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1999-11-15 第146回国会 参議院 行政監視委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十五日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     委員長         浜田卓二郎君     理 事         大島 慶久君     理 事         塩崎 恭久君     理 事         田村 公平君     理 事         渡辺 秀央君     理 事         田名部匡省君                 阿南 一成君                 海老原義彦君                 木村  仁君                 坂野 重信君                 田浦  直君                 成瀬 守重君                 馳   浩君                 山内 俊夫君                 脇  雅史君                 江田 五月君                 岡崎トミ子君                 小林  元君                 小宮山洋子君                 角田 義一君                 長谷川 清君                 藁科 滿治君                 加藤 修一君                 益田 洋介君                 岩佐 恵美君                 小泉 親司君                 富樫 練三君                 梶原 敬義君                 高橋 令則君                 石井 一二君     ─────────────    委員異動  十月二十九日     辞任         補欠選任      大島 慶久君     田中 直紀君      坂野 重信君     岩井 國臣君      塩崎 恭久君     井上  裕君      田浦  直君     有馬 朗人君      田村 公平君     太田 豊秋君      成瀬 守重君     武見 敬三君      馳   浩君     岩瀬 良三君  十一月一日     辞任         補欠選任      井上  裕君     塩崎 恭久君  十一月九日     辞任         補欠選任      角田 義一君     浅尾慶一郎君  十一月十日     辞任         補欠選任      浅尾慶一郎君     角田 義一君  十一月十二日     辞任         補欠選任      岡崎トミ子君     藤井 俊男君      田名部匡省君     堂本 暁子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         浜田卓二郎君     理 事                 岩井 國臣君                 太田 豊秋君                 田中 直紀君                 江田 五月君                 渡辺 秀央君                 堂本 暁子君     委 員                 阿南 一成君                 有馬 朗人君                 岩瀬 良三君                 海老原義彦君                 木村  仁君                 塩崎 恭久君                 武見 敬三君                 山内 俊夫君                 脇  雅史君                 小林  元君                 小宮山洋子君                 角田 義一君                 長谷川 清君                 藤井 俊男君                 藁科 滿治君                 加藤 修一君                 益田 洋介君                 岩佐 恵美君                 小泉 親司君                 富樫 練三君                 梶原 敬義君                 高橋 令則君                 石井 一二君    国務大臣        国務大臣        (総務庁長官)  続  訓弘君        国務大臣        (防衛庁長官)  瓦   力君    政務次官        厚生政務次官   大野由利子君        防衛政務次官   依田 智治君         ─────        会計検査院長職        務代行        検査官      杉浦  力君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        田中 久雄君    政府参考人        公正取引委員会        事務総長     塩田 薫範君        警察庁長官官房        長        石川 重明君        警察庁生活安全        局長       黒澤 正和君        警察庁警備局長  金重 凱之君        大蔵省関税局長  渡辺 裕泰君        大蔵省理財局次        長        村井 博美君        厚生省生活衛生        局水道環境部長  岡澤 和好君        厚生省医薬安全        局長       丸田 和夫君        厚生省年金局長  矢野 朝水君        海上保安庁長官  荒井 正吾君        郵政大臣官房人        事部長      是枝 義人君    参考人        年金福祉事業団        理事長      森  仁美君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○国政調査に関する件 〇政府参考人出席要求に関する件 〇参考人出席要求に関する件 ○行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関  する調査  (財政投融資対象機関点検に関する件のうち  年金福祉事業団について)  (現下緊急課題に関する件)     ─────────────
  2. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) ただいまから行政監視委員会を開会いたします。  議事に先立ちまして、一言ごあいさつを申し上げます。  去る八月十三日の本会議におきまして行政監視委員長選任されました浜田卓二郎でございます。委員長としてその職責の重大さを痛感している次第でございます。委員皆様方の御指導、御鞭撻を賜りまして、円満かつ公正な運営に努め、職責を全うしてまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)  速記をとめてください。    〔速記中止
  3. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 速記を起こしてください。     ─────────────
  4. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 委員異動について御報告いたします。  去る八月十三日、続訓弘君が委員辞任され、その補欠として私、浜田卓二郎選任されました。  また、去る十月五日、加藤紀文君が委員辞任され、その補欠として成瀬守重君が選任されました。  また、去る同月二十日、輿石東君、千葉景子君、堀利和君、小川敏夫君及び櫻井充君が委員辞任され、その補欠として藁科滿治君、江田五月君、角田義一君、岡崎トミ子君及び小林元君が選任されました。  また、去る同月二十六日、大森礼子君が委員辞任され、その補欠として渡辺孝男君が選任されました。  また、去る同月二十七日、松あきら君及び渡辺孝男君が委員辞任され、その補欠として益田洋介君及び加藤修一君が選任されました。  また、去る同月二十九日、大島慶久君、田村公平君、坂野重信君、田浦直君、馳浩君及び成瀬守重君が委員辞任され、その補欠として田中直紀君、太田豊秋君、岩井國臣君、有馬朗人君、岩瀬良三君及び武見敬三君が選任されました。  また、去る十一月十二日、岡崎トミ子君及び田名部匡省君が委員辞任され、その補欠として藤井俊男君及び堂本暁子君が選任されました。     ─────────────
  5. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が五名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事田中直紀君、太田豊秋君、岩井國臣君、江田五月君及び堂本暁子君を指名いたします。     ─────────────
  7. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。  本委員会は、今期国会におきましても、行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  9. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。続総務庁長官
  10. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) お許しをいただきまして、ごあいさつを申し上げます。  このたび総務庁長官及び行政改革担当大臣を拝命いたしました続訓弘でございます。  私に与えられた職責一つとして、政府部内での行政評価監視にかかわる仕事を担当していくこととなりました。どうか今後ともよろしくお願い申し上げます。  さて、我が国の行政は、二十一世紀を間近に控え、大きな転換期にあります。明治以来の行政システムを抜本的に改める中央省庁等改革につきましては、さきの通常国会で成立した中央省庁等改革関連十七法にのっとり、二〇〇一年一月の新体制への移行を円滑かつ着実に実施するために省庁改革施行関連法案を提出するなど、諸準備を進めております。  この中央省庁等改革の重要な柱の一つとして、国民的視点に立ち、内外の社会経済情勢の変化を踏まえた客観的な政策評価機能を強化することとされており、まず府省において所掌する政策について厳正かつ客観的な評価を行い、その上で総務省において府省の枠を超えた立場から政策評価総合性及び厳格な客観性を担保するための評価を行うこととされております。  現在、二〇〇一年から新たに導入される政策評価制度が円滑にスタートできるよう、総務庁を中心として各省庁との連携を図りつつ、その実施のためのガイドラインの策定や評価手法研究等、所要の準備を精力的に進めているところであります。  また、政府部内の自己改善機能である行政監察実施状況につきましては、今年度に入り、日本道路公団、石油公団国際協力事業団など十三の特殊法人について財務内容等から見た課題を明らかにしたのを初め、高速道路郵政事業、要援護高齢者対策など幅広い行政課題について十件の勧告等を行っております。直近では去る十月に国立病院療養所について経営管理の徹底、病院運営効率化などの勧告厚生大臣に対し行ったところであります。今後とも、これまでにも増して行政監察機能の的確な発揮に努めてまいる所存であります。  国会における行政監視機能政府における行政監察機能がそれぞれの役割を十全に果たし、相携えて行政改善に邁進することが求められていると存じます。  私に与えられた職責の重大さを改めてかみしめ、誠心誠意職務の遂行に当たる所存でございますので、浜田委員長を初め、理事委員皆様方の格段の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)     ─────────────
  11. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 本委員会の今後の運営につきまして御報告いたします。  理事会における協議の結果、調査を行うに当たっては、引き続き時間をかけて取り組む必要のある基本的な行政課題に関する事項長期的テーマとし、その時々に生じた国民関心が高い事項短期的テーマとして区別し、各テーマ別調査を行うことといたします。  調査方法でありますが、長期的テーマにつきましては、ある一定期間を目途に定期的、継続的に調査を行い、必要に応じて報告書作成意見表明もしくは決議等を行うものといたします。一方、短期的テーマにつきましては、短期間のうちに集中して調査を行い、必要に応じて同様の措置をとることといたします。  なお、長期的テーマにつきましては、当面、財政投融資対象機関点検を取り上げることに意見が一致いたしました。  以上でございます。     ─────────────
  12. 浜田卓二郎

  13. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  14. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会年金福祉事業団理事長森仁美君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  16. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 次に、行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。  本日は財政投融資対象機関点検に関する件のうち年金福祉事業団及び現下緊急課題に関する件について質疑を行うことといたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  17. 木村仁

    木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。  本日は続総務庁長官最初の本委員会への御出席でございますので、本来であれば現下の諸問題について御質問をするのが礼儀かと存じますけれども、ただいま委員長からお話がございましたように、大臣が当委員会委員長当時に設定されました特殊法人に関する件、特に年金福祉事業団の問題について最終的に詰めておくようにということでございますので、失礼をいたしまして主として厚生省及び年金福祉事業団皆様に御答弁をいただきたいと思います。  大変失礼でございますが、最初一つだけ、特殊法人財務内容ディスクロージャーについてお伺いをいたしておきたいと思います。  御承知のように、特殊法人は直接国民監視が及びにくい、ベールの向こうにある存在であって、しかも公の秩序を保ちながら民間の活発な経営活動も、その長所も入れて運営していこうという観点のもとに設置され、運営されているわけでございますけれども、どうも国民一般の目から見れば、官庁の悪いところはそのままに、しかも民間能率性というものは余り取り入れられていないのではないかと。こういうことから、やはり基本は情報公開ディスクロージャーではないかということでこの新しい特殊法人財務内容ディスクロージャーという制度ができたものと私は理解をいたしております。  平成八年十二月に総務庁特殊法人に関する調査結果に基づく勧告というのが出て、その後、同十二月二十五日に行政改革プログラムの中で特殊法人財務内容ディスクロージャーについてかなり詳細な項目が挙げられ、それを推進していこうという決定が下されました。その結果できたのが特殊法人財務諸表等作成及び公開推進に関する法律平成九年六月でございますが、これが成立し、それに基づいて既にディスクロージャーが行われ、タイミングよく総務庁行政監察局におかれましてはそれの監察実施され、この八月に当委員会にその状況の一部を御報告になったと理解をいたしております。  この特殊法人財務諸表等作成及び公開推進に関する法律というのを拝見いたしますと、この法律自体特殊法人財務会計を統一的に公表し、そしてそれを例えば総務庁において統括なさる、そういう種類の法律ではないようでございまして、それぞれの特殊法人設置法の中で財務諸表等の公表についてあるいは作成について欠けたところがあればそれを手直しして、そして各特殊法人ごとディスクロージャーを行っていく、こういうスタイルになっております。  私は、できればもう少し統一的な本当に国民にわかりやすいような方法総務庁所管のもとにディスクロージャーが行われれば非常に国民には便利ではなかったかと思うんですけれども、これはそういう欲張りを言っても仕方がないので、こういう法律ができたのでありますから、そして個々の法律に根拠が設けられ、それに従って粛々とディスクロージャーが行われているわけでございますから、それはよしとしたいと思います。  それから、もう一つ気になりますのは、例えばきょう御質問いたします年金資金運用基金法というものの内容のその部分を読んでみますと、「貸借対照表及び損益計算書又はこれらの要旨を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに前項の業務報告書決算報告書監事意見書及び公認会計士又は監査法人監査報告書を、事務所に備えて置き、厚生省令で定める期間一般の閲覧に供しなければならない。」、こういうことでございます。  そうしますと、財務諸表の私どもが一見してもよくわからない、専門家でなければわからないようなものが官報に載る。だから、よほど苦情のある方、関心のある方あるいはその筋の専門家の方は官報を取り寄せてごらんになるかもしれませんが、余り一般国民の目につかないところでディスクロージャーが行われるだろうと思います。  それから、さらに詳細な例えば監事意見書でありますとかあるいは業務報告書、こういうものは、公表されるわけでありますが、事務所に置かれていて、見たければ見に来いというスタイルであります。  したがいまして、これは今後の問題として、私はそういうディスクロージャーをできるだけ国民にわかりやすいような形で、あるいはディスクロージャーということでなくて、そこにいきますと各特殊法人のパブリックリレーションズの関係に入っていくのかもしれませんけれども、そういう形で国民にわかりやすい情報公開へ持っていくことが今後の一つ課題ではなかろうかなと思います。また、既に実施されましたように、総務庁においてそういうディスクロージャーを的確にとらえて監察を行い、その内容だけでなくて今後のディスクロージャーのあり方についてもさらに御検討いただく、こういうことが必要ではないかと存ずるわけでございます。  そこで、私がおしゃべりをいたしましたけれども、そういうことをお考えいただきまして、これからこの特殊法人財務内容ディスクロージャーについて総務庁としてどのような役割を果たしておいでになるのか、大臣の所見をお聞かせいただきたいと思います。
  18. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) ただいま木村仁委員からいろいろ御質問がございました。木村仁委員は長年にわたって行政を担当され、経験豊かな方であります。その木村委員が、何ゆえにこの特殊法人財務諸表等作成及び公開推進に関する法律ができたのか、できた法律の沿革、そしてまたその目的等々についてるるお話がございました。  私どもはその趣旨を体して、総務庁といたしましてもこの法律どおり情報公開が、ディスクロージャー実施されたのかどうなのか、その辺のところを各省に問い合わせましたところ、法律どおり実施されているという回答でございました。  なお、しからばその後改善の要がないのかあるのかという議論も今なされました。私どももこれが十全だとは思っておりません。  いずれにしても、この法律趣旨にのっとって、七十八特殊法人がございますが、その七十八の特殊法人情報公開が徹底するように私どもも努力をしたい、そして今御質問趣旨に沿うようにしたいと、このように考えております。
  19. 木村仁

    木村仁君 どうもありがとうございました。大臣に関する限りはもう私は御質問はございませんので、よろしくお願いいたします。  それでは、年金福祉事業団の問題について幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  私ども理解いたしますところでは、年金福祉事業団昭和三十六年に主として国民年金基金還元融資専門機関として設立されたというふうに理解をいたしております。被保険者住宅資金融資する、あるいは福祉施設設置整備資金融資をする、あるいは年金を担保として小口の資金融資を行う、あるいは年金教育資金貸し付けあっせん等を行っておられたわけでございまして、その成果を見ますと、既に五十五万件に近いそのような融資を行い、二十七兆円を超える融資実施しておられます。私はその限りではこの長い年月にわたって年金福祉事業団が果たしてきた役割は大きいのではないかというふうに理解をいたしております。  ところが、昭和五十年代に入りまして、ちょうど景気がよくなった時期かと思いますけれども、いわゆる大規模年金保養基地事業グリーンピア事業を始められたのでございます。昭和五十五年から六十三年にわたって全国に十三施設を設けられました。そのために私の理解では千九百億円に近い投資がなされております。そしてその運営が始まったわけでありますけれども、現在に至ってどうもその調子がよくない、そして赤字が生じてきているのではないか、こういうことが言われております。  時期的に見れば、こういう仕事準備から立ち上がるまでには相当の時間がかかるわけでありまして、準備をお始めになった時期にはまだそのような旅行について公的機関がサービスを提供するということが非常に重要な意味を持っていたのではないかと思いますが、もう立ち上がったころには既に民間相当活動の幅を広げており、むしろこのような公的機関による宿泊機能を持った施設というものが民間の活力を妨害するものだというような見方がされるようになったのではなかろうかと思います。しかしながら、累次十三施設ができていったという過程がございます。  それから、昭和六十一年でありますが、これもごく最近のことでありますけれども資金運用事業というものを手がけられまして、年金財源強化事業あるいは資金確保事業というのが逐次行われていくわけでございますが、どうもこれがタイミングとしてはバブルのまだ元気な時代の発想、それがバブルがはじけた後の実施、こういう不幸なめぐり合わせのような気もしますけれども、そういうことになっていって実は大変な逆ざやになっているということはもう周知の事実でございます。その結果かどうか知りませんが、あるいはそんな厳しい環境の中でも運用のいかんによっては若干でも利益が上げられたのではないかという気もしますけれども相当累積赤字を持つようになったと。  そうしますと、功罪どちらが一体大きいんだろうかなというようなことを私どもも考えざるを得ないわけでありますが、幸いこの年金福祉事業団は既に改組の方向で決定しており、年金資金運用基金の方へ順次移行していくということでありますからその一つの結論は出つつあるわけでありますが、この際でありますから、年金福祉事業団国民年金制度の発展及び被保険者の福祉について果たしてきた役割厚生省としてはどういうふうに全体として理解しておられるか、その点についての考え方をお示しいただきたいと思います。
  20. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) この年金福祉事業団というものができましたのは国民年金制度ができる昭和三十六年でございまして、このとき年金の積立金につきまして大きな議論があったわけでございます。つまり、これは国の資金として資金運用部に預けて一元的に管理すべきなのか、それとも年金サイドで運用すべきなのか、こういった大議論が行われたわけでございますけれども、その結果といたしましては、年金積立金につきましては厚生年金国民年金ともに資金運用部に全額預託をする、こういうことになったわけでございます。ただし、その見返りといたしまして、年金福祉事業団という還元融資機関をつくりまして、そこで被保険者年金受給者のための還元融資をする、こういうことで年金福祉事業団が設立されたわけでございます。  その後、当初は福祉施設の整備ですとか社宅の整備、こういったものからスタートしたわけでございますけれども一般の被保険者のための住宅融資、こういったものも始まりましたし、それから、今お話にございましたように、施設事業、グリーンピアと言っておりますけれども、こういった大規模な保養基地の設置事業、こういったものも行ってきたわけでございます。それからまた、年金積立金につきましては、先ほど申し上げたように、資金運用部に全額預けておりますけれども、その一部を年金福祉事業団が借り受けまして運用をする、その運用益を年金のための財政基盤の確立に充てよう、こういうことで市場運用事業も始まったわけでございます。  そういうことでこれまで幅広い還元融資事業なりそういった市場運用事業をやりまして多くの方に御利用いただいたわけでございまして、そういった面では一定の役割を果たしてきたと思います。  ただ、世の中が非常に変化する中で従来のようなやり方ではまずいということになりまして、行政改革の議論が進む中で年金福祉事業団は廃止をする、それから今行っている事業につきましても、例えばグリーンピア事業につきましては撤退をする、それから各種の融資事業につきましては適切な経過措置を設ける、そして最終的には撤退をする、こういったいろいろな方針が示されたわけでございまして、現在こういった方針に基づく法案を準備いたしまして国会での御審議をお願いしている、こういう状況でございます。  そういうことで、私どもとしましては、これまでの役割というものはそれなりに大きなものがあったけれども、このままではいけない、新しい時代に即応した姿に改めていきたい、こういうことで今鋭意準備を進めているということでございます。
  21. 木村仁

    木村仁君 大まかに御感想をいただきました。  私は、この年金福祉事業団国民年金制度の発展あるいはその被保険者の福祉のために貢献した部分も決して無視してはならないと思います。  ただ、どうも不幸なことになさったタイミングがよくなくて非常に大きな赤字を出してしまったということでありまして、こういうことは民間であれば機敏に情勢を推察してプロジェクトをやめてしまうとか、傷が少ないうちに撤退するとか、そういうことが可能だったと思うのでありますけれども、やはり特殊法人一つの性格というか、問題となる特徴ではないかと思います。  次に、非常に多額の累積赤字を現在事業団が抱えているというふうに承っております。平成九年末には一兆五千九百四十四億円、一般事業部門で一千六十八億円、資金運用の事業部門で一兆四千八百七十六億円とかなり大きな赤字額でございます。  この大きな方の主たる原因が資金運用事業年金財源を強化するために、あるいは資金確保するための事業として始めたものは実は大変失敗をしたという形になっているわけでございます。二・四、五%という低利で年金基金を資金運用部に預託をして、そして、全く年金という観点からの配慮がないとは言えませんけれども、薄いままにそれが大蔵省の手で運用されていたということについては私も残念だというふうには思っておりましたし、また関係者の皆様がそれを自主運用したいという悲願を持っておられたということもよく承知をいたしております。そして、その結果が昭和六十一年からの一部自主運用という形になっていったのであろうと思いますから、その延長線上で今財投の改革、そして年金あるいは郵貯、すべてを含めて自主運用へ持っていくという姿が出てきたわけですから、それはそれなりに歴史的な意義はあったのかなという感じがしないわけではないのでございますが、この資金運用事業赤字累積赤字の発生の本当の原因、それは単なる逆ざやだったのかな、それは運用のあり方いかんによってそういう逆ざやが生じたのではないかなという、一般的にはそういう気もしないわけではありません。そういうところをどうお考えになっておられるか、そしてその赤字を今後どういうふうにして処理するんだろうかということでございます。  もう昨年の秋以来、金融機関がさまざまな債務を償却というような形で棒引きするということには国民もなれてしまっていると言えば言えるわけで、そういう意味ではそのような便法がない公の資金については大変御苦労が存するところだと思いますけれども、この多額の赤字が今後新しい運用によって消えていくのか、それともやっぱり国民は基金に傷がついたな、しようがないなという形である程度あきらめざるを得ないのか、そのあたりをちょっと御説明いただきたいと思います。
  22. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) この市場運用事業につきましては、よく世間の方からは厚生省年金福祉事業団運用に失敗をした、何か株を買って失敗をしてそれで赤字になったんじゃないか、こういう御批判があるわけですけれども、実はそういうことではございませんで、これはほかの機関投資家と比べまして決して年金福祉事業団運用が劣っておるということではないわけでございます。  例えば、機関投資家としましては生命保険会社なり信託銀行あるいは厚生年金基金、こういったいろいろなところが機関投資家として運用事業をやっておられるわけでございますけれども、そういったところと比べて決して引けをとらない運用でございます。第一、二十六兆円というような巨額な規模でございますので、言ってみますればもう日本全体のマーケットを買うというような運用をやっておるわけでございます。したがいまして、世間様よりまずい運用をやってそれで赤字が出ておると、こういうことではないということはぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それでは、なぜこういった赤字が出ているかということでございますけれども、これはやはり今の仕組みに私どもは無理があると思っております。つまり、年金のお金というのは一度保険料として集めましてそれを資金運用部にお預けする、それをまた七年なり十年なりの固定金利で借りてきまして市場で運用すると、こういう仕組みをとっておるわけでございます。  したがいまして、長期固定金利でございますから、バブル崩壊以降のような金利が一貫して低下を続ける、こういった局面、あるいは株式市場が長期に低迷をする、こういう中で民間の金利というのはどんどん下がっていくわけですけれども、借入コストは高どまりをする。現在でもまだ、平成十年度でいいますと平均しまして約四・四%でございます。新規の預託金利というのは一・七二%ということで二%を切っておるわけでございますけれども、借りてきて運用している資金につきましては四・四%の利子を払わなきゃいけないと、こういうことでございます。  それで、市場での運用は、環境が悪いということは御案内のとおりでございまして、平成十年度でいきますと総合収益が二・七一%ということになっておりまして、この借入コストの差というものが約四千億ということで、これが赤字として平成十年度に追加されたと。したがいまして、時価ベースで見ますと平成十年度末で一兆四千億といったような累積赤字になっておるわけでございます。  それで、この問題をどうするんだということでございますけれども、私どももこのままではいけないということで必死に取り組んでいるわけでございます。  ただ、これはマーケットの状況によって非常に影響を受けるわけでございまして、今後のマーケットがどう展開するかということにかかっているわけでございまして、現時点で一〇〇%確実なことは申し上げられないわけですけれども、ただ運用コストという点につきましては利払いのコストというのがこれからどんどん下がっていくわけでございます。そういった点では、非常に環境としてはむしろプラスの面が見られるんじゃないかと思っております。  ちなみに、マーケットコストがどの程度運用に影響するかということでございますけれども、これは平成十年度末、ことしの三月末時点でのことでございますけれども、例えば日経平均が千円上下いたしますと収益に対しまして約四千二百億円の影響があるということでございます。また、ニューヨーク・ダウが百ドル上下いたしますと三百億円、為替レートが一円上下すると四百億円、それから国債指標銘柄の金利が〇・一%上下するだけで六百億円、こういった影響を受けるわけでございます。  こういうことで、ことしの三月末のマーケットというのは非常に運用環境が悪かったということでございまして、その後かなり改善を見ております。ことしの九月末で見ますと赤字幅は約半分程度に減少しておるということでございまして、これからも運用についてのいろいろな努力をしていかなきゃいけないというのは当然でございますけれども、この累積赤字は決して解消できないような代物ではないということはぜひ御理解いただきたいと思います。
  23. 木村仁

    木村仁君 確かに、私どももほかの分野でもそういうことは感じるわけでございますが、資金運用部が頑として貸付利息を変えない、つまりどんな状態になろうとも自分のところは一厘たりとも赤字をつくらない、そういう体制のもとで高い金利で貸して逆ざやが生じた、こういうことであろうとは思います。  ですから、今後はそれがなくなっていくのだろうという展望はございますが、ただ一つ心配なのは、民間のコメンテーターが厳しく指摘しているところは、どうして国民年金を株式あたりに投資するんだろうか、そういうことが盛んに書かれた時期がございます。  これは非常に今後の問題として、資金運用部がやっている限りは、公共の団体に貸し付けたり、そういったいわゆる財投の関係でいっている限りはそれほど危険がないけれども、今度自主運用といって本当にそういった資金運用をやり出したら大変リスクが伴う。二十七兆円運用して一・五兆円の当面赤字だから、また景気が変わっていけばやがて変わるだろう、それは私もよくわかりますけれども、今度は百四十兆を自分で運用されるわけであります。そういうときに本当に危険のない、例えば地方公共団体の基金なんというものは確実な安全なものに預けなけりゃいけないからといって、今は〇・三%なんというばかな金利で我慢してやっているわけですけれども、それも知恵のない話で、国債の二・一%、地方債の一・八%、そういうところを引き受けたらいいんじゃないかという気もして私どもはそういう意見も申し上げておりますが、やっぱり株式までとなるとかなり国民は心配であると。  それはやはり厚生省としては将来にわたってそれを自分たちはうまく切り回していけるよという御自信があってのただいまの御発言でございましょうか、ちょっと念のためにお聞きしておきたいと思います。
  24. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 現在は年金のお金というのは資金運用部に預けておるわけでございますけれども、財投改革が進む中、あるいは郵貯改革、年金改革、こういった見直しが進む中で、郵貯につきましても年金につきましても自主運用をする、こういう仕組みに変えようということになっているわけでございます。預託はやめて、それぞれ郵貯なり年金なりが一〇〇%本来の意味で自主運用するということでございます。  その場合に、私どもとしてどう考えているか、どういう仕組みを講じようとしているかということですけれども、これは年金加入者が七千万いらっしゃるわけでございます、受給者が二千六百万、つまり国民一人一人に直結する問題でございます。  したがって、年金積立金をどう運用するかということにつきましては、この運用の基本方針、しっかりした基本方針をつくるということが極めて重要でございまして、これにつきましては保険料拠出者の代表あるいは金融とか経済の専門家年金専門家、こういった方々の意見を聞きまして積立金の運用の基本方針をしっかりしたものをつくる、そして運用する場合には基本的には市場で運用をすると。役人が債券を買ったり株を買ったりということにつきましては、これはいろいろ専門性という点からも問題もございますし、行政機関の拡大、肥大につながる、こういう批判もございますので、基本的には民間運用機関で自由競争で運用していただこう、こういうことを考えておるわけでございます。そして、そのための年金積立金全体の管理ですとか、運用機関を選択したりそれを評価したり入れかえたりと、こういった一連の積立金の管理運用をする機関として年金資金運用基金、こういったものを設置しようということにいたしております。  それから、一番重要なのはやはり責任体制の明確化ということでございまして、厚生省の職員、新しい年金資金運用基金の役職員、こういった方々には忠実義務なり高度の注意義務を法律上課すということにいたしておるわけでございます。  それから、説明責任を果たしていくということ、それから運用の透明性を確保する、これもまた非常に重要な課題でございます。ディスクロージャーを徹底してやっていく中で説明責任を果たし、保険料拠出者の納得を得ながらその運用をしていく、こういったしっかりした仕組みをつくりたい、こう考えておるわけでございます。  それから、株式につきまして、株はギャンブルじゃないかというような、こういう批判もあるわけでございますけれども、これはやはり十年とか二十年とか長い目で見ますと、株式につきましてはリスクがある反面そのリターンも高いということで、すべて債券で運用するよりも株式なり外国の債券を入れることによりましてよりリスクを低めながら長期的に見ると債券だけでやるよりもより高いリターンが確保できるんじゃないか、こういった考え方のもとにやっておるわけでございまして、それもよさそうな株を、いわゆるアクティブ運用と言っておりますけれども、よさそうな株を追いかけ回すというよりもマーケット全体を低いコストで運用する、つまりこれはパッシブ運用と言われておりますけれども、そういったパッシブ運用を中心にやっておるわけでございまして、いたずらにリスクを求めておるというわけではございません。  こういった問題につきましても、今後とも十分注意しながら関係者の理解を得て進めてまいりたいと思っております。
  25. 木村仁

    木村仁君 そこらあたりは今後の課題であろうと思います。  これはついでながら要望みたいなことを申し上げますけれども、例えば地方債の借り入れというのは証書で銀行から借り入れられるというふうに思っておられる方が多いわけですけれども、大半は証券という形でやっぱり流通しているわけです。なかなか小ロットで流通しない、日銀も適正担保、融資額担保、なかなか十分には入れてくれないということで、したがって国債二・一%に対して大体一・八%ぐらいの、少し何馬身かの差があるという状態でございまして、国民年金基金が大いに地方債を購入するということになりますと地方債の格が高くなって地方行財政に非常にいい影響を与えるのではないか、これは思いつきのお願いでございますが、加えておきたいと思います。  そこで、新設されますところの年金資金運用基金でございますが、資金運用について万全を期さなければいけないということは今いろいろお話を聞きましたのでわかりましたが、長年やってまいりました還元融資事業、これについて今後この基金が運用するんだというようなことを聞き及んでおりますけれども、そちらの方のサービス体制は十分かどうかということ、そして、これは次第に施設面では需要が減っているというようなことも聞いておりますが、次第に収束されていくのか、それともやはり百四十兆円を自主運用される過程でむしろ充実していくというお考えなのか、そこらあたりは今度どうなっていくのでございましょうか。
  26. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 現在、年金福祉事業団で行っております還元融資事業といたしましては住宅融資がまずございます。  これにつきましては、撤退という方向が示されたわけでございますけれども、適切な経過措置を講ずる、こういったことがあわせて閣議決定にもうたわれておるわけでございます。  そして、この住宅融資につきましては、これをどうするのかということで大変議論があったわけでございますけれども、現在非常に需要が多い、それからこれをすぐなくすことにつきましては今の経済状況から見ても非常に問題が多い、あるいはサラリーマンの住宅確保の手段としても組み込まれておる、あるいは雇用にも影響があるということでこれは当分は引き続き新規融資を続けるということになっております。  具体的には次々回以降の財政再計算期にどうするかということを最終的に決めるわけでございますけれども、当分は新規融資も続けるということでございます。  それから、年金担保融資につきましては、これをやめるわけにはまいりません。これは恒久的な事業として実施する必要があると思っておりますので、これは社会福祉・医療事業団に移しましてそこでやっていただこうということにいたしたわけでございます。  それから、グリーンピア事業につきましては、これもできるだけ早く撤退をしたいということでございまして、現在地元の自治体と御相談をしておるわけでございます。これはこれまでの経緯からしましても地元自治体で受けていただきたいということで今話し合いを進めております。そういうことで、何とか円満に地元で引き受けていただく、それができない場合には民間を含めまして広く売却先を探す、こういうことで最終的には撤退をいたしたい、こういうことで進めております。
  27. 木村仁

    木村仁君 グリーンピアの施設の関係についてお尋ねいたしますが、私も基本的にはもう余り公の機能としてこういう事業はしない方がいいであろう、簡易保険にしても年金にしても同じでございますが、そういう考え方を持っておりますし、地方公共団体が行う宿泊機能を持った施設にしてもそろそろ収束の方向へ持っていく方がいいのではないかなというふうに考えております。  そういう考え方を裏づけるというわけでもございませんが、グリーンピア施設がなぜ経営不振に陥ったか、その分析をしておくことは無意味ではなかろうと思います。  と申しますのは、施設年金資金で建設をして、その償却費はまた厚生省の方でお持ちになって、毎年公租公課と償却で五十二億を超えるそうでございますが、そしてフローだけで勝負をしてなおかつ赤字を出している施設がある、こういうことでございまして、もうこういうものは民間では考えられないことであります。  なぜ赤字かというと、また地元の方々に、一部でございますけれども、全部ではございませんが、聞きますと、やっぱり役人のOBの方が来てじっと座って商売なさるからそれはだめよと。それから、A、B、Cの三つのホテルについて一泊幾らでやってくれるか、どれくらいのサービスをするかという詰めに入るともう公の方は、いや、決まりだからもうそれはできませんと簡単に断ってしまうからとれるお客もとれない。お客がとれないと施設をきれいにすることもできないし、それからせっかくつくったラウンジもお客が動いているときでも閉まっているというような状態になっているではありませんか。しょせん公の施設というのはそういうものだというような議論もございます。  年金福祉事業団理事長さん、お見えになっていらっしゃいますので、どのあたりにこの経営不振があるのか、立地が悪いということもあるかもしれませんけれども、そこらあたりを、率直な御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 森仁美

    参考人(森仁美君) グリーンピアは昭和五十五年から全国十三カ所で営業をいたしておりますが、時期によりましては大変営業成績の好調な時期もございますし、また悪い時期もあったわけでございますが、全体として見ますと近年では大変苦しい経営に追い込まれております。  私どもは固定的な経費、すなわち人件費等の部分でございますけれども、その削減努力あるいは営業努力、今お尋ねにございましたような部分も含めまして、いかに皆さんに御満足をいただきながら施設を提供し、かつ経営にも貢献できるかという営業努力にポイントを置いてただいままで指導をいたしてきております。  残念ながら、近時の景気の低迷あるいは観光事業全体の低迷といったものも私どもの事業に大きな影響を与えてきておりまして、平成五年度からは全体として見ますと赤字基調が続いているところでございますが、なお経営改善に向けて努力を続けてまいりたいと思っております。
  29. 木村仁

    木村仁君 現在、民間のホテルその他の観光施設も非常に厳しい環境のもとで苦戦を強いられているわけでございますから、グリーンピアの経営不振についてもそういう時代の問題もあろうかと、私はそういうふうに思います。思いますが、これからできるだけ早期にこれを撤収していこうというお考え方は私も賛成でございます。  そこで、私、選挙区が熊本でございますので阿蘇のグリーンピアに宿泊したことはもちろんございますが、私が経験した限りにおきましては極めて親切であるし、それは私どもが行くから親切なのかもしれませんが、大変親切でありますし、コジーでありますがラグジュアリーではないという感じがほかの周辺のホテルに比べします。しかし、地域広大、あそこにはアスペクタというのがあって、近くには童謡館やそういうものもあって、活用の仕方によっては今後も生きていけるという感じはしないではないんです。  しかし、それにしても何もそれを年金福祉事業団あるいは今後の年金資金運用基金運営する必要はないのであって、できればもう少し効率的なスタイルの、今、県、第三セクター、そして株式会社と複雑な関係で運営しておられるようでございますけれども、それをすっきりとさせて運営する、あるいは立地条件によってはもう譲り渡して全く違った県なり地域なりの要請に合った公共の施設にしてしまう、そういうことも私は考えられるのではないかと思います。いろいろ風聞しますと、各県極めて冷ややかな対応のようでございまして、それはああいう施設をああいう施設として運営しろと言われればたじろぐ、しり込みする、これは当然のことであろうと思います。  簡単で結構でございますから、今後の見通しをお聞かせいただきたいのでございますが、ちょっと仄聞したところで正確ではないかもしれませんが、岐阜県所在の中央高原大規模年金保養基地につきましては来年四月いっぱいで運営を停止するというような話を聞いておりますけれども、停止というのが本当なのかどうか、そして停止した後の始末というのはどうなるんだろうか、そういうことがちょっと気がかりでございますのでそれを含めてお答えをいただきたいと思います。
  30. 森仁美

    参考人(森仁美君) ただいまお尋ねの中央高原大規模年金保養基地、これは愛称グリーンピア恵那と言っております。岐阜県所在でございますが、ここは私どもから岐阜県に運営を委託いたしまして、岐阜県が財団法人グリーンピア恵那、さらに株式会社グリーンピア恵那というところに再委託をいたしまして運営をしている施設でございます。  施設規模は他と同じように百万坪程度、大変立派な施設でございますが、近時の経営状況から見て運営を受託しておられます岐阜県としてこれ以上運営を続けていくには大変厳しいものがあるということで保養基地の営業を来年の四月末で停止したい、こういう決定をされたようでございます。そして、実際上運営をいたしておりました財団法人でございますとか株式会社につきましてそれぞれ清算手続などを考慮していきたい、こういうお話でございます。
  31. 木村仁

    木村仁君 そういう形で、お祭り好きの知事さんがおやめになるのですからよっぽど苦しいんだろうという気がいたしますが、後の始末がきちっとできるのかどうか、大変そこらあたりは心配でございます。  そして、具体的な譲渡をする場合に、私が聞きますと、最初に申し出があった金額、これで県の方が全く対応しない、それではもう少し値下げをしよう、例えば簿価の二分の一で譲渡するがどうだ、そういうような話し合いも進んでいるように思います。私は、地元にできるだけ早く譲渡するという方針はそれで結構でありますし、地元でよく活用できればよいと思うのでございますが、二分の一で譲渡するというたたき売りみたいなことになると、これまた年金については、それは百四十兆から見ればまたささいな金額であるとおっしゃるかもしれませんけれども国民の目から見れば大変な損害になるのかもしれません。  二分の一で全施設を売ったとするとどの程度赤字が加わることになるのか、もしそういう見込みがつきますればお答えをいただきたいと思います。
  32. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) これは、地元で受けていただく場合には一定の条件、例えば職員の雇用の問題、あるいは跡地の活用の問題、こういった問題につきまして一定の条件を満たせば割引譲渡をいたしますということは申し上げております。ただ、それは譲渡時点での時価によって評価をする、場合によっては時価額の二分の一の割引をする、こういうことでございます。したがいまして、現時点で幾らになるかというのは、これは完全な時価評価を行っておりませんのでまだ未定でございます。  ただ、一般的に申し上げますと、日本の土地全体が今どんどん下がっているわけでございまして、しかもこういった非常にへんぴなところにございますのでかなり購入時点、簿価よりも下がっておると思います。したがいまして、さらに時価について割引措置を講じますとそれは確かに年金財政にとってマイナスになるわけでございますけれども、諸般の事情からこれはやむを得ませんし、またこれを続けることによってさらに赤字が膨らむ、こういったことは避けなければいけませんので、そういった減額措置も講じて円滑に地元自治体への譲渡をやりまして地元で有効にこれを利用していただきたい、こういう趣旨で今話し合いを進めておるわけでございます。
  33. 木村仁

    木村仁君 ぜひ、早く撤退した方がいいと私は思いますが、こういった資産、施設が地元で生きるように、そういうことを考えながら処理していただきたいと思います。そして、何よりも国民年金国民年金である、国民年金を大事にする、そういう基本方針で御健闘をお祈りいたします。  ありがとうございました。
  34. 江田五月

    江田五月君 続総務庁長官、御就任おめでとうございます。続長官は、前国会まではまさにこの行政監視委員会委員長を務めてこられました。ぜひ、総務庁行政監察、そして本委員会行政監視、これを車の両輪として行政改革を実現していきたいと思っております。  また、大野厚生政務次官、お忙しいところ御無理を言いました。この国会から国会審議のあり方が変わって、政府委員という制度をなくした。政治家同士の議論をしようということになって、私も政府参考人の皆さんにこれは聞いた方がいいのかなと思うようなこともたくさんあると思うんですけれども、余りそれをやりますとだんだんもとのようになってしまいますので、きょうはどうしても厚生省に伺うことは大野さんに来てほしいと思って御無理を言いました。新進党時代には選挙の応援にも行ったりと、決していじめるつもりはありませんので、ひとつよろしくお願いいたします。  さて、本題に入る前に、先ほどの理事会でも問題提起をしたんですが、緊急課題として神奈川県警の不祥事、これをちょっと取り上げたいと思います。  きょうもまた何か現職警察官が恐喝ですか、新たな逮捕者が出たと神奈川県警をめぐって数々の不祥事が起きている。とにかく、県警本部長を初めとする警察の首脳部とさらに警察の監察官が加わってみずから犯人隠避、証拠隠滅の犯罪を犯したという前代未聞の非常に深刻な事件なんですね。我が国の社会は一体どうなってしまったのか。行政内部の監察機能というのが崩壊してしまったのではないかと。警察の監察官が一緒になって犯罪をやるというわけですから、行政内部の監察機能というのが崩壊しているんじゃないか。これは警察だけではない。例えば原子力委員会はつい先日の東海村の事故でどうだったのか、いろいろあると思うんですが、続長官、総論としてこの神奈川県警の事件についてどういう感想をお持ちか、どう対処されるか、お伺いします。
  35. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 冒頭に江田委員から私に対する励ましの言葉をいただきまして、大変恐縮しております。ありがとうございます。  さて、御質問の神奈川県警に係る今の問題については、私自身も心を痛めております。まさにこれはその原因が那辺にあるのかということをやはり徹底的に追及する必要があるんじゃなかろうかなと、同時に公務員制度の問題にもこれは最終的には帰着するんじゃないのかな、こんなふうにも考えております。  いずれにしても、今、江田委員が御指摘のとおり、これは大変な問題だと、したがって政府当局としてもこの問題に真剣に対応し、そして防止策を検討する必要がある、こんなふうに考えております。
  36. 江田五月

    江田五月君 きょうの日本テレビの世論調査では、九〇%以上の国民の皆さんがこの問題は神奈川県警だけではない、警察全体の問題であって警察への信頼は損なわれた、こう考えているというんですね。私はそれは当然だと思います。  精神論はいいとして、やっぱり行政内部の監察機能というものが国民に信頼されなくなってしまっておる。そうすると、この国会行政監視機能というもの、この委員会の機能というもの、これは非常に重要になってきていると。自浄能力を失った行政のチェックシステムを国会としてあるいは政治家として相当真剣に考えなきゃならぬ、そのあたりについて長官の精神論をもうちょっと超えた決意を聞かせてください。
  37. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 重ねての御質問にお答えを申し上げます。  先ほど私は公務員の制度の問題にも言及いたしました。やはりこれは、例えば神奈川県警本部長はいわばエリートであります。そのエリートが部下の不始末、そのために次の昇進がカットされたのでは大変だという意識が私は働いたのではないのかなと。そういう意味で、公務員制度の全体の問題としてこれは大変な重要な問題だと。そういう意味で、こういう制度を根本的に検討し、改善方法を見出す以外にこの問題の解決はないと思います。したがって、その辺のことを含めて検討させていただきたいと存じます。
  38. 江田五月

    江田五月君 警察におけるキャリアグループの動き方といいますか昇進の仕方の異常さ、これはもう長官もよくおわかりのことと思います。警察だけじゃなくて、例えば私の古巣ですが、裁判所でも最近はタクシー乗務員を雲助などと言うような裁判官が出てきているとか、何か人材を養成していくシステム全体がどこかで狂っている。  それともう一つは、上から下への一方通行だけだとだめなんで、例えば原子力のことを見ても、現場の皆さんが日ごろ一仕事を終えて一杯飲みながらぐちを言う、そういう声がちゃんと上がってくるようなシステムも要るとか、市民オンブズマンの活動なんかもいろいろとありますが、ちょっとシステム全体を考え直さなきゃならぬ、そんな中にこの行政監視委員会がいるんだというふうに思っておりますが、ぜひ御協力いただきたいと思います。  さて、総務庁厚生省に対して昨年の九月十八日に年金に関する行政監察結果に基づく勧告を行った。その中で年金福祉事業団の事業の見直しについて勧告をされました。これに対して今年八月三十日、厚生省から回答がありましたが、総務庁長官、この厚生省の回答、これは総務庁勧告に対して十分満足できる回答であったか、それともまだまだ不十分な回答であったのか、総務庁としての評価、これをお聞かせください。
  39. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 総務庁勧告をした内容は、例えば今問題になっておりましたグリーンピアについて、施設事業について、大規模保養基地については所在の道や県に譲渡を促進すべきである、さらには譲渡できない施設については民間等に積極的に売却すべきである、それは減価してでも売却すべきであるという勧告を申し上げました。これに対して厚生大臣からの回答は、勧告趣旨に沿って実施予定です、こういう回答でありました。今国会に関係法案が提出されております。  もう一つは、貸付事業の廃止等の検討をしたらどうだという私ども勧告に対して、社宅等の整備等に係る貸付事業は廃止いたします、あるいは病院整備等に係る貸付事業は社会福祉・医療事業団に移管しますという回答でありました。これも今国会に関係法案を提出しておられます。  さらには資金運用事業について、評価結果等に関するディスクロージャーを積極的に推進すべしとの勧告に対して、勧告趣旨に沿って実施予定だと、こう回答が参っております。  したがいまして、私ども勧告を総じて厚生省は守っておられる、このように評価しております。
  40. 江田五月

    江田五月君 総じて勧告は尊重されておる、満足な回答になっておる、こういうことですかね。  特にこの勧告では、厚生省年金福祉事業団に係る閣議決定に定める措置の迅速かつ確実な実施や、それまでの間における事業の適切な実施を図る観点から云々ということが書かれている。ここで言っている閣議決定は平成九年六月六日のもの。その内容は、年金福祉事業団は、  平成十一年に行われる年金の財政再計算に合わせ、年金資金運用の新たな在り方につき結論を得て、廃止する。  資金運用業務については、資金運用部との関係を含め、担当機関の在り方を長期的かつ専門的見地に立って、別途検討する。  大規模保養基地業務からは撤退し、また、被保険者向け融資業務については、適切な経過措置を講じた上、撤退する。 これについて厚生省の回答は、年金福祉事業団は廃止をする。それはそれで廃止。しかし、看板を変えただけでほとんど内容の変わらない年金資金運用基金という機関を設立する。看板が変わっただけじゃありませんか。内容は変わっていないんじゃないですか。土地を大蔵省抜きにしたというだけの話じゃないか。大規模保養施設は撤退するが、新たな基金がその撤退のための管理運営を十年間も行うんですね。これは確実、迅速、十年間、ううんと首をひねる。住宅融資事業、教育資金貸付あっせん事業、これも十年間ですか、撤退せずに継続する。  これは閣議決定の迅速かつ確実な実施とはとても言えないと思うんですが、長官、いかがですか。
  41. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 先ほど私は勧告内容についてそれぞれ対応をしておられる、したがって総じて評価すべき回答であったと、こう申し上げました。  ただ、今重ねての御指摘がございました。確かに問題点が残っているわけであります。それは、御案内のように、施設はもう立派なものができ上がり、そして赤字ではあるけれども運営をしておられる。そういう状況の中で、私ども勧告趣旨に沿うような努力をする。直ちにそれを廃止して、じゃ廃止した結果どうなるか。これまた赤字赤字を重ねるという状況になるかもしれません。いずれにしても、せっかくある施設をどうやれば国民皆様の期待にこたえられるのかということを真剣に私は検討していただいている、こんなふうに思います。  ただ、今個々の具体的な事例については不満な点が多々あると思いますけれども、我々の趣旨厚生省当局が、また年金福祉事業団当局が真摯に受けとめておられる、これは評価すべきと考えております。
  42. 江田五月

    江田五月君 非常にタイミングよくといいますか、我々別にだれもはかったわけじゃないと思いますが、きのうのテレビ朝日の「サンデープロジェクト」でこの年金福祉事業団、まさにこの問題が取り上げられたんですね。  あそこで見ますと、立派な施設ができていると言うけれども、立派過ぎて宝の持ち腐れで、今じゃもう何か草スキーですか、人工芝スキーか、人工芝に本当の草がどんどん生えているというような状態で、これで立派に運用されているとは到底これは言えないんじゃないですかね。  長官が今おっしゃった、個々的に見ると確かに不十分なところがあると。こういうことについては総務庁として具体的にきめ細かなアクションを起こすということも考えていかなきゃならぬと思いますが、一年後の行政監察局長のその後の改善措置状況の照会ですか、このときまで待つんですか。それとも、ああいうテレビがあって、ちゃんと一々のことについてきっちり調査をされ、具体的なアクションをとられますか。どうなんですか。
  43. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 今、江田委員から御指摘がございました。規則では一年後に改めて回答をいただく、こういうことになってございますけれども、せっかくの御指摘でございます。  ついては、一年以前でも経過がどうなっているのか、どう改善をしておられるのかということについて私どもから投げかけたい、こんなふうに思います。
  44. 江田五月

    江田五月君 ぜひひとつそうお願いをしたい。そこらが政治家同士の議論のいいところですね。これは官僚の皆さんに任せておいたら相変わらずむにゃむにゃで、一年後の改善措置状況の照会まで何もしないというので続いていくわけで、ぜひそういう緊張感ある行政をやっていただきたいと思います。  さて、今申し上げたとおり、きのうのテレビ朝日で報道された、先ほど私は総務庁行政監察国会行政監視委員会は車の両輪だ、こう言ったわけですが、私も実はこの委員会は初めてでいろんなことをよく知ってはいないんですが、苦情請願の審査ということで不適正行政に対する苦情内容とする請願を審査する、これも大きな目的の一つになっていまして、これは言ってみればオンブズマン的機能を備えた委員会ということになるかと思うのでマスメディアによる問題提起、これもやはり非常に重要なことだと思っております。  そこで、きのうのこの特集で指摘された問題について質問したいんですが、質問通告していませんが、大野政務次官、きのうのテレビはごらんになりましたか。これは余り難しい質問じゃないから。テレビはごらんになりましたか。
  45. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 後でビデオをちょっと拝見しました。
  46. 江田五月

    江田五月君 テレビですから、行政の担当者から言えば、いや、あれは扱いをもうちょっと考えてほしいよとかいうことはあると思います。しかし、やっぱりかなり問題点を鋭くえぐっているので、さわりだけビデオでぱっと見るのでなくて、ぜひごらんいただきたいと思います。  これは通告をしていないので後日書面ででも回答していただければと思うんですが、お役人の皆さん、メモでもとってください。  日本老人福祉財団というのがあるんですね。この財団が経営している「ゆうゆうの里」というのが全国に何カ所かあるんですが、これが倒産の危機にある、サービスの低下が心配されている。「ゆうゆうの里」に自分の財産を売って入った、ところがサービスがどんどん低下して、例えば食事指導なんかもしばらくは休みとかいうようなことになって、これがつぶれたら自分はもう行く場所がない、金は全部なくなっちゃった、こういった大変な心配を皆さんに与えている。  厚生省はこの財団にどう対処し、入居者の方たちの不安をどう解消するつもりか。一点です。  二点目。日本老人福祉財団の吉田理事という人、テレビに出てきたんですが、一体なぜ理事長の意思に反してテレビ朝日のインタビューに応じて説明責任を果たさないのか、調べてみてください。  三点目。日本老人福祉財団に建設資金として融資された六十七億円、そのうちの十二億円、これが運転資金に流用されて建設会社に未払いとなっているようです。この問題の事実関係の解明、当事者の責任、これをどうするか、厚生省の監督責任はどうなるのか、後ほどで結構ですからお答えください。  さて、これも質問通告していないんですが、できればこの点は答えていただきたいんです。つまり、この番組の最後に厚生省というのが年金基金を運用するというのか、経営の才能があるんだろうか、厚生省のお役人にそんな運用を任せておいて大丈夫なんだろうかという、そういう大心配をこのテレビは投げかけているわけです。国民の大切な年金について厚生省運用能力、あるいは運用姿勢、非常に強い疑いの目が向けられているんですが、その点をどう思われて、これをどうしようとされるか、突然の質問なんですが、今思っておられることを答えてください。
  47. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 大先輩の尊敬をしております江田五月先生にお答えをするのは僣越至極ではございますが、御質問でございますのでお答えをさせていただきたいと思います。  今の御質問の中で、突然の御質問でもございましたのでもっと詳しく厚生省として調べてまた御報告をしたい、こういう面がございますが、ただ若干きのうの報道の中には誤った報道もいろいろ行われておりまして、建設資金として融資を受けた十二億円が運転資金の方に回されているというのは、あれは間違いのようでございます。すぐにあの取材の後に訂正をされたようなんですが、残念ながら訂正された部分は報道されないで最初のことだけが報道されたという実態があるようでございます。いろいろなことでこの十二億円が間違って使われたということだけは訂正をさせていただきたい、こう思っております。  それから、厚生省に任せておいて大丈夫なのかという、こういう御質問でございますが、これにつきましては保険料拠出者の意見も反映をさせまして、そして厚生大臣が定める運用に関する基本方針に基づき国債等を中心とした各種資産に分散投資を行うことにより安全かつ効率的な運用を行う、こういうふうに努めてまいりたい、こう思っております。  また、さらに運用の基本方針や運用実績等について国民に対する厚生大臣の説明責任を果たしていくとともに、詳細な運用報告書の公表と情報公開の徹底を図り外部からのチェックができる体制にしてまいりたい、こう思っております。
  48. 江田五月

    江田五月君 政務次官政務次官におなりになって厚生省を見て、それでそういうテレビやなんか、恐らくテレビの間違いもあるでしょう、それは私は皆さんのおっしゃることが正しいのかテレビ局の取材の結果の方が正しいのか今はよくわかりませんが、そういうのを聞きながら、お役人が後ろからペーパーを出してきた、それを丸ごと棒読みするのじゃなくて、やっぱり政治家は国民の声を聞いているわけですから、その国民の声を背景にしながら役所に対してもっと強く物を言ってほしい。  厚生省のお役人に資金運用能力がそんなにあると思うのがどうも不思議なんで、民間のもっと切った張ったやっているところの知恵を使うとかいろんなことがあるんだろうと思うんですね。  また、年金資金運用基金とかあるいは関連の財団法人、関連の民間会社、こういうものに対する天下り、これはもう年金福祉事業団の役員を見ましたら皆天下りですよね。天下りはやめると、そのくらい政務次官がおっしゃったらどうかと思いますが、どうですか。
  49. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 今の御指摘は大変重要な御指摘でもある、このように思いますので今後の大きな検討課題であろう、このように思っております。
  50. 江田五月

    江田五月君 それでは、厚生政務次官質問通告をした点について若干伺います。  この臨時国会から政府委員制度を廃止したと。国会で政治家同士の議論をするということで、なるべくずばりずばりと切り込んでいきたいと思うんですが、年金福祉事業団に対する総務庁勧告を受けて厚生省としてはどのくらいの熱意を持って改善していこうとされるのか、大野次官御自身の熱意と決意をお伺いします。
  51. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 総務庁勧告で指摘されました事項につきましては、先ほど続総務庁長官からも御報告がございましたように、さきの通常国会に提出をされました年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案の中に種々自主運用関連法案について具体的に措置をされている次第でございます。  年金法案にあわせまして十六日からいよいよ審議も始まるという状況でございますので、早期に御審議をお願いしたい、この法律の成立をもとにしてしっかりと取り組んでまいりたい、こう思います。
  52. 江田五月

    江田五月君 法案は出したからあとは国会だ、こういうお話かもしれませんが、それだけで済むのかどうか。  大規模保養施設グリーンピアは来年三月までには基地所在道県から最終的な意向が示されるということですが、見通しはいかがですか。民間に売却するとすればどういう方法で売却をしますか。
  53. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) 民間への売却の具体的な方法につきましては、今後年金福祉事業団におきまして有識者を中心に関係者などを交えて具体的に検討をしていく、そしてこの中で例えば施設機能をできる限り有効に、また地域環境に配慮する等々の観点から利用方法について申請をしていただく利用提案方式なども一つ方法ではないか、今後この有識者の方々の御意見も交えて決定をしてまいりたい、このように思っております。
  54. 江田五月

    江田五月君 いつまでに売却をし終わるんですかね。新しい基金が十年間管理運営する。したがって、十年かけて売却し終わるというのか、あるいはもっと手際よくやろうという覚悟があるのか、それはいかがですか。
  55. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) このグリーンピアにおきましては、現在十三カ所で約一千名の方々が働いていらっしゃるという、こういう実情もございます。地域の実情、また雇用の状況等々も踏まえながら今後の撤退のあり方について検討をしていかなければいけない。  具体的には次々回の、次々回と申しますと十年後の財政再計算時の法案のときまでに政令で定める日までに譲渡を行う、このようにされているわけでございます。  この間にできる限り、十年放っておくという意味じゃなくて十年を超えない範囲でということで、ことしじゅうに撤退をするという方向が決まっている施設もございますが、十年を超えない範囲で政令で定める日までに譲渡を行う、こういうふうにしております。
  56. 江田五月

    江田五月君 十年あるからまあゆっくりやればいいやという、そういう姿勢じゃなくて取り組んでいただきたいと思います。  それから、住宅融資とか教育資金貸し付けあっせん、これは現下の厳しい景気の動向や雇用等に配慮して継続するとなっている。しかし、閣議決定や勧告趣旨は事業の廃止なんですね。これは景気とか雇用とかで見通しがついたら速やかに廃止をするんですか。いつまで続けるんですか。お考えはどうですか。
  57. 大野由利子

    政務次官大野由利子君) この年金の住宅融資につきましても、現在は住宅金融公庫に次いで年金の住宅融資は大変国民の皆さんから需要が大きくて、そして被保険者の生活設計の中に大きく組み込まれているという、こういう実情もございます。また、景気の動向や事業に従事している人たちの雇用に配慮する、こういう必要もございまして、被保険者の方々の声や与党における議論等々を踏まえて、別に法律で事業廃止の日を定めるまでの間、年金資金運用基金においてこの事業を引き継ぐ、こういうふうになっております。
  58. 江田五月

    江田五月君 総務庁勧告では貸付事業については早急に検討しろ、こうなっているんですが、今の厚生省の答弁だと大分ゆっくり。総務庁勧告と同じペースなのかそれともどうも勧告と比べるとちょっと厚生省はゆっくりしておるなという感じなのか。ちょっとゆっくり過ぎるなという感じを総務庁としてはお持ちになるんじゃないかと思いますが、大野政務次官も続長官も行政改革あるいは高齢者福祉に熱心な公明党の御出身で、この年金福祉事業の問題はぜひとも熱意を持って取り組んでいただきたいと思うんです。  最後に、総務庁長官厚生省の今のペースはこれでいいというのか、もうちょっと頑張れというのか、そのあたりの決意を聞かせていただいて質問を終わります。
  59. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) せっかくの御質問でございますけれども、私どもは実情を調査して、そしてもはやこの事業は撤退すべきだ、あるいは廃止すべきだという理論的な勧告を申し上げました。今度はそれを受ける厚生省は、実は今御指摘のようないろんな課題を抱えておられる実際の舞台である。したがって、撤退の仕方はいろいろあろうかと存じます。しかし、いずれにしても前向きの姿勢で取り組んでいただきたい、このように思います。
  60. 江田五月

    江田五月君 終わります。     ─────────────
  61. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会警察庁長官官房長石川重明君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  63. 益田洋介

    益田洋介君 昨十四日夕刻、神奈川県警の現職の警察官及び退職した警察官の二名が恐喝未遂で逮捕されたという非常に衝撃的なニュースが日本じゅうを走り抜けました。  神奈川県警につきましてはさまざまな不祥事が続発しているわけでございますが、まずこの恐喝未遂の事件の概要、それから容疑事実、これについて報告を願います。
  64. 石川重明

    政府参考人(石川重明君) この事件の概要でございますが、神奈川県警察に勤務をしておりました現職の警察署勤務の巡査部長が、既にことしの十一月三日に恐喝未遂で逮捕をしておりました共犯者の退職した元警察官と共謀をいたしまして、神奈川県警察勤務の被害女性から架空の貸し金返済名下に現金を喝取しようというふうに企てまして、ことしの十月五日に現金百七十六万円余を要求する文書と同女性の写真一枚をその女性あてに郵送いたしまして、畏怖困惑させ現金を喝取しようとしたというものでございます。  この女性がこれに応じなかったためにその目的を遂げなかったということで恐喝未遂ということで事件を立て、現在神奈川県警察において捜査中でございます。そして、昨日逮捕をいたしました警察官につきましては昨日付で懲戒免職に付しているところでございます。
  65. 益田洋介

    益田洋介君 一つ問題があるのは、この二人が恐喝を企てた十月の初めごろというのは、たび重なる不祥事などの連発で大いに猛省をして、そして県警としては一万五千人の警察官に「信頼回復のための決意」と題したレポートを出させたり、さらには倫理研修班で議論をさせたりしていた時期です。  こういう時期に恐喝を現職の警察官が企てるということについて官房長はどういうふうにお考えですか。
  66. 石川重明

    政府参考人(石川重明君) 本件は、法を守るべき警察官としてあるまじき犯罪であるということに加えまして、今、委員御指摘のとおり、同県警の一連の不祥事案の発生以降、同県警職員、また全国の警察職員が懸命に県民、国民の信頼を回復すべく努めているさなかに起きたものでございまして、警察庁といたしましてもまことに遺憾のきわみでございます。  この事件に限らないわけでございますが、不祥事案の再発防止の徹底に向けましてより一層の努力をしなければならないというふうに痛感をしている次第でございます。
  67. 益田洋介

    益田洋介君 ひとり神奈川県警だけの問題じゃないんですね。京都でも残念ながら現職の警察官が似たような問題を起こしている。ですから、これは全国の警察の問題ですよ、官房長。今までの警察官の倫理教育ではまた不祥事を起こすということは火を見るより明らかです。  ですから、倫理教育なんというのは本当は就職をした社会人が受けるようなものじゃないかもしれないけれども相当高い倫理観を持ってしかるべき警察官がこのようなゆゆしき事件を起こしているわけでございますから、私は今後の倫理教育の考え方、具体的な方策、そうしたものを当委員会に提出していただきたい、国民の前に示していただきたい。頑張ります、今後はこういうことのないようにしますと言っているだけじゃ国民はもう納得できないんです。わかりますか。できますね。計画書を提出してくださいと言っているんですよ。
  68. 石川重明

    政府参考人(石川重明君) 一連の不祥事を受けまして、こうしたことの未然防止というものが最も大切である、また、不幸にしてこうしたものが起きたときには厳正な処置をとらなければならないということで、九月に業務管理の徹底、職業倫理教養の徹底、それから身上監督の徹底といったような不祥事案の未然防止対策を全国に指示をして、今それに取り組んでいるところでございますが、この職業倫理教養のあり方、中身について現在実施をしておる、あるいは今後考えることにつきましてまた当委員会にも御報告をいたしたいというふうに思います。
  69. 益田洋介

    益田洋介君 わかりました。文書で提出していただけるわけですね、計画書については。  提出するのであれば、いつまでに提出するのか、それも教えてください。
  70. 石川重明

    政府参考人(石川重明君) 内容をただいま承りましたことでございますので、帰りまして検討いたしまして、なるべく早く対応をしたいというふうに思います。
  71. 益田洋介

    益田洋介君 官房長、いろいろとお忙しいと思いますので、きょうはこれで結構でございます。ありがとうございました。  それでは次に、大蔵省の行政財産及び特別会計所属の普通財産についてでございますが、これは昨年の五月に、私、当時の松永大蔵大臣に提案をいたしました、富裕、不急な財産が恐らくあるであろうと。  まず、何でそれに気がついたかといいますと、千代田区九段南一の十三の一にあります竹平住宅、竹平寮、これは戦前、また戦後からのさまざまな経緯があったわけでございますが、いまだに、居住者が借地という形で賃料を払っているわけでございますが、居住者が残っている。これは四千百九十三平方メートル、千二百七十坪という土地が九段南、ちょうど武道館の裏に当たるわけですが、遊ばされている、この指摘から始まったんですよ。  それで、松永大蔵大臣はこれを受けて平成十年、昨年の五月二十五日に理財局長名で全国の財務局長に通達を発しました。そして、今言ったような行政財産等の使用状況調査をするといった指示を出したわけでございまして、東京二十三区、それから各県県庁所在地に所属する行政財産等については平成十一年六月までに調査を終えるように、これが通達内容です。  もう既に十月も終わり十一月になっているわけでございますが、いまだに当委員会調査結果を出していただいていない。これはどういうことですか。
  72. 村井博美

    政府参考人村井博美君) 行政財産の使用状況実態調査につきましては、平成十年七月から三カ年計画で調査実施しておるところでございます。  初年度分、平成十年度分の調査結果、これはただいま御指摘いただきました東京二十三区及び都道府県庁の所在地を中心とするものでございますけれども、これにつきましては、その結果を取りまとめまして、去る九月十三日に一件別の処理計画、延べ五千十一件の不動産についてでございますが、一件別に公表したところでございます。
  73. 益田洋介

    益田洋介君 それでは、公表したものを後で私のところに持ってきていただきたいと思います。  東京都以外の、あるいは県庁所在地以外のものについては十二年の六月までに調査を終えると言っている。これについては中間報告を出していただきたい。よろしいですか。
  74. 村井博美

    政府参考人村井博美君) 若干丁寧に申し上げますと、先ほど申し上げました十年七月からの三カ年計画、十三年の六月までの計画で実施をいたしております。  第一年度につきましては、先ほど申し上げました東京二十三区、さらには都道府県庁所在地でございます。本年度、第二年度におきましては、全国の人口十万人以上の都市について実施をいたしております。最後、第三年度、その他すべての財産ということでございます。  中間報告という御指摘でございますけれども、私ども調査結果が取りまとまりましたらまた御説明をさせていただきたいと思っているところでございます。
  75. 益田洋介

    益田洋介君 当時の大蔵大臣、松永大蔵大臣の強い意向というのは当然まだ大蔵省の中に残っていることだと思いますけれども、私のポイントというのは、当時申し上げたのは行政改革の推進の一環だと、効率的な使用をやはり国有財産の場合はしなきゃいけない、それから不用のものについては処分の促進をしていただきたい、この三点だったわけですが、この線に沿って調査を鋭意進めていただけますね。
  76. 村井博美

    政府参考人村井博美君) はい、そのようにさせていただきたいと思います。
  77. 益田洋介

    益田洋介君 同様なことを私は日銀の保有資産についても申し上げて、日銀総裁はやはり通達を昨年出していただきました。そして、東京と大阪を除く全国の支店長宅、十五カ所ありますが、すべて処分したい、最終的にはそのように決断していただきました。余り何回も何回も繰り返し議論していたもので大分日銀総裁から嫌われてしまいましたけれども、しかし、私の意向を理解していただいて、今進んでおります。  朗報がありまして、ことしの九月二十九日、支店長宅売却第一号ということで、高松の支店長宅が約三億円である建設会社に売却された。これはどうしてこういうふうに円滑にいったかといいますと、売却の計画書を提出していただいた。  やはり理財局は、莫大な数に上るわけでございますが、例えば東京二十三区から手始めにされるとか、その次に都道府県における資産の売却計画をするとかというふうにして段階的に売却計画を当委員会に提出していただきたい。よろしゅうございますか。
  78. 村井博美

    政府参考人村井博美君) 既に先般九月に公表いたしました一件別の処理計画の中におきまして、今後おおむねどの年度において処理を進めるのか、例えば今御指摘をいただきました売却につきましては何年ごろを目途に売却するのかということを既に公表させていただいておるところでございます。
  79. 益田洋介

    益田洋介君 先ほどの竹平住宅に戻りますが、具体的には今どういう状況にありますか。
  80. 村井博美

    政府参考人村井博美君) 竹平住宅の入居者でございますが、若干古いところから申し上げますと、平成九年十二月末には三十二世帯、昨年、十年の十二月末には十二世帯となっておったところでございます。現時点では六世帯となってございます。  今後、国におきましては竹平住宅と同程度の面積、家賃の代替住宅を用意いたしますとともに、代替住宅への移転料、いわゆる引っ越し代等でございますが、この支払いをするなど移転に必要な措置を講じながら、引き続き借家人である入居者の理解を求め、早期退去の促進に努めてまいりたいと考えております。
  81. 益田洋介

    益田洋介君 お忙しいところありがとうございました。  理財局長は大阪だということなので、帰りましたらよろしくお伝えください。今私が質問した趣旨をお伝えいただきたいと思います。どうもありがとうございました。  次に、年金福祉事業団に伺います。  マーケットでの運用事業については平成十年度の決算が赤字であったわけでございます。赤字の幅はどのぐらいのものだったのか、さらには赤字が生じた原因の究明、そしてこの赤字の決算が出るということ自体がどういうことなのか、将来的には具体的にどういうふうな改革をしていくおつもりなのか、その点について伺いたい。
  82. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 年金福祉事業団の市場運用事業の十年度の決算でございますけれども、非常にマーケットの状況が厳しかったということと、それからもう一つは、先ほども申し上げましたけれども資金資金運用部から借りてきて七年なり十年なりの長期固定金利で借りてきまして利払いをしながら運用しているということでございまして、まだまだ高い金利時代に借りてきた金が相当残っておるということで運用状況は、総合収益率、時価ベースで見ますと二・七%だったわけですけれども、借入コストが四・四%ということでございまして、このため差し引き約四千億円の赤字となったわけでございます。累積で見ますと一兆二千億ということになっております。  この原因でございますけれども、やはり私どもとしましては、一つ大きな理由というのは、今の仕組みに非常に無理がある、こう思っておるわけでございます。つまり、一度預けたお金を長期固定金利で借りてきて市場で毎年毎年運用するということでございまして、バブル崩壊以降金利が一貫して低下しておるわけでございまして、そういう中で借入コストが高どまりをしておるということでございまして、何とかこれは赤字解消ということで努力いたしておりますけれども、こういう構造的な問題があるということでございます。  それから、赤字の今後の解消ということでございますけれども、これは今の仕組みのもとでもできるだけ早く赤字を解消しなきゃいけないということでこれまでいろいろな形で努力をしてきておるわけでございます。例えば、制度的な問題では運用規制を弾力化する、緩和するということとか、あるいは投資顧問会社の参入を求めて民間金融機関の競争を促進する、こういったことですとか、関係者の資質の向上、こういったいろいろの手を打っておるわけでございます。この金額、一兆円を上回るわけでございますけれども、決して解消するのが難しい、こういうことではございませんで、これはマーケットの動向次第でございますけれども、今後借入コストが急速に低下してまいりますので、そういう中で引き続き解消のための努力を重ねてまいりたいと思っております。
  83. 益田洋介

    益田洋介君 事業団の仕事というのは一般の私企業と違うわけでございますから、撤退を盛んに先ほどの同僚議員との質疑応答の中でされておりましたが、やはりそれはそれぞれの地元の方に親しまれてきたものもあるわけでございますし、それからさらにはそういった意味で雇用を促進して地元の方々の生活を豊かにしてきたという背景もあります。  ですから、やはり撤退を検討されるに当たっては、地元の雇用だとか地元経済の活性化、それとどういうふうな相関関係にあるかということを常に十分に考慮していただかなければいけないと思いますが、基本的に事業団はこの点をどういうふうにお考えですか。
  84. 森仁美

    参考人(森仁美君) グリーンピアからの撤退でございますが、これまで地域におきましては大変親しまれ、また地域の雇用、経済、それから皆さんの御利用という点なども考えますと、私どもも十分な期間をとって必要な措置を講じながら撤退の基本を守っていきたいと思っているところでございます。  このためにはまだ地元と十分な協議を進めることが必要でございますし、私どもとして最大の実情把握ということもなさねばならないと思っておりますが、いずれにいたしましても、雇用や地域経済への影響へ十分配慮をするということを頭に置いて対処をいたしてまいりたいと思っております。
  85. 益田洋介

    益田洋介君 年金資金につきましては、従来、財政投融資資金運用部への預託をしてきたわけでございますが、今後はこれをやめて厚生大臣が被保険者の利益のためにということで自主運用をすることになるということでございますが、この点について事業団はどういうふうにお考えですか。  要するに、自主運用というのはプロがするわけではありませんので赤字になるんじゃないかという懸念が一般的にはあるわけでございますが、この点について、赤字にしないで運用が潤滑に行われていくためにはどうしたらいいか、事業団のお考えをお聞かせください。
  86. 森仁美

    参考人(森仁美君) 市場を相手にしながらの大変難しい作業をすることになるわけでございますが、私ども厚生大臣がお定めになります運用に関する基本方針という立派なものができますと、それを中心にいたしまして各種資産に分散投資をし、安全かつ効率的な運用というのが大切なポイントであろうと思っておりますので、十分に努力をしてまいりたいと思っております。  それから、単に安全かつ効率的な運用ということを申し上げるだけではなくて、先ほど来矢野局長からもお話がございましたが、私どもみずからを厳格に律しをし、責任体制を明確化していくということもまた大変大事なことではないかと思っておりますし、さらに私どもが行うでありましょうその行動につきまして詳細な運用報告書の公表といったことを考えておりまして、これまでもできる限りかなりのものを公表いたしてきておりますけれども、さらにその徹底を図るということも相まって努力を続けてまいりたいと考えております。
  87. 益田洋介

    益田洋介君 ありがとうございました。
  88. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 当行政監視委員会の大きな仕事一つに、行政がルールに反した行動をとって国民に被害を与えた場合、その原因をきちんと究明し、その根源を排除し、二度と再び同じ被害が起こらないよう監視をしていくことがあります。その立場から、私はきょうは防衛庁の問題に絞って質問をいたします。  公正取引委員会に伺いますが、十月十四日、防衛庁調達実施本部発注の石油製品の入札談合事件について、元売十一社を独占禁止法違反で告発をし、十一月九日には東京地検が起訴をいたしました。  事件の概要について説明してください。
  89. 塩田薫範

    政府参考人塩田薫範君) お答えをいたします。  公正取引委員会におきましては、防衛庁調達実施本部が発注する航空タービン燃料等の石油製品に関する入札談合事件につきまして審査をしてきたところでございますけれども、独占禁止法に違反する犯罪があったと思料いたしまして、十月十三日に石油会社十一社を、さらに十一月九日にこれらの会社等で石油製品の受注業務に従事していた者九名をそれぞれ検事総長に告発したところでございます。
  90. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 石油元売各社は一九七四年にもカルテルで国民生活に大きな被害を与えました。今回は防衛庁の物資の調達にかかわる談合ですけれども、税金を不当に支出させた、そして国に多大な被害を与えた、そういう点では重大な事件だと思います。そして極めて悪質な行為だと思います。  そういう意味で告発に踏み切ったのではないか、そう思うのですけれども、その点いかがでしょうか。
  91. 塩田薫範

    政府参考人塩田薫範君) この件は我が国の代表的な石油会社等であります十一社が我が国の防衛に不可欠であり、かつ市場規模が年間約五百億円に上る防衛庁向けの石油製品について入札談合を繰り返していたものでございます。  公正取引委員会としては、本件につきまして、独占禁止法に違反する行為であって、国民生活に広範な影響を及ぼすと考えられる悪質かつ重大な事案に該当すると判断して告発を行ったものであります。
  92. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 会計検査院は、昨年秋にこの問題に関して調達実施本部が行っている航空タービン燃料JP4の調達事務が不適切である、そういう指摘をしました。  指摘の概要について説明してください。
  93. 杉浦力

    ○検査官(杉浦力君) 御指摘の内容について御説明申し上げます。  航空タービン燃料JP4の調達につきましては、防衛庁調達実施本部が指名競争入札で行われるわけでありますが、この指名競争入札が不調となりまして、その後商議に移ったわけであります。その商議の中で、予定価格より高い価格をもとにすべての会社に同じ価格となるような下げ幅を示した上で再度その商議の結果出ました価格を予定価格にいたしまして指名競争入札を新たに行ったわけであります。そしてその結果、一回目の入札の場で落札するという一連の調達手続が慣例化しておったように見受けられたわけであります。  このような事態は指名を受けたすべての会社が再予定価格を推定し得るという結果を招いたものであり、また石油各社のシェアは毎年ほぼ同じ割合になっていたものであります。このため、指名競争入札における会社間の競争が阻害され、競争が十分に行われていなかったと認められたものであります。  調達実施本部では、本院の指摘を受け、従来の調達手続を見直し、その契約事務の適正化を図る措置を講じたため、これを改善措置事案として提起したわけであります。  以上であります。
  94. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 最近、海上自衛隊の地域通信処理システム機器の調達、あるいは地方総監部の艦船修理発注、ここでも一斉に高値入札で不調にして、そして再入札をさせる、あるいは本命業者以外は次々と辞退をして随意契約にする、調本の今回の石油製品で告発、起訴された、そういう事態と同じようなことが繰り返されていたと報道されています。  会計検査院としてそのような問題を検査しているのでしょうか。
  95. 杉浦力

    ○検査官(杉浦力君) お答え申し上げます。  現在、お示しのような事項につきまして、防衛庁の予算執行に当たり国会報告する事案であるかどうか十分検討しているところでございます。いましばらくお待ちいただきたいと思います。
  96. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 今、新聞等で大変大きく報道されているわけですからそういう事態になるだろうと想定するわけですけれども、長官、石油製品だけではなくて防衛庁全体に談合と結びついた不適切な調達方法が蔓延しているのではないか、そういう点で大変これは恐るべき事態だと思います。  ジェット燃料の不適切な調達を会計検査院から指摘されて、指摘されたことだけ改善をしますということで済ましてきた。  なぜそのような事態になったのかという原因をきっちり究明する、あるいは抜本的な対策をとるということがないから私はその後もこうした地域通信処理システム機器の調達とか地方総監部の艦船修理発注でも同じようなことが発見されたのではないかというふうに思うんですが、これらの点について防衛庁として調査をしておられるのでしょうか。
  97. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 岩佐委員にお答えいたします。  今、委員御指摘のように、会計検査院から指摘を受け、今ほど御質問にもありますように、燃料の問題でありますとか、また艦船の問題、案件がいろいろあるわけでございますが、私もこの際、就任をいたして間もないわけでございますが、これらの事案につきまして、それぞれ防衛関係の、また防衛庁、自衛隊の国民から信頼を失うことになるという事柄につきましてこれを重大に受けとめまして、今御指摘の燃料問題につきましては今その司法手続が進められておるわけでございますから、これに全面的に協力をしてまいる、そのことが適切なことではないかと存じております。  他の案件につきましても、調達の問題につきましては襟を正して、一つの大きな時期でございますから、国民の信頼を失ったこのままでいいわけはありませんので、この体質をどうすべきか、そのことについて目下指示をしながら取りまとめをしたいということで努力してまいる、このような覚悟でおります。
  98. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 その際、調査がきちっとまとまったらぜひ報告をしていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  99. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 事柄がいろいろございますので、私とすればでき得る限りそういったことを努力することが大切なことだと、かように考えております。
  100. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 公取に伺いますが、下水道談合では事業団職員も告発をされました。今回は防衛庁の関係職員は告発をされませんでした。しかし、防衛庁が談合と思われる価格を再予定価格にして、そして再入札をするということを繰り返していなければ談合しても業界としては意味がなくなって談合そのものが成り立ち得ない、これはもう常識的に考えればそうだと思うんです。それで、防衛庁自身が業者の談合を容認あるいは協力する、そういうことがあったからこそ談合が成り立ったのではないか、そう考えられるんです。そうとしか逆に言えば考えられないんですね。  公正取引委員会として、防衛庁の発注者としての責任、これをどう認識しておられるのか伺いたいと思います。
  101. 塩田薫範

    政府参考人塩田薫範君) 今、委員御指摘の問題といいますか事案につきまして刑事告発をしたということは先ほど申し上げたところでありますけれども、同時にそれと並行して、現在独禁法上の問題として審査中といいますか作業中でございますので、具体的な内容に関するお答えは差し控えたいと思います。  なお、委員の御指摘の点に関連して一般論として申し上げさせていただきたいと思いますけれども、独占禁止法上、発注者に対して排除措置をとることはできませんけれども公正取引委員会といたしましては従来から、入札談合に関する調査の結果、発注制度あるいは発注の運用等に独禁法との関連で問題が出てきた場合には発注者等に改善等の要請を行ってきているところでございます。
  102. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 防衛庁が毅然とした態度をとり対応していれば、私は談合、こういう不適切な調達事務、これが長期間続くということはあり得ないと思うんです。結局、談合に協力するような対応をしてきた防衛庁の体質が問題に今なってきているのではないか。  石油製品について、一九七四年のあのやみカルテルのときに消費者の裁判が起こされました。私もその裁判に関係した一人なんですけれども、とにかく繰り返し繰り返し石油業界というのはやみカルテルを行う大変巧妙なそういう業界であるわけですね。そういうところを相手にするわけですから、防衛庁として本当にきちっとしていかないとこれは対応し切れないというふうに思うんですね。  私は、そういう点でこの体質に問題があるのではないか、毅然とし得なかった、そういう認識について、防衛庁長官のその認識を伺いたいと思います。
  103. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) もともと、今、委員御指摘のように、調達の実態が適切に行われるということは防衛庁並びに自衛隊といたしまして当然国民の信頼をかち得るためには必要でございますが、えてして、これからの問題として、従来のあり方でよかったのかどうか、まさに委員指摘のとおり問題点があると思います。  でありますので、私どもといたしましては、これらに協力をするといいますか、今司法手続が進められておるということを厳粛に受けとめまして、協力をすべきは全面的に協力をいたしまして、あるべき姿を、どうあるべきかということをさらに検討していくことは今大切なときだと、かように考えておるわけでございます。
  104. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 防衛庁の調達物資等の予算というのは毎年二兆円を超えるわけですね。  それで、今回の石油製品の問題では、一般紙に報道されていますけれども、調本の副本部長も談合に同席していたんじゃないかとか、あるいは調本が再入札価格を提示していたのではないか、こういうようなことがいろいろと言われているわけです。こういうやり方で価格がつり上げられて、しかも防衛庁自身の関与が問題になるなど、決してあってはならない事態、これは今言われたところでもはっきりしていると思います。  これまでの実態解明と今後の公正な方策というのを明示すべきだというふうに思いますけれども、同時に、実は東京都は水道メーター談合事件では談合を行った会社に対して損害賠償請求をしているんです。今回の価格談合による損失というのは国税の損失であります。  防衛庁として損害賠償請求すべきだと思いますが、いかがですか。
  105. 瓦力

    国務大臣(瓦力君) 今ほど委員から御質問といいますか、さらに加えてどうあるべきかということにつきましてもお尋ねをいただきました。  私は、今、公正取引委員会調査でございますとか司法手続が進められている状況で、仮定の問題にお答えをすることは差し控えたいと思いますが、これが御指摘のような点があれば、私は適切に対処しなければならないと。ましてや国損が生じているかどうかというようなことになりますと、そのことを検討の上対処すべきと思いますので、きょうはこの御質問に対しまして、仮定の問題であるとはいいながら、適切に対処してまいりたい、こういう私の決意を申し述べさせていただきたいと思います。
  106. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 最後に、この件で総務庁長官にお伺いいたします。  総務庁も数回行政監察で防衛庁の調達にかかわる不適正価格取引を指摘してきました。今非常に重要な時期でもありますので、総務庁としてもしっかりと監視を強めていくということの決意を伺いたいと思います。
  107. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 岩佐委員のせっかくの御質問でございます。  岩佐委員とは昨年来一年間、この委員会で御一緒させていただきました。この委員会は与党、野党を超えて、とにかく参議院の良識を生かして立派な監察をやろうというのが実は誓いの言葉でありました。そんな関係で、昨年のこの一連の防衛庁調達本部の事案に対しては心を痛めた仲でもございました。  そこで、私は就任して早速、昨年来のこの事案に対してどういう処方せんをとったのかという質問を事務当局にいたしました。それに対して、本年の三月に勧告をしておりますと。その勧告内容は、今お示しをされたような趣旨勧告をしております。これからもその趣旨に沿って一生懸命やらさせていただきます。
  108. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 あともう一問あるんですけれども、茨城県茨城町にある鳥羽田地区の山林に東京の古物商東商会が九一年ごろより自衛隊のジェット機やエンジン、通信機器類、廃車、古タイヤ、ソファー、ポリ容器、テレビ、冷蔵庫、さらには木くず、古着まで有価物と称して大量に運び込み、十メーター以上も積み上げて放置をして、オイル漏れとか悪臭とか崩壊の危険とか火災の危険で現地は大変な問題となっているわけです。  敷地の排水が隣の畑に垂れ流される、あるいはタイヤの野焼きまでも行われて住民は環境汚染に苦しめられております。大きなジェット機が野積みされている光景はテレビや写真週刊誌などで報道され、この問題で近隣地区を初めとする住民団体から再三の苦情が上げられて、私も調査に行きましたけれども、本当にひどいものでした。  なぜこのような事態が長年放置をされてきたのか、厚生省としてこの問題にどう対処するのか、簡単に御説明ください。
  109. 岡澤和好

    政府参考人岡澤和好君) 茨城県茨城町の問題についてのお尋ねでございますけれども厚生省から茨城県の廃棄物行政担当部署に確認いたしましたところによりますと、本年七月の時点までは今委員御指摘のような状況が続いていたというふうに承知しております。しかし、八月になりまして、金属くずなどとあわせて廃棄物と思われるような机や制服等が混入した状態であったわけですけれども、そうした廃棄物というふうに認定できるようなものにつきましては早急にこれを撤去し、適正に処理するよう茨城県から業者に対して指導が行われたところでございます。  その後、その業者は茨城県の指導に従いまして、現時点では机、制服等はすべて搬出済みでありまして、残りの金属くずについても、さびつくなどして明らかに廃棄物の性状を示していると思われるようなものについては搬出済みというふうに聞いております。
  110. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 この東商会というのは九四年から五年間で百五十八件、六千百五万円、自衛隊の各部隊から一般競争入札でこれらのものを有価物として買い付けているんですね。ところが、有価物、いいところだけとって、操縦席とか計器類など売れるものはとっちゃって、あとはそういうふうに放置をしていたという事件なんです。  もとを正すと、防衛庁が有価物と称する高く売れるものと、あと廃棄物、衣類だとかもうどうにもならない電気製品だとか、廃車もありましたし、写真の一番上に載っかっているのが戦闘機ですけれども、どうにもならないものも混在で売り払うというシステムに私は問題があると思うんですね。  今、ごみは家庭でも事業所でも企業でも全部分別をする、本当に使えるもの、使えないものと分別してリサイクルをする、リユースをする、そしてどうしようもないものだけ廃棄をするというのが時代の流れなんですね。防衛庁がいつまでも有価物と称してごみになるようなものをそうした入札制度にかけていることが私は問題だと思います。  ですから、その入札の制度を改めていく必要があると思うのですが、いかがですか。
  111. 依田智治

    政務次官(依田智治君) 今、大臣とともにこの写真を見せていただきました。先生御指摘の茨城県の茨城町の防衛庁が不用決定した物品が山積みされているという事実は承知しております。  防衛庁としましては、法律に基づいて、一応基本は自衛隊が不用決定した物品については、有価物と廃棄物とに分けて、廃棄物は廃棄物を処理する業者に払い下げるという方針をとるようにしておるんですが、この場合にはどうも飛行機の切ったもののほかに何かタイヤがあるとかいろいろ指摘されておるわけでございまして、先生御指摘のような点についてはしっかりと区分けしてやるように、また今回の事案がどういう実態だったのか、よく調べて徹底した対策を講じる必要がある、このように考えております。
  112. 岩佐恵美

    岩佐恵美君 終わります。     ─────────────
  113. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) この際、政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  行政監視行政監察及び行政に対する苦情に関する調査のため、本日の委員会警察庁警備局長金重凱之君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  115. 梶原敬義

    梶原敬義君 年金福祉事業団に関してお尋ねしますが、私は時間が十四分なものですから、要領よく答えていただきたいと思います。  自主運用によりまして平成十年度末の年金福祉事業団赤字は時価ベースで一兆二千三百八十億円、簿価ベースで一兆八千四百八十六億円、これは先ほどからお話があっております。本当はもっとこの原因等について突っ込んで聞きたいわけでありますが、先ほどから少し話がありましたからもうそれは省きます。  話を聞いておりましたら、矢野局長は、これは仕組みに構造的な問題があってこういう赤字がふえたんだと、こういうようなことを始終言っておりますが、私も年金は二十三年厚生年金を掛けてきたんですが、国民はそういうことを言われても赤字を出しておって何を言うかと、こういうことになるんです。民間の会社でもしまじめに与えられた範囲でやっておっても大幅な赤字が出るとこれは責任問題になる、これは当然のことでありまして、何か言語道断の答弁を繰り返しておりますが、だれに一体責任があるのか。  年金福祉事業団の森さんも厚生省から環境庁の次官をやられた方で、もとは厚生省年金福祉事業団赤字をこんなに大幅に出してどういう責任を一体感じておるのか、厚生省局長が先ほど答弁しておりましたが、一体どういう反省をしておるのか、それを最初にお尋ねします。
  116. 森仁美

    参考人(森仁美君) 年金福祉事業団の決算上の赤字につきましてただいま御指摘がございましたが、同時に私どもも大変重くその結果を受けとめているところでございます。  いろいろ原因はあるわけでございますが、しかしそれはそれといたしまして、私どもがその運用仕事を行っている、かつそれを取りまとめている私といたしまして、実はこの問題は大変重いものでございます。どうやって国民の皆さんに安心していただけるかというのが私のここ数年の大変大きな課題でございます。そこから出てまいりました一つの結論が今回法律案として提案をされております基金という方向への改組というものではなかろうかと私は思っておりますし、それが今のところこれから先の安心を国民の皆さんに持っていただくための道具になると思っているところでございます。
  117. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 私もこの問題につきましては責任を免れるものではないと日々痛感いたしております。  したがいまして、これまでもいろいろな形で、まず現行の仕組みの中で赤字を解消するということで先ほど来るる申し上げましたような改善を図ってきておりますけれども、あわせまして、やはりこれは現行の制度自体にも無理があると思いますので、制度を本来の自主運用に改めるということで現在法案を国会に提出いたしておるわけでございます。  そういうことで、この問題につきましては引き続き国民の安心が得られるような本来の自主運用に基づく運用ができるような仕組みに一刻も早く切りかえるということが責任を果たす一つではなかろうかと思っておるわけでございます。
  118. 梶原敬義

    梶原敬義君 これは大臣の一人や二人の首が飛んで済むものじゃない、このように思いますから、これは引き続いて両方とも責任をもう少し、新法との関係もありますが、明確にしながらやっぱり問題の提起を、新しい法律の審議をやるべきだと思いますから、よろしくお願いします。  そこで、これは理事長でもいいし、監督官庁の厚生省になるのか。資金運用部から金を借りてきて高い利子でやるから悪い、こう言っているんですが、株を買ったり債券を買ったり外債を買ったり、赤字が見込まれる場合は何もいっぱいいっぱい事業をすることはないんじゃないか、借りてこなくて運用規模を縮小したらいいんじゃないか、そこは一体どうなっているんですか。
  119. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) これは資金資金運用部から年金福祉事業団が借りてきて運用しているわけでございます。その元本を毎年二兆とか三兆返さなきゃいけない、それから利払いも毎年一兆円に上るわけでございます。したがいまして、この運用をやめて資産を売却して元本なり利子を返していくということになりますと、これはまたマーケットにも大混乱をもたらすわけでございまして、やはり安定的な資金供給をして、元本返済なり利払いをしながらマーケットにも配慮しつつ運用していくということがよりベターじゃないかと考えておるわけでございます。
  120. 梶原敬義

    梶原敬義君 そういうことを言っているんじゃないんです。四千億からの年間の赤字、四千億というのは大変膨大な資金です。こういう赤字をあなた方専門家が見て、これは今の経済状況の中でこれは危ないといったときには運用幅を小さくしてもう運用はしない、じっとしておく、どうしてこういうことがやれないかということを言っているんです。
  121. 森仁美

    参考人(森仁美君) ただいまのお尋ねは、例えばどうも情勢が悪いといったときに市場から資金を引き揚げて、それをじっと基金が持っておく、こういうことは現実的ではないのではないかと思います。といいますのは、市場から引き揚げること自体が大変大きなインパクトを与えることになりますし、引き揚げた資金自体の運用という問題がまた新たに発生をしてまいります。  私どもは、実は調整基金というようなものを内部に設けておりましてポートフォリオ上の調整をしてまいりますが、その際にあわせて市場の動向も見ながら引き揚げるものは引き揚げる、そして調整基金で短期の資金運用の方で運用をいたすという構造をとりながらやっているところでございます。
  122. 梶原敬義

    梶原敬義君 いや、引き揚げた資金運用部の方に一時的に戻しておけばその分は金利が稼げるんじゃないか、そこを言っているんです。
  123. 森仁美

    参考人(森仁美君) わかりました。それは形としては資金運用部への繰り上げ償還という形になるわけでございまして、実はこれまでそれができなかったというのが実態でございます。
  124. 梶原敬義

    梶原敬義君 やる気もなかったんじゃないんですか。
  125. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) これは、資金運用部の基本方針といたしまして、一度貸したお金の繰り上げ償還というのは原則として認められておりません。  それは、高いコストは早く返して安いコストの資金を借り受けるという民間の発想からいたしますと当然のことでございますけれども、国の資金運用制度におきましては繰り上げ償還は認められておりませんので、したがって逆ざやが生じてしまうということでございます。
  126. 梶原敬義

    梶原敬義君 この辺のあり方の問題で、民間とか国とかいっても、一年間で赤字四千億円といったらこれは膨大な資金ですよ。  これに対して毎日毎日赤字が出ていく状況の中で事業団がどのように対応するかというのは、民間の人から資金を集めておって、そういう資金が垂れ流しで出ていく、赤字がふえていくことに対して日常手を打ってこなかったその責任については、やっぱり責任がありますと、何らかの形にしなきゃ国民は納得しませんよ。時間がありませんから引き続いてこれだけについて後日質問をいたします。  次に、きょうは警察庁においでいただいておりますけれども、時間がありませんので言いっ放しになると思います。  一つは、國松警察庁長官が狙撃をされた事件について新聞で何かいろいろ暴力団関係がどうやこうやというのが出たりなんやらしております。彼はスイスの大使で行かれたということを聞きましたが、警察庁長官の狙撃事件がこのまま永久に眠ってしまうということは、これは警察庁に対するやっぱり信頼の問題にもなる。この点について、どういう状況か、ちょっとお聞かせください。  それからもう一つは、警察白書を読みましたが、「第三次覚せい剤乱用期」、こういう表現が警察白書に出ております。神奈川県警の警部補の事件も覚せい剤の話に絡まっておりますが、麻薬、覚せい剤、けん銃、こういうものがどんどん堰を切ったように入ってきております。それぞれ警察庁、厚生省、海上保安庁、それから大蔵の税関、皆さん一生懸命取り組んで実績も上げておられますが、私は、警察庁も税関も今のようなこういう状況に対して職員の数がこういう状況で果たしていいのかどうなのか、もう少し重点的に取り組む必要があるのではないか、対応して予算要求もして思い切ってやる必要があるのではないか、このように考えております。  警察の方もいろんな事件があってなかなか厳しいわけですが、もっと再教育をしたり再訓練をする、そういうゆとりというものも必要じゃないか、このようにつくづく考えております。  もう余り時間がないですが、よろしく答弁してください。
  127. 金重凱之

    政府参考人(金重凱之君) 警察庁長官狙撃事件につきましてお答えさせていただきます。  この事件は治安に対する挑戦とも言うべき極めて重大な事件だということで、私どもとしましては必ずや犯人を検挙して事件の全容解明を図らなければいけないというふうに認識しておるところでございます。しかしながら、事件発生以来、既に四年七カ月が経過しておる、しかしいまだに事件の解決に至っていないというのはまことに遺憾に感じておるところでございます。  この事件につきましては、警視庁におきましてこれまでの捜査資料の見直しを行ったり、あるいは新証拠の発見に向けての地道な努力を続けておりますし、また警視庁のみならず全国警察におきましても関連情報の収集に努めるといったことをやっております。  さらには、長官狙撃事件とオウム真理教との関係の解明というのを図るためにも、現在なお逃走中の三人のオウム真理教関係の警察庁特別手配被疑者の検挙に全力を挙げて取り組んでおるところでございます。特に、警視庁におきましては、先般、この警察庁特別手配被疑者の早期検挙を図るというようなことで懸賞広告が実施されることになったわけでございまして、今後はこの事件検挙に関連する情報が寄せられることを期待しておるところでございます。  いずれにしましても、警察としましてこの事件の捜査というのを最優先課題一つというふうに認識しておりまして、一日も早い犯人検挙、事件の全容解明を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  128. 黒澤正和

    政府参考人黒澤正和君) 薬物情勢、銃器情勢、いずれも大変厳しい状況にございます。真正けん銃あるいは覚せい剤等の薬物のほとんどは外国から密輸入されたものでございまして、その水際での取り締まりは極めて重要であると考えております。  こういった水際検挙に際しましては、警察部内におきまして関係部門が緊密に連携を図ることに配意しておりますほか、この種事犯の広域化に対応いたしまして関係都道府県警察の間で共同合同捜査を積極的に実施するなど全国警察一体となった取り締まりに努めております。全体として最大限効果的に機能するよう弾力的、有機的な組織の運用を行っているところでございます。  また、税関、海上保安庁、麻薬取締官事務所等と国内関係機関との連携を進めますとともに、諸外国の捜査機関とも情報交換等を通じた協力関係の強化を図っておるところでございます。  これまで効果的な取り締まりを行うために関係機関の御理解を得まして体制の強化に努めてきたところでございまして、これを最大限に活用しながら銃器、薬物の国内流入阻止に全力を挙げて取り組んでまいる所存でございますが、今後とも必要な体制の確保に向けまして引き続き努力を払ってまいりたいと考えております。
  129. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 答弁は簡潔にお願いいたします。
  130. 渡辺裕泰

    政府参考人渡辺裕泰君) 私どもも、覚せい剤、大麻等の国内流入を阻止して国民の健康と社会の安全を守るというためには、水際取り締まりを一層強化して国民皆様の期待にこたえていくことを最重要課題一つとして位置づけて頑張っております。  要員の確保についてのお尋ねがございましたが、税関におきましては、業務量が増加している一方、定員がなかなかふえないという状況にございますので、事務の重点化、効率化、機械化を図ってできるだけ取り締まりに従事する職員の確保に努めてきたところでございます。今後とも、効果的な業務運営を図りながら、必要な機構、定員につきましてはその確保に向けて努力を払ってまいりたいと考えております。
  131. 荒井正吾

    政府参考人荒井正吾君) 海上保安庁でございますが、薬物、銃器の問題の深刻さ、重要さは今委員及び各官庁の御指摘のとおりでございます。  海上保安庁といたしましては、水際阻止の課題が喫緊だと認識しております。特に最近の事犯では、公海上で外国船から日本船に積みかえる、あるいは船内で巧妙な隠し場所があるといったようになかなか取り締まりは難しい面がございますが、水際阻止に全力を挙げるために勢力の集中投入、あるいは海上行動能力が少々ございますのでそれを関係機関に利活用してもらうというようなことを考えまして、現有の人員、装備を効果的に活用いたしまして、主に情報収集活動推進、徹底した立入検査、航空機、巡視船艇による監視警戒体制の強化などに全力を尽くしていきたいと思っております。  海上保安庁内の勢力を重点的に密輸、密航に配置するように考えておりますが、今後とも必要な装備、機材、世界じゅうの優秀な機材を買いあさりたいという覚悟でおります。そのような体制の強化について最大限の努力を今後とも続けてまいりたいと考えております。
  132. 丸田和夫

    政府参考人丸田和夫君) 厚生省といたしましても、麻薬等薬物乱用を防止する上で密輸入に係る取り締まりの強化を図ることが非常に重要と認識しております。  麻薬取締官事務所におきましては、政府の薬物乱用防止五カ年戦略に基づきまして、国内の関係機関や諸外国の取り締まり機関と適時情報交換を行いつつ、連携の強化を図ってまいりたいと考えております。  また、全国の麻薬取締官事務所には現在百七十五名の麻薬取締官が配置されておりますが、その半数近くが薬物に関する専門知識を有します薬剤師の資格を持つ者でございます。その専門性を十分に生かしまして薬物犯罪の摘発等に当たっているところでありまして、今後とも効率的、効果的な活動に努めつつ、必要な体制等の整備を図ってまいりたいと考えております。
  133. 高橋令則

    高橋令則君 年金福祉事業団関係について質問をさせていただきたいと思います。  既に各委員からるるお話がございまして、同感とするところが多々ございます。  具体的な話に入りますけれども融資事業関係です。  年金福祉事業団の事業年報によりますと、膨大な年度末残高があるわけですね。その中で、このうち回収が困難な破綻先債権あるいは延滞先債権、このリスクがある、管理しなければならない債権がトータルとして、あるいは中身としてどういうものが上がっているのか、その額と中身についてお聞かせいただきたいと思います。
  134. 森仁美

    参考人(森仁美君) 私ども、ただいままでのところ、融資事業の貸付残高は十兆三千二百二十四億円というのが平成十年度末でございます。  この残高の十兆余の内訳は、福祉施設設置費の融資、これは病院でございますとかあるいはかつては休養施設、社宅を含めたような福祉施設、最近はかなり数は減ってきておりますが、こういうものについての残高が二千七十四億円ばかり。それからもう一つの大きな分類は被保険者住宅資金でございます。国民年金、厚生年金の被保険者の方々が住宅をお求めになるときに年金資金をお使いになる、この住宅資金でございます。これが九兆九千八百億円ばかり。これは個々の被保険者がその主体でございます。それから、年金担保の小口融資というのがございます。これは年金受給権を担保といたしまして冠婚葬祭その他のときに小口の資金融資を受ける、こういうものでございます。これが千三百億円ばかり。大きいのは被保険者住宅資金でございます。  そのうち問題になります延滞債権でございます。延滞債権は合計三百三十九億円、貸付残高に対しまして〇・三二八%ということでございますが、延滞債権の中で大きいのはやはり被保険者住宅資金でございまして、これが百九十五億円、福祉施設整備費につきまして百三億円、それから年金担保小口資金につきましては四十億円、こういう状況でございます。
  135. 高橋令則

    高橋令則君 延滞債権については、話があったように三百三十八億と私も把握しておりますが、ほかはないですかね。回収がもうできないような、まさに破綻しちゃったというふうな、処理せざるを得ないような、そういう仕組みについてはないですかね。延滞債権しかないですか。
  136. 森仁美

    参考人(森仁美君) ただいま御報告申し上げましたのは、六カ月以上延滞をなさっておられる方、これを私どもは延滞債権として掌握いたしております。  個々の債権のうち、これはいろんな形態がございますが、延滞債権分類に入らない今お尋ねの部分は、ひょっとしたら返ってこないのではないかというようなものはないかというお尋ねであろうと思うのでありますが、これはなかなか掌握は困難でございます。
  137. 高橋令則

    高橋令則君 延滞の分については私も把握したんですけれども、そのほかにないのかなと。いわゆる回収が極めて困難な、もう事実上できないというふうなものもあるのではないかというふうに思ったものですからお聞きしたんです。きちっとした話がないわけですけれども、これはもう一回聞くんですけれども、ないんですね。
  138. 森仁美

    参考人(森仁美君) 私ども、延滞債権として掌握しているものは先ほど申し上げたとおりでございますが、ひょっとしたらこちらの方に移っていくのではないかというようなものがこれからどういうふうに出てくるのか、出ないことを願っておりますが、その状況を全体として掌握するというのはできません。
  139. 高橋令則

    高橋令則君 まだちょっとわからない部分があるんですが、それはそれとして、この三百四十億を含んでの延滞債権の対策というんですか、この取り組みはどうなっておりますか。回収のための計画とかそういうものはあると思うんですけれども、それをお聞かせいただきたいんです。
  140. 森仁美

    参考人(森仁美君) 大変大切なお金を運用いたしておるわけでございます。私どもお貸しするときに、決められた日に決められたようにお返しいただきたいということを前提にお貸しいたすわけでございます。その際に、一般的には保証機関の保証をつけていただくということがございます。それで、三百三十九億円のうちの百七十億円は保証機関の保証つきで行われておるものでございます。  それから、大変古いものが含まれておりまして、百二十八億円についてはその融資対象物件を担保といたしておりますので、どうしてもお返しいただけないというような場合にはその物件を処分することによりまして補てんを行うということになるわけでございまして、これが百二十八億円と見込んでおります。  それから、四十億円、いわゆるお話し合いによってぜひお返しをいただきたいというようなことで今やっておるのがございます。これは年金担保の小口融資でございまして、年金受給権者が既にお亡くなりになっておられる、しかし前にお貸ししたものがその相続人の方に債務として移っていてお返しいただけない、こういうようなものは、大変つらいわけでございますけれどもお話し合いの上で少しずつでもお返しいただくというようなことでやっておりまして、これが約四十億円でございます。
  141. 高橋令則

    高橋令則君 今、保証あるいは担保という話がありました。この保証の債務の中身とか、それから担保の中で毀損しているような、これを管理していて回収が難しいというものはないんですか。その保証の中身、事業団自体の直ではなくてその保証した人、あるいは会社もあるかもしれませんし、それから担保としてもいわゆる物ですから、したがって土地とか何かでしょうが、それが下がってくるとこれはとても管理できない、最終的に赤字になっちゃってどうにもならないというのは入ってくると思うんですが、そういう面の把握はどうですか。
  142. 森仁美

    参考人(森仁美君) これは個々のケースを全部積み上げておりませんので今直ちにお答えはできませんが、そういうケースが多々ございます。大変難しいケースでございます。  こういう場合には、私どもいろいろ先方と御相談をしながら回収に努力をするということでただいままでのところやってまいっておりますが、このお金は大変貴重なお金でございます。そこのところを十分に認識すると同時に、お借りになっておられる方の御事情もまた考えなければなりません。そういうことで大変難しい中でございますが、私ども一生懸命に努力をしているところでございます。
  143. 高橋令則

    高橋令則君 これは大変心配なんです、年金の原資ですから。  理事長の話だけではちょっと心配なんですけれども、監督庁である厚生省、こういう把握と事業団に対する指導、これはどうですか。
  144. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) 融資につきましては、今、理事長が申し上げましたように、制度的に見ますと保証制度がある、それから物件は担保をいただいているということでございまして、制度的にはそういうことで対応しているわけでございます。  問題はバブル崩壊以降、給料が下がるとかあるいはリストラに遭って失業する、そういう中でマイホームは手に入れたけれどもこれが返せなくなったと、こういう方々が最近ふえておるということで、この問題につきましては関係者で円滑な返済についていろいろ相談をしておるところでございます。
  145. 高橋令則

    高橋令則君 三百四十億というのは大変な額であります。したがって、これは厳しくきちっとやっていただきたいと思います。  それからもう一つは、グリーンピアの問題です。  私も実はグリーンピア田老に関与した一人でありまして承知しているんですけれども、撤収するという、最終的には総務庁行政監察を見てもそういう方向になっているし、そういう取り組みも十三道県に対して担当課長等を招集して話をしているというようなことも承知をしております。しかし、これを撤退するとか、あるいは各都道府県、そしてまた民間に移譲するといったって、これはもう大変な問題だと思うんですね。  御承知のとおり、普通の民間だったら償却の問題とか公租公課の問題とか膨大な額が、本来は施設自体がやらなきゃならぬものを事業団が負担している分もあるわけですね。したがって、これを撤退して都道府県なり民間といったって、その分を負担するところがないわけですね、そうなると。私の把握ではたしか平成八年の十三施設全体ではその分が五十二億ぐらい、これは総務庁監察にあるわけですね。  したがって、こういう実態から見て、これを民間なり都道府県にやるというのはもう事実上できない話ではないかと思うんですが、少し踏み込んだ答弁を要求します。
  146. 矢野朝水

    政府参考人矢野朝水君) グリーンピアにつきましては、この建設の経緯、それからその後の運営、いろいろな面で地元自治体の御協力を仰ぎながら今日まで参ったわけでございます。  そういう意味で、この行革の中で撤退という大方針が下った以上、私どもは地元自治体と御相談をしながら円滑な撤退ということで現在協議を進めておるわけでございます。地元自治体も今非常に財政が厳しい状況でございまして、なかなか前向きの御返事というのは難しい状況ですけれども、何とか円滑な引き受けをお願いしたいと。せっかくこれまで関係者の努力で整備されてきたものでして、これをつぶしてしまうといいますか、ペンペン草が生えるような状況にするというのは非常にもったいない話でございまして、何とか地元で有効活用していただけないだろうかということで今協議を進めております。それからまた、地元自治体でどうしても無理だという場合には、これは民間も含めて売却先を探していきたいと。  いずれにいたしましても、これは地元の意向なりあるいは雇用もございます。そういったいろんな状況に配慮しながら撤退について御相談をしていきたい、こう思っておるわけでございます。
  147. 高橋令則

    高橋令則君 大変心配をしております。  というのは、今の仕組みでは、前段私が申し上げたように、減価償却とか公租公課については入っていないわけですから、それを全部やって民間あるいは都道府県へやるということはもう私が見る限り不可能という仕組みだと思うんですね。  したがって、この十年の間にこれができるということはちょっと言えないんだけれども、いずれ、地元にとっては大変な問題であるし、一面では当然ながら年金資金を管理しなきゃならない、全力を挙げてやらなきゃいかぬわけですから、もう背反する話になるわけで非常に難しいと思うんです。一生懸命これは努力してくれと言うしかないんですけれども、十分認識の上それに取り組んでいきたいと思うんです。  それで、もう時間でありますので、基本的に梶原先生からお話がありまして私も同感としているんですけれども、仕組みの中で、もう環境の変化によってしようがないというのか、そういう感覚があるのではないかという気持ちがあるんですね。しかし、そういう面もあると同時に、そういう環境なり仕組みの中で、枠組みの中で最大限努力すべき、これが果たしてこれで十分なのかなと、いわゆる運用の仕方というもの自体もやっぱりもっと厳しく受けとめていかなければならないかと思うんですね。  事業団が今後基金になるんですね。したがって、それによってそういうふうな問題点については十分解消できるような取り組みというのが必要だと思うんですが、これについてはどうですか。
  148. 森仁美

    参考人(森仁美君) これまで年金福祉事業団が果たしてきた役割、それからその成果につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、私は関係者の大変な御尽力、御協力を得ながらここまでやってきましたが、しかしいろんな問題が多々提起されております。それを一つでも二つでも、そして全部解消するような努力を重ねていくべきであるということで職員一同頑張っているところでございますが、制度的、全体の問題としましてはただいま国会審議をお待ちしております法案の形で、その線でまいりたいと、そちらにスムーズに移行ができますようにということを今一生懸命考えているところでございます。
  149. 浜田卓二郎

    委員長浜田卓二郎君) 本日の調査はこの程度にとどめることとし、これにて散会いたします。    午後三時五十七分散会