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1999-11-24 第146回国会 衆議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月二十四日(水曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 松岡 利勝君    理事 稲葉 大和君 理事 松下 忠洋君    理事 宮本 一三君 理事 小平 忠正君    理事 鉢呂 吉雄君 理事 宮地 正介君    理事 一川 保夫君       赤城 徳彦君    今村 雅弘君       衛藤征士郎君    小野寺五典君       河井 克行君    北村 直人君       熊谷 市雄君    栗原 博久君       塩谷  立君    園田 修光君       野呂田芳成君    藤本 孝雄君       二田 孝治君    御法川英文君       矢上 雅義君    谷津 義男君       安住  淳君    木幡 弘道君       佐藤謙一郎君    堀込 征雄君       上田  勇君    漆原 良夫君       木村 太郎君    井上 喜一君       佐々木洋平君    菅原喜重郎君       中林よし子君    藤田 スミ君       前島 秀行君     …………………………………    農林水産大臣       玉沢徳一郎君    農林水産政務次官     谷津 義男君    農林水産政務次官     金田 勝年君    政府参考人    (厚生大臣官房審議官)  吉武 民樹君    政府参考人    (農林水産省経済局長)  石原  葵君    農林水産委員会専門員   外山 文雄君     ————————————— 委員の異動 十一月二十四日  辞任         補欠選任   石橋 大吉君     堀込 征雄君 同日  辞任         補欠選任   堀込 征雄君     石橋 大吉君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百四十五回国会閣法第一二三号)     午後二時開議      ————◇—————
  2. 松岡利勝

    松岡委員長 これより会議を開きます。  第百四十五回国会内閣提出農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省経済局長石原葵君及び厚生大臣官房審議官吉武民樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松岡利勝

    松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 松岡利勝

    松岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗原博久君。
  5. 栗原博久

    栗原(博)委員 年金につきましてお尋ねいたします。  本委員会のほかに、厚生委員会を初め各委員会で、今年度、十一年度の財政計算に基づく年金制度改正が行われているわけでありますが、私は農林関係についてお聞きしたいと思います。  おわかりのとおり、農林年金は、戦後、昭和三十四年ですか、厚生年金から独立したと思うのですが、過去をひもときますと、例えば農林漁業団体の主たるメンバーであります農協におきましても、明治三十三年ころには産業会という名前で地域に貢献をいたしておりましたし、あるいはまた、戦前戦後にかけましても、やはり産業会地域の中核で、我が国の国家の復興をかけて大きな働きを二十年から二十二年にかけて行ったと思うのです。  ですから、各役場の方に参りますと、私は実は新潟県の旧小合村という出身でありまして、私の役場の隣には農協がありましたし、また土地改良もありました。ですから、当然、戦後の復興の担い手の農協職員などは、やはり同じ棟におります公共団体の、要するに地方公務員と同じレベルの給与、あるいはまた年金の保証もそれに合わせる、そういう趣旨で、当時、厚生年金受給地方公務員等受給は約三倍の差がたしかあったと思うのですが、それを埋めるために農林漁業団体共済年金というのができたと思うのであります。  今日、幾多の変遷を経ながら、あるいはまた農協合併などいろいろな課題を含めながら、あるいはまた農林系統もどんどん合併しておりますし、そしてまた漁業協同組合も、一県一つ漁業協同組合になるというような動きもあるわけですが、そういう中で、今回の十一年度の財政計算の中における年金改正を迎えていると思います。  それで、お聞きしたいことは、これから少子高齢化社会でありますし、あるいはまた医療年金福祉など、国民財政負担というものは高まってくるわけです。そういう中で、負担を軽減せねばならぬという課題もあろうと思います。あるいはまた、金利がゼロ金利でございますから、年金運用も大変な状況でありますから、それも踏まえて今回の改正もあるかと思うのですが、ひとつ今回の改正要点、その点を先にお聞きします。お願いします。
  6. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農林年金制度につきましては、厚生年金制度や他の共済年金制度改正に準じて改正を行うこととしております。  お尋ね改正要点はいかがかということにつきましては、まず第一に、共済年金給付水準適正化すること、共済年金の額は、六十五歳以降賃金スライドを行わず、物価上昇率のみで改定すること、三としましては、退職共済年金支給開始年齢を、平成二十五年度から平成三十七年度にかけて六十歳から六十五歳に段階的に引き上げること、四としまして、毎月の給与のほか、賞与掛金額及び年金額の算定の対象とする総給与制導入することなどが要点になっております。
  7. 栗原博久

    栗原(博)委員 今回の給付水準五%の適正化は、受給者に対してどのような影響を与えるかということをお聞きしたいと思います。  もう一つは、農林年金は、制度的な問題もあると思いますが、掛金率が他の年金に比べて高いということがあるわけでありまして、それには、職域年金を厚くするとか、あるいはまた、過去においては、厚生年金の六十歳支給に対して五十五歳支給であったわけでありますし、現在では、厚生年金は平均六十二・五歳である、農林年金は六十・三歳であるというようなことで、ちょっと早目年金をもらっている方が多いわけです。あるいはまた、加入者伸び率につきましては、昭和三十五年に比較すると、農林年金の一・六七倍に対して厚生年金は二・四九、約二・五倍になっているのですが、そういうことを勘案しながら見ても、掛金がちょっと高い感じがあるわけであります。  今回、総給与制導入するわけでありますが、こういう中で、農林年金掛金率幾らになるかということをひとつお聞きしたいと思います。
  8. 石原葵

    石原政府参考人 お答えいたします。  二点お尋ねがございました。まず最初の、給付水準の五%の適正化、これが受給者にどのような影響があるのかという点でございます。  今回の改正におきましては、先ほどの大臣答弁にもございましたように、厚生年金改正に準じまして、将来の世代負担が過重なものとならないよう、給付水準を五%適正化することにしております。  この措置は、新規に年金額が裁定される者につきまして行われるものでございまして、既に年金受給しておられる方につきましては、生活水準の低下を強いられることのないよう、改正前の年金額を物価スライドさせた額を保証しております。  それからまた、新たに年金額が裁定される者につきましても、経過措置によりまして、適正化後の額が改正前の年金額を物価スライドした額を上回ることとなるまで、改正前の年金額を物価スライドした額を保証することにいたしております。  それから、もう一つお尋ねでございます、総給与制導入によりまして掛金率はどうなるのかという点でございますが、総給与制導入は、賞与の多い少ない、多寡によります組合員間の不公平を是正するためのものでありまして、財政的な増収対策を意図したものではございません。このため、総給与制導入によりまして、掛金徴収対象となる額が増加するということから、掛金率は引き下がることになります。
  9. 栗原博久

    栗原(博)委員 このたびの改正は、年金財政計算との絡みも当然でありますし、また、平成九年の四月に鉄道共済たばこなどが厚生年金と実は統合しておるわけですが、当時の鉄道共済成熟度が一五一、それからたばこは一〇三というふうに大変高い成熟度であります。農林年金は二七・二という、平成九年度における成熟度でございますが、これから、先ほど私もちょっとお話ししましたが、農協統合して、約五万人を削減して、リストラを図って、健全な農協にするとか、あるいは漁業系統森林系統組合大同合併をするということになりますと、当然組合員掛金を掛ける方が減ってくるわけであります。  その中で、先般、農林漁業団体が、この農林年金、過去は厚生年金から飛び出したような形ですが、今の時代の趨勢を見ながら、そしてまた、まだまだ含みのあるうちに厚生年金統合するべきだということで、平成十三年の四月一日を目途に統合したいという組織決定を実はされておるようでありますが、このことにつきまして、その管轄責任者であります、所管であります農林大臣から、その組織決定に対する大臣の御所信をお伺いしたいと思います。
  10. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農林漁業団体は、今後の農林年金制度あり方を検討した結果、農林年金組合員数農協系統組織整備合理化の取り組みにより急速に減少している状況等を踏まえまして、厚生年金との早期統合組織決定し、関係省庁に要望してきているところでございます。  農林水産省といたしましては、公的年金制度の再編成に関する平成八年三月の閣議決定や、少子高齢化社会到来等、今後の組合員数及び受給者数等の動向を踏まえまして、統合の方向で検討する必要があると考えまして、関係省庁早期統合の検討をお願いしているところであります。
  11. 栗原博久

    栗原(博)委員 平成八年の三月八日の閣議決定で、公的年金制度の再編成の推進ということで、さらに就業構造の変化、制度成熟化等進展に対応して制度安定化公平化を図るということで、特に再編につきましては、財政単位の拡大及び共通部分についての費用負担平準化を図ることを基本とする、農林漁業団体共済組合については、構成団体組織整備進展制度基盤に与える影響を踏まえつつ、財政計算時ごとに将来の財政見通し等について分析を行い、被用者年金制度全体の中におけるそれぞれの制度位置づけについて検討するということであります。  ちょうどことしがこの財政計算であるわけであります。そしてまた、今回農林年金改正を見ているわけでありまして、当然、やはりこの改正というものは、今大臣がお答えになりました趣旨を踏まえながら、平成十三年三月の統合に向けて努力をひとつしていただきたいと思います。  特に、成熟度がまだ低い、他の当時の鉄道共済とかたばこ共済に比べて低うございますが、しかし、農林年金成熟に伴いまして、収支比率というものを見ますと、それは年金支出が収入のどのくらいの割合になっているかということを示すわけでありますが、厚生年金は七三・四一、そして地方共済が五七・二五、私学が五八・二四。ところが、これは平成九年の資料でございますが、合併いたしました鉄道共済が八六・三七、たばこが九九・六七、同じように、農林年金は八六・二六になっているわけであります。ですから、これはそういう収支比率の面からも早く統合すべきだ。  あるいはまた、積立比率というものがありますが、支出額の何年分の積立金を保有しているかということをあらわすものですが、農林年金はもはや五・三二であるわけであります。  この中におきまして、私は、収支比率あるいはまた積立金比率等を勘案しますと、農林年金農業共済団体共済組合の方は一刻も早く統合していただきたいと思っておりますので、重ねて大臣の御所信をお伺いします。
  12. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農林年金厚生年金との統合のためには、新たな年金制度の枠組みで財政計算を行い、社会保障制度審議会年金数理部会で検証していただき、公的年金制度に関する一元化懇談会等において、関係者間の調整や合意形成を図る等の手続が必要であります。  いずれにしましても、農林水産省といたしましては、関係省庁と連携しながら、これらの手続を順次進めて、早期統合ができるように最善の努力を図ってまいりたいと考えております。
  13. 栗原博久

    栗原(博)委員 ありがとうございました。  五十万人の加入者、そしてまた十四万人の受給者の方々がこの統合というものを本当に、期待というよりも待ち望んでおりますので、よろしくお願いいたします。
  14. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、堀込征雄君。
  15. 堀込征雄

    堀込委員 民主党堀込征雄でございます。  提案されております農林年金共済組合法法律案について質問してまいります。  年金制度危機が言われて大変久しいわけでありますが、しかし、相変わらず国民の間に、年金は大丈夫だろうか、こういう不安が広がっているわけであります。  厚生省が九七年末に実は五つの選択肢、こういうものを発表したわけであります。しかし、この選択肢は、給付負担関係だけを取り出して試算例を出した、それを選択肢というふうに名づけたわけでありまして、いわば機械的な試算結果を発表したにすぎない、こう私は思うわけでありまして、そういう意味では、今の制度的な欠陥を明らかにしながら、それを克服して、そして老後安心した生活仕組みをどうつくり出すかということこそ今問われているんだろう、こういうふうに思うわけであります。  最近、国の財政悪化高齢化理由に、社会保障制度を縮小、再編したらどうだろうという議論があるわけであります。しかし、私は、社会保障制度の充実こそ活力ある高齢化社会源泉であろう、あるいはまた活力ある経済社会源泉でもあろう、こういうふうに思うわけでありまして、最近、日本経済の元気が出ない、少しずつ回復基調にはあるけれども、個人消費がもう一つ元気が出ない、こういうふうに言われていますけれども、これは可処分所得が伸びないという理由だけじゃなくして、やはり国民の将来に対する不安感、これが個人消費を停滞させていると思うわけであります。  そういう意味で、年金にとっても、私は、経済成長、活力ある経済社会が必要でありますし、逆にまた、安定した年金仕組みをつくることこそが経済成長経済活動を活発化させる両輪になっているのではないか、こう思うわけであります。  今回の改正は、厚生年金と各共済組合制度見直しにあわせて行われるわけでありますが、厚生委員会でも今審議しておりますが、拙速な採決は避けて、ぜひそういう意味国民から期待される審議の徹底、こういうものをする必要があるのではないか、こう思うわけであります。  そこで、大臣、ちょっと認識を伺っておきたいわけでありますが、今回の法案給付のカット、それから賃金スライドの廃止、それから支給開始年齢の引き上げ、いわばそういうことが盛り込まれているわけでありまして、ある種それはやむを得ないかもしれませんが、しかし、それにもかかわらず、将来の年金制度というのは大丈夫だろうか、こういう不安についてやはり解明するに至っていないのではないか。つまり、安心信頼年金制度は今度の措置で確立できるのであろうか、こういう国民の不安や期待、あるいは農林年金組合員期待にこたえていない、こう思うわけであります。  そういう意味では、私は、今回の改正、ここに提案されて今審議に入ったわけでありますけれども、位置づけなり問題意識といいますか、今回のこの法改正は将来の年金制度安心信頼を得る十分なる改正だというふうにお考えなのか、とりあえずこれはつけ焼き刃的な改正ということなのか、提案されている法案認識について、まず大臣に伺っておきたいと思います。
  16. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 公的年金制度は、委員も今認識を示されましたように、国民老後生活の柱としての役割を果たしており、老後生活の安定を確保していくためには、将来とも安心して年金受給できるものとすることが不可欠であると考えております。  今回の公的年金制度改正は、少子高齢化経済の低成長が見込まれる中で、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束する考え方に立って、制度全般にわたり抜本的な見直しを行ったものでありまして、農林年金制度につきましても、厚生年金制度や他の共済年金制度改正内容と整合を図りつつ、同様の改正を行って御期待にこたえるようにしたい、このように考えております。
  17. 堀込征雄

    堀込委員 法案を提出しているから、そういうふうに言わざるを得ないと思うのですが、しかし、私は、やはり制度の根幹、もう少し抜本的な改革なり、あるいは基礎年金を含めていろいろなことをしないと、この改正だけで将来とも安定した制度仕組みが得られるかというと、どうもそうではないような気がしてなりません。後ほどまた質問で触れていきたいと思います。  もう一点、これもこの法案に対する認識なり、あるいは感想というようなことをお聞きしたいわけであります。  今、日本経済、大変長い不況の中で、さまざまな困難に直面しているわけであります。この間、経済回復のために、あるいは不況克服のためにさまざまな対策が講ぜられてまいりました。財政赤字にもかかわらず、また今度、あす補正予算が提案されるわけであります。膨大な政府支出をやってきた、あるいは経済対策を講じてきた、あるいは銀行等金融システム危機については膨大な政府支出公的資金を投入してきた、そして救済を図ってきたわけであります。そして一方、国民には、超低金利といいますかゼロ金利、こういうことで犠牲を強いてきたわけでありまして、国民の側からすると、それでも日本経済の将来のために、あるいは今日の不況を克服するためにということで、いわば我慢をしてきた経過があると思うわけであります。  私は、今回の法案は、国民老後の唯一のよりどころである年金制度について、給付はカットします、賃金スライドは廃止します、支給開始年齢は引き上げる、こういう内容でありますから、なかなかこれは納得できるものじゃないと思うのです。  銀行が困れば惜しげもなく資金を投入する、ゼロ金利にして国民負担を押しつける、年金が行き詰まれば、これは銀行のようにいかないわけでありまして、国民負担を押しつけて我慢を強いる、こういう政策手法といいますか政治姿勢は、やはり批判を受けると思うわけであります。国民から見ますと、銀行が困ったら幾らでも金を出すじゃないか、年金が行き詰まったら国民負担を求める、こういう政治手法というのはどうしても納得できないんじゃないか、こういう気がしますが、感想をお聞かせください。
  18. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 まず、銀行との関係でお話がありましたけれども、今小渕内閣におきましては、景気回復させるためにあらゆる施策を講ずる、こういうことで努力をいたしておるわけであります。銀行が困ったら、銀行に支援は幾らでもするというふうに言われましたけれども、これは、銀行経営を立て直せばその資金はまた返ってくる部分も相当あるわけでありますから、ただ出しっ放しということではございません。景気回復させるための、あるいは銀行がつぶれることによって預金者その他に大変大きな影響を与えることを防ぐということがあるわけでございますので、この点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。  今回の年金改正におきまして、確かにカットされるところもありますし、あるいは全体としては削減をされるところがありますが、一番大事なことは、今後も、十年後二十年後にわたっても、年金制度が確実に確保されるということの保障が十分得られるという見通しをつけてこの改正を行わなければならぬというところが一番大事なところではないか、こう考えておるところでございます。
  19. 堀込征雄

    堀込委員 銀行公的資金は、確かに経営回復すればそれは一部返済がなされるわけでありますが、年金も、そういう意味ではやはり安定した仕組み、こういうことがあれば、個人消費に寄与しますし、いろいろな形で経済発展に寄与するものだろう、こういうふうに思います。  最初答弁大臣は、この法案は、将来にわたっての安定した仕組みをつくるための法案だ、こういう趣旨答弁が実はあったわけであります。しかし、私はどう考えても、これが日本年金制度の抜本的な改正だ、こういうふうにはなっていないわけでありまして、これから、基礎年金を含めて近いうちに抜本的な改革が必要なのだろう。それをやらない限り、片方介護制度がある、片方医療保険制度がある、こういう中では、やはりもう少し抜本的な改革というのが近未来のうちになされなければならない、こう思うわけであります。  介護保険保険料の凍結をめぐって、いろいろ、与党三党といいますか、迷走とも言うべき事態もあったわけであります。そういう意味で、介護年金を含めて、二十一世紀の福祉社会をどうするのか、社会保障制度水準をどうするのか、その際、国民への給付水準は一体どの程度のものを確保するのか、あるいは掛金負担は一体どういうふうにしていくのか、こうした全体像を示すことがやはり必要なのだろうというふうに思うわけであります。  国民の側からすれば、全体像がはっきりすれば、安定した制度が得られるならば、ある程度の負担はやむを得ない、こういうふうに思っていると思うわけであります。ところが、将来はどうなるかわからない、だけれども給付を減らすんですよ、我慢してください、支給開始年齢も上げるのは我慢してください、これではやはり国民の納得を得られないと思うわけであります。  そこで、年金の抜本的な改革、当面の法改正を行うことはもちろんでありますが、いわば先送りされてきた抜本改革について、いつ、どのように取り組まれるか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  20. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 先ほどお答えしましたように、今回の公的年金制度改正は、少子高齢化経済の低成長が見込まれる中で、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束する考えに立って、制度全般にわたり抜本的な見直しを行ったものでありまして、この点を強調したいと存じますが、御理解をいただきたいと存じます。
  21. 堀込征雄

    堀込委員 将来それで安定するという答弁を繰り返しておるわけであります。  それでは、基礎年金あり方について伺っておきたいのであります。  基礎年金公費負担を三分の一から二分の一に引き上げる、これは前回改正時において国会で決議をされたことなんですね。ところが、今回のこの法案では、二〇〇四年までの間に安定した財源を確保し、別に法律で定め引き上げる、こうなっていまして、これは、また将来へ先送りしているわけなんですよね。だから、決して今回の改正で全部安定した制度になるのじゃありませんよ、またやるんですよということを実は言っているのです。  基礎年金は、御存じのとおり、百五十八万人も未加入者がいる、百七十二万人の未納者がいる、これは将来、大量の無年金者が出るのではないかと心配されているわけですね。まさに国民年金構想というのが崩れつつある、こういうふうに言っても過言ではないと思うわけであります。  こうした課題を解決するためには、私ども民主党が言っているように、公費負担を二分の一にする、残る二分の一を税方式にするとか、さまざまな改革の方法があると思うんです。そういう意味で、基礎年金を含めて、ある種保険審議の限界というのが年金制度全体にあるんではないかという感想を私は持っているんですが、政府側考え方を聞かせてください。
  22. 谷津義男

    谷津政務次官 基礎年金あり方につきましては、今回の国民年金法改正案におきまして、基礎年金については、財政方式を含めてそのあり方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保して、国庫負担割合を二分の一に引き上げるというものでありまして、これが附則に設けられているところであり、先生も御案内のとおりかと思います。  基礎年金については、多くの検討事項が指摘されておりますが、基礎年金あり方については、負担あり方を含めまして今後幅広く検討していく必要があるというふうに考えております。
  23. 堀込征雄

    堀込委員 というように、基礎年金を含めて問題を先送りしているんですよね。先ほど答弁されたように、この法案が通れば将来にわたる安定した制度ができるんだ、まだそういう法律ではない、やはり当面の措置をしておかなければ、将来、年金が大変だからということで今回の法改正が提案をされているんだろう、こういうふうに思います。  厚生省はお見えですか。ちょっとここで、厚生省に厚生年金給付水準について質問をしておきたいと思います。  厚生省はこれまで、代替率、つまり現役世代の手取りの六〇%を確保する年金制度、こういうことを言ってきたわけであります。小渕総理も先日の本会議でそのことを実は明言いたしました。  ところが、厚生省は、二〇二五年の四十年フル加入モデル水準を二十三万円、こういうふうに設計をして発表してきた。これは九四年改正前のモデル額だと思うんですね。その後、前回改正賃金スライド方式を手取り賃金に変えた。つまり、可処分所得スライドに変えた。したがって、これは厚生白書を見ますと二十一万円、こういうふうに出ているんですけれども、国民からすると、将来の年金額は一体幾らになるんだという心配があるので、これはわかりやすく教えてもらいたいんです。しかも、高齢者の税、社会保険料負担、約一〇%と言われていますが、将来、介護保険負担なんかが加わると一五%だ、こう言われている。  私は、そういうことを考えると、将来のモデル額というのは、手取り賃金と比較して六割は難しいんじゃないか、五五%ぐらいじゃないかという感じがするんですけれども、この二十三万円というモデルの水準というのはどういうふうに将来推計していますか。
  24. 吉武民樹

    吉武政府参考人 先生お尋ねのとおり、厚生年金のモデルといたしましては、前回財政計算を行いました平成六年度で二十三万一千円というモデルでございます。平成十一年度で、賃金の再評価を行いますと二十四万二千円という状態になりますが、今回の法案で御提案を申し上げております給付水準につきまして、五%将来の伸びを抑制させていただくという形でございまして、平成十一年度で申し上げますと二十三万八千円という状態でございます。  これにつきましては、年金のスライドを実施いたしまして、受給者の方の購買力を維持するという考えでございまして、将来の給付の伸びを少しずつ抑制させていただきながら、しかし、現在の年金給付水準の購買力については維持をし、時間をかけて調整していただくというのが今回の法案趣旨でございます。  先生お話がございました平成九年度版の厚生白書で、可処分所得スライドを行います場合に、現行制度における、当時の現在価格でございますが、将来、現役の方々の負担が高まりました場合に、平成六年度の現在価格であらわしますと二十一万円になるという試算を出してございますが、この前提は、現役世代の名目賃金が増加をしないという前提でございまして、一番厳しい前提でございます。  今回の私どもの財政計算のいろいろな数字でも申し上げておりますが、中長期的に見ますと、賃金といいますか、標準報酬の伸びは年率二・五%という可能性があるだろうというふうに考えております。これに対しまして、物価の伸びが一・五%というふうに考えておりまして、可処分所得は少しずつ低くなってまいりますので、可処分所得考えました現役の方の伸びが二・三%というふうに計算をいたしております。  これで計算をいたしますと、二〇二五年度の基礎年金を含めました厚生年金のモデル年金受給者の額でございますが、四十二万八千円でございまして、先ほど申し上げました五%の抑制といいますか、伸びの抑制をさせていただきまして四十一万八千円というのが今私どもが考えているモデルでございます。  先ほども申し上げましたように、これから賃金も上がってまいりますので、名目額はもちろんふえてまいりますが、その中で年金受給者の方にある程度の我慢をしていただき、そのことによって現役の保険料水準を将来的にも年収の二割程度に抑制をしようというのが今回の考えでございます。
  25. 堀込征雄

    堀込委員 ちょっと申しわけない、もう一点確認をさせてもらいます。  そうすると、二十三万円という設計があった、これは、今度の改正で実は給付を減らすいろいろな措置、例えば五%削減とかありますが、変わりませんという設計でいく、こういうことですか。
  26. 吉武民樹

    吉武政府参考人 平成六年度のモデル年金が二十三万一千円でございます。それから今回まで五年間の期間がございますので、従来のようにその期間の賃金の伸びに対応しまして、既に年金受給している方々につきましても、いわゆる賃金スライドを行うというふうに考えました場合には二十四万二千円という形になってまいります。  私どもが考えておりますのは、この水準に対しまして、将来に向けまして五%給付の伸びを少なくさせていただくという考えでございますが、現在の年金受給者の方々はその五%の状態よりも上の状態になっておられますので、この方々については基本的には物価スライドで伸ばしていただく、こういう改正考えて提案させていただいているところでございます。  したがいまして、すべての受給者につきまして、現在の年金受給しておられる額につきましては物価スライドが行われまして購買力の維持はされる、こういう改正でございます。二十年あるいは二十五年ぐらいかけまして徐々に将来の給付水準の伸びを抑制させていただく、こういう案でございます。
  27. 堀込征雄

    堀込委員 どうぞ、厚生省結構です。  それでは、農林年金の場合、四十年加入、標準報酬月額二十八万六千円という計算例がたしかあるはずであります。この標準的ケースの場合、定額部分厚生年金相当部分職域年金を加えて二百三十三万ですか、というモデルの設計があると思うんですが、これは新たな今度の給付乗率で計算すると大体どの程度のものを目指して、どの程度のことを保証する設計になっているんでしょうか。
  28. 石原葵

    石原政府参考人 お答えいたします。  農林年金につきまして、厚生年金と同様、ただいまお話がございましたように、夫婦で夫が四十年加入それから妻が専業主婦の場合でモデル計算をいたしますと、年金額は月額約二十四万六千円となっております。  これはあくまで農林年金でございますので三階部分を含んだものでございますけれども、これを厚生年金給付水準、いわゆる二階部分までで試算いたしますと、年金額は月額約二十二万七千円となっております。
  29. 堀込征雄

    堀込委員 それで、今度の法案で、平成十二年度以降、新たに決定される年金の額の算定に用いられる給与比例部分給付乗率を五%下げる、こうなっているわけでありますね。農林年金給付金が、平成十一年三月の資料で三千七百七億円という資料を私いただいておるのですが、この給付額というのはどの程度減少するのでしょうか。
  30. 石原葵

    石原政府参考人 改正後の農林年金給付額がどのようになるかということでございますけれども、厚生年金の今回の財政計算におきます経済的前提条件、これは、賃金上昇率は二・三%、それから物価上昇率は一・五%ということでございますが、こういう条件のもとで改正後の算定方式によります農林年金給付総額を試算いたしますと、これは平成十二年度は三千三百六十億円と試算しておるわけでございますけれども、平成三十七年度にはこれの約一・八倍の六千二百億円程度になると見込んでいるところでございます。
  31. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、この改正が通っても、今までもらっている人は年金は下がりませんよという宣伝を一生懸命やっているのですけれども、つまり従前保障額の適用というのはいつまでやるのですか。
  32. 石原葵

    石原政府参考人 従前額保障でございますが、既に年金受給している者につきましては、生涯の従前額保障が適用されます。改正前の年金額を物価スライドさせた額が保証されるということでございます。  また、新規の裁定者につきましては、新たな給付乗率による年金額改正前の年金額を物価スライドした額を上回ることとなるまで従前額保障の規定が適用されることになりますが、新たな給付乗率による年金額は今後の賃金上昇率によって変動するため、従前額保障がいつごろまで適用されるかを現時点で見通すことは困難でございます。
  33. 堀込征雄

    堀込委員 つまり、新規適用者はいつまでという話はちょっとわかりませんよという話なのですね。  そこで、支給開始年齢の問題でありますが、平成六年改正に引き続いて、今度は、退職共済年金支給開始年齢平成二十五年、二〇一三年から、平成三十七年、二〇二五年にかけて、三年に一歳ずつ上げていく、六十五歳にするんだ、こうなっております。  これは、平成六年改正から実は五年しかたっていないわけでございまして、政府から言わせると、将来の年金給付の安定のため、こう言っているわけでありますけれども、平成六年改正が行われたばかりで、また支給開始年齢を上げる、極めて短期間の改正でありまして、そういう意味では、かえって若年層の年金制度の将来に対する不安や不信をもたらすことになるのではないか、こういうふうに私は実は危惧するわけであります。  そこで、今度の改正で、昭和三十六年四月二日生まれ以降の者、これは原則としてすべての年金について支給開始年齢が六十五歳になる。だれもが抱く不安は、では、六十歳定年で六十五歳までどうやって食いつなぐのですか、こういう不安なんですね。特に日本の場合は、高齢者雇用に大変な問題を実は抱えている。しかも、二〇一〇年ごろには、いわゆる団塊の世代と言われる皆さんが定年を迎えて、ますます高齢者雇用環境が厳しくなるということが想定されているわけであります。この雇用と年金の接続についてどう対処していくのか、実は大変な問題を含んでいるんだろう。  農林漁業団体で、平成九年度の調査では定年年齢が五十九・九歳だ、こういうふうに聞いているのですが、農林漁業団体で、この間の接続、六十歳から六十五歳の雇用と賃金と年金の接続の問題について、どういうような対策考えておるのでしょうか。
  34. 谷津義男

    谷津政務次官 農林漁業団体では、高齢化進展に対応して定年年齢の延長に努めてきております。そして、六十歳以上の定年年齢を定めている農林漁業団体割合は、平成七年の七七・一%から平成十一年には九五・〇%となっております。  また、農協系統組織では、高齢者雇用対策として、農協等の業務を受託する人材センターを四十四都道府県で設置をしておりまして、定年退職者の再雇用に努めているところであります。ちなみに、再雇用の実績は、平成十年の六月末で千百六十四人になっております。  今後における高齢化の一層の進展を考慮いたしますと、こうした農協系統組織の高齢者雇用への取り組みは望ましいものと考えられまして、農林水産省といたしましても、このような取り組みがさらに促進されるように適切に指導していきたいと思っております。
  35. 堀込征雄

    堀込委員 一方で五万人削減して、さらに高齢者雇用をやるという話ですから、言葉どおりにいかないんだろうと思って私は非常に心配をしているわけです。  ちょっと経済局長、事務的なことをお伺いしておきたいんですが、この支給開始年齢の引き上げに伴って老齢退職年金の繰り上げ支給制度が創設される、こうなっていますが、この場合の逓減率が明らかになっていないんですが、これはどういうふうになるんでしょうか。
  36. 石原葵

    石原政府参考人 逓減率の問題でございますが、この繰り上げ支給制度、繰り上げ支給退職共済年金は、本人から申し出がございますと、本来の支給開始年齢よりも繰り上げて支給されるものでございます。  この場合の減額率、逓減率でございますが、これにつきましては、支給開始年齢の引き上げが開始されます平成二十五年度までに、平均余命等を総合的に勘案して算定することとしているところでございます。
  37. 堀込征雄

    堀込委員 つまり、明らかになっていないんですよね、何%減らすか。だから、私は、この法案は当座しのぎの法案だ、抜本的な法案ではない、こういうふうに指摘せざるを得ないのであります。  もう一点、在職支給制度について伺います。  昭和六十年改正で在職支給仕組みがつくられた、そして平成元年と平成六年改正でこの見直しが行われてきたわけであります。そのときに一律二〇%カットが決められ、年金給与の合計が二十二万に達するまでは支給するが、二十二万円を超える場合は、実は給与の増加二に対して年金一を停止する、さらに、三十四万円を超える場合は増加した分だけ年金支給を停止する、こういう仕組み導入されているはずであります。今回の改正で三十四万円を三十七万円に引き上げる。ところが、二十二万円は据え置いた。これはなぜなのか。  私は、高齢者の就労実態を見て、年金が賃金の補てんになっている、低い賃金プラス年金、これでやっと生計を立てている実態があるのではないか、こう思うわけであります。見直すならば、一律二〇%カットを見直すべきである。何で三十四万円だけ三十七万円にして、二十二万円は据え置いて、一律二〇%カットは見直しを行わないのか。納得できる説明をいただきたいと思います。
  38. 石原葵

    石原政府参考人 まず、御質問の一律二割カットの問題でございますが、これは現状の制度を維持しております。これは、今回の改正が将来世代の過重な負担を防ぐことを目的としているということを考慮して、現状の制度を維持することとしたものでございます。  次に、二十二万円の問題につきましては、年金支給額の適正水準は現役世代給与収入の六割程度とされておりまして、厚生年金の現役世代給与収入に相当する三十七万円、これの六割が二十二万円程度であることから、現状の額を維持することとしているものでございます。
  39. 堀込征雄

    堀込委員 これは厚生委員会でやらないとしようがない話ですから。  そこで、総給与制導入の話でありますけれども、平成六年改正で、実は賞与等についてその一%を特別掛金として徴収する制度導入されています。今回は、賞与等を掛金の賦課対象とするのだ、給付に反映する仕組みをあわせてつくるんだ、こうなっておるわけですね。  そこで、この給付乗率と掛金率の算定根拠となっている賞与割合厚生年金の場合は平均三・六カ月、こう聞いておるわけでありますが、この農林漁業団体賞与の実態はどうなっているか、これが一つ。  それから、農林年金の方で、掛金収入が平成九年で三千三百四十五億円ですか、これは、今度の総給与制導入でどういうふうに想定されていくのでしょうか。
  40. 石原葵

    石原政府参考人 まず、農林漁業団体におきます賞与の実態につきましては、これは農林年金の調査でございますが、これによりますと、支給回数、年三回の団体が六六・七%と最も多いということでございます。また、年二回支給する団体は三一・三%となっておりまして、平均いたしますと二・七回の支給となります。また、平成九年度の平均支給率は、全国連が五・九カ月、県連が五・八カ月、単位団体が五・三カ月でございまして、平均では五・四カ月となっております。  それから、もう一つお尋ねの総給与制導入によって掛金収入がふえるかどうかという点でございますが、総給与制導入は、賞与の多い少ないによる組合員間の不公平を是正するためのものでございまして、財政的な増収対策を意図したものではございません。このため、総給与制導入に伴い、掛金率が引き下げられることとなりますので、農林年金の年間の掛金収入への影響はないと考えております。
  41. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、今回の改正で見送られた掛金率の問題でありますが、平成六年改正で、五年ごとの財政計算期に、実は二・五%ずつ引き上げるのだ、二九・八%まで保険料率を引き上げる、こういうことになっていたのであります。そしてまた、国民年金掛金も、毎年度五百円ずつ、二万一千七百円まで引き上げることになっていた。  ところが、今回の改正では、実は、今日の経済情勢のもと、社会保険料の引き上げは景気回復に深刻な影響を及ぼす、こういう判断から、実は見送られることになった、凍結することになった。介護保険料も凍結されるのですが、これは選挙目当てなのかどうかわかりませんけれども。農林年金の収支構造を見ると、現在、一九四・九という、被用者年金では極めて高い掛金率であるにもかかわらず、実は収入の九五%を支出している、かつその積立金の運用収入を充てて収支を賄っている、こういう状況があるわけであります。  そこで、今度の改正掛金率引き上げの凍結は、結局、将来の大幅な掛金率引き上げにつながるのではないか、こういう危惧をするわけでありますけれども、今回の掛金率の引き上げの凍結に関する影響、どういうふうに考えていますか。
  42. 石原葵

    石原政府参考人 国民年金及び厚生年金保険料の凍結につきましては、ただいま委員からお話ございましたように、現在の我が国の経済情勢を総合的に勘案いたしまして、景気回復のために行われる諸施策との整合性を確保するという観点から、緊急避難的に行われたものでございます。  農林年金の共済掛金率につきましては、他の共済年金制度と同様、共済組合組合会の議決事項でございまして、農林年金におきまして、現下の経済情勢、それから他の共済年金制度における掛金率の改定状況等を踏まえつつ、今後その取り扱いが決定されるということになります。
  43. 堀込征雄

    堀込委員 つまり、今回見送ったが、また近い将来今回の分も上げなければならぬ、こういうことなんですよ。そういうことを明らかにしておきたいと思います。  もう一つ法案の中にある育児休業中の掛金の団体負担分の免除、これもありますが、我が国の出生率が低下をして、いろいろな手だてを講じておるわけであります。  今回の措置で、一体、農林漁業団体の育児休業取得の実態というのはどのぐらいあるのでしょうか、あるいはそれをある程度促進する効果を期待できるのでしょうか、どういう認識でいますか。
  44. 谷津義男

    谷津政務次官 先生御指摘の育児休業中の件でございますけれども、平成六年の農林年金法の改正によりまして、育児休業期間中の組合員掛金負担が免除されまして、育児休業を取得する方が増加しております。平成七年度で千五十一人、それから平成十年度で千五百三十四人が育児休業を受けております。  しかしながら、事業主である農林漁業団体は、これまでどおり掛金負担する必要があることから、この負担が育児休業制度に伴うコストとして意識されまして、結果として育児休業の取得が必ずしも十分に進んでいないとの指摘がなされておるところであります。  今回の改正は、育児休業制度をより利用しやすい環境を整備することを目的といたしまして、農林漁業団体負担も免除するものであり、この措置によりまして、より一層育児休業の取得が促進され、少子高齢化対策に役立っていくのではないかと思います。
  45. 堀込征雄

    堀込委員 農林年金財政危機が言われているわけでありますが、いずれにしても、組合員数が減って受給者数がふえていく、ここに問題があるわけであります。  今農林年金は、保険料収入では足りないため、積立金の運用収入を充てている、こういう状況にあるわけであります。しかも、その額は、平成八年で二百二十一億円不足で、運用収入の二八・三%、これを充当している。平成九年で二百七十四億円不足で、運用収入の三五・四%を充当している。こういう状況にあるわけでありまして、結果として収支残高が年々減少している。  この原因はいろいろあるわけであります。低金利で運用収入が減っているとか、給与が低いために基礎年金拠出金が相対的に高いとか、いろいろな問題があるわけでありますが、基本的には、組合員数が減少して受給者数が年々ふえている。組合員数は、平成八年では七千四百七十八人減少、平成九年一万一千三百六十七人減少、平成十年七千八百九十八人減少。受給者数、平成八年三千三百五十二人増、平成九年四千百七十四人増、平成十年三千三百二十二人ふえておりますね。この組合員数受給者数の見通し、どういうふうに見ているのでしょうか。
  46. 石原葵

    石原政府参考人 将来の組合員数受給者数の見通しということでございますが、農林年金組合員数は、平成六年に約五十二万人となっております。これがピークでございまして、それ以降減少に転じまして、平成十年度末は約四十八万人となっております。今後、農協系統組織整備合理化が進みますと、さらに減少するというふうに見込んでおるところでございます。  また、退職共済年金等の受給者は、平成十年度は十四万人となっておりました。今後、平成十七年度には十六万人、平成二十七年度には二十二万人に増加すると見込んでいるところでございます。
  47. 堀込征雄

    堀込委員 続きまして、厚生年金との統合の問題について、まず大臣に基本的な考え方を伺っておきたいのであります。  政府が、公的年金制度の一元化に関する懇談会の設置を進めてきた。そして、今日までJR、JT、NTTなどの厚生年金への統合が図られてきた経過があるわけであります。  そこで、社会保障制度審議会でも、農水大臣への答申で、今後、産業構造や就業構造の変化、制度成熟化の進展等に対応し、制度安定化公平化を図るため、公的年金制度の一元化を図る必要がある、こう言っているわけですね。  あわせて、大変遅きに失したとはいえ、全中を初めとした農林団体も、平成十年十二月二十二日に、農林年金厚生年金への統合を可及的速やかに実現されたい、こういう要請が出ている。  この農林年金厚生年金統合問題について、大臣、基本的にどういうお考え方をお持ちでしょうか。
  48. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農林漁業団体は、今後の農林年金制度あり方を検討した結果、農林年金組合員数農協系統組織整備合理化の取り組みにより急速に減少している状況等を踏まえまして、厚生年金との早期統合組織決定し、関係省庁に要望してきておるところであります。  農林水産省といたしましては、公的年金制度の再編成に関する平成八年三月の閣議決定や、少子高齢化社会到来等、今後の組合員数及び受給者数の動向を踏まえ、統合の方向で検討する必要があると考えまして、関係省庁早期統合の検討をお願いしているところでございます。  今後、統合のためには、新たな年金制度の枠組みで財政計算を行い、社会保障制度審議会年金数理部会で検証していただき、公的年金制度に関する一元化懇談会等において、関係者間の調整や合意形成を図る等の手続が必要であります。  農林水産省といたしましては、関係省庁と連携しながら、これらの手続を順次進めて、早期統合ができるように努力してまいりたいと考えているところであります。
  49. 堀込征雄

    堀込委員 基本的に統合を後押ししていく、進めていく、こういうことであります。  ところが、この統合には厳しい世論の批判があるわけですね。農林年金厚生年金への統合、例えば、九八年七月に、日経新聞、朝日新聞、相次いで社説を掲載しています、厳しい論調で。  その要旨は、五九年に、公務員並みの水準をということで厚生年金から勝手に出ていって、財政が厳しくなったからまた戻ってくるとは何事だ、虫がよ過ぎるのではないか、それから、村山内閣時の公的年金制度の一元化に関する懇談会の場でも、統合するなら地方公務員共済だという考えを示したのではないか、厚生年金に戻ることを拒否したばかりではないかという論調で、何を今さらという論調の社説なんですね。  つまり、やんちゃな次男坊だか三男坊が、立身出世を夢見て家出していったけれども、夢破れて結局実家に戻ってくる、そんな三男坊の面倒を見れるかという調子なんです、早く言えば。  この論調は、私はすべて正しいと思うわけではありませんが、年金制度というのは、社会全体であるいは国民全体で支え合う仕組みなんだ、よそ様よりうまくやろうよという発想は結局だめなんだということだと思うんですね。  そこで、全中が第二十一回の全国大会ですか、労働生産性三〇%向上、平成十二年度までに職員の五万人削減を決議して、今実行段階にある。こういうことが実行されていけば、当然、これは年金財政に根本的な影響をもたらすことはわかっているわけであります。そのことを解決せずに、実は今日まで放棄してきたのではないかと私は言わざるを得ないと思うんですね。  それで、この統合に至る経過について、私は、農林年金当事者あるいは農林団体、全中の見通し、対応、こういうものが非常におくれたもので、見通しを誤ったものではないか、こういう感想を持たざるを得ないわけであります。当然、将来を見据えれば、余りにも統合への対応が遅きに失した、こういう感想を私は持っているんですが、いかがでしょうか。
  50. 谷津義男

    谷津政務次官 農協系統の組織におきましては、農業、農村の変化や農家組合員のニーズの多様化に対応しまして、事業や組織の合理化、効率化を図っていく必要があるとの考えのもとに、平成三年の十月の八日の第十九回の全国農協大会において、既にこういう決議をしております。それは、二十一世紀までに、千農協構想の早期実現、事業の二段あるいは組織の二段を基本とする、それを決議しております。  そういうことで、平成三年に農協の合併の推進の決定をしているところでありまして、その後、さらに組織協議を重ねまして、要員の増加の抑制や要員管理の徹底を図った上で、平成八年に、平成十二年までの労働生産性三〇%の向上を実現するための五万人の削減計画を打ち出したところであります。  農協系統組織では、これまでの削減計画を着実に実行しているところであり、農林水産省といたしましては、事業機能の一層の強化と経営合理化、効率化が図られるよう、今後とも農協系統組織に対する指導を強めていきたいと考えております。
  51. 堀込征雄

    堀込委員 なかなかはっきりおっしゃれないんでしょうが、やはり私は、今度の年金統合、農業団体の将来を見据えた対応が基本的に遅かったんだろう。それがかなりここへ来て非常にせっぱ詰まった対応を余儀なくされている、こういう事情を見なければならない、こう思うわけであります。  そこで、統合予定時期、これはいつを想定していますか。
  52. 谷津義男

    谷津政務次官 統合の時期はいつかということなんですが、平成十三年の四月ということで考えております。
  53. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、移換に伴う、当然必要な額の積立金……
  54. 松岡利勝

    松岡委員長 再度答弁を求められております。谷津総括政務次官。
  55. 谷津義男

    谷津政務次官 失礼しました。私、ちょっと今、答弁を間違えました。  これは、団体が要請しているということです。
  56. 堀込征雄

    堀込委員 早期統合を要請している、こういうことであります。  移換に伴って、当然、必要な額の積立金の移換が行われなければならない、必要になる。農林団体の要請を見ますと、基礎年金の拠出で、給与が低いにもかかわらず、しっかりやっていますよ、それから制度間調整事業へも考慮して適正なものに、こういうふうに言っているんですね。確かに、制度間調整で九十一億円も出してきた経過がある。こういうものを考慮せよと言っていますが、政府側はどのように考えていますか。
  57. 石原葵

    石原政府参考人 移換積立金の問題でございます。これは、団体側からは、基礎年金の人頭割、これは現在、人頭割というふうになっておるわけでございますが、人頭割をやめていただきたいというお話がございます。それから、ただいま委員からお話ございましたように、これまで制度間調整に協力してきたではないか、この辺について配慮していただきたいという要望があるわけでございます。  この点につきましては、先ほど来、御答弁させていただいておりますように、それまでの手続がいろいろございます。社会保障制度審議会年金数理部会でまず検証していただくということでございますし、その検証の結果を踏まえまして、公的年金一元化懇談会におきまして、関係者間の調整、それから合意形成が図られるということでございます。そういう手続の中で、この移換金の算定方法の問題等が定まってくるものと我々は考えているところでございます。
  58. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、団体側は、この統合に伴って基金を設立したい、そして特例年金制度をつくりたい、こう言っているわけでありますが、職域年金部分を中心に引き継ぐわけでありますから、給付の均衡を図るためにはある程度必要かなということは私もわかるんですが、今の一兆九千七百三十七億円の積立金、これは移換時期とあわせてどうなるかという問題も当然あるでしょう。基金の設立について農林省はどう考えているのかというのが一つ。  それから、確認しておきますが、仮に基金が設立されて特例年金制度がつくられた場合、遺族共済年金というのはどうなるんですか。この二つ、答えてください。
  59. 石原葵

    石原政府参考人 基金の設立の問題でございます。これも団体から強い要望があるわけでございます。現在の厚生年金につきましては、厚生年金基金といういわゆる三階部分があるわけでございまして、これに倣いまして農林年金につきましてもきちっとした三階部分、基金を設立したいということでございます。  この点につきましても、先ほど来お答えいたしておりますように、公的年金一元化懇談会、この場で関係者間の調整あるいは合意形成が図られます。その中でこの基金の問題をどうするのかということにつきまして答えが出されるものと思っております。  それから、遺族年金の問題、この問題につきましては、現在、団体等でいろいろ検討がなされておるところだと承知しております。
  60. 堀込征雄

    堀込委員 多分、遺族年金制度はなくなるんではないかと私は思うんですね。  そこで、JAの経営と社会保険料負担の問題であります。  基金の話は別にして、統合がおくれると移換金がふえる、一年おくれると五百ないし六百億円ふえるんだ、こう言われています。基金設立の場合は設立準備金に八千二百億円ぐらい要るんだ。こう考えますと、一年おくれると農協経営に重大な影響が出るんだと心配するわけです。  例えば、不足額が四千億円の場合、二十五年償却すると、千人の従業員のいる全国連では毎年一億円要るんではないか、千人の従業員のいる県連では八千七百万円要るんじゃないか、千人の従業員のいる単協のところは毎年六千八百万円要るんじゃないか、こういう試算例があります。  今、農協の事業総利益は全部の団体を合わせて二兆三千三十七億円です。大変な影響が出るんではないかと心配していますが、どういう見解をお持ちですか。
  61. 石原葵

    石原政府参考人 農協経営に及ぼす影響ということでございますが、農協全体の事業総利益は近年横ばいで推移しております。その中で、農協における農林年金掛金の団体負担額は増加傾向で推移しているということでございまして、事業総利益に占める農林年金掛金の団体負担額の割合は、昭和六十一年度の三・二%から平成九年度の六・一%へと、十三年間で約二倍となっているという状況でございます。  一方、農協は合併が進んでおりまして、農協の合併の進展によりまして一農協当たりの事業総利益は増加しております。一農協当たりの掛金負担後の事業総利益を計算いたしますと、昭和六十一年度の四億九千百万円から平成九年度の十億二千四百万円と約二倍になっているということでございます。  したがいまして、掛金負担の増加がJAの経営に直接大きな影響を与えるものとは現在考えておりませんが、いずれにしましても、今委員の御指摘のような問題がいろいろございますので、まず農協系統組織経営基盤を確立することが大事であろうと思っておりまして、系統組織に一層の経営改善努力を求めていく考えでございます。
  62. 堀込征雄

    堀込委員 そこで、この法律についていろいろな心配事があるのであります。そういう意味で、JAの経営とその先行きの心配、いろいろ経営の改善を求めると今答弁があったのですけれども、JAは最近、この数年間、単協の大型合併を進める、そして県連、全国連を統合して二段階にする、こういう路線をひた走ってきたように私は思うわけであります。結果として、実は一農家当たりのJAの利用率が減っている、調査を見ますとこれは大幅に減っています。しかも、販売、購買、貯金を含めてこれはうんと減っている。着実に農家の農協離れが一方で進んでいるという現状があると思うわけであります。  地方分権推進法が施行されて、これからは、逆に確実に地方主体の時代が来る。地方債の発行も二〇〇六年からは許可制から協議制に変わって、まさに市町村ごとの独自の知恵で町づくり、村づくりが行われるような時代が来るのではないか。そんな中で、私は、JAだけがどうも地域性よりも画一性、地方よりも中央というふうに事に当たっていると見えて仕方がないわけであります。  これはJA内部で議論する話ではありますが、そういう意味では農水省も、この経営問題について、合併によって赤字農協の数が減ればいいんだ、二段階にして危ない信連がなくなればよいということじゃなくて、もっと多様な地域性とか、いろいろな多様性を認めながら、JAが着実に二十一世紀も事業展開していける体制を指導すべきではないか、こう私は思いますが、最後に見解を聞かせてください。
  63. 谷津義男

    谷津政務次官 農協系統組織におきましては、全国農協大会の決議に基づきまして、広域合併と事業二段、組織二段を基本とする組織整備を進めているところでございますが、農協系統組織では、このような広域合併や組織整備を進めるに当たって、地域の実情を踏まえながら組合員や組織間の十分な協議、調整を行っているものと承知をしております。  農林水産省といたしましても、先生の御指摘を踏まえまして、地域の実情に応じた合併や組織整備が行われるよう十分に留意してまいりたいと考えております。
  64. 堀込征雄

    堀込委員 終わります。
  65. 松岡利勝

    松岡委員長 次に、木村太郎君。
  66. 木村太郎

    ○木村(太)委員 大臣初め両政務次官、まことに御苦労さまです。三十分でありますが、御質問させていただきたいと思います。  まず、確認したいのでありますが、農林漁業団体職員共済組合制度、いわゆる農林年金対象団体となっているのが、農協や森林組合などがあるわけでありますが、この対象団体の違いによりまして給付水準などに差があるものなのかどうか、まず確認させてください。     〔委員長退席、松下委員長代理着席〕
  67. 谷津義男

    谷津政務次官 年金額につきましては、農協、森林組合、漁協などの対象団体を問わず、またすべての受給者共通に、勤務していた間に支給された給与月額と、これは平均標準給与でありますが、勤務いたしていた期間、組合員の期間を基礎として算定されます。  なお、農協、森林組合、漁協の間では、受給者給与月額や組合員期間の実態が異なっておりますところから、実際の年金給与水準には差が生じております。
  68. 木村太郎

    ○木村(太)委員 ルールは同じだけれども、実際のところは差があるということでありますが、もし確認いただけるならば、その差というのはかなり大きいものでしょうか。
  69. 谷津義男

    谷津政務次官 これは標準給与の平均額が、ちょっと数字を申し上げますと、農協で二十八万九千円、森林組合で二十四万九千円、漁協で二十六万六千円となっておりまして、平均で二十八万七千円になっております。
  70. 木村太郎

    ○木村(太)委員 実際、団体間においても若干の差があるようでありますが、例えば農協を例にとりますと、農協といっても、単協ごとに見た場合には、いわゆる健全な農協もあれば債務を大きく抱えて経営的には大変厳しい単協もあると私は思っておりますが、この単協ごとに見比べた場合に、給付水準などに差があるものなのか、確認させてください。
  71. 谷津義男

    谷津政務次官 年金額は、対象団体を問わず、すべての受給者共通に算定しております。農協間でも、経営状況によって給与水準が異なれば、組合員期間が同じであっても給与月額の違いによって年金額の違いが生じてきます。
  72. 木村太郎

    ○木村(太)委員 ルールはきちっと共通したルールですが、実際には若干の差があるというふうに確認させてもらったわけであります。  今回のこの改正案をまとめるに当たりまして、去る七月二十一日に社会保障制度審議会から前の中川農林水産大臣に提出された答申というもの、これを前提にしながら今回のこの改正案というふうになったと承知しております。  その答申の中を見た場合に、「基本的な部分は、公的年金制度に共通する改正を行うものであり、おおむね了承できる。」という言葉があらわされているわけでありますが、おおむねという言葉、私、視点を変えれば一〇〇%ではないというふうにも受けとめられるわけでありますが、おおむねとなったこの表現、どのように考えているのでしょうか。
  73. 谷津義男

    谷津政務次官 今回の農林年金改正法案につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、社会保障制度審議会から本年の七月の二十一日に、「おおむね了承できる。」という答申をいただいております。このおおむねの趣旨でございますけれども、答申の中の意見にあるように、今後、公的年金制度の一元化を進める必要があるとの考えを踏まえたものであると承知をしております。
  74. 木村太郎

    ○木村(太)委員 わかりました。  次に、お伺いしますが、先ほどお二人の先輩委員も質問されて、ダブるかと思いますけれども、確認させてください。  現在の対象団体となっているのが八千九百五十六の団体で、組合員数というのが、四十八万二千人がこの農林年金に加入しているということでありますが、しかし、例えば農協でいいますと、けさの農業新聞にも出ておりますが、合併促進を具体的に数字を掲げて、大分進んできているような感じであります。  こういうことを考えれば、団体数も組合員数も減少の方向がこれからも続いていくものと思いますが、今回この改正案を提出するに当たりまして、これからの減少していく予想というものを十二分に考えた上で、あるいは具体的な試算もした上でのこの改正案提出になったのか、お伺いしたいと思います。
  75. 谷津義男

    谷津政務次官 今回の改正は、本格的な少子高齢化の到来や経済の低成長時代を迎えている中で、将来の世代負担を過重なものとしないよう、厚生年金や他の共済制度改正に準じて農林年金についても改正を行おうとするものであります。  農林年金につきましては、農協系統組織整備合理化の取り組みにより、組合員数が急速に減少しておりまして、農林漁業団体では、厚生年金との早期統合関係省庁に要望しております。  農林水産省といたしましては、今回の制度改正が行われれば、新しい年金制度のもとでこの問題の処理に努力をしてまいりたいと考えておるところであります。
  76. 木村太郎

    ○木村(太)委員 その努力のために、将来の減少していく流れを予想して、そして具体的な計算というか、試算というものもきちっとした上での提案になったのか、もう一度お伺いしたいと思います。
  77. 谷津義男

    谷津政務次官 ちょっと今意味がわからなかったので、もう一度お願いします。
  78. 木村太郎

    ○木村(太)委員 今総括政務次官からお答えがありましたけれども、そのために、今回提出する前に、具体的な試算とか、農協でいえば具体的に、けさの朝刊を見ても、今現在、三百三十一のJAの姿になって、合併の達成率が六三%ぐらいになってきた、また五万人の職員削減目標に対して二万四千人が削減されたとか、そういった減少していくことを踏まえて、そして具体的な農林年金制度として計算というか、具体的な試算もしながらの法案改正になったのか、お伺いしたいと思います。
  79. 谷津義男

    谷津政務次官 財政計算はこれからでございまして、委員のそういうおっしゃることも十分に踏まえながら考えていきたいと思っております。
  80. 木村太郎

    ○木村(太)委員 これからということでありますが、私はやはりある程度きちっとした計算というか、もちろんそのとおりいかないときもあるだろうし、しかし、農林年金の今の姿はこうなっているから、先ほど答弁があった将来的な負担を将来世代にも余り負わせないために、今からこうしていかなければならないという一つ計算というものがあってしかりではないかなというふうに思うわけでありますが、この点、大丈夫でしょうか。
  81. 谷津義男

    谷津政務次官 その点も十分踏まえながら検討していきたいと思っております。
  82. 木村太郎

    ○木村(太)委員 そうしますと、これからそういうこともきちっとやっていくというふうになろうかと思いますので、そういったものが出てきた場合に、我々にもきちっとお知らせいただいて、また意見を主張させていただく機会をいただければありがたいな、こう思います。  法案の中身にちょっと触れていきますが、今も言いましたけれども、今回の改正で、先ほど来の答弁にもありましたが、各世代間の格差縮小に十二分に貢献というか、寄与できると考えているのでしょうか。
  83. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今回の改正は、厚生年金と同様に、年金給付水準適正化支給開始年齢の引き上げ等を行うものでありまして、この改正により、給付費用の増加が次第に抑えられ、将来的には、現行の計算方式による場合と比較して、現役世代負担総額が軽減されると試算されているところでございます。
  84. 木村太郎

    ○木村(太)委員 試算されているという今大臣からの御答弁があったわけですが、その試算というものを我々も承知できればということで、私は今の質問の前にも聞いたわけでありますが、もしその試算というものがあるのでしたら、後でも結構ですので御提示いただければな、こう思いますが、まあ大丈夫だ、一言で言えば大丈夫だということでの答弁というふうに、私今聞いたわけであります。  もう一つ具体的に聞きますけれども、例えば厚生年金においては、今保険料率の凍結が決定されておりますけれども、農林年金においても同様に凍結がされるのではないかな、こう思いますけれども、確認したいと思います。
  85. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 保険料の凍結につきましては、現在の我が国の経済社会等の情勢を総合的に勘案をしまして、景気回復のために行われる諸施策との整合性を確保する観点から、緊急避難的に行われたものであります。  農林年金の共済掛金率につきましては、他の共済年金制度と同様、共済組合組合会の議決事項でありますので、農林年金について、現下の経済情勢や他の共済年金制度における掛金率の改定状況等を踏まえつつ、今後その取り扱いが決定されることになる次第であります。
  86. 木村太郎

    ○木村(太)委員 もう一回聞きますけれども、農林年金も凍結が想定されておりますけれども、凍結されるんでしょうか。されるかされないか。
  87. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 共済組合組合会の議決事項であります。
  88. 木村太郎

    ○木村(太)委員 議決するところはそういうふうになっているかもわかりませんが、では、方向としては、農林水産省はどのように認識しているのか。凍結されると認識しているのか、その可能性はまだあるかないか、その場で話し合ってみなければわからないということなのか、お聞きします。
  89. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 他の年金も凍結をしておるということでございまして、凍結ということにつきましては、先ほど言いましたような共済組合組合会の議決事項で行われるものと考えます。
  90. 木村太郎

    ○木村(太)委員 しかし、多分凍結されるだろうというふうに、現時点の状況では、他の年金と比べてもそうなるのじゃないかなというふうにお互いに認識しているのではないかなと私は思っているわけでありますが、その可能性も農林水産省としてはとらえているわけですね、そうしないと次の質問に行けないものですから。
  91. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 そのような方向で議論をしていただければ前に進むと思います。
  92. 木村太郎

    ○木村(太)委員 今の状況では多分凍結されるものと私もとらえておりますが、今の大臣答弁に対してですが、仮に凍結された場合でありますけれども、例えば、現在でも、農林年金の収支というのは、収入の九五%以上を支出しておりますし、しかも掛金の収入のみでは足りないので、積立金の運用収入の一部をも充てて補っているようであります。だとすれば、仮に凍結されたとすれば、今回の改正給付水準が、五%の適正化を行って、それを目指しているわけですけれども、さらなる適正化が避けられなくなることも今後予想されるのではないかと思うわけでありますが、いかがでしょうか、仮の話で恐縮でありますが。
  93. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 仮に共済掛金率を据え置くこととした場合、財政状況が厳しくなることも予想されますが、年金額のさらなる適正化の必要性につきましては、今後、厚生年金や他の共済年金と共通のものとして、検討されるものと理解しております。
  94. 木村太郎

    ○木村(太)委員 しかし、理屈からいきますと、私が今仮にと言いましたけれども、指摘したことは、やはり仮に今回の改正の五%適正化を行っても、将来的にはあり得るのでないかなと思うわけであります。  しかし、今回この改正案審議しているわけでありますので、これによってなるべく農林年金の姿を立て直すという努力はやはり農林水産省にお願いをしたいと思います。  次にお聞きしますけれども、先ほども御質問にもありましたが、平成八年の三月に閣議決定された「公的年金制度の再編成の推進について」であります。この中で、農林年金については、平成十一年の財政計算時において制度位置づけを検討することが決定されたというふうになっておりますが、これは先ほど来、私の前の質問にも答弁があったとおり、農林年金厚生年金早期統合させることを政府の方針としたととらえていいのかどうか、確認させてください。
  95. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 平成八年三月における「公的年金制度の再編成の推進について」の閣議決定におきましては、農林年金について、財政計算時ごとに、制度位置づけについて検討を行うこととされております。
  96. 木村太郎

    ○木村(太)委員 では、厚生年金とこの農林年金早期統合させたいという政府の方針だったのかどうか、そこを確認させてください。
  97. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 この検討とは、同じ閣議決定の中にうたわれておりますように、各制度が漸進的な対応を進めつつ、その統一的な枠組みの形成を目指すという方向に沿った、公的年金制度一元化の検討のことであると理解しておるところであります。
  98. 木村太郎

    ○木村(太)委員 そうしますと、平成八年三月の閣議決定時においては、農林年金厚生年金統合させるべきだとは、その時点では、まだ政府の、農林水産省としての考え方はなかったわけでありますか。
  99. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 それを目指す、こういうところであります。
  100. 木村太郎

    ○木村(太)委員 目指すということは、やはりその時点でも早期統合をその時点から、閣議決定されたときから農林水産省としても目標としてはあったと、今私は答弁からそう認識させていただきました。  そこで、お聞きしますが、先ほどもありましたが、農林漁業団体の方は、もう既に団体として、平成十三年の四月にも統合をさせたいという具体的な目標年次を持って動いているようでありますが、この平成十三年四月という、団体が目標とするこの目標年次の統合ということを、国はどのように考えておられるでしょうか。
  101. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農林漁業団体は、今後の農林年金あり方を検討した結果、農林年金組合員数農協系統組織整備合理化の取り組み等により急速に減少している状況を踏まえまして、厚生年金との早期統合組織決定したのが平成十年十二月でありまして、関係省庁に要望してきているところであります。  農林年金厚生年金統合につきましては、新たな年金制度の枠組みで財政計算を行い、社会保障制度審議会年金数理部会で検証していただき、公的年金一元化懇談会等において関係者間の調整や合意形成を図るなどの手続があります。  農林水産省といたしましては、関係省庁と連携しながら、これらの手続を順次進めて、早期統合ができるよう努力していきたいと考えているところであります。
  102. 木村太郎

    ○木村(太)委員 早期統合ができるようということでありますが、団体としては、平成十三年四月には統合させたいという具体的な目標年次を明記して動いているわけでありますが、その十三年四月の統合に対して、国の考え方はどうなのか、端的にお答えいただければと思います。
  103. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 団体の希望としてはそういうふうに承っておるわけでございますけれども、統合につきましては、先ほど申し上げたような手続を経て進めていくという必要があるわけでございますので、今後のことにつきましては、この手続を進めながら、できるだけ早く統合ができるように努力していく、こういう姿勢でございます。
  104. 木村太郎

    ○木村(太)委員 できるだけ早くということで、今大臣からも答弁があったとおり、それを早期統合を進めるにしても、いろいろな手続が必要かと思います。  団体の資料を見ますと、仮に団体が目指す平成十三年四月の統合とすれば、今大臣答弁があったいろいろな手続、あるいはまた仮にそれが整った後でも、例えば組合員年金受給者などのデータの移管とか、こういう事務的な作業も必要であるだろうし、こういうことを考えれば、次の通常国会には早期統合に向けた法案を提出しなければならないというようなスケジュールが既に出てきているわけであります。端的にお答えいただきたいんですけれども、次の通常国会において、早期統合に向けた法案の提出を農林水産省としては考えているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  105. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 もう少し手続経過を見まして判断したいと思っておるわけでございますが、現時点におきましては、法案の提出時期について申し上げることはまだ時期尚早であると考えております。
  106. 木村太郎

    ○木村(太)委員 しかし、団体の目標年次ということを考えれば、これは手続的にも次の通常国会内で法案審議がなければということになっているようでありますので、大臣答弁には、早期統合を目指したいという答弁があるわけでありますので、やはり農水省としてのリーダーシップを御期待したいと思っております。  以上、農林年金について質問してまいりましたが、せっかくの機会ですので、若干、最後にお聞きしますが、農林年金審議でありますが、お許しをいただきまして、前にも質問したことがありますが、いわゆる農業者年金制度、この抜本的改正に向けての現時点での状況をちょっとお聞きしたいと思います。  先般の通常国会後半に、農業者年金基金の一部改正がなされたわけでありますが、その際、抜本的な改正に向けては、農林水産省と厚生省が一緒に研究会を設けまして、十一月の中旬には意見を取りまとめ、次期通常国会に抜本的改正案を提出したいというスケジュールを確認させていただきました。  もう既に十一月も下旬に入ってきたわけでありますので、その作業状況はどこまで進んでおりまして、特にこれはまだ法案をつくっている作業に入っていないかと思いますが、抜本的改正に向けて、研究会での意見が、主に柱としてどういうことが上がってきているのか、現時点で結構ですから、お答えいただきたいと思います。
  107. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農業者年金は、昭和四十五年の制度発足以来、農業者の老後生活の安定と農業構造の改善に一定の役割を果たしてきたところであります。しかし、農業情勢は大きく変化し、近年、財政事情も極めて悪化しております。  こうした状況の変化等にかんがみ、食料・農業・農村基本法のもと、年金手法の活用の適否を含め、抜本的な改革を行う必要があり、農業者年金制度研究会において検討をお願いしているところであります。  本研究会におきましては、加入者数等により財政状況が左右されないよう、積立方式の採用や、その前提としての受給者等に対する措置などの論議がなされております。  いずれにしましても、改革内容につきましては、できるだけ早く、加入者受給権者等の関係者にお示しできるよう、年内には取りまとめていただきたいと考えているところであります。
  108. 木村太郎

    ○木村(太)委員 年内には取りまとめるということでありますが、そうしますと、当初の予定である十一月の中旬までというスケジュールから見ると、若干おくれが出てきているというふうにとっていいんでしょうか。それによりまして、いわゆる次期通常国会に、意見がまとまったものを踏まえて法案提出を考えていた、その時期そのものも、またおくれていくことが予想されるんでしょうか。ちょっとスケジュールの点を確認させてください。
  109. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農業者年金制度の抜本的改革につきましては、農政上、年金財政上の課題に適切に対応するため、農業者年金制度研究会におきまして熱心かつ慎重な検討がなされているところであります。  このため、当初予定しておりました十一月中に取りまとめを行うことは難しい状況になっておりますが、何とか年内にはこの検討結果を取りまとめていただくという考えでありますので、御理解を賜りたいと存じます。
  110. 木村太郎

    ○木村(太)委員 しかし、抜本的改正に向けての法案提出は、次期通常国会中には行うということでよろしいんですね。
  111. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 その法案につきましては次期通常国会に提出することを予定し、現在準備を進めているところであります。
  112. 木村太郎

    ○木村(太)委員 時間もほぼなくなってきましたので、最後にもう一回聞きますが、先般、農業新聞の社説に年金見直しに向けての記事が書いてあったんですが、先ほども質問しましたけれども、現時点でまだ意見も全部はまとまっていない、ことしじゅうにはということでありますが、現時点での抜本的見直しに向けての柱となるべきことがありましたらお知らせください。これを聞いて終わります。
  113. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農業者年金制度の抜本的改革につきましては、食料・農業・農村基本法の理念に即した形で、かつ長期的に安定した制度となるよう実施することとしておりまして、現在御論議をいただいているところであります。年内に取りまとめるという方向でお願いをしているところでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  114. 木村太郎

    ○木村(太)委員 時間が来ましたのであれですが、くどいようでありますが、こういうこともあるんではないかというような具体的な施策として、もし現時点で幾つかあればということを聞いているわけでありますので、その点、前もって事務方にも話をしておきましたから、ちょっとお知らせください。
  115. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 一つは、農業政策上、年金財政上の問題点の重大性を直視し、現行制度を根源から見直す必要があるということ、農業の担い手の確保、育成を図るとともに、農地等の経営資源を次世代の担い手に継承することが重要な課題であること、このような課題につきまして、現在ある農業者年金の枠組みを活用して長期にわたる一貫した施策として講じることが合理的であるという議論がなされているということを御報告申し上げたいと思います。
  116. 木村太郎

    ○木村(太)委員 終わります。ありがとうございました。
  117. 松下忠洋

    ○松下委員長代理 藤田スミ君。
  118. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、農林年金共済組合法について質問をいたします。  改めて言うまでもありませんけれども、今、老後の暮らしは本当に大変です。老後安心して暮らせる年金をというのは、国民だれもが持っている切実で、かつ急を要する願いであります。  今回の年金改正案は、大臣はここでしばしば、少子高齢化進展経済の低成長化等、近年の公的年金制度をめぐる情勢の変化に対応する、こういうふうにおっしゃるわけです。具体的な中身は、これもまたこれまでの議論で確認されておりますが、新たに裁定される年金額を五%引き下げ、六十五歳以降の年金額賃金スライドはしない、支給開始年齢は引き上げる、在職老齢年金のカットというふうに、いずれも引き下げであり、受給者にとっては大変厳しい内容であります。適正化と言われるけれども、高齢者に大変な痛みを押しつけるものであります。  そこで、私は聞きたいのです。大臣、ことしは国際何年かわかりますか。これまで国際婦人年、国際障害者年とありますが、ことしは何の年ですか。
  119. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 ちょっと念頭になかったので、委員から教えていただければありがたいと思います。
  120. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、この年が国際高齢者年であるということを知ったら、こんな法案はとても出せなかったはずだというふうに思って、あえて言ったのです。意地悪するためではありません。  この国際高齢者年は、高齢者が安心して人間らしく尊厳を持って生きていけるような人権保障を確立し、それを可能にする社会を築いていく取り組みを、健康、住居、家族、社会福祉、所得保障、雇用というふうに大変幅広い分野にわたって行動提起をしているのです。一九九九年、この二十世紀の終わりの年を初めの年として、この国際高齢者年は、すべての世代のための社会づくり、これをキーワードにしているわけであります。こういう国際的な取り組みに日本は逆行しているというふうに思われませんか。
  121. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 委員の御趣旨に決して反しているわけではないわけでありますけれども、いろいろな変化等が生じまして、現行のままで参りますと、なかなか農林年金も確保できないんじゃないか、そういうことで、できれば統合しながら進めていくということが将来においても安定してくるのではないか、こういう観点からやっておるわけでございますので、その点も評価していただかなければならぬと思います。     〔松下委員長代理退席、委員長着席〕
  122. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 とても評価できません。もし、そういう姿勢であるならば、第百三十一回臨時国会における附帯決議に基づいて、国は直ちに基礎年金に対する国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げていく、そういう措置に真っ先に取り組むべきであります。  今回、厚生年金と横並びで農林年金給与比例部分賃金スライドが行われなくなるということでありますが、私は、賃金スライドというのは、経済成長国民生活水準の向上が年金受給者にも反映され、年金受給者の暮らしがそこから取り残されるということのないように、この制度が入れられてきたというふうに思うわけでありますが、しかし、今回の措置は大変酷であります。現状の農林年金を他の退職年金の平均年金額と比較して見てみましても、決してそのレベルがいいとは言えない。  これは昨年のものになりますが、厚生省の資料で、一九九八年三月末ですからあれですが、この中では厚生年金十七万二千円、国家公務員二十一万六千円、地方公務員共済二十三万二千円、私学共済二十一万八千円、農林年金十七万七千円であります。制度間の違いがありますので、単純な比較は難しいと思いますけれども、言いましたように、現在でも農林年金給付水準は満足できる状態ではありません。  こういうことについて農林水産省は独自に検討されたのか。何でも横並びというのでは、共済制度意味は薄れてしまうのではありませんか。いかがですか。
  123. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 公的年金制度につきましては、昭和六十年の改正におきまして、国民年金がすべての国民共通に定額の基礎年金支給する制度とされるとともに、その上乗せを行う被用者年金制度におきましては、それまで異なっていた厚生年金共済年金年金額の算定方式を基本的に同一とすることにより、制度間の公平化が図られたところであります。  この改正後も、農林年金を含む被用者年金制度につきましては、制度間の公平化の観点から、厚生年金制度見直しに準じて改正が行われておりまして、今回も同様の改正を行うこととしたものであります。
  124. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 何か答弁になっていないですね。  私は余り難しいことを聞いているんじゃないのです。農林年金のレベルがまだ今でも共済年金の中では一番低いレベルです。こういうレベルを賃金スライドでなかなか引き上げることができないということについて、農水省としては独自の検討をされたのかということを聞いてみたのですが、もう一度だけ答えてくださいますか、簡単で結構です。
  125. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 公平化という方向で検討した、こういうことです。
  126. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 要するに検討していないのです。そして、公平化とおっしゃるけれども、公平化じゃないから、私はこの質問をしているということを申し上げておきたいと思います。  次に、退職共済年金支給開始年齢の引き上げの問題であります。  一九九四年、国民の反対を押し切って、いわゆる年金の一階部分、定額部分支給開始が六十歳から六十五歳に引き上げられました。しかし、その実施は二〇〇一年からであります。  今回の改定は、それに追い打ちをかけるように、今度は二階部分の報酬比例部分支給開始も六十五歳に引き上げていこうということで、一九六一年四月二日以降に生まれた若い人は六十五歳までの年金はゼロになる、そういうことになるわけであります。  私はここでお伺いいたしますが、政府は、前回の改正時に高齢者雇用対策に力を入れるというふうに約束されて、六十歳定年制の義務化というのも行っているわけでありますが、局長においでいただいています、この農林漁業団体の定年年齢の就業実態、それをお聞かせください。
  127. 石原葵

    石原政府参考人 農林漁業団体の就業実態ということでございますが、農林漁業団体では定年年齢の延長にこれまで努めてきております。六十歳以上の定年年齢を定めております農林漁業団体割合は、平成七年の七七・一%から平成十一年には九五%にふえているということでございます。
  128. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう一回確認しますが、私は皆さんからいただいている資料で、今の数字は、私、ちょっと耳に入りにくかったのかもしれませんが、おっしゃったのは、六十歳は九〇・六%、これは平成十一年現在でですね、それで六十一歳以上の定年は四・九%、これでいいですね。
  129. 石原葵

    石原政府参考人 先ほど私が申し上げましたのは男子と女子とを合わせた平均でございまして、これを細かく申し上げますと、男子につきましては、六十歳の定年になっておりますのは九〇・六%、それから六十一歳以上となっておりますのが四・九%ということでございます。したがいまして、六十歳以上ということになりますと、これの合計ということで九五・五%になります。これが全体の六十歳以上ということでございますが、平均定年年齢で見ますと、六十歳ということでございます。  また、女子につきましては、平均定年年齢は六十歳ということでございます。
  130. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 確認をしておきますが、これは、毎年三千団体を抽出して、就業規則あるいは定年の就業実態、そこでの年齢もチャンポンにされているというのですか。きちっと就業実態ということにはなり切っていない調査だと読みましたが、違いますか。私、それはいただいたときに確認していますが、間違っていますか。調べは調べですよ。調べは調べですが、そういうふうに……。
  131. 石原葵

    石原政府参考人 お答えいたします。  先ほど委員から御指摘がございましたように、これは農林年金が毎年三千団体を抽出して実施しているものでございまして、全国連、県連それから単協によりまして、報告のときに若干の数字のそごがあるようでございます。
  132. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 とにかく、そういうふうな調査の不正確さと言うたら言い過ぎでしょうが、あいまいなところがなきにしもあらずの状態の中で、六十歳定年というのはようやくここに来て定着しつつあります。しかし、六十歳以上の定年ということになると、まだ五%に満たないのが実態であります。  私はここに農協労働問題研究所というところの調査を持っておりますが、これは「研究情報」ということしの雑誌に掲載されたものであります。これによりますと、定年は就業規則で六十歳になっているけれども、七七・四%の農協が選択定年制度導入し、さらに一一・六%のJAが導入を検討中であるということです。そして、選択定年制度の適用職員層は、管理職だけではなく、一定年齢の全職員を対象にしている農協が実に九三・四%に上っています。  管理職定年制をとっている農協は四三・四%で、二三・一%のところが今後導入を検討しているということです。この報告を見ますと、管理職定年の決め方と年齢というところで、管理職定年制度の定年の決め方は明確に年齢で決めている、管理職定年の適用年齢は、五十四歳以下はほとんどなく、五十五歳、五十六歳が一〇%前後、五十七歳が四〇・四%、五十八歳以上が三九%となって、定年の二、三年前を管理職定年年齢としているというふうに報告をしております。  私は、就業規則が六十歳というふうにあっても、選択定年制度の実態がそうなっていない、このことについて好ましいことだと大臣考えられるのかどうか、この点を一点聞きたいのです。  それから、二つ目の問題は、ぜひとも就業実態を農水省が責任を持ってとらえ直しをしていただきたい、つまり調査をしていただきたい、これが二つ目です。  ちょっと固めて恐縮ですが、三つ目の問題は、年金支給年齢を六十五歳に引き上げるという点では、大臣だけじゃなしに政府は大変積極的にさっさといくわけですが、二〇〇一年を前にして、先ほど御紹介したように、六十一歳以上の定年年齢が四・九%というありさまでは、余りにも雇用の実態を無視した受給年齢の引き上げじゃないかということを言いたいわけです。それとも大臣は、雇用と年金受給に空白は生じさせないと断言していただけますか。お答えください。
  133. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 大変大事な御指摘だと考えております。  団体が統合を決議しまして、これを進めていくという上におきましては、団体もこれに見合ったことを団体内でもやっていかなければならぬ、こう思うわけでございます。今、例えば六十五歳の定年の年齢制の導入が検討中であるのは、既に導入しているのと合わせますと、一〇%以下であるということでございますから、できるだけこれは検討を急いでいただきまして、実態上も六十五歳定年でそこまで働くことができるような形をとっていくことが大事であるということでございます。  同時にまた、二〇〇一年からの適用でございますけれども、徐々に進めていくわけでございますから、二〇〇一年にいきなり六十五歳からでなければ支給できないということではございませんから、徐々にそれを進めていく、こういう過程の中におきまして、団体の方におかれましても定年制の延長をしていただき、それを実態的にも実施していただくということが大事だと思います。当然、農林水産省といたしましても、この年金制度改正に当たりましては、その点も十分留意して、団体とも話し合いをしながら進めていきたい、このように考えております。
  134. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 徐々に進めるというようなことでは、もう実際に定年の引き上げということが進まないのです。だから、本当に責任を持って、皆さんが肝に銘じてこの問題に取り組んでいただかなければならないということを申し上げておきたいと思います。  きょうは、基本的な年金制度の問題で、先ほどからも抜本的改革ということで、厚生年金との統合問題なども言われておりますけれども、根底には、何といっても、農林年金加入者が減って非常に厳しい状態になっているということから出てきていることは言うまでもありません。  私は、その点で、今日の農林年金の問題は、基本的にはその根本に農政の責任がある、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。米を含む農産物輸入自由化、市場原理の導入による価格の引き下げ等で、農家は農業への展望が奪われ、九〇年に三百八十三万戸、九五年に三百四十四万戸、九八年には三百二十九万戸と、実に九〇年から九八年の間に五十四万戸も減っているわけであります。この国内農業の縮小が農協経営に大きな影響を及ぼし、大きな視野で見れば、農協労働者にしわ寄せをされているわけであります。そして、それが今日、農林年金を将来的に厚生年金統合して活路を見出す、そういうことを言わざるを得ないところまで追い込んだ原因ではないでしょうか。  この問題に対して大臣はどう責任を受けとめていらっしゃるのか。先ほど来の食料・農業基本法を引っ張り出した、そういうことじゃなしに、大臣の率直なお気持ちを聞きたいというふうに考えます。
  135. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 今委員は、農協経営自体が米の一部輸入の件からなされてきておるのじゃないか、こういう御意見でございます。確かにそういう点もなきにしもあらずだとは思いますけれども、しかし、米のミニマムアクセスの問題等におきましては、国内の市況に影響させない、こういうことに全力を挙げて措置をとってきておるということでございます。米の問題を申し上げますならば、やはり、生産の見通しが、実際よりも豊作であったこととか消費が減退をしておるということ、そうした要因というものも考えていかなければならぬと思うわけでございます。  それに対しましても、緊急対策等を今日まで講じまして、できるだけ価格が安定をすることに努力をしてきておるわけでありますから、一元的にこれだけに結びつけて年金制度と論ずるということは多少問題があるのではないか、こう考えます。
  136. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっと、悪いですけれども、私、早口過ぎますかね。もうちょっと的確に、米だけを言ったのじゃないんです。国内農業の縮小という問題で例として挙げているわけであります。  聞きたいのは、農家は日本の農業に展望が持てない。農協は、本来、農産物の販売や営農指導を中心に事業を進めるべきであるのに、農産物の価格の低迷だとか取扱数量の低下で、農協本来の姿では農協経営そのものが立ち行かなくなってきた。そこで、信用事業だとかノルマつきの共済事業が大きい比重を占め、物品販売事業というようなことで、職員は販売にもノルマがつけられて、それに追いかけられて、本来の農協活動とはこんなものかという悩みを持ち、展望を失ってきているんです。そこに今日のこの五万人削減の組織再編計画が打ち出された。  だから、なぜこういう質問をしているかというと、私が心配しているのは、そういう中で、特に若い人がやめていっているということです。先ほどの農協労研の中にもありますが、農林年金組合員統計を分析したデータでは、一九九八年度のJAグループ全体の一年間の退職者が二万八千四百七十二人ありますが、そのうち二十から二十九歳まで、この年齢層が三分の一を占めるようになっているのです。これは深刻なことだと思われませんか。そして、それがまた農林年金の将来性を暗くする要因になっている、そういうことを大臣は深刻に受けとめて、大いに責任を感じなければならないのじゃないかということを申し上げているのです。  もう一度答えてください。
  137. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 農協も、経営を主体として考えてまいりますならば、時の経済社会情勢の変化にどう対応していくかということが一番大事なことだと思うわけでございます。  つまり、バブルが崩壊をしまして、金融問題等が生じまして、それ等も大いに影響しておるわけでありますから、そういう点も勘案をして、今、例えば経済の立て直しの中におきましては、農協ばかりではなくして、いずれの経営体におきましても、リストラとかそうしたことが進行しておるわけでございますから、それとの関連等も考えて見ていかなければならぬと思うわけでございます。  私の感想を申し上げますならば、そういうことであります。
  138. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう情けなくて、本当につらいです。  農家経営が成り立つ方向に日本の農政を大きく転換させる、そして、日本の農業が元気になれば農協も元気になり、年金財政の土台もしっかりしたものになる。私は、そこのところを大臣がもっと深く理解をしてくださっているというふうにばかり思っておりました。極めて残念であります。  余り怒ってばかりいたらいけませんので、次に移ります。  今回、育児休業中の掛金の団体負担分を免除する措置をとられたことについては、私も女性として率直に評価をしています。この措置は、働く女性が結婚しても、子供が生まれても働き続けられるように、そして、育児休業も活用しやすくするようにということで打ち出されたものだというふうに考えます。そのことは、政府が重視していらっしゃる少子化対策としても大変大事な課題一つだというふうに思うわけですが、私の理解でよろしいでしょうか。  うなずいていただいているようですので、続けて御答弁ください。大臣、そういう立場で、今後、農林水産省内はもとより農林漁業団体にも、ぜひ働く女性を、大いに結婚せよ、子供を産めということで励ましていただきたい。メッセージをください。
  139. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 次世代の子供さんたちがたくさん生まれまして立派に育っていくということは、共通の政治目的でもありますし、社会、国民全体がその方向を目指していかなければならない、こう考えるわけでございまして、今回のこの改正における育児休業制度等も極めて大事なものである、こう考えております。
  140. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、こういう問題が高知の農協病院で起こっているんです。これは、大臣にあらかじめ、農水省からいただいた資料をもう一度手渡していただきたいということで関係者の方に渡しておりますので、届いていると思いますが、私、客観的にここで、この文書で説明します。  この高知農協病院というのは、平成九年度に一年間臨時職員として雇用していた看護婦について、正職員として採用したが、三カ月間の試用期間終了後、身分に関係する重大な事実を秘匿したことを理由にして、職員として不適格と判断し不採用とした。これは農協連合会が述べていらっしゃることです。身分に関係する重大な事実を秘匿というのは、結婚のことを指しているのです。  その下をごらんください。高知地裁がその後、仮処分の判決を下しています。平成十一年二月十日です。この判決もそのまま読み上げましょう。  当該看護婦は、身上関係書類の提出に関し、つまり結婚届です、上司の命令に速やかに従わなかったという限度で服務規律違反が認められる、看護婦である職員の氏の変更は重大な身上関係の変更に当たると言えるが、一、当該看護婦は臨時職員の看護婦として一年間の勤務実績がある、二、臨時職員の期間中に採用試験に合格している、三、当該看護婦みずから採用の辞令交付前に氏の変更を上司に申告している、四、この看護婦は経営者側から新人等の教育係を命ぜられるなど、身分関係の報告義務違反及び服務規律違反以外にその勤務態度に特段の問題はないこと、五、当該看護婦の違反は経営者側が本件解雇の意思表示を行う前に解消されていることを考慮すれば、結論です、速やかに氏名変更届を提出しなかったことをもって、直ちに職業能力や企業適応性などの職員としての適格性がないと言うことはできず、本採用拒否の客観的かつ合理的理由があると言うことはできない。  企業側の言い分は通らないということを、仮処分判決で出されているんです。  経営者側の本音というのは、結局、彼女が結婚して妊娠したということにあるんだ。職員が妊娠した場合には、産前産後の休暇だとか育児休業、そういうことで一体何のために雇ったのかわからぬというのが経営者側の本音だろう、こういうふうに言われているわけであります。  私もそうではないかと思いますが、こういう例は、紹介をしようと思ったら、私はまだたくさん持っています。特に、非常におくれた農業、農村の中で起こっていることです。しかし、こういうことはもう許されないだろう。もっと女性が働き続けられるような環境をつくっていきたい、そのために私は先ほど大臣からメッセージをと申し上げたわけですが、この件については係争中ですので、あえてコメントは求めません。  最後にもう一度、女性が働き続けられる環境を本当に早く整備していかなければ、少子化対策も進まない、女性の権利も本当に確立しないという点で、大臣の御答弁を求めて終わりたいと思います。
  141. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 女性の働く方々につきましては、男女雇用機会均等法の基本的理念にもありますように、性別により差別されることなく、母性を尊重されつつ充実した職業生活を営むことができるようにしなければならないものと承知しております。  こうした趣旨を踏まえれば、特に女性職員が七割強を占める厚生連病院等におきましては、女性が働きやすい職場環境を整備していくことが必要であると考えております。  本年六月には男女共同参画社会基本法が制定されるなど、女性の地位向上は農林水産行政にとっても重要な課題一つでありますので、職場における女性の地位向上について、農協系統組織を通じて指導してまいりたいと存じております。
  142. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ありがとうございます。終わります。
  143. 松岡利勝

    松岡委員長 前島秀行君。
  144. 前島秀行

    ○前島委員 時間も余りありませんので、私は、統合問題を中心に、二、三伺いたいと思います。  農林年金に限らず、年金問題というのは国民的関心事項、これはもうどこの国も、これからの高齢化社会年金制度はどうあるべきか、介護の問題もしかりであるし、そういうセーフティーネットを築く上で年金制度はどうあるべきかということは非常に重要な課題だろうと思います。  そういう面で、私は、この農林年金に限らず、年金という問題は本当に国民的な議論が必要だろう、こういうふうに思います。財源あり方の問題だとか負担あり方の問題、給付あり方の問題、それが人口の構造と経済の動向とどうかかわってくるか等々、そういう面では、私は、この年金問題というのは、本当に国民的な議論、十分に慎重審議をすべき課題だろうというふうに思います。それゆえに、過去もさまざまな議論をしてきた、こういうことだろうと思います。  重要な年金問題の議論に当たって、今度の国会の中で、厚生委員会を中心とする国民年金厚生年金の親年金のところの議論が、与野党対決という構造の中で非常に残念な形で進行している。いわゆる強行採決、与党が強行で、数でもって押し切って事が進められようとしている。私は非常に残念だなと思います。  また同時に、こういう状況の要因の一つ、要因の一つと言っているのですよ、すべてとは言いませんけれども、農林年金の存在ということを耳にしなくはありません。現に私も、農業関係者の皆さんから、ともかく今度の臨時国会でこの法案を通してもらいたいという強い要請を、私自身も受けました。今回の厚生委員会での親年金の議論の与野党対決、強行採決の要因の一つにその問題もあるのかなと率直に思います。  そういうことを前提にして、それなら、農林年金厚生年金統合すること、それをここまで急ぐ理由は何なのかというところを、大臣、これは一般論で高齢化社会云々なんて、みんなどこの年金もそういうことなんでありますから、農林年金厚生年金との統合をここまで急ぐ理由は何なのか、率直にお聞かせください。
  145. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 先ほどは、統合という方向で決定するという団体の決定は遅かったんじゃないかというようなほかの委員の意見もございました。  農林漁業団体は、今後の農林年金制度あり方を検討してきたと思うのです、時間をかけて。そしてその結果、農林年金組合員数農協系統組織整備合理化の取り組みによって急速に減少している、こういう状況を踏まえまして、平成十年十二月に厚生年金との早期統合組織決定した。やはりこの方向しか最善の方向はないということでみずからの決定をした。こういうことを受けまして、私どもも関係省庁に要望しながら進めてきたということでございますので、何で急ぐか、こう言われましても、やはりそういう背景があって急いでいるということを御理解いただきたいと思います。
  146. 前島秀行

    ○前島委員 大臣、私は、この統合そのものを否定しているわけじゃないのです。それを本当に一日も早くやって、農業、それぞれの団体にかかわる人たちの老後安心させるためには統合せにゃいかぬでしょう。それなら条件が整わなければなかなかできるものではないだろうな、私はこういうふうに思うのです。だから出だしのところで、何で急がなくちゃいかぬのかというところは率直に出さないと、それから先が進まないぞということを私は言いたいのであります。  要するに、農林年金が抱えている独自のさまざまな要件があって、財政上の問題等々があって厚生年金との統合を急ぐんだ、こういう基本的な理解でよろしゅうございますね。
  147. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 もろもろの要因があって、そのような方向でございます。
  148. 前島秀行

    ○前島委員 もろもろのという中に、農林年金が抱えている独自の、あるいは農林年金を取り巻いている農業者団体のさまざまな要件が早期の統合を要請している、こういうふうに理解すべきだろうと思います。  そこで、それほどまでに急がにゃいかぬ統合の条件をどう整備するかということが、私は次に非常に重要な点だろう、こういうふうに思います。率直に申し上げて、農林年金を取り巻くいわゆる財政事情が厳しい、このままほうっておいたら国鉄年金等々のような状況に追い込まれることもまた事実だろうし、一年一年おくれれば何百億の云々がという話も私は聞いています。  そうすると、この統合への条件は一体何だろうか。私が言いたいのは、農林年金の側の努力というものはなしでいいのかな、あるいは統合する相手である厚生年金関係のところの皆さんの理解というものをどう得ていくのか、当然前提として国民的な理解ということだろうと思います。  そういう面で、これほどまでに急ぐ農林年金厚生年金への統合の条件整備とは一体何なのか、大臣、聞かせてください。
  149. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 やはり年金は、御承知のとおり、老後安心、安全を得るということが根本だと思います。今非常に厳しい情勢にありますけれども、何としてもそれを統合によって保障していくということが条件だ、こう申し上げておきたいと思います。  具体的には、社会保障制度審議会の年金数理部会で検証していただきまして、公的年金一元化懇談会等において関係者間の調整や合意形成を図るという手続を経なきゃなりませんから、そういう中におきまして、国民的な合意を得ていくということが一番大事なことだと思います。
  150. 前島秀行

    ○前島委員 農林年金側の条件整備、農業者団体を含めた側の条件整備のための努力というのはありませんか。
  151. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 当然、委員の御指摘のとおりあると思います。
  152. 前島秀行

    ○前島委員 私は、その辺の姿勢、あり方ということが非常に大切だと思っています。  だから、最初に言ったように、私は統合を否定するものじゃない。しかし、高齢化社会だからどうのこうのとか何々年金審議会が一元化しろと言ったから、これじゃ絶対、早期にもできないだろうし、結果としても中身のある統合はできないだろう、私はこういうふうに思いますね。  そういう面で私は、先ほど議論がありました、やはり政府の農政に対する責任、役割もあると思います。農業人口、農業関係者がどんどん減っていて今日になっているんですから、その基本は農政であることは間違いない。これはまた別の議論として、現実に統合しようとするときに、農林年金の側の努力、要するに、赤字になっちゃったんだから厚生年金に逃げ込む、言葉は悪いですけれども、そっちに行けば何とかなるんじゃないかという姿勢ではだめじゃないでしょうか。農林年金そのものを立て直す努力というものがまずあらなければ、国民理解も得られないだろうし、相手の理解も得られないだろう、私はこういうふうに思います。そういう面で十分な努力あるいは条件整備がされていると、大臣認識されるのか。  また、事務当局でもいいですけれども、例えば福祉事業というものをいろいろやっていますね。この辺の財政状況、運営状況というのは一体どうなんだろうなと。そういう努力も、これから課せられてくる課題でもあるだろう、私はこういうふうに思いますので、まず大臣厚生年金並びに関係のところは条件整備のための努力を十分しているという認識に立つのかどうか、その点、聞かせてください。
  153. 玉沢徳一郎

    玉沢国務大臣 やはり、農林年金そのものも一生懸命努力をしてきた、私はそう評価しておりますし、今後もそうすべきだと思います。
  154. 前島秀行

    ○前島委員 福祉事業の方の状況はどうですか。事務当局でいいです。
  155. 石原葵

    石原政府参考人 農林年金では福祉事業といたしまして、療養施設の設置等保健事業、全国六施設における宿泊事業、それから組合員に対する貸付事業、こういうようなものを実施いたしております。これらの事業のうち、保健事業は長野県厚生農協連、それから宿泊事業は財団法人農林年金福祉団に委託して実施しているところでございます。  この経営状況でございますが、平成十年度で見ますと、保健事業は四千万円の黒字、しかしながら宿泊事業は二億七千万円の赤字ということになっております。
  156. 前島秀行

    ○前島委員 この一元化問題、私たちもいろいろな面で議論せにゃいかぬ、こう思っています。そういう面で、厚生年金を構成する関係者なんかの意見も私はたびたび聞きました。その厚生年金の側の皆さんの意見は、やはり若干、農林年金並びに関係者に対する不信感あり、あるぞ、こういうふうに私は率直に聞きました。  例えばこの一元化懇談会でも、あるいは今度の答申に当たっての社会保障制度審議会の答申の中でも、国民理解を得るためにも情報の公開の必要性ということは再三うたっているわけですね。厚生年金関係者の中、いわゆる歴史的な経過に対する不信というだけではない問題も若干ありやというふうに、私は伺っているところであります。  そういう面で大臣、あるいは総括政務次官でもいいのでありますけれども、情報公開を中心とした、特に相手方に対する理解を求める努力というのはなお必要ではないだろうかと、私は個人的には認識しているところでありますけれども、その辺の認識についてお聞かせ願いたいと思います。
  157. 谷津義男

    谷津政務次官 公的年金制度の一元化を進めるに当たりましては、国民理解と支持が不可欠であるというふうに考えております。そういうことから、財政状況に関する幅広い情報公開が必要だというふうに考えておるところであります。  それから、先ほどの御質問にありましたが、実は二億七千万円の赤字だという話がありましたけれども、私もその辺のところが心配であったものですから、かなり数字等も出してもらいました。そういう中で、宿泊事業については六年度からは赤字になっておりますけれども、五年度までは黒字経営であります。そういう面を見ますと、十年度末現在で積み立てられた利益の残高は十三億円あるというふうに報告を受けております。
  158. 前島秀行

    ○前島委員 農業に携わるさまざまな人たちの、これからの老後といいましょうか、あるいは安心して農業に携わる、そういう条件をつくるためにも、この農林年金の充実、当面する統一の問題、統合の問題というのは私は大事だろうと思います。それであればあるほど、国民的な理解、相手方の理解を求める努力をやはり積極的にやるべきである、この点だけは、ぜひ、大臣初め指導的立場にある政府関係者の方も強く御指導をお願いしたい、こういうふうに思います。  最後に要望として、年金が横並びで農林年金もいくとすると、六十五歳というのが避けて通れないとすると、この厳しい農業状況の中で、そこの関係で働いている人たちの雇用という問題は、やはり重要な課題になってくることは間違いない、したがって、この点は、これからの対応の問題の重要な対策として、ぜひ役所、農林省、政府が関係団体、関係者を指導する、そのことだけを強く私はお願いをして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  159. 松岡利勝

    松岡委員長 これにて質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十八分散会