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1999-11-10 第146回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月十日(水曜日)     午前九時三分開議  出席委員    委員長 中山 成彬君    理事 伊藤 達也君 理事 小林 興起君    理事 河本 三郎君 理事 山本 幸三君    理事 大畠 章宏君 理事 吉田  治君    理事 大口 善徳君 理事 塩田  晋君       逢沢 一郎君    小野 晋也君       大石 秀政君    岡部 英男君       奥田 幹生君    奥谷  通君       小島 敏男君    古賀 正浩君       桜井 郁三君    新藤 義孝君       滝   実君    竹本 直一君       中山 太郎君    細田 博之君       松本  純君    村田敬次郎君       茂木 敏充君    森田  一君       山口 泰明君    安住  淳君       川端 達夫君    桑原  豊君       渋谷  修君    島津 尚純君       中山 義活君    藤村  修君       山本 譲司君    遠藤 乙彦君       中野  清君    福留 泰蔵君       青山  丘君    小池百合子君       藤井 裕久君    金子 満広君       佐々木憲昭君    吉井 英勝君       北沢 清功君   知久馬二三子君       前島 秀行君     …………………………………    通商産業大臣       深谷 隆司君    国務大臣    (経済企画庁長官)    堺屋 太一君    経済企画政務次官     小池百合子君    大蔵政務次官       大野 功統君    文部政務次官       小此木八郎君    通商産業政務次官     細田 博之君    通商産業政務次官     茂木 敏充君    労働政務次官       長勢 甚遠君    政府特別補佐人    (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局    経済取引局取引部長)   上杉 秋則君    政府参考人    (金融監督庁監督部長)  乾  文男君    政府参考人    (通商産業省生活産業局長    )            横川  浩君    政府参考人    (中小企業庁長官)    岩田 満泰君    政府参考人    (国民生活金融公庫総裁) 尾崎  護君    政府参考人    (中小企業金融公庫理事) 作田 頴治君    政府参考人    (日本政策投資銀行総裁) 小粥 正巳君    参考人    (商工組合中央金庫総務理    事)           田中 徳夫君    参考人    (日本銀行調査統計局長) 村山 昇作君    商工委員会専門員     酒井 喜隆君     ————————————— 委員の異動 十一月十日  辞任         補欠選任   遠藤 武彦君     田中 和徳君   奥田 幹生君     逢沢 一郎君   粕谷  茂君     松本  純君   桜井 郁三君     大石 秀政君   新藤 義孝君     滝   実君   川端 達夫君     藤村  修君   金子 満広君     佐々木憲昭君   北沢 清功君     前島 秀行君 同日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     奥田 幹生君   大石 秀政君     桜井 郁三君   滝   実君     新藤 義孝君   松本  純君     粕谷  茂君   藤村  修君     安住  淳君   佐々木憲昭君     金子 満広君   前島 秀行君    知久馬二三子君 同日  辞任         補欠選任   安住  淳君     桑原  豊君  知久馬二三子君     北沢 清功君 同日  辞任         補欠選任   桑原  豊君     川端 達夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  中小企業基本法等の一部を改正する法律案内閣提出第一号)     午前九時三分開議      ————◇—————
  2. 中山成彬

    中山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として、佐々木憲昭君の質疑の際に中小企業庁長官岩田満泰君、金融監督庁監督部長乾文男君、国民生活金融公庫総裁尾崎護君、中小企業金融公庫理事作田頴治君及び日本政策投資銀行総裁小粥正巳君、知久馬二三子君の質疑の際に中小企業庁長官岩田満泰君、吉井英勝君の質疑の際に公正取引委員会取引部長上杉秋則君、通商産業省生活産業局長横川浩君及び中小企業庁長官岩田満泰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  4. 中山成彬

    中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大畠章宏君。
  5. 大畠章宏

    大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。  ただいまから中小企業基本法に関する質問をさせていただきますが、この中小企業の問題については国民大変注目をしておりますし、また、さきの本会議におきましても、さまざまな論議から、この国会中小企業国会深谷大臣発言をされております。そういうことで、きょうは、地域の声というものを踏まえて、この中小企業問題について質問をさせていただきたいと思います。  中小企業質問に入る前に、けさのニュース等を見ていますと、いわゆる企業団体献金の問題につきまして、自民党内で、また与党内でもさまざまな論議が展開されているようであります。  自由民主党政治改革本部長であります中山さんと森さんが会いまして、どうするかということを協議した。政治改革本部長の方としては、さまざまな論議をしながら、この企業団体献金禁止といいますか、企業団体献金というものは継続すべきだという結論に達している、したがって、それを尊重してもらいたいという話がありましたし、森さんの方では、この件については小渕総理に預けてくれないかという話があったそうでありますが、この問題はもう五年前に決着している問題でありまして、いわゆる法律ができているわけですね。来年の一月からこれを禁止しようというのは法文に書かれているのです。にもかかわらず、その法律施行前に、さまざまな問題から、やはりこれは継続しようじゃないかということ自体がいわゆる国会軽視も甚だしいと思うのですね。  私は、この問題を中小企業基本法に関する質問の前になぜ言うかということですが、どんなに議会法律を決めても、それが履行されなかったら何にもならないのですね。あのときに、五年前のあの国会は、何のために私たちはあれだけ国民注視の中で政治改革を叫んだのか。そして、政治改革をやろう、清潔な政治を進めようということを決めたはずなんです。にもかかわらず、自民党内で、まだ五年しかたっていない、それも法律施行直前になって、これを継続するということが衆議院の第一党の中から出てくること、これ自体、私は議会制民主主義の中で問題だと思うのです。  したがって、きょうは、中小企業基本法の問題に入る前に、まず、この件について、深谷大臣並びに政務次官三人おられますが、それぞれどんな御見識なのか。そして堺屋大臣には、政治家とは違いますけれども、堺屋さんとしてこの問題に対してどう見ておられるのかということを冒頭にお伺いしたいと思います。
  6. 深谷隆司

    深谷国務大臣 改正法ができまして、五年後には企業団体献金禁止しようということが決定していることは、当然ながらよく承知しております。そして、その時期がいよいよ来たというのが今日でございます。  その間、自由民主党の中で、あるいはその他の政党の中でもいろいろな議論がなされています。議論すること自体がけしからぬと批判される筋はないと私は思います。問題は、結論が出てから、その結論によってけしからぬというお怒りがあっても、それは当然かもしれませんが、党内でいろいろな議論をすることまで批判されるべきではないと私は基本的に思っています。  いずれにしても、この問題については決着がつくものと私は思っておりますし、恐らく本日のクエスチョンタイムで小渕総理から何らかのお話が出るのではないか、そのように思っております。
  7. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私は、選挙をやったことのない、議員ではございませんので、それがどういうような影響を政界に与えるかについてはよくわかりません。ただ、歴史家として民主主義というものを見ますと、民主主義自由経済政治版として起こってまいります。  自由経済というのは、まず第一に、産業革命が起こって、どんなものでも、いろいろなものができてきたときに、どれがいいものか選択する方法がありませんでした、これは十八世紀のイギリスでございますが。そのときに、だれでも売り出していい、いわゆる新規参入の自由、法の前での自由というのを認めました。そして、どれが栄えるかは消費者が選んだものだという消費者主権を定めました。  そして、売り出した人、これは玄人であり、消費者素人だ。では、玄人素人をだますのは簡単だから、情報公開をしなければならない。一方、消費者の方は、どこで買ったか、それは圧力をかけられないように隠していい、プライバシーの保護、こういう仕掛けができました。それをそのまま政治に当てはめたのがこの民主主義と言えるでしょう。  そういたしますと、だれでも立候補ができる。一定年齢制限がありますが、それはまた別の理由であるのでございまして、したがって、一定年齢要件、国籍その他を有していれば必ず立候補ができる、新規参入の自由であります。そして、それを政治消費者である有権者が選ぶ。  そのときにはやはり情報公開自分がどんな人物であり、どういう政見を持っているかというのを宣伝しなきゃいけない、このための費用は不可欠なんであります。だから、ギリシャ・ローマの昔から、民主主義をつぶそうと思う人は必ず政治資金をつぶしてまいります。これはもう歴史の常道なんですね。その意味で私は、政治資金というものは極めて重要なものだと思っています。  ただ、その政治資金をどういうルートで集めるか。これが企業献金がいいのか個人献金がいいのか、その集め方をどうするか、そして集めたものが政治以外に流れていないか、あるいはそれが政治をゆがめるようなものでないか、この透明性をどうするかということは重要な問題です。  私の立場では、企業献金がどうか、個人献金でなければならないかということは明確に申す能力がありませんが、今のような事情から、私は、政治献金というものが非常に悪いように言われる世の中は民主主義にとって一つの危機だとずうっと言い続けております。
  8. 細田博之

    細田政務次官 これまでの政治改革で、この国会で通ってまいりました法律は、非常に政治資金の面で効果があったと思います。  例えば、一企業当たり五万円以上の献金をいたしますと、それだけで公表される。したがって、大企業を中心に一切そういう献金はなくなりました。それは、それ以前からと大幅に違った点でございます。また、政党交付金も充実いたしましたし、冠婚葬祭に対する規制あるいは政策秘書の創設、そういった意味では、私は、今日の政治資金規制は非常に前進した、透明性の高いものになったと考えるわけでございます。  他方、これからの企業団体献金につきましては、私は、従来に比べると、もはやかなり透明性も高く前進したと思いますけれども、国会議員同士議論によりまして、これをさらに、個人のいわば政治資金管理団体に対する寄附を規制すべきであるということが大宗であれば、私個人としては特段影響ございませんし、それも一つのことではなかろうかと思います。  また、政党方々によっては、これは企業だけではございませんで、例えば労働組合などを含めた団体献金とも絡むわけでございますし、堺屋長官がおっしゃったように、民主主義一つの姿でございますから、今の五万円が政治家を左右するほどの大変な献金であるとは私も思っておりませんけれども、これは全体の議論に従おうと思っております。  ただ、地方議員方々とか、これによって大きな影響を受ける方の手当てもしなければなりませんし、それからさらに、冠婚葬祭等で前進すべき事柄もたくさんあります。ほかの選挙区であれば花輪を出していいとか、あるいは葬式、通夜には香典を持っていっていい、結婚式のお祝いを持っていっていいというようなこともございますので、その辺の経費削減について前向きのことがどのぐらいあるかということもあわせて検討していいと思います。  ただ、今の議論がちょっと不幸なのは、何でもまだ企業から多くの献金をもらっているかのように皆さんが思われることが問題でありまして、きょうも議論になっておりますけれども、中小企業などは、バブルの時代はともかく、今や大変な窮地にあって、実際に中小企業の方が政治家献金するというような例はもうほとんど皆無に近くなっているのではないか。個人的に本当につながりの深いような、御縁のある方は若干出されても、そういうものも少なくなっておるので、実態上は非常に様相が変わっておるという現状認識を申し上げたいと思います。
  9. 茂木敏充

    茂木政務次官 政治改革に関連しましては、政治資金の問題、それから選挙制度等々につきまして、さまざまな議論の中で、御指摘のように五年前に一定結論が出たわけであります。そして、三年前に新しい選挙制度のもとでの選挙実施をされました。  そういった中で、国会での決定は重く受けとめ、そして、改善された面については評価をし、また、見直しが必要な面については国会として常に見直しを図っていくという姿勢が必要だと思っております。そんな意味で、各党での活発な議論は必要だと思っております。そして、私としては、最終的には国会で決めたことに従ってまいりたいと思います。
  10. 小池百合子

    小池政務次官 印象といたしましては、まず、もう五年がたったんだなというように思います。また、五年たったのでありますから、一度決めたことには従っていくというのは、これは政治信頼性を確保する意味でも重要なことというふうに考えております。  一方、企業団体献金の廃止ということになりますと、逆に言えば、個人献金をどういうふうにして育てていくのか、そして、その文化をどのようにして醸成していくのかということが極めて重要なこととなってくるわけでございます。実際には、名前が公表されるといったようなことに対してちゅうちょされる方がおられたり、まだまだ政治に対しての献金という風土が育ち切れていないと思います。  一方で、トルコや台湾に対しての義援金がこれほど集まる国もないわけでございまして、その意味では、政治に対しての、この人を育てよう、この党を育てよう、党は今回は別でございますけれども、この人を育てようという、そういう意識というのが育つぐらいに政治信頼性も回復していかなければならないのではないか。つまり、総合的な意味政治そのものを、五年たった今、改めて見詰め直す必要があるのではないか、そういうふうに考えております。
  11. 大畠章宏

    大畠委員 この中小企業基本法に関する前にお伺いして、それも先ほど突然、事前にお話をしたものですから大変御迷惑をかけたかもしれませんけれども。  この問題は、いわゆる議会といいますか、法律に対する国民信頼を取り戻すために、深谷大臣がおっしゃったように、法律で決められたとしても、いろいろ賛成、反対があったっていいじゃないか、私は、それはそのとおりだと思うんです。  しかし、茂木さんと小池さんは、国会で決められたものはやはり重視をしたいというのは、私は、それがやはり政治家としての当然の姿勢なんだと思うんです。法律で決まったけれども、しかしどうなんだろうかというので、いや、これは現実問題なかなか、地方議会の方もあるからやはり復活させようかという話がありましたが、私はそういうことでは五年前の、あのロッキードリクルート佐川急便事件、私は今でも思い出しますが、政治改革論議をしたとき小池さん等も非常に活発に日本新党でやっておられたと思いますが、ある集会で、後藤田さんがお見えになって、政治の浄化をどうしたらいいか、糧道を断たなけりゃだめだと言ったんですね。お金なんですよ、お金。  確かに、一人五万円だからいいだろうと先ほど細田さんおっしゃいましたけれども、例えば百人から要求されたら五百万かかるんですよ。それを全部企業の利益から出さなきゃならないんですよ。必要経費なんかにならないでしょう、これは多分。だから私は、そういう意味では、政治家の方はたった五万円だからいいじゃないかと言うけれども、それは求められる方からすれば大変なんです。求められれば、いろいろ世話になっているからやらなければならないと言うけれども、この厳しいときに、今、中小企業国会と言われていますが、非常に苦しんでいるときに、なおかつ国会議員政治活動に必要だから出してくれと言うこと自体を私はもうやめるべきだと思う。  要するに、お金つながりロッキードリクルート佐川急便事件といういわゆる金権の事件を起こしました。その反省から、もうやめようということを五年前に決めたはずなんです。それをまた持ち出して、当初は与党内でも大体、じゃ、そうするかという話があったそうでありますが、私はそれはどうかと思うのです。  きのう深谷大臣が、我々は選挙を考えて政策を変えることはないとおっしゃいましたけれども、今回の政治献金については、禁止しようかという方向国民から、投書なんかもいろいろありまして、自由民主党は何なんだと、与党は一たん決めた法律を守らないのかといういろいろな抗議の投書なんかが続出しました。マスコミも言いました。これではとても選挙で勝てないんじゃないかということで、一部の議員方々がもう一回見直しをせよというふうな話をされたと聞いています。  そういうものを含めて、どうも今回の動き自民党内の本音のところが出てきたような感じもしますし、また、選挙が近いからやはりまずいか、そういう揺れ動きが今回見えたような感じがするんです。それよりも、法律というのは本来どうあるべきかということから論を張っていただかないと、私は、国民は非常に戸惑うということをまず一つ申し上げたいと思うんです。  これはなぜ申し上げるかというと、介護保険問題もそうですね。どうも選挙の前に介護保険料等々を取ると反発が強いから、これは半年間凍結しちゃおうかというような形にマスコミを通じてきていますが、それも、深谷大臣がおっしゃられたように、我々は選挙を考えて政策を変えることはないと言うけれども、まさにこの二つですね。  法律ができているのにかかわらずその執行段階で変えようとする、あるいは選挙というものを考えてまたいろいろやろうとする。私は、これでは、議会でどんなに論議をしていい法律を決めても、執行段階でさまざまな論議がされると、私たち議会で何のために論議をするんだろうかという話になっちゃうんですよ。そういうことから冒頭に今申し上げたわけでございます。  この問題はこの程度にしますけれども、いずれにしても、私は、茂木政務次官小池政務次官が明言されました、国会で決められたことはきちっと守る。私たち国民の一人でありますから、やはりそういう方向で、企業団体献金禁止の問題については一月からすっきりと禁止をするということを深谷大臣細田政務次官には守ってもらいたいと思うんですよ。  それで、先ほど深谷大臣は御自分意見を述べられませんでしたね。細田さんは、企業団体献金は継続してもいいじゃないかという趣旨の発言をされましたけれども、深谷大臣御自身はどう考えておられるのか、ちょっと答弁してください。
  12. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私は、丸裸から政治家になってまいりました。かつて、私を信じ、期待する人たちが、票を集めてくださるとか、知恵を出していただけるとか、浄財を出していただけるとか、いろいろな角度から支えていただきませんと一人の政治家は育たないのだということをずっと言ってきました。その枠の中で仕事をしてきて今日に至っているというふうに思っているわけであります。  私は、今でもその三つの柱がなければ政治家は育たないというふうに思っています。しかし、経済の動向やら、中小企業を初めとする大勢の皆さん方が日々の暮らしの中でそれはおかしいとお思いになって、その声を集約して法律ができたら、その法律に従うのは当然のことだと思っているわけです。  ただ、五年経過して、そのような禁止になるというその直前になって、政党人としてあるいは政党の中でいろいろな議論がなされても、それそのものはおかしいものではないと思うし、そのときに国民世論に耳を傾けながら最終的な結論を下すということは、それがイコール選挙を考えてということと合致するものではないということを申し上げているわけであります。(大畠委員大臣としてはどうなんですか」と呼ぶ)  私は、だから、基本的には三本の柱が必要だと思っていますが、今日の国民的な意見環境の中では、あのような禁止事項が生まれたわけですから、それが法律として厳然とある限りはそれを守るのは当然のことだと思っています。
  13. 大畠章宏

    大畠委員 わかりました。  今大臣世論とおっしゃいましたけれども、企業団体献金は継続すべきだなんという世論は全然ないんですよ。ただ、自民党内といいますか、政治家内からやはりこれがないと困るという話だけであって、深谷大臣は今、五年たったから世論を見て論議することも重要じゃないかと言ったけれども、世論なんかは、そういう企業団体献金を継続しろというような世論は私は全然ないと思うんですが。
  14. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私が今世論と申し上げたのは、あなたがたまたま介護保険の問題も一緒に言われたものですから、それを一くくりにして申し上げたのでございます。環境変化議員議論をするというふうに言い直しても結構でございます。
  15. 大畠章宏

    大畠委員 介護保険の問題が出ましたが、確かにいろいろそれは高いなという声はありますよ。しかしながら、実施部隊である市町村の方は準備体制に入っちゃっているわけですね。しかし、その準備体制に入っているにもかかわらず、突然自民党内部から亀井さんが、あれは半年間凍結しちゃおう、そういう話でわあっと動き始めた。これは、逆に言えば市町村が今度は戸惑い始めているんですよ。  確かに、国民の方からすれば負担は少ない方がいい、それはそのとおりかもしれません。しかし、国として一たん法律を決めて執行体制が始まっているにもかかわらず、突然一人の大物の政治家の方の発言をベースにいつの間にかそれを凍結しようという話が出てくること自体、それは深谷大臣世論というものをちょっと、何といいますか、深谷大臣流論議の中に組み入れているだけであって、地方自治体はもう必死になって、いわゆる介護を求めるお年寄りの方への体制をとるために地方自治体として責任ある体制を執行しようというのでやっているわけですよ。それをまた中央の方から崩そうとしたら、地方自治体が非常に揺れ動いて混乱を始めるんじゃないですか。それはちょっと私は、深谷大臣、詭弁だと思いますよ。大臣、どうですか。
  16. 深谷隆司

    深谷国務大臣 介護保険議論をこれから展開するなら今のお言葉にお答えもしますが、私が一般論として申し上げているのは、やはりその折々の環境変化とか国民の声に耳を傾けるということは、政治家としては、特に民主政治では大事ではないかということで、それが即選挙ではありませんということを申し上げたいわけです。
  17. 大畠章宏

    大畠委員 私は、ここで介護保険の問題が始まるわけじゃありませんから中小企業問題に移りますが、その話は、介護保険論議して法律を決めるときに、既に国民からも意見を聞き、地方自治体からも話を聞き、それを勘案しながら決めたはずなんですよ。決めたはずなんですよ。  それが、選挙が近くなってきたからといって方向転換をし始めるということ自体が、この問題、先ほどの企業団体献金の問題と同じように、法律を決めても執行段階になるとどうもうやむやになる、そんな話になったら、国会はルールを決めるんですよ。経済のルール、社会のルール、そういうルールを決めるにもかかわらず、ルールを決めてもそれは守らなくていいみたいだという話になったらどうしようもないじゃないですか。  それも、政治改革の問題でいえば、先ほどの企業団体献金の問題については、附則にあるにもかかわらず、あれはあのままで法改正しなくてもどうやらいいみたいだなんという話になってきたら、だれが法律なんか守るようになるんですか。我々は立法府の人間ですよ。その立法府の人間が自分の決めた法律を守らなくていいなんという話がまかり通ったら、これはおかしくなりますよ。そのことだけは大臣に申し上げ、自由民主党議員皆さんにも、政治改革本部の皆さんにも申し上げて、中小企業の基本法の問題について入りたいと思います。  まず、中小企業の基本法でありますけれども、冒頭に申し上げましたとおり、中小企業方々は今、深谷大臣法律案の提案のときにもおっしゃっておられましたけれども、非常に厳しい状況にあります。それゆえに小渕総理深谷通産大臣が、この臨時国会中小企業国会にすると宣言されていますから、非常に期待をしています。この臨時国会の中で、あるいは中小企業の基本法を変える中で、あるいは関連する法律案が通れば、中小企業のさまざまな課題、問題というのが解消できるんじゃないか、そういう熱いまなざしでこの臨時国会を見ていることは事実なんです。  そこで、通産大臣と、それから政務次官三人の方がおられますが、この中小企業基本法を改正するに当たり、中小企業の現状というものはどんな状況にあるか、どう見ておられるかということをまず。  堺屋大臣もおられますが、経企庁は景気の先行き等々を見るということでありますが、何回もいろいろ出ていますけれども、経企庁長官としてというよりも堺屋太一さんとして、日本の中小企業というものの現状をどうとらえているのかということをお話をいただきたいと思います。  深谷大臣から。
  18. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私に対する質問は、中小企業の皆様が現在どのような状況にあるかということについての判断を申し上げろ、こういうことであろうと思います。  後ほど堺屋長官からお話があろうと思いますが、少なくとも、さまざまな資料の上では緩やかな景気の回復の傾向は見られるのでありますが、中小企業全体の報告を聞けば、景況感というのはいまだないというのが現実であります。  私自身が東京の下町で生活をしておりまして、中小企業皆さん方の悲鳴にも似た声というのは毎日聞いておりまして、心を痛めています。そういう中小企業の皆様にどういうお手助けができるのか、そういうことをこの国会で論じていく、その中身についても鋭意具体的なものを示していく、その中で中小企業皆さんの御期待に少しでもこたえられるように私は全力を挙げたいと考えているところであります。
  19. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 私は、今回の中小企業基本法の改正は、日本の産業経済構造を抜本的に変える大変重要な政策だと考えております。  私は一九六〇年に通産省に入りまして、十八年半通産省の役人をしておりました。そのときの中小企業に対する考え方は、中小企業というものは滅び行くものだ、つまり、一方では大企業がどんどん発展し、一方では生産手段を持たない勤労者が生まれる、いわゆる中産階級の二極分解というのは歴史的必然である、こういう発想が非常に強かったんですね。それで、特定の業種を除きましては、だんだんと近代化が進むと中小企業というものは減っていくんだ、こういう思想がありました。  これをいかに激変を緩和して、近代化して、共同化して大企業の仲間入りをさせるか、あるいは現在経営しておられる方一代はもたせていくか、そういうような二極分解論の上に立って、それで弱いものとして保護し、できるだけショックの少ないような形でまとめて大企業にするか、整理していくか、こういう思想が非常にあったのです。中小企業基本法は、格差是正を言っておりますが、その内容は、本心は、むしろ中小企業に大企業のようになってほしいというような願いがありました。  ところが、それから三十五年たちました現状では、中小企業というものが二極分解していくという社会主義的発想は通らなくなりまして、むしろ新しい知恵の時代に向いた中小企業がどんどん起こっていく、中小企業の中でも新しい知恵の値打ちを生み出して、流通業であれ、製造業であれ、サービス業であれ、ますます発展していく、規模は小さいけれども強いものも出てくる、そういうような社会状況が近代工業社会から転換してまいりました。  これに対応して、この中小企業をそれぞれに、地域で活躍する中小企業、世界を目指して発展するような中小企業、特定の技術、業種で、規模は小さいけれども強い競争力を持つ中小企業、そういったものを育てると同時に、情報化、高齢化社会に対応した多様な企業を育てていくんだ、そういうぐあいに転換していくということがポイントだと思います。  したがいまして、現在の景気は中小企業にとって極めて厳しいものであることは事実でございますし、これは激変緩和の方法として、保護、救済、あるいはいろいろなお手伝いをしていかなければなりませんが、構造的な問題として今回の改革を位置づけると、今申しましたような非常に重要なポイントが含まれていると思います。
  20. 細田博之

    細田政務次官 私も十九年ほど通産省におりましたが、中小企業行政に長く携わってまいりました。  特に初期のころは、近代化促進法というのがあって、大臣が、この業種はこのように発展しなさい、近代化しなさいという基本計画を定める、毎年実施計画を定める。それに従ってやる近代化を進める中小企業には中小公庫やその他の金融がついたり、高度化をするものには事業団の融資、高度化資金がついたり、あるいは税制上の割り増し償却、特別償却などがつくというような、いわば業種ぐるみのことをやってきた。それで構造改善をやりなさい。他方、不況対策としては、団体法に基づく設備制限とか価格制限、出荷制限、生産制限、いろいろなカルテルを行って、業種ぐるみの、あるいは産地ぐるみの結束を図ってきた。そういうことが必要だという観点から長らく行政をやってきたわけでございます。  しかしながら、今日、中小企業の業態がどんどん変わってまいりまして、いわゆる産地といったものも大分分解をして、企業それぞれが考え方を変えてきたということがありまして、中小企業政策そのものを変えていかなければならないなという現状にあることははっきりしていると思います。  他方、中小企業の現在の状況についてどう考えるかという御質問はなかなか難しい御質問でございまして、五百九万社という、五百万社を超える企業でございますから、例えば自動車販売業などは自動車販売をずうっとしているわけですから、これを、販売がどんどん落ち込んでいく中では自分の身を縮めながらよくなるのを待つしかないわけでございますから、あるいは小売業でも、それぞれ夫婦でやっているような小売業は、一生懸命現状を切り抜けよう、卸売業もそういうふうにしようということで、身を縮めながら今のあらしが過ぎ去るのを待って、そしてまた次の発展を期そうというような企業も確かにございます。  それから、私ども島根県のもとでも、例えば安来市とか東出雲町がありますけれども、大企業の下請企業も非常に工夫している会社もあります。親企業が非常に困っていますから、下の会社がほかの発注先を探しながら技術開発をしていこうという会社もあります。  それでもう一つ、最後には、本当に今の情報化に従って発展するベンチャーとか、新しいいろいろな技術を持って、これからこういうことをやってみたらいいチャンスがあるんじゃないかという、知恵を持った、技術を持った企業もあるわけですね。したがって、私は、中小企業対策という場合には、絶えず広範に見ながらそれぞれの実態に応じて考えていかなければならないというふうに思っております。
  21. 大畠章宏

    大畠委員 現状の認識を伺っているので、ビジョンを聞いているんじゃないのですから、ちょっと短目にしてもらえますか。だんだん私の質問時間がなくなってくるので、お願いします。
  22. 茂木敏充

    茂木政務次官 中小企業の現状は、私も地元が栃木県の足利市、佐野市、栃木市と、大変中小企業が多いところでありまして、厳しい状況が続いていると考えております。  ただ、そういった中で、業種内格差というものを最近感じるようになってまいりました。今までは業種間格差、例えば自動車関連はいいけれども繊維の関連は悪いとか、大きなところはいいけれども小さいところは悪い、こういった業種間格差というのから業種内格差というのが出てきているな、こういう傾向を感じるわけでありまして、こういった、企業の多様性に着目した施策をとっていく必要、こんなことを今感じております。
  23. 小池百合子

    小池政務次官 我が国の中小企業の現状はいかにということで御質問いただいているわけでございますが、私は今、日本の中小企業は三つの構造改革のど真ん中にいるのではないかというふうに認識をいたしております。  まず一つが、金融の構造が大きく今変わりつつある。  昨年の金融危機を経まして、これから間接金融から直接金融の時代へと変わっていく、その真っただ中にあって、昨年来の貸し渋りの問題で大変困難な状況に直面した。それがゆえに、先日来の信用保証協会を利用いたしましての特別枠、この拡大というのは、その金融構造の変革の真っただ中にある中小企業にとりましては一つ大きなセーフティーネットになったというふうに考えております。  二つ目の改革が産業構造の改革でございます。  これまで伝統的な産業を経営していらした、運営していらした中小企業は、これまでどおりやってきたのになぜ売れないんだというのは、実はもう産業構造そのものが変わっているということでございまして、ここは、中小企業にとりましては、その新たな産業構造において何をやっていくかというのはまさに自助努力であり、また、さらにそれを支援する体制を今回組もうということでございます。  三つ目の改革は、世代がかわってきているということでございます。  中小企業は全企業の九九・四%と言われておりますが、その中の一番大きな問題は、むしろ後継者難というようなことも実はあるのではないかと私は思っております。  ということで、私から言わせればこの三つの構造改革のど真ん中にあるということでございまして、戦後の復興から立ち直って日本経済を引っ張ってきた中小企業が、この分岐点において、正しいまた明るい将来に導かれるようにというふうに、中小企業についてのこの国会を現在とり行っているところでございます。  それから、ついでに言わせていただくと、私はずっと以前ニュースの仕事もいたしておりましたが、実は経営者インタビューを三百社以上やってまいりました。個人として極めて魅力的なのはむしろ中小企業のおやじさんの方でございまして、店頭公開を済ませたという、むしろこれから大企業に向かうという段階の方々に数多くお目にかかってまいりまして、その方々の大変な発想力、そして人間の深さということに私は大変魅力を感じたものでございます。  せんだって行われましたソニーの盛田さんの社葬にも行ってまいりましたけれども、あのソニーも、もともとは東京通信工業という小さなところから始められて、そして、盛田さんいわく、会社が、社員が三十六人ぐらいのときが一番楽しかった、全部の家族の名前がわかり、社員の名前がわかり、その家族構成までわかったというころの時代、それを経て大きくなられたということを考えますと、我が国の中小企業がまさに日本経済のダイナミズムの源泉であるという認識を持っております。  以上です。
  24. 大畠章宏

    大畠委員 今五人の方からそれぞれ、中小企業に対する基本的なお考えをお伺いいたしました。  堺屋長官からは、昔は中小企業というものは滅びるものである、いずれ大きくなって大企業になる、そう思っていわゆる弱者保護的な政策をして大企業に育てていこう、こういうふうな観点だったけれども、しかし今や時代は変わって、この中小企業の規模そのものが、中小という規模そのものが大変大きなポイントを握っているかもしれないというお話がありました。これは重要な御認識なんだろうと思います。私も堺屋長官のいろいろ書物等も読ませていただいておりますが、そういう動物的な感覚といいますか、私は非常に鋭いものを持っていらっしゃるなと思うんです。  小池さんからもお話がありました。中小企業というものが大変、盛田さんなんかも小さいときの方がよかったというような話があったというんですが、いわゆる銀行等も今大合併で大きな企業になろう、なろうとしていますね。しかし、あれはアメリカの金融のたしか会長さんだと思いますが、大きくなればいいというものでもない、だんだんお客さんの顔が見えなくなる、それから人間関係もトップの方と下の方ではだんだん疎遠になる、そうなってくるとだんだん企業というもの自体がおかしくなるんじゃないか、決して大規模な金融機関とか大規模な企業構造ならばいいというものじゃないんじゃないかという御認識もありました。  私は、中小企業国会ということで、私どもの仲間の、参議院の木俣さんという事務局長を中心にいろいろ勉強してきましたが、堺屋長官と同じように、中小企業こそ創造性に富み、発展性に富み、挑戦もできる、非常に小回りもきく。長官がおっしゃるように、私は、形態としては非常に注目し、そしてそこからさまざまな新しいものが発展する可能性があるんじゃないか、そのくらいの感じを持っているところであります。  今回、中小企業国会といってこの中小企業基本法が出されましたが、そういう意味では、この中小企業基本法を読んで中小企業者が、ああ、問題点が解決した、中小企業はやっとこれから、堺屋長官がおっしゃるように、あるいは深谷大臣もおっしゃっていますが、中小企業こそ日本の活力の源、日本を支えるベースになる、よし、やろうという元気が出るかというと、余り出ないんですよ、この基本法では。  なぜでしょうか。今回の基本法、枠を拡大しました、中小企業の規模というものを大きくしました、だんだん日本の企業も大きくなってきた、経済も大きくなってきた、したがってそれに見合った形で規模を大きくした。私は、大きくしたというだけみたいな感じにしか見えないんですよ、これは。  先ほど小池さんとかそれぞれの政務次官からもお話がありました。中小企業に元気が出る政策が本当に含まれているんだろうか。そして、中小企業国会と言われるほどの中小企業改正法案になっているんだろうか。そう思うと、私もずっと読みこなしてきましたが、何かこの法律案中小企業国会です、中小企業基本法改正を三十六年ぶりにやりますという大宣伝の割には、商品が小さ過ぎるんじゃないかと思うんですよ。  まず第一に、中小企業者が何に困っているのか。深谷大臣、一番困っていることは何だと思いますか。
  25. 深谷隆司

    深谷国務大臣 大畠先生の御質問に答える前に、今度の基本法が一番配慮した、幾つかありますけれども、旧来の基本法は画一的に中小企業というものを考えていた。先ほどのお話のように、大企業中小企業、近代的な企業対非近代的、その非近代的、そして小さい企業を伸ばして広げていこうというのが今までの基本法のねらいのような思いがあったのであります。  ところが、今回の基本法の見直しの主なところは、やはり多面的にとらえようと。つまり、小規模企業で御苦労なさっているところもあれば、もうちょっと新しい企業を創出できるような層もあれば、あるいは中堅企業という部分もある。こういうところを多面的にとらえて、それぞれに力をかけていくような、お支えしていくような、そういう方途をこれから見出そうというまず基本的な考え方に立っているわけです。  そこで、ただいまの御質問でございますが、それぞれの分野で何が悩みかというのには違いがあるということを申し上げておかなければならないと思います。  一般的に中小企業、私どもの身近な地域を中心としたいわゆる小規模の企業の悩みというのは、やはり一つは資金面であります。金融機関等の貸し渋りもあってなかなか思うように進んでいかない、そういうような資金の調達がもっと円滑に進んでくれないかという悩みがございます。あるいは技術とか情報とか、そういうノウハウがなかなかわかりづらい。  例えば、中小企業に対する支援のさまざまな国の施策があるけれども、どういうのがあるのか自体もわからない、そういうような部分、いろいろございます。それらに対応するためにどうすればいいかということをこれから基本法の後の法律で具体的に示していきたい、そのように思っております。
  26. 大畠章宏

    大畠委員 通産大臣の一番の御視点、いわゆる資金面。中小企業が困っているのは資金と仕事ですよね。資金の流れと仕事をたくさんとりたいという二つですよ、目的は。  今この資金の流れというものは、今回、中小企業国会と言われていますが、解決しますか。今国会もいろいろな法律案が出されるでしょうけれども、この国会でこの中小企業の資金面、解決しますか。  なぜ日栄問題が出てきたんですか。一般の市中銀行がなかなか貸さないから、貸してくれないから経営に困る。したがって、どこか貸してくれるところがないか。日栄さんというところがあって、高利だけれども貸してくれる。じゃ、借りちゃおう。借りちゃった。どんどん金利がたまってきた。保証人のところも、百万円の保証人になったつもりが、知らないうちにいつの間にか一千万、一千五百万になっている。それで、やれ臓器を売れ、目玉を売れ、命を売れ、そのくらいおどされている。  なぜこんな問題が出てきたかというと、資金問題ですよ。中小企業国会というのであれば、そういう中小企業の資金面で、この国会でいろいろ法律を整備しました、したがってもう日栄なんかに駆け込まなくて大丈夫なんです、そういうことが言える国会になるんでしょうか、大臣
  27. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業にとって資金が全く不自由しないという状態が実現できるかということに対しては、なかなか容易ではないと思います。しかし、ありったけの努力をするという点では、まさにこの国会を通して議論していくべき話だと思っています。  例えば、中小企業が資金を借りる道としては、何よりも民間金融機関があります。その民間金融機関が貸し渋りということを現実に行ってきた。そこで、金融機関の体質改善や健全化、再生法というのをこしらえて、金融機関の土台をしっかりさせると同時に、貸し渋りするなという御指導あるいは厳しい訴えなどもしてきたつもりでございます。これはこれからも言い続けなければ、私は民間金融機関はますます改善されない状態が続くだろうと思っていますから、これは金融当局からもやかましく言っていかなければならないことだと思います。  そして、そういう民間金融機関の補完的な役割として政府系金融機関があった。その政府系金融機関も、借りるに当たって借りやすい環境になかった。それをいろいろ改善していこう。特に貸し渋りに関しては、緊急避難的な立場から二十兆の貸し渋り対策を考えて、去年の十月一日から実際に行ってきて、これは一息ついたというお声も聞けるようになった。しかし、まだこれからも続けてくれという大きな声もありますから、一年延長で十兆円を追加枠に加える、そういうこともしてまいりました。  あらゆる角度から、私は、中小企業の金融状況が解決するようにやっていかなければならないというふうに考えております。
  28. 大畠章宏

    大畠委員 今大臣からお話がございましたけれども、そこなんですよ。  いわゆる中小企業国会というのであれば、中小企業が悩んでいる、あるいは当面の問題としているそういう問題を解決してあげましょう、そういうものになるのかなというと、国会に出された今回の全体的な法律案を見てもならないんですよ。  大蔵でもって日栄問題をやっています。やっていますが、私は、これは本来であれば通産省の範疇だと思いますよ。いわゆる中小企業庁というのもありますけれども、自分の管轄の企業が困っているわけですよ。これは通産省の問題ではありません、これは大蔵ですとかなんかと言うんじゃなくて、これは通産大臣、そういうときに通産大臣になったんですから、先ほど深谷さんから、下町の中で苦労されながら政治家になりましたという話がありましたけれども、まさに今通産大臣になったのであれば、任せてください、中小企業のこの金融問題については、通産大臣ですが、皆さんの立場に立って大蔵大臣とかなんかに話をして、政府を挙げてこの金融問題、日栄なんかに駆け込まなくてもいいような仕組みに切りかえますと、そのくらいをこの臨時国会中小企業国会というもので明確にするのであれば、まさに中小企業国会になりますよ。  しかし、この範囲を、枠を変えますとか、あるいは年末大変でしょうから十兆円積み増すとか、そんな話を中小企業は根本的に求めているんじゃなくて、それだけのことをしなければ、まさにこの中小企業国会というのは看板倒れじゃないですか。私は、本当にそういう意味で、中小企業の実態に即した問題というものを解決するような話に今なっていないんじゃないかということを申し上げたいと思うんです。  それから、もう一つ申し上げたいと思うんですが、いわゆる元請と下請の関係の問題についてちょっとお伺いしたいと思うんですね。  元請と下請の問題、これはいわゆる建設業関係もそうですし、いろいろな企業群でもそうなんですが、元請というところは、中堅とかあるいは大手があるんですが、そこら辺は確かに景況感がよくなってきたかもしれません。しかし、その下で仕事をしているところが非常に大変なんですね。  実は、私のところまで電話が来ました。名を名乗りませんでしたけれども、中小企業の奥さんだと思うんですね、大変なんですと。公正取引委員会の委員長さん、きょう来ていますね。仕事はきちっとやったんです、しかし、その代金をもらえないんですと。値切って値切って、あるいは一年間の仕事をトータルしてこれで何ぼ、これだけしか払われませんというのでやる。これじゃ大畠さん、余りにもひどいじゃないですかと。  私は、もちろんこの問題は通産大臣にも伺いますが、公正取引委員会の委員長として、このいわゆる元請と下請、あるいは単価の異常な切り下げの問題等々の今の実態をごらんになっていて、公正取引委員会としてはどういう判断をされているのか、ここにちょっと参考にお伺いしたいと思います。
  29. 根來泰周

    根來政府特別補佐人 かねがね国会におきまして下請と元請の問題について問題が提起されておりまして、私どももそれに焦点を当てて、厳正な独占禁止法あるいは下請法の執行に努めているところでございます。  詳しくは申しませんが、ことしの六月十日に下請法の運用状況について公表しておりますが、ごらんになっておわかりのように、これはなかなか改善されておりません。それで、これは通産省の中小企業庁と協力いたしまして、なお御趣旨に沿うように厳正に執行していきたいと思っております。  いろいろ申し上げたいことはございますが、下請と元請という問題は親と子の関係のようなところがございまして、なかなかその実態は把握できないという点が非常な大きなネックでございます。いろいろ民間の方の協力を仰いでその辺の情報把握に努めたい、こういうふうに考えております。
  30. 大畠章宏

    大畠委員 最近公正取引委員会は非常に活発な動きをしていただいておりますことについては敬意を表したいと思うのですが、しかし、公正取引委員長さん、まだまだ日本の各地では、わからないところで不公正な取引がたくさんあるのです。  私自身も、公正取引委員会の職員の方の増員については、ずっとこの九年間、一生懸命努力してまいりました。いろいろな方々の努力もあって、今五百人体制までいきましたけれども、アメリカのそういう意味での公正取引の組織に比べますとまだまだ脆弱と言わなければなりません。これは通産大臣からももっと、公正取引委員会の体制を強化してもらいたい。  いわゆる規制緩和、規制緩和、確かに自由競争ですよ。しかしそれは、ルールのある中での自由競争なんです。しかし、あたかもルールは無視してもいい、勝てばいい、そしてわからなければいいという、それが日本のいわゆる社会構造の問題点だと思うのです。  公正取引委員会の委員長さんには、ぜひこれからもそういう意味で、市場の番人として、まさに、さらに一層心して取り組んでいただきたいということをお願いします。  それから通産大臣、今お話し申し上げましたけれども、元請のところにはお金が来る、しかし、単価の切り下げ等で、下で一生懸命やっているところにはなかなか来ない。あるいは、これは建設の分野でもありますが、下請の中小企業が泣いています。  確かにたくさん仕事は来ます。元請のが来ますよ。そしてその下の下請も一生懸命やっています。しかし、年間グロスで何ぼというので値切られちゃったら、見積もりも何も全然なくなっちゃうじゃないですか。そして今、公正取引委員会の委員長がおっしゃったように、その中小企業者が、下請が、例えば公正取引委員会に駆け込んだとします。おかしいじゃないですか、こんな形がいいんですかということをやった場合に、公正取引委員会の委員長さん、動いてくれるかもしれません。しかし、その途端に、じゃ、おまえのところとは取引は停止するというふうに言われちゃうから、結局駆け込めないのですよ。  通産大臣、そういう中小企業者のいわゆる本音といいますか、そういうときにはどこに相談に行ったらいいのか、通産大臣としてちょっと御見解をお伺いしたい。
  31. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいまの質問の前に、先ほど私が中小企業皆さんに対する融資の問題で幾つか例を挙げて申し上げたのでありますが、これは、大畠委員の御指摘のように、全力を尽くして対応するという決意は変わりありませんので、そこだけはもう一つ加えておきます。  今、例えば下請中小企業に対する下請代金の支払いの遅延とかあるいは不当減額等の不公正な取引の強要というのは、これはもう明らかに下請代金支払遅延等防止法においては禁じられているわけでございます。そこで、そういう行為に対しては、親会社等に対する書面審査を行って、そして立入検査も実施して、確認された場合には改善の指令命令を出すということを繰り返しやっております。できる限り、中小企業のそういう泣き寝入りのような状態をなくして、おっしゃるとおり、いわゆるきちんとしたルールの上での競争の原理が働くような体制をつくっていきたいと思います。
  32. 大畠章宏

    大畠委員 この中小企業という分野は、言ってみれば、先ほど細田政務次官もおっしゃっていましたけれども、いわゆるベンチャーといいますか、新しい分野にどんどん進出しようというところと、本当に零細に、しかしながらしっかりと日本の企業を支えているという企業があります。この零細企業をどう保持していくか、これも日本の経済を支える大きなベースだと私は思うんです。  いわゆる、かごに乗る人、担ぐ人、そのまたわらじをつくる人と言うけれども、わらじがなければかごは担げないんですよ。ところが、わらじというものを非常に軽視している。そして単価切り下げ、単価切り下げ、もう搾るだけ搾って、一滴も出ないのになおかつ搾り続ける。これでは日本の企業経済というものの構造の下支えがおかしくなってくると思うんですね。  中小企業国会と言って、何か光が当たるところが焦点になりがちでありますが、わらじをつくっている、一生懸命日本一とか世界一のわらじをつくっている人がいるんです。鼻緒をつくらせたら鼻緒が一番すばらしいという人がいるんですよ。そこら辺に対して、今回の中小企業国会中小企業基本法の改正と言うんだけれども、どうもそこら辺の人が救われる感じが全くしないんですね。本当にそれで中小企業国会と言っていいのかどうか。私は、この中小企業国会、看板に偽りありと言いたい感じであります。  そのことをいろいろ、きょうもいろいろな人から話を聞きました。朝方八時から話を聞きました。皆さん非常に、本当に現場から声を出していますよ。そして、何とかここら辺をやってもらいたいという声を幾つかいただいてまいりましたけれども、そういうものにこたえていないんですよ、この中小企業国会は。  そして、中小企業基本法と言うけれども、枠組みを大きくしたというだけで、結局、そういうわらじづくりの人あるいはわらじの鼻緒をつくっている人に対してどんな、何といいますか、皆さん元気を出してください、私たちはこういうことをやりますからと言えるんですか、大臣
  33. 深谷隆司

    深谷国務大臣 きょうまで何回もこの基本法をめぐる質疑の中で答弁を申し上げてきたのですが、中小企業を画一的にとらえないで、きちっと各分野ごとに対応していこうということで、小規模企業等に対しても全力を挙げますということを申し上げてまいりました。  具体的に言えということであれば、例えば中小企業設備資金を、近代化する場合の今までの枠組みは中小企業全体を対象にしていましたが、今回は小規模企業だけに限る。そして、業種を限定しておりましたが、全く限定しない、そういうことまで新たに方針を打ち出しております。  また同時に、例えば、担保のないところはどうするのかという御質問に対しては、国がその施設を買い取ってリースにしたらどうだといったような新しい提案などもいたしております。いろいろな角度から新しい施策を申し上げているつもりでございます。
  34. 大畠章宏

    大畠委員 後ほど私どもの同僚議員から細かな質問をまた詳細にさせていただきますが、現在のところ、今大臣からお話がありましたが、どうもそれがよくわからない。どうも総花的に、中小企業国会中小企業国会中小企業基本法を改正しますと言っているんだけれども、零細企業の方では、本当に国はそういう手を差し伸べてくれるんだろうかと。先ほどの元請と下請の関係についても、だれも助けてくれない。  それからもう一つ、そういうときにどこに相談に行ったらいいかわからない。例えば中小企業に関する問題があって、何か相談に行こうと思うときに、どこに行ったらいいかわからないという声もございます。政府系で、例えば中小企業団体関連でいえば三十七団体がございますね、それから金融機関では十四あります。それだけあるんだけれども、みんなばらばらで、お互いに壁があって、隣は知らんぷり。要するに、さあいらっしゃい、お客さんが来たら貸してやるか、あなたのところはだめだねと。  これは堺屋大臣に聞いた方がいいかもしらぬけれども、要するに、競争原理が働かないところというのはやはりどんどんだめになるんですよ。なぜ政府系機関というのがだめかというと、何にもしなくても成り立つんですね。だから、お店の中でずっと待っている。相談に来たら、うちの方のものではありませんから、これはどこどこですよと言えばいいんだけれども、うちの方じゃありませんと言う。  政府系で、金融機関が十四機関ある、あるいは中小企業団体で三十七機関がある。これだけあっても、さっき言った、零細企業にとってはどこに相談に行ったらいいかわからない。あるいは、たくさん中小企業政策も通産省はやってくれました。しかしながら、どれを使ったらいいのかわからない。全然サービス機関としての意識がないんじゃないかと私は思うんですよ。  それで、中小企業基本法で改正しましたから皆さん安心してくださいと言うけれども、私はそこら辺、堺屋大臣、この中小企業の問題は分野は別かもしらぬけれども、政府系機関の基本的な心構え、そして今言った、零細企業が一生懸命救済を求めているんですが、なかなかそういうミスマッチといいますか、合わない。そこら辺、経企庁長官としては違うのかもしらぬけれども、堺屋大臣としてはどう考えておられますか。
  35. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 お説のとおりでございまして、私も、二十年間民間におりますと、どこへ行ったら何がわかるか、なかなかこれはわからないし、また決して親切な人ばかりではありません。大勢の職員がおられますから、親切な人もいますけれども、そうでない人もいるのは、これはやむを得ないことだと思います。  それで、今度の施策といたしまして、中小企業の相談にすべてに応じるワンストップサービスという仕組み、そこへ行けば金融であれ、雇用の問題であれ、人材の問題であれ、いろいろ相談に乗ってくれる、そういうワンストップサービスをつくろうという案が入っております。これが実現いたしますと、そしてそのとおりに、ここがなかなか難しいところなんですが、理想どおりにそれが動いてくれると非常に改善されると期待しております。
  36. 大畠章宏

    大畠委員 堺屋大臣がおっしゃることですから信頼はしたいと思うんですが、実態がそうなるように、本当に私は、町の中を歩いていましても、さっき言った資金の問題等々についても、なかなか政府の方は実態に即したことをやってくれないという声が非常に多いですね。ですから堺屋大臣としても、そういうことを今おっしゃったわけですから、公の場であったわけですから、それが実行できるように大臣としてもぜひ努力をしていただきたいと思います。  そこで、実はもう一つ、資金の問題それから経営の問題、いろいろ悩みがあるんですが、やはり大臣、私は本会議で御質問させていただきましたけれども、承継税制の問題は根強いんですよ。いわゆる相続問題について、希望といいますか、切望しているという声が非常に多いわけでありまして、この問題について少しお伺いをしたいと思います。  いわゆる戦後新しく企業を起こした中小企業方々、戦後、本当にたくさん生まれました。過去においては、起業率は最高になったでしょう。その方々、経営者が大体今七十五とか八十になってまいりまして、いよいよ次の代にこの企業を代がわりしなきゃならない。しかしながら、そのときのネックは相続税問題でございまして、この問題を何とかしてほしいという声が大変多いわけであります。  この件について通産大臣、この間も本会議で、いや、おっしゃるとおりだ、この問題についても突っ込んでやりますよと言うんですが、具体的にもうちょっと話していただけますか。
  37. 深谷隆司

    深谷国務大臣 その前に、先ほど堺屋大臣からもお答えしたことでありますけれども、例の下請企業等が御苦労なさっているときに真っ先に駆け込むところは、とりあえずは各県にあります下請企業振興協会であります。今後は、もっとそれを一本化しようというので、三百の支援センターを設けて、そこをオンラインで結んで、そしてワンストップサービスで、そこへ行けば万事方向が見出せるというふうにぜひしたいと思っているということを私からも申し添えさせていただきたいと思います。  そこで、中小企業の一番の悩みの中に、承継税制が割高である、したがって二代、三代でつぶれてしまう。前は三代継承するとなくなってしまうと言われたが、このごろはもう二代からそうなっていく、そういう声が実際にございます。私どもは、そういうような悩みを解決するためには、やはり承継税制を抜本的に変えていかなければならないと思っています。  承継税制の場合に、いろいろなものがございます。例えば、小規模宅地等については二百平米までが八〇%非課税になるということをやり、今度は百坪までこれを伸ばしたということもその一つでございますけれども、基本的に考えなければならないのは、市場に出されていない中小企業の株価をどう考えるか、ここだろうと私は思っております。この件に関しては宮澤大蔵大臣とも話し合いながら、今まで私も一人の議員としてさんざん言ってきたことでありますから、この機会に何とかしてこの株価の評価の見直しをやってもらおうというので、全力を挙げて協議をしているところでございます。  その他の問題でいえば、相続税の最高税率を引き下げるということなども含むこれらの問題については、大蔵省とこれから体当たりでぶつかっていかなきゃならぬ仕事だと思っています。
  38. 大畠章宏

    大畠委員 大臣、それでは今の問題、この臨時国会の最中に解決してもらえるんですね。
  39. 深谷隆司

    深谷国務大臣 御案内と思いますけれども、税制調査会等でこの税の問題は十二月であります。だから、残念ながら国会と多少の時差があるかもしれません。しかし、この国会において方向性はきちんと見出せるようにしていきたい、そう思っています。
  40. 大畠章宏

    大畠委員 中小企業国会というのであれば、今おっしゃったように少なくともその方向性を決める国会だ、そこまで入らないと、ただ範囲を広げただけでは全然、それは先ほど話したように、中小企業者の実態とは全くかけ離れた中小企業国会となりますから、ぜひその点は、今おっしゃったようなことを履行していただきたいということを強くお願いしておきたいと思います。  それから、きょうは文部政務次官がおいでになっていますが、なぜ文部政務次官をお呼びしたかといいますと、日本でなぜベンチャー企業が生まれないのか、そのことについて、いわゆる新規起業の問題について文部省にも大きな責任があるということで、政務次官、就任早々で恐縮でありますが、来ていただいたわけであります。  そこで、なぜ日本でベンチャー企業が生まれにくいのか。これは、この間も話がありましたように、中小企業白書に幾つかありましたが、非常にいい白書であります。  まず、新たな活動を行う際の障害は何かというのは、きのうも吉井先生からもお話がありましたけれども、人材不足、技術情報不足、市場情報不足、これが三つ挙げられています。  それから、開業率低下の理由としては何かというと、失敗時の生活へのリスクが大きい、競争が激化している、創業のための費用が上昇した。  それから、アメリカと比較したベンチャー活動における問題点は何かということですが、敗者の復活ができる社会的風土がない、二番目が、起業家意識が低く大企業志向が強い、それから、個人を含む投資家への制度が不十分、株式市場が十分に整備されていない、こういうふうなものがアメリカと比較したベンチャー活動における問題点と指摘されています。  それから、起業時の資金問題については、大体三割ぐらいが五百万以下で始まっているということですが、若い方々にとって五百万というのはなかなか大変ですし、かつ、そういう実績がなければ資金的な支援もないのじゃないかという感じがするのですが、ここら辺も風土としてあるかもしれない。  さまざまな統計分析でこの中小企業白書の中に、なぜ日本でいわゆるベンチャー企業が生まれないかというのが書いてあるのですが、その中でも大学、特に工業系大学の学生が大企業志向が強いんだけれども、優秀な学生だったら、あなた方は企業を起こしなさい、そのくらいの意欲がある学生を育てることが起業家を育てる上で重要なことだと私は思うのです。  今の日本の大学、理工系はちょっと違うんですけれども、一般的にレジャーランドというふうに言われていますね。そういうところに大量の税金も投入されているという意味では、そこら辺から改革しないとベンチャー企業というものは生まれないんじゃないか。  そこで、小此木政務次官もおいででありますから、文部省として、大学改革といいますか、理工系の改革、特にベンチャーを育てるための改革についてはどういうことを考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
  41. 小此木八郎

    ○小此木政務次官 文部省から参りました政務次官小此木八郎でございます。  きょうは、感謝を込めて大畠委員にお答えをいたしたいと思います。  これは言うまでもないことですが、今後、我が国、この日本が、二十一世紀に向けて今の経済というものをよりよく、そして発展させていくためには、さらに高度な研究あるいは技術を身につける、そしてそういうものがきちっとした形で事業化される、その事業化をすることにおいて、人材を育てるということは大変に重要なことだというふうに思っておりますし、そこに新たな若い方々、ベンチャー企業方々がチャレンジ精神を持っていく、あるいは、そういった中で経営管理能力というものを養う、それぞれ大切なことであると思います。  そして、今文部省といたしましてもいろいろな事業の中で、例えばインターンシップの推進、これは学生が民間企業へ就業体験に行く、こういったものをどんどん推進していきましょう、あるいはベンチャービジネス関連の大学での授業科目というものをもっともっとふやしてまいりましょう、あるいは大学院においては、これは国立大学の三十の大学院でありますが、ベンチャービジネスの研究施設の整備をしているのが現在のところであります。  こういった制度やシステム、いろいろなものが考えられますが、私はそれに加えて大事だと思うのは、やはり人であるというふうに思います。例えば、大畠委員は大変立派な方だというふうに私は思っておりますけれども、しかしながら、そうでない方もこの世の中にはいらっしゃる。例えば意地悪な人やあるいは悪知恵の働く人がたくさんいらっしゃるとすれば、そういった方々がこういう制度を利用しても、何かむだな経済社会を、あるいは批判されるような経済社会というものをつくるのじゃないか。  そのためにはやはり若いうちからの教育というものが大事になってくる。初等教育時での例えば読み書きそろばん、あるいは道徳、スポーツ、こういったものを通して人と人との関係あるいは人と社会との関係、学問と人生、学問と社会、こういったものをきちっと教える中で、そういった道徳観念みたいなものをきちっと身につける教育をさらに文部省といたしましても推進していきたいし、大畠委員にも御協力をいただきながら、文部行政としてそういう起業家に育ててまいりたい、このように思っております。
  42. 大畠章宏

    大畠委員 政務次官、せっかくおいでになったのでもう一問。  今のお話で、それでは、今の理工系の授業の中にいわゆる経営学といいますか、私も理工系出身なんですが、経営問題についてはほとんど学んでいないんですね。だから、学んでいなければ会社を起こそうかといったってわからないから、結局どこかに就職しちゃうわけですよ。したがって、特に理工系の大学において企業を起こすための経営工学というのかな、ちょっと違うかもしれません、経営を行うためのいわゆるカリキュラムというものを文部省として入れるということを考えておられるのかどうか。
  43. 小此木八郎

    ○小此木政務次官 実際そういったことは、入れてないとおっしゃいましたが、先ほど申し上げましたように、ベンチャー関連の授業科目を開設している学校はございます。
  44. 大畠章宏

    大畠委員 開設している学校もございますじゃなくて、全部の大学にそういうふうなものを義務づけしてもらいたいと思うんですよ。
  45. 小此木八郎

    ○小此木政務次官 先ほど、それは今後とも推進をしていくというふうなことを申し上げましたが、さらに大畠委員のお申し出のとおり、そういうことを検討してまいりたいというふうに思います。
  46. 大畠章宏

    大畠委員 推進するといってなかなか推進しない傾向もこれまであったのですが、小此木政務次官でありますからそれは信じておりますが、ぜひ……。  これは日本の死活問題だと思いますよ。大企業とかあるいは通産省とかそういうところに入るのも非常にいいけれども、これからは、自分企業を起こしてそこで人生の活路を開く、そのくらいの日本人としての魂を持ってもらうような大学教育にしてもらうことを要望したいと思います。  時間が来ましたのでこれで終わりますが、これから同僚議員から、いわゆる中小企業に絡むさまざまな課題、特に雇用問題についても入ると思いますが、ぜひ深谷大臣におかれましては、まさに中小企業国会と名を打ったわけですから、それに適する実のある中小企業国会になるようにさらに努力していただきますことをお願いして、質問を終わります。
  47. 中山成彬

    中山委員長 吉田治君。
  48. 吉田治

    ○吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。  前任者に引き続きまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、この基本法についての私の、感想と言ったら語弊がありますが、意見を申し上げさせていただきたいと思います。  久しぶりに商工委員会に戻ってまいりましてすぐに中小企業基本法、まさに中小企業の憲法というべき法改正という法案審議の中で一つ考えられるのは、なぜこの基本法というふうなものを、先ほど大畠同僚議員質問の中にもありましたように、今までの中小企業施策に創業・ベンチャーというふうなもの、何かそういうふうなものをあわせて無理やり取り込んで、こんな言い方は大変失礼かもしれないけれども、中小企業施策というのですか、中小企業庁を含めたそういうふうなものの、何か省益というか庁益を、先、大きなものを含めて、何か今までのやり方というか今までのものがだんだん薄くなってくる、なくなってくるから、新しいものを入れてこういうふうな形になったのかなという感想も持ちました。  ある意味で、中小企業という名前を広げて、基本法というか役所というふうなものが、そういう意味でいったら守るという発想がなかったのかな。本来であるならば、ひょっとしたら、この基本法というのは、二つの法案、今までの小規模の企業の皆様方、大変御苦労なさっている方をどうこれからサポートしていくかという法案、そして、今ベンチャーとしてこれから頑張られようという、漢字で言いましたら創業者支援というふうな部分、分けてもよかったのではないかなというのが私の率直な感想であり、また創業支援というものとこれからの労働力の流動化支援というふうなもの、これをどういうふうに今後通産省としても目くばせをしていく必要、それが大変あるのではないかなということを、まず最初意見として申し上げさせていただきたいと思います。  本来でしたら、ここで大蔵省をお呼びしていろいろ御質問をしたいのですけれども、どうも手違いがあったようでございまして、その質問は時間を割って後ほどということになりました。  委員長、あえて申し上げます。そういうことがないように、委員長から各政府、各省庁に対してもう一度強く、国会が改革で変わった、国会審議の、委員会の審議のやり方も変わったということで、こういうことが二度とないように強く申し入れのほどをお願い申し上げたいと思います。
  49. 中山成彬

    中山委員長 はい、了解しました。
  50. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでは、まず最初に、事前では後ほどの質問にと考えておりました中小企業の定義の問題について御質問させていただきたいと思います。  この基本法、改正するに当たっての審議会の答申によりますと、資本金基準については、物価水準の動向、資金調達上の困難性、店頭登録企業の資本金実態との乖離等々から、所要の引き上げを行うことが妥当とされておりました。しかしながら、私も御説明を受けました、従業員基準については、物価変動の影響は基本的には想定されていないということから、従業員基準を拡大する積極的理由は乏しいと結論づけ、特にサービス、小売業においては切り離して従業員基準の切り上げがなされていた。その出典というか原典になった資料が総務庁作成の事業所統計というふうなもの。  しかしながら、これは、こういう言い方はいいのかどうかわかりませんが、事業所統計は、私の父親も小さな町工場をずっとしておりまして、昔は十数名おったのですけれども、機械化と不景気の中で兄貴と兄貴の嫁さん二人でやって、おまえ議員やっているのにどないしてくれるんやといつも言われているんです。しかしながら、その中で事業所統計というふうなもののあり方を聞くと、これは大変失礼かもしれないけれども、役所から配られてくる、まあ適当に書いて出している。それがこういう基本法の法改正の重要な一つの資料になるなんという発想はほとんどない。  これはほとんどの事業所統計を書かれている方が、もう真剣にこれを書かなければえらいことになるというのでは、私は決してない。それを基本に、出典にして従業員基準というふうなものの見直しの有力な根拠というのは、私は甚だおかしいのではないかな。  そして、改正法において中小企業の定義、先ほど申し上げました四業種に細分化をしたという中において、サービス業はふえましたけれども、小売業が二十六年前と変わらなくなったということはどういうことなのか。EU等の定義には業種の融合化、垣根が低くなったというふうな中において、業種区分というものがなくなってきている。ソフト開発、設計など、こういうふうなものは製造業なのかサービス業なのか、区分すると。しかしながら、資金の調達力の困難性。先ほど同僚議員質問に通産大臣が答えられました、仕事と資金だと。資金の調達困難性というのは業種によって差があるとは決して思えない。  今の雇用状況の変化というのは、例えばパート労働者は一千万人と言われております。こういう雇用、従業構造の変化、とりわけパート等の非典型雇用の増大について、今回の定義の見直しではどのような検討がなされたのか。これは、通産大臣と、きょうは労働政務次官がおいででございますので、それぞれお聞きしたい。  例えばこの二十何年間で出てまいりましたコンビニというふうなもの、大体お酒屋さんだとか小売商をやられた方が業種転換ということでされております。私の手元にあります日本労働研究機構の資料によりますと、大体一店舗において正社員は一人いるかいないか。非正社員、つまりアルバイトの方、パートタイマー労働者が十三名。それに家族と経営者が入って十六名という形になってまいります。そして、これで大体二十四時間回しているということになってまいります、アルバイトの方を中心に。  そうしますと、やる気のある酒屋の大将がと言うと語弊があるかもしれませんが、コンビニにした。あれはフランチャイズで店をふやせますね。ふやしていって二店舗、三店舗になったところ、いや、あなたのところは従業員という形でいうと五十人を超えているからだめ。しかしながら正社員は一人しかいないというのは、この正確な統計上の話からすると、問題点は一点、そういうふうな区切り方がいいのかどうか。二点目。そうなってきたときに、俗に言う正社員の方が、例えば中小企業退職金共済法等で退職金が支払われるとか支払われないとかいう非常に大きな問題も出てくる。  まず最初に、この定義の見直しについて、ここの部分はどういうふうに議論がなされたのかということを、大臣それから労働政務次官にお聞きをしたいと思います。
  51. 茂木敏充

    茂木政務次官 今回の中小企業の定義の見直しについての御質問でございますが、二十六年ぶりの見直しということでございまして、吉田委員御指摘のとおり、資本調達の困難性、それから資本金額の変化、さらに従業員の規模等々のこの四半世紀間の変化等々を見ながら決めさせていただいたものでございます。  特に、その資本金額につきましては……(吉田(治)委員「資本金はいいのですよ、従業員ですよ」と呼ぶ)従業員につきましては、サービス業を除きましてはほとんど横ばいになっている。確かに、委員御指摘のように、事業所統計がどこまで個別で精緻であるか、こういう御議論はあるかもしれませんが、全国平均ということになってまいりますと、それほど大きな乖離というのは出てこないと考えております。  そこの中で、サービス業につきましては、人材派遣業、ソフトウエア業等の増加等の変化に対応するため、ここの部分につきましては五十人から百人に増加をさせていただいた、こういう経緯でございます。
  52. 細田博之

    細田政務次官 パートの問題は、従来から解釈上大丈夫かということがよく言われております。例えば旅館業を見ていただきますと、旅館というのは朝と夜が忙しいのです。昼はほとんど忙しくない。したがって、ほとんどパートに頼っておりますから、従来旅館業界からも強い要請があって、中小企業金融を受けるときあるいは中小企業の定義を考えるときにパートは除外していいかと言われて、これは必ず除外していいと。したがって、これは数字の上に従業員としてカウントしなくていいと言っております。  そのように経緯もございまして、小売業についてもそのようなパートを算入するという考え方はないと承知しております。
  53. 長勢甚遠

    ○長勢政務次官 中小企業の従業員規模に関する定義についての御質問でございますが、通産省は中小企業基本法に基づく定義がなされておると同時に、労働省は労働政策の観点から、例えば雇用の安定を図るために特別の助成をする必要があるかないかとか、あるいは労働者福祉の向上の観点から中小企業と大企業を区分する必要があるかないかという観点から取り扱いをやっておりまして、解釈上、若干の運用上の相違が従来からあったように思っております。  しかし、現実の現場の運用におきまして、そんなに大きな混乱があったというふうには承知をいたしておりませんし、今後ともそういう問題が起きないように具体的に定義をしていきたいと思っております。  我々労働省の方では、その制度の目的に従って、いわゆるパートの取り扱いについても、例えば中退金でありますと相当程度幅広く中小企業の態様の数字に入れておりますし、今後ともその方針は基本的には維持していくべきものと思っております。
  54. 吉田治

    ○吉田(治)委員 では、両省にお聞きします。  中小企業政策における従業員の解釈というのは、どういうふうに解釈されますか。定義はどういうことですか。
  55. 深谷隆司

    深谷国務大臣 それでは、私から申し上げます。  まず、原則として二カ月を超えて使用される者、かつ、週当たりの所定労働時間が当該企業の通常の従業員。パートについては、これに該当しない場合には従業員から分けております。
  56. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それは今の政務次官の答弁と全然違うじゃないですか。ちゃんとはっきり、いや、政務次官じゃない、大臣がはっきりと答弁してくださいよ。もう一度はっきり規定して、それは労働省としてどうなのか。そんな省内で違うような答えを出してきてどうするのですか。
  57. 深谷隆司

    深谷国務大臣 先ほどの政務次官と全く同じですが、どこが違うのでしょうか。ちょっと教えてください。
  58. 吉田治

    ○吉田(治)委員 反論権を使われるのであったら、この時間はカウントしないでください。いいですか、委員長
  59. 中山成彬

    中山委員長 はい。
  60. 吉田治

    ○吉田(治)委員 いいですか、委員長質問をされたのですから、答えが要るのですから、この時間はカウントしないでくださいよ。いいですか、委員部。  お答えします。  政務次官はパート全体について、これはカウントしないと言われた。大臣は今、二カ月を超えて使用される者であり、かつ、週当たりの所定労働時間が当該企業の通常の従業員とおおむね同等である者というふうに言われた。その中において、パートは入れる。政務次官は、パートは一切認めない。大臣のお答えは、パートであっても限定的に認めると答えられた。違うじゃないですか。
  61. 細田博之

    細田政務次官 基本的に、パートの実態は、どこでもそうでございますが、常用労働者のように働いていない人が大半でございます。実際に、先ほど申し上げたところでも、朝二時間、夕方二時間働く人とか、小売店においても、とりあえず自分の自由時間の中から自由になる時間で四時間働くというような方がいらっしゃいます。  したがって、私どもとしては、週当たりの所定労働時間が当該企業の通常の従業員とおおむね同等である、つまり、実はパートなのに本当に常用と同じように働いている者はともかく、そうでない人たちは、これはパートであるということから、除外して、金融でも何でも前向きに中小企業として見ていこう、そういう趣旨でございますので、矛盾しておらないと思っております。
  62. 吉田治

    ○吉田(治)委員 ちゃんと時間やってください。  今のことについて、ちゃんとそういうふうに統一してお答えいただいたら結構なことなんです。  その場合に、労働政務次官中小企業の従業員の解釈ということについて、これは今後こういう非典型雇用がカウントされない場合もあるということになれば、関係法令ということでいいますと労働関係法も含まれてくるということですね、政務次官。まず一点目、これは質問。  二点目。例えばそういう中において、中小企業退職金共済法において、パート労働者にも退職金を支払う旨の規定があった場合、共済に加入できるというのか。そういうふうな部分の常用雇用には適用し、パートには適用しないというようなことが、労働省において省令というふうなことがなされるのかどうか。この辺については、労働省としては、今、中小企業の従業員の解釈というふうなものが入ったのであれば、これを厳格に合わせて適用するということなのか、しっかりお答えください。
  63. 長勢甚遠

    ○長勢政務次官 労働省所管の法令におきましては、労働行政の目的に沿って、中小企業方々にどう対応すべきかを考えて、その観点から運用をしてまいりました。  例えばこれは今、中退金の問題がございますが、そこの労働者の方々を公平に、またその福祉の向上を図るという観点から、どういう範囲でやるかということで考えておるわけで、中退におきましては、一年以上雇用が継続されると考えられる方々は従業員として扱って、その加入の対象にもできるという仕組みにしておりますし、また、いろいろ雇用関係の助成金等につきましては、当然、雇用保険法の保険料の徴収それから支払い義務との関連もありますので、保険の適用の範囲で、常時雇用される従業員という定義を行って運用しております。  こういう点で、制度の目的、行政の目的で、若干の運用の差が従来から制度上あったと思います。しかし、運用上、中小企業であるかないかについて、現場で大きな混乱があったというふうには我々は理解をしておりません。しかし、将来的に、こっちの法律では中小企業だけれども、こっちの法律では中小企業でないというのは、現実に起これば余り好ましいことでありませんので、今後の運用の中でできる限り両省統一的な扱いができるように、問題のないように、さらに検討すべき点は検討していくべきだと私は考えております。
  64. 吉田治

    ○吉田(治)委員 今の労働政務次官のお答えの中で、一年間の雇用であるとかいうと、今度はまた先ほど言われたことと少し違うのですね。ですから、これは解釈上というふうな問題で統一をするべき必要がある。この統一については、今後両省間でどういうふうになされていくのかというのが一点。  そして二点目が、今細田政務次官が常用雇用という言葉を使われた。常用雇用という言葉は、私は、では、中小企業皆さんが使われる、中小企業総合事業団、それから中小企業金融公庫、それぞれにお答えを求めたのです。そこのところをどう判断するのか。全然統一されてないですね、私に返ってきたもの。文書で返答が返ってきているわけですよ。何でしたら、これは後でそちらにコピーしてお持ちします。それぞれが、例えば中小企業金融公庫は総務課長さん名で返ってきます。中小公庫は賃金台帳等を参考にして判断している、それだけなんですね。ほかはどうこういうことない。中小企業総合事業団は、書いてあるとおり、保険法の二条に書いてある、この解釈は中小企業庁編集逐条解説によると。  これは何も政府の公式文書じゃないですよね、中小企業庁編集の逐条解説文というのは。任意にどこかの出版会社から出されているものですよ。何ら政令でも省令でも、指導でも通達でもなされていない。それがこういうふうな形でそれぞれまかり通って、大臣を初めとして、中小企業国会だという中で、中小企業の現場のレベルではそういうふうな解釈について、一番重要なところが全然統一もされていない。これについて、今後、通産大臣それから労働政務次官、どういうふうになさっていかれるのですか。
  65. 細田博之

    細田政務次官 労働問題について後ほど長勢労働政務次官からお願いしますが、この問題は二面あります。  それは、委員の先生方もお気づきのように、企業における従業員の労働の環境や基準、そういったものをどのように考えるべきかというときには、パートをふやして、実際は常用労働者であるにもかかわらず、さまざまな条件を低くして、それでパートだパートだというような経営者があらわれた場合には、それはちゃんと労働省の方で監督していただかなきゃなりませんし、それから、我々の、中小企業を振興する立場、金融を行ったり、いろいろな恩典や相談を預かるというような行政の立場からいうと、実態がパートである限り、それは企業の形態としてはやはり形式基準として中小企業に当たるのであるから、そういうものを無理やり助成の対象に当たらないとして排除することは適当でない、そういうふうにも考えておるわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、吉田委員の御質問のように、余り各省によって差があってはいけませんので、振興の面あるいは労働の監督といった面から見てどのように運用することが適当かということは十分すり合わせてまいりたいと思いますが、私ども、少なくとも通産省としては、できるだけ広く、いわゆる本当の大企業のようなものを中小企業として扱うというような不当なことをするつもりはありませんが、中小企業の実態があって、パートにも頼っておるというようなものをわざわざ排除するというようなことはすまいと思っておるということだけ申し上げておきたいと思います。
  66. 長勢甚遠

    ○長勢政務次官 繰り返しの答弁で恐縮でございますが、労働省の政策として、中小企業の従業員の方々に、福祉なりあるいは雇用の安定という観点から、奨励あるいは助成あるいは制度の適用という点で確保すべき範囲を労働省として決めておるわけで、その際、中小企業基本法の定義を準用しておるわけではありませんで、それを参考にして、ほぼ同様の文言でそれを解釈し運用してきたのが実態であります。  そういう意味で、余り問題はなかったと今まで思っておりますが、しかし、法律上はともかく、同じような言葉を使っておるわけですから、いろいろ混乱がないようにはするべきことは当然であると思いますので、これからまたさらに検討すべき点はしていきたいと思います。
  67. 吉田治

    ○吉田(治)委員 それでは、両省、しっかりと解釈、それから、先ほど申しました、省内のさまざまな中小企業施策のところで解釈等が違いがないようにお願いしたい。  それから、今細田政務次官お話の中で、大企業というお話が出てまいりました。先ほどからいろいろ出てきましたけれども、大企業はこれから産業活性化法等々で分社化がなされてまいります。そうしますと、この中小企業の規定に対応してくる大企業の分社化された会社というのが出てくると思います。その場合に重要なのは、片一方では中小企業の保護、サポート、ベンチャーというふうな部分があったときに、じゃ、その会社自身を、今は量の部分ですね、質の部分でどう判断するのか。  量という部分でいったら、今言われたように、資本金だとか従業員の数。しかしながら、実は質は大企業の一部門が独立したものだ。ただ、これが反対に言うと、いやいや、独立はしたけれども、そこから資本関係をなくして普通の企業みたいに伸びていくんだよという発想の会社もあれば、あくまでも一部門のかわりの会社であるということもあると思うのですけれども、俗に言うこの独立性の問題、要するにこの定義の質的なものというのは法案ではほとんど書かれていない。その辺はどういうふうに、これから通産省として中小企業施策をしていく中で区切っていくのか。
  68. 細田博之

    細田政務次官 従来から、例えば中小企業金融における中小企業と大企業にはどのように垣根を設けておるかということを申しますと、やはり限られた資金を中小企業の皆様方に活用していただくということが必要でございますから、大企業の実質的な子会社のような実態を持つところには御遠慮いただく。むしろ、もとの組織でいえば日本開発銀行、今ちょっと政策投資銀行というふうに名前が変わりましたけれども、そちらの方にまた別の融資を用意していただくというふうに、はっきり分けております。  例えば、中小企業金融公庫におきましては、大企業の出資比率が一〇〇%の企業などはもちろんだめですよ、それから、単一の大企業の出資比率が五〇%を超える企業であって、経営実権者が当該大企業から派遣されたり役職を兼務しているものはだめですよということでございますし、同様の規定が、国民金融公庫、商工中金、信用保証協会にも内規がございます。したがって、そこのところははっきりとこれからも運用を分けて、実質的な中小企業を対象にしていくということを継続してまいりたいと思っております。
  69. 吉田治

    ○吉田(治)委員 その独立性の問題も、今後の経済の伸展事情、堺屋長官質問、後ほどになると思うのですけれども、随分変わってくるとまた様相も変わってくるんですね。頭の名前だけは大企業の名前がちょっとあるかもしれないけれども、中身は全然違って、そこへ集う社員の皆さんが入っている。  例えば、随分古い話ですが、安宅産業という会社が解体される過程において、安宅というブランドをとられた方々が社員でお金を出されて新しい企業でやられて結構成功したということもある。そういう名前だけ、中身の問題も非常に重要だと思うのですけれども、こういうことを含めて、大臣、いかがでしょうか。  私は、今回この国会中小企業基本法という法改正がなされてきます。しかしながら、経済の速度というのは想像以上だ。そうしますと、絶えず見直しということが必要じゃないか。せめて三年なり五年なりの単位で、この法改正もするけれども、見直しもさまざまな部分でしていくよということが必要だと思うのですけれども、深谷通産大臣、その辺はどうお考えでしょうか。
  70. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業基本法というのは、私はやはり中長期的なものであると思っています。ですから、今からあらかじめ短期を予想して、変えてもいいというようなことは申し上げることはできません。  しかし、あなたがおっしゃるように、大きな環境変化というものが顕著である場合には、当然御相談申し上げる機会はあっておかしくないと思います。
  71. 吉田治

    ○吉田(治)委員 大きな環境変化、実はこの十年間、大臣議員をやられて御存じのとおり、大きな環境変化があって、それでも十年かかっているんですね、ここ。ですから、これははっきり言って、お言葉として、絶えず例えば見直しを考える、大きな変化じゃなくて中長期的なものを、憲法ではありますけれども、諸外国の憲法はどんどん変わっていく、我々も、改憲的論憲論ですか、そういうふうな議論もしております。ですから、やはりそういう中で、中小企業基本法の法改正についても柔軟にいろいろ考えていくという答弁をしていただきたい、そういうふうに考えていただきたい。いかがですか。
  72. 深谷隆司

    深谷国務大臣 三十八年にできた基本法を今変えるというスタートのときでございますから、このスタートのときに、もう次変えるということを私の口から申し上げられるはずがないことでありますが、あなたの意見はきちんと受けとめておきたいと思います。
  73. 吉田治

    ○吉田(治)委員 受けとめるだけじゃなくて実際、改正のときだから言えないということじゃなくて、やはりそういうあり方を変えていただきたいとぜひとも思います。  それから次に、創業者支援という形、今までは今までの中小企業のあり方、これからの中小企業のあり方の中で、創業支援という中で、重要なことは、やはり企業になる前の支援。  きのうからの答弁を聞いておりますと、ワンストップサービスセンターという形で、どうも日本において、アルファベットが並ぶとか片仮名の言葉になるとどうも怪しげになる。なぜかというと、ワンストップと言われると、つい、あ、特定郵便局長会が言うてたなと。大臣も郵政大臣をやられていましたけれども、あ、またあの話かと。  調べてみますと、大臣からのお話、四十七都道府県、各いろいろな公社がやられると。これは振り返ってみると、今から十数年前、あの円高不況のときにインキュベーターという言葉がありました。あれはどこ行ってしまったのかな、あの片仮名はと思うのですけれども。インキュベーターのために財団法人でこさえた、これはどうも衣がえをしそうだ。ワンストップセンターについては三百地域だ。何か、三百小選挙区でそれぞれ保守系の議員さんが自分の好きなところを決めるのかなとふと思ってみたりもするんですけれども。  しかしながら、そういうところでいうと、それは商工会なんかを念頭に置いているんだというと、何か、私の手元資料にあるのは、役所の方が、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会、それぞれ専務理事さん、常務理事さん、事務局長さんなんかで入っていられるんですよね。  余りこんな言い方はしたくないけれども、専門性ということで、非常に各団体も必要なんでしょうけれども、重要な人材かもしれませんが、どうもそこのためを、生き残さんがためにそういう名前でそういうふうなものを残して、やっているやっているという。  しかしながら、これは堺屋大臣にちょっとお聞きしたいんですよ。  これからベンチャーしようというお方が、そんなところへ行きますか、そこがあるから行こうかと。ほとんど今まで国、大阪市だったら大阪市、区だったら行政区、商工会議所、業界団体と関係ないところで生きていた人が、そんなところへ行けるかという。やはりそれは、こういうふうなセンターをつくるのではなくして、例えばインターネットでもっと出すとか、そういうふうなアクセスしやすいものをつくる必要があるんですけれども、その辺はどうお考えなのか。  それからもう一点は、文部政務次官、おいででございます。  私がいただいた九月の段階の中小企業庁の資料によりますと、ベンチャーの初等教育ということが書かれているんですね。しかしながら、先日いただいた、同じものですよというソフト支援体系には、教育のことは一切入っていない。どういうことなのか。文部政務次官としても、先ほどは大学の話ですけれども、初等教育については、やはり子供のときからたたき込まなくちゃいけないという部分があると思うんですけれども、いかがお考えなのか。  そして、もう時間でございます。くくってしまって大変恐縮でございますけれども、中小企業の継承については、これは深谷大臣、大阪商工会議所が実は中小企業のMアンドAというのをやっているんですね。これは、中小企業でもう後がいない人に対しては会社を売りましょう、また、会社をやっていてもどうも先々うまくいかないからもうやめてしまいたい、やめるについては、借金もあるしいろいろあるから、その会社を売ったお金を充てたいと。  まず、この大商がやられているMアンドAについて、知っていらっしゃるのかどうか。それから、そういうふうないろいろな、実際これから運用していくについて、今も運用されていますけれども、問題点については理解されているのか。  ちょっとくくった話になりますけれども、やはりベンチャー、現在というふうなことを考えていくと、こういうことが必要ではないかと思うんですけれども、深谷大臣また堺屋大臣、そして文部政務次官、おいででございます。それぞれ、お答えをちょうだいできればと思います。
  74. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 多岐にわたる質問でございますので、ひょっとしたら漏れるかもしれませんが、一生懸命答えます。  まず、大阪商工会議所のMアンドAについては、そういう行為が行われていることは十分承知しておりますし、私の知人でもそれを利用した者がおります。実績はそういう形で上がっていると思います。  それから、ワンストップサービスの関係で話が出ましたが、これは私もこの政府案ができる過程でいろいろと通産省その他に質問したことでございますけれども、実際どういう人がそういう相談に応じる能力があるのか。  昔でございますと事業所が限られておりました。だから、その地域の人、商店街の人とかそういう過去の経験のある人がいいけれども、これからのベンチャービジネスに向いているのかどうかという問題は確かにございまして、そういう適切な相談に当たれる人がいるのかどうか、これが問題でございます。今は別段、役所の人とかあるいはそのOBとかいうのではなくして、大学の先生とかそういう研究者、あるいは海外で経験のあったような人もなるべく入れたい。  ただ、そういうすぐれた人材が限られておりますから、三百カ所全部に置けるかどうかということになりますと、そこから、次にここへ行ったらどうだという紹介が行われるというような形になるだろうと思います。  そして最後に、ベンチャーを起こす雰囲気というものがございます。  これは日本では、学校で一番優秀だったらまず官庁か大企業に行く。もっと偉かったら選挙に出られる方もおられるかもしれませんが、それは少数でございまして、大部分は。その次は、お医者さんか弁護士になる。自分企業を起こそうという人はよほど変わった人だと思われがちなんですね、正直に申しまして。例えば娘が結婚するというときでも、こういう会社へ勤めている、こういう役所へ勤めていると安心だけれども、自分で従業員二人ぐらいのところをやっているというとどうも不安だというようなところがあります。これはやはり社会風土全体を変えなきゃいけない。そしてその前には教育全体を、やはり規格大量生産型の均質教育、個性を失わせるような教育から変えていかなければいけない。  日本で今新しい企業を起こして成功しておられる方々の中には、学校の時代には必ずしも成績はよくなかったけれども非常に個性があったという人もたくさんおられます。そういった教育の問題、社会評価の問題、全体を変えていく必要がある。今、幸いにして、そういうようなムードが世の中に広がってきているのではないかという感じを持っております。
  75. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今吉田委員が聞かれました大阪商工会議所のMアンドAについては承知しております。売りたい会社、買いたい会社のマッチングを商工会議所が図るということは大変前向きな形だと思いまして、私はこれから大いに参考になる話だというふうに理解しております。  それから、いわゆるベンチャー企業の創業に対して、一番大事なのは子供のころからチャレンジ精神を養成していくというあなたの御指摘は正しいと思います。私は、戦後の五十数年の教育の中でそういうことが特に育成されなかったところに問題があると思っています。非常に厳しい状態の中で一身を捧げながら新しい何かを創造していくという思いを子供のころから涵養していくということが大事であって、今後文部省ともよく相談しながら進めていきたいと思っています。
  76. 小此木八郎

    ○小此木政務次官 これからの経済社会に柔軟に対応していく人を育てるという意味では先ほど大畠委員質問にお答えをしたとおりでございますが、そのために、昨年十二月及び本年三月に告示いたしました新しい学習指導要領において、みずから学び考える力など生きる力の育成を重視し、新たに総合的な学習の時間を創設するということにしておりますし、あるいは中等教育におきましては、より実践的には、例えば株式投資ゲームですとかビジネスゲーム、生徒が、模擬経営ゲームといいましょうか、そういったものを通して学ぶようにしております。さらに努力をしていきたいと思います。
  77. 吉田治

    ○吉田(治)委員 終わります。
  78. 中山成彬

  79. 中山義活

    中山(義)委員 今、吉田委員からいろいろお話がありましたとおり、私もベンチャーというものに関しては教育面が非常に大事だと。  例えば、子供を産まなくなった。これも、保育園をうんとつくるとか駅前に保育園をつくるとか、そういうだけじゃなくて、子どもを育てることがどれだけ親にとって有意義なことか、そしてまた自分が育てた子供が社会に出ていくことがすばらしいことだ、こういう視点からやはり教育をしていかなければいけない。そういう面では教育面については今後もしっかりやっていただきたい、このように思うわけでございますが、今度の、弱小な企業からベンチャーまで、非常に多様性があるといいますか、いろいろなものを組み込んだ。しかも、特にベンチャー・創業、こういうことに力点を置いているのですが、これは同時に、今までそういうことをしていなかったという裏づけにもなるのではないかと思うのですね。  そういう面で、私どもは、日本の社会の中でベンチャーとか創業支援とか、こういうものがうまく行われていなかった、だから今回こういうような法律をつくって少しでも支援していこうというのですが、現在、はっきり言いまして、通産省はすぐに何でも仕切りたがるのですが、私の基本的に大切なところは、やはり分権といいますか、都道府県、市町村にどういうふうに仕事を分配して、一番目の届くところで大事な仕事をしっかりさせるか、ここが重要だと思うのです。分権という思考がどうも昨今ないような気がするのですね。  介護保険のことでもそうですよ。政策担当者が出てきて国で勝手に決めちゃう。みんな、区市町村は怒っていますよ。保険者は区市町村ですからね。そういう面でも非常に問題点がある、このように思うのですが、今回盛り込んだ多様性、これにどう対応していくのか、まず御説明をいただきたいと思います。
  80. 深谷隆司

    深谷国務大臣 基本法ができましたのは昭和三十八年のことでありまして、その当時と比べますと、労働環境経済環境もあらゆるものが大きく変わってまいりました。今あなたがおっしゃったような、ベンチャーを創出させる、そういうことについての視点が残念ながら色濃く出ていなかった、むしろなかったと言っていいかもしれません。しかし、これからの経済を活性化していく場合には、新しい企業がどんどん生まれていく、少なくともそれが廃業率を超えていくということはとても大事なことですから、今度の基本法の中には、そういう創業ということに思いをいたした点を特に配慮させていただいたわけでございます。中堅企業から小規模企業に至るまできめ細かい多面的な対応をとっていくために、これからも一生懸命やっていきたいと思っています。  地方分権の問題についてお触れでございましたので申し上げますが、私もかつて自治大臣として地方分権推進のために努力をいたしてまいりました。何でもかんでも国でやるのではなくて、地域の住民に密着した仕事は地方の自治体がこれを担当するというのが一番の筋だと思います。  そういう意味で、例えば小規模企業の相談窓口である三百の拠点等につきましても、先ほど財団というお話もありましたけれども、商工会とか商工会議所とか中央会とか、その他もろもろありますが、その中から積極的なプランを出していただいて、手を挙げてもらって、県が、地方自治体が選択をするなどといったようなことも含めて、地方に重きを置くという配慮を十分していきたいと思います。
  81. 中山義活

    中山(義)委員 今まで私ども中小企業政策を見ていて、国がいろいろ考えてはいますけれども、なかなか機構がしっかりできていなかったというのが私は現実だと思います。  そういう面でも、エンゼル税制を初めとして、我々もいろいろな提案をしてきたわけですね。地方自治体が、新規の技術を開発するとかそういうものにどう対応するのか。この技術が将来的に、これは日本を担うような技術になったり、またはやる気のある会社が大きく育っていくとか、そういうことを判断できるのかどうか。私は、先ほど地方分権と言いましたけれども、これからどうやって、そういう新規事業それからベンチャー、それとまた新しいものをつくっていく、そういうものに対する支援を本当に見られる力があるのかどうか。それはどこでどのように指導しながら下へ移していくのか。この辺もちょっと御説明いただきたいと思います。
  82. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今お話がありましたことは地方からの技術の開発ということでありますが、それのみならず、例えば大学であるとか産業界であるとかあるいは役所とか、いろいろなところでいろいろな技術を出していかなければなりません。小渕総理はそれをミレニアムプロジェクトと呼んでいるわけでありまして、産学官一体となった二〇〇〇年に向けての新しい技術革新を行っていこうということでありますが、その中心は通商産業省が担当いたします。
  83. 中山義活

    中山(義)委員 私は、新しい事業とか新しく日本を支えていくようなすばらしい構造改革とか、これはなかなか地方にやれと言っても難しい部分もあるのですね。また、中小企業という中にとらえてベンチャーとか新規事業を入れていくというのも、何か私は、本来だったら無理があるような気がするのですね。この中小企業をしっかり育成していく中で新しい事業をつくっていくということでしょう。  だから、これは、中小企業庁がどう考えても自分たちの範疇にない、とてつもないでかいことを考える人もいるし、とてつもなく新しいものを生み出してきた人たちもいるわけですよ。そういう人たちお金を出したり資本をつぎ込むわけですから、それを判定する力が果たしてあるのかどうかということがすごく心配なものですから、中小企業というのはもうちょっと、商店街を初めとする違うところを中小企業としてくくって、新規事業というのは本来別のところにあって、それをしっかり育てていく。そういう組織をつくらなければ無理だと私は思いますが、その辺はどうでしょうか、見解は。
  84. 細田博之

    細田政務次官 先ほどほかの委員の御質問にもお答えしたのですが、何しろ五百万以上の企業の中にはたくさんのいろいろな形態がありますし、それから、おじいさんとおばあさんだけで細々小売店をやっている方から、物を販売する方もあれば、一番先端的なベンチャー企業として頑張る人もおられるわけでございます。  誤解があるといけませんので申し上げますが、基本法を改正して、従来の温かく政策を及ぼしていた中小企業、零細企業、小規模企業に対して、これでお見限りだといいますか、終わりだというようなことは一切書いてございません。これはこれで従来どおりやりまして、ただ、中小企業にいろいろ夢があるわけです。実際に日本においても世界においても、本当に創意工夫をして、苦しい中で直接、間接を含めて金融を調達して、技術開発を行って伸びた企業がいるので、そういう夢のあるものも盛り込もうということで盛り込んでありますので、この二つの概念が矛盾しているということではありません。  ただ、我々が強調しておりますのは、従来型の後ろ向きの政策というのもありました。カルテルを結んで業界が設備制限をしたり供給制限をして需給を調整するというようなこととか、業界ぐるみでなければ何かやってはいけないとか、それから従来型の固定した組合組織で何かをやらなければいけないとか、先ほどおっしゃったような商工会や商工会議所も、古い組織になっておりますから、ただ従来の延長線でやるとかそれだけではいけないから、そこは反省しながら変えていこう。こういう意味は盛り込まれておりますけれども、おっしゃったような大事な中小企業の大きな部分というのは、なかなか変わるものでもないし、政策も変えていないということを強調しておきたいと思います。
  85. 中山義活

    中山(義)委員 日本の国は昔から技術大国と言われておりまして、例えば、昔技術オリンピックなんかがありましたね、技能オリンピックとか。こういうときに何千人も選手が行って、とったときには四十個ぐらい金メダルをとったとか、いろいろやっていましたね。そういう熟練というものに関して、もうちょっと配慮があってもいいのじゃないか。やはり日本を支えるというのは製造業だ。しかも、まだまだ元気でやっているのですね、現実は。  私は、この委員会で視察へ行きましたときに、工業団地も行きました。新たなものは結構生み出していまして、きのう、ちょうどベルリンの壁が壊れた日ですが、あのベルリンの壁を壊した機械というのは日本の機械なんですよ。パクリーという、これは日本の技術の、刃みたいなものであれを壊していく。壊した後、中にある鉄のものは、全部これは磁石で吸い上げていって、ほとんど人手がかからないでそれが壊せる、そういうものなんですね。  ただし、これも、なかなかいい技術なんだけれども、円が高くなったりいろいろなことで輸出ができなくなっておかしくなってきちゃうとか、非常にそういう面では、そういう技術というものが、熟練というものがだんだん失われていくのではないかという心配があるのですが、この技能オリンピック一つを見ても、もうほとんどメダルはとれなくなっているそうじゃないですか、日本の方は。  こういう技術というものをないがしろにしていくと、行く行くは日本の本来の製造業の力というのを弱めちゃうのじゃないか。そういう面では、中小企業は多岐にわたっていますが、こういう熟練ということを非常に大切にしてもらいたい。これは例えば、機械だけじゃないですよ、おすしを握る熟練とか板前さんとか、いろいろあるじゃないですか。そういうものがもうちょっと世の中に生きていくように、中小企業庁を初め通産省でしっかり考えているかどうか。この辺も心配なものですから、御答弁を願います。
  86. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今の中山委員の御指摘は、私も全く大賛成でございます。それから、先ほどお話がありました創業・ベンチャー企業を別枠でとおっしゃったことにも関連するのですけれども、私は、その新しいベンチャー企業の創出を考える場合に、最もそれを得意分野とするのが中小企業だと思っているわけなんです。中小企業こそが、さまざまな技術を開発し新しいベンチャー企業を起こしていく、その原動力になってくるだろう、こう思うのです。だから、この中小企業基本法の中に創業・ベンチャー企業の問題を一つの柱に置いたわけでございます。  それから、職人さんが持っておられる技術等についてこれは大切にせよというのは、冒頭申し上げたように、本当にそのとおりでございまして、あなたも私も共通して住んでいる場所にそういう人たちが非常に多くいるわけであります。国全体でも、そういう技術者を大事にするということの風潮がやや欠け始めておりますから、そういう点では私たちは十分留意していかなければならないと思っています。  私は一人の政治家として、このたび、埼玉県にものつくり大学というのを発足させる、その創立のメンバーの一人でございますが、ここではそういう職人のわざというものをもっと系統立てて育てて、そういうわざを持っている人が社会に出たときにそれなりに大事に扱われる、そんな仕組みをつくっていきたいなど、いろいろな工夫をしていきたいと思っております。
  87. 中山義活

    中山(義)委員 地方自治体でも、そういう技術が大切だと思っているところは、マイスター制度であるとか親方制度であるとか、そういうことで奨励金を出したりしているんですね。  私は、事業を承継するということは、承継税も含めて、子供に与える本当のエンゼルというのは何だろうか。親ですよ。要するに、事業を継承する、その資金とか資本とか、そういうものを子供が継承するわけですから、エンゼル税制というけれども、その中での一番のエンゼルはやはり親なんですよ。だから、我々は承継税制のことについても一生懸命お願いをしているわけなんです。  ですから、技術が営々と続いていくということがどれだけ大切なことか。特に、例えばハンドメードの手ぬぐいであるとか工芸品であるとか、こういうものはかけがえのないものなんですね。そういうところにしっかり目が行き届いているかどうかというところが心配で、私が先ほどから聞いているのは、ベンチャー、ベンチャーと、この話ばかりだ。創業、創業、その話ばかりだ。そういうことが私どもは一番心配で、今ある下町やなんかで営々としてやってきたこういう技術が伸びなきゃいけないな、こう思うんです。  それともう一つは、だんだんそういう技術を持っている方に対して需要がなくなっているんですね。必要こそ発明の母とよく言うけれども、需要がなければこういう技術もつぶれていっちゃうわけですね。ですから、社会全般に日本の古来の技術とかというものを伝承するためには、やはり売っていかなきゃいけない。つまり、技術者というのはベンチャーなんかと同じだと思うんですが、やはり大畠さんのように理工学部を出ていると、経営が下手だと自分で言っていましたよ。やはり販売ルートやなんかがないとこれが育っていかないんです。  そういう面では、やはり、一つはこういう承継税制を、もう一つはこういうものを売ってあげる、または広範にそういうものを広めていく、そういうことが必要なのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  88. 深谷隆司

    深谷国務大臣 全くあなたと同意見でございます。  今のものつくり大学なんかも、卒業した場合に、社会に出て、その資格で非常に大事にされていくということが必要なことだろうと思って進めていることです。  それから、職人わざといいましょうか、いろいろな技術を持っている方々が今頑張っておりまして、折々に、例えばデパートその他でそのような催しが開かれております。そして、それが希少価値としてもう一回改めて見直されているという面もございまして、そういうことを大いにPRしていくことが大事ではないか。  例えば、外国でもイタリアなんというのは、ほとんど中小零細と言っていいくらいのものでありますけれども、それが大変有名なブランド物として今の日本の若い人たちに歓迎されているということなどを考えると、まだまだこれから開拓すべき道はあると私は思っております。
  89. 中山義活

    中山(義)委員 よくわかりました。  何か今回のこの中小企業対策というのは、大企業がやったひずみを中小企業で吸収してくれというようなところが強いんですね。端的に言いますと、今度の融資の問題でも、雇用を促進すれば出すとか。これは大体リストラした大企業が原因なんですね、どんどん失業者がふえていくというのは。それを、中小企業が雇用をしっかりすれば金を出すとか、いろいろな要件が出てきているわけですよ。  私は実はきのうも質問をしたんですが、十兆円の積み増しの件ですが、私はこれの根拠をお聞きしたんですが、これはネガティブリスト、ここに東京都のつくったものがあるんです。ネガティブリストというのは、こういうところには貸せないよというようなものを読んでいますと、もうなかなかこれ以上お金を貸すということが不可能なような気がするんですね。  そこで、私は新聞で読んだらば、雇用を促進したり、新しい事業、新規性、期待性、こういうような事業なら金を出すというような考え方が盛り込まれているんですね。そうしますと、従来、一生懸命こういうことをやっていて、どうしてもこの技術を将来に伝えないと日本の国はやっていけない、そういうところはうんとあるんです、歯車一つでも、ねじ一つでも。そういう人たちが、従来型のものではお金が借りられないということがあると思うんですね。  そういう面では、今度の新しく十兆円の中でも、貸す要件としては、私はいろいろな新聞で通産省の考えを見ましたけれども、新規事業にやはり集中しているんですよ。それとベンチャーに集中しているし、雇用すれば貸してくれるとか、もう中小企業にはとてもできないようなことを盛り込まれているので、この辺に私は憤慨をしているんですが、その辺はどうでしょうか。
  90. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今度の十兆円の貸出先について、建設的な要件を加えようとはしておりますが、ベンチャーだけに限るとか、それに偏っているという状況にはありません。  それから、ただいまお話のありました東京都のネガティブリストについて触れさせていただきますが、これはもう最小限のネガティブリストでございまして、金融機関一般から言わせれば、この範囲まで貸せるんですかといってびっくりするぐらいでございまして、貸す要件としては最大の条件をつくって、逆に言うと、最小のネガティブリストでお貸しをした。だから、去年の十月一日からわずかの間に十八兆といったような大きな資金需要が提供できたということだろう、こう思うわけでございます。
  91. 中山義活

    中山(義)委員 大体、この二十兆円をやろうという基本は、もともと、例えば二億借りていた人は、土地の担保の価値が二億あった、しかし、あるときに土地の価格が三分の一に落ちちゃった、だから無担保無保証の枠というものがはっと急にできちゃったわけですね。それを何とか五千万円までは広げて、それを何とか助けてやろうじゃないかという考え方なんです。  大体、土地が下がってきたそのものが政府の責任というのも随分あるわけですよ。総量規制を初め、国土法だとかミニ国土法と言われるようなものだとか、急にがっと締めた。銀行の方も締める、地価税を取る。いろいろなことをやって土地の値段を下げてしまった。その結果が要するに担保割れということを起こしたわけですね。その担保割れについて銀行から何か担保を出せ出せと言われているんです。そういうところで、やはりどうしても融資をしてほしいときには、いろいろな区の制度または市町村の制度、それから都道府県の制度、こういうものを利用して借りたんですね。借りたけれども、そこにはやはり保証協会の保証がつかないと貸してもらえないんですよ。つまり、もう担保割れしちゃってますからね。  そういう面では、今私が見た現状では、この無担保無保証の五千万円の枠というのは、ほとんどが使い切っていると見た方がいいと思うんですね。そういう面で、新しい要件で貸すとすれば、きのうお話ししたとおり、その企業の将来性とかその持っている事業の新規性とか、または将来性のベンチャーとか言われているそういう企業に集中をしちゃうんじゃないですかということを私は先ほどから言っているんです。その辺、わかりませんか。
  92. 深谷隆司

    深谷国務大臣 あなたのおっしゃっていることは私はよくわかって答えているつもりでございます。  先ほども申したように、十兆円の追加といいましても、それは来年の三月いっぱいまでの分とその残りの次の分とは多少条件を変えようとしています。それは建設的な条件と私は先ほど申し上げたわけでありますが、例えば、雇用の増大を図るとか販売、生産や仕入れの面で改善をするとか、そういう前向きの中身を出していただくということにしていけば、一部で言われるようなばらまきにはならないというふうな考え方からです。  それから、あなたのおっしゃったように、既に五千万の枠を目いっぱい借りているじゃないかというお話については、実際はそうではありません。私どもが調べました借りている金額の平均は、一社千七百万円でございます。そして、五千万満額借りているというのは一割にすぎません。したがって、この十兆円を延長するということにおいては、ますます活用の度合いは広がるというふうに思っております。
  93. 中山義活

    中山(義)委員 いや、そこなんですよ。実は、五千万円の無担保無保証の枠というのは、最大限が五千万円ですよということです。一般的には月商の三倍以上は貸さないんですよ。保証協会は貸さない。これをまず知っていてもらわなきゃ困っちゃうな、こんなのは。だから、私は、この十兆円というのは、今選挙の前にばらまいて、選挙総合対策だと言われても仕方がないところがあるという指摘をこの間したので、大臣は、そうじゃない、これは本当に貸すのだと。貸すのであれば、今言った、では月商の三倍をやめて月商の四倍までにしようとか、最大の枠を、無担保無保証の枠を五千万円を六千万円にするとか、または猶予期間をもっと大きくするとか、何かその辺がないと新たに借りられませんよということを言っている。だから、五千万円は借りていませんよ、実は一千七百万円ですよといったって、その人にとっては月商の三倍だから、それでいっぱいなんですよ。それを変えなかったら、僕は融資は絶対伸びないと思います。
  94. 深谷隆司

    深谷国務大臣 少なくとも通産省は、金融機関に対してあるいは保証協会に対して、月商の三倍といったような指示はいたしておりません。だから、個々の窓口で問題があるとしたら、また別個におっしゃっていただければ対応ができると思います。
  95. 中山義活

    中山(義)委員 ここはモラルハザードとの問題になってくるのですが、本当に返済能力があるかないか、これはだれが判定するのかというのはきのうもお話ししました。  やはり役人さん、ここにうんといらっしゃいますが、銀行の方がそれはまだ若干勉強していると思うのですよ。ただ、日本の銀行というのは担保というものを土地しか考えない、技術であるとかパテントであるとかそういうものを考えてくれないというところがあるのですね。銀行の意見が保証協会へ行っている。だから、保証協会もある意味では銀行なんですよ。あそこの考え方というのは銀行だと思う。だから、返済能力がなければ貸さないのですよ。これをわかってくださいよ。だから私は、そんなに伸びていかないよということを主張しているのです。  いや、そうじゃない、ベンチャーなら貸すよ、新しいなら貸すよということは、従来型の企業はやはり借りられないということになるわけです。出すならば、さっき言ったように、月商の三倍なんていうのじゃなくて月商の四倍も五倍も貸すとか、しかしながら、何かいろいろな裏づけを考える、または一回指導に入って経営診断とかいろいろしてそれなりのことをするか、何か新しいものを出してくれないと、これは絶対伸びないと思う。断言できますよ。
  96. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ここは意見の分かれるところだと思います。  私どもとしては、五千万という枠について、従来の金融機関のように、貸したくないために文句をつけるような、そんなやり方はだめだ、そのためにリスクを承知で設定しているわけでございます。ですから、そういう意味でいけば、保証協会と銀行がこの趣旨に沿ってお貸しをして、だからこそ十月一日から今日までの間に正確には十七兆九千億円も出ているんだ、だからこそこれからも必要だというのでふやせという声も起こってきているんだ、そんなふうに私どもは理解しています。
  97. 中山義活

    中山(義)委員 わかりました。今、積極的な姿勢を、これは言質とは言いませんが、僕は大臣の気持ちはよくわかりました。  私は、それをちゃんと、地元の保証協会へ帰って、大臣がこう言ったのだと。地元の靴屋さんであるとか、みんな本当に大変なんですよ。月商が五、六百万のところは、今言ったように、いわゆる三倍ですから一千五百万ぐらいまでしか借りられない。これが現実なんですね。  私は、一つしゃくにさわるのは、銀行さんは自己資本率、BIS規制八%ですね。そうしますと、保証協会の保証した貸し出しというものは一類に相当するのです、一番いい債権に相当するのです。しかも、自己資本率に換算するときに、分母に入れるときに一〇%しか計算しないのです。それだけ銀行というのは優遇されているのですよ、大変優遇されているのです。だから、あんなに銀行を優遇するのだったら、月商の三倍なんて言わないで、四倍、五倍、そのぐらいまでは貸してもいいのかなと思うのです。  これは、先ほど言いましたように返済能力との問題がある。代位弁済だって、これは税金だ。貸すので、上げるんじゃないということも事実です。しかし、銀行だけが得をするシステムなんですよ。今までの貸し渋り対策だってみんなそうでしょう。銀行に資本注入するんだって、結果的には中小企業のためにという、ここにいつも中小企業をだしに使って銀行を助けているんですから。  そういう面では、銀行だけがプラスになるようなやり方は絶対やめてくださいよ。銀行がプラスになるなら中小企業もプラスにならなければいけない、そう思うのですよ。ですから、代位弁済を恐れないでやるのが本当の今回の中小企業対策だと私は思うのです。  特に、今までやった従来型の、普通の職人さんとか気の毒ですよ。最近見ていると、問屋さんがメーカーまで始めてしまうと、これは通産大臣実態をよく御存じだと思うのですが、そうやってだんだん疲弊してくると、では吸収してしまう。そうすると、今までやったメーカーの人は、よほど特殊なもの以外はもうやっていけなくなっちゃうんですね。随分そういうものがあるのです。それからまた、逆に、メーカーさんが弱い問屋さんを吸収してしまって、自分が販権を持ってどんどん売っていってしまう。だから、問屋がおかしくなっていってしまう。今、こういうような構造的な変化の中でみんな苦しんでいるのですよ、本当に苦しんでいる。  しかしながら、さっきから言っているように、あなたのところは月商の三倍貸していてもうだめだ、これが現実ですよ。私は本当に現実を言っているので、うそ偽りはありませんから、もし、いや、月商の五倍借りているとかという人がいたら連れてきてもらいたい。本当に厳しいのです。その辺で、代位弁済を恐れないで貸し出すと言ってくれれば、地元の中小企業皆さんは本当に喜びますよ。  もう一度答弁をお願いします。
  98. 深谷隆司

    深谷国務大臣 この前の、十月一日から始まったときのスタートの一番大事な部分はそこでした。  つまり、民間金融機関は資本比率などを考えて、逆に、貸さないどころか、貸しているところをはがして帰る。こんなことでどうするんだというようなところから、二十兆という枠をつくって、そのうちの一〇%をリスクと考えよう。こんな大きなリスクを考えるというのはある意味においては問題だと言う方もいらっしゃると承知の上でございますが、そこは、緊急的な事態に対応するために、限定的な期間の間でとりあえずお支えしようということからそういうことになったわけでございます。  そういう意味では、リスクを恐れずということでございましたが、もとは税金でございますから、そこはきちっと目配りをしていかなければならないと思います。
  99. 中山義活

    中山(義)委員 どちらにしても、今回の中小企業政策、自立支援という言葉が出ているのですが、この自立というのを一応定義づけてもらえませんか。今までの保護から、育成から、自立支援をするんだと。  これは、逆に言えば、日経なんかにもよく出ていますが、ばらまきはだめだ、保護はだめだと書いてある。これも事実なんですね。だけれども、自立支援と言うならば、では、自立とは何か。大企業はあれで自立しているのか。大企業だって、銀行に債権放棄させたりして、それを税金であがなっているじゃありませんか。中小企業だけが惨めな目に遭っているんですよ。  そういう面では、今言った自立支援の自立とは何か、これをはっきりしておいてもらわないと、これから我々も中小企業のところへ行って、あなた、自立というのはこういうことだから、こういうことをすればお金を借りられるんだよ、それは政府系資金で出してくれるよ、こう言えるのです。  自立というのをはっきり教えてください。
  100. 深谷隆司

    深谷国務大臣 自立を一つにくくって定義するということはなかなか難しいと思います。しかし、中小企業が意欲を燃やして、みずから経済再生の牽引車になっていくんだという決意、思いを持ち、それぞれの分野において、それにふさわしいプランを立てていくということだというふうに考えます。
  101. 中山義活

    中山(義)委員 ちょっと抽象的でよくわからないのですが、細田政務次官も、もっと役人らしくない言葉で、ひとつわかりやすく平仮名で言ってください。
  102. 細田博之

    細田政務次官 非常に難しい御質問だと思います。  私は、中小企業によってそれぞれ実態は違うと思うのですね。ですから、台東区の中小企業あるいは大田区の中小企業も違うし、日立市の中小企業、板橋あるいは川越とか、ここにおられる皆様の地元があって、そこにそれぞれの中小企業はあられますけれども、自立といっても、大企業に取引を依存しながらやっている中小企業もいますね。私は、そういう企業で今あらわれているのは一つの自立だと思っていますけれども、その一つの大企業に何でも覆いかぶさって依存しておると、これではやはり将来性が大変だというので、取引先を探そう、その手伝いをしてくれと言われて、機械メーカーなどで、同じような会社に仕事がないか、そういう動きもあって、それはすばらしい一つの自立の姿だと思っております。  それから、例えば東京都の小さな町工場、特に工業の関係でいうと、本当にまじめに、これまで家族労働に準ずるような格好でやってきた。しかし、世の中の景気が悪くなってきているために、注文が減っている。しかし、その中の自立は、では何かと言われれば、やはり私は、経営を自分たちで、できるだけ経費を切り詰めたり、それから営業をして、そのことによってこの苦難を乗り越える。だから、我々政府の役割は、この未曾有の不況の継続を脱却して、とにかく国民の消費あるいは設備投資をふやすという基本的な責任を果たさなければならないということで、こたえていかなければいけない。それまでのいわば辛抱と展望、それを自立と言わざるを得ないのではないかと思います。  それを、もっと先端的な人は、大いに知恵と技術を働かせて、新しい分野で活躍しようというわけですから、これはある程度の助成策があれば自立的にやっていけるでしょうから、それもまた一つの自立であるということで、答えが長くなりましたけれども、いろいろな意味があると思います。  例えば、財務の状況、金融の状況でも、先ほど言われた点は二つともあるのですね。もう無責任にお金を借りていけば企業の将来がなくなるわけですよ。そして、現にそれがいろいろな無理をして破綻するという例は、住専の例その他を見るまでもなくたくさん例がありますけれども、やはりそうではなくて、経営の長期の観点に立って、無理のない範囲内で、企業がやれる範囲でやる。  しかし、どうしてもだめだという場合には、駆け込み寺も必要ですから、保証もあるし、我々も現にやっていますけれども、中小企業金融三機関にも紹介するということがあります。保証だけではないと思いますね。金融機関に設備資金、運転資金をこの際少し面倒見てくれということによって企業の存続と発展を図っていく、こういうことも大事なことだと思っております。
  103. 中山義活

    中山(義)委員 要するに、では、この十兆円に関してはちゃんと貸し出す根拠があるよ、一生懸命やっていれば出すのだ、こういうことなのですが、一生懸命さをどこではかるかということについては、やはりしっかりやってもらいたいと思うのですね。これは、先ほど言いましたように、今はどこでも銀行に任せる間接金融でやっていますよね。最終的には銀行が金を出すから、どうしても銀行が最終的に判断をして、次の日からもう返済させるのですよ、次の日から。これも指導してくださいよ。半年ぐらい、一年ぐらい猶予を置いてあげてくださいよ。  ほとんどが、さっき深谷大臣も言いましたけれども、これは、いや、実は焦げついていませんよ、次の月から返済していますよ。これは、銀行がそうやらせているのですよ。少なくとも、やはり借りた方は、商売が順調になるまでには半年か一年はかかりますよ。だから、次の日から返していくから焦げつきはありませんとこの間言ったけれども。  私は、言っていることも確かに自分で矛盾していると思うのですよね。貸しているのだから、上げているのではない。だけれども、やはり据置期間というのは、企業が、運転資金だから回ってくるまでそのくらいの猶予が必要なのですよ。だから、これは今度の十兆円の中には、今言った、貸し出したら一年とか半年とか、こういう猶予はちょっと指導してもらえませんかね、そういう指導を。
  104. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今までの信用保証協会の貸し付けでも、翌月からお返しするという契約もあれば、三月もあれば、六カ月もあれば、一年というのが一番長ごうございます。そのような指導をわかりやすくするべきだというふうに思います。
  105. 中山義活

    中山(義)委員 これは、私どもヒアリングをしたときに通産省のお役人さんが、これは、いよいよ据置期間が来るから、十月、十一月は大変だね、焦げつきが出るねと言ったら、いや、そんなことはありません、もう全部次からと軽く言われてしまったのです。だから、据置期間なんか一生懸命やっていないのですよ。ここを指導してくれなかったら、企業ははっきり言ってやっていけません。  それから、大企業さんは、あのバブルがはじけたときに、もうゴルフは行かない、むだ遣いはしないとしばらくじっとしていましたよ。一年ぐらいしたら、みんな平気でゴルフなんかに行ったりしているのですね。なぜかといえば、どうせ大きいからつぶせないだろう、おれの会社をつぶせば銀行が損をするのだからつぶせない。ところが、中小企業のおやじさんたちは、自分の建物から土地から預金から全部担保にとられているから、会社がつぶれたらもう全部お手上げですよ。  そういう面で、中小企業はハンディがあるということを私どもは先ほどから申し上げているので、銀行だけもうけさせないで、銀行がもうかるならば、やはり中小企業も何かやってくれと。私は、そういう面で、従来型のけなげにやってきた中小企業皆さんに対してしっかりやってもらいたい、こう思うのです。  それともう一つ、商店街もよくシャッター通りだと簡単に言いますが、みんなそれでも頑張っていますよ。中には、よし、あのシャッターのところは株式会社にして、みんなであそこで弁当屋をやろうとか、こういうこともいろいろやっている。新しい発想で商店街も変わってきている。今までみたいな組合ではなくて株式会社に変わっていく。こういう要件についても、もっとうまく指導して、実際そうやってもらいたいのですよ。うっかりすれば、そこの奥さんたちを、では介護のヘルパーにしよう、だから奥さんたちも勉強してもらって、二級のヘルパーを取るとか、いろいろなことをやっている商店街があるのですよ。  自分の店だけでは食っていけないから、これを株式会社にして、そこのあいたところはこういうふうに使おう、ああいうふうに使おうとやっていますよ。そういう面では、今までの組合から株式会社になるときに、もっとスムーズにやらせてあげてくださいよ。
  106. 深谷隆司

    深谷国務大臣 御意見全く同感でございます。特に中小企業に対する貸し付けということについて、民間金融機関が非常に態度が悪かったというのはもう同じ思いで、かつて私は自民党の総務会長を一年二カ月やったのですが、全銀協の会長を呼んで何回大きい声を上げたかわかりません。  そして、資本注入ということで健全化、再生化を図ってまいりますが、今対象となっている銀行は、いろいろなプランを立てて、一体どのように克服するかという条件を示した上で金融監督庁が認めていくわけですが、その条件の中に、中小企業に貸し出す金額はこのぐらいにふやしますという約束事がございまして、これは新たに三兆円というのが今の約束で、私はぜひそれを履行させたいというふうに思っている次第であります。  それから、商店街等について、寂れているところが随分出て本当に残念でございます。中心市街地活性化法という法律もありますから、いろいろな工夫で積極的にそれを支えていくということをぜひ考えていきたいと思っていますから、どうぞ、あなたも各地域の商店街の皆様から新しいアイデアを次々と出していただいて、存分に通産省をお使いくださいますようにお願い申し上げたいと思います。
  107. 中山義活

    中山(義)委員 本当に商店街が疲弊していくということは、地域社会が本当にコミュニケーションがなくなっていくのですね。だから、ある意味では、商店街というのは地域のコミュニティー、町会組織と似たところがあるのですね。そこでは防災団、消防団、青年部、婦人部、みんないろいろ地域の活動をしている。そういう面では、商店街がなくなるということは、その地域そのもののコミュニティーがなくなってしまうということなのですね。そこが私どもは心配なのです。  そういう面で、商店街がいろいろ抱えている問題については十分取り組んでもらいたいのですが、昨今は大店法が緩和されまして、いわゆる大店舗が出てくると、昔は商調協、五百平米以上はもうすぐ商調協でわいわい。それがだんだん緩和されてきた。  つまり、これはアメリカの外圧だと思うのですね。外圧によって、どんどん大店舗が入ってきやすい条件になった。最後は、区市町村で、いわゆる建築基準法みたいなところからこの大店舗に反対しようというような動きが出てきて、それには環境の問題がおかしいとか、駐車場がないではないかとか、駐輪場がないではないか、ごみはどこに置くのだ、こういう難癖ではありませんが、いろいろ言って何とか出させないようにしてきたわけですよ。  ところが、それもだんだん難しくなってきたというところで、何か商店街に対して、やはり商店街も需要がなければやっていけないわけですね。ところが、近くにとんでもないのがぽんとできれば、もう需要はなくなってしまうのです。しかも、チラシを見るとあれはひどいではありませんか。よく電気製品が半額だとか何だとか、それから肉だって、本当に千円で売ったかどうかわからないのが千円を消して五百円とついていたり、こんなことを平気でやるのですよ。  我々が、いつも公取に文句を言うと、いや、文句を言われたのはわかりました、すぐやりますと言って、やろうとしたら、ビラがもう終わっていた。その実態はなくなってしまった。いつもごまかされている。だから、公平な、公正な戦いを我々はしたいし、公取の皆さんにもいろいろな意味でちゃんとやってくれなければ困るわけですが、商店街にかかわる問題について、大臣からもひとつ方針を述べていただきたいと思います。
  108. 深谷隆司

    深谷国務大臣 そもそも大店法という法律をつくったのは、あなたも含めて我々でございました。そして、そのことで商店街、中小企業を守り続けてきたわけですが、確かに外圧という一面もございましたが、だんだんに大店法が形骸化してしまいました。  そこで、どうしたらいいかということで、アメリカなども、国法としては自由競争を妨げるような項目はないのでありますけれども、州とか郡でかなり規制して保護的な政策もとっている。そこに着目いたしまして、大型小売店立地法というのと都市計画法というのを変えまして、この二つで地方自治体に、大店法にかわるような対応をすることに法律で決めさせていただきましたが、大店法は来年六月までまだ続いているわけでありまして、大店立地法及び都市計画法というのは来年六月以降からそれが動き出すわけでありますから、私は、地方自治体が、今までの大店法にかわるような、地域にとって、あるいは商店街、商店にとってもっと有利になるようなことを今からしっかり勉強してもらいたいというふうに思うわけであります。  そして、環境はもちろんでありますが、町づくり全体を考えた上での新しい行き方を見出さなければならないと思っています。
  109. 中山義活

    中山(義)委員 今の町づくりという話が出たので、まさにそのとおりだと思うんですが、前はこの商店街とこの商店街が戦っていた。まあ戦っていたといっても、競合しながらお互いに切磋琢磨していた。しかし、最近は、この町とこの町が戦うというか、例えば新宿と渋谷とどっちが人がうんと集められるか。これは、高島屋が出たらまた新宿がふえたとか、それは商業集積によってその町が強くなっていくという部分もあるわけですね。ですから、単純に、商店街のところに大店舗が来たからその地域が全体が弱くなるということではないんですが、商店街の勢いはなくなっても全体としては力がつく場合があるんですが、一番私ども心配なのは、郊外に出店する巨大なスーパーといいますか、これが一番怖いんですね。  都市計画とかいろいろな、我々もそうですけれども、そこには大体が法律があって、これは住宅地域だとか、これは商業地域だとか、これは工場だとか何だとかいって用途指定がされているんですが、こういうものも用途指定構わず何か認めていっちゃって、十キロかその辺のちょっと離れた郊外にとんでもない巨大なものができちゃうと、みんなそこに持っていかれちゃうという可能性があるわけですが、この辺はやはり、本当に地道に一生懸命やってきてコミュニティーをつくってきたその地域の方々、そういう人たちがそこにいられなくなっちゃうというような状況もあるんですが、大店舗が郊外にばっと出てくる、これについての考え方をちょっと示していただきたい。
  110. 細田博之

    細田政務次官 中山議員はどちらかというと大都会のお立場で大分言われましたけれども、これは大都会に限らず地方も大変大きな問題であります。地方における郊外の大規模店舗というものは根こそぎ中小企業の商売を持っていってしまうという点がございます。  そこで、これは大店法という今までの枠組みだけでは、何倍も申請を出してそれの三割カットで認めるというようなことではもう立ち行かなくなったということもございまして、私は、いろいろ先ほど大臣が述べられました改正の都市計画法、大店立地法、そして中心市街地活性化法の町づくり三法を機動的に生かしてやっていかなければならない。  特に都市計画法につきましては、これは建設省都市局の方の所管でもあり、我が国会では建設委員会の関係だとは思いますけれども、ここでゾーニング的手法を導入して適切な手を打っていかなきゃならないんじゃないか。それには、都市のありよう、都市計画のあり方と非常に深くかかわってまいりますので、まだもうちょっと時間を要しますけれども、そういったことに非常に期待をしておるわけでございます。  それに加えまして、御存じのような大店立地法は、大型店の周辺地域における交通問題、騒音問題といった、これも非常に大きな問題。特に、先ほど言われましたような都心におきましては、何か最近ちょっとそういう駆け込み的な動きもあるようでございますけれども、大きな道路に駐車場も大してなくて、今のうちに申請してつくっておこうというようなものもなきにしもあらずと聞いておりますけれども、そういったことが起きないようにまた考えていかなきゃならない。これは市民挙げて考えていかなければならない問題だと考えております。
  111. 中山義活

    中山(義)委員 ですから、特に区市町村が用途指定、これを都道府県にいろいろ上げていると思うのですね。ですから、都道府県がやはり用途指定の変更を簡単にやられたのでは、これはもうまずいと思うんですよ。それはやはり通産省の中小企業庁がそういうことをしっかり監視をしていってくれなきゃいけない、こういうことなんですね。これは今言ったように、用途指定を簡単に変更して、とんでもないスーパーが出現するというようなことがあれば、それだけで必ず地域社会というのは変わってしまいますよ。そういう面も一つ指摘をしておきます。  もう一つは、さっき言った、やはり大型店の一番おかしいのは、宣伝なんかではあの財力によってばんばんビラをまきますから、そのビラが本当に適正なのかどうか、こういうものも、公平な公取さんがもうちょっとしっかり判断をしてもらわなきゃいけないと思うんですね。公取さんはそれを受けてからその実態調査をする、そうするときにはもうその考えている向こうの商戦は終わっちゃっているわけですよ、その戦いは。そういう面で、やはりこの面についてもしっかりやってもらわないと。これは何回も何回も質問が出ていますよ。私だけじゃないんですよ。ほかにもこの商工の委員会ではいろいろな質問が出ています。  ただ、今回、中小企業国会ですから、中小企業の立場で、本当にこれをやられたらみんな壊れちゃう。だって、そうでしょう。千円のものを、決して実態がないのに五百円だとか三百円だとか、よくわからない。これは現実におかしなのがすごくあるんです。今度、女房がうんと集めたものを持ってきますよ。おかしなのがうんとある。その辺でひとつもうちょっと前向きの答弁をしてくれないと、いつも、いや、行ったときにはもう終わっていました、それでおしまいですよ、それで。
  112. 細田博之

    細田政務次官 おっしゃるような不当廉売とかおとり商品とか、そういうふうな取引は特に最近大規模店舗でふえてまいりまして、特に家庭電器の関係の大型店、それから大型のいわゆるスーパーマーケットの中でお酒を安売りしましたり、あるいは米を目玉商品にしたりという目玉商品、しかも完全に原価割れ販売。それから、地方におきましては、いわゆる酒の大規模店、ディスカウント店というものが出てまいりまして、酒の小売店がどうやっても卸売価格ですら入手できないようなものを、どういうわけか、それ以下の値段で販売する、そういう例があって、極めて大きな問題であります。  私は、通産政務次官に着任する前にも自民党議員としてそういう議連も組織しまして、そうして、断固、これは公正取引委員会の方へ、独禁法の問題あり、原価割れ販売である、不当廉売であるということから、強力に働きかけてきておるわけでございますが、各委員の先生方、あるいは政党も挙げて、このようなおかしな実態がないように、ぜひお願いします。あれは勧告か何かを出すんですが、もう時既に遅しなんですね。手おくれになるということで、小売業に非常に悪影響がございますので、思いは同じであることを申し添えさせていただきたいと思います。
  113. 中山義活

    中山(義)委員 政務次官の方が私よりよくわかっているようでございまして、いろいろ御説明があったんですが、本当にこれはやっていただきたいと思う。これは、私ども、長い間商業地域にいまして、今、消費がどんどん落ちていますから、小売商業者は本当に厳しい状況に現実にあるんですね。  そこで、先ほどからずっとお願いしているんですが、商店街を圧迫するものは固定資産税、それから事業を承継する税制の問題ですね。さっきから言っているように、次の世代に引き継ぐには親が最大のエンゼルなんです。この税金を取っちゃったら、本当に立派な今までやってきた、営々と築いてきたものが失われちゃうんですよ。このエンゼルをしっかりつないでいただきたい。これが二つ目ですね。  三つ目が、大企業があったっていいですよ、ちゃんとした勝負ができればいいけれども、今言った不当廉売であるとか、あのようなことがあったのでは我々は勝てないということなんですね。  それともう一つは、やはり簡単に大きな企業が入ってきて、その地域がどうやってやろうかという県やまたは市の考え方があるのに、用途指定が急に変わっちゃうとか、こういうことが、だれかの力で、もし大きな力で動いたとすると非常に困ると思うんですね。そういう面も、それもないようにひとつお願いしたい。  我々はただ小売業の皆さんを保護しろと言っているんじゃないんです。みんなが対等に大企業と太刀打ちができるように、やはり普通にやってくれということを言っているので、不当廉売とかこういうものについては特にお願いをしたいと思いますので、大臣、固定資産税に関しては、大臣がすごく前向きで、今取り組んでいて、うっかりすれば、大蔵省と取っ組み合ってもこれは何とかみんなの考え方をやるという意思でいいんですよね。先ほど、それぐらいの顔に見えました、私。  それから、承継税制についても、上場していない株や何かの評価、こういうものについても本当に、さっきから言っているように、親の仕事を子供に継がせる、これはすばらしいことだと思いますよ、親の仕事を子供に継がせる。こういうこともしっかりやっていただきたい。  以上、中小企業の立場に立って、私、物を申し上げました。  それともう一つは、商業者の間に最近信用収縮がすごく高まっているということがあるんですね。現金じゃなきゃ商売できないとかそういうのが最近すごく出てきておりまして、私も、これは日経ですか、信用収縮に何とか歯どめを持ってもらいたいということで、だんだん、大きなメーカー、これは品物を渡すときに現金じゃなきゃ渡さないとか、非常に中小企業が困っているんですね。現金でなきゃ品物を渡さないんじゃ、これは商売できませんよ、はっきり言って。  それから、この間ちょっと韓国の例を見ましたけれども、ああやって大変な金融の大きな問題が起きた。そうしますと、やはり現金で物を買っているんですね。それじゃなきゃ信用しない、そういう社会になっているんです。  日本は、まさかそんなことじゃなくて、やはりもっと本当にスムーズな商売ができるように図ってもらいたいんですが、この辺はいかがでしょうか。
  114. 細田博之

    細田政務次官 いろいろな実態があると思いますけれども、売り掛け債権の流動化による資金の調達は中小企業においても既に行われておりますけれども、債権の譲渡に関連する問題など、さらに検討すべき課題もあると承知しております。特別保証制度など信用保証の利用に当たりましての売り掛け債権の担保としての活用についても、同様の問題があると認識しております。  今後とも、売り掛け債権を引き当てとした中小企業の資金調達を一層円滑化するため、検討を深めてまいる所存でございます。  また、いい御意見があれば、お寄せいただきたいと思います。
  115. 中山義活

    中山(義)委員 いい意見があります。  注文書ってあるでしょう、注文書。これは、必ずこういうものを買うよというものだと思うんですね。これは融資の対象になりませんか。  例えば、ある印刷会社でも、この機械を入れてくれ、おたくのところでこれを買って入れてくれ、そうすればおたくと取引してあげる。しかし、それはなかなか、実際に商売が始まって売り上げが伸びてこなければ貸さないというような条件では、いつまでたってもその企業は買えないわけですよ。お金がないんだけれども、もう一つ上の方から、この機械を入れて品物を送ってくれれば何とか品物を買うよ。  それで、私は、では、注文書をもらえと言ったんですね。注文書をもらえば、これは保証協会が必ず保証してくれるはずだ、それでなきゃおかしい、こういうふうに話したんですが、今言ったその注文書、こういうものを注文したい、または、おたくでこういう機械を入れてくれて、こういうものをつくればうちは買うよというようなことがあった場合、これは保証協会のひとつ前向きな判断でやってもらいたいなと思うんですが、どうでしょうか。
  116. 細田博之

    細田政務次官 中小企業金融公庫などの政府系金融機関が中小企業に対しまして設備資金等を融資するに当たりましては、製品の販売先が想定されて、そして、審査の中でそれが実際に購入されることが確実だと認められるような場合には、必ずしも契約書が存在しなくても、その販売見込みを勘案して融資判断を行うということが、運用が現在も行われていると言われておりますけれども、これからもしっかりとそういうふうにしたいと思います。
  117. 中山義活

    中山(義)委員 もう一つ、きょうの新聞に築地市場が豊洲に移転をするなんという話が一面に出ていました。築地市場というのは東京の市場としては一番ブランドが高いのですね。私は釧路に行って、そこの魚を食べようと思ったら、いや、これは本当は築地に送るものですが、きょうは皆さんのためになんて、こういうふうに言うのですね。そのくらい築地というものは対象になるくらい、一回築地にみんな集まっているわけですね。ところが、これが何か最近は、品物が入ると、本当は競りをしなきゃいけないのに、大企業がそれを全部買っていっちゃうとか、いろいろなことが起きているのですね。  ですから、やはり正常に取引というものが行われないと我々はすごく困るわけですよ。しかも、弱小の卸の方はそういうことによってだんだん今は商売がもう疲れてきちゃっている。しかも、払うのは現金で払う。しかし、料理屋さんが持っていっても、それは最低でも一カ月間の締めで、小切手でくれる、これじゃやっていけないよというのが卸さんの気持ちだと思うのですね。  そういう面で、この辺の融通も何とか手当てというか、こういうものについても信用保証というか、できるんじゃないかと思う。必ず、今言ったように、これだけの売掛金があるんだからこれだけ。だから、売掛金に対しては今考えていましたよね。ただ、こういうような現金取引で、本当にもう十五日間から大体一カ月ぐらいでぼんぼん動いているのですね。だけれども、それでもお金がなきゃ物が買えないのですよ。うっかり買わないと大企業が全部持っていっちゃう、こういうことは現実ですよ。大企業は金があるからばあんと現金をぶつけてくる、全部品物を持っていっちゃう。仲卸だって金がないところは買えない、こういう現実が築地市場なんかにあるのですよ。これも、このハンディを何とかやはりお金を出してやるとかこういうことがないと、市場(しじょう)というああいうところの市場なんかも根本的に崩れちゃう。
  118. 細田博之

    細田政務次官 そういう取引面での異常な行為というのが方々で見られるようになっております。  先ほど申しました酒のディスカウント店などもこれはそうでございまして、ああいうディスカウント店は、なぜあれだけの安売りができるかというと、実はビールでもウイスキーでも日本酒でもそうですが、メーカーと直接取引しまして、本来出荷している価格において差を設けているのですね。差別対価と言っております。量がまとまるから安く売ろうというのは売る方の論理でございますけれども、中小企業の立場から見ますと、そのような大資本がたくさんの量をとるから、もうほかの卸売価格よりもはるかに安い価格で差別した対価を設けるというのは一種の取引ルール違反であります。今おっしゃったようなことも、大きな青果市場や海鮮市場でそういうことを行うということもそうだと思います。  したがいまして、私どもはこれは新たな問題として、取引ルールについてどういうふうに適正化していったらいいかということについて御意見を承りながら、これからよりいい体制をとってまいりたいと考えております。
  119. 中山義活

    中山(義)委員 今のルールについて本当によく前向きに検討してもらいたいのです。  というのは、小売業というか、おかみさん一人で一杯飲み屋をやっている。そうすると、本当に、築地へ行って一万円ぐらいその日の魚を買ってきて、それでお店で出すというようなことで、本当に卸というのはそうやってうまく今まで生きてきたわけですよ。ところが、そういうところがおかしくなると流通経路がだんだん変わってきちゃうのですね。そうすると、大企業系の居酒屋さんだとかそういうところにどんどん安い商品が行っちゃったり、今までけなげに、本当におかみ一人でやってきた、または板さんが一人いておかみさんがいるとか、こういうようなお店がだんだんだめになっちゃうのですね。そういう面では、ああいう市場の機能というのはすごく大切だと思うのですよ。そういうことが疲弊してくると社会全体が変わってきちゃうので、その辺をひとつよくお願いいたしたいと思います。  きょう私、大臣、本当に申しわけありませんね。明るくて、前向きで、ベンチャーで、創業のためにこうした方がいい、ああした方がいいという質問をしようと思ったのですが、やはりああやって銀行だけが七兆円ぐらいの税金を使ってのうのうとしている、そして我々はゼロ金利みたいなところで、預金者から税金を取って、五兆円ぐらい銀行にぶち込んでいるのじゃ我々は浮かばれない。本当にそうやって底辺の者が今の政治はおかしいぞ、こう思っているからこそ、私はむしろ弱い立場できょうは質問をさせていただいたので、むしろ、大臣も私もちょうど同じような環境でおりますので、これは立会演説会でも何でもないので、別にこういうふうに論議を交わすよりも、私は、きょうは大臣の立場は大変温かい積極的な言葉をいただいたと思って、本当に協力して、何とか弱いところが認められるような中小企業国会でありたい。単にベンチャーだとか新しいものだけじゃなくて、今までのところに目を向けていただきたい。これをお願いいたしまして、質問を終わります。
  120. 中山成彬

    中山委員長 午後零時四十五分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     正午休憩      ————◇—————     午後零時四十七分開議
  121. 中山成彬

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉田治君。
  122. 吉田治

    ○吉田(治)委員 手違いというか、あれによりまして、大蔵政務次官においでいただいての御質問をさせていただきたいと思います。  大蔵政務次官、ずっと質疑の中で、やはり資金が中小企業においては非常に大きな部分だ、資金と仕事と。やはりお金の流れというのは随分、これから新しい基本法ができてくると、後ほど質問させていただきますけれども、ベンチャーというふうな部分、創業支援という部分でもやはりお金がという部分が随分出てくると思うのです。  その中で、ビッグバンという形で、私どもは、深谷通産大臣にも堺屋経企庁長官にも嫌というほどそのことについては、関連性については、貸し渋りも含めてお聞きしたのですけれども、しかしながら、ビッグバンと言ったときに、その中で中小企業をどうするとかどうだとかいう話を余り私は聞かなかった。  二点目は、民間金融機関の競争力を強めるということは、かえって、民間金融機関にしたら、では強められたら弱いところを、中小企業の部分に光を当ててやるかといったら、決してそうではない。そこの部分はある意味で切り捨てるというか、強くなるためには弱い部分をほかすということが競争というふうなものの中で勝ち残る一つの方法であるならば、そうなっていくのではないか。それがために、今大蔵委員会等で質疑がされている、俗に言う商工ローンというふうなものに走ってしまう。  しかも問題は、政務次官、そういうふうにして強くなっていく、また政府のお金というか公的資金と言われているものが投入されている民間金融機関、都市銀行を中心に、そこが全部商工ローンに金を貸している、どう考えてもおかしいのではないか。同僚議員質問にもありましたように、我が委員会でもこのことは一度、金融という部分については時間をとって質疑時間を設けるべきではないかというのがあるのですけれども。  まず、ビッグバンと中小企業という問題、そしてその中で、民間金融機関というのがどうなっていくのか、商工ローンの問題、この辺について政務次官の方から御意見をお願いしたいと思います。
  123. 大野功統

    ○大野(功)政務次官 まず、午前中の委員会にお呼び出しをいただいておりましたのに、重なってしまいまして、出席がおくれましたことをおわび申し上げます。  まず、金融ビッグバンと中小企業との関連でございますけれども、金融ビッグバンというのは、もう言うまでもありません、フリー、フェア、グローバル、大きくても小さくても、大きさでは差別しません、小さい方にもどうぞ自由に参入していただいて元気に頑張ってください、こういう趣旨でございます。したがいまして、株式手数料を撤廃したり、あるいは証券会社の免許制を登録制に変えた、こういうことでございます。  このような自由原則の法則に基づきまして、大きさでは差別しない、小さい方にもどうぞ頑張ってください、こういう趣旨が中小企業の資金面でも潤滑に流れていく可能性を開いている、私はこういうふうに思うわけでございます。  しかしながら、吉田先生御指摘のとおり、やはり大小で競争したら小さいものがはじかれちゃうじゃないか。これは、私、基本的に日本の金融が間接金融に傾いているから、もっともっと直接金融に道を開いていかなきゃいけない、証券市場を育成していかなければならない。間接金融でございますと、銀行から借ります。銀行から借りる場合は、やはり自己資本比率その他で貸し渋り現象が起こってくる、こういう問題が出てくるわけでございます。  貸し渋り現象という背景の中で商工ローン問題が出てまいりました。商工ローン問題、私は、基本的に二つに分けて考えるべきじゃないか、このように思っております。  それは何かといいますと、例えば、腎臓二つ持っているじゃないか、こういうような取り立てとか、公序良俗に反するような行為の問題でございます。私は、これはやはり現在の法制に基づいてきちっと対処していかなきゃいけない問題であると思います。仮に営業方針が大変なものであれば、登録の取り消しあるいは業務停止等の措置もとれるのでありますが、どこまで、これ、行政行為というのはやはり正当な裏づけがなければいけません。したがって、正当な裏づけをするためにはやはり実態調査をしていかなきゃいけない、こういう問題かと思います。  それからもう一つ、分けて考えなきゃいけないのは、そういう公序良俗に反する部分と、それから法律で定められている部分でございます。法律では、例えば金利が高い、それから過剰貸し付けがある、根保証の問題、こういう問題があるわけでございますが、基本的に、貸金業規制法あるいは出資法というのは議員立法でございますから、この点は議員の間で十分議論していただくよう期待するものでございます。  また、大蔵省といたしましては、金融監督庁あるいは司法、警察当局等と十分連絡をとりながら成り行きを見守ってまいりたい、このように思っているところでございます。
  124. 吉田治

    ○吉田(治)委員 前半の答えが、ちょっと私の質問政務次官のお答えとの認識が違う。  私が御質問申し上げたのは、ビッグバンという中で、民間金融機関、特に銀行を中心に、競争だ競争だと。政務次官はそれを、証券業界の話をなさって、中小企業が参入するという話ですけれども、私が御質問申し上げたのは、ビッグバンという名前のところで競争政策になってくると、今政務次官もお答えになったように、やはり金融機関、特に銀行を中心として貸し出しがどんどん厳しくなってくる。貸し渋りという、どうもその貸し渋り対策のために、通産大臣も午前中の答弁の中にありました、貸し渋りがあるから、そこにお金を入れて、公的資金を入れて、自己資本比率を上げて、中小企業のためにと。どうも、ある意味では政策的なものに一貫性があるようで、ある意味で矛盾がある。競争すればするほど弱いところは切り捨てていく。  政務次官よく御承知のとおり、アメリカのビッグバンなんというのはまさに、アメリカのビッグバンというか、この間金融の三事業の業種の垣根がなくなりましたけれども、今までのあり方というのはそうですよね。少数民族であるとか中小企業、弱いところは切っていきますよ、そうすることによって民間金融機関は強くなるよと。その辺は、私は、大臣が午前中言われたところと、実は一緒のように見えて、ひょっとして相矛盾しているのかなというのが強く懸念としてあるということをまず申し上げて、時間がありませんので、その中で、これは大蔵政務次官それから通産大臣にお聞きしたいのですけれども、先ほどの商工ローンの話。  通産大臣は、午前中の質問の中で、民間金融機関の補完の部分で政府系金融機関があるというお答えをされました。そして、その中では、やはりいろいろ担保の問題、保証の問題、あるでしょう、そして金利の問題。しかしながら、政府系金融機関でお金中小企業が借りられるということは、非常にある意味で安くお金が借りられる、借りやすさがある。そのために二十兆だ十兆だというお話になられている。  しかしながら、私が聞いている情報では、そこをだめだとはねられますよね。大臣お話からすると、民間金融機関だめ、そして政府系金融機関もだめと言われたような方たちが、例えば日栄という会社であるならば、何かその窓口を出たすぐぐらい、会社へ帰るか帰らないかぐらいに、おたく、はねられたらしいですねと電話があったという事実があるらしい。  そして二点目は、私は、ここから先は大臣にお聞かせいただきたいのは、はねられたらもうその人たちは行くところがないのですね。行くところがなくてどこへ行くかというと、俗称町金と言われているところへ行くか、こういう正式なお名前で商工ローンという形になっているところへ行って、高利のグレーゾーンの利息で借りざるを得ない。  私は、日本のこの中小企業政策の資金のあり方の中で、政府系金融機関、民間金融機関と同時に、もう一つ、この間の中間的な金利——いろいろな審議会の答申とか読んでおりますと、やはり政府系金融機関がだめよと言うところは、だめよと言うなりの理由がある。ある意味でリスクが高い。それならば、やはりリスクの部分というのは金利で補うということであるならば、そこそこ高い金利の部分というものがあってもしかるべきではないか。何か二極化だけされて、ここの部分がだめだったら一気に高利貸しのところへ行かなくちゃいけないという、その間の部分がどうもないんじゃないか。  今後とも、私はこれについて、金融政策をされる大蔵政務次官と通産大臣に、こういうふうな間の部分を、例えば民間がつくるのか、それとも官民でつくるのか、それとも官がつくるのか、政府の方というか、そういう公のものが中核になってつくるのか、こういうふうなものをつくるところが必要じゃないかと思うのですけれども、その辺について検討なされているのか、また、現実的にこういうことをやろうとしているのか、通産大臣とそれから大蔵政務次官、お答えください。
  125. 深谷隆司

    深谷国務大臣 まず、吉田委員の御質問に申し上げたいのは、ただいまの緊急事態という観点から信用保証協会による貸し出しというのをやっておりますけれども、この場合には、先ほども中山委員から御指摘がありましたけれども、いわゆるネガティブリストというのを出しておりますが、これは非常に緩やかなものでございます。ですからかなりの人たちは、少なくとも信用保証協会の保証による貸し出しの対象者になる。現実にまたそういう数字が出ております。  そこから出た人がそのまま商工ローンに捕まって云々という話については、私は個々の問題でわかりませんけれども、どこまで特別保証制度、信用保証協会のこの枠の中で救えるかということは、今後も一層重く見ていかなければならないというふうに思います。  それから、今あなたがおっしゃった、事業リスクというのがある場合に資金を融資するということはなかなか容易ではないけれども、その分はリターンにおいて金利を高くするとか、そういう考え方につきましては、私は、多様な資金の提供を行うという意味において一つの発想であろうというふうに考えております。こういうようなことが実施されていきますと、御指摘のような商工ローンの問題に対する解決の一助になるかもしれない、そのように思っております。  そういう意味で、これらの融資が主として民間金融機関から、その努力で設定されていくことがまず第一段階ではないかな、そう理解しております。
  126. 大野功統

    ○大野(功)政務次官 吉田先生から、さまざまな金利があっていいんじゃないか、こういう御指摘でございます。  相手によって、欧米の場合、よく、例えばリスクの大きいところは高い金利を払う、リスクの少ないところは低い金利でやっている、こういうような多様化が進んでいく、これは、今現在、残念ながら私ども勉強しておりません。  勉強しておりませんが、深谷通産大臣からもおっしゃっておりますけれども、まず前提として、やはり金利の自由化によってそういう世界に進行していく、こういうことを期待していきたい。場合によっては、必要に応じてはそういう方面について我々も勉強しなければいけないのかなと思いますけれども、現実は、そういう方向で金利自由化というのは進んでいただきたい、こういうことだと思います。
  127. 吉田治

    ○吉田(治)委員 この問題は、消費者ローンという、昔のサラ金ですね、問題が起こったときに、各都市銀行、さまざまな信用金庫などが個人向けのそういう金利の高いローンというのを出すようになった。しかしながら、どうもそっち側の方は余り喧伝もされずに、あるのかないのかという状況で、一方では、テレビを見たらキャッシングでどうこう出てくる。やはり商工というふうな中小企業施策の中においても、そういうふうな部分を大臣は民間に任せると言われましたけれども、任せたらそれで終わりじゃなくて、任せたものをどうみんなに知ってもらって使ってもらうかという施策をやはりこれからも考えなければならないんじゃないかなと思います。  時間の都合もございますので、一点ベンチャー関係で、それこそハイリスクでハイリターンになるかもしれませんけれども、ベンチャーで何が大事かというと、お金という部分がやはり大事になってくる。資本市場整備という中において、今度の基本法それから説明のいろいろなものを聞いておりましても、では究極は国のお金でするのか、それとも、アメリカのように投資家の、そういうふうな市場みたいなものがあって、だれでもそこへアクセスできるのか。  午前中の質問堺屋大臣にもお聞きしましたように、やはりどうアクセスして、それがすぐに行けるのという、手続だとかそういうものでない部分、そのかわりにもうけは大きいよというものをしなければならないということですけれども、まず大蔵省として、このベンチャー市場の整備、資本市場の整備ということについてどう考え、どう通産省と協力してやっていくのかということ。  通産省としては、これを、どういうふうなお金をどういうふうに使っていくのか。政策的にいうと国のお金ばかりというふうに見えるんですけれども、やはり一千二百兆も個人資産がある日本においては、何か気がついたら全部アメリカに吸い上げられているようなイメージがありますので、そうではないというふうになる方法を、その辺についてはどうこれから考えていくのか。  できれば両大臣にお答えいただくのと同時に、もう時間がありませんので、経企庁長官、一つお聞かせいただきたいのは、この法改正によって、経済の成長率であるとか、その辺の部分は将来どうなっていくのか。  それから通産大臣、この基本法をやることによって予算の配分が変わると事務方から聞きました。組織別から機能別予算配分にすると。具体的にどう配分を変えていくのか。この基本法が通ることによって、予算は、今〇・何%の二千億と言われていましたけれども、ふえるのか減るのか。お金がかかるような施策になっていくのか。そして、それに対するコストに見合う効果というふうなもの、先ほどの機能別予算配分というのはスクラップ・アンド・ビルドということになると思いますけれども、どうお考えなのか。  まとめた質問になって恐縮ですけれども、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  128. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 この法改正によりまして、日本経済のダイナミズム、新しい中小企業、新しい成長企業ができて、そしてどんどんと人材も入れかわるという意味で、中長期的にはかなり効果が上がると考えております。  ただ、それが何%なのかと今の段階で聞かれても困るのでございますけれども、一応五年ぐらいの後には、新しい創業を、現在十四万ぐらいでございますが、それを二十四万ぐらいの数にふやしていきたい、こう期待しております。
  129. 大野功統

    ○大野(功)政務次官 まず考えなきゃいけないのが、吉田先生御自身、御指摘がありましたけれども、千二百兆円に上る個人金融資産、これが証券市場、直接投資市場へ回っていない、こういう問題でございます。もっともっとそういうふうに個人金融資産の有利な運用の道を図る、それから、やはり将来を担う中小企業に資金が回るようにしていく、こういうふうに考えてみますと、どうしても直接金融市場としての証券市場の役割は大きい、これはもう言うまでもないことでございます。  そういう観点からいたしまして、店頭登録市場の整備は重要な課題でございますし、御存じのとおり、昨年十二月の金融システム改革法におきまして、いわば店頭登録市場を取引所市場と同等の存在として位置づけておるわけでございます。  また、JASDAQを開設運営する日本証券業協会、これは、店頭登録市場の活性化を図るために、ベンチャー企業向け登録基準の創設を初めとする登録基準の見直し等いろいろと改革を実施してきております。時間の関係もあろうかと思いますので詳しくは申しませんが、改革を実施しておるところでございます。さらに、先般の雇用創出・産業競争力強化のための規制改革に基づきまして、店頭登録市場の充実を図るために、日本証券業協会でも、例えば店頭登録基準のさらなる見直しを行うという改革を実施することとしておる次第でございます。  このような取り組みによりまして、ベンチャー企業中小企業の資金調達あるいは投資家のニーズ、こういうものが満たされていくよう期待しておるところでございます。
  130. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業対策予算は、これまで講じてまいりましたものに加えて、今後は創業・ベンチャー対策を大きな柱として据えることになるわけでございます。  十二年度の概算要求においては、中小企業基本法の改正を視野に入れて、一つは創業・ベンチャー企業の成長環境の整備、二つは中小企業の経営革新と地域経済の活性化、三つは中小企業の金融対策、この三つを柱として、千三百三十三億円を概算要求ではいたすことになっております。  また、このたびの臨時国会の補正予算につきましては、我が方は、これらのものを踏まえまして、今三千億以上の要求をしておりまして、しっかり確保していきたいというふうに思っております。  それから、御指摘の機能別の予算はどうするかという話は、恐らく全国中小企業団体中央会等々のそういう配分のことを言われているのかなというふうに私は思うのでありますが、その内容に応じて複数の団体が使える予算に再編成しようとするもの、これは十二年度の概算要求では五十九億円を要求しております。それから、国から都道府県及び政令指定都市に対する補助金の形で交付するというのがございます。  こうした工夫で、団体間で切磋琢磨していただき、また民間の能力を活用しながら、予算の効率的な、効果的な使用を考えていきたいと思います。
  131. 吉田治

    ○吉田(治)委員 時間ですので、終わります。
  132. 中山成彬

    中山委員長 渋谷修君。
  133. 渋谷修

    ○渋谷委員 今、せっかく同僚の吉田議員から中小企業金融の話がありましたので、それに引き続いて、今回、通産大臣が再三お話をされておりますけれども、さらに追加の特別保証枠拡大という問題につきまして、きのうからの議論を聞いておりまして、どう考えても腑に落ちない、どう考えても根本的な問題が解決されていないということを私は感じます。  昨年の緊急の特別保証枠、これはこれでまさに緊急避難的に、中小企業が悲鳴を上げている、これに何とか対応しなければならない、後で幾つかその問題も指摘はいたしますけれども、これは実施された。それで、現在に至っても依然として銀行の貸し渋りはなくならない。昨年の段階でも銀行の貸し渋りということが原因となってこうした対策をとらざるを得ない。きょうも大臣は、銀行協会の幹部等を呼びながら、厳しくそれについては追及したなどというお話もいただいているわけであります。  先ほど大臣お話しになりましたけれども、ネガティブリストという形で、中小企業者がそれぞれ役所の窓口へ行きますと、幾つかの項目が書いてあるのをチェックしながら、銀行の貸し渋りに遭っているというところに丸をつければ、役所の方ではそれで証明書を与えまして、その証明書を持って銀行に駆けつけ、銀行が保証協会へ行く、現場では具体的にこういう手続になっているのです。  銀行の貸し渋りがなくならないという話は何度も聞きますが、どこの銀行が一番貸し渋りをしているんですか。大臣がいつもそうおっしゃっているから、貸し渋りというぐあいに言っているわけですから、大臣に。
  134. 深谷隆司

    深谷国務大臣 どこの銀行がと名前を挙げることは全く不可能でございますが、全体的に、一般論として申し上げてきたことであります。
  135. 渋谷修

    ○渋谷委員 それでは問題の解決、改善が図れないではないですか。どこの銀行が最も貸し渋っているのか、具体的な現場の事実がわからなければどうやって改善するんですか。この貸し渋りの状態をどうやって解決するんですか。  実は、やることはできたんですよ。昨年の二十兆の保証枠を与えたときに、ネガティブリストの中に、銀行の貸し渋りに遭っているというのであれば、どこの銀行に貸し渋られているのかということをそこに書かせればよかったのです。部内では実は議論があったんです、それを書かせるかどうかという議論はあったんです。  ところが、それをやるといろいろ支障、差しさわりがある。それは、銀行に恨まれるだろうとかいろいろな議論はあるでしょう。そのときにネガティブリストに、貸し渋りがあるということを最も大きな理由にするならば、どこどこの銀行に貸し渋られているから、したがってこの特別保証枠を適用してほしいというぐあいに言えば、それを資料として積算しておけば、今銀行に具体的に指導ができるじゃありませんか。貸し渋りの改善ができるんですよ。なぜそれをやってこなかったのですか。
  136. 細田博之

    細田政務次官 なかなか、どこからが貸し渋りであるかどうかということを個別に判断することは難しい点があるわけではございますけれども、金融機関がみずからのためにこの保証制度を悪用する、いわゆる旧債振りかえといいますか、もともとある債務を振りかえるということについては、当省としては断固として認めないという方針のもとでこれまで周知徹底に努めてまいったわけでございます。  これまで一部の金融機関におきまして、そういった昔の債務の単純な振りかえを促すような、不適切な表現を含む内部文書を支店に対して通知していた事実もなきにしもあらずです。その問題じゃないのですか。(渋谷委員「その問題じゃないです」と呼ぶ)まだそこまで行っていない。はい。
  137. 渋谷修

    ○渋谷委員 お話にならないですよ。私が聞いているのはその話じゃないでしょう。  ネガティブリストの中で貸し渋りということで項目を挙げたならば、その貸し渋りに遭っている銀行名をなぜきちんと明記させなかったのか。現場ではできたんですよ。役所の段階でも、それはやろうと思えばできた。だけれども、上の方からそれはやらなくてもいいという指示があったからやらせなかったのですよ。簡単なことでしょう、大臣。  今現実に貸し渋りが続いている、改善されない、だから十兆円を拡大しなければならない。いろいろなリスクが伴っている十兆円なんですよ。銀行が貸し渋っていなければこの十兆円は要らないじゃないですか。そういう議論なんですよ。  昨年の二十兆について、ネガティブリストの中に銀行名を書かせるということを、部内では検討されているんです。なぜこれをやらなかったのか。その理由がわかれば、明確に細田さん答えてください。
  138. 細田博之

    細田政務次官 非常に難しい御質問でございまして、本制度は、このような厳しい環境下にある中小企業を緊急に支援するという観点から実施したものでありまして、中小企業の立場もあるわけでございます。つまり、金融機関との関係は長年続いておる。  他方、どうも貸し渋りではないかという状況もあるということがございますので、特別保証の申し込みに当たりまして、貸し渋りをしているんだと、金融機関を申告せよという方法をとることが適当であるかどうかという点もございまして、それぞれ通産省の方に申告せよというような形での明確化というのはなかなかできにくいわけでございますので、その点も御理解をいただきたいと思います。
  139. 渋谷修

    ○渋谷委員 役所に申し込みがありまして、それを一々役所がその銀行に、おたくでは貸し渋りがありますねというぐあいに通知しますか。現場ではそんなことをしませんよ。また、個別ごとにやったって意味がないのです。そこの銀行はたまたまその一件だけで、あとほかにはないということだってあり得ますからね。  ということは、それぞれの、何万件という申告があった中で、例えば特定の銀行にこれが集中している、これはこちら側が責任を持ってやるわけです。あくまでもそれは匿名という形でやらなければ、それは企業に迷惑がかかります。そういうやり方はできたんですよ。  二十兆の保証枠について、貸し渋りがあって中小企業者は融資を得られない、だから特別の保証枠が必要だということでやってきたのだから、この根っこの貸し渋りを解決するということが行政の側になければ一体どうするのですか。ここが根っこの問題なんですよ。根本の問題なんです。  いいですか。代位弁済の何%などという話があります。それほど大きな金額じゃないと言いますが、後ほど現場の話も申し上げますけれども、もう一度、このことはとても重要な問題ですから、いずれ事故になったらこれは国民に負担がいくんですよ、この問題は。私たち政治家として、今これは政治家同士の議論になっています。これから、例えばこれが巨額の不良債権になったときに、保証協会に責任を持たせるわけにいかないんですよ。現場の役所に責任を持たせるわけにいかないんですよ。我々政治家が責任を持たなければいけないのです。この間つぶれた銀行の無責任な取締役のようなことを我々はやるわけにはいかないのです。  だから、問題の解決は図れたじゃないですか。このことについて、それぞれが借りに行く、あるいは窮状を訴えていく、ネガティブリストを示した、そのときに、なぜ貸し渋っている銀行の名前を挙げさせなかったのですか。
  140. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私は、当時もちろん大臣ではありませんからそのときの状況は定かではありませんが、少なくとも、今日まで事務当局から聞いた話の範囲でいけば、貸し渋りを受けている銀行とも今後も取引が続かなければならないという借り手側の事情が極めて大きい、そのために、一々銀行名を書かせるということはかえって後々マイナスになるという判断が働いたやに聞いております。
  141. 渋谷修

    ○渋谷委員 借りている側は、別に書くのは問題ないんですよ。  さらに言えば、もっと言えば、ネガティブリストに書かなくても、その後に、銀行のレベルでいえば、そこでは確かにその証明書だけでしょうけれども、あと決算書も当然とる、いろいろなところから借りているであろう、その借りている先の名簿も当然出させるのです、金額も出させるのです。調べようと思えばわかるのです、これは。貸し渋りのその根っこを解決しなければならないとすれば、ここのところをやらなければいけないじゃないですか。  とりあえずまた同じように繰り返して、今現状、資金繰りが大変だからといって十兆円をさらにつぎ込む。こんな安易なことだけでいいのでしょうか。これからでもこれは実は改善ができる問題であります。新たに十兆を積み増しをして、これから年末にかけてやりますが、貸し渋りに依然として遭っている、この一年間たっても依然として状況が変わらないということであれば、その銀行の姿勢というのは問われてしかるべきでしょう。  なおかつ、先ほど来から議論されている商工ローンの問題もあります。そこには多額の金を貸し付けている、あるいは公的資金を投入されて、そして中小企業には依然として貸さない、こういう原因の一番の、言ってみればサイクルの根っこの部分が今の問題にあるわけです、今の問題に。我々はこれを解決する手段を、やらなければ失うんですよ。  大臣議論としてはわかりますでしょう。これはぜひそういうことを検討して、新たなネガティブリストの中には必ずそれを加えてください。そうでなければ、この保証枠の十兆円の積み増しという問題については、他の委員は私は知りませんけれども、少なくとも私は、これについて連帯保証人になるわけにはいきませんね。これで不良債権が、一千億、二千億などという話もあります、現場でいえばもっとなるという話も実はあるわけですけれども、大臣、いかがですか。
  142. 深谷隆司

    深谷国務大臣 金融機関に対して、健全化、再生化のために六十兆という資金枠を用意したわけですね。それは、金融機関がそのことによってしっかりした基盤をつくり、貸し渋りをなくすという、彼らに対するモラルを求めてのことでございます。それは今までもやかましく言ってまいりました。金融監督庁も、一層今後はそのような指導をしていくでありましょう。  同時に、資本注入する場合の条件として、いろいろな条件をつくりました、再建計画とか。その中に、中小企業に対する融資はどのくらいするのかというのもありまして、それは現在、資本注入した全体の銀行では三兆円の枠になっていると私どもは聞いております。  それから、信用保証協会の返済の問題についてでありますけれども、一体どこまで返済が可能なのかということについては今後の動きを見なければなりませんが、昨年十月一日にスタートいたしましてから、翌月の返済も含めて、まず今日の段階では順調にいっているというふうに数字の上で判断できます。  これから先一体どうなるかということについてはいろいろな御意見がありましょうけれども、この資金繰りによって何とか立ち直って頑張るんだ、そして必死になって返済している中小企業のエネルギーを私は信じたいというふうに思っております。
  143. 渋谷修

    ○渋谷委員 大臣、私がお願いしているのは、具体的な提案をしているわけですよ。  ただ単に、私は政府のそういう今の行政のあり方を責任追及しているということではなくて、私が今度の政策について、十兆円の保証枠を拡大する、私も一緒に、野党ではありますけれども、議論した責任は負いましょうと言うためには、この貸し渋りというものを根っこからなくするためには、貸し渋りということについてのネガティブリストに挙がってきたら銀行名はきちんと明記をさせる、そのことによって銀行に対して個別具体的に改善指導ができるという手段を持たなければいけないでしょう、そうでなければ貸し渋りというのは絶対なくならないでしょうということを申し上げているんです。  これについて明快に御答弁いただきたいのと、貴重な時間なので、大臣質問以外のことはできる限りはしょっていただくようにお願いいたします。  私の方から現場の話を申し上げましょう。  経企庁長官も、銀行の姿勢は大分変わってきたなどという話をきのう言っておりますけれども、今のこの問題に絡みまして、現場では何が行われているか。銀行が一生懸命間に入って保証協会の枠をとって、そして、ある企業に金を貸してやる。企業は一生懸命頑張ったけれども、この時代状況ですから、不渡りを何回か食って、どうにもこうにもならなくなる。倒産してしまう。  倒産してしまうといいましても、実際に現場の中小企業は法的処理はなかなかできません。財産がなければ、裁判所に供託金を持っていかなければ破産もできないんです。二百万、三百万という金がなければ破産できない。破産状態になっているわけですから。そうなると、破産もできませんから、言ってみればそのまま野たれ死にの状態です。  銀行はどうするかといえば、残った財産を任意売買させて、先に貸し込んだ金を処理をして、そして一切とれない状態になってから保証協会に回すんです。そこで初めて代位弁済という形であらわれてくるんです。  企画庁長官、どうですか、銀行に倫理がありますか。私は、全然体質は変わっていないと思いますよ。私はほかにもたくさん具体的な事例を知っております。そのほかにも具体的な事例を私なりに体験した中で申し上げれば、私は、日本の銀行というのは経済やくざと大して変わらないなという感じで思っている部分もあります。  それはおいておきまして、大臣、先ほどの話に戻ります。具体的な提案です。これをやらなければ私は連帯保証できませんよ。
  144. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業の方が信用保証協会を通じてお金を借りるに当たって貸し渋りがあったからというのを前提とするというのが今まででございました。来年の三月いっぱいまではそういう形でございますが、来年、延長いたしました部分につきましては、もうちょっと建設的な、つまり、このことをどうやって活用して生かしていくかということなどをその要件の中に加えていきたいと思っておりますから、若干様子は変わってくるとは思います。  ただ、あなたが御指摘の、貸し渋った銀行をそこに書けということについては、先ほど申しましたような中小企業者自身が、その銀行と今後も取引を続けていかなければならないという事情等もあってなかなか簡単には書けないだろうというふうに私たちは今現在思っておるわけでありますが、せっかくの委員の御指摘でございますから、難しい問題はあると思いますが、研究させていただきたいと思います。
  145. 渋谷修

    ○渋谷委員 もっと明快な答弁が欲しかったんですが、研究するということですから、これはぜひそうしてください。実現をしなければ、この保証枠の問題については、少なくとも渋谷修は、この十兆円の枠の拡大については保証はできませんということを率直に申し上げておきます。  もとに戻って、堺屋長官は途中で退席するというふうな話も聞いておりますので。堺屋長官であればこの人物のことをあるいは御存じかなと思いまして、きのうの話の単純な続きじゃありません、御心配いただかないように。  きのうからの質疑ときょうの議論も聞いておりまして、私自身の問題ですよ、皆さんは立派なそれぞれ知識経験もおありの方々ばかりですから。何かやはり議論のしんが欠けているなという感じがずっとしておりまして、ゆうべもいろいろ質問の準備もしながら、ある人物のことを思い出しました。  たまたまここに、書棚から引っ張り出してその本を持ってきたのですが、山田方谷という方の本でありまして、「炎の陽明学」などという題名がありますが、別に陽明学のことではなくて、この人物は、備中松山藩、今の岡山の内陸にあった、そこの人物ですが、幕末に藩財政の改革に取り組んで成果を上げた。ケネディの日本に来ての演説でしたかね、上杉鷹山とか、それぞれその時代の人はたくさんいます。しかし、私がいろいろ調査をしたり勉強したりする中では、この山田方谷という方の仕事は現在にも通じる完璧なリストラだというぐあいに評価をしています。  この本は、その意味では、山田方谷の藩財政改革あるいはリストラ報告といってもいい内容でありまして、非常に貴重な時間なんですが、これからいろいろな意味議論をしていく上で、あるいは、長官には参考にはもちろんならないとは思います、長官の方が学識も高いわけですから。しかし、やはりこういう姿勢というのが必要だなという点で幾つかぜひ御指摘をしておきたいのです。  山田方谷は、農民の出身でありますけれども、非常に才能、能力がすぐれておりましたので、士分として取り立てられまして、皆さん御承知の最後の将軍徳川慶喜のもとで首相となった板倉勝静が備中松山藩の藩主、養子で入りましたけれども藩主。養子で入って藩主になって、それでこの山田方谷が大蔵大臣として取り立てられまして、もう破産寸前の藩財政の改革に取り組みます。  本を紹介する時間じゃありませんのでかいつまんで申し上げますと、彼がやったことは、一つは、実情の徹底的なチェックです。現場の徹底的な調査。これは当たり前のことのようですが一番難しいんですね。今、一番最初に保証枠の話をしましたけれども、実は現場がどうなっているのかという把握がされなければ危機管理もできません。  今、質問の中には申し上げませんでしたけれども、果たして今のこの特別保証枠が将来的にどのくらいの事故率になるのかということは、例えばある期を、ある月を締めて、例えば返済計画が立っているものについて三カ月返済がおくれている、半年間返済がおくれている、今どき、コンピューター時代ですから、あっという間に情報は集まるんです。そうすればこれが危ないかどうかということは本当は積算してわかる、将来的な予測も立てられる。本当はそこまでやらなければいけないのですよ、大臣。やらなければ、最終的にこれが事故となってしまえば国民の税金に負担が行く話なんですからね。  そのくらい深刻に考えなければならないんですが、大臣が先ほどからお話ししているように、実際には事実を知るということが一番難しいことです。なぜならば、それぞれの職分、部署にある人間が必ず事実、情報を隠そうとするからです。それを明らかにすれば、それが失敗であれば直ちに首になるし、責任を問われるから、必ず隠そうとします。これを根掘り葉掘り、本当にエネルギーの半分以上を使って情報を明らかにし、事実を調べ上げている。  この藩は、表高は五万石でしたけれども、実は収入そのものに粉飾があって、実収入は二万石以下にすぎなかった。借金は十万石ありました。もう破産状態です。かかる経費はといえば、江戸藩邸あるいは松山、あるいは大阪、京都にも蔵だとか置いてありますから、それだけで一万八千両、毎年金利だけで九千両、もうどうやったってこんなものは立ち行かないような実は藩財政だったんですね。  こういう事実が明らかになったところで、山田方谷は、この事実をあえて全部公開します。明らかにします。堺屋さんは大阪がすぐ近くで、いろいろな意味で大阪の状況を知っておられるでしょうから、情報公開をすれば、言ってみれば大阪の銀主たちがもうこれ以上金を貸さなくなる、今までの古い家老たちは当然そうやって抵抗します。  しかし、山田方谷は、小信を守ったのでは大信を得られない、大信を得ることができなければ根本的な藩財政の改革はできないからと言って、銀主たちに、いわゆる銀行に対して自分の藩の状況を全部明らかにする。もちろん、それと同時に、藩民に全面的な協力を得なければなりませんから、事実を明らかにするということをやります。これだけでもその時代には大変なことであります。今の時代で果たしてここまでできているかどうか。なかなかそこまではいっていないんじゃないでしょうか。  さらに大事なことは、同時並行的に、きのうはいろいろ厳しいことを申し上げましたが、このことであります。みずからの身を律するということです。かつての大蔵大臣、言ってみれば吟味役とかそういう意味ですが、大蔵大臣などということになれば、その時代ですから当然わいろだとかその他いろいろな、ほかから入ってくるお金があります。そのことで疑われれば、この改革というのは絶対に成功しません。したがって、みずからの身を律する。  もちろん、もらう給料も大幅に減給をいたしまして、ほかにいる幹部連中よりは絶対に多くを取らない。さらに、もらったお金については、その家計を第三者に任せて全部公開してオープンにする。自分の身をそのくらい律しなければ大改革というのはできないということを彼は言うわけであります。きのうもちらっと申し上げましたが、ルーズベルトのニューディール政策の中でもそういう政策が上がっています。  そして、具体的に大胆な節約に取り組みますけれども、大阪にある蔵屋敷を廃止したり、米の取引を大阪商人に任せるとどんどんピンはねされてしようがないので自分で独自に相場をやるとか、そういうこともやります。  さらに、新産業の育成などもやります。今も残っているようなたくさんの産物がこのときに実は開発をされたり、つくられたものです。私も、青森県は田舎、五所川原というところの出身ですが、父親が畑を耕しながら私にそこの備中ぐわをとってこいというぐあいに言ったことを覚えています。備中ぐわというのはどういうことか意味はわかりませんでしたけれども、実は三本歯の深く掘れるくわのことを備中ぐわというのですが、そのくらい全国に流通した、言ってみれば、これはその当時のまさに成功した商品なんですね。そういう新産業の育成をやる。  あるいはもう一つは、閉鎖的な経済で、今そんなことが大して参考になるかという方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではない。やっぱり金融のこともよくわかっている。当時の貨幣は、もちろん幕府がつくって流通させるわけですけれども、藩札だけは幕府の了解を得られれば藩で出すことができる。松山藩の藩札はほとんど紙くず同然に扱われて相手にされていなかったわけでありますけれども、三年間、五匁札を全部回収しますよ、全部お金にかえます、交換しますということをふれて回って、全部五匁札を回収して、三年後にそれを河原で全部燃やしてしまいます。大デモンストレーションをやるわけであります。それで新札を発行する。つまり、藩に対する信頼を回復するわけですね。そのために、松山藩の藩札は他藩まで流通しますから、言ってみれば、藩札が流通するわけですから、当然、正貨が自分の金庫に戻ってくる。当然、藩財政は潤います。  さらに言えばもっと細かくいろいろありますけれども、侍はくわを持たない、働かない、農家みたいなのはやらない。しかし、侍をそれぞれ開拓に出させて、土着をさせて、そして作物もつくらせるというようなことをやりまして、こうした取り組みでわずか三年であの巨額の借金を返済してしまいました。約八年で十万両の蓄財に藩財政を変えました。  私は、リストラ策の中で、もちろん今の時代でもいろいろな方々のものを読んだり聞いたりはしますけれども、この山田方谷がやりましたまさにリストラ策、これほど完璧なものというのはそれほど聞いたことがございません。  そういう意味で、堺屋長官に申し上げるのですが、全部についてこれから議論する時間はとてもありませんので、一番重要な、事実を知る、そして情報の公開という問題ですが、そもそも、私どもの日本のこの国は一体幾ら借金があるのでしょうか。わかる範囲でいいです、できる限り正確に答えてください。
  146. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 ただいま渋谷委員から大変貴重なお話をいただきまして、私もさらによく勉強してみたいと思っております。  現在、国の借金といいますか、国債発行残高で見ますと、十一年度末で三百二十六兆八千億円になります。これに地方債残高を、見込み額が百二十七兆三千億円となっています。これを合わせますと四百五十四兆一千億円になります。  さらに、国、地方の借入金を両方合わせました長期債務残高、これは重複がありますから、それを消しますと五百九十九兆九千億円、約六百兆円という数字になります。  国民経済計算で平成九年度末の数字を見ますと、国、地方、それから社会保険基金の合計の金融資産が四百二十七兆四千億円。債務の方が五百三十八兆二千億円。これで純債務が百十兆八千億円になっております。  公的企業の金融資産は二十四兆七千億円、債務が百三十九兆九千億円でございまして、こちらは純負債が百十五兆一千億円ということになっております。  この二つを合わせますと、公的部門の金融資産は四百五十一兆一千億円、債務が六百七十八兆一千億円、純債務が二百二十五兆八千億円という形になっております。  そのほか特殊法人の債務について、個別にはちょっとわからない部分がございますが、政府保証で出しておりますのが平成十年度末で残高二十一兆三千億円となっております。  そのほかに特例的歳出削減措置、いわゆる隠れ借金というのがございます。これはよく問題になるのでございますが、その多くは政府の会計の中で政府の一般財源等の貸し借りあるいは特別会計同士の貸し借り、そういうような形になっておりまして、民間に対する貸し借り、あるいは国債、地方債等の性格とは異なっておりますので、これを単純に合計することはちょっとできません。  以上のようでございまして、一応国の会計についての借金は一口に六百兆円、こう呼んでおるわけでございます。
  147. 渋谷修

    ○渋谷委員 一口に六百兆という話であります。  例えば金融資産一千二百兆と言っていますが、あるいは郵便貯金についても金額としてはもちろんあるわけです。ところが、既にこれを元手にしていろいろなところに政府が事業投資をしていますね。その中で、当然それは戻ってこないであろうもの、まだその状況はわからない。隠れ借金という中に入るのかもしれませんが、それは全部今の六百兆の中にカウントされているという意味ですか。  それと、それに対して収入と言われるものをぜひ、あわせて。
  148. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 今仰せになった、国が各財政投融資などで出しているものにつきまして、いろいろな形態がございますが、一応国の借金としては六百兆円となります。ただ、問題はそれが返ってくるかどうか。金融で出していて返ってくるかどうかということになりますと、非常に評価が難しい。より多く返ってくるようなものもございますし、少ないものもございます。  それで、国の会計を複式にしてみたらどうかという議論がございますが、かなり技術的に困難でございまして、今そういう試みもしておりますが、まだ結論は得ておりません。
  149. 渋谷修

    ○渋谷委員 そのことも今御指摘をしようと思ったのですが、自治体のレベルでも外国でも大分例は出てまいりましたけれども、バランスシートをつくる。いろいろな限界はあります。限界はありますが、企業でも複式簿記にしたからといって不正がなくなるわけじゃない。粉飾をやろうと思えば、日債銀であれ長銀であれみんな粉飾をやっておるわけですから、バランスシートを入れたからといって問題が解決するわけじゃありませんけれども、しかし財政の状態というのがもう少し客観的にわかるようになる。  それがあればもう少しわかると思うんですが、アメリカの国債というのは日本は幾ら持っているのですか。——わからなければ、いいです。時間がもったいないから、いいです。いやいや、長官だから全部頭の中に入っているかと思いました。  いや、アメリカの国債があって——家計でもそうですが、家計が厳しくなった。どこかの株式、証券を持っている。もうにっちもさっちもいかない。そうなれば、確かに株価は下がっているけれども、株を処分してとりあえずの金にしようということになるのは当たり前の話でありましょう。  これは何度か専門家の話も聞きながら議論したことがあるんですが、これほど日本の経済が厳しい、財源がない。大量に抱えているアメリカの国債というのは、長官、ぜひ教えていただきたいんですが、なぜ日本は売れないのですか。
  150. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 日本が持っておりますアメリカの国債というのは、国の財産というよりは、国が為替を交換いたしまして、外国為替特別会計が持っているものですから、借金と財産とが見合いになっております。だから、それを売ったらすぐそれだけ国が使えるという性格のものではございません。結局、上がったり下がったりしますから、外国為替特別会計は黒字になったり赤字になったりすることがあるんですけれども、それに見合うものが日本銀行の方に借りた格好になっておりますから、それを売ったら国がじゃんじゃん使えるという性格のものではございません。
  151. 渋谷修

    ○渋谷委員 そうすると、その国債というのは、先ほどの会計の処理の中でいえば、資産ということにはなっていないわけですか。
  152. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 対外資産債務残高というのを見ますと、一方に証券投資、外国証券などがございまして、他方にやはり債務が見合っておりますから、それを売ったらすぐ国の財産として使えるという性格のものではございません。
  153. 渋谷修

    ○渋谷委員 その議論は、もう少し私も研究をしてさらに詰めたいとは思いますけれども、いろいろな経済学者から、もちろんいろいろなところでレクチャーを受けるわけです。同じ指標を使いながら、悲観論と楽観論と、それから超悲観論の方々は、もう来年はクラッシュ間違いない、日本経済はもたないと。  これだけの借金が次から次へと積み上がっていって、さらに銀行で破綻するようなところも、既に巷間ささやかれているようなところもあるわけですから、長銀でさえあの何兆円という金額、あるいは日債銀、そのほかにさらにつぶれるなどということがあったらこの国の財政状況はもたないわけだから、当然これは景気にも大きな影響を与えるわけで、もう来年はクラッシュしかないということを堂々と言う経済学者の方もいるんですね。  経済学者というのはお医者さんみたいなものですから、きょうの中山さんの話じゃありませんけれども、病人の見立てというのはそれなりにきちんとできるのかというぐあいに思いましたら、どうも最近私は、火の中に甲羅を投げて割れたひび割れで先を占うような、その程度のたぐいかなという感じがしてならないのです。これだけ同じ指標を使いながら見通しが違うんですから。  ここは、民間から抜てきされて、まさに御殿医として国のこの状況を何とかしなければならないという任務を背負って内閣に入っているわけでありますから、来年の三月、来年の夏には日本の経済はどうなっているかということについて御見識は当然あろうと思いますので、ぜひお話をお願いいたします。
  154. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 現在の小渕内閣の政策といたしましては、昨年、非常にデフレスパイラルの危険がございました。これをまず脱出して、ことしはとにかく〇・五%のプラス成長にするというのを目標にしてまいりました。これはどうやら達成できそうでございます。  来年はさらにこれを後押しいたしまして、来年の後半には本格的な回復軌道に乗せたい、そして再来年、二〇〇一年度には新たな成長軌道に乗せたいと考えております。
  155. 渋谷修

    ○渋谷委員 ここの議論は、どう考えましてもだんだん禅問答みたいな話になって、現実の問題として果たしてどうなのかということは、来年になってみなければわからないという部分もありまして、いずれ時間も十分とって機会もあろうと思いますので、そこでまた改めてやらせていただきます。  いずれにせよ、日本の経済がなかなか上向かないという原因の一つには、言ってみれば、私どもの足元に不安というふちが広がっているわけでありまして、底が見えれば、まだあそこまで行けばという気になるんですね。ところが、千鳥ケ淵がふちぐらいならいいんですが、まるっきり底の見えない、そういう不安というのが広がっていますと、例えば積極的に物を買おうという気にはなりませんし、企業でいえば、新たに店を直そうとか投資をしようという話にならないわけですね。  なおかつ、きのうからの議論のように、大規模なリストラ、本来、社会的責任をもっと痛感しなければならない大企業が生き残りをかけてどんどんどんどん首切りをしていく。これをテレビやその他で目の当たりに見ていましたら、中小企業皆さんが積極的に仕事をしよう、積極的に店を改造しようなどということにはなりません。かつての高度成長のころから比べれば、三割減などという話ではないわけですね、堺屋大臣。もう五割、七割減ですよ。  そういう現実の中で中小企業者が経営をしているわけでありますから、言ってみれば、ここに対してどうやって燭光、明かりをともしてあげるか、あるいはそういう期待を持たせてあげるかということが、中小企業国会と言うならば、本当はその任務をこの国会が負っていなければならないはずだと私は思います。  ところが、残念かな、この間の議論の中で、この中小企業基本法の改正案につきましても、正直な話、これまで銀行も助けた、大手ゼネコンにも徳政令と称し巨額の借金を帳消しにしてやった、中小企業のことは後回し後回し、ここへ来てせっぱ詰まって選挙が間近、一応スローガンだけ掲げれば、中小企業者は、ああ、何か考えてくれているかというぐあいに思ってくれるかという程度の国会なんですよ。  きょうあたり、団体を呼んだり中小企業者を呼んで話を聞きましても、この中小企業基本法の改正について、なるほど、よくやってくれた、ぜひやってくれなどという声を上げる人はそんなにはいませんよ、大臣。政府系の中小企業団体ならいざ知らず、それは、政府がやることについて反対するわけにいきませんからということになると思うんですが。  私は、中小企業基本法の今度の抜本改正について、答弁を得るような話ではないのであえて申し上げますが、事務的には数カ月でしょう、審議会にかけて議論したというのは。ほんの数カ月ですよ。それこそ歴史的に、この時代状況の変化の中で大胆にやらなければならないということであるならば、全国五百万、六百万という中小企業者がいるわけでありますから、当然そういう隅々のところまで行っていろいろなアイデアを聞く、助言を聞き、提言を聞いて、そして新たにつくる、新しい時代の二十一世紀の日本の中小企業基本法というのはこういうものだと、対象となる中小企業者みんなが自信を持って、元気を持ってこれに参画してくるぐらいのことがなきゃいけないんです。  この国会の審議が始まったら、本当は傍聴席は全部中小企業者で埋まるような状況になっていなきゃいけない。かつて分野法のとき、大店法のときはそうでしたよ。きのうからすかすかじゃないですか。関心を持っていないということなんです。中小企業団体方々だって、関心があれば次から次へと傍聴に来るんです。しかし、関心を持っていないです、結論から言えば。  それは、理由がいろいろあります。もう余り時間がありませんから、結論じみて申し上げます。  というのは、先ほど来、きのうからも申し上げましたように、巨大与党の前で別に敗北主義に立っているわけじゃありませんが、通産省が、あるいは中小企業庁が一体になってこの改正案を出してくる。私どもが委員会でどれだけ正論を述べましても、そのことが通用するような、そのことを入れて、じゃ、こう直しましょうという場では実はない、そのことは重々承知であります。  しかし、いつまでもこの関係じゃありませんからね。次に衆議院の選挙、政権選択をする選挙があるわけでありますから、当然そのときには我々はそちらに座らなきゃいけない責任を持ってあえて申し上げているわけです。私どもが政権をとったらこうしますよということで申し上げているわけでありますが、今度の中小企業基本法の改正については、私は、この時代状況の中でいえば根本的な誤りがあって、こういう方向に進むべきだということを申し上げておくならば、今度の定義の拡大によって中小企業政策が何を目指すのかということが余計わからなくなってしまいました。  だって、九九・数%でしょう。一〇〇%、日本の企業群のほとんどが中小企業政策の対象になっちゃうんですよ。これでめり張りがききますか。小規模企業、製造業であれば二十人、あるいは小売業、サービス業であれば五人以下。これが日本の企業群の中でどれだけの比重を占めるかといえば、八十数%です。大臣が実感として感じられるのはそういう中小企業群でしょう。  我々、町場にある人たち、この人たちが地域を守り、地域の経済を支え、地域の社会、地域の文化、伝統を守っているんです。これを弱者と規定してはいけません。保護しなきゃいけないという規定をしてはいけません。これは積極的に位置づけなきゃいけないんです。すみ分けなんです。中堅で上っていく人は上っていく人、大企業として、より大きな社会的責任を持って、国の期待を持って仕事をしなければならない人たち、これはすみ分けなんですよ。  通産省の頭は、基本的にアメリカナイズされて、経済の合理性と効率性しか考えていない、だから、こういう案になっちゃうわけです。より中小企業に対してめり張りのきく対策をやろうとするならば、まさに、大規模企業対策ということと中堅企業対策ということと小規模企業対策ということに、これは定義で分けられますから、明確にそういうぐあいにして、その中で小規模企業政策をどうするかということを実は具体的に位置づけなければいけないんです。大臣はもちろん、答弁に立てば、いや、そこには気配りしていますよ、私どもはそれは大事なことだと思っていますよと答弁では言います。  ところが、きのうも配られましたこの資料の中で、提案理由の説明でありますけれども、法案の中で提案理由の説明というのは、提案をするときの一番重要な部分を位置づけるものなんです。そうでしょう。重要な部分を位置づけて、そうでない部分ははしょります。一番訴えたいところがここに来なくてはいけないのです。そうでしょう。  大臣、小規模企業のことは忘れていない、大事にしますと言ったって、小規模企業についてはここでは消極的な位置づけはしてあっても、積極的な位置づけはありません。小規模企業というのは一カ所出てくるだけですよ。これでどうして、この法案の提案の中で、小規模企業のことは忘れていない、これを積極的に位置づけるのだということが言えますか。小規模企業者に対する配慮ということしか規定としては出てこない。
  156. 堺屋太一

    堺屋国務大臣 先生の御指摘、非常にごもっともな点もございますが、この案をつくったのは決してそう早急なことではございませんで、いろいろと世の中の変化、特に知恵の時代を迎えて、規格大量生産の時代からどう変わるかというようなことを長らく研究してまいりました。  先生御指摘のように、小規模企業に対する配慮というのはこの法案の実施の中では十分考えていかなければいけないことだと考えておりますけれども、決して忘れているわけではございませんけれども、そういう先生の御指摘、お気持ちは大切にしていきたいと思います。
  157. 渋谷修

    ○渋谷委員 では、大臣がいる間にあと一問だけ。いいですか。もう時間ないのでしょう。(深谷国務大臣「クエスチョンタイムが二時からなんです」と呼ぶ)わかりました。では、私にとってのクエスチョンタイムは、そうしましたら、次の機会にまた改めて両大臣にはやりますが、あと政務次官が残られるでしょうから、では政務次官とやらせていただきます。  今申し上げましたように、独立の中小企業、多様で活力ある中小企業を育成振興していきたいということなんですが、細田さんは、もとお役所におられたわけだからこれはおわかりになるだろうと思います。  中小企業庁設置法、お手元にありますでしょう。中小企業庁設置法、これは昭和二十三年の法律です。本当言うと、進駐軍が来て、米軍が来て、それで、こういう政策が必要であるということで役所をつくらせたときの多分翻訳だろうと思うのです。翻訳でなければこういう表現には多分ならないはずです。これは私の勝手な解釈ですよ。  中小企業庁設置法の第一条「法律の目的」に、   この法律は、健全な独立の中小企業が、国民経済を健全にし、及び発達させ、経済力の集中を防止し、且つ、企業を営もうとする者に対し、公平な事業活動の機会を確保するものであるのに鑑み、中小企業を育成し、及び発展させ、且つ、その経営を向上させるに足る諸条件を確立することを目的とする。 今回皆さんが取り上げた、本当に新しい、これからの時代に、環境変化があったからこれをやるのだというぐあいに言っているものとそんなに変わらないと私は思いますよ。  「独立の中小企業」という表現の仕方というのは、まさに今皆さんが求めているものですし、これが既に昭和二十年代の中小企業庁設置法の中にそういう指摘があって、そういう中小企業を振興育成しようという観点はあったのです。ところが、中小企業庁も通産省もこれをまともに、自分たちの目的をきちんと理解していない。だから今ごろになってこんな政策を打ち出してくるわけで、実は何にも新しくも何ともない話なのであります。いかがですか、細田さん。
  158. 細田博之

    細田政務次官 今御紹介のあった中小企業庁設置法については、省庁再編、再来年経済産業省の発足に伴いましてまた法改正を検討しなければならないというわけでございまして、これについてはまたこの基本法に合わせて変えることも検討しておりますので、そこは念のため申し上げます。  中小企業に対する基本的な対策の大きな根っこにあるものが大きく変わっているのかというと、やはり大きなところは変わらないところも多いのです。その中で、ただ、従来、いろいろ講じてきたことで、古いタイプの中小企業政策もかなりありましたので、そういうものを変えていくとか、それから新しい事態に対して、ベンチャーとか先端的な企業の対策もあるわけでございますから、そういう前向きなことも含めて考えるという意味が込められていると御解釈いただきたいと思います。
  159. 渋谷修

    ○渋谷委員 細田さん、私が言っているのは、昭和二十年代の中小企業庁設置法の目的の中には、実は今皆さんが新機軸だということで新しく打ち出している内容が既にその時点でうたわれていたということをぜひ理解していただきたいということです。  もっと早く実はこういうことについては取り組まなければいけなかった。ところが、皆さん自身が指摘をしているように、これまで日本の中小企業問題については、経済の二重構造論を背景とした云々かんぬんとありますでしょう。これは特定の思想に基づいた日本経済の分析から出てきている議論なんですよ。こんなものはとっくに、昔にこんなものはもう終わっているのですよ。  私も、二十年以上中小企業問題に取り組んできていますけれども、十年前に書いた私自身の本ですが、この中でも、中小企業は、こんな二重構造論の中で虐げられ、搾取されているような存在ではない、それぞれ非常に多様で、それでさらに地域を守ったり、地域の中での非常に魅力ある、その地域をつくるための取り組みだとか、そういう多様な役割をしているのだ、成長を抑制された惨めな存在という一方的な見方は変えなければならないということを十年前の私自身の本でも言いましたし、別に私自身が言ったということではない、その当時、中小企業問題にかかわった多くの学者たちはそういう認識でしたよ。  ところが、中小企業庁だけはどういうわけか二重構造論に引きずられてきたというのが実態なんです。だから、ここへ来て、相も変わらずこういう形での政策提起になる。私に言わせれば、まるっきり白けた話でありまして、今ごろこんな論理で一体何をやるのか。  ベンチャーとか創造的企業というのは今どきはやりですから、それはいいのです、私もそれは否定はしません、大いにやらなければいかぬ。やるための対策も幾つか具体的なアイデアはありますから、それに対する関連法案はこれからさらに出てくるようでありますので、そのときに具体的な提案をさせていただこうというぐあいに思っておりますが、それも含めて、実は小規模企業政策です。例えばSOHOという形で新たに事業を起こすなどというのは、まさに一人でどこかに小さな部屋を借りて、あるいは自宅ででもいいですよ、コンピューター機器を使って事業をやる、まさに小規模企業ではありませんか。この議論は余りやりません、もう余り時間がないので。  ただ、細田さんには、本当は両大臣がいたときに理解してもらいたいと思ったのですが、きのうもある委員からフランスのロワイエ法について、名前だけ出ておりました。このロワイエ法という法律はその後改正されてラファラン法というぐあいに呼ばれていますけれども、名前はその法律を成立させたその当時の大臣の名前でありまして、中身は商業及び手工業の方向づけに関する法律、言ってみれば、日本で言う中小企業基本法に匹敵するような法律なんですね。どちらかというと大店法、大型店規制の方で引用されますので、このロワイエ法はフランスの大店法だというぐあいに誤解している方もいらっしゃいます。実はそうではない。これは言ってみればフランスの中小企業基本法。  我々が、古い時代から新しい時代に適用できるために法律を変えようとすれば新旧対照表をつくるでしょう。役所では当然やります、どこの部分をどう変えるか。この中小企業基本法も、一体どこが私が納得いかないのかということを明らかにするためには、このロワイエ法と比較してみればよくわかる。  お手元にないでしょうから簡単に申し上げますと、ロワイエ法では、例えば第一条では、経済的、政策的目標というのが掲げられています。流通の新しい形態の発達が小規模企業の倒産及び商業設備の過剰を招くことを阻止しなければならない、というふうなことがその政策目標の中に明確に出てくるのです。  さらに第二条では、職業訓練ということが出てきます。中小企業、向こうでは、例えば手工業もそうですが、そういうことが、フランスの伝統的な社会あるいは地域を守るということが非常に重視されているわけですね。これは保護するという感覚ではないです。だからそこに、学校が終わったらすぐ働けるように、学校の中に職業訓練ということの教育システム、カリキュラムがきちっと位置づけられている、大学教育の中にも、あるいは見習い教育の中にも。中小企業がそういう学校に行っている子供を見習いとして雇ったら、それに対する助成、支援措置もあるわけですね。  さらに税制についての措置ももちろんあります。さらに社会保障についての措置もあります。もっと言えば、商売をやっていてどうしても働けなくなる、年を食って働けなくなる、それに対する営業補償の規定もあります。あるいは店を閉めるときには、それに対する給付金もあります。奥さんが一生懸命働いていて、奥さんが妊娠した、出産しなければならない、それに対する保険の規定もあります。あるいは老齢年金もあります。  さらに、経済的な規制ということで、申し上げました大型店規制が実は出てくるわけですが、向こうはラファラン法ということでさらに規制を強化いたしまして、規制の対象面積を三百平米まで下げたのです。フランスでは下げたのです。日本では大店法を廃止しました。  そしてさらに、大店法とラファラン法の決定的な違いは、ラファラン法の方は許可制であります。日本の大店法は届け出制。つまり、大店法は、届け出をすれば、あと一定の調整項目はあるけれども、あとは出店自由なんです。ラファラン法の方は許可制です。許可基準に合致しなければ許可されないということです。それを許可するための審議をする委員会には、中小企業者も入りますし、地域の政治家も入りますし、消費者代表も入ります。オープンなところで議論して結論を出していくわけです。  さらに、きょうの議論の中にも出ておりました。例えば、市場で地域の八百屋さんは仕入れをする。それぞれ入札をして仕入れをするわけですが、大手のスーパーはその前に先取りをして、市場にその品物が来る前にそれを横取りしてしまう。市場に出てくる品物というのは本当に何割にしかすぎない状態になっているんです。それこそ、市場(しじょう)ということでいったらこれほどの不公正はありません。  例えばこういうことについても、差別的取り扱いの禁止ということで、商品または役務の原価に関する差額によって正当化されない差別的取引の価格または条件をつけることは禁止する。つまり、先ほど言った、大量に買うから安くしろ、中小企業だから高くするというのはだめだということです。つまり、競争条件を公平にするということです。当たり前のことじゃないですか。あと、不当廉売とか景品つき販売等についての制限もあります。  さらには、基本法の中にこんなきめ細かな指摘もありますよ。商業企業による腐敗しやすい食料品の代金の支払いは、品物を引き渡したその末日から三十日の期間以内にこれをなされなければならない。どうですか。きめ細かでしょう。これがまさに基本法という形で、フランスの場合は既に現在もこの法律が生きておりますし、活用されているんです。  規制緩和というのが世界的な流れのように一般に言われておりますし、そのことで仕方がないということで通産省は今度のようないろいろな対応をしてくる。  そこで、実はフランス大使館にお願いをしまして、本国政府に照会をいたしました。フランスでは一体これはどうなっているのか。アメリカからの規制緩和の要請はあるのか、一切ない。規制緩和の要請はない。フランスはこのラファラン法について今後改廃する予定はありません、今後もこの法律は私どもは運用してまいりますというのがフランス政府の私に対するファクスでの回答です。  どうですか。中小企業問題に対する哲学が違うでしょう。アメリカのような経済合理性、効率性だけでやっていけるんですか。日本にはもともとから、先ほど中小企業の定義という議論も申し上げましたけれども、すみ分けという考え方はあるんじゃないですか。  細田さんならごらんになったことがあるだろうと思いますが、これはもう二十年前に出されている本ですよ。シューマッハーの「スモール・イズ・ビューティフル」という本。ここにも中小企業の有為性、中小企業のすばらしさということが得々と説かれてありまして、大規模企業、大規模システムの危うさというのがこの中で指摘されています。今度のような原発の事故の可能性などもこの中には出ているんです。だから、中小企業を積極的に続けてこれを振興育成することは、何も保護政策ではないんです。  細田さん、ここのところがわからないとこの基本法の議論はできないわけです。幾らやっても、あなた方は依然として中小企業を弱者というぐあいに思っているから、そこにはまり込みたくないので、こういう提案の中にもきちんとした位置づけが出てこないということがあるわけです。  私がつい演説をしてしまいましたけれども、質問時間がなくなってきました。根本的なところがかみ合わないと議論にならないから、あえてここまで中小企業原論みたいなことを申し上げているわけですけれども、いかがですか。細田さんと、せっかく小池さんも残っていらっしゃるので、中小企業問題についてぜひお考えを聞かせていただきます。
  160. 細田博之

    細田政務次官 フランスのロワイエ法を例に挙げられながら貴重な御意見を承りました。  我が国は、御承知のように、大分前に基本法をつくって以来といいますか、その前から中小企業については、御存じのように、本当にきめ細かくあらゆる施策をとってきたことは事実でございます。それは世界に冠たる中小企業政策であって、私も最近政務次官になりまして、久々に戻ったものですから、「中小企業施策のあらまし」という本があったはずだ、あれを見せろ、あれを見れば、金利でも何でも、制度でもみんなわかるんだと言って持ってきてもらったら、こんなにあるんですね。これは本編と資料編に分かれていますけれども、それを読めば読むほど、最近の法案も含めて何十本も関係法があって、先ほどの法律の中であるような中身も、例えば下請関係の法律もあれば伝統産業を振興する法律もあれば、さまざまな振興法あるいは調整法もあるわけでございます。  そういった中で、基本法というのはあくまでも基本法でございまして、日本的な法典の考え方から見ると、大枠を決める、それが、今おっしゃった、いろいろな問題点を書いていない、あるいは趣旨として全く採用していないではないかというのは早計でございまして、私は、よく読んでいただきますと、中には入っていると思っております。そして、その貴重な御意見は、必ず、私どもも、これから皆さん方とも協議しながら、個別の問題として考えていかなきゃならないと思っています。  それで、現に、先ほどの御質問にお答えしましたように、取引面の調整の問題、規制の問題、どうだと言われれば、これからもさらに強化していきましょうというふうにお答えしているわけでございまして、個別の議論、あるいは先ほどの金融の議論でもございましたけれども、我々は中小企業のためにある役所でございますから、その点、思いは私は大差ないと思っております。
  161. 渋谷修

    ○渋谷委員 それは全く入っていないんです。ですから、そういう意味でいえば、まず哲学の部分もそうでありますし、具体的な内容についても、中小企業者がなぜ今度の改正問題について自分たちの問題だということで関心を持たないかといえば、その中小企業者に対する目線、そういう温かさ、心配りがないからなんですよ。これが一番のこの法案の、改正についての言ってみれば欠陥です。決定的な欠陥。  あとは、実はそういう公正な競争条件を確保するための下請企業の問題、きょうも一部出ていましたけれども、時間がないので、あとはJRの問題だとかその他ありますが、これはまた改めて次の機会にやることにいたしますが、一つだけ——ごめんなさい、小池さんに聞いたのだ。それでは、小池さん、中小企業問題で御感想を。
  162. 小池百合子

    小池政務次官 流れ弾が飛んでまいりましたので、お答えさせていただきます。  午前中も申し上げましたように、中小企業は我が国の企業数の中の九九・四%ということで、我が国のダイナミズムの源泉であるということを申し上げてまいりました。よって、その中小企業対策なるものは、それほど重要な我が国のベースになるものであるということを踏まえまして、今回の中小企業基本法の改正ということにつながっているものと理解いたしております。  一つだけ申し上げますと、中小企業も今大変多様化いたしております。中には、ある種、これからグローバル化することによって、国際性、世界のマーケットの中で戦おうという人たちもいる。また一方で、極めて伝統的にこの産業を守っていきたいという方々もおられる。ということで、中小企業を一律にとらえるのではなくて、ある種、選択性を持たせた上で、そしてグローバルな世界に飛び込もうという人たちにはその選択を、そしてまた、商店街等々含めまして、これからの日本の文化として守っていこうという方々にとりましては、これはむしろそれらを守る方法ということで多様性を持たせていこう、そういう理念の変更もあるということを御理解いただきたいと思います。
  163. 渋谷修

    ○渋谷委員 せっかく声をからして一時間近くお話をしたのに、相変わらず小池さんもわかっていない。  私は、中小企業を九九・何%なんて言っていないんですよ。実感としての中小企業は小規模企業ということで八十数%でしょう。小規模企業対策と中堅企業対策とその他大企業対策ということで、めり張りのきいた形での政策展開をしなければだめなんですよ。九九・何%とボリュームがあるから中小企業は我が国の経済を支えているという認識は根本的に間違っているんです。だから、そこがわからなきゃだめなんですよ。  とりあえず、時間が終わりましたので、これにて終了いたします。ありがとうございます。
  164. 中山成彬

  165. 山本譲司

    山本(譲)委員 民主党の山本でございます。  同僚議員に引き続きまして、中小企業基本法等の一部を改正する法律案についての質疑を行わせていただきます。  さて、本日は国会歴史上でも記念すべき日でございまして、首相と野党の党首が一問一答で、一対一で党首討論を行ういわゆるクエスチョンタイムが導入をされて、きょう初めてそのクエスチョンタイムが実現をするわけでございまして、まさにこの時間、ちょうど始まっているころだと思います。したがいまして、その関係で私の質疑には深谷通産大臣堺屋経済企画庁長官出席できないということで、私自身まことに残念に思っておりますが、しかし、このクエスチョンタイムの導入に対しては大賛成という立場からいたしかたないと思っております。  本来ですと、大臣が都合がつかないとなりますと委員会は開催をしないというのがこれまでの慣例でございましたが、きょうは、この間の国会改革の中で政府委員制度が廃止をされまして、それで、政府委員にかわってというよりも、副大臣というような位置づけで政務次官皆さん政治主導で答弁をされる、こういうことでこの委員会が開催をされているわけでございますが、これまでともすれば、政務次官といいますと盲腸というようにやゆをされたりもいたしておりました。これからは、大臣と同じぐらいの重責を担っているんだ、そんな気持ちでぜひ御答弁をいただきたいと思います。  細田政務次官小池政務次官、それぞれ、この商工委員会で取り扱うテーマにつきましてはプロフェッショナルとして、あるいは専門的に取り組んできた経歴をお持ちの政務次官でございます。どうか、後ろの事務方を振り返ることなく、政治家として自分自身のお考えを忌憚なくお話しをいただければと考えております。  それでは、早速質疑に入らせていただきます。  まずは、今回全面的に改正をされます中小企業基本法、さらには中小企業を取り巻く状況についての基本認識でございますが、今回の改正を見てみますと、やる気のあるというか、可能性のある中小企業はこれからどんどん伸ばしていこうと。いわゆる保護的な側面から、自助努力、それを支援をするというぐあいに中小企業行政を転換をしていかなくてはならないということだと思います。まさに産業界の構造改革を目指すという趣旨だと思うんです。  しかし一方で、きのうまたきょうと、私ども民主党は、中小企業団体皆さんとの意見交換の場も持ちました。また、それぞれの議員皆さんが日ごろから中小企業経営者から切実な悩みもまた相談も受けられていると思います。倒産の危機といった大変苦況にあります中小企業を支援していかなくてはならないと。その意味では中小企業の保護主義的な部分も残していかなくてはならない。しかし、果たしてこの間、中小企業を政府は保護だとか支援を積極的にしてきたのかというと、疑問の残るところでございます。  いずれにいたしましても、こうした保護的な政策というのを今後どのくらいのボリュームでやっていくのか、また、いつまでやっていくのかということが大きな問題になってくると思います。しかし、この支援、保護というのも、当然、ばらまき的なものですとかえって中小企業の足腰を弱めて、産業界の構造改革というのを先送りをしてしまうおそれもございます。  したがって、私は、やはりしっかりと、先ほど来お話のありますような小規模の零細企業に対してはしっかりとセーフティーネットを敷きつつ、やはり中長期的に日本の経済を見てみますと、できるだけ早くこういう多少ばらまき的な、緊急避難的な措置はやめて、あるいはめどをつけて、そして公の補助ですね、そういった公需から民需へとやはりバトンタッチをしていくべきだと思っております。  こうした認識につきましてそれぞれの政務次官皆さん皆さんといってもお二人でございますが、細田政務次官小池政務次官、それぞれどのようにお考えでしょうか。
  166. 細田博之

    細田政務次官 昨日来の討議で私伺っておりますと、保護という言葉もいろいろに使われているような気がいたします。それは、基本法にもともと書いてある趣旨の中で、これは三十数年間来た思想の保護というものと、最近の不況下における中小企業、これ、何とかセーフティーネットを提供し、しかも、根底にありますそれこそ小規模企業も含めて中小企業の中小性といいますか、そういった点に着目して特別の措置をとるべきであるということとは若干違うと思っております。  我々がまず、過去から来ました保護の思想というものを変えなきゃ、もう変わっているという指摘もありましたけれども、まさにもう変わっておるわけでございまして、例えば業種ぐるみに大臣が基本方針を示して、それに基づいて近代化をしなさいとか、あるいは共同事業を次々に組合を形成してつくりなさいとか、あるいは、どうぞカルテルを不況のときにはやってくださいとか、あるいは、言われなくても、手とり足とり役所が中小企業を個別に指導をいたしましょう、そういうようなこと。  あるいは、その前にさかのぼれば、貿易の自由化のときも資本の自由化のときも特恵関税の導入のときも、もうありとあらゆる保護の施策をとってきたのです、昭和四十年代から五十年代までは。こういうものはもう事実上はやめているんです。しかし、基本法の思想にはやはりそういうものが残っておって、それを変えなければならないなということは長らく言われておりました。そして審議会でも、中小企業の基本政策の審議会で、何とかこれを現実に合わせていこうという声が片方でありました。  しかしそのことが、今ある中小企業の困難、あるいは、普遍的に常に不利さとして経済界の中で中小企業が負っておる困難性、これはいつまでも、これからも絶えることはないのであります。先ほどから各委員から御指摘があったとおりでございまして、そういったものに対してはこれからも引き続きずっとこの政策をとっていかなきゃならない、このことが基本にあるということを御理解いただきたいと思います。  それに加えまして、さらに新しい産業の芽を、あるいは企業の芽、創業の芽、ベンチャーの芽を育成しようということが一味加わっておるというものの、中小企業政策の大宗においてそれほど最近の政策をさらに大きく変えるものであるということでは必ずしもない。  もう既に、先ほども渋谷議員からも御指摘ありましたけれども、企業の独自性に立脚して、業種ぐるみとかいうんじゃなくて、個別企業に着目して政策をとっていこうというのは、ここ数年来の、もう何本も法律国会で通していただいたわけございますから、その中でもうどんどん実現が行われている、そういった中での基本法改正だというふうに御理解をぜひいただきたいと思うわけでございます。
  167. 小池百合子

    小池政務次官 今回の基本法の改正というのは、そもそもは通産省の管轄でございますが、しかしながら、経済に及ぼす範囲が極めて大きいという点からお答えを申し上げたいと思います。  中小企業は、先ほども申し上げましたけれども、企業数では全体の九九%を占めている、と同時に、雇用の面、従業者数では全体の七八%を占めているというのが現状でございます。  昨今、やはり雇用不安というものが出てきております。そして中小企業は、昨年の金融危機を踏まえ、また産業構造の変革などさまざまな構造的な改革の中にあって、雇用を守るという観点からも、今ある中小企業をしっかりと支え、そして、今度新たに出てくる企業を育てていくというこの両面が必要ではないか、また、それによって日本経済に与える影響も極めて大きいものがあるというふうに考えているところでございます。
  168. 山本譲司

    山本(譲)委員 先ほど渋谷委員の方から堺屋長官に今後の経済見通しについて質問があったわけでありますが、そうした見通しというのは、当然こうした一つ一つ政策によって変わってくると思うのです。  先ほど私が申し上げましたように、例えば信用保証枠の拡大でありますとか、そういった緊急避難的な措置、これが一体いつまで続くのか、いつまで繰り返されるのか、それがきちんとめどが立ってこないというところに、中小企業皆さんも、実はやっぱり回復はずっとしないのじゃないか、そんな不安があるのではないかと思います。  したがいまして、例えば今、政府の政策目標として、創造的な中小企業を創設することでこれから三年から五年の間に一万社ふやして三十二万人の雇用を創出するでありますとか、あるいは年間の開業企業、これを十四万から二十四万にする、こんな具体的な数字が出ているのですが、どうも先が見えないと数字だけが躍っているようで、結局は、これまで繰り返されたように、先ほど丁寧に細田政務次官からお話のありましたように、何度も何度も新しい法律をつくったり、また、法律を統合して、新しくその時々に対応するような法律につくりかえたり、特にこの間すさまじい政策的な対処はされたと思うのですが、しかし、一向にその改善の兆しが見えてこないというのが実際の中小企業の経営者の皆さんの実感ではないでしょうか。  したがいまして、こういった政策によって、そういう緊急避難的な措置から、安定した、これまでの既存の企業をきちんと支援していく、可能性のある企業はどんどん引き伸ばしていくために支援をしていく、そういった、多分今回の中小企業基本法の中に盛り込まれている、まさにそこが主眼点だと思うのです。そういった状況になるのはいつなのか。どうお考えでしょうか。これは細田政務次官に。
  169. 細田博之

    細田政務次官 大変難しい御質問でございまして、それこそが、今我々が、すべて国会も政府も含めて抱えている課題だと思います。  そうして、この不況状況から脱却するために必死に、先ほど議論がありましたように、政府も赤字を抱え、六百兆円を超えると言われる公的債務を抱えながらも、さまざまな、公共事業も含めた今度の補正予算あるいは来年度の積極予算もやっていこうというところまで踏み切る、その大もとの理由になっておるわけでございます。  しかしながら、当然ながら、これからそのままでやっていっていいわけではございません。それから特別債務保証の問題も、これから際限なくどんどん保証を積み重ねればいいかといえば、今まさに議員がおっしゃったとおり、もうどこかでそろそろそういったことはとめなきゃいけないんじゃないか。  しかし、前に何人か同僚の議員の皆様方から御指摘のように、いや、それだけじゃやはりいけないんだ、もっと保障をしなければならないような実態の企業もあるし、まじめにやっている企業は、もっと支えれば、次に景気が戻れば、何とか生き延びてまた堅実にやっていけるんだから、それまで何とかするべきである。これは、例えば民主党の中でいろいろ御意見が違うというんじゃないんです。我が自由民主党の中でも両説があります。  しかし、やはり中小企業政策というのは、いろいろな方々、それも、何かふまじめに、ただ借りて踏み倒せばいいというような会社、それは中に〇・何%かいるかもしれませんよ。しかし、そういう人たちはごくまれなわけでございまして、基本的には、我々が相手にしております、対象としております中小企業は本当にまじめにやりながら苦労しているわけでございますから、この危機を乗り越えるまでそれは続けていって、そうして、今の政府見通しでもありますように、また堺屋長官から答弁しましたように、もう間もなく、来年度の措置をとればこれから脱却できる、安心して金融の状況ももとに戻れるようにするということが我々の願いであり、また目標であると申せると思います。
  170. 山本譲司

    山本(譲)委員 どうも来年には回復をしたい、そういう願いだというようなお話でございます。  これは通産省だけじゃないと思いますが、結局、政府の政策がいつまでに、GDPの問題はございますが、例えば保証枠の拡大にしても、これは当初三兆円とかそういう話で伺っておりましたが、ここで十兆円ということになったのですが、めどを立てずに、この十兆円という数字の根拠というのもわからないのですよね。結局同じような、いわばばらまきですよ、そうなったら。支援でもなくてばらまき、理屈のない、理屈を説明できないお金をどれだけ投入していいのか、大変不安なんですよ。  では、この十兆円の根拠というのは、これは政務次官、お答えください。
  171. 細田博之

    細田政務次官 追加の十兆円について、特別の積算根拠があるというわけではございません。むしろ、これは保証の枠でございますから、例えば補助金の枠というふうなことになった場合には、この補助金を国民のために全額使い切って、これで政策目的を達成しようというわけでございますが、これは保証の枠でございますので、中小企業の皆様方が安心してお願いできる、つまり駆け込み寺と申しますか、本当にまじめな中小企業が金融に困ってきた場合には用意してありますよと、このことに意味があるわけでございますから、何か今行かないともう足りなくなりそうだ、後が心配だというような状況をつくってもいけませんので、そういったことも加味して、余裕のある枠を用意してやるという趣旨もひとつ御理解いただきたいと思います。  なお、追加が必要であったことは事実でございまして、この約一年一カ月の間に十七兆八千六百十七億円もの保証実績があるということは、単純に伸ばせば十兆円ぐらいの額が必要な計算にはなります。しかし、もう相当保証しておるからそこまでは要らないのではないかという考え方も確かに理解できるところでございます。
  172. 山本譲司

    山本(譲)委員 今、これは役所も民間企業もそうですし、何か予算づけをする場合、きちんとむだな部分は省く、その上で、これだけの節約をしましたからこれだけの予算を計上します、これが普通だと思うのです。しかし、先ほど来渋谷委員からの質問にもありましたように、この間の銀行の融資を見てみますと、貸し渋り対策などについてもほとんどノーチェックだったんじゃないかと思わざるを得ないような答弁でした。こうした金融機関の保証の運用について、あれだけの税金を金融機関に投入しているわけですから、中小企業対策の一環としてもやはりもっと厳しく改善を求めていくべきだと思います。  特に中小企業の場合、これはよく中小企業皆さんお話をしていて、一番つらいのは個人保証制度だと。この個人保証制度、これは先進国の中では日本ぐらいですよね。よく独禁法に違反するのじゃないかというような議論をする方もいらっしゃいます。  しかし、大企業を見てみますと、経営者は、個人保証というのはほとんど私は聞いたことがないですね。中小企業の場合は、奥さんあるいは専務、子供まで保証人になることもある。そういった中小企業にきちんと効果のある、そして本当に欲しい人が、ある意味で簡素な手続で借りられるような方策というのをきちんと整備した上でこれだけの数字を出すという姿勢が当たり前じゃないかと思うのですが、どうもその辺、欠けているのじゃないでしょうか。  これは大蔵の所管かもしれませんが、他の所管かもしれませんが、政治家としてぜひ、先ほど来渋谷委員からも質問のありましたような金融機関のチェック機能をきちんとやる、これは私ども民主党は金融アセスメントなどと言っておりますが、こういった機関を設けるということについてはどのようにお考えでしょうか。
  173. 細田博之

    細田政務次官 我が国の金融機関がどうしても物的担保を求める、そして、いわゆる抵当権だけでなくて、経営者の個人資産にまで抵当権を設定したり個人保証を求めるというような傾向がある。  また、中小企業団体についても若干問題がありまして、組合で、ある共同店舗をやろうというときに、借りるときにもみんな構成員は保証する。これは日本的な土壌に基づくのかもしれませんけれども、こういう問題について、私は、別の債務保証制度や政府系の金融機関の融資ということでできる限りの補完はしておると思いますけれども、なお今後、こういったことは関係の役所とも相談しながら検討していく、改善を図っていくべき点があるのではないかと思っております。
  174. 山本譲司

    山本(譲)委員 もっとも、政府系の金融機関だって担保主義でやっているわけですから、これはなかなか改善されないのじゃないか。  そして、通産省としては、融資に際して特許を担保にだとか、そういった政策などもこれから打ち出すやに聞いております。そういった場合、だれが基準をつくるのか、だれがそれをチェックするのか、制度はつくりましたけれども、結局はそれは今のままでは機能しないということになりかねないのじゃないか。もう一度お答えください。
  175. 細田博之

    細田政務次官 そうならないように知恵を、衆知を集めて新しい制度をつくってまいろうと思っております。
  176. 山本譲司

    山本(譲)委員 これ以上やっても堂々めぐりでしょうから、ぜひこれは通産に、これから本当に、いろいろな税制面の改正でも大蔵だとかそういう金融当局にもさまざまな働きかけをしていらっしゃるのでしょうから、その点も強く要請をしていただきたいという要望を申し上げたいと思います。  そこで、本来私は、どちらかというと世代的にも前向きの、そして夢のある話をしていきたいわけなんですが、しかし、まずは、この間の中小企業基本法に基づく中小企業政策というのが果たしてうまく機能してきたのか、効果があったのか、その辺をきちんと整理をしなくてはならないと思います。  したがいまして、こういうことはやってきたということは答弁でるる御説明がございましたが、この間の中小企業基本法に基づくさまざまな施策による効果というものはどういったものなのか、お話をいただきたいと思います。
  177. 細田博之

    細田政務次官 昨日来の議論の中では、大企業中小企業を比較した場合には依然として格差が縮まっていないのではないかという議論もありました。  しかしながら、この基本法制定以来の三十五年間の歴史で見ますと、この数年はちょっと調子が悪いわけでございますけれども、少なくとも三十年見た場合の統計を見ますと、日本経済は本当に飛躍的な成長を遂げていったわけです。オイルショックがあったり、ドルショックもありましたし、もういろいろな障害があり、その中で好不況を繰り返してはきたわけでございます。  その中で、過去に想定いたしましたような、大企業が有利であるから、付加価値にしても、生産性、賃金、これがどんどん伸びていって、いよいよ中小企業は没落をしていくというような姿ではなくて、私は、ほとんどパラレルに近いのでございますけれども、中小企業はよく健闘してきたと。  そして、国民の中には、今の不況の時代ですから、中小企業は本当に大変だという認識が深まっておりますけれども、それでは三、四年前までの何年間かは、いや、中小企業というのは本当に惨めで気の毒で、その従業員になるのはかわいそうだというような目であったかというと、そうでもない。  それは、一応中小企業政策というものとも相まって、しかし私は、山本議員がおっしゃっておられますように、余り政策を過大評価したくはないのです。それは、中小企業は五百万もおられて、政府の政策といっても、手とり足とり五百万の方にすべて行き渡るようなことができるというふうにおごった考え方は持っておりません。それぞれの才覚とそれぞれの御努力によって営々と今日までやってきておられるということでございまして、それはやはり独自性とか独立性とかいっておる、これがこの自由経済の中で達成できてきているのではないかと私は思います。  しかし、今日の状況というのは非常に異常な状況、この三年間というものは、大企業でも倒産が繰り返され、戦後、大銀行や大証券や、それこそそういった大企業が倒産をすることは考えられなかったような環境がすべて起こってくるという異常事態でございますので、その異常事態の中で頑張っていただくための特別な措置をとっている、そういうふうに歴史的に見ると考えられるのではないかと思いますので、いささか長くなって恐縮でございますが、そういう私の考えを申し述べた次第でございます。
  178. 山本譲司

    山本(譲)委員 今のお話で、私の質問は、どういう効果かということに対して、答弁としてはかなりの効果というお話でございまして、その内容を聞いておりますと、結局は、いまだに中小企業は存在しているじゃないかということではないか、そういうぐあいに受け取りました。それは続いているところもありますけれども、大変この間多くの中小企業も倒産をしてきております。  それと、最初に格差の是正というお話をされましたが、この格差の是正も、きのうは、労働生産性と賃金の問題で格差が縮まっているどころか開いている数字もある、そんな指摘もございました。結局、効果があったかどうかというのは甚だ疑問でございます。どうも実効性に乏しかったのではないか。  先日来の質疑深谷通産大臣は、中小企業に対してはこれからきめ細かな対応をするという答弁を何度も何度もされているわけでございまして、これは、裏を返せば、これまできめ細かな対応がなされていなかったんじゃないか、こう思ってしまうわけでございます。  先ほど、吉田議員から中小企業の範囲の定義についての質問がありましたが、私もこの件について若干触れさせていただきたいと思います。  今回の改正で、サービス業と小売業が分かれて、四業種で範囲が定められることになったわけでございます。しかし、技術の進歩でありますとか、また新規事業の誕生でありますとか、ますます中小企業はこれから多様化をしていくと思います。それぞれの産業にまさにきめ細かな対応ということをやるには、この四つのカテゴリーでいいのかどうなのか。聞くところによりますと、アメリカでは細かく七百ぐらいの業種に分けているというような話も伺いました。  それでは、まず、きめ細かな中小企業対応を行うという意味での産業範囲の細分化ということを今後考えられるのかどうなのか。それをぜひお聞きしたいのと同時に、さらに、ヨーロッパ、EU諸国では、定義をする上での指標を、単に資本や従業員数だけではなくて、その企業のバランスシートですとかそういったものも用いている。こういう状況の中で、今回の中小企業基本法、やはり資本金と従業員数という指標だけでの判断になっているわけなんですが、この二点、こういった定義の問題について見直す、あるいはその前に、細分化の意義をどうお考えなのかということ等を含めてお答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、小林(興)委員長代理着席〕
  179. 細田博之

    細田政務次官 これまでの定義における分類を変えてはどうか、考え直してはどうかという御質問でございます。  製造業その他と言っておりますが、この中には製造業と、それから、かなり数も多いわけでございますが、建設業、それから、トラックとかバスとかタクシーとかありますけれども、運輸業、そういったものが入っております。そしてそのほか、卸、小売、そしてこのたび分けてサービスというわけでございますけれども、従業員の定義、資本金の定義でここまで上げてまいりますと、中小企業政策としては大体必要なところまでカバーできる。  これは今まで両様の考え方がありまして、今までの基本法で、基本法を変えてくれ、何とか今の法律を変えてくれというのに対して、非常に長く今日までかかったのは、通産省は、それは個別業界のおっしゃることはわかるけれども、基本法を変えるというのは大変なことだ、だから金融面で必要ならば少し上に上げましょうというようなことで、いわゆる大企業でないのに、上場会社とか世の中に知られた大企業でないのに、中小企業にも扱ってもらえない、その間に落ちる中堅企業、中堅企業と言っていますけれども実際は中小規模でございますね、むしろそういったところに光を当ててほしいということで長年の論争をしてきました。  そこで、このたびは、中小企業のさまざまな金融措置や予算措置も拡充してきたということもございますし、それからやはり今日、これからの状況を考えた場合には、むしろ定義を、そういう方々の御要望にもこたえながら上げていくのが適当ではないかという考えなんです。  それに対して、反対もありました。今までの議論を紹介しますと、小規模企業を中心として今までの範疇に入っていた企業は、せっかく中小企業予算というのをとっておって、さほどの額ではないじゃないか、それを中堅まで上げると、むしろそこに枠をどんどんとられて、中小企業の中でも中堅の規模の企業にとられてしまうのじゃないか、そういうことで非常に中小企業内部では論争があったんですね。そういうことがございますが、今の時代、どうやら全体において了解が得られまして、理解が得られまして、今日のところまで来たということでございます。  それに対して、例えば製造業と建設業と運輸業は、実態から見て、ここは三百人だ、ここは二百人だ、ここは百人だにすることが適当かというと、個別に実態を見てまいりますと、やはり三百人、三億というところで線を引いてもこれはいいのではないかと思っております。  それから、小売業については、確かに要望が強うございますが、これはよくお考えいただきたいと思うのですが、先ほど答弁しておりますが、パートは除いて結構だということになっておりますから、五十人の小売業というのはかなり大きいのですよ。  それで、なぜ五十人が要望があるかというと、いわゆる町のスーパーマーケット、地場のかなり大きなスーパーマーケットで、ここに一店舗、ここに一店舗というふうに、私どもの地元でも、松江市で七店舗くらい持っていて大手スーパーと組んずほぐれつ頑張っている中堅スーパーがおりますけれども、そういうところは五十を超えて百人近く従業員がいる、そういうことなんですね。だから、普通に我々が小売業、中小企業の小売店というものを考えた場合には、やはり五十人で線を引くということがいいんじゃないか。  つまり、今度は小売業の中の問題です。数人ないし十人の規模の小売業と七十人の正規の従業員を持った小売業と、どう守って、どちらを中小企業と考えていくか、これは哲学の問題もあると思いますけれども、我々としては、五十人まで見れば、普通に中小企業の規模の小売業を金融その他の面で中小企業と見て優遇していくのには十分ではないかというふうに考えているわけです。  そのほか、実態からいうと、旅館業とかその他の産業で、実は従業員規模も資本金規模も大きいんだ、設備投資も大きいんだ、我々も入れてくれというような要望は個別に伺っております。これまではそれを政令段階でやってきておりますけれども、それは今後の問題ではないかということで一つの割り切りを示したということ。それから、サービス業においては、やはり情報サービス等を中心に非常に従業員規模が大きくなってきておりますので、これを実態に合わせていったということでございます。
  180. 山本譲司

    山本(譲)委員 私が聞いたのは、どちらかというと、業種を細分化するということでありまして、きめ細かな対応をするということだったので、そういった見直し方向というのも今後やはり考えていただいたらいかがかということでございました。  そこで、先ほどの同僚議員質問にもありましたが、人数の問題です。パート労働を含まないということでしたが、これは労働省とは一致しているんですか。
  181. 細田博之

    細田政務次官 パート労働の扱いについては、先ほどお答えいたしましたが、まず労働基準監督とかそういういわゆる労働を律する方の観点からいいますと、実際は実態が完全に常勤職員であるのと同じなのに、例えば賃金を安くおくためにそれをパートとして扱っていくような、そんなことがあるとこれは問題でございます。これはよく質問があったりする事項でございますけれども、そういうことは、労働政策の観点から見ると、どこかできっちり線を引いていただかなきゃいけません。  我々の中小企業振興という観点から見ますと、そういう常勤的なものでない、小売でも旅館でもよくあることですが、朝何時間働いて、一番忙しいときに夕方何時間働くというようなパートは幾らでもあるわけでございまして、これはやはり企業の実態としてそれを除外して考えていいと考えますので、中小企業として扱って、従業員の数からは除外しているわけですね。だから、基本的には労働省とこれからよく相談を、さらに詰めるという御答弁も申し上げましたが……(発言する者あり)今までは相談しておりまして、一応先ほどのパートを、今回も質問が出ましたので、我が通産省として、中小企業政策においてはパートは基本的に除外するという方針をここで明らかにしております。  だから、あとは労働の問題があるので、労働省に対しても我々も希望を出しながら、ただ、労働省の論理、さっき言ったような労働強化につながるような論理があってはいけませんので、あなた方もいいですねという確認をしながら協議をしてまいります。(発言する者あり)それは先ほど答弁しておりますから。
  182. 山本譲司

    山本(譲)委員 中央省庁の再編等も、縦割り行政の弊害をなくすんだということでこの間いろいろ議論をしてきたことでありまして、そういった重要な問題を、調整というよりもきちんと一致をした上でぜひ答弁をしていただきたいと思います。
  183. 細田博之

    細田政務次官 わかるわけでございますが、労働の専門家から言わせますと、そこのところは逆に、通産省が言っているようにやったのでは困るぞと、そういうものはきっちりと、正規の労働力であるから、雇用を促進させるように常用労働者として雇えというような声もなきにしもあらずでございますので、そういった面があるということを申し上げたので、私ども中小企業を振興する立場からははっきりしております。
  184. 山本譲司

    山本(譲)委員 内容というよりも、国会委員会できちんと政務次官が答弁に立たれているわけですから、それは、政府の中の意見を一致をしてちゃんと答弁をしていただきたいということなんです。  そうしないと、これから例えばベンチャー企業の問題、中小企業への支援のための税制ですとか、あるいは金融関係の改革案はどうなのかという質問をしたところで、私たちはこうです、大蔵はだめでしたということに結局なってしまうんじゃないか。そういう心配をいたしますので、ぜひ答弁のときはしっかりと政府内で認識を一致させて答弁をしていただきたい。
  185. 細田博之

    細田政務次官 ちょっと誤解があるようですが、中小企業政策としては我々の解釈でいいということは労働省も了解しています、それは。あとは労働政策上の問題として彼らも考えますと、その点についてまた協議しましょうということを言っております。
  186. 山本譲司

    山本(譲)委員 もうしつこく申し上げませんが、余りどっちの省がどっちの省がということがないように、せっかくこれから国会も変わっていこう、まさにそれは、政府委員じゃないんですから、政治家でございますから、ぜひそういうことはしっかりと自分の考えとしておっしゃっていただきたいと思います。  そこで、今大臣がお見えでございますが、大臣がお見えになったところで次のテーマに話を移させていただきたいと思います。  実は、日産のリストラ計画、先日もこの委員会で取り上げられました。私も、日産の中で閉鎖が予定をされている村山工場はある意味で地元でございまして、今、大変ショッキングなニュースとして町の中での大きな関心事となっているわけでございます。  そこで、きのうは深谷大臣、こういうリストラ案が発表された段階で雇用対策についての万全を望むという申し入れをしたというお話がありました。こうした雇用対策だけではなくて、やはり地域経済に与える影響というのはかなりあると思います。それはどういう影響があるのかと認識をされているのか、まずお答えをいただければと思います。
  187. 深谷隆司

    深谷国務大臣 クエスチョンタイムで今までおりまして、今来たばかりですから、話の流れがよくわからない点をどうぞお許しいただきたいと思いますが、日産の件でございましょうか。  日産があのような形の会社の方針を立てましたときに、真っ先に私どもが頭に浮かびましたのが、下請企業の問題、それから地域の問題、もちろん労働者の雇用の問題でございました。そこで、私どもは、公表の直前にそれを聞いたものでありますから、通産省といたしましては、例えば雇用関係でいうならば、二万一千人減らすということであるけれども、いわゆる失業者にならないような手だてということを申し入れまして、これは、例えば自然減であるとか採用を新規にやらないとか、いろいろな手だてを講ずるというふうな話がございました。  それから、現地の市長さんもお見えになりまして、これによって地域に大きな影響を与えるけれども、自治省その他と相談しながら通産省としてはできるだけの協力をしてもらいたいという申し出がありまして、今後具体的になりましたら私どもで対応します、こう申し上げたわけでございます。  下請その他関連企業に対しては、必要があればどういう対応でも、我々が今まで持っているものもありますから、おこたえをするつもりでございます。(大畠委員「ちょっと、委員のメンバーが非常に少なくなりましたよ。十八人しかいない。政務次官はここにいるけれども、それは答弁者として来ているんですから、だめですよ。委員席にも十八人しかいない。委員長だってこっちに来ちゃったでしょう。ちょっと自民党さん、少し委員を集めてくださいよ。こっちは十人いて、こっちは七人ぐらいしかいないんだもの」と呼ぶ)
  188. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 では、一たん休憩します。     午後二時五十七分休憩      ————◇—————     午後三時四分開議
  189. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 それでは、お許しをいただきまして再開をさせていただきます。  山本譲司君。
  190. 山本譲司

    山本(譲)委員 まず冒頭申し上げたいのは、昨日来、理事会でも、私ども民主党の理事からも強く要請があったかと思いますが、今回の臨時国会中小企業国会と位置づけられ、まさにその主戦場がこの商工委員会だと思います。それにもかかわらず、出席者が少なくてたびたび定足数を割るという事態は、ある意味で非常に憤りを感じておりますし、国民皆さんも納得ができないのではないかと思います。厳しく注意を申し上げまして、私、続きの質問を行わせていただきたいと思います。  先ほど大臣から、どういう対応でもというお言葉がございました。どういう対応でもということは、日本語的にいいますと、ありとあらゆるということだと受け取っております。  今回の問題で、これは日産に限らずではございますが、日本の産業形態としてやはり非常に下請が多い。よくアメリカでも、日本語の系列、企業の系列、これをそのままケイレツと、これは批判的な意味を込めてやゆをされているわけでございます。こうした系列にこれからさまざまな形での会社のリストラというようなものが今後出るとしたら、やはり同じような事態、下請が、あるいは孫請が直撃を受ける、そういう事態が生じてくる可能性は十分にあると思います。  これは通産省の資料でございますが、日本の製造業、中小企業の製造業の中で、今、半分以上が下請企業である。こうした下請企業、いわゆる系列というもののあり方について、果たしてこのままでいいのか。やはりきちんと、先ほど細田政務次官の方からいろいろな、他のメーカーへのあっせんだとかそういうお話もありましたが、結局、これから産業構造が変わってくる中でこの系列という問題が依然として残っていけば、やはり同じようなことが繰り返される。したがいまして、こういう系列というようなもののあり方についてどうお思いでしょうか。
  191. 細田博之

    細田政務次官 非常に難しい問題だと思います。  系列という言葉にはいろいろな種類がありますので、少なくとも、いわゆる親会社と下請関連企業というものは地理的な問題もございますし、職種という問題もございますから、そういうつながりはこれからも深く続くのではないかと思いますので、それを一概に否定することはできないと思います。  ただ、私どもの地元でもありますけれども、企業城下町のようなところでは、関係の機械メーカーとか関係の企業がおりますけれども、やはり景気の変動によって注文が減るというようなことが間々ございますので、できるだけ取引先の多様化を図っていくという努力もしておるわけですし、そのための新しい分野への模索をしてみるとか、そういうことは努力しておるところが多いわけでございますので、そういったところには政府ができるだけの支援をしていくべきだと考えております。
  192. 山本譲司

    山本(譲)委員 普通、親ガメこけたら子ガメもこけたというのですけれども、最近は、単価の切り捨てでありますとかあるいは不払いといった中で、子ガメの方が、あるいは孫ガメの方が、先に上の方から転んじゃう、そういう状況が現実だと思います。どうか、先ほど同僚委員からも要請のありましたそうした下請対策も含めて、万全を期すようにお願いをしたいと思います。  確かに、日産の問題で、その周辺はまさに企業城下町的な色彩も濃くて、工場が撤退した場合の近隣商店街などに与える影響も大変大きいということが予想されます。重ねて万全の対策をお願いしたいと思います。  続きまして、最後に、前向きと申しましょうか夢のある話でございまして、私、地元で青年会議所という組織に入っておりまして、ここでは、私の地元の青年会議所では十年前と比べてやはり三十人ぐらい、百五十人のうち三十人ぐらい会員が減ってまいりまして、これは、倒産ですとか、あるいは稼ぎはないんだが仕事が忙しい、あげくの果てには親にリストラされたとか、そういう理由でやめる人もいる。  しかし一方で、それぞれのメンバーは大変事業意欲も旺盛でございまして、しかし今の日本の現状を考えると一体どうすればいいのか、意欲はあるんだがそれが生かされないんじゃないかという、これはそれぞれの勉強不足もあると思います。しかし、その勉強不足というのは、情報が錯綜し、あるいは法律支援も錯綜してなかなかわかりにくいという土壌もあると思います。  そうした中で、ぜひ可能性のある会社を伸ばしていくということも今回の中小企業基本法の大きな目的でございます。こうしたベンチャー企業支援のこれまでの政策、そしてやはりその効果についてお話をいただきたいと思います。
  193. 深谷隆司

    深谷国務大臣 例えば、今までの基本法の中に創業ということにウエートを置いた書き方をしていなかったというように、全体的に、中小企業全体をお守りすることはあっても新しく生み出そうというところの努力は欠いておったと私は思います。しかし、そういう中でも一応の支援がございましたから、しっかり頑張ってくれる新しいベンチャー企業も出てきたことは確かであります。  これからは創業ということに思いをいたして、少なくとも、例えば今、年間十四万社ぐらいが新規に創立されております。それをあと十万社ぐらいふやす、つまり二十四万社ぐらい年間に新しい企業が生まれてくるということの流れをつくっていかなければならない。  そのためには一体どうしたらいいか。さまざまな意欲を持っている人たちが、今の青年会議所でもそうでありますがおられますから、その人たちの知恵をまとめていただいて、これならいけるというような状況が生まれましたら、そのプランに対して、先ほどからも申し上げておりましたさまざまな対応で御協力をさせていただく、それは資金の面でも技術の面でもその他ノウハウの問題でも御協力できるという状態をこれからつくり上げていきたいと思っているわけであります。  そういう意味では、私は、中小企業並びにベンチャー創業ということに対しては、あすへの夢はつながっていると考えています。
  194. 山本譲司

    山本(譲)委員 これまでベンチャー企業が日本の中で余り育たなかった。その原因として、例えば教育の中における価値観でありますとか、そういったことが指摘をされてきたわけでございますが、よく堺屋長官も用いられます、アメリカの学生は大学を卒業した場合、優秀な学生は企業を起こす、そしてそういう能力がない平凡な学生が企業に行くんだと。そのことと今の日本は非常に対照的だ、そんな指摘もあるんですが、しかし今、隣の国の韓国では大変ベンチャーブームで、創業が続いている、創業ラッシュだと。さまざまな政府の支援あるいは民間市場の努力、あるいはそういう環境づくりを行政が行った、そういう結果によるものだと思います。  ですから一概に、こうした日本の教育に問題があるということで後ろ向きにとらえるのではなくて、やはりそういう需要はあるわけですから、その制度整備をしっかりとやっていかなくてはならないと思っております。特に、ベンチャー支援の税制については、これから多分さまざまな形で提案をされると思います。  しかし、その税制もそうなんですが、私、この間いろいろ調べてみまして、中小企業と大企業の格差という中で、やはり自己資本比率というのが全然違いますね。要は、大企業の場合はかなり直接金融でいろいろな形で資金を調達することができる。転換社債あるいはワラント債、そういった活用ができる。しかし、中小企業の場合は、信用の問題もあってなかなか難しい。税制もそうなんですが、まずはそういうマーケット、そういうものを生かす政策というものをやはりまず枠組みとしてつくっていかなくてはならないと思っております。  時間も余りございませんので、今、NASDAQに日本の企業が、なかなか日本の国内ではお金が借りられなかったのが、ぽんとNASDAQで株式公開をしたらその株価が一気に二倍、三倍になった、そんな例もございます。そして、日本でもナスダック・ジャパンの開設という動きもございます。  そうしたものに対する評価と、そしてこの間のベンチャー支援というのは、やはりまだまだどうしても助成だとか補助だとか、そういう形にとどまってしまっていたのではないか。みずから自立をして、そしてまさに、これは当然公正なルールということが、透明な市場の中できちんとした競争をし、そして力をつけていくという環境、それに対する、いわゆる投資家が投資をしていく意欲というものを起こさせる政策というのが余りにもなかったのだと思います。特に、今でも店頭特則市場というのがありまして、ベンチャー向けの市場ですが、これもベンチャーで二、三社ぐらいしかまだ登録はしていないというような状況もあります。  ぜひ、今後のベンチャーに関する支援策と、そして、そのベンチャーの育成に向けての決意を最後に大臣お話しいただきまして、私の質問を終わります。
  195. 深谷隆司

    深谷国務大臣 大変示唆に富んだ御意見を伺いまして喜んでおります。  今お話がありましたように、ベンチャー企業が資金を調達するに当たって、多くの投資家が参加できるような仕組みというのをつくることは大変大事なことであります。国が政府系金融機関から融資を行うということももちろん大事でございますし、その他の支援も必要でありますが、結局は、一般投資家が新しい企業に対して投資をしていく、そういう国民全体の動きをつくっていかなければならぬと思っています。そういう意味では、エンゼル税制というのもその一つでございますし、社債を発行する場合に保証協会で保証するという手だてもございますし、あるいは先ほど申されたマザーズとかナスダック・ジャパンなどなどはそういう流れの中で大変大事な存在だと思っています。  いずれにしても、廃業率が創業率を上回るという活力のない日本の状態でなしに、次々と新しい企業、ベンチャー企業が意欲的に飛び出していくような、そんな環境をつくっていくために私たちは全力を挙げなければなりませんし、その意味では、チャレンジ精神育成の、きょうもございました、文部省との連携をとった指導ということも大事だと思っています。  いずれにいたしましても、中小企業活性化のための大きな位置づけとしましても、ベンチャー企業、創業に関するあらゆる手だての御支援をしていきたいというふうに思っています。
  196. 山本譲司

    山本(譲)委員 ありがとうございました。  今後、法改正あるいは制度改正も提案をされると思いますので、そのときにまた改めて詳しく質問させていただきたいと思います。
  197. 小林興起

    ○小林(興)委員長代理 島津尚純君。
  198. 島津尚純

    ○島津委員 民主党の島津尚純でございます。きのうに引き続きまして質問をさせていただきたいと存じます。  中小企業国会と言われますその冒頭でございますので、まず、大臣に対しまして、中小企業、今後改善がされていくわけでありますが、それにつきましての決意等々につきまして、お尋ねをさせてもらいたいと思います。  選挙をする人間にとりまして、選挙のときにまずどの候補者も声高に叫ぶ政策というのは、福祉と中小企業の問題があるわけであります。しかしながら、それが終わりますと何となく影を潜めてしまうというようなことも、残念だけれども実態のような気がします。ですから、高福祉社会ということが随分以前から叫ばれながらも、日本の福祉のレベルというものが現在のような状態にあるということ。  それと同じように、中小企業の問題につきましても、四十年近く格差是正というようなことであらゆる政策を行ってきたにもかかわりませず、昨日申し上げたような格差是正というような問題が、資本装備率あるいは賃金そして労働生産性等々の分野で全く平行線をたどるような状況の中で色濃く残っておるというようなことも否定できない事実であろう、このように思うわけであります。  その中小企業の中で、我が国の働く人たちの八割が勤務されている。政治の使命、目的というのが人間の幸福の追求にあるとしますならば、この人たちの生活を豊かなもの、ゆとりのあるものにする、そのような政治の実現というものこそ政治の使命、目的であろうというふうに考えます。  元来、政治というものは、弱いところにこそ光を当てなければならない、そういうものが政治だと思いますが、結果的にかどうか知りませんが、自民党政治というものはなかなか、口ではそのようにおっしゃいますが、どうしても結果的には強いところに光が当たってしまっておるというように見えて仕方がないわけであります。この国の予算というものは限られているわけでありますから、時の流れの中で、やはり政策の優先順位というものは政治家が決断をしなければならないわけであります。  深谷通産大臣は、若くして政治家を志したときに、やはり地元の台東、浅草、あの周辺におられる決して力のない人たち、弱い立場の人たち、その人たちの代弁者となろう、その人たちの味方になっていこうということが恐らく政治家としての初心ではなかったかというふうに思うわけであります。  そういう意味から、この中小企業国会中小企業に対する思い、あるいはそれに対する改善の決意、そのようなところをまず聞かせていただきたいと思うわけであります。     〔小林(興)委員長代理退席、委員長着席〕
  199. 深谷隆司

    深谷国務大臣 島津委員の御意思も含めて、私は、大変貴重なお話を承ったと思いながら伺っておりました。  おっしゃるとおり、政治というのは、弱い立場という言い方は正しくないかもしれませんが、いわば日の当たらないところに光を当てるというのが最も大事なことだというふうに思っています。そういうことを標榜して政治家になって、随分歩みを続けてきたわけでございますが、そういう恵まれていないといいましょうか、どちらかというと不遇な立場に置かれているのが中小企業であったというふうに私は思うわけであります。  この中小企業を活性化するということが、今日の時代、日本の経済を景気回復という路線に乗せるためにも大変大事なことだ、そのように思っておりました。  中小企業基本法というのは昭和三十八年に生まれたものでございますが、どちらかというと、もうしばしば申し上げてまいりましたが、二重構造という視点に立って、大企業中小企業を比較し、大企業は近代的で中小企業は非近代的である、だから中小企業をできるだけ大きくしていこうではないかという発想でございました。  私は、これからのことを考える場合に、何も大きくすることだけが望みであるわけがない。中堅企業が例えば上場するようなそういう分野にまで飛躍することももちろん大事で、それを応援しなければなりませんが、中小企業が最も得意とする分野において新しいベンチャー企業等が創立されていくということも大事に考えていかなければならないし、同時に、旧来から御苦労なさっている小規模企業に対しては、旧来以上に力を注いでいくという配慮をしていかなければならない。つまり、画一的であった中小企業対策を多面的にとらえて、それぞれの分野できめ細かい応援体制をつくっていくということは大変大事だと思うわけであります。  その際、きょうも議論になりましたが、自助努力ということも中小企業の方たちには求めながら、それに四つに取り組んでいくというのが私たち政策でなければならないと考えています。
  200. 島津尚純

    ○島津委員 ぜひ、光の当たらないところに光を当てる、そのような姿勢で頑張っていただきたい、このように存じます。  小池政務次官がいらっしゃいますので、同じような質問をさせていただきたいと思うわけであります。  中小企業を育てる、そして中小企業が成長してある程度強い存在になってくると、当然のことでありますが、その中に働く八割の勤労者の皆様方の生活というのも賃金の改善という面から変わってくるわけであります。そのようなことが、例えば個人消費の問題あるいは内需主導型の経済への転換といったような観点から、中長期的にどのような影響を与えていくのか。私は、いい影響を与えることは間違いないというふうに思っております。  そのためには、では、何をまず優先順位としてやらなければならないのか、そしてまた、何をやってはいけないのか、そのようなことにつきましてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  201. 小池百合子

    小池政務次官 今お尋ねがございました、雇用の観点から、それが景気に対してどのような影響を与えるのか、中長期的にどうかという御質問であったかと思います。  先ほども数字を挙げさせていただきましたが、中小企業は数の上では全体の九九%を占めております。そして、従業員数では全体の七八%というふうな数字が上がっております。  一方で、その中身をもう少々詳しく申し上げますと、いわゆる中小企業の雇用数というのが約二千四百万人だという数字がたしかございました。一方、いわゆる大企業の方で約千六百万人という数字があるかと思います。  いずれにいたしましても、中小企業の雇用の力というのは大変大きいものがあるわけでございまして、まず中小企業全体のパイが広がるということは、すなわち雇用のパイが広がる。そして雇用が安定してまいりますと、それはすなわち消費につながっていく。今は、最近の景気の動向を見ておりましても、やはり、官需は別にいたしましても、まだ民需への転換ができていないということは、すなわち個人消費が弱いということになるわけでございます。よって、今委員が御指摘になりました点はまさにそのとおりと申し上げるべきかと思っております。  さて、そこで、ベンチャー企業も含め、現在ある企業、つまり、もう既にある企業をどのようにしてバックアップし、さらには新しい企業を生んでいくかということでございますが、これの優先順位をつけろということにつきましては、私は、むしろパッケージで考えるべきではないだろうか。  つまり、破壊することはないのですけれども、創造の部分と同時並行でやっていかないと、今構造改革の時代でもございます。ですから、そこがうまくつながって、新しいベンチャー企業にシフト、これができるだけ滑らかに行われるということが理想的ではございますけれども、いずれにいたしましても、優先順位はどれかという御質問については、私は、むしろパッケージ方式でやっていくのが正しいのではないかというふうに思います。  そうやってパッケージ方式でいきますと、それだけ選択もできてくるわけでございますので、ですから、そこで雇用の新しいチャネルもできていくということを期待いたしたいというふうに思っております。つまり、新しい理念のもとに政策が一体的、整合的に講じられるということで多様化した企業の多様なニーズにこたえていく、それがすなわちこれからの景気の浮上にも資するということで、大いに期待をしているところでございます。
  202. 島津尚純

    ○島津委員 わかりました。ありがとうございました。  次の問題に進ませていただくわけでありますが、これは午前中の私どもの吉田委員の方から若干質問がありまして、それに対して政務次官が少しお答えになったというような問題を、ちょっともう少しさせていただきたいと思うのであります。これは、中小企業の定義の見直しについてのお尋ねであります。  今回、この改正案では、中小企業の定義の見直しは資本金の基準の拡大などの方向が打ち出されているわけであります。中小企業の定義の見直し、資本金とか従業員の数とかいうような量的な基準の見直しがあるわけであります。アメリカの中小企業法を見てみますと、この量的基準に加えまして、独立して所有、経営され、当該事業分野で支配的地位にない企業というような質的な基準というものが明記をされておるわけであります。また、EUでも、他の一つないしは複数の大企業に資本または経営権の二五%以上を保有されていない企業というように質的な基準が明確に定められている。このようなことでありまして、我が国の今回の見直しでありますが、中小企業政策で対象とした本来の中小企業を把握していくためには、いろいろな問題が起こってくるわけでありますから、基本法の中ではっきりと質的な基準というものを盛り込んだ方がよろしいのではないかというような議論があっているわけであります。  先ほど、いや、それは内規の中で運用的にやるようにしてますよとか、五〇%の資本を定めておりますとか、そういうふうな御答弁が細田次官からあっておるわけでありますが、そういうことも踏まえて、どのようにお考えになるか、お尋ねをさせていただきます。
  203. 細田博之

    細田政務次官 おっしゃいますように、中小企業というものをどこまで考えていくか。特に、大企業影響のある中小企業中小企業というと誤解がありますけれども、中小規模の企業についてどのような扱いをすべきかということは、いろいろな考え方が本来あると思います。  しかしながら、我が国の従来の中小企業政策においては、基本的に、大企業の子会社、一〇〇%子会社はもちろんでございますけれども、五〇%以上の株を大企業が保有しておって、しかも役員などを派遣しておるというような実質的に大企業の一部であるとみなされるような企業については、中小企業金融公庫あるいは商工中金その他の金融支援に関しては、個別金融機関の内規等において対象としないということで扱ってまいりました。それを内規でなく、本来そんなものは中小企業ではないとして扱えというような御質問かと思います。  実は他方、若干いろいろ運用上、これらを中小企業政策の中で活用している面がございまして、例えば事業協同組合とかその他中小企業組合の中では、同種の業種の間で共同事業を行うとか、そういう場合がございまして、その場合に、純粋な中小企業と一緒になって事業活動を行う場合には、その人たちも加入を認めて、その組合において活動をしてもいい、中小企業並みに扱うというようなこともやっておるわけでございます。  そういうところは反射的に、例えば組合として融資を受けたりする場合には、もちろん一定の要件がございますけれども、施策の対象にしよう、その方が現実に合うというようなところも全国的に見ますとこれまでの例で若干見られますので、そういうふうな使い分けをしておるというのが実態でございますので、基本法上で一律に排除するというのではなくて、事実上、大企業が単独での金融のような機会を奪ってしまうというようなことがないようにする。そして、大企業の実質の子会社が金融を単独で請け負うというような場合には、日本政策投資銀行になったわけでございますが、前の開発銀行とか北東公庫、合併いたしましたけれども、そういうところでしかるべき融資対象とするというようなこれまでの使い分けがあるということを御理解いただきたいと思います。
  204. 島津尚純

    ○島津委員 今の御答弁ですけれども、大した理由ではなくて、やはりそのくらいのことだったら、基本法にヨーロッパやアメリカのように盛り込んでも何の不思議もないかなというような気持ちが私はいたしました。しかも、五〇%以上というのは、これはほとんど完全な一〇〇%子会社みたいなイメージがございますね。特にこれから分社化が進んでくる時代になってきますときに、私は、五〇%以上というのは本当にそれでいいのかなというような気持ちもします。  例えば労働省が第二次補正予算に盛り込もうとしておる雇用対策の案の中に、恐らくこれは五百億ぐらいだろうと言われておるのですが、中小企業地域雇用創出特別奨励金というのが今検討されておるわけですね。これは、創業間もない中小企業が雇用を創出した場合にその助成をやる。一社平均で大体一千万前後やろうじゃないかというような制度をつくろう、このようにしておるわけです。  今のような細田政務次官お話によりますと、東証一部上場の企業が資本金三億円以下にしまして子会社をつくった場合は、このいわゆる奨励金というものを受けることができるわけであります。しかしながら、この特別奨励金の本来の目的というものは、そのような企業に雇用を奨励するために出すようなものではないわけであります。  このようなケースを挙げていくならば、基本法の中で明文化していないために、運用面でいろいろな弊害が起こってくる。それを一々やるよりも、きちっとある意味での線を引いてしまったらいいじゃないかということは、だれしも考えることではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  205. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業政策における多くの施策では、大企業の子会社というのは排除されているというのが今までの状態で、例えば中小公庫法、商工中金法等の金融支援に関しては、個別金融機関の内規等において大企業の子会社は対象としないということになっています。ところが一方で、中小企業組合というのがございますが、その中小企業組合の場合には、中小企業の利害も考えて大企業等の加入を認めるといったような、そういう大企業の子会社の存在を明示的に排除していないという場合も実際にはあるのでございます。  ですから、基本法で一律に大企業の子会社を排除するという規定を設けるのではなくて、やはり個別に、施策の事情に応じて適切な対応をしていく方がいいのではないかという判断をしております。
  206. 島津尚純

    ○島津委員 この通産省がお出しになった法案というものは、やはり完全無欠ではないわけであります。省内の皆様方と私たちもいろいろな機会に意見のすり合わせをするわけでありますが、皆さん方も、これをつくり上げていくまでにはかんかんがくがくの意見の闘わせがあるということを正直におっしゃっておるわけでありますので、つくり上げたからもう一歩も譲れないんだというのでは、このような委員会での議論というものは無意味になってくると思いますので、ああ、それはそうだなと思うようなことがありましたら、ぜひ私たち意見も盛り込んでいただきたいというような姿勢議論をさせていただきたい、このように申し上げたいと存じます。  きのうの質問の中で深谷通産大臣にお尋ねした一つに、ワンストップサービスという問題、全国三百カ所というような問題の議論を申し上げたわけであります。  それで、次に、相談窓口の一本化という問題について質問をさせていただくわけでありますが、三十年ほど前に、昭和四十一年から、中小企業総合指導所という構想が通産省の中で生まれて、各都道府県でその総合的な窓口機能を果たそうということで、このようなものが推進をされてきたというふうに聞いております。  ところが、残念ながら、この中小企業総合指導所はうまく機能をせずに、平成八年についに正式に廃止になったということであります。三十年間やってきた、しかしだめだった、これがいわゆる当時のワンストップサービスの構想だったわけであります。これが平成八年に廃止になって、さて、平成十一年、十二年に再びワンストップサービスを全国三百カ所でやろうということですから、おいおいということになるわけであります。  一生懸命やっただろうに廃止になってしまった、これはワンストップサービスの我が国における失敗例なわけですが、なぜ失敗してしまったのか。今回つくろうとされておるものに対しては、では、その失敗を乗り越えてどうしようとされているのか。この件につきましてお尋ねをさせてもらいたいと思います。
  207. 細田博之

    細田政務次官 国は、中小企業指導事業の適切な実施のために、昭和四十一年に中小企業総合指導所の設置、運営について構想を打ち出したわけであります。その後、都道府県の人事政策の実情などと合わなくなって、だんだんに形骸化していきました。  こうした中で、平成二年に行われた行政監察におきまして、総合指導所構想が策定後二十年余を経て、中小企業者の診断ニーズ、都道府県等の実情に合わなくなってきている状況も一部に見られるとの御指摘を受けまして、平成七年からの中小企業近代化審議会指導部会診断制度分科会においても、診断、指導事業の効率的な実施を図るための体制については、地域ごとに適切な対応をとることが重要であると報告されたわけであります。  この結果、平成八年、一律の取り扱いを前提とした中小企業総合指導所の設置、運営についてというものははっきりと廃止になったということでございますので、まず経緯を申し上げました。
  208. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今、細田総括政務次官から、なぜ廃止になったかの経緯についてお話をいたしました。私は、それでは、なぜ今度ワンストップサービスを始めようとしているのかということについて申し上げたいというふうに思います。  今度の基本法改正を含め、中小企業の皆様方に活力の源泉と雇用の源泉になっていただこうと考えた場合に、例えば小規模企業で申し上げますと、ノウハウが非常に足りない。技術的なことであるとか、あるいは、国がどういうような制度で応援をしているか、そういう細かいこともなかなかわかりづらい。経理の問題から法律の問題から人材、技術、経営の方法、それらすべてについてどこかできちっと指導するなり相談相手になってほしい、これは圧倒的に多い声でございますから、そこで、全国に三百ぐらいの支援センターをつくろうではないかということになったわけであります。  今までの経験も踏まえながら、私は、これからは情報をネットワーク化していくことが非常に大事だ、そんなふうに思っているわけであります。すなわち、例えばセンターの一部に専用回線を結びつけるとか、あるいは、オープンネットワークでつないでいくとかいうような形にして、これはナショナルセンターとか、三つの都道府県ごとの支援拠点というのと、三百のただいまの支援センターと三カ所になっていますから、それを全部オンラインでつなげていけば、そこへ苦情なり相談なり行けば直ちに対応ができるという有効な活用が可能になってくるのではないか。そういうような新しい視点で、情報ネットワークを使った構想などを含めた計画を立てたわけでございます。
  209. 島津尚純

    ○島津委員 そのワンストップサービスと関連してくる言葉でありますが、きのうも質問させてもらったわけでありますが、指導事業につきましてちょっとお尋ねをしたいわけであります。  深谷大臣は、指導という言葉は不適切であり、自分も余り好きな言葉ではないというような御意見を述べられました。その御見識については敬意を表させていただくわけでありますが、中小企業基本法から経営の診断及び指導というような概念が削除された以上、次に来るものは、やはり中小企業指導法、これを当然見直すべきことだろうというふうに思いますし、恐らくその方向で進んでおられる、このようにも聞いておるわけであります。  そうなりますと、現在、今まで診断、指導に当たってきた都道府県あるいは中小企業振興公社、公設の試験場、中小企業地域情報センター、そして中小企業団体中央会、商工会議所と、いろいろなところが指導団体としてやってきておるわけでありますが、これらの指導団体をどうしていくのか。これは当然整理されていかなければならないものだろうと思います。そのようなところが、手をかえ品をかえ、指導という言葉を使わないでまたしても中小企業の世話を焼くようなものになりますと、単なる施策の焼き直しというようなことになって、中小企業に対する経営支援を民間に移していこうという基本的な方針が骨抜きになってしまうのではないか、このように思うわけであります。  まず、そのような指導団体を今後整理していく決意があるのかどうか、お尋ねをさせてもらいたいと思います。
  210. 細田博之

    細田政務次官 長い間の中小企業政策におきまして、この指導という概念、そして指導事業は非常に重要な中核をなしてきたわけでございます。現に、中小企業庁は三つの部から成り立っておりますが、計画部、指導部、小規模企業部といって、指導部があるぐらいでございます。これも、いろいろな変遷に対応いたしまして、行政改革によってなくなるわけでございますけれども。  中小企業指導法についてどうするかというお尋ねにつきましては、官と民の役割、国と地方の役割の変化に伴いまして、官が上から教え導くというように見えます指導という概念を見直すということで、法的枠組みについてはその見直しの過程で結論を出したい、おっしゃるような御意見を反映させたような法的措置をとってまいりたいと思っておるわけでございます。  これまでは公的な立場から指導を行ってまいったわけでございますけれども、実際には、人材とか技術とか知識とか情報とか中小企業に不足いたします情報資源を充実するためには、いわば先達とか経験者から聞いていかなければならないということは当然のことでございますので、その努力を支援しなければなりません。  その際には、コンサルタントとか弁理士とか民間の専門的な人材の紹介、派遣ということも大事な経営支援策ではないかと思いますし、支援の枠組みとしては、先ほど来ございますように、中小企業総合事業団によるナショナル支援センター、都道府県ごとの支援センター、全国三百カ所のセンター、支援拠点ということでネットワークでやってまいるわけでございますけれども、今までさまざまな機関で指導事業を行ってきた機関の事業をどうするんだということについては、こういったセンターあるいは支援拠点にその実績を生かしてまいりたいと思いますし、それから、中小企業に対してはまださまざまな役割を持たせることも必要でございますので、総合的にまたこれから考えてまいりたいと思っております。  予算の再編成もいたしてまいりたいと思います。
  211. 島津尚純

    ○島津委員 今の細田政務次官のお答え、ちょっとどうかなというふうに思うわけであります。  指導法を見直すと。指導という言葉はもう基本法の中から削除をされてしまった。ですから、中小企業指導法を改正することは、時間的にちょっとあっても、当たり前のことになってきておるわけであります。そうなってきますと、この指導法のもとに指導団体というものがいろいろな形であったわけでありますが、それを整理していくのは当たり前の話でありまして、この指導法の改正の経過の中で、話し合いの中で考えていきましょうというような問題ではないというように私は思います。  ですから、今までも、形はつくってもなかなか実効性が上がらなかったというのは、やはりそこに魂が入らなかったからではなかったかというふうに思うわけでありまして、私は、こういう法律というものはきちっとやって、そして民間に指導を移すならば移す、そしてそれを政府が後ろからバックアップするというような官から民への移行というものを、決意をきちっとしなければならないのではないかというふうに思うわけですが、いかがでしょう。
  212. 細田博之

    細田政務次官 おっしゃることもよくわかるわけでございます。それから、経営というものの分析ですとかあるいはノウハウ、こういうものについてはさまざまな資格や経験を持った人も多いわけでございますし、そういう人も活用しなきゃならない。ただ、官によるお仕着せのような形は改善しなければならないということですので、御提案のような中身について含めまして、十分検討してまいりたいと思います。
  213. 島津尚純

    ○島津委員 私どもがしつこくいろいろ聞きまして懐疑的になりますのは、指導という言葉をなくそうというようなことになっていながら、例えば皆様方の中小企業庁が最近編集された「中小企業政策の新たな展開」というような本を今度いろいろ勉強するために読ませていただきますと、ある一章では、「中小企業者に対する経営の診断・指導」というのが入っておるわけですね。そしてまた、あるところを読むと、同じ本の中でですよ、診断と指導事業は時代おくれだ、こうも書いていらっしゃる。まさに相矛盾したことが同じ本の中に、中小企業庁が編集されて書いておる。こういうことを見ますと、本気で皆さん方は取り組もうとしているのかというふうなことを私たちは考えざるを得ないわけですね。ですから、しつこく細田さんにお話を聞いておるわけであります。  こういうことを乗り越えて、深谷通産大臣、私たちは、いろいろな行政改革の経過を見ましても、政治家の決意といいながらも、やはり官僚の皆さん方の、その前に立ちはだかる陰に陽にの抵抗ということが結局流れを遅くしてしまっているということがあると思うんです。このような問題も恐らくそういう問題がかかってくると思いますが、政治家の決意で突破しなければいけない障壁であろうと思いますが、いかがでしょうか。
  214. 深谷隆司

    深谷国務大臣 基本法の文言の中でも、どうも、中小企業を指導してあげるんだ、まるで官が上から手を差し伸べるような雰囲気があってよろしくない、やはり中小企業が自助努力をすることに対して四つに取り組んでやっていくんだというのがこのたびの改正の一つの論点でございました。そういう意味からまいりますと、島津委員お話のありましたように、各所に指導という言葉が散見されるということは一貫性がないではないかという御意見もまことにごもっともであります。  ただ、文脈あるいは文章の流れからいってそういう言葉を使わざるを得ないという場面もあるかもしれませんが、そこいらには、我々の指導に対する思いを十分にかみしめながら変えるところは変えていくように努力していかなければいけないと思います。
  215. 島津尚純

    ○島津委員 次に、労働省の方から長勢政務次官にお越しいただいておりますので、その方面の問題、雇用の問題とかかわる問題をお尋ねさせていただきたいと思います。  今回の基本法の改正案では、第二条で経営資源という新しい定義が入りまして、第五条に「中小企業の経営資源の確保の円滑化を図ること、」というような規定が設けられたわけであります。経営資源というのは、もちろん人材が入るわけであります。  そこで、お尋ねするわけでありますけれども、八月一日から新しい制度としてスタートしたものに、労働省の所管で、新規・成長分野雇用創出特別奨励金というのがあるわけであります。この特別奨励金はとりわけ中小企業にとってありがたいものでありますが、この制度によって雇用機会の増大を十五万人ぐらいやっていこうというような制度であります。  八月からスタートしまして、九月から十月の二カ月間でありますが、実績を見てみますと、このことによって十五万人の雇用創出をしようと言ったにもかかわらず、申請件数はわずか百二十八件、そして申請人数は百六十八人、こういうふうなある意味では無残なものでありまして、二カ月間でありますのでこれを計算しますと、まさに千分の一ぐらいの達成人数でありまして、このペースでいきますと二千カ月ぐらいかかるというようなことであります。これはとてもじゃないけれども、頭をひねってみんなで議論をして新しい制度を設けた、しかし今のところ全くその効果が上がっていない、こういう問題ではないかと思うんですね。  ですから、このようなことに対しまして、特に中小企業の問題でありますので、それと雇用という問題につきまして政務次官にお尋ねをさせていただきたいと存じます。
  216. 長勢甚遠

    ○長勢政務次官 先般の緊急雇用対策は、完全失業者数あるいは求人倍率等大変厳しい中で、将来的に新しい産業を起こして雇用機会の増大を図る、その過程においてどうしてもつなぎの雇用を創出していかなければならない。こういう考え方に基づきまして、地方公共団体等で現実に雇用の場を創出するとともに、新規・成長産業分野において将来的には、国も大いに力を入れるところでございますから、そこで雇用の増大が見込まれる状況にいくわけでございますから、その雇用を前倒ししてもらいたい、それに対して国もお手伝いをいたしますので、何とかこの厳しい雇用情勢に協力をしていただきたいという趣旨で設けたものでございます。     〔委員長退席、伊藤(達)委員長代理着席〕  実績は今先生御指摘のとおりでございまして、十分でないという点はそのとおりかと思います。しかし、八月から始めまして、雇用しましてから一カ月後から申請をするということでありますので、私としては、この二カ月間、九月から初めて申請が始まったわけですから、この二カ月間で先生の御指摘のような評価もちょっと早計ではないかと思いますし、現実に、十月は九月に比較して相当程度に伸びております。また、申請の事前段階であります成長分野該当申請という件数も相当程度に上っておりますし、それ以上に、相談件数も七千三百件という数字も上がっておりますので、これからぜひ御理解もいただき、これから伸びる分野において、みずからの経営の方向も定めて、御協力をいただきたい。我々としてもぜひこの啓蒙を図っていきたいと思っております。  制度の周知徹底については相当力を入れておるのでございますが、同時に、これから成長分野における人事管理の方向なりを、どういうことを考えればいいかということの啓蒙も含めてやっていかなければならないのかなという点も思っておりまして、関係行政官庁あるいは関係機関とも相談をしながら、これが有効に活用されるように努力をしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  217. 島津尚純

    ○島津委員 私も、こういう制度ができたら直ちに申請件数が爆発的に押し寄せてくる、このようには思いません。やはり周知徹底、よく皆さん方に知っていただく、浸透させるということが大事だろうと思うんですね。雇用問題というものは戦後最悪というような状況を推移しておりまして、その雇用情勢を何とかしようというような緊急的な対策のためにこのようなものが設けられたわけであります。そういう鳴り物入りのこのような制度の導入という中で、やはりちょっとスタートとしても余りにも寂しい数字ではないか、このように思うんですね。  ですから、やはり鳴り物入りの制度であるならば、そして大事な緊急雇用的な対策であるならば、何らかのやはり皆様方に知ってもらうような、だれか知った人だけ来いよというのではないわけですから、どのような今広報的な活動をやろうとしていらっしゃるんですか。     〔伊藤(達)委員長代理退席、委員長着席〕
  218. 長勢甚遠

    ○長勢政務次官 この制度の周知徹底という点につきましては、担当機関が高年齢者雇用開発協会ということでございますが、そこは当然のことながら、労働関係機関あるいは商工関係機関、関係団体等にリーフレット、パンフレット、これをたくさん作成をし、配布をする。また、ポスターも掲示をする。さらに、全国紙等にも広告も掲載をする、ホームページへも掲載をする。労働大臣を中心にして関係諸団体にも要請活動をする。正直言いましてありとあらゆる手を使ってきておると思っておりますし、これもさらに進めていかなければならないと思っております。しかし、この制度は私が党におりまして立案した制度でございまして、ぜひ御理解と御活用をいただきたいと思っておるわけで、そういう面からいいまして、もう少し頑張らないかぬなというのが率直な思いであります。  先ほども申し上げましたとおり、まだ成長産業の方々も、将来の見通しも立たない中で、こういう問題に取り組んでいこうという元気もまだないのかと思いますが、これをやって将来に備えてもらいたいということについての認識を持っていただくとか、そういう経営に対するいろいろな啓蒙も含めて、ぜひ御理解とこの活用を図ってもらうようにさらに頑張ってまいりたいと思いますので、またよろしく御理解を賜りたいと思います。
  219. 島津尚純

    ○島津委員 同じような問題を通産省の方にもお尋ねをさせていただくわけでありますが、中小企業、なかなかいい人材が集まらないというところに、格差の縮小ということがなかなか難しいという側面もあるかと思うんですね。そういう中で、このようないい制度ができておるわけでありますから、労働省だけに頑張ってくれという世界では決してないだろうというふうに思います。  そこで、通産省としても、こういうふうな制度に対しまして積極的に、労働省と一緒に広報、皆さん方に知ってもらう、そして役立てていただくというような活動を当然していただいておるだろうし、これからもしなければならぬだろうというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  220. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今の労働省のPRもそうでありますけれども、通産省といたしましても数々の施策を行っているわけでありまして、それを国民の皆様に十分にわかっていただくためには、PR活動にも全力を挙げなければなりません。  現在、毎週日曜日の朝のテレビメディアを通じた広報とか、あるいは関係団体を通じた施策の普及とか、中小企業庁のホームページの開設などでPRはやっているのでありますけれども、私は十分だと思っておりません。かつて私自身が大臣政務次官を務めたある官庁でも、政府広報を通して相当なPRをしているんですが、そこのお役人さえそのコマーシャルを見ていないなどということがわかりまして、そんなことでは国民に伝わらないということで、まず、コマーシャルあるいはPRを提供する側がきちっと受けとめて宣伝することが大事だと。通産省の職員も一万二千人いるんですから、その人たちがさまざまな政策について多くの国民に呼びかけるだけでも随分成果が上がるだろうというふうに思っているわけです。  いずれにいたしましても、今度のストップサービスの三百カ所の拠点をつくり上げる過程の中でも、いろいろな角度から、我々がやろうとしていることが徹底して伝わっていくように、PRの仕方の改善とか工夫を重ねていかなければならないと思っております。
  221. 島津尚純

    ○島津委員 ぜひそのようにお願いを申し上げたいと存じます。  最後の質問に行かせてもらいたいと思います。  今回の基本法の改正で中小企業の範囲が拡大をされるということになりますと、一万六千社ぐらいの中小企業がふえるということでありますが、そうなってきますと、中小企業の皆様方の中には、範囲が拡大をしてまいりますので政策的に薄れてくるのではないか、そして、力を持った中小企業がそこに、新たな範囲の中に参入するということで、そういう企業というものは担保力もあるし、人的保証をする力もある、そういうことで、特に小規模経営者の中に不安があるということが実態だろうと思うのであります。  そこで、きょうの午前中からの議論でも、それぞれの同僚議員がこの点については申し上げておったと思いますが、小規模経営者の方々に対する予算措置について御質問をしたいわけであります。  小規模経営者にとってありがたいのは、小企業の経営改善資金、いわゆるマル経融資制度というのがあるわけでありますが、この制度でありますけれども、来年度予算の通産省における概算要求を見てみますと、四十一億円。マル経融資制度の来年度の概算要求額が四十一億円ということでありまして、調べてみたら、平成六年までしか調べなかったんですが、ほとんど同じ額であるということなんですよ。これから改正をして力こぶを入れてやろうというのに、そのスタートの年の概算要求が一緒だということは、これは何だろうかということでありますが、お答えいただきたいと思います。
  222. 細田博之

    細田政務次官 マル経融資制度の平成十一年度の貸付規模につきましては、五千五百億円を確保しているわけでございますけれども、来年度におきましては、今年度と同額の貸付規模を確保するために予算要求をしておるわけでございます。そのための予算が四十一億円ということでございますが、十分な額の貸付規模を確保いたしたいと考えておりますので、御安心いただきたいと思います。
  223. 島津尚純

    ○島津委員 よく調べてみますと、本予算では四十億前後でありますけれども、例えば平成九年、平成十年に補正で百二十五億とか百八十八億とかやっていらっしゃるわけであります。八月の概算要求の段階では四十億、ほとんど変わらなかった。としますと、今回の第二次補正でやはり何らかの手当てをなさろうとされているんですか。
  224. 細田博之

    細田政務次官 この融資規模につきましては、かなり余裕を見ながらこれまでもやっておりまして、平成十年度にも、実績を見ますと四千三百二十四億円、十二万件でございます。過去の傾向から見て、先ほど申し上げました規模で一応十分な規模が達成できるのではないか、これは経験値から出るわけでございますけれども、考えております。
  225. 島津尚純

    ○島津委員 こういうのを見てちょっと不思議に思いますのは、中小企業は大事だということになりましたら、なぜ本予算でこれだけの予算を要求しないのか。補正でちょこちょこっとやっていくのではなくて、それはシーリングとかなんとかということがあると思いますが、通産省内における政策的な優先順位を、中小企業に大きく視点を当てていくということになりましたら、ほかを削ってでもひとつ本予算で堂々と闘うということは必要ではないかというふうに思うんですが、いかがでしょう。
  226. 細田博之

    細田政務次官 来年度につきましては、先ほどのことは本予算で要求しておりまして、今年度の補正予算では要求しておりません。(島津委員「今年度ではしていない」と呼ぶ)はい。
  227. 島津尚純

    ○島津委員 わかりました。  とにかく、皆様方の認識というのは、これから大きな政策の理念の転換を行いながら、日本の経済の構造の中に変革の中で大きく位置づけていくというような展開の中で、中小企業というものを非常に重要な位置づけをしていこうというようなお考え、バックアップをしていこうというようなことは私たちも大いに共通することでありますので、どうかこのような議論を勘案いただきまして、よりよい改正法案というものをつくり上げていただきますようにお願いを申し上げ、質問を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。     —————————————
  228. 中山成彬

    中山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として商工組合中央金庫総務理田中徳夫君及び日本銀行調査統計局長村山昇作君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  229. 中山成彬

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  230. 中山成彬

  231. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  私は、中小企業基本法改正案についての本会議での質問で、中小企業の不利は是正されたのでしょうかとお聞きをいたしました。また、対象をベンチャー企業や創業者に重点化するというけれども、重点から外された中小企業はどうなるのでしょうかとお聞きをいたしました。これに対しまして、深谷通産大臣は「少しでもその格差をなくしていくということも大事なことでございます。」とお答えになりまして、ベンチャーや創業者への支援の強調についても、それは「小規模企業者を見捨てるとか、そんなことでは全くございませんで、そこを大事に、御苦労なさっている方々が報われるような、そういう答えを出していくことも通産省の大きな仕事だ」と答弁されました。  この答弁は、大企業に比べまして不利な立場にある中小企業に対して、多様性を認めながらも全体として支援を強めていく、こういう意味に受け取りましたけれども、そのように理解してよろしいでしょうか。
  232. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいまの御質問にお答えいたしますが、私は、本会議場において議員質問にお答えいたしました。そのときの答えにいささかの変更もございません。  すなわち、新基本法では、中小企業の自助努力を支援するとの原則に立って、ベンチャー企業あるいは創業に関して支援をしていくということを新しい政策の柱の一つとしておりますけれども、既存の小規模企業の皆様に対する御支援、今までの我々が取り組んでまいりました体制というものは、変えるつもりもありませんし、むしろきめ細かく進めるべきだと思っております。
  233. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 既存の小規模企業の経営支援を変えるつもりはないということでありました。  では、金融面からこの面を具体的にお聞きしたいと思います。  貸し渋りを受けているという中小企業の訴えが絶えないわけであります。大企業よりも中小企業の方が資金繰りに苦しんでおりまして、金融面でも不利な立場に置かれている企業は大変多い。そのため、商工ローンの被害も広がるという状況であります。  深谷通産大臣は、十月十五日の参議院の決算委員会でこのように答弁されました。「私たちが一番考えていかなければならないのは、いわゆる一般の金融機関が貸し渋りというようなことで中小企業を見放さないような状況をつくるということと、さらには政府系金融機関がきちんとした手だてで対応していくということがとても大事なことではないか」、このようにお答えになりました。この認識は大変重要だと私は思います。そこで、もう一度この点を確認したいわけですけれども、いかがでしょうか。
  234. 深谷隆司

    深谷国務大臣 去る十五日の決算委員会で、議員お読みのとおりの発言をいたしました。その気持ちに変わりはありません。  政府系金融機関の融資制度については、平成九年以降も累次経済政策を、あるいは経済対策を掲げて、各種の特別貸付制度の創設や拡充を行ってきたことは議員御承知のとおりであります。そして、幾つかの制度の実施期限の延長とか補正予算の要求も行ってまいりました。例の保証協会の貸し付けの問題等もそのとおりでございます。  ただ、残念ながら、せっかくそのような保証協会を通じての融資を行っておりますけれども、一部には、その借り手の方に問題があるとして、そのことが中小企業向けの貸付制度に疑義がある、そんな伝わり方もしておりまして、私は、それは遺憾なことでございまして、中小企業皆さんが努力をしている姿を率直に受けとめて、その方たちのその努力の真意といいますか熱情というものをそのまま受けとめて応援していくことが大事ではないかと考えています。
  235. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 では、もう少し具体的にお聞きをしたい。  銀行の融資態度についての通産省の調査がございます。年度末に向けた企業の資金調達状況と今後の見通しについて最新時点で、つまりこの調査で、貸し渋りを受けているとする企業は、大企業中小企業、それぞれ何%か、また、今後の見通しとして、銀行の融資態度の厳格化を懸念している企業は、大企業中小企業、それぞれ何%か、この点について中小企業庁長官の答弁を求めたいと思います。
  236. 岩田満泰

    岩田政府参考人 お答えを申し上げます。  中小企業庁で行っております中小企業に関します貸し渋りについての調査でございますが、昨年十月をピークに、ほぼ一貫して減少いたしておりまして、二五%程度までに改善をいたしておりますが、しかしながら、依然として二五%程度の中小企業者が貸し渋りを受けているということは確かに重大な点であるというふうに考えております。  また、先行きの点でございますが、金融機関の貸し出し姿勢について、厳しいものとして受けとめる者は、ことしの十月時点で四二%、四三%近くになっております。一時期に比べますれば大分低下をいたしておりますが、なお四割強の中小企業者が金融機関の貸し出しの姿勢について厳しい受けとめをいたしておる状況でございます。
  237. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 大企業の同じレベルでの調査の数字も出していただきたい。ことしの三月時点が公表されている中では一番新しいと聞きますけれども、大企業中小企業の比較をしていただきたい。
  238. 岩田満泰

    岩田政府参考人 御指摘の大企業についての調査は、本年三月の調査が最後になっているところでございます。
  239. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 その数字を言っていただきたいんです。  今すぐ出なければ私が申しましょう。  三月の調査によりますと、貸し渋りを受けていると答えた大企業は二二・六%でありました。中小企業で貸し渋りを受けているというのは二八・六%、中小企業の方がはるかに高い数字であります。また、融資態度の厳格化を懸念する、今後の見通しについても、大企業は四〇・四%に対し中小企業は四八・八%。いずれも、現在の貸し渋りの実感、さらに将来の見通しについても、中小企業の方が大企業よりも極めて深刻な状況と受けとめている、これが通産省の調査の結果であります。  日銀の統計も確認をしたいと思いますが、国内銀行の企業規模別貸し出し動向はどうでしょうか。金融機関全体として貸し出しが減っておりますけれども、大企業に向けた貸し出しと中小企業に向けた貸し出し、その残高の対前年比を示していただきたいと思うんです。また、九七年三月を起点としまして、最も新しい貸し出しの数字の伸び率をそれぞれ示していただきたい。
  240. 村山昇作

    ○村山参考人 お答え申し上げます。  ただいまの御質問は、国内銀行の企業規模別の貸出残高についての御質問と承りました。  まず、この数字につきましては、直近の統計は九九年六月末残高が出ております。この数字の前年比でございますけれども、まず、大企業向けにつきましてはプラスの一・五%、中堅企業向けにつきましてはマイナスの三・四%、中小企業向けにつきましてはマイナスの七・二%でございます。  次に、同じこの六月末残高の九七年三月末に比べての増減率ということでございますけれども、まず大企業向けにつきましてはプラスの五・四%、中堅企業向けにつきましてはマイナス三・〇%、さらに中小企業向けにつきましてはマイナスの一一・三%、かような数字になっております。
  241. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日銀の調査でも明らかなように、中小企業向けは大幅に減っております。大企業に比べまして中小企業がいかに不利な状況に置かれているかということは、この二つの調査でも明確だと思うんですね。  日銀の統計局長、お帰りいただいて結構です。  通産大臣は先ほど、不遇な立場にあった中小企業を支える、こういう趣旨の発言をされました。昨年の四月十三日の予算委員会で深谷通産大臣は「常に中小企業は不遇であった」「この中小企業がしっかり経営が成り立っていくような状況をつくるということは、日本の将来のためにも大事なこと」だ、このように述べました。  今の数字をお聞きいただいたと思いますが、大企業に対してはどんどん貸し出しをふやしておりますが、中小企業には貸し出しが減っております。貸し渋りが依然として深刻だということは、中小企業庁長官の認識でも述べられました。こういうことについて、つまり銀行の行動、この行動について大臣はどのように思われますか。
  242. 深谷隆司

    深谷国務大臣 先ほども中小企業庁長官からお答えいたしましたけれども、いわゆる貸し渋りを受けている中小企業の割合というのは、昨年のピークと比べたらぐっと改善されました。ただ、今度は融資という面から、お話のように、大企業と比べると、大企業には融資が大幅なのに中小企業は少ないということは実態でございます。  私は、今まで金融機関に対して国が例えば六十兆も枠組みをつくって健全化、再生化を図ってきたのも、中小企業に対する貸し渋りをなくしてくれという熱烈な思いがあったからであって、金融機関はそれにきちっとこたえていかなければならない、そう思っておりまして、それが十分にこたえられないということは問題であり、私は、金融監督庁等を通じて、さらにこのことについては付言させるようにしていきたいと思っております。
  243. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 ぜひ厳しくやっていただきたいと思います。  実態は極めて深刻でございまして、商工ローンに走る状況を見ましても、中小企業の資金需要がないのではございません。銀行の貸し出し姿勢が厳しい、ここに重大な問題があると思うんです。  最近の大型金融再編というのがいろいろと発表されております。貸し渋りにこの再編成が拍車をかけているのではないかという指摘もございます。第一勧銀、富士、興銀の統合、東海、あさひの統合、あるいは住友、さくらの合併など、銀行の大型再編が相次ぎまして、リストラのためと称して大規模な人減らしと支店の大幅な削減が行われようとしております。それぞれ、六千人、四千人、九千三百人、合わせて一万九千三百人、約二万人を削減しようとしております。また支店は、合わせまして三百七十一店を減らそうとしております。  重大なのは、こういう大企業の再編、リストラに伴いまして融資先の中小企業の選別、これが一層強められようとしていることであります。例えば、十一月三日付の日経新聞にこのような記事がございます。「大手金融機関の合併・統合の影響も無視できない。合併前に内容を良くしておこうと、「銀行の支店段階で格付け順位の低い企業のふるい落としが始まった」」と、これからの大規模な金融再編というのが格付の低い企業、主に中小企業が多いわけであります、現実にそれをふるい落とすという危険が強まっているのですね。金融再編で中小企業がどのような影響を受けるか、この点について通産大臣の見通し、見解をお聞きしたいと思います。
  244. 深谷隆司

    深谷国務大臣 本来、金融機関の大型合併とかあるいは業務統合というのは、経営体力を強めるということでございます。経営体力を強めるということは、中小企業を含む事業者に対して安定的な資金供給につながるというものでなければならないと思っております。私は、金融機関がそういう角度から今後の体力を強化し、中小企業を含む事業者に対する安定的資金供給を行うように期待していますし、その方向に進むべきことを通産大臣としても監督庁等に呼びかけていきたいというふうに思っています。  なお、先ほど申した金融機関に対する健全化、再生化のために、既に大手十五行に対しましては資金注入を行っているわけでありますが、いろいろな要件を整えるようにいたしておりまして、その中には、中小企業の融資を拡大するということもあるわけでございます。十五行の計画をトータルで合わせますと、中小企業に三兆円ぐらい上乗せした融資を行うということになっているわけでありまして、それを実現させるために今後もきちっと見守っていきたいと思っております。
  245. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 経営健全化計画の中で、みずから中小企業に対してこれだけ貸し出しますと計画を出していながら、未達の銀行がたくさんあります。これ自体も私は極めて重大だと思っておりますが、具体的に、今申し上げました金融再編の中でも、銀行のいわば横暴が見られます。  具体的な事例を紹介したいわけです。例えば、愛知県に富士銀行がメーンバンクとなっております、木材関係の刃物を製造している木村刃物製造という従業員が百十七名の会社がございます。この会社は、木工機械の刃物メーカーでは業界第三位に位置する会社でございます。七月に突然、この八月で名古屋工場は閉鎖する、こういう発表がありました。全従業員が一たん全員解雇であります。七十名だけは翌日再雇用すると言われるけれども、あとは不採用。退職金はどうか。退職金は規定の三分の一にカット、それを六十カ月の、六十カ月というのは五年です、均等分割で払う。つまり、事実上退職金の支払いなしでほうり出すというようなものであります。  なぜそういうことになったのか。富士銀行といいますと、一兆円という一番多額の公的資金を受けた銀行であります。最初この会社は、富士銀行名古屋金山支店に、人員整理に当たって退職金を払うのは当然と考えて計画書を提出いたしました。ところが、富士銀行から、そういうことは甘い、こういうふうに言われまして、退職金さえまともに払えない事態になった。メーンバンクの富士銀行は、自分の債権はしっかり回収するけれども、貸出先の中小企業の退職金も払わせない。公的資金を一兆円も受けた銀行がこのような中小企業いじめ、融資をてこにしたリストラの強要をやっていいのか。  金融再編に伴ってこういうことが多発しておりますが、金融監督庁はどのような事態が起こっているか把握していますか。
  246. 乾文男

    ○乾政府参考人 お答えいたします。  先ほど深谷通産大臣もお答えになりましたように、金融の再編というのは、金融機関の体力を強めまして、それによりまして、いわば金融機関としての体力、言いかえますと、リスクをとるリスクテーク能力を高めるということでございまして、そのこと自体は、いろいろな中小企業を初めとする融資に対するリスクテーク能力を高め、融資を拡大する方向につながるものであるというふうに考えているところでございます。  先ほどから中小企業庁長官からもお答えがございましたけれども、最近民間金融機関の融資動向を見ますと、御指摘のようにマイナスということが続いておるところでございます。その要因としてはいろいろなものがあると思いますけれども、私ども金融監督庁といたしましては、金融機関の業務の公共性にかんがみまして、金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させまして健全な取引先に対する必要な資金供給が滞るといったことのないように十分注意を払ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  そうした観点から、私ども、金融機関のトップとの意見交換会等を毎月のようにやっておりますけれども、そうしたあらゆる機会を通じまして、金融機関に、今申しましたような観点からの注意を喚起しているところでございます。
  247. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 どのような把握をしているかということに対して明確な答えがない。実態が正確につかまれていないんじゃありませんか。そういう姿勢だから具体的な横暴が直らない。体力をつけても横暴ばかりやっているじゃないですか。こんなのじゃだめですよ。  通産大臣は、昨年四月十三日の予算委員会で、金融機関の貸し渋りに関連して、「民間金融機関の猛省を促したい」とおっしゃいました。また、最近は「中小企業を見放さないような状況をつくる」とも言われました。金融再編に伴いまして、銀行の中小企業いじめというのが始まっている。それを防ぐために具体的な実態も調べていただきたいけれども、関係省庁と連絡をとって必要な対策をとる、こういう姿勢が大事だと思いますが、いかがでしょうか。
  248. 深谷隆司

    深谷国務大臣 委員御指摘のとおりでございますが、金融機関に対する実態の把握、そして、貸し渋りの状況がもしあるとすればそれに対する厳しき対応、これは金融監督庁が中心として進むべきでありますが、通産省といたしましても、また大臣という立場からも、金融監督庁が厳然たる対応をとるように今後も注目してまいりたいと思っております。
  249. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 次に、政府系金融機関の役割についてお聞きをしたいと思います。  このような民間金融機関の現状のもとで、政府系金融機関の仕事として、中小企業を守るということが大変重要であります。深谷通産大臣は、昨年八月十七日の予算委員会の質問で、次のような発言をされております。「こういうときに、政府系金融機関が駆け込み寺としての役割を果たすべきだ」「私は、条件にかなうということはもちろん大事でございますが、駆け込み寺としての性格を考えた場合には、ある程度のリスクは計算の上で、思い切った貸し出しをしていくということがとても正しいことではないか、大事なことではないか」と述べておられます。なかなかいいことをおっしゃっているわけであります。  政府系金融機関は、銀行から不当な貸し渋りを受けた中小企業を救う駆け込み寺的な存在だという認識は、大臣になってもお変わりにならないか、お聞きをしたいと思います。
  250. 深谷隆司

    深谷国務大臣 そのように考えております。  同時に、例えば、信用保証協会の貸し出しについての問題で二十兆をつくりましたとき、私は、自由民主党の総務会長という三役の一人でございまして、中小企業の関連で通産省とは相当な連絡をとりながら実現に向けて努力した一人でございます。そのときにリスクを一〇%と、かなり思い切ったリスクの設定を私は要求したわけでありますが、これはただいま申し上げたような私どもの中小企業に対する融資への基本的な姿勢だと思っていただいて結構であります。
  251. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それではここで、既に理事会で御了解いただいているわけですが、資料の配付をお願いしたいと思います。  政府系金融機関の関係の方に来ていただいております。まず、政策投資銀行の小粥総裁にお伺いをしたいと思います。  昨年十二月に、中堅企業向けということで、長期運転資金等の新しい貸出枠をつくりました。実施した融資は効果を上げているかどうか、九八年十二月から九九年九月までの実績、これを紹介していただきたいと思います。  資本金十億円以下の中堅、中小企業への融資実績と十億円以上の大企業への融資実績を金額と比率で示していただきたい。
  252. 小粥正巳

    ○小粥政府参考人 お答え申し上げます。  お尋ねの平成十年十二月のいわゆる貸し渋り対策融資によりまして新たにつけ加えられました業務は、御案内のように、企業の社債償還資金融資と長期運転資金融資でございます。いわゆる貸し渋り対策融資として私どもが把握しておりますのは、既存の制度を援用したものも含めておりますが、ただいまの委員のお尋ねは、昨年末の法改正によって新たにつけ加えられた業務ということに限ってというお尋ねと理解をいたしますので、それについての実績を申し上げたいと思います。  まず、資本金十億円以下の中堅企業に対しましては、件数が二百十六件、金額が七百六十億円でございます。次に、資本金十億円超の大企業に対しましては、件数百五十九件、金額で六千八十八億円となっております。
  253. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 その比率が大変重大だと思うのですね。件数でいいましたら、十億円以下中堅企業が五〇%台でありますが、しかし金額でいいますと、お配りした資料の一ページ目の右上でありますが、中堅企業向けとして設定された枠、これが中堅企業向けにわずか一一・一%、十億円を超える大企業には八八・九%も回っております。これでは、わざわざ中堅企業向けと銘打って進めたのに全く逆の結果しか出ていない。大企業が横取りしているのじゃありませんか。  昨年十二月の法改正のときに、提案者の大野議員、現在大蔵政務次官でありますが、このようにおっしゃっていました。「法の精神はあくまでも中堅企業を中心とする対策でございますから、もし実際の開発銀行の体制がそのような法律の精神にのっとって運営をしないこととなれば、我々はそれは問題にしなければならないことだと思っております。」十二月三日の大蔵委員会での答弁でございます。これは日本共産党佐々木陸海議員に答弁をされていました。  これに対して小粥総裁は、「中堅企業中心であるということは、ただいま提案者の大野先生がおっしゃられたとおりでございますし、私どももそのようにわきまえております。」と答えておられたのじゃありませんか。何もわきまえていないじゃありませんか。実績はそうなっていない。いかがですか。
  254. 小粥正巳

    ○小粥政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま御質問の、私どもが昨年末のいわゆる貸し渋り対策のための法改正に基づいての融資実績を申し上げたわけでありますけれども、この点は、ただいま委員からおっしゃられましたように、当時の国会における質疑におきましても、中堅企業が中心であるという御議論であったことは私も記憶をしておりますし、また私もそのようにわきまえているつもりでございます。  ただ、中堅企業中心でございますけれども、表現としても「中堅企業等」という表現であったと思いますし、結果的に大企業も含まれている。私も国会でのお答えのときにそのように申し上げた記憶もございますし、私どもといたしましては、旧日本開発銀行それから旧北海道東北開発公庫の融資対象である既存の取引企業に限らず、門戸をできるだけ広く広げまして、新しいお申し込みも積極的に受け付けてきたつもりでございます。  そこで、先ほど私がお答え申し上げました法改正に基づく貸し渋り対策融資の内容が、件数においてはいわゆる中堅企業への融資が約六割を占めている、件数では多いということも、ただいま委員にもお認めいただいたわけでありますが、ただ、中堅企業と大企業企業規模の差、資金需要の規模の差を反映いたしまして、確かに、御指摘のように、融資金額では大企業の方が大変大きな割合を占めている、これはそのとおりでございます。  ただ、あえてつけ加えさせていただければ、昨年来、私どももつぶさに体験をいたしましたこのような信用収縮の状況の中で、その影響は、申すまでもなく、中小あるいは中堅企業だけではありませんで、当然大企業にも同じように厳しく及んでいたわけでありますし、私どもが結果として規模の大きな企業への貸し渋り対策としての資金供給を図りました場合に、それぞれの大企業は、これも当然でございますけれども、取引関係あるいは下請関係で関連する極めて多数の中小企業と取引を日々しているわけでありまして、その中堅、中小企業も含めた事業活動あるいは雇用の維持にも、これらの直接には大企業に融資をいたしましたその金融が、関連をするこれらの多数の中堅、中小企業にその影響が大いに及んでいるということもまた当然のことでございます。私どもは、その辺の影響、効果等も勘案をしながら、中堅企業中心という趣旨はわきまえつつ、先ほどのような対応をさせていただいたわけでございます。
  255. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 全然説明になっていないですよ。「等」がついたから「等」の方が九割になっている。中心だと言った中堅企業は一割しかない。問題は金額ですよ。「等」がついたから、これは幾らでも膨らんでいいんだということにはならないでしょう。  大企業も厳しいと言うけれども、大企業向けの融資は、先ほどの日銀の統計でも明らかなように、どんどんふえているのですよ。中堅企業が減っている。中小企業が減っている。そういうときに政府系金融機関の役割が大事になるのじゃありませんか。その政府系金融機関が中堅企業に出そうと言っているときに、「等」があるから「等」の方に大企業が九割だ、そんなでたらめなやり方がありますか。  中堅企業の申し込みが少ないのでしょうか。申し込みが少ないというなら、具体的に申込件数、その申し込みの中で何件融資を受けたか、その数字を出してください。
  256. 小粥正巳

    ○小粥政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま企業からの私どもへの申込件数のお尋ねがございました。実は、私どもが手元で申込件数の数字を持っておりますものは、法律が成立いたしました昨年の十二月から本年九月末までの貸し渋り対策関連での私どもへ寄せられた新規相談件数でございます。これは九百二十六件でございます。  ただ、念のために申し上げますが、これは新規でございまして、新たに融資相談に来られた企業からの相談件数を申し上げたわけでありまして、このほかに私どもと既に取引のある企業からも、これは日常的な融資相談はもちろんあるわけでございます。  それからもう一つ申し上げますと、私ども、融資相談を受けました場合に、例えば、他の政府機関では一律に申込書類をおつくりになるというような例も伺っておりますけれども、私どもは、とりあえず個別の御相談にできるだけ迅速、丁寧な対応ができるように心がけているつもりでございまして、私どもの窓口での具体的な例を申し上げますと、新規相談件数の中で、実際に伺ってみますと、企業の規模あるいは御相談の内容から、他の政府関係機関、例えば中小企業金融公庫でございますとか国民生活金融公庫などを御紹介して、そちらで対応していただいた、そのようなケースがいろいろとございます。  それからまた、一度御相談をいただきながら、その次に詳しいお話をお伺いするつもりでおりましたところ、その後お見えにならないというような例もございまして、実を申しますと、新規の相談件数だけでお尋ねの融資実績と対応がし得る件数には必ずしもならないということは、申しわけございませんが、申し上げさせていただきます。  それから、恐縮ですが、先ほど私は、社債償還資金融資と長期運転資金融資という、法律改正で新たにつけ加えられた制度に基づく融資実績を申し上げましたが、実は、既存の制度でも対応できるものを含めまして、この期間全体といたしましての貸し渋り対策融資は、件数では例えば六百二十六件ございますが、これを直ちに、先ほどの、私が冒頭申し上げました新規申込件数と直接対応してお答えするわけにはまいりませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  257. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 長々答弁されましたけれども、具体的な数字がないじゃありませんか。何件申し込みがあって、どういう審査が行われて、そのうちの何%が貸し出されたかという数字がないんじゃないですか。まともなデータも出さないでいろいろな言いわけをしても、それは通用しませんよ。  実際、この中堅企業向けという枠を利用した大企業には、例えばダイエー、西武百貨店などの流通業界の大手、NKK、住友金属、神戸製鋼など鉄鋼大手、あるいは三井物産、日商岩井、住友商事、丸紅などの総合商社、さらに三菱自動車などの大手自動車メーカー、こういう大企業も、どんどん中堅企業対策の資金を借り出しているじゃありませんか。これらの企業は、大型店を進出させたり撤退させたりして中小小売店を圧迫し、商店街を破壊し、大リストラを行って下請中小企業を切り捨てるところばかりであります。中堅、中小企業を圧迫し切り捨てているこういう大企業に、なぜ政府系金融機関の中堅企業対策資金を回さなきゃいけないんですか。やっていることが逆じゃありませんか。この姿勢を改めて、困っている中堅企業中小企業にしっかり貸し出す、これが本来の政府系金融機関の役割であります。  昨年十二月にこの制度をつくったときに、中堅企業のためというのが法律には書かれていないものですから、私どもは、これは中堅企業向けとはっきり書くべきだ、こういう主張をいたしました。制度上、法律上の欠陥があるんじゃありませんか。大企業に回る抜け道をふさがなければ中堅企業に回らない。この点で、通産大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  258. 深谷隆司

    深谷国務大臣 今、小粥総裁の話を聞いておりました。やはり本来あるべき姿をもっとしっかり守って頑張ってもらいたいという思いを抱きました。
  259. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 次に、中小企業向け政府系金融機関について聞きたいと思います。  毎年予算が立てられて貸出枠が設定をされます。ところが、実績がそれに見合っているかどうか。  まず初めに中小企業金融公庫に伺いたいと思います。  中小企業金融公庫法第一条によりますと、「中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金であつて、一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とする。」こう規定されていますね。予算を一〇〇としまして実績がどの程度か。九二年、九五年、九八年について、その数字を言っていただきたい。
  260. 作田頴治

    作田政府参考人 お答えいたします。  九二年度の貸し付けの予算は二兆七千九百五十三億円でございました。一方、貸し付けの実績は二兆七千二百二十六億円でございました。  それから、九五年度でございますが、予算は二兆八千五百二十五億円でございました。貸し付けの実績は一兆七千八百二十六億円でございます。  それから九八年度でございますが、予算は二兆五千四百四十四億円でございました。一方、貸し付けの実績は一兆八千百四十八億円でございました。
  261. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の数字でも明らかなように、資料を見ていただきたい、四枚目の資料の下の方です。実際に、九二年の場合には予算と実績の乖離は二・六%、比較的近かった。九五年になりますと三七・五%、予算があるのに貸し出しが行われていない。九八年度、乖離は二八・七%であります。何でこれだけ予算がありながら貸し出しをしないのか。  次に、商工組合中央金庫に聞きたい。  予算と実績がどの程度乖離しているか。同じように、九二年、九五年、九八年度、それぞれについて答えていただきたい。
  262. 田中徳夫

    田中参考人 お答えいたします。  商工組合中央金庫の場合には、私どもの貸し出しの性格上、予算の比較につきまして、年度末の貸出残高の比較と増減という形で計画がなされております。  御指摘の九二年度につきましては、貸し出し計画は八千四百四十億の増ということでございますが、実績が二千四百二十億円でございます。九五年度につきましては、七千三百億円の増に対しまして、マイナスの九百三十億円。さらに九八年度につきましては、二千億円の増に対しまして五百十六億円ということでございますが、ベースには、貸出残高、総残高では、御案内のように総額十一兆円、十一兆数千億の金額がございます。  以上でございます。
  263. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今の資料の四枚目を見ていただきたい。今数字をおっしゃいましたけれども、景気が悪くなるほど、予算はあるのに貸し出しの方は前年に比べてマイナスになっている。どういうわけですか、これは。貸し出そうとしているのに、ゆとりがあるのに貸し出さない。駆け込み寺じゃありません、これじゃ。貸し出そうという姿勢がない。  通産大臣に伺いたい。  昨年の四月十三日の予算委員会で、政府系金融機関に対して貸出金を準備していながら、現実に融資された金額は余りにも少ないというふうにおっしゃいましたね。やはり一種の貸し渋りのような状況があるからではないかと指摘をされています。今示されたような未達状況というのは正常なあり方じゃないと思います。通産大臣の見解をお聞きし、その指導方針をお聞きしたいと思います。
  264. 深谷隆司

    深谷国務大臣 両機関の融資計画は、これを利用しようとする中小企業者の資金ニーズに十分こたえられるようにそもそも立案しております。  中小企業の資金ニーズが一体どういうような動向であったかというのは、この二つの機関の今までの貸し出しの状況を詳細に検討しないと一概には言えません。どちらかというと計画はややゆとりを持って立てておりますから、そういう意味では、当該計画を達成しないからといって資金ニーズにこたえていないと直截的に結論を下すのはいかがかと思いますが、なお貸し出しについての努力を一層図っていくということは委員指摘のとおりだと思っております。  そういう点から考えてみますと、例えば民間金融機関の中小企業向け貸出残高が減少しています一方で、ところが両機関の貸出残高については、平成九年度末から十年度末にかけては増加して、中小企業向け融資におけるシェアもふえているという状態にございます。  私どもとしましては、中小企業に対する平成九年度秋以降の民間金融機関の貸し渋りが顕著になっていた中で、両機関に対して、貸し付け相談に訪れた中小企業者に対して個々の中小企業の実態を十分聞きなさい、そして貸し付けの手続を迅速にやりなさい、そして一定の条件のもとでの返済猶予など既往債務に対する適切な対応などを行いなさい、そういう指示をしてまいりまして、それらの指示を両機関がきちっとこれから守って努力されることを期待したいと思います。
  265. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 厳しく指導していただきたいと思うんですね。  ゆとりを持って立てているとおっしゃいましたが、しかし、それだけ資金需要が中小企業にあるわけです。ですから、商工ローンがはびこってああいう大問題が起こっているわけですね。そういうところに本当に真摯に、相手の意見を、相手の状況を聞いて、親身になって貸し出すというのが本来の政府系金融機関の役割なんだ。銀行が貸し出せないところに貸し出すというのがその役割なんですから。これは、達成しないところにはペナルティーを科すぐらいの強い決意でぜひやっていただきたいと思います。  次に、国民生活金融公庫について聞きたい。  新しい国民生活金融公庫法では、第一条で「一般の金融機関からその融通を受けることを困難とする国民大衆が必要とするものを供給」する、こう明記しております。この内容は旧法と変わっておりません。  私はここに、国民金融公庫総合研究所というところが業務参考資料として出しました「中小企業を取り巻く金融環境変化と公庫の機能」、こういうタイトルの報告書を持っております。ここには、こう書いてあるんですね。国民金融公庫の貸し出しは、民間金融機関では対応できないような小規模層の資金需要を満たしてきたと考えられる。小規模企業の資金需要は小口であること、財務内容が脆弱であることなどの理由から、民間金融機関は貸し出しをしない場合がある。また、貸し出し一単位当たりのコストが高いため、たとえ企業内容がよくても、大企業向けの金利よりはるかに高い金利を提示する傾向がある。したがって、民間金融機関からの借り入れができない小規模企業が存在する。また、高い金利を受け入れざるを得ない企業や、借入額を縮小しなければならない企業も多いと思われる。国民金融公庫の小規模層に対する低利での貸し出しは、民間金融機関では対応できない需要を満たす機能があると考えられている。このように書かれているわけですね。  総裁にお聞きをしたい。新しい体制になりましたが、この基本的な考え方に変わりはありませんか。
  266. 尾崎護

    尾崎政府参考人 変わりはございません。
  267. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 それでは、具体的にお伺いをしたい。  普通貸し付けの予算に対する実績の乖離がどの程度あるか、最近九年間の数字を述べていただきたい。
  268. 尾崎護

    尾崎政府参考人 先ほどお手元に配付されました資料の五ページに掲げてございますので、御参照いただきながらお聞きいただいたら幸いでございます。  まず、1として「予算」とありますが、これは財投計画上の貸付計画額の、財投の追加をされた後の数字でございます。それから「貸付実績」がございまして、その「差額」、つまりこれはすべて未達額でございます。その次に「未達成率」が書かれております。読み上げます。  九一年度、予算が三兆三千三百十億円、実績三兆二千九百七十億円、差額三百四十億円、未達成率は一・〇%でございます。九二年度、三兆八千三百億円、三兆七千七百九十六億円、五百四億円、一・三%。九三年度、四兆三千七百十億円、四兆二千四百四十四億円、千二百六十六億円、二・九%。九四年度、三兆七千九百四十億円、三兆三千三十八億円、四千九百二億円、一二・九%。九五年度、三兆七千九百四十億円、三兆三千四百四十九億円……(佐々木(憲)委員「時間がないので未達だけ言ってください」と呼ぶ)はい。それでは、未達のみ申し上げます。  九五年度から申し上げます。一一・八%、九六年度三・六%、九七年度二二・五%、九八年度一六・八%でございます。九九年度は、まだ年度途中でございますので、未達成率は余り意味のある数字ではないと思います。
  269. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 未達成率を見ていただければわかりますように、予算に対して実績は、毎年毎年実績の方が大幅に下がってきております。九一年、九二年のあたりは、一%程度でありますから予算に対してほぼ全額が貸し出されている。ところが、不況が深刻になってどんどん中小企業が困っていけばいくほど、国民金融公庫の貸し付け、予算に比較してそれが下がってきている。ことしはまだ途中でありますけれども、半分としても三割余っている、こういう状況であります。これ自体、極めて姿勢として重大だと言わざるを得ません。  私どもにこういう訴えが寄せられております。これは仙台支店の話であります。  九月におよそ一千万円の融資を申し入れた。現在この支店に対し七百万円の借入残高があるが、これは約定どおり返済をしている。当初抵当なしでもいいでしょうという話だったが、その後音さたがないので連絡すると、この書類が足りないと言われ、そろえて提出した。その後音さたがないので連絡をすると、あの書類が足りないと小刻みに言われて、結局五十日も待たされた。最後には担保を出せと言う。それも出すと返事をしてもまだ決定通知が来ない。せめて何日ごろには融資を実行するという話を聞かせてもらわないとこちらも都合がある、そう言ってもなかなかそれを明かさない。結局、先週末の時点で五百万円は何とかしようという話にはなったが、まだ実行の日は明らかではない。本来一千五百万円までは担保をとらないと聞いていたが、本当にひどい話だ。前に借りたときに抵当権を設定したが、この融資は終わっているのに、今回調べたら抵当権が解除されていないこともわかった。  総裁にお聞きしたい。国金というのはいつもこんな貸し出しのやり方をしているんですか。
  270. 尾崎護

    尾崎政府参考人 お答え申し上げます。  国民金融公庫の貸し出しでございますが、申し込みがありましてから九日以内に貸し付けが終わりますものが六・八%でございます。四十六日以上かかっているものが九・六%ということになっております。  ただいまのようなケースはちょっと考えられないようなことでございまして、よく調べさせていただきたいと思います。
  271. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 よく調べていただきたいし、また、四十六日以上が九・六%と言いますが、これは、そういう長時間待たされている側の立場からいいますと、もうあす手形が落ちるかどうかわからないという人に、倒産するかどうかわからないという方々にとっては、極めて重大な状況なんですね。  私どもへの訴えはこれだけではありません。いろいろあります。  国金の返済はおくれたことがない、しかし決算内容がよくないと言われて申し込みが取り消された、こういう例もある。おくれるとしつこく催促してきて、保証人への催促も厳しい。一カ月支払いが滞ったら、競売だ、こういうふうに言われた。商工ローンと変わらないじゃないですか。  二期連続して黒字になっていなければ貸し付けないという話も聞きますけれども、本当にそういう方針でやっているんなら、これは重大問題です。二期連続して黒字でなければ貸し付けないという方針はあるんですか。
  272. 尾崎護

    尾崎政府参考人 ございません。  私どもの貸付先の状況を申し上げますと、実は、赤字企業が四〇%、自己資本がマイナスになっている企業が二五%でございます。私どもは、そういうところでも何とか長所を見出して貸していきたい、先ほど通産大臣のおっしゃいました駆け込み寺になりたい、そういうことで仕事をしているわけでございます。  二期連続黒字でなければ貸さない、そういうようなことはありません。
  273. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 実際には駆け込み寺になっていないんです。  五枚目の資料を見ていただきたい。実際に、申し込みに対する貸し付け、どれだけ乖離しているか。申し込んでも貸してもらえない。最初に、受け付けるかどうか、受け付けをしないという例がある。最初から問題にしないという門前払い。申込者による取り下げ分とありますが、これがそれなんですね。その上で受け付ける。受け付けても、審査の上ではねていく。ですから、実態は、そこにありますように、九六年度で七二・五%しか借り入れられない。九七年度では六七・一%、九八年度は六七・九%、こういう実態であります。これはやはり姿勢に問題があると言わざるを得ない。  通産大臣にお伺いしますが、昨年四月十三日の予算委員会の質問で、国金の貸し渋りの問題を取り上げて、尾崎総裁ともやりとりをされておられます。その中で、中小企業の「皆さん方の気持ちが窓口まできちんと伝わっていない、」「大勢の困った人たちあるいは御相談に応じた人たちに丁寧、親切にこたえていくという姿勢をつくってほしい、」このように述べられています。今の現状を改めるべきだと思いますが、そういう指導をしていただきたい。
  274. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私は、政府系金融機関が特に中小企業の駆け込み寺になってほしいといつも言い続けておりますし、その思いに変わりはありません。  ただ、それぞれも努力をしているというその状況はある程度理解しているつもりでございます。それが十分であると申しているわけでは決してありませんけれども、努力は尽くしている。予算額で七〇%、八〇%の貸し出しが一体いいのか悪いのか、ここの判断は、借りる側の事業状況というものも勘案しなければなりませんから、一概に言うことはできないとは私は思っています。  しかし、先ほど申したように、手続を迅速にやるように、それから返済猶予などに対しても適切な対応を行うように、そして親切に、親身になって対応してほしいという思いはそのまま持っておりまして、ちょうどその指導者がおられますから、改めて、中小企業に対しては一層親身に努力してくれるように私からも注文をつけたいと思います。
  275. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 最後に、時間がありませんので、総裁がお見えなのでお聞きをしたいんですが、この国金の労使関係の問題、長年にわたって所属組合や思想信条を理由とした差別が続くという不正常な事態があります。九五年の都労委の救済命令は、明白な差別と不当労働行為があったとしておりますが、国金はそれを守らず、裁判に持ち込むという極めて異例な事態となっております。  現在、裁判所から和解勧告が出ているようですけれども、労使関係を正常化するということは、中小企業にも温かい、そういう姿勢をつくり出す上でも大切だと思います。この正常化のためにどのように対応されるつもりか、最後にお伺いしたいと思います。
  276. 尾崎護

    尾崎政府参考人 先ほどの申し込みに関することにつきまして、誤解があるといけませんので申し上げさせていただきたいんでございますが、私ども、例えば商工会や商工会議所に申込書が置いてございまして、それを使って郵送をされてくるものもございます。すべて申し込みは受け付けることにいたしております。  それから、ただいまの労使の関係でございますが、先生御指摘のように、都労委の決定がありました後、東京地方裁判所に訴訟をいたしておりまして、これは裁判所の問題となっておりますので、私が意見を申し上げるのは控えさせていただきたいと思います。
  277. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 もう時間がありませんので終わりますが、すべて受け付けているというのは現実と違うと思うんです。受け付ける前にはねられる、こういう状況があるんです。それは現場をよく聞いていただきたい。  また、労使の正常化は、これは大変重要な課題でありまして、和解勧告が出ている以上それに応ずるように最後に要望して、質問を終わります。
  278. 中山成彬

  279. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 社会民主党・市民連合の知久馬二三子でございます。  最初に、中小企業の経営環境についてお伺いします。  中小企業基本法の改正は、中小企業を取り巻く厳しい経営状況をどう切り抜けていくかということで、二十一世紀を見据え、政策体系を抜本的に再構築し、今後の中期的な政策展開の基軸を明確化するものであるということを理解します。そこで、中小企業を取り巻く厳しい経営環境について政府がどのように認識なさっているのか、まず最初にお伺いしたいと思います。  五日の本会議で、大臣は、昨秋の一時の厳しさは脱したものの、中小企業の回復は遅いと答弁なさっておられます。設備投資など生産性を初めとするまさに大企業との格差が、この未曾有の長期不況の中でますます顕在化しております。回復は遅いなどという表現ではとどまらない厳しい経営環境に陥っていると思うのでございます。  ベンチャー、これは創造力とか開発力を持った新製品等の技術、新しい事業なんですが、そのベンチャーだけではなく、小規模零細事業者の環境について改めて大臣の認識をお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  280. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業の経営環境についての御質問でありますけれども、中小企業庁・中小企業総合事業団の中小企業景況調査というのがございます。ことしの七月から九月にかけての中小企業の業況判断指数というのを見ますと、過去最低を記録した昨年末の水準から回復しているということを申し上げました。  一方で、しかし、現在の景況を示す数値は昭和六十年の円高不況時の水準よりも低い、依然として厳しい状況にあると私は思っております。  また、その他の中小企業と比較しても、小規模企業、今特に言われました小規模企業を取り巻く経営環境には一層厳しいものがあると認識しております。
  281. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 次に、その定義、範囲の見直しについてお考えをお伺いしたいと思います。  定義の細分化についてでございますが、単なる範囲の拡大では施策が拡散して小規模零細事業者への支援が手薄になりはしないかとの懸念が絶えません。五日の本会議質疑においても、社民党は、対象企業の定義を零細、小規模、中小、中堅などに細分化して、十分な財源をもって各規模別にきめ細かな施策を講ずるべきと提案させていただいたところでございます。これに対して、大臣は、物価上昇など経済変動を考えれば定義の引き上げは妥当な水準である、また、細分化について、その必要はないと回答があったと思います。  引き上げについては理解をいたしますが、細分化についてもう一度お尋ねいたします。本当に細分化について必要がない理由ですが、どういう理由で細分化をしなくていいかということを詳細にお答えいただきたいと思います。
  282. 茂木敏充

    茂木政務次官 中小企業は極めて多様な企業の集まりであることから、知久馬委員は、その多様性に着目した御指摘をいただいたのだと考えておりますが、定義を余りにも細分化いたしますと、施策の内容が現在以上に複雑になって、かえってそれを利用する側の中小企業にとって利便性を損なう、こういう問題がございます。そこで、基本法におきましては、定義を細分化することについては慎重に考えるべきだと思っております。  むしろ、個別の中小企業施策の実施に当たって、施策対象となる中小企業について、その事業形態であったりとか経営目標など特性を十分に勘案して必要な措置を講ずることにより、よりきめ細かい対応を図ってまいりたいと考えております。  なお、御指摘の小規模企業に対しましては、小規模企業は経営資源の確保が特に困難だ、こういう事情を踏まえまして、小規模企業については、範囲を明確に定め、必要な考慮を払っております。
  283. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 よくわかりましたけれども、本当に零細小規模企業というのは、幾ら自助努力をしてもなかなか大変な状況にあると思いますので、今言われましたようなことを、よろしく指導とかをお願いしたいと思います。  続きましては、詳細な基準設定の必要性についてでございますけれども、範囲や定義に関連して、基本法がおおむねの基準を提示しているとするならば、業種ごとに詳細な基準を設定することも検討されてしかるべきだと考えるのでございます。  特に不安が多いのは、基本法の定義が資本金と従業員数という量的な基準に限っている点でございます。例えば、大企業からの独立性や市場シェア、市場に占める割合ですか、といった質的な基準において、既に中小企業とは言えない企業が今回の範囲見直しにより中小企業と認定されると思われます。厳しい財政状況のもとで貴重な中小企業予算が本来必要としている企業に措置されない可能性は否定できないと思うのであります。つまり、必要のない企業に措置されることもあり得ると思うのでございますけれども、その点についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
  284. 茂木敏充

    茂木政務次官 大企業からの独立性や市場のシェアといった質的な基準についてのお尋ねでございますが、大企業からの独立性につきましては、中小企業政策における多くの施策、特に、御指摘いただきましたような金融関係の中小公庫法等々におきましては、大企業の子会社はその対象から除外をいたしております。  しかし、その一方で、例えば中小企業の組合活動、大企業も入ってもらった方がかえって中小企業にメリットがある、こういうものにつきましては、大企業の子会社の存在を明示的に排除していない場合もございます。このように、施策ごとにどこまで大企業の子会社を認めるか等々、きめ細かく対応してまいりたいと考えております。
  285. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 では、続きまして、定期的な見直しの必要性についてでございますけれども、まだこれだけ日本の経済社会が激変しているときでもありますし、こうした時代状況は今後も続くものと思われます。これまで基本法における定義は十年から二十年の長い期間でしか改定されてきませんでした。三年や五年といった短い期間、タームで定期的に見直すことも必要と考えますが、この見解についてはいかがでしょうか。また、物価上昇率などの定期的に発表される数字をもとに算出できないものでしょうか。  定期的な定義の見直しや詳細な基準設定は、韓国などアジア各国や欧米では既に実施されておりますが、我が国では必要ないとお考えなのでしょうか。  米国の中小企業活性化に触発されて提起された今回の中小企業国会ですが、欧米に倣ったのはベンチャー支援だけでしょうか。その辺をお伺いしたいと思います。
  286. 茂木敏充

    茂木政務次官 知久馬委員御指摘のとおり、今回の定義の見直し、二十六年ぶりの定義の見直しとなるわけでありますが、定義の見直しと理念の見直しというのは区別して考える必要がございます。  理念につきましては、中長期的な展望のもとで策定したものでございますので、余りちょくちょくこれが見直される、こういうことには問題があると思っております。  一方、委員御指摘のように、定義の見直しにつきましては、適時適切に見直していくことが必要であると考えておりますし、御指摘いただきましたような物価上昇率等々の経済指標の推移や中小企業の実態の変化等を参考として、必要に応じて見直しを行うことが重要だと考えております。
  287. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 それで、さっき言いましたけれども、物価上昇率などの定期的に発表される数字をもとに算出できないかということなんですけれども、それはできるわけなんでしょうか。
  288. 茂木敏充

    茂木政務次官 中小企業の経営の実態というものをやはり基本にしていく必要がございまして、機械的に、例えばGDPデフレーターを使ってそれでそのまま引き上げていく、こういうことよりも、実態を踏まえた上で適時見直していくということが妥当だと考えております。
  289. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 先がたもちょっと質問したのですけれども、定期的な定義の見直しや詳細な基準設定は、韓国などアジアの各国、欧米では既に実施されております。そうした中で、今回中小企業国会と言われたのは、欧米に倣ったのはベンチャー支援だけのものでしょうかということを、大臣にその所見をお伺いしたいと思います。
  290. 茂木敏充

    茂木政務次官 今回の理念の見直しにおきましては、まず、基本的に理念を、今までの大企業中小企業の格差是正、こういうところから、中小企業そのものに光を当てて、中小企業の自助努力を支援していく、こういう大きな転換を図っております。  そこの中で、御指摘のようにベンチャーや創業に対する新しい柱も立てておりますが、同時に、先ほど御指摘いただきましたような小規模企業に対する配慮の問題等々も今までどおりの柱として残させていただいております。
  291. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 続いて、建設業における下請いじめを解決すべきだということについての考え方をただしたいと思います。  日産のリストラ計画、下請業者に対する二〇%のコストダウン要求、それから業者数を半分程度に削減、そのような状態を見るまでもなく、親会社が下請業者の生産条件や取引条件までも一方的に決めている現実があると思うのであります。  下請取引の適正化について、先日の本会議質疑で、大臣は、公正取引委員会と建設省と連携し厳正に対処していくと答弁なさっておられます。この不況下で下請いじめは激化し、これに苦しむ下請業者が激増しているのは言うまでもありません。こうした実態に対してどのように厳正に対処していくおつもりなのか、まず大臣にお伺いいたします。
  292. 深谷隆司

    深谷国務大臣 下請取引の適正化ということに対しては、下請代金支払遅延等防止法という法律と、もう一つは建設業法で代金の支払い遅延や買いたたき等が禁止されている。そして、公正取引委員会、建設省と連携して、親事業者に対する検査を実際には実施してまいりました。そういう厳正な対応の仕方をとってまいっております。  このうち、下請代金支払遅延等防止法について申し上げると、毎年度、まず書面調査を実施する、違反の懸念がある事業所への立入検査を行う、さらに、違反の事実が確認された場合には改善のための指導を行うということをやっております。  また、建設業法について申し上げますと、建設省と中小企業庁が共同して、下請等に対する報告徴収、検査を行っているわけでございます。  今後とも、下請に対する不公正な取引がないように厳正に対処してまいります。
  293. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 ただいま、そのようなことがないようにということがあったのですけれども、私は、この建設省、公正取引委員会との連携には少し建設業法の欠陥があるのじゃないかなということを思うわけなんです。  国は、独占禁止法や下請代金法、建設業法によってこれまで対応なさってきたと今も言われましたけれども、例えば建設業法第十九条の三で不当に低い請負代金の禁止を定め、不公正な取引を禁止してきました。また、公正取引委員会は、より明確化したガイドライン、建設業の下請取引に関する不公正な取引方法の認定基準を定めています。先がた大臣が言ったとおりなんですけれども。  昨年来、社民党は下請いじめの問題に取り組んできました。この中で、公正取引委員会も中小企業庁も独自に動けない、対策を講じられないという仕組みを建設業法が持っていることがわかりました。それは、建設業法第四十二条で、建設大臣が両者に対して措置請求等、公正取引委員会には措置請求、それと中小企業庁には通報義務をしないと動けないとされているからです。しかし、建設大臣はこれまで、法制定の一九四九年以来一度も措置請求等を行ったことがありません。  下請いじめがこれほど問題になっているのに対策が講じられていないのは、建設大臣が力不足ではないのでしょうか。それとも、中小企業庁長官と公正取引委員長ですかの連携が不足なのでしょうか。そのあたりの所見をお伺いしたいと思います。地方の建設業者においても、非常にこの不満を持っているところがたくさんあると思います。よろしくお願いします。
  294. 岩田満泰

    岩田政府参考人 まず、調査関係でございますが、建設工事などの請負におきます下請取引につきましては、大臣が先ほど御答弁申し上げましたように、建設省との共同で建設業法に基づく調査をしてきております。  元請につきまして、二年に一度は調査ができるようにということで、元請約千百社につきまして調査をし、その下請について報告徴収を行っているということであります。その結果、問題があれば、元請に対しまする改善指導あるいは公正取引委員会への措置請求ということで対応をいたしておるところでございます。なお、平成十年度においては、約五百件につきまして改善指導を行ったところでございます。  なお、建設業法四十二条との関係にお触れでございますが、私ども、四十二条とともに四十二条の二という規定がございます。中小企業庁等が、あるいは公正取引委員会が独自に施策を講じることを妨げるものではないというふうに理解をいたしております。  中小企業庁におきましては、こうしたことで、先ほど申し上げましたような、建設省との共同で調査を行い、その結果に基づいて、中小企業庁独自で、あるいは建設省とともに公正取引委員会に対する措置請求を行うという道は十分に開かれているというふうに解釈をいたしております。
  295. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 今の説明では、中小企業庁と公正取引委員会は深く連携しているということに受け取ってよろしいでしょうか。
  296. 岩田満泰

    岩田政府参考人 さようでございます。  中小企業庁として調査を行いますが、その結果について問題がある場合には、公正取引委員会に対して中小企業庁として独自に行動することの道は開かれていると理解をいたしております。
  297. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 では続いて、今回の基本法改正案では、建設業の下請適正化に対して通産省としても積極的に取り組んでいこうとする意気込みが十分過ぎるほど感じられます。例えば、業種の例示として、「工業、鉱業、運送業」現行二条としていたものを、「製造業、建設業、運輸業」改正案の二条と変更されていますし、「下請取引の適正化」現行第三条も、「取引の適正化」改正案二十条と、より一般化された文言になっています。  建設業法第四十二条の意味は、行政の一元化にあると説明がなされてきましたが、中小企業庁が独自に施策を講じられるようなシステムを構築することが今こそ必要なのではないでしょうか。そのあたりを説明願いたいと思います。
  298. 岩田満泰

    岩田政府参考人 お答え申し上げます。  建設業法でございますが、四十二条という条項と四十二条の二という規定がございまして、四十二条の関係は、建設大臣と公正取引委員会との関係を規定しておりますが、中小企業庁、この規定では中小企業庁長官でございますが、中小企業庁長官に関連をする四十二条の二という規定がございます。  これは、とりわけその第三項におきまして、「中小企業庁長官は、」中を抜きますが、「違反している事実があり、その事実が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第十九条の規定に違反していると認めるときは、公正取引委員会に対し、同法の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。」という規定がございまして、先ほど御答弁申し上げたのは、この条文に従ったものでございます。
  299. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 私、ちょっと理解が悪いものでして、中小企業庁が独自に施策を講じるようなシステムを構築することが必要ではないかということを聞いたのですけれども、その辺が私今ちょっとわからなかったのですが、どういう意味でしょうか。
  300. 岩田満泰

    岩田政府参考人 したがいまして、先ほどの四十二条の二によりまして、中小企業庁は独自の施策を講ずることができるということでございます。
  301. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 では、続きまして、今後の分野調整法について、小規模零細事業者を総合的に支援すべきであるということに対してなんですけれども、これまで大企業との分野調整を目的とした分野調整法について、今後政府はどのような方向で取り組まれていくのかをお伺いします。  現行の基本法では、事業調整は、下請取引の適正化や官公需確保といった施策と同列に、不利の補正という範疇にありました。事業調整は、大企業の無秩序な進退出から中小企業の事業分野を確保するという視点から展開されてきたものであります。昨年の国会で成立した大規模小売店舗立地法でも、まさに中小企業を初めとする地域を、町を守るという観点から大規模小売店の出店のあり方が規定されたと認識しております。  しかし、五日の本会議大臣は、環境激変への適応を円滑化する観点からも今後とも行うと答弁なさいました。改正法でも、取引適正化や国等受注機会確保が経営基盤強化に位置づけられる一方で、事業調整がセーフティーネットの整備に分類されたのはなぜなんでしょうか。  また、近年、インターネットなどを通じて、工場や店舗などを設けずに物品の販売やサービスの受注を行う企業経営が可能になりました。情報通信のネットワークを利用する事業分野は今後とも急成長が予想されると思います。しかし、中小企業の事業分野に大企業が進出してきても、現行法では対応にも限界があるのではないでしょうか。  分野法の運用強化、拡充のみならず、長期的な視点から事業調整を行い得る新たな分野調整制度の創設、つまり、分野法の抜本改正も早急に検討すべきだと考えますが、御所見をお伺いしたいと思います。
  302. 深谷隆司

    深谷国務大臣 分野調整政策は、新基本法でも、第二章第三節の「経済的社会的環境変化への適応の円滑化」のための施策の一つとして位置づけています。ですから、分類の変更と思っていただきたいと思うのです。激変緩和対策というのは大きな柱でございますが、その中には特別保証もありますし、あるいは倒産防止のための共済法制なども考えていますが、その一つとして、当然分野調整の政策は掲げていくわけでございます。  大企業の事業活動に伴って中小企業の経営環境が大きく変化する場合の対策も、また急激な環境変化による影響を緩和し、事業者の変化への円滑な対応を促すというセーフティーネットの整備の一環としても、経営の安定ということの対策の位置づけとしてこれを考えていこうと思っております。  残りのものは茂木政務次官が答弁します。
  303. 茂木敏充

    茂木政務次官 委員御指摘いただきました情報通信ネットワークを利用した新しいビジネス、例えば本の世界でも、アマゾン・コムといった形で、インターネットを使って書籍が購入できるような時代になってきている。これは決して大企業ということではございませんが。  この情報通信ネットワークを利用した大企業中小企業分野への進出の問題につきましては、現行の分野調整法におきましても、具体的な申告に基づきまして実態を十分調査し、中小企業の経営の安定に悪影響を及ぼすおそれがある場合には、ネットワークを利用した事業についても、一般消費者等の利益にも配慮しつつ、適切な対応を図ることが可能となっております。  なお、分野調整政策の今後のあり方につきましては、現在、通商産業大臣の諮問を受け、中小企業分野等調整審議会で慎重なる検討審議をいただいているところでございます。
  304. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 では、続きまして、従来施策の維持、拡充が不可欠ではないかということなんです。  零細小規模企業への施策を従来どおり実施すると大臣は繰り返しておっしゃったわけなんですけれども、事業調整の扱いを見ても、理念をベンチャー支援に転換することからしても、ちょっとそこのあたりがまだわからないということでございます。そもそも、従来どおりでは今の未解決の課題が温存されるにすぎないのではないかなということを思うんですけれども、そのあたりをもう一度ひとつよろしくお願いします。
  305. 茂木敏充

    茂木政務次官 委員御指摘の中小企業に対する配慮の問題でありますけれども、中小企業に対する施策につきましては、新基本法におきましても、第八条「小規模企業への配慮」と明示的に条文を置きまして、引き続き施策を続けることを明らかにしているものであります。  具体的に申し上げますと、零細小規模事業者を支援するため、地域に密着した形で、商工会や商工会議所等による経営改善普及事業を今までも実施しておりますし、これからも実施してまいります。  そして、今後は、平成十二年度におきまして、零細小規模企業の経営革新や創業をきめ細かく支援するため、既に大臣の方からも説明がございましたが、全国各地に三百カ所の支援拠点を設けまして、中小企業、小規模企業に身近なところでこの支援策をとってまいりたいと考えております。  さらに、小規模企業の経営革新や創業の支援として、中小企業近代化資金等助成法をこれからは小規模企業等に対象を限定いたします。その一方で、業種や設備とかの今までありました縛りはなくする、使い勝手をよくいたしまして、また、額の面でも一千億円ぐらいに枠を増額させる、こういうより充実した制度のもとで施策を実施してまいりたいと考えております。
  306. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 同じことが重なるかもわからないのですけれども、まず、住民のスモールビジネス、小さな店ですが、それらのことについてお尋ねしたいと思います。  五日の本会議質疑で、大臣は、今回、基本法改正案を提出して中小企業の強みを伸ばす自助努力支援に転換すると答弁なさっております。その中小企業の強みとは具体的には何を想定されていらっしゃるのでしょうか、それが一つ。  著しい新規性や創造性を有する企業と規定しているいわゆるベンチャーが日本経済の牽引車であることは否定しません。しかし、住民に高いニーズがあり、絶大な雇用創出の効果があるのは、何といっても、住民が創業し経営するスモールビジネスだと思うのであります。身近なところで本当にちょっとした買い物ができる。朝の食事をつくるにしても、何か足りないからちょっと走っていって買ってこようかなという、そのようなものも必要になってくると思うのであります。  政府の政策目標でも、ハイテクのベンチャー一万社増に対して、ローテクの開業企業は十万社に、今言いましたような普通の企業、店だと思いますけれども、十万社増としています。まさに、雇用創出のかなめがここにあると思うのです。  議員ならだれでも地元で実感していることです。私自身もそのようなことを実感しておりますけれども、中小企業の強みとは、ベンチャーにあるのではなくてスモールビジネスにあるのだと思うのです。そのあたりのことを少し大臣の方にお伺いしたいと思います。  大臣の地元にはベンチャーの企業とかありますでしょうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  307. 深谷隆司

    深谷国務大臣 私の地域にももちろんベンチャー企業がございます。ただ、この間大田区へ行ったのですけれども、あの地区は特に活発であったという印象がございました。比較すると、やはりベンチャー企業の進んでいる地域というのはかなり濃淡があるかなという感じがいたします。  それから、ただいまの御質問についてでありますが、スモールビジネスを私は大事でないと思っているわけでは全くありませんで、ベンチャー企業を育成するのと同じようにスモールビジネスというものも中小企業の、特に小回りのきく中小企業にとっては非常に伸びやすい分野でございますから、これは大事にしていきたいというふうに思っております。  前にも申し上げたように、中小企業を画一的に見るのではなくて、多面的に見て、それぞれにふさわしい政策をきめ細かくやっていきたいというふうに思っています。  いろいろな金融関係の支援はもちろんでありますが、先ほど申した三百の支援センターなどもそういうスモールビジネスに対する相談窓口の一つとして活用できるのではないかと思います。
  308. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 大変うれしいことを回答としていただきまして、よろしくお願いしたいと思います。本当に小さな企業というのはその地域の中で生かしていくということが大切だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  先がたも全国に三百カ所整備すると言われましたけれども、その新事業支援センターは、本当に地域の身近な拠点として創業予定者や小規模企業の経営革新を支援するものだということです。これが創業・開業支援の目玉であるということが今大臣のお答えにあったと思います。  しかし、そのことについて、先がた言われたのですけれども、本当にどのようなことで具体的にそれを進めていくのかというのが何か少しも浮かんでこないような気がするのです。それは言葉だけのことであって、どういう形でそれを支援されるかという不安を覚えます。  それと、どういったところに設置をするのかということや専任の職員、相談員がいるのかどうかということ、それから運営費等はどうなるのか。従来の商工会や商工会議所との関係はどうなるのか。ただのオーダープランだけであればむだじゃないかなということを思いますので、もう一度その点についてお伺いしたいと思います。
  309. 岩田満泰

    岩田政府参考人 お答え申し上げます。  新事業支援センターでございますが、小規模事業者の創業でございますとか、あるいは経営の向上というものを支援するものでございまして、地域における身近な拠点として位置づけたいというふうに考えております。  そこには、企業経営に知見のあるような民間の方を主体として考えた人材を、例えばこの世界で最近よく使われますコーディネーターというようなものがございます。いわばいろいろな御相談に乗る人間、専任のコーディネーターを複数配置するということがございます。いろいろな意味でお顔を合わせて御相談に乗るということもございますが、同時に、そこでいろいろな機関を紹介するというような役割も果たしていただく、あるいは施策の紹介というものも含まれると思います。そういう対応をすることも予定しております。  また、その実施主体について御質問でございますが、従来から商工会、商工会議所というようなところでいわゆる経営改善普及事業のようなことが行われてきておるわけでございますが、このセンターにつきましては、こういうものに限定せず、幅広くもろもろの、御希望といいましょうか、応募をしていただけるような方々に広く選定の幅を広げていきたいというふうに考えておりまして、最もふさわしい実施主体にこれを担っていただくことを前提にしております。  その場合に、商工会、商工会議所では、現に経営改善普及事業について行われているわけでございますから、そういうものとも連携をして、またそこが一つのもろもろの相談先の紹介先になるというような形も想定をしながら、実施主体については幅広い選定を進めていきたいというふうに思っております。
  310. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 最後になりますけれども、資金と人材の配分の比率についてお伺いしたいと思います。  先がたもずっと言いましたけれども、五日の本会議質疑でも、大臣は繰り返して零細小規模企業などに対して行ってきた施策は、従来どおり実施すると答弁なさっています。限りある中小企業予算で、十五カ月予算とも言われる概算要求において、ベンチャー支援として行う施策の純増は幾らなのでしょうか。これに比べて、零細小規模企業向けの従来施策に振り向けられる予算は幾らの純増なのでしょうか。正確にお答えいただきたいと思います。  それとあわせて、その比率はベンチャーと零細小規模業者に向ける政府の姿勢と受け取ってよろしいのでしょうか。  また、予算だけではありません。人も大切です。例えば、中小企業庁の職員は十分配置されているのでしょうか。各地に設置するとしている各拠点には職員が、担当者が十二分に配置されるのでしょうか。  以上の点についてお伺いしたいと思います。
  311. 茂木敏充

    茂木政務次官 平成十二年度のベンチャー支援策、新規のものでもたくさんのメニューを用意させていただいております。  まず一つは、ベンチャー企業総合支援センターの運営に必要な経費、これは、企業経営に必要な知識や能力を有する人材のデータベースを整備するとともに、これらの人材の紹介や派遣を行うものでありますが、これで九・九億円、それから二番目に、中小企業総合事業団から投資事業有限責任組合に対する出資のための経費として十億円、さらに三番目として、ベンチャー企業向けの新しい資金供給制度を中小企業金融公庫に創設するための経費十億円などであります。それから、既存の施策につきましても充実を図っております。  例えば、ベンチャーキャピタルとベンチャービジネスの出会いの場になってまいります地域のベンチャープラザ、これは例えばアメリカなんかかなり既に進んでおりまして、民間の企業がもうやっているのですね。レッドヘディングとか新しい企業が出てきておりまして、収益が出る事業になっているのですが、日本ではまだそこまで行っていない。こんなことから、〇・四億円を一・七億円に増額する等々ベンチャー企業に対する施策の充実を図っております。  その一方で、小規模企業対策の予算、これにつきましては、引き続き必要な額を確保してまいりたいと思っておりまして、二百八億円を要求いたしております。昨年度の場合が二百六億円でございました。具体的には、商工会、商工会議所等を通じた小規模事業の経営改善普及事業のための経費、先ほども御説明いたしましたが、この部分で百九十三億円、小規模企業及び創業を予定している者が気軽に経営の悩みを相談できる、地域に身近な支援拠点を全国三百カ所程度整備するための経費として十五億円等々でございます。  また、中小企業庁の職員でございますが、現在中小企業庁には二百名の職員がございます。その中で、今後とも、十分な中小企業施策を実施するために必要な職員を確保していきますと同時に、行政改革の中で、より業務の効率化を図っていきたい、この二本の目標を両立してまいりたいと考えております。
  312. 知久馬二三子

    ○知久馬委員 ありがとうございました。  私が一番心配するのが、やはり零細中小企業人たちの生活をしていく糧だと思いますので、どうぞ零細中小企業を本当に考慮していただきたいと思います。  以上で終わります。
  313. 中山成彬

  314. 吉井英勝

    吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私は最初に、大臣にまず伺っておきたいと思いますのは、現行の中小企業基本法の出発時点での問題としては、昨日取り上げましたように、自動車、電機、機械などの戦略産業の国際競争力強化のために、ピラミッドの頂点を支える下請中小企業の上からの近代化、高度化、そういうことを進めていくねらいもあったことは確かです。しかし同時に、一九四八年の中小企業庁設置法に示された、健全な独立の中小企業が、国民経済を健全にし、及び発達させ、経済力の集中を防止し、公平な事業活動の機会を確保するものであることにかんがみ、中小企業を育成するという、やはり戦後の中小企業政策の基本理念に沿った、中小企業経済的社会的制約による不利を是正する、中小企業の従事者の経済的社会的地位の向上に資するなど、こういう積極的な面があったというふうに私は考えているものです。  法案では、現行法の前文を削除してしまうというわけですね。この前文の規定が間違っているのかどうか、あるいは第一条の政策目標も間違っているのかどうか、やはり、そういうことについて吟味もなしに削除してしまっていいのかという問題があると思うんです。私は、これは削除するべきじゃないと思うんですが、大臣、この削除というのは、これはやめるべきじゃありませんか。これは大臣にまず伺いたいと思います。
  315. 深谷隆司

    深谷国務大臣 前文は、格差の是正ということから始まっております。そして、その格差の是正については、昨日も議論を重ねたところでございます。
  316. 吉井英勝

    吉井委員 前文のそれがおっしゃったようにあるわけですが、ですから、前文のやはり積極的なものがありますし、それから第一条で政策目標も、これはやはりそれを受けてのものですから、私はまず、この中小企業基本法の最も基本の部分、これは削除するべきじゃないと思うんですが、この点について改めて大臣に伺っておきたいと思います。
  317. 深谷隆司

    深谷国務大臣 基本法の最近の立法例を見ますと、前文を置かないというのが非常に多くなってまいりました。特別な意図があったわけではないんですけれども、そういうものに合わせたと思っていただきたいと思います。
  318. 吉井英勝

    吉井委員 いろいろ吟味して、前文であれ何であれ、意味のないもの、間違った規定、これは削除するというのは意味があると思うんです。だけれども、現に格差もあり、格差の是正ということも今も依然として意味のあるものなんですから、それ以外にも、中小企業の従事者の経済的社会的地位の向上に資するとか、これはあるわけですから、わざわざその基本になる前文を削除するという意味は別段ないわけで、近ごろの傾向というのは、新たに立法化していくときに、政府原案で考えられるときの話は別として、今あるものと、それを受けての一条などについては削除することはないと思うんですね。これはもう一遍伺っておきたいと思います。
  319. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ただいま申し上げたような、最近の立法例を見ますと前文を置かないということが多いと申し上げたんですが、それ以外にも、例えば現行の基本法の前文で、中小企業の非近代性を前提にした経済的社会的制約による不利の是正等を中心的な考え方として記述をしておりまして、新法の理念と必ずしも合致しないという点がございます。  また、政府としての中小企業に関する基本的な認識というのは、これは、第三条に基本理念として記述させていただいております。
  320. 吉井英勝

    吉井委員 私は、やはり、個々の部分についてどうするかという議論であれば、前文の中で、そこをどうするという議論議論で、個々によく検討するということは、そういう御提案があれば、その前文を残した中での議論というのはまずあり得ることかと思うんですが、前文そのものをばっさり切っちゃうわけですね。ここは、実はやはり戦後の中小企業政策のかなり積極的な部分を生かしたものが入っているわけで、それを全部取っちゃう、そして第一条も、政策目標に掲げた部分も取ると。  私は、その点では、やはり大臣も昨日答弁で認められたように、大企業中小企業の間の格差というのは今日も厳然とあります。昨日、自動車問題を中心に挙げましたからそのときはおいておきましたが、これは工業統計によって、製造業の従事者一人当たりの年間給与差でも自動車以上にさらに一貫して格差があり、さらに自動車以上に格差が激しい。ですから、大企業や親企業中小企業の間で圧倒的な力の差があるということはまず事実としてあるわけですね。その中で、優越的地位の乱用などで下請企業がいじめられたりとか、これは恐らく大臣も地元の中小業者の方から聞いていらっしゃると思うんですね。  さらに、金融の面で見ますと、金融分野は佐々木憲昭委員の方からきょうありましたが、私も伺ってみますと、例えば、先日も中小企業家同友会の方とお会いして伺うと、ことしの八月、九月の全国調査によると、都市銀行などの貸し渋りは九九年になっても継続していて、今後貸し渋りが予想されるという回答が八・一%と、これからも貸し渋りが行われるのではという危惧の念が強く残っているということを言っておられますし、それから、二十兆円の特別保証の実施で貸し渋りが変わったのかという問いに対しても、緩和したという回答は一二・二%にすぎず、せっかくの貸し渋り対策も中小企業には有効に働いていない。個々の業者の方からもそうですし、また、他の中小企業団体の方から同様のことを伺っております。  こういう点では、大企業より高い金利の押しつけなど、中小企業というのはいろいろな分野で不利な状況下に置かれているという、これは事実の問題として、ここをやはり認識して、私は、そこからこの基本法の問題に出発したときには、これは前文の削除とか、あるいは第一条の政策目標を取っ払うということはないと思うんですが、もう一遍大臣に伺っておきたいと思います。
  321. 深谷隆司

    深谷国務大臣 中小企業の事業活動の結果としてあらわれる生産性等の指標という点から見れば、中小企業と大企業との間に格差があるというのはお説のとおり事実であります。中小企業の生産性の向上が図られることは重要な政策課題でありますから、新基本法においても、経営基盤の強化を重点施策として位置づけております。  ただ、現行基本法の中小企業政策の理念としての格差の是正というのは、昭和三十八年時代の経済の二重構造というのを意識しておりますから、そういう意味での非近代的な存在だといったような形は実態として是正すべきだ、そういうふうに私どもは思っているわけでございます。むしろ、そういうような考え方は実態にそぐわないから、中小企業が多様で活力のある存在として我が国の経済の活力の源泉になる、あるいは雇用を創出するための有力な存在であるというふうに位置づけていきたいと思っているわけでございます。  中小企業政策も、このような中小企業像というものを前提にいたしまして、中小企業の役割を正面からとらえて、新基本法の基本理念として、その自助努力を支援していくんだ、そういう文言にしたわけでございます。  なお、貸し渋り対策の特別保証の問題について、効果がないと言われるような意味合いのことがありましたけれども、例えば、ピークから比べると中小企業倒産件数は半分に減っている、そういう状況なども踏まえてみますと、もちろん効果は上げていると私どもは思っております。
  322. 吉井英勝

    吉井委員 中小企業の中にいろいろなものがありますから、今日なおかなり非近代的で劣悪な状況に置かれているところもあるし、私は全部がそんなものだというふうにはもちろん思っていません。さまざまなものがあります。  そういう中で、今は理念のことをおっしゃったんだが、経済的社会的制約による不利を是正するという政策の目標はまず間違っていなかったというふうに私は思うわけです。今も、基本法の前文と政策目標については、やはり日本の中小企業政策としては追求していくということが必要だというふうに思います。  中小企業であれ、小規模企業であれ、長期にわたる深刻な九〇年代不況を持ちこたえてきた企業皆さん方は、みんなさまざまな自助努力、経営革新の努力をしてきていますよ。それなしには今日生き残れていないんですよ。私は、大田区や墨田区やあるいは大阪市、私の地元の東大阪市でも中小企業家の皆さんと懇談してきておりますが、中小企業家の皆さんがおっしゃっているのは、政府は助けてくれなかったから、自助努力や経営努力をしなかったら生き残れなかったんだ、そういう叫びというものをたくさん聞いております。  ですから、政府の方が理念を転換して、今も自助努力を正面から支援するものに変えるというお話で、それで、重点政策はベンチャー企業・創業、経営革新等前向きな企業への支援に特化するということですが、私は、中小企業の中でも大中小零細さまざまな業者の方がいらっしゃるわけで、そのすべてを対象として、そのそれぞれの中小企業に見合った自助努力の支援、経営革新の支援というものが必要だと思うんですね。この点について、大臣に伺いたいと思うんです。  なお、大臣の方からおっしゃった特別保証の問題は、調査のアンケートでは有効に働いていないというのが出ているということであって、私たち自身、特別保証については要求もしてまいりましたから、その結果全体として今否定的なことを言っているわけじゃないし、むしろこれは期間の延長とか枠を広げることとかそういうことを含めて今も求めているものですから、それだけは誤解のないように申し上げておきたいと思います。
  323. 深谷隆司

    深谷国務大臣 従来から、中小企業に対する政治の面での応援体制というのは数々やってきたとは思います。だけれども、それ以上に、中小企業皆さん方が今あなたがおっしゃるように額に汗して必死に頑張ってきたということが、今日まで、中小企業が極めて従業員数も事業所数も多く、日本の経済を支えているという形になった原動力だというふうに私も認識しています。  過日、大田区に視察に参りました折も、従業員の非常に少ないところだけれども、例えば、取引先は信頼関係で四十社ぐらい持っていて、びくともしないというところもありましたし、わずか五、六年の間に売り上げが十倍に達して、極めて近代的な企業に変わっているというような実態も見てまいりまして、私は、そういう意味では、中小企業皆さんが並々ならぬ御苦労をしておられるというふうに思っています。  中小企業も、前に申しましたように、一面的に見ないで多面的に見ていって、それぞれきめ細かなお手伝いをするということは、まさに委員が言われました中小企業全体として支えるべきだ、救うべきだというお気持ちと全く一体だというふうに私は思っております。
  324. 吉井英勝

    吉井委員 私も大田区へも参りまして懇談もいたしましたが、そのさまざまな中には、今日、大企業の海外移転、産業空洞化の中で、非常に腕のいい、旋盤やフライス盤とかを扱ってこられたり、あるいはガス溶接や電気溶接やら、さまざまなたくみのわざを持った方たちが、心ならずも経営が成り立たなくなって廃業に向かわれている。その結果として、ネットワークを組んで今まで非常にすぐれた仕事をしてきた、そのネットワークが崩れていくというふうな、そういうさまざまな問題を抱えて苦労しているのがそういう地域でもあります。  だから、大臣、役所の方がいいところばかり御案内したのかもしれませんが、私もいいところもいろいろ見ていますが、そういう厳しい実態にあるところを見たときに、何といっても必要なことは、すべての中小企業を対象にした施策を進めるということになりますと、やはりこの点では予算措置が伴わなきゃならない。これは後ほどの質問で触れたいと思いますのでここではこれだけにとどめておきますが、やはりそれが大事なんだということを申し上げて、次に、下請取引の適正化問題に移っていきたいと思います。  現行法では、不利を是正する、事業活動の不利の補正という柱があるから、十八条の下請取引の問題や、二十一条の輸出の振興、二十二条の緊急輸入制限の問題など、実際に中小企業を全体として支援する枠組みというものがあります。現行十八条の「下請取引の適正化」を削除するということにしているわけですが、これを新二十条で残すというのですが、昨日取り上げた日産のリストラについて言うと、実際に下請業者の方たちの間では不安が広がっております。  通産省は、九〇年代不況の中で、あるいは異常円高のときであれ、最近の消費不況の中であれ、例えば日産やトヨタやスズキなど、こういう大手企業に対して下請取引を継続させるとか下請単価の切り下げをやめさせるなど求めた事例はありますか。これは政府参考人の方からで結構ですが、どうですか。
  325. 岩田満泰

    岩田政府参考人 御案内のように、私ども、下請代金法に基づく調査を、親企業については全数の調査を、中小企業庁の部分と、公正取引委員会とまさに連携をしながらし、その上で、問題があるかもしれないと懸念される事案について立入検査をし、内容的にいろいろ問題があれば指導をし、あるいは必要な法的な措置をとるということを毎年行っているわけでございます。その中で、下請単価の問題がございますればそういうものに対して適切に対応するということで、毎年取り組んでいるわけでございます。
  326. 吉井英勝

    吉井委員 せんだって、全国中小企業団体中央会が「下請中小企業の最近の動向」という調査を行って、発表しました。  親企業の特徴的な動きという事例の中には、コストダウン要請はすべての業界で引き続き強く行われており、下請企業の選別・集約化も、鋳物業界を除いてすべての業界で進行している。産業用機械について見ますと、年度当初三%から五%の年間コストダウン要請があるが、為替レートの変更によりさらにコストダウンを求められる状態だ。輸送用機械について見れば、取引高の小さい下請企業の中には、整理統合され、二次下請となる企業もある。  取引先の業況悪化で下請企業の取引上の影響はあるかという問題については、受注量の減少を挙げる業界が多く、依然として下請企業は売り上げ減少に苦しんでいる。輸送用機械について見れば、受注量の減少が顕著で、下請企業の中には年内の受注が半減した企業がある。メッキ分野でも、コストダウン要請に応じても、親企業の業績がよくなったときに値上げしてもらえない。  親企業とのトラブルについてという調査では、金型だけでなく、金型業者のノウハウの結集である図面も要求され、代金は金型代金しか払ってくれない。輸送用機械では、協力金の要請や、キャッシュバックの要求が潜行して行われるが、結局のまざるを得ない。  こういう状況が中央会の調査でも出ておりますし、同じくその調査の、ことし五月には、下請法には抵触しない形態でコストダウン要請や発注を契約することから力関係で取引が決まってきている、あるいは、下請法の制度はあっても、制度を利用すると下請業者名が直ちに判明し、当該業者の取引が縮小するというリアクションがあるので、これを恐れて活用できないというダイカストやメッキ業界の調査の結果が紹介されております。  今、何かお話を聞いていると、書類調査だけじゃなくて現場へも行ってというお話なんですが、こういう実態がいっぱいあるんですが、本当に現場へ行って実態を把握していらっしゃるのかどうか、政府参考人の方に重ねて聞いておきたいと思います。
  327. 岩田満泰

    岩田政府参考人 下請代金支払遅延等防止法という法律は、一面におきまして、下請事業者が、例えば行政当局に対して訴えを起こすことにちゅうちょを感じるというようなことがあるがゆえに、体系といたしまして、行政当局がみずから積極的に調査をして、違法な状態があるかないかということを調べる体系になっております。先ほど御説明をいたしました、公正取引委員会と中小企業庁が共同で調査をし、その中から立入検査をし、そして必要な措置をとるというこの体系そのものが、そういう趣旨において行われているものでございます。  その上で、さらに私どもといたしましては、下請取引に関する苦情とか紛争の相談ということで、都道府県あるいは全国のレベルでございます下請企業振興協会というようなところに窓口を設けまして、いわば駆け込み寺としての窓口を開いておるわけでございます。この点についての相談件数は毎年三百件程度ということでございまして、お申し出がある件数というのは必ずしも多くはないということでございますが、私どもが行政当局として調査をする等々、立入検査をするということとあわせて、両々で対応させていただいているところでございます。
  328. 吉井英勝

    吉井委員 今のお話を伺っていると、もう下請問題も随分頑張っていらっしゃって心配ないような結構なお話なんですが、しかし、中小企業庁の下請中小企業短期動向調査をいただいておりますが、これによりますと、一九九一年二月の景気の山から後、受注量や受注単価は前年同月比で見て一〇〇を超えたことはありませんね。つまり、前年よりも率で下がっているんだからずっと下がってきているというのが実態であり、だから、下請法はあるんだけれども、期待にこたえることはできていないというのが実態なんじゃないですか。
  329. 岩田満泰

    岩田政府参考人 下請受注単価等の動向でございますが、平成三年十二月以降、連続して前年同期に比べて減少を続けております。平成十一年の四月から六月期におきましては、前年同期に比べて約六%の減となっている状況にございます。
  330. 吉井英勝

    吉井委員 ですから、いただいたこのデータを見れば歴然としているんですよ。本当に下請の皆さん方がどんなに苦しい思いをして経営をしていらっしゃるか、中小企業庁のデータによって示されているわけです。受注量の落ち込み、これはもちろんあります。しかし、同時に、受注単価が一貫して前年割れ、もともと前年割れしたそれよりさらに前年割れですから、どんどん落ちてきているというのが現実の姿です。  私、九五年の異常円高のときにスズキ自動車などの調査をしたときのことでしたが、スズキの社長は、このころ日経にも明らかにしておられましたが、従業員百人以下の系列中小企業は他社と合併して体質を強化してほしい、合併しない会社は時代おくれだ、百人以下の会社には新規の仕事を回さない、発注しない、こういうことを公言していらっしゃいました。スズキ協力協同組合に入っていた協力会社が、百四社から九五年に八十七社にその当時減らされていたわけですが、まさに社長方針が断行されておりました。  今回の日産の大リストラになりますと、下請を半分にする。ですから、選別と集約化も、これまでにも考えられないぐらい大規模に進もうとしているわけですから、それだけに、この下請企業の受注の継続とか単価の切り下げを抑えるとか、本当に今下請の皆さん方がそのことで苦しんでいるんですね。  全国中小企業団体中央会のさきの下請動向調査の中でも、自動車、電機の下請金属プレス業界の回答では、八十円を下回るというあの異常円高のときに下がったコストのままだと。円安になっても単価は上げてくれないんですよ。親企業の圧倒的な力で下請の合併や単価の切り下げ、契約の打ち切り、いわば何でもありという状態の分野がかなり広く見かけられるわけです。これが下請の実態なんですよ。  そこで、下請取引適正化を強化する具体的な取り組みというものが、私は、これは大臣として、やはり本当に強化する具体的な取り組みというものを今大臣の方で考えていただかなきゃならぬときだと思うんですが、これは大臣に伺いたいと思います。
  331. 深谷隆司

    深谷国務大臣 大企業のリストラによる影響を受けて、下請中小企業に対しては、御苦労なさっておりますから、適時適切な対応をしていかなければならぬというふうに思います。  基本的には、景気を回復するという経済の安定がやはり極めて重要なことでありまして、政府全体としては、経済の再生に一層努力をするということが何よりも肝要だろうと思っています。  しかし、実際問題になりまして、下請中小企業の受注開拓に対する支援、これは各都道府県の下請企業振興協会を通じて取引のあっせん等もやってきたのでありますが、これをさらに活発にさせていかなければなりませんし、中小企業金融公庫等政府系金融機関による設備資金とか運転資金の融資とか、資金供給の円滑化を図るということもとても大事なことでございまして、一層やらなければなりません。  また、中小企業の新たな取り組みによる経営革新に対しては、先般施行された中小企業経営革新支援法等によって、経営環境変化に対応した新たな事業活動による経営の向上等も支援していかなければなりません。  また一方で、親事業者の下請代金の不当な減額や不公平な取引に対しては、下請代金支払遅延等防止法に基づいて厳正に対処していかなければならない。現在あるさまざまなテーマを駆使して、この下請中小企業を守っていくために全力を挙げなければならないと思います。
  332. 吉井英勝

    吉井委員 先ほどの中央会の調査の中にこういうのもありますね、下請法に抵触しない形での検収の遅延が行われる、金属プレスなどからの回答ですが。本当に今、もう生易しい状態じゃないんですね。  そういう中で、ここで私、公正取引委員会にも伺っておきたいと思うんですが、大企業や親企業中小企業、下請企業との間における不公正取引の現実を正すために独禁法の厳格な運用や独禁法の強化、こういうことも今必要なんじゃないかと思いますが、公取としてはどういうふうに考えて取り組んでおられるか、伺いたいと思います。
  333. 根來泰周

    根來政府特別補佐人 この国会におきましても、委員会におきましても、独占禁止法の厳正執行ということはしきりに言われておりまして、私どももそれを重く受けとめているところでございます。  こんなところでいろいろ悩みを申し上げても恐縮でございますけれども、やはり人数が少ない。それから、法律の運用というのは、やはり片一方の人権ということも考えてやらなければいけない。いろいろな隘路がありまして、なかなか考えているようにできないということが実情でございます。  それで、けさほども申し上げましたけれども、私どもの職員をふやすということも必要ですし、今の下請の問題でも、役所が聞くというよりも、民間の方々意見を聞くということが先決であろうという、これは国会の方の御提案もございましたから、きょうも商工会議所の方々からいろいろ御意見をちょうだいして、そこに何か活路がないかということを研究しているところでございます。  そういうことで、すぐ即効性のある薬というのはなかなか見出しがたいのでございますが、着実に御提案に沿うように努力しているつもりでございます。
  334. 吉井英勝

    吉井委員 圧倒的な力の差のもとにおける優越的地位の乱用とか、これは何も親企業と下請との下請取引だけじゃなくて、さまざまな分野で、やはり中小企業分野ではそれがありますから、私は、こういう点では、独禁法の厳格な運用とともに、場合によってはここを改正、強化をする必要があるとか、そういうことをやはり公取の方がよく御研究をいただいて、それをお聞かせいただくということが必要だというふうに思います。  ところで、今回の法改正に至る過程で、中小企業政策研究会の最終報告の段階では、下請代金法については、「運用の強化を図る」「製造業に類似した一部サービス業等も対象として追加することを検討していくべきである。」としておりました。これが中小企業政策議会の答申になりますと、下請代金法については、「運用の改善を図る」。「運用の強化を図る」が、強化をするんじゃなくて改善だけになっちゃう。それから、「一定の生産設備の製造委託及び一部サービス業における役務委託に関し、同法の適用対象とすることの必要性等につき検討すべきである。」つまり、この対象を追加することを検討していくべきだ、これは中小企業政策研究会の最終報告の段階ですが、これが中政審の答申になると「適用対象とすることの必要性等につき検討すべきである。」と随分トーンがダウンして、後退して、そして今回の基本法では、法律の見出しから現行十八条におけるこの下請という言葉も削除されてしまう。  私は、やはり今度の基本法改正案として出してこられたものが、随分、下請問題については、今下請業者の皆さんが苦しんでいる問題にこたえるものにしていかなきゃいけないのに、あべこべの方向に行っているということをやはり指摘をしなきゃならぬと思うのです。  ここで、理事会でお願いしておきました、委員長の御許可を得て資料を配付していただきたいというふうに思います。  それは、公正取引委員会と中小企業庁の方の下請検査官の問題です。下請代金検査官及び下請担当者数の推移の方ですが、専任の検査官として任命されている方がどういう状況かということで、まず、この表の公正取引委員会の方については、専任ということで伺っておるのはこのグラフに示したとおりで、途中数字を入れておりますが、もちろん数字の方でいただいておりますから、下に数字を入れてあるとおりです。それからもう一つ中小企業庁の方の検査官の方、下請担当者の方ですね。この方の、専任として任命されている方の数、これも数字に入れたとおりを上にグラフにしたものですが、これでいきますと、合計人数は、簡単な足し算ですからこういう状況になりますが、念のため、公取と中小企業庁から、誤りがないと自信を持っておりますが、確認だけしておきたいと思います。
  335. 上杉秋則

    上杉政府参考人 公正取引委員会の方では、昭和五十九年度から下請取引検査官制度という形で運用しておるわけでございますが、下請法違反の処理などの運用を専門に担当している数というのはこの表に指摘してあるとおりでございまして、現在二十九名ということでございます。
  336. 岩田満泰

    岩田政府参考人 下請代金法に基づきます検査官制度、中小企業庁では昭和五十二年度から導入しております。制度発足当初九人でございましたが、順次、御指摘の資料にございますとおり、現在三十四人が専任の検査官ということでございます。
  337. 吉井英勝

    吉井委員 それで、先ほど公取の委員長も悩みを率直にお聞かせいただきました。  大臣、本当に下請が大変だとさっき中小企業庁の方からもお話がありましたように、受注量、受注単価もどんどん下がりっ放しなのです。本当に格差是正が必要と。是正する前にまず下げるような乱暴なことをまず食いとめる、これが必要なんだ。しかし、頑張っていらっしゃる側が悩みを語られたように、検査官がふえないというのが現実の姿です。  八〇年の三十二名が八九年の六十五名へと、これは表を見ればすぐわかるとおりですが、九年間で倍増したわけですね。バブル崩壊後の九〇年代不況と途中の異常円高の中で、下請中小企業が親企業から徹底的に痛めつけられてくるという一番下請検査官の皆さんに頑張ってもらわなきゃいけないそのときに、実は増員ゼロどころか約一割削減となりました。ことし金融検査など金融関係のことで二人増員がありましたが、これまでの下請取引の関係で見れば、これはふえていないのです。これでは、昨日も御紹介いたしました半値八掛け二割引きというむちゃな単価の切り下げなど、大企業の優越的地位を乱用した下請いじめを規制することはできないと思うのですね。  だから、やはり下請中小企業を守るために何をやるかということがまず必要なんですが、少なくとも政府として、こういう検査官というものはきちっと増員する予算措置もとって、そして法律上は下請という言葉も今度消えてしまうわけです。しかし、こういうことじゃなしに、本当にこれまで日本の物づくりを支えてきた皆さん方がこれからも頑張っていけるような環境を整える、こういうことで検査官の増員に向けての予算措置をとるという大臣としての強い決意というものを伺っておきたいと思います。
  338. 深谷隆司

    深谷国務大臣 下請検査官の問題では、今全省庁挙げて定数といいましょうか職員の数を減らそうという方向にあり、なかなか交渉過程の中でも難しさがあるようでございます。しかし、私どもとしましては、今日のこういう状況を踏まえて人員確保のために努力していかなければならないと思います。  なお、情報技術が今日は随分発展してまいりましたものですから、違反容疑事務所を摘発するといいますか、抽出する精度をもっと向上させるための検査の効率化等もあわせて考えていかなければならないと思っております。
  339. 吉井英勝

    吉井委員 効率化も効率化なんですが、さっきも公取委員長おっしゃったように、やはり片方の人権の問題とかいろいろなことがありますから、これは機械的にできないのです。人がやるという要素が物すごく大きいのです。しかし、人がふえないことには今の深刻な事態にこたえられませんから、これは本当に真剣に増員のために、少なくとも通産省、通産大臣としては、この分野では増員させるということで取り組んでいただきたいと思います。  次に、現行法には不利の是正ということで、先ほども申し上げました二十一条の輸出の振興、二十二条の輸入制限というのがあります。この間、大企業の方は輸出競争力をどんどんつけて、強大な力を持ってまいりました。その反面、中小企業の方はどうなのかと。  それが、いま一枚のお配りさせていただいております資料の方です。中小企業白書からとった資料と、古いものはありませんので大分頑張って中小企業庁に作業していただいて、持ってきていただいた資料でまとめ上げたものが上の表です。  中小企業性製品の一九六〇年、八〇年、九七年。中小企業のシェアが一九六〇年には五五・五%あったのですが、これがどんと落ち込んできて、今一四・三%なんですね。大企業性製品の方は四〇%台。  産地の方の中小企業の輸出と大企業の輸出とを比べてみると、これはちょっとお断りしておかなきゃいけないのは、産地の輸出については暦年で、そして大企業の輸出の方については、これは有価証券報告書などから整理せざるを得なかったものですから、年度ベースになっているという点だけはお許しいただきたいと思いますが、これで見ますと、産地のシェアは、これはグラフの左側のパーセントの方なんですが、どんと下がっている。八・四から四・〇、一・一。  一方、大企業の方のシェアは、これは右側の数字になりますが、五一・二から五一・七へと。これは輸出上位三十社だけなんです。全大企業じゃありません、輸出上位三十社だけでのデータです。  これをごらんいただいても、産地中小企業が、中小企業基本法の二十一条で輸出の振興はうたわれておったのだから、本当はもっと進んでいいはずなのに、逆に減ってしまっている。これは極めて遺憾な結果だと思うのですが、まず、こういう状況にあることについては、このとおりですね。これはちょっと先に政府委員の方から確認しておきたいと思います。
  340. 細田博之

    細田政務次官 これは私も長らくかかわっておりますので答弁させていただきますが、この六〇年代と八〇年代、そして今日とはもう明らかに国際競争の点が違うわけでございまして、六〇年代の輸出の大宗は、やはり織物ですとか繊維の二次製品でありますとか、あるいは陶磁器、洋食器、そのほか雑多な軽工業製品であったわけでございます。  その後、ニクソン・ショックが起こったり、あるいは発展途上国の発展によりまして、それらの国々が軽工業品を中心に輸出を伸ばしてきた。そして七〇年代、八〇年代と、我が国としては大企業製品である鉄鋼、家電、自動車、半導体というふうに輸出の構成が変わってきたという実態がございますので、このように統計をとってまいりますと、どうしても産地というものが減り、そして中小企業のシェアが減りということは事実でございます。  そのかわりに残っております中小企業製品というのは何かといえば、やはり電子の関連の製品であったり、機械の関係の製品であったり、非常に付加価値の高いものに変わってきた。これは近隣アジア諸国の発展とも関係いたしますので、一概に中小企業政策を一生懸命やったけれどもだめになったということではなくて、これは基本的に国際的な構造が大きく変わりつつある。その中で、我が国の輸出も当時は百億ドル台の輸出であったものが一千億ドル台以上に伸びる、今日のような状況になっておるのでございますから、動態的に判断すべき問題だと思っております。
  341. 吉井英勝

    吉井委員 こういう状況にあるということをお認めになったわけです。  いろいろ言いわけはなさいましたが、現行二十一条の輸出の振興というところ、実はアメリカは今どうしているか。中小企業事業団のニューヨーク事務所が調べて、クリントンの中小企業政策という報告書を出しております。この中では、クリントン政権は全米十五カ所に輸出支援センターを開設し、中小企業に総合的な輸出支援を行っていると。  アメリカであれ、日本であれ、本当にどの国も大企業だけで成り立つわけではないのです。あるいは自動車、電機だけで成り立つわけではないのです。やはりそれぞれの地域を支える地域産業、地域経済があり、そして、そういう中でその地域経済をどう発展させるかということに国としてもやはり本当に心を配らなければいけないのですよ。  私が今傾向だけを求めたのは、これは政府参考人の方に求めたのですが、大臣の方には、それは当然時代とともに産業分野の変化とかいろいろあるわけですよ、商品の内容とか。しかし、アメリカでもやっている、クリントン政権でもやっている。産地や中小企業分野の輸出は輸出として独自にどう振興するか、あるいは、みずから頑張っていらっしゃるのを、伸ばそうとしていらっしゃるのをどう支援するかということは、これは大臣、やはり大臣として考えていかなきゃいけない問題じゃありませんか。
  342. 細田博之

    細田政務次官 この輸出振興論については、相当時代の変化があったと私は思いますし、御存じのように、今でも大変な大幅黒字がかえって伸びていく、その間におきまして、我が国の輸入を促進しなければならないという輸入促進策に力が注がれるというようなことにもなってきたわけでございます。  しかしながら、輸出はそれでは悪かといえば、そんなことはないわけでございまして、それぞれに地域の需要に応じた輸出を適正な価格で適正に行っていくということは大変大事でございます。  ただ、他の国でやっていると言われておりますけれども、輸出振興のための支援策は厳しく、例えば日米貿易交渉などで、ほんのちょっとした輸出所得控除にしましても、それから輸出関連企業の税制にいたしましても、もちろん輸出補助金につきましても厳しく国際的に糾弾されまして、縮小をたどってきたということは事実でございますので、この今の時点に立って、そのような考え方に戻ることは適当でないと考えております。  ただ、これは何も中小企業の輸出志向を妨げるべきであるということは断固申しておりませんので、念のため申し添えます。
  343. 吉井英勝

    吉井委員 とんでもない話だと思いますね。  アメリカは、クリントン政権のもとで、全米十五カ所に輸出支援センターを開設しているのですよ。それを輸出補助金と見るかどうかとか、それは今後いろいろ議論されたらいいでしょう。しかし、どういう形にしろ、やはりそれはそれとして、中小企業や産地の支援策というのを考えているんですよ。  それに対して、今の話を聞いていますと、これは時代の流れで仕方がないみたいなお話ですが、そうじゃありませんよ。大企業の、昨日も申し上げましたが、野村総研のトヨタ自動車研究の中でもそこは紹介されておりますが、自動車分野がうんとリストラをやって、競争力をつけて輸出をどんどんやればやるほど円高に振れる、円高に振れれば、当然人件費コストは上がるわけですよ。それは、中小企業にとっては輸出が非常にやりにくくなる状況にもなっているわけですよ。  だから、そのときに、全体を見た政策は必要だということで、これは亡くなられた盛田さんなどにしても、「日本型経営が危ない」という中で、下請取引の適正化の問題とかヨーロッパ並みの賃金、労働時間の問題などを提起されたのは、そんなむちゃなやり方でどんどん輸出競争力を一部の企業がつけて、輸出をやるだけで、円高をどんどん進めてしまったら問題が出るんだということは既に指摘があるわけであります。そういうところについて目を向けないで、何かあたかも自然現象であるかのように言って、だから大企業が伸びて製品がどんどん売れて、中小企業はつぶれても仕方がないというようなことになったら、私はとんでもないと思います。  それよりも、現行二十二条ではセーフガードを発動できるわけでしょう。セーフガードを発動した事例がありますか。
  344. 深谷隆司

    深谷国務大臣 いろいろ今まで議論を聞いておりまして、昔は確かに、昔という言葉が合うかどうかわかりませんが、輸出の振興にかなりの努力をいたしておりました。私も、海外市場を確保するための準備金制度なんというのがありまして、あれを伸ばすために運動した時代もございます。  ところが、八〇年代以降は経常的な収支がずっと我が国は黒字だったために、今日においては、むしろ、直接的な輸出振興策よりも輸入の振興というところに重きを置くようになってまいったわけであります。  しかし、だからといって、中小企業者の輸出に対してそのままほうっておけということでは全くありません。そういう意味では、中小企業者の輸出輸入、あるいは海外投資を含めて、海外の制度や経済状態に関する中小企業者の知識の向上だとか情報の提示だとか、そういうことは大変大事な施策であると考えまして、これらについては、第十五条の経営資源の確保というところで規定をさせていただいているところでございます。  それから、今御質問がありました一般セーフガードを発動しているかということでありますが、日本はゼロでございます。ただし、世界的に見てもまことに少のうございまして、全世界で十二件発動というような状態でございます。
  345. 吉井英勝

    吉井委員 これは以前繊維の分野で議論したことがありまして、繊維分野で欧米等で随分発動している事例もあります。  それで、私は、セーフガードの問題とともに、同時にさまざまな仕掛けをつくって、伝統産業、地域産業を守るということはやはり大事だと思います。  実は、ことしの八月でしたか、衆議院の商工委員会で、福岡県の八女市へ調査に行きまして、伝統工芸館を訪ねてまいりました。そこで私も伝統工芸士の資格を持った方といろいろお話をいたしましたが、実は、その中には八女の仏壇、川辺の仏壇とか八女の仏壇というのは有名なんですが、その仏壇業者の方、そして伝統工芸士の方がいらっしゃって、日本の消費者はみんな仏壇といったら日本製品だと思っている、伝統工芸品だと思っている、ところが、どんと輸入がふえてきて、その結果、何ぼ国から伝統工芸士の資格をつけてもらったってまず暮らしが成り立たないと。そういう状況へ追い込まれているわけですね。それで、通産省の方にせめて原産国表示をしてほしいとお願いに行ったんだが全然耳をかしてくれないと。  実は昨日も、大阪の方から、仏壇の産地表示制度を求める製造業者の会の河本さんという代表の方たちが東京へ来られて、通産省などへも要望に行かれました。今、全国の産地で、伝統工芸、伝統産業、地域産業が大変だというときに、せめて原産国表示あるいは産地表示制度を実現することによって産地や中小企業が守られるようにしてほしい、こういう悲痛な訴えがあるんですよ。  大臣、セーフガードは一件も発動した例がないとおっしゃるんですが、これも本来、WTO協定では、輸入の急増と国内業者の打撃、被害、この二つの要件だけあればセーフガードを発動できるんですよ。しかし、日本はそれをやると、自動車、電機などの輸出にとって、相手国から逆にやられちゃ困るということもあってやっていないんですね。  しかし、せめてこの伝統工芸を守るという分野、私たち衆議院の商工委員みんな行ってきて、八女でそういう訴えを聞いているんですよ。やはりこういうことについては、大臣、原産国表示、これは問題ないわけですから、こういうのをきちっとやるなどして、それで大臣として、そういう地域産業や伝統産業を守っていく、この立場を貫くんだという、細かい話はいいですから、政治姿勢だけは大臣からまず伺いたいと思います。
  346. 横川浩

    横川政府参考人 仏壇につきましての原産地表示の問題でございます。  原産地表示の義務づけにつきましては、WTO協定との関係におきまして新たな貿易障壁とみなされるおそれがありますこと、それからまた、仮に義務づけを行う場合には、内外無差別でこれを行う必要がありますために、すべての国内生産者に原産国の表示を義務づけなければならないことになりまして、国内の生産者に新たな負担を生じさせるという面もあるわけでございます。こういったような困難な問題がございまして、慎重に検討を行うことが必要であると認識をいたしております。  なお、原産地を故意に誤認させるような虚偽表示がなされるような場合には、これを規制するために二つの法律がございます。一つは、不当景品類及び不当表示防止法でございまして、また、不正競争防止法という法律もございまして、このような虚偽表示の是正等のための法律上の措置が可能となっております。
  347. 深谷隆司

    深谷国務大臣 ガット第十九条並びにWTOのセーフガード協定に基づいて、特定の貨物の輸入の急増によって国内生産に重大な影響を及ぼしたとき、国民経済上緊急に必要があると認められるときは、おっしゃるとおり、セーフガード措置として、緊急関税の賦課または輸入制限措置を行うことが認められております。我が国の国内の法令もそうなっていることは、委員も御承知のとおり。  ただ、この措置は緊急避難的措置であり、関係国に対して補償措置に関する協議を行うということが必要でございますので、相当厳正に対応していくということが必要だろうと思います。先ほど申したように、我が国で一件もない、世界で十二件であるということもそういうことを示しているのではないでしょうか。  今後とも、国際協定及び国内法令の定める要件を満たす事態が生まれた場合には、そうはいっても、関係省庁と協議をして、そして必要な調査の実施等所定の手続を踏んで、本措置の発動については厳正に検討していきたいと考えております。
  348. 吉井英勝

    吉井委員 仏壇の輸入がどんどんふえてくる、業者の方が大変だ、伝統工芸士の人が大変だ、地域経済が大変だ。セーフガードについて今おっしゃったように、私は発動要件があると思っていますが、直ちにようやらないという場合、それはまさに内外無差別で、これは大阪仏壇、これは八女仏壇、これは川辺仏壇とか、そしてこれは外国産とよくわかるように、これは消費者にとっても、消費者利益の立場から問題になっているときですから、今おっしゃったように厳正に対処という、そのおっしゃった意味を、やはり本当にこういう立場で取り組むということでやっていただきたいと申し上げまして、大分時間が迫ってまいりましたから、最後に、最初申し上げておりました、やはり中小企業予算ですね。  これは、抜本的にふやすということをやらないと、要するに検査官もふやすこともできないし、さまざまな面で問題が出てくるわけですから、それなのに、産地中小企業の集積活性化法指定地域で見ると、実はこれまで国二分の一、自治体二分の一であったものが、来年から国の負担が三分の一に減って、一億五千万円ほど予算が減るんですね。指定を受けた業者などにも三分の一の負担がかかってくる。こういうことで、中小企業国会といいながら、この予算はまるであべこべじゃないか。  予算全体をふやさなきゃいけない。ところが、中小企業の輸出は減るばかり、輸入の方はどんどんふえて苦しむばかり、そういう中で、せめてということで取り組んだ産地中小企業の集積活性化の事業についても、国の方は一億五千万を切っちゃって、肝心の地元負担が三分の一新たに生まれてくる。大変な事態じゃありませんか。  私は、最後に、この点だけは大臣、これは予算措置として全体をふやすとともに、やはりこういうことは改めると決断をしていただかないと、私は本当に、こんなことをやっておいて中小企業国会の名に値しないと言わざるを得ないことになると思うんです。これは最後に大臣に伺っておきたいと思います。
  349. 深谷隆司

    深谷国務大臣 本補助金につきましては、従来、組合に対しては補助率が二分の一でございました。ところが、中小企業に対しては補助率は三分の一という適用でございます。事業の採択数の拡大を図るということと、組合にも中小企業と同じように自己負担を求めることが適当であるということから、補助率を三分の一に引き下げたものでございます。  組合の方々には三分の一の受益者負担をお願いするということは御負担でございますけれども、個々の中小企業と同様の取り扱いという趣旨で、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
  350. 吉井英勝

    吉井委員 時間が参りましたから終わりますが、これはぜひふやしていただきたい。
  351. 中山成彬

    中山委員長 次回は、明十一日木曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時三分散会