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1999-12-07 第146回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十二月七日(火曜日)     午後三時七分開議  出席委員    委員長 中山 成彬君    理事 伊藤 達也君 理事 小林 興起君    理事 河本 三郎君 理事 山本 幸三君    理事 大畠 章宏君 理事 吉田  治君    理事 大口 善徳君 理事 塩田  晋君       小野 晋也君    岡部 英男君       奥田 幹生君    奥谷  通君       粕谷  茂君    小島 敏男君       古賀 正浩君    桜井 郁三君       新藤 義孝君    田中 和徳君       竹本 直一君    細田 博之君       村田敬次郎君    茂木 敏充君       森田  一君    矢上 雅義君       山口 泰明君    奥田  建君       川端 達夫君    渋谷  修君       島津 尚純君    中山 義活君       山本 譲司君    遠藤 乙彦君       中野  清君    福留 泰蔵君       青山  丘君    小池百合子君       藤井 裕久君    三沢  淳君       金子 満広君    吉井 英勝君       北沢 清功君     …………………………………    通商産業大臣       深谷 隆司君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    経済企画政務次官     小池百合子君    通商産業政務次官     細田 博之君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    政府特別補佐人    (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君    政府参考人    (金融監督庁監督部長)  乾  文男君    政府参考人    (中小企業庁長官)    岩田 満泰君    政府参考人    (労働大臣官房長)    戸苅 利和君    商工委員会専門員     酒井 喜隆君     ————————————— 委員の異動 十二月七日  辞任         補欠選任   中山 太郎君     矢上 雅義君   中山 義活君     奥田  建君   青山  丘君     三沢  淳君 同日  辞任         補欠選任   矢上 雅義君     中山 太郎君   奥田  建君     中山 義活君   三沢  淳君     青山  丘君     ————————————— 十二月七日  中小業者仕事をふやすなどの対策に関する請願(瀬古由起子紹介)(第六二七号)  同(古堅実吉紹介)(第七〇二号)  同(矢島恒夫紹介)(第七〇三号)  同(松本惟子君紹介)(第七三五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  中小企業事業活動活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案内閣提出第七二号)  新事業創出促進法の一部を改正する法律案内閣提出第七三号)     午後三時七分開議      ————◇—————
  2. 中山成彬

    中山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業事業活動活性化等のための中小企業関係法律の一部を改正する法律案及び新事業創出促進法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として、吉井英勝君の質疑の際に中小企業庁長官岩田満泰君、金融監督庁監督部長乾文男君及び労働大臣官房長戸苅利和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 中山成彬

    中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
  5. 大畠章宏

    大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。中小企業に関連する二法案について、質問をさせていただきたいと思います。  この法律案質問に入る前に、前回も申し上げましたが、二つの点について申し上げなければならないと思います。  深谷大臣におかれましては、大変、中小企業国会という看板のもとで全力で頑張っておられるわけでありますが、どうも総理大臣が、本会議場お話をした後、総理お話をほとんど伺っていない。  それで、私ども商工委員会としても、やはり総理がみずから出てきて、中小企業国会ということで始まったこの国会でありますから、前回中小企業基本法のことについてどう考えておられるか、または、今回の予算関連でありますけれども、多くの法律改正案が含まれているものでありますから、総理としてどう考えておられるのか。こういうことをいろいろ総理本人の口から、みずからの言葉で語っていただきたかったわけでありますけれども、結局、今のところ実現しておりません。  この件については、商工委員長にも、ぜひこの委員会の席に総理出席していただきたいということを重ねてお願い申しているわけでありますが、本日までまだ実現をしていないのが実態であります。  ぜひこれは大臣の方からも、明日も質疑の予定をしておりますけれども、ぜひそういうことが実現できますようにさらに御努力をいただきたいということを、一つ最初に申し上げておきたいと思います。  さらにもう一つは、この商工委員会中小企業関連の二法案質疑してまいるわけでありますが、この法律案審議日程に大きな影響を与えたのは厚生委員会における強行採決でございます。いずれにしても、国民の疑問に十分答えないまま数を頼りにして強行採決をするという、いろいろなことを考えてもまさに私は暴挙としか思えません。  この年金改正は、まさに六千万を超えるサラリーマンにとって大変重要な課題でありますし、特に六十歳の定年後、六十五までどうやって食べていったらいいんだ、五年間の空白をどうやって埋めたらいいんだ、この問題についても回答がありませんし、それぞれ考えるべきだろうということであります。さらに、五年前に基礎年金の二分の一は国家予算で賄うということを決めておきながら、また五年間先送りする。これは企業にも、またサラリーマンにも大きな影響を与えることになりますので、ここら辺が大もめにもめた原因の一つであります。  いずれにしても、この問題は今、衆議院段階では一つの山を越したということでありますけれども、しかし、問題点が残ったままでございます。この問題については、国民合意年金改正になるように、ぜひ与党の皆さんにおかれましても努力をしていただきたいということを強く申し上げさせていただきたいと思います。  そういう中で、この中小企業関連の二法案審議が日程的に大変タイトになってきているわけでありますが、内容的にも大変重要であります。きょうから質疑が始まったわけでありますけれども、今回この法律案に対する質問をさせていただきたいと思います。  既に先週、参考人方々を初めとして、いろいろと私自身もこの中小企業関連の二法案について御意見を賜ってまいりました。特に、今回は中小企業国会と言われておりますけれども、過去に随分中小企業関連法律案を通過させました。平成一年の六月には新規事業法平成七年の三月には中小創造法、さらに平成十年には新事業創出促進法、さまざまな法律をずっとやってきたのですが、なかなか効果が上がらない。そういう意味では、どうも私は中小企業庁十分現場というものを把握していないのではないかという感じも最近は持っております。  最初質問に入りますが、通産大臣、今回の中小企業国会ということで、基本法改正、あるいは予算関連の七つの法律案一括で今やろうということでありますけれども、どこまで中小企業実態を踏まえて今日の改正法案に結びつけてきたのか、その背景について、あるいは経緯について、改めて大臣の御意見を伺いたいと思います。
  6. 深谷隆司

    深谷国務大臣 さきの基本法改正につきまして、御同意をいただきましたことを感謝申し上げる次第であります。  我が国の経済状況は、早く民需にならなければいけない、その民需によって景気の回復が実現されなければいけないのでありますが、なかなかそういう状態に至っていない。また、完全失業率についてもいまだ高い水準にある。また、創業率廃業率にいたしましても逆転の傾向がある。このように、中小企業を取り囲む環境というのは依然として非常に厳しいものがございます。  こうした状態を踏まえて、先般、中小企業を活力のある形にしようではないかというので、その多様なニーズにきめ細かく対応できる政策を目指して基本法改正を行ったわけでございます。今回の法案は、その基本法理念一つの柱であります問題、その他もろもろの問題を法律の上で具体化していこうということでございます。  既存企業経営革新創業促進という理念具体化の一歩として、中小企業事業活動活性化を目指すために、その多様なニーズに的確にこたえるために、事業者現実ニーズを十分に踏まえながら、例えば資金供給円滑化を中心に、組織、技術の面からの措置を講じようとするものでございます。  具体的には、中小企業社債発行円滑化担保に乏しくとも成長が見込まれる中小企業への資金供給の充実、小規模企業者及び創業者のための使いやすい設備導入資金の拡充を図るほか、中小企業組合組織活性化を図るための措置研究開発型中小企業資金調達人材確保円滑化するための措置等を強化することといたしております。
  7. 大畠章宏

    大畠委員 今大臣から非常に整然とお話がありましたが、実はこの質問をするに当たって、中小企業庁担当の方が何人かお見えになりました。それで、あなたは中小企業に最近行ったことがあるのか、中小企業おやじさんと話してきたかと言ったら、ありませんと言うのですよ。  中小企業庁の方はきょうは上の方におられるでしょうけれども、私はその話を聞いていて、何度も申し上げたかもしれないけれども、二〇三高地を思い起こすのですよ。自分たちは暖かいところにいて作戦を練る。しかし、現場を知らないで、いわゆる戦場を知らないで作戦をして、こういう法律をつくれば何とか効くだろう、こういう法律をつくれば何とか効くというのですけれども、中小企業おやじさんと余り話してない人が多いのではないかと私は思うのですよ。  大臣、やはり中小企業庁というのであれば、中小企業庁担当者は月に一回ぐらいは、何も遠くまで行かなくていいのですから、東京都だって大田区に幾らでも中小企業があるわけですよ。プレスのところもあるし、旋盤をやっているところもあるし、フライスをやっているところもあるし、そういうおやじさんに。例えば中小企業団体の方から来ていただいて整然とした要求書をもらうのもいいのですけれども、どうも私は、実際に作戦本部指令書をつくっている人が現場を知らない、現場を知らないから、作戦をして弾をつくってもなかなか現場実態に合わないという形になっているのではないかという感じがすごくするのですね。  これは一つの視点ですが、今回の中小企業政策体制については、既存企業の延命のための施策起業促進のための施策とのアンバランスがどうも目立つ。中小企業を、保護すべき平均的な弱者ではなく、日本経済のダイナミズムの源泉で多様な可能性創造力を持った事業体とする理念、こういうものにどうも乖離があるのではないか。  今回、保証枠を三十兆円まで拡大するということが報じられていますが、全中小企業が一社当たり二千万円もの融資保証をしてもらえる規模になる。確かにやろうとしていることはそんなに方向性は間違っていないのかもしれませんが、現場と、中小企業庁がやってあげますからねというのと、どうも少しリズムが合っていないのではないか。  例えば、これは田中秀征さん、元経企庁長官の話でありますが、政府は、雑草を栽培するごとき的外れの政策はとるべきではない。水や肥料を与えて育つような雑草はもはや雑草ではない。もしも本気で雑草育成に期待するなら、そのために何かするより、むしろ余計な障害を取り除くことに専念すべきだ。すなわち、既得権益化した参入規制の撤廃や許認可事務簡素化迅速化業界団体との積年の癒着を断ち切ること、行政指導などの行政手法を改めること、それが結果的に何よりのベンチャー支援になる。政府は、企業活動が反社会性を帯びるとき、厳しくそれをチェックする体制を整えていればいい。そうすれば、政府が手をかさなくてもベンチャー企業は輩出されるはずだ、こういうふうなことも言われています。  今回の法律案、さまざまな工夫もされています。金融面でも、こうしよう、ああしようと言うんですが、私も地元の話を聞いてきましたが、そこら辺、どうもしっくりしていないんですね。これはいい薬なんですと言うんですが、どうも患者の人が求めているような症状にはぴたっと合致していない。それは、飲まないよりは飲んだ方がいいというものかもしれません、あるいは本当にそれを求めている人がいるかもしれません。大臣、どうも私の知る限り、今回のこの法律案、さまざまな工夫がされたと思いますが、患者実態と微妙にずれているんではないかという感じがするんです。  大臣に申し上げたいのは、もしも中小企業庁が本当に中小企業国会をやるというのであれば、担当者は全員どこかへ行って中小企業おやじと話してこい、そのぐらいの市場調査をやらないで、さあ中小企業国会でございます、いろいろ法律をつくりました、さあこれで乗り切りますということは言えないんじゃないかと私は思うんです。これはこれからの問題になるかもしれませんけれども、通産大臣としてそこら辺をどう御指導されようとしているのか、所見を伺いたいと思います。
  8. 深谷隆司

    深谷国務大臣 通産省諸君が、特に中小企業庁諸君中小企業実態を知らないではないか、こういう御意見につきましては、少なくとも、そういう御意見が出たということを一つ反省にしなければならぬと私は思います。  ただ、私も中小企業の町にずっと住んでいて、あらゆる業界団体その他の会合に出ますけれども、その折々に中小企業庁諸君が参加して、その人たちと本当に口角泡を飛ばして議論している姿は、しばしば見受けているのでございます。そういう意味では、中小企業皆さんと本当に肩を並べるようにして議論し、考え、行動してきたのが中小企業庁ではないだろうかというふうに私は思っています。  しかし、冒頭申し上げたように、いやしくもそのような批判が出るということは反省材料にしなければなりませんから、大いに現場を見よという指導をしてまいりたいと思いますし、政治家皆さんはその中小企業と苦楽を分かち合っているわけでありますから、あわせて、私を含む大勢の議員皆さんの実感を肌でかみしめるようにするよう指導してまいりたいと思います。
  9. 大畠章宏

    大畠委員 大臣は、まさに下町の選挙区でありますし、多くの中小企業の方がおられて、日常接しておられると思うんですが、ともすると通産省中小企業庁もどうも官庁にこもりがちで、出てくれば、中小企業庁官僚の人が来たというので、ははあとなったり、通産省が来たといったらもう大変なものですよ、これは。結局、どうも実態というものをなかなか知らないで帰ってくる可能性がちょっとあるんですね。  だから、今大臣からお話ありましたけれども、今回総理委員会にも出てこないのは問題なんですけれども、ぜひ私は、中小企業庁の中で政策に携わる方はせめて中小企業実態をよく知るように、若い人も中堅の人もみんなやってくれと。そういうことをやらないと本当に、微妙にずれた政策だとやはりしっくりしないんですよ。ぴたっと現場と、現実政策が一致すればこれは生きてきますが、微妙にずれていると、一生懸命お金を使ったんだけれどもなかなか効果が出ないということにもなりかねないんですね。  私は、今たまたま中小企業の、これまでどんなことがあったかというのでずっと見ましたけれども、毎年というくらい中小企業関連法律を出しているんです。しかし、なかなか効果が上がらない。そして今回、一括でこの法律案で改革しましょうというんですが、そこら辺がどうも今の官僚システムのウイークポイントじゃないかと私は思います。  戦後五十三年の間には非常に有効に寄与したこともあったでしょうけれども、バブルあたり、一九八〇年以降、どうも各省庁とも何となく合わなくなってきているんじゃないか。だから、考え方を少し切りかえて、現場主義、要するに現実社会官僚ももっと知ろうという運動でも通産省を挙げて取り組んでいただけないかなと思います。これは、そういうふうな指摘をさせていただきたいと思います。  そこで、今回の法律案一つの目的に資金供給円滑化ということがうたわれているわけでありますが、本当に今回の法改正円滑化がされるんだろうか。ずっと新聞でも報道されていますけれども、商工ローンというのはなぜはびこるのか。こんなに通産省中小企業庁も一生懸命やっているのにもかかわらず、相変わらず商工ローンに駆け込む経営者がいる、そしていわゆる被害者も出ているということでは、どうも今回の法律を通せばそういうことはなくなるんですよということが言い切れるのかどうか。  それについて、大臣お話をいただきたいと思います。
  10. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業資金供給が完全に行き渡るかと問われますと、それはどういう形であるかということも含めて、大変戸惑うわけでありますけれども、しかし、さまざまな中小企業が必要とする資金供給するための仕組みを、今度きちんと整えていけるというふうに考えています。  すなわち、中小企業社債発行円滑化させるとか、担保に乏しくても将来性のある中小企業に対して資金供給を拡充していくとか、あるいは小規模企業者設備導入資金、これは創業者も含めてでありますが、一千億という、しかも業種を絞らないという形での新たな進め方等を行っておりますから、随分、旧来とは違っていくのではないかと思います。  また一方、当面厳しい金融環境がございますので、これに対応して、例の特別保証制度の延長とその枠を広げさせていただいたわけでございます。あわせて、政府系金融機関による貸し渋り対策融資制度の的確な運営などもこれから進めてまいりまして、中小企業者資金供給が順調にまいりますように一層努力をしていきたいと思います。
  11. 大畠章宏

    大畠委員 今、御答弁をいただいたところでありますが、まだ現場の方では、やはり金融に対する不安といいますか、本当にこれで大丈夫になるというような受けとめ方はどうもしていないみたいですね。相変わらずお金はなかなか難しいんじゃないか、あるいは融資というものについて非常に制約がありまして、たくさん商品はあるんだけれども、私はこの商品買えますかと聞くと、いや、この商品についてはこういう資格が必要ですといってやっていくと、結局、その商品が買えない。ではこちらの商品は使えるかなというと、いろいろこれも制約があって、結局、たくさん商品はあるんだけれども買えない。おなかはすいているんだけれども食品を食べられないという実態があって、結局、どうぞいつでも食べてくださいという商工ローンに飛び込むという話になっているような感じがするんですね。  私は、いわゆる公的な金融機関については、これは税金でやっているわけですから、私的な金融機関まで六十兆円も投入するわけですから、回収できなくてもいいということじゃないんですが、やはりそういう公的な金融機関はせめて、一般の金融機関もこれはやってもらわないと困るんですが、いわゆる目ききですね、あなたの企業はわかりました、したがって、こういう資金はお貸ししましょうという。  そういう意味では、人材育成といいますか、公的な金融機関人材育成をかなりきちっとやらないと、公的な金融機関というのも割と困らないんですね、たくさん借りても、たくさん借りなくても、別にその会社がつぶれるわけじゃありませんから、どちらかというと、非常に緊張感に欠けたような感じ仕事をされている傾向がちょっと出ているんじゃないかと思うんです。  そこで、せめて公的な金融機関窓口といいますか、融資担当者をきちっと教育していく。そして、幾つかの新聞にも出ていますけれども、これはインターネットの接続業者、インターネットイニシアティブという会社ですが、この会社社長さんが、当時、事業についてはこれ以上何を話せばいいかというまで一生懸命説明したんですが、最後は、担保がなければ審査部を通らないでしょうという返事で終わっているという。  そういう担保保証人。これなんか、担保保証人があれば何も目ききなんか要らないんですよね。あなたの企業先見性あるいはあなたの企業の体質、そしてあなた、社長自身あるいは従業員の人の資質等々を見て、融資しましょう、そして会社を大きくして、もっと従業員の方も雇ってくださいと。そういう意味での環境をつくるのが重要だと私は思うんです。  そこで大臣にお伺いしたいんですが、この中小企業関連金融の、いわゆる融資担当教育というのはどういうふうにされているのか。そして、今申し上げたように、借り手の方々あるいはそういう状況をきちっと判断して融資の判断ができるような人を育成することを実際にやっているのかどうか、お伺いしたいと思うんです。
  12. 茂木敏充

    茂木政務次官 大畠議員指摘政府系金融機関における融資でありますけれども、これからは、担保であったり保証人とかに頼らずに、事業リスクの適切な評価に基づく融資というものが今まで以上に必要になってまいると考えております。  今回の中小公庫法改正におきましては、担保は乏しいが高い成長性が見込まれる新事業を行う中小企業者資金ニーズにこたえるため、従来の貸し付けに加えまして、新たに無担保社債の応募、引き受けによる中小公庫からの資金供給を可能としているものであります。  そういった中で、一方では内部人材教育を行っていく、もう一方では外部人材も積極的に活用していく、こういったことが必要だと考えておりまして、事業成長性それから新規性審査評価に当たりましては、これからは外部専門家による評価チームも活用いたしまして、多様かつ新規性を有するベンチャー企業審査を的確に行うため、民間能力を活用した体制を整備しつつございます。  同時に、政府系金融機関内部におきましても、金融審査担当する人材育成が重要であることは委員指摘のとおりでございまして、今後とも審査ノウハウ蓄積等に努めてまいりたいと考えております。  また、各政府系金融機関における研修等々はどうなっているか、こういうお話でございますが、新人職員のうちから、研修等を通じまして、顧客接遇中小企業金融に関する職員教育を行っているところであります。  当省といたしましても、政府系金融機関に対しまして、機会あるごとに窓口における親身な対応、迅速な審査等を指示しているところであります。これを受けまして、また各政府系金融機関においても、貸し渋りが本格化いたしましたおととし、平成九年秋以降、顧客対応マニュアル等を作成しまして身近な対応に努めてきたところであります。  そして、今後とも、本当に雨降りのときに傘を差し出せる、こういった政府系金融機関に求められる役割を十分に踏まえまして、中小企業者の立場に配慮した適切な対応に努めるよう指導してまいりたいと考えております。
  13. 大畠章宏

    大畠委員 今政務次官から雨降りのときに傘を貸すと言いましたけれども、前のころは別で、晴れているときに無理やり傘を貸して、雨が降り出したら傘を取り上げたというのが実際の中小企業に対する金融じゃなかったかということは指摘されているんですね。ですから、今ちょうど引用されましたけれども、本当に雨降りのときにちゃんと傘を貸してあげる。  それも、雨が降っていて貸してくれと言ったんだけれども、あなたはどんなあれですかというので、いろいろないちゃもんをつけて、結局、あなたは傘を借りる資格はありませんというので、なかなか貸してもらえない。それでさっき言った商工ローンみたいなところに駆け込んで傘を借りているというのが実態だと思いますので、今政務次官がおっしゃったような形で実際行われるように、ぜひこれは政務次官も、じかに答弁されましたので、そういう意味でよくウオッチングしてもらいたい。  そして、今答弁されたような形に本当に融資が行われるかどうか、政務次官の目で確かめてくださいよ。これは委員会だけで答弁すればいいというんじゃなくて、実際やってもらわないと困るわけですね。ぜひそこら辺、茂木政務次官にはお願いしておきたいと思います。  それから、きょうは公正取引委員会委員長さんも、根來委員長にも急遽来ていただきました。  実は、この中小企業問題について町の中をずっといろいろ話を聞いていますと、融資の問題もそうでありますし、商売の問題もいろいろあるんですが、その中で、どこでもそうだと思うんですが、郊外のところにいわゆる量販店が結構大きく進出してきまして、町の中の商店街がお客さんをとられて非常に困っているという話を何回も聞くんですね。  これは一つの例でありますけれども、最近の家電品関係の情報であります。大店法廃止に伴う駆け込み出店というのがありまして、五千平米以上、巨大な量販店が年間で十八店舗を出しまして、その一方で十七店舗は閉店している。実質一店舗だけふえたというような情報もあるそうです。  通産大臣、要するに町がおかしくなってきたんですよ、これは前からずっと言われていますが。中小企業の個人商店とか個人事業者が町の中心部を構成しているんですが、郊外のところにそういう大規模なものを出すのは時代の流れとしてしようがないかもしれません。しかし、それで町の真ん中がだんだんおかしくなってきて、そのあげくに郊外店が採算が合わないからといってもうやめるというような話になってくると、町がおかしくなってくるんですね。  この問題について、何度もこの商工委員会の一般質問等でも出ていますが、果たしてこの問題を通産大臣はどう考えておられるのかというのを一つお伺いしたい。  それから、根來公正取引委員会委員長さんには、急遽でありますけれども、量販店の販売方法と小売店の販売の間に非常に大きな乖離ができつつあるということを聞いています。  特に、二重価格を表示する場合、メーカー希望小売価格が重視されますけれども、四十六年に公正取引委員会の事務局長による通達が出まして、メーカー希望小売価格と小売価格に一定の乖離が生じた場合は価格を是正する旨の通達があった。いわゆるメーカーの希望小売価格とそのお店で売っている小売価格に五〇%以上のような乖離があった場合には、価格を是正しなさいというような通達を出した。ところが、今回この通達が廃止されるという話になってきて、これでは結局九九%引きとか九八%引きとかいう値引き競争がますます激しくなってしまうんじゃないかという要請を私はいただいています。  この問題はずっと続いているわけでありますけれども、この量販店と小売店との問題、あるいは、もう一つはいわゆる元請と下請との関係、この件についても下請代金支払遅延等防止法の抜本改正をしてほしいとか、そういう現場からの要請が来ておるわけでありますが、現在のそういう中小企業方々の声を受けて、公正取引委員会としてはどういう行動をこれから起こそうとしておられるのか。現状についての御認識と基本的な対策について、公正取引委員会委員長にお伺いしたいと思うんです。この二つをお伺いしたい。
  14. 深谷隆司

    深谷国務大臣 大畠委員の御指摘のように、地域によって町が後退をしているという現実があることはよく承知しています。  そこで、政府としては、昨年の国会改正都市計画法、大店立地法、中心市街地活性化法の、いわゆる町づくり三法というのをこしらえて、これを活用することによって町が生き返るように努力しようということに相なっております。  大型店舗法というのは、中小企業事業機会を守るために、かなり前に我々も皆さんも御一緒になってつくったものでありますが、外圧等も含めてだんだんに後退してきた、そういう歩みがございました。そこで、これからは欧米各国で行っているような、大型店の立地の適否の問題を都市計画の観点から規制していこう、このように大きく変えていったわけでございます。  そしてあわせて、ただいま申し上げましたような中心市街地活性化法等々を活用いたしまして、大型店が出てくるのに対しては、例えば交通問題、騒音問題等々、町の環境全体を考えるということで対応していくということでございますが、いずれにしても、この町づくり三法をどのように活用して町を活性させていくか、まさにこれからの重大な課題であると思っております。
  15. 根來泰周

    根來政府特別補佐人 再々、中小企業者の問題について御質問をいただきまして、大変恐縮に存じております。  いつも申し上げているところでございますけれども、規制緩和というのは、結局は独占禁止法の公正にして自由な競争を促進するということでございます。ところが、現実問題としまして、自由な競争は行われておりますけれども、公正な競争という、公正という部分が欠落しているということも、これまた否定できない問題であろうと思います。その公正という点が欠落しているという問題は、結局、中小企業者いじめというところに帰着するのではないか、こういうふうな理解をしているところでございます。  そこで、ただいま御質問の大規模な小売業者と中小の小売業者との問題につきましては、私どもも当然関心を持っておりまして、平成十年度におきましても数件の大規模小売業者に対して警告を発しておりますし、また実態調査につきましても、大規模小売業者に対する納入取引の適正化のために実態調査を行うというようなことで、必要な調査を行い、指導を行っているところでございます。  しかしながら、いつも申し上げているところでございますが、私どもの力及ばぬ点がございますので、これからさらに、どういうふうに少ないリソースをもちまして実効のある実態調査をし、あるいは厳正な対処をしていくかということが一つの大きな問題でございます。  下請法の問題につきましてもそういう問題を抱えておるのでございまして、これは年に千五百件ぐらいの注意を行っておりますけれども、これも不十分だという御指摘がございます。これは中小企業庁と共管でございますので、中小企業庁とも十分協議をいたしまして、また法律改正が必要ということになりますれば、当然この委員会で御検討をお願いすることになろうかと思います。  いずれにせよ、私ども全力を挙げて、そういうただいま御指摘のようなひずみにつきましては厳正に対処するつもりでございますし、また、その方法としまして民間の方々の、いつも御提案がございますけれども、商工会議所とか商工会の御協力をいただきまして、さらに徹底した対処をしたい、こういうふうに思っているところでございます。
  16. 大畠章宏

    大畠委員 通産大臣からは、町づくりについては大変重要だ、今後とも取り組んでいくというのですが、結局、町づくり三法もやったのですが、なかなか効かないのですね。  これも先ほど私が申し上げたように、いろいろ薬を調合するのだけれども、どうも効かない。町の空洞化はやはり進んでいますよ。中心市街地活性化法というのを鳴り物入りで出しましたけれども、これは、一部は何か成功したところもあるかもしれません。でも、大多数の日本全体の市町村の方ではやはり空洞化が進んで、中心市街地活性化法という薬が効いていませんね。  非常にぽつぽつの空き店舗がふえていますし、大型店がどんどん進出して、消費者の方も自動車でぱっと行って、ほとんどのものはそろうから、そっちの方がいいというので行くわけですよ。そうすると、町の中心街のいわゆる商店というのはやはり売り上げがおっこちてきて、だんだんおかしくなっているというのは全国的な傾向なんですね。このまま十年二十年続いたらどうなるのかというと、今大臣が御心配をされたように大変な状況になろうと思うのです。  やはり私は、ヨーロッパ並みの落ちついた潤いのある町というものを求めていかなければならないのじゃないかと思うのですね。アメリカ型の郊外に大型店がばっとあって云々じゃなくて、やはり日本人には日本人に合う町というものを目指していかなければならないと思います。  ここら辺はぜひ大臣、まだ来年の通常国会もありますから、その前に解散・総選挙というようなことがあるかもしれませんけれども、いずれにしても通産省のしりをたたいて、通産省だけではなかなか難しいかもしれませんけれども、関係省庁と連携をとって、本当に大臣がおっしゃったような町づくりが実現できるように、何かこれは手を打たないとおかしくなってきますので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、公正取引委員会根來委員長には、本当に急なお話で大変恐縮ですが、常に一生懸命、公取の非常識は世間の常識とか、あるいは公取の常識は世間の非常識とか、そういう差があってはだめだ、世間の常識は公取の常識になれという話をされているという話を私もある方から伺っていまして、大変御努力いただいていることに対しては敬意を表したいと思います。  今御答弁がありましたような形でぜひ、本当に一生懸命やろうとしているのだけれども、もう最初から勝負がついているようなところで相撲をとれといってもなかなか大変なので、ここら辺、根來委員長のおっしゃるように公正な競争ルールを厳しく守らせる、これなくして自由競争とかあるいは規制緩和というのはあり得ないと思いますので、その点についてはさらに一層御努力をお願い申し上げたいと思います。  時間が来まして、最後の質問になりますが、少し飛ばすかもしれませんけれども、今回、新事業創出促進法改正案が出されました。もう既に新事業創出促進法というのがあるのだから、たくさん新事業が生まれてもいいのだけれども、これも生まれていないのですね。生まれていないからまた改正案を出すわけですけれども、今回法律改正すれば果たしてどのくらいの企業が新しく開業できるのか。  もう時間が来てしまったそうでありますから、私は、目標値というのをきちっとつくらなければなりませんが、この開業率をどの程度まで引き上げようとされているのか、そういう目標値を一言御答弁いただいて、質問を終わります。
  17. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ベンチャー企業あるいは中小企業創業に関して全力を挙げていくということは、廃業率そして創業率のバランスが崩れている現状では最も大事なことであります。  そこで、我々としましては、向こう五年間を想定いたしまして、今、年間十四万社でありますのを十万社ふやす、二十四万社は創業が毎年確保できるような状態に持っていきたい。この件については、五十年代の前半、そして五十年代の後半、さらに六十年から平成にかけての平均値をとりますと、大体二十四、五万の力があったわけでありますから、それを確保するために全力を挙げたいと思います。
  18. 大畠章宏

    大畠委員 ありがとうございました。
  19. 中山成彬

    中山委員長 渋谷修君。
  20. 渋谷修

    ○渋谷委員 大畠委員から指摘したことについて、そのまま若干関連して御質問を申し上げたいと思います。  先ほど、政府系金融機関がまず率先して、担保をとらずに、あるいは保証人を立てずに、中小企業に対する融資のシステムを何とか改善していくことができないのかというお話があって、努力をしているという茂木政務次官からのお話でありました。いろいろと研究、検討されていることは私も聞いておりますし、今現在も取り組んでいるということは私も知っているのでありますが、いつまでもエンドレスに研究、検討しているというわけにはいかないのであります。  ここのところが一番、この間議論してまいりました信用保証枠の追加の問題につきましても、もともと政府系金融機関がこういったことについて先行して取り組んできていれば、こうした深刻な事態になっていなかったということも言えるわけでありますから、このことについては、茂木政務次官、検討している以上、エンドレスというわけにいきませんから、一、二年の間にこれを実現していくということにするのか、あるいは三年ぐらいの目標でやるのか、いや、五年はかかるんだという話なのか。  ずっと検討しっ放しということでは、中小企業者にとっては何ら事態は改善されないということになるわけでありますから、いつごろまでそういったことが、つまり、政府系融資のいろいろな制度がありますが、多くが、例えば担保つきあるいは保証人を要するということになっているんですね。こういう実態を変えるには、先ほど答弁されましたように研究、検討しているということであれば、いつまでにそれは改善されるのか、そのことをお聞かせいただきたいと思います。
  21. 茂木敏充

    茂木政務次官 渋谷委員からの御質問でございますが、個々の融資制度によりましてそのターム等々は違ってくると思うんですが、御案内のとおり、今回の二法の改正におきましても、中小企業近代化資金等助成法、これまでは、例えば設備の縛りがある、それから業種の縛りがある、こういったものにつきましても、例えば小規模企業を中心にしまして無利子の融資、または担保がないところに対しては設備のリース等々を行う、こういったことで、既にこの国会におきましても改善について御提案を申し上げております。  そして、残りの部分につきましても速やかに実行してまいりたい、このように考えております。
  22. 渋谷修

    ○渋谷委員 速やかにということは、この一、二年というぐあいに理解していいんですか。
  23. 茂木敏充

    茂木政務次官 できるだけ早く、可及的に速やかに実行してまいりたいと思っております。
  24. 渋谷修

    ○渋谷委員 お役所の仕事ですから難しいのは重々承知でありますが、しかし今、昨年の二十兆の緊急避難的な保証枠の拡大、保証枠の設定、さらに追加十兆円ということで、これはまた来年の四月からさらに一年ということですから、少なくともこの間に、政府系金融機関が先行して担保主義からの脱却、あるいは保証人をとるといった仕組みを改善するということについては、そこで目鼻を立てなきゃいけないでしょう。そのあたりがやはりターゲットにならなければいけないんじゃないですか。いかがですか。
  25. 茂木敏充

    茂木政務次官 基本的な認識は渋谷委員指摘の部分と同じであります。一、二年のうちにできる限りのことをしてまいりたいと思っております。
  26. 渋谷修

    ○渋谷委員 政治家同士の話になってこのぐらい前進すれば、お互いに政治改革をした価値があるということになるわけであります。  さらに、本当はこの問題に私は触れるつもりじゃなかったんですが、大店法の問題、大畠さんが触れましたので。  大臣、これは通産省反省から始まらないと一般の小売商はとても納得しませんよ。私の記憶で言えば、九年前にこの委員会でその議論はしているんです。当時はもちろん大店法という法律がありました。もう大臣はよく御存じの話だから、別に質問通告なくったってこの話はできる話です。  全国あちこちに大型店が出まして、地域の小売商が大変大きな影響を受ける。ただ単に小売商の問題だけではなく、町が破壊されていく。もちろん、日本の町づくりの基本的な部分、つまり、農地が安易に転用されてショッピングセンターになったりとか、そういうことなどがありました。もちろん当時も日米の構造協議の問題もありました。  それで、規制緩和が進められるという状況の中で一体どう対応するのかということで、通産省自身が、アメリカにおける大型店の出店調整がどう行われているかということを、これはたしか自転車振興会かどこかの予算をもらって担当官を派遣して調査をして、そうしたことを把握した上でそれに対抗しようと。実はそのときにそういう資料を私はもらえなくて、アメリカ大使館等々を通じて資料要求して、そして出てきたという経過があって、まあ、いろいろ通産省ともやりとりを、ここで激しくやり合ったことを記憶しております。  もう九年前にこんな指摘があって、しかもそのときに私自身が小売商の問題をいろいろ扱って、現場でかかわっておりましたから、大店法という法律の体系ではなくて、商業というのは基本的には立地の問題、あるいは都市の中では非常に重要な要素の問題、これに着目した上で多面的な調整の考え方を持たなければならないということも主張をして、当時、運動団体からの要綱も提起し、あるいは私がたまたま衆議院議員として当選しましたので、この場で議員立法で作成をしまして、そうした町づくりの考え方あるいは商業集積をどういうぐあいに誘導していくかということの提起もしたのであります。  大臣、あれから九年でありますよ。この間に全国各地、皆さんの地元、地方自治体、あるいは町で、まさにどういう状態が起こっていますか。死屍累々じゃありませんか。今ごろ、これから町づくり三法でこの状況を改善しようといったって、もう手おくれのところが山ほどあるわけです。  私は、だから、通産省はアメリカの出先機関なのか。本当に日本の中小小売商や中小企業のことを真剣になって考えているのか。マッチポンプをやっているのではないか。あるときには手放しにして地域の町を破壊しておきながら、今度空洞化したからそれを埋めるための新しい法律をつくって、また予算を計上する。こういうことであってはいけないと、私は本当に腹に据えかねて思っているのです。  大臣は、このことはよく御存じの話であります。これは、全国の小売商に対しては、来年町づくり三法ができるから大丈夫だなどという話ではなくて、まずは通産省等の対応が、あるいは自民党としてのことも含めてでありますが、そういう対応が非常におくれたということについての反省から入らなければいけないというぐあいに思いますが、いかがですか。
  27. 深谷隆司

    深谷国務大臣 まず、お答えする前に、アメリカの手先とかマッチポンプという言葉は言い過ぎであります。通産省がそのような物の考え方で行動してきたとは全く考えておりません。さきのWTOの会合でも、私はアメリカの担当者と声を荒げて闘ってまいったつもりであります。そのときに応援して、一緒になって頑張ったのは通産省の職員でありますから、そういう意味では、ぜひ彼らが頑張っていることを理解してあげていただきたいというふうに思います。  私も、大型店の出店に関しては本当にいら立ちを持ちながら、少なくともあなたと一緒に、行動をともにしてきました。対応がおくれたということは、自由民主党のおくれなのか、あるいは細川、羽田政権の時代もあったし、いろいろありました。政治家全体が反省していかなければならないことだと私は思っています。  そういう意味で、ようやくにして町づくり三法ができ上がったのでありますから、どうぞ、あなたも私も一緒になって知恵を絞って、町づくりのために全力を挙げていこうではありませんか。そのために、通産省が頑張るように私はしっかり指揮していくつもりであります。
  28. 渋谷修

    ○渋谷委員 そういう深谷大臣が、その意味ではもっと早く通産の政策にリーダーシップをとって携わればよかったなというぐあいに思うわけですけれども、しかし大臣、これは結果なんですよ。もっと早い段階で取り組んでいればこういうことになっていない。  この間、私がここで幾つかの法律指摘申し上げましたが、大臣がいないところでありましたから、細田さんに御説明を申し上げましたけれども、同じ先進諸国の中でも、例えばフランスなどにつきましては、かつてロワイエ法という、これは大臣の名前です、要は商業及び手工業の基本に関する法律という、日本の基本法と似たような法律でありますが、その中の経済的規制の中に、わざわざ規制対象を下げまして、三百平米を超える大型店については規制対象として、地域の中の町づくりということを考えながら現実にやっているわけです。  フランス政府は、別にアメリカからは四の五の言われていない、自分たちは自信を持って、その町の伝統、フランスの社会を守るためにこれからもこれを活用していきますということを、私は日本におけるフランスの大使館を通じて本国政府に照会をしてみましたが、きちんと返ってきましたよ。  ここが、小売商に対する、あるいは地域のこうした問題に対する姿勢が、日本の通産省は根本的に違っているのではないですかということをあえてお伺いしたいわけです。
  29. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今までの通産省のあり方について、今私がここで論及することは避けたいと思います。しかし、今のあなたの御発言を大事にしながら、確かに、荒廃しつつある町の状況を何とかしなければならないのが現実でありますから、この町づくり三法を生かして、しっかり頑張りたいと思っております。
  30. 渋谷修

    ○渋谷委員 私は、これからの小売商の問題を含めて、日本の町づくりをどうするかという問題は、もっと速いスピードで我々が考えなければ取り返しのつかないことになるというぐあいに思いますが、現状の政治的な力関係では、私のことがたまたまそれなりに納得いくという話になりましても、それが具体化できるという政治的な力関係じゃありませんから、いずれひっくり返れば具体的にそれは実現するようにしたいとは思います。  次に行きたいと思いますが、保証協会の例の保証枠の追加の問題。この場で取り上げるのは今度の国会では三回目になります。しつこい感じがするかもしれませんが、やはり新しいいろいろな状況展開がありますので、しかもこれは大事な問題ですから、総枠三十兆ということになり、これが国民負担にどういうぐあいにかかわっていくのかということに非常にかかわっている話であります。  ただ、この間大臣とのやりとりの中でありましたけれども、これは誤解のないように、昨年の二十兆の保証枠の設定は、緊急避難的に、確かに中小企業の置かれた現状はこのままでは大変だということからこれが設定された、そのことについては私も一定の理解をしているつもりであります。  問題は、それからですよね。なぜそれが行われたかといえば、もちろん、金融機関等の貸し渋り等がひどくて中小企業が立ち行かないということから始まっているわけですが、その貸し渋りが改善されなければ、あるいは、先ほどの政府系金融機関担保主義からの脱却というような問題、そういう中小企業を取り巻く金融の問題が改善をされなければ、十兆円追加をいたしましてもまた状況は変わらない。そのままずっと中小企業を取り巻く金融問題というのは変わらないということになりはしないか。これを改善する努力を我々はしなくちゃいけないという観点から申し上げているわけです。  大臣、御承知のように、先日一部の都市銀行の中間決算が発表されましたけれども、その中で、大手十五行は、公的資金注入時に、経営健全化計画で中小企業向け貸し出しについては増額を約束していたわけでありますが、これが伸び悩んでおりまして、とても目的を実現するということにはなっていない。何度もやりとりの中で大臣は、銀行協会等を通じて厳しくこのことについては申し入れ等をしてきたということでありますが、これは向こう側からの情報開示で、こういう状況ですということを認めているわけですね。大臣、このことについてはどのようにお考えでしょうか。
  31. 深谷隆司

    深谷国務大臣 十五行が国の支援を受けるというときに、中小企業に対しては三兆円の貸し出しをいたしますと約束したんですから、その約束を果たしてもらうのは当然のことだと思っています。ただいま委員の御指摘のように、現在、正確な数字はわかりませんが、四割強の状況であるということでございます。  これから年末の資金需要を考え、来年の三月いっぱいの融資状況などで、金融機関がその約束を果たすようにしっかりやってもらわなきゃなりませんし、そのことについては、所管の大臣に私からも強く申し上げたところであります。
  32. 渋谷修

    ○渋谷委員 都市銀行の中小企業向け貸し出しがなかなか伸びない理由を、これは新聞記事のレベルでありますから、どこまでの信憑性ということはあろうかと思いますが、目標額に達していないということは認めながら、景気が低迷する中で中小企業資金需要がないんだということを理由にしているんですね。資金需要がないんだったら、十兆の特別融資枠を拡大しても、やはりこれは需要がないという話になるじゃありませんか。いかがですか。
  33. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員はどうお考えになっておられるのかちょっと伺いたいと思っていますが、少なくとも、私どもが調べている範囲で、中小企業皆さんの四分の一は、何とか続けてくれ、年末及び来年の延長も考えてくれと、私のところには相当来ているように思いますが、そのような情勢ではないでしょうか。あなたの周りの雰囲気及びあなたの御判断を逆にお聞かせいただきたいと私は思う。  私は、金融機関が三兆円の目標に、もちろんまだ期間がありますけれども、今の段階では達しないではないかというのは、金融機関の怠慢だと思っていますよ。やはり、約束したら守るべきだ。今まででも私どもはそういう意見を言ってきましたし、これは監督官庁がきちっと指導していくべきだと思っています。そこの貸し出しが予定に達していないから中小企業資金需要はもう満たされたというような判断は、全く私どもは持っておりません。  したがいまして、これからの年末、来年三月いっぱいのこと、延長のこと等を考えながら、十兆円という金額を追加して一年延長とした次第です。
  34. 渋谷修

    ○渋谷委員 私が指摘をいたしましたのは、その目標に達しなかった都市銀行の側が、その理由を、それは中小企業資金需要がなかったからだということを大きな理由にしているということだから、そのことの御指摘を申し上げたんです。  私の周辺でいえば、それは現状、依然として厳しい状況には変わりはありません。ただ、それはいろいろな多様性がありますので、不渡りを食ってもうにっちもさっちもいかないという状況で、さらにともかく延命のためにお金が欲しいという人、それから、新しい事業を展開するために積極的な意味でそのお金が欲しいという人、それはいろいろな事情がもちろんあるわけでありますが、いずれにせよ、それは資金需要がないという話ではありません。  しかしながら、今申し上げている論点の部分は、都市銀行の今おっしゃったような怠慢の部分ですね、その理由がこういうことにされるのは困るでしょうということを申し上げているわけで、その意味で、この都市銀行の怠慢の部分を一体どのようにして改善をしていくかということがこの間からの実は議論なんですね。  一応、私の方から指摘をいたしましたいわゆるネガティブリストという部分について、貸し渋りに遭っているということを理由にした場合は、その貸し渋っている企業名、銀行名を書かせるようにしましょう、そのことは検討しますと。事務局と話をしましたら、なかなかこれも難しいという話ですね。  そういうことであれば、具体的に、都市銀行が貸し渋っている部分について、これまでも大臣も、私も声もでかいですけれども、大臣も声を大にして厳しく言ってきたにもかかわらず状況が変わらない。言ってきたけれども変わらないということで、先ほどの話じゃありませんが、具体的な状況改善が行われなければ、先ほどから申し上げている中小企業をめぐる金融問題というのは解決されない。大臣、どうしますか。
  35. 深谷隆司

    深谷国務大臣 先ほどまでの予算委員会で、まさにこの議論が展開されました。そして、監督庁は、現状では、多分七千億台だと思いましたけれども、こういう状態だけれども、今後の、年末に向けての融資等で変化があるであろうといった旨がございました。それと同時に、約束をきちんと守ってもらうということの監督官庁としての役割を果たすべく答えておりました。  私は、ぜひそうしてもらうように、私からも厳しく申し上げようと思っています。
  36. 渋谷修

    ○渋谷委員 私は、一番最初に、そういう経営改善についての取り組みを行っていくというときに、中小企業向けに貸し出しを、それを具体的に実行するということを行政の側から当然それは指導をしたわけでありますから、その時点で具体的に、今の話もそうなんですが、中小企業向けということでの貸出実績になっている部分、もちろんある程度クリアしている銀行もあるんですよ。  ところが、実際、銀行の貸し出しされているという実績について、その場合の中小企業という定義は、私どもがここで議論している中小企業者の定義と、銀行が数字をカウントしている定義というのは、合致しているんでしょうか、それともこれは違うのでしょうか。
  37. 深谷隆司

    深谷国務大臣 旧来の基本法をこのたび改正いたしました。そこで、中小企業の範囲につきまして改めて数値を挙げて、それを法律として通していただきました。中小企業の範囲とは、その中身でございます。
  38. 渋谷修

    ○渋谷委員 これは事務局に事前に申し上げておったんですが、新聞に発表されていました中小企業向けの貸出実績の部分は、いわゆる我々が法律で言っている中小企業者の定義によってカウントされているのかどうか。そのことの確認をさせてください。
  39. 茂木敏充

    茂木政務次官 中小企業向けの貸し出し目標でありますが、これは委員御案内のとおり本年三月に、健全化計画の中で、民間の金融機関において、こういった目標を出します、こういうことを定めたものでありまして、そこの中におきます中小企業の定義でありますが、これは、中小企業基本法における中小企業者の定義に従って対応してきた、このように承知をいたしております。
  40. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうすると、資本金、従業員ということも銀行の方ではきちんと把握した上で、これは中小企業に貸し出したという実績でカウントされてきているわけですね。そういうぐあいに理解していいですね。
  41. 茂木敏充

    茂木政務次官 今申し上げましたように、個々の金融機関におきまして中小企業向けの貸し出し目標というのは設定をいたしております。そして、そこにおける中小企業の定義は、中小企業基本法における中小企業の定義である、このように承知をいたしております。
  42. 深谷隆司

    深谷国務大臣 この基本法が生まれまして以降、つまり施行されてからの話でありますが、それは、今回改めた中小企業の枠の中で銀行、金融機関も判断してもらう。今までの十五行が行ってきた中小企業は旧の基本法の数でございますから、念のため。
  43. 渋谷修

    ○渋谷委員 そこで特別何か新しい事実を取り上げて議論しようという話ではないのです。ただ、我々の認識のギャップがあるのではないかということを大臣と実はお話し申し上げているわけで、先ほど、私の周りの中小企業者からそういう要求がないですか、例えば資金需要についての要求はないですかというのは、私の感覚では、つまり小規模企業の話なんですね。私は大企業とのつき合いというのはほとんどありませんから。ところが、都市銀行のカウントされる部分は、当然のことながら持てる企業担保能力がある企業ですね。つまり、不良債権化するような企業に都市銀行が金を貸すなんということはまず考えられませんから。  そういうことでいうと、ここでカウントされている部分、一般にそういった中小企業の定義ということではなくて、もう少しそこを、例えば小規模企業とか、あるいは中堅企業という定義をつくられるならば中堅企業ということで、都市銀行がどういうところに貸しているかというデータをきちんと把握することができれば、そうすれば、今度の保証枠の設定について、よりきめ細かな対策ができるのですよ、大臣。同じ話になっちゃったら困るのですよ。都市銀行が対象とする企業と、地銀が対象とする企業と、信金、信組が対象とする企業というのは、おのずからそれはすみ分けが違うわけですよ。そこを私はぜひ指摘したい。  都市銀行が、こういう形で、大臣が大声を上げようと、金融監督庁が物を言おうと、依然として目標額を達成しないのですね。ただ声を上げたって改善されないということになれば、公的資金を引き揚げるとか、何らかのペナルティーがなければ改善されるわけがないでしょう。大臣、何か知恵はありませんか。
  44. 細田博之

    細田政務次官 何かいい知恵はないかということで、我々もぜひいいお知恵を賜りたいと思います。我々としてできることは一種の行政指導になるわけでございますが、政府資金を公的資金としても出している都市銀行のことでございますし、マクロの数字で見れば、確かに中小企業に対する融資がふえていない、あるいは減っているところもあるということがございますので、強く要望する、要請するということが第一であると思います。  それからもう一つ中小企業の中で零細のものには都市銀行は全然貸していないというのは、普通の感覚からいうと大分違っていまして、東京都のあらゆる大銀行の支店は町の中小企業にこれまでも貸しているし、一生懸命、企業によっての対応が違うとは思いますが、残高はかなりあるということは認識していただきたいと思います。
  45. 渋谷修

    ○渋谷委員 細田さん、認識ということでいったら、都市銀行は今リストラをどんどん進めていまして、地域にあるこれまでの支店を統合して、ある地域からはその支店をなくしてほかの地域へ持っていく。そして、中小企業担当する法人の窓口は、それぞれ窓口があったのが、そこはもう自動化されて、遠くまで行かなければ対応できない。これまで地域に支店があったときには、支店同士のつき合いがありますから、それぞれの企業経営者の資質などというのもそれぞれの営業の方々がわかっている。副支店長だとかそういう人たち担当していますけれども。そういう人たちがどんどんいなくなっているのですよ。  現場の認識ということでいったら、都市銀行は、逆に言えば、中小企業、零細企業をお客さんとしてとてもじゃないけれども対応していられないという状況にあるのですよ。  非常に貴重な時間なので、現場の認識の議論をしているわけにはいかないのでありますが、何かいい知恵はないかという話なので、これはいい知恵かどうかわかりませんよ、しかし、ペナルティーにはなります。大臣、都市銀行が情報開示をして、中小企業に対して目標額は設定されたけれども、なかなかそれは実現できないというぐあいにみずから認めているわけですから。それならば、今度の追加の十兆円の保証枠を、保証協会を活用するということについて、都市銀行を外す。地銀と信金、信組、これは非常に身近な、ある意味では中小企業にとってはこれからもここは頑張ってもらわなければならない。とりわけ中小規模企業にとってはこれを一番育成振興させなければいけないという金融機関だと思いますから。  これはまるっきり破天荒な話であって、これも全然だめですか。
  46. 細田博之

    細田政務次官 できるだけ強く指導するとか、あるいは指導を監督官庁からしてもらうというところはいいと思うのでございますが、そこまで、特別保証の対象から除外すべしということになると、今度は借り手の中小企業が、およそ都市銀行でも中小企業に百兆やそこらはこれまでも貸しているわけですから、これに対して悪影響を及ぼすという問題も起きはしないか。だから、むしろ、保証を増額したものでできるだけつき合ってもらう。  それから、平時においてはこれから都市銀行に大いに中小企業とつき合ってもらわなきゃいけないわけですから、今、緊急時においての問題と平時においての問題をバランスをとって考えた方がいいのではないかなという気はいたします。
  47. 渋谷修

    ○渋谷委員 これは本当に水かけ論になってしまうわけでありますが、私の方からの指摘は、今のままでペナルティーなしに都市銀行を野放しにしておいては、この問題の改善はなされない。これからもなされないでしょうね。そのまま続いていってしまうということになるだろうと思います。  さらに、事故率を一〇%、もちろん新たに十兆追加する部分についてはそんなことにはならないという指摘などもあるわけでありますけれども、いずれにせよ、大臣、この事故率をいかに抑えるかということが大事ですね。いずれそれは国民の負担に行く話でありますから、これは徹底して抑えなければならない。  ところが、現実の問題として、これまでも指摘されてきたことでありますが、都市銀行を中心にして、旧債務、先に貸し込んである借金との相殺をする。そのことについては、そうしたことをしちゃいけないという指摘もされているわけですね。  あるいは、私が以前ここで具体的なそういう事例を申し上げました。ある会社が倒産してしまった。私もよく知っている会社でありますから、具体的な事例であります。倒産してしまった。もちろん、保証協会等を通じて五千万、枠いっぱいのお金融資を受けておりました。いや、倒産したと言いましたけれども、法的な処理ではありません、会社を一たん閉じるという状態ですね。法的処理をするためには、財産等ありますから、いわば供託金を裁判所に積まなければ会社の破産そのものもできませんのでね。  何をするかといえば、任意整理をさせまして、幾らかある財産についてはその処理をして、それを先に貸し込んである金の相殺に充てる、あるいは一部の返済に充てる。すっからかんに中小企業をしてしまいまして、それから中小企業が保証協会に回って代位弁済ということで、これがいわば表に出てくるということになるのですね。  だから、こういう問題について保証協会としては当然予測していなければならないし、当然、保証する段階で、本来この保証を与える目的と違うわけでありますから。企業からは金は取れないですよ、ゼロになっているのですから。企業からは取れないけれども、銀行が間に立って、銀行が金を貸した、その銀行がいわば旧債務と振りかえをしたとか、あるいはこういう形で、違法ではないかもしれませんけれども、先に財産を処分して、実際上破産状態であるのに財産を処分して先に自分たちがその資金の回収をしてしまったという場合について、保証協会は、当然銀行に対して請求するという権利を持ちますね。
  48. 茂木敏充

    茂木政務次官 信用保証つき融資を自行の旧債、いわゆるプロパー貸し出しに充当する旧債振りかえにつきましては、制度の趣旨に反するため、原則認めない、こういうことにいたしております。  仮に、信用保証協会の承諾を得ずに旧債振りかえを行った場合におきましては、信用承諾後であっても、契約上、信用保証協会は、当該金融機関に対しまして保証債務の履行責任を免れる、こういうことになっております。  さらに、そうしたケースにおいて、仮に代位弁済を行ってしまったといたしましても、事後的に制度の趣旨に反する旧債振りかえであることが判明いたしました場合には、信用保証協会は返還を請求することが可能となっております。
  49. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣、保証契約にも一応そうなっているのです。したがって、保証協会は求償権を有するということで、これは当然大事な部分でありまして、つまり、国民にできる限り負担を与えないということでいえば、そういったことをやはり徹底していく必要がある。  ただ、難しいのは、保証協会で追加融資も含めて保証枠をやりまして融資をする、そうしまして一定の期間が過ぎますと、銀行の方が先に貸し込んであるものはどんどん回収に入るのですね。毎月幾らかずつでも、五十万、百万と返させるわけですね。保証協会から借りた借り入れはそのままです。  実は、時間の経過でこれが振りかえられていくのです。一回で振りかえられなくても、時間の経過の中で振りかえられるという問題が起こるのですね。このことについては何か議論はありませんか。
  50. 細田博之

    細田政務次官 渋谷委員の御意見を伺っていますと、保証協会でどんどん面倒見ろということは、一種の振りかえなんですね。  それから、私も最近経験したのですが、取引先が振りかえをやるということもあるのですね。つまり、長い間取引があって、手形がある、しかし、もうだめだ、もう全額返せといって、長い間積み重なっていたものをすぐよこせと。そういうものはまた保証協会に駆け込ませなきゃならないというので私も個別でやっていますけれども、そういう個別のケースをそれぞれ見ると、やはり事情に応じて我々が一生懸命、保証協会を中心にしてやっていかなきゃいけない。そのときに一種の振りかえ的なことが起こっていることも事実だ。  他方、やはり銀行に対して強力な指導もしていかなければ、野方図なことをやらせてもいけない、そのバランスのとれたことをやらなきゃいけないと思います。
  51. 渋谷修

    ○渋谷委員 細田さん、やはりお役所出身だから、すぐそういう一般論にすりかえようとするわけです。私が議論をずっとやってきたのは、都市銀行の問題を言っているわけです。  本来であれば、都市銀行がみずから中小企業に対してちゃんと金融をやらなきゃいけないのに、貸し渋って依然として目標に行かない。行かないでいながら一方で、例えば保証協会が設定した保証、これと旧債務と振りかえをしたり、あるいはだめになった企業からは先に自分のところが回収をしたり、若干の時間の経過はありますけれども、実際は振りかえと同じようなことが行われたり。一方で銀行は、それだけの公的資金を投入してもらいながら、例えば先ほど来議論になっている商工ローンにばんばん金を貸しているなんということがあるから、そういう都市銀行の基本的な姿勢ということをわかった上で、どうするんですかと言っているわけです。  一般論で、一般の人たちから借りているものに、保証協会から金を借りてそっちに優先して返すとかいうのが行われるのは当たり前のことですよ。そんなことはわかっている話なんだ。都市銀行について、では、そういう感覚で許すんですか。
  52. 細田博之

    細田政務次官 非常に仮定を置いた議論であると思います。つまり、中小企業と都市銀行の関係も、巨額の債権債務があって、そのうちの一部についての振りかえがある場合もあれば、全額、とにかくおれはおまえに貸すつもりがないから知らぬぞといってほうり出す、それをどこで拾うかというような話と一律に論じてはいけないと思いますが、都市銀行に対しては、我々は、マクロから、とにかく中小企業に対する融資が減るようなことがあってはならない、十分ふやせということを言っておるわけですね。  したがって個別の議論で、振りかえをすべきでないと言われれば、絶対すべきじゃない、我々は、そういうことはやるなということは行政指導としてはやるべきであります。しかし、お金のことでございますから色目がないので、いろいろな形が起こっているという現実には着手しなきゃならないということですね。
  53. 渋谷修

    ○渋谷委員 今の、旧債務との振りかえをそういう形で安易にしてはならない、あるいはそれに類似するようなことをしてはならないというのは、何らかの文書とかその他では出ているのですか。
  54. 細田博之

    細田政務次官 「約定書例」というのがございまして、細かいことは避けますけれども、「保証に係る貸付をもって既存の債権に充てないものとする。ただし、特別の事情があると認め、承諾書を交付したときはこの限りでない」ということで、約定書上は振りかえ債務は認めないよということを言っておるわけです。  それで、次の御質問があると思いますが、それでは本当にそういうことが起こりかけた場合に指導するべきじゃないかという。指導については特に書いてございませんが、三条の本文に違反したときには保証債務の履行につきその責めを免れるという項目はあるということでございます。
  55. 渋谷修

    ○渋谷委員 先まで話していただいたので。  済みません、企画庁長官、お忙しいところ申しわけないです。  実は、今の話の発展なんですね。事故率一〇%ということで、二十兆に対して二兆円は国民負担にいく可能性があるということですね、単純に言えば。さらに、追加した十兆については、そのまま一〇%ということじゃありませんが、それなりの額が不良債権化する可能性がある。世間では、それじゃ済まないだろうという話も一方ではあるんです。これもいずれ国の借金に回ってくる。今回、例の介護保険の問題でも一兆円借金を積み増し。六百兆を超えちゃいました。来年また予算を組む。地方自治体の起債も当然あるでしょう。六百五十兆を超えますね。七百兆にどんどん近くなっていく。  この財政の状況を、この間の原子力の事故じゃありませんけれども、バケツでウランをかき回して燃料をつくるという話もこれはひどい話でありますが、今の財政状況を見ていると、バケツで借金をつくっているような状況に見えてしようがないんです。どこかでこれは臨界点があるはずですね。野方図にどこまでもこれは拡大してもいいという話では決してないと思うのです。政府の、小渕内閣の御殿医として登場していただいた経済企画庁長官には、どこかで臨界というのがあるとすれば、それはどういう現象になってあらわれるのか。中性子が飛び出すのかどうなのか。中性子というのは、つまりいろいろな指標ですね。経済指標でそういうことが起こるのかどうか。  つい最近、日銀の副総裁とのやりとりも若干ありましたけれども、それは別にしまして、要は、堺屋長官自身が今の財政状況を見ながら、これは一体どういう展開になるのか、最悪の事態を、シナリオを想定するとすればどうなるのか。残された時間が余りないものですから、センテンスを短くひとつお願いいたします。
  56. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 お説のように、日本の財政は六百兆円を超える負債を抱えまして、大変危機的な状況にございます。けれども、幾らが臨界点かということは、必ずしも言えません。そのときの金利の状況、あるいは物価上昇の状況経済成長状況、そういったことを全部勘案しないと、何円というような線を引くことはできないと思います。  臨界点を超えたらどうなるかというと、やはりインフレが悪性に進むというのが一番危険な状態でございまして、利子のためにどんどん借金を繰り返していきますとやはりお金が出過ぎますから、インフレになるという危険があります。過去の例を見ますと、膨大な赤字財政をしたところは大体インフレになって、そして借金の値打ちが下がって、終わったというような例が多々あります。悪くしますとそれが悪性インフレになります。  政府といたしましては、景気が立ち直ってまいりますと税収もふえてまいりますし、景気対策の問題も減らしていける。そういうところで、注意深く見守って財政再建を考えなきゃいけないと思いますが、今はまだ不況対策の方がはるかに重要でございますから、財政再建を云々する事態ではないと思っております。
  57. 渋谷修

    ○渋谷委員 今のを拡大して、最悪のシナリオで、インフレでこの処理をするということは、具体的にわかりやすく言うと、国民の財産と国の持っている借金とをどこかで相殺するという話になりますか。
  58. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 仮定の話でございますので、歴史的一般論として申し上げますと、国民の持っている貯蓄、あるいは企業の持っている国債、そういったものが価値が下がりまして、それで国の債務が実質的に減るという形になっている例が多いようでございます。
  59. 渋谷修

    ○渋谷委員 歴史的な経過で言えば最終的には最悪のシナリオはそういうことでありまして、危機管理という言葉は皆さんよく使いますけれども、そういう意味では、シナリオを私どもきちんと腹に据えた上でどういう対策を講じていくかということが必要になるということでありまして、きょうはもう時間がなくなってしまいましたので、改めてぜひまた堺屋長官の見識を伺いたいと思います。  質問時間が終了してしまいました。ありがとうございました。
  60. 中山成彬

  61. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私は最初に、今回の法律について、調査室の方でも、最近の創業・ベンチャーの促進政策体系ということで一応整理しておりますが、いずれにしても、今回改めて創業・ベンチャーについての金融を初めとするさまざまな仕組みを整理しようということでこの法律が出てきているわけでありますから、ベンチャーというものについての定義を、こちらの方は政府参考人の方から伺っておきたいと思います。
  62. 岩田満泰

    岩田政府参考人 一般にベンチャーと言われておりますが、もう少し国内で使われている用語に従えば、ベンチャービジネスという言葉になると思いますが、この言葉自身が造語のようでございますので、基本的にベンチャーというものについての統一されたような定義は存在をしないと思っております。  一般的には、極めて著しい革新的な製品あるいはサービスの提供というようなものを行い、しばしば結果として高成長を遂げるような企業を一般にベンチャービジネス、ベンチャー企業と世間では呼ばれているというふうに理解をしております。
  63. 吉井英勝

    吉井委員 今そのままでは、この法律を具体的に議論する上で、どこをどうしようかということがはっきりしてまいりませんから、一応、中小企業庁の方で、店頭公開型ベンチャー企業あるいは優良中小企業ということで、一定の定義も定め、どれぐらいそれをふやしていこうとする目標なのかとか、そこを出していらっしゃるわけですから、その点でのいわば定義というものを改めて伺っておきたいと思います。
  64. 岩田満泰

    岩田政府参考人 今回御提案申し上げた法律の関係をできる限りわかりやすく説明をする資料として、ベンチャーというような言葉を私どもが資料の中に加えていることは事実でございますが、今申し上げましたように、統一された定義は存在しないわけでございます。事業新規性ということに着目をした概念ということでございます。新しい企業であるとか既存の企業であることもまた問わないということであろうかと思います。  なお、御参考までに、新しい基本法の第二条三項におきましては、創造的な事業活動ということで、経営の革新あるいは創業の対象となる事業活動のうち、著しい新規性を有する技術または著しく創造的な経営管理方法を活用したものをいうというような規定がございますし、あるいは、中小企業政策審議会の中でも、新たな製品の開発や消費者ニーズをとらえた新たな業態の開発などを通じて、新たな事業分野を創造する急成長志向企業というような定義がなされておりますが、この言葉遣い、表現が必ずしも一致をしていることでもないというふうに考えております。
  65. 吉井英勝

    吉井委員 あらかじめ今回の一連の中小企業法案について中小企業庁の方から御説明をいただいた中で、店頭公開型ベンチャー企業というもの、それから優良中小企業というものについて、一定の姿を示して、目標としてどれぐらいを目指すのかということを繰り返し説明をしてきていらっしゃるわけですから、今のように一般化しないで、もう少しこういう姿で考えているのだということをきちっとまず言っておいていただきたいと思うのです。
  66. 岩田満泰

    岩田政府参考人 ただいま御指摘の点に関連して申し上げますれば、平成七年に中小企業創造法というものを制定していただいたわけでございます。この法律のもとで、今日までの間に五千企業を超える研究開発型企業と申し上げてよいと思いますが、そういう企業が支援を受け、活動を展開されているわけでございます。私ども、便宜そうした中小企業創造法のもとで展開をされているような事業、こうしたものを数年後に三倍程度、つまり倍の一千社程度がそうした企業として生まれ出てくることを期待いたしておるわけでございまして、ただいま御指摘の点に関して言えば、中小創造法の対象になる研究開発型の企業というようなものを頭に置いて申し上げておるところでございます。
  67. 吉井英勝

    吉井委員 そこで私は、ベンチャービジネスというものは、何かある日突然変異か何かで生まれるものではなくて、やはり通常は小規模企業の中から生まれてくるものだと思うのですが、この点についてどういうふうにお考えなのかということと、あわせて、大企業の分社化、子会社化、これで生まれたものもベンチャービジネスの中に入れるのかどうかという点、この点についても伺っておきたいと思います。
  68. 岩田満泰

    岩田政府参考人 大企業の子会社というような点については、基本法の御審議の段階でかなり突っ込んだ御議論が行われまして、御答弁で明らかになった点があるところでございますが、基本法上、分社化であるとかいうような会社が一義的に似ているかどうかという点につきましては、必ずしも明らかでないと思います。この点は、基本的に個々の政策レベルの法律その他において明らかにされていくべきものであるというふうに考えております。
  69. 吉井英勝

    吉井委員 その点もう少し伺っておきたいのですが、大企業の分社化、子会社化で生まれたものも、ベンチャービジネスとして支援策を考えていく上での対象からは排除されない、これは入るのだ、こういうことでいいですね。
  70. 岩田満泰

    岩田政府参考人 例えば、今回御審議をお願いいたしております小規模企業の関係の法律改正、小規模企業の設備導入の資金助成法のような関係のものの中では、明らかに分社化あるいは現物出資会社というようなものは排除をする規定になっておるわけでございまして、そのような形で、最終的には個々の政策レベル、具体的な政策レベルにおいて明らかにする必要があると考えております。
  71. 吉井英勝

    吉井委員 それで、ベンチャービジネスということについて考えるときに、私は、やはり一番大事なことは、ベンチャービジネスとか優良企業に特化したそういう対策ということではなしに、やはり小規模企業からベンチャーも生まれてくるということですから、将来ベンチャー企業に発展する可能性を小規模企業は持っているわけですから、これをベンチャー支援ということでもって対策の対象外という扱いにはならないようにしておくことが非常に大事な点だというふうに考えているのです。  これは大臣、ベンチャーということを本当に考えるときに、小規模企業の中から育つわけですから、それがベンチャー企業に発展する可能性が、さまざまな不利益な条件の中で芽が摘まれるということになってはいけませんから、これがベンチャー、優良企業支援に特化していくと、そこがどうしても、予算がうんと広がればということではなくて、一定の予算の枠の中でベンチャーに比重がうんと移りますと、全体としてやはりそこに偏りが生まれるわけですね。  ですから、将来の発展の可能性が摘み取られないようにするためには、大、中、小、零細とか、やはりさまざまな規模を対象とした対策をきちっと進めるということをしておかないと、今の政府参考人の答弁を聞いていましても、ここのところが非常にあいまいで気がかりなところなのですね。ここのところは大臣の方から伺っておきたいと思います。
  72. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員指摘のように、中小、小規模企業の中からベンチャー企業が生まれていくというのが最も大事なことだし、それが中小企業活性化につながってまいると思います。そういう意味では、小規模企業に対しては、第八条で小規模企業への配慮ということで明示的に示して、そして引き続きこれからの法案等で施策を明らかにしていこうというものでございます。  この本来の趣旨に合わせた適切な応援をしていかなければならないというのが基本でありますから、ただいま委員指摘のように、そこにはきめ細かな配慮を持っていかなければならないと私も思います。
  73. 吉井英勝

    吉井委員 次に、労働省の方からも来てもらっていますので、政府参考人の方に確認しておきたいんです。  一九八六年のILOの中小企業促進に関する決議、及びその仮訳の方では結論と言っておられる部分もありますが、経営形態や所有の形にかかわりなくあらゆる型の中小企業を発展させる、零細な個人企業や自営業形態の企業を含むすべての中小企業という意味での中小企業の発展に尽くす。それから、中小企業を全体としてとらえたときの中小企業の多様性という特質の重要性、つまり、量的基準にかえて中小企業の多様性という質的基準に移行する。そういうところなんかもILOの決議の中の大事な部分だと思います。  そこで伺っておきたいのは、各国政府政策は、ベンチャー企業だけに特化するのでなく、あらゆる型の中小企業の発展を目指すというのがILO決議の一つのポイントではないかと思いますが、この点について伺っておきたいと思います。
  74. 戸苅利和

    戸苅政府参考人 ただいま御質問のILOの決議にかかわります中小企業促進に関する結論におきまして、先生御指摘のような趣旨が記載されているものというふうに考えております。
  75. 吉井英勝

    吉井委員 それから、同じく八六年のこのILO決議の中で、大企業と並んで経済社会的発展に重要な役割を果たすことができるということで、雇用の創出、地域経済の発展、社会的役割、社会進歩を担う役割ということを中小企業の持っている役割として非常に重視して、だからこそILOの方で中小企業決議をやっているわけです。  その中で、中小零細企業が積極的役割を果たすために、政府政策を重視するという立場から、中小企業社会経済的貢献を認識する、中小企業の創出と健全な発展に役立つ社会経済環境をつくり出し維持する。こういう趣旨の、これは、表現の仕方は訳の仕方によって若干変わってきて当たり前だと思っていますが、政府政策を重視するという点ではこういう点も指摘されているものと思いますが、この点は大体間違いありませんね。
  76. 戸苅利和

    戸苅政府参考人 同じ決議にかかわります結論におきまして、先生おっしゃったような趣旨のことが記載されているものというふうに理解しております。
  77. 吉井英勝

    吉井委員 私、それを受け継いで、さらには、一九九〇年に、ILOの自営業の促進に関する決議というのがつくられております。  ここでは、社会的に望ましい形態の自営業とか、自由意思で選択された生産的な自営業、純粋の自営業とか、こういうものを促進して、すべての対策が公正に実行されることと指摘した上で、政府の方の政策対策というものが、自営業の中の裕福な部分に有利であるべきでなく、女性より男性に有利であるべきでなく、最も成功しそうな企業家にのみ向けられるべきでもなく、低所得の自営労働者や名目上の自営業者の生産性と所得を増大する手段、対策であるべきだと。つまり、ベンチャーなどに特化するということだけじゃなくて、やはりすべてを対象にするということは大事なんだということの指摘。  それから、社会的な優先性にも基礎を置くべきである、経済効率の基準だけじゃうまくないんだということも、この自営業の促進に関する決議では、この点の指摘は非常に大事なポイントだというふうに私は思っているんですが、この点はどうでしょうか。
  78. 戸苅利和

    戸苅政府参考人 平成二年の六月になされております決議にかかわります自営業の促進に関する結論でございますが、これにおきまして、政府中小企業対策においては、その手段は公平に行われるべきである、偏りのないものであるべきである、それから、最も成功しそうな開業間もない企業家に直接行われるだけではなくて、所得の低い自営業者、それから名目上の自営業者の生産性、所得を向上させる手段として使われるべきであると考えておるというふうに承知しております。
  79. 吉井英勝

    吉井委員 労働省の方に最後にもう一つ確認しておきたいのは、九八年のILOの中で、中小企業における雇用創出奨励のための一般的条件の勧告というのが出ていますね。そこでは、内容的には、中小企業の規模を労働者百人以下の企業として、零細企業であれば雇用者はゼロから九人とかいろいろな細かな規定もやって、要するにスモールビジネスの重視ということですね。中小零細企業が役割を発揮できる環境をつくり出す政策的仕組みを、そういう枠組みを設けていくことが大事なんだと。ここが、この勧告の中で非常に大事なところだというふうに私は思っているんです。  全体として、雇用創出は、これはアメリカの中小企業庁のデータなんかに出てまいりますが、非常に小さい企業ほど雇用をたくさんそこで抱えている。だからそういう点では、中小零細企業が役割を発揮できる環境を生み出す政策的枠組みが大事だというのが、勧告でも述べられている一つの大事なポイントだというふうに私は思っているんですが、これも政府参考人の方に伺っておきたいと思います。
  80. 戸苅利和

    戸苅政府参考人 今お話しのILOの百八十九号勧告でございますが、これにおきましては、中小企業における雇用の創出に関する政策の策定、実施等について、広範な事項が規定されておるということだろうと思っております。
  81. 吉井英勝

    吉井委員 その広範な中で非常に大事な点が、中小零細企業の役割が発揮できる環境をつくり出す政策的枠組みが大事だと。私は、今これが非常に大きな国際的な流れになってきているというふうに思っているんです。  そこで次に、この点はまた政府参考人の方に確認しておきたいんですが、OECDの九六年の中小企業、雇用、技術革新、経済成長についての勧告の中で、中小企業成長が全体的な経済成長の独立した源泉を提供するということを示している。ここでもやはり、零細企業、非常に小さい企業とか、さまざまな概念を公式に設けて、十人未満とか二十人未満の小零細企業の果たしている役割の重要性というものを指摘して、そこで大事な点は、この零細企業が雇用の増加とか技術革新とか経済成長、地域経済の発展で非常に役割を発揮している。  新しくて小さい企業の役割を重視と、よく繰り返し、新しくて小さいとか新しい企業という言葉が繰り返されていて、余りベンチャービジネスという言葉を使っていないというのがこのOECDの、余りというよりOECDではベンチャービジネスという言葉を使わないで、新しい企業とか新しくて小さい企業、その役割を重視するという、ここに一つの特質があろうかと私は思っているんですが、これは政府参考人の方に伺っておきたいと思います。
  82. 岩田満泰

    岩田政府参考人 OECDの「中小企業と雇用・イノベーション・成長」と題する文書は、雇用、イノベーション、成長に貢献する各国の中小企業の重要性に焦点を当てるために、一九九六年にOECDが公表したものでございます。雇用でございますとか、地域経済経済の革新、成長などの重要な推進主体であるとの趣旨の指摘が随所でなされておるわけでございます。  本文書におきましては、御指摘のように、ニュー・アンド・スモール・ファームズというような言葉がたくさん出てまいるわけでございますが、これは、御案内のように、この文書そのものがワークショップの議論の結果を取りまとめたものでございますから、ワークショップ参加者が持ち寄ったもろもろの事例、研究事例というものでございます。したがって、ここで言うスモールファームズなるものの定義が具体的に内容としてどうかというのは、中を読んでおりましても相当程度ばらつきのあるものでございます。  もちろん、御指摘のように、ある部分には、マイクロエンタープライズとか、それからスモールエンタープライズとか、ミディアムサイズエンタープライズとかというような分類がされている部分もございますし、それが従業員の数によって分類されて事例が提起されているところもございますが、一方においてはまた違ったような分類が使われている可能性がある。そうした事例研究を集大成したものというふうに理解をいたしております。
  83. 吉井英勝

    吉井委員 そこで、もう一言だけOECDの方を確認しておきたいんですが、九八年の「産業政策の新たな指針」というものの中では、中小企業が特別の存在である意味、これは、規模の経済企業の競争力を高める上で今日では決定的要素ではなくなってきた、中小企業は大企業の単なる縮小版じゃないんだと、既存企業も新規開業の企業も含めて、自営業など零細企業を含めて全体として中小零細企業育成することが不可欠である、こういう考え方で産業政策の新たな指針というのを出していると思うんですが、これも一言確認しておきたいと思います。
  84. 岩田満泰

    岩田政府参考人 OECDが一九九八年に産業政策の指針、ニューディレクティブズということでございますが、出されているようでございます。  その中でいろいろなことに触れておりますが、中小企業につきましては、長所と短所を持った存在である、特別な存在であるがゆえの政策対応ということが指摘をされておりますし、その長所と短所ということにつきましては、御指摘のように、規模の経済というものが必ずしも決定的な要素ではない。これは先ほど御指摘のOECDのレポートの中にも指摘がされている点でございますが、そういうことで、新しい技術を活用したり、新製品を開発したり、特殊な市場、ニッチな市場を創設したりというような役割があり、一方で、もろもろの資金でございますとか経営管理能力といったようなもろもろの不足がある。これに対応した政策対応が必要であるというような指摘がなされているというように承知いたしております。
  85. 吉井英勝

    吉井委員 大臣、ちょっとくどいようにILOとかOECDをお聞きいただいたのは、私どうも、これは堺屋長官とはまた別な機会に議論しようと思っていますから、そのためにきょうこれを紹介したわけじゃありませんが、以前、堺屋長官もいらっしゃったときに議論していますが、政府は、中小企業を弱者として保護する立場をとらず、中小企業の中から強者を育てる。それから、深谷大臣にしても、中小企業を保護育成という今までの考えを転換して、経済の牽引車になってもらうようにするという、この保護育成はしない、あるいは弱者保護はしないという考え方が基本法の議論以来ずっとあるわけです。  私はそのときからずっと議論してきたわけですが、日本経済を量的にも質的にもさまざまな分野から支えているこの分野については、今世界の流れというのは、スモールビジネスだとかマイクロスモールとかいろいろな定義の仕方、あるいは表現の仕方をしておりますが、本当に、小零細企業を含めてすべてを支援する、すべてに視野を置いた中小企業政策をとるというのが、今、世界の大きな流れになっているときだと思うんです。だから、やはり日本も、ベンチャービジネスとか優良企業特化ということじゃなくて、そこに本当に視点を据えた政策をとるべきだというふうに思うんですが、この点については大臣に伺っておきたいと思います。
  86. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私は、委員のお考えと同じような、比較的近い立場だと思っています。  今までこの場でも何回も申し上げたのでありますが、今度の基本法の基本的な考え方というのは、中小企業の多面性に着目する、そしてそのさまざまな形の中小企業にそれぞれにふさわしい政策を展開していこう、こういう意味でございまして、そういう意味では、創業ベンチャー企業について力を入れるということも申し上げておりますし、そのかわりとして小規模零細企業を見捨てるなどということは全く考えていないで、むしろ今まで以上に応援をさせていただく、そして頑張っていただくことの相談相手にもなっていく、こういうことを申し上げてきたわけでございまして、そういう意味では、中小企業全体を支えていくという基本的な考えに委員とそんなに大きな開きはないものと思います。
  87. 吉井英勝

    吉井委員 そこで次に私は、ベンチャーなど中小企業、零細企業が支援策として何を求めているか、そこにどういう対策をとるかという視点から少し見ていきたいと思うんです。  先日も、参考人質疑のときに東大阪のタカコの石崎社長にも参考人で来ていただいて、まず業を起こすときに、本当にたった一人のスモールビジネスから始まるときにこういう支援というものをやってもらいたいとか、さらに中企業に発展していくときに例えば公設試験研究機関における支援策とか、そういうさまざまな御意見なども伺いました。  私は、その中で一つ金融の面から見れば、現実には中小企業に対する大手都銀の貸し渋りがひどいことになってきて、そして資金引き揚げの取り立てをきつくして商工ローンに追い込まれていく。その商工ローンに都銀が貸し込んでいたということが、公的資金を受けながら何だと今大問題になっているわけですが、九月期中間決算で見ましても、都銀九行のうち七行で中小企業への貸出率が減少している問題とか、こういうことが明らかになっております。  そこで私、金融監督庁の方にちょっと伺っておきたいんですが、問題になっている日栄と商工ファンドに、長期資金、短期資金融資した主な金融機関と貸付金額を、国内の金融機関と外国銀行の両方についてあわせて伺っておきたいと思います。
  88. 乾文男

    ○乾政府参考人 お答えいたします。  日栄、商工ファンドの借入先につきましては、有価証券報告書で借入先が公表されているところでございますけれども、その内容を見ますと、日栄につきましては、十一年三月末で全体の借入金が二千九百二十三億円ございますけれども、そのうち五百十五億円が国内にある外国銀行からの借り入れでございます。  それから、同様に商工ファンドにつきましては、これは決算期が異なりまして、十一年七月で全体の借り入れが二千六百八十二億円ございますけれども、そのうち外国銀行からの借り入れが千七百八十八億円となってございます。
  89. 吉井英勝

    吉井委員 もう一度確認しておきますが、日栄の長期借り入れは千二百四十六億円、その中で大手都銀七行で二百二十四億円、一八%。一方、短期資金の方で見ますと、大手都銀六行で三百九十億円、これは短期資金の合計千六百七十七億円の中で見れば二三%。一方、外国銀行の方は、四百八十億円で二九%を占めて、外銀の方が大手都銀よりもたくさん貸し込んでいる。  それから、商工ファンドについて見れば、長期借入金の中で外銀のシティバンク・エヌ・エイが千二百三十八億円と断トツで、都銀トップのさくら銀行の五十六億円と比べてみても異常に多い。短期資金でも、メリルリンチ銀行が百八十一億円の貸し付けで、さくら銀行の二十六億円という都銀で一番よく貸し付けているトップの実績と比べても異常に多い。  つまり、今問題になっている商工ローンの中で、外銀が非常にたくさん貸し込んで商工ローン資金を賄っている、これが実態かなと思うのですが、今のは数字の面では間違いございませんか。
  90. 乾文男

    ○乾政府参考人 私、先ほど、短期、長期の区分を申し上げませんでしたけれども、短期、長期に分けて申しますと、今先生が御指摘になった数字のとおりだと思います。
  91. 吉井英勝

    吉井委員 金融ビッグバンの中で、デリバティブ取引だとか、非常にリスキーであってももうかりさえすればいいというマネーゲームが横行してしまって、まじめに融資して企業を育てて、金利は薄くても地域経済や国の産業に貢献するという金融機関本来の役割が失われてしまっている。ヘッジファンドを使ったり、商工ローンの殺人的商法を応援して、もうかりさえすればよしとする都銀や外国銀行の商道徳に欠けるやり方、これは大臣に伺っておきたいのですが、私は、こういうやり方をこのまま見過ごしにしておいていいのか、その問題があると思いますね。  そういうところは、せっかく世界の流れは中小零細、小規模企業を支援しようということになっているのに、日本では、そこが商工ローンに追い込まれて、そして、間接的な形であれ、都銀、外銀の食い物にされている。これは商道徳という面からもそうですが、こういうことで中小企業金融というものはいいのか。  私は、この点については、大臣の考え方というものを聞いておきたいと思います。
  92. 深谷隆司

    深谷国務大臣 商工ローンの問題が非常に大きく社会問題になっております。中には、司法の介入するという状況にまで追い込まれているところもあります。  そういうトラブルの発生を受けて、ただいま与党三党では検討チームをつくって、貸金業規制法の強化、上限金利の引き下げ等を内容とする法律案議員立法で出そうというので、きのうきょう議論を煮詰めて、あしたあたりには具体的に出てくるのではないかというふうに思います。私は、これらの議員立法を注視してまいりたいと思っております。  また同時に、通産省といたしましては、中小企業庁、地方通商産業局、政府系金融機関あるいは信用保証協会等で貸し渋り対策窓口を開きまして、このほかにも、商工会議所、商工会、中小企業団体等におきましての窓口で適切な相談をいたそうというので、これらにも取り組んでいる次第であります。  いずれにしても、制度の上で欠陥があったこの商工ローンのありようというものに対する社会的な批判が出、遅まきながら、議員立法という形でこれについてのきちっとした歯どめをしようとしている状態になっていると思っております。
  93. 吉井英勝

    吉井委員 そこで、私は、商工ローンという範囲内だけで考えているのではやはり不十分だと思うのですね。  これは週刊東洋経済が、先日、商工ローン中小企業から吸い上げられた膨大な利益は外資系金融機関に巨額の利益をもたらした、法の未整備を突いて外資企業が巨額の利益を上げた点で外資系証券と似ている点があるという指摘もしております。  いずれにしても、単なる商工ローンという問題だけじゃなしに、例えば、国際的には、ヘッジファンドが世界じゅうに、為替やその他の証券のマネーゲームによって一国の経済を破滅に追いやったり、あるいは地域の産業を困難に追い込んでいく。しかし、そこにやはり貸し込んでいる銀行があるわけですね。金融機関というものは果たしてそういうことでいいのか。金融ビッグバンだといってマネーゲームに走っていく、このやり方でどんどん事が進められて、しかしその結果として、中小企業が本当に生き血を吸われるような事態になっている。  こういうことでいいのか。私は、この点では、商工ローンの問題だけにとどまらないで、本来金融機関はどうあるべきなのかという、この立場に立って、政府としてきちんとした考えを持って臨まなければいけないと思うのですが、この点について、もう一度大臣の方に伺っておきたいと思います。
  94. 深谷隆司

    深谷国務大臣 バブルがはじけて、経済が低迷をして、金融機関が不良債権を抱え込んで動きがとれない。ちょうど体の中を血液が流れるような、そういう状態をつくらなければいけないというので、六十兆という大きな枠をつくって、健全化あるいは安定化のために国を挙げて頑張ろうということになったわけです。そういう中で、金融機関も再生に向かって目下努力をしている。そういう状態の中で、例えば、資金を出すときには、中小企業に対しては三兆円は出しますよという目標も掲げる。  私は、このように国が金融機関を応援しているのでありますから、当然、金融機関はモラルを持って対応していくべきではないかというふうに思います。しかし、それらの指導につきましては監督省庁が行うことでございまして、私どもも、そういう意味では監督省庁に時には苦言を言ったり、時にはしっかりやってくれと激励をいたしたりもいたしました。そして、そういう民間金融機関の足らざるところを政府系金融機関が補っていくというのが私は本来の姿であろうと思う。  そういう中で、昨年などは貸し渋りのあらしが吹きまくったわけでありますから、緊急避難的に二十兆の貸し渋り対策の保証協会の枠をつくり、まだその問題が解決されていない状態の中で新たに十兆円を上乗せし、そして一年の延長を図ったわけでございます。  それぞれの立場で、中小企業を大事に守り育てていくために全力を挙げるというのが本来のあり方だと考えております。
  95. 吉井英勝

    吉井委員 公的資金を導入したけれども、地域の信用金庫、信用組合などはそれで貸付残は伸びているのですが、大手銀行の方は中小企業向けについては減少しているというのが日銀の預貸金調査結果などから見ても明らかに出ておりますから、今大臣がおっしゃったように、公的資金を注入したからということで、それで改善したということにはなっていないのが現実です。  私は、こういう点では、中小企業向けについては、アメリカなどで考えている地域再投資法の考え方、日本でも中小企業向けに一定割合で都銀などにもきちんと融資をさせる。アメリカの方では、地域再投資法によって、全米すべての州の金融機関に零細企業に対する融資実績を報告させて、それに基づいて、零細企業に優しいアメリカの金融機関というのを種々の基準で格付して、零細企業への融資に熱心かどうか、毎年銀行名を公表する、そういう具体的なことをやっているんですね。  私は、政府として、こういう銀行のマネーゲームに走るやり方、そちらへ金を出すというところを絞ることとともに、地域再投資法などの考え方を日本でも持って、本当に地域金融の面で役割を果たさせる、そういうことを政府としてきちっと今考えていくべきじゃないかと思いますが、大臣、この点はどうでしょうか。
  96. 細田博之

    細田政務次官 先ほどもほかの委員から同趣旨の御質問がありましたけれども、私ども政府といたしましては、貸し渋りがあってはならないし、それから都市銀行が中小企業に対する融資残高を減らしてはならないということで、これからも指導をしていく必要がございます。  都市銀行の中小企業に対する融資残高が百兆円ありますが、これが仮に百万社に貸されているとすれば一社平均一億円、五百万社に貸されているとすれば一社平均二千万円ということで、非常に巨額の融資が都市銀行によっても中小企業に行われていることは事実でございます。それを全部どうこうするということじゃありませんが、やはり都市銀行が中小企業を育ててきたという意味もございます。したがって、このような状況の中でできるだけ頑張ってほしいということを政府からも強く要望すべきであると思っております。
  97. 吉井英勝

    吉井委員 私は、今問われているのは、投機中心の金融か、物づくり、中小企業を支える金融機関になっていくのかという、ここのところが問われているというふうに思っているのです。  この点では、やはり地域再投資法の考え方などを取り入れた、本当に都銀にも一定割合を地域経済を発展させるために役立たせるということ、それから、地域における金融機関として、今、信用組合、信用金庫は東京でも半分に減ろうとしておりますが、こういう事態をやはり食いとめて、地域金融機関をどう育てるのかという立場に立ったその進め方というものを考えていかなきゃいけないと思うのです。  時間が参りましたので、最後に私は大臣にもう一度だけ確認しておきたいのは、本当に地域の金融をどうするのかということについて政府はきちっとした考えを持って臨むべきじゃないかと思いますが、この点についてのお考えを伺って、終わりたいと思います。
  98. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業が足らざるところといえば、一つ資金であり、一つは人的なものであり、もう一つはノウハウであります。これらの足らざるところを補って、中小、とりわけ小規模企業を支えていくということが通産省の大きな役割だと思っています。  金融機関のあり方については、金融監督庁が我々の求めに応じてしっかり頑張ってもらうということが大前提であろうと思います。  いずれにしても、中小企業活性化経済の新生につながるという観点に立って事を進めているわけでありますから、それらの責任と覚悟を持って全力を挙げてみたいと思っています。
  99. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
  100. 中山成彬

    中山委員長 次回は、明八日水曜日午後四時五十分理事会、午後五時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十二分散会