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1999-11-05 第146回国会 衆議院 本会議 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

  2. 伊藤宗一郎

  3. 伊藤宗一郎

  4. 野田聖子

    野田聖子君 各種委員等選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名され、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員裁判官訴追委員予備員職務を行う順序については、議長において定められることを望みます。
  5. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 野田聖子君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。  議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員安倍基雄君を指名いたします。  また、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員に       野田 聖子君 及び 坂上 富男君 を指名いたします。  なお、予備員職務を行う順序は、野田聖子君を第一順位とし、坂上富男君を第三順位といたします。  次に、裁判官訴追委員に       相沢 英之君 及び 粕谷  茂君 を指名いたします。  また、裁判官訴追委員予備員に       杉浦 正健君 及び 佐田玄一郎君 を指名いたします。  なお、予備員職務を行う順序は、杉浦正健君を第一順位とし、佐田玄一郎君を第二順位といたします。  次に、検察官適格審査会委員に       原田昇左右君 及び 与謝野 馨君 を指名いたします。  また、萩山教嚴君原田昇左右君の予備委員に指名いたします。  なお、予備委員古屋圭司君は与謝野馨君の予備委員といたします。  次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に       亀井 静香君 及び 中西 啓介君 を指名いたします。  次に、北海道開発審議会委員に       金田 英行君 及び 小平 忠正君 を指名いたします。  次に、国土審議会委員に       中尾 栄一君 及び 亀井 久興君 を指名いたします。  次に、日本ユネスコ国内委員会委員小野晋也君を指名いたします。      ————◇—————  中小企業基本法等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  7. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) この際、内閣提出中小企業基本法等の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。通商産業大臣深谷隆司君。     〔国務大臣深谷隆司登壇
  8. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 中小企業基本法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  現行中小企業基本法は、昭和三十八年、その当時における経済社会動向等を踏まえて、大企業との格差の是正を政策目標とし、中小企業の規模の拡大等により、その高度化近代化を図るための施策を総合的に推進すべく制定されたものであります。  しかしながら、基本法制定後三十六年が経過し、この間の急速な経済成長とその後の成熟経済への移行、これに伴う消費者価値観多様化、急激な国際化進展等により我が国経済社会も大きな変化を遂げるとともに、開廃業率の逆転など中小企業をめぐる状況も大きく変化いたしております。  こうした中、現行基本法が規定する政策体系につきましては、関係者の多大な努力により成果を上げてまいりましたが、一方で、今日の中小企業が抱える多様な経営課題新規創業促進など新たな要請には十分こたえられなくなっております。  このため、中小企業政策審議会の答申を踏まえ、二十一世紀を見据えて政策体系を抜本的に再構築し、今後の中長期的な政策展開の機軸を明確化するとともに、経済実態変化も踏まえ、中小企業関係法律に規定しております中小企業者範囲を改定するため、本法律案を提案した次第であります。  次に、この本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、中小企業基本法の一部改正でございますが、新たな基本法では、中小企業我が国経済活力の源泉であり、積極的な役割が期待されるものとして位置づけました。小規模企業からベンチャー企業まで、多様な中小企業が抱えるそれぞれの弱みを克服し、機動性など中小企業ならではの独自の強みを発揮し、活躍できるような政策へと転換すべく、独立した中小企業の多様で活力ある成長発展基本理念といたしております。  また、新たな政策理念に基づき、資金人材等中小企業に不足する経営資源の確保の円滑化、取引の適正化等基盤的な施策として中小企業経営基盤強化を図ってまいります。また、中小企業強みを生かし、創意工夫に基づく成長に向けた自主的努力をすそ野広く支援する施策として、経営の革新及び創業促進を図ってまいります。そして、経済環境の急激な変化等に対して脆弱な中小企業に対する施策である環境変化への適応の円滑化の三点を、政策基本方針として再構築することといたしております。  第二に、中小企業基本法を初めといたしまして、関係法律における中小企業に関する施策対象とする中小企業者範囲を、製造業その他の事業を営む企業につきましては、資本金基準現行の一億円以下から三億円以下に引き上げ、卸売業については、資本金基準現行の三千万円以下から一億円以下に、サービス業については、資本金基準現行の一千万円以下から五千万円以下に引き上げるとともに、従業員基準現行の五十人以下から百人以下に、小売業については、資本金基準現行の一千万円以下から五千万円以下とすることとしております。  本改正は、中小企業基本法のほか、関係の三十二法律対象となっております。  以上が、本法律案趣旨であります。(拍手)      ————◇—————  中小企業基本法等の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  9. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。順次これを許します。大畠章宏君。     〔大畠章宏登壇
  10. 大畠章宏

    大畠章宏君 私は、民主党を代表して、ただいま議題となりました中小企業基本法等の一部を改正する法律案について、通産大臣並びに大蔵大臣質問いたします。  法律案に対する質問に入る前に、二点申し上げなければなりません。  まず第一は、さきに我が党などが提出した、藤波孝生議員に対する辞職勧告決議案についてであります。  昨日の議会運営委員会において、直ちに本会議に上程すべきであるとの動議を、自自公与党三党が、多数を背景に否決いたしました。自自公与党三党が本会議に上程することすら拒んだことは、政治とお金にまつわる不祥事に対する小渕連立政権の姿勢を如実に示すものであり、リクルート事件以来、清潔な政治を求める国民の声を全く無視する暴挙であると言わなければなりません。(拍手)この件に関する、政治家としての両大臣の御見解をまず質問いたします。  次に、東海村の臨界事故についてでありますが、今回のジェー・シー・オー臨界事故は、県民に極めて大きな衝撃を与えました。また、住民被害も甚大であります。今回の事故に関し、原因の徹底した究明と再発防止及び風評被害など住民救済の適切な対応を強く要求するものであります。この件に関して、通産大臣並びに大蔵大臣のお考えをお伺いいたします。  さて、法律案に対する質問に入ります。  小渕内閣は、今国会中小企業国会と命名されました。それだけに、全国中小企業関係者は大いに期待を持ってこの国会を注目しております。しかし、先ほど大臣から法律案の御説明をいただきましたが、その内容をお伺いする限り、その実態として、経営に苦しむ全国中小企業の方々の期待にはほど遠い内容ではないかと思わざるを得ません。  以下、我が党の基本的な考えを述べ、質問いたします。  まず、現状でありますが、我が国経済は、一部に改善の兆しが見られるものの、消費設備投資など民間需要面において本格的な回復が見られず、特にその影響は地方都市部商店街中小企業などに顕著にあらわれており、予断を許さないというのが現実の姿ではないでしょうか。この現実を厳しく直視しなければなりません。そして、小渕政権によるめり張りのない過大な公共投資の追加や異常な低金利の継続などで、やっと景気を下支えしているというのが実態ではないでしょうか。  日本経済を元気にするためには、地方都市部での中小企業を含め、中小企業活力を取り戻し、新事業が生まれることが必要です。そして、産業雇用空洞化が危惧されている今日、中小企業活力の維持、起業家精神を喚起させること、日本経済の再生に求められている最重要課題ではないかと考えます。すなわち、小渕政権でのばらまき型政策ではなく、やる気の起こる政策中小企業関係者期待しているのであります。  そこで、質問いたします。最初に、中小企業政策基本的理念目標についてであります。  このたび政府が提出した改正案においては、旧来の保護主義的な政策を転換して、今後は自立した中小企業支援するとしていますが、この基本的認識そのものが間違っているのではないでしょうか。すなわち、政府の保護なんか受けていない、これまでも苦労しながらも自分たち努力し、自立してやってきたというのが町の中小企業者の本音ではないでしょうか。この点について、通産大臣の御見解を伺います。  次に、中小企業の将来ビジョンについて通産大臣に伺います。  私は、中小企業こそ新時代の人間の生き方に最もふさわしい舞台であると考えております。どの会社に勤めているのかの視点から、何をしているかが問われる時代になりました。中小企業は個人の自己実現の場、さらに地域を発展させる場、そして小回りのきく新しい情報ビジネスや女性の社会進出にふさわしい場であると考えます。そして、物づくり情報通信技術を結びつけて推進することにより、一層有利な立場にある中小企業戦略が生まれると考えます。  政府案には、今日の時代的背景や目指すべき中小企業の将来像が明確に示されておりません。ばらまき型政策からやる気を起こす政策に転換するためにも、明確に将来ビジョンを示すべきであると考えますが、この点について通産大臣答弁を求めます。  さらに、今回の改正案が依然として中央集権的な枠組みにとどまっていることは問題です。地方分権法が成立した今、産業政策中小企業政策こそ、各地方自治体独自でさまざまな地方の特色を生かした施策を実行できる環境を整備することこそ、今求められているのではないでしょうか。中央政府が画一的な理念政策体系地方に押しつける手法は、地方分権法理念にも反し、もう時代おくれではないでしょうか。通産大臣のお考えを伺います。  次に、中小企業定義について伺います。  今回の改正案では、中小企業定義を、製造業では資本金一億円以下を三億円以下に、卸売業では三千万円以下を一億円以下に、小売業サービス業では一千万円以下を五千万円以下に拡大しています。  これらの改正に対して、対象範囲が広がることによって、旧来政策が手薄になるのではないかという指摘もあります。すなわち、対象企業の数が九九・四%から九九・七%に拡大すると伺っておりますが、これではほとんどの企業適用となり、薄く広くとなります。本当に支援を求めている中小企業に焦点を当てた対策がとれるのかと疑問視する声が上がっています。  国が重点的に取り組むべきは、技術的に最高水準の技能を持ちながら、あるいは、町の中でお年寄りや庶民のため堅実な経営をしていますけれども、自由化規制緩和等経営危機に瀕しているいわゆる小規模企業政策ではないでしょうか。  今回の改正案では、わずか数行で小規模企業への配慮に触れられているだけでありますが、これでは、今国会期待した中小企業関係者から不満が出るのは当たり前であります。大企業に近い中堅企業まで対象拡大することは、小さい企業への切り捨てにつながるものではないかと懸念する声も上がっています。この点について、通産大臣答弁を求めるものであります。  さらに、従業員数については原則動かしていませんけれども、サービス業のみ五十人以下を百人以下に拡大しています。小売業についても同様に百人以下とすべきではないかという声を聞きますが、この点に関して通産大臣の御見解を伺います。  次に、新事業、すなわちベンチャー企業育成に関して質問いたします。  民主党は、国民にビジネスチャンスが十分与えられ、容易に新事業を起こすことのできる社会建設こそが政治に課せられた最重要任務一つであると確信しております。  ただし、既存の中小企業に対する施策と、新事業ベンチャー企業育成策ははっきりと分けるべきであります。何でもかんでも中小企業基本法に書くのではなく、新事業ベンチャー企業については別途基本法をつくるべきではないかと考えますが、この点に関する通産大臣の御見解を伺います。  さらに、今回政府が打ち出そうとしている新事業ベンチャー企業育成策は、全くお粗末であると言わなければなりません。それは、最大の目玉であるいわゆるエンゼル税制に関してであります。  すなわち、株式会社の株式の譲渡損失を他の所得からも繰り越して控除ができるようにしてほしいとの要求を取り入れていません。まさに、これからベンチャー企業資金を提供しようとする人や起業家期待を裏切るものであります。世界の市場が、日本政府には新事業を育てる気がないと判断することは必至ではないでしょうか。この点について、大蔵大臣及び通産大臣の御見解をお伺いいたします。(拍手)  次に、事業承継税制について質問いたします。  民主党は、昨年の参議院選挙、ことしの統一地方選挙で、実効ある承継税制の確立を公約に掲げました。中小企業経営者から強く求められているこの課題に対して、政府は、中小企業国会と称する今国会においても全く触れていないことは極めて遺憾であります。この点についても、小渕政権は、現実の中で苦しんでいる小規模企業者の本当の期待にこたえていないと指摘せざるを得ません。  深谷通産大臣、あなたは、九六年の総選挙選挙公報で、固定資産税相続税に苦しむ人々のために、これらの軽減に向けて働きますと公約されました。通産大臣に就任された今、そして、今国会中小企業国会というのであれば、選挙時の公約に掲げられた事業承継税制具体案をなぜ提案されないのか、選挙民によくわかるように御答弁をいただきたいと思います。  さらに、大蔵大臣も、中小企業承継税制についてどのような御見解を持っておられるかお伺いいたします。  最後に、私たち民主党は、中小企業政策を、従来型のばらまき型政策からやる気を起こす自立型政策に大きく転換することを強く求め、質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣深谷隆司登壇
  11. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 大畠議員質問にお答えする前に、今回の事前の連絡の手違いから事前通告がございませんで、そのために聞き取れない部分がかなりございまして、果たして一つ一つにお答えできるかどうか私自身不安でございますが、できる限り、今私がお聞きした範囲で、誠意を持ってお答えをいたしてまいりたいと思います。  まず、藤波議員の問題につきましては、ただいま各党協議をいたした結果を踏まえての対応であると思っております。したがって、これから各党協議をしっかり見守っていきたいと思っている次第であります。  今国会中小企業国会と称しております。  さき国会におきましては、産業競争力強化ということに重点を置いて、長い不況からどのように脱却するかということを考えたことが中心でありました。これからの日本経済の復活を考える場合に、その事業所数において、従業員数において、圧倒的な多数を占める中小企業活力を持つことが最も大事だ。この中小企業視点を当てて、前向きで頑張ろうとする中小企業皆さんと四つに組んで進んでいこうという考え方に立って、今国会中小企業中心とする国会の論議の場と考えたわけでございます。  中小企業を育成するということは、経済活力を増すのみならず、雇用の問題に対しても寄与すると思っておりまして、そういう意味では、中小企業に対する、しかも多様化している中小企業に対して、きめ細かな対策を講ずることが最も大事なことであると理解をいたしております。  このたびの中小企業基本法改正の問題に触れさせていただきますが、昭和三十八年にできました基本法時代と比べて、経済環境も、その他もろもろ大きく変化しているのであります。従来の基本法は、いわゆる大企業に対しての中小企業、近代的な企業に対しての非近代的な企業、その格差をなくすためにはどうしたらよいかということが中心課題でございました。  その格差の問題もございますけれども、これからの時代は、中小企業経済牽引車になっていただく、経済の先頭に立って頑張っていただく、そのためには一体どうしたらよいかという視点からこの基本法考え方改正皆さんとともに協議をしたい、そのように思っている次第でございます。  また、今までの基本法のいわゆる、例えば製造業でございましたら一億円以下を三億円以下にするといったような変化は、一体どういうことをその考え背景にしているのかという質問がございました。  中小企業の枠を広げることによって中堅企業がしっかり前進して、さらに活力を増すことが大事だと思います。そして、その場合に大事なことは、そのことによって小規模の中小企業皆さんのことを忘れてはならないということであります。小規模企業皆さん方が御苦労を重ねている状況を私は肌で感じてまいった一人として、きめ細かい配慮をこれからも当然のことながらさせていただくということがその考えになければならないと思っておりまして、そういう意味では議員の御意見のとおりだと認識しております。  また、税制問題について、例えば中小企業承継税制あるいは固定資産税その他もろもろについて、私が選挙のときに公約したことと変わりがあるかといったような意味合いの御質問であったと思っておりますが、私は、中小企業のためにこれらの税制は変えていくべきだという基本的な考えに立ち、税制改正については、税調その他もろもろ審議を通じて十二月に答えが出るわけでありますが、若干の時差はございますが、通産大臣といたしましては、これらの税制に対する配慮を強く求めてまいりたいと思っております。  それから、商店街その他、地域に根づいた中小企業皆さん方をお支えするという考え方は当然のことでありまして、今までもさまざまな角度からやってまいりましたが、一層この点について力を加えていきたい、そのように思っています。  それから、ベンチャー企業創業の点についてお触れになられたと思うのであります。  創業ベンチャー対策の基本的な考え方について、私は、産業の新たな分野拡大するという意味において極めて重要であると思いますし、関連産業の創出にも資する存在であるというふうに思っています。  我が国では、創業率に比べて廃業率の方が高い、これが経済活性化を妨げてきたという意見もございます。積極的に、ベンチャー企業、小規模も含めて、新しく進出する創業の動きに対して、我々は全力を挙げて支援をいたしてまいりたいと思っています。そのためには、資金供給円滑化であるとか、人材面技術面といったようなソフトの分野にも思いをいたさなければならないと思っています。  それから、先ほどの冒頭の御質問の中に、過日の燃料加工工場等についての対応が触れられたというふうに思います。  私は、過日の東海村の事故によって、原子力エネルギーの問題について国民皆さんが大きな不信を持ったということについて、まことに残念であり、遺憾だと思っています。  原子力エネルギーは今後とも必要でございますから、どうやって安全を確保するか、この間の反省は十分にいたした上で、きちんとした法律改正も含めて対応をつくっていきたいというふうに思います。  なお、あの災害によって、例えば風評による御迷惑その他もろもろございます。とりわけ中小企業の問題に関して、御迷惑をおかけしているところに関しては、政府系金融機関等を通じて既に窓口を用意しておりますけれども、ぜひともしっかりした対応をしていかなければならないと思っています。  いずれにいたしましても、これからの時代をしっかり前進させるために、中小企業の位置づけは極めて大事なことであり、その中小企業活力を増すための具体的な施策を今国会で皆様と十分協議をして、少しでも成果が上がるように、微力でありますが、精いっぱい頑張ってみたいと思っております。ありがとうございます。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一登壇
  12. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 冒頭に、藤波議員のことについて私にもお尋ねがございました。  各党でいろいろ御協議中のことと伺っておりますが、終局的には、議員御自身の御判断によるものではないかと考えております。  それから、ジェー・シー・オーにつきまして、おっしゃいますように、まことに想像のしないような事故が起こりました。この後始末につきましての財政的な入り用、あるいは今後このようなことが起こらないために考えなければならない諸種の財政的な需要、これらについては、もとより惜しむことなく十分にこれに対応しなければならないと考えております。  それから次に、中小企業に関しまして、私へのお尋ねは主として税法に関するものでございました。  一般的に、税法は、すべての人に対してすべての場合に一律公平でなければならないのが原則でございますけれども、中小企業の場合のように、その担税力により、あるいは社会的な必要によって特例を設けられる場合がしばしばございます。  殊に、先ほど通産大臣中小企業基本法改正されるというお話の中で、中小企業そのもの定義がこれで変わってまいりますと、従来中小企業として与えられておりました税法特例はそれによって自然に拡大をいたすわけでございますから、そういう意味で、まずこのたびの改正に伴って税法上の特例も自動的に拡大する部分がございます。  それから、次にベンチャーについてもお話がございまして、現在、中小企業に与えられておりますこのベンチャー関連は、一つストックオプションの問題でございますし、もう一つはいわゆるエンゼル税制でございます。これらの点は、まだ通産省と私どもあるいは税制調査会等で具体的に詰めておりませんけれども、いずれにしても、そのストックオプション適用範囲拡大される、あるいはエンゼル税制適用する場合のケースの拡大というようなことがこれから議論になっていく問題と思います。  その次に、承継税制お話がございまして、従来からこれに関する問題は、一つはいわゆる小さな宅地の課税の問題でございます。  殊に、中小企業基盤でありますその住宅地が、宅地の価格の上昇によりまして相続税が払えないような状況がここ数年ございました。ただ現在は、御承知のように、たび重なる減税をいたしました結果、百坪までの土地でございますと、価格の五分の四を軽減してございますから課税は五分の一になっておるわけで、そうでございますと、大体東京都内あたりでございますと、百坪見ますと大体の場合はこれで救済されておると思います。  むしろ、これからの問題は、上場されておりません企業でございますとその評価をどうするかということが問題になるかと思います。  その場合、資産の純資産価格で評価するか、あるいは類似企業を求めまして評価するか。それはなるべく企業そのものにとって軽い方を選んでいくということが合理的であろうと思いますが、ただ、その場合に基準がしっかりいたしておりませんので、殊にこれからは、企業の価値の評価というものを相続税の決定のときに適正に考えていくことが大事ではないか、このように考えております。(拍手)     —————————————
  13. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 大口善徳君。     〔大口善徳君登壇
  14. 大口善徳

    ○大口善徳君 私は、公明党・改革クラブを代表し、ただいま議題となりました中小企業基本法等の一部を改正する法律案につきまして、関係大臣質問をいたします。  小渕総理が経済再生を掲げ発足し、はや一年余が経過しました。一時は日本発の世界金融恐慌等が懸念されましたが、現在は金融危機やデフレスパイラルの危機が後退し、GDPはことしに入り二四半期連続でプラス成長、さらに昨日発表の九月の景気動向指数は、一致指数が六二・五%と三年ぶりに三カ月連続五〇%超と改善しております。しかし、消費設備投資雇用情勢は依然として厳しく、経済が自律反転の軌道に乗っているとは言いがたい状況にあります。  こうした影響を最も受けているのが、相対的に経営基盤が脆弱な中小企業であります。補正予算を行ったとしましても、円高等の不確定要素を考えますと、景気が回復するまでは引き続き積極的な財政金融政策が必要だと思います。今後の経済運営方針及び景気動向について、中小企業を含め、経企庁長官はどのようなお考えか、お伺いいたします。  次に、中小企業基本法改正問題についてお尋ねいたします。  まず初めに、中小企業政策の基本的な考え方についてお尋ねします。  昭和三十八年制定された現行中小企業基本法では、大企業中小企業格差の是正が政策目標とされておりましたが、今回提出されました改正法案では、独立した中小企業の多様で活力ある成長発展を新たな政策理念に据え、中小企業政策の方向転換を図ろうとしております。  しかしながら、大企業中小企業との生産性や賃金等の格差は引き続き存在しております。また、現下の厳しい景気情勢の中で、下請企業はこれまで以上に厳しい状況にあります。政府は、何ゆえ中小企業基本法理念格差の是正から独立した中小企業の多様で活力ある成長発展へと転換しようとするのか、通産大臣にお伺いいたします。  次に、中小企業政策の今後の重点についてお尋ねいたします。  我が国経済活性化するためには、創業ベンチャー企業支援することが大変意義あることと思います。しかしながら、私は、このような方針が、既存の中小企業、特に経営基盤の弱い小規模企業支援を手薄にし、結果として弱者の切り捨てになるのではないかと心配しております。我が国中小企業の大宗は、ベンチャー企業創業者ではなく、現下の厳しい経済の中で経営の向上を目指して日夜必死に努力しておられる既存の中小企業の方々であります。ベンチャー企業創業という面ばかりを強調するのではなく、懸命に努力する既存の中小企業にも、展望が開けるように積極的な支援を行うべきであると考えますが、通産大臣のお考えお尋ねいたします。  次に、中小企業定義の見直しについてお尋ねいたします。  今回の中小企業基本法改正案では、中小企業定義拡大されることになっておりますが、この改正により、中小企業施策の重点が比較的企業規模の大きい企業にシフトし、小規模企業を初めとする既存の中小企業施策が薄まるのではないかとの心配する声が出ております。こうした懸念を払拭すべく、十分な予算的な手当てを講ずることが必要と考えますが、通産大臣の強い決意をお尋ねいたします。  最後に、今後の中小企業政策にとって重要と思われる問題についてお尋ねいたします。  まず第一点は、日産自動車の例に見られるように、今後大企業のリストラがさらに本格化するのではないかと思います。こうしたリストラの影響をまともにこうむる下請企業地域商店に対し、政府は具体的にどう対処し、雇用地域経済を守るのか、通産大臣にお伺いいたします。  第二点は、米国マサチューセッツ工科大学のレスター・C・サロー教授が、その著書「富のピラミッド」の「日本語版によせて」の中で「知識主義経済の果実を得られるようにするには、日本は二つの問題を解決しなければならない。 教育制度を変え、そしておそらくは社会の態度も変えて、技術の大きな飛躍を生み出すような創造的思考を促すようにしなければならない。アメリカでは、ハイテク関連のベンチャー企業の一〇社のうち九社が失敗する。失敗を許容する姿勢がなければ、成功は生まれない。挑戦して失敗したものが復帰して、キャリアを築いていけるように、社会制度をつくり変えなければならない。」と述べています。  私も全く同感です。リスクに挑戦する気風をとうとぶ環境や再挑戦の仕組み、さらには創造性をはぐくむ教育が、我が国の今後にとって極めて重要であると思いますが、通産大臣、文部大臣の、こうした考えに対する御所見を承りたいと思います。  第三点は、経済活性化雇用の維持、創出のための仕組みであります。こうした観点から、事業承継円滑化のための相続税体系の抜本的見直し、エンゼル税制の拡充、留保金課税の廃止が極めて重要で、早急に実施すべきものと考えますが、大蔵大臣の御見解をお伺いします。  以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔国務大臣深谷隆司登壇
  15. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 先ほどの御質問に対して答弁漏れがあるという御指摘がございました。自分としては一生懸命お話し申し上げたつもりですが、御無礼いたしました。  そこで、指摘された問題について申し上げさせていただきます。  まず、エンゼル税制の抜本的な拡充についてどういう考えを持っているかということでございます。  私たちは、この税制というのは、特にベンチャー企業に対して民間の資金を投入するということにおいて極めて効果があるという前提に立って、平成九年六月に創設されたものでありまして、今国会では、この税制対象企業の拡充を図りたいというふうに考えております。  さらに、平成十二年度の税制改正要望で、他の一般所得との通算を認めることによって、株式の譲渡益がなくとも税制上のメリットがあるような仕組みにするように、制度拡充に向けて最大限の努力をしたいと思っております。  それから、ベンチャー企業に対して別の基本法にせよという御意見があったようでありますが、私は、ただいまの基本法で大丈夫だというふうに考えております。  小売業の人数を、五十人でありましたのを百人以下にせよということについては、私は、現下の情勢の中で百人以下とすることがより適切であるというふうに判断をしております。  それから、これは申し上げたと思うのでありますが、中小企業対象拡大するということについて、小企業切り捨てにならないかということでありますが、私は、途中で申し上げたように、いわゆる力のある中小企業がより活力を増すことが経済再生につながる、基本的にそう思っております。  しかし、一方において、小規模な企業に今まで精いっぱいのお手伝いをしてまいりましたが、その思いを忘れてはならないと思うのであります。営々と努力をしておられる小規模企業の方々にも従来以上に配慮をするということは、当然なことだというふうに私は思っております。  過日、神戸に参りましたときに、私は、設備近代化資金等についての改良を行うということを申し上げました。つまり、小規模の企業の方たちに限って、業種は限定しないで近代化資金をお貸しする、その全体の規模を一千億円ぐらいにしたいと申し上げたのも、いわば小規模企業で頑張った方々に対する私たちの思いのメッセージだ、そんなふうに思っております。  それでは、大口議員の御質問にお答え申し上げたいと思います。  中小企業政策理念の変更について、どうしてこのような理念を変更するのかというのが御質問でございます。  今まで格差がございましたその格差という認識は、大企業と比べて生産性などの格差が指摘をされていた、これを直すべきだ、こういうことでございます。生産性の向上ということは、中小企業においても、これからも図っていかなければならない課題だと思います。  しかし、そうは申しましても、従業員数において、事業所において圧倒的多数を占める中小企業の方々が、活力のある、そういう前進をすることが経済の再生につながる、そういう考え方に立ちまして、今までのような形の中で大事なものは残しますけれども、経済の先頭に立つという意味において、その中小企業が持っている多様性を正面から全面的に受け入れて、四つに取り組んで、その経営基盤強化を図っていこうということを基本に考えているわけでございます。  それから、創業ベンチャー支援を重点化することは結構なことだが、その結果、既存の中小企業に対する支援がおろそかになるのではないかという御指摘でございますが、ただいま申し上げましたように、いろいろな新しい前向きの施策を講じておりますけれども、それは小規模企業を見捨てるとか見放すということでは全くございませんで、中小企業実態というのはいろいろな形がございますから、それぞれに応じた適切な対応をしていこうということでございまして、小規模企業等についてはこれからも一層力を加えてまいりたいと思っている次第であります。  それから、中小企業定義の引き上げにより、既存の中小企業に対する施策が薄まることはないか。  ただいま前段申し上げたとおりでございまして、そのような考えは毛頭ありませんで、活力のある企業を伸ばす、一方では小規模をしっかりとお支えする、その考え方にいささかの変化もございません。  それから、大企業のリストラがさらに本格化するのではないかというふうに考えるが、雇用、下請企業地域経済地域商店にどう対処していくか。  確かに、大企業等の事業再構築による影響を受けている下請企業というのが非常に多くございまして、これに対しては適切な対応をしていかなければならないと思っております。  従来から、下請企業や地元中小企業の御要望に応じた下請取引のあっせん、金融上の支援措置などを講じておりましたけれども、これをさらに力いっぱい支えていくように努力しなければならぬと思っています。また、地域経済の中核となる地場産業あるいは地域商店街活性化等についても、積極的な支援を行うということは大事なことだと思っております。  そして、こういう取り組みの際には、雇用の問題もかかわりがありますから、労働省とはよく連携をとってまいりたいと思っています。  事業に失敗した人が再挑戦できるような社会をつくるために、リスクに挑戦する気風をとうとび、さらには創造性をはぐくむ教育が極めて重要であるというお考えは、全く同感でございます。常に創業精神の涵養とか国民意識の改革というのは非常に大事で、チャレンジする心を持たなければ日本の将来はないと思うのであります。  私は、通産行政の中でも、多くの国民皆さんがチャレンジ精神を発揮して前進していただくこと、さらには文部省とも連絡をとりまして、子供のうちからの教育の分野でも思いをいたして進んでいかなければならないと思っております。  以上です。(拍手)     〔国務大臣堺屋太一君登壇
  16. 堺屋太一

    国務大臣(堺屋太一君) 景気の動向をどのように見ているかという御質問がございました。  現在、日本の景気は、民間の需要の回復力が弱く、厳しい状況を脱し切れてはおりませんが、各種の政策効果が浸透いたしまして、緩やかながら改善を続けているという状況でございます。  また、中小企業の景状感は、昨年後半の厳しい状況から改善しているものの、依然景気は悪いとする中小企業の方が、いいとする企業よりも多く、景状感の回復テンポは比較的緩やかなものにとどまっています。  今後の経済運営に当たっては、公需から民需への円滑なバトンタッチが行われ、遅滞なく民需主導の本格的な回復軌道に乗せることが喫緊の課題であります。  また、金融再編、産業競争力強化雇用の創造、情報化の進展等々の構造改革を進めるとともに、二十一世紀の知恵の時代にふさわしい経済社会基盤を築き上げることも、今より始めなければならない大きな課題でございます。今は、短期、長期両面で大変重要な時代、正念場だと思っております。  このため、政府といたしましては、中小・ベンチャー対策、ミレニアムプロジェクトなどの施策を含め、今後の我が国経済運営の指針となります経済新生対策を早急に取りまとめまして、第二次補正予算を策定する予定でおります。(拍手)     〔国務大臣中曽根弘文君登壇
  17. 中曽根弘文

    国務大臣(中曽根弘文君) 大口善徳議員から、私に対しましては創造性をはぐくむ教育についてのお尋ねでありましたけれども、これからの経済社会変化に柔軟に対応し、創造性に富み、チャレンジ精神を持って主体的に生きていく人材を育成することは極めて重要な課題考えております。  そのためには、学校教育で、しっかりとした基礎、基本の土台の上に個性や創造性を育てる教育を推進することが大切であります。  このため、昨年十二月及び本年三月に告示いたしました新しい学習指導要領におきましては、みずから学び、みずから考える力など生きる力の育成を重視し、新たに総合的な学習の時間を創設するなど、生徒の個性や創造性を育てる教育の充実を図っているところであります。  今後とも、創造性に富み、チャレンジ精神を持った人材を育成する教育の充実に努めてまいります。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一登壇
  18. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 中小企業事業承継についてお尋ねがございました。  かつて、土地が暴騰を続けましたために、相続が起こりますと、中小企業者が自分の住んでいる職場にもう住めない、相続税が払えないという事態がございましたことはおっしゃるとおりでございますが、その後、累次法改正も行政の改善も行われまして、今日では、三百三十平方メートルまでは評価額の五分の四を控除しておりますので、課税は二割になってしまいまして、ほぼこの問題は片づきつつある。  百坪でございますと、大体、大都会の中でも中小企業の方々の住んでおられる大きさにほぼ見合いますので、そう思っておりますが、むしろ今度は、事業そのものの評価を、上場しておりませんので、どのように評価するかという問題が、これからの承継についていろいろ研究しなければならない問題ではないかと思います。  相続税そのものの問題として、一般的に問題があることはおっしゃるとおりでございますけれども、中小企業との関連で申しますと、今相続税の最高税率は七〇%でございますが、この適用がある相続は全国で毎年被相続人にして十人ぐらいしかございませんので、どうも中小企業の問題はその問題ではなくて、もっと別のところを工夫しなければならないのではないか。  なお、エンゼル税制の場合でございますと、これはやがて、中小企業の創造的事業活動に関する、今仮称で政府が研究しております法律が出てまいりますと、ベンチャー企業そのものの範囲拡大されますので、その限りにおきましてエンゼル税制対象も大きくなる、こう考えております。(拍手)     —————————————
  19. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 佐々木憲昭君。     〔佐々木憲昭君登壇
  20. 佐々木憲昭

    ○佐々木憲昭君 私は、日本共産党を代表して、中小企業基本法改正案に対し、関係大臣質問します。  質問に入る前に、一言申し上げたい。  政府は、本国会中小企業国会と位置づけて召集されました。この法案は、まさに国政の基本方向にかかわる重要課題であります。本来なら、総理が答弁に立つべき性格のものであり、私は総理答弁を要求いたしました。それを拒否した政府・与党に私は厳しく抗議し、引き続き出席を要求していくものであります。  初めに、政府我が国中小企業をどう位置づけているか、お聞きしたい。  中小企業は、全企業の九九%を占め、勤労者の七八%が働いており、地域経済物づくり技術の重要な担い手になっております。まさに日本経済の主役であります。  ところが今、この中小企業がまさに存亡の危機に直面しているのであります。中小企業の三分の二が赤字企業に転落し、倒産、廃業もかつてない高水準にあります。大企業のリストラで、下請中小企業は、去るも地獄、残るも地獄だという深刻な事態に陥り、物づくり基盤が失われつつあります。商店街は、消費の低迷と大型店の進出という板挟みで、歯が抜けたように廃業に追い込まれております。また、銀行の貸し渋りや商工ローンの暴力的取り立てによる一家離散、自殺も後を絶ちません。  この国会中小企業国会と位置づけ、中小企業対策を出すというなら、日本中小企業を全体としてこの危機から救い出し、本来の役割を発揮できるように下支えする、これが政策の基本方向でなければなりません。(拍手)  通産大臣、あなたは、中小企業日本経済の中でどのように位置づけているのか、また現状を本当に深刻な事態にあると認識しているのかどうか、あらかじめ明確にしていただきたい。  提出された法案は、中小企業基本法の前文をすべて削除し、政策方向の全面的な転換を図っています。重大なのは、第一条の「中小企業経済社会的制約による不利を是正する」とした条文を削除していることであります。  通産大臣中小企業経済社会的制約による不利は是正されたのでしょうか。例えば、下請中小企業を見ていただきたい。全国中小企業団体中央会の下請動向調査によると、調査した八つの業界のうち、すべての業界で親企業からコストダウンを迫られ、七つの業界では引き下げ要求幅も拡大しております。また、商店街は、大型店の身勝手な出店や撤退で大打撃を受け、町を荒廃させております。中小企業の不利は、是正されるどころか大企業の横暴によってますます拡大しているのではありませんか。答弁を求めます。  我が党の不破委員長の質問に対して、小渕総理は、下請代金支払遅延等防止法の厳正な適用により対処してきていると答弁しました。しかし、これを検査し取り締まる専任の下請検査官は、通産省と公正取引委員会合わせて、わずか六十三名しかいないではありませんか。これでどうして厳正な対処ができるでしょうか。下請検査官の抜本的な増員を行い、大手の親企業に系統的な立入検査ができるようにすべきではありませんか。通産大臣答弁を求めます。  この法案の致命的欠陥は、これまであった大企業との格差に着目し、すべての中小企業対象支援を行うという建前さえ投げ捨てて、中小企業を弱肉強食の世界にほうり込み、大企業の身勝手な企業行動のもとで弱い者はつぶれて当然という立場に全面転換したことであります。堺屋経企庁長官は、マスコミに対し、理念の大転換を図ったと強調し、中小企業対策も、弱者を保護する立場をとらず、中小の中から強者を育てていくと語っています。  経企庁長官、この発言は、弱者切り捨てを公言したものではありませんか。政府の立場はそうではないというなら、その根拠を国民の前に明確に示していただきたい。答弁を求めます。  小渕総理は所信表明で、ベンチャー企業創業者への支援を強調されました。しかし、成長産業ベンチャー創業者は、六百四十万の日本中小企業の一%にも満たない、ごくごく一部の企業にすぎません。ここに国のてこ入れを重点化すれば、そこから外れた苦境にあえぐ中小企業はどうなるのでしょうか。ここにも圧倒的多数の中小企業を切り捨てる政府の立場が見えているではありませんか。  今必要なのは、日本中小企業を全体としてこの危機から救うことであります。そのことによって雇用地域経済を守ることであります。これは、すべての中小企業、零細業者の願いであり、多くの国民の強い期待であります。なぜそのような方向に踏み出さないのか、通産大臣答弁を求めます。  今年度の中小企業予算は千九百二十三億円で、一般歳出のわずか〇・四一%にすぎません。その一方で政府は、むだと浪費の大型公共事業を積み増しし、大銀行に六十兆円の支援枠をつくり、破綻した長銀に中小企業予算の二十三年分に当たる四兆五千億円の税金を注ぎ込んで、アメリカ企業に売り渡したのであります。全く逆立ちしているではありませんか。  小渕総理は所信表明で、中小企業我が国経済のダイナミズムの源泉であり、その振興こそが日本経済再生のかぎになると言われました。それならば、言葉だけにせず、中小企業予算を思い切って増額すべきではありませんか。全国中小企業団体中央会も……
  21. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 佐々木憲昭君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  22. 佐々木憲昭

    ○佐々木憲昭君(続) 大幅な拡充につき格段の配慮をと要望しているのであります。  私は、中小企業予算を日本経済の主役にふさわしく抜本的に拡充、増額するとともに、その内容中小企業に使いやすいものに改めるよう強く要求するものです。大蔵大臣答弁を求め、質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣深谷隆司登壇
  23. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) 先ほど、私の再答弁の際に、小売業について百人以下が適切と申しましたが、サービス業の間違いでございまして、謹んで訂正させていただきたいと思います。  さて、ただいまの御質問にお答えいたします。  まず第一は、中小企業日本経済における位置づけ、中小企業が深刻な事態にあると認識しているのかということでございます。  先ほどから申しておりましたが、中小企業というのは、新たな産業を生み出し、雇用の増大にも寄与する、そして地域経済活性化にも大いに働いていただく、すなわち日本経済を支えていくのは中小企業だという認識を私どもは持っているのであります。  中小企業の景況感はどうだというお話でありました。景況感は徐々に回復しつつございますけれども、中小企業に関して言えば、依然として悪いという声があります。そして、設備投資の面とか雇用の面でも改善を図っていかなければならない、必要なことだと思っておりまして、この経営環境の厳しさを早く回復させるように、私ども内閣を挙げて頑張っていかなければならないと思っています。  中小企業の不利は是正されているのかという質問でございます。  今までの基本法格差の是正というのは、生産性等の格差が是正されるべきだ、こういうことであります。現在でも、大企業中小企業の間に格差は存在すると私も思っています。しかし、多様で活力のある中小企業を育てるということで、少しでもその格差をなくしていくということも大事なことでございます。私たちは、そういう意味も含めて、今度の基本法では、中小企業の多様性を正面から位置づけて、そして経営基盤強化を取り上げて、これにしっかり対応していくような決意をいたしておるところでございます。  下請検査官の抜本的な増員等々についてのお話であります。  下請検査につきましては、御案内のように、下請代金支払遅延等防止法に基づいての親事業者への検査等については、毎年、書面によって行っているのであります。違反の懸念がある事務所への立入検査等についてはまた、違反の事実があった場合には改善のための指導を行うなど、厳正かつ迅速に対処してまいりました。今後とも、厳正かつ効果的な検査の実施等によって、下請取引の適正化に努めてまいりたいと思っています。  ベンチャー企業創業者への支援を強調しているが、その他の中小企業、零細業者を含めた日本中小企業を全体として救うべきではないかとおっしゃいましたが、先ほどから申し上げておりますように、新しい企業をつくり出すということは、経済活性化のために非常に大事であります。その新しい企業をつくり出す、事業をつくり出す、最も迫力を持って対応できるのは、私は中小企業だと思っているのであります。  ですから、そういう面に積極的な御支援を申し上げるということは大事なことだと思いますが、何回も申し上げますように、そのことは小規模企業者を見捨てるとか、そんなことでは全くございませんで、そこを大事に、御苦労なさっている方々が報われるような、そういう答えを出していくことも通産省の大きな仕事だと心得て、これからも全力を挙げて努力を重ねてまいる所存でございます。  以上です。(拍手)     〔国務大臣堺屋太一君登壇
  24. 堺屋太一

    国務大臣(堺屋太一君) 中小企業政策の転換は弱者切り捨てではないかという趣旨の御質問がありましたが、小渕内閣が過去十五カ月にとってまいりました政策、例えば中小企業の借り入れ保証制度に無担保無保証の特別枠二十兆円を設定したことなどを見ていただきますと、この内閣が弱者切り捨てなどという政策をとっていないことは、おわかりのとおりだと思います。  我が国中小企業の現状は、この法律が制定されました一九六三年と異なりまして、企業規模は小さくても世界に活躍するものが出現しておりますし、中小企業を一律に弱い存在と位置づけるのは適切でなくなってきたと考えております。他方では、我が国経済が飛躍的な躍進を遂げて、既存の中小企業や新たな起業家が本来有しているダイナミズムを遺憾なく発揮し、我が国経済牽引車となっていくことが期待される時代であります。  今回の法律は、かかる状況を踏まえて、中小企業がチャレンジ精神を発揮して、新たな事業活動や創業を行うことを支援するとともに、市場メカニズムでは不十分となる可能性がある人材、資金、情報、技術等を中小企業が円滑に確保できるように支援する措置を講じております。  また、企業規模が小さいためにこうむりやすい企業経営環境変化対応して、これの補完を円滑にするようなさまざまな方策をとっております。  しかしながら、いろいろの政策をとりましても、どうしても経営効率が悪くて、高い値段でしか商品、サービスを提供できないというような企業のすべてを永久に温存するといたしますれば、消費者にも納税者にも大きな負担をかけることになります。また、その経営者や従業員の方々にも、よりよい収入と職場を得るチャンスを失わしめることにもなりかねません。この点、経済や技術の流れに逆らって限りなく非効率、非能率な企業を保護することはできないものと考えております。  私としても、本法案の趣旨が具体的な中小企業施策として確実に実施され、中小企業我が国経済のあすを切り開いていくものと期待している次第であります。(拍手)     〔国務大臣宮澤喜一登壇
  25. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 通産大臣が言われますとおり、私どもは中小企業というものを、格差の是正でなく、本当に多様で活力のある日本経済を担うものにしたいと考えておるわけでありますが、したがいまして、予算の中で中小企業支援のための経費とか、あるいは税制中小企業ベンチャー対策とか、あるいは金融で貸し渋り対策といったようなものは、それは中小企業そのもの支援することではありますけれども、むしろ我が国の財政経済の支出そのものが、中小企業の活動によってそれが国民経済に血となり肉となるわけでありますから、中小企業何々と名前のついているものだけが中小企業対策ではない、むしろそういう経済政策全体が中小企業の機能を高めていく、そういう役割を果たしていくものだ、そういうふうに施策考えております。(拍手)     —————————————
  26. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 横光克彦君。     〔横光克彦君登壇
  27. 横光克彦

    ○横光克彦君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました中小企業基本法等の一部を改正する法律案につきまして、通商産業大臣質問をいたします。  今、未曾有の長期不況は、中小企業を取り巻く環境をますます厳しいものにしております。中小企業に対する不況のしわ寄せは、激化する下請いじめ、淘汰される町の商店、疲弊する町工場など、全国に散見されます。  政府は、創業ベンチャー支援への転換を言うのならば、中小企業を取り巻く不利や格差を解消するとしたこれまでの施策の到達点と課題について、真摯な検証と分析がまず必要ではないでしょうか。中小企業を取り巻く厳しい経営環境をどう御認識なさっているのか、また従来展開してきた施策政策評価について、まず大臣の御所見を求めます。  中小企業は、政府の指摘をまつまでもなく、日本経済のダイナミズムの源泉であります。と同時に、大企業との圧倒的な格差を前提とせざるを得ない経済的弱者であり、中小企業経営基盤は依然として脆弱であります。中小企業の生産性や取引条件の向上を図るさまざまな施策が従来から展開されてきましたが、大企業中小企業との格差の解消、不公正な取引条件の是正といった政策目標が達成されたとは到底思えません。依然として解決されない不利是正という理念を、中小企業の憲法であります基本法の基礎、中心に位置づけることが必要と考えますが、大臣の御見解を伺います。  建設業などの下請業者は、元請であるゼネコンから、工事代金の支払いストップや単価の引き下げを露骨に要求されております。取引の適正化は、中小企業政策審議会の答申でもその必要性が指摘されており、早急に抜本的な対策を講じなければなりません。  中小企業者が親会社、元請会社に支配されない産業構造に転換する観点が何よりも求められております。大企業との分野調整を目的とした分野調整法についても、情報通信を利用した事業形態の進展などにより、現行法では対応にも限界があります。下請法の拡充や分野調整法の強化を初め、今後とも実効性ある具体的な施策を講じることが不可欠であると考えますが、大臣の御所見を求めます。  中小企業は、多様で活力ある独立した事業主体であり、政策の基本は、きめ細かな、実態に見合う支援策の展開でなければなりません。  政府は、基本法改正し、中小企業定義を変更するとしています。資本金の基準額などを引き上げ、新たに約一万六千社を中小企業として、信用保証や低利融資などを利用できるようにするとしています。  このことについては評価いたしますが、しかし、単なる範囲拡大では、施策が拡散して小規模、零細事業者への支援が手薄になりはしないかとの懸念が絶えません。対象企業定義を零細、小規模、中小、中堅などに細分化して、十分な財源をもって各規模別にきめ細かな施策が講じられなければならないと考えますが、大臣の御見解を伺います。  また、範囲定義に関しては、業種ごとに詳細な基準の設定、個別施策において定義の弾力的運用などが求められます。とりわけ、新たに起こす創業雇用中心であり、最も政策的な援助を必要としております小規模、零細事業者に対しては、創業支援という枠組みにとどまらない総合的な支援策が不可欠であります。  生活者としての視点や発想を生かした商品、サービスには地域で高いニーズがあり、地域住民のスモールビジネスは、今後ますます輝きを増す存在であります。地域に暮らす女性や中高年、障害者の方々が行う生活基盤型の創業経営を総合的に支援すべきだと考えますが、大臣の御所見を求めます。  景気回復の先導役、雇用の受け皿として中小企業をとらえるならば、生活基盤型の創業支援と並行して、不利是正、格差解消に向けた中小企業経営基盤強化をこれまで以上に進めなくてはなりません。また、中小企業予算は二千億円にも達しておりません。創業ベンチャーというリスクを伴う分野への進出を政府が奨励するには、余りにも少ない予算であると言わざるを得ません。  補助、補完的に展開されてまいりました従来の中小企業政策を、経済政策雇用創出の中心として抜本的に位置づけし直すことが必要と考えますが、通商産業大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣深谷隆司登壇
  28. 深谷隆司

    国務大臣深谷隆司君) まず第一は、中小企業を取り巻く厳しい経営環境に対する大臣の認識はどうだということでございます。  先ほども申し上げましたけれども、中小企業の景況感は、昨年後半の厳しい状態からは脱したとは思うのでありますが、なお依然として回復のテンポが遅いという現状にあると思います。あるいは設備投資等も先行きの不安から十分に広がっていない、雇用の過剰感も強い状態が続いている。中小企業を取り巻く経営環境には厳しいものがあるというふうに認識をしております。  未曾有の長期不況は中小企業を取り巻く環境を厳しいものとしており、こうした中で創業ベンチャー支援への転換を行うのであれば、中小企業を取り巻く不利や格差を解消するこれまでの施策の到達点と課題について分析が必要と考える、従来やってきた施策政策評価に対する大臣見解はいかんということでございます。  中小企業のこれまでの発展は中小企業皆さんの日々の御努力というところに負うところが多いのでありますが、政府の講じた施策が効果を上げたという面が大いにあることは言うまでもありません。しかし、時代が変遷をしておりますので、今までの講じてきた政策とはまた基本的な理念を変えていくということも中小企業皆さん活性化するために必要なことではないか、今日のそういう理念のずれというものをここで改めていきたいと考えているのであります。  中小企業の自助努力支援するという原則に立ちまして、弱みを克服して強みを生かしていく、そういう政策をとってまいりたいと考えております。  それから、中小企業政策理念についての御質問がございました。  格差の是正ということが現行基本法でありますが、これは、中小企業が非近代的であるという認識に立って、生産性等の格差を是正せよという意味合いであります。私どもは、中小企業日本経済を支える中心の柱であるという視点に立ちまして、積極的に自助努力を行うことによって、そして中小企業の存在、基盤というものを一層より強固なものにしていきたい、そういう考え方がこのたびの基本法改正趣旨でございます。  経営基盤強化、これに重点を置いてまいりますことを申し加えます。  それから、中小企業定義を分けたらどうだ、こういう細分化の御意見がございました。  この基本法におきましても、小規模企業範囲を定めるといったことやら、施策を講ずるに当たって小規模企業への必要な配慮をしていこうということを申しております。ですから、このような多様な企業の集まりであるという定義を御提案申しておりますので、それ以上の細分化は今日は必要ないのではないかと思っております。  それから、新基本法改正中小企業の自助努力支援するとの原則に立って我々が頑張っていくということに対して、創業経営を総合的に支援するべきではないかという御意見でございました。まことに当然のことでありまして、従来も商工会や商工会議所等を通じましてさまざまなセミナーの実施等を行ってまいりました。平成十二年度は、地域住民のスモールビジネスを含めて、小規模企業経営革新や創業をきめ細かく支援するための、全国に約三百の支援センターをつくりたいと考えています。  それから、下請法及び分野調整法についてのお尋ねですが、下請取引の適正化対策としては、さきに申し上げましたように、下請代金支払遅延等防止法及び建設業法において、代金の支払い遅延や買いたたきが禁止されております。公正取引委員会、建設省等と連携をいたしまして、親事業者に対する検査を実施するなど厳正に対処してまいりたいと思います。また、分野調整法につきましては、新基本法では経済的、社会環境変化への適応の円滑化のための具体的な施策一つとして位置づけております。  それから、最後の御質問でありますが、中小企業政策の位置づけに関する御質問でありました。  中小企業は新たな産業を生み出し新たな雇用を創出する、そういう意味で、中小企業活性化は今後の我が国経済の柱だ、そのように思っています。そういう経済の柱が二十一世紀の入り口に当たってより力をつけて前進できるような、あらゆる角度からの対応をこれからしていきたいと考えているところであります。  以上であります。(拍手
  29. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これにて質疑は終了いたしました。     〔議長退席、副議長着席〕      ————◇—————  無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案内閣提出)の趣旨説明
  30. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) この際、内閣提出、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案について、趣旨説明を求めます。法務大臣臼井日出男君。     〔国務大臣臼井日出男君登壇
  31. 臼井日出男

    国務大臣(臼井日出男君) 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  我が国社会においては、平成六年、七年に、毒性物質であるサリンを使用してのいわゆる松本サリン事件及び地下鉄サリン事件が相次いで発生し、不特定多数の者の生命身体に対し極めて甚大な被害をもたらしたことは記憶に新しいところであります。  最近の国際情勢を見ても、多数の死傷者を出した平成十年八月のケニア、タンザニアにおける米国大使館同時爆破事件に代表されるように、公共の場所で爆弾を爆発させるなどして多くの一般市民を犠牲にする無差別大量殺人事件が多発しております。  このように、無差別大量殺人行為は、平穏な市民生活にとって重大な脅威となる上、これを団体が行う場合は、秘密裏に計画準備されて実行に移されるため犯行の事前把握が極めて困難であることなどから、犯行の実現可能性も高く、また、団体が一定の目的を達成するための手段としてこれを敢行する場合には、反復して実行される危険性が高いのであります。  そこで、この法律案は、このような無差別大量殺人行為の特性を踏まえて、過去に無差別大量殺人行為を行った団体について、現在も危険な要素を保持していると認められる場合に、迅速かつ適切に対処するため、必要な法整備を図ろうとするものであります。  次に、この法律案の主要点について御説明申し上げます。  第一は、過去に団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体であって、現在も危険な要素を保持している団体を適用対象とするものであります。  第二は、公安審査委員会が、対象団体について、その活動状況を継続して明らかにする必要があると認めた場合、一定期間、公安調査庁長官の観察に付し、公安調査庁長官が当該団体から一定の事項について定期の報告を受けるとともに、必要に応じ当該団体が所有しまたは管理する土地または建物への立入検査を行い得る観察処分の制度を設けるものであります。  第三は、公安審査委員会が、対象団体について、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の増大を防止する必要があると認めた場合、または、第二の観察処分に付された団体につき、不報告または立入検査妨害等があり、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認めた場合、一定期間、土地または建物の新規取得の禁止、 既存の土地または建物の使用禁止、無差別大量殺人行為の関与者等に一定の団体の活動に参加させることの禁止、加入強要、脱退妨害の禁止、金品等の贈与を受けることの禁止等の処分を行い得る再発防止処分の制度を設けるものであります。  第四は、観察処分及び再発防止処分の判断手続を迅速に行い得るようにするための手続規定を設けるものであります。  第五は、政府が毎年一回、国会に対し、この法律の施行状況を報告することとするとともに、公安調査庁長官が関係地方公共団体の請求により、観察処分に基づく調査の結果得られた情報について、個人の秘密等を害するおそれがある事項を除き、提供できることとするものであります。  第六は、本法案による規制をより実効性あるものとするため、警察当局との協力関係につき、所要の措置を講ずるものであります。  第七は、規制の実効性を担保するため、立入検査妨害及び再発防止処分に伴う役職員または構成員等の禁止行為違反等につき、所要の罰則を設けるものであります。  以上が、法律案趣旨であります。(拍手)      ————◇—————  無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  32. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) ただいまの趣旨説明に対して質疑通告があります。順次これを許します。北村哲男君。     〔北村哲男君登壇
  33. 北村哲男

    ○北村哲男君 私は、民主党を代表して、ただいま提案されました無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案に対し、質問をいたします。  昨日、すなわち十一月四日は、坂本堤弁護士一家がオウム真理教幹部に殺害されてちょうど十年目に当たります。  当時、国会内においても超党派による坂本弁護士一家捜索に関する議員会議が結成され、私どもも警察庁など関係機関に捜索の強化を強く申し入れました。しかし、当時の関係機関の対応はいかにも緩慢で、打つべき手がないという状態で、オウム真理教に対する危機意識が感じられなかったとの印象でありました。  その五年後の一九九四年六月、松本市でのサリン散布による七人の犠牲者、そして一九九五年三月二十日、まさにこの国会議事堂のおひざ元、営団地下鉄霞ヶ関駅などでのサリン散布による事件は、世間を震撼せしめました。これらは、我が国だけでなく、世界にも例を見ない前代未聞の無差別大量殺傷事件で、思い出すだけでもおぞましいものであります。  しかし、これは過去の事件ではなく、現在も継続しておるのです。すなわち、多くの犠牲者の方々やその家族の方々が、今なお心身ともに深刻な後遺症に悩まされており、一方、その首謀者松本智津夫らの裁判は、遅々として進んでおりません。  また、被害者の方々への損害賠償は、極めて不十分であるのです。  私どもは、昨年四月、オウム真理教に係る破産手続における国の債権に関する特例に関する法律を超党派で成立させました。これは、オウム真理教への破産債権として国が届け出た、労働者災害補償保険法などに基づいて国が有する債権を、犠牲者の債権に劣後させるというものであります。これによって約一億二千万円の破産債権が確保され、一定の評価を得たものの、被害者の債権額約三十八億円を満たすにはいかにも不十分であり、その後の対策が今でもとられておりません。  さらに問題なのは、宗教法人オウム真理教は解散命令を受け、法人としては破産宣告を受けるに至っておりますが、その教団の主たる構成員らが、過去を反省することもなく、依然として同一の教義に基づく宗教活動を行っていることです。しかも、その実態は、事件前と同じように、修行と称して信者を監禁し、いわゆるマインドコントロールをするなどを繰り返しながら、露骨に勢力の拡大を図っております。  そればかりか、かの上祐、すなわち、ああ言えば上祐、こう言えば上祐と言われたオウム真理教の大幹部上祐史浩が、この十二月には出獄し、再び活動を始めようとしております。  このように、十年前から始まったオウム教団の関連の事件が今なお一向に解決していないばかりか、新たな進展すら予想させる姿を見て、世間は一層の不安と恐れを募らせているのです。  また、一般的な不安や恐れではなくて、全国各地では、オウム教団の活動拠点での住民登録と子弟の就学拒否、転入の実力阻止、あるいは信徒の監禁などをめぐり、現実のトラブルも絶えず起こっており、地域住民の不安を一層高めているのも現実であります。  しかしながら、これらの諸問題に対し、政府対応はいかにも鈍い。私は、一日も早い対応策が必要であるとの立場に立ちます。  問題は、いつまた同じことを起こすかもしれないという一触即発の雰囲気の中でのオウム教団に対する対応であります。  しかしながら、今回の政府提出のこの法案には幾つかの問題があります。すなわち、この法案がその第二条、第三条でみずから規定しているように、この法律国民の基本的人権に重大な関係を有するもので、必要最小限度において適用すべきで、いやしくも拡張して解釈してはならない、あるいは、規制及び規制のための調査は必要最小限度において行うべきで、いやしくも権限を逸脱して、思想、信条、集会、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利、その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限することがあってはならないなど規定をしております。  この条文は、まさにこの法案の性格をそのままあらわしているものであります。  この法案が直接関係する国民の基本的権利にかかわる憲法条文を検討してみますと、既に法案にあらわれている五つの基本的人権に加えて、二十九条、十四条、二十二条、二十六条、三十一条、三十二条、三十五条など、憲法に定めるほとんどの基本的人権が直接問題になり、現実に制約されることになる極めて重大な法案であります。  これら国民の基本的人権が制約され得る法理として、一般に公共の福祉による制約があることは学説、判例も認めるところでありますが、この法案による制約は、一般法としては、公共の福祉という法理では到底認めることのできない、その限界を超えていると言わざるを得ないのであります。もし、一般国民が公共の福祉の名のもとにこれほどの基本的人権の制約を受けるのであれば、憲法はないに等しいと言わざるを得ません。  したがって、法律の運用に慎重であることは言うまでもありませんけれども、罪刑法定主義や法の正当手続などの観点から慎重に吟味しなければならないのであります。  そこで、以下の点について法務大臣質問します。  第一に、この法案はオウム教団のみが対象とされており、そうであれば、一般法ではなくオウム教団に限定した特別立法とする措置が必要ではないでしょうか。そうすることによって、多くの国民が、いつこの一般法によって自分たち社会的活動が対象とされ、制約が加わってくるかわからない不安から解消されるということができます。そのためにも、オウム教団を把握できる範囲で、過去及び未来についての限定立法にすべきであります。  すなわち、オウム教団の犯罪行為が開始された現在よりもさかのぼること十年前からの団体のみを規制対象とすることにより、過去、無制限にさかのぼらせることを制限し、いたずらな不安感を解消できます。  さらに、施行後五年程度で終結する時限立法とすることにより、オウム教団問題解消後も法律だけが生き残り、ひとり歩きする危険性を排除することができるのです。それだけでなく、オウム問題を五年以内に解決するという決意を内外に表明するという意味もあります。大臣、いかがでしょうか。  第二に、この法案が国民の基本的人権に直接影響を持つ法律であるがゆえに、乱用に対し厳格な目を有する司法機関に、要所要所の判断を任せる必要があります。  この法案は、観察処分を受けた団体に対する立入検査を規定し、また再発防止処分として、対象団体の不動産の使用を禁止するなどの処分を規定しているのですが、このような権利を制限する処分には、公安審査委員会ではなく裁判所の判断を介在させ、法の厳格適用、人権の保障に配慮した措置をとるべきだと思いますが、いかがでしょうか。  第三に、公安調査庁と公安審査委員会による団体規制の仕組みは、平成九年のオウム真理教に対する破防法による規制請求において十分に機能しませんでした。にもかかわらず、この法律においてもこれら二つの組織に規制中心的役割を与える理由は一体何なんでしょうか。また、これらの組織によって、実際にオウム教団に対する実効性のある規制ができるのでしょうか。法務大臣見解を伺うものであります。  第四に、この法案の第五条第一項第五号は、観察処分の要件の一つとして、「前各号に掲げるもののほか、当該団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性があると認めるに足りる事情があること。」と規定し、さらに第八条第一項第八号は、再発防止処分の要件の一つとして、「前各号に掲げるもののほか、当該団体の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の増大を防止する必要があるとき。」と規定しておりますけれども、このようにあいまいな要件は、関係当局の恣意による拡大解釈のおそれがあるのではないか、この点について法務大臣見解を伺います。  第五に、再発防止処分を試みても、なお団体としての活動を行っている場合、団体に対する解散権を行使することも考えなければ法の目的は貫徹されないと考えますが、この点についてはどのように考えるのでしょうか。  最後に、法三十三条に不服申し立ての制限の規定があります。すなわち、行政不服審査法に基づく申し立てができないようになっておる。一方、団体に関しては、この三十四条で取り消し訴訟を求めることができることになっております。そうなりますと、観察処分や再発防止処分によってプライバシーを侵害された善意の信者や、あるいは土地取引を禁止されるなどして取引の安全を具体的に制限された個人が、その行政処分に対し不服申し立てをする道は閉ざされていることになります。この点について、個人の不服申し立てについてはどのようにすればよいのか、その点について法務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。  以上六点、この法案に対しての疑問を呈し、迅速性、実効性そして限定性を明確にした法律として成立させることを願い、民主党を代表しての私の質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣臼井日出男君登壇
  34. 臼井日出男

    国務大臣(臼井日出男君) 北村議員にお答えを申し上げます。  最初に、本法案の適用を過去十年間に無差別大量殺人が行われた場合に限定すべきではないかというお尋ねがございました。  御指摘のように、規制対象となる団体の範囲をより明確に絞るというのも一つのお考えだと思いますが、過去に無差別大量殺人を行った団体が、なお危険な要素というものを保持して社会に不安を与えているという場合であるのに、しかしながら一定の期間が経過したことのみをもって何ら規制ができないとすることは、公共の安全の確保の観点から相当ではないと考えております。  次に、本法案を時限立法とすべきではないかというお尋ねがございました。  政府といたしましては、現時点で、今後いつの時点でもって新法に基づく規制措置が不要になるのかということを見通すことは困難でございまして、これを時限立法として行う考えは持っておりません。  しかしながら、本法案が特別な事情に対するものであるということを考えますと、今後十分に御論議をいただきたい、こう思う次第であります。  次に、権利を制限する処分には裁判所の判断を介在させるべきではないかというお尋ねがございました。  無差別大量殺人行為を行った団体に対する観察及び再発防止のこの二つの処分は、公共の安全の確保に寄与するという目的において行われます行政処分でございます。したがいまして、行政庁がその責任において判断すべきものでございますので、それ自体に裁判所の判断を介在させるということは適当でない、このように考えております。  しかしながら、これらの処分の判断の中立性、公平性を確保するために、本法案におきましては、公安調査庁が処分を請求する、それとは別個の、独立して権限を行使することが保障されております公安審査委員会がその判断をするという仕組みをとっているのでございます。  次に、公安調査庁と公安審査委員会に規制中心的役割を与えた理由及びこれらの組織によって実効性のある規制ができるかというお尋ねでございました。  本法案は、現行の法体系上唯一の団体規制法である破防法と同じように、公安調査庁長官が調査及び処分の請求を行います。独立して職権を行使することが保障されている公安審査委員会が処分を行うという仕組みを持っております。処分の中立性、公平性を確保できるよう慎重を期しているものであります。  次に、本法案においては、観察処分及び再発防止処分の要件につき、破防法上の解散指定処分のように、「将来」「明らかなおそれ」とするのではなく、対象団体がその属性として危険な要素を保持していることを示す事由として、その判断は定型的になされ得るようにいたしております。  また、公安審査委員会は、規制請求による官報公示があった日から三十日以内に決定をするように努めなければならないといたして、これらについても配慮をいたしております。  また一方、規制の実効性を確保するためには、警察当局の有する組織力、情報力を効果的に活用する仕組みとするなどの配慮をいたしております。  以上のような法制上の配意に加えまして、公安調査庁及び公安審査委員会は、全力で新法の適正かつ迅速な施行に努めることは申すまでもございません。本法が成立をいたした暁には、実効性ある規制ができるものと確信をいたしております。  次に、団体規制処分のそれぞれの要件に関してお尋ねがございました。  御指摘の本法第五条第一項は、観察処分の要件について述べております。これは、団体がその属性として危険な要素を保持していると認められる場合について規定をしております。  このような場合のうち、第一号から第四号までは典型的なものを例示したものでございます。一方、第五号は、これらと同種あるいは類似のものを意味しているのでございます。  また、御指摘の第八条第一項は、再発防止処分の要件について定めているものでございますが、これは、その属性として危険な要素を保持している団体について、このような危険な要素が量的、質的に増大しており、あるいはこれを増大させようとしていると認められる場合について規定をいたしておるわけであります。このような場合のうち、一号から七号につきましては典型的なものを例示いたしておりまして、第八号がこれらと同種あるいは類似のものを意味している、このようになっております。  したがいまして、いずれの要件も明確でございまして、拡大解釈されるおそれはないものと考えております。  団体に対する解散権についてお尋ねがございました。  本法案は、無差別大量殺人行為の特性にかんがみまして、過去に無差別大量殺人行為を行い、現在も危険な要素を保持していると認められた団体に絞って、これにつき、迅速かつ適切に対処するための観察処分や再発防止処分を設けるものでございまして、現在のオウム真理教の活動の状況考えますと、これをもって有効適切な対応ができるものと考えております。  なお、破防法には解散指定処分が設けられておりまして、対象団体がその要件に当たる場合には、解散指定処分をそれをもって行うことができますので、本法案には独自に解散指定処分に関する規定を設けなかったものでございます。  最後に、三十三条につきまして、個人の不服申し立てができないではないかという御質問がございました。  御承知のとおり、今回、迅速性というものをたっとぶがゆえに、あえて再審というものはございませんが、申立人から意見を聴取するということが規定にございます。しかも、その際には相手側に対して質問権を有する、こういうふうに規定がされておりまして、その権利というものは十分反映をすることができると私どもは理解をいたしております。  以上でございます。(拍手)     —————————————
  35. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 東中光雄君。     〔東中光雄君登壇
  36. 東中光雄

    ○東中光雄君 私は、日本共産党を代表して、いわゆるオウム規制法案について質問をいたします。  松本サリン事件以来、サリン等による不特定多数人の無差別殺傷を行い、社会に重大な不安を抱かせたオウム真理教は、今なおこれらの凶悪犯罪を認めず、謝罪も反省も行わないまま、再び教団としての活動を一層活発化させ、全国各地に進出して、地域住民の不安は大きく高まっているのであります。  全国知事、市長、町村会は、連名で、オウム真理教の活動実態を的確に把握し、問題発生の防止や活動規制等の立法措置を求めております。  我が党は、オウムの犯罪再発を防止するため、現行法の厳正な適用とともに、オウム教団規制のための立法措置は必要であると考えています。  問題は、いかなる立法を行うべきかということであります。  第一に、オウム規制法は、当然のことながら、その規制対象団体はオウム集団でなければなりません。オウム教団が、過去にサリンなどを発散させて無差別大量殺人行為を行った団体である、このことは明白であります。したがって、規制対象団体は、サリン等を発散させ、無差別大量殺人行為を行った団体と規定し、厳格にオウム集団に絞るべきであります。  ところが、政府案は、オウムに対象を絞ったといい、法律名は、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案としていますが、法案の第四条は、無差別大量殺人行為とは、破防法第四条第一項二号ヘに掲げる暴力主義的破壊活動であると定義をしています。政府案は、表向きは無差別大量殺人行為を行ったオウム規制を印象づけながら、実際はオウムを破防法適用団体として、その規制を、破防法の規制強化しようとするものであります。  破防法の「暴力主義的破壊活動を行つた団体」とは、政治上の主義、施策の推進等を目的とした団体の活動を規制するものであります。その要件が、恣意的かつ極めて厳格を欠くため、思想、信条、集会、結社、表現の自由等の基本的人権を侵害する違憲立法との厳しい批判を浴びてきたものであります。その破防法を、なぜオウムに適用するのですか。答弁を求めます。  しかも、破防法と公安調査庁は、これまでオウム犯罪に対して何一つ有効な手だてをとることができなかったのであります。それは、破防法に基づくオウムへの規制処分請求が公安審査会において棄却されたこと一つをとってみても明らかであります。  にもかかわらず、本法案は、オウム規制を口実にして現行破防法の手続を簡略化し、厳格さを欠く要件により、団体規制強化しようとするのであります。これは、まさに破防法の拡大であり、第二破防法の制定ではありませんか。  政府があくまでも破防法に固執するのは、結局、破防法と公安調査庁の組織の延命と権限拡大が先にあるからではありませんか。確たる答弁を求めます。  次に、国家公安委員会、警察の対応について質問します。  オウム問題の中心は、サリンによる無差別大量殺人という凶悪犯罪を行ったオウム集団の犯罪の再発を防止し、住民生活の安全と平穏を確保することであります。これは、「個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧」を責務とする警察の任務そのものなんであります。  ところが、オウム集団の犯罪に対する警察の対応は、極めて不十分であります。  私は、九五年五月のこの本会議場でオウムについて質問をし、警察は、坂本弁護士一家拉致事件について、長期にわたって失踪事件として扱っておりました、松本サリン事件の直後に上九一色村のオウム施設周辺で発生した異臭事件でサリン残渣物の存在を警察は鑑定しておきながら、オウムに対する強制捜査を行わず、ついに地下鉄サリン事件を許す結果に至ったのであります。だから、そのことを挙げて、警察当局の責任を厳しく追及したのであります。  このときの国会で、オウムの犯罪対策として国家公安委員会が立案したサリン等による人身被害防止法を全会一致で成立をさせました。そして、サリンの製造、輸入、所持、発散、さらにはその予備、予備行為をも厳罰にすることとしたのであります。今、再びオウム集団の活動が活発化し、犯罪の再発防止住民生活の安全が問題になっているときに、このサリン人身被害防止法を強化改正することによってオウム集団の凶悪犯罪防止の対策を講ずべきであります。  暴力団の行う暴力的要求行為等から市民生活の安全と平穏を確保するために、いわゆる暴力団対策法が九一年、全会一致で制定されました。史上かつてない凶悪犯罪を繰り返し実行したオウム集団は、いわば極悪暴力集団ともいうべきものであります。このオウム集団の犯罪を予防しその構成員の不当行為を防止するために、暴対法に準じた枠組みをつくるべきであります。これが最も現実的かつ道理のあるオウム規制立法の方向だと考えますが、政府見解を求めるものであります。  以上、質問を終わります。(拍手)     〔国務大臣臼井日出男君登壇
  37. 臼井日出男

    国務大臣(臼井日出男君) 東中議員にお答えを申し上げます。  最初に、本法案の規制対象をサリン等を散布させて無差別大量殺人行為を行った団体に限定すべきではないかというお尋ねでございました。  無差別大量殺人行為というものは、不特定かつ多数の人の身体生命に極めて甚大な被害をもたらすものであります。またさらに、事前にその発生を防止することが極めて困難でございます。反復して行われる危険性も高いというまた特性も持っております。  過去に無差別大量殺人行為を行い、現在も危険な要素を保持している団体については、過去の無差別大量殺人行為がどのような手段によって行われたにせよ、迅速かつ適切に対処する必要がありますので、お尋ねのようにその手段等をサリン等の発散に限るのは相当でない、このように考えております。  次に、本法案が破防法適用団体への規制強化ではないかというお尋ねでございました。  本法案は、無差別大量殺人行為が暴力主義的破壊活動のうちでも最も甚大な被害をもたらす危険な行為であることにかんがみまして、オウム真理教の現状を念頭に置いて、当面の緊急の措置として、破防法による規制とは異なる新たな団体規制制度を設けようとするものでございまして、破防法の適用団体への規制強化につながるものとは考えておりません。  最後に、本法案による処分は破防法拡大であり、破防法と公安調査庁の組織の延命と権限拡大が先にあるのではないか、そういうお尋ねであったと思います。  オウム真理教の現況を見ますと、過去みずからが引き起こしました無差別大量殺人行為について何ら反省、謝意の意を表明せず、危険な要素を保持したまま各地に現在進出しておりまして、国民に大きな不安を与えており、規制を今必要としているわけでございます。  しかし、他方、本法案に対する観察及び再発防止処分というものは、結社の自由に対する規制となり得るものでございます。その適用は慎重かつ適正になされるべきものである、こう考えます。  そこで、本法案では、現行法体系上唯一の団体規制法である破防法と同じように、公安調査庁長官が処分の請求を行い、独立して職権を行使することが保障されている公安審査委員会が処分を行う、そういうことにいたしまして、そのことによって処分の中立性、公平性を確保する一方、より実効性ある規制を行うために、警察当局の有する組織力、情報力を効果的に活用できる仕組みというものを考えているわけでございます。  このことをもって破防法と公安調査庁の延命や権限拡大を意図したものであるというふうに御指摘をいただくのは、まことに私は心外でございます。(拍手)     〔国務大臣保利耕輔君登壇
  38. 保利耕輔

    国務大臣(保利耕輔君) 東中議員にお答えを申し上げます。  本法案は、団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体を対象に観察処分及び再発防止処分という団体規制措置を定めた団体規制法であり、公安審査委員会及び公安調査庁による現行の団体規制の仕組みを生かすことが基本であると考えております。  本法案は、規制措置を実効あらしめるため、公安調査庁の権限のほか、警察の有する情報力、組織力の活用を図るために必要な措置を講じており、現行の団体規制の仕組みを生かしつつ、無差別大量殺人が再発しないよう最大限の効果を上げようとするものでございます。  御指摘の、サリン等による人身被害の防止に関する法律や暴力団対策法は、本法案とは目的や対象を異にしていることから、本法案とは規制の枠組みもおのずから異なるものと承知をいたしております。  本法案が成立した場合、その運用を厳正なる手続を踏みつつ適正に行うことにより、大量無差別殺人行為の未然防止に効果を上げるものと考えております。  以上でございます。(拍手
  39. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  40. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時十分散会      ————◇—————  出席国務大臣         法務大臣    臼井日出男君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         文部大臣    中曽根弘文君         通商産業大臣  深谷 隆司君         国務大臣    堺屋 太一君         国務大臣    保利 耕輔君  出席政務次官         法務政務次官  山本 有二君         通商産業政務次官  細田 博之君         通商産業政務次官  茂木 敏充君