運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1999-12-14 第146回国会 衆議院 大蔵委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月十四日(火曜日)     午後二時開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君    理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君       石原 伸晃君    大石 秀政君       大野 功統君    河井 克行君       桜井  新君    桜田 義孝君       塩谷  立君    下村 博文君       砂田 圭佑君    高市 早苗君       西川 公也君    林  幹雄君       宮本 一三君    村井  仁君       村上誠一郎君    渡辺 博道君       岩國 哲人君    岡田 克也君       河村たかし君    末松 義規君       仙谷 由人君    中川 正春君       大口 善徳君    谷口 隆義君       並木 正芳君    若松 謙維君       安倍 基雄君    一川 保夫君       佐々木憲昭君    矢島 恒夫君       横光 克彦君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    金融再生政務次官     村井  仁君    経済企画政務次官     小池百合子君    大蔵政務次官       大野 功統君    厚生政務次官       大野由利子君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    政府参考人     (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (金融監督庁監督部長)  乾  文男君    政府参考人    (厚生省年金局長)    矢野 朝水君    政府参考人    (労働省労働基準局長)  野寺 康幸君    参考人    (預金保険機構理事長)  松田  昇君    参考人    (日本銀行総裁)    藤原 作彌君    参考人    (年金福祉事業団理事長) 森  仁美君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 十二月十四日  銀行、生保など金融機関の行き過ぎた営業活動による個人債務者契約者の被害に関する予備的調査要請書小沢辰男君外四十三名提出、平成十一年衆予調第四号) は本委員会に送付された。     ————————————— 十二月九日  中小自営業者婦人自家労賃税制等に関する請願石井郁子紹介)(第一〇三八号)  同(大森猛紹介)(第一〇三九号)  同(金子満広紹介)(第一〇四〇号)  同(木島日出夫紹介)(第一〇四一号)  同(児玉健次紹介)(第一〇四二号)  同(穀田恵二紹介)(第一〇四三号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一〇四四号)  同(土肥隆一紹介)(第一二六八号)  同(羽田孜紹介)(第一二六九号)  計理士に公認会計士資格付与に関する請願能勢和子紹介)(第一一一七号)  同(松岡利勝紹介)(第一一一八号)  同(岩國哲人紹介)(第一二七五号)  同(鹿野道彦紹介)(第一二七六号)  首都近郊の農業に活用する雑木林の相続税等に関する請願今井宏紹介)(第一二六一号)  同(大野松茂紹介)(第一二六二号)  同(加藤卓二紹介)(第一二六三号)  同(福永信彦紹介)(第一二六四号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第一二六五号)  同(山口泰明紹介)(第一二六六号)  預貯金金利の引き上げに関する請願笹木竜三紹介)(第一二六七号)  不況打開消費税廃止商工ローンなどの規制強化に関する請願志位和夫紹介)(第一二七〇号)  同(中島武敏紹介)(第一二七一号)  同(矢島恒夫紹介)(第一二七二号)  消費税率を三%に戻すことに関する請願佐々木憲昭紹介)(第一二七三号)  同(佐々木陸海紹介)(第一二七四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  金融に関する件(破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告)     午後二時開議      ————◇—————
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  去る十日、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条の規定に基づき国会に提出されました破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告につきまして、概要説明を求めます。金融再生委員会委員長越智通雄君。
  3. 越智通雄

    越智国務大臣 去る十二月十日、金融機能再生のための緊急措置に関する法律第五条に基づき、本年六月以降十一月十五日までの間における破綻金融機関処理のために講じた措置内容等に関する報告書国会に提出申し上げましたので、その概要について御説明申し上げます。  まず初めに、特別公的管理が行われております日長銀及び日債銀に係る措置につきまして、御説明申し上げます。  日本長期信用銀行につきましては、昨年十月二十三日に特別公的管理開始決定が行われて以来、金融再生法に基づく所要措置が講じられてまいったところでありますが、本年六月以降には、旧経営陣に対する刑事責任追及預金保険機構による不適資産の第一次買い取り等措置がとられております。  なお、長銀受け皿金融機関等選定について申し上げますと、本年二月一日にゴールドマンサックス社との間でファイナンシャル・アドバイザリー契約を締結し、同社協力のもとで作業を進めてまいりましたが、受け皿候補先の提示する条件法制上の問題点がおおむねなくなってきた九月半ば以降、金融再生委員会において集中的に七回の審議が行われました。そこでは、公的負担極小化が図られているか、受け皿への譲渡により我が国金融システム安定化に資するか等の考え方に立って検討が重ねられ、その結果、九月二十八日、米国のリップルウッド社中心となって組成した投資コンソーシアムであるニューLTCBパートナーズ社を最優先交渉先として選定いたしました。そして同日、関連当事者間により覚書が締結されたところでありますが、現在、十一月末日までの優先交渉期限を一カ月間延長し、次のステップである基本合意書の可及的速やかな締結に向けて、関係当事者間において交渉が行われているところであります。  次に、日本債券信用銀行につきましては、昨年十二月十三日に特別公的管理開始決定が行われて以来、金融再生法に基づく所要措置が講じられてまいったところでありますが、本年六月以降には、長銀の場合と同様に、取得株式の対価の決定、旧経営陣に対する刑事責任追及預金保険機構による不適資産の第一次買い取り等措置がとられております。  日債銀受け皿金融機関等選定につきましても、本年六月十四日にモルガン・スタンレー社との間でファイナンシャル・アドバイザリー契約を締結し、同社協力のもとで作業が鋭意進められ、十一月半ばには四グループの候補先から文書により予備的な買収条件等が提示されたところであります。今後、買収条件の詰めを急ぎ、最優先交渉先を可及的速やかに決定してまいりたいと存じます。  次に、金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分が行われた金融機関に関する措置につきまして御説明申し上げます。  本年四月十一日に国民銀行、五月二十二日に幸福銀行に対し、それぞれ金融再生法第八条に基づく金融整理管財人による管理を命ずる処分を行ったところでありますが、本年六月以降、新たに三つの銀行に対し、管理を命ずる処分を行いました。  具体的には、まず六月十一日、東京相和銀行より、金融再生法第六十八条第二項に基づき、預金等払い戻しを停止するおそれが生ずると認められる旨の申し出がなされたことを受け、当該申し出及び同行財務状況を踏まえ、六月十二日、同法第八条に基づく金融整理管財人による管理を命ずる処分及び同法第十一条に基づく金融整理管財人選任を行っております。  次に、八月六日、なみはや銀行より、同じく金融再生法第六十八条第二項に基づく申し出がなされたことを受け、当該申し出及び同行財務状況を踏まえ、八月七日、同法第八条に基づく管理を命ずる処分及び第十一条に基づく金融整理管財人選任を行っております。  さらに、十月一日、新潟中央銀行より、金融再生法第六十八条第一項に基づき、預金払い戻しを停止するおそれがある旨の申し出がなされたことを受け、当該申し出及び同行資金繰り状況等を踏まえ、十月二日、同法第八条に基づく管理を命ずる処分及び第十一条に基づく金融整理管財人選任を行っております。  また、本報告書対象期間以降の措置でありますが、十一月十九日には、日南信用金庫に対し、金融再生法第八条に基づく管理を命ずる処分及び同法第十一条に基づく金融整理管財人選任を行っております。  さらに、このほかにも、都道府県が監督する信用組合についても、金融再生法を用いた措置が行われております。本年六月以降では、六月四日に信用組合大阪商銀、六月十八日に東京都教育信用組合、十月二十九日に北兵庫信用組合に対して、それぞれ監督官庁である都府県知事より、金融整理管財人による管理を命ずる処分及び金融整理管財人選任が行われております。  続きまして、預金保険法に基づく破綻金融機関処理について御説明申し上げます。  本年六月以降十一月十五日までの間に、金融再生委員会による預金保険法第六十一条第一項に基づく適格性認定、または、金融再生委員会及び大蔵大臣による預金保険法附則第十六条第二項に基づく必要性認定が行われておりますが、破綻金融機関数で見ると、報告書にありますとおり、一信用金庫、五信用組合の計六金融機関であります。  最後に、これらの破綻金融機関処理に係る資金使用状況について御説明申し上げます。  預金保険機構が行う預金保険法に基づく資金援助等業務や、金融再生法に基づく特別公的管理銀行への資金貸し付け等業務は、それぞれ預金保険機構一般勘定及び特例業務勘定並びに金融再生勘定により経理されておりますが、その十一月十五日現在の使用状況を申し上げますと、ペイオフコストの範囲内の一般資金援助等原資に充当される一般勘定借入残高は一兆三千百十七億円、ペイオフコストを超える特別資金援助原資や、破綻金融機関資産買い取りに係る整理回収機構への貸付原資に充当される特例業務勘定借入残高は三兆三千八百二十六億円であります。また、特例業務勘定において、ペイオフコストを超える特別資金援助原資に充当するために設けられた特例業務基金に交付される七兆円の交付国債償還状況は、十一月十五日までの累計で一兆五千四百八十一億円となっております。さらに、特別公的管理銀行への貸付原資や、旧金融機能安定化法に基づく資本増強に係る整理回収機構への貸し付け原資等に充当される金融再生勘定借入残高は、十一月十五日現在で三兆五千百八十六億円となっております。  このほか、金融機能早期健全化法に基づく資本増強に係る整理回収機構への貸付原資に充当される金融機能早期健全化勘定借入残高は、十一月十五日現在で七兆七千二百八十九億円となっております。  なお、これらの勘定に係る公的負担について申し上げますと、各勘定借入金残高に係る政府保証額は、十一月十五日現在で合計十四兆六千三百一億円となっており、特例業務基金に交付された交付国債償還額は、既に申し上げたとおり、十一月十五日までの累計で一兆五千四百八十一億円となっております。  ただいま概要を御説明申し上げましたとおり、破綻金融機関処理に関しましては、これまで関係法令に従い所要措置を迅速かつ的確に講じてまいったところでありますが、今後とも、我が国金融システムの一層の安定に向けて万全を期してまいる所存でございます。  以上です。
  4. 金子一義

    金子委員長 これにて概要説明は終了いたしました。     —————————————
  5. 金子一義

    金子委員長 この際、お諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として年金福祉事業団理事長森仁美君、日本銀行総裁藤原作彌君、預金保険機構理事長松田昇君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁監督部長乾文男君、労働省労働基準局長野寺康幸君、厚生省年金局長矢野朝水君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  7. 金子一義

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
  8. 根本匠

    根本委員 自由民主党の根本匠であります。  きょうの越智大臣の御報告関連をいたしまして、私も幾つ質問をさせていただきたいと思います。  今回の不況の大きな要因、これは何といってもバブルの崩壊に伴う金融機関不良債権処理問題、そして不良債権に伴う貸し渋り、金融不況、これが今回の不況の大きな原因であります。金融不況の克服のために、これまで、不良債権早期処理、実質的な処理金融構造改革を目的に、昨年来、土地・債権流動化トータルプラン、そして金融再生トータルプランを策定し実施してまいりました。  特に、金融再生トータルプランの中で議論されたのが、北拓の体験に基づいた善良かつ健全な借り手保護、要は金融機関破綻した場合のこの部分の手当てが欠けていたということであります。具体的な制度論として、受け皿がなくとも、金融機関破綻した場合に、一時公的管理下に置き受け皿を探し、その間預金者保護、善良かつ健全な借り手保護するブリッジバンク制度、これが提起をされました。この議論の末に、ブリッジバンク特別公的管理が加わる金融再生法、そして早期健全化法法制化をされました。  金融再生法金融機関倒産処理に関する特例法でありますし、早期健全化法金融機関破綻処理法律ということになります。私は、この二つの法律法制化によりまして、金融機関不良債権処理金融構造改革への政策体系がほぼ整備された、これは越智大臣もその中で中心になってやっていただいたわけでありますが、金融ビッグバンの道筋が明示された、こう考えております。これからの課題は、金融再生法早期健全化法運用をいかに的確にやるか、これを通じて景気回復金融機関再生金融構造改革を促すことだと考えております。  この観点から幾つ質問をしたいと思いますが、まずは、長銀処理公的負担についてお伺いをいたします。  金融再生法特別公的管理は、その運用において公費負担最小にする、これが不可欠で基本原理であります。  公的負担の額につきましては、平成十一年三月末現在で債務超過二・八兆円とされました。その後、旧経営陣責任追及リストラが行われた上で、この八月にはRCC不適資産五兆円のうちの二・九兆円を五千億で買いました。二・四兆円の不適資産売却損が出ました。これに伴って追加的な損失が八千億生じた。今後さらに不良債権処理を行った上で売却に至るわけでありますが、公的負担については、三月現在の債務超過二・八兆円プラス八月のRCC売却損に伴う追加損失八千億円、要は三・六兆円プラスアルファ、こうされておりますが、最終的な負担はどの程度になるのか、その内容をお伺いしたいと思います。
  9. 越智通雄

    越智国務大臣 根本委員には、昨年の金融国会におきまして、かねて自民党でいろいろと作業していただきました金融問題についての知識経験を生かして、大変なる御活躍をしていただきました。ですから、先生の方がある意味では再生法健全化法の生い立ちについては一番お詳しい方だと思っております。  その意味で、日長銀ケースで申し上げますと、先生のおっしゃったとおりでございまして、三月末が二・八兆円の債務超過あと、第一次買い取りで八千億足されました。あとプラスアルファ幾らになるかと言われますと、まだちょっと数字は申し上げられません。  どういうケースを今頭に描いているかというと、在外関係資産などをある程度早く始末しなきゃいかぬと思っておりますが、これは相手先のあることでございまして、なかなかに整理がちゃんとうまくスピーディーにいけるかどうかわかりません。  でも、先ほどの一次買い取りの八千億のロスのプラスというのは、あれは先生がおっしゃったとおり、約三兆に及ぶ資産引当金未済分と申しますか足らず分ですね、そういうことで出ているわけですが、今度出るのはそんなに出ないだろうと思いますし、タイミングがはかれない。もう一つは、今、引き継ぎしていく資産の中で引当金不足がある程度出るかもしらぬという意味で、こわごわプラスアルファしております。  それでは、いつ確定するかというと、今基本合意書の策定で一生懸命の努力をいたしております。何とか今月中に基本合意書をつくりたいと思っておりますが、その次の段階最終合意書というのがございまして、これが基本合意書から一月以上かかるだろうと思いますが、その段階のときに完全に額を確定しなきゃいかぬ、このように思っております。
  10. 根本匠

    根本委員 そういうことだと思いますが、ここで大事なのは、最終的に公的負担が一番少なくて済むという視点で特別公的管理を選択したわけであります。やはり、コストが最小という妥当性の検証あるいは合理的な説明が私は必要だと思います。金融再生委員会は、これまで費用最小化原則、この報告書にも、公的負担極小化、こういうことを図って、リストラを含めて厳格な運用を行ってきたはずでありますが、その点を再度確認させていただきたいと思います。
  11. 越智通雄

    越智国務大臣 まず、三・六兆プラスアルファというところは、実は、相手先いかんで変わる数字ではございません、先生御存じのように。そもそも破綻した銀行を売るわけでございますから、マイナス分を埋めなきゃ売れないと申しますか話が始まりませんで、問題は、幾つかの候補者の中から絞り込んでいったときに、やはり、資産の引き取り方、そしてそれに対する引当金要求の仕方その他で、現在最優先交渉先になっておりますニューLTCBパートナーズが国にとって一番有利な条件という認定をしまして、他の候補者の場合には、いろいろな買い取りお金その他がより高くついたということで最終決定をした、こういうふうに聞いております。
  12. 根本匠

    根本委員 それにつきましては、また後ほど関連した質問をさせていただきたいと思います。  三・六兆プラスアルファかかるわけですが、三・六兆プラスアルファ公的負担を行った上で、要はくれてやった上でリップルウッド社に十億円で売却するのか、巷間こういう批判があるんですね。私は、この三・六兆プラスアルファ公的負担意味づけをきちんと整理した方が、確認しておいた方がいいと思うんですが、三・六プラスアルファ意味というのは、これだけの公的負担をやって長銀売却可能な状態、要は資産負債がバランスした状態スクエアにするということですよと。だれに売却するにしても、売却する前提として、ここまでの公的負担はやむを得ない、こう考えておりますが、この三・六兆円プラスアルファ公的負担の持つ意味、性格ですね。要はスクエアにして売却可能な状態にするための三・六兆プラスアルファなんですよということだと思いますが、その点を改めて確認をさせていただきたいと思います。
  13. 越智通雄

    越智国務大臣 先生も、資産負債というお言葉を使われましたが、そのとおりでありまして、日長銀資産破綻前は二十兆、それに対して債務でございますね、金融債とか預金とかこちらの方が二十三兆。したがって、その差額が二・八兆で、二・八兆というものは、どこかから入れない限りは貸借対照表がバランスしないわけです。バランスシートのバランスがとれないわけですから、これは、相手先がどこであれ二・八兆は要ったわけでございまして、その後のことは、第一次買い取りでは三兆円の資産がなくなって、一兆七千億の引当金もなくなって、その差額の中であと五千億もらったから八千億がまた国の負担になった、そういう会計上のことでございますので、むしろ、買い取りの方というのは、結局は千二百億で、新しい新生長銀の株に対して先方が出してきた。  あと、十億円というのは、日長銀株価算定委員会でゼロと査定された株式を取得する、言葉が難しいのですけれども、俗にのれん代だなんて言いますけれども、やはり一つ銀行を引き取るという意味で十億。大体こういう傾向のお金ははしたがつきません、一株幾らという計算じゃないものですから、丸い数字で出ておりますが、十億。  一千二百十億が向こうからいずれ払い込んでこられるお金、こういうことでございます。
  14. 根本匠

    根本委員 その話に関連して、もう一度御質問させていただきます。  三・六兆プラスアルファというのは、要はスクエア状態にして、プラマイゼロの状態にして、さあ、これで手を挙げてくださいよ、こういう意味を持つ数字でありますね。それで、今大臣の答弁にもありましたけれども、実は、リップルウッド社売却価格の十億円、この価格というのは、スクエアになった長銀が今後どのような利益を得ることができるのか、これは買う側の判断になるわけですよね。それで、私は、この十億円の売却価格妥当性ということを少し質問させていただきたいのですが、その前提としては売却時点売却方法がポイントになるだろう。  売却時点については、いつ売却するか。これについてはいろいろ意見がありまして、今後保有株価格が上昇すればより有利になるではないか、有利な状態になるまでもうちょっと延ばしたらいいのではないか、こんな考え方もあります。ただ、時間がたてば、営業基盤が弱体化したり、人材が流出したりという問題もありますから。かつて、地価、株価の上昇を期待して不良債権処理問題も先送りして深刻化したわけでありますが、私は、そういう点を考えると、特別公的管理期間はできるだけ短い方がいい、こう思っております。  それから、売却方法につきましては、売却先条件について広く公募を行って、提示された条件のうち最も有利なところとする。ある意味では競争原理市場原理にのっとって今回のリップルウッド社に決めよう、こういうことを判断されたわけですが、このリップルウッドへの売却条件については、株式含み益処理、あるいは瑕疵担保責任条項を見ると、要は破格の好条件という批判もあります。  このような批判への考え方も含めて、リップルウッドへの十億円の売却価格妥当性、この考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  15. 越智通雄

    越智国務大臣 いろいろなファクターをおっしゃいましたので、どうお答えしたらいいかわかりませんが、まず第一に、株式で、日長銀株そのものは、株価算定委員会という国会承認を得た人事で決まった方々がゼロという判定をされているわけでございます。  今問題になっているのは、自分の株じゃなくて、人の会社の株を日長銀が持っているのに含み益が出ているかどうかという話でございまして、これは、大体含み益は出ていると思います。ひところ日経平均で一万三千円ぐらいのころから比べれば、きょうは幾らになりましたか、一万八千二百円ぐらいだと思いますが、かなり益が出ております。  これにつきましては、覚書段階で、二千五百億までは向こうが、新しい新生長銀がそれを資本勘定に組み入れる。新しい新生長銀資本を約六千億以上にしませんと資本比率が一〇%を超えませんから、大体計算どおりなら一三%になる予定なんですが、そういう意味で組み入れる。だけれども、二千五百億以上余計になったときには、その余計分はこちらからお払いする金を減らしてもらうということで、そこら辺の、それが二千五百億かどうかというところで今実はちょっと交渉事をやっておりますが、構想としてはそういう点がございます。  それから、なるべく早くという意味では、私どもやはり、公的管理を始めましたのは十月の二十三日ですから、本当は一年たったあたりで売り先が決まれば一番よろしかったのですが、十一カ月で交渉先を決めて、今、最後の基本合意書の詰めをしているという状況でございます。  なお、瑕疵担保につきましては、これは、買い取り先がデューデリジェンスをやりたいというのに対して、それをやっていたのでは大変時間もかかりますし問題がありますので、再生委員会が十六回の委員会を通じて資産の判定をいわば国の責任でいたしておりますから、国の責任でやった判定を信じてくれと。それで、もしその判定にミスがあった場合、手落ちがあった場合はその分を見ますよというのが瑕疵担保でございまして、ロスシェアリングみたいに、いつ発生したかわからない二次ロスの話ではございません。  まさに、再生委員会の判定ミスに対する、もしあったとすれば、それに対する瑕疵担保ということで、決して不当に買い主を優遇した措置とはなっておらないと私どもは認識いたしております。
  16. 根本匠

    根本委員 もう時間が参りましたので質問を終わりにしますが、いずれにしても、金融再生委員会は専門家で構成され、しかも国会の同意人事で、公正中立に判断する機関として位置づけられておりますので、説明責任をきちんと果たしながら、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。  ありがとうございました。
  17. 金子一義

    金子委員長 次に、若松謙維君
  18. 若松謙維

    ○若松委員 公明党・改革クラブを代表して質問させていただきます。  委員長、済みません、質問通告していなかったのですけれども、ちょっとこれは大事なことだと思うので。  ここ両日の新聞を見ましたら、何か委員長大蔵大臣に対して、いよいよペイオフが解禁になるわけですけれども、それに対して、解禁の際に信用組合は入れない、そういうようなお話があったというふうに伝えられたのですけれども、事実はいかがですか。
  19. 越智通雄

    越智国務大臣 ちょっとお時間をいただいて、概況を申し上げます。  ペイオフについては、大蔵大臣が大蔵省所属の金融審議会に諮問をされまして、それの答申が今月末に出る予定で今作業をされております。私どもの方は、金融再生委員会は実は同様に、私どもの設置法には第四条に金融破綻処理制度の調査、企画立案という条項がありますので、私以外に四人の民間の専門家がいらっしゃる委員会でございますが、再生委員会で独自に検討いたしております。  その中で、四つポイントを絞っております。詳しく申し上げませんが、その一つのポイントに、ペイオフをするときのカバレッジですね、どこまでどういうふうにやるか。端的に言いますと、何十兆円の大銀行と、二、三百億円の預金を持っていらっしゃるにすぎないと言ったら失礼な言い方かもしれませんが、かなり大小の差がある。どういう取り扱いでいいのだろうかということの問題意識は持っておりますので、私、昨日宮澤大臣と、そのことだけではございませんが、いろいろな問題について議論をしましたときに、率直に申しまして、信用金庫信用組合というのは協同組合組織の形態で行われている金融機関なものですから、他の株式会社形態で行われているものとはかなり違いがある、ペイオフをやるときにもっと注意しなければいけないのじゃないかなという話をしたことは事実でございます。  率直に言うと、私と宮澤大臣の共通した認識は、だけれどもよくわからないな、都道府県で監督しているものだから、実態をもっと知りたいなという点は共通でございました。まだ結論というのは何にも出ておりません。
  20. 若松謙維

    ○若松委員 わかりました。  いずれにしても、解除の対象除外ということで、お金の動きがかなり大幅に動きますので、センシティブな問題でありますので、慎重に対応していただきたい。これを要請して、せっかく今信用金庫のお話もありましたので。  ちょうど要望書が私どもにも来ています。また先生方にも来ていると思いますけれども、特に金庫の場合には先ほどのいわゆる株式がないということで、優先出資の発行を可能にすることとか、社債、特に劣後債の発行を可能にするとか、出資による配当を可能にすること。また、信用金庫のいろいろな特性があるわけですけれども、先ほどよくわからないという話ですから、そういったところを今後とも十分調査をされて、かつ、こういった信用金庫連合会の要望も、やはり時代の流れで、間違っていないと思いますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思っております。  質問通告の順に質問させていただきますが、まず、今回の報告書ですけれども、特にやはり長銀がリップル社との取引で今非常に重要な局面でありますので、大臣に簡潔にお答えいただきたいのですけれども、まず、長銀が国有化されたのが昨年の十月ですけれども、それ以降現在まで、資産の劣化状況はどういう状況か、簡潔にお願いします。
  21. 越智通雄

    越智国務大臣 長銀特別公的管理にいたしましたのは昨年十月二十三日でございますが、その直前の、九月末見込みというのが昨年十月に検査結果として報告されましたのを拝見いたしますと、有価証券の含み損、当時含み損がありまして、含み損を加味した債務超過額が約三千四百億円という報告になっております。そして株価算定委員会が本年三月に、金融再生法の規定に従いまして長銀の純資産計算しました。しかし、時点は昨年の十月二十八日現在、要するに特別公的管理になった直後の現在で計算しましたところ、債務超過が二・七兆円という数字になりまして、したがって株価の算定はゼロということになってきたわけでございます。三月末にまた決算をしたわけでございますが、このときには二・八兆円、余り変わっておりませんが、そういう数字で推移してきた、こういう点でございます。  それで、何でそんなに動いてきたかという点なのですけれども、一つは、やはり銀行破綻したということになりますと、融資が滞って関連会社の損が雪崩的にどどっとふえた点があります。それから、正直言いまして、その後においても、実は担保にとりました資産なども、早く言えば土地の値段も下がっているのもございますし、そういう劣化が進んでいるというのが状況ではないか、こう思っております。
  22. 若松謙維

    ○若松委員 二・八兆円の債務超過、これは三月末の調査後でしたけれども、現在はどのくらいですか、わかっている範囲で。
  23. 越智通雄

    越智国務大臣 その後の経営は安斎頭取ほか新経営陣がやっておりますが、そんなにそれはふえていない。したがって、二・八兆円の三月末決算プラス一次買い取り八千億で、足して三・六兆。あとプラスアルファというのが、先ほど申し上げました二次資産買い取りでどのくらいロスが出るか、そう多くはないと私どもは思っておりますが、もう一つは引き当て不足が、債権別でございますけれども、ある程度出るかもしらぬという意味でございますので、プラスアルファと申し上げております。
  24. 若松謙維

    ○若松委員 いずれにしても、時間がたてば資産劣化が生じているのは事実でございますので、ぜひ長銀リップルウッドとの譲渡問題、これにつきまして、早急に金融監督庁も対処していただきたい、それを要望したいと思いますけれども、委員長の決意というか、ひとつ見解をお願いしたいと思います。
  25. 越智通雄

    越智国務大臣 先週ずっと実は山場だったものですから。この覚書というのは九カ条の覚書でございまして、ことしの九月の二十八日にいたしておりますが、その覚書を書きました先方側の三人のうちの二人のアメリカ人が先週ずっと東京に来ておりまして、こちら側のサインをしましたのは、預金保険機構の代表者とそれから長銀の新経営陣の頭取でございますが、実際問題は、両方が売り主でございますので、その間の交渉がいろいろ行われまして、十項目以上のポイントで、結構最後になりますと細かな点でかなりもめております。だけれども、何とかこのクリスマス前までに妥結したいという思いで一生懸命やっておりますが、期限としましては十二月三十一日が交渉期限になっております。
  26. 若松謙維

    ○若松委員 クリスマス前ということで、本当に早ければ早い方がいいと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。  それでは、これは政務次官にお伺いしたいのですけれども、先ほども委員長がお触れになりましたが、信用金庫破綻ですが、九八年までは累計二行ですか、九九年度で六行で、これは信用金庫も外部監査が、これは一定資産規模以上の金融機関に対して強制外部監査ですので、これからやはりふえる傾向にあろうかと思います。ということで、信用金庫銀行並みにディスクロージャー及び監督、やはりこういった面で強化すべきと考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
  27. 越智通雄

    越智国務大臣 監督庁の仕事という意味で政務次官を御指定いただいたかもしれませんが、実は、これらの信用金庫破綻したときには全部再生委員会に一件別にかかるものでございますから私の方からお答えさせていただきますと、先生、相次いでいると言われますけれども、それほどの数ではございません。具体的名前も全部控えてございますけれども。既に破綻してしまったのは、処理しましたのは三件くらいでございまして、実はあと六件ばかりが、破綻をしましたけれどもまだ預金保険機構による処理が済んでおらないのがございます。その中に実は先生のお地元の小川信用金庫も入っておるわけでございますが、これらは、大体めどとしましては、もう今年度中に何とかしなければいかぬかなという思いで今処理をさせていただいております。  先生がおっしゃるように、ディスクロージャーが足りないという点は、おっしゃるとおり、いわゆる都市銀行その他に比べますとまだ、地元密着型ということが、逆に言うとやや地元閉鎖的と申しますか、そういう点がございますから、その間のディスクロージャーをもっと徹底していかなければならない。今検査部の方で一生懸命やっておりますが、信用金庫は約三百くらいございますものですから、まだ全部は行き渡ってはおりませんで、来事業年度で数十やれば全部回れる、このような思いで今検査をやってもらっております。
  28. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひさらに努力をしていただきたいと思いますけれども、今お話をいただいた、ちょうど私の選挙区と近接しております小川信用金庫、まさに経営破綻いたしまして、やはり我々にも、この破綻発表があってからもう数件問い合わせがございました。この小川信用金庫ですけれども、埼玉県信金に譲渡されるわけですが、埼玉県信金さんは非常に貸し付けが厳しい。ところが、小川さんは人情味が厚いというのか、その結果こうなったのかもわからないけれども、結果的に、小川さんとつき合っている借り手、健全な借り手が埼玉県信金さんに引き継げない状況で、結局資産劣化という状況が起きつつあるなんていうことがありますので、借り手保護についてどういうことになっているか、ちょっと簡潔に御説明いただきたいと思います。
  29. 越智通雄

    越智国務大臣 実は、小川信金だけではなく方々でこういうケースが生じがちでございますけれども、一たん破綻を宣言いたしまして、それから次の合併までに至る間が、ある程度の日数があるものですから、小川信金から借りていた企業が、その間にまた次の資金需要が起こったときに、話を持っていってもなかなかつながらないというところが一番怖いわけでございます。  埼玉県信用金庫は、もう先生よく御存じのとおり、昭和二十三年に九つの組合が合併してできたところなものですから、ある意味でかなり、規模は小川の倍あります。それから地域も非常に広うございますから、地元に対する温かい気持ちはちょっと薄いかもしれません。ただ、財務局から個別の融資に関してどうこうせいというのはちょっと言えないものですから。全般的に、やはり生きている小川信用金庫業務でございますから、それが立派にやれるように、そういう意味で、原則的な指導は大いにしていかなければいけないな。ともかく合併できるまでは小川さんが責任を持って運営してもらうということでございますので、先生の御趣旨を体して、よくまた注意していきたいと思っております。
  30. 若松謙維

    ○若松委員 それで、通産省の政務次官の方、来ていらっしゃいますか。  そこで、かなり具体的な話で恐縮なんですけれども、結局、小川さんは預金も逃げていますから、例えば短期借入金なんかの継続というかロールオーバーですね、この資金が実際ないから、今まで借りていた会社は結局新しい資金を探さなくちゃいけない。ところが、そういう状況で埼玉県信さんも貸してくれないということで、非常に現実は厳しいのですね。  ですから、ビッグバン貸し付けですか、これもせっかく政府系金融機関としてありまして、例えば保証協会の保証を弾力的にということで、では借り手が持っている割引手形もぜひ金融機関として貸し付けたらいいじゃないですか、そう言ったのですけれども、割引手形はだめです、そう言われまして、では政府系金融機関というのは何をやっているのかと。  ちょっとここで言いますけれども、中小企業金融公庫の一人当たりの人件費が、これは平成十一年度予算ベースで一千百八十三万円、国民金融公庫が一千百四十一万三千円、一千万以上超えているのですね。都銀を見たら、恐らく八百万から九百万なんですね。これだけ高いお金ということは、やはり能力が多い方が集まってそれだけの仕事をしている、そういうことじゃないかと思うのですけれども。ところが、結果的には硬直的な貸し付けしかしない。ですから、こういった状況に対しては政府機関がしっかりと補完すべきじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  31. 茂木敏充

    ○茂木政務次官 委員御指摘いただきました、取引先の金融機関破綻した場合に関係の中小企業は一時的に資金繰りに困ってしまう、これに対して、中小企業金融公庫等におきまして金融環境変化対応特別貸し付けによる貸し付けを行っている。これがどれくらい行っているかということでありますが、両公庫の貸付実績で見ますと、平成九年十二月の制度創設以来、平成十一年、先月十一月末までで二万六千件弱、利用額として八千五百億円となっておりまして、私は、この制度は比較的利活用を中小企業にされているのではないかな、こんなふうに思っております。  したがいまして、この制度につきましては、今年度が期限切れとなっておりましたけれども、今回の経済新生対策を受けまして、来年度末まで一年間延長がなされたところであります。引き続き円滑な運用を図っていきたい。  それから、中小企業金融公庫の一人当たりの人件費、御指摘のとおり平成十一年度予算ベースで一千百八十三万円であります。ただ、この中には、職員の年間給与のほかに、役員給、退職金、社会保険料等々も含んでおりまして、職員の年間給与でいいますと、これは試算でありますけれども、九百三十万円くらいになってくるのではないかな、こんなふうに思っております。  また、政府系の金融機関に関しまして、民間と比べまして、例えば中小企業に対する対応が不十分ではないか、こういうところにつきましては、通産省としても、委員の御指摘を受けまして、これからもしっかり指導してまいりたいと考えております。
  32. 若松謙維

    ○若松委員 ぜひよろしくお願いします。  時間ですので、終わります。ありがとうございました。
  33. 金子一義

    金子委員長 次に、安倍基雄君。
  34. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 先日もお聞きし、あるいはほかの委員も聞かれたと思いますけれども、今回の長銀の払い下げ、これはやはり、一つの先例としていろいろなところに影響する。日債銀に対してもそうだろうし、それからすべての破綻金融機関についても一つの参考になる。  私は、まずお聞きしたいのは、この前もお聞きしたかと思いますけれども、こういったのを全部合算するとどのくらいになっちゃうんだろう。できるだけ、最初の長銀の払い下げのときに本当にシビアに考えないと、これは大変なことになるよと私は考えるのです。  この間、バッファーとしても必要だからという話をしたら、その二、三日後に、十兆円くらい要るんだろうというような話が新聞に出ておりましたけれども、これは皆様、最終的にどのように、今わからないにしても、長銀に大体四兆くらい行く、日債銀に三兆くらい、あるいはほかの、第二地銀が破綻した分も債務超過額が一兆円を超えたというぐあいにも報道されていますけれども、あと、生保もあり、信組もある。本当にこうやってトータルのいわばピクチャーを考えないで、この案件だけをともかく相手の言いなりにどんどん売っちゃうと、非常に大きな影響を持つと思うのですけれども、最終的に落ちつく数字を今現在全部調べるというわけにいきませんけれども、どういうぐあいに見ていらっしゃるのかということをお聞きしたいと思います。
  35. 越智通雄

    越智国務大臣 安倍委員はよく御存じの上でお尋ねかと思いますが、今おっしゃいましたように、三・六兆プラスアルファ日長銀日債銀はそこまでは行かないだろう、ここらまでしかめどがついておりませんで、では、それほど大きい銀行はほかはどうだ、これはまずないと思いますので、他のものは、数が多少出ましても、そんなに大きくない。現に、先ほど御報告しましたとおり、このビッグツーを除いたところでは、七兆円の交付公債の中でまだわずかしか使っておりませんものですから、額としては確かに大きいのですけれども、七兆に対しては一部使っただけでございますので、そんなにあとは大きなものは来ないだろう。  この二つの分、あえて言えば特別公的管理まで入っていった一時国有化という銀行は、私は、次は出したくないな、そのためにあらゆる手段を講じてやっていきますから、その意味で、公費の負担が大規模なものがどんと来るということは予想しなくていいんじゃないかと思っております。  全体の数字は、ちょっとまだ頭の中が整理できておりません。
  36. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それから、債務超過額というと国民も仕方がないなというふうにすぐ感じるようですけれども、これは非常に流動的なんですね。債権一つ一つをどう評価するか。例えば、日債銀が倒れる直前に、自分たちの査定した分と金融監督庁の査定した分と七、八千億の差があったと思います。でございますから、本当にぎりぎりのところ債務超過幾らかと言われたときに、本当に変わってくるんですよ。しかも、既に議論されていますけれども、有価証券評価益だけでも三千億出てきている。本当の意味の現状におけるいわば長銀債務超過額というのは、実際のところ私はもっと低いと思うのです。  私は、この点、債務超過額は全部面倒見にゃいかぬのだというような調子でいきますと、これは本当に切りがない。でございますから、ある意味からいいますと、要するに長銀の払い下げのときにもう一遍債務超過額をきちっと評価し直してもいいじゃないかと私は思います。その点、いかがでございますか。
  37. 越智通雄

    越智国務大臣 安倍先生のおっしゃっているのはそんなことを意味しているのかなというのはある程度わかりますけれども、今から評価し直しては変わらないんですね。一番何が変わるかというと、ゴーイングコンサーン、生きている銀行としての日長銀が去年の夏前ぐらいにどこかと一緒になれば、それは安くついたと思います、本当の話が。  やはり一たん破綻ということになりますと、人も減ります。現状で、四千人いた人がアバウト二千人しかいないと私は理解しておりますけれども。それから、資産の劣化も起こります、貸借関係も悪くなりますし、それから、追加融資がとまっちゃうと関係会社などは一遍に赤がどどっと出てきますから、いわゆる劣化は、宣言されてからの方が極端に拡大してくるのは事実でございますので、去年の夏のうちに処理したケースの場合とこういう特別公的管理に入れてからの話では、かなりの差が出たろうなと思いますが、あと、三月以降のことでそんなに差は出ておりません。  ただ、株価だけは、劣化ということよりは時の株価市場で影響されますが、ただ、日経平均のアップ率で全部計算できるかというとそうもいきませんで、持っておる銘柄の問題がございますし、それから、実は持ち合いの株が銀行は多いものですから、相手の事業会社に持たせた日長銀の株はゼロにしちゃったものですから、持ち合い先の事業会社の株が今は日長銀の蔵に入っている。そういう意味では評価がなかなか難しいと思っております。
  38. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 質問時間が短いものですから、十分聞けないんですけれども。  もう一つは、私自身も、いわゆるハードランディングという言葉にいささか踊らされて、ぼんぼんつぶし過ぎちゃっているとはっきり思います。つぶすことによって劣化が始まっちゃう。ただ、つぶした後、公的管理の間でも劣化を防ぐだけの努力を当然すべきなんですね。ところが、どうも公的管理になると、仮死状態に落ちてそのままにしちゃう。むしろ現経営者が、この劣化については、しないようにもっともっと努力せにゃいかぬので、私はこの点、この公的管理のあり方について、あるいは現経営者の責任ですよ、現経営者が何だか前の経営者を背任とか一生懸命責めていますけれども、現経営者の責任そのものが全く度外視されていると思います。  ちょっと話が、時間が少ないものですから、今度、信用組合の問題が一つあるんですが、これはペイオフの問題もあるようでございますけれども、これが金融監督庁の検査に入りますね。  私の記憶だと、かつて東京協和信用組合が、高橋というたしか昔の理事長が証人で出てきたときに、財務局の検査を受けて、全然けたが違うように悪い査定を受けた、その結果非常に、ルーマーというか、あの信用組合は危ないんじゃないかという話でもって資金が流出したという話がございます。  この信用組合への監督庁の検査が始まりますと、またやはり同じように、厳しいことはいいことですけれども、それによってまた資金が逃げていっちゃう、また危なくなるということも十分あるので、私は、この信用組合というのは、ペイオフの問題のみならず、ともかく、こういったのをどうするんだと。  聞くところによりますと、今、信用組合について、既に倒れたものについての損失をいわばほかの、また奉加帳方式で若干補てんしようという話もあるようでございますけれども、信用組合の方が大問題でして、私は、この点について、検査の関連とペイオフとの関連でどう考えていくのかということをお聞きしたいと思います。  問いがたくさんありますから、簡潔に答えてください。
  39. 越智通雄

    越智国務大臣 最初に言及されたことだけ、一言申し上げておきます。  日長銀には新経営陣として四人の方をお入れいたしました。監査役にはもちろん公認会計士、弁護士を入れましたけれども、経営陣として入れた四人の方は、日銀がお二人と民間金融機関からお二人でございますが、どちらかというと、経営者というよりは管財人的な色彩で作業をしておりまして、法に基づくいろいろな計画、業務計画等をもとにしてやっておりますので、そこの経営陣の責任というのを問うのはなかなか難しいんじゃないか、このように思っております。  それから、今の信用組合でございますけれども、私ども、まだ検査権限を持っておりません。先生おっしゃるように、その中で債務超過になっているのがどれぐらいあるかという問題と、実は、国内行としての資本比率四%を切っているかいないかということでございまして、債務超過かどうか以前の、四%のところの認定が検査次第でどう出るか、これが非常に心配なところでございまして、実はマニュアルをつくりましたけれども、他の一般の銀行信用組合とでは同じマニュアルでございますので、それの適用についてはいろいろと工夫が要るんじゃないかなと心配しながら考えております。
  40. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにしましても、ハードランディングとか称してどんどん破綻をさせちゃうと、本当にどんどん劣化しちゃうんですよ。私は、この点、今までのやり方がちょっとやり過ぎだと思っています。  もう一つ。今度は、これから債券をほかの銀行に、例えば長銀とか日債銀金融債の発行銀行ですね、これをほかの銀行に認めていくのかどうか。というのは、のれん代十億円ですか、例えば金融債券発行という権利だけでもそんな安いものじゃないんですよ、実際上。  それからもう一つは、これからいわば財投機関債というかそういうのをつくり始めていく。長銀とか日債銀も、ある意味からいうと、政策投資銀行などの財投機関とは貸付期間に競合という要素は少ないようでございますけれども、機能的には競合します。全体のピクチャーの中で、新しい金融秩序の中で、果たして本当に長銀日債銀というのを債券発行銀行として生かしていくのがいいのかどうかという大きなピクチャーの問題があると思うんです。それをどう考えていらっしゃるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  41. 越智通雄

    越智国務大臣 宮澤大臣がお答えされることかもしれませんが、私の意見を申し上げさせていただきますと、銀行は社債を発行できなかったのが、銀行にも社債を発行できるようにいたしました。  金融債と社債の発行でどこが違うかというと、売り出し方法が許されているかどうかということでございまして、売り出し方法がないと、適時適切にと申しますか、商売の機を見ながらうまくやっていけないので、この方法を銀行の発行する社債にも認めるかどうかという点が問題になろうと思っておりますが、そうした意味でいわゆる長期信用銀行法の問題を慎重に考えていかなきゃならない。  ただ、大きな眺めとしては各種別の銀行法律はおいおいになくしていくつもりで、外国為替銀行法を既になくしておりますので、そういう大きな流れは考えながら持っていきたいと思っています。
  42. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 だから、長銀の払い下げ問題は、一つは、これから日債銀にしても、ほかの破綻銀行を救済していくときにどういう影響があるか。確かに大きさはこれほど大きいものは出てこないかもしれませんけれども、例えば地銀五行の債務超過額も一兆円を超えたというような報道もされておりますが、これは本当に、今ここで甘いというか、売るために譲歩に譲歩を重ねるようなことをすれば、必ず大きな影響を及ぼす。そういう点と、第二点として将来の金融秩序、例えば財投をやめて財投機関債を出していくというような大きな金融秩序の中で、この長銀の払い下げがどういう影響を持っているんだと。しかも、例えば金融債の形で長銀日債銀を考えるとなると、十億円で本当にのれん代としていいものかどうか。  この問題は、どうも私は、一般に国民は債務超過額が幾らだとか言われますとすぐオーケーしちゃうけれども、とんでもない話だと。これは大きな問題に残ります。判をつくのは越智大臣ですから、幾ら柳沢君がレールを敷いたにしても。これはやはり大きな問題ですよ。  そういった点で、私はこの大きな全体のピクチャーの中でこの長銀の払い下げ問題をどう考えているかということを重ねて聞きたいと思います。     〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
  43. 越智通雄

    越智国務大臣 手短に言うのが大変苦しいところでございますが、率直に申しまして、日長銀処分が一番影響を与えるのは日債銀処理だと思います。  だけれども、ではそれがほかの普通の銀行の今後の破綻処理に大きな影響を与えるかというと、私はそれほどのことはないんじゃないかと。ただ、それぞれのケースの場合に、国費をこれだけ使っていいのかという御議論はもちろんあるわけですが、なぜならば、FAにゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーを選んだ、やはりそこら辺が日本の金融市場を外に向かって開いていこうという一つのグローバルという意思表示だったと思うんですが、今後、小さな銀行でそういうFAが選ばれることはまず余りないんじゃないか。現に今、私どもは第二地銀を五つ抱えておりますが、そういう手法はとっておりません。もちろん、手を挙げてくる候補者の中には外銀も、外国勢力というか、入っておりますけれども、そういう意味ではちょっと御懸念ほどのことはないと思っております。  それで、ではでき上がってきた新生長銀とか新生日債銀というのはどうしてもらいたいかというと、規模からいいますと十兆ぐらいから、十兆上かあるいは十兆下ぐらいの銀行が二つ出てくるわけでございますが、かなり外国色の強いものになるかどうかわかりませんが、リップルウッド・ホールディングスでやればかなり外国色が強くなりますので、これらが日本の今までの金融界にないような新しい金融運営をやってくれる、それが日本の金融界に刺激になる。どこが新しいか、恐らくITをふんだんに使った銀行経営をするであろう、それから、恐らくアジアに対するインベストメントや何かを頭に置いた動きをするだろう、何しろ国内店舗が相当に少のうございますから。そういうようなことが我が国金融業界にいい意味での刺激になればいいがな、このように期待しております。
  44. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間もないですからやめますけれども、ただ、リップルウッドは再建屋なんですよ、はっきり言って。要するに、きれいにして高く売りつけて利益を得ようというわけですから、それは外銀がうまく参入して云々という要素も若干あるかもしれませんけれども、これは非常に大きな問題ですから、私は慎重にやっていただきたい。  しかも、トータルのピクチャーの中で、宮澤大臣にもお願いしたいんですけれども、これからの金融秩序という面といわばこれに対する影響という二つの面で、少なくとも、二%の消費税、要するに、消費税が一%上がって二兆円ですから、はっきり言って十兆円というのは半端な数字じゃないんですよ。今、八兆円か七兆円になると。恐らく、十兆円を超える格好でこの数字を考えなきゃいかぬようになると思います、今のままでいけば。これは大問題でございますので、時間がございませんからここでやめますけれども、よくよく慎重に考えていただきたい。与党の一人として希望いたします。
  45. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員長代理 次に、仙谷由人君。
  46. 仙谷由人

    仙谷委員 前回に引き続いて、長銀の譲渡についてお伺いをしたいと思うのです。  前回、私、お伺いしましたら、越智国務大臣、何かもう他人任せのような、つまり、柳沢さんがやったので私は余り知らぬのだみたいな雰囲気の話とか、それから、交渉でこうなっておるからしようがないんだ、こんなお答えが多かったんですね。それでは国民はちょっと納得できないんですね。  きょうは、資本勘定保有株式の関係について、改めてお伺いするわけでございます。  私が今申し上げた部分についての越智国務大臣の答弁はこうだったのです。「そこのところを、まさに交渉の結果、両者の言い分でそうなったわけでございますから、具体的な数字でございましたら政府参考人も専門的なことについては回答できる国会運営だと思いますので、ぜひ回答をお認めいただきたい」、こんな回答しかなかったんですね。  改めて、「ニューLTCBパートナーズ長銀買収に係る買収条件概要」、これを見ながら質問をいたします。「二、新規増資・自己資本比率」という項目がございます。その項目の一番下「3自己資本比率は一三%程度」、こういうふうに書いてあります。ここで予定されている自己資本、一三%になるであろう自己資本、この中身は何でございますか。もう一遍言ってください。
  47. 越智通雄

    越智国務大臣 そこら辺は繰り返しになりますが、本来ならば、事務局長からお答えさせていただければ一番正確だと思うのですが、私なりの理解で申し上げますと、新生長銀資本勘定を六千百億から六千三百五十億ぐらいになるように持っていくというために、リップルウッドは千二百億出しまして、日本政府が二千四百億出しまして、それに有価証券の含み益のうちから二千五百億出すから、千二百、二千四百、二千五百で約六千百億ということでございまして、それが、恐らく、でき上がってくる新生長銀のリスクアセットと申しますか、総貸し出しが約九兆円ぐらいかと思われますものですから、そういう計算から出てきた数字だと私どもは伺っております。
  48. 仙谷由人

    仙谷委員 そうしますと、リップルウッドが出した千二百億円に対応する株式の数は三億株ですね。政府が拠出をした、資本注入をした二千四百億に対する株式の数は六億株、こうなりますね。含み益で二千五百億のお土産をつける、今、こういう話だったですね。  そこで、その上の行の注、「普通株式へ転換した後の機構の最大持ち分は三三・〇%。」つまり、前回も少々申し上げましたが、お金で二千四百億円を出した政府、そして二千五百億円、つまり合計四千九百億円の財産的な価値のものを拠出した政府が、何で千二百億円を拠出するリップルウッドといいますか、LTCBパートナーズとの比較において三三%しか株式を持てないんですか。つまり、何でたった千二百億円しか出さないリップルウッドが六六%あるいは六七%の株主になるんですか。そこのところはどういう理屈をこね回したらそうなるのか、お答えください。
  49. 越智通雄

    越智国務大臣 大変難しいのでございますけれども、私なりの理解で申し上げますと、実は、先生、既存の長銀株式の分が二十四億株あるのは、今の計算では入っていないわけでございまして、よく一株四十銭で売ったじゃないかと言われるのは、二十四億株を売っているわけでございますので、既存の長銀の株二十四億株とリップルが千二百億出してとった三億株、足すと二十七億株ございますが、政府の方には佐々波委員会のときからの分で残っているのがございまして、それが約五億株、それから資本注入の場合の二千四百億は、これは、当時の計算では転換なものですから一株三百円計算でやっておりますので、八億株の計算をしておりますものですから、佐々波の五億三千万株と資本注入の八億株で、十三億株対二十七億株と。ですから、十三と二十七を足して約四十億株、四十億分の二十七で相手側が六六%、私どもが三三%、三四%というんですか、三分の一、こういう計算になっているんです。  実は、向こうはたくさん資本を支配しておきたいというので、三分の一と三分の二で折り合ったという計算から逆算してこういう取引というか、取り決めになったというふうに伺っております。
  50. 仙谷由人

    仙谷委員 かなり正直におっしゃっているんだけれども、資本を保有しておきたいとか実権を握りたいというんだったら、それなりのお金を出してもらわないとそんなことできないのは、これは資本主義の通則じゃないですか。そんなばかな話がありますか。株式保有を、つまり、五〇%以上というか、大部分を保有して実権を握りたいから、小さい金で済ませてねなんというそんな都合のいい話がどこにあるんですか。  だから、今おっしゃったことをちゃんと、これは時系列で書いてごらんなさいよ。今おっしゃったことを反対側からいうと、長銀の二十四億株を十億円で買う、そのときの一株当たりの評価額はいみじくもおっしゃった四十一銭ですよ、それは。そこから、では何日置いて資本注入をするんですか、二千四百億円の。あるいは、このパートナーズが千二百億円の出資をするのは何日置くんですか。それほど日を置かなければ資本勘定が立たないから、当然入れるわけでしょう。そうすると、一週間内に入れると、片一方は一株当たりの価格が四十一銭で片一方は四百円ですよ。千倍ですよ。一対千の値打ちが違う株式を同じ評価だとする、そういうすりかえが行われているのじゃないですか。  パートナーズが全株式のうちの五〇%以上、大きな株式保有をしたいとおっしゃるのであれば、金を出すか、政府にこんな金額を出させない、全部自分のところで面倒を見ますということをやらない限り、こういうむちゃくちゃなというか無理なやり方になってくるんですよ。  いいですか。反対に言いますと、この二十四億株をパートナーズが十億円で買うとき、このときの資本勘定というのは当然のことながら零ですよね。論理的に言うと、まず減資しなきゃいかぬ、そこで新しく株立てをする、新株を発行する分について、千二百億をパートナーズが買う、二千四百億を政府が買うということをやらないからこうなるんですよ。無理無理、千倍の格差をつけて、政府の出す金はパートナーズの出す金に比べていわば千分の一じゃないですか、これでは。あなたがいみじくもおっしゃったけれども、それはパートナーズ条件かもわかりません。何でこんな国民の金をどぶに捨てるようなことが平然とできるのか、そのことをお伺いしているんですよ。
  51. 越智通雄

    越智国務大臣 既存の長銀の株と新生長銀の株でございますけれども、既存の長銀の株は株価算定委員会で、先生御存じのとおりゼロに査定されておりますから、そしてそれが公告されたときに、民間人のお持ちになっている分は公告と同時に株券が無効になっているわけでございますので、いわば、この間予算委員会でもどなたか御党の方から御質問がありましたが、ゼロのものをなぜ十億で売ったか、ゼロでもよかったのじゃないかという質問をその方から受けたのですけれども、ほかへ出せばゼロのものでございますので、その株をあえて、二十四億株、一株幾らということじゃなくて、のれん代という言葉は適当じゃないかもしれませんが、十億ということでやりました。  他のそういうケースを考えましても、割と丸い数字でそういうものは取引されているようでございまして、それを直ちに今市場に出せば全く評価も何もないものでございますが、これから先に、新生長銀をよくしていく過程においてその株が生きてくるということをねらって持っているというだけでございます。
  52. 仙谷由人

    仙谷委員 お言葉を返すようですが、では、ゼロのものが、パートナーズが一株当たり四百円、千二百億円出資した瞬間にこの株はゼロのままなんですか、それとも四百円になるんですか。いかがですか。
  53. 越智通雄

    越智国務大臣 それは今、出資した瞬間に幾らかと言われてもちょっとお答えのしようがございませんが、本来は、ある程度の業績を重ねて上場をいずれの日はしたい、そのときに実は四百円ぐらいになるようにまで、何年かかるかわかりませんが持っていって、そこで初めて意味が出てくるので、千二百億円払い込まれた瞬間に値がつくというものではないと思っております。
  54. 仙谷由人

    仙谷委員 それではもうちょっと聞きますが、政府が一株当たり四百円で二千四百億円の資本注入、出資をした瞬間に、その段階ではこの二十四億株、一株当たり四十一銭の株は値打ちが幾らになるんですか。
  55. 越智通雄

    越智国務大臣 まず第一に申し上げたいことは、最終合意書ができなければお金は入りません。だから、今は何も入っておりません。そして、最終合意書を来年の早い時期にやりましても、その時点では株価はつかないと思います。  それで、何年かの、成績を上げて上場ができたときに初めてその株価がつくわけですけれども、こうした覚書を交わす以上は、持ち株の計算があるので一株の値段をある程度決めていかなきゃなりません。それで、政府の方は三百円の計算でございます。先方さんが四百円の計算です。これは転換権や何かの問題で差がついていると理解いたしております。
  56. 仙谷由人

    仙谷委員 ちゃんとしたお答えになっていないのですね、それは。もう一遍お答えになりますか。
  57. 越智通雄

    越智国務大臣 ともに四百円の計算でございますが、転換するときの最低価格が三百円ということでございました。いずれも四百円で計算しております。
  58. 仙谷由人

    仙谷委員 それでは、自己資本比率が一三%になりますね。六千百億円とあなたはおっしゃった。そのときの株式は、普通株式二十七億株、優先株式が六億株になるのですか、あるいは六億七千三百四十万株になるのですか。優先株の一株当たりの純資産評価額、そして普通株の純資産評価額は幾らになるのですか。そういうふうに考えていったらわかるじゃないですか、インチキが。
  59. 越智通雄

    越智国務大臣 申しわけありませんが、そこまで計算はしておりませんし、今のところ、恐らくそれはちょっと評価を計算するのは難しいんじゃないかなと思っております。
  60. 仙谷由人

    仙谷委員 それは単純な計算じゃないですか。いいですか。優先株を先に除くとすると、千二百億プラス二千五百億割る二十七億じゃないですか。簡単じゃないですか、普通株なんだから。つまり、最初の二十四億株と、パートナーズの出資で得る三億株の一株当たりの値打ちが何で変わるのですか。変わるんだったら、変わるような出資の仕方をしなければおかしいじゃないですか。  ゼロのもの、つまり、一対千のものを同じ評価にするから、そうしないとあなたが言っているように政府の所有比率が三三%にならないから無理無理やっているだけの話だから、こんなでたらめなことが起こるのですよ。これは大変な問題ですよ。  いわば瞬間に千倍になる。これはまあ将来の期待的利益を含んでいるかもわかりません。だから千倍と言わないでも、今私が申し上げたように、計算上は千二百億プラス二千五百億だったら三千七百億ですよ。三千七百億を二十七億株で割ってみればいいのですよ。幾らになりますか。少なくとも百何円になるんじゃないですか。十何円か。十何円とすると二十五倍ぐらいですか、一瞬にしてそういう値打ちを持つ株になるのですよ、これは。そうじゃないですか。いかがですか。
  61. 越智通雄

    越智国務大臣 私は、新生長銀ができましてからの営業成績いかんで株価が決まるのであって、できた瞬間の清算価格という考え方はとらなくてもいいんじゃないかと思っておりますので、それが順当に営業して、何年かわかりませんが、その上で上場ができて、そこで初めて株価が、私どもの希望として大体そこら辺までいけばいいなと。要するに四百円ぐらいですね。こういうことでピクチャーを描いております。
  62. 仙谷由人

    仙谷委員 いやいや、私が申し上げているのは、つまり、そういうやり方をもともとしようとしているからこういうへんぱな値つけになるのですよ。もともと、佐々波委員会決定をして長銀に注入をしたときだって、普通株と優先株の転換割合というのがちゃんと決めてあった。一対三ぐらいで決めてありましたよ。値打ちが、当時の時価と優先株式の額面を、一株当たりの金額を約三倍に決めたから一対三に決めたんじゃないですか、それは。何で今度だけ、もともと出発するときに一対千の評価にしながら、議決権の数だけは一対一にするというふうなことができるのか不思議でしようがない。つまり、これは何らかの理由でたたき売ろうとしているとしか考えられない、このことを申し上げているんですよ。いいですか。  これは、私は、国民には一株四十一銭の株と一株四百円で国が出すのと全く同価値だという論理を幾ら強弁されても通用しないと思いますよ。国が債務超過を埋めてバランスシートをちゃんときれいにプラス・マイナス・ゼロにした、さあ、そこからその銀行をどこかに売却するんだ、だから十億円だとか、だから一億円だ、そこまではいいんですよ。それは論理的に正しいんですよ、バランスシートでゼロだから。のれん代十億円でもいいんですよ。後の資本注入のときのやり方がでたらめなんですよ、僕に言わせれば。  お金の価値は同じなんだから、一千二百億と二千四百億だったら二千四百億の方が一千二百億の二倍じゃないですか。何でそれが逆転するんですか。わからない。その上に二千五百億、前回申し上げました、含み益でお土産をつけておる。こんなもの早く先に含み益実現させたことにすればいいじゃないですか。させるんでしょう。いずれにしても預金保険機構に売っちゃうんだから。預金保険機構で抱えるんだから。その分、債務超過分を消していけばいいじゃないですか。国費の投入分がその分少なくなるとこの間申し上げたじゃないですか。何でそういう当たり前のことができないで、お土産はつけるわ、金の値打ちがパートナーズが出すお金の値打ちと政府が出すお金の値打ちが違うなんという、こんなことをやられたら納得できませんよ。この間言った瑕疵担保の問題とこれだけは御再考いただかないと、これは大変な政治責任になりますよ。  越智さんはこの間から、いや、これは柳沢君がやったんだからわしらの責任じゃないんだみたいな雰囲気の答弁をされていますよ。それは通用しませんよ。あなたが最終決断をするということでは通用しませんよ。幾らあなたが柳沢さんと方針が違うといっても、そんなことは通用しない。これはあなたの政治決断として、歴史に残る評価をされることになるか、斬首の刑に処されるかわからぬぐらい重要な政治判断ですよ、本当に。  今みんな何兆円の金にびっくりしなくなっているけれども、一千億の金というのは大変な金ですよ。そうでしょう。一千億の金というのは、僕は大変だと思うんだ。だから六千八百五十億円で何十日間も国会に座り込んでダニに食われた人がおったわけですよ。そうでしょう。ところが今回は、いとも簡単に二千四百億、二千五百億、どんどんやっているじゃないですか。どうですか、この点。
  63. 越智通雄

    越智国務大臣 久しぶりに斬首などと難しいお言葉を伺いましたけれども、まず第一に申し上げますが、別に私はこの場で前任者のお名前を申し上げたことは一回もございません。行政の一貫性ということですから、それを引き継いで申し上げております。ただ、詳しい当時の事実関係をとおっしゃるから、それは私どもはそう聞いておりますけれども、詳細は当時からやっております局長にどうぞと繰り返し申し上げているだけでございます。  第二の点は、繰り返しになりますけれども、日長銀破綻をした段階において株価はゼロでございますから、既存の日長銀の株を二十四億株、今後における問題として彼らが引き取って十億を払った。これは一株幾らという計算でやったものでは全くございません。そして、新しくできてくる新生長銀に対して、国が二千四百億、向こうパートナーズたち、要するにパートナーズというのは寄り合いでございますね、今のところ十二行かと思いますが、十二の銀行たちの寄り合いが千二百億出す、そういうことでございまして、これから先の営業いかんによってその株価が決まってくるわけで、確かに株数の支配権としては六六対三三みたいな格好になりますけれども、そのこと自身は今、資産の中身その他で数字が変わってくることじゃなくて、問題はやはり、新生長銀がどれだけの成果を上げられるかというところにかかって株価が決まってくるものでございますので、私は、これを今、何かやり直せみたいなお言葉がございましたが、それはできない話だと思っております。
  64. 仙谷由人

    仙谷委員 やり直すのが無理だったら、もうやめたらどうですか。私は、もうここまで来たら、先般申し上げた瑕疵担保の問題とこの問題からして、やめられた方がいい。国民の納得を得られない。それは自民党さんのためにもそう考えてお勧めしておるんですよ。  もう一点。長銀の九八年三月末の業務純益というのは千六百四十億ぐらいあるんですね。千六百四十億なんですよ、バランスシートを見ると。その当時の資産は二十六兆円ぐらいなんですよ。今度の新生長銀は多分、自己資本六千百億円で、それで自己資本比率一三%とおっしゃっているから、十兆円ぐらいの資産の会社としてスタートさせるんだろう。単純に計算しますと、約二十六分の十ですから、業務純益千六百四十億が六百億ぐらいの業務純益の会社になる、こう考えられるんですね。  長銀の問題は、業務純益がそれほどとれなかったというよりも、九八年の三月まで見ても、九九年の三月末決算を見てもそうですよ、相当業務純益を上げていますよ。ただ、これは償却が多過ぎてどうにもならないというのが債務超過になり、償却損失をどんどん上げなければいけない、あるいは引当金を積まなきゃいけない、このバランスシート上の操作で倒産、破綻の憂き目に遭ったし、その後も苦しんでいる。要するに、公的資本を注入しなければ、あるいは特例業務勘定から資金を入れなければつじつまが合わないことになっている、こういうことだと思うんですね。  そうすると、ゼロにしてあげますね、プラマイ、資産負債資本項目を。それでお渡しするということになるわけでありますが、そうなりますと、これは業務純益が五百億なら五百億というふうに推移するとしましょう、五百億年間業務純益がある会社をたった十億円で売ってしまうというのは、非常に気前がいい話だ。これは本当にだれでも買いますよ。私は鳩山代表に、あなた買ったらどうだと常々言っているんですけれども、そのぐらいのよ過ぎる条件なんですよ。ちょっと安過ぎやしませんか。いかがですか。
  65. 越智通雄

    越智国務大臣 仙谷先生はいろいろな前提を置いてお話をされているように思うのでございますけれども、もともと、まず資本を入れなかったらもうけが出てこないわけで、向こうの方のニューLTCBパートナーズも千二百億を投資するからもうけが出てくるので、それにつれて日本も二千四百億投資をしているわけでございますので、その資本投下がなければ五百億は出てこないわけですから、何にもないところから利益が出ているわけじゃございません。  それからまた、五百億というのはほかの前提もいろいろあると思いますが、金融債とか預金が余りコストがかからない状態での数字でございまして、九八年とおっしゃいました、この状態はいつまでも続くのでしょうか。むしろ、資金コストはこれ以上下がらない、上がるでございましょうし、先ほど御質問もありましたように、金融債というものがじゃんじゃん売れる債券市場であり続けるかどうかも正直言うとわかりません。国債が主役になっていく債券市場かもしれませんし、各銀行の社債と競合する状態も考えられますので、むしろそこら辺を新しい経営陣銀行を含む十二の人たちが、日本人と外人で十五人の経営陣ができるわけですが、そのうちの半分が外人で、私がうわさで聞いているのは相当な人が入ってくる経営陣ですが、私は、いつか来た道みたいな意味で同じだけの業務純益をねらっていくとは思えない。むしろ、新しい格好での利益といいますか純益の生み出し方をねらっていく、それがまた日本の銀行界にとってある種の刺激になる、ないしは、ああいうやり方もあるんだなという参考になるという意味で私どもは考えているところでございまして、ちょっと今のお話は違うと思います。  それから、この際もう一つだけ申し上げておきますが、瑕疵担保責任というのは、先生にも申し上げたかと思いますが、デューデリジェンスをしないかわりに、再生委員会が十六回かけてやった債権の評価、判定に見立て違いがあったときの責任をとっているわけでございまして、これはデューデリジェンスとの差しかえになっている問題でございますので、瑕疵担保責任は当然つかなければこの話は成立しなかったと私どもは思っております。
  66. 仙谷由人

    仙谷委員 だから、基本合意をまだ結んでいないんだからやめなさいと言っているんですよ、こんなむちゃくちゃな契約を結ばされるのであれば。  それから、今長官のおっしゃった後半部分は、別に長銀だけの問題じゃないですよ。要するに、金融業務を行うについての外的な環境が変わっているという話だから、それはどこの銀行だって厳しいのですよ、これからは。それだけ申し上げて、きょうの質問を終わります。
  67. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員長代理 次に、河村たかし君。
  68. 河村たかし

    ○河村(た)委員 河村たかしでございます。  早速ですが、委員部の皆さん、資料を配っていただけますでしょうか。時間がございませんものですから、今資料を配らせていただきますので、これを見て話を進めたいと思います。  問題になっておりますクレスベール証券の「プリンストン・ファンドについて」。ここのところ、特にこの七項目めですね、「日銀、大蔵省の許可もとっており、大手公認会計会社も認めている。」こういう表示をしてこのファンドを売ったということでございますが、この書類については、これはクレスベールが発行したので間違いございませんか。
  69. 村井仁

    村井政務次官 私どもといたしましては、この書類、私自身はこの資料を初めて見せていただくわけでございますが、しかし、プリンストン債の販売に関連しまして、日銀、大蔵省の許可という虚偽記載のある販売資料の使用の有無について、ことしの九月になりましてクレスベール証券に報告を求めましたところが、クレスベール証券から虚偽記載を認めるという回答があったということでございまして、そういうことで私どもとしては承知したということでございます。
  70. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ということは、証券を売るときに、日銀、大蔵省の許可がある、こういうようなことを書いて売るということは、これは虚偽ということをクレスベールが言ったようですけれども、これは極めて悪質だ、そういうことでよろしいですか。     〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  71. 村井仁

    村井政務次官 そのことをとらえてということでございますと、ちょっとどういうふうに御返事をしてよろしいか、なんでございますけれども、私どもとしましては、御案内のとおり、クレスベール証券につきましては三たびにわたる処分をいたしておるということで御理解をいただけるところだと思います。
  72. 河村たかし

    ○河村(た)委員 処分をしているということは、悪質でなければ処分をするわけないのだから、悪質だということですね。はっきり言ってくださいよ、時間がないんだから。
  73. 村井仁

    村井政務次官 その点は、そのとおりでございます。
  74. 河村たかし

    ○河村(た)委員 この文書の存在をいつ知ったですか。いつお知りになったのですか。
  75. 村井仁

    村井政務次官 先ほど申し上げましたように、私どもが承知しましたのは、クレスベール証券に報告を求めて、それで虚偽記載を認めた、この時点で知ったということでございます。本年九月というふうに御理解いただきたいと思います。
  76. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ということは、検査に入ってわかったのですね、検査に入って。
  77. 村井仁

    村井政務次官 私どもが検査にクレスベールに入りましたのは、本年の五月二十四日に立ち入りを開始し、六月二十四日をもって立ち入りを終了しているところでございますが、その検査の結果につきましては九月八日に通知をしているという経過がございます。今申し上げましたのは金融監督庁検査部による検査でございます。  一方、クレスベール証券東京支店に対する証券取引等監視委員会による検査は、本年九月一日に立ち入りを開始し、十月八日をもって立ち入りを終了したものと聞いておりますが、この検査の結果重大な法令違反が認められるとして、十月二十二日に、金融再生委員会とそれから金融監督庁長官に対して行政処分等を求める勧告が証券取引等監視委員会から出された、こういうことでございます。
  78. 河村たかし

    ○河村(た)委員 はっきり答えてほしいのですが、検査に入ってわかった、したがって検査に入るまではわからなかった、そういうことでよろしいですね。
  79. 村井仁

    村井政務次官 そのように御理解いただいてよろしいかと存じます。
  80. 河村たかし

    ○河村(た)委員 私、村井先輩はずっと、いろいろな税制のことで新進党のときに一緒にやってきました。ですから、私はいつも言っておりますが、個人的には仲よくさせていただこうと思っても、職務があります、職務が。これはうそを言ってはだめですよ、うそを言っては。これは大変なことなんだ。  ここに一つの文書があります。きょうはちょっと出しません、事情によって出しません。ちょっと読みますけれども、平成九年四月十五か六ですね、大蔵……
  81. 金子一義

    金子委員長 ちょっとおっしゃってください。平成九年……
  82. 河村たかし

    ○河村(た)委員 平成九年四月十五か六です。ちょっとファクスがつぶれております。二年半前に、既に大蔵省はこれを知っていたという文書があるんですよ、ここに。ちょっと読ませていただきます。「大蔵省証券局企業財務課証券監査官のクレスベール証券「実務例」等に対する見解」「本日クレスベール証券営業案内九頁の「不良証券等処理に関する実務例」等について、私が大蔵省証券局企業財務課監査企画係」、ちょっと名前はとりあえずやめておきます。大蔵省の方の名前が書いてあります。「の見解を質問したところ、同監査官の回答要旨次のとおり。」ということで、また後で聞きますが、こういう大蔵省証券局企業財務課監査企画係というところがありますね、こういうところが。
  83. 村井仁

    村井政務次官 以前の制度でございましたが、あったと承知しております。
  84. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ちょっと先を読んでいきます。ここのところで、いろいろ書いてあって、「クレスベール証券不正の疑い」といろいろあって、「実務例の他に、クレスベール証券営業案内の問題点は何か。」ということですね。そこで答えとして、これは大蔵の人が答えているのですが、「私募債の取得について、「日銀、大蔵省の許可もとっており、大手公認会計会社も認めている。」(プリンストンファンドについて、運用の保全の説明、五頁)としているが、これは外為法上の外貨証券取得の届け出を日銀経由大蔵省国際金融局あて手続きしたに過ぎないのに、私募債運用の手口を大蔵省証券局が許可したように一般投資家を誤認させるおそれがあり極めて悪質な表示で、同じく証取法五十条一項六号の証券会社及びその役職員の禁止行為に該当する。」こういうふうに、ある方の質問に対して大蔵省の職員の方が答えておられるんです、この文書の中で。この文書の存在をまさか知らなかったとは言わないでしょうね。
  85. 村井仁

    村井政務次官 そのような資料が存在することは私ども承知しておりますので、それにつきまして事実いろいろ確認をいたしましたけれども、その応接をした本人自身、そのような応接をしていないということを、私どもとしましてはいろいろ聴取いたしまして確認をいたしておるということでございまして、平成九年の四月と委員おっしゃいましたが、大蔵省証券局の担当者がプリンストン債について簡単な資料をもとに照会を受けた、しかし、資料自体具体性の乏しいものであって、一般的な対応にとどまったということでありまして、そのような詳しい話にはなっていないということであります。
  86. 河村たかし

    ○河村(た)委員 じゃ、だれにそれを聞かれましたか、内部で。
  87. 村井仁

    村井政務次官 恐らく、今特に名前は言わないがとおっしゃったその職員でございます。
  88. 河村たかし

    ○河村(た)委員 お一人だけですか。
  89. 村井仁

    村井政務次官 複数と承知しております。
  90. 河村たかし

    ○河村(た)委員 では、複数の方を言ってください。
  91. 村井仁

    村井政務次官 ちょっと固有名詞を申し上げるのは、これは余り適当なお話ではないだろうと思います。
  92. 河村たかし

    ○河村(た)委員 では、職制だけで結構でございます。どういう職にあった方か。
  93. 村井仁

    村井政務次官 企業財務課の職員と、それから証券業務課の職員というふうに承知しております。
  94. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そこから証券局長あてに、こういうことがあるので気をつけてくださいよというような話があったんじゃないですか。
  95. 村井仁

    村井政務次官 私どもの承知していますところでは、大変漠としたお話でもございますので、そのような形で上へ上げるというようなことはなかったと思っております。
  96. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ちょっと、いろいろな詐欺的行為というのがあると思いますけれども、大蔵省が自分の名前を勝手に使われたんですよ、あなた。漠としたというような話は何なんですか、それは。ある証券を売るときに、大蔵省というのは日銀も入っているんですよ、そんな話があるのに漠とした話とはどういうことですか。そんなことだったらもうやめてくださいよ。一般投資家はどうなるんですか、そんな話で。冗談じゃないですよ。
  97. 村井仁

    村井政務次官 先ほどもお答え申し上げましたように、そのような、大蔵省あるいは日銀の、何ですか、オーソリゼーションを得ているというような話は検査に入って初めて知ったということでありますから、平成九年の時点で証券局長まで上げたかどうかというような話になりますと、これはその時点での、応接をしたといいますか、非常に抽象的な資料などで、相談といいましょうか、話を聞いた職員から上がらなかったということは、これは別に不思議なことではないと私は思っています。
  98. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ということは、その職員の方がこれほど重要な問題を握りつぶした、こういうことですよ。そういうことなんですか。
  99. 村井仁

    村井政務次官 再度申し上げますけれども、要するに、先ほど申し上げました複数の職員に対しまして話が持ち込まれた、しかし余り具体性のある話ではなかったから、したがってそれほどきちんとした応接をしたわけではない、そういうことであります。  そもそも、そこでどういう資料をお持ちでなにしていらっしゃるのか存じませんが、その資料自体の信頼性につきまして、その資料自体が正しいというふうに委員はまずおっしゃっていらっしゃるんでしょうが、私どもの方で承知している限りでは、応接した職員が、そういうことを言っていない、こう言っているわけでありますから、そういう意味で、そのような漠とした話を上げるはずがない、上げることはなかったということも別に異とするに足りないことだと思っております。
  100. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そういう話が行ったことはないというよりも、日銀とか大蔵省とかいう名前を使った債券が出回っているんです。そういう資料も出回っているわけだ、資料が。そのことについて、漠としたようなと、そんな金監庁ならやめなさいよ、本当に。何のために税金を払って皆さんに仕事をやってもらっておるんだ、投資家は。  具体性のある資料ではなかったといって、一体何をどう相談したんだよ。その人は、この資料を持って、今言った、きょう皆さんに配った資料を持って、こういうことが行われている、これでは一般投資家は大変なんだ、だめなんだ、きちっとしなさいよと言ったんじゃないのか。
  101. 村井仁

    村井政務次官 いや、ですからこそ、私どもとしましては、クレスベール証券東京支店に対しまして既にさまざまな行政処分をしているわけでありまして、例えば、顧客資産の方に重大な懸念があるという観点から、投資者保護の観点から、緊急の措置として、九月九日から六カ月間プリンストン債の販売停止、これをやっております。これが第一。  それから、外国証券業者に関する法律第三十一条に基づく報告及び金融監督庁検査により法令違反の事実が明らかになったところから、十月四日から三週間のすべての証券業務の停止、それから証券取引等監視委員会の検査により法令違反の事実が明らかになったことから、十一月一日から十一週間すべての証券業務の停止、及び当該法令違反に関与した取締役の解職の行政処分などを行っているところは御承知のとおりであります。
  102. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そんなの、聞いている委員に失礼じゃないですか。平成九年のことを言っているんですよ、こちらは。そのときに、あなた方は話が持ち込まれた、そのときにどういう話が持ち込まれて、それでどういう態度をとったかと聞いているのに、平成十一年のを答えてどうするんですか。冗談じゃないですよ、こんなの。全然答えになっていませんよ。
  103. 村井仁

    村井政務次官 金融監督庁及び証券取引等監視委員会の立場から申し上げますと、本年になって初めて知った事実でございますから、そのようにお答え申し上げているわけであります。
  104. 河村たかし

    ○河村(た)委員 本年になって初めて知ったと言っておられますが、今言いましたように、平成九年にあなたのところに持ち込まれて、それでは、あなたのところはそういう告発を全部無視するんですか、告発といいますか、丁寧な、親切な話を。何をやっているんだ、一体。  では、もう一回聞きますよ。平成九年に持ち込まれた話はどういう話で、どういうことを言われてきたのか、どういう態度をとったのか、正確に答えてくださいよ。
  105. 村井仁

    村井政務次官 平成九年のことだけでというお話でございますから、それだけで申しますと、当時、大蔵省証券局という組織の時代でございますが、その大蔵省証券局時代に、先ほど申し上げました担当者が、プリンストン債について、コンサルティング会社から照会を受けたことは事実のようでございますけれども、具体性に乏しいものでありまして、私募債販売の適切性について判断を示したことはない、このように私どもとしては承知しているわけであります。  もう少し具体的に申しますと、コンサルタント会社から、プリンストン債について、簡単な資料をもとに照会を受けた。当時の担当者によりますと、私募債販売の条件がどうだとかいうような相談でございましたけれども、資料自体具体性に乏しいものでございまして、一般的な対応にとどまった、このように聞いておるわけでございます。
  106. 河村たかし

    ○河村(た)委員 この資料を見せられたのか、どちらですか、きょうお配りしたこの資料を。これが具体性に乏しいんですか。
  107. 村井仁

    村井政務次官 その当時に持ってきた資料ではありません。
  108. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それは、初めに言われた監察官のことですか。あと、企業財務課、証券業務課ですか、そのときはどうだったんですか。
  109. 村井仁

    村井政務次官 企業財務課、証券業務課、両方の職員が話を聞いている、このように承知しております。
  110. 河村たかし

    ○河村(た)委員 その話の内容には、何度も言いますけれども、この書類、大蔵省と日銀の名前を使ってこういう債券を売っているんだ、そういう話があったんでしょう。
  111. 村井仁

    村井政務次官 そんな話があれば、当然にそれは問題になる話でございまして、そういうようなことがあるはずがございません。そのようなことがないと私は聞いております。
  112. 河村たかし

    ○河村(た)委員 これはやはり大変なことですね。これが本当か、うそか。  ですから、これはぜひ参考人で、大蔵の担当の方ですか、どういう話を聞いたのか、ぜひ聞いていただきたいと思います。  委員長、どうですか。
  113. 金子一義

    金子委員長 理事の方、お集まりください。  速記をとめてください。     〔速記中止〕
  114. 金子一義

    金子委員長 速記をスタートしてください。  それでは、理事会協議とさせていただきます。質疑を続行してください。
  115. 河村たかし

    ○河村(た)委員 それからもう一つ、今のプリンストン債について、警察庁から問題があるのではないかという照会がありませんでしたか。
  116. 村井仁

    村井政務次官 警察からも照会があったと承知しております。
  117. 河村たかし

    ○河村(た)委員 では、詳細な調査をしましたか。いつあったか、ないし詳細な調査をいたしましたか。
  118. 村井仁

    村井政務次官 このプリンストン債の問題が問題になりましてから、警察から今委員お示しのような応接が、委員が一部御朗読になられましたような応接があったのか、このような照会が警察から私どもの方にございました。
  119. 河村たかし

    ○河村(た)委員 平成九年時点ではありませんでしたか。
  120. 村井仁

    村井政務次官 ちょっと、平成九年当時にも警察からそのような照会がございまして、当時の大蔵省の方から、そのような応接はしていないという回答をしているそうでございます。
  121. 河村たかし

    ○河村(た)委員 応接云々と言われますけれども、自分のところの名前を勝手に使われたんですよ、申込書に。今度は、にわかにそのために業務停止命令を出しているんでしょう。そうでしょう。平成九年以降に、もしこれが早くわかっておって、大蔵の方が、これはだめだとはっきりしておれば、銀行一つ破綻したと聞いておりますけれども、事実ですか。平成九年以降、プリンストン債で。
  122. 村井仁

    村井政務次官 信用組合破綻に至ったケースがあることは承知しております。
  123. 河村たかし

    ○河村(た)委員 もし、もしの話はどうかわかりませんが、このときに大蔵省が証券行政、事実がわかったら速やかに話をして、間違った証券取引が行われないようにきちっとしておったら、これは地域信用金庫ですよ、その破綻を防げたんじゃないですか。
  124. 村井仁

    村井政務次官 そのあたりになりますと、どのような動機で、どういう形でその信用組合がお求めになったのか、そのあたりの事情をつまびらかにいたしませんので、何ともお答えいたしかねます。
  125. 河村たかし

    ○河村(た)委員 そんなようなことだったら、私たちは何のために税金払って政府をつくって、皆さんに権限を与えておるんですか。これは下手したら、何か理由があったからそのままにしておいたんじゃないですか。政務次官、これは今度ぜひ委員会参考人を呼んでいただいて、もし真実だったら仕事をおやめになりますか。
  126. 村井仁

    村井政務次官 私どもといたしましては、このクレスベール証券問題につきまして、今までかなりしっかりした検査あるいは調査も行い、私どもとしまして可能な限り適切な処分をしている、このように思っておりますので、今委員御指摘のような仮定といいましょうか、そういう前提でのお話にはならないのだろうと思っております。
  127. 河村たかし

    ○河村(た)委員 ばかなことを言わないでくださいよ。大蔵省という名前を勝手に使われたんですよ。普通だったらどうしますか。物すごい明快な問題ですよ。こんな債券を流通させておったら、本当に証券取引の安全というのは保てるのですか。それを漠とした資料だなんて言って、もしこれがわかったら本当にやめてくださいよ。その後、損をした人の賠償をしてくださいよ。当然じゃないか、証券当局としては。何のために金融監督庁を置いているんだよ。
  128. 村井仁

    村井政務次官 私も、実は大蔵政務次官を過去にやったことがございまして、そのせいでしょうか、何とか資金というたぐいのものがございますけれども、そういうものに関連をいたしまして、私の固有名詞を用いまして、それで実際に全く思い当たりのない文書をいろいろなところにまかれたことがございます。しかも、だれが出したか等々、一切わからないケースでございましたから、私としてはこれは大変不快でございましたから、警察にその話をいたしました。そうしましたら、しばらくしましたら、これはいつの間にか消えましたけれども、そういうようなケース。  このクレスベールのケースというのは、一種の詐欺のようなものでございますから、こういうケースで、私どもに思い当たりのないことをいろいろやっているということ、それを私どもが知らない形でやられているというケースは、これはちょっとどうしようもない話でございまして、ただ、少なくとも本年になりまして、検査、調査を行いましてこのような処分をしたというところをひとつ御理解いただきたいと思います。
  129. 河村たかし

    ○河村(た)委員 どうしようもないのだったら、もうやめてくださいよ、お願いしますから。(発言する者あり)何が言いがかりだ、とんでもないことだ。  どうしようもないのだったら、人はどうやって証券取引の問題点を皆さんに言ったらいいのですか。わざわざ来て、こういう問題点があるのじゃないかと。それも、名前をかたったなんていうのは物すごいシンプルですよ、悪いけれども。村井さんの名前も重要だと思います。しかし、日銀と大蔵の名前をかたったこれほどわかりやすい取引を、その場ですぐさま行動に移せなかったら、こんなの本当に投資家はどうしたらいいのですか。責任ある金監庁の態度と言えるのかね、これは。  とにかく政務次官、すぐ、まず参考人も来ていただきますけれども、もう一回庁内ですぐ調査を進めてください。それで、文書で調査の結果を報告してください。
  130. 村井仁

    村井政務次官 先ほど来申し上げておりますように、平成九年の時点では、非常に漠たる形での照会を受けた、それしか当時の大蔵省の担当者は承知をしていないわけであります。そういう意味では、私、今文書でというお話でございますけれども、これにつきましてはちょっと検討をさせていただきたいと存じます。
  131. 河村たかし

    ○河村(た)委員 まず、日本国民が大蔵へ出向いてこういう問題があるのでないかというのを、漠たるということで、こんな大事な問題を言うことは私まず信じられませんね。それから、きちっと文書で言ってくれればいいじゃないですか。  それから、今言われたように、たまたまこれは詐欺的行為なんでしょう。詐欺的行為というふうに認識できるような取引に、もしそれを漫然として、わかって放置したら、これは詐欺の共犯ですよ。  再度お願いしますけれども、ぜひ次の機会にこの問題ははっきり、金監庁の方で経緯と、どなたがどういう対応をされて、どういうことを質問を受けたかということをきちっと報告してください。  一言もらって終わります。
  132. 村井仁

    村井政務次官 お話は承りましたが、要するに、もう一度申し上げますけれども、平成九年の時点と、それからことしになりまして私どもが事案の重大さを認識した時点と、やはり私どもとしまして、持っているデータなりなんなり随分違うものがあるということを申し上げておきたいと存じます。
  133. 河村たかし

    ○河村(た)委員 全く不親切だと思います。  以上で終わります。
  134. 金子一義

    金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
  135. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  金融機関破綻した際に、まじめな借り手である中小企業を保護することが極めて重要であります。昨年秋の金融国会でも、政府はこの点を強調して、ブリッジバンク法案を出してきた経緯がございます。  そこで、この間の金融機関破綻処理でまじめな借り手保護がきちんと図られているのかどうか、この点について政府をただしたいと思います。  具体的な事例としまして、大阪の不動信用金庫、この問題を取り上げたいと思います。  不動信金は、ことしの四月に破綻を表明し、十一月二十九日に解散、四十七年の歴史に幕を閉じました。そして、大阪府下九つの信用金庫に分割して事業譲渡をされたわけであります。預金保険機構からは資金援助で百億円、不良資産買い取りで百十三億円、合計二百十三億円の公的資金が出されております。  金融再生委員会の森事務局長にお聞きをいたしますが、基本的考え方を確認したい。  再生委員会にお聞きをしましたところ、破綻した信金の借り手保護のため、受け皿金融機関は正常先を引き受けるのが大原則で、それ以外についても、返済計画が妥当なところについてはできるだけ引き受けるようにしているという説明を受けましたけれども、これはこういう認識でよろしいですね。
  136. 森昭治

    ○森政府参考人 そのように認識しております。
  137. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 では、具体的にお聞きをしたい。  不動信金の破綻処理で、整理回収機構RCC送りとなった債権の件数、金額、それを分類債権ごとに示していただきたい。
  138. 森昭治

    ○森政府参考人 お答え申し上げます。  取引先数でございますけれども、不動信用金庫の場合、約二千七百ほどの取引先数がございました。これに対して、譲り受け金融機関に参りましたのが約九割でございます。そして、整理回収機構買い取り対象となりました取引先数は約一割でございます。  金額で申しますと、合計四百八十億ほどの貸出債権がございまして、その約五割強が譲り受け金融機関に参りまして、五割弱が整理回収機構に行ったというふうに聞いております。
  139. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 問題は、RCC送りになったその内容であります。  我々が不動信金の経営陣から聞いたところによりますと、正常先の二十七件、要注意先の約百六十件がRCC送りになったと聞いております。RCCは専ら回収だけをやるわけであって、新規の融資はしないわけですね。RCCに送られた企業は信用を失って資金繰りが断たれる、まさにこれは死活問題であります。  ここに私、不動信用金庫本店営業部が作成しました「融資取引先譲受検討一覧表」というのを持っておりますが、これは七月三十日に作成したものであります。これは、受け皿金融機関が引き受けないと判断した企業、つまりRCC送りにした企業の一覧表であります。  これを見ますと、この中に正常先というのが何件も含まれております。正常先というのは、近畿財務局の清算検査で正常先と判断された借り手であります、融資先として全く問題がない会社です。ところが、この結論を見ますと、譲り受けをしないという判定になっております。その「意見」の欄を見ますと、内容が把握しにくいというような意見が書かれておりまして、結局、譲り受け金融機関の勝手な判断で、これは引き受けませんよという判断をしているわけであります。予定どおり返済しているのにRCC送りになっている会社も多いわけであります。  金融再生委員会は、十月十九日に資金援助の適格性認定を行い、十一月四日に特別資金援助必要性認定をしております。  そこで、越智再生委員長にお聞きしますけれども、なぜこのような内容処理策を承認したのかという点です。  先ほど一番最初にお聞きした基本原則は、正常先は引き受けるのが大原則、それ以外についても、返済計画どおり支払っている、そういう企業についてはできるだけ譲り受けるんだ、こういうふうな御説明がありましたけれども、現実にはそうなっていないんです。正常先が切り捨てられ、予定どおり返済している企業もRCC送りになる。なぜこういう処理策を承認したのか、お伺いしたい。
  140. 越智通雄

    越智国務大臣 まず第一に、正常先かどうかということは、判断の時点がございますものですから、検査をしているときとそういう譲り受けをするときとで事情が変わるものもあり得るわけでございまして、そこはまずお考えおきいただきたいと思います。  それから第二に、私ども再生委員会としましては、受け皿機関等が、監督官庁による検査結果を参考にしながら関係者間で振り分けをしておりますものですから、再生委員会が一本一本振り分けしているわけじゃございません。これは特別公的管理銀行のときだけ再生委員会が一本ずつやりますけれども、そういうわけでございまして、不動信金の場合には、関係者間の振り分けが行われ、それを私どもの方で必要性認定の判断のもとにした、こういうことでございます。
  141. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の答弁は前金融再生委員長の柳沢大臣の答弁と随分違っておりまして、七月九日の参議院金融特で、我が党の小池議員が大阪弘容信組の問題に関連をして質問しましたところ、柳沢前大臣は、「適格性認定の趣旨にその地域経済あるいは地域金融の円滑化ということがあるがゆえに一般資金援助が行われるという趣旨は踏まえるような、そういう指導というか、そういうことは考えられるかと思います。」つまり、借り手保護の観点から、受け皿金融機関の言い分をうのみにするんじゃなくて、その地域の経済あるいはその分野における資金の円滑な需給、利用者の利便に支障がないかどうか、そういうことが適格性認定の要件の一つになっているんだ、そういう観点から妥当なものかについてもチェックする、こういう発言をされているわけであります。  ですから、出てきたものを、当事者がやったんだからということで、ただそのままうのみにするということはよろしくないんじゃないでしょうか。
  142. 越智通雄

    越智国務大臣 私のお答えしたことをちょっと違っておとりになっておられると思います。  判定の主体はあくまでも当事者間でございますが、その当事者が判断するときに、今お話がございましたように、たとえ要注意先と区分されたものでも、救済金融機関が自主的に引き継ごうとお考えになればそれも御判断でございますし、また、地域経済への円滑な資金の供給とかあるいは債務者の保護を考えて、自分たちの方で、では、そういうふうにしますという御判断、そういうことはこちらからも推奨はしておりますけれども、どの債権についてどういう判断をしろということは私どもからは言っておらないという意味で、考え方は言っておりますけれども、それぞれの判断は当事者間で決めている、そういうことを申し上げたわけであります。
  143. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 私が言っているのは、正常先と判断されているようなところもRCC送りにしている、あるいは要注意先、さらには元利をきちっと払っている、そういうところもRCC送りにしちゃうというやり方の問題点を本来チェックすべきじゃないかということを言っておるわけです。  例えば、こういう事例があるんです。ある会社で、一億五千万円借りているけれども協力預金を六千七百万やっておる、延滞はない、それでもRCC送りになってしまった。あるいは、テレビでも放映されておりました親子二代のクリーニング屋さんの場合、ドライクリーニングの機械購入で融資を受けた、現在一千万円の残高があるけれども利息も元金も延滞しておりません、ところがRCC送りになってしまう。また、ある会社は、利息や元金も延滞がない、ことしは利益が上がっている、ところが来年は利益が出る保証がない、こういうことでRCC送りになった。とんでもない話であります。  このようなやり方というのは、金融再生法の体系では考えられません。再生法資産判定基準では、債務が五千万円未満の借り手の場合には、予定どおり元利を返済してさえいれば、たとえ赤字企業であっても、債務超過の企業でもRCC送りにはならない。ところが、現在、信金などに適用されている預金保険法の体系では、そういう会社はRCC送りになる。再生法処理されれば助かる会社は預金保険法処理されれば助からない、こんな差別があっていいのか。  柳沢前大臣は、七月九日の参議院の金融特でこう答弁をされていました。金融再生法系統の場合の資産判定におきましては、五千万円未満の債務者につきましては、これはもうその元利の支払いが行われている限り財務状況のいかんにかかわらず継続受け皿銀行に引き渡すということになってございます、それとの対照で、預金保険法上の今の一般資金援助の対象の場合にはそういう仕組み、対応する仕組みがないということは御指摘のとおりであります、これはもう少し何とか知恵が絞れないものかということで、少しお時間をいただいて検討させていただきたいと思います、こういう答弁をされました。  大分時間がたっておりますので、この検討結果はどうなっているか、越智大臣の答弁を求めたいと思います。
  144. 越智通雄

    越智国務大臣 今二つお話が出ましたが、正常先について、先ほど申し上げましたように、いつの時点かということでございまして、検査のときに正常先であっても検査結果後に延滞が生じた場合など、細かくは、もし御必要ならば森事務局長から、どういうケースがあるか申し上げますが、債務者の状況に変化が生じた貸付債権が入ってくるということを御理解いただきたい。これは先ほど申し上げたとおりであります。  済みません、ちょっと話をもとへ戻しますと、今議論されているのは、預金保険法の適用の問題が議論されているわけで、先生おっしゃるように、再生法のところにはちょっと違う条文があるじゃないか、その条文を預金保険法適格性認定必要性認定のときに使えないのか、こういうお話ですが、それは確かに、ローンをちゃんと払っている場合とかいろいろございますが、そういう一律の判定は、あくまでも民民の受け皿の判定というか、関係者の判定でございますから、私の方ではそれは直ちには適用できない。  なぜならば、再生法の方は再生委員会の判定が入ってまいりますが、預金保険法の方は民間同士の判定でくるわけですから、ある種の指導的なことはできるかもしれませんが、一本ごとについて、柳沢前大臣がお答えになった気持ちが生きるようにというのはわかりますけれども、法体系としては違っておりますし、判定主体が違いますから、そのとおりにやるわけにはいかないということでございます。  なお、もし正常先でそういうふうに分類されたケースについての具体例というか、ケース別のことでしたら、よろしければ森から御答弁させていただきます。
  145. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 再生法上の借り手保護のやり方と預金保険法上の借り手保護のやり方というのはかなりの落差がある、その点は前大臣もお認めになって、これは何とかならないものか、知恵を絞りたいというお答えがあったわけです。ですから、借り手にとっては、たまたま信用金庫から借りた、別な借り手はたまたま銀行から借りた、相手が違うだけで、一方はRCCに送られる、一方は救われる、こういう落差ができるのが問題なんであって、これはぜひ再検討していただきたい。  今回のこの報告書には、預金保険法の単独適用の破綻処理案件が、ことし六月一日以後、一信金五信組あり、今後四信金二十信組で預金保険法の適用を予定しているというふうに書かれております。今のこの不備を早急に直さなければ、不動信金の場合のようなケースが続発するという危険がありますので、ぜひその対応を検討していただきたいという要望をさせていただきます。  では次に、労働者の雇用問題についてお聞きをしたい。  不動信金の破綻処理では、九つの受け皿金融機関が職員の引き受けを一切拒否し、不動信金で働いていた百六十名の労働者が全員解雇される、こういう深刻な事態になっております。事業譲渡契約書では、雇用関係については承継しないものとすると書かれております。非常にこれは問題であります。  再生委員会の見解を聞きたいわけですが、過去の金融機関破綻処理で、譲渡先へ職員の再雇用がゼロだったというケースがあるかどうか、乾監督部長、お答え願いたい。
  146. 乾文男

    ○乾政府参考人 これまでの銀行及び信用金庫破綻処理におきまして、受け皿金融機関破綻金融機関の元職員が全く再雇用されなかったという事例につきましては、私ども承知をしておりません。
  147. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今のお答えのように、全員解雇で全く再雇用されないというケースは今まで一度もないのです。極めて異例な事態が起こっているわけです。  労働省にお聞きをしたいのですけれども、営業譲渡で全員解雇が行われるという場合、それが適切なものであるかどうか、基本的には解雇四要件によって判断されるものと思いますけれども、いかがでしょうか。
  148. 野寺康幸

    ○野寺政府参考人 営業譲渡に先立って解雇が行われたような場合につきまして、その解雇の効力につきましては、先生御指摘のとおり、いわゆる整理解雇の四要件に基づいて判断したという裁判例がございます。  ただ、本件に関しましてどうかという御質問でございますと、大阪の不動信金の場合は、現在係争中でございますので、いわゆる整理解雇四要件が適用されるか否かについては、コメントは控えさせていただきたいと思います。
  149. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 解雇四要件が一般的には適用されるということであります。今回のケースは、解雇を回避するあらゆる努力が尽くされた、四要件の一つにそういう条項があります。そういう努力が尽くされたとはとても言えませんし、また、労働者個人及び労働組合に事前に十分な説明をして了解を求め、解雇の規模、時期、方法などについて労働者側の納得を得る努力が尽くされた、この点でも尽くされたとはとても言えない状況であります。  先ほど地労委で審理中というふうにおっしゃいました。そこで、この審理中の地労委の中で、受け皿となっている九つの信用金庫が準備書面を提出しております。皆さんのお手元に資料として配付されておりますけれども、この中に重大なことが書かれております。「契約書の検討の草案の段階で職員の採用に関する条項が入っていたのは事実であるが、預金保険機構の指導により、徳陽シティー銀行破綻処理スキームにならい本契約が結ばれたものである。」このアンダーラインのところにそのような文言がございます。つまり、当初の契約草案には、雇用を確保する、再雇用の条項があったわけですが、それが削除されて、だれ一人として採用されないという異常な契約になった。その理由は、預金保険機構の指導があったからだ。徳陽シティ銀行破綻処理スキームに倣ったというけれども、徳陽のケースでは再雇用条項が入っており、これは事実と違います。  そこで、預金保険機構松田理事長にお聞きをしたい。あなた方は、全員解雇せよ、こういう指導をやったのですか。
  150. 松田昇

    松田参考人 お答えをいたします。  当預金保険機構は、もともと関係者間で合意されたスキームに従って資金援助を実行するという機関でございます。スキーム中の職員の再雇用問題について関与する立場でもございませんし、関与した事実もございません。  したがいまして、御指摘の「預金保険機構の指導により、徳陽シティー銀行破綻処理スキームにならい本契約が結ばれたものである。」というのは事実と違います。私どもは、十二月の二日に不動信金の労働組合の方々からこの事実を知らされて、初めて知って驚いたところでございます。
  151. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 しかし、実際には預金保険機構の指導ということを理由として全員解雇の契約書が作成され、すべての従業員が解雇され路頭に迷う、こういう事態が生まれております。極めて重大であります。預金保険機構として、一体どのような関与があったのか、事実関係をもう一度きちっと調査をする、どんな事実があったのか、そういう調査をやるべきではありませんか。
  152. 松田昇

    松田参考人 先生御指摘の案件は、当機構にとりましても、裁判所、地労委、すべてにわたる信用毀損にかかわる重大な問題と受けとめております。したがいまして、早急に調査をいたしましたが、先ほど申し上げましたように、もともと関与する立場にございませんし、関与をする事実もありませんでした。  ただ、唯一これに絡む話としては、スキームをつくる段階で、恐らく資金援助の関係で、いろいろなフォーミュラをつくるときに、何か複数の受け皿銀行の事例はありませんかと聞かれて、徳陽シティ銀行のスキームの資金譲渡契約のひな形をお見せしたということはあります。しかし、それは再雇用の条項が先生御指摘のように入っておりますので、それも当たっておりません。したがいまして、この事実は全く当機構にとっては事実無根のことでございます。  したがいまして、この事実を知りましてから、この取りまとめに当たっております府信協とか全信連の大阪支店とか、そういう人たちとコンタクトをとりまして、地労委に対するこれらの文書の撤回、それから我々に対するきちんとした釈明、それから労働組合に対する的確な釈明、説明、これをやるように強く求めているところでございます。
  153. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それは口頭でされたのだと思うのですが、具体的な実態を私はもう少し正確に調べる必要があると思います。地労委の準備書面にこのようなことが書かれたというのは極めて重い意味があります。先ほどありましたように、徳陽シティの事例を示したというわけでありますが、その担当者レベルのところで何らかの示唆を与えるようなことがあったのかなかったのか、これは改めて調査すべきだと思います。  それから、先ほど、問題がないと判断して撤回するように申し入れた、あるいは釈明を求めたというふうに言われました。しかし、これは口頭で済むような問題ではありませんので、事実を正確に調査した上で、文書によって申し入れ、厳正な対応を要求すべきではありませんか。
  154. 松田昇

    松田参考人 ただいまの点でございますが、私どもが申し上げたとおりの事実無根であることを申し上げましたところ、府信協では、現在地労委へ提出いたしました書面について撤回方法などを検討しております。したがって、我々は地労委に対する当事者ではございませんので、きちっとした撤回手続をとるように今見守りながら、督促をしているということでございます。  しかし、それでもなおらちが明かないと申しますか、はっきりしない場合には、文書なり先生御指摘のようなことも含めまして、厳正に対処していきたい、このように思っております。
  155. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 受け皿金融機関、九つの信金でありますが、預金も店舗も優良な顧客も、さらに公的資金も受け入れております。ところが職員は一人も受け入れない。こういうことがまかり通りますと、失業がふえ、また地域経済に重大な影響を与える。今回、職員の雇用を拒否している信用金庫の中には、大阪府信用金庫協会の会長を務めている金庫も含まれております。協会の会長が率先して、一人も再雇用しない、雇用拒否をしているわけです。  金融機関破綻で起きる雇用問題については、金融再生委員会も最大限の役割を発揮すべきだと私は思います。少なくとも、再雇用ゼロというような前代未聞の事態を回避するために、この問題についても、再生委員長として何らかの具体的な対応措置を考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  156. 越智通雄

    越智国務大臣 再生委員会としましては、先ほど来申し上げましたように、法に従いまして、適格性必要性認定を厳正にやっておりまして、今、雇用問題についてお話がございましたが、特段にそのような観点からの法律上の規制は私どもかぶっておりませんものですから、それは現地においてそのようにしかるべく処理されるべきものだと思っております。  再生委員会としては、法に従って厳正にやっております。
  157. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 そういう姿勢は極めて重大であります。かつて阪和銀行破綻の際には、地元自治体や経済界、関係省庁で構成された雇用問題連絡調整会議というのが設置されました。それに大蔵省も参加したわけであります。山一証券の破綻の際には、山一証券雇用問題連絡協議会が設置されて、大蔵省は労働省と連携をとりつつ雇用問題に対応した、そういう事実が過去にあるわけであります。  信用金庫は小さい機関だからこれは関係ない、そういう姿勢でいいのかという問題です。地域経済に重大な影響を与える、雇用も大変だ、借り手も大変だ、そういうときに、いや、我々は一切関係ありません、法に従ってやるだけですということでは、これからたくさんの破綻の可能性がある、対応しなければならないというふうにこの報告書にも書いてあるわけです。そういうことに十分対応できないではありませんか。  私はこの雇用問題について、やはり地域経済の問題を考えて、政府として何らかの対応策をきちっととっていく、そういうことを最後に求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
  158. 越智通雄

    越智国務大臣 繰り返しになるかもしれませんが、預金保険法の目的は、預金者等の保護と信用秩序の維持でございまして、その観点に絞りまして、私どもは精いっぱい努力させていただいております。
  159. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、終わりますが、雇用問題、中小企業問題については、引き続き具体的な事例を示しながら徹底して追及していく決意でありますので、今後ともきちっとした対応をしていただきたい。  以上で終わります。
  160. 金子一義

    金子委員長 次に、岩國哲人君。
  161. 岩國哲人

    岩國委員 民主党を代表いたしまして、大蔵省を中心とする金融行政について質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、日銀の方からもおいでいただいておりますので、日銀に関係いたしますゼロ金利政策についてお伺いしたいと思います。  ゼロ金利政策についていろいろ功罪あることは私もよく承知しておりますけれども、藤原総裁は、日本の中であるいは海外各地で講演していらっしゃいますね。山口副総裁とともに、副総裁それぞれに内外でそうした講演をされることは大変いいことだと私は思っておりますし、私もそれを勉強の材料として使わせていただいております。  この中で、いわゆる低金利政策、超低金利政策、最近はゼロ金利政策と変わってきました。この十年間に、日本の預金者にどの程度の所得移転を起こさせたか。つまり、受け取るべき利子が結果的には銀行の方に壮大な規模でもって所得移転が行われている。よく言えば所得移転、悪く言えば奪い取られた利子のゆえに、家計所得はどれぐらい大きな被害を受けているか。これについて、日本の中で、講演の中でそのことをきちっと説明されたことはおありですか、またその説明の中では、どういうマグニチュードで、国民から奪われた利子があるのか、どのような数字を使われたのか、それをお答えいただけますか。     〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
  162. 藤原作彌

    藤原参考人 お答えいたします。  国民所得統計を使った試算、分析でございますけれども、それで見ますと、確かに金利収入だけをとってみますと、例えば平成二年度から平成九年度までの七年間で、企業部門ではネット約十三兆円増加しております。それに対して、家計部門ではネット約五兆円の金利収入の減少となっております。しかし、家計所得の大部分は、いわゆる雇用者所得であります。雇用者所得は、同じ平成二年度から九年間で五十三兆円の増加となっておりまして、これには低金利による経済活動の下支え効果が波及した面もあると考えております。  このように、低金利は、総体として見ますれば、家計にとってはよい効果をも及ぼしているのではないかというふうに考えております。
  163. 岩國哲人

    岩國委員 私が伺っているのは、雇用者が給料としてもらうものと合算してどうのこうのという議論ではなくて、そうした低金利政策そのものがどれだけの所得移転を起こしたか。  例えば九二年から九七年まで、この六年度の数字を見ますと、十一兆円から約七兆円へと、最近時点では、九七年の数字では、四兆円も年間所得移転が行われている。累計で言えば、これは十何兆円の所得移転がその期間に行われておる。しかも、この九七年というのは、いわゆるゼロ金利政策が本格化する直前までの数字ですから、九八年、九九年とさらにゼロ金利が徹底され、銀行へ行っても給料を払ってもらえない、お金が大量に失業したのはこの二年間であります。とすれば、九八年、九九年を合わせて、推定でどれだけ大きな所得移転が、低金利政策によって、利子所得の上で、家計部門で行われたか、お答えいただけませんか。
  164. 藤原作彌

    藤原参考人 私は先ほど、国民所得統計から試算し分析した数字を申し上げましたけれども、先生御指摘の点につきましては、今手元に計算のもととなる数字がございませんので、原資料に当たりまして、その試算及び分析が可能でしたら、出してから、後で御報告させていただきたいと思います。
  165. 岩國哲人

    岩國委員 藤原総裁にいろいろな期待がかけられております。特に、民間の感覚を日銀の金融政策の中にというのが、あなたが任命されたときの期待であったと私は思います。その期待に十分こたえておられるとは私は思いません。  日銀の統計にないから、なかったら経済企画庁あるいは民間の金融機関、シンクタンク、そういうところから、このゼロ金利政策が一般国民の間に非常に感謝されているのか、あるいは不評なのか、あるいは個人消費にどういう影響を与えているのか、もっともっと民の立場に立った研究をされ、分析をされ、命じられ、それをあなた自身の口で御意見としておっしゃるべきではないかという御意見を申し上げて、次に、経済企画庁に同じようにお伺いいたします。  経済企画庁は、国民の立場に立って、このゼロ金利政策についてどのような分析をしてこられたのか、どのような発表をされたのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  166. 小池百合子

    ○小池政務次官 お答え申し上げます。  ただいまの副総裁に対する御質問と基本的には同じことであろうというふうに思います。  いわゆる低金利政策でございますが、平成三年に公定歩合の引き下げを行って以来、これまで最長を記録しているわけでございますし、また、ゼロ金利政策につきましても、ことしの二月からそれが引き続き行われている。それによって、では一般の家計の収支はどうなのかということで、先ほど副総裁の方からもお話ございました。  私どもも、現時点では、平成九年までの数字しか持っておりませんが、しかしながら、諸般の傾向を考えますと、御承知のように、いわゆる利子所得の推移でございますけれども、マイナスが続いている、それは事実として認めなければならないかと思います。  ただ、この点で経済全体を見るわけにはいきませんで、さまざまな金融危機などに対しての安全ネット、それをいろいろな意味で果たしてきた。ですから、利子所得の推移というその一点だけで見ることはいかがなものかというふうに思っております。(岩國委員「簡潔に数字でお答えいただきたい」と呼ぶ)  数字につきましては、私どもも同じ国民経済計算を使っておりますので、先ほどのお答えと同じになるかと思います。
  167. 岩國哲人

    岩國委員 そうしたセーフティーネットの役割を果たしたんじゃないかという効果がないとは言えません。しかし一方では、こうした利子収入がどんどん減ってきた、激減してきた年金生活者あるいは金利生活者にとっては、心理的に財布を引き締める効果を非常に強くした、必要以上に。その辺の分析も必要じゃありませんか。プラス効果だけを、ゼネコンにあるいは中小企業に、プラスになった、プラスになった、プラスだけの足し算をするんじゃなくて、心理的なマイナス効果がどれだけあったかということの分析も必要だと私は思うんです。  そして、経済企画庁には、国民のためのシンクタンクとして、この平成三年から始まってきょう時点に至るまでの、推定も含めて累計でどれだけの所得移転が行われたか、数字だけを簡潔にお答えいただきたいと思います。     〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
  168. 小池百合子

    ○小池政務次官 こちらで準備させていただいた数字でございますけれども、お尋ねの利子所得の推移のプラスマイナス、そして先ほど申し上げました平成三年の末以降から今手元にあります数字、すなわち平成九年という数字で御容赦いただきたいと思いますけれども、平成四年度から九年度までの六年間で、家計の利子所得の純受取額、その平均につきましては八・八兆円。そして、同じカテゴリーで申し上げますと、それ以前の平成二年度は十二・六兆円、三年度につきましては十二・四兆円ということでございますので、それぞれ四兆円弱減少している計算となります。
  169. 岩國哲人

    岩國委員 平成三年度の十二・四兆円というのは私がいただいた資料にはありませんけれども、その数字の差はともかくとして、私がさっきから何度もお聞きしているのは、低金利政策、超低金利政策、ゼロ金利政策、この三つの形容詞が使われた最近約十年間で、平成二年の十二・八兆円ですか、十三兆円、その辺の水準から比べて、累計でどれだけの所得移転が利子所得の場面で起きたかということを、ことしそれから昨年、この表に入っていないものも含めて、それは推計が当然あるはずですから、経済企画庁というのはいつも二年おくれて仕事をしているというわけじゃないでしょう。経済企画庁というのはいつも前を見て、そして推計も入れながらいろいろな政策に反映させなきゃいかぬわけですから、二年も古い数字を使って政策をやっておられるわけじゃないと思います。  したがって、最近二年間の推計を入れて、合わせて一本の大きな数字を答えていただきたいと思います。
  170. 小池百合子

    ○小池政務次官 御指摘になっていることは、私、すごく敏感にわかっております。  ただ、その中で、今急に累計ということでございますけれども、先ほど、最新の数字は今手元にないということを申し上げましたので、不確定な数字を今ここでお答えするわけにはいきませんので、最大限努力してお伝えしたいと思っております。
  171. 岩國哲人

    岩國委員 不確実であるということは、推計とか推測ですから、当然それぐらいのことはわかって私もお伺いしているわけですから、企画庁の頭の中に、家計に大きな影響を与えているこの低金利政策の影響はどれぐらいなのか、そのマグニチュードの推計さえも頭にないということは、私はこれは問題だと思います。そのことを指摘して次の質問に移らせていただきます。  副総裁、お忙しいようですから、どうぞ御退席いただいて結構です。ありがとうございました。  次は、年金の運用の問題について伺います。  これは以前、上田議員か仙谷議員の方から、年金運用業者の選定基準について、年金福祉事業団の方にそういう文書化された選定基準があるかないかという質問をし、そして答弁としては、文書化されたものはないということでした。その答弁に変化はありませんか。文書化された選定基準はあるんですか。お答えいただきたいと思います。
  172. 森仁美

    ○森参考人 過般の当委員会で、私は、お尋ねに対して、今お話しのような文書化されたものはないというお話を申し上げました。しかし、その考え方もあわせ申し上げたつもりでございます。その考え方は、先般来、文書にいたしまして御提示をしているとおりでございます。  したがいまして、言われる内規でございますとか、あるいは外部に対してそれを明示する何とか基準、こういったものは文書にしたものはございませんが、考え方をまとめたものはごらんのとおりでございます。
  173. 岩國哲人

    岩國委員 その考え方をまとめた文書というのはいつから存在するんですか。
  174. 森仁美

    ○森参考人 この考え方は、当事業団が事業を始めたときから考え方として存在しております。
  175. 岩國哲人

    岩國委員 どうもはっきりしないんですけれども、考え方が文書化されたものはあるんですか、業者選定を始めた段階から。それとも、ずっと存在していなくて、つい最近それがまとめられたんでしょうか。具体的に、何日付、いつ付の文書が存在しておったのか。  そういう業者選定の基準について考え方をまとめられた、まさにそれこそ大事な選定基準じゃありませんか。あったのかなかったのか、その適用を受けてすべての業者が選ばれたのかどうか、明確に答えていただきたい。
  176. 森仁美

    ○森参考人 いつそのような文書が作成されたかというのは、先ほど申し上げましたように、内部の文書として存在をしておりませんので、今確認ができません。しかし、考え方を取りまとめてお出ししたのはつい先日でございます。
  177. 岩國哲人

    岩國委員 私の手元に、日付のないもの、だれがつくったか、いつつくったかわからないものを一枚いただきましたけれども、それはつい最近おまとめになったのか、あるいはそういう考え方でやってこられたけれども文書がなかったということですね、上田議員に対してお答えになったのは。正確に言えば文書は一切存在しなかったというふうに理解させていただきます。  私は、これは問題じゃないかと思うんです。これだけ大規模な、皆さんの財産を預けるならともかく、国民の大切な年金の運用について、どの業者にこれだけの大切な仕事をさせるかということは文書化されてもいない。役所というところはすぐに何でも文書化されるものだという一般通念がありますけれども、それが見事にそこが空洞化しているというのはどういうことなんでしょうか。二年、三年たてば担当はかわっていく、にもかかわらず、同じ選定基準がどうやって担保されたんですか。口伝えですか。あるいは、文書化されていないから、選定基準に外れておったようなことが行われたとしても、だれもその文書に基づいてそれを修正することもできない。  私は、上田議員との質疑を通じて驚きを禁じ得ませんでした。これだけの、何十兆というお金運用について、基準というものが明確にされていない。これこそまさに透明性が最も要求されなければならないところが、透明性どころか文書さえも存在しない。表マニュアルもなければ裏マニュアルもない、あるのはすべて頭マニュアルしかない。こんなことでもって何十兆もお金運用されているんです。  それから、いただいた資料の中に、クレディ・スイスに対する資金の預託も行われています。このクレディ・スイスというのは、たしか最近、日本政府はクレディ・スイス本店を起訴するというような報道が新聞に出ておりましたけれども、クレディ・スイスを訴訟するというアクションは、具体的には金融監督庁ですか、再生委員会ですか、大蔵省ですか。お答えいただけませんか。
  178. 村井仁

    村井政務次官 金融監督庁と承知しております。
  179. 岩國哲人

    岩國委員 金融監督庁が今、村井次官の御答弁のように、正式に一国の政府を代表して訴訟しようというクレディ・スイスに対して運用資産を預託されている。これは、いつ引き揚げられたんですか、引き揚げられつつあるんですか、いまだにアクションはとられていないんですか。お答えいただけませんか。
  180. 村井仁

    村井政務次官 申しわけございません。ちょっと修正をさせていただきます。証券取引等監視委員会の勧告に基づきまして、金融監督庁が告発をいたしている、こういう状況でございます。(岩國委員「告発は既にされたんですね」と呼ぶ)  さようでございます。
  181. 森仁美

    ○森参考人 クレディ・スイス信託銀行に対しましては、私どもも運用委託を行っておりますけれども、資産運用部門が行政処分の対象になっておりません。そのことから、私どもとしては、新規資金の配分はもちろん行っておりませんが、従前に委託をいたしております資金につきましては、社長が交代されたということもこれありますので、新たな運用体制についての事情を聴取し、運用状況を今注視しているところでございます。  もちろん、これ以上に資金を追加して配分するなどということは毛頭考えておりませんし、これまでの預託資産につきまして、私どもの資産運用上、マイナスが生じない時点で適切な対応をとりたいと存じます。
  182. 岩國哲人

    岩國委員 資産運用上、マイナスが生じない範囲内でと、このクレディ・スイスの成績を見たら、一番悪いじゃないですか。市場の一般水準を下回ること一番大きいのがこのクレディ・スイス信託銀行、これはいただいた資料の中ではっきりしております。成績は悪いわ、行いは悪いわ、告発を政府から受けているようなところに依然としてそのお金を預けっ放し、私は、それがけじめがないと言うんです。  私は、クレディ・スイスに恨みつらみがあるわけじゃありません。しかし、国民の大切なお金を預けているんだという意識が皆さんの仕事の中に余りにも薄いんじゃないかと思うんです、この一件を見ても。同じ政府を構成する一機関が告発したということははっきりしているのにもかかわらず、何のアクションもとらない。しかも、このクレディ・スイスに預けられたお金というのは、一番裁量が大きい。五%を超えてでも、株式、いろいろなところに、いわゆる運用における裁量権が一番大きいグループにこのクレディ・スイスはランクされているでしょう、この2の運用機関というのは。しかも、告発を受けてもまだアクションはとられていない。引き揚げるべきじゃありませんか。簡潔にお答えいただきたい。
  183. 森仁美

    ○森参考人 今お話しのように、残念ながら運用リターンの状況は大変悪いものでございます。私ども、引き揚げる方向で検討をいたしているところでございます。
  184. 岩國哲人

    岩國委員 検討を行いながら、いまだに引き揚げができない理由は何ですか。
  185. 森仁美

    ○森参考人 運用をお願いしているものについて引き揚げる、そのリバランスをしていくことになるわけでございますけれども、そのタイミングというのが一つ大変大事なところでございます。そのタイミングを見て速やかに対応するということにしております。
  186. 岩國哲人

    岩國委員 マーケットに与える影響、それはいろいろあると思います。しかし、そういう預けた何千億円という資金をいつ引き揚げるかというタイミングの判断が皆さんにできるぐらいなら、人が運用しなくても自分で運用された方がよっぽどいいじゃないですか。それができないからこそ資金運用を委託されたんでしょう。何千億円のお金を一金融機関から別の金融機関に引き揚げる、その影響というものが的確に判断できるような方であれば、人に運用を頼むことは私はないと思います。明らかに告発を受けている、明らかに成績も悪い、この二つの条件がそろえば、国民に対するけじめとしてきちっとそういうアクションは直ちにとるべきではないかと私は思います。  次の質問に移らせていただきます。  金融監督庁は、今後、こうした巨大化する基金運用、しかも一方では金融再編も行われていきます。いろいろな金融機関にとっては、これは取り合いの、一番おいしい、一番大切な、これで一兆円の資金を預かるのか、あるいは十兆円の資金を預かる、これは市場における支配力に直結する問題です。  金融監督庁の立場から、このような年金の運用業者の選定が、密室で、文書もないままに行われている、これについて、公平でかつ公正な市場を国民のために維持するという重大な責任を持っている金融監督庁としては、どういう関心を払い、どういう注意を今まで払ってきたのか、それについて簡潔にお答えいただきます。
  187. 村井仁

    村井政務次官 年金積立金等の自主運用につきましては、まさに自主的に運用するのでございますから、その運用を委託する年金福祉事業団の自主的な御判断におきまして委託先機関との契約を締結するものでございまして、私ども金融監督当局としては、コメントする立場にない、このように承知しております。
  188. 岩國哲人

    岩國委員 私は、そういう考え方は間違っていると思います。金融監督庁としては、自主的な運用は尊重しなければなりませんけれども、運用する業者がどれだけ扱うかということが、公平な、透明度の高いところで決定されているのではなくて、密室で、基準もよくわからないようなところでもっていろいろな業者の配分が決まっていく。これは、業界における支配権の問題も、また公平公正な市場を維持するという観点からも、選定が公平に、そして透明度の高いやり方でやられているかどうかということについては、もっともっと私は注意を払うべきではないかと思います。  次に、大蔵大臣にお伺いしたいと思います。  デノミの問題について、小渕総理もデノミ推進連盟の一員というふうに伺っておりますが、その点を一つ確認していただくと同時に、今、二千円札ということが計画されていると報道されております。現に総理のお口からもそのような説明もありました。  この二千円札というのは、二年後にデノミが行われると、二十円というふうにまた上の方に印刷をし直さなければならぬ。つまり、この二千円札は、誕生して二歳の誕生日を迎えることなく二十円に転落すると理解してよろしいですか。お願いいたします。
  189. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 デノミネーションにつきましては、私どもの党内でもこれを研究しようというグループが以前からいろいろございましたけれども、最近でもまたそういうことが決められております。小渕さんがそのメンバーでいらっしゃるかどうかは存じませんが、以前は属しておられたというように承知をしております。  しかし、これは基本的な問題の研究から始めてみようということであって、ただいま仰せになりますように、二千円札の発行は多分来年の七月ごろを目途にしておるはずでございますが、それからもう一年たったときに、その二千円というデノミネーション、二十になる、そういうテンポでその名称変更が検討されている、あるいは遂行されるだろうというふうには私は予想しておりません。
  190. 岩國哲人

    岩國委員 新聞報道によりますと、相当な数の自民党の議員の方、私も個人的にはデノミはやるべきだと思っております。デノミをやるべきだと思うからこそ、私はこの二千円札の発行というのは意味がないと思っているのです。  誕生して一年数カ月でもって名称変更が行われてしまう。しかも、役所の中で西暦を使っている国ならともかく、世界の先進国の中でたった一つ西暦を使わないという日本が、西暦を使っている国でさえも二千ドル札も出さない、二千フラン札も出さないのに、なぜ、自分たちが認知していない、否定している年号をわざわざお祝いするような紙幣発行を考えるのですか。私は、コスト云々よりも、まずこの考え方がおかしいと思っています。御意見があればおっしゃっていただきたいと思います。
  191. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 大して意見というほどのものは持っておりませんけれども、我々は我々の平成という年号を持っておると同時に、比較的抵抗なくキリストの西暦も使っております。ミレニアムというようなことにも、別段抵抗なくそれを受け入れているわけでございますから、たまたまそのことが二千円ということと合致をしたということにすぎないのであって、別にそのことについての余り難しい説明はないのだと思います。
  192. 岩國哲人

    岩國委員 よくわからない御答弁ですけれども、二〇〇〇年を記念して日本がこれから西暦を認知するというなら、その方がもっと意味があると私は思います、二千円札よりは。これを契機に西暦を堂々と役所の文書に使う。今、全国の役所の中で、西暦を堂々と議会で認めて、条例で認めて使っているのは出雲市役所だけじゃありませんか。外務省もどこも使っておりません。  出雲市役所は残念ながら二千円札を発行することはできませんけれども、しかし、政府は、世界に先駆けて、西暦を使ってもいない日本がよその国が発行しない二千円というものを出すというのであれば、むしろ年号を西暦に切りかえていく、そのようなことの方がはるかに意味があると私は思います。  時間がなくなりましたので、ここで質問を終了させていただきます。ありがとうございました。      ————◇—————
  193. 金子一義

    金子委員長 この際、御報告いたします。  本日、議長より本委員会に送付されました、議員小沢辰男君外四十三名からの銀行、生保など金融機関の行き過ぎた営業活動による個人債務者契約者の被害に関する予備的調査の要請につきましては、理事会の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、本日、調査局長に対し、予備的調査を命ずることといたしましたので、御報告いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五分散会