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1999-12-01 第146回国会 衆議院 本会議 第7号
公式Web版
会議録情報
0
平成
十一年十二月一日(水曜日)
—————————————
議事日程
第六号
平成
十一年十二月一日 午後一時
開議
一
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
—————————————
第一
民法
の一部を改正する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
) 第二
任意後見契約
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
) 第三
民法
の一部を改正する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
) 第四
後見登記等
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
)
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
国家公務員倫理審査会会長
及び同
委員任命
につき
同意
を求めるの件
検査官任命
につき
同意
を求めるの件
国家公安委員会委員任命
につき
同意
を求めるの件
日本銀行政策委員会審議委員任命
につき
同意
を求めるの件
中央社会保険医療協議会委員任命
につき
同意
を求めるの件
電波監理審議会委員任命
につき
同意
を求めるの件
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
日程
第一
民法
の一部を改正する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
)
日程
第二
任意後見契約
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
)
日程
第三
民法
の一部を改正する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
)
日程
第四
後見登記等
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
) 午後一時三分
開議
伊藤宗一郎
1
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) これより
会議
を開きます。
————◇—————
国家公務員倫理審査会会長
及び同
委員任命
につき
同意
を求めるの件
検査官任命
につき
同意
を求めるの件
国家公安委員会委員任命
につき
同意
を求めるの件
日本銀行政策委員会審議委員任命
につき
同意
を求めるの件
中央社会保険医療協議会委員任命
につき
同意
を求めるの件
電波監理審議会委員任命
につき
同意
を求めるの件
伊藤宗一郎
2
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) お諮りいたします。
内閣
から、
国家公務員倫理審査会会長
及び同
委員
検査官
国家公安委員会委員
日本銀行政策委員会審議委員
中央社会保険医療協議会委員
及び
電波監理審議会委員
に 次の
諸君
を任命することについて、それぞれ本院の
同意
を得たいとの
申し出
があります。
内閣
からの
申し出
中、 まず、
国家公務員倫理審査会会長
に
花尻尚
君を、 同
委員
に
芦田甚之助
君、
島田あき子
君及び
浜田広
君を、
検査官
に
森下伸昭
君を、
電波監理審議会委員
に
辻井重男
君を 任命することについて、
申し出
のとおり
同意
を与えるに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤宗一郎
3
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、いずれも
同意
を与えることに決まりました。 次に、
国家公安委員会委員
に
渡邊幸治
君を、
中央社会保険医療協議会委員
に
工藤敦夫
君を 任命することについて、
申し出
のとおり
同意
を与えるに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
伊藤宗一郎
4
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
起立
多数。よって、いずれも
同意
を与えることに決まりました。 次に、
日本銀行政策委員会審議委員
に
田谷禎三
君を 任命することについて、
申し出
のとおり
同意
を与えるに
賛成
の
諸君
の
起立
を求めます。 〔
賛成者起立
〕
伊藤宗一郎
5
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
起立
多数。よって、
同意
を与えることに決まりました。
————◇—————
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
伊藤宗一郎
6
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) これより
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
に入ります。
海江田万里
君。 〔
海江田万里
君
登壇
〕
海江田万里
7
○
海江田万里
君 私は、民主党を代表して、去る二十五日に行われた第二次
補正予算
についての
宮澤大蔵大臣
の
財政演説
に関し、
総理
並びに
関係大臣
に
質問
いたします。 まず、本
臨時国会
が召集されましたのは十月の二十九日であります。確かに、幾つかの指標において明るい兆しは見られているものの、相変わらず低迷を続ける
日本経済
を、確実な
回復軌道
に乗せるために必要な施策をとらなければいけないということで始められた
臨時国会
でありますが、
政府
が肝心の第二次
補正予算案
を閣議決定したのは、実に
国会
がスタートしてからおよそ一カ月たってからのことであります。 そして、本
会議場
で
宮澤大蔵大臣
が
財政演説
を行い、私どもがその
財政演説
に対する
質疑
を行おうとしたやさきに、
厚生委員会
でのあの暴挙であります。
国民生活
に多大な
影響
を与える
年金制度
の改悪を、実質たった三日間の
審議
で
法案
の
採決日
を決定するという、
国民
を無視した
与党
の
議会運営
を、私たちは満腔の怒りをもって糾弾するものであります。 現在、自
自公
の
与党
三党は、本院において七一%を占める
巨大与党
となっていますが、もちろん
国民
の選択によってできた
与党
ではありません。
政権
の維持というその一点で結ばれた
野合政権
で、到底
国民
の支持を得られるものではありませんが、
国会
の中では数を頼りに
おごり
の
体質
をあらわにしています。いずれ、
与党
のこの
おごり
の
体質
は、
国民
の審判で鉄槌を下されることになるだろうと私は確信を持っております。(
拍手
) さて、現在の
我が国
の
経済
の
状況
でございますが、私は、これを東京の渋谷や原宿で若い
女性
に流行の
厚底靴経済
と名づけたいと思います。
厚底靴
というのは、履いている若い
女性
に聞きますと、とにかく背が高くなって、むさくるしい
おじさんたち
を見おろすことが快感だというわけであります。もちろん、二十センチや三十センチという
厚底靴
は人体に悪い
影響
を与えるわけで、足首の捻挫や骨折の患者がふえているという実害も起きていますが、これを履いている本人は意に介さないわけでございます。 私は、冒頭、
我が国
の
経済
は多少明るい様相を呈していると述べましたが、これはまさに、
日本経済
が、何でもありの
小渕政権
のもとで、多額の
借金
を頼りに
公共事業
の
ばらまき
によってかさ上げされた結果です。本来の
身長
は決して高くないのに、あたかも
身長
が高くなったと錯覚して町を濶歩しているわけで、この
厚底靴
を脱いでしまえばもとのもくあみです。 終戦直後、GHQの
経済顧問
であるドッジ氏が、
アメリカ
の
経済援助
と各種の
補助金
によって支えられている当時の
日本経済
を
竹馬経済
と名づけたことはよく知られるところですが、現在の
我が国経済
は、
赤字国債
やじゃぶじゃぶの
公共事業
によって底上げされた、まさに
厚底靴経済
と言うことができると思います。 以下、具体的な
質問
に入ります。 まず、自
自公
の三
党連立政権
に至る過程で演じられたどたばた劇に対する
質問
です。 三党の
連立政権合意書
を見ますと、
高齢化社会
の
生活
の安心を実現するため、まず二〇〇五年を
目途
に、
年金
、
介護
、
後期高齢者医療
を包括した総合的な
枠組み
を構築する。それに必要な
財源
のおおむね二分の一を
公費負担
とする。
基礎的社会保障
の
財政基盤
を強化するとともに、
負担
の
公平化
を図るために、
消費税
を
目的税
に改め、その
金額
を
基礎年金
、
高齢者医療
、
介護
を初めとする
社会保障経費
の
財源
に充てるとありますが、
総理
は、二〇〇五年までに
基礎年金
を二分の一
国庫負担
にする意思があると
考え
てよろしいわけですね。
介護
についても、おおむね二分の一を
公費負担
ということは、基本的には
社会保険方式
を残すという
理解
でよろしいわけですね。 同じ
質問
を、
自由党
の二階
運輸大臣
にもしたいと思っております。
自由党
の従来からの
主張
は、
介護
は
全額税
で賄うということを
主張
していたはずですが、その
主張
を現在は撤回したのか、あるいは、今後の
協議
によっては
介護
は
全額税方式
になる
可能性
もあるのか、そこのところをはっきりお示しいただきたいと思います。 自
自公
三
党連立
に至るどたばたと言いましたが、特に、
介護保険
の
高齢者保険料
を取る、取らないの右往左往は、
国民
に大きな
政治不信
と、せっかく生まれたばかりの
公的介護
の
制度
に大きな不安を与えることになりました。
小渕政権
は早くもダッチロールの状態に入ったと断じざるを得ません。
小渕総理
、一度決まった
介護保険
について、
実施間際
になってかくも大きな変更を行うなら、衆議院の
解散
を行って
国民
に信を問うべきだと思いますが、その覚悟はおありでしょうか。(
拍手
) 六十五歳以上の
高齢者
については半年間は
保険料
を徴収しないというのは、
介護保険法
の第百二十九条の規定、つまり、市町村は、
介護保険事業
に係る費用に充てるため、
保険料
を徴収しなければならないという規定に違反するのではないでしょうか。今回の決定は、
政府
みずから
法律違反
を犯していることにならないのでしょうか。これは
厚生大臣
に
お尋ね
をします。 また、何ゆえ六カ月の
保険料徴収猶予
なのか。
期間
を六カ月と区切った意味は一体どこにあるのか。これは
総理
に
答弁
をお願いしたいと
考え
ます。
総理
にはもう一つ、
医療保険制度
の
改革
も喫緊の
課題
であることは言をまたないところですが、
総理
は、二〇〇〇年度からの
医療改革
の
実施
は既に何度も口にされています。ですから、この二〇〇〇年度からの
医療改革
の
実施
は
政府
の公約だと思いますが、二〇〇〇年の四月から一体どんな
医療改革
を行うつもりか、内容を明らかにしていただきたいと思います。 また、
総理
が
考え
ている将来の
介護
、
年金
、
医療
などの
社会保障
の将来像は一体どんなものなのか、これも明らかにしていただきたいと思います。
年金
の問題では、まさにこれからも充実した
審議
が
厚生委員会
で行われると思いますが、ここで改めて一つだけただしておきたい問題があります。それは、本日の
厚生委員会
で我が党の
菅政調会長
も取り上げましたが、
年金積立金
百四十兆円の
自主運用資金
の
株式運用
の問題です。 これは大変大きな問題でございますが、何といっても最大の問題は、そもそも、国が
国民
から集めた老後の
資金
を、
株式
のような
リスク商品
で
運用
していいものかどうかの問題です。 この問題について、最近株価が絶好調な
アメリカ
で、
クリントン大統領
が
年金基金
の
資金
を使って
株式
を購入したらどうかという提案をしたところ、
グリーンスパンFRB議長
の猛反対によって提案を引っ込めた経緯があります。
アメリカ
では、四〇一
Kプラン
のように個人の老後の
資金
はどんどん
株式
に流れていますが、国が関与する
年金基金
については、やはり
株式
での
運用
はしてはいけないという歯どめがあります。しかし、
我が国
の場合はそうした歯どめが一切ありません。 もちろん、
株式運用
をするのはその一部に限られるでしょうが、国が百四十兆円という巨額の
資金
を使って
株式市場
になだれ込んだら、
株式市場
は混乱をします。マーケットをゆがめることになります。また、
民間企業
の株を間接的に国が保有することによるコーポレートガバナンス、
企業統治
の問題もあります。 それに、もし
株式
の下落などによって
年金積立金
に穴があいた場合の
責任
の
とり方
はどうするのか。国、
年金資金運用基金
、
運用金融機関
それぞれのレベルでどういう
責任
をとるのか当然明らかになっていなければならないと思います。 これまでの
年金
福祉
事業
団の
自主運用
でも、
運用
に失敗をしています。単年度で損益が黒字になったのは十三年間で四回だけ。いわば四勝九敗の成績で、
累積赤字
は簿価で約二兆円になっています。この
損失
の
責任
はだれがとったのか。だれもとらない
体質
になっています。
積立金
の
運用
に失敗しました、それでは
保険料
を値上げです、あるいは
給付水準
の引き下げですでは、済まされません。この
年金積立金
の
株式
による
運用
は直ちにやめるべきで、
年金法案
のこの部分の
関連法案
は撤回すべきだと思います。 この問題は極めて重大ですので、
総理
のお
考え
を伺いたいと思います。 先ほども申し上げましたが、
グリーンスパンFRB議長
は、
アメリカ下院
の
公聴会
ではっきりと、
年金基金
の
株式市場
での
運用
は支持しない、それだけ巨額の
資金
を政治と切り離せられるとは信じられないし、
年金受給者
に低いリターンしか残せないことを憂慮すると言い切っています。 どうしても
法案
のとおり
年金積立金
で
株式運用
を行うというのであれば、
情報公開
はどうするのでしょうか。
損失
が出たときの
責任
の
とり方
はどうするのでしょうか。そのことをこの場で明らかにしていただきたい。この
答弁
は
厚生大臣
に伺います。
損失
の出ないような
運用
に努めるですとか、今研究中だというお
ざなりの答弁
では納得できないことを、事前に申し上げておきます。 そこで、今回の
補正予算
についてですが、何といっても今回の
補正予算
の特徴は、
経済新生対策関連費
などの
財源
として七兆五千六百六十億円の
国債
を発行して、この結果、九九年度の
国債発行額
は三十八兆六千百六十億円になって、
地方交付税分
を除いた国の税収、これは三十二兆六百億円でございますが、これを戦後初めて抜いたということにあると言えます。家計でいえば、働いて稼ぐ収入よりも
借金
による調達の方が多いことになります。これはもはや破綻した
家計そのもの
であると言えます。 まず、
総理
は、こうした
破綻財政
を来したことに対する
責任意識
がおありかどうか伺います。
景気回復
に失敗したのは、これまでの
内閣
が悪いのだ、自分はできるだけのことをやっているので、その結果、多少
借金
がふえても仕方のないことだと
考え
ておられるのか。それとも、やはりこれでは
財政
がもたないから、もう
借金
に頼った
景気浮揚策
はやめにしようと
考え
ておられるのか。国の
借金
がここまで膨らんでしまったことへ、国のかじ取りとしての
責任
あるお
考え
を聞かせていただきたいと思います。
宮澤大蔵大臣
は、
記者会見
などで、この
補正予算
と来年度の
予算
で大規模な
財政出動
は終わりになると発言しておられるが、本当にそうなるのか。よしんばそうしたところで、これまでに大量発行した
国債
のツケは今後確実に
我が国
の
財政
を襲う。例えば、
国債
の
新規発行分
を抑えたところで、借りかえ分を入れると、二〇〇一年度にはどうしても百兆円を超える
国債
を発行しなければならなくなります。
我が国
の
財政
はさらに悪化をしていきます。 大蔵省は、ことしの一月、本
予算
の
国会審議
に際して
中期財政試算
を提出して、二〇〇三年度までの
公債依存度
、
公債残高
、
公債残高
の対
GDP比
などを明らかにしましたが、今回の
補正
に際しても、この
中期財政試算
を提出すべきです。
補正
後の二〇〇三年までの
公債依存度
、
公債残高
、対
GDP比
はそれぞれにどうなるか、明らかにしていただきたい。 さらに、問題は
補正予算
の中身です。 今次
補正
では、
経済新生対策
を踏まえて、
社会資本整備関係
の
国費支出
として三兆五千億円、
事業ベース
で六兆二千億円程度が計上されています。そして、その看板は、
生活基盤充実特別対策費
だとか、
情報通信
・
科学技術振興等経済発展基盤強化特別対策費
などと、一見して斬新な印象を与える言葉がちりばめられていますが、実態は、単に従来の
農業土木事業
を継承するだけの
事業
がほとんどであると思われます。 今次
補正予算
の
社会資本整備関係費
の中で、真に
新規事業
と呼べるものが一体どれだけあるのでしょうか。
事業費ベース
で幾ら、
国庫支出
で幾らと教えていただきたい。 そして、
総理
にも
お尋ね
します。 もともと、
公共事業
は
景気
の
下支え効果
しかなく、しかも、近年は
建設資材
の在庫が膨らんでいることや、海外からの安い
建設資材
の輸入などによって、
乗数効果
は年々
低下傾向
にあるというのが一般の
理解
であります。 また、
ストック面
から見ても、特に九〇年代に入って
景気対策
として行われた
公共事業
は、その費用対
効果
の十分な吟味が行われておらず、道路、
港湾整備
、
農業土木
などは、地域や
生産者
の
生産性
の向上に対する
効果
が極めて乏しいものであったわけでございます。
景気対策
というとすぐ
公共事業
だというのは、
我が国
だけに際立っている
日本
の常識、世界の非常識であります。一体、世界の
先進国
のどこに、
日本
のように
GDP
に占める
公共事業
の
割合
の高い国があるのか。そんな国があったら教えていただきたい。
総理
は、このような
我が国
の
公共事業
の
あり方
について、基本的にどんなお
考え
を持っておられるのか、お示しいただきたいと思います。 今回の
臨時国会
は、
中小企業国会
と銘打って始まりましたが、
補正予算
に出てきた
中小企業対策
は、お粗末の一言です。
中小企業金融安定化特別保証
を来年三月末まで一年間延長し、
保証枠
を十兆円追加するという
経済新生対策
を受け、
補正予算
では今年度分として五兆円を計上しています。十兆円の
積算根拠
についても甚だ不明確で、当初、通産省では二兆円程度と言っていたのが、
選挙対策
でいつの間にか四兆円という
金額
に膨れ上がったとも仄聞しています。 十兆円の根拠は何か。そして、そもそも、こうした融資を継続することが、
中小企業
の自立を妨げ、今
国会
で改正した
中小企業基本法
の精神と
方向性
に反することにならないか、
総理
に
お尋ね
をします。 そして最後に、
企業
・
団体献金
を廃止する
政治資金規正法
の
改正案
でございます。 現在、自
自公
の
与党
三党で
協議
中と聞きますが、
総理
は
与党
の総裁として、
附則
第九条に基づく
法案
をいつ提出することになるのか。さらに、
附則
第十条の取り扱いについて、
自民党
は削除の方針を打ち出しているとの報道もありますが、それは本当のことでしょうか。
総理
も、せんだってクエスチョンタイムで、我が党の
鳩山代表
とのやりとりの中で、はっきりと
企業
・
団体献金
は廃止すると言ったのですから、ここでも、現在
協議
中などと答えずに、はっきりと
自民党総裁
としての
考え
を述べるべきだと思います。 以上で、私の
財政演説
に対する
質問
を終えます。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣小渕恵三
君
登壇
〕
小渕恵三
8
○
内閣総理大臣
(
小渕恵三
君)
海江田万里議員
にお答え申し上げます。
与党
三党の
合意
におきまして、
年金
、
介護
、
後期高齢者医療
の
総合的枠組み
の構築を二〇〇五年を
目途
としている
理由いかん
との
お尋ね
でありました。
年金次期財政
再計算が二〇〇四年までに行われることも勘案いたしまして、二〇〇五年を
目途
とされたものと承知いたしております。 また、
基礎年金
の
国庫負担
を将来二分の一に引き上げる
考え
はあるかとの
お尋ね
でありますが、今回の
年金改正法案
におきましては、「
基礎年金
については、
財政方式
を含めてその在り方を幅広く検討し、当面
平成
十六年までの間に、安定した
財源
を確保し、
国庫負担
の
割合
の二分の一への引上げを図るものとする。」との
附則
が設けられたところであり、安定した
財源確保
のための
具体的方法
と
一体
として検討する必要があると
考え
ております。
社会保障
の
財源
についての
お尋ね
でありますが、
我が国
の
社会保障給付費
は、
国民
が
相互
に助け合うため出し合っている
保険料
や
公費
によって賄われております。今後増大する
年金
、
医療
などの
社会保障給付費
の
財源
を安定的に賄う仕組みとして、将来にわたってどのように
国民相互
で支え合うかなど、
国民的議論
が重要と
考え
ており、今後、
与党
の
協議等
も踏まえながら、検討していくべきものと
考え
ております。
介護保険
との
関連
で
解散
について
お尋ね
がありましたが、今回決定した
特別対策
は、
介護保険法
の円滑な
実施
のため講ずるものであります。また、
我が国
には
経済新生
や
安全対策
など、直ちに実行、
実現
に努めなければならない緊急の
課題
が数多くあり、また、その一方で、二十一
世紀
を見据え、長い視野で
考え
、
先見性
を持って手を打たなければならない
課題
もあります。 こうした中で、この
内閣
に与えられた使命にかんがみ、また、まさに今
国会
で
補正予算
を初めとして現下の
緊急課題
につき御
審議
をいただくときに当たり、安定的で確固たる
政権運営
に全力を傾注すべきであり、
解散
は全く念頭にありません。
保険料
を徴収しない
期間
についての
お尋ね
ですが、
法施行
後半年間、すなわち本年十月の要
介護認定開始
から一年間を経過するまでの間は、
国民
が要
介護認定
の手続や新しい
介護サービス
の
利用方法
になれるまでの、いわば
制度
の
本格的スタート
に向けての
助走期間
として位置づけ、その間は
高齢者
の
保険料
を徴収しないことができるようにしたものであります。
医療保険制度
の
抜本改革
に関する
お尋ね
でありますが、安定した
制度
を確立するため、現在、
制度
の全般にわたり見直しを行っているところであり、個別具体的に
制度改正案
の検討を急ぎ、
改革
の
実現
に向けて最大限努力してまいります。
介護
、
年金
、
医療
など、
社会保障
の全体的将来像についての
お尋ね
でありますが、
政府
としては、有識者の皆さんに御参加もいただき、
議論
の場を設けることとしており、
社会保障
の
あり方
について
制度
横断的な
議論
を進めてまいりたいと
考え
ております。
年金積立金
の
自主運用
について
お尋ね
ですが、
年金積立金
の
自主運用
に当たりましては、
国債等
の債券を
中心
に、
株式
を含めた
分散投資
を行うことにより、安全確実かつ効率的な
運用
に努めるとともに、
運用関係者
に対する
責任体制
を
法律
上明確化することといたしております。
補正予算
は、
赤字垂れ流し
、
ばらまき予算
ではないかと
お尋ね
でありました。
我が国経済
は、厳しい
状況
をなお脱していないものの、緩やかな改善を続けております。今ここで重要なのは、手を緩めることなく
経済
を本格的な
回復軌道
につなげていくとともに、二十一
世紀
の新たな
発展基盤
を築き、未来に向け
経済
を新生させることであり、こうした観点から第二次
補正予算
を編成し、
国会
の御
審議
をお願いいたしておるところであります。 第二次
補正予算
におきましては、
社会資本整備費
について、
情報通信
、
科学技術
の
振興
、
生活基盤
の
充実強化
、
少子高齢化
、
教育
、
環境特別対策
といった
分野
を
中心
に総額三兆五千億円を計上しているのを初め、
我が国経済
のダイナミズムの源泉である
中小
・
ベンチャー企業
への
資金供給
を円滑化すること等を
目的
といたしました
中小企業対策費
七千億円余りを計上するなど、将来の新たな
発展基盤
の確立に不可欠な
分野
に重点的に
配分
を行っております。 今後とも、変化していく
国民
のニーズをしっかり見きわめ、貴重な
財源
のより
効果
的、
効率的配分
に努めてまいる所存であります。
公共事業
のシェアと
効果
についてでありますが、御指摘のように、GNPに占める
一般政府
の総
固定資本形成
の
割合
を見ると、
日本
は、他の
先進諸国
に比べ高くなっておりますが、これには
我が国
のおくれた
社会資本
の
状況
や
地理的条件
が関係しているものと
考え
られます。 また、
政府
におきまして、九〇年代に入って以降、累次の
経済対策
を講じてきたところでありますが、これら
対策
による
公共投資
の増加につきましては、
バブル崩壊
後の
民需
の落ち込みを相殺する形で
景気
がスパイラル的に悪化していくのを防止し、その
下支え
に貢献してきたものと
考え
ております。 今回の
経済新生対策
におきましては、二十一
世紀
の新たな
発展基盤
を築くため、
情報通信
、
科学技術
の
振興
、
生活基盤
の
充実強化
、
少子高齢化
、
教育
、
環境特別対策
といった
分野
を
中心
に
整備
を進めることといたしております。
政府
としては、本
対策
の強力な推進を図ることにより、
公需
から
民需
へバトンタッチを円滑に行い、
我が国経済
を
本格的回復軌道
に乗せていくよう努めてまいります。 次に、
特別保証制度
についての
お尋ね
でありましたが、今回の
制度
を一年間延長し
保証枠
を十兆円追加することとしたのは、
セーフティーネット
としての本
制度
の趣旨に照らし、今後の
資金需要
に十分対応し得る
規模
を確保するためであり、また、
政府
がそうした姿勢を示すことで
中小企業者
に
安心感
を与えるという
効果
も期待いたしておるところであります。こうした
セーフティーネット
の
整備
は、今
国会
で改正した新
中小企業基本法
のもとでも重要な
政策
の柱であります。 また、
制度
の延長に当たりましては、雇用の増大など
建設的努力
の計画を有することを要件とすることにより、多くの
中小企業者
が
経済構造改革
に向け前向きに努力するための契機といたしたいと
考え
ております。
最後
に、
企業
・
団体献金
についての
お尋ね
がありました。
企業
、
労働組合
、
団体献金
につきましては、
平成
六年の
改正法附則
により、
施行
後五年を経過した場合の取り扱いについて定められているところであります。既に、
政治
家個人に対する
企業
・
団体献金
については、
附則
第九条の指し示すところに従いこれを受け取らない旨の判断を下しており、これをもとに三党派で
協議
を進め、所要の
法案
を提出させていただきたいと
考え
ております。 政党及び
政治
資金
団体に対する
企業
・
団体献金
については、
附則
第十条において、法の
施行
後五年を経過した場合においてその
あり方
について見直しを行うものとするとされているところであり、まずは
与党
内、さらに各党各会派における御
議論
を見守ってまいりたいと
考え
ております。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から
答弁
させます。(
拍手
) 〔
国務大臣
宮澤喜一君
登壇
〕
宮澤喜一
9
○
国務大臣
(宮澤喜一君)
総理
の御
答弁
を補足いたします。 今の
財政
の現状につきましていろいろ御批判があり、また、今の状態は交付税を除けば
国債
の発行額よりも税収の方が少ないということまでおっしゃいました。まことにそのとおりでありまして、国税収入は十年前の状態に戻っておりますから、そのような憂うべき
状況
でございます。 ただ、せんだっても申し上げましたように、小渕
内閣
が発足をいたしまして一年余りでございますが、確かに
経済
は恐らく底をついたろう、少しずつよくなりつつあるというところまでは、徐々ではありますけれども、そういう認識は持ってよろしかろう。しかし、この前に申し上げましたように、個人消費は非常に弱いわけでございますし、設備投資は起こっていないわけですから、
民需
による回復力というものはやはり非常に弱いと言わざるを得ません。 したがいまして、このたびの
補正予算
と来年度の
予算
、
財政
の困窮はわかっておりますけれども、ここはやはり
財政
が支援をしなければ、もう一度だけしなければならないという気持ちで
補正予算
を編成いたしましたし、また、来年度の
予算
もその延長で
考え
ざるを得ないだろうと思っておるわけでございます。 それに
関連
いたしまして中期
財政
のことにお触れになりましたが、十数年、
予算
委員
会の御
審議
でこの中期
財政
見込みを提出いたしております。今年も、本
予算
を完成いたしましたら、その編成後に
予算
委員
会に御提出を申し上げるつもりであります。 ただ、よく御存じのとおり、この試算は、従来から一定の成長率を仮定しておるものでございますから、今日のようにマイナスの成長率になりますと、仮定している仮説が全く異なってしまっておりますので、正直を申しますと、
我が国
の
経済
がもっと成長のサイクルに入りましたときに、改めてこの中長期の見通しをつくって御
審議
をいただく、御討議をいただくということが大事ではないかと
考え
ております。現状で差し上げております資料は、意味はございますけれども、想定しておりますところがかなり現実と離れておるということでございます。 そこで、
お尋ね
の一番大事な点は、
財政
はこうなっているが、さて来年をどういうふうに見ているのかということであったと思います。 来年度の
予算
は、ただいま査定をいたしておるところでございますので、全体のことを正確には実は申し上げられないと思いますけれども、私の見ておりますところでは、来年度の歳入、国税の税収について見ますと、プラスだと思われる面と、それからいろいろな意味でマイナスになる面と両方ありますが、差し引きでは多少税収はプラスになる、増が見込まれると
考え
てよろしいのではないかと思っております。 他面で、歳出面は、いわゆる
一般
歳出の方はまあまあ大まかにはわかっておりますから、そういう意味では、歳出と歳入との関係は来年度は少しはことしよりもよくなる公算が多いと思いますが、問題は、御承知のように、こういうような異常な
経済
状態というのはなるべく早くもうおしまいにしなければいけませんので、その中で、金融
関連
の安定についての今後というものはやはり問題が少し残っておると思いますので、来年度の
予算
の編成の中で、将来の金融の安定のための
予算
的な、
資金
的な準備をどれだけしておくか、もうこういうことは何度もしてはならぬことですし、早くそういうことの処理はしてしまった方がいいと思いますので、余裕がありましたら、そういうことに
予算
的、
資金
的な措置をしようか、そのいかんによりまして歳入の
規模
が変わってまいると思いますが、税収につきましては多少のプラスが出るのではないかという、そういう見通しをしております。(
拍手
) 〔
国務大臣
丹羽雄哉君
登壇
〕
丹羽雄哉
10
○
国務大臣
(丹羽雄哉君) 海江田議員にお答えいたします。
高齢者
の
保険料
を
制度
施行
当初から半年間徴収しないことについての
お尋ね
でございますが、
介護保険法
百二十九条において、市町村は、
介護保険事業
に充てるため、
保険料
を徴収しなければならないこととされており、また同法の百三十条におきましては、
保険料
は年度を単位として賦課する、こういうことになっておるわけでございます。 しかしながら、今回の措置は、年度を通じて
高齢者
の
保険料
を徴収しないという趣旨ではなくて、
制度
施行
当初の半年間に限って市町村が
保険料
の徴収を行わないことができることとするものでありまして、
法律
上問題はございません。 それから、
年金
の
積立金
の
自主運用
についての
お尋ね
でございますが、
年金積立金
の
自主運用
に当たっては、
国債
などの債券を
中心
に、
株式
を含めた
分散投資
を行うことにいたしております。安全確実かつ効率的な
運用
に努めたいと思っております。 また、新たな仕組みのもとでは、基本方針に沿いまして
運用
することになりまして、
運用関係者
に対する注意義務などを
法律
上明記し、違反した場合には懲戒処分を行うなど、
責任体制
も明確化いたしておるような次第でございます。 それから
最後
でございますが、
株式
投資でございます。 確かに
アメリカ
では指摘されているようなことでございますけれども、
アメリカ
で指摘されているようなことを
我が国
は、PKOそのものを排除いたしておるわけでございますし、先ほど来申し上げておりますように、
分散投資
を進めることによって安全で確実な
運用
に努めていきたいと思っております。 それから、年福
事業
団の一兆二千億円の赤字でございますが、これは
平成
十一年の三月末現在でございます。その後、
景気
の上昇によりまして、現在は四千億円
程度
に減少していることをつけ加えさせていただきます。 以上でございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
二階俊博君
登壇
〕
二階俊博
11
○
国務大臣
(二階俊博君) 海江田議員にお答えをいたします。
介護
の税方式についての
お尋ね
であります。 国が
基礎的社会保障
に関して
責任
を持つことを明確にして
老後
や疾病への不安を取り除くためには、現行の保険方式はもはや限界であると
自由党
は
考え
ております。
基礎的社会保障
の
財政基盤
を確立するとともに、
負担
の
公平化
を図るため、
消費税
を福祉
目的税
に改め、その
金額
を
基礎年金
、
高齢者医療
、
介護
の
財源
に充てるべきであるという
考え
方は
自由党
の基本
政策
であって、
与党
協議
の場等を通じて
主張
を続けてまいることと思います。 次に、自民、自由、公明の三
党連立
発足に際しても、
自由党
は従来の
主張
を貫き、この三
分野
を包括した総合的な
枠組み
を構築することと、また、
消費税
を福祉
目的税
に改めることを
合意
いたしておる次第であります。今後、
与党
協議
を通じて検討がなされるものと確信をいたしております。 以上でございます。(
拍手
)
—————————————
伊藤宗一郎
12
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 佐々木陸海君。 〔佐々木陸海君
登壇
〕
佐々木陸海
13
○佐々木陸海君 私は、
日本
共産党を代表して、第二次
補正予算
、
財政演説
について
質問
をいたします。 今、
日本経済
と
国民生活
が直面しているのは、雇用不安のかつてない広がりであり、
中小企業
の最悪の倒産、廃業であります。
財政演説
で
宮澤大蔵大臣
も、所得が低迷し、殊に
企業
のリストラが雇用に与える
影響
等を
考え
ると、消費が持続的に回復する
状況
には至っていないと述べているのであります。
国民
が今切実に求めているのは、まさに
生活
の安定であり、個人消費の拡大を通じた
景気
の回復であります。 ところが、
政府
が
経済新生対策
の実行と銘打って提出した第二次
補正予算案
には、
景気回復
にとって最も肝心な、個人消費を刺激し、拡大する
対策
がほとんどないのであります。 首相にお聞きしたい。なぜ
国民
の個人消費を直接刺激する方向に踏み出そうとしないのですか。それを拒否し続ける理由は何ですか。明確に
答弁
していただきたいのであります。(
拍手
) 今度の
補正予算
は、
経済新生対策
のうちの実に六八%がゼネコンと大銀行に振り向けられており、浪費の蛇口は拡大する一方であります。
社会資本
整備
三・五兆円の大半は、相も変わらない従来型の大型
公共事業
、波及
効果
が低下する中で
規模
ばかり膨らんできた大型
公共事業
であります。国際拠点と称する空港や港湾、
整備
新幹線、大都市環状道路などがそれですが、例えば中部国際空港計画は、関西空港や成田空港の利用者までが利用することを前提にして採算の予測を立てており、
関連
事業
を含めた
事業
費は一兆五千億円を超えるものであります。これまでに建設した多くの港湾が釣り堀と化しているのは周知の事実であります。 首相、これらは
国民
の必要にこたえるというものではなく、結局ゼネコンへの大盤振る舞い、浪費の拡大でしかないのではありませんか。これでは、これまで何度も何度も失敗してきた
景気対策
の上に、さらに失敗の上塗りをするだけではありませんか。 また、金融システム安定化の名目で、大銀行支援のために九千二百億円、NTT株の売却益分を含めると、総額で一兆九千億円もの
財政
資金
を投入することも極めて重大であります。
中小企業
への貸し渋りを続けつつ商工ローンに
巨額
の融資をして社会的糾弾を受けている銀行に対して、その
責任
を問いもしないで、また銀行業界の一円の
負担
さえ求めもしないで、最終的に税金にはね返る公的
資金
をなぜ湯水のように投入しなければならないのですか。首相の見解を問うものであります。 しかも、本来国の
借金
の返済に充てるべき九八年度の剰余金約六千億円を銀行支援の
財源
に充てるなどというのは、
財政
法の解釈をも逸脱するものではありませんか。蔵相の
答弁
を求めます。
政府
の
経済対策
は、浪費を無制限に拡大する一方で、肝心かなめの
国民
向けにはほとんど内容がありません。雇用
対策
では、失業増大と収入低下の元凶となっている大
企業
のリストラを野放しにしている上、失業給付の改善、職業訓練の充実など切実な要求には全くこたえていません。
中小企業対策
も、融資以外はほとんどありません。これで消費の回復にどう役立つというのですか。首相の見解を求めます。 次に、
介護保険
問題について聞きます。
政府
は、この保険の見直し策を突如として打ち出し、その
費用
を
補正予算
に盛り込みました。見直し策の
中心
は、六十五歳以上の被保険者からの
保険料
徴収を半年間延期し、その後一年間は半額徴収にすることなどであります。それは、
介護サービス
の基盤
整備
などで
国民
的大
事業
のスタートにふさわしい国の
責任
を果たさないまま、
保険料
、利用料など過重な
負担
を
国民
に押しつけ、
介護サービス
については保障がないという
政策
が、
国民
の批判の前に行き詰まったことを示すものであります。 厚生省の発表によれば、九八年度の数字で、特別養護老人ホームに入所できる資格がありながら入所できない待機者が九万人、在宅で約四万七千人に上ります。現在ある特養ホームの増床計画を達成したとしても、なお待機者が多数に上ることになります。これを放置すれば、国を挙げての契約違反になることは必至であります。
政府
は、
保険料
を徴収しないというその
期間
に、この特養ホームの具体的な不足を解消するつもりがあるのですか。その問題を含めて、
介護サービス
の基盤
整備
をどこまで進めるのですか。また、
保険料
、利用料の引き下げ、低所得者、
高齢者
への減免
制度
をどうするのですか。認定
制度
をどう改善するのですか。それらを具体的に示していただきたい。見直しが単なる問題先送りでないとすれば、これらは避けて通れない問題のはずであります。首相の明快な
答弁
を求めます。
最後
に、
財政
危機の打開についてお聞きしたいと思います。 今回の
国債
発行の
規模
は、七兆五千億円となり、その結果、今年度の
国債
依存度は過去最高の四三%になります。国、地方を合わせた債務の総額は、六百兆円から六百八兆円に膨れ上がります。小渕
内閣
が発足して一年余りで、何と約六十四兆円も
借金
をふやしたことになります。首相は、その痛みを本当に感じているのでしょうか。率直にお聞きしたいのであります。 九五年十二月、
我が国
の債務残高が
GDP
の八八・九%に達していたとき、
財政
制度
審議
会は、発達した資本主義諸国の中で最悪であるということで、ヨーロッパの基準である六〇%を目指すべきことを蔵相に報告しました。それから四年たって、債務残高は何と
GDP
の一二三%にも膨張しています。 首相は、
景気
が回復の軌道に乗ってから
財政
再建を
考え
るという
答弁
ばかりを繰り返してきました。しかし、既にその四年前の
財政
審報告で、
景気
が急回復しても
巨額
の歳入歳出ギャップをすぐに埋めることは困難であると指摘していたのであります。首相は、今この指摘をどう受けとめるのでしょうか。 ことし一月に発表された大蔵省の
中期財政試算
では、今後も毎年三十兆円
程度
の
国債
発行が必要であると述べているではありませんか。将来の見通しもなしに
借金
だけ膨らませるやり方は、全く無
責任
ではありませんか。
答弁
を求めます。(
拍手
)
日本
共産党は、国、地方合わせて
公共事業
に五十兆円、
社会保障
に二十兆円という
財政
の大きな
枠組み
を変え、
社会保障
中心
の
予算
、
財政
に切りかえる方向を
提案
してきました。
財政
の浪費構造に徹底的にメスを入れ、こうした転換を
実現
することによって、
国民
の暮らしと営業、
社会保障
を守ることと
財政
再建の道筋をつけることとは、立派に両立させることが可能であります。 自
自公
連立
政権
、小渕
内閣
への
国民
の評価は、日増しに低下をしています。どの世論調査でも、評価をしないという声が評価する声の二倍、三倍になっています。 この
内閣
、この
政権
は、存続すること自体が害悪であります。私は、衆議院の
解散
と総選挙を一刻も早く行うことを首相に要求して、
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣小渕恵三
君
登壇
〕
小渕恵三
14
○
内閣総理大臣
(
小渕恵三
君) 佐々木陸海議員にお答えいたします。
景気回復
のための個人消費拡大策を打ち出すべきとの御指摘がありました。 個人消費は、GNPの約六割と大きなウエートを占める重要なものと認識をいたしており、
政府
といたしましては、十一年度
予算
におきまして、個人所得課税の恒久的減税を
実施
いたしているほか、
公共事業
や
中小企業対策
、雇用
対策
に最大限配慮するとともに、住宅ローンの減税を行うなど、人々の
生活基盤
の安定化につながる施策を積極的に講じているところであります。 今回の
経済新生対策
におきましては、
事業
規模
十七兆円
程度
、さらに
介護
対策
を含めれば十八兆円
程度
の
事業
を早急に
実施
し、
公需
から
民需
への円滑なバトンタッチを図ることといたしており、第二次
補正予算
において、この
対策
を
実現
するため必要な措置として、
社会資本整備費
について、
情報通信
、
科学技術
の
振興
、
生活基盤
の
充実強化
、
少子高齢化
、
教育
、
環境特別対策
といった、将来の
我が国経済
の
発展基盤
の確立に不可欠な
分野
を
中心
に総額三兆五千億を計上しているのを初めとして、
中小企業対策
、雇用
対策
といった
国民生活
に直結した
分野
に重点的
配分
を行っております。 これらの施策により、有効需要が創出され、
国民
の購買力の向上につながるものと
考え
ております。
経済新生対策
中の
社会資本
整備
が
国民
の必要にこたえていないのではないかとの
お尋ね
でありました。
政府
におきましては、九〇年代に入って以降、累次の
経済対策
を講じてきたところでありますが、これら
対策
による
公共投資
の増加については、
バブル崩壊
後の
民需
の落ち込みを相殺する形で、
景気
がスパイラル的に悪化していくのを防止し、その
下支え
に貢献してきたものと
考え
ております。 今回の
経済新生対策
の取りまとめに当たりましては、従来の概念や計画あるいは省庁の
枠組み
等にとらわれない新たな構想と目標を策定し、投資効率と利用者の使いやすさを
考え
たハード、ソフト、
制度
改革
の
実施
に最大限配慮しており、
社会資本
整備
について、二十一
世紀
の新たな
発展基盤
を築くため、
情報通信
、
科学技術
の
振興
、
生活基盤
の
充実強化
、
少子高齢化
、
教育
、
環境特別対策
といった
分野
を
中心
に
整備
を進めることといたしております。
政府
といたしましては、本
対策
の推進を図ることにより、
公需
から
民需
へのバトンタッチを円滑に行い、
我が国経済
を本格的な
回復軌道
に乗せていくよう努めてまいります。 銀行に対する公的
資金
投入についての
お尋ね
でありますが、金融システムはしばしば
経済
の動脈に例えられており、
経済
の基盤をなすものであり、その安定は
我が国経済
が
景気
回復軌道
に復帰するためには必要不可欠なものであり、このような観点から、金融機関の破綻処理について公的
資金
での対応をお願いいたしておるところであります。
経済新生対策
に関し、雇用
対策
及び
中小企業対策
を例に、消費の回復に役立つのかとの
お尋ね
がありました。 本
対策
におきましては、雇用
対策
として、地域特性を生かし雇用機会の創出を行う先導的な
中小企業
への支援、大
規模
なリストラの
実施
により大きな
影響
を受ける地域における雇用創出、
中小企業
の発展を担う人材の育成などのための施策を盛り込んでおります。 また、
中小企業対策
に関しては、
日本経済
がダイナミズムを発揮するための重要な施策と位置づけ、このたび成立いたしました
中小企業基本法
の改正と並んで、
関係法律
の改正を図りたいと
考え
ております。また、御指摘の
中小企業
金融
対策
に加え、
中小企業
の多様なニーズに対応して、人材、技術、知識、情報などのソフトの経営資源の円滑な確保をきめ細かく支援するなど、総合的な
政策
を進めることといたしております。 以上のような雇用
対策
により雇用不安を払拭するとともに、
日本経済
の牽引車となることが期待される
中小企業
の活性化により、
公需
から個人消費を初めとする
民需
への円滑なバトンタッチを図っていくよう努めてまいります。 次に、
介護サービス
の基盤
整備
、
保険料
等の減免及び認定
制度
についての
お尋ね
でありますが、特別養護老人ホームを初めとする
介護
基盤の
整備
を引き続き推進していくほか、
介護保険法
の円滑な
実施
のための
特別対策
において、
高齢者保険料
についての軽減等の措置や、訪問
介護
、ホームヘルプサービスについての低所得者の利用者
負担
の軽減措置を講ずることといたしております。 また、要
介護認定
につきましては、三年間にわたる試行的
事業
を経て
実施
しているところであり、今後とも、
実施
状況
を踏まえつつ、必要に応じ、適切に対処いたしてまいりたいと
考え
ております。 今回の
補正予算
を含め、
我が国
の
財政
状況
に対する認識及び
財政
再建の見通しについて、御指摘の上、
お尋ね
がありました。
我が国
財政
は、歳入歳出ギャップ、すなわち
公債依存度
が第二次
補正
後に四三・四%、十一年度末の国、地方の長期債務残高が六百八兆円にも達する見込みである等、極めて厳しい
状況
にあることは十分認識をいたしております。その認識の上に立って、将来世代のことを
考え
るとき、
財政
構造
改革
という大きな重い荷物を背負っていると痛感いたしております。 ただ、せっかく上向きになりました
我が国経済
をさらに大きく前進させることによりまして、税収の増加等を通じ、
財政
状況
の改善が図られるような時点をしっかりと見きわめる必要があり、その見きわめを誤り、
景気
後退といった流れになってしまってはいけないと
考え
ます。 したがって、
我が国経済
が
回復軌道
に乗り、足元がしっかり固まった段階において、
財政
、税制上の諸
課題
につき、中期、長期的な視点から幅広くしっかりとした検討を行い、
国民
の皆様にそのあるべき姿を示すというのが順序でないかと
考え
ております。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から
答弁
させます。(
拍手
) 〔
国務大臣
宮澤喜一君
登壇
〕
宮澤喜一
15
○
国務大臣
(宮澤喜一君) 金融機関の再生を助けるために国が
資金
援助をするということを先ほど
総理
から御
答弁
されましたが、
お尋ね
は、その次の部分にも関しておりまして、その
資金
援助は、御承知のように預金保険機構からなされておりますので、預金保険機構に対して、
政府
は、その
財源
として
国債
を、御承知のように交付しておるわけでございます。 この
国債
は、現金需要が起こりましたときには償還というか、現金化をする必要があるわけでございまして、現にこのたびの
補正予算
におきまして、その現金化のための支出をお認めを願いたいということをお願いしておるわけであります。 その点が、九八年度の剰余金をその
財源
にするのは
法律
に違反していないかという
お尋ね
でございましたが、
財政
法六条におきましては、決算上の剰余金の二分の一を下らない
金額
は、公債または借入金の償還
財源
に充てなければならないと書いてございますので、これはまさしく償還
財源
であるというふうに
考え
ております。(
拍手
)
—————————————
伊藤宗一郎
16
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 伊藤茂君。 〔伊藤茂君
登壇
〕
伊藤茂
17
○伊藤茂君 私は、社会民主党・市民連合を代表し、
財政演説
に対して、
総理
並びに
関係大臣
に
質問
をいたします。 今回の二次
補正
の
予算
案を見まして、私がまず思うのは、小渕
内閣
には確かなあすを語る能力はないということでございます。
予算
は
政府
の顔とよく言われます。今回の
政府
案に示された
政府
の顔と表情は、暗く、ゆがんでおります。 それは、
年金
改悪を強行しようとする行為に象徴されております。これが自
自公
政治
の現実であります。私は、
質問
の前提として、
政府
・
与党
が
厚生委員会
で改悪を強行しようとしたことを厳しく反省し、改悪をやめ、
国民
合意
の
年金制度
を確立する徹底的な
審議
をすることをまず強く要求します。 私は第一に、小渕首相に、
経済
政策
の基本的な判断を伺いたい。 この
補正予算案
の内容では、
経済
の再生も新生も不可能であります。
予算
規模
六兆七千八百八十九億円、
規模
は大きいが、内容には、
総理
が言われた、はっとするようなところはどこにもございません。水膨れ、
ばらまき
、従来発想という印象しかないというのが社会
一般
の評価であります。あなたの党、
自民党
の内部からも、そういう批判の声が上がっているではありませんか。 今必要なのは、最近の
経済
指標を見ても明らかであります。
景気
は下げどまりと言いますが、消費は回復せず、設備投資はまだかなりのマイナスを続けています。落ち込んでいるところ、消費、
国民生活
のあすを明るくすることに重点を置くのが当然なのに、
年金
改悪、
介護保険
をめぐる混乱で逆に不安をかき立てています。どう反省なさいますか。 先ほどの
答弁
で
総理
は、消費の、あるいは
生活
のために最大限の努力という御
答弁
をなさいました。
効果
は全然上がってないではありませんか。
効果
はゼロであります。この現実をどうお
考え
ですか。 いつまでも
借金
でカンフル注射、
公共事業
中心
でという惰性ではありませんか。きのうの段階ときょうとあすの段階と、
政策
目標を鮮明にしなければ
効果
は生まれません。どうお
考え
ですか。十五カ月
予算
という言葉をよく使われますが、来年度も同じ手法を続けるのでしょうか。 第二に私が見解を伺いたいのは、
財政
の将来は真っ暗やみだということでございます。 小渕首相は、たった一年間で国の
借金
をふやす新記録をつくられました。 ドイツの社民党と緑の党の
政策
協定を読みましたら、健全なる社会は健全な
財政
で支えられると強調し、
政策
を述べています。私は、それがあすを語る
政治
だと思います。
政府
のやり方について、孫の名義でキャッシュカードをつくって、親がざぶざぶ使いまくるようだとも言われていることを御存じでしょうか。現実はまさに戦後最悪であります。宮澤大臣は、どうあすの
責任
を語られますか。来年度もさらなる
国債
の増発を続けるのですか。戦略
会議
の報告のような、
景気回復
が先と言うだけの先送り、抽象論では許されないのが現段階である、
国民
の不安であると思います。 また、不安が増大しているのは長期金利動向で、中期
国債
を
中心
にしてもその不安は解消されません。調整インフレという話題があちこちで語られていますが、将来のインフレへの懸念を大蔵大臣はどうお
考え
ですか。 第三に伺いたいのは、福祉型、分権型に
財政
を改造、
改革
することであります。 二十一
世紀
日本
の最大の
課題
は、福祉社会であります。福祉は地域が主役、当然ながら福祉型であり、同時に分権型にしなければなりません。大胆に
財政
構造を変える発想なしに、
財政
再建も福祉社会の設計もできないのであります。
公共事業
も、その
事業
内容、地方主体に転換することが大きな
課題
です。大蔵大臣、いかがでしょう。 今、
政府
税調は
消費税
率引き上げを答申しようとしているが、どうしますか。今の
財政
構造、今の
財政
政策
のままで、
消費税
率アップを納得する
国民
はどこにもおりません。
消費税
の構造の
改革
、税制民主主義の原則と基本に立った税制決定の仕組みへの
改革
など、思い切ってやらなければならないと思います。
厚生大臣
に伺います。
介護保険
では
赤字国債
で
ばらまき
、
年金
では
負担
増、
政策
混乱の
政府
・
与党
への
国民
の厳しい批判にどうおこたえになりますか。特に、二十一
世紀
を前にして、次の時代の総合的福祉計画のグランドデザインにどう取り組まれますか。 第四に、目下の
緊急課題
である雇用失業問題の打開について伺います。 乱暴な大
企業
のリストラの横行を許しているのをどう認識しておりますか。深刻な問題です。リストラ、失業増大、
中小企業
、下請の危機に対して
効果
的な手を打っていないではありませんか。 ベンチャー支援と言いますが、大事なことなんですが、新しい
企業
を支援する組織としてのインキュベーターを見ても、他の
先進国
と比べてみても、その内容も数も著しく立ちおくれております。
中小企業
における雇用増大の認識も極めて安易であります。通産大臣、どうお
考え
ですか。
総理
、ドイツでは政労使トップによる雇用開発のための戦略同盟などの新しい努力がなされております。EUでは広くそういう努力が行われておりますが、政労使
合意
で社会のあすを
考え
、努力するということをどう認識されておられますか。 今、
一つ
の時代が終わり、新しい時代を迎えようとしております。あすに希望を語る
責任
が
政治
に問われているときに、富国有徳など抽象的な言葉ではあすを語ることもできませんし、真空
総理
と言われているようなことでももちろんできないわけであります。今必要なことは、あすに無
責任
な
小渕政権
をかえて確かなあすを語る
政治
をつくること、総選挙で新しい出発をすること以外にはありません。私ども社会民主党は、新しい
政治
に向けて全力を尽くす決意を申し上げて、私の
質問
を終わります。(
拍手
) 〔
内閣総理大臣小渕恵三
君
登壇
〕
小渕恵三
18
○
内閣総理大臣
(
小渕恵三
君) 伊藤茂議員にお答え申し上げます。 今回の
補正予算
の重点の置き方につきまして、
年金
及び
介護保険
の問題等種々御指摘の上、従来型から脱していないのではないかという
お尋ね
がありました。 私は、今回の
経済新生対策
を、新規性、期待性、訴求性、すなわち、はっとする新しさを持ち、
国民
の期待にかない、内外にわかりやすく訴える魅力のあるものとするため、
対策
の取りまとめに当たっては、従来の概念や計画、省庁の
枠組み
にとらわれない新たな構想と目標を策定し、
景気
を
本格的回復軌道
に乗せていくとともに、構造
改革
を強力に推進し、二十一
世紀
の新たな
発展基盤
を築くことに重点を置いたところであります。 また、
国民
が
安心
して暮らせる活力ある社会を築くことができるよう、本
対策
に
年金
改革
や
介護保険法
の円滑な
実施
のための措置を盛り込んだところであります。 第二次
補正予算
において、この
対策
を
実現
するために必要な措置として、
社会資本整備費
について、
情報通信
、
科学技術
の
振興
、
生活基盤
の
充実強化
、
少子高齢化
、
教育
、
環境特別対策
といった
分野
を
中心
に、総額三兆五千億円を計上いたしております。 また、
我が国経済
のダイナミズムの源泉である
中小
・
ベンチャー企業
への
資金供給
を円滑化すること等を
目的
として、
中小企業
等金融
対策
費七千億円余りを計上するなど、将来の新たな
発展基盤
の確立に不可欠な
分野
に重点的
配分
を行うとともに、
国民生活
に直結した雇用
対策
や
介護
対策
についても必要な措置を講じております。
政府
は、本
対策
を初め必要な諸施策を強力かつ機動的に推進することにより、
公需
から
民需
への円滑なバトンタッチを図り、
我が国経済
を
民需
主導の
本格的回復軌道
に乗せていくよう努めてまいります。 十五カ月
予算
ということでありますが、来年も同じ手法を続けるかというような
お尋ね
でありました。 私は、就任以来、
内閣
の命運をかけ、
財政
、金融のあらゆる手段を講じて
経済
再生に取り組んできたところであり、これらの施策の
効果
の浸透などにより、
景気
は、厳しい
状況
をなお脱していないものの緩やかな改善を続けております。 今ここで重要なことは、手を緩めることなく、
経済
を
本格的回復軌道
につなげていくとともに、二十一
世紀
の新たな
発展基盤
を築き、未来に向け
経済
を新生させることであると
考え
ております。 こうした視点から、先般、
経済新生対策
を取りまとめ、これを
実現
するため、十五カ月
予算
の
考え
方に立って第二次
補正予算
を編成し、御
審議
をお願いいたしておるところであり、十二年度
予算
についても、引き続き
景気
に配慮し、
公需
から
民需
への円滑なバトンタッチが行われるものとなるよう、全力を挙げて編成作業に取り組んでいるところであります。 一方、
我が国
財政
は、
平成
十一年度末の国、地方の長期債務残高が六百八兆円
程度
となる見込みであるなど極めて厳しい
状況
にあり、将来世代のことを
考え
るとき、
財政
構造
改革
という大変重い
課題
をしょっていると痛感しております。これについては、
経済
が
本格的回復軌道
に乗った段階において、そのあるべき姿をお示しいたしたいと存じます。 政労使
合意
で社会のあすを
考え
ることの意義について
お尋ね
がありました。 ドイツでは、雇用問題の解決に向けて、社民党・緑の
党連立政権
のもとで、雇用のための同盟と呼ばれる政労使トップ会談が開催されていることは承知をいたしております。 厳しい雇用失業情勢のもと、政労使が
一体
となって雇用の創出、安定策を推進していくことは大変有意義なことであり、
我が国
におきましても、昨年九月以来、政労使雇用
対策
会議
を開催するなど、率直な意見交換を行っているところであります。今後とも、政労使が協力して雇用の創出、安定に向けて取り組んでいくことが重要であると
考え
ております。 残余の
質問
につきましては、
関係大臣
から
答弁
させます。(
拍手
) 〔
国務大臣
宮澤喜一君
登壇
〕
宮澤喜一
19
○
国務大臣
(宮澤喜一君) 御指摘のように、
経済
の中で
民需
の回復は十分でありませんので、このたびの
補正予算
、来年度の本
予算
まではやはり
財政
が相当
景気
刺激的な処置をしなければならないというふうに
考え
ておるわけでございますが、その際にしかし、将来の
財政
というのはどうなるのかね、
一体
いつまでこういうことをやっていくのかというごもっともなお話であるわけです。 それで、来年度のことでございますが、先ほどちょっと一部申し上げましたが、まだ
予算
編成、十分にいっておりませんので正確には申し上げられませんが、歳入の方では多少プラスになる要因がありまして、マイナス要因もありますが、差し引きすると
幾ら
かプラスになるのではないかというふうに、今としては思っております。 ただ、その場合に、例の二〇〇一年の問題もございますから、少し金融の安定のための準備を厚目にやる方がいいかなどうかなといったあたりが、
一般
歳出の方はほぼわかりますものですから、そういうようなことを今
議論
しておりまして、多少税収の面では、大した余裕じゃございませんが、多少プラスが出るのではないかというふうに見ております。 次に、
国債
を増発していって長期金利はどうなるかということは、おっしゃいますように、必ず注意しなければならない問題でありますが、したがって、発行の内容、条件等もできるだけ市場とすり合わせながらやるつもりでございます。ある段階から
民需
が出てまいりますと、長期金利というのは高くなるのはあるいは自然かもしれませんが、しかし、国の
国債
と
民需
とがうまくすれ違う、入れかわるということはできませんので、どうしても両方ということになりやすいかもしれません。したがって、長期金利の問題は、できるだけ十分に注意をいたしてまいるつもりでございます。 それから、いわゆる調整インフレということは、いってみれば金融緩和によって通貨量をふやして、人為的にインフレ率を高めて、金利を下げて、そして消費と投資、そういう理屈だと思いますけれども、私はその具体的な
政策
手段というものについてどうもよく納得できないでおりますし、日銀
政策
委員
会でも別にそういうことを
考え
ておられないようで、私自身はどうも懐疑的でございます。 それから、
公共事業
をもっともっと地方にしないとというのは実際そのとおりでして、しかし、地方
財政
が非常に悪いものですから、単独
事業
でもなかなかやってもらえないというのが現状で、したがって、来年度の
予算
編成では、やはり国と地方の
財政
の大きな調整をまたやらなければならないと思っています。 ただ、第二次分権計画では、国の直轄
事業
なんかはできるだけ採択基準を上げておりまして、砂防の場合には、今まで五億円以上は国であったのが百億円、海岸は十億円を五十億円と、かなりそういう努力は一生懸命になっていたしておりまして、方向といたしましては、おっしゃるようにいたしたいというふうに努力をいたしておるところでございます。(
拍手
) 〔
国務大臣
深谷隆司君
登壇
〕
深谷隆司
20
○
国務大臣
(深谷隆司君) 伊藤議員の私どもに対する
質問
は二点であります。
一つ
は、
企業
の
事業
再構築に当たってのリストラについてどう思うかという点であります。 私は、
企業
がその経営資源を得意
分野
に集中させていくという戦略的な
事業
再構築というのは、
生産性
を向上させて、
企業
の足腰を強くして、結果において、中長期的に見て、
経済
の活性化につながっていくと思います。ただ、問題は、その取り組みに当たって、雇用とか下請
企業
にどのような
影響
を及ぼすか、そこに真剣に配慮するという点が大事であろうと思います。
政府
といたしましては、緊急雇用
対策
の迅速かつ
効果
的な
実施
であるとか、あるいは下請取引のあっせん
事業
による新たな受注開拓の支援等の
対策
を講じて万全を期していきたい、そのように思っています。 二つ目は、ベンチャー支援についての
お尋ね
でございます。
ベンチャー企業
は、産業の新たな
分野
を拡大するだけでなくて、新しい
関連
産業や、何よりも雇用の創出に極めて重要な
効果
を上げてまいります。したがって、その支援については、これからも一層努力をしなければならないと思っています。 今回の
経済新生対策
においては、
中小企業
の私募債発行に対する信用保証の付与であるとか、投資
事業
組合への公的機関の出資拡充などの措置を講じております。 また、通産省としましては、例のエンゼル税制の抜本的な拡充に向けた
平成
十二年度税制改正要望を行うなど、
中小
・
ベンチャー企業
の
資金供給
の一層の円滑化、多様化を図ってまいりたいと思っています。 また、お話のありましたインキュベーターの
整備
を初めとする創業者、
ベンチャー企業
を含めた多様な
中小企業
の育成、発展に資するために、その環境
整備
を行うことは大変大事であります。国のレベルの支援センター、都道府県の支援拠点、さらには全国三百カ所の身近な支援センターを通じて、この対応に万全を期したいと思っております。 以上です。(
拍手
) 〔
国務大臣
丹羽雄哉君
登壇
〕
丹羽雄哉
21
○
国務大臣
(丹羽雄哉君)
介護保険
、
年金
、さらに総合的福祉計画のグランドデザインについて
お尋ね
をいただきました。 まず、
介護保険
についてでございますが、最も大切なことは
介護保険法
を来年の四月から円滑に
実施
することであります。 新しい
制度
のもとでは、
利用方法
が措置から契約へと変更になるとともに、お年寄りには
保険料
を
負担
していただくことになります。今般の
特別対策
は、お年寄りに新しい
制度
について十分な
理解
をいただきながら、混乱なく移行していただくための措置であり、
制度
の理念、基本的な
枠組み
を揺るがすものではないと
考え
ております。 次に、
年金
でございますが、将来世代への過重な
負担
を防ぐとともに、適正な水準の給付を約束するとの
考え
方に立って、
負担
は年収の二割
程度
に抑制し、給付は現役世代の手取り年収のおおむね六割
程度
を確保することを目指しております。
改正案
を提出しているところでございます。 今回の改正を行うことによりまして、
年金
に対する
国民
の信頼を揺るぎないものにしていきたい、このように
考え
ているところでございます。
最後
に、総合的な福祉計画のグランドデザインについてでございますが、これまでの
改革
論議の中でも、
制度
ごとに縦割りに
議論
が行われていたのではないか、こういうような指摘が一部にあったことは事実でございます。 先ほど、
総理
からも御
答弁
がございましたけれども、私といたしましても、
社会保障
の
あり方
について、真に豊かな
老後
を確保する視点から、幅広く
制度
横断的に
議論
し、将来にわたって安定して運営できる
制度
とすることが必要である、このように
考え
ているような次第でございます。 この点につきましては、
総理
のもとで有識者の皆様方に御参加をいただき、
議論
の場を設けたいと
考え
ているような次第でございます。 以上でございます。(
拍手
)
伊藤宗一郎
22
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) これにて
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
は終了いたしました。
————◇—————
日程
第一
民法
の一部を改正する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
)
日程
第二
任意後見契約
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
)
日程
第三
民法
の一部を改正する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
)
日程
第四
後見登記等
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
)
伊藤宗一郎
23
○
議長
(
伊藤宗一郎
君)
日程
第一、
民法
の一部を改正する
法律案
、
日程
第二、
任意後見契約
に関する
法律案
、
日程
第三、
民法
の一部を改正する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
、
日程
第四、
後見登記等
に関する
法律案
、右四案を一括して議題といたします。
委員
長の報告を求めます。法務
委員
長武部勤君。
—————————————
民法
の一部を改正する
法律案
及び同報告書
任意後見契約
に関する
法律案
及び同報告書
民法
の一部を改正する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
及び同報告書
後見登記等
に関する
法律案
及び同報告書 〔本号末尾に掲載〕
—————————————
〔武部勤君
登壇
〕
武部勤
24
○武部勤君 ただいま議題となりました四
法律案
について、法務
委員
会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 まず、
民法
の一部を改正する
法律案
について申し上げます。 本案は、高齢社会への対応及び障害者福祉の充実の観点から、痴呆性
高齢者
、知的障害者、精神障害者等の判断能力の不十分な者の保護を図るため、禁治産及び準禁治産の
制度
を後見及び保佐の
制度
に改め、これに加えて補助の
制度
を創設するとともに、聴覚または言語機能に障害のある者が手話通訳等により公正証書遺言をすることができるようにするものであります。 次に、
任意後見契約
に関する
法律案
について申し上げます。 本案は、
任意後見契約
の方式、効力等に関し特別の定めをするとともに、任意後見人に対する監督に関し必要な事項を定めることにより、任意後見
制度
を創設しようとするものであります。 次に、
民法
の一部を改正する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
について申し上げます。 本案は、
民法
の一部を改正する
法律
の
施行
に伴い、公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル
法律
外百八十の
関係法律
について
規定
の
整備等
を行うとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。
最後
に、
後見登記等
に関する
法律案
について申し上げます。 本案は、
民法
の禁治産及び準禁治産の
制度
を後見、保佐及び補助の
制度
に改め、新たに任意後見
制度
を創設することに伴い、禁治産及び準禁治産の宣告を戸籍に記載する公示方法にかわる新たな登記
制度
を創設し、その登記手続、登記事項の開示方法等を定めようとするものであります。 以上四
法律案
は、いずれも、前
国会
、本院において可決され、参議院において継続審査となっていたものであり、今
国会
の去る十一月二十四日参議院において原案のとおり可決の上、本院に送付され、同
日本
委員
会に付託されたものであります。
委員
会においては、四案を一括して議題とし、十一月二十六日
提案
理由の説明を省略し、
質疑
及び討論の
申し出
もなく、直ちに採決を行った結果、四案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。 以上、御報告申し上げます。(
拍手
)
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伊藤宗一郎
25
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 四案を一括して採決いたします。 四案は
委員
長報告のとおり決するに御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤宗一郎
26
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 御
異議
なしと認めます。よって、四案とも
委員
長報告のとおり可決いたしました。
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伊藤宗一郎
27
○
議長
(
伊藤宗一郎
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時三十一分散会
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出席
国務大臣
内閣総理大臣
小渕 恵三君 法務大臣 臼井日出男君 大蔵大臣 宮澤 喜一君 文部大臣 中曽根弘文君
厚生大臣
丹羽 雄哉君 通商産業大臣 深谷 隆司君
運輸大臣
二階 俊博君 郵政大臣 八代 英太君 労働大臣 牧野 隆守君 建設大臣 中山 正暉君 自治大臣 農林水産大臣臨時代理 保利 耕輔君 外務大臣臨時代理
国務大臣
青木 幹雄君
国務大臣
越智 通雄君
国務大臣
瓦 力君
国務大臣
堺屋 太一君
国務大臣
清水嘉与子君
国務大臣
続 訓弘君 出席政務次官 大蔵政務次官 大野 功統君
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去る十一月二十九日は、
会議
を開くに至らなかったので、ここに
議事日程
を掲載する。
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議事日程
第五号
平成
十一年十一月二十九日(月曜日) 午後一時
開議
一
国務大臣
の
演説
に対する
質疑
………………………………… 第一
民法
の一部を改正する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
) 第二
任意後見契約
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
) 第三
民法
の一部を改正する
法律
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
) 第四
後見登記等
に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)(
参議院送付
) 第五
国民
年金
法等の一部を改正する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
) 第六
年金資金運用基金
法案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
) 第七
年金
福祉
事業
団の
解散
及び業務の承継等に関する
法律案
(第百四十五回
国会
、
内閣提出
)