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福島委員 次に、私は、少子化対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
森嶋通夫さんという学者がこのようなことを言っております。
マルクスは
経済が社会の土台であると
考えるが、私は人間が土台だと
考える。
経済は人間という土台の上に建てられた上部構造にすぎない。それゆえ、将来の社会を予想する場合、まず土台の人間が予想時点までの間にどのように量的、質的に変化するかを
考え、予想時点での人口を土台としてどのような上部構造が構築できるかを
考えるべきである。
二十一
世紀の幕あけを切って落とすのが
総理大臣の立場だというふうに私は思っております。
総理が二十一
世紀を構想する中におきましても、二十一
世紀の
日本の社会を支える人間集団、
国民の姿がどうなっているのかということに対して思いをはせるということは、極めて大切なことだと思います。この二十一
世紀の
日本の
国民の姿がどうなっているのか。そこで最大の問題になるのは少子化ということだというふうに私は思います。
少子化についてはもうさまざまに議論がなされておりますし、指摘もなされております。これは、皆さんもよく
御存じのように、人口問題研究所が出しました将来推計でございます。
平成十年度の合計特殊出生率は一・三八と、今までにない低い
水準になりました。そして、こうした出生率の低下が続けば、二〇〇七年をピークに人口が減少を始め、そして二一〇〇年には六千七百万人、中位推計でも六千七百万人になる。これだけ大きな人口の変化というものが
日本の
経済社会に対して大きな影響をもたらさざるを得ないというのは、自明の理であるというふうに私は
考えます。社会保障の問題もそうでございますし、また
経済の問題も同じだというふうに私は思っております。
その中で、
政府一体として少子化の問題に取り組むということは大変大きな
課題である。もちろん、結婚や出産は個人の選択にゆだねるべきである。また、リプロダクティブ・ライツという
考え方もありますし、私もそれは深く共感をいたしておりますけれども、一方で、
政治の立場ではこうした少子化というものに対してどのように取り組むのかということについて、明確な
見通し、そしてまた
対応をなすべきであるというふうに私は
考えております。
そして、公明党は、児童手当制度の改革ということを今まで訴えてまいりました。この児童手当制度の改革ということにつきましては、私どもが主張いたしましてから、
経済界からもさまざまな形で反対の声も上がっております。また、一部のマスコミではばらまきではないかというような御批判もございます。私は、この場をおかりいたしまして、なぜ私どもが児童手当制度の改革を訴えるのかということにつきましての見解を示させていただきたいというふうに思います。
これは、先進諸国におきます家族手当、
日本で言うところの児童手当ということに重なりますけれども、それが一体どういう
水準であるのかということを示したグラフでございます。少し小さくて見えにくいわけでございますが、わかりやすいことは、
日本はこの一番低いところにいる。その隣がスペインであり、またイタリーであります。スペイン、イタリーというのは、合計特殊出生率はそれぞれ一・一五、一・二〇、低い
水準であるということも事実でございます。
日本の児童手当制度というのがいかに先進諸国と比べて貧困なものであるのかということを、このグラフは示している。
そしてまた、一方ではこういう指摘もあります。昭和四十八年から
平成八年まで二十五年間、この間に、高齢者に対しての給付、そしてまた児童に対しての給付が一体どのように変化をしたのかという
数字がございます。これを示したいと思いますが、この間、
GDP、これは名目で三・七倍、そして実質で一・八倍になりました。大変な
経済成長を遂げたわけでございますが、その間、高齢者一人当たりの給付は、名目で十一・八倍、実質で五・八倍と大きく伸びております。しかし、一方で、児童に対しての給付は、名目で二・八倍、実質で一・三倍。
GDPの実質の増加が一・八倍ですから、
GDPの伸びを
考えると、二十五年前に比べると児童に対しての給付はむしろ下がっている。さまざまな改革がなされているように言われておりますけれども、実質は下がっているんだ、この事実を認識すべきであるというふうに思います。
ですから、
結論としましては、このような実態を
考えると、
日本の児童手当制度というのは、名前はあってもその実体はなきに等しいと言わざるを得ない。そしてまた、少子化の進行の中で、
日本の社会保障制度、高齢者に対しての給付は非常に厚いものがございますけれども、児童に対しての給付が非常に薄い、この不均衡というものを改めていく必要があるのではないか。その点が私どもが児童手当制度を改革すべきだと訴える
一つの理由でございます。
そしてまた、この児童手当制度の児童手当というものは少子化に対して効果はないというような御批判もございます。しかし、先進諸国の児童手当についての実証的な研究、これはさまざまなレビューが存在いたします。その研究の中では、児童手当というのは、その
程度はともかくとして、少子化に対して、出生率の向上に対して
プラスの影響を持っているんだという研究の結果の方が私は多数を占めているというふうに思います。
それ以上に、ただ大切なことは、私はこう思います。
政府の関与する公的な施策の中で、この児童手当や保育サービスなど、子育ての支援を明確に位置づけるということの意義でございます。
それは、子育てというのは、今まで私的な営みであるというふうに
考えられてきたわけですけれども、しかし、私的な営みではあっても公共性を持っている、公共性を有している、これを
政府が示す必要がある。そして、その公共性を有しているということを示す
一つの大きな方法というのは、この児童手当の制度を抜本的に改革することであるというふうに私は
考えております。
私どもは、支給額を第一子、第二子は一万円、そして第三子からは二万円、支給年齢を十六歳未満まで拡大をする、そのような抜本的な改革を主張いたしております。そして、その財源としては、税制の見直し、そしてまた年金制度の活用というようなことを主張いたしておりますけれども、これは三党間での検討を待たなければいけませんけれども、
厚生大臣のこの児童手当制度改革に向けての
決意を改めてお
伺いいたしたいと思います。