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山本参考人 全国町村会の
会長を務めております
福岡県
添田町長の
山本でございます。
なおまた、私は、
福岡県の
介護保険を
実施していくための
広域連合の
連合長を務めさせていただいておりますので、
最初に
連合長の
立場から
一言意見を申し上げさせていただきたいと思います。
まず
最初に、総括的でございますけれ
ども、
介護保険制度の問題については
基本的なことはもう
議論が終えている、私
どもはそういうふうに思っておりますし、法が制定されまして以来、それぞれの
町村でその
準備のために努力をしてまいりました。
住民の
皆さんたちには、
介護保険制度が始まるので、こういうふうになりますよという
説明もそれぞれ数回行ってきておりまして、私自身の感覚からいきますと、
大勢の
大勢では、大筋で
介護保険制度の
実施については
住民の
皆さんたちの認識をいただいている、こういうふうに
理解をしているところでございます。
それが大幅に変わりますと、一体どれが本当なのかというような、逆に今度は不安と
不信と疑問を抱くことになりますので、できるだけ
基本にかかわることについては、
法律で制定しておりますので変えないようにしていただくことが一番大事ではないだろうか、そういうことを思っておるところでございます。ぜひともその点についての格別な御
理解を
お願い申し上げたいと思います。
そこで、私
ども全国町村会では、今まで数回にわたりまして
要望を行ってまいりました。もちろん、この
制度を
実施していく上でいろいろな不便な点あるいは
財政的な問題等々がございますので、
要望をずっと続けてまいりましたけれ
ども、最近では、お
手元に差し上げておりますような
要望二点と
声明一点を私
ども出しておりまして、
お願いをしているところでございます。
声明につきましては、さっき申し上げたように、
基本についてはもう変えないでください。なぜそういうことを申し上げるかといいますと、
介護保険制度は、
保険料、
認定、それからもう
一つは
給付サービスなのですが、この三点で構成されていることは御承知のとおりでございます。この
三つの構成されている
基本になるものが変わってきますと一体どうなるのだ、こういうことになっていくわけです。
ですから、
保険料が動きますと、次に
給付が動いていきます。
給付が動いていきますと、
認定とのつり合いが均衡を失ってしまうということになってまいりますから、この
基本になることについては決められたとおりに
実施をすることが一番大事ではないか、こういうことだということでございます。そういう点についてはかねがね
お願いを申し上げております。
それでも
実施をしていく上で一番大きな私
どもの
要望点は、
財政の
支援でございます。なかんずく、この一〇〇%のうちの五〇%は
保険料で賄うことになっておりますが、
国負担の二五%のうちの五%が
財政調整の
交付金ということになっておりますけれ
ども、この五%の
調整交付金が果たしてそれだけの
効果を発揮できるのかどうかという点について、我々なりに試算をしてまいりますとかなり疑問がある。したがって、これらについてさらなる
検討をいただきまして、強固な
財政支援をしてくださいということを主力に今まで
お願いをしてきているところでございます。その点についてはお
手元の
三つの
要望の中に書いてありますので、御参照をいただければと思います。
さて、
順序を追ってお話をさせていただきます。
まず
最初に、私は
広域連合の話からさせていただきます。
私
ども市町村というのは、誕生したときから
格差がございます。
市町村格差というのは、その市や町や村が生まれたときから、
市町村の間で
格差というのは当然あるのです。だから、
市町村格差をなくそうということは難しいのです。これをやることはできません。例えば、ある市は
人口が百万いる、ある村は五百人しかいない、こういうのがございますが、これは直すことはできません。ですから、
市町村格差というのは、どうしたら一番いいかということが今最大の
課題ではないかと思いますけれ
ども、それよりもむしろ、そこに住んでいる
住民の
皆さんたちが
行政上受ける
利益や、あるいは
行政上から起こる義務などについて
格差があってはならないということです。
だから、何々市、百万の市に住んでいる人も、小さな村に住んでいる人も、
行政上から受ける
利益というのは同じでなければならない、こういうことだと私は思うのです。
市町村間の
格差はやむを得ない。しかし、
住民の
格差というのはあってはならない、こういうふうに思います。
ですから、
介護保険制度が
法律で制定されましたときに、
保険料の
均一化、
給付、
認定については公平、公正でなければならない。したがって、できるだけ多くの
皆さんたちが
一つの輪になってこれを
実施していくことが一番望ましい、こういうふうに考えまして、
福岡県では私
たち七十二の
市町村で
広域連合を設立しました。
ところが、この
広域連合に対して、余り大き過ぎて
市町村長はその
責任が薄くなって転嫁してしまうのではないかとか、あるいは小さいところには
サービスが行き届かないのではないかとか、いろいろと言われました。あるいは、よく今でも言われておりますが、私はよく
意味がわかりませんけれ
ども、
横出しだとか上積みとかいうのがなくなってしまうのではないか、それはむしろ
サービスの低下である、こういうようなことを随分言われました。おかげさまで、それらについては私
ども一つずつクリアをしていくことになりまして、ありがたい御指摘、御批判だったと今では感謝をしているところでございます。
そういう
意味で、私
たちは
広域連合をつくって
競争をするのではなくて
——複数の
団体がありますと、どうしてもそこには
競争原理が働きます。
競争原理が働くと、我々のような小さな町になりますと、
競争をしていきますとだんだん
財政を圧迫することになりますから、
町そのものも
財政破綻を来す。だから、
町村というのは、
介護保険制度だけを
実施しておればいいものではありません、
住民が生活していく上ですべてのものをやらなければなりません。これは国だって同じことです。
介護保険にすべての精力を注いでいって、片一方がおろそかになるという
行政の
やり方は決して適当ではない、こういうように思います。
競争というのはいい
競争と悪い
競争がある、こういうように思いました。ですから、
競争という言葉を我々はできるだけ避けていこうということですが、
競争が全くない無刺激な
広域連合ではうまくないんじゃないか、こういう
議論が起こりました。
そこで、
競争ではなくて、それぞれ七十二の
市町村が持っている特性を生かしていく、そういうことを集約していこうじゃないか、これが
競争にかわるべき
やり方である、そういうふうに私
どもは
意思統一をして現在進めているところでございます。そういう点について、七十二の
市町村で
広域連合を組んでうまくいくだろうか、こういう御心配をいただいている
方々が多いわけでございますけれ
ども、概要は今申し上げましたようなとおりでございます。
今私
どもの
広域連合は七十二の
市町村ですから、
人口が百十二万ぐらいでございます。そのうち、要
介護者と見られる
方々は約三万四千人くらいだろうと言われております。現在、もう十月一日から
認定業務が始まっておりますが、三分の一の申し入れを受けておりまして、約二千ぐらいの
皆さんたちの
訪問調査が終わっております。
私
どものところでは、
分科会は、いわゆる
認定の
委員会でございますが、これは全部で百三十三設けておりまして、我々の
広域連合は十四の
支部に分かれております。ですから、実際に活動するのは
支部でございまして、平均いたしますと六までは行きませんが、それくらいの
市町村の数が
一つの
支部の単位になっております。多いところが十
カ市町村、一番少ないところで二つの町でございます。それぞれの
圏域ごとの
市町村が
支部を構成しております。その
支部にそれぞれ
審査会を設けておりまして、土曜と日曜日の二時間ずつ
審査会を開いておるところでございます。
さっき申し上げましたように、現在
認定事務が終わっているのが二千ぐらいで、大体八割ぐらいが
調査員の
調査が終了しているところでございます。現在時点まで、あなたは何度ですよというところまで行っておりませんからまだ不平などは出てきておりませんけれ
ども、順調に
認定の
事務が進められているという
状況下でございます。そういうことで、
広域連合は
準備も十分整え、しかも、与えられた
事務も順調に進めているということでございます。
もう
一つ広域連合のよさというのは、共通する
事務を一括しますから、必要とする
人員数が非常に僅少で済むことになります。したがって、三分の一ぐらいの
人員で我々は
事務を進めることができる。したがって、今のところ実績が出ておりませんから何とも言えませんけれ
ども、
経費だけでも十億近い
節約ができることになります。
これは、七十二の
市町村がそれぞれ個別でやりますとそれだけの
費用を必要とするんですが、
広域連合で行いますと、今申し上げたように十億近い
経費の
節約ができることになりますのと、何といっても従事する
職員の数が、さっき申し上げたような数でできるということです。だから、各
市町村では担当の人が一人おれば済む。一人も要らないところもございます、兼務でやればいい。各
市町村の役場、市役所で
事務をやる者は、担当の人が一人おらなくても済む、こういうことでございます。
そういうことで、
広域連合は順調にやっているということをまず
最初に申し上げておきたいと思います。
さてそこで、
お願いを申し上げてきた
事項についてさらに
お願い申し上げたいと思いますのは、
最初申し上げましたように、二五%の
国負担分がございますが、そのうちの五%が
調整交付金ですが、これでは不足をするだろうと危惧をしているのが全部の
市町村の
皆さんたちの思いでございます。ですから、同じ
調整交付金をつくっていただけるならば、この二五%の外枠でさらに五%ぐらいの
調整交付金を設けて、本当の
意味での
財政支援をしてあげたらいかがかと
お願いをしたい、こういうことでございます。
それから次に、この前からいろいろ
議論されておりますけれ
ども、例えば、
保険料の四月一日から九月末までは〇%、徴収しない、以後一年間は二分の一にしたらどうかというお話がございます。それだけ膨大な額の
負担、言うなら
支援を国がしていただけるとするならば、一番大事なのは、さっき申し上げたように、二年有余かかって我々
市町村は
準備を進めてまいりましたが、そのためには
経費がかなり必要であるということでございます。
私
どもも、初年度は、
最初の年は、言うならば、やりましょうと言って進めてきた
準備費が六億かかりました。ことしはさらにその倍ぐらいの
費用が必要となります。これは、自分
たちでこの
準備を進めたり
事務を処理しているところでございます。
ところが、この七千九百億円とか九千億円とか言われる
保険料相当額を交付するとするならば、ぜひそこで
お願い申し上げたいのは、我々は立ち上がらなければなりません、だから、立ち上がる資金として一千億ぐらいは交付をしていただいても決して私はむだではないというように思います。
言いかえますと、
市町村が順調に
準備を進めてきて、よし、四月一日からこの
制度を円滑に導入し
実施をしていくぞということになりますと、それなりの資金が必要になってまいります。ですから、これは一千億ぐらいは
全国の
市町村に立ち上がり資金として交付しても決して多い額ではない、こういうように思っておりますので、ぜひそういうことをお考えをいただければと思います。
さらに、この
制度の中で
財政調整交付金と安定化基金を設けることになっておりますが、これは、国、県、そして
市町村の
負担、
保険者の
負担ということになっておりますけれ
ども、これはやめてほしい。これは、もう
制度で決めてあるけれ
ども、できるならば
実施をしないでほしい。それより別に、立ち上がり資金のほかに、
市町村が
保険料を十分確保するために安定化基金をつくって
支援をしていただくことが必要ではないか、こういうふうに思いますので、別途の
財政安定化基金制度を設けていただきたい、こういうふうに思います。
次に、
事務費でございます。
事務費は、この
認定事務に関しましては二分の一を交付するということになっておりますけれ
ども、実際、
認定の
事務だけではございません、いろいろな
事務がございますので、二分の一の交付を受けますと、実質的に幾らになるかといいますと四分の一になってしまいます。四分の一しか
事務費の補助はないということになりますから、ぜひ増額をしていただくよう、さらにまた対象
事務経費を拡大をしていただきたいというふうに
お願いを申し上げたいと思います。
それから次でございますけれ
ども、先ほど申し上げましたように、
認定事務が今始まっておりますけれ
ども、今備えております一次の判定を行いますためのパソコンがとても足りません。私
どものところでは今それ専用のものを二十八台設置をしておりますが、そのほかに別のコンピューターも用意をして、資料を打ち込みながら一緒に片一方の方に打ち込んでおるんですけれ
ども、現在では、その親になるのが全部で二十八台備えておりますけれ
ども、とても足りません。あと十八台ぐらい増設をしないと、四月一日の
実施に入っていくのに間に合わないという心配がございます。そういうことで、それらを
お願い申し上げたいということでございます。
それからその次は、ホームヘルパーを二十四時間体制でやらなければなりません。したがって、二十四時間体制にするためには、ヘルパーの数が、必要量が供給量の二倍ないし三倍になるということでございますから、その点についての養成を行わなければなりません。これらの
支援を
お願い申し上げたいということでございます。
それからもう
一つは、民間導入になってきますから、国はマニュアルをつくって、民間がこのマニュアルに従って
介護サービスができるようにすべきだというふうに思いますので、ぜひ
お願いを申し上げておきたいと思います。
時間が何か短いようでございますので、大変申しわけありませんから、あとは項目だけ申し上げますので、ぜひひとつ
お願いをしておきたいと思います。
それから次でございますけれ
ども、もう
一つは、
給付サービスをしていく上で、
サービスをしましたということの確認ができるような機器が必要だと思いますので、それらについても十分配慮を願いたい。
それから、
制度外の事業についても十分な
支援をしていただくよう
お願いを申し上げたいと思います。
それからさらに、新新ゴールドプランでございますけれ
ども、これは時間をゆっくりかけていただくよう御配慮願いたいと思います。余りせかしてつくりますと、また雑なものになって安定をしないということになります。
それから、家族
介護の
制度のことでございますが、例の家族
介護というものは
制度外でやるよりも
制度内でやることが本来は望ましいと思いますので、御配慮を願いたいと思います。
それから、低所得者に対しましての一部
負担を三%にするということでございますが、七%分は完全なる十分の十で御
負担をしていただきますよう
お願いを申し上げたいと思います。
少し時間が足らなくなりましたけれ
ども、項目だけ申し上げさせていただきましたので、十分御配慮いただきますことを
お願い申し上げまして、私の
説明を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)