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1999-11-11 第146回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十一日(木曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 斉藤斗志二君    理事 田野瀬良太郎君 理事 滝   実君    理事 中野 正志君 理事 山本 公一君    理事 中川 正春君 理事 中沢 健次君    理事 桝屋 敬悟君 理事 鰐淵 俊之君       今井  宏君    大野 松茂君       栗原 裕康君    杉山 憲夫君       橘 康太郎君    西田  司君       平沢 勝栄君    平林 鴻三君       藤本 孝雄君    水野 賢一君       河村たかし君    桑原  豊君       松崎 公昭君    松本  龍君       石垣 一夫君    富田 茂之君       野田  毅君    穀田 恵二君       春名 直章君   知久馬二三子君     …………………………………    自治大臣    国務大臣    (国家公安委員会委員長) 保利 耕輔君    自治政務次官       平林 鴻三君    自治政務次官       橘 康太郎君    政府参考人    (警察庁長官)      関口 祐弘君    政府参考人    (警察庁長官官房長)   石川 重明君    地方行政委員会専門員   蓼沼 朗寿君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件     午前九時開議      ————◇—————
  2. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官関口祐弘君及び警察庁長官官房長石川重明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  4. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野正志君
  5. 中野(正)委員(中野正志)

    中野(正)委員 おはようございます。自由民主党の中野正志でございます。  新しい自治大臣保利先生をお迎えし、また実力派の両政務次官をお迎えいたしまして、地方自治進展のためにも心強い限りだと、心からエールを送りながら、まず保利自治大臣にお伺いをさせていただきたいと存じます。  地方分権を推進していくためには、地方税財源充実確保が大変不可欠なものであります。さきの通常国会において地方分権一括法が成立して、事務、権限などにおいては機関委任事務廃止ということで、私は、ある意味では大きな評価をいたしております一人でもございます。  ただ、はっきり言って、財源についての分権は先送りされまして、行われておりません。言葉はきついかもしれませんけれども、これでは、まさに仏つくって魂入れずということだなと正直に思っております。  この点については、法律で修正、追加ということで規定をされておりますから、御承知のとおりでありますから、四の五の申し上げませんが、地方分権を本当の意味で進めていくというためには、あるいはまたその基盤を強化するというためには、財源地方分権である地方税財源充実確保を急いでまいらなければならない、これはもう論をまたないところであります。  しかしまた、その一方で、具体的にどうするというと、そう簡単にもまいらないな、それも事実であります。当然ながら、経済状況も慎重に見きわめていくということもあるわけであります。  こういう中で、保利自治大臣は、この地方税財源充実という大きな、しかし避けて通れない、分権にとって必要不可欠である大課題に今後どのように対処され、行動されるおつもりなのか、その基本的なお考えをお伺いいたしておきたいと存じます。
  6. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 お答えを申し上げます。  前国会地方分権一括法が成立をいたしまして、これにのっとって地方分権を進めていかなければならないという状況に入ってきております。そのために、今御指摘のような税財源配分等も、あるいは充実等もこれから積極的にやっていかなければならないということでございますが、現在の状況を見ますと、歳出規模と税収との間には大きな隔離が地方にある。これを何とか均衡させるような形に持っていくということが、将来像としては求められるところだろうと思っております。  地方税体系についての今後の問題につきましては、私も政府税制調査会の中で、我々の立場から、あるいは地方立場から御要請を申し上げたところでありますが、今後とも、こうした努力を重ねてまいりたいと思っております。  なお、このたび、地方税源充実という意味で、法人事業税外形標準課税の問題が出ております。これは、政府税調の中でも小委員会報告の中できちんと位置づけがされておりまして、その方向性というのが出ているわけでありますが、そのタイミングにつきましては慎重を期していかなければならない。現在の経済状態その他を十分勘案しながら、また中小企業に対する配慮等も考えながら、その時期を探ってまいりたいと思っております。  いずれにいたしましても、国と地方税源配分の見直しなどを含めまして、今後、この充実確保につきましては、経済状況、あるいは将来の税制抜本的改革方向、これは税制調査会でおやりをいただきますが、できるだけ早期にこういった税の配分その他、充実について実現するように努力を重ねてまいりたいと思っております。
  7. 中野(正)委員(中野正志)

    中野(正)委員 ありがとうございます。  保利大臣のその決意のとおりに、まさに地方分権の法の趣旨にのっとって、ともどもでしっかり頑張ってまいりたいな、そんな決意も持たせていただくところでございます。  ところで、警察庁にこの機会にお伺いをさせていただきたいと存じます。  神奈川県警一連不祥事、本当に噴飯物だなと。国民皆さん方のお怒りは私どもにもしっかりと伝わっておりますし、またマスコミを通じながら、大変にお怒りだなということもしっかりと私たち承知をさせていただいております。実は、気になりまして、つい先日、神奈川県民方々とも懇談をさせていただきました。その折にもお話がしっかり出たのでありますけれども、もう怒りを通り越してあきれ果てた、そういうお気持ちを率直に吐露いただきました。  私は年来、政治行政にいかな腐敗があろうとも、行政組織の中で警察、検察そして国税、この三つがしっかりさえしておれば日本は大丈夫だ、そういうある意味での気持ちをずっと持ち続けてまいりました。言ってみれば、そこほどまでこの三つに対する私たち政治立場信頼も大きいわけであります。そういう意味では、今回の報道されております一連不祥事、大変に残念至極でありますし、何をとち狂っているんだ、こういう気持ちでいっぱいであります。  しかし、治安中心柱はあくまでもやはり警察でありますし、そういう意味で、今回の不祥事を奇貨として、もう今までの悪いうみ、あるいは体質を一掃して、新たな決意と行動で国民警察に対する信頼をしっかり取り戻していただきたいものだ、そして警察庁都道府県警察のこれからの対応に大きな期待を持ちながらも、質問をさせていただきたいと思うのであります。  まずは、神奈川県警厚木署相模原南署二つ案件について、県警本部長それから幹部対応でありますけれども、全く一貫性を欠いておりました。また、事実をねじ曲げて、あるいは謝罪、訂正を繰り返して、警察に対する県民国民信頼を一気におとしめたことは事実であります。やはり警察官うそをついてはならないなと、つくづく感じたところでもあります。  そういう意味で、お巡りさんは非常にいいイメージなのでありますけれども、そういったイメージが、何かうそをつく、あるいは怖いというイメージ警察官、そういう悪いイメージを持たれたこの二つ案件でありますけれども、結果的にその事実はどうだったのか、その結末はどうなったのか、この機会にお伺いをいたしておきたいと思います。
  8. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 今回の神奈川県警察の一連不祥事国民信頼を損なったということにつきましては、まことに遺憾に存じておるわけでございます。  お尋ねの厚木警察署事案でございますが、これは同署の集団警ら隊警察官が、ことしの三月から七月までの間でありますが、管区機動隊として他県に派遣中に、複数回にわたりまして同僚隊員暴行を加えたというものでございまして、当初の段階では、これは新隊員に対する行き過ぎた教育指導であった、これは指導によって是正できるのではないかといったような考え方から、暴行とか傷害とかいったような事案につきまして立件をしておらなかったわけでございますが、九月以降、捜査に着手をいたしまして、十月一日に元巡査部長一名を暴力行為等処罰ニ関スル法律違反等で通常逮捕いたしました。また、もう一名の巡査部長、また巡査二名を暴行罪等横浜地方検察庁書類送致をしたわけでございます。  その結果、十月二十一日に、両巡査部長につきましては起訴、それから巡査二名につきましてはそれぞれ、略式起訴、罰金、それから起訴猶予処分となった、こういうことでございます。  また、相模原南警察署事案は、刑事課の元巡査長が、窃盗事件捜査過程で押収をいたしましたネガフィルムを勝手に持ち出しまして、女性を脅迫等したというものでございまして、既に懲戒免職処分としておったわけでございますけれども事件そのものは、被害者捜査協力が得られませんで、捜査進展をしていなかったという状況でございました。  これにつきましても、再捜査の結果、本年十月一日にこの元巡査長窃盗罪で通常逮捕いたしまして、横浜地方検察庁送致をいたしまして、同地検におきまして十月二十一日に窃盗罪起訴をされた、こういうことに相なったわけでございます。  御指摘のように、この事件処理をめぐりまして、当初の事案処理の問題、また特に事後の報道対応等大変適切を欠くところがございました。このことが事態深刻化を招いた、こういうことでございます。  この両事案処理の不適正あるいは監督責任理由といたしまして、九月九日付で本部長警務部長等関係幹部四名に対して、減給等の重い処分を含む処分を行ったところでございます。また、厚木署事案相模原南署事案につきましても、署長以下の幹部について、監督責任を重く問うたということでございます。  なお、十月七日に至りまして、前本部長につきましては職を辞し、他の二名の幹部につきましては配置がえを行った、こういった状況でございます。
  9. 中野(正)委員(中野正志)

    中野(正)委員 報告伺いますと、まさに警察官としてあるまじき行為だとつくづく思います。また、処分についても、どうも甘いのではないかなとあえて申し上げておきたいと思います。  同時に、今回新たに元警部補覚せい剤使用で逮捕されたということも報道されました。これまた全く驚くばかりであります。もう今日まで長い期間、警察は官民挙げて覚せい剤を初めとする薬物追放キャンペーンを張ってこられました。私たちも口を酸っぱくしてこの場でも申し上げてまいりました。青少年に薬物の恐ろしさを知らしめている、こういうときに、何と嘆かわしいなと、これまた県民国民共通の思いであります。  この覚せい剤逮捕の問題、事実関係について、まず確認をいたしたいと存じます。
  10. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 この事案につきましては、平成八年の十二月でございますけれども、当時、神奈川県警察の警察本部外事課所属をしておりました元警部補が、当直にみずから電話をしてまいりまして、意味不明の言動をしたということから発覚をしたわけでございます。  調査をいたしましたところ、飲食店勤務女性と不適切な交際をしていたということ、それからその女性から覚せい剤を打たれた、さらにその女性から覚せい剤様の物を一時的に預かって、これを捨てたといったような供述をしたということでございます。  県警といたしましては、この元警部補を、女性との不適切な交際があったという事実をとらえまして諭旨免職処分として、さらに翌年の二月に、この元警部補覚せい剤事犯、それから女性との不適切な交際について監督責任を問うて、当時の外事課員二名につきまして処分を行った、こういうものでございます。  ただ、当時の処理につきましては、その経緯、理由等について不明瞭な点があるということで、ことしの九月に、神奈川県警察におきまして特別捜査班を編成して捜査に着手いたしまして、事実関係解明に努めてきたところでございますけれども、この元警部補覚せい剤使用が裏づけられたとして、先般、同事実によって逮捕した、こういうものでございます。
  11. 中野(正)委員(中野正志)

    中野(正)委員 その当時の覚せい剤捜査において、隠ぺい事実があると報道されております。同時に、神奈川県警察本部は、本件が認知された当時において、監察官室中心となって、元警部補ホテルにある意味では監禁状態にしておいて、覚せい剤反応がなくなるまで毎日尿検査を行って、反応がなくなった時点捜査当局に引き継いだという報道がされております。その事実関係をお伺いいたしたいと思いますし、その当時、県警本部長にはどのような報告がされていたのか、それもお聞きをいたしたいと思います。
  12. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 事実関係でございますが、平成八年十二月十三日から二十日までこの元警部補横浜市内ホテルに泊めまして、十三日から採尿を行ったという報告を受けております。十九日までに採尿した尿についてはすべて陽性であった、この時点以降、二十日から薬物対策課捜査を行った、こういう報告を受けておるわけでございます。  この件に関しまして、神奈川県警察におきましては、この事案処理過程で、本件に関して犯人隠避に当たる行為があった可能性があるという判断のもとに、特別捜査班を編成いたしまして、その事実関係解明に向けて、現在、鋭意捜査中でございます。必要な関係者から事情聴取を行っているという報告を受けているところでございます。  本部長にどういう報告が当時なされていたかという点でございますが、これは一般論で申し上げれば、所属職員に係る特異事案発生したといったような場合には、本部長まで報告がなされるというのが通例でございますが、この点につきましては、まさに現在、神奈川県警察において捜査中の事項にかかわることでございまして、詳細については答弁を差し控えさせていただきたいというふうに存じます。
  13. 中野(正)委員(中野正志)

    中野(正)委員 捜査中ということでありますけれども、結果的には、県警本部長承知してそのようなことをさせていた、神奈川県警組織ぐるみの犯人隠避、証拠隠滅ではないかと私は承知をいたします。  一連不祥事で世間を騒がせた神奈川県警が、まさに内部構造的に、不正を取り締まるどころか身内の犯罪をもみ消す、トップもそれに関与していたということであれば、私はまさに異例の事態、重大問題だと思うのであります。どうですか。
  14. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 委員指摘のとおり、このような事態になったということにつきましては、警察庁としても極めて重く受けとめているところでございます。  二度とこのようなことがないように、手だてを尽くしまして、実効ある不祥事案未然防止対策を講ずること、また発生時に厳正な事案処理を行うということについて、神奈川県警のみならず、全国警察に対して厳しく指導をいたしているところでございまして、こうした施策進捗状況を点検する、あるいは問題点の改善に努めるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  15. 中野(正)委員(中野正志)

    中野(正)委員 そういう意味で、ぜひ厳正に捜査をしていただきたいと思います。  つくづく考えるのでありますけれども、やはりこういうことでは、現在の監察制度機能を果たしていないと断ぜざるを得ないのであります。そういう意味では、よく言われることでありますけれども警察から独立した監察システムをむしろつくり上げるべきではないのか、こういう意見もあるところでありますけれども、いかがでございますか。
  16. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 警察におきましては、不祥事案発生した場合に、業務の内容に精通をしております監察部門中心となりまして、調査を迅速に行います。そして、その解明された事実関係に基づいて厳正な処分を行う。また、その行為刑罰法令に該当するといった場合には、捜査部門において厳正な捜査を行いまして、事件として立件送致をしているところでございます。  外部の各界各層方々から警察のあり方について広く御意見を承るということは、重要なことであるというふうに認識をしておるわけでございますが、この監察制度が正常に機能している限りにおいては、適正に業務が推進できるものというふうに考えておるわけでございます。  また、不祥事案発生時あるいは懲戒処分時においては、公安委員会チェックというものもございます。  警察庁といたしましては、監察機能をさらに充実強化することによりまして、不祥事案未然防止対策をきめ細かく講ずる、また不祥事案発生した場合には、先ほども申し上げましたけれども、厳正な処理を行うように全国警察に強力な指導を行っているところでございまして、神奈川県警察におきましても、みずから早期に今回の事案の全容を解明して、国民の皆様に納得がいただけるような厳正な措置を行うものというふうに承知をしているところでございます。
  17. 中野(正)委員(中野正志)

    中野(正)委員 後でさらに付言をさせていただきたいと存じます。  今回の案件もそうですけれども神奈川県警察は不祥事案件を公表せず、しかももみ消す、隠ぺい体質が明らかになっております。ある意味では、警察全体が共有する体質の問題ではないのかと指摘する声もありますけれども、いかがでございましょうか。やはり組織としての内部の体質を、この際、根底から改めるべきだと私は考えております。いかがですか。
  18. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 今回の事案につきまして、警察庁といたしましては、委員指摘のような御批判を受けるような事態になったということについて、大変重く受けとめておるところでございまして、先ほど申しましたように、神奈川県警察におきまして早急に事案解明して厳正な措置を講じる、そして国民信頼回復されるように県警に対する指導を徹底してまいりたいと考えているわけでございます。  必ずしも、我が国の警察全体が御指摘のような体質を共有しているというふうには考えておらないわけでございますけれども、大切なことは、組織として、このたびの一連事案の反省、教訓事項というものをしっかり業務運営に生かすことだろうというふうに思います。そして、組織管理状況というものを点検することによって、再びこのようなことがないように各種施策を推進していくことだろう、こういうふうに考えている次第でございます。
  19. 中野(正)委員(中野正志)

    中野(正)委員 まさにお話しのとおり、日本警察官は私は世界一だと思っておりますし、治安のよさが日本は世界で一番だと言われておりますことは、当然なところであります。  私も、県議会、文教警察委員会、長うございましたから、宮城県警察の実態に関してはよく承知をいたしておるつもりであります。暴走族対策で日夜を分かたず交通警察が頑張っておる姿、あるいは検挙率が高くて、これまた日夜分かたず張り込みなどで刑事警察が一生懸命頑張っている姿、あるいは駐在さんだ、あるいは交番所だということで、県民に身近な存在ということで大きな評価をいただいている外勤警察とか、それぞれのポジション、第一線警察官は一生懸命頑張っておりますことは私たち承知をしている。だからこそ、そういった第一線警察官は、今回の一連不祥事ということについては大変にお怒りになっているのではないか、私はそう思うのであります。  そういう意味で、先ほどもありましたけれども、こういった警察官不祥事ダブルチェックということで、警察庁として、各都道府県に対して特命監察の実施を検討中だとも聞いておるのでありますが、いかがでございますか。
  20. 関口政府参考人(関口祐弘)

    関口政府参考人 委員指摘のとおり、最近、神奈川県警を初めといたしまして、全国におきまして不祥事が続いておりますこと、まことに遺憾でございます。今、私ども警察に問われているのは、信頼回復ということであろうと思います。全国職員一人一人がこのことを肝に銘じまして、信頼回復のために全力を挙げていかなければいかぬと強く考えているところでございます。  現在、全国警察におきましては、不祥事案防止対策ということで、業務管理を初めといたしまして、職業倫理教養あるいは身上監督などを柱として、各種対策を講じているところでございますが、警察庁といたしまして、これらの都道府県警察施策というものが真に第一線に浸透しているかどうか、またきめ細かな組織管理が行われているかどうか、こうしたことを点検する必要があろうというふうに考えているところでございまして、その一環といたしまして、警察庁として、都道府県警察に対しまして監察を実施するということを現在検討いたしているところでございます。  どのような方法をとったらば最も有効であるかということを吟味しつつ、できるだけ早く実施すべく検討を急いでまいりたい、かように考えているところでございます。
  21. 中野(正)委員(中野正志)

    中野(正)委員 関口長官のその力強い御決意どおりにぜひお取り進めあられたいと、心から期待もいたします。  また同時に、警察官不祥事発生した場合ですけれども、その適正な処理を図るためにも、都道府県警察公安委員会をお持ちであります。当然ながら、市民、県民の代表としての公安委員会でありますから、その公安委員会に速やかに報告を行って、週に一回開催されるようでありますけれども、もう厳重にチェックを受ける、あるいは御指導をいただく、そういうところまですべきではないのかと思うのでありますけれども、いかがでございますか。
  22. 関口政府参考人(関口祐弘)

    関口政府参考人 委員御案内のとおり、公安委員会は、各界を代表する豊富な経験と高い識見を有する方々によって構成されておりまして、これまでも、不祥事案再発防止を含めまして、警察運営各般にわたりまして御指導をいただいているところでございます。  警察庁といたしましては、職員による不祥事案発生した場合、あるいはまた懲戒処分を行うというような場合などには、都道府県公安委員会から必要な御指導を賜る、そのために適時適切、迅速な報告を徹底するように、都道府県警察指導してまいりたいというふうに思います。
  23. 中野(正)委員(中野正志)

    中野(正)委員 要は、警察としての原点に返る、あるいは人事、組織を含めて風通しをよくしていただく、そしてしっかりと国民信頼を取り戻す、私どもは大きな期待を持たせていただきますので、頑張っていただきたいと思います。終わります。
  24. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 次に、松本龍君。
  25. 松本(龍)委員(松本龍)

    松本(龍)委員 民主党の松本龍であります。おはようございます。  保利大臣におかれましては、同じ九州ということで日ごろから尊敬を申し上げておりますし、これから大変な任務でありますけれども、御努力をいただいて、日本の行く末をしっかり支えていただきたいと思っております。また斉藤委員長は、去年の商工委員会に引き続き委員長のもとで仕事をさせていただきますことをうれしく思っております。  さて、今、中野委員からもお話がありましたように、神奈川県警の相次ぐ不祥事がございました。九月には厚木署でいわゆる集団暴行事件、私もいろいろ想像をたくましくして考えるのですけれども同僚隊員に実弾の入ったけん銃を突きつけるということは、本当におぞましいことだなというふうに思っております。また相模原南署事件につきましても、女子大生脅迫事件ということで、これもまた、あるべきことではないなというふうに思っております。  そういう意味で、そのときに実は、平成十一年の九月九日に「不祥事案未然防止と適正な処理について」という警察庁長官官房長通達がございました。その中で「指示事項」ということがありまして、この「指示事項」の中に「一 業務管理の徹底について」。その中に「特に、証拠品の管理については基本を厳守し、適正な保管管理を図ること。」とありますけれども、今回新たに発覚をいたしました神奈川県警のいわゆる覚せい剤事件、そして監察官室がそれを隠ぺいしたという事件につきましては、これが全くないがしろにされている。  そして、二番目に書いてありますけれども、「職業倫理教養の徹底」という項目で、「すべての職員に対し「警察国民のためにある」という基本理念に立ち、」とありますけれども、この「警察国民のためにある」ということが、実は神奈川県警では警察警察のためにあったと言っても過言ではないくらい、本当に残念な事件だと思っております。  三番目には「身上監督の徹底について」。これは「早期に問題兆候をつかみ、必要な措置を講じること。」と書いてありますけれども早期に問題兆候をつかんだのはいいんですけれども、その必要な措置がいわゆる組織ぐるみ隠ぺいすることであったということで、これにも全く反している。  四番目の「事案の適正処理」とありますけれども、「すみやかな警察庁への報告、厳正な事件捜査懲戒処分等に配意して適正に処理すること。」これも怠っていた。  つまり、九月九日に出したいわゆる官房長通達のすべてに違反していたというか、事例が誤っていたというのが今回の神奈川県警事件だったと思います。  詳細につきましては先ほど中野委員が申されましたので避けますけれども、私は、前回の厚木署相模原南署事件と違って、今度は警察警察を取り締まる、不正を正すというところにある監察官室がやったということに、本当に今回の事件は大きな違いがあるというふうに思っておりますけれども、この間、国家公安委員長であります保利自治大臣の声がなかなか聞こえてまいりません。そういう意味では、この場で、どういうことをなさっているのか、そしてこのことについてどういう思いでおられるのか、まず冒頭お尋ねをしたいと思います。
  26. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 就任早々でありましたが、大変大きな事件が連続して起きまして、特に私は、例のネガフィルム窃盗事件というようなものは、警察官としての資質が問われるような問題であるというふうに理解をいたしました。さらにまた、このたび出ました覚せい剤使用等にかかわる問題、これはまた、それを上回るほどの大きなショックを私は受けておりまして、こういう体質のままでいいのだろうかということは強く感じたわけであります。  特に今回の、警察内部で隠避をするというようなことは、しかも本部長が絡んで隠避しているのではないかという疑いを持たれているということは、まことに警察行政そのものが問われる大変大きな事件だと私自身は認識をいたしております。  したがいまして、就任早々ではありますが、長官とも連日お話をいろいろいたしまして、これにどう対応すべきかというようなことをいろいろ議論をいたしました。やがて長官の方で、これからどういうふうな対応をするかということについて、具体的に検討をされて一つの方向をお出しなさるもの、私はそういうふうに期待をいたしております。  そういうお話の中で私が申し上げましたのは、確かに神奈川県警事件というのは大きな事件である、しかし、この神奈川県警事件というのは三年近く前の事件ではありますけれども、今問われるのは、今の組織自体が大丈夫か、健全であるか、正常であるか、そのチェックをきちんとしてほしいということを長官にもお願いをしたところであります。  こういう話はなかなか表には出てこないのでありますけれども、記者会見等で一部披瀝をさせていただいたことはございますが、余り大きな取り上げ方はされていなかったということであります。  本部長その他幹部職員に対する任命権者としての私の立場というのは非常に重大であり、また難しい立場だなということをつくづく思うにつけ、今後心を引き締めて、こうした問題に対して厳正な処置が行われるようにしていかなければならないと思います。  あわせて、先ほど委員からもお話があったのでありますが、全国警察官というのはまことにまじめに取り組んでいる方々が多いわけでありまして、犯罪と立ち向かったり、あるいは警備体制、一たん何か起こったときには緊急に出動するというような体制、そういうものをきちんととってやっておられる、そういう方々の士気に影響するということが非常に心配をされる。やはり、犯罪を取り締まって治安を維持していかなければならないというのは警察の重大な任務でありますから、そういう意味で私は、士気に影響を与えたという事件だというふうな認識を持ちます。そして、これは厳正に対処していかなければならぬ、こんなふうに思っております。  全国警察官も皆頑張ってやっていただきたい、こう思っております。
  27. 松本(龍)委員(松本龍)

    松本(龍)委員 全国警察官の士気に影響を与えたという言われ方をしましたけれども、本当にそれは、そういうふうにおっしゃるのはわかります。  今長官、新聞をずっとごらんになって、死語になりつつあるのが、前代未聞という言葉がだんだん新聞紙上から消えてきています。いろいろなことがあって、何でもあり、これでもかこれでもかということがずっとこの間続いてきて、新聞紙上で前代未聞という言葉がだんだん消えてきて、ひょっとしたら、あと二、三年したら辞書からも消えるのではないかと思うくらい、すごい事件が発覚をしたなというふうに私は思っております。  当然、まじめな警察官はおられます。私も地元で仲よくしている警察官が、ある派出所で暴漢と格闘した際に、暴漢が持っていたナイフで右手をざっくり切られて、神経も切断されるような事件が起こりました。その方は実は油絵をかくのが唯一の趣味で、今でもその不自由な右手で油絵をかいておられると思いますけれども、そういう勇敢な警察官がおられるからこそ、逆にこの事件は看過することができない、しっかり、徹底した調査をしなければならないと思っております。  警視庁でも、きのうの新聞、タイミングよくというのはおかしいですけれども、いわゆる犯歴データを漏らす、NTTの顧客情報、警察内部の犯罪歴の情報を東京都内の興信所に流していたという事件がありましたけれども、これは、出してはならない情報は出すけれども、出さなければならない情報は隠ぺいをするという、まさに本末転倒の状況が起こっている。国民の間でも、どこに行っても神奈川県警の話をしているのに驚きます。  実は、私もいろいろなところに行きますけれども、あれは何ですかという話が多いわけで、そういう意味では、警察庁も、一日の日に全国警察本部会議で、情報を可能な限り公開し、警察活動の実態を国民に伝えると指示をしたとあります。実効を伴うよう情報公開のシステムを我々もこれから検討を行いますけれども、徹底する、あるいは、先ほど言われましたように、第三者のチェック機能を講ずるなどの必要があると私は思っておりますけれども、国家公安委員長、いかがお思いですか。
  28. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 国家公安委員会警察庁を督励し、そして警察行政全般についてつかさどるというふうに警察法五条では書いてありますが、その精神を体しながら、今後、国家公安委員会警察庁との関係、それから県の公安委員会県警との関係、そういったものをどういうふうな形で整備をしていくか、あるいは監督と申しますか、そうした権限を持たせていくかということについて鋭意検討をする中で、警察行政がきちんと秩序正しいものになるように指導していかなければならないというふうに私は感じております。
  29. 松本(龍)委員(松本龍)

    松本(龍)委員 相談をするとかいろいろ言われました。  私は、これはリーダーシップだというふうに考えています。物の本によりますと、「公安委員会制度は、行政委員会の一つとして戦後初めて設けられたもので、その目的は警察行政の運営を民主的に管理し、その独善や政治的偏向を防止して、国民の基本的権利を擁護するところにある」というふうに書かれております。ですから、政治家である保利大臣が国家公安委員長になられているということが、非常に大きな意義があるわけですよ。  そういう意味では、例えば、今アメリカのロサンゼルスでも大きなスキャンダルがあっております。同じく警察内部の問題であっておりますけれども、例えばアメリカでも、連邦情報の自由法やスウェーデンの報道の自由法などの外国の立法例では、警察活動を情報公開の適用除外にしていない例も現に存在をしている。  あるいは、さまざまな仕組みが外国ではあるわけです。例えば、イギリスでは警察不服審査庁というのがあって、市民の不服申し立てに基づいて、警察官について懲戒のための告発をするよう警察署長に勧告できる制度があります。この不服審査庁なるものがあったら、例えば相模原南署の女子大生の事件でも——警察から脅迫されてどこに行けますか、警察から脅迫されてだれに物が言えますか。  したがって、さっき言われたように、第三者のチェック機能が要ると申し上げているわけで、あるいは、さっき申し上げましたように、不服審査庁の設立を考えるとか、そこがあれば彼女は行けたかもしれない、ここに不服を申し立てたかもしれない。やはりそういうシステムづくりをしていかなければならない。当然、警察庁と相談をなさるのはいいことでありますけれども、逆に言うと、国家公安委員会としてのリーダーシップを発揮していただきたい。もう一度御答弁を願いたいと思います。
  30. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 国家公安委員会のあり方そのもの、これは私自身も就任以来ずっと考え続けてきたところであります。直接の指揮命令をしていいかどうかということについては、現在の法律上は若干問題があるだろうと思っております。  したがいまして、この国家公安委員会の制度ができたときの話は今も委員がされましたが、警察行政が行き過ぎがないようにというのが大きな趣旨であったのではないだろうか。こういうことを考えますと、新たにこういうような、時代が変わってきたというか、警察内部のいろいろな変化というか、そういうものに対応していく公安委員会制度はどういうふうにあるべきか、いかに警察行政をきちんとした整備されたものに持っていくかということについては、今後十分検討させていただきたいと思っております。
  31. 松本(龍)委員(松本龍)

    松本(龍)委員 保利先生は文部大臣をされておりました。そういう意味では、子供たちの教育にもこれは非常に悪いというふうに思っております。本当を言うと、神奈川県警にどなり込んで、何をやっているんだという活を入れるぐらいの気迫と怒りを持っていただきたい。日ごろ物静かな大臣ですから、そういうことをやられるとしびれると思います。そのくらい、やはり今怒るということも本当に大きなことであろう。同時に、徹底した調査と、あるいは徹底したこれからの警察のあり方、公安委員会のあり方をもう一度洗い直していただきたい。ディテールにつきましては、後ほど中沢委員の方からまた同じような質問があると思いますけれども、この問題についてはここでおかせていただきます。  この間、地域防災の観点で大臣が言われました、東海村のいわゆるジェー・シー・オーによる臨界事故がございました。この事故も、同じ時期に起こりましたけれども、本当に情けなく思っています。一方は当然やってはいけないことをやる、東海村の方は当然しなければならないことをやらない、これはもう、いわゆる職人かたぎといいますか、仕事をしている人間の本質を忘れている、喪失をしているというふうに思っております。  そういう意味で、政治の基本とは何かということを私も常々考えてまいりましたけれども、大臣、政治の基本とは何ですか。
  32. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 日本の歴史を考えるときに、いろいろな政治形態があったと思いますが、現在は、日本国憲法のもとで国会議員が選ばれ、そこで税制を決め、国民から税金をちょうだいし、それを国家の維持のために、あるいはいろいろな目的のために適切に使っていく、それを配分していくというのが民主政治の一つの大きな柱ではないかと思います。  同時にまた、外交あるいは防衛というような面で、日本の国がほかの外国に対してどういうふうにあるべきかというようなことを考えていくのも、政治の役割かと思っております。  突然の御質問ですので、十分なお答えになっていないかもしれませんが、私の基本的な考え方だけ申し上げさせていただきました。
  33. 松本(龍)委員(松本龍)

    松本(龍)委員 先ほど中野議員も言われました。警察うそをついてはいけないというふうに言われました。私も、政治家は法律を実行しなければならない、あるいは国民にした約束は守らなければならないと思っております。  さて、五年前の改正政治資金規正法で、いわゆる個人の企業・団体献金を禁止するという措置が講じられました。自民党の中におかれましては、政治改革本部の中で、存続はやむなしという見解が出て、それも小渕首相は追認をされ、二週間たって、きのう、やっと存続を撤回するという議論になりましたけれども、この間の経緯、そして政治家と法律関係政治家の基本の関係について、大臣、もう一度お尋ねをいたします。
  34. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 御質問は政治献金のことについてというふうに考えて、狭い範囲でのお答えになってしまうかもしれませんが、今御指摘のとおり、五年前、政治資金規正法改正が成立をしまして、その附則九条で御指摘の点が盛り込まれたということであります。それをめぐっての各党間のいろいろな議論がございましたし、選挙制度とあわせて、この問題も各党間の協議が行われた。私もそれに出席をしておりまして、その経緯等についてはよく承知をしております。  我が党内におきましては、政治改革本部を中心に、長い間の議論を重ねてまいりました。現実に即して、やはり政治をやっていかなきゃならない、そのためには資金が必要だ、資金の調達はどういうふうにするか、現状は個人献金あるいは団体献金はどういうふうな状態になっているか、あるいは政治家のコストはどのくらいかかるものかというような慎重な議論をされて、政治改革本部としては一定の結論をお出しになったものと承知をいたしておりますが、やはり五年前の附則九条の重みというものを考えて、昨日、小渕総理から、法律の指し示すところによってこれを行うという旨の御発言が、いわゆるクエスチョンタイムの中で御発言があったと承知をいたしております。  自民党総裁の発言でありますから、そしてまた総理としての御発言でもありますから、私はその枠内に従って行動をしてまいりたいと思っております。
  35. 松本(龍)委員(松本龍)

    松本(龍)委員 私は少し見解を異にいたします。法律というのは変えることができる。しかし、今まで恐らく、二十年以上大臣は政治家をやられて、法律に書き込まれたことが実行されずにほごになるということはなかったというふうに私も思います。ただ、実行されて、いろいろ問題があることは変えていいわけですけれども。  この問題は、五年前の総総合意、河野総裁と細川総理の総総合意の中で、共産党は見解を異にしますけれども、ほとんどの政治家が合意をした。そして、改正政治資金規正法の附則九条で、これは国民に約束をした。したがって、そこからのステージで、私たちは七月の段階でこの禁止措置を講じる法案を提出いたしております。一刻も早くこの法案が成立を見ますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  36. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 次に、中沢健次君。
  37. 中沢委員(中沢健次)

    ○中沢委員 民主党の、北海道出身の中沢でございます。  新しい大臣あるいはお二人の実力派政務次官、きょう、初めてのお手合わせになると思います。私は、この委員会に戻りましたのはちょうど七年ぶりでございまして、こちらの委員席に座っていらっしゃる方は、若さと、そしてこれからの未来をしっかりしょっている皆さんが多い。私はいささか年を食っておりますが。  きょうは、わずかな時間でありますが、自治大臣あるいは警察庁の長官に幾つかお尋ねを申し上げたいと思います。  まず最初に、自治大臣、御承知のように、今度の国会で第二次の補正予算が出る。経済新生対策というのでしょうか、経済対策というふうに言っていいと思いますが、十一日に恐らく関係の閣僚懇談会でお決めになると思うのです。けさほど、新聞その他で、余り大きな報道ではありませんが、報道がございました。  私も担当の自治省に事前にいろいろ情報もいただいておったのでありますが、いずれにしても、規模が十八兆円、しかも、いろいろ議論が分かれますけれども、公共事業についても相当思い切った、新しい社会資本の整備、こういうことでされる。  この辺の議論は、恐らくこれからの予算委員会で集中的にやると思うのでありますが、きょうは地方行政委員会でありますから、私としては、特に自治大臣にお尋ねをしたいのは、言うまでもありません、地方の借金は、実に、一番新しい数字でいうと百七十六兆円。しかも、ここ数年で急速にこの借金残高が異常な状態でふえている。これに加えて、今度の十八兆円の経済対策。恐らく、公共事業全体で約七兆円だと言われておりまして、従来の経験からいうと、地方全体の負担は大体四割程度、およそ三兆円くらいになるんではないか。これはまた、地方としては借金という形で、これから未来をしょって立つ若い皆さんに大変な負担を強いる、こういうことになると思うのですよ。  これは釈迦に説法だと思いますが、国の政策として、国の景気対策として十八兆円、あるいは公共事業七兆円、国がやるべき責任を地方が結果的に転嫁をされて、三兆円もの新しい負担を強いられる、これは、どうあっても非常に私は問題だと思います。  かつて、私の経験では、通常国会地方行政委員会に大蔵大臣に必ず出席を求めて、その時点で随分いろいろな議論をしましたけれども、最近、どういうわけかわかりませんが、大蔵大臣はほとんど地方行政委員会には出席をされない。出席を求めない方が悪いと思いますけれども。  そういうことは別にいたしまして、今の関係につきまして、大臣としては基本的にどういう認識か、あるいは、これから大蔵大臣と予算、あるいは新年度予算も含めて、相当強力な政治折衝をやっていただかない限り、地方財政はますます厳しくなるんではないか、こういう観点でお尋ねをしたいと思います。御答弁をお願いいたします。
  38. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 御指摘のとおり、十一年度末で百七十六兆の借金を抱える地方財政の現状というのはよく承知をしておりまして、大変な事態だなというふうな認識を持っております。  小渕内閣としては、景気対策に最重点を置かなければいけないということで、いろいろな施策を講じてまいりましたけれども、けさ経済関係閣僚会議がございまして、その場で、経済新生対策についてその会議として決定をさせていただいたわけであります。  これに基づいて補正予算等が編成されていくということになろうかと思いますが、今御指摘のように、地方にはそんな余裕はないというのは実際そのとおりでございまして、国の施策として公共事業をやる以上、国が責任を持ってその地方の負担分について手当てをしていく、あるいは配慮をするということは、当然必要なことだと思います。  私は、このけさの会議の中でも発言をさせていただきましたが、地方の財政について十二分な御配慮をいただきたいということと同時に、自治省としては、国の責任において処理すべき公共事業等の円滑な実施については、我が国経済における役割が極めて大きい地方公共団体の理解と協力が不可欠でありますし、それから地方負担に対しては、原則として地方債を発行し、その元利償還金の全額については交付税措置を行うことなどを表明しておりまして、地方財政の運営に支障がないように努力をしてまいりたいと思っております。  当面大事なことは景気回復である、そのためには公共投資が必要である、しかしそれが地方の財政にしわ寄せがあってはならぬということで、自治省としてのこういう対策を講じるということにしたわけであります。
  39. 中沢委員(中沢健次)

    ○中沢委員 今のお答えにつきましては、やはりこの委員会というのは、地方を代表する、あるいは地方の利益を真剣に国会に反映をする委員会でありますから、与野党の立場の違いがありますが、ぜひひとつそういう基本的なスタンスで、これから閣議の中でも、あるいは大蔵大臣と恐らくさしのいろいろな議論があると思いますけれども、頑張っていただきたいと思います。  予定はあと二つありましたが、時間が押しておりますから一つに絞りたいと思いますが、いずれにしても、地方分権推進法がさきの国会で成立をしました。確かに、機関委任事務が廃止になる、幾つかの権限が地方に移譲される。私は、それはそれとして評価をしたいと思います。  しかし、結論的に、一番肝心の税制の問題ですとか財政の問題について、地方にほとんどその種の権限が移っていない。これはどうあっても、国会における、あるいはこの委員会における、議論をしなければならないこれからの大きな課題だと思います。  例えば、外形標準課税の話、既に新聞で自治大臣の談話の報道がありました。確かに、景気回復あるいは中小企業対策という一点でいうと、ああいう発言も一〇〇%否定はしません。しかし、やはり地方税財源を大事にする、こういう観点でいうと、相当長い間この委員会でも議論をしてまいりましたから、やはりそういう問題についても、地方税財源を拡充する、こういう観点で、大臣としてはしかるべき時期に決断をすべきだし、あるいは、もっと大所高所に立ちまして、例えば所得税の一部を地方の住民税に移す等々も含めて、これから、もちろん政府側はその責任と権限の中でしっかりやっていただきたいと思いますが、やはりこの委員会でも十分議論をする必要があると思います。  この二つについて、特にどのようにお考えでしょうか。
  40. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 外形標準課税については、先日マスコミ等で、十二年度は断念したというような記事がちょっと出ておりましたが、私からそのように申し上げたつもりはございませんし、部下の皆様方もそこまでは言い切っていない。しかし、新聞の方でそういうふうに書いてしまったという事実はございます。  つまり、外形標準課税の問題については、常に検討をずっとしながら、できるだけ早くこれを導入していきたいという気持ちを持っておりますので、また政府税調の指し示す方向もその方向だと思いますので、私は、そうした努力をこれからずっと積み重ねていきたいと思います。もちろん、税調の御意向もいろいろ聞いていかなければなりませんが、我々としては、できるだけ早く導入をしたい、こんなふうに考えている次第でございます。  それから、地方税源をどういうふうに拡充していくかの中の一つとして、平たく言えば、国税であります所得税の一部を地方の税金に移していくということについては、これから先、抜本的な改革の方向を見きわめながら、我々としては、地方分権一括法が成立し実行の段階に移っていった、これから地方分権をどう進めていくかという議論とかみ合わせながら、政府部内で議論を進めていきたい、こんなふうに考えております。これについては、地方の税源を充実させるという意味で、私も頑張っていかなきゃならぬことだと思っております。
  41. 中沢委員(中沢健次)

    ○中沢委員 あとわずかしか時間がありませんので、警察庁の長官に、今ほどもいろいろ出てまいりました神奈川県警問題、昔の話はすべて割愛をして、最近の、例の当時の県警本部長を初めとする県警幹部が関与した容疑、まだ容疑です。しかし、今週中に立件されて書類送検になるのではないか。この関係につきまして具体的にお聞きをしたいと思います。  これはもう、もってのほかの事案だと思いますね。先ほど我が党の同僚議員からお話がありましたが、私は、これは前代未聞じゃないかと。大体、警察という使命を全く忘れていたのか、あるいはそういう教育について問題があったのかは別にいたしまして、事もあろうに、県警本部長あるいは幹部みずからが——例えば、監督責任行政処分を受けるというケースは過去に幾つかあったと私は思いますよ。しかし、百三条の隠避、百四条の証拠隠滅、刑法に明らかに違反する容疑で特別捜査を受ける、これはもう前代未聞。警察国民的な信頼は完全に失墜をしてしまうんじゃないか、私は一人の政治家として、そのことを非常に恐れます。  そこで長官に聞きますが、前代未聞という言葉を言いましたけれども、この種の案件が、かつて日本警察史上、戦後で結構でありますから、あったんですか、なかったんですか。
  42. 関口政府参考人(関口祐弘)

    関口政府参考人 ただいま委員お尋ねの、県警察本部長がみずから犯罪を犯し、捜査対象になったという例はないものと承知をしております。
  43. 中沢委員(中沢健次)

    ○中沢委員 そうしますと、一番最後に国家公安委員長にお尋ねをしますが、いずれにしても、書類送検になりますと、それを不起訴にするか、起訴猶予にするか、起訴にするか、それから先のことはまた地検の権限だと私は思いますね。しかし、問題は、警察庁の長官として全国警察県警に対する指揮監督という責任がある。あるいは、人事権は国家公安委員長がお持ちなんですよ、キャリアは。  そうしますと、少なくとも行政処分について、これは時効の関係がどうなるかはよくわかりませんが、時効は恐らくことしの十二月の八日だと思うんです、立件をする時効は。行政処分の時効でいうと、さかのぼって、当時の県警本部長、八名ぐらいいるという新聞報道でありますから、既に民間に就職をされた方もいらっしゃいますが、当時のそれぞれの職責に応じて、もう断固たる厳しい処分をやることが国民に対する信頼回復の一つの道になる。  もう一つは、私は逓信委員長を今までやっていたから言うわけではありませんが、警察内部の監察制度というのが、もっと言うと、今度の八人の中に県警監察幹部も容疑者に入っている、そんな始末なんですよ。これは、とてもじゃないけれどもお話にならないのではないか。ですから、もっと基本的に警察内部の監察制度というのを、きちっと制度を改革して、少数精鋭でもいいけれども、一つの権限を持ったそういう新しい制度をつくる必要がある。  断固たる処分、そして監察制度の大胆な改革ということを指摘したいと思いますが、いかがでしょう。
  44. 関口政府参考人(関口祐弘)

    関口政府参考人 御指摘事案につきましては、現在、神奈川県警察におきまして鋭意捜査をしている段階でございます。全容を解明の上、厳正な措置がとられるものと承知をしております。  そしてまた、委員指摘行政処分等の問題でございますが、そうした事案解明を待って、私ども、所要の厳しい処分というものも考えていかなければいかぬというふうに考えます。  一方、監察機能ということでございますけれども、御案内のとおり、私ども監察というのは、こうした不正の事案というものの防止とともに、仮にそうしたものが起きた場合に自浄作用を働かせるという重要な使命を持っているわけでございます。そうした機能が十二分に果たせるような体制なりなんなりというものを築いていかなければいかぬ、かように考えているところでございます。
  45. 中沢委員(中沢健次)

    ○中沢委員 そこで、先ほど松本委員の方からも国家公安委員長指摘をしたことに関連して、これから少しく、通告をしている具体的な内容と少し違いますが、大事な問題でありますから、政治家でありますから、お答えいただけると思います。  今答弁がありましたように、県警本部長以下、幹部の容疑が立件をされる、いい悪いの議論は別にいたしまして、いずれにしても警察ぐるみの犯罪ということになると思いますね。前代未聞である。そうすると、警察庁という組織政治的に、あるいは民主警察というコントロール機能として国家公安委員会が設置をされた。地方もそうだと思うんですよ。  そうしますと、先ほど国家公安委員長はやや抽象的にお答えになっていますけれども、私としては、この際、国家公安委員会警察庁に対して、今までの責任と権限で本当にいいのか、警察内部の犯罪について警察庁に全部任せることがいいのかどうか、こういう真剣な議論というのを、少なくとも国家公安委員会全体を集めてしっかり議論をして、松本委員指摘をされましたように諸外国でもいろいろな例があるわけでありますから、そういう例をいい意味で言うと参考にして、日本においても、国民的な警察に対する信頼をこれ以上低下させない、信頼回復する、そういう大胆な、ある意味でこの事件を一つの教訓として、いい意味で言うと日本の民主警察をしっかりまたつくり上げる、そういう立場での議論、あるいは諸外国に早速専門家でも派遣をして、具体的な正しい情報なんかを集めてきて、その制度改正に役に立てる、こういうことについては、国家公安委員長、どうでしょう。僕は、すぐやるべきだ、結論はともかくとして、それは政治家としてすぐやれる範疇じゃないかと思います。そういうことをまず、ぜひ直ちにやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  46. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 警察の内部規律を厳正なものにしていくということについては、私も依存はございませんで、またそれは私どもの役割であるというふうに感じております。したがいまして、今回の事件を一つの契機として、ほかでそういうことがあってはならぬ、今起こっていたら、それはすぐに処置をしなければならぬという体制の整備へ向けて、私も努力をしてまいりたいと思っております。  ただ、国家公安委員会の性格そのものというのは、先ほど松本委員にもお話を申し上げたところでありますけれども、現在のままでいいかどうかということについては、十分に検討をしてみたいと思っております。
  47. 中沢委員(中沢健次)

    ○中沢委員 もう一歩具体的な決意ということをちょっと期待をしたのでありますが、しかし、いずれにしても、この地方行政委員会で、私だけではなくて、恐らくそういう思いを政治家としては皆さんお持ちじゃないでしょうか。ですから、そのことを政治家の国家公安委員長としてしっかり受けとめていただいて、とにかく大胆にそういう改革をやる、こういう決意をさらに固めていただきますようにお願いをしたいと思うんです。  なお、いずれ通常国会で、あるいは今度の補正で、改めて交付税の法案審議という場があると思いますから、幾つかの地方財政問題についてはそちらに譲りますが、いずれにしても、大臣、非常に地方の行財政は多事多難な時期でありますけれども、私どもも、それぞれ政治家の使命として、この委員会で懸命に、大臣、政務次官を相手にして堂々と論陣を張ってまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げて、何か御答弁があれば、御答弁を聞いて終わりたいと思います。
  48. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 御指摘の点は十分に体して、私ども、物を考えてまいりたいと思います。  それから、一つ申し忘れましたが、公安委員会としては、今度の事件というのは、監察が絡んでいるというところに大きな問題があり、その監察県警本部長に直結しているということである、したがって、県警本部長監察をどういうふうに考えるか、そして監察というものをどう指揮監督していくかという県警本部長の問題でもあろうかと思うわけであります。  そういう意味で、私は、県警本部長の資質というものをやはり重要視していきたい。そのためにどういうことをすればいいかということについては、具体的に今御相談を申し上げ、近日中に方向性を出すというつもりでおります。
  49. 中沢委員(中沢健次)

    ○中沢委員 終わります。
  50. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 次に、河村たかし君。
  51. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 河村たかしでございます。  大臣にお伺いしたいのですが、さきの国会で、日本史上始まって以来といいますか、国民全員に番号をつけるという法案を無理やりお通しになられたということでございます。私は名前を持っておるんですが、名前のほかに番号がつくということでございまして、それだけのことをやる以上は、よほど住民に何らかの利便がないと、これはできないと思うんですね。  四つの情報が流れる、そして住民票がとりやすくなる、そういうふうなことでどういう利便があるか、大臣どうですか。
  52. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 私も、この法案の成立には余り深く関与はしていなかったのでありますけれども、担当大臣としては、やはり一定の現在の責任はあろうかと思います。  やはりこれは、住民に対するサービス、それから行政改革がいろいろ言われている昨今においての行政簡素化、この二点が非常に重要なポイントであろうかと感じております。
  53. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 サービスということは、出ておりますけれども、確認でございますが、住民票を全国でとれるようになる、それから転出入が楽になる、これは資料がある。それで結構でございますね。
  54. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 そのように私も理解いたしております。
  55. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 ついては、プライバシーの問題が出てきましたけれども、四つの情報を流す、そういうことだからいいんだ、そういうことでよろしいですね。
  56. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 それは原則的には、今四つの情報と言われましたが、それしかないわけでありますね、現在。そのとおりでございます。
  57. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 大臣、これが全く違うんですよ、あなたの言ったことが。これは、私は下手したら、こんな言い方したくないけれども、自治省は国民に対してちゃんと説明したのか、厳しいことを言えば、だましたのではないかと思っております。  どういうことかといいますと、実は、質疑にも若干出ておりますけれども、流すのは違うんですよ。住民票をとるためには住民票に書いてある事項、それから転出入になりますと健康保険とか国民年金とか、そういう番号も全部流すんですよ。わかっていますか、それを。今は違いますでしょう。
  58. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

  59. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 いや、これは大臣に言ってください、大臣に。  なぜかというと、あなたは自治省出身ですから、私は政治家としてやはり大臣に聞きたいんです、責任者に。それを、役人の方が出てこられてどうなるんですか。それはだめですよ、そんなのは。冗談じゃないよ、そんなもの。
  60. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

  61. 平林政務次官(平林鴻三)

    平林政務次官 委員長から御指名がございましたので、私から答弁を申し上げます。  私は、前国会におきまして、地方行政委員会の理事として当委員会の運営に参画をいたしてまいりました。そして、この住民基本台帳法の改正につきましても若干のことを承知いたしておりますので、委員にお答えをいたしたいと思います。  このたびの住民基本台帳法の改正というのは、今大臣が申し上げましたように、住民のサービスということの観点からいたしまして、今日の情報化時代におきまして、住民基本台帳のシステムをネットワーク化して、そして情報化時代に対応できる体制を整える、そういう趣旨において私は必要なことだと考えまして、委員会の運営に参画をしてまいったようなことでございます。  そこで、住民基本台帳の利用といいますか、さようなことは、今申しましたような観点から、例えば転入、転出というようなときにおきまして、この届け出を受理して、そしてもとの市町村に住民登録の事項が変更になりましたということを通知するとか、それに関連するいろいろなことが迅速、的確に行われるようにということでありまして、あくまでも住民サービスに徹した観点からこの新しいシステムを活用すべきだ、さように思っております。
  62. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 いや、全然答えに、結構ですから、これからはしゃべらないでくださいよ。  大臣の方にもう一回伺います。  要するに、国民に全部番号を振るんですが、これはやはり大変なことなんですね。どういうことかというと、番号を振るということは、私たちはどういうときに番号がつきますか。学校へ入ったときとか、それから病院があるかどうか知りませんが、会社とか、一定の包括的な支配下に係るときに番号がつきますね、大体。ということは、ある意味では国家の囚人になったということなんで、これは大変なことなんですよ、よほど気をつけないと。  それについて、今言いましたように、確認しますが、先ほど言われましたように、住民票をどこでもとれるようになるということとか、そういうことについて、四情報を提供することでよろしいですね。
  63. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 結構だと思います。
  64. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 ちょっとこれは理事、どうしますか。全く誤解しているんですよ、それは。情報を提供するのは、全国センターに、四情報じゃないんですよ。住民票に係る情報というのは全部行くんです。その中からセンターが蓄積するのは四情報だけということなんです。こんな、大臣が間違っておる状況法律を施行していいんですか、これ。理事、どうしますか。私要求するのは、ちょっとこれ、全部資料を書きかえてください。  ということは、おたくの自治省の出されたパンフレットはそこのところがはっきりしていないんだよ。みんなそれにだまされちゃっているんじゃないか。情報は四情報と住民コード等だ、これだけ出てきて、それで住民の利便が向上だ、こうなっているんです。だから、新聞でも、ある新聞を本当は、ちょっと時間がないでいかんですけれども、新聞の話は向こうが誤解しておると言われるかわかりませんが、明らかに誤解をした新聞があります。四情報だけに限るというのがあったんですが、「導入当初の利用目的を住民票関係事務などに限定するのもこのためで、ネットワークで結ぶ情報は住所、氏名、年齢、性別の四項目に限る予定だ。」と、はっきり書いてあるんですよ。これは一紙だけじゃないですよ。あなたたちだましたんじゃないんですか。  僕は、保利さんは、大臣はだました記憶はないと思いますよ、違っていたんだけれども。あなたは誤解しているんですよ、とんでもないところで。主務大臣ですよ。
  65. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

  66. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 いや、だめですよ。ちょっと理事行って、全資料の訂正を求めない限り、これは施行するならやってくださいよ。質問できませんよ。とんでもないことです、これは。
  67. 平林政務次官(平林鴻三)

    平林政務次官 お答えを申し上げますが、四情報をネットワークで管理して活用する、そういうことがございまして、それに付随して各市町村で住民票コードを、条例を定めて、この住民票コードを活用していろいろなサービスに充てるということはできます。さようなことでこの住民基本台帳法の改正が成り立っておると御理解いただきたいと思います。
  68. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 自治省出身の方の話は聞きたくないですが、今の話でも誤解ですね。流れるのは四情報だけじゃないんですよ。だから、全パンフレットを書きかえてくださいよ。今の大臣が誤解しているんだから、日本国民に対して失礼じゃないですか、こんなの。  ちょっと理事、相談してくださいよ。質問できません。こんなばかな話はありませんよ、そんなの。
  69. 平林政務次官(平林鴻三)

    平林政務次官 河村委員に申し上げますけれども、先般の住民基本台帳の改正に当たりましては、河村委員がおっしゃったような問題点をことごとく議論をいたしまして、それで、整理をした上で一部修正をして成立を見たということでございまして、その点はひとつ御理解をいただいておきたいと存じます。
  70. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 とんでもない間違いだ。大臣が誤解しているじゃないか。国民に対して失礼だよ。自治省は何をやってきたんだ、一体。とんでもないことですよ、これは。
  71. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 ただいまのお話しいただいた件は、理事会でよく協議をさせていただきたいというふうに思います。
  72. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 とにかく、私は個人的には何の、人間的にはいつも恨みはないと言っておりますけれども、職務はきちっとやるということでございますので、別に保利大臣に何の個人的恨みも一切ございません。立派な政治家だと思っております。ただ、事実として、全国民に番号をつけるんですよ。何百億という、これもうそです。実際はもっと物すごくかかります。そのシステムにどういう情報が流れるかということについて、大臣が誤解されておったということです。誤解というよりは、間違っておったということですよ。これは新聞まで間違っているんだ。こんなことをやっておって本当にいいのか。  だから、今言いましたように、理事会で協議ということでございますが、ぜひ、自治省は全資料をつくりかえて、国民に対して誠実に言うということでよろしいですね。
  73. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 今、誤解であるとかうそであるとかというようなことがもし真実であれば、これは非常に大きな問題だと自分は認識いたしますので、そのような資料がどういうふうになっているのかということについては、直ちに点検を命じます。
  74. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 読みますと、上手につくってあるんです。システムをつくることによってこういう利便がある、こう書いてあるんですね。実は、そのシステムには二つあるんです。四情報を集めるシステムと、要するに全情報が流れるんです。その中で国に蓄積するのは四つだけであるということなんですね、センターに。あとは全部流れるんですよ。だから、これを読みますと、どうしてもそういうふうにとれない。四情報だけが流れるようにとれるんです。現に新聞も誤解している。  ですから、今大臣から御答弁がありましたけれども、ぜひ大至急やっていただいて、もしこれが間違いだと思ったら——僕は自民党の皆さんに言いたいんだけれども、もう自民党のことをくそみそに言う必要はないと思います。やはり、戦後の復興の一時期においては非常に重要な貢献をされた。しかし、今それがすり切れてもういかぬということでございますけれども、しかし、それはやはり当時の全体主義に対抗して個人の自由を守ってこられた、こういうことだと思うんですよ。  これは大臣の認識を聞きたいんだけれども、人に番号をつけるということは、これは共産主義か。共産党が怒るかわかりませんけれども、これはまさしく社会主義じゃないですか。僕はこのこと自体でもだめだと思うが、今言ったように、きちっと説明をしてもう間違わないように、全員ですからね。やって、よほどのことがあれば別ですけれども、それでもだめ。とにかく、人間がそれぞれ管理とかそういうものに対抗して、個人で自由で生きていこうじゃないか、経済も自由にしよう、そういうことが自民党の一番の姿勢であったはずなんですよ。  大臣はこの議論をされるとき、地域でこういうことをお話をされて、地域の党員でもいいですよ、後援会の方でも。そうやってちゃんとされましたか。
  75. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

  76. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 いや、大臣に聞いているんだ。これはだめですよ、あなた。大臣の後援会なんてあなたは関係ないじゃないか。めちゃくちゃですよ、委員長
  77. 平林政務次官(平林鴻三)

    平林政務次官 委員長から御指名にあずかりましたので、お答えをさせていただきます。  例えば、私ども学校に上がりまして、それで小学生になったときに出席簿で番号がつくのと同じようなものだと私は思っております。電算システムに乗っける以上は、やはり数字で番号が入らざるを得ない。そういうことで、住民基本台帳を改正する場合に、番号をつけるということについては、これは当然のことであると考えて審議をいただいたと思っております。
  78. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 委員の長い間の御懸念というのは私もよく承知しておりまして、番号をつけるということが直ちに全体主義国家的なものになっていくのかどうかということについては、やや見解を異にすると思います。  一番大事なことは、今申し上げましたように、行政改革の線に乗る、あるいは住民の利便に供する、そういう趣旨、目的があってこの法案が成立をしたものだと思っておりますので、番号については、これは付随的なものであり、いやしくも委員御懸念のような形で使われるというようなことがないように、我々国会でも監視はしていかなければならぬ、こう思います。
  79. 河村(た)委員(河村たかし)

    ○河村(た)委員 これで終わりますけれども、とにかく認識が間違っていたということは非常に重要ですね。それから、保守とは何かということを本当に一遍自民党の皆さん、よくお考えをいただきたい。(発言する者あり)認識じゃない。とんでもない話なんだ。  それから、もう一つ重要な問題は、限定番号とは違いますからね。運転免許証番号がいかぬと言っていないのです。国民番号自体については、これは全く包括的な管理でして、いやしくも自由主義、保守主義を守ってきた自民党がやることではない、絶対に。そういうふうに申し上げておきます。  以上です。
  80. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 次に、桝屋敬悟君。
  81. 桝屋委員(桝屋敬悟)

    ○桝屋委員 公明党・改革クラブの桝屋敬悟でございます。  本日は、保利新大臣を迎えて最初の委員会でありますから、私も格調高く神奈川県警問題をやろうと思っておりましたが、一気に頭が前国会に引き戻されまして、どうぞ皆さん、新しい国会が始まったというイメージで、神奈川県警の問題にちょっと意識を切りかえていただきたいな、このように思うわけであります。(発言する者あり)  なお、後ろで不規則発言もありますが、もちろん、住民基本台帳法の改正された法律の施行、こうしたことについては、不断にまた我が党も監視をしていきたいし、見守っていきたい、こんなふうに思っておる次第であります。  さて、ちょっと中断しましたけれども先ほどから神奈川県警の問題、私も先ほど中野先生あるいは中沢先生の議論を聞きながら、本当に事の重大さというものをひしひしと政治家の一人として感じさせていただいております。  そこで、最初に確認をしておきたいのでありますが、もう重複は避けますけれども神奈川県警の問題で、私は三番手でありますから角度を変えて議論をしたいと思うのですが、いろいろ報道されておりますけれども、大きな問題が表面に出たなと思っている内容が、一つは、懲戒免職をされた人が、これは報道によりますと、神奈川県警、大分その数が少な目に報告されていたということを聞いております。その理由は、懲戒免職事案が公務外であったから報告しなかったんだ、こういう報道も聞いているわけであります。  いずれにしても、最近の警察官による懲戒免職のような不祥事、こうしたものが神奈川県警のみならず全国的にどういう動向にあるのか。これは、当然ながら官房の方にそうした報告も入っておるとは思うのでありますが、その時系列的な傾向といいますか、私はふえているのではないかということを心配しておるのでありますが、その辺をまず確認させていただきたいと思います。     〔委員長退席、滝委員長代理着席〕
  82. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 警察職員懲戒処分状況というお尋ねでございますが、委員指摘のように、懲戒処分者数、傾向として見ますと、このところずっとふえ続けている、いわば増加傾向にあるということが言えるというふうに思います。例えば、古い資料でございますけれども平成元年に全国で八十件であったものが、平成十年には百二十二件というふうになっておるわけでございます。  ただ、この中には監督責任を問うたものもあるわけでございまして、内容的には、最近は監督責任を問うた数が、要するに厳しく物事をとらえるという意味でふえている、こういう傾向にあるというふうに承知をしております。
  83. 桝屋委員(桝屋敬悟)

    ○桝屋委員 この十年間ぐらいで、八十が百二十二ですから、一・五倍ぐらいふえている。私は、殊さらこの数を大きく叫ぼうなんて思っているわけではなくて、やはり現状認識を新たにしていただくという意味でこの議論をさせていただいているのですが、百二十二という今報告のあった数字は、恐らく神奈川県警で問題になったような、神奈川県警十五が三十四というような記事が出ておりましたけれども、こうしたものは当然この中に含まれているというふうに理解をしますけれども、なお、神奈川県警のようなこともあるでしょう。全国的にこうした数字ももう一回精査をしていただきたい。  やはり、先ほどからの議論がありますように、この際、きちっと現状を正しく認識するというところから、問題を問題点として把握するところから問題解決へのスタートがあるだろうというふうに私は思っておりますから、ぜひその辺も確認をお願いしたい、精査をお願いしたいというふうに思っております。  今回の一連事件を見ておりまして、私は、先ほどから議論が出ておりますけれども、なぜ、私も信頼しております警察の大きな組織の中で、これが自浄作用が働いて未然に防ぐことができなかったのかということを、実に残念に感ずるわけであります。  先ほどから議論が出ておりますように、警察行政内部の監察制度、これが本当に機能したのかどうか。機能しなかったからこういうことになったので、大胆な見直しという御発言もあったわけであります。あるいは、独立した監察システムを考えるべきではないか、こういうお話もありましたけれども先ほど特命監察というような話もありましたが、非日常的なことよりも、もちろん今の対策も大事でありますけれども、日常的に、まさに日常性の中で日々、常々こうしたことが機能するということが大事でありまして、私は、再度現行の監察システム問題点について、さらに突っ込んで議論をさせていただきたい、このように思うわけであります。  監察システムにつきましては、先ほどから議論がありますけれども警察庁の官房、それから管区警察、各県警本部のシステムの中で動いている。これは警察法に組織の規定があるわけでありますけれども、そうした全体の仕組みの中で、私は、さっきからも指摘がありましたように、今回そうした自浄作用といいますか、警察の中の警察と言われているこういう監察システムがなぜ機能しなかったのかということは、十分検証しなければならぬだろうというふうに思うわけであります。  それで、この監察システムの指揮系統、先ほど県警本部長監察室の関係、若干公安委員長の方からも言及がありましたけれども、指揮系統がどういうふうになっていて、監察業務がどのように行われているのか、かいつまんでで結構です、わかりやすく、特に監察業務については、業務監察ではなくて服務監察がどのように行われているのか、あらあら御説明をいただきたいと思います。
  84. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 警察監察制度についてのお尋ねでございますけれども警察庁におきましては、長官官房に首席監察官というものを置いております。そして、警察庁内、附属機関、地方機関に対して監察を行う。それから、都道府県警察に対しましてもこの長官官房の監察監察を行う。委員指摘業務監察、服務監察、両方ございますが、そういうことでございます。  それから、各管区警察局にも監察官が配置になってございまして、局内の監察、それから管区内の府県警察監察を実施するということでございます。この監察に当たっては、府県警察監察するという場合において、警察署レベルあるいは各執行体、そういうようなところにも、警察庁もしくは管区警察局の監察部門が行って監察に当たるということを行っておるわけでございます。  都道府県警察におきましては、警務部門に監察官室、あるいは、規模によって異なりますが、監察課という組織を置いておりまして、監察官数名を配置いたしまして、警察署に対する、あるいは執行体に対する服務監察業務監察を実施しておる、こういうことでございます。  警察不祥事案というものにつきましては、業務に関連した部分が多いわけでございまして、それらの事案を迅速に解明して厳正な調査を行う、そして、未然防止を図るための施策を講じるためには内部管理に精通をした監察機構が必要である、こういうことで設けられている、こういうふうに承知をしておるわけでございます。
  85. 桝屋委員(桝屋敬悟)

    ○桝屋委員 概要の御説明がありましたけれども、そうした仕組みが、実は冷静に考えてみると、今回全く機能しなかったのではないかというように思うわけでありまして、その点は極めて残念であります。  ちなみに、今御説明のありました服務監察でありますけれども、具体的な話をさらにお聞きしたいんですが、実際に神奈川県警に対して、警察庁として昨年一年間にどのぐらいこの服務監察を行われたのか。  聞きますと、この服務監察というのは、行政監察と違いまして、随時に、突然現場に乗り込んで、ある一定の目的を持って監察をやられるというふうに聞いているわけでありまして、現場にとっては相当大きな、襟を正さざるを得ない、こういう作業だろうと思っているんですけれども、実際、昨年一年間で結構ですが、神奈川県警に対して、関東管区あるいは警察庁でも結構ですが、どの程度服務監察をされたのか、そうした中で今回の問題は予測できなかったのかというようなことは、いかがでしょうか。
  86. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 昨年一年間に、神奈川県警察に対する服務監察に関しましては、警察庁としてはこの年には行っておりません。ただ、管区警察局が一回実施をしておるわけでございます。それから、神奈川県警察自体が管内の警察署に対して監察を実施するというのは、十三回にわたって行われたという報告を受けておるところでございます。  ただ、残念ながら、この監察によって今回の事案の端緒をつかむことはできなかったということは事実でございます。
  87. 桝屋委員(桝屋敬悟)

    ○桝屋委員 今御説明がありましたけれども神奈川県警に対しては、昨年一年間、警察庁は服務監察はやっていない、それから関東管区が一度、あとは県警本部にある監察室がそれぞれの警察署を十三回やられたということであります。  さっきからいろいろ議論が出ていますが、今回の事案は、今捜査中でありますが、県警本部内で、これは指揮命令の関係もありますけれども、県の監察室長は当然ながら県警本部の本部長の指揮監督ということになり、監察の内容も本部長が権限を持っているわけですね。そうすると、さっき公安委員長からお話があったように、県警本部長が誤った判断をした場合は、これは従わざるを得ないわけでありまして、ひとり神奈川県警の中で何とかできるかというと、私は、十三回やったとしても恐らく問題は出てこないだろうという気がするんですね。  そういう意味では、やはり関東管区あるいは警察庁において、これほどの、去年からずっとこの流れがあるわけですから、もう全部は言いませんけれども、私は、時系列的に事件を全部、報道を整理してみましたら、ペーパーがいっぱいになりまして大変だったのでありますが、そういう事例の流れの中で、去年一年間、今の話を聞くと、まさに監察システム機能していなかったのではないかと思うわけであります。当然ながら、今日を予測することもなかなか難しかったのではないか、こう思うわけであります。  まさに、県警本部長の判断が誤った場合は機能しないということでは困るわけでありまして、監察システムの中で、問題が県警本部から管区警察を通じて警察庁にも上がるという仕組みが必要ではないか。先ほど検討してみるというようにおっしゃったんですけれども、服務監察あるいは監察システムそのものの中で、そういう縦横、内部牽制をするんだ、自浄作用だというようにおっしゃるのであれば、まさに内部牽制が可能なような仕組み。あるいは、横だけではだめでありまして、警察の場合は大きな組織でありますから、横でどうにもならぬ場合は上から何とか対応できるようなことも考えなきゃならぬだろう、こう私は思っておるのです。  監察業務の実績の報告なり、そういうものがちゃんと県警監察室から管区に上がり、警察庁まで上がるという仕組みはあるんでしょうか、ないんでしょうか。これはぜひやってもらいたいと思っておるんですが。
  88. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 基本的には、委員指摘のとおり、各都道府県警察本部で監察業務が行われておる、そして監察事案というものが発生をしたり、その処理を行っているという状況につきましては、管区警察局を通じて警察庁に上がる仕組みが既にあるわけでございます。ただ、遺憾なのは、このたびの問題について、そういったものについて漏れがあったということであります。  私どもは、こういった問題点につきまして、早急にいろいろ検討をして、改善をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  89. 桝屋委員(桝屋敬悟)

    ○桝屋委員 それから、実際、県警本部の監察室長というのは地元人事であるというふうに聞いているわけですね。地元人事を充ててこれで本当に身内の問題が処理できるのかということも考えるわけでありますし、また、ポストとして本当に適当な人事が行われているのかということも大変に気になるところであります。これは、一つの課題としてきょうは申し上げておきたいと思うんです。  もう一点、先ほど、関東管区が一回、神奈川県警に対して服務監察をされたというふうに御説明がありましたけれども、実際に十分な服務監察を、行政監察も含めて、やるだけの体制があるのかどうか。数が大きければいいというものではありませんけれども、当然ながら、監察については、通常の警察業務に精通しているということはもちろんながら、管理監督をするという立場での専門性も私は問われるだろう、こう思っているのでありますけれども、本当にそういう体制ができているのか。  ちなみにで聞きますけれども、例えば、神奈川県警監察する立場の関東管区には、どれぐらい監察官が配置されて、どういうスタッフがいらっしゃるのか、ちょっと実態を教えていただけますか。     〔滝委員長代理退席、委員長着席〕
  90. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 各都道府県警察、それぞれ規模によって異なるわけでございますけれども、例えば神奈川県警察の場合でありますと、警務部に監察官室長が置かれまして、その下に三名の監察官が置かれる。それで、さらにそれを補佐する要員がおるわけでございまして、恐らく数十名の規模だろうと思います。  関東管区ということになりますと、これはぐっと減りまして、監察官一名に数人の補助者がつく、こういうことでございます。また、警察庁監察官室というものも体制的に一定規模しかない、こういう状況でございます。  ただ、監察を実際に実施する場合におきましては、重点的に事項を決めて行うわけでございますから、その業務を実際に所管している部門の協力を得て体制をつくって、そして監察に出向いていく、こういう運用を行っておるわけでございます。
  91. 桝屋委員(桝屋敬悟)

    ○桝屋委員 今、監察システムの再検討をするということでありますから、ぜひともそれは、県警監察室の体制、それから各管区の体制、それから警察庁の体制、私は、さっき申し上げましたように、縦の流れも、もう一回指揮命令系統も含めてぜひ御検討をいただきたいし、それぞれ十分な体制があるのかどうか御検討をいただきたい。場合によっては、私は、今回は県警監察室も一緒にというような話もあるわけでありますから、やはり管区それから警察庁における体制ということも、もう一回検討してみる必要があるだろうというふうに思っております。  いずれにしても、十一年度の警察白書、目を通しましたけれども、服務の問題、監察のあり方等については、当然ながら、十一年度の警察白書には表の業務は皆出ておりますけれども監察といいますか、そうした服務の問題については、極めて小さい取り扱いであります。  ぜひ、今まで議論したことも踏まえて、効果的な服務監察の実施に対して、国家公安委員長として御決意をお伺いしたいと思いますが、もう一度お願いいたします。
  92. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 今回の事件は、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、監察が絡んだ問題である、さらにまた本部長がこれにかかわっている疑いがあるという、極めて重大な事件であると思います。監察機能を十二分に発揮させますためには、本部長監察をきちんと掌握していなければならぬという体制が必要であろうと思います。  そうなりますと、本部長として着任をいたしますときに、そのことについては十分わきまえ、そして監察を督励するということはないのでありますが、十分監督をして、そして監察行為が正常に行われるように、本部長の責任において監察を指揮していただかなきゃならぬ。そのために、警察庁本部長に対して十分な教育といいますか、心得を授けて本部長として着任をしていただく。そういう縦の流れ、今委員指摘のとおりでありますが、そういうものをきちんと確認するということが公安委員会としては必要なことであるというふうに考えまして、その線にのっとって警察庁を督励してまいりたい、こんなふうに考えております。
  93. 桝屋委員(桝屋敬悟)

    ○桝屋委員 今の公安委員長の御説明で、監察のシステムというのは、やはり県警本部長がきちっとやるんだ、こういうお話でありますが、今回、この県警本部長に心配があったわけですね。では、どうするかということで、それは公安委員会ですと。  ただ、その部分は公安委員会でと今公安委員長がおっしゃったように、公安委員会機能したかどうかというと、これはまた逆に、後で議論をしようと思ったのですが、時間もありませんから申し上げますが、神奈川県議会での議論を仄聞しますと、公安委員会は今回どうだったのか、動いたのかどうか、こういう議論があったそうであります。その中で、いやいや、公安委員会というのは警察行政全体の大きな流れを検討するのであって、審議するのであって、個々の事案についてまでは議論しませんよ、それは役割ではないというようなことで、なかなかそれ以上は議論が進まないという実態もあるわけであります。  端的に言うと、公安委員会というのは、的確な、適正な、しかも迅速な報告が上がらない限り何も議論はできぬわけであります。今回、まさにそれが機能しなかったということでありますから。だから、監察システム機能しない、公安委員会機能しない、国民から見たら、一体警察というのはだれが管理しているのだろうというイメージを与えてしまっているのではないかと私は思うわけであります。  今の国家公安委員長の問題意識の中で、私は、今回あったわけですから、県警本部長が誤った判断をした場合は、もっと違うルートから、監察システムがあるわけですから、内部牽制システムがあるわけですから、そこを通じて問題が国家公安委員長にも上がるし、国家公安委員会にも上がる、警察庁もそれを把握することができるというふうにしないと、そんなことがしょっちゅう続いたらたまりませんけれども、こんなことは前代未聞という話がさっきから出ているわけでありますから、そこも含めて、こっちもだめ、こっちもだめ、だめでも内部牽制機能は動きますよというぐらいの検討を、そんなことがあっていいとは思いませんが、私はそれを申し上げたわけでありまして、ぜひとも御検討をお願いしたいと思います。  今の公安委員会の話は、本当に的確に情報を上げるしかない、迅速に上げるしかない、このように思っておりますので、この点もぜひ改善方を御検討いただきたい。場合によっては、個別の事案も積極的に公安委員会に上げて議論するということが大事だろう。結局は、具体的な問題、一つ一つの事件の中に大きな組織全体の傾向があらわれるわけでありますから、そこを見ないというのじゃ何もできないわけでありまして、各県の公安委員会のあり方も含めて、公安委員長、ぜひ御検討いただきたい。
  94. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 御指摘の点は十分に体しまして、これからの方策等については考えてまいりたいと思っております。  しかし、公安委員会の場合は、今回の事件のような場合でも事後報告、つまり、こういう事件が起こりましたという報告を受けてから動き出すという形になっているのは、委員指摘のとおりであります。  公安委員会としては、それでは何ができるかなということになると、事前予防措置としては、警告を発する、そして注意を促す。大丈夫か、きちんとやっているかということを常に言って、警告を与えていくということが一つの重要な機能ではないか、そんなふうに考えております。それもこれも含めて、公安委員会のあり方について十分検討させていただきたいと思います。
  95. 桝屋委員(桝屋敬悟)

    ○桝屋委員 各県の公安委員会がどういう議論をしているのか、私も一回点検をしてみたいと思いますが、例えば、先ほど出たような懲戒免職の案件あたりも事例として挙げて検討しているのか。あるいは、内部の監察の結果、業務監察が、業務監察というよりもむしろ服務監察でありますが、どういうふうに行われているのかというようなことも、かなり専門的なことも含まれるでしょうが、そんなこともぜひ検討する場であっていただきたいな、こう思うわけであります。  いずれにしても、失われた信用を回復するというのは並大抵の作業ではないというふうに私は思うわけであります。関口長官が訓示の中で言われた言葉が新聞に出ておりました。先ほども一端申されました。打ち出された対策第一線まで浸透していない、言いかえれば、上滑りして実効を上げるに至っていない、こういう御発言もされておられますし、職員の琴線に触れる方策をきめ細かく講じ、職員の側に立って個別具体的な指導や教養を行うことが必要、このようにおっしゃっている。私は、ある意味ではこの言葉はかなり深刻な受けとめ方だな、こういうふうに思うわけであります。まさにこうした一連事件機会に、今までの警察行政を総括して、もう一回総点検をするということが必要であろうというふうに思います。  その中で、特に、今のような監察システム公安委員会の問題だけではなくて、これほど矢継ぎ早にいろいろな問題が出た背景には、恐らく警察の中の、例えばキャリアの人事とか、あるいは地元警察組織内の問題であるとか、警察官との関係とか、さらにはOBの職員も含めたさまざまな警察組織全体のありようといいますか、そうしたものも、私はこの際、総合的に見直していただきたいというふうに感ずるわけであります。ぜひこれは公安委員長にお願いをしておきたいと思います。  その上で要請をしたいのは、例えば神奈川県警で取り組まれております警察を語る会、大阪に続いて神奈川県でもやられているようでありますが、こうした市民、県民も巻き込んだソフト事業もぜひ予算化をして、積極的に取り組んでいただきたい、このことを最後にお願いしたいと思いますが、公安委員長、何か御決意があればお伺いしたいと思います。
  96. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 今御指摘の点は、確かに、市民の御協力のもとに正常な警察行政を遂行していく上で非常に重要な御指摘だと思います。十分に検討させていただきたいと存じます。
  97. 桝屋委員(桝屋敬悟)

    ○桝屋委員 介護保険の問題を新自治大臣とやりたかったのですが、時間がなくなりましたので、次回に回します。ありがとうございました。
  98. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 次に、鰐淵俊之君。
  99. 鰐淵委員(鰐淵俊之)

    ○鰐淵委員 私、自由党の鰐淵でございます。  ただいま各委員から、冒頭、神奈川県警事案につきましていろいろ質疑のあったところでございます。したがいまして、私は、あえてふくそうを避けまして、トータル的に国家公安委員長にお伺いしたいと思います。  もう既に御案内のとおり、本事案につきましては、まさに警察行政に対する信用並びに信頼を著しく失墜させたものだ、このように認識するのでございます。もちろん、警察は社会秩序を保っていく、そういう意味で信用とか信頼というのが一番大切なのは警察行政だ、このように思います。  そういうことを考えますと、今までの事案を深く反省いたしまして、国民警察行政に対する信頼をいっときも早く回復することが必要である、私はそのように思うわけでございますが、国家公安委員長といたしまして、その所感とまた何らかの方策についてあれば、所信をいただきたいと思います。
  100. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 御指摘のとおり、警察、これは社会全般でありますが、信頼ということは非常に大事な概念だと考えております。私が着任早々、警察庁へ参りましてごあいさつを申し上げたときも、信頼という二文字を大切にしてもらいたいということを申し上げました。  今、警察に対する信頼がこういった事件をきっかけにして揺らいでいるということについては、大変憂慮すべき状態であり、国家の治安を維持していく上で、信頼回復というのは、これはもう絶対にしていかなければならぬことだと思っております。  先ほどからもお話が出ておりますとおり、大部分の警察官は非常にまじめに勤務をしておる。そういう方々が犯罪に立ち向かって治安を維持していただいている。そういう士気に影響するような今回の事件というのは、非常にまずい事件であった。したがいまして、そういった方々の士気が落ちないように私は願ってやまないところでありますし、また警察庁にも、士気が落ちないように頑張ってやってほしいということを言っておるところでございます。  今度の事案については、先ほどから答弁があっておりますとおり、本当に未曾有の事件であり、県警本部長が疑いを持たれているという事件、ここは重大に受けとめまして、三年近く前の事件ではありますけれども、これを反省の契機として警察行政全般について信頼回復がなされるように、私も努力をしてまいりたいと思います。
  101. 鰐淵委員(鰐淵俊之)

    ○鰐淵委員 ただいまの国家公安委員長のお考えにつきましては、私も全く同感でございます。  したがいまして、これまでのいろいろな事案につきましては徹底的に解明をされまして、多くの善良な警察官がいわゆるプライド、治安維持に対する誇り、それを持って国民の安全を期する、こういうような警察であってほしい、このように望むものでございます。  続きまして、それでは地方分権地方自治についてお伺いいたしたいと思います。  私も、国会議員になりましてからずっと地方行政委員会に所属しておりまして、この問題につきまして一貫していろいろ発言をさせていただいておるところでございます。  私の考えとして、真の自治というものはどういうものかといいますと、自治というものは、基礎自治体である市町村、すなわち住民と直接接する自治体こそ真の自治を担うものである、このように私は考えております。  その中で、今回分権一括法等によりまして、法的な立場でも、あるいは精神的におきましても、地方といわゆる国といいましょうか、中央とは対等の立場にあるのだということが明記されております。これは画期的なことだと私は思うのでございます。これからの地方行政地方自治を考える場合に、これはその考え方の基本になるわけであります。まさに、国と地方は対等の立場でその自治を推進していくということであろうと思うのでございます。  そこで、地方分権推進委員会は、来年七月、法律が切れるということに相なるわけであります。非常に長い間、第一次から第五次までの勧告案を出されまして答申されているわけでありますが、その中でも非常に画期的な、機関委任事務の廃止ですとか、あるいはまた一部、都道府県、市町村に対する権限の移譲等もなされました。  しかし、これはもう御案内のとおり、私ども長い間地方自治に携わった者には非常に不十分でございます。都道府県、市町村への権限移譲も、数で大体四十八件といいますから、もう本当にわずかなものなのでございます。これでもってもう地方分権の移譲が終わったと言うのには、余りにも数が少ないですし、膨大な業務の中ではほんの少しということですから、私はまだまだ地方分権は、一歩前進ということで、緒についたばかりと考えざるを得ないのでございます。しかしながら、こういった分権一括法の成立で、市町村の役割も当然、非常に重大になってきているところでございます。  そこで私は、これは分権推進委員会の立場ではなくて自治大臣として、地方分権というのは、先ほど私が認識しておる、まだ中途である。先ほど来から議論があります、税財源を中央と地方は一体どう担うべきかという問題がまだ残っておると思いますし、さらにはまた、権限の移譲等についても、先ほど言いましたようにごくわずかである。もっともっと移譲をすべき内容が実はたくさんあるわけであります。そんなものはどうも先送りされた感を否めないのでございまして、大臣として、今後こういった地方分権を一層推進されようと考えておられると思いますが、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。
  102. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 私は、委員の御指摘のとおりではないかなと思っております。許認可事務が多少地方自治体に渡されたということであります。これは、ほとんど予算措置等を必要としないぐらいの権限ということになるわけでありますが、これだけでは、まだまだ本来の地方分権の姿というのは見えてこない、私はそういうふうに今感じておりまして、本番が後から来るんだ、こう思っておるわけでございます。  そのときには、当然問われるのは、地方行政対応能力でもありましょうし、本当に権限を渡してできるのかねという、そこの論証でありますし、権限を渡すことによって国民的負担はふえることはないんだねというような検証とか、いろいろな問題があるだろうと思います。河川行政あるいは道路行政、そういうようなものを地方の権限にゆだねていくという場合には、やはり財源措置というのが必要でありますし、そこにはやはり、地方財源強化へ向けた私どもの動きをこれからしていかなければならぬというふうに今感じております。  したがいまして、これから本番を迎える、そしてそれにはどう対応していくかということについて、十分論議をしたいと存じております。地方行政委員会の先生方にも、いろいろ御意見をお聞かせいただいて、そういったものを取りまとめていかなければならぬと思っております。  もし補足答弁がございますれば、平林政務次官から答弁をさせます。
  103. 鰐淵委員(鰐淵俊之)

    ○鰐淵委員 ただいまの大臣の話のとおりだと私も考えますが、とりあえず、地方分権というのはまだまだ多くの課題がございますので、自治省としても、関係する分野につきましては鋭意推進されるように、ひとつお願いをしたいと思っております。  その中で、もう一つございますが、いわゆる権限移譲ということは、現在の制度は三層制になっていますね。いわゆる政府、都道府県、市町村という形になっております。したがって、基礎自治体である市町村は、どちらかといいますと都道府県とのかかわり合いが非常に多いわけであります。したがって、都道府県の持っておる権能、今地方分権の推進法でも、どちらかといいますと国、政府から知事、都道府県に落ちた権限は随分あるわけですが、都道府県から市町村に落ちる権限というのは、これが非常に少ないわけであります。ですから、真の自治は基礎自治体である市町村にあるということを考えますと、まだまだ私は、都道府県と市町村との関係が非常に不明確、不明瞭である、こういった点はもっともっと改革、推進すべきであろうと思いますので、ぜひその点、平林政務次官にお願いしたいと思います。
  104. 平林政務次官(平林鴻三)

    平林政務次官 おっしゃるとおりでありまして、私がこのたびの地方分権の一括法を見ましても、委員の御指摘はごもっともであると思っております。今日の市町村の姿からいたしますと、できるだけ市町村が力をつけまして、そうして都道府県がやっております仕事を引き受けられるような、そういう体制整備も願いたい。  そういう観点から、先般の地方自治法の改正、それ以前の改正もございますが、例えば連合というようなものをつくりました場合に、都道府県の権限を移譲する、あるいはまた中核市とかさような新しい制度の中において都道府県事務を移譲するというようなことが、政策的にも、また法律的にも行われておりますので、さようなことも含めまして、市町村が本当に住民の身近なところで仕事をやっていけますような、そういう体制に心がけたいと思っております。
  105. 鰐淵委員(鰐淵俊之)

    ○鰐淵委員 その点につきまして、後ほどちょっと市町村合併についても触れたいと思っておるわけでありますが、その前に一点、先ほど中沢委員からも、地方財政の危機的状況ということについて質疑がございました。現在、地方におきまして、給与をカットしますとか、地方行革をどんどん進めております。しかし、地方の財政のいわゆる地方債、その残高も、先ほども話がありましたが、百七十六兆の借入金残高があるということで、これも大変大きな借入金でございます。そういったときに、一体地方財政は、来年恐らく地方財政計画を出し、それに基づいて財政を組むと思いますが、非常に難しい、厳しい状況の中に今地方自治体はあるのではないか、私はこのように思います。  したがいまして、今後そういった厳しい財政の中であっても、地域の住民の行政需要というものは、これまたお金がないから需要が減るのではなくて、逆に需要はまだ旺盛である。そうしますと、どういう取捨選択をしていかなければならないか、あるいは地方財政はどういうように今後取り組んで、そういったことにこたえていかなければならないかという問題が一つ残っておると思います。  したがいまして、地方財政等について今後どのように自治省としてはお取り組みか、この点について、政務次官、お願いしたいと思います。
  106. 平林政務次官(平林鴻三)

    平林政務次官 鰐淵委員も私も同様でございますが、長年の地方財政の中にはいろいろな波がございまして、そのたびにやりくりに苦労してまいったという経験がございます。やはりこの地方財政、現在、平成十一年度末には百七十六兆という膨大な地方債残高を抱えるというようなことでございまして、個別の地方団体でも公債費の比率が上がってくる、そのような非常に悩みに満ちた状況でございます。  したがいまして、ここからどうやっていくかということは、地方財政全体としても、また個々の市町村、都道府県にとりましても非常に重要なことでございますが、やはり経済状態に左右されるということは、これはやむを得ないことでございますので、経済状態全国的に、あるいは地域的によくしていく努力をしなければいかぬ。そのためには、今緊急の経済対策等でとられておりますように、やむを得ないことでございますけれども地方公共団体も国も、財源を何とかやりくりをいたしまして、公共事業その他の事業を積極的にやって、そして経済の再生を図るということでございます。  今のような状況におきましては、経済の再生を図りながら、地方の財政基盤の強化につきまして、あるいは財政の健全化につきまして懸命の努力をしていくということが基本になろうかと思っております。
  107. 鰐淵委員(鰐淵俊之)

    ○鰐淵委員 私も、長い間一地方自治体の財政に取り組んでまいりまして、非常に苦しむこともありました。そっちの方が多いわけであります。そのやりくりをしながら、いかにサービスを提供していくかということに苦心をしてきたわけでございます。しかし、その中にはやはり、地方自治体は国の財政計画に基づいてどの程度の起債を起こせるか、あるいはどの程度の自主財源が確保できるか、いろいろあるわけでございます。そういうときに、やはり税法の改正というものは非常に大きな一つのメルクマールでございます。  そうしますと、例えば法人の外形標準の問題ですとか、あるいはその他の税制の改正というのは、収入面では相当大きな変化を及ぼすわけでございまして、経済とリンクしますので、そういった点を十分勘案しながら、地方財政が来年、苦心するけれども、みずからまた地方自治体も努力する。行革もし、いろいろな努力もするけれども、そういった国からのサイドのサポートというものも私は必要ではないかと思いますので、ぜひその点、よろしくお願いをしたいと思っております。  さて、市町村合併の方に移行いたします。  私は、この市町村合併につきましては、先ほどお話ございますように、権限も欲しい、それから権限と同時にやはり税財源も欲しい、そういうことを要求する以上は、やはりそれに対して市町村は十分こたえ得る体制になければならないということは、そのとおりだと思います。したがいまして、市町村合併というものは、確かに、上からやりなさいということではなくて、住民みずからが、市町村合併することによって自分たちの住む町がよくなるのだ、あるいは我々のサービスがよくなるのだということをやはり実感しなければ、なかなか思い切って合併しようということが起きないわけでございます。  幸いなことに、法律の改正がございましたね。合併特例法の改正などがございまして、全国に今までよりは合併をしようという空気、ムードが起きていることは事実であります。しかし、これも全国的にプロットしてみますと、私どもの北海道などはほとんどそのムードがないということを考えますと、市町村合併も非常に温度差があると私は思うのです。やろうとするところと、なかなか無関心というところがございます。  こういったことについて、やはり自治省といたしましても、都道府県に一定の指針、要綱もつくるように指導されておると思うわけでございますが、その中で、やはり市町村が合併することによって多くのメリットを実感してもらう。いわゆる目に見える形の支援策がある、インセンティブがあるということが私は大事だと思いますし、これはさきの通常国会でも非常に進んだわけでございます。それは一つは、何で進んだかといいますと、合併特例法の改正に盛り込まれましたいわゆる合併算定がえですとか、あるいはまた合併の特例債、こういう制度を、地方交付税を活用した支援策というものが大きなインパクトになっていることは事実だ、このように思います。  私ども自由党でも、これらについていろいろ論議をいたしまして、市町村合併の推進方策についての中間取りまとめをいたしました。これはことしの八月です。同時に、自治省が都道府県に対しまして、「市町村の合併の推進についての指針」というものも八月に出されておるわけです。その指針は、我が党がいろいろ出した中間取りまとめのエキスを相当入れていただいております。したがいまして、合併を促進するためには、今般の三党の連立政権の発足に当たっても合意書に書かれておりますが、市町村合併を促進する見地から財政上のインセンティブの強化をさらに図っていくということが盛り込まれているわけでございます。  したがいまして、国といたしまして、やはり先ほど私がお話ししましたように、本当に市町村合併というのは、何か上から無理やりやられるということではなくて、みずからがいろいろな、これから今の介護の制度をどうするか、あるいは環境問題をどうするか、ごみの問題をどうするか、自分の行政区域ではとてもたえ得ない自治体の仕事というのが、今どんどん生まれてきているわけであります。そういうものに対応することによって、より地域の住民は、やはり合併することが賢明だということがわかるようにしていく必要があろうと思うわけでございまして、そういった意味で、自治省として、さらに市町村の合併を強力に推進していこうという、いろいろな策を考えておられるとは思いますが、その点について、大臣、どのように考えておられますか。
  108. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 市町村合併についていろいろ御見解を、お話を伺わせていただきましたが、市町村合併は、基本的にやはり自主的に取り組んでいただかなければならない。そうすると、自主的ということになれば、やはりどういうメリットがあるのだろうということを実感しながら、市町村連合体ができてくる、やがてそれが一つの市になり、あるいは自治体となるというふうに進んでいくのが一番自然な形であろうか、私はそういうふうに感じております。  したがって、上から幾つにしろとかいうような形で投げかけるべきものではない、それではないのだというふうに私は感じております。  御承知のように、今御指摘がありましたように、合併特例債とか、そういうようないろいろなインセンティブを与えながら、この自主的な機運が盛り上がるのを待っておりますが、実は、具体的なことを申し上げて恐縮ですが、私の選挙区の中では、一市九カ町村がまとまるべきだという住民の間のムードが盛り上がってまいりまして、協議会の設立についても実は署名が五千近く集まっておりまして、これはもう協議会設立についての議論が始まるというふうに考えております。  その中の様子を見てみますと、例えば、し尿処理でありますとか、あるいは廃棄物処理でありますとか、あるいは今度行われます介護保険の実施だとか、そういうことについての協議がなされる中で、具体的にこうこうするためにやはり町村合併が必要だという機運が盛り上がってくる、そういう盛り上がりがやはり全国的に起こってくることを私ども期待をいたしておるわけであります。  そういう意味で、自治省の次官通達をもって各県知事にお願いをし、ケーススタディー的にどことどこがどうなるだろうかということを地方の方から上げていただく。それに対していろいろなインセンティブを与えるために、平成十二年度の予算の中で、一定の刺激策を盛り込んだ予算を概算要求しているということをやっております。私は、こういった形で、地方分権とあわせて市町村の合併が進んでまいりますことを期待いたしております。
  109. 鰐淵委員(鰐淵俊之)

    ○鰐淵委員 私が調べた中では、今私がお話しした制度と、さらに国としては、市町村の合併の推進をさらに促進させるために、いわゆる推進のための交付金事業というものを計画されているようであります。これは新しい事業でございますから、大蔵省との折衝もあろうと思いますので、大臣、政務次官の皆さんを初めとして、ぜひこれらの予算確保については、よろしくひとつお願いをしたいと思っております。  もう時間がありませんが、最後ですが、本当は相当時間をかけてやろうと思った危機管理の問題でございます。これにつきましては、もう御案内のとおり、阪神・淡路大震災で大変大きな教訓を内閣あるいは政府の方でも体験したと思います。にもかかわらず、今度は東海村のような、全然異質のような災害が起きますと、また対応がもとに戻ってしまうわけですね。東海村の村長だけが、もうとにかく避難命令をしなければいかぬ、それからいろいろな対応をしなければいかぬと言っても、東海村の村長では自分の村域だけしかいわゆる権能がないのですね。しかし、放射能というのは、自分の行政区域だけで落ちつくわけではなくて、あれは空気で飛びますから、もう隣の方の行政区域へも行きますし、時によっては県の境へも飛んでいくわけですね。  ですから私は、これはもう初動管理といいますか、最初の処置が一番大事だと思う。ですから、犯罪捜査もまた同じだと思いますが、この初動のあり方が、どうも東海村の事故を見ますとちぐはぐであります。ですから、東海村の村長がテレビで言っておりましたが、県に連絡しても何の応答もない、国に言っても何もない、したがって村長として、みずから自分が決断してやらなければいかぬ、これではどうしようもないわけであります。  したがって、こういったことは、自治体の長は必ず災害対策本部長になります。私ももう何回もやって、もう三カ月ぐらい防災服を着て、どんな公式なスケジュールにも出たことがございます。これは普賢岳の島原の市長も同じだと思いますが、しかし、これはもう自治体の長だけででき得ない、今の東海村のような事故は。まだまだいろいろな、災害の種類によってはあるわけでございます。  ですから、市町村を越え、県を越えるこういう問題については、やはり私は、政府、都道府県、市町村というものが有機的に連携して、そしてその情報を速やかに確保し、そして速やかに初動動作に入る、そういうスピードというものが要求されると思うのでありますが、その点について、ひとつ大臣のお考え方をいただきたいと思います。
  110. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 東海村のような緊急事態発生をした場合にどうしていくかという御質問かと思いますが、東海村の事件のときは、確かに、これは日本全体として、国民全体として、こういう事件が起こるということは想定していなかったという事態であっただろうと思います。  それだけに、地元の皆様方は大変御心配なされ、また御迷惑もおかけをしたことになっておりまして、そういうことがあってはならぬということで、自治省の管轄下では消防庁、それから警察庁の管轄下では県警、そういったところが態勢をできるだけ早く組むようなシステムを構築していかなければならぬだろう。少なくとも、前回は態勢をとるのに時間がかかっておりますが、それをもっと短縮する、そういうことをふだんから勉強しておかなければならぬなと思っております。  御承知のように、原子力発電所設置県が十三県ありますし、加工施設等を含めれば十六の県、それからまた病院等の放射性物質を扱うところを見てみますと、全国で五千ほどあると聞いておりますので、そういったところで何か起こったときにはどうするか。これは、単に自治省・消防庁あるいは警察だけの問題ではなくて、むしろ科学技術庁でありますとかいろいろな官庁との連絡のもとに、どういう緊急事態対応態勢をとったらいいのかということは、十分に検討をしてまいらなければならない事項だと思っております。
  111. 鰐淵委員(鰐淵俊之)

    ○鰐淵委員 これで質問を終わりますが、災害というのは、予想し得ないときに起こるのが災害でございますから、そのときにいかに右往左往しないでしっかり対応するかというのは、行政あるいはまたそういう関係者立場だと思いますので、ぜひ十分、危機管理については最優先に今後検討していただきたい、このように思います。  以上で終わります。
  112. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 次に、春名直章君。
  113. 春名委員(春名直章)

    ○春名委員 日本共産党の春名直章です。  私も、神奈川県警問題について、短い時間ですので、絞って質問します。  先ほど同僚委員に対する警察庁長官の答弁についてなんですが、まことに遺憾である、信頼回復に全力を挙げる、職員一人一人が全力を挙げなければならない、こういう御発言をされております。当然のことだと思うんですね。  ただ同時に、今回の事件というのが前代未聞と言われているのは理由がありまして、それは、警察庁採用のキャリアの方が、いわゆるおひざ元の幹部が犯罪にかかわっているということなんです。そこが最大の問題なんです。前代未聞というのはそこにあるんです。  私はその点で、長官がそういう御認識をされて、本当にそこから正していく、そういう姿勢に断固として立っているのかどうか。下の警察、一警察の問題ではないということをはっきりさせなければ、この問題の教訓は得られないし、改善は得られないと私は思います。その点の認識をお聞かせいただきたい。
  114. 関口政府参考人(関口祐弘)

    関口政府参考人 御指摘事案につきましては、現在、神奈川県警におきまして捜査の途上でございます。その全容の解明を待って、また厳しく処理をしていくということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、幹部の責任というものも、これは部下の者よりもさらに重いものであることは当然でございます。  そうしたことを十分に踏まえながら、私どもとして対処をしていきたいというふうに考えております。
  115. 春名委員(春名直章)

    ○春名委員 一般的に幹部の責任を言っているんじゃないんです。警察庁採用の中心的な幹部の方が、キャリアと言われる方がその事件に深くかかわっているということを問題にしているのです。  長官、全容を解明してからと言われますけれども、既に、さまざまな新聞の報道では、渡辺当時本部長自身が、隠ぺい工作を指示した部分もありますとインタビューで答えております。本人がインタビューでも答えております。深山本部長の場合は、二転三転、さまざまなあの報道が問題になって、結局、うそをついていたのかという議論になりまして、引責辞任ということになりましたけれども、それ以前から事件の全容は大体もうわかっていた、その上でああいう記者会見をしたのかもしれない、そういう疑問すら出されております。  厚木署の警ら隊リンチ事件相模原南署ネガフィルム恐喝事件では、引責辞任をされた深山元本部長、警務部長、それから覚せい剤使用もみ消し事件でその先頭に立った渡辺本部長、警務部長、警備部長、外事課長、全部この方々警察庁採用のキャリアじゃありませんか。あなたの一番中枢が大きな問題を抱えているんです。  だから、一般に幹部の問題としてこれを処理する、あるいは神奈川県警一つの問題として処理する、そういう性格のものではないというところに前代未聞さがあるのであって、その責任者としての長官の認識や責任が今問われているんじゃないかと私は思うんです。もう一度明確な答弁をいただかなければなりません。
  116. 関口政府参考人(関口祐弘)

    関口政府参考人 ただいまおっしゃいましたように、マスコミ等ではいろいろと今報道をされておりますけれども、現在、その事案につきましては捜査中でございます。したがって、その全容解明を待たなければいかぬということでございますが、それが明らかになった上で、中央人事と申しますか国家公務員の上級職、今ではI種試験というのかと思いますけれども、そうした者の責任というものは、地元の方々の責任よりもさらに倍するものであろうというふうに私は考えているところでございまして、それに対しては厳しい処断をいたしたいというふうに考えております。
  117. 春名委員(春名直章)

    ○春名委員 明らかになった上でそういう問題を明確にするということをおっしゃいました。  そこで、改めて確認しておきますけれども、この二つ事案、厚木、相模原を二つにすれば三つ事案になりますけれども、全容を明らかにして、全容すべてを国民に公表するということを改めて長官として約束していただけますね。
  118. 関口政府参考人(関口祐弘)

    関口政府参考人 一般論でございまして恐縮ですけれども不祥事案発生した場合の適正な対応ということを、私、全国に言っております。  その一つは、正確に事実を把握するということであろうと思います。そして、その上で、仮に刑事事件というふうなものになるのであれば、法と証拠に基づいて厳正に対処をするということでありますし、さらにまた、必要あらば懲戒処分等の行政的な処分もするということであろうと思います。そして、さらにもう一つ申し上げるならば、やはり、そうした明らかになった状況というものを国民の皆様方の前に明らかにしていくということが不可欠であろうということを考えるわけでございます。  いろいろなケースがございまして、被害者の人権、プライバシーという問題等で、そうした点をも配慮しなければいかぬというふうなこともあろうかと思いますけれども、原則的には、そうしたことで国民皆さん方の前に明らかにするというのも、一つの大きなポイントであろうというふうに考えているところでございます。
  119. 春名委員(春名直章)

    ○春名委員 九日放映の「ニュースステーション」で、六百三十七名の方が世論調査に答えて、この県警問題は警察体質の問題だ、そう思いますか、あるいは神奈川県警だけの問題か、こういう質問に対して、警察全体にかかわる大問題だと答えている方が九一%なんですね。神奈川のみの問題だというのは四%なんですね。そういう厳しい監視の目があるわけです。  私は、国家公安委員長にもお聞きしておきたいと思いますけれども、十一月五日の閣議が終わった後の記者会見で、保利委員長自身が、警察内部の体質が非常にまずい状態だという認識を持っている、こういう御発言をされ、先ほどそれに類する御発言もお聞きいたしました。私はそこの点を確認しておきたいと思います、真意を。  つまり、警察内部の体質というのは、神奈川県警という一県警を指しておられるのか、そうではないと思いますけれども、そうではなくて、今私が申し述べたような、警察中心的な幹部の方がかかわっているという、警察庁を巻き込んでいる、そして警察全体のそういう体質にかかわっているんだという御認識なのか、そのどちらなのかを明確にお答えいただきたいと思います。
  120. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 あのときの発言は、神奈川県警に絡む問題としての御質問に対してお答えをいたしました。したがいまして、直接的に申し上げれば、神奈川県警体質について触れたというふうに御理解をいただきたいと思います。  しかしながら、警察業務がきちんと行われているかどうかについては、よく検証をしていかなければならないなという気持ちを込めまして、そういう発言になったというふうに御理解をいただきたいと思います。
  121. 春名委員(春名直章)

    ○春名委員 公安委員長にも改めて確認しますけれども、この問題の前代未聞さといいますのは、今言いましたように、警察庁採用のキャリアの方々が深くかかわっているということなんです。そういうところに今大きな問題があるんです。そういう問題として、まさにおひざ元から改革をしていく、そういう立場がなければなりません。  その点について、委員長、もう一度認識を問うておきたいと思います。
  122. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 先ほども警察庁から答弁がありましたように、未曾有の、今までになかった事件である、前代未聞といいますか、そういう事件であったという認識は私も持っております。  それは、キャリアのとおっしゃっておられますが、本部長が関与しているということ。しかもそれは、麻薬が絡みながら、それのもみ消しという非常に質の悪い事件に関与しているということ。もう一つ申し上げれば、監察がこれに関与している。監察から恐らく本部長の方にも報告があり、本部長から大体もみ消しのやり方について、あるいは方向について何か示唆があったのかなという感じもいたしますので、これは捜査中でありますから、事実関係がはっきりするまでは明確には申し上げられませんが、そういうことがあったのかなという印象を持っておりますものですから、そういう意味で、非常に大きな事件である。さらには、全国でまじめに働いておられる警察官の皆様方に対する、士気を失わせしめるような事件であるという意味で、非常に大きな問題であったという認識を持っております。  今後、警察本部長を特にではありますが、そういうことが管下の県警内部で起こらないかどうかということについて、あるいは警察本部長の意識そのものをきちんと督励していくことを警察庁にお願いする、あるいは指導するというのが私の立場だ、こう心得ております。
  123. 春名委員(春名直章)

    ○春名委員 そこで、今、警察の改革といいますか、これは本当に真っ正面から取り組むときに来たと思うんですね。  まず第一は、警察情報の徹底した公開です。国民の監視の目にさらして、それこそ自浄作用が発揮される条件が開かれると思うんです。これが第一です。  第二は、警察官不祥事の、率直に言うともみ消し機関のようになってしまったこの監察官制度、例えば、民間人を導入するなどして外部監察にするのかも含めて、そういう抜本的な改革、今議論もありました。こういう問題は、長官の決意次第で、あるいは公安委員長決意次第で直ちに実行できるものがたくさんあると私は思います。より根本的に言えば、国家公安委員会都道府県公安委員会機能の強化です。今議論になりました。監督や管理、これを実際にできるような組織へと改革していく。それから、警察官の団結権を認めて、労働組合の禁止もやめる。そういう問題もはらんでいると私は思います。それから、警察内部のキャリアシステムが警察官同士の差別、あつれきをつくる要因にもなっていることが明らかですから、そのシステムを廃止する。こういう大きな問題も横たわっていようかと思います。  ただ、きょう、その点を全部議論する時間はもうほとんどありません。その点で、まず、長官として決意があれば直ちにできることとして、情報公開の問題についてお聞きをしておきたい。  三つ事案について公開してほしいということは先ほど申しましたけれども、それに加えて、今国民が知りたいのは、一体警察の内部はどうなっているのかということなんですね。もっといっぱい不祥事が起こっているんじゃないか、起こっていてももみ消されているんじゃないか、こういう不安があるわけですね。ですから、こういう不安、不信にこたえる抜本策が要ります。  そこで、提案をします。  今後、監察官、監察官室に持ち込まれてきた警察官不祥事案は、懲戒免職にしたとかしないとか、逮捕されたとかされないにかかわらず、持ち込まれた事案について漏れなく、その件数と、相談そして事件の概要、これを国民に公表する、それぐらいの思い切った対策が要るんじゃないでしょうか。その点、いかがでしょうか。決意があればできます。
  124. 関口政府参考人(関口祐弘)

    関口政府参考人 御指摘不祥事案でございますけれども不祥事案と申しましても、いろいろな態様があるわけでございまして、それぞれ固有の原因、背景がある。そしてまた、その事案につきましての、関係者のプライバシーの問題、捜査上の必要性など、考慮すべき要素もあるわけでございまして、これを一律に公表するということはなかなか難しいかと存じます。  私どもとして、極力広く国民に情報を提供するという立場は堅持しつつも、やはりできない場面というものもあるということを御理解いただきたいというふうに思います。
  125. 春名委員(春名直章)

    ○春名委員 私は、一般的に全部の情報を公開せいと言っているんではなくて、警察官がかかわった不祥事案について、もみ消されてしまうんじゃないかという不安がある、だから、その前の段階でも明確にしようじゃないかと。不祥事案について、それの関連についてですよ。そういうことを私は言っているわけなんですね。捜査関係があるということで出せないというものもあるでしょう。しかし、そうではない、不祥事案についての持ち込まれたものについて、なぜ公開できないのかというのを答えてくださいね。  それから、時間がありませんので、私は、警察庁からいただいた資料を少し調べましたけれども平成八年から十年までの懲戒免職処分者の年月一覧表をいただいたんですね。そうすると、平成八年には十二件、九年は二十件、十年は十六件というふうになっております。私は、それらを全部新聞発表で丹念に追ってみました。処分と同時にマスコミに発表しているのかどうかということを調べてみました。もちろん大多数はマスコミに発表しておりますけれども、そうでないものがあるのですね。  平成八年二月十六日の処分は一カ月後の三月二十三日に発覚、こういうふうになっております。平成九年五月三十日に処分された事件は二カ月後の八月五日に発覚となっております。平成九年八月二十二日の処分は十月九日、二カ月後に発覚となっています。平成十年六月二十四日の処分は四カ月後の十月の二十二日に発覚する、こういうことになっております。つまり、懲戒免職処分という重大な処分ですら世間に全部公表するということをやられていない。少なくとも数カ月おくれて発覚をしたという、これは私の新聞発表の調査ですからね。こういう事態になっております。  だから、私は、こういう点でいえば、懲戒免職処分、逮捕されたという事案を全部公表するのは当然ですけれども不祥事にかかわってですから、一般論を言っているんじゃないですから、そういうことはちゃんと全部やる。同時に、発表されたものだけでは信用できないという国民の不信があるんだから、その以前の問題についても、不祥事案については何らかの形で公表していく、それぐらいの度量を持って本当に公開していくということがなければ、私は再生できないと思う。その点、いかがでしょうか。
  126. 石川政府参考人(石川重明)

    石川政府参考人 今まで、私ども指導といたしましては、逮捕をされて懲戒免職になったというものについては原則として公表するということで都道府県警察指導してきたわけでございます。  ただ、今お尋ねの懲戒免職者数の問題でございますが、確かに公表していないものもございます。その公表されなかった理由というのはどういうことかと申しますと、例えば任意送致事件で、交通違反といったようなもので、一般の方々も同じようにその公表というものについて扱っているようなもの、それから窃盗事件というようなものもあるわけでございますが、それは被害額が僅少で、弁償されておって、そして被害届が出ていない、しかし警察としては厳しい処分をするために懲戒免職をする、そういったような事案、それから関係者のプライバシーの保護の要請というものが非常に強い事案、そういうようなものについて公表をしてこなかったわけであります。  ただ、今後は、私ども、逮捕の有無にかかわらず、そういった懲戒処分を伴うような事案というものは重要なものでありますから、先ほど申し上げましたようなプライバシーの保護というような観点を十分配慮しつつ、なるべく公表していくようにしてまいりたいというふうに考えている次第であります。
  127. 春名委員(春名直章)

    ○春名委員 先ほどもらった資料は、プライバシーの問題で公開できないというのを除く資料なんです。その資料の中でも公表していないものがあるのです。新聞に出ていましたけれども、愛媛県警のある幹部が、自分らの判断で、公表するかしないかはいろいろ判断してやっているんだというようなことまで言っております。新聞に出ています。  ですから、そういうところに今国民怒り、不安があるんでしょう。本当に国民信頼される警察になるために、監視の目をみずから受けていくという姿勢がなければ再生できない。このことを私は厳しく指摘をしたいと思いますし、あとたくさんの問題がありますけれども、ぜひ集中審議をこの問題でやっていただいて、国民信頼にこたえるような警察改革をやっていただきたい。その審議を強く要求しまして、私の質問を終わりたいと思います。  以上です。
  128. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

  129. 知久馬委員(知久馬二三子)

    ○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬でございます。  先がた、ほとんど質問があったと思うのでございますけれども、私は、まず地方財政危機と国の責任というか、国にも責任がありはしないかということについてお伺いしたいと思います。  今さら言うまでもないことなんですが、地方財政の危機は極めて深刻な状況にあります。地方自治体の債務残高は百九十八兆円にも上り、九八年度も全国で三兆円もの税収が減少しています。その原因は、バブルの崩壊後の長期不況のもとで、法人税収の落ち込み、景気対策のための公共事業に地方自治体が総動員されたといった国の政策、さらに税財政構造の欠陥にあったと考えるものでございます。  そうした中で、まず、景気対策に係る事業と施策の実施に当たっては、国の責任と財政負担により行うことが望ましいのではないかということが一点です。それと、地方分権一括法の成立と国会審議、附帯決議を踏まえて、安定した地方税収の確保、国と地方税源配分など必要な制度改革を進めること、このことが必要と考えるものでございますが、この二点について、地方自治に非常に精通していらっしゃる平林政務次官に御見解をお願いしたいと思います。
  130. 平林政務次官(平林鴻三)

    平林政務次官 お答えを申し上げます。  現在の地方財政がどういう状態にあるかということは、知久馬委員と私は見解を同じくしております。憂慮をいたしております。  地方財政を立て直すためにも、経済全体をよくしなければいかぬ、そこで、景気対策ということが当面する最も重要な問題になってくる、さような認識を持っておりまして、そのためには、財政運営を切れ目なくやっていく、ぐあいが悪ければさらに追加するとか、よくなればそれを緩和するとか、そういう切れ目のない財政運営をしていく必要があると思っております。今日の状態で、いわゆる十五カ月予算とか、さようなことが言われておるのは、切れ目のない財政運営という見地からであると考えております。  そこで、おっしゃるように、マクロの、我が国全体の経済対策というのは国の責任でやるべきものだ、さように認識をしておりますが、公共事業をやります場合には、国の政策で公共事業をやるわけでございますけれども地方がそれに協力をしていかなきゃいかぬ、さような関係にございまして、公共事業を円滑にしていくためには、地方公共団体が国と協力してやっていく、そういう関係が必要になるわけでございます。  そこで、今日の経済新生対策というようなことで追加されます公共事業等の地方の負担額につきましては、原則として、地方債を発行いたしまして、その元利償還金の全額を地方交付税で明年度以降の対策として措置をしていく、さようなことで対処していこう、そのように考えておるところであります。
  131. 知久馬委員(知久馬二三子)

    ○知久馬委員 本当に地方自治の発展のためにお力添えをお願いしたいと思います。ありがとうございました。  続きまして、私は、人事委員会の勧告制度の維持、尊重についてお伺いしたいと思います。  現在、地方財政の逼迫を理由にして、多くの自治体で人事委員会の勧告が値切られているというか、定期昇給等を削減するなど、地方自治体で働く職員に対する人件費の削減の動きが出ております。  例えば、千葉県では定期昇給一年延伸、北海道では十二月分の一時金五%カット、福岡県では給料月額の二年間三%削減など、地方の人事委員会勧告を全く無視した人件費削減が行われています。また東京都でも、石原知事の財政再建計画による職員給与の大幅な削減が提案されているところでございますが、私も、地方財政危機が深刻化する中で、公務員賃金削減の動きが全国の自治体に波及していることについて、大変大きく危惧しておるものでございます。  なぜかといえば、それは、労働基本権制約の代償措置であった人事委員会の機能が形骸化することではないかと思うのです。それはまた必ず、福祉を初めとした生活関連予算の削減や行政サービスの低下へとつながっていくということを危惧するものでございます。  私も小さな自治体の職員であったのですけれども経済状態が悪化すれば、すぐに皆さんの方から、公務員の賃金に対する攻撃、風当たりというのが非常に強くあったと思うのです。しかし、地方自治体では、本当に多様な仕事を抱えながら、一人の人が五つも六つも仕事を持って、日夜駆けずり回りながら住民に対するサービスに努力しておるということがございます。そうした中で、人事委員会の勧告というのは、私たち働く者にとっては非常に関心を持ち、期待をしていたものでございます。  そこで、人事委員会の勧告制度を維持、尊重し、これを機能させ、地方公務員の賃金水準を確保することは公務員制度の原則であり、自治省もこれまでこうした指導をしてこられたと思うのでありますけれども、このことにつきまして、大臣の御見解を賜りたいと思います。
  132. 保利国務大臣(保利耕輔)

    保利国務大臣 各都道府県で行われております各人事委員会の勧告あるいは報告等については、これは基本的には尊重しなければならないというのは当然のことだと私も考えております。  ただ、現下の経済状況等を総合的に勘案いたしまして、給与は、御承知のとおり給与条例によって決められていくものである。その提起は知事を中心にした執行部がおやりになるのだろうと思いますけれども、その場合に、世の中がリストラ時代に入っているとか、いろいろな経済状況を総合的に勘案をして、知事としての方針をお立てになり、人事委員会の勧告は十分に尊重するという精神は持ちながらも、やむを得ずそういう措置をとっているのかなと思っております。  要は、景気が回復をし、そして地方財政状況が好転をしていくということを、我々は非常に大事な要素の一つだと思っておりますので、そこに力を入れながら、できるだけ早い機会に、これが全面的に尊重されるような状況になっていくことを期待いたしております。
  133. 知久馬委員(知久馬二三子)

    ○知久馬委員 職場の中で不平不満があったら、いい仕事はできないし、住民に対するサービスというのも低下すると思いますので、その点については十分尊重していただきたいと思います。  それで、次は、ちょっと時間がなくなりましたけれども神奈川県警不祥事について、本日は多くの方からの質問等もありましたけれども、一言だけお伺いしたいと思います。  この神奈川県警本部の外事課員による覚せい剤取締法違反に係る問題については、現職の警官の覚せい剤使用ということは、大変にショッキングな事件だと思います。しかし、この中で思うのは、やはり厳しい仕事の中でストレスがたまったり、精神的な面で大変な、人に話もできないという状態もあったと思うのです。そういうことが、ショッキングな事件としては受けとめますけれども、一番問題になるのは、それをもみ消した警察幹部にあると思うのです。この犯罪行為に対しては、多くの方から出たように、憤りを感じておるものでございます。国民は、だれを信頼し、だれを頼っていけばいいかということで、本当に怒りが大きく盛り上がっておると思います。  そうした中で、二点ほどお聞きしたいと思いますのは、事件をもみ消しにした当時の幹部をどうして逮捕されなかったのかなということをまず一点お伺いします。それと、書類送検されると言われている人の現在の役職はどうなっているのでしょうか。この二点について長官の方でお願いします。
  134. 関口政府参考人(関口祐弘)

    関口政府参考人 御指摘の元神奈川県警外事課員覚せい剤使用事案、これの処理をめぐりまして、犯人隠避あるいは証拠隠滅があったのではないかという疑いにつきまして、現在、神奈川県警において鋭意捜査を進めているところでございます。果たしてどういう事実があったのか、それにどういう人物が関与していたのかという点につきまして、現在、捜査を進めている段階ということでございます。  したがいまして、今委員の御質問の逮捕云々、あるいはどういう人物を書類送検するかということにつきましては、現段階において答弁することを差し控えさせていただきたいと思います。
  135. 知久馬委員(知久馬二三子)

    ○知久馬委員 本当に今回のこの事件は、信頼されるべき警察本部不祥事でございます。指導監督、それを十分徹底していただきたいと思います。  以上、質問を終わらせていただきます。
  136. 斉藤委員長(斉藤斗志二)

    斉藤委員長 以上で質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三分散会