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1999-11-11 第146回国会 参議院 外交・防衛委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月十日     辞任         補欠選任      森山  裕君     斉藤 滋宣君  十一月十一日     辞任         補欠選任      村上 正邦君     山下 善彦君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         矢野 哲朗君     理 事                 鈴木 正孝君                 武見 敬三君                 小山 峰男君                 益田 洋介君                 小泉 親司君     委 員                 佐々木知子君                 斉藤 滋宣君                 村上 正邦君                 山下 善彦君                 山本 一太君                 依田 智治君                 吉村剛太郎君                 海野  徹君                 松前 達郎君                 吉田 之久君                 荒木 清寛君                 立木  洋君                 田  英夫君                 田村 秀昭君                 山崎  力君                 佐藤 道夫君    国務大臣        外務大臣     河野 洋平君        国務大臣        (防衛庁長官)  瓦   力君    政務次官        外務政務次官   東  祥三君        外務政務次官   山本 一太君        防衛政務次官   依田 智治君        防衛政務次官   西川太一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        櫻川 明巧君    政府参考人        防衛庁防衛局長  佐藤  謙君        防衛庁人事教育        局長       新貝 正勝君        外務省総合外交        政策局長     竹内 行夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 〇政府参考人出席要求に関する件 ○防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改  正する法律案内閣提出)     ─────────────
  2. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨十日、森山裕君が委員辞任され、その補欠として斉藤滋宣君が選任されました。     ─────────────
  3. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会防衛庁防衛局長佐藤謙君、防衛庁人事教育局長新貝正勝君、外務省総合外交政策局長竹内行夫君を政府参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。瓦防衛庁長官
  6. 瓦力

    国務大臣瓦力君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出された一般職職員給与に関する法律等の一部を改正する法律の例に準じて防衛庁職員給与改定を行うものであります。  すなわち、参事官等及び自衛官俸給につきましては、一般職職員の例に準じて、指定職及び本省庁課長級職員を除く職員について改定を行うこととし、並びに防衛大学校及び防衛医科大学校学生学生手当改定を行うとともに、営外手当についても改定することとしております。  以上のほか、附則において、施行期日適用日俸給表改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定しております。  なお、事務官等俸給並びに宿日直手当期末手当等につきましては、一般職職員給与に関する法律等の改正によって、同様の改定防衛庁職員についても行われることとなります。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  7. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより本案に対する質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 ただいま防衛庁職員給与法律改定につきまして瓦大臣から趣旨説明がございましたけれども、考えてみますと、政府委員制度が廃止になり、本当の意味での国会活性化という、実質的にきょうからスタートというような、きょうは日本議会政治上非常に意味のある日になるのかなというような思いが片方でございます。  本日の委員会の設定につきましても、議院運営委員会あるいは衆議院の安保の委員会皆様方の御協力また御理解を得ながらということでございましたので、両大臣ともども政務次官方々もひとつよろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。  まず初めに、防衛庁長官、この人事院勧告一般職指定職及び本省庁課長級職員俸給改定見送り、あるいは期末手当につきまして〇・三カ月分の引き下げというのは、これは初めてだろうと、こう思いますが、大変厳しい内容のものになっております。  民間でも非常に景気動向の厳しい中で、民間方々もリストラを含めて非常に雇用情勢も悪化しているという中でのこういう人事院勧告ということでございますが、防衛庁職員給与及び期末手当ということでございますけれども、どのように全体として見ておられるのか、その辺を御答弁いただければと思います。
  9. 瓦力

    国務大臣瓦力君) ただいま鈴木委員から御質問でございますが、委員案内のとおり、防衛庁職員給与は他の特別職職員と同様でございまして、従来から一般職職員と相互に均衡がとれることを基本としておるわけでございます。  例年の給与改定一般職に準じて行われておるわけでございまして、今回の防衛庁職員給与改定は、公務員給与改定に関する取り扱いについての閣議決定平成十一年九月二十一日でございますが、特別職職員についておおむね一般職給与改定に準じて改定を行うこととされてきましたことから、この閣議決定に基づきまして、一般職給与改定に準じて改定することとしたわけでございます。  したがって、防衛庁指定職及び本省庁課長級参事官等四級以上、自衛官一佐(二)以上でございますが、この職員一般職と同様に俸給改定を見送ることといたしております。また、期末手当につきましても、一般職と同様に年間〇・三カ月分引き下げることに伴い、防衛庁職員平均給与は減少することになるわけでございます。  大変経済が今御案内のとおりの状況でございますし、民間給与もあわせて、公務員におきましてもリンクされるような給与体系というものを我が国はとっておるわけでございますし、そういうような意味合いにおきましても、大変厳しい状況にある中、防衛庁職員につきましても、苦労の中でございますが、これに準じて行いたいと、かように考えるものでございます。
  10. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 今のようなお話でございます。  きょうは人事教育局長、所管の局長をお呼びしているわけでございますが、この法律が通りました暁にどういう段取りで、十二月一日が基準日ということですから、後は整々として事務は、きょう幸いにして採決が行われ、あるいは順調に法律が成立した暁には事務は滞りなく行われるというふうに思いますが、その辺はどうですか、事務的に大丈夫ですか。
  11. 新貝正勝

    政府参考人新貝正勝君) お答えいたします。  ただいまの件に関しましては、法律が通りましたら、これは一般職と同様でございますけれども閣議決定を行いまして法律施行を行いまして、そして滞りなく実施に移したいと、こういうふうに思っております。
  12. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 ぜひそういうことで滞りなく事務段取り作業は進めていただけるようにお願いをいたしたいと思います。  それから、防衛庁長官有事法制への最近の国民期待といいましょうか関心といいましょうか、こういうものが非常に高くなっているように思います。  昨年八月三十一日のミサイル発射事案あるいは三月二十三日の不審船事案など北朝鮮に対するいろいろな問題も含めまして、一たん我が国有事というような場合に、有事のいろんな絡みの法制研究研究という形で昭和五十二年からやっているわけですけれども、こういうものについて具体的にいろいろと措置をとる必要があるのではないか、法律整備をするべきではないかというような議論、国政の場での議論、そして国民の中でもそういう感覚がかなり整理をされてきているのかな、冷静にその辺を見ておられるのかなというような、そういう気持ちもかなりするわけです。  そんなところを大臣就任になられて、与党三党の合意というようなことも踏まえた上で、どういう見解、対応でいきたいか、こういうことをお伺いしたいと思います。
  13. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 速記をとめて。    〔速記中止
  14. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 速記を起こして。
  15. 瓦力

    国務大臣瓦力君) ただいま委員から御指摘有事法制研究でございますが、防衛出動が命ぜられるという事態における自衛隊の行動にかかわる有事法制の問題についてでございますが、防衛庁といたしましては、研究にとどまらずその結果に基づき法制整備されることは望ましいと、かように考えておりますことは従来より申し上げているところでございます。  先般の三党合意を踏まえまして、国会における御議論国民世論動向などを注視しながら適切に対処してまいりたい、かように考えております。  特に本問題の重要性に対する国民各位理解が今、委員指摘のように深まっておる、かように存ずるわけでございますが、さらに一層理解が深められるよう私どもといたしましても最大限努めてまいりたい、かように考えております。
  16. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 長官が御答弁のように、これからいろいろと状況を見ながら内容詰め、そのようなものを鋭意やっていただくようなことで御尽力をいただきたいというふうに思います。  確かに研究と言っていた幅の広いものを具体的に法制化ということで整備するという状況になりますと、それなりの注意と慎重さというものも片方では求められる、これは当然のことだ、こう思いますが、ぜひ防衛庁を中心に一分類、二分類、三分類はいろいろとございますけれども、そういうものを含めましてひとつ大きな牽引力になっていただけるようにお願いをいたしたい、そのように思います。  それから外務大臣、きょうは給与法ということではございますけれども、先般の御就任のごあいさつを含めまして一般的にいろいろとお伺いする時間をつくっていただいたということでございます。実はPKFPKOの関連の事柄につきまして、いろんな意味でこの凍結解除の問題あるいは参加五原則の問題、見直し等につきまして、それこそ連立与党合意の中でもいろいろと触れられているようなそういう流れがございますけれども外務大臣として今どういうふうに具体的にこの問題に取り組んでいかれるおつもりか、その辺を具体的にお伺いしたいと思います。
  17. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 国際貢献に対して国の内外から大変大きな期待がございます。我が国の現在の国際的地位を考えれば、相当しっかりと国際的な貢献をしていく必要があるというふうに思いますし、また国民理解も相当程度進んでいるというふうにも思っているわけでございます。  したがって、この国際的な貢献をいたしますに当たりまして、今、委員指摘PKF本体業務幾つ凍結しているわけでございますが、その凍結をもうそろそろ解除していいではないか。あの当時のことを思い出しますといろいろな御議論があったわけでございますけれども、その中には、これからいよいよ始めると、始めるに当たって最初からいきなりあれもこれもというわけにいかないから、幾つかは凍結をしておいてはどうかというような御意見もあったというふうに記憶をしているわけでございまして、日本PKF作業が何回かもう数を重ねて経験も相当出てきた、さらには、その経験の中からいろいろな改善すべき点もこういうところはあるんじゃないかというようなこともあって、PKF凍結部分についてはもう解除すべきではないかという議論が、与党内でいろいろと議論がなされて、PKF凍結解除については与党内における合意ができております。  したがいまして、このPKF解除については、私どももさらに与党内で作業がそれをどういうふうにしていくかという詰め作業もまだあると思いますけれども、それらの作業を見ながら、私どもとしてもその与党合意がございますから、準備を進めていくことにしなければいかぬというふうに思っております。  他方、そうやって凍結部分解除をするということと、もう一方でPKO原則について見直してはどうかという御議論もあるわけでございますが、これは必ずしも同じではないという理解をいたしております。PKF凍結解除は、国際貢献作業の中でこれはしばらく凍結しておこうというその仕事の種類を指しているわけでございますが、PKO原則について言いますと、これは憲法上の問題にその根拠があるということもございますから、このPKO原則については今見直すという考えを実は持っておりません。  これらはいずれも与党内の議論を踏まえてその作業を、PKFについて作業をする、それからPKOについては政府としての基本的な考え方をそのまま引き続き維持していきたいという気持ちがございまして、いずれもまずは与党内の御議論を踏まえて、しかし当然のことながら国会での御議論、それから国民世論動向、そうしたものに注意深く目を配りながら作業は進めていくべきものだというふうに考えているところでございます。
  18. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 私も、ちょうどPKO法が通りましたときに、それこそ法案準備室責任者の一人でいろいろと一緒に苦労させていただいたというような、そういうことがございました。外務大臣言われるように、PKOPKF凍結そのものというのはそういう経緯でああいう形になったわけでございます。  五原則に関しましては、政府として積極的に今変更するという意思はないけれども、いろんな形で国会の場、あるいは政府部内での政党間のいろんな議論というものを踏まえた上で、また憲法の武力の行使というような誤解を与えることのないように判断をしながらと、そういうことかなというふうに思っているわけでございます。その辺を見ながら、ぜひいろんな形で御議論を深めてお互いにいけるようにひとつお願いをしたいというふうに思います。  それから次に、九月三十日、東海村でああいうジェー・シー・オーの臨界事故というような日本最初事故が起こった。それから、この数年、動燃の火災事故あるいは「もんじゅ」の事故、そしてまた昨年は使用済み核燃料の容器のデータの改ざんだとか、いろんな原子力に絡む事故事件等が頻発をしているわけです。  そういう中で、自衛隊国民の大変大きな期待を、最後に何か、原子力でも大きな事故事件が起こったときには自衛隊がすっ飛んできて、真っ先に駆けつけて国民を守ってくれるのではないかというような非常に大きな期待というものがあるんだろうというふうに思っております。  先般の事故を契機に、いろいろと原子力防災関係法律整備、あるいは内容も今一生懸命詰めて、法案として間もなく出てくるというような、そういう状況になっているわけでございますが、防衛庁自衛隊において、東海村というものに限りませんで、国内には原発を含めていろいろと各地にその種のものもあるわけでございまして、その周辺住民の不安あるいは隣接の部隊とのかかわり方など、非常にいろんな問題があると思うんです。  私は、やはり国民がそういう期待、あるいは自衛隊の任務、力量というものは、これは国民全体の財産ですから、非常にうまく活用できるようにするのが一番望ましいだろうというふうに実は思っているわけでございまして、その点、原子力災害についての全般的な、全国的にどういう対処をするおつもりなのか、私は積極的にやるべきだということを前々からいろんな機会に言っておりますけれども、いかがでございましょうか。
  19. 依田智治

    政務次官依田智治君) 今般の東海村の事故につきましても、対策本部長たる総理の指示、また茨城県知事等からの要請に基づきまして、大宮の一〇一化学防護隊とか、関東周辺化学部隊等出動して勝田駐屯地等に待機したという事実がございます。  こういうことで、全国に展開する化学防護部隊を持っている部隊は十五ありますが、こういうところの体制を強化して、どこで、各地で起こっても自衛隊が活動できるようにする必要がある、こんなことを考えております。  今回、政府の方で考えていただいております原子力防災原子力災害対策特別措置法案の中でも、総理が、一定以上の放射線が出されるような場合に原子力緊急事態宣言をやる、その場合には、原子力災害対策本部を設置し、その対策本部長たる総理自衛隊出動を命ずるというようなこともできておりますし、今回、鈴木委員も御承知と思いますが、自衛隊が出てみて、これまで自衛隊化学兵器等に対してどう対応するか、どっちかというとアルファ線、ベータ線程度放射線を考えておったんですが、中性子線臨界等による中性子線が出るというようなことになりますと、今、米軍も含めて、自衛隊はもちろんですが、そういうものを防護するものがありません。そこで、化学防護車にそういう機能を付加するとか、もうちょっと自衛隊個人装備等も含めて少し強化を図るとか、そういうことで今回の補正予算でも相当重点的にこのあたりの装備強化というのをお願いしておる、こんな状況でございます。
  20. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 積極的に大いにやっていただきたいというふうに思っております。  具体的なイメージの問題が一つあるものですから、私の選挙区には浜岡というところに中部電力の原発がございます。そういうところで、何かがあってもらってはもちろん困るわけでございますけれども事故というのはどこでどのような形で起こるかもわからないというようなことを考えてみますと、仮に万々一何かがあったときに、具体的なその初動の対応、そういうもののいろんな整備をする過程で、装備の定数だとかあるいは人員の配置だとか、今言われた化学防護隊あるいは師団、方面含めまして、あるいは航空、海上の自衛隊それぞれがいろいろと対応するということに当然なろうかと思うわけですが、どういうイメージで、具体的に考えてみますと、わいてくるのかなということもちょっとわからない感じもあるものですから、例えとしてそういうことをちょっと具体的にお話しいただければありがたいと思いますけれども、いかがですか。
  21. 依田智治

    政務次官依田智治君) 例えば、今度の法律では総理要請するということですが、今の自衛隊法等でも都道府県知事から災害派遣要請がある、この間は茨城県知事から要請があるわけですが、そういう場合に出る自衛隊は、まず災害状況要請等にもよりますが、自衛隊も、中央防災会議が決定している防災基本計画というのがあるわけでございます。  こういうので、出動した自衛隊は、モニタリング支援とか住民避難の援助とか人員、物資の輸送とか、きのう科学技術委員会に出て聞かれたんですが、例えば関係者通信がなかなかNTT回線では通らないなんというようなときに、自衛隊通信隊が出て通信支援をするなんということも考えられるんじゃないかと、こんなように具体的に考えております。  また、委員の地元では浜岡原発というのがあって、万が一何かあったらというような場合には、近傍である浜松航空自衛隊浜松基地とか静浜基地所在部隊、また、化学防護部隊としては第一師団、これは練馬にあるわけですが、化学防護小隊、こういうものが出て、可能な限り住民避難その他、特に放射線がどのぐらい拡散しているか、こういうような状況等も把握して被害を最小限に食いとめるように努力したい、こんなことで具体的には考えておるわけでございます。
  22. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 今、大変具体的にいろいろとお話を聞かせていただいたわけでございますけれども、静岡だけではなくて、福井県にしましても福島県にしてもいろいろと原発の多いところでもございますので、ぜひ、間もなく出されます補正予算で、そういう内容を含めまして遺漏のないように、積極的に細かい計画をつくって対応できるように、いろいろと御検討いただいているということではありますけれども、さらに綿密にやっていただきたい、このようにお願いをいたしたいと思います。  それから、外務省政局長、きょうは大分お疲れだろう、こう思うんですけれども、この数日、ワシントンですか、北朝鮮問題をめぐって、日本、アメリカ、韓国高級事務レベルでの調整ということで行かれたようでございますが、そこでの具体的な対応調整内容、先般日本も、一つのカードを政府に与えた方がいいだろうということで、チャーター便の再開というようなこともオーケーを出したわけですけれども、そういうことを踏まえまして、具体的にどういう内容でのやりとり、どういう方向にしようという、その辺の足並みを具体的にちょっとお話ししていただきたいと思います。
  23. 竹内行夫

    政府参考人竹内行夫君) 鈴木先生指摘のとおり、この八日及び九日、ワシントンの郊外におきまして、北朝鮮問題に関します日本米国韓国調整グループ会合が行われました。  この会合におきましては、まず三カ国は、朝鮮半島情勢及び三カ国それぞれの北朝鮮との関係を振り返りまして、九月のベルリンにおきます米朝協議、それから今月の十五日からでございますけれども、再びベルリンで開催される予定の次回の米朝協議につきまして意見交換を緊密に行いました。  さらに、九月、オークランドにおきまして日米韓首脳会合が行われたわけでございますが、それ以降、まずベルリンにおける米朝協議、それから米国による対北朝鮮制裁緩和措置、さらに北朝鮮によるミサイル発射凍結の発表といった前向きの展開があったということに三カ国で留意をいたしました。  さらに、韓国北朝鮮の間の最近の経済、文化、社会等分野におきます交流、協力の拡大について韓国の方から説明がございました。さらに、今、先生指摘されました我が国チャーター便停止措置解除につきましても我々の方から報告をいたしまして、この会合におきましても全体の雰囲気の改善に寄与したということに留意がされたところでございます。  さらに、三カ国は北朝鮮側に対しまして、やはり北朝鮮側においてもいろんな分野で前向きな措置をとることを期待し、さらに三カ国それぞれ関係改善にも努めるということを確認いたしたところでございます。  最後に、この三者の協議におきましては、対北朝鮮政策のアプローチについて今後とも緊密に調整を継続していく、特に今月の十五日からさらなる米朝協議がございますので、その関係でも調整を継続していくということと、合意された枠組み、いわゆるアグリードフレームワークでございますが、それが引き続き支持されるべきものであろうということについても再確認をいたしたところでございます。  簡単でございますが、以上でございます。
  24. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 ぜひ緊密な連携のもとにいろいろと対応していただきたいと思いますし、チャーター便が運航再開ということになりますと、また人、物、金、こういうものに、言ってみますと日本の安全保障上に害をなすようなことにならないようにいろいろとチェック体制等もそれなりによく意を配っていただきたい、このように思っております。  それから最後に、防衛庁長官北朝鮮ミサイル再発射問題は現在、実質凍結というような形になっておるようでございますが、最新の現時点での情報を総合して判断される中で、そういう再発射の兆候は現在のところどうでございますか。いささかの懸念する材料があるのかないのか、その辺をお話しいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  25. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 委員案内のように、北朝鮮ミサイル発射凍結というのは、全体としては肯定的な動きであることは御理解のとおりでございますが、米朝間の協議が継続している間はミサイルの発射は行わない、北朝鮮もこう言っておりますので、表明もいたしておりますので、これらを踏まえて肯定的な方向であると私どもも認識をいたしております。  なお、先月公表されましたペリー報告によりますと、米国は、ミサイル輸出管理レジーム、MTCRの制限、射程三百キロを超えるミサイルの実験、製造、配備の停止及びそうしたミサイル及び関連物品技術の輸出の停止を北朝鮮に求めていくべきであるということを述べておるわけでございまして、米朝間では今月十五日からベルリン米朝協議を開催する予定であるなど、これらの報告を踏まえまして今後とも話し合いが続けられる、かように承知をいたしております。  なお、北朝鮮ミサイルの発射が迫っておるか、どういう分析だということでございますが、いずれにしろ北朝鮮は情報がなかなか困難な国でございますので、的確にどういう状況であるかということは申し上げがたい問題ではございますが、現在のところ北朝鮮ミサイルの発射が差し迫っておるというぐあいには考えておりません。  なお、これらの情報収集につきましては、私ども一層多国間と協力し合いながら分析をしてまいりたい、情報収集してまいりたい、こう考えております。
  26. 鈴木正孝

    鈴木正孝君 ありがとうございました。
  27. 海野徹

    ○海野徹君 おはようございます。民主党の海野です。  過日、委員会防衛庁長官の所信をお聞きしました。これからの議論を深めさせていただくために長官の所信に対する確認の意味質疑をさせていただきたいと思っております。  一点目は、北朝鮮情勢に対する認識に関する質問をさせていただきたいと思います。  今、ミサイルの発射の問題にも言及されましたが、何か憂慮すべき事態が朝鮮半島にあるというような御認識でいらっしゃる。具体的に、ミサイル以外の話で憂慮すべき事態というのが今我々に御報告できるようなものがあるのかないのか、そういうことを想定して所信は述べられていると思いますから、その辺をお聞かせいただきたいと思っております。  といいますのは、いろんな対応をとるといいましても、やはり情報を集めてそれを分析してというのが大体作業の九割を占めるのではないか、あとはそれに対応するというのは一割の仕事かなと私は考えているものですから、その辺どういうような体制で情報を入手していらっしゃって、今他国との連携も深めてという話もありましたが、防衛庁としては独自ないろんな情報を入手しながら分析をしていらっしゃると思うんです。その点も含めて、具体的に憂慮すべき事態が今あるとしたら御報告できる範囲内でお答えいただきたいと思います。
  28. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 北朝鮮の弾道ミサイルの開発でございますが、昨年八月にはテポドン一号を基礎と見られる弾道ミサイル、これは何らの警告もなく発射したわけでございます。その際、ミサイルの一部は御案内のとおり三陸沖の太平洋に落下した、こう推定されるものでございます。  この事実から、北朝鮮我が国全域をカバーし得るミサイルを製造する技術を保有するに至った、こう考えるわけでございまして、我が国の安全保障に直接かかわる問題として極めて憂慮すべき事態である、こう申し上げ、認識もいたしておるわけでございます。  また、北朝鮮の長射程ミサイル開発は、核兵器開発疑惑と相まって単に我が国のみならずアジア太平洋地域でありますとか国際社会全体に不安定をもたらしてまいる要因になっておりますので、防衛庁としては北朝鮮ミサイルの開発動向に引き続き細心の注意を払ってまいらなきゃならぬと。  なお、本年九月の米朝協議というものはこれは継続をし、ミサイルの発射を行わないということは私どもとすれば肯定する方向づけと、こう考えるわけでございますが、先ほども申してまいりましたように、極めて北朝鮮の情報といいますか得がたいものもございます。  よって、関係諸国との連携も緊密にしながら、どういう事態であるか、どういう環境ができれば米朝協議を初めとして、ミサイルの脅威から段階的に我々とのかかわりが安心の方向に向かうかということは、これから全力を挙げて取り組んでいかなきゃならぬ問題でありますので、外務省等々の情報も得ながら、さらにこれらの問題に対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  29. 海野徹

    ○海野徹君 今、ミサイルの話が中心だったと思うんですが、化学兵器の問題なんかもあるのではないかと思いますし、情報の入手あるいは分析、外務省ともあるいは諸外国とも連携をしてという話なんですが、やっぱり先ほど申し上げたとおり防衛庁として独自の情報を入手して分析する力を持っている必要があるのではないか、私はそう思うんですが、その点について再度お答えいただきたいと思うんです。  といいますのは、最近いろんな方が北朝鮮ウオッチャーと称して本を書いていらっしゃる。フィクションであったといえども、最近、大変興味深い本が何冊か国内の作家、国外の作家から出ております。となると、それも自衛隊の内部の方々から情報を得ながら、後で有事法制に絡んでいるような問題も含めての話なんですが、北朝鮮の工作員あるいは北朝鮮日本をどう考え、どうしようとしているかというのを、あるいは韓国との要するに衝突の問題、そういうのを極めて鮮明に書いてあるんです。ある意味で我々がそれを読むとぞっとするような内容なんです。それがフィクションであるとばかりには片づけられない、事実は小説より奇なりということがありますから、非常に危惧するところがあります。  それで、これは最近の情報なんですが、数年前に作戦五〇二七という計画があったという話なんです、アメリカで。ミサイル攻撃しよう、北朝鮮をという計画があった。それが数年たって我々に情報が入ってくるんです。それは、要するに日本から一万人アメリカ軍の兵士を、兵力を韓国に渡して、そして在韓米人を保護しながらミサイル攻撃するんだというような計画があったやにちょっと情報があったんです。そうしたら百万人も死者が出るんではないか、犠牲者が出るんではないかというような想定もあったということなんです。そういうことがアメリカ主導で、アメリカがそういう計画を立てて、それも数年前あって、そういう環境じゃなかったから、なくてよかったんですが、そういうものをやっぱりアメリカ頼りというのも非常に私は危惧するところがあります。  それと、最近経済的に、朝銀信組というんですか、朝鮮銀行・信用組合、それが非常に経営破綻している、再編が進んでいる。それはなぜなんだという背景があります。その破綻の背景をいろいろ調べているところによりますと、やはり不正送金があった、あるいは担保以上の貸し付けをしてリベートを出させて、それを送金をしてそれがミサイル開発にもつながっていた、あるいは今の、現北朝鮮の体制維持にそれが使われていたというようなことが、非常にいろんな角度からそういう情報が発表されております。そうなると、今後またそれが続く、この数十年間、五十年間で約三兆円とも四兆円とも言われるそういうお金が北朝鮮へ行ったんではないかという数字もある。  これから、朝銀信組をまた再編して経営破綻を救って再建していくために我々の税金が一兆円ぐらい必要じゃないかというような、そんな情報もあるものですから、防衛庁としてはとにかく北朝鮮をどういうように考えて、独自に情報を入手して分析するというシステムというか機関をつくるべきではないか、力を持つべきではないか、私はそう思うんですが、再度御答弁いただけませんですか。
  30. 依田智治

    政務次官依田智治君) お答えいたします。  情報入手を現時点、防衛庁としてどういうルートでやっているかということはちょっとなかなか明らかにするわけにいかないんですが、数年前に防衛庁としても長年懸案だった情報本部というものをつくりまして二千名近い体制で今あらゆる手段を通じて情報分析に努めておる。  なお、情報偵察衛星等は現在持っておりませんので、そういう面からの情報は米国等に頼りますとともに、多少、偵察衛星ほど解明度は低いまでも、商用の人工衛星等からいろいろ情報を入手するとか、その他いろいろな人的手段等も講じまして情報を入手している。  ただ、北朝鮮という国は全くいろいろ内部の状況を公表しない国ですので、さっき大臣からミサイル状況についてもお話ししましたようになかなか情報をつかみにくいと。特に、軍事国家で、経済的困難にもかかわらず軍事面にそれこそGNPの二十数%も投じているという国でございますから、それで軍事委員長として金正日氏が君臨しておる。こんな状況で、しかし我々としてはあらゆる手段で情報を入手し、我が国の安全のために生かしていきたい。  なお、先ほど大臣からミサイルを中心に憂慮すべき状態というのを申し述べましたが、やはりこれは全く外に情報がつかみにくいという点が非常に大きな問題点ですが、さらに軍事的に百万人以上の正規軍というものをあれだけの小さい国家で持っておって、しかもその中には特殊部隊というものを十万人も養成しておって、そういうものの一部が不審船等で訪れているとも思われるような状況もありますし、DMZという休戦ラインには多連装ロケットを初め三分の二の主要装備を並べておるというような状況。核疑惑の問題は、五月にアメリカが視察して一応問題と思われるところは今のところ核の施設はないというような状況は把握しておりますが、KEDO計画外務省等中心になって我が国も十億ドルの拠出をしながらやっておるんですが、こういう問題もやはり今後ともウオッチしていかなきゃいかぬ。  総合的に見ると、あらゆる面からやはり今後とも真剣な情報収集等によって注視していく必要がある国だ、こんなように考えておるわけでございます。
  31. 海野徹

    ○海野徹君 我が国我が国民が守らなくちゃいけませんから、そういった意味では適切な時期に適切な情報を、量とも質とも国民に公開する必要があるのではないかと思います。それには、やはりほかに頼るわけではなく、自分のところで的確な情報をつかむという努力をこれからもしていただきたいと思います。  二番目には有事法制対応についてお伺いしたいと思います。  これは、大変意欲的に準備を進められるというような御答弁が、いろんなところで総理もおっしゃっていますし、防衛庁長官もおっしゃっている。私も大変重要な問題であると認識しております。  第一分類とか第二分類のいろいろな問題点はもう既に公表されております。ただ、公表されてからもう十年とか十五年たっております。その間に社会も変わってきております。要するに、経済活動も変わったり社会活動も変わったり国民の意識も変わったりしている。その当時に公表された問題点、ある意味ではそれももう整理されている部分があるんじゃないかなと思いますが、いま一度、第一分類、第二分類に対する、公表された後の問題点等、あるいは今後有事法制を進める中でその辺との、要するに第一分類、第二分類のさらなる問題点を整理して有事法制をどうやって進めていくかということで関連づけて御答弁いただけたらありがたいと思います。
  32. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 有事法制の問題でございますが、御案内のとおり、第一分類、第二分類等の研究は進めてまいりました。  これは、立法措置を講ずるのではないという枠組みの中で研究をしてきたものでございますが、私はいわゆる防衛出動の規定及び出動時における権限に関する規定等が自衛隊法等で定められておりますが、自衛隊の任務遂行に必要な法制の骨格は整備されたとはいえ、他方におきましてこれらの問題についてのフォローアップといいますか研究を進めてまいってきているわけでございますが、これら研究にとどまらず法制整備されていくということは望ましいと、かように考えておりますし、そのようなことも申し上げてまいりました。総理もそのような発言もしておられるわけでございます。  また、三党合意を踏まえまして、国会議論でありますとか世論の動向、これらを注視しながら適切に対処してまいりたいと思っております。振り返って、この有事法制につきましては、経緯からいいまして、福田総理の時代でございますが、有事立法につきましての指示があり研究に入ったわけでございますが、今申し上げましたように、国会議論、また世論の動向等を踏まえまして、それらの手続等が進みますれば法制化準備とかそういう検討に入るものでございますが、目下は、さらに第一分類、第二分類につきましてもいろいろ検討しなければならぬ課題が、洗い出しをして研究をしてその事態には備えたい。  今日、ガイドラインでありますとか、あるいは国民の安心、安全を確保するときに自衛隊がどう動いていかなきゃならぬかということになりますと、自衛隊の行動につきまして精査をして整理をして法制化していくというようなことに取り組んでいく、そういう考え方で取り組んでまいりたいと私は考えております。
  33. 海野徹

    ○海野徹君 私のお聞きしたかったのは、五十六年、五十九年に公表されているわけです。それから十年、十五年たっているわけなものですから、もう一度、いろんな意味で再公表されるような、問題点を整理していただく御意向はありませんかということなんです。それは有事法制を進める中で必要なことではないかと私は思っているわけなんです、研究を進める中で。  それと同時に、第三分類はまだ公表されていない。いろいろ準備されていると思うんです。そのことについても、早急に公表されていくべきではないか。公表していただいて、いろいろ国民的な議論を呼ぶ中でしっかりとしたものをつくっていかなくちゃいけないんじゃないかなと思うんですが、その辺の決意のほどをお聞かせいただきたいと思うんです。  というのは、先ほど言いましたように、本当に新進の作家ですら非常にそういう問題点をえぐり出している小説を書いて我々に衝撃を与えているんですよ、現実に。なものですから、その辺、長官として御就任をいただいての御決意のほどをお伺いしたいと思っているわけです。
  34. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 委員が御承知のように、第一分類、第二分類につきましての研究やそれぞれの問題点というのは識者にとりましても多くは理解されておるところでございますが、第三分類の問題でございますが、これは内閣安全保障・危機管理室を中心として、政府部内におきまして検討をすべく、円滑な推進に資すべく必要な協力は行ってきておるところでございますが、今後とも主要な研究成果が速やかに得られるように防衛庁としても必要な協力を行っていく所存でございます。  なお、まだ公表するという段階には至っておりませんが、例えば有事に際して住民の保護、避難誘導を適切に行うための措置でありますとか、あるいは有事における民間船舶及び民間航空機の航行の安全を確保するための措置でありますとか、これらの問題につきましては検討を行う必要がございますので、これらを含めて第三分類につきましての研究を安保危機管理室において具体的検討事項としてやっていただく、検討を行う必要があるというぐあいに私どもも認識をいたしておるわけでございます。
  35. 海野徹

    ○海野徹君 私も戦後生まれですから、戦争を当然知らないですし、比較的若い世代の方へまだ入るかと思うんですが、自分の国は自分で守ろうという気概を醸成するためにも、可能な限り検討状況をその都度公表すべきじゃないかと私は思っておりますから、その点は要望させていただきたいと思います。  次の問題。普天間飛行場の移設の問題について若干お聞かせいただきたいと思います。  クリントン大統領が、すべての懸案が未解決のままで沖縄には行きたくないというようなことを発言されている。そういうような発言を受けて、来年の七月のサミットの前、年内にこの辺は決着しようじゃないかということでいろいろ皆さん方努力されてきたと思うんですが、その決定について新聞報道が、いろんな報道があるものですから私は非常に戸惑いを持っているんですが、長官としては、これはいつごろをめどにこの辺の移転先の決定というのをお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。その時期について。
  36. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 私も、先般就任いたしましてから沖縄へ参りまして、稲嶺知事にもお目にかかってまいりました。  今、沖縄の普天間の課題は、SACO最終報告を着実に実施していくという問題では重要な課題であり、重要な時期に差しかかっておると思うんですが、今、知事が慎重にこれを検討しておりますので、私はこれら知事の対応を見守らなきゃならぬし、また政府においては内閣官房を中心としてこの普天間の問題につきましては取り組んでいるわけでございまして、防衛庁とすれば方向、方針が出れば全力を挙げて取り組んでまいる課題になる、こう考えております。  時期につきましては、なかなかこれは知事がどうお考えをまとめるかということと絡むわけでございますので、私はそれは多年にわたる沖縄の方々の御苦労を察すれば早くこれらの課題が浮かび上がってくることは望ましいと思っておりますが、今、知事の対応を見守っておる、かように申し上げることになるわけでございます。
  37. 海野徹

    ○海野徹君 いろいろな問題が生じたのは、政府が頭越しにどんどん進めてしまったということで、要するに沖縄の県民の皆さん方の気持ちをしんしゃくできなかったということが一因かと思うんですが、それだけに自主的な努力、沖縄側の、要するに沖縄県の自主的な努力というものを大変求めているんだと、それに呼応する形で防衛庁としても政府としても頑張りたいというようなお話だと思うんです。  ここへ来ていろいろな報道に接しますと、サミットありきで無理やりにそれに向けていろんなことをやろう、また国が頭越しでやってしまうのじゃないかというようなニュアンスも若干見えてきたものですから、そうあってはならないな、とにかく今、長官がおっしゃったように自主的な努力が最大限に発揮される中で移行するというのが一番いい形だと思いますから、そういうことを望むわけなんですが、ちょっとサミット前で急ぎ過ぎているというような感じがするんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  38. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 委員案内のとおり、このSACOの最終報告に向けて努力をしてまいる問題と予定されますサミットと私は絡む問題ではないと。いわゆるSACOの最終目標に向かって我々が最善を尽くしていく課題、沖縄の方々の御判断、知事の御判断というものを大事にしながら取り組んでまいりたい、こう考えておるわけでございまして、とかくサミットのかかわりが取りざたされるわけでございますが、私はそれぞれの問題は別の課題であると。  沖縄の普天間の問題については、今全力を挙げてSACOの最終報告に向けて我々は粛々と着実に努力をしたい、現地の事情を知事がとりまとめていただく、こういうようなところで取り組みたいと思っております。
  39. 海野徹

    ○海野徹君 サミットがすべてではないということですから、沖縄の県民の方々のいろんな意向がいろんな意味で最大公約数として集約される中でそれに対応していくということだと思うんです。 沖縄県民の方々の受け入れ先の声もいろんな声があるように聞こえるのです。その辺の調整をある程度意識しないといえどもサミット前に整理していく必要があるんではないかと私は考えるんですが、その辺は長官どうなんでしょうか。ある程度整理するために何らかの形で政府が、防衛庁というか、別の機関かもしれませんが、その辺の整理をするという機会を持つ必要があるのではないでしょうか。
  40. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 先ほど来から防衛庁長官が御答弁いたしておりますように、この問題は普天間基地周辺方々が普天間基地があるためにいろいろと危険もある、騒音被害もある、いろいろな問題を抱えておられて一日も早く普天間基地の移転を実現してほしい、そういう普天間基地周辺住民方々の非常に強い希望があるわけですね。  その希望に添って作業をしようということでありますから、これはサミットと直接絡んで、サミットがいつ幾日だからそれまでにという問題ではなくて、むしろできるだけ早くこの問題は実現をするための努力が必要だというふうに私どもは考えているわけでございます。  しかしながら、大変いろいろ難しい問題が、沖縄には沖縄の事情があるわけでございますから、私どもとしては知事を初めとする御関係の皆さん方の気持ちを十分尊重したいというふうに考えておりまして、今沖縄における意見の取りまとめといいますか、そういうものを見守っているというのが現状でございます。
  41. 海野徹

    ○海野徹君 見守っているのが現状だというお話なんですが、私はある意味では整理をして調整役が沖縄を訪問するという必要もあるんではないか、その時期に来ているんではないかというようなことも感ずるものですから御質問させていただきました。  これは、情報として入ってくるもので、こんなことがあってはならないと思うことが一点あります。というのは、ヘリポートにするかあるいは埋め立てにするかということで、工法の問題でいろいろ賛成反対というのが出ているみたいなんです。その裏にはいろんな業界団体がくっついて、ある意味では代理戦争みたいな形でたすきがけみたいな変な賛成反対の動きが地元にあるように聞いているんですが、そんな情報というのは防衛庁としては入手していらっしゃるのか、それとももうそんなことはありませんよという話なんでしょうか。
  42. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 今、工法を含めて現地での問題について何か情報なりあるかという御質問でございますが、実は先ほど申し上げましたように、私どもとすれば知事が今SACOの最終報告に向けて最大の課題に取り組んでおられる、そのことは、今貴重なときだと私どもは考えます。  よって、沖縄から県民の声を取りまとめて知事が同意しようという御決断をいただく中で取り組む課題でございますので、今現地からどういう方法がいいかとかという問題は、実は報道によって若干うかがうことができましても、今、知事が取り組んでおられる姿勢を最も注視しておるところでございますので、委員の御質問にはお答えする材料を持ち合わせておりません。
  43. 海野徹

    ○海野徹君 これは、要するに全く杞憂な話であって、そういうような事実がないことを望むわけなんですけれども、ゼネコン対重工メーカーの代理戦争が今起こっている、それによってまたまとまるべきものがまとまらなくなってしまうというような話もあるものですから、決してそうあってはならないと思いますから、十分関心をお寄せいただきたいと思います。  次の質問に入らせていただきます。  長官のところへはもう既に行っているかと思うんですが、過日、アメリカの国家安全保障二十一世紀に関するアメリカの委員会が来るべき新世界という報告書を出しました。原文はここにあるんですが、百数十ページの報告書なんです。日本の取り扱われ方というのはこれによりますと大したスペースじゃないものですから、日本とはそんなものかなというような非常に残念な状況なんです。  二十一世紀来るべき新世界の中で、特に二〇二五年の時点を想定して国家安全保障、アメリカを中心としてですが、どうなるかということで、極東アジアはどうなのか、朝鮮半島はどうなのかというようなことに触れているわけなんです。  長官はこれをお読みになっていただいているかと思うんですが、その辺はこれからの我々の防衛戦略の中で大変参考になるかと思うんですが、これについて評価なり御認識をお答えいただきたいと思います。
  44. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 御指摘の二十一世紀国家安全保障委員会の中間報告についてのお尋ねでございますが、これは、この委員会の中日韓の三角関係が東アジアの基軸をなすと認識した上で、朝鮮半島の統一以外に日本に関連してこの三角関係のバランスに変化を及ぼし得る要素を挙げるという文脈の作業の過程で行われた指摘でございまして、米政府として日本に対する見解を示しておるとは私は承知をいたしておりません。  いずれにいたしましても、これは日本政府が独自路線を選択するという予測も成り立つというものでございまして、私といたしましては、日米安保体制というものは極めて地域の安定のためにも大きな役割を果たしておるわけでございますし、我が国として引き続き我が国憲法のもと専守防衛に徹して他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、かような基本理念に従いまして日米安保体制を堅持してまいる、節度ある防衛力を自主的に整備する、この基本政策を堅持していくことが大切である、こう考えております。  よって、今の二十一世紀国家安全保障委員会の中間報告と目されるものにつきまして、いろんな考え方があるわけでございますが、我が国の基盤、スタンスといたしましては、今申し上げたように、そうではないよ、こういうスタンスでこれからも周辺諸国の信頼も得てやっていきたいということを申し上げさせていただきたいと思うわけでございます。
  45. 海野徹

    ○海野徹君 長官の所信の中で、新ガイドライン法が日米安保体制の新たな一歩である、さらに安保体制の信頼性を高める、あるいはまだ取り組むべき課題も多いんだ、それについては努力するというようなお話があったわけなんですが、この二十一世紀国家安全保障委員会の報告というのは、やっぱりその点もある程度長官は認識された上で、信頼性を高めるとか取り組むべき課題があるんだとおっしゃったのではないかなと私は思ったんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  46. 瓦力

    国務大臣瓦力君) そうではないんです。私の申し上げました残された課題といいますのは、いわゆるガイドラインに明記されております調整メカニズムの構築でありますとか、あるいは計画検討作業をさせておりまして、これらをつくり上げていく、進めていくことが日米安全保障体制の信頼性、これにつながることだと、こう考えておりますので、この点を含めて述べたわけでございますが、今申し上げた、委員指摘の問題とは別でございます。
  47. 海野徹

    ○海野徹君 いろいろ通告させていただいておりますから、次へ行かせていただきます。  次期防衛力整備計画について御質問させていただきます。  これは策定の意義があると思うんですが、なぜ策定するか、その中で我々、要するに政治がどうかかわっていくのかという点について御質問させていただきたいと思うんです。
  48. 依田智治

    政務次官依田智治君) 御承知のように、防衛力、我が国の国防の基本方針でも第三項目で、防衛力の漸進的整備というのは非常に重要な項目として挙がっております。  現下の厳しい財政状況の中でも国の安全にかかわる防衛力というものはきっちりと、苦しいときでもやっぱり重要な、なすべきことはなすということで、政治のリーダーシップのもとにつくっていくということが大変重要でありまして、今も中期防、十二年度末で終わるわけですが、次期についてはどうするかというのはまだ検討しておりません。  現在は、十二年度予算編成並びに十一年度の補正予算というのを出して、現中期防の最終年度に向かってのいろいろ努力をするという状況になっておりますので、今後、政治の場でも我が国の防衛力の今後のあり方、これはもちろん中長期的視点に立った国際情勢を踏まえながら、政治のリーダーシップのもとに考えていく必要があるということで考えておりまして、具体的にもしそれに着手するとすれば、総理の指示等に基づいて、安保会議等からいろいろ研究を始めるということになりますが、まだその段階に至っておりません。
  49. 海野徹

    ○海野徹君 潜在的脅威がある、それに対する今対応力がどれだけある、あるいはアメリカの支援要請をどれだけ受けるか、残りのまだできない部分について準備していく、そういうものをできるだけ国民の皆さんに知らせることによって、皆さん方が自分の国は自分で守るという、先ほど言ったような気概というものが私は醸成されてくるのではないかと思うんです。  それにはやはり、いろんなものの開発にしても数年にわたるわけなんです。大変な金額ですから、それもやっぱり何年かにわたる。となると、もうそろそろ、十三年といいましたらもう今策定されて、金額あるいは正面装備としてはどんなものが必要なのかというのはもうほとんどわかっていらっしゃるんじゃないんでしょうか。その辺についてお伺いしたい。
  50. 依田智治

    政務次官依田智治君) まだ平成十一年度でございまして、現在でもこれから補正予算を組みながら、いろいろ先ほどの核防護対策等も含めたような問題も予算化する。そして最終年度には、さらにどこまで予算をお認めいただいて防衛力整備をするか。そのあたりの全体の達成度等を見ながら次期防衛力整備計画、これはそういう計画をつくることによって、国民にも公表し、諸外国にも日本としてはこういう政策をとっているということで安心感を与えつつやっていくということで、まだちょっと、今もうできているということはありません。  ある程度考えはありますが、まだこれから正規に、これからの予算の状況整備状況等を見ながら、最終的に間に合うように計画を立てていく、こんなことで考えておるわけでございます。
  51. 海野徹

    ○海野徹君 その点については、今後もまた議論をさせていただくということで、次の質問に移らせていただきます。  防衛調達不祥事について、お伺いしたいと思います。  非常に根の深い問題があるかなということを私は感じております。これは防衛庁ということだけじゃなくて、金融問題あるいはいろんな官僚の不祥事等が続いていく中で、私は日本のリーダー層というかサブリーダー層を含めて精神の衰弱現象が蔓延化しているんではないかと大変危惧しております。そういうこととこの問題というのは非常に絡んでいるのではないかという一点を非常に思っているわけなのです。  もう一つは、日本がこれから経済構造を改革する。市場にいろんな意味で淘汰されて生き残った者が競争社会の中で我々の質の豊かな生活を保障していく。そういう中で、今の日本の産業構造でしたら、どうしても保護されたり規制の対象のものが利益率が高いというような状況なんです。国際競争力が非常に強い業界というのは利益率が低いんですよ、正直言って。ある意味では、円高とか円安に、為替相場に非常に左右された状況があるんですね。そういうのはあってはならないなと。  防衛産業においても全くそれは聖域じゃないと私は思っているんです。そういうためには競争があってしかるべきだろうと思うんですが、そういうものはどういうわけか排除されているようなところにこういうような問題が出てくるんではないか。抜本的に改革しないといかぬのじゃないか、微調整とか手直しというものでは全くだめな問題だと。これは全体の問題もありますし組織の問題もあるんでしょうが、その辺について長官もいろんな御発言をされて努力はされているということは承知した上で質問させていただくわけなんです。  長官、緊急監査を指示されましたね。かなり案件としては対象案件が多いはずなんですが、それのわずかだと思うんです。三万件に及ぶもので千数百件というような記事を見たんですが、それで全体像はつかめるのでしょうか。  と同時に、全体像をつかめるような内容でやられるのでしょうが、そういうものは二月までということだったんですが、具体的にどういうような形で我々に公表していただけるのか。監査の内容、あるいはそれが全体像をつかめますよということの御発言やら、あるいはどういう形で公表しますというようなことがあれば、お答えいただきたいと思います。
  52. 瓦力

    国務大臣瓦力君) ただいま海野委員の御指摘が、実は私も就任いたしまして防衛調達に対する国民の信頼が大きく揺れておる。こういう事態が起こっておりますことを懸念いたしまして、これは改善すべきは早急に見出して改善の方向に向かわなければならない、こういうことで今取り組んでおるわけでございます。  十月二十六日の調達改革本部では、さきの四月二日の調達改革本部決定に基づく改革の推進でございますとか、あるいはこの趣旨を全隊員へ周知徹底することとか、あるいは入札経緯等をいわゆる電子化する、また不自然な入札等をチェックできるシステムを構築する、これらについて指示をしたわけでございます。  他方、電子化システムの構築には時間を要するわけでございまして、入札契約に関しまして、その手続でございますとか落札状況の監査を可能なものから実施をしまして改革のフォローアップの真価を図る、このことを含めまして十一月八日にさらに指示をいたしたわけでございます。  時代の背景があるからといいながら、調達に関するものにつきましては広く国民の信頼を得ていかなければならぬことでございますので、今までのシステムでいいということではありませんから、これを全員その意識のもとで取り組んでもらいたいと。改善すべき点が出ますれば、その都度実施中の改革施策のフォローアップ作業にも反映させまして、絶えず改革の真価につなげてまいりたい。  今、委員から監査結果についてそれは公表するかということでございますが、数もたくさんございますが、可能な範囲で公表すべきものは公表してまいりたい、そして改革の真価の実を上げたい、こう考えております。
  53. 海野徹

    ○海野徹君 防衛調達適正化会議というのが九九年四月、本年四月に設置されて月一回程度でそれが開催されているというわけなんですが、月一回で要するに調達適正化というのがなされるかどうか非常に疑問なんです。  今、長官から、始まったばかりだから一生懸命今後も努力していくというようなお話があったわけなんですが、会計検査院なんかとももっと連携して、非常に独立性の強い外部監査制度、監査機関みたいな、そういうのも将来つくるという、そして調達の適正化を図るというようなことも視野に入れて監査をやっていただきたいと思うんです。  ただ、監査体制にしても、日本だったら百六十人、アメリカは一万八千人いる、イギリスも八百数十人いるということで、じゃ、人をふやせばいいかという問題でもありませんから、そういった意味で第三者機関はどうだろうかと思っているわけなんですが、その点について御認識のほどをお伺いしたいと思います。
  54. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 防衛庁長官の私的懇談会といたしまして、四月に第一回会合を持ちまして現在までに六回の会合を重ねていただいておるわけでございます。  いずれにいたしましても、この防衛調達に係る透明性、公正性を向上させるということは重要なことでございまして、今総力を挙げて私どものとるべき課題と、また、新しい監査体制をどうつくり上げていくかということにつきまして、防衛調達適正化会議でございますか、この諸先生方に、高い専門知識を有しておられるわけでございますので、可及的速やかに第三者による監視体制をつくり上げていただきたいということでお願いをいたしておるところでございます。  自助努力を含め、また、新しい方向づけを見出すことができればいわゆる信頼得る体制を構築することができる、こう思いまして全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。
  55. 海野徹

    ○海野徹君 時間がありません。最後に質問させていただきます。  在外邦人等の輸送の訓練を過日行いました。これはいろんな問題があって、それを想定して外務省と一緒にやられて、その結果としてまた問題点も出てきたのではないかと。新ガイドライン法成立後、在外邦人の救出という問題、私は法律的にもエアポケットがあるのではないかとちょっと気になっていたものですから、どんな点を想定して、実際にやってみたらどんな問題点があって、それを今後どう検討していかれる予定なのか、その辺についてお答えいただきたい、それを最後に質問させていただきます。
  56. 依田智治

    政務次官依田智治君) 先般、ガイドライン法が成立しましたときに、関連して自衛隊法百条の八を改正して船舶でも運航できるという、邦人救出ができるということになりましたので、船舶で行った場合にどういう問題があるのか。特定の国を想定したわけでございませんが、今回、例えば在外邦人三百人を在外公館から引き継いで護衛艦、搭載ヘリコプター、また搭載艇まで誘導するとか、外務省にももちろん手伝ってもらってやるという訓練をやったわけでございます。  波が荒い場合の接岸とか、陸上においても避難民を誘導するというような問題も非常に、じゃ、だれが誘導するのかとか、今回やってみると具体的な問題がいろいろ出てきていますので、この経験を踏まえてしっかりと、法律をつくってもらっても対応できないということでは困りますので訓練をしたと、こんな状況でございまして、経験を生かしてさらに不足な装備等はやっていかなければいかぬ。  以上でございます。
  57. 海野徹

    ○海野徹君 ありがとうございました。質問を終わります。
  58. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 それでは、給与法案につきまして防衛庁長官にお尋ねをいたします。  今回は前例のないマイナス改定ということでありまして、民間が血のにじむようなリストラをしている中、これはやむを得ない話だと思います。  そこで、一体今回の改定によりまして防衛庁の予算、人件費としては幾ら、何億円削減になるのか、それを教えていただけますか。
  59. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 二百二十億と。
  60. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 かなりな額になるわけであります。  そこで、自衛隊の皆さん、防衛庁職員の皆さんはまさに日本の平和と安全を維持するために身を挺して日夜働いていらっしゃるわけでありまして、また、最近では海外の大規模災害に対する緊急援助等を含めて国際協力にも尽力をしていらっしゃるわけであります。  そこで、今回の改定がそういう重大な職務を担って働いている自衛官の方の士気の低下につながるようなことがあってはならないと私も思うわけでありまして、そういう意味で、防衛庁としまして、今回の改定改定といたしまして、何らかの今後処遇改善措置のようなものを考えていらっしゃれば、あわせて伺いたいと思います。
  61. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 荒木委員にお答えいたします。  防衛庁の役割、任務も今御指摘のように海外における人的な国際援助でありますとか、いろいろ取り組む課題が多くなってまいりました。それだけ自衛隊にかけるいわゆる期待というものがまた国民の中でも厚くなってきたと理解をいたしておりまして、自衛隊の組織はまさに基盤は人にある、また隊員が誇りを持って任務に邁進し得るように私どもはその処遇について考えてまいらなきゃならぬと、御指摘のとおり考えるわけでございます。  かかる考え方のもとで、諸手当の改善でありますとか就職援護施策の充実でありますとか、また若年定年による退職者給付金制度でございますが、これらのより処遇を確保してまいらなければならぬ、こう考えております。  平成十二年度概算要求におきましても、処遇改善策を引き続き推進するということで、生活関連施設の整備を図るとともに、今申し上げました処遇改善のために一層努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  62. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、一般職給与改定の方針を定める給与関係閣僚会議のメンバーには防衛庁長官は入っておりません。  しかし、防衛庁職員二十七万人の給与一般職の例に準じて改定されるということからすれば、長官がそういう会議に入って意見を述べることも有用ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  63. 瓦力

    国務大臣瓦力君) この給与関係閣僚会議は、人事院勧告を踏まえて国家公務員給与の取り扱いにつきまして協議をすることを目的として設けられたものでございまして、大蔵、文部、労働、自治、総務、経企庁並びに内閣官房長官から構成されておるわけでございます。  防衛庁職員給与につきましては、他の特別職職員給与とともに総務庁人事局の所管とされておりまして、従来から一般職職員給与と相互に均衡がとれることを基本として決められてきておるわけでございます。  総務庁長官給与関係閣僚会議の構成メンバーとなっておりますので、現在のところ防衛庁長官給与関係閣僚会議の構成メンバーとなる必要性があるとは考えていないわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど申し述べましたように、また委員からの御指摘もありましたように、職員の職務が一般職に比べまして特殊な面がございますから、適切な処置を行うことにつきまして今後とも十分に配慮して取り組んでまいりたいと考えております。
  64. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほど外務大臣は、我が国PKO活動につきまして国民理解が深まっている、進んでいるとおっしゃいました。  このPKO法平成四年に参議院におきましては牛歩まで行われて成立したわけでありますが、あの牛歩は一体何であったのかという感じがいたします。そのときには公明党もある意味で泥をかぶったわけでありますけれども、しかし、今になってあのときの判断が正当であったということが証明されたんではないかというふうに思うわけです。  そこで、大臣にお尋ねいたしますが、国内の理解は深まったわけでありますが、我が国の数次にわたるPKO活動が海外、国際社会の中ではどのような評価を得ているのか。特に、我が国PKOへの参加にいたしましても、五原則というある意味で制約を付して参加をしているわけでありますが、そういうことについての意見といいますか、そのことも含めまして国際社会ではどのように我が国PKOは評価されているのか御開陳願えますか。
  65. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) これまでのPKO活動の経験に基づきまして各国の反応等も我々注意深く聞いているところでございますが、カンボジアを初めとしてPKO活動に参加をいたしました日本からの人たちの評価は極めて高いものがございます。  現地に参りまして、現地との融和あるいは現地との協力関係、そういったものは極めて高く評価をされておるわけでございます。また、当該地域以外の周辺地域の評価につきましても高い評価をいただいているところでございまして、私どもは、参加をされた自衛隊員の皆さん方の非常に規律正しい真剣な態度というものが高い評価を生んでいるというふうに考えているところでございます。
  66. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、東総括政務次官にもお尋ねいたしますが、東次官は先般も所信で述べられましたように、二回目の政務次官就任でありますし、また国会議員になる前は国連職員としてまさに国際の平和と安定という活動の現場にいらっしゃったわけであります。  そこでお伺いするわけでありますが、日本もアメリカに次ぐ経済大国でありまして、それにふさわしい国際的な役割を果たす必要があるということは異論がないと思います。しかし一方で、平和憲法というものを我々は持っているわけでありまして、もちろんその中でできることもあればできないこともあろうかと思います。  そういう中で、今後日本は国際社会の中でどのような貢献を行っていくべきなのか。また、特に国際社会の中で、国際社会自体は日本に対してどのようなことを期待しているのか。お金だけ出すのではなくて、もう少し人も出したらどうかという話なのかどうか。その辺、日本政府といいますか、我が国対応、また国際社会の期待という点につきまして御意見をお伺いいたします。
  67. 東祥三

    政務次官(東祥三君) 御指摘のとおり、戦後の日本の国際社会とのかかわり合い方、そしてまたそれに向かっての日本の実力といいますか、そういうものは刻々変化していることを前提に考えたときに、まさに国際社会における日本の平和と安全に対し日本がより積極的な貢献をしていく、内外ともにそういう声が大きくなっていることは御案内のとおりなんだろうというふうに思います。  他方、今、委員が御指摘のとおり、日本は国際社会に対し、たとえ平和と安全の問題であったとしても、できるだけ日本のこれまでの憲法下において理念としてつくり上げられている平和主義あるいはまた国際協調主義の理念に乗っかって、今後ともその活動を展開していくということなんだろうというふうに思っております。  そういう意味で、一九九〇年代のまさに国論を分裂するかのような種々の議論を踏まえた上でPKO法ができ、先ほど御指摘がありましたとおり、その法に基づいて世界の国々の平和と安定のためにそれなりの貢献をしてきていることは国際社会から高く評価されているものだろうと思います。  そういう面においてできるだけさらに貢献していけるように努力していくと同時に、他方において、御指摘がありました世界に冠たる経済大国であり、とりわけ日本が比較優位を有している世界の国々の開発、そしてまた発展、そういうものに対して日本は積極的な貢献をしていくことができるんではないだろうか。あるいはまた紛争が起きたときに、その紛争そのものに関与していくというよりも、いかにしてその紛争を防止し、さらにまたそれを踏まえた上で防止するためのそれぞれの国々に起こっている種々の問題、それを軽減していく経済協力等の分野ですこぶる多くの力を発揮することができるのではないのか、このように思っております。
  68. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 先ほど外務大臣からは、PKO参加五原則というのは憲法上の要請に由来をする、根拠があるというお話がございました。この点、防衛庁長官はこの参加五原則の重みというのはどのように認識をしていらっしゃいますか。
  69. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 私は、我が国は国際社会で応分の貢献を行うということは極めて当然のことでございますが、しかしこの五原則の根幹というものはやはり我が国憲法であり、加えて言えば、これからいかに国際平和に協力をしていくかということのベースになる課題であると。だから、五原則というものをしかと守りながらこれからも協力事業を進めてまいりたい、こういう根幹をなすものだと理解をいたしております。
  70. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 このPKF本体業務凍結解除につきましては、シビリアンコントロールの精神からしましてもまさに与党あるいは国会主導で議論をしていくべき話かと思います。しかし、それにしましても、我々は机上の空論の議論をしてはいけないわけでありますし、そういう国際協力の現場というのは十分に認識をしてこの凍結解除問題も議論しなければいけないと思います。  そこで、現場サイドの意見かどうかは別としまして、このPKF本体業務凍結解除と武器使用原則の見直しというのは一体でなければいけないという、そういう意見もあるわけです。そうでなければ、単に武器使用は正当防衛に限るという非常に厳しい条件の中でそういうPKF本体業務に参加していけるのかどうか、あるいはそれで本当に参加される隊員の方の安全を確保できるのかという、そういう意見もあろうかと思うのでありますが、そのところ、隊員を派遣する立場に、送り出す立場にある防衛庁長官として参考になる御意見があれば、この際お聞きをしたいと思います。
  71. 瓦力

    国務大臣瓦力君) PKF解除につきましては、各党間で議論をしていただきたいと思っております。  いわゆる武器使用に関連する論点につきましてでございますが、他国要員の防衛についてはその必要性を含め種々の観点から慎重な検討が必要だと考えますし、また警護任務の付与につきましては武器使用のあり方とともに密接な関係を有しております。また、この種の観点に立ちまして国会でも各会派で議論をしていただきながら、PKF本体業務凍結解除という仕事は私は慎重に扱ってまいりたい、取り組んでまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  72. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 最後に、山本政務次官も御出席でありますからお伺いいたします。  先般の報告でも、アメリカのCTBT批准否決に関して早速アメリカに行って直談判をされた、あるいはパキスタン、インドにも飛ばれたという話をお聞きして意を強くしたわけでありますが、しかしCTBT発効促進会議の議長を務めた日本としては、大国アメリカがあのような決定をしたということで面目をつぶされたという面もあるわけであります。この条約の発効条件として、五大国及び潜在核保有国を加えた指定四十四カ国の批准が必要というわけでありまして、極めてハードルが高いわけです。しかも、アメリカがこのような決定をしたということでなかなか前途多難だというふうに思うんです。  そこで、日本として、特に核の問題は真剣に取り組むべき日本といたしまして、もう少しハードルが低いといいますか、もう少し世界から受け入れられるような別のそういう代替策を提案するとか、そういうことも考えてはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
  73. 山本一太

    政務次官山本一太君) 今、荒木委員指摘のように、CTBTをアメリカの上院が批准を拒否したというのは、このCTBTについて長年コミットしてきた日本政府にとっても大変なショックでございまして、このニュースを聞いてもうその次の日に河野大臣にすぐアメリカに飛べと言われまして、国務長官を初め議会関係者にも会ってまいりました。  確かに、御指摘のとおり、このCTBT批准・発効のハードルはなかなか低くないというふうに思いますけれども、このCTBTをしっかりとした実効性のあるものにするためには、やはりクリアをしなければいけない条件であるというふうに考えております。アメリカは、上院が批准を拒否したわけでございますが、国務長官からも引き続きアメリカとしてはこの条約の批准のために全力で取り組むという話もございましたし、日本に対して特にこのCTBTについては積極的な役割を果たしてほしいと。  そういうことで、インド、パキスタンにもまた河野大臣のイニシアチブで行ったわけですが、引き続き今の枠組みの中で日本政府としてできることを各国に粘り強く働きかけていくというのが得策ではないかと考えております。
  74. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 終わります。
  75. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党の小泉親司でございます。  北朝鮮の問題と防衛庁の燃料談合事件の問題について質問いたします。  まず、北朝鮮の問題でありますが、我が党は、ことし一月の国会で不破委員長が、北朝鮮問題の解決のために北朝鮮と正式な対話と外交交渉のルートを確立すること、それを本腰を入れてやはり真剣に行う必要があるんじゃないかという点、二つ目は、やはり先制攻撃の立場をとらないことを初めとして、先制攻撃的な性格を持つ第三国の軍事行動に参加したり支援したりするような方針を持たないということを要求してまいりました。今度の臨時国会でも、この点で北朝鮮の交渉ルートを開くために日本政府が積極的にやはり策を持つべきだということを繰り返し求めてまいりました。  北朝鮮問題というのは、ベルリン米朝協議とこれに続きますいわゆるペリー報告で、アメリカによって北朝鮮問題の平和的な解決の方向というのが明確にされたわけで、その点で私、局面が大変大きく変わってきたんじゃないかというふうに考えております。クリントン大統領はこの点に基づきまして経済制裁の一部解除に踏み切ったわけです。  問題は、それでは日本政府はどういうふうな積極策を持っているかという点でありますけれども、やはり日本の場合は独自の外交ルートがない。米朝協議や四者協議期待するというだけで、今北朝鮮の問題を、こんな隣国の問題を解決する上では、他国の外交交渉にこういう重要な問題を任せていいのかという点が問われているんじゃないかというふうに思います。先ほどの竹内局長お話でも、やはり米朝、米日韓の協議の中でもそれぞれの関係を発展させる必要がある、つまり米朝はもとより、南北、日朝の関係を深める必要があるということがやはり問題になっていることは当然のことだというふうに思います。  まず外務大臣にお聞きしたいのは、日本政府として独自の外交ルートを開くためにどういう積極的な対策をお持ちなのか、どういう外交目標をお持ちなのか、まずその点を大臣にお聞きしたいというふうに思います。
  76. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 小泉議員がお述べになりました御認識、つまり相当状況は変わってきているんじゃないか、北の出方が随分変わってきたんじゃないかという御認識を小泉議員もお持ちのようでございますが、北はなぜ変わったのか、どうして北がこういうふうに変わってきたのかということを考えますと、私はいろいろな原因があると思いますが、その中の一つで大変大きな原因といいますか理由は、やっぱりペリー・プロセスというものがあると思うんです。  ペリー調整官が作業をされて、そして北との交渉に当たって、アメリカ、韓国とともに日本もそれに参加をして、三つの国が統合した交渉を行うという考え方をもとにして、そして三国が協力し、協調して、その交渉窓口としてアメリカが北朝鮮と話し合いに入る。ベルリンで米朝会談が行われて、そしてアメリカも非常に粘り強く交渉をされたのでしょう。その結果、北がこの交渉が続いている限りにおいては云々という発言をされる、さらには政府声明が出る、国連で北朝鮮外務大臣の演説の後の記者会見でまたいろいろな話が出る、こういうことが変化として我々は認めていいと思うんです。  つまり、私が申し上げたいのは、こういう変化を引き出した大きな理由の一つは、日米韓が、三国が統合した、そして協調した交渉窓口というものをつくって交渉を始めたというところにそのきっかけがあるということはやっぱり認めなきゃいかぬと思うんです。  それはそれとして、韓国韓国民間レベルの経済的な交流がなされている、アメリカはアメリカでまた公式ルートに乗せて話し合おうということの努力もしておられる。したがって、日本もまた日本として努力をする必要があるというふうに私は思っているわけです。それぞれがそれぞれの努力によって交渉をする、これは非常に重要なことだと思いますが、このきっかけをつくった三カ国の協力、協調というものが非常に重要で、それがきっかけをつくり、あるいはそれがベースになっているということを否定するわけにはいかないと思うんです。  ですから、我々は三カ国でできるだけ緊密に打ち合わせをしながら交渉のベースをつくり交渉を進めていく、と同時に、それぞれの国はそれぞれの国でできる作業をする、こういうことでなきゃいけないんだろうと思っているわけです。
  77. 小泉親司

    ○小泉親司君 今、外務大臣のことをお聞きをいたしまして、そのとおりかもしれないけれども、問題は日本政府がどういう外交ルートを開くのか。実際に、今お話しになりましたように、米朝協議があり、四者協議があり、南北の協議があると。しかし日朝はないわけですから、ここにやはり最大の問題があるというふうに私は思うんです。  先ほどペリー・プロセスの話を外務大臣はされましたけれども、私が外務省からいただきました報告によりますと、外務省はペリー報告を全面的に支持すると言っておられる。  確かに全面的に支持するとおっしゃっているけれども、実際に日本政府のいわゆる対話と抑止の方針というのは、実際、対話はあなた任せ、つまり他国の交渉任せ。抑止の部分だけが残って、実質その抑止の部分は何かといえば、日米ガイドラインの関連法だとかTMDでありますとか、そういう抑止の部分が非常に強調される。ここに非常に大きな問題があって、対話はあなた任せで抑止だけは自分たちがやるというのではペリー報告と私は立場が違うんじゃないかと。  その点で、本当に外務省は全面的に支持すると言われるのか、このペリー報告とは全く軌を一にする、つまり全面的に立場は同じなのか、この辺を外務大臣はどのように認識をされておられるんですか。
  78. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私は、小泉議員はもう御承知の上でそういう話をしておられるんだと思いますが、我が国北朝鮮との間に外交関係はないわけです。現在、外交関係を有していないわけです。したがって、外交関係を持っている普通の国との間で行われるような外交ルートを通じての交渉はできないわけです、ということをまず最初の御認識で持っていただかなければならないと思います。  そういういわゆる正規の外交ルートがない国との間にどういう話し合いを求めていくかということが今我々がやろうとしている仕事だ、そういう御認識を一つまず持っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  79. 小泉親司

    ○小泉親司君 ということは、対話と抑止の政策ではないとおっしゃるわけですね。
  80. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) そうではありません。したがって、何らかの形で話し合いのルートを求めていかなきゃならぬと言って、努力をするということを申し上げているわけです。
  81. 小泉親司

    ○小泉親司君 既に報道によりますと、阿南局長局長級の何か接触がことし行われた、しかも課長級のレベルも行われたということであれば、それは一体どういう論議をされておられるか。つまり、大臣外交ルートがないんだ、その立場で云々かんぬんとおっしゃるけれども、実際そういうものを求めておられるわけでしょう、局長の接触もし、課長の接触もしているわけですから。  そのときの議論でどういう議論がなされているのか。その辺が明らかにならないと、対話と抑止の政策とおっしゃっても、対話はないと今、外務大臣はおっしゃっているわけですから、それじゃ対話と抑止の政策じゃないじゃないかと国民が思うのも私は至極当然のことじゃないかと思います。  だから、その点のいわゆる局長級の接触や課長級の接触、そういうところでいかなる議論が進んでおられるのか、北朝鮮はどういう要求をして日本政府がどういう対応をされているのか、その点は外務大臣としてはどんな報告をお受けになっておられるんですか。
  82. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 私は、先ほども申し上げましたように、正規の外交ルートがない、したがって正規の外交ルートがある国のような正式な話し合いの場は持てないんだということを申し上げたわけですが、それじゃ一切話をしないのかと言われればそうではないのであって、さまざまな話し合いのルートというものが模索をされるということはぜひ御理解をいただきたい。  これは正式の外交ルートは、正式の国交はないわけですから正式に政府政府の話し合いの場がなくても、例えば経済関係があるとか過去には議員の方々が訪問をされるとか、そうしたことで話し合いというものはあるわけです。しかし、他方、外務省としても話し合いの場をつくって話し合いに臨もうということを考えて、これは御記憶だと思いますが、平成三年に日朝国交正常化交渉というものも、交渉のテーブルをつくってテーブルに着いたこともあるわけです。しかし、この交渉はすぐ平成四年に八回目の会談で物別れになって、それ以来話し合いはずっとないという状況に今なっているわけです。  そこで私は、先ごろの北朝鮮外務大臣の記者会見、それからその前に行われた北朝鮮政府声明、こういうものを注意深く見ると、北側にはもちろんいろいろな前提とかいろいろな条件はあったとしても、とにかく相手を認めて話し合おうじゃないかという感じは出てきているわけですから、それに対して我々もまた我々の考え方をお互いに述べ合う場所をつくっていくことも十分考える必要があるということは思っているわけです。  しかし、そういう状況の中でテポドンの発射という事態になりまして、そこで我々は、これはちょっと時系列が前後しますけれども、我々として北に対する姿勢というものを一遍示してあるわけです。示してありますが、北から何らかの反応がある、つまり、いわゆる北朝鮮問題と我々が言って、アメリカを初めとする国々が北朝鮮問題を非常に重要視しているのは、北東アジアにおける不安定な状況をつくる、あるいは我々は直接的な危機感というものもある。  他方、アメリカを初めとして多くの国は核の拡散という危険も感じているわけですから、そういうことを総じて北朝鮮問題というものを非常に重要視しているわけですから、この北朝鮮問題の解決のために、我々としてできるだけ早く真剣にこの状況を分析をして、どういう態度で臨むか、どういう対応をするかということを考えなきゃならぬというのが今の状況だと思います。
  83. 小泉親司

    ○小泉親司君 概括のお話では私は一致をしておりますけれども、問題は、具体的にどういうことをやっておられるんですか。  先ほど私が質問したのは、外務大臣のいわば北朝鮮問題の哲学をお聞きしているのじゃなくて、具体的にどういう外交ルートを、交渉を開くべきなのか、その積極策について私は質問しているので、具体的に日本政府として外交交渉が持たれていないということは私も前提の上で質問しているわけですから、いかに開くかというのが大事で、開きたいというのといかに開くかというのは全然違うわけです。  私、その点でも、ペリー報告なんか大変慎重に読むと、どういうことが書いてあるかといえば、衆議院の外務委員会外務大臣が御答弁されていることを大変私は注意深くお聞きしたのは、外務大臣は慎重に慎重にとおっしゃっている、ところが、ペリー報告は慎重にかつ忍耐を持って対処しなくちゃいけない、こうも言っている。つまり、北朝鮮に接近するという上ではやはり一つの積極的な策を持たないと外交ルートをとれないんだということをペリー報告はまた非常に如実に示しているんじゃないかというふうに私はそういうふうに受け取っているわけであります。この点は多くの方々がそう受け取っておられるし、外務大臣も先ほど御答弁された中身だというふうに思います。  だから問題は、その積極策が具体的にどういうものなのか。例えば、韓国外務大臣お話をされましたけれども、今般の記者会見では、九日の記者会見では、食糧支援などを再開したらどうか、そういう積極策を持ったらどうかと。新聞報道では、北朝鮮側は食糧支援の再開に応ずるならば積極策を持つような、そういうニュアンスを持っておられる。具体的にそういう積極策を一体外務省として打ち出すのかどうなのか、そこが最も大きな焦点なんじゃないかというふうに私は思いますが、大臣、いかがでございますか。
  84. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) まず、お尋ねの、どういう具体的な交渉といいますか、やりとりをしているのだと、こういう御質問がまずございました。これについては、接触は水面下のもので、つまり極めて非公式にやっているものでございますから、これは相手のこともございますから、今ここでどういうことをだれがやっておるということを申し上げることはひとつ御勘弁をいただきたいと思います。  それから、積極的ではないではないかという、そういう意味ですね。積極的ではないではないかというふうにおっしゃいますが、私は、チャーター便の停止を解除したというのは、これはひとつ評価を、評価といいますか、正しく評価をしていただきたいと思うんですね。私は、食糧支援をとめているじゃないかとおっしゃいますけれども、食糧支援というのはもうずっととまっているんですね。チャーター便というのは飛んでいたものをとめたわけです。その飛んでいたものをとめたチャーター便の停止を解除した、チャーター便が飛び始めたということは、それはメッセージとしては一定の評価をしていただかなきゃならぬ。いや、議員にですよ、評価をしていただかなきゃならぬというふうに私は実は思っているわけです。  繰り返し申し上げておりますが、我々にとって北朝鮮問題というのは、核の拡散であるとか北東アジアの不安定な状況をどう安定させるかということと同じようにといいますか、と同時に、我々にとってやらなければならない、この問題は大事な問題なんだという認識を私は持っているわけですということだけ申し上げておきます。
  85. 小泉親司

    ○小泉親司君 アメリカ側は、今度のペリー報告も大変、オルブライト国務長官どもより希望ある道を切り開くものだという非常に積極的な評価をして、大変積極的なシグナルを送りつつ、いわゆるペリー・プロセスができたわけです。  その点、もし外務省外務大臣がこれを全面的に支持すると言うのであれば、私はチャーター便解除、再開するような、そういうだけの問題では、対北朝鮮外交との積極策と、それを手放しでそう言えるかというふうなものでは私はないというふうに思います。この点での日本政府外交目標が明確じゃない、ここにやはり最大の問題があるという点を私は指摘して、次の防衛庁の燃料談合の問題について最後にお聞きをいたします。
  86. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ちょっと今、最後に、日本外務省は目的がないとかという御議論には、私は黙っているわけにはいかないので、ちょっと発言をさせていただきたいと思うんです。──時間がないんですな、申しわけありません。
  87. 小泉親司

    ○小泉親司君 また改めてしっかりやります。
  88. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) それではまた、それだけ申し上げて、また改めて。
  89. 小泉親司

    ○小泉親司君 燃料談合問題についてお聞きをいたします。  今度の発覚いたしました燃料談合問題というのは、この前の水増し事件に続きまして、防衛予算が大変企業のもうけのために食い物にされているという実態を私は再び示したんじゃないかというふうに思います。  新聞で伝えられておりますのは、ジェット燃料について大変注目を浴びているんですが、公正取引委員会の告発資料を見ますと、ジェット燃料だけじゃないんですね。これは、重油、灯油、軽油、ガソリン、いわゆるすべての自衛隊にかかわる、防衛庁にかかわる油種の部門がすべて告発されている、談合があったと。こういう事実が公正取引委員会の中で指摘されているというふうに思います。これについて、やはり防衛庁がきちんと独自調査を行うべきだと私は思うんです。  この点では、水増し事件の問題で、防衛庁が独自調査をすると何か捜査の妨害になるからという理由をマスコミでは防衛庁長官が一生懸命しゃべっておられますけれども、私はこの問題は、水増し事件は独自調査をしたから妨害になったんじゃないんです。どういうことで妨害したかといえば、防衛庁が独自調査もしないで身内をかばい合った、かばい合ってさらに証拠を隠滅した。ここに最大の問題があるのであって、私は、この問題で防衛庁が真相を究明しない、独自調査をしない、回避して、もうそれは全部司直の手に任せるんだと。これは、防衛庁の本当に皆さんが言っておられる信頼を回復することにはならないと私は思いますが、この点、防衛庁長官の政治姿勢の問題として、独自調査をすべきではないかというふうに思いますが、まずお聞きをしたいというふうに思います。
  90. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 小泉委員にお答えをいたします。  これまで、公正取引委員会でございますとか、あるいは検察当局の捜査に全面的に協力してまいっておるところでございます。今後も、その姿勢で私は臨むべきだと考えておるところでございます。  今、独自調査をすべきかということでございますが、私は、現時点で委員指摘のような調査を実施する、そのような考え方はございません。
  91. 小泉親司

    ○小泉親司君 問題は、ジェット燃料にしても先ほど言いました重油、軽油、さまざまな油種類にしても、一体防衛庁長官は、こういう談合や、ジェット燃料においては防衛庁の調本の指し値まであったという事実が会計検査院からも指摘をされているんですが、この点については、いつからそれが続いていたというふうな御認識なんですか、どういう報告を防衛庁長官は受けておられるんですか。
  92. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 防衛庁といたしましては、今、委員指摘のような責任をあいまいにするというような、そういう考え方ではございません。今司法当局がその手続をいたしておる中に私は協力をしていく姿勢が必要であると、このことを重ねて申し上げておるわけでございまして、これらの問題が整理されてまいりますれば、私どもは適切な措置を講じていかなければならぬと、こう考えておるわけでございます。
  93. 小泉親司

    ○小泉親司君 公正取引委員会指摘されているのは、平成十年度の取引について告発されているんです。私がお聞きしているのは、何年からその問題は続いていたんですか。新聞では一九七三年のオイルショック以降、つまり約二十年近く続いていたという指摘がありますが、その点長官はどういう報告を受けておられるんですか。長官
  94. 依田智治

    政務次官依田智治君) 済みません、ちょっと事実関係だけ。  かなり以前のことであって、確たることはちょっとあれなんですが、大体昭和三十年代前半ころからJP4は導入しておるというように聞いております。
  95. 小泉親司

    ○小泉親司君 三十年前半といいますと、どういうことですか、五五年……
  96. 依田智治

    政務次官依田智治君) JP4ですね。
  97. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 質問を明らかにし、答弁もひとつ挙手の後、答弁願います。
  98. 小泉親司

    ○小泉親司君 昭和三十年からですか。
  99. 依田智治

    政務次官依田智治君) JP4の導入はですね。昭和三十年代前半から導入しておるということでございます。
  100. 小泉親司

    ○小泉親司君 いや、そういうことをお聞きしているんじゃないんですよ。それは飛行機が導入されたのが三十年ですから、それはそのとおりで、このような談合が行われたのはいつだとお聞きしているわけです、談合が始まったのは。
  101. 依田智治

    政務次官依田智治君) そのあたりのところは事実関係になりますので、現在まだ調査しておりません。やはり前回、調本事件で問題になりましたのは、検察等の司法当局の捜査と並行して、こちらが調べられた人間を調べたり、いろいろ事実関係はこうだということで何かメモを配ったのが証拠隠滅だとか非常に不信を持たれる面もありましたので、現在は司法当局の捜査、さらに公判等で明らかになる期間については、そういう面についての独自の調査は控えると、ただし、そういう妨害にならない範囲での調査というのは、先般来長官からお話ししておりますように、いろいろ監査等を新たにして実態の解明こそやろうということで努力しておるところでございます。
  102. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 予定された時間が……
  103. 小泉親司

    ○小泉親司君 時間が参りましたので、最後に一言。  今度の問題というのは、先ほども言いましたように、公正取引委員会では平成十年度の取引だけが告発されているもので、やはり新聞報道でも七〇数年から非常に長い期間にわたっているという点では、防衛庁が独自に真相を究明すべき責任を負っている問題だというふうに私は思います。責任は持っているけれども、独自調査をしないというのじゃなくて、やはりしっかりと真相を究明する、独自調査をすべきだというふうに思います。  新聞報道によると、何か取引の停止をしたけれども、きょうの新聞報道によりますと、その取引停止をした企業とまた契約しているというような話も伝えられて、一体この点がどうなっているのか。大変やはり国民的に見れば、防衛庁が不祥事を起こして取引停止にした、その取引停止の企業ともまた今度は契約する、そういうような状態が続いているという点では国民の信頼を回復することはできないという点で、防衛庁がしっかりと独自調査をするということを重ねて要求いたしまして、私の質問とさせていただきます。  終わります。
  104. 依田智治

    政務次官依田智治君) 一言だけいいですか。
  105. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 時間が経過しております。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  106. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  107. 田英夫

    ○田英夫君 本日の議題防衛庁職員給与の問題でありますが、ややそれに関連した問題を取り上げたいと思います。  率直に申し上げて、さきの通常国会でいわゆる日米新ガイドラインの問題の審議に参加をいたしましてつくづく感じたことは、戦争というものに対する考え方がやや、世代の違いかもしれませんけれども、若い議員の皆さんと私のような年寄りは違うなという印象を持たざるを得なかったんです。私は戦争体験者というよりも戦争へ行った生き残りの一人でありますから、そういう意味で、きょうは時間の許す限り戦争のことを取り上げたいと思います。  まず伺いたいのは、一番気になることなんですが、日本の防衛を担う防衛庁、特に自衛隊の隊員諸君の気持ちですね。自衛隊ができてから既にかなりの日がたつわけですが、その間にいろいろ経過もあったと思います。当初やはり旧軍の生き残った方が自衛隊に移られたということもあって、そうした旧軍の空気が自衛隊の中に持ち込まれていたということを私も承知しております。しかし、現在はそういう方は非常に少なくなったろうと思うんです。  そういう中で特に幹部、しかも若い幹部候補生というような皆さんがどういう心情でおられるのか、この辺を私はある意味で注目しております。例えば戦争ということに対して、これはいざとなればという場合はそれを行わなければならない任務を持っている。あるいは、一方で日本憲法というものがある。そういう中で、許される範囲の中で行動をしなければならないということがある。  これも率直に申し上げて、実はガイドラインの審議をしながら感じたのは、そのときに参考のためにいわゆる制服のかなり指導的な立場にある自衛官の方とも話をしてみました。私はある意味で率直に感心したんです。日本憲法という枠の中で任務を遂行していくためにはどういうことに配慮をしたらいいか。例えばその方は、名前は申し上げませんけれども、アメリカとのガイドライン問題の交渉の衝にも当たられた方でありますが、そのときに、日本憲法の枠の中で、そのことをいつも意識しながらアメリカと話し合った、主張すべきことを主張したということを言われていました。  私は、結論を言えば、自衛隊の隊員の皆さんはそうした心情の人たちが大部分ではないかと思うわけですね。このことを率直にとらえていないと、外部で、戦争というものに対する考え方は間違ったとあえて申し上げるけれども、そういう考え方で、外からこの自衛隊の人たちの考えと違うことをあたかも自衛隊がそういうふうになっているかのごとくしてしまうと間違ってしまうんじゃないかと。  防衛庁長官も二度目の長官でもありますし、依田政務次官事務次官をおやりになりましたから御存じとは思いますけれども、直接やはりシビリアンコントロールの一番衝に当たっておられる防衛局長に、今の自衛隊員の心情、特に憲法とか戦争ということに対してどういうふうに考えていると思ったらいいのか、どうとらえておられるか、そのことをお答えいただきたいと思います。
  108. 佐藤謙

    政府参考人佐藤謙君) これは申すまでもないことでございますけれども、現在の国連憲章、こういうもとでは武力の行使について自衛権の行使や国連憲章に基づく集団的安全保障を除いて禁止されている、こういう枠組みでございます。  また、憲法九条のもとにおきまして、私どもとしては、みずからの行為としては主権国に固有の自衛権に基づく自衛のための必要最小限度の実力の行使が認められている。こういう考え方に立ちまして、私ども、この自衛隊法に基づきまして、まさに我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つために今申し上げたような考え方に立って国民の信託にこたえるべく日夜教育をし、また訓練をしている、こういうことでございます。  さらに、具体的に申し上げますと、私ども自衛隊員は、自衛隊員になりますときに宣誓ということをいたしますけれども、この宣誓の中で、全部読み上げるのは省略させていただきますけれども、「私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本憲法及び法令を遵守し、」云々、「専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」と、こういうことを必ず全員宣誓をして隊員になるわけでございまして、私ども幹部自衛官を含め、隊員みんながこういう気持ちでもって職務に従事している、こういうふうに考えております。
  109. 田英夫

    ○田英夫君 もちろん二十数万の自衛隊員がおられるわけですから、いろいろお考えの方があることは当然でしょうけれども、今の防衛局長の話は私もよく理解できるつもりです。  さっき外部から特定の考え方を押しつけるとか持ち込むとかいうことを言いましたけれども、私は、私の仲間でしたからあえて名前を言わざるを得ないんですが、攻撃をするつもりで例に挙げるんじゃないんですけれども、三島由紀夫君が最後にとった行動というのはもう御存じのとおりです。三島由紀夫君は本名は平岡君というんですが、小学校からずっと大学まで私の一級下におりました。したがって、彼の育ち方、信条、すべてよく理解しているつもりです。非常に残念な結果だったと思うんです。  長々と申し上げるつもりはありませんし、三島由紀夫論を言うつもりはありませんが、一つの残念な気持ちを込めて言いたいのは、私どもが一緒に育ったころの教育というのは、本当に今から思うとすさまじいものです。皆さん、恐らくきょうここにおられる中で私が一番年寄りだろうと思うし、戦前の教育を御存じの方はほとんどおられないと思う。特に、私どもの学校では小学校に入ったころから、君たちは皇室の藩屏であるということを言われました。藩屏という字は今でも私は書けませんよ。しかし、意味はわかる。何度も言われているとわかるものです。怖いものですよ、だから教育というのは。  そういう教育を受けてきて、三島由紀夫君というのは非常に頭のいいまじめな少年、青年でしたからそのまま育っていって、そして私はほぼ同時に社会に出たんですが、私は新聞記者という社会の底辺に目を向けざるを得ない、そういう仕事をしたことがある意味で幸いだったかもしれない。  彼は、大蔵省の役人になってすぐやめて書斎に入ってしまった。同じ作家でも、社会派の作家ではなくて書斎に入ってしまったという中で、頭の中で物を考えるという仕事、いわばそれはタイムカプセルに入っていたような状態になっていたと私は思うんです。そして、その中から外を見ると、自分たちが育ち描いてきたあるべき世界と全く違う。例えば、自衛隊を見るとこれはいたたまれないという気持ちに彼はなったとしても不思議ではないんです、僕らの受けてきた教育からすると。その最後があの姿だったのではないかと私は思っているんですが、そういうことがもしこれからも多数あるとすれば非常に危険なことになる。  ここに、こういう席にはふさわしくないような派手な本ですけれども、「戦争論」という本がある。漫画ですよ。これはある意味ではマスコミでもよく言われる人が書いた本で、私も見て驚きました。こういうものを若い人たち、漫画世代と言われた若い人たちが読んで育ってくると、戦争というものは我々とは違ったものになるなと。  こういう意味で、改めて考えさせられているんですけれども、そういう中で、先日ある集会、これは戦争に反対をするというか、そういう意味の平和集会ですけれども、その議案書のようなものを読んでおりましたら、最近の小渕内閣は戦争のできる国に日本をしようとしているのではないかという表現がありました。戦争のできる国という表現は私は非常に注目すべき表現だなと思って、なるほどと思いました。私の立場からすると、さきの通常国会で行われた一連の議論そしてその結論というのは、平和運動をする市民の人たちからすると、なるほどそうなんだなと。  こういう意味で、日本憲法というのは、日本はあの戦争の体験の中から戦争をしない国という決心をしている。これは世界でも本当に数少ない、ゼロとは言いませんけれども、そういう国であるわけです。戦争をしないとみずから宣言をした国だということだと思います。それを戦争のできる国にしようとしているんじゃないかと。  有事立法ということは、けさも出ましたけれども、私は、もしそうだとするならば、有事という言葉は非常にあいまいで、敗戦を終戦と言ったのと同じような意味でこれは戦争ですよ。戦争ということに対応するための法律ということではないかなと。もう先ほど同僚委員が質問されましたから、第一分類、第二分類、さらに第三分類もはっきりさせていただきたいとは思いますけれども、それは横に置きます。そして、やはり戦争というものに対する考え方というのを、この国会の中でももう少し突っ込んで議論をする場をつくった方がいいんじゃないだろうかと思うんです。  有事立法というのは実は最近出てきた話じゃなくて、いわゆる三矢研究というのが一九六〇年代半ばに自衛隊の制服の皆さんがひそかにつくったものとして国会で、当時の社会党の先輩議員が公にされたことから明らかになったわけですが、その中に実はもう有事立法は十二分に論じられている。二カ月で国会を可決成立させる、こういうことまで計画をされていて、既にさきの通常国会で成立したような法律も彼らの言う有事立法の中には入っているということになるわけでありまして、そういう意味では、何も有事立法はこれからつくるだけではないと広い意味で言えば言えるんじゃないかと思います。  ですから、そうやって考えてくると、これは質問というより私の意見をずっと申し上げたいんですけれども、私は実は、戦争から帰ってきて、社会に出て、子供が生まれても、男の子に対しても自分の戦争体験というものを言いたくありませんでした。後輩に対しても余り話すことをしませんでした。それは私だけじゃなくて、私と同僚の同じ世代の友達たちというか仲間たちはほぼ同じだったと思います。やっぱり敗戦という中で、もちろん大きなショックを受けましたし、そういう中であの忌まわしい思いを語りたくなかった。  しかし、今改めて先日来の経験を考えると、いわば戦争の語部にならなくちゃいけないなと、この年になってから今改めて思っているぐらい、こういう本を読むにつけても、本当の戦争というものはどんなものかということをもっともっと皆さんと一緒に考えなくちゃいけないんじゃないかと思い始めているわけです。  突然ですが、河野外務大臣、この私の考えに対してどういうふうに思われますか。
  110. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) 防衛庁長官も私も昭和十二年の同い年でございます。いわば、今の田議員のお話からいえば、ちょうど小学校のころ戦争が激しくなって終わったという世代でございます。我々はそれでも戦後の大変厳しい時代を知っています。それから、やや戦前のにおいも我々はかいで覚えております。  そういう我々が今一番感じますことは、田議員は自衛隊員の意識といいますか意欲といいますか、そういうことにさっき言及をされましたけれども、私は隊員の意識だけの問題ではない、その隊員を取り巻く日本人全体の意識の問題が非常に大きいと思うんですね。  ちょっと、あるいは御質問の趣旨と違うかもしれませんけれども、先ほど来PKOPKFについていろいろ御質問がありまして、PKFはもう凍結解除でフル稼働するという方向に今進みつつありますけれども、そして世論調査の結果などを見ると、大いにやったらいいじゃないか、どんどんやれという意見が非常に多くなってきています。  しかし一方で、どんどんやれ、もっとやったらいいじゃないかという意見は、やや国際貢献といいますかPKO活動、PKFその他の活動を表面的にとらえている。つまり、その活動の結果、何が起こるか、どういう事態が起こるか。何か事態が起こったときには、それでは本当にどんどんやるべきだと言った国民世論は、自分たちの支持と同じように起こった事態に対して一緒に考えるだろうかということを私はちょっと考えさせられるんです。  私自身、かつて官房長官を務めた当時、カンボジアのPKO問題に直接かかわっておりまして、当時の文民警察の方々のいろいろな事案を考えますと、いろいろ考えさせられるところも多いんです。ですから、自衛隊の隊員の皆さんの意識、意欲、そういうものは、先ほど御答弁がありましたように非常に健全でしっかりしている、私はそう思います。  しかし、今度それを取り巻く国民の意識というものが本当にしっかりしたものになっているかどうかということについても少し目を向ける必要があるんではないか、そんなようなことを感じております。
  111. 田英夫

    ○田英夫君 残念ながら、与えられた時間が短いものですから時間が来てしまいました。  若いお二人の政務次官にもぜひこの問題についてはお考えを聞かせていただきたいし、そういう時間もまたつくりたいと思いますので、きょうは終わります。
  112. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 自由党の田村でございます。  行革会議の最終報告が平成九年十二月三日に出されまして、二十一世紀の主要行政課題の非常に重要な点のトップに「国際社会の平和と繁栄への貢献、国家主権の確保」、二番目に「わが国の平和・安全秩序の維持・確保」ということがうたわれております。  それで私は、二十一世紀に向けて、防衛庁の国防省への昇格問題が政治の場で議論すべき最も重要な課題であるというような認識をしております。なぜ私が防衛庁を国防省に昇格させなきゃならないかという理由を述べますので、外務大臣防衛庁長官、また優秀な政治家の皆さんがここに座っておられますので、いつもは官僚の皆さんが座っていたにもかかわらず、今回は政治の本当のシビリアンコントロールということが達成される第一歩であるというふうに私は認識しておりますので、皆さんに私の考え方について、十五分しかありませんので、簡単にお答えを願いたいと思います。  まず、なぜ防衛庁を国防省にしなきゃいけないか。防衛庁は、御承知のように、総理府の外局でございます。したがって、防衛庁の予算も、隊員に対する表彰、自衛隊の礼式、自衛官の制服、採用、昇任、すべて総理府に了解を求め、説明をしなければなりません。ということはどういうことかといいますと、一般社会の、一般の公務員によって、公務員の倫理が自衛隊防衛庁に浸透しているということであります。  それはどういうことを言っているかというと、一般公務員並み、一般公務員並みということでずっと来ているわけです。したがいまして、自衛隊というのは、有事のときに、異常事態が発生したときに国家国民の生命、財産を守るという、全く一般社会とは違う次元に役立たなきゃならない人たちであります。そうすると、一般に、普通のときに役立つ人というのは異常事態が発生したときに余り役立たないという人が多いんですね。そういう訓練をしていないとだめなんです。  ですから、例えば一つの例を挙げますと、一般社会では絶対に事故は起こしちゃいけない。東海村のような事故は起こしちゃいけない。トンネルから石がおっこちてきてもだめ。ところが、自衛隊は激しい訓練をすることの方が要求されるわけです。もしそれをしないと、異常事態が起きたときに国民の生命、財産を守ることはできません。PKF等が凍結解除されても、訓練をしていない人が行っても何の役にも立ちません。したがって、今こういうことを半年だとか一年やるんならまだ回復できると思うんですが、そういう状況です。給料から全部一般公務員並みですよ。だから平時のときには役立つ。  この前、西川太一郎政務次官が私と会ったときに一番初めに何と言ったか、自衛隊は儀式が多いなと。儀式ばかりやっている。だから、いざというときに本当に役立つんですかと。そういう責任を持っておられるのが私は皆さんだと思うんです。ところが、実際に不審船が来ても何が来ても、災害が起きても全部後手後手に回る。これは危機管理体制ができていないからです。これは国防省になっていないからなんです。後からこれは申し上げますが、時間がありませんので。  ともかく平時に役立つ人は有事には役立たない。全く違った次元にいる人たちに対して今のような一般公務員並み、一般公務員並みというものを続けていくとおもちゃの軍隊ができてしまう。これ五十年ですよ。政治家としての責任を、政治家というのは国民の生命、財産を守るのが第一義ですよ、政治に求められた基本的な任務というのは。それを遂行していないことになると私は認識しております。  ですから、一般社会における自由競争原理というものとは全く違った次元の人たちに対して、有事にというか、異常事態が起きたときに腰を抜かさないで国民の生命、財産を守るというのが防衛庁の、自衛隊の任務なんです。それで、軍の特性をよく知っている内局の人たちが、そういうことを言われたときに、そうじゃないんですよと言うために私は内局というのは存在すると。事故を起こしちゃいけない、これは一般社会もそうだけれども、そのために指揮官というのがいるわけです。だけれども事故を起こしちゃいけないというのが求められる倫理ではないんです。激しい訓練をやらなきゃいけない。  今、自衛隊というのはそんなに厳しい訓練をやっていないんじゃないですか。やれないんじゃないですか。だから、私は有事のときに役に立たないというふうに思っているわけです。その点を五十年もやったら絶対だめだと。ですから、一日も早く二十世紀の間に国防省にして、一般の公務員によるコントロールをやめさすべきだと、政治によって軍事をコントロールするようにぜひしていただきたいと思うので、国防省への昇格を私は強く要求、要望しているわけです。  時間がありませんので、大臣からお答え願いたいと思います。
  113. 瓦力

    国務大臣瓦力君) ただいま田村委員からの御質問といいますか、御意見を拝聴いたしました。  私も防衛庁長官二度目になるわけでございますが、十一年前に就任をいたしました折はなお米ソ冷戦構造が世界を覆っておったわけでございます。昨日、ドイツのベルリンの壁が壊れて十年ということでございますし、再任されますと、もう米ソ冷戦構造を終えて、今世界は新しい秩序を求めておるわけでございます。  そういった意味で、自衛隊はまず必要最小の、侵略に対しても、国土を侵略されるということはこれは歴史なり文化なり、私ども国民の安心、安全をしかと守っていかなきゃならぬという任務があるわけでございますから、いかなることにも対応できる自衛隊というものが求められて今日まで来たわけでございますが、さらに自衛隊災害でありますとか、あるいはまた国際的な救援活動でありますとか、幅広く活動するようになりまして、自衛隊の任務も国民からも信頼され、また国際的にも高く評価されるように大きな役割を果たしておる今日でございます。  よって、今、委員お話しのように、省への昇格の問題でございますが、御案内のとおり、行政改革は一府十二省庁ということで今その作業が進められておるわけでございますから、ある面では政府の大方針のもとに、省庁の再編につきましては私どもも内閣の方針として協議していかなければならぬ問題がそこに存しておることを自覚いたしております。  将来どうあるべきかという問題につきましては、広くまた国会におきましても国民におきましても議論をいただきまして、いかなることが自衛隊に課せられる任務として、またどういう形の方がいいのか私どもも耳をしかと傾けながら、それらの方向につきまして検討を加えてまいりたいと思っておるところでございます。
  114. 河野洋平

    国務大臣河野洋平君) ちょっと所管外でどう答弁を申し上げていいかわかりませんが、抜本的な行革をやるということを宣言されて、たしか橋本内閣のときだったかと思いますが、行革の最終報告書というものをつくり上げたわけです。  そこに至るまでには各省ともに相当激しい議論があって、もちろん防衛庁を省に昇格すべしという議論も相当な時間をかけて議論があったように私、記憶をしております。総務会でもそうした議論が幾たびとなくございました。いろいろな議論をした末に最終報告を出すということになって、ここでいわば撃ち方やめと、ここでもう最終結論にする、こういうことを言われて行革の最終報告書ができ上がったわけです。  これは、でき上がっていよいよ平成十三年一月から行こうというこの時点で、あそこはもう少しこうすべきではないか、ここをもうちょっとこうやるべきではないかと今の時点で、しかも閣僚の立場で言うということは控えなければならぬというふうに思います。私は、やはりこの行革は行革としてきちっとやり上げるということが我々の使命でもあるというふうに思いますので、田村議員の大変な御意見は伺いましたけれども、それについておまえはどうだとおっしゃられても、今の段階ではそう申し上げる以外にはないと思うんです。  確かに、何省と何省をくっつけるかとか、何省の局をどうするかということと防衛庁の問題は質が違うとおっしゃるんだろうと思いますが、それも御意見としてよくわかりますけれども、しかし、少なくとも今こういう形にして、これで撃ち方やめて行革最終報告を出してこれで行くぞと基本法までつくり上げて、そしてもう平成十三年からスタートをするというこの時点でございますから、私はひとつ私見は遠慮をさせていただきたい、お許しをいただきたいと思います。
  115. 依田智治

    政務次官依田智治君) 私は、こちらの側に座らないときは田村先生と似たような意見を言っておりました。また、予算委員会、ガイドライン委員会でも総理に激しく意見を述べたところでございます。  田村先生は、今、自衛隊のいわゆる制服部隊としての特殊性というのは一般の公務員とは違うんだ、いざというときに戦うという集団は違うんだという面から特に述べられましたが、私がその当時言いましたのは、やはり今回の行政改革というのは、三十九年に実は防衛省昇格の閣議決定までして、翌年、三矢研究もあったということで、先送りになったときにはまだ防衛省の問題だけを取り上げるのはどうかということで、むしろ全般を考えるときに考えたらいいんじゃないかという感じがあったわけです。それが、今回は国の全体を考える、まさに国がやるべき仕事は何か、地方がやるべき仕事は何か、民がやるべき仕事は何かとすみ分けして、国としてやるべきことはしっかりときちんと位置づけようというのが今回の行革の趣旨ではないかと。  こういうようなことで、また、先ほど田先生から軍のお話ございましたが、安全保障という中で自衛、自分の国を守るということ一つとっても、やはりそういう実力的な部隊の必要性というのがあるわけでございます。  そういうように総合的に考えますと、実は行革会議最終報告で、新たな国際情勢のもとにおける我が国の防衛基本問題については政治の場で議論すべき課題であるということを特に挙げた。この新たな国際情勢というのは、現にもう冷戦構造が崩壊した後で新しい国際情勢の時代を迎えておる、こういう中における安全保障を担う組織のあり方というのも含めて検討せよというように私は当時理解したわけです。  そういうことで、今は政府の一員として、あれはあったよなとかなかなか言う立場にございませんが、ぜひとも今、田村先生意見とかその他いろいろな意見を踏まえて政治の場でしっかりと議論してあるべき姿を追求していただければありがたい、こんなふうに考えております。
  116. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 定められた時間が来たのでありますけれども、せっかくの機会でありますから、他の政務次官からも御答弁をいただきたいと思いますが、よろしいですか。
  117. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 皆さんに簡単でいいですから答えていただければ。何にも答えていない先生もおられるので。
  118. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) では、簡潔にひとつ答弁を願います。
  119. 西川太一郎

    政務次官西川太一郎君) 田村先生は現場で空将までお務めになった方でございますから、省に昇格することによって隊員の士気が高揚することや単独で閣議を請議できることとか、予算を独自で請求できること、また省令を制定できるという、そういうことにつながる省に昇格するべきであるという御意見だと思います。  私も、防衛庁自衛隊の崇高な任務にかんがみて、またガイドライン等の制定後、新たな職務もふえることでございますから、私としては、既に行革会議にも庁の態度を明らかにしているとおり、省に昇格してほしいという気持ちは持っております。
  120. 東祥三

    政務次官(東祥三君) 田村委員の鋭い洞察と御見識に私は感動いたしております。極めて示唆的なお話を拝聴したと思います。  先ほど、依田防衛総括政務次官から言及されました行革会議最終報告の中に、ある意味で今、田村委員が御提案されました防衛庁の昇格問題というのを入れて、やはり真っ正面から議論していくべき重要な課題なのではないのかと思っております。今後のそうした議論を十分踏まえながら検討していかなければならないと思います。
  121. 山本一太

    政務次官山本一太君) 外務政務次官として、河野外務大臣、東総括政務次官につけ加えることはございませんが、田村先生とは参議院の国際問題調査会でずっと御一緒に御指導いただきまして、一貫した御信念には大変感銘を受けておりますし、一つのお考えとして拝聴させていただきました。
  122. 田村秀昭

    ○田村秀昭君 ありがとうございました。また引き続き議論をさせていただきます。     ─────────────
  123. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、村上正邦君が委員辞任され、その補欠として山下善彦君が選任されました。     ─────────────
  124. 山崎力

    ○山崎力君 それでは、質問させていただきます。余り質問したくないことではありますけれども、一応次期の問題とけじめの問題で防衛庁にお伺いしたいと思います。  西村政務次官が更迭をされました。その原因といいますか、種々に報道はされておりますが、大きな理由とされているのは、日本の核武装に言及した点である、このように理解しているわけです。  御承知のとおり、日本憲法においては核武装がすなわちそのまま憲法違反にはなっておらないわけでありまして、ここのところに書類もございますけれども、一応、自衛のための必要最小限度の実力、それで、仮にそのような限度にとどまるものであれば必ずしも憲法の禁止するところではないというのが政府側の一貫した答弁であるわけでございます。  もちろん、いわゆる非核三原則であるとか、あるいは国際条約、NPT、そういった条約、あるいは原子力基本法、こういったものの法律の問題には違反ということに当然なっているわけですけれども、直に憲法に違反するようなことをしたというわけではないということは私の理解するところです。  それで、一番私がひっかかっておりますのは、西村さんが論議しようということで提案されたと。これが、政府が持たないと言っているときに持てと言えば、これは時の政府の方針と違うことであるからして不適当であると、更迭に値するということはよくわかるんですが、その辺のところ、いろいろ言われておるんですが、本当に何をもって西村政務次官が更迭に値したのかということを直接上司である防衛庁長官から御答弁願えればと思うわけでございます。
  125. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 山崎委員にお答えいたしますが、西村前政務次官の発言に係りまして、核武装の問題についての週刊誌における記事掲載を私は拝見をいたしました。  西村政務次官は、大変意欲を持って、私ども一緒に勉強するときにはそれらの問題についてお触れになることは少なかったわけですが、かねてから御本人は議論すべきであるというお考えであることは承知をいたしておりました。週刊誌を見まして、私も、不適切な部分があるということで本人に真意を任命権者に伝えるようにと。また、既に報道されておることですから、私も厳しく実は申し上げたのは、これは友情の一端であっても結構だと思うんですが、注意を申し上げました。しかし、他にも不適切な表現もありまして、御本人は辞任をしたわけでございます。  彼がこれからいかなることを訴えてまいりますのか、議員としての活動がございますし、内閣としては今申し上げたようにその路線はとらないわけでございますので、彼もそのこともよく承知をして辞表を出したわけでございます。  これ以上のことは私が申し上げるまでもないと思うわけでございますが、彼はそういう経緯、いきさつをもって辞任をした、かように理解をしております。
  126. 山崎力

    ○山崎力君 今問題になっておることでいえば、憲法の問題も論じようではないかということでございますから、その辺の核というものの現状を顧みたときに、これは山本政務次官、いろいろ御苦労なさっていますが、インド、パキスタンがいよいよ核武装をしたと、核拡散につながるおそれがあるかないかという極めて微妙な時期にあるわけでございます。  もちろん、我々にとっては北朝鮮という問題も常に念頭から離れないわけでございまして、そういった意味で、これが我が国において核論議をまたタブーにすることがあってはならないというふうに私自身は思っております。  もちろん、その政治的、軍事的な影響力についてということは当然議論しなきゃならないわけですが、それ自体を、大きな外交その他防衛のファクターである核というものに目をつむってということは、私はこれからまた許されない時期に来ているんではないかなという認識を持っておりますので、その辺のところを御理解願えればと思います。  そういった中で関連してでございますけれども東海村の原子力事故がございました。これについて、いわゆる原子力災害において自衛隊の能力に限界がある、装備もほとんどできていない、今度予算要求をすると。こういうことで、それだけ見ればそれだけのことなんですが、私はまさにこのことが日本の防衛力の整備についても大きな問題がある。  要するに、核戦争を念頭に置いた装備自衛隊はしてこなかったということの証拠であると私は思います。国際法に違反するからとか云々ということもございますけれども、それであるならば、何ゆえに大宮に化学防護隊がいるのか。いわゆるNBCあるいはABCと言われる近代兵器体系にいかに取り組むかということは、防衛に関する関係者であるならばこれはもう念頭から離れられない問題であって、いわゆるオウムのサリンで脚光を浴びましたけれども、そういったものは持っているけれども研究その他のことはしているけれども核については一切自衛隊としても今までタブーであったということではないかというふうに思うわけです。  もちろん時代背景その他がありまして、そういった装備をする、研究をするということが諸外国に対して日本は核武装の準備をいよいよ始めたんではないかという危惧がこういうふうな自分たちの自己規制につながっているということは想像にかたくないわけでございます。その辺のところを含めて、やはりもう一回この問題は考えなくてはいけないと思うんですけれども、実際にこれから予算要求するわけですから、その辺のこれからの防衛庁としての原子力事故、あるいはいわゆる核兵器対策というわけでもないんですけれども、そういったものの部隊の編成とか運用をどのように考えているのか、お尋ねしたいと思います。
  127. 依田智治

    政務次官依田智治君) 今、山崎先生、全然核に対する準備がなかったということではございません。これまで核兵器がもし使われた場合にどう対応するか、大宮の一〇一化学防護隊研究する、また全国に十五くらいの化学防護部隊をつくる。それで、例えば中隊用の中性子線量計とかを備えたり化学防護車等も備えたり、戦闘防護衣等でもどのくらいの放射線が守れるかとか、防護マスク、化学防護衣その他、ある程度の部隊装備はやっております。  ただ、今回はっきりしましたのは、ああいう臨界事故みたいなのが起こったときに、中性子線に対する装備は全くない。それから化学防護車の窓ガラスではガンマ線を防護できない、個人装備でもガンマ線は守れない、こういうような事態が出てきたわけです。そうなると、少なくとも住民等を守るために出ていく自衛隊がそういう装備もないようでは問題じゃないかというようなこと、それから化学防護隊、小隊みたいなのももうちょっと格上げして、午前中鈴木先生からも質問ありましたが、やはり各地で何か起こったようなときにむらなく対応できるような部隊装備というものは持つ必要があるんじゃないかということで、現在、予算でもそのあたりを今回の東海村の事故を反省して、事故をもとに、自衛隊装備強化ということで百数十億の要求等をいろいろやらせていただいている状況でございます
  128. 山崎力

    ○山崎力君 いわゆる中性子線対応というのは、これは私のうろ覚えですけれども、中性子爆弾に対する防護をどうするかというのは、冷戦時代のNATO正面において本当に重要な問題で、戦車の内側に中性子線を防ぐいろいろなあれをつくろうとか、それが効果があるとかないとかいろいろ言われていたんですが、逆に言えばそういったものと無縁であったということのこれは証明であって、ある意味でいえばいい平和な時代だったんですが、今回のことを考えればということになろうかと思います。  これに関連して、これは政府側に対しての要望でございますけれども、今回の東海村、それからせんだっての不審船事件、これに共通する問題点が私はあると思います。これはほかの省庁と絡む問題ですから、いわゆる防衛庁ということだけではないんでお聞きおきしていただければ結構なんですが、まず不審船に対しては、いわゆる設計変更までして高速艇、ミサイル艇になると思いますが、それの強化をして速力を上げるようにしたと。それはそれでいいんですが、別に海上保安庁もこれを契機に高速巡視船をつくるんだと。こういうふうなことになっております。  それから、今回の原子力事故に関しても、防衛庁防衛庁でこういうあれをとる。ところが、いわゆるこういった災害、どこが担当になるかは別として、消防庁あたりでしょうか、火災その他の災害に対する一義的な対応組織として、原子力に対するレスキュー隊といいますか、そういったものをつくろうではないかという意見が出てくる。国民の側からすると、これは明らかに二重投資という感じがするわけでございます。  だから、もし割り切るのであれば、もう防衛庁不審船にしろこの原子力事故にしろ、これはうちの商売ではないと、範囲外であると、一義的に海上保安庁なら保安庁に任せると、それで予算をそっちへつけてやってもらうと。この事故についても同じ。そういうのに何でもかんでも自衛隊を頼むというのはお門違いだということも一つの割り切り方であるわけです。あるいは、逆にこれはうちの一手販売でやらせていただくと、責任は持つと。そのかわり装備と予算は頼むよと。これが私、一番今回の東海村の事故も含めて問題になるところではないか。  その間の省庁間の協力とか、それぞれ協力し合ってとか言われていますけれども、かつての本会議でも質問させていただきましたが、防衛庁の自衛艦と海上保安庁の巡視船で同じ名前がぞろぞろあると。そういったところを今回の例でいえば、東海村の事故についての対応もむだのないというとおかしいかもしれませんけれども、それは自分たち防衛庁から見ればむだなく装備しているかもしらぬけれども、ほかの省庁で同じものがあった場合どうなるんだということも含めて、省庁間の役割分担をどうやるかということを本当にお願いしたいというふうに思っております。  これは、せんだっての不審船事件のときにも痛感したことでございますが、その辺について一言答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  129. 依田智治

    政務次官依田智治君) 山崎先生、警察がやれること、それから軍なり日本の場合自衛隊でなければやれないことというのがありまして、やはり不審船事件の例がありましたが、じゃ、ああいう特殊部隊が偽装しているような軍特殊部隊員が相当な装備を持ってやるものについて、日本の海上保安庁が対応するだけの装備なりなんなりを持っているというと、自衛隊にかわる軍隊をつくるような話になっちゃいますので、私どもとしては、やはり自衛隊自衛隊として国の守りという面から、国土防衛という面を主眼にしつつも、それの持っている装備とかそういうものを活用して、民生でも大いに役立つようにする。  そして、警察機能と自衛隊の機能の間隙を生じないように、密接に省庁間の連絡を保ちつつ国民の安全を維持していくということが重要じゃないかなと、こんなように考えております。よろしくひとつお願いします。
  130. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 私からは、たび重なる、そう言ってはなんですけれども防衛庁の不祥事問題を取り上げたいと思います。  今現在、何といっても神奈川県警の時代なんですね。神奈川県警がしっかりと頑張っておりまして、次から次といろいろな問題を提起してくる。これが日本の警察かと国民はもうあきれて物も言えないということだろうと思いますが、その陰に隠れているようでありますけれども防衛庁もしっかりと頑張っておる。  昨年一年は、もう水増し請求の問題がありまして、調達本部長ですか、彼も返済すべき金額を勝手に理由なくまけてやったということで、背任罪ということで逮捕、起訴されて実刑判決を受けた、こういうふうになっております。  それから、中島政務次官の贈収賄という問題もありましたし、ことしに入りますと、今度はどうしたかというと談合疑惑ですね。ジェット燃料の納入業者である石油業者が談合をした。これは、実は防衛庁の官主導で行われたんだというのはマスコミの報道でありまして、これに対して的確な抗議もないところを見ると、やっぱりそうなのかというふうに国民は皆考えておるわけであります。  それから、同じように自衛艦の修復工事につきましても談合が行われた。これについても同じように、防衛庁の指導のもとで業者の選定が行われたというふうにマスコミが報道しているわけで、大多数の国民はこれを信用しておるわけですから、多分そうだろうというふうに皆腹の中じゃ思っておるわけであります。  法律を守れない警察に日本の治安を守る資格はないと私はこう思っておる。当たり前のことですけれどもね。みずから法律を守れない者に他人に法律の遵守を強要する資格はない。それと同じように、法律を守れない防衛庁に一体日本の国防を云々する資格があるんだろうかと、こういう疑問を持つ国民も多かろうと思います。  ただいま防衛庁を国防省に昇格させてはという議論がありましたけれども、それも大事な議論かもしれませんけれども、その前提として、少なくとももうこういう問題は防衛庁から一掃してほしい。それからだと、そういうことを考えていくのは。当たり前のことだと私は思いますけれども。国防省にするかしないかなんというのはもっともっと先の話だろう、やるべきことが大変今山積しておるのではないかと、こう思います。  何といいましても、この防衛庁をめぐる一連の不祥事につきまして、再発防止、どうすればこういうことを二度と起こさないで済むことができるのかということにつきまして、長官ももう就任以来日夜頭を悩ましていろいろ考えておられると思いますので、この不祥事問題をどういうふうに重く、厳しく受けとめているかどうか。  それにあわせて、再発を防止するためには自分とすればこういう具体的な策を考えていると。ただ抽象的にしっかりやれと訓示しているから大丈夫だと、そんな子供だましみたいなことはやめていただきまして、しっかりした具体的な再発防止策を今この場で述べていただきたいと、こう思うわけであります。
  131. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 佐藤先生は御専門でいらっしゃいますから大変厳しい御質問でございまして、改めて御指摘に対しまして敬意を表する次第でございます。  私も、就任いたしまして、ある面では今御指摘のそれぞれ事案が今防衛庁に対する国民の信頼を失いかけておる、失っておるということを考えますと、一日も早く防衛関連のこのたびの不祥事に対しましてしかと取り組んでまいらなければならぬと、こう考えておるわけでございます。  一つには、御案内のとおり、石油の談合問題につきましては、検察当局も現在調査中でございますから、私どもは全面的にこれは協力しなければならぬという事案もございます。また、独自でやるべきことは独自でやらなければならぬということで、先般もさようなことを幹部を集めて申し上げたところでございます。  いずれにいたしましても、我々のなすべき仕事の自浄作用が的確に機能しなければならぬと考えますし、また出ておりますことにつきましては、それぞれ今妨げになってはならぬわけでございますので、十分に協力をして、その結果我々がどういう仕組みで何をとるべきか、何に取り組むべきか、そのことは勇断を持って取り組んでいかなければならぬと、こう考えております。今真剣に取り組んでおるところでございます。
  132. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 先ほど同僚の小泉議員の質問に対して、この質問というのは、自主的な調査を至急にやるべきではないのかと、この石油燃料の談合問題につきまして。これに対して、長官は、ただいま検察が捜査中であり裁判にも付される、それの推移を見守っておると、自主的に調査をする考えは今のところないということをはっきり申し上げました。  私、これを聞いておりまして大変驚いたわけであります。犯罪の捜査あるいは刑事裁判は何のために行われるかと、個人の刑事責任の有無を判定する、それだけの目的であります。役所はそれぞれいろんな目的がありますけれども、公正取引委員会は独禁法を維持するという観点から調査をする、それだけであります。同じようにいろんな役所がありましてそれぞれの立場で調査をする。  こういうふうに防衛庁を揺るがすような大事件が起きた場合に、個人の責任を追及する捜査当局の捜査を見守りたいと、そんなことは絶対ならないわけでしょう。防衛庁といたしましても、なぜこんな不祥事が起きたのか、原因がどこにあるのか、対策はどうあるべきか。それから、個人の刑事責任、あるいはその不祥事を招いた個人個人の責任、それだって大変な問題なんで、行政の感覚の観点から調査をして責任の所在を明らかにして、必要があれば捜査当局に告発をする。告発する義務があるわけですから、自分のおひざ元でこういう犯罪まがいの行為が行われたら捜査当局の手にゆだねて刑事責任を追及してもらう、それも一つの一環なんです。  いずれにしろ、行政庁とすれば自分のおひざ元で行われたそういう不祥事につきまして、なぜ、何が原因でこんなことが起きたのか、それぞれのポストポストで一体幹部たちは何をしていたのか、その責任はどうなのか。それから、再発を防止するためにはどうすればいいのか。それを徹底して、できるだけ短期間に調査をして国民の前に、ということは国民を代表する国会の場できちっとそれを明らかにすべきでしょう。それは当然のことだと思うんですよ。そんなものは捜査当局にやらせておきますよというのは無責任過ぎると私は思いますよ、いかがですか。
  133. 瓦力

    国務大臣瓦力君) この事案につきまして、私は責任をあいまいにするという考え方ではなくて、先ほど申し上げましたように、司法手続が進められているわけでございますから、防衛庁といたしましては公判等に不当な影響を与えることがないようその進展につきましてこれを見守っておるわけでございますし、またそれぞれの検察当局の調査に対しましては全面的にこれは協力をしてまいる、こういうことを申し上げておるわけでございまして、私はこれからの自衛隊のあり方、そのことの根幹を揺るがす問題でもあろうと思いますが、新しい時代にどう取り組んでいくかという問題を今真剣に求めていかなきゃならぬときだと思っております。  先生の御指摘のように、今マスコミはこうだからこれに反論するとかということではなくて、我々は全力を挙げて協力をし、内部でできることは内部で取り組んでまいるということを先ほどの質問にもお答えさせていただいたところでございます。
  134. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 大変やはりおかしいと思います。  刑事裁判は刑事裁判として行われているわけですから、司法に妨害をしてはならない、そんなことは裁判所が考えて、そういうことをやれば裁判所がちょっと困りますからということを言ってきた場合にそれを受けとめて対応を考えればいいことでありまして、最初から裁判所に迷惑をかけてはなんだとか、だからやるべきことはやれないとか、そんなことは理屈にもならないわけでありまして、今言っているのは、防衛庁が主体的に今度の不祥事をとらえて厳しく受けとめて、一体なぜこれが起きたのか、その法的な責任はどこにあるのか、だれにあるのか。制度にあるのか、個人にあるのか。それから何度も言いますけれども、再発を防止するためにはどうすべきかということを国民の前に明らかにすべきでしょう。  それから、マスコミは勝手なことを言っているといったって国民はマスコミを信ずるしかないんですから、今のところは。これはやっぱり官主導で談合を行ったに違いないとみんな思っているわけですから、もしそうでないとすれば、我々が調査した結果そういうことはなかったんだ、国民の皆さん防衛庁を信頼してくださいとはっきり弁明すればよろしいわけでしょう。何もやらないで、裁判なんというのは三年、五年普通にかかるんですから、一体どういうことになるんですか。国民は何を信用すればいいんですか。
  135. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 繰り返しの答えになりますが、現在、司法手続が進められておるわけでございますので、防衛庁自衛隊としては全面的にこれに協力をしてまいる。  加えて、我々がなすべきこと、自助努力はどうあるべきか、方策はどうすべきかということはもちろんこれらのことが明確になってまいりますれば取り組まなきゃならぬ課題でもありますから、折々に私どもも適切な対応と同時に、その状況といいますか、あり方につきましては知らせてまいるつもりであります。
  136. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 申しわけないですけれども、私の質問の趣旨を誤解しておるようであります。  私は、裁判は裁判として行う、これは当たり前のことですから。しかし、責任官庁としてこの事犯、不祥事の中身を自主的に調査して国民の前に説明をする、これは当たり前のことでございましょう、民主主義下における官庁といたしましてね。それを裁判に協力しましてなんて、そういうのは責任逃れとしか思えないわけであります。  それから、話は変わりますけれども、NEC問題が一体どういうことになっておるのか。あれはNECの自主的な発表によりますと、五年間で、一年間十億の水増し請求をしたということをはっきり自白しておるわけです。それを受けとめて防衛庁は何か調査をしているんだろうと思いますけれども、あれだってもう自首してから、NECが自白してからもう一年以上たっているんです。もうはっきりとこの事件はこうでございますと、水増し請求したことは間違いありませんと。水増し請求は詐欺ですから告発すべきなんです。一体それはどういうことになっておるのか、いずれそのうちにということでごまかそうとしておるのかどうかわかりませんけれども。  それから、ついでですけれども、NECから政治献金を自民党は受け取っておるんです。昨年は六千万かなんかですね。それを私、前の野呂田長官にもうやめなさいということを言ったんですけれども、野呂田長官もはっきり返事しないんです、それは政党が考えることで私の権限ではございませんとか言いましてね。今度、企業献金はなくなるみたいですけれども、それはそれとして、ことしはどういうことになったのか。  それから、過去何年かにNECから受け取った政治献金は自民党としても返還すべきだと私は思います。当たり前のことです。水増し請求というのは、これは税金をだまし取るんですから、税金泥棒なんです。それを自民党はピンはねをしておるのか、こう言う国民もいるわけでありまして、やっぱり返すものはきちっと調べて返す。当たり前のことだと思うんですけれども、この辺につきまして、長官の新しいお立場、感覚での御返答をいただければありがたいと思います。
  137. 瓦力

    国務大臣瓦力君) 一つは、企業の政治団体に行ういわゆる政治献金でございますが、これは政党団体といわゆる企業との問題でございますので、私の方からのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、水増し請求事案についてでございますが、過去に民事訴訟に至るケースもあり、部外への影響を考えた場合、事案状況及び過払い額が確定的なものになってから公表すべきもの、かように考えております。関係者の責任及びNECの告発は、全体像の把握後、関係方面と調整の上適切に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、今、委員指摘防衛庁自衛隊に対する信頼を回復すべき大事なときでありますので、あとうことは最善の努力をして取り組んでまいりたい、こう考えております。
  138. 佐藤道夫

    佐藤道夫君 終わります。
  139. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  140. 小泉親司

    ○小泉親司君 日本共産党を代表して、防衛庁職員給与法改正案に対し反対の討論を行います。  本法案は、九九年度人事院勧告に基づき一般職給与法の改定が行われるのに準じて、裁判所職員国会職員などと同様に特別職である防衛庁職員給与改定を行うものであります。今年度の人事院勧告は、期末手当等の年間〇・三カ月分の引き下げなど、制度発足以来初めて給与水準の切り下げを求めました。これに基づく一般職給与法等の改定とその特別職への準用の結果、戦後初めてすべての国家公務員の年収を切り下げることとなります。これは、極めて異例な許しがたい事態であります。  人事院勧告制度とは、公務員民間労働者と異なり労働基本権が制約されていることに対する代償措置として、給与・勤務条件の改善のために設けられているものであり、民間準拠を口実にした切り下げ勧告は許されるものではなく、人勧制度の本来の趣旨にも反するものであります。  すべての国家公務員給与切り下げというかつてない措置の一環をなす本法案には反対であることを表明し、討論を終わります。
  141. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  防衛庁職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  142. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 矢野哲朗

    委員長矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時十二分散会