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1999-11-02 第146回国会 衆議院 本会議 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月二日(火曜日)     —————————————  議事日程 第二号   平成十一年十一月二日     午後一時開議  一 国務大臣演説に対する質疑     ————————————— ○本日の会議に付した案件  国務大臣演説に対する質疑     午後一時三分開議
  2. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  国務大臣演説に対する質疑
  3. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 国務大臣演説に対する質疑に入ります。鳩山由紀夫君。     〔鳩山由紀夫登壇
  4. 鳩山由紀夫

    鳩山由紀夫君 私は、民主党代表し、総理所信表明、とりわけ数合わせの自自公連立政権についてただすとともに、民主党理念政策について、私の見解を表明いたします。  さて、私は、さき民主党代表選挙を通じて、総保守ニューリベラルという新しい対抗軸を主張してまいりました。ところが、自自公迷走ぶりを拝見しておりますと、とても総保守とさえ呼べるまとまりはなく、その実態は、党利党略利権擁護に奔走し、改革を先送りする権益保守としか言いようのないものであります。まことに残念のきわみであります。これに対して、私どもニューリベラルの道を着実に求めてまいります。  ニューリベラルは、結果の平等ではなく機会の平等を保障し、自立した個人が公正透明な市場競争を行う社会、すなわち、頑張る人が報われる社会の創造を目指します。日本社会は、今、二十一世紀の新しい時代に向け、個人の自立を基礎にした、より自由で民主的な社会へと本格的に移行していかなくてはならない大切なときを迎えています。このようなときに、自己を律する倫理観をしっかりと身につけたたくましい個人を育てていく、そんな社会の姿、国の形を目指していくニューリベラルの考え方こそが求められているのです。  すなわち、自己規律自己責任基本となる新しい社会を創造することです。そのためには、このモラルなき社会の警鐘を正面から受けとめ、政治みずから襟を正して挑戦していく気概が今最も必要とされているのです。(拍手)  しかるに、昨今の政治には倫理の片りんすら見えず、巨大なモラルハザードをつくり出している様相すら見えます。それどころか、最低限倫理である法を守り抜くという精神すら喪失して見えるのは私一人だけでありましょうか。  例えば、政教一致政党政治家政権に参加するのは憲法第二十条に照らして疑義があると声高に主張していた自民党が、もみ手をしながら公明党政権に招き入れたこのたびの自自公連立政権づくり法律で定めながら、これをなきものにしようとする企業団体献金禁止問題など、政治の無節操さは、国民をして、何でもありでいいじゃないか、モラルハザードも大いに結構、そんな気持ちにさせてしまうじゃありませんか。  ところで、河野外務大臣は、ある宗教団体などが集う会合で、宗教団体と極めて密接な関係を持つ政党がこの政権の中枢に座り、政治上の権力の行使とか言われかねないよう状況、あるいは国から特権を受けているのではないかと言われかねないよう状況が我々の目の前にあると危惧を表明されています。  そこで、河野外務大臣お尋ねしたい。自自公連立政権は、まさにそれが現実となったものでありますが、改めてみずからの御発言について御説明を願います。また、小渕総理には、河野外務大臣のこのよう発言をどう受けとめておられるのか、お尋ねを申し上げます。  小渕総理、あなたは先日の所信表明演説で、みずから手がけた自自公連立内閣こそ現下の最善の道と豪語されました。しかし、その自自公連立政権国民にお披露目したものは何だったでしょうか。  第一は、国民への約束をほごにする、いわゆる企業団体献金存続であり、第二は、西村前防衛政務次官モラル以前の暴言であり、第三は、リクルート収賄事件に関する藤波議員に対する有罪判決議員辞職についての無責任態度です。また、相次ぐ防衛庁不正事件は驚くばかりであり、政府対応のいいかげんさが如実に示された典型例であります。一連事件不祥事に際して、自自公連立政権がとる態度はすべて党利党略であり、国民に対する誠意はみじんも見られないじゃありませんか。  わけても、政府基本方針に反し、国際社会の不信を増幅させた核武装論の示唆はもとより、女性を強姦するなどの発言を平然と使い、今日の男女共同参画時代にふさわしい品位や倫理観を持ち合わせていない人を、一体だれが推奨し、総理自身、いかなる基準と判断に基づいて指名されたのか。国民は、そのセンスそのものを疑っているのであります。  また、さきリクルート収賄事件判決に関して、法をつくる立法府の人間として、最低限倫理たる法を犯したことに対する判決が示されたその時点で、みずから国会議員を辞任すべき藤波氏御本人はもとより、自民党、自由党の責任者は、この問題について毅然たる姿勢を示さず、沈黙を決め込み、逃げの姿勢で押し通そうとしているじゃありませんか。一体全体どうして政治に対する信頼を取り戻すことができるのでありましょうか。(拍手)  自自公幹部が、全国の自治体が介護保険制度スタート地点に立っているときに、突然ルールの変更を叫び出しました。この理不尽なやり方に国民怒り心頭であります。  衆議院定数削減問題は、立法府での協議の積み重ねを全く無視するものであります。さき通常国会で五十人削減提案を行い、与野党協議の場で協議を続けておきながら、突如として、とりあえず二十人削減を自自公合意しました。国民は何を信頼してよいのか困惑するばかりであります。  私のある友人は、小渕総理について、テレビを見ていると何となく憎めない風貌だけど、まるで一日総理を毎日やっているような方だと語っていました。まさにそのとおりじゃないでしょうか。あなたには、国民が本当に期待している問題の解決に対する真剣さが欠けているのではないでしょうか。それは建設的な楽観主義などというものでは決してなく、その場しのぎの無責任楽天主義と呼ぶべきものであります。  私は、特に企業団体献金禁止問題に対する自自公姿勢をただしたいと思います。  そもそも企業団体献金禁止は、平成六年の一月に、リクルート事件佐川急便事件をきっかけとした、当時の細川総理河野自民党総裁との合意に基づくものであります。それは、政治家資金管理団体への企業団体献金を五年間の猶予つき禁止したものであります。  しかるに、自民党は、この国民への約束をほごにし、個人献金が集まらないことを理由に、企業団体献金の継続を決め込んだのであります。その裏には派閥を維持せんがための魂胆が透けて見えるじゃありませんか。これはまさに暴挙であり、国民に対する開き直りと言うほかありません。  民主党は既にさき通常国会で、企業団体献金禁止のための政治資金規正法改正案提出をしております。自自公の良識ある議員方々にもぜひ御協力をいただいて、国民への約束を果たしていきたいと考えています。  そこで、再び河野外務大臣お尋ねを申し上げます。  あなたは五年前の合意内容をお忘れになったのでしょうか。あるいは変節をされたのでしょうか。一体国民への約束をどう果たすべきと考えておられるのか、明快な御答弁をお願いします。  また、続総務庁長官にもお聞きします。  公明党神崎代表は、藤波議員に対する判決が出たときにも改めて企業団体献金の廃止を主張しています。同代表は、ことし一月の本会議で、自民党政党交付金総額削減と、事もあろうに企業団体献金存続を決めたとのことであるが、これは全く本筋、論理のすりかえではないかと政府を厳しく批判しておられます。自民党の決定を認められるのか、それともいかなる態度をとられるおつもりか、お答えを願います。  さらに、国会議員地位利用収賄罪処罰法については公明党も参議院で共同提案していますが、今後とも法案成立に努力をするお覚悟をお持ちでしょうか、続総務庁長官お尋ねをしたい。  あわせて、公明党がその早期実現を目指している永住外国人地方参政権を認める法案について、我が党も既に共同提案をしていますが、自民党消極姿勢をとり続けています。この点についての続総務庁長官の御見解お尋ねします。  小渕総理、あなたは今大変な選択を迫られているのです。企業団体献金問題の重大さを十分に認識され、責任ある決断を下すときと考えますが、いかがでしょうか。簡潔にお答えを願います。(拍手)  介護保険問題について伺わないわけにはまいりません。  今国会召集直前、自自公は、どたばた劇の末、おおむね半年間は保険料徴収を行わない、家族介護に対する支援策介護保険制度とは別枠で慰労金を支給するなどを合意したようです。  制度実施まであとわずか五カ月というこの時期に制度の根幹を大きく変えるような見直しを行う、これは明らかな選挙対策じゃありませんか。総選挙が終わるまで保険料徴収を行わない、その間の財源国民の借金である赤字国債に頼り、負担をツケ回せばいい、そういった無責任姿勢に対し、自民党内からも倒閣を求めるなど強い批判が噴出しているじゃありませんか。これは、国民を愚弄する暴挙にほかなりません。  家族介護に対する慰労金についても同様です。いわゆる現金給付については、さまざまな議論の末、家族の中の女性に偏り過ぎている介護社会全体で負担するため給付は行わないと決めたのです。仮に現金給付を行うというのであれば、それは制度本質に大きくかかわる問題です。にもかかわらず、介護保険法を改正せず、制度の枠外で現金を支給するというのは、介護保険制度の目的も理念もすべて吹っ飛んだ、何でもありのばらまき福祉であり、まさに福祉版地域振興券にほかなりません。  また、報道によると、その半年間に自自公は、介護制度財源保険とするか税とするかの協議を行うとも伝えられています。  そこで、まず丹羽厚生大臣に伺います。  そもそも、保険方式とすることの意義、メリットとは一体何なのでしょうか。そして、保険料徴収を行わないまま税方式へ変更する可能性はあるのでしょうか。明快な御答弁を求めます。  けさのある新聞にこのような川柳が載っていました。「選挙前あげます下げます取りません」。残念ながら、これが今の自民党介護保険に対する態度じゃありませんか。  私ども民主党は、予定どおり来年四月から介護保険制度実施すべきであると考えますが、小渕総理の御見解お尋ねいたします。(拍手)  次に、財政及び金融についてお尋ねをします。  現在、国と地方長期債務残高は、六百兆円という天文学的な金額に達しようとしております。我が国の財政は既に破綻をしています。財政規律を失った国がどのような運命をたどるかを想像いたしますと、極めて背筋の寒い思いをいたします。  私は、構造改革なき単なる一時しのぎの財政出動は、もはややめるべきだと考えます。後は野となれ山となれ、そんな公共事業ばらまきは、小渕総理が言うよう景気の腰折れを防ぐどころか、日本経済の背骨を真っ二つにへし折りかねないものであります。  小渕総理は、財政構造改革について、経済が本格的な回復軌道に乗った段階でそのあるべき姿を示すと言われました。しかし、財政健全化は焦眉の課題です。総理は、財政健全化について何もビジョンをお持ちでないのか、それとも、景気が上向いた後は大増税を実施するので今はだんまりを決め込んでおられるのか、明快にお答えください。(拍手)  また、八月までの税収は、前年同期比で一四%も減少しています。税収は第一次補正後の見込み額四十七兆円を確保することができるのか、税収不足発生した場合は、だれが責任をとり、どのように補てんをされるのか、総理お尋ねをいたします。  特別公的管理銀行となった長銀は、米国の投資会社に譲渡される見込みですが、投入される公的資金は四兆円を超えるとも言われています。巨額の税金が投入される銀行を、巷間言われるようにわずか十億円で売却をしてしまうのは、国民感情として納得しかねるものであります。小渕総理、あなたは昨年、長銀債務超過でないとして、住友信託銀行に救済を強要したことをよもやお忘れではないと思いますが、このよう巨額のコストを国民に押しつけた責任をどう感じておられるか、お尋ねをします。  自自公合意に「国債の円滑な消化を図るため、国債多様化協議する。」という項目が盛り込まれました。バブル期高金利郵便貯金が少なくとも四十九兆円も流出する、いわゆる郵貯の二〇〇〇年問題が指摘されています。そのよう状況を考えると、この合意は、自自公日銀に対し、強引かつ無法にも、国債引き受けを押しつけようとするものではないのでしょうか。小渕総理お尋ねしますが、まかり間違っても日銀に対し国債引き受けを要求することはないと考えてよいのか、これも明確にお答えを願います。  政府は、ことしに入ってから経済成長はプラスに転じたと発表しました。しかし、各種の指標を見る限り、にわかには信じられない数字であり、多くのエコノミストも、大本営発表ではありませんが、まさに粉飾決算もどきだと指摘しています。何よりも、国民の皆さんの生活実感はさらに悪化しているじゃありませんか。事実、経済企画庁が発表している実質賃金マイナス続きではありませんか。  当初予算執行からわずか三カ月で第一次補正予算提出され、さらに今般、事業規模で十兆円を超える第二次補正予算提出を余儀なくされていることが、その事実をまことに証明しています。当初予算欠陥予算であったことについて、小渕総理はどのよう責任を感じておられるのか、お答えを願います。  小渕総理所信表明では、経済新生とか構造改革とかいう聞こえのよい言葉は並べられています。しかし、大半が旧来型の公共事業ばらまきであり、まさに羊頭狗肉とも言うべきものです。私は、日本経済は、もっとよくなっていいはずだ、いや、もっとよくなれると考えています。そのかぎとなるのは、経済生産性を飛躍的に高める高度情報化戦略、すなわちIT革命日本経済を担う中小企業起業家を元気にする税制改革、そして経済に活力を与える規制改革であり、ここにこそ集中的に資源を投入すべきです。  自民党政治本質は、政官業の甘えた構造の上に立った相変わらずの利益誘導政治です。日本経済再生のためには、まずその構造を打破しなければなりません。自民党には改革する意思も力もないことは明らかであり、それでは経済再生は不可能であると断言をしておきます。(拍手)  次に、中小企業政策についてお尋ねをします。  まず初めに、過剰融資高金利、苛烈な取り立て等中小企業を苦しめている商工ローンが今大きな社会問題となりつつあります。さき大蔵委員会でも、我が党の上田議員がその実態を明らかにしました。この問題は、法律欠陥行政の不手際によって引き起こされたものであります。民主党は、既にことしの六月、貸出金利の引き下げを図るための法改正提案していますが、一刻も早く改正案成立させるべきであります。商工ローン問題に対する小渕総理取り組み方針についてお尋ねをいたします。  さて、民主党は、さき通常国会起業家支援法案提出しました。しかし、今回政府が打ち出した施策は、我々の提起したベンチャー支援の目玉であるエンゼル税制などをことごとく無視したものであります。それに取り組まずして中小企業国会などと銘打つ政府姿勢は、まやかし以外の何物でもないじゃありませんか。  また、今年度末に期限が到来する中小企業の借り入れの保証金融安定化特別保証枠を、何ら検証も行わないまま、どんぶり勘定さながらに十兆円も追加しようとしています。通産省は当初、追加に必要な額を二兆円程度と見込み、良識ある幹部は、本来消えていかなければならない企業まで温存しているとの発言までしたと伺っています。構造改革に逆行する可能性がある、こうした声に対して、小渕総理はいかなる見解をお持ちなのか、お尋ねをします。  次に、雇用失業問題についてお尋ねをします。  先ごろ、ある大手自動車メーカーが、複数の工場閉鎖を含む大規模リストラ計画を発表しました。閉鎖対象となった工場のある地域では、今、皆不安におののいています。  このことは、雇用の受け皿を用意しないまま、さき通常国会リストラ支援産業再生法を制定した結果ではないでしょうか。このよう事態が起きることは十分に予測できたはずです。この責任をどうおとりになるおつもりか、小渕総理お尋ねをしたい。  今求められていることは、雇用創出のための新規産業の育成であり、起業家支援であります。福祉教育、環境などの新産業分野で百万人の雇用が創出できると言われています。そして、切り札は、労働力需給ミスマッチを解消するための職業訓練や再教育拡充強化、そしてその民間への開放であると私は考えます。  総理諮問機関である経済戦略会議も、能力開発バウチャー制度を提言しています。政府として今後の厳しい雇用情勢にどう対処されるおつもりか、総理お尋ねをします。(拍手)  次に、東海村で起きた臨界事故の問題についてお尋ねをします。  まず、今回の事故により被曝をされた方々並びに地元住民の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。また、事故直後、パニックを起こさずに沈着冷静に行動された地元住民方々には、心より敬意と感謝の意を表したいと思います。  地元住民の適切な行動に比べ、今回の政府対応は余りにもお粗末でした。科学技術庁事故対策本部ができたのは事故発生から四時間後、小渕総理本部長とする政府対策本部が設置されたのは、何と十時間以上もたってからであります。この間、総理は、事故とその被害の大きさをろくに確認もされないまま、国民の安全よりも自自公政権樹立のための内閣改造を優先させていたのです。一体どこに国民生活を最優先する危機管理の思想があると言えるのでしょうか。小渕総理の御反省の弁を求めます。  科学技術庁定期検査すら十分行わずに、企業のずさんな管理を放置していたことが明らかとなっています。政府管理監督責任を厳しく問われなければならないものです。  あわせて、今回の事故で三人の作業員が大変な危険に遭遇しました。後遺症など取り返しのつかない結果にならないか、国民は大いに心配をしています。また、国際世論も厳しい監視の目を向けています。政府責任は極めて重大です。総理は、どのようにこれを受けとめ、いかなる責任をとろうとしておられるのか、お尋ねをします。  臨界事故発生は、安全に関するチェック機構であるはずの原子力安全委員会が全く機能していなかったことを明らかにしました。そこで、私は、この際、原子力安全委員会内閣府へ移管するという方針を見直し、アメリカの原子力規制委員会、NRCのような強い権限を持った完全な独立な機関を設置すべきだと考えますが、総理の御見解をお聞きします。  いわゆるコンピューター二〇〇〇年問題は、どんな事態発生するか予測できないものです。しかし、政府はこれまで、安心、安全ということしか言わず、パニックを回避するという理由情報の開示を怠ってまいりました。  すべてを予測することは不可能だからこそ、最悪の事態を想定して対策を講じる、それが危機管理というものなんです。私ども民主党は、国民一人一人がみずから危機管理を行うべきだという考えに立ち、ビデオとパンフレットを作成し、国民に呼びかけています。不測の事態は生じないと断言できるのか、総理お尋ねをしたい。  オウム真理教地下鉄サリン事件反省は、破防法と公安当局が無力であった点にあります。にもかかわらず、政府法案では、無用の長物として行政改革対象とされてきた公安調査庁がその中心的役割を果たすことになっています。  むしろ公安調査庁は廃止し、オウムについては国家公安委員会に一元化した体制で対処すべきと考えます。また、組織的犯罪については、刑法とは別の法体系を整備する必要があると考えますが、小渕総理の御所見お尋ねをします。  小渕総理は、さき通常国会で、十分な国会審議を欠いたまま、数々の国家主義的な法案強行成立をさせました。ところが、その結果はどうでありましょうか。  いわゆる盗聴法成立の直後には、神奈川県警暴力団まがい不祥事とその閉鎖的体質が明らかになったではありませんか。ガイドラインを成立させた直後には、防衛庁の相次ぐ不祥事が発覚したではありませんか。そして、国民の声を無視して強引に成立をさせた住民基本台帳改正法案の後には、公安調査庁個人情報流出発生したではありませんか。  一連のこのような問題に共通しているのは何でありましょうか。それは、小渕総理、国を預かる内閣総理大臣として、不条理を未然に防ぐ意識と、不条理を認識する真剣さと、不条理に立ち向かうリーダーシップの欠落であります。国民は、今、経済再生のみならず、社会再生をなし遂げる力強いリーダーシップと真摯な責任意識の確立を求めているのです。こうしたときに、モラルハザード内閣がこれ以上続くことは、まさに国民の不幸であると断ぜざるを得ません。(拍手)  自自公連立政権は、もともと、国民審判を受けず、単なる数合わせの野合によって生まれたものにすぎません。そのよう正統性を欠いた政権権力をほしいままにする姿は、まことに異様としか言いようのないものであります。一日も早く解散・総選挙を行い、国民の公正な審判を受けるべきだと考えます。  もし時間があれば再質問を申し上げたいと考えておりましたが、今国会からクエスチョンタイムの導入が図られておりますので、その場において改めて質問をさせていただく決意を固めております。  小渕総理所見を改めてお伺いを申し上げ、私の質問といたします。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  5. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 鳩山由紀夫議員お答え申し上げます。  まず、御指摘の、河野大臣発言についてでございましたが、その詳細につきましては、河野大臣から後ほど御答弁があるかと思いますが、したがいまして、私からは云々することは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、御質問の趣旨は、宗教団体を支持している政党政権参加憲法第二十条との関係にかかわるものと理解いたしております。  この点につきましては、昭和四十五年の質問主意書に対する内閣答弁書以来、累次にわたり明らかにされておるとおりでございまして、憲法第二十条第一項後段の違反の問題は生じないと考えております。  そこで、内閣といたしましては、河野外務大臣も含め、この内閣国務大臣が、国務大臣の立場において内閣方針に従っていただくものと考えております。したがいまして、この点につきましては、憲法上の違反には当たらないという観点に立ちまして、大臣としての職責を果たしていただけるものと考えておる次第でございます。  企業団体献金についてお尋ねがございました。  企業団体献金の取り扱いにつきましては、過般の自民、自由、公明の三党間の協議で、「次期臨時国会開会までに、自由民主党において提案協議のうえ結論を得るものとする。」ことで合意されたところでございます。これを受けまして、自民党におきまして、企業団体献金の問題を初め政党助成政治資金制度等改革について総合的な検討を行い、政党助成政治資金制度等改革基本方針を取りまとめ、自由、公明の二党に提示されたところと承知をいたしております。  いずれにしても、これらの問題につきましては、各党会派において十分論議を深めていただきたいと考えております。  政府に対して申し入れのありました介護保険に係る三党合意についてお尋ねがありました。  今般の与党三党の合意は、制度の円滑な実施という観点から、法改正を行わないことを前提に、三党の政策責任者において御協議いただいた上で合意されたものと理解しており、予定どおり、来年四月からの実施に向けて万全を期してまいります。  いずれにせよ、申し入れ事項に対する具体的な対応につきましては、早急に政府部内で検討いたしてまいります。  次に、財政構造改革についてのお尋ねがございました。  我が国財政は極めて厳しい状況にあり、将来世代のことを考えますと、財政構造改革という大変重い課題を背負っていると常に痛感いたしております。私、常々、我が国経済回復軌道に乗り、足元がしっかりと固まった段階において、財政、税制上の諸課題につき中長期的視点から幅広くしっかりとした検討を行うと申し上げておりますのは、せっかく上向きになってきた我が国経済をさらに大きく前進させることによりまして、財政状況の改善が図られるような時点をしっかり見きわめる必要があり、その見きわめを誤り、景気後退といった流れになってしまってはいけないと考えるからであります。  また、十一年度税収見込みについてお尋ねがありました。  十一年度税収の実績見込みにつきましては、現在見積もり作業を行っているところでありますが、十一年度税収の土台となる十年度決算額が補正予算額を下回ったこと等から、一兆円を上回る減額補正が必要となり、その財源については、補正予算全体の中で検討していくべきものと考えております。  税収見積もりにつきましては、その時点において最も適切な見積もりを行うべく最大限の努力を傾けているところでありますが、結果として当初見込み額に対して増減が生ずることにつきましては、御理解を願いたいと存じます。  長銀に投入される公的資金に係る責任についてのお尋ねでありました。  昨年八月時点では、長銀債務超過ではないと認識をされまして、御指摘のような合併構想も推進されたことは事実であります。しかし、与野党合意を踏まえ成立をいたしました金融再生法のもとで、長銀から申し出を受け、金融監督庁の検査結果等を踏まえ、長銀債務超過と認定され、同法による処理が図られているところであります。  その結果、御指摘の金額に近い公的資金の投入という結果になり得るかと存じますが、これは、あくまでも預金者等の保護、我が国の金融システムの安定及びその再生を図る上で不可欠なものであると考えております。  国債日銀引き受けについてのお尋ねがありましたが、戦前戦中、軍事費等の調達のため多額の公債を日銀引き受けにより発行した結果、急激なインフレが生じたことを契機として、現行財政法におきまして、健全財政主義の原則とあわせ、公債の日銀引き受けを原則として禁止、公債は日銀以外の市中資金により消化するという市中消化の原則を定めているところであります。政府としては、こうした財政法上の趣旨を遵守することが必要であると考えております。  次に、当初予算欠陥予算ではないかとのお尋ねがありました。  私は、就任以来、内閣の命運をかけ、我が国経済回復軌道に乗せるという決意のもとに、今日まであらゆる手段を講じてまいりました。例えば、十一年度当初予算におきまして、景気回復に全力を尽くす観点から、いわゆる十五カ月予算の考え方のもとに編成を行い、さらに、その後の厳しさを増す雇用情勢に適切に対応すべく、第一次補正予算を編成したところであります。  このように、私は、その時々の経済社会情勢を的確に見きわめ、適切な措置を講じてまいりました。これらの効果の浸透などにより、景気は厳しい状況をなお脱していないものの、緩やかな改善を続けており、これまで内閣を挙げて取り組んできた経済財政政策に御理解をいただけるものと考えております。  さらに、ここで重要なことは、手を緩めることなく経済を本格的な回復軌道につなげていくとともに、二十一世紀の新たな発展基盤を築き、未来に向け経済を新生させることであると考えております。  こうした観点から、理念ある経済新生対策を早期に取りまとめ、あわせて、第二次補正予算を編成し、今国会提出をいたす予定でございます。  いわゆる商工ローンの問題についてお尋ねがありました。  この問題につきましては、九月に、全貸金業者に対し文書によりまして適正な業務運営の確保を要請するとともに、全国貸金業協会連合会に対して自主的な取り組みを要請したところであります。同連合会は、これらを踏まえ、十月に自主規制基準を作成したところであります。  いずれにいたしましても、本件につきましては、各貸金業者において実効ある対応が図られることが肝要と考えており、今後、業界の動向を注視していくとともに、貸金業規制法に違反する事実が確認される場合には、同法に基づき厳正かつ的確に対応してまいります。  なお、民主党より出資法等の一部を改正する法律案が提出されておることは承知をいたしております。政府としても、本法律案の国会における取り扱いにつきましては、十分注視してまいりたいと考えております。  次に、特別保証制度政策効果についてのお尋ねがありましたが、本制度は、未曾有の信用収縮に対するあくまでも臨時異例の措置として実施しているものであり、昨年十一月以降、倒産件数が大幅に減少するなど、その財政負担に比して相当程度のメリットをもたらしていると認識をいたしております。  エンゼル税制について、今国会においては、中小創造法の改正を伴う対象企業の拡充を図ることといたしているほか、ベンチャー支援施策につきましては、その拡充を図るべく鋭意検討を進めてまいります。  産業再生法とリストラの関係についてのお尋ねがありました。  現下の厳しい経済環境の中、多くの企業で事業の見直しが進んでおりますが、本法は、企業の前向きな事業再構築を円滑化することを目的とするものであり、かかる取り組みは、我が国経済活力の再生と、これを通じた良質な雇用機会の創出に不可欠であります。また、本法の運用に当たりましては、運用の安定にも必要な配慮を行うことといたしておりまして、六月に策定された緊急雇用対策等の措置とあわせ、雇用の安定にも万全を尽くしてまいります。  雇用対策について、重ねてでありますが、政府としては、雇用機会の創出を最大の柱とする緊急雇用対策の着実な実施に取り組んでおるところであり、さらに、経済新生対策の取りまとめに向け、中小企業雇用創出・安定対策や産業構造の変化に対応した人材の育成のための施策について鋭意検討してまいります。  次に、先般の事故に係る政府対応について御指摘をいただきました。  事故の重大性にかんがみ、科学技術庁長官を本部長とする事故対策本部の設置や、原子力安全委員の現地への派遣に引き続き、内閣総理大臣である私を本部長として関係閣僚から構成される政府対策本部を設置し、この事故に対して政府として可能な限り対応を行ってきたところでございます。この過程で、当日予定をいたしておりました内閣改造等は延期したことは御案内のとおりでございます。  しかしながら、事故への初動対応を省みると、事故の重大性の把握等に関し、政府危機管理体制にまだ改善の余地があることも事実であります。  現在、重篤な被曝者の治療、住民の皆様の健康管理等に万全を期するとともに、原因の徹底究明を行っているところであり、その結果を踏まえ、二度とこのよう事故の起こることのないよう適切な対処をしてまいります。また、今回の事故を踏まえ、危機管理体制につきまして万全を尽くしてまいります。  原子力安全委員会について、御意見を交えお尋ねがございました。  安全委員会は、これまで行政庁とは独自の立場から安全審査等に厳正に臨んできたところであります。原子力安全委員会は、省庁再編成後も内閣府におきまして現在の機能を引き継ぐとともに、独立の事務局が置かれ、原子力の安全の確保により主導的な役割を果たせるよう強力な体制を整備してまいります。  次に、コンピューター西暦二〇〇〇年問題の危機についてでありますが、これらにつきまして、官民による情報連絡網の整備等を図るとともに、十月末には、国民が万一の場合に備えた準備を行う際の参考となる事項を指針としてお示しをいたしたところであります。また、このほかにも、従来からシステム点検や危機管理計画の策定につきまして情報提供に努めております。今後とも、年末年始に向けて、これまた万全を期していきたいと考えております。  本日閣議決定をいたしました団体規制法案についてでありますが、本法案は、団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体を対象に観察処分及び再発防止処分という団体規制措置を行うことを定めたものであり、処分の中立、公平性を確保するという団体規制の基本的枠組みに基づきつつ、手続の迅速化を図るとともに、警察の有する情報力や組織力の活用を図るための必要な措置も講じており、規制を実効あらしめる仕組みとしたものであります。  この法案成立いたしましたら、公安調査庁及び警察の全力を挙げて、その運用を効果的かつ適正に行うことにより、必ずやオウム真理教対策に万全を期することができるものと考えております。  政府といたしましては、現時点におきまして、いつの時点において新法に基づく規制措置が不要になるか見通すことは困難でありますことから、現在、時限立法とする考えは持っておりません。  今後の団体規制のあり方につきましては、我が国社会のセーフティーネットを整備するとの観点から、十分な国民的議論の上に検討を進めてまいりたいと考えております。  最後に、議員から、三党連立内閣について、御批判をされた上で御意見を拝聴いたしました。  これは、所信表明で申し上げましたように、安定した政局のもとで、私は、政策を共有できる政党が互いに切磋琢磨し、よりよい政策を練り上げ、相協力して実行に移していくことが国民や国家のためだと確信し、三党の広範な政策合意をもととして連立内閣を樹立いたしたところでございます。  鳩山党首、代表からのお尋ねをいただきましたが、残余の問題につきましては、今国会、新たに試験的に試行されますいわゆるクエスチョンタイム等におきまして党首間の議論が行われるということでございますので、その折、また種々御批判、御意見等をちょうだいし、お答えをいたしてまいりたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をいただきたいと思います。(拍手)     〔国務大臣河野洋平君登壇
  6. 河野洋平

    国務大臣(河野洋平君) 野党党首時代の私の言動につきまして、二点御質問がございました。  宗教団体と密接な関係を持つ政党政権参加について、私が持っておりました問題意識について発言をした、そのことを今どう思うか、こういう質問でございました。  私は、今日の状況で、私が持っておりました危惧の念はほとんどなくなっておりますし、先ほど総理から御答弁がございましたように、憲法二十条との関係につきましては、国会におきまして累次、内閣として答弁があったということをもちまして、私は、今後は国務大臣として小渕内閣のもとで仕事をしてまいりたい、こう考えているところでございます。  もう一点、企業団体献金の問題について細川総理合意文書を交わしたではないか、そのことをどう考えるか、こういう御質問でございました。  当時、私は、自由民主党の総裁といたしまして、党内におきますさまざまな議論を積み上げまして結論を出し、その結論を踏まえて細川総理と議論をさせていただいたわけでございます。こうした党の結論を踏まえて企業団体献金のあり方に関する合意文書をつくったのでございます。  しかし、その後、本年十月の自自公三党連立政権合意を踏まえまして、自民党党内において改めて検討が行われました結果、先日発表されました基本方針が取りまとめられたところでございまして、今後、自由党、公明党の二党にこれが提示されるもの、こう承知をいたしておるわけでございます。  私は、今日、自民党国会議員として、党の決定に従うのは当然と考えております。(拍手)     〔国務大臣丹羽雄哉君登壇
  7. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 鳩山議員の御質問に御答弁いたします。  今、豊かさの中の不安の時代と言われております。もし自分が仮に寝たきりになった場合にだれが介護してくれるだろうか、大変深刻な問題ではないか、こう考えております。  今、寝たきりのお年寄りは全国で二百八十万人おります。これが三十年後には、何と五百二十万人まで見込まれておるわけであります。  これまで、介護問題は一家庭の問題としてとらえられてまいりました。家族が重い負担を負ってまいりましたことから、この負担を軽減するため、これからは介護国民の皆さん方お一人お一人が支えていこうではないか、これが介護保険構想のねらいでございます。  この介護保険制度によりまして、すべての高齢者がひとしく介護サービスを受けることができるようになり、それぞれの地域が独自性を発揮できる、こう考えております。まさにそういう意味におきまして、私は、地方自治の原点に立つものではないか、こう考えているものでございます。  今回の介護に関する三党合意でございますが、法改正を伴う措置をしないということを前提で御協議をいただいた上での合意でございますし、政府といたしましては、安定的に制度を運営していくためにも、給付と負担の関係が明確な社会保険方式で運営することが現実的であり、直ちに今回の措置が税方式に移行するものとは考えておりません。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣続訓弘君登壇
  8. 続訓弘

    国務大臣(続訓弘君) 鳩山由紀夫議員代表質問お答えを申し上げます。  私に対する御質問は三点ございました。まず、第一点についてお答え申し上げます。  第一問は、企業団体献金についての問題でありますが、ただいま鳩山議員御自身から公明党神崎代表の主張を御紹介していただきました。この問題につきましては、与党三党間で真剣な協議がなされておりますので、私といたしましてはその協議の推移を見守りたいと存じます。  第二問は、国会議員地位利用収賄罪処罰法に関する件でございますけれども、与野党の枠組みが変わったこともあり、公明党として、与党協議の場で成立を働きかけてまいりたいと存じます。  第三問についてでありますが、永住外国人に対する参政権の付与の問題について、私の貴重な体験を通じまして、議員の皆様の御理解を賜りたいと存じます。  貴重な体験と申し上げますと、私は昨年十一月、斎藤十朗参議院議長を団長とする各党六名の代表と韓国を公式訪問してまいりました。金大中大統領並びに金鍾泌総理閣下及び国会議長、各党首脳の方々と親しくお目にかかり、懇談をいたしました。その際、それぞれの責任者が、我が同胞六十有余万に対し地方参政権の付与をお願い申し上げたいとの真剣な要請を受け、この問題に対する熱い思いを実感してまいりました。  一方、国内では、この問題は長年の懸案事項でありましたが、このたび、自自公連立政権協議でこの問題が大きく前進したものと認識しております。  私としては、現在行われております与党三党の協議の行方を見守りたいと思います。(拍手)     —————————————
  9. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 桜井新君。     〔桜井新君登壇
  10. 桜井新

    ○桜井新君 私は、自由民主党代表して、小渕総理所信表明演説に対し質問いたします。  小渕内閣は、昨年七月の組閣以来、経済再生内閣と銘打って、財政、税制、金融、法制などのあらゆる分野の施策を総動員し、金融危機、経済不況の克服のために果敢に取り組んできました。その結果、総理所信表明にも述べておられますとおり、我が国の経済は改善の兆しを見せ始めています。これは大きな前進でありました。  この回復基調の景気を本格的な回復軌道に乗せるとともに、二十一世紀の新たな発展基盤を築き上げるためには、より安定した政治基盤を持つ強力な政策遂行体制の構築が必要であります。今回の自由民主党、自由党、公明党改革クラブ三党派連立による第二次改造内閣の誕生は、まさにその強力な政策遂行体制の誕生であり、三党派連立に踏み切った小渕総理の英断を高く評価したいと思います。  総理は、富国有徳の日本国づくりを目指すと所信表明で申されましたが、このために、自自公という最高の政策遂行体制をもって、一体具体的には何を最重点としてやろうとお考えかをまず最初にお伺いいたします。  時間が限られておりますので、本題に入らせていただきます。  東海村ウラン加工施設の事故についてお尋ねしますが、まず、被曝された方々が一日も早く回復されますよう心からお祈り申し上げます。  さて、今回発生した臨界事故は、極めて深刻な事態として政府全体で重く受けとめなければならないと考えます。  今回の事故で私が心配するのは、日本の原子力発電計画の推進に支障を来すことにならないかということであります。原子力発電は今や我が国エネルギーの約四割を占めるに至っており、原子力がなければ国民生活は成り立ち得ない状況となっております。  自由民主党は、動燃の事故以来、原子力発電防災対策元年を目指すという思いで、一年間に及び調査検討を進め、七月に大綱をまとめて総理に提言をいたしたところでありますが、お目をお通しいただいたでしょうか。今国会科学技術庁と資源エネルギー庁が原子炉規制法と原子力防災対策法の二法案提出することとなっております。この中で、七月末の提言を漏れなく生かしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。  また、東海村の事故対策はもちろんですが、全国の原子力発電関連施設の安全対策について必要な予算を詰めているようですが、三党政策責任者会議でも最初の議題として対策協議し、取りまとめて政府に提言いたしました。その中でも要求しておりますが、今回の経験から、不測の事態に備えて、必要な備品及び消防団員の教育などの事業予算は独立した予算として全額補正予算に盛るべきと思いますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。  次に、社会保障政策について質問いたします。  戦後、生活保護を初め、生活困窮者を救う、いわゆる救貧施策を中心に出発した我が国の社会保障は、昭和三十六年の国民保険、皆年金の達成以降、安心をもたらすためのセーフティーネットとしての重要な役割を果たしてきました。  しかしながら、本格的な少子高齢化社会の到来を迎えた今、社会保障の規模とそれに係る負担の増大が見込まれる中、セーフティーネットとしての役割を担う年金や医療、介護などの社会保障制度を、安心して生活していけるよう見直すことが極めて大切であります。  さらに、緊急に徹底的な対策を講じなければならないのが、少子化対策と思います。特に、北欧の轍を踏まないよう、日本の家庭と地域社会の連帯の中で産み育てる環境を取り戻すことが最も肝要と思いますが、総理のお考えをお伺いいたします。  また、来年四月からは介護保険制度実施されます。我が党は、今般、自由、公明両党とともに、政策協定の趣旨に沿って、二十九日未明、三党の政策責任者による合意に基づき政府に申し入れましたが、我々与党のこの努力は、必ず理解され、来年四月の円滑な実施につながるものと確信をいたしております。  そこで、総理、今国会での年金改正法案成立、来年四月からの介護保険の円滑な実施、少子化問題に対応した環境の整備など、これらの重要課題に取り組むに当たって、与党三党合意を踏まえて適切に対応すると伺っておりますが、私は、日本の伝統、習慣に合ったあり方とし、足らざるところを補うよう制度の運用が必要と思いますが、いかがでしょうか。  次に、経済運営についてお尋ねいたします。  総理所信表明で述べられております経済活性化対策として、低迷を続ける経済下で懸命に努力されている中小企業への支援策新規産業への支持政策も意欲も大いに多といたします。また、経済新生対策も、与党三党の政策責任者会議とも協調しながら、はっとする新しさを持ち、国民の期待にかなう魅力あるものとすることもよくわかりました。しかしながら、せっかく斬新かつ大胆な発想のもとでと所信で申されておりますので、私の方からも提言が一つございます。  今、日本で最も大切なことは、日本人の心を持った子供たちを産み育てることではないでしょうか。つまり、子育ての環境づくりであります。このために、半世紀で蓄えた資本と産業力を、ただ切り捨てるのではなく、将来のために生かすよう積極的な政策を展開すべきではないでしょうか。  基本的には、四季に合わせた長期の休暇をとる。このときは都市の雑踏を避け、自然豊かな田園で過ごす。これを実現するために、交通機関や住宅から始まってすべての生活環境を総合的に見直す。労働期間も全体として作業工程を組みかえる。必要な財政出動と活発な民間投資で十年から十五年で完成する努力をすれば、経済は活性化し、税収も上がり、財政も好転し、失業者も減るなどのことが期待されます。  何よりも、子育ては家庭と地域社会の連帯による日本の伝統文化を基本とし、経済社会活動は欧米文化並みにやる。つまり、東西文化の融合を図ることによって、二十一世紀の新しい日本文化の方向づけができることになります。生産構造の転換は徐々にやればよいのではないでしょうか。まさに総理のおっしゃる富国有徳の社会の具体化の一つと思いますが、いかがお考えでしょうか。  以上、幾つかの質問をいたしましたが、小渕第二次改造内閣の最大の急務が、経済再生であることに変わりはないと思います。不可能と見られていた今年度〇・五%成長という政府見通しは、達成が確実になりましたが、引き続きの積極的な経済支援が必要であることは言うまでもありませんし、明確なビジョンのもとに、財政金融構造政策をバランスよくタイミングよく組み合わせることこそ、今求められておる政治課題であると考えます。  小渕総理は、その明確なビジョンを持っておられます。それは、富国有徳というビジョンであります。我が国のあるべき姿として、富国有徳、すなわち経済的な富に加え、物と心のバランスがとれ、しかも活力にあふれ、品格や徳のある国家を目指すべきであるということであります。お年寄りを大切にし、安心して立派な子育てのできる社会を取り戻そうではありませんか。  総理、どうぞ富国有徳というビジョンを高らかに掲げ、二十一世紀への明るい展望を開くため邁進してください。我々は、自由党、公明党改革クラブともども一致団結して小渕内閣を支えていくことをお約束申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  11. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 桜井新議員お答え申し上げます。  冒頭、自由民主党代表されまして、議員から、内閣発足以来これまでの成果について触れられるとともに、今般の自由民主党、自由党、公明党改革クラブの三党派による連立内閣樹立につき、より安定した政治基盤を持つ強力な政策遂行体制が誕生したと評価をいただき、かつ御激励をいただきました。それにおこたえをいたしていかなければならないと改めて決意をいたしたところでございます。  その上で、議員から、三党派の連立内閣で最重要点として取り組む課題についてのお尋ねがございました。  この連立内閣の使命は、言うまでもありませんが、経済社会保障、安全保障、政治行政改革教育、環境等の政治政策課題について、与党三党の合意を誠実に実現していくことであると肝に銘じているところであり、これによりまして国民の皆様の信頼と負託にこたえてまいりたいと考えております。  特に、当面の最重要課題といたしましては、第一に、経済新生に向けた総合的な取り組み。第二には、原子力の安全・防災対策や、いわゆるオウム対策関連法による安全な社会の実現。第三に、年金や介護など、安心のできる活力ある社会の整備などを考えており、本臨時国会において、関連法案等につき御審議願いたいと考えております。同時に教育など、富国有徳の理念のもと、長い視野で考え、先見性を持って手を打たなければならない課題についても果敢に取り組んでまいる所存でございます。  本年七月、原子力防災対策等について、議員が会長を務められております自民党電源立地調査会が取りまとめた提言につきまして、この内容が今国会提出を予定している法案にきちんと生かされているかとのお尋ねがありました。  七月に会長が官邸にこの提言を持ってまいられました。直ちにその内容につきまして、科学技術庁を初め関係省庁にその実現方に努力をいたしていただく指示をいたしたところでありまして、顧みますれば、その中で、今般法律案として提出をさせていただく中にも貴重な提言があったことを考えますと、事故発生するというようなこうした不幸な事態にかんがみてその対応を考えるということ以前に御提言が実現しておればという気がいたしておりまして、そうした意味では大変先見のある御提言であったと、私は今、改めて敬意を表しておるところでございます。  本件につきましては、今般の東海村核燃料加工施設の事故からの教訓や、これまでの関係自治体からの御意見、御要望とともに、調査会でいただいた提言の内容も十分踏まえまして、一層実効性のある原子力安全防災体制が構築されるよう法案の内容を検討させているところでございます。  原子力安全対策に関する補正予算での対応についてのお尋ねでありますが、政府といたしましては、原子力関連施設安全対策については重点的な措置を講じていくことといたしておりまして、今回の補正予算におきましても、与党内での議論も踏まえ、御指摘のありました消防団員の研修や防護機材等の緊急を要する物品を初め、放射線監視装置の整備や緊急時における通信体制の整備等、必要な事項についても重点的に措置してまいりたいと考えております。  次に、少子化対策についてのお尋ねでございました。  議員は、かねて来、世界の人口問題につきまして大変御関心深く、多くの国際機関の会合等に御出席をされておることを承知いたしております。世界的な規模で考えますと、言うまでもありませんが、地球人口、六十億を超え、来世紀には百億になんなんとするのではないかという説もなされておるわけでございますが、残念ながら、我が国につきましては、むしろこの少子化の傾向がさらに加速されるのではないかという不安があるわけでございます。  日本の家庭と地域社会の連帯に言及をされ、何とか歯どめをかけなければならないという御主張につきましては、ともどもに検討いたしていかなければならない多くの課題を含んでおると考えております。  年金、介護保険、少子化対策など社会保障に関しまして、日本の伝統、習慣に合ったあり方として、足らざるところを補うよう制度の運用が必要との御質問でありました。  今後、少子高齢化が進行する中で、国民が安心のできる社会を築くため、国民に信頼され、将来にわたって安定的に運営のできる社会保障制度を構築していくことが重要と考えております。  我が国の社会保障制度は、個人自己責任を基礎としながら、個人では対応しがたい不測の事態に相互に助け合うという社会連帯の精神を基本的な考え方といたしております。今後とも、この考え方に立ちまして、適正な負担のもとで、真に必要な給付を確保するよう社会保障制度改革に取り組んでまいりたいと考えております。  議員は、種々の具体的提言を交え、経済新生対策において、少子化対策に役立つ環境づくりの政策を展開すべきという御指摘がございました。  今般の対策におきましても、二十一世紀型社会インフラの整備、中小企業向け等の金融対策、住宅金融対策雇用対策への重点的な予算措置を図るとともに、中小、ベンチャー対策、ミレニアムプロジェクトなどの施策を含め、今後の我が国の経済運営の指針となる総合的な対策を策定してまいりたいと考えております。その際、豊かでゆとりのある生活環境の実現に役立つ諸施策を通じて、少子化対策のための子育ての環境づくりにも努めてまいりたいと考えております。  御指摘いただきましたように、富国有徳の考え方のもとに、こうした施策をぜひ一日も早く実現するよう、最大の努力を図ってまいりたいと思います。  以上、お答えを申し上げます。(拍手)     —————————————
  12. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 太田昭宏君。     〔太田昭宏君登壇
  13. 太田昭宏

    ○太田昭宏君 私は、公明党改革クラブを代表し、ただいま議題となりました小渕総理所信表明演説を中心に、内外の諸問題について若干の質問をいたします。  このたび、公明党改革クラブは、自由民主党、自由党と、十月四日、三党派による連立政権合意書を交わし、保守中道の連立政権を構成し、その責任を共有することを決断いたしました。  その第一の理由は、我が国が直面する経済社会の切迫した危機を今こそ乗り越えなくてはならない、そのためには政治の安定と改革リーダーシップが何よりも必要であるということであります。  第二の理由は、本格的な連立の時代が到来し、多様化した国民のニーズにこたえていく政策実現がより求められているということであります。その意味で、連立の精神的紐帯は、「民の憂い募りて国滅ぶ」この言葉のごとく、どこまでも生活者、庶民の目線に立つことだと考えます。  第三の理由は、世界経済が熾烈な競争原理、市場主義の中で展開され、弱肉強食、優勝劣敗の様相を呈しつつある今、セーフティーネットを確立し、中堅層をも力強くバックアップする中道政治、人間主義の政治が我が国の政治の基軸に据えられるべきものと確信するからであります。  こうした認識に立ち、我が党は、平和、福祉、環境、人権、教育を重視した国民本位の政治を掲げる私たちの政策や考え方を積極的に提起し、切迫した課題解決に全力を挙げたいと決意するものであります。  小渕総理にまずお尋ねいたします。我が党の神崎代表は、この連立によって、経済の新生と、不安を解消し安心の社会を築くことを繰り返し主張しております。私は、何をなそうとするかということは、何を危機と感ずるかということだと考えます。率直に言って、今、我が国には三つの危機、課題があると思います。  一つは、経済いまだ予断許さずということであります。景況は幾分好転の兆しありとはいえ、中小企業、庶民生活の現状は厳しく、危機回避のシナリオが不可欠であります。  第二は、二十一世紀日本の形をつくるのは今しかない、軍事ではなくソフトパワー重視の平和戦略、競争社会の中でのセーフティーネットと中堅層へのバックアップ、環境、人権、教育重視へのスタートは今しかないということであります。  第三は、成熟社会と言われながら、個人の心にも、家庭にも、社会にも、国家にも、いわば空洞が目立つということであります。日本の歴史や文化、哲学への深い理解のもとに、ナショナルアイデンティティーの欠如、迷妄に対処しなければならないと思います。  小渕総理、これらの危機認識を共有し、どう対処されるかの決意をまずお伺いいたします。  次に、経済の新生についてお伺いいたします。  総理は、所信表明演説で、事業規模で十兆円を超える理念ある経済新生対策を早急にまとめ、景気の腰折れを招かぬ積極策をとると述べられましたが、同感であります。今こそ、財政、税制、金融、法制のあらゆる施策を総動員し、景気回復への決定打を放つとともに、経済の新しい展開、新生に向けての構造改革に取り組まなければなりません。  我が党は、日本経済の活性化に向けて、金融再生情報通信産業の活性化、福祉、環境などの第四次産業の確立と育成、中小・ベンチャー企業の活性化、都市再生への重点投資、科学技術立国の推進を強く主張しております。特に、世界はIT革命と呼ばれる情報通信を通じての急進的な経済社会構造改革が引き起こされており、企業の大小を問わず、この革命の波に直面することを余儀なくされており、経済の新生にはスピードと鋭角的な対応が不可欠であります。  私たちは、二十一世紀情報通信立国日本を目指し、規制緩和、通信料金の引き下げ、電子政府早期実現、研究開発促進策等を強く主張するとともに、デジタル革命の新たな社会に対して、政治が今こそビジョンとメッセージを発すべきだと考えます。これら情報通信立国への国家戦略につき、総理見解を承りたいのであります。  中小企業施策についてお伺いいたします。  経済新生に向けて、金融面、税制面、知的インフラ等を初め、中小、ベンチャーへの広範な支援がかぎであることは当然であります。しかし、創業者支援とともに、より考慮すべきは、過酷な競争社会の網の目から漏れる中小企業に対して、セーフティーネットをしいて支援する体制をつくることであります。  一つは、信用保証制度の拡充であります。我が党がかねてより主張してきた中小企業金融安定化特別保証制度保証枠十兆円の追加、一年間の期限延長のほか、さらに返済条件の弾力化等の措置が必要であります。二つ目は、再チャレンジ型システムのための法整備。三つ目は、不当競争の防止システムの構築が大切だと考えますが、セーフティーネット構築に対する総理見解を伺います。  またあわせて、問題が顕在化している商工ローンの深刻な事態解消について、監督官庁はいかに対処されるのか、お伺いいたします。  次に、少子化対策介護保険制度についてお伺いいたします。  総理、我が国の働きやすさの指標は、八〇年にOECD二十三カ国中十六位でありましたが、九五年には十九位へ下がっております。女性が働きがたい国ほど出生率が下がることを如実に示しています。保育サービス、育児休業制度、児童手当制度、加えて新しい奨学金制度などを抜本的に拡充し、女性が安心して子供を産み、仕事と家庭を両立できる良好な環境を整備することが急務であります。  介護については、与党三党では、来年四月にスタートしつつも、介護体制の充実など高齢社会に的確に対応するためのスーパーゴールドプランを初めとして、将来に禍根を残さない体制を早急に策定することで合意いたしました。この三党合意に対する総理並びに厚生大臣の御見解を承りたいのであります。  次に、インドネシアとティモール情勢についてお伺いいたします。  政府は先ほど、日本の貢献について、調査団を派遣し、国連難民高等弁務官事務所との連携のもとに、西ティモールに流れ込んでいる難民への緊急物資の輸送に貢献することを正式に決めたといいます。私たちは、日本が、世界の抱える紛争当事地域やその周辺地域で人道支援を待ち望む人々に対し、積極的な支援が必要であるとの認識を持ってまいりました。従来のような若干哲学不在の嫌いもあった政府開発援助のあり方を見直す一方で、世界に展開するNGOへのできる限りの支援が必要だと考えますが、東ティモール情勢の認識と日本の貢献策についてお聞かせ願いたい。  また、この事態とは別に、国連平和維持活動について、国内法の附則によって、いわゆるPKF本体業務については凍結してまいりました。今日、私たちは、PKF本体業務の凍結を解除し、よりグローバルスタンダードに近い任務に従事する必要性を求める機運が高まっていると認識しております。ただ、いわゆる平和五原則は外してはならない。紛争地域に割って入り、どちらか一方にくみするということは、憲法が禁じている戦力の行使につながるおそれがあるもので、現状において容認できるものではないと考えております。  さらに、PKFの凍結を解除しても、護衛のための武器使用ができないことからその無意味さを強調したり、逆に、武器使用の見直しを求める向きがあります。このようなPKFの凍結解除と平和五原則の関係等について、総理のお考えをお聞かせ願いたいと思います。  最後に、政治家個人に対する企業団体献金の問題についてであります。  九五年に施行された改正政治資金規正法の附則第九条には、政治家個人への企業団体献金は、「施行後五年を経過した場合において、これを禁止する措置を講ずるものとする。」と明記されています。政治腐敗に対する国民の厳しい指摘の中で、政治改革の一環として同法が改正施行されたことは周知のところであります。私は、政治家個人に対する企業団体献金については、あくまでも政治資金規正法で規定されているとおり、来年一月から禁止すべきものであると考えます。  以上、内外の諸問題に対する見解を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  14. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 太田昭宏議員お答え申し上げます。  冒頭、議員から、今般の、公明党改革クラブが、三党派による連立政権を構成し、その責任を共有するとの決断に至りました理由につきまして改めて明らかにされ、また力強い決意を述べられた上で、我が国の直面する危機についての認識やその対処についてのお尋ねでございました。  議員は現在の状況について、第一に、経済いまだ予断を許さず、第二に、二十一世紀の日本の形づくりは今しかない、第三に、ナショナルアイデンティティーの欠如に対処すべきとの三点を挙げられておりました。いずれも大変貴重な御指摘であり、また、私自身の問題意識と大いに重なるものと考えております。  第一に経済の問題でありますが、景気につきましては、厳しい状況をなお脱していないものの、政策効果の浸透などにより、緩やかな改善を続けておると認識をいたしております。しかし、ここで重要なことは、経済を本格的な回復軌道につなげていかなければならないということでございまして、未来に向けた経済を新生させることであると認識をいたしまして、今般、このための総合的な政策を全力で進めてまいる決意をいたしておるところでございます。  また、二十一世紀において我が国が目指すべきは、いつも申し上げておりますように、私自身は富国有徳の国家である、こう考えて、その理念に立ちまして「二十一世紀日本の構想」懇談会を設けまして、来るべき世紀の日本のあるべき姿につきましても、私自身も積極的に参加をいたしまして、有識者の方々に精力的に御議論いただいておるところであり、次の世代に引き継ぐべき指針をまとめていただきたいと考えており、その際、日本の歴史や文化も十分に踏まえ、日本が持つすばらしいものを大切にしつつ、二十一世紀のあるべき国の姿を考えてまいりたい、こう考えております。  次に、IT革命あるいはデジタル革命というお言葉を使われまして、情報通信立国に向けた我が国の国家戦略についてのお尋ねでございました。  昨年十一月に、高度情報通信社会推進に向けた基本方針、これを実は改定をさせていただいて、すなわち、民間主導、政府による環境整備及び国際的な合意形成に向けたイニシアチブの発揮という三原則を定めたところでございます。これらの原則に基づきまして、電子政府の実現、教育情報化、研究開発の促進等を通じて、新規産業の創出、雇用の拡大を図りつつ、世界最高レベルまで我が国の情報通信を高度化していく所存でございます。  次に、セーフティーネットについてのお尋ねがありました。  議員御指摘のとおり、中小企業に対するセーフティーネットは極めて重要と考えており、中小企業基本法の改正法案におきましても一つの柱に据えております。また、特別保証制度につきましてもかねて御主張をいただいておることは承知をいたしており、この期限を実は一年延長し、十兆円の枠の追加を行うことといたしたいと考えております。今後、再チャレンジ型システムの形成につきまして、民事再生法の制定や取引の適正化のための下請法の厳正な運用に努めてまいります。  また、商工ローンにつきましての御指摘がございました。  先ほども答弁いたしたところでございますけれども、本件につきましては国民的関心も極めて深いところでございます。したがって、全国貸金業協会連合会につきまして、その取り組みを要請いたしたところでございますが、連合会が十月に自主規制基準を策定いたしたところでございます。  いずれにいたしましても、各貸金業者において実効ある対応が図られることが肝要と考えており、今後、業界の動向を注視していくとともに、貸金業規制法に違反する事実が確認される場合には、同法に基づき厳正かつ的確に対応してまいる所存でございます。  次に、少子化対策についてでございますが、少子化対策関係閣僚会議におきまして政府としての対策基本方針を年末までに策定するとともに、少子化への対応を推進する国民会議を通じて、国民的広がりのある取り組みを進めてまいります。  御指摘の各対策につきましては、保育サービスについて、多様化しつつある、増加していく保育需要に的確に対応し、充実に努めてまいります。また、働く人が仕事と家庭を両立できるよう、育児休業を取得しやすい、職場復帰しやすい環境の整備や、育児をしながら働き続けやすい環境の整備などに努めてまいります。  児童手当につきましても、与党間で所得課税の諸控除などとあわせて検討することとされており、今後の与党間の協議を踏まえながら、少子化対策全体を検討する中で、具体的な財源確保に留意しつつ検討していく必要があるものと考えております。  育英奨学事業につきましては、学生が自立して学べるようにするため、今年度予算におきましても拡充を行っており、今後とも、無利子、有利子をあわせて、その充実を図っていくことが重要であると考えております。  介護保険に係る三党合意についてお尋ねがありましたが、今般の与党三党の合意は、三党の政策責任者において制度の円滑な実施という観点から取りまとめられたものと認識しており、これを重く受けとめております。  いずれにいたしましても、申し入れ事項に対する具体的対応につきましては早急に政府部内で検討してまいります。  次に、東ティモールについてのお尋ねでありますが、まずは人道支援を待ち望む人々へ積極的支援が必要であるとの太田議員の認識は、私も共有するものであります。その上で、東ティモールにおきまして現在必要なのは、情勢の安定と避難民の状況の改善であると考えております。このため、我が国としても可能な限りの支援を継続してまいります。  具体的には、国連東ティモール暫定行政機構の活動への支援、国連統一アピール等を踏まえたさらなる人道支援、復旧復興支援等について積極的に検討してまいります。  次に、PKF本体業務の凍結解除と参加五原則の関係及び凍結を解除した際の武器使用の考え方についてお尋ねがありました。  我が国が国際社会への応分の貢献を行うべきことは当然であり、PKF本体業務の凍結解除を含む国連の平和活動への一層の協力について、国会はもとより、国民各位の御理解をいただきつつ、積極的に進めてまいりたいと考えております。  武器使用原則を含むいわゆる五原則につきましては、我が国が国連平和維持隊に参加するに当たって、憲法で禁じられた武力の行使をするとの評価を受けることがないことを担保する意味で策定された国際平和協力法の重要な骨格でありますので、仮に凍結が解除されるとしても、五原則を変更することは政府としては考えておりません。  他方、この問題につきましては種々議論のあるところでもありますので、今後、各党各会派におきまして十分御議論をいただきたいと考えております。  最後に、企業団体献金についてのお尋ねがございました。  本件につきましては、過般、自民、自由、公明三党間の協議で、「次期臨時国会開会までに、自由民主党において提案協議のうえ結論を得るものとする。」ことで合意されております。これを受けまして、自民党におきまして、企業団体献金問題を初め、政党助成政治資金制度等改革について総合的な検討を行い、政党助成政治資金制度等改革基本方針を取りまとめ、自由、公明二党に提示されたところと承知いたしております。  いずれにいたしましても、これらの問題につきまして、各党会派において十分議論をいただきたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)     〔国務大臣丹羽雄哉君登壇
  15. 丹羽雄哉

    国務大臣(丹羽雄哉君) 太田昭宏議員お答えいたします。  介護についての三党合意に対する見解はどうか、こういうような御質問でございます。  介護保険の三党合意につきましては、高齢者の保険料の取り扱いなどについて、率直に申し上げてその内容にさまざまな議論があることは承知いたしております。しかし、最も今大切なことは、この世紀の大事業とも言えます大改革をいかにして来年の四月から円滑に実施していくか、このことに尽きるのではないか、こう思っております。  高齢者の方々から保険料を新たにいただいたり、また利用方法がいわゆる措置制度から契約制度に変わるわけでございます。利用者の方々に十分理解をいただきながら、混乱なく新しい制度に移行させるための措置として合意されたものと考えております。  先ほど小渕総理からお話がございましたけれども、私といたしましても、これを重く受けとめ、政府として一日も早く対策を取りまとめ、国民の皆様方の御期待にこたえたい、こう考えているような次第でございます。  以上でございます。(拍手)     〔国務大臣越智通雄君登壇
  16. 越智通雄

    国務大臣(越智通雄君) 太田議員からの商工ローンに対する御質問については既に総理から一応お答えをされているわけでございますが、担当相として一言申し上げます。  商工ローンというのは定義が必ずしもはっきりいたしておりませんが、貸金業者による中小企業向けの融資で、物的担保ではなく、人的保証による貸し付けを称しているようでございますが、実は、その範囲、業容等については内容が必ずしも明確ではございません。その実態を早急に解明いたしたいと思っております。  同時に、現在の貸金業規制法は行為規制法でございますので、それに違反している事案に対しましては、既にその疑いの濃いものを含めまして、適時的確に金融監督庁としては対処していく所存でございます。  よろしくお願いいたします。(拍手)     —————————————
  17. 伊藤宗一郎

    議長伊藤宗一郎君) 青山丘君。     〔青山丘君登壇
  18. 青山丘

    ○青山丘君 私は、自由党を代表して、小渕総理所信表明演説に関連して質問いたします。  まず、防衛政務次官を拝命いたしました我が党の西村眞悟議員が、政府の一員として国民に誤解と不安を与え、総理を初め皆様方に御迷惑をおかけし、そしてみずから辞職に至ったこと、おわび申し上げます。  さて、この国会から、憲政史上画期的な改革である政府委員制度の廃止と、国会内閣改革がスタートいたします。これまでの行政主導の国会から、国民代表である議員同士の討議で政治を決定してまいります。我々は、この歴史的意義を自覚し、旧来の慣習にとらわれることなく、改革の具体的な成果を上げるため、自由党は矢面に立つ精神で全力を尽くします。  連立政権は単なる数合わせであってはならない。国家国民のために何をなすかが重要であります。この観点から、我が党は、自民党との連立政権において、今回の国会改革を初め、閣僚数や国家公務員数の削減、消費税を福祉目的へ限定するなどの改革を実現させました。公明党が加わった今回の連立政権においても、衆議院議員の定数削減法案の今国会冒頭処理を初めとして、経済社会保障、安全保障、政治行政改革教育改革などの政策合意に全力を尽くしてまいります。  まず、経済構造改革についてであります。  総理は、所信表明において、経済の新生を強調されました。経済新生のためには戦略的な取り組みが必要であります。まず、バブルの後遺症や構造改革の荒波にさらされ、民間経済が自力で回復できない状況では、財政が積極的に経済を下支えすること、次の段階は、財政景気中立型として民需主導の経済回復を促していくこと、そして第三段階は、民間経済の自律回復による安定成長のもとで財政再建を図る、こういった段階に応じて政策を重点的に進めることであります。  今年度と来年度は、経済再生集中期間として、積極的な財政支援により総需要を喚起し、民間経済を下支えするときであります。その意味において、今国会提出予定の補正予算は、来年前半の落ち込みを防ぐために極めて重要であり、その質、量ともに十分な内容とすべきであります。  熱意は力なりといいます。大規模財政支出によって経済は徐々に危機的な状況を脱しつつあります。とはいえ、経済財政社会構造改革がおろそかになれば、民間需要へのバトンタッチは無理となり、さらなる財政支出が必要となりかねません。この意味において、連立合意にある構造改革を実現していかなければなりません。  そのための第一は、科学技術の基礎研究及び新技術の開発、事業化であります。従来の縦割りではなく、内閣官房が中心となって予算や人的資源の投資を図り、産学官共同研究の環境整備を行うことであります。  第二は、大胆な規制緩和と制度改革を行うことです。成長分野である情報通信を初め、医療、介護、保育等の福祉分野へ一層民間が参入する必要があります。労働、雇用の分野は自由化を促進し、サービスの多様化と料金の低廉化を実現すべきであります。  第三は、中小企業と大企業との格差是正を中心としたこれまでの中小企業政策を改め、自助努力する中小企業の支援を中心とした中小企業、ベンチャー企業の振興を図ることであります。  第四は、円を、ドル、ユーロと並ぶ国際通貨として使いやすくすることです。現行の百円を新一円とするデノミネーションは、一円が一ドル、一ドルが一ユーロといった国際化を図ることになり、二〇〇一年より実現することが重要であります。  第五は、民間活力を十分に発揮させるための、社会経済国民生活安定のためのセーフティーネットを構築することであります。  超高齢化社会においては、現行の社会保険方式では、国民の老後や疾病などの不安の解消も不可能であり、経済の活性化もできません。保険方式の限界は明らかであります。この際、基礎的な社会保障の財政基盤を確立し、負担の公平を図るため消費税を福祉目的税に改め、その金額を基礎年金、高齢者医療、介護財源に充てるべきであります。すなわち、社会保険料の直接負担を取り除き、可処分所得をふやし、経済を活性化すべきであります。  介護制度について特に申し上げます。  総理は、所信表明において、「介護保険につきましては、老後の最大の不安要因である高齢者の介護社会全体で支えるべく、来年四月からの実施に向けた準備に万全を期してまいります。」と述べられ、現行法どおり、介護保険制度実施を前提とする考えを表明されました。  しかし、我々与党三党が去る二十九日合意した内容は、介護については来年四月から新しい制度実施する、介護サービスの適正な給付が実現されるまでのおおむね半年間、保険料にかかわる部分については実施しない、介護に係る財源及びそのあり方については実施状況を見ながら三党で協議するというものであり、現行法どおりの介護保険として来年四月からの実施については合意しておりません。しかも同じ日、青木官房長官は、三党合意政府として重く受けとめることを約束されました。  総理の所信は、三党合意を全く無視しており、まことに遺憾であります。総理は、所信表明どおり介護保険制度として来年四月から実施するのか、それとも与党合意によるのか、明確にお答えいただきたい。  第六は、少子化対策等に関する税制の抜本改革であります。我が国が二十一世紀も活力ある社会を維持していくため、所得課税のあり方、諸控除の整理、税率の引き下げと簡素化が必要であります。  これらの点について、総理の御所見を伺います。  さて、キルギス共和国の人質事件が六十三日ぶり、解決いたしました。事件に遭遇された方々と御家族の御苦労、御心痛に深くお見舞い申し上げます。また、アカーエフ・キルギス大統領を初め関係者の御尽力に心から感謝申し上げます。  この事件に象徴されるように、我が国周辺を取り巻く情勢は不確実、不透明であります。日本は、平和で安定、繁栄していける外交努力を重ねながら、防衛努力を怠ることなく、国際連合の平和活動に積極的に貢献していかなければなりません。  私どもは、連立政権発足に当たり合意された有事法制の整備、領域警備の法整備を行い、国際平和協力を自衛隊の主要任務に加えるとともに、PKO協力を含む国連平和活動協力法案の策定、成立に努めてまいります。  また、当面の外交課題として、東ティモールの平和構築、北朝鮮のミサイル発射凍結へ向けた日米韓の連携強化、ロシアとの平和条約交渉の解決、来年七月に開催される九州・沖縄サミットの成功に向けた取り組みに努めてまいります。  これらの点について、小渕総理の御所見を伺います。  我が国の経済状況は今なお国家的危機にあり、まさに構造改革が求められております。国家としていかにあるべきか、国家としていかに行動するのかという、国家経営の基本的コンセプトをつくり上げることこそが政治の最重要課題であります。汗を流さずして安定はありません。  我々は与党の一員として、自民、公明両党とともに切磋琢磨、努力してまいることを申し上げ、自由党を代表しての質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  19. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 青山丘議員お答え申し上げます。  三党連立合意における技術開発等の環境整備についてお尋ねがありました。  三党合意におきまして、二十一世紀に向けた戦略的プロジェクトを、内閣官房等が中心となりまして産学官で推進することとされており、この合意も踏まえ、今般、次代の産業の未来を切り開く大胆な技術革新を中心とするミレニアムプロジェクトを推進することとし、そのテーマ等を定めたところであります。  今後、内閣官房が中心となりまして、御指摘ありましたように、省庁横断的な取り組みと産学官の十分な連携を図り、平成十二年度予算総理特別枠、すなわち情報通信・科学技術・環境等経済新生特別枠におきまして特段の予算配分を行うなど、強力な推進体制を構築してまいりたいと考えております。  経済構造改革に関し、情報通信分野、福祉分野、労働・雇用分野などの成長分野等に関する規制緩和や制度改革をより一層進め、サービスの多様化と料金の低廉化を実現すべきではないかとのことであります。これらの成長分野等の規制緩和、制度改革は、我が国経済全体の活性化のため不可欠であると考えております。  今後とも、規制緩和推進三カ年計画や経済構造の変革と創造のための行動計画を着実に実施することなどにより、これらの成長分野等の規制緩和と制度改革を積極的に進めてまいる所存でございます。  自助努力をする中小企業、ベンチャー企業の振興を図るべきとのお尋ねであります。議員の御指摘のとおりと考えます。  先般、私自身、我が国有数の中小企業の集積地である東大阪を視察し、中小企業方々が大変な努力をされていることを目の当たりにし、強い感銘を受けたところであります。こうした中小企業の自助努力を支援することの重要性を改めて認識いたしたところであります。自助努力の支援という原則に立って、中小企業基本法の改正を初めとする法律改正や補正予算等を含め、総合的な対策を進めてまいりたいと考えております。  いわゆるデノミを二〇〇一年から実現すべきであるとの御指摘であります。  デノミは、国民各層にわたり幅広く影響を与えるものであります。国民の受けとめ方、経済社会環境、実施に伴う技術的困難等を総合的に判断すべき問題でありまして、政府におきましても、与党三党の協議を見守りつつ、広範な角度から勉強いたしてまいりたいと考えております。  消費税の福祉目的税化についてお尋ねでありました。  政府といたしましては、今後の具体的な議論の進め方を含め、与党と緊密に連携をとりながら、将来にわたる社会保障制度の安定的な財源の確保についてしっかりと検討をいたしてまいりたいと考えております。  また、介護保険実施に関する私の所信表明政府に対して申し入れのありました三党合意についてのお尋ねでありましたが、今般の与党三党の合意は、法改正を伴う措置を講じないということを前提に御協議をいただいた上で合意されたものと理解しておりますので、来年四月からの実施に万全を期してまいります。  いずれにいたしましても、申し入れ事項に対する具体的な対応につきましては、早急に政府部内において検討してまいります。  所得課税のあり方等についてでありますが、今般の連立与党三党の協議におきまして、少子化対策の推進との関連で、所得課税の諸問題について協議を行う旨の合意がなされたところであります。個人所得課税のあり方につきましては、抜本的な見直しに向けて幅広い視点から十分検討していく課題であり、公党間で行われる協議を踏まえ、政府といたしましても適切に対処いたしてまいります。  次に、有事法制について御指摘がありました。  政府といたしましては、有事法制は重要な問題であると深く認識をいたしており、先般の三党合意を踏まえるとともに、国会における議論や国民世論の動向などを注視しながら、適切に対処してまいる所存でございます。  自衛隊の行う国際平和協力業務の本来任務化についてのお尋ねでありましたが、これにつきましては、政府部内はもとより、国民的な議論を経た上で決定すべきものと考えております。  また、多国籍軍への後方支援に関し法整備を図るべきとの御指摘がありましたが、政府といたしましては、国連を中心とする国際平和のための努力に対し憲法の枠内で貢献することが必要であると考えており、このよう観点から、三党合意や今後の国会での御議論等を踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。  最後に、当面の外交課題につきましてお触れになられました。  まず、我が国が議長を務める九州・沖縄サミットは最重要の外交日程と考えておりまして、二十一世紀がよりよく明るいものとなるよう、アジアの視点を取り入れつつ、力強いメッセージを発出いたしたいと考えております。  東ティモール問題につきましてもお触れになられましたが、現在の情勢の安定と避難民の状況の改善を図り、独立と国づくりに向けたプロセスを支援するため、我が国としてできる限りの支援を行っていく考えであります。  先般、北朝鮮は、米国との協議が行われており、ミサイルを発射しない旨発表いたしましたが、我が国としては、引き続き、米国、韓国と緊密に連携しつつ、北朝鮮の一層の前向きな対応を引き出すべく、種々努力を傾注していく考えであります。  ロシアとの間では、首脳レベルを含めたハイレベルの緊密な対話を維持しつつ、東京宣言に基づいて北方領土問題を解決し、平和条約を締結し、日ロ関係の完全な正常化を達成するべく全力を尽くしてまいりたいと考えております。  以上、御答弁にさせていただきます。(拍手)     —————————————     〔議長退席、副議長着席〕
  20. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 不破哲三君。     〔不破哲三君登壇
  21. 不破哲三

    ○不破哲三君 私は、日本共産党を代表して、小渕首相に質問いたします。  まず、三党連立内閣の問題です。  小渕首相は、新内閣の意義を強調しましたが、その内容は、さき選挙で、与党として国民に支持を訴えた政党と、野党として支持を訴えた政党との連合であります。これは、政府の成り立ちそのものが国民に対する公約を裏切ったものであって、このよう政府がそのまま国政の執行に当たることは、国民主権と議会制民主主義の原則を根本から損なうものと言わざるを得ません。国民主権の立場に立って、解散・総選挙を速やかに行い、国民審判を仰ぐことを要求するものであります。(拍手)  次に、首相の政治姿勢について伺いたい。  まず、防衛政務次官の更迭の問題ですが、西村氏が超タカ派と言われる軍事優先論者であったことは、最初から御存じだったはずであります。その任命は、自由、自民両党首の合意によるものと言われ、軍事優先路線への一層の踏み込みを図った、意図的な人事との疑いが消えません。西村氏をあえて防衛次官に配置した真意はどこにあったのか、任命責任とあわせて伺いたいのであります。(拍手)  次に、企業・団体の政治献金の問題です。  政治家への献金は禁止政党への献金は見直すという条項は、九四年三月に法律で決定されたものです。それ以来、衆参合わせて三回の国政選挙がありましたが、あなた方は、その条項を改定する問題について有権者に語ったことは一度もありませんでした。それを、実施の直前になって廃止を企てるとは、全く言語道断の暴挙であります。  しかも、この条項は、政党助成金を導入する前提として決められたものです。国民一人当たり二百五十円、総額三百億円を超える税金を分け取りしながら、企業献金も野放しにして二重取りを図るとは、国民をばかにするにもほどがあるではありませんか。この企ては直ちに撤回し、法律の規定どおり、期限内に政治家個人への企業団体献金禁止を定めた法律を制定するとともに、政党献金の見直しの手続を開始することを強く要求するものであります。(拍手)  自民党政治は、今多くの分野で行き詰まり状況に陥っており、政策の大胆な転換が求められています。  まず、原子力行政の問題です。  九月三十日に起きた東海村核燃料施設での臨界事故は、日本の国民にはもちろん、世界にも衝撃を与えました。そこで浮き彫りになったのは、日本の原子力行政の根本的な欠陥だったからであります。しかも、その欠陥は、今日の国際水準からいえばけた外れのものであります。  第一の問題は、政府行政が安全神話を基礎にしていることです。  既に、国会の委員会審議で明らかになったことですが、今回の事故の際、現場の事業所からは事故発生の四十分後、午前十一時十五分に臨界事故という判断がファクスで科学技術庁に送られました。しかし担当部局は、臨界事故など信じられないとしてその報告を受け入れず、科学技術庁臨界事故との確認に到達したのは、それから五時間近くたった午後四時ごろだったとのことです。そこに、事故対策のおくれの決定的な背景がありました。これこそ、安全神話の恐ろしさの紛れもない実証ではないでしょうか。  安全神話とは、原子力は安全だから心配でないという立場です。これを国民に宣伝すると同時に、自分もこの神話にとらわれて、安全対策を手抜きする。原子力大国でありながら、こんな神話に固執している政府は、日本以外には今日の世界にどこにもありません。  アメリカで一九七九年にスリーマイル島の原発事故が起きたとき、大統領命令で事故原因の調査に当たったケメニー委員会が最終報告で最も強調したのは、原子力発電は安全だという思い込みに最大の問題があった、これを原子力発電は本来的に危険性の高いものであるという姿勢に切りかえねばならないという反省でした。この教訓は、今では世界の多くの国々の共通の認識となっています。  今、原子力行政では、基本姿勢のこの転換が何よりも必要ではありませんか。原子力の持つ本来的な危険性について国民に正直に語り、だからこそ、政府国民の安全確保のために万全の体制をとる。安全神話を一掃して、正直で科学的な行政への転換を断行するよう強く求めるものであります。(拍手)  第二の問題は、安全確保の体制の問題です。ここにも、世界的な水準から見ての大変な欠陥と立ちおくれがあります。  世界の多くの国では、原子力の安全のための規制の仕事は、原子力発電を推進する行政部門とは切り離されています。例えば、イギリスでは保健省が、ドイツでは環境省が、アメリカでは独立した行政機関である原子力規制委員会がこの仕事に当たっています。  ところが、日本では、原子力施設を設置する認可の権限も、原子炉は通商産業省、再処理は科学技術庁というように、すべて原子力の研究や開発を進めている推進部門が持っています。規制の仕事が推進部門のいわば副業として扱われているわけで、これでは国民が信頼できる安全行政が成り立つはずはありません。  現在、推進部門から独立した形になっているのは原子力安全委員会だけですが、その権限は極めて弱いもので、原子力の施設や事業の認可についても補助的な権限しか与えられていません。  さらに、この委員会は、人事面でも技術面でも、それに必要な体制を持っていません。アメリカの原子力規制委員会は、三千人を超える専門のスタッフを持って原子力発電のすべての過程に責任を負う仕事をしています。ところが、日本の原子力安全委員会では、安全委員の五人については九九年度から全員常勤の体制がようやくとられるようになりましたが、専門委員二百四人は全員非常勤で、専従者は事務局の職員十八人にとどまるという極めて貧しい体制であります。  私は、一九七〇年代に国会でこの問題を取り上げ、アメリカの実例も挙げながら、原子力発電に手をつける以上その安全に責任を負える体制の確立が急務であることを強く指摘しました。それから二十年余りたち、日本は世界で有数の原子力大国となりましたが、安全確保の体制は世界で最もおくれた状態のままであります。  私は、直ちに次の改革に取り組むことを提案するものです。  第一は、原子力の安全行政を推進行政と切り離し、安全確保のための独立した規制機関を確立し、施設や事業の認可や運転の点検、事故時の調査など、安全行政に必要な権限をこの機関に集中することであります。これは、国際原子力機関が定めた原子力発電の基本安全原則で、既に一九八八年に国際基準として定められていることであります。  第二は、専従者を中心にした安全審査、安全行政の体制を確立し、質、量ともに十分な専門的スタッフをそこに配置することであります。  第三の問題は、プルトニウム循環方式の問題です。  九五年の「もんじゅ」の事故から今回の東海村の事故まで、最近の重大事故の多くはこのプルトニウム方式に関連しています。  プルトニウム循環方式とは、軽水炉でできる使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、それを高速増殖炉などの燃料に使って、続けて発電を進めようという方式です。  確かに、原子力発電の初期には国際的にもこの方式に大きな期待がかけられましたが、そこにはもともと安全上多くの問題がありました。プルトニウム自体が、非常に高い放射能を持つ上、核兵器に簡単に転用できるという危険な物質であります。さらに、この方式を進める過程の一つ一つに技術的に未解決の問題が多く、これまでの原子力発電で経験しなかった重大な事故、災害が起こることも予想されるなどなどでした。実際、日本より先にこの方式に踏み出した国々は、次々と重大事故に直面しました。その結果、八〇年代の末から九〇年代にかけて、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスが次々とこの方式をやめる方針を決定したのであります。  その中で、今なおプルトニウム方式に固執し、それを基本方針としている国は日本だけで、そこに国際的に大きな批判の声が上がっていることに私たちは耳を傾ける必要があります。今回の事故でも、アメリカのエネルギー環境調査研究所及び核管理研究所という二つの研究所から、プルトニウム燃料の使用は思い切るべきだという勧告が一致して寄せられています。  そこで、首相に伺いたい。政府は、安全行政に大きな弱点を抱えながら、その危険性が国際的にも実証されているプルトニウム方式になぜ固執するのですか。従来の方針がどうあろうと、今こそこの方式を取りやめる方向で根本的な再検討を行うべきでありませんか。  私は、七〇年代以来、原子力の安全の問題で警告や提案を行うと同時に、プルトニウム方式についても、それに踏み込むことの危険性を指摘してきました。特に四年前には、プルトニウム方式をやめ、二十一世紀にふさわしい新しいエネルギー政策を探求する真剣な努力を政府に求めました。  原子力発電、それもプルトニウム方式にエネルギー政策のすべてをかけるといったやり方では、二十一世紀にエネルギーの分野で日本が出口のない行き詰まりに落ち込む大きな危険があります。今こそ大胆な再検討のメスを入れ、国民的な英知を集めて、二十一世紀にふさわしいエネルギー政策の確立のために真剣な努力を払うべきであります。(拍手)  次に、日本経済の危機に対する対策の問題に進みます。  今、不況問題で最も深刻なのは、雇用の危機の急激な進行です。失業統計は、この八カ月間、完全失業者三百万人以上、失業率四・五%以上という過去最悪の水準を記録し続けています。政府は、不況は底を打ったなどの評価を振りまいていますが、雇用危機が拡大しているただ中でそんな評価が通用するものではありません。日本経済の回復と発展のためにも、雇用危機の解決を目指す本格的な取り組みが迫られていると思います。まずこの点で、首相の見解を聞きたいと思います。  雇用危機を解決する上で、今、私たちの前には二つの大きな課題があります。  一つは、大企業のリストラ、人員の大量削減をどう抑えるかという問題です。  最近でも、興銀、第一勧銀、富士銀行の統合に伴う六千人削減、住友、さくら銀行合併の九千三百人削減、日産の二万一千人削減、NTTの二万人削減、三菱自動車の一万人削減など、この数十年来の歴史に前例を見ないような大規模な人員削減計画が次々と発表されました。これらのリストラ計画は、それのもたらす社会的、経済的な影響を配慮することなしに、狭い意味での企業の利潤確保だけを追求する立場から、極めて乱暴なやり方で行われようとしているのが特徴であります。  私は、この問題で、緊急の三つの提案を行いたいと思います。  第一に、リストラに対する政府態度は、無策というより、リストラ激励の立場です。これでは、雇用対策を幾ら口で唱えても空文句にしかなりません。今日、リストラ至上主義とでもいった調子で傍若無人に横行しているリストラを政府自身が激励する態度をとることは、日本経済の将来を大もとから危うくするものであります。政府基本姿勢を、リストラの横行を抑えることに政治の力を発揮するという方向に転換させるべきであります。(拍手)  第二に、労働時間の短縮への緊急の取り組みであります。  これが雇用拡大の決め手になることは世界の常識です。フランスでは、政府が労働時間の短縮に取り組み、雇用面でも既に着実な成果を上げたことが報告されています。  とりわけ日本では、日本特有の長時間労働を解決することは懸案の問題になってきました。この機会に、労働時間の短縮を政治の大問題として取り上げ、思い切ってこれに取り組もうではありませんか。  この五月、社会経済生産性本部がこの問題で大変興味ある試算を発表しました。それによると、今広く行われているサービス残業を廃止すれば九十万人の雇用を拡大でき、残業をゼロにすれば百七十万人、合わせて二百六十万人の雇用を拡大する効果があるというのが結論でした。完全失業者の八割以上が解消できるということであります。  サービス残業の根絶を初め、世界に例のない長時間労働の解消のために、この目標を政府として明確にし、経営者団体にも呼びかけ、特別の本格的な取り組みをすべきであります。  第三は、労働者保護のルールを確立し、企業の横暴勝手を許さない措置をとることです。  ヨーロッパの多くの国には、雇用の問題で労働者の権利を保障し、一方的な人員整理を防止する解雇規制法があります。さらに、欧州連合、EUが吸収や合併など企業の組織変更に伴う解雇を禁止する指令を出すなど、ヨーロッパ規模での規制も行われています。日本にはその種の解雇規制法や労働者保護法は存在しておらず、一方的な解雇を抑制する社会的なルールも確立していません。このことが、今、日本経済の弱点となって、大規模な人員削減の横行を許す背景ともなっています。  これまでこの分野で労働者の権利を守るルール的な足がかりとなってきたのは、最高裁判決で、人員整理に際して経営者側が守るべき最低条件が整理解雇の四要件として定式化されたことでした。しかし、これは裁判での判例であり、実際の適用も極めて狭い範囲にとどまっています。今日の深刻な情勢は、一方的な人員整理を抑え、労働者の権利を守る社会的なルールを確立すること、特に法的なルールとなる解雇規制法の制定を強く求めています。この問題は、全労連や連合など労働組合組織から切実な要求としてそれぞれ提起されています。  日本共産党は、九六年に国会に解雇規制法案提出しました。今、今日的な問題点を織り込んで内容をより充実させ、この国会に改めて提出する準備中ですが、この問題について首相の見解を求めるものであります。(拍手)  雇用にかかわるもう一つの重大問題は、中小企業対策であります。  首相は所信表明演説で、中小企業対策を大いに強調し、この国会中小企業国会と意義づけました。言葉は結構ですが、問題は中身であります。目新しいのはベンチャー企業対策だけというのでは、今日の深刻な情勢に対応することはできません。  中小企業は、経済に占める比重からいって、文字どおり日本経済の主役であります。全体の一%に満たないようなごく限られた少数の企業への対策だけでなく、日本経済を支える中小企業全体への支援となるような形で対策を展開してこそ、今日の要請にこたえる中小企業対策と言えるのであります。  そのためには、第一に、予算の思い切った拡充であります。  今日、中小企業対策予算の貧困は目に余るものがあります。今年度の予算は千九百二十三億円、全国六百数十万に上る中小企業の経営を支える予算が、長銀という一銀行の不良債権処理につぎ込む四兆五千億円のわずか二十三分の一という驚くべき貧しさであります。  一九六三年に中小企業基本法を制定したとき、政府は、予算の大幅な増額に道を開くことを公約しました。最初の数年間は中小企業予算の比重は若干ふえ、一九六七年度には一般歳出の〇・八八%を占めるようになりましたが、その後減り続け、今年度はついに比重わずか〇・四一%という史上最低のところまで低落しました。  この問題では、全国の地方自治体の活動の中に研究すべき多くの教訓があります。  中選挙時代に私の選挙区に属した墨田区は、保守の区政ですが、日本共産党の提案がきっかけになって、一九七九年に中小企業振興基本条例ができ、それを指針に対策の充実に努めてきました。すべての中小業者が共同利用できる中小企業センターもつくられ、融資、技術、契約、市場など各分野にわたる振興策が展開されて、地域経済の大事な支えとなっています。予算は年二十一億円程度、区の総予算の約二%に当たります。  これは、全国的な経験のごく一部にすぎませんが、政治中小企業のために何をやれるかを見る上で、国政でも大いに参考になるものだと思います。  国の予算でも、中小企業対策費をせめて一般歳出の二%程度にふやし、その経営をいろいろな側面、角度から支え、日本経済の力を底辺から強化する抜本策に転じるべきであります。  第二に、下請企業の保護も重大問題であります。  不況の中で、下請への締めつけと切り捨てが拡大し、全国で悲鳴が上がっています。下請の保護を内容とした法律はありますが、現場では無視されて実際の効力を発揮していません。先日亡くなったソニーの前会長盛田氏は、下請企業との前近代的な関係を、世界に通用しない日本型経営の悪習の一つに挙げました。日本経済の恥となるこの関係をなくしていくには、政府がまず、下請保護を産業政策の柱として位置づけ、法的な面でさらに充実を図るとともに、行政面で本格的な体制をとって、その確実な実施を図っていく必要があります。  第三に、全国どこを歩いても、商店街の寂れの深刻さが目につきます。これには不況の全般的な影響ももちろんありますが、大型店が連続的に進出することにより打撃を受けたというのは、どこでも共通に聞かれる訴えであります。  大型店の進出問題では、政府はこのところ、以前にあった規制措置をやめて、出店をより自由にする政策を進めてきました。しかし、最近のヨーロッパでは、反対に、地域経済の活性化や環境改善の見地から、大型店の進出を規制し、地域商店街の振興に政治が乗り出すという実例がふえています。これは大いに学ぶ点ではないでしょうか。  地域経済の活性化の立場で、大型店の進出に対して的確な規制の措置をとると同時に、地域商店街の振興のために、国として、自治体への援助を初め、思い切った対策を講じるべきであります。(拍手)  次に、介護保険の問題に進みます。  介護保険で一番問題なのは、国民から保険料を徴収しながら、国と自治体が必要な介護サービスを提供できないという状態に陥ることです。こういう事態が生まれたら、国政への国民の信頼は、国民生活の大もとから失われることになります。  日本共産党は、この立場から、国民の必要に対応できるよう、基盤整備の促進や制度上の問題点の解決に力を尽くし、それが一応の解決を見るまで保険料の徴収を凍結するという緊急の対応策をこの七月に提案しました。  政府・与党の側でも、問題の深刻さに気がついたようで、先日来、手直しの動きがありました。しかし、その内容は、矛盾を解決しないまま短期間の凍結を図るという一時しのぎのものである上、その負担が国民にかぶせられる危険が大きくあります。  そこで、私は、改めて私たちの提案を行うものです。  第一に、保険料徴収の凍結とは、実施の時期をただ延ばせばよいということではありません。問題の中心は、介護保険実施を目前にしながら、ホームヘルパーの体制や特別養護老人ホームの増設などの面で、必要なサービスを提供するだけの基盤が整っていないという点にあります。また、料金や認定など、制度の上でも重大な問題点が浮かび上がってきました。  大事なことは、凍結期間内にそれらの問題を解決して介護保険実施最低限必要な条件を整えることであります。だから、私たちは、基盤整備などの進行状況を見定めた上で凍結解除の時期を決定するよう提案したのであります。この中身を抜きにして、ただ短期間の凍結というだけでは、矛盾の爆発を先に延ばすだけのことで、問題の解決には役立たないし、選挙の思惑からの引き延ばしという批判を免れません。凍結する以上、その期間中に基盤整備を促進し、また、低所得者への保険料、利用料の減免や認定問題などの制度上の問題点を解決するという立場を明らかにする必要があります。  第二に、凍結措置は当然財源を必要としますが、日本共産党は、増税にせよ、将来の税収を担保にした赤字国債の発行にせよ、その財源を新たな国民負担に求めることには強く反対します。凍結措置のための財源は、現在の予算の枠内で、ゼネコン型公共事業の圧縮など、財政支出の内容を切りかえることで賄うべきであります。  介護保険という、高齢者対策に不可欠のこの制度が多くの国民に歓迎される形で実施されることを願い、以上の二点を提案するものであります。  もともと、介護保険が今日の困難な事態を迎えた根本には、公共事業には手厚く、社会保障には薄くという財政政策の大きな矛盾がありました。介護保険国民的な大事業です。その導入には、それを支える財政基盤の確立が不可欠でした。本来なら、この大事業に踏み出す機会に、予算編成をヨーロッパ、アメリカ並みの社会保障中心の予算編成に大きく切りかえるぐらいの転換が必要でした。しかし、政府は、そのことはもちろん、国が介護のための新たな財政負担を担うことさえ否定しました。それどころか、この機会に、これまで介護のために国が支出していた負担を三千四百億円減らすという逆向きの措置まで行いました。その結果が今日の深刻な事態を招いたのであります。  公共事業に五十兆円、社会保障に二十兆円という枠組みに固執することは、介護保険に困難をもたらすだけではありません。この枠組みのもとでは、年金にせよ医療保険にせよ、社会保障のどんな分野でも二十一世紀の見通しは開かれません。そればかりか、日本の財政そのものが破綻への道をまっしぐらに転落することになります。国と地方の借金は、あなたの首相就任のとき既に五百四十四兆円、危機ラインをはるかに超えていました。しかし、あなたは、公共事業への大盤振る舞いや銀行支援六十兆円などの放漫財政を続けてきた結果、さらにそれを五十六兆円もふやし、借金の総額は現在六百兆円、国民一人当たり五百万円という途方もない規模にまで膨れ上がりました。  首相は、日本の財政的な破綻を防止し、それを再建するためにどのような方策と展望をお持ちなのですか。公共事業中心の現在の枠組みをそのままにして、財政再建に展望が開けると考えているのですか。私の考えでは、公共事業主役の枠組みから転換してこそ二十一世紀の日本の財政的再建と経済再建の展望が開かれます。そのことを指摘して、次に進むものであります。  私は、この九月、マレーシア、シンガポール、ベトナムなど東南アジア諸国を歴訪しました。そして、アジアのこの地域で、非核兵器、非軍事同盟という流れとともに、国際的な紛争問題に対して、まず軍事的対応を考えるのではなく、話し合いによる平和解決を優先させようという流れが非常に強く定着していることを実感しました。そのアジアから見ると、日本外交の弱点が一段と浮き彫りになった形で見えてきます。  一例を挙げましょう。この一年間、政府と与党の関心は、有事に備えるということで、日本の周辺にいろいろな事態が起きたとき、いかなる軍事的対応をするかの問題に専ら集中してきました。そして、アメリカが軍事的対応の道、つまり戦争の道を選んだときには、日本が自動的に参戦するという憲法違反のガイドライン立法までついにつくり上げました。その際あなた方は、国会の内外で朝鮮有事への対応をしきりに問題にしましたが、朝鮮半島をめぐる各種の紛争問題について、平和的な解決のいかなる努力を日本がするかという外交政策はついに提起されないままでした。  私は、一月国会で、日本自身が北朝鮮との間に公式の交渉ルートを開き、問題の外交的解決に当たることを提案しましたが、これについても政府自身の積極的対応はありませんでした。  しかし、この間に情勢は大きく変わりました。アメリカと北朝鮮との交渉で、北朝鮮問題は今平和解決の軌道に乗りつつあります。日本国民を初め、アジアの各国もこの事態を歓迎しています。では、政府はこの局面でどのような積極政策を用意しているのでしょうか。有事には備えたが平和解決の局面への備えはなかったというのでは、国際政治への対応はできません。  首相、政府には、北朝鮮との関係で日本が何を目指すかの外交目標を明確にする責任があります。日本自身、北朝鮮との間には、ミサイル問題、拉致問題など幾つかの紛争問題を持っていますが、それは交渉によって解決すべき交渉の主題であって、その解決を交渉ルートを開く前提条件としたり、すべてを他の国の外交交渉にお任せするといった態度では、問題は解決できません。  また、北朝鮮は、戦前の侵略戦争と植民地支配によって日本が被害を与えた国々の中で、その清算が全く未解決のまま残っているただ一つの国であります。そのことの解決を含め、北朝鮮との国交などの問題に取り組む日本自身の責任ある立場を示す必要があります。  この点で、外交の目標と政策を明確に持ち、その努力を尽くしてこそ、日本は、アジアと世界の多くの国民が心配している朝鮮半島の情勢の改善と、この地域に平和的な枠組みをつくる事業において積極的な役割を果たし得るでしょう。この問題について首相の見解をただすものであります。  以上、幾つかの問題について私たちの見解を述べ、必要に応じて政府・与党の政策と対置してきました。これらはすべて、二十一世紀の日本の政治を考えるとき重要な意義を持つものであり、当然、来るべき総選挙で大きな争点となる問題ばかりであります。首相、この国会で論戦すると同時に、それらの論点について、有権者の間で堂々の論戦を行い、国民審判を仰ごうではありませんか。そのためにも、早い時期の解散・総選挙を重ねて要求して、質問を終わるものであります。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  22. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 不破哲三議員お答え申し上げます。  冒頭、議員から、三党連立内閣について御批判をされた上で、解散についてお尋ねがございました。  我が国は、経済新生や安全対策など、直ちに実行、実現に努めなければならない緊急の課題が数多くあり、またその一方で、二十一世紀を見据え、長い視野で考え、先見性を持って手を打たなければならない課題もあります。このよう内閣に与えられた使命にかんがみ、また、現下の緊急課題につきまさに今国会で御審議をいただくときに当たりまして、安定的かつ確固たる政権運営に全力を傾注すべきでありまして、解散は全く念頭にございません。  西村前政務次官の更迭についてのお尋ねがございました。  先般、西村前防衛政務次官から不適切な発言がなされたため、その辞表を受理し、直ちに更迭をいたしました。このたびの組閣では、国会審議活性化法の趣旨を踏まえ、政務次官人事にも十分意を用いたつもりでありましたが、このよう事態になりましてまことに残念であり、任命権者として国民の皆様に心からおわびを申し上げる次第でございます。今後、内閣が一致結束して山積する重要課題に取り組み、国民の負託にこたえていくことこそが私としてなすべきことだと強く念じているところであります。  なお、西村議員の防衛問題についての個人的な意見について私としてもある程度は承知いたしておりましたが、今回、結果として国民の不信を招き、今回の事態に至りましたことにつきましては、まことに申しわけなく、責任を痛感いたしております。  企業団体献金についてのお尋ねでありますが、企業団体献金の取り扱いにつきましては、過般、自民、自由、公明三党間の協議で、「次期臨時国会開会までに、自由民主党において提案協議のうえ結論を得るものとする。」と合意されたところであります。これを受けまして、自民党におきまして、企業団体献金の問題を初め政党助成政治資金制度改革について総合的な検討を行い、政党助成政治資金制度等改革基本方針を取りまとめ、自由、公明二党に提示されたところと承知いたしております。  いずれにしても、これらの問題につきまして、各党各会派におきまして十分検討を深めていただきたいと考えております。  次に、原子力行政について御指摘でありました。  原子力は大きなエネルギーを生み出す一方、放射線の発生を伴うことから、その利用に当たりまして安全確保が大前提であります。これまでも科学的データを踏まえ、法令等に基づき安全確保に努めてまいりましたが、今回の事故が起こったことにかんがみ、安全規制等の法案提出するなど、安全確保に一層万全を期し、原子力開発を推進してまいります。  原子力安全行政に関して御指摘がありましたが、我が国では、原子力の規制と推進の機能を効果的に分離しつつ、科学技術庁または通商産業省が法令に基づく安全審査等を行い、さらに原子力安全委員会がダブルチェックをする仕組みとなっており、原子力安全委員会は、みずから擁する二百名に及ぶ専門家を動員し、安全審査等に厳正に臨んできたところであります。  省庁再編後は、内閣府に原子力安全委員会を、経済産業省に原子力安全・保安院を設置するなど、一層の体制整備、規制部門の充実の強化を図ってまいります。  次に、プルトニウム利用に関する御指摘がございました。  エネルギー政策は、資源の状況等国情により当然異なるべきものであり、資源の乏しい我が国にとっては、プルトニウムを有効利用する核燃料サイクルの円滑な展開が極めて重要であります。今後とも、安全確保を大前提に、国際的な協力を得つつ、プルトニウム利用を進めることが必要と考えております。  二十一世紀にふさわしいエネルギー政策についてでありますが、我が国のエネルギー政策基本的な目標は、エネルギー安定供給の確保、環境保全及び経済成長の三者の同時達成であります。このため、国会の御議論、国民各層の御意見を踏まえつつ、省エネルギーや原子力や新エネルギーの開発利用等を推進すべく、今後とも最大限の努力をいたしてまいります。  次に、労働問題についてでありますが、リストラに対する政府態度についてお尋ねがありました。  政府といたしましては、企業や経営者団体に対し、従業員の雇用の安定に向けて最大限の努力を求めるとともに、雇用の安定等の面から必要な指導、援助を行うなど、雇用対策に万全を期してまいります。  労働時間短縮と雇用についてのお尋ねでありましたが、雇用関係での労働時間の水準につきましては、労使の話し合いを見守り、その合意を尊重してまいります。また、長時間の時間外労働の抑制のため、改正労働基準法に基づく時間外労働の限度基準の遵守を指導するほか、サービス残業につきましては、監督指導を実施し、労働基準法違反の是正に努めてまいります。  解雇規制法の制定についてお尋ねがありました。  解雇につきましては、いわゆる整理解雇の四要件や合理的な理由を必要とするという裁判例の考え方を踏まえ、具体的な事情に応じ労使間で十分話し合うべきものであると考えており、一律に解雇を規制することは適当でないと考えます。  次に、中小企業対策予算についてお尋ねがありました。  私は、中小企業は産業と雇用の担い手であるとの認識をいたしており、中小企業の自助努力を支援するとの原則に立ち、今後とも、必要な中小企業対策予算を講じてまいります。  下請企業の保護に関して、法的側面の充実、行政体制についてのお尋ねがありました。  下請企業に対する親企業の不公正な取引につきましては、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用等により対処いたしてきております。今後とも、公正取引委員会、中小企業庁連携のもとで、その確実な実施に努力してまいります。  御指摘の大型店進出に対する規制でありますが、欧米主要国の多くでは、生活環境や都市計画の観点からの規制が主流となっておりまして、昨年の都市計画法の改正と大店立地法の制定による我が国の対応は、これと同様の観点に立つものと考えております。  また、地域商店街の振興のためには、計画的な町づくりと同時に商店街を魅力あるものとすることが重要でありまして、中心市街地活性化法等により、自治体の支援を含め対策の着実な実施に努めてまいります。  次に、政府に対して申し入れのありました介護保険に係る三党合意についてお尋ねがありました。  新しい介護制度の円滑な実施のため、保険料に関する取り扱いのほか、基盤整備の推進、低所得者対策等について所要の措置を講ずるという内容が盛り込まれているものと承知をいたしております。申し入れ事項に対する具体的な対応につきましては、財源の手当てを含めまして早急に政府部内で検討しておるところでございます。  次に、財政再建の方策と展望についてお尋ねがありました。  しばしば申し上げておりますように、我が国財政が極めて厳しい状況にあり、将来世代のことを考えるとき、財政構造改革という大変重い課題を背負っておると常に痛感いたしておるところでございます。しかしながら、二兎を追う者一兎をも得ずといったことのないように、まずは何としても一兎を確実に得べく、引き続き、我が国経済が立ち直り、安定成長の軌道に乗せるため全力を尽くす必要があると考えております。  したがいまして、我が国経済回復軌道に乗り、足元がしっかりと固まった段階において、財政、税制上の諸課題につき中長期的な視点から幅広くしっかりとした検討を行い、国民の皆様にそのあるべき姿を示し、御理解を願うというのが順序ではないかと考えております。  なお、公共事業を初め予算編成に当たっては、常に変化している国民の皆様のニーズに的確に対応し、貴重な財源をより効果的、効率的に配分するよう、今後とも努めてまいる所存でございます。  最後に、北朝鮮についてのお尋ねがありました。  我が国は、北朝鮮に対し抑止と対話のバランスをとりつつ対応していく方針であり、これまで、北朝鮮が国際的な懸念や日朝間の諸懸案にこたえる前向きの行動をとるところに従い、関係を改善する用意がある旨呼びかけてまいってきておるところでございます。また、日朝間の過去に起因する問題は、国交正常化交渉の中で話し合われるべきものであり、北朝鮮よりの前向きの対応を得て、正常化交渉を行う環境を整えてまいりたいと考えております。  以上、御答弁申し上げました。(拍手)     —————————————
  23. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 土井たか子君。     〔土井たか子君登壇
  24. 土井たか子

    ○土井たか子君 社会民主党・市民連合を代表いたしまして、小渕内閣総理大臣所信表明演説に対して質問いたします。  小渕総理大臣は、演説の中で、自民党、自由党、公明党改革クラブの連立を、政局を安定させる現下の最善の道と自画自賛して、経済、安全、安心を今国会の課題として示されました。総理の、いつもながらの通り一遍の所信表明において、絞られたテーマが安全であり安心であるというのは、まことに皮肉なことであります。なぜなら、現在の日本で最も失われているのが安全であり安心だからです。  私は、ただいまこの壇上から与党席を見渡しまして、改めてその数の大きさにぞっとする思いを抱いております。私たち衆議院議員五百人中、与党は三百五十六人、実に七一・二%を占めているのであります。最近は、この国会状況を、第二次大戦中の翼賛政治体制になぞらえて心配する人々がおられます。それは誇張された言い方なのでしょうか。  昭和十七年に、東条内閣のもとに成立した翼賛体制は、衆議院議員四百六十六人中の三百八十一人で構成されておりました。全体の八二%が翼賛議員だったのです。ところが、さきの百四十五通常国会で国旗・国歌法が本院で可決されましたとき、その賛成者は四百三人、欠席、棄権者を除く四百八十九人中、ちょうど八二%を占めていました。その数字は、翼賛体制と偶然にせよ全く同じで、現在の国会を翼賛国会と呼ぶことが決して誇張ではないことを示しております。  選挙によらずにつくられたこの圧倒的な与党体制のもとで、この国会でも、小渕内閣は何でも思うがままに事を進めようとされております。それは、果たして小渕総理の言われる国民の安心、安全を求める政策なのでしょうか。  最近、しばしば都内の電車がとまるのはなぜだか御存じですか。多くは自殺、しかも中高年の自殺であります。引き続く企業倒産、リストラ、失業、借金苦などにより、将来に展望を失った中高年の自殺は、一年で四割もふえています。平均寿命を〇・二歳引き下げるほどの異常な激増ぶりです。人々の生活や将来に対する不安は頂点に達し、もはや絶望にまで至っているのです。  そこにもってきて、連続して起こったのが、新幹線のコンクリート落下事故であり、東海村の臨界事故でした。いずれも、信じられないほどのずさんな管理が引き起こした事故であります。日本は大丈夫なのか、内外から疑問や懸念の声が上がっております。かつてあれほど高かった日本の技術力や管理運営能力への信頼は、一挙に崩れ落ちてしまいました。そして、JR西日本や日本政府が出す安全宣言を、今やだれも信じられなくなっています。  今回の東海村臨界事故は、詳細がわかればわかるほど、その影響の大きさとお粗末な原子力行政実態が明らかになっています。  私は、社民党の調査団として東海村の現地調査に行き、まずびっくりしたことは、ジェー・シー・オーの近辺の住民の方々も、すぐお隣の人々も、事故の起きるまでここに核燃料加工施設があることを全く御存じなかったことです。知らされていなかったのですね。  今回の事故は、原子力防災の問題である以上に、大きな安全審査システムの欠陥の問題です。原子力施設にとって最悪の事態ともいうべき臨界事故を安全審査において想定していないというのは、余りにもお粗末、ずさんで、ぞっとします。ジェー・シー・オー東海事業所を認可した科学技術庁責任内閣政治責任は当然追及されねばなりませんが、ジェー・シー・オーだけではありません。全国には核燃料加工施設や原子力関連施設があります。事安全性の問題と人の命や環境にかかわる問題は、経済の効率を追っかけるだけの姿勢では責任危機管理もいいかげんになることを示しています。  今回の臨界事故を通じて、総理は何が一番問題だとお考えでしょうか。また、この節、思い切ってこの国会を原子力検討国会として原子力政策の見直しをして、原子力に頼らないエネルギー政策に真剣に取り組む決断を総理に求めたいと思います。(拍手)  総理演説には、こうした深刻な事態に対する真摯な受けとめ方が全く感じられません。不安と絶望の中にある人に、連立政権成立総理所信表明はどれほどの希望を届けたことでしょうか。  中小企業国会とみずから名づけられた重要な臨時国会を前に、連立政権の中で何が行われたのでしょうか。西村眞悟防衛政務次官の暴言事件と辞任であり、企業団体献金禁止約束のほごであり、選挙目当ての介護保険料徴収の先送りでありました。私は、この政権に見識を問い、責任を問い、手前勝手の傲慢連立政権と呼びたいと思います。(拍手)  まず、見識を問いたいと思います。  先日辞任した西村眞悟防衛政務次官のことであります。  総理は、政務次官の週刊誌での発言を「不適切な発言」とし、「女性べっ視の発言に至っては、女性の気持ちや人権を踏みにじるもの」と述べておられますが、不適切どころではありません。総理女性に対するこのあからさまな差別、べっ視に対しては、考え方や年齢を超えて、すべての女性が怒っています。社民党の女性議員に対して、「お前が強姦されとってもオレは絶対に救ったらんぞ」というくだりに至っては、ある女性は怒髪天をつくと表現されていました。女性をここまでばかにし、ないがしろにした発言を、総理、不適切の一言で片づけられてはたまりません。何のために男女共同参画社会を目指そうというのでしょうか。  また、強姦しても罰せられないなら、男は皆強姦魔になっているという発言がありますが、総理は男性として、この発言をどう思われますか。西村次官はこうして、女性のみならず、男性をも侮辱したのでございます。  また、抑止力がなければ日本は他国を攻めていくのでしょうか。核兵器がなければ日本は安全ではないのでしょうか。何という時代錯誤な安全保障観でしょう。  この人の考え方や行動について、知らなかったとは言わせません。総理が外務大臣だった百四十二国会において、四回も質問に立ったのは西村次官だったのではありませんか。総理が外務大臣として最も力を注がれた地雷の全面禁止条約に対して、最も強硬に反対を唱えたのが彼だったのではありませんか。  総理所信表明で、我が国は国際社会の中で率先して核軍縮、不拡散政策に取り組んできたと述べておられます。平和憲法や非核三原則について尊重する姿勢を見せず、国際的な軍縮・核廃絶の機運を全面否定するよう議員をなぜ防衛政務次官に任命されたのか。改めて総理の御見識を問いたいのでございます。(拍手)  次に、その責任を問いたいのは、介護保険保険料の徴収見合わせと家族介護への慰労金という現金給付がそれです。  この措置は、介護保険という制度を根幹から揺るがし、精力的に準備を進めてきた自治体に大混乱をもたらすのみならず、ツケを将来に回す新たなばらまきにほかなりません。  来年四月のスタートを前に、各自治体ではこの十月から要介護申請の受け付け、要介護認定審査会も始まったばかりです。この時点においてこのばたばたした見直しは何のためでしょう。もちろん、介護保険には多くの問題があり、それを是正していく見直しならば大いに歓迎すべきです。しかし、今回のばたばた見直しは到底そのようなものとは思えません。  もともとこの制度は、家族による介護の負担を軽減し、社会全体で介護を担っていこうという理念のもとにつくられたものです。したがって、保険料の徴収は現物給付に対する権利の裏づけとなるものです。家族介護の美風を守る慰労金などという考え方、その発想とは全く別のものです。家族への現金給付は、女性による家族介護を固定化してしまって、在宅サービスの整備をおくらせる可能性があります。  総理にお聞きします。  与党三党は徴収を半年見合わせると言われているようですが、政府はさらに法の趣旨をねじ曲げて、それを引き延ばされるという報道にあきれています。それはどのよう理念に基づいているのですか。その保険料と慰労金財源はどこから持ってこられるのですか。  これでは、選挙目当ての無責任政治と言われても仕方がないのではないでしょうか。選挙が終われば消費税の大幅引き上げとなることを懸念する声は、ただいま怒りとなっております。総理、ここではっきりしてください。  もちろん、介護保険に問題がないと言っているのではありません。見直すというならば、介護サービスの人的、物的な基盤整備と低所得者対策をこそが最優先で行われなければならないというのが、社会民主党の立場であり、見解です。そして、何よりも必要なのは、介護保険実施に向けて日々大変な努力と苦労を重ねている各市町村に、何が困難なのかをよく聞いてみることではありませんか。そこから始めるのが常識ではありませんか。総理、いかがですか。  老後の所得保障の柱である年金制度改正は、また先送りされるのでしょうか。前通常国会では、会期末の七月下旬になって政府・与党はようやく年金改革関連法案を出したばかりか、ついに一度も審議されないという異常事態を招きました。御自身の責任を含め、総理の御所見を伺いたいです。  現行制度の最大の課題は、基礎年金の国庫負担分を今年度中に二分の一に引き上げることです。五年前の前回の改正においてのそれは、立法府の意思であり、国民への約束です。第二次補正予算はまだ作成中というときにこの国会が召集されるという異常な状態ですが、国民の将来への不安にこたえ、安定した制度とするためにも、改めて総理の御決断を求めます。  障害者年金における無年金問題についても、市町村の特別給付を支給しているところも多くあり、国としても早期の救済措置を講じるべきと考えますが、総理の御見解を伺います。  なぜ手前勝手な政権と言うかといえば、衆議院の定数削減企業団体献金禁止公約のほごがそれであります。そして、この問題ほど、この政権の性格を明らかにしているものはありません。  与党三党は、この国会の冒頭で、衆議院の比例代表選出議員二十を削減するとしています。我が党は反対です。議院内閣制をとっている日本においては、権力の源泉は国会であります。国会議員は正当な選挙を通じて国民の厳粛な信託を受けるのであって、選挙制度はでき得る限り国民の意思を正確に議席に反映させるものでなければなりません。選挙制度は民主主義の根幹なんです。憲法上にも明確に示されたこの理念について、総理も異議は唱えられないと思います。  言うまでもなく、現在、衆議院の定数五百のうち、小選挙区が三百、比例代表選挙区が二百であります。その二つの選挙制が並立して結び合わされたのは、小選挙区制では死に票や一票の格差が大きく、民意を著しくゆがめてしまうからです。つまり、比例代表部分は、そのゆがみを是正して民意をできるだけ反映するように意図して設けられたのであって、現選挙制度は小選挙区制と比例代表制を一体として成り立っております。  その民意を反映させるために設けた比例代表部分からだけ議席を削減するのはなぜでしょうか。二十という数字に何の意味があるのでしょうか。全く理の通らない話であります。  小選挙区制が大政党に有利な選挙制度であることはよく知られています。比例代表を組み合わせた現在でさえ、自民党は三七%の得票で五七%の議席を得ています。自民党の多数は、実は虚構の多数であります。この虚構をさらに大きくしようというのが今回の改悪案であります。  当初、五十の削減案に猛反対であった公明党は、二十でなら党に余り影響が出ないと考えられたのか、この案に賛成のようでありますが、それでは、この案全体が連立三党の都合だけで妥協した手前勝手以外の何でありましょうか。比例区選出議員定数の削減も、定数問題は与野党の選挙制度等に関する協議会で論議中であるはずです。  総理、六党の選挙制度等に関する協議会と今回の三党合意との関係はどうなっているのでしょうか。私は、今回の政策合意はあくまでも三党間限りの合意であって、国会における選挙制度に関する制度的取り扱いとは全く別なものであると認識します。選挙制度を変えることはあくまでも各党の一致が前提であって、協議会で各党が合意したものを立法化するという協議会における確認を尊重すべきではありませんか。総理のお考えはいかがでしょうか。民主主義の根幹たる選挙制度を、国民をないがしろにして、かくも自党だけの都合で変えてしまっていいものですか。それをお聞きしたいのであります。(拍手)  企業団体献金禁止のほごに至っては、その余りの手前勝手さにあいた口がふさがりません。所信表明で一言も触れられなかったのはなぜですか。総理、正直にお答えいただきたいのです。  政党政治を育成するという理念のもとに政党助成金を国から支出することを決めたとき、それは理の当然として、企業団体献金禁止を前提とするものでした。しかし、自民党は五年間の猶予が必要ということで、社民党を初め他の政党は、理に合わないと思いながら、渋々この猶予を認めたのです。  それを、五年の期限が切れる寸前になって、来年以降も存続させる、政党助成金ももらい続けるというのです。しかし、それでは余りにも格好がつかないからというのでしょう、政党助成金は減額すると言い始められております。何という身勝手、何という手前勝手な方針でしょうか。この十年間の政治のあり方をめぐる議論は、一体何と考えておられるのか。  そもそも、政治家個人に対する企業団体献金禁止は、リクルート事件などの贈収賄事件、政界の腐敗が明るみに出て、国民的な批判が噴出したことを受けて各党が合意した国民に対する公約であります。  例えば、不良債権問題で湯水のように税金を注がれた銀行やゼネコンから献金があったとするなら、国民はこれを納得するでしょうか。献金をする大企業銀行宗教団体などが一方的に利益を受け、そのしわ寄せが弱い者、小さなものに集中するならば、これは著しく社会的正義に反すると言わなければなりません。そして、正義の行われない社会は、必ずやがて衰退していきます。国民全体の利益を考え、社会的な正義の原則のもとに政策を立て実行することが、政治の第一の責務です。(拍手)  総理企業団体献金禁止をほごにするという公約違反は、小渕政権は、国民全体を見ず、今までと変わることなく献金をしてくれる企業や団体の方を向いて政治をしますよという宣言になりはしませんか。個人献金が少ないというのは理屈になりません。  総理政党政治について責任を持つ、したがって、政党を公的な存在として育成するというのが政治改革理念だったのではないのですか。企業・団体の献金をこれからも温存し、政党助成を減らすということは、これまでまじめに献金問題に取り組んできた政治家政党であればであるほど足をすくわれることになるんです。自党の手前勝手な都合ばかりで、政治改革の大事な取り組みを弊履のように投げ出すおつもりですか。  小学生にだって、この公約違反のおかしさはわかっています。公約も守ることができない政治家が、あすに希望を持ち、未来の発展を確信できる世の中をともに築いていこうではありませんかと言っても、だれが信ずるでしょうか。  メモによらないで、御自身で、総理の御意見をしっかり出していただきたい問題があります。  受託収賄罪事件として有罪が確定した政治家は、本来、議員を辞職することが国民に対する当然の政治家としての責任のとり方であると思いますけれども総理はどのようにお考えになりますか。ぜひお伺いしたいのです。  自民党の総裁としての総理お尋ねしたいのですが、公党としての自民党とすれば、収賄事件で有罪が確定した方については、けじめをつけるのが国民に対してとるべき姿勢ではありませんか。離党で事足りるとするのは、身内をかばう意識であっても、国民に対する公党としてのけじめの方が大切ではありませんか。そこに公党としての倫理観が問題になりましょう。  また、一九九二年の公職選挙法の改正の折、経過措置があって、それ以前の行為については執行猶予がつけば公民権停止にはしないとなっています。しかし、これはあくまでも不利益不遡及というやむを得ない法律上の考え方であって、政治家としては、法の精神からして、みずから責任をとるべきものと考えますが、総理、いかがですか。(拍手)  社民党がかつて連立を組んだときの自民党は、野党の経験がきいたのでしょう、ここまで傲慢ではありませんでした。そのために、情報公開法も、地方分権も、NPO法も、被爆者や水俣への補償も、侵略や植民地支配への反省も実現できたと思っております。ところが、自民党は過半数を超える数を得るようになって、次第にもとの体質に戻り、近ごろでは傲慢さえ感じられるようになりました。それは、派閥の均衡を重視した第二次小渕内閣の組閣のやり方、顔ぶれを見ればよくわかります。再び数が力、金が力ですか。  小渕総理に改めて申し上げます。数が多数かどうかが実は問題なのではありません。その主張が正しいのか正しくないのか、国民のためになるのかならないのかが問題だと思います。この連立政権は、国民のためになる何事かをなし得るのでしょうか。私には大いに疑問です。企業団体献金禁止という公約をしっかり守っていただきたい。国民の信なくして政権の存立はあり得ません。一日も早い解散・総選挙を強く要求するものであります。(拍手)  最後に、二つ重要な問題について伺います。  第一は、中小企業対策です。  小渕総理はこの臨時国会中小企業国会と呼ばれているようですが、基本的なところからして問題があります。それは、中小企業者の範囲が見直されることです。現在の範囲が一九七三年に定められまして、その後の経済発展を考えれば、一定の範囲の拡大は必要でしょう。しかし、今回出されている案は、資本金の額を一気に三倍以上に引き上げようというものです。国家財政が厳しいとき、乏しくなる一方の中小企業関連費が拡大された範囲の中堅企業に集中して、最も政策的な援助を必要としている小規模、零細事業者に一段と薄くなることは明らかです。したがって、今回の改正に当たっては、範囲の拡大を抑えるとともに、中小企業の定義を細分化するような改正が必要と思われます。総理、いかがお考えでいらっしゃいますか。  銀行は次々と合併を行い、いよいよ規模を大きくしておりますが、一方で中小企業への貸し渋りは少しもやんでおりません。中小企業が今大問題になっている高利の商工ローンなどからの借り入れに走る背景には、銀行の貸し渋りがあります。そして、その銀行商工ローンに資金を貸し出している。何かおかしいのじゃありませんか。  金融社会を循環する血液であって、大中小さまざまな企業の生産と生活者の消費の間をめぐって、人々を生かすものです。だからこそ銀行は重要な社会的な役割を持ち、公的な存在だからこそ、税金を導入することもやむを得ないという判断がなされたのでありましょう。しかし、銀行が生き残っても、お金が回らず、むしろ中小企業に貸し付けていたお金を回収し、企業にリストラを強制し、その結果人々の暮らしが成り立たなくなったというのでは、本末転倒というべきでしょう。何のために公的資金を導入したのでしょう。  景気回復の先導役であり、また雇用の大きな受け皿であった中小企業は、こうして今疲弊し切っています。その多くは政府の言うベンチャーではなくて、またベンチャーに変わる可能性も低い企業です。そこで働く人々、生きる人々が切り捨てられるよう政策は、何といってもおかしいと思います。  民間企業のリストラを国が後押ししてはなりません。今国会提出された民事再生手続法案を見ますと、さき国会成立した産業活力再生法でさえあった、リストラにおいては雇用に配慮して労働者との労使協議を行うという企業への義務づけすら、なぜなくなってしまったのか。下請の保護規定が極めて不十分なのはなぜか。これで中小企業国会と言えるのでしょうか。人々の暮らしと雇用を守り、将来を安心して迎えることができるためにどうしようとされるのか、総理にお聞きしたいと思います。  最後に、自衛隊の国連平和維持活動について伺います。  連立政権ではしきりに、現在凍結されているいわゆる平和維持本体業務、PKFの凍結解除が取りざたされております。PKFについては、憲法禁止された海外での武力行使につながるおそれがあるとの懸念から、九二年の国際平和協力法成立の際、当時の自公民三党の修正協議の末、凍結されたものであります。自衛隊のPKF任務については、より危険な任務に派遣することになり、直ちに賛成しがたい課題でありますが、自衛隊の国連平和維持活動自身は、これまで地道な活動を継続し成果を上げてきたことは認めるにやぶさかではありません。  気になるのは、自衛隊の国連平和維持活動参加に当たっての基本原則、いわゆる五原則を見直すがごとき議論が出ていることです。昨年国会で審議された国際平和協力法の一部改正の議論の中で、当時の橋本総理は、五原則について、「我が国が国連平和維持隊に参加するに当たって、憲法で禁じられた武力の行使をするという評価を受けることがないことを担保する、そうした意味合いで策定をされました本法の重要な骨格であります」との考えを述べておられます。  小渕総理大臣お尋ねしたいのは、まさかこの「重要な骨格」を骨抜きにしたり、この原則の改変はあり得ないと思いますが、重要な問題ですので確認の意味でお尋ねをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)     〔内閣総理大臣小渕恵三登壇
  25. 小渕恵三

    内閣総理大臣小渕恵三君) 土井たか子議員お答え申し上げます。  まず、原子力政策の見直しについて冒頭お尋ねがございました。  今回の事故が、我が国の原子力安全対策のあり方全般にわたって大きな疑問を投げかけ、国民の信頼を損なったことを厳しく受けとめております。しかし、資源に乏しい我が国が社会経済の安定的発展と地球環境の保全を図るためには、原子力抜きのエネルギー供給は不可能であり、安全の確保を大前提にその開発利用を進めてまいります。そのため、今回の事故原因の徹底究明を急ぎ、再発防止対策の早急な確立、実施に努めてまいる所存であり、今国会に、原子力に関する安全規制及び防災対策の強化のための法律案を提出いたしております。  次に、安心と安全の確保についてお尋ねがありましたが、年初の施政方針におきましても、二十一世紀に向けた国政運営を五つのかけ橋を基本に進める旨明らかにし、その中で、安心へのかけ橋、安全へのかけ橋を位置づけ、これらの課題について全力で取り組んできたところでございます。  特に、当面の最重要課題として、経済新生を通した雇用機会の増大や、年金や介護など、安心で活力ある社会の整備、さらには原子力安全防災対策や、いわゆるオウム対策関連法による安全な社会実施に向け取り組んでまいる所存であり、今国会での関連法案等につき御審議願いたいと考えております。  先般、西村前防衛政務次官からの不適切な発言がなされたため、その辞表を受理し、直ちに更迭をいたしました。この発言につきまして、たとえ個人見解と断った上でのものとはいえ、政務次官という政府の要職にあることを深く自覚して適切に対処すべきであったと、まことに遺憾と考えております。  このたびの組閣では、国会審議活性化法の趣旨を踏まえ、政務次官人事にも十分意を用いたつもりでありましたが、このよう事態になり、まことに残念であり、任命権者として、国民の皆様に深くおわびを申し上げる次第でございます。  今後、内閣が一致結束して山積する重要問題に取り組み、国民の負託にこたえていくことこそが私としてなすべきことだと強く念じております。  なお、西村議員の防衛問題についての個人的意見については私としてもある程度承知をしておりましたが、結果として国民の不信を招き、今回の事態に至ったことはまことに申しわけなく、責任を痛感いたす次第であります。  政府に対して申し入れのありました介護保険に係る三党合意について、次にお尋ねがありました。  新しい介護制度の円滑な実施のため、介護サービスの適正な給付が実現されるまでのおおむね半年間、保険料にかかわる部分については実施しないという内容等が盛り込まれているものと承知をいたしております。  申し入れの事項に対する具体的な対応につきましては、現在、財源の手当てを含め早急に政府部内で検討してまいります。  政府に対して申し入れのありました介護保険に係る三党合意についてのお尋ねでありますが、新しい介護制度の円滑な実施のため、基盤整備の推進や、低所得者対策に関する内容も盛り込まれているものと承知をいたしております。これらの内容は、市町村からの要望の趣旨にも沿うものと理解しております。  いずれにいたしましても、これまた、申し入れの事項に対する具体的な対応につきまして、早急に政府部内で検討してまいります。  次に、年金制度の改正についてのお尋ねがありました。  年金制度改正につきましては、将来世代の過重な負担を防ぐとともに確実な給付約束するとの考え方に立ち、制度全般を見直すための法案さき国会提出し、継続審議となっております。年金制度に対する国民の信頼を揺るぎないものとするために、その一日も早い成立に向けて御審議をお願いいたしたいと考えております。  基礎年金の国庫負担率の引き上げにつきましては、前回改正時におきまして、財源を確保しつつ検討を加えることとされておりますが、莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況等にかんがみ、今回の年金改正で実施することは困難であると考えております。  年金改正法案におきまして、「基礎年金については、財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」の附則が設けられているところであり、安定した財源確保のための具体的な方法と一体として検討する必要があると考えております。  障害無年金についてでありますが、いわゆる無年金障害者に対し年金制度において何らかの給付を行うことは、制度加入者に対し保険料の負担に応じて給付を行うという年金制度の根幹に触れるものであること、制度に加入し保険料を納めてきた人々との間で公平の問題が生じること等の問題があり、現在の年金制度の仕組みのもとでは極めて困難であると考えております。  また、障害者施策の中で福祉的措置をとることについては、障害者福祉施策は障害の内容等に応じて必要なサービスや手当を給付することを基本としており、無年金障害者に着目した施策を講じることは現行の施策体系のもとでは困難であること、追加的財源を確保することが必要であることなどの問題があると考えております。  このように、この問題については解決に向けてなお難しい論点が残されているところでありますが、今後とも関係方面の御意見も十分に伺いながら、幅広い観点から検討を行いたいと考えております。  次に、衆議院議員の定数削減についてのお尋ねでありましたが、この問題につきましては、先般、自民、自由、公明三党の間で合意がなされたところであります。また、御指摘の六党の協議会につきましては、十一月四日に開催され、選挙制度等について議論されるものと聞いております。  国会議員の定数のあり方につきましては、議会政治の根幹にかかわる問題でありますので、各党各会派におきまして十分議論を深めていただきたいと存じます。  次に、企業団体献金についてのお尋ねがありました。  企業団体献金の取り扱いにつきましては、過般、自民、自由、公明の三党間の協議で、次期臨時国会開会までに、自由民主党において提案協議の上結論を得るものとすることで合意されたところでありまして、これを受けまして、自民党におきまして、企業団体献金の問題を初め、政党助成政治資金制度改革について総合的な検討を行い、政党助成政治資金制度等改革基本方針を取りまとめ、自由、公明の二党に提示されたところと承知いたしております。  いずれにしても、これらの問題について、各党各会派におきまして十分論議を深めていただきたいと考えております。  次に、収賄罪にかかわる有罪が確定した議員国会議員としての身分の問題についてでございますが、数次にわたりまして法改正がなされたところであります。大変厳しい取り扱いとなってきていることにつきましては承知をいたしております。私としても、政治家政治倫理の問題について重く受けとめているところでございます。  議員から、三党連立内閣について御批判の上、また解散についてお尋ねがございました。  我が国におきましては、経済新生や安全対策など、直ちに実行、実現に努めなければならない緊急の課題が数多くあり、またその一方で、二十一世紀を見据え、長い視野で考え、先見性を持って手を打たなければならない課題もあります。こうした中で、私は、安定した政局のもとで政策を共有できる政党が互いに切磋琢磨し、よりよい政策を練り上げ、相協力して実行に移していくことが国民や国家のためだと確信し、三党の広範な政策合意をもととして連立内閣を樹立したところであります。  このよう内閣に与えられた使命にかんがみ、また現下の緊急課題につき、まさに今国会で御審議をいただくときに当たりまして、安定的で確固たる政権運営に全力を傾注すべきでありまして、解散は全く念頭にありません。  いわゆる金融ビッグバン、金融システム改革についてのお尋ねがありました。  金融システム改革は、国民金融資産の有利な運用と円滑な資金調達を可能とし、経済全体の動脈ともいうべき金融、ひいては我が国経済を活性化させるものであり、今後とも着実に推進してまいる所存でございます。  また、いわゆる貸し渋り問題につきまして、政府におきましてはこれまで信用補完制度の拡充等さまざまな措置を講じてきたところでございますが、さらに、信用保証協会の特別保証枠の追加などの中小企業向けの金融対策を講ずることといたしております。  御指摘のように、中小企業政策につきましては、中小企業政策の見直しの方向性、定義の拡大、そして民事再生手続法案についてのお尋ねもございましたが、今国会提出しております中小企業基本法の改正法案は、中小企業日本経済の牽引力となって元気に活躍していただくことを目指し、産業と雇用を生み出す中小企業政策の体系の構築を図るものでありまして、中小企業やそこで働く方々の切り捨てというものでは決してありません。また、中小企業の定義の拡大は、昭和四十八年の定義改正以降の経済実態等を踏まえた適切なものと考えております。  民事再生法案に関しましては、政府部内で検討を進めておりますが、従業員の保護にも十分配慮した内容にする考えでございます。  最後に、いわゆるPKOへの参加五原則についてのお尋ねがありました。  この五原則は、我が国が国連平和維持隊に参加するに当たって、憲法で禁じられた武力の行使をするとの評価を受けることがないことを担保する意味で策定された国際平和協力法の重要な骨格でありますので、仮にPKF本体業務の凍結が解除されるといたしましても、五原則を変更することは政府として考えておりません。  他方、この問題につきまして種々議論があるところでもありますので、今後各党各会派におきまして十分御議論を願いたいと考えております。  以上、御答弁を申し上げた次第であります。(拍手
  26. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  27. 渡部恒三

    ○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  小渕 恵三君         法務大臣    臼井日出男君         外務大臣    河野 洋平君         大蔵大臣    宮澤 喜一君         文部大臣    中曽根弘文君         厚生大臣    丹羽 雄哉君         農林水産大臣  玉沢徳一郎君         通商産業大臣  深谷 隆司君         運輸大臣    二階 俊博君         郵政大臣    八代 英太君         労働大臣    牧野 隆守君         建設大臣    中山 正暉君         自治大臣    保利 耕輔君         国務大臣    青木 幹雄君         国務大臣    越智 通雄君         国務大臣    瓦   力君         国務大臣    堺屋 太一君         国務大臣    清水嘉与子君         国務大臣    続  訓弘君  出席政府特別補佐人         内閣法制局長官 津野  修君