○木島
委員 前回も述べましたが、私は、公安調査庁が発行している「内外情報の回顧と展望」、ずっと経年的に読んできているのですが、九六年一月に発行された「回顧と展望」で、初めて
オウムの問題が記載されるようになっているのですね。しかし、実際には、
オウムがどんな重大な犯罪をこの十年間やり続けてきたかはもう現在では明らかですし、それが
オウム教団のしわざであるというようなことも、マスコミ界ではいろんな形で
指摘されてきたわけでありまして、
オウムに関する公安調査庁の動きというのは、率直に言って、余りにも鈍過ぎたと評価されているのは当然だと私は思うのです。
実は、逆に、この現行破防法の二十七条から三十四条のいわゆる調査、これがとんでもない拡大解釈のもと利用されているということは、もう今日、公然たる事実であります。
現行法でもこの政府が出してきた
法案でも、この歯どめをかける仕組みは、
法律第三条の一般的訓示規定しかありません。いわゆる
規制の基準、三条二項です。「この
法律による
規制及び
規制のための調査については、いやしくもこれを濫用し、労働組合その他の
団体の正当な
活動を制限し、又はこれに介入するようなことがあってはならない。」これは精神的な歯どめだけであります。
しかし、
現実にはこの調査権がどんなに濫用されているか。私
ども日本共産党に対しては、もう有名な事件でありますが、八八年十一月に党本部に対する盗み撮り事件というのが発覚したわけであります。
また、ちょうど
オウムの事件が起きた年に、その年の一月十七日に起きた阪神大震災、あのボランティア
団体がどんな
活動をしているか、そんな調査を公安調査庁は物すごくやっているわけであります。私の手元にある、九六年一月発行の「内外情勢の回顧と展望」も、それが非常に詳しく書いてあるのです。私
ども日本共産党やその他の、この言葉によりますと、日共系大衆
団体がどんな阪神大震災の救援
活動をやっているか、詳しく述べられているのです。
そしてまた公安調査庁は、例えば、全国各地で展開されておる市民オンブズマン運動、これに対する調査、あるいは国会の上でも大問題になりましたが、サッカーくじの導入に反対する世論と運動。例えば、
日本PTA全国協議会、主婦連合会、東京
弁護士会、こういう
団体はサッカーくじ導入に反対している、そんなことで調査をする。
こういうふうに、
現実にはこの調査権は、とても破防法の規定なんというものじゃなくて、政府の政策に反対する
国民の
活動に広く
適用され、調査が行われてきた。公然たる事実であります。しかも、その調査の方法は、いわゆる社会的、道徳的にも到底認められないような方法をとって行われてきた。そういう事件が既に何件も明るみにされているわけであります。
そこで、
法務大臣にお聞きしたいのです。
こういうような公安調査官の調査の実情なんですね。それが
憲法違反じゃないかと厳しく各界から
指摘されてきたと思うのです。その調査の権限を全く一字一句変えないで、この
法案の中に全面的に盛り込んできた。なぜですか。