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1999-11-17 第146回国会 衆議院 大蔵委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十七日(水曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 金子 一義君    理事 衛藤征士郎君 理事 鴨下 一郎君    理事 根本  匠君 理事 渡辺 喜美君    理事 上田 清司君 理事 北橋 健治君    理事 石井 啓一君 理事 鈴木 淑夫君       石原 伸晃君    大石 秀政君       大野 功統君    河井 克行君       桜田 義孝君    塩谷  立君       下村 博文君    砂田 圭佑君       高市 早苗君    西川 公也君       林  幹雄君    宮本 一三君       村井  仁君    村上誠一郎君       渡辺 博道君    岩國 哲人君       岡田 克也君    河村たかし君       末松 義規君    中川 正春君       大口 善徳君    谷口 隆義君       並木 正芳君    若松 謙維君       安倍 基雄君    一川 保夫君       佐々木憲昭君    矢島 恒夫君       横光 克彦君     …………………………………    大蔵大臣         宮澤 喜一君    国務大臣    (金融再生委員会委員長) 越智 通雄君    金融再生政務次官     村井  仁君    総務政務次官       持永 和見君    経済企画政務次官     小池百合子君    大蔵政務次官       大野 功統君    政府参考人    (金融再生委員会事務局長    )            森  昭治君    政府参考人    (金融監督庁監督部長)  乾  文男君    政府参考人    (総務庁行政管理局長)  瀧上 信光君    政府参考人    (経済企画庁国民生活局長    )            金子 孝文君    政府参考人    (法務省刑事局長)    松尾 邦弘君    政府参考人    (大蔵省造幣局東京支局長    )            奥田 宗久君    政府参考人    (中小企業庁長官)    岩田 満泰君    政府参考人    (国民生活金融公庫総裁) 尾崎  護君    政府参考人    (国際協力銀行総裁)   保田  博君    政府参考人    (日本政策投資銀行総裁) 小粥 正巳君    参考人    (日本銀行総裁)     速見  優君    大蔵委員会専門員     田頭 基典君     ————————————— 十一月十七日  消費税の減税に関する請願佐々木憲昭紹介)(第五号)  同(平賀高成紹介)(第六号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一〇七号)  同(瀬古由起子紹介)(第一〇八号)  同(平賀高成紹介)(第一〇九号)  中小自営業者婦人自家労賃税制等に関する請願佐々木憲昭紹介)(第七号)  同(志位和夫紹介)(第八号)  同(寺前巖紹介)(第九号)  同(畑英次郎紹介)(第一〇号)  同(石垣一夫紹介)(第三四号)  同(坂上富男紹介)(第三五号)  同(畠山健治郎紹介)(第三六号)  同(北橋健治紹介)(第六六号)  同(菅原喜重郎紹介)(第七四号)  同(中林よし子紹介)(第七五号)  同(松沢成文紹介)(第九八号)  同(池端清一紹介)(第一五〇号)  酒販免許制度緩和反対に関する請願畠山健治郎紹介)(第三三号)  同(畠山健治郎紹介)(第六七号)  同(山口俊一紹介)(第九九号)  共済年金給付水準維持に関する請願石橋大吉紹介)(第七三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百四十五回国会閣法第一二一号)  国の会計税制及び金融に関する件     午前九時一分開議      ————◇—————
  2. 金子一義

    金子委員長 これより会議を開きます。  第百四十五回国会内閣提出国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。大蔵大臣宮澤喜一君。     —————————————  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま議題となりました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  政府は、国家公務員共済組合法年金につきまして、二十一世紀の活力ある長寿社会を展望して、公的年金制度の信頼を確保する見地から、長期的に給付負担の均衡を確保し、将来世代の負担を過重なものとしないよう、制度全般にわたり抜本的な見直しを行い、公務員制度の一環としての役割等にも配慮しつつ、基本的に厚生年金保険見直しと同様の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。  第一に、国家公務員退職共済年金報酬比例部分につきまして、給付水準の五%適正化を図ることといたしますが、従前の年金額算定方式による年金額を物価スライドした額は保障することとしております。さらに、年金額改定につきましては、その支給を受ける者が六十五歳に到達した後は、物価の変動のみに応じた改定を行うこととしております。  第二に、退職共済年金支給開始年齢につきまして、平成二十五年度から平成三十七年度にかけて、段階的に六十五歳に引き上げることとしております。また、これに伴い、六十歳代前半の者は、退職共済年金支給繰り上げを請求できることとしております。  第三に、共済年金受給権者が他の被用者年金制度へ加入した場合における共済年金支給制限の仕組みを見直すこととしております。  第四に、共済年金に係る掛金の賦課及び年金額算定方式につきまして、月給と期末手当等を同様に取り扱う総報酬制を導入することとしております。  以上のほか、育児休業をしている組合員共済年金に係る掛金及び特別掛金の額に相当する額の事業主負担金を免除すること等の措置を講ずることとしております。  また、年金制度改正以外の改正として、雇用保険における介護休業給付の導入を踏まえ、介護休業手当金を創設することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 金子一義

    金子委員長 これにて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 金子一義

    金子委員長 次に、国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  各件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁速水優君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、お諮りいたします。  各件調査のため、本日、政府参考人として中小企業庁長官岩田満泰君、国民生活金融公庫総裁尾崎護君、国際協力銀行総裁保田博君、日本政策投資銀行総裁小粥正巳君、総務庁行政管理局長瀧信光君、金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁監督部長乾文男君、経済企画庁国民生活局長金子孝文君、法務省刑事局長松尾邦弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  8. 金子一義

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田清司君。
  9. 上田清司

    上田(清)委員 おはようございます。お疲れさまです。参考人また政府参考人皆様方には、貴重な時間ありがとうございます。  早速ですが、国際協力銀行保田総裁お尋ねをいたします。  私どもは、合併法案のときに附帯決議をつけさせていただきまして、大臣におかれましても、その旨について十分趣旨理解した上で実現していきたい、こういう発言がございました。その中で二番目に、まだ配付されていないかもしれませんが、資料の一でありますが、  国際協力銀行組織及び業務については、統合の実をあげるため、積極的な人材育成内部登用促進を図り、併せて民間からの有能な人材登用等を通じて、経済協力に関する役職員の専門的な知見とノウハウが組織及び業務の運営に充分反映される人員配置とし、もって業務の一層の活性化を図ること。 こういう附帯決議を出しておりまして、要するに内部人材登用を図れということであったのですが、日本輸出入銀行の方におられましたプロパーの副総裁がいつの間にか消えておる。総裁、副総裁が全部天下り人事になっているではないか。これは、どういう考え方でこういうふうになってしまったのか、大変不愉快であるということを申し上げて、御答弁いただきたいと思います。
  10. 保田博

    保田政府参考人 お答えをいたします。  ことしの春、国会におきまして、私ども国際協力銀行法案を御審議いただきました際に、先生指摘のとおり、積極的な人材育成内部登用促進を図るべしという趣旨附帯決議をちょうだいいたしましたことは、私も重々よく承知をいたしております。この課題につきましては、私はかねてから大変意を用いてまいったつもりでございます。  御承知おきのように、旧輸出入銀行時代には、他の諸機関に先駆けましてプロパーの副総裁を起用いたしましたことは、先生も御承知おきのことかと存じます。ところで、先般の国際協力銀行発足に伴います人事におきましても、この附帯決議趣旨を尊重しながら適材適所人事配置を行ったつもりでございます。  ただ、副総裁人事に限定をしてみますと、先生指摘のようなことになっておりますけれども役員全体の人事について御理解を得たいというわけでございます。と申しますのは、旧輸銀、基金合わせて十五人おりました役員は、統合後十二人に、三人の減員をすることになりました。その枠内での役員人事を行うに際しまして、私は、この附帯決議趣旨を尊重するつもりで旧輸銀及び旧基金プロパー役員については減員をいたしませんで、三人の減員はすべて関係省庁OBからの役員起用を、三人減をするということによってこれを行ったわけでございまして、今回の人事附帯決議との関係につきましては、副総裁人事に限定しないで、役員全体の人事で御理解をお願いできないものかと考えております。  もちろん、今後の国際協力銀行人事に当たりまして、附帯決議趣旨を最大限尊重してまいりたいと考えております。
  11. 上田清司

    上田(清)委員 中身についてはまた改めてこの委員会以外のところで詳しく御説明いただきたいと思いますが、人事というのは、総裁、副総裁に基本的には象徴されていきます。天下りのいわば巣窟として特殊法人が位置づけられるのではなくて、広く内外から人材を集めて活性化していくというところに国民の期待があるものだということをあえて強く申し上げまして、終わりますので、どうぞ、お時間が大事だと思いますので、お引き取りいただいて結構でございます。  続きまして、日本政策投資銀行総裁にお伺いします。  先日も少し申し上げましたが、破綻した北東公庫総裁を副総裁に採用するとは何事かということを申し上げまして、考え方が変わっておられれば非常にいいことだと思いますが、変わっていなければ、別にそのことについて言われなくても結構です。  それで、お聞きしたいのは、理事の中で、こういうお話を私はたまたま聞いたのですが、人事経理総務担当理事プロパーから絶対出さない、そういう不文律があるようなことも聞いたのですが、そういうことはないでしょうか。
  12. 小粥正巳

    ○小粥政府参考人 お答えを申し上げます。  日本政策投資銀行役員の各部署の所管の問題についてのお尋ねでございますけれども日本政策投資銀行役員につきましては、それぞれの部につきまして、役員管掌それから管掌代理ないし副管掌、こういうことで、二人の理事の組み合わせでそれぞれの部を所管をしてもらっております。その点につきまして、適材適所、総合的にそういう判断で行っているということは申すまでもございません。  さて、具体的に、総務人事経理、こういうことでございますけれども、まず人事部につきましては、先ほど、各部には理事所管を設けていると申し上げましたが、この人事部につきましては、私ども人事という特殊な分野でございますので、これは総裁直属ということにしておりまして、管掌を置いておりません。ただし、実際の人事に当たりましては、内部出身者役員と密接な協議をした上で、総裁である私が処理をしております。  それから次に、総務部でございますけれども、これにつきましては、主管掌と申しますか、主たる管掌大蔵省出身者役員を充てております。あわせて申し上げれば、副管掌管掌代理の方は、これは内部役員に委嘱をしております。  それから経理でございますが、私ども財務部と言っておりますけれども、これにつきましては内部出身者役員管掌となっております。  それから、当然、日本政策投資銀行は先月発足したばかりでございますから、念のために、統合前の旧開銀、旧北東公庫について申し上げますと、まず内部出身者役員が、今お尋ね総務部人事部経理部のいずれも管掌していない、そういう事実はございません。  最近五年間の例で申し上げますと、旧開銀につきましては、人事部は、先ほど申し上げました管掌を置かず、ただし総裁内部出身役員と相談をしながら行っているというのはそのままでございます。それから総務部は、主たる管掌大蔵省出身役員経理部につきましては内部出身役員ということで、事実上の慣行ができておりました。  あわせて北東公庫につきましては、人事総務経理、これらの部門の管掌はいずれも内部出身者役員となっておりました。  以上でございます。
  13. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございました。  そういう各省庁からの配置による人事じゃなくて、新しい銀行になりましたので、非常に活性化するような、そういう人事体系をつくっていただきたいということをあえて申し上げます。そういうふうな傾向になっているということを聞きましたので、とりあえず安心いたしました。  総裁、お忙しいところありがとうございました。  それでは、尾崎総裁国民生活金融公庫ではどうでしょうか。今の人事総務経理については。
  14. 尾崎護

    尾崎政府参考人 お答え申し上げます。  国民生活金融公庫の場合でございますが、人事関係安部総裁、副総裁の一人であります安部彪総裁所管としておりますが、事実上はプロパーであります山本理事担当しております。  それから、私ども実は常勤理事が四人しかおりませんので、総務経理を分けるというようなことができません。一人の理事が両方兼ねているわけで……(上田(清)委員国金時代は」と呼ぶ)国金時代もそうでございます。国金時代常勤五人でございましたが、そのときも総務経理は同じでございまして、従来、大蔵省出身の者が担当しておりました。現在は通産省からおいでになっております石丸理事担当をいたしております。  そういう状況でございますが、今後、適材適所で考えていきたいと思います。
  15. 上田清司

    上田(清)委員 どうもありがとうございます。  配置の件についてはよくわかりました。  それで、今回新しく理事西村銀行局長を任用されておりますが、これは私にとりまして腑に落ちない。なぜ国民生活金融公庫理事としてお招きをいただいたのか。住専問題のときのモラルハザードの張本人。それから、私が知る限りにおいては、以前にも取り扱ったことがありますが、幸福銀行示達書がありますが、明らかに当時において、記述においても「多額の欠損見込額の発生により自己資本は大きく毀損されており、正味自己資本額はマイナス三百八十二億」、そういう事実上の破綻状態にあるということを大蔵省が確認しながらも何ら是正もしていない、そういう幸福銀行報告書があるわけですけれども、このときも西村銀行局長の名前できちっと出ております。そういう人をなぜ理事なんかに任用するのか。国会委員会で明らかにしたじゃないですか、この部分に関しては、このときは西村銀行局長だということを。そんなことも知らないでうっかり理事に任用されたのか。これは即解任しなければならないと私は思っておりますが、いかがでしょうか。
  16. 尾崎護

    尾崎政府参考人 今回の統合におきまして、国民生活金融公庫非常勤理事が置かれることになりました。これは従来なかったことでございまして、私は、一体どういう仕事を担当してもらったらいいのか考えたのでございますが、私ども情報システム部というのがございまして、これは今後二十一世紀を控えて非常に重要なシステムの問題でございます。当面、二〇〇〇年問題などを控えているわけでございますが、それより長期的な見方というものが非常に大切であると考えたわけでございます。  西村理事は、御承知のとおり、役人生活を終えた後、アメリカスタンフォード大学研究生活を送りまして、現在、早稲田大学で教鞭をとっておられるわけでございますが、公務員であった時代金融行政についての経験アメリカに行かれての、やはり金融問題に絡んだもろもろの研究、それから現在の学究としての生活、そういう広い見地から国民生活金融公庫システムについて考えていただきたい、こう考えたわけであります。  確かに、西村理事銀行局長時代、非常にいろいろな金融問題が起きまして、国会でいろいろな御質問を受け御批判もいただいたということは私も承知しておりますし、本人もそれは認めております。私は、実はそういう場においていろいろ苦労したという経験、それがある意味では非常に貴重なものではないかというように思ったわけでございます。成功した方もよろしいのですが、そういう失敗経験というのもこれまた大切なものであるというように思いまして、大蔵省の方にお願いいたしまして、非常勤理事として西村理事国民生活金融公庫情報システムの問題を考えてもらいたい、そのように思ったわけでございます。
  17. 上田清司

    上田(清)委員 たくさん失敗をした方を苦労されたというようなことを言うんだったら、たくさん失敗した人たちはどんどんいろいろなところで採用されるということになってしまいます。私は、海軍大将井上正美さんが一切戦後表に出なかった、やはり戦争責任のことをきちっと自覚された、そういう生き方にむしろ共鳴する人間でございます。  そういう意味において、やはり信賞必罰、過去においてさまざまな重大な過失を犯した方に対して、どうしてそういう形で採用されるのか。先ほどの日本政策投資銀行、濱本当時の北東公庫総裁、人物、見識は立派な方です。多分、西村銀行局長も立派な方でしょう。しかし、現実に失敗を犯された人たちがそういう形で採用されるということは、責任をとらなかったという、そういう見方しか国民にとっては見えません。  民間において銀行経営失敗すれば、当然責任を問われ、場合によっては刑罰すらも起こり得る。そういうにもかかわらず、何ら責任をとることなく、辞職した後さらに、場合によってはそうした特殊法人理事や副総裁に迎えられる。これは大変国民をばかにした話だと私は率直に思います。この点については意見が食い違っておりますが、こういう意見国民を代表する国会議員の立場の中で私は強く申し上げておりますから、国民はそういう感覚だということをぜひ総裁には理解していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、国民金融公庫貸し付け等について、貸し渋り問題あるいは商工ローン問題とどのような関連があるかということについて、少し仮定のいろいろな計算をしてみました。総裁も、昨年の十一月の「実業界」という雑誌のインタビューに答えられて、貸し渋りが熾烈な今こそ国金出番駆け込み寺として思い切り頼りにしていただきたい、このような趣旨インタビューに答えて述べておられます。大変、その言やよし、まさに国金出番だ、私もそう思っております。  そこで気になるところでは、それでは昨年度あるいはことしの半期、一昨年あるいはその前の年に比べて、国民金融公庫貸付額がふえてきたのかどうか、そんなことを気にしまして、資料を取り寄せましたところのものが二の資料でございます。表の下の方でありますが、「国民金融公庫貸付実績及び貸付計画」という形で出ております、九二年度から九九年度。九二年度や九三年度はほぼ満額に近い形で出ております。九四年、九五年、進捗率からいけば相当進んでいるところでございますが、実は九六年度もほぼ満額に近いぐらい計画どおり貸付実績が上がっております。  ところが、いわゆる貸し渋りが始まった時期から、国金そのものも貸し渋りが始まっているんではないか、こういう統計がたまたま私には目に見えました。そして、たまたま九八年度の貸付実績貸付計画の差額七千億が、ちょうど商工ファンドと日栄の貸付額を足し算するとぴったり合うという、余り喜ばしくない符合が、一致するだけでも不愉快になるようなことでございますけれども、このように見ると、必ずしも国金駆け込み寺として機能を果たしているのかどうか、このことについて私は疑問を持っております。  ただ、一方においては総裁は、駆け込み寺でいかなくちゃいけないということでありますが、債務超過状態にある事業者融資の申し込みに来られる、国金といえども金融機関でありますから、いろいろ財投であり国民の財産ですからということで、適正な審査を行って、無節操な融資は慎まなければなりません、まさに無節操な融資はいけないと。しかし、一方では、国民金融公庫不良債権比率は三%程度でございまして、ある一面、非常に立派な融資をされておりますが、いわば災害にも似た今日の大不況時代に、余りにも立派な融資がいいものかどうかということについて疑問を持ちます。  そして、九七年、九八年、あるいはまた九九年は、この状態でいけばさらに貸付計画貸付実績の乖離が開く。一体全体、この計画実績はどのようにして判断されておられるのか、このことも含めて、国金において貸し渋りがないのか、改めてお伺いしたいと思いますが、総裁、いかがでしょうか。
  18. 尾崎護

    尾崎政府参考人 お示しの資料をごらんいただきますと、九九年度はまだ年度途中でございますので、九八年度とそれから九六年度の数字をごらんいただきたいのでございますけれども、そこで大体六千億ぐらいの貸し出しの増となっていることがおわかりいただけるかと思います。九七年度の途中から貸し渋り対策が始まりました。ただいま委員からもお話のございましたように、いわば最後の駆け込み寺となるようにしっかり貸し出しをしてほしいということで、総理、大蔵大臣通産大臣等からじきじきの御指示も受けました。そのように努力してまいったつもりでございます。  全体として、中小企業金融が伸びない中で、国民金融公庫貸出残高もふやしておりますし、貸し渋り対策前と比べますと六千億も貸し出しをふやしているという実績になっているわけでございます。  なお、九六年度でございますが、この年は枠をほとんど使い切っているではないかという御指摘でございましたけれども、この年は実は補正で枠の減額をしているわけでございます。四千五百億円ほど減額いたしました結果がここに出ております三兆三千三百五十五ということでございまして、実勢に合わせて減額をしたものでございます。  九七年度からの補正の追加から、いわば一種のセーフティーネットと申しますか、枠を気にしないで貸せという政府の御意思だと思いますが、たっぷりと貸付枠をいただくようになりました。九六と九七をごらんいただきますと実に一兆一千、枠がふえているわけでございます。そのような懐の深い政府の構えに応ずべく我々は努力してきたわけでございますが、結果として、そこまでなかなか達しなかった。ただし、九六年度、貸し渋り対策前と比べますと六千億ほど伸ばしている。そういう点を御理解いただけたらと思います。  貸し方が、少し審査がきついのではないかという御指摘でございましたが、これも、できるだけお申し込みのあった企業の長所を見つけて何とか貸し出そうということをしておりまして、実は、現在私どもが貸しております企業の四〇%が赤字でございます。四分の一が自己資本マイナスになっている企業でございます。そういうところでも、何とか努力をして長所を見つけて貸していこう、乱脈な貸し出しになってはいけませんが、そういうような努力をした結果がこの貸出実績ということでございます。どうか御理解をいただきたいと存じます。
  19. 上田清司

    上田(清)委員 必ずしも歯切れがいい感じがいたしませんが、中小企業金融公庫の貸付実績及び貸付規模においても同様の傾向が見られる。政府が大方針として、いわばセーフティーネットとして政府金融機関の力を発揮しろ、そういう意味合いからして、相当気合いを入れた方針について私どもも大いに賛成するところであったのですが、実際の貸付額がそうではない。  一方において、番号を打っておりませんが、「国民金融公庫普通貸付の資金計画と同実績」、これは使い残しのパーセンテージ、そういう部分を出した数字でありますが、使い残しというよりも実績のパーセンテージを出したものです。  その下に、ちょっと左の方が切れて恐縮なんですが、これは、いわゆる開銀北東公庫の法改正に基づいた新しい融資実績であります。平成十年十二月から平成十一年九月までの実績開銀等においては、どちらかというと開発プロジェクト資金を拠出するということであったのですが、あえて、こういう特別な事情の中で運転資金も出す、あるいは社債償還資金も出すという形で出ておりますが、これは非常に順調で、三百七十五件で六千八百四十八億と、極めて短期間に多額の金が出ております。  それと比べて、中小零細を相手にする国民金融公庫貸付実績、あるいは中小企業公庫の貸付実績、このことについて、余りにも乖離というか落差があるのではないかというふうに私は思っております。  中小企業庁の岩田長官にお伺いしますが、中小企業金融公庫の貸し付けにおいて、貸し渋りというような実態は本当にないのか。こういう大変厳しい時代において、決して甘くしろとかということではなくて、スピーディーに、なおかつ公正な形で資金の供給が出ているかどうか、改めてお伺いしたいと思いますが、どうでしょうか。
  20. 岩田満泰

    岩田政府参考人 中小企業金融公庫の貸付計画貸付実績関係でございます。  ただいま国民生活金融公庫総裁からお話がございましたように、中小企業の資金ニーズと申しますのは、景気動向によりまして相当大きく増減をするという経験がございます。そのために、かなり余裕を持って計画は立てられておるというのが実態でございまして、その意味で、計画の達成がされていないということが直ちに、資金のニーズにこたえていないということにはならないというふうには考えておるわけでございます。  昨年から本年にかけまして、民間金融機関の中小企業向けの貸出残高が減少の一途をたどる中で、中小企業金融公庫の貸出残高は着実に増加をいたしておりまして、中小企業向け融資全体に占めるシェアも増加をしているところでございます。  私どもといたしましては、引き続き中小企業を取り巻く金融環境が大変厳しいという状況でございますので、資金繰りに苦しむ中小企業者の立場に立った親身な対応ということで中小企業金融公庫にもお願いをいたしておるところでございます。
  21. 上田清司

    上田(清)委員 例えば九七年度から九八年度に、貸し付けの予算では二千億ふやしておりますけれども、現実の貸付実績は九八年度の方が九七年度よりも少なくなっている。借り手が少なくなったわけではないと私は思っておりますが、あるいは企業が、先ほども尾崎総裁が言われましたように——尾崎総裁、申しわけありません。申し上げるのを忘れておりました。公務多端だと思いますので、質問はこの後ありませんので、どうぞ、お引き取りいただいて結構でございます。  それで、実際に減額になっている。九八年度の貸付実績の方が九七年度よりも少ない。しかも九九年度上半期で、このペースでいけばもっと少なくなるような嫌いだってある。私はこの辺を思って、どうも企業がマイナス状態、先ほど総裁も言われましたけれども、ほとんどの企業が自己資本がマイナスになってきておりまして、四〇%を切れる業種がたくさんあります。  これも資料で提出しようかなと思ったのですが、余り資料が多くなって恐縮だったのであえて避けましたけれども、こういうことを考えると、そういう帳簿を見て貸す相手が少なくなってきているのか、それとも、そういうことで貸せなくなってきているのか、大変心配しておりまして、世の中全体がマイナスであれば、そこをあえて貸してもいいのじゃないかというような考え方もあるのではないかと私は思います。  この点については、長官というよりは、せっかくお出ましいただきました小池政務次官に、公庫の中小企業の貸付額が現実に減ってきているということについてどのような考え方を持たれるのか、あえてお出ましいただいて何もなくて帰られるのは気の毒ですので、どうぞ御答弁をお願いします。
  22. 小池百合子

    ○小池政務次官 通告がなかったということをここで居直ってもしようがないわけでございまして、お答えをさせていただきます。  ただいま中小企業向けの事業用資金、中小公庫からは減っているという御指摘ございましたけれども、データによりますと、九八年三月末が七兆一千億でございます。その後七兆二千億、七兆四千億と、これは半期ごと、六カ月ごとでございますが、九九年六月が最新の数字だと思いますが、七兆四千六百億ということで、今御指摘ありました、減っているのではないかということではなくて、むしろ増加をしているということを申し上げておきます。
  23. 上田清司

    上田(清)委員 私は公庫のことについて聞いているのですけれども岩田長官、公庫の貸付額、これはあなたのところからいただいたのだけれども、これが間違っているというのですか。
  24. 岩田満泰

    岩田政府参考人 ただいま小池政務次官からお答えいただきました数字は、残高ベースで見ております。中小企業者にいかに資金が流れているかというのは、基本的には残高で見るのが適当かと思います。  先生からいただきました数字、これは私どもから御提出をさせていただいた数字でございますが、フローの数字でございます。各年に貸し出しをした金額が幾らであるかということでございまして、その間の数字の違いということでございます。
  25. 上田清司

    上田(清)委員 公庫としての貸付額についての議論をしたのであって、中小企業者全体の話をしているわけじゃないわけで、議論にはきちっと答えてもらわないと困りますよ。今、予算と実績の話をしているのだから、そのことについての話をしているのであって、それ以外の話をされても困るんですよ、正確に答えてもらわないと。実際はそうだということは後で言う話であって、この問題についてはどうなんだということを聞いているんですよ。この問題についてきちっと答えてください。
  26. 岩田満泰

    岩田政府参考人 ただいま申しました、先生の御指摘の、中小企業金融公庫の貸し付け、九七年度のフローとしての数字が一兆八千四百九十二億、九八年度が一兆八千百四十八億であることは事実でございますが、全体として、中小企業者に中小企業金融公庫から貸し付けとして一体どのように御活用いただいているかという実態が、一方において重要な数値でございまして、先ほど小池政務次官の方から、残高の数字として、残高は着実に増加をしているという御説明をさせていただいたわけでございます。
  27. 上田清司

    上田(清)委員 まだ趣旨がわかっていない。こんなところで時間を使いたくないんですけれども、この貸付実績と予算額との乖離ということについてどういう説明をされるのかと聞いているんですよ。
  28. 岩田満泰

    岩田政府参考人 先ほども申し上げたとおりでございますが、財投計画が組まれますときに、これまでの中小企業の資金需要の変動の大きさというものを考慮に入れまして、計画段階におきましては相当余裕のある計画を立ててございます。したがいまして、これは国民生活金融公庫にも該当することでございますけれども、先ほど御説明もあったわけでございますが、その意味で、結果として余裕のある計画が達成されていない形になっているということでございます。
  29. 上田清司

    上田(清)委員 まさに官僚答弁というんですよ、そういうのを。そうじゃないんですよ。本当に、話してもしようがない、こんなところで時間をとって。まだちょっと場外でやり合いましょう、バトルを。腹が立ってきた。長官、大丈夫ですよ、もう答えなくても。でも、やはり議論は聞いておいてください。  それで、商工ローンの問題に移ります。  そこに内部資料が出ております。四の一という資料であります。これは平成九年の十月三十日、年末の大作戦ということで、社長と営業統括本部長の名前で、各支店長、社員各位ということであてた内部文書であります。  これはどういうことを言っておるかといいますと、要するに、「銀行が中小企業融資を徹底的に締め出している今こそ、顧客の新規獲得の絶好のチャンスである。」と。銀行の貸し渋りが顧客の新規獲得の絶好のチャンスであるというような認識をしています。何よりも、「三〇〇件リスト先の反復訪問を徹底して刈り取りの実をあげよ」と、もう人間扱いしておりません。「特に年末の資金需要期を迎えて、全営業社員は今こそ三〇〇件リスト先の反復訪問を粘り強く繰り返して、年末迄に訪問先からの大量の刈り取りを行っていただき度い。」こういう文書が出ております。  そこで気になるところは、この三百件のリストであります。これと関連する資料が四の二でございます。わかりやすいように矢印で、下の行のあたりでありますが、三番目の「コスモス・コンパスの新規見込客に対する「冬期特別融資」」というのがございます。このコスモス・コンパスという名前が何であるかは判明しておりません。私は推定はしておりますけれども、これはいわゆる調査会社であります。  調査会社から、あすにでも倒れそうな企業の紹介を受けて、この日栄という企業は、こういう文書を出して、顧客リストをしっかりそういう調査会社から集めて、そして、もう倒れることはわかっておりながら、あえてそういうところに貸し付けて、金利をしっかり取って、元本を取り上げた後に倒して、保証人からまたまたその元本を取り上げる。そういう仕組みを明確に、このことを明らかにした文書が、実はこの四の一であり四の二であるというふうに私は理解しております。  そこで、先般にも私は申し上げました。時間がありませんけれども、先般も資料を提出しましたように、貸金業ではなくて、これは保証人回収業であるというような位置づけを私はしておりました。  金融担当大臣にお伺いいたしますが、もう随分内部文書等々が集まったと思います。これは早く結論を出さなくちゃいけない。処罰の対象なのか、そうでないのか、そういう意味を含めて、ぜひ早く結論を出していただきたい。こういう内部文書を先般も渡しました。明らかに利ざやをもって稼ぐ業ではない。もうつぶれることがわかっている業態の人たちを集めて、そして反復訪問しながら貸し付けていく。これは明らかに犯罪ですよ。社会的犯罪です。私はそういう認識をしておりますが、長官においてはいかがでしょうか。
  30. 村井仁

    村井政務次官 ただいまの上田先生からお示しいただきました資料、これは今初めて見させていただいたものでもございますので、これにつきましてのコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。  ただ、一般論として申し上げますと、貸金業規制法違反の疑いがあると認められる場合には、私どもとしましては、きちんと説明、報告を求めるなどによりまして事実関係を調べ、事実が確認された場合には厳正にこれに対処する、こういう姿勢でございますことを、これも幾度か申し上げていることでございますが、改めてこの場で申し上げておきます。
  31. 上田清司

    上田(清)委員 大変時間がなくなりました。  日銀総裁には、少しインフレ論が最近出てきておりますので、その辺についてお伺いしたいと思っておりましたが、ちょっと時間がなくなりました。大変御無礼をして、多分、五分だとか三分でお話ができる範囲じゃないと思いますので、大変申しわけないことを、この席をおかりしておわびいたしたいと思います。  それで、幾つか、ちょっと時間をはしょりますが、私どもの方では、出資法改正に続いて、貸金業規制法の改正案を出しております。お手元に出していると思いますが、与党・政府の方でも内々に準備が始まったというふうに聞いておりますが、これについても、ぜひこの委員会で出資法と同時に審議をさせていただきたいということを委員長に要請したいと思いますが、いかがでしょうか。
  32. 金子一義

    金子委員長 この委員会で改めて議論していただくように、理事会でお諮りさせていただきたいと思います。
  33. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございます。  もう一つはしょりますが、リップルウッドに対する、長銀譲渡の第一候補という形での位置づけができておりますが、これも極めて重大な問題でありますから、この委員会で集中審議をこの問題について求めたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
  34. 金子一義

    金子委員長 リップルウッドの集中審議ですか。(上田(清)委員「はい、そうです」と呼ぶ)  これもやはり理事会協議でお諮りさせてください。
  35. 上田清司

    上田(清)委員 はい。  最後に、越智大臣、五金融機関からの大臣に対する融資の問題でちょっとお伺いをしたのですが、これは返済計画を含めたちゃんとした契約でございましょうか。先般、正常な取引であるというようなことを抽象的に伺いましたけれども、きちっとした返済計画があった取引だったのか、そのことだけ、お伺いしたいと思います。
  36. 越智通雄

    ○越智国務大臣 三週間ほど前にこの場でお答えいたしましたように、五つの金融機関から、手形の格好が主でございますが、証書貸し付けを含めまして、十二の形態でお借りいたしておりますものですから、その中には、三月で百万円返すとか、一月に何十万円返すとか、そういう計算でございますので、十二月三十一日現在で皆国会議員が報告いたしておりますあの金額も、端数と言ったらおかしいですけれども、整数でない状態になっているのは、そのためでございます。
  37. 上田清司

    上田(清)委員 ありがとうございました。  時間が来たようでございます。日銀総裁にはせっかくお時間をとっていただきながら、このような結果になったことを本当に申しわけなく思っております。また日銀の報告のときに八時間ぐらい時間があるかもしれませんので、そのときに、今問題になっておりますいわゆる調整インフレ論あるいはインフレターゲット論等々について御質疑をさせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  38. 金子一義

    金子委員長 次に、北橋健治君。
  39. 北橋健治

    北橋委員 民主党の北橋健治でございます。  最初に、私は、民主党はもとより、この大蔵委員会におきまして毎年のように附帯決議が付されております国税職員並びに税関職員の定員増並びに処遇改善につきまして、毎年の総務庁を初めとする関係官庁の査定を見ますと、我々の附帯決議というものをどの程度政府は本気に受けとめていただいているのか、大変疑問であります。そういった意味におきましては、きょう御参加の党派を超えた皆様方も同じようなお気持ちがあるのではないか。この委員会附帯決議の重さというものを感じますときに、今ちょうど総務庁におきましてこの関係者の査定がいよいよ大詰めの段階に入ろうとしていると聞いておりますだけに、ぜひこの機会に質問させていただきたいと思います。  大蔵大臣に、ぜひともまず、要求官庁の責任者として不退転の決意で要求してもらわなければ困るということを申し上げて、決意をお伺いしたかったわけでございますが、参議院本会議のために、今公務のために立たれましたので、大蔵総括政務次官の方から、まず要求官庁としての決意をお伺いしておきたいと思うのであります。  といいますのは、大蔵省は主計局、主税局におきまして全省庁からのさまざまな膨大な要求を査定する立場にあります。したがいまして、これは私もいろいろなところで聞くのですし、また私も察しておるのですけれども、やはり身内に対して大変厳しいというところを貫かなくてはいけない。私は、それが適正な配慮を超えて、余りにも身内に対して厳し過ぎる配慮をしているのではないかという気もするのです。  しかし、例えば国税につきましても、滞納者が大変ふえている。三兆円以上の税がまだ徴収できていないとか、実徴率が物すごく下がってきている。あるいは税関につきましても、麻薬だとか、社会を根底から覆すような大変な量がふえてきて、少ない人数で必死に税関職員が水際でとめているわけなんですけれども、これは限度があるのではないだろうか。  そういった意味におきましては、いろいろと思いがあるだろうと思いますが、この附帯決議の重さを考えて、勇気を出して体を張って、やはり国家百年の大計だ、税というのは、国家を支える防衛と並んで最も重要な基本的な官庁でございますから、勇断を奮って要求をしていただきたいのでありますが、まず決意の一端をお伺いいたします。
  40. 大野功統

    大野(功)政務次官 ただいまの北橋先生の国税、関税職員に対します大変な御理解とお励まし、涙が出るほどうれしい次第でございます。  先生十分御存じのことでございますけれども、国税職員の役割というのは、厳正な課税をやる、それから、何といっても日本の財政を縁の下で支えている、こういう役割を持っておりまして、特に最近におきましては消費税の問題、消費税というのは、どうしても会社にとりまして預かり金になる可能性があって、赤字法人の場合には非常に徴収が難しくなってくる場合もありますし、また、先生指摘のとおり滞納残高がふえてきております。足で歩いてお願いをして回らなきゃいけない、厳しい環境でございます。さらに、関税の方も、麻薬等の取り締まり、水際での作戦、大変成果を上げておりますけれども、厳しい環境でございます。  そういう環境の中で頑張っている、このことを御理解いただきまして、本当にありがとうございます。また、衆議院の大蔵委員会、参議院の財政・金融委員会附帯決議をいただいておりますけれども、本当にうれしく、ありがたく思う次第でございます。  しかしながら、先生指摘のとおり、大蔵省というのは、要求官庁であると同時に、同時に全体を見ていかなきゃいけない。厳しい財政事情の中で行革ということも考えていかなきゃいけない。そういうことで、削るべきところは削り、必要なところは本当に応援していただきたい。そういう目で我々も見たいと思いますし、先生方にも、国税なり関税の職員の定員の要求等がございました節は、ぜひとも応援をしていただきたいとお願いする次第でございます。
  41. 北橋健治

    北橋委員 きょうは総務庁の政務次官にもお越しいただいております。委員会関係でお立ちになるということを聞いております。したがいまして、一言お伺いしておきたいのです。  委員会によっては、こういう定員の問題について特別な配慮をせよとした附帯決議も間々あるのですけれども、毎年のように附帯決議をつけてきているところは、この大蔵の国税、税関だけであります。そういった意味においては、この委員会附帯決議の重みというものを受けとめて査定をしていただけるのかどうか、その辺の所見、所信をまずお伺いしたいと思うのです。
  42. 持永和見

    ○持永政務次官 今おっしゃいましたように、大蔵委員会から毎年のように附帯決議が出されていることを私ども承知いたしております。  この問題については、先生お話もございましたので、また大蔵省当局と私ども十分相談しながら、定員の問題について対処してまいりたいというふうに思っております。
  43. 北橋健治

    北橋委員 政務次官も委員会でお立ちになるということなんですが、直近の委員会附帯決議がなされているのは、公正取引委員会の体制強化、それから法務省検察官の増加、そして最後に労働省の公共職業安定所の体制の充実、この三つが平成十一年、大蔵委員会とは別にあるのです。ほかはないと私ども承知しておりますよ。大蔵委員会の場合は毎年ですよ。これだけ重要な、党派を超えてみんなが必要だと思っていることに対して、私は特別な配慮がなされてきたとは思えない。  そういった意味で、今度の査定についてはきちんとした査定をしていただきたい。めり張り、やはり大事なところにはつける。各省庁軒並みの均一的なものであるならば、総務庁は要らない。中学生、高校生で立派に仕事ができる。やはりそこには重要な国家についての職務だという評価がなければならない。総務庁はそれをやっていただけますか。
  44. 持永和見

    ○持永政務次官 お話しのように、定員関係についての決議が、大蔵委員会が税関、国税職員の関係、そして公正取引委員会、また労働省の職安の問題、この問題についてことし決議がなされていることも私ども承知しておりますし、今申し上げましたように、全体としては逆に国家公務員のスリム化あるいは定員削減あるいは省庁改革、こういった問題もございます。そういった問題も横にらみしながら、国税の大事なこと、税関の大事なことは私どもも十分承知いたしておりますから、大蔵御当局と相談しながら定員問題について対処してまいりたいというふうに思っております。
  45. 北橋健治

    北橋委員 総務庁の政務次官にも、ぜひともその点でリーダーシップを発揮していただきたいと思います。委員会がお待ちでございます。ちょっとおくれたかもしれませんが、御容赦ください。ありがとうございました。  行政管理局長にも参考人としてきょうはお越しいただいております。現在、私ども民主党におきましては、政治家同士の本音の話し合いをするのが国会論議の筋だということで、本来ならばお招きしないわけでございますが、政務次官が途中でお立ちになるということでございましたので、きょうは来ていただいております。  私も、国税、税関の皆様方から実際の現実の職場というものについてはいろいろとお話を聞くわけでございますが、脱税なり、あるいは麻薬だとかそういうものを持ち込む人たちというのは、実に巧妙な手口でございます。そして、例えば麻薬などは非常にわかりやすい案件でございますが、どういうふうにして職員が発見するかといいますと、どうも挙動が不審である、あるいはアタッシュケースの持ち方がどうも不審である。つまり、エックス線とか麻薬犬だとかいろいろなあれがありますけれども、やはりその現場現場において、長年の勘といいますかキャリアといいますか、そういうところから大変な社会的犯罪の物質が発覚しているわけですね。  そういった意味におきましては、税関なんかでも、最近は地方の、比較的警戒態勢の薄いと言われている、マンパワーの少ないところから大量に運び込まれている、こういうのが現実であります。  国税についても、脱税の手口というのはいろいろと手をかえ品をかえ大変なことは、「マルサの女」を見てもわかるわけでございまして、要するに、そういった熟練の、長い間のキャリアと自分の仕事に誇りを持って、信念を持って立ち向かっている。時には暴力団まがいの人たちも多いでしょうし、体を張って、勇気を張って仕事をしている人たちなんですね。  そういう人たちに対する定員の確保と処遇の改善は不可欠だと思うのですが、一応、行政管理局長からも御答弁をいただいておきたいと思います。
  46. 瀧上信光

    ○瀧上政府参考人 お答えいたします。  ただいま御指摘のありました税関の定員、それから国税関係の定員の問題につきまして、毎年度の定員の増員要求に関連して、その他の機会に実情につきましてはいろいろとお伺いをしているところでございます。そして、税関につきましても、今御指摘のありましたようないろいろな水際の阻止の問題、それから国税関係につきましては、課税の公平性の確保、税務事務の重要性ということにかんがみまして、従来から特段の配慮をしてきたと自分たちでは考えているわけでございます。  しかし、中央省庁等改革の行政改革が内閣の最重要課題になる中で、国家公務員の定員の一層の縮減ということが、今回の給与改定の閣議決定の中でも政府の方針として打ち出されております。新規増員の一層の抑制といったような厳しい環境のもとでありますが、ただいま御指摘のようないろいろな重要性等につきまして、大蔵省と十分協議を進めてまいりたいというふうに考えております。
  47. 北橋健治

    北橋委員 この問題の締めくくりについて、総括政務次官、もう一度答弁をお願いしたいと思うのです。  我々は必死なんですよ、一生懸命なんです。でも、査定をする立場もあるし、全体の厳しさもあるからということなんだけれども、それはわかるんですが、大蔵委員会で昭和五十年から毎年のように附帯決議をしているんです、国税については。五十九年から毎年のように税関職についても附帯決議をしているわけです。めり張りという言葉がありますが、国税と税関についてはきちんと体を張って要求してください。もう一度その決意をお伺いしておきたい。  全体としての話じゃないんです。大事なところにきちんと定員をつけるということが行革なんですね。そういった意味におきまして、大蔵省責任者としてお答えいただきたい。
  48. 大野功統

    大野(功)政務次官 めり張りをつけまして、要求をさせていただきたいと思います。
  49. 北橋健治

    北橋委員 党派を超えた、私たち大蔵委員会の誇りにかかっていることです。ぜひとも、附帯決議はどうでもいいというならば別でございますけれども、各党の大蔵の専門家が集まって協議をして、毎年のように議決をしてきた、そのことの重みというものを十分踏まえて総務庁、大蔵省は協議をしていただきたい、そのことを要請しておきます。  二番目の質問は、金融再生委員長の越智大臣が、今国会中でございますが、伝え聞くところによりますと、国会中は国際会議でなければ外遊は認めていない、これは各党の話し合いでそういうルールがございますけれどもアメリカの方に出発をして、アメリカ関係者とぜひともこの機会に意見交換をしたいやに伝え聞いているわけでございますが、どういう目的で、どういう方とお会いになってということを今お考えになっているのか、まずお伺いをしたいと思います。  御本人にかかわることでございますので大臣にもお答えいただきますが、先に政務次官からお答えになっても結構です。
  50. 村井仁

    村井政務次官 ただいま北橋委員からお尋ねがございました越智国務大臣の米国出張の件でございますが、現在、院の関係の方々と内々御相談をさせていただいているところでございます。  我が国の金融システムの再生、安定につきまして、世界のマーケットがこれを注視しておる、これは申し上げるまでもないことでございます。そういう中で、私の立場からあえて申し上げた方がよろしいと存じましたので、お許しをいただきまして申し上げるわけでございますが、十月の五日、小渕第二次内閣の発足に伴いまして越智金融再生委員長が御就任になられました際の、例えばフィナンシャル・タイムズの報道でございますとか、それから続きましてビジネス・ウイーク、ついにはニューヨーク・タイムズ、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン、こんなような外国紙に、あたかも日本の金融再生への努力というものが後退する危険があるかのごとき揣摩憶測に類する報道がなされておりまして、これは私ども非常に懸念をいたしたところでございます。  それにつきまして、私どもも私どもなりに、また越智大臣もいろいろな機会に、それぞれ明確に、金融再生のための努力に変化がないということを仰せになっておられます。私も申しております。しかしながら、アメリカというのはプレスの非常に強い国でございます。プレスに対して直接話をする、これも非常に大事なことでございます。それからさらには、サマーズとかグリーンスパンというようなアメリカ金融界のキーパーソンと、ぜひ大臣御みずから、カウンターパートとの間で直接の忌憚のない意見の交換をするということも、さまざまの金融再生の動きが日本国内にもあることでもございますので、非常に有意義ではないか。  さような意味で、時期を探りますと、この時期を逃しますと、どうしてももう年の暮れ。年の暮れになりますと、これがまたクリスマスの時期というようなことにもなりますし、また、日本側では年末金融の問題も出てまいる。そんなようなことも考えますと、どうしても、お許しをいただきまして、この時期に大臣に訪米をしていただいた方がよろしいのではないか、かように私どもとしては判断をいたしまして内々お願いを申し上げておる、これが金融再生委員会事務局及び監督庁としての立場でございます。  その点を私からまずもって申し上げさせていただきました。
  51. 越智通雄

    ○越智国務大臣 実は、私が十月五日に着任しましたら、十月八日にサマーズさんが親書を私に送ってきまして、ミーティング・ウイズ・ユー・イン・パーソン・イフ・オケージョン・パーミット、要するに、事情が許せば個人的に君に会いたいと手紙をくださいました、着任を喜ぶと同時に。私の方は、一週間たって十月の十五日ごろ、僕もぜひあなたに会って篤と話したい、もう僕がワシントンへ行くしかないだろうというお手紙を差し上げました。  そうしたら、グリーンスパンさんと連携のとれている方から、僕の方も、ここら辺のお休み、土曜、日曜それから祝日を使って行かせていただくのが一番国会に御迷惑をかけないし、向こうもサンクスギビングの前なものですから、二十二日なら何とかなるよという返事が、ワシントンで会う時間がとれるよということで。そうしたら、グリーンスパンさんの方も、これは別の方から御連絡をとっていたのですけれども、二十二日ならば四時ごろ会おうと言ってきてくれたものですから、サマーズさん、グリーンスパンさんに会って、いろいろお話をしてきたい。  そうなりましたら、今、国会のお許しが出ればという前提でいろいろ話をしていたのですけれども、ワシントンの日米協会も、越智さんが来るならぜひ講演してくれ、日本の金融状態について話を聞きたいと。また、ブルッキングス・インスティチュートとCSIS、センター・フォー・ストラテジック・アンド・インターナショナル・スタディーズ、いずれも有名な研究機関でございますが、そこにエキスパートたちが集まって君を囲んで会議をしたいと言ってきましたので、二十二日から二十三日の午前中にかけて、ワシントンでそれらの方々としっかり会ってきたい。  私どもの方からいうと日本の説明もしたいのですけれども、向こうも今大きくうねっておりまして、けさ報道がございましたように、向こうは三遍目の利上げをしたのです。六月、七月にやったのをフォローして三遍目、〇・二五上げておりますし、それから、日本の新聞にも出ていますが、劣後債を持たせるように制度を変えるとかグラス・スティーガル法を廃止するとか、向こうの金融も今大きく変わろうとしていますから、私としても、いろいろそこらを直に責任者の方から説明を受けてきて、それがこれからの行政に大いに役に立つのじゃないか、こう思って、ぜひお許しをいただきたいとお願いしておるところでございます。
  52. 北橋健治

    北橋委員 十月八日にサマーズ財務長官から親書が来たということは今初めて聞きましたけれども、私ども、これを見まして、十月五日に新内閣発足、フィナンシャル・タイムズ紙にこんなことが書かれているという内容のことが出ていますね。大蔵省の視点から物の言える人間を入閣させる必要があったとか、改革が後退しなければよいがとか、金融改革を断行してきた柳沢さんにかわって、より保守的な越智さんが就任することになった、こういうことが五日に出ましたね。ですから、大臣の心中察するに余るものがあります。そして、六日、ニューヨーク・タイムズ紙、ここでもまたいろいろ今度の交代について出た。そして、七日についても、今度はインターナショナル・ヘラルド・トリビューンにおきましても同様の趣旨のが出ました。  しかし、今、国会中なんですよ。国際会議でなければ出張はできないということは、大臣も御承知なはずです。これらはすべて新聞ですよ。そして、何を根拠に書いているのか、こういうことが書いてありますけれども、いろいろなジャーナリストが世の中にいますから、いろいろなことを書くでしょう。だから、それに対してきちんと説明をするという気持ちはわかりますが、国会あるいはあなたの毎日の所掌事務の中で、きちんとしたその政策をお話しになれば、私はそれで十分足りるんではないか。たまたま新聞に出てきたというだけでアメリカにすぐ渡って説明に行く、こんな姿勢で、本当にこの激動する金融情勢の中で日本のリーダーシップがとれるんだろうか、そう思うんですが、それでもお行きになりますか。
  53. 越智通雄

    ○越智国務大臣 私はそういうふうには申し上げておりませんので、サマーズさんと私との人間関係を確立していくことが、これから両方でいろいろな、残念ながら何か事件と申しますか急変が起こったときに、電話で、頼むよ、こうだよという、お互いに本当に腹を割った電話の会談もできるためにはぜひ会っておきたい。ファイナンシャル・タイムズのために行くわけじゃありません。  私は、サマーズさんやグリーンスパンさん、あるいはそれの優秀なるスタッフたちが実はいるんです、そういう人たちとじかに話をして人間関係をつくっておくことがこれからの金融行政に対してはとても大事だ、このように思うものですから、お願いしているわけであります。
  54. 北橋健治

    北橋委員 今、日米の金融当局者の間でいろいろと話題になっているのは、長銀の譲渡問題ですね。いよいよ大詰めの段階に入ってきている。そういった問題もあるんですか。総論として今の御説明はわかるんですけれども、具体的に何か話を詰めねばならぬこともあるんでしょうか。
  55. 越智通雄

    ○越智国務大臣 日長銀の話は、リップルウッド・ホールディングスが相手というよりは、むしろそれがマネージしたニュー・LTCB・パートナーズという新しい会社がオランダ籍でできたわけでございまして、これには十二の、ドイッチェバンク、メロンバンク等が出資をコミットいたしておりまして、もうこの十一月末で優先交渉権が終わるんです。多少ずれるかもしれませんが、今、条文の、基本合意書の中身の言葉を詰めているわけですから。それで、来年になると最終合意書をつくらなきゃいかぬわけですけれども、年を越して。そのことについてサマーズさんやグリーンスパンさんに相談することは何にもありません。それをお話しするつもりも毛頭ありません。  ただ、向こう側は向こう側で恐らく、私が着任して以来、私が直接手を出したわけじゃありませんが、日本の大銀行がどんどん合併していますでしょう。どういうスタンスで日本の金融は動くのだろうかと、向こうは向こうでやはりそれなりに心配しているのでございまして、それをよくこちらから御説明しておかなきゃまずいとは思っております。相談するつもりではありません。説明をしに行くわけであります。
  56. 北橋健治

    北橋委員 私もことしの八月、九月とワシントンに行きましたが、これは、鉄鋼貿易摩擦の問題で、アメリカが大変な保護主義に傾斜してきている。その背景には大統領選挙が深くかかわっているわけですね。大きな選挙が近づいてくるときに、あの大国もいろいろな動きがあるわけです。  私は、橋本内閣の行革路線が、二兆円特別減税の問題をめぐりまして、当時サマーズ副長官の方から駐米の斉藤大使の方に、日本の内需拡大政策に転換しろという話があって、突然橋本総理が二兆円特別減税を断行したことがありますね。アメリカに飛んでいかれるときというのは、何か物すごい圧力がかかるというか、日本の主体性がどうなんであろうか、そういう気がしてならないんです、鉄鋼問題で直接ワシントンの担当者といろいろ会ってみまして。やはりきちんとした国際会議というのであればいいんですけれども。  そこで、あえてお伺いしますが、危機的なことが起こった場合とか、年末に何か動きがあった場合に、何でも迅速に対応できるため、そういうお話もあったんですけれども、もう少し具体的に何かあるんでしょうか。まだイメージとして具体的に、人間関係をつくるだけのために国会のルールをほっておいて行くというのは、ちょっと説明がまだ足りないと思いますが。
  57. 越智通雄

    ○越智国務大臣 それはこれからのことでございますから、具体的に何があるかということは言えませんけれども、例えば今の劣後債の発行の義務なんというのは、もしかしたら向こうに出ている日本の銀行も義務づけられるかもしれない法案でございますよ。  それから、今大統領選のことをお気遣いになってお話がありましたが、私がサマーズさんと同時にグリーンスパンさんに会いに行くのは、御存じでしょうけれども、お二人のバックは違うわけですからね、そういう意味では。それから、CSISとブルッキングスに会うのも、両方違うから、私はちゃんとバランスをとったスケジュールをつくらせているわけでございまして、その点はそういうことに利用されることのないよう、色をつけて見られることのないよう十二分に配慮いたしております。
  58. 北橋健治

    北橋委員 質疑時間がもう尽きてしまったんですけれども、いずれにしても、国対で決めたルールにはそれなりの背景と重みがあります。今の大臣の答弁を私ども精査させていただきまして、判断をいたします。  いずれにしましても、長銀、リップルウッドの問題の集中審議、あるいは金融再生委員会の報告を可及的速やかに国会に出していただいて、それの集中審議、そして、仮に行かれるということになった場合に、きちんとした話し合いの経過なりそういったものをお話しいただかないと、当然容認することはできません。  いずれにしましても、今の御答弁の内容をよく精査をさせていただきます。  もう一度だけ確認させてください。新聞に振り回されて動くようなことは絶対やめてほしい。今のタイミングですと、一体何のために行くんだろうか。たまたまこういう新聞がいっぱい出ている、うろたえているんじゃないか、そんなふうに思われたんじゃ日本の金融政策は大変まずいことになると思う。もう一度、その点だけはきちんとお答えいただいておきたいと思います。
  59. 越智通雄

    ○越智国務大臣 あくまでも、両方の行政当局といいますか、責任者同士の信頼関係と相互理解を深めて、英語のあれにも書きましたが、お互いにグッドアイデアを交換しようじゃないか、こういうことを言いましたが、そのつもりで参ります。  そして、今いろいろ御要望がありましたが、集中審議その他のことは委員会のお決めになることでございますが、帰ってきたらどういうことだったかの報告をしろということについては、機会を得て御報告させていただきたいと思っております。
  60. 北橋健治

    北橋委員 国対とよく協議をさせて、回答させていただきます。  ありがとうございました。
  61. 金子一義

    金子委員長 次に、宮本一三君。
  62. 宮本一三

    ○宮本委員 きょうは、商工ローン問題に関連して若干の御質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  確かに、最近いろいろな問題が指摘されております。特に過剰貸し付けであるとか、あるいはまた金利がめちゃくちゃに高いじゃないか、あるいは根保証の問題はどうする、さらに暴力的な取り立て、そういうことも非常に大きな社会問題となってきております。  この問題に関しまして、自由民主党としては、党内に商工ローン等対策チームというものを設置いたしまして、本格的な検討を開始いたしております。いずれにしましても、この問題は政治主導で解決していかなければならない問題ではないかというふうに考えております。  まず最初に、金融再生委員長、越智委員長にお願いをしたいと思いますが、非常に大きな社会問題ともなっているこの商工ローン問題でございますが、これに関連して監督当局はどのような対応を今までやってきたのかということ、そして、できれば何をこれから考えるかということを、どちらでも結構でございます、お願いします。
  63. 村井仁

    村井政務次官 ただいま宮本委員から、いわゆる商工ローン問題につきまして、今まで監督当局は何をしてきたか、これからどういうふうに対応していくつもりか、このようなお尋ねでございます。  私どもは、九月に、全貸金業者に対しまして、文書によりまして、適正な業務運営の確保を要請するということをいたしました。それからまた、全国貸金業協会連合会、これに対しまして自主的な取り組みの要請をいたしております。  これを踏まえまして、全国貸金業連合会、全金連でございますが、十月に自主規制基準というものを策定したところでございます。これは、例えば、根保証を求めた場合に、当初に保証した額の最高三倍までに限るとか、いろいろなことが書いてございますけれども、そういった自主規制基準を策定しております。  それから、私どもとしましては、各貸金業者におきまして実効ある対応が図られるということが肝要だと考えておりまして、そういう意味で業界の動向を注目しているところでございますけれども、特に日栄それから商工ファンド、これはいずれも上場しておりますので、有価証券取引書が情報源としてはとれるわけでございますが、これに対する融資残高の多い銀行十三行、それから保険会社一社につきまして、融資残高の推移等の実態を調査いたしているところでございます。  そのほかに、監督体制の充実、それから関係課の横断的な対応を図る観点から、と申しますのは、私どもはこれまでいわゆるノンバンクに対しましては七人ほどのセクションで対応していたということでございますので、より充実した対応を図る必要から、金融監督庁に特別の対策室を設置いたしまして、引き続き財務局や都道府県さらには捜査当局など関係機関とも緊密な意思疎通を図りつつ、法令に基づく適正かつ厳格な監督をしてまいる、そういうことで臨んでいるところでございます。
  64. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。  当局の方の対応、非常に難しい問題でございますだけに、いろいろ御苦労があろうかと思いますが、対策室も設けて、より細かな対応を検討しておられるようでございまして、その御努力に対しましては敬意を表しますとともに、さらに頑張っていただきたい、このように思っております。  それから、金利の問題についてお伺いをしたいと思います。  日栄などの商工ローン、これの大手の平均貸出金利、これは、さきの大蔵委員会でも監督庁の方から答弁がありましたように、二〇%ぐらいの金利、それに手数料などを加えますと、実質的には債務者にとりましては年三〇%を超えるような金利負担となっているように伺っております。  これに対して、現在の法律によります、出資法の貸出上限金利、これは四〇・〇〇四%ということになっておりますが、よく考えてみますと、この上限金利四〇・〇〇四というのが決まった、それはそのバックにはいろいろな関係がございますし、一概に金利だけがということにはなりませんけれども、一つの妥協としてできた五十八年のときの金利状況と今日の金利体系状況というものを比較してみますと、非常に大きな差がございます。  ちょっと拾ってみましたけれども、五十八年の一月早々、公定歩合は五・五%の時代であります。それで、現在はというと、御承知のように〇・五でございます。また、長期プライムレートにつきましても、五十八年当初には八・六%という金利でございまして、これが今二・二ぐらいかなと思われております。利付国債についても、七・七だったものが一・七になっている。また、短期金利についても、三カ月物で七%ぐらいだったものが、今〇・二二%というような金利の推移でございます。  先般の大蔵委員会でも、宮澤大臣が、金利はいかにも高いなという感想を述べられておったわけでございますが、私も、この四〇・〇〇四%というのはいかにも高過ぎやしないか、もうちょっと金利はこの際考える余地がないのだろうかと。  一方、私的な契約ですから、借りる方もその高金利を承知の上で借りているわけですから、だからそれはしようがないじゃないか、よう考えたけれどもやはりこの金利で借りるんだという自己責任の立場から、どうしても、高いとは言われても承知の上で借りているんだろうけれども金融再生委員会村井先生の御答弁の中にもありましたように、非常にいろいろな対応を一生懸命やっていただいているということがありますし、またそれなりの大きな効果が期待できるわけでございますけれども、そのような今までの努力、またこれからも対応していく努力というものを評価して、それを考慮に入れてもやはり、金利は今のままでいいのかな、上限はちょっと高いんじゃないかな、こういう感じはどうしても否めないわけでございます。この点について、大野政務次官にひとつお願い申し上げます。
  65. 大野功統

    大野(功)政務次官 宮本先生から、出資法の上限金利、昭和五十八年の一〇九・五%から下がってきてはおりますけれども、四〇・〇〇四%、いかにも金利の趨勢、つまり公定歩合とか長期プライムレート等に比べてみても高いじゃないか、何とかならないものか、こういう御指摘でございます。  そういう今の出資法の上限金利ができた背景は、もう先生指摘のとおり、いろいろな背景があって、議員の皆さんで議論していただいて、議員立法でできている、こういうことでございますけれども、この低金利時代に四〇・〇〇四%というのがいかにも高いな、これは庶民感覚としてすべての者が共有できる感覚だと思っております。  しかし、問題は、借り手にとりましては金利は安い方がいい、これは当然のことでございます。しかし、借り手にとりまして、せっぱ詰まったときに、お金が欲しい、そのときに、どのくらいの金利で借りられるか、それはそのときの情勢によるわけでございます。  したがいまして、上限金利を下げた場合、それは確かに借り手保護になると思います。借り手保護になるので、そこは真っ白な世界になるのでありますが、逆にそれが、その金利で、法定金利で貸せない、借りられない、こういう人が出てきた場合どうなのだろう。実態調査もしてみなきゃわからない、こういう問題が残るんじゃないか。一生懸命白くしようと思っても、裏をひっくり返したら真っ黒なやみの世界ができてしまっている、こういうことになったら大変でございます。  実態も踏まえながら、そしてこの法律を共管しております法務省や、業界を管轄しておられます金融監督庁、あるいは取り締まりに当たっておられます警察庁等とも十分相談しながら、議員の皆様の御議論に十分耳を傾けて対処してまいりたい、このように思っております。
  66. 村井仁

    村井政務次官 一言だけ蛇足をつけ加えさせていただきますと、貸金業規制法上、私ども、貸金業者の貸付金利につきまして監督権限というのはございませんが、貸付金利の引き下げにつきましては、金融監督庁としても、借り手等の保護を図るという観点から事務ガイドラインというのがございます。  引用いたします。この事務ガイドラインにおきまして、「出資法に定められた上限利率にかかわらず、自らの経営努力により、可能な限り引き下げ、もって資金需要者の負担の軽減を図るよう努めること。」こういう規定をいたしておりまして、ノンバンク社債法に係る国会附帯決議などでもいろいろな御懸念が示されておりましたこともございますので、業界に対し機会あるごとに要請を行うという最大限の努力はいたしております。  ありがとうございました。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕
  67. 宮本一三

    ○宮本委員 大変な努力でございますし、また、とにかく実勢から考えて下げられる努力をするようにというガイドラインが出ていることも今伺いまして、非常に喜んでおりますが、さらにこの問題は、ガイドライン等々の指導でうまくいくのかどうか。やはり何らかの上限の数字について考えなきゃいけないのではないかなという感じを持っておりますので、その点だけを申し添えます。  それから、商工ローンの貸し出し、貸付行為に関連してでございますけれども、根保証の問題がいろいろな角度から検討されております。  これは、伝えられるところによりますと、日栄などの商工ローンの中心にある人が、債務者に対して与信するというか金を貸すというのではなくて、初めから債務者からの返済は期待はしない、債務者よりもむしろ保証人を大勢立てることによってそこから取り立てる、そういうパターンになってきたような感じがいたします。  こうなりますと、これは保証人の方の責任ではあるのですけれども、確かに、契約したときに保証契約の内容をちゃんと保証人に商工ローン会社の方からは通知することが義務づけられておりますし、また通知はあると思います。したがって、保証人が、極度額というか、自分はどこまでリスクを負うんだということは知っているはずだし、また知らなければいけないし、実際に自分で金額まで書くようになっているのだから、それはしようがないじゃないか、自己責任で、こんなことまでもうどうしようもないよという意見も確かにあろうかと思います。  しかし、世の中いろいろな人間関係がございまして、拒みたいのだけれども拒み切れない状況とか、あるいはまた忙しくてなかなか十分そこまで読んでいなかったというふうなこともあろうかと思います。だからこそ、こういうトラブルが多発しているのだと思うんですけれども、私は、何らかの対応をお願いできないものかなと。  例えば、貸金業者が重立った債務者に貸し増しをするようなときに、保証人に対してもその内容を通知するというようなことも一案ではないかと思うんですけれども、何かそういうのを含めて根保証問題についての対応をお願いできないでしょうか。どちらでも結構でございます。
  68. 大野功統

    大野(功)政務次官 宮本先生指摘の根保証の問題でございます。  自由経済のもとで情報開示を十分にする、その上で、自己責任で自由な契約、これが原則だと思います。契約、いろいろな態様があっていいんじゃないか。したがいまして、根保証につきまして、貸し増しごとに書面を出さないでも、極度額を決めてそれを保証していくということは、最高裁判所でも違法ではない、こういう判決も出ているわけでございます。  第一に、大もとの契約をするときに、きちっとそこは知らす義務があります。そして、それに対して罰則もあるわけでございます。それから次に、恐らく借りる人と保証する人の間には特別な関係があろうかと思いますが、それなりの連絡はあるのではないか、これは当然のことでございます。しかしながら、問題は、根本の、大もとの契約をするときにきちっと情報開示をしない、説明をしていない、こういうケースがあるのかな、あるいは、保証人が十分知らないままに契約をしてしまうのかな、これがまさに問題点でございます。  原則からいいましたら、契約自由ですから、今の形態の根保証というやり方でいいのではないかということでございますけれども、問題が起きている以上、いろいろなことを考えていかなきゃいけない、これも当然のことかと思います。先生今御提起なさいました、貸し増しごとに書面で通知する、こういうやり方も一つの案ではあろうかと思います。  いろいろな実態を踏まえて、そして関係当局とも相談して、基本的には議員の皆様の御議論に十分耳を傾け、それを踏まえてこれから対処していかなきゃいけない問題だと理解しております。
  69. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。  それから、これはちょっと確認だけでございますけれども、参議院の財政・金融委員会で、日栄、それから商工ファンドの社長が参考人として呼ばれましたけれども、いろいろな疑惑が解消されたとは言えないような状況ではないかと思います。  これに関連して、最近の新聞なんですけれども、日栄の業務停止も視野にというような報道がちょっと出ていたように思いますが、これは本当のところ、どのようになっておりますか。
  70. 村井仁

    村井政務次官 いろいろ御議論のあるところでございますけれども、基本的には、申しわけございませんが、個別の業者に関することでございますので、お答えを控えさせていただきたいと存じます。  ただ、一般論として申し上げますと、貸金業規制法違反の事実が確認された場合には、当局としては、同法に基づきまして厳正にかつ的確に対処してまいるということでございまして、そういうことで御理解をいただきたいと存じます。
  71. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。  もう一つ問題として私が感じているのは、ここ数年、商工ローンの貸出残高が非常に急速に拡大しておりますし、特に大手の貸金業者といいますかビッグスリー、これは本当に三、四年の間に倍増の残高という急成長でございます。ある業界がその業務を急速に拡大することにとやかく言う筋合いのものではない。ただ、問題は、このたびの急速な業務の拡大は、一般の金融機関の中小企業に対する貸し渋りという現象がバックにありまして、そのすき間を縫って非常にこの種の貸し出しが伸びてきている。そのために、中小企業にとりましては苦痛が結果としてむしろ強くなってしまう、そんな状況ですので、これは簡単に放置できないというふうに思うわけなんです。  確かに、昨年の十月に実施されました信用保証協会による追加保証、この二十兆枠もほぼ消化しているような感じでございますが、これは非常に大きな救済効果を持っていたことは事実でございます。しかしながら、そのような努力にもかかわらず、一般の金融機関貸出残高の動きを見ておりますと、非常に暗たんたるものがあります。九八年、昨年の当初は、五業態で考えまして、貸出残高が五百三十三兆ありましたが、年末には五百八兆になっておりますし、かなりな保証効果が出てきていてそれでございますから。それでその後、この十月までの間に、さらに五業態の貸出残高が四百七十八兆円というふうになっております。  この十カ月で三十兆ぐらいの貸出残の減少という、貸し渋るというのか、これは非常に大きな問題でございまして、何とかこの事態に対処していただきたいと思うのですが、これは村井先生でしょうか、商工ローンの問題の背景にある貸し渋り、それから今こそ千載一遇のチャンスだという稼ぎの意見とを踏まえて、このままではよくない、何とか手を打ってもらいたいという気持ちがあるので、ひとつよろしくお願いします。
  72. 村井仁

    村井政務次官 ただいま宮本委員指摘のように、最近の大手行の、都銀、長信銀、それから信託、これの貸出残高を見てまいりますと、これは日銀の統計でございますけれども平成九年をピークに、十一年八月末では二百七十七兆円程度と、若干の減少傾向。それからまた、中小企業向けの貸出残高、これを見ますと、やはり平成七年をピークにしまして、十一年八月末では百十九兆円ということで、やはり若干の減少、こういう傾向でございます。  銀行貸し出しの減少の原因、これはなかなか一概に申し上げることは難しいのでございますけれども、あえて申し上げれば、不良債権の償却でございますとか、バルクセールによる貸出債権の流動化などの特殊要因が一つはあるのだろうと思います。そのほかに、資金の借り手の側に一層の構造改革あるいはリストラというような過程もございまして、銀行借り入れを抑制する行動をとっているということも一つあるのではないかと考えております。  一方、商工ローン問題というのは、先生既にいろいろお話ございましたが、過剰貸し付けあるいは貸し付けの利率、あるいは債権の取り立て行為をめぐるトラブル、とりわけて根保証契約問題など契約の内容説明不十分、こんなような問題があると考えておりまして、この間の関係を関連づけて、貸金業者の側でいろいろな行動をしているというような話もございますけれども、一概にいわゆる金融機関融資動向と商工ローンの動きとが関係があるというふうには必ずしも言いがたいものがあるのではないか、こんなふうに私ども思っております。  しかし、いずれにいたしましても、中小企業に対する円滑な資金の供給というのは大きな課題でございますから、引き続きまして金融機関の姿勢、これをきっちりと見てまいりたい、こんなふうに思っておるわけでございますし、またかたがた、先ほどもお話出ましたが、これは私の方の直接の所管ではございませんけれども政府金融機関のいろいろな機能というものにもまた期待してまいりたい、こんなふうに思っております。
  73. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。  ぜひ、そういうラインで御検討願いたいと思います。  最後になりましたが、最近の貸し渋りの原因は、なかなか、今も言われましたように一概に規定はできませんけれども、どうも一方では、経営の健全化計画といいますか、金融機関に対する要請があります。また、公的資金を注入までして支援しているんだから、しっかりやれ、もっとリストラやれよと。さらにまた、金融当局の方も強力な監督と指導、これはまた安定化のために必要でありますし、またそれはそれで大きな効果を出していることも評価しております。  しかしながら、問題は、このままで貸し渋りというか貸出残高が、一部何とかという数字もありますけれども、全体として見ると、貸し渋りの原因というか要素というか、いずれにしても金融は締まってきております。この状態が果たしていいのだろうか。  つまり、個々の金融機関にとりましては、金融の健全化、しっかりした銀行になっていこう、これは個別的に結構な、ミクロのアイデアとしては非常に結構なことでございます。しかし、それがマクロになったときにどういう影響を持つのか。例えば日産自動車は、工場を閉鎖したり、あるいはまた職員を大量に解雇する、しかし、逆に今度はトヨタさんとかスズキさんの方はそれなりにふやしていこう、これはそれで何らかの調整ができているわけでございます。  時間が来たようでございますが、そんなことで、私は、今の銀行に対する指導、これは法律に基づいておるわけでございますけれども、実際の運用に当たって、そろそろ締めるだけではなしに緩めていく方向を考えないと、いつまでも金融の閉塞状況が続き、また十八兆の呼び水をやっても、その瞬間だけは効くけれども、経済の実態として根っからの改善になってこない、そんな問題がどうしても気になるのですね。  個々の銀行の事情を聞きますと、債権を四分類に変えていまして、自己査定をやっているわけですけれども、その自己査定をやるときに、甘くやりたいのだけれども、甘くやれば監督庁に指摘される。指摘されると非常に罰がつくものですから、勢い自己査定も厳しくと。そうなってきますと、結局、大手は大手で公的資金が気になる、それから中小の金融機関はというと、いつまた幸福銀行のようなことが、ぼんと自分の身にかかってくるのじゃないかという心配。そうなると、危ない橋は渡るなよ、とにかくおかしいところはやめよう、こういうことになってしまっていますので、ひとつその辺の考え方についてコメントいただければありがたいと思います。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 金子一義

    金子委員長 最後に、越智金融再生委員長
  75. 越智通雄

    ○越智国務大臣 長年経済の勉強をされていらっしゃいます宮本先生の御指摘でございますが、まことにそういう点を非常に私どもも憂えているというか心配しているところでございまして、資本比率一本やりで金融機関の健全性をはかっていていいのかなという心配がございまして、今、金融審議会の出されましたペイオフに関する中間答申に対するパブリックコメントの中にも、そういう意見が出てきております。したがいまして、金融機関の健全性を見るときには、資本比率も大事だけれども、そのほかに、その銀行の収益性とか資金繰りが円滑にいっているかとか、そういういろいろな観点から金融機関が健全かどうかということを見ていかなきゃいかぬ。  私は、着任いたしまして五週間ぐらいでございますけれども、例の国際基準行が八%で国内基準行が四%という資本比率のスタンダードは変えない方がいいという判断で今までやってまいりましたし、また、今お話しの、今度は個々の金融機関からの貸付債権の認定のときに、同じように、担保にとった土地の値段だけで返済能力を判断するのではなくて、プラスその企業としての返済能力、あるいは個人の経営手腕、あるいは、例えば特許とか何か持っているということだったら、それ自身も一つの大きな担保価値といいますか、そういうものがあるわけですから、もっと柔軟に見ていってよろしいのじゃないか。  ただ、貸し出しをするために金融機関の経営がより不健全になるということだけはもちろん絶対避けていかなきゃなりませんが、そこの判断の持ち方は、おっしゃるように実態に即して柔軟にやっていくことも考えていかなきゃならない。現在、検査マニュアルその他についても、その適用を十分考慮してもらいたいと思っております。
  76. 宮本一三

    ○宮本委員 ありがとうございました。以上で終わります。
  77. 金子一義

    金子委員長 次に、並木正芳君。
  78. 並木正芳

    ○並木委員 公明党・改革クラブの並木でございます。  改めまして、越智大臣大野村井次官、大変、金融財政事情、いろいろ厳しい折でございますけれども、御就任おめでとうございます。また、御期待を申し上げております。  それでは、質問させていただきますが、まず初めに、海外送金の問題についてお聞きしたいと思います。  もう二カ月ほどたつわけですけれども、去る九月十二日、警視庁と三重県警が、ペルー人の送金代行業務を主な業務として行ってきたコペルニックス社を銀行法違反という疑いで家宅捜索いたしました。これについて、日本の新聞各紙は、ペルー地下銀行摘発と一斉に報じたわけであります。しかし、いわゆる地下銀行とはこれは異なるものであって、ダイオキシン汚染とか東海村の放射能汚染などについて、いわゆる風評被害で多くの善良な農民がひどい目に遭ったということですが、この件に関しましても、マスコミは慎重な報道をすべきだというふうに考えるわけです。  日本の新聞による地下銀行摘発といった表現が、やみの犯罪組織のようなイメージをつくり出して、途上国からの善良な出稼ぎ労働者に対する誤解と差別的感情を助長するおそれがある。そうした点で、大蔵省金融監督庁は、こうした経緯を踏まえまして、賢明な行政解釈と早急な善処を行うべきだ。まず最初に、そのような考えを述べさせていただきたいと思います。  コペルニックス社というのは、ペルーで日系人が経営する信用組合三団体が出資して、一九九一年に設立されたということです。経過を申し上げますと、以来八年の間、約四万から五万人と言われる在日ペルー人のうち二万五千人が利用しており、日本語や英語が不自由で、スペイン語以外では銀行の送金依頼書も読めず、しかも、銀行の受け付け時間に送金依頼をするために仕事を抜け出す、そういうようなことはとても困難な、時間給で働いていたりするそうした出稼ぎ人のために、土日も営業し、現金書留の依頼も受け付けるとか、ペルー人にとっては世話役的存在である。  いわゆる俗に地下銀行が、オーバーステイの不法滞在者の仕送りとか、犯罪絡みの金のマネーロンダリングをしている、そういうふうなことと違って、為替送金そのものは正規の日本の銀行として行っており、送金をプールも運用もしておらず、地下というより公然とした地上の存在であったということもお話をさせていただきたいと思います。  こうした利益というのは、ペルーの子供たちの通信教育等のそういう社会事業にも使われているし、また、暴力団とか悪質な旅行会社、こういうものがいわゆる本当の地下銀行としてはびこる、そういうところでの防衛手段、むしろ地下銀行駆逐に役立ってきたということなので、その辺、地下銀行という表現での報道には、改めて慎重にしていただきたい、そのように考えるわけです。  一般論としてですけれども、多数の人の海外送金についてだれかが取りまとめて送金することが、すなわち銀行法に抵触するのかどうか。例えば、手数料も取らずに社会事業的にボランティアという団体等が行った場合にはどうなのか。この見解について、まずお伺いしたいと思います。
  79. 大野功統

    大野(功)政務次官 並木先生指摘のコペルニックスジャパンでございますけれども、一昨日、銀行法違反の容疑で書類送検がなされた。何の違反かといいますと、無免許で為替取引を行った違反である、こういうことを聞いております。  ただいま検察当局で捜査中の問題でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げますと、やはり為替取引を業としてなした者が無免許でこれを行えば、明らかに銀行法四条一項の違反であるということでございます。
  80. 並木正芳

    ○並木委員 業というのは、手数料を取ってとかいうところですけれども、そういうものを今後取らなくても、営業はこの経緯からして続けられると思うのです。  この事件によって、現実に送金が停止されて、仕送りで生計を立てている日系約三万人という家族がいると言われていますけれども、そうした方たちが大変困っており、また、高齢者の家庭ではさらに深刻な状態に陥っていると言われております。  ペルー日系人というのは、十年前ごろから日本に出稼ぎに来たわけですけれども、そういうところで大変、そういう言葉の不自由さとか出稼ぎゆえの時間的な制約で送金がしにくい、そういう不自由な状態にあったわけですけれども、実際上はコペルニックス社によって大変な利便が提供されたわけです。どういう形なら送金が再開できるのか。今の、手数料等もなしというふうなことでできるのか。  さらに、現行法で認められないというならば、例えば公的な機関、社会的問題としては公的機関を設置することも可能かと思いますけれども、そういうことならば送金をすることができる、銀行法に抵触する部分が今あるとするなら、その辺の改正が速やかになされるべきじゃないか、私はそう考えるわけですが、その辺についての御見解はいかがでしょうか。
  81. 大野功統

    大野(功)政務次官 ただいま御提起がございました公的機関ということでございます。  どういうものが考えられるのか、ちょっとわからないのでございますけれども、そのために政府が何かをつくるのか、それは相当議論の必要な問題だと思います。  問題は、並木先生指摘のとおり、大勢のペルー人が日本で働いていて、そして、その人たちのために頑張っているのにこれが違反で挙げられている、いいことをしているのに法律違反とは何事だ、こういうことかなとも思うのでありますけれども、日本は法治国家でございますから、やはりどんなことをしても、法律違反になれば法律違反として処理していかなきゃいけないことは、これは言うまでもないことでございます。ただし、一番簡単な解決策は、ペルーの銀行に日本に支店を出してもらう、こういうことが一番簡単な解決策ではないかなとは思います。  我々、まだまだ実態がよくわかっておらないところもございますし、またもう一つは、検察当局で捜査中の問題でございますので、詳細なコメント、詳細な論評は避けさせていただきたいと思います。
  82. 並木正芳

    ○並木委員 そのとおりで、警察によって現在捜査中ということなんですが、その辺、既に私が述べましたように、かなり報道面での、俗に言う犯罪に絡むような地下銀行というのと、善良な人たちがそれなりに仕事をきちっとやって、困っている本国の人に送金をしているというところでの誤解というのは、はっきり違うということを私なりにもう一度申し上げまして、さらに解決の方途ができるだけ早く見つかればというふうに、この点は要望させていただきたいと思います。  次に、もう既にいろいろ質問が出ております商工ローンの規制についてなんですけれども、日栄の社員が逮捕されて、目の玉や腎臓を売ってでも金を返せ、こういう脅迫まがいの、ショッキングなそういう面ばかりがテレビ等で取り上げられて、録音テープですから、特に生々しく伝わってくるわけですけれども、冷静な対応の中で、きちっとした法改正等も行われればというふうに思っているわけです。消費者金融も含めて、以下数点にわたり、これまでも論議がされたわけですけれども、そういったことも踏まえまして、御見解をお伺いしたいと思います。  まず、出資法の上限金利と利息制限法の上限金利とのグレーゾーン、あるいは、貸金業の規制等に関する法律第四十三条、書面に記せとかいうことなんですけれども、いろいろこの辺では、二つの法律というか三つの法律というか、あるわけですけれども、実際上、借り手が大変困っちゃって、のどから手が出るほどお金が借りたい、そういうような中での、まさにそこを見て、足元を見てというか、そこで貸し手が貸す、そういう相互の関係からすれば、罰則のない利息制限法の上限金利というのはもうほとんど意味を持っていない、何でも応じてしまうというようなことであるわけだと思うんです。  そこで、利息制限法というよりも、むしろ出資法の上限金利である、いわゆる罰則がある上限金利である年利四〇・〇〇四%、これが高金利であるかという点について、市場で決めればいいとは言うわけですけれども、実際上、多くの金融情勢が今低金利になっております。  そうした中で、確かに、小規模というか、全国に約六千七百社あると言われています中小消費者金融業者、これは、四〇・〇〇四%の上限金利近くでもコストぎりぎりだ、そういう高コスト体質と言われているわけですけれども、最近は、大手消費者金融業者四社ぐらいでほとんどシェアを占めている。そういうところの資金調達金利の最近での低下とか、あるいは機械による省力化、こういう削減が進んでおります。それで、そうしたところのコストでは、一六から一七%程度ということであります。  また、こうした商工ローン業者、特に大手二社、日栄、商工ファンド、こういう業者は、貸出金額の八割方を占めて、平成十一年初めで期末純利益はそれぞれ三百二十五億円、二百二億円と高収益を上げているわけで、ハイリスクとはいいますけれども、これだけの高収益が上がるということでは、まだまだ金利を下げることができるのじゃないか。  そういった点で、この大手消費者金融業者が貸し出している平均金利は、年利でございますけれども二五%ぐらいだ、そのように言われておりますけれども、この程度の引き下げなら、貸し渋りというか、貸すことができなくなってしまうという一方の心配、それがないのではないかという見解を私は持っておるのですが、この点についてはいかがでしょうか。
  83. 村井仁

    村井政務次官 大手商工ローン業者の、ある意味では経営実態、これでどの程度まで下げることができるだろうか、こういう御質問とも理解できるわけでございますが、実は私ども、一つの問題は、貸金業者につきましての規制でございますが、貸金業規制法につきましては、借り手の保護という観点から、過剰貸し付けの禁止でございますとかあるいは書面の交付、取り立て行為の規制、こういったようないわゆる行為規制を行っている、これが私どものポイントでございまして、いわゆる経営の実態、これは財務状況を含めて、行政としては直接把握していない、こういう状況でございます。そういう意味では、どこまで下げてもいいのかというところをそういう面から把握することは難しいというのが実情でございます。  ただ、私どもとしましては、この金利の問題につきましては、実は先ほど別途のお答えでも触れたところでもございますけれども、いわゆる事務ガイドラインというのを金融監督庁として示しておりまして、その中で、ただいま御引用の出資法に定められた上限利率にかかわらず、みずからの経営努力で可能な限り引き下げて資金需要者の負担の軽減に努めよ、こういうような規定はしておるわけでございますけれども、それ以上のことは、貸金業法に関する規制としてはなかなかできないというのが今の状況でございます。  一方、一つの事実関係でございますが、試算によれば、大手の商工ローン業者、これは日栄、商工ファンド、シンキの三社のいわゆる直近の決算ベースの平均貸出金利でございますが、これは二〇・八七。ただし、これにつきましては保証料、手数料等を含んでいないわけでございまして、この間、参考人質疑におきまして松田社長が、日栄につきましては最高三〇%程度、こんな発言をしておるという事実がございます。  なお、平均調達金利でございますが、これは平均で二・三三%。日栄につきましては、松田社長が、平均で二・八%程度になっている、こんなふうに発言していると承知しておる次第でございます。
  84. 並木正芳

    ○並木委員 その辺については、もちろん市場の力関係で決まっていくという部分が大いにあるわけで、ある意味でそういう方向性の経済情勢でもあるわけなんですけれども、事前に障害になるようなことではなく、むしろ逆に言うと、事後チェックというのをより厳しくするべきであるというふうな意見もあるわけで、行為規制のみならず、その辺に立ち入っていくべきではないか。今後、今までの流れが変わっていく中で、事前の規制、それを緩めながら、どこまで今度は事後チェックをしていくか、非常に大きな問題にはなっていくと思いますけれども、私としては、その辺はぜひ強化すべきであるというふうに考えているわけです。  また、保証人云々での問題なんですけれども、事例によると、結局、貸し手の方は、もう借りられないというような人に、別の保証人さえいれば貸しますよというようなことを言っている。ということは、明らかに保証人に貸すというような、そこに過剰融資が行われていたということですから、そういう意味では、保証人目当ての融資なんだから、保証人にでき得る限り説明がされていなければならないというようなところで、その辺の保証人への説明、あるいは保証人が、ある面ではその場の勢いで、よく説明理解できないでというようなことがあれば、今消費者問題ではクーリングオフとかいう制度もあるわけですけれども、そういった点も可能なのじゃないか。  それで、根保証というのは、そういう意味ではいい制度でもありますけれども、保証人にとっては非常にわかりにくいということなので、この辺、禁止するのか、厳しく通知義務というのをはっきりさせるのか、その辺についても、事後チェックの強化等を含めて、御見解をお伺いできればと思います。
  85. 大野功統

    大野(功)政務次官 第一に、貸金業規制法第十七条二項でございますが、ここでは、保証契約を締結したときには書面を当該保証人に交付しなければいけない、つまり、保証内容をきちっと説明しなさい、書類で出しなさい、こういうことになっております。  第二に、先ほども村井政務次官から話がございましたけれども金融監督庁のガイドラインの問題があります。このガイドラインにおきましては、契約を締結するに際しましては、契約内容を文書または口頭で十分に説明しなさい、こういうガイドラインが出ているわけでございます。  それからもう一つ申し上げたいのは、貸金連の自主規制もございます。さらに、保証人というのは、債務者との間で固有な関係がありますから、当然いろいろな意思疎通があるんじゃないか、こういう前提もあるわけでございます。  そういうことを考えながらいろいろ議論をしていただきたいなと思っておるのでありますが、ただいま並木先生指摘の、いわばクーリングオフの制度でございますけれども、このクーリングオフの制度を導入したらどうかという御提起に対しましては、取引がそれで安定するんだろうかなという気がいたしますし、それからもう一つは、クーリングオフ期間が終了するまでは貸す方は貸さないかもしれないな、こんな感じがしておりますので、なお十分慎重に議論をしていく必要があるのではないか、このように思う次第でございます。  金融監督庁でいろいろ調査をなさっておりますけれども、そういうことも踏まえ、また関係各省とも十分相談しながら、そして一番大事なことは、この国会におきましていろいろな角度からいろいろな議論がございます、そういう議論を十分踏まえて検討させていただきたいと思います。
  86. 並木正芳

    ○並木委員 議員間でもいろいろ提案がありますので、そういうものを踏まえて今後私も取り組んでいきたいというふうに思います。  例は悪いかもしれないですけれども、スポーツでもあるいは相撲などでも、一定の土俵づくりは必要なのだと思います。その土俵の中でやれば、むしろ余り厳しくすると貸し手がいなくなってしまうのじゃないかというようなことは、一定の条件の中での競争があるわけですから、それなりにまた知恵なり、そういった省力化によってコストを下げるなり、いろいろな工夫もされると思いますので、現行法をとりあえずは守っていくのが役所的立場かもしれませんけれども、こういう事態がいろいろ発生している、借り手がわかっていて借りたのだろうという一言もあるわけですけれども、やはり窮状に置かれて冷静な判断ができないというようなことも往々にしてありがちでございますので、その辺についてはさらに役所としても的確な判断をいただければと思います。  いずれにしても、借り手が非常に困窮しているという状況というのは、いわゆる貸し渋りとかいうことも言われておるわけですけれども、特に地域銀行と言われている地方銀行、第二地銀、こういうところが、バブル時代、高金利を提示すれば預金がどんどん集まってしまった。銀行というのは、最初、預金をひたすら集めることに奔走して、今度は金余り現象で、どこへ貸していいかわからないというようなことで、短期的にもうかるような不動産業とか、あるいはゴルフ場開発とか、そういうところに貸してしまったという、まさにバブルの弊害といいますか、そういうところで経営がおかしくなってきたというようなことが言われているわけです。そうしたことからすると、もともとは地域銀行の本来の役割というのは、地域経済を担って、しっかりとした、地域事情に応じた融資を負っていくということだったと思うのですけれども、その辺が狂ってしまったということですから、この辺、もう一度原点に戻って、足元を固めていただきたいというふうに思います。  公的資金を今大手都銀に注入して、そうした姿勢で中小企業金融を大手も強化していくのだ、リテールバンクだとか、いろいろなことを言われておりますけれども、実際上、商工ローンの構造を見ても、大手銀行にはノウハウがない、地域事情にちょっと暗い、日本のそういう金融機関の歴史からいっても、非常に暗いということですから、そういった点では、地域銀行を強化していただいて、本来の役割である地域中小企業への融資あるいは地域経済活性化、地域金融の再生、こういうことを果たしていただきたい。そのために、適用条件と特別な優遇措置を設けて、公的資金を導入して、役割を強化すべきではないかというふうに考えるわけですけれども、地域銀行への公的資金注入計画と地域金融再生に関しての越智大臣の御見解をいただければと思います。
  87. 越智通雄

    ○越智国務大臣 並木委員から地域の実情に即した御質問を賜りました。  今お話しの、いわゆる第一地銀とそれから第二地銀でございますが、第一地銀の方はもともと中小企業に融資をしている比率が高い。それから最近の状況を見ていましても、ほとんど変わっていない。要するに、減るような状態になっておりません。それから県内の企業に対する融資比率も高いです。その点で、非常にしっかりした経営がされているのではないかなと思っておりまして、今六十四行だったと思いますが、ここ何年か数字が変わっていない。要するに破綻がないわけですが、第二地銀の方はやはりちょっと県内融資の比率が低いところなどもございました。多少バブルに乗ってしまったところもあったようでございますし、また一族支配的なところもございまして、正直言うと、第二地銀の数はここ何年かで十行くらい減っておりまして、現在、再生委員会の方でも五つお預かりしていると申しますか、金融整理管財人を送っているところがございます。  そんなわけで、第一地銀、第二地銀を通じまして、中小企業の融資の枠をできるだけキープしてもらうように十分努めますが、また、先生提案の、何かそういうのに優遇措置を考えるかというお話でございますが、少しまたいろいろと考えてみたいと思っております。  正直言いまして、妙案をすぐお答えできるような状態にないことは申しわけなく思っております。     〔委員長退席、渡辺(喜)委員長代理着席〕
  88. 並木正芳

    ○並木委員 時間もありませんので、先に進めさせていただきます。  この商工ローン問題に関して、「借りてはいけない」なんて本まで出ているのですけれども、借りざるを得ないというような状況でもあるし、中小、零細企業の景況感というのは大変厳しい見通しであるわけです。そういった点で、いわゆる信用保証協会の特別保証制度というのが非常に効果はあったというふうに感じておりますけれども、ここでまた、返済据置期間が期限を迎えるわけです。もちろん、保証枠を追加されるということではありますけれども、現に借りている者の、やはりまだまだちょっと厳しい情勢の中でございますので、そうした経済状況にかんがみまして、据置期間の延長とか保証制度期間延長あるいは保証限度額の増額、こういう弾力的運用が図られないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  89. 大野功統

    大野(功)政務次官 特別保証制度について、並木先生、高い評価をしていただきました。この制度、昨年の十月からちょうど一年たちますので、先生おっしゃるとおり、要するに一年間の据置期間がちょうど切れる時期に当たっているわけでございますが、実態で調べさせていただきますと、件数ベースで申し上げまして、一年間の据置期間、これはサンプル調査なのですけれども、九・一%でございます。据置期間が全くないというものが七九・八%でございます。したがいまして、そういう実態をまず御認識いただきたいと思います。  それからもう一つは、中小企業庁からでございますけれども、これは非常に弾力的に運用されていると聞いております。つまり、据置期間にいたしましても、一年間の中で、三カ月だったものを六カ月にしていいよとか、少し支払いが滞った場合でも、直ちに保証協会の代位弁済に移るのではなくて、少し様子を見てみようかな、こういうふうに弾力的に運用されているようでございます。そういう意味で、中小企業庁から据置期間等の問題についていまだ報告がございません。ということで、今のところはこのやり方でうまくいっているのではないか、このように私どもは判断しているところでございます。
  90. 並木正芳

    ○並木委員 検査マニュアルが一律適用されて厳しくなると、逆に弾力的運用ができなくなるのではないかというふうな懸念もあるのですけれども、そういうふうに進められているということなので、とりあえずそういった中で様子を見させていただいて、また質問させていただければと思います。  最後に、都市近郊保存緑地の相続税の減免ということについて。  税を減免するというのは非常に難しい問題ですけれども、私の選挙区は所沢を中心とした地域ですが、この周辺は、都市近郊緑地が相続という中で失われていくものが大変多くて、それがいわゆる産廃業者等に渡って、ダイオキシンの焼却場にされるとか、そういう問題が起きたわけです。そういう問題が起きたからというわけではないのですけれども、都市近郊緑地というのは、潤いのある生活というか、そういうもので欠かすことができない、そういう大変貴重な国民的財産でもあろうかと思います。  そういったところで、農地については三十年間営農とかいうことで相続税減免制度があるわけですけれども、緑地についても、ぜひ一定の条件をつけて減免していただきたい。これは地域で特に農業とかに携わっている人たちの要望でもありますので、その辺の見解を最後にお聞きします。
  91. 大野功統

    大野(功)政務次官 大切な緑地でございます。できる限りみんなで保全をしていかなきゃいけないということでございますけれども、法律上、ただいま御指摘いただきましたように、都市計画におきます緑地保全地域、これにつきましては特別な取り扱いとなっておりますし、それから先生指摘のとおり、農地につきましては、相続した場合、私どもの記憶では二十年となっておりますけれども、後継者が二十年営農していけば、その部分については、全体の相続財産の価値があって、農地部分とそれから全体、こう分けまして、農地部分以外の部分につきましては相続税の免除となる、こういう制度でございます。これも、農業の後継者を育成していく立場からという政策目的もあろうかと思いますけれども、いずれにしても優遇措置があるわけでございます。  御指摘の、都市計画以外の緑地保全地域の問題でございます。  都市計画の緑地保全地域というのは、いわば私有権が相当制限されております。ここには建物をつくっていけないというようなことで私有権が相当制限されておりますので、どうしても路線価も低くなってしまう、こういう問題もあるわけでございます。一般の緑地地域となりますと、そういうふうな私有権なり私権が制限されませんものですから、何らかの優遇措置を講じた場合に、その緑地がいつまでも緑地として続くかどうか、この辺の担保がないわけでございます。そういうことを考えますと、そういう都市計画上の緑地保全地域とちょっと分けて考えるのが妥当ではないか、このように思う次第でございます。
  92. 並木正芳

    ○並木委員 時間でございますので、ありがとうございました。
  93. 渡辺喜美

    渡辺(喜)委員長代理 次に、安倍基雄君。
  94. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 安倍でございます。  久しぶりに大蔵委員会の質疑に参加することになりました。私、昭和五十八年に初当選以来ずっと大蔵委員であったのでございますけれども、当時の論客たちは大体いなくなって、大分若い連中になったなという気がいたします。  実は、越智大臣になってから二つのヒットがあったと私は思っています。  一つは、やはり地銀に対する八%ルールを変えた。よく、商工ローンがいろいろ言われますけれども、これは基本的には大手銀行の貸し渋りです。需要があるから彼らは伸びてくる。ところが、八%ルールといいますか、私が書いた、BIS規制の盲点に注目せよという論文を読まれたと思いますけれども、いわゆる自己資本比率だけでやるというのはおかしい。特に、BIS基準というのは、日本の銀行が暴れ回るのをとめようとした規定でございますから、三十分しかないものですから私は一々詳しい話はしないで、その論文を読んでいただければいいと思いますけれども、これが基本的には銀行の貸し渋りを招き、そしてそれは商工ローンあたりが伸びてくるゆえんである。これはまさに宮本君の言うとおりだと思います。  もう一つは、合併を無理にさせるんじゃない、これは本来、必要に応じてやるんだ、無理やりやらすのはおかしいと。  この二つの点について、非常にヒットであると私は評価しています。  これは、海外で柳沢君のことを持ち上げたりしておりますけれども、人間の評価というものは五年後に見なくてはいかぬ、今の評価で右往左往してはいかぬ。五年たって初めて、本当にこの施策がよかったかどうかということがわかるのであって、柳沢君がいかにも改革を推進し、越智さんが改革を後退させているというような論議は、ジャーナリストの、マスコミの非常に浅薄な考えだと私は思っております。  それと関連しまして、これから大きな問題としてペイオフの問題と長銀の譲渡問題、この二つがあります。  差し迫って、長銀の問題も、こういうところで裏話を余り言ってはいけないんですが、ちょうど自民党の総裁選のさなかで、みんなの関心がみんなそこへ行っていたというときに、長銀をリップルウッドに売るという報道が出たものですから、私は、人を介して柳沢君に、これは次の小渕内閣の負担になるかもしれぬよ、次の内閣に決めてもらえよということを伝えたわけです。これは確実に本人の耳に伝わっております。だけれどもやっちゃった。私は、事務当局を呼んで聞きましたら、いや、これは最優先交渉相手だ、十一月中にいろいろな細部を詰めて、ただ、この期間は売り手が延長できるという条件だという返答を得ましたが、それは事実ですか。     〔渡辺(喜)委員長代理退席、委員長着席〕
  95. 越智通雄

    ○越智国務大臣 四十数年にわたる御親交をいただいています安倍先生から、いろいろお励ましやら御意見をちょうだいいたしまして、恐縮いたしております。  日本長期信用銀行の、リップルウッド・ホールディングス社が主宰しますニュー・LTCB・パートナーズという会社との契約は、現在優先交渉相手ということで、十一月三十日が期限になっておりまして、何をやっているかと申しますと、本来の基本合意書をつくるためのドラフトの相談でございまして、天災とは何かとか破綻とは何かとか、日本語と英語の間に概念の相違があってはいけないものですから、詳細に詰めておりまして、できれば十一月三十日の期限までにできていただきたいと思っていますが、先生指摘のとおり、こちら側から、日本側からは多少延ばすことは可能だと思っておりますが、まだ延ばさねばならないという状況だという報告は受けておりません。
  96. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間が三十分ですから、答弁も非常に短くしていただきたいと思います。  私は与党でございますから政府の足を引っ張るつもりは毛頭ないんですが、ただ、この問題は非常に大きな問題です。  というのは、これの払い下げが行われると、その次には日債銀が待っておる。それ以外に、私の理解によると、数行がいわば破綻になっておる。なみはやとか国民とか新潟中央とか、そういったものの相手を探すのにみんな相当の金額を出す。例えば、私はこの説明を聞きますと、三・六兆プラスアルファと聞いておりますけれども、これが大体四兆円くらいになるだろうと言われております。日債銀も三兆円くらいだろうと。今まで一兆数千億使ってしまった。これから、既に破綻したものをどうするかというので、またかかる。そうすると、特例業務勘定のあの七兆円はすぐすっ飛んでしまう。  ですから、これは大蔵省の問題になってくるんですけれども、これがすっ飛んだ後、実はあの七兆円も、いざというときの、例えば北拓のときのように受け皿銀行に急遽注入するとか、まさに金融パニックを避けるための資金なわけです。吹っ飛んだお金にプラス、そこそこの余裕のお金を持っていなきゃいけない。そうすると、十兆円くらいにはすぐなるんですね。これは消費税からいうと五%ですよ。  ですから、これはそう簡単に、今のいわば払い下げをそのまま行うことはいささか問題があるんじゃないかと私は考えます。特に、この条項を見ますと、非常にこちらが足元を見られたじゃないけれども、おんぶにだっこなんですね。債務超過額というのが大体三・六兆と言われていますけれども、しかし、その後における有価証券評価益が三千億くらいあるわけですし、長銀というのは方々の地銀なり大手企業の株を持っているんです。これは、これから株価が上昇すれば、当然債務超過額は減ってくるわけです。それから、貸し金も、地価が上昇したり、あるいは相手企業がよくなってくれば、これも債務超過額は減るわけです。  現在、いわば底値と言ってもいい。このときに、要するに四兆円くらいを、のしをつけて譲渡するのか。これは大問題なんですよ、本当のところ。  私は、ちょっと大蔵大臣にお聞きしたいんですけれども、七兆円をとったし、これからそれ以外のいわばバッファーを持つとすると、相当の額になると思うんです。それは、細かい話は言いませんけれども、十兆円くらいになるかもしれませんね。そういうときに予算計上を本当にしていくのかどうか。むしろ、この長銀のリップルウッドへの譲渡について、ある程度、もうあらかじめ、こんなにかかっちゃ困るとか、おかしいじゃないかということのいわば打ち合わせというか、話し合いはあったんでございましょうか。今の、金額と話し合いの二点についてお聞きしたい。
  97. 越智通雄

    ○越智国務大臣 安倍議員十分御存じのことでございましょうが、この場でもう一遍申し上げさせていただきますと、七兆円というのはコミットメントベースの話でございまして、これに対する支払い財源、これはまだ足りておりませんから、今度の補正予算で七兆円のところまで持っていかせていただきたいと思っております。それから、七兆円のコミットメントベースをさらに広げるということになりますと、これは来年の通常国会で、十二年度本予算にのせなきゃいけませんし、第一、預金保険法の中にこの数字は書き込んでございますから、保険法の改正をまたお願いしなきゃならない、このように思っております。  なお、日本長期信用銀行の方の計算から申しますと、七兆円からの拠出されます金は、これは最終合意書のできたときに出されるものでございますので、先ほど申しました基本合意書ができて、さらに二、三カ月かかって、来年の一月とか二月に最終合意書ができますと、資金の払い込みになる、そういう格好でございます。  なお、日長銀のそのお話が決まったのがこの夏から九月にかけてでございますので、その間にどういう金額の話し合いが行われたかは、個別交渉の中身でございまして、私どもも残念ながら十二分によく存じておりませんが、当時の担当者の方々も公表はしにくい状態じゃないか、このように思っております。
  98. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今の売り払いは第一歩でございますが、これが先例になるわけですから、今、日債銀について方々から手が挙がっている。簡単に言えば、あんないい条件ならおれたちもやるよという話なんですよ、はっきり言って。  私は、今度のこの第一歩を踏み出すか踏み出さないかというのは非常に重大な問題でございまして、今お話があったように、法律でもって書いてあるわけですから、要するにそれを超すためには、もう一遍法律で考えていかなきゃいかぬかもしれない。そうなっていきますと、では、長銀は終わったけれども、ほかのものは全部終わらないよ、天井が来ちゃってできなくなっちゃったよという可能性もあるわけです。ですから、目の前の一件を処理するというためには、その先々の処理を全部考慮に入れて、それで第一歩を踏み出さないとこれは困るのであって、やれるものから先にやっちゃうというのであれば、これは簡単な話です。  だから、私は柳沢君に対して非常にけしからぬと思うのは、自分の在任中にともかくやっちゃうというような話で、私は越智さんを責めているわけじゃないので、これは全く責めているわけじゃないので、さっきのパーセンテージを思い切って転換したように、前任者が決めたといっても、それはあくまでも交渉権であって、その先の、今のお話だと優先交渉権を与えたというわけですから、まだまだ最終契約じゃないんですよ。この点、私は、特に大蔵大臣にも、この方法でいけば、これから一体どのくらい全体についてのお金がかかるのか、この辺について、まだ具体的な数字までは言えないにしても、もっともっと話し合いの上でやっていただかないと、切りがない。我々はかつて、六千八百五十億ですか、住専問題で国会が長い間ストップした、その十倍以上の金額である。  この点を含めまして、もう一つこれに加えて、いわゆる、今払い下げないと金融パニックが起こるのかどうか、それについての二点をお聞きしたい。
  99. 越智通雄

    ○越智国務大臣 幾つかのことを申し上げなきゃいけないと思いますが、第一に、特別公的管理になっておりますのは日長銀と日債銀だけでございます。  今私どもの方にお預かりしている五つの第二地銀、これは特別公的管理ではございませんで、破綻してから一年以内に何とか合併その他の措置をとればよし。それがもし時間が多少かかるならばもう一年延長できる。しかし、その場合にはブリッジバンクに入っていかないという仕組みでございます。場合によりましては、一年以内にどうしても合併のめどが立たなければブリッジバンクに入れていく。ただ、ブリッジバンクはやや公的管理に入ってまいりますので、正直言いますと、かなりより多くお金がかかると思いますが、五つの第二地銀、債務超過という計算でやりましても大体五つで五千億ぐらいの赤字だ、このように私は腹づもりをいたしております。  ところで、特別公的管理に入っております二つの銀行は、二〇〇一年の三月三十一日までが期限でございますので、特別公的管理に入りましたのは、日長銀が十月の二十三日で、日債銀が十二月の十三日でございますが、もう残すところが一年ちょっとでございますが、この特別公的管理の銀行は二〇〇一年三月三十一日までに何とか処理をしないと、清算という手続はとれないのじゃないか、私は今そんなふうに法律を見ておりまして、やはり何としてでもこれは売却と申しますか、新しい引き取り手を考えていかなきゃならない。そして、そこに必要とする資金は、向こうの銀行に上げるわけじゃなくて、日長銀、日債銀にかかわる預金者の預金を完全に保証するために必要な経費、このように考えております。  なお、先生のおっしゃいました有価証券の取り扱いについては、日長銀の場合に個別の問題として扱いをいたしましたが、今出てきております日債銀は候補者が四つでございますが、特にその点についての問題はそう大きくなくて、むしろどういう特殊性のある銀行にするかというところが四つの候補者の一番の争点じゃないか、このように思っています。
  100. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 例えば、二〇〇一年までという話、これは私は、野党の民主党がつくった議員立法そのものにも欠陥があると思うのです。あのときに宮澤大臣は丸のみをさせられちゃって、非常に憮然たる状況だったようでございますが、この二〇〇一年と決めたのは、また議員立法でもあるのですよ。  それから、もう一つ私は言いますのは、今日本経済は少しずつ明るさを増している、いわば底値なんですよ、はっきり言って。底値のときに何で売るのかな。今まで随分延ばし延ばしして傷が大きくなってきた。今から、これだけやっていて、少しずつ上昇しようと。ですから、さっきの有価証券評価益も三千億くらい出てきているわけです、実際のところ。これは明らかに債務超過額から引かなくちゃいけない数字なんで、これは新生長銀にそのまま上げますなんという気前のいいことは、これは全部が国民の税金ですから、やはりもう少し細かく審査する。やはり二〇〇一年まで時間があるのです。今一番まずいときに何で売るのかというのを、私も友人なんかも随分いますけれども、それが口をそろえて言うわけです。  私はさっき五年後の評価を基準とせよと言いましたけれども、五年後に果たしてこの売却がよかったのかどうか、二〇〇一年を延ばそうと思えば、いわばもう一遍議員立法にしても、これだけの与党もあるわけですから、つくり直したっていいんです。既にできた法律を基準にしまして、ですから今売らなくちゃいけないと。  それから、もう一つ言いますけれども金融債の方とおっしゃるけれども、あのとき金融債というのを預金並みに扱うというのは、たまたま山一か何かが倒れて、まだ日長銀も日債銀も倒れていないとき、金融不安をとめるために言ったような感じもあるわけです。金融債の所有者というのは、本来、機関投資家であり、例えば地銀なんかも自分の株を逆に日長銀に持ってもらっているんです。通常の預金とは違うんです、大部分が。それとともに、これから、二〇〇一年にはペイオフをやろうとまで言っているじゃないですか。何で今の金融債の保有者だけ保護するのか、そういう問題もあるんです。  私は、ちょっとこの辺は、クーリングオフ上の期間じゃないけれどもアメリカに行けばまたすぐその辺を、まあこの辺はむしろ民主党あたりが言うべきことかと思いますけれども、余り与党側が追い詰めるのはあれですけれども、問題は、事が事だけに、もう少し慎重に考え、国民の前に明らかにしなくちゃいけないと。  今長銀を売らなかったら金融パニックが起こるんですか、どうですか。それを教えていただきたい。あれはパニックの防止のために売られておるんじゃないんですか。
  101. 越智通雄

    ○越智国務大臣 金融パニックが、日長銀をこのまま置いておいたら直ちに起こるというふうには私どもは考えておりません。  それから、日長銀を一年間特別公的管理のもとに置きました。そして、政府の方から派遣したと申しますか経営陣がやっておりますけれども、やはり企業としての劣化が進む、そして結果として国民負担がふえるであろうということは、私は否めない状況じゃないか、こう思っております。  二十数兆円の事業規模でございましたが、明らかにその規模は下がっておりますし、従事しております職員の数も明らかに減ってきておりまして、そういう意味で、この機会にきちんとした処理をさせていただかなきゃならない。  ただ、五年間このままで、特別公的管理のままに置いておくんだということになりますと、今の金融改革の大前提である二〇〇一年三月三十一日までに金融不安をなくして、正常なる金融状態をつくって、その上で万々が一の破綻に備えてのセーフティーネットとしてのペイオフを考えるという大きな今までの基本構想と申しますか方針を、根本からと申しますか直さなきゃならないというところは、私どもはそこまでは考えておりません。
  102. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 時間も短いですし、与党の立場ですからあれですけれども、ただ、公的管理のつくり方、これは民主党が中心につくった法案で、我々は反対だったわけでございますけれども、公的管理そのものは、手足を縛って何もできなくしているという状況の公的管理である。つまり、例えば八城さんという人が経営能力があれば、八城さんを引っ張ってきて彼を経営者にしてもいいんですよ、本来は。それを公的管理で手足を縛って何もさせないものだから、だんだんと劣化しちゃう。これはいわば、あのときに即席でつくった議員立法の過ちでもあるんですが、公的管理の場合には、これはどうしても資産が劣化するというか、そうしなくちゃいけないことはないので、これは法案をどう読むかですけれども、少なくとも劣化の防止くらいの管理はできるはずなんですね。これは、要するに民間に渡さなかったら経営はよくならない、そういう種類のものではないんですよ。これは恐らく民主党あたりがこういう処理をしようと、自分のつくった法案の欠陥でもあるんですから、よくそれは理解していただきたい。  そこで、私が申しますのは、これからの先を全部見て、そしてこれを一歩踏み出さないかぬと。その面で、本当に私はもう一度よく考えた方がいいと思います。この点について、もう少し部内でも論議していただきたいと思います。せっかく十一月を延ばせるわけですから、十一月にどうしてもやらないかぬ、日債銀も年内にやらないかぬといいますと、またすぐ七兆円すっ飛びますよ。これからまた金融危機があるかもしれぬ、そういうときに、やはりバッファーを四、五兆円持っていないと臨機の措置ができません。その面からいくと、住専のころの十倍以上ですよ、このお金は。  これと関連しまして、時間も余りございませんから、ちょっと話題を変えまして、私は今度、この論文の第二に書きましたペイオフは延期すべきだという議論を出しました。と申しますのは、非常に今ペイオフの関係で、ああするこうするという話がございますけれども、私はかつて、平成九年ですかの金融特のときに、今、平成十年から導入しようとしている早期是正措置をやると必ず貸し渋りになる、これを延期してくれと強く要望したんです。議事録がございます、出していませんけれども。しかし、それも当時の担当者は、いやいやもう既に前に決まったものだから延ばすことはできないと。結果的に、平成十年は貸し渋り対策で右往左往したわけです、はっきり言いまして。  私は、このペイオフの問題は、簡単に言いますと、来年から資金移動が始まります。これは既に二年制の定期預金はもうなくなっているという話もございますけれども、ある銀行の支店長に聞きましたら、あるおばさんが四千万くらいおろしていった、どうしたと思ったら、そいつをすっかり保護預かりに持っていったと。そういうのがだんだんと、ペイオフというものが何であるかということがわかり始めると始まるんです。そうすると、弱いと思った金融機関からどっと流れ出します。そうなると、中小企業に対する貸し付けなんて、貸付計画が立ちません。一番怖いのはこの資金ショートです。これは、ペイオフがあるよあるよという話になってくるとそれだけで、あの銀行は弱い、あの信用金庫は弱いと。そうすると、今までよりますます萎縮しちゃうわけです。  私は、これまでの景気対策を見ますと、財政は一生懸命やっておる、金利もゼロだ、金利がゼロなら本来はもっと貸し出しがふえなくちゃいけない。ただ、よくエコノミストの中途半端な連中が、リクイディティートラップがあるとか言います。それもあるでしょう。しかし、一番日本に問題なのは、それよりは金融監督行政がさっき話したようにびしびし締めつけているからです、金融の健全化健全化といって。ですから、アクセルを財政でこれだけ踏みながら、金融で大ブレーキをかけている。  この点について、私は、今までの大きな盲点である。国債だけどんどんふえるけれども金融がブレーキをかけ続けている。金利は安いですよ。しかし、監督行政がブレーキをかけている。これは野党が悪いので、財政、金融の分離ということを言い出して金融監督庁ができた、それはいいですよ。監督庁はやはり監督を厳格にしなくちゃいけないと突っ走るんです。経済に対する影響というのに対して、それに大きく責任を持つところがなくなってきた。  私は、この財政がアクセルを踏み、金融監督がブレーキをかけているということについての御見解を、大蔵大臣と経企庁から政務次官にお聞きしたいと思います。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろお話を承っておりまして、非常に大きな変革なり新しい制度を、政府もそうでございますが、国会の御発意によってつくっていただいて、その上で行政が行われております。先ほどもいろいろなことは五年たたないと本当のことはわからないという意味のことをおっしゃいまして、それは確かにそうであろうと思いますが、政府といたしまして、今そういう与えられた枠組みの中で仕事をしなければならない立場から申しますと、その中でどれだけそれを有効に進めていくかということを考えていくしかないというのが本当のことだと思います。  つくられた枠組みなり制度が悪いと私は言っているのではなくて、それはおっしゃいますようにかなり長い時間がたたなければ判断のできないことでございますから、それは一つの御見識であろうと考えて、その中で行政をやっておる。財政と金融の分離というようなことにつきましても、随分にいろいろ御議論のあった末のことでございますから、私ども当事者として、その間申し上げることを十分に申し上げたかと言えば、必ずしもそうは申せませんけれども、しかし、実際の国会の御意向といったようなことでいろいろなことが決まっていくということは、現実の議会政治のもとでこれはやむを得ないことだ、基本的にはそう思っております。
  104. 小池百合子

    ○小池政務次官 自由党の御意見番であられまして、かつ経済学博士にこうやってお答えするのは少々気が引けるところもございますが、先ほど経済企画庁としてどうかという御質問でございますので、お答えをさせていただきます。  前半の部分につきましては、非常に見識ある御意見、特に委員は以前から、我が国はスタンピードする社会であるということで数々の警告も発しておられるということで、ぜひともその貴重な御意見は心しておきたいと思っております。  後半の方で、景気の回復策で、財政政策がアクセルを踏んで金融行政がブレーキをかけているのではないかという御質問がございましたが、金融は、申すまでもなく何よりも信頼ということが一番重要でございまして、その意味で、システムが安定して内外からの信認を得ていること、これは最低条件であるというふうに思います。  その円滑化のために、経済の活性化に不可欠な要件といたしまして、不良債権の処理、これ以上先送りすることは許されないということで、信用強化の円滑化に配意しつつ、早期是正措置等の金融監督行政を通じまして不良債権の処理を進めるということ、これが一つ重要なポイントであると思っております。  そういうことで、ブレーキをかけるということのないようにさまざまな措置を講じているところでございますし、また先ほど来御指摘のありますスタンピードすることのないような、あらゆる施策を講じていかなければならないと思っております。  また、その大きな観点としての貸し渋りについての御指摘も幾つかございましたけれども金融経済環境の激変への適応円滑化ということで、これも申し上げるまでもなく、金融安定化の特別保証枠の延長などもいたしておりますし、また今月十一日には経済新生対策を策定したところでございます。  そういうことで、企画庁としての考え方を述べさせていただきました。
  105. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いささか、三十分の時間では聞き切れないのですけれども、いずれにいたしましても、私の大きな見方、財政がこれだけアクセルを踏みながら、金融監督行政が厳し過ぎる。それは、さっき越智先生の言われました、私も言っているように、要するにBIS基準をグローバルスタンダードとして、すべてそれで律している、これは大きな間違いです。私の論文にも書いてございますけれども。この点は、やはりもうちょっと大局的に見ないと、これだけ財政危機を持ちながら、景気が回復しない大きな原因です。  それからもう一つ。最後に私は、このままペイオフの方向に走っていくと、必ず来年は大きな資金移動でもって経済の回復の足を大きく引っ張るということを御忠告いたしまして、今後の御検討のときに十分御配慮願いたいと思います。  時間も参りましたから、これで終わります。
  106. 金子一義

    金子委員長 次に、佐々木憲昭君。
  107. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  初めに、金融消費者被害の救済体制の問題についてお伺いしたいと思います。  金融の自由化、ビッグバンの進展に伴いまして、さまざまな新しい金融商品が生み出されてきております。そのことによりまして、国民の中で、金融にかかわる被害が一層増加するということが懸念されております。これにどう対応するかというのが今問われているわけであります。  まず、経済企画庁に事実を確認したいわけですけれども国民生活センターで収集されました金融に関する苦情相談件数、これはどうなっているか。金融保険サービスに関する相談のうち、サラ金とクレジット会社を除いた九一年、九四年、九八年の数字を明らかにしていただきたいと思います。
  108. 金子孝文

    金子政府参考人 お答えいたします。  国民生活センターが公表しております消費生活年報によりますと、国民生活センター及び各地の消費生活センター、これは今全国で三百八十二あるわけですけれども、そこに寄せられました金融保険サービスに関する苦情相談のうち、クレジット及びサラ金にかかわるものを除いた件数は、九一年度五千百七十件、九四年度七千三百六件、九八年度一万二千七百十七件となっております。
  109. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の数字でも明らかなように、銀行、生命保険、損害保険あるいは証券などを中心とする相談あるいは苦情が非常にふえております。この数年の間でも倍増しているというのが現状でございます。金融機関から損害を受けて現に苦しんでいる、こういう方々もたくさんいらっしゃいます。  では、今の金融監督庁に消費者保護の体制があるのか、具体的にお伺いをしたい。  金融監督庁の事務ガイドラインでは、金融機関に関する苦情を受けた場合の対応というのが書かれておりますけれども、この部分でどのように定めていますか。
  110. 村井仁

    村井政務次官 まず、それをお答えする前に、金融機関と利用者との間の金融取引というのは、民間当事者の間の個別の私法契約上の取引でございまして、基本的には各金融機関の自主的な経営判断によりいろいろ対応がされるべきもの、また、借り手の側でもそういう判断をするものということだと思っております。  そういう前提を申し上げました上で、今お話のございました金融監督庁として事務ガイドラインで決めていることですけれども、これを読ませていただきますと、これは実は、昨年六月、大蔵省担当していました時代に通達を改正して決めたものでございますが、引用させていただきます。  金融機関に関する苦情相談を受けた際には、当局として個別取引に関して仲裁を行う立場にないことを明確に伝えるとともに、必要に応じ、金融機関及び金融関係団体の相談窓口を紹介する、このように事務ガイドラインで定めているということでございまして、こういうことで私どもとしては対応しているところでございます。  なお、金融監督庁の行政のあり方や金融機関による違法な取引についての苦情相談につきましては、金融機関業務の健全かつ適切な運営確保の法律目的の達成に資するということから、私どもの役所において今までも相談に応じてきている、こういうことでございます。
  111. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今のガイドラインの紹介でも明らかなように、苦情を受けた場合に、申し出に対し当局は個別取引に関して仲裁等を行う立場にないことを説明すると。金融機関に関する国民の訴えを受けても、金融監督庁としては結局聞き置くだけ、相手方金融機関や業界の窓口に行ってくれ、これがガイドラインの規定であります。そんなことでは対応できないのじゃありませんか。  ちょっと資料の一を配ってください。  大蔵省時代には、通達で苦情処理の体制というのを定めておりました。今資料を配りますけれども、その中で大蔵省の地方窓口であります財務局、ここで金融機関に対する苦情を受け付けたときは、「金融機関に対し、取引内容について説明を求め、申し出られた苦情についての見解等を聴取する。」「金融機関側に行政指導基準等に照らし不公正な取扱いを行っていると認められる場合は、金融機関を指導して是正させる」、こういうふうに定められております。この資料の一枚目にそれが明記されております。  さらに、様式第一というのがありますね。これは財務局に掲示するポスターでありますが、「預金、貸出等金融機関との取引上のことでお困りになることがある場合は、左記のところへご遠慮なくお申し出下さい。」とあります。そしてまた、財務局の電話番号が受付窓口として書かれております。  様式の第二、これを見ていただきたい。これは処理状況を示す票でありますが、申立人一人一人について、苦情内容、事情聴取の内容、それから処理結果、これを明記するようになっております。  先ほどの御説明のあったガイドラインでは、いわば、話は聞くけれども、受け付けするけれども、ここではそういう問題は扱わないので業界の側に行ってくださいというのがガイドラインの内容ですね。しかし、大蔵省時代には、このようにきちっと状況を聞いて内容を処理する、そのことを国民にも知らせていた。こういうことと比較しますと、今の金融監督庁のやり方というのは、消費者保護という点では、大蔵省金融行政所管していた時代よりも後退しているんじゃありませんか。これは認めますか。
  112. 村井仁

    村井政務次官 冒頭にもお答えをしたことでございますけれども、私どももやはり基本的には、金融機関と利用者との間の金融取引というのは、あくまで民間当事者間の個別の私法契約上の取引である、こういう基本的な認識でございまして、金融監督当局が限度のない監督権限を与えられているとは理解していない。金融監督当局に付与されている監督権限というものは、信用秩序の維持あるいは預金者保護等を図るために必要最小限度のものであること。  それから、個別の金融取引というものは、銀行法等の金融法規に基づくものではなく、あくまで民法、商法に基づく商取引であって、取引の是非というのは結局のところ司法当局の判断にゆだねられるべきものだ、こういうふうに私どもとしては認識しておるわけでございまして、さような意味で、先ほど御紹介申し上げましたような事務ガイドラインが成り立っているということでございます。  いずれにしましても、私ども、法的権限を有していない金融取引につきまして、金融監督庁が介入を行うことができないということは御理解をいただきたいと存じます。
  113. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 その答弁には納得できません。  個別の私法契約上の取引だとおっしゃいますが、そしてまた、個別の問題には介入できない、権限はないとおっしゃいましたけれども、苦情というのはさまざまあります。主に金融機関が違法な取引やルール違反を犯す、そういうことがあるから苦情が広がるわけであります。金融機関の法令違反や不適切な業務運営が明らかになった場合には金融機関を正す、これは当然の金融監督庁の仕事じゃありませんか。  私法上の問題、そういう問題ですからこれは裁判でという話もありましたが、現実に裁判というのは被害の解決に役立っていないわけです。時間も費用もかかる。重要な情報を持っているのは金融機関、限られた情報しか個人にはないわけでありますから、個人に立証責任を問われても、これはなかなか困難であります。裁判でアマチュアである個人がプロの大銀行や生命保険に勝利するというのは至難のわざであります。  今、金融審議会で裁判外の紛争処理体制というのが検討されております。七月六日に第一次中間整理が出されましたが、そこにも、「わが国においては、司法的解決は、解決に要する時間や費用等に照らし利用者にとっては敷居が高く、制度・運用の改善について関係者の努力が求められているのではないか、」という意見紹介されております。また、「この観点からは、裁判外紛争処理制度の充実を図ることも望まれる」、このように書かれているわけですね。  ですから、私が先ほど質問しましたのは、大蔵省時代と比べて、金融監督庁になって、消費者の苦情に対する対応が前に進んでいるのか、後退しているのか、この点の認識を聞いたんです。これははっきり後退しているんじゃありませんか。長い答弁は要りませんので、結論だけ言ってください。
  114. 村井仁

    村井政務次官 やはり、先ほど来申し上げているつもりでございますけれども、裁量的な行政からきちんとルールに基づいた行政へということで今の監督庁の体制ができ上がってきているわけでございまして、さような意味で、法的権限が与えられているところで私どもとしてはやっておる。  しかし、そうはいいながら、全く何もやらないわけではないわけでございまして、当然いろいろな形で苦情相談窓口というものを私どもは設けもし、それから、所管金融機関の協会等につきまして、これを紹介するとか、あるいは、金融機関等に対しまして苦情相談窓口の広報を行うようにさせるとか、そういうような配慮はいろいろやっているわけでございます。  ただ、そこで我々が解決できるような立場ではないということを私ども申し上げているわけでございます。
  115. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 解決できるような問題じゃないというところが後退しているわけですね、大蔵時代と。  それから、今、ルールに基づく行政と言われました。解決は、業界を紹介する、例えば銀行協会、こういうところでやってもらいたいと紹介すると言われました。では、その業界団体の苦情処理制度というのは、これは問題解決につながっているのかどうか。  では、銀行や生保などの各業界団体の相談窓口で受け付けた相談、苦情を処理した結果、どういう結果になっているか。昨年度の処理結果の数字を明らかにしていただきたい。
  116. 乾文男

    ○乾政府参考人 今政務次官から答弁申し上げましたように、各地の銀行協会それから生命保険協会等各団体に苦情相談窓口が設置されているところでございます。  苦情相談を受け付けた状況についての件数を申し上げますと、銀行協会でございますと、九年度三万一千六百二十四件、十年度三万九千九百十七件、十一年度は八月までの五カ月でございますけれども一万七千四百十一件。生命保険協会でございますと、九年度が二万三千五百五件、十年度が一万七千九百七十七件、十一年度八月までが一万三千五百十八件というふうになっているわけでございます。  これらの処理結果でございますけれども、私ども先ほど来答弁申し上げておりますように、こうした取引というものは民間当事者間の個別の私法契約上の問題でありますことから、基本的に金融機関の自主的な経営判断により対応が決定されるべきものであると考えているところでございまして、処理結果につきましては、件数は把握しておらないところでございます。
  117. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 受け付けるけれども、処理結果については、何件処理したか、どのように処理したか、何もわからないじゃないですか。大蔵省時代の様式二を見ていただければわかりますように、「申出どおり解決したもの」「一部申出が認められたもの」「現状のままでよいとされたもの」「結果が不明であるもの」「その他」、このように処理結果が明確に残るようになっております。ところが、監督庁になりますと、受け付けはするけれども、業界に行ってください。業界に行きました。窓口に行きました。受け付けはしましたけれども、どのように解決したか何もわからない。そんなでたらめなことがありますか。  先ほどの統計でも、苦情がふえているんです、相談がふえているんです。銀行業界は、おくればせながら、処理過程を改めております。しかし、私、直接銀行業界から話を聞きましたが、基本的には取次機関ですと言うのですね。調査をしたり事実関係を明らかにする機能はない。弁護士会の仲裁センターとの連携、これは目新しいけれども、しかしこれは、当面東京で行われるだけであります。しかも、三年前にさかのぼるだけでありますから、バブル時代の被害は外れてしまう。体制もわずか八人。こういうふうに、金融業界のまともな処理機能はないんです。  つまり、大蔵時代から比較をして、監督庁になってからの体制は後退している。銀行業界のまともな処理機能もない。これでは消費者保護はどんどん後退するだけじゃありませんか。何のための金融監督庁か、国民の声をシャットアウトするためにつくったのか、こういうことになるじゃありませんか。  金融監督庁設置法の審議の際に、当時の官房長官は参議院の本会議でこういう答弁をされました。「金融監督庁は、預金者等の保護を図ること等を任務としており、銀行法、貸金業規制法等による検査・監督を通じ、預金者、資金需要者等の消費者等の保護に機能を発揮していく」という答弁をされております。  越智金融再生委員長にお伺いをしたい。  金融監督庁の所管大臣としまして、苦情処理の窓口を明確にして、受け付けた苦情については金融機関から事情聴取する、そして改善すべきことは改善するなど、きちっと処理をするように体制をつくっていただきたい。少なくとも、大蔵省時代の水準に戻すようなことをやらないと、国民に対して公開する、情報公開、開かれたと言いますけれども、どんどん国民から閉ざされたような状況になっているわけですから、これはぜひ改めていただきたい、そういう方向を出していただきたい。いかがでしょうか。
  118. 越智通雄

    ○越智国務大臣 佐々木委員お話を、大変戸惑いながら伺っておりました。  実は、全般的に言えば、従来の大蔵省の行政の仕方がいけないということでここ何年か国会の中で議論をされて……(佐々木(憲)委員「この問題について言っているのです」と呼ぶ)いやしかし、その中から言うと、金融機関に対しては、事前にいろいろ指導するのじゃなくて、やっちゃった事後チェックという格好で切りかえた。  そういう大きな考え方の流れの上に監督庁というのは、実はこれは総理大臣の下につくられまして、私はそれを何か総理するという名前だけになっているのですが、肩書も金融再生委員会委員長となっております。ですから、総括政務次官が随時答弁しておりますけれども、これも、監督庁の行政に関しては総括政務次官が答弁するみたいな規定もございまして、今のところ大変ややこしいのですが、その根本に流れているのは今のような話で、もし監督庁に苦情受付窓口をつくりますと、監督庁に言えば何かうまくできるんだろうかと、非常にそういう期待感をあふるだけなのですけれども、実はそういうことをやれる権能を与えられておりませんから、むしろ、苦情処理が誤解に基づいて混乱するんじゃないか。  そういう意味では、今せっかくの御提案でございますけれども、監督庁にすぐ苦情処理の窓口をつくれるか、こう聞かれますと、それは難しいんじゃないでしょうかとお答えするしかないと思っております。
  119. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 大変期待外れの答弁であります。今の金融監督庁というのがつくられた際には、参議院の本会議では消費者の期待にこたえるというような答弁をされていながら、現実には、大蔵省時代国民の声を聞くような状態があったにもかかわらず、それが後退している。これは、事実を挙げて私は説明しています。業界の中でも、その体制は後退しております。国民との関係で私は言っているんですよ、国民との関係で。そうしますと、一体どこにその苦情を持ち込めばいいのか。その持ち込み先がなくなっているということを言っているんです。  ですから、行政としては前向きにそれを打開するというのが当たり前じゃないでしょうか。そういう点でまともな対応ができないというなら、国民の声を一切聞かないという方向を選択したということになるじゃありませんか。私は、そういう姿勢は絶対に許せない。そういう被害は今金融関係でますます広がっております。変額保険を初めとして、銀行提案による過剰融資で自宅が競売にかけられる深刻な事態も生まれております。ところが、消費者保護体制が不十分なために、被害者の多くは泣き寝入りという状態であります。  大蔵大臣にお伺いをしたいのですが、かつて消費者保護のための法整備につきまして、三月十九日の大蔵委員会あるいは七月六日の大蔵委員会で、できるだけ早く法案提出をし、御審議をいただきたいというふうな御答弁がありました。ところが、八月になりますと、これは参議院の方の予算委員会だと思いますが、ちょっと時間がかかるかもしれないというふうに答弁をされております。  私は、特に裁判外紛争処理体制の充実というのは今急がれると思うのです。紛争処理体制を含むその他の部分は来年六月の本答申で結論が示されるというふうに聞いておりますけれども、このままではどんどん先延ばしになってしまう危険性があります。今私が述べましたような、体制上の対応が十分できておりませんので、来年六月以後に法整備となりますと、これはその穴をどう埋めるかという問題があるんですね。企画立案に携わる大蔵大臣として、この点をどのようにされるおつもりなのか、見解をお伺いしたいと思います。
  120. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来から金融サービス法ということが言われておりますが、多少名称からくる理解にマスコミを含めまして誤解があっておるように思います。それは、片方で消費者が保護されなければならないという当然の、先ほどから佐々木委員の述べておられますような問題がありますが、金融界の方で金融サービス法と言っておりますのは、従来、いろいろな金融商品がございますけれども、それがたくさん出てまいりましたから、業態別というふうに商品を扱わずに、全体的なルールの中で商品を分類して、それに対応するルールをつくろう、こういうことを金融サービス法として金融審議会は考えておるわけですが、それは金融側の問題として、いろいろな商品を個別に法律で規定するのではなくて、一般的なルールのもとに金融商品というものを系列立てようという努力、これは必要だと思いますが、それがいわば金融審議会において六月までをめどに作業をしたいと言っておることであります。  他方で、金融業が消費者に対して、金融商品の販売あるいは勧誘等のルール、それが消費者を誤ることがあってはならない、消費者はそういうものからは保護されなきゃならない、それはいわば消費者保護的な観点でございます。二つのことがやや混同されましたために、消費者保護という問題が少し外へ押しやられた感じがある。経済企画庁が広い意味での消費者保護というのを考えておられますのは、その方の問題であろうと思います。  金融審議会が六月までに結論を出したいと思っておりますのは、金融商品についてのいろいろなルール、そういうことであろうと思いますので、両方の、私どもも少し気をつければよかったんで、二つの言葉をちゃんと使い分ける努力が足りなかったのかもしれませんが、二つの問題があると思っています。  それからついでに、おっしゃいましたので、私、お話を伺っておって思いますが、かつて大蔵省がいろいろな金融サービス、消費者に対する奉仕をした。それは歩積み両建てといったようなことがやかましかった時代のことででもあったわけですけれども村井政務次官の言っておられるのは、そういう消費者保護のもとに一種の行政指導が行われるということは、本来それ自身は、行政というものはそういうものではない。行政というものは、決まった法規に基づいて与えられたことをするのが行政であって、それを逸脱していろいろ、ああやりなさい、こうやりなさいというような、誘導したり指導したりするのは本筋ではないんだということを言っていらっしゃるわけです。それは、いわゆる護送船団行政に対する反省として私は当然の御主張だと思うんです。それはそういうふうに理解します。  しかし、その上で、さてそういう法規に基づく、いいかげんな裁量的でない行政が行われていく中で、そういう中で消費者というのはやはり守られなければならないだろう。役所が理解しているほど法規を消費者は理解しないわけですから、そういう意味での消費者に対するサービスはそれでも要るんじゃないか、私は佐々木委員はそうおっしゃっていらっしゃるように伺っております。
  121. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 消費者の保護ということに限定して私は今までずっと議論をしてまいりまして、そういう点での法整備が特に急がれるということを主張したわけであります。ですから、二つを切り離すというお話でありますから、消費者保護の面をやはり急いでいくということで、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  さて、その次に、商工ローンの問題についてお聞きをしたい。  十月二十五日に、全国貸金業協会連合会、これが自主規制基準を発表しまして、越智大臣は、これらの実効を見守りたいというふうに答弁されました。しかし、この自主規制基準というのは果たして評価できるのかという問題が当委員会でも議論になりました。海江田議員も十月二十七日の委員会で質問をされております。  高金利の是正の問題でも、この自主規制基準によりますと、「出来る限り低利な金利での融資に努めること。」と、努力規定でありますし、根保証の問題につきましても、「主債務者に対する貸付けを行った都度、速やかに根保証人に対し書面により通知するよう努めること。」過剰貸し付けの防止問題でも、「与信判断の適正化に努める」、こういうふうになっております。すべて肝心なことは努力規定であります。しなければならない、こういうことを禁止する、明確なそういうものになっておりません。抜け穴だらけというのが実態だと思うんですね。  なぜこんな文書がつくられたのか。金融監督庁が一緒になってつくったというふうに言われておりますけれども、こんなことを認めたんじゃまともな指導にはならないと思いますけれども、この点、なぜこういう文書になったんですか。
  122. 乾文男

    ○乾政府参考人 この自主規制基準の制定の過程、今先生も御指摘になりましたけれども、九月に私ども金融監督庁の方からこの全金連の当時の会長であります日栄の松田社長に来庁を求めまして、今の貸金業、とりわけ商工ローンをめぐる問題というのをどういうふうにお考えになっているのか、これを監督官庁から言われる前に本来自主的な取り組みがされるべきものであるということで、厳しい対応を求めてまいりました。  そうした中で、何度かのやりとりを経まして全金連の方から最終的にこういうものが出てまいったわけでございまして、そうした中で、例えば根保証の、その都度通知でも努めることとなっているではないかというふうな御指摘でございますけれども、私どもは、それに対して、自主的なものでございますから評価する立場にはございませんけれども、例えば、そのやりとりの中で先方が申しておりましたのは、それは、大手のところにつきましてはその都度通知をするようにシステムの改変をするようにいたしますけれども、中小の業者というのは必ずしもできないことから、むしろ、保証人から問い合わせがあったときには直ちに答える、そういうことの意味で、努めることとなっているんですというふうな説明があったわけでございます。  要するに、肝心なことは、これまでの業界のあれに比べましたら、こうした自主基準ができたということはそれなりの前進と申しますか、なかったときに比べますとそういうことでございまして、私どもといたしましては、この自主基準というものが実効あるものになるよう、そのとき全金連の方にも申しましたし、また昨日、全金連の会長の交代がございまして、昨日の夜、後任の会長がお見えになったときにも私の方から、このできました自主規制について、厳しい対応、実効性の確保をお願いしますよと申し上げたところでございまして、そうしたものを見守っていきたいというふうに考えているところでございます。
  123. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 法律を踏み破るような行為をしているということが次々と明らかになっております。そういう会社が自分でルールをつくってもまともに守らないんじゃないかということになるわけです。違反したときに、では罰則があるのか。自主的ルールですから罰則はないでしょう、今うなずいておられますけれども。ですから、私は、こういう事態をきちっと改善するということが大事だと思っております。やはり厳しい法改正が必要だということを申し上げたいと思うんです。  越智委員長にお伺いしますが、前回私、日栄の二つの内部文書を示しまして、それに対して、調べてみたい、なるべく早く調査をさせていただきたいと答弁されました。その調査の結果を報告してください。
  124. 村井仁

    村井政務次官 十月二十七日の大蔵委員会で、佐々木委員から資料のお示しがございまして御質問がございました。越智大臣から、これについては調査をするというお答えを確かに申し上げました。  個別業者に関する事項でございますので、詳しいコメントをすることはちょっと差し控えさせていただきたいと存じますが、当委員会におきまして御指摘のあった資料につきましては、所管の財務局におきまして、貸金業規制法第四十二条第一項に基づく報告徴求、法的根拠を持った報告徴求を行うなどの形によりまして事実関係調査することといたしておりまして、現在、調査進行中、このように御理解をいただきたいと存じます。
  125. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 結論が出たら直ちに報告をしていただきたい。  次に、法務省に来ていただいておりますのでお聞きをしたいんですが、市役所あるいは税務署の名前をかたりまして個人情報を入手するような場合、これは一体どのような罪になるか、まずお聞きをしたいと思います。
  126. 松尾邦弘

    松尾政府参考人 軽犯罪法の第一条第十五号に、官公職等これに準ずるものを詐称した場合には、拘留または科料に処するということになります。
  127. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 軽犯罪法の十五号違反ということであります。  商工ファンドの大島社長は十一月十一日、参議院の参考人質疑で、違法なことは、これは一〇〇%ございません、社会通念上、習慣、慣習上でおかしなことは、逸脱した行為は全くございません、このように大見えを切ったわけであります。  しかし、私は、今ここに——資料の二番目を配ってください。商工ファンドの内部資料を持っておりますが、「営業調査マニュアル」というものであります。融資の回収あるいは融資を審査するときに、債務者の勤務先、預金口座番号、給料、不動産などの資産内容を聞き出すためのマニュアルであります。この営業マニュアルには、下記の名称を使用するようにという指示が書かれておりまして、区市役所、税務署、中小企業振興事業団、電力会社、ガス会社などの名前を名乗るようにと。  例えばこういうふうにやりとりが書いてあるのですね。「秋田市役所、納税課の伊藤と申しますが、昨年度の納税分において、当方の監査により還付金があることがわかりましたので、お振込みによりご返金したいと思いますので、お振込み先の銀行名、支店名、口座番号をお聞かせください」。要するに、市役所の名をかたって電話をして、例えば「秋田銀行、駅前支店、口座番号三三三五六七です」と答えさせる。それで、「銀行により手続きが複雑等の理由により、振り込めない場合もありますので、念の為、他の銀行口座もお伺いできませんでしょうか」と言って、ほかの銀行口座も聞く。  このようにしまして、銀行名、支店名、口座番号を聞き出し、今度は本人に成りかわって銀行に電話をする。「振込みがあったはずなんですが確認してください。口座番号三三三五六七です。……えっ!入っていませんかこまったなぁ……残高はどれだけありますか」、こういうふうに聞く。「その他に定期・定積または普通預金があるはずなのですが、名前から見てもらえないでしょうか」、こういうふうに聞く。このほか、区市役所、税務署をかたって生命保険会社、郵便局、農協に電話をする方法などが書かれております。これとは別に、債権回収調査マニュアルというものがありまして、同様の驚くべきことが書かれているのですね。  こういうことは、明らかに軽犯罪法の十五号の官名詐称に当たるのではないかと思いますが、法違反をまさに組織的に指示していたことを示すものだと思いますが、法務省の見解を求めたいと思います。
  128. 松尾邦弘

    松尾政府参考人 具体的事案につきましては個別の証拠関係によるということになりますので、一般論として申し上げますが、軽犯罪法違反ということでありましても、共犯の関係につきましては刑法総則の規定がございます。刑法の総則の第六十条には、「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。」それから第六十四条には「拘留又は科料のみに処すべき罪の教唆者及び従犯は、特別の規定がなければ、罰しない。」ということがありますが、軽犯罪法の第三条には「第一条の罪を教唆し、又は幇助した者は、正犯に準ずる。」要するに、処罰規定が置かれているということでございます。
  129. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 重大な犯罪であります。こういう問題が現実に社内で行われている、集団的に会社ぐるみでやっている。このことについて、金融再生委員長、この文書の存在も重大ですよ、直ちに調査し、是正すべきではありませんか。
  130. 越智通雄

    ○越智国務大臣 商工ファンドの平成五年付の資料、今初めて拝見いたしました。実態がどういうものか、至急に調べてみたいと思っております。
  131. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 しっかり調査をして、厳正に対処をしていただきたい。  以上で終わります。     —————————————
  132. 金子一義

    金子委員長 この際、お諮りいたします。  政府参考人として、大蔵省造幣局東京支局長奥田宗久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 金子一義

    金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  134. 金子一義

    金子委員長 次に、横光克彦君。
  135. 横光克彦

    ○横光委員 私はきょうは、現在、マスコミ、新聞紙上等で連日のように報道されております五百円貨幣の変造、偽造問題について質問をいたしたいと思います。  まず、宮澤大蔵大臣お尋ねいたしますが、最近、自動販売機で五百円硬貨を使用したことがございますでしょうか。
  136. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 最近、記憶しておりません。
  137. 横光克彦

    ○横光委員 五百円玉が使えない自動販売機が今非常にふえているのです。入れても、そのまま戻ってくる、こういった自動販売機が非常にふえているのですね。つまり、五百円玉の変造貨幣、これを使った、自動販売機を中心にした被害が今物すごく拡大しているのです。これはことしの一月から九月の間だけで四十八万枚も五百円変造硬貨が発見されておる。大変な被害でございます。この被害に遭っている方はほとんどが自営業者の方ですよね。そしてまた、この被害はどこへも持っていきようがない、ただとられ損、いわゆる変造の五百円玉を使って、それで返却レバーを使って、返却用の本物の五百円硬貨をとるわけですね。こういった、一回につき何万円という被害が今物すごく広がっているわけです。  そういった被害がはびこっているために、結果的に自動販売機の自営業者が、もう五百円硬貨を使用禁止にした方がいい、要するにとられるよりは使ってもらわない方がまだいいということで、先ほど大臣に聞いたのですが、五百円硬貨を使ってもそのまま戻ってくるという状況が大都市圏を中心に今大変広がっているわけです。  ですから、まずお聞きいたしますが、五百円硬貨というのはもう国民生活に非常に定着していますよね。破れない、雨にぬれても水にぬれても大丈夫、非常に使い勝手がいい、そういった形で五百円硬貨というのは大変定着しているわけです。この変造硬貨が今非常に頻発しておるのですが、このことに対する対処が必要だと思うのですが、大臣のお考えをまずお聞きいたしたいと思います。
  138. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そういう犯罪が続発していることをよく知っております。そのことは、国民生活に一つの不安を与えるばかりでなく、自動販売機を使われる方の側にも問題をいろいろ惹起しておる、御指摘のとおりでございます。  大蔵省は確かに通貨当局でございますが、このような現実の問題にどう対処すればいいかということは犯罪捜査当局が中心になって、判断をそこに仰がなければならない問題であろうと私は考えていまして、つまり、素人考えで考えますと、五百円硬貨そのものに問題があるという物の考え方、殊に隣の国に似たようなコインがございますといったようなこともありますので、それから自動販売機そのものの判別能力という問題もあるだろう、そういう見方もあると思います。  その辺は、結局、犯罪捜査当局のサイエンティフィックな所見をもらいませんと、対処する一番いい方法が見つからないなと思いますので、政府部内で、犯罪捜査当局を中心にしていろいろ、あるいは鋳造当局も当然でございますけれども、どういうふうに対処することが一番いいかを早急に検討しなければならないと思っております。
  139. 横光克彦

    ○横光委員 当然のごとく、犯罪ですから、犯罪捜査当局がこれに対応しているわけですが、現実問題として、これは追いついていないわけです。  いわゆる変造というのは、最初は何かドリルみたいなので穴をあけて、結局同じ形、厚さ、それから重さ、これが必要なわけですね。そのために今多く使われているのが韓国のウォンなんですが、これに穴をあけて重さを同じにして使っているわけですね。それにすぐ警察庁は対応して、自販機メーカーに新たな対応機をつくらせた。それがクリアできると、今度は表面を研磨で削って同じように使えるものにして、これがはびこった。これにも対応機を使って対抗した。ところが、今度は裏面と表面と両面を研磨で削って、しかも、そうなると大量につくれますよね。そういった状況が来た。  要するにイタチごっこで、犯罪捜査当局も努力しておる。それから自販機メーカーも努力しておる。しかし、もう追いつかなくて、最後はそういった対応機より、もう使わない方がいいや、五百円玉を使わない方が被害が少ないというところまで来ている。そこまで来ておる。これは自販機だけじゃなくて、今やもうJRやあるいは私鉄の切符の販売機にまで五百円玉を使えないというところが出てきている。  そして、私が言うのは、このまま放置しておけばこれはさらに広がるであろうということです。ウォンが今中心ですが、いろいろな硬貨が使われておる。イランの硬貨、ハンガリーの硬貨、ミャンマーの硬貨、こういうふうに使われている。ですから、かなり拡大の可能性がある。それが変造です。  もう一つは、偽造。これがまたすごく精巧に今つくられている。ことしの四月から九月だけで約四千枚も五百円の偽造硬貨が発見されている。これは造幣局に鑑定をお願いしただけのもので、まだまだ見つかっていない偽造の五百円貨幣はいっぱいあると思うんです。これがまたすごい、恐らくこれだけ精巧なものをつくるとなるとかなり大きな犯罪組織が背後にあるんじゃないかというふうに考えられるぐらい立派な、立派というか精巧なのをつくっておるんですね。ここに五百円硬貨がありますが、結局見た目ではまずわからない。  それで、名古屋のある第二地方銀行でこれを検索したところが、三十枚近くが五百円玉じゃないと機械からはじき飛ばされた。ところが、行員が見てもわからない。どこが不審なところかわからない。そして、日銀を通して造幣局に調べてもらったらやっとわかったというんですが、それがまたほとんど目ではわからないわけですね。五百円硬貨、御案内のように、キリの葉と花とつぼみがつながっておるんですが、このたった一カ所が、つながっている枝のところがなかったというだけで、ほとんどわからない。そういうのができてしまっておるわけです。  ですから、変造と偽造というのは、私はこれからまたさらにどんどん広がっていくんじゃないかという気がするわけです。そして、このことは貨幣に対する国民の信頼を失っていく可能性があります。要するに、変造はそういう状況、偽造の場合は、見た目でわからないんですから、こういったことがどんどん広がってくれば、お金を受け取るときに、見てもわからないのなら受け取りを拒否します、百円玉で下さいとか、五百円玉はもう要りませんとか、そういった事態にもなりかねない。大変な問題だと私は思うんですね。  そこで、ちょっときょう造幣局の方にお願いしたわけですが、造幣局では変造貨幣あるいは偽造貨幣対策研究しておられると思うんですが、こういった偽造あるいは変造を防止するにはどのような方法があるのか、まずお聞かせください。
  140. 奥田宗久

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  私どもいろいろ技術的に検討を進めておりますが、なかなか、これはといったものがまだまだ検討の途上でございます。
  141. 横光克彦

    ○横光委員 造幣局の仕事というのは貨幣をつくるだけではなくて、そういった偽造、変造が出たときにどのようにそれを防止するかということも私は仕事の一つだと思う。今余り積極的な答えじゃなかったんですが。  では、ちょっとお聞きしますけれども、バイメタル貨幣というのがございますね。これはカナダやフランスや欧米先進国で現在流通しておりますし、今度ユーロでも新ユーロ貨幣で使用される予定になっておりますが、このバイメタル貨幣、このことについてちょっと御説明いただきます。
  142. 奥田宗久

    ○奥田政府参考人 お答え申し上げます。  今先生からお話のございましたバイメタル貨幣とは、言葉のとおり、二種類の金属を使用して製造いたします貨幣でございまして、世界でも数カ国が製造していると聞いております。
  143. 横光克彦

    ○横光委員 バイメタル貨幣というのは二種類の異種金属を使用すると。造幣局の方々は、これだけいろいろな偽造、変造が出ていると、やはり職員の士気にも大変影響するであろうし、ある意味では屈辱ではなかろうかと私は思うんですね。そういった意味では、やはりこの防止というのに大変積極的になってもらわなければ困るわけです。  今お話ございましたように、バイメタル貨幣というのは二種類の金属を使うわけですね。今私が持っている日本の五百円は、一種類の白銅が使われているわけですが、この白銅の真ん中に違う色の銅、いわゆる黄銅か何かを使えば、二つの色になって、見た目ですぐわかるわけですね。しかも、そのことによって偽造が非常に難しくなる。しかも、検銭機、自動販売機にやった場合、かなり高度の形でこれは識別できるという利点があるわけなんです。これはそのとおりですか。
  144. 奥田宗久

    ○奥田政府参考人 今、機械で識別できるかというお尋ねでございましたが、まだ私ども製造しておりませんし、どの程度機械で識別できるのかどうか、この点についていろいろなデータ等、技術的な検討等もしておりませんので、正直申し上げて、その辺につきましてはっきりしたお答えを申し上げることができないことをお許しください。
  145. 横光克彦

    ○横光委員 しかし、これだけ問題が全国で広がっているんですよ。これまででも偽造とか変造はあったわけでしょう。では、そういったことに全然対応してこなかったんですか。何らかの方策、いざとなったらこういう方法もあるんだぐらいな研究をしていてしかるべきだと思うんですよ。私は、非常に生ぬるいと思う。  要するに、今ほっておけばもっと被害は拡大する。さっきも言ったように、犯罪捜査当局も対応して、自販機メーカーも努力してきたけれども、もう手の打ちようがなくて、使えないというところまで来ておるんです。五百円玉は使わないでくださいと。入れてみてくださいよ。ちゃらっと出てくる。こういう状況が広がる可能性があるんですよ。  そうすると、技術的な分野からすると、これを避けるにはどうするか、大変な努力をやはりしてもらわなければ困る。まだもちろんしていないわけですから、それをした場合のぐらいの研究はしていてしかるべきだと私は思う。例えばこれをやるとしたら、造幣局のコストというのは、新たな機械をつくる設備投資だけでいいわけですか、仮の話。
  146. 奥田宗久

    ○奥田政府参考人 今コストについてお尋ねがございましたが、その際には、買います機械の設備投資でございますとか、人員もそれに要しますので、それだけではないと思いますが、やはり機械がかなり大きな部分を占めるのではないかと私は考えます。
  147. 横光克彦

    ○横光委員 五百円のを依頼されれば五百円でつくるわけですから、それのプラスマイナスのコストはないと思うのですね、例えば新しい貨幣になったとしても。恐らく、最初に新しい貨幣をつくる機械の設備投資がかかるぐらいだと私は思う。  それと、このようなバイメタル貨幣をもしつくるというようなことになったら、技術的には日本では可能ですか、どうですか。
  148. 奥田宗久

    ○奥田政府参考人 今御指摘のバイメタルでございますが、造幣局の現状の機械では直ちに製造はできませんが、製造機械を輸入すれば、数年後に対応が可能であると考えております。
  149. 横光克彦

    ○横光委員 技術的には十分対応できるということですね。  例えば、もしそういったバイメタル貨幣というものをつくるとした場合、今の五百円玉と同じ形、同じ大きさ、同じ重さということも不可能ではないのですね。
  150. 奥田宗久

    ○奥田政府参考人 不可能でないと考えております。
  151. 横光克彦

    ○横光委員 となると、バイメタル貨幣をつくったとしても、現在の自動販売機メーカーにはそんなに大きな影響は与えないということにつながろうかと思います。  私がなぜこのような問題を取り上げたかということですが、私は、五百円玉不要論になるんじゃないか、あるいは、五百円玉を持っていたって使えないような状況がはびこってしまうと意味がなくなってしまうんじゃないかと非常に心配しておるわけですね。これは、国の通貨高権の否定にもつながりかねないと思うのです。ですから、これは、被害が拡大しないうちに、何とかして防止の対策をもっともっと努力してもらわなきゃならないという気がするのですね。今のお話では、かなり生ぬるい対応しかしていないなという気がするのですが、そこのところは、では政務次官、手を挙げられているので、何か御意見があったら。
  152. 大野功統

    大野(功)政務次官 五百円硬貨の問題は、大変厳しい問題として認識しております。  せんだって、貨幣大試験で大阪へ行ってまいりまして、試験執行官をさせていただいたのでありますが、五百円玉につきましては、サンプル調査でございますけれども、一グラムの差もなかったということでございます。それは、本当に純正、画一な通貨をつくっているということで、造幣局の熱意並びに技術というのは褒めたたえても余りあるものがあるのではないか、私はこのように思っています。  ただし、大蔵大臣指摘されましたように、二つ問題があって、何枚もあって、全体をはかって一グラムの差もない、それだけ正確に自動販売機の方が受け入れてくれるかどうかという問題が一つあるわけで、そこまで正確性を要すると、今度は自動販売機のコストがかかってくるという問題がありますから、これも検討しなきゃいけない。それから、今バイメタルの話がありましたけれども、バイメタルの問題については、流通する硬貨は見たらわかります。しかし、重さとか形容で判断する自動販売機の方は、これは難しいなという感じがするわけでございます。  そういう点で、一番の解決策というのは、やはりそういうものを使ってもペイしないんだ、したがって、すぐ犯罪人として検挙される、こういうふうなことで警察当局に御努力を願っているわけでございますけれども、それだけではなかなか実効が上がらないじゃないかということも御指摘いただきました。今、我々としては、警察を含めて検討会をやっております。何とかこの解決策を見出すべく頑張ってまいりますので、よろしくお願いします。
  153. 横光克彦

    ○横光委員 今、検討会をつくってやるということですが、大変私はいいことだと思うのです。今造幣局のお話を聞いたように、技術的にもバイメタルに対応できる、コストも、自販機メーカーにも、あるいは生産する場合もそんなにはね上がらないだろうというお話もあった、こういった状況下なんです。そして、犯罪はさらに広がるであろうという状況下なんです。  そうすると、私は、抜本的な対策しかない、それは、先ほどから、言わずもがなのことなんですが、いわゆる五百円玉の改鋳ですよ。二〇〇〇年を記念して二千円札を発行される、このことは私もきょうは論評は差し控えます、それはもう国の紙幣は国権ですから。しかし、そういった記念の二千円札を発行する前に、現実に目の前に被害が出ている問題を処理することが先じゃないんですか。それは、やはり五百円玉を私はもうここで改鋳するしかない、そこまで事態は来ているのではなかろうか。そして、そういった技術力もあれば、コスト高もそんなにないという今のお話なんです。  でなければ、五百円玉の貨幣の信頼性はなくなってしまいますよ、このまま広がってしまえば。だって、取り締まり当局だってもう音を上げているわけなんです。メーカーも音を上げているわけなんです。そうすると、あとは、抜本的な対策としたら、貨幣をかえて防止するしかないじゃないですか。そういうものをつくっても意味がないんだというくらいの貨幣をつくって、それがバイメタル貨幣なんです。そこまで私は来ていると思うのですが、どうですか、大蔵大臣大蔵大臣のこの五百円玉の貨幣の改鋳についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  154. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほども申しましたように、犯罪捜査当局を中心に、造幣局の専門官を交えて、それからベンディングマシンの方の関係者、自動販売機ですか、識別能力の問題がありますから、専門家にいろいろ考えてもらう必要があると思っていまして、今おっしゃったことの中で、例えば偽造、変造というのはかなりコストのかかることでございますが、五百円というのはかなり高額な額でございますから、それがそれほど高額でなければ、コストをかけて変造してもペイしないということも考えられますね。  そういうようなことをいろいろ総合的に考えまして、今おっしゃいました問題を含めて、やはり結論を出さなければならないであろうと思います。
  155. 横光克彦

    ○横光委員 確かに、いろいろな問題があろうかと思います。しかし、先ほどからしつこく言っておりますように、非常に変造それから偽造の技術力が高度になっている、それから、対応する方も精いっぱい対応してきた、にもかかわらず被害が広がっているという状況をまず認識していただきたい。そして、それに対応するにはどうするかということになると、私は、抜本的な解決策はもう新たな五百円硬貨をつくるしかない、そういったものの防止に耐えられる硬貨をつくるしかない。そういうことも不可能ではないというお話でもございます。  大臣、これは早急でもないのです。そういう意向も考えてほしいということですが、いま一度、すぐではなくたっていいのです、こういうことも念頭に入れておくというくらいのことはおっしゃってくれないと、国民、とりわけ自営業者あるいは利用者の不信を招くばかりですので、どうぞひとつもう一度大臣お答えをお聞かせください。
  156. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 専門家が検討いたしますと、そう難しい問題では恐らくない、大変深遠な理論を必要とする問題でもなさそうでございますから、比較的早く結論を出してもらわなければならないと思います。
  157. 横光克彦

    ○横光委員 どうもありがとうございました。  二〇〇〇年を間近に控えたわけです。その二〇〇〇年の記念の二千円札も発行される予定です。どうかそのとき、発行されると同時に、こういった問題にもかなり前向きに取り組んでいっていただきたい。まず目の前の問題を処理しなければ、二千円札を発行しても国民は喜んでくれないのではなかろうかという気もいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。  終わります。
  158. 金子一義

    金子委員長 次回は、来る二十四日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時散会