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福岡委員 これらの
諮問というのは、やはり
犯罪被害者に対するいわゆる
刑事裁判におけるところの
地位というものをはっきりと位置づけるということで大事なものだと思いますので、早急な
答申を得て、ぜひとも早く
実施をしていただきたいというふうに思っています。
しかしながら、これを
実施するについてはやはり四つのことに留意していただきたいと思うのであります。
その第一は、
被害者のプライバシーを尊重して、くれぐれも第二次
被害的なものを発生しないような
配慮、特に
報道等によるところの第二次
被害が非常に問題になっておりますから、そういうものに対する
対応ということが第一番です。
さらに、
捜査段階において、
犯罪被害者に敬意と共感を持って接して、
被害者と
加害者との
関係、いろいろな
関係がありますね、肉親であるとか取引の
関係とか、そういうものによるところの
偏見なんかを持った
取り調べをするということについての苦痛の除去とか
配慮というものが必要であるということ。
さらには、いろいろな
考え方があります、信条であるとかさらには宗教の違いであるとか、いろいろな問題がありますけれども、そういったものの
偏見取り調べというのが非常に問題になっておるわけでありますので、そういったものの
配慮が必要です。
さらに、四番目としては、そういう
被害者のことを強調すると、だからといって、
被疑者や
被告人の利益のことはいいんだというふうになっては困るわけなので、あくまでも、
反対尋問権の
保障等を含めた十分な
被疑者、
被告人に対する
配慮というものとのバランスを忘れてはいけない。
こういう四点がありますけれども、これをぜひとも守っていただきたい、
法制審議会の討議の中においても十分に議論をしていただきたいということをちょっと注文いたしておきたいというふうに思います。
次に、当面問題になっておる
被害者対策として、緊急の
要請のことはどういう点だという点についてちょっと御
質問をいたしたいわけであります。
私の考えるのに、現在言われておる一番緊急の
要請というのは、
被害直後におけるところの
危機状態、それによって
医療にかかるとか、家を失って路頭に迷うとか、それから
生活費があすからのものまでなくなってしまうというような
状況に追い込まれるとかという
緊急状態に対する
対応というのが現在は十分にされていないということが一点あります。
それから、
先ほどからもちょっと問題になっていまして、
警察庁の方も
対応はされておりますけれども、
医療と精神的な
カウンセリングの問題、これについてもまだまだ不十分であるわけですし、それから
報道被害とか第二次
被害のようなものに対して、やはり的確にそれに
対応し、避難をするような施設とかそういうものも十分ではないということであります。
それからさらに三番目が、
先ほどから私も
質問いたしました、経済的な
被害の
回復の問題。今、
給付金制度がありますけれども、これは
最高額は一
千万ちょっとであります。そして、
先ほどのお話ですと三百六十六万というのが
平均ということになっておりますし、要件もかなり厳格で
手続しにくいという声が多いんですね。したがって、
先ほど言いましたように、非常に
利用者が少ないというのはそういうようなところから来ておるわけであります。
特に、
交通事故の
強制賠償、これは三
千万なんですね。保険という面はありますけれども、ともかく
社会全体で補てんしていこうという
考え方で
交通事故の場合は三
千万という形が
最高限になっていますけれども、それよりも三分の一以下、こういうような
状況というのが本当の
意味で
国家的、また
地方公共団体なんかの
公的機関の
負担としていいのか、こういう問題になっているわけであります。
ちなみに
欧米では、
国民一人
当たりで大体五百円前後ぐらいの
負担でそういった
被害者救済なんかやっているようですけれども、
日本はわずかに五円ぐらいのものだということで、百分の一ぐらいだ。しかも、没収であるとか追徴とか罰金なんか、そういったものが
財源に充てられておるというわけでありますけれども、
日本ではそういったところがないということがあるわけであります。
したがって、
財源もそういうようなことを考えれば十分に賄えるし、年間、十年の総枠が五億何
千万というのですよ。本当に微々たるものですね。だから、これを充実させてふやしても、
国家予算からすれば本当に微々たるものというふうにもとれるわけであります。それによってある
程度生活が安定し、
家族の一人が、特に
中心になる人が亡くなられた場合においても、ある
程度の
補償というもので
生活の足しになるというような形になってくるというふうに思うわけであります。
したがって、これらの点については早急に抜本的に見直しを図る。
先ほども
警察庁言いましたように、
見舞金としてとおっしゃいましたね。まさにこの
制度はそうなんですよ、
見舞金、恩恵です。そうではない、
権利としての
制度というふうに考えれば、少なくとも自賠法の三
千万を超える
金額という
補償をする。しかも、それは
損害に応じてですから、何も常に三
千万払うということではありませんよ。三
千万を超えるものにすれば、
平均は数百万円ぐらいか一
千万近くぐらいになるかもしれませんけれども、それでも大した
予算ではない。
ぜひともこれは早急に着手をしていただきたいと考えますけれども、この点についてはどのように考えておられるのか、
法務大臣の御所見をお
伺いしたいわけであります。