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1999-12-06 第146回国会 衆議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月六日(月曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 久間 章生君 理事 自見庄三郎君    理事 高橋 一郎君 理事 萩山 教嚴君    理事 町村 信孝君 理事 池田 元久君    理事 海江田万里君 理事 太田 昭宏君    理事 中井  洽君       甘利  明君    伊藤 公介君       石川 要三君    稲垣 実男君       小澤  潔君    大原 一三君       亀井 善之君    栗原 博久君       高村 正彦君    高鳥  修君       津島 雄二君    中川 昭一君       中川 秀直君    葉梨 信行君       萩野 浩基君    船田  元君       御法川英文君    村田 吉隆君       村山 達雄君    森山 眞弓君       山口 俊一君    岩國 哲人君       生方 幸夫君    菅  直人君       古賀 一成君    五島 正規君       原口 一博君    日野 市朗君       肥田美代子君    横路 孝弘君       近江巳記夫君    佐藤 茂樹君       西川 知雄君    福島  豊君       福留 泰蔵君    桝屋 敬悟君       一川 保夫君    江崎 鐵磨君       加藤 六月君    鈴木 淑夫君       西田  猛君    大森  猛君       木島日出夫君    佐々木陸海君       志位 和夫君    春名 直章君       矢島 恒夫君    北沢 清功君       濱田 健一君     …………………………………    内閣総理大臣       小渕 恵三君    法務大臣         臼井日出男君    外務大臣         河野 洋平君    大蔵大臣         宮澤 喜一君    文部大臣    国務大臣    (科学技術庁長官)    中曽根弘文君    厚生大臣         丹羽 雄哉君    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    通商産業大臣       深谷 隆司君    運輸大臣    国務大臣    (北海道開発庁長官)   二階 俊博君    郵政大臣         八代 英太君    労働大臣         牧野 隆守君    建設大臣    国務大臣    (国土庁長官)      中山 正暉君    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    国務大臣    (内閣官房長官)    (沖縄開発庁長官)    青木 幹雄君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    国務大臣    (防衛庁長官)      瓦   力君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    国務大臣    (環境庁長官)      清水嘉与子君    内閣官房長官      額賀福志郎君    総理府政務次官      長峯  基君    金融再生政務次官     村井  仁君    防衛政務次官       依田 智治君    防衛政務次官       西川太一郎君    経済企画政務次官     小池百合子君    科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君    環境政務次官       柳本 卓治君    外務政務次官       東  祥三君    大蔵政務次官       大野 功統君    文部政務次官       河村 建夫君    厚生政務次官       大野由利子君    農林水産政務次官     谷津 義男君    農林水産政務次官     金田 勝年君    通商産業政務次官     細田 博之君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    運輸政務次官       中馬 弘毅君    郵政政務次官       小坂 憲次君    郵政政務次官       前田  正君    労働政務次官       長勢 甚遠君    建設政務次官       加藤 卓二君    自治政務次官       平林 鴻三君    政府特別補佐人    (内閣法制局長官)    津野  修君    政府参考人    (厚生省老人保健福祉局長    )            大塚 義治君    参考人    (日本銀行調査統計局長) 村山 昇作君    予算委員会専門員     大西  勉君     ————————————— 委員の異動 十二月六日  辞任         補欠選任   高村 正彦君     山口 俊一君   杉浦 正健君     御法川英文君   日野 市朗君     菅  直人君   佐藤 茂樹君     福留 泰蔵君   桝屋 敬悟君     福島  豊君   鈴木 淑夫君     一川 保夫君   西田  猛君     江崎 鐵磨君   志位 和夫君     春名 直章君   不破 哲三君     大森  猛君 同日  辞任         補欠選任   御法川英文君     杉浦 正健君   菅  直人君     日野 市朗君   福島  豊君     桝屋 敬悟君   福留 泰蔵君     佐藤 茂樹君   一川 保夫君     鈴木 淑夫君   江崎 鐵磨君     西田  猛君   大森  猛君     矢島 恒夫君   春名 直章君     佐々木陸海君 同日  辞任         補欠選任   佐々木陸海君     志位 和夫君   矢島 恒夫君     不破 哲三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  平成十一年度一般会計補正予算(第2号)  平成十一年度特別会計補正予算(特第2号)  平成十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)     午前十時開議      ————◇—————
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  平成十一年度一般会計補正予算(第2号)、平成十一年度特別会計補正予算(特第2号)、平成十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  三案審査のため、本日、政府参考人として厚生省老人保健福祉局長大塚義治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島村宜伸

    島村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 島村宜伸

    島村委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。自見庄三郎君。
  5. 自見庄三郎

    ○自見委員 おはようございます。  自由民主党の自見庄三郎でございます。  きょうの朝刊に、衆議院の、きょうから予算委員会政府委員抜きで初めて、こういった見出しが並んでおります。政治改革一環として、政治家同士討論をしようということでございまして、一番バッターとして責任を果たさせていただきたいと思っております。  それでは、一番最初でございますが、北朝鮮外交につきまして内閣総理大臣にお伺いをしたいと思います。  御存じのように、我が国北朝鮮との関係は、長らく不正常な関係が続いてきたところでございますが、今般、村山富市総理団長といたしました与野党の政党代表訪朝団が、北朝鮮を訪問いたしました。我が党からも、野中広務幹事長代理、あるいは原田義昭外交部会長等々が御同行させていただいたわけでございますが、朝鮮労働党代表団との間で共同発表を行うに至りました。  共同発表によりますと、両国代表団は、日朝国交正常化のための政府間会談早期に再開するようそれぞれの政府に促すとともに、日朝両国間が関心を持っている人道問題解決のため、それぞれの政府の協力のもとで、赤十字に対してお互いに協力していくよう勧告することで合意したというふうに聞いております。  他方、日朝間には、御存じのように、ミサイルの発射問題、あるいは拉致疑惑の問題、不審船等のさまざまな問題が存在しているところでもあります。  以上を踏まえまして、村山訪朝団成果について政府はどのような評価をしているのか、また、これを踏まえて、今後の日朝改善に向けてどう取り組んでいくのか、内閣総理大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  6. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 政党間の協議を通じまして、政府間の日朝国交正常化交渉を円滑に行うというための環境整備を目的といたしまして、村山総理団長とする政党代表訪朝団が大きな成果を上げられましたことに対し、これを歓迎するとともに、村山団長ほか訪朝団関係者の御努力に改めて感謝の意を表したいと思います。  村山訪朝団は、村山総理団長とし、すべての政党代表が参加した大型の訪朝団でありまして、政府といたしましては、そのような訪朝団がまとめられました共同発表を重く受けとめておるところでございます。  政府といたしましては、日朝当局間で本格的な対話の場が構築されることは好ましいと考えておりまして、そのような対話早期実現に向け努力していく考えであります。  いずれにいたしましても、具体的な対応ぶりにつきましては、今般の訪朝団と先方との協議内容を詳細に分析、吟味した上で検討してまいりたいと思っておりますが、外務大臣は昨夕WTOから帰国いたしたところでございますので、できる限り早く団長初め関係政党の皆さんとも、その内容につきまして事情を十分承知させていただいた上で、政府としても早急にいかよう対応をするかということにつきましては結論をつけてまいりたい、このように考えております。
  7. 自見庄三郎

    ○自見委員 わかりました。  もう一点でございますが、今総理の話にもございました世界貿易機関WTOについて、これも外交責任者でございます内閣総理大臣にお伺いをしたいと思いますが、我々は今世紀の前半、二つの世界大戦あるいは世界不況からの人類としては本当に厳しい教訓を得ているわけでございまして、その中からやはり多角的自由貿易体制重要性を我々は深く認識している、こう思っております。ガットあるいはWTO多角的自由貿易体制の守護神としての役割を果たしてきた、私はこう思うわけでございます。  WTOは、言うまでもなく我が日本国貿易立国でございまして、貿易なくして経済維持国民生活維持もできないということはもう国民全員が御認識をしているところでございますが、この我が国外交にとりましても国益としても、私は極めて重要な役割を果たしていると思います。  しかし、同時に、自由貿易国益との調和点をどこに見出すのか、あるいは主要国発展途上国利害関係をどう調整するのか、いろいろな難しい局面がある、こう思います。  こうした中で、先般シアトルで開催されました第三回のWTO閣僚会議では、日本から河野外務大臣深谷通産大臣それから玉沢農水大臣が御出席されたわけでございます。それぞれ大変御苦労されたということは新聞報道でもお聞きをしておるわけでございますが、この会議につきましては、三日夜、日本時間では四日の午後だと思いますが、閣僚宣言の取りまとめについての意見調整がつかず、新聞見出しによりますと、WTO閣僚会議決裂、あるいは、宣言採択を見送り、新ラウンドのおくれ必至と報道されているところでございます。  日本代表団は、本当に三閣僚を初め行かれた方々それぞれに頑張られたと思うわけでございますが、この件につきまして、経過、結果、また今後の見通しにつきまして、外交最高責任者でございます内閣総理大臣にお伺いをしたいというふうに思っております。
  8. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ただいま自見委員御指摘のように、かつてのガット体制また今日のWTO体制、すなわち自由貿易体制というものは、貿易立国たる我が国にとりましては、その恩恵を戦後享受し、その中で活動することが我が国国益に最も必要なことだと考えております。したがいまして、今般のシアトルで行われました第三回のWTO閣僚会議におきましても、多角的な自由貿易体制維持強化した上で、包括的なラウンド交渉立ち上げることが極めて重要であると考えまして、さまざまな努力を行ってまいったところでございます。  この会議におきましては、結果的には、残念ながら新ラウンド立ち上げに合意することに至りませんでしたが、これまでの成果を凍結し、将来のしかるべき時期に作業を再開することとなりました。  現地シアトルにおきまして夜を徹して交渉に当たられた外務大臣農林水産大臣通産大臣には、その労をねぎらいたいと思いますし、できれば、三閣僚が個別にいろいろ協議をいたしましたこと、あるいはまた、有力関係国同士の話し合いをされた結果につきましても御報告をいただきたいと思いますが、WTOが、ルールに基づく多角的貿易秩序維持強化貿易の一層の自由化とともに、開発途上国WTOへの一層の関与等大きな課題を抱えておるわけでありまして、今回の閣僚会議の結果を一つ教訓としてこのような課題に適切に対処していくことによりまして、WTOが二十一世紀に向けて一層重要な役割を果たしていくものと確信をいたしております。  また、我が国としては、多角的貿易体制維持強化のため新ラウンド早期立ち上げることが重要であると考えておりまして、そのため、引き続き努力するよう、昨夕帰られました三大臣にも改めて強く指示いたしたところであります。  申し上げましたように、今般、最終結論に至りませんし、また、二十一世紀に向けて、このシアトル会議そのものが継続的に、結果が次に持ち越されたことはまことに残念ではありますけれども、日本としても、この体制というものを維持発展させる大きな役割を担っておる有力国として、その責任を果たしていくべくこれからさらに努力をしていかなきゃならぬ、このように考えておる次第でございます。
  9. 自見庄三郎

    ○自見委員 総理決意、よくわかりました。  何か、新聞報道によりますと、夜中の二時過ぎにクリントン大統領から小渕総理のところに電話があったというふうな新聞報道を読んだわけでございますが、そういった御努力にもかかわらず、今回は、WTO閣僚会議は残念ながら決裂したけれども、粘り強くやっていきたいということでございます。  このままでは、二十一世紀初頭は保護主義ブロック経済の時代に逆行しかねないという懸念もあるわけでございますから、それは、やはり主要国中心的メンバーでもございます日本国は大変な責任もある、こう思うわけでございますから、そういったことを踏まえて、今後とも政府としても粘り強く交渉をしていただきたい、こう思うわけでございます。  何か、少し読んでみますと、七十年前でございますが、当時のヨーロッパとアメリカの関税交渉決裂をいたしまして、それ以来、各国が競って関税を上げるという競争になった。それが、御存じのように世界不況原因になり、この二十世紀に繰り返された最も悲劇の一つでございます第二次世界大戦につながったということは、歴史の教えるところでございます。  そういった人類の二十世紀総括を踏まえて、来年はまさにもう二〇〇〇年代でございますから、日本主要国の大変重要な一員でございますし、河野外務大臣あるいは深谷通産大臣玉沢農林大臣大変重量感のある、本当に迫力のある先輩の大臣でございまして、御努力は多といたしますが、小渕総理の指導のもとに、そういったことを踏まえて、今後ともぜひ粘り強く交渉をしていっていただきたいと思うわけでございます。  それでは、きょうの朝八時五十分に、この七月—九月の経済成長率発表になったということでございますが、この数字を踏まえて今後の経済動向をどのようにお考えになっているのか、お伺いをしたいと思っております。  これは経済企画庁でございますが、経済企画庁総括政務次官でございます小池百合子政務次官お答えをいただきたいと思います。  御存じのように、国会改革一環として、ことしから、今国会からクエスチョンタイム、党首同士お互い討論をするということが始まったわけでございまして、この予算委員会でも政府委員抜き討論が始まったわけでございます。そういった中で、国会改革一環として、第百四十六国会からの運用について、与党三党と民主党との間で合意をしているというふうに聞いております。「政府委員制度の廃止及び副大臣等の設置に伴う国会審議の在り方に関する申合せ事項」では、「国務大臣予算委員会出席できない場合には、政務次官対応する。」こうなっておるわけでございます。  この国会改革一環を踏まえて、ぜひ小池百合子経済企画庁総括政務次官に、七—九月の経済成長率、具体的な数字でございますが、それと、それを踏まえた景気動向をお尋ねしたいというふうに思っております。
  10. 小池百合子

    小池政務次官 委員が先ほどおっしゃいましたとおり、現在、都内で開かれております当庁主催国際会議堺屋長官出席しております。ということで、委員会の御理解を得まして、総括政務次官であります私よりお答えをさせていただきます。  本日午前八時五十分に、今回の四半期別国民所得統計速報、いわゆるQEでございますが、七—九月期の実質国内総生産、GDP季節調整済み前期比発表させていただきました。マイナス一・〇%と、三四半期ぶりマイナスとなっております。これは、本年一—三月期がプラス一・五、そして四—六月がプラス一・〇というふうにGDPが高い伸びとなっていたこともございまして、この七—九月期、前期に比べますとマイナスとはなっておりますが、今年度の上半期でならしてみますと、前期に比べて一・二%のプラス成長となっております。  そして、今後の景気動向も含めてということでございますが、今年度当初政府経済見通し程度経済成長を達成し得るものというふうに考えております。  また、経済新生対策を初めといたしまして、必要な諸施策を強力に、さらに機動的に推進することによりまして、公需、そして、公需から民需へのバトンタッチを円滑に進めてまいりたいと思っております。つまり、我が国経済民需主導の本格的な回復軌道に乗せてまいりたいと考えているところでございます。
  11. 自見庄三郎

    ○自見委員 総括政務次官、ありがとうございました。  今、けさ八時五十分に七—九月の経済成長率発表があって、これがマイナス一・〇だ、こういう御発表があったわけでございます。しかしながら、全体ではプラス一・二でございますか、一・二になるのではないか、そういったことの発表もあったわけでございますが、こういったことを踏まえて、大蔵大臣に質問をさせていただきたいわけでございます。  先般決定されました経済新生対策を受けて、平成十一年度の補正予算案を今回国会に提出されまして、大蔵大臣は、衆議院の本会議あるいは参議院の本会議で、財政演説でそのことを詳しく述べられたわけでございます。中でも最近の経済情勢、特に、非常にアップ・ツー・デートの話でございますが、この七—九月がマイナス一・〇%になったということも踏まえて、経済情勢経済新生対策について、また、それを踏まえての平成十一年度の第二次補正予算でございますが、この大要につきまして、大蔵大臣として、そのポイントを簡潔に、国民にわかりやすいように御説明をいただきたいというふうに思います。
  12. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 今経済企画庁総括政務次官お答えになられましたが、マイナス一・〇というのは比較的大きな下降でございますけれども、その一番大きな原因は、ここで前期統計が改変されまして、今政務次官が言われましたとおり、四—六月期は、成長プラス〇・一と従来報ぜられましたが、それがプラス一に上方修正されました。したがいまして、対前期比で申しますと、今度の下落がそれだけ大きくなったということでございます。  それは非常におわかりにくい説明なので、もう少しわかりやすく申し上げますと、今度改定になりました結果、一—三月、これは非常に大きく成長した年ですが、このGDPは四百八十二兆でございます。今度の七—九月のGDPも同じく四百八十二兆でございます。したがって、今のGDP水準は一—三月の水準と同じところにいるということになりまして、間の四—六だけが上方修正された、そういうことでございます。  ですから、今政務次官が言われましたように、今年度の上半期だけを前年度の下半期と比べますと、それだけ高い水準にはおる、それが一・二。でございますので、ある意味で、今度のこの七—九月のGDPは、予測されたと申しますか、一—三月と同じぐらいな経済水準にいるな、余り伸展はなかったということになるわけでございます。  ですから、かねて申しましたとおり、やはり消費は強くないし、設備投資も強くない。前年よりは高い水準にいるけれども、その程度のものでございますから、やはり予算としては、この補正予算、来年度予算経済の後押しをいたしませんと、今年度プラスにはなるでございましょうけれども、決して消費にしろ設備投資にしろ民間の需要は強くない、こういうことでございますので、このたびのような予算を御審議いただいております基本の想定は、このたびの発表によって別段変わっていない、民需は依然として弱いというのが基本的な判断でございます。
  13. 自見庄三郎

    ○自見委員 宮澤大蔵大臣から、マイナス一・〇が、これは七月、八月、九月でございますが、統計のとり方等々で、GDPは四百八十二兆円で変わらない、こういう話があったわけでございます。また、しかしながら今の経済、二年続いたマイナス成長でございますが、ことしになって底を打ったんじゃないか、幾らかの明るさが出てきたと言うけれども、今大蔵大臣が言われましたように、消費あるいは設備投資がまだ回復していない。そういった意味で、公需と申しますか補正予算を組んで経済の自律的な回復につなげねばならない、こういった決意の表明であった、こう思うわけでございます。  それでは、小渕総理になりまして、昨年の七月でございますか、あらゆる政策優先順位景気回復ということ一点に絞られて小渕総理やってこられたと私は思うわけでございまして、そのためには、金融システム安定化あるいは総合的な景気対策、これも、きょう、あしたの景気回復することも大事でございますが、中長期的に日本経済構造もきちっと変えていく、そういったことも視野に入れた政策を強力に推し進めてこられたわけでございます。  ひとつことしは、経済成長率を全体としてプラスにするということが小渕内閣の公約でもございまして、そのことがやはり国民が一番強く政治に望んでいることだ、私はこういうふうに、選挙区に帰っても本当に肌身に感じるわけでございます。こういった数字が出ましたけれども、ぜひそれを踏まえて、しっかり政策を遂行していただきたいというふうに思っております。  それから次に、通産大臣にお聞きしたいわけでございますが、今回のこの国会補正予算も提出をいたしておりますが、別名中小企業国会だ、こういうふうにも言われるわけでございます。  中小企業は、言うまでもなく、五百万社ございまして、非常に日本経済の中心的な役割を果たしておられるわけでございます。そういった中で、先日、中小企業基本法等改正法案が成立をいたしまして、また現在、補正予算、きょうから審査が始まったわけでございますが、この補正予算中小企業事業活性化法案が審議されているところでございます。これは、従来七本あった法律を一本にまとめるというような格好で、中小企業事業活動活性化法案だ、こう言われているようでございます。  今回の政策の目玉として、御存じのように、ベンチャー企業の育成があるわけでございまして、この点でございますけれども、選挙区に帰りまして、今度の中小企業国会ベンチャー企業を育成するんだ、こう申しますと、私の支援者の方にもたくさん中小企業の経営者の方がおられますが、自見さん、ベンチャーだけ伸ばして、我々、従来一生懸命、国の中小企業政策にも協力してきたんだ、我々は見捨てるのかというふうな極端な意見も出てくるわけでございます。  私は、既存の中小企業政策も大変大事だけれども、それプラスアルファで、やはりベンチャーを振興するということが大事ではないか、こう思うわけでございます。中小企業対策を預かる通産大臣として、今後補正予算あるいは関連の法案の成立に向けて尽力をされると思うわけでございますが、まさに中小企業国会でございます。通産大臣の御決意を聞かせていただければと思っております。
  14. 深谷隆司

    深谷国務大臣 小渕総理の強い御意見もございまして、我が国経済を支えている大きな力、活力の源泉は中小企業である、そういう観点に立って、さまざまな角度からこの中小企業が発展することを期待する法律や予算を立てようということで、今国会中小企業国会と呼んでいるわけでございます。  野党の皆さんの御協力もいただいて、中小企業基本法は昭和三十八年にできたものでありますが、このたび改正をさせていただきました。  一つ大きな問題は、画一的にとらえていた中小企業を多面的にとらえて、それぞれの分野にきめ細かい政治を行おうということでございます。その中には、新しい企業を生み出す創業・ベンチャー企業等の育成も入っておりますけれども、それは多面的にとらえた一つの面でございまして、従来から全力を挙げて頑張っておられる中小、特に小規模企業に対しては、今まで以上の温かい配慮と強力なセーフティーネットをつくって対応していこう、こう考えているわけでございます。  年末の融資関係も含めて、保証制度による金融政策などの強化も含めて、私たちは全力を挙げて、頑張っておられる中小企業の皆さんが一層元気になっていただくための対策をしっかり立てていきたいというふうに思っております。補正予算も関連する法律案もそういう意味での具体的な姿でございまして、ぜひ皆さんの御協力で少しでも早く成立させていただくように、御配慮のほど、あわせてお願い申し上げます。
  15. 自見庄三郎

    ○自見委員 今通産大臣の話の中にございましたが、中小企業への貸し渋りの問題が出たわけでございますが、御存じのように、未曾有の貸し渋りの中、昨年十月からでございましたか、約二十兆円の信用保証協会を活用した特別保証制度を実施させていただいたわけでございます。月例経済報告に見られますように、非常に、昨年の十月以来、企業の倒産が本当にドラマチックに減少いたしまして、中小企業の貸し渋り感を緩和するなどの大きな効果があったと思っています。  私、中小企業、大体五百万社、こう申しましたけれども、現在までこの特別保証制度を御利用された件数は百万件以上、大体中小企業の五社に一社がこの制度を昨年の十月から活用いただいた、十八兆円のこの信用保証を活用いただいたということでございます。  今大事な点は、私も本当に感心をしたわけでございますが、この保証を受けた中小企業は、予想以上にきちんと返済をしておられるということを先日勉強させていただいたわけでございまして、十八兆円のうち、既に二兆円を上回る金額が返済されていると聞いております。  具体的なことを少し申しますと、私も、今、自由民主党の中小企業調査会の会長代理をいたしておりまして、この制度をつくるときいろいろ下働きをさせていただいた人間でございますが、事故率、御存じのように、制度創設の際には一〇%という極めて高い事故率を容認する設定のもとで予算措置も講じておるわけでございますが、最初の一年間の事故率が〇・三八%ということでございました。これは、当然、運転資金は大体原則として五年間で返済、あるいは設備資金は七年間で返済ということはございますが、専門家の意見を聞きましても、予想をはるかに下回る数字にとどまっており、一部で論じられているようなモラルハザードの問題も生じていないということでございます。  焼け野原の中からこの日本国経済を本当に必死になって支えてこられた中小企業の経営者に対して、私は、この数字を見まして、本当に頭の下がる思いがしたわけでございます。借りたお金は返すというのを、厳しい中でも、不況の中でもやはりそれをきちっと履行しておられる方に対しまして、本当に私も敬意を表するわけでございます。  私は、この措置は、まさに未曾有の信用不安あるいは貸し渋りという中で、非常に大成功をおさめた制度ではないかというふうに思っております。ある人に言わせますと、これは通産省が五十年間でした政策で一番よかった、こういう話も実は陰の声として聞いたわけでございます。  しかしながら、今通産大臣の話にもございましたように、依然として中小企業者にとって貸し渋り状態が解消されたわけではございませんし、また、いよいよ正月も迫ってくるわけでございますから、年末にかけて中小企業者の資金需要が増大することが予想されることから、政府としても中小企業の資金需要に十分対応する体制を整えるべきだ、こう思うわけでございます。  また、政府が十一月十一日決定されました経済新生対策においても、特別保証制度の期限を一年間さらに延長する、保証枠が今までは二十兆円でございましたが、これを十兆円追加するような決定をされたわけでございまして、今回の補正予算の中にもそのことがきちっと含まれておるわけでございます。  こういったことを含めて、特に昨年の十月は政府広報の方にもお願いをして、この制度を大変強力にPRをしていただいた。そのことが、私は選挙区に帰りましても、テレビのスポットを見たよ、自見さん、こういう制度が創設できたんですかと、大変たくさんの方から聞いたわけでございますから、そういったことも含めて、年末を今から迎えるわけでございますが、広報活動を含めて、中小企業の金融の円滑化に取り組むことが大変大事でございますが、その点につきまして、ひとつ通産大臣の御所見をお伺いしたいと思っております。
  16. 深谷隆司

    深谷国務大臣 去年、中小企業に対する貸し渋りのあらしが吹きまくったわけでございます。このままでは中小企業がこの厳しい状態を乗り切れないという場面がございましたので、緊急避難的な対応として、保証協会による保証をつけて融資を行うという二十兆円の枠組みをつくったわけでございます。  去年の十月一日から始めまして、今日までどのぐらい貸し出しがあるかというと、十八兆四千億円でございます。あと残りが少ない、年末はどうするんだということから、中小企業の多くの希望をお受けする意味で、もう一年延長して、さらに十兆円追加させていただこうということで、今般お願いをしているわけでございます。  年末にかけての中小企業の皆さんの金融対策に十分に対応するような準備をこれによって行うとともに、これ以外にも、政府系の金融機関を通してしっかりした貸し出しを行うようにしていきたいと思いますし、監督官庁等にも呼びかけて、民間金融機関も年末にかけての中小企業への対応を十分に果たすように、そういうお願いもしているところでございます。  返済の問題についていろいろ議論がございますけれども、ただいま自見委員が言われましたように、借りた翌月から既にお返しをいただく、あるいは三カ月後、六カ月後、一年後というふうな形の契約でございますが、いずれも皆さんが全力を挙げてお返しをいただいているわけでございまして、私たちは一〇%のリスクを考えたのでありますが、それよりもはるかに低い事故率でございます。そういう意味で、いろいろありますけれども、中小企業の皆さんが必死になって借りたものは返そうとする努力、その誠実さとか、そういうお気持ちというものを信頼して、これからもその点についてはきちっと対応してくださるものと私は考えております。  いずれにしても、中小企業が抱える数々の問題に対して、融資も含めて、あらゆる角度からお手伝いをさせていただきたいと考えております。  それから、これらの点についてのPRは大変大事でございますから、御指摘のように、政府広報を初め、いろいろな角度から国民の皆様に周知徹底するような努力に万全を期してまいりたいと思います。
  17. 自見庄三郎

    ○自見委員 通産大臣決意の表明でございましたが、大変頼もしい答弁だというふうに私は受けとめました。やはり、産業国家日本あるいは経済国家日本の基礎は、まさにこの五百万社の中小企業でございますから、そのことをよく御理解しておられますので、特に年末、中小企業の金融というのは大変厳しくなるわけでございますから、そういった点を踏まえて、しっかりやっていただきたいというふうに思っております。  それでは次に、これは内閣総理大臣にちょっと一言お聞きをしたいわけでございますが、実は情報通信でございます。  総理、大変情報通信の方にも御造詣が深く、私も通信部会長をしたころに、総理に大変いろいろ御指導をいただいたわけでございます。  一点でございますが、情報通信、これはもう多くは申しませんが、情報通信はデジタル革命といいまして、インターネットだあるいは携帯電話だ、携帯電話は既に五千万台にふえたわけでございますが、今世紀の生んだ技術革新の申し子のようなものでございまして、各国この戦略分野を立てております。  アメリカの経済が復興したと言いますね。情報化投資が日本より、GDPに比較して大体二倍以上ございまして、非常にこの情報通信の分野が伸びてきた、伸ばしてきた、そういった政策をとってきたということが大変大きいというふうに言われておるわけでございます。情報通信、今でもまさにリーディング産業でございまして、そういった中で、やはり情報産業は、産業競争力の強化あるいは新産業の創出の基盤として経済新生に大きな役割を担うものでございまして、国として強力に推進することが大事だ、こう思っております。  小渕総理も所信表明の中で、我が国にとって重要性、緊要性の高い情報化、高齢化、環境対応の三分野で、大胆な技術革新を中心として産官学プロジェクト、いわゆるミレニアムプロジェクト、千年でございますから、一千年紀が始まるわけでございますから、積極的に推進しておられて、明るい未来を切り開く核をつくり上げると、すばらしい決意表明も先般の本会議でされたわけでございますが、とりわけこの情報化対応ということは、高齢化、環境対応にも大きく貢献をするものだ、こう思っております。  私は、情報通信というのは一粒で三度おいしいということを申し上げております。一点は、まず景気回復に役立ちます。二番目は、当然雇用が非常にふえるわけでございます。そして三番目は、いわゆる新しい未来型の経済構造に変えていくという、一石三鳥の効果があるわけでございますが、そういったことを踏まえて、ひとつこういった情報化を、これは地域においても、あるいはことしパソコンが九百万台売れたというふうな話もあるわけでございます。  このことは、いわゆるパソコン税制の影響が大きいわけでございますが、そういった意味で、情報化対応の国家戦略を構築し、重点的に予算等々配分すべきじゃないか、こう思うわけでございますが、そのことにつきまして、小渕総理に一言御答弁をいただきたいというふうに思っております。
  18. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 御指摘のように、情報通信分野は経済成長の牽引力の一つでありまして、日本経済を新生させる二十一世紀の新たな発展基盤として、極めて重要な分野と認識をいたしております。  平成十二年度予算におきまして、総額二千五百億の情報通信、科学技術、環境等経済新生特別枠を設けまして、二十一世紀に向けて我が国経済を新生させるために特に資する施策に特段の予算配分を行うこととし、私みずから指示を行い、戦略的、重点的な、めり張りのあるものになるよう努めておるところでございます。  また、このうち、ミレニアムプロジェクトにおいて、情報化を高齢化、環境と並ぶ柱の一つとして位置づけ、この十月には、教育の情報化、電子政府の実現、情報通信技術二十一世紀計画の三テーマを決定いたしたところであります。  今後の予算編成過程におきまして、以上のような措置も活用しつつ、情報通信分野に対する予算の重点配分を配慮してまいる所存でございます。  自見委員御自身も、郵政大臣を御経験されまして、この分野の重要性についてはしかと御承知のところでありますし、この分野につきましては、本来的に言えば、日本人というものは知的集約型産業に対して最も得意分野として考えなければならぬわけでありますが、残念ながら、今日までやや、アメリカを中心としたその進展ぶりに追いつき追い越せというような段階になっておることは、まことに残念だろうと思っております。  ITも含めまして、日本人としてこの最も得意分野につきまして、ぜひこうした政策を集中的に行うことによりまして、世界の中で最も進んだ国になり得るように全力を挙げて努力していかなければならぬ、このように考えておるところでございます。
  19. 自見庄三郎

    ○自見委員 ありがとうございました。  それではこれで、時間でございますので、終わらせていただきます。
  20. 島村宜伸

    島村委員長 これにて自見君の質疑は終了いたしました。  次に、福島豊君。
  21. 福島豊

    福島委員 公明党・改革クラブの福島豊でございます。総理大臣、また閣僚の皆様、連日まことに御苦労さまでございます。  私は、本日は社会保障の関係の問題につきましてお尋ねをしたいというふうに思っております。  現在、国民の中にはさまざまな不安があるというふうに言われております。一つは、それは経済の不安ということだと思いますが、もう一つは、二十一世紀に向かって少子高齢化が急速に進む中で、日本の社会保障制度というのは一体どうなっていくんだろうか。今国会におきましては、厚生委員会で年金改正案が審議をなされました。その中でも、将来の年金像が一体どうなるのか、国民の不安が極めて強いということを私は実感いたしました。  しかし、少子高齢化が急速に進行する中で、社会保障制度の一つ一つの制度を別々に考えているだけでは的確な姿というものは示せない。年金制度、医療制度、そしてまた来年から介護保険がスタートいたしますが、それぞれを別々に考えているのでは本当の意味で安定した制度というものを構築することはできないというふうに思っております。医療制度改革も急務の課題でございます。それを含めまして、年金、医療、介護、それを包括した形でどのような改革を行うのかということについて早急な道筋を政府は示すべきであるというふうに考えております。  先般、総理大臣は、真に豊かな老後のための国民会議を発足させる、総理大臣直属の機関として発足させるということを発表なされました。私どもも、ことしの七月に取りまとめました公明党の基本政策の中で、社会保障制度改革については、国民会議を設置して広く国民の声を求め、その改革を進めるべきであるということを提言いたしております。私どもの提言と総理の今回の御決意の御表明はまさにぴったりと一致するものであるというふうに考えておりますが、この国民会議の設置、そしてその運営につきましての総理大臣の御決意、そしてまた見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  22. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 御指摘のように、年金、医療、介護、少子化対策など、社会保障制度改革につきまして公明党からも御提案いただいておることは承知をいたしております。  そこで、従来の社会保障の改革論議の中で、こうした年金、医療、介護などの制度ごとの縦割りの議論がなされてきたのではないかという御指摘がございます。  政府といたしましては、有識者の皆様にも御参加いただき、社会保障のあり方について制度横断的な議論の場を設けてまいりたい、このように考えております。現在、設置に向けて準備を進めているところでありますが、できるだけ早急に立ち上げまして、総合的な議論を進めてまいりたいと思っております。今、福島委員御指摘のように、それぞれの分野におきましては、熱心な御討議の上いろいろ政策を打ち出してまいりましたけれども、総合的、横断的な立場に立ちまして社会保障全体を見詰めて、まさに二十一世紀に向けての日本の社会保障制度のあり方につきましていま一度腰を据えてその方向性を打ち出す必要があるのではないか、こう思っておりますので、今申し上げましたように、できる限り早く政府の中にそうした組織をつくり上げて、そこでの御答申をいただきながら前向きに進めてまいりたい、このように考えております。
  23. 福島豊

    福島委員 次に、私は、少子化対策についてお尋ねをいたしたいと思います。  森嶋通夫さんという学者がこのようなことを言っております。  マルクスは経済が社会の土台であると考えるが、私は人間が土台だと考える。経済は人間という土台の上に建てられた上部構造にすぎない。それゆえ、将来の社会を予想する場合、まず土台の人間が予想時点までの間にどのように量的、質的に変化するかを考え、予想時点での人口を土台としてどのような上部構造が構築できるかを考えるべきである。  二十一世紀の幕あけを切って落とすのが総理大臣の立場だというふうに私は思っております。総理が二十一世紀を構想する中におきましても、二十一世紀日本の社会を支える人間集団、国民の姿がどうなっているのかということに対して思いをはせるということは、極めて大切なことだと思います。この二十一世紀日本国民の姿がどうなっているのか。そこで最大の問題になるのは少子化ということだというふうに私は思います。  少子化についてはもうさまざまに議論がなされておりますし、指摘もなされております。これは、皆さんもよく御存じのように、人口問題研究所が出しました将来推計でございます。平成十年度の合計特殊出生率は一・三八と、今までにない低い水準になりました。そして、こうした出生率の低下が続けば、二〇〇七年をピークに人口が減少を始め、そして二一〇〇年には六千七百万人、中位推計でも六千七百万人になる。これだけ大きな人口の変化というものが日本経済社会に対して大きな影響をもたらさざるを得ないというのは、自明の理であるというふうに私は考えます。社会保障の問題もそうでございますし、また経済の問題も同じだというふうに私は思っております。  その中で、政府一体として少子化の問題に取り組むということは大変大きな課題である。もちろん、結婚や出産は個人の選択にゆだねるべきである。また、リプロダクティブ・ライツという考え方もありますし、私もそれは深く共感をいたしておりますけれども、一方で、政治の立場ではこうした少子化というものに対してどのように取り組むのかということについて、明確な見通し、そしてまた対応をなすべきであるというふうに私は考えております。  そして、公明党は、児童手当制度の改革ということを今まで訴えてまいりました。この児童手当制度の改革ということにつきましては、私どもが主張いたしましてから、経済界からもさまざまな形で反対の声も上がっております。また、一部のマスコミではばらまきではないかというような御批判もございます。私は、この場をおかりいたしまして、なぜ私どもが児童手当制度の改革を訴えるのかということにつきましての見解を示させていただきたいというふうに思います。  これは、先進諸国におきます家族手当、日本で言うところの児童手当ということに重なりますけれども、それが一体どういう水準であるのかということを示したグラフでございます。少し小さくて見えにくいわけでございますが、わかりやすいことは、日本はこの一番低いところにいる。その隣がスペインであり、またイタリーであります。スペイン、イタリーというのは、合計特殊出生率はそれぞれ一・一五、一・二〇、低い水準であるということも事実でございます。日本の児童手当制度というのがいかに先進諸国と比べて貧困なものであるのかということを、このグラフは示している。  そしてまた、一方ではこういう指摘もあります。昭和四十八年から平成八年まで二十五年間、この間に、高齢者に対しての給付、そしてまた児童に対しての給付が一体どのように変化をしたのかという数字がございます。これを示したいと思いますが、この間、GDP、これは名目で三・七倍、そして実質で一・八倍になりました。大変な経済成長を遂げたわけでございますが、その間、高齢者一人当たりの給付は、名目で十一・八倍、実質で五・八倍と大きく伸びております。しかし、一方で、児童に対しての給付は、名目で二・八倍、実質で一・三倍。GDPの実質の増加が一・八倍ですから、GDPの伸びを考えると、二十五年前に比べると児童に対しての給付はむしろ下がっている。さまざまな改革がなされているように言われておりますけれども、実質は下がっているんだ、この事実を認識すべきであるというふうに思います。  ですから、結論としましては、このような実態を考えると、日本の児童手当制度というのは、名前はあってもその実体はなきに等しいと言わざるを得ない。そしてまた、少子化の進行の中で、日本の社会保障制度、高齢者に対しての給付は非常に厚いものがございますけれども、児童に対しての給付が非常に薄い、この不均衡というものを改めていく必要があるのではないか。その点が私どもが児童手当制度を改革すべきだと訴える一つの理由でございます。  そしてまた、この児童手当制度の児童手当というものは少子化に対して効果はないというような御批判もございます。しかし、先進諸国の児童手当についての実証的な研究、これはさまざまなレビューが存在いたします。その研究の中では、児童手当というのは、その程度はともかくとして、少子化に対して、出生率の向上に対してプラスの影響を持っているんだという研究の結果の方が私は多数を占めているというふうに思います。  それ以上に、ただ大切なことは、私はこう思います。政府の関与する公的な施策の中で、この児童手当や保育サービスなど、子育ての支援を明確に位置づけるということの意義でございます。  それは、子育てというのは、今まで私的な営みであるというふうに考えられてきたわけですけれども、しかし、私的な営みではあっても公共性を持っている、公共性を有している、これを政府が示す必要がある。そして、その公共性を有しているということを示す一つの大きな方法というのは、この児童手当の制度を抜本的に改革することであるというふうに私は考えております。  私どもは、支給額を第一子、第二子は一万円、そして第三子からは二万円、支給年齢を十六歳未満まで拡大をする、そのような抜本的な改革を主張いたしております。そして、その財源としては、税制の見直し、そしてまた年金制度の活用というようなことを主張いたしておりますけれども、これは三党間での検討を待たなければいけませんけれども、厚生大臣のこの児童手当制度改革に向けての決意を改めてお伺いいたしたいと思います。
  24. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず、公明党さんがかねてから児童手当の拡充の問題について強く主張いたしておりまして、少子化対策の中における児童手当というのは大変重要な柱である、こういうようなお考え方を主張しておりますことに対しまして敬意を表する次第でございます。  今委員からお話がございましたように、児童手当につきましては、与党の三党間で、所得税の諸控除など、こういうものとあわせて検討する方針ということを決めておるわけでございます。厚生省といたしましては、年末の予算編成に向けて、総合的な少子化対策、こういうものの柱の一つとして、与野党間の協議を見守りながら適切に対処していく決意でございます。  それから、今委員から御指摘がございましたけれども、率直に申し上げて、現在の児童手当制度というのは全体給付費が千七百八十億円、これは平成十一年度でございますが、そのうち、いわゆる事業主負担というものが全体の三分の二を占めている、要するに残りが国と地方ということでございまして、私といたしましては、少子化対策の重要な柱として国と地方がもっと責任を負うべきだ、こういうふうに考えておりますが、何せ大変な、巨額な財源を要することも事実でございますので、こういった問題につきましても十分に財源問題を含めながら御検討いただければ幸いだ、このように考えているような次第でございます。
  25. 福島豊

    福島委員 次に、少子化対策ということで、働きながら子育てをしやすい環境をさらに充実させていくということについてお尋ねをしたいと思います。  子育て支援ということでは三つの柱があるというふうに言われております。一つは児童手当、二つ目は保育サービスの充実、そして三つ目が育児休業制度でございます。この育児休業制度につきまして、労働大臣にお尋ねをしたいというふうに思います。  現在、育児休業制度、その実態はどうなっているかといいますと、民間での取得というのは五割にとどまっております。そしてまた、休業手当の給付も二五%という、ヨーロッパ先進諸国に比べるとまだまだ低い水準にとどまっているということが指摘されております。  そしてまた、男性と女性の取得の状況を比較しますと、男性における取得というのが極めて低率にとどまっている。これは日本の社会のあり方に深くかかわっていることであろうというふうに思いますけれども、しかし、男女共同参画社会を推し進めていく中にありまして、子育てをしながら働きやすい環境をつくっていくということは、どうしてもこれは避けては通れないし、力を注がなければならない課題だというふうに私は思っております。  育児休業制度の拡充ということにつきまして、休業手当の水準の引き上げ、取得率の上昇、そしてまた、実際に就労する人が心配をいたしておりますことは、休業を取得した後に職場に復帰したときに、従前の仕事にスムーズに戻ることができるのだろうかというような職場の環境の問題、こういった点について、労働省として今後どのような改革を進めていくのか、この点についての御答弁をいただきたいと思います。
  26. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 ただいま先生から、育児休業給付のレベルの問題等を含めて、政党内部で特に先生は少子化対策の担当をしていらっしゃる、こういうことをお伺いいたしておりまして、そういう観点から万般にわたり御質問をいただいているわけでありますが、育児休業給付につきましては、先ほど御指摘のとおり、有資格者のうち五割前後しか実は育児休業給付を受けていないという事情、それから、育児休業基本給付を受けている方々がさらにもとの職場へ復帰されるかということになりますと、現在七万人程度受けていらっしゃるわけですが、その中で五万人程度しか現場に復帰しない、こういう状況でございまして、法律改正以来、育児休業給付のPRが行き届きまして、今急激に実は受給者がふえております。しかしながら、残念ながらまだ五割という状況でございまして、私どもとしては、少子化対策ということも含めまして、さらに積極的に、皆さんに受給なさるように大いにPRをさせていただきたい、こう考えております。  給付は、二割が一年間お申し出の期間内、あと五%は職場に復帰したら、こういうことでございまして、これらも含めまして、二五%というレベルが適正であるかどうか、この点については、御承知だと思いますが、現在の雇用保険制度、年間に一兆七千億円お金をいただくわけですが、出すお金が二兆七千億円ということで、今雇用保険が実は大ピンチの状況にあります。この中で、育児休業はどうかといいますと、現在のレベルで申しますと約二百九十億円程度で、まだそれほど大きいレベルとは考えられません。  十二分に関係審議会で論議を進めますが、私自身としましては、少子化対策等を考えますと、さらに強化していいのではないかな、こういう気持ちを持っていますが、いずれにしましても、審議会の公正な御意見を賜ってから御要請におこたえできるかどうか結論を出させていただきたい、こういうふうに考えております。
  27. 福島豊

    福島委員 保険料の水準をどうするのかということと関係いたしておりますので、審議会での御意見を踏まえるというのはまことにもっともなことかと思いますが、大臣としまして給付の水準の引き上げに向かって前向きな思いを御表明いただきまして、感謝を申し上げたいというふうに思います。  そしてまた、働きながら子育てをいかにしやすいものにするのかということにつきましては、子供さんが病気になったときに休みがとれるということも非常に大切だというふうに思います。現在のところは、家族看護のための休業制度というものが存在いたしません。ですから、有給休暇の中で家族の看護は行わなきゃいけないということに今なっているわけでございます。この点についても、先進諸国の事例を見ますと、家族看護のための休業を認めている国がたくさんございます。日本においてもぜひ新たな制度の創設を検討していただきたい、私はそのように思っておりますが、重ねて労働大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
  28. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 御指摘の家族看護休業制度の新設についての御意見でございます。  既に、家族介護に関連いたしましては、現在、要看護状態にある家族を介護するために連続して三カ月間の期間にわたり休業することができるという介護休業制度がございます。もう一つは、家族の看護のための労働基準法に規定する年次有給休暇制度というのもございます。  今先生の御指摘の家族看護休業制度と申しますのは、突発的にお子さんが病気になった、このために一日、二日、三日間休ませてほしい、そこを考えてほしいという御要請でございます。  実態を見ますと、こういう制度を持っております会社というのはまだ八・二%にすぎません。しかし、各企業等でこういう制度を積極的につくろうという意図があるということは非常に評価すべきでありまして、私どもとしてはこれをさらに促進させていきたい。中身を見ますと、大体一—三日間、こういうことでございまして、十分先生の御意向を賜りまして、全体の休業制度等の中で新規にこれを見れるかどうか、ぜひ検討を進めてまいりたい、こう考えております。
  29. 福島豊

    福島委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  30. 島村宜伸

    島村委員長 この際、福留泰蔵君から関連質疑の申し出があります。福島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。福留泰蔵君。
  31. 福留泰蔵

    福留委員 公明党の福留泰蔵でございます。引き続き質問をさせていただきたいと思います。  私は、特に情報通信立国の実現という観点から、総理を中心に質問をさせていただきたいと思います。  今世紀も残すところあと一年となっております。今、世界は大きな変革のときを迎えているわけでございます。経済メカニズムの面からは、情報通信革命、いわゆるIT革命が起こりつつあるわけでございまして、これは先史時代の農業革命、十八世紀の産業革命に匹敵する大きな改革のときであろうと言われております。  こうした国際的経済環境の激変に対しまして、残念ながら、我が国対応は大変に遅いと言わざるを得ません。結果として、国民経済全体として見れば、国際競争力の相対的低下が一段と進行しているのであります。  スイスのダボスというところで開かれております世界経済フォーラム、これが世界競争力レポートというものを発行しているのですけれども、これによりますと、日本世界競争力指数は九八年が十二位、本年九九年は十四位となっております。これまでの日本経済力を考えると余りにも低い順位でありますし、また、下がってきているということが気になるわけでございます。  また、アメリカのIDCという権威あるハイテク調査会社があるのですけれども、そこが世界各国の情報化の進展ぐあいの指数をまとめております。これによりますと、九八年版の世界ランキングで日本は六位だったのですけれども、九九年版では九位に転落しております。  世界競争力レポートの指数の上位の国とIDCのランキング上位の国はほぼ同じ顔ぶれでございます。このことは、まさしく世界の競争力のかぎを今や情報化が握っているということを示していると思わざるを得ません。我が国経済が現下の混迷から脱却し、経済活力を取り戻すためには、IT革命に一日も早くキャッチアップし、新産業の創出を積極的に図っていかなければなりません。  まず、総理に、我が国のIT革命の現状に対する認識を伺います。
  32. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 ここ数年のインターネットの爆発的な普及、携帯電話を初めとする携帯情報端末の普及に見られますように、情報通信が我が国経済社会の各分野に急速に進展し、必要不可欠なものになりつつあることは深く認識をいたしております。  このような認識のもとで、昨年十一月に、私が本部長を務めております高度情報通信社会推進本部におきまして、我が国の高度情報通信社会の構築に向けた基本的な考え方と基本的方向性を示す高度情報通信社会推進に向けた基本方針を、昨今の状況の変化を踏まえながら改定し、新方針を内外に明確にいたしたところでございます。  さらに、情報通信関連技術の急速な進展等にかんがみ、遅くとも平成十三年度末までにはこのような基本方針のさらなる見直しを行うことといたしておりますが、今、福留委員まさに御指摘のように、他国におくれをとってしまってはならないことであります。今いろいろ数字をお示しありましたように、国際的に、他の諸国におきましても相当重点的に投資その他行われておりまして、先行いたしております。一日も早くこれにキャッチアップするにはよほどの努力がならなきゃならぬということで、先ほど御答弁申し上げましたような各種の政策を重点的に今打ち出して対処し、そして、予算的にもそれに匹敵するようなものをできる限り積み上げさせていただいておるところでございます。
  33. 福留泰蔵

    福留委員 ただいまは総理から、高度情報通信社会推進本部の中で各施策を中心として推進中であるという御答弁でございました。  私は、ただいま国民経済の活力という観点からIT革命の重要性を確認したわけでございますけれども、IT革命によって、今我が国が抱えている少子高齢化への不安とか、それから環境問題に対する不安を払拭することも可能になると思うわけでございます。そのためにも、IT革命を積極的に推進し、加速していくことが重要ではないかと思うわけでございます。  今、高度情報通信社会推進本部の中で推進をしているという御答弁でございましたけれども、私は、このIT革命を推進していくためには、情報通信を基盤とした我が国の将来ビジョンをまず示すことが必要ではないかと考えます。このビジョンを示した上で、そこへ至る過程を明らかにすることが必要であります。そして、これを国家プロジェクトに位置づけて強力に推進していかなければならないと考えますけれども、改めて総理の御見解を伺いたいと思います。
  34. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まさに御指摘のとおりでございまして、やはりIT革命が現実にはじわじわ今進行いたしておるところでございますが、やはり国といたしましても、そのビジョンを明らかにし、そこに到達すべき道筋につきましても、これを明らかにしていかなければならない、こう考えております。  特に、アメリカを初めとしてアジア諸国におきましても、こうした点につきましては、かなり積極的な方向性を国として打ち出しながら着実にそれを推進していることを考えますと、我が国としても、そうした点につきましては、御指摘のようにやはり国民にわかりやすいような形で、将来ビジョンといいますか、あるべき形というものを明らかにし、それを国民にわかりやすく説明していく必要がある、御指摘は全くそのとおりと考えております。
  35. 福留泰蔵

    福留委員 今、総理の方からも、国民にわかりやすいプロジェクトをつくって推進していくべきであるという御答弁をいただきましたけれども、私もそのとおりだと思うわけでございます。  その際に、そのプロジェクトの名前も大変重要だと思うのであります。国民が二十一世紀へ希望を持てるような名前をつけることが重要じゃないかと思うわけでございます。  通常、IT革命とか情報通信社会というと、個人の存在とか人間性が何かなくなってしまうようなイメージがあるわけでございますけれども、私は、IT革命による情報通信社会はあくまでも個々の人間を幸せにする社会でなければならないと考えます。  私の考える情報通信社会は、つまり、個人が創造性を発揮し、生活の豊かさが実現できる社会であります。また、高齢者とかハンディキャップを持った方々も十分その能力を発揮できる社会、活躍される社会、そして環境の負荷の少ない社会ではなかろうかと思います。またさらに、新しい地域コミュニティーが形成される社会だと考えます。その根底には人間中心という概念が必要ではないかと考えます。  例えばプロジェクトの名前も、先ほど申し上げましたけれども、私なりに考えたのが、このeヒューマンアイランズというような名前をつけて、その実現のために強力に推進していくことが必要だと考えます。最近、eというのはエレクトロニクスのeで、ヒューマンというのは人間という意味ですけれども、こういった、名称によってどういう社会ができるのかということを国民が理解する、そしてそのもとにプロジェクトを推進していくことが必要だと思います。  これは私の考えでございますけれども、総理の御感想を伺いたいと思います。
  36. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 やはり、国民にわかりやすくその将来ビジョンを明らかにするという意味で、いろいろと固有名詞を考えながら対処していることは大切なことだと思っておりまして、アメリカが情報スーパーハイウエーというような言葉を使っておりますし、近々、ゴー・チョクトンさんが参られますが、シンガポール、IT二〇〇〇、マレーシア、マルチメディア・スーパーコリドーというようなことをいろいろと言われております。  今、eヒューマンアイランドというのも人間中心にということでございまして、そういう意味でこの言葉も国民にわかりやすいのではないかと思っておりますが、その前提としては、将来のビジョンをしっかりつくり上げていくということが必要だと思っておりますので、両々相まって、新しいIT革命のもとにおける我が国の情報通信社会の完成に向けて努力をしていかなきゃならない、このように考えております。
  37. 福留泰蔵

    福留委員 名前についてはいろいろ御議論があろうかと思いますが、基本的には、国民がイメージできるような名前をつけて、強力に推進していくことが必要だということを申し上げたかったわけでございます。  IT革命によりまして二十一世紀へ向けて人間中心の情報通信社会を築くためには、ビジョンが必要だということを申し上げました。その上で、私は、情報通信のためのさまざまな手段の国民への普及が前提になると思うわけでございます。そういった観点から、私は、通信料金の引き下げというのが必要ではないかというふうに考えております。  ここに、二十四時間接続した場合のインターネット利用料金を日本とアメリカで比較した図があります。日本では、アナログ・ダイヤルアップで利用しますと、月に約六万円以上かかります。OCNの常時接続でも約三万二千円です。アメリカ・ニューヨークでは四千八百八十一円。大変な差でございます。本年の十一月一日から実験サービスを開始しておりますISDNによる常時接続サービスでも、まだアメリカの約三倍ほどの高い料金になっております。この料金が日本においてインターネット普及の障害の一つになっているのであります。  もう一つ資料を示させていただきます。  携帯電話を初めとするモバイル分野は、日本の得意とする分野でもあります。携帯電話の普及は目覚ましく、今や固定電話の加入者数を超えるまでになってきております、通信分野における規制緩和の結果とも言えるわけでございますけれども。しかしながら一方で、この図でも明らかなように、携帯電話の家庭の平均支出利用料金は、平成八年で約三千円だったものが、平成九年、十年で約二倍になっております。家計負担を大きく今してきている状況にございます。  私は、こういった普及のためにも、また家計費負担軽減のためにも、さまざまな通信料金を引き下げることが必要であると考えますけれども、総理の認識を伺いたいと思います。
  38. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 これまた御指摘のとおりと言わざるを得ないと思いますが、やはり料金を低廉にすることによりまして爆発的に発展をしておるのがアメリカの例でございまして、そういう意味で、日本におきましても、NTTを中心にいたしまして、その努力の一端がこの首都圏においての料金引き下げになっておると思いますが、これで十分だとは言いがたいと思います。しかし、民間におきましても、たしか東電とか孫さんとかがいろいろと考え方を打ち出しておりまして、個人のいろいろと、無線による通話ができるような形のものもしていかなきゃならぬということでいたしております。  いずれにしても、結論的に言いますれば、料金の低廉化ということが将来において我が国のIT革命が達せられるかどうかということの最大のポイントであるという御指摘はそのとおりでございます。民間企業でございますので、すべて料金について政府がこれを指定することはできませんが、そういう方向性につきましては、ビジネスの面からも大いに、それを行うことによりまして、企業体におきましても大きな発展の基礎になることでございますので、その方向に向けてリードしていかなきゃならない、このように考えております。
  39. 福留泰蔵

    福留委員 実は、ただいま私ども公明党では、青年局を中心に、情報通信立国実現のために、通信料金の引き下げを求める署名運動を全国で展開をしております。またまとまりましたら総理あてにお持ちいたしますので、よろしくお願いしたいと存じます。  民間企業であるからというお話が先ほどありましたけれども、情報通信分野は、規制緩和の結果、基本的には自由な競争が行われ、料金は市場原理にゆだねられているという認識をしております。そこで、通信料金を引き下げるためには、市場における競争を促進していくことが必要だというふうに思います。競争を促進するためには、一つに規制を見直すこと、二つ目に市場競争環境を整備することが必要だと思います。  時間が参りましたので、具体的な質疑はここで終了させていただきますけれども、最後に、改めて総理に料金引き下げについての要望を申し上げまして、以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  40. 島村宜伸

    島村委員長 この際、西川知雄君から関連質疑の申し出があります。福島君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西川知雄君。
  41. 西川知雄

    西川(知)委員 改革クラブの西川知雄でございます。  我々は、重要な施策の一つといたしまして、都市政策、これをずっと訴えてまいりました。今度の補正予算で、この我々が掲げてきた都市政策、それはどういうふうに予算に反映をしているか、これについてお尋ねをいたしたいと思います。  幾つかの問題がございますが、まず第一番目は交通渋滞の問題でございます。特に、踏切と料金所、これが大きなネックになっております。  私の地元の横浜市の鶴見区、そこに総持寺があるわけですが、この前に東海道本線、横須賀線、京浜東北線、そして貨物線、上下九本、これが集中しております。一日の遮断時間は実に十八・二時間でございます。こういうことはひどい交通渋滞をもたらしておりまして、地域を分断し、事故の原因にもなって、非常に悪循環に陥っております。こういうことについてどういうふうな予算の取り組みがされているか、これは極めて重要な問題でございます。  次に、料金所の問題でございます。  これにはノンストップの自動料金収受システム、これがございます。すなわち、高速道路、ここで一々ストップをしていると非常に交通渋滞に陥るということで、ここを通過して自動的に料金を取っていく、こういうシステムを我々も非常に主張いたしまして、そしてこれはだんだんと完成に近づいているということでございますが、これについて今度の予算でどういうふうな措置がとられているか、これが二番目の問題でございます。  そして次に、これから年末にかけまして、道路でどんどん工事が出てまいります。  東京都の場合ですと、路上工事の約四分の三というのは、実は道路を直すのではなくて、ガスとか水道、そういうものについて工事が行われているということで、大変な損失になっております。こういうことに対する対策、これはどういうものか。我々は、いわゆる電気とかガスとか下水道とか、そういうものを一体にまとめて共同溝でやっていこうということを訴えてまいっておりますが、それについての措置はどうなっているのか、これについてお尋ねをいたしたいと思います。  二番目は、防災対策でございますが、防災対策は、いわゆる住民の避難と安全確保の見地から、広域避難所、これが必要でございます。しかしながら、これがどんどん減少していく。すなわち、産業の空洞化とかリストラ、これによる工場移転等で、広域避難所とされてきた土地がマンション用地などに転用されていっている、これについての対策が今後必要でございます。  最後に簡単に、バリアフリー、いわゆる弱者に優しい町づくり、これを行わないといけない。  車道と歩道、これがガードレールで分かれておりますが、例えば車いすで歩道のところを通ろうとする、そして選挙で投票に行く、この場合にも歩道を通らないととても行けないわけですが、それが狭い。これをどういうふうにするか。そしてまた、エスカレーターでございますが、上りのエスカレーターがついているところは多いのですが、下りについてはこれがない。こういうところはとても……
  42. 島村宜伸

    島村委員長 西川君に申し上げます。  回答時間に限りがありますので、簡潔に願います。
  43. 西川知雄

    西川(知)委員 はい。簡潔に申し上げます。  そこで、肉体的な弱者、これが非常に下りがきつい。こういうことで、この辺のところをどういうふうにするか、この辺についてお尋ねを申し上げたいと思います。  総括的な問題につきまして総理から、そして各論について関係大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
  44. 島村宜伸

    島村委員長 御答弁をいただく前に申し上げますが、答弁時間は全部で四分ぐらいでございますので、あらかじめお含みおきいただきます。  小渕総理大臣
  45. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 それでは、私から総括的に、都市政策につきましての諸点につきまして申し上げたいと思います。  国民生活にとって重要な政策であると認識をいたしておりまして、日本経済を新生し、活力ある国土を形成するために、既成市街地の再構築への対応などに重点を置きつつ、効率的な都市政策を展開いたしておるところでございます。  特に、交通渋滞は、時間やエネルギーのロスにより国民の諸活動への多大な損失を与えているとともに、環境問題、交通事故の増加等の種々の問題を引き起こすものであり、渋滞、混雑等の緩和を目的とした交通システムの整備は重要な政策であると認識をいたしております。  このため、平成十一年度の第二次補正におきましても、都市機能の効率のため、環状道路や都市鉄道の整備、電線類地中化の促進、共同溝の整備などについて、最大限の進捗が図られるよう措置いたしておるところでございます。  具体的案件につきましては、各大臣から御答弁申し上げます。
  46. 中山正暉

    ○中山国務大臣 答弁時間が短うございますので、大変行き届かないかもわかりませんが、御答弁申し上げたいと思います。  御承知のように、渋滞の時間は、日本全体で五十三億時間の損をしている。一人大体四十二時間ぐらいになるわけでございます。自動車の中で二泊ぐらいしていただいているような形になるわけでございますが、損失十二兆円。これはもう本当に大変なことでございますので、今度は、平成十一年度の第二次補正では、環状道路の整備に二千五百七十八億円、それから連続立体事業に百四十三億円、ETCに二百四十二億円、電線の地中化、これに一千六百十六億円というようなことに計画をいたしております。  特に、防災の問題でも、日本は大体、洪水の可能性のある一〇%のところに人口の五〇%が住んでおりまして、国民資産の七五%がその地域にあるということでございますので、防災の面に関しましても、大都市地域の既成市街地等において、地方公共団体の要請を受けて、都市基盤整備公団が企業保有地を活用して、市街地の整備改善と一体となった防災公園の整備などを行っていきたいと思います。  時間がありませんので、残余の部分はまた文書ででも回答させていただきたいと思います。
  47. 二階俊博

    ○二階国務大臣 時間が迫っているようでございますが、まず、バリアフリーの関係につきましては、運輸省としましては、次の通常国会に法案を提出し、努力目標を明確にし、多くの国民の皆さんの御協力を得ながら目的を達成したいと考えております。  なお、下りのエスカレーターが重要だということにつきましては、私どもも再々、各方面からお伺いをいたしております。ただし、既設の交通ターミナルについて、法律でこれを強制的に実行させるということは、現場の状況等を十分考えなくてはなりません。しかし、西川委員御指摘の、交通弱者の皆さんあるいは高齢者の皆さん等がこのことを大変強く要望しておるということを私たちは受けとめて、法案の最終的な協議までに私たちの考えをしっかりまとめて、議員の御指摘も十分踏まえて対処したいと考えております。
  48. 西川知雄

    西川(知)委員 どうもありがとうございました。
  49. 島村宜伸

    島村委員長 これにて福島君、福留君、西川君の質疑は終了いたしました。  次に、西田猛君。
  50. 西田猛

    西田(猛)委員 自由党の西田猛でございます。どうかよろしくお願いをいたします。  最初に、大上段に振りかぶったことを申し上げるようでございますけれども、我が国は民主主義国家でございまして、民主主義というものは、やはり主権者である国民の皆様方の意思が最もよく反映されて国会で法律が通り、そして行政が行われるということではないかと思っております。  その意味で、今回、さきの通常国会で成立をいたしました国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律という非常に長い名前でございまして、私もこの名前を覚えるのに半日かかりましたけれども、この俗に言う国会活性化法が成立をしたのでございます。  その趣旨にのっとって、この第一委員室もこのような対面方式になってございますし、そして、先ほど自見委員の方からもお話がございました、政務次官大臣と並んで国会で答弁をする、そのかわり、主権者であられる国民の皆様と直接の緊張関係にない政府のお役所の方については、国会での答弁が原則できなくなったということでございます。  そのような中で、先日、この予算委員会の合同審査会で、内閣総理大臣とそれから野党党首の皆様方の討論がこの第一委員室で行われたのでございます。  さて、この討論について、これはイギリスのいわゆるクエスチョンタイムを模したものでございますけれども、日本討論の印象につきまして小渕総理大臣にまずお聞きいたしたいと存じます。
  51. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国会活性化法によりまして議会がより国民のために活性化するという意味で、政府といたしましてもこれに全面的に御協力を申し上げなきゃならぬということで、試行的にいわゆる国家基本政策委員会が、日本版クエスチョンタイムの試行が行われました。二回、野党各党党首との討論をさせていただきました。率直に申し上げまして、試行錯誤の点もありましたが、しかし、二回目等、若干かみ合ってきたのではないか、そう感じております。  ぜひこの討論を通じまして政府考え方を明らかにいたしたいと思いますし、でき得べくんば、野党も国民代表した大きな野党の立場におりますので、政府側からも、冒頭から何かお尋ねするようなこともできたらなという気がいたしております。  いずれにいたしましても、政府と野党間の活発な討論、これがいわゆるクエスチョンタイムだけでなくして各委員会におきましても実行されるやに聞いておりますので、そうした意味で、党首間あるいは党首と内閣総理大臣、すなわち政府代表でありますが、との討論と同時に、各委員会におきましてもそうしたことが活発に行われるということであるとすれば、非常に活性化されるのではないか、そういう印象を持たせていただきました。
  52. 西田猛

    西田(猛)委員 総理、ありがとうございました。  同じ質問につきまして、それでは大変恐縮でございますが、大蔵大臣通産大臣、農水大臣そして運輸大臣に、それぞれ端的に印象をお聞きしたいと思いますが、これからは各委員会におきましても、各大臣とそれから野党の代表の皆様方との討論が行われることとなっておるようでございますので、その点も踏まえまして、どうぞ簡単に御印象をお述べいただきたいと存じます。
  53. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 結構でございました。もう少し時間が欲しいと思いました。
  54. 深谷隆司

    深谷国務大臣 二回のクエスチョンタイムをそばで聞いておりましてひたすら思ったのは、本当に難しい討論だなと思いました。  できることなら、政党代表でありますから、政策の理念とか大きな問題を中心とした議論になっていただければありがたいと思いました。
  55. 玉沢徳一郎

    ○玉沢国務大臣 国家基本問題を議論するという趣旨でありますが、私の立場から申し上げますと、朝食のメニューをまず議論するということは極めて幼稚ではないか、こういうように感じました。もし朝食のメニューを議論するということであるならば、朝食から見た食糧の自給率の問題、また食糧の安全保障の問題、そういう国家基本問題についての議論が必要である、これが私の感想であります。
  56. 二階俊博

    ○二階国務大臣 政府委員制度の廃止等を含めて、この問題につきましては、西田委員等が大変熱心に御努力をいただいてまいりました。このクエスチョンタイムの制度は、一九六一年、イギリスで始まって以来のことでありますが、イギリスでは、やはりそれだけの年限をかけて積み上げてきて今日に及んでおると思います。  先般は、今もお話ありましたが、まだ始まったばかりでございますから、これから積み重ねていくことによってすばらしいクエスチョンタイムになっていくであろうと思いますが、ただいま総理も述べられましたとおり、私は、総理の側からも、野党の代表的な政治家、党首に向かってやはり御質問をする、そういうことができるような工夫が必要だと思います。  選挙が近づいてまいりますと、すばらしい政策を各党がポスターとして国民の前に明らかにするわけでありますが、これに対してどういうプロセスでその政策を実行することができるかということを、やはり政府責任者たる総理が野党の代表に質問して国民にわかりやすくする、そのことが大事ではないか、そういう工夫も今後お願いしたいと個人的には考えております。
  57. 西田猛

    西田(猛)委員 大臣の皆様方、ありがとうございました。  なぜ大蔵大臣通産大臣、農水大臣にお聞きしたかと申し上げますと、これは外務、大蔵、通産、農水は、もともと政務次官が二人置かれておりまして、非常に忙しい役所だからということでございました。ところが、今般の制度改革で答弁をするのは政務次官も含めてということでございますので、一部の二、三の省庁を残しまして、あとは各省とも政務次官を増員し、そして総括政務次官を置いて答弁に当たっていただいているところでございます。その意味で、従来より二人政務次官を置いておられた各省の大臣の皆様方にお聞きをしました。  それと、二階運輸大臣におかれましては、自由党から出ていただいておりまして、この政府委員制度の廃止等国会改革は小沢党首を初め自由党の悲願でございましたので、その意味で二階大臣にもお聞きした次第でございました。ありがとうございます。  そのような中で、実は、この国会活性化法ができまして、それに基づき、自民、自由、公明、民主の四国会対策委員長の申し合わせ事項ができておりました。そしてそれは、今般の国会審議の活性化等の制度改革に絡みまして、このように国会を運営していこうという申し合わせ事項なのでございます。その中ではこのように書いてございまして、例えば予算委員会でも、「大臣予算委員会出席できない場合には、政務次官対応する。」このようになっております。この中で、予算委員会が、今国会、十月二十九日に召集されたにもかかわらず、なぜ本十二月六日まで開かれなかったのかということを私たちは思い起こすべきではないかと思います。この補正予算案というもの、国民経済にとって最も大切な審議案でございましょう。それが早く審議されなかったのはなぜなのかということに思いをいたすべきだと思います。  それから、年金制度の改革法案でございますけれども、これが今国会では非常に問題になりました。そこで総理にお聞きしたいのでございますけれども、今回の年金制度改革関連法案の要点と、なぜ今この時期に、長い国民の今後の福祉社会を見据えたときに改正する必要があったのかということを、簡単に総理のお言葉でお考えをお述べいただきたいと存じます。
  58. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 年金制度の改革案の要点と改正の必要性についてお尋ねがございましたが、これは言うまでもありませんが、国民の老後を支える年金制度について、将来にわたって安心して信頼できるものにしていかなければならないに尽きると思います。  こうした観点から、今回の改正におきまして、将来の少子高齢化の進展や経済基調の変化を踏まえながら、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するとの考え方に立ちまして制度全般を見直すことといたしております。  具体的には、高齢化のピーク時にも保険料を二割程度、無理のない負担をされるとともに、現役世代の手取り年収のおおむね六割程度の給付水準を確保することができるものといたしておるわけでございまして、改めてでありますが、将来安心してこの年金制度を運営し、それを国民が受け取ることのできるような制度改革を今から考えていかなきゃならぬ、ここに尽きると思います。
  59. 西田猛

    西田(猛)委員 総理の言われたとおり、ある試算によれば、例えば現在の年金制度のままを維持いたしましたらば、例えば昭和二十四年生まれの方は、掛けた保険料の一・五倍を将来年金として受け取ることができるけれども、我々昭和三十年、四十年以降生まれの者を代表して、私、悲憤を申し上げるのですけれども、昭和四十四年生まれの人をとれば、何と、今掛けていくものの〇・八倍しか受け取れなくなるという、すなわちマイナスになってしまうのであるということでございまして、やはり、将来的に世代間の公平も図っていただくべく、この年金制度については適切な見直しをしていかなければならないというふうに思っております。  したがって、野党の皆様方が審議を尽くしていないというふうにおっしゃった気持ちもわかります。気持ちもわかりますけれども、であれば、私は、一年三百六十五日もう国会を開いて、そして委員会の定例日などというものはなくして、徹底的にスピードを持って審議を尽くす、一日二十四時間あるわけでございますから。  その意味で、私たちは通年国会を提唱して、審議を国民の皆様方のために迅速に、深く行っていくべきだというふうに考えておりますが、行政府の長としての内閣総理大臣に、国会を通年制として、一年三百六十五日我々働いてはどうかという提案についていかがお考えか、お述べをいただきたいと存じます。
  60. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 国会のありようにつきまして政府から申し上げることはなかなか難しゅうございますけれども、憲法上の規定によりまして通常国会、臨時国会等が定められておるわけでございますので、あわせまして、通年ということは法的にはなかなか難しいのではないかと思います。  しかし、政府としては、もし開かれれば、国会に対しての責めを負っておる政府といたしまして、国会に対して全力を挙げて政府考え方も申し上げ、国会での御論議を通じて国民の理解を得、そして、しかるべき法律につきましては御制定願う努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  61. 西田猛

    西田(猛)委員 ありがとうございます。  それから、国会の制度改革に絡んでのことが続きまして恐縮でございますけれども、同じく、私先ほど申し上げました、外務、通産、農水の三閣僚の皆さんがWTOという非常に重要な国際会議に出ているからといって、欠席だから予算委員会が開けないというふうな話は、これは私は、国民経済あるいは国民の利益を考えたときに、やはり大変な問題ではないかと言わざるを得ないのだと思っております。  そのような意味で、この予算委員会でも、四党の国会対策委員長が申し合わせましたように、たとえ大臣がいなくても、しかも総理大臣はいらっしゃる、そして予算全体の責任者である大蔵大臣もいらっしゃるにもかかわらず、本日までこの予算委員会が開けなかったということについて我々は重く受けとめなければいけないと思っておりまして、このような、大臣がいるかいないかを政争の具にすることはもう一切やめるべきだ、政務次官の皆さんも働いていただいてしっかりとした審議を行うべきだと考えますけれども、総理大臣、また国会運営についてのお考えで恐縮ですが、お考えをお述べいただけますでしょうか。
  62. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 政府国会との関係につきましては、先ほども御答弁申し上げさせていただきました。  それぞれの大臣におかれましても、昨今は国際会議等が世界じゅうどこの場所におきましても行われております。そういう意味で、やはり大臣としての出席を要請されることが非常に大事だと思っておりまして、今般のWTOにつきましても、現地に参りまして、三閣僚がちょうちょうはっし、それぞれの国々と渡り合いましたけれども、こうしたことで、できれば国を代表する立場から言えば、大臣出席をお認めいただけると大変ありがたいというふうに思っておるわけでございます。  それと同時に、私ごとですが、外務大臣のときにいろいろ各国の例を調べさせていただきましたが、各国によりまして、国会対応につきましては、例えばタイの場合などは、政務次官対応されておりまして、国際会議大臣というふうに仕分けをしておるところもあります。  今後の課題といたしまして、政府国会関係につきましては、十分、議院運営委員会その他におきまして御検討いただければありがたい、こう考えております。
  63. 西田猛

    西田(猛)委員 内閣法それから国家行政組織法等が改正されまして、二〇〇一年の一月からは副大臣制度が設置されることとなっておりまして、それによりましては、内閣制の強化とともに、大臣それから副大臣等の活躍によって国会審議がさらに充実、迅速化されていくことを強く望むものでございます。  そのような中で、今、自民、自由、公明三党は連立政権を組んでいるのでございますが、政策の遂行こそが連立政権の唯一の意義であると私は考えております。そのような中で、ことしの一月からの、まず自民、自由連立政権で、自自合意された点がございました。それで若干積み残された点がまだございます。その中には、安全保障問題それから衆議院の議員定数削減の問題がございまして、この二点につきまして総理のお考えをお述べいただきたいと存じます。  まず、これは国民の皆様方ももうおわかりだと存じます。衆議院議員の定数削減問題は、本質的に政策的な問題あるいは本質的に政府の経費を節減するという問題に至るものではございません。これは、現下の国民経済上、国民の皆様方が本当に苦しんでおられる、そのような中で国会のみがひとり安穏としてはいられない。したがって私たち自身もみずからの身を切る、その中で一緒に頑張っていきましょうということをいう象徴的な出来事だと私どもは考えております。その中で、定数削減についても総理のお考えをお述べいただければと思っております。
  64. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 衆議院の定数削減につきましては、自民、自由、公明三党間で既に合意がなされ、十一月十九日に、比例代表定数を当面二十名削減することを内容とする修正案が三党より国会に提出されておるところでございます。  本件は、もともと昨年十一月に小沢自由党党首との間で基本的方向で一致して以来の重要な課題でありまして、また、今般の連立政権の発足に当たりまして三党間で合意したものでありますので、これが実現を強く期待いたしておるところであります。本件につきまして、国会での早急な審議、成立をお願いいたしたい、このように考えております。
  65. 西田猛

    西田(猛)委員 安全保障問題についてもお聞きいたしたいのでございますが、この問題につきましては今般の自自公三党合意の中にも入ってございますので、今御質問申し上げたいと存じます。  今般の自自公三党合意の中で、特にこういうくだりがございます。まず、社会保障につきましてでありますが、高齢化社会での生活の安心を実現するため、まず、二〇〇五年をめどに、年金、介護、後期高齢者医療を包括した総合的な仕組みを構築する、それに必要な財源のおおむね二分の一を公費負担とするということでございます。さらに続けまして、総理、基礎的社会保障の財政基盤を強化するとともに、負担の公平化を図るために、消費税を福祉目的税に改め、その金額を基礎年金、高齢者医療、介護を初めとする社会保障経費の財源に充てるということになっております。  この三党合意は三党が連立政権を組んでいる間にやろうという合意でございまして、したがって、早くこれを実現していかなければならないと存じますが、総理、これについての御決意をお聞かせいただけますでしょうか。
  66. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 三党合意のうち、特に社会保障についてでございますが、政府といたしましては、その財源を含め、そのあり方につきまして、有識者の皆さんに御参加をいただき議論の場を設けることといたしておりまして、制度横断的な総合的議論を進めてまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、今後とも、自民、自由、公明党政策合意や与党の協議等を踏まえながら、社会保障制度の改革に全力を挙げて努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  67. 西田猛

    西田(猛)委員 けさの日経新聞にも、消費税の福祉目的化ということを真剣に議論するべきであるという記事も出ておりました。  私が考えておりますこれからの日本社会というものは、何もいい学校に入って、いい会社に入って、将来六十五歳になったら年金をもらうことだけを楽しみにして、ちまちまとした人生を送るという日本人の生活はもうやめにしていただいて、六十五になり、あるいは七十になったら、政府が基礎年金も、それから後期高齢者の医療も、そして介護も財政資金で面倒を見るから、若いうちは一度や二度ぐらい会社をつぶそうが、三度や四度ぐらい転ぼうが、とにかく頑張って一生懸命、楽しく、そして激しく人生を生きてくれ、それは男性も女性もでございます。そういう社会があってこそ、日本はこれから活性化していくのではないかと、我々、若干若い世代の人間は乱暴かもしれませんが、発想を持っているのでございます。  したがって、将来的には国がセーフティーネットを持っているから、若いときは頑張って生きてくださいというのが、これが日本の社会の活力になるんじゃないかなと私は考えております。したがって、今申し上げましたようなセーフティーネット、介護、医療、そして年金を含めたものが早期に構築されなければならないと考えております。  そのような中で、日本経済の牽引役でございます中小企業の皆様方が、今非常に経済的に苦しんでおられる、これは、けさの委員の皆様方からの御意見にもございましたけれども、特に私は、金融、財政面からの措置をお尋ねしたいと思うのでございます。  やはり依然として、主要な金融機関による中小企業の皆様方への貸し渋りというものは現に行われていると思います。そして、商工ローンでございますとか、日栄の問題にも見られました。これは、たどり着きますれば、主要な金融機関が中小企業の皆様方に融資をするのではなく、こういう商工ローンですとか、そして日栄ですとかという機関にお金を貸しながら、中小の皆さんに貸さなかった。そして、中小の皆様方は、商工ローンや日栄から借りざるを得なかったという側面もあったのだと私は考えております。  したがって、ここで、主要な金融機関が中小企業の皆様方に直接、より積極的に融資ができるような金融面の環境を整えていかなければならない。それが中小企業の皆様への、特に年末でございます、対策になるのではないかなと思っておりますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。
  68. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 金融機関が適切なリスク管理を前提に必要なリスクテークを行い、中小企業金融を含む信用供与の円滑化を図る等、健全な融資態度の確立に取り組むことは、金融機関の本来の責務であると考えております。  また、いわゆる貸し渋り問題につきましては、政府においてこれまで、信用保証協会等の信用補完制度の拡充、早期健全化法による新たな資本の増強制度の創設、政府金融機関による中小中堅企業に対する融資制度の拡充などの措置を講じてきたところでございます。  さらに、我が国経済を自律的な回復軌道に乗せるとともに、二十一世紀に向けた新たな発展基盤の整備を図るため、先般、総額十八兆円の対策を策定し、中小企業ベンチャー企業の振興等の措置を講じたところであります。  いずれにいたしましても、政府としては、金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させ、健全な取引先に対し必要な資金供給が円滑に行われないという事態が生じることのないよう、金融機関の融資動向につきまして、引き続き注視をいたしてまいりたいと考えております。
  69. 西田猛

    西田(猛)委員 そこで、金融、財政の問題に触れたところで、先般、本会議のときに大蔵大臣は、来年度の予算においても、やはりこの際、金融システム安定化のために財政出動を考えておられるということをお述べになりました。そのことは、私は必要なのだと思います。  しかし、ここでやはり、国民経済上、中小企業の皆様方もあるいは個人の皆さんも、特に日本長期信用銀行の株式を持っていたたくさんの人たちとか、本当に憤りを感じておられることがございます。それは、長銀が金融再生法に基づいて特別公的管理という政府の一時国有化に入った時点で、政府は、既存の長期信用銀行の株式は無価値である、これは長銀が債務超過でしたからそうならざるを得ないのでありますけれども、無価値だとして、ゼロ円でその長銀の株式を買い上げました。  ところが、今度は金融の再生勘定、預金保険機構の中にあるものでございますけれども、から四兆円と言われている資金、これは税金でございます。全くの税金ですけれども、を投入して、長期信用銀行をいわばお色直しをして、そして、今度買収相手と言われている、これは名前が出ておりますので、ニュー・LTCB・パートナーズというところが今交渉相手ですけれども、に売却をしようということになっております。  ところで、ニュー・LTCB・パートナーズは、既存の長期信用銀行株式二十四億株を十億円で買おうと言っております。一株当たりわずか四十二銭でございます。  ところが、その後、新しくなった長期信用銀行の新規に発行する優先株式を、今度は一株四百円で政府に六億株引き受けてくれということを要求するのだそうでございます。かつて持っていた株式の株主はゼロ円でございます。買う人は四十二銭でございます。政府は今度それを四百円で買うということになるのでございます。一体この数字の差を、国民経済上、私たちは国民の皆さんにどういうふうに説明すればよろしいのかということで非常に悩むのでございます。  やはり去年の秋の金融国会の中でできた金融再生法というものには、非常に無理があったのではないかと私は考えておりまして、金融の早期健全化法、これこそが必要なのでございます。金融早期健全化法で、生きている金融機関に資金を注入して、そしてどしどし中小企業の皆様方に融資を行っていただく、これが先ほど私が申し上げた中小企業の皆様方にも金融の動脈が回っていく方策なのだと考えております。  その意味で、今後、金融システム安定化に向けて、大蔵大臣責任大臣とされてどのような財政出動を考えておるかをお聞かせ願えますでしょうか。
  70. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず前段の問題でございますが、金融再生法の規定に従いまして、長銀の、旧長銀と申しますか、株式の評価はゼロ円とされました。それは、おっしゃいますように債務超過であったということでございますが、その思想の中に、破綻した金融機関の株主及び経営者の責任を明確にするという法律の規定の精神も働いたものと思います。  そこで、次のお尋ねは非常に難しいことをおっしゃっていらっしゃるわけでございます。  長銀はこういう形で債務超過になりました。銀行が普通に動いておりますときは、あるいは企業が普通に動いておりますときは機械設備でも何でもみんなそれなりの価値を持っておりますが、一遍死にましたときにはそれらのものはスクラップにならざるを得ない。ゴーイングコンサーンであるということが実は非常に大事なことであって、ゴーイングコンサーンであればそれを合併なりいろいろな方法で、今おっしゃいましたのもその一つでございますが、救っていく道があるということ、おっしゃるのは私はそのとおりであるというふうに思います。  しかし、この場合には、長銀が支払い能力がないということでいわばその申請をいたしたわけでございますから、こういうふうになったことは法律の規定上やむを得なかったろうと思います。議論を国会でいろいろ、大変に各方面から議論をなされたのでございますから、しかも、その間に長銀の株式は急激に下がっていきましたし、また長銀債も売れないようになった、そういうことは背景としてございますけれども、しかし現実としてそうなったという事実に基づいて再生せざるを得なかったかと思います。  委員のお尋ねは、しかしそうではなくて、いわゆるパーチェス・アンド・アサンプションのような形をとるならば、そういうことを起こさずに済んだのではないかというお尋ねは、私は確かにお尋ねとしてはあると思います。ただ、その場合に、いわゆる受け皿となっている銀行が果たしてその旧債務をどれだけ上手に処理するか、あるいはどのように経営していくかという問題は、いわば未知数でございますので、両方のことを単純に比較することも難しいかもしれない。しかし、ただいまおっしゃいましたことは、こういう問題についての今後について大切な御示唆であると思います。
  71. 西田猛

    西田(猛)委員 それでは、最後になりましたが、これで質問を終わりますけれども、今年度、それから二〇〇〇年度の予算については積極的につくり、そして二〇〇一年度以降は財政再建に邁進しなければいけないということを強調いたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。ありがとうございました。
  72. 島村宜伸

    島村委員長 これにて西田君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十五分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  73. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。菅直人君。
  74. 菅直人

    ○菅(直)委員 今国民の皆さんは、新しい自自公政権というものが本当にどういうものなのか、数は衆議院で三百五十と大変多いわけですけれども、そのやることが本当に国民のためになることなのか、私は、かなり多くの人が警戒心を持ってこの巨大与党あるいはこの自自公政権を見ていると思います。  そういった点で、本来ならWTOとか北朝鮮の問題とかいろいろな課題がありますけれども、まずは、この自自公政権というものが本当に国民のためになるものかどうかを中心に、幾つかの質問を総理を中心にさせていただきたいと思います。  そこで、まず、さきの国会は、自自公政権はできておりませんでしたが、事実上、国会は自自公の体制ができておりました。そして、その国会の終盤に、私どもが強く懸念し反対をした二つの法案が強行に通過をさせられたことは御承知のとおりであります。一つはいわゆる盗聴法、そしてもう一つは、いわゆる国民総背番号制にかかわる住民基本台帳法であります。  当時、総理は、日本の警察を信用しなさい、こういうことを何度も言われました。しかし、その後明らかになったあの神奈川県警の問題。つまりは、県警そのものが組織ぐるみで犯罪を隠していた、それを立件するときに、身柄を拘束しないでそして立件をする、普通だったら考えられないことであります。  まず、私はこの点について、本来こういった問題は国家公安委員長責任というものが大きくかかわると思いますが、総理として、みずから任命された国家公安委員長責任についてどうお考えなのか、この神奈川県警の問題についてお答えをいただきたいと思います。
  75. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 一般的に、国民我が国警察に対して大変深い信頼を寄せておることは事実でありますし、また、その職務を遂行するに当たっては、私は、諸外国に比しても極めて職務遂行に当たってまじめに対応しておると思っております。  しかし、今般、神奈川県警においての諸般の事件の発生につきまして、これはその信頼を大きく裏切るものでありまして、言葉で申し上げれば、全く言語道断と言わざるを得ないことであります。これを機会に、ぜひ信頼を回復し、国民のための警察としての職責を全うできるような姿にならなければならない、こう考えております。  そこで、国家公安委員長責任ということでありますけれども、実は、警察内部で幾つかの事犯がございますけれども、県警本部長段階におきまして、その中で処理をされたということにつきまして、それが、警察を統括いたします国家公安委員会そのものがこの問題について十分な目が届かなかったということにつきましては、将来の課題として、各県における警察と国家公安委員会関係も明らかにし、そして、そうした警察部内における事犯の処理につきましては、明確に上部にこれを上げてその判断を求めるようなシステムを構築していかなければ、究極の問題解決にならないのではないかということであります。  現国家公安委員長に対しましても、その点も含めまして、国家公安委員会のあり方、また警察内部における監察の制度、こういうものに遺漏がなかりしかということを全面的に調査の上、この問題が再び起こることのないような姿について今検討を命じておる、こういうことでございまして、それを明らかにすることが、よってもって国民に対する信頼にこたえることでありますと同時に、その責任を全うするゆえん、こう考えておる次第でございます。
  76. 菅直人

    ○菅(直)委員 結局、聞いていることを答えていないわけですよ、総理は相変わらず。  つまり、日本の警察制度はある意味での分権制度になっていて、それぞれの県警が独立した一つの捜査機関になっていることは承知をしております。しかし、その上で、国としては、国家公安委員会さらには警察庁という二つの機関を置いて、それを統合化したり、あるいはいろいろな意味で連携させている。それじゃ、神奈川県警本部長という一番のトップがやったことについて内閣は責任を持たないというのか。つまりは、今の仕組みでは何だからかんだから、それを変えるのが先決であって、責任ということについてはうやむやにしよう、そういうことじゃないですか。  私は責任のことを聞いているんです。仕組みを変えるのは、それはまた考えてください。責任があるのかないのか、国家公安委員長に、あるいは総理大臣に。国民に対して答えてください。
  77. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 今回の神奈川県の県警におきます不祥事というものは、非常に私も遺憾のきわみに存じておりまして、このことが、日常まじめに、勤勉に仕事をしております現場の警察官、治安に当たっておられる方々に対して悪い影響を与えたという意味では、非常に大きな影響があったものと私は認識をいたしております。  今の責任問題でありますが、非常に難しい議論になろうかと思いますが、国家公安委員会というものがどういうふうな経過をもってつくられたものかというところまでさかのぼるような議論になるんではないか、こんなふうに考えております。  そこで、確かに、県警本部長を任命する最終的なサインをいたしますのは国家公安委員会のメンバー全員でございますから、そういう意味で、県警本部長をなぜ任命したか、その責任はないのかと問われれば、署名をした責任は当然あるものと考えております。  しかし、この三年前に現場で起こったという事件をどう考えていくのかということを思いますと、十月五日に任命されました私といたしましては、今後の警察行政というものを国民の前にきちんと明確に、規律正しいものにしていくということが私の責任ではないか、こう思っております。
  78. 菅直人

    ○菅(直)委員 私は、保利国家公安委員長がこのことに個人的に責任があるということを申し上げているんじゃありません。つまり、今まさに言われたように、それを担当している立場として、たとえ、それは前の問題だから、じゃ、そのときの国家公安委員長がどう責任をとるのか。  逆に言えば、盗聴法の議論のときはどうだったんですか。通信傍受法のときはどうだったんですか。そのときはこの問題を明らかにしないでおいて、こんなことがもし明らかになっていたら、私はあの法案は通らなかったと思いますよ。総理はそのことを知っていたか知らないかはともかくとして、表に出ない形で、法案は通す、しかし責任はとらない。  同じような問題をもう一つ取り上げます。  さきの国会で、住民基本台帳、いわゆる総背番号制の問題で、総理代表質問等で、四つの情報がネットワークの中に盛り込まれるというお答えをされております。しかし、委員会の審議では、これも保利自治大臣のところでありますけれども、実は十三情報がネットワーク上を行き交いする。今、ネットワークですからどこのコンピューターに入っているなんということは、インターネットを見たって関係ないわけで、つながっているわけであります。  そういう点で、これもまた、本来は十三情報がそのネットワークを行き交うんだということを説明して、そして法案を審議するべきであったのに、そのことを四情報だけなんだという形で審議をした。私は、これは明らかに意図的なにおいさえする。意図的であったかどうかは別として、総理大臣として答弁をした、本会議で答弁されていますから、その責任をどう考えられるか。お答えいただきたいと思います。
  79. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 住民基本台帳ネットワークシステムにおきましては、都道府県や指定情報処理機関のコンピューターに記録保存し、国の行政機関等に提供する情報は、原則として四情報、氏名、住所、性別、生年月日、正確に言うと四情報プラス住民コード及び付随情報に限られるものであります。  一方、住民票の写しの広域交付の場合には、四情報のほかに、写しの記載事項である続柄、住民となった年月日など、転入転出の特例手続であれば、現在、転出証明書に記載されている事項である戸籍の表示、転出先及び転出の予定年月日、国民健康保険の被保険者である旨など、専用回線で流れることとなるものであります。  この点につきましては、さきの国会におきまして、衆議院地方行政委員会及び参議院地方行政・警察委員会で十分議論され、その上で可決成立したものであり、御批判は当たらないものと考えております。
  80. 菅直人

    ○菅(直)委員 今のような答弁をちゃんと前の国会でやったかと聞いているのですよ。総理はしていないのですよ。ここに本会議の記録もあります。そして、すべてのマスコミは四情報だということを実際に報道して、残念ながら私なども四情報ということを前提に、それでも危ないからこれはとどめるべきだということでやったわけです。当たらないとか当たるではなくて、総理自身が答弁したことが国民に対して誤った情報を与えたのではないか、そのことを申し上げているのです。  さらに、自自公の政権の中で、自由党も公明党もこの政権に参加するときに政策実現ということを言われました。  そして、自由党では、介護の財源を税で行うべきだ、それに反するような補正予算は賛成できない。二階大臣が署名されるかどうかでかなりすったもんだされましたが、最終的にはサインをされました。  また、いろいろ定数是正の問題で議論がされております。  今、小沢党首に、おられないところでこういうことを言うのは失礼かもしれませんが、政権離脱、政権離脱と言いながら政権離脱をしない、オオカミ少年じゃなくてオオカミ中年ではないかということさえ言われている。たしか、この国会が始まる前の三党合意でも、この国会冒頭で二十の削減を実現するという合意をされているけれども、冒頭ははるかに過ぎていて、そろそろ会期末になろうとしている。  私たちは、この法案、必ずしも賛成しておりません。理念がはっきりしない。小選挙区に向かうのか、それとも、あるバランスでいくのかはっきりしていないから賛成しておりませんが、自自公政権をつくった、ある意味では立て役者の、自由党の中心人物でもある二階運輸大臣にお聞きしたい。  その三党合意の中で決められた二十の削減がこの国会中に成立しないときに、自由党は政権を離れる、そういうおつもりなのかどうか。はっきりとお尋ねをしたいと思います。
  81. 二階俊博

    ○二階国務大臣 定数削減の問題につきましては、衆参の本会議で御党の代表からもたびたび質問をお受けいたしました。  私たちは、理想とするところは、定数五十名削減を主張してまいりました。三党間における政策協議においても、同じ意見をずっと貫いてまいりました。しかし、三党がともに政策を共有しながら政権を担っていくという上には、私たちの政党だけの意見が一〇〇%通るというわけにはまいりません。したがいまして、今回は、ちょうど定数の比例区の一〇%に当たる二十名の削減ということをもって三党で合意したわけであります。  残り少ない会期ではありますが、先ほど菅委員からもお話のありましたように、この件に関しては冒頭に処理するという約束事があるわけでありますから、私は、今国会において必ず成立するであろうということを確信を持って今見守っておるところであります。
  82. 菅直人

    ○菅(直)委員 確信を持たれるのは結構です。その後のことを聞いているんです。確信を持たれて、この国会で成立をしないときには政権離脱もあり得るということを一時期、小沢党首自身が言われているんです。自民党が言っているんじゃないんです。  それを受けて、二階さんは、まさに自由党の国対委員長を直前まで務められて、自自公のまさに立て役者であります。その二階運輸大臣として、既に約束は半ば破られている、つまり冒頭処理ができなかったから。これで、この国会で処理ができない、つまりは、皆さんが政策実現として主張されて、妥協してまでぎりぎりだと言われたこの課題が成立しないときにどうされるのか。党首が一時言われていたように、離脱をするという決意なのか、そこをお聞かせいただきたい。
  83. 二階俊博

    ○二階国務大臣 会期は残り少ないとはいえ、まだまだあるわけでありますから、三党の中において、今この法案が成立すべく懸命の努力をしておるところであります。  民主党におかれましても、再三この問題で御質問があるわけでありますが、私は、この問題を推進するようにという御質問だというふうにかねてより受けとめております。どうぞ御協力をいただいて今国会に成立できますように、しかも、この定数削減の問題は、今日リストラが進んで、経済界、社会が一般にリストラの問題を懸命に支えておるときに、我々国会だけがこのままでいいのかという私たち自身への問いかけに対し、我々は、あらゆる努力をして今国会に成立するように頑張ってまいりたいと思っております。
  84. 菅直人

    ○菅(直)委員 国民の皆さんが聞いておられて、はっきりわかりますよね、結局のところは玉虫じゃないですか。これまでのように、介護保険のときもそうでした。税でなければいけない、保険という言葉を使っちゃいけないと言いながら、最後は、そこまで言うと政権を離脱しなきゃいけないから、ここは仕方ないでしょう。  今回も、今の二階さん、最も自自公を進められたその当事者が、これだけはっきりと文書で書かれているのに、最善の努力をする、ということは、できなかったらそれは仕方がないかもしれませんということを言っているじゃないですか。これが政策合意のための自自公ですか。結局は、政策合意はないまま政権をともにする野合政権だと言われて、何が違うんですか。  次の問題でも同じような問題があります。政治資金規正法、これについても、当初は公明党と自由党でかなりの意見の相違がありました。  そこでまず、せんだってのクエスチョンタイムで我が党の鳩山代表総理に尋ねた。そうしたら、総理はその場で、いわゆる附則九条に基づいて個人政治家に対する企業・団体献金の禁止は行う、初めて総理はそのことを明らかにされました。いつその法案を出されるんですか。
  85. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 三党の話し合いが現在まとまっておると思いますので、それは、一日も早くこの三党が議員立法としてこれを出されることを期待いたしておる、こういうことでございます。
  86. 菅直人

    ○菅(直)委員 どこで約束されたんですか。クエスチョンタイムで約束されたんじゃないですか、我が党に対しても、国民に対しても。  しかも、この附則九条というのは、できるだけ早くなんということになるんですか。いつスタートなんですか。二〇〇〇年一月一日がスタートということになっているんでしょう。この国会が終わった後、またもう一回、国会でも開くというんですか。あと九日しかないですよ。そのわずか九日しか残っていない会期の中で、自民党の総裁でもある、そして、クエスチョンタイムでみずから我が党党首に約束をされ、国民に約束をされたその法案、いつ出すのですかと言ったら、人ごとみたいに、三党が取りまとめて出されるのを期待しますと。では、約束を責任持って果たすということにならないじゃないですか。  もう一度聞きます。この会期中に法案を出されて通されるつもりはあるんですね。念を押しておきます。
  87. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 当然そのように作業を進めさせていただいておるところでございます。
  88. 菅直人

    ○菅(直)委員 そこで、個人に対する企業・団体献金の禁止は、今の総理の言葉を信じれば、ちょっと怪しくなっておりますが、この国会に出される。我々もそれには賛成ですから、それは、その趣旨のことが出てくれば基本的には賛成したいと思っています。  ただ、先日、貴党の森喜朗幹事長が、現在でも自民党はたしか政党支部が六千前後ありますよね、これをもっと細分化して、それこそ国会議員ばかりではなくて地方議員も一つぐらい支部を持って、それで企業・団体献金を受けよう、そしてそれを自分の後援会に移せば同じだからと、こういう抜け穴を検討しているというのが報道されておりました。私は、これはまさに企業・団体献金を個人の政治家に禁止するということの、全く換骨奪胎というか、抜け穴そのものだと思います。  それを行うべきではないということで、私たちは、政党支部を、例えば都道府県、市町村、ブロック、小選挙区、それぞれに一つは認めるけれどもそれ以上認めるべきでないという法案を今用意し、また、政党やその支部から個人の政治資金団体にお金を移すことはできなくする、こういう法案を用意しております。  総理としては、そういう抜け穴を認めるつもりなのかどうか、はっきりとお答えをください。
  89. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 現在、政党に対する企業・組合献金につきましては、今、党内におきましても議論をいたしておるところでございまして、その議論の結果について御指摘あるとすればあってしかるべきだと思いますが、今からそれが抜け穴だとかおっしゃられるということは、そもそもこれからどのように対応していくかということを現在、真剣に党内的に議論をいたしておるところでございますから、その暁においてまた御指摘あればいただきたいというふうに思っております。  そもそも、企業献金そのものについて、組合献金も含めて御党がどう考えているか存じませんが、企業の献金というものはむしろ政党において行われるべきものだというのが、原則、我が党の考え方であるということだけは申し上げておきたいと思います。
  90. 菅直人

    ○菅(直)委員 小渕総理、自民党群馬県ふるさと振興支部、こういう名前の支部が届け出られております。一九九六年の政治資金報告書によれば、企業献金などを中心に約四千三百万円、そのお金がここで集められております。その大部分が小渕後援会に移されているんです。私は、今大いに議論されるのは結構です、こういう例がありますから。  つまりは、そういう支部を現在でも六千前後、自民党は持っておられる、幹事長は、それをもっとふやして、そしてそこで集めれば、今、個人の場合はまだ上限があるけれども支部の場合は企業献金の上限がない、もっと集めやすくなる、そこで集めてぽんとこちらに移せばそれでいいじゃないかと。これも、小渕さんの後援会の同じ事務所の中に支部も入っているわけです。ですから、それでは国民をいわばだましたことになるから、そういう抜け穴を防ぐべきだということを言っているんです。  いいですか。来年の一月一日から実行するということを、クエスチョンタイムで少なくとも原則のところは認められたんですよ。これについて、ちゃんと抜け穴封じをやるかやらないか、はっきりしてください。
  91. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 個人に対する企業献金は、御指摘のようにクエスチョンタイムで、これを行わないということを決定いたして、その方針を打ち出しました。  一方、政党に対するものにつきましては、現在、党におきましても検討中でございますので、このことについてどのようになるかということにつきましては、今申し上げましたように、十分党内の議論を今まとめておる段階でございますので、今、自民党の総裁ということでお尋ねかもしれませんけれども、総裁としてその結論を今私が申し上げることは不可能でございます。
  92. 菅直人

    ○菅(直)委員 公明党から入閣されている続総務庁長官、この政治資金規正法の中に、附則十条。つまりは九条については、基本的には総理もその趣旨に沿って法律をつくる、つまり個人に対する企業・団体献金の禁止を行うと。しかし、企業・団体献金そのものを見直すということについて、公明党は長くこのことを主張されてこられました。私たちも、一遍にすべてを、政党本体に対する献金まで禁止をするというところまではまだ踏み込めてはおりませんが、そういう課題を検討課題として残すことは重要だということで、附則十条は残すべきだ、こういう立場をとっております。  続さんは、公明党の方針としてはこれは残すべきだということを言われていましたが、最近の報道では、いや、やはりこれも、政権に残るためには自民党や自由党の言うとおりにしなきゃ仕方ないかな、こういうふうにも報道されていますが、その点についてどうお考えか、はっきりとお答えください。
  93. 続訓弘

    ○続国務大臣 菅直人議員のせっかくの御質問にお答えいたします。  私どもは、常日ごろから、今御指摘のございましたように、政治資金の問題については透明度の高いものでなければならないということを党として主張してまいりました。同時に、三党間で精力的に話し合いをしておられます。私としては、その精力的な話し合いを見守らせていただきたい、こんなふうに思います。
  94. 菅直人

    ○菅(直)委員 総理大臣が言うと同じふうになるんですね、みんな。あとわずか一週間の中で、公明党がこれまで言っていたことと違うことが決まりそうになっているから、どうですかと聞いても、三党、三党。  結局、三党合意というのは何なんですか、一体。何も決まっていないという合意じゃないですか。何も決まっていないから今、一生懸命議論しているんじゃないですか。そして、政権だけ先につくって、二階さんも続さんも入閣しているんじゃないですか。だから、私たちが野合政権だと言うんですよ。野合政権というのは、政策合意がないまま政権をつくるから野合政権だと言っているんですよ。  そこで、企業献金のあり方について、特徴的なことを少し総理にお尋ねをしてみたいと思います。  今、長銀の破綻処理の問題につきまして、リップルウッドへの売却などを含めて大変注目もされ、あるいは問題視されているわけであります。きょうの読売新聞によれば、いよいよ、刑事訴追に加えて、現長銀経営者が、百二十七億、元頭取ら十五人を対象に賠償請求を民事訴訟でする、こんな一面トップをごらんになったと思います。  この中で、その理由として、一九九七年九月期と一九九八年三月期に違法な配当をした、つまり、本来赤字なのに黒字と粉飾決算をして、違法な配当をしたからその責任がある、こういうことでの賠償請求と報じられております。総理大臣、これについてどうお考えですか。
  95. 越智通雄

    ○越智国務大臣 事実関係だけ私の方からお答えさせていただきます。  日長銀のその問題に関しましては、刑事訴追として、検討結果を取りまとめて、ことしの六月四日に旧経営陣を証券取引法違反と商法違反で告訴いたしまして、六月三十日には、既に逮捕、起訴されたということでございます。  民事に関しましては、現在、部外者の弁護士等を中心とした内部調査委員会をつくりまして、この報告をもとに提訴をするかしないかの検討会をさらにつくり、その報告がまだ出ておりません。したがいまして、それに基づいて民事の提訴をするかどうかは近く決めることになろうか、このように思っております。
  96. 菅直人

    ○菅(直)委員 そうしますと、それが出た場合に総理は、当然それはやるべきだ、そうお思いなのか、いやいや、そんなことをやるのは気の毒だとお思いなのか、その点だけでもまずお聞かせください、総理
  97. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今新聞を私も読ませていただきましたが、事案の内容について全部承知をしない私が、あらかじめそのことを想定して、今ここで結論を出すことは難しいことだし、事誤ればそれこそ問題になるわけでございますので、お答えは申し上げられない、こういうことです。
  98. 菅直人

    ○菅(直)委員 何か予防線を張っておられるようですが、普通であったら、国民のお金をこれだけつぎ込んでやっているときに、これまでの経営陣がいろいろと問題がある、明らかであります。そのときに、それに対して損害賠償を請求するというのに対して、それは事実に即して厳正に対応すべきだ、そういうふうに言われるのが普通であって、もしかしたらお友達がたくさんいるのですか、この中に。  そこでお尋ねします。  一九九七年の九月期の粉飾決算もこの対象になるということが言われております。そこで、一九九七年、小渕総理が総裁をされている自由民主党は、長銀から幾ら政治献金を受けられていますか。その献金額をお知らせください。
  99. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 一九九七年、平成九年でありますが、日本長期信用銀行から千八百四十八万円寄附をいただいております。
  100. 菅直人

    ○菅(直)委員 国民の皆さんによく聞こえるように言ってくださいね。  この平成九年の九月期の決算が粉飾決算だ、そういうおそれが強いということで民事訴訟が起こされようとしている。百二十七億円と言われていますが、前の頭取や会長に損害賠償請求する。そして今や、先週の他の委員会では、越智大臣が我が党の仙谷議員の質問に対して、三兆六千億プラスアルファのお金を長銀につぎ込まなければいけない、それだけの債務超過があると。その債務超過の中には、この千八百四十八万円、平成九年に自民党が受けられた千八百四十八万円も含まれていると思うのです。  その不良債権がふえた、全体からいえばわずかかもしれませんが、一般国民からいえばかなりの額です。そういうふうに理解できると思いますが、総理大臣、どうですか。
  101. 越智通雄

    ○越智国務大臣 私からお答え申し上げます。  債務超過の額は、貸し金がいろいろな意味で取り立て不能になりました、その分を計算しているわけでございまして、経費そのものと直接的な数字上の関係はない、このように思っております。
  102. 菅直人

    ○菅(直)委員 そんなことを言えるはずはないんですが、少なくとも配当が出せない銀行は、それが三年間続けば献金もできないんですよ。そうでしょう。それが政治資金規正法ですよ。三年間続いていたかどうか、これからもっと調べてみれば、実はその前もその前も粉飾決算だった可能性は強いわけですが。少なくとも法律的には、平成九年までは、その時点では、黒字だといって配当をした。それがおかしいといって今、損害賠償請求が出ているんですよ。その同じときに、自民党が千八百万円もらっている。  いろいろ調べてみました。日債銀からも、平成九年、どういうわけか同じ数字ですね、千八百四十八万円。拓銀、一年前の平成八年、千八百二十四万円。長銀、日債銀のその前も同じく千八百四十八万円。どうもこれを見ると、都市銀行すべてから千八百四十八万円前後の金を割り当てて、自民党は受け取っている。  いいですか、自民党総裁として今度は答えてくださいよ。自民党の献金ですから、越智さんの献金なんかは別にどこかにあるかもしれませんけれども、自民党の献金ですよ、これは。自民党が平成九年に長銀から受けられた千八百四十八万円。本来なら、配当を払っていても、配当を払ったことがおかしいとして経営者が賠償請求、つまり返せと言われている。このお金を自民党はそのままもらって、はい、あとは公的資金か何かで、あれもこれも一緒になった穴埋めで済ませます、そういう態度をとられるのかどうか、はっきりしてください。
  103. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 その時点におきましては、それら金融機関におきましては、法定して献金のできる状況であったというふうに理解をいたしておりまして、今日のようなこの事態が生じるということについて、その時点にまで及んで私自身が理解をしておったということはあり得ないということでございます。
  104. 菅直人

    ○菅(直)委員 ですから、その時点でわからなかったことは仕方ないですよ。本当なら宮澤大蔵大臣あたりはわかっておられたはずなんですけれどもね、こんな状況だというのは。それはいいですよ、小渕さんがそのときには。しかし、平成十年十月二十三日、総理大臣の権限で、当時はまだ再生委員会大臣は決まっていませんから、総理大臣の権限で、この長銀を特別公的管理の決定をしたのは小渕さん本人なんですよ。そして、それに基づいて調べたらこういうことがわかってきた。わかってきた今日においてどうするかということを聞いているんです。お役人の答弁じゃないんですよ。  そのときはまだ長銀が赤字だとは知らなかった。しかし、今日になってみたら、平成九年には粉飾決算で、経営者が損害賠償まで受ける。そのときに千八百万円もらっていた、わかったんですよ。わかっていたんですよ、平成九年ですから。ですから、総裁として……(発言する者あり)総裁でない人がそばから余り茶々を入れないでください。総裁としてこの千八百四十八万円について、国民の皆さんの前で、いや、あのころは知らなかったから、そのままもらっておきますと言われるのか、いや、やはり公的資金を導入してやる以上は、当時赤字になっていたということは知らなかったけれども、今わかってみたら、これはやはりお返しすべきことが筋だ、私はそう思いますが、そういうふうに言われるのか、どちらですか。
  105. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 党におきましてどうした経理処理をしておったか、私自身、正直申し上げて、すべてを承知しておるわけじゃございませんが、今どのようにこれを処理してあるかということも調査の上、判断をすべきことだと考えております。
  106. 菅直人

    ○菅(直)委員 いいですか、ではちょっと方面を変えましょう、申しわけないですが。  幸福銀行という銀行が破綻をしました。幸福銀行はいろいろなグループ企業があります。閣僚の中でも、その幸福銀行から平成八年、平成九年、平成十年、献金を受けられた方があるんじゃないですか。例えば建設大臣、いかがですか。
  107. 中山正暉

    ○中山国務大臣 御指摘のように、私は大阪でございますから、私が昭和三十八年に市議会に出ましたときに、大野伴睦という先生がおられて、私は大変お世話になりました。その大野先生が親しくしていらしたのが、幸福相互の頴川さんでございました。私は、ほかの銀行から一切お世話になったことはございません。演説会にも呼んでもらったことは、郵貯との争いが少し起こったときに、そのときに銀行の集会に一回呼ばれた限りぐらいで、大阪にはいっぱい銀行がありますが、全くお世話になっておりませんでした。この幸福相互には私は預金もしておりませんが、そういう関係で、個人的に、平成八年に頴川さんから十五万円献金をいただいております。
  108. 菅直人

    ○菅(直)委員 数字はいろいろ合算するともうちょっとになるようですが、そこは一つ一つ言うことは差し控えて、話を戻しましょう。  総理、では調査をする、調査をして、でも自治大臣はさっき言われましたよ、千八百四十八万は確かにもらっているということを。もらっていることははっきりしている。調べられればわかります。その前の年も、その前の年ももらっておられるでしょう。(発言する者あり)何ですか、適法ならいいというのですか。余りほかのことを言わないでください。政治責任を問うているのですよ、政治責任を。  国民の税金をこれだけ使うときに、これが企業献金で——もうちょっと全体を言いましょうか。つまり、私、ここにおられないので名前を出すのは控えようかと思いましたが、当時、自民党政調会長だった池田さんがなかなか我々の法案に賛成をしていただけなくて、何でこんなに頑張るのかなと。池田さんにもいろいろと銀行の応援団がついていることが明らかになっています。  つまりは、政策がそういう献金によってゆがめられたのではないか。それを国民が疑われるから、企業献金を少なくとも個人にするのはやめようじゃないか。かつてのロッキード、かつてのリクルート、そういう趣旨から五年前にこの議論が始まって、さらに政党に対してもどうするかという議論があるわけですよ。  私は、本来のあり方としては、個人献金と、そして、個人の方が投票したときにちょうど二百五十円分、その投票した議員の所属する政党に配分される今の政党助成金、この形の方が、少なくとも一部の企業、一部の金融業界なら金融業界の利害からひもがつかない、それだけでやれるような政党を目指したい、目指すべきだと思っておりますが、今は一遍にそこまでいってはおりません。  具体的に、破綻をして公的資金を導入して、しかもその認定を行われたのが総理そのものである。千八百四十八万円もらわれたことははっきりと認められている。それでも、調査をした上で、そのことが、もうこれははっきりしていますが、そのままもらいっ放しでいこうというのですか。それとも、調査をした上で、今私が申し上げたようなことがはっきりすれば返却されるというのですか。そのことをお答えください。
  109. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 当時としては適法で、これは当時金融機関としても恐らく配当もしておったのだろうと思いますから、そういう意味で、その当時、自民党としてはこれをお受けいたしました。  しかし、この問題につきましては、今日、金融機関のみならずあらゆる機関に対して全体的に、いわゆる企業献金、組合献金というものをどうするかという問題としてとらえるべく、今三党におきまして、その入りの部分も含めて検討いたしておるところでございます。そういう意味から考えまして、全体で企業献金がどうあるべきかということについて三党として検討をいたしておることでございますので、その検討の結果を見ながら、最終的にどのように対応するかということにつきましては、党とよく相談をいたしたいと思っております。
  110. 菅直人

    ○菅(直)委員 今の答弁のままじゃ、私は納得できませんよ。ちゃんと聞いていたでしょう。配当していたんですよ。その配当が粉飾だったということで、この損害賠償が提起されようとしているんですよ。  だから、今から見れば、その段階では配当があったかもしれないけれども、大蔵大臣責任もあるんですよ、こんなところまで持ってきた。そういう責任者が、何か人ごとみたいに、与党三党の議論を待って、一般論で、一般論は大いにやってください。少なくとも、この長銀、後ほど時間があればこの譲渡の問題もやりますけれども、大変国民が不審に思っているこの長銀の、三兆円を超す公的資金を導入するときに、その穴埋めの先から自民党が平成九年まで毎年毎年お金をもらっていた、千八百万円以上。納得するんですか。  私が言っていることがうそだったら、総理も反論してください。せめて私は、そういう配当が粉飾だと指摘をされている、あるいは金融監督庁でそういうことがはっきりしている、自分でわかるんですから、そういう時期のものについては変えるべきではないか。日債銀もそうです、幸福銀行もそうです。ですから、まずそれを調べた上で、そうなったときにはそういうことをされると約束できるかどうか。  さっき調べると言われたんだから、調べた上でどうするかだけ言ってくださいよ、こうだったらこう、ああだったらああと。小渕総理お答えください。
  111. 保利耕輔

    ○保利国務大臣 後ほど総理からもお答えがあるのかもしれませんけれども、事実関係では、今私の手元にありますのは、平成八年、九年分が千八百四十八万とあるわけであります。それは国民政治協会、自民党の政治資金団体でありますが、そこへ寄附をされているというふうにつけ加えさせていただきます。
  112. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 その時点で金融機関が粉飾をしておって、そして、そういう法的な問題としての処理を明確にされておるということでない段階におきまして、今からその点について、党としてこの受けられた献金をどうするかということについて申し上げることはなかなか難しい、こう申し上げているんです。
  113. 菅直人

    ○菅(直)委員 ですから言っているんでしょう。粉飾があったことが明らかになった場合には返却するということですね、それでは。今はまだ粉飾であることが明らかかどうかわからない。それは、越智さんに聞けばわかるかもしれませんよ。だって、検査をしているんじゃないですか。——ちょっと待ってくださいよ、総理に聞いているんですから。だから、それが今明らかになっていないから、今すぐは言えないと言われた。  それなら、それを調べた上で——大体、だれが考えたって粉飾ですよ。たった一期や二期で、三兆数千億の公的資金が必要になりますか。総理がもともとこれを特別公的管理に移したときの不良債権の、いわゆる債務超過は幾らと言われましたか。数千億ですよ。たしか二、三千億ですよ、ここに数字がありますが。たしか二、三千億の不良資産だと言われたんですよ、債務超過だと。そうでしょう。たしか大蔵大臣じゃなかったですか、宮澤さんも。それが、あれよあれよという間に二兆になり三兆になり、数日前の答弁では三兆六千億プラスアルファ。プラスアルファは瑕疵担保で、一体幾らになるかわからない。一説には、さらに一兆円ぐらいかかるかもしれないと言われている。  そういう議論をしているさなかに、これがたった一期でできる粉飾ですか。だれが考えたって、何年にもわたって粉飾に粉飾を重ねている。現実に当事者が、こんなことは昔からやっていた、大蔵省にはもう前から言って知っているはずだ、今さら言われたって困るなんということを言っているじゃないですか。そういう情況証拠からすれば、あるいは民事訴訟が起きるということから見ても、平成十年になって突然、粉飾でなくて赤字になったというんじゃなくて、その前から粉飾だったことはほとんど明らか。  ですから、大いに調べてください。調べた上で、粉飾であったということが明らかになった場合は、自民党の献金はお返しになるのかどうか、国民の前ではっきり答えてください、小渕さん。——だめですよ、小渕さんです。
  114. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私の名前にも御言及がございましたので、今のお話をこういうふうに承っております。  平成九年に国民政治協会に銀行から寄附があった、そういう事実を法務大臣は言っておられます。他方で、そのとき銀行が配当していたか、しておりました。そういう意味では適法である。おっしゃいますのは、その配当が粉飾であっただろうということを言っていらっしゃいます。そのことはだれも実は確認しておりませんから、訴訟が起こっているわけです。訴訟をした人は、それは粉飾である。  客観的に考えますと、あの長期銀行が平成九年にした配当が粉飾であったかないか、今おっしゃいますほど、私は明らかではないと思います。長期信用銀行は、そのような形で倒産したのではありません。現実に、平成十年に政府は公的資金の導入をしておるわけですから、配当が粉飾であっただろうとまでは言えない、それは訴訟を待たねばならないと思います。  仮に訴訟が……(発言する者あり)ちょっとお待ちください。訴訟が、配当が粉飾であったと最終的にしたときには、それはどうなるんでしょうか。配当した人はその罪を免れないと思いますが、その配当は全部回収されるでしょうか。そういうことは恐らく現実の経済状況としてはあり得ない。その配当は恐らく多くの人が適法になされたと思っていたので、仮に訴訟が最終的にそれが粉飾であったと、私はそうは思わないが、あったといたしますと、関係者は処罰を受けるであろうけれども、その配当を受けた人から配当が回収されるとか、適法と信じて行った行為がみんな無効になるとか、私はそういう理屈にはならないと思うんです。  ですから、理屈はそういう理屈であって、おっしゃいますことは、理屈はそうでも政治的にどうするのかというお話なら、それはそれでよろしゅうございますが、それを理詰めで押すことには私は無理があると思うのです。
  115. 菅直人

    ○菅(直)委員 いいですか、私は宮澤さんにわざわざお聞きするつもりはなかったですけれども、私は、国民の皆さんに聞いてもらってよかったと思いますよ。今の理論は何ですか。長銀の株を持っていた人が、結果的には粉飾だと紙切れになったんですよ、そのまま持っていたら。それは、確かにそのときに配当をもらった人もあったでしょう。だから、そういうことを、うそをついて配当して、場合によったら、その高い金で株を買った人もあったでしょう。そのかわり赤字まで問わないというのが今の、まさに釈迦に説法ですが、株式会社制度ですから。  それと、一株主が普通の株式売買で買って、幾らか配当をもらってそれを返さないのと、自由民主党という与党が、大蔵大臣も出している与党が、監督権を持っておる与党が、千八百万円毎年毎年もらって、いや、当時は株主と同じで全然知りませんでしたから、そんなものを返す必要はありません、法論理としてありません。それは、立派な、弁護士としては通用する理論かもしれないけれども、国民の皆さんがそんな理屈を納得しますか。総理、はっきりしてください。
  116. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 総理と総裁ということで分けていろいろお尋ねがありますが、総理としては、今般のこの長銀も含めた事犯については、今現在、最終的な結論がどうあるべきかということでやっておる段階でして、それを、あらかじめこうなるのだということを私が認めた上で、その後の措置についてどうしろ、こう言われると、それはなかなか難しいということを申し上げているのです。  したがって、そうした結果が出た暁のことを、私がそういう結論づけて、総理として、されるということは、法治国家としてどう対応するかということを、あらかじめ予断を持ってこの事件の処理についてお話をしなきゃならぬということでございまして、その結果というものが出てまいりますれば、これは当然、党としてどう対処するかということは、ひとり総裁だけでなくして、全体的に、企業献金のあり方も含めて相談をする中で対処することは、当然あることだというふうに考えております。
  117. 菅直人

    ○菅(直)委員 いいですか、もう一回だけ言っておきますよ。昨年、総理自身が公的管理に移したときの破綻認定時の債務超過は三千四百億と発表されたんですよ。それが、平成十一年三月期は二兆七千八百億、十倍近くにふえ、先週の越智大臣の答弁では、三兆六千億プラスアルファは入れなければいけない、こういう答弁ですよ。  決して私は、粉飾かどうか五分五分だとか、二分、三分でわからないと言っているようなところを言っているんじゃないですよ。  では、総理の今の答弁は、粉飾であることが、金融監督庁の調査でも結構、あるいは裁判の結果でも結構、少なくとも社会的に見て明らかになった段階で、公党としての自由民主党が、これはどうもその可能性が極めて大だと判断された段階で返却されるんですね。はっきり言ってください。
  118. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 当然、公党としては適切に処置をすると思います。
  119. 菅直人

    ○菅(直)委員 適切というのはどういうことですか。国民にわかるように言ってください。
  120. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 十分調査の上、適切に対処いたします。
  121. 島村宜伸

    島村委員長 総理、もう一度今のお話を言い直してください。
  122. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今度は自民党総裁として申し上げれば、自民党も国民の理解と協力にのっとって政権を担当しているわけでございますから、国民の理解を求めるよう適切に対処いたします。
  123. 島村宜伸

    島村委員長 それでは、議事を続行いたします。菅君。——小渕総理大臣
  124. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 先ほど答弁いたしましたことに責任を持ちます。
  125. 菅直人

    ○菅(直)委員 最終的には、国民の皆さんがどう判断されるかです。  つまり、総理が、あるいは自民党総裁が答えられない理由というのはあるんですよ、実は。  かつて自由民主党は、相当の借金を財界からされて、そして、金融界から自粛すると言われながら相変わらずこういう形で献金を受け続けて、その借財を相殺するという処置をとってこられたことを、国会の場でも何度も言われました。ですから、長銀で返却すると言うと、当然、日債銀も同じようにやらざるを得ない。幸福銀行からも、それは長銀や日債銀に比べれば小さいですが、自民党として受け取っている。国民銀行、なみはや銀行、新潟中央銀行、東邦生命、日産生命、破綻した金融機関からほとんどと言っていいほど自由民主党は献金を、私の調査では受けておられる。もちろん、破綻しない銀行からもそうでしょう。  だから、破綻した銀行から受け取ったものについてある基準で、つまりは、本来なら配当すべきでないときや、わかればそれ以降は全部返すと言えば、多分相当の金額になるでしょう。そのことを知っておられるから、非常にあいまいな言葉しか言えない。  これが野党なら、銀行検査をしているわけじゃないから。銀行検査をしておる責任者がいるんですよ。どういう決算をしているかということがわかっている大蔵大臣もあれば、金融監督庁の大臣もいて、そういった意味では、国民の皆さんがこの私と小渕総理の議論を聞いて、ああ、自民党というのは企業献金をきれいに使ってやっているというふうに思うか、それとも、企業献金の中でも、ましてこういう破綻したような銀行からまで、一たんもらったものはもう返さない、こういう形でやっているのか、私は、このことを国民の皆さんはぜひ見ておいていただいて、次の選挙で判断を下していただきたいと思います。  少し話を飛ばしたいと思います。  次のサミットを、小渕総理は沖縄でやることを決断されました。私はそのこと自体は、いろいろな懸念はないことはありませんが、一つの決断として評価をしたいと思います。  それを前にして、普天間の移設問題、これについて、沖縄県知事は、使用期限十五年ということを一つの公約として選挙戦を戦われました。しかし、アメリカサイドは、十五年という形で期限を切られることは困る、こういう趣旨のことをいろいろ発言されています。  いよいよこの問題のある意味での方針を決めるに当たって、総理としては、沖縄県知事が移設条件に掲げられている米軍使用期限十五年という、この稲嶺知事のいわば考え方に対してどういう立場に立っておられるのか。知事が言われるとおりそれを守るということなのか、知事が県民に約束したことを政府としても守るという方針なのか。それとも、いやそれはお約束はできない、そういう立場なのか。沖縄県民に対しても国民に対しても、はっきりとした考え方をお示しいただきたいと思います。
  126. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 普天間基地の移設につきましては、去る十一月二十二日、稲嶺知事が移設先について御提案をされ、また今月三日には、知事から名護市長に対し受け入れの要請がされたものと承知をいたしております。  政府としては、今後なお地元名護市の御理解と御協力をいただく必要があることから、その動向を見守りつつ、御指摘の問題につきましても種々の要素を総合的に勘案しながら考えてまいりたい、こう考えております。
  127. 菅直人

    ○菅(直)委員 今の答弁はどういうふうに理解すればいいんですか、どういうふうに。  私がお聞きしているのは、知事は、沖縄県民に対して、米軍使用十五年ということで選挙戦を戦われ、そして今回、名護の市長などとも話し合われている、このように聞いております。政府はその移転を後押しされていることは、もちろんお認めになるでしょう。そのときに、この十五年という期限を切ることについて、総理として、内閣として、どういう姿勢をお持ちなのか。まだ何にも決めていないということですか。それとも、知事の意向を酌み取ろうということですか。それとも、それは無理だということですか。はっきりしてください。
  128. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 申し上げましたように、稲嶺知事の御決断がございまして、それを今、現地の名護市におきまして受け入れるかどうかというお話をされて、地元市長さんも御判断をされるんだろうと思います。その経過の中で、稲嶺知事も岸本市長と先般お目にかかられたようでございますが、その内容をすべて承知しているわけではありませんが、知事の意向、それに対して地元岸本市長がどのように考えるかというような、事の経過を踏まえながら国としては考えていくべきであろう、こう申し上げておるところでございます。
  129. 菅直人

    ○菅(直)委員 ちょっと話が逆じゃないですか。  知事が地元市長と話し合われている。多分、知事は、この十五年ということを前提として話し合われているんでしょう。そうすると、市長は、例えばそういう条件ならオーケーということを言われるかもしれません。しかし、後になって、いや知事はそう言ったけれども政府としてはそれは無理だという話になるなら、それは、今の段階で何らかの一つ政府考え方を伝えるのが本来であって、逆に、その話が進んでいるから、アメリカとのまさに外交問題であるこの問題を、総理が、いや市長と知事の話が進んでいるから今は黙っておくなんという姿勢が成り立つんですか。市長が、あるいは知事がアメリカと交渉する責任者なんですか。そうじゃないんでしょう。  十五年どうこうというのに対して、アメリカの方が、期限を切られるのは安全保障上問題だといったようなことで難色を示している、その交渉に当たるのは政府じゃないんですか。責任者総理じゃないですか。その立場の人が、知事と市長の話を待っているなんというのは、全く論理矛盾だ。もう一回答えてください。責任ある答えをしてください。
  130. 河野洋平

    河野国務大臣 先般、私はアメリカへ参りまして、アメリカの外務大臣に相当するオルブライト国務長官にお目にかかりました。今、日米外相会談を行えばこの問題に関心があるのは当然でございまして、二人でこの問題についても話をいたしました。  WTO会議の前でございましたから、そう長時間というわけにはまいりませんが話をした際に、この問題については沖縄県知事から政府に対してお考えが提示されました、そして、その知事のお考えの中には、地元の、つまり県内移転という決断を知事はなさって、そして県内の候補地というものをお考えになっておられるので、今地元でさらに御相談、お打ち合わせがあるというのが現在の時点でありますということを私から説明をいたしまして、先方からは、関心を持って見守っております、こういう返事がございました。  今総理から御答弁を申し上げましたように、当然、政府部内で地元の御相談というものを慎重に見守りながら、この問題を、最終的に政府としての判断をしていかなければならない、そういう場面だと御理解をいただきたいと思います。
  131. 菅直人

    ○菅(直)委員 御苦労されていることがわからないわけではありません。ただ、だからといって、あいまいなまま一方で物事が進む、つまりは、十五年という期限を前提として知事と市長の話が進む、しかし一方で、アメリカと日本の間ではそういうことは全く、いわばそれは難しいという趣旨がアメリカから、私は実質的には伝えられてきていると思っていますが、伝えられてきている、そこを政府が玉虫にしたまま物事を進める、私は、このことは決していい結果を生まないんではないか。確かに厳しい問題ではありますけれども、それをきちんと説明すべきときは説明するのが政府責任である。  また、それを含めて、県内移転というものが、これは我々すべての責任とも言えますが、沖縄県民に過大な責任をこれからもかぶせ続けることになるわけですから、それ以外の手当てがないのか、これについても改めて議論をすることにもなるわけであります。  私は、どうもこの自自公政権というのは、先ほど来申し上げておりますように、自由党との政策の合意と言われるものも、私が知る限り、ほとんど合意らしい合意が実行されたものはない。公明党の主張も、政治献金の問題を中心に、すべては自民党と政権をともにするためにはまあ仕方がないといって、それにすり寄っている。さらには、自民党自身も、今の問題のように、あるいは金融再生という問題の大変大きなさなかに、これからまた交付国債を来年度予算では拡大して、そうした破綻銀行の処理にさらに備えよう、そういう折に、そういう破綻した銀行からもらったお金も返すとはっきり言えない。こんな無責任な政権がこれ以上続いて一体日本がどうなるのか、こういう思いを持たれている方は、私は国民の中で大変多くおられるというように思います。  そういった点で、きょうは私は一時間十分という予定ですので、後は同僚の横路議員に譲りたいと思いますが、そうした自自公政権の余りにもでたらめな政治のあり方について、これからも厳しく対峙をしていきたいということを申し上げて、後を譲りたいと思います。
  132. 島村宜伸

    島村委員長 この際、横路孝弘君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。横路孝弘君。
  133. 横路孝弘

    ○横路委員 主として総理にお尋ねをしてまいりたいと思いますが、最近、新聞の川柳にこういうのが出ていました。「チンしてもだんだん味が悪くなり」今国民は怒っているんですね、この自自公三党政権に、小渕政権に。  怒っている一番大きな問題は何か、介護保険の問題です。二十一世紀日本の社会を考えた場合に、やはり今、介護の体制をしっかりどう整備するのかということは、政治の抱えている一番大きな課題です。それを、公的介護保険制度の導入ということで、国会でいろいろ議論があったけれども決めた。その決めたことに従って、地域の中で、全国本当に無数にあちらこちらの地域の中で議論が行われてきたわけであります。  まず、市町村も、初めは消極的なところも中にはあったかもしれない。しかし、だんだん地域の皆さんと議論をしていって、この地域の福祉をどうしていくのか、そして来年の四月を前にして、数十回、数百回、地域の人々とひざを突き合わせていろいろ議論をして話を聞き、説明会を積み重ねてきた。多くの市民の人たちも、これから老後を迎える人も含めて、やはりなれ親しんだ地域の中で生活をしていきたい、そのためには自分たちの老後を含めてこの地域の福祉というものをどうしていったらいいのか、市民の人々も積極的に議論に参加をした。  あるいはまた、企業家の皆さんも、ベンチャーと言われますけれども、この際福祉の事業に取り組んでみよう、これもまた全国でたくさんの新しい福祉の事業が誕生しようとしています。そしてまた高齢者の方も、今までは政府が決められたとおり選択権はなかった、今度は保険料を出すわけですから、自分たちに選択ができる、同時に供給する側にも意見をもっと言えるようになるんじゃないか。現に、各地域の中では、特別養護老人ホームだとか病院だとかいろいろな施設に対する注文も市民の側から出てきたんですね。  こうして市民のNPO、市民の事業も活動が活発になってきた。行政も事業者も、それから市民もお年寄りの人たちも、みんなが一緒になって、この地域における介護の体制、それを含む福祉というものをどうするか、大いに議論が盛り上がってきたところで今回の決定ですよ。今までの積み重ねをひっくり返して三党が強引に決めて、政府もそれを受け入れた。みんなが怒っている。総理、わかりますか、こういう状況に今あることを。
  134. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 御指摘の今回の措置は、おおむね半年間、保険料にかかわる部分について実施しない、国が医療保険者に財政支援を行う、現にホームヘルプサービスを利用している低所得者の利用者負担は当面三%程度に軽減するという与党三党の申し入れを重く受けとめて、政府としては方針を決定したものでございまして、今回の措置は、いずれも、介護保険法を円滑に実施するため、国民の皆様が新しい制度や負担になれるまでの間、経過的激変緩和措置を講ずるものであると考えております。  今、横路委員御指摘のように、来年四月一日から実施をするということで、各市町村におきまして熱心な準備を進められてきたということは十分承知をいたしております。しかし、政党政治という立場で、三党の合意によりまして今冒頭申し上げましたような措置を講じたことでございまして、すべて怒っておるというお話でございますが、中には、こうした形で保険料を半年間でも経過的に取らない、こういう措置その他につきましても、各市町村におきましてその点については理解が深まっている点もありまして、すべからくよりよきものを目指していくというのは政党政治として当然のことであり、政府としてもそれを受けてこのような決定をいたしたことに私は誤りがなかった、このように考えている次第でございます。
  135. 横路孝弘

    ○横路委員 だんだんと議論をしていきたいと思いますが、最近の世論調査で、三党、自自公政権に対して否定的な見解が六割、今回の介護保険にかかわる措置につきましても、これは認められないというのがやはり六割という最近の世論状況になっているのであります。  そこで、今回の介護保険制度の見直し、この一つのきっかけになったのが、自民党の亀井政調会長の子が親の面倒を見るのは我が国の美風であるという発言がベースになっております。このような美風を損なうこの制度は問題がある、こういう発言をされて、そこから議論が始まったのですね。この発言を結局最後には総理も受け入れたということになるわけでありますけれども、総理はどう考えますか、この亀井発言について。
  136. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 いろいろの議論の経過はあろうかと思いますけれども、やはり与党第一党、亀井政調会長御指摘の点につきましては、そうした点もあろうかというふうに判断いたしております。
  137. 横路孝弘

    ○横路委員 私はできるだけ、事実関係を私の方から指摘いたしますので、総理のお考えをお伺いしたい。各大臣は御指名をいたしますので、そのときにお答えいただきたいと思います。  これはしかし、総理、非常に基本的なところなんですよ。総理自身は亀井さんとは違う考えなんですか。今この介護をめぐる状況というのは非常に深刻になってきているわけです。みんなだれでも家族の愛情ある介護は大切だと考えてやっているんですよ。しかし、それがもう肉体的にも精神的にも限度、限界を超えているというところにこの制度を導入した大きなスタートがあったわけですね。  まず第一に、介護は非常に長期化をいたしております。今家族介護をされている世帯が百十万世帯、寝たきりの方を抱えている世帯が三十二万世帯と言われています。そして、寝たきりの方のうち、半数以上は三年以上寝ておられるんですね。介護はだんだん長期化している。そして、介護者の方も高齢化している。その寝たきりの方を介護している半分以上は六十歳以上です。四分の一は七十歳以上ですよ。七十歳以上の方が九十以上の方の面倒を見ている、こういう状況なんですね。  しかも、最近は一人で二人以上の方の面倒を見ている、こういう介護の現実にもあります。あるいは遠距離介護、例えば長男のところでもってお母さんの面倒を見ている、私たちも協力しようというので、朝家を出て夕方までそこで面倒を見る、こういうような方もふえてきている。さらに、重度化してきますと、なかなかやはり素人じゃ面倒を見切れない。どうしても、やはり専門家の介護というのも、バックアップというのも必要になってくる。こういう今日の介護をめぐる深刻な状態ということの中から、いろいろ議論をして、この介護保険制度というのはスタートしたのですね。  だから、亀井さんの言っていることは全然現実を見ていないわけですよ。それを我が党の政調会長の言ったことだから、これを受け入れてやりましたなんというのは、それは総理大臣、みんな国民はがっかりしますよ。
  138. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 まず、もともとこの介護保険制度を導入しようとしたことにつきましては、今横路委員おっしゃっていたこと、これは共通の認識があったと思うんですね。したがって、やはり保険制度といいますか、国民もその保険を支払うということと同時に、老後についても安心感が得られるような形として、この制度は、御案内のとおり、まだ各国すべてやっているわけじゃありませんが、ドイツの例に倣ってこれを導入したということは、コンセンサスがあったと思うんです。  ただ、亀井政調会長のおっしゃるのは、その中で、いかにしても、機械的といいますか、そうした形で子供が親の面倒を見るという精神が失われてはいけないのじゃないか、こういうことを問題として提起をされたことではないかというふうに考えております。  先般も、今お話しのように、老老介護の問題につきましても、百歳を超える方を七十歳の方が、行天さんと言われましたかな、ドキュメンタリーがありまして、私も眼を大きくして見ておったのですが、実に、こうした中で家族介護の難しさ、問題点は承知をしておりますが、さりながら、息子さん、すなわち七十歳を超えられる方が、親であるがゆえにやはり自分で面倒を見ようという気持ちもその気持ちの中に大きくあってこそまたできるということでありまして、その点が介護保険という名のもとに忘れられてしまってはいけないということで、亀井さんとしては、みずからの生活体験も含めまして問題を提起された、こういうふうに私は理解しております。  御指摘のように、亀井さんの言っていることを受けたからすべてそれを処理しよう、こういうことでないことは、今回三党が申し出いたした点につきましても、いわゆる家族介護の慰労金の問題につきましても、それはそれなりの効果が発揮のできるように、介護保険制度が出発をいたしましても必ずしもまだそれがすぐ実行のできないような地域も含めまして、また、この保険制度が出発のできないような地区における介護に対しての手当てとして、慰労金の制度として政府としてはこれを受け入れさせていただいたということにおいても御理解が願えるのではないか、こう考えておる次第でございます。
  139. 横路孝弘

    ○横路委員 その点は後で議論しますが、総理、みんな全国どこでも、やはり子供は親のことを心配して、できる限りの努力をしているのですよ。していますけれども、例えば痴呆性が厳しくて、もう一日朝から晩まで全然家も出られない、そういう方もおられるのですね。ですから、少し社会でバックアップしようじゃないか、こういうことなんですよ。  総理、ことしの補正後の予算は八十九兆円です、大体。そのうちの公債発行額が三十八兆円ちょっとですね。それで、依存度が四三・四%。今回の補正予算でも、全体の事業費十八兆円、七兆五千六百六十億の公債の追加発行ですね。しかも、税などの減収が一兆四千億以上あるということになっています。歳入欠陥もある中で、財政もなかなか厳しいわけですね。そうした中で、市町村は、保険料を取ってやりましょうということで、みんな議論をして順調に進んできているのですよ。財政のことを全く考えないのですか。それは、確かに景気対策に必要だ。しかし、地域が議論をして、地域の国民合意の上で、保険でやりましょう、四月からスタートしようと言っているときに、どうしてわざわざ、この財政状況厳しく歳入欠陥のある中で、赤字国債をまた発行してこういう措置をやるのですか。  総理の頭の中に——総理です、これは。総理の頭の中に、今、一体財政という問題についてどう考えておられるのですか。わざわざ何もこういう措置をとることはないじゃないですか。少しでもやはり財政の歳出はチェックをするということが必要でしょう。全然考えませんでしたか。どうなんですか、総理
  140. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 これもしばしば申し上げておりますけれども、財政再建ということを常に念頭を去らずこの仕事に専念をしておるつもりでございますが、しかし一つは、言うまでもありませんがこの景気回復しなきゃならぬということで、財政再建に対しての法律もこれを凍結させていただきながらも、何とか経済再生のために必要としておるわけでございます。  一方、社会保障関係につきましては、本来的にもこれから十分な検討をしなきゃならぬことはけさほど申し上げましたけれども、しかし、その中における介護保険につきまして、先ほど申し上げたように、やはりスムーズに来年四月からこれを実行するために、四月からの保険料を納めていただくことにつきましては、この際、財政支出はありましてもこれはやらなければならない、こう考えたわけでございます。この点につきましては、申し上げましたように、三党としても種々いろいろ検討いたした結果、そのような措置を講ずることがより望ましい、激変緩和にもなる、こういうことでございましたので、なるほどこれを財政面から考えますと大変な負担ではありますけれども、これを実行することが現下必要と考え予算的に措置をさせていただいた、こういうことであります。
  141. 横路孝弘

    ○横路委員 市町村は喜んでいませんよね、市長会も町村会も。今回の措置、何だと言っているじゃありませんか、全国知事会も。  私は、相当考え違いをされているんじゃないかと。国民は負担を軽減しさえすれば喜ぶんだ、無料にさえすれば喜んで自自公に投票してくれるんだというように考えているんじゃないんですか。国民は違いますよ。税についての最近の世論調査を見てごらんなさい。一生懸命働いてちゃんと税金を納めますよ、しかし、その納めた税金はちゃんと使ってくれ、現在と将来の国民のために使ってほしいということなんですよ。  地方で議論してきて、保険でやりましょうといって、みんな順調にずっと作業が進んできているのに、なぜわざわざこんな措置をするんですか。私は、今回の三党の措置、そしてそれを政府が受け入れたというのは、ある意味では国民をばかにしている、そういう措置だと思いますよ。総理、いかがですか。
  142. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 マスコミ的に言えば巨大与党ということだと思いますけれども、これだけ多くの国会議員が内閣をともにしていたそうという、その基盤になっておるのは三党でございまして、その三党の政策担当者が種々検討の上、現下においては、四月以降の保険料についてはこのような措置を講ずるということをいたしたわけでございますので、政府としては、それを真剣に受けとめて対処したということでございます。その正否については、これは結論を言えば、国民が判断されることだろうと思いますけれども、その点については、我々としては、この政策をとることが、結論的には、現下の介護保険という日本で初めて取り組まなきゃならないこの制度をより円滑に推進するために必要だという認識をいたした結果、このように措置した、こういうことであります。
  143. 横路孝弘

    ○横路委員 要するに、はっきりしたのは、三党のことだけ考えてやったということですよね。地域の中で努力してきた自治体のことも、介護で毎日苦労している人のことも全然頭にない。三党で決めたから、三党で決めたから。地域の中では、全国で二年以上議論してきたんですよ、総理。  総理、今、例えば六十五歳以上の方は半年徴収凍結、一年間半額、その後どうされるつもりなんですか。
  144. 島村宜伸

    島村委員長 丹羽厚生大臣。(横路委員「いや、総理総理」と呼ぶ)丹羽厚生大臣委員長の整理権。
  145. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先ほど来、私の担当しております介護保険の問題について委員から御懸念の御質問がございました。  まず委員に御理解をいただきたいのは、現在寝たきりのお年寄りが……(横路委員「質問だけに答えてください、時間がないんですから。だめだよ、こんなの」と呼ぶ)わかりました。じゃ……
  146. 島村宜伸

    島村委員長 答弁続行願います。
  147. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 なるべく手短に答えます。手短に答弁します。  要するに、先ほど来総理が申し上げておりますように、これまで、率直に申し上げて、お年寄りの皆さん方からこれだけの保険料をいただくという機会がなかったんです。それで、実際問題として、私どもはいろいろな市町村からお話を聞きました。特に、横路先生の御地元の北海道では日本一高い保険料です。そういう問題もありますし、市町村によって、あるいは首長によって大変温度差があるということも事実です。  担当大臣といたしましては、要するに、やはりみんながこの寝たきりのお年寄りの問題を解消するために立ち向かっていく、こういうつもりで四月から円滑に実施するということが何よりも一番大切なことだ。そういう中で、先ほどから総理が申し上げておりますように、例えば特別養護老人ホームの場合には、これまではいわゆるサービスの利用から……(発言する者あり)いわゆる措置制度からいわゆるサービスになる、こういうことについて国民の皆さん方に御理解をいただく。一番大切なことは、横路委員、一番大切なことは……(横路委員「聞いたことに答えなさいよ」と呼ぶ)一番大切なことは、来年の四月から要するに介護保険制度を円滑に実施する。そのために私どもは、この問題は今先生がおっしゃったような選挙目当てとかそんな問題、政争の具ではなくて、要するに国民がこぞってこの問題について議論をして、そして円滑に実施していくことが最大の課題、このように認識しております。
  148. 横路孝弘

    ○横路委員 委員長、ちゃんと私が——いや、もういいです。厚生大臣、結構です。きょうは総理と議論するのですから、この場所は。総理はきょうしか出席しないのでしょう。ちょっと、総理大臣。——もういいです。(発言する者あり)
  149. 島村宜伸

    島村委員長 横路君に申し上げます。  やはり総理も人間ですから、始めから終わりまですべてを総理に聞くというのは無理があります。その点は御配慮願います。
  150. 横路孝弘

    ○横路委員 私は何か難しい数字や何かを聞いているわけではありません。公的介護保険制度の基本的な考え方、そしてどれほど地域で努力をしてきたのかということを聞いているわけですよ。  総理総理は今回の演説の中で、二十一世紀に向けての社会的な基盤の整備ということを強調されました。私は、二十一世紀日本の社会というのは、一つはやはり情報社会、一つは環境循環型の社会、もう一つはやはり福祉社会だ、このように考えているのですね。その福祉社会の最大の基盤というのは、介護の体制を整備することです。  では、その介護の体制をだれが責任を持って整備するのか。全部政府がやれるか。政府が全部はできませんね。しかし、中央政府、地方政府は介護の基盤をしっかり整備をするという責任は担ってやっていかなければいけない。特に、市町村にとっては、福祉というのは基本的な仕事であります。  それから、では民間の市場は全部供給できるか、これはできません。しかし、やはり民間の、この公的介護保険制度でいろいろな福祉の企業が生まれたように、新しい参入もあるでしょう。  同時に大事なのは何か、やはり市民の参加、協力ということなんですね。市民事業も最近非常にふえてまいりました。いろいろなNPO活動も盛んだ。そうすると、やはり問題なのは、こういう協力が必要なんですね。行政も基盤を整備するのにやろう、新しく企業が参入してサービス提供できるところはそれもやりましょう、同時に、市民も地域の中でしっかりと参加をして、そして地域の中にそういうネットワークがしっかりできるということがなければ、日本の高齢社会というのは乗り切っていくことはできません。そのための公的介護保険制度だったのですね。  だから私は総理に聞きたいのですよ、今回のような措置をとった後どうするつもりなんですかと。この公的介護保険制度でやるというのか。なぜならば、三党の中には、税の方式を入れるべきだとか、施設は税であとは保険でとか、いろいろ議論がありますでしょう。だからこれは総理大臣にお伺いしているわけなので、基本的な考え方ですから、これからの二十一世紀の福祉をどうするかという、私が今お話を申し上げた、我々は、公的なセクター、民間セクター、市民セクター、それぞれ役割分担を果たしながら、しっかりと地域にネットワークをつくってこれを乗り切っていくということしかないだろうと考えています。そのための公的介護保険制度だと。総理、どうですか。
  151. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 政府といたしましては、来年の四月からの介護保険法の円滑な実施に万全を期していく所存でありますが、今回の与党合意において、制度の実施状況を見ながら三党で協議するとされていることから、政府においても、与党協議の結果や介護保険法の見直し規定も踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。
  152. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 今、横路委員の御質問の中で、要するに、これからお年寄りをどうやって支えていくかという大変重要な御指摘がございました。私も実際現場を見たり、いろいろお話を聞いてみまして、全く同じ認識に立っているものでございます。特に、要するに、要介護ではない、自立と判定された方々、こういう方々に対しては、今先生からお話がございましたようにボランティアであるとかNPOであるとか、こういう方の御支援を得ながら地域づくり、町づくりというものを進めていかなければならない、このように考えているような次第でございます。
  153. 横路孝弘

    ○横路委員 今回の措置をとった後はどうお考えになるのですか、総理基本的に。さっきから聞いている点なんですよ。今、六十五歳以上の方について半年徴収を凍結して、その後一年間半額ですよね。その後どうするんですか。その点だけ、総理、ちょっとお考えを。  これはやはり総理のリーダーシップ、日本政治の今一番大きな課題一つじゃないですか、介護の問題というのは。それについて、総理自身がどういう社会をつくっていくのかということを何も答えられないんじゃ、これは本当に情けなくなりますよ。ちょっとその基本的なお考えだけお答えください、総理
  154. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 三党協議を受けまして政府が決定をいたしましたことは、半年間保険料を免除して、その後は要するに一年間半減する、その後は予定どおり保険料を実施させていただく、こういうことであります。二分の一についても同じことでございます。  以上です。
  155. 横路孝弘

    ○横路委員 そうすると、自由党の考えている税方式はとらないで、今の保険制度でやるということですね。それだけ確認をいたします。  次に、この問題、福祉はやはり中心は、市町村の大きな仕事だろうと思うのですね。市町村がどう考えるか。  今回の公的介護保険制度は、いわゆる地方分権の中で自治事務ということになりました。したがって、公的介護保険、法律にも書いてありますけれども、市町村が必要な費用を徴収するということになるわけです。  そういう中で、今回政府は、費用を徴収するかしないかは自治体の自由ですよ、しかし徴収しないところには交付金を出しますよ、徴収を地域でしたところには出しませんよということを決められました。  これは、地方自治をこれから進めていこう、できるだけ自治体がいろいろ考えて、どういう保険料にするか、どういうサービスを提供するか。サービスの提供を少し広げて、保険料は高くなってもその方がいい。いろいろな議論があったわけですね。いろいろな議論があった。これに対して政府が今回とった措置は、そうやって、地域で意欲を出していろいろなことをやろうという芽を摘んで、また昔の機関委任事務のように、右向け右と言ったらみんな地方自治体は右を向く、左向けと言ったらみんな左を向くというようなことの発想に立っているじゃありませんか。基本的に、今回の考え方は、自治事務、地方自治、これを否定する考えだと私は思いますよ。  だから、ここで御質問をいたしたいと思いますけれども、地方の中では、やはり積み重ねてきたのだから徴収をちゃんとする。しかし交付金を、徴収しないところは出す、するところは出さないというのじゃこれはおかしい話ですから、ちゃんと交付金を出して、そのかわり、基盤を整備したり、あるいは将来保険料を抑えるために基金に積んでおくというような選択権を与えてほしい、地方自治体に。  やはり、一生懸命やってきたところと余り準備が進んでいない、おくれているところとあるわけですよ。今政府がやろうとしているのは、今まで余りやってこなかったところを基準に置いているんですね。進んでやってきたところをさらにバックアップするという政策じゃないじゃありませんか。日ごろ言っていることと全く違うことをやろうとしているんですよ。私は、自治体に選択権を与えるべきだ、六十五歳以上の高齢者、今回の措置について、このように思いますけれども、いかがですか。
  156. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まずそもそも、今回の臨時特例交付金の使い道でございますが、あくまでも、高齢者の保険料を施行の当初の半年間は徴収しない、それから一年間は保険料を二分の一にする、こういうことが要するに今回の交付金の使い道の目的でございます。  今先生がおっしゃったような御意見が一部にあることは私も十分に承知をいたしておるわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、これはあくまでも保険料の猶予あるいは軽減に対する交付金であるということでありまして、これが基盤整備であるとかホームヘルパーであるとか、要するにどう使ってもいいということになるわけにはいかないわけでございますし、市町村ごとに取り扱いがばらばらになると現場で混乱が生じるおそれがある、こういうことが予測されるわけでございます。  また、私どもは、市町村からの要望につきましては、基盤整備につきましては今回の補正におきましても別途九百六十億円を計上いたしておるわけでございますし、また来年度の予算編成に向けて、いわゆる新ゴールドプランの後の新しい基盤整備事業、いわゆるスーパーゴールドプラン、こういうものを早急に策定したい、このように考えているような次第でございます。
  157. 横路孝弘

    ○横路委員 もともと、今回は実施主体が市町村なんですね。だから、保険料も提供するサービスもばらばらなんですよ。それは、市町村が自分たちの財政支出をどこに重点を置いていくのかというのは、地域で住民、市民の皆さんと行政との話し合いで決めればいいことなんですね。だから、本当の地方自治の方に一歩向かっていこうとしているのですよ、今度の制度は。  それを皆さん方は、どちらかというと、進んで一生懸命やっているというところをバックアップしようというのじゃなくて、そうでないところをバックアップしようというのが今度の制度だと言わざるを得ないと思います。  地域の中で、いろいろな話し合いの中で、よく横出し、上乗せと言っています。例えば、今までいろいろとサービスを提供してきた、例えば配食サービスだとか理美容のサービスでありますとか緊急通報制度だとか、そういうサービスをやっているところも取り込んでやろうという議論も地域の中でやる、そのかわり保険料は高くなりますよ、しかしそれは必要だからいいでしょう、こういうような話が行われてきたのですね。さらに、上乗せは、例えば要介護の認定度何度というところで、ホームヘルパーの人の訪問回数が例えば週に二回なら二回と決まっているけれども、うちの方ではちょっと人の手当てもして週二回を週三回にしようということも、保険料は高くなるけれどもまあいいでしょう、いや、それがやはりいいよ、こういう話がずっと行われてきたわけですよ。  今回、これは保険料を徴収しないところに応援をするというわけでしょう。では、その保険料の算定に当たって、こういうところを全部組み込んでいいのですか。結局は、横出しの部分はまた今までの補助制度を存続するということのようですが、上乗せの部分というのは結局カットになってしまうのですね。  だから、総理、今回の制度は、三党合意でやむなく何か政府の方も受け入れたみたいなことをおっしゃっているけれども、実際本当にこれはやるべき方向を、違った選択をしたのです、政治が。だからみんな怒っているのですよ。  そういう地域の、こういうサービスをしよう、少し保険料が高くなってもいいからやろう、こういう声にやはりちゃんとこたえるべきじゃないですか。総理、いかがですか。
  158. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 今回の保険料の猶予あるいは軽減というものは、あくまでも国の基準サービスに沿って行うものでございまして、したがって、それぞれの市町村が横出しであるとか上乗せであるとか、そういうものに対しては対象外と考えております。
  159. 横路孝弘

    ○横路委員 総理、対象外になるのですよ。それでいいのですかというのにお答えください。  そういう地域の努力をちゃんと認めてやろうとするならば、保険料を取っているところにもそういうサービスをすべきじゃないですか。今回のような措置をとることによって、それが全部なくなるのですよ。どうですか、総理。  せっかく、この公的介護保険制度、本当に議論があったのです。それは税方式にするか保険方式にするかということを含めた議論があった。議論があったけれども、一つの方針が出て、それに沿って地域で議論をしてやってきて、スタートしようとした寸前にこういうひっくり返しをやったわけですね。しかも、その方向が、これからの地方自治のあり方とか二十一世紀の介護の基盤をどうつくるかとか、政府役割、民間の役割そして市民セクターの役割、こういった問題について極めて否定的な回答を出そうとしている。しかし、まだ間に合いますよ。これは執行なんですから、執行でやればいいでしょう。市町村に対して、どうぞ地方の自治体で選択してください、徴収する、しない、差別はつけませんよ、こういうことを私は認めるべきではないか。総理、どうですか。これは総理の決断です。もう今や、あと総理が決断すればできることなんですから。どうですか、総理大臣
  160. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 横路委員の御主張は御主張としてお聞きをいたしましたが、政府といたしましては、申し上げておりますように、三党でお話し合いをいただいて、そして内閣としては、官房長官のもと、厚生大臣そして財政当局の宮澤大蔵大臣、ともどもに判断をいたしまして、今回のような措置を講ずることといたした次第でございますので、ぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  161. 横路孝弘

    ○横路委員 もう一つお尋ねをしたいと思いますけれども、四十歳から六十四歳まで保険財政を支援するということなんですが、国民健康保険の財政支援として六百六十億ということでありますが、これはどういう制度、どういう仕組みで行うのですか。
  162. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 一つは、介護保険料を上乗せすることによって、最近率直に申し上げて健保財政が大変厳しくなってきております、要するにこういった悪化する健保組合に対して支援をする。それからもう一つは、国保の中において収納率が落ちるのではないか、こういうような懸念があるわけでございますので、そういった、これは全般的にまずとりあえず考えておるわけでございますけれども、国保の収納率が低下するためにこのような財政的な支援を行わさせていただくものでございます。
  163. 横路孝弘

    ○横路委員 それは、そうすると、収納率の低下したところに財政支援を行うということになりますか、収納率の低下のひどいところに対して。
  164. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 基本的にはそのような考え方でございます。
  165. 横路孝弘

    ○横路委員 国保も市町村中心でやるのがいいかどうか、いろいろな議論があります。例えば、都道府県を中心にしてやったらいいじゃないかというようなことを含めた改革案というのが出ていますが、今国保の赤字もなかなか大変だということで、これは法律に基づいて、国民健康保険法に基づいて調整交付金という制度がありまして、赤字の市町村にバックアップをしています。そのときに、やはり市町村も徴収についてもちゃんと努力をしなければいけないということで、徴収率の低いところはその調整交付金の総額からある程度カットしているのですね。例えば、徴収率八〇%未満のところは二〇%カットとか、そして、できるだけ徴収する努力をしなさい、努力をしたところにはきちんと交付金を渡しますよ、こういう制度、仕組みになっているわけですよ。  ところが、今回の制度は、介護保険料が上がって国保財政の中で収納率が下がってくるところが出てくるだろう。しかし、その収納率が下がる、上がるというのは何も介護保険料ばかりではありませんから、トータルでなかなか判断ができないのですね。そうすると、やることが矛盾するわけです。片方では、調整交付金の方は徴収率を上げたところにちゃんといいようにバックアップしますよ、そこはちゃんとやりますよ、悪いところはペナルティーを科しますよということですね。今回のところは、そうじゃなくて、収納率が下がったところに応援しますよという話なんですね。  これは一体トータルでどうやるのですか。これはどうなるのですか。国がやっている政策が、目的は確かに違うのだけれども、矛盾したことをやるわけですよ、町村に対して。片っ方でカットし、片っ方で交付金を与える。これも政治がごり押しした結果、つじつまの合わないことになっているのですよ。これはどうなります。
  166. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 御指摘の国民健康保険の調整交付金にかかわる収納率の減額措置についてでございますけれども、調整交付金の公平な配分を図りながら収納努力を引き出そうという観点に立った仕組みでございまして、こうした措置は引き続きこれはこれとして必要でありまして、廃止する考え方は現時点においては持っておりません。
  167. 横路孝弘

    ○横路委員 いや、それはもう当たり前の話で、別にそれを廃止しろと言っているわけじゃなくて、そうやって地方に努力しなさいよという政策をやっておきながら、片一方では今度は、低下したところに補助を出す、交付金を出すというわけですから、政策が矛盾しているんじゃありませんか、これは。
  168. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 横路委員のおっしゃる、何をもって矛盾しているかということがもう一つ私には理解しにくいわけでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもの特別措置というのは、先ほどから繰り返し繰り返し申し上げておるわけでございますが、世紀の大事業として来年の四月にスタートする、そういう中において、今申し上げたような医療保険に与える影響などもできるだけ少なく、そういうような観点から特別措置というものを考えたものでございます。
  169. 横路孝弘

    ○横路委員 いやいや、ですから、その国民健康保険に対する財政支援の問題なんです。  それで、国民健康保険に対する財政支援は今までやっていましたよ、それは健康保険法に基づいて調整交付金という形でやっていました、それを実施するに当たっては、徴収率を上げるということでペナルティーを科していましたよ、徴収率の低いところには、一番低いところは二〇%カットということでやっていましたよと。今回、新しい制度がスタートします、それに政治が横やりを入れて、三党が横やりを入れて、徴収しなくていいです、そのかわり四十歳から六十四歳のところには財政支援をしましょうと。まあ、保険料を納めるわけなんですけれども、納めて、そしてなおかつ、収納が悪くなった、その悪くなったところがひどいところほど今度はお金を入れますよというわけですから、どうなっているんですかということなんですね。地方がやはりしっかり努力をしている、本来、そういう努力に対してちゃんとこたえるという政策を今こそ立てなければいけないときに、それと矛盾する政策を入れようとしているわけです。  それはなかなか、介護保険料によって収納率が下がったということを証明するのは実際は難しいですよ。保険料がちょっと上がったからといって収納率が落ちたといったって、それがその要素なのか、どれほどその要素があるのか、あるいは地方における収納の努力がどうだったのかとか、いろいろ考えたら難しいから、結局は、多分収納率の低下を見てやることになるわけですよ、低下幅を見て。そうすると、それは片一方の、徴収率を上げようという話と矛盾するんじゃないですかと言っているんです。  こういう矛盾した政策を、総理、とってよろしいんですか。もっとこれ、検討してくださいよ。これはともかくばたばたとやった。だから、中身の問題がたくさんある。総理、これは執行の話ですから、ちゃんと検討してくださいよ、そういう問題点を。総理
  170. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 要するに、横路委員がおっしゃりたいのは、先ほど私も申し上げましたけれども、医療保険において私どもは、今収納率九九%と言われておりますけれども、今後とも収納率が上がるように努力をしていく、こういう中においてペナルティーという措置が設けられておるわけでございますが、要するに、こういった別な、今度は介護保険という世紀の大事業を導入することによって保険料がアップするという問題についてお助けをするということでございまして、医療保険の問題と介護保険の問題と、これはこれ、それはそれというような話もございましたけれども、決して矛盾する話ではない、こう思っております。
  171. 横路孝弘

    ○横路委員 どうして矛盾していないんです。矛盾しているじゃないですか。納率の下がったところをバックアップするというのと、納率をちゃんと上げたところにはその努力に報いるというのは違うじゃないですか。
  172. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 医療保険においてはさらに収納率を上げるように努力をしていただきたい、こういうことでございまして、そしてまた、医療保険は医療保険として収納率を上げるように努力をしていただきたい、しかし、現実問題として、介護保険料、要するに、介護保険というものを導入することによって介護保険というその分だけ負担がかかってくるから、その部分の負担をするということでありまして、決して論理矛盾した話ではない、このように確信しております。
  173. 横路孝弘

    ○横路委員 総理はわかりますよね、議論している論点というのは。いや、だれにでもわかる話で、今度四十から六十四のところに財政支援をするということで、国保と健保組合とに財政支援するわけですね。国保に六百六十億の財政支援する。その財政支援するのはどういうことを基準にしてやるんですかと言われたら、その要件の一つとして、収納率の悪化のひどいところに応援しますという話だったわけです。ところが、収納率が何の要素で悪化したのかというのはよくわかりません。それは、保険料が上がったということによる収納率の低下もあるかもしれない、あるいは市町村の努力によってもっと上げられるという要素もあるかもしれない。  片一方、財政の悪い、赤字の健保などについては、健康保険法でもって財政調整交付金でバックアップしましょう。そっちの方は、徴収率を上げるということのために、上げる努力をしたところ、高いところはカットはゼロですよ、八〇%切ったら全部で二割カットしますよということで、減額をされた保険者の数というのは全国で六百六十八あるんですね。六百六十八あるわけですよ。だから、結構な数がやはり減額を受けているんです。  ですから、これは、同じように国が市町村の国保に対して応援する仕組みというのは今度二つ道ができたわけですが、この二つの考え方が違うのじゃないですかと言っているわけですよ。
  174. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先ほどから繰り返し御答弁を申し上げておりますように、今回の措置は、要するに介護保険料の上乗せに伴います国保財政の支援のためでありまして、その問題とこの今委員御指摘の問題とは別次元でお考えいただきたいと思っています。
  175. 横路孝弘

    ○横路委員 いや、しかし、今回だって財政支援をするということが方針になっているじゃないですか。同じじゃないですか、財政支援という形では。同じで、考え方が違うんですよ。運用する基準が違っているんですよ。今度の措置だって、財政支援を行おうということで決めた措置でしょう。だから、保険料はみんな払うわけですよ、こっちの方は。だから、財政支援は今までのルートのほかにもう一つできました。しかし、これは基本的な考え方が違うんですから。  総理、どうですか。総理、だから、まだまだあるんです、いろいろと。問題がまだ大きい、詰まらないで、ともかくスタートさせちゃったんですよ、この考え方で。だから、総理、もう一度よく考えてくださいよ。先ほど言った地方における徴収する、しないに対する交付金の問題も含めて、自民党の中だってたくさん意見があるじゃないですか。それはみんな地域からそういう声を受けているからですよ。ですから、総理、もう一度そこはちょっと検討してください。せっかく四月からスタートする、みんな努力してきたんですから、そういう火が消えることのないように、やはり努力にちゃんとこたえるような制度、仕組みにしなきゃなりません。ちょっとばたばたとやってしまって、非常に問題がある。これはもう、総理大臣、どうですか。——いやいや、総理にちょっと。もう議論はあなたとはしたからいいです。総理、どうぞ。
  176. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 財政支出する場合には、それぞれの政策目的でやっているんだろうと思います。したがって、今度保険料を徴収しないでという半年間も含めて、そういうことだろうと思います。  一方、もう一方の問題について、これが横路委員は矛盾をするのではないかという御指摘でございますけれども、この点につきましては、今厚生大臣が答弁申し上げましたように、政府としてはそのように考えておらないということであるとすれば、そうしたことでそれぞれの目的が達成のできるように財政的支出は行って間違いはないな、こう考えております。
  177. 横路孝弘

    ○横路委員 いや、しかし、こんな大事な問題について、私は、基本的にどういう認識でどういう福祉社会をつくるのか、その福祉社会をつくるときにどんな協力をみんな地域の中でしなければいけないのかということについて、本当にその御認識がないのではないかというように思います。  今の点を含めて、やはりこれは総理のリーダーシップで、問題があるのははっきりしているんですから、詰めないでばたばたやっちゃったところに問題があるんですから、ちょっとそこはもう一度検討したらどうですか。自民党の社会保障関連の部会だって、意見を持っておられるじゃないですか。今回の政府の措置、いいとは言っておられませんよ。だから、総理、全部含めてもう一度ちょっと点検してください。これでいいということになりません。今回の措置は本当に大きな禍根を残すことになります。総理、いかがですか。
  178. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 横路委員の御意見として承っておりますが、今私どもが一番大切なことは、この世紀の大事業を来年の四月から全国民が心を一つにして実施することでありまして、そのために万全の策を講じていきたい、このように考えている次第でございます。
  179. 横路孝弘

    ○横路委員 では、時間もなくなってまいりましたが、もう一つちょっと質問をします。  例えば低所得者の人に対する軽減措置なんですが、現にホームヘルプサービスを利用している低所得の高齢者の人には三%の利用料でいい、新しくサービスを利用する高齢者は一〇%払うということで、ここで差別をしているわけですね。あるいはまた、社会福祉法人が提供するサービスは利用者負担を五%として、その他の事業者が提供するサービスは一〇%ですと、このサービス主体に対して差をつけているわけですよ。  行政というのは、本来、やはり公平でなきゃならないというように思いますが、こういうサービスについて、これはだから、地域が今一番困っているのは、合理的に説明できないからなんですよ。現にサービスを受けている人には三%でいいですよ、これから受ける人は一〇%支払うんですよ、こんな合理性のない決定だと私は思います。これは厚生大臣、いかがですか。
  180. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 今回の措置は、あくまでも激変を緩和する、こういう観点から、要するに旧来から御利用をしていただいた皆さん方に対しましては三%、そして段階的に引き上げていく、こういうことでございます。  横路委員が御指摘のいわゆる新規の方でございますが、これは、社会福祉法人において実施されております給付サービスにおいては、その軽減分について公費において助成する、こういうことで、私どもは五%を念頭に置いているということでございます。
  181. 横路孝弘

    ○横路委員 ですから、その点について地方で説明ができないわけですよ。これから介護保険のサービスを提供するというときに、今までやっていた人はこうだけれども、これからやる人はこうですよといったって、その現場では混乱するだけなんですね。  私は、今回のこの公的介護保険制度、二十一世紀日本の福祉ということを考える場合に、これは大変大事な事業だというように思っています。税か保険かといういろいろな議論はありましたけれども、やはり自分たちが保険料を払って、これは権利としてこの制度を利用する。  ですから、現に、例えばいろいろな施設でも、中には問題があるなというような施設があっても、自分の親をそこに預けていればなかなか物が言えないんですね。例えば縛りっ放しにしているというようなところで、こうしてくださいということはなかなか言えない。しかし、今度はみんながお金を、保険料を払うわけですから、権利を持つので、今そういう供給者のサイドも、いい供給者をつくっていこうということで、市民の方からそういうのをチェックしていく。こういうところは変えてください、こういうところは余りにひどいから、ではそこは供給の中から外してくださいというようなことを行政と話ししたりするというようなことも、この保険制度の中から生まれているんですね。それは、やはりそういう権利をみんなが持ったからなわけなんです。  やはりこれからの日本の本当にハイスピードな社会の中で、私は、この公的介護保険制度というのは本当に大事なことだと思っております。特に高齢者の方は、所得の面でも資産の面でも、非常に大きな格差があるんですね。非常にお金を持っている人とそうではない人と。年金だけで生活しているという高齢者世帯が半分です。年収二百万以下という方が一七%もおられるのですね。  ですから、そういう低所得者の人への対応というのは、今回のようなことではなくて、もっと基本的にちゃんとやるべきだというように思いますし、同時に、今回、全体の予算の中でわずか九百億ちょっとしか介護の基盤整備の予算がありません。これも、市町村が今度の公的介護保険制度を導入するに当たっていろいろと調査した数字がございます。この数字を見ますと、本来、やはりこういうところにしっかりと予算をつけなければいけないという思いがするのです。  時間がなくなってしまいましたので、今回の補正予算の中の特に公共事業、何か国民がはっとする思いのするような予算だとか新規性とかいろいろありますが、実は、ほとんどが継続事業です。農林水産省はほとんど全部です。運輸省の中の新規というのを見ましたら、新幹線のあのコンクリートが落ちるものが新規予算ですとか、建設省の新規予算というのも調べたら、ほとんど事業対象の拡大ですね。補助率アップとか補助要件を緩和するというような話ばかりぞろぞろ並んでいて、ほとんど新規予算なんかありません。  介護の基盤整備、ゴールドプランで進めてきたわけですが、今回、市町村からいろいろな自分たちの、公的介護保険制度のもとでどういう介護基盤をつくるのかということで上がってきた数字が整理されています。これをひとつ軸にしてしっかり整備するようにするならば、今回もほとんどは、ここは九百億どころか、もっとグループホームであるとかケアハウスであるとかいうところに予算を投入しなければいけなかったと思うのですね。総理にそこのところをちょっと最後にお伺いをしたいというように思います。介護の基盤整備について、その充実こそが私は二十一世紀に向けての社会的な基盤整備なんだというように思います。総理お答えを。
  182. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 介護に対する基盤整備につきましては今後さらに充実をしていかなきゃならぬという方向については、お説のとおりと考え政府としては与えられた予算の中で全力を挙げてまいりたいと思っております。
  183. 横路孝弘

    ○横路委員 時間ですので終わりますが、最後に、こういう川柳が載っていました。「自自公のリストラ目指す総選挙」。これはまさに国民の声だというように思います。きょう介護保険で議論して、いや、本当にがっかりしました。もっときちんとやはり将来を見据えて体制をしっかり整備していかなくてはいけないということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。
  184. 島村宜伸

    島村委員長 これにて菅君、横路君の質疑は終了いたしました。  次に、志位和夫君。
  185. 志位和夫

    志位委員 日本共産党を代表して、小渕総理に質問いたします。  まず、企業・団体献金についてであります。  総理は、政治家個人への企業・団体献金については、政治資金規正法附則九条に基づいて禁止の措置をとると表明されました。これは当然のことであります。しかし、政党に対する企業・団体献金については、附則十条で五年後に見直しが定められているにもかかわらず、与党三党は、十二月二日の幹事長会談でこの条項そのものを削除する方針を決め、総理もこの方針を尊重すると語ったと伝えられました。これは大変重大だと考えます。  私は、まず総理基本的御認識を伺いたい。附則十条で政党への企業献金の見直しが述べられているこの立法趣旨を総理はどう御理解しているのでしょうか。一九九四年にこれが盛り込まれた経緯に照らせば、政治献金は少なくとも将来的には企業献金から個人献金に転換していく、移行していく、その立場から見直しを行うというのがこの十条の立法趣旨であったことは明瞭だと思いますが、総理はどう御理解されておられますか、端的にお答えください。
  186. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 そもそも政治資金とはということでありますが、私は、次の三本柱から成り立っておると。一つは党費、個人からの寄附など個人からの拠出、第二は企業・団体からの寄附、三には政党交付金、こういうことであります。  この企業・団体の寄附は、企業も重要な社会的な存在であり、また昭和四十五年の八幡製鉄政治献金事案にかんがみましても、企業献金は、憲法上これは違反するものではないということでありまして、したがって、企業献金というものを悪と決めつける、否定する根拠は乏しいと考えております。  したがいまして、政治家個人に対する企業・団体献金の禁止につきましては、これは決断をいたしましたが、与党内での話し合いや世論の厳しい受けとめに加え、そもそも政治改革の理念が政党本位の政治を目指すものから、政治資金についても政党中心に改めようとするものでありまして、したがって、附則第十条につきましては、この際同条を削除することで与党の合意がなされたものと承知をいたしております。  これに関連いたしまして、政党支部のあり方等についての検討、政党に対する政治資金の入りの適正化に関する検討等につき、引き続き与党で協議を継続し、適時適切な事項の具体化に努めている旨合意されているところでございまして、したがいまして、この点につきましては、十条につきましては、今のような三党の考え方に基づきまして対処すべきものと考えております。
  187. 志位和夫

    志位委員 私、附則十条の立法趣旨について伺ったのですが、それについてのお答えがありませんでした。そして、企業献金は悪ではないということを言われました。しかし、この問題というのは、公式にその価値判断というのは決着済みの問題なんですよ。  一九六〇年代から八次にわたって総理の諮問機関として選挙制度審議会が置かれてきました。その答申の中で、政治資金について述べているのは四回であります。すべてその中では、企業献金から個人献金への転換という方向が繰り返し言われております。  私、ここにその要旨をずっと持ってまいりましたが、一九六一年の第一次選挙制度審議会の答申では、企業・団体献金について、実施時期については検討を加えるとしつつも、禁止すべきものであると明記しました。続く一九六三年の第二次選挙制度審議会の答申でも、企業・団体献金を禁止するという第一次審議会の答申を再確認すると明記されました。続く一九六七年の第五次選挙制度審議会の答申では、政党政治資金は個人献金と党費により賄われるのが本来の姿であるとして、政党はおおむね五カ年をめどとして個人献金と党費によりその運営を行う、こう明記されました。そして直近では、一九九〇年の第八次選挙制度審議会の答申では、政党への企業献金を当面は容認しつつも、こう述べています。将来の姿としては、政党政治資金も個人の拠出により支えられるようになることが望ましい。  総理は、これらの四十年来の答申、とりわけ直近の第八次答申でも、少なくとも将来的な方向としては、政党政治資金も個人献金の方向に切りかえていく、そういう方向で支えられるようになるべきだとしている、このことをどうお考えになっていらっしゃいますか。この直近の第八次答申、これを尊重されるか、それとも、まさか否定はされないと思うのですが、これを尊重されるという立場ですね。端的にお答えください。尊重するかどうか。
  188. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 過去いろいろ、政治資金については各審議会で答申をちょうだいいたしておりますが、前回この法改正をいただきましたときに、個人に対する企業献金についてはこれを禁止することといたしたわけでありますが、その後について見直しをするということとして法律は書かれておるわけでございまして、それを見直した結果、三党におきましてこれを外すということになったということでありますので、それを尊重するという立場でございます。
  189. 志位和夫

    志位委員 尊重するかどうか聞いたんです。つまり、答申では、将来的な方向としては企業献金から個人献金に切りかえていくという方向が出ているんですよ。それを尊重するかどうか聞いたんです。それに基づいて、政治資金規正法の附則十条では、五年たったら政党に対する企業献金を見直すという項目を入れたんですよ。それを削除するということは、この答申を全部否定するということになるじゃありませんか。その問題を聞いているんです。もう一回私の質問にお答えください。  この一連の四十年来の議論の積み重ね、とりわけ八次審で、政党に対する企業献金も将来的にはやめていくんだという方向が明記されていることを尊重するのかどうか、はっきり答えてください。これは総理の諮問機関ですから。そして、この設置法の第三条には、「政府は、審議会から答申又は意見の申し出があつたときは、これを尊重しなければならない。」という義務規定もあります。これを尊重されるのかどうか、はっきりお答えください。
  190. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 各審議会に諮問をし、かつ答申を得たものについては、原則尊重しなきゃならぬと思いますが、本件につきましては、法律の施行後で、経過した場合において、政治資金の個人による拠出の状況を踏まえ、政党財政の状況等を勘案し、会社、労働組合その他団体の政党及び政治資金団体に対する寄附のあり方について見直しを行うものというのが十条でございますので、その見直した結果三党としてそのような方向性を打ち出した、こういうことでございまして、それを尊重するのもまた私どもの立場、こう考えております。
  191. 志位和夫

    志位委員 そんな詭弁は成り立たないんですよ。  一九九四年に政党への企業・団体献金を五年後見直すということを法律に明記されたのは、この四十年来の選挙制度審議会の答申、直近の第八次答申を受けて、先ほど言った部分を受けて、この十条がつくられたわけですよ。将来的には個人献金にする、これを受けて、附則十条で五年後には見直すということを決めたわけですから。ですから、これは、この見直しの項目を削除するということは、将来的な方向としても、企業献金から個人献金に転換していくということを、まさに門を閉ざす、道を閉ざす、否定することになるわけですよ。あなた方が今やろうとしているのは、四十年来の議論の積み重ねを全部ひっくり返すことですよ。  この間四十年間、自民党はどれだけ金権腐敗政治がひどかったか。田中金脈問題、ロッキード問題、リクルート問題、共和、佐川、ゼネコン、こういう金権腐敗の問題があって、さすがに選挙制度審議会も、このままではいけないということで企業献金を見直すということをずっと入れてきた、それを全部ひっくり返そうというのが今度の十条削除なんですよ。そうじゃありませんか。これは許されません。もう一回答弁してください。
  192. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 申し上げましたように、現状の状況の中では、この十条についてはこれは削除するという決定をいたしましたのは、先ほど法律の条項を読ませていただきましたけれども、それにのっとって三党として十分検討した結果このような結論に至ったということでありまして、これを尊重いたしてまいりたいと考えております。
  193. 志位和夫

    志位委員 法律にも、附則十条そのものにも、政治資金の個人による拠出の状況を踏まえて見直すと。これは、個人献金の方向にシフトしていくということの努力をするという意味合いを含めてここに書かれているんですよ。ですから、本当にあなた方のやろうとしていることは、これは四十年来の金権腐敗政治の居直りになる。しかも、政党助成金という国民の税金を三百億円山分けしながら、その上に企業献金も未来永劫続けるというのは、とても国民が容認できるものではありません。  私たちは、企業献金の全面禁止を求めますが、同時に、法律に明記されている政党への企業献金の見直しについて、法律どおりちゃんと見直す、この四十年来の議論の上に立ってしっかり見直す、このことを強く求めたいと思います。  次に、介護保険の問題に移ります。  来年四月からの介護保険実施を目の前にして、二つの大矛盾が噴き出しております。介護サービスの不足が深刻であること、保険料、利用料が余りに高過ぎること、この二つであります。政府もその深刻さに気づいたのか、高齢者の保険料を半年凍結する、その後一年間も半額にするということなどを中心とした特別対策を決定しました。  首相に伺いますが、どうしてこのような措置をおとりになったのか。先日の党首討論で、我が党の不破委員長がこれを質問したのに対し、総理は、介護保険の現状が問題もなしとしないからだという答弁をされました。そこで伺いますが、総理は、介護保険の現状のどこにどういう問題があると認識されているんでしょうか。保険料凍結の期間に、介護保険の現状のどこを具体的にどう改善するのか、どういう計画をお持ちでしょうか。
  194. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 御案内のように、志位委員と同じ認識ではないかと思いますが、これまで寝たきりのお年寄りというのは、先ほど来話が出ておりますが、一家庭の私的な問題として要するに片づけられてきました。特に女性の皆さん方の犠牲によるものが大変大きいわけでございます。  そういう中で、社会全体で支え合っていこうではないか。しかも、少子高齢化社会を迎えて、これからはお年寄りにもそれ相応の御負担をお願いしなければならないんじゃないか。ところが、率直に申し上げて、これまでの社会保障というのは、どちらかというと、お年寄りについては、お年寄りは社会的な弱者であり、社会的弱者は要するに経済的に自立弱者だ、こういうような位置づけで、例えば、年金で三万円、四万円しかもらっていない方も、あるいは会社の経営者で一千万円もらっている方も、例えば、医療である場合には一回行くたびに五百三十円。要するにこういうようなものが……(志位委員「特別対策の意味を聞いているんです」と呼ぶ)  では、返ります。そういうようなことがありました。  そういう中において、今回、このようなことを導入することについて、どれだけ広範なお年寄りの理解がいただけるかということが一番大きな問題であって、特に、少子高齢化社会を迎えて若年世代の負担というのが年々ふえてきておるわけでございますので、そういう中において、これからは、お金のある、所得のあるお年寄りはそれ相応の御負担をしなければならない。こういう中において、要するに特別対策につきましても、今までのこういった考え方がすぐにお年寄りに御理解いただけるかどうか。  それから、例えば、要するに老人ホームの場合には、これまで、御案内のように市であるとか福祉事務所であるとかを通しての措置制度でありました。それが今度は利用型に変わる。こういうような問題について、要するに半年間につきまして保険料を免除する、こういうようなことをさせていただきましたほか、あと基盤整備などに力を入れているような次第でございます。
  195. 志位和夫

    志位委員 私は、特別対策をなぜやるのかと聞いているんですよ。それについて具体的なお答えがないですね。私は、保険料を凍結するというんだったら、今の介護保険の問題点をその凍結期間中にしっかり解決するという具体的計画を持つべきだというふうに思うんですね。  私、三つの角度からこの問題をただしたいと思うんですが、第一は、介護サービスの基盤整備の問題です。特別養護老人ホームのいわゆる待機者、すなわち、特養ホームの入所を希望し、市町村も特養ホームへの入所を要すると判断したが、施設にあきがないために入所できない方の問題をお聞きしたい。  待機者が置かれている実態は大変深刻であります。私、先日、都内の北区で働いているケースワーカーさんにお会いして、お話を伺う機会がありました。特に在宅での待機者は、介護する側もされる側も肉体的、精神的に限界状況になっています。それで、最後は家庭介護が破綻状態になって、介護する側が、私がもうもちません、共倒れになりますということでケースワーカーさんに相談に来る。家庭が希望のない場所にされているわけであります。  私、そこで伺いたいんですが、厚生省は、先日、全国の在宅の待機者の数について、約四万七千人と発表しました。これには一般病院も若干含まれているそうですが、基本は在宅での待機者だと聞きました。しかし、この中には、老人保健施設、療養型病床群という施設で特別養護老人ホームへの入所を待っていらっしゃる待機者の数は含まれておりません。それも含めての待機者の総数はどうなりますか。
  196. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 志位委員の御指摘は、老人保健施設に入っていながら、あるいは療養型病床群に入っていながら特養への入居を希望する者を何で入れなかったかということでありますね。  まず、私の方から申し上げますと、要するに、老人保健施設やあるいは療養型の病床群など、それらの方々は現時点で施設に入っておるわけでございます。施設に入ってサービスを受けている、こういうことで、私どもとしては、まず在宅で、自分の家で施設の入所を待っている方、この方を把握する、こういう観点で、今御質問のありましたような老人保健施設や療養型からこちらに移るについては、まだ状況を把握しておりません。(志位委員「していないのですか」と呼ぶ)はい。
  197. 志位和夫

    志位委員 私、数もつかんでいないというのは、これは怠慢だと思いますよ。  確かに在宅の待機者の方というのは、大変事態は深刻です。しかし、老人保健施設も、あるいは療養型病床群は、これは性格が違う施設ですからね。ですから、例えば三カ月たったら、老人保健施設の場合は入退所の適否が判定される、追い出されるということになるわけですよ。ですから、これは、待機者の全体をつかんでいないのは怠慢だと言わなければなりません。  我が党の国会議員団として、厚生省が幾ら言っても数字を出さないので、独自に調査いたしました。十一月十七日から十八日にかけて全国の都道府県に直接問い合わせて、特養ホームの待機者の数をお聞きしました。待機者の数は、つかめている範囲でも十万四千五百九十九人という数字です。全国で十万五千人もの方が待機者として苦しんでいる。うち、在宅での待機者は四万七千人。  それでは政府の計画はどうかといいますと、今年度の特養ホームの増床計画は一万人、来年度の概算要求での増床計画も一万人。これでは、来年四月でも、現在の待機者のうちでも九万五千人は残される。再来年の四月でも八万五千人は残される。解消されないのですね。  私は、政府は保険料の徴収を凍結するというのだったら、この凍結期間中に、この深刻な事態を改善するための緊急対策を具体的な計画を立てて図るべきだと考えますが、これは総理、いかがでしょう。
  198. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 御党の、この待機者については、私、承知いたしておりませんので何とも申し上げられませんが、今回厚生省で明らかにいたしました特養の待機者四万七千人でございますが、これは平成十年度における数字でございます。その後、御案内のように、平成十年度及び十一年度において、さらに今回の補正予算を含めまして、四万床を上回る特養の整備が行われることになっておりますので、かなりの待機者が解消されるのではないか、私はこう考えておるわけでございます。  さらに、全国のそれぞれの自治体では、待機者の状況などを踏まえました上で、十二年度から十六年度までの施設整備を含む介護保険事業というものを現在策定中でございます。  これを踏まえまして、先ほどから私、答弁申し上げておるわけでございますが、新ゴールドプランの後の、五年計画を目途にいたしておりますけれども、いわゆるスーパーゴールドプランというものを年末までにまとめてさらに充実を図っていきたい、このように考えているような次第でございます。
  199. 志位和夫

    志位委員 四万七千という数がちょっと古い数字だというふうに言われましたけれども、これは指示されたのは一定程度前だというふうに伺いましたけれども、大体去年の秋ぐらいの実態を反映していると私は厚生省から伺いました。ですから、その後二万ぐらいの増床で、四万七千人だって解決しないんですよ。ましてや十万五千人は解決しないんですよ。これはもう本当に動かせない実態なんです。  今、厚生大臣は、二〇〇四年までスーパーゴールドプランでやると言いましたけれども、これを見ましても、二〇〇四年の計画は三十五万五千人ですよ。今大体三十万人の方が特養に入っている。十万五千人待機者が今でもいるんです。だから、二〇〇四年まで三十五万五千やったとしても、なお待機者は解消しないんです。  ですから、私はここでひとつ提案を申し上げたい。この保険の制度というのは、保険料を払った人がサービスを選べる、そして必要な給付が受けられる、こうして初めて保険として成立するわけですから、私は、本人が希望し、市町村も認定したのに特養ホームに入れないという方がこんなにたくさんいて苦しんでいらっしゃる事態を放置したままでは、制度の根幹から信頼を失うことになる。  私は、総理に二つ提案したいと思うんですが、一つは、保険料を凍結すると言うんだったら、その期間に、少なくとも在宅の待機者については解消するための具体的手だてをとる、それから、施設で待機されている方については少なくとも解消のめどをつける、ですから、あなたはちょっと済まないけれども一年半、二年待ってくれれば何とかしますということがちゃんと保障できるようにめどをつける。最低この二つは、凍結すると言うんだったら具体的計画を立てて集中的な取り組みをやるべきだと思いますが、これは総理伺いたい。総理、答えてください。
  200. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先ほどからお聞きしておりますと、保険料の凍結の面においては何か認識が同じようでございまして、民主党さんとは違うような感じがしないでもないんですが、率直に申し上げて、どこまでやったら保険料方式をとれるのか、こういう問題がございます。  私は、国保のとき、先生も御存じだと思いますけれども、これも三年がかりで実際はやったんです。いろいろな、要するに国保の診療所をつくったりしながら整えていった、こういうことでございますし、現に、新ゴールドプランというのがございまして、これをもとにしてやったわけでございますが、新ゴールドプランにおきましては、例えば特別養護老人ホーム、あるいはそれからそのほかの、ホームヘルパー、いわゆる老人保健施設だけが新ゴールドプランからまだ目標を達しておらないんですが、全部目標を達したんです。しかし、それでも足りない。特にここに来まして、例えばホームヘルパーなんかは二倍以上の急激な伸びがきている、こういうことも実態としてあるんです。  私どもが想像していた以上にこういうような需要が、ニーズがここに出てきたということを踏まえまして、大至急、スーパーゴールドプランの中で、この年末までに、第三次といいますか、要するに新たなプランというものをつくっていきたい、そういう中で待機者の解消に努めていきたい、このように考えております。
  201. 志位和夫

    志位委員 これは私は最大の努力が求められる問題だと思うんです。  もう一つ私は提案したいんですけれども、なぜ待機者の問題がいつまでも解消できないのか、私もこの委員会で何度も取り上げました。ずっと解消しないんですよ。今、スーパーゴールドプランで何とかしていくんだということも言われましたけれども、解消しない構造があるんですよ。それは、政府が介護施設サービスの基準を、特別養護老人ホーム、それから老人保健施設、療養型病床群、この三施設合わせてそのベッド数を高齢者人口の三・四%とする、うち特養は一・三六%とする、参酌標準と呼んでいるそうでありますが、そういう基準を決めて大体その枠内に抑えるという方針をやっているからですよ。  今後五年間でスーパーゴールドプランをやると言われた。しかし、このスーパーゴールドプランでもその基準でやるわけでしょう。ところが、高齢者人口の三・四%あるいは一・三六%という数字では現実に足らないわけですよ。待機者が十万五千人もいるのですよ。ですから、この基準は私は抜本的に見直すべきだ。この基準で施設整備を抑制する方針をずっと続けていったら、いつまでたったって待機者の問題は解決しません。この基準自体を抜本的に見直すべきだ、私はこのように考えますが、いかがですか。
  202. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、志位委員と私どもとの待機者の統計、推計ですか、基本がまず違っておるという前提でございますが、当然のことながら、在宅で現在いらっしゃるお年寄りにつきましては、そのようなことのないように最善の努力をしていきたい、このように考えています。
  203. 志位和夫

    志位委員 最善の努力というふうに言うのですけれども、三・四%というこの無慈悲な基準を外しなさいと言っているのです。答えてください。
  204. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 一つのお考えとして承っておきます。
  205. 志位和夫

    志位委員 検討するということですか。はっきり答えてください。
  206. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 全体的な今度のスーパーゴールドプランの中において、そういった問題も含めて総合的に検討させていただきたいと思います。
  207. 志位和夫

    志位委員 検討するというふうにおっしゃられたので、これは本当に抜本的に見直すことを求めたい。  もう一つ、具体的な提案をしたいと思います。  全国で特養ホームの設置がゼロの市町村、これは厚生省に数字を出してもらいましたら、全国の市町村の二九%、九百五十八市町村あります。そのうち少なくない市町村が特養ホームの設置を希望しているのに、それが受け入れられないという現状があります。施設ゼロの市町村が五割以上の県が福島県、山梨県、岐阜県、鳥取県です。そのうち山梨県を調べてみました。  ここでは六十四市町村中三十八の市町村で特養ホームがありません。特養ホームというのは、単に施設介護のセンターであるだけではなく、その地域の在宅介護のセンターでもあるわけで、市町村に特養ホームがないというのは本当に大変な問題です。そして、三十八の市町村のうち十一市町村で特養ホーム建設の要望をしています。ところが、この市町村の要望を県が抑えちゃうのですよ。県が抑える理由として、さっきの三・四%という基準が使われています。  そこで、この問題について検討すると言うのだったら、三・四%なんという無慈悲な基準で特養を抑えるようなことは、それを理由に抑えるようなことはしてはならないということを全国の自治体にちゃんと徹底すべきだ。あなた方が出した数字なんですから。そして、少なくともこの町に特養ホームを建ててほしいと市町村が、自治体が望んでいるところについては、その希望を全面的に生かして、そして特養ホームの設置を認めて国としても最大限の支援をすべきだ、こう考えますが、いかがでしょうか。
  208. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 市町村の中には、二千人、三千人ぐらいの人口しかなくて、とても自分の村ではできないから広域でやってほしい、こういうような希望がありまして、約千カ所ほど市町村の中に特養がないということでございますが、そういうようなところもあるということを先生も御理解いただきたいと思います。  希望するところにつきましては、私どもといたしましては、地元の実情というものを十分にお聞きしながら最大限努力をしていきたい、このように考えています。
  209. 志位和夫

    志位委員 最大限の努力ということを言われましたので、これは本当に強く求めておきたいと思います。  在宅介護でも現状の立ちおくれは甚だしいわけで、先日の厚生省の資料でも、在宅介護についてのサービス充足率の見通しを出しておりますが、極めて不十分な政府の計画に照らしても、サービス充足率の見通しが、訪問介護八四%、訪問看護六五%と、大きく立ちおくれています。  私たちの提案を申し上げたいのですが、私たちは、当面一年間については保険料徴収を凍結して、その期間中に、施設でも在宅でも保険を本格的に発足させる上で最小限必要な介護サービスの具体的な目標を立てて、その整備を集中的に進める、そうしてこそ初めて凍結の意味があるのですよ。そして一年たった時点で、その達成状況を見きわめながら制度を本格的に発足するかどうか決める、これが一番道理にかなったやり方だということをここで提案申し上げておきたいと思います。  第二の問題ですが、高過ぎる保険料、利用料をどうするのかという問題です。  高齢者の保険料は、厚生省の発表で全国平均月二千九百十五円、一時は凍結あるいは半額になったとしても、その解除後はこの保険料が丸々かぶさってきます。これが高齢者の生活実態に照らしてどうかという吟味が真剣に必要だと私は思います。高齢者全体の七六%、千六百七十二万人は住民税非課税の方です。老齢年金受給者の四割に当たる八百六十五万人の方は国民年金だけの受給者で、その平均額は月四万二千円ですよ。これらの方々から月平均三千円という介護保険料を取るのは、果たして、余りにもこれは重いのではないかという声がもう全国から沸き起こっているわけであります。  私は、先日、十月に放映されましたNHKスペシャルで、「動き出した介護保険」というのを大変胸のつぶれる思いで見ました。北海道穂別町の高齢者夫婦の実態がそこで紹介されておりました。  夫の方が脳梗塞で、リハビリでホームヘルプサービスとデイサービスを受けている。夫婦の収入が月九万五千円の年金だけだ。ところが、毎月の出費は、食費に月五万円、それから医療費に月二万円、これは夫人が心筋梗塞で治療を受けている、二万円かかるのですね。冬場は暖房費だけで光熱費に一万円以上かかる。これだけ合わせますと、もう八万円ですよ。年金収入九万五千円のうち八万円はもうその支出に充てられる。  そこに今度は介護保険が導入されると、夫婦二人で保険料が六千四百五十円ですよ。若干軽減されている世帯ですけれども、それでもこれだけかかってくる。ホームヘルプサービスが有料となり、月千六百円だというのです。合わせて八千円を超える新たな負担がかぶさってくる。この御夫婦がおっしゃられていたことは、今までデイサービスとホームヘルパーを受けてきたけれども、これではヘルパーを断るしかないという声であります。  そこの担当されている保健婦さんはこうおっしゃっておられました。介護保険で逆にサービスから遠のくことが心配です、サービスを一つ断るとそれだけ元気がなくなり、体が不自由になることが心配です。こういう実態があるのですよ。  ですから、私、ここはまず総理に御認識を伺いたいのですけれども、率直に伺いたいのですが、この保険料、利用料の額というのは、高齢者の生活実態に照らして、とりわけ低所得層の生活実態に照らして余りにも重い、こう私ども、考えますが、総理はいかが御認識でしょうか。これは総理の御認識を伺いたい。総理、お願いします。
  210. 島村宜伸

  211. 志位和夫

    志位委員 総理、答弁をお願いします。総理に答弁を聞いているんですから。基本的な認識を聞いているんですよ、総理に答弁させてください。委員長総理に答弁させてください。
  212. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 御答弁申し上げます。(発言する者あり)
  213. 島村宜伸

    島村委員長 とりあえず厚生大臣から御答弁願います。
  214. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 まず私が、では答弁させていただきます。  介護保険制度につきましての、特に先生が御指摘になっております高齢者の保険料でございますが、御案内のように五段階に分かれております。低所得者の保険料は、これは要するに一段階、二段階ということでございまして、御存じのように、一段階につきましては二分の一、それから二段階については四分の三、こういうことで配慮しておるわけでございますし、例えば生活保護を受けている方につきましては、その分保険料が上積みされる、こういうことでございます。  こういうことを考えまして、今回の特別対策におきましては、当初の半年間は高齢者の保険料を徴収しない、こういうことを申し上げたわけでございます。
  215. 志位和夫

    志位委員 総理に答えさせてください。  余りにも重いではないかということです。
  216. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 新しい制度を発足するということでございますので、いろいろな点におきまして、改善、改革をしなきゃならぬことはあろうかと思います。そのために今度の特別措置も、保険料をこうした形で激変緩和、そしてスムーズにこの制度を維持するためにいたそうということでございます。  そこで、低所得者に対するものにつきまして、今一つの例をお話をされました。その実態につきまして、私自身今お聞きしたところではございますけれども、大変厳しい環境にあることは承知をいたしております。  ただ、この介護保険法第百四十二条、「市町村は、条例で定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。」と書いてあるわけでございまして、それぞれ実態に即して、この制度がまずスタートできる、そのためにいろいろな問題が惹起することにつきましては、いろいろな形で対処いたしていくべきものではないかと考えております。  具体的事例をもって、そのことについてすべてを律して答えを総理大臣出せと言われましてもなかなか困難でございますので、厚生大臣をして御答弁させていただいた次第でございます。
  217. 志位和夫

    志位委員 厚生大臣は、五段階で減免措置をとっていると言われました。しかし、先ほどの夫婦は、減免措置を受けている方ですよ。それでもこれだけ重いんです。これは別に特殊な例じゃありません。こういう方はたくさんいらっしゃるわけですね、高齢者の七六%が住民税非課税世帯なんですから。  それから、総理は市町村に減免措置をとってもらうと。これは、市町村で我々求めたいと思いますよ。しかし、国としてここは考える必要があるんです。私、このままでは低所得層が負担に耐え切れず、保険から排除される危険がある、ここを直視する必要があると思います。  私たちは、住民税非課税の低所得者の方から保険料を徴収すること自体の是非を真剣に考えるべきだ、こう考えます。我が党は、高齢者の七六%を占める非課税の方から保険料を取らない、それから四十歳から六十四歳までも、国民健康保険の階層が中心になりますが、非課税の方から保険料を取らないという基本原則に立って、抜本的な減免制度をつくることを提案したいと思うのです。  そもそも、なぜ住民税が非課税になっているのかということを真剣に考える必要がある。これは、基本的に最低生活費には課税してはならないということからきております。憲法二十五条に定める国民の生存権、すなわち健康で文化的な最低限度の生活を営む権利、これを税制の上で具体化したものがこのさまざまな控除であり、住民税非課税ということなわけですね。  税金と保険料はどっちが根源的な国民の義務かといえば、税金ですよ。この税金ですら非課税となっている人からも保険料を取り立てるというのは、最低生活費の一部をむしり取るということになる、憲法の精神から見ても、私はこれは見直す必要がある、こう考えますが、総理、いかがでしょうか。
  218. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 既に何度もお話ししておりますが、介護保険制度においては、所得段階別の定額の保険料とすることにより、所得の低い方にも配慮することとしております。したがって、特別な理由により一時的に被保険者の負担能力が低下した場合を除いては、所得が低いことを理由にさらに保険料を減免する仕組みは考えておらないわけでございまして、いろいろと御指摘はいただきましたが、要は、国民的全体の負担ということを考えてこのような措置を講じておるわけでございます。  御党もいろいろとこの点については新しい提言をしておるように聞いておりますけれども、その根源的な財源につきましてどのようなことを考えておられるかということにつきましても御紹介あれば、それはお互い、この財源の措置をどう考えるかということも含めてお話しいただいて、対処いたすべきことと考えます。
  219. 志位和夫

    志位委員 財源の問題は最後にきちんとやりたいと思いますので、それはとっておいて、楽しみに聞いてください。  先ほど総理は、低所得層にも配慮をされているというふうにおっしゃいました。一つ、私、こういう試算をやってみました。これは高齢者の介護保険料と国保料の比較です。横軸が年間収入、縦軸が保険料の額であります。青い棒が国民健康保険料です。赤い棒が介護保険料です。国保料の方は東京二十三区の平均です。こういう試算をやってみました。  これを見ていただいたら一目瞭然であります。特に、年間所得百七十三万までの方は、国民健康保険料は月額七百五十円です。それに対して、介護保険料は月額二千百八十六円ですよ。三倍近いんです。これはどう見ても払い切れない。  今は、このグラフを見ていただければわかりますように、国民健康保険料というのは低所得者への減免の、ある程度の仕組みはあります。御承知のように、所得にかかる所得割と均等にかかる均等割があって、所得割の方は非課税世帯はかかりません。均等割の方も、低所得者については六割減免、七割減免という制度があります。ですから、ここまで減免されるんですね、七百五十円まで。  これでもよしとしませんよ、これでも払えない方はいるんですから。これでも国保料が払えないで滞納されている方が三百四十八万世帯ある。そして、医療保険証を無慈悲に取り上げるという、血も涙もないやり方をとっているんですよ、あなた方は。ですから、これでも私たち、よしとしません。よしとしないけれども、その国保料と比べても、介護保険料が、所得の少ない方で三倍も重いというのは、これは余りにも重過ぎると思いませんか。これは矛盾だと思いませんか。どうでしょう。
  220. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 御案内のように、今先生も御指摘ございましたように、要するに介護保険の中には国保の場合の保険料を上回る場合があるということも承知いたしておりますけれども、国保は、年齢に応じて、十八歳でも働いていれば当然のことながら、要するに働いている所得に応じて負担をしていただく、こういうシステムになっておるわけでありますが、この介護保険制度の場合は、いろいろな議論がありました。  要するに二十から徴収したらいいのじゃないかという話もありましたけれども、四十歳ぐらいになると、自分の肉親であるとか、あるいは自分も人生の曲がり角に来て、いわゆるこういう問題について認識を深めてくるんじゃないか。こういう中で、四十歳以上の国民に負担をしていただこう、こういうことでございますので、そもそも被保険者の負担割合が違うんだ、そこにこのような問題が出てくるのではないか、こう考えています。
  221. 志位和夫

    志位委員 被保険者の負担割合が違うところに矛盾があるというふうに言われました。これはまさに……(丹羽国務大臣「数が違うんですね」と呼ぶ)そういう問題があると言われました。  ただ、この問題を考える際に、医療保険というのは掛け捨てのない制度ですよ。どんな元気なお年寄りでも、年に一回ぐらい風邪を引くこともある。ですから、保険料を払った分の給付は必ず大体ある制度ですよ。その制度でもこれだけの減免制度がある。ところが、介護保険の方は掛け捨ての多い保険ですよ。やはり保険の世話にならない方も、それはたくさんいらっしゃる。ですから、国保に比べてももっと減免制度を充実させてしかるべきなんですよ、これは。  なぜこういう問題が生まれるか、なぜ高過ぎる保険料、利用料となるかということについて、簡単に言いまして、国の負担割合が減る、そこに問題があると私は考えております。  このパネルは、介護給付費の負担割合が現行制度と介護保険制度でどう変化するかということをグラフにしたものです。これは厚生省の資料をそのまま使いました。  そうしますと、現行制度では、この赤の部分ですが、国からの負担が四五%、介護保険では三二%に後退します。その分国民の負担が二六%から四二%にふえるわけです。国が税金支出の割合を減らした分国民にかぶさり、高い保険料あるいは利用料になってかぶさってくる、ここに一番の元凶があると私は思うのですよ。  この国の負担割合の後退という問題に目を向けて、ここを見直しませんと、これは介護保険のいろいろな問題が解決しない。私ども日本共産党は、一番右側に提案を書いてありますが、国の負担割合は五〇%にすべきだ。これは、今の老人福祉は半分国が持っているわけですから、介護保険になっても半分は国が持つべきだ、残りの半分を国民と自治体で折半して二五%ずつ持つべきだ、こういう提案をしたいと思うのです。  これは私どもの提案でありますが、私これは総理政策判断として伺いたいのですが、少なくとも、現行制度に比べて国の負担割合をうんと後退させてしまったところから今の矛盾が起こっているわけですから、この負担割合をふやす方向で見直す、制度の根本的な見直しをやるという検討をぜひやるべきだ。総理、どうでしょう。
  222. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 どのようにだれが負担するかということでございますが、今のその資料を拝見した段階で、国と国民と自治体と分けておられるようでございますが、いずれも国民が負担することなんだろうと思います。  したがいまして、それをどのような配分でするかということにはいろいろ御議論があるところだろうと思いますけれども、政府といたしまして、どのようなパーセンテージの割合でいたすことがよろしいかということと同時に、その財源をどこに求めるかという問題も一方では考えておかなければならない。国と言っておられますが、しからば国というのは何か、国の財源はということにつきましても御指摘をいただきながら、その配分についてはさらに、どのようなパーセンテージの割合がよろしいかということにつきましては、それは常に考えなければならない問題だと思いますが、当初の今のこの保険制度出発に当たりましては、現行の今お示しした数字としてスタートさせていただきたいと考えております。
  223. 志位和夫

    志位委員 見直すかどうかという検討についていかがですか。少なくとも全国市長会の要望で、国の負担割合の調整交付金の分、市町村の格差を是正する分、この五%の分は制度にさらに上積みして積んでほしいという要望があるわけですから、国の負担割合を見直す、見直しの検討をやると明言ください。総理
  224. 丹羽雄哉

    ○丹羽国務大臣 三党合意の前提といたしましては、法改正をしない、もう五カ月を切った前提で、そういうことでございますし、今委員御指摘の五%を変えるということは法改正につながるわけでございますので、その考え方は全く持っておりません。  要するに、半年間の保険料の免除であるとか、それから、一年間の保険料の軽減ということで、高齢者の保険料の軽減、要するに市町村会の要望に沿ってこれも行ったわけでございますし、十分にこたえているものと確信いたしております。
  225. 志位和夫

    志位委員 総理は先ほど、常にこの数字については考えていくんだとおっしゃられたわけですから、厚生大臣もちゃんと見直すべきですよ、この問題については固定的なものにせずに。この数字を固定的にしたら、高い保険料の問題は解決しないのですから。凍結するというのであれば、その間に、基盤整備の問題、高過ぎる利用者負担の問題、この二大矛盾を解決するという具体的展望を示しなさいよ。それをやらないで、ただ時期を延ばすということであれば、その凍結は、解除されたときに矛盾が噴き上がるだけですよ。それでは選挙目当てということになるわけですから、そのことを強く求めたいと思います。  最後に財源の問題です。第三にその問題について伺いたい。  私、介護保険というのは総額四兆円を超える国民的大事業ですから、これをやろうという場合には、これまで進めてきたいろいろな計画についても、あらゆるものを聖域にしないで全部点検してみる必要があると思う。  二つほどちょっと言いたいんですけれども、まず、公共事業の問題です。  公共投資基本計画というのがございますね。総理御存じだと思います。それで、六百三十兆円の公共事業を一九九五年から二〇〇七年までの十三年間にやるという計画であります。  これ、もともとの計画というのは、九〇年六月にアメリカの外圧に屈して、十年間で四百三十兆円の基本計画というのがつくられ、それが九四年十月に十年間で六百三十兆円の計画に膨張しました。九七年の六月に当初の計画を三年延長して十三年の計画になったけれども、それでもなお、一九九五年度から二〇〇七年度までの十三年間に六百三十兆円の公共事業をやるという計画に変わりない。これは政府の立場です。  しかし、この道を進んだらどうなるか。  私は、六百三十兆のうちどれだけ使われたか、政府の資料から調べてみました。九五年度から九九年度までの実績の見込みは、累計で約二百四十九兆円です。そうしますと、六百三十兆の公共事業を何が何でもやるという立場に立ちましたら、あと三百八十一兆円使わなきゃならないんですよ。これを二〇〇七年度までの八年間に消化するとなると、毎年四十七・五兆円の公共事業を二〇〇七年までやらなきゃならないという勘定になる。こんなやり方をやっていたら、財政破綻がますますひどくなるどころかもう福祉に回すお金なんかなくなっちゃいますよ。  私は、このやり方、公共投資基本計画という総額をまず決めて、総額先にありきというやり方が日本の公共事業をゆがめる根源の一つにもなっていると思います。これが、必要のための事業じゃなくて事業のための事業になり、そして、むだな公共事業、浪費型の巨大プロジェクトを日本列島にあふれさせる原因になっていると思います。  私は、介護保険という国民的大事業に乗り出すことを契機として、六百三十兆円、これは聖域にしないでこの枠を取り外して見直す、これが必要じゃないかということを総理に提言したいんですが、いかがでしょうか。
  226. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 一般的に、御党は、社会保障についての数字と公共事業の数字を言って、そちらの方が大変大きいということでありますし、今も長期計画になりますところの基本的な数字というものについても御指摘がありました。  しかし、率直に申し上げて、それだけの公共投資を行いましても、まだまだ日本におきましては完成度が私は必ずしも諸外国に比べて高いものでないという認識をいたしておりますので、したがって、政府といたしましては、当然の公共工事その他を含めました事業の推進というものは、これは予算の範囲でございますけれども行ってまいらなければならない、その責務も一方では負っておるということだろうと考えております。
  227. 志位和夫

    志位委員 まだまだ必要だというんですけれども、この公共投資基本計画というのは、国民生活の必要性から積み上げてつくった計画じゃないんですよ。アメリカに言われて総額を先につくった計画なんですよ。ですから、それを使い切ろうというので、船の来ない港をつくったり、目的のわからないダムをつくったり、飛行機の飛ばない飛行場をつくったり、車の通らない海峡横断道をつくったりしているわけですよ。このやり方をしていたら、借金がどんどん膨らんでとめどもなくなる、こう思います。  もう一つの問題、聞きましょう。大銀行向けの税金投入の枠組みです。  昨年、六十兆円の公的資金を使った銀行支援の枠組みがつくられました。そのうち既に幾ら使われているか私調べてみましたら、二十二兆四千億円の流出が現時点で確定しています。うち、現時点で返ってこない公的資金の確定額は約八兆円です。長銀の処理だけで四兆五千億円、この税金投入のニュースは国民を驚愕させましたよ。  これだけ銀行業界に税金を入れて、では中小企業の貸し渋りはやんだのかという問題があるわけであります。公的資金の資本注入を開始する前の昨年九八年三月と、二度にわたる公的資金を注入した後のことし九九年九月で比較して、全国銀行ベースでの中小企業向けの融資残高がどう変化したか。これは日銀を呼んでおりますので、数字を言ってください。
  228. 村山昇作

    村山参考人 お答え申し上げます。  御質問の中小企業向け貸出残高でございますが、私どもの業種別貸出統計、これによりますと、九八年三月末残高は、二百五十兆二千五百二十六億円でございます。続きまして、九九年九月末残高でございますが、こちらの方は二百二十六兆三千八百四十九億円、このようになっております。
  229. 志位和夫

    志位委員 これは数字の間違いはありませんね。減っているのですけれども、間違いないですね。
  230. 村山昇作

    村山参考人 御指摘のように、これは私どもの業種別貸出統計、これの残高でございます。
  231. 志位和夫

    志位委員 減っているのですよね。驚くじゃありませんか。二百五十兆二千五百二十六億円から二百二十六兆三千八百四十九億円といえば、二十四兆円に及ぶ資金の引き揚げですよ。  どこに貸し込んでいるのか、商工ローンに貸し込んでいる。今、極悪の商法が商工ローンについて告発されております。高利の四〇%という融資をして、もう無理やり追い貸ししてつぶしたあげく、連帯保証人からむしり取る。それで最後は腎臓売れ、目玉売れ、こういう極悪の商法が告発されておりますが、この日栄などの商工ローンに低利での巨額融資をやってきたのが大銀行ですよ。  それで、商工ローンの横暴が告発されておりますが、その横暴の背後に大銀行の横暴がある、この貸し渋りがある。その横暴に六十兆円の税金の枠組みがある。これをもっともっと続けるというつもりなのか。私は、この六十兆円の銀行支援の枠組みについても、そういう実情がある以上、今からでも税金投入は中止する、そして、銀行業界のその責任において、共同責任において破綻処理をやる。アメリカではそういうルールでやっておるのですから、そこに戻るべきだと思います。  私は、介護保険の導入を機に、国の財政のあり方も、ゼネコンや大銀行が主役のそういうあり方ではなくて、福祉と国民生活が主役の方向に切りかえる、このことを強く要求して、質問を終わるものであります。
  232. 島村宜伸

    島村委員長 これにて志位君の質疑は終了いたしました。  次に、濱田健一君。
  233. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 濱田健一でございます。  社会民主党・市民連合を代表して、総理を中心として、概括的な問題について御質問させていただきたいと思います。  まず、これは質問には入れておりませんでしたけれども、総理の御認識をお伺いしたいと思うのですけれども、自民党と自由党と公明党、三党の連立政権、この連立政権が国民からどのようなことを期待されている政権であると総理は御認識をしておられるのか。基本的なところを、御見解をお伺いさせていただきたいと思います。
  234. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 今回の三党による連立につきましては、三党がお互い切磋琢磨いたしまして、もとより三党それぞれ党が異なりますから、考え方にも相違点がありますけれども、その三党がしっかり話し合いをすることによりまして、内閣としての基本的な方向性を打ち出し、安定した政権としてこれが各般の問題について成果を上げていくことが、この内閣に与えられた責務と考えておる次第でございます。  そういう意味で、三党間の話し合いを極めて緊密に、かつ、問題の点についてお互い譲るべきところは譲り合いながら、一つの方向性を定めておるというところにこの政権の持っておる本質があろうかと思っておりまして、これからなさなければならない諸課題は多々ございますけれども、こうしてこの国会でも、諸案件につきまして、三党で話し合いのまとまりましたものをぜひ国会において法律化する努力をいたしていくというための、この連立内閣と考えております。
  235. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 三党の連立政権ですから、総理としては当然、三党の協力関係というものを重視されるという今のお話は、だれの目からも当然だとは思うのですけれども、私たちから見て、介護保険、年金含めて、それが三党一つの方向性に本当になって動いていくのか、ならない中で動いているのかという、いろいろな評価がございます。  去年の今ごろと申しましょうか、自民党と自由党が連立を組むという方向性が進んできまして、第百四十五通常国会では、自自という形の連立ができました。括弧書きで公明党さんもその中に入っておられて、いろいろな法案を通過させられたということも、国民に周知の事実でございます。  私がいろいろなところで、いろいろなお話を多くの皆さん方からお聞きする中で、社会民主党の支持者だけではなくて、自民党の支持者の皆さん方の中からも、第百四十五通常国会で成立をいたしました周辺事態安全確保法、そして国旗・国歌法案、改正住民基本台帳法案、通信傍受法案、そして憲法調査会の設置法、国会法の改正でございます、こういう点を見ながら、この内閣は本当に、日本の二十一世紀に向けて国民を安心の方向に船を引っ張っていける政権なのかどうか、首をかしげるという声もたくさん聞いているわけでございます。  きょうも論議になりました、身近な生活の中での介護保険制度の導入、年金の改正、これらも、一定の方向がまだまだ出ていない中で、国民の中に心配ばかりが募っているんじゃないか、そういうふうな気持ちを考えるところでございます。  時間がございませんので、これまで各委員が触れられなかった部分について質問をしていきたいというふうに思っているわけでございますが、まずは雇用の関係でございます。  依然として雇用の好転は見られない。十月の完全失業率四・六というところで、上昇するのがとまったというふうに言われてはいるわけでございますけれども、今回の対策では、雇用対策に約一兆円が準備をされております。その中身を見てみますと、中小企業の創業支援や、基盤強化による雇用の創出や確保というものになっているわけでございまして、少し長い名称になっておりますけれども、中小企業地域雇用創出特別奨励金、特定地域・下請企業離職者雇用創出奨励金という新機軸も出されているところでございます。  これらは、頑張っておられることは一定評価をしたいと思いますが、何といいますか、多面的な広がりを持った雇用対策というよりは、点とは申しませんが、線的な面での雇用対策で、制約があるということを含めて考えるわけでございます。  例えば、連合が提起をしている雇用保険、これの積立金の基盤が非常に脆弱になっておりまして、この第二次補正で一兆円程度投入をすべきではないか、国庫の補助率を四分の一に戻すべきではないかという提言や、我が党がこれまでも提起をしてまいりました未払い賃金の立てかえ払い、これの支給額の引き上げ、または、小さなことかもしれませんが、内職及び建築職人の皆さん方への、手間請従事者に対する倒産時の見舞金制度など、こういう失業や倒産、解雇といった状況の中で、生活不安に具体的に対応するための安全弁というものを含めた、もっと面的な広がりを持った整備というものを、財政を積極的に使いながら対応する必要があるのではないかと今、強く感じているわけでございますが、総理、いかがでございましょうか。
  236. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 雇用情勢は依然として厳しい状況にある中で、今般の経済新生対策は、雇用不安を払拭しつつ、我が国経済を早急に本格的軌道に乗せることを目指して策定したものでございます。  特に、雇用対策といたしまして、地域の特性等を生かし、雇用機会の創出等を行う先導的な中小企業への支援、大規模リストラの実施により大きな影響を受ける地域における雇用創出、中小企業の発展を担う人材の育成などのための施策を実施いたしてまいりたいと思っております。  今後とも、同対策に盛り込まれた施策を迅速かつ着実に実施するなど、雇用の創出、安定に万全を尽くしてまいる所存でございます。  補正予算早期成立に向けよろしく御審議をいただきたいと思いますが、点から線、線から面というお話をされておられました。しからば、面ということについて今、濱田委員も若干、いろいろ具体的施策についてお触れになられましたけれども、政府といたしましては、申し上げましたような予算の中で、できる限り、面的な雇用対策についてあらゆる角度から考え方をまとめる努力をさせていただいておると認識をいたしておりますが、御指摘をいただきました諸点につきましてはさらに検討をいたしてまいりたいと思います。
  237. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 十一月の初めにパリで社会主義インターの総会がございましたけれども、この中で、世界の社会主義を標榜しておるといいますか、社会民主主義という観点での政治を志している仲間たちの次の時代のコンセプトは、完全雇用という言葉でくくったそうでございまして、日本の失業率が非常に低かった時代から、今経済が厳しいという中で、政府も御努力いただいていることはもう当然理解しながら、こういう今私が申し上げましたような細かい点での面的な広がりというものも十分、細かい施策の中で検討いただきたいというふうに申し上げておきたいと思います。  そういう状況の中で、今、アメリカ流のMアンドA、合併と買収という、いろいろな動きというのが進んでおります。これは、企業が体力を強化する、そして、その中で生き延びていくという一つの大きな動きとして存在をすることは当然のことでございますけれども、そういう中で、働く者を絶対に切り捨ててはいかない、絶対に労働条件を引き下げないということなどから、やはり新しい組織に展開を変える場合の、働く仲間を守っていくという基本的な部分の法律をつくっていくべきではないかと。今、だからこそそれが必要であるのではないかと私は思うのでございます。  つまり、企業の譲渡、そして合併等に伴う雇用や労働条件、こういうものをしっかりと守っていく、企業組織の変更にかかわらない労働者保護法というものが必要であるというふうに思うわけでございますけれども、そういう取り組みを用意されておられるのかどうか。  次の国会では会社分割法というものも検討されておられるようで、いいところだけ残して悪い部分は切り捨てていくという法律が出てくる可能性があります。ますます雇用不安を高めるのではないか。労働者保護の立場で、総理にお尋ねしたいというふうに思っております。
  238. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 企業組織の変更に伴う労働関係上の問題につきましては、労使間で十分話し合うことが基本であると考えております。  政府といたしましては、さきの通常国会における産業活力再生特別措置法に対する附帯決議も踏まえまして、企業組織の変更に伴う労働関係上の問題への対応につきましては、必要な検討を進めているところでございます。  具体的お尋ねがありますれば、労働大臣から御答弁願いたいと思います。
  239. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 ただいま基本的な考え方につきましては総理から御答弁いただいたわけでありますが、私どもとしましては、具体的なケースがいろいろな変化をしながら具体化されてきているわけでありまして、例えば日産自動車の二万一千人、この場合に、企業は営業譲渡もありますし、あるいは工場閉鎖もありますし、これらの実情を一つ一つチェックしながら検討をさせていただきたい。  この場合に、一つは、法務省において会社分割法制の検討がなされているわけでありますが、こういう検討状況もはっきり見通しをさせていただきまして、労働省としては、もし新しい法制化が必要であればしなければならない、こういうふうに考えております。
  240. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 前の国会の産業再生法、そしてこの国会の民事再生法、そして、先ほど申し上げました次の国会で準備をされておられると聞いております会社分割法、これは、企業の生き残りという方向性にある意味では大事な法律だというふうに思うんですが、逆な面から見ると、先ほど私が言ったように、労働者の切り捨てというところに使われるという面を持っている。  これは、両方とも大事に、労働者も守る、企業もどう守っていくのかという両面をミックスした形での政府の強い指導力と、中身の濃い政策を出していかなければ、一方だけが切り捨てられていくんですよ、そういうふうになりかねませんよということを言いたいわけでございますが、その辺は、労働大臣はどういうふうな御認識をお持ちでしょうか。
  241. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 先生の御趣旨は、例えば再生法の制定に関しまして、衆参両院で附帯決議がございました。この場合、労働組合がしっかりしている場合には、先ほど総理も御答弁いただきましたように、労使間できちっと話を詰めていただきたい。ところが、そういう労働組合のない企業がいろいろな形でリストラをされるわけです。  この場合も、一応考え方としては、そこに雇用されている労働者の過半数の意見を、まとまるならば、それをきちっと聞いてやりなさいと書いてあるわけですが、現実にそのような行動が行われるかどうかは実ははっきりいたさないわけであります。  そこで、この法律の施行に関しまして、労働問題を主管する労働省としては、主管をする、例えば日産自動車でございましたら通産大臣、電電公社系統の新しい企業であれば郵政大臣と、それぞれ主管大臣が決まっておるわけですが、両者間で十二分に意見の疎通を図る、そして、特に未組織労働者に対して不利な状況にならないように最大の措置をとるということで、私ども行政機関内部におきましてもそのような手続で対処しよう、こういうように実は現在進めております。  これらを通じまして、先生がおっしゃるような新しい立法措置が必要かどうか、この辺も検討させていただきまして方向を出すことができれば、こう考えております。
  242. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございます。  今、労働の現場を見てみますと、労働者の保護のために最低限守らなければならないという労働基準法が最高の法になっている。最低に決められたものが最高の見方というものを経営者がしている部分があるのです。  十二月一日からは派遣法が施行されました。これもいろいろな歯どめはかけさせてもらいましたけれども、実際的に、派遣される側が不利益にならない措置というのが担保されるのかどうか。まさに野党側がしっかりと労働行政の基本的な認識を持たなければならないというふうに思うわけでございまして、この部分については、非常に監視活動というものを労働省もしっかりしてもらわなければ、人も足りませんよね、正直なところ。監督署なんかの人たちも足らない。そういうところは、省庁再編の中で厳しいでしょうけれども、しっかりとした仕事をしていただきたいと、まずは要望をしておきたいと思います。  もう一点ですが、来年の学卒者の問題です。  非常に優秀な能力を持っている大学生、高校生、勤めようと思っても勤められないという状況の中で、もう一度私は、有給のインターンシップ制度の導入を労働省に提起をしたいわけでございます。  現行のインターンシップ制度、五日間程度の、何といいますか、導入部分といいますか、ちょっとした、企業の中身をかいま見る程度の中身でございまして、過去ありましたインターンシップ制度もうまくいかなかったということがございます。大卒者に関する未就職卒業者職場体験プログラムという名称であったわけでございますけれども、大卒者にしても、今政府が提起しているベンチャー企業等への就職を一生懸命希望しながらも、そこにもなかなか入れない。  では、そこは、優秀な頭脳を、優秀な技術をぜひ導入したいんだけれどもちょっと制約があってだめだという状況の中で、今度、有給の、一年なら一年、そして一年たったらこの人を、優秀な技術者を必ずうちは雇い入れる方向に向けるんだというような意味での新しいインターンシップ制度というものは検討できませんか。労働大臣、いかがですか。
  243. 牧野隆守

    ○牧野国務大臣 先生の御提案、有給インターンシップ制度、これは未就職卒業者の就職の促進を全面的に図る、こういうお気持ちからの新しい御提案だ、こう考えております。  新卒の就職状況については私どもも非常に心配をいたしておりまして、九月現在のものが前年より非常に悪いということで、実は今後どのように展開するか、今早急に調査をいたしております。  本当に、三月末現在で従来と同じような九割前後の就職というものが確保されるかどうか。この辺の今後の情勢の変化においては、場合によっては有給インターンシップ、現在はインターンシップであって、職業紹介をしますよ、あるいは専修学校へ行ってくださいよ、あるいは特別の講座を設けますからと、こうやって能力増進を図ると同時に、この間私も見てきたのですが、大学生相手の学生職業総合支援センター、こういう直接の就職の世話もする、こういう形でやっておりまして、具体的に有給でというところまでは実はまだ踏み切っていないのが現状でございます。  しかし、この間から新聞で流布されるように、新卒は採りませんよというような企業がどんどん出てきた場合には、これはもう最終的な措置として私どもも検討せざるを得ない状況になるのではないかなと。今の段階では、そうならないようにいろいろな措置を講じまして、何とか新卒については九割前後の就職が確保される、それに最大限の努力をする。  実は、十月末日で至急、安定所を通じて調査しましたら、大分急激に内定者がふえているという情報も入ってきておりまして、ぜひそうあってほしいし、そのように最大の努力をする、こういうことで現在やっているというのが実情でございます。
  244. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 わかりました。  こういう手を打つまでもなく、新学卒者の就職の中身が豊富化されていくということは大事なことですが、今、牧野大臣がおっしゃったような部分もしっかり検討できる体制というものをつくっておいていただきたい、改めて要望をしておきたいと思うわけでございます。  大蔵大臣、二点お尋ねをしたいと思います。  税制改正について、相続税の問題が今論議をされているようでございます。最高税率七〇%を一定程度下げようではないかというお話のようでございますけれども、この相続税、今本当にその引き下げが必要なときなのかどうかということを私は考えております。  試算をしますと、御主人の財産を奥さんと子供二人が引き継ぐ場合に、例えば、奥さんが四十億、子供たちが折半して二十億、二十億、トータルして八十億程度の財産を継承するところが七〇%程度の最高税率を適用されている。人数的にいうと、毎年十人前後というふうに言われているようでございます。  税をたくさん取られるということについて、一人の人間としては、それは少ない方がいいということに決まっているわけですが、それを、最高税率を一〇%なら一〇%、一五なら一五下げることによって、税収不足を補てんするには、課税最低限の部分、ベースを広げていくということになると思うのですが、年間十人ちょっとの皆さん方のところを救うために、最低の、相続税を払う国民の広い層のところに今の厳しい状況の中で圧力が加わっていくということが、本当に今経済の立て直しのために必要なのかどうか。私は、これについては明確に、党の方から大蔵大臣の方にこういうふうにしたいんだがというお話があっても、断っていただきたいというふうに思うのですが、お気持ちはいかがですか。
  245. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 このお話は、昨年、御承知のように個人所得税の所得課税の税率を六五から五〇に下げましたときに、それとの権衡で、相続税の最高税率も下げないとおかしいなという、これは玄人の方の意見がかなりございました。その同じ議論が今回も行われておるわけです。  しかし、本来、最高税率だけを下げるということに果たしてどれだけの意味があるのか。相続税全体の構造を変えるということであれば、それはいずれしなければならないことでありますし、また仮に、今年の場合、中小企業について幾つか問題があるのならば、それは考える必要があるかもしれない。  どうも最高税率だけを、おっしゃいますように、最高税率の適用を受ける相続というのは、被相続人の数で年間十人ぐらいと言われておりますから、失う歳入も大したことではないのですが、ただ、そのことの意味がどういうことであろうかということに、いろいろ実は私自身があれこれ思っておりまして、率直に申しますと、今、党の税制調査会でも政府税調でも、昨年度そういうことがございまして以来いろいろに議論はしておられますけれども、ただいまのところは帰趨がはっきりいたしておりません。御発言の趣旨は私もよく心にとめておきたいと思います。
  246. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今大蔵大臣が、私の主張の趣旨はしっかりと受けとめておくとおっしゃいました。  やはり、所得、資産、消費、三つの部分での税のありようというのは絶えず論議をされ続けなくてはならない。当然のことだと思っているのですが、一つずつぽつぽつと出てくる論議は、それだけが特化されてしまって余りよくないと私は思うのですね。やはり、全体的なものを本当にまとめて論議をする必要があるというふうに思っているわけでございまして、今のところは大蔵大臣の、私の申し上げたことを受け入れていただけるんだというふうに理解をしておきたいと思います。  もう一点は、新聞にも出ておりますが、五百円硬貨の問題です。  硬貨としては高価なものだというふうによく言われております。世界の中でこういう高い価値を持った硬貨は少ない。だからこそ、ウォンと比較してというか、ウォンを同じものに使われてしまっているというふうに言われるわけでございますけれども、過日、我が党の横光議員の質問に対して、この五百円硬貨を新しいものにつくり変えたいというふうに、そういう方向で検討を進めたいということでございました。  ここに私が持っております十二月四日付の地元の新聞にも、新五百円玉を発行、変造対策で伝導率の変更というふうに書かれているようでございますが、材質を少しまぜて伝導率の変更をされることによって、ウォンにかわる、全く違ったものとして本当に対応できるのかどうか。  造幣局の技術というのは、私も大阪を見学させていただいて、いろいろなものが長い間蓄積されているんですね。こういうことも変造を防ぐためにやってみたい、こういうことも偽造を防ぐためにやってみたいというノウハウがあそこにいっぱい詰まっております。  ユーロが今度、バイメタル硬貨、一つの硬貨の中に全く違った物質を入れてつくっていくという方向を決めているようでございますけれども、せっかくつくるのであれば、次の時代に長く、こういう変造や偽造を防ぐためのノウハウをきっちり織り込んだ硬貨というものを、新しい時代に先駆けてつくっていかれたらどうなのか。  今度の、今まさに新聞だけしかわからないのですが、伝導率の変更だけじゃない方向性というものも検討されたらいかがなものなのかなというふうに思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。
  247. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般、国会でも御質問があり、また、世間にもそういうことがかなり広く行われるようになりましたので、この際抜本的に五百円硬貨を変えてしまいたい。しかし、事の性質上、できるだけ早く、また販売機の改造に余り金がかからないようにといったような幾つかの注文を出しまして、結果といたしまして、今の、バイメタルでなく、ニッケル黄銅を使ってその目的を達することができるだろう。  ただし、同時に、変造のことなんかがございますので、周りにぎざがございますが、ぎざを斜めに切るという方法があるんだそうでございます。それと、角度によりまして像が浮かぶような、潜像と申すそうですが、そういう二つの技術を加えまして、まず変造、偽造に完全に対応できるということを専門家が結論づけまして、来年の八月には新しい五百円貨を出したい、今の五百円貨の製造は今年の十二月をもってやめるということを決定いたしました。  なお、おっしゃいますバイメタルというのは、やはり将来ひとつ検討しておく必要がある技術だそうでございますが、今我が国にはこれを製造する機械がないそうでございまして、数台の機械を買うということになりますと、かなり入手に時間がかかるということでございましたので、このたびはこのような方法でいたすことで決定をいたしました。
  248. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ありがとうございます。  それでは次に、沖縄問題についてお伺いをしたいというふうに思います。  稲嶺沖縄県知事が名護市長に対して、普天間基地の施設の移設先を名護市が引き受けるように要請をされました。私たちは日ごろから、単に基地というものを右のポケットから左のポケットに移しかえるというような、県内の移設には反対であるということを主張させていただいてきたわけでございますけれども、それは当然、皆さん方御案内のとおりに、国土のわずか〇・六%というところに日本の基地の七五%以上が存在をしているという状況はだれが見ても異常であって、沖縄の基地は何よりも整理縮小という方向で、これは政府も同じ考え方でおられるというふうに思っているわけでございます。  政府は、来年の夏の沖縄サミットを控えて、県内移設の年内の決着というものを進めておられるわけでございます。地元の調整かれこれが今論議の対象になっていることでございますが、私たちがこの沖縄の基地問題を考えるときに、今回の方向性というのは、今までは沖縄に基地が押しつけられてきた、七五%もの基地が押しつけられてきた、今度は稲嶺知事によって、沖縄そのものが、基地をこの沖縄の中に設置をする、場所を変えて、今の普天間にかわったところに基地を移すという選択をすることに意思表示がなされているわけでございますけれども、そのことに対しての沖縄県民の怒りというのは、新聞記事等を見ても、いろいろなところで噴き出しているというふうに私は思っているわけでございます。  この状況の中で沖縄の振興策等々いろいろ検討されておられますけれども、それを示しさえすれば、この怒りは一時的なものであるというふうに思われているのかどうか。  私は、そう思ってないんです。やはり沖縄そのものが、自分たちのところから基地は縮小してほしい、移転してほしいという多くの県民の感情に反する知事の選択というものがなされることによって、県民の感情が二つ、三つに分かれてしまって、沖縄県民の心、沖縄県民の一致する気持ちというのがばらばらに、もしかするとなってしまうのではないか。そして、もっと見方を変えると、基地の整理縮小、移転というこの方向性が、基地の固定化をこのことによって助長していくのではないかということも皮肉にも考えるわけでございますけれども、その辺、政府はどのような見解を持っておられるのか、お聞きしたいと思います。総理、いかがでしょうか。
  249. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 改めて、沖縄、戦後二十七年間にわたり米国の施政権のもと米軍基地が整備され、復帰後二十七年を経過した今日、依然として米国の米軍施設・区域の約七五%が所在しており、県民の方々にさまざまな御負担をおかけしていると認識をいたしております。政府としては、このような県民の方々の御負担を軽減するため、普天間飛行場の返還を初めとするSACO最終報告の着実な実施に向け、最大限の努力を払ってきたところであります。  稲嶺知事におかれましては、御就任以来、沖縄の諸問題の解決に向け全力で取り組んでこられ、先般、普天間飛行場の移設、返還問題の解決に向け、移設先候補地についての御見解の表明をいただいているところであります。政府としては、基本的にこの移設先候補地の御提案を尊重したいと考えておるところでありますが、今後、名護市の御理解、御協力をいただく必要があることから、なお県と名護市との話し合いを見守ってまいりたいと考えているところでございます。  付言をいたしますと、沖縄におきまして、明年七月、サミットを開催することになりますが、この普天間基地の移設の問題につきましては、橋本内閣時代、クリントン、橋本両首脳によって約束されたことでございます。  普天間の基地は、先生もごらんになっていただいておりますように、町の中心にといいますか、ございました基地の周辺に多くの住宅地が建設をされておるわけでございまして、万一、ヘリコプター事故等が起こりましたら大変なことになるということで、この基地の効果、これは海兵隊を中心におるわけでありますが、この移設ということにおいてその機能は失わない、しかも、普天間ほどの大きな土地を有しない形でいたしていかなきゃならぬということでございます。  そういう意味では、SACOの最終報告によりまして、施設が移ること、また、施設の縮小という方向性についても御理解を願わなきゃならぬというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、稲嶺知事が御決定し、今、名護市当局とお話を進めておられますので、政府といたしましては、これを見詰めながら、県民の御理解もいただきながら、ぜひそうした方向性が定まるということについてこいねがっておる、こういうことでございます。
  250. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 ともかく、戦後の沖縄の歴史の中で、沖縄みずからが、自分たちの沖縄の土地に基地をつくっていいですよということを、沖縄の行政の長が言われて、それを日本政府もバックアップしていかれるという方向は、沖縄の県民にとって本当にプラスになるかどうか、これは大きな課題だというふうに私は思います。慎重な対応が必要だということだけを申し上げておきたいと思います。  そして、この新しい基地が、軍民共用にしたい、使用期限は十五年というようなことを知事は表明をしておられますし、政府にもこのことを要請されているというふうに思っているわけでございますが、アメリカの国防総省は決してそういうふうには見ていない。運用年数は最低でも四十年、耐用年数は二百年として設計されるべきだというような報告をまとめておられるようでございます。  この使用期限を十五年と切るということが、政府としては、仮に知事の意向を受けておできになるというふうに確信を持っておられるのかどうか、そして、もしこれをアメリカが拒否した場合にはどういう新たな展開が予想されるのか、官房長官、いかがでしょうか。
  251. 青木幹雄

    ○青木国務大臣 お答えをいたします。  稲嶺現知事が知事の選挙において、移転先の使用期限を十五年と限られたことは十分承知をいたしております。また、先般、移転先の決定に際しても、私どもに対しても、また地元に対しても、同じような趣旨を発言されたことを非常に重く受けとめております。  期間云々のことにつきましては、従来より政府としては、一般論として、将来の国際情勢などさまざまな要因が深く関連した問題でございますので、極めて厳しい問題があるということを知事に申し上げてまいったところでございます。  いずれにせよ、本問題については、種々の要素を総合的に勘案しながら考えていきたい問題だと考えております。  また、米国がこれを認めなかった場合どうするかとおっしゃった問題でございますけれども、まだ基地の移転先が正式にも決まっておりません。もし幸いにして決まれば、決まった段階で、地元、県の意向も十分に私どもも聞きながら、政府において十分な協議をした上で対応していくべき問題であろう、そのように考えております。
  252. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 最初申し上げた、沖縄自身が自分たちの土地に基地を誘致していいよというふうに、沖縄自身というか知事が決められたということと、十五年、軍民共用、県民感情を和らげるための一つの方便だと私は思うわけでございますけれども、アメリカそのものは、使用は四十年、耐用年数は二百年で設計をされるべきだということは、政府も地元も考えている基地の整理縮小という方向と全く逆なことをアメリカ政府は言っているとしか私は感じ取れないわけでございます。  この面についても、本当に、どのような方向になるのかということは、県民のさまざまな動きの中で、政府は沖縄の県民の皆さん方の生の声をしっかりと聞くという姿勢を堅持されないと、知事さんだけの発想が沖縄の将来にとってプラスになるかならないか、私はプラスにならない方向に動くような気がして憂慮をしているということを申し上げて、この質問は終わろうと思っているところでございます。  村山総理訪朝団団長として行って、お帰りになられました。総理も、村山総理や野中前官房長官から詳細な報告をお受けになって、早速、河野外相の方に正常化交渉の準備に入るように御指示をされておられるようでございまして、この面については、手際のよい総理の処理に敬意を表したいというふうに思っております。  実は、鹿児島県の吹上浜で、私はあえて拉致疑惑とは申し上げません、行方不明になったというふうに申し上げたいと思うんですが、増元るみ子さんの御両親が私の二軒下にお住まいでございます。隣同士に住みながら、月に一回ぐらい、地域の奉仕活動、草を取ったりいろいろなことをするときにお目にかかります。お父さんは、御高齢になられましたけれども、毎日、すぐ前にあります小学校の子供たちの通学指導、交通整理、毎朝していただいております。  そういう地元への貢献といいますか、子供たちのことを考え、いろいろなことをしておられる元気なお二人でございますけれども、時々お話をするときに、その顔には憂愁といいますか、深い憂慮の念が浮かんで、私に、月並みな言い方だけれども、生きているうちに元気な姿が見たいというふうにおっしゃるわけでございます。  そういう意味からいって、この今回の訪朝の成果というものが、日本からいなくなった皆さん方の一日も早い救出といいますか、元気な姿を見るという方向に進んでもらいたいと思うんです。日赤の活動が強化をされるというふうにお伺いをしているわけですけれども、まだ訪朝団お帰りになって二日、三日しかたたない中でその方向はなかなか決められないとは思うんですけれども、今、日赤の活動等、行方不明の皆さん方の一日も早い御帰還を願っている国民から見て、政府はどのようにこの問題に対処されようとするのか。  河野大臣でしょうか。
  253. 河野洋平

    河野国務大臣 私、昨日外国から戻ってまいりましたが、早速総理からお呼び出しをいただきまして、本件の、村山訪朝団成果をきちっとフォローするようにという御指示がございました。私、本日の予算委員会の昼の合間を縫いまして村山団長にもお目にかかってまいりまして、村山団長から双方の意見、その他を伺ったところでございます。  今議員から御指摘の点につきましては、恐らくきょうの夕刻には、村山訪朝団の皆さんは日赤の方々ともお会いになって、いろいろお打ち合わせをなさる、あるいは御報告をなさるというふうに伺っております。  いずれにいたしましても、政府としては、国民の生命財産を守るということは何よりも大事なことでございます。この問題について、村山訪朝団もきちっとそうした点について発言をしてこられたというふうに伺っておりますし、それらをさらにしっかりと受けとめて、この点をフォローしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  254. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 今回の訪朝が、今の点について、今外務大臣がおっしゃっていただきましたような観点、なかなか解決に向けての道筋をつくるのは大変だというのはわかってはおりますけれども、本当にその道筋の一端が切り開ける状況というものをおつくりいただきたいというふうに思います。  最後ですが、そういう中で、日朝国交回復のための手だてというものをあらゆるチャンネルを使って進めていかれると思うんですが、今回のこの訪朝の成果に対する受けとめ方が、総理の受けとめ方と官房長官政府の一部の皆さん方の受けとめ方の中にずれがあるのではないかということを感ずるわけでございます。  それは、例えば青木官房長官が、ミサイル発射がはっきりした形で解決されなければ正常な交渉はなかなか難しいというニュアンスのお話をされたように聞いておりますし、食糧支援も、先ほど申し上げた拉致疑惑の解決の道筋がつかなければなかなか難しいんじゃないかというようなニュアンスの発言等々、マスコミ、いろいろなところで聞こえてくるわけです。やはりこういう部分を乗り越えて、あらゆることが日本の中で、そしてアメリカ、中国を含めて協力体制の中でできるように一つの方向をまとめていくという動きが大事ではないかというふうに思うんですが、その点いかがでしょうか。  総理、いかがでしょうか。
  255. 小渕恵三

    小渕内閣総理大臣 基本的には、政府部内、官房長官外務大臣も含めまして一体だと考えております。  幸いにして、昨今、韓国におきましても、あるいは米国におきましても、北朝鮮との関係を改善しなきゃならぬという流れの中で考えていかなければならない問題だというふうに考えております。  政府といたしましては、国民各界各層の基本的なお考えも承りながら対処しなきゃならぬと思いますし、昨日といいますか一昨日以来、この訪朝団に関しまして、日本のメディア、新聞、テレビその他の論調を拝見いたしておりますと、いずれにいたしましても、人道的な問題、あるいはまた昨年のミサイル問題、さらにまたそれぞれ、不審船の問題等も忘れておらない問題として国民の中に存在していることは事実であります。  さりながら、今回、今世紀中に何とか解決をしなきゃならぬという御意思のもとに、村山団長を中心にいたしまして、各党の国会議員の皆さんがせっかくにピョンヤンに行かれたわけでございますので、政府としては、できる限り早い時期に政府間の交渉を開始いたしたいという気持ちにおいては何ら政府一体の中で異論があるわけでございませんで、その点はぜひ御理解をいただいて、御支援いただければ大変ありがたいと思いますし、政府としての責任も果たしてまいりたい、こう考えております。
  256. 濱田健一

    ○濱田(健)委員 これで質問を終わります。  ありがとうございました。
  257. 島村宜伸

    島村委員長 これにて濱田君の質疑は終了いたしました。  次回は、明七日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会