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1999-11-24 第146回国会 衆議院 行政改革に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十一年十一月二十四日(水曜日)     午前九時三十六分開議  出席委員    委員長 西田  司君    理事 甘利  明君 理事 伊吹 文明君    理事 熊谷 市雄君 理事 杉山 憲夫君    理事 松本 和那君 理事 古賀 一成君    理事 樽床 伸二君 理事 若松 謙維君    理事 中井  洽君       相沢 英之君    岩下 栄一君       岩永 峯一君    尾身 幸次君       大石 秀政君    河井 克行君       倉成 正和君    小島 敏男君       高村 正彦君    坂井 隆憲君       鈴木 俊一君    田村 憲久君       戸井田 徹君    西川 公也君       萩山 教嚴君    林田  彪君       水野 賢一君    宮島 大典君       目片  信君    持永 和見君       山本 幸三君    吉川 貴盛君      吉田左エ門君    渡辺 具能君       渡辺 博道君    池田 元久君       石井 紘基君    石橋 大吉君       岩國 哲人君    小沢 鋭仁君       奥田  建君    金田 誠一君       近藤 昭一君    田中 慶秋君       中川 正春君    藤村  修君       赤松 正雄君    遠藤 乙彦君       倉田 栄喜君    並木 正芳君       佐々木洋平君    塩田  晋君       西田  猛君    石井 郁子君       春名 直章君    平賀 高成君       松本 善明君    中川 智子君       畠山健治郎君     …………………………………    国務大臣    (総務庁長官)      続  訓弘君    総務政務次官       持永 和見君    科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君    文部政務次官       河村 建夫君    農林水産政務次官     谷津 義男君    郵政政務次官       小坂 憲次君    自治政務次官       平林 鴻三君    政府参考人    (内閣審議官    兼中央省庁等改革推進本部    事務局長)        河野  昭君    政府参考人    (文化庁次長)      近藤 信司君    政府参考人    (消防庁長官)      鈴木 正明君    衆議院調査局第一特別調査    室長           鈴木 明夫君     ————————————— 委員の異動 十一月二十四日  辞任         補欠選任   金田 英行君    吉田左エ門君   河井 克行君     大石 秀政君   山口 泰明君     吉川 貴盛君   山本 幸三君     渡辺 博道君   石井 紘基君     石橋 大吉君   田中 慶秋君     藤村  修君   中川 正春君     小沢 鋭仁君   石田幸四郎君     倉田 栄喜君   三沢  淳君     佐々木洋平君   平賀 高成君     石井 郁子君   深田  肇君     中川 智子君 同日  辞任         補欠選任   大石 秀政君     河井 克行君   吉川 貴盛君     小島 敏男君  吉田左エ門君     金田 英行君   渡辺 博道君     山本 幸三君   石橋 大吉君     石井 紘基君   小沢 鋭仁君     中川 正春君   藤村  修君     近藤 昭一君   倉田 栄喜君     石田幸四郎君   佐々木洋平君     三沢  淳君   石井 郁子君     平賀 高成君   中川 智子君     深田  肇君 同日  辞任         補欠選任   小島 敏男君     目片  信君   近藤 昭一君     田中 慶秋君 同日  辞任         補欠選任   目片  信君     山口 泰明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  中央省庁等改革関係法施行法案内閣提出第三号)  国立公文書館法の一部を改正する法律案内閣提出第四号)  独立行政法人通信総合研究所法案内閣提出第五号)  独立行政法人消防研究所法案内閣提出第六号)  独立行政法人酒類総合研究所法案内閣提出第七号)  独立行政法人国立特殊教育総合研究所法案内閣提出第八号)  独立行政法人大学入試センター法案内閣提出第九号)  独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター法案内閣提出第一〇号)  独立行政法人国立女性教育会館法案内閣提出第一一号)  独立行政法人国立青年家法案内閣提出第一二号)  独立行政法人国立少年自然の家法案内閣提出第一三号)  独立行政法人国立国語研究所法案内閣提出第一四号)  独立行政法人国立科学博物館法案内閣提出第一五号)  独立行政法人物質材料研究機構法案内閣提出第一六号)  独立行政法人防災科学技術研究所法案内閣提出第一七号)  独立行政法人航空宇宙技術研究所法案内閣提出第一八号)  独立行政法人放射線医学総合研究所法案内閣提出第一九号)  独立行政法人国立美術館法案内閣提出第二〇号)  独立行政法人国立博物館法案内閣提出第二一号)  独立行政法人文化財研究所法案内閣提出第二二号)  独立行政法人国立健康・栄養研究所法案内閣提出第二三号)  独立行政法人産業安全研究所法案内閣提出第二四号)  独立行政法人産業医学総合研究所法案内閣提出第二五号)  独立行政法人農林水産消費技術センター法案内閣提出第二六号)  独立行政法人種苗管理センター法案内閣提出第二七号)  独立行政法人家畜改良センター法案内閣提出第二八号)  独立行政法人肥飼料検査所法案内閣提出第二九号)  独立行政法人農薬検査所法案内閣提出第三〇号)  独立行政法人農業者学校法案内閣提出第三一号)  独立行政法人林木育種センター法案内閣提出第三二号)  独立行政法人さけます資源管理センター法案内閣提出第三三号)  独立行政法人水産大学校法案内閣提出第三四号)  独立行政法人農業技術研究機構法案内閣提出第三五号)  独立行政法人農業生物資源研究所法案内閣提出第三六号)  独立行政法人農業環境技術研究所法案内閣提出第三七号)  独立行政法人農業工学研究所法案内閣提出第三八号)  独立行政法人食品総合研究所法案内閣提出第三九号)  独立行政法人国際農林水産業研究センター法案内閣提出第四〇号)  独立行政法人森林総合研究所法案内閣提出第四一号)  独立行政法人水産総合研究センター法案内閣提出第四二号)  独立行政法人経済産業研究所法案内閣提出第四三号)  独立行政法人工業所有権総合情報館法案内閣提出第四四号)  貿易保険法の一部を改正する法律案内閣提出第四五号)  独立行政法人産業技術総合研究所法案内閣提出第四六号)  独立行政法人製品評価技術基盤機構法案内閣提出第四七号)  独立行政法人土木研究所法案内閣提出第四八号)  独立行政法人建築研究所法案内閣提出第四九号)  独立行政法人交通安全環境研究所法案内閣提出第五〇号)  独立行政法人海上技術安全研究所法案内閣提出第五一号)  独立行政法人港湾空港技術研究所法案内閣提出第五二号)  独立行政法人電子航法研究所法案内閣提出第五三号)  独立行政法人北海道開発土木研究所法案内閣提出第五四号)  独立行政法人海技学校法案内閣提出第五五号)  独立行政法人航海訓練所法案内閣提出第五六号)  独立行政法人海員学校法案内閣提出第五七号)  独立行政法人航空大学校法案内閣提出第五八号)  独立行政法人国立環境研究所法案内閣提出第五九号)  独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構法案内閣提出第六〇号)  自動車検査独立行政法人法案内閣提出第六一号)  独立行政法人統計センター法案内閣提出第六二号)  独立行政法人業務実施円滑化等のための関係法律整備等に関する法律案内閣提出第六三号)     午前九時三十六分開議      ————◇—————
  2. 西田司

    西田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中央省庁等改革関係法施行法案国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係五十九法律案及び独立行政法人業務実施円滑化等のための関係法律整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、お諮りいたします。  各案審査のため、本日、政府参考人として河野内閣審議官中央省庁等改革推進本部事務局長近藤文化庁次長及び鈴木消防庁長官出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 西田司

    西田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     —————————————
  4. 西田司

    西田委員長 本日は、まず、独立行政法人個別法案中、農林水産省関係十七法律案について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石橋大吉君。
  5. 石橋大吉

    石橋委員 さっきもちょっと話をしたのですが、十九日の日に、突如として、きょう一時間半質問しろ、こういう話になりまして、私も土日ありませんでしたが、恐らく総務庁長官もあるいは関係総括政務次官も、きのうは休日返上できょうの質問に備えて勉強されたんじゃないか、こう思っております。お互い、そういう意味で大変この二、三日御苦労なことだったのではないか、こう思っておりますが、そういう意味でちょっと質問をさせていただきます。  何せ独立行政法人に関する質問ですから、かなり質問内容は細かい話になってくる、こう思っています。かなり質問の項目としては、山盛りじゃないのですが端的にひとつ答えてもらえば十分時間は消化できる、こう思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。  最初に、独立行政法人全般関連をして一、二お伺いをしたいのですが、まず一つは、特殊法人独立行政法人の違いはどこにあるのか、あるいはそれぞれの実態はどうなっているのか、こういうことについてまず最初に聞きたいと思うんです。  御承知のとおり、特殊法人を設立する目的は、本来国が行うべき業務について、業務の能率的な運営を図るため、予算面人事面等行政機関を規定する法律で許されている以上の自主性弾力性を与える必要がある場合、あるいは、国家資金以外に地方公共団体または民間の資金寄附金等を受け入れて行う必要がある場合等に、特別の法律により法人を設立し、国の責任を担保するに足る特別の監督下でその業務を行わせることにある、こういうふうに言われているわけであります。  そういう意味では、独立行政法人特殊法人の性格というか設置の考え方というのは、非常に似ているようでもあります。この独立行政法人化を議論する際にも、そういう意味で、特殊法人独立行政法人関係はどうか、こういう議論もあったようですが、まず最初にこの辺の明確な区分けはどういうふうにされているのか承っておきたいと思います。総務庁長官、よろしくお願いします。
  6. 続訓弘

    ○続国務大臣 石橋大吉委員は、長年の間、地方行政に身を置かれました。そして、さらには県の労働組合書記長委員長もお務めになりました。その意味では、今御質問特殊法人なりあるいは県で運営をしていたそれぞれの試験研究機関はどういうあり方であるべきなのかということは、恐らく百も承知の上での御質問だと存じます。  そこで、せっかくの御質問でございますので、今申し上げましたように、特殊法人はいろいろな批判がございました。それは、運営がガラス張りでない、非効率的である、役員が多過ぎる、天下りの温床になっている等々、いろいろな批判国民皆様からございました。そういう反省の上に立って、今回独立行政法人をお願いしているわけであります。  そこで、違いといえば、弾力的な組織業務運営が可能であり、評価定期的見直しによる効率化や質の向上等々、さまざまな事項を公表することによって国民皆様透明性を確保すること、そして同時に、国民ニーズに的確にこたえるような行政サービスを行うというのがこの独立法人化目的であります。  今申し上げましたように、特殊法人では共通ルールがございませんでした。この独立法人では共通ルールのもとに独立法人化するというのが特色でございます。その点、今委員御自身もお触れになりましたように、特殊法人問題点を整理した上で、国民の期待にこたえるような法人化を目指しているのが独立行政法人であるということを御理解賜りたいと存じます。
  7. 石橋大吉

    石橋委員 特殊法人をめぐっていろいろな問題点があったけれども、そういうものがないようにして、透明性公正性というか、効率性というか、そういうものを確保するための独立行政法人だ、こういうことですから、そういうことを前提にしてひとつこれからしっかりした独立行政法人運営をしてほしい、こう思っております。  二つ目に、職員身分などについてちょっとお聞きしたいわけですが、独立行政法人のうち、目的業務性質を総合的に勘案をして、必要なものについて職員国家公務員身分を与えるものとするとされているわけですね。職員国家公務員身分を与える必要のあるものあるいは必要のないもの、この辺の線引きはどういう形で行われるのか。  独立行政法人通則法第五十一条によれば、「特定独立行政法人役員及び職員は、国家公務員とする。」こととされています。これによって線引きが行われるものかとも考えられますが、それでは、一般的な独立行政法人特定独立行政法人を明確に分ける基準あるいは理由、この点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  8. 続訓弘

    ○続国務大臣 今お尋ね特定独立行政法人にするのかどうなのかにつきましては、中央省庁等改革基本法第四十条及びこれを受けた独立行政法人通則法第二条第二項におきまして、独立行政法人のうち、その業務の停滞が国民生活または社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるものその他当該独立行政法人目的業務性質等を総合的に勘案して必要と認められるものにつきましては、その役職員国家公務員身分を与える特定独立行政法人とする旨定められております。  この規定に従いまして検討した結果、五十五の法人につきまして特定独立行政法人とし、その他の四法人につきましては国家公務員身分を与えない法人とすることになったものでございます。
  9. 石橋大吉

    石橋委員 わかりました。後でまた、これに関連して、もう少し細かい質問をさせていただきます。  続いて、農林水産省の所管する独立行政法人について、やや細かい質問になるかもしれませんが、端的にひとつ質問をさせていただきたいと思いますので、端的にひとつお答えいただきたい、こう思います。  まず一つは、農林水産関係では二十六事務事業独立行政法人化されることになっていますが、これらの事務事業が選定された経緯について伺いたいと思います。
  10. 谷津義男

    谷津政務次官 農林水産省の件についての御質問でございますので、私の方から答えさせていただきたいと思います。  農林水産省は、独立行政法人化に当たりまして二十六事務事業、これは四十九機関になりますが、それを十七独立法人統合することにいたしました。これは、対象機関業務効率化高度化を図るため、各事務事業内容類似性職員に求められる専門知識等勘案いたしましてできるだけ大くくりする一方で、統合によるデメリット、これは意思の決定複雑化等がございますから、そういうものを勘案いたしまして取りまとめたものでございます。
  11. 石橋大吉

    石橋委員 今の総括政務次官のお答えは、私の農林水産関係独立行政法人質問の一と二をまとめてお答えいただいたと思いますので、次に進みますよ。  農業関係試験研究については、いろいろな意味地域密着をしているところがあるし、また密着して行うことが非常に重要だ、こういうふうに考えられるわけであります。農業試験場農業技術研究機構への統合後の地域との連携をどういうふうに確保するのか、農林水産省考え方を承っておきたいと思います。
  12. 谷津義男

    谷津政務次官 先生の御指摘のとおり、農業関係地域との密着性が非常に大事でございます。現在、農業研究センター地域農業試験場におきましては、都道府県の公立試験研究機関等連携し、現在のニーズに即した試験研究実施しているところであります。農業関係試験研究機関独立行政法人化に際しましては、このような農業研究センター地域農業試験場における業務は、独立行政法人農業技術研究機構に引き継がれることになっております。  農林水産省といたしましては、今後とも農業技術研究機構が、公立試験研究機関等との連携等を通じまして、地域密着した研究課題に取り組むよう適切に中期目標を設定するとともに、この目標達成状況について、適切な評価独立行政法人評価委員会が行えるよう制度の運用に意を用いてまいりたいと思っております。
  13. 石橋大吉

    石橋委員 ぜひひとつ、この辺は大事なところですから留意してやっていただきたい、こう思います。  次に、農薬検査所あるいは肥料検査所公権力行使も可能なような権限を持っていると思うのですが、独立行政法人化されても厳正な検査がされるかどうか。そういうことに支障がないのかどうか。こういう検査所はこれから環境問題を含めてますます重要になってくると思いますので、この点を次に伺っておきたいと思います。
  14. 谷津義男

    谷津政務次官 農薬検査所肥飼料検査所は、これまでの農薬取締法肥料取締法等に基づきまして、農薬肥飼料等登録のための検査立入検査等業務について厳正に実施しているところであります。  今般の行政改革の一環としてこれらの機関独立行政法人移行することとされておりますが、引き続きこれまでどおり登録検査立入検査等実施することとしており、またその業務の公正を期するため、特定独立法人としてその職員国家公務員身分を与えるなどの処置を講じているところであります。さらに、検査業務の厳正な実施を確保する観点から、農林水産大臣がそれぞれの機関に対して必要な命令を行うことができるよう農薬取締法等関連法律につきまして所要の改正をあわせてお願いしているところであります。  これらの処置により、公権力行使を伴う農薬等検査業務の適正な実施を確保するよう努めてまいる所存でございます。
  15. 石橋大吉

    石橋委員 ぜひひとつ厳正を期してやっていただきたい、こう思います。  次に、水産関係研究については、御承知のように平成八年の六月から国連海洋法条約が発効しておりまして、日韓の間における漁業協定だとか日中の間における漁業協定などの問題もありましたが、これからますます資源管理の問題なんかを含めて国際関係が非常に緊密になってくるわけであります。そういう意味で、独立行政法人化をすることによって国際関係国際交渉支障を及ぼすようなことがあってはならない、こういうふうに考えますが、この点についてどういうふうに考えられているか。
  16. 谷津義男

    谷津政務次官 先生指摘のとおり、水産関係につきましては国際関係との関係が非常に大きくなっております。現在、政府漁業に関する国際交渉を行うに際しましては、水産庁の研究所等におきまして国際交渉に用いる資料を作成するための調査研究を行うとともに、必要に応じて職員国際交渉への出席などを行っているところでもございます。  これらの業務は、独立行政法人化後も重要な業務として位置づけられておりまして、確実に実施させるとともにこれを正当に評価していくこととしております。また、職員国際交渉への出席に当たりましても、従来と同様支障なく貢献していただけるよう処置することとしておりますので、国際交渉支障を及ぼすことはないものと存じます。
  17. 石橋大吉

    石橋委員 ぜひひとつそういうふうにやっていただきたいと思います。  次に、労働条件決定に関して幾つか念のために聞いておきたいと思うんですが、まず一つは、独立行政法人適用される労働法制は一体どうなるのか。さっき総務庁長官の答弁では、五十五法人特定独立行政法人、四法人には国家公務員身分がないということですから、国家公務員身分を持っている人たちについては国公法適用になる、こう思いますが、そうでない人たち一般労働法適用になるのか、あるいは公企体労働関係法適用になるのか、その辺のことをちょっとまず最初総務庁長官にお伺いしたいと思います。
  18. 続訓弘

    ○続国務大臣 独立行政法人通則法により、労働条件労使交渉決定することとなっております。したがいまして、労使関係に関する法律適用はございます。それは、例えば労働関係調整法及び労働組合法適用がございます。さらに、労働条件決定に当たり、労働基準法等一般労働法制適用されます。例えば労働基準法最低賃金法労働安全衛生法等労働条件基準に関する諸法律適用がございます。  なお、独立行政法人職員につきましては、紛争の調停を図り、法人の正常な運営を確保する等のため、さきの国会において国営企業労働関係法を改正した国営企業及び特定独立行政法人労働関係に関する法律適用はございます。
  19. 石橋大吉

    石橋委員 わかりました。  そして、次に、具体的に独立行政法人がいよいよこの法律が可決をされまして発足をする、そのスタートに当たっての労働条件についてはどういうふうに決まっていくのか。今のお話を聞けば、基本的には労使団体交渉によって方向は決まるだろう、こう思いますが、その際、移行後、職員給与の引き下げ、勤務、労働条件の悪化、そういうことがないようにするというのがやはりこういう場合の大原則だ、こう私は思いますが、その辺についてはどうでしょうか、念のために伺っておきたいと思います。
  20. 続訓弘

    ○続国務大臣 今お尋ね労働条件につきましては、法人成立後に結成される労働組合使用者である法人との間で締結される労働協約に基づき定められるものでございます。  なお、独立行政法人への移行準備として、法人成立時に速やかに労働協約が締結できるよう、成立前に関係者が事実上の交渉を行うことも可能でございます。
  21. 石橋大吉

    石橋委員 関係者成立前にちゃんとした交渉をやって、さっき私が指摘したような心配がないようにする、そういうことのようですから、ぜひひとつそういうふうにしていただきたいと思います。  次に、今の特定独立行政法人役員及び職員賃金給与についてもう少し念のために聞いておきたいんです。  独立行政法人通則法によれば、「特定独立行政法人役員及び職員は、国家公務員とする。」そうなっているわけですね。したがって、国家公務員法適用によって給与その他の労働条件は自動的に決まる、そういうふうに常識的には考えられるわけです。  しかし、通則法第五十二条「役員報酬等」及び第五十七条の特定独立法人の「職員給与」によれば、特定独立法人業績その他の状況勘案して決められるようになっているわけですね。国家公務員法との関係はどうなるのか。ベースとしては国家公務員法適用、さっき新しい独立行政法人法律があるということでしたからそれによって決まるのかもしれませんが、国家公務員身分であれば人事院勧告等によって賃金は基本的に決まっていく、こういうことになると思っていますが、それと特定独立行政法人業績等との勘案というところの辺の関係はどうなるのか、念のために。
  22. 続訓弘

    ○続国務大臣 独立行政法人職員国家公務員ではございますけれども、法人自律性自主性を図るため、労働条件につきましては、先ほどお答え申し上げましたように団体交渉対象となっておる。したがいまして、独立行政法人職員給与の支給の基準を定めることになってございます。これは、今先生が御指摘のような五十七条に基づいてそうなっております。また、給与等勤務条件に係る国家公務員法等の規定の適用も除外される。そういう意味では、労使間の協議、こういうことになるわけでございます。
  23. 石橋大吉

    石橋委員 労使間の交渉によって決める、こういうことですから、ぜひこの点は将来とも大事にしていただきたい、こう思います。  次に、独立行政法人の長と役員の選任についてちょっと伺っておきたいと思います。  独立行政法人通則法第二十条において、各法人の長及び監事については主務大臣が任命し、他の役員については法人の長が任命することになっているわけであります。それぞれが自律性、自発性を備えた独立行政法人であるがゆえに、その役員の選出に当たっては天下りのそしりを受けることのないよう、さっき特殊法人関係のところで長官もお答えになりましたが、そういうことがないようにしなきゃいけない。また、独立行政法人対象になっている各研究機関等において、従来、それぞれの機関で長年研究活動に携わったりして貢献をしてきた職員の中から例えば関係研究機関の長が任命される、こういうようなのが大勢であったように聞いているわけであります。  やはり、キャリアの人たちの天下りのポストにしてはならぬと思いますし、また、現場で長年頑張ってきた人たちが将来に希望を持って仕事ができるようにしなきゃいかぬ、こういうようなことをいろいろ考えると、やはりさっき言いましたように、キャリアの人たちの天下りのポストにするようなことは厳重に慎まなきゃいかぬ、こういうふうに思いますし、設立の趣旨からいっても、それは厳正に守らなきゃいかぬ、こう思っています。  念のために、この点についてのお答えをいただきたいと思います。これは長官でしょうかな。
  24. 続訓弘

    ○続国務大臣 まさに石橋議員の御指摘のとおり、キャリアの天下りというそしりを受けないようにすることが私は一番大切なことではないかなと思います。そうでなければ、何がゆえに独立行政法人化するのかということに国民皆様批判が集中されるんじゃないか。その意味では、やはり今御指摘がございましたような点については注意を払う必要があるんじゃないか。  御案内のように、理事長と監事は主務大臣が決めます。今度は、その長は、具体的な役員を決めることになっております。したがいまして、長が、今御指摘のように、それぞれの事業運営にたけている方があればその中から選任されることも私は当然だと思います。  そういう意味で、働く者そしてまたそういう見識のある者が報われる、そういうシステムにして、そして名実ともに国民皆様に、ああ、独立法人化してよかった、業績も上がったな、透明性になったな、こういう評価がいただけるような独立法人にしたいものだ、こんなふうに思います。
  25. 石橋大吉

    石橋委員 次に、独立行政法人運営評価関連して幾つか質問したいと思います。  業務方法書や中期目標、従たる事務所の設置など、今後の政省令の制定スケジュールはどうなっているのか。せっかく持永総括政務次官もお出かけですから、この辺ひとつ持永総括政務次官から。
  26. 持永和見

    持永政務次官 お尋ね独立行政法人業務方法書あるいは中期目標、従たる事務所の設置、こういったものは今後政省令で定める、こういうことになっておりますけれども、御案内のとおり、独立法人の発足は、平成十三年の四月でございます。したがって、十三年度予算の段階で具体的にそういった中身を詰めて、そして十三年度予算要求のときまでにきちんと決めていかにゃならぬということでありまして、そのための準備作業を今行っているところであります。  十三年度予算要求の時期なども考慮しながら、恐らく来年の八月末までに大蔵省への予算要求、その前に各省としては四月か五月ぐらいからそういった準備が始まりますから、そういったスケジュールのもとに作業してまいりたいというふうに思っております。
  27. 石橋大吉

    石橋委員 続いて、独立行政法人の適正な運営を図るためには、適切な会計基準が設置をされることが重要だ、こういうふうに考えるわけです。現在の検討状況はどうですか。
  28. 持永和見

    持永政務次官 御案内のとおり、独立行政法人は、できるだけ民間的な企業会計原則で運営する、こういうことになっております。  ただ、御案内のとおり、独立行政法人は、公共的な性格を有しながら利益の擁護を目的としない、こういうことでありますので、いわば一般の民間企業で行われているような独立採算制を前提とするわけにいきません。そういった点での独立法人の特殊性を考慮して、必要な企業会計原則への修正が必要だろうと思います。  そういった修正の中身をどうするか、今私ども総務庁として、一月に一回ぐらい専門家による研究会を開いてもらっておりまして、これは来年の二月ごろをめどに結論を出して取りまとめをしたいというふうに思っております。
  29. 石橋大吉

    石橋委員 大体わかりました、段取りは。  三番目に、独立行政法人全体に対する国の関与は、一体、具体的にどういうことになるのか、総務庁長官にちょっと聞いておきたいと思います。
  30. 続訓弘

    ○続国務大臣 御案内のように、特殊法人につきましては、国の関与がいろいろございます。その反省の上に、先ほど申し上げた独立行政法人法人化されたということでございますので、国の関与はなるべく排除する、こういう仕組みになっております。  例えば、事前統制から事後チェックへの重点の移行を図っております。主務大臣の関与その他国の関与は必要最小限度にしております。さらには、通則法で、役員の任命や中期目標設定、中期計画認可等の、業務の大枠に係る事項に限定して主務大臣が関与するということになってございますし、一般的な監督規定は設けておりません。
  31. 石橋大吉

    石橋委員 国の関与はできるだけ排除をする、こういうのが建前だということですから、そういう関係が生かされて大いにそれぞれの行政法人が成果を上げるようにやっていくように努めてもらいたい、こう思います。  次に、農林水産業については、産業基盤が必ずしも強固ではない。強固ではないどころか、最近の国際関係の進展とともに、見ようによっては日本の農業、農村は崩壊の一途だ、こう言ってもいいような厳しい側面もある、私はこう思っているわけですが、そういう意味で、これを支える国の役割は非常に重大だと考えられるわけであります。独立行政法人によっては、合理化だけでなくて、今後その充実強化を図る必要があるのではないか。特に、国の強力なバックアップによって充実強化を図る部門も多いように私は思うのですが、この辺、農林水産省としてはどういうように考えているのか。
  32. 谷津義男

    谷津政務次官 ただいまの石橋先生の御指摘は、農林水産省に対する激励、叱咤というふうに承りました。本当にありがとうございます。  試験研究機関を初め今回独立行政法人化することといたしました機関は、我が国の農林水産業の健全な発展を図る上で重要な役割を果たしているものと認識しております。独立行政法人制度は、弾力的な組織運営を可能とするとともに、目標達成状況評価や定期的な見直し等によりまして、業務効率化、質の向上等を目指すものでありますので、農林水産省といたしましては、こうした制度の特徴を生かしながら、農林水産業を取り巻く情勢の変化や行政のニーズを踏まえまして、適切な対処を図っていきたいと思っております。
  33. 石橋大吉

    石橋委員 次に、農林水産関係に特に特徴的なことではないかと私は思うのですが、例えば林木の育種など、相当期間がかかると思うのですね。三年か五年ごとに評価をするということになっておりますが、そういう短い期間の間で十分な評価ができるのかどうか。息の長い仕事なのですね。そういう意味で、適正な評価のやり方なり方法、そういうものについては特別な配慮が必要なんじゃないか、こう思いますが、どうですか。
  34. 谷津義男

    谷津政務次官 先生の御指摘どおりでございまして、林木育種センターでは林木の育種、苗木の開発と供給の事業を行っておりますけれども、林木の特性から、優良な品種の開発、供給には、数十年、三十年から四十年ぐらいかかるんではないかというふうに、長時間を要するわけであります。このため、このような業務は長期のプロジェクトとして実施する必要があります。そのプロジェクトを何段階かのフェーズに分けて、それぞれのフェーズの中間評価を行うことによりまして、一層の効率的な業務運営が可能であると考えておるところでございます。  したがって、林木育種センターにつきましても、独立行政法人化後は、業務の長期性にも留意をしながら、三年から五年ごとに中期の目標を付与することとし、その結果を評価することとしております。これにより、優良な林木の品種の開発という長期的な目標達成に向けて、業務の一層の効率化の推進が図られなければならないというふうに考えておるわけでございます。
  35. 石橋大吉

    石橋委員 今の点に関連してもう一つ伺います。  林木の育種だけじゃなくて、さっき言いましたように、農林水産関係全般について、例えば新しい品種の開発をするなどと言ってみても、これはそう簡単にいかないわけですね。何年もかけて実験を積み重ねなきゃ成果は上がってこない、こういう性質のものだと思うんですね。生物が相手であるだけに、そういうことになってくるわけですね。成果が上がるまでに時間がかかる。  この独立行政法人を設立する趣旨の一つは、効率性を確保する、こういう観点もあると思うんですが、そういう意味では、この生物だとか植物に関係する基礎的な研究が、効率重視のためおろそかになるようなことがあってはいかぬ。結果、国際競争にも敗れる、こういうことにもなりかねないと思います。  そういう意味で、長い時間と労力を費やす基礎的な研究がおろそかになるようなことがあってはいけない、私はそういう思いを非常に強く持っているんですが、この点について、どうでしょうか。
  36. 谷津義男

    谷津政務次官 農林水産省関係試験研究は、品種の育成のように長期的な時間を要します。それからまた一方では、リスクが高いといった特性を持っておりますことは先生も御案内のとおりであります。基礎的、長期的な取り組みが必要であると同時に、その時々の情勢に応じた対応が求められております。  独立行政法人制度は、一般的には独立採算制を前提とするものではなく、国の予算において所要の財源が確保され、また、国が設定する中期目標に基づいて業務実施されるとともに、その業績評価も行われます。機能的な組織編成や、運営費交付金等の使途の弾力的変更や、年度を超えた繰り越しが可能となっております。そういう制度になっております。  したがって、農林水産省関係試験研究につきましては、このような独立行政法人制度の特徴を生かしまして、適切な中期目標を設定する等により、今後とも、基礎的、長期的な取り組みを含め、適切な試験研究実施が図られるよう対応していきたいと思っております。
  37. 石橋大吉

    石橋委員 ぜひひとつ、そういう点はしっかり念頭に置いて、これから農林水産関係試験研究機関の成果が上がるようにやっていただきたい、こう思います。  関連して、独立行政法人化後の試験研究関係の予算の確保について基本的にどういう考え方を持っているか、お聞きをしておきたいと思います。
  38. 谷津義男

    谷津政務次官 独立行政法人に対する予算につきましては、中央省庁等改革推進本部決定いたしました中央省庁等改革の推進に関する方針において、「独立行政法人は、一般的には独立採算制を前提とするものではない。独立行政法人への移行後は、国の予算において所要の財源措置を行うもの」としております。「なお、独立行政法人に対する移行時の予算措置に当たっては、移行前に必要とされた公費投入額を十分に踏まえ、当該事務及び事業が確実に実施されるように、十分に配慮するもの」とされております。  農林水産省といたしましても、こうした方針を踏まえまして、独立行政法人化される試験研究機関の予算につきましては、適切な財源措置がなされるよう万全を期してまいります。
  39. 石橋大吉

    石橋委員 非常に力強い御答弁がありまして、関係機関で働いている人々も大いに期待しておると思いますから、ぜひひとつ万全を期してやっていただきたい、こう思います。  次に、各省及び総務庁に置かれる評価委員会の役割は、今度非常に重要な位置づけになっておるわけですね。その委員の選任は一体どういうふうにされるのか。特に総務庁に設置をされる評価委員会というのは、各省庁関係全般を見るわけですから、人数からいったってかなりの規模のものになるんじゃないかなという感じもするわけでありますし、それぞれの、総数が一体どのぐらいなものなのか。あるいは、各分野にわたってちゃんとした評価をするためにどういう人選をするのか。その辺について、余り細かい話はできないと思いますが、基本的なところだけでもいいですから、ちょっと明らかにしていただきたい、こう思います。
  40. 続訓弘

    ○続国務大臣 お尋ねの、各省に置かれる独立行政法人評価委員会委員は、御指摘のように主務大臣が、総務省に置かれます委員会の委員は総務大臣が、それぞれ外部有識者のうちから任命する、こう方針で決まっております。  もとより、評価委員会というのは、今御指摘のように大変重要な役割がある。第三者機関としての客観性あるいは公平な評価等々が実施されることが大変重要である。その意味では、今御指摘にもございましたように、適正な人材を確保する、任命するということが重要であると存じます。  なお、しからば、各省の評価委員あるいは総務省の評価委員が何人かということについては、まだこれからでございます。
  41. 谷津義男

    谷津政務次官 独立行政法人評価委員会は、独立行政法人の各事業年度及び中期目標期間における業務実績の評価を行うとともに、独立行政法人に対し、業務運営の改善その他勧告を行うことができるということで、今長官の方からもお話があったとおりであります。  独立行政法人評価委員会委員は、外部有識者のうちから主務大臣が任命することとなっておりますが、委員には、客観的で公正な評価実施できるよう、適切な人材を任命することが必要ではないかと思っております。
  42. 石橋大吉

    石橋委員 人数その他について、まだまだ細部が検討中のようでして、決まっていないようですから、ひとつ万遺漏のないような人選をお願いしておきたいと思います。  それからもう一つ、これに関連して、総務庁に置かれる審議会と各省の独立行政法人評価委員会との関係、これはどうなるのですか。  それと、これは僕もちょっとまだ勉強不足なので、非常に素朴な質問ですが、総務庁の審議会と総務庁に設置される評価委員会とは完全に別物、こういうふうに理解していいかどうか。
  43. 続訓弘

    ○続国務大臣 各府省の独立行政法人評価委員会評価基準の設定や評価業務運営の改善の勧告等を行い、今度は総務省の政策評価独立行政法人委員会が各府省の独立行政法人評価委員会評価結果をダブルチェックする、そして客観性と中立性をさらに高めるという仕組みを考えておるわけでございます。
  44. 石橋大吉

    石橋委員 そうすると、各省の評価委員会、総務庁の評価委員会と審議会と三段階あるということですか。
  45. 続訓弘

    ○続国務大臣 各府省に評価委員会がございますね。それと総務省にも評価委員会がある。それで、今お尋ねのように、まず第一義的には、各府省の評価委員会が要するに今もおっしゃるような評価をする。そして、同時にそれが総務省に持ち上がってくる。それを総務省は、総務省の評価委員会がそれをまたさらに評価をする、チェックをする、こういうことでございます。ダブルチェックをする。
  46. 石橋大吉

    石橋委員 審議会は、総務省の評価委員会とは別物でしょう。一緒ですか。
  47. 続訓弘

    ○続国務大臣 いや、各府省ではなくて、総務省には総務省の評価委員会がある。
  48. 石橋大吉

    石橋委員 言葉の問題だけなのか、実態が違うのか、ちょっとよくわからぬものですから、総務庁に設置をされる審議会と総務庁の評価委員会というのは別物なのか一緒なのかということを明確にしていただきたい、こう思います。  そういうことをちょっと次にお答えをいただきたいと思いますが、あわせて、独立行政法人に対する行政監察、各省の独立行政法人評価委員会関係、この辺はどうなるのか。
  49. 続訓弘

    ○続国務大臣 各省の独立行政法人評価委員会は、独立行政法人業務運営評価等を定期的に行い、総務省に置かれる審議会は、先ほど申し上げたようにダブルチェックを行うという仕組みである。このような独自の評価システムがとられることに伴い、独立行政法人につきましては、行政評価等の機能との重複を防止するものとしたところでございます。
  50. 石橋大吉

    石橋委員 ちょっとわからぬな。僕の質問は簡単な質問だから余計わかりにくいのかどうか知りませんが、要するに、総務庁に設置をされる審議会と総務庁に設置される評価委員会とは別物か一緒かということを聞いておるわけですよ。そういうことをまだお答えになっていませんので、お答えいただきたいと思います。  それから次に、今質問したのは、独立行政法人に対する行政監察と各省の独立行政法人評価委員会の関係はどうなっているのか、このことについて今お伺いしましたのであわせて、さっきお答えありませんでしたから。
  51. 続訓弘

    ○続国務大臣 大変失礼いたしました。別なんです。
  52. 持永和見

    持永政務次官 それぞれの各省の評価委員会でまず政策評価を行いまして、その後総務省は、定期的にあるいは中期目標の終了時ごとに総務省の評価委員会がダブルチェックをする、こういうことになっております。  その場合に、行政監察は行政監察として別なルールでやるということでありまして、評価委員会というのはそれぞれの独立行政法人評価委員会であります。ところが、行政監察というのは一般の国の仕事全体、省庁の仕事に対してやるわけですから、省庁の仕事の監察の関連独立行政法人の監察も必要だということになればその分はやりますけれども、独立法人の政策評価そのものは監察の対象にならないというふうに御理解をいただければと思っております。
  53. 石橋大吉

    石橋委員 さっきの総務庁長官の答弁に関連して、もう一つ念のために聞いておきますが、総務庁に設置をされる審議会というのは一体どういうものなんですか。各省庁の評価委員会の評価結果、総務庁の評価委員会の評価結果、そういうものを受けてどういう審議をするんですか。最上級のいわば評価機関みたいにも聞こえるし、監察機関みたいにも見えるし、審議会という名前からするとそういう性格のものではないというふうにも聞こえるし、改めてひとつこの点、もし大臣があれでしたら、行革本部の事務局長も来ておられるようですから、そこからの答弁でも結構ですから、明確にしていただきたい、こう思います。
  54. 河野昭

    河野政府参考人 独立行政法人のチェックですが、これはすべて一次段階と二次段階と二つの段階があるというふうに御理解いただきたいのです。  それで、一次段階が今申し上げている独立行政法人評価委員会、これは総務省にもできますし、各省にもそれぞれ一つずつできる。これは法律事項でございます。  それから、今申し上げている総務省に置かれる審議会というのは、通称これは政策評価独立行政法人評価委員会と言ってございます。これは今仮称でございます。政令事項でございます。  したがって、各省にはそれぞれ一つずつ評価委員会ができる。総務省にも当然一つある。それらをもう一つ上の段階の、今申し上げている総務省に置かれる審議会というものがダブルチェックの機能を持つ、そういう関係でございます。
  55. 石橋大吉

    石橋委員 今説明を聞くと、若干僕も認識が正確でなかったのかなという感じもちょっとするわけですね。総務庁に設置をされる評価委員会というのは、やはり総務庁の仕事、独立行政法人に関する評価をする、そういうものなんですね。何となく私はその辺を、そういうこともあるが、同時に、各省庁の評価委員会の評価結果を全部総務庁がまた、主務官庁として総括するような立場にあるから、そういう評価もするのかな、こう思っていましたが、それは審議会でやるということですね、今の説明だと。そういうことですね。はい、わかりました。  次に、評価委員会と並んで各独立行政法人に置かれる監事の仕事、これは非常に重要だと考えるわけですね。  最近の神奈川県警における不祥事件その他いろいろなところを見ていると、監察だとか監査のところがどうもちゃんとした仕事をしていない、言い方がきついんですが。そういうようなことを考えると、この監事の仕事をしっかりちゃんとやるということが公正な独立行政法人運営や仕事を確保するため非常に大事だ、こう思っているわけですが、この辺、監事の選任とか監事がそういう役割をしっかり果たせるような仕組みあるいは措置、そういうことについてどういうふうにお考えになっておるのか、念のためにこのことについて考え方を承りたいと思います。
  56. 続訓弘

    ○続国務大臣 石橋委員指摘のとおり、監事の役割は大変重要だと存じます。その意味で、監事は必ず民間から一人は選べ、こういう規定を置いてあるわけであります。
  57. 石橋大吉

    石橋委員 さっき言いましたように、選出の方法もさることながら、監事が不断にちゃんとした仕事をしていただく、こういうことが非常に大事ですので、そういう点について万遺漏のないような措置をひとつ御検討いただき、また措置をしていただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思います。  次に、中央省庁再編関係農林水産省関係について二つ、三つ伺っておきたいと思います。  農林水産省は、今度の省庁の統合再編成によりまして、一官房五局三庁から一官房四局三庁に再編されるわけですね。そのお考え方はどうか、こういうことですが、御承知のように、食料・農業・農村基本法が制定されまして、食料の安定供給の確保や農山漁村及び中山間地域等の振興、農業の多面にわたる機能の発揮などを新しい理念、任務として農林水産行政が担うことになりますが、これらの業務を的確に果たしていくことができるものとなっているのかどうか。これは、新しい農業基本法というか、農村基本法も滑り出ししたばかりでありますから、そういう意味で、将来非常に大事なところだと思いますので、改めて農林水産省考え方を聞いておきたいと思います。
  58. 谷津義男

    谷津政務次官 農林水産省の組織につきましては、食料・農業・農村基本法や新しい設置法に規定された農林水産省の任務を踏まえまして、食料政策、農業政策及び農村政策をそれぞれ効率的に推進するという観点から、平成十三年一月に抜本的に再編するものとしております。  具体的には、農政を、食料の安定的供給に着目した分野、農業のうち生産に着目した分野、農業のうち担い手、経営に着目した分野、農村、中山間地域という地域の振興に着目した分野に大別いたしまして、それぞれの行政分野を総合食料局、生産局、経営局及び農村振興局に担わせることとしております。  このような組織の整備等を通じまして、食料・農業・農村基本法の基本理念である食料の安定的供給の確保、農業の多面的機能の発揮、農業の持続的な発展及び農村の振興の実現を図ってまいる所存でございます。
  59. 石橋大吉

    石橋委員 あわせて、農林水産省の地方組織の再編についてどうお考えになっているのか。  ここに前労働大臣もおられますが、私も去年一年間労働委員会に所属をしておりまして、労働関係の地方部局については今度地方労働局に統括的にちゃんと一まとめにする、こういう形になっていますが、農林水産省の地方組織の関係は、食糧事務所、統計事務所、その他いろいろあると思いますが、この地方の組織の再編についてはどういうふうにお考えになっているのか。考え方と具体的なスケジュールなどがあれば、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
  60. 谷津義男

    谷津政務次官 先生指摘のとおり、地方組織につきましても非常に重要であります。  地方組織につきましては、本省と地方組織間での業務を効率的かつ円滑に実施できるような、地方農政局の組織を本省の組織の再編に合わせまして見直すこととしております。具体的には、企画調整機能を強化するとともに、本省業務との連携の円滑化を図るため、現行の一室六部を企画調整部、総務部、生産経営部、農村振興部、整備部及び統計情報部の六部に再編することにしております。  これらの組織の再編によりまして、地方組織と本省との連携強化が図られ、これを通して事務及び事業の効率的なあるいは効果的な運用と農林水産行政の一層の推進が図られるものと考えております。
  61. 石橋大吉

    石橋委員 次に質問通告でお願いをしている問題は一番最後のところに関係しますから、最後のところであわせて長官にお答えいただきたいと思いますので、ちょっと一つ飛ばしますよ。  次に、定員の削減問題について、ちょっと具体的なことを伺っておきたいと思います。  独立行政法人化と二五%の定員削減、国家公務員の定員削減の問題、この辺の関係はどうなるのか、伺っておきたいと思います。
  62. 続訓弘

    ○続国務大臣 独立行政法人化は、その部門に自律的、弾力的な運営を行わせるとともに、業務効率性や質の向上を図り、透明性を確保することをねらいとするものでございます。  定員削減についての政府の方針は、小渕内閣の公約であり、基本法や閣議決定のもと、これまで総理からも御答弁申し上げておりますように、機械化、民間委託を初めとする合理化の努力、さらには民営化等、御指摘独立法人化、あるいは新規増員などの抑制といったあらゆる手だてを講じまして、着実に二五%削減に向かって努力をしたい、このように考えております。
  63. 石橋大吉

    石橋委員 独立行政法人についても二五%の定員削減の基本原則は例外ではない、こういうお答えだ、こう思います。  そこで、農林水産省関係について、具体的にちょっと伺っておきたいと思います。  第一次、一九六八年の定員削減計画の開始から、第八次、九六年度まで定員削減の実績を見ると、国家公務員全体、非現業ですが、六七年度末の定員が五十二万五千八百四十九、削減実績が十五万八千五百四十九、削減率が三〇・一五%になっています。  農林水産省関係は、同じく非現業ですが、六七年度末の定員が六万二千百三十九、削減実績が、これはちょっとおかしいな、数字がちょっと違いますが、これはミスプリントかな、どっちにしても、削減率が農林水産関係四〇・六九%になっているわけですね。非常に農林水産省の削減率が飛び抜けて大きい、こういうふうに私は思っているわけです。  これは非現業ですから林野の関係なんか入っていませんが、林野の関係は、御承知のとおり、かつて六万人から七万人近くあったと思いますが、このごろは林野特別会計の赤字の処理問題なども絡みまして毎年のように大幅な定員削減を行いまして、もう十分の一ぐらいになっているわけですね。  こういうような実績から考えると、農林水産省関係については、これ以上削減しようにも鼻血も出ないんじゃないか、こういう感じで私は見ているのですが、どうですか。
  64. 谷津義男

    谷津政務次官 先生指摘のとおり、林野庁、林野事業の職員につきましては、昭和六十年が二万七千五百二十人であったものが平成十一年には七千二百八十四人ということで、非常に高い削減をしておるところであります。定員削減につきましては、これまで農林水産省は各省庁を上回る水準で実施しているのは御指摘のとおりでございます。  今後、政府におきまして、中央省庁等改革基本法や閣議決定のもとに定員削減を確実に推進していくとされております。定員削減の実施は、農林水産省にとりまして厳しい問題でありますが、その具体的な検討に当たりましては、こうした政府の方針を踏まえつつ、農林水産行政に期待される役割と使命が十分に発揮されるように、必要な定員は確保していくつもりでございます。
  65. 石橋大吉

    石橋委員 同じく定員問題ですが、新しい食料・農業・農村基本法による新しい事務事業を担う農林水産省の定員の考え方について、どうか。特に、国土の八割を行政エリアとしている農林業、地方組織とそこに働く職員は、ある意味では生命線だ、こういうふうに考えますが、その辺の考え方はどうですか。
  66. 谷津義男

    谷津政務次官 平成十三年一月の農林水産省の組織再編に当たりましては、食料・農業・農村基本法や新しい設置法に規定された農林水産省の任務を踏まえまして、農林水産行政に期待される役割と使命が十分に発揮されることになるように、必要な定員の確保に努めていきたいというふうに考えております。  特に、農林水産業は地域性の高い産業であります。また、地方農政局と地方組織とそこに働く職員の果たす役割は極めて重要であると認識をしております。今後とも、農林水産行政の円滑かつ効率的な推進を図るために、必要な組織定員の確保に努めてまいりたいと思っております。
  67. 石橋大吉

    石橋委員 大分質問項目たくさん出しておりましたが、一時間半を要せずして最後の質問になります。  最後に、この月末から新しいWTO交渉をめぐって閣僚会議が開かれることになっていまして、来年から本格的なWTOの交渉が三年間かけて始まる、こういう段階になっていることは御承知のとおりであります。  そこで、我が国の農林水産業にとって最大の課題は何かといえば、農林水産業の多面的な機能をどういうふうに評価をし国際的なルールの中に位置づけていくか、これが最大の問題点になっているわけであります。国際的な問題だけでなくて、国内的に言ったってこれは非常に重要な問題でありまして、特に、新しい食料・農業・農村基本法の第三条に、そういう意味では、農林水産業の多面的機能の発揮ということについて非常に基本的に重要課題として位置づけられているわけであります。  そこで、農業の国土環境を守るなどの役割はますます重要になる、こういうふうに考えるわけですが、この課題は農林水産省だけでは十分な成果を上げ、あるいは目的を達成することは不可能な面もある、私はこう思っているわけであります。  例えば、全中がこのWTO交渉に当たって配付をしている資料などを見ますと、農業の多面的な機能として、例えば洪水防止、水資源の確保、土壌の流出防止、土砂崩壊の防止、大気の浄化、夏季の暑熱の調節、都市のごみの肥料還元、保健休養等々、金額に換算すると合計年間約七兆円になる、こういう資料も出しているわけです。こういう多面的な機能を考えると、今言ったように、農林水産省だけではやはり十分な成果を上げることは不可能だ、私はこう思っているわけであります。  そういう意味でいうと、農林水産省だけでなくて、建設省、環境庁、国土庁、厚生省、自治省、通産省など、もっとほかにもあるかもしれませんが、どっちにしても、よく言われる縦割り行政を超えて、政府としてちゃんと対応していかないとこういう問題の目的は達成できない、こういうふうに思っているわけであります。  環境問題やその他がますます深刻になればなるほど、そういう意味では、各省庁の縄張りを超えた連携が極めて大事になってくる、こういうように私は思うのです。そういう意味で、さっき一つ飛ばしました、今回の中央省庁の再編で、いわゆる縦割り行政が是正されるのかどうか。基本的な問題ですが、そのことに対する質問も、ここであわせて、どういうふうに今のような問題を解決されるのか。  これは主務大臣としての総務庁長官の役割も非常に重要ですし、同時に、農林水産省考え方も大事なところですから、この点を少しきちっと最後にお伺いをして私の質問を終わりにしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
  68. 続訓弘

    ○続国務大臣 石橋議員がいみじくもおっしゃいました、従来の縦割り行政がこの国の行政をゆがめている、そういう意味では、グローバル化している現下のいろいろな状況に対して柔軟に対応する仕組みが必要ではないかという指摘も今ございました。今回の省庁改革の目玉はまさにそこにあると私は思います。肥大化し硬直化した行政組織を柔軟に対応する、そして国民皆様の御期待に沿えるような、そういう仕組みにつくりかえていく、これがまさに今回の省庁再編の目的だと存じます。  そして、そのために政策調整という新たな仕組みが生まれました。今御指摘のように、農林水産省の所管であれば農林水産省が各省の垣根を取っ払う政策調整ができるようになりました。したがって、御指摘の点を踏まえながら我々内閣として対応させていただきたい、こんなふうに思います。
  69. 谷津義男

    谷津政務次官 石橋先生指摘のとおり、この問題は非常に大事な問題であります。  WTOの協議が今月の末、三十日からシアトルで閣僚会議が開かれるわけでありますけれども、今度の基本であります農業協定二十条、この中に非貿易関心事項というのもございますけれども、それは多面的機能等、環境問題等も含めての話というふうに思っておりまして、我が国もそれに対して強く提案をしているところであります。  農業が、そういう国土の保全、水源の涵養、自然環境の保全等の多面的機能を十分に発揮するためには、農業の持続的な発展を基礎としながら、その基盤である農村の振興を図るために、各般の施策を適切に講じていく必要があるというふうに考えておるところであります。  実は先生、この農基法に基づきまして基本計画を今策定中でありますが、これにも各省庁が参画をしていただきまして計画をきっちり決めていくという方向に動いておりますので、先生の御指摘のとおり、しっかりやっていきたいと思いますので、この点はこれからもよろしく御支援をお願い申し上げます。
  70. 石橋大吉

    石橋委員 新しい食料・農業・農村基本法に基づく基本計画の策定の段階から各省庁に参加をしてもらって、縦割り行政の弊害が生じないようにやっているし、また将来ともにやっていく、こういうことですから、ぜひひとつ、さっきの質問でも言いましたように、ますますこれからこの先重要になってまいりますから、万遺漏のないように、ひとつ農林水産省として各省庁の協力を得ながら、多面的機能の発揮について万全を期していただきますようにお願いをして、時間が早いですが、これで終わります。  以上で私の質問を終わります。大変ありがとうございました。
  71. 西田司

    西田委員長 次に、松本善明君。
  72. 松本善明

    松本(善)委員 私は、農水省の独立行政法人化の問題を一昨年の通常国会の基本法審議のときにも取り上げましたけれども、これは非常に国政上重要な問題だと思っております。農水省の国立研究機関は、農業総合研究所を一つだけ残してあとはすべて独立行政法人化するということになります。これは、農業、林業、水産関係者だけでなくて、国民にとっても極めて重大な問題だと思います。  言うまでもありませんが、食料は人間が生きる上で欠くことのできないものであります。だからこそ、国は国民に対して安全な食料を安定的に供給するといういわば基本的な責任がある。政治の、政府の最も重要な責任だろうと思う。この食料を安定的に供給する基礎となる研究機関のほとんどを国の行政から切り離して独立行政法人化するということは、国民に安定的に安全な食料を供給するという体制的な保障が後退するという以外の何物でもないと思います。  一体、国民に安定的に安全な食料を供給する最も重要な政府の責任をこれで果たすことができるのか、政府としてはどう考えているのか聞きたいと思います。
  73. 谷津義男

    谷津政務次官 食料は、先生の御指摘のとおり、人間の生命の維持に欠くことのできない基本的物資であります。世界の食料需給が中長期的に見ますと逼迫する可能性もあるというふうに今見込まれるなど不安定な様相を有している中で、国民に対する食料の安定供給を確保することは国の基本的な責務であると認識をしております。  このため、食料・農業・農村基本法においては、国内の農業生産の増大を図ることを基本とした食料の安定供給を基本理念として明記しているところでございます。また、凶作や輸入の途絶などにより国内による食料の需給が逼迫するような不測の事態においても、国民が最低限度必要とする食料の供給が確保されるよう必要な施策を講ずることとされております。現在、これらの施策につきましては、関係省庁と十分な連携をとりながら検討を進めているところであります。  特に試験研究の分野におきましては、今後の世界の食料需給に不安定性があると見込まれる中で、食料需給動向の把握やその変動予測、食料需給逼迫時における対応などのための研究開発を進めていくことが重要であるというふうに考えており、今後、食料の安定供給の確保を図るために試験研究機関を含めた政府一体の取り組みを進めていきたいと思っております。     〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
  74. 松本善明

    松本(善)委員 言っていらっしゃることは言われるんですけれども、実態が伴わない。新農業基本法でもそう書いてあるけれども、農業関係者でこれで安心だと思っている人はないですよ。農協の幹部の皆さんも、農業の将来について心配だという人ばかりです。  食料の安定的供給という問題は、一般的な国の責任というだけではない。特に日本では、その対策を今すぐにでもやることが必要になっているんだと思うんです。今次官もおっしゃいましたけれども、世界的な食料の逼迫の問題があります。  我が国は、食料自給率は穀物で二八%、カロリーで四一%まで落ち込んでいます。人口一億二千万の国で食料自給率がここまで崩壊をしているという国はありません。これは本当に異常な事態です。ただ一つ自給をしている米までが、毎年数十万トンも輸入して減反を拡大している。こうしたやり方がどんなに食料安全保障の基礎そのものを掘り崩しているかということはもう明らかです。  今地球的な規模では、地球の温暖化あるいは工業化による水不足など地球環境の悪化が進んで、耕地の拡大が限界に来ております。そのために穀物の生産量が低下をしている。その一方で、中国やインドなどの人口増加によって消費が拡大をし、世界的な食料危機が予測されて深刻な問題になっている。  こうした状況を見ても、日本の食料自給率の向上と農業の再生というのは、二十一世紀の国政の最重要課題とならなければならないんじゃないか。そういう方向にこの農業研究機関というのは位置づけられていないのではないか。どう政府は考えているんですか。
  75. 谷津義男

    谷津政務次官 我が国としまして、先生今御指摘の点でございますが、基本計画におきまして、これは今年度中にしっかりとした数字を出していきたいと思うんですが、いわゆる自給率というものもしっかり確保していくということで今鋭意検討をしているところでございます。  そういうことで、農林省といたしましては、研究機関独立法人化に際しましても、作物別の割り当て、縦割りですね、こういうのを改めまして、重要な研究課題に対して資金の弾力的な運用や必要な専門家の結集を図ることが大事だというふうに思っておるわけでございます。  中長期的には、確かに今食料逼迫が世界的に問題になってきておるということも認識をしているわけでありますけれども、今、温暖化によりまして、例えばアメリカ等を見ましても、作物がだんだん北の方に偏っていくというふうなことも言われますし、一方、風食等の問題が起こっておりまして、生産が上がらない。あるいは、インド等は、地下水のくみ上げによりまして塩が噴き出しまして、今農地として確保できなくなっている。  こういう問題も一方には起こっておるということから、こういう世界的な状況を踏まえながら、我が国としては、国民に安定的な供給ができるようにするためには自給率をしっかり上げていくということを基本に考えておるところであります。
  76. 松本善明

    松本(善)委員 危機的な状況にあるということは認識していらっしゃるようですけれども、やはり自給率を上げるということになると、その目標とそれを上げるための計画とそれに伴う予算がなければなりません。そういうものは全くない。研究所の方もみんな独立行政法人化をする。これでは農業関係者が日本の農業の将来に不安を持つのは当然であります。  今回独立行政法人化対象になっております農業環境技術研究所というのは、九六年の四月に地球環境変化に伴う主要穀類等の生産地の変動予測という非常に重要な研究報告を発表しております。この報告によりますと、大気中の二酸化炭素濃度が二倍になった場合に北米、ロシア、オーストラリア、南米の栽培地域が変動することが予想をされて、現在より栽培適地が五〇%減る、栽培可能なところは一七%ふえる、こういう予測を出しております。つまり、栽培適地が全体としては半減するというのですね。これは、本当に深刻な食料不足の可能性を指摘して世界に警鐘を鳴らしたものであります。  こういう現状だということは農水省は認識をしているんですか。
  77. 谷津義男

    谷津政務次官 御質問の論文は、農水省農業環境技術研究所が行った、平成二年から八年度の大気中の二酸化炭素濃度の上昇とそれに伴う地球の温暖化による主要穀類の生産への影響を明らかにするために行った研究の成果を取りまとめたものでございます。この論文によりますると、二酸化炭素濃度が現在の二倍に上昇したときは、世界の主要穀類の栽培可能地域の面積は現在より三%、先生のおっしゃるとおりに増大し、主要穀類の生産可能量は現在より二八%増加すると予測はされております。  この論文は一定の前提を置いての推計でありまして、現実には、温暖化が進んだ場合、作付可能の拡大は土壌の条件や森林地帯を多く含む等の問題があり、むしろ栽培適地が減少する、そういう懸念もあるのではないかと思うんです。したがって、このような地球温暖化が生物生産に与える影響を回避するため、環境ストレス耐性、病害虫抵抗性育種等の技術開発を積極的に推進することが重要であるというふうに思っております。  なお、地球環境の変動予測につきましても、土壌条件や社会経済的な要因等を加味して、精度の高い予測研究を進めることが必要ではないかと思っております。
  78. 松本善明

    松本(善)委員 大変重要な報告だということは考えていらっしゃるようですけれども、そういう研究をもっともっと精密にしていかなければならないわけですよ。そのために、では独立行政法人化をし、それをできるのかという問題なんですよ。そこが農業関係研究者もみんな不安に思っているわけです。これは独立行政法人というよりも、地球的な規模で、将来の食料の需給の見通しはどうなるか、研究としてはまだこれからもっともっと精密にしなければならないけれども、これは国の企画や政策に直結する業務と違いますか。どうですか。
  79. 谷津義男

    谷津政務次官 国としましても、この問題につきましては、現場のニーズに対応して農業生産にかかわる技術開発を強力に推進する研究体制を整備する必要があるということは御指摘のとおりであります。将来の食料環境問題等の解決を目指しまして、技術のブレークスルーを担うバイオテクノロジーの研究や環境研究等の集中的実施を図ることにしておりまして、食料問題に対応した研究について、万全を期するようにしておるところであります。
  80. 松本善明

    松本(善)委員 次官がそういうふうにおっしゃるなら、これは独立行政法人にしないでやはり国が直接やるべきですよ。食料という問題は、先ほどから言いますように、国に重い責任があるのですよ。  行革会議の最終報告では、「国が自ら主体となって直接実施しなければならない事務・事業」として「災害等国の重大な危機管理に直結し、直接国の責任において実施することが必要な事務・事業」というのを書いております。食料の安全保障のための危機管理対策も、当然こういうような立場から、この研究機関を含めて国が直接やるべきではないか。国立研究機関独立行政法人化するということは、政府が日本の農業をどう位置づけているかということの端的な証明だろうと思います。  私は、この点が政府は、次官は口では言われるけれども、実際は極めて軽視をして、実際は放棄するのと同じだということを指摘して、時間の関係もありますので、問題を次に進めたいと思います。  独立行政法人制度は、行革会議の最終報告でもはっきりしておりますが、行政機能の減量化、アウトソーシングを進める方策の中で発案されております。最終報告では、独立行政法人制度を活用し、自律的、効率的な運営の徹底を図る、この民営化や民間移譲の困難な事務事業をそういうふうにするとしています。  つまり、国立研究所を独立行政法人にすることは、研究所の研究を充実させて、基礎的、独創的な研究を発展させるために独立行政法人にするということではないのです。独立行政法人は、減量化、アウトソーシングを進める方策の一つとして考える、長官、そうでしょう。
  81. 続訓弘

    ○続国務大臣 松本善明議員は、先日も農業問題に対して大変関心を払い、かつ憂える立場から御質問ございました。本日もまた農林水産省総括政務次官とのやりとりを伺いながらその感を深くしておりますけれども、今お尋ね研究機関に対して、私はこの前もお話を申し上げました。むしろ政府と直接切り離して独立法人化した方が研究が進み、一層国民の期待にこたえられるような、そういう仕組みができ上がるのではないか、私の実例を挙げて申し上げました。まさに今御心配の点につきましては、農林総括政務次官からお答えいたしましたように、そういう懸念のないように我々は努めてまいります。  そして、効率化、減量化ではなくて、むしろ効率化をしながら、かつ研究が一段と国民の期待に沿えるような、そういう研究が充実することを私どもは願っての独立法人化でございますので、その点は御理解を賜りたいと存じます。
  82. 松本善明

    松本(善)委員 長官、そういうふうに言われますけれども、行革会議の最終報告以来の政府の態度は、そうでないということを証明しているのですよ。  行革会議の最終報告では、先ほど言ったとおり、アウトソーシング、減量化の方策としてはっきり位置づけております。研究を充実させるというようなことは一つもないのです。「省庁改革の四本柱」ということで中央省庁等改革推進本部が出したこういう坂本竜馬のあれが入ったパンフレットがあるのですね。これでも、行革の四本柱、透明化、自己責任化とかスリム化とか、そういうことはありますけれども、研究を充実させるというようなことは一言もないですよ。そういうものはないということをお認めになりますか、長官。あるというならどこに書いてある。全くないです。
  83. 続訓弘

    ○続国務大臣 せっかくのお言葉でございますけれども、最終報告の中に、八十一ページでございますけれども、効率性の向上と質の向上と書いてあります。したがって、質の向上がサービスの向上というふうにつながる、また、この質の向上というのはそういう意味で義務づけられている、私どもはこんなふうに考えております。
  84. 松本善明

    松本(善)委員 ほんの一言をやっとお探しになったようですけれども、全体の筋が行政機構の減量、アウトソーシングという中に位置づけていることは、極めて明白です。  それで、ここに私持ってまいりました、一九九六年七月に閣議決定をした科学技術基本計画がございます。これは、科学技術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくために、科学技術政策大綱の精神を踏まえて、今後十年程度を見通し、平成八年度から十二年度までの五年間の科学政策を具体化するものを策定したものだ、こういうふうに言っているのです。つまり、科学技術を総合的、計画的に振興するための計画であります。  しかしここには、国立研究機関独立行政法人化ということは一言も出てまいりません。十年間を見通し、五年間の施策という期間を視野に入れたものにもかかわらず、出てこないのです。これは、独立行政法人化が科学技術振興ではないということの、逆の面からの証明であります。この独立行政法人化の問題が出てきたのは、これが出てから一年半後なのです。これは、国立研究所の振興策のテーマとは関係のない、行政改革、中央省庁再編というテーマを検討した行革会議が、行政の減量化という視点から提起をしたものです。これは極めて明白です。  この独立行政法人制度というのは、国立研究所の充実策ではなくて、行政の減量化策、アウトソーシング策であるということは、基本的に明確ではありませんか、長官。
  85. 続訓弘

    ○続国務大臣 今、納税者の立場になれば、まさに効率的な研究開発というのが期待をされているわけです。  先ほど来御議論ございますように、独立行政法人には一応目標設定がございます。三カ年でこういう目標を、五年間でこういう目標を、これを公にするわけです。その公にした目標設定に対して評価委員会がちゃんと評価をする。本当にそういう目的が達せられたかどうかということの評価をする。同時に、国権の最高機関である国会が監視していただく。あわせて国民皆様がそれを監視していただくわけです。  そういう意味では、従来の省庁にある研究機関よりも、むしろ透明度の高い、そして研究国民の期待に沿うような研究をしない限り、その独立行政法人は否定される、そういう仕組みですから、今、減量化だけが目的ではない、せっかくの国民の貴重な税金を効率的に使う、国民のために使う、それが独立行政法人化であると私は考えております。
  86. 松本善明

    松本(善)委員 長官も閣僚の一人ですから、国政全体を見てください。税金の使い方という点でいえば、宮澤大蔵大臣だって、むつ小川原だとか苫小牧東の失敗を認めておられるでしょう。一体、四国へ何本も橋をかけるとか、東京湾の湾口にもう一本橋をかけるとか、釣り堀になっている港がいっぱいあるとか、物すごくむだが指摘をされていますよ。一体、研究機関のお金とそれを比べてどうだと。私は、そういうところを全部節約してからなら話はまた別かもしれぬけれども、そこはほうっておいて、いや効率化も大事なんだ、これは空疎にしか聞こえないですよ。科学研究関係者は、独立行政法人問題が国立研究所の充実策から提起されたなんてだれも思っていませんよ。  研究者の声を少し紹介いたしますと、研究効率化すること自体が問題だ、いろいろな試行錯誤の末に研究成果が得られるのは過去の歴史が物語っている、研究は失敗があって当たり前なんだ、類似研究があって当たり前なんだ、そもそも効率を追求すること自体大きな誤りなんだと。  私は、効率化一般を否定するものではありません。効率的にやった方がいいことは一般的にはそうだ。しかし、研究の分野というのは、行政の分野とは違って、効率化という物差しで運営を図ることには最もそぐわない分野なんです。そう思いませんか。     〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 続訓弘

    ○続国務大臣 なるがゆえに、独立行政法人化が必要だ、こんなふうに思います。
  88. 松本善明

    松本(善)委員 口で言うのはたやすいけれども、科学者はだれも長官の言うことに納得しないです。国民も納得しないです。  農水省関係研究といいますのは、通産省などの研究と比べますと、より長期間の研究が必要であります。そうした長期間の研究の多くが、公共性の高い基礎研究になっている。基礎研究を保障するためには、十分な経常研究費の確保が必要であります。  今でも効率化ということでプロジェクト研究へ傾斜する傾向がありますが、国際的にも日本の基礎研究費の比率は低いものであります。民間企業を含む数字でありますけれども、九八年の科学技術調査によりますと、日本は一三%、アメリカは一五%、ドイツは二一%、フランスは二一%。日本は低いんです。特に、国の研究機関は基礎研究の役割の強化が求められているんです。独立行政法人化するということはそこのところを崩すことになるけれども、独立行政法人になっても、基礎研究を本当に重視すべきではないか。長官はどう考えていますか。
  89. 続訓弘

    ○続国務大臣 基礎研究の必要性というのは、今松本議員がおっしゃるとおり、重要だということの認識はございます。
  90. 松本善明

    松本(善)委員 独立行政法人の問題というのは、イギリスをモデルにするというようなことでいろいろ始まりました。イギリスでは、サッチャー政権のもとでロザムステッドなどのイギリスの農業研究所がエージェンシー化された。その結果、組織は小さくなって、優秀な人材は国外に流れ出した、研究の活性化がなくなって、研究成果の質が著しく低下をしておる、研究者の間ではそういうふうに言われているんです。既に実践の結果が、独立行政法人化をした場合に研究が低下をし研究者が国外に流れ出す、そういうことが起こっているんですよ。長官、そういうことを知っていますか。
  91. 続訓弘

    ○続国務大臣 今の事例は私存じ上げておりません。しかし、この前も私は、自分の自慢ではありませんけれども、東京都の事例を申し上げました。むしろ、独立法人化したことによって、研究者が我も我もと研究所に志願をしてこられました。そして、一定の成果は上がっております。  そういう意味では、独立法人化が、むしろ研究者に対する門戸を開いて、そして成果を上げられる、こんなふうに期待をし、そしてまたそういう運営をすべきだ、こんなふうに思います。
  92. 松本善明

    松本(善)委員 実際に、それならば研究者の間からもっともっと歓迎の声が出てもいい。国立大学、みんな反対ですよ。国立大学、独立行政法人にしようなんて、今から物すごい反対運動です。これは実際に独立行政法人になるという方向が決まったものだから、研究機関の方々は、声をなかなか上げられないでいますけれども、内心をお聞きしたらみんな反対ですよ。あなたは人材が集まるなんて言うけれども、前回もお話をしましたけれども、三年、五年でなくなるかもしれないところへ、何で人材が集まりますか。集まるわけがないですよ。  政府が、民間でできないことを独立行政法人でやるということを言っていますけれども、それは国がやるべきことなんですよ。国立研究所でやる必要がある。行政から切り離すという必要は全くないです。何で行政から切り離したら研究が進むんですか。進むわけがないじゃないですか。  あなたは、言葉では盛んに言われるけれども、なぜ行政から切り離したら基礎研究が進み、全体の研究が進むんですか。国民にわかるようにもうちょっと説明してごらんなさいよ。
  93. 続訓弘

    ○続国務大臣 実は、確かに関係者の反対はあると思います。それは私の例もそうでした。外国の学者すらも、東京都の独立法人化に対して大変心配をされました。とんでもないことになる、研究がせっかくここまで来たのに、むしろ後退するんではないかという懸念すらある、こんなのが外国の学者からもございました。  ところが、どうでしょうか。今はそうではなくて、むしろ我々の不明を恥じる、本当に、そういう意味では、制度を改正されたことによって柔軟な研究ができたという評価をいただいております。  私は、少なくとも、今、国の独立行政法人に関する研究機関もそうであってほしい、またそうなるような努力をしなければならない、こんなふうに思います。
  94. 松本善明

    松本(善)委員 長官の話を聞いていますと、それは何とかしなくちゃいかぬということはおっしゃるけれども、先ほどのように、イギリスの例は御存じなかったということですね。実際の結果がそうなっているんですよ。私たちの指摘しているとおりになっている。こういうやり方をやっていたら、農業の振興といっても、これはもう本当に絵にかいたもちです。  国民に安定的に安全な食料を確保するという国の責任の放棄につながるんじゃないか。農業問題の研究というのは、先ほどもちょっと話が出ていましたが、地域的ですし、それぞれ個別に本当に細かく研究をしていかなければならぬ。そういうものを放棄する。これは間違いなく小渕内閣、歴代の、橋本内閣以来ですけれども、歴史の審判を必ず受けるだろうということを指摘して、私の質問を終わります。
  95. 西田司

    西田委員長 次に、畠山健治郎君。
  96. 畠山健治郎

    ○畠山委員 私は、外国を歩いたということはそんなに多い方じゃございませんが、どこへ行っても、おたくの主食はというところを質問を発しますけれども、日本みたいな主食という意識は全くございませんね。日本人は恐らく、九〇%以上の方、主食は何ですかと言ったら米というふうに答えること、これは当然だというふうに思うんです。  それだけに、主食に思いする、強い意識があります。そして、主食を中心として日本の食生活というのはでき上がっております。そして、その日本の食生活が今世界から評価をされておるというようなことも間違いのない事実だ、こう言ってよろしいかと思います。  言ってみれば、主食を中心とした日本の食生活、国民全体の思いが強いだけに、この需給やら管理ということに対する国の責任は極めて重い、そう言わざるを得ないと考えますが、農水政務次官、いかがですか。
  97. 谷津義男

    谷津政務次官 米の、主食に対する思いというのは、先生の御指摘のとおりだろうというふうに思います。それだけに、米の自給率一〇〇%を確保する、そして安定的に供給できるようにするということは重要なことだと思っております。
  98. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そういう原則に立ちながら、先ほど来もいろいろと御質問がありました。農林関係試験研究というのは、一朝一夕にして結論が出る問題じゃない。  例を一つ挙げますと、例えば米の品種の開発、育成について申し上げますと、最低でも七年は必要であります。一方、独立行政法人化をして、独立法人の行政政策評価を三ないし五年でやります、こんなことをしたら、これはかみ合いますか、一体。中長期になじまないということを証明しているということはないですか。いかがですか。総務庁長官にお願いします。
  99. 谷津義男

    谷津政務次官 確かに先生指摘のとおり、米と限らず農業関係の試験につきましては、長期にわたることは御指摘のとおりであります。米が七年から十年ぐらいかかるということも十分にわかっております。それだけに、また一方ではリスクも伴ってくるということも十分にわかっております。しかしながら、三年から五年ごとに見直しをしながら、その辺のところをまた評価し、指摘しながら次の研究に結びつけていくということも大事ではなかろうかと思います。
  100. 畠山健治郎

    ○畠山委員 途中の段階で評価をする。七年—十年かからなければ結論が出ないものを三年—五年でどんな評価をなさるんですか。  この前も、行政政策評価評価法とは簡単に言っていますけれども、評価の中身はどうですか長官、と言っても、それは実はまだ今検討中です、まだ結論が出ていません、こういうお話でした。言葉のひとり歩きをしていますよね、今、評価法というのは。定まっていない、ひとり歩きをしている言葉で、七年—十年かからなければ結論が出ないという仕事を三年—五年でどういう評価をなさるんですか。総務庁長官お尋ねいたします。
  101. 続訓弘

    ○続国務大臣 畠山委員は、この前も熱心な議論をされました。この問題についても、先日も活発な指摘がございました。そこで私はお答えをしたわけですけれども、十年戦略という仮に目標年次を定めて、ある研究を期待される。ところが、今三年ないし五年の中期目標の中で、じゃ、途中の年次をどう評価するのかというお尋ねでございますけれども、確かに、十年の戦略で、ある目標設置をされます。そしてその中で、五年間でこういう具体的なところまで行きたい。例えば、私の例で申し上げますと、痴呆症の十年計画がございました。痴呆症の原因を十年で全部突きとめる、そして対応まで考える。その間、三年でどう、五年でどう、七年でどうという目標を設定しております。その目標に向かって、五年間でその目標が達成されたかどうかの評価は当然やれるわけであります。  したがって、今の農水の問題についても、十年の長期目標を掲げながら、その中で、五年までの目標のどこまで行ったか、そして、その目標をクリアすることによって十年の目標は達成されるかどうかについては、私は、中間的な目標設定によって評価ができるんではないだろうかな、こんなふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  102. 畠山健治郎

    ○畠山委員 大変失礼な話でありますが、農業以外の他の試験研究とは、農業の試験研究は違うんです。全く異質のものなんです。ある日突然変異が出るかもしれないんです。五年たったらここまで行く、十年たったらここまで行く、見通しがあるとすればこれは極めて機械的な試験研究ということになるわけですけれども、農林関係の、この種の生物関係の仕事というのはそんなわけにいかないという特徴を持っているんです。  農水政務次官、この点についてわかるように、総務庁がわかっていただけるように一言お話しいただきたい。
  103. 谷津義男

    谷津政務次官 先生おっしゃるように、総務庁にわかっていただけるようにと言われるとまことに恐縮なんですけれども、農業の研究というのは長期的なプロジェクトとして実施する必要があるのは先生の御指摘のとおりであります。  そのプロジェクトは、何代かのフェーズに分けて、そのフェーズで中間評価を行うことにより一層の効率的な運営が可能になってくるんではないでしょうか。したがって、この三年から五年ごとの中期の目標を付与することによってその結果を評価することにもつながっていくんではないかというふうに考えております。
  104. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そこで、総務庁長官に特にお願いを申し上げたいというふうに思うんです。  今申し上げましたように、生物ですから、無生物と違って変化が起こるというようなこと、計画どおり進んでいかないということ、これは明らかなんです。したがって、まだ政策評価法なるものが決まっておりませんけれども、画一的に評価法に乗せていくというわけにはいかない、特殊な中身を持っている、こういうことをひとつ何とかお認めいただきたいというふうに思うんです、評価法に当たって。
  105. 続訓弘

    ○続国務大臣 畠山委員指摘のように、それぞれにいろいろな事案があると思います。そういう意味では、画一的な評価ができない事案も私はあると思います。その意味では、それぞれに課せられた柔軟な評価をする必要はあるということは御指摘のとおりだと思います。
  106. 畠山健治郎

    ○畠山委員 それでは、がらっと質問をかえたいというふうに思います。  農水省関係の十七独立法人が審議の対象になって今やっておるわけでありますが、この総定員数は何人になりますか。そして、農水省の現行定員に占める割合はどれぐらいになっているんでしょうか。指数的なことで申しわけないですが、お尋ねをいたします。
  107. 谷津義男

    谷津政務次官 この独立行政法人は八千人を見ておりまして、農林省全体で二〇%になります。
  108. 畠山健治郎

    ○畠山委員 直接関係させるというようなことは誤りかもしれませんが、いわゆる政府の公約しております十年、二五%削減とのかかわり合いでいや応なしにこの数字を見なきゃいけないというふうに、私個人そう思うわけであります。そうなりますと、まだ残ることになりますよね。これで八千人、二〇%でありますから、まだ残る。  さて、そこで何が来るのかという思いがしないわけにはいきません。  そこでお尋ねをしたいというふうに思いますが、動植物にかかわる検疫行政がやられていますよね。これは、言ってみれば外国から輸入を通じて無用の病害虫が日本に入るということを水際でちゃんと断つ、こういう大事な仕事をなさっておるわけであります。この大事な仕事まで、第二弾で独立行政法人化しようなんということはあってはならないことだというふうに私は考えますが、政務次官、いかがですか。
  109. 谷津義男

    谷津政務次官 先生指摘のものは、植物防疫所または動物検疫所の独立行政法人化のことに対してであると思います。  植物防疫所につきましては、病害虫の侵入、蔓延化の防止のために、植物防疫法に基づきまして、植物等の輸出入をする者に対して一律の検査をするという業務を義務づけられております。それから、有害動植物の付着が認められた場合には廃棄、消毒の処分を行っておるということでありまして、私人の権利義務に直接かつ強度の制限を及ぼすということで、公権力行使を行う機関でありますから、従来どおりこの点については国の機関としておるところであります。  また、動物検疫所につきましては、家畜の伝染性の疾病等が我が国に侵入することを防ぐため、家畜伝染病予防法及び狂犬病予防法に基づきまして、動物、畜産物等を輸入する者に対して一律に検査を義務づけているものであります。その輸入検査の結果、不合格となったものに対して、法に基づく隔離あるいは殺処分、焼却処分などを行っておりまして、やはり同じように私人の権利義務に直接強度の制限を及ぼす公権力を行っておるものでございますから、従来どおり国の機関とすることとしております。
  110. 畠山健治郎

    ○畠山委員 総務庁長官、今の答弁に御異存ありませんね。一言。
  111. 続訓弘

    ○続国務大臣 今回独立行政法人化をしたのは、国民皆様の御期待に沿える、そしてまた行政的にも問題ない、そういうものを選ばせていただいたわけであります。  しかし、同時に、今後とも不断の見直しをする必要があるということは当然のことだと私は思います。
  112. 畠山健治郎

    ○畠山委員 そこで、農水政務次官にお尋ねをいたしたいというふうに思いますが、独立法人化に伴って、少なからぬ対象職員は動揺しておるというようなことは否定のできない事実だというふうに思います。  そういうことを踏まえて、今日まで、いわゆる労働組合の皆さん方と直にいろいろなお話し合いを重ねてまいってきておるというふうに思うのです。その話し合いの量的な問題と、その話し合いの中で問題点は幾つかあるのかないのか、もし差し支えなかったならばお知らせいただきたいというふうに思います。
  113. 谷津義男

    谷津政務次官 農林水産省における独立行政法人化決定独立行政法人の個別法案の作成に当たっては、中央省庁等改革基本法第四十一条等の趣旨を踏まえて対応しているところでございます。  具体的には、法案の閣議決定など、節目節目で職員団体に説明を行っておりまして、またその御意見等も伺いながら、誠意を持って対応してまいっているところでございます。  この間、さまざまな議論も御指摘のとおりありましたが、御審議をいただいている機関独立行政法人化及び法案につきましては、職員団体とも御理解をいただいているものと認識をしております。  今後とも、これまでと同様、中央省庁等改革基本法第四十一条等の趣旨を踏まえまして、良好な労働関係に十分配慮しつつ対応していくつもりでございます。
  114. 畠山健治郎

    ○畠山委員 何よりも大事な問題であろうかと思います。今後とも、良質な職場環境を保つという立場からも、そしてまた優秀な人材を確保するという立場からも、職場の混乱のない、より正しい労使関係をしっかりと築いていただく努力を惜しまないでいただきたい。  そこで、もう一つお尋ねをいたしたいというふうに思います。  この前、十七でしたか、八でしたか、この場での質疑の中で、あえてお名前、政党名は申し上げません。申し上げませんが、私からすれば大変な御発言がありました。それはどういうことかと申しますと、農水省行政の中に統計情報という仕事は一体何の役割をしているの、これこそ行革の対象であってしかるべきだ、こういう強い意見の開陳がありました。  どういう御意見の持ち主も、あってはならないなんということにはならないかと思いますが、それはそれなりに受けとめるわけでありますけれども、これまでの常識からすれば到底考えられない。なぜかと申しますと、調査なしに事業なし、実情を明らかにしない限り事業が進んでいかない、これは何も統計情報だけじゃなしにすべての仕事に当てはまる問題だというふうに思うからであります。  そういうことから、今後も、農水行政の中に統計情報という仕事は欠くことのできない大事な仕事、とりわけ事業化には欠くことのならない大事な仕事、こういう位置づけを外すことはできない、こう私は認識をいたしますが、いかがでしょう。
  115. 谷津義男

    谷津政務次官 農林水産統計情報業務は、農林水産統計情報が、行政部局の要請に応じましてデータの組みかえあるいは分析等日々の行政ニーズにこたえて対応しているものでございまして、これは非常に大事なものであります。行政価格決定等の行政上の意思決定に直接利用されているものでもあります。このことは、委員も御承知のとおりであります。  農林水産政策の企画立案と一体として行われる必要がありまして、今回の独立行政法人化対象とはしなかったわけでございます。いわゆる農林水産統計情報というものに基づきまして、そういうデータに基づきまして、次の政策の展開に資するための最も大事な資料でございまして、そういう点から考えれば、農林水産統計というのは大事な職務であるというふうに考えております。
  116. 畠山健治郎

    ○畠山委員 別に、言葉じりどうこう言うつもりはございません。今のお話の中に、今回の行革の対象にはしませんでしたというお話がありました。少し気にかかりましたので、あえて申し上げさせていただきたい。  今後とも対象にしてはならないという強い決意で取り組みをしていただきますように強く求めまして、時間になりました、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  117. 西田司

    西田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時十分開議
  118. 西田司

    西田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  独立行政法人個別法案中、内閣府関係法律案、総務省関係法律案及び環境省関係法律案について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川正春君。
  119. 中川正春

    中川(正)委員 民主党の中川正春です。通告に従いまして順次質問をしていきます。  まず、冒頭お尋ねをしたいんですが、もともとこの独立行政法人の議論が出てきたときに、これは消防庁自体が独立行政法人化していくというのは最適だなという私は印象を持ったんですが、そういう話にならなかったのはどうしてですか。
  120. 平林鴻三

    ○平林政務次官 自治総括政務次官でございます。消防庁も所管いたしておりますので答弁を申し上げますが、消防庁自体はやはり行政機関として政府の一部に属すべきものだ、そういう考え方でございます。もちろん政策、法律の立案その他を担当いたします官庁が必要であろうと思っております。
  121. 中川正春

    中川(正)委員 法律の中で今回、中心にこういう形で独立行政法人化したというのは、施設等機関というところがこれは主になっているわけでありますが、消防庁の場合それが大学だとか研究機関だとかということも含めて二つありまして、消防大学校と、それからもう一つ研究所ですね。片方は研究所、これを独立行政法人化していくということですが、大学校そのものはそのままになっていくということですね。  これについては、原則的には、その対象にしていく生徒というか研修を受ける人たちというのが役所の中の人たちだけでやる場合には、これは独立法人化していかないでおきましょう、こういうことだと思うんですが、大学校の場合はそれだけじゃなくて、いろいろな可能性がこれから考えられるだろうと思うんですよ。消防職員だけじゃなくて、例えば消防団員、あるいは一般の防災、いわゆる地域防災システムを今いろいろな団体が組み上げていますが、その辺の専門家を育てるというふうな観点から、いろいろなこれは議論が可能になってくる。  それだけに、私は、この消防大学校も独立行政法人化していくべきじゃないかという考え方を持っているんですが、それについて、もう限定された部分でこれから運営していくという予定なのでしょうか。だからこれはそのまま独立行政法人化せずに残したということなんでしょうか。そこのところを御答弁をいただきたいと思います。
  122. 平林鴻三

    ○平林政務次官 仰せのとおり、教育あるいは研修というような機関でございますと、いろいろな考え方ができると思いますが、今日の消防大学校は、消防団員も含めまして消防職団員の研修機関として運営をされております。いわば公務員の身分を持っておる人を教育研修する、そういう建前になっておりますので、これを民営というわけにはまたなるまい。ほかのいろいろな機関がございますが、同様の考え方で、今回は消防大学校の方は独立行政法人にはしない、さような建前で法案を考えたわけでございます。
  123. 中川正春

    中川(正)委員 団員も公務員なんですか、そういう解釈。だから、公務員だから独立行政法人化しないということじゃなくて、その組織の中にいる人たち対象にする場合はそのままのけておきましょうということなんだと思いますね。  ここのところの基準が、解釈のしようによっては、前向きに解釈しようと思ったらできる。それで、将来の運営の中で、団員だけじゃなくて、これは消防、防災システムというのが民間の中で組み立てられようとしているんですね。そういう人たちも恐らくは将来対象になってくるんだろうというふうに思うんです。そんなことから考えていくと、非常に独立行政法人化していくときの基準があいまいなんですよ。  これは、もう時間がないものですから、ここでやりとりしていたって仕方がないので、恐らくこれは交渉をしていく過程で抵抗したところとそうでないところがあって、抵抗したところはこんな形で残していって、そうでないところが挙がってくるというような、客観的に見てそういう問題提起といいますか、そういう不満がそれぞれの組織から出てきてもこれは当然だというふうに思っております。ここのところが一つ、これからの、持続的に独立行政法人化を考えていくときの大きな問題点となっておるわけでありますが、長官、どう思われますか。
  124. 続訓弘

    ○続国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたけれども、この問題は今回で終わりではなくて、引き続き検討課題である、不断の見直しを図っていくというお答えを申し上げました。そのとおりこれからもやらせていただきます。
  125. 中川正春

    中川(正)委員 そうすると、消防大学校は将来は独立行政法人化をしていく方向で検討もしていく、そういう意味ですね。
  126. 続訓弘

    ○続国務大臣 消防大学に限らず、一たん対象外にされているものについても引き続き検討課題だ、こう申し上げているわけです。
  127. 中川正春

    中川(正)委員 次に、業務の中身を見ていくと、二つの点でちょっと明らかにしていきたいところがございます。  一つは、自治省の組織令で、この消防研究所、これは第四十九条で、設置目的というか、それが規定されていますね。これが「消防の科学技術に関する研究、調査及び試験を行い、並びに消防の用に供する設備、機械器具及び資材について検定を実施する機関」、こうなっている。これを読んでみると、調査、試験と、それから設備、機械器具及び資材についての検定、中身はこう二つあるんですね。  それが、独立行政法人になって、第三条で新しく目的の定義がし直されたわけでありますが、これが「消防の科学技術に関する研究、調査及び試験を総合的に行う」。一つはこの総合的。調査、試験に総合的という言葉が入りました。それからもう一つは、その「設備、機械器具及び資材について検定」というのが削除されております。  ここで確認したいんですが、これは、この変更というのは、一つ、この総合的というのは何を意味するのかということと、それからもう一つは、この検定というのはこれからはどこがやっていくんですか。
  128. 平林鴻三

    ○平林政務次官 総合的という言葉は、何か抜け落ちがあったらいけませんものですから、よく使われる言葉であろうと思います。要するに、消防組織法にも、教養、研修というような、これは大学の方でありますが、研究のことがたしか書いてあると思いますし、そういうものが総合的に行われるようにというまさに字句とおりの意味に解釈していただきたいと思います。  それから、検定の方がこのたび削除されておるではないかというお話でございますが、これは、検定業務は別途組織によりまして検定が既に行われておりまして、今回、研究所の法律を整備する際には削除をしたものと考えております。
  129. 中川正春

    中川(正)委員 それはどういう意味なんですか。現在やっていないから削除したというふうに受け取っていいんですか、さっきの答弁は。
  130. 平林鴻三

    ○平林政務次官 大変失礼をいたしました。  目的からは検定業務を外してございますが、個々の条文の中には検定の条文を入れてある、さようなことでございます。  私の答弁が間違っておりました。訂正をさせていただきます。
  131. 中川正春

    中川(正)委員 目的の中から外したというのは、何か目的があるんですか。
  132. 平林鴻三

    ○平林政務次官 検定の業務は、必要がありましたときに行うという、いわば常時の業務ではない、付随的な業務として法律に規定をしたということでございます。
  133. 中川正春

    中川(正)委員 こういうことに関連してもう一つ具体的に聞いていきたいんですが、本来は、これを見直していくときに、さっきの検定でそうであったように、それぞれの業務目的、それから中身というのを精査して、その中で、民営化できるものは民営化していく、廃止するものは廃止をしていくという作業があってしかるべきなんですね。  具体的にお聞きをしていきたいんですが、私、過去十年間の消防研究所における主な研究課題、それから予算の一覧表というのを手元に持っているんですね。これを一つ一つ検討していくと、必ずしも、独占してこの消防研究所がやらなければならないことというのは、この中のどれなのかなという感じがあるんですよね。  例えば、これは一番最初のところからいくと、火点放射式簡易自動スプリンクラーの開発研究とか、それから消防職員の消防装備の軽量化・自動化、それから住宅の防火対策に関する研究。大きいのでいきますと、軽量化・自動化というのが、これは共通してあちこちいろいろな装備であったりするんですよね。  こういうのは、本当に民間の方がいろいろな意味研究開発が進んでおりますし、実用化された部分もいっぱいあるわけですよね。そんな中で、これはどれをとってみても、この研究所がし続けていかなければならないという、私の感覚の中では見当たらないんです。  そういうことを踏まえていくと、一体、研究所として独立行政法人化して、あとどこの部分を、何を具体的に研究させていくのかということがもう一つ見えないんですね。見えないんです、民営化、廃止というプロセスが前提としてあって、それを審議した上で独立行政法人化するということであれば。そうじゃなくて、これまでやってきたことをそのままの業務として独立行政法人化した研究所が受け継いでいくということであれば、それはそういうことなんでしょう。しかし、これは独立行政法人化していくという前提が先ほどの話で違いますから、民間でできるところは民間でやっていこうというスクリーニングがあったはずですから、そこの議論がどこに見えてくるのかな。それを、やはり説明を具体的にしていく必要があるだろうというふうに思うんですね。  そこがどう変わってくるのか、独立行政法人化してからその中身がどう変わってくるのか、それを、どんな議論があったか、説明をいただきたいというふうに思います。
  134. 平林鴻三

    ○平林政務次官 これは独立行政法人の、どうしても必要かどうかという議論のぎりぎりのお話をなさっておるように思いますけれども、今日の消防の研究組織というものを民間に求めても、なかなか消防自体の目的研究をしてくれるところというのはそう見つからないだろうと私は思っておりますので、今おっしゃいましたような御議論もごもっともではございますけれども、現実的にはこの消防研究所で研究をした方が有効であり、かつ有益であろうというようなことになると思っております。
  135. 中川正春

    中川(正)委員 時間が来ましたので、最後、私のコメントだけにとどめますが、こういうケースをアメリカではSBIRでしっかりと民間活用しているんですよ。今回の国会では中小企業対策が目玉になっていますが、この中小企業のベンチャーを助けるために、御議論はもう御存じだと思うんですが、それぞれに研究開発費を渡して、その中で研究開発した結果を民間にも活用して、受注もして、それでベンチャーを育てていく、これが非常に大きな効用を発揮しているということですよね。日本もそういう日本版のSBIRをやろうじゃないかということで、中途半端ですが踏み出しました。  この研究の中身を見ていると、まさにそのプログラムの活用というのが全部当てはまってくる。だから、そういう議論なしで、ただただ、移管しますよ、今やっていることを独立行政法人という名前に書きかえますよ、そういう安易な行革であってはならぬというふうに思っております。  最後に、その点について大臣の答弁をいただいて、交代をいたします。
  136. 続訓弘

    ○続国務大臣 中川委員の貴重な御意見、拝聴させていただきました。
  137. 西田司

    西田委員長 次に、小沢鋭仁君。
  138. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 引き続き、中川委員の持ち時間の中で質問をさせていただきたいと思います。時間が限られておりますので、私も短く御質問させていただきます。逆に、短い御答弁もお願い申し上げたいと思います。  まず、私は通信総合研究所に関係する点を御質問させていただくわけでありますが、情報通信分野の重要性というのは、これはもうだれしもわかっていることでありまして、そういった意味では、この分野における唯一の研究機関でございますので、私は、この研究機関の役割というのは大変重要だ、まず基本的にそう思っております。ですから、そういう観点から、できるだけこの研究所を有効活用していきたい、こういう思いの中で質問をさせていただきたいと思います。  まず、独立行政法人になる、こういうことでございますけれども、いろいろな目的とか効用というのはこれまでもこの委員会の中で話が出てきたと思います。そういった意味では、そこに改めて戻ることはしませんが、どこが変わるんですか。そこを端的に、運用のあり方を御説明をいただきたい。
  139. 小坂憲次

    ○小坂政務次官 小沢委員にお答え申し上げます。  御指摘のように、今までにも、中央省庁等改革基本法三十六条にありますその目的につきましては、たびたびこの委員会でも述べられているところと思うわけでございますが、端的にというお話でございますので、直接その部分に入らせていただきます。  具体的には、効率的、効果的に業務を行わせることができるということに尽きるわけでございますが、第一に、弾力的な財務運営を可能にすることができる。ないし、柔軟な組織、人事管理を可能にする。すなわち、定員は国の定員管理外になるわけでございますので、その業務の中で有効にこれを行うことができるということにもつながってくるわけでございます。三点目といたしまして、明確な目標の設定及び結果の評価を行う業績評価制度を導入することができる、こういう点でございます。また第四点目として、組織運営透明性を確保することができる。  これらの措置を講ずることによりまして、効率的かつ効果的な運用が可能になると考えております。
  140. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 今言われたことはもちろんよくわかるわけでありますが、具体的にいったとき、例えば、これからできる総務省が中期目標を設定して具体的に指示をしていくわけでしょう。ということになると、今まで郵政省がそういう役割を担っていたと思うのですが、そういうこととどこが違ってくるのか、この点をぜひお聞かせいただきたい。
  141. 小坂憲次

    ○小坂政務次官 例えば財務運営、組織運営の弾力化という点を掘り下げてみますと、研究開発への機動的な取り組みが可能になる、また、予算、人事等の柔軟な配分が可能になってまいります。また、外部研究機関や大学などとの緊密な連携などがより推進される、こういうことになってくるわけでございまして、外部機関による業績評価が行われることによりまして、研究職員目的達成に向けてのインセンティブが働いてくる。みんなが見ている、頑張ってやろうじゃないか、こういうことです。今までと違うというところをより見せたい、こういう意識的な改革もできるわけでございまして、より効果的な研究成果を上げることができるものと期待をいたしております。
  142. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 今ディスクロージャーとか事後評価制度についても小坂政務次官お触れになりましたから、それについても質問させていただきたいと思うのです。  もちろん、ディスクロージャーをしていただいてきちっと評価をしていただくということは大事なことだと思います。ただ、事柄が専門的な内容でありますので、私としては、そういったものを例えばインターネットや何かでもきちっと皆さんにわかるように説明をしてもらって、一般人たちから、一般の人といってもそれは専門的な知識、技能を持った人たちですが、そういう人たちからもその評価について意見を受け入れたり、そして、受け入れた意見を、こんな意見がありましたよというのをまたもう一回インターネット上でお返ししたりとかそういうことが必要なのだろうと思うのです。そういうディスクロージャーをしたものに対しての一般評価、そういうものを受け入れたり、あるいはまた、さらにそれを公表したりすることはどうかと思うのですが、いかがですか。
  143. 小坂憲次

    ○小坂政務次官 委員指摘のとおりでありまして、私どもといたしましても、できる限りそういった面で電子媒体によるアクセスが可能な方式でディスクロージャーを進めてまいりたいと存じます。  国の事前関与は、主務大臣などの関与は必要最小限にとどめまして、業務の適正さについては、ディスクロージャーを通じて皆さんの評価にゆだねていきたい、これが基本的な考え方でございます。  この方法につきましては、財務諸表、中期計画、年度計画、独立行政法人評価委員会による業績評価の結果等の事項を公表することといたしております。こういった点について、今御指摘のように、インターネットのホームページ等を開設して、できるだけわかりやすく国民皆様に説明をし、御意見を賜るような機会を設けてまいりたいと存じます。
  144. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 ぜひそこはフィードバックができるような工夫をお願いしたいと思います。  それから、いわゆる独立して運営していくわけですから、そういった意味では、ただ研究に詳しい理事長さんというよりも、経営という観点でそういう役員人たちを配置することが必要ではないか、こういう気もするわけでありますが、そういった経営能力を持った理事長さんあるいは理事の皆さんの選任というようなことに関してはどのようにお考えですか。
  145. 小坂憲次

    ○小坂政務次官 お答え申し上げます。  通信総合研究所に関しまして、経営能力を持った理事長等の登用が必要ではないか、こういう御指摘でございます。この点につきましては、今回導入される独立行政法人の制度のもとでは、法人の長、すなわち今回の場合は通信総合研究所でございますが、この理事長は、法人を代表し、また、法人業務を総理する、一元的に統括するということでございますが、このような形で長を補佐する役員の任命権を有するわけでございます。これらの点から、法人業務運営全般において法人の長の占める役割は極めて重要になってくるところでございまして、御指摘のとおりでございます。  そんな点から、法人の長の職務は大変重要であって、独立行政法人通則法においては、この長の規定として、第一に「独立行政法人が行う事務及び事業に関して高度な知識及び経験を有する者」、また第二点目として「独立行政法人が行う事務及び事業を適切かつ効率的に運営することができる者」のうちから主務大臣が任命することとされているところであります。  通信総合研究所の場合、具体的に申し上げますと、平成十三年、二〇〇一年一月に総務省が成立して以降、同四月に独立行政法人通信総合研究所という形で成立するわけでございますが、それまでの間に主務大臣が、理事長となるべき者、すなわちこの理事長を任命するわけでありますが、この場合にはまだその前でございますので、なるべき者を任命することといたしております。現時点では、対象者については全く未定であります。また、最適の人材が得られるよう、民間人も含めまして幅広く検討してまいりたいと考えております。
  146. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 時間もなくなってきましたので、残り一問くらいしかお尋ねできないかもしれませんが、予算のことをお尋ねしたいと思います。  平成十一年度予算でいいますと、この研究所は二百三十億円予算を行使しているわけであります。現在の郵政省の予算を見ますと、十一年度で総額一千三十一億円あるわけであります。これは当初予算でありますが、人件費の二百六十億円を引きますと、いわゆる物件費というか、政策的なというか、使える費用は七百七十億円。この研究所の研究開発費は、今度は百九十四億円ですから、郵政省の政策経費全体の四分の一を占めているのです。ですから、これは物すごく大きな比率を占めているし、役割があるというふうに思うのです。  二百三十億円というのは、やはり普通の民間ベースの発想からしたら大変な額だ、こういうふうになるわけですが、要は、本当にそれだけ金をかける価値があるのかということですね、国民サイドから見たときに。  研究開発の必要性というのは、日本がどうもそういうネットワーク技術の分野でのおくれをとっているということですから、もちろん必要だとは思うのだけれども、どれだけ本当に有効な研究になっているのか。ややもすると、そういう研究機関というのは、その研究者のある意味では自分の関心というようなことに特化して、社会全体の有益性みたいなところからややかけ離れてしまうようなところもある。  この予算の使い方、規模あるいはそれに関してお考えがあったらお聞かせをいただきたいと思います。
  147. 小坂憲次

    ○小坂政務次官 小沢委員の御質問の点は、二百三十億という額そのものは民間でいえば大変な額に上るし、これを評価する場合に何を尺度にして評価していいかもなかなか明確には言いにくいだろうけれどもというところを踏まえながら、なおかつ、一体どのくらいが適切なのか、また何か基準があるのか、こういう御趣旨の質問だと考えまして、私なりに答弁させていただきたいと思うのでございますが、二百三十億、適切でありますと答える場合に、幾つかの答え方があると思うのでございます。  このような成果があります、この成果は二百三十億では安いと思いますよというような説明の仕方、あるいは、他にこういった機関がありますが、この給与レベルとあわせても人件費においては適切でありますし、そのほかの経費においても適切でありますというような説明の仕方等々あると思うのでございます。  今の御指摘の点について私なりに申し上げますならば、例えば日米の比較という点で申し上げますと、日本の場合は、これは統計のあるところで九五年レベルで申し上げますと、研究費全体で二兆四千億、これに対して米国では三兆六千億。  こういうような形であるとか、あるいは特許の出願の件数という点で申し上げますと、外部に発表いたしました特許出願の状況、年次別に見まして、最近の二つの年次を申し上げておきましょう。平成九年で千三百六件、平成十年で千五百二十九件、これが外部発表をいたしました研究成果でありまして、そのうちの特許出願が、平成九年で三十六件、平成十年で四十七件出願をいたしております。  この中には、当研究所が独自の形で、世界で初めて発見をしたといいますか開発をしたといいますか、そういった研究といたしまして、一テラヘルツの信号発信器の開発をいたしました。あるいは二・四テラビットでのインターネットのデータ転送実験に成功するなど、多くの先端の研究成果を生み出しておりまして、通信総合研究所では、限られた予算をできる限り有効に活用して、このような研究開発業務実施しているものと考えております。  専門的な用語が入りましたので、もう少し簡単に説明しますと、一テラビットというのは一兆ビットでございまして、今現在、委員も御存じのようなレベルからいたしますと、気の遠くなるような、けたの上回った通信のスピードでございます。  このようなものを世界で初めて実験した、開発した、これはある意味では、今後の産業界に果たす役割その他を考えましても、これ一点においても二百三十億でこのようなものが実現できるならばこれはすばらしい効率ではないかと私自身は考えております。
  148. 小沢鋭仁

    小沢(鋭)委員 時間ですから終わります。どうもありがとうございました。
  149. 西田司

    西田委員長 次に、春名直章君。
  150. 春名直章

    ○春名委員 日本共産党の、私、春名直章です。  総務省の統計センターの独立行政法人化の問題について、長官、ぜひ議論してみたいと思います。直接所管ですので。  まず、行政改革会議の最終報告、平成九年の十二月三日、独立行政法人対象となる業務一覧表がここに出されております。この中には、統計センターは対象として上がっておりません。  なぜ今回独立行政法人対象にするのか、何が変わったのか、明確にお答えください。
  151. 持永和見

    持永政務次官 御指摘のように、最終報告では、統計センターは独立行政法人としてはリストには入っておりません。それは御指摘のとおりであります。  しかし、その後も、独立法人の可否について、中央省庁等改革推進本部を中心として、この最終報告の趣旨なりあるいは中央省庁等改革基本法の趣旨にのっとって幅広く検討をしてまいりました。  その結果、これはもう御承知と思いますが、平成十一年の四月二十七日の閣議決定において、各省庁の統計事務については包括的な民間委託を含め民間委託をできるだけ推進して組織の減量化を図るということとあわせて、統計センターにおいては、これは統計センターの中で統計研修所は除いておりますけれども、統計センターについては独立行政法人移行することということで、これは本部決定としてそういう決定がなされたというのが経緯であります。
  152. 春名直章

    ○春名委員 だから、決定している経緯はわかっているのですよ。中身なんですよ、問題は。最初になぜ独立行政法人対象にしなかったのか、なぜしたのか、その中の理念の変化を明確にしなければ納得できないでしょう。  もう一回聞きますよ。  政府統計というのは国民の共有の財産ですね。これは皆さん異論ないと思います。特に、統計局とセンターが一体になって行っている国勢調査だとか労働力調査だとか家計調査だとか全国消費実態調査とか、そういう全国的な基礎調査、統計がありますね、御存じのとおり。これは、まさに国の行政機関の基幹的な部門を担っている、政策の基本になる、そういう調査ですね。もちろん地方自治体の各種の施策の立案、推進にも欠かすことができない。さらに、企業経営、消費生活、学問的研究、こういう国民各層に幅広く利用されている、まさに共有の財産ですね。これはもう異論ないと思うんです。  そこで、考えていただきたいし、なぜ、どこが変わったのかを聞きたいんだが、こういう重みを持つ政府統計には、何よりもその統計の真実性と正確性が必要です。それを担保するために、申告する側の国民には申告義務が課せられる、一方、統計の作成者には守秘義務が課せられる。まさに公権力行使というような側面をこの統計業務というのは持っているわけですね。そうでしょう。そういう議論の中で、そういうことがやられて初めて真実性の高い、信頼に足る統計が得られる。  政府統計は、公権力を背景にして行われる政府の重要な行政である、だから政府自身が直接担わなきゃだめだ、そういう認識じゃないんですか。なぜ変わったんですか、これが。そこのところをはっきりさせてください。
  153. 持永和見

    持永政務次官 経緯はどうだったんだという御質問でございましたので、まず経緯を御説明したような次第でございます。  それで、今おっしゃったこと、なぜ統計センターをつくったか、こういうことであります。  これはもう御承知と思いますけれども、総務庁の統計センターは、実はほかの省庁の統計業務部門を扱っております担当の統計調査部とかそういうものと違って、これは国家行政組織法上に言う施設等機関になっております。  しかも、総務庁には統計局というのがあります。統計局のいわば製表関係、集計関係の仕事をしているのがこの統計センターであります。ほかの省庁はすべて、統計調査部とか内部部局としてそういう統計の企画立案から実施まで一貫してやっておるわけですが、総務庁の場合にはそういうふうに分かれております。  しかも、今先生指摘のように、総務庁のやっている統計というのは、国勢調査あるいは事業所調査という、大変全国民的な、幅の広い、しかも各省庁に横断する極めて大きな規模の統計でありまして、これは大変な業務量も伴うわけであります。  そういう意味で、むしろこの統計調査については、先ほど申し上げましたように、できるだけ減量化して民間委託を図りなさい、こういうような中央省庁改革本部の決定があるわけでございますが、統計センターは総務庁のやっております統計局の集計部門、製表部門を担当している実施部隊でありますけれども、その部門をアウトソーシングする、民間に委託するということについては極めて難しい面がありますので、むしろ統計センターとして独立行政法人にして、そして自律的な弾力的な業務運営を可能にするというようなことで法人への移行が、これは政府として決定された、こういうふうに承知をいたしております。
  154. 春名直章

    ○春名委員 行革会議の最終報告には、国がみずから主体となって実施しなければならない事務事業の類型として、その一つ目に、私人の権利義務に直接かつ強度の制限等を及ぼす公権力行使に当たる事務事業については国立で、国がみずからやらなければならない、こういう類型になっているのですね。  先ほど私言いましたように、公権力を使用するということを伴う、非常に大事なそういう業務である、そういう中身だからこそ、このことをすぐに独立行政法人にやっていいのか、こういう物すごい広範な不安や批判があったことは御存じでしょう。  それに対して、今はその中身についての説明がないんですよ。今言われたのは、民間に、減量化していくというふうにするのが全体の方向だ、しかし、総務庁と統計局の場合は、大変な業務量を持ってたくさんやっているから、そういう流れですぐいくわけにいかない。そんなのは当たり前のことであって、問題は、こういう公権力を有するような大事なもの、まさに公共性そのものであるという、国が責任を持つべきものなのを、何であえて独立行政法人にしなければならないのか。これ以上聞いても恐らく話が出てこないと思うんです。そこには、やはり先に減量化ありきなんですよ。特に国家公務員二〇%から二五%削減ということのつじつま合わせのために、とにかくどこかやりなさい、こういう話になったというふうにしか聞こえない。  私もいろいろ勉強してみましたけれども、今度は総務庁長官、こういう経過から見ても、この統計センターというのは、それだけの重みのある、まさに国が責任を持つべきところを担っていると私は思いますから、今からでも撤回して、ちゃんと国立として残してやるんだというぐらいの決意を直接の長官としては見せていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  155. 続訓弘

    ○続国務大臣 今持永総括政務次官が御答弁申し上げましたような経緯の中で私どもは独立法人化するわけであります。しかしながら、御心配のような点はないようにちゃんと心いたしますので、御理解を賜りたいと存じます。
  156. 春名直章

    ○春名委員 なかなか御理解できないわけですが、今まで一体にやってきた統計局と統計センターが切り離されることが重大なんですね。  次の問題です。なぜ統計センターを統計局から切り離して別法人にするのですか。
  157. 持永和見

    持永政務次官 先ほども御説明申し上げたと思いますが、今統計センターは施設等機関であります。統計局は内部部局であります。したがって、今でも統計センターと統計局はそれぞれ組織が異なっておるわけでありまして、先ほど先生公権力行使公権力行使とおっしゃいましたけれども、統計センターのやっているのは集計、製表事務であります。集計、製表事務を行っているわけでありまして、このこと自体は、私どもとしては公権力行使だ云々ということはないのではないかなというふうに思っております。
  158. 春名直章

    ○春名委員 それは全然実態を見ていないですよ。集計をするから、実務だけだからなんという認識で、実務部門だから切り離そうみたいな考えかもしれませんが、やっておられる方々は、またチェックもしなきゃいけないのです、信憑性をとろうと思えば。そういうときに、国家として、国としての公権力行使という側面を伴う作業は何ぼでもあるのですよ。そういう実態をちゃんと見ないとだめですよ。  あなた方の一般的な方針では、企画立案部門と実施部門を切り離す、こういうふうな方向で、そのうちの一つになっているのかもしれないけれども、今お話が出たように、統計局と統計センターというのはもともとは一つの組織だったでしょう。八四年の七月、総務庁の設置によって別々になったけれども、実際は、実態的な運用というのは一体にやっているというふうに私は認識しております。政府の統計が編成されるまでには、調査の企画立案、調査の実施、集計、分析、公表などなどの各段階があると思うんです。  私も、統計センターのパンフレットも読ませていただきまして、ここの十三ページに「統計のできるまで」という一連の流れがあります。一連の流れなんですね。調査の企画設計、指導から公表まで一連の流れでやるということになっているわけです。その流れの中で、今回、統計センターが担当してきた集計という段階の作業だけを独立行政法人化によって切り離すということになるわけです。  調査企画の段階から統計センターの職員も加わって、どのような目的で調査をするのか、どういう形式の調査にするのか、どれくらいの期間と対象でやるのかなどなどを検討されていると思います。調査の企画段階から集計部門の方々もかかわっている。決裁も、局、センターの合議によるものが多い。調査の意図するところを各担当の各部署の方々が共通の認識にして取り組まなければ正確な統計が得られないから一体的運用をしているわけです。当たり前のことです。この実態から見て、わざわざ統計センターの集計部門という部分のみ切り離して独立行政法人にすることは、現場にあえて混乱と困難をもたらすだけじゃないですか。何でこんなことをするのですか。
  159. 持永和見

    持永政務次官 統計センターを独立法人にするということについては、先ほど来申し上げたとおりであります。  ただ、統計局と統計センターとの間の連絡あるいは密接な連携というのはおっしゃるように大変大事なことでありまして、独立行政法人にいったとしても、引き続きお互い密接な連携のもとに全体として業務を行えるようにするということが大事であることは、申し上げるまでもないと思います。それで、まず、独立行政法人へ統計センターが移行する場合に当たっては、改めてその業務の公共性とか重要性、あるいは相互の業務分担、事務処理方法等の見直しをさらに行って、お互い適切な連携が図れるようにこれから十分対処をしてまいるということを考えておるところであります。
  160. 春名直章

    ○春名委員 密接に連携するのなら、なぜ切り離すのか、いよいよわからなくなってきました。  それで、日本統計協会理事長の伊藤彰彦さん、前統計局長が、九九年一月号の雑誌「統計」というところに論文を出しています。「企画と実施の分離という理念を政府統計に持ち込んで、集計部門を政府とはことなる日本版エージェンシーとして調査部門から分離するというようなことは世界で例のないことであり、敢行すれば日本の政府統計の正確性、従って信頼性はおおきく揺らぎ、物笑いの種になる」だろうと言っていますよ。物笑いの種になるようなことはやってはだめですよ。  私は率直に聞きます。こんなやり方をしますと、効率化どころか、それに逆行することになるのじゃないですかね。人事管理の部門、会計部門に新しく人員の確保が必要になりませんか、今一体にやっているわけですから。それから、統計センターの支出負担行為という部署、あるいは契約行為、こういう担当をする部署も必要になりませんか。予算の担当、業務計画、中期計画、こういう作成にも新たな人員が必要になりませんか。今よりも人員をふやすのですか、そのことをはっきりさせてください。
  161. 持永和見

    持永政務次官 人員をふやすかどうかはこれから、独立法人のあり方、内容についてはけさも御答弁申し上げましたが、平成十三年の四月一日発足ということになっておりますから、十三年度の予算要求までにこの中身を詰める、こういうことになっております。その中で独立法人をつくった趣旨も踏まえながら、私どもとしては十分検討してまいりたいと思っております。
  162. 春名直章

    ○春名委員 独立行政法人をつくった趣旨に沿ってやるということはどういうことでしょうか。減量化、効率化ということで、人員をふやさなければならないけれども減らすということですか。それはどういう趣旨ですか。
  163. 持永和見

    持永政務次官 独立法人をつくりました趣旨というのは、国が公共性ということで今やっている事業のうち、直接国が実施する必要もない、しかし、これは民間にはゆだねられないというような事業について、その業務運営についてできるだけ民間的なノウハウをおかりしながら、効率性あるいは透明性、そういったものを確保してこの業務運営を図っていく、こういうことであります。  したがって、そういう意味で、独立法人になった場合には、先ほど来も御審議がありましたように、評価をするとかあるいは中期目標を立てるとか、あるいは民間的な企業会計原則を入れるとか業績に応じて職員給与を決めるとか、そういうようないわば非常に自主的なことをやって、ディスクロージャーもきちんとやる、こういうことでありまして、今までの国家行政組織の中の行政機関としてはできないような、そういう柔軟な、弾力的な運営をしていこうということであります。  なお、先ほど私は十三年の四月一日と申し上げましたが、統計センターは十五年の四月に発足ということになっておりますので、その点は訂正をさせていただきたいと思います。
  164. 春名直章

    ○春名委員 そういう一般論はわかっているのですよ。要するに、統計センターを分離したら、統計センターとして独立行政法人の中に新たな部署とか仕事の役割が出てくるでしょう、今まで一体にやっているのに。そういう部分は人をふやすんですかという超具体的な質問なんですよ。  しかし、はっきり言いますけれども、御存じのとおり独立行政法人の趣旨というのは減量化ですから、だから五月の三十一日の衆議院の行政改革特別委員会で当時太田長官がこう言っていますよ。効率性を求められる独立行政法人については、二五%ぐらいでは困る、もっとハイピッチで減らしてもらわなければならないと言っているのですよ。ふやさなければならないそんなことをあえてやっておいて、何で、どうするのですか、これ。全然理解できないです。趣旨に沿ってやりますなんと言われたって、不安が募るだけですね。はっきりさせてくださいよ、これは長官、どういうことになるのですか。
  165. 持永和見

    持永政務次官 先ほども申し上げているとおり、これは業務の中身を、さらに減量化できるもの、それぞれの持っている業務の中身と、今統計センターがやっている業務の中身について、さらに減量化することはできないか、効率化することはできないか、そういうことも含めてこの問題については内容を詰めていくということでありますから、今ここで人をふやすとかふやさないとか、そういうことはまだ決まっておるものでありません。あくまでも、しかしその趣旨に私どもはのっとって、この検討は始めなきゃならないと思っております。
  166. 春名直章

    ○春名委員 趣旨にのっとってということを言いますから、だから独立行政法人にしたらそういう形で人を減らしていくということになるんじゃないですか。しかし、ふやさぬといかぬというのが、もう事の本質から出てくるじゃないですかと言っているわけでありまして、それではもう一回聞きますよ。  今製表部門の人たち、物すごく苦労して仕事しています。十年間でセンター職員は百五十人減っています。多いときには二百人から三百人のアルバイトを導入して、一生懸命早期にやろうというような努力をしていますね。そこに、新しい部門が独立行政法人になって、まだまだ入ってきて、人をふやさなければならない条件ができる。それでも減量化していく。製表部門を減らすんじゃないですか。絶対ないと言えますか。
  167. 持永和見

    持永政務次官 今ここで絶対あるとかないとかいうことを申し上げることはできません。あくまで精査をしてまいりたいと思っております。
  168. 春名直章

    ○春名委員 これ以上議論しても水かけ論になりそうですから。大変矛盾しているのですよ、あなた方の論理から言っても。  もう一点聞きます。この統計センターの業績評価というのは何を基準評価するのですか。研究というのは、研究テーマがあって、五年間の研究とかやりますね。統計というのを評価する、どういう基準でやるのですか。これをお答えください。
  169. 持永和見

    持永政務次官 独立行政法人それぞれ評価をされることになっておりますけれども、この統計センターにおいてももちろん総務庁に置きます行政法人評価委員会において評価をする、こういうことになると思います。  統計センターの業績評価でありますけれども、これにつきましては、統計の正確性あるいは信頼性の確保、そういったものを中心に十分これから中身については検討してまいりたいと思っております。
  170. 春名直章

    ○春名委員 まさに正確性と信頼性を確保するということを軸に置いて評価を下していくということ、間違いありませんね、そこが大事なところなので。  ただ、効率性、企業的手法というふうになりますと、公表までの期間を早くしなさいというようなことは当然出てきますね。今も要求としてはあると思う。それは別に間違っていることじゃないと思う。早い方がいい。しかし、効率性ということになってそれだけが追求されるようなことになりますと、そしてコストも減らせということになりますと、まさにその信憑性、真実性、正確性が損なわれるということにもなりかねないのです。だから私は今確認したわけですね、その評価の中身を。と同時に、業務の一体性に混乱をもたらしかねない、効率化目的からも逆行しかねない、信頼性を失いかねない。だから、私は、短い時間ですけれども、どの質問を聞いてもこの部分をなぜ独立行政法人へとしなければならないかということが全く理解できません。  消防研究所について一言だけお聞きをしておきたいと思います。  消防というのは自治体消防です。平林さん、自治体消防だということはもう当然のことです。なぜ自治体消防か。それは国民の命や身体、財産、これを守る最も公共性の高い仕事、それが消防という仕事だ。住民のそばにある自治体が主体になって消防を担うという理念だと思うのですね。それを支えているのが消防庁であり、そしてそれを支えているのが自治体消防、支えているのがこの国立消防研究所だと思うのですね。火災を科学する研究や鎮圧する研究、大規模災害の軽減に向けての研究、非常に公共性が高い研究ばかりやっています。  私は、これも率直に申します、国が直接行う必要がないどころか、消防というのは自治体自身が担ってやっているのだから、それを支えていく国のそういう機関はまさに国が直接責任を持つべき機関として私は存在すべきだと思う。先ほどの民主党の方の意見とは正反対になっちゃうわけですけれども、私はそういうふうに思いますけれども、どう考えますか。
  171. 平林鴻三

    ○平林政務次官 春名議員がおっしゃいますように、先ほどは民間に持っていった方がいいという他の委員の御意見でございますし、春名委員は官のまま行政組織の中に置いた方がいいという御意見でありまして、これは両方の御意見は理論としては両方とも成り立つものだと私は思っております。  春名委員のおっしゃいますように、しからば完全に行政官庁でやらなければいかぬかと言われますと、これは政策の立案とかそういうものを直接担当いたします機関ではございません。消防研究所というのはやはり試験研究機関でございますので、そういう意味では、独立行政法人化しても差し支えは全くない、しかも独立行政法人の長所を生かしながらの運営を今後することはできるだろう、そう思っております。
  172. 春名直章

    ○春名委員 研究所からいただいた研究一覧を見るとたくさんの研究をやられているのですけれども、例えば、平成元年に地下利用の特殊空間内における火災性状に関する研究というのをやられていまして、これは最初一年間の年月だったのですね。これが平成二年から五年にかけて同名の研究にそのまま引き継がれている。それから、平成六年から八年までは地下施設における火災の特性に関する研究というのに進化している。そして、平成九年には地下施設の火災時の煙流動予測に関する研究、こういうふうに引き継がれて発展している。地下利用の特殊空間における火災の研究というのは、こういう形で進化して九年間研究を重ねて一つの結論を得ている。  だから研究所が、この間議論になっていますけれども、三年—五年ということで中期目標を主管大臣が出す。その主管大臣の中にそういう研究をきちっと位置づけるということを明確にすればまた話は違うけれども、そうでなくて、その目標の枠の中で研究の成果を出していく、具体化をしていくというふうになっていきますと、こういう大事な研究が淘汰されていく危険性がないかといえば、私は危惧を感じております。  何度か質問も出ましたけれども、私はこの点で消防研究所のこういう研究についても明確にしておいていただきたいと思いますので、どうぞ。
  173. 平林鴻三

    ○平林政務次官 研究に必要な期間というものは、それぞれの研究に応じて設定されるものだと思います。でありますから、今春名委員のおっしゃるような、個々の研究がそれぞれに完結をしながら、しかも類似したといいますか、同一範疇に属する他の面からの研究がさらに継続してなされたということで、十年にわたって研究が続いておるということも納得し得ることであろうと思います。  このたびの独立行政法人化におきましても、いわば中期目標を立てるとか、中期計画を立てるとか、そういうようなことが制度として定められるわけでございますが、これはやはり制度の中期計画、中期目標の運用の中で上手にあんばいができるものだろう、そういうぐあいに私は思っておりまして、中期目標や中期計画に伴って長期研究ができないということではなかろうと存じております。それは制度の運用であろうと思います。
  174. 春名直章

    ○春名委員 今までの研究は、研究者の意見がその課題とか期間の設定にある程度反映していたと思うんですね。ところが、今度の制度でいけば、主務大臣が中期目標をまず決めて、その枠組みが上から先に与えられて、それに基づく計画を立てていく、こういう仕組みになるわけですね。だから、主務大臣の中期目標、これがどういう中身で決められていくのかに大きく左右されるわけです。前回も私質問したんですが、その目標の中に、こういうものが排除されるようなことが、さっき運用上と言われましたけれども、絶対ないようにしていただきたい。改めてそのことはお願いしておきます。  最後に、独立法人への移行の際に全体にかかわることで、どうしても確認しておきたいことがございます。職員身分の問題です。中央省庁整備法では、附則三条の「職員身分引継ぎ」の項目で、「同一の勤務条件をもって、」引き継ぐというふうに明記をされております。ところが、例えば独立行政法人統計センター法案の附則の第二条では、「センターの相当の職員となるものとする。」という表現であります。つまり、「同一の勤務条件」という表現ではなくて、「センターの相当の職員」というふうになっている。他の五十八本の法案でも大体同様の書きぶりです。「相当」というのは何を意味しているのでしょうか。
  175. 持永和見

    持永政務次官 「相当」というのは、一つの例で申し上げますと、例えば今まで予算担当の係長をやっておられた人、そういう人であるとするならば、独立法人においても予算担当の係長相当の職員になる、そういうような趣旨であるかと思いますが、御承知のように、独立法人の勤務条件というのは、これはあくまで労使間協定でお決めになるということであります。しかし、この「相当」という意味は今申し上げましたような趣旨でありまして、勤務条件まで法律では、ここでは決めていないということだと思います。
  176. 春名直章

    ○春名委員 法人労働組合の話し合いによるということで勤務条件が決まっていくというお話でした。  最後に、確認だけしておきます。では、話し合いをしない先に、独断で勤務条件を今よりも切り下げるということは絶対ないと、これは断言できますか。
  177. 持永和見

    持永政務次官 使用者側の責任として、仮に労働組合ができていなくても、そこの職場にいる人たちの半数以上の労働者の人たちの合議がないとこの決定はできませんから、そのことだけ申し上げておきます。
  178. 春名直章

    ○春名委員 以上で終わります。
  179. 西田司

    西田委員長 次に、独立行政法人個別法案中、文部科学省関係十五法律案について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤村修君。
  180. 藤村修

    藤村委員 民主党の藤村修でございます。  今から一時間三十分、九十分の時間をいただきまして、文部科学省関係で十五本かと思います、そのうち私が分担して文部省関係十一本の独立行政法人の個別法につきまして質問をさせていただきます。  それで、まず、文部省関係では十三の事業事務を引き継ぐ、今回は十一本の独立行政法人法が個別に提出をされました。文部省、たくさんの仕事をしておりますが、今回こうして十三の事業事務を引き継ぐ十一の法律を提出した主たる理由、それから、多分今後もまだ検討されていくと思いますので、今後につきまして、今もう既に国立大学のことはにわかに議論はされているとは存じますが、その他にどういうふうな構想で現在の文部省の事業事務を引き継ぐ、そういう独立行政法人化ということについてお考えなのか、全体像につきまして、まず明らかにしていただきたいと存じます。
  181. 河村建夫

    ○河村政務次官 お答え申し上げます。  中央省庁等の改革基本法第四十三条において、政府は、施設等機関について、各機関の性格に応じて独立行政法人への移行を検討するものとされてまいりまして、試験研究機関、文教研修施設等それぞれの機関の特性に応じた検討の方針、要件が示されてまいりました。  文部省といたしましては、その基本法に示された方針や要件に基づきまして検討を進めてまいりまして、今回、十一法人独立行政法人化することになったわけでございます。今後の独法の設立については、独立行政法人制度の趣旨、基本法で示された方針や要件を踏まえて、これに沿う事務事業があれば必要な検討を進めていく、こういう方針でおるわけでございますが、ただいま藤村委員指摘の国立大学の問題でございます。この独立行政法人化については、方針において、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討して、平成十五年までに結論を得る、こうなっておるところでございます。そこで、文部省としても、去る九月二十日に、これは当時、有馬文部大臣のときでございますが、国立大学の独立行政法人化の検討を行う際の基本的な方向を明らかにいたしたところでございます。  文部省としては、今後、国立大学協会を初めとする関係者の御意見を十分にお聞きしながら検討を進めてまいりまして、平成十二年度のできるだけ早い時期までには基本的な方向について結論を得たい、このように考えております。
  182. 藤村修

    藤村委員 文部省の中での基本の姿勢についてお話しをいただきました。それらが今回の法案の提案理由ということで、通則法に基づいてということでありました。  そもそもの、今回、全体としていわゆる独立行政法人を幾つもつくるという話は、平成八年十一月以来の行革会議、通称橋本行革と言われるんでしょうか、橋本前総理の発想が、ねらいとするところは行政改革、つまり国の仕組みを簡素にあるいは透明性がある、かつ効率的なものにするという、この基本の発想では私自身も非常に賛同するところもあるんですが、しかし、その発想のもとに進められてきて、このたびの、これは大分年を月を経て一つ結論が出てきた。それは、大きく言えば役所の数を減らすということと、それから、今までの国家公務員、国でやっていたことを、その現業部門などなどをこのたび独立行政法人化する、そういうことに今たどり着いているんだと思うんですが、そもそもは行政改革であろうと思います。  つまり、戦後型行政システムというものがある意味では非常にたくさんの大きな役割も果たしたし、一方で肥大化し、硬直化し、場合によっては制度疲労を起こしている、こういうことの反省から、橋本行革というのは、私は、その意味では大変大きな歴史的な改革の一つだと思っております、をなし遂げようとしているその過程にある、そういうふうに認識しているわけです。  文部省という一つの役所に関して言いますと、今回、十一本の独立行政法人で、これは千五百五十五人の方が、今まで文部省の国家公務員のいわゆる定員枠内であったのが外へ出る、こういうことですよね。  それで、全体でいいますと、今文部省のいわゆる本省の定員枠はおおむね三千人ぐらい。これは先ほどちょっと聞いて定かでなかったんですが、三千人ぐらいのうちの半分を超すような数の国家公務員の定員が、いわゆる定数枠から外へ出て、独立行政法人であったり、あるいは非公務員型もありますけれども、になる。文部省にとっては、これは非常に大きなことですよね。今までの文部省の国家公務員の半分強の人が、今までの文部省の国家公務員定数枠外へ出てしまう。そういう意味では、大変大きなことかと思うんです。  それで、この際に、例えば今までは文部省のいわゆるその枠の中での人事であったわけですね。だから、国立の美術館であったりあるいは国立青年の家であったり、全部これは文部省の人事で交流しておりました。ところが、今度は各法人それぞれ、十一、一つ一つ別々になりますし、かつ文部省の定数枠から外へ出したという意味では、人事交流の面で相当大きく変わってくるのではないかな。  これは今の文部省ではなしに文部科学省になってからの話ではございますが、文部科学省、つまり本省と今回の独立行政法人、文部科学でいえば十五ありますが、あるいは各独立行政法人間の人事交流、これは今までは一体でありましたから非常に大きく動いておりましたが、これは相当変わるんじゃないかなと予想するんですが、基本的にどんな人事交流が行われるのか、あるいは人事交流は基本的になくなるのか、その辺をお話しいただきたいと思います。
  183. 河村建夫

    ○河村政務次官 御指摘のように、半分近い人員が外に出るという形でございます。これは、そういう形に進んでいった場合にどうなるかというお話でございます。  今回の独立行政法人化を予定している文部省関係事務事業は十三あるわけでありますが、法人としては十一ということになっています。それで、これらの十三の事務事業独立行政法人化をされるということになりますと、それぞれの職員通則法によりまして法人の長の判断により任命される、こういう形をとっていくわけでございます。そこで、その法人がそれぞれの業務を適切かつ効率的に実施するには、それにふさわしい職員配置がまた当然必要になってくるわけでございます。  そこで、各法人業務は文部科学省、これは二〇〇一年からでございますが、文部科学省の業務に密接な関係を皆持っておるわけでございます。そこで、各法人の行う業務の専門性等を考慮しつつ、文部科学省と各法人の長との間の連絡を密にしながら、必要に応じて人事交流を図ることは当然あり得る、このように考えております。
  184. 藤村修

    藤村委員 そこのところがちょっと微妙なところで、特殊法人というのがあります。特殊法人とどう違うか、今私はくどくど説明はいたしませんが、確かに違うことは違うんですね。ただ、きょうまで言われていた特殊法人の大きな弊害の一つには、いわゆる天下り人事というものがございました。これは閣議でも、特殊法人理事は天下りは半数以下にせよとか、何かそういうことも決められたようでありますが、これと特に人事交流の面で今おっしゃったのは似ているのか、それとも、いや、これは相当違うんですよとおっしゃるのか、どっちなんでしょう。
  185. 河村建夫

    ○河村政務次官 今度、独立行政法人というのは一個の独立した法人体系をとってまいりますから、人員配置、運営を自主的にやれるという形になってまいります。したがって、人事交流はあり得ることではありますが、今までのようにもう機械的に天下りだということになりません。そして、公募を行うこともできるというふうになっておるわけでありますから、まさにこれは適材適所という形が貫けるのではないか、こう思っております。もちろん、それでは文部省に人材がいないかというと、そんなことでもございません。また、広く外にもあるわけでございますから、あらゆる面から適材適所を貫くことができる体制になっていくのではないか、このように考えております。
  186. 藤村修

    藤村委員 ちょっとこの辺、しつこいのですが、現在のそれぞれは国立の、大学入試センターあるいはオリンピック記念青少年総合センター、今回十一本出ているのはそれぞれ国立であります。そして、十一月現在でそれぞれの例えば長であるとか所長であるとかをずっと見渡したときには、ある意味では文部省の人事の範囲内、まさに手のひらの中で人が動いている。あるいは、もう一つの文部省の大きな、国立大学、こっちからも人が来ておりますよね。これではなくなって、今後は独立行政法人というのは、その長は確かに文部大臣が任命するんですが、あとの、中の職員なり人々というのはもう基本的には一つの会社に所属をした、そういう認識になるのか、それとも、いや、私はやはり文部本省の人事のもとにあるんだという認識になるのか、どっちだと河村総括政務次官は考えられますか。
  187. 河村建夫

    ○河村政務次官 私は、今回の独立行政法人というのは、考え方としては、できるだけ民間の意識を持ってやっていただくのが本来だろうと思います。ただ、文部省の業務といいますか、この持っている仕事というものが、教育、科学技術、いろいろな面、非常に国策との関連も強いし、事教育のことでもございますから、専門性を要する特性をかなり有する部分もございます。そういう人事ということも考えられますが、基本的には、民間に近い考え方で独立してやっていただくということが今回の独立行政法人考え方に基本的に流れておるというふうに感じております。
  188. 藤村修

    藤村委員 そうすると、若干くどいようですが、例えば、今、国立近代美術館館長はついこの前まではここで答弁されていた初中局長であったり、あるいは国立科学博物館ですかの館長さんは本省の事務次官であったり、こういうきょうまでの慣例というのは一応今回御破算にする、こういうことを答えていただけますか。
  189. 河村建夫

    ○河村政務次官 御破算にするという言い方がいいかどうかは別として、考え方としては、全く白紙の中で適材適所を貫いていく、こういうことになろうというふうに思います。
  190. 藤村修

    藤村委員 誤解があってはいけませんので、私は、初中局長をされた方とか事務次官をされた方がそういう博物館の館長にふさわしくないと言っているのではなしに、まさに充て職でそこへずっと過去行っていたという、このことはやはりおっしゃるように適材適所で考えるんだということになればそれは御破算にすることでありますので、その点をひとつ注文しておきたいと思います。  それで、今は人事面のことを申しましたが、人事面を含めて、そもそも今回、独立行政法人、独立した法人であります、それができるわけで、そうすると、法的に決められた範囲以外で、一般的な監督権限は文部大臣もありませんけれども、そうすると、国立近代美術館にしても、きょうまでの文部省との関係というのは相当変わりますよね。きょうまではまさに直轄の、直営であったわけですが、これは独立法人となるわけですから、文部省との関係、あるいは今後は文部科学省との関係において、この十一の独立行政法人というのは、さっきの人事の面以外で相当大きな関係における変更が出てくると思うので、そのポイントを整理して表明いただきたいと思います。
  191. 河村建夫

    ○河村政務次官 藤村委員指摘のとおりで、これは大きく変わっていくというふうに感じます。  具体的にどうかということでございますが、まず、独立行政法人に対しては文部科学省の監督、関与というのは必要最小限にとどめる、こういうことになってまいります。そこで、法人が自主的、自律的に運営することが可能になるということが生まれてくるわけでございます。そして、その内部組織は法人の長が決定できるわけでございます。今までのように文部省の機関の組織の中ということではなくなる、そういうことで、組織も非常に弾力的な運営になっていくだろう。  こういう内部組織の問題、それからいわゆる運営において自主的、自律的にやれる、この二点が大きなポイントではないか、こういうふうに思います。
  192. 藤村修

    藤村委員 例えば、この例が当たるかどうかですが、さっき人事のことをちょっと言っておりました。  例えば、文部本省三千人余りで、そのうちの半分ぐらいが今回は文部本省の人事から外れた定数枠外のそれぞれの独立行政法人になる。ということは、文部省の今までの人事課は半分の仕事になるんじゃないですか。そうなりませんか。ということは、文部本省の人事の仕事は、きょうまではある意味では三千人、国立大学は十二万五千人もやっていたといえば別ですけれども、文部本省のその三千人ぐらいの中の半分ぐらいを外へ出して、ある意味では人事についても相当離れるわけですから。そうすると、逆に言えば、今度は文部省本体の方の仕事も、これは切り離すことで減るんじゃないですか。そう考えられませんか。
  193. 河村建夫

    ○河村政務次官 おっしゃることはわかるのでありますが、この人事については確かに直接のあれはなくなりますが、しかし、文部行政全体の問題からいえば、いろいろな関連というのはずっと残っていくのではないか、また、その密接な連携がありませんとうまく動きませんから、そういうふうに考えていけばというふうに思っておるのであります。  したがいまして、文部省の全体の文部行政は、それはかなり外へ出ますから、そういうものの人事の直接はなくなりますが、では、今までのやっている仕事がなくなるというものではないというふうに思っております。
  194. 藤村修

    藤村委員 そこが割に重要なポイントだと思うんです。独立行政法人化したら、これで行革ですというんじゃなしに、むしろそのことでこの本体の、政策的企画立案をする本体がより本来の仕事に戻れるといいますか、あるいは今までやっていた人事管理にしてもあるいは財産管理にしても、これは国立青年の家でしたら全国十何カ所、少年自然の家もそうですね、まあたくさんのことをこの文部本省が今まで抱えて、管理、運営、人事、財政、全部面倒を見ていたわけですね。ある意味ではコントロールタワーであった。その部分が相当、定員でいうと半分ぐらい出るわけでしょう。そうすると、人事だけ今お答えになりませんが、人事課の仕事も半分になると言えませんか。もちろん関連があるのできっちり半分になるとは多分言えないでしょうけれども、相当スリムにできるということは言えませんでしょうか。
  195. 河村建夫

    ○河村政務次官 藤村委員指摘のとおり、そこにこの独立行政法人化のねらいがあるというふうに思います。
  196. 藤村修

    藤村委員 だから、スリムになるというふうに今お答えになったように思います。  つまり、私は、単に切り離して独立法人化するということだけにとどまらず、今度は文部科学省という、役所を合体して、それが巨大な、今までの一足す一が二の官庁になるんじゃなしに、こういうことを経た上で一足す一が一・五か一・二か、つまり、そういうことも今回の行政改革の要諦であると思うんですが、この点については、続総務長官、御異論はございませんか。
  197. 続訓弘

    ○続国務大臣 御趣旨のとおりであります。
  198. 藤村修

    藤村委員 それではまたもとへ戻りまして。  今いいお答えをいただいたと思っております。まさに本省、役所自体がこの独立行政法人、私、独立行政法人を積極的に賛成する立場ではありませんが、まだまだ足りないとは思います。しかし、この半歩前進の中では、本省もそうしてスリムにして、より政策的企画立案に専念できる、場合によっては人も減らせるんだ、このことが必要ではないかなということを申し上げたかったわけであります。  そこで、さっきも河村総括政務次官もおっしゃった、組織の長を公募することができるんだという話もありました。私は、文部省関係の十一の中では、例えば国立オリンピック記念青少年総合センター、それから国立青年の家、それから国立少年自然の家、これらはいい仕事をされていると思います。かつ、国のまさに教育の根幹にかかわる、今心の教育と前の文部大臣以来よく言っておられます、そういうことも含めて、やはり国の大きな教育に対する企画立案をまたこの現場で実現する場面でもあるので、これは、こういう形である程度国がそれなりに財政的支援をしながら、そして独自の計画を持ってやっていただくような格好というのは悪くはないなと思っているんですが、その際に最も重要なのは、それを運営する人たちの問題かと思います。  今までは、さっきから言っておりますような文部省本省の人事の中、手のひらで動いていたので、例えば国立青年の家の所長さんも見てみれば大学の先生であったり教育長であったり、そういう教育に非常に現場で携わった人が割になっている。その辺はそれでいいとは思うんですが、さらにこれを公募する。今の三つの団体なんかは一番公募型、イギリスのエージェンシーの特徴の公募型とか、あるいは中でやるいろいろな業務、給食やらなんやら、これは多分、実態としても、今契約制でもうアウトソーシングされているものとは思いますが、これは、非常に民間的な発想を取り入れやすいところかと思うんです。かつまた、青年の家それから少年自然の家については、今回、非公務員型ということで、いわゆる国家公務員がそういうことに携わって上から物を言うようなことでなくなるのはいいことだと思うんですが、これら三つというのはこの十一の中で比べれば最も民間型に近づけやすいと思うんですけれども、これは、方向としてはそういう方向をお考えなのかどうか。
  199. 河村建夫

    ○河村政務次官 方向としては、通則法にもありますように、公募型もあり得るわけでございますし、特に、こうした青年の家、少年自然の家あるいはオリンピックセンターということになりますと、そうした社会体験も豊かな人を広く求めるということもあり得るだろう、こういうふうに思っております。  ただ、国立オリンピック記念青少年総合センターは青少年教育のナショナルセンターの役割を持っておるわけでありまして、独立行政法人が行う業務については、国が責任を持つ必要のある業務であることは十分配慮しなければいかぬだろうというふうな感じがしております。  独立行政法人通則法において、当該独立行政法人が行う事務事業に関して高度な知識及び経験を有する者、それから、当該独立行政法人が行う事務事業を適正かつ効率的に運営することができる者、このうちから主務大臣が任命する、こうされておるわけで、青少年の健全育成という大きな課題を持った国立青年の家、国立少年自然の家の業務をやはり適切に行える人材ということで任命を図っていかなければいけないのではないか、このように思っております。
  200. 藤村修

    藤村委員 今、オリンピックセンターとその他の二つというのは若干の説明の差があったと思うんですね。だから、多分、オリンピックセンターは公務員型で、あとの青年の家、少年自然の家は非公務員型にしたのでしょうか。そこの違いというのは何か説明がつくんでしょうか。
  201. 河村建夫

    ○河村政務次官 若干舌足らずだったかもしれませんが、国立オリンピック記念青少年センターというのはナショナルセンター的な意図が非常に強いという観点からそのことを申し上げたわけでありまして、そういう観点からいえば、一般の国立青年の家、国立少年自然の家とはそういう面では違いがあるという考え方はでき、国が持つ国のナショナルセンターとして非常に責任を持たなければいけないという考え方、もちろん国立少年自然の家もそうでありますけれども、広い意味では唯一の、一つの大きなセンターとしての意義、その差はあるというふうに思います。
  202. 藤村修

    藤村委員 それでは、より非公務員型の青年の家それから少年自然の家。  かつてから全国的に私どもの関係団体でも非常に利用させていただいておりますし、やはり非常に有効的にいろいろ、何より安いということで、そういう意味では非常にいい施設だと思っておりますし、また、これを今後運営するにおいては、では民営化しろと言ってみたところでそれは成り立たない話になります、もう民間のそういう施設というのは多分ゼロが一つ多いぐらいの費用がかかってしまうかと思いますので。これはこれで、非公務員型で、国がそれなりに応援していくという今の限定された範囲であれば、私は、ぜひ積極的に利用していただきたいと思う方の一人であります。  そこで、基本的な話としては、今後の国立の青少年教育施設、今ある青年の家十幾つ、そして少年自然の家、これも十七ぐらいあるんでしょうか、これらについて基本的に、青少年の自然体験活動の重要性を私は感じておりますが、今文部省はどういう見解をお持ちでしょうか。
  203. 河村建夫

    ○河村政務次官 委員指摘のとおり、国立青年の家、国立少年自然の家、青年の家と少年と対象は若干違いがございますけれども、いずれにしても、両方が、自然体験活動を通じて青少年の健全育成を図るという意味で非常に大きな役割を果たしてきておりますし、これからもこれを大いに活用して、特に青少年の健全化が叫ばれているときでございますので、活用をしっかりしていかなきゃいけない大事な施設である、このように考えております。
  204. 藤村修

    藤村委員 そうすると、今まで本当にそれなりに低廉な、そして割に完備した施設として利用させていただいておったのですが、今後は、それぞれ独立行政法人なんだから、あるいは場合によっては、わからない人には、これは独立採算だから値段を上げますみたいなこと、そんなことはまさか言わないとは思いますが、今後何がどのように変化するのでしょうか。
  205. 河村建夫

    ○河村政務次官 今御指摘のように、独立行政法人化をしてまいるわけでございまして、その結果、独立採算だからそれぞれの施設の運営に任せて、お金が足らなければ少し宿泊費でも上げたらどうかというような御指摘、御懸念、あるやに聞いております。しかし、国立青年の家また国立少年自然の家の持っている機能を果たす上で、これは対象が学生であるとか勤労青年ということもあろうと思いますが、そういうことを考えますと、そこで宿泊料を取るとかということになりますと、実際の機能はしなくなるのだろう、こういうふうに思います。  ただ、考えられますことは、一般の方が利用したい、こうおっしゃる場合、子供あるいは学生と違って父兄が一緒についてこられるような集団の場合に宿泊料を若干もらおうかというようなことは、これはそれぞれの独立行政法人のまさに自主運営の中の範囲、許容範囲の中かなという感じがします。しかし一方では、民間企業圧迫というような問題も地域によっては多くありますから、そういうものの常識の中といいますか、まさに実費一部というような感じの中で考えていく問題だろうと思いますね。  だから、今までやってきたことがそれによって大幅に変わるということはあり得ない、独立行政法人自律性弾力性を持って実情に即した効率的な運営をしていただくということでいいだろう、私はこう思っております。  それから、効果的な財政運営をしていただかなきゃならぬわけでありますから、運営費等々については十分配慮していただくということがこれから出てくると思いますけれども、これまでの行政サービスがもっと広くできるようなものにしていくという基本的な考え方でありますから、そういう意味で、この青年の家、少年自然の家を独立行政法人化することによって、むしろ行政サービスの提供がもっともっと広く国民に広げられるというふうな変わり方でなければいかぬ、こういうふうに思っております。
  206. 藤村修

    藤村委員 今後の話ではありますが、下手にちょっと値を上げるとかいうことでなしに、これはかつてユースホステルで、私は一つの失敗例だと思うのですが、ユースホステルが割に自由度を増したりしてそれで料金を上げて、では人がよく来るようになったかというと余りそうでもないようであります。  私は、施設は非常にいい、それから給食もなかなかいい、しかし一番安い、むしろこの辺を誇りにしながら、やっていることは何も民業圧迫じゃなしに、目的を持ってやっているわけでありますから、これはある意味では国の教育の政策立案の部分に基づいた、やはり全国的な展開をするわけでありますから、下手にちょっとした値上げなんかは考えずに、むしろ施設をできるだけよくし、給食もよくし、かつ非常に自由度の多い、それで今度はそれぞれ独立法人が考えられる教育プログラムというのが実現できるような、そういう方向をぜひ目指していただきたい。ほかもこれだけの値段を取っているから、これはこのぐらいにした方がいいんじゃないかという考えもあるのですが、それをやると中途半端になると思いますので、せっかくこれをやるなら、値段は安い、しかし施設はいいし給食もいい、こういうものをむしろ目指していただきたいな、これは希望でございます。  一つ、今回の独立法人法は、例えば国立青年の家ということで一本であります。ところが、国立青年の家というのは全国に十数カ所、あちこちある。かつ、それぞれにまた立地条件とか利用状況とか環境とか、もうすべて違うのですが、これを今回の法律では、例えば国立青年の家というのは、主たる事務所を、中央青年の家だから、静岡に置くのですね。それから、少年自然の家というのは、これもやはり十数カ所ありますが、これの主たる事務所を福島に置くのですよね。このことというのはどういう意味があるのかと思うのです。  つまり、国立青年の家というのは、例えば、今まではそこでの予算関係というのは文部省にそれなりに要求をし、あるいは報告をし、それが今度は御殿場になるのですね、中央青年の家。あるいは少年自然の家は今度は福島県。それでまた、自然の家というからには相当へんぴなところであります。そこがいわば会社の本社になって、全国に幾つも支店があってというこの法人のつくり方というのはちょっとぎこちないのですが、イメージとして、本社が静岡とか福島にある会社で、全国に幾つもの支店を持っている、そういう関係になるのか。  そうすると、例えば、事業における責任者は理事長ですが、熊本阿蘇の青年の家のいろいろな事業についての責任者は御殿場の所長なのか、その辺がちょっとわからない。それから、財政上でも、それぞれに採算性というのは全然違うのですが、いわゆる福島の少年自然の家の本社が全国を統一するようなことはできないと思うのですが、これはどんなイメージで想像されるのでしょうか。
  207. 河村建夫

    ○河村政務次官 御指摘のイメージでありますが、会社の利益を求めて本社と支社あるいは営業所、社長の命令一下動く、そういうイメージと、やはり教育効果をいかに上げるかという組織でありますから、これはなかなか一緒のイメージにはなりにくいと私も思います。  ただ、こういう独立行政法人一つにまとめてやりますから、どこかに管理本部といいますか、そういう部門を設ける必要があるんではないかということで、静岡、あそこが発祥の地だそうでありますが、そんなこともあって、そこへ管理本部を設けて、施設間の事業の調整、企画、開発を行って、人事、会計を一括して処理することが効率的であろうという考え方に立っておるというふうに思います。  ただ、現在の各国立青年の家、各国立少年自然の家は独立行政法人にされても事業の実施主体でありますから、法人の内部組織の中に入るわけで、個別法令の業務の範囲で独立行政法人の長より定められる、こういうことになっていくわけであります。  現在、情報化時代でございますから、インターネット等も全部使えばそう大きな組織にしなくても、どこかに中心を設けて、そこからそういう情報を出してあげるところはいるわけでありますから、そういう意味で、両方にセンターを置いて、そこで情報を出していって、現場の少年自然の家、それぞれの家はそれぞれやっていただくということになる、そういうイメージであります。
  208. 藤村修

    藤村委員 どこまで細かく今想定されているかわからないのですが、今の御説明だと、そうすると、本社機能的なものは、例えば今の青年の家なら中央だから御殿場、少年自然の家なら福島に新たに要るというお考えなのでしょうか。それとも、あくまで今の中央青年の家の所長が例えば理事長を務めるとか、ほかのどこかの青年の家の所長が一人の理事を務めるとか、そういうイメージなのか。それとも、本社についてのみは、本社機能的な、御殿場の中央青年の家には所長がいる、それから、いわゆる本社事務局を設けて、そこに理事長とか理事を配置するというイメージをお考えなのか、どっちでしょうか。
  209. 河村建夫

    ○河村政務次官 現時点のイメージでございますが、主たる事務所を置くことになっております国立中央青年の家、これは静岡ですね。それから那須の甲子少年自然の家ですか、これは法人本部の機能と、それから従来のおのおのの事業の実施体としての機能をあわせ持つということに、そこにも自然の家があるわけでありますから、両方の機能、実施体とそれから法人本部の機能をそこの事務所は持っておるということになってくると思うのですね。そういう感じであるというふうに思いますが。
  210. 藤村修

    藤村委員 ちょっと確認しておきます。  そうすると、本社機能のための、所長がいて、また理事長を置いて理事を置いて、そういうことは全然考えてない、今の所長以下の範囲でその機能は兼務してもらうんだ、こういう発想ですね。
  211. 河村建夫

    ○河村政務次官 本部機能がありますから、理事長以下はおるわけですね。そこにあわせて、こういう所長以下もおるという形になると思いますね、そこの本部は。
  212. 藤村修

    藤村委員 そうすると、これはちょっと話がもとの方へ戻るのですが、独立行政法人効率化したり、透明化したり、いろいろないい面を強調しながらやるのですと。でも、これをやることで、改めて理事長とか理事を新規にこっち側ではふやさないといけなくなるのじゃないですか。  そうではなしに、他のところだと大体、一つ一つ法人になれば、そこの館長さんが理事長になったりということは割にすっとイメージできるのですが、幾つも支店がある場合は、別にまた本社機能を置かなければいけなくなるとなれば、これは千五百五十五人の定員を枠外にしたけれども、ここはひょっとしてそれ以上にふえることになりませんか。それとも、今の千五百五十五人の定員枠を外へ出して、その範囲で理事長とか全部できるのです、こう言ってもらわないと、何かまた屋上屋を重ねるようなことになりませんか。
  213. 河村建夫

    ○河村政務次官 今御指摘のとおり、法人本部が肥大化するような形になっては、せっかくの行革の精神からいってもおかしくなるわけでございます。そこに理事もおるわけでありますから、そうした人がその所長を兼務する等々の形でスリム化をしていくということは、当然これからの検討課題だと思いますね。  ただ、通則法によって、監事を二名置かなきゃいかぬ、こういうこともございますから、そういう面でも本部というものはやはり必要ではないか、こういうふうに思います。
  214. 藤村修

    藤村委員 一番の趣旨を体して、独立行政法人をつくることによって、またそれを管理監督する人が別に要るのだという話になれば、どうも行革とは逆行するような、そんな気がいたします。  それからもう一つ、これは注文をお願いしておきたいのは、後の評価委員会のことで出てくるのですが、評価委員会を本省に設け、各独立行政法人から中期計画とか年度計画とか、あるいは年度報告、中期事業報告など、今までもやっていたといえばそうだと思いますし、それは今までの範囲でならそんなに問題ないとは思いますが、これが何か煩雑に、頻繁にいろいろなことを中央で要求して、そのためにまたたくさんの事務、仕事がそれぞれの独立行政法人でふえたのでは意味がないと思いますので、これは、今の人員のことも含めて、本当に、より今までの事業に専念できるのですよ、それから文部本省も企画立案というところに専念できるのですよ、そっちの管理監督はもううんと手が抜けるのですよ、こういう方向でなければやる意味がないと思いますので、総務庁長官にはこのことをお願いしておきたいと思いますが、もし何かございましたら。
  215. 続訓弘

    ○続国務大臣 藤村委員の御指摘、まさにそのとおりなんです。そのためにこそ今の制度があるわけですから、その面を生かさせていただきたい、こんなふうに思います。
  216. 藤村修

    藤村委員 それで、今ちょっと触れました評価委員会について、これはちょっと私がわからない点なんですが、文部省において一つ一つ独立行政法人を担当する評価委員会をつくるのか、それとも割にひっくるめてつくるのか。評価委員会というのは外部の人の審議会みたいなものかと思いますので、この評価委員会の組織あるいは所掌事務等についてどんな構想を持っておられるか、これは文部省の場合で結構です。
  217. 河村建夫

    ○河村政務次官 委員御存じのように、独立行政法人評価委員会は、通則法の第十二条によりまして、当該独立行政法人の主務省に置かれるものとされて、各省ごとに一つ設置される、こういうことになっているわけです。  所掌事務が、「独立行政法人業務の実績に関する評価に関すること。」と「その他この法律又は個別法によりその権限に属させられた事項を処理すること。」こうされておるわけであります。  具体的には、各事業年度における業務の実績や中期目標に係る業務の実績の評価を行うこと、さらに、中期目標等の大臣認可に当たって意見を述べること等が挙げられておるわけでございます。  評価委員会の組織、所掌事務の細目等必要な事項については、同条によって、政令で定めるということになっておりまして、今現在政府部内で検討中であります。  文部省としては、評価委員会の組織等については、文部省関係の非常に多岐にわたっております独立行政法人業務、これが適正にひとつ評価されるようなものとしていかなければならぬ、こう考えておるところでございまして、そういう形での評価委員会を設置しなきゃいかぬ、こういうふうに考えております。
  218. 藤村修

    藤村委員 適正に評価するために、そうすると、一つ独立法人ごとに一つ評価委員会を文部省内につくる、こういう理解でよろしいですか。
  219. 河村建夫

    ○河村政務次官 もちろん、青年の家等々もあるわけでございますけれども、単体それぞれ独立行政法人にしておりますから、そこで一つということですね。いろいろな施設がありますので、それをまとめたものを一つ。それから、少年自然の家であれば、それらを集めたものの一つとして評価委員会を置く、こういうことであります。
  220. 藤村修

    藤村委員 ということは、今回十一独立行政法人ができれば、十一の評価委員会をつくる、こういうことですね。
  221. 河村建夫

    ○河村政務次官 一つを省庁に置くということでありますから、評価委員会は一つということであります。失礼しました。
  222. 藤村修

    藤村委員 そうすると、さっきおっしゃった適切な業務評価一つで、その規模は、百人もいるわけではないと思いますから、評価委員が。  そうすると、片や国立特殊教育総合研究所の事業の計画とか実績を評価したりする、片や今の教育問題の国立青年の家とか少年自然の家、片や近代美術館であったり、片や国立文化財研究所であったり、これは本当に、社会全般にわたる多岐の仕事をするそれぞれの法人で、評価というのは非常に難しいのじゃないかなと思います。  多分評価基準を今からつくっていかれるのでしょうけれども、私はその際に、政令で今から決めるわけですから注文しておきたいのは、まず、評価に当たって、やはり現場のそれぞれの法人の声を聞くんだ、これは姿勢をはっきりさせていただきたいと思います。それから、評価委員には、外部の有識者ということですが、ここにはやはりそのそれぞれの、例えば十分に熟知した人がちゃんと、これは十一人入っていないと本当はいけないと思うのですけれども、その辺のことをどうお考えでしょうか。
  223. 河村建夫

    ○河村政務次官 委員指摘のとおりでありまして、特に文部省の場合には多岐にわたっておりますから、評価の仕方もそれぞれ違ってくると思いますね。したがいまして、当然、御指摘のような法人関係者の意見聴取というのは非常に大事なことになってくるというふうに思いますし、まさに法人業務の実績が中立公正に評価されなきゃならぬということもございます。その実態を十分聴取しながら、そしてそういうことができる人材にお願いをしなければいかぬということに、今からこれは十分その点を踏まえて人選等々の検討をしていく、こういうことになると思います。
  224. 藤村修

    藤村委員 私どもは基本的に行革という言葉に当然賛同はするわけでありますが、今回、平成八年からずっと行革会議等々で行われてきたこれらの流れの中で、まだまだ非常に不十分で、かつ、今の独立行政法人の文部省関係の十一だけ聞いておりましても、大変危ういというか、余り詰められていないなというのが正直な感想でございます。だから、本当にこれは踏み切っていいのかどうか、やはり十分な審議を尽くさねばならないし、場合によっては方向転換も必要ではないかな、そんな感想を最後に申し述べまして、終わらせていただきます。  私はこれで終わり、関連近藤委員の方からお願いをいたします。ありがとうございました。
  225. 西田司

    西田委員長 次に、近藤昭一君。
  226. 近藤昭一

    近藤委員 民主党の近藤昭一でございます。独立行政法人化に関して、幾つか質問をさせていただきたいと思います。  行政改革を進めていこうという中で、省庁再編があり、また独立行政法人化する幾つかの団体があったんだと思います。  そういう中で、行政改革というと、いわゆる合理化といいましょうか、必要でないものはもうなくしていこう、そしてまた、必要なものでもなるべく効率的に、必要な組織かもしれないけれども、その組織の中のぜい肉といいましょうか、むだなものはできる限りそぎ落としていこう、こういうようなことがあったんではないかと思います。  そういう中で、独立行政法人化、私なんかがこの言葉を聞きまして、この間のいろいろな報道、情報を聞きまして感じることは、独立採算制にして、それぞれの中で効率的な運営をしてもらおうということだと思うんですよ。ただ、その前に、幾つかの独立行政法人化する団体のリストが上がってきているわけですが、そこで感じるのは、基本的にはそういったぜい肉をそぎ落としていくということだと思うんですが、どの団体を独立行政法人化するというようなところで、ある種の価値観みたいなものがあったんではないかと思うんですよ。  文部省そしてまた科学技術庁の関係で私はお聞きしたいわけでありますが、文部省としては、この幾つかの団体を、これを選んで独立行政法人化する、そこにどういった一つの尺度、価値観を持ってやられたのかということをお聞きしたいと思います。
  227. 河村建夫

    ○河村政務次官 文部省はたくさんの研究機関あるいは博物館等々持っておったわけでございまして、国の行政改革の方針で、それを統括しながら、まさに国民にとって行政サービスといいますか、そういうものがもっと自由にできるような形にしていったらどうだということで、いろいろ研究をさせていただいてできたわけでございます。  特に、国の関与、統制から離れて、業務運営が自主的、自律的に高めることができるということがまず非常に大きな、行政サービスの提供はそういう面で可能になるということが言えるわけでございますし、独立行政法人にすることによって明確な効率化目標というものが与えられるわけでございますから、それに向かって、効率的な、透明な運営ができるということになるんではないかというふうに思っております。  いずれにいたしましても、独立行政法人化することによって、法人が、自主性自律性が拡大するわけでありますが、それによって業務の一層の効率化が図られるという観点で、あらゆる施設についても、直接国民と密接な、美術館とか博物館とかそういうものを持っているわけでございますので、そういうものの行政サービスの質の向上がこれによって得られるということで、今回、独立行政法人化に当たって、そういうことを慎重に考えて、十一の機関について行政法人化を図った、こういうことでございます。
  228. 近藤昭一

    近藤委員 わかる部分もあるし、わからない部分もあるのかなというふうに思うわけです。  つまり、先ほど藤村議員からもちょっと質問させていただきました、今後評価委員会というのがつくられ、それぞれの、独立行政法人化したことに対する評価をしていくということだと思うんですが、その際の、評価をするときの価値判断はすごく難しくなると思うんですよね。  先ほど、文部省関係でも、本当に幾つかの団体を幾つかの組織に法人化する。それぞれをまとめて評価をしていく。その評価というのは非常に難しいんだと思うんですよ。わかりやすく言えば、数字の上でいわゆる効率化、ありていに言えば独立化した法人が、収支でいえばどれだけ収支でプラスになっているか、あるいは、今まででいうと予算が足りない部分が多かったけれども、独立化することによって非常に運営効率化して、収支がプラスになったみたいな判断と、しかし、それだけではない価値判断みたいなものが必要ではないかなと思うわけです。  つまり、ちょっとお聞きしたいのは、美術館、博物館を独立行政法人化する、このことの目的というのは何なのかなというふうに思ってしまうわけであります。  どうなんでしょうか。美術館、博物館というのは、そういう独立法人化、今政務次官がお考えのような価値観というか尺度でいうと、独立法人化するような組織なんでしょうか。
  229. 河村建夫

    ○河村政務次官 近藤委員指摘の点といいますか、特に、国立美術館、博物館を独立行政法人化して本当にメリットがあるか、こういう御指摘ではないか、こう思っているわけでございます。  今回独立行政法人化するということは、特に組織編成あるいは人員配置というものが非常に弾力的になってくるわけでございまして、美術館、博物館、あるものが一つの形になりますから、そういうことがまず非常に可能になってくる。  それから、運営費は国から交付されるわけでございますから、一般の企業のように営利を目的としてということにはならない、私はこう思っておりますが、やはり独立行政法人みずからの責任でその出入を図っていくという基本的な考え方は持っていくわけでございます。運営費をみずからどのように使って出していくかという弾力的な運営ができるということで、そういう面からは、やはり交付金というのは税金を使うわけでありますから、効率的かつ効果的な財政運営をやっていただける、こういうふうに思います。  それから、国の関与、統制というものは必要最小限にして、業務運営を自主的、自律性を高めるというねらいもございまして、それによって機動的な、弾力的な、民間サービスに近いようないろいろな知恵を出して行政サービスを提供していただくということも可能になってくるのではないかと思います。  それから、独立行政法人は、目標値をセットしてまいりますから、それに向けて努力もしなきゃいかぬ。また運営も、非常に効率的で透明な運営になっていくのではないかという期待感もあるわけでございます。  特に、美術館、博物館、一般国民の皆さんの非常に身近なところにありますから、そういう方々に会場に来ていただく、そのサービスということを十分ひとつ考えていっていただける方向はとっていけるのではないかなというふうに感じておるわけであります。それが、今回独立行政法人にすることによって、まさに美術館、博物館の、ある意味では活性化にもつながっていくという観点があるというふうに思います。
  230. 近藤昭一

    近藤委員 そのとおりの部分と、繰り返しになりますが、ちょっと違うんじゃないかなと思うところがあるわけであります。  先ほど私、質問の中で価値観という言葉を使わせていただきましたが、非常に概論的で、余り具体的でない価値観なのかもしれませんが、今回こうして行政改革をする、また幾つかの組織を独立行政法人化するということの目的は、やはり、そうすることによって国民の皆さんにより幸福というか豊かさを感じていただくということだと思うんです。  それは、一つには財政的な面。こういう景気の悪いときですから、貴重な税金を使っていろいろなものが運営されている、余りむだ遣いをしてもらっては困る。そういうむだ遣いがないところはやはり安心感を持って、ある種、喜んでではないでしょうが、ある程度納得を持って税金を払うことができる。そしてまた、そういって独立行政法人化された美術館、博物館、このことによって、運営、いわゆる中身が今までよりも行きたくなる美術館、博物館になるということではないかと思うんです。  つまり、そういった一つ目標の中でやった場合に、私は、美術館、博物館を独立行政法人化することの逆に言うと危険性を、危険性といいましょうか問題点が出てきてしまうのではないかなというふうに思うわけです。  つまり、美術館、博物館、いろいろな催しをします。それは国民の皆さんの文化的な要求にこたえ、また日本の文化を高めていくということだと思います。その中で、美術館、博物館というのは展覧会をよくやると思うんです。それは展覧会でありますから、入場料、収支が伴うと思うんです。そうしますと、ある展覧会をやる、それの収支。非常に人気がある展覧会もあると思います、あるいはなかなか入場が見込めない、不人気というか、中身はいいけれども一般的にはちょっと受けが悪いような展覧会もあるのではないかと思う。またあるいは、景気なんかにも左右をされて、もっと入るだろうと思っていたけれどもなかなか入らなかったというようなことになる。つまり展覧会をやる段階で収支を立てておいても、なかなかそのとおりにいかないと思うんです。  そういった場合、どうなんですか。これから独立行政法人化すると、思ったほど人が入らなかった、随分と赤字になってしまった、そのときの赤字を埋めていく方法はどのように、これから独立行政法人化された場合なさるのか、お聞きしたいと思います。
  231. 河村建夫

    ○河村政務次官 各博物館また美術館、展覧会をおやりになる。今近藤委員指摘のようなことも、それは起きる可能性はあるわけであります。またこれまでもあったことだろうと思います。これはまとめて一年間評価を一応受けるわけでありますから、その中で、そういうことは、いわゆるもっと知恵を出せばよかったのにということなのか、これはもういろいろなことを考えてみてやむを得ないということなのか、この辺は、評価委員といいますか、この評価の仕方はいろいろ、このところはなかなか難しいところでありますけれども、そういう一応の査定の中でそういうことはやはり考えていく必要はあると思います。  しかし、国民のためにこれはあるわけでございます。そういうことから、その交付金の出し方については、やはりそれによって国民にとっての文化振興、そうした、皆さんが見たいとおっしゃる、そういうことに対する欲求に対してこたえられないようなことになるということは、これは避けなきゃいかぬことでありますから、そこのところは評価委員会の先生方に十分その辺を配慮していただいて、まさに公正、適正な評価をしていただくということをお願いしなきゃいかぬ、こういうふうに思います。
  232. 近藤昭一

    近藤委員 政務次官がそう言ってくだされば安心するわけでありますが、多分、展覧会をやる場合に、非常にだれもが知っているような、例えばピカソ、セザンヌとかゴッホとか、そういう展覧会はもう入るかもしれないし、ただ、この御時世ですからなかなか入らないかもしれないけれども、収支的にはとんとんあるいはプラスになるかもしれない。ところが、無名、余り知られていないような作家、地味な作家ですと厳しい結果になるかもしれない。しかし、それはそれで必要だというような価値判断があれば、今政務次官におっしゃっていただきましたので余りくどくは申し上げませんが、評価委員会の中にそういった一つの価値判断を持っていただかないと、いわゆる財政的な収支の面だけで評価をしていかれると、こういった美術館、博物館に関しては大変に問題が出てくるのではないかと思うんです。  ですから、私自身のもともとの考えでいいますと、独立行政法人化する際の一番の今回の目標は、かなりそういった意味では財政的なことではないか。そういうことでいうと、独立行政法人化するのには本当はふさわしい組織ではないのではないかなというところ。しかしながら、それでも独立行政法人化するメリットが多いとお考えになってする場合にも、この評価委員会の中できちっとその中身を評価していただきたいというふうに思うわけであります。  それともう一つ、美術館、博物館に関して質問したいんですが、これは西洋美術館、近代美術館、国際美術館というのは、ある種非常に性格を異にする美術館だと思うんですね。これを一つ独立行政法人化して問題ないんでしょうか、いかがでしょうか。
  233. 河村建夫

    ○河村政務次官 今御指摘の点でございます国立美術館そして国立博物館、これが一つになっていくということについての御心配ですが、多分、これは行革の基本的な考え方といいますか、最終報告において、これは平成九年十二月ですが、事務事業対象地域性質等類似性、同質性に着目して、できる限り統合一元化を図ってもらいたいというのが最終報告にございました。複数の機関統合によって、事務事業を継続的、安定的に実施する法人と、適切な規模も確保する必要がある、そして各館間における連携が円滑に行われやすくなきゃいかぬ、あるいは法人内において予算、組織等について弾力的な取り扱いが可能となって事務事業の効果的な実施が可能になっていくという基本的な考え方があるわけであります。  これは、独立行政法人国立美術館は、東京国立近代美術館が五十五人、それから京都国立近代美術館十八人、国立西洋美術館三十二人、国立国際美術館十六人であります。十八人、十六人というようなところで独立ということはなかなか難しいわけでありますから、これを一つにしていくということの方が私はそういう面で機能性があるというふうに思っております。  先ほど近藤委員が、特に財政の問題が一番心配だ、こうおっしゃったわけでございます。そうした中で、これらを一つにすることによって展覧会そのものもうまく、今回の展覧会は非常にここでは入らないかもしれない、しかしこっちに回すやつをこの次のときには、年の後半にはこっちへ回してあげようということで全体のバランスをとるとか、そういうことが私は可能になっていくのではないか、こう思っております。  博物館と美術館、違うじゃないか、こうおっしゃるわけでございますが、類似性もたくさんあるわけでございます。それから、学芸員の人材等の交流等々もあるわけでございますので、これをむしろメリットに生かして運営していくということが今回の独立行政法人の最終報告に合致するものであるというふうに考えております。
  234. 近藤昭一

    近藤委員 政務次官、ありがとうございます。  それぞれ性格の違う美術館でありますので、今政務次官おっしゃったように、この三つの美術館を一つ独立行政法人化するメリットはもちろん今おっしゃったようなことであるのかもしれませんが、それぞれ随分と中身の独立性が強い。西洋、近代、そして国際美術はたしか現代美術だと思いますけれども、かなり性格が違うところがあると思うので、十分にそれぞれの美術館のよさを発揮できるように御評価をいただきたい、運営をいただきたいと思うわけであります。それでは政務次官、ありがとうございました。  では、科学技術庁関係独立行政法人化について質問をさせていただきたいと思います。  今文部省の関係で伺わせていただいたことと似ているところがあるんですが、今回科学技術庁関連は、随分と試験研究機関、基礎研究を進めていくような機関法人化されておりますですね。これはやはりどうなんでしょうか。これらを法人化する、今の言葉で申し上げれば価値観、もう少し細かい個別のことで言うとメリット、この辺はどうなんでしょうか。ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  235. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 今回の独立行政法人化につきましては、科学技術創造立国に向けた研究開発システムの見直しの絶好の機会、このようにとらえております。  これまで、国立研究機関国家公務員としての硬直性がある意味研究を阻害していたというところもございまして、今回の導入によりまして、各法人自律性、柔軟性、競争性が高まって、研究機能の一層の向上が図られる、このように考えております。期待しております。  なお、所管の試験研究機関のうち、金属材料研究所、いわゆる金材研、それから無機材質研究所、いわゆる無機材研につきましては、改革基本法を踏まえて統合して、物質、材料分野の中核的な研究機関として育成することとしております。     〔委員長退席、松本(和)委員長代理着席〕
  236. 近藤昭一

    近藤委員 政務次官、ありがとうございます。政務次官の、非常に絶好の機会だという、意気込みを大変に感じさせていただけたわけであります。  ただ、自律性、柔軟性とおっしゃるわけですが、独立行政法人化されることによって自律性、柔軟性がきちっと担保されるのかな。  これは、先ほど美術館、博物館のことでお伺いしたこととも関連をしてくるわけですが、つまり、独立行政法人化した、そこでの運営、余りむだ遣いをしちゃいけないよという評価の仕方。それと、科学技術立国日本と斉藤政務次官がおっしゃられたように、科学技術立国日本を目指していくためにこれらを法人化する、それによってメリットがあるんだということですが、どうなんですか、自律性、柔軟性は出ても、そういった採算、収支の面でかなり締めつけられてしまう、それを中心に評価を受けてしまうと、できたはできたけれども、財政の部分がそれの足かせになって、結局自律性、柔軟性はきちっとそれを発揮できないというようなことになることはないでしょうか。
  237. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 今回の試験研究機関の独法化ですけれども、一般的には独立採算制を前提とするものではなく、所要の財源措置を行うこととしております。また、研究所の独立行政法人化に当たっては、文部科学省の所掌事務に合わせ、基本的な業務として、基礎研究を行うことということを明記しております。  したがいまして、この基礎研究を行うことという目的のもとに所要の財源措置を行い、かつ、自律性、柔軟性、競争性を高めるいろいろな措置をとるということで基礎研究の一層の向上が図れるのではないかと思っております。
  238. 近藤昭一

    近藤委員 独立採算制ではないというか、きちっと研究をしてもらうようにそういう財政的な措置をするということは理解をするわけであります。  冒頭、私が申し上げましたように、独立行政法人化するメリット、一つには、そういった独立採算制を強めて、それぞれの組織の運営効率化するという部分と、もう一つは、独立化させることによって、より自由で柔軟な運営ができるということだと思うんですが、財政的には、今政務次官おっしゃったように、きちっとフォローといいましょうか、をしていただいて、それぞれの試験研究機関がきちっと基礎研究をできるようにしていただきたいわけであります。  そういう中で基礎研究をしていく。どうでしょうか、言葉にありました自律性、柔軟性ということでいいますと、今まで日本のそういった基礎研究機関は民間との協力がしにくかった。どうしても縦割り行政といいましょうか、こういう研究をしたくても、あるいはこういう民間の企業とやりたくても、なかなか許可が出なかったようなことがあるやに聞いておりますけれども、今後はどうなんですか。それぞれの自律性でかなり民間との協力はしやすくなるんでしょうか。
  239. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 近藤委員指摘のように、産官学の協力がこれからの日本の技術レベルを上げていくために必要不可欠である、このように今思っているわけでございますが、今回の独立行政法人化においてこの民間との協力は非常にしやすくなる、こういうことでございます。  これは、長の裁量による柔軟な業務運営、これはまあ中期計画の範囲内においてですけれども、業務運営が可能になるということでございまして、その長の裁量によりまして多様な協力形態を選択することが可能でございます。例えば共同研究、受託研究などの成果の帰属を柔軟に設定するとか、それから、資金の使途の制限が緩和されるために旅費等が柔軟に措置されるとか、また、受託研究収入が法人自身の収入になるとか、こういう具体的施策をもちまして民間との協力を大いに進めていきたい、このように思っております。
  240. 近藤昭一

    近藤委員 そうしますと、政務次官、今おっしゃった長の裁量というのは、独立行政法人それぞれの組織の長が、最終的にはその長の方が民間との、じゃ、こことやろうという決定を下されて、ただ、国から財政的に支援が出てきているわけでありますから、これはそれぞれの所管の省庁に報告というような形になるんでしょうか。
  241. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 基本的に、その研究所に与えられている業務の範囲内であれば、そのように判断ができれば長の裁量でできるということでございます。では、絶対報告はないかといいますと、現実にはいろいろな相談等があるかと思いますが、原理的にはその長の裁量でできるということでございます。
  242. 近藤昭一

    近藤委員 そうすると、長の裁量で行って、報告というか、それなりの機関決定をすれば決定事項が何らかの文書で出るんでしょうから、それを必ず報告という形に、結果的には報告になるんだと思うんですけれども。  そうしますと、あと、どうなんでしょう。今、予算の使い方も柔軟性が出てくるというお話が出ました。今までですと、それぞれの研究機関研究する際なかなか難しい側面があった。つまり、国から出ている補助金については、補助金あるいは物質的な支援と申しましょうか、例えば、研究の補助金をつけるあるいは研究のために新しい機械を導入するということを許可する。そうすると、現実問題としては、例えば、それぞれの研究機関である立派な研究装置を導入した、また、それに関連する予算がついた。ところが、現実的には研究所の中にそれを置く部屋を整備しなくちゃいけない。あるいは、部屋を整備するだけじゃなくて、そういう部屋を設ければ細々関連する、端的に、例えばやはりそこにファクスがあった方が研究者にとってはその部屋を使うのに便利だろうとか、ほかに机があったら便利だろうとか、あるいはその他の関連の施設、関連の事務機器のようなもの、そういうようなものがあった方が便利だろう。ところが、今までですと、本来研究のために出た補助金だから、そういった関連のものには使えないというような大変な足かせがあったようでありますが、もうこれからはそれぞれの長の方が、直接的には研究関連するものではないけれども、机とかファクスとかに長の裁量で使えるということになるわけですね。
  243. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 国の予算措置につきましては、中期計画に定めるところに従い、運営費交付金及び施設費等が措置されることになります。これらの経費の使い方につきましては、例えば運営費交付金につきましては、使途の内訳は特定せず、その執行に当たり国の事前の関与を受けることなく予定の使途以外の使途に充てることができるとか、年度内に使い残しが生じた場合には翌年度に繰り越すことができるなど、柔軟性を持った使い方が可能となっておりまして、研究開発においてもこれを十分に生かしていけるものと考えております。
  244. 近藤昭一

    近藤委員 政務次官、ありがとうございます。  そうすると、そういった予算の使い方もできる。そして、これはくどくなりますけれども、評価委員会もそういう評価をされるわけですね。そういうふうに使ってはみたけれども、評価するときに評価委員会が、なぜここにファクスが必要なのだとか、なぜここにまた新たに机が必要なのだとか、そういうような——もちろん実際問題本当に必要のないものもあるのかもしれませんが、価値基準としては、そういうものも必要であれば認められる、評価をしてくださるということでよろしいでしょうか。
  245. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 評価委員会はその組織に課せられた目標をどの程度達成したかを評価するのであって、その中身について、やれコピーを何台買ったのは買い過ぎじゃないかとかということについては評価をされない、それは長の裁量に任されている、このように理解しております。
  246. 近藤昭一

    近藤委員 ありがとうございます。  それと、これも先ほどの政務次官のお答えの中にあったと思うのですが、いわゆる研究成果の帰属については柔軟にやっていくということでありますとお聞きしました。そうすると、いわゆる研究機関が開発した技術の特許、あるいは民間の会社と一緒に研究開発した成果、例えば具体的に特許権なんかをとったという場合の帰属は今までとどういうふうに変わるのでしょうか。
  247. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 今までは国の研究機関で行われた研究の特許権は原則的に国の財産ということになっておりました。今回独立行政法人化されるわけですけれども、その職員が発明した特許権については法人の財産となることが基本でございます。しかし、その運用、処分については、法人の裁量により柔軟に実施することが可能でございます。このため、特許の持ち分の設定が自由に行えたり、特許実施に伴う収入を自己収入として直接研究所に充てることが可能となることから、積極的かつ戦略的な特許出願及び特許実施が行われるようになるものと期待をしております。
  248. 近藤昭一

    近藤委員 今特許の持ち分とおっしゃられたところでちょっとお聞きします。そうすると、特許の何割かの持ち分をその法人が持つとか、あるいはまた個人に幾らかの持ち分が帰属するということもこれからはあり得るのでしょうか。
  249. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 特許の持ち分と私が先ほどお答えしましたのは、民間との共同研究という言葉をちょっと抜かしてしまいましたけれども、民間との共同研究の場合でございまして、この場合独立行政法人と民間でどの程度の持ち分にするかという話でございます。個人への帰属につきましては、基本的には、その法人職員がその法人ないしは共同研究の費用で行った研究につきましては、法人ないしは民間企業に帰属するというふうに考えるのが妥当だと思います。
  250. 近藤昭一

    近藤委員 そうしますと、今までよりは柔軟になって、法人と民間の会社が共同で持つ。  あるいは、協力だけではなくて、一緒に共同で株式会社をつくってしまう、そんなようなこともこれからは可能なのでしょうか。いかがですか。
  251. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 ちょっと私ここは明確でございませんけれども、今回国家公務員がある企業の役員になっていいかどうかという話がありました。今回の場合はちょっとだめでしたけれども、いわゆる新しい技術を社会に普及させようという目的であれば、今後国家公務員なり独立行政法人職員がそういう新しいベンチャービジネスの役員になるというふうなことも可能になると聞いております。そういう意味で、独立行政法人が民間と共同研究をしたその結果をベンチャー化して企業化していこうということも可能だと思います。
  252. 近藤昭一

    近藤委員 開発した技術をベンチャー企業の中で実用化していく、商品化していくことが可能だろうという政務次官のお答えです。  そうすると、ちょっと確認ですけれども、法人のある方が民間の企業と共同開発をした、それを商品化する。資本については民間の会社が一〇〇%出すにしても、独立行政法人の方から、今政務次官おっしゃった、だれかが役員というようなことで参加ができるのでしょうか。確認でございます。
  253. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 独立行政法人職員といえども国家公務員でございます。制約がございます。いわゆる国家公務員ですから、全体の奉仕者でございますけれども、新しい知見を技術化して社会全体に役立てるということは全体に対する奉仕とも考えられますので、その方向でこれから検討が進んでいく、このように聞いております。
  254. 近藤昭一

    近藤委員 検討が進んでいくということでございますので、柔軟にやっていただいた方がより技術の開発が進むのではないかというふうに思います。  それでは、今回、先ほど政務次官もおっしゃられましたように、金属材料技術研究所と無機材質研究所が統合されたということでありますが、統合したメリットというのは具体的に何なのでしょうか。今まで別だったものが一つになったということでありますけれども。     〔松本(和)委員長代理退席、委員長着席〕
  255. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 これまでは金属材料技術研究所と無機材質研究所は別々でございました。金属材料と無機材料、これはもう全く性質を異にするものでございまして、研究手法も違うということで二つの研究所だったのですけれども、最近の学問の進展によりまして、原子、分子レベルでの研究になってきております。そういたしますと、金属材料であるとか無機材料であるとか有機材料であるとか、そういった区分がほとんど大きな意味を持たない、こういう現状に今なってきております。そういう学術界の最先端の事情も踏まえ、材料研究という意味では同じではないかということで、この二つの研究所を統合し、これは中央省庁等改革基本法の精神に合致するものでもございますし、物質材料分野における中核的な研究機関として設立することといたしました。  これによりまして、多彩な人材の活用、施設設備の共用による効率化を図り、金属、無機といった従来の枠ではとらえ切れない新しい領域に踏み込んだ研究にチャレンジすることが可能となります。この材料研究所によりまして、我が国の物質材料科学技術のますますの発展が期待されるところでございます。
  256. 近藤昭一

    近藤委員 そういった事象面といいましょうか、そういうことなので一つにした方がいいと。答弁は結構でございますが、ただ、せっかく一つにしたなら、その中できちっと統合したメリットを、とにかく二つのものを一足す一で二ということでは効率化のメリットはないのではないかと思うので、その点十分に御研究いただきたいと思います。  もう質問の時間が迫ってまいりましたので、最後に。  放射線医学研究所が今度独立行政法人化されるわけであります。今回日本の原子力開発史上で大変に驚くべき悲惨な事故が起きてしまったわけでありますが、この放射線医学研究所は、東海村のジェー・シー・オーの事故でも、三人いらっしゃった方のお一人を、当初は三人受け入れられたのでしょうかね、今でもお一人入っていらっしゃるんだと思いますけれども。  これは今までのシステムがちょっと変わるわけでありますが、今後、例えば今回のようなことがあった場合、ちょっと余りいい質問ではないかもしれませんが、例えばその治療費というようなものはどうなるのでしょうか。放射線医学研究所で一人の方を診られた、多分、大変に研究要素も、研究要素と言うと患者の方に失礼かもしれませんが、そういった側面もあって受け入れられるんだと思うのですが、そういう中で、どういうふうにこの際の治療費は独立行政法人化した場合は見ていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  257. 斉藤鉄夫

    ○斉藤政務次官 今回のジェー・シー・オー東海事業所における事故におきまして、放射線医学総合研究所、放医研では、災害対策基本法上の役割を踏まえまして、唯一の国の放射線医療専門機関として、重度の放射線被曝患者を受け入れ、治療を行ったところでございます。  放医研が独立行政法人化いたしましても、原子力防災対策上、役割の重要性は変わりません。今回のような緊急時における対応を明確化するため、この法律の中におきましても、「関係行政機関又は地方公共団体の長が必要と認めて依頼した場合に、放射線による人体の障害の予防、診断及び治療を行うこと。」として、放医研の業務を明確に規定をしております。したがいまして、放医研が独立行政法人化された場合でも、緊急医療の実施という面で何ら問題は生じないものと考えております。  治療費でございますが、今回の場合は労災認定となりました。しかし、一般的なことで言えば、いわゆる原子力損害賠償法による補償による治療、こういうことになろうかと思います。
  258. 近藤昭一

    近藤委員 今の政務次官のお答えの中には、本来の目的からそういうことはきちっと予算的な措置もして対応していくということ、もう一つは、今回の場合であればそういった保険費の中から支払われるので問題は余りないだろうということだと思いますけれども、本当に、特に個別のことで、この放射線医学研究所についても評価委員会においての評価をやはりきちっとそういった放射線治療の部分でしっかり果たしているかどうかということで御判断をいただきたいと思うわけであります。  それでは、質問時間が終了いたしましたので質問を打ち切りますけれども、とにかく評価の際の基準というものをきちっと、やはり国民の皆さんがあって、国民の皆さんのために今回行政法人化するということでありますので、しっかりと対応していただきたいと思います。ありがとうございました。
  259. 西田司

    西田委員長 次に、石井郁子君。
  260. 石井郁子

    石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。  提出されております独立行政法人個別法は、前国会の通則法に引き続きまして、効率性弾力性ということがキーワードになっているかなというふうに思いますが、そのもとで国立文化財研究所、国立博物館、国立近代美術館などを独立行政法人にする。これは本来国が果たさなければならない責務を放棄するものだというふうに私は考えておりまして、文部科学省関係機関独立行政法人化に反対するものであります。最初にこの立場を表明いたしまして、きょうは特に、文部科学省関係十五法案のうち国立文化財研究所、この独立行政法人化問題を中心に幾つかお尋ねをさせていただきます。  まず、文化財の分野での国の責任というものをどう果たしていくのかということが大きいわけでありまして、これはもう言うまでもなく、文化財保護法では、政府及び地方公共団体の任務として、文化財が我が国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものだ、かつ将来の文化の向上発展の基礎をなすものであるということを認識し、その保存が適切に行われるように、周到の注意をもってこの法律の趣旨の徹底に努めなければならないというふうにあるわけでございます。  また、文部省設置法の中でも、その掌握業務として、文化財の保存及び活用に関して企画し、及び援助と助言を与えることと第五条にございまして、あと細かに、文化財の管理、修理及び復旧あるいは調査に関すること等々というのが決められているというふうに思います。  こういうことを踏まえまして、国立文化財研究所というのは、これまで国の機関としてこの分野で重要な役割を果たしてきたというふうに私は認識しているのでございますけれども、その国立文化財研究所を独立行政法人にするということで、果たして文化財の分野での国の責任というのをどうとっていくおつもりなのかということを最初お尋ねしたいと思います。
  261. 河村建夫

    ○河村政務次官 お答えいたします。  石井委員も御指摘になりましたように、文化財については貴重な国民的な財産であって、文化財を保存していくことあるいは活用を図る、これは我が国の文化を進める上で大きな課題であります。そういう認識で文化行政の一端をこの文化財研究所が担っておるわけでありまして、国の一つの重要な機関であるという認識に立っております。  そこで、文化財研究所が独立行政法人化することによって変わるのかということでございますが、今申し上げたように、国の文化財行政の重要な一翼を担っておるこの文化財研究所が現在の事務事業独立行政法人化、引き継いでいくわけでございまして、そういう観点からは、基本的な役割、業務、これには変更は生じない、このように考えております。
  262. 石井郁子

    石井(郁)委員 それでは、あえて確認をさせていただきます。  国として文化財の活用、保存等々にはやはり責任を負っていくということかと思いますけれども、文部科学省としての掌握業務、先ほどちょっと申し上げましたけれども、そういう業務を減らすということではないということは確認していいですか。
  263. 河村建夫

    ○河村政務次官 運営等々については弾力的に行うということはございますが、基本的な文化財研究所の持っている役割といいますか、そういうものは変更させないということでございます。
  264. 石井郁子

    石井(郁)委員 そういうことでございましたら、私ちょっと具体的な話を伺いたいのですけれども、国立という名称に関することなのですが、文部省は八月の段階ではすべての機関に国立の名称を残すというふうに言っていたかと思うのですけれども、それはどういう根拠からでしょうか。
  265. 河村建夫

    ○河村政務次官 文部省所管の十三業務、十一法人ございます。その中で、どの部分について国立を残し、残さないかといろいろ議論があったところなのであります。  その仕切りとして最終的に考えましたのは、当該法人国民に対する直接的な行政サービスを提供するものである、それから、調査研究等その業務実施する際、広く国民の協力を求めていかなければならぬ、そういう意味で、国立という名を冠して国民への信頼性を高めた方が業務を遂行する上で意義がある、こういう観点で国立という名を残す、残さないということにしていったわけでございます。  そこで、文化財研究所を国立にするかしないかということがあったわけでありますが、以上の観点からいきますと、この文化財研究所は文化財の保存、活用に関する専門的な調査研究をやっている、それから埋蔵文化財の発掘調査等が主たる業務でございまして、今申し上げたような観点からいいますと、国立という用語をその機関の名称として使用しなくてもいい、こういうふうな判断だったわけであります。
  266. 石井郁子

    石井(郁)委員 私は、どうも今の御答弁を伺っておりまして、ちょっと無理があるなというふうに思わざるを得ません。  最初にお話しされましたように、やはり国民に協力を求めなければいけないとか、国民に直接サービスを提供するだとか、国民との関係を強調されたと思うんですね。  文化財、まさに国民と非常に密接に関係している分野だと思うんですよ。やっていらっしゃる人は専門的ではあるけれども、まさに文化財というのは本当に国民的な共有財産でもあり、今多くの国民的な関心事にもなっておりますし、この機関でいろいろな修復、研修等々も広く国民にしていらっしゃいますよね。だから、国立を残す理由と外した理由と、これは全然合いませんよね、無理だと思います。やはり、なぜ国立文化財研究所、ただ一つここだけ国立という名称を外したのか、ちょっとそれでは納得いきません。
  267. 河村建夫

    ○河村政務次官 国民との接点のお話を申し上げましたが、もちろん文化財の借用など国民の協力がなければできないことであります。ただ、その対象がある程度限定をされる、社寺等の文化財保有者であるとかあるいは地方公共団体にゆだねる、そういう観点から、独立行政法人の制度の趣旨が十分説明することによって御理解いただける、御協力がいただけるものだという観点に立っていたからであります。
  268. 石井郁子

    石井(郁)委員 私ちょっとこだわりますのは、文化財研究所というのは、長年にわたって国民に開かれた研究所としていろいろ活動してまいりました。それから、最近は、県立だとかあるいは財団という形での文化財研究所というのは随分あちこちに出てきているのですよ。そうすると、まさにそういうことの一つとして見られてしまうということが心配なんですね。これは関係者の間から強く出ているわけです。やはり国立文化財研究所ということにすることで、その信頼性だとかそういうことが本当に保たれるというふうに思います。  それから、東京の文化財研究所もそうですけれども、最近は非常に国際的な活動を行っていますよね。文化交流、保存、修復問題ということでいいますと、非常に国際的ですよ。だから、東文研も奈文研もそういう非常に国際的な交流、活動をしている中で、やはり国立とあることが非常に重要だということはもう言うまでもないというふうに思うんですよね。ですから、これは新聞報道にもありましたけれども、独法化に当たってなぜ他の十二機関は現状維持で文化財研究所だけを外したのかというのは、どうも新聞報道でもはっきりしませんし、今の御説明でも釈然としないということがあるわけですね。  私、ここであえてこうしなさい、ああせよと御答弁いただきませんけれども、国立を外すという理由はどうしても納得いかない、また必要性もないということを強く申し上げておきたいというふうに思います。  さて、次の問題なんですけれども、こういう国立文化財研究所のような研究機関独立行政法人でやっていけるのかどうかという問題、これは先ほども議論がありましたけれども、その問題に移ります。  この独立行政法人化によるメリットとしてずっと政府として言われてきているのが、三年—五年期間の中間目標の設定と、そして評価委員会による評価システム等々が挙げられてきているわけですけれども、中間目標というのは、できる限り数値による等達成状況が判断しやすいように設定するということにされているわけですけれども、文化財研究所の場合、目標を数値化するといった場合にどういうことが考えられているのでしょうか。
  269. 河村建夫

    ○河村政務次官 独立行政法人中期目標についてでありますが、「各独立行政法人業務内容、性格に応じた目標の設定となるよう特に配慮するものとする。」こうされております。中央省庁等改革の推進に関する方針でございます。平成十一年四月二十七日に推進本部が決定をされたところでございます。そこで、中期目標の設定に当たっては、文化財の保存あるいは活用を図るという文化財研究所の目的にかんがみて、調査研究活動の特性を踏まえた適正な目標の設定が必要であるというふうに思っておるわけでございます。  そこで、具体的にどうするかということでございますが、これは今後の検討課題にもなってくると思いますけれども、文化財研究所の調査研究活動というものは、文化財保護行政の推進に大きく影響することであること、それから基礎研究から応用研究に至るまで広範な調査研究をやっておりますから、その運営に当たりましては、研究所の自主性を尊重する必要がある。それから、文化財に関する調査研究の中核的施設として、専門的観点から、地方公共団体等に対して指導助言を行っております。こうした特性がございますので、これらを配慮いたしまして、中期目標の立て方についての検討をこれから進めてまいりたい、このように考えております。
  270. 石井郁子

    石井(郁)委員 その研究の特殊性や自主性などもいろいろ配慮されるということが必要かというふうに思うんですけれども、そもそもこういう考古学の研究の分野でも、やはり研究というのは自主的に行うものだと思います。そういう意味でも、その研究がどういう成果を生むかというのはずっと先になって初めてわかるという部分がありますから、研究の芽を摘む、こういうことを絶対避けなければいけないと思うんですね。私は、そういう意味で何か、中期目標というのでしょうけれども、三年—五年という目標の設定が機械的にされますと研究を非常に阻害するということを思うわけであります。  それで、一つ例を申し上げたいのですけれども、奈文研の場合は平城京の発掘という、実は私もその近くに住んでいたのですけれども、この平城宮跡の今約三〇%を発掘しているのですけれども、大体四十五年という歳月がかかっているということがあります。  それからもう一つ、奈文研の埋蔵文化財センターの発掘技術研究室というところが本当にすばらしい研究成果を上げておられるのでございまして、これは、年輪年代測定法ということなんですけれども、アメリカ、ヨーロッパではもう早くに開発されていたのですけれども、日本では気候の条件だとかいろいろな条件、環境条件等でなかなか共通パターンを導き出すのは難しいということで、長年手つかずだったと言われているのですけれども、十七年間かかって年輪によって年代がわかるという方法を発見したということで、これはもう考古学に革命をもたらしたと言われるものですね。  だから最近、今まではこの遺構は弥生時代だと思っていたものが、実は縄文のもうかなり早くにさかのぼるということがわかった。つまり、そこの建造物に使われたヒノキとか杉などの伐採したときの年輪を見ることによって、年代がかなり正確に測定できるということなんですね。今日では本当に有名な研究なんですけれども、十七年間かかった。この埋蔵文化財センターで、たった一人の研究室でされたということなんですよね。  私は、こういうことを見ましても、これをもし切っていたら三年—五年でどんな成果かというふうに、到底こういうことにつながらないだろうというふうに思うんですよね。だから、こういうことこそが、まさに国立だからこそできるというふうに思うんですね。長期研究や基礎研究を大事にするという点でいうと、本当にこういう国立の研究機関の持つ役割というのは非常に大きいものがあるというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  271. 河村建夫

    ○河村政務次官 委員指摘のとおり、確かにそうした文化財は、かなり長期間にわたって研究をなさってその成果があらわれるというものがたくさんあるというふうに思いますから、一概に中期目標を立てて、そのとおりにやらなければ、その研究所の成果が上がったか上がらないか、上がらないのではないかというような評価をするということはできないというふうに思います。これは、文部省関係の十一の独立行政法人があるわけでございますが、評価の難しいところでありまして、そこのところは評価をする際の一つの大きなポイントになるであろうというふうに思います。  しかし、だからといって、その長期間の中にも、その間の三年—五年はどうするという目標が立てられないわけではないというふうに思っておりまして、そうした適切な評価は、まさに調査研究、いろいろな研究がございますから、その特性に応じて評価をやっていただくということでこれへの対応はできるであろうというふうに思っておりますし、調査研究をめぐる、長期にかかるとか条件がかなり厳しいものであるとかというようなことについて柔軟に対応して、調査研究が活性化していくように、長期間でありますからそのままほっておくというわけにいきませんから、その期間期間において定期的に評価実施しながらそれを進めていくということも必要ではないかな、そういうことで中期目標の設定には十分工夫をしなきゃいかぬことだろうというふうに考えておりますが、そういうことによって、私はこの中期目標の対応ができてくるのではないだろうかというふうに思っております。
  272. 石井郁子

    石井(郁)委員 私は、やはり効率性ということで評価を考えていきますと、非常に研究機関の場合は無理が生じる、しかも将来の大事な研究をそこで失わせてしまうということが起こり得るというふうに強調しておきたいというふうに思います。  もう一点の問題は財政問題なんですね。これも、原則として企業会計原則によるということになっているわけで、単年度の予算ではなくなるとかいうことで、効率的な弾力的な運営ができるという話も一方でありますけれども、やはり独立採算制を前提としないというふうに言っても、この文化財研究所などの場合はほとんど自己収入というのも見込めないわけですよ。  言われているのは、デパートやマンションを建てるときに埋蔵文化財の調査をした、そのときの費用の収入ぐらいだと言われているのですね。それから、奈文研の場合は、この埋蔵文化財センターでは、いろいろな地方公共団体の発掘調査に携わっている職員のための研修なんかもやっているわけですね。ですから、今言われているのは、そういう研修をする機関として、これは全国でも大変期待もされ、また信頼もされている施設なわけですけれども、現在そういうのは無料でしょう。ところが、こういう自己収入を上げよというような形になると、講習料を取られるんじゃないか、取らざるを得ないんじゃないかだとか、こういう心配もあるわけであります。  そこで、具体的に伺いますけれども、十一年度で事業量の予算は奈文研で十八億百四十六万円なんですね。それで、東京の文化財研究所の場合は五億四千九百七十万円等々の予算がついているかというふうに思うのですが、こういう予算は引き続き措置されるというふうに考えていいわけでしょうか。
  273. 近藤信司

    近藤政府参考人 お答えをいたします。  今回の独立行政法人化に当たりましては、東京国立文化財研究所と奈良国立文化財研究所の二つの研究所を合わせて一つ法人移行することとしているわけでございますが、これは、複数の機関統合することによりまして、例えば事務事業を継続的、安定的に実施する法人として適切な規模を確保できること、あるいは各研究所間におきます連携が円滑に行われやすくなること、こういったことなど、事務事業の質の向上や効率化等に資するものと考えることによるものでございまして、文化財研究所につきましては、基本的には現在の事務事業独立行政法人移行させることとしておるわけでございまして、今御指摘がございましたような文化財研究所の予算につきましては、十分配意をしていきたいと考えております。
  274. 石井郁子

    石井(郁)委員 私は、やはり今の御説明を聞きますと、これは本当に心配だなというふうに思いますよ。  つまり、東文研と奈文研を統合するということで、それによって事業量は、ここは削るということを暗に言われたわけでしょう。だから、やはり最初の国立の名称を外したことでも私こだわったのですけれども、国が文化財を守る、その活用、保存についてもきちんと責任を負うということを言いながら、実際上、予算措置ではそういうことをどんどん縮小していくという点では、私は、本当に国の姿勢が文化行政で問われているということを言わなきゃいけないと思うのですね。こういう人員、予算等々についてきちんとやはり確保していくという立場に立つべきだと思うのですが、政務次官、いかがでしょうか。
  275. 河村建夫

    ○河村政務次官 石井委員が文化財の重要性を力説されたこと、私も敬意を表したいというふうに思いますし、おっしゃるとおりでございまして、独立行政法人にすることによって文化財保護行政というものが後退をするということであっては意味がないわけであります。そういう観点から、今の御指摘を十分踏まえて、交付金でございますが、十分文部省として配慮をすべき課題である、このように思います。
  276. 石井郁子

    石井(郁)委員 政務次官のそういう御答弁は非常に私は重要だというふうに受けとめておりますので、ぜひ期待したいと思います。それはやはり政治家としての御発言をいただいたというふうに思うのですけれども、私は、文化財研究所のお話で申し上げましたけれども、これは美術館、博物館ともに共通した問題ですよね。  この点は日本学術会議も懸念をしていまして、これは先月、十月二十六日には、総会で学術会議の中の芸術学研究連絡委員会が報告文書をまとめておりますよね。もう時間がありませんので紹介しませんけれども、本当にこういう文化庁の附属機関の各機関、博物館、美術館、西洋美術館、文化財研究所等々九機関が芸術諸学の研究の発展に果たしてきた役割は極めて大きい、それから独法化に当たっても、ぜひこの長期的な展望のもとで必要な予算、人員の確保を図ってほしいということを述べておられますので、その点もぜひ重ねて強調しておきたいと思います。  私は、この点の最後に、実は独立行政法人化はイギリスのエージェンシー化とよく比較されるのですけれども、これは驚くことに、イギリスのエージェンシーでは文化関係機関というのは入っていないのですよね、これは一覧を見ましても。だから、大学ももちろん入っていないし、ということでいいますと、私はやはり文化関係を他のこういう行政の機関と一緒に扱うということはそもそも無理があるということをずっと思っているのですけれども、非常にそういう点でも特別な対応をしなければいけないんじゃないかというふうに思っています。  文部省もそれから文化庁も、口を開けば文化立国というふうに言うわけですから、これをぜひやはりお題目にしない、ちゃんと文化行政の発展の財政的な措置をするということを、重ねて私はぜひ力を尽くしていただきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。いかがですか。
  277. 河村建夫

    ○河村政務次官 文部省としても、いろいろな各方面の御意見を拝聴しながら今回独立行政法人化に踏み切ったわけでございまして、石井委員もいろいろ御意見をお持ちのようでございますが、この独立行政法人が結果的に文化行政について推進できるように、ひとつ御協力もいただきながら我々も進めてまいりたい、こういうふうに思います。
  278. 石井郁子

    石井(郁)委員 私は、文化行政というのはやはり国の責任としてきちんと発展させなきゃいけない、国のこの責任をあいまいにしてはいけませんということを申し上げているわけでして、その点では一致しているかなというふうに思いました。  時間も迫ってまいりましたけれども、最後に一点だけ、国立大学の独立行政法人化の問題について、私は文教委員会でも先般御質問したのですけれども、その後やはり事態がいろいろ変化しているというのか、動きがございますので、ちょっと伺っておきたいというふうに思います。今回、個別法では国立大学の問題は出ておりませんが、今大変重要な段階に来ているというふうに認識しておりますので伺いたいと思います。  それは、十一月十八日に国立大学協会が会議を開きまして、それを受けて会長談話を発表しているのですね。その会長談話では、これはもうその前提に、おわかりのように、九月二十日に文部省が国立大学も独立行政法人化の方向を検討するということを出しておりましたので、それに対する態度かなというふうに思いますが、ここでは、やはり独立行政法人設計図としての通則法問題点がだれの目にも明らかになった、しかし事態は賛成、反対を唱える以前の段階にとどまっているということで、この独法化の設計図の不備は指摘はできるのだけれども、しかし二十一世紀における教育研究のさらなる発展、人材養成という見地からして、まだ本格的な問題の解決とはなりがたい、だから、今必要とされているのは、次世代の国民への責任を踏まえての国公立、私立を含めた高等教育総体の大胆な変革にほかならないし、しかしそのための設計図はまだ描かれていないという認識を発表しておられます。  こういう日本の高等教育全体の二十一世紀に向けての設計図がないじゃないかという国大協の意見の表明に対して、どのようにお考えでしょうか。
  279. 河村建夫

    ○河村政務次官 国立大学の独立行政化問題について御指摘をいただいたのでありますが、二十一世紀に向けて大きな転換点である今日に、大学審議会といたしましても、昨年、二十一世紀の大学像というものを打ち出しておりまして、教育研究面での国際的な水準を確保するとともに、責任ある自律的な運営によって多様化、個性化を推進する、そういうことを重視して、個性が輝く大学を目指すべきであるという提言がなされておるわけでございます。文部省としては、この提言を踏まえながら、我が国の大学が切磋琢磨の関係の中で個性化を進めて、世界的な水準、世界に冠たる大学をつくっていかなきゃいかぬ、こういう考え方に立って、それが可能になるような教育条件、研究条件を整備することが必要であるというふうに考えております。  そういう面で、今回の国立大学の独立行政法人化の問題も、そうした大学像を目指して、そして大学改革という観点から進めていかなければいかぬというふうに感じておるわけでございまして、十一月十八日に国大協におきまして、蓮実協会長が談話をお出しになったということは承知をいたしております。これについても、どう思っておるかということでございますが、私は、会長がおっしゃったことは、今日の独立行政法人通則法がそのまま国立大学の運営適用されるということを考えるといろいろな問題点があるということでございます。この方針については、さきの有馬大臣のときも、特例措置を考えていかなきゃいかぬだろうという方針をお出しになったわけでありますが、そういう指摘が第一点。それから、国立大学の独立行政法人化は、行財政改革の視点からではなくて、国公立、私立大学を通じた今後の高等教育改革の観点から議論されるべきことである、この二点。特に、第三点として、高等教育、学術教育の財政環境の整備についての展望を出してもらいたいという点が指摘をされておりまして、この点については、文部省も十分、今後、これを進めていくかどうかの結論も踏まえながら、この問題については当然大きな関心を払ってまた進めていかなきゃいけない指摘であろう、こう思っておりますので、今回の談話が文部省の考え方に反して表明されたものとは受けとめてはおりません。
  280. 石井郁子

    石井(郁)委員 でも、そこはもう少し慎重に見ていただきたいなというふうに思うんです。これは前の国大協会長の阿部謹也先生も、確かに大学審でいろいろ議論をしてきた、自分も加わっていたけれども、しかし、本当に二十一世紀の大学像が論じられているかというとそうじゃないということをあえておっしゃっていられるんですよね。だから、将来計画を出さないで、いわば、お金を切り詰めるとかこの形態だけを変えようという議論を先行するというのは、やはり発想としても非常に問題だということが今各大学人の間から言われているんじゃないでしょうか。  それで、私は、最後に一点ですが、これまで文部省、政府も、国立大学の場合は平成十五年までに結論を出すということでしたけれども、本当にこの夏から秋にかけて急展開をいたしまして、平成十二年度のできるだけ早い時期に結論を出すということで今動いているかなというふうに思うんですが、しかしこれは、本当にこのままではやはり混乱をさらに広げるし、拙速この上ないというふうに思います。文部省として、国立大学の独立行政法人化の方向を出しましたけれども、白紙に戻してお考えになるという考えはございませんか。
  281. 河村建夫

    ○河村政務次官 今御指摘のように、文部省としては、平成十五年までに、制度の詳細な点も含めて、この独立行政法人の問題は、国立大学については時間をかけて検討しなきゃいけない問題だという認識に立っていることは間違いございません。  しかし、それならそれで、早い段階でこの問題についてやはり協議をする必要がある、関係者の理解も必要だ、これは大学改革の根幹にかかわる問題でありますから、この大きな枠組みを決定する必要があるということから、ことしの九月二十日に、国立大学の独立行政法人の検討を行う際の基本的な方向を明らかにしたわけでありまして、そういう意味で、早い時期にやることが今後の大学改革にとってもつながることでございまして、またこれまで、ややもすると、国立大学が世界の大学の中で取り残されてきたではないかというような指摘も受けております。私が言っていますように、私の言葉で言うのでありますが、護送船団方式の中に国立大学もあってはならぬわけでありまして、これから競争関係、また国際的な競争関係にも立ち向かっていかなきゃいけない、そういう大学をつくっていく上では、独立行政法人のことも含めて、これから本格的な大学改革に取り組んでもらう、この指摘といいますか、今回の文部省の指摘がまさに国立大学の活性化につながっておりまして、何も大学の研究をしていないではないかとおっしゃいますが、今、各大学では、どういうふうに取り組んでいくかということで真剣な議論をされておるところでございますので、それを生かしてまいりたい、このように思っております。
  282. 石井郁子

    石井(郁)委員 これはやはり、国立大学、まさに二十一世紀の日本の将来がかかっている問題ですから、本当に慎重に議論をしなければいけません。
  283. 西田司

    西田委員長 石井君、申し合わせの質疑時間が過ぎておりますので、御協力を願います。
  284. 石井郁子

    石井(郁)委員 私は、世界の中で取り残されているというのだったら、やはり財政的な措置なんです。予算がもう本当に、世界から見て恥ずかしい、貧しい状態なんですね。このことを指摘して、質問を終わります。どうもありがとうございました。     〔委員長退席、松本(和)委員長代理着席〕
  285. 松本和那

    松本(和)委員長代理 この際、内閣提出中央省庁等改革関係法施行法案国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係五十九法律案及び独立行政法人業務実施円滑化等のための関係法律整備等に関する法律案の各案について審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。樽床伸二君。
  286. 樽床伸二

    樽床委員 御声援ありがとうございます。質問させていただきます。  私どもの民主党から、新しい各省庁別に、独立行政法人についていろいろと質疑をさせていただきました。そういったことにつきまして、総括的な意味を込めて質問をさせていただきたいと思います。  まず、その前に、実は先週の金曜日、私どもの石井紘基議員の質問に対しまして、持永政務次官からの発言の中に、少し読ませていただきますが、中央省庁等改革基本法において、この独立行政法人の中で特定独立行政法人については国家公務員身分を与える、こういう規定になっております、これも法律であります、また、片一方、定員法の方もこれは法律でありまして、その定員法の方は、独立行政法人の定員は定員の枠に入らないということを規定しているのも、これまた法律であります、両方法律でありまして、法律が矛盾するとおっしゃればそのとおりだと思います、このように御答弁をいただいておるわけでありますが、要は、法律法律が矛盾をしているということを政務次官みずからお認めになっている、こういうことを私ども認識をいたしております。本日、これにつきましての答弁は結構でございますが、これからいろいろな委員会がございます。私どもの委員の中には、我が党の予算委員会の筆頭理事もおりますので、今後、予算審議等々の中で、矛盾する法律が果たしていいのかどうかということにつきましてもいろいろと厳しく私どもから指摘をさせていただきたいと思います。冒頭に申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)私は優しいんですが。どうも失礼いたしました。  それでは、総括的な意味を込めまして質問させていただきたいと思います。  まず、今回の委員会の運営につきまして、与党の皆様方の御理解もいただきながら、各分科会形式でやらせていただいたわけでありますが、先ほどの文部科学省での我が党の委員質問にもありますように、まだまだ十分でない、こういう認識を強く持っております。そのことは冒頭に強く申し上げておきたいと思います。また、私どもは、この独立行政法人につきまして、基本的に十分でない、こういう意味から、その根本のところが十分でないという認識を持っております。いろいろと御議論がなされたわけでありますが、その中でも、本当に行革がこれで進むのかということにつきまして、我々は大きな懸念を持っております。今回限りで終わってしまうのではないか、こういう懸念を我々野党側は強く持っているということは、長官、十二分に御認識をいただきたい。決してこの場で終わるものではない、こういうことを強く要求したいと思います。そういった意味におきまして、もう何度もおっしゃったかもわかりませんが、いま一度力強く決意を、総体的な決意をまずお聞かせいただきたいと思います。
  287. 続訓弘

    ○続国務大臣 樽床委員は松下幸之助先生の門下生であります。私は昭和五十五年、実は鈴木知事のもとで二回ほどお目にかかりました。あの幸之助翁が鈴木知事にこんな提言をされました。というのは、鈴木知事と松下翁は、かつて大阪万博のときの大変深い関係がございました。当時、鈴木知事が必死になって都財政の再建をしておられる最中でありました。そのときに、いみじくも今回の独法の問題だとかあるいは特殊法人の問題だとか、今先ほどおっしゃいました行政のスリム化だとか、そういう話を真剣にされました。その話をまず御披露申し上げたい。  これからの日本は、二十一世紀の日本は、まず自由で公正な社会でないとだめですよ、そして活力のある社会でないと日本は没落いたします、そのために私は何回か提言をしておる、しかし、政府は聞く耳を持たないという状況だ、だから私は、志ある者を教育するために一つの、まだそのときはそうでなかったので、将来はそういう志ある者を養成して、国家百年の大計をつくりたい、あわせて、自分の私財を投じてPRの雑誌を創設する、私が立たなければどうにもならない、こんな決意を述べられました。そのときに、まさに官より民へ、中央から地方へ、そして行政の透明化、業績評価、今政府がやろうとするそういう手法をすべて二十数年前に提言されました。私は、さすがだな、こんなふうに思いました。その教え子のあなたが一番おわかりのことと存じます。  そういう理想に向かって、私どももおくればせながら進んでいるということを御理解賜りたいと存じます。     〔松本(和)委員長代理退席、委員長着席〕
  288. 樽床伸二

    樽床委員 私どもの恩師に対しまして大変温かいお言葉をいただきまして、心からお礼を申し上げる次第でございますが、ちょうど今長官がおっしゃいましたように、私の恩師が、政治に経営感覚を導入しなければならないということが私どもに対する教えでありました。経営といいますとついつい民間企業の経営というふうにとらえがちであるけれども、経営というのは、国の経営、国家経営が国政であり、地方の経営が地方の政治である、こういうことを強く我々は教えられたわけであります。長官はそういう話を私にお聞かせいただきまして、松下幸之助さんと同じ決意を持って臨むんだ、こういう決意を今申し述べられたというふうに私は理解をいたしておるわけであります。  それでありますと、ちょうどそれと同じころでありましょうか、中曽根先生行政改革の先頭に立って頑張られたという時期がありました。御記憶には当然あることだと思います。その行政改革を陣頭に立って推進されたことによって、後、我が国のトップにまで上り詰められた、こういうこともまたあるわけでございます。  今回の新しい連立体制の中で党を代表して小渕内閣に入られておられる長官といたしましては、その出身されておられる政党のためにも、今最も大事な行政改革にすべての力を注ぎ込んでやってもらわなきゃ困る、このように私は逆に申し上げておきたいわけでありますが、改めてもう一度御決意をお聞かせいただきたいと思います。
  289. 続訓弘

    ○続国務大臣 樽床議員から頑張れという声援をいただきまして、大変ありがとうございました。  私は、就任の際にもお話を申し上げました、決意を表明いたしました。不動の姿勢でこの行政改革を断行する、それ以外に日本を救う道はない、こんなぐあいに思っております。
  290. 樽床伸二

    樽床委員 そういう中で、何度も議論がこの委員会の中でされたわけでありますが、評価委員会のことであります。それぞれ主務省が評価委員会をつくって三年ごとに評価をしていく、こういうことでありますが、我々はついつい懸念をいたしますのは、それぞれの主務省が自分の管轄をしているところを評価する、これはこれで結構でありますが、ぜひとも総務庁が全体を評価する委員会のようにならなきゃならぬというふうに私は思っております。そこら辺の決意はいかがですか。
  291. 続訓弘

    ○続国務大臣 まさに御指摘のとおりであります。各省庁が評価委員会をつくられます。同時に、それをダブルチェックするために我々総務省に評価委員会を設置する、こういうことでございます。
  292. 樽床伸二

    樽床委員 その折に、総務省になるんですか、新しい役所のところで十分でないという判断をされたときには思い切って英断を振るわれる決意はあるのかどうか、いま一度お聞かせをいただきたいと思います。
  293. 続訓弘

    ○続国務大臣 これは、国民皆様の監視のもとで、同時に国権の最高機関である国会が監視しておられる、そういう国民の御期待、国会の監視に十分こたえられる評価委員会でありたい、こんなふうに思います。
  294. 樽床伸二

    樽床委員 とにかく強い決意を述べられましたのでそれに大いに期待をしたいと思っておりますが、我々は、行革が本当に今回限りで終わらずに進んでいくのかということに対してはいまだ大きな懸念を持っております。  私どもは、特に民営化、役所の中の仕事を民営化できるものは民営化したらいい、このように思います。今回の独立行政法人のそれぞれの枠の中で、私どもの認識では、もう既に民営化してもいいではないかと思うものを民営化まで行かずに独立行政法人でとめてしまっているというものもいろいろ質疑の中で発見できたのではないかと私は思っておりますが、そういうところについて、さらに民営化できるというふうなことが判断されたらさらに突っ込んでいく決意があるのかどうか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
  295. 続訓弘

    ○続国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、国民が監視をしておられる。要するに、三年ないし五年の中期目標を設定する、その目標に向かってどういう努力をしたのかという評価をちゃんといただける。そういう監視の中で、あるいは国会の厳しい監視の中でいわゆる存立が問われるわけですから、当然のことながら、不断の見直しは必要だと存じます。
  296. 樽床伸二

    樽床委員 そういう中で、私どもは、結局は第二の特殊法人になるのではないのかという懸念も、何度もこの席でそれぞれの各省庁に対して質問を投げかけました。これはなかなかこの法律の中からはできないだろうとは思いますが、今何でもありのような政治状況になっておりますものですから、まさか財政投融資から独立行政法人に対して資金を入れるというようなことはないでしょうね。長官、いかがでしょうか。
  297. 続訓弘

    ○続国務大臣 これは、ストレートに、ありません。
  298. 樽床伸二

    樽床委員 現在の枠組みの中ではなかなか難しいとは思っておりますが、先ほど言いましたように、介護保険の問題でも一夜にして方針が変わる現在の政治状況であります。第二の特殊法人に、その方向に決して進まないように、長官として厳しい目でチェックをしていただきたい。切にお願いを申し上げる次第であります。  また、次の質問でありますが、先ほどの文部省でも十一ありましたね。こういう独立行政法人、各主務省ごとに数多くあるところとさほどないところとありますが、数多くある中で、これは統合できるというふうな判断がされた場合には速やかに数を整理していくということをぜひともお願いしたいわけでありますが、そのあたりの御決意はいかがでしょうか。
  299. 続訓弘

    ○続国務大臣 御趣旨は当然のことだと思います。
  300. 樽床伸二

    樽床委員 それでは、もう一つ質問を申し上げたいと思います。  私どもは民営化ということを先ほど申し上げました。そういう中でいいますと、必ずしも今の段階で、この分野は、業務は民営化できるというふうに確実に確信を持てないものもあるのも事実であります。できるかな、できないかな、これはなかなか判断がつかないものもあります。そういうものはとりあえず今回の独立行政法人化をして、その中で例えば民間と競争をしていく、こういうようなことの中で民営化できるという確信が持てるかどうかということをチェックしていくことも私は必要だと思っております。  そういうことにつきまして、民間の同じような仕事をやっているところはたくさんあります。今回決まった独立行政法人だけしかできないような仕事ではなく、ほかの民間でも同じような業務をやっているところはあるわけでありますから、そういうところとの競争で、民間に任せた方がいい、このような御判断をどこがされるのか、そしてされたものをどこが推進していくのか、改めて確認をさせていただきたいと思います。
  301. 続訓弘

    ○続国務大臣 何回もお答え申し上げていますように、独立行政法人は、それぞれに主務大臣のところで中期目標、三年ないし五年の中期目標を定め、そしてそれに向かって真剣に事業の推進をされるわけです。しかし、今お話しのように、真剣に推進されたものの、民間との比較において非常に非効率的であるということであれば、当然、評価委員会でその評価がマイナスの評価になる可能性はないわけではないでしょう。  そういう意味では、先ほど申し上げたように、国民の監視の中、そして国会の監視の中にこれは置かれるというわけですから、判断はすべて国民であり、国会である、こんなふうに思います。そして、それは同時に主務大臣が責任を持って措置をされる、こういうことになります。
  302. 樽床伸二

    樽床委員 私は、とにかく行革が今回限りで終わらないということを冒頭に申し上げました。それは大変重要なことであります。  学問的な話になって恐縮でありますが、行政というのはややもすれば自己肥大化をしていく、このようなことが言われております、副知事をされておられましたからもうよく御存じのことだと思いますが。ですから、不断の行政改革をしていかなければならない。  そういうことにおきまして、今最後にそれぞれの主務省の大臣がとおっしゃった。この大臣をさらに統括する長官の立場が大変重要になる。だから私は、中曽根元総理のお名前を出させていただいたわけであります。あのときの中曽根元総理が、当時はまだ総理の前でありましたけれども、中曽根先生がいろいろなところを全部しりをたたいて行政改革に進んでいった。その決意が、各大臣に任せるのではなくて、その大臣をさらにしりをたたく役目が長官にあるということを私は申し上げているわけでありまして、そのあたりどうですか、もう一回、我々が納得できる力強い決意を述べていただきたいと思います。
  303. 続訓弘

    ○続国務大臣 仕組みは、先ほど申し上げましたように、主務大臣がまず評価委員会の評価を受けて議論をされるわけですけれども、同時に、それは総務庁に上がってくるわけです。総務庁の評価委員会が、要するに、これは民間よりも非効率的だ、そしてまた、他の民間と比べても、民間にもこういう事業がある、したがって、もう既に実効性が薄れているという判断が下されれば、当然、総務省が、総務省大臣がしかるべき決定をするという仕組みになっております。
  304. 樽床伸二

    樽床委員 仕組みはそのとおりでありますが、結局、いろいろな組織があっても、最後は人がすることであります。その一人の人のリーダーシップで国は変わるということを、我が国も世界じゅうもこれまで何度も歴史の事実が証明をしているわけであります。新しい連立の枠組みの中で、私どもはその連立の枠組みに大反対をしているわけでありますが、あえて小渕総理がこの新しい枠組みで政治を運営していく。その党の代表として長官は入られているわけでありますから、そこら辺の強い決意の中で、行政改革を決して後退させない、このような決意で臨んでいただきたいということを心からお願い申し上げ、そして、そうでなければ我々は厳しいチェックをさせていただくということを申し上げさせていただきまして、私の質問を終了いたします。
  305. 西田司

    西田委員長 次に、平賀高成君。
  306. 平賀高成

    平賀委員 日本共産党の平賀高成です。  行政改革会議の最終報告を受けた中央省庁等改革基本法、そして各省設置法、独立行政法人通則法、そして今回の個別法案、私は、これらの行政改革関連の議論にこの間参加をしてまいりました。政府は、自民党政治が生み出した六百兆円の財政赤字、これを解決することが行政改革だと言っています。行政改革会議の最終報告の中で明らかにしておりますように、独立行政法人制度の導入は、行政の減量化、効率化目的があります。  そこで、総務庁長官に聞きますが、独立行政法人は、これは、行政機能の減量化、アウトソーシングという考え方の中で導入されたものではないのでしょうか。
  307. 続訓弘

    ○続国務大臣 平賀委員には前回もお答え申し上げました。いろいろな議論があるかと存じます。しかし、この独立法人化は、先ほど申し上げましたように、やはりこの国のありよう、これを模索しながら一番いい方向に持っていく、そのための一つの手段である、こんなふうに思います。  したがって、確かに効率化も必要であります。同時に、サービスを低下させてはならない。その二律背反をどうやって整合させるのかというのは、やはりその衝に当たる理事長なり経営者の妙だと私は思います。そのためにいろいろな知恵を出す、その知恵は幾らでもある、知恵を出す余地が独立法人化することにあるということをるる説明申し上げました。御理解を賜りたい。
  308. 平賀高成

    平賀委員 今いろいろと、独立行政法人にした方が一層よくなるんだという趣旨のことを述べられたと思います。  行政改革会議の最終報告、この七十五ページのところで、行政機能の減量化の基本的な考え方というところがあります。そこでは「行政機能の減量は、重要な課題となる。」「外局制度及び独立行政法人制度を活用し、その自律的、効率的な運営の徹底を図る。」行政の徹底的な効率化のために独立行政法人を導入するんだということがはっきり書かれておりますが、このことをお認めになるのですか。
  309. 続訓弘

    ○続国務大臣 先ほどもお答え申し上げました、効率化は私は当然だと。ということは、国民の貴重な税金なのです。税金をどうやって効率的に使うのか。そして同時に、国民が期待するようなサービスをどうやって実施するのかというのが我々に課せられた、先ほど申し上げた二律背反の問題だ。それをうまく期待にこたえるような手法が独立行政法人だ、こう何回も申し上げているわけであります。
  310. 平賀高成

    平賀委員 この独立行政法人は、行政の徹底的な効率化を行っていくその手段として導入するんだということをここの最終報告にもちゃんと書いてあるのですよ。それを結局大臣は認めないのですよ。独立行政法人の制度そのものというのは、行政の減量化を目的に導入されて、そして運営については、これもその効率化を徹底して追求するんだということになっています。しかも、所管大臣が一方的に目標を立てて、その目標に沿って独立行政法人が計画をつくっていく、達成のために努力をする、こういう制度になっているわけです。しかも、評価委員会の評価も、これは数値によって評価をするんだ。そして、採算やコスト優先の運営であって、結局効率の悪い基礎研究や医療施設や教育機関などが軽視をされていくわけです。  ですから、結局、独立行政法人の導入ということになりますと、これはその質的な向上を図るということではなくて、国民生活にかかわる公共サービスの低下になっていくことは明らかだということを、私は改めて指摘をしておきたいと思います。  それから二つ目に、これは先日の私の質問の中で、大臣は、独立行政法人にした方が今よりももっと国の責任を果たしていくことになるんだ、こういう答弁が行われましたが、私は、行政から切り離して独立行政法人にして、なぜ今よりも一層国の責任を果たすことになるのか、この点について、改めて答弁を求めます。
  311. 続訓弘

    ○続国務大臣 私は、かつての私の経験を通じて具体的な数字で御説明申し上げました。要は、独立行政法人化をすることによって、例えば予算面にも柔軟性がある、人事の面でも柔軟性がある、組織の面でも柔軟性が期待できる。したがって、その理事長が、経営の衝に当たる人がちゃんと大局観を持って運営をすれば、私は、今委員が御指摘のような懸念はない、こう思います。
  312. 平賀高成

    平賀委員 予算の面についても人事の面についても非常に柔軟性があるということが言われましたけれども、予算の面でいいましても、独立行政法人などを導入して逆に今よりも国の支出がふえるんだったら、一体その行政改革は何なのかということが問われるじゃありませんか。しかも、政府の行政から切り離していくわけですから、本当に国が責任を持つというのでしたら、私は、切り離すべきじゃないということを改めて指摘をしておきたいと思います。  それで三つ目に、私は先日の質問の中で、独立行政法人、八十九の事務事業対象になっているわけなのですが、なぜこれが独立行政法人対象になるのかについて説明を求めましたら、そのときに続長官は、独立行政法人の三つの基準を説明されました。  しかし、独立行政法人にしていくというのでしたら、少なくともその事務事業業務内容やさらにはさまざまな研究成果や業務管理などの評価があり分析があってしかるべきだと思います。先日の質問の中でも、そういう問題についてはかんかんがくがくの議論があったんだというふうに言われておりましたけれども、しかしそのかんかんがくがくの議論の内容はこの委員会にも示されておりませんし、国民の前にも明らかになっておりません。こういうものをきちんと公開をしていく、ディスクロージャーをしていくというのは行政の基本だと思います。  長官に伺うわけですが、改めてこういう議論の経過を示す資料はあるのですか、ないのですか。
  313. 続訓弘

    ○続国務大臣 委員御案内のように、私は十月の五日に就任をいたしました。したがって、以前の資料は私の手元にはありません。  ただ、先ほど来申し上げたように、私の経験からして、当然のことながらかんかんがくがくの議論はあった、あってしかるべきだ、こんなふうに思います。
  314. 平賀高成

    平賀委員 十月五日に就任をされたというのは、それは私もわかりますよ。しかし、少なくともこれだけ大きな国家百年の大計を論ずるというわけでしょう。ですから、独立行政法人というのは、行政の減量化を図っていく、また効率化を図っていく一つの手段として導入をされるわけでありますから、八十九の事務事業がどういう状況にあって、どういう理由から独立行政法人にしなければいかぬのかという、この当たり前の議論を少なくとも前提条件の問題として明らかにするべきじゃありませんか。
  315. 続訓弘

    ○続国務大臣 各省庁との協議等々はもう当然考えられることなのです。それでまた先ほど御指摘ございました三つの方針、それもやはり各省庁との議論の中で私は集約されたものだと思います。そういう意味では、ありとあらゆる方面の議論がなされたというふうに思います。ただし、ではまとまった資料はあるのかというお話ですけれども、その経過の中での議論はあったにしても、まとまった資料が私の手元にないものですから、私は、私の手元にない、こう申し上げたわけです。
  316. 平賀高成

    平賀委員 結局、そういうふうな説明というか、説明になっていないと思いますが、前回の通常国会のときの議論で、続長官が所属をしているところの議員が、この八十九の事務事業をなぜ独立行政法人にするのかという、その資料の提出を求めました。そのときに、太田長官は、どういう協議の経過であった、議論であったということが資料にしてお出しできると思います、こういうふうに明確に前大臣は答弁をしているわけです。  ですから、国民に情報公開するのは行政の基本であって、民主主義の原点だと私は思います。太田長官は出すと言ったわけですから、出すべきじゃありませんか。
  317. 続訓弘

    ○続国務大臣 今、前大臣太田長官のお話をされました。私の手元にはありませんけれども、まとまった資料として出せるような状況でないということだけは、私は言えると思います。
  318. 平賀高成

    平賀委員 そんなばかな答弁、絶対ありませんよ。少なくとも前提条件を形づくる資料でありますから、絶対にその答弁は私は納得いきません。  もう時間もありませんから、政府は、そのような企画立案部分と実施部門を分離するという口実で、結局、国民生活に重要な部分を独立行政法人にして、そして民営化の道筋をつくるものだ、私は、独立行政法人というものはそういうものだ、絶対これは認められない、このことを最後に主張しまして、私の質問を終わります。
  319. 西田司

    西田委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  320. 西田司

    西田委員長 これより各案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。
  321. 古賀一成

    ○古賀(一)委員 私は、民主党を代表して、ただいま議題となっております中央省庁等改革関係法施行法案国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係五十九法案及び独立行政法人業務実施円滑化等のための関係法律整備等に関する法律案、計六十一本の法律案に対しまして、反対討論を行います。  前国会におきまして、中央省庁等改革関連法が審議され、今般の独立行政法人化の流れとなったところであります。しかし、民主党が通常国会における反対討論で指摘したとおり、そもそも政府案では実質的な行政改革は全く進まない、もっと深い十分な審議が必要と懸念されてきたのであります。  特に、独立行政法人化については、成案を得た本国会での十分な審議、具体的な検証に託されたのであります。しかし、本委員会でのこの膨大な法案の審議は、先週水曜日の趣旨説明以来わずか一週間で、本日採決を迎えることとなりました。  行政機関で噴出、続発する不祥事、介護保険制度の迷走など、行政府に対する立法府のチェック機能のあり方が今問われていることを想起すべきであります。  特に、本委員会は行政機構のシステムのあり方に責任を持つ委員会であります。もっと十分な時間をかけて、慎重に、徹底した審議をすべきであります。それが国民の期待であることをまず指摘し、反対の論旨を述べます。  第一に、前国会における中央省庁改革関連法は、政府のあり方を次の時代へ向けて機能的、戦略的に変えていくという視点があいまいで、形優先のそしりを免れません。その流れの中にある今般の独立行政法人化も、民営化にはほど遠く、疑似特殊法人をつくるのではないかという懸念、あるいは着せかえ人形のようだと指摘する声すらあるのであります。  そもそも行政改革とは、行政を簡素化し、スリム化し、現下の危機的な財政状況を改善するものではないでしょうか。法案の厚さとは裏腹に、この行革の原点のイメージが全くといっていいほどわいてこないのであります。長官の答弁も今後の運用に期待する旨が大半であり、法案の審議の時点で、この時点で、確たる独立行政法人化の意義づけ、効果が説明し得なかったと言わざるを得ません。  行革の原点に沿う有効な仕組みとなっていない、このままでは国民の期待を欺く形で見せかけの行革が進むのではないか、これが民主党が本法案に反対する第一かつ最大の理由であります。  第二に、独立行政法人化された五十九法人の選定の理由も基準も十分なものでないのであります。国民の理解がどれだけ得られるであろうか。まして、これら五十九の独立行政法人に勤務する人たちの意欲、モラルにどれだけのインセンティブが働くのでしょうか。極めて疑問と言わざるを得ません。  第三に、定数削減との関連であります。  独立行政法人職員は、四法人を除き、ほとんどが国家公務員身分を持つと言われております。しかし一方では、独立行政法人職員数は、総理みずから掲げた公務員の二五%削減分にカウントする、つまり、国家公務員ではないと扱うのであります。どこに行政の簡素化があるのか全くわかりません。独立行政法人制度は、行革の実を持たず、単に見せかけの定数削減に寄与する、このような結末になることを恐れるものであります。  以上、提案されました法案、独立行政法人関連法案の疑問点の一部を提示いたしました。  我々民主党は、行政改革に一刻の猶予もない、まやかし、先送りではない、政治のリーダーシップによる真の行革を目指すべきとき、それが今だと申し添え、反対討論といたします。(拍手)
  322. 西田司

    西田委員長 次に、春名直章君。
  323. 春名直章

    ○春名委員 私は、日本共産党を代表して、中央省庁等改革関係法施行法案及び独立行政法人個別法に係る五十九法案、独立行政法人業務実施円滑化等のための関係法律整備等に関する法律案の三案に反対討論を行います。  初めに、中央省庁等改革関係法施行法案についてであります。  反対の理由は、法案で二〇〇一年一月六日から施行する中央省庁の再編が、国民生活部門を縮小しながら大企業奉仕部門を温存、拡大しようとしているからであります。  中央省庁再編の柱となっている減量化は、雇用、高齢化対策など、それぞれ独自の行政の充実が求められている厚生省と労働省の統合、医療、教育、文化など、行政から切り離す独立行政法人化など、国民に直接役立つ部門を減量化する一方、浪費の削減や見直しが求められている大型公共事業部門は、ゼネコンサービス官庁ともいうべき巨大省庁を新設するなど、国民犠牲、大企業優先が貫かれております。これらは、浪費やむだをなくし、腐敗構造にメスを入れ、行政を国民本位に切りかえるという国民が願う行政改革に全く逆行するものと言わざるを得ません。  次に、五十九の独立行政法人個別法案及び独立行政法人円滑化法案についてです。  本案によって設立される独立行政法人業務は、国がみずから主体となって直接に実施する必要がないものどころか、国が直接実施すべき、国民の食料、健康、安全、文化を守るという公共性の高い業務ばかりです。減量化と称してこれら業務を行政から切り離すことは、国民に対する国の責任放棄です。  審議の中で総務庁長官は、根拠を示さず、研究機関が充実するかのように述べました。しかし、独立行政法人の最大の使命である運営効率化勘案すれば、今後、公共性の高い業務の縮小や廃止が進められ、国民にとって不可欠な行政サービスの低下を招くことは必至であります。  最後に、五十九本の個別独立行政法人法案は、十六省庁にわたり、国会では十四委員会にかかわるものです。これを本委員会に一括付託した上、審議時間も、一法案当たりに換算すればわずか十分程度という不十分なものです。これらは、議員と委員会の審議権を踏みにじるものであり、国会の存在意義を否定することにつながるものです。こうした委員運営を強引に進めた与党に厳しく抗議をし、反対の討論を終わります。(拍手)
  324. 西田司

    西田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  325. 西田司

    西田委員長 これより採決に入ります。  まず、内閣提出中央省庁等改革関係法施行法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  326. 西田司

    西田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、内閣提出国立公文書館法の一部を改正する法律案独立行政法人通信総合研究所法案独立行政法人消防研究所法案独立行政法人酒類総合研究所法案独立行政法人国立特殊教育総合研究所法案独立行政法人大学入試センター法案独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター法案独立行政法人国立女性教育会館法案独立行政法人国立青年家法案独立行政法人国立少年自然の家法案独立行政法人国立国語研究所法案独立行政法人国立科学博物館法案独立行政法人物質材料研究機構法案独立行政法人防災科学技術研究所法案独立行政法人航空宇宙技術研究所法案独立行政法人放射線医学総合研究所法案独立行政法人国立美術館法案独立行政法人国立博物館法案独立行政法人文化財研究所法案独立行政法人国立健康・栄養研究所法案独立行政法人産業安全研究所法案独立行政法人産業医学総合研究所法案独立行政法人農林水産消費技術センター法案独立行政法人種苗管理センター法案独立行政法人家畜改良センター法案独立行政法人肥飼料検査所法案独立行政法人農薬検査所法案独立行政法人農業者学校法案独立行政法人林木育種センター法案独立行政法人さけます資源管理センター法案独立行政法人水産大学校法案独立行政法人農業技術研究機構法案独立行政法人農業生物資源研究所法案独立行政法人農業環境技術研究所法案独立行政法人農業工学研究所法案独立行政法人食品総合研究所法案独立行政法人国際農林水産業研究センター法案独立行政法人森林総合研究所法案独立行政法人水産総合研究センター法案独立行政法人経済産業研究所法案独立行政法人工業所有権総合情報館法案貿易保険法の一部を改正する法律案独立行政法人産業技術総合研究所法案独立行政法人製品評価技術基盤機構法案独立行政法人土木研究所法案独立行政法人建築研究所法案独立行政法人交通安全環境研究所法案独立行政法人海上技術安全研究所法案独立行政法人港湾空港技術研究所法案独立行政法人電子航法研究所法案独立行政法人北海道開発土木研究所法案独立行政法人海技学校法案独立行政法人航海訓練所法案独立行政法人海員学校法案独立行政法人航空大学校法案独立行政法人国立環境研究所法案独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構法案自動車検査独立行政法人法案及び独立行政法人統計センター法案の各案を一括して採決いたします。  各案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  327. 西田司

    西田委員長 起立多数。よって、各案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、内閣提出独立行政法人業務実施円滑化等のための関係法律整備等に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  328. 西田司

    西田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  329. 西田司

    西田委員長 この際、ただいま議決いたしました国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係五十九法律案に対し、甘利明君外四名から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。甘利明君。
  330. 甘利明

    ○甘利委員 私は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係五十九法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係五十九法律案に対する附帯決議(案)   政府は、右各法律の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 独立行政法人の長の選任においては、自律的、効率的に運営を行うという制度の趣旨を踏まえ、広く内外から適切な人材を得るよう配慮すること。  一 外部有識者のうちから任命される独立行政法人評価委員会委員については、民間からの任命を積極的に進め、客観性、中立性を担保できる体制とすること。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて各委員承知のことと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  331. 西田司

    西田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  甘利明君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  332. 西田司

    西田委員長 起立多数。よって、国立公文書館法の一部を改正する法律案等独立行政法人個別法関係五十九法律案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、続総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。続総務庁長官
  333. 続訓弘

    ○続国務大臣 ただいま御議決のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。     —————————————
  334. 西田司

    西田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  335. 西田司

    西田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  336. 西田司

    西田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後五時六分散会