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川分参考人 フューチャー
ベンチャーキャピタルの
川分でございます。よろしくお願いいたします。
お手元の資料は、私どもの
会社の概要と、その後ろに私どもの
会社の監査役をやっています岡部のレポートがついておりますので、後刻読んでいただければと思います。
私ども
ベンチャーキャピタルというのは、銀行と違いまして、担保、保証をとらずに直接
ベンチャー企業に、資本金になるもの、いわゆるエクイティーになるものを直接出資します。そのお金を使っていただいて
企業が
成長し、行く行く株式の公開、上場していただいて、その値上がり益で私どもの利益を得るということをやっております。
私自身も、去年の十月一日に京都に
ベンチャーキャピタル会社を設立いたしました。いわゆる
ベンチャーキャピタルの
ベンチャーでございます。自分の家を担保に入れて金を借りて、資本金に充てております。それから、諸先輩の応援を得まして、資本金七千万で、私自身は三千二百万というお金を出して設立してまいりました。今
従業員は五名でございますが、この一年と二カ月、もう十年以上たったような気がいたします。思ったよりも非常に大変だなということを実感しております。
それから、
ベンチャーキャピタルというのは、名前は非常に格好いいといいますか横文字ですしいいのですが、日々日常の仕事といいますのは非常に泥臭いものでございます。こちらとその
中小企業の
ベンチャーの社長との信頼関係、これに基づいて成り立っております。私どもからしますと、担保をとりませんので社長を信ずるしかない、社長の
能力、これがある
意味ですべてでございます。ですから、いかに社長が信頼できる人か、うそをつかず一生懸命やる人かというのを見きわめながらやる。もちろん、何をやっておられるかというのは非常に大事なことでございますので、それについては、私どもプロとしての調査、審査をいたします。
一方、その投資を受けられる
ベンチャー企業の社長からしましても、これは融資と違いまして、いわゆる期限がない、追い出すことができない。株主というのはそういう議決権を持っておりまして、双方が納得しないとその関係を断ち切ることができない、ある
意味で非常に怖いものでございます。ですから、投資を受ける
企業、
ベンチャー企業側としても、やはり
ベンチャーキャピタルがどういう
会社なのか、またその経営者がどういう人間なのかということが非常に
ポイントになってまいります。そういう信頼関係に基づいて日々
活動をしております。
それからもう
一つ、
ベンチャーキャピタルというのはリスクをとりますので、リスクのないところにリターンはないということです。そのリスクの見きわめと、それからリターンがどういう形で返ってくるのか、それのバランスを見て投資を行っていくということでございます。
一番何が大変かといいますと、やはり時間がかかるということですね。結果が出るのに、これまでの
日本の
ベンチャーキャピタルの業界ですと、大体五年から十年、今結果が出ておりますのは、五年前、六年前に投資したところがやっと上場、公開してきている。
それともう
一つ、プレッシャーといいますか、それがありますのは、まず悪い結果が出てきます。投資した後一、二年のうちに、倒産する
会社は倒産してしまいます。ですから、そういう悪い結果が先に出るということになりますから、何をやっているんだ、どういう審査をしたんだということで非難が集中します。それに耐えながら、将来公開する
会社を育成してそれが花開くときをじっと待つという、非常に根気の要る、我慢強くなければできない仕事かな、プレッシャーに強くないとできないというふうに思っております。
幸い、私自身はこの業界で十年間、一応ワンサイクルというんですか、
企業が
成長して投資をして倒産する
会社、上場する
会社を見てきておりますので、今やっていることが必ずや将来花開くであろうという確信を持ってやっておりますけれども、まだこの業界に入ってきて一年目、二年目の人にとっては、大変なプレッシャーの中で仕事をしているということでございます。
ちょっと私どもフューチャー
ベンチャーキャピタルの宣伝ですが、
ポイントは二つで、先ほどの信頼関係に基づいて投資をするということと、もう
一つはやはりディスクロージャーですね。
企業の内容を開示していただく、公認会計士の監査をできるだけ早く入れていただく。それから、私どもがお金を出すときに、公認会計士の、ショートレビューと言っていますが、そういうレビューを受けて、
ベンチャー企業の財務諸表がきっちりとしたものであるかどうか、それを修正なりしていただく、それに基づいて審査をさせていただく。
いずれにしても、その
企業には上場、公開を目指していただきますので、将来きっちりした
会社の開示をタイムリーにできる体制をつくっていただくということを投資の
条件にしております。
それと、私ども自身の方針としましては、育成、投資した後ほったらかしじゃなくて、お金を出すだけじゃなくて、場合によってはその
会社の非常勤の役員になりまして、私ども微力ですけれども、いろいろなアドバイスをする。特に、私自身が銀行にも長くおりましたし、
資金調達の面については経験がございますので、
金融面でのアドバイス、お手伝い。場合によっては同僚の
ベンチャーキャピタルを
紹介する、銀行を
紹介する、場合によってはノンバンクを
紹介するということをやっております。
それ以外に、今、
中小企業、
ベンチャー企業で最大の
ポイントはやはり人です。人がすべてです。いい人が入れば、その人が金を呼び込み、得意先を呼び込み、また場合によってはいい人をも連れてくるということです。これも、幸か不幸か、ここ数年、
企業倒産、大型倒産もありまして、人の流動化が進んでおります。極めて有能な
人たちも
企業を離れざるを得ない。そういう
人たちが中堅、中小、
ベンチャー企業にも注目して入ってきていただいているということで、人の流動化、これによって
ベンチャー企業も大分以前よりは
成長がしやすくなっているということがあります。
そういう人の
紹介、それから得意先、販売先の
紹介等、いずれにしても、その中に入り込んで、社長と一緒に悩み、勉強し、一緒に育っていく、我々と目指す
方向が一緒ということが
ベンチャーキャピタルの最大の特色です。
それで、あと
日本の
ベンチャーキャピタル業界について一言申し上げますと、これまではサラリーマンなんですね。大手
ベンチャーキャピタルあるいは大手
金融機関の系列下の
ベンチャーキャピタル、すべてサラリーマンです。本社から派遣される、入った
人たちも順々に昇進の階段を上っていく。ところが一方、
ベンチャーキャピタルというのはリスクをとる仕事ですので、必ず失敗がつきものです。十社投資したら大体二、三社倒産します。先ほど申しましたように、まず倒産
会社が出ます、悪い結果が先に出ます。そうすると、サラリーマンですと、上司も反対しておけばいいわけですね、ノーと言っておけば自分に累は及ばないということで、どうしてもリスクをとりづらいということがあります。
日本でそういうサラリーマンの
ベンチャーキャピタルばかりになりますと、なかなかリスクがとりづらくて、本当に伸びたいと思っている
企業に投資できない場合があります。私どもは、独立系ということで、私自身の判断である程度リスクをとっていける。私どもが出した後から大手の
ベンチャーキャピタルが投資をしてくるということも起こっております。
いずれにしても、独立系の
ベンチャーキャピタル、サラリーマンでない
ベンチャーキャピタル会社というのが現に生まれてきておりますし、それがどんどん数がふえて、横の協力をしながら、大手とも力を合わせて
日本の
ベンチャーを育てていくということが必要かと思います。このあたりが、
アメリカでは現にもう大半が独立系ですから、大きな違いかと思います。
それからもう
一つは、育成ということについては、大手
ベンチャーキャピタルでは縦割りが多かったんですね。今は大分改善されておりますが、投資先を見つける人、審査する人、育てる人、それから公開、上場をお手伝いする人等が、縦割りでどんどん人がかわっていくんですね。このあたりが問題でございました。これは今改善の
方向だというふうに理解しています。
それから、私ども特に独立系の
ベンチャーキャピタルの最大の問題点といいますか、悩んでおりますのは、投資をするための
資金源です。
私どもも、おかげさまで投資
事業有限責任組合法というのを制定していただいたので、これに基づいて去年の十一月一日に、わずかですが、二億五千万で
一つ投資上のファンドを組成しました。その出していただいているのは、やはり主として
中小企業のオーナー社長さん、あるいはいわゆる
個人の資産家です。二号目のファンドがこの六月に組成しまして、こちらは三億二千万です。こちらにはやっとある中堅の生命保険
会社さんとか損害保険
会社さんの子
会社さんが出資していただきましたけれども、まだまだ金額的にはわずかでございます。
ですから、そういう投資をするための
資金源がもう最大のネックでしたが、この春から、
中小企業総合
事業団が投資
事業組合のファンドに出資するというスキームが
動き出しておりますし、今般の
法律の
改正によりまして、いわゆる新
事業創出促進法の
改正で、
産業基盤
整備基金さんが
民間の
ベンチャーキャピタルのファンドに出資をしていただくということが考えられているということで、これは非常にありがたいと思います。
こういう
資金が
民間の、特に独立系の
ベンチャーキャピタルに入りますと、我々の最大のネックが解消されます。そうしますと、私どもの仕事は審査をして投資をして育成をするということが本来業務なんですが、やはり一方お金集め、
資金調達という方面でもかなりの時間を割いております。この割く時間が削減されますので、より一層
ベンチャーの育成に力を注げるということになります。非常にありがたいと思いますので、どんどん広げていっていただきたいというふうに思います。
それから、昨今の
ベンチャーキャピタル市場といいますか、
日本の
市場はさま変わりになっております。これはちょっと私の予想を超えておりまして、いわゆる東京証券取引所の
マザーズと言われる新
市場、先ほど
松田先生等
お話ございましたけれども、これが巨大なインパクトを与えております。これによりまして、恐らく
日本の
ベンチャーキャピタルの業界もさま変わりになるだろう。
特に、先ほど申しましたが、今まで結果が出るまでに時間がかかるということがございました。これが大幅に短縮されます。場合によっては、ことしの七月に私どもが投資してつくった新
会社があるんですが、これが来年じゅうには公開、東証
マザーズに上場する、もう真剣に検討しておりますし、それなりの打ち合わせをしております。そういうことが
日本でも起こり始めている。
これによりまして、先ほども
松田先生の
お話ありましたように、若い
人たちの
創業、起業が大幅にふえているということでしたが、非常に盛り上がっております。このあたりによって
日本の
ベンチャーキャピタル業界もさま変わりしていくだろうという気はいたします。そのあたりで、非常に我々としては仕事はやりやすくなっている。
それから、上場前の規制期間、これが二年間だったのが事実上撤廃されているとか、
ベンチャーキャピタル業界の規制緩和は収束といいますか、ほぼ
アメリカ並みに規制緩和がされているというふうに理解しております。あとは、いかに我々、それから
ベンチャー企業が活躍していくかということかと思っております。
今後、課題といたしましては、
資金源という点では、年金
資金、それから
日本の裕福な
個人の
資金が
ベンチャーキャピタルファンドに流入するようなことが起こればいいと。これは既に環境
整備はしていただいておりますので、我々の
努力によってやっていきたいというふうに考えております。
いずれにしましても、
日本の業界、
ベンチャーキャピタル、
ベンチャーを取り巻く環境はさま変わりでございます。非常にスピードも速うございます。より一層
皆様方の御
支援をいただいて、この流れを加速していただければと思っております。
以上でございます。(拍手)