○安倍(基)
委員 時間も短いですし、与党の立場ですからあれですけれ
ども、ただ、公的管理のつくり方、これは民主党が中心につくった法案で、我々は反対だったわけでございますけれ
ども、公的管理そのものは、手足を縛って何もできなくしているという状況の公的管理である。つまり、例えば八城さんという人が経営能力があれば、八城さんを引っ張ってきて彼を経営者にしてもいいんですよ、本来は。それを公的管理で手足を縛って何もさせないものだから、だんだんと劣化しちゃう。これはいわば、あのときに即席でつくった議員立法の過ちでもあるんですが、公的管理の場合には、これはどうしても資産が劣化するというか、そうしなくちゃいけないことはないので、これは法案をどう読むかですけれ
ども、少なくとも劣化の防止くらいの管理はできるはずなんですね。これは、要するに
民間に渡さなかったら経営はよくならない、そういう種類のものではないんですよ。これは恐らく民主党あたりがこういう処理をしようと、自分のつくった法案の欠陥でもあるんですから、よくそれは
理解していただきたい。
そこで、私が申しますのは、これからの先を全部見て、そしてこれを一歩踏み出さないかぬと。その面で、本当に私はもう一度よく考えた方がいいと思います。この点について、もう少し部内でも論議していただきたいと思います。せっかく十一月を延ばせるわけですから、十一月にどうしてもやらないかぬ、日債銀も年内にやらないかぬといいますと、またすぐ七兆円すっ飛びますよ。これからまた
金融危機があるかもしれぬ、そういうときに、やはりバッファーを四、五兆円持っていないと臨機の
措置ができません。その面からいくと、住専のころの十倍以上ですよ、このお金は。
これと関連しまして、時間も余りございませんから、ちょっと話題を変えまして、私は今度、この論文の第二に書きましたペイオフは延期すべきだという議論を出しました。と申しますのは、非常に今ペイオフの
関係で、ああするこうするという話がございますけれ
ども、私はかつて、
平成九年ですかの
金融特のときに、今、
平成十年から導入しようとしている早期是正
措置をやると必ず貸し渋りになる、これを延期してくれと強く要望したんです。議事録がございます、出していませんけれ
ども。しかし、それも当時の
担当者は、いやいやもう既に前に決まったものだから延ばすことはできないと。結果的に、
平成十年は貸し渋り
対策で右往左往したわけです、はっきり言いまして。
私は、このペイオフの問題は、簡単に言いますと、来年から資金移動が始まります。これは既に二年制の定期預金はもうなくなっているという話もございますけれ
ども、ある
銀行の支店長に聞きましたら、あるおばさんが四千万くらいおろしていった、どうしたと思ったら、そいつをすっかり保護預かりに持っていったと。そういうのがだんだんと、ペイオフというものが何であるかということがわかり始めると始まるんです。そうすると、弱いと思った
金融機関からどっと流れ出します。そうなると、中小企業に対する貸し付けなんて、
貸付計画が立ちません。一番怖いのはこの資金ショートです。これは、ペイオフがあるよあるよという話になってくるとそれだけで、あの
銀行は弱い、あの信用金庫は弱いと。そうすると、今までよりますます萎縮しちゃうわけです。
私は、これまでの景気
対策を見ますと、財政は一生懸命やっておる、金利もゼロだ、金利がゼロなら本来はもっと
貸し出しがふえなくちゃいけない。ただ、よくエコノミストの中途半端な連中が、リクイディティートラップがあるとか言います。それもあるでしょう。しかし、一番日本に問題なのは、それよりは
金融監督行政がさっき話したようにびしびし締めつけているからです、
金融の健全化健全化といって。ですから、アクセルを財政でこれだけ踏みながら、
金融で大ブレーキをかけている。
この点について、私は、今までの大きな盲点である。国債だけどんどんふえるけれ
ども、
金融がブレーキをかけ続けている。金利は安いですよ。しかし、監督行政がブレーキをかけている。これは野党が悪いので、財政、
金融の分離ということを言い出して
金融監督庁ができた、それはいいですよ。監督庁はやはり監督を厳格にしなくちゃいけないと突っ走るんです。経済に対する影響というのに対して、それに大きく
責任を持つところがなくなってきた。
私は、この財政がアクセルを踏み、
金融監督がブレーキをかけているということについての御見解を、
大蔵大臣と経企庁から政務次官にお聞きしたいと思います。