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1999-11-16 第146回国会 参議院 地方行政・警察委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十六日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月九日     辞任         補欠選任      西山登紀子君     市田 忠義君  十一月十日     辞任         補欠選任      輿石  東君     北澤 俊美君  十一月十一日     辞任         補欠選任      北澤 俊美君     輿石  東君  十一月十六日     辞任         補欠選任      市田 忠義君     阿部 幸代君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         和田 洋子君     理 事                 岡  利定君                 松村 龍二君                 朝日 俊弘君                 本田 良一君                 富樫 練三君     委 員                 井上 吉夫君                 鎌田 要人君                 木村  仁君                 久世 公堯君                 谷川 秀善君                 野間  赳君                 輿石  東君                 山下八洲夫君                 大森 礼子君                 白浜 一良君                 阿部 幸代君                 照屋 寛徳君                 高橋 令則君                 松岡滿壽男君    国務大臣        自治大臣        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    保利 耕輔君    政務次官        運輸政務次官   中馬 弘毅君        自治政務次官   平林 鴻三君        自治政務次官   橘 康太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        入内島 修君    政府参考人        警察庁長官    関口 祐弘君        警察庁長官官房        長        石川 重明君        警察庁刑事局長  林  則清君        海上保安庁長官  荒井 正吾君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○地方行財政選挙消防警察、交通安全及び  海上保安等に関する調査  (神奈川県警等不祥事に関する件)  (地方分権進ちょく状況に関する件)  (市町村合併及び広域行政に関する件)  (景気対策としての公共事業の進め方に関する  件)  (介護保険制度の導入に関する件)  (沖縄サミット海上警備に関する件)  (首長の多選禁止の在り方に関する件)  (防災計画に関する件)     ─────────────
  2. 和田洋子

    委員長和田洋子君) ただいまから地方行政警察委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る九日、西山登紀子さんが委員辞任され、その補欠として市田忠義さんが選任されました。  また、本日、市田忠義さんが委員辞任され、その補欠として阿部幸代さんが選任されました。     ─────────────
  3. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 次に、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  地方行財政選挙消防警察、交通安全及び海上保安等に関する調査のため、本日の委員会警察庁長官関口祐弘さん、警察庁長官官房長石川重明さん、警察庁刑事局長林則清さん及び海上保安庁長官荒井正吾さんを政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 地方行財政選挙消防警察、交通安全及び海上保安等に関する調査を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 谷川秀善

    谷川秀善君 自由民主党谷川秀善でございます。  トップを仰せつかりましたので、それぞれ御質問をさせていただきたいと思いますが、第二次小渕内閣が発足をいたしまして、自治大臣国家公安委員長には我が自由民主党保利耕輔先生総括政務次官には同じく平林鴻先生政務次官には同じく橘康太郎先生がそれぞれ御就任になりました。お三方、それぞれの道において大変御造詣の深い方々であり、今国会から政府委員制度が廃止され、原則として大臣政務次官に御答弁をお願いすることになりました。我々自由民主党としては大変心強い限りであり、しっかりと堂々と自信を持って御答弁なり政治信念を御披瀝いただきたいと思うところであります。  ところで、警察関係政務次官がいません。事務的なことまで大臣にお伺いをするというわけにもいきませんので、政府参考人として警察庁官房長に御出席をお願いいたしておりますこと、御了承賜りたいと存じます。  さて、このところ毎日、新聞を見るのが嫌になるぐらい、新聞をあけると警察関係不祥事記事どんどんどんどんと、もうこれでもか、これでもかと出ているわけであります。ちょっと、私、九月ぐらいから切り抜きますとこれだけあるわけです。まだどんどこどんどこ出てくると。これでは、カラスの鳴かぬ日はあっても警察不祥事記事が出ぬ日はないと。もう非常に残念なことであります。本当にこれはとんでもない話だと私は思っております。  例えば、最近、神奈川県警記事だけでももう件数にすると二十三件ぐらいあるんですね。案件別に整理をしても二十三件ある。何かきのうまた出ているというふうなことでございまして、非常にこれ残念なことでありますので、警察についてお伺いをいたしたいと思います。  まず、例えば、ことしの九月三日の記事です。「証拠品無断持ち出し 神奈川県警相模原南署 巡査長懲戒免に」、こういう見出しです。  これは、いわゆる相模原南署巡査長四十二歳が暴力団関係者宅から証拠品を押収した、それを上司の許可もとらないで外部に持ち出していたというふうなことで、昨年の十二月二十五日付で免職になっていたことが明らかになったと書かれているわけであります。それと同じ横に、神奈川厚木署集団警ら隊暴行事件で七人が処分をされた、こう書かれているわけであります。  これを調べていくと、いわゆる証拠品持ち出し、持ち出すのもいかぬけれども、今度はその証拠品ネタに脅した。これはとんでもないことです。証拠品ネタ女子大生を脅した、こういうことですね。その辺の経過はどうなっておるのか、まずそれからお伺いをいたします。
  7. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 一連の神奈川県警察の不祥事案発生をいたしまして、大変遺憾に存じておるわけでございますが、今お尋ね相模原南警察署員事案でございますが、相模原南警察署刑事課勤務をしておりました当時四十二歳の元巡査長が、多摩警察署という同じ神奈川県内警察署に派遣をされまして窃盗事件連合捜査に従事中のことでございますが、この窃盗事件被疑者から任意提出を受けましたネガフィルムを整理していたところ、その中から本件被害女性に関する一部を抜き取りまして、平成十年十一月下旬に女性を呼び出しまして、言うことを聞かなければこのネガフィルムをマスコミに売るといったようなことを申し向けまして、当該女性に金銭や関係を強要したというものでございます。  この事案は、被害女性から警視庁を通じて神奈川県警察に連絡をされまして、神奈川県警察において直ちに捜査を開始したわけでございますが、被害女性から捜査協力が得られないといったような事情がございまして捜査が行き詰まっていたわけでございます。捜査は行き詰まっておったわけでございますが、この刑事行為というもの、これは、本人供述等から非違行為は明らかであるといったことで、職にとどまらせるわけにはいかないということで懲戒免職処分に、今委員指摘のとおり、平成十年十二月二十五日付で付しました。  そういうことで、捜査が行き詰まっておりましたが、本事案に関しまして、九月六日に警察庁から、捜査すべき事項があるならば捜査を尽くすようにという指導を行いまして、神奈川県警察において捜査チームをつくりまして再捜査を行いました結果、平成十一年十月一日に、この元巡査長ネガフィルム窃取窃盗罪で逮捕して横浜地方検察庁に送検いたしまして、十月二十一日に同地方検察庁において起訴になったという事案でございます。
  8. 谷川秀善

    谷川秀善君 それで、九月六日付の新聞、「神奈川県警また不祥事 二人が諭旨免職」、こうなっておるんです。これは、加賀町署の巡査部長四十七歳が痴漢行為で、また緑署巡査部長四十九歳が万引きでそれぞれ諭旨免、こうなっておる。  今の御答弁では、懲戒免にした、こういうことになっていますね。この諭旨免というのはどういう種類懲戒なんですか。警察官不祥事が起こった場合にどういう種類段階懲戒の仕方があるんでしょうか。それを説明していただけますか。
  9. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 国家公務員法及び地方公務員法懲戒処分が定められているわけでございますが、この種別といたしましては、免職懲戒免職でございますが、免職停職減給戒告といったものがございます。  今お尋ね諭旨免職は、これは、こうした正規の懲戒処分ではございませんが、本人責任をとらせて辞職をさせる場合に通常の退職と区別するために使っている言葉でございます。  警察では、規律違反内容や平素の勤務状況といったようなことを勘案いたしまして、懲戒免職させる程度ではないけれども停職とか減給ということでそのまま警察にとどめておくことが適当でないというふうに認められる場合には、本人責任を明らかにした上で辞職をさせておるわけでございまして、これを諭旨免職というふうに申しておるわけでございます。
  10. 谷川秀善

    谷川秀善君 結局これ、諭旨免と言っていますが、任意退職でしょう。これは退職金を払うんでしょう。違いますか。その辺どうですか。
  11. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 非違行為がなく依願退職ということもあるわけでございます。  それで、諭旨免職というものと依願退職とで退職金に差があるかということでございますけれども、退職に伴う退職金支払いの取り扱いについては、基本的に差異はないということでございます。
  12. 谷川秀善

    谷川秀善君 結局、任意退職の場合は何らかの事情でやめる。これは半ば強制的だということですね、やめさせるんですから。そうでしょう。やめるのが嫌だと言ったらどうするんですか、辞表を書くのが嫌だと言ったらどうするんですか。そうじゃないでしょう、これは強制的に書かせるわけでしょう、辞表を。そんなものに退職金を払ってどうするんですか。  大体、痴漢行為万引きですよ、これ。そんなものに退職金を払ってどうするんですか。それだったら、三十年、四十年営々と何の悪いこともせずにまじめに勤めても退職金は同じ、痴漢万引きをしても退職金は同じ。こんなの世間一般常識で通用しますか。そう思いませんか。  だから、その辺のところにやっぱり大きな問題があると思います。そんなの通用するはずがない。何か差をつけなきゃだめだ。せめて退職金が半分になるとか何かであれば、それもおかしいよ、おかしいけれども、まだ何か差があればある程度納得はできるかもわからぬ。同じだというんだ、退職金が。こんなのどこも通用しませんよ。どう思いますか。
  13. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 現在の職員退職手当に関する諸法令仕組みがそういうふうになっておるわけでございます。ただ、強制的にやめさせるというのは若干語弊がございまして、とにかく本人が職にとどまることは適当でないという組織の判断でございます。そして、その職から辞させるということにおいてかなり厳しい内容を持っているというような位置づけで運用しておるわけでございます。
  14. 谷川秀善

    谷川秀善君 それなら、諭旨免というのは戒告、訓戒よりも重いんですか、軽いんですか。それはどうですか。
  15. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 懲戒免職とそれではない諭旨免職というものと、あるいは懲戒処分の中の停職とか減給との差ということで、必ずしも制度的なものがパラレルになっておりませんので比較することは難しいと思いますが、ただその後、職にとどまらせず職場を去らせるという意味では本人にとってきつい処分であるというような位置づけであります。
  16. 谷川秀善

    谷川秀善君 そんなあほなことがありますか。  私も長年役人をやってきました。処分もしてきました。  諭旨免というのは、結局やめさせるわけですよ。戒告訓告減給昇給停止、これは将来その人に影響があるわけです。やめてしまったら何の影響もないわけです。そうでしょう、違いますか。それなら、大手を振って、現職にとどまって戒告だとか昇給停止だとか訓告だとかを受ければ、将来にわたって大変な影響を受けるわけでしょう。将来の仕事、昇進の場合でもちゃんと点数をつけているはずですから。諭旨免じゃ解き放ってしまうわけだから、私が今申し上げたように不公平感が非常に残るんではないかと。  だから、せめて退職金についても丸々取り上げると。懲戒処分の場合は退職金は出ませんね。それに差をつけるというのであれば、その程度によって三分の一に減らすとか二分の一に減らすと。そういうことをやらないと、減給戒告停職、いろいろ受けた人との不公平感が出るし、一般国民の目から見てもおかしいというふうな、悪いことのし放題で退職金を丸々もらってやめていくということですから、その辺のところを検討していただけますか、どうですか。ちょっと教えてください。
  17. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 諭旨免職といわゆる懲戒処分との関係について、厳正にどういう処分を下すかということについて考えてまいりたいというふうに思います。
  18. 谷川秀善

    谷川秀善君 これは公務員全体の問題ですから、なかなか警察庁だけでお答えをいただけないと思いますが、その辺は十分考える余地があるということで考慮をしていただきたいというふうに思います。  それで、今度は九月八日付です。「今度は警部補暴行容疑 昨夏 逮捕せず、処分もまだ」、これもまたけったいな話です。これは神奈川県警川崎署警部補五十四歳が、昨年八月に酒に酔ってJR東海道線グリーン車グリーン券を持たずに乗り、注意された車掌暴行を振るい、横浜地検に書類送検された。地検では起訴猶予県警では処分をしていないと報道されておりますが、何か処分したようですけれども、いつやられたんですか。
  19. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 今御指摘事案は、川崎署交通課の五十三歳の警部補が昨年の八月二十八日に電車のデッキで車掌からグリーン車利用料金支払いを求められたわけでございますが、すぐに現金が発見できずにいた。そこで、車掌から定期券を取り上げられたといったようなことがございまして、口論になりました。その車内及び下車した駅のホームの上で車掌の頭を平手でたたくなどの暴行を加えて傷害を与えた、こういう御指摘のとおりの経緯をたどった事案でございます。十二月四日に暴行及び傷害横浜地方検察庁所轄署書類送致をいたしました。ことしの三月二十四日付で起訴猶予処分となっております。  神奈川県警からは、相手方との示談の成立を待って処分をする、すっかり片づいてから処分をするという予定であったけれども、刑事処分も終わって事案発生から一年を経過したため、いまだ示談不成立ではあるけれども、ことしの九月八日付で戒告処分に付したという報告を受けているところでございます。
  20. 谷川秀善

    谷川秀善君 これもまたおかしいわね、一年たっている。地検では起訴猶予処分になっているんですよ。それで、何かこれを見ていると、新聞に出たからすぐ処分したのかなというような感じがしますよ。しかも、これ九月八日付の新聞、今聞いたら九月八日で戒告処分と。  だから、何かどうも内輪をかばい過ぎるというか、それは同じ組織の中ですからある程度助け合いをせないかぬと思うけれども、やっていいことと悪いことがある。そのいい例が次に申し上げる覚せい剤事件です。これはもうとんでもない。  九月二十三日付、「神奈川県警警部補 覚せい剤捜査受ける」、これはどうも九六年の事件のようです。それがことしです、「立件なし」。これは「神奈川県警薬物対策課が一九九六年十二月、同県警外事課警部補(三七)の覚せい剤使用について捜査していたことが二十二日、明らかになった。警部補覚せい剤使用を認めたが、尿検査覚せい剤反応が出なかったため、立件は見送られたという。」、これが今度のこの覚せい剤事件の発端です。それから次から次へいろんなことがわかってまいりまして、県警ぐるみ本部長ぐるみだということになってきたわけです。  その辺の経過をちょっと御説明いただけますか。
  21. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 委員指摘のとおり、ことしの九月二十二日から二十三日にかけまして、平成八年十二月のこの元警察官による覚せい剤事案処理にいわゆる疑惑があるという配信、報道がなされたことに端を発しておりまして、県警において調査をしたところ、この事案処理経緯に不明瞭な点があるということになりました。  九月二十四日から監察官室長を長とする特別調査チームを編成いたしまして調査捜査を開始いたしたわけでございますが、十一月三日には刑事部長を長とする特別捜査班を編成して事案捜査部門に移譲した。十一月四日にこの元警部補と同伴をしてまいりました女性覚せい剤使用容疑で逮捕いたしました。現在、送致をしておるわけでございます。  それから、この捜査の結果、十一月十四日に元本部長以下九名の神奈川県警察で勤務をした幹部を犯人隠避等の容疑横浜地方検察庁書類送致した、こういう経緯をたどっているわけでございます。  これまで判明しております事件概要を御報告いたしますと、ただいま申しましたように事件は二つになっておりまして、犯人隠避事件証拠隠滅事件でございます。  犯人隠避事件につきましては、平成八年十二月十二日の深夜に、元神奈川県警察の外事課勤務しておりました当時三十四歳の警部補外事課当直に深夜電話をかけてまいりました。その後、十三日未明、女性とともに本部外事課にあらわれました。そこで事情を聞きましたところ、この元警部補が意味不明な言動をしておるといったようなことから覚せい剤使用が疑われたということでございます。その十三日の午後、監察官室員による事情聴取に対しまして、この元警部補不倫関係覚せい剤使用及び所持をうかがわせる事実を供述いたしました。この供述に基づきまして、十四日には元警部補自宅JRの駅の付近を検索いたしまして、覚せい剤様のものと注射器を発見いたしております。  これらの証拠品はこの元警部補覚せい剤取締法違反を立証するための証拠として取り扱うべきところを、この元監察官外事課長補佐に命じてこれを保管させ、薬物対策課に引き継がなかったということが認められます。  さらに、この警部補をホテルに宿泊させまして、十三日から二十日までの間、連日採尿をいたしまして、採取した元警部補尿検査を行ったわけでございます。十三日から十九日の間は覚せい剤陽性反応があったわけでございますが、二十日に陰性となったという経緯をたどっているようであります。  ちょっと戻りますが、十六日の午前中に本部長にこの事実の概要というものが報告になりまして、元本部長から一日も早くやめさせよという趣旨の指示があったと。これは、この事件事件化することなくこの元警部補諭旨免職とすることだなというふうに意図することに出たものというふうに認められる状況でございます。  なお、これは捜査中でございますので、今判明していることについてのみお話し申し上げております。  これを受けて、元監察官室長らは元生活安全部長のところに訪れまして協議をした結果、尿検査の結果が陰性になるまで捜査を行わないというようなことを了承させたわけであります。  さらに、元監察官室長が、生活安全部による捜査尿検査陰性になってから行うという方針元本部長及び元警務部長報告し、両名がこれを了承したと。その後、元警部補を十七日付で不倫を理由とする諭旨免職処分。そして、元警部補検査結果が、先ほど申しました陰性になりました二十日の時点でこの事件を本来薬物事件捜査を行います薬物対策課に引き渡すように指示をした。  事情を知らない薬物対策課員により捜査が行われたわけでございますが、元警部補覚せい剤使用を立証するための証拠を得ることができず事件送致ができなかった、こういう経緯をたどっておるところでございます。  次に、証拠隠滅事件関係でございますが、先ほど申し上げましたように、元監察官指示によりまして、平成八年十二月十四日に、元外事課長補佐を初めとする外事課員が元警部補自宅と駅の付近を検索いたしまして、覚せい剤様のものと注射器を発見したわけでございますが、これら証拠品に関して鑑定などの手続を全くとらないまま保管するように外事課長代理指示をいたしまして、この指示を受けて、この課長補佐がこれら証拠品を自己の個人用ロッカーに保管をしていたというような経緯をたどっております。  平成九年十二月下旬ごろこれらを廃棄したということで、元警部補及び不倫相手覚せい剤取締法違反に関する証拠隠滅をしたという事実関係でございます。  以上でございます。
  22. 谷川秀善

    谷川秀善君 この事件はちょっと我々の常識では考えられない事件であります。部下をかばうというのにも、物事には限度がありまして、まるっきりぐるみぐるみの典型であります。犯罪を取り締まる側がぐるみでそんなことをやっていたら本当に国民はだれを信用していいのかわからなくなります。だから、私らも大阪へ帰りましても、あれは神奈川県警だけじゃない、全国警察皆やっているのと違うか、こう言っています。全国警察皆やっているんじゃないか、これは氷山の一角であると。これは、もう今や国民警察に対する不信感というのは頂点にきわまっておるというふうに私は思います。  そこで、これまた諭旨免でしょう、その人はまた退職金出ているんでしょう。だから、諭旨免というのは非常なからくりがあるんです。これは後でまた聞きます。  警察官が内部で不祥事を起こします。いろんな事件を起こします。そのときの処分手続というのはどのようにやっておられるんですか。
  23. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 一般的には、職員非違行為の全容が判明した段階で厳正、公平な処分を行うという方針で臨んでおるわけでございまして、この場合、任命権者である本部長警察本部内の部長等構成される懲戒審査委員会を設置、開催する、そしてその審査委員会において事案審査の上、その結果を本部長報告するという仕組みになってございます。  本部長は、非違行為事実や懲戒審査委員会の勧告結果につきまして公安委員会報告をして、その指導を受け、懲戒処分を決定する、これが警察官不祥事を起こした場合の処分手続流れでございます。
  24. 谷川秀善

    谷川秀善君 今、その流れをお伺いいたしましたが、まず非違違法行為があったと認知した場合に監察官室によって調査をする、こういうことですね。この監察官室というのはどういう構成になっているんですか。構成というか、これは皆警察官ですね。内輪でしょう。外部の人は入っていませんね、監察官室の中には。当然そうだろうと思うんです。そうすると、内輪捜査調査するわけです。それで本部長報告をする。  都道府県でもそうですよ。監査委員事務局というのがあるんです。これはちょっと性格が違いますけれども。事務監査をやる、監査委員事務局が。ところが、事務局の局長以下全部二、三年したら異動して、今度監査される側に回るんです。これはもうしようがない。する方とされる方は皆同じ職員なんです。そうすると、どうしても、いつ何どき、今度される側に回る、する側に回る、皆暗黙わかっていますから、やっぱり手心を加えるんです。これはもうしようがない。だからいろいろ問題が起こって、今は監査委員の中で外部監査もできるようにしようといろんな工夫をしているわけです。  そして、これで調査して、今度は懲戒審査委員会の設置及び審査と、こうなるんです。これは、大体は県警の部長が集まっいるのと違いますか。そうすると、これはもう内部ですわな。県警の部長さんが集まっている。それで本部長報告をする。本部長公安委員会報告をする。ここで初めて公安委員会、民間というか、そこが入ってくるわけです。  ところが、公安委員さんというのは、御承知のとおり、民間の人だけれども大体議会の承認を得てそれぞれなっておられます。公安委員さんに聞いてみると、こういう案件だと私は何もわからぬから、もう何にも意見を言わずにすっすと皆通る、こう言うんです。それはそうでしょう。無理ですわ、そんな専門家でない人に。中には、大阪なんかの場合は高裁の長官をした人も入ったりしていますけれども、主に大体素人です。  そうすると、チェック機能が全然働いていないということになるわけです。これはやっぱり何かお考えにならないと、内部で処理をして内部で全部済ませてしまうということになると思うんです。そうすると、国民なり市民の方々の信頼はそこで担保できない。信頼を担保できる制度になっているんですよ、一応は。国では国家公安委員会があり、地方では公安委員会がありますから。なかなかそれは難しいということになっているんです。  それで、大阪の場合に、昔、大阪府警で交番所へ拾得物を持っていった、そうすると交番所の巡査が猫ばばしてしもうたという事件があるんです、猫ばば事件。それをきっかけに、文化人らによって「これからの府警を考える会」というのが発足をしたんです。それで、外部意見を警察活動に取り入れよう、それと同時に自助努力を当然しようという動きになってきたんです。  これを考えても、外部監査というか、そういうときに外部でそういうことができるようなことをやっぱりお考えになった方が国民の信頼の担保、これは担保が必要だと思いますから担保しないといかぬと思うんですけれども、国家公安委員長としての保利大臣はどうお考えでございましょうか。
  25. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) ただいま委員から、いろいろな事例を引いて神奈川県警警察内部のいろいろな問題について御指摘がございまして、私も謹んで拝聴させていただきました。  私は、今、国家公安委員長としてこういう問題をどうしていったらいいのかということについて思い悩んでおりますが、御指摘のとおり、公安委員会の役割というものが警察内部から不祥事が起こった場合にいち早く報告を受けそれに対して指導をするという、そういう立場にございまして、いわば事後処理で、平たく言えばけしからぬということを言っているというのが公安委員会の現在の状況だと思います。  警察内部の規律について指導していくというもう少し内部に突っ込んだ形での公安委員会のあり方、これは県警においても同じことでありまして、そういう体制を構築していく中で警察の厳正な内部規律をきちんと守るというような体制を整備していくことが公安委員会としての新しい仕事といいますか、新たな仕事といいますか、本来なくてはならない仕事といいますか、いろいろな表現があると思いますが、そういうものになるのではないか、こんなふうに思っております。  したがいまして、私どもは、外部の方からいろいろな御意見を承りつつも、公安委員会としてきちんと警察体制について指導していくということについてどういう方法があるだろうか、どういう点を直していったらいいだろうかということを公安委員会制度を考える中で十分に検討してまいりたいと思っております。  もちろん、外部の御意見については謹んで承るということについては変わりありませんが、私どもは公安委員会の役目の中で警察体制を立て直していくということに尽力をしてまいりたい、こんなふうに考えております。
  26. 谷川秀善

    谷川秀善君 おっしゃるとおりだと思うんです。なかなか警察という仕事の性格上、外部からというのは言い得ても、言うはやすし行うはかたしです。幸い、公安委員会制度というものが発足をしてもう定着しているわけですから、私はこの公安委員会の役分というか働きが十分民意を反映でき、しかも組織を十分指揮監督できるようなものに衣がえする努力をしていただきたい、これを契機として御検討いただきたいというふうに私は思います。これは答弁は要りません。  それで、今度は組織の内部の問題ですけれども、組織というのは肥大化すればするほど末端にまで目が行き届かないわけです。ましてや、警察なんかは、全国的には警察官だけでも二十三万ぐらいおるわけです。だから、なかなかそれを統括していくというのは大変なことだろうと私は思います。  そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、平成十一年度の警察官の数と、その中でいわゆるキャリアと言われている国家公務員上級試験合格者の数をちょっとお教えいただけませんでしょうか。
  27. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 平成十一年度の全国、これは警察庁、皇宮警察、都道府県警察すべて含むわけでございますが、警察官定員は約二十二万九千人でございます。警察庁において国家公務員上級職試験あるいは国家公務員I種試験の合格者から警察官として採用された者は現在約五百二十名おる、こういう状況でございます。
  28. 谷川秀善

    谷川秀善君 結局、キャリアというのは五百二十名ですか。私が調べたら百八十八名。えらい差がありますな。
  29. 石川重明

    政府参考人石川重明君) I種採用者は、今、警察庁の庁内で勤務するとともに、各管区警察局あるいは都道府県警察の地方警務官等として勤務をしている者もあるわけでございまして、I種あるいは前の制度でございますと上級職の採用者で現在警察に籍を置いている者は五百二十名でございまして、委員指摘の百数十名というのは、都道府県警察に今勤務をしておるI種、上級職の数であろうというふうに思います。
  30. 谷川秀善

    谷川秀善君 わかりました。  それにしても、二十三万ぐらいのうち五百二十です。これは何分の一になりますか。
  31. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 割りますと約〇・二%でございますから、五百人に一人、こういう関係になってございます。
  32. 谷川秀善

    谷川秀善君 そんなことないでしょうが、五百人に一人。まあええわ。  それで、この昇進、警察が一番典型ですからね。私は、三年ほど前の行政改革のときに予算委員会でキャリアの問題を取り上げました。各省庁にも関係いたしますが、大分是正をされてきているようですけれども、警察官というのはもうはっきりとした階級制度です。階級制度でないとまたその仕事はできないと私は思います。  そこで、一般警察官一般警察官と言えばちょっと語弊がございますが、普通の警察官はどの程度で昇進をするのか、キャリアと言われる警察官はどういう昇進の仕方をするのか、その辺のところを、一般論でよろしゅうございますから、お答えをいただきたい。
  33. 石川重明

    政府参考人石川重明君) まず、警察庁Ⅰ種採用の警察官でございますが、入庁と同時に警察庁警部補に任命をされます。約五カ月間の研修を行った後、警視庁ほか大府県警察において現場の勤務をいたします。入庁後約一年二カ月で警部に昇任をいたしまして、警察庁内の各課で係長として勤務をする、入庁後四年目に警視に昇任し、入庁十四年目前後に警視正に昇任をする、こういったような昇任の状況でございます。その後は本人の実績、能力等に応じて本庁の各課の課長あるいは警察本部長等のポストで勤務をするということでございます。  それから一方、都道府県採用の警察官は巡査に任命をされます。その後、試験あるいは勤務成績、実績、こういったものによりまして巡査部長警部補、警部へと昇任をするわけでございます。その後、選考により警視、警視正、警視長という形で昇任をする道が開かれておるわけでございます。  都道府県警察で採用された警察官につきましても、警視正以上になりますと、国家公務員たる地方警務官として大規模警察署の署長あるいは本部部長等のポストに勤務をする、こういうことでございます。
  34. 谷川秀善

    谷川秀善君 大体キャリアと言われる人は四年目で警視になる。これは今説明せなんだけれども、ぐあいが悪いから説明せなんだと思います。一般の巡査が警視になるのは何年かかりますか。
  35. 石川重明

    政府参考人石川重明君) これはいろいろでございますけれども、一般的に申しますと、巡査から巡査部長になるのに最短で二年以上かかるわけでございます。それから、巡査部長から警部補になるのに最短でも二年はかかる。警部補から警部になるのに四年以上かかる。警部から警視になるということについては、これは各都道府県警察によって試験制度が若干異なっております。十年かかる場合もございますし、もっと早い場合もある、こういうような状況でございます。
  36. 谷川秀善

    谷川秀善君 警視になるのに、大体一生かかるのです。一般の巡査から警視になったら、これでも天なんです。ごく一部警視正になる人もおります。これはもうまれであります。だから、警察署の署長になれば、大体これでもう出世の、出世と言ったら語弊はございますが、出世のもう最後です。  そうすると、今までから考えると、最近余り警察署へは出していないようですけれども、大体二十七、八で署長になるんです。副署長は頭のはげた五十七、八の定年前の人なんです。笑っておられますけれども、現実はそうなんです。そうして、その警察署の人たちは、ちょっと語弊があるが、ばか殿は二年ほどしたらどこかへ行きよるから上手に祭り上げておいたらええねんと。これが全国警察の実態なんです。  だから、昔からいいますよ、かごに乗る人担ぐ人そしてわらじを編む人。ほとんどが全部わらじを編む人なんです。これが二十三万おるわけです。その中でごく一握りの人がかごに乗っている。こんな社会は日本の社会で警察だけです。大蔵省も一部ありました。だから、私は三年前に大分、そんな省庁で仕事ができるか、こう言った。そうしたら、総理大臣がそれは考えなきゃいかぬことやと。徐々に大分是正されてきた。  それにしても格差が激し過ぎるわけです。私は、社会というのはある程度格差があることはやむを得ないと思います。ただし、この警察に関する限りは格差がむちゃくちゃである。大体一遍試験を通っただけじゃないですか。どんなに差があるんですか。Ⅰ種試験を通っただけでしょう、それ以後試験しないんだから。  ところが、一般警察官は巡査として採用され、巡査部長になる試験をまた受けなきゃいかぬ。警部補になるなら警部補になる試験をまた受けなきゃいかぬ。警部になるなら警部になる試験をまた受けなきゃいかぬ。何段階も試験を受けて、今度は警視になると、警視はこれは選考制ですと。警視に試験制度なんて私は聞いたことがない。大体選考で定員があるから、その中からピックアップして結局は警視になる。警視になって署長にしてもらう、ああよかったな、こうなるわけですよ。  ところが、Ⅰ種の人はただ大学在学中に一遍の試験を受けて、それは難しいかもわかりませんよ、わかりませんが、通ったらすぐ警部補でしょう。何にもなくて四年したら警視です。皆が、大多数の人が一生かかってなるのを四年でやってしまうんです。だから、それが私は今度の神奈川県警本部長ぐるみ事件につながっていると思います。  同時に、夢と希望を与えないからです。だから、私が事件概要を御質問するときにあえて年齢を申し上げたのは、そういうことなんです。巡査長四十何歳、警部補四十何歳。夢と希望がないわけです。それは、試験制度で公開していますから、受ければ、通ったら行けるんです。それは世の中どこでもそうでしょう。しかし、ほとんどの人はわらじを編む人で頑張っておるわけです。下の苦しみ、下積みの苦しみが全然キャリアにはわかっていない。そこにこの事件の根深い根深い原因があるというふうに私はとらまえているわけです。  だから、この制度についてどう考えるのか、これから。ある程度制度は必要だと思います。制度は必要だと思いますけれども、やっぱりその辺のところをどう考えていくのかということがこの問題を解決する根っこ。  まず根っこを取り払わなきゃいかぬというふうに思いますが、官房長はどう思っていますか、あなたもキャリアだろうから。
  37. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 警察における人事の問題でございますけれども、委員御案内のように、警察行政は国家的な性格とそれから地方的な性格をあわせ持っておるわけでございまして、今複雑高度化する警察事象に的確に対応して、警察制度等の立案とかあるいは各都道府県警察指導、調整を行うためには、こうした国家公務員のⅠ種採用者を警察庁において勤務させるのみならず、そうした業務に第一線における警察行政の実態をも十分に反映させる必要があるということでございまして、各段階で都道府県警察に配置をして勤務させるということが必要であるというふうに考えておるわけでございます。  国家公務員のⅠ種の採用者と都道府県採用の警察官には、実務経験とかあるいは技術判断の能力とか、いろいろそれぞれ役割分担的な性格がございまして、それぞれの長所を発揮して効果的な警察業務の運営に当たっているということで現行の制度が成り立っているわけでございます。  今回の事案につきましては、こうした国家公務員採用者の一部に組織管理者としての行動規範や自覚というものの欠如が見られたということが一因になったということが反省でございまして、警察庁におきましてもこうした組織管理者としての見識、技能向上を図るための研修の実施等所要の対策を現在検討しておるところでございます。  また、若手が現場で勤務をするということでございますけれども、都道府県採用の警察官と一緒に勤務をしながら当該所属の業務運営、管理を行う中において一線の現場においてやはり重い責任を負って仕事をしているということも事実でございます。  ただ、委員の御指摘にもございましたが、政府の若手官僚が国の出先機関のトップに就任している慣行を見直し、三十五歳以上の中堅クラスを充てるべきではないか、こういう方針を踏まえまして、警察署長につきましては、既に赴任時の年齢を三十歳代の半ば以降としているほか、都道府県警察本部の課長についても、赴任時の年齢を徐々に引き上げる方向で現在検討しているところでございます。
  38. 谷川秀善

    谷川秀善君 いや、私はそんなことを言うているのと違うねん。大体、基本的にそういう考え方でおるから間違うてくるんですよ、申し上げますが。ごく一握りの人間だけが出世をする、それに対して警察の、あなたの考え方を聞いているわけです。当たり前という言い方ですよ、今の答弁を聞いていたら。そうでしょう。だから、国家警察警察庁と都道府県と別々と違うんですよ。  それなら聞きましょうか。本部長でノンキャリアは都道府県に何人おりますか。ほとんどキャリアでしょうが。そんなばかな答弁をしていたらあきませんよ。そうでしょう。二人ぐらいやないの、ノンキャリアで四十七都道府県の警察、二人もおるかおらぬかぐらいじゃないですか。あと全部キャリアでしょうが。それが第一線の県警本部を指揮しておるんでしょう。だから、私が言うているのは、Ⅰ種で通ったやつも全部現場へ出せと言うておるんです。そうしなきゃあかんと言うたんです。  それと同時に、三年半や四年で警視にするなと言うておるんです。わかるはずがないでしょう。警察行政というのは警察庁でやっているのと違いますよ、言うときますけど。現場の交番でやっているんですよ、現場の交番で。その気持ちをわかっていただかなきゃかなわぬ。現場の交番が二十四時間交代勤務して、雨の日も風の日も雪の日も汗水垂らして頑張っていただいているから今の日本の治安があるんだ。  だから私は、この問題はごく一部、それは一部でもいけませんけれども、一部だと思いますよ。九九・九%の警察官は本当に真摯に国民のために頑張っていただいているわけです。その認識が私は警察庁にあるのかないのかと言うておる。だから、キャリア問題にメスを入れなければ、本当に警察国民に対する信頼は取り戻せないのではないかというふうに私は申し上げておるわけです。だから、その辺に対してどう考えておるのか、もう一遍お答えください。
  39. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 委員の御指摘のとおりでありまして、第一線における警察活動が国民から負託された治安の維持ということについて最もその支えを行っているということは、そのとおりでございます。その一線の警察官あるいは警察職員の気持ちを酌み取って、そして十分それを警察行政に反映していくということは大変大事なことだというふうに思っております。
  40. 谷川秀善

    谷川秀善君 だから、やっぱりそういう気持ちを警察幹部が持っていただいて、人事面でもいろいろと配慮をしていただくということが信頼の第一歩やと思います。  同時に、この前の国会でいわゆる通信傍受法、組織犯罪三法、大変な議論の上で成立をいたしました。あの議論の中で根底に流れているものは何やったか。警察が信用できるかということが大変な議論になったわけです。今やったらあれは通らぬと思いますよ、私。しかし我々は、警察は信用に値するということで野党の皆さん方にも御協力をいただいて成立をしたわけです。だから、やっぱりその根底にあるものは何かといったら信頼なんです。警察は信頼に値するということでなければ本当に大変なことになってくると私は思います。  そういう意味で、この事件は不幸な事件でございますが、契機として、警察庁一丸となって、都道府県警察一丸となって、公安委員会一丸となって信頼の回復に努めていただかなければ大変なことになるというふうに思います。  最後に、公安委員長大臣の決意をお伺いして、一応私、自治省の方の財政問題もお伺いしたいと御通告をいたしておりましたが、同僚の木村議員が後を引き受けていただけるようでございますので、私はこれで質問を終わらせていただきます。最後に大臣の御答弁をお願いいたします。
  41. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 今、谷川委員指摘の点というのは、私も就任早々この事件に直面をいたしましてまず最初に考えたところは、今お話のあったいわゆる警察組織内部における二層制の問題であったわけでありまして、警察庁長官ともこの問題については既に何回かお話をいたしております。  国家組織の中でそういうものは間々見受けられるわけでありますが、今御指摘のように、非常に顕著にあらわれている例として、上級幹部とそれから現地採用との間の関係というものをどういうふうにやっていったらいいのか、信頼ということもございますし、私は、古い言葉でございますけれども、そこのヒューマンリレーションというのをどういうふうに構築していくかということが重大な問題であるということを御指摘申し上げておったわけでございます。  そういうことを含みまして、今御指摘の御意見等を十分体しまして、警察行政に携わる皆さんと私ども意見を交換していく中でこういった御指摘の問題について検討をさせていただいて、信頼できる警察の構築に向かって努力を続けてまいりたいと思います。
  42. 谷川秀善

    谷川秀善君 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
  43. 木村仁

    ○木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。  二十一世紀のキーワードの一つは、多分分権化ないしは分権化社会ということであろうと思います。地方分権を推進していく本当に基礎を今固め、次の世代への弾みをつけていかなければいけない極めて重要な時期に、保利自治大臣及び平林、橘両政務次官におかれましては、地方行政のかなめを担っていただくわけでございまして、大変御苦労さまでございますが、よろしく御指導のほどをお願いいたしたいと思います。  そこで、私、ちょっとふなれで大変多くの質問事項を通告してしまいましたので、駆け足でとっとと質問いたします。よろしくお願いいたしたいと思います。  まず、地方分権の推進について幾つかお伺いをしたいと思います。  平成五年六月に衆参両院で「地方分権の推進に関する決議」という憲政史上初めてと言われる議決をしていただきました。それから地方分権の潮流が起こっていくわけでございますが、細川、羽田内閣を経て、村山自社さ連立内閣において地方分権を推進しよう、そのための基本方針をつくり、事務移譲、財源の移譲を果たしていこうと、そして分権の基礎をつくっていこうという政策合意が成立し、平成七年七月、地方分権推進法が施行、そして分権推進委員会が極めてエナジェティックな審議をして一次から四次の勧告を出し、五次は具体的な問題になったらいささかもたついたように思いますけれども、平成十一年六月、地方分権一括法、地方自治法の改正、そして五十年間の悲願でありました機関委任事務の制度が自治事務と法定受託事務に整理をされた、こういうことが起こったわけでございます。  これからこれを、地方分権推進法は時限立法でありますから十二年までと、的確に進めていかなければいけないわけでございますが、自治大臣はこの数年の地方分権流れ、これをどう評価しておられるか、そして今後どのような御方針でこの流れを推進していこうとされるのか、基本的な御姿勢をお聞かせいただきたいと思います。
  44. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 平成五年に国会決議がございまして、地方分権流れというのが明治以来の中央集権システムから地方分権に移していこうと、そして国と地方を対等、協力の関係に持っていこうという、そういう方向性が示されたということはこれからの日本のあり方に大きな影響を持つものだと思いますし、また、住民に一番近い行政組織が住民の行政をきちんとやっていくという権限を大きくしていくという意味は非常に大きなものがあると思って、私も大変結構なことだと思っております。  なお、今後地方分権推進計画などを踏まえまして、国から地方公共団体への事務権限の移譲でありますとか、地方税の財源の配分の問題でありますとか、いろいろな問題があると思いますし、さらには国庫補助金の整理合理化をしていくというような問題も入っておりますが、こうした問題に私ども自治省として真剣に取り組んで、できるだけ早くこうした決議の御趣旨が実現できるように一層の努力をしてまいりたいと思っております。
  45. 木村仁

    ○木村仁君 よろしくお願いを申し上げます。  次に、権限移譲と財源再配分の関係についてちょっとお尋ねをしたいのでございますが、私は、この地方分権一括法による地方自治法の改正が非常に歴史的な意義を持った立法であるにもかかわらず、国民一般の関心が非常に低い、それが非常に残念でございます。  と申しますのは、機関委任事務の廃止ということはシャウプ勧告以来の本当に二十世紀後半の課題であり、小渕総理が言われるように二十世紀の問題を二十世紀で片づけるということを果たしたことであって、非常に大切なことをやったわけでありますけれども、機関委任事務ということ自体を理解できる人というのはほとんどいない、関心もない。したがって、この地方分権流れがもう一つ盛り上がらないというか、エキサイティングなものにならないという嫌いがあると思うんです。そして、そういうことを反映しているのかもしれませんけれども、具体の事務移譲になると、これから大切な問題でありますけれども、なかなか本音と建前が違う。  例えば一級河川を都道府県に移譲しようという問題にいたしましても、河川整備の推進全国大会に行きますと、現に市町村長さん方が直轄事業を県に移譲することは困る、ぜひ直轄で続けてやってほしいという議論をされるわけであります。そうしますと、省庁サイドが答弁に立たれて、我々はこの重要な国家的関心事に係る権限を手放すつもりは全くありません、こういう答えをされます。そして、そういうことが起こらないように善処されたいという大会決議が行われます。私も票をいただいて政治をやっておりますから、その決議には賛成をしてそれなりに努力をするわけでございますけれども、地方分権の推進という面からすれば大変残念な事態でございます。  つらつら思うに、なぜ地方公共団体がそういう各論で反対をするかというと、お金がないからです。ここで権限移譲を進めるべきであるという意見を出したら多分直轄事業は自分の地域で行われなくなるであろう、そういう心配からこれをしない。そのことは地方分権推進委員会でも十分認識されておったようでございます。私は、そういう意味で、どうしても後回しになりがちな財源再配分ということをあわせてやらなければこの事務再配分ということもできない、そういうふうに考えております。  これは地方行政制度の根幹を担当されます自治省も、財政局、税務局、行政局と分かれておって、残念ながら必ずしもこれが一体となってその部分に邁進するかどうかという保証がいささかないという気がいたしますが、大臣、この権限移譲と財源再配分をあわせ車の両輪として改革を進めていくということについてどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  46. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 就任をいたしましたときに、この地方分権の問題というのは大変記者団の皆様からも質問を受けました。今委員が河川の問題を引き合いに出されましてその悩みをお話しになったわけでありますが、それは私にとってもまた悩みでありまして、私の地元でもその問題を抱えておるという状況がございます。  そこで、一般化して考えた場合に、財源の配分の問題と同時に行政執行能力をどういうふうに地方自治体が持っていくか、これが十分に備わっていないでそういう仕事だけを持つということになると、今まで国でやっていたよりも仕事がうまくいかないのではないかという懸念が出てくる。したがって、行政対応能力をつくりつつそれに見合う財源配分を行い、そして地方分権を進めていくというのが一般論としては大事な話じゃないか、そんなふうに私は考えておるわけでございます。したがいまして、行政対応能力をきちんと県なり市町村なりが持っていただけるかどうか、それと両々相まって財源配分の、税源配分の問題も考えていかなければならない、ダブりますけれども、そんなことを考えていることを申し上げたいと思います。  なお、地方分権をやった、それで地方としては権限を行使するために組織なりあるいは予算なりをたくさん使うようになる、その結果が国民負担の増加につながるということであれば、これは地方分権を推進する上で非常に大きな問題になると思いますので、その点も十分注意しながら今後の地方分権の問題は考え、またいろいろ立案をしていかなきゃならない、こう思っております。
  47. 木村仁

    ○木村仁君 大臣の御答弁を大変力強く拝聴いたしましたが、一つ、ついでながら、反論ではございませんけれども申し上げておきますと、この河川の移譲の問題について、ある議員がやはり移譲すべきであるという発言をいたしましたところ、これはある会議でありますけれども、他の議員が立ち上がって、冗談じゃない、例えばおれのところの河川には岩盤が三十メートルもあって、とても県の能力では処理できないんだ、ましてや人口が市と同じぐらいしかないような県があって何ができるか、反対であるという意見を述べられました。そうしたら、平林政務次官が、ちょっと待ってくれ、おれは人口六十万ぐらいの知事だったけれどもそれぐらいの技術は十分持っている、こういう反論をされた、そういうことがございます。  このいわゆる受け皿論というのはもうそのとおりでございますけれども、しばしば権限を移譲しないことの口実に使われるということも認識しておかなければいけないと私は考えております。これは反論ではございませんから、どうぞお聞きおいていただきたいと思います。  次に、地方自治法の改正についてお尋ねをいたしたいと思います。  地方自治法、今私がさっと数えただけで枝番、それから削除になった部分を併しますと四百三十八条あります。大変膨大な、そしてかつわかりにくい法律になってしまいました。もっと国民にわかりやすい法律であればよいと思うのが第一点でございます。  もう一つは、これも悪口を、もう成立してしまったからいいのかもしれません、言わせていただきますが、例えば地方公共団体の議員の定数を条例で定めるということにいたしました。それは大変結構なことなんですけれども、よくよく見ると、しかしこれ以上の数を決めてはいけないというセーフティーネットが張ってあるわけでございまして、セーフティーネットというのは下に張るものだと思っておりましたらこの場合は上に張ってあります。これは私は地方自治不信に基づく立法の例ではないかというふうに思っております。  そういう点でずっと地方自治法を見ておりますと、もっと地方自治体に任せたらいいじゃないか、他の省庁に対して権限移譲しろと言うならば、自治省自身が地方自治法を改正してもっと地域住民が自分の判断と自分の責任で決める部分をふやしてやったらどうだろうかという気がいたします。そうしますと、多分地方自治法は三百条ぐらいのすっきりした法律になるのではないか。  今、日本国憲法はマッカーサー草案に基づく悪い憲法だという議論が盛んに行われております。私もそれを全面的には否定いたしませんが、ただ一つだけ非常にいい条文があって、無視されたものがあります。それは、私、もっと勉強してちゃんとしてきますが、きょうは例えの話であります。  今の九十四条の後段に当たる部分に、地域住民はみずからの憲章を制定する権限を奪わるることなかるべしという、これは日本語でありますが、地域住民は法律の範囲においてみずからの憲章を制定する権利を奪われることなかるべし、その英語はチャーターという、憲章の部分はチャーターという言葉です。チャーターという言葉は、アメリカのホームルールチャーターにありますように、できるだけ地域の政治の形を地域の住民に決めさせようというものであります。これが生きておったら随分日本の地方自治の姿というのは変わったんじゃないかと思いますが、もう実にうまくこのチャーター、憲章という言葉を条例、バイローという言葉に書きかえてくぐり抜けて、したがって今の九十四条の「法律の範囲内で条例を制定することができる。」という規定になりました。これはもう極めて常識的なことで、チャーターとは大変な違いでございます。  そういう意味で、私は、もう一遍地方自治法を一条から最後まで洗い直してみて、そしてもっと地域住民の自主的な判断に任せていいところがありはしないかということを点検していただいて、ひとつ、簡単な仕事ではございませんが、換骨奪胎した地方自治法を目指していただいたらどうかと思いますが、いかがでございましょうか。
  48. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 私も、就任早々、地方自治法を、六法全書を開いてみまして、えらい長い法律だなという印象を持ちました。私が見たのでは三百十九条が最後のところになっておりましたが、最近二つ加わって三百二十一条になるというお話でありましたし、また委員指摘のような枝を入れればもっともっと大きな数字になっていくというものであります。  これは、私の伺うところによりますれば、やはり歴史的な経緯を引きずっている。つまり、国家がいろんな行政組織に分かれてそれぞれの法律を持ちながら行政を行っている、それは国家の体系である。地方自治の場合は、それを一本の法律にまとめて、できる限り地方自治法に全部盛り込むという方針でいかれたというのを引きずってこのような分厚い法律になっているのかなという認識を持っているわけでございます。委員指摘でございますので、十分にここは検討して、今後どういうふうに考えていったらいいのかと申しますか、検討していったらいいのかということについては、十分私の胸の中、そしてまた役所の皆さんとも御相談を申し上げてみたいと思います。  いずれにしても、それだけの大きな法律でありますから、何かいじろうということになればこれはもう大問題になる、国家の自治行政そのものを揺るがすといいますか、激震を与えるぐらいの大きな問題でありますから、慎重かつ十分に検討していかなきゃならない、こう思っております。
  49. 木村仁

    ○木村仁君 時間はかかり、大変な仕事だろうと思いますが、よろしくお願いいたしたいと存じます。  大体、この地方自治法、その他の法律でもそうでございますけれども、いろんな安全弁をつくり過ぎるわけでございます。いろんな安全弁をつくると地方自治体は過ちを起こさないわけです。過ちを起こさないと住民は無関心になっていく。そういうことでありますから、地方自治体に責任を持たせて、誤ったら責任をとるという、そういう地方自治の流れをつくっていただければ幸いでございます。  次に、市町村の合併について基本的な方針お尋ねしたいと思います。  市町村の合併の特例に関する法律、昭和四十年代の初めに成立いたしましたときには、合併について全く中立な法律、推進するのでもない、阻害するのでもない、阻害要件があったらこれを取り除いてあげますからぜひ地元で考えてくださいという法律でした。だんだんそれが最近の法律では合併を本当に推進する法律へ変わっていって、そしてことしの法律改正で明確に合併推進の法律になったというふうに考えております。そして、受け皿を整備する、地方公共団体、特に市町村の行財政能力を高めていくという上では私はそれが当然の姿だろうと思います。  ただ、昭和二十八年に町村合併促進法ができた当時の環境、雰囲気はどうだったかといいますと、町村会自身がみずから合併特例法の草案をつくって提出するというような、日本の市町村、社会全体がどうしても合併をしなきゃいかぬという機運が非常に盛り上がっていたわけでございます。現在の町村会はどういうふうな考えかというと、その基本的な方向は十分理解する、しかし慎重にやってほしい、なかなか現実はそうはいかないよということを言っておるわけでございまして、やはり合併合併と進んでいくことだけでいいのかどうかということは考えながら進んでいかなければいけないと存じます。  そして、私が常々残念に思っておりましたことは、土光臨調以来、市町村の合併というと山間僻地の小さな町や村を合併してしまうことだ、こういうことでありました。そこにむだな議員がいる、むだなお金が払われている、こういう議論がずっと主流でございました。やっとそれが少しずつ変わってきて、この八月六日に自治事務次官がお出しになった「市町村の合併の推進についての指針の策定について」という、この中では、面積狭小な市町村についても考えていこう、こういうことが言われております。  考えますと、例えば東京都の国立市、面積八・一五平方キロメートル、そして条例の定数、議員定数が二十六人、そして平均四十九万円の月給、給料をもらっておられます。一方、小さな農村でありますと、議員は大体十人前後、そして大体十八万から十九万、二十万未満の報酬で済むわけです。ですから、経済効果からすればむだだむだだというのは、むしろ東京や大阪の面積狭小で、そして大勢の議員がいるところを合併させる方がはるかに効果的なわけであります。  私どもは、昭和四十年代から五十年代にかけて、東京三十キロ周辺、中心地を探して再編成していくと三十から四十の市に編成できるという研究を発表いたしましたけれども、これはもう全くだれも一顧だにされない。そして、やっぱり都市は強いですし、特に武蔵野市なんという小さな市はもう立派な学者の方がいっぱいおられまして、これがそういう市を廃止することには反対でありますから、全然そういう議論が出てこなかったわけです。  やっと出てきたのでありますから、市町村再編成と言うならそういうことも考えて、全体の市町村をどうこれから持っていくかということを考えなければいけないと思うのでございますが、この自治省の指針にはパターンによって、地域の実情に応じてと、それはそのとおり大変立派なことですけれども、一方ではおれが三百にしてやるとか四百にしてやるとか言う政治家もおられますものですから、地域の人たちは一体日本の市町村の将来はどうなるのかなという気持ちがあると思うんです。  自治大臣とされましては、そこらあたりの将来の市町村の全体的な姿をどういうふうに構想しておられるか、これは簡単に言えることではないと思いますけれども、御感想がありましたらお聞かせいただきたいと思います。
  50. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) やはり町村合併を考えます場合には、町村の自主性あるいは自発性というものが大事な考え方だと思います。  今、例えば廃棄物処理の問題でありますとかし尿処理でありますとか介護保険の問題だとか、いろいろな形で町村が緩い連合体をつくっているのもありますし、いろんな形で広域的に手をつなごうという動きもある。そういうものが町村合併に自然な姿で進んでくるというのが言ってみれば一番自然なのではないかな、そういうふうに思います。  上の方から千にしろとか幾つかと言うのはなかなか、一つの旗印としては言えるかもしれませんけれども、地方の方に強制をしてそういうふうにやらせるというわけにはやはりいかない。そういう意味で、合併のパターンを知事の責任において一遍書いてみていただけませんか、それのとおり実現するかどうかは別として、どこにその可能性があるんだろうかということを作図をしていただいて、その中でこれは地域の自主性に基づいてやられていることということで自治省の方でも取りまとめて、その方向へできるだけお願いをしていくというような措置をとっていかなきゃならない。  大事なことは地域の自主性、そして、時代のニーズといいますか、そういうものに基づいて町村合併が行われていくことを期待いたしております。
  51. 木村仁

    ○木村仁君 私も今の大臣のお考えに全く賛成でございまして、我々日本人というのは制度をいじり出しますと余りにも潔癖で、何か全国一律に一つのことをやらなきゃいかぬという気持ちになってまいります。そうでなくて、やっぱり地域の実情に応じてやっていく。そして、その実情に応じて実施していくためのいろんな財政措置も既に準備されておりますので、そういう線でお進みをいただきたいと存じます。  次に、広域行政を今後どう考えるかということでございます。  広域行政の主たる手段としては、従来、法律の根拠なしに広域市町村圏あるいはふるさと市町村圏が進められてきましたし、今後は広域連合という法律上の制度も整備されて進められていくわけでございますが、その基本的な考え方として、広域行政というのは、一つ一つの市町村がそれぞれの独自性を維持しながら、ある面でその権力の一部をみんなに分かち合って出して一つの行政単位をつくるというフェデラルなシステムというものを進めるのが一つ理想としてあるのではないかという考え方も歴史上はあったわけでございます。この広域市町村圏等が進められていきます段階では、自治省は、できるだけ衣の下からよろいが出ないように、つまりフェデラルな行政システムがよろしいのだからそれを進めているのであって、合併の前提ではありませんよ、こういうことを一生懸命言ってきた経緯がございます。  それで、やっと、やっとと言うといけませんが、ここへ参りまして、推進の指針には第一の三のところに「市町村合併広域行政との関係」ということが書いてありまして、うまくバランスをとって書いてあるわけでありますが、最後は、「結果的に地域の一体感がさらに醸成され、将来市町村合併を検討するにふさわしい状況がつくりだされ、進んで市町村の合併が検討されることが期待される。」、こういう段階になってまいりました。私もこれはよろしいと思うんです。  ですから、もうこの際思い切って経過的に将来の地方公共団体の再編成を目指す、ある意味では経過的な形として広域行政、協力関係というものを結んでいくんだよということをはっきりさせるのは一つの見識であるし、これをはっきりさせてどんどん進めていけば、大体広域市町村圏ぐらいでまとまると全国が四百か五百になっていくということもあるわけでございますから、私もちょっと言い過ぎかもしれませんが、もう広域行政というものもその段階に至った。つまり、合併を準備活動だよというようなことで御指導なさってはどうかという気もいたしますが、私も確信はございませんけれども、いかがでございましょうか。
  52. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 広域市町村圏がすぐに町村合併に結びつくかどうかというのはその地域の実情その他がございますから、直接的にそれが結びついていくものだとは申し上げられませんが、しかし母体となり得るという感じはいたしております。  私のところでもそのような実例がございまして、特に合併の協議会設立についての民間からの運動というのがこれの後押し要因になって合併へ進んでいくという動きがございまして、そういった地域の住民の皆さんが、やっぱりもう一緒になろうではないかという機運が出てきたときにこの広域市町村圏というものが一つの合併の母体になり得るなという感じを持っております。  そのような方向に進んでいくことを私どもは期待いたしております。
  53. 木村仁

    ○木村仁君 ぜひそうお願いいたします。  例えば、私の地元の熊本県でありますと、天草が一体になって一つの市になろう、あるいは球磨郡の小さな町村が、市にはなれなくとも合体しようという動きがございます。そういう先進的に努力するところはひとつ大いに財政措置をやっていただいて、そして見本をつくれば全体が動いてくると思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  同僚議員の財政面の質問がございませんでしたので、私がフォローさせていただきます。  最近、地方公共団体の借入金残高が累増をして、そして公債費比率、あるいは地方債制限比率、そういうものがどんどん上がっていく。そして、選挙のときになると、起債残高を人口で割って四十万円、五十万円、赤ん坊まで入れて借金がある、これは失政ではないかと攻撃されて苦しむということが頻繁に起こっております。それゆえ、国の方でせっかく公共事業、財政措置をしても、また県で苦しい中で県単事業、単独事業を計上してもなかなか市町村レベルでは実施できないという状況でございました。そして、県もだんだんそうなりつつあります。  しかし、我々は、今までの地方行政、財政の考え方、つまり景気が悪くて税金が入ってこないときには仕事をしないという考え方でなくて、不景気で税金が入ってこないときは民間に力がないのだから公共がやらなければいけない。したがって、借金してでもやるよという気持ちが今はなければならないのだろう、そういう気がいたします。  そういう意味で考えてみますと、今、地方財政全体は百七十五兆の借金になりそうだ、国民一人当たりで割りますと百二十万か三十万になると思うんです。ですから、四、五十万の借金何するものぞという形で地元で積極的に公共事業、単独事業を消化していただく。そして、景気がよくなったらそのよくなった景気で借金を清算するために、今度はむしろ逆に小さな政府を志向して一生懸命努力する、そういう何か考え方の切りかえが今、全国の都道府県、市町村にとって必要だと思いますが、そういう面について御指導をなさる気持ちはおありになりますでしょうか。
  54. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 小渕内閣の姿勢といたしまして、経済を立て直していかなきゃいけない、景気を回復軌道に乗せていくということが非常に大事だということを言われております。そのためにいろいろな施策を考え、近く第二次補正予算を含みますところの経済新生対策をお示ししながら、それを景気回復のために役立たせていこうということで進められておるわけでございます。  公共事業を起こす場合には、公共事業は主として国の考え方に基づいていろいろな事業をやっていくわけでありますが、当然のこととして、その裏負担であります地方負担部分が出てくると。それについては、これは国の施策を推進するに必要な経費でありますから、国の方で手当てをしていかなければならない部分であるという認識に立ちまして、全額を補正予算債ということで計上していただいて、後年度に交付税措置で全部手当てをするという方向を打ち出しておるわけでございます。  また同時に、地方単独事業が大分落ち込んでおりまして、これもやはりやっていきませんと景気回復に資しませんので、国の政策としても地方単独事業を大いに振興していかなければなりませんが、税収の落ち込みその他によって地方の単独事業がやはりシュリンクといいますか、しぼみがちであるということで、これを手助けしていきますためにやはり景気対策のための地方債を出していただきまして、それに対する手当てを自治省としてもやっていくというようなことで、全般的に景気回復のためのいろんな施策をいろんな組み合わせでやっていって景気回復を図り、そして地方税収を増加に導く、向上に導くというような施策を考えて今実行しているところでございます。第二次補正予算も出てくると思いますが、その節にはひとつよろしく御審議をお願い申し上げたいと思います。
  55. 木村仁

    ○木村仁君 私言い落としました国の経済施策については、ぜひ国の方で万全の財政対策をお願いしますというところ、大臣のお答えに含めていただきましたので、再度私からも要望いたしておきたいと思います。  次に、地価下落と固定資産税の問題についてお尋ねをいたしたいと存じます。  今、国民一般の中に、地価が下落しているのに固定資産税は上がっていくよというような認識があるようでございまして、特に不動産業界からは固定資産税の増額が不動産の流動化に非常に悪い影響を及ぼしている、これを何とかせよというような要望も出てきております。  私どもは、平成九年度の評価がえに当たって負担水準均衡化というような措置もとられましたし、それから高くなっていくところは地価下落に対応して毎年評価額を修正するという手続も準備されている、そういうことで、あながち地価が下がるのに固定資産税が上がるという一般的な認識が正確だとは思っておりません。しかしながら、地価が下がるのに負担が上がるぞという例がないわけでもないでありましょうし、またそういう憂いの気持ちがあるということも事実でございます。  そこで、今回十二年に評価がえになるわけでございますけれども、固定資産税についての大幅な負担増にならないように、どのようなお考えで対処していかれるのか、それをお聞きしたいと思います。
  56. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 御承知のように、固定資産税の課税標準価格の見直しについては三年に一度やる、平成十二年度がその年に当たるということをよく認識いたしております。  現在、御承知かと思いますが、国土庁が出しております地価公示価格の七割というのが原則になっておりますが、しかし七割というのはまた高くなり過ぎるという判断から、それのまた八〇%、つまり七、八、五十六、公示価格に対しての五六%が固定資産税の評価額のアッパーリミットになっているという状況にあるわけであります。  片や、公示価格に対してうんと低い、例えば一〇%でありますとか二〇%でありますとかというのも存在をいたしておりまして、ここのところ、やはり平衡をとっていきませんとまずいものですから、税制調査会等ではそういった問題が指摘をされておるわけでございます。  ただ、公示価格に対して非常に低い割合の固定資産税の評価額を持っている地域について二%とか三%とか評価額をかさ上げしていくと、地価が下落している時点で税金を増すのかという御批判をいただく、ここはよくわかるわけでありますが、自治省といたしましては、やはり全国の均衡をとっていくという一つの課題がありますので、それに基づいて施策を立てていこうかなと思っておるわけであります。しかし、その先のいわゆる政治論、地価が下がっているのに評価額が上がる、数%でも上がるということについての拒否反応といいますか、そういうものが出てくるのは当然だと思います。その辺をかみ合わせていただいてどう判断するかというのは一つの政治判断になるのかなと思っております。  行政サイドとしては、評価額の不均衡というのはやはりある時点で是正をしていかなきゃならないというニーズを持っておる、しかし政治的に判断して、地価が下落しているところを少し上げていってもいいかということについてどう考えるかということについては、税制調査会の御議論もいただきながら結論を出していただけるものと、こう期待をいたしておるわけであります。
  57. 木村仁

    ○木村仁君 税制調査会を通じてぜひ慎重な御検討をお願いしたいと思います。  それから、これは要望いたしておきたいと思いますが、今、林業の経営というのは極めて厳しい状況に置かれております。非常に早い時期から国際化されて、その波に打たれて不振をかこっているわけでございます。その中で山林の固定資産税が上がっていくということが起こりますなれば、これは大変なことでございます。中央固定資産評価審議会は、十二年度評価がえについては山林の基準地価格は据え置くということになっておりますけれども、安心とは思いますが、その線でひとつ山林の公益的な機能等も勘案されまして適切な措置をお願いいたしたいと思います。これは要望にとどめておきたいと存じます。  次に、非常に今低金利の時代でございますので、地方公共団体がどのようにその資金を管理していくかということが非常に戦略的にも問題になろうかと思います。  例えば、先ほど申しました広域市町村でのふるさと広域市町村圏というところでは大体平均十億円、これが二百ぐらいありますから、多分二千億から三千億の間の基金を持っていると思います。多分創設されたころには十億円基金を持つと五千万ぐらいのお金ができて、そしてそれでいろんな広域の御一緒の仕事をしておって有意義であったと思いますが、今大体〇・三%ぐらい、三百万ぐらいだそうでございまして、どうしようもないわけでございます。  これをもし国債を買えば二・一%、地方債を購入しても一・八%、二千万から二千数百万のお金にはなるわけでございまして、これは危険な投資でも何でもございません。株を買うのと違います。したがって、そういうことを現にやり始めているところもありますし、もしこれを自治省として積極的に御指導いただければ大変結果がよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうかということをお尋ねいたします。  それから、地方債証券、これは私の勝手な計算でございますけれども、大体今、民間資金から借りて残っているのが五十兆円前後あると思うんです。そのうち、証書借り入れ、一枚の証書で借り入れているものは十兆円前後、十二、三兆じゃないかと思います。それから、あとはきちっとした証券として出されたものが四十兆近くあると。そして、多分その四十兆近くの中で現実に売り買いされているものは十数兆円ぐらいじゃないかと思うんです。  これはなぜそういうことになるかというと、日本銀行が地方債証券を日銀の適格担保とすることをためらっているからです。少しずつ入れてくれていますが、ためらうから日銀が取引してくれる証券ではないな、それなら格が低いねということで、R&I、日本格付投資情報センターは、AAプラス・マイナス・アルファにしているんです。ところが、電力会社なんかはAAAです。電力会社よりも地方公共団体の方が絶対にデフォルトは起こさない確実な証券なのでありますから、ぜひこれは日銀の適格担保を全面的に広げるということで御努力をいただきたいと思いますが、御所見をお尋ねいたします。
  58. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) 多分に技術的な問題もありますので、私から答弁をさせていただきます。  積立金の運用でございますけれども、おっしゃるとおり、国債とか地方債とか有価証券で運用しておる金額というのは、全体の額で見ましても二%程度だというようなことが平成九年度末で調査した結果で出ております。それで、積立金の有利運用をしなきゃいかぬということでありますので、基金の性格等にもよりましょうけれども、国債や地方債等の債券によります運用も場合によっては拡大をしていくと。ただ銀行に金を預けておく、定期で預けておくというだけでなくて、そういうことも積極的に活用してはどうかというぐあいに感覚的には思っております。  何分、その地方団体が要はとらの子の金を持って運用しておるわけですから、下手にその運用に失敗をいたしますととんでもないことになりますので、そこらのことも考えながらこの証券の購入で運用するということも漸次拡大をしていったらどうかと思っております。  それから、日銀の適格担保の問題でございますが、従来は大きな都市などで発行いたしております市場公募債に限定をされておりましたが、平成二年に一定の縁故債、証券発行の格好で地方債を発行する縁故債、そのようなものでも対象にされるというぐあいに拡大をされてまいったと承知をしております。  そこで、地方債の信用力というのは国債や政府保証債とどれだけ違うのか、劣るのかということになりますと、おっしゃるように、地方公共団体の信用力というのはそう劣悪なものではなかろうという考え方が正しいんであろうと思いますから、今後とも地方債の流通性、これを高めるという方向で積極的に取り組んでいくということにさせていただきたいと思っております。
  59. 木村仁

    ○木村仁君 時間がもうほとんどなくなってしまいましたので、ペイオフの問題につきましてはこういうことが言われているということだけ御指摘しておきたいと思うんです。  ペイオフ解禁になってしまうと地方財政資金どうするんだ、とても大変だねという意見が市町村内にあります。逆に、この金融機関が危ないぞという情報をいち早く地方自治体がキャッチして資金を引き揚げてしまうと、それがきっかけになって破綻が起こるという面もある。非常に慎重に検討しなければいけないよということをよく耳にいたしますので、これは大変申しわけございませんがもうお答えは結構でございます。よろしくお願いをいたします。  それから、防災問題について若干お尋ねしたかったのでございますけれども、時間が尽きてしまいましたので一、二申し上げておきたいと思います。  マイアミからベネズエラに通じるところに小アンティル諸島というのがあって、マルティニク島というのがあります。そこにモンペレーという火山があって、その火山が火砕流を起こして、三分間で二万数千人の人が亡くなっているんです。モンペレーという山の高さが千三百メートルです。海までの距離が八キロメートルでございます。  それで、雲仙・普賢岳の高さが千三百メートルです。海までちょうど八キロメートル。全く同じ条件で、ただ条件が違うのは眉山というのがあって、それがブロックするから島原は大丈夫だろう、こういうことであります。したがって、そういうことがきちっとみんなに周知されておればあの四十数人の方は亡くならなくて済んだのではないか、こういうことでございます。  それから、不知火につきましても、あの湾奥というんですか、そういう地形のところで大変な高波が起こる。カナダのリツヤ湾というところでは、ほぼ不知火の海と同じ大きさでございますけれども、百五十メートルの津波が来たという記録があるわけです。  そういうことがありますから、そういった記録をすべての危機管理に当たる職員の方々が日ごろから勉強して知っておけばああいう事故は防げるのではないかというふうに思いますので、そういういろんなタイプの災害を教えるというといけませんが、ぜひそういう資料をおつくりいただいて全国に配布していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  60. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) 木村委員消防庁の長官を御経験になっておりますので、かようなことは私よりもむしろ専門的によく御承知かと思いますが、私どもも、おっしゃるようなことはこれからよく事例等も研究をいたしまして、それが危機管理担当の職員に理解されるようにわかりやすく情報を流していく、そのことによって危機対応の能力を高めていきたい、さように考えておりますので、どうかひとつ今後も御指導をお願いいたします。
  61. 木村仁

    ○木村仁君 これは、モンペレーの火砕流について私がもしあのときに知っておれば災害が起こらなかったのではないかと、非常に私自身反省の意味を持ってお尋ねしたわけでございます。  もう一つだけ、これは一昨日亡くなられました前参議院議員の守住有信先生の手紙です。これに、不知火事件のときにあそこに防災無線がなかった、そのためにとうとい命が失われたのではないか、ぜひ早く無線の設備をしろ、そういうことでいろいろ資料をいただき、また肉筆のコメントがついております。哀悼の意をささげながら、今後の御方針をお願いします。
  62. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 災害は忘れたころにやってくるというものでありますが、思わぬところにもやってくるという感じがいたします。  そういった問題に随時、平常時にも心構えを持ってこれに対応していくシステムをつくっていかなければならない。今、守住先生のお話がございましたが、貴重な御提言でございますし、そうしたものを十分に体しながらそういった防災計画を十分整備していかなきゃならぬ、こういう気持ちを新たにしたわけであります。  建設省あるいは農林水産省などとも提携しながら、そちらの方は災害の防壁をつくるというような仕事になろうかと思いますし、私どもの方はできるだけ早く警戒態勢をとりつつ、一たん事が起こった場合には避難態勢をいち早くとるというのが自治省、消防庁の立場であるということを考えまして、十分今後、地域の防災計画等についても再点検をし、整備を進めていくように努力をしてまいりたいと思います。
  63. 木村仁

    ○木村仁君 大変失礼いたしました。消防問題につきましては、次の機会に通告いたしております問題、もう少しゆっくりとお尋ねしたいと思いますので、大変申しわけございませんが、きょうはこれで終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  64. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。  きょうは保利大臣に初めての質疑という機会でもありますので、先日お聞かせいただきました所信に基づいて四点ほど基本的な問題を中心にお伺いをしたいと思っています。なお、間に昼休みが入りますので、その点を御配慮いただきながら御答弁をお願いできればと思います。  そこで、まず最初にお尋ねしたい点は、先ほどもお話がございましたが、さきの国会で地方分権推進の一括法案が成立をいたしました。何せ四百七十五本という法律を一括して審議したものですから必ずしも十分に審議できなかった点があったのではないかと思うんですが、しかし、せっかく法律が成立をした、そして、ちょっと正確な数は忘れましたが、ほとんど大半は来年四月に施行ということだと思います。  ところが、法律が随分、何本もあったということもあって、しかも各省庁にわたっているということもあったのかもしれませんが、その法律に基づく政省令の見直し作業がかなりおくれているというふうに幾つかの報道でされています。このままでいくと、例えば各自治体が今度は自治体議会で条例改正をしなければいけないという、それに間に合うんだろうか、十二月の議会ではかなり難しい状況になってきている、下手をすると二月、三月議会でも間に合わないかもしれないという報道さえ出ているわけであります。  まず、せっかくあれだけ議論をして成立をした地方分権一括法で、しかも来年四月に実施が予定をされている法律に関係する政省令の見直し作業がどうなっているのか。そのことが、結果としておくれて、自治体における条例改正等の作業のおくれをもたらすような影響を与えるようなことがないのかどうか。まず状況について御説明をいただきたいと思います。
  65. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 確かに、大変数の多い法律をまとめた一括法の成立でございますから、各省庁においてその政令改正をやっていくということは喫緊の課題でございますし、なろうことなら九月末ぐらいまでに全部改正作業を終わりたいというふうに考えておりましたが、現状はいろいろ各省庁の問題等もございまして、八割程度内容が固められた段階、こんなふうに理解をいたしております。  今後、自治省といたしましても、各省庁に対してできるだけ早く政省令を整備するようにお願いをしたいと思っておりますし、またその整備状況につきましては地方の六団体その他に対して十分に情報を提供していきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  66. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 もう一つちゃんと来年四月実施に向けて間に合うんだというか、間に合わせるんだというトーンが聞こえなかったんですが、実は私は、この地方分権推進一括法案を成立間近にしたときの特別委員会でこんなことを申し上げたんです。一つは、その後のフォローアップが大事だ、国会はぜひこの地行委員会で場合によったら小委員会を設けてでもきちんとフォローアップの作業をしていく必要があるんじゃないか、こういうことを申し上げました。同時に地方分権推進委員会、来年の七月までまだ任務があるわけですから、地方分権推進委員会の方でもこの法律成立後のフォローアップ、チェックをしていっていただきたい、こんなことを分権推進委員会委員長にもお願いをいたしました。  お尋ねしたいのは、では政府の方が、各省庁にまたがる何せ四百七十五本の法律ですから、さまざまな省庁にまたがる作業を統括的にフォローアップする体制がちゃんとできているのかどうかというのが非常に心配なわけであります。たしか一括法案が成立するまでのプロセスでは内閣の内政審議室が実務的な作業を担っていたように記憶しているんですが、ぜひ大臣にお伺いしたいのは、この地方分権推進一括法案成立後の政府としてのフォローアップ体制、推進体制をどう明確にさせているのか、させていこうとしているのか、どうなっているのか、今後の方向も含めて大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  67. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 御指摘のように、この問題のフォローアップは内閣内政審議室が中心になってやっております。内閣内政審議室は、分権推進委員会諸井委員長のもとに事務局的役割を務めておるわけでございますが、ここを中心に進行管理を現在行っているというふうに理解いたしております。  十月七日でございましたか、内閣官房副長官から各省庁に対して早く政令を整備するようにということを督励をいたしておるわけでございます。今後、こうした機構がございますから、私の方からもお願いをして、できるだけ早くこの政省令が整備されて地方公共団体に御迷惑のかからないように、私も努力をしてまいりたいと思っております。
  68. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ぜひ、一つは政府の中におけるフォローアップ体制の明確化と、それから当面、来年四月実施に向けて抜かりなく政省令の見直し作業を進めていただくということを強く要望しておきたいと思います。最初の段階からずるずるおくれるようなことがあっては、何のための地方分権推進一括法案だったのか、こういうことにもなりかねませんので、ここは強く私の方からも要請をしておきたいと思いますし、これは当委員会としても適時この地方分権の推進に向けての作業をフォローアップする審議の場をぜひ積極的に持っていただきたいということを、この場をおかりして委員長にもお願いしておきたいと思います。  それでは次に、先ほども若干議論になっておりました地方財政の状況について二点ほどお尋ねをしたいんですが、時間の関係で前半の質問だけにとどめたいと思います。  最初にお尋ねしたいことは、もう私から申し上げるまでもなく、今年度の地方財政の状況は当初の地方財政計画よりもさらに深刻な状況になってきている、上半期の実績などを見ても相当税収の落ち込みなども見込まれて、より一層厳しい状況になってきているということは改めて強調するまでもないことだと思いますが、さてそこで、今回また小渕内閣は経済新生対策に基づく第二次補正予算を提案しよう、こういうことになっているようであります。また地方にどんと重荷がかかってくるんではないか。少々げっぷが出てきているところへ、今度はもう食べ切れないという状況になってくるんではないか。  先ほど大臣は、いやそれは国の負担できちんとするんだというふうにおっしゃったようにお聞きしましたが、例えばその場合でも、では不交付団体はどうなるんですかということを含めて考えていきますと、必ずしも、いやいや地方に一切御迷惑をおかけしないんだということにはなっていないんじゃないかと私は思うんですが、その点もう一度大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  69. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 今御指摘のように、地方の状況は極めて深刻でありまして、平成十一年度末で百七十六兆の借金を抱えるという状態である。これには、やはり景気の立て直しというのが必須の課題でありますから、国としては歯を食いしばってといいますか、公共事業等のてこ入れをすることによって景気回復をもたらしていかなきゃならない、そのための財政措置それから地方の負担分については、先ほど御答弁申し上げましたように、地方債を発行していただいて、後年それについての手当ては自治省において十分行うというのが基本方針になっておるわけであります。それから、不交付団体につきましても、起債は全額認めるという方向でこういったものの措置をしてまいりたい、こんなふうに考えておるわけであります。  補足を平林政務次官から、お許しがいただければ、平林さんから答弁をしていただきます。
  70. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) ただいま保利自治大臣が申し上げましたように、今日の経済再生ということを主眼に考えまして、財政状態がよくなるためにも今思い切って事業をやって今後の税収の増加に期待をする、そういう考え方に立って、今、追加の補正予算等も編成しようとしておるわけでございます。  もちろん地方団体におきましていろいろな財政上の特徴がございますから全国すべて同じ色に染まるとも考えられませんけれども、やはり政府の方針としては、極力公共事業を受け入れるあるいは単独事業もできるだけ追加に努めてもらうということによって将来の景気回復を、できるだけ早い時期に回復ができるような、そういう努力をいたすということで周知をしておるわけでございます。
  71. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時四分開会
  72. 和田洋子

    委員長和田洋子君) ただいまから地方行政警察委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、地方行財政選挙消防警察、交通安全及び海上保安等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  73. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それでは午前中に引き続いて質問をさせていただきますが、一番午前中の最後のところで大臣及び政務次官の方から、今後の補正予算、公共事業の追加等にかかわって極力自治体に負担をかけないように、こういう御答弁があったわけですが、さらに質問するつもりはありませんけれども、マスコミの報道だけを取り上げてみても、あるいは各市町村の皆さんあるいは都道府県の皆さんの話をお伺いしても、また何か新たな荷物が来るんじゃないかという、ある種の不信感がありまして、例えばもう地方は公共事業の上積みに嫌気を差しているとか、あるいは今回の経済新生対策十八兆円、これでさらに地方財政に新たな重荷をと、こういうような形で言われるような、指摘されるようなことがないように、これはぜひ、今最後の詰めが行われているようでありますが、この国会に提出を予定されております第二次補正予算の中で自治体に対する十分なる配慮を重ねて私の方からもお願いを申し上げたい、こんなふうに思います。  そのことをお願いしながら、地方財政問題についてはあと幾つかお尋ねする予定をしておりましたが省略をしまして、その次の質問に移らさせていただきます。  その次の問題といいますのは市町村合併の推進の問題であります。  さきの国会で、一括法案の中に含める形で市町村合併の促進に関する法律の改正が行われました。その改正に基づいて自治省の方でも通知をお出しになるなど、あるいは新たな指針を定めてそれに沿った取り組みをされるなど積極的な働きかけをされているように思います。そこで、さきの国会で成立をして以降、たしかあの法案はすぐに施行という形になっていると思いますので、今日に至るまでどういう状況がつくり出されてきているのか、特徴的な動き等があればぜひお聞かせいただきたいと思います。  そのこととあわせて一言つけ加えますと、従来自治省の皆さんはあるいは自治大臣市町村合併について、自主的な合併を円滑に推進していく、こういう表現を使っておられました。先日の大臣の所信では、自主的な合併を積極的に推進するというふうにおっしゃっています。この微妙な違いも含めて、ちょっとその後の状況なり自治省の今の時点でのお考え方について御説明をいただければと思います。
  74. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 市町村合併状況でございますけれども、ことしの七月に法が改正されましてから新たに茨城県で二つ、東京都で一つの法定協議会が活動を開始いたしております。そのほか、任意協議会でも新たに福岡県で一つが活動をしておりますし、合計で十五地域の合併協議会、これは法定協議会が十一と任意協議会が四つございますが、その四つが合併特例法改正後に活動を開始したものであるというふうに認識をいたしております。さらに、合併特例法の改正後に、私の地元におきましても、法定協議会設立に向けた手続つまり住民による署名でございますが、それが行われておりますし、また兵庫県、長崎県でもそれぞれ住民発議に向けての署名収集等が実施されていると伺っております。  こういうふうにしてまいりますと、新聞情報でございますが、トータルをしてみますと合併に関する何らかの動きがあるというのは全国で百四十四地域六百九十二市町村に上っておりまして、次第に全国的な機運の盛り上がりがあるのではないか、このように思っております。  自治省といたしましては、合併推進のための行財政措置の拡充あるいは地方公共団体への取り組みの要請あるいは合併の機運の醸成などを行いまして、市町村合併特例法の期限でございます平成十七年三月までに十分な成果が上げられるように市町村合併を支援してまいりたいと思います。  なお、積極的に自主的にというお言葉でございましたが、地方分権一括法が成立しまして、地方分権、これが進められていくということが二十一世紀の姿だと思いますと、そういう全体的な考え方を強く持つという意味で積極という言葉が入っておると思いますし、そういった方向に向かって今後我々も努力をしていかなければなりませんが、何よりもまず地域の市町村の皆様方の自主的な取り組みが求められる。両々相まってこれが実績が上がっていきますように期待をいたしております。
  75. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 えらい細かい表現にこだわったように受け取られているかもしれませんが、意外と一つのポイントじゃないかと思っているんですね。自主的な合併を円滑に推進するというのと、自主的な合併を積極的に推進するというのはかなりトーンが違っているように私は思うんです。  そんなことがあってはならないという思いを込めて、それでは次に、十月十七日にマスコミにこんな報道がありました。小規模町村の交付税削減、自治省、合併促す狙い、クエスチョンマーク。全国町村会の会長のコメントとして、政府は一方で合併促進のための財政優遇措置を打ち出してきている、その一方で小規模町村の交付税削減をしてきている、アメとムチの両面から合併を進めるのが狙いとしか思えないと、こういうふうにコメントが載っております。  まず、この新聞に報道されたことが事実かどうか、事実とすればどういう内容であるのかちょっと御説明をいただきたいと思います。
  76. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 詳細な点につきましては平林政務次官から答弁をいたさせたいと存じますが。お許しをいただければ。  「小規模町村の交付税削減」と大きな見出しで出ておりまして、これは必ずしも正しいとは言いがたいと思いますが、先ほど別件で御説明申し上げました固定資産税の課税標準の問題で、非常に低い課税標準のあるところについては若干ふやすというようなものと傾向的には似たところがございまして、やはり実態に即した適正化ということが一つどうしても大事な要素だと思いますし、あるいは簡素化、簡明化という一つのテーマも我々としては与えられている。そういう中で、全体を調整していきますとやはり多少小さい町村に対しての交付税率が下がるところがあるのかなと思っておりますけれども、それは、そういう小さい町村においては交付税に依存しているところが大きゅうございますから、余りそういうような状態が一遍に実現することがないように、十分な町村に対しての配慮というのはしていかなければならないなと、一方ではそのように思っております。  現状そういうことでございますが、詳細につきまして平林政務次官から御答弁をしていただきます。
  77. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) 朝日委員も御承知のように、地方交付税の基準財政需要額の算定方法というのは、おのおのの行政項目ごとに単位費用を定めて、それにこの数値を掛けて、その数値も補正をするというような、いささか複雑な算定方法を昔からやっておるわけでございます。昔からやっておりますとだんだんその複雑性が積み重なってまいりまして、片一方ではもっと単純化しなさい、あるいは現実に反するような補正の仕方というものを適正化しなさい、こういうような意見がやはりだんだんとまた出てくるわけでございます。  それで、地方分権推進計画を平成十年五月に閣議決定いたしましたが、そのときにも、補正係数の統廃合あるいは整理合理化など、今申しました簡素、簡明化を進めるということになりました。以来さような作業を交付税の基準財政需要額の算定の際に進めておるということでございます。  それで、平成十一年度もそのような方針に基づいて若干の手直しをしたということの結果がいわゆる小規模団体の人口一人当たり経費を割り増しする補正、段階補正と言っておりますが、人口段階で補正をしていくわけですが、この段階補正につきましても実施をしてまいったわけでありますが、町村合併を促進するということを直接に意図したものでないということはもちろんのことでございます。やはり、今申しました簡素化とか簡明化とかという方向に即した作業をやったということで御了解いただきたいと思います。  そこで、全国町村会から緊急要望が出されました……
  78. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 それは後の質問です。
  79. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) それでは、以上で一応お答えといたします。
  80. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 まず説明を求めたわけですが、その御説明はそれなりには一理はあると思うんですけれども、説得力に乏しいんですよ。  結局、基準財政需要額をできるだけ正確にというか丁寧に算定するようにということで、実はずっと以前よりもだんだんだんだん丁寧に、いろんな補正を加えたり、しかも補正係数で言えば小さな町村にもどんどんどんどん補正係数が上がっていくように手を加えてきた。ある時期、少なくとも昭和二十二年でしたか、そのころから以降、過疎対策を重視する形でかなり丁寧にやってきていた時期があるんです。  そこから今度、去年から何かやっぱり方針転換したと言わざるを得ないんですよね。しかも、理由というか説明はともかくとして、結果として減るわけですよ。大したことないとおっしゃるかもしれないけれども、そもそも小さな市町村が多いわけですから、そういうところからすると基準財政需要額の算定を抑えられるということはもうストレートに収入に響くわけですよ。だからどうも、御説明は御説明なんだけれども、市町村の側からすると到底納得できない、特に小さな市町村からすると、ということが十月二十二日の全国町村会の緊急要望につながっているんだと思うんですね。  御存じだと思いますが、二つの点を要望されています。一つは、合併のパターンを作成するに当たっては十分地元の意見を聞いてほしい、これは当然のことだと思うんですが、二番目はもっとリアルでありまして、「市町村合併の強制を意図した地方交付税算定の見直しは絶対に行わないこと。」と、こう書いてある。この要望についてはどうおこたえになるんですか。
  81. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) 町村会は私どもとは非常に密接な関係のある団体でございます。したがって、町村会と意見のそごを来すような、さようなことはなるべく避けなければいかぬ、そういう気持ちで対処しておるわけでありまして、ここの、今委員がおっしゃいました「市町村合併の強制を意図した地方交付税算定の見直しは絶対に行わないこと。」ということは、これはごもっともだと思いますから、私どももそういう強制を意図するような算定の変更というものは行わない、そういう気持ちでおるわけであります。  さきに御答弁を申し上げましたような趣旨から簡素化、簡明化を図るということでひとつ御理解をいただいておきたいと思います。
  82. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ちょっとこの問題は、はいここでわかりましたというふうには受けとめられませんので、継続して議論することにしたいと思います。  少なくとも、今おっしゃいましたように、全国町村会の皆さんから、けしからぬとあるいは総スカンを食らうようなそんな地方交付税の算定のやり方の見直しはしちゃいけないというふうに思います。もちろん、言うまでもなく、私自身は自主的な合併を円滑に推進することについては反対するものではないんですけれども、しかし余りに露骨なやり方というのはお互いに不信感が広がるだけで決して益にならないと思いますので、ここは重々留意をお願いしたい、継続討議にしたいというふうに思います。  それでは、最後の課題に移ります。  最後の課題は、ちょっと自治大臣としてはお答えにくい点が重々あろうかと承知しつつ、あえてお尋ねをします。  つい十一月五日に、政府は三党合意に基づいて介護保険制度にかかわる見直し案を取りまとめられました。そのことを受けてだと思います、大臣は先日の所信の中でも、介護保険法を円滑に実施するための特別対策に基づいて関係省庁と連携しながら適切に対応してまいりたいと、こういう所信を述べられておられます。  ところで、私はこの与党の三党合意を踏まえた十一月五日の政府の見直し案、もう中身はあれこれ言いませんが、その中身は極めておかしいと思っておるんです。つまり、法に定められているにもかかわらず、例えば半年間は保険料徴収をしないでおこう。これ介護保険制度ですよ。なのに、半年間保険料を徴収しないでおきましょう、それからあと一年間は半額の徴収にとどめましょう、そのために臨時特例交付金を出して、しかも今度の補正予算に盛り込んで基金をつくってそこからその分を何とか手当てしていきましょうという中身は、到底私は、法律の趣旨、目的から考えて全くおかしい政府案の取りまとめだというふうに私は思うんですが、自治大臣はどうお思いですか。
  83. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 保険制度は、保険料を納めてそこの中から給付をしていくというのが保険制度の趣旨であろうかと思います。  介護保険につきましては、日本で初めて導入するということもございましたためにいろいろ議論がありまして、御承知のように与党三党で申し入れがありました。それを受けて厚生省あるいは内閣としての方向を決め、最初導入するときにこの介護保険制度がスムーズに導入され、介護が順調に行われていくように、制度が動き出すように、最初の段階においては負担を軽減するあるいはもっと少なくするというような方向で、円滑な導入をするためにそういう措置がとられたものと承知をいたしておりまして、そういう意味では、委員指摘のように、保険の趣旨に合わないではないかということはごもっともだと思いますが、今のようないきさつでこういう措置をとられたものと私も理解をいたしておりまして、その点については内閣の一員としてこれはそのようにお願いをして実行していただきたいという立場であることを申し上げたいと思います。
  84. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 予想どおり大変苦しい答弁なんですが、もう中身そのものについてこれ以上大臣にどうだという問いはしませんけれども。むしろ厚生大臣あるいは総理大臣に言うべき中身だと思いますから。  ただ、ぜひ理解をしていただきたいのは、各自治体が法の趣旨に基づいてかれこれこの一年間もう一生懸命説明して回っているんですよ。丁寧な自治体は地区ごとに皆さんお集まりいただいて、全く新しい制度だ、介護のために高齢者の皆さんからも保険料をいただくことになっているんだということを含めてずっと回ってきているんです。実はその制度を前提としてこの十月一日から要介護認定という、介護を認定する、どんな状態にあるか認定する作業も始まっているんですよ。だからそういう意味ではもう介護保険制度はこの十月一日から動いているんですよ。にもかかわらず、ここで急にこんな、法律の目的あるいは趣旨にもそぐわないような、根幹を揺るがすようなことが案として出されてきたことについて、市町村の皆さんは、特に一生懸命やってきたところほど頭にきているんですよ。ついきのうも、医療保険福祉審議会が開かれて、そこである町の町長さんが、もうはらわたが煮えくり返る、こうおっしゃっているわけです。何を今さらこんなことを言っているんだと。  こういうことを踏まえてぜひお願いしたいことは、例えば今度、臨時特例交付金というのをつくって、制度をつくって、それに基づいて基金をつくって保険料を徴収しない分あるいは半額軽減した部分については充てなさい、こういうことのようなんですけれども、むしろ私は、もしそうするなら、大臣がおっしゃったように、介護保険法を円滑に実施するための特例対策に使えるようにしたらどうですか。そうしたら市町村はいろんな工夫ができるじゃないですか。そのための臨時特例交付金なら私は百歩譲って賛成しましょう。しかし何か、とにかく決まっているにもかかわらず、大臣今おっしゃったけれども、軽減する措置ならまだわかりますよ、保険料を半額にするからその分何とかしようとか、それならまだわかります。全然取らないんです。全然取らないというのは保険じゃないです、これは。  そういうところを含めて、出されてきた中身に非常に問題がある。むしろ積極的にやろうとする自治体はこういうふうにしたいと思っている、その市町村の自主性というか判断をより尊重すべきような中身、対応策にすべきだと思いますが、この点、最後にお尋ねをして終わりたいと思います。
  85. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 今御指摘の点は非常に重要な点だと思います。  政府としては、先ほど苦しい答弁とお話しになられましたけれども、認識として、円滑に導入するためにどうしても必要な措置であったという決定に立ってこういう措置をとっていくということを決めておるわけであります。しかしながら、現場の市町村で大変お苦しみになっているということについては私もよく承知をいたしておりますし、また知事や市町村長からもそういうお話を伺ったこともありますし、また市町村で出しておりますいろいろな市町村便り等につきましても、この制度のPRについては随分前からやっておられたということを考えますと、委員指摘の点は大変ごもっともだと思います。  しかし、経過がございましてこういう措置をとり、さらに、全面的に徴収しないというのは六カ月間でありますので、半年間ということでありますので、後半については軽減措置をとりながらいただいていくという、そういう、保険料は払い込んでいただくということが来年度については起こり得るわけでありますので、そういう意味では年度を通じて見れば保険料の払い込みがあったというふうに見られるじゃないか、こんなふうに考えておるわけでございますが、いずれにしても円滑にこの制度が実行に移されますように願っておるところであります。
  86. 朝日俊弘

    ○朝日俊弘君 ありがとうございました。終わります。
  87. 本田良一

    ○本田良一君 私も同じく民主党・新緑風会の本田良一でございます。  きょう私も初めて、政府委員の廃止ということで、大臣政務次官に質問ということになります。  政府委員がおりますときは相当な数字的なものをお互いにやりとりしながら討論をやりました。しかし、やはりきょう私は、一つの信念を持っております。政治家同士の、与党と、野党、私どもはそうでございますが、質問を交換する場合に、討論をやる場合に、むしろ政府委員の中身のある経過状況説明とかある程度の将来計画とか、そういうことよりも、特に与党として大臣あるいは政務次官、そういう方が中身よりも日本の将来にわたって決断と実行をいかにここで述べてもらうか、それがやっぱり重要な私はことだと思います。それからまた、今回のような一連の不祥事が起こった場合、大臣として所管のそういう指導指導責任を明確に国民の前に明らかにしてそれを果たしていくという立場で、きょうのこの委員会、意義ある私は討論になるんでないか、こう思っております。  そこで質問をいたしますが、一連の不祥事に当たり、元神奈川県警外事課員による覚せい剤取締法違反事件、このほか警察行政に関する過去の不祥事も含めて質問をいたしますので、国家公安委員長の御答弁をお願いしたいと思っております。  まず、国家公安委員長は先般の委員会で所信を述べられましたが、最近の不祥事により警察に対する国民の信頼が揺らいでいるということで、この信頼を回復するという冒頭の言葉がございました。国民の信頼については後で詳しくお答えをいただきたいわけでありますが、まず、連日、朝の谷川委員の質問でもありましたが、マスコミや国会において多くの記事あるいは討論がなされております。我が党も質問をいたしております。そういう国民世論と国会での主な質疑の特徴的なもの、そういうものをひとつ、ちょっと大臣答弁をいただきたい。
  88. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 私、就任以来、この問題がいろいろなところで出てまいりまして、その都度発言を求められるという機会がございました。一々については全部は覚えておりませんけれども、申し上げたことは、甚だ遺憾であって、あってはならない事件が起こっておると。  さまざまな事件が起こりました。特に、警察官による暴行事件でありますとか窃盗事件でありますとか、そういうようなこともございましたが、麻薬に絡んだ事件というようなことに非常に大きなショックを受けたということが一つ。それからもう一つは、それを隠避するために県警の最高責任者であります県警本部長の指揮によってその隠避行為が行われたということについて非常に大きなショックを受けたわけであります。  そこで、私どもいろいろな場がございますけれども、警察庁内部で私ごあいさつをしたときも信頼の回復ということをまず最初に申し上げました。その時点においてはたしかまだこの麻薬にかかわる問題というのは表面化しておりませんでしたけれども、信頼の回復ということが非常に大事であるということをお話を申し上げ、また、国家公安委員会というのが週に一度ございますが、そこの中でも信頼の回復について申し上げ、また管理体制の点検というようなことも非常に大事だ、特に事件が起こったその事件そのものだけではなくてほかにないか、それから今、現状の組織が正常に動いているかどうかということについてもいろいろお話を申し上げたのであります。  しかし、そう話しているうちにも新たな事件が続々と表面化しまして、私自身、これはこのままではいけないなということで、警察内部について十分に警察庁からお話を聞きまして、そしてさらに、国家公安委員会としてあるいは県の公安委員会としてどういうふうに今後振る舞っていけばいいか、あるいはどういうふうにチェック体制をつくっていったらいいかというようなことについて十分考えていかなければならぬということで、警察庁長官とも何度かにわたってお話を申し上げたところであります。  先ほど谷川委員からも御質問がございましていろいろお答えを申し上げたところでございますが、県警内部での体制の問題、特に監察関係職員みずからがもみ消しにかかわるというようなことは、問い詰めてまいりますれば最後は県警本部長責任にある。いかなることがあっても、不正が起こったらば県警本部長は、最終責任者でございますが、そこをきちんと自分の判断で正しい方向に判断をしていかなきゃならぬというようなことを思った次第でございまして、今後、そういうようなことを十分に胸に入れながら、あるいは踏まえながら、私どもとして、公安委員会のあり方あるいは国家公安委員会のあり方について検討を加えていかなきゃならぬというふうに考えておるところであります。
  89. 本田良一

    ○本田良一君 きょうの新聞でも、きのうでしたか、本部長が告発をされた、そのことに対して二百五十ぐらいの警察にも投書が来て、本部長を逮捕すべきだとか、そういうことなどもきのうは盛んにマスコミでは登場しております。  そして、私もここに平成十一年度中に判明をした警察官不祥事というのを、島根県、京都、香川、警視庁、青森、千葉、ずっと持っております。そしてまた、最近、八月ぐらいは特に覚せい剤の、八月十八日、京都、覚せい剤所持容疑巡査長逮捕、八月三十一日、巡査部長覚せい剤購入容疑者を密売先まで送迎とか、そういう事件があっております。  私は、特にこういう事件で、けさもありましたが、キャリア組とかそういう問題もあるようでありますが、後でこのことを申し上げますが、まず、こういった覚せい剤は今非常に青少年、低年齢化に加え主婦の方にも広がっておるんですね。第一線の警察官覚せい剤を取り締まるその接点では非常なもちろん努力もやっている、しかしミイラ取りがミイラになってしまう、そういう状況が今回の事件でございますから、警察官がそういう麻薬取り締まりに当たる場合の倫理観また捜査上の注意、そういうことはどのように行っておられるか。
  90. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 取り締まりに当たる現場の警官の皆さん、警察官の皆さんは一生懸命にこの麻薬取り締まりのためにも働いていらっしゃる、私はそう認識しておりますし、一部不心得の者が覚せい剤に染まってしまったという事件でございましたけれども、せんだって鹿児島の岸辺で約六百キロを超える麻薬が発見されたというようなことも、警察力が働いてそうした麻薬を市場に出回る前に押さえることができたというようなことはやはり警察官の努力のたまものだと、私はそう考えたいと思っております。  そういう皆さんの中で、一部の方がどういう動機かわかりませんけれどもこういう麻薬に染まるというようなことは、範を示すべき警察官としてまことにあるまじき態度である、またあるまじき行為であるというふうに存じておりまして、大変遺憾千万だと思います。今後どうしたらいいかということになりますと、非常に大きな組織ですから浸透しますまで大変でございますけれども、やはり各現場の方々の意識、これはもう先ほど申しましたように大部分の方は正常に麻薬取り締まりに当たっていらっしゃるわけですから、そういう方々にさらにもう一度お願いをして、麻薬に仮にも染まったりすることのないような、そういうようなことを県警本部長を通じてお願いをしていかなければならぬのじゃないかなと思っております。
  91. 本田良一

    ○本田良一君 こういう麻薬関係の倫理観、そういう努力を大臣は今後やるということでございますが、一方、国民警察行政に対しましては惜しまない実は努力をやっております。  日本の国は法治国家であるため、過去、まず警察機構確立のため多くの政策をもってこれに対する財政措置やソフト、ハードとも惜しまない努力を実はやってまいりました。近くは御存じのとおり通常国会で組織犯罪対策三法、そういうものを通して警察機構のあり方に協力をしております。ところが、本当にこの信頼回復、そういう努力に対して信頼は失墜をして逆に行っておりますね、反比例をして。  もう一つは商工ローンの問題でありますけれども、商工ローンなどで、例えば保証人以外の人がやくざのおどし、そういう取り立てによって家庭まで崩壊をしていってしまう、そういうのが今ある現状の商工ローンのあり方ですね。  小渕政権は、先ほども経済政策とかそういうことで相当な資金を、あるいは銀行に融資とかそういう形で、そして投資家が、起業家が新しい産業を起こすためにその融資を受けて新しい産業を起こす、そういう組織をつくり上げていかなくちゃならないのに、日本はまだこの間、先般の金融法案でも一応整理をしたようでありますけれども、結局大手の銀行が商工ローンに融資をして、その商工ローンは、銀行そのものが今は融資をすればまた不良債権になる、そういう心配がありますから、結局そういう商工ローンに金を融資する。  この融資された商工ローンは、やくざのおどし的な取り立てでいろんな人権を侵し、家庭を破壊していっている。今日は法治国家で商法がぴしゃっとしている、民法がぴしゃっとしている、そうしたのに、今の取り立ては結局江戸時代のやくざの、いわゆる明治のころの、証文によって取り立て、そして人身売買までやらせてしまうそういう時代の状況と実は変わりません。借りた者が払わないことが不正義だという時代、これは昔もそうだったけれども、今もこれが通用しているんです。しかしやっぱり借りたものはちゃんと返す。ルール、法があるから法でちゃんと取り立てていかなくちゃなりません。しかし、それがやくざのおどしで取り立てが今も行われるわけですから、ここは非常に問題です。  自治大臣警察の、いわゆる公安委員長ですね。だから申し上げますけれども、今からこれだけの日本経済を立て直すためにあれだけの財投を行う、赤字国債を発行する。そのためには金融のシステムがぴしゃっとしていなければならない。ところが、金融システムはほとんどやくざに握られている。七十年前のアル・カポネが銀行を握っておったと同じような状況が今の日本です。これでは日本の経済を再生することはほど遠いでしょう。そういうシステムが今壊れてしまっております。  だから、私は、覚せい剤にしろ、先ほど国民の信頼と言われるけれども、警察への国民の信頼はもう崩壊をしております。大臣警察庁長官本部長会議で、後で述べますけれども、信頼回復のために言っておられますが、突発的な事故とか事件とか大きな事件警察が一生懸命やって信頼回復をするのは当然でしょう。しかし、まだ目によく見えます。しかし今、やみの世界をずっと後ろに迫らかせてしまったこの状況は何かと言えば、覚せい剤は今だれかやっているよと。ここに、先ほどの鹿児島沖で逮捕されたあの覚せい剤なんというのは、新聞にも書いてありましたけれども、いわゆる外国系のマフィアが直接みずからのルートで日本に持ち込もうとした、だから、日本のその接点にあるやくざ連中とともに、これがどうも直接ルートになるとという、恐らくたれ込みじゃないですか。日本の仕組まれたやくざのルートから持ち込まれる麻薬というのはそう簡単に挙げられていないんだろうと思っております。だから、直接日本をねらったこのルートだから私はそういう投書で暴かれたんじゃないかと新聞を読んで直感いたしました。  だから、私は最も重要なことは、そういう国民が、一市民が、今麻薬が青物市場のとろ箱の中に入ってきているうわさだとか、商工ローンで保証人でもない私がこんなにおどされて私は今死のうと思っておるとか、そういう投書が警察にあったときに、そういう国民の小さな不安に的確にこたえてきていない。そこが私はとうとう覚せい剤一般の市民に広がって、そしてついにはまた警察官まで覚せい剤に汚れてしまった。拡散は警察まで来てしまった。そういう小さな不安にこたえていないところが私はこういうことになってきた、こういうふうに思っておりますから、信頼回復は大きなことをやるよりもそういう小さな国民の不安に対していかにこたえているか、これがこれからの警察の信頼回復を私はやっていく基本だと、こういうふうに思っておりますから、ひとつその辺を、まず国民の、市民の不安にいかにこたえられるか、ちょっと大臣にお答えをお願いします。
  92. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 御指摘ごもっともだと思います。  麻薬について、私、実際に麻薬を捕まえた、あるいは捕捉をしたというような報告を受けますときには、それを逃れて入ったものはどのくらいあるかというのが推定つくかという質問を逆にいたしまして、実は相当なものが入っているのではないか、そこをどう捕まえるかというのが警察の役割ではないかというようなことを申し上げた経過がございます。  そういう点は国民の皆様方の御協力と御理解をいただきながら、今入っている麻薬を撲滅していくように努力をしていかなければなりませんが、反面、そういうグループ、組織犯罪にかかわるグループというのは恐ろしいグループでもある。したがって、警察力というものを利用してそういったものを捕まえていくように努力をしていかなきゃならぬということをつくづく感じておるわけであります。それによって、その面での市民の信頼の回復というのは図っていかなきゃならないことが一つあると思っております。  それから、今、商工ローンについてお述べになられましたが、あのテープなどを聞いておりまして、大変ひどいおどしをするものだなというのは私も実感として持っておりまして、ああいうことが世の中にはびこるというのはやっぱりまずいのではないか。借りたものは返さなきゃいけないというのはこれはもう鉄則でありますから当然でありますが、あそこまでやるのかなという印象を持ちました。  一番問題なのは、そういった事象に対して警察がどう対応していくかということでありますが、私もいろいろ警察の方々とお話を申し上げたのでありますけれども、やはり市民の皆さん方が訴える場所がないとそういう事案というのは表面化してこない。したがって、警察に訴えやすいような場所をつくる。つまり、相談窓口と通常は言っておりますが、相談窓口に行った場合には親切かつ丁寧にその相談に対応してくれる体制というのをつくっていくということが今警察に求められているのではないか。そのことによって、市民からの情報をいただく中でそうしたあくどい手口というものを捕まえに行くことができる。  やはり訴えがないと警察というのはなかなか動きにくいのでありまして、そういう意味もありまして、相談窓口の充実といいますか、あるいは市民に親しまれやすいような相談窓口を設定していくということが一つの大事なことではないかなと思って、今警察庁と話をし始めたところでございますので、それをどういうふうな形で地方の県警あるいは各警察署におろしていくかということについて警察庁とよく相談してまいりたいと思います。そういう中で国民の信頼をやはり得ていくように努力をしていかなきゃならぬ、そんなふうに思っております。
  93. 本田良一

    ○本田良一君 今大臣、そういうシステムをつくっていただく、それはありがたいことです。ところが、こうなんです。商工ローン、そういうおどしを受けておりますと警察官に相談をいたします。そうすると警察官が、ここが信頼にこたえていないという言い方ですよ、それは、そんならあんたが金を借りとったのだからそれは払わぬのがおかしかたいと、こう言うんですよ、警察官が。だから、それだったら弁護士を立ててもういわゆる破産宣告する以外にないとか、そういうことになっていっているんですよ。  だから、そういう不親切な応対をやらないで、こういう場合は、中にはそういう人がおる。そういうのはおどしだからちゃんともう一回テープでもちゃんと持っておってください、そして電話だったら電話でテープに入れてそれを持ってきてください、そうして指導している警官もおります。だから、両方、別々あるようだけれども、そういう金を払わなければおかしいじゃないですかと言ってしまうような無責任な警官にならないように、法の網をかぶせようと思えば警察官は十分にできるわけですから、そういう証拠を残してもらうようにちゃんとそのときはそういう教えをして、そして証拠ができたらそれで対応していただく、そういうことを警察官は親切にやっていただきたい。  大臣、私などは市会議員、県会議員をやってきておりますから、そういう相談もずっと長い間受けてきておりますから、私の声は一市民の不安の生の声ですよ。そう思っておってください。だから、窓口をつくられるならそういう応対の仕方を細々やっていただく。そういうのをつくっていただくことは一番いいことです。だから、今回の国民警察官の信頼の問題では、警察の信頼はもうない。どういうないことになったかといえば、警察官の中の内部の信頼を今からどんなに高めようとすることよりも、そういう小さな不安にこたえていただく。  今回のいろんな一連の不祥事国民にどういう状況を起こしているかといえば、先ほど麻薬の問題、青少年に麻薬がどんどんはびこっている、そうしたらこの警察の信頼のなさが、私だってやっていいだろうと、国民がいわゆるそういう自分も悪に走ることに安易になってしまう空気をつくっていっているという大きな問題があります。アダム・スミスの国富論じゃないけれども悪貨が良貨を駆逐していくようなそういう方向に国民が走っていないか、これが非常に私は今度の信頼回復の問題では別な形を国民に投げかけている、こう思います。  よって、本当にこれから警察の方は厳しいと思いますけれども、先ほどの朝の質問にもありましたが、いわゆるこの処分の仕方、諭旨免職とか朝ありましたね。諭旨免職とかそういうことは、あくまでも内部で処理をして、内部で責任はだれがとるかわからない状況のおさめ方です。だから、そういう人に退職金を払ったとか、そんなことの問題じゃない。今度の問題を処理するためにはちゃんと情報公開をやって、世間にさらして、日本の国民と同じ、刑事法とかそういう法によって判断をして裁く、そして、そこの所管の長なりそういう人は世間で法に裁かれるわけですから当然責任が伴います。責任の明確化をそれによってはっきりして、本部長は勇気を持って、警察機構を守るためには自分も責任をとって、そういう自分なりに例えば責任をちゃんと果たす。そういう上司も責任機構を明確にできるようにするためには情報開示、情報公開、そして世間の法で裁く、これが一番重要です。  だからある企業は、こういう企業がありますよ。自分の職員が金を横領した。今までは隠しておった、隠しておけば自分も責任をとる必要はないから。しかし、もうこういう時代ではない、これをちゃんと会社として逮捕していただこう、そのかわり私も責任をとって、給料の減給とかそういう、出世がどこかでおくれるかもしれぬ、しかし会社をちゃんと守るためにはみずからも責任をとる、こういうふうに、今はそういう会社もあります。  だから、警察もそういう内部で処理してしまうような、そして誰が責任をとるか上司はわからない、そういうことではいけないと思います。だから、今の諭旨処分とかそんなことでなくて、ぴしゃっとそういうふうなことをやっていただきたいと思います。  それで、この情報公開ですね、長官が本部長会議で述べておられますが、大臣本部長会議であいさつもしておられる。特に国民の信頼にこたえるために、国民の期待にこたえる積極的な警察活動の推進ということで述べておられます。そして情報公開をちゃんとやるということでございますが、長官が本部長会議で言われた情報公開について、ことしの五月やるということを言っておられますが、大臣としてこれについての御見解と、どういうふうな情報公開を、一つ一つ細々とはいいですけれども、されるのかお伺いいたします。
  94. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 情報の公開については今委員指摘のとおりでございますが、つい最近、十一月一日にも、全国警察本部長会議がございまして警察庁長官からの御発言として、公開すべき情報は可能な限り公開しという発言があっております。私もそれはそのとおりだと思いますが、可能な限りというのは一体どういうことだということをもう少し詳しく検討してみなければならない。例えば、犯罪には関係者がおりますし、関係者には人権がそれぞれありますから、この人権にさわる部分については公開になじまない場合があるであろう。あるいは、捜査そのものについては、ある意味では秘密を守りながら捜査をしなければならないという場合もあるだろう。そういう公開になじまない部分それから公開すべき部分、それを峻別をして公開すべき部分は公開するのであると、それが警察庁長官の発言の趣旨であろう、そんなふうに理解をして、よく警察庁と相談をして今後の対応を考えてまいりたいと思っております。
  95. 本田良一

    ○本田良一君 時間がございませんから、次にジェー・シー・オーの東海臨界事故、これに移りたいと思います。  私はなぜ警察庁にこれをお尋ねするかということですが、ジェー・シー・オーの今回の臨界事故事件というのは、私もいろんな説明を受けました。国会の討論も既に見ましたし、あるいは原子力委員会の説明、それからこれからどういう対応を、法案を提出するとか、そういう説明もちゃんと聞いております。ところが何となく、そういうことを聞いていながらむなしさを感じたわけですね。なぜむなしさを感じたといえば、日本は科学立国で、そして原子力発電所をつくるときには、本当にいろんな世論の反対、賛成、そういう中で十分な説明をした上で建設をしてきました。そして私も、この核というものだけれども、人類は必ず、人類にとっては無益な有害なものであっても、いつの日にかこれをちゃんと人類に貢献できるものに変えていく能力を持っている、こう思って私は今日までそういう意味で原子力発電も見てまいりました。  ところが、そうしたのに一方でバケツでやってしまうわけですから。核という、硫酸か硝酸を一緒にまぜたときだけでも大変なのに、その化学反応とか物理反応を起こしたときどんなになるかというのは十分わかっている、そういうものをバケツでやってしまう、そういう人たちがいる、経営者がいる。こんなシステムをつくっても本当に意味があるのかなと、こういう法をつくっても意味があるのかなと、こう思ったわけですね。  それで、やっぱりこれは刑事的にちゃんとやってもらわないと、これから本当に人の心を変えてそういうものにちゃんと注意をする、それはできないだろうと、こう思いましたから、今このジェー・シー・オーにつきまして、警察庁としてはどういう入り方をしてどういう捜査を今やっておられるか。特に業務上過失責任とか、そういうことの展望も含めてお伺いをいたします。
  96. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 今回の事故はまことに衝撃的な事故であったと思います。私もメーカーにおりましたから、いかに工場内でのルールが守られていなかったかということについて非常にびっくりしたわけでございますが、現在、この案件につきましては、警察行政の方から申し上げますと、茨城県警が担当をいたしておりまして、業務上過失傷害の疑いを持って捜査をいたしておるところであります。現在もなおあの施設内におきましては放射線が出ておるような状況でございますので、なかなか現場検証ができないでおるという状況でございます。  しかし、この現場検証もやがてできるような状態になってくるというふうに思いますので、それを踏まえながらこの事件について鋭意捜査を進捗させていきたい。させていきたいといいますか、これは茨城県警がおやりになることですけれども、そのように、国家公安委員長としては、引き続き警察庁当局を督励しながら、この事件が適正に処理をされるように努力をしてまいりたいと思っております。
  97. 本田良一

    ○本田良一君 その場合、これは警察の方だったわけですけれども、二代目の、今の人でなくてその前の人は通産省からの天下りの社長ですね。そういうバケツでやっているのを五年間も全然原子力委員会の査察を受けない、完全民間のあれだとはいいながらも、そういう官との関係もある。そして、それを五年間も見逃してきた。そういうところに何か例えば特別な関係、接待を受けたりゴルフをしたり、そういうふうなことはなかったのか。また、非常に大変コスト主義にも陥っておりますね。そして、今は少し人員を百名体制から減らしているというようなことや、そういうコスト主義もなぜ陥ったか、そういうところも含めてひとつ捜査の中で調査をしていただければと思います。  次に、もう五分しかございません。本当はきょうは盛りだくさんありまして、地方財政の確保のためにということで、第三セクターのもう破綻寸前の日本の状況、それとか海上保安庁の行政、二〇〇〇年問題、消防行政と、こう続いておりますが、この地方財政の確保の中で、中でも第三セクター、特殊法人に、破綻しつつある、そのふるさと創生事業の見直しと、第三セクターを自治省ではどれくらい今日把握をしているか、そういうことをお尋ねしたいわけですが、ふるさと創生、竹下政権のときに始まった、それが今日までまだ続いておりますが、この一つの状況はいかがでございますか。
  98. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) 便宜私から申し上げますが、ふるさと創生の事業の今日までの実績といいますか、さようなものを申し上げます。  御承知のように、昭和六十三年度にふるさと創生事業がスタートをいたしました。当初はイベント開催や人材育成等のいわゆるソフト事業に対して全市町村に一律一億円の地方交付税の措置をいたしました。そのほかに文化・スポーツ施設の整備等のハード事業に対して地方債などの措置を講ずることにいたしたわけであります。その後も、この地方交付税と地方債の措置によってみずから考えみずから行う地域づくりを支援してきたところでありまして、金額的に申しますと、平成十年度までにソフト事業につきましては二兆九千百億円、またハード事業につきましては九千五百二十五事業で総事業費が十兆九千五百五十五億円、以上のような費用に対しまして財政措置を行ってきたということでございます。
  99. 本田良一

    ○本田良一君 そうですね、十兆、それだけ財政措置を行ってきましたが、これはもうそろそろ見直していただきたい。それはなぜかといえば、大体つくったのが温泉とか観光物産館とかそういうので、これがほとんど赤字で、これからの財政負担を大きく伴います。  それで第三セクターの、全国の自治体にありますこの調査はやっておられるのでしょうか。
  100. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) 第三セクターの経営状況がどうなっておるかという調査はいわば定期的に行っておりますが、毎年というわけではございません。今、平成八年度の調査を申し上げますと、同年の一月一日現在で第三セクターの数は九千三百四十四ございまして、十一年度に今調査を実施中ということでございます。  それで、一部に赤字が累積する等の経営状態が悪化して事業遂行に支障を来している事例、これも確かにございます。今後とも、第三セクターの調査をいたしまして必要な指導をしてまいるということで臨みたいと思っておるところであります。
  101. 本田良一

    ○本田良一君 済みません、もう時間が来ましたので、そういう調査をやって指導をお願いしたいと思います。  終わります。
  102. 大森礼子

    ○大森礼子君 公明党の大森礼子です。  前回の委員会大臣の方から所信を含めたごあいさつをいただきましたので、本来ですときょうの委員会一般質疑はその所信の中身につきまして大臣の基本姿勢等をお伺いするのですが、私は今国民の方が一番関心を持っておられることについて、国民の方から見てこの事案がどのように映るかという、こういう視点から質問させていただきます。いわゆる神奈川県警不祥事問題でございます。  組織の中の一員が変なことをする。私は、組織で人が集まりますとその中には一定割合で変な人はいるものだと、こういうふうに非常にクールに見ているところもあるのですが、こういう今回のような、神奈川県警のような事件、もう非常に続いておりますので。今回はトップの不祥事です。こういうことが起こりますと私、一番気になりますのは、午前中でも谷川委員の方から質問がありましたけれども、まじめに仕事をしている多くの人々がどのような気持ちになるかということでございます。  警察は非常にきつい仕事でございます。私も昔、捜査の仕事をやったことがありますけれども、風紀係なんかやっておりますと、本当に一つのヤマを挙げようとするとずっと張り込み、そういうことも続きます。なかなかうちへも帰れないという、現場の警察官はこういう生活をしております。  たまにうちに帰って、そして朝出勤するときに二歳か三歳の子供さんがこう言ったというんですね、パパまた来てねと言ったと。パパまた来てねと。余りおうちへ帰らないから子供さんがそういうふうに言っちゃった、パパまた来てねと。その日は私は一日じゅう落ち込んでいましたと、こういうことを笑い話でしたこともございます。  それで、昔、監督があほやから野球がでけへんと言った方がいらっしゃいます、今、参議院議員になっておられますけれども。これと同じで、今横浜、県警の現場の方たちは、本当にトップがあほやから表歩かれへんと、こういうふうな思いではないかなと思います。  私はこういうことが起こるたびに、現場の人が職業意識を荒廃させていくのではないか、むしろこちらの方も非常に心配しております。だからこそ、今回の事件については、中途半端なやり方ではなく、とことんどこに原因があったのかということを、原因を究明しておくことも必要であると思います。  それから、この事案、先ほども覚せい剤を、この発端ですけれども、酒寄被疑者覚せい剤を使ったことも衝撃であるというお話もあったのですけれども、むしろ警察官覚せい剤を使ったことを驚くような世の中ではだんだんなくなっていくのではないかというふうにも思っております。というのは、それほど覚せい剤というのは身近に迫ってきておりますし、それから人間やはり弱い部分もありますから、ふっとそういうものに手が出てしまう。これは警察官だけがそれはパーフェクトということではないだろうと私は思うんです。  それよりも、今回のことはトップが指示をしたから初めてできたことでありまして、もうトップがだめだと言えばこんなことは起こり得なかったと思います。私は新聞記事の範囲でしかあの事案を知りませんので詳細わからないところあるのですけれども、やはり全体が、組織が動いたというのはトップの指示があったからである、こういうふうに私は思っております。  それで、新聞報道によりますと、九九年九月二十二日ごろ、覚せい剤疑惑が表面化と、こういうふうにあって、そこから何か、監察官室を中心に特別調査チームが設置ともあるのですが、そもそも発覚の端緒というのは一体何だったのでしょうか。
  103. 石川重明

    政府参考人石川重明君) そもそもこの事件は、平成八年十二月に元神奈川県警外事課警部補覚せい剤使用事件があったというところから始まっているわけでございますが、この事案がいわゆる発覚した端緒は何かと申しますと、ことしの九月二十二日から二十三日にかけまして配信報道された記事の中に、元警察官の薬物使用事案について疑惑がある、こういうことがございまして、これを端緒といたしまして神奈川県警察の監察官室が特別のチームを二十四日につくりまして調査に入った、こういうことでございます。
  104. 大森礼子

    ○大森礼子君 本当にこれは関係者がたくさんおりますし、それから女性も出頭してきているわけですよね。これだけの人間をパーフェクトに隠せると思う方がおかしいのでありまして、大体、本当にこれ自体、本部長の見通しの甘さといいますか、これを物語っているなというふうに思うんですね。  それで、十一月十四日に九名が書類送検されております。この送致罪名につきましては、犯人隠避罪と、それからこれは四人の方でしょうか、今は証拠隠滅罪と言うんですね、証拠隠滅罪という、こういう罪名になっているのですが、まず最初にお尋ねしますが、犯人隠避罪ですと罰金以上の刑に当たる罪を犯した者、それから証拠隠滅罪の方は他人の刑事事件、この他人と、これは酒寄と、それから女性、田村とおっしゃる、この二人についてということでよろしいのですか。
  105. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 被疑事実の対象につきましては、覚せい剤使用事件の犯人隠避ということでこの二人、それから覚せい剤所持事件証拠隠滅ということでこの二人の事件証拠を隠滅したということであります。
  106. 大森礼子

    ○大森礼子君 だから、要するに二人に関する事件についてもみ消しをしたということでございますね。  それから、証拠隠滅罪でも送致されている人、これはちょっと確認させてください。永山監察官、当時ですけれども、芝外事課長、福田外事課長代理、高松外事課長補佐、この四名だけということなのでしょうか、確認させてください。
  107. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 九名の者全員が犯人隠避で書類送検をされるとともに、今御指摘の四人については証拠隠滅罪というものが加わっておる、四名だけについて証拠隠滅罪が加わっている、こういうことでございます。
  108. 大森礼子

    ○大森礼子君 私は別にここで調べをしようと思わないんですけれども、素朴にこういう記事を読みまして、これは素朴な疑問です。何で渡辺当時本部長とかほかの方は証拠隠滅罪で送致していないのか、立件していないのか、この理由がどうしてもわからないんです。これはなぜでしょうか。
  109. 石川重明

    政府参考人石川重明君) この元本部長につきましては、検索により証拠品が発見されたことについて報告を受けていない、それから証拠を隠滅することについて報告を受けていないということで、この証拠隠滅の事実行為そのものについては関与をしていない、したがって立件をしなかった、この四人以外につきましては、というふうに承知をしております。
  110. 大森礼子

    ○大森礼子君 それは本部長は詳しく具体的な指示はしておりませんよ。新聞記事を見ましても、一日も早く不倫を理由に退職させろと、これは諭旨免職ですよね。覚せい剤については、当時生活安全課ですか、力をかりろと、この指示。ここのところはよろしいわけですね。うなずいておられるからいいとしますね。  そうしますと、犯人隠避というのは、これは蔵匿も入っちゃうのかな、要するに官憲の発見、逮捕を免れさせる一切の行為ですね。犯人ですから人です、これを隠す行為ですね。それから、証拠隠滅罪というのは、これは刑事事件に関する証拠でありまして、それで証拠の完全な利用を妨げる罪と、こうあるわけですね。人とそれから物と分けましょうか。  それで、そうしたらこの渡辺本部長のこの指示が一体どう意味を持つのかということが問題になるわけですが、一方で諭旨免職にしろと言うんでしょう。だから、隠せということでしょう、事件を。でしょう。そういうことじゃございませんか。それから、生活安全課の力をかりろと。生活安全課とは覚せい剤捜査をするところでしょう。生活安全課の力をかりよというのはどういう意味なのか。今あなたが、犯人隠避であるけれども証拠のことは関与しなかったと。こんな構図があるのか、一種の構図がどうなるのかわからないんですよ。  本部長は、いいですか、本人はやめさせろと。発覚したら困るわけでしょう、発覚したら懲戒免職事由なんですから。これは事件を隠せということでしょう。生活安全課の力をかりよというのは、生活安全課の力をかりてこの事件立件しろという指示じゃございませんでしょう。としたら、詳しいことは言いませんけれども、これはもみ消せということなんですから、当然、犯人のみならずその証拠というものも隠せという意味を当然含んでいるんじゃありませんか。だからこそ、その意を受けて、そのほかの、またその下の人も、証拠隠滅立件されておりませんけれども、人数がいっぱいおりましてだれがどういう役割をしたかまだ私よく頭に入っていないんですけれども、いろいろ監察官室長生活安全部長と相談して何をどうという話で、じゃこの線で行こうということでしょう。まさにこれ証拠隠滅をこれは相談していることになるじゃありませんか。  それが実際、この証拠隠滅罪でされているのは下の方の、具体的にホテルへ軟禁したり覚せい剤を廃棄したりとかという、こういう下の方たちだけで、この人たちが独自に動けるわけがないわけでありまして、当然、事件をもみ消せということは、証拠も隠せ、出てこないようにしろ、こうとるのが当たり前でしょう。これおかしいんじゃありませんか。
  111. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 犯人隠避にかかわる対象事件というのは覚せい剤使用事件であります。そして、この件については委員指摘のような経緯をたどったわけでございます。  ただ、平成八年の十二月十四日に元外事課長補佐を初めとする外事課員が元警部補自宅と駅の付近を検索いたしまして、覚せい剤様のものと注射器を発見した、これが証拠品でございます。これについては何の認識も、本部長ほか今回証拠隠滅事件で送っていない者については何らこの問題については関与していない、知悉していないということで、この点についての責任は問えないと。で、この証拠隠滅事件の対象事件は所持事件でございます、覚せい剤の。
  112. 大森礼子

    ○大森礼子君 女性も出頭のときに尿検査をしておりますね。
  113. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 女性については、当時の時点で普通の応対であったということから、尿検査は実施しておりません。
  114. 大森礼子

    ○大森礼子君 していないんですか。  だけれども、途中で酒寄が、余り事件の中身がわからないんですけれども、女に打たれたと言うんだから女が覚せい剤を使っていたということはわかるでしょうから、その時点で、出頭した最初でなくても、その経過の中で尿を出してくださいぐらい言っていないんですか。
  115. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 事実関係捜査の中身でございますので詳細に御説明できないところがつらいところなんでございますが、この女性はその後姿が見えなくなったといったような経緯がございまして、その捕捉をするまでに時間がかかったといったようなことがあったようでございます。
  116. 大森礼子

    ○大森礼子君 じゃ確認しますけれども、その被疑事実がどういうふうになっているかわかりませんけれども、ずっと被疑者の名前が並んで、共謀の上というふうに書いてあるんでしょう。そうしたら本部長のところは犯人隠避だけなんですかね。そうすると、共謀がどこまでかかるのかなという問題になるんですけれども、本部長が知っていたのは何だけということになるんですか。どこから知らなかったことになるんでしょうか。
  117. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 共謀の上と御説明しておるわけでございますが、これは覚せい剤取締法違反の犯人である元警察官及び女性を隠避した行為というところまでの事実について共謀が行われたということでございまして、本部長については、証拠品がどういう形で発見されたか、またそれはどのように処理されたかといったことについて一切報告を受けていなかった、したがって関与をしていなかった、こういうふうに承知をしておるわけであります。
  118. 大森礼子

    ○大森礼子君 そうしたら、十二月十六日ですか、報告していますでしょう。そうしたら先ほどのような指示を得たという。これ尿検査をしたら陽性だったなんということは言っていないんですか。それならどういう報告になるんでしょうか。使用しているということは、尿検査でこれは陽性が出ませんとこんなものは立件できるわけがないのでありまして。そうでしょう。それは報告していないんですか。報告していなかったらこんなもの別にどうということはありませんよ、本部長は聞いたって。
  119. 石川重明

    政府参考人石川重明君) これは十三日から十九日まで採尿をして検査をしておるわけでございますが、その結果はいずれも陽性でございます。この点については要所要所で本部長まで報告はされておって、本部長は認識をしておった、覚せい剤使用の事実については。こういうことでございます。
  120. 大森礼子

    ○大森礼子君 覚せい剤使用しているということは尿検査で陽性が出る、これなんですよ。使用罪なんて犯人が否認したって尿検査が陽性だとそれで有罪になることは、こんなことは常識なわけでありまして、そうしたら、覚せい剤を使っているということは尿にも出ている、そこまではっきりしたから報告に行ったわけでしょう。その点について本部長が知らぬ顔をしたということになるんですか。  もうこれ以上言いませんけれども、本部長の態度で、犯人隠避、これは共謀したけれども証拠隠滅指示していない、これは矛盾するんですよ。一日も早く退職させろ、わからぬようにしろということでしょう。一方で事件はちゃんと立件しろよなんて言うわけがないんですよ。だからこの指示の中には、事件をもみ消すということは犯人も隠す、それから証拠も隠すという、これが当然含まれていると見るのが私は常識だと思います。  それからその後も、新聞記事では、工作を了承したと。もし本部長証拠隠滅の思いなんかなかったのなら、何でこんな大事な事件証拠を隠滅しようとするんだと怒りましたか。もし怒らなくて了承したということは、これはむしろ最初からそういう気持ちであったということを合理的に推測させると私は思います。そういった意味で、この点は私は非常に、新聞記事だけで申しわけありませんけれども、筋論としてはおかしいと思います。  それで、現実に大体の大組みをつくった、尿検査で出なかったら、陰性なら立件できないね、ああ、じゃその方針でいこうかなんと言った人が立件されていませんでしょう。この場合も、やっぱり下ばかり責任をとらせるのかなと、こういう気持ちが私はいたします。これは国民の皆さんもそう思っていると思いますよ。  それから、隠滅というのは、物理的滅失に限らず、証拠の顕出を妨げ、またはその価値を滅失、減少させる一切の行為を意味するという、これが判例でありますから、尿検査は尿の証拠ですね、こんなものをいじること自体がこれはもう証拠隠滅行為であると私は思います。  それからもう一つの、非常に国民の皆さんが不当だと思って今おられること、これまでの質問にもありましたけれども、何でやっぱり逮捕しなかったのかということですね。  それで私、常識で考えまして、これは別に感情論で言っているんじゃないんです、みんなが警察を攻撃しようと思って、いいチャンスだ逮捕逮捕と言っているわけではないと思うんですね。共犯者多数、組織防衛により犯した犯罪といいましたら、今までずっと隠し続けたんです。これは定型的に、感情論じゃありませんよ、定型的に証拠隠滅のおそれがあると思うんですが、何でこれ逮捕しなかったのか。もう一度お答えいただけますか、これまでに何度か質問に答えられたと思うんですけれども。
  121. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 本件については、神奈川県警察が捜査を実施したわけでございますが、多くの関係者の供述証拠から全容を明らかにするに至ったというふうに判断をして、元本部長を含む関係被疑者書類送致したというふうに報告を受けているわけであります。
  122. 大森礼子

    ○大森礼子君 全容、先ほどの証拠隠滅の点をとっても、ちょっと全容を解明されていないんじゃないかなと思いますけれども、全容を解明されていなかったら私が何を質問しても今捜査上の秘密とかと言われますので、むしろ全容は解明していると言っていただいた方がよろしいわけですよ。  さっきの、共謀の点ですけれども、私は、罪を犯した場合には、それは警察官であれ総理大臣であれやくざであれ差別をしちゃいかぬと思うんですね、情状の違いは出てくるにせよ。普通やくざの組長とか何かを捕らえようと思ったら、やくざの組長がいろんな事件の細かい指示を具体的にするわけはありませんから、大体大まかな指示をして、あとは若頭とかがやるわけですよね。組織的犯罪です。そんなときに、これ、本部長でなくやくざの組長だったら、このぐらいの指示だったら当然共謀ありというふうに認定しているんじゃないかと。むしろ、昔、ある大物政治家でよっしゃよっしゃと言っただけで、これは意思がありと認定したこともあるわけですから、何か非常にこの共謀の点で、証拠隠滅の点で認定が甘いと思うんですね。  それから、今の質問に戻るわけですが、普通、共犯事件の場合、供述に食い違いがあるとかそんなことでも逮捕事由とか勾留事由、勾留延長事由とか、こういう処理になりやすいわけでありまして、じゃ今おっしゃるように、きれいに供述して将来この供述が変わるおそれもないのかなと、こうとらえるべきなんでしょうか。しかし、そうしますと、私これ不謹慎かもわかりませんけれども、酒寄というんですか、これ容疑者ですね、最初の。それから女性、田村とおっしゃるんですか、が十一月四日に逮捕されていますね。この逮捕事実というのは九六年十二月のこの使用、酒寄については自己使用なのかな、女性は他人使用なんでしょうか、この事実だけでございますか。それとも最近使っていたとか、こんなものも加わっているんでしょうか。
  123. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 当時の事実だと承知しております。
  124. 大森礼子

    ○大森礼子君 これ逮捕が十一月四日といったらもしかしたらもう延長になった。そこまでは御存じないですか。今そのころかなと。起訴されたか延長されたか。  それで、当然勾留されていますよね。うんとうなずかれたから勾留されているということでよろしいですね。勾留されているということは逃亡のおそれか証拠隠滅のおそれがあったわけでしょう。ということになりますよね。  それで、この経過を見ますと、酒寄被疑者女性がみずから出頭してきていますね。そのときの様子がおかしいということで、そこからきっかけになるわけです。それから、これもしかしたら自首なんでしょうか。それから、覚せい剤使用経緯とそれから不倫経緯とか、上申書をすぐ作成しておりますでしょう。その書いた内容が正しかったから、言われたところに行ってみたら覚せい剤様の粉末とそれから注射器があったわけですね。正直にしゃべっているということですよ。  それで、覚せい剤使用といったら、ちゃんと使いましたと言って、これは罪証隠滅、本人が認めていて尿があったらそんなに罪証隠滅のおそれはないんでありまして、逃亡のおそれということなんでしょうか。この二人にしてみましたら、やったことはいけないことですが、ちゃんと申告したのに、そうしたら何か軟禁されちゃって拘束される、それでもう終わったかなと思ったらこんなふうにまた逮捕されてという、組織防衛のためにぐちゃぐちゃに翻弄されて、またぐちゃぐちゃにされているという気がするわけです。こちらは逮捕、勾留しているのにと。自首して正直にしゃべった者が逮捕されて、それがこれまでずっと証拠を隠して発覚して、いろんな工作をした者が書類送検という、これ国民から見まして、ここも何か非常に不公平なんじゃないかなという気がするんです。そうじゃございませんか。何か合理的に説明できるんでしょうか。
  125. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 覚せい剤使用事件については、神奈川県警において逮捕の理由と必要性というものを判断して措置したというふうに承知をしております。
  126. 大森礼子

    ○大森礼子君 だから、工作した方は罪証隠滅のおそれはないというんですね、共犯者で、組織的でと。事案がわからないのに余り言えませんけれども、私は、やっぱりトップだけは逮捕すべきだったんじゃないかなという気がするんですね。  共犯者といったら、ずっと証拠隠ししてきた、それなのに罪証隠滅の、証拠隠滅のおそれはないと。それから酒寄とこれにしましたら、逃亡のおそれだけで逮捕、勾留していないと思うんです、きっと勾留請求状には何か罪証隠滅のおそれありということも書かれているんじゃないかと思うんですけれども、ちゃんとしゃべった者が、それで尿も出しているわけだから、証拠が残っているわけですから、なのに逮捕、勾留されているというのは、これ一点見ても極めて不当なといいますか差別的な扱いであると、この意見を申し上げておきます。  それから公訴時効なんですけれども、この犯人隠避、それから証拠隠滅、これどちらも二年以下の懲役または二十万円以下の罰金ですから、刑事訴訟法の規定によりまして時効は三年です。そうしますと、この九名の時効完成はいつになるのか。切迫していると思います。  あわせてお尋ねしますが、刑事訴訟法二百五十三条二項で「共犯の場合には、最終の行為が終つた時から、すべての共犯に対して時効の期間を起算する。」とありますが、この関係も含めて、要するにいつ時効が完成するのか、どのように認識しておられるでしょうか。
  127. 林則清

    政府参考人(林則清君) 本件そのものにつきましては、現在、送検されまして横浜地検において捜査中でありますので、具体的にいつになるかというのは、その認定にもよるわけでありますのでお答えしかねるところでございます。  一般論としては、先生おっしゃったとおり、共犯事件でありますから、二百五十三条の二項に基づいて、共犯関係にある者の最後の、いずれかの者の最終行為の終了したときから三年ということでありますので、おっしゃるとおりでございます。
  128. 大森礼子

    ○大森礼子君 その最終行為がどこになるかということはそれは検察庁の方でも認定することだけれども、大体三年と思えば切迫しているなという、三年前の事件だったわけですから、公訴時効三年ですから、もう時効が間近いなということはあるわけです。時効完成で事件処理するなんということはないと思うんですが、そういうことを考えますと、本当に効果的な捜査のためにはやっぱり身柄拘束すべきだったんじゃないかなとか、こんなことも思ってしまうし、それから犯人隠避のみならず証拠隠滅の方、これがかかるかかからないかによってまた九人の中でも時効完成の時期が違ってくるのかなという気がいたします。  それから、今回の件は、科捜研に、科学捜査研究所に当時の陽性のデータが残っていたということなのですが、実は、ここに本当に私、救われた思いがいたしました。科捜研だけは変なことをしていなかったんだなということなんですね。科学捜査研究所、ここでいろんな鑑定とかしますが、こういうデータもきちっと管理して適正にやっていたとここは信頼してよろしいわけですね。
  129. 林則清

    政府参考人(林則清君) おっしゃるとおり、科学捜査研究所は公正中立な立場を堅持しまして、鑑定資料につきましても客観的な科学データに基づいて鑑定を行うなど厳正に対処しているところでありまして、今後においてもこの基本的立場に変わりはないということを断言することができます。
  130. 大森礼子

    ○大森礼子君 わかりました。もう本当に、ここだけは崩されたら困るわけであります。覚せい剤使用証拠といったらこれは尿の鑑定でありまして、これがあれば本人が否認していてもその手続が適正ということで有罪認定できる。ですから、ここの信頼が損なわれたならばもう非常に覚せい剤事件立件とかも難しくなるわけでありまして、ここだけは、ほかはどうでもいいという意味じゃありませんけれども、絶対崩してはいけない領域であると私は思います。  それから、今回のこういう工作、何か当時覚せい剤の防止キャンペーンか何か、この最中であったとか、それもそういうふうにもみ消そうと思った動機ではないかと言われております。確かに、現実に自分をその場面に置きましたならば、とんでもない、どうしようかという狼狽はすると思うんですね。しかし、そういうことで、それを彼らの行為の正当化する理由に少しでも使うことがあってはならないと思います。というのは、いざというときに、こういう予期しない場面にどういう態度をとるかということにその人のすべての人格があらわれると私は思います。やはり本部長のこの判断は間違っていたということでございます。  それから諭旨免職のことですが、これ普通、警察官不倫したら諭旨免職の対象になるんでしょうか、一般的に。
  131. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 不倫一般的な諭旨免職の理由というような扱いはなされていないと言えると思います。ただ、ほかにいろいろな事情があるといったようなときにはまた別のことでございますが、不倫そのもので即諭旨免職といったような取り扱いにはなっていないと承知しております。
  132. 大森礼子

    ○大森礼子君 さっきどなたの質問でしたか、万引き痴漢には全部懲戒処分にすべきだ、退職金を払うべきではないとありましたが、これは、事案によりけりだなと思うんですね。私、警察官をかばうわけじゃありませんけれども、非常に軽微な事案であった場合、やはり一つでも間違いがあると全部今までの苦労が水の泡で、懲戒免職になって退職金全部パアになると思ったらもうだれも警察官のなり手がありませんので、正当な処分ということをお願いしたいと思うんです。  それで、今回でも、懲戒免職にすべき事案であった、払う必要のない退職金を支払ったことになります。あるいはこれはもっと早く発覚していたならばこの本部長だって、ことし二月に退職されたんですか、その前に懲戒免職になって退職金もらえなかったのかなという気がするんです。  それから、十一月十日付の新聞で、これは警視庁大井署の巡査部長が犯歴データを漏らすということで、これも諭旨免職なんですね。守秘義務違反というのはいろんな内容がありまして、場合によったら諭旨免職、場合によったら懲戒免職もあると思うんです。愛知県のケースでは同じデータを漏らしたということでこちらは懲戒免職になっております。だから漏らした内容によるんだろうと思うんです。  しかし、この大井署のケースにつきましては、これは犯歴データでしょう、前科、前歴とかというのはこれは絶対に外に出しちゃいけないデータだと思うんです。どこかで捜査上知って聞きつけたことをぽろっと不用意に話すということはもしかしたらあるかもしれませんが、前科とか前歴とか、こういうことはもう絶対に漏らしてはいけない非常に大事な国民のプライバシーでありまして、こういうケースはもう一番大きな秘密、漏らしてはいけない秘密を漏らしたというケースは私はやはり懲戒処分懲戒免職、これが相当ではないかと思うのですが、この点、警察庁の方はどのようにお考えでしょうか。警察庁でいいんですね。国家公安委員長。じゃ警察庁でいいです。
  133. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 警視庁の大井警察署事案のことについてのお尋ねだと思いますけれども、私ども報告を受けているところでは、当時の警視庁の調べでは懲戒免職処分に該当する事実が把握できなかった、こういうことで報告を受けております。
  134. 大森礼子

    ○大森礼子君 じゃ犯歴データを漏らすというのは免職にした後にわかったことなんですか。
  135. 石川重明

    政府参考人石川重明君) この事案は、警視庁大井警察署刑事課巡査部長が、平成九年の三月ごろ事件相談を通じて知り合った会社経営者に、平成九年八月以降約四十件の御指摘のような前科、前歴照会等の内容を漏えいしていたということで、ことしの六月二十五日に警視庁において諭旨免職処分となっておるわけでありますが、この点について、懲戒免職処分に付するためにもいろいろ証拠関係と申しますかきちっとした立証をせぬといかぬという手続がございますが、そういうものがこの時点において把握できなかった、こういうことだと思います。
  136. 大森礼子

    ○大森礼子君 そうですね。だから、組織防衛で早く処分して追っ払っちゃえとなるとそういう捜査はできませんから、調べもできませんから、逆に本来懲戒免職すべきなのに諭旨免職にして退職金も払っちゃうということになるんですね。そうすると一番損するのが税金を使われる国民になるわけであります。  それで、場合によっては後でわかることもあると思うのですけれども、一般にこの前科、前歴とかこういうデータにつきましては、こんなものを漏らしたら懲戒処分だ、懲戒免職事由なんだという、こういう一つの基準みたいなものをつくるということも大事なのではないかなと思うのですが、この点、国家公安委員長お尋ねします、いかがでしょうか。
  137. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 大森さん、いいですか。
  138. 大森礼子

    ○大森礼子君 いいです。
  139. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 今の御意見は大変参考になることでありまして、きちっとした情報保護をしなければならないというような状況のもとで、こうした外部に漏えいすることが間違いであるといったものについては、今後、こういうことがないようにきちっとした対応の仕方をするように指導してまいりたいというふうに思います。
  140. 大森礼子

    ○大森礼子君 午前中の谷川委員の質問で、万引き痴漢とかは退職金を払うべきでないという、退職金の問題が出たんですけれども、実は平成八年十一月十九日、何の日かというと、これは岡光事務次官が辞表を出した日なんですね。これは未明に出しておるんですね。このときも退職金が問題になったんです。  それで、十一月十八日の新聞見出しは、岡光次官の疑惑捜査、贈収賄の疑いも。疑いが出てきたと。そして、十八日夜には元厚生省の課長補佐と福祉グループの代表が逮捕された。さあもうこれで疑惑解明は時間の問題となった。その後、日が変わって十九日未明に辞表を出した。すぐ受理しちゃったんですね、真夜中に。何でそんなに急ぐかなと思ったら、翌日の朝刊に、岡光次官に多額現金、総額で数千万。これがもう報道されていたわけなんです。これが報道されちゃったらもう依願退職なんてことはあり得ませんから、本当にタッチの差であの人は六千万円手に入れたなと、ジャンボ宝くじ一等が当たったようなものだと思ったんですが、まことに不当なやり方であったと私は思うんです。  それで、こういう不祥事が出ましたときに、必ず退職金との関係についてもきちっとした処分をすべきだと思うんですね。  今回の神奈川県警のケースも、これは本部長懲戒免職のケースでしょう、退職金はもらえないケースでしょう、早く発覚していたら。悪質だったから発覚しない。悪質だったから発覚しないで、在任中、それでそういう処分をもらわなかった、まことに二重の意味で不当だろうと思うんです。  それで、国家公安委員長、払うべきでなかった退職金を支払った場合、やっぱり原状回復措置、こういうことも考えなきゃいかぬのじゃないかと思うのです。そして、この大井署の分、それから今回の神奈川県警の分以外も、これまでもそういう不正な形で結果的に退職金が渡ってしまったケースがないか、ここら辺もきちっと調べるなりして処理すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  141. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 御指摘のように、神奈川県警察における覚せい剤事案関係では、諭旨免職でございますから退職金は支払われております。  ただ、神奈川県の条例では、在職期間中の犯罪で起訴され禁錮以上の刑が確定すれば受領者本人から返納させることができる旨の規定があるというふうに承知をしております。これはほかの都道府県についても同様の規定があるというふうに思いますし、国家公務員についてもそうしたものがあると思いますので、そういった点についての勘案をする必要が出てくるだろうというふうに存じます。
  142. 大森礼子

    ○大森礼子君 そういうお金の問題についても適正に対処いただきたいと思います。  最後の質問なんですが、今回の本部長が犯した犯罪ですね、新聞報道によりますとですが、自分の行為が犯罪になると思わなかった、こういうことを話したと言われております。犯罪になるとは思わなかったという、そういうのを聞きますと、刑罰法令の基礎知識、これが欠けているということと、それから規範意識のなさに私は唖然としたわけなんですね。悪いと思わなかったから平気でやるんでしょうよ。  それで、これは似たようなことがございまして、余り蒸し返したくないのですが、平成九年十月二十日の毎日新聞に、東京の衆議院小選挙区で当選した議員、これ選挙区行事に寄附百件以上、こういう報道がありました。本人は会費のつもりだったと言うんですけれども、一万円までで選挙前三カ月までなら社会通念上許されると、警察現役時代も運用していたと。警察出身の議員も含めみんなやっていると。要するに、この方は元、ある県警本部長だった方でありまして、そのときにも、事案がどうかということよりもこの規範意識の薄さに驚いたわけなんです。  それで、軽微な事案だったら厳重注意だけで済ませることもあると思うんですけれども、一万円まででも百件やったら百万円じゃないか、こういうことがありまして、当時総会屋問題で警察との癒着とか、こんなことがいろいろ取りざたされましたから、これが新聞に出た以上きちっと捜査されているんだろうなということを確認するために、ちゃんと捜査していますかと聞いたら、一切答えられませんと言うんですね。二回聞きました。具体的には一切答えられませんと。そんなことを言ったらいつまでたってもちゃんと警察がやっているかどうかわからないじゃないかと。私は中身はいいんだと、捜査しているのかいないのか、これだけでいいんだと言ったら、それも答えられませんと言うんです。それで、こういうふうにしましたら、捜査上の秘密何とかで一切答えられないといったら、我々は新聞に出た事案でさえ、その後適正にやっているのか、どこか元警察官僚だったからお手盛りがあるんではないかとかという、こういうことについて確認をすることができないんです。  それで、こういう体質は今回のこともありましたからなくなっていくだろうと私は思うんです。話したついでですからお尋ねするんですけれども、公職選挙法違反じゃないかと言われておるこの事案ですけれども、多分これは時効完成していると思うんです。時効が完成したから聞きやすいんですけれども、この事案処理はどうなったんでしょうか、教えていただけますでしょうか。
  143. 林則清

    政府参考人(林則清君) 御指摘の件につきましては、当時警視庁においても関心を持って所要の捜査を行ったわけでありますけれども、御指摘のように、結果的には立件するに至る事実関係等の把握に至らなかったという報告を受けております。  なぜ立件できなかったのかというような御趣旨だと思うんですけれども、御案内のように、先生の方がよく御存じでありますけれども……
  144. 大森礼子

    ○大森礼子君 捜査したならいいんですよ。
  145. 林則清

    政府参考人(林則清君) よろしゅうございますか。  捜査は十分尽くしましたし、いずれにいたしましても、今後、選挙違反事件等につきまして、いささかなりとも違反事実があればそれを見逃さず厳正、公平な取り締まりを今後進めてまいりたい、そのように思っています。
  146. 大森礼子

    ○大森礼子君 何でこれを聞くかというと、本人も認めているんですよ、お金を出したこと自体は。それで、会費と思ったとかと言っているんですよ。そうしたら、後藤田さんが、当時の新聞なんですけれども、会費名目でも十分違法だと、政治家がそういうことをするから政治改革が進まないといってえらい怒っておられる事案です。会費名目のこの弁解が通るのか通らないのかということだけが問題でありまして、そんなに難しい事案じゃないだろうと思ったんです。これは当然御本人にも事情をお聞きしているんだろうなと思います。返事は要りません。聞いていなかったらおかしいなと私思います。  いずれにしても、この方は元県警本部長だったということなんですけれども、二つ重なったから言うわけじゃありませんけれども、やはりトップの基礎知識それから規範意識のなさ、これはやっぱり現場でもまれていないからだろうと思います。午前中、谷川委員おっしゃったけれども、本当にそのとおりだと思うんですね。本当にキャリアの扱いについては十分考えていただきたい。  それから、いろんな再発防止策、いろいろ何かプロジェクトチームとかなんとかをつくるとかというんですけれども、これは余り成功しないと思うんですね。やっぱり外から投書できるような、目安箱といいますか、こういうのを設けるとか。神奈川県警これだけ続くというのは何かおかしいものがあるんだと思います、神奈川県警特有のものが。そうしたら、例えば巡査とか巡査部長とか警部補とか、そこら辺の若い方に、匿名でいいからと全部意見、何がおかしいのか、どこをどうしたらいいかと意見をばっと言いたいことを言わせて、そこで分析していくという、こういうことの方がかえって、本当に真摯に取り組むならばの話ですが、再発防止のためには適切ではないかなと思います。  時間が来ましたので、以上で終わります。  きょう、国家公安委員長お尋ねしようと思いながら聞く機会がなくて。最後にじゃ一言。
  147. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) いろいろと貴重な御意見をお聞かせをいただきまして、ありがたく拝聴させていただきました。  御指摘の目安箱等については、物理的な、目安箱を設定するかどうかは別といたしまして、各警察署あるいは各県警本部あるいは警察庁等において庶民に対する大きな窓口をあけて、そこでいろいろとお話をお聞かせいただく、御意見を承るというようなことについて警察庁とよく相談をして、庶民に親しまれる警察になるように、そしてその中から信頼が築かれるように努力をしてまいりたいと思います。
  148. 富樫練三

    ○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。  今も問題になっておりますこの神奈川県警覚せい剤使用もみ消し事件について伺いたいと思います。この問題は今全国を揺るがしているわけですけれども、神奈川県警のたび重なる不祥事案、これに対して国民からは大変厳しい批判が出されております。  私はまず第一に、基本的な問題として警察法の第三条、この中には「服務の宣誓」というのがあります。この中で、「この法律により警察の職務を行うすべての職員は、日本国憲法及び法律を擁護し、不偏不党且つ公平中正にその職務を遂行する旨の服務の宣誓を行うものとする。」というふうになっております。この基本精神に照らせば、今回の事件というのはことごとくこの精神を踏みにじるものだというふうに思います。国民の信頼を回復するというためには改めてこの原点に立ち返ることがどうしても必要だというふうに私は思いますけれども、国家公安委員長どういうふうにお感じでしょうか。
  149. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 警察法三条を引いてのお話でございました。  これは公安委員長としても大変重要な項目だと感じておりまして、例えば県警本部長を新しく任命する際に、このことについて十分踏まえておるか、あるいはこのことの趣旨をよく理解しておるかということについて宣誓を求めるぐらいの気持ちで今後任命に当たっていかなければならないのではないかというふうに感じております。警察官はもとより高い倫理性が要求されるわけでありますので、その面からよく注意をして人事異動についても対処していかなければならないと思いますし、今御指摘の三条の精神は各警察官が現場に至るまで全員お持ちにならなければならない事項だと心得ております。
  150. 富樫練三

    ○富樫練三君 憲法及び法律を擁護する、この立場がやっぱり一番大事だと思うんです。  そこで、この問題についてですけれども、このたびの神奈川県警の記者会見で、県警の発言の中で、犯人隠避の主犯は渡辺です、こういうふうに言っているんですね。これは元県警幹部九名の書類送検、この事件は単に犯人隠避、証拠隠滅容疑ということだけではなくて、重大な問題だと思うんです。それは最高責任者である県警本部長と幹部らがその県警組織職員それから捜査費用、これを動員して、犯罪捜査ではなく犯罪のもみ消しを行う、全く反対のことをやる、こういうことだったわけであります。  あるジャーナリストの方は、県警本部長が主犯格で警察組織の指揮命令系統を使った組織的犯罪です、身内の捜査に基づく書類送検でなく本来ならば検察官捜査元本部長以下を逮捕して厳正に対処することが必要だ、こういうふうな発言がされておりますけれども、明らかに本部長以下の組織犯罪であるというふうに思いますけれども、国家公安委員長はどういうふうに思っておりますか。
  151. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 御指摘のとおり、県警本部長が絡んでの事件であります。本来でございますれば、部下がそのようなことを言ってきた場合には県警本部長たる者厳正な姿勢で指導していかなければならない立場であるにもかかわらず、そのもみ消しについて関与したということは、これは許しがたいことだと、このように思っております。
  152. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうですね。本部長を先頭にして警察組織と人と金を使ってもみ消しをやる、こういうわけですから、もう明らかな組織犯罪、こういう組織犯罪なんですけれども、神奈川県警の場合にはたび重なる不祥事発生があります。しかもこれは神奈川県警だけではなくてほかのところでもたびたびこういう不祥事が起こっているというのは、毎日の新聞には神奈川県警のが出ますけれども、その中に時々愛知県警が出てきたり京都の方が出てきたり、あちこちも出てくる、こういう形になっているわけなんですね。ところが、警察がみずからこれをなかなか明らかにできない、ここが非常に大きな問題だと思うんですね。  それで、先ほどの大森議員の質問に対する答弁の中で、最初に知ったのは九月二十二、三日の報道が端緒であった、こういうふうにお答えになりました。私はここが大事だと思うんですけれども、警察庁がこの問題を直接知ったのはいつで、どういう方法で知りましたか。これは長官の方、どうでしょうか。
  153. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 警察庁もこの事案については、その報道を端緒あるいはそれと若干時期を接しての神奈川県警察からの報告であります。
  154. 富樫練三

    ○富樫練三君 ということは三年間、九六年の十二月にこの事件があったわけですから、それから約三年間については警察庁も全く知らなかったということですね。知った直後神奈川県警からの報告があったということなんですけれども、神奈川県警がこれは問題があるというふうにどういう方法で知ったのか、この点については神奈川県警からどういう報告を受けていますか。
  155. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 内容の細かな報告は受けておりませんけれども、この問題について報道がなされて、そしてその報道対応の中で神奈川県警察の監察官室長がいろいろ調べてみるとこの問題についてはどうも不可解な点がある、さらに調べたいということで調査が始まったというふうに承知をしております。
  156. 富樫練三

    ○富樫練三君 その神奈川県警監察官室長ですか、室がいろいろ調べてというのはどういうことなんでしょうか。何かこれは、三年前のものですね、そのままずっと隠ぺいされてきましたよね。関係者は全部口をつぐんできて、それでもみ消しが本来ならば成功したと思っていたんでしょう。それが何かのきっかけがあって、これはおかしいぞというふうに気がついたきっかけがあったと思うんですね。それはどういうことだったかということについては警察庁は確かめましたか。
  157. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 事柄の詳細については確かめておりませんが、監察内部の資料等を調べる、あるいは当時の関係者と申しますか当時の人物について当たって調べる、こういったような調査をしたのではないかというふうに推測しております。
  158. 富樫練三

    ○富樫練三君 警察監察官室というのは、例えば今回のような問題が起きたときには、九六年の段階でそういう問題が、例えば覚せい剤を現職の警官が使用しているというふうな問題が起こった場合には調査をして再発防止のために自浄作用を働かせる、こういうのが仕事の非常に大きな部分を占めるということだと思うんです。ところが、その監察官室が率先して証拠隠滅などの犯罪を行ったというわけなんですけれども、ことし九月二十二、三日に明らかになったというのは、結局のところは事件発覚のきっかけはマスコミの報道だったんじゃないですか。  これは、例えば九月二十四日付の新聞報道などを見ると、九月二十二日にこの問題について発表しているんですね。そこからいよいよ調査が始まるわけなんですよ。神奈川県警自身がそうなんです。前々から調査してきておかしいのがあって実はこういうことがあったんだと、それを発表したんではないんです。新聞発表とほとんど同時に、神奈川県警もその後調査を始めて現時点で今新聞報道にあるような中身が明らかになったということですから、いずれも新聞報道、マスコミの報道だったんじゃないですか。そこはどうですか。
  159. 石川重明

    政府参考人石川重明君) ただいま申し上げましたように二十二日の配信、二十三日の報道、このことによって端緒を得て調べに入った、こういうことであります。ですから、その意味では報道が端緒であったということについては否定できないというふうに思います。
  160. 富樫練三

    ○富樫練三君 ということは、監察官室長がいろいろ調べたらおかしいところがあったからやったということではないですよね。要するに、新聞報道があって調べたらやっぱりそういうおかしいのがあった、こういうことでしょう。ここはひとつ正確にして報告をしてもらいたいと思うんですけれども。  警察庁はこういう事件があるたびに通達を出してきましたよね。毎回毎回通達を出して、再発防止だ、こういうふうに言ってきたんですけれども、なぜこういう問題が後を絶たないのか、ここがまたもう一つの大きな問題なんですね。今までそういう通達を出して効果があったのか、なぜそういうのがなくならないのか、通達の効果があったというふうに理解してますか、どうですか。
  161. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 通達を出してこうした不祥事案の未然防止、あるいは不幸にしてそういう事案発生した場合の厳正な処理その他についてとるべき措置を各都道府県警察指導をしておるわけでございますが、そうしたことが警察職員一人一人に徹底することによってこうした問題についてのいろいろな改善策が講じられるのであろうというふうに考えております。
  162. 富樫練三

    ○富樫練三君 一人一人に徹底をしてと言いますけれども、これは組織がやったんですからね、組織そのものにしっかりやらなくちゃ解決はしないわけです、今回の事案でいえば。ということだと思うんですけれども、どうして組織的なもみ消しができ上がってそういう事件が発覚をしないで、しかも不祥事案が次から次へと出てくるのか、この問題についてちょっと伺いたいと思うんです。  私は、その一つの原因として、従来から警察官の内部の犯罪については極めて甘い、捜査も極めて消極的だった、結果として罪も軽い、こういうことになっていたのではないかというふうに思うんです。  例えば、今回の事件国民から出ている声というのは、なぜ九人を逮捕しなかったのか、こういう声、先ほども出たわけですけれども、一斉に出ているわけです。任意捜査では県民が納得しない、こういう質問に対して、神奈川県警刑事部長は、被疑者の態度を勘案して判断した、この事案では隠滅する証拠はなく、逮捕要件である証拠隠滅のおそれはない、こう言っているわけなんです。しかし、今回の事件というのは証拠隠滅が非常に大きな原因でしょう。犯人隠避というのもありますよ、だけれども証拠隠滅も非常に大きな問題ですよね。その証拠隠滅を理由にして今回書類送検をしているわけなんです、四人についていえば。しかしながら、その人たちはもうこれ以上証拠を隠滅することはないんだというその裏づけは一体どこにあるのか、こういう問題が一つあります。ここは非常に抜け穴というか甘さのあるところだと思うんですね。それから、仮に物証を廃棄するおそれはなくても、逮捕していないわけですから、相互に口裏を合わせる危険性はこれは十分あるということは言えるわけなんですね。もしもこれがいわゆるもっと下の方の警察官だったら直ちに身柄は拘束されただろう、こういうことを言う人もいるわけなんです。公平という観点から見ても在宅の処分は適切ではないというふうに思うけれどもどうか、こういう問題なんです。  きのうの新聞に、神奈川県警女性警察官に対する恐喝未遂事件、これがまたまた出てきました。この場合には懲戒免職をしてから直ちに逮捕ということですね。一方で覚せい剤使用のもみ消し事件では元県警本部長を初め幹部に対しては書類送検はしたけれども逮捕はなし、懲戒免職もなし、こういうことです。明らかにこれはキャリア組に対しては甘い、こういう実態をみずから証明したんじゃないですか、どうですか。
  163. 石川重明

    政府参考人石川重明君) この事件捜査については神奈川県警察が実施をしておるわけであります。神奈川県警察がその捜査の過程でこの九名を立件するに当たって強制捜査の必要性がない程度捜査がきちっと固まった、こういう判断をしたのではないか、こういうふうに思うわけであります。  そのときに、その判断としてキャリア組であるとかあるいは地元組であるとか、そういったことについて判断をするということは通常考えられないことだというふうに考えております。
  164. 富樫練三

    ○富樫練三君 キャリアだからといって判断の基準にしたと僕は言っているわけじゃないです。結果がそういうふうになっているでしょうと、こういうことなんです。  もう一つ、なぜこういう事件がなかなかなくならないかという問題ですけれども、今回の事件から見れば監察官室を中心にして警察全体がもみ消しの機関、組織になっている、こういう問題なんですね。  これは九人書類送検されました。だけれども、この事件に直接かかわった人物というのはこの九人だけじゃないはずですね。例えば九六年、あの問題になったとき、先ほども質問がありました、尿検査をやったときに最初は陽性だった、ホテルかどこかに連れ込んで一週間だか八日閉じ込めて毎日尿検査をやって、そこに警察の署員が交代で泊まり込んでいって監視をしながら陰性になるまでやらせて、それで初めて検査結果を出させた、こういうことが新聞では報道されていますよ。そこにタッチしたのはこの九人の枠の中だけかというと、そんなことはないですよね、恐らくほかの警察官もみんな交代で行ったんだと思うんです。  伺いますけれども、改めて伺いますけれども、監察官室の本来の仕事というのはどういうことですか、端的に言いますと。
  165. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 監察官室の本来機能というお尋ねでございますけれども、例えば不祥事案処理、これ以外にもいろいろ表彰その他も行っておりますけれども、不祥事案処理について申しますと、それを認知した場合には速やかに全容を解明する、そのための調査を行うわけでございます。そして、所要の行政処分、これは懲戒処分その他の処分を行う。その行為が刑罰法令に触れる場合には捜査部門にその事案を引き継いで捜査部門において捜査を行う、そして立件ということになれば事件地方検察庁送致する、そういう厳正な機能がこの監察のシステムの機能の発揮の仕方としてあるわけでございます。
  166. 富樫練三

    ○富樫練三君 国家公安委員長国家公安委員会というのは、都道府県の場合も国の場合もあるわけですけれども、公安委員会というのは警察に対する管理をするところですね。今回の場合は神奈川県警の問題ですけれども、神奈川県警監察官室というのはその本来の仕事と全く違うことをやっているということが今わかりましたよね。  こういう事態になっているということについて公安委員会責任者としてどういうふうに感じますか。
  167. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 監察官室がもみ消しのいわば主導権を握ったみたいな形になるわけで、それでそれの責任者として県警本部長がその監察官室の上にいたという事態というのは、これはもう本当に根幹からおかしくなっているということで、おかしかったと申し上げましょう、と思います。  じゃ今の監察官室がどういう状態にあるかということについてはなかなか、私の今の立場でなかなか知り得ないことでありますが、警察庁からよく話を聞かせていただいて、現在の監察官室がきちんとした姿で業務を執行しているかどうかということについては目を光らせて見ていなければならぬ、それに対して県警本部長がきちんと監察官室を正規な形で指導しているかどうかということについても目を光らせねばならない。  これはむしろ神奈川県の公安委員会のお仕事かもしれませんが、私は、これだけの大きな事件があったわけでありますから、警察庁からこの点については十分に聴取をして自分としての責任を全うしていかなきゃならぬと思っております。現在の監察官室が決しておかしな状態になっていると私は信じたくありませんけれども、きちんとそこは検証をしていく必要があると思っております。
  168. 富樫練三

    ○富樫練三君 神奈川県警組織図を見ますと、こういうふうになっているんです。一番頂点にあるのが県警本部長ですね。そして、その下に警務部であるとか警備部であるとかそういう部があります。その警務部の下に監察官室があるんですね。ここに室長もいるわけですよ。ここが警察全体をチェックするという機能は組織上持ち得ないような格好になっているんですよ。こういう格好の中で、警務部長あるいは本部長がもみ消しの側に入ったときにこの監察官室の室長が物が言える状況にあるのか、監察官室としての役割が果たし得るような組織形態になっているかというと、そういう組織形態にはなっていないんですね。  これは神奈川県警だけの問題ではないんです。警察組織が全体としてそういうふうになっているんですね。ですから、チェック機能を発揮できない、この原因の一つというのは、この組織のあり方、ここにメスを入れなければならない、こういうことだと思うんです。これは警察に詳しくない人間でもそういうことならば普通わかると思うんですけれども、これからの改善の方向としては一つはそこにあるんじゃないでしょうかね。委員長、どうでしょうか。
  169. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) それは御指摘のとおりだと思います。私もメーカーにおりまして、検査というものは独立したものである、製造工程とは独立したものであるという基本的な認識を持っておりますから、その面で見ていけば業務をチェックする監査体制というのは独立しているのが本当かなと思いますが、いろいろいきさつもあるのでございましょう、そこは警察庁とよく相談をしてみたい点だと思っております。
  170. 富樫練三

    ○富樫練三君 同時に、その監察官室の問題なんですけれども、その時点で神奈川県警本部は自浄作用が全くなくなっているわけなんですね。それは、神奈川県警本部の独自の問題であると同時に、組織としての共通の、全国警察の共通の問題でもあると、こういうことなんですけれども、例えば、ジャーナリストの黒田さんという方はこういうふうに言っているんですね。もはや自浄作用には期待できない、上司の言いなりになっている監察官室を独立させ弁護士や市民代表を加えた新たな組織をつくるべきだ、こういうふうに言っているわけなんですね。自浄作用がないわけですから、外部から改革をし、外部の力もかりてその内部を改革していかなきゃいけない、こういうのは当然だろうというふうに思うんですけれども。  今、警察庁の方もさまざまなことを、対策を考えているようなんですけれども、長官いかがですか、こういうふうに変えていく必要が。委員長が手を挙げていますから、委員長どうぞ。
  171. 関口祐弘

    政府参考人関口祐弘君) このたびの神奈川県警の当時の本部長を初め幹部職員が犯人隠避あるいは証拠隠滅ということで刑事事件被疑者として送検をされたという事態に至りましたことをまことに遺憾に存ずるところでございます。  そうした問題が何ゆえに起きたか、その一つとして監察官制度が動いていないんではないかという御指摘でございます。今回の事態というものを見ますと、残念ながら本来期待をされていた自浄作用というものが働かなかった、そしてまたその上に立つ本部長の認識といいますか判断も大きな誤りであったということは認めざるを得ないと思います。  本来、私どもの制度として、内部に監察という制度を設け、そしてまた警察本部長あるいはその下の者、警務部長ポストでございますけれども、を主としたポストにつきましては警察庁から人を配置をする、それによってまたチェックをするというふうな仕組みができているわけでございます。しかし今回の神奈川事件というものを見ますとそれが機能していないということで、今回の事件につきまして私ども大きく反省をいたしますのは、やはり制度というものはしょせん人を得なければどうしようもないということが一つでございます。その点で、本部長を初め組織管理に当たる者あるいは監察に当たる者という者につきましては十分な教育をする、そしてそれにふさわしい人材をそこに充てるということが大事であろうというふうに思います。  そしてまた、それに加えまして、こうした制度というものを担保する仕組みというものも必要であろうというふうに思います。その意味で、一つは、私ども警察庁として各都道府県警察の監察機能等が十分に動いているかどうかということを常に点検をしていくということが必要かと思います。そしてまた、御案内のように、各都道府県警察には、公安委員会公安委員会の管理のもとに都道府県警察が置かれている、警察庁におきましても国家公安委員会のもとに警察庁が置かれているわけでございまして、この公安委員会というものに私ども警察の者が適宜報告をし、そして御指導を仰ぐ、それによりましてチェックをしていただくということを充実強化をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  172. 富樫練三

    ○富樫練三君 再発防止策と、それからこのたび、これは警察庁次長名の各都道府県警本部長も含めた各機関あての通達があります。これは、「不祥事案対策の徹底について(依命通達)」ということで、この一番に「都道府県公安委員会に対する適切な報告の徹底」、今、長官がおっしゃった中身が書いてあります。「職員による不祥事案発生した場合及び懲戒処分を行う場合等には、都道府県公安委員会に対する適時適切な報告を徹底する。」、こういうふうに書いてあります。これは再発防止策の中にも同じようなことが書いてあるわけなんですね。  そこで、ちょっと長官に今公安委員会との関係でお話がありましたので伺いますけれども、これは、各都道府県公安委員会に対する適時適切な報告を徹底するというのですけれども、例えば都道府県の場合でいうと、これはだれが公安委員会報告するんですか。
  173. 関口祐弘

    政府参考人関口祐弘君) 当然、都道府県の本部長でございます。
  174. 富樫練三

    ○富樫練三君 そうしますと、今回の事案を考えてみますと、神奈川県警本部長が、組織ぐるみのもみ消しの中心人物になっている、この人が神奈川県の公安委員会報告すると思いますか。長官どうですか。
  175. 関口祐弘

    政府参考人関口祐弘君) 現に今回の事態では報告をしていなかったものというふうに承知をしております。
  176. 富樫練三

    ○富樫練三君 ですから、この通達にはいろいろ書いてありますよ、こういうことをやっても、今度の神奈川県警の例を見れば余り役に立っていないんじゃないか、きっと役に立たないのではないか。ですから私はさっき、事件が起こるたびに通達を出しているんだけれどもそれで効果があったのか、こういうふうに言っているわけなんですよ。ですから、警察庁が今回、これは十三日付で出した、それは警察庁としてはこういう努力をするんだという気持ちはわかりますよ。だけど実効性の点では実際にはほとんど役に立たないのではないか。  むしろ今問題なのは、監察官室をきちんとするということと同時に、公安委員会そのものの機能がきちんと発揮できるような、そういう仕組みにしていかなければならない、こういうことなんだと思うんですね。何しろ警察自体では自浄作用、自浄能力がもうないわけですから、一つは公安委員会がきちんとする、こういうことをやらなければならないと思うんですけれども、この公安委員会の強化対策というか、これは、再発防止対策によると、公安委員会の強化ということが書いてあるんですね。そのための警察法の改正というか、このことについても検討する、こういうふうに書いてあるわけなんですけれども、これは公安委員会のどういうところをどういうふうに強化しよう、こういうふうに考えているのか。これは公安委員長の方がいいですか。では長官の方でどうぞ。
  177. 関口祐弘

    政府参考人関口祐弘君) まずその前に、通達云々が徹底をしていないではないかというふうな御指摘でございます。  その点は私も、この十一月一日に全国本部長会議がございまして、そのときの冒頭の訓辞で全国本部長に対して言っているわけでございますけれども、不祥事の防止という点では事あるごとに私ども警察庁から都道府県警察に対しまして指示をしているわけでございます。それにもかかわらず、相も変わらず事案発生をしているということは、対策というものが上滑りと申しますか、そうしたことになっているんではないか。  そこで、本部長各位に指示いたしましたのは、通達とか会議の指示とかそんなものだけじゃ十分じゃないよ、やはり職員の琴線に触れると申しますか、そうしたきめ細かな教育というものが必要である。やはり職員というのは個人個人状況が違うわけでございまして、それに合った形での個別具体的な指導、教養というものをしていかなきゃいかぬというふうなことを強く強調したわけでございます。それとともに、本部長について、幾らあれしてもだめではないかというふうな御指摘でございますけれども、今後の問題でございますけれども、私ども適宜、本部長を何人かずつ私どものところへ呼びましてチェックをしていきたいというふうなことも考えているわけでございます。  それが前段の方でございますけれども、それでは国家公安委員会の機能の充実強化ということでのお尋ねでございまして、やはりその具体的な内容というのは現在私どもよりより検討をしている段階でございますのでいまだ申し上げる段階ではないかと思いますけれども、やはり実質的に公安委員会が機能していただくというためにどうすべきかということを真剣に今考えているところであるということで御理解を賜りたいというふうに思います。
  178. 富樫練三

    ○富樫練三君 今回の問題を通じて共通しているのは、警察の内部やあるいは警察がやっていることについては国民にはほとんど目に触れない、中がどうなっているのかわからない。公安委員会が何をやっているかというのも余りよく知られていない、そういう状況なんですね。そういう中で実はもみ消しなどが行われる。ですから、もっとオープンにして、国民に開かれた、そういう状況にしなければならない。  先ほど情報公開の問題がありましたね。必要なものは公開していくんだ、こういうことがあったわけですけれども、私は公安委員会が、例えば選任をするときにその地域の住民の皆さんとか必要なところからの推薦制度を設けるとか、新しい方向として。あるいは準公選制にするとか、これは一つの行政委員会というか、かつては教育委員選挙でやったわけでありますから、そういう意味では、今農業委員選挙で行われているわけであって、公安委員についてもそういうふうに開かれた制度にしていくということ。  もう一つは、今公安委員という方は非常勤が圧倒的ですよね。常勤にして、実際にやるとするとかなりの仕事があるわけなんです、これは。ということと、あわせて、今事務局というのは警察の中に置いているんですね。ですから、ほとんど警察が決定したことを後から判こを押す、こういう形にならざるを得ない。したがって、事務局は独立した事務局をしっかりと設ける。こういうふうにして公安委員会警察をきちんとチェックできるようなそういうシステムをつくっていかなければならないのではないかというふうに思うんですけれども、公安委員長、いかがですか。
  179. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 私も就任早々国家公安委員会あるいは県の公安委員会のあり方について警察法五条を一生懸命読みながら考えてみたわけであります。  何ができるのか、そして何をしてはならないのかという観点からこの五条を一生懸命読んでみますというと、よくわからない点があるのであります。つまり、警察という一つの命令組織の中でそこの中に公安委員会がどういう形で網の目のように入っていくかということについては、相当に慎重な検討が必要だなと、そして、考え方をきちんと整理した上で公安委員会警察組織の中に入っていくその考え方を固めていかなきゃならぬなと、就任したときにそういうような感じを持ちました。  今御指摘になられた点というのはまさにそのことだろうと思うのでありますが、私どもは、公安委員会があってただ判をついているというだけでは公安委員会の本来としての役目ではないと思いますから、警察組織が円滑にそして正常に作動するように、私どもの注意の目がどこまで行くかということについて十分に慎重に検討してまいりたいと思っております。
  180. 富樫練三

    ○富樫練三君 ぜひそういう方向で強化をしていただきたいと思うんですけれども、同時に、先ほど再発防止のところで、長官の方から、通達を出しただけではだめなんだと。私もそう思います。したがって、県警本部長を呼んで教育をするとかあるいは研修をするということも防止策には書いてあるわけなんですけれども、警察庁が今考えている中身というのは、全部上からこうしなさいああしなさいと、こういうことが共通しているんですね、この通達もそうですけれども。そういうことは今まで何度もやったんでしょう、だけどだめだったんでしょう。問題の一番大事なところをきちんとやっぱり分析されていないんだと思うんです、残念ながら。  午前中の質疑の中で、キャリア、ノンキャリアの問題が出されました。これは、警察の内部というのは軍隊よりも厳しい上下関係なんだと、階級制度なんだと、そういう中で下の方は上に対して物が言えない。そういう中で、だからこそ監察官室も機能しなかった、こういうわけなんですね。そういう中で、職場の本当に働いている警察官の皆さんが、気持ちよく自分の考えも言える、間違ったことがあったときにはこれは間違っているんじゃないかと物が言える、上に対してもちゃんと物が言える、こういう仕組みをちゃんとつくっていかなければいけないと思うんですね。そういう点でやっぱり改善策を考えるべきだというふうに思うんですね。  例えば、警察内部の重要な違反行為を知ったときには公安委員会に告発する義務とか、あるいは公安委員会に質問調査権を与える、こういうのも一つの方法だろう。諸外国を見ると、本来やるべきことをやらなかった場合の服務不履行罪、こういうのがあったり、そういうことも検討する必要があるのではないかというふうに思うんですね。ですから、物を言ってもそのことによって自分が不利益をこうむらない、こういう保障もきちんとつくってやらなくちゃいけないわけなんですね。  もう一つは、組織的にそういうことを保障していくという点で、今、日本の警察では働く人たちの団結権が認められておりません。ところが、ヨーロッパを初め先進国はほとんどのところは労働組合もあって団結権もあるんですね。そこが身分も守ってくれる、しかも自分の主張もできる、横の交流もできる、意見交換もできる、こういうことになっているんですね。  そこでちょっと伺っておきますけれども、G8各国の中で警察官の団結権が認められていない、法律上認められないという国はどことどこですか。
  181. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 若干古い資料で恐縮でございますけれども、アメリカ合衆国の連邦執行機関、それからイギリス連合王国、それからカナダの連邦警察に団結権がないというふうに承知をしております。
  182. 富樫練三

    ○富樫練三君 ILOの調査によりますと、これは九四年の調査なんですけれども、これではフランス、ドイツ、カナダ、イギリス、アメリカ、ここでは団結権が法律上保障されているんですね。例えばアメリカの場合は、FBI、連邦警察はそうではないんだけれども、あそこは州警察が中心になっていますから、州警察は全部認められているということとか、こういう形で、今、警察官の団結権をきちんと認めていく、そういう中で職場の改善もしていく、そういう不正の問題も防止していく、これが世界の流れなんですね。だから、そういう点から見れば、これがぜひ必要だというふうに思います。  最後に、ちょっと時間になりましたので、一点なんですけれども、私は、警察全体を根本から改革していく、出すべきうみは全部出して、その上ですっきりさせて、それで根本から解決するというふうにしなければ国民の信頼は得られない。もうそこまで、地に落ちるどころか地に潜った状況、こういう状況だと思うんです。  そういう点で、警察組織自体の構造をどう改革していくのか、早急な検討が必要だと思いますけれども、国家公安委員長の見解を最後に伺って質問を終わりにしたいと思います。
  183. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 我々が平穏な生活を営みますためには、治安の維持というのが欠かすことのできない事象だと思っております。  そういう意味で、国民が頼れる警察というのをやはり構築していかなければなりませんし、私自身、現状が全部がだめだという気持ちは持っておりません、きちんと働いて治安の維持に当たっておられる方がたくさんいらっしゃる、それでこそ日本の治安が維持されているということでありますから、そういう方々の士気が落ちないように私どもも努力をしていく、それも一つの仕事だろうと思っております。  同時に、今お話のありました内部でのふぐあいが生じないような監察体制というもののあり方については十二分に警察庁と相談をし、指導をしてまいりたい、こう思っております。
  184. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 社会民主党・護憲連合の照屋寛徳でございます。  私も自治大臣警察庁長官、それから海上保安庁長官に質問通告しておりますが、先に警察庁関係の質問をお許しいただきたいというふうに思います。  けさから議論されております神奈川県警の一連の事件、これはもう単なる不祥事という表現ではおさまらない、まさに神奈川県警組織を挙げての組織犯罪、組織ぐるみの犯罪だというふうに断ぜざるを得ない、こういうふうに私は思っております。そして、これほど多種多様な犯罪が繰り返される、こういう組織警察という名前で呼んでいいんだろうかと言う人すら出てきておるわけですね。  したがって、今度の一連の組織犯罪と言わざるを得ない神奈川県警の一連の事件処理を誤ると、またその再発防止のための手だてを誤ると、私は、もう警察国民から信頼を失って、みずから警察そのものが崩壊をしていく、そういう事態になるだろうというふうに思うわけであります。  そこで、神奈川県警のいわゆる覚せい剤隠ぺい事件というんでしょうか、元県警本部長渡辺泉郎を初め九名の犯人隠避、証拠隠滅事件で送検をされた事件内容、マスコミ報道ではなくして警察庁が承知をしておる内容をお教えいただきたいと思います。
  185. 石川重明

    政府参考人石川重明君) お尋ね事案は、元神奈川県警察の外事課警部補らの覚せい剤取締法違反事件に関連いたしまして、当時の警察本部長を含む県警幹部らが犯人隠避、証拠隠滅を図ったという事案でございます。  まず、犯人隠避事件についてでございますが、平成八年の十二月ごろ、元本部長ほか八名の者がこの元外事課員、元警部補覚せい剤取締法違反の事実を認知し、かつ立件送致するための十分な証拠が得られていたにもかかわらず現職警察官による覚せい剤使用の発覚を回避するために、本来行わなければならない捜査を行わず犯人を隠避したというものでございます。  次に、証拠隠滅事件でございますが、元監察官指示により、平成八年十二月十四日、外事課員が元警部補自宅と自供に基づく駅付近を検索いたしまして、覚せい剤様のものと注射器を発見したわけでございますが、これについて鑑定などの手続を全くとらないまま、元外事課員、これは元外事課員というのは外事課のその当時の課長補佐でございますが、の個人用ロッカーに保管して、その後、平成九年の十二月下旬ごろ、これらを廃棄して証拠を隠滅したというものでございます。  これらの事件につきましては、先ほど来御報告を申し上げておりますが、ことしの九月末以降鋭意調査及び捜査を推進いたしました。その結果、去る十一月四日、元警部補外一名を覚せい剤取締法違反使用で逮捕するとともに、十一月十四日に元本部長以下九名を犯人隠避の罪で、さらにそのうち元監察官以下四名を証拠隠滅の罪で横浜地方検察庁書類送致をしたというものでございます。
  186. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 この元県警本部長らによる犯人隠避、証拠隠滅事件送致、このことについてはもう繰り返しませんけれども、なぜ強制捜査、逮捕しなかったかという国民の怒りの声も現にございます。証拠隠滅の疑いを持たれている被疑者、確かに居所が定まって逃亡のおそれはないかもしれませんけれども、犯人を隠避し、証拠を隠滅するような被疑者が口裏を合わせるなどして証拠隠滅をする可能性は高いと私も長年の弁護士活動の経験でそう思わざるを得ません。  ともあれ、このことについて私がどうしても納得できないのが一点ございます。この問題について後ほど警察庁長官国家公安委員長に私はそれぞれのお立場で感想を求めたいと思っておりますが、一点だけ国家公安委員長に確かめておきたいのは、昨日でしたか、新聞のべた記事国家公安委員長の談話を読んで私は大変ショックを受けました。ショックを受けたのは、自民党県連のパーティーに御出席をされて、その場で本件に触れて、天皇陛下の在位十周年記念式典の十一月十二日を避けて送検をしたんだ、こういうことをおっしゃったという報道です。私はその報道の内容がどうだったかということをまず国家公安委員長に確かめたいことと、それから神奈川県警も同じような趣旨のことを、別のマスコミ報道では県警がそういう態度をとったということが報じられております。  なぜ私がこのことにこだわるかというと、この犯人隠避、それから証拠隠滅事件、いずれも公訴時効が迫っているわけですね。そうすると、早目に警察として立件をして送検をするというのが私は警察本来の任務だと思うんですね。それで、どうも一連の経過を精査すると、十一月十二日に送検可能であったにもかかわらず、天皇陛下の在位十周年記念式典を避けて、そういう慶事があるときにこのような組織ぐるみの犯罪、警察不祥事を表に出すのはまずい、こういう配慮で十二日を避けたと言われると、とてもこれは私は納得できないし、そういうことをするからますます警察に対する私は不信は深まってくるんじゃないか、こういうふうに思わざるを得ません。  したがいまして、国家公安委員長のこの御発言の真意というんでしょうか趣旨と、それから警察庁長官のお考えをお聞かせください。
  187. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 十四日に自民党の岩手県連のパーティーがございまして、そこへ参りまして私はごあいさつを十分ほどさせていただきました。当時自治大臣をやっておりまして、さらにまた、当時というか今もそうですが、国家公安委員長もやっております。それから、農林水産大臣の臨時代理でもあったわけであります。今の担当の状況について、担当する行政の状況について話をしてくれということでございましたから、かいつまんでお話を申し上げました。その中で神奈川県警の問題に触れたことは事実であります。しかし、今、照屋委員指摘のような、そういう、天皇陛下の御慶事があったからそれを延ばしたとか、そんなことは私は一切申しておりません。この場で明確に申し上げておきたいと思います。  もともと別のことでありまして、県警内部の手続それから日時を決めておやりになるということと、もう一つ、国民的な行事として仕組みました政府主催の行事その他はこれは全く別のことでありまして、ただ、そういうことがありました、つまりそういう御慶事がありました、私もお招きにあずかりましたというような意味のことは申し上げたかもしれません。それがつながって解釈をされたものと私は思うのでありますが、私自身、それによって捜査といいますか送検を延ばしたとか、そんな話を私ができるわけがありませんし、また神奈川県警内部のことについて、一々の事象について私が指図をするという立場にはないということはよく了解をしております、よく知っております。したがって、あの新聞記事は事実と違うというふうに申し上げておきます。
  188. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 今の国家公安委員長の御説明を聞いて安心をいたしました。  さて、例の神奈川県警厚木署事件それから相模原署の事件についてお伺いをするわけですが、私は、これ種々マスコミ等で報道されましたし、それから私どもも党の疑惑解明プロジェクトチームで警察庁から担当者おいでいただいて説明も受けました。それから議論もしたところでございます。  私は、この厚木署と相模原署の事件処理で何が間違っておったのか、それから両事件を通してなぜ国民警察に対する信頼を失ったのかというと、当初両事件とも、両事件とも行政罰としての懲戒処分はやったけれども、それぞれの行為について個別の事件として立件する姿勢が全くなかったですよね、神奈川県警でも。私は、その疑惑解明プロジェクトチームで警察庁の方にも、それはおかしいと。服務関係をめぐる懲戒処分と当然事案内容によっては個別の構成要件に照らして立件をして責任を問う、そういうことをきちんとやらないと、警察は身内をかばっているんだ、身内に甘い、こういうことで国民警察に対する不信感が増大をしていくわけですね。  そこで、この両事件概要と、今私が申し上げました、なぜ服務規律における懲戒処分、行政罰だけで当初個別事件として立件するというそういう態度が神奈川県警にはなかったのか、警察庁の立場で振り返ってどういうふうに考えておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  189. 石川重明

    政府参考人石川重明君) ただいま委員指摘の厚木警察署事案でございますけれども、これは同署の集団警ら隊警察官が、ことしの三月から七月までの間、管区機動隊員として他県に応援派遣中に複数回にわたって同僚に暴行を加えた、その暴行の加え方というものがけん銃を擬したり、あるいは後ろ手錠にしていろいろするといったような暴行を含むものであったわけであります。これは複数回行われたわけであります。  この件に関しては、行政処分と申しますか懲戒処分はとったわけでございますが、御指摘のように、これは隊員間の新入隊員等に対する指導の行き過ぎではないかといったような、いわゆる安易な考え方と申しますか、考え方でこの話について刑罰法令に触れる部分があるんじゃないかという検討が十分になされていなかったといったことは事実だろうというふうに思われます。  そこで、これについては警察庁からも実は指導をいたしました。そして、それに基づきましたと申しますか、神奈川県警察もそうしたことで捜査体制をとってこの事案について捜査をいたしました。そして十月一日に至りまして、遅まきながら元巡査部長一名を暴力行為等処罰ニ関スル法律違反等で通常逮捕するとともに、もう一名の元厚木警察署巡査部長と巡査二名を暴行罪等で横浜地方検察庁書類送致をいたしました。十月二十一日にこの両巡査部長につきましては起訴、巡査についてはそれぞれ略式起訴起訴猶予処分となった、こういう経緯をたどっているわけでございます。  それから、相模原南警察署事案は、この署の刑事課の元巡査長窃盗事件連合捜査の過程で押収をしたネガフィルムを勝手に持ち出して、あろうことか女性を脅迫したという事件でありまして、これについては捜査には着手をいたしました。そして捜査も実施をしたわけでございます。ところが、被害者の捜査協力が得られずに捜査が進展をしていなかったということで、膠着状態になっていたというところがあったわけでございます。  これにつきましても神奈川県警察において再捜査の結果、既に懲戒免職としていた元巡査長窃盗罪ということで十月一日に通常逮捕いたしまして、横浜地方検察庁は十月二十一日に同罪で起訴をしている、こういうことでございます。  この事件につきましては、全体の事件の構図と窃盗罪というところで問擬せざるを得なかったという点について捜査の停滞的なところがあったのではないかというようなことを、今になって思いますと感じるわけでございます。
  190. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 私は一等最初、両警察署事件報告を当該神奈川県警じゃなくして警察庁の担当者からお聞きをしたときに、やっぱり聞いた範囲の事案内容からしてもどうもやっぱりこれは懲戒手続だけで済まされる問題じゃないというふうに直感したんですね。  その厚木署事件にしても、なるほどいろんな組織の中で先輩後輩が、仕事を指導するというのでしょうか、そういう中でいろんな行為があるかもしれませんけれども、しかし、それが余りにも社会的な常識を逸脱した、しかもそれが具体的な犯罪を構成するようなそういうふうな内容であれば、私はやっぱり適正かつ厳正に個別事案として今後はきちんと立件しなさいということを警察庁指導しなければいかぬと思うんですね。  それで、あの厚木署事件でも、それはマスコミでは体毛を焼いたなんて書いてありますけれども、聞いたら、四名並べてそして陰毛にライターで火をつけてそれがナイアガラと称して、そういうことをやっておったということを私は聞いて、これはもうとんでもない、場合によってはこれは傷害罪にもなり得ますよ。むしろ私は傷害罪でなぜ立件しなかったのかなと思うぐらいなんです。  そういうことで、ぜひ今後は、私は、懲戒処分にとどまらない、やっぱり悪質な事案については徹底して個別事件としても立件するということを警察庁は各県警指導をしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  191. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 委員指摘のように、先ほど来御答弁申し上げておりますように、不祥事案を認知した場合には、まずその事実関係の全容を解明するために監察が調査を行うわけでございます。そして、その過程で刑罰法令に触れる行為関係職員にあるといった場合には、厳正な対処をするために、その事案というものを捜査部門に引き継いで、きちっとした捜査をして厳正な処理をするというのが原則でございまして、今後ともこのような形でこうした対応ができるように都道府県警察指導してまいりたいというふうに考えております。
  192. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは次に、警視庁の大井警察署の犯歴データの漏えい事件でありますが、これは私がマスコミ報道等で知りうる限りでの事実関係の把握でありますが、前科前歴などの犯歴データ、これはもう当該本人にとっては基本的な人権にかかわる大変重要な事項なわけですね。これがいともたやすく警察官によって漏えいをされて、しかも興信所の経営者に渡っておったという事件でありますから、これはもう本当に驚きであります。  それで、私は、警察の中における前科前歴のデータカードの保管は実際どういうふうにやられているのか、それから、恐らく法務省、検察庁でもそういうたぐいのものを保管しているんだろうと思いますね、その関係と、それから、漏えいした漏えいしたと言うんだけれども、その犯罪行為行為の態様はいかがなものであったのか、そこをお教えいただきたいと思います。
  193. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 犯歴データをどのような形で保管しているかということにつきましては、ちょっと所管外のことでございますので直ちに御答弁申し上げられないわけでございますが、恐らくコンピューターの中に入っているんじゃないかなというふうに承知をしております。  それから、漏らしたのはどういう形で漏らしたんだという話でございますが、これもまだ状況を十分把握してございませんけれども、恐らく口頭等で行ったのではないだろうか、こういうふうに思われます。
  194. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 そこら辺も、後日で結構ですから、コンピューターに入力管理されているデータを引き出してそれを書面で渡したのか口頭で漏えいしたのか、もしおわかりでしたら後日お教えいただきたいと思います。  それから、商工ローンの問題が今大変大きな社会問題になっておりますけれども、週刊文春の十一月十八日号で、商工ファンドから現職警部などへの献金が行われたと、こういう報道がなされました。  この商工ローンの問題というのは、高金利で、しかも無謀な融資をやり、かつ、強引な債権回収を図っておる、こういうことで今大変大きな問題になっているわけですね。恐らく、商工ローンなどの債権回収をする場合にいろんな筋の人間が絡んでくる、そして、それらの人たちがどういう経歴あるいは前科前歴を持っているかなど情報を収集することが債権回収で役立つ、有効であるということで恐らく現職の警察官などに献金をするということがなされたのではないかと私は思わざるを得ないわけであります。  この問題については、商工ファンドの社長が参議院の別の委員会で献金の事実そのものは認めた、こういうふうにも報じられておりますが、警察庁はこの週刊文春の報道について事実関係をきょうまでの段階調査をされたことがおありかどうか、調査結果を含めてお教えいただきたいと思います。
  195. 石川重明

    政府参考人石川重明君) この週刊誌に十一月十八日号で報道された件についてでございますが、商工ファンドから現職警部等への現金供与がなされたのではないかといった点につきましては、警視庁において調査をいたしましたところ、渋谷署の警部につきましては、商工ファンドに関連する捜査を契機として知り合った同社部長と職務上の必要から接触をしていたということはあるようでございますが、贈答品についてはその都度相当の品物を返礼した、飲食代は割り勘または自分で支払った、せんべつについては即座に返したといったことでございまして、不祥事案となる事実は警視庁において確認されていない。それから、捜査二課の警視につきましては、商工ファンドとは個人的にも職務上も関係なく、現金を受領した事実もないというふうに確認されたという報告を受けております。
  196. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それでは、海上保安庁に二点質問を通告しておりましたが、時間の関係で一点だけに絞って質疑をいたします。  沖縄サミットの警備とレジャー規制の問題でありますが、御承知のように沖縄県は観光立県、それで観光リゾート産業を戦略産業と位置づけて今取り組んでおるところでございます。夏場というのは観光客の中でも若者が多く沖縄に来るわけであります。その若者たちは、マリンレジャー、マリンスポーツを楽しむために沖縄観光にやってくるわけであります。  先日、海上保安庁長官は、沖縄での記者会見で、サミットと関連してマリンレジャーやそれから水産、海運などに海上行動の自主規制を要請するというお話をしておったようであります。  ところで、そのレジャーや水産、海運の規制の範囲とか期間だとか、それからその対象をやっぱり明確にしないと私は大変大きな混乱をするのではないか。現にもう観光業界ではそのことを非常に心配しているわけでありますが、そこら辺について、海上保安庁の取り組み方についてお教えをいただきたいと思います。
  197. 荒井正吾

    政府参考人荒井正吾君) 沖縄サミットは、地方で初めて開催される大変重要な会議でございます。会場が海に囲まれているという特殊な状況でございますので、海上警備はぜひとも成功させなければいけないというふうに考えております。  そのための海洋レジャーの自主規制でございますが、会期前後あるいは会場の周りあたりにはできるだけレジャー、漁業等の関係の船は遠慮していただきたいというのは偽らざる気持ちでございますが、関係者の方とよく話し合って協力しながらしなきゃいけないというふうにも考えております。  十一月八日に沖縄サミット海上安全会というのが設立されまして、那覇市長を初め関係の方が参加されまして、一致協力して円滑な海上航路、海上安全の環境づくりを通じてサミットを成功させようという団体が発足しております。そのような方たちとも相談を図りながら、できるだけ最小限の規制でかつ確実な警備ができるように具体的な範囲あるいは期間等を考慮していきたいというふうに考えておる段階でございます。
  198. 照屋寛徳

    ○照屋寛徳君 それじゃ最後に、警察庁長官もおいででございますので、私は、特に一連の事件との関係では監察官制度の問題とかさまざまあるんでしょうけれども、私がきょう強調しておきたかったのは、悪質なやっぱり個別事案については単なる懲戒手続懲戒処分だけで終わらせるんじゃなくして、事案によって個別の構成要件に該当するものについてはやっぱり厳しく立件をするんだ、そういう姿勢を警察庁が堅持をし、そして各県警指導する、こういうことが今最も求められておるのではないか、こういうふうに思いますので、そのことを踏まえて長官の御所見なりあるいは抱負なりをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  199. 関口祐弘

    政府参考人関口祐弘君) 最近のこうした事態、私どもまことに重く受けとめているところでございます。私どもとして今やるべきことは信頼の回復ということであろうと思います。職員一人一人がこのことを肝に銘じまして、信頼回復のため全力を尽くしていかなければならないというふうに考えます。  そうした問題の一つといたしまして、委員指摘のように、不幸にも何か不祥事案が起きたという場面につきましては、事実関係を解明しまして、それが仮に刑事事件のおそれがあるということであるならば、捜査部門におきましてきっちりと捜査をし、法と証拠に基づいて厳正に対処をしていくということが必要であろうと思います。その立場を堅持してまいりたいと思います。あわせて、行政処分等の必要性があればそうしたものを進めていく。いずれにいたしましても、不祥事案については厳正に対処をするということで私ども臨んでまいりたいというふうに思います。
  200. 高橋令則

    ○高橋令則君 質問をさせていただきます。  まず最初に、警察関係の問題でございます。既に各委員からるるお話がございましたので、具体的な問題についてはもう避けさせていただきます。  基本的にお聞かせをいただきたいわけですけれども、今回の神奈川県警の一連の不祥事件は本当に残念なことでございます。この中で極めて特徴的なのは、幹部がかんでいる、いわゆる警察キャリアの最高幹部の指示そして加担による組織犯罪である、そしてまた警察内部の機構を取り締まる監察が機能しない、逆にそれをむしろ工作、主導した。そして最後に、警察が管理している公安委員会制度、これ自体が形骸化しているというのがマスコミのまとめた指摘ではないか、私自身も同感であります。  改めてこの三点についての根本的な認識といったものについて、これは警察法第十六条に長官の義務があるわけです、それを踏まえて長官のお話をいただきたい。それからもう一つ、公安委員会制度については、大臣にお聞かせをいただきたいと思います。
  201. 関口祐弘

    政府参考人関口祐弘君) このたびの神奈川県の事案、なかんずく犯人隠避あるいは証拠隠滅ということで事件が送検された事案につきましては、当時の本部長みずからがこれに関与し、そしてその指揮のもとに関係の幹部多数がこれに加わっていたということでございまして、まことに遺憾な事態でございます。これまでにもこうした事態というのは全く聞いたことがない前代未聞の事態でございます。当時の本部長の認識、判断ということにつきまして大きな間違いがあったということを言わざるを得ないと思います。そして、監察官という本来自浄作用を行うべきものが機能していなかったということ、これもまた残念な事態でございまして、こうしたことを踏まえまして、私ども、組織管理者の質を今後いかに高めていくか、あるいは監察官制度の機能を十全に果たさせるにはどうすべきかということで現在検討をしているところでございます。
  202. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 公安委員会並びに国家公安委員会のあり方につきましては、先ほども御答弁をさせていただいたわけでありますが、現実、国家公安委員会は週に一度木曜日の十時からやっております。そこでやっておりますことは、おおむね事件等の概要について御報告を受け、それについて気がついたことを指摘するということをしておるわけであります。そのほか、人事等の御相談がございますが、現在の国家公安委員会としての活動はおおむねその程度というふうに考えてよろしいかと思います。  今、警察組織内部をきちんとしたものにしていくために国家公安委員会がどうあるべきかということについては、先ほども申し上げましたように、国家公安委員会の神経を警察組織の中にどういうふうに入れていくかということについては非常に難しい問題もある。警察という要は命令組織で動きます一つの集団でありますから、そこの中に、命令系統にさわらないようにしながら注意を喚起させていくその神経の入れ方というのは、よほど工夫をし、そしてまた慎重に検討してやりませんと間違いを起こすことになるかもしれない。そんなことを思いながら、国家公安委員会がこのままでいいのかどうかということについては十分に検討していかなきゃならぬ、こういう気持ちを強く持っておりますので、警察庁ともよく御相談を申し上げながら、国家公安委員会、あるいは都道府県におきます公安委員会のあり方について今後精力的に検討してまいりたい、私自身そう思っております。
  203. 高橋令則

    ○高橋令則君 公安委員会制度の問題については、私も改めてこういう六法とか解説書を見て感じたんですけれども、公安委員会は管理機関ですね。そして、警察は実施機関というふうになっている。この関係はなかなか難しいなと思っているんですよ。行政委員会は全体そうですけれども、その中でも警察関係は違うなと思っているんです。これと若干違うのは教育委員がそうなんですよ。通常の委員会の中の教育長と委員長というのは違うんですね。それぞれ事情があるものですから、その中でいろんな経過がありましてこうなっているわけですけれども。  私はがたがた細かいことを申し上げるつもりはありませんけれども、ぜひ今の機会ですから、公安委員のあり方について、今申し上げた行政委員会のあり方を含めて根本的にひとつ検討していただきたいと思うんです。ただ、それぞれ経過があり歴史があり、全部がらがらというわけにはいかないということも十分わかります。しかしながら、非常に問題でありますので、取り組んでいただきたいというふうに思います。  その中で、私はそういうことについては国家公安委員長及び長官にはぜひ早急に警察職員に対する信頼を取り戻して、何しろ二十四時間一生懸命やっている人たちが大部分であります。それのモラルが落ちるということはもう大変な問題であります。国の存立とは言いませんけれども、治安そして秩序は非常に大事でありますので、したがって厳しいことはきちんとやってもらいたいけれども、しかし一方では早急に必要な措置、対策をやっていただいて、そしてそれに対して早く安心できるような警察、信頼できる警察ということで取り組んでいただきたいと思うんです。  この決意を国家公安委員長にお聞きしたいと思うんです。
  204. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 日本の治安の維持というのは国民生活の安定、安心に非常に強いかかわりを持っておりますから、その警察一般庶民の皆様方に安心していただける、あるいは信頼していただける組織でなければならない、これが基本的な考えであります。その考え方に沿うように、私ども今後警察庁を督励して、警察のあり方そして開かれ方と申しますか、そういったことを十分に検討してまいりたいと思っております。  一番大切なことは、やはり国民に対する治安の維持であり、さらにそれを担当する現場の警察官が誇りを持って、倫理観を持って臨めること、仕事ができること、これを確保していくということが重要なことだと心得ておりますので、その線に沿って努力をしてまいりたいと思います。
  205. 高橋令則

    ○高橋令則君 次に、地方分権推進関係についてお尋ねをいたしたいと思います。  既に朝日委員からもお話がございました。この分権の中で極めて重要な問題が市町村合併の推進の問題でございます。これは画期的な法律だと私は思っているし、しかもこれは地方自治の問題だけではなくて国全体の問題だと思うんですね。いわゆる国から地方へ、中央から地方へ、そしてまた官から民へというふうな流れ、これをやっていかなければ我が国自体がもたないというぐらいの深刻な問題だと私は思っているんです。  私もかつて何遍か取り組んだこともございますけれども、こういう特別の法律をつくってそしてやるというのは、それだけのやっぱり背景というものがあるわけですから、通常の取り組みではなくて一生懸命やらなければいけないというふうに思っております。  かといって、地方自治の本旨といういわゆる憲法上の要請もありますから、これに反するわけではないですけれども、この分権法の成立に伴う推進について、まず自治省自身、取り組みが進んでいるはずですから、その経過と今後の取り組みの基本的な考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
  206. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 地方分権の一括法が成立をいたしましていよいよ実施の段階に入ってまいりまして、政令等の準備もそれぞれ行われてきつつあるわけでございます。  地方分権の考え方は、中央集権体制から地方分権体制への移行ということはこれは文字どおりでありますが、身近な行政は身近な市町村にできるだけ権限を渡してやっていただくということが非常に大事な考え方だろう、こういうふうに思っておるわけでございます。  私は、就任早々の記者会見でも申し上げさせていただいたんですが、地方分権というのを進めなきゃならないのは委員指摘のとおり流れでございます。それによって国民負担がふえるというようなことがあってはならない。つまり、組織の肥大化を招いたり、あるいは経費の増大を招いたりするようなことがあってはならないというのは私自身そういうふうに考えているわけでございますけれども、そういうものを検証しながら、地方分権の一つの流れというのは二十一世紀へ向けて大きな流れがこの日本でできてくる、そのことは長年の懸案事項でございましたので、私どもはこの流れに沿うように施策を考えてまいりたい、あるいは実行してまいりたい、このように思っております。  詳細については平林政務次官から補足の答弁をしていただきます。
  207. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) 地方分権の一括法が成立をいたしました機会に行いました措置につきまして、若干御説明をいたします。  この分権一括法の公布によりまして市町村合併特例法の改正が行われたわけでございますが、これはほかの法律に先立ちまして即日施行をいたしました。それで、この特例法の施行とともに、市町村合併を総合的に支援いたしますために、自治省に、市町村合併の推進についての指針を作成する等のことを行いますために合併推進本部をつくりました。今申し上げました指針の作成、都道府県に合併のパターン等を内容とする市町村合併の推進についての要綱の作成と周知をお願いいたしたところであります。  さらに、今回の市町村合併特例法の改正の合併推進のための支援策に加えまして、ちょっと詳しくなりますが、起債制限比率の全国平均を超える合併市町村についての特別交付税の措置とか、あるいは合併市町村の行う事業に対して都道府県が交付する補助金、交付金等についての特別交付税措置など、地方財政措置を拡充することにいたしました。  さらに、合併についての機運醸成を行うとともに、合併に向けての準備及び合併に伴って市町村が実施する事業に対して交付金を交付してはどうか、そういう考えから、市町村合併を推進するために必要な経費を平成十二年度の予算の概算要求に新たに盛り込んで要求をいたしております。  この合併特例法の期限が平成十七年三月でございますので、この期限内に十分な成果が上げられますように市町村合併を総合的に支援してまいろう、そういう所存でございます。
  208. 高橋令則

    ○高橋令則君 私もそれなりに承知をしておりまして、これはぜひ積極的に推進していただきたいというふうに思います。お願いを申し上げます。  それで、関連することになるかどうかわかりませんけれども、地方分権推進の一環としてこの前の本会議で私も質問させていただきましたいわゆる首長の多選禁止の問題であります。これについては、私も本会議で申し上げましたし、そしてまた政府の計画があるわけですね、地方分権推進計画です。それから、申しわけないんですが、三党の合意もあります。  それを踏まえて大臣の所見をお伺いしたいわけですけれども、ぜひ十分に検討してやっていただきたい。機関委任事務やら権限が地方団体に出てきますね。それと同時に、これは後で別途申し上げるかどうかはちょっと時間的にないんですけれども、いわゆる地方財政も今は非常に厳しいわけですけれども、最終的には税財源ともに自立できるような仕組みというものが流れだと思うんです。そういう中で、首長のあり方、これについてもやっぱり真剣に検討しなきゃならないと私は思うのです。  この辺について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  209. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 委員指摘のとおり、地方分権推進計画の中でこれは十分に幅広く検討、研究せよということになっておりますので、これはやっていかなければならないことだと承知をしております。自治省の中にも研究会を設けたりいたしまして検討しておるところでございます。  また同時に、今御指摘のように三党の合意がございまして、都道府県、政令市の首長の多選を制限すること等についての合意が成立をしておるということも踏まえながら、これは私どもの方でも十分にその対応を考えていかなきゃならないと思っております。御承知のように多選禁止の問題等については政党間で話し合いがされているところでございますので、政党間の話し合いを私どもとしては見守ってまいりたいと思っておりますが、各党各派において十分にお話し合いをしていただいて、委員指摘のようなことが進められるかどうか、精力的に政党間でお話をいただきたい、こんなふうに思っております。  ただ、基本的人権の問題としては若干問題がある場面があるかなと。例えば、選挙民がどうしてもこの人でという場合にまで制限ができるかどうかというようなこともあわせて考えなければいけませんので、そこら辺のところもあわせて政党間の協議を見守ってまいりたいと思っております。
  210. 高橋令則

    ○高橋令則君 自治省の研究会の中間報告は私も見させていただきました。余りにも中立的過ぎてがっかりしたんですけれども、ある意味では。私は新進党時代にプロジェクトに入っておりまして、そして地方基本法といったものに一緒に取り組んだのですけれども、その中の一つがこれだったんです。したがって、これが、各党がいろいろ変わっておりますのであれですけれども、こういうふうに政府自体の計画にも載っているということで私は喜んでいるわけでして、それはそれとして、いずれ地方自治のあり方として基本的に検討しなければならない問題であると私は思っておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。  それから、時間がなくなってきておりますが、税の問題は後にしまして、いわゆる経済新生対策についての負担の問題であります。  これも既に皆さん方にもお話があったんですけれども、負担をそれなりに地方財政の中できちんとしていただくというのが基本でありますけれども、それと同時に単独事業の中ではかなり残っている分もあるようなんです。それと同時に、やるものの中でも、経済新生対策に乗りかえると言うのは変ですけれども、税財政の中でうまく処理をしながらやる面もあるのかなというふうに思っております。  したがって、基本的には地方負担についてはきちんとしていただきたい。それと同時に、今残っている分についてもそれなりの手当てをしていただいて、そしてきちんと推進できるように配慮してやっていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  211. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) 委員も御承知のように、このたびの経済新生対策、この中で地方の単独事業をどう扱うかということは、地方財政計画に単独事業を相当多額に計画の額として入れ込んでおりまして、今日、地方公共団体の単独事業がまだ地方財政計画に考えて入れておる額ほど計上されておらぬ、こういう問題がございました。したがって、さらに追加して財政計画額を膨らませるというようなことはこの際はいたしませんでしたが、政府としては単独事業も公共事業と同じようにどんどんやってほしい、そういう気持ちがございます。  そのために、裏づけとして今後追加する地方単独事業につきましては、景気対策のための地方債、これは臨時経済対策事業債と名づけておりますけれども、充当率をもう地方債で全額、その事業費全額、一〇〇%充ててもよろしい、こういうことにいたしまして、その元利償還につきまして交付税を四五%まで措置する、そういう仕掛けをつくりました。こういうような地方債の弾力的な運用等の支援措置を講ずるということにいたしました。  さようなことで、地方単独事業もしっかりやってほしいということを申し上げておるところでございます。
  212. 高橋令則

    ○高橋令則君 単独事業については負担がやっぱり地方には相当あるものですから、したがって大変なんです。そういう意味では、自治省が地方財政計画の中に計上されてもうなかなか消化できないというのが現実にあるわけです。四兆円だったかな、あるんです。したがって、これはもうやむを得ないという面でもあります。  しかしながら、一面では、今回の経済新生対策の中に組み込んで財政的にもある程度できるような形で、そういう工夫も必要なのかなというふうに思っておりますので、ぜひとも細かにそれは見ていただきたいというふうにお願いをします。  時間になりましたので、最後に海上保安庁長官にお聞かせいただきたいんですが、海賊問題が浮上しておるわけですね、改めて。  先月、インドネシア周辺で、アロンドラ・レインボーという船がありますね、これが行方不明になりました。これは日本船籍ではありませんけれども、そのオーナーがそれであるとか、それから船長とか機関長が日本人だという報があって、これは大変な問題じゃないかというふうに思っておりますが、その実情の把握と対策はいかがですか。
  213. 荒井正吾

    政府参考人荒井正吾君) お答え申し上げます。  先月、十月二十二日にアロンドラ・レインボー号事件、海賊事件発生いたしました。当該船は日本船社が運航するパナマ船籍の貨物船でございまして、日本人が二名、フィリピン人が十五名乗船している船でございました。出港直後から連絡をとれない状況になっておりましたが、五日後の二十七日に運輸省の方に連絡がありました。  海上保安庁では、捜索及び必要が生じた場合の救助のために直ちに巡視船を南下させますとともに、航空機を捜索に向けました。また、付近の船舶に航行警報を発したり沿岸国の救助調整本部に情報収集を依頼したりという努力をしてまいりましたが、安否がつかめないまま過ぎて、今月九日に至りまして、乗組員全員が帰路の航路と逆のタイのプーケットというところで安全な状況で発見されたわけでございます。  同船は出港直後に海賊に襲われた、数日後に救命いかだに乗せられて海上に放置されたという状況がわかっております。なお、同船と積み荷の行方、アルミのインゴットを七千トン積んだ船でございますが、その行方についてはいまだ不明という事件でございます。  このような海賊事件の対策ということでございますが、東南アジアで最近多数発生いたしましたり、領海の中で海賊行為が行われたり、日本船がねらわれる、あるいは高価な船がねらわれるというような状況でございます。  今回も、通報に時間がかかったり、安易に乗船された形跡もございますし、その際も救難信号がすぐに発せられなかったというようなこともございます。  対策といたしまして、官民の海賊対策検討会議というのが設けられておりますが、その場で今回の事件の反省、分析を踏まえて、自衛手段の確立、救助信号が何かの方法で発信できないか、それから領海内で発生することを踏まえて沿岸国の取り締まりを強化してもらえないか、あるいは我が国の海上警察勢力を活用できないか等課題がございますので、今後の防止に全力を挙げて取り組んでいきたいという状況でございます。
  214. 高橋令則

    ○高橋令則君 終わります。
  215. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 参議院の会の松岡でございます。  きょうは午前中から私に至るまで五時間半もほとんど神奈川県警問題の集中審議のような形になったわけでありますが、たまたま私の方も地元の懐かしい皆さん方が国会見学ということでタイミングが合ってしまいまして、そういうことを考えますと、警察の皆さん方も地域の中では本当に密着したいろんな関係があるわけです。  四十八年でしたか、光井というところで警察官が二人猟銃で射殺されまして殉職されました。ちょうど私、当時の県警本部長と一緒にその部落に駆けつけたことを思い出しておりますし、ことしはまた春に、室積で親子が未成年に殺されたという大変な事件が起きまして、二十三歳の若いお母さんと一歳に満たない女の子の二人が殺されたわけですけれども、御主人がやはり未成年の犯罪を許せないということで、とにかく会社もやめましてそれに専念しているという状況であります。私の近所でも放火事件がありまして、徹夜で警察官が頑張られて身柄を確保するとか、また数年間暴走族に、私のところは海水浴場があるものですから、道路は広いし、これは本当に悩まされたんですけれども、警察の皆さん方が長いこと頑張ってとうとう暴走族を解散させるということにもなったわけであります。  先ほど来警察の犯罪だとかいろんな言葉がありました。大臣も御承知のように、権力は腐敗するという言葉があります。国家権力とか警察権力という言葉がありますね。国民の安全と財産を守るために国民の立場に立って警察官に力を与えている。今回の犯罪を見てみますと、普通の国民とある面では同じことをやっているんですね。同じことをやろうと思ったら権力があるわけですから何でもできてしまう、そういう恐ろしさを実は感じているんです。  例えば、空手の有段者というのは絶対けんかをさせない、けんかをしちゃいけない、力があるんだから、これが当たり前なんですよ。そういう自覚がどうなっているんだろうかと。  確かに、今の日本を見ますると、戦後五十四年たっていろいろな面での腐敗とか、本当にこれがかつての日本人だろうかと思われる部分がたくさんあります。それが象徴的に今度の警察の問題に噴き出してきているというふうに思うんです。  あの本当に一身をなげうって地域の安全を守るために身をささげられた方々、そして本当に真摯に頑張っておられる方々、それも二十三万の中にたくさんおられるわけですよ、先ほどの大臣答弁のように。しかし、こういうことをやっちゃうと、みんな国民が、待てよ、山口県の警察本部もおかしいんじゃないだろうかという話に必ずなっていくわけですよ。それに対して、一般の人と違う警察官としては、やってはいけないこと、断固やらなきゃいかぬこと、いいことと悪いこととの区別がもうつかなくなってきている、残念ながら。  私は、この前の通常国会のときにも、前の深山県警本部長ですか、あの女子大生事件のときに、とにかくすぐ対応するということが大事だ、だから県警本部長会議も十一月にやるというよりすぐやったらどうですかと言ったら、予定どおり十一月にやっておられるわけでしょう。だから、こういう事件が起きたらすぐさま対応する、スピードを持って、ということが一つ大事ですね。  それからもう一つは、やっぱり風通しをよくするということが大事だと思うんですよ、風通しを。さっき二層制の話も出ました、キャリアとノンキャリアの問題。ノンキャリの皆さん方がしっかり頑張ったらぽんと昇進できる道を開くとか、あるいは、ちょうど私、四十六年に光の市長になりましたときに、松戸の市長さんで松本清さんという方がおられて、すぐやる課というのをつくったんですよ。当時、美濃部都政も出てきて住民意識が随分変わってきている。だけれども役所が旧態依然として対応できない。市役所に何か文句を言いに行くと、あっちへ行ってください。農林部に行くと、いやそれは建設部へ行ってくれとかたらい回しするわけです。非常に評判が悪い。だから、私はすぐ松本清さんにお会いして、すぐやる課という名前をつけるのは嫌だから市民サービス課というのをつくりまして、それで市政懇談で行きますと、何々部長はけしからぬが市民サービス課長はよくやってくれていると。ということは、何でも受けとめなさいと、窓口で。そういう窓口をやはりきちっとつくることとか、先ほども大臣もその話に触れておられます。  だから、何でも相談できるよ、商工ローンの問題でも、そういう国民に開かれた警察ということもひとつ考えられるということと、やっぱり随分沈滞しているんだろうと思うんですね。長い間の組織の中で疲労が出てきている。やっぱりどんどん若い人や下積みの人たちの提案を受けとめていく。提案制度をどんどん活用されたらいいと思うんです。  まず大臣伺いますが、私はすぐ対応せいと言ったのに延々と引きずられた。そして、今度の問題がまた出ている。あの深山本部長のときに出た問題、それ以前の問題が今出てきているわけですね。そうすると、あの時点で既に今回の事件というものが把握できていたのか、それをまた隠してしまったのか、あるいは先ほど官房長が言われたようにマスコミ報道があるまで全くわからなかったのか。どういう対応を前回の通常国会後なされておられるのか、その辺の対応の問題と、そしてこれだけ信頼を失ってしまっている、だけれどもやっぱり我々国民警察の力に頼って安全と財産を守っていただかなきゃいけない、これはもう変えようがないわけですから。そのためにどういう形で国民に対して信頼を回復しようとしておられるのか。この二つをひとつ国家公安委員長の方から、きょうは国民の代表も傍聴に来ておりますので、わかりやすく語りかけていただきたいとお願い申し上げます。
  216. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 松岡委員から大変適切な御指摘をいただいたものと考えております。  今度の事件、大変国民の皆様方に対して申しわけないことを警察の中でやっておった。三年近く前の話でありますけれども、今ここでこういうふうに事件化したということは、裏を返せば、これが明るみに出てよかったなとも思えるようなことなのであります。  その後、警察の信頼が失墜してしまうというような事態に立ち至っているということについては、大変私も残念に思いますが、今、松岡委員指摘のとおり、全国警察官は本当にまじめに取り組んでいただいておりまして、そういう警察官の方々がいらっしゃればこそ日本の治安は維持をされておるということを考えますと、この方々の士気に影響を与えてはいけない。しかし、この事件はそういう方々の士気に影響を与えたという意味で非常に大きな意味があったと思いますけれども、現場の警察官の皆様が士気を落とすことのないように、そして犯罪に立ち向かって日本の治安を維持してもらいたい、これが私の基本的な考え方であります。  その上に立って、こういう事件が起こりました以上は、どういう処置をするか、これはもう検察に入っておりますので検察の事項と思いますけれども、信頼回復のために何をするかといいますと、やはり警察内部の最高責任者である県警本部長以下幹部の皆様方が現場に対する思いやり、あるいは意思の疎通、今風通しというお話をいただきましたが、そういうことに十分心がけて、そして警察内部の体制を極めて意思の通りやすいものにしておくというようなことが大変必要なのではないかと思います。  また、国民との間の関係においては、警察に行くのは嫌だ、警察に行くとうるさいからなというようなことのないように、やはりそこは警察という仕事の性格上ある程度うるさい場合もあるかもしれませんけれども、親切に対応してくれる警察であるというようなものであるべきだと。そのためには何をしていったらいいかということについて十分にこれからも検討を加えて、おっしゃるとおり、できるだけ早くそれが実現するように努力をしてまいりたいと思っております。  なお、県警本部長以下の警察官の皆様方に求められるのはやはり高い倫理性だと思いますので、その倫理性を養う教育あるいは教養というものを今後十分考えていかなきゃならぬことだと、このように認識をいたしております。  事実関係等につきましては、官房長がおりますから、もし必要でありましたら御説明をさせます。
  217. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 神奈川県警察をめぐる一連の不祥事案が続発をいたしまして、大変遺憾に存じておるわけでございます。  このお話は、委員指摘のように、九月の初旬の段階からのお話でございまして、特に先ほど来お話のございました厚木警察署事案あるいは相模原南署事案というのは起きてはならないことが起きたと。ただ、その起きてはならないことが起きたということもさることながら、その事案処理が適切を欠いた、またそのことについて報道対応にも不適切な点が多かったということでかえって事態を深刻化させたということがあったわけでございます。  そこで、九月九日だったと記憶しておりますが、官房長名の通達を発出いたしまして、これは業務管理がしっかり行われていないというところが一つあるだろう、そこの点についてきちっとやるべきだと。それから、警察官の倫理というものについていま一度徹底をする必要があるだろうと。それから、今第一線の警察官がどういう形で物を考えどのように行動しているかということについての心情、こういうものをよく把握する必要がある。それから、事案が不幸にして発生した場合には、これは刑事立件も含めて厳正に対応するんだと。それから、報道対応としては、真摯に報道対応に努めるんだといったようなことにつきまして全国警察に徹底をいたしまして、そして全国警察がそれぞれさらに工夫を加えまして、今第一線でいろいろ、例えば警察署でグループ別にこういった問題について真剣に協議をするといったようなことで、こういったことが起きないように努力をしていたそのさなかだったわけでございます。  今回、神奈川県警元本部長を含む九名の者が犯人隠避、あるいはそのうちの四名が証拠隠滅ということで書類送致をされるという事態に立ち至ったということをさらに私ども重く受けとめているわけでございます。一体どこに問題があったんだろうかということで、やはりこれにつきましては、組織の根幹を担う幹部としての行動規範というものについて、いま一度それぞれのつかさつかさでしっかり認識をして適正な行動をとらなければならない。また、監察体制に今回問題があったということで、監察体制を充実強化する、またそれについてどういうふうに未然防止対策が推進されておるのか、あるいは事案処理がなされておるのかということについて点検をする必要があるということで、監察の問題。  それから、今回の反省の一つといたしまして、やはり都道府県公安委員会に対してこういった問題について適時適切な報告が必ずしもなされていなかったうらみがある。この点についてはきちっと対応する必要があるといったようなことにつきまして、次長通達を十一月十三日に発出いたしまして、今全国でそれぞれ消化に当たっている、こういうような措置をとってきたわけでございます。
  218. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 事実関係は今お話しになったことだろうというふうに思うんです。  いずれにしましても、基本的なことは、自分たちは一定の権力を国民の安全と財産を守るために与えられている、だから普通の人と同じことをやっちゃいけない、どんなことがあってもやっぱり悪いことをしちゃいけない、悪い人を捕まえる仕事なんですから。そういう基本的な自覚、警察の原点に返るということを徹底してやるしかないと私は思うんです。  それで、先ほど来、先行議員からも、通達なんか出したって全然役に立っていないじゃないかというようなお話もありましたが、たまたま十三日付のこの通達を私も拝見したわけです。  この中で、二番目に「管理者として必要な基本的心構え、各業務運営に当たって管理者として把握すべき基本的事項等の教養を徹底する。」ということがあります。この「必要な基本的心構え」というのは今までもずっとやはりテキストかなんかでやっておられたのか、今度新しくやられるのか。その心構えの中身は一体何なのかということと、先ほど来、監察体制の問題についても公安委員会と同様にいろんな議論がありました。今回は、三番目に「特別監察を随時実施する」ということがあります。この特別監察というのは一体何なのか。これで少しは風通しがよくなるのか。  こういう問題について、きょうは最初、自治大臣・公安委員長だけというふうに考えておったんですけれども、途中で委員長、理事の御理解をいただいて官房長にも出ていただいておるわけですが、この辺についてのお答えをいただきたい。
  219. 石川重明

    政府参考人石川重明君) 幹部の教育の問題でございますけれども、まず国民とともにある警察という基本理念にのっとって、府県警察のそれぞれの段階の幹部として、つかさつかさでどのような基本的な心構えで仕事なり身の処し方を考えていったらいいか、あるいは監督者としての責任論、こういった問題。あるいは、それぞれ段階によって担当業務が違うわけでございますが、そういう業務を執行していく場合において、今まで問題があった点についてどういった観点から改善方策を講じていくのか。こういったようなポイントについて、これも都道府県の段階でいろいろ工夫をしながら、署長になる者とか現任の署長であるとか、あるいは本部の課長であるとか刑事課長とか、そういった立場にある者がそれぞれの段階で先輩から教育を受けると。そして、それを自分の行動規範とするために自己啓発の契機とするといったようなことを考えておるわけでございますが、これは都道府県警察においていろいろなやり方、例えばケーススタディーでやるとかいうようなことを今検討して実施に移しつつあるところだというふうに承知をしておるわけでございます。  それから、特別監察の問題でございますが、これは今までも警察庁として業務監察あるいは服務監察というものを都道府県警察に対して行ってきておるわけでございますが、今回の問題につきましては、現在この種の不祥事案の未然防止対策とかあるいは処理のあり方というものが第一線警察においてどうなっているのか、そういう実態を点検してみたい、こういうことも考えておるわけでございます。そうした点検の中からいろいろな教訓事項というものをくみ出して、それぞれそういった情報というものを各都道府県警察が共有化して改善に資していくということが必要でございますので、警察庁長官の命によりましてプロジェクトチームを編成すると。  このプロジェクトチームは警察庁の中に置くわけでございますが、官房長を長といたしまして、首席監察官が副、それに各局の仕事を担当しております官房審議官というポストがおるわけでございますが、こういう者、あるいは各局、部の庶務担当課長等がメンバーとなりまして、それぞれ例えば監察の体制がどうなっているのか、本当に適材適所の形になっているのか、監察業務が日常どのような形で処理をされているのか、あるいは今までいろいろな形で不祥事案として問題になったようなケースについて業務管理のあり方がどうなっているのかということをつぶさに見せていただいて、そしてそこで第一線と一緒になって考えて、こうした不祥事案が再び発生しないようないろいろな制度的な保障といったようなものを考えていきたい、こういうことで実証したいと思っておるわけでございます。
  220. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ぜひスピードを上げて国民の信頼にこたえる体制を早くつくっていただきたいというふうに思います。  地方分権の問題ですが、今、我が国が置かれている状況の中で、百年たつと恐らく今の一億二千六百万が六千万人ぐらいになるだろうというのが厚生省あたりで出ている数字です。確実に少子高齢化の中で人口が減っていくという問題。それからもう一つは、やはりグローバルスタンダードかアメリカンスタンダードかわかりませんが、金融、経済を中心として大きく経済構造が、物差しが変わってきている。だから日本の産業は、今の段階では国内の需要を見たら物余りで、つくり過ぎで設備が過剰だ、しかし世界を相手にするには小さ過ぎる、だからその中で統廃合とかリストラとか、大変なきしみが生じてきているわけです。  小渕さんも、今度の予算で十八兆ですか、新聞なんかを見るともう五十兆も使っているじゃないかと。橋本さんから通算すると、相当な公共事業景気対策を打ってきているわけです、金融の六十兆はまた別にして。しかし、五年ぐらいは私はなかなかよくいかないだろうと思うんです、経済の状況。  片方で人口が減るということと経済の体質が変わってきているということ、それともう一つは、国、地方を通じて六百兆円からの借金をしている。この三つの重荷をしょって二十一世紀に向けて、経済、それから行政、政治、社会、全般にわたって、それに見合ったスリムで効率的な仕組みにつくりかえていかなきゃいかぬと。そのためにいろんな御努力を皆さん方がしておられるというふうに私は思うんです。  その中で、さきの通常国会の中で政府委員制度の廃止、今回はこういう形で試行しているわけです、大臣政務次官だけ御出席いただくという形のものをやっている。それから、国家公務員の定数も削減していく。国会議員の数も当然減らしていかなきゃいかぬ。あるいは地方分権、情報公開、さまざまなものを今試みているわけです。それはやはり一つの方向として、人も減っていくし、経済の活力も今までのような形じゃないよ、借金は抱えているよ、これをどうするんだというところに集中しておると思うんです。  地方分権につきましても、そういう意味では、先ほど来議論がありましたように、国の省庁も減らしていく、将来の府県制度がどうなっていくかは見えないにしても、地方の数も三千二百ではこれはとても受け皿たり得ない。本来ならやっぱり機関委任事務を廃止するということと税財源を地方に与えるということが車の両輪でなきゃいけないんだけれども、そこまで行ってないから財源まで行ってないと。それはやはり将来、地方自治体を受け皿としてしっかりしたものができてくれば、これはだんだんにそういう方向に行かざるを得ないだろうというふうに思っておるわけです。  しかしいまだに、どうもこのところの政府の状況を見ていると、例えば介護保険の問題もそうです。それから、少子化対策の予算が二千億円つきました、これは私はいいことだと思います。ただ、いつまでたっても決定は国だ、実行は地方だという仕組みなんですね。地方分権とはいいながら、実態はそうじゃないんです。やっぱりお上の力でずっと下まで行っている。国や政党間で決めた、このとおりやりなさいと。ところが、今回は、法律では介護保険を来年四月からやると言ったのに、今は三党協議か何か知りませんが、そういう形で、市町村長も非常に怒っているわけですよ。  先週、全国市長会の役員会があって、厚生省それから自治省も皆出席されたわけですけれども、一時間ぐらいの予定が三時間ぐらいかかったという話を聞いているんです。昔の市長会というのはもっとおとなしくて、はいはいというようなことでしたけれども、けんけんがくがくやっているわけです。それはそれで私はいいことだと思うんだけれども、今回の介護保険の問題についても、やっぱり地方の意見というのをもうちょっと聞いて実施するとか、あるいは今度の少子化対策についてもそういう地方の意見を聞いてほしかったなという思いがするんです。  これは厚生省の仕事だとはいいますけれども、自治省は地方自治体の立場に立てる唯一の省庁なんですよ。それだけの期待が、地方自治体から見れば、これから地方分権になっていくんだし我々も頑張らないかぬという思いで見守っておったところが、がたがたとこういう形になってきているという部分があると思うんです。だから、今後もぜひそういう立場でお願いしたいと思うんです。  今回のこの二つの問題について、自治省としてどのような機会にどういう発言をされどういう対応をされたのか。今後こういう問題が起きたときに、もっと積極的に、地方分権という方向に進みよるわけですから、その方向に立って自治省としても頑張っていくというお気持ちをお聞かせいただきたいというふうに思います。
  221. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) 非常に広範な面から地方自治を論ぜられまして、私も感銘を受けてお伺いをいたしました。  それで、地方の自主性、自立性を高めるということは、我々も、地方分権の一括法が先般成立いたしましたさような機会に、単なる地方自治あるいは分権の思想だけでなくて、実態が自主性、自立性ということで証明されるような、そういう地方自治でありたいものと願っておるわけであります。  したがいまして、介護保険とかあるいは少子化対策とか、そういうことにつきましても、地方の意見をよくお伺いするということは自治省の任務としても当然だと思いますし、また、介護保険や少子化対策がいわば全国的な国の施策として各地域の実情に応ずるような成果が上がる、さようなことのためには各町村会とか市長会とかあるいは知事会とか、いろんな団体の意見が反映をされますように、国の意見と地方の意見とがうまくマッチをして国民の幸せに役に立つように、そういうような考え方のもとに地方自治をさらにしっかりしたものにしていただきたい、そう思ってやっていくつもりでございます。
  222. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 いつまでも決定は国で実行は地方ということじゃなくて、決定の段階で地方の意見が反映できる、そういうことでぜひ御努力いただきたいと思います。  時間もありませんが、最後に一つだけ、今度の十八兆の景気対策で、特に中小企業対策ということでありますけれども、どうも公共事業がもう地方では財政の面でのみ込めないという厳しい状況にあるわけです。だから、生きた金がうまく使われていないという部分がやっぱりあると思うんです。  昭和四十六年に広域市町村圏が始まって、それぞれ広域的に消防とか医療とか福祉とか大分なれてきているんです。特にきょうお願いしたいのは、消防庁舎です。これは私が市長時代に、三十年前につくって、三十年たってもう建てかえなきゃいかぬ、各地で大体そうだと思うんです。  今、消防の業務は単に火を消すということじゃなくて、救急搬送、大変な仕事をやっているわけです。それで、六十五歳以上のお年寄りが十年前は二九%ぐらいだったんです。今はもう五〇%ぐらい六十五歳以上のお年寄りを運んでいるんです。そういう地域に密着したお年寄りのために頑張っている消防。ところが、これは起債でやるしかない。だから、そういう地域のために役に立つ大変な仕事について、もう少し財政的な対応というものを御考慮いただけないのだろうかという思いがするんです。これをやると地域が本当に喜ぶと思います。それこそ合併にも拍車がかかるかもわかりません。  この辺の問題と焼却炉の問題と二つあるんですけれども、とりあえずきょうは消防庁舎の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
  223. 平林鴻三

    政務次官平林鴻三君) おっしゃいますように、現在の仕組みは補助金を国から交付してそれで消防庁舎を建設するという制度はございません。  恐らくもう概算要求の時期も過ぎておりますので、来年度かようなことをさらに追加要求するということも私はちょっと難しかろうと思っておりますが、御承知のように、地域総合整備事業債とかそういうものの中に防災まちづくり事業といういわば起債を大幅に認めて、それで単独事業ではありますが、有利な形で消防庁舎を建築するというシステムが既にできておりますので、さようなものを活用しながら、庁舎その他消防の力がつくようなそういう対策を講ずべきであると思っております。  なお、基本的な方針につきましては自治大臣からお答えをいただけるものと思います。
  224. 保利耕輔

    国務大臣保利耕輔君) 委員指摘のように、消防というのは非常に地域住民にとっても大切な機能でありますし、また大切にしていかなければならないということを考えますと、ただいま政務次官からお話しいたしましたように、防災まちづくり事業等でできるだけ有利な条件で仕事ができるように取り計らっていくというのが現在の自治省の立場でありますけれども、委員の御指摘は十分に胸に入れて今後対処してまいりたいと思います。
  225. 松岡滿壽男

    松岡滿壽男君 ありがとうございました。終わります。
  226. 和田洋子

    委員長和田洋子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時八分散会