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1999-11-10 第146回国会 参議院 共生社会に関する調査会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十一年十一月十日(水曜日) 午前十一時六分開会 ─────────────
委員氏名
会 長
石井
道子
君 理 事
釜本
邦茂
君 理 事
溝手
顕正
君 理 事
大森
礼子
君 理 事 林
紀子
君 理 事
福島
瑞穂
君 理 事 入澤 肇君 理 事
堂本
暁子
君
岩永
浩美
君
佐藤
泰三
君 清水嘉与子君
末広まきこ
君
仲道
俊哉
君
橋本
聖子
君 林
芳正
君
森下
博之
君
小川
敏夫
君
小宮山洋子
君
佐藤
雄平
君
千葉
景子
君
福山
哲郎
君
松崎
俊久
君
渡辺
孝男
君 小池 晃君
八田ひろ子
君 ─────────────
委員
の
異動
十月二十九日
辞任
補欠選任
釜本
邦茂
君
尾辻
秀久
君
佐藤
泰三
君
有馬
朗人
君 清水嘉与子君
大島
慶久
君 林
芳正
君
竹山
裕君
溝手
顕正
君
南野知惠子
君 十一月一日
辞任
補欠選任
尾辻
秀久
君
釜本
邦茂
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。 会 長
石井
道子
君 理 事
有馬
朗人
君
南野知惠子
君
佐藤
雄平
君
大森
礼子
君 林
紀子
君
福島
瑞穂
君
堂本
暁子
君 委 員
岩永
浩美
君
大島
慶久
君
釜本
邦茂
君
末広まきこ
君
竹山
裕君
仲道
俊哉
君
橋本
聖子
君
森下
博之
君
小川
敏夫
君
小宮山洋子
君
福山
哲郎
君
松崎
俊久
君
渡辺
孝男
君
八田ひろ子
君
事務局側
第三
特別調査室
長 大場 敏彦君 ───────────── 本日の
会議
に付した案件 ○
理事補欠選任
の件 ○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
共生社会
に関する
調査
(
海外派遣議員
の
報告
に関する件) ─────────────
石井道子
1
○
会長
(
石井道子
君) ただいまから
共生社会
に関する
調査会
を開会いたします。
委員
の
異動
について御
報告
いたします。 去る十月二十日、直
嶋正行
君、
岡崎トミ子
君、
輿石東
君、
朝日俊弘
君及び
高嶋良充
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
佐藤雄平
君、
千葉景子
君、
松崎俊久
君、
小川敏夫
君及び
福山哲郎
君が
選任
されました。 また、去る十月二十七日、
松あき
ら君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
渡辺孝男
君が
選任
されました。 また、去る十月二十九日、
溝手顕正
君、
佐藤泰三
君、清水嘉与子君及び
林芳正
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
南野知惠子
君、
有馬朗人
君、
大島慶久
君及び
竹山裕
君が
選任
されました。 ─────────────
石井道子
2
○
会長
(
石井道子
君) 次に、
理事
の
補欠選任
についてお諮りいたします。
委員
の
異動
に伴い現在
理事
が三名欠員となっておりますので、その
補欠選任
を行いたいと存じます。
理事
の
選任
につきましては、先例により、
会長
の指名に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
石井道子
3
○
会長
(
石井道子
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
理事
に
有馬朗人
君、
南野知惠子
君及び
佐藤雄平
君を指名いたします。 ─────────────
石井道子
4
○
会長
(
石井道子
君) 次に、
参考人
の
出席要求
に関する件についてお諮りいたします。
共生社会
に関する
調査
のため、
今期国会
中必要に応じ
参考人
の
出席
を求め、その
意見
を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
石井道子
5
○
会長
(
石井道子
君) 御
異議
ないと認めます。 なお、その日時及び
人選等
につきましては、これを
会長
に御一任願いたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
石井道子
6
○
会長
(
石井道子
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
石井道子
7
○
会長
(
石井道子
君)
共生社会
に関する
調査
を議題といたします。 先般、本院から、
イタリア共和国
、
連合王国
及び
ノルウェー王国
における
女性
の
政策決定過程
への
参画
と
女性
に対する
暴力
に関する
実情調査
のため、
海外派遣
が行われました。 その
調査
結果につきましては、
議院運営委員会
に
報告
されることと存じますが、この際、
派遣議員
から
便宜報告
を聴取し、本
調査会
の
調査
の
参考
にいたしたいと存じます。 それでは、
報告
を
大森礼子
君にお願いいたします。
大森
君。
大森礼子
8
○
大森礼子
君 それでは、御
報告
させていただきます。
平成
十一年度
特定事項調査
第三班は、
女性
の
政策決定過程
への
参画
と
女性
に対する
暴力
に関する
実情調査
のため、
平成
十一年九月二十五日から十月三日までの間、
イタリア
、
イギリス
及び
ノルウェー
を訪問いたしました。
派遣議員団
は、本
調査会
の
石井会長
を団長とし、
釜本
、
仲道
、
岡崎
、
輿石
、
八田
、
福島
の各
議員
と私、
大森
の八名でございます。 まず、
イタリア
では、一九七〇年代に
離婚法
、
妊娠中絶法
などカトリックの教義に反する
女性解放
の
動き
が見られましたが、男女平等、
機会均等
を推し進める
動き
は八〇年代になってから起こっております。 八〇年の第二回
世界女性会議
での
行動計画
を受け、八四年に
男女平等機会均等国家委員会
が設置されたのを皮切りに、
男女雇用機会均等法
の
制定
や
機会均等担当大臣
の
任命等
がなされ、九七年には、
首相
府のもとに
機会均等庁
が設置されております。 しかし、
女性
の
大学進学率等
が
男性
より高いにもかかわらず
雇用機会
には恵まれず、
就労分野
も限られているのが
現状
であります。また、
社会活動
や
ボランティア活動
に進出している割には、
政策決定過程
への
参画度
はまだまだ低く、
閣僚
は二十七名中の六名でありますが、
国会議員
は上院で八%、
下院
で一一%強を占めるにすぎません。 男女平等、
女性
の
政策形成過程
への
参画
に関連しては、
男女平等機会均等国家委員会
の
コスタ委員長
並びに
ボニー
ノ
欧州議会議員
の、それぞれと
意見交換
を行いました。 同
委員会
は、
首相
府のもとの
諮問的支援組織
として
各種提案
や
政策実施
の
モニター等
を行っており、
委員
は各界より幅広く
選任
され、内部には
分野別
の
作業部会
が設けられています。 国民的な人気、
期待
の最も高い
女性政治家
の一人とされる
ボニー
ノ
議員
からは、
イタリア
には、
女性
が
政治参加
する
分野
は文部、
厚生等
の「ふさわしい
分野
」に限るという意識があり、それは今後とも変わらないのではないかとの個人的な見通しが述べられた後、
女性
の
政治参加
を促進するためには、一定の
女性割合
を決める
クオータ制
のような
保護
ではなく、まずは、
女性
が活躍している実例をつくることが大事であるとの
認識
が示され、そのためには
教育等
の他の
施策
の充実が必要とのことでありました。
女性
に対する
暴力
の
関係
では、近年、
法制面
の整備は急激に進展し、九六年には
性暴力対策法
、九八年には売春・ポルノ・
買春防止法
が
制定
されたほか、現在、
家庭内暴力対策法案
、
セクハラ防止法案
、
人身売買禁止法案
が
議会
で
審議
中であります。
性暴力対策
の最大の成果は、約二十年の
審議
を経て九六年に可決された
性暴力対策法
であることから、
議員団
は、その
過程
において
中核的役割
を担ったとされる元
下院議員
の
バッスィ弁護士
と
ムッソリーニ下院議員
のそれぞれを訪ね、
意見交換
を行いました。
バッスィ
元
議員
からは、
法制定
の原動力となったのは党派を超えた
女性議員
の結束であったとの裏話があった後、
暴力対策法
では、従来の
強姦罪
と
強制わいせつ罪
は
性暴力罪
として統合され、
最低刑
も三年以上から五年以上に引き上げられるとともに、今までは公序良俗という
社会
に対する
犯罪
であったものが、人間に対する罪というように位置づけが変わった等の
説明
がありました。
ムッソリーニ議員
からは、軽度の
性犯罪
の場合、従来は三年以上の懲役であったため、初犯の場合は
執行猶予
となる例が多かったが、新しい
法律
では実刑となること、
裁判
で、
被害者
のプライバシーや
性生活
について質問することは、事実の再発見に必要である場合以外は認められないこと、
被害女性
のふだんの
生活
が乱れているということと判決は無
関係
で、そう判断する人々のメンタリティーこそが問題である等の
意見
が述べられ、
女性
からの告発も増加しているとのことでありました。 次に、
イギリス
について御
報告
いたします。
イギリス
における男女平等は、七五年に成立した
性差別禁止法
により、性や
婚姻
上の地位を理由とする
差別
が禁止され、その範囲も
雇用
の
分野
のみならず広範な
分野
に及んでいます。 伝統的に
男社会
とされてきた
政治
の
世界
にも、近年、急激に
女性
の登用が進み、
閣僚
二十二名中の五名が
女性
となっており、
下院議員
では一八%と過去最多となっております。 全
雇用者
に占める
女性割合
は五割弱となっておりますが、その約半数はパートタイマーであります。また、
育児休暇制度
は、本年の十二月から実施される予定とのことでありますが、
介護休業制度
はなく、
保育所
も大幅に不足しているのが
現状
であります。 関連して訪問した
女性ユニット
は、
内閣
の
女性政策
全体をサポートするための
組織
として、九七年の総選挙後、それまでの
福祉省
から
内閣
府に移管される形で新たに発足したもので、
立案者
に対する
情報提供
を初め、現に存在する問題を解決するための
活動
や、各省の行う立法やサービスが将来的にどう役立つか等について専門的、実際的な立場からの検討を行っております。
イギリス
において、
女性
に対する
暴力
の問題が
民間女性
の草の根的な
運動
から始まったのは七〇年代以降で、
シェルター
は七一年にその萌芽が見られます。そのため早い時期から
DV
問題への
関心
も高く、七六年から八三年までの間に、
DV
及び
婚姻事件法等
の四
法律
が
DV対策特別法
として成立、九六年には、これらを強化、統合するものとして新しい
DV法
が
制定
されております。この
法律
では、
裁判
所は、
暴力行為禁止命令
と
居住権命令
の二つの差しと
め命令
を出すことができ、
緊急差し
と
め命令
も可能となっているほか、
警察
の
逮捕権限
も強化されております。 また、九七年には、
ストーカー等
の
対策
として
ハラスメント保護法
が成立しております。
暴力
問題に関連しては、
ビクティム・サポート
の
関係者
と
意見交換
をいたしました。
イギリス
はアメリカとともに、
犯罪被害者対策
が最も進んだ国と言われておりますが、その柱の
一つ
が
民間
の
被害者援助組織
である
ビクティム・サポート
であります。七五年に
地方都市
で設立されたのが始まりで、
警察
との連携を図りつつ全国に
組織
を展開し、
ボランティア
による
事件
直後の
危機介入
や
各種
の
指導
、
助言
、
事件処理
の
進捗状況等
に関する
情報提供等
の
活動
を行っており、政府からも多額の
援助
がなされているとのことでありました。
最後
に、
ノルウェー
について申し上げます。
世界
で最も男女平等が進んだ国の
一つ
と言われる
ノルウェー
において、
女性
の
政治参加
が大きな課題となったのは、フェミニズムの影響を受け、
女性運動
が盛んになった六〇年代以降であります。その結果、
女性
の
社会進出
は急激に進展し、七八年には
男女平等法
が
制定
されております。 この
法律
は、数次の
改正
を経て強化されておりますが、特に八八年
改正
では、「
公的機関
が四名以上の
構成員
を置く、
委員会等
を
任命
または
選任
するときは、それぞれの性が
構成員
の四〇%以上選出されなければならない」という形で、いわゆる
クオータ制
が導入されております。 九〇年代に至ると、特に
公的部門
を中心に
女性
の
政策形成過程
への
参画
は確固たるものとなり、現在、
国会議員
の三六%強、
閣僚
では十九名中の八名が
女性
となっております。
育児休暇
に関する大きな
特徴点
としては、九三年に導入された四週間の
父親割り当て制度
、いわゆる
パパクオータ制
があります。この
休暇
は、
父親
のみに認められる権利であることから、以前では二%程度であった
父親
の取得が約八割にまで伸びているとのことでありました。
女性
の
政治参加
に関しては、
同国初
の
女性国会議長
である
グロンダール議長
を表敬した後、フオッスム、ヴァッレ両
議員
と
意見交換
をいたしました。 両
議員
からは、過去三十年を振り返ると、
男女平等施策
の実りが感じられるとの
基本認識
が示された後、七〇年代に、
高等教育
を受けた
女性
が
社会
に出てそれを実践するため、保育園の確保が問題となったが、当時の
男性議員
の
関心
は橋であったりトンネルであったため、
女性自身
が直接
政治
に参加する
必要性
を感じるようになった等の
説明
がありました。今日の
ノルウェー女性
には、男と同じように
高等教育
を受け、
社会生活
をし、そして母親であることにかなりの
期待
がかかっていることから、それにふさわしい
法律
をつくるのが
議員
の使命であるとの
認識
が示されました。 広く男女平等に関連しては、
児童家庭省
、
男女平等オンブッド
、
男女平等センター
を訪問いたしました。
児童家庭省
は、
男女平等政策
全体を統括するほか、密接な
関係
を有する
家族政策
を所管しておりますが、七〇年代の初頭より、
女性
の
社会進出
との関連で、両親の労働と
家族
に対する責任との調和が強調されているとのことであります。
同国
においては、仕事と
家庭生活
が両立し、働く
女性
の数と
出生率
の双方がふえておりますが、まだまだチャレンジが必要との
認識
が示されました。
男女平等オンブッド
は、
男女平等法
の規定に基づいて設置された
組織
で、法の運用を監視しております。
オンブッド
に苦情なり相談が寄せられますと、まず
オンブッド
が仲裁を行い、それでも解決に至らない場合は
男女平等評議会
に問題がゆだねられ、最終的には通常の
裁判過程
へ移行することとなりますが、
裁判
になるような例はほとんどなく、実績には満足しているとのことでありました。
男女平等センター
は、九七年にそれまでの
男女平等委員会
が改組されできたもので、
社会
のすべての層に対し男女平等を実践するための働きをしており、平等を促進するための
提案
や
指導
、
助言
のほか、一般に対する
情報センター等
としても機能しております。
暴力
の
関係
では、男女平等の進んだ
ノルウェー
においても、多くの
女性
が
暴力
や虐待のために
医療機関
に通ったり、
シェルター
に避難しているのが
現状
で、
同国
においても、
暴力
の問題が
社会
的な問題として十分認知されているとは言いがたい
状況
にあるとのことであります。 視察した
シェルター事務局
では、
女性
に対する
暴力
は、人の
歴史そのもの
の中にある問題との
認識
が示され、七六年の
女性
への
犯罪
を告発する
国際会議
が契機となり、七七年に電話による応対が始まり、
女性
を
保護
する安全な場所が必要ということから七八年に
シェルター
が発足しております。これも、最初は
ボランティアベース
でありましたが、超党派の
女性議員
の取り組みにより徐々に公的なものとなり、
運営費
は国、
地方
のそれぞれが五〇%ずつを拠出しているとのことであります。 以上が
調査
の概要でありますが、
最後
に、今回の
調査
に当たり、御協力いただいた
在外公館
及び
訪問先
の
関係者
に対して厚く御礼申し上げ、
報告
を終わります。
石井道子
9
○
会長
(
石井道子
君) 以上で
海外派遣議員
の
報告
は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時二十一分散会