○上田(清)
委員 このゼロ
金利政策あるいは低
金利政策というものが、私は何か
銀行だけがもうかる仕組みになっているのではないかなというふうに思いますね。調達コストがほとんどかからない。だから私は、以前、多分四年か五年ぐらい前になると思いますが、三塚
大蔵大臣だったか武村
大蔵大臣だったか忘れてしまいましたが、
日本経済は魔のサイクルに陥っているのじゃないかと。
何を言っているのかといいますと、超低
金利を
システムの中にほうり込んで、超低
金利がゆえに
企業はいわば不動産を
中心として
処理をしなくても済んでしまう。つまり借金状態を維持できる。もし
金利が高ければ早く
処理をしなくてはいけない、したがって土地の流動化も進むわけでありますが、実はしばらく塩漬けにしていてもそんなに経営にこたえない。むしろ塩漬けにしている間に
状況が変わったらそれで
対応すればいいや、そういう仕掛けになってきた。
したがって、土地の流動化が進まないがゆえに
経済もまたこれは動かない。
経済が動かないからまさに
金融危機になり、あるいはまた
金融機関を救うためにさらに低
金利政策を続けなければならない。このマイナスの循環に完全に陥っていくのではないか。だから、これは早く一時的なものにして、固定化してはいけませんよというような議論をした記憶が私はあるのです。どうもこれに陥っているのではないかなというような嫌いが私はしておりまして、そしてまた今のゼロ
金利政策についても、まさにそのわなに入っていくような気がしてならないわけであります。
では、おまえ違う
政策が何かあるのかと言われたら、正直なところ私もそういう確かな
政策があるわけではありませんが、しかし何かちょっと異常な形でビルトインされていくような気がしてならないのですが、
政策委員会の
審議委員会の議事録を見ておりましても、そうした議論も多少ありますし、それぞれこのゼロ
金利政策についてどのような形でいろいろな方々が述べておるかもちょっと確認いたしました。少し申し上げてみます。
例えば、九八年六月十一日に森下松下電器産業社長は、「
金利はある程度ついているのが常識で、現在のようなノー
金利に近い
状況では
企業経営を進めるうえでも支障を来す」。それから太田宏次中部電力社長、九八年六月二十二日、「これだけ
金利が低いと預金も使えず、おカネを使う人は少ない」。
景気浮揚の
一つとして
金利引き上げを提唱されておられます。それから、日経連の根本二郎会長が本年三月三日に、
日銀の
金融緩和強化で無担保コール翌日物
金利がゼロに近づいていることについて、「
金利がゼロでもいいというのはいかがなものか」、こんなことを述べておられます。あるいは、先ごろ
審議委員になられました
田谷当時大和総研の常務
理事は、「ゼロ
金利により
金融調節を通じた
経済活動の誘導は限界に達した。
日銀の
金融政策はすでに、
国債買い切り
オペを経由した量的
緩和に質的に移っている」とかなり踏み込んだ
意見を言っておられます。また、
日本総研の高橋進
調査部長などは、「短期的にデフレ圧力は
緩和された。ただ、家計の利子所得減少などマイナス面もある」。
こんな、それぞれ各界を代表する人たちがゼロ
金利政策について副作用の、副作用という言葉がこの中でも出てきておりますし、
委員会の中でもいろいろな議論があったみたいですが、確かに
金融不安を一気に落ちつかせたという点では間違いなくその
効果はあった、非常に安心感が出たということに関してはいいのですが、これは本当にいつまで続けられるのかという、限定的なものだということも含めてある程度指針を出しておかないと、超低
金利政策が外せなくなったのと同じように極めて
日銀の
金利政策の幅がなくなってしまう、いわば
日銀の手足を縛るものになってしまう、固定化されれば。これも大変なことだなというふうに私は思っておりますので、この点について逆に私に御指導賜りたいと思っております。教えていただきたいと思います。いかがでしょうか、この議論に関して。