、こういう思いで、向こうから言ってきたんじゃなくて、これは有名な会ですよね、御案内のとおり。要は、わざわざ自分たちが言ったのにもかかわらず、いや、結構でございます、こういうふうに言われたそうなんですよ。  アメリカ、アメリカと言うと嫌がられるかもしれませんけれども、これはやはり先進事例ということでありまして、SCOREという制度があるやに聞いております。ちょっと今資料を見逃しておりますが、退職者管理職サービス団、SCORE、これは一万三千人のボランティアによって構成されて、米国の中小企業庁がスポンサーとなっているプログラムであって、一九九七年のSCOREのカウンセリングやセミナーを利用した人は三十万人に上り、その予算は三百五十万ドルとなっていると、こういうふうになっているんです。  こういう二重三重の、そしてしかも廉価な経営指導を中小企業は望んでいるんですよ。ところが、出先へ行くと、いや、結構ですと、こうやってやっているそうなんですが、それは事実でしょうか。
  83. 青木功

    政府参考人青木功君) ただいまの大阪の先生お尋ねの件でございますが、私きょう初めて伺った次第でありますので、現地の状況も調べさせていただきまして御報告をさせていただきたいと存じます。
  84. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ちょっと、大丈夫ですか。大変有名な会ですよ。本当に調べて御報告をお待ちしております。  それから、人材のサポート、経営サポートの面でちょっと話をさせていただきますが、これから三百の地方にセンターをつくられてやられるということであります。大変いいことかなと思ったり、三百という数字が非常に気になって、何だろう、何だろう、あっ、小選挙区単位かということに気がつきまして、これはまたえらいことだなという思いも今しておるわけでございます。  昨日もそしてまた衆議院の方でも御質問がありましたけれども、やはり今までも相談窓口とか相談員とか配置仕様、または相談員は商工会だけでも八千七百人、中小企業診断士が記憶が間違いなければ大体一万六千人から七千人いる。これはペーパードライバーでございますけれどもいらっしゃるという中で、もちろん経営指導は銀行員がやっているという言い方もできるかもしれませんが、この三百の窓口にだれが来るのか、だれが指導をするのかということが本当に大事だと思いますし、それによって予算がもう本当に変わってきてしまうということでございます。  どういう方が来て、どんな指導をするのか、今までもお答えになっているので大体概略わかっておりますが、ちょっとクイックでお答えいただけますか。
  85. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 御存じのように、これまでは商工会議所ですとか商工会ですとか、あるいは団体中央会等々で専門の指導員、診断士、そういった人たちとも連絡をとりながら最もいい人を派遣するというふうなこともやってきたわけでございますけれども、それにこだわらず、先ほど来木俣委員がいろいろおっしゃっておりますように、民間にたくさんのいい能力を持った方々もおられるし、従来どおりの記帳を教えるところから始まって、昔から非常に基礎的なことをやってきた方々も多いわけでございますから、それだけでなくて、これからの発展に役に立つような方をこぞって集めようというのがまず基本的な趣旨でございますので、民間とかあるいはそういうことを仕事としている人も含めて募ってまいりますし、学校の先生でも役に立つ人はお願いするということを地元を挙げて進めていきたいということを願っているわけでございます。
  86. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ぜひこれは、中央からの指令である機関にお金が行くだけではなくて、やはり地元のニーズに合った地元の対応、お金は上げるけれども意見は最小にしてもらう。しかしながら、要は、余りにも何かまた同じような人たちが出てきて、それは帳簿をつけるのも大事ですよ、だけれども、帳簿をつけるだけだったら、それは結果であって、大事なことはやはりマーケット、市場との接合点というのを指導してあげること。  先ほども、東大阪そしてまた大田区、そして我が故郷の豊橋、愛知ということを言いましたけれども、特に大田区なんかでも、例えばこういうことがよく言われます。何をつくったら売れるのかわからない、もちろんすばらしい企業もありますけれども、それさえ教えてくれれば我々は何でもできる、そういう自信を持っていらっしゃいます。しかし、その方向性がわからないということが問題でありまして、我々は政策集の中でも、殺し屋というものがあるならば生かし屋、もうとにかく生きていってもらう、そしてまた元気になってもらう、そういう生かし屋という方々をどんどん養成して、先ほど労働省の方々が四千社、どうやって拾い上げるのかわかりませんけれども、そういうのとうまくコーディネートさせて、まさに先ほど十五万の雇用をそこで創出するんだ、通産省流に言えば一万社を見つけていくんだという話ですね。政策目標が出たということはすばらしいことだと思うんですが、そこにどういうふうにソフトの支援をしていくかということが最重要であると思いますので、ぜひそのあたりは大臣政務次官も御注目をいただきますようにお願い申し上げたいんですが、大臣から一言お願いします。
  87. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 木俣委員指摘のように、形だけそろえて数だけそろえばいいというものでは全くありません。当面は百カ所を目標にして計画を立てていきますが、その百カ所の選定や運営方法、対応がまさに最大の試金石になると思いますから、これに対しては相当に真剣な覚悟で取り組まなければならぬと思っています。
  88. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 時間が迫ってまいりますので、今の関連で御質問を続けたいと思います。  まだ閣議決定しておりませんので要望ベース、要求ベースということで第二次補正の予算案を見ているわけでございます。中小企業対策七兆四千億ということでありますけれども、このうち五兆が、例の悪名高いと言ったらいいのか安定化のためのというのか、保証の額でございます。その他二兆四千億も、実はよく見てみると金融がほとんどであります。  通産省の公費の方で見てみますと、三千百三十三億円要求されておるようでございます。金融対策二千三百六十二億円、そしてまたその他経営基盤の強化七百七十一億円ということでありますが、この中で今申し上げたようなソフトを支援するということで考えますとたかだか四十三億円、または多く見てもそのベンチャー国民運動の展開などを見ますと七億円、合わせて五十億円ぐらいだと思うんですね。そんなソフトの支援をしないで、先ほどアンケートを初めに言いました、今、中小企業が求めているものはそういったソフトの支援なんです。もちろん、金融の貸し渋りもひどいものがあります。  同僚議員が、もう衆議院の方で口を酸っぱくかなり言っていただきながら、信用保証協会でもかなり誤謬がある。月収の三倍ぐらいしか貸してくれない。そこが上限なんだということも、大臣、大体胸に刻んでいただいたと思いますが、しかしやっぱりソフトな支援というのをしなければ、いっときの麻酔を打ったりカンフル剤を打つだけではだめだというのは、これは本当に釈迦に説法だと思っておりますけれども、ソフトの支援が本当に少ない。要求するなら何でもっとソフトな支援をしてもらえないかということを思うわけでございますけれども、いかがでございますか。
  89. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 通産省といたしましては、そこのソフトな支援にも随分この補正予算で要求をしておると考えておるわけでございます。  細かくは申し上げませんけれども、ナショナル支援センターの関係、都道府県支援センターの関連では、プロジェクトマネジャー等の支援人材の確保ですとか、事業可能性の評価委員会、ベンチャー等中小企業の発展段階に応じた診断助言事業、取引適正化・苦情処理機能の体制整備事業あるいは中小企業情報化促進支援事業、デジタル革命に対応する情報化促進診断助言事業等々きめ細かく、また創業・ベンチャー・経営革新支援拠点ネットワーク事業二十二億も含んでおりまして、これだけで五十五・八億円を要求しておるということでございますが、かなり思い切った予算措置を講ずることとしておると思っております。
  90. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いや、だって三千何百億のうち五十億でかなりと言われても、これは違いますよ。  我々、概略試算をしますよ。これは本当に同僚議員の皆さんも納得いただけると思うんですけれども中小企業で会計士やアドバイザー、こういうのに経費をどのぐらい使うか。例えば百万円ぐらい使う。ちょっと大きな会社ですよ、四万社とか五万社ぐらいピックアップして考えますけれども。四万社ぐらいの会社が年に百万という単位では、やっぱりアドバイザーに対しては少な過ぎますよね、相場からしても。そうでしょう、そう思いませんか。五百万ぐらい使うとすれば、五百万円掛ける四万社で二千億、その半分を例えば国費で見るとすれば一千億なんですよ。ソフト支援というのはそういうものなんですよ。  もうちょっと言いましょうか。例えば、この間、僕がちょっと聞いた話で、これは通産省の方にも言ったけれどもわかりませんでしたが、経営指導をすると言うんですね。要は、どんな指導をするかというと、まあちょっと来てくださいよと。二回まで受けます、二回まで二時間。こんなことがあって、あんなことがあって、どんなことがあってと問題をさらけ出したと。そしたら、はい二時間終わりました、ありがとうございました、二回まで、終わり。ふざけるなという感じですよ。これが経営指導だったら、何か全部聞かれて、指導というよりも本当に情報をとられてそのままみたいな、そんな感じなんですね。だから、そういう指導が実は末端の一番大事なところで行われているというのを現状を伺いました。  ですから、今言われた五十数億でそれでもう十分だなんて言われても私どもは本当に納得ができないわけでございますが、もう一度ちょっと大臣からぜひソフト支援についてお答えいただきたいと思います。
  91. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 木俣委員のお話を聞いていますと、ソフト支援ということをかなり限定的におっしゃっているんですが、私たちはもっと広い規模でソフトというのは考えています。  今の四十三億円も支援センターを中心としたところのソフトでありますが、これにはオンラインで提携するとかさまざまな新しい情報のパイプをこしらえてやっていこうというふうな工夫を大いにしていくわけでございます。また、情報関連予算だけでも二百二億、技術開発でも百七億といったように、広い意味でのソフトにはかなりの要求をしておるつもりでおります。  また、金融関係についてのお話でありますけれども、例の十兆円追加については信用保証協会の補助金の九百億というわけです。
  92. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 いろいろ言い方は表現の仕方であると思いますけれども、先ほどのアンケートで見たようなものに限ってということでございます、私が申し上げているのは。  ソフト支援も、それは多うございます。おっしゃるとおりでございます。ただ、一番皆さんが何を思って何を支援していただきたいかというと、一つの方法でございますが、アンケートをもとにして組み立てていくというのが普通のロジカルな考え方だと私は思いますものですからそういうふうに申し上げたわけでございまして、これは一段の御配慮をやっぱりしていただかないとだめだと、絶対これは思います。我々が本当に政権をとったらこういうものを断固としてやっていきたいというふうに思うわけでございます。  それで、例えばやる気が出るようなそういう支援の中で日本版のSBIR制度というのがございます。日本では九九年度でわずか百十億円。アメリカの場合は、ざっと百二十円で換算しますと千三百十七億円ここにつぎ込んでいる。  まさにベンチャー育成、フェーズワン、フェーズツー、フェーズスリーと分けて、資金の調達から、そしてまた政府の買い上げ、そういうものも含めて中小企業を助けようと。もちろん、これはアメリカの大きなところはDOD、国防総省が大きいというふうに私ども聞いております。エネルギーとDOD、こういうものが多いというふうには聞いておりますけれども、いかにもこれは小さ過ぎる。日本が例えば経済がアメリカの半分と簡単に見ましても、千三百億だったらば例えば六百億とか七百億とかここにやはりつぎ込んで、まさに今、創業のときは二百万ぐらいで創業できる、有限会社だったら三百万ですが、もっと少なくても創業できますが、要するに、そこからベンチャーキャピタルが投資してくれるまでの間をつなぐという発想がこのSBIRの発想なんですね。  ですから、もちろん今通産省さんを中心として、昨日もありましたように、今の省庁からもっと広げた省庁へ大変御尽力をされておると聞いておりますけれども、これたしか応募して七倍ぐらいの倍率だというふうに聞いています。これはなぜ落ちたかということを知らせていますか。
  93. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 案件によりますけれども、個々の方々にはどういうことがあったかということはできるだけ御説明するように、御質問があればお答えするようにしていますが、とにかく採用される率がおっしゃいましたように非常に少ないものですから、そういう点はまだ問題があると思っております。
  94. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 余り追及してもしようがないと思いますけれども、やはり失敗を前提とする社会ですし、そしてまたなぜ落ちたかというところを、例えばビジネスプランを出した、窓口がはじいた、何ではじかれるのかな、どこが悪いのかな、そういうところからもう一回刷新していくというのが一番の大事なところでありまして、これは直ちに、やはり落ちたら落ちた理由、なぜ落ちたのか、ここはまずいとか、それが指導なんですよね、大臣、そこが指導。
  95. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) スモール・ビジネス・イノベーション・リサーチ、難しい言葉で表現していますけれども、今までにない初の試みであります、日本にとっては。  五つ、実際には九省にまたがりますけれども、その省がばらばらに持っていた資金も全部集めて、具体的なプランを発表して手を挙げていただく、そこから新しい技術革新を起こしていこうと。スタートしたばかりで、まだ応募した人たちから選定したという状況でありますから、まさにこれからだと思います。そういう意味では、全体で百十億が多いか少ないかと言われれば、これからがスタートだとお考えいただく以外にはないと思います。  そして、今、木俣委員指摘された、例えば手を挙げて内容を書いて届けた、外された、一体どこに原因があったんだろうか、その原因の中からまた新しい技術を開発していこうという、この繰り返しは非常に大事だと思います。  ただいまの御発言は一つの貴重な御提言として受けとめたいと思います。
  96. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 ありがとうございます。ぜひ、なぜだめなのかということを教えてあげていただきたいと思います。  最後の質問になりますけれども、このSBIR、先ほども申しましたように、アメリカ再生のキーであるなんという表現を使われたりする方もあるわけでございまして、若干経済の構造または国防総省の予算の比率とかそういうことは違いますけれども、しかしこれが一つ中小のまた発火点になっているのは、これは言をまたないと私は思うわけでございます。  そこで、じゃお金をどこで捻出したらいいかなという一つヒントを我々も差し上げたいというふうに思っておるわけでございます。  これはある偉い学者の先生から教わったわけでございますが、今、日本に公営競技、JRAを中心として、中心と言ってはいけないんだな、いろいろございますね、通産省所管の自転車、あるわけですが、これを足しますと、合算しまして八兆円ございます、公営競技。  我々が申し上げているのは、そしてこのプランの中に出しているのは、この一%をベンチャーキャピタルということでこのSBIRにつぎ込んだらどうかということでございます。  根拠は、(発言する者あり)いやいや、それはいろいろありますが、そこを何とか言わなきゃいけない、やらなきゃいけない。  なぜ私が言いたいかというと、競馬で戻っていく率が七五%です。公営競技全体平均しますと大体そんなものなんですよ。ところが、アメリカでもある州では、例えばスロットマシン、ちょっと状況は違いますが、スロットマシンでいえば八三%戻しなさいと、州の法律まであるんですね、ギャンブリング法なんというのが。そしてまた、イギリスの例えば競馬なんかで統計とってみますと、九割以上が戻るような仕組みになっているんです。  ですから、そういう意味で、いろんな操作をすればどんなことでも言い逃れできますけれども、この公営競技の一%をこういったベンチャーに使っていく。かける人も何かわくわくしてかけますよね、これが使われるんだと思うと。今まで後ろめたかった方がなぜか前向きに、おれは競馬に行くんだと自慢をするようになるかもしれないという思いもするわけでございまして、別に競馬をやりなさいということではないんですが。要は、胴元が二五%取るといったら、ある業界よりも非常に高いんですよね、実はこれ。まあ、ある業界は言いませんが。  ですから、そういう意味でも、こういったもので対応していくとか、そうしなければ、それこそ、政務次官いらっしゃいますが、大蔵省がうんと言わないんですよ、とにかく。  だから、どこで捻出をするのかということでやらないと、都知事はこの辺のウオーターフロントでギャンブルやったらどうかなんて言うんですが、そんなものじゃちょっと困るんですよね、本当は。ですから、今ある枠の中で、今の公営競技は認めましょうと、だけれども公営とつく以上、その一%ぐらいを例えばそういうベンチャーにつぎ込んだらどうかというアイデアがありますが、通産大臣、いかがでございましょうか。
  97. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私は、マージャン一つできない全くギャンブルに縁のないそういう政治家でありますから、答弁のしようがないなと今伺っていました。  今までのやっております競馬とか競輪というのは、地方の財源になったり福祉に充てられたりしているわけでございます。新たにそういう提案というのが一体国民の皆さんがどう受けとめるんだろうか、一つ間違えると、ある程度はギャンブル容認という形になるのか、大変難しいところだと思います。きょう初めて伺いましたが、自分の心の中でもよく議論しながら、承っておきたいと思います。
  98. 木俣佳丈

    ○木俣佳丈君 本当に長々といろんな御質問をさせていただきましたけれども、ぜひ、私はとにかく生涯かけて中小企業政策ということについて貫いていきたいと思っておりますので、御指導のほどをお願いしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。
  99. 山本保

    山本保君 公明党の山本保です。  私は、今回審議されております中小企業基本法の本当に基本的なところをお聞きしながら、私、専門が福祉、教育でございますので、それに関連する点を少し詳しく聞いてみようかなと思っております。  最初に、今回、中小企業基本法が改正になって、すぐわかります大きな改正点といいますと、中小企業という概念、範囲の拡大がなされているということであります。中小企業という概念でくくってさまざまに支援をしようというわけですから、昭和三十八年と比べて現状は違う、変わってきていると。これによってまたその業種についても細かく分けようということについては、私もなるほどと思うわけでございます。  ただ、そこで心配になりますのは、いろんな党の同僚議員からもお話が出ていますように、このことでいわゆる小規模の経営、今度は法律を見ますと、小規模企業ですか、こういう概念も出されているようでありますけれども、こういうところに対して手厚い対応というのがなされるのであろうか。競争でありますとか市場原理とかまた個性を発揮させるということは非常に結構だと思うんですけれども、現実には大変な小さなところで頑張っているのもある。この辺が心配されるわけであります。  最初に、この辺の対策はどのように進められるのか、大臣、よろしくお願いします。
  100. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今般の基本法の改正におきましては、中小企業の範囲を広げて活力のある企業を対象に含めたというのは、そのとおりでございます。  しかし、一方において、小規模でまだまだ御苦労なさっておりながら報われない方たちに、今まで以上にむしろ思いを込めてお支えしようという考え方は全く残しております。そういうような方たちが経営資源の確保が特に困難であるという事情を踏まえて、金融だとか税制だとか、そういう必要な考慮を払うべき旨を明示的に例えば基本法の第八条で明記しているわけであります。  特に、具体的に申し上げますと、三百の支援センターを設けて細々とした御相談に対応していこうということもその一つでございますし、今まで設備近代化資金というのがございました。これは中小企業全般を対象といたしまして業種を限定しておった。使い勝手が悪うございました。これを逆に小規模だけを対象に限定して、そして職種は問わないということにいたしまして一千億程度の予算を組むんだということを公表いたしました。私が神戸に行きましたときの記者会見で発表したわけでございますが、これは、小規模企業の皆様方に対する対応は変わらない、むしろ一生懸命やるんですよという自分なりのメッセージのつもりでありました。
  101. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  あと長官にももう少しその辺を詳しくお聞きしたいと思っております。  今お話が出ましたような小規模のための設備投資の支援ですか、無利子であるとか、無担保というのはまたないようでありますけれども、この辺について融資の状況を主にもう少し詳しく説明していただきたいと思います。
  102. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今、私、言葉が足りなかったんですが、この小規模に限定した一千億程度の融資というのは本来は担保のある部分でございます。ただし、担保のない人はどうするかというので政府系の関連のある、あるいは民間の経緯を経ながら、その設備を買い取ってリースでお貸しする、この場合には当然のことながら担保は要らない、こういうきめ細かい中身になっております。  あとは長官に答えさせます。
  103. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) 小規模企業者に対します無利子融資制度でございますが、今国会に提出を予定しております中小企業近代化資金等助成法の改正によりまして、現行の設備近代化資金貸付制度を全面的に見直しまして、原則として小規模企業者を対象とする設備資金の無利子貸付制度を創設するということでございます。  この制度におきましては、創業及び経営基盤の強化、創業者というものをさらに新たに加えるということがございますが、既存の企業の経営基盤の強化をも含めまして、償還期間を現在の五年から七年に延長をし、小規模企業者の負担の軽減を図ると同時に、現在詳細に対象業種、設備を指定しておりますものを原則としてこれを廃止いたしまして使いやすいものにしたい。  また、ただいま大臣から御答弁ございましたが、無利子貸付制度とともに、小規模企業者などへの設備のリース制度を創設することといたしまして、担保の必ずしもない小規模企業者がリースという制度を活用する道も選択できるということを予定いたしております。
  104. 山本保

    山本保君 大変結構だと思いますが、何かお聞きしますと、これまで予算なども不用分で余り使われなかったということも聞いております。また、私も現場の方にいろいろお聞きしますと、実際に企業をやっておられる方が余りその辺を理解されていないというような気もするわけですけれども、この辺の周知につきましてもしっかりやっていただきたいと思うんですが、大臣、もう一言お願いいたします。
  105. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 周知徹底の点で足らざるところがあったと思いますし、何よりもやっぱり今までのものは使い勝手が悪かったというふうに思います。今度の場合は当然大いにPRいたしますが、使い勝手がいいように、例えばラーメン屋さんを開業するにしてもこれが活用できるということでありますから、そういうことをもっと明白にお伝えすればかなり活用されるのではないかなと思います。
  106. 山本保

    山本保君 それでは次に、商店街についてお聞きしたいのでございます。  今回、十八条を見ますと、商店街の活性化という条文もつくられているということで、改めて読ませていただいてなるほどというふうに思ったわけでありますけれども、その中には「利便の増進を図るための施設の整備」でありますとか、「共同店舗の整備その他の」と、こういうふうにございました。ただ、私は、ちょっとこの法律条文だけを読みますと、何か建物をつくることだけが出ているような気がするわけなんです。  それで、私も実は愛知県でございまして、先般も愛知県名古屋市の商店街の振興組合の方、連合会の方にいろいろお話を伺いました。その中で、本当に地域の小さな商店街というのは、大きなお店ができたり、または交通が便利になればなるだけ都心の方に出ていってしまうわけで、なかなかうまくいかないんだというふうに伺ったわけです。  それで、そのときのお話の中からなるほどと私が思いましたのは、商店街というのは、単に便利なものがあるとか安く物が手に入るというだけのことですと、これは確かに大きな企業に負けてしまうと思うんです。ただ、そうではない面も一つある、一つ二つあると。私の専門の福祉の方の考え方でなるほどと思ったわけです。  例えば子育てというようなことを見ましても、昔、駄菓子屋があって、そこのおばちゃんたちがよその子供に注意をしたりする。住宅街だってそれはしてもよろしいんでしょうけれども、なかなかよそ様の子供さんに口を出すなんて難しいわけです。やはり、御商売をなされている、物と物との流通というのは、まさにマルクスではありませんけれども人間関係の基礎になるわけでありまして、そこに確かに子育てという面で社会的な教育力というのがあった。  また、最近の特に政治課題として最も重要なお年寄りの問題にしましても、昔、碁会所というようなものがあったり、最近は徘回などという、何というか、非常に非人間的な言葉を聞くわけでありますけれども、町の中をぶらぶらしているのはこれは徘回でないわけでありまして、まさにそういう中でお年寄りが生活をするということを助けていくというような機能があるんじゃないかというような話し合いをこの前したわけであります。  私もなるほどなと思っておりまして、今般のこの法律だけを見ますと何か建物だけをというふうにも読めますが、「その他」等もありますし、特に中心市街地の活性化という法律も以前できたと思いますが、この辺についてこの法律、今回の基本法と絡めましてどのような施策を展開していこうとされているのかをお聞きしたいと思います。
  107. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 御承知のとおり、商店街の問題は全日本的な課題であります。この間も御答弁しましたけれども、大都会においてももちろん問題はございますし、また地方においてはさらに問題がある。それは大規模店舗の影響ということもありますけれども、高齢化をして後継者がなかなかいないという問題も加味されて、非常に大きな問題であるわけでございます。  実は、私は自由民主党におきまして中心市街地再活性化調査会の事務局責任者を務めておりまして、たまたま茂木政務次官も一緒にやって、これをどういうふうに活性化させるべきかという法案づくりの段階から検討してきたわけでございます。  このたび図らずも通産政務次官になりましたので、さらに進めたいと思っていますのは、今十三省庁でこの中心市街地活性化の事務所、オフィスを設けてあらゆる市町村の方の御相談に応じています。ですから、これ、ぜひ地元の皆さんにもよく相談してほしいということが第一点。  助成の内容などは省略しますけれども、町によって、先ほどおっしゃいました高齢化のためのやっぱりアパートのようなものも建てなきゃいけないとか、駐車場も必要だとか、町ですから駅と近いところはこうしなきゃいけない、交通もバスの便をよくしなきゃいけないとか、もういろいろ分かれるわけです。そこで、各市町村が定めます基本計画も区々でございまして、今百七十六だったと思いますけれども基本計画が既に出ております。  そこで、私どもも命じまして、命じましてというか役所にお願いして、どの市、どの町、どの村でどういった項目に分けて中心市街地を活性化しているかというのを分けてくださいと。あるところは非常に高齢化に重点があるし、あるときには別の、いわば市民の憩いの場所のようなことを重点に置いているというように分かれておりますが、これはやはり地方の方々にも使い勝手をよくしておるつもりですので、委員からもぜひ関係の方にもおっしゃっていただいて、もう好きなようにプランはかけるんだと、そこに対してさまざまな助成措置と。それから、このたびは、もっと重要なことは、それに絡む公共事業も重点的に建設省の都市局にもお願いしながら予算配分もできるように考慮しておりますので、これは各党の皆様方のお知恵をいただきながらつくっていく法律であるというふうに御認識いただきたいと思います。  そのほか、大店立地法、改正都市計画法という町づくりのもうあと二法の大きな問題もございますが、御答弁としては中心的に今おっしゃったことを申し上げた次第でございます。
  108. 山本保

    山本保君 ありがとうございます。  それで、実はきのう、私、参議院の国民福祉という、いわゆる厚生委員会でございまして、そこで自分なりの実は私案というのを出させていただいた。それは、今の介護保険のお金が全体で四兆円というふうに言われているし、どんどんふえるであろうと。ところが実際はそうじゃないんだという視点を数字にして出してみました。  その中の一つ、一番大きいのは、今おっしゃったことにちょっと絡めて少し説明しますと、実は三・五兆円ぐらい要ると言われております施設の関係費用がある。ところが、この施設というのは、今まで三種類ありますけれども、大きなホテルのようなものを建てる。これは中心地なんかには建てられませんから、大体田舎の山の中へ建てたりしてやっておると。この費用というのが単純に考えても一人当たり一月三十万円以上かかるわけです。しかし、それを何とか地域の中で、もっと手軽な、施設という言葉を福祉で使いますとあるイメージがありますので、最近はグループリビングでありますとか、そんな言い方をするんですけれども、新しい、在宅支援なんだけれども、それをまた専門的に応援しようというようなものをつくっていきたいと。こういうものをもしつくっていけば、これだけで実は、要介護度のⅡという余り重くない方の辺の例えば四〇%ぐらいの方がそれを利用するというだけで、実は四千億円ぐらいのお金が、余ると言っては失礼ですけれども、今までの積算では高過ぎるんだというようなことを申し上げました。  今、次官の方からお年寄りのことが出ましたので、私そういう点で見ますと、ちょっと福祉の方の、特に介護などの大きな生活というもののこととこの商店街とか町づくりということが少し絡んでいないような気がしますので、大臣政務次官の方からもその辺について、また福祉関係にも声をかけていただいたらいいかなと思っておりますので、ちょっとつけ加えさせていただきます。  では、もう一つ、これとまた絡むんですが、企業組合というのがあると。それで、私も実はNPOなどの方をやってきたんですが、恥ずかしい話ですけれども、つい最近までこういう便利ないろんな事業をするのに利用できる制度があるということを余り知りませんでして、この前、担当の方に聞きましたら、いや実は通産省の方でも余り活用されていなかったんだというようなことを聞いたわけでありますが、例えばそういうのを見ますと、知事の認可によるそうですけれども、ほとんど資金の定めなども非常に自由になっているというようであります。私は、こういう企業組合というものが例えば介護事業のようなものにどんどん進出していってよろしいのではないかなと思っているわけなんです。  実は、先ほどのお金のことと絡みますと、きのう申し上げた第二点としては、今一般に介護保険の保険料、例えばヘルパーさんが時給四千円という形で出ているのは御存じだと思うんですが、これなどはまさに公務員の給与を単価にしたものでして、積み上げていった、看護婦さんよりは少し下になるんではないかというような形でつくり上げた。また、市場がつくったお金じゃないんですね。実は全部今まで役所の方でつくってきた、公務員単価を割り戻しただけなんです。これがもとになってやっていますから、これも例えば民間の方がどんどん参加すればもっと安くなるだろうと。私のきのうの積算では、まず一年間で二〇%ふえたとしても三千億円ぐらいのお金が出てくるというのを出したんですけれども、合計で九千億ということを申し上げたんです。  このためには、しかし絶対必要なのは、今福祉の方ではやる方が少ない。もっと前に言えば、こういうイメージがありまして、役所が認めた者だけがやればいいんであって、ある一定の規模を持った者でないとだめなんだということがあるわけなんですよ。そこをもっとどんどん緩和して参入させればいいのではないかということを申し上げたんですけれども、この企業組合というものについて、基本法ではどうもないようでありますけれども、施策をどのようなことを考えておられるのかお聞きしたいと思います。
  109. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) この間、参議院の決算委員会のときに、私が答弁に立って、NPOとの関係での議論がありました。つまり、NPOも中小企業と同じ扱いをしろと言う議員さんがおられたんです。それは、それも一つの御意見でありましょうが、しかしNPOは営利を目的としていないわけで、中小企業は営利を目的としている企業でありますから、おのずから違うわけでありますが、その際に、可能性として企業組合というものがありますということを申し上げたわけであります。福祉・介護の関係の事業等では、むしろこれから活発化していくには、委員指摘のような企業組合を活用していただくということが非常に大事だろうと思います。  これはストレートでこのまま書いているわけではないのでありますけれども、一方で、現在ある企業組合の四〇%は会社になりたいと、こう言っておるんですね。ところが、一たん事業を清算いたしまして税金を払いますと、またたくさんそこで取られて会社へのスムーズな移行ができないものですから、私たちはそこに着目して、企業組合の株式会社化にスムーズに流れるような、そこに実は重きを置いた対応を今度入れておるわけであります。
  110. 山本保

    山本保君 大臣、それは私がお聞きしましたことなのでございますので、お触れになりましたから、ちょっとそのことについては一つあるんですけれども、まさにNPOというのに欠けていますのは事業でありまして、NPOも今おっしゃったとおりです。もっと大きな事業としてつくっていくためのものとしてはなっていないという一つ課題があるものですから、それに絡めてお聞きしたわけでございます。  ただ、もう一つだけ申し上げますと、企業組合など、介護事業とか保育関係、子育て支援とか、こういう事業をどんどんやりましょうという話で今お聞きしたわけですけれども、こういうのは一面で言いますと、いわゆる公益という事業でありまして、ほとんどお金はもうかるわけがありませんし、今までは非営利というものなんですね。ですから、私があのとき申し上げましたのは、さすがに通商産業と、こういうことを考えられているわけですから、本来ならといいますか、今までの概念でいけば、こういうものについては、介護などについては進出すべきかどうかというのは大問題になるはずじゃないかと思うんですよ。  ところが、実態に応じて、やっておられる方もおられるじゃないかということで、応援しようと言われるわけです。ですから、それであるならば、今までの古い、営利と非営利と分けてあるのをもう一度考え直して、より幅広く中小企業というものを、非営利型も入るんだよということを言われたらどうだろうか、こういうふうに申し上げたわけであります。今お触れになりましたので、少し説明させていただきました。  このような仕事についてはぜひ、確かにおっしゃるように、こういう仕事も最初はボランティアのような形で始まりますけれども、しかし、サービスを受ける側からしますと、ボランティアというのは非常に不安定でありまして、またいろいろ合理的な配置などもできません。仕事をし出せば、ボランティアでも始まれば、必ずその中には一人二人、専門的にそれをコーディネートするような方が出てこなくちゃいけませんし、それをきちんと行う従業員といいますか、働く方が出てくる。必ず事業化するわけであります。なかなか今までボランティアというものがそういうふうには考えられていなかったという前提があったお話でございます。  それでは、その次にもう一つお聞きいたしますが、ベンチャーとよく言われますけれども、法律にはベンチャーという言葉は出てこないなと思って見ておりましたが、創造的な事業活動ということなんでございましょうか。これについて、確かに私も今までそういうことをやったこともありませんし、何か自分自身の経験からしましても、どんどん会社を起こしていくとか人を雇って仕事をするというものにしり込みをしてきましたので、公務員になったり、こうなったわけでありますけれども、これからこういうことをどんどん進めていく必要があると思うわけでありますが、今回、この基本法の中でどういうふうにベンチャーを育成していくというふうになっておるのでございましょうか。
  111. 細田博之

    政務次官(細田博之君) ベンチャー企業の定義はなかなか明確でない一面もございますけれども、新基本法におきましては、経営の革新、創業の対象となる事業活動のうち、著しい新規性を有する技術または著しく創造的な経営管理方法を活用したものを創造的な事業活動と定義して、第十四条におきまして、その事業活動促進を図ることを規定しているわけでございます。  ベンチャー企業は、産業の新たな分野を拡大するだけでなく、新たな関連産業の創出にも資する存在であり、その支援は中小企業政策の柱の一つに据えて取り組むべき重要な課題であると認識しているわけでございます。  今般の経済新生対策における措置を初めといたしまして、今後、ベンチャー企業に投資する投資事業組合への公的機関による出資の拡充を図りますほか、人材、技術等のソフトな経営資源の円滑な確保をきめ細かく支援できるワンストップサービス型の支援体制を整備するなど、ベンチャー企業の総合的な支援を進めていく考えであります。  問題は、ベンチャーとして今考えているのは技術的にも人材的にも相当先端的なものでございますから、そういったところに知恵を出し、あるいはお金を出すということもやはり目がきく人たちが誘導していかなきゃそれはいけないし、発想する人も本当に意識の高い人でなければいけないと思いますけれども、そういう人は必ず全国にたくさんおられるわけでございますので、それをできるだけ支援しようという考え方をここに盛り込んだわけでございます。
  112. 山本保

    山本保君 そうしますと、それについて少し次官にお聞きしたいわけですが、例えば今おっしゃいましたような形でたくさんいると思いますが、私など本当にこういう面では素人として心配しますのは、そういう先端のものであれば当然失敗も大変多いんじゃないかと、リスクですね、そういう気がするわけなんです。我々が特に福祉の方の目から見ますと、そういうことを失敗して夜逃げをするとか、一家離散であるとか、もっと悲惨なというようなことがついつい浮かんでくるわけですし、そういう事例もたくさん知っておるわけなんですけれども、こういう点で何かそういう心配を払拭するような手というようなものは考えられないものなんでしょうか。  特に事前に通告しておりませんでしたけれども、政治家としての考え方で結構でございますが、お話しいただければと思います。
  113. 細田博之

    政務次官(細田博之君) そういういろいろな問題がございますので、例えばお金を出した人のリスクについての手当てもしなきゃいけませんし、それから必要な債務保証、それから政府による融資、その他積極的な今までにはなかなか考えられなかったような政策を多数盛り込んでおるわけでございます。
  114. 山本保

    山本保君 そうしますと、それに関連しまして、今のお話はいわゆる株式でありますとか社債を出すようなときにも応援をしてというふうに聞いております。買いやすくといいますか、それに投資をしよう、または応援しようという人のリスクを少しでも減らそうということだと思うんですけれども、今、日本で実際そういうような株を買おうとか、または社債を買おうというふうに思いましても、なかなか実際にはほとんどないんじゃないか。何か最近新しいそういう市場もできたというふうに聞いてはおるんですけれども、特にアメリカなどと比べまして新しい仕事を始める人を応援するということについて、きょうは大蔵省は今いないので、通産省としてのお考えでいいんですけれども、何かもっと市場の中でそういう直接金融ができるような手を打たなくちゃいけないんじゃないかなと思っていますし、最近、お聞きするところ、そういう動きがあると聞いておるわけですけれども、この辺についてはいかがでございましょう。
  115. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) いろんな形がございます。例えばエンジェル税制なんかの充実というのは、まさにアメリカの経験的なものを今度もっと拡充していこうということです。つまり、新しい事業を行う場合には、おっしゃるとおり非常にリスクが多いわけですけれども、かといってそれに対する協力体制がなければ新しいものは生まれませんから、アメリカでは個々の個人の持っている資金を、例えば一千万なら一千万を十人が出し合って育てるとか、そういうフロンティアスピリットみたいなものがありまして、それが非常に大きな効果を上げている。  我々でも、例えば社債については保証協会で保証させていくような道などを考えているわけでありますが、そうなれば引受手の金融機関等は当然出てくるわけでございます。ですから、いろんな角度から資金調達を、間接金融に頼らないで、だけでなくて、直接金融に期待していくような体制というのはつくっていかなければならないというふうに思っています。  なお、先ほど言葉は足りませんでしたが、例のNPOと組合の関連に関しては、先生御指摘のいろいろな意見通産省でも前々から承っておりまして、そういう中からいろんなアイデアが生まれつつあるということをあわせて敬意を表して申し上げたいと思います。
  116. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 創業・ベンチャー対策というのは、本当に多岐にわたっているんです。私、最初に政務次官に着任して、これはどの法律がどういうふうになってどういう助成制度があるんだと全部まとめさせたら、こんなになるんです。  ですから、お時間の関係もおありになるようですから、ちょっとやや具体的に申し上げますと、直接金融面、つまり資金面でのベンチャー対策というのは、民間リスクマネー供給の呼び水となるような政府機関からの出資を拡充するということ、それから中小企業の社債、私募債発行に対する信用保証を付与するということ、無議決権株の発行要件を緩和するということ、詳しくは申しませんけれども、それから株式市場自体を改革し活性化しなきゃならないということ、担保に乏しい中小・ベンチャー企業への資金供給制度を創設して無担保のワラント社債の引き受け等を行うこと、そしてベンチャー向けの特別保証を延長して、創造法認定企業とか経営革新法認定企業、産業再生法等あるわけでございますが、そこの保証を延長すること、そしてエンジェル税制、これはこれから年末の税制に向かいまして拡充をするということにしております。それらが資金面でございます。  それから、人材、情報、技術、ソフトは、先ほど他の委員にもお答えしましたけれども、支援センター、さまざまなワンストップサービスの拡充、SBIR制度。そしてその他の環境整備としては、ストックオプション制度を拡充するとか組合制度を会社組織に転用しやすくすることも含めてです。  それからもう一つは、教育というものをやっていかなきゃいけない。小中学校のころからベンチャーの心を持って子供が育つようにということが必要ですから、教育面でもやらなきゃいけない。  こういう総合的な考え方で取り組んでおることを御理解いただきたいと思います。
  117. 山本保

    山本保君 もっときちんと通告しておけばよかったんですが、私が最後にお聞きしたかったのは、今のように通産省がいろいろ行っておるという場合に、やはり市場ということになりますと、金融政策の中で、そちらの方がもっと積極的にそういう場をつくっていかなくちゃいけないんじゃないかと思いましたので、その辺についてぜひ調整をしていただければと、積極的に行っていただきたいと、こういうことを申し上げたかったわけであります。  最後に、ちょうど今、次官の方からお話があったことでございますけれども、教育において、特に学校教育の中で、今の起業家精神というんですか、そういうものをつくっていくということが非常に重要だと思うわけでありまして、この辺について文部省はどんな対応を考えておられるのか。特に初等中等教育を中心にして、今後そういう中へ入っていくという方をどのような形で育てていくのかという点についてお話しいただけますか。
  118. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 山本委員指摘のように、これからの経済社会の中で生き抜く経済人をどういうふうに育てていくか、創造的なチャレンジ精神を持った子供を育てていく、これは非常にこれから重要なことになってきておるというふうに思います。  小中学校の中でこれを具体的にどうするかというのは私はそう簡単ではないと思うんですけれども、しかし先生の方も、生徒はたくさんおるわけですから、もちろん政治家になるのもおりましょうし音楽家になるのもおる、いろいろな生徒の中で何%かはそういう方面に行くような子供をやっぱり最終的に育てていく、そういう気持ちが先生方に必要であります。  学習指導要領等も、総合的な学習時間というのを今度設けましていろんなことが授業の中でできるようにいたしておりますので、そういう授業を活用してチャレンジ精神を生み出すような教育をしていくということだろうと思うんです。もちろん、夢をかき立てるような授業をしてもらわなきゃいけませんから、例えばソニーのような町工場からあそこまで行ったそういう話とか、あるいは松下幸之助さんもそうでしょう、そういうようなこともその中に織り込んで子供たちに夢をかき立てるような授業をする、そういうことが私はこれから必要になってくる。  これは、高等学校になってきますとベンチャービジネスとかそういう言葉も入ってまいりますけれども、特に小中学校ということになりますとまず基本的なことをきちっとやりませんと、何せ掛け算も分数の割り算もできないような大学生を幾らつくったって、そしてベンチャーだといったってなかなか難しいですから、まず基本だけはきちっとやった上にそういう方向で進むべきであろう。  これは概略的な話ですが、私はそういうふうに感じておるんです。
  119. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 私は、この際ですから政治家としても申し上げたいんですがね。  私はアメリカで自分の子供を小学校にやりました。小学校一年生でアメリカで教えたことは何か。私はびっくりしました。それは、アメリカでは有名な詩があります。アイ・アム・ミーという詩であります。私は私だと。その詩の中身を読んでみますと、びっくりすることに、私はほかの人が行動するようには行動しない、ほかの人が着るようなものは着ない、人の考えることと私の考えることとは違う、それがアイ・アム・ミーだと、こう言っているんですね。それを小学校一年生のときから教えているんですよ。  つまり、人と自分はなるべく一緒に行動しようという教育が日本の教育ですし、我々の基本的な文化的発想だと思いますが、そうでない教育を一年生からしているからやっぱりベンチャーの思想あるいはフロンティアスピリットが育つんだなと思って、これは負けたなと思いながら帰ってきたという経験がありますので、こういう教育をしなきゃいけないんです。個性を大事にして、人と違う人間、自分が一人でも切り開く意欲を持った人間をやっていかなくちゃいけないんです。私はそう思いましたので、念のため。余計なことですけれども申し上げます。
  120. 山本保

    山本保君 不一致だとは思わないんですけれども、まさに私もその辺は専門なものですから、日本の場合のそういう発達課題というようなものも、幼児期については非常に詳しく研究もありいろんなスキルもあるんですけれども、確かにおっしゃるとおり、自分なりの自意識が出てくるときから、いわゆる子供、そして中供、思春期、この辺をどう育てていくのか、どういう意識を持たせていくのかというのは、確かに今学校教育でも欠けていると思っておりますので、私も同感であります。  そこで、ただ一つだけ、今度は、先ほど木俣委員の方からもいろいろお話がありました、さっき、労働省は帰りましたけれども、教育給付のことがありまして、あれができたときに私は、最初は専門学校だけだったんですよ、それで国会で、委員会で、専門学校だけなんておかしいじゃないか、そういう教育をするのは学校教育なんであって、学校教育になぜいけないのかということを申し上げて、半年後に予算ができたときに、今度は学校教育でもいいということで高校、大学に行けるようになったという経緯があるんです。  先ほど、昼間もいいじゃないかと。まさに昼間もよろしいし、働いている方にも奨学金も出るわけですが、しかし、そうなりますと、土、日に学校が開いていなかったら実は中小企業の人は行けないんじゃないかと思うんですね。ところが、私立の大学などは結構そういうことを進めているんですけれども、国立大学ではたしかほとんどというかゼロじゃなかったかと思うんですよ。  私はそういう、いわば大学などについて、もっと土曜日、日曜日もきちんとあけて、そして中小企業で、さっきの話はこれから中小企業で働くチャレンジ精神を持った人を育てようというお話で大変大事なことなんですけれども、まああと五年、十年先の話になる。  私は、まず今働いている人にいかに情報を持ってもらい、また技術を、技術は持っているんです、先ほど木俣さんの方からもありましたように、日本の中小企業技術というのは大変な技術でありますけれども、しかし、残念ながら非常に経験的な技術でありまして、それが応用がきかない。なぜか。簡単なんです。それは今の、今までの学校教育自体がまさに金融と同じ護送船団方式だったんです、私が言っているのは。  というのはどういうことか。あなたは中学校出たから将来係長までですよ、高校出たからこうですよ、私学出たからこう、東大出たからこう、こういうふうに全部決めてありまして、別に文部省が指導しているわけじゃないんだけれども、指導以上のものですわ、もう百年以上やっていますからね。これで自然になる。  ということは、今中小企業で働いている人はどういう学歴なのか、こういうデータがないんですよ、一度きちんとぜひ調べていただきたいんです。私の知る限り、私が愛知県内のそういう会社、工場などへ行って働いている方に聞きますと、高校を出たとか高校を卒業していないという方が結構多いんですよ、物すごく。中退です。大学を出た、工学部を出たなんという会社の人はまず社長の息子さんぐらいしかいませんわ。こういう状況をまず変えなくてはいけないんじゃないかと思うんです。  ですから、ここは文部省にぜひ、今回のこの法律を見ましても、まず、大学はいいんですけれども、高等学校レベルから、いわゆる高専とか、その辺から今現実に働いている人が学校へ行けるようにする。そして、それも普通の子供のように三年高校で四年大学なんというわけにはいきませんから、もっと単位認定もきちんとする。それから、先ほども出ましたけれども、奨学金だって、親がかりの人と違うんですから、これは大分変えなくちゃいけない。雇用保険の方でも教育給付を出しているわけですから、子供を持って生活をしている人が勉強をするという体制をつくる必要があると思うんです。  それができれば、おもしろいことに、これが変われば今までのさっき言った受験体制というのが変わる可能性がある。東大の工学部を出るために、何にもわからないけれども何でもいい成績をとればいい学校へ行けていい会社へ入るというものが変わってくるわけでして、まず最初に地域の小さな会社でどんどんやりたいことをやって、そして高校へ行き大学へ行く、大学に行き学位を取るという道ができるんじゃないかというのが私の一つの夢なんです。  時間がもうなくなりましたけれども政務次官、この辺について、今中小企業で働いている人の技術を高め情報を高めるための施策というものについて、文部省はどういう手を打たれるのか。
  121. 河村建夫

    政務次官(河村建夫君) 山本委員の御指摘は非常に大事なことだというふうに思います。特に、このような技術革新の時代ですから、企業をさらに伸ばしたいと意欲に燃えた方はもう一回再教育だとみんなそう思っていらっしゃいます。  そうすると、やっぱりその受け皿が必要になってくるわけで、特に、今おっしゃったように中卒のような方ですと高等学校の夜間とかそれから通信教育あたりが非常に最近広がっております。それから、放送大学あたりを御利用いただくということ。  しかし、具体的な技術ということになりますと、さらに深めていただく必要がありましょうから、これはどうしても大学ということになっていくだろうと思うんです。これも、大学の方は、山本委員もお認めのように、かなりそういう施設ができてきた。しかし、まだ日曜日に開くかと言われるとまだそこまでいっていない、そういう御指摘がございます。  そこで、まだこれは確定したわけじゃありませんが、国立大学も今度独立行政法人化、そういう形ですね。いわゆる護送船団方式はやめて、お互いに競争し合いながら教育力を高めていこうという方向ですから、これはもう大学も知恵を働かせいろいろ努力をしていただいて、そして開かれた大学にしていただく。それは当然、勤労者、働いている人たちにも開くという方向が打ち出されて私はしかるべきだというふうに思います。  それから、奨学金の問題については御指摘のとおりでありまして、もうこれから親がかりではなくて、特に働く人は収入がありましょうが、自分で金額も選択して、幅を持たせて五万コース、十万コース、十五万コース、自分で返せる能力の中で、そのかわり希望される方には全員貸与するという方向で進んでおりますので、そういう形でやっていきたいというふうに思っております。
  122. 山本保

    山本保君 時間が来ました。  どうもありがとうございました。終わります。
  123. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日本共産党の緒方靖夫です。  きょうは深谷通産大臣と、中小企業者の切実な願い、これを一歩でも二歩でも前進させるような、そういう前向きな建設的な議論をさせていただきたい、そう思っております。  私は、東京大田区の中小機械金属加工業が今日抱えている課題がどういうものか、それについてきょうは取り上げてみたいと思うんです。  大田区には現在、従業員四人以上の工場が三千十四工場、そのうちの七七%、二千三百十五工場が機械金属加工業で占められている。そのほか、従業員三人以下の零細企業も非常に多いわけです。中小企業がこれだけこの狭い地域に集積している、そういう地域というのは世界広しといえどもこの大田区しかない、そのように言われておりますし、私も何度も視察しながらそのことを痛感しております。  そういう中で、この大田区の位置づけについて、九四年版の中小企業白書は次のように述べております。「大都市圏加工型中小企業は、技術工業に対する意欲が強く、その五一%が研究活動を行っている。」、「中でも大田区等の東京都の城南地区は、こうした中小企業が集積する我が国製造業の中核基盤の一つである。」、このように白書には書かれているわけです。  大田区が日本の製造業の中核基盤である、そうした評価、位置づけ、これについては大臣どのように評価されておりますか。
  124. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今、緒方委員が御指摘のようでありますし、また白書でも書いてありますように、まさに大田区というのは金属加工業等の基盤的な技術を有する中小企業が非常に多くある。ここで、しかも従業員がお話しのように三人以下というような非常に小さなところが必死になって頑張っておられる。こういうような状態をぜひ、前にも伺ったことがありますけれども大臣になって改めて視察をしたいというので過日参りまして、改めてその地域の積極的な中小企業の動きについて感銘を受けて帰ってきました。
  125. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣が感銘を受けられた、非常に心強いと思います。  白書は続けてこう述べているんです。「大都市加工型集積は、新製品の開発、高度技術による加工・製造、大企業製品の設計など高度技術の「苗床機能」を持つ我が国製造業の基盤として極めて重要な役割を果たしてきている。今後とも国際的環境の変化の中で、かかる機能を担うことが期待されている。」、こういうふうにしてその機能の集積、これを高く評価しているわけです。  大田区の中小機械金属工業の機能の重要性を認めたものでありますけれども、この点についての大臣のお考えも聞いておきたいと思います。
  126. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) そのとおりだと思っています。  例えば、私が参りました工場で感想を一つ申し上げれば、ここはプラスチック成形の中小企業の工場でございますが、機械化ということと職人のわざというんですか、それを融合させてその会社を活力のある会社にしている。それが非常に特徴的でありました。  だから、こういうような中小企業の、つまり近代的な機械化と職人のわざとを一体として進めていくということには、これからの中小企業のありようも含めて非常に参考になると思いました。
  127. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣がそう評価されている大田区の中小企業の実態、これが今どうなっているかということです。それがやはり非常に肝心であると思うんです。  産業の空洞化、それから最悪の長期不況、さらに産業構造改革や大手企業のリストラ、こうしたことも相まって仕事量が大幅に減少している。何しろ仕事がない、この叫びも大臣は聞かれたと思います。それからまた、熾烈な単価の切り下げ、自分たちがやっている仕事が一体幾らでやっているかわからない、後で来てみると大変な切り下げがある。これも日常茶飯事の実態です。こうしたかつてない事態に直面している。この三年間の機械金属加工工場の推移を調べたけれども、実に一一%も減少しているわけです。  大田区の実情について、実は今から五年前、平成六年の空洞化実態調査報告書、関東通商産業局、これが出した報告書でどう言われているかというと、「廃業が進み、これまで大田区の製造業の高い技術力を支えてきた中小零細企業の横の連携による仕事のやり取り=水平分業ネットワークが一部で崩壊の危機に瀕している。」、こう書かれている。それに加えて、「廃業や転出が進んだ結果、仕事を受けてくれていた職人がいなくなり、困った事態になっている」、「この先、仕事が来ないと、技術の伝承が済まないうちに廃業をせざるを得ない。日本では大田区でしか出来ない仕事もある」、こういうことがるるこの報告書に書かれているんです。  現状はどうか。五年前よりも一層深刻化している。この点では、大臣と私、認識の違いはないと思います。一層深刻化している。そうすると、こうした中小業者の叫び、今の現状を何とかしてくれ、私、これ叫びだと思うんです。  大臣は視察されたと思います。しかし、大臣が忙しい中で詳しくつぶさにその状況をつかむということはまず不可能だと思います。それでは、大臣通産省がこういう事態について、仕事状況から暮らしぶりの変化までつかんでいる、そういうふうに思われますか。
  128. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 私も大臣に就任してから一カ月余でございますけれども、平均睡眠時間五時間ぐらいで走り続けております。したがって、大田区に参りますのもそんな長い時間ではありませんでした。だから、十分な勉強をしたとは僣越ながら申し上げられないと思っています。  しかし、大田区の実情を見に行くに当たりまして、通産省の諸君が、今までの経緯の問題についての詳細の説明があり、大田区にはぜひ行って大臣みずから見てきてくださいと積極的に言っておりました状況を見ますと、かなり大田区については状況判断し、また期待も持っているというふうに思います。  なお、私が参りましたときに、短時間でありましたので、工業連合会の小倉会長さんを初めとして、中小企業の代表的な方々や区長さんもお集まりいただきまして、じかにその声を聞かせていただきました。そういう中で、例えばかつては九千社ぐらいあった、それがだんだんに少なくなって今六千五百社程度であるという話も聞きました。それから、そのような状態になった最大のものはやっぱり景気の動向であったと。バブルがはじけて以降の長い長い不況の実態があって、それが中小企業がうまくいかなくなる大きな原因であった、したがって早く景気を回復させてもらいたい、経済の再生に全力を挙げてもらいたい、そういう声が非常に強くございました。  あわせて、資金繰りで非常に苦労している。だからそういう点では特別信用保証制度というのは役立った、これをぜひ延長してもらいたいと。これらの声も後に私は反映させていただいたつもりでありますが、そのほかに、技術改革などにおきましてもまだまだ足らざるところがあるので、産学官連携等の技術開発については積極的に応援してくれ、こういうような数々の声がございました。  これらの声を短時間でありますが聞きながら、これからの政策に生かしていこうと思っております。
  129. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 きのうも大臣が大田区に訪問されたということを伺いまして、非常にこれは大事なことだなということを痛感しておりました。  しかし同時に、大臣が訪問されるときに、いろいろ通産省関係者から話を聞いた、十分状況判断をしていると今言われましたけれども、私はそういうふうにはどうも思えない。やはり本当に今大田区で起こっている叫び、これは全国での叫びだと思いますけれども、このことをしっかりつかんでいただく、このことがこれからの施策に非常に役立つだろうということを確信しております。  その点で、どういう実態があるかということが大事な問題なわけですけれども、今の実態調査が述べた水平分業ネットワーク、これはまさに大田区がその典型なわけですね。大臣にくどくど言う必要は全くないと思うんですけれども、旋盤、鍛造、メッキ、塗装、横につながるそういう分業のネットワーク、これが大田区の特徴です。その基盤技術が今や崩壊の瀬戸際にある。  このことが実は九六年度版中小企業白書でも指摘されている。「大田区においては個々の企業が自らの加工技術に専門特化し、技術力を高め、集積内の横の連携=水平分業ネットワークを効率的に利用することにより、集積全体の競争力を高めてきた。しかし、近年の倒産・廃業等の増加によって水平分業ネットワークの一部が崩壊の危機に瀕している。「金属加工なら何でも可能」といわれた大田区であったが、一部の企業がいなくなることにより技術の歯抜け状態となり、集積全体としての機能が低下する懸念が生じ、個別企業の倒産・廃業という現象にとどまらない集積全体としての分業機能に影響が及んでいる。」、白書が三年前に既にそう指摘している。それからまたさらに今深刻になっているわけです。  ですから私は、こうした状況、歯抜け状態と白書が述べた状況、これは言ってしまえば今まさにそれが歯槽膿漏がひどくなってがたがたになっている。水平分業ですから、一つが抜けたら成り立たない、そういう危機感があるんです。  私、聞きましたけれども、現地の中小企業団体、これは大臣が行かれたところとも重なるかもしれませんけれども、その方たちがまさに今なら間に合う、今ならばこの集積を救うことはできる、しかし今のまま手を打たないで放置されたならばこれは救われない、今そういうせっぱ詰まった状況にあるんです。  私、思い出してくるのは、大臣、九二年九月に下請担当の通産省の課長が現地を訪問して、そして直接見て非常に驚いた。中小企業はこんな高い技術を持っていると。そして、これを課長が認識すると非常にいいことは、白書にもそれからこの問題を書かれるようになった、また施策にも反映された、そうした効果があったと思うんです。  今、大臣状況を判断していると思うと言われましたけれども、私は、忙しい大臣が再び大田区に足を運んでいただきたいとは申し上げません。しかし、この切実な叫び、中小企業の方々が手おくれになったらもうこの集積は守れない、そう言っている切実なこの願い、これをやはり大臣の代理として、大臣が任命する方どなたでも結構ですから大田区に派遣して、その状況をつぶさに時間をかけて調査して、そして大臣が把握する、そうした調査をぜひお願いしたいと思います。
  130. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 先ほども申し上げたように、通産省の諸君が大田区を含む地域、集積型の地域等々、熱心でないかと問われたら熱心であると私は素直にお答えをいたしております。  ただ、私たち、あなたも含めてそうですが、政治家として本当に暮らして一緒に苦楽を分かち合ってきた者の感覚と、優秀だけれども役所の中での感覚には確かに乖離があるかもしれないなと思います。しかし、その乖離を埋めるのは政治家自身だと私は思っています。そういう意味では、私は大臣になりましてから、通産省の諸君と本当に四つに組んで語り合っています。今御指摘の、私にかわってだれかを行かせて勉強せよというお言葉は、私は大事に受けとめたいと思っています。  また、中小企業庁長官も来ておりますから、どうぞ御指名いただいて意見も聞いてやってくださいませ。
  131. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは大臣、そういうことで大臣にかわってぜひ人を派遣して、これは各地に派遣しなきゃいけないということになるかもしれませんけれども、しかし私はここできょう大田区の問題を特に取り上げたというその関連で、ぜひそのことを実現していただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  今確かに大田区では仕事がない、それによっていろんなことが起こっているんです。暮らしの問題、例えば大臣、大田区の中小企業者などの国民健康保険料の滞納の件数、今幾つか御存じですか。
  132. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 申しわけありませんが、資料を持っておりません。
  133. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 二十五万千三百五十二件なんです。これはどえらいことなんです。この数年間で一・五倍です。こんなことはかつてなかった。それだけじゃない。給食費を滞納する世帯、あるいは保育料も払えない、こういう世帯が中小企業の中でふえているんです。それからもう一つ、町の問題、中小企業が栄えないと赤ちょうちんにもだれも行かない。赤ちょうちんが寂れているんです。町づくりにも影響を与えている。料飲店が悲鳴を上げている。  ですから、私は、こうした問題総体として、大臣が派遣される方にそうした任務を含めて全般的な調査をしていただきたい。このことを心からお願いしておきたいと思います。  そこで、大田区に代表される機械金属加工業の集積、これは言うまでもなく世界に誇れるものでありますし、そこに蓄えられたものづくりの基盤技術、これは日本の財産だと思います。この中小企業の豊かな発展を支援する政策こそ今求められていると思うんです。  ところが、今審議しております法案は、昨日の我が党の山下議員の質問でも明らかになったように、現存する中小企業を支援するというよりも、これから中小企業を起こそうという起業家を支援する、そこにポイントがあるのではないかと、私はやりとりを聞いてそう感じました。  中小企業は成長して大企業にならなければ意味がないという存在ではないですよね、大臣。そんなことを言ったら中小企業は浮かばれない。ものづくりでも流通でもその集積で大きな力を発揮してきたのが中小企業の特徴であり役割であると思います。中小企業の集積とそのネットワークを支える施策の拡充こそ今求められていると思いますけれども大臣の御所見を伺います。
  134. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) きのうのあなたの同僚の方との議論で、あなたのような受けとめ方がすべてではありませんで、総理も経済企画庁長官も私も小規模切り捨てではないと何回言っても、いや切り捨てだということで平行線をたどっていた。これは今までのあなたの御意見と若干同調できない部分でありますことをお断りしておきます。  そこで、大田区を含む広域京浜地域について今基盤的技術産業集積活性化計画というのを持っております。御案内のように、承認されましたこの計画に基づいて事業者等が高度化等の計画をつくっていく、これはまさに今作成している最中であります。  それから、住工混在の解消と新規立地の促進目的にした大田区の賃貸工場アパート整備事業、これは非常に前進した形だろうというふうに私は思っています。特に大田区の場合の第一棟というのは、大田区自身がみずからつくったものでございます。そこで、私どもといたしましては、大田区の賃貸工場アパート整備事業、本年度の交付決定額七億二千七百万円、ぜひこれをさらに広げていくように努力していきたいと思います。  また新製品、新技術開発を促進するための地元中小企業による技術開発研究事業、これは本年度の交付決定額は六百五十万でございますけれども、こういうようなものを含めて今後ともやるべきことに全力を挙げていきたいと思います。
  135. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣は、切り捨てかどうか、それについては意見が分かれると言われました。私はそれを数字でどうかということをちょっと見てみたいと思うんです。  私は、今大臣が言われたように、中小企業を救うために現行の法制度を積極的に活用する、これは非常に大事なことだと思っております。それがまた関係者の要望でもあると思うんです。そういう立場から予算を見てみます。  九七年六月に施行された今大臣が言われた地域産業集積活性化法、この関連予算なんですけれども、九八年度は十九億円だった。来年度の概算は幾らか御存じですか、十三億円に削られているんです。中小企業に関するものづくり基盤技術集積関連予算も九八年度は二億二千万だった、来年度はついに一億円を切る、そういう状況になっているわけですね。中小機械金属工業の重要な集積を守る、その上ではどうしてもこうした補助金の拡充、これは欠かせないと思います。したがって、私はそういう点でこの補助金の拡充、これを大臣に提案したい。  そして、さらに具体的には、ものづくり基盤技術集積関連予算は年々減らしている。もともと少ないわけですけれども、十倍ぐらいふやしても十億円程度なんですよ。中小企業国会と言われる。そして、大臣が言われたように、業者はみんな汗水流して必死になって頑張っている。そして、大臣は、切り捨てるわけじゃない、そう言われたわけですね。それならば、今私の言ったこの関連予算、十倍にふやしたって十億にならない、そういう予算を大臣のイニシアチブでばんとふやしたらいかがですか。どうですか。
  136. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) ここでもしばしば議論になっておりました、通産省中小企業全体の予算が少ないじゃないか、そんなにびっくりするような伸び方をしていないではないかと。しかし、そのときも私答えたのでありますが、中小企業予算は通産省だけでは決してありませんで、各省がほとんど中小企業対策の予算を持っております。それらを合計しますとかなりなものになると思います。そして、今回の臨時国会で三千億を超えるこの予算というのは、やはりかなり画期的なものだと思っています。  私どもは、これで終わりにするということではなしに、できる限り予算をふやすという意味も含めて頑張っていきたいというふうに考えます。
  137. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣、私はきのうからの議論を聞いていて、美しい言葉で語るのはいいんですけれども、やはり今悲鳴を上げている方がおられる。大臣よく御存じのとおりですよ。そうすると、こういう集積がもう危ない、これが壊れる、破壊される、そういったときに、やはり大臣のイニシアチブで予算を十倍にする。やったって十億ですよ。大臣の指示でできるじゃないですか、そのぐらい。そのぐらいやらないとやっぱり大臣の名が廃ると私は率直に思いますけれども、再度前向きの答弁をお願いしたい。
  138. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 予算の問題で、ただいま来年度の概算要求、具体的な中に入っているわけではありませんから事細かいことについて私がこれは十倍にする、これは何倍にするなんてとても言える話ではありません。ありませんが、少なくとも中小企業が活気が出るようにということでスタートしているのでありますから、十分な覚悟を持って予算の獲得にも全力を挙げていきたいと思っています。
  139. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほども今も予算の拡充ということを言われました。その言葉を私も重く受けとめたいと思いますので、そうした方向をぜひ実現していただきたい、このことを要望しておきたいと思います。  さて次に、私は商工ローンの問題について質問したいと思います。  銀行の貸し渋りに悩む、苦しんでいる中小業者につけ込む商工ローンの暴利、悪質な取り立て、これはもう大変な問題になっていて、その規制は待ったなし、そういう状況になっていると思います。業者からも、不法、不当な貸付業務には厳罰をもって臨んでほしい、そうした声が寄せられております。  被害を一日も早く根絶するためには、政府として実態の解明、そして迅速な指導、これがまさに求められていると思いますけれども、金融再生委員会のその点での所見、時間がありません、簡潔で結構ですからお伺いいたします。
  140. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 緒方委員の御指摘、他の委員会におきましても現在の商工ローンの問題、いろいろな形でお取り上げをいただいておりまして、また国会でも各党各会派、いろいろな形で御議論があること、よく承知しているところでございます。  これにつきまして、私どもといたしましても大変深い関心を持ちましていろいろ調べもしているところでございますけれども、ただ何分にも、これにつきましては御案内のとおり、取り立て行為とかなんとかのいろいろな行為につきまして、法律に違反する事実がありましたときにそれによりまして処分をすることができるわけでございまして、その事実が現在の段階ではまだ把握できていない、調査が進行中である、こういうことでございます。  そういうことで、現在の段階では、金融監督庁といたしましては、出先、これは財務局でございますが、財務局に命じましていろいろ調査を継続させている、こういう段階でございます。
  141. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、金融再生委員会が先頭に立って、金融監督庁もこの問題に全力を挙げるということが必要であって、財務局に任せている、そんなやり方でいいのかということを率直に思います。  その点で、私は、先日行われた財政・金融委員会での参考人招致で商工ローン最大手の日栄の松田社長が高金利の正当性を主張して、過剰融資と過酷な取り立てについて何と全面否定したんです。  ところが、調査した結果、実際には事細かに取り立てる指示を出していた。このことを私自身も調査してそれを裏づける資料を入手いたしました。きょうはその実物を持ってまいりました。裏マニュアルというんですね、手書きですよ、手書きのB4判で、これは十九ページある。こういうものをつくって、日栄が自分たちの管理社員に指示していた、このことが明らかになったわけです。  どういうふうに言われているかというと、「管理社員」、これは日栄の回収担当者らを指しているわけですけれども、冒頭、「下記解説例を参考にし、自分自身の言い方も見い出す事」、そういうふうに言って、作成者の署名も記されております。署名は日栄の一〇〇%子会社である日本信用保証の関西地区統括部長の名前になっている。ここに書かれていたわけですけれども、一応黒く塗っておりますけれども、ここに実名が書かれている。  この裏マニュアルには全部で五十一項目に及ぶケースを挙げて、その分析と具体的な応答のやり方、これが関西弁も交えて事細かに書かれている。  金融監督庁はこの文書の存在を把握していますか。あなたじゃなくて金融監督庁です、日野さんでいいです。
  142. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 金融監督庁の問題につきましては、法律によりまして、私は金融監督庁に関することその他金融再生委員長の指示することを扱う、こういうことになっておりますので、私からお答えをさせていただきます。  ただいま委員お示しのお話でございますが、現段階、いろいろ調査を進めている段階でございまして、個別のお話でございますものでございますから、今それを把握しているかどうかということはちょっとお答えを控えさせていただきたいと存じます。  ただ、これも時間の関係もございますから明確に私どもの立場を申し上げさせていただきますと、一般論として申し上げるしかございませんけれども、貸金業規制法違反疑いがある、このように認められる場合には、私どもは説明、報告等を求めまして、事実関係をきちんと調べ、そして調べた結果、事実が確認された場合にはこれは厳正に対処する、これはもう当然のことだと思っております。
  143. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 調査中だということですけれども、あなたはこの文書を御存じですか。
  144. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 恐縮でありますが、私自身はそれを見ておりません。
  145. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今あなたが必死になってやっていると言われたその調査は、非常に緩慢なものであり、国民の要望にこたえるものになっていないとはっきり私は申し上げたいと思う。  そして、これもあなた方は手に入れていないですよ。手に入れているのだったらはっきり言っていただきたいけれども、手に入れていない。一議員が努力すれば入手できるものを、今あなたが必死になってやっているという、機関としてやっている、そうしたところで入手できない。私はこれは情けない、はっきり言ってそう思います。  目玉一つ売れ、そういう話のオリジンがここにあるわけですよ。これが何と京都の本社の管理部で作成されたものであって、本社から各支店にファクスで送られて、昨年まで使用されていた、そういうものなんですよ。  私は、ここに一体何が書かれているかということについても、ちょっと余りにもひどい話なので紹介したいと思います。  例えば、その中では「回収の心得」、そうしたことが書かれている。その中には、「当然、債務者は逃れたいと言う気持ちにて、言い訳、開き直りの言葉を言ってくる。その時、言われた事に対し、何も言えず、ただ返せとか、言葉を返せず、相手のペースにはまり、回収困難になるケースが見受けられる。債務者がこう言ったら、こう言い返せるようにし、何を言っても逃れられないと言う意識を持たせる事、日栄は、権利者である事を強く心に置き、交渉に当たる事」、こうしたことが書かれている。  以下、「逃れられないと言う意識」を持たせるための応答例、これが五十一項目にわたって書かれているわけです。  それからさらには、例えば十六番目の応答例で言うと、トラブルが相次ぎ問題になった保証人への通知についても、「日栄は、何万の顧客と取引し、そんな毎日、毎日、一人づつに言っていく事などできない。それに言う義務もない。だから根保証契約として期間と極度を初めから定め、それに、あなたは署名・捺印しているだろう。何か問題あるのか」と、保証人への通知をしていなかったことを裏づける記述がある。これも重大なことですよ。  さらに、二十八番目の応答例、「一生懸命働いて一銭もできない事あるか。どこまで動いた。それなら、自分で家財道具全て売り払ったのか。売ってない?」「それでどこが一生懸命なんや」、「金策する事に対しても日栄をなめるな。そんな気持ちで金なんかできるか」という恫喝の指示、こういうこともあるわけです。  こういうことがずっと書き連ねてある。ずっと紹介していると時間がなくなってしまうぐらい、ひどい話があるわけです。全編にわたるこういうおどしの手口、これは「未知の恐怖を考えさせる言い方をする」という、そういう中で書かれているわけです。そういう指示に端的に象徴されているやり方があるわけです。  これは監督庁が定めた事務ガイドライン、貸金業規制法の第二十一条で定めた暴力的な取り立て行為に該当する、これは明らかじゃありませんか。
  146. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 今の御質問に直接お答えする前に一つだけ申し上げておかなきゃなりませんのは、私ども金融監督庁が持っております権限は、要するに財務局に対する指揮監督権限ということでございまして、業者に対する直接の調査権限、これは財務局長に委任されている、こういう関係でございますから、その点は御理解をいただきたいと存じます。金融監督庁監督部長名で財務局長に対しましてきっちり調査をやれと、こういう指示をいたしております。  その上で申し上げますけれども、ただいま御指摘のようないろいろな点でございますが、これは個別の話でございますから私の立場で申しかねるわけでございますが、一般論として申し上げれば、貸金業者におきまして、貸金業規制法二十一条におきます威迫、脅迫というような取り立て行為違反、これがはっきり確認できました場合には、これは私どもとしましては事実関係を押さえまして厳正な処分をする、こういう姿勢であることは申すまでもございません。
  147. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 実際にこういう恫喝の指示の文書があるわけです。実際にあるわけですよ。しかも、そういう事例はたくさんある。今、各地で裁判になっているでしょう。ですから、あればじゃないんですよ。実際にある。その確認の作業、それが、国民がこれだけ怒り、業者にこれだけ憤りを持っているそうした事態に対して全く対応できていない、その現状があるわけですよ。ですから、そのことをあなたがきちっと自覚される。  あなたは私に、私が中心になってこれをやっているんだと言われた。そういう中心になっているにしては非常に情けないじゃありませんか。やはり、イニシアチブをきちっと発揮してこうした事態を根絶する、そのことをきちっとやる必要があると私は要望しておきたいと思うんです。  このマニュアルには、債務者が財務局に行くと言い出した場合の対応策についても書かれているんです。ほうなんて、そんなことを初めて聞くような顔をしないでいただきたい。  いいですか、こう書いているんです。「財務局と出す者は、何らの知恵が入っていると考えておく必要がある」、「財務局としては、当然、苦情として追及してくるのが現状で有、日栄としては弱みとなっている」、ちゃんと弱みだと認めているわけです。したがって、財務局に「行かれて直接交渉がままならなくなり、回収が遅れないように冷静に交渉し、払うのはあたりまえ、そんな事しても、何も解決しないと道理的な事を強調する事」、マニュアルにちゃんと書いてある。債務者が財務局に行くことを阻止しろという指示までここに書いてあるんですよ。驚くべきことじゃありませんか。  この裏マニュアルは、日栄が組織ぐるみで違法な取り立てを指示していたことをはっきりと裏づけているわけです。ですから、あなたは私がやっていると大見えを切ったわけだから、政務次官としても、こうした資料をきちんと把握して直ちに実態を調査すべきじゃありませんか。
  148. 村井仁

    政務次官(村井仁君) ただいま緒方委員の御指摘の点も重く受けとめまして、私どもとしましても、鋭意調査をいたしまして、そして先ほど来申し上げておりますように、この件につきましては厳正な対応をいたしてまいりたい、このように思っておるところでございます。
  149. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 日栄の違法行為については今裁判が行われている。ちょうどきのう二つの判決が出た。御存じかもしれないけれども、高松高裁では、日栄の根保証契約についての説明が不十分で契約は無効、これが高松高裁の判決です。それから、名古屋地裁では過払いの返還を命じる、そういうのが出ている。これはまだ確定したわけじゃないけれども、しかし今裁判が各地で行われていて、違法行為が次々と明らかにされている。そういう疑いがあるわけです。  そうすると、こうした問題について、私は違法行為があるということを確信しております。自分でも調べました。しかし、肝心の政府がこうした問題に対してどう対処するのか、これが今問われているわけです。そして、対処してほしい、それが国民の期待なわけですよ。  ですから、こうした結果、違法性が明らかになった場合にはどうするのか。これは仮定の話になってしまいますけれども、当然業務停止命令などの行政処分を直ちに行う、こうしたことを含めて対処することが当たり前だと思いますけれども、見解を伺っておきます。
  150. 村井仁

    政務次官(村井仁君) 私どもといたしましては、貸金業規制法に違反する行為がありました場合には、その法文に照らしましてきちんとした対応をするということしかこれは申し上げようがございません。  やはり具体的な事案というものをきちんと把握するということが何よりも大事なことでございまして、そのために、現在、報告の徴収、説明の聴取、報告を求める等々の作業も含めまして実態の把握に努めているということでございます。
  151. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 これだけ大きな社会問題になりながら、私は、実態の把握というのはもちろん一番大事なことだと思いますけれども、それが遅い、そのことをはっきり言っておきます。  こういう資料とか、本当にいろいろあるわけです。私、いろいろあり過ぎてここで言い切れませんけれども、しかしそうした問題について、あなたが責任者としてプロジェクトチームをつくって対処していると言われたけれども、それならばそれらしい、言ってしまえば、政治家が、政務次官が責任者になって指導、指揮しているわけですね、この問題について。そういう形になっていないじゃありませんか。私は、率直に言って非常に情けない、そう思います。  さらに言えば、日栄が先月下旬に発表した自主規制基準は、肝心の罰則規定がないなど、何ら実効性のない中身になっていると思います。ここに同社の国民を愚弄した姿があらわれていると思います。  今、政務次官が言われたように、こうした問題について、国民の期待にこたえるように厳正に、そしてスピーディーに臨んでいただきたい、このことを要望して、質問を終わります。
  152. 三重野栄子

    三重野栄子君 社会民主党の三重野栄子でございます。  商工ローンの問題と中小企業基本法案につきまして質問をさせていただきます。  まず、商工ローンの問題でございますが、今月十一月十二日の閣議後の記者会見におきまして深谷通産大臣は、通産省としても中小企業庁や地方の通商産業局に相談窓口を設置して、借り手企業の相談に応じたり実態把握を進めるとの考えを発表されたと伺っております。こうした通産省の取り組みを生かすためには、金融監督庁の商工ローン対策室と緊密な連携を図ることが重要であると考えます。  大臣が会見されまして一週間が経過しておりますが、その反響はいかがでしょうか。また、その件数及び主な相談内容につきましてお伺いいたします。あわせて、商工ローン問題に関する政務次官の御見解などをいただければ結構でございます。
  153. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 他のことは政務次官から申し上げますけれども、名前が出されたものですからお答えだけいたします。  商工ローンに対するさまざまなトラブルに関しましては、そういう中小企業を全体的に預かる大臣として、当然のことでありますけれども非常に深く注目しているところであります。  記者会見で申し上げたのでありますが、通産省中小企業庁及び通産局、また日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、保証協会等に命じまして相談窓口というのを開設しております。  ただ、今日まで、特に十一月五日までの苦情の処理は、件数だけ申し上げますと意外に少のうございまして三十二件でございました。一体これはどういうことか、窓口としてのPRが行き届いていないのか、あるいは通産省じゃなくてこれは金融監督庁とお思いになっているのか、そこらについては今精査させているところでございます。
  154. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 今、大体大臣が御答弁しましたが、ではなぜこんなに少ないのかというお感じがあると思います。まだ各企業、経営者としていろいろ考えているところだと思いますけれども、余り公の場にみずから申し出て、実はこういうところから借りているとか、こういう保証をしたというところまでまだ言いにくい面があるようでございますので、さらに調査も進めてまいりたいと思います。
  155. 三重野栄子

    三重野栄子君 なかなかこういう問題は広がらないといいましょうか、もうせっぱ詰まらないと相談に行かないということもございますけれども、せっかくつくられました商工ローン対策室ができるだけ有効に活用されるように、今後とも宣伝も含めてお願いしていきたいところでございます。  商工ローン問題につきましては、けさもマスコミに出ておりましたけれども、根保証の問題や暴力的な取り立てに対して社会の痛烈な批判が集中しております。そこで、主債務者が負うべき責任について考えてみたいと思います。  根保証の問題や暴力的な取り立て等の問題に関しては、完全に商工ローン業者自身が責めを負うべき問題であろうと思います。けれども、せっぱ詰まっているからといって、自分の返済能力を十分考慮せずに商工ローンから過剰融資を甘んじて受け、そして返済不能に陥った主債務者にも一方では大きな責任があるのではなかろうかという意見もあるわけです。この危機さえ乗り越えればまた経営が回復軌道に乗るという希望からこうした融資を選択してしまったことには確かに同情もできますけれども、こうした選択の結果、保証人までもが商工ローン問題の渦に巻き込まれたことも事実であろうと思います。  したがいまして、こういう四〇・〇〇四という出資法上の上限金利を引き下げるということはもちろんでございますけれども政府としては、借り手側の教育やカウンセリング機能の充実を図ることも今後の対応として必要ではなかろうかと思うわけでございます。  加えて、出資法の上限金利についてどの程度まで引き下げることが適当であるか、いろいろと御検討されていると思いますが、具体的数字と、あわせましてカウンセリングとかそういう問題も含めて御答弁いただければ。お願いします。
  156. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 今御提案のように、出資法上の上限金利を見直せ、根保証の問題をどうするんだということが起こっておることはよく承知しております。  こうした貸金業者に対する規制のあり方につきましては、貸金業者に対する監督や業界における取り組みの状況、さらには違法行為に対する取り締まり状況などを踏まえまして、金融監督庁などの関係省庁において十分な検討がなされるべきでありますが、直接の権限という意味ではそちらの方になるわけでございますが、通産省といたしましては、やはり中小企業がそれぞれ困っているわけですから、債務者もあるいは債務保証者も困っているわけでございますので、これからも中小企業の円滑な資金調達に支障を来すことのないように頑張ってまいりたいと思います。そのために、中小企業庁や地方通産局に窓口を設置いたしまして苦情等への対応を図りますとともに、監督当局等とも連携しつつ適切な対応を図ってまいりたいと思います。
  157. 三重野栄子

    三重野栄子君 いろいろと御努力の方向を伺いましたけれども、せっかく商工ローン対策室を設けてくださっても、三十二件ぐらいでありますから、窓口においでくださいと言ってもなかなかこれは行かれない面もあろうかと思うんです。  業者の方はああいういろいろマニュアルをつくりまして、こうですこうですと細かくやっているわけでございますから、政府の方もそれぞれの担当の中で、それぞれの中小企業、業者の方へ実はこういうことがあるんだからちゃんとやりなさいよと、そういう方法もこれは必要ではないだろうか、大変余計なことですけれども思ったりいたしますので、窓口においでくださいだけでは不十分な面もあろうかと思いますから、御検討いただければと思います。  それから次に、中小企業基本法案につきまして幾つか質問をいたします。  今回の法改正の柱の一つ中小企業の範囲の拡大があると思います。新たに中小企業になる範囲は、企業数は約一万六千社程度であるということですけれども、現在、約五百万社ある中小企業全体から見れば〇・三%程度の増加ということになります。したがいまして、中小企業の範囲をこの程度拡大する必要はどういうねらいがあるのかということをお尋ねしたいわけでございます。中堅企業を殊さら中小企業の範囲に入れなければならない理由は何かということであります。中企業というのと小企業、零細企業とはうんと格差があると思うんですけれども、そこらあたりについて御説明いただきたいと思います。
  158. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 中小企業の定義の改定につきまして、今回で二十六年ぶりという形になるわけでありますが、この二十六年間で各企業の資本金であったりとか従業員、これも大きく変わってきております。そういった企業活動の実態に合わせて見直しをさせていただきました。そして、その範囲の中に活力ある企業も入れ込む、こういった形で、より中小企業政策を幅広く、そして充実させたものにする、こういった意味で定義の改定を行わせていただいております。
  159. 三重野栄子

    三重野栄子君 何かもうちょっとお伺いしたいところでございます。企業活動の実態とか活力ある企業を含むためにこの法案ができたというふうに説明をなさるわけでございますけれども、せっかく法律がつくられたわけですから、もっと積極的な意味があろうかと思うのでございます。  それでは、これまでの中小企業政策の基本理念が、今の法制で示されている前文を削除して第三条に新しい基本理念が示されています。基本理念の変更という中小企業政策の大転換に当たりまして、これまでの基本理念とそれに基づく中小企業政策の果たした役割についてきちんと総括しておくべきではないかと思います。今次官がおっしゃいましたんですけれども、そういう説明ではちょっと納得し切れないところがあります。  そこで大臣、前回のこの委員会の中で、生活環境、御自身がそういうところに関係があったと伺ったような気がするんでございますけれども中小企業基本法施行以来の今までの歴史を振り返って、現行の基本法意義につきまして、大臣の具体的な御体験も入れていただきながらお話を深めていただきたいと思います。
  160. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 昭和三十八年に中小企業基本法ができましてから、それに基づきまして各般の政策というものが実現されてまいりました。例えば金融であるとかあるいは組織を拡大していくといったようなこと、あるいは組合等をつくって相互の協力体制をつくっていく、あるいは診断指導などを行う、小規模企業に対する制度や融資や税制の問題等々数々やってまいりました。そして、そういうような政策の結果、例えば一例を挙げれば生産性が二%から四%上がったというような成果はあると思います。  だけれども基本法そのものが、三〇年代のいわゆる大企業中小企業経済の二重構造という形で、ただ広げればいい、大企業に近づけばいいというようなそういう形でありましたから、これからはそれよりももっときめ細かく対応していくために、中小企業の多面性というのをとらえて、その多面性の上に立ってそれぞれの分野での支援体制をつくっていくということの方がより中小企業全体の活性化につながり、経済の再生あるいは経済再生の牽引車になっていただける、そういう状況になるのではないかと判断しているわけであります。
  161. 三重野栄子

    三重野栄子君 今伺いましたところの大部分は前回他の方の質問の中で伺いましたような気がするんですけれども、何かもう少し心に触れるような、法律を変えた、ここは本当に違うという説明はございませんでしょうか。
  162. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 同じような趣旨の質問でございますから、私の言論能力では限界があるかとは思うのでありますが、例えば先ほど中小企業の枠を広げたではないかというお話がありましたが、これで一万六千社ふえます。ここはちょっと背中を押すといわば一番活気の出る企業でございまして、ちなみに売り上げを一〇%伸ばしたと仮定いたしますと四兆一千億ぐらいの収益になるのであります。だから、ここに力を入れるということは一つの大事なポイントかなと思います。  しかし問題は、では小規模企業を見捨てるのかという議論になってしまいますから、そこは例えば設備近代化資金を使いやすい形にして小規模に集中的にお出しをするようにしていますとか、三百のセンターを通していろいろな御相談に応じ積極的に支援していくんだということなどを申し上げ、その多面性を強く私どもとしては申し上げているつもりでございます。
  163. 三重野栄子

    三重野栄子君 少し理解ができたような気もしますけれども、近代的な大企業と前近代的な中小企業という二重構造はもはや時代おくれだという御説明も前回あったと思うんです。  私は、努力をしていても、やはりいつの時代でも、貸し渋りにぶつかってみたり、あるいは成功しなかったとか、一生懸命やっても時代に合わなかったということで、どうしても弱者としての中小企業というのは厳然として存在するというふうに思うわけでございます。また、ベンチャー企業におきましても、特許制度の未整備とかあるいは大企業の資本力等によってもう押しひしゃげられて、それで廃業に追い込まれるケースだってやっぱりあり得ると思います。そうしますと、従来の格差とは違った大企業中小企業との格差、あるいは新しい意味での二重構造の顕在化というのは、むしろ当然生じるというふうに感じるわけでございます。したがいまして、この点につきましてはどのような対策が必須であるかということを考えるわけでございます。  そこで、新しい理念に基づく新しい施策を取り入れる一方で、落ちこぼれというよりも努力しても成果がなかった企業に対してはどのような援助をしながらさらに成長するようになさるのか、そこらあたりを確認したいわけでございます。
  164. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) きのうの堺屋長官との議論と似たような議論になっていく可能性がありますから、誤解のないように気をつけながら申し上げようと思うんでありますが、一生懸命頑張ってもなおうまくいかないという小規模企業があります。それが例えば、融資の点で支えたら前進できるのかとか、経済全体の再生ができたときには前進できるのかとか、いろんな要素があると思います。それと関係なしに、しかしどうやってもだめだという場合には、何がだめなのか、それならばどういうところに新しい知恵を乗せたらいいのかというようなことをやっぱり考えて、そして改良していかなければならないわけです。そういう意味では、小規模企業の皆さんも自助努力ということを大いにお考えになっていただかなければならないと思うんです。  そして、そういうときの適切な相談の窓口として三百の支援センターを設けていこう。センターを設けたその内容によってはこれから効果を上げることもできますし、そうでない場合もありますから、そこは十分に注意しながら小規模企業悩みに直接こたえられるような体制をつくっていきたいと思っているわけであります。  なお、特に、頑張っていながら融資の面で御苦労なさっているというそういう状況を踏まえて、私たちは二十兆円の貸し渋り対策を昨年十月一日から始めたわけであります。それも、同じように資金が融資できないというかたくなな形ではだめでございますから、かつてない思い切った一〇%のリスクを覚悟するというようなそういうことをいたしまして、いわば最小限のネガティブリストに基づいてできるだけおこたえするということなど努力をさせていただいたわけであります。その延長線上で一年延ばし、十兆円を加えさせていただいたということでございます。  一方では、ばらまきという批判もございますから、そういう批判にこたえながら小規模企業の皆さんと本当に正面から四つに組んで頑張っていきたいと思っています。
  165. 三重野栄子

    三重野栄子君 今伺いまして、今までと同じような形ではないけれども、そういう苦境に陥った中小企業に対しても何らかの援助をしよう、支援をしていこうというお気持ちを伺いまして、大変心強く思います。  心配しましたのは、従来のような中小企業支援対策とか、あるいは大企業のリストラに遭って、下請とかあるいは系列企業への経営改善の支援とか事業転換支援とか、あるいは雇用維持、再就職支援対策、産地不況対策というのはもう一切行われないのではないかと大変心配をいたしましたけれども、そこらあたりも十分気をつけて御支援をお願いしたいと思います。  今回の貸し渋りのような事態は、中小企業の自己責任とは全く関係のない、まさに金融機関の責任によって生じたものである以上、国としても今後ポスト貸し渋り保証とも言うべき恒常的な金融支援策、セーフティーネットを真剣に考えていく必要があると思いますけれども、これらについてお力をいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  166. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 信用保証協会の保証による特別融資というのは、ちょうど今金融機関が大きく変革する、そしてそういう状態の中で貸し渋りというのが極度に目立って、そのために中小企業が大変困ったということから、緊急避難的な措置としてつくらせていただいたものでございます。  その緊急避難的な状況というのはまだあるというふうに考えまして一年延長と定めたわけでありますが、これを恒久的なものにするという考え方は最初からございません。だけれども、そういうことをしなくてもやっていけるような景気回復に全力を挙げるということがもう大前提でございますから、十三年度も延ばしますということは今言える立場ではありません。  しかし、いずれにしても、中小企業の方々が困らないように守っていくというのは我が通産省の当然の役目でございますから、そういう意味での先々の思いは心の中にあるということだけは申し上げておきます。
  167. 三重野栄子

    三重野栄子君 大変力強く感じましたので、今までの中小企業は切り捨てられてしまうのではないかと大変心配しましたけれども、少し安心しましたので、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。  最後になろうと思いますけれども、来年度以降の予算につきまして質問をさせていただきます。  改正法案第三条は、中小企業は、「新たな産業を創出し、就業の機会を増大させ、市場における競争促進し、地域における経済の活性化を促進する等我が国経済の活力の維持及び強化に果たすべき重要な使命を有する」としています。  政府は去る十一日に経済新生対策を策定しましたが、その中でも、中小企業こそが経済新生の中核を担うものであるとの認識が示されていました。  中小企業の活性化のためには中小企業対策予算の裏づけが必要不可欠であると思いますが、ここ数年の一般会計予算における中小企業対策予算はほぼ一千九百億円程度の横ばい状態が続いています。補正予算によって大幅な増額が見られる年もありますけれども、大変不定期なものでございます。この法案によりまして日本経済における中小企業の位置づけを重視する理念の転換を行ったのでありますから、当初予算の増額、特に先細りする経営改善的性格を有する支援予算を図っていくべきではないでしょうか。  したがいまして、中小企業は、通商産業省だけではなくて他省庁にも存在しているわけでございますから、この基本法は全部に対応するわけでございますので、そういう視点から、来年度以降の予算につきまして中小企業庁の方から広範な予算についてのお見通しをいただきたいと思います。
  168. 岩田満泰

    政府参考人岩田満泰君) お答えを申し上げます。  来年度の中小企業対策予算につきましては、中小企業庁分といたしまして平成十二年度概算要求として千三百十八億円を要求しております。これに経済新生特別枠の十五億円の要求と合わせまして十七億円の増額要求となっておるところでございます。現在、鋭意来年度予算編成に向けて折衝を続けているところでございます。
  169. 三重野栄子

    三重野栄子君 それでは、今予算の来年のお見通しをいただきましたけれども、通産大臣としてこの予算につきまして御見解がございましたらお伺いいたしまして、質問を終わります。
  170. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 中小企業をしっかり支え、活性化していただくためには、予算も必要だし税制も必要だし、制度もございますし、特に予算の使い方などというのも非常に大事になってまいります。そのほかに技術革新その他もろもろのノウハウ等が必要でありまして、それらを総合的に駆使して中小企業の活性化を図っていくというのが私たちの基本であります。  しかし、だからといって予算の増大を望まないわけではございませんで、我々は来年度に向けてもしっかり予算を要求してまいります。ただ、前にもちょっと申し上げたのでありますが、中小企業の予算は通産省の中だけではございませんで、ほとんど全省庁にまたがっております。ちなみに、全部合わせまして中小企業対策を計算すると五兆円をはるかに超えるぐらいの金額になります。  ただ、ばらばらでございますからなかなかきちんと対応が目に見えない。そういう意味では、SBIRなどは、例えば五つの省あるいは九つの省が集まってそれぞれ持っている予算を出し合って計画を立てていくわけでありますから、こういう仕組みなどを拡大していくことも一つの工夫かなと思っております。
  171. 三重野栄子

    三重野栄子君 五兆円というお話を聞きましたらわっと声が上がりましたんですけれども、そこらあたりを確実に獲得できますように、大臣の御健闘をお願いするわけであります。  でも、やっぱり何か中小企業といいますと、大企業に対して大変よちよち歩きで、いつも危険の中で仕事をしているというような状況もございますので、やはり経済の中の九十何%は日本の場合中小企業でございますから、そういう意味では大臣の御健闘を要請いたしまして、私の質問を終わります。
  172. 高橋令則

    ○高橋令則君 自由党の高橋でございます。  中小企業基本法の問題につきまして質問させていただきたいと思います。私は、全体的な問題について触れたいと思っております。したがって、既に各委員から触れられた部分が多分にございますけれども、お許しをいただきたいと思います。  まず、今回の基本法基本理念あるいは方針といったものについてでありますけれども、私は、基本的にその中身については同感とするものでございます。  しかしながら若干、例えば用語の意義については、「経営の革新」という言葉がございますね。この響きといったもの、語感になるのかどうかわかりませんけれども、それだけではなくて、抵抗を感ずる向きもあるようです。すなわち、特別の技術とかあるいは経営システムを持っていない大部分の中小企業にとってはハードルが大変高くて、そして今後の国の政策展開の中に心配だという言葉があるわけです。  したがって、私は、そんな面倒な話ではなくて、面倒というのは変ですけれども、自主的な前向きな努力、これが基本で、つまり経営に意欲を持って日常努力している中小企業者は政策に対しては当然対象になるし、心配ないと私は思っておりますが、大臣基本的なお話をお聞かせいただきたいと思います。
  173. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 高橋委員の御指摘は、革新という言葉が少しどうも気になるということでございますが、新基本法では大きくまず二つに分けさせていただきたいなと思っています。  第一は、多様な中小企業に対する経営基盤の強化、第二章で載せておりますけれども、これは日々地道な努力をされているまさにおっしゃった中小企業者のすべてを対象として、人材、資金、情報、技術の不足しがちな経営資源の確保を図っていく、また中小企業に関する取引の適正化を図っていくという面で支援をしていこうということでございます。  第二は、中小企業者が新製品なんかを開発するようなそういう新たな事業を行う場合、この部分を「経営の革新」というふうに述べてこれを支援しよう、こう申し上げているわけであります。  ただ、中小企業全体の経営のあり方から考えて、その性質上からいっても、前向きで経営努力を行うという方を対象にしていくという点では委員のおっしゃるとおりでございますから、そういうような特別な技術や経営システムを有していない普通の中小企業はだめだというふうな分け方でなくて、そこの皆さん方も新たな事業活動を行う場合には幅広くこの対象になっていくんだというふうに思っております。
  174. 高橋令則

    ○高橋令則君 私もそのように理解をしております。  ちょっと私ごとに戻るんですけれども、私も商工関係について地域でそれなりに経験があるんですけれども、その中の部下がほとんど団体の責任者になっておりまして、その連中にもいろいろ話をしたわけですけれども、個別の話になりますと、これはもう避けさせていただきますけれども、やはり心配だという言葉があるんですね。したがって、私はそうじゃないということを申し上げました。  大臣のお話しのことでわかりましたので、私もPRしなきゃいけないし、大臣に対してはよろしくお願い申し上げたいと思います。  それから次に、予算の問題ですけれども、前の方々からるる話がございました。私もそういう中身については承知をいたしました。ただ、二次補正の問題については相当多いわけですけれども、十二年度の予算についてはどうもやっぱり少ないのじゃないかなという気分があります。十七億というのは知っています。また、新規事業についてもそれなりに承知をしておりますが、全体的にはやっぱりどうも足りないのではないかなという気分があります。少なくともこれまでの必要な既定事業予算がゆえなくスクラップにされたり削られるということのないような、そういうことについて大臣からお話をいただきたいと思います。
  175. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今お話のございました予算でございますが、ゆえなくスクラップにされるということはございません。  今度の中小企業対策予算では、先ほど長官からも御報告申し上げましたように、創業・ベンチャー企業の成長環境の整備、中小企業の経営革新と地域経済の活性化、それから中小企業金融対策、これを三つの柱にして千三百十八億円を要求しているわけであります。これに情報通信、科学技術、環境等経済新生特別枠十五億円でございますから、これらを加えますと、十一年度の予算額と比べて十七億円の増額要求というふうになっております。  これに加えて、このたびの経済新生対策におけるもろもろのことで総額三千億円、三千億円は超えると思っていますけれども、こういう予算をただいま要求しているところであります。  それから、問題なのは、先ほどちょっと触れましたけれども、既定の事業に関して必要な予算を引き続き確保してまいりますけれども、予算の効率的、効果的な使い方というのがとても大事でございまして、そういう意味ではしっかりした取り組みが必要ではないかと考えています。
  176. 高橋令則

    ○高橋令則君 十二年度の予算はこれからでありますので、具体的にはまだ大臣のお力ということをお願いしたいわけですが、よろしくお願いします。私どももそれなりに努力しなければならないと思っております。  それから次に、貸し渋りの問題であります。  いわゆる特別信用保証制度については、私ども自由党としても大変主張いたしまして、そしてそれなりにそれが取り入れられたと思っております。それなりの効果、大変効果があったと私どもは思っておりますが、一方、この基本法の改正に絡んで、批判眼もないわけではありません。若干それはわかる面もありますけれども基本的にこの制度、これが非常に効果があったと私は思っておりますが、この全体的な評価についてお話をいただきたいと思います。
  177. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 先ほども申し上げましたけれども、金融機関がちょうど改革のときで、不良債権を抱えてこれでは動きがとれない、そこで六十兆という枠をつくってまず健全化、再生化ということに努力したのでありますが、しかし、にもかかわらず金融機関が貸し渋りを横行させておるという状態が続いた。これでは中小企業はやっていけないというもう本当に悲鳴がございましたので、緊急避難的な形で二十兆の枠をつくったわけであります。これは十月一日から始めて今日まで、十八兆円という大変大きな額が出ておりまして、そして返済状況現状では決して悪くはございません。そういう意味では、中小企業の方々がこの貸し渋り対策を活用して頑張っておられるということは間違いがない、こう思います。  ただ、中小企業の方々のアンケート調査等によりますと、まだ四分の一が依然として貸し渋りで困っているという、そういう状況がございます。そこで、このたびはもう一年延長して何とかこの厳しい状態を乗り越えようといたしたところでございます。
  178. 高橋令則

    ○高橋令則君 私もそういう認識でございまして、この厳しい状況というのはどうも今後まだ、常態的と言うのは変ですけれども、相当あるんじゃないかと思っております。そういう意味で、今回の十兆円の延長はやっぱりこれは必要であるし、評価しなきゃならぬというふうに思っております。  しかし、これは本来のセーフティーネットの議論としてはやっぱり特別のやり方でありまして、これが終わった後は、それなりの通常のいわゆる対応といったものが必要だと思うんです。それについて御意見を聞きたいと思います。
  179. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今、委員指摘の点は一番大事なことでございます。今現在でも、ばらまきとかそういうお声もあるようであります。したがいまして、今度の十兆円の延長に当たりましては、来年からは建設的な中身を添えること、つまりお貸しをすることによって、単に生き延びるだけでなくて前進できるという、そういう状況をつくり出したい、こう思っているわけであります。  その一年延長が終わりましたときには一体どうするのかというお話でございますが、本来の形に戻すべきだと思います。ただ、そのためには経済再生を確かなものにしていかなければならない。今政府は全力を挙げて景気回復、プラス経済成長に努力中でございますが、公需が中心でございますから、早く公需から民需にバトンタッチしていくように政治全体の課題を克服していかなければならないと思っております。
  180. 高橋令則

    ○高橋令則君 そのようにお願いを申し上げたいと思います。  これは個別の話ですから、質問ではなくて意見ですけれども、私が担当した中に互助制度、共済制度があったんです。それをやろうと思ったら、なかなか中小企業が乗ってこないんです。そして、これは大変だなと思ったんです。結果的には予算措置をしてそしてやったんですけれども、共済制度あるいは互助制度というのはよほどの努力をしないと、いいとわかっていても、負担があるものですからどうしても出てこないという場合がありますので、これは努力をしていかなければならないと思いますし、基本的にはやっぱり中小企業者の自覚が必要ではないかと思うんです。そのPRが必要でございますので、御努力をお願いしたいと思います。  それから次に、これは基本法の第七条二項にあるんですが、団体についてであります。ここに中小企業に関する団体の努力義務を追加するという趣旨があります。この趣旨なりねらいといったものはどういうものか、またこれによって団体の役割がどのように変わるのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  181. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 基本法が最初に制定されましたときには、中小企業団体も未整備なところもいろいろございました。団体組織法によりましてさまざまな団体をつくってまいりましたし、それから地域におきましては商工会議所あるいは商工会、そして団体の中央会、商店街振興のための組合、連合会、そういったものをつくってまいったわけでございます。これらの団体はこれまでも大きな役割を果たしてきたことは事実でございます。  ただ、非常に長くなりましたし、案外マンネリ化しているのではないかというような批判もよく聞くようにもなりまして、これをさらに活性化させていく必要もあることは事実でございます。  この新基本法目的を達成するためには、これらの団体の皆様方がさらに知恵を出し、また新しい人たちの加入を勧誘して、新しい方々と一緒になって活動をしていく必要がある。そして、経営資源の相互補完のための連携活動に対する支援、創業者に対する情報提供、あるいは中小企業の成長発展を促進するための事業、こういったことを大いにやっていただかなきゃならないわけでございますので、新基本法のもとでは第七条を定めまして、そして中小企業団体が専門的知見を有する人材の育成、活用等の一層の推進によって中小企業者に対する支援に主体的かつ効果的に取り組んでいただくことを期待しておるわけでございます。
  182. 高橋令則

    ○高橋令則君 わかりましたが、この中小企業関係の団体は、例えば農業とか水産とか第一次産業関係の団体は経済事業をやっているわけです。この商工関係の団体はそういう基盤が弱いんです。したがって、これは基本的に変えるということは難しい話ですけれども、自助努力といっても限界があります。したがって、実態に合わせたやっぱり支援なり指導といったものが必要だと思いますので、それをお願い申し上げたいというふうに思います。  それから次に、第八条にかかわるんですけれども、いわゆる小規模企業に対する配慮でございます。  第八条にうたっているわけでありますけれども、聞いていると、この改正によって伝統技術、例えば私のところでありますと鉄瓶とかいうのもあるんですけれども、そういうふうな伝統的な技術とかあるいは家族的な経営等でやっている零細小規模企業は、今後もなくならないというんですか、それなりに意義があるし、非常に重要ではないかというふうに思っております。これらは国民生活の上からも、また地域社会のためにも存在意義というものは重要だと思っております。それなりの育成、助長、これも必要だと思いますので、あるいは中小企業近代化資金助成法等の一部改正も考えられているわけですけれども、それを含んでこの中小企業に対する、小規模に対する配慮についてお話しをいただきたいと思います。
  183. 細田博之

    政務次官(細田博之君) 長らく基本法を改正すべきではないかという議論もありまして、やはりこのたび定義改正で盛り込んだような中堅企業は、実態は過小資本、それからさほど大きくない規模でありながら、これを政策対象、金融対象として本来取り組むべきであるにもかかわらず除外してきた、そういう批判も多かったわけです。  他方、これは長い間、そういう方々を取り込めば小規模企業に対して政府の助成が薄まるのではないかと、この委員会でも大変強く御意見がありましたけれども、そういう危惧もあるということで、これが長い間基本法の議論をしてきた根っこにあります。  しかしながら、このところの中小企業の実態、それから今後のあるべき創業・ベンチャーも含めた小規模企業、あるいはそれだけじゃないです、小売業とか小さなサービス業とか小規模企業がたくさん頑張っておられるわけでございますから、既存のものでも、ベンチャーと言わず、もとより頑張っておられるわけでございますから、小規模企業についても特段の規定を設けてやはり特別な考慮を払うべきだという規定を設けたわけでございます。  それだけではなくて、先ほど言及されましたような近代化資金等助成法等、これはもう昔からある制度でございますけれども、これは必ずしも小規模企業に限定されていたわけではございませんが、そういったものを特に集中的に利用できるようにしようとか、その他数え上げればたくさんありますけれども、小規模企業育成策をはっきりと打ち出したということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  184. 高橋令則

    ○高橋令則君 その点を十分に御配慮をいただきたいと思います。  次に、第六条になりますけれども、地方公共団体の責務の問題でございます。  大臣は自治大臣をやっておられますが、私は、地方分権についてはもう大臣は通暁されているというふうに思っておりますし、十分御存じだと思います。そういう立場から、地方分権の流れの中で市町村の役割が非常にこれは重要になってくるというふうに思っております。  しかしながら、市町村の今の実態は、残念ながら、特に町村になってくると小さいわけです。ですから、商工関係については、私がそう言うとまずいんですけれども、担当がほとんどいないというふうなぐらい少ないわけです。その中で、この基本法が変わってそしてこれからるる制度が出てくる、これをこなしていくというのはなかなか大変なんですね。  したがって、私はそれを心配しているし、現実に担当をしている私の部下の連中に聞くと、そういう話も現実にあるわけです。したがって、これから通産省それから中小企業庁と一緒に相談しながらいってもらわなきゃならぬと思うんですけれども、この地方公共団体の責務と、それに沿っての展開についての通産行政中小企業行政についての基本的な考え方について大臣のお話をいただきたいと思います。
  185. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 高橋委員は副知事もお務めになって地方行政には大変明るい方だというふうに承っております。私も自治大臣をやらせていただきまして、地方分権運動には積極的に取り組んでまいりました。  地方分権の具体化のために一番大事なことは、国と地方との仕事の分担を明確にしていくということと、地方にお与えした権限についての財政の裏づけをきちんとするということでありますが、特に大事なことは、今度はそれを担当する地域のレベルアップということが非常に大事でございまして、私は、全国の知事がお集まりになったときもそのことを何度も多く申し上げたことがございます。  今度、基本法の第六条でその区域の諸条件に応じて中小企業施策を策定し実施する主体として地方自治体を考えるという場合も、そういう面も地域ではよほど研究していただかなければならないことだと思っております。  しかし、それは自主的に頑張っていただくということでありまして、私どもはその頑張りに期待しながら、よく連携をとり合いながら、一体どのような形でこれらの仕事をこなしていただけるかについては、これはもう省を挙げて、とりわけ中小企業庁が中心になってきちんときめ細かくやっていかなければならないことではないかなというふうに思っています。  いずれにしても、例えば支援センター、全国三百でございますが、これは都道府県の判断に基づいて事業が実施できるということになっておりまして、そういう意味では地方が主体になって使い勝手がいいような形になるということを前提としておりますので、ともども勉強してまいりたいと思います。
  186. 高橋令則

    ○高橋令則君 ちょっとこれも私の感覚になるんですけれども、実は、私が大分前に地方である基本法の担当をしておりまして、そのときに先輩に教えてもらったんですけれども、こういうシニカルな話を言った人がいました。それは、基本法は制度の中で必要だけれども基本法がないことが望ましいと。極端なことを言いますとね。それだけやっぱり問題があり過ぎて、そして政策的に非常に重要だからそうなんだろうと思うんですけれども、できれば基本法はない方がいいという表現をされました。  私は、そうではなくて、やっぱり積極的にそれを受けて、そして国民あるいは地方の人間にとって、やっている、要求しているニーズというか、それに対して基本的に体系的に整備をして、そして強力にやらなければならないということの証左ではないかと思っておりますが、この基本法基本的な考え方について一言大臣からお話をいただきたい。お願いします。
  187. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 昭和三十八年にできた基本法、それが中小企業に対する物の見方、判断、哲学、憲法だとすれば、時代が大きく変わってまいりましたから、それを改正していくというのは自然の道だろうと思います。ただ、基本法はあくまでも基本法でございまして、そこから具体的な行政や実態がどうなるかということが大事なことでありまして、そういう意味では、中小企業のとらえ方はこのような形にいたしますけれども、今後、予算や制度やあるいは税制面やその他もろもろの点でそれこそ価値のある答えが出ていくように全力を尽くしていく必要があろうかと思っております。
  188. 高橋令則

    ○高橋令則君 終わります。
  189. 水野誠一

    ○水野誠一君 参議院の会の水野でございます。最後の質問者ということになりまして、大臣も大分お疲れではないかと思いますので、簡潔にお尋ねしていきたいと思います。  昨年来、アジアの経済危機ということが話題になったわけでありますが、その中で日本に追いつけ追い越せということで頑張っておられた韓国が受けたダメージが非常に大きかったと。これは何だったのかということをよく分析すると、つまり財閥中心の経済構造である韓国では、中小企業の集積と自立性が日本に比べて非常に薄かったということが言われます。そういうことから考えても、国家経済にとって中小企業の自立性、それと厚みというものがいかに重要かということを私は痛感したわけであります。  今回、改正は三十六年ぶりということでありまして、考えてみますと、その間に高度成長、それから石油ショック、バブル、それからバブルの崩壊ということで、いろいろな経済変化があったわけでありまして、三十六年ぶりに改正することの意味というのは大変大きいと思います。  その内容は、私なりに理解いたしますところは、一つは資本金の基準を引き上げるというようなことでの中小企業の範囲を拡大するということ、それから二番目には、中小企業政策の基本理念を、企業間の諸格差の是正から独立した中小企業の多様で活力ある成長発展へ転換する、言ってみれば保護から育成へという大きなパラダイムシフト、この二つが柱だと思います。  この前者の、新たに中小企業支援政策の対象となる企業範囲が拡大することによる効果、これに対して期待したい気持ちもさることながら、私としてはむしろ後者、全体の底上げや大企業との格差をなくすことを基本にしたこれまでの理念を質的に大きく転換し、通産大臣も何回もおっしゃっているように、これからの中小企業をより多面的にとらえて、それぞれのステージに見合った施策を効果的に行っていくという姿勢を明記した点を評価したいと思っております。  そこで、まず第一に定義の拡大についてお尋ねをしたいんですが、まず問題というのは、その理念を実行するためのツールにどんなツールが用意されているかという点であります。そこで、中小企業の基準が引き上げられることによって、これまでの定義においては中小企業に含まれなかった約一万六千社の企業群が新たに対象に加わるというふうに理解しておりますが、これによって既存の小規模零細企業、あるいは今回、確かに政策的にはいろいろ手当てがありますベンチャー企業家に対する政策、及びその効果が薄まってしまうんじゃないか、こういう懸念が一部に根強くあるようでございます。  この問題の解決というのには恐らく相当の知恵が必要なのではないかと思いますが、まずこの点について大臣の御見解を伺いたいと思います。
  190. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 韓国の例をお話しなさいましたが、過日、インドネシアの大統領とお目にかかったんですけれども、やはりインドネシアの新たな建設の過程の中で中小企業に非常に大きなウエートを占めようという意欲がございまして、大いに日本とも協力し合っていこうという話がございました。いずれにしても、中小企業がこれからの経済を支えていく担い手であるという認識は共通したところがあるのではないだろうかなというふうに思います。  一方、中小企業全体を活力あるものにするためには、今、水野委員が言われましたように、それぞれ多面的な顔を持っているところにきめ細かな配慮をしていくということがとても大事でございますが、もう一息でさらに伸びていく、経済の活性化につながるという、そういうやや中堅どころといいましょうか、そこに中小企業の枠を広げて、そこの活力に期待するということも大事なことではないだろうか。  その場合に、ただいまの製造業でいうと一億円を三億円にするとか、卸でいくと三千万円、実際には融資の関係で七千万まで伸ばしていますが、それを一億にするというのは、現状の株、資本金の状態から勘案して、やはり中小企業の枠の中に入れておかしくないと判断したからでありますが、その場合に、じゃその企業に逆にどんなメリットがあるのかというと、例えば一例を挙げれば融資です。今まで民間金融機関からお金を借りていて、時には貸し渋られて非常に困ったこともあったんですが、今度は政府系金融機関から借りられるということで、両方これは交渉の対象になるという点では非常に有利ではないかというふうに思うんです。  そういうような中小企業としての有利な背景で前進をしていただければ、先ほどもちょっと申しましたけれども、一〇%の利益を増すだけで四兆以上になっていくというようなことになってまいるだろうと思うのであります。  一方で、それではそういうような融資関係が一万六千社加わったら小規模の方が足りなくなるかというと、現実はそうではございませんで、かなりゆとりを持った融資枠とか対応をしておりますから、そういう意味では枠を広げたということでそれが他にしわ寄せになるという性格のものではない、そう思っております。
  191. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  実は私、先日、日経新聞で大変おもしろい記事を読みました。「さらば「大樹のかげ」」。つまり、寄らば大樹の陰ではなくて、今の時代はいわゆる系列、大企業に頼る中小企業ではいけないという意味で「さらば「大樹のかげ」」という表題の記事だったんですが、その中で紹介されていた幾つかの事例がございました。  一つは、東京郊外で、塗装、メッキ、板金など技術分野の違う中小の三十五社がネットワークを組んで、案件ごとに専門技術を持つ数社がチームをつくって、大手企業、電機、自動車、航空関連など約二千社と積極的な取引を行っているというケースが紹介されておりました。  もう一つは、靴底や金型の製造業者など中小企業七社が共同出資でトラストファンドを設立して、メンバーの第三者割り当て増資に応じたり、あるいは外部の弁護士ら専門家による審査委員会を活用してメンバーの資金調達に保証をつける、こんな試みをやっているという神戸のケースが紹介されております。  これとはまた違いますが、私の知っておりますソフト制作会社は、一社ではなかなか店頭公開できない、しかし四、五社が一緒になって、今度制度が変わりました持ち株会社を利用してその持ち株会社の店頭公開をしていく、こんなことを考えている企業もございます。  それぞれその小ささゆえに苦しむというのではなくて、それぞれ持っている強みを最大限に発揮して大企業と渡り合うための知恵だというふうに私は大変評価をしているところでございます。  このように一つ一つを見ると、規模は小さいんだけれども情熱的な経営者である、あるいは従業員が非常にすぐれている、そういった世界に誇れる企業というのが我が国に多く存在するわけでありますが、こうしたコンソーシアムをつくったり、事業共同組合をつくったりしてお互いにスケールメリットを共有していくというような考え方、これはこれからますますふえていくんじゃないかと思うんですが、その辺について、今回の一連の中小企業関連対策においてどんな政策が含まれているのかという点からお尋ねしたいと思います。
  192. 茂木敏充

    政務次官(茂木敏充君) 水野委員指摘のように、大企業と比べまして経営資源が限られております中小企業、それが人材であったりとか技術、情報、お互いに経営資源を相互補完するような形の中小企業の組合制度であったりとかコンソーシアム、ますます今後多様な形態で重要になってくる、このように考えております。  従来のように、規模のメリットを追求する部分もございますが、最近では、先ほど委員の方から御紹介いただきましたような異業種の連携によります研究開発、新事業の開拓や共同の受注、販売などソフトの面での共同化、これを図る事業も増大をいたしております。さらには、最近の非常に速い経済に対しまして柔軟、機動的に対応するためには、従来型の組合という形態ではなくて、情報ネットワークによるリンクや産学官の連携を含めまして、不足する経営資源を他の企業とのもう少し緩やかな連携によりまして補完するケース、こういったこともふえております。こういった努力を我々としても全面的に支援を申し上げていきたい。  そういうことで、例えば中小企業組合の生産、販売、新製品、技術開発等の共同事業への支援、それから交流会であったりとかシンポジウムの開催、異業種連携による新製品、新技術の開発、そして連携のための情報ネットワークの構築、多様な連携組織による調査研究事業の支援等々、こういったことに対します融資、補助金、組合税制面においてさまざまな支援を図ってまいりたいと考えております。  また、中小企業組合が事業の成長発展段階に応じて組合から会社に変わっていく、これが今までですと一たん解散して会社をつくらなければならない。そこで税制面の問題等々出てきたわけでありますが、本国会では中小企業組合から会社への直接の組織変更を認める等々の法改正を提出することを考えております。
  193. 水野誠一

    ○水野誠一君 ありがとうございました。  次に、大臣に、中小企業支援における基本的なお考えを、今までもお話しなさっておりますが、重ねて伺ってみたいと思っております。  企業数で九九%を占めるという日本の中小企業の発展が日本経済の活力の源になるということは冒頭私申し上げたわけでありますが、一方、創業の活性化あるいは急成長志向のベンチャー育成などという視点から見ますと、日本は大変先進国の中でも低水準にあるというか、むしろ最低の水準にあるということが大変大きな問題だと思っております。しかし、こういったときに必ず言われる、行き過ぎた支援は真のチャレンジ精神をはぐくまないという指摘や、消費者や投資家に評価される企業は成長し、見限られた企業は事業転換や退出を迫られる。市場という荒波との格闘が技術革新や技術開発、商品の改善、経営革新への主体的な取り組みを引き出すという指摘もまさにそのとおりである、十分説得力のあるものと考えます。  きめ細かな施策を講じていくことと、大競争時代を勝ち抜いていける企業を育てることが一見相反する方針であるかのような議論も片方ではあるわけでありますが、この点について大臣はどうお考えなのか。中小企業支援及びベンチャー育成における大臣基本的な姿勢を改めてお述べいただきたいと思います。
  194. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 今、水野委員指摘のように、我が国は六十一年から創業率と比べてずっと廃業率の方が多い。アメリカは、この十年の間もそうでありますけれども、創業率が非常に高くて、それが経済再生への活力になったことは間違いのない事実であります。  ですから、今まで中小企業に対する支援体制という大事な仕事をやってきましたけれども、それだけでなくて、新たにこれから伸びていく創業とか、とりわけ高い水準で伸びていくであろうベンチャー企業をどう育てるかということは今日的な課題であるというふうに考えております。  そこで、高い成長性を有するベンチャーに対して、それに見合った資金だとか人材といったものを獲得するのは困難であるという点を補っていくとか、あるいは資金供給の円滑化とか人材とか技術等についてのソフトの面からのきめ細かな対応をしていくということが必要で、これらの対応がこのたびの基本法の意思であり、同時にそれに関連する法律で示されていくわけであります。  ただ、御指摘のように、行き過ぎたものになりますとこれは決していいことではありませんから、その実際の支援に当たりましては、外部の専門家による公正な審査を前提としたり、あるいはベンチャー企業事業者が当然の負担はみずから負うということ、その自覚ですね、そういう自助努力などもあわせて促進していくということがとても大事な考え方ではないかと思っております。
  195. 水野誠一

    ○水野誠一君 次に、もう既に何人かの委員が触れておられるところでありますが、特別信用保証制度の拡大及び期限の延長についてお尋ねしたいと思います。  これは、既に先ほど大臣からも御説明がありましたが、現行二十兆円の保証枠のうち、ことし十月末時点で保証承諾額は既に十八兆円に達していると。この枠を三十兆円に拡大するとともに、九九年度末としていた期限を一年延長するというのがこの趣旨だというふうに理解しております。  昨年十月、急速な信用収縮を背景に導入されたこの制度でありますが、確かに倒産件数が劇的に減少したなどといった効果が生まれたものでありますが、一方で、競争力のない企業を延命させ、経済構造転換に逆行するものであるという指摘も今なお強いことも事実だと思います。  また、既に発生している保証協会の代位弁償、つまり融資の焦げつき率もこれまでのところは一%未満ということで大変結構なことでありますが、果たしてこれは二年後、三年後にどんな上昇カーブを描いていくのかということについては予想し切れない点でありまして、最終事故率、政府は一〇%とおっしゃっておりますけれども、この数字にも民間調査機関などからは疑問符が投げかけられている、こういう面もございます。  しかし、その話はさておきまして、通産大臣に伺いたいんですが、新生対策をまとめる前の報道などを拝見していますと、最近は一カ月の保証承諾額も約五千億程度で推移しているから、一・五兆円程度積み増せば年末の資金需要にも十分対応できるといった声が通産省の中から漏れてきていたようでございます。  ところが結果は、ふたをあけてみますと経済新生対策では十兆円の積み増しということになっておりますが、これは適切な規模と見るべきなのかどうか。つまり、どうしても必要な規模だとおっしゃるのかどうかという点についてお尋ねしたいと思います。
  196. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) まず前半、御質問ではありませんでしたけれどもお話が出ましたから申し上げますと、事故率の状態ですが、制度発足後一年間の代位弁済でございますけれども、保証承諾全体に対して金額ベースで〇・三八%でございます。件数でいきますと〇・三四であります。これは通常の融資からいきましても大変いい成績ではございます、今日の時点では。  ですから、私どもは昨年十月から振り返り、十一月に返済される方、三カ月後から返済される方、六カ月、十二カ月と、こうあったわけでありますが、現状では、中小企業皆さん方が御努力をせられて精いっぱい返済の答えを出してくださっていると。私は、中小企業のそういう熱意、そういう努力、真摯な姿勢というものを信じたい、こう申し上げているのでありますが、これから経済を活性化させ景気を回復させるということを背景に、それを実現することによって返済というものができる限り順調に出てくるようにしなきゃいけないというふうに思っています。  それから、リスクを一〇%と考えたのは、これはかなり思い切った形でございます、二兆円というリスクを考えているわけですから。これを超えるということはちょっと想像しがたいと私は思っていますし、代位弁済したものについてのさらに返済は通常でございますと五〇%はあるわけでありますから、これは保証人がいないとかいろいろな条件がありますからこれはもうわかりませんけれども、かなりの回収は予定どおりしていかなければならないし、させていかなければならない、そのように思っています。  また、十兆円の一年延長の件でございますが、通産省の内部で幾らぐらいならつまり三月いっぱいまで足りるぞといった声があったというのは私はつまびらかにはしておりません。マスコミの記事にはそんなことが書かれたことがございますけれども、私が少なくとも聞いている範囲では、省内でそんなことを言った人がいたのかといって聞いている限りは、私が大臣であるせいかもしれませんが、ないよということでございます。  一体どのくらいの資金需要が今年中必要なのかということについては、これは自由民主党の亀井政調会長を初め、三党でもいろいろ議論があったところでございます。この暮れにかけての中小企業の資金需要が一体どうなるのかということにすべてかかってくるわけでございまして、そういう意味では、ややゆとりを持った額を確保しておいた方が中小企業皆さん方が安心して仕事に取り組めるかなという、そんな判断をしております。  しかし、余り余ってしまうような形でもいけませんから、それを年度で終わりにしないで一年延長することによって、つまり十五カ月、あのころで言えばですね、十五カ月予算にいたして、三月いっぱいまでの分が仮に五兆以内であれば残りの分は次年度にそのまま繰り越して金融対策として使っていけるという形にすれば、私は一年延長の十兆円規模というのはそんなに極端なものではないのではないかと考えています。
  197. 水野誠一

    ○水野誠一君 確かに枠を多目にとるということ自体必ずしも悪いことではないと思うんですが、今の事故率が低いということもあわせて考えたときに、やはり安全なところにそれだけ貸し込まれている。ですから、例えば本当にボーダーラインにいて貸し渋りに遭って非常に苦しんでいるところ、そこに枠が拡大していくということであれば問題ないんですが、これは前回の質問のときに菅川委員からも御質問があったところなんですが、例えばある企業は非常に十分な資金を借りることができて、使い道がないのでゴルフの会員権を買っちゃったと。これは本当の話かどうかよくわかりません、そういう報道があったという部分でありますが、そういう非常にアンバランスな状態になってしまうということではいけない。  したがって、私は、単に額的な枠を広げるということだけではなくて、やっぱり質的な問題についてしっかりとした目配りをしていかなければいけないんじゃないかと思うわけです。  それに関連する部分でもあるんですが、これを申請する企業に対して、来年四月からは具体的な経営改善計画の提出を義務づけるということにしたということでありますが、この理由は何なのか。それからまた、経営改善計画の認定に当たって、これを受けられる企業と受けられない企業の違いとは何か。つまり、行政が信用リスクを負担する基準というものをどのように想定しておられるのか。この点について伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  198. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 信用保証協会の保証で借りて、それを貸し渋り対策の対応として経営に生かしている人ばかりでなくて、使い道がないから車を買ったとかゴルフの会員権を買ったというような報道が一部なされております。私は、数多くの中にそういうのがもしかしたらいたのかもしれない、これはモラルハザードのまさに問題だなと思っておりますが、全体的に申し上げれば、それは全く特異な例であると私は思います。  つい最近、あるテレビの報道で、資金をお借りした会社の社長さんが車を買った、ワインを好んでいるということで、あたかも借りたお金でそれを買ったような報道がなされましたが、実はその方から厳重な抗議が出て、テレビ局と大層裁判ざたといったような話まで背景にあるぐらいの動きがございました。  すなわち、去年の時点で五千万を借りて何とか生き返ったということが前提にあり、一方では、その方は営々と努力して、子供三人ももう嫁いで夫婦二人だけになって、唯一自分で蓄えたお金で車を買ったんで、それと一緒くたにされて迷惑だというのが怒りの原因でございました。  私は、中小企業の皆さんがこの資金を活用していただくということは、本当に真剣にお考えになってのことであろうと信頼しています。そして同時に、すれすれのラインでどうだということについてのお話もありましたが、今平均しますと、一人当たり五千万じゃなくて千七百万ぐらいだそうでございます。そういう意味では、この一年延長ということで、ぎりぎりの方たちがこれから再び借りるチャンスはあるんじゃないかなというふうに考えております。  同時にしかし、そうかといって、緊急避難的な特別な対策でございましたから、とりあえずは貸し渋りに直ちに対応しようということでやったのでありますが、一年延長ということになりますれば、ただそれだけではだめではないか、やはり建設的な考え方というもの、例えば販売だとか生産とか仕入れ面における改善をするとか、雇用はこうなるんだという、そういう何か前向きのものを出していただくということは必要なことではないか、こう思うわけであります。  委員指摘の、だれがそれでは手続の面で判断をするのかということでございますが、これは信用保証協会や銀行そのものの判断もございますけれども、何かこの判断のときに適切な対応がないかということで、今省内挙げて検討中でございます。これは来年の四月一日からの話でございますので、委員の御意見等、議会の皆さんの意見も伺いながら適切な対応を考えていきたいと思っております。
  199. 水野誠一

    ○水野誠一君 終わります。
  200. 陣内孝雄

    委員長陣内孝雄君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時四分散会