○大野(功)政務次官 まず、
金融問題でございますけれ
ども、
基本論から始めさせていただいてまことに恐縮に存じます。
先ほど公正取引
委員会の
委員長とのやりとりを伺っていて、
大畠先生が御所見を申しておられまして感銘を受けたのでありますが、やはり、自由の裏には規律があるんだ、こういう問題があろうかと思います。
基本的に言いますと、
日本の
金融問題、
日本は自由
経済でありますから、やはり自己責任原則と市場規律にゆだねて
政策を
運営していく、これは当然のことであります。したがいまして、
一つ一つの
案件について
一つ一つの個別的な
金融機関にああせいこうせいと言うわけにはいかないと思います。
しかしながら、やはり
政府としては、国としては、まず、透明性を確保する、情報の公開がきちっとなっているかどうか。それから、公正なルールで競争が行われているか。そしてまた、保護すべきものは保護すべきである。これは
政策目的だと思います。
そういう
意味で、
民間金融機関とは別に、
政策目的、つまり、
中小企業というのは
日本経済を生き生きとしていくものである、さらに、
ベンチャービジネスというのは
日本の未来を背負っていくものだ、こういう観点から、私はやはり、
政策目的として、
政府系
金融機関が、
金融について、
中小企業に
資金を回していく、このことは十分考えていかなきゃいけない問題だと思います。
これにつきましては、平成九年の秋から十分にやっております。マル経の問題、あるいは
金融環境変化の問題、あるいは特別信用保証枠拡大の問題、開銀法
改正によりまして開銀から運転
資金も貸せるというふうにした問題。さらに、早期健全化法においても、健全化計画をつくる場合には
中小企業の貸し付けについては残高をふやしていかなきゃいけない、こういうことまで配慮しているわけでございます。
今の
中小企業を取り巻く
経済環境、あるいは先ほど申し上げましたような
日本経済における
中小企業の
役割、こういうものを考えますと、やはり今回の
経済新生対策でも行われておりますように、特別信用枠、信用保証の問題、十兆円、一年間拡大しました。あるいは、
金融環境の変化に対応する融資それから金利減免、こういうことを延長しております。そういう
意味で、やはり
中小企業金融問題についてはこれからも積極的に前向きに対応していきたい、このように思っておるところでございます。
それから、承継税制の問題でございます。
これは若干
技術的、専門的なことをも考えていかなきゃいけない問題でございますけれ
ども、まず第一には相続税の問題があると思います。
相続税というのは、昭和六十三年に大
改正いたしまして、その後若干、二度ばかり
改正をしておりまして、
かなり負担感は減っている。現在も、土地価格が下落しておりますので、
かなり負担感は減っているわけでございます。
でも、七〇%という最高税率はいかにも高いじゃないか、こういう議論があります。しかし、七〇%の最高税率が適用されるブラケットというのは、一人当たりの平均で見ますと、課税標準が二十億円でございます。五万人の該当者がおる中で、七〇%の税率が適用される人は一年間で十人程度というわけですから、最高税率の問題と
中小企業の問題、これは少し観点を変えて、視点を変えて、相続税は相続税として、去年の
政府税調答申でも、相続税の問題は見直しなさい、こう言っておりますので、
中小企業とは別の観点から考えていくべき問題じゃないか、このように思っております。
ただ、承継税制の問題でございますが、いろいろな問題があるし、いろいろな議論があるということも十分承知しております。
一つ、個人事業者の場合は、
大畠先生御存じのとおり、宅地であれば、住宅用宅地であれば二百平米まで、事業用の宅地であれば三百三十平米まで、これは八割を、タックスベース、課税標準から控除できますから、
かなり負担感が減ってくる、こういう問題があるのでまあまあかなという感じはするんです。
問題は、
中小企業で法人化している場合であります。株式になっていますから、今申し上げたような控除
制度が適用されません。したがいまして、そういう場合には、株式を上場している類似
企業と比較して課税標準を決めていくのか、課税価格を決めていくのか、それとも実際の資産を評価して決めていくのか、あるいはその二つのやり方をミックスして、混合して見ていくのかということで、非常に難しい問題でありますが、できる限り、承継税制の問題として負担感が減るような格好で評価の方法を考え直してみる、これはやらなきゃいけない問題だと思っています。
ただし、また原則論に戻りますけれ
ども、そうした場合に、個人事業者とのバランスがどうなるのか、それから上場
企業の場合とバランスがどうなるのか、こういう問題はきちっと詰めていかなきゃいけない。少し専門的な見地から、あるいは幅広い視野からこの問題を詰めてまいりたい、このように思っている次第でございます。