○小平
委員 この後、麦、
大豆の問題等々にも質問いたしますが、
大臣、今、米以上のいわゆる収入がある、そういうことを目指すという御発言がございましたが、それはそれで大事でありますけれども、私は、やはり基軸は米である、その中でどう調整するかということになっておりますので、これはまたこの後質問いたします。
また、十三年以降のガイドラインについても、やはりこの時点では、今後の推移を見て決めたい、それ以上は踏み込んでいけないことはわかりますが、問題は、そこのところに
生産者が不安を持っている。
状況によってまたころころ変わってしまう、それでは、安心して、確たる予定を持って、
農業というのは一年かっきりでなくて継続する問題ですから、その作業に入っていけないということがありますので、
生産者は一様に
政府の姿勢、特に
大臣の御姿勢に対して注目をしているというところであると思います。
それと、私は、
政府の書いた答弁ではなくて
大臣の肉声ですから、それは言葉によっては言い間違える、あるいは違ったことがある、それはその次訂正すればいいことであって、何ら恐れることなく言っていただいて、いや、さっきちょっと間違っていた、私は結構だと思いますので、そんなことは言質をとりません。したがって、きょうからはいろいろと審議が始まりますので、こういう新しい形になりました、ぜひこの
委員会が活性化していくようにお願いしたいと思います。
さて、今回のこういう
状況の中で初めて
生産オーバー分を
主食用以外に処理する、そういう
方式を導入する、こううたっております。これは、我が国二千数百年の瑞穂の国として、稲作
農業において初めて米を主食から飼料用
作物に向けるという大きな転換だと私は思います。もちろん、過去においては、古米が、古々々々米か、どのくらい古がつくかわかりませんが、古くなって食用に適さなかったので結果的にえさに回すということはありましたが、
最初からえさとして位置づけることは、我が国の
農政史上画期的な、初めてのことであります。
日本人の、我々のこの肉体、精神含めて、一億数千万の我が国の国民、日本民族の精神構造は、まさしく稲作を
中心にした伝統文化である。お祭りを初めあらゆるところで、私どもは、先達の、先人の稲作文化というものを
中心にして今日の日本の繁栄がある、こう言っても過言でないと思います。そういう中で、私は、日本人の精神構造を大きく変えることになってしまうのではないかという心配と、もう
一つは、実際に現場で作業をする
生産者、
農家の皆さんのプライドを傷つけることになってしまうのではないかという、取り扱いの問題ですね。
昔、水戸黄門が俵に腰をかけておばあさんにしかられた、そんな話も巷間伝わっていますね。やはり米は神聖なもの、つい最近まで米は足りなかった。我々は、私も子供時代含めて飢餓というものを経験しました。今、努力のかいあって、そして食生活の多様化もありまして、米は余っております。でも、短絡的にえさという位置づけをすることについては、軽々にすべきでない、私はこういう考えを持っております。
そこで、先ほどは、大体三十万トンから四十万トンの数量をえさに回す、こういう考えが
政府から出されました。しかし、実際にかまを入れてみたら、いや、とんでもない、そんな
作況でない。それで十七万トンに圧縮されましたね。この
状況の中でこれをえさに回す。これについては、九十億円という
お金を用意して、
政府といわゆる
生産者が折半をしてここに充てる、こういうことを言われておりますが、では、このえさ米はどのくらいの
価格を
政府は考えておられるのか、どのくらいの
価格でえさ米というものに充てようとしているのか。えさ米なら大体一俵
当たり千円レベルの金額ですね。
そういう中で、私が申し上げたいことは、実は、昨年のちょうどこの米審時期の当
委員会でも私は質問した経緯があるのですが、やはり私の持論は、
回転備蓄を
棚上げ備蓄にしろと。その
意味は、こういう
状況があり得るのだから、
回転備蓄を
棚上げ備蓄にきちんと位置づけをして不測の事態に備える、その任を果たした後は、えさというよりは援助に回せと。
我が国が国際貢献として
農業の分野で堂々とできることは、米を
中心にした国際援助です。そのことを主張してまいりましたし、前の
委員会でも私は
政府に向かって申し上げました。単にえさとして位置づけるのではなくて
棚上げ備蓄にして、古くなったものを、主体は援助に回し、また必要に応じてはえさとして処理をする、これは付随的なものとして。そういうことを私は申し上げたい。
ただ、今
政府は、十七万トンをえさ用、そして二十万トンから三十万トンを隔離する、十万トンは援助に回すと。私はこの十万トンは評価します。なぜなら、私は今までに何度か
政府に向かって援助という項目をつくれと言ってきましたが、
政府はかたくなにそれはできないと。それで、例えば過般のインドネシアやああいう飢餓の
状況が発生した場合に、あたふたと後手後手に回って援助の体制をつくりましたが、私は
最初からそういうスキームをつくれと常々申し上げてまいりました。その援助という言葉を使ったことは私は評価したいと思います。
同時にMA米、今我が国は四苦八苦をしながら
ミニマムアクセス米の輸入をいたしております。その中でも今回、この大綱の中に十五万トンを海外援助に回す、そういうことがはっきりと明記されております。そうしますと、MA米の十五万トン、これはもう輸入したんですから日本のお米ですね、日本に入っている、日本が管理しているお米だ、
政府が管理している。そして十万トン、合わせて二十五万トン、こういうことをはっきりと援助する、そういう表現をつくったことについて、道が開けて見えて、私は評価はします。
しかし、まだゼロが足りない。こんな規模でなくて、もっと量をふやして、我が国はその
状況に備える。かつてアメリカは、今から二十数年前にケネディ・ラウンドで、小麦を
中心にした飢餓、栄養不良の国に対する援助の義務を先進国は負うという取り決めをしましたね。我が国はあの前回のウルグアイ・ラウンドで、苦渋の選択でお米の部分自由化を受け入れざるを得なかった。しかも
政府は昨年、さらにそれを進めて完全自由化の道を開いた。ならば、次のWTOでは、もうアメリカを初め国際舞台で何ら憶することなく、何ら引け目を持つことなく、堂々と渡り合って我が国の主張を展開できると思うのであります。
単に
お金でこそく的に回すのではなくて、堂々と、我が国が持っているものを戦略として、米を
中心にした援助体制をしっかりつくっていく。このことは、農水省とか外務省のODAとかではなくて、
政府全体としてこういうスキームをつくっていくことが、ひいては二十一世紀、人口の爆発的な増大に向かって、一説によると、二〇五〇年には百億の世界人口ですか、また、砂漠化の増大によって、間違いなく二十一世紀は食糧不足の時代が到来します。そのときに、幸いに春夏秋冬という良好な気象条件、地理条件を持った我が国が、先人がつくった
水田というものをしっかり有効活用する
意味においても、こういうスキームをつくっていけば、
水田も有効に活用できるし、そして同時に、国内の
消費者に対するニーズにもこたえられる、また、今進めている麦、
大豆対策にもつなげていける、私はこういう考えを持っています。
私なりの話が少し長くなりましたが、こんな
意味において、今
大臣にお聞きしたいことは、この十七万トンという数字が出ましたが、ここはひとつ
大臣に、えさ米ということについて、私が今申し上げたことを含めながら、どう考えておられるのか、そこのところを、今後の方向に向かってお考えをお聞きしたいと思います。
〔松下
委員長代理退席、
委員長着席〕